説明

2成分の系における貯蔵安定な硬化剤組成物

【課題】2成分系のシリコーン組成物のための硬化剤組成物であって、追加のプロセス工程において事前に費用をかけて化学的に反応させることなく、又はレオロジー的に安定化させることなく、貯蔵時に均質に留まり、かつ分離を示さない硬化剤組成物を提供する。
【解決手段】縮合架橋性のRTV−2型のシリコーン組成物のための硬化剤組成物であって、(A)少なくとも1種の架橋剤、(B)少なくとも1種の触媒、(C)少なくとも1種のエキステンダーポリマーを含有する硬化剤組成物において、前記成分(C)中のT単位及びQ単位のモル割合の合計が少なくとも25%であることを特徴とする前記硬化剤組成物によって解決された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮合架橋性のRTV−2型のシリコーン組成物のための硬化剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
2成分系(2K)のシリコーン組成物は、従来技術において既に長い間知られており、しばしば様々な用途における接着剤及びシーリング剤として使用される。室温で架橋する2成分系のシリコーンは、"室温加硫性の2部シリコーン(room temperature vulcanizeing 2 part silicones)"(RTV−2)と呼称される。2種の成分の一方は、しばしば、ポリマー組成物として又はA成分として呼称される。第二の成分は、しばしば、硬化剤組成物又はB成分とも呼ばれる。
【0003】
本願で使用される分離という概念は、物質混合物又は調合物において、複数の成分が、個々の成分の不十分な相容性又は異なる密度によって自発的に離れることを説明している。分離する成分の密度に応じて、大抵は、表面あるいは床のいずれかに集まることが観察できる。
【0004】
この特徴は、均質性という概念、従って物質の均一性を用いても説明することができる。混合物又は調合物であって大部分の材料とは異なる相が形成されるものは、不均質である。そのことは、例えばペーストでの油状成分又は液状成分の分離であってよい。液状の物質混合物では、不溶性成分又は不相容性成分の間での目に見える界面の形成が論じられることがある。
【0005】
今日の先行技術において、自己付着性の硬化剤組成物は、しばしばエキステンダーポリマー(Extenderpolymer)としてシリコーンポリマーを有する。これらは、大抵は、ビニル官能性又はトリメチルシリル官能性のポリジメチルシロキサンである。例えば架橋剤又は付着助剤(Haftvermittler)と前記ポリマーとの相容性は、必ずしも十分に良好ではないので、相分離の危険性がある。大抵は、かかる硬化剤組成物は、レオロジー的に安定化されている。すなわち、あまりにも容易な脱混合(Entmischung)を避けるために、レオロジー的に活性の充填剤を用いて安定したペーストが作成されている。しかしながら、それは長期的には効果的ではない。
【0006】
液相の表面での分離は、多くの硬化剤組成物で十分に知られている。
【0007】
使用準備ができた自己付着性の組成物においては、通常は、約1%の付着助剤量と約3〜5%の量の架橋剤が必要となるので、例えば2成分の系は、A成分とB成分の9:1の混合比の場合に、相応して、硬化剤組成物中で約10倍の濃度を有する。それは、かなりの数の付着助剤の溶解度限界を超えている。それにより、個々の成分の相分離の問題がなお一層適用される。
【0008】
WO2010/057963号A1において、ビニル末端のポリジメチルシロキサンと、レオロジー安定化のために例えばカーボンブラック及びシリカ並びに更に架橋剤及び付着助剤を含有してよいB成分が開示されている。しかし、前記の付加的なレオロジー安定化は、硬化剤組成物の成分の分離の時点を単に先延ばしにしているに過ぎない。
【0009】
US2010/081751号A1においては、架橋剤成分が直鎖状の非反応性のポリジメチルシロキサン又はコポリマーを含有してよいRTV−2組成物が記載されている。ここでも、硬化剤組成物の分離は、先延ばしにされているに過ぎない。
【0010】
DE3206474号A1においては、B成分の成分、アルキルシリケート、触媒及び付着助剤を、成分の相容性に至らしめるために事前反応において反応させている。それは、費用かかる付加的な化学的なプロセスを実施せねばならないという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO2010/057963号A1
【特許文献2】US2010/081751号A1
【特許文献3】DE3206474号A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の課題は、2成分系のシリコーン組成物のための硬化剤組成物であって、追加のプロセス工程において事前に費用をかけて化学的に反応させることなく、又はレオロジー的に安定化させることなく、貯蔵時に均質に留まり、かつ分離を示さない硬化剤組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題は、本発明による、縮合架橋性のRTV−2型のシリコーン組成物のための硬化剤組成物であって、
(A)少なくとも1種の架橋剤、
(B)少なくとも1種の触媒、
(C)少なくとも1種のエキステンダーポリマー
を含有する硬化剤組成物において、前記成分(C)中のT単位及びQ単位のモル割合の合計が少なくとも25%であることを特徴とする前記硬化剤組成物によって解決された。
【0014】
本発明による硬化剤組成物は、RTV−2型の系において、ポリマー組成物と一緒に第二の成分として使用される。RTV−2型の系のためのかかるポリマー組成物は、当業者には長い間知られている。前記組成物は、通常は、ヒドロキシ末端のポリジメチルシロキサンを架橋可能なポリマーとして含有し、大抵は、トリメチルシリル末端のポリジメチルシロキサンを可塑剤成分として含有し、更に補強性充填剤もしくは非補強性充填剤、例えばシリカ、カーボンブラック、石英、白亜、珪藻土などを含有する。任意の成分、例えば熱安定化剤、レオロジーもしくは特殊な特性を最適化するための添加剤、殺真菌剤が更に使用される。
【0015】
本発明により使用される架橋剤(A)は、好ましくは、一般式(I)
cSiR2(4-c) (I)
[式中、
2は、互いに無関係に、同一又は異なっていてよく、かつ一価の、置換もしくは非置換の炭化水素基を意味し、前記基は、酸素原子によって中断されていてよく、
Zは、互いに無関係に、同一又は異なっていてよく、かつ加水分解可能な基を意味し、かつ
cは、3又は4である]で示される有機ケイ素化合物並びにそれらの部分加水分解物である。
【0016】
前記部分加水分解物は、この場合、部分単独加水分解物(Teilhomohydrolysate)、すなわち、一般式(I)の1種の有機ケイ素化合物の部分加水分解物であってよく、また同様に部分共加水分解物(Teilcohydrolysate)、すなわち、一般式(I)の少なくとも2種の異なる有機ケイ素化合物の部分加水分解物であってよい。これらの本発明による架橋剤もしくは部分加水分解物は、1200g/モルの最大質量平均分子量Mwを有する。
【0017】
式(I)中には挙げられていないが、本発明により使用される有機ケイ素化合物は、製造に応じて、少ない割合のヒドロキシル基を、好ましくは全てのSi結合基の最高5%まで有してよい。
【0018】
本発明による材料で使用される架橋剤(A)が、式(I)の有機ケイ素化合物の部分加水分解物である場合には、10個までのケイ素原子を有するものが好ましい。
【0019】
好ましくは、基R2は、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、前記基は、ハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基又は(ポリ)グリコール基により置換されていてよく、その際、この最後の基は、オキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位から構成されており、特に好ましくは、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、特に、メチル基である。しかしながら、基R2は、二価の基であってもよく、これは例えば2つのシリル基に相互に結合している。
【0020】
基R2の例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基;ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基;ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基;オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基;ノニル基、例えばn−ノニル基;デシル基、例えばn−デシル基;ドデシル基、例えばn−ドデシル基;オクタデシル基;例えばn−オクタデシル基、シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アルケニル基、例えばビニル基、1−プロペニル基及び2−プロペニル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基;キシリル基及びエチルフェニル基;及びアラルキル基、例えばベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基である。
【0021】
置換された基R2の例は、メトキシエチル基、エトキシエチル基及びエトキシエトキシエチル基である。
【0022】
二価の基R2の例は、ポリイソブチレンジイル基及びプロパンジイル末端ポリプロピレングリコール基である。
【0023】
基R2のためには、1〜12個の炭素原子を有する炭化水素基が好ましく、メチル基及びビニル基が特に好ましい。
【0024】
Zのための例は、今までに知られるあらゆる加水分解可能な基、例えば酸素原子もしくは窒素原子を介してケイ素原子に結合された、置換もしくは非置換の炭化水素基である。
【0025】
好ましくは、基Zは、基−OR1であり、その際、R1は、置換もしくは非置換の炭化水素基を意味し、前記基は、酸素原子によって中断されていてよい。Zのための例は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基及び2−メトキシエトキシ基、アミノ基、例えばメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基及びシクロヘキシルアミノ基、アミド基、例えばN−メチルアセトアミド基及びベンザミド基、アミノオキシ基、例えばジエチルアミノオキシ基、オキシモ基、例えばジメチルケトキシモ基、メチルエチルケトキシモ基及びメチルイソブチルケトキシモ基及びエノキシ基、例えば2−プロペンオキシ基並びにアシルオキシ基、例えばアセチル基である。
【0026】
好ましくは、本発明による材料で使用される架橋剤(A)は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン並びに前記有機ケイ素化合物、例えばヘキサエトキシジシロキサンの部分加水分解物である。
【0027】
特に好ましくは、本発明による材料で使用される架橋剤(B)は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン並びにそれらの部分加水分解物、特にテトラエトキシシラン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビニルトリエトキシシラン及びそれらの部分加水分解物及び混合加水分解物である。
【0028】
本発明による硬化剤組成物で使用される架橋剤(A)は、市販の製品であるか、あるいは、ケイ素化学において公知の方法により製造することができる。
【0029】
本発明による架橋剤(A)は、少なくとも2倍のモル過剰の加水分解可能な又は加水分解された架橋剤官能基が、架橋されるべき成分の末端基の割合に対して生ずる量で使用される。好ましくは、架橋剤官能基と架橋されるべき基とのモル比は、2:1〜10:1で調整される。
【0030】
本発明による触媒(B)としては、原則的に、今までに知られた縮合反応用のあらゆる触媒、例えばジアルキルスズ化合物、有機チタン酸塩もしくはチタンのキレート錯体、更に例えばセリウム化合物、ジルコニウム化合物、モリブデン化合物、マンガン化合物、銅化合物もしくは亜鉛化合物又はそれらの塩、アルコキシレートもしくはキレート錯体、また、主族(Hauptgruppe)の触媒活性化合物又はビスマス、Li、SrもしくはBの塩が適している。
【0031】
触媒(B)として、セリウム、ジルコニウム、ビスマス、リチウム及びジオルガノスズの金属化合物が好ましい。特に、相応のカルボキシレートが好ましい。
【0032】
本発明による硬化剤組成物は、触媒(B)を縮合反応に慣用の量で含有する。使用準備ができた2成分の系においては、これらは、それぞれ金属に対して、スズ化合物の場合には、例えば100〜500ppmの範囲であり、リチウム化合物の場合には、100〜1000ppmの範囲であり、ビスマス化合物の場合には、2000〜5000ppmの範囲にある。
【0033】
成分(C)は、硬化剤組成物とポリマー組成物とのRTV−2型の系における混合比をより良く調節でき、かつ全ての成分の混和性を成り立たせるために、硬化剤組成物に添加される。従って、成分(C)は、硬化剤組成物の容量増加に用いられる。これは、混合に際しての配量のより良好な制御を可能にし、物質混合物の均質性を保証する。
【0034】
本発明によるエキステンダーポリマー(C)としては、有機ケイ素化合物であって、その物質組成が、以下の一般式(II)
(T+Q)/(M+D+T+Q)≧0.25 (II)
に相当する有機ケイ素化合物が使用される。
【0035】
式(II)の命名法は、相応して、一般的な知識水準に従う。それによれば、M単位は一官能性のケイ素原子に相当し、D単位は二官能性のケイ素原子に相当し、T単位は三官能性のケイ素原子に相当し、そしてQ単位は四官能性のケイ素原子に相当する。
【0036】
分岐型のエキステンダーポリマーは、方法に応じて、例えばケイ素に結合したヒドロキシル基を、分岐型ポリマー100部に対して、1質量%未満の量で含有する。本発明による成分(C)は、好ましくは、0.5質量%未満の、特に好ましくは0.2質量%未満の残留OH含有率を有する。
【0037】
好ましくは、キャリヤーポリマー(Traegerpolymer)又はエキステンダーポリマー(C)におけるT単位とQ単位のモル割合の合計は、ケイ素原子の少なくとも25%である。それは、特に好ましくは少なくとも35%であり、特に少なくとも40%である。
【0038】
成分(C)の使用は、極性の成分とも予想し得ないほど良好な相容性及び適合性を生ずる。
【0039】
平均モル質量Mwの範囲は、本発明による成分(C)については、特に好ましくは、1200g/モルより高くで5000g/モルまでである。
【0040】
本発明による硬化組成物は、更なる成分として付着助剤(D)を含有してよい。前記成分は、官能性シラン又はカップリング試薬と見なされる。本発明による材料で使用される付着助剤(D)のための例は、官能基を有するシラン及びオルガノポリシロキサン、例えばグリシドキシ基、アミノ基又はメタクリルオキシ基を有するものである。更に、付着助剤(D)としては、加水分解可能な基及びSiC結合したビニル官能基、アクリルオキシ官能基、メタクリルオキシ官能基、エポキシ官能基、酸無水物官能基、酸官能基、エステル官能基、シアヌラト官能基、カルバマト官能基もしくはウレイド官能基又はエーテル基を有するシラン並びにそれらの部分加水分解物及び混合加水分解物を使用してもよい。付着助剤として、加水分解可能な基を有する、アミノ官能性の、アクリル官能性の、エポキシ官能性の、シアヌラト官能性の、カルバマト官能性の又はウレイド官能性のシラン及びそれらの部分加水分解物が好ましい。好ましくは、成分(D)は、触媒を含む使用準備ができたRTV−2型の混合物(=硬化組成物+ポリマー組成物)100質量部に対して、好ましくは50質量部までの、特に好ましくは0.1〜20質量部の、特に0.5〜10質量部の成分(D)の割合を含む量で含まれている。
【0041】
硬化剤組成物は、更に、当業者に長い間知られた他の成分(E)を含有してよい。本発明による組成物で使用できる成分(E)のための例は、充填剤、例えば補強性充填剤及び非補強性充填剤、可塑剤、可溶性着色剤、無機顔料及び有機顔料、溶剤、殺真菌剤、香料、分散助剤、レオロジー添加剤、腐蝕防止剤、酸化防止剤、光保護剤、熱安定剤、防炎性剤及び電気的特性に影響を及ぼす剤である。
【0042】
示される付着助剤(D)の量は、付着助剤の種類に応じて、直鎖状のポリジメチルシロキサンポリマー中での溶解性を上回る。これは、結果的に相分離をもたらす。この分離傾向は、シリカ、カーボンブラック又は別の増粘添加剤などの他のレオロジー活性物質を使用する必要なく、本発明による成分(C)の使用によって阻止される。また、費用のかかる硬化剤組成物の化学反応を伴う付加的なプロセス工程も必要ない。本発明による硬化組成物の更なる利点は、本発明による成分(C)の使用が、この用途で慣用の硬化剤組成物とポリマー組成物との配量比の調節を補助することである。
【0043】
硬化剤組成物の製造は、例えば個々の成分(A)、(B)及び(C)の混合によって行うことができる。
【0044】
他の成分(D)及び(E)は、必要に応じて同様に混加される。
【0045】
本発明による硬化剤組成物は、一成分として、縮合架橋性のRTV−2型のシリコーン組成物中で使用される。前記の縮合架橋性のRTV−2型のシリコーン組成物は、更に、例えば接着剤及びシーリング剤として様々な用途で使用される。
【実施例】
【0046】
硬化剤成分の製造のための例
実施例1(DE3206474号A1の文献と同様:本発明によるものではない)
前記文献の実施例1に従って、まず、10.8部のテトラエチルシリケートと、3.6部のジブチルスズジラウレートとを140℃で2時間にわたり反応させた。引き続き、25.6部のアミノプロピルトリエトキシシランを添加した。それを、7部の疎水化シリカ、28部の白亜及び25部の20000mPasを有するビニル官能性ポリマーと配合して、硬化剤成分とした。
【0047】
実施例2(WO2010/057963号A1の文献と同様:本発明によるものではない)
前記の文献の発明の詳細な説明に従って、硬化剤混合物を、20部の粘度20000mPasを有するビニルポリマーと32部のテトラエチルシリケート及び付着助剤としての10部のアミノプロピルトリエトキシシランとを予備混合することで製造した。引き続き、17部のシリカ(HDK H15)及び20部のカーボンブラック(Ensaco MS)を混加し、加工して均質な材料とした。
【0048】
実施例3(本発明によるもの)
75%のT単位と25%のD単位とを含み2800g/モルの質量平均を有する硬化成分54部を、15部の部分加水分解されたテトラエチルシリケートTES40、15部のg−アミノプロピルトリエトキシシラン、15部のWacker AMS70並びに1部のジブチルスズジアセテートと混合して、均質な澄明な混合物とした。
【0049】
実施例4(本発明によるもの)
75%のT単位と25%のD単位とを含み2800g/モルの質量平均を有する硬化成分44部を、15部の部分加水分解されたテトラエチルシリケートTES40、15部のg−アミノプロピルトリエトキシシラン、15部のWacker AMS70並びに10部のカーボンブラック(Ensaco MS)と均質に混合し、引き続き1部のジブチルスズジアセテートで触媒添加した。
【0050】
実施例5(本発明によるものではない)
20%のT単位と70%のD単位と10%のM単位とを含み2000g/モルの質量平均を有する硬化成分54部を、15部の部分加水分解されたテトラエチルシリケートTES40、15部のg−アミノプロピルトリエトキシシラン、15部のWacker AMS70と均質に混合し、引き続き1部のジブチルスズジアセテートで触媒添加した。
【0051】
実施例6(本発明によるもの)
100%のT単位を含み2500g/モルの質量平均を有する硬化成分54部を、15部の部分加水分解されたテトラエチルシリケートTES40、15部のg−アミノプロピルトリエトキシシラン、15部のWacker AMS70と均質に混合し、引き続き1部のジブチルスズジアセテートで触媒添加した。
【0052】
実施例7(本発明によるもの)
40%のQ単位と60%のM単位とを含み1500g/モルの質量平均を有する硬化成分54部を、15部の部分加水分解されたテトラエチルシリケートTES40、15部のg−アミノプロピルトリエトキシシラン、15部のWacker AMS70と均質に混合し、引き続き1部のジブチルスズジアセテートで触媒添加した。
【0053】
実施例8(本発明によるもの)
10%のQ単位と15%のT単位と65%のD単位と10%のM単位とを含み2200g/モルの質量平均を有する硬化成分54部を、15部の部分加水分解されたテトラエチルシリケートTES40、15部のg−アミノプロピルトリエトキシシラン、15部のWacker AMS70と均質に混合し、引き続き1部のジブチルスズジアセテートで触媒添加した。
【0054】
実施例の分離の評価は、標準条件(室温である約25℃及び常圧である約1015mPa)で3ヶ月後か、あるいは高められた温度(50℃)及び常圧で4週間後に行われる。その評価を第1表に示す。
【0055】
第1表で使用される略語:
S=安定したペースト
F=液状
第1表
【表1】

* 本発明によるもの
** DE3206474号A1の第37頁の終わりから2番目の段落を参照のこと
【0056】
本発明による実施例では、前記の時間において、硬化剤成分の認識できる不均質性が生じない。
【0057】
本発明によるものではない実施例1は、触媒、硬化剤及び付着助剤と別の成分との相容性を溶剤を使用することなくもたらすために、架橋剤と触媒とからの反応生成物を含有する。それにも拘わらず、油分離が観察される。
【0058】
また、本発明によるものではない実施例2は、表面での油の脱離の形で混合物の分離を示す。
【0059】
少なくとも25%のT単位又はQ単位の割合を有する本発明による実施例3、4、6、7及び8は、油の脱離を示さない。硬化剤調合物3、5、6、7及び8は、澄明ないし軽く混濁した液体である。その際、本発明によるものではない実施例5は、相分離を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縮合架橋性のRTV−2型のシリコーン組成物のための硬化剤組成物であって、
(A)少なくとも1種の架橋剤、
(B)少なくとも1種の触媒、
(C)少なくとも1種のエキステンダーポリマー
を含有する硬化剤組成物において、前記成分(C)中のT単位及びQ単位のモル割合の合計が少なくとも25%であることを特徴とする前記硬化剤組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の硬化剤組成物の製造方法であって、成分(A)、(B)及び(C)を混合することにより行う前記製造方法。
【請求項3】
縮合架橋性のRTV−2型のシリコーン組成物であって、2種の成分の一方が請求項1に記載の硬化剤組成物であることを特徴とする前記シリコーン組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の縮合架橋性のRTV−2型のシリコーン組成物を、接着剤又はシーリング剤として用いる使用。

【公開番号】特開2012−12601(P2012−12601A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147364(P2011−147364)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】