説明

2種の特定の第4級ポリアンモニウムを含有するケラチン繊維の酸化染色用組成物

【課題】 酸化剤による毛髪への悪影響を抑制するとともに向上した化粧品特性を有し、なおかつ選択性が低く、化学試薬又は天然の作用因子に対して良好な耐性を持つ強力な色調を得ることを可能にする酸化染色用組成物を提供する。
【解決手段】 染色に適した媒体に、少なくとも一種の酸化染料を含有してなるヒトの毛髪等のケラチン繊維の酸化染色用組成物において、少なくとも一種のジアルキルジアリルアンモニウムの環状ホモポリマーと少なくとも一種の他の特定の第4級ポリアンモニウムとの組み合わせをさらに含有せしめることを特徴とする組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、適当な染色用媒体に、少なくとも一種の酸化染料、及び少なくとも一種のジアルキルジアリルアンモニウムの環状ホモポリマーと少なくとも一種の他の特定の第4級ポリアンモニウムとの組み合わせを含有してなる、ケラチン繊維、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維を酸化染色するための組成物に関する。
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
【0002】
ケラチン繊維、特にヒトの毛髪を、一般に酸化ベース(oxidation bases)といわれている、酸化染料先駆物質、特にオルト-又はパラ-フェニレンジアミン類、オルト-又はパラ-アミノフェノール類及び複素環ベース類を含有する染色用組成物で染色することが知られている。
【0003】
酸化染料先駆物質すなわち酸化ベースは、酸化剤の存在下で、毛髪におけるそれらの染色力を発揮し、着色化合物を生じる最初は無色か僅かに着色した化合物である。これらの着色化合物の形成は、「酸化ベース」自身の酸化縮合、又は「酸化ベース」と調色化合物又は「カップラー」との酸化縮合のいずれかにより、当該カップラーは酸化染色に用いられる染色用組成物に一般的に存在し、特にメタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール及びメタ-ジフェノール、及び或る種の複素環化合物に代表される。
一方では「酸化ベース」そして他方では「カップラー」を構成する、使用される様々な分子により、非常に豊富な色彩を得ることが可能になる。
【0004】
酸化縮合を可能にする酸化剤は、一般的に処理される毛髪の特性に有害な影響を有する。毛髪は粗くなり、もつれほどき難く脆弱になる。これらの欠点を改善するため、或る種の第4級ポリアンモニウムの使用が、仏国特許2,270,846において既に提案されている。
しかしながら、本出願人は、前記のポリマーがこれらの欠点を十分に改善できないが、染色特性を保持又は向上させることを見出した。
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
【0005】
しかし、この課題について鋭意検討した結果、本出願人は、染色用組成物に、少なくとも一種のジアルキルジアリルアンモニウムの環状ホモポリマーと少なくとも一種の下記の他の特定の第4級ポリアンモニウムとの組み合わせを添加することにより、向上した化粧品特性を有し、なおかつ選択性が低く、化学試薬(シャンプー、パーマネントウェーブなど)又は天然の作用因子(光、発汗など)に対して良好な耐性を持つ強力で有色の(燦然とした)色合いを得ることを可能にする酸化染色用組成物を得ることができることをここに見出した。
これらの発見が本発明の基礎をなす。
【0006】
よって本発明の主題は、染色に適した媒体に、少なくとも一種の酸化染料を含有してなるヒトの毛髪等のケラチン繊維の酸化染色用組成物において、少なくとも一種のジアルキルジアリルアンモニウムの環状ホモポリマーと少なくとも一種の下記の他の特定の第4級ポリアンモニウムとの組み合わせをさらに含有することを特徴とする組成物である。
【0007】
本発明の他の主題は、染色に適した媒体に、少なくとも一種の酸化染料、少なくとも一種のジアルキルジアリルアンモニウムの環状ホモポリマーと少なくとも一種の他の特定の第4級ポリアンモニウムとの組み合わせ、及び少なくとも一種の酸化剤を含有してなる、ヒトの毛髪等のケラチン繊維の酸化染色用の使用準備の整った組成物に関する。
【0008】
使用準備の整った組成物とは、本発明の目的のためには、ケラチン繊維に即座に適用される組成物、即ち、使用前にそのままで貯蔵できる、又は2又はそれ以上の組成物の新たな混合物から得られるものを意味するものとする。
【0009】
また本発明は、適当な染色用媒体中に、少なくとも一種の酸化染料と、少なくとも一種のジアルキルジアリルアンモニウムの環状ポリマー及び少なくとも一種の下記の他の特定の第4級ポリアンモニウムの組み合わせとを含有してなる染色用組成物(A)をケラチン繊維に適用し、使用時に組成物(A)と混合される、又は、中間的すすぎ無しに続いて適用される、少なくとも一種の酸化剤を含有する組成物(B)により、酸性、中性もしくはアルカリ性のpHで発色させることからなる、ヒトの毛髪等のケラチン繊維の染色方法にも関する。
【0010】
また本発明は、適当な染色用媒体中に、少なくとも一種の酸化染料を含有してなる染色用組成物(A)をケラチン繊維に適用し、使用時に染色用組成物と混合される、又は、中間的すすぎ無しに続いて適用される酸化組成物(B)により、酸性、中性もしくはアルカリ性のpHで発色させることからなる当該方法の変形法にも関し、少なくとも一種のジアルキルジアリルアンモニウムの環状ポリマー及び少なくとも一種の特定の第4級ポリアンモニウムが、酸化組成物(B)中にともに存在するか、又は組成物(A)又は(B)の各々に別個に存在する。
【0011】
また本発明の主題は、ヒトの毛髪などのケラチン繊維の酸化染色用の多区画染色具又は「キット」でもある。
このような染色具は、酸化染料を収容した第1の区画と、酸化剤を収容した第2の区画を具備し、少なくとも一種のジアルキルジアリルアンモニウムの環状ポリマー及び少なくとも一種の特定の第4級ポリアンモニウムが、第1の区画及び/又は第2の区画内にともに存在するか、又は2つの区画の各々に別個に存在する。
しかしながら、本発明の特徴、態様、主題及び利点は、以下の説明及び実施例を読むことにより更に明確になるであろう。
【0012】
本発明のジアルキルジアリルアンモニウムの環状ホモポリマーは、鎖の主要成分として下記式(I):
【化1】

に従う単位を含むホモポリマーであり、上式(I)中、k及びtは、0又は1であり、k+tの合計は1であり;Rは、水素原子又はメチル基を示し;R及びRは、互いに独立して、1〜22の炭素原子を有するアルキル基、アルキル基が好ましくは1〜5の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基、又は低級(C-C)アミドアルキル基を示すか、又はRとRは、それが結合している窒素原子と共同して、複素環基、例えばピペリジニル又はモルホリニルを示してもよく;R及びRは、互いに独立して、好ましくは1〜4の炭素原子を有するアルキル基を示し;Yは、臭化物、塩化物、酢酸、ホウ酸、クエン酸、酒石酸、重硫酸、重亜硫酸、硫酸又はリン酸といったアニオンである。これらのポリマーは、特に仏国特許2,080,759及びその追加特許2,190,406に記載されている。
【0013】
上記のポリマーの中で、式(I)においてRが水素原子を示し、R及びRがメチルを示し、そしてその平均重量が約100,000であるものが好ましい。
これらの中で、特にCalgon社から「メルクアット100(Merquat 100)」という名称で市販されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー(及びその低分子量の相同体)を挙げることができる。
【0014】
本発明の特定の第4級ポリアンモニウム類は以下からなる群から選択される:
(i)下記式(II):
【化2】

に相当する繰り返し単位からなるポリマー類であり、上式中、R、R、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、約1〜4の炭素原子を有するアルキル又はヒドロキシアルキル基を示し、n及びpは約2〜20で変わり得る整数であり、Xは無機又は有機酸から誘導されるアニオンである。
さらに特定的には、上記式(II)において、R、R、R及びRがメチル又はエチルを示し、そしてXが塩素、ヨウ素又は臭素原子などのハロゲン原子である化合物が好ましい。
【0015】
上記式(II)のポリマーで特に好ましいのは、R、R、R及びRがメチルを示し、n=3、p=6であり、そしてX=Clであるもの、特にそのゲル透過クロマトグラフィーによって決定した分子量が9500〜9900であるもの[ポリマーW]である。
上記式(II)の他のポリマーで特に好ましいのは、R、Rがメチルを示し、R及びRがエチルを示し、n=p=3であり、そしてX=Brであるもの、特にそのゲル透過クロマトグラフィーによって決定した分子量が1200であるものである。
前記の式(II)の第4級ポリアンモニウムは、仏国特許2270846に記載されたように調製される。
【0016】
(ii)下記式(III):
【化3】

に相当する繰り返し単位からなり、好ましくは炭素-13NMRで測定した分子量が100000未満であり、上記式(III)中、pは約1〜6で変わり得る整数であり、Dはゼロであるか又は基-(CH)-CO-を表し、ここでrは4又は7に等しい数を示し、Xは無機又は有機酸から誘導されるアニオンである。
【0017】
上記式(III)のポリマーの中で、式(III)において以下とするものが好ましい:
a)Dが基-(CH)-CO-を表し、Xが塩素原子を示し、炭素-13NMR(13C NMR)で測定した分子量が約5600であるもの;この型のポリマーは、Miranol社からミラポール-AD1(Mirapol-AD1)の名称で提供されている。
b)Dが基-(CH)-CO-を表し、Xが塩素原子を示し、炭素-13NMR(13C NMR)で測定した分子量が約8100であるもの;この型のポリマーは、Miranol社からミラポール-AZ1の名称で提供されている。
c)Dがゼロを示し、Xが塩素原子を示し、炭素-13NMR(13C NMR)で測定した分子量が約25500であるもの;この型のポリマーは、Miranol社からミラポール-A15の名称で市販されている。
d)パラグラフa)及びc)に記載したポリマーに対応する単位からなる「ブロックコポリマー」で、Miranol社からミラポール-9(13C NMR分子量約7800)、ミラポール-175(13C NMR分子量約8000)、ミラポール-95(13C NMR分子量約12500)の名称で提供されているもの。
【0018】
さらに特定的には、本発明では、上記式(III)においてDがゼロを示し、Xが塩素原子を示し、炭素-13NMR(13C NMR)で測定した分子量が約25500であるポリマーが好ましい。
前記の式(III)の第4級ポリアンモニウムは、米国特許第4157388号、同第4390689号、同第4702906号、同第4719282号に記載された方法に従って調製できる。
【0019】
本発明の組成物においては、ジアルキルジアリルアンモニウムの環状ホモポリマーの量は、組成物総重量の0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%であり、上記式(II)又は(III)の単位を有する第4級ポリアンモニウムの量は、組成物総重量の0.05〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%である。
この組成物において、上記式(I)のジアルキルジアリルアンモニウムの環状ホモポリマーに対する上記式(II)又は(III)の単位を有する第4級ポリアンモニウムの重量比率は、約0.1〜50の間、好ましくは約1〜10の間である。
【0020】
本発明で用いられる酸化染料は、酸化ベース類及び/又はカップラー類から選択される。
好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも一種の酸化ベースを含有する。
本発明の範囲内で使用される酸化ベース類は、酸化染色で従来から知られているものの中から選択でき、それらの中で、特にオルト-又はパラ-フェニレンジアミン類、複ベース類(double bases)、オルト-又はパラ-アミノフェノール類、以下の複素環酸ベース類(heterocyclic bases)及びそれらの酸付加塩を挙げることができる。
【0021】
−(I)次の式(I)のパラ-フェニレンジアミン類及びそれらの酸付加塩を特に挙げることができる:
【化4】

上式中:
は、水素原子、C-Cアルキル基、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基、ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)基、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル基、窒素含有基で置換されたC-Cアルキル基、フェニル基又は4'-アミノフェニル基を表し;
は、水素原子、C-Cアルキル基、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基、ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)基、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル基又は窒素含有基で置換されたC-Cアルキル基を表し;
またR及びRは、それらと結合した窒素原子とともに、一又は複数のアルキル、ヒドロキシル又はウレイド基で場合によっては置換されていてもよい5-又は6-員の窒素含有複素環を形成していてもよく;
は、水素原子、塩素原子等のハロゲン原子、C-Cアルキル基、スルホ基、カルボキシル基、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基又はヒドロキシ(C-Cアルコキシ)基、アセチルアミノ(C-Cアルコキシ)基、メシルアミノ(C-Cアルコキシ)基又はカルバモイルアミノ(C-Cアルコキシ)基を表し;
は、水素又はハロゲン原子又はC-Cアルキル基を表す。
上記式(I)の窒素含有基として、特に、アミノ、モノ(C-C)アルキルアミノ、(C-C)ジアルキルアミノ、(C-C)トリアルキルアミノ、モノヒドロキシ(C-C)アルキルアミノ、イミダゾリニウム及びアンモニウム基を挙げることができる。
【0022】
上記式(I)のパラ-フェニレンジアミン類の中で、特に、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルイレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-(エチル-β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-メチル-1-N-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0023】
上記式(I)のパラ-フェニレンジアミン類の中でも、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルイレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン及びそれらの酸付加塩類が特に好ましい。
【0024】
−(II)本発明において「複ベース類」とは、アミノ及び/又はヒドロキシル基を担持した少なくとも2つの芳香環を有する化合物を称すると理解されるものである。
本発明の染色用組成物において酸化ベース類として使用可能な複ベース類としては、特に、次の式(II)に相当する化合物及びそれらの酸付加塩を挙げることができる:
【化5】

上式中:
− Z及びZは同一でも異なっていてもよく、結合手Y又はC-Cアルキル基で置換されていてもよいヒドロキシル又は-NH基を表し;
− 結合手Yは、一又は複数のヒドロキシル又はC-Cアルコキシ基で場合によっては置換されていてもよく、酸素、硫黄又は窒素原子等の一又は複数のへテロ原子及び/又は一又は複数の窒素含有基が挿入されるか又はこれを末端に有していてもよい、1〜14の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖を表し;
− R及びRは、水素又はハロゲン原子、C-Cアルキル基、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基、ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)基、アミノ(C-Cアルキル)基又は結合手Yを表し;
− R、R、R、R10、R11及びR12は同一でも異なっていてもよく、水素原子、結合手Y又はC-Cアルキル基を表し;
式(II)の化合物は分子当りただ一の結合手Yを有すると理解される。
上述した式(II)の窒素性基として、特に、アミノ、モノ(C-C)アルキルアミノ、(C-C)ジアルキルアミノ、(C-C)トリアルキルアミノ、モノヒドロキシ(C-C)アルキルアミノ、イミダゾリニウム及びアンモニウム基を挙げることができる。
【0025】
上記式(II)の複ベース類としては、特に、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(エチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)エチレンジアミン、1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタン、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
これら式(II)の複ベース類の中でも、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタン、又はそれらの酸付加塩類の一つが特に好ましい。
【0026】
−(III)次の式(III)に相当するパラ-アミノフェノール類及びそれらの酸付加塩:
【化6】

上式中:
13は、水素原子、フッ素等のハロゲン原子、C-Cアルキル、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル、アミノ(C-Cアルキル)又はヒドロキシ(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル基を表し、
14は、水素原子又はフッ素等のハロゲン原子、C-Cアルキル、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)、ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)、アミノ(C-Cアルキル)、シアノ(C-Cアルキル)又は(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル基を表す。
【0027】
上記式(III)のパラ-アミノフェノール類の中で、特に、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0028】
−(IV)本発明の範囲内において酸化ベースとして使用可能なオルト-アミノフェノール類としては、特に、2-アミノフェノール、2-アミノ-1-ヒドロキシ-5-メチルベンゼン、2-アミノ-1-ヒドロキシ-6-メチルベンゼン及び5-アセトアミド-2-アミノフェノール、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0029】
−(V)本発明の染色用組成物における酸化ベースとして使用可能な複素環ベース類としては、特に、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラゾール誘導体、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0030】
ピリジン誘導体の中で、特に、例えば英国特許第1026978号及び英国特許第1153196号に記載されている化合物、例えば2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-(β-メトキシエチル)アミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、3,4-ジアミノピリジン、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0031】
ピリミジン誘導体の中で、特に、例えば独国特許第2359399号又は日本国特許第88-169571号及び日本国特許第91-10659号又は国際公開第96/15765号に記載されている化合物、例えば2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノピリミジンを挙げることができ、また仏国特許公開第2750048号に記載されているようなピラゾロピリミジン誘導体、中でも、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、2,5-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン、2,7-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-オール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミノ)エタノール、2-(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イルアミノ)エタノール、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2-[(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、5,6-ジメチルピラゾロ[1,5-a]-ピリミジン-3,7-ジアミン、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、2,5,N7,N7-テトラメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、3-アミノ-5-メチル-7-イミダゾリルプロピルアミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン、及びそれらの付加塩類、及び互変異性平衡が存在する場合にはそれらの互変異性体及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0032】
ピラゾール誘導体の中で、特に、独国特許第3843892号、独国特許第4133957号及び国際公開第94/08969号、国際公開第94/08970号、仏国特許公開第2733749号及び独国特許第19543988号に記載されている化合物、例えば4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4'-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(2'-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾール、及びそれらの酸付加塩類を挙げることができる。
【0033】
本発明では、酸化ベース類は、好ましくは組成物総重量に対して約0.0005〜12重量%、さらに好ましくはこの重量に対して0.005〜8重量%存在する。
【0034】
本発明の染色用組成物で使用可能なカップラー類は、酸化染色用組成物で従来から用いられているもの、即ち、メタ-アミノフェノール類、メタ-フェニレンジアミン類、メタ-ジフェノール類、ナフトール類及び複素環カップラー類、例えばインドール誘導体、インドリン誘導体、セサモール及びその誘導体、ピリジン誘導体、ピラゾロトリアゾール誘導体、ピラゾロン類、インダゾール類、ベンズイミダゾール類、ベンゾトリアゾール類、ベンズオキサゾール類、1,3-ベンゾジオキソール類、キノリン類及びそれらの酸付加塩類である。
【0035】
これらのカップラー類は、特に2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、3-アミノフェノール、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、セサモール、1-アミノ-2-メトキシ-4,5-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1-H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、3,6-ジメチルピラゾロ[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、及びそれらの酸付加塩類から選択することができる。
【0036】
これらが存在する場合、これらのカップラー類は、組成物総重量に対して、好ましくは約0.0001〜10重量%、さらに好ましくは約0.005〜5重量%を占める。
【0037】
一般的に、酸化ベース及びカップラーの酸付加塩類は、特に、塩酸塩類、臭化水素酸塩類、硫酸塩類、酒石酸塩類、乳酸塩類及び酢酸塩類から選択される。
【0038】
また本発明の組成物は、上記の酸化染料に加えて、直接染料をさらに含有し、光沢を持った色調を強化することもできる。これらの直接染料は、特に中性、カチオン性又はアニオン性のニトロ、アゾ又はアントラキノン染料から選択し、組成物総重量に対して約0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%の割合とすることができる。
【0039】
本発明の使用準備の整った組成物は、好ましくは、染色用組成物(A)及び/又は酸化組成物(B)に、少なくとも1つの脂肪鎖を有する非イオン性、アニオン性、又はカチオン性の少なくとも一種の増粘ポリマーを更に含有する。
【0040】
少なくとも1つの脂肪鎖を有する増粘ポリマー
少なくとも1つの脂肪鎖を有する増粘ポリマーでアニオン性型の中で以下のものを挙げることができる:
−(I)脂肪鎖を有する少なくとも1つのアリルエーテル単位と少なくとも1つの親水性単位を有するもの、好ましくは親水性単位が不飽和のエチレン性アニオンモノマー、特にビニルカルボン酸、さらにアクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混合物からなり、脂肪鎖を有するアリルエーテル単位が次の式(I)に相当するもの:
CH=CR'CHOBR (I)
上式中、R'はH又はCHを示し、Bはエチレンオキシ基を示し、nは0又は1〜100の範囲内の整数であり、Rは8〜30、好ましくは10〜24、さらに好ましくは12〜18の炭素原子を有するアルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリール又はシクロアルキル基から選択される炭化水素基である。特に好ましい式(I)の単位は、R'がHを示し、nが10であり、Rがステアリル(C18)基を示す単位である。
この型のアニオン性の両親媒性ポリマーは欧州特許0216479号に記載されており、乳化重合法に従い調製される。
【0041】
これらのアニオン性の増粘ポリマーの中で、20〜60重量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸、5〜60重量%低級(メタ)アクリル酸アルキル、2〜50重量%の式(I)の脂肪鎖を有するアリルエーテル及び0〜1重量%のよく知られている共重合可能な不飽和のポリエチレン性モノマーの架橋剤、例えばフタル酸ジアリル、(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジメタクリラート及びメチレンビスアクリルアミドからなるポリマーが、本発明で特に好ましく使用される。
【0042】
後者のポリマーの中で特に好ましいのは、メタクリル酸、アクリル酸エチル、ポリエチレングリコール(10EO)ステアリルエーテル(ステアレス(Steareth)-10)の架橋したターポリマー、特にサルケア(Salcare)SC80及びサルケアSC90の名称でALLIED COLLOIDS社から販売されている、メタクリル酸、アクリル酸エチル及びステアレス-10-アリルエーテル(40/50/10)の架橋したターポリマーの30%水性エマルションである。
【0043】
−(II)オレフィン性不飽和カルボン酸型の少なくとも1つの親水性単位と、不飽和カルボン酸型の(C10-C30)アルキルエステルの少なくとも1つの疎水性単位を含有するもの。
好ましくは、これらのポリマーは、不飽和のオレフィン性カルボン酸型の親水性単位が次の式(II):
【化7】

[上式(VI)中、RがH又はCH又はCを示す、すなわちアクリル酸、メタクリル酸又はエタクリル酸単位である]
のモノマーに相当し、不飽和カルボン酸型の(C10-C30)アルキルエステルの疎水性単位が次の式(III):
【化8】

[上式(VII)中、RがH又はCH又はC(すなわちアクリラート、メタクリラート又はエタクリラート単位)、好ましくはH(アクリルラート単位)又はCH(メタクリラート単位)を示し、RがC10-C30、好ましくはC12-C22のアルキル基を示す]
のモノマーに相当するものから選択される。
【0044】
本発明の不飽和カルボン酸の(C10-C30)アルキルエステルには、例えばアクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ドデシル及び、それに相当するメタクリラート類、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル及びメタクリル酸ドデシルが含まれる。
この型のアニオン性ポリマーは、例えば米国特許第3915921号及び同4509949号に記載され、調製されている。
【0045】
これらの型の脂肪鎖を有するアニオン性増粘ポリマーの中で、特に、
(i)本質的に、アクリル酸、
(ii)上述した式(III)において、RがH又はCHを示し、Rが12〜22の炭素原子を有するアルキル基を示すエステル、及び
(iii)及びよく知られている共重合可能な不飽和のポリエチレン性モノマーの架橋剤、例えばフタル酸ジアリル、(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジメタクリラート及びメチレンビスアクリルアミドを含むモノマー混合物
から得られるポリマーが用いられる。
【0046】
この型の脂肪鎖を有するアニオン性増粘ポリマーの中で、特に、95〜60重量%のアクリル酸(親水性単位)、4〜40重量%のアクリル酸C10-C30アルキル(疎水性単位)と0〜6重量%の架橋重合可能なモノマーからなるもの、又は98〜96重量%のアクリル酸(親水性単位)、1〜4重量%のアクリル酸C10-C30アルキル(疎水性単位)と0.1〜0.6重量%の上述したもののような架橋重合可能なモノマーからなるものが用いられる。
前記のポリマーの中で、Goodrich社からペムレン(Pemulen)TR1、ペムレンTR2、カルボポール(Carbopol)1382の名称で販売されている製品、特に好ましくはペムレンTR1、及びS.E.P.P.I.C.社からコーテックス(Coatex)SXの名称で販売されている製品が本発明で特に好ましい。
【0047】
−(III)無水マレイン酸/C30-C38α-オレフィン/マレイン酸アルキルのターポリマー、例えば、NEWPHASE TECHNOLOGIES社からパフォーマ(PERFORMA)V1608の名称で販売されている製品(無水マレイン酸/C30-C38α-オレフィン/マレイン酸イソプロピルのコポリマー)など。
【0048】
−(IV)以下を含むアクリル性ターポリマー:
(a)約20〜70重量%の、α,β-モノエチレン性不飽和を持つカルボン酸、
(b)約20〜80重量%の、(a)とは異なるα,β-モノエチレン性不飽和を持つ非界面活性剤モノマー、
(c)約0.5〜60重量%の、一水酸基を有する界面活性剤とモノエチレン性不飽和を持つモノイソシアナートとの反応生成物である非イオン性モノウレタン、例えば、特許出願EP−A−0,173,109、より詳細には実施例3に記載されたもの、即ち、メタクリル酸/アクリル酸メチル/エトキシル化(40EO)されたベヘニルアルコールのジメチルメタイソプロペニルベンジルイソシアナートのターポリマーの25%水性分散物など。
【0049】
−(V)モノマー類の中に、α,β-モノエチレン性不飽和を持つカルボン酸及びα,β-モノエチレン性不飽和を持つカルボン酸のエステル及びオキアルキレン化脂肪アルコールを含むコポリマー。
好ましくは、これらの化合物は、α,β-モノエチレン性不飽和を持つカルボン酸エステル及びC-Cアルコールをモノマーとして含有する。
この型の化合物の例として、オキシエチレン化メタクリル酸ステアリル/アクリル酸エチル/メタクリル酸のターポリマーであるROHM and HAAS社から販売されているアキュリン(ACULYN)22を挙げることができる。
【0050】
本発明で使用される脂肪鎖を有する増粘ポリマーで非イオン性型のものは、好ましくは以下から選択される:
−(1)少なくとも1つの脂肪鎖を有する基で変性されたセルロース類;例えば:
−少なくとも1つの脂肪鎖を有する基、例えばアルキル基が好ましくはC−C22であるアルキル、アリールアルキル又はアルキルアリール基又はそれらの混合物で変性されたヒドロキシエチルセルロース類、例えばAQUALON社から販売されている製品であるナトロゾール・プラス・グレード(NATROSOL PLUS GRADE)330CS(C16アルキル)、又はBEROL NOBEL社から販売されている製品であるベルモコル(BERMOCOLL)EHM100、
−少なくとも1つのポリアルキレングリコールアルキルフェニルエーテル基を含有する基で変性されたヒドロキシエチルセルロース類、例えばAMERCHOL社から販売されている製品であるアメルセル(AMERCELL)ポリマーHM-1500(ノニルフェノールのポリエチレングリコール(15)エーテル)。
【0051】
−(2)少なくとも1つの脂肪鎖を有する基で変性されたヒドロキシプロピルグア類、例えば、LAMBERTI社から販売されている製品であるイスアフロー(ESAFLOR)HM22(C22アルキル鎖)、及びRHONE POULENC社から販売されている製品であるRE210-18(C14アルキル鎖)及びRE205-1(C20アルキル鎖)。
【0052】
−(3)脂肪鎖を有する疎水性モノマーとビニルピロリドンのコポリマー、例えば:
−I.S.P.社から販売されている製品であるアンタロン(ANTARON)V216又はガネックス(GANEX)V216(ビニルピロリドン/ヘキサデセンのコポリマー)、
−I.S.P.社から販売されている製品であるアンタロンV220又はガネックスV220(ビニルピロリドン/エイコセンのコポリマー)が挙げられる。
【0053】
−(4)少なくとも1つの脂肪鎖を有する両親媒性モノマーと、C−Cアルキルメタクリラート又はアクリラートとのコポリマー、例えばGOLDSCHMIDT社からアンティル(ANTIL)208の名称で販売されているオキシエチレン化アクリル酸ステアリル/アクリル酸メチルのコポリマーなど。
【0054】
−(5)少なくとも1つの脂肪鎖を有する疎水性モノマーと親水性のメタクリラート又はアクリラートとのコポリマー、例えばポリエチレングリコールメタクリラート/ラウリルメタクリラートのコポリマーなど。
−(6)鎖に、最も多くはポリオキシエチレン化性の親水性配列及び脂肪鎖のみ及び/又は環状脂肪族及び/又は芳香族鎖でありうる疎水性配列の両方を鎖に有するポリエーテル-ポリウレタン類。
−(7)少なくとも1つの脂肪鎖を持つアミノプラストエーテル骨格を有するポリマー、例えば、SUD-CHEMIE社から供給される化合物ピュア・シックス(PURE THIX)など。
【0055】
好ましくは、ポリエーテル-ポリウレタン類は、6〜30の炭素原子を持ち、親水性配列によって分けられた少なくとも2本の親油性炭化水素鎖を含み、当該炭化水素鎖はペンダント鎖又は親水性配列の末端にある鎖でありうる。特に、一又は複数のペンダント鎖を考えることが可能である。更に、ポリマーは親水性配列の一方の末端又は両端に炭化水素鎖を含みうる。
【0056】
ポリエーテル-ポリウレタン類は多ブロック、特にトリブロックの形態とすることができる。疎水性配列は、鎖の各末端にあるか(例えば、親水性中心配列を持つトリブロックコポリマー)又は両端と鎖中の両方に分散されうる(例えば多ブロックコポリマー)。これらのポリマーはまたグラフト単位の形態でも又は星型であってもよい。
【0057】
脂肪鎖を有する非イオン性のポリエーテル-ポリウレタン類は、その親水性配列が50〜1000のオキシエチレン化基を含んでなるポリオキシエチレン化鎖であるトリブロックコポリマーである。非イオン性ポリエーテル-ポリウレタン類は、ウレタン結合を親水性配列間に含み、よってその名称の由来となっている。
広義には、親水性配列が他の化学結合によって親油性配列に結合しているものもまた脂肪鎖を有する非イオン性ポリエーテル-ポリウレタン類に含まれる。
【0058】
本発明において使用しうる脂肪鎖を有する非イオン性ポリエーテル-ポリウレタン類の例としては、RHEOX社によって市販されているウレア官能基を持つレオレート(Rheolate)205又はレオレート208、204又は212、並びにROHM and HAAS社からのアクリゾール(Acrysol)RM184、アキュリン(Aculyn)44及びアキュリン46もまた使用できる[アキュリン46は、マルトデキストリン(4%)及び水(81%)のマトリクス中15重量%の150〜180モルのエチレンオキシドを含むポリエチレングリコール、ステアリルアルコール及びメチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアナート)(SMDI)の重縮合物であり;アキュリン44は、プロピレングリコール(39%)及び水(26%)の混合物中35重量%の150〜180モルのエチレンオキシドを含むポリエチレングリコール、デシルアルコール及びメチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアナート)(SMDI)の重縮合物である。]
【0059】
また、AKZO社からのC12−14アルキル鎖を含む製品エルファコス(ELFACOS)T210及びC18アルキル鎖を含む製品エルファコスT212も挙げられる。
20アルキル鎖を含みウレタン結合を持ち、水中に20%の乾燥物質含量として市販されているROHM and HAAS社の製品DW1206Bもまた使用できる。
【0060】
これらのポリマーの、特に水又は水性アルコール媒体中の溶液又はディスパージョンも使用することができる。このようなポリマーの例として、RHEOX社によって市販されているレオレート255、レオレート278及びレオレート244が挙げられる。ROHM and HAAS社から市販の製品DW1206F及びDW1206Jもまた使用することができる。
本発明において使用しうるポリエーテル-ポリウレタン類は、特にG. Fonnum, J. Bakke及びFk. Hansen‐Colloid Polym. Sci 271, 380, 389 (1993)の論文中に述べられているものである。
【0061】
本発明における脂肪鎖を有する増粘ポリマーでカチオン性型のものは、好ましくは第4級化セルロース誘導体及び非環状のアミン含有側基を有するポリアクリラート類から選択される。
【0062】
第4級化セルロース誘導体は、特に、
−少なくとも1つの脂肪鎖を有する基、例えば少なくとも8つの炭素原子を有するアルキルアリール、アリールアルキル又はアルキル基、又はそれらの混合物で変性された第4級化セルロース類、
−少なくとも1つの脂肪鎖を有する基、例えば少なくとも8つの炭素原子を有するアルキルアリール、アリールアルキル又はアルキル基、又はそれらの混合物で変性された第4級化ヒドロキシエチルセルロース類、
である。
上述した第4級化セルロース類又はヒドロキシエチルセルロース類に担持されるアルキル基は、好ましくは8〜30の炭素原子を有する。アリール基は、好ましくはフェニル、ベンジル、ナフチル又はアントリル基を示す。
【0063】
-C30脂肪鎖を有する第4級化アルキルヒドロキシエチルセルロースの例としては、AMERCHOL社から販売されている製品であるクアトリソフト(Quatrisoft)LM200、クアトリソフトLM-X529-18-A、クアトリソフトLM-X529-18-B(C12アルキル)及びクアトリソフトLM-X529-8(C18アルキル)、及びCRODA社から販売されている製品であるクロダセル(CRODACEL)QM、クロダセルQL(C12アルキル)及びクロダセルQS(C18アルキル)を挙げることができる。
【0064】
アミン含有側基を有するポリアクリラート類は、第4級化されていてもいなくてもよく、疎水性基、例えばステアレス-20[ポリオキシエチレン化(20)ステアリルアルコール]型の疎水性基を有する。
アミン含有側基を有するポリアクリラート類の例としては、ナショナル・スターチ(NATIONAL STARCH)社のポリマー8781-121B又は9492-103を挙げることができる。
【0065】
本発明の酸化染色用組成物においては、非イオン性型の脂肪鎖を有する増粘ポリマーを使用することが好ましい。
アニオン性、非イオン性又はカチオン性型の脂肪鎖を有する増粘ポリマー類は、染色用組成物の総重量に対して、好ましくは約0.01から10重量%まで変わりうる量で使用される。より好ましくは、この量は約0.1から5重量%まで変化する。
また本発明の使用準備の整った組成物は、好ましくは染色用組成物(A)及び/又は酸化組成物(B)に一又は複数の界面活性剤を含有する。
【0066】
界面活性剤
本発明の組成物は、アニオン性、両性、非イオン性、双性及びカチオン性の界面活性剤から、単独又は混合物の形態で等しく良好に選択される。
本発明の実施に適した界面活性剤は、特に以下のものである:
【0067】
(i)アニオン性界面活性剤
単独又は混合物として、本発明の範囲内において使用可能なアニオン性界面活性剤の例として、次の化合物:アルキルスルファート類、アルキルエーテルスルファート類、アルキルアミドエーテルスルファート類、アルキルアリールポリエーテルスルファート類、モノグリセリドスルファート類;アルキルスルホナート類;アルキルホスファート類、アルキルアミドスルホナート類、アルキルアリールスルホナート類、α-オレフィンスルホナート類、パラフィンスルホナート類;(C-C24)アルキルスルホスクシナート類、(C-C24)アルキルエーテルスルホスクシナート類、(C-C24)アルキルアミドスルホスクシナート類;(C-C24)アルキルスルホアセタート類;(C-C24)アシルサルコシナート類及び(C-C24)アシルグルタマート類の塩類(特にアルカリ金属塩、中でもナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩、又はマグネシウム塩)、及びその混合物を挙げること(非限定的列挙)ができる。また、(C-C24)アルキルポリグリコシドカルボン酸エステル類、例えばアルキルグリコシドシトラート類、アルキルポリグリコシドタータラート類及びアルキルポリグリコシドスルホスクシナート類、アルキルスルホスクシナート類;アシルイセチオナート類及びN-アシルタウラート類で、これら全ての様々な化合物のアルキル基は好ましくは12〜20の炭素原子を有し、アリール基は好ましくはフェニル又はベンジル基であるものを使用することもできる。さらに使用できるアニオン性界面活性剤の中で、脂肪酸の塩、例えばオレイン酸、レチノイン酸、パルミチン酸及びステアリン酸の塩、ヤシ油又は水素添加ヤシ油の酸;アシル基が8〜20の炭素原子を含むアシルラクチラート類を挙げることもできる。また、アルキルD-ガラクトシドウロン酸類及びそれらの塩、ポリオキシアルキレン化(C-C24)アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C-C24)アルキルアリールエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C-C24)アルキルアミドエーテルカルボン酸及びそれらの塩、特に2〜50のアルキレン、特にエチレンのオキシド基を含むもの、及びこれらの混合物を使用することもできる。
【0068】
(ii)非イオン性界面活性剤(類)
非イオン性界面活性剤は、それ自体よく知られている化合物[これに関して、特に、ブラッキー・アンド・サン社(Blackie & Son)(グラスゴー及びロンドン)から出版されている、エム・アール・ポーター(M.R. Porter)の「界面活性剤ハンドブック(Handbook of Surfactants)」(1991年、116-178頁)を参照]であり、本発明において、それらの性質はあまり重要ではない。しかして、それらは、特に(非限定的列挙)、アルコール類、アルファ-ジオール類、アルキルフェノール類、又はポリエトキシル化、ポリプロポキシル化又はポリグリセロール化された、例えば8〜18の炭素原子を含有する脂肪鎖を有するアルキルフェノールであり、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド基の数が2〜50の範囲とできるものから選択することができる。また、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー、及び脂肪アルコールとエチレン及びプロピレンオキシドの縮合物;好ましくは2〜30モルのエチレンオキシドを有するポリエトキシル化脂肪アミド類、平均1〜5、特に1.5〜4のグリセロール基を有するポリグリセロール化脂肪アミド類;好ましくは2〜30モルのエチレンオキシドを有するポリエトキシル化脂肪アミン類;2〜30モルのエチレンオキシドを有するソルビタンのエトキシル化脂肪酸エステル類、スクロースの脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル類、アルキルポリグリコシド類、N-アルキルグルカミン誘導体、アミンオキシド類、例えば(C10-C14)アルキルアミンオキシド類又はN-アシルアミノプロピルモルホリンオキシド類を挙げることもできる。アルキルポリグリコシド類が、本発明の範囲内において、エトキシルか脂肪アルコール類のように、特に良好な非イオン性界面活性剤を構成することを特記しておく。
【0069】
(iii)両性又は双性界面活性剤(類)
両性又は双性界面活性剤類は、本発明においてそれらの性質はあまり重要ではなく、特に(非限定的列挙)、脂肪族基が8〜18の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の鎖であり、少なくとも1つの水溶性のアニオン性基(例えば、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスファート又はホスホナート)を含有する、脂肪族の第2級又は第3級アミンの誘導体であってよく;(C-C20)アルキルベタイン類、スルホベタイン類、(C-C20)アルキルアミド(C-C)アルキルベタイン類又は(C-C20)アルキルアミド(C-C)アルキルスルホベタイン類を更に挙げることができる。
【0070】
アミン誘導体の中で、次の構造:
34-CONHCHCH-N(R35)(R36)(CHCOO)
[上式中、R34は、加水分解されたヤシ油中に存在する酸R34-COOHのアルキル基、ヘプチル、ノニル又はウンデシル基を示し、R35は、β-ヒドロキシエチル基を示し、R36はカルボキシメチル基を示す];及び
34’-CONHCHCH-N(B)(C)
[上式中、Bは-CHCHOX'を示し、Cはz=1又は2である-(CH)-Y'を示し、
X'は、-CHCH-COOH基又は水素原子を示し、
Y'は、-COOH又は-CH-CHOH-SOH基を示し、
34’は、加水分解された亜麻仁油又はヤシ油中に存在する酸R37-COOHのアルキル基、アルキル基、特にC、C、C11又はC13のもの、C17アルキル基及びそのイソ形、又は不飽和のC17基を示す];
を有し、CTFA辞書でアミノカルボキシグリシナート及びアンホカルボキシプロピオナートの名称に分類され、米国特許第2528378号及び米国特許第2781354号に開示され、ミラノール(MIRANOL)の名称で販売されている製品を挙げることができる。
【0071】
これらの化合物は、CTFA辞典、第5版、1993年に、ココアンホ二酢酸二ナトリウム(Disodium Cocoamphodiacetate)、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム(Disodium Lauroamphodiacetate)、カプリルアンホ二酢酸二ナトリウム(Disodium Caprylamphodiacetate)、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム(Disodium Capryloamphodiacetate)、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム(Disodium Cocoamphodipropionate)、ラウロアンホジプロピオン酸二ナトリウム(Disodium Lauroamphodipropionate)、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム(Disodium Caprylamphodipropionate)、カプリロアンホジプロピオン酸二ナトリウム(Disodium Capryloamphodipropionate)、ラウロアンホジプロピオン酸、ココアンホジプロピオン酸の名称で分類されている。
例えば、RHODIA CHIMIE社からミラノール(MIRANOL(登録商標))C2M濃縮物の商品名で販売されているココアンホジアセタートを挙げることができる。
【0072】
(iv)カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤の中で、特に(非限定的列挙):場合によってはポリオキシエチレン化されていてもよい第1級、第2級又は第3級アミンの塩;第4級アンモニウム塩、例えば、テトラアルキルアンモニウム、アルキルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウム、トリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウム又はアルキルピリジニウムクロリド又はブロミド;イミダゾリン誘導体又はカチオン性のアミンオキシド類を挙げることができる。
【0073】
本発明の組成物中に存在する界面活性剤の量は組成物総重量の0.01〜40%、好ましくは0.1〜30%の範囲で変わりうる。
【0074】
また本発明の使用準備の整った組成物は、染色用組成物(A)及び/又は酸化組成物(B)に、他のレオロジー調節剤、例えばセルロース増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、グアーガム及びその誘導体(ヒドロキシプロピルグアー等)、微生物由来のガム(キサンタンガム、スクレログルカン(scleroglucan)ガム等)、アクリル酸又はアクリルアミドプロパンスルホン酸の架橋ホモポリマー等の合成増粘剤などを含有してもよい。
これらの補助的な増粘剤類は、組成物総重量の0.01〜10重量%を占めることができる。
【0075】
組成物のための適切な染色用媒体は、好ましくは、水からなる水性媒体であり、有利には、特にアルコール類、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール、グリコール類又はグリコールエステル類、例えばエチレングリコールのモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコール又はそのエーテル、例えばプロピレングリコールのモノメチルエーテル、ブチレングリコール、ジブチレングリコール並びにジエチレングリコールのアルキルエーテル、例えば、ジエチレングリコールのモノエチルエーテル又はモノブチルエーテルを含む化粧品的に許容される有機溶媒を、組成物の総重量に対して約0.5から20重量%、好ましくは約2〜10重量%の濃度で含有してもよい。
【0076】
また、本発明の組成物は、さらに従来より酸化染色で知られている他の試薬、例えば種々の通常のアジュバント類、例えば、EDTA及びエチドロン酸等の金属イオン封鎖剤、UV-遮蔽剤、ワックス、環状又は直鎖状又は分岐状で(特にアミン基で)有機変性されていてもいなくてもよい揮発性又は非揮発性シリコーン、防腐剤、セラミド類、疑似セラミド類、植物、鉱物又は合成油、パンテノール等のビタミン類又はプロビタミン類、乳白剤などを有効量で含有してもよい。
【0077】
また前記組成物は、還元剤又は酸化防止剤を含有してもよい。これらは、特に、亜硫酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、ヒドロキノン、2-メチルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン及びホモゲンチジン酸から選択され、それらは一般的に組成物総重量に対して約0.05〜1.5重量%の範囲の量で存在する。
【0078】
また本発明の組成物は、一又は複数の脂肪アルコールを含有してもよく、これらの脂肪アルコールは、純粋な形態で又は混合物の形態で導入される。それらの中で、特にラウリル、セチル、ステアリル又はオレイルアルコール及びそれらの混合物を挙げることができる。これらの脂肪アルコールは、組成物総重量に対して約0.001〜20重量%を占めることができる。
【0079】
言うまでもなく、当業者であれば、本発明の使用準備の整った組成物に固有の有利な特性が、考えられる添加により悪影響を全く受けないか、実質的には受けないように留意して、上述した可能な化合物(類)を選択するであろう。
【0080】
酸化組成物(B)において、酸化剤は、好ましくは過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属の臭素酸塩類又はフェリシアン化塩類、過酸塩類、例えば過ホウ酸塩及び過硫酸塩から選択される。過酸化水素を使用するのが特に好ましい。この酸化剤は、有利には、その力価が特に約1〜40容量、より好ましくは約5〜40容量で変化しうる過酸化水素溶液からなる。
また酸化剤として、必要な場合にはドナー又は補因子の存在下で、一又は複数の酸化還元酵素、例えばラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、及び(ウリカーゼ等の)2電子オキシドレダクターゼを使用することもできる。
【0081】
染色用組成物(A)又はケラチン繊維に適用される使用準備の整った組成物[染色用組成物(A)と酸化組成物(B)とを混合した後に得られる組成物]のpHは、一般的には4〜12である。これは、好ましくは約6〜11であり、ケラチン繊維の染色のための技術の現状において良く知られた酸性化剤又は塩基性化剤により、所望の値に調節することができる。
【0082】
塩基性化剤の中で、例えば、アンモニア水、炭酸アルカリ金属塩類、アルカノールアミン類、例えばモノ-、ジ-及びトリエタノールアミン類並びにそれらの誘導体、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エチレンジアミン類及びヒドロキシアルキルアミン類、水酸化ナトリウム又はカリウム、及び次の式(IV):
【化9】

[ここで、Rは、場合によってはC-Cアルキル基又はヒドロキシル基で置換されていてもよいプロピレン残基であり;R15、R16、R17及びR18は同一でも異なっていてもよく、水素原子、C-Cアルキル又はC-Cヒドロキシアルキル基を表す]
の化合物を挙げることができる。
【0083】
酸性化剤は従来のものであり、例えば、無機酸又は有機酸、例えば、塩酸、オルトリン酸、カルボン酸類、例えば酒石酸、クエン酸、乳酸、又はスルホン酸類である。
【0084】
本発明の染色方法は、好ましくは、上述の組成物(A)及び(B)から使用時に新たに調製される使用準備の整った組成物を、乾燥した又は湿ったケラチン繊維に適用し、好ましくは約1〜60分、より好ましくは10〜45分で変化する露出時間の間作用させ、繊維をすすぎ、そして任意にシャンプーで洗浄し、次いで再度すすいで乾燥させることからなる。
本発明を例示する具体的な実施例を以下に示すが、限定的な性質を持つものではない。
【実施例】
【0085】
以下の組成物を調製した:
酸化組成物
脂肪アルコール 2.3g
オキシエチレン化脂肪アルコール 0.6g
脂肪アミド 0.9g
グリセリン 0.5g
過酸化水素 7.5g
香料 適量
脱塩水 全体を100gとする量
【0086】
染色用組成物
(グラムで表示する)
【表1】

AS*=活性物質
【0087】
使用時に、染色用組成物を、上記に与えた酸化組成物と、酸化組成物1.5部に対して染色用組成物1部の量で、プラスチックボウル内で2分間混合した。
得られた混合物を、90%白髪を有する天然灰色毛髪の束に適用し、30分間作用させた。
【0088】
次いで束を水ですすぎ、それをシャンプーで洗浄して再度水ですすぎ、次いで乾燥させてもつれをほどいた。
毛髪は、強力な明るい栗色がかった褐色の色調に染色された。
上記の実施例で、第4級アンモニウム(W)を同量のMIRANOL社から市販されているミラノールA15に置換しても同様の結果が得られた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
染色に適した媒体中に、少なくとも一種の酸化染料を含有してなるヒトの毛髪等のケラチン繊維の酸化染色用組成物において、
鎖の成分として下記式(I):
【化1】

[上式中、k及びtは、0又は1であり、k+tの合計は1であり;Rは、水素原子又はメチル基を示し;R及びRは、互いに独立して、1〜22の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又は低級(C-C)アミドアルキル基を示すか、又はRとRは、それが結合している窒素原子と共同して、複素環基、例えばピペリジニル又はモルホリニルを示してもよく;R及びRは、互いに独立して、アルキル基を示し;Yは、無機又は有機酸から誘導されるアニオンである]
に相当する単位を含むジアルキルジアリルアンモニウムの環状ホモポリマーの少なくとも一種、及び、
下記式(III):
【化2】

[上記式(III)中、pは約1〜6で変わり得る整数であり、Dはゼロであるか又は基-(CH)-CO-を表し、ここでrは4又は7に等しい数を示し、Xは無機又は有機酸から誘導されるアニオンである]
に相当する繰り返し単位からなる第4級ポリアンモニウムの少なくとも一種の組み合わせをさらに含有することを特徴とする組成物。
【請求項2】
上記式(I)において、Rが水素原子を示し、R及びRがメチルを示し、そしてYが塩素を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
上記式(III)において、Dがゼロであり、Xが塩素を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
上記式(I)の単位を有するジアルキルジアリルアンモニウムの環状ホモポリマーが、組成物総重量の0.05〜5重量%を占めることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
上記式(III)の単位を有する第4級ポリアンモニウムが、組成物総重量の0.05〜10重量%を占めることを特徴とする、請求項1又は3に記載の組成物。
【請求項6】
上記式(I)のジアルキルジアリルアンモニウムの環状ホモポリマーに対する上記式(III)の単位を有する第4級ポリアンモニウムの重量比率が、0.1〜50の間であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
上記式(I)のジアルキルジアリルアンモニウムの環状ホモポリマーに対する上記式(III)の単位を有する第4級ポリアンモニウムの重量比率が、1〜10の間であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
酸化染料が、酸化ベース類及びカップラー類から選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも一種の酸化ベースを含有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
酸化ベース類が、オルト-又はパラ-フェニレンジアミン類、複ベース類、オルト-又はパラ-アミノフェノール類及び複素環ベース類、並びにこれらの化合物の酸付加塩から選択されることを特徴とする、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項11】
パラ-フェニレンジアミン類が、下記構造(I):
【化3】

[上式中:
は、水素原子、C-Cアルキル基、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基、ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)基、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル基、窒素含有基で置換されたC-Cアルキル基、フェニル基又は4'-アミノフェニル基を表し;
は、水素原子、C-Cアルキル基、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基、ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)基、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル基又は窒素含有基で置換されたC-Cアルキル基を表し;
またR及びRは、それらと結合した窒素原子とともに、一又は複数のアルキル、ヒドロキシル又はウレイド基で場合によっては置換されていてもよい5-又は6-員の窒素含有複素環を形成していてもよく;
は、水素原子、塩素原子等のハロゲン原子、C-Cアルキル基、スルホ基、カルボキシル基、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基又はヒドロキシ(C-Cアルコキシ)基、アセチルアミノ(C-Cアルコキシ)基、メシルアミノ(C-Cアルコキシ)基又はカルバモイルアミノ(C-Cアルコキシ)基を表し;
は、水素又はハロゲン原子又はC-Cアルキル基を表す]
を有する化合物から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
複ベース類が、下記構造(II):
【化4】

[上式中:
− Z及びZは同一でも異なっていてもよく、結合手Y又はC-Cアルキル基で置換されていてもよいヒドロキシル又は-NH基を表し;
− 結合手Yは、一又は複数のヒドロキシル又はC-Cアルコキシ基で場合によっては置換されていてもよく、酸素、硫黄又は窒素原子等の一又は複数のへテロ原子及び/又は一又は複数の窒素含有基が挿入されるか又はこれを末端に有していてもよい、1〜14の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖を表し;
− R及びRは、水素又はハロゲン原子、C-Cアルキル基、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基、ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)基、アミノ(C-Cアルキル)基又は結合手Yを表し;
− R、R、R、R10、R11及びR12は同一でも異なっていてもよく、水素原子、結合手Y又はC-Cアルキル基を表し;
分子当りただ一の結合手Yを有すると理解されるもの]
を有する化合物から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
窒素含有基が、アミノ、モノ(C-C)アルキルアミノ、(C-C)ジアルキルアミノ、(C-C)トリアルキルアミノ、モノヒドロキシ(C-C)アルキルアミノ、イミダゾリニウム及びアンモニウム基から選択されることを特徴とする請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
パラ-アミノフェノール類が、下記構造(III):
【化5】

[上式中:
13は、水素原子、フッ素等のハロゲン原子、C-Cアルキル、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル、アミノ(C-Cアルキル)又はヒドロキシ(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル基を表し、
14は、水素原子又はフッ素等のハロゲン原子、C-Cアルキル、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)、ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)、アミノ(C-Cアルキル)、シアノ(C-Cアルキル)又は(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル基を表す]
を有する化合物から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
複素環ベース類が、ピリジン誘導体類、ピラゾロピリミジン類を含むピリミジン誘導体類及びピラゾール誘導体類から選択されることを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
酸化ベース類が組成物総重量に対して0.0005〜12重量%の範囲の濃度で存在することを特徴とする請求項8から15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
カップラー類が、メタ-フェニレンジアミン類、メタ-アミノフェノール類、メタ-ジフェノール類、複素環カップラー類、及びそれらの化合物の酸付加塩類から選択されることを特徴とする請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項18】
カップラー類が組成物総重量に対して0.0001〜10重量%の範囲の濃度で存在することを特徴とする請求項8、9又は17に記載の組成物。
【請求項19】
酸化ベース類及びカップラー類の酸付加塩類が、塩酸塩類、臭化水素酸塩類、硫酸塩類、酒石酸塩類、乳酸塩類及び酢酸塩類から選択されることを特徴とする請求項10又は17に記載の組成物。
【請求項20】
直接染料をさらに含有することを特徴とする、請求項1から19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも一つの還元剤を、組成物総重量に対して0.05〜3重量%の範囲の量で含有することを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
一又は複数の脂肪アルコールをさらに含有することを特徴とする、請求項1から21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
脂肪アルコールが、組成物総重量に対して0.001〜20重量%を占めることを特徴とする請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか1項に定義した組成物(A)と、少なくとも一つの酸化剤を含有する組成物(B)とを混合することにより得られることを特徴とする、ヒトの毛髪等のケラチン繊維の酸化染色用の使用準備の整った組成物。
【請求項25】
酸化剤が、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属の臭素酸塩類又はフェリシアン化物、過酸塩類、及び必要に応じて対応するドナー又は補因子を伴ってのラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、2電子オキシドレダクターゼ等の酸化還元酵素から選択されることを特徴とする請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
酸化剤が過酸化水素であることを特徴とする請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
酸化剤が、その力価が1から40容量まで変わり得る過酸化水素溶液であることを特徴とする請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
4〜12の範囲のpHを有することを特徴とする、請求項1から27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
組成物(A)及び/又は組成物(B)が、少なくとも一つの脂肪鎖を有する少なくとも一種の増粘ポリマーを含有することを特徴とする請求項24に記載の組成物。
【請求項30】
脂肪鎖を含む増粘ポリマーが、非イオン性型であることを特徴とする請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
脂肪鎖を有する増粘ポリマー(類)が、組成物総重量に対して0.01〜10重量%存在することを特徴とする請求項29又は30に記載の組成物。
【請求項32】
組成物(A)及び/又は組成物(B)が、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性界面活性剤類から選択される少なくとも一種の界面活性剤を含有することを特徴とする請求項24に記載の組成物。
【請求項33】
界面活性剤類が、組成物総重量に対して0.01〜40重量%存在することを特徴とする請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
組成物(A)及び/又は組成物(B)が、セルロース誘導体、グアー誘導体、微生物由来のガム、脂肪鎖を持たない合成増粘剤から選択される増粘剤を含有することを特徴とする請求項24に記載の組成物。
【請求項35】
増粘剤(類)が、組成物総重量に対して0.01〜10重量%を占めることを特徴とする請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
染色に適した媒体中に、少なくとも一種の酸化染料と、請求項1又は2に定義した式(I)の単位を持つジアルキルジアリルアンモニウムの環状ポリマーの少なくとも一種及び請求項1又は3に定義した式(III)の単位を持つ第4級ポリアンモニウムの少なくとも一種の組み合わせとを含有してなる染色用組成物(A)をケラチン繊維に適用し、使用時に組成物(A)と混合される、又は、中間的すすぎ無しに続いて適用される、少なくとも一種の酸化剤を含有する組成物(B)により、酸性、中性もしくはアルカリ性のpHで発色させることからなることを特徴とするヒトの毛髪等のケラチン繊維の染色方法。
【請求項37】
染色に適した媒体中に、少なくとも一種の酸化染料を含有してなる染色用組成物(A)をケラチン繊維に適用し、使用時に染色用組成物と混合される、又は、中間的すすぎ無しに続いて適用される酸化組成物(B)により、酸性、中性もしくはアルカリ性のpHで発色させることからなり、請求項1又は2に定義した式(I)の単位を持つジアルキルジアリルアンモニウムの環状ポリマーの少なくとも一種及び請求項1又は3に定義した式(III)の単位を持つ第4級ポリアンモニウムの少なくとも一種が、酸化組成物(B)中にともに存在するか、又は組成物(A)又は(B)の各々に別個に存在することを特徴とするヒトの毛髪等のケラチン繊維の染色方法。
【請求項38】
少なくとも2つの区画を具備し、その一方が少なくとも一種の酸化染料を収容し、他の区画が酸化剤を収容し、請求項1又は2に定義した式(I)の単位を持つジアルキルジアリルアンモニウムの環状ポリマーの少なくとも一種及び請求項1又は3に定義した式(III)の単位を持つ第4級ポリアンモニウムの少なくとも一種が、第1の区画及び/又は第2の区画内にともに存在するか、又は2つの区画の各々に別個に存在することを特徴とするヒトの毛髪などのケラチン繊維の酸化染色用の多区画染色具又は多区画染色キット。

【公開番号】特開2006−36790(P2006−36790A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301018(P2005−301018)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【分割の表示】特願2001−252(P2001−252)の分割
【原出願日】平成13年1月4日(2001.1.4)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】