説明

2次電池用陰極材、その製造方法及びこれを用いた2次電池

【課題】電池の充放電容量及びその効率を向上させる2次電池用陰極材、その製造方法及びこれを用いた2次電池を提供する。
【解決手段】本発明の2次電池用陰極材は、高結晶性芯材炭素材料を被覆炭素材料で被覆した後焼成させて製造され、上記2次電池用陰極材の全体気孔の比体積が0.002cc
/g以下であり、直径が40nm未満の気孔(マイクロ気孔)の体積が全体気孔の体積の
10%以上であり、直径が40ないし180nmの気孔(マクロ気孔)の体積が全体気孔
の体積の90%以下である。本発明による2次電池用陰極材は、高結晶性芯材炭素材料に被覆炭素材料を被覆させた後、一定の焼成過程を経て製造され、その製造された陰極材のマイクロ気孔の体積の割合が増加することが分かり、このような2次電池用陰極材を用いて電池を製造する場合、陰極材のリチウムイオンの吸蔵機能が改善されることによって電池の充放電容量及びその効率を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次電池用陰極材、その製造方法及びこれを用いた2次電池に関するものであって、さらに詳しくは、高結晶性芯材炭素材料を被覆炭素材料で被覆した後焼成させて製造されるものであって、その内部に含まれるマイクロ気孔の量を調節することによって電池の放電容量と充放電効率を向上させ得る2次電池の製造に用いられる2次電池用陰極材、その製造方法及びこれを用いた2次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、携帯型ノートPC、電気自動車など電池を用いる電子器機の急速な普及に伴い、小型で軽量でありながらも相対的に高容量の2次電池に対する需要が増大されつつあり、このような成り行きはさらに加速化している。
【0003】
2次電池の陰極材として金属リチウムを用いるリチウムイオン2次電池の場合には、高い充放電効率を実現することができるが、充電の際、リチウムイオンが金属リチウムの表面に析出されるとき、デンドライトが形成されながら、内部短絡現象が発生する問題点が指摘されている。このような問題点によりリチウム金属の代わりにリチウム/アルミニウム合金のようなリチウム合金を用いる代案技術が提示されている。しかし、充放電サイクルが長い間繰り返される場合には、合金の偏析が生じるため長期間使用すると安定的な電気的特性が確保されない問題点がある。一方、黒鉛化度の高い炭素材料は充放電効率が高く放電時の電圧変化が小さいため充放電サイクル特性や電池の安全性などに長所を有している有望な素材である。しかし、炭素材料は黒鉛から無定型炭素まで多様な構造と形態を有しており、このような物性の差及び炭素の多様な微細組織が電池の電極性能を左右するため、炭素材料の物性値または微細組織による長所を有する多様な形態の炭素材料が提示されている。現在用いられているリチウム2次電池用陰極材は、1,000℃内外で焼成
された炭素系材料と、2,800℃内外で焼成された黒鉛系材料とがある。前者の炭素系
材料を陰極材として用いる場合、電解液との反応性が小さいため電解液を分解させない長所がある反面、リチウムイオンの放出に伴う電位の変化が大きく発生する短所がある。一方、後者の黒鉛系材料はリチウムイオンの放出に伴う電位変化が小さい長所があるが、電解液と反応して電解液を分解させ、ひいては電極材料が破壊される。その結果、電池の充放電効率が低下し、サイクル特性が低下し、電池の安全性を害するような短所もある。
【0004】
このような問題点を解決するために、努力の一環として炭素材料の表面を改質化させる方法が提案され、その結果として得られた一定の物性値を有する表面改質化された炭素材料は、電解液との反応が抑制されながら電池容量が増加し、サイクル特性が改善されることがわかった。そして、かかる技術的背景に基づいて最適の電池特性を保障することができる2次電池の陰極材として活用され得る炭素材料の開発過程で本発明が案出された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述したような従来の2次電池の陰極材として活用される炭素材料が有する多くの問題点、すなわち、電解液との反応を通じて電解液が分解され、それによって電池特性が低下する現象を防止しようとすることにあり、このような技術的課題を達成することができる2次電池用陰極材、その製造方法及びこれを用いた2次電池を提供することに本発明の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が解決しようとする一つの技術的課題を果たすために提供される本発明による上
記2次電池用陰極材は、高結晶性芯材炭素材料を被覆炭素材料で被覆した後これを焼成させて製造される2次電池用陰極材であって、上記2次電池用陰極材の全体気孔の比体積が0.002cc/g以下であり、直径が40nm未満の気孔(マイクロ気孔)の体積が全
体気孔の体積の10%以上であり、直径が40ないし180nmの気孔(マクロ気孔)の体積が全体気孔の体積の90%以下であることを特徴とする。
【0007】
上記被覆炭素材料は、芯材炭素材料と被覆炭素材料との全体混合物の重量対比5重量%以上であることが望ましい。上記2次電池用陰極材は、そのタップ密度が1.0g/cm3以上の値を有することが望ましい。上記2次電池用陰極材は、そのBET比表面積が4m2/g以下の値を有することが望ましい。上記高結晶性芯材炭素材料は、天然黒鉛であることが望ましい。上記天然黒鉛は球状化された天然黒鉛でありそのタップ密度が0.8g/cm3以上であることが望ましい。上記被覆炭素材料は、軟化点が100℃以上であることが望ましい。
【0008】
本発明が解決しようとする他の技術的課題を果たすために提供される本発明による2次電池は、前述したような条件を満足する2次電池用陰極材を電池の陰極として用いることを特徴とする。上記2次電池の陰極材は、放電容量が340mAh/g以上であり、その充放電効率が90%以上の値を有することが望ましい。
【0009】
本発明が解決しようとする他の技術的課題を果たすために提供される本発明による2次電池用陰極材の製造方法は、
(S1)タップ密度が0.8g/cm以上でありその含量が95重量%以下である芯
材炭素材料と、その含量が5重量%以上であり軟化点が100℃以上である被覆炭素材料とを用意する段階;
(S2)上記材料を、湿式撹拌を通じて混合して上記芯材炭素材料に上記被覆炭素材料が被覆された混合物を得る段階;
(S3)上記混合物を焼成して上記芯材炭素材料に上記被覆炭素材料が被覆された陰極材を得る段階;を含み、
上記陰極材の内部に含まれた全体気孔の比体積が0.002cc/g以下であり、直径
が40nm未満の気孔(マイクロ気孔)の体積が全体気孔の体積の10%以上であり、直径が40ないし180nmの気孔(マクロ気孔)の体積が全体気孔の体積の90%以下であることを特徴とする。
【0010】
このとき、上記(S1)段階の芯材炭素材料は天然黒鉛であることが望ましい。上記(
S3)段階で行う焼成は、1,000ないし2,500℃の温度で行うことが望ましく、こ
のような焼成は互いに異なる温度条件下で順次行うことが望ましく、特に温度条件を異ならせて行う順次的焼成段階は、前段階の焼成温度より後段階の焼成温度を相対的に高くすることがさらに望ましい。上記焼成温度条件を外れる場合には要求される物性を発現し難いため温度維持に注意が要望される。
【発明の効果】
【0011】
本発明による2次電池用陰極材は、高結晶性芯材炭素材料に被覆炭素材料を被覆させた後、一定の焼成過程を経て製造され、その製造された陰極材のマイクロ気孔の割合が増加することがわかり、このような2次電池用陰極材を用いて電池を製造する場合、陰極材のリチウムイオンの吸蔵機能が改善されるため電池の充放電容量及びその効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に対する理解を助けるために具体的な実施例を挙げて説明し、必要な場合には図面を参照しながらさらに詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は種々の形
態に変形され得、本発明の範囲が下記で詳述する実施例に限定されるものとして解釈されてはいけない。本発明の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0013】
<実施例1、2及び比較例1、2>
陰極材として、下記表1に示したように、実施例1、2及比較例1、2に区分・設定された炭素材料を用いた。また、上記炭素材料とテトラヒドロフラン(THF)で溶かしたピッチの重量比は下記表1のように構成した。下記表1による炭素混合材料に対しては下記で説明される方法によって電極を製造した。
【0014】
【表1】

【0015】
陰極材を用いた電池の製造
本発明による2次電池用陰極材を用いて電極を製造する過程を下記のように、(S1)
段階ないし(S5)段階を順次行い本発明による2次電池用陰極材の電池特性を評価する
ための電極を製造した。
【0016】
材料の準備段階(S1)
芯材炭素材料として用いられる炭素材料は、人造黒鉛、天然黒鉛両方とも用いられ得るが、容量の高い天然黒鉛を用いることが望ましい。天然黒鉛の場合、球状化段階を経てタップ密度が0.8g/cm3以上に加工された天然黒鉛を用意することが望ましい。被覆材料として用いられるピッチは軟化点が100℃以上であることが望ましい。軟化点が高い物質であればあるほど、炭化収率や炭素含量が高く現われるため焼成時にピッチの分解が少なくて望ましい被覆程度を制御することができる。望ましくは、100ないし400℃の軟化点を有することが望ましい。被覆炭素材料は結晶性芯材炭素材料と被覆炭素材料全体の重量に対して5重量%以上用いることが有効な被覆程度を得ることができるため望ましく、さらに望ましくは5重量%ないし30重量%である。30重量%以上の被覆炭素材料を用いる場合、焼成後粉砕が必要な場合があり得、被覆程度が制御し難い。
【0017】
被覆段階(S2)
上記用意された材料を、湿式撹拌を通じて混合して上記芯材炭素材料に上記被覆炭素材料が被覆された混合物を得る。詳しくは、上記用意された被覆炭素材料に上記高結晶性黒鉛からなる芯材炭素材を添加して常温で2時間以上湿式撹拌した後、減圧下で4時間以上撹拌しながら80ないし150℃で乾燥することが望ましい。
【0018】
焼成段階(S3)
上記被覆された混合物を1次で1,100℃の温度で1時間、2次で1,500℃で1時間段階的に焼成させた。焼成温度は上記1,000℃以上の温度で1ないし24時間焼成
することが望ましい。焼成温度が1,000℃に未達すればピッチの炭化程度が充分でな
いため被覆程度が制御し難い。望ましく、焼成温度は1,000ないし2,500℃であることが望ましい。焼成段階は一回または数回成され得るが、望ましい被覆程度の制御のために可能な範囲内で多様なパターンで行うことができる。このような焼成は互いに異なる温度条件下で順次行うことが望ましく、特に温度条件を異ならせて行う順次的焼成段階は、前段階の焼成温度より後段階の焼成温度を相対的に高くすることがさらに望ましい。上記2段階の焼成過程を行った後、分級して微粉を除去することによって2次電池用陰極材を得た。
【0019】
混練段階(S4)
上記微粉が除去された混合物100gを500mlの容器(vial)に入れ少量のN
‐メチルピロリドン(NMP)を用いて混練した。
【0020】
電極製造段階(S5)
上記混練された結果物を銅メッシュ上に圧着させた後、これを乾燥させて電池に用いられ得る電極を製造した。以後、電解液としては1モル/リットルのLiPFを溶解したその体積比が1:1を有するエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶液を
用いた。
【0021】
上記実施例1、2及び比較例1、2の2次電池用陰極材に対して次のような方法で様々な物理的特性、例えば、比表面積、タップ密度、及び電池特性(放電容量及び充放電効率)などを測定した。なお、その測定結果は下記表2に示した。なお、気孔体積関連の物性
値、具体的に、気孔体積の割合及び気孔の全体体積を測定して下記表2に同時に示した。
【0022】
比表面積の測定
芯材炭素の材料として、天然黒鉛などを用いる場合に高い比表面積を有し、芯材炭素の細孔がピッチなどより由来する炭素の付着または被覆によって塞がれるようになれば比表面積が減少する傾向を見せる。
【0023】
比表面積測定機(Brunauer、Emmett、Teller、以下「BET」と称する)は、粉末の比
表面積や多孔性の塊に存在する気孔の大きさ及び大きさの分布を測定する器機であって、測定材料の表面及び気孔に吸着された窒素ガスの量を測定して下記数式1で表されるBET式に従って計算すれば表面積、気孔の大きさなどを求めることができる。
【0024】
【数1】

【0025】
このとき、上記数学式1において、qは吸着量を示し、Vm、Amは一定の値を有する定数であり、Cは平衡濃度であり、Csは飽和濃度を示す。
なお、本発明においては、マイクロメリテックス社のASAP2400比表面積測定装置を用いて、測定対象材料に対する比表面積を測定した。
【0026】
2次電池に用いられる陰極材の場合には、そのBET比表面積が4m2/g以下であることが望ましい。BET比表面積が4m2/g以上である場合、非可逆容量が大きくなり減少
した容量を示す。
【0027】
タップ密度の測定
炭素材料のタップ密度は、粉末の直径、形状または表面形状などと関係し、粒子の平均粒径が同一であっても粒度分布により異なるように現われる。一般に、タップ密度は被覆によって増加し、鱗片形状の粒子が多いか微粉が多い場合にはタップ密度は高くならない。本発明に用いられた黒鉛粉末は微粉をなるべく少なくしたためタップ密度が高いので電解液の浸透を妨害しないようにすることになり、充電密度を高くすることができる。
【0028】
タップ密度は測定サンプルが充填された容器に一定条件の振動を与えた後その密度を求めた値を称し、本発明ではJIS‐K5101に準じて下記のような方法により測定した。まず、細川マイクロン社の「パウダーテスターPT‐R」の装置を用い、測定サンプルの粒子の大きさは目盛り間隔200μmの篩を用いて調節した。20ccの充填容器(tapping cell)に測定用サンプルである黒鉛粉末を落下させて、充填容器を充填させた後、打撃振動を1秒当たり1回ずつ印加し、打撃距離が18mmである打撃(tapping)を3,000回加えた後、タップ密度を測定した。なお、本発明による2次電池に用いられる陰極材においてタップ密度が1.0g/cm以上の値を示す場合、高い
放電容量と効率を示す。タップ密度が1.0g/cm以下である場合、減少した容量を
示す。
【0029】
気孔体積の測定(気孔体積の割合、気孔の全体体積)
気孔体積は、米国のカンタクローム(QUANTA CHROME)社の全自動ガス吸
着量測定装置(AUTOSORB‐1)を用い、液体窒素温度としての窒素ガスの吸着を行ってBET プロット(plot)を求めた。その結果物をホーバット‐カワゾエ(Ho
rvat‐Kawazoe)法で解析して陰極材に含まれた気孔の全体体積及び所定の直径を有する気孔が占める体積の比をそれぞれ測定して下記表2に示し、これに対する理解を助けるために図面に基づいてより具体的に示した。
【0030】
図1は、本発明による実施例1の組成により製造された陰極材の気孔大きさ毎の体積のプロファイルを示したグラフであり、図2は、本発明による実施例2の組成により製造された陰極材の気孔大きさ毎の体積のプロファイルを示したグラフである。これに対比される比較例1に対しては図3に示した。図3は、本発明の実施例に対比される比較例1の組成により製造された陰極材の気孔大きさ毎の体積のプロファイルを示したグラフである。
【0031】
本発明において、気孔の全体体積とは、上記のように得られたプロファイルグラフにおいて、気孔直径180nm以下を積分して得られたものである。上記のような気孔体積は、陰極材の材料、被覆条件と温度によって陰極材固有の物性を示す。
【0032】
図1及び図2に示したように、炭素材料をピッチで被覆させれば陰極材の表面に形成された気孔の全体体積が減少するようになり、これにより全体体積を制御することができるため陰極材の特性を改善することができる。これとともに、このような電池用陰極材は多様な直径の気孔を含んでおり、直径が40nm以上のマクロ気孔(macro pore)の体積と直径が40nm未満のマイクロ気孔(micro pore)の体積との割合が異なるようになることによって電池の充放電容量及び効率増大に寄与できることがわかった。すなわち、マイクロ気孔が増加するほど炭素材料で製造された陰極材がリチウムイオンを吸蔵する機能が改善されるため電池特性が向上される。一方、比較例1に関する図3のように、直径が40nm未満の気孔体積が全体気孔の体積の10%以下であり、直径40ないし180nmの気孔体積が全体気孔の体積の90%以上である場合には電池の充放電効率が低下するため望ましくない。
【0033】
電池特性(放電容量及び充放電効率)の測定
ピッチが被覆された球状黒鉛質炭素材料の充放電試験は、電位を0ないし1.5Vの範
囲に規制して充電電流0.5mA/cm2で0.01Vになるまで充電し、また0.01Vの電圧を維持しがら充電電流が0.02mA/cm2になるまで充電を続けた。そして、放電電流は0.5mA/cm2で1.5Vまで放電を行った。表において、充放電効率は充電した電気
容量に対して放電した電気容量の割合を示す。なお、2次電池の放電容量は340mAh/g以上であり、その充放電効率が90%以上の場合には電池として望ましい。
【0034】
【表2】

【0035】
上記表2からわかるように、実施例1、2の場合には比較例1、2に比べて、測定された全ての物性値が優れた結果を示していることがわかり、特に実施例1及び2における気孔の体積比と関連して、直径が40nm未満である気孔の体積が全体気孔の体積の10%以上であり、直径40ないし180nmである気孔の体積が全体気孔の体積の90%以下と測定された。このようにマイクロ気孔が増加すれば炭素材料で製造された陰極材がリチウムイオンを吸蔵する機能が改善されることによって、電池の充放電容量及び効率が向上されるため望ましい。
【0036】
以上説明された本発明の最適な実施例が開示された。ここで特定の用語が用いられたが、これはただ当業者に本発明を詳しく説明する目的で用いられたものに過ぎず、意味の限定や特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を制限するために用いられたものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本明細書に添付される下記の図面は本発明の望ましい実施例を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項にのみ限定されて解釈されるものではない。
【図1】図1は、本発明による実施例1の組成により製造された陰極材の気孔大きさ毎の体積のプロファイルを示したグラフである。
【図2】図2は、本発明による実施例2の組成により製造された陰極材の気孔大きさ毎の体積のプロファイルを示したグラフである。
【図3】図3は、本発明の実施例に対比される比較例1の組成により製造された陰極材の気孔大きさ毎の体積のプロファイルを示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高結晶性芯材炭素材料を被覆炭素材料で被覆した後焼成させて製造される2次電池用陰極材において、
上記2次電池用陰極材の全体気孔の比体積が0.002cc/g以下であり、直径が4
0nm未満の気孔(マイクロ気孔)の比体積が全体気孔の体積の10%以上であり、直径
が40ないし180nmの気孔(マクロ気孔)の体積が全体気孔の体積の90%以下であ
ることを特徴とする2次電池用陰極材。
【請求項2】
上記芯材炭素材料を被覆させるために用いられた被覆炭素材料は、焼成前5重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の2次電池用陰極材。
【請求項3】
上記2次電池用陰極材は、そのタップ密度が1.0g/cm3以上であることを特徴とする請求項1に記載の2次電池用陰極材。
【請求項4】
上記2次電池用陰極材は、そのBET比表面積が4m2/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の2次電池用陰極材。
【請求項5】
上記高結晶性芯材炭素材料は、天然黒鉛であることを特徴とする請求項1に記載の2次電池用陰極材。
【請求項6】
上記天然黒鉛は、球状化された天然黒鉛であり、そのタップ密度が0.8g/cm3以上であることを特徴とする請求項5に記載の2次電池用陰極材。
【請求項7】
上記被覆炭素材料は、軟化点が100℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の2次電池用陰極材。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうち選択された何れか一項による2次電池用陰極材を電池の陰極として用いて製造された2次電池。
【請求項9】
上記2次電池の陰極材の放電容量が340mAh/g以上であり、その充放電効率が90%以上であることを特徴とする請求項8に記載の2次電池。
【請求項10】
2次電池用陰極材の製造方法において、
(S1)タップ密度が0.8g/cm以上でありその含量が95重量%以下である芯材炭素材料と、5重量%以上であり軟化点が100℃以上である被覆炭素材料とを用意する段階;
(S2)上記材料を、湿式撹拌を通じて混合して上記芯材炭素材料に上記被覆炭素材料が被覆された混合物を得る段階;及び
(S3)上記混合物を焼成して上記芯材炭素材料に上記被覆炭素材料が被覆された陰極材
を得る段階;を含み、
上記2次電池用陰極材の内部に含まれた全体気孔の比体積が0.002cc/g以下で
あり、直径が40nm未満の気孔(マイクロ気孔)の体積が全体気孔の体積の10%以上
であり、直径が40ないし180nmの気孔(マクロ気孔)の体積が全体気孔の体積の9
0%以下であることを特徴とする2次電池用陰極材の製造方法。
【請求項11】
上記(S1)段階の芯材炭素材料は、天然黒鉛であることを特徴とする請求項10に記
載の2次電池用陰極材の製造方法。
【請求項12】
上記(S3)段階で行う焼成は、1,000ないし2,500℃の温度で行うことを特徴
とする請求項10に記載の2次電池用陰極材の製造方法。
【請求項13】
上記(S3)段階で行う焼成は、互いに異なる温度条件下で順次行うことを特徴とする
請求項10に記載の2次電池用陰極材の製造方法。
【請求項14】
上記互いに異なる温度条件下で順次行う焼成段階は、前段階の焼成温度より後段階の焼成温度を相対的に高くすることを特徴とする請求項13に記載の2次電池用陰極材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−194201(P2007−194201A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340508(P2006−340508)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(502297933)エルエス ケーブル リミテッド (13)
【出願人】(506417566)カーボニックス カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】