説明

24時間有効な持続放出トラマドール製剤

トラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、前記組成物が、初回の1用量を投与する際に、2時間以内の鎮痛作用の開始をもたらし、その鎮痛作用が少なくとも投与後24時間持続する組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラマドールおよびその塩の放出制御を目的とした新規1日1回型経口医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(トラマドール医薬製剤)
塩酸(HCl)トラマドールはドイツのグリュネンタール株式会社によって開発された。ドイツでは1977年(例:トラマリール)以来、および米国では1995年以来アルトラムとして(登録商標)販売されている。塩酸トラマドールの有効性および安全性プロフィールより、慢性的疼痛に対する長期投与に適している。
【0003】
塩酸トラマドールは、多様な急性および慢性疼痛状態に有効であることが示されている合成中枢神経作用性鎮痛薬である。具他的には、速放型および遅延放出型剤型のいずれの塩酸トラマドールとも、非ステロイド性抗炎症約(NSAID)と共に(Roth SH. "Efficacy and safety of tramadol HCI
in breakthrough musculoskeletal pain attributed to osteoarthritis". J. Rheumatol 1998; 25: 1358-1363. Wilder-Smith CHら"Treatment of severe pain from osteoarthritis with
slow-release tramadol or dihydrocodeine in combination with NSAID's : a
randomized study comparing analgesia, antinociception and gastrointestinal
effects". Pain 2001;
91: 23-31. )、変形性関節症が原因とされる疼痛を軽減することが証明されている。塩酸トラマドールは、経口投与された後ほぼ完全に吸収され、大半が代謝される。主要な代謝経路は肝臓におけるN−およびO−脱メチル化およびグルクロニド化あるいはスルホン化であると見られる。薬学的に活性である代謝物はモノO−デスメチルトラマドール(M1)のみであり、これはμ−オピオイド受容体に対する親和性がラセミ体トラマドールの200倍高い(DeJong
R. "Comment on the hypoalgesic effect of tramadol in relation to
CYP2D6"(コメント)Pain Dig 1997; 7: 245; Kogel B.ら"Involvement of
metabolites in the analgesic action of tramadol" Proc. gth World Congress on Pain, Vienna, 1999)。健康なヒトでは、トラマドールは多型酵素チトクロームP450
2D6(CYP2D6)により脱メチル化を受けてM1代謝物に変換される。
【0004】
塩酸トラマドールの作用機序は完全に解明されていない。 動物モデルより、薬物(およびそのM1代謝物)がオピオイド作動薬として作用し、これはμ−受容体における選択的活性によると見られることが指摘される。塩酸トラマドールは、オピオイド作動活性の他、薬物の鎮痛作用に寄与すると見られるある種のモノアミン(ノルエピネフィリン、セロトニン)の再取り込み阻害も示す。動物およびヒトを対象とした数件の試験では、塩酸トラマドールの鎮痛効果はナロキセンにより部分的にのみ拮抗される。さらに、薬物のオピオイド作動活性により、塩酸トラマドールは依存性をもたらすことが示唆されているが、その乱用の可能性は低いと見られ、また塩酸トラマドールは1970年のアメリカ合衆国連邦規制薬物法の下での指定薬物としての「規制対象」ではない。
【0005】
塩酸トラマドールの速放性製剤は技術上既知である。しかしこのような製剤は有効な鎮痛を得るために頻繁な投与を必要とする。高頻度投与療法を行うときコンプライアンスが欠けると、血漿薬物濃度が一定せずかつこれにより鎮痛作用が一定しないことがある。1日2回型製剤は入手可能であり、かつ投与後により長い鎮痛持続時間をもたらし、また必要な投与頻度が少ないので速放性製剤よりも望ましい。有効性、安全性および簡便性の向上のためには、1日1回型製剤がより好ましい。
【0006】
錠剤または他の固形剤型の形で経口投与された後身体による活性医薬成分の吸収速度に影響し、かつこれにより安全性および有効性に影響する決定的な因子は、摂取後のその剤型からの活性医薬成分の放出速度である。
【0007】
従って、数時間、数週間あるいは数ヶ月にわたって活性医薬成分の緩慢で均一な放出および吸収をもたらすよう設計されたいわゆる放出制御、長時間放出、持続放出あるいは長時間作用型医薬製剤の基礎を構成するのは、剤型成分が放出速度を制御する能力である。このような放出制御製剤の長所は、薬物の必要投与回数が従来の速放型剤型と比較して減少するためにしばしば患者のコンプライアンスが改善されること、安定した体内薬物濃度が維持されるため設定した時間に渡って治療効果が維持されること、および速放型剤型の投与後に発生する高血漿濃度により生じる主薬の望ましくない副作用の発生率および強度が低下することを含む。
【0008】
活性医薬成分の放出制御を目的とした基剤として多くの材料が提案および開発されている。これらには例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレンアミド類、エチルセルロース、シリコンおよびポリ(メタクリル酸ヒドロキシメチル)などのポリマー材料が含まれる。例えばEndicottらへの米国特許第3,087,860号、Levesqueらへの米国特許第2,987,445号、SalomonらのPharm.
Acta Helv.,55,174-182(1980)、Korsmeyerの
Diffusion Controlled Systems:Hydrogels,Polymers for Controlled Drug Delivery,Tarcha編 CRC
Press,Boca Raton,Fla.USA(1991)第2章15〜37ページ 、およびBuriらのPharm.
Acta Helv. 55,189-197(1980)などを参照されたい。
【0009】
高アミロースデンプンも放出制御を目的として使用され、また特に最近の進歩により架橋高アミラーゼデンプンが実用化されている。例えば2001年3年9月4日に公表された米国特許第6,284,273号(Lenaertsら)および2002年7月16日に公表された第6,419,957号(Lenaertsら)は、薬品の乾燥粉末および架橋高アミロースデンプンの粉末を含んだ錠剤の形態の固形放出制御経口医薬投与単位であって、前記架橋高アミロースデンプンが重量で約10〜60%のアミロペクチンと約40〜90%のアミロースの混合物を含む基剤である投与単位を教示する。2003年8月19日に公表された米国特許第6,607,748号(Lenaertsら)は、コントラミドの名称で知られる架橋高アミロースデンプンの製造方法を記載する。 持続放出型製剤は技術上周知である。
【0010】
塩酸トラマドールに関する長時間放出および放出制御製剤が提案されており、2003年7月31日公開の米国特許広報第2003/0143270(Deboeckら)、2001年7月3日公表の米国特許第6,254,887号(Millerら)、2001年11月1日公開の米国特許広報第2001/0036477号(Millerら)、2001年12月4日公表の米国特許第6,326,027号(Millerら)および1997年1月7日公表の米国特許第5,591,452号(Millerら)、および2002年3月27日公開の欧州特許第1 190 712号(Vanderbist)に実施例が記載されている。
【0011】
市場には1日1回型製剤と称する放出制御塩酸トラマドール製剤がいくつか存在するものの、これらはいずれも1日2回型塩酸トラマドール製剤と入れ替わることに成功していない。
【0012】
「1日1回」型と推定される塩酸トラマドール製剤と速放性塩酸トラマドール製剤の比較データが提示された論文:Adlerら"A Comparison of Once-Daily Tramadol with Normal
Release Tramadol in the Treatment of Pain in Osteoarthritis," The Journal
of Rheumatology(2002)29(10):2195-2199;およびBodaliaら"A
Comparison of the Pharmacokinetics, Clinical
Efficacy, and Tolerability of Once-Daily Tramadol Tablets with Normal Release
Tramadol Capsules,"Journal of Pain and Symptom Management(2003)25(2):142-149が公表されている。
【0013】
(塩酸トラマドール投与による有害事象)
米国での臨床試験で認められた最も報告頻度の高いトラマドールの副作用は、便秘、悪心、めまい感/めまい、頭痛、傾眠および嘔吐である。これらは典型的なオピオイド薬物の有害作用である。発作およびアナフィラキシー様反応も報告されているが、塩酸トラマドールを投与されている患者における発作の発生率は1%未満と見積もられている(Kazmierczak,R.およびColey,K.:"Doctor
letters on prescribing: evaluation of the use of tramadol HCI."Formulary
32:977-978,1997)。
【0014】
上述のAdlerらは、変形性関節炎の疼痛の治療における1日1回型トラマドール製剤と速放型トラマドールを比較する臨床試験の結果について報告する。著者らは両投与群の患者等について有害事象プロフィールが同様であると報告する。Adlerらの表2は、1日1回投与群において有害事象のために中止した患者の割合は、他の投与群よりも高いことを示す。
【0015】
上述のBodaliaらにおいては、著者らは150mg1日1回投与、200mg1日1回投与および50mg通常放出型トラマドール製剤の3回投与の認容性がほぼ同じであると報告する。しかしこの論文は「1日1回型」とされる製剤の製造方法についての情報を全く含まず、また論文は1回投与後の薬物動態データも全く公開していない。
【0016】
本節における何らかの参照文献の引用または特定は、このような参照文献が本発明に対する先行技術として利用できることの承認として解釈してはならない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の目的は、24時間鎮痛作用が有効である改善型持続放出トラマドール製剤を提供することである。
【0018】
本発明の態様の1つに従えば、組成物が、初回の1用量を投与する際に2時間以内の鎮痛作用の開始をもたらし、この鎮痛作用が少なくとも投与後24時間持続するトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物が提供される。
【0019】
本発明の他の態様に従い、トラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも100ng/mLの平均血漿濃度をもたらし、かつ投与後少なくとも22時間の間少なくとも100ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物が提供される。
【0020】
本発明の実施態様においては、トラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも100ng/mLの平均血漿濃度をもたらし、かつ投与後少なくとも22時間の間少なくとも100ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続け、かつ平均最高血漿濃度(Cmax)が投与後24時間に得られる血漿濃度(C24h)の平均の2.2倍未満である組成物が提供される。
【0021】
用語「λz」は、対数線形相での回帰の勾配より算出される見かけ上の最終消失速度定数である。
【0022】
用語「AUC0−Tmax」は、時間0からTmaxまでの血漿濃度−時間曲線下面積の平均であり、かつ薬物吸収あるいは代謝物形成速度の指標として用いられる。バイオアベイラビリティ試験の各参加者について算出された時間0からTmaxまでの血漿濃度−時間曲線下面積の算術平均として算出される。
【0023】
用語「AUC0−∞」は、無限時間に外挿された血漿濃度−時間曲線下面積の平均である。バイオアベイラビリティ試験の各参加者について算出された、時間0から無限時間まで外挿された血漿濃度−時間曲線下面積の算術平均として算出される。
【0024】
本発明の目的について、用語「鎮痛効果」は少なくとも約100ng/mLの平均トラマドール血漿濃度をもたらすことと定義される。
【0025】
本発明の目的について、用語「C’max」は、各最高血漿濃度の平均として算出される、最高実測血漿濃度である。
【0026】
本発明の目的について用語「放出制御」は、 製剤からの活性医薬成分の放出速度が製剤中に残る活性医薬成分の濃度および/あるいは製剤周囲の媒質における活性医薬成分の溶解度のみに依存せず、かつ医薬製剤からの主成分の放出の経時変化および/あるいは位置が従来の剤型では提供されない治療的あるいは簡便性の目的を達成するために選択される経口薬物送達方法として定義される。
【0027】
用語「半減期」は、見かけ上の最終消失半減期である。
【0028】
用語「HVD」は半減時間、すなわちトラマドール濃度がC’maxの半分を上回る時間である。このパラメータは、血漿濃度時間曲線の形状の指標である。
【0029】
本発明の目的について、用語「初回投与」は患者または被験者に対して投与された主薬を含む製剤の初回の1用量あるいは適当なウォッシュアウト期間後に患者または被験者に対して投与された最初の1用量と定義される。
【0030】
用語「MRT」は平均滞留時間であり、トラマドール分子が経口投与後に体内に滞留する平均時間の概算値である。
【0031】
本発明の目的について、用語「平均最高血漿濃度」(Cmax)は平均血漿濃度の最高値と定義される。
【0032】
本発明の目的について、用語「平均血漿濃度」は血漿濃度の算術平均と定義される。
【0033】
用語「tmax」はCmaxが達成される時間である。
【0034】
用語「Tmax」は、バイオアベイラビリティ試験の各参加者について最高血中濃度が観察された時間である。
【0035】
用語「Rstart」は、血漿濃度が対数線形型に低下し始める時間、すなわち薬物の吸収または代謝物の形成が完了する時間である。
【0036】
本明細書で使用される単語「トラマドール」はトラマドール、その立体異性体、および薬学的に許容できるその塩を指す。
【0037】
本明細書の目的について、用語「定常状態」は、複数用量の投与後に薬物消失速度と薬インプット速度が一致し、かつ投与と投与の間の所与の時に血漿薬物濃度が各投与間でほぼ同じである状態と定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(中心錠)
本発明の錠剤の中心錠は、少なくとも1つの主成分および基剤を含み、これらの成分は基剤からの医薬成分の放出を調節するように関係している。具体的な態様においては、中心錠の基剤はコントラミドの名称で知られ、2003年8月19日に公表された米国特許第6,607,748号(Lenaertsら)に記最近載された架橋高アミロースデンプンである。本発明の状況における好ましい製剤は、米国特許第6,607,748号の明細書において提供されている。
【0039】
好ましくは、中心錠は成分を(顆粒あるいは粉末の形態で)混合した後、混合物を圧縮して中心錠を形成し、その後その上層にコーティングを形成する。中心錠の重量は、組成物全体の重量の10%から80%のうちいずれの百分率としてもよい。好ましい百分率は、とりわけ薬物の総用量に依存する。以下にさらに記載する具体的な実施態様においては、錠剤が塩酸トラマドール100mgを含み、中心錠は総重量で錠剤の約26%である。他の実施態様においては、錠剤が塩酸トラマドール200mgを含み、かつ中心錠は錠剤の総重量の約33%を構成する。他の実施態様においては、錠剤は塩酸トラマドール300mgを含み、かつ中心錠は錠剤の総重量の約33%に寄与する。
【0040】
(中心錠中の主成分 )
本発明の組成物の中心錠中には活性医薬成分が存在する。本発明の適当な医薬成分は持続放出製剤の形態で送達されることが望ましいような成分のいずれかである。適当な薬物の包括的なリストは、The
Merck Index第12版で確認することができる。好ましくは、医薬成分はイソニコチン酸ヒドラジド、サリチル酸ナトリウム、塩酸プソイドエフェドリン、硫酸プソイドエフェドリン、アセトアミノフェンまたはジクロフェナクナトリウム、ベラパミル、グリピジド、ニフェジピン、フェロジピン、ベタヒスチン、アルブテロール、アクリバスチン、オメプラゾール、ミソプロストール、トラマドール(登録商標)、オキシブチニン、トリメブチン、シプロフロキサシンおよびその塩であるが、これに限定されない。さらに、薬物はケトコナゾールなどの抗真菌剤、あるいはアセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、パラセタモール、イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、ジフルニサル、ナプロキセン、ケトロラク、ジクロフェナク、トルメチン、スリンダク、フェナセチン、ピロキシカム、メフェナム酸、デキストロメトルファンなどの鎮痛薬、サリチル酸類などの他の非ステロイド性抗炎症薬、薬学的に許容できるその塩あるいはその混合物とすることができる。プロドラッグは本発明の一部である。
【0041】
水溶液中の薬物の溶解度は、幅広い値とすることができる。薬物の水に対する溶解度は10−3g/L未満、10−3g/L以上、10−2g/L以上、10−1g/L以上、1g/L以上、10g/L以上、100g/L以上、500g/L以上、1000g/L以上、あるいは2000g/L以上であってもよい。好ましくは、溶解度は100g/L以上である。より好ましくは、溶解度は500g/L以上である。最も好ましくは、溶解度は1000g/L以上である。
【0042】
薬物は多様な投与条件を満たすことができる。例えば、薬物の投与条件は1mg/投与単位未満、1mg/投与単位以上、10mg/投与単位以上、100mg/投与単位以上、200mg/投与単位以上、300mg/投与単位以上、400mg/投与単位以上、500mg/投与単位以上、あるいは1000mg/投与単位以上とすることができる。好ましくは、薬物は50mg/投与単位以上である。より好ましくは、薬物は100mg/投与単位、あるいはそれ以上、例えば150mg/投与単位、あるいは200mg/投与単位、あるいは250mg/投与単位、あるいは300mg/投与単位、あるいはそれ以上である。
【0043】
具体的な実施態様は、塩酸トラマドールを含有する中心錠であって、中心錠が錠剤中に存在する全トラマドールの約10%から90%、例えば100mg力価錠の約45mg(錠剤中全量の45%)、あるいは200mg力価錠の90mg(錠剤中全量の45%)、あるいは300mg力価錠の約151mg(錠剤中全量の50%)を含有する中心錠を含む。
【0044】
(中心錠の基剤)
中心錠中に位置する活性医薬成分の製剤からの放出は、コーティングの基剤中に位置する活性医薬成分の放出よりも遅い。中心錠の好ましい基剤は、コントラミドの名称で知られ、かつ米国特許第6,607,748号に記載されている架橋高アミロースデンプンである。 具体的な実施態様においては、基剤は中心錠の重量の約10%から約90%を構成、すなわち中心錠の主成分に対する中心錠の基剤の比率(w/w)は約0.1から約10,あるいは約0.2から約9,あるいは約0.2から約8,あるいは約0.3から約7,あるいは約0.4から約6,あるいは約0.5から約5,あるいは約0.6から約4,あるいは約0.7から約4あるいは約1から約4,あるいは約1から約3および約1.5から2.5である。具体的な態様の1つにおいては、中心錠は全量約90mgであり、そのうち約44mgはコントラミド、かつ約45mgは塩酸トラマドールである。従ってこれらの例においては、コントラミドは中心錠の約49重量%を構成する。
【0045】
(任意の成分)
本発明の中心錠組成物は、薬学的に許容できる担体または媒質を任意に含むことができる。このような担体または媒質は当業者に周知であり、例えばRemingtons's Pharmaceutical Sciences, 第14版(1970)において確認される。このような担体または媒質の例は乳糖、デンプン、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、カオリン、マンニトールおよび粉糖を含む。さらに必要であれば適当な結合剤、滑沢剤、および崩壊剤を含めることができる。望ましい場合は色素と同様甘味料あるいは着香料を含めることができる。
【0046】
本発明の中心錠の成分は、微結晶性セルロース、デンプン、架橋デンプン、架橋ポリ(ビニルピロリドン)、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの分散剤、着香料、着色料、結合剤、防腐剤、界面活性剤などを含むがこれに限定されない副成分を任意に含有することができる。
【0047】
また中心錠は、当業者に周知である1種類またはそれ以上の適当な結合剤も任意に含むことができる。
【0048】
微結晶性セルロースの適当な形態は、例えばMCC−PH101,MCC−102,MCC−105などである。
【0049】
当業者に周知のもののような適当な滑沢剤を含んでもよい。
例えば、ステアリン酸マグネシウム、植物油、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸などである。
【0050】
技術上周知である適当な流動化剤も含めることができる。このような流動化剤の例にはタルク、コロイド状二酸化ケイ素などがあるが、これに限定されない。
【0051】
(割合)
主薬は中心錠の総重量の約1から約90重量%、好ましくは中心錠の全組成物の約10から約70重量%、より好ましくは中心錠の全組成物の約20から約60重量%、かつおそらく最も多くは中心錠の全組成物の約30から約50重量%の範囲のレベルで存在する。
【0052】
当然ながら、全成分の総量は100重量%であり、当業者は有用な組成物を得るために記載された範囲で量を変えることができる。
【0053】
(コーティング)
剤型のコーティングはポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの物理的混合物、およびコーティングの活性医薬成分を含む。コーティングは、例えばコントラミドなどの架橋高アミロースデンプンおよび他の任意の成分を含むことができる。好ましい実施態様においては、コーティングは乾燥圧縮法によって形成される。コーティングの重量は、組成物全体の重量の約10%から約90%のうちいずれの百分率とすることもできるが、好ましくはこの範囲内のより多い部分であることが望ましい。従ってコーティングは通常本発明の錠剤の約20%から約90%(w/w)、あるいは約25%から約90%,あるいは約30%から約85%,あるいは約35%から約85%,あるいは約40%から約85%,あるいは約45%から約85%,あるいは約45%から約90%,あるいは約50%から約90%あるいは約50%から約85%,あるいは約55%から約90%,あるいは約55%から約85%,あるいは約55%から約80%,あるいは約60%から約90%,あるいは約60%から約85%,あるいは約60%から約80%,あるいは約60%から約75%,あるいは約65%から約90%,あるいは約65%から約85%,あるいは約65%から約80%,あるいは約65%から約75%,あるいは約65%から約70%あるいは約75%を構成する。コーティングは任意の結合剤を含むことが多い。
【0054】
(コーティングのポリ酢酸ビニルおよびポリビニルピロリドン)
コーティング中のポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物の重量%は、幅広い数値範囲のうちのいずれであってもよい。コーティング中の主成分の水への溶解度に応じて、コーティング中のポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物の量を調節することができる。米国特許公報第2001/0038852号は、このような調節ができる方法を記載している。例えば、水に可溶性〜極めて可溶性の主成分については、ポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物はコーティングの約20から約80重量%、好ましくは約30から約65重量%、あるいは約40から約50重量%とすることができる。以下に示す具体的な実施態様においては、コリドンTMSRは、塩酸トラマドールが重量で約31%であり、キサンタンガムが約23%であるコーティングの重量の約45%を構成する。米国特許公報第2001/0038852号に記載されているように、水にやや溶けにくい〜溶けにくい主成分については、ポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物の量はしばしばより少なくなる。
【0055】
ポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物におけるポリビニルピロリドンに対するポリ酢酸ビニルの重量比率は、幅広い数値範囲のうちのいずれであってもよい。好ましくは、このような比率は約6:4から9:1,より好ましくは約7:3から6:1,さらに好ましくは約8:2である。
【0056】
ポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物におけるポリ酢酸ビニル成分の分子量は、幅広い数値範囲をとることができる。好ましくは、ポリ酢酸ビニルの平均分子量は約100から約10,000,000,あるいは約1,000から約1,000,000,あるいは約10,000から約1,000,000,あるいは約100,000〜約1,000,000、あるいは約450,000である。
【0057】
ポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物におけるポリビニルピロリドン成分の分子量は、幅広い数値範囲をとることができる。ポリビニルピロリドンの平均分子量は約100から約10,000,000,あるいは約1,000から約1,000,000,あるいは約5,000から約500,000,あるいは約10,000から約100,000あるいは約50,000とすることができる。
【0058】
ポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドン混合物は、ポリビニルピロリドンとポリ酢酸ビニルの粉末を単純に混合することなどの多様な方法によって調製することができる。好ましい実施態様においては、このような混合物はコロイド分散したポリ酢酸ビニルおよびポリビニルピロリドンを噴霧乾燥した粉末である。任意に、噴霧乾燥中の凝集を防止するためにラウリル硫酸ナトリウムを安定化剤として用い、かつ/あるいはポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドン混合物の流動性を改善するためにコロイド状シリカを用いる。ポリ酢酸ビニルとポリビニルピロリドンは、任意にランダムあるいはブロック共重合体を形成することができる。
【0059】
(任意の成分)
本発明に適した結合剤は植物エキス、ゴム類、合成あるいは天然多糖類、ポリペプチド類、アルギン酸類、合成ポリマーあるいはその混合物を含むが、これに限定されない。
【0060】
ゲル化剤として用いられる適当な植物エキスは寒天、イスパキュラ、オオバコ、マルメロ、イナゴマメまたはその混合物を含むが、これに限定されない。
【0061】
ゲル化剤として用いられる適当なゴム類はキサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、インドゴム、カラヤゴム、トラガントガムまたはその混合物を含むが、これに限定されない。
【0062】
ゲル化剤として用いられる適当な合成あるいは天然親水性多糖類はヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、デキストリン、寒天、カラゲナン、ペクチン、フルセララン、デンプンまたはデンプン誘導体、架橋高アミロースデンプン、あるいはその混合物を含むが、これに限定されない。
【0063】
ゲル化剤として用いられる適当なポリペプチドはゼラチン、コラーゲン、ポリゼリンまたはその混合物を含むが、これに限定されない。
【0064】
ゲル化剤として用いられる適当なアルギン酸類はアルギン酸、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウムまたはその混合物を含むが、これに限定されない。
【0065】
ゲル化剤として用いられる適当な合成ポリマーはカルボキシビニル重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、およびその共重合体またはその混合物を含むが、これに限定されない。
【0066】
好ましい実施態様においては、ゲル化剤はキサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、インドゴム、カラヤゴム、トラガントガムまたはその混合物などのゴム類、PEO7,000,000およびHPMC
K100Mである。
【0067】
最も好ましい実施態様においては、ゲル化剤はキサンタンガムである。
【0068】
(コーティング中の主薬)
本発明の適当な活性医薬成分は、持続放出剤型で送達されることが望ましいあらゆる活性成分である。適当な薬物の包括的なリストは、The
Merck Index第12版で確認することができる。好ましくは、薬物はイソニコチン酸ヒドラジド、サリチル酸ナトリウム、塩酸プソイドエフェドリン、硫酸プソイドエフェドリン、アセトアミノフェンまたはジクロフェナクナトリウム、ベラパミル、グリピジド、ニフェジピン、フェロジピン、ベタヒスチン、アルブテロール、アクリバスチン、オメプラゾール、ミソプロストール、トラマドール(登録商標),オキシブチニン、トリメブチン、シプロフロキサシンおよびその塩であるが、これに限定されない。さらに、薬物はケトコナゾールなどの抗真菌剤、あるいはアセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、パラセタモール、イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、ジフルニサル、ナプロキセン、ケトロラク、ジクロフェナク、トルメチン、スリンダク、フェナセチン、ピロキシカム、メフェナム酸、デキストロメトルファンなどの鎮痛薬、サリチル酸類などの他の非ステロイド性抗炎症薬、薬学的に許容できるその塩あるいはその混合物とすることができる。
【0069】
水溶液中の薬物の溶解度は、幅広い値とすることができる。薬物の水に対する溶解度は10−3g/L未満、10−3g/L以上、10−2g/L以上、10−1g/L以上、1g/L以上、10g/L以上、100g/L以上、500g/L以上、1000g/L以上、あるいは2000g/L以上とすることができる。好ましくは、溶解度は100g/L以上である。より好ましくは、溶解度は500g/Lあるいはさらに1000g/L以上である。
【0070】
薬物は多様な投与条件を満たすことができる。例えば、薬物の投与条件は1mg/投与単位未満、1mg/投与単位以上、10mg/投与単位以上、100mg/投与単位以上、200mg/投与単位以上、300mg/投与単位以上、400mg/投与単位以上、500mg/投与単位以上、あるいは1000mg/投与単位以上としてもよい。好ましくは、薬物は50mg/投与単位以上である。より好ましくは、薬物は100mg/投与単位以上である。最も好ましくは、薬物は200mg/投与単位以上である。
【0071】
コーティングは活性医薬成分(api)重量にしての約5%から約90%であるか、あるいはapi重量で約5%から約80%、あるいはapi重量で約10%から約70%、あるいはapi重量で約10%から約60%、あるいはapi重量で約15%から約50%、あるいはapi重量で約15%から約45%、api重量で約15%から約40%、あるいはapi重量で約20%から約35%、あるいはapi重量で約20%から約30%とすることができる。
【0072】
以下に示す具体的な実施態様においては100mgトラマドール錠に由来するトラマドールの重量は、コーティングの重量の約21%である。200mg錠に由来するトラマドールの重量は、コーティングの重量の約31%である。300mg錠に由来するトラマドールの重量は、コーティングの重量の約30%である。
【0073】
(投与経路)
本発明の錠剤組成物は、経口、舌下および直腸など数多くの経路より投与できるが、これに限定されない。本発明の組成物の好ましい投与経路は経口である。
【0074】
経口投与に適した本発明の組成物は、錠剤または顆粒などの個別単位として提供してもよい。好ましくは、本発明の組成物は錠剤の形態で提供される。このような錠剤は従来通り圧縮あるいは成形によって形成されてもよい。圧縮錠剤は、適当な機械において上述の成分の1つまたはそれ以上の混合物を圧縮することにより調製してもよい。成形錠剤は、上記の成分を適当な機械において型抜きして製造してもよく、これを不活性液体希釈剤で適宜湿らせることができる。錠剤は適宜コーティングしかつ/あるいは消費者が見ることができる他の識別表示を付けてもよい。また錠剤は、例えば裸錠、ドライコート錠、フィルムコート錠などの多様な形態とすることもできる。また錠剤は、多様な形状(例:楕円形、球形など)およびサイズとすることができる。錠剤の包括的な議論は、LachmanらによるThe
Theory and Practice of Industrial Pharmacy,第3版 (Lea &
Febiger, 1986)などの参照文献で確認することができる。
【0075】
(持続放出組成物の溶解プロフィール)
組成物の主薬は、USP I型装置により50mMリン酸pH6.8中で、かつ50から150rpmで撹拌しながら測定するとき、以下のin
vitro溶解プロフィールを示す:USP I型装置を用い50mMリン酸pH6.8中で、かつ50から150rpmで撹拌しながらin vitro試験すると、0から2時間の間に薬物が毎時10%から30%の速度で放出され、あるいは0から約2時間の測定時に製剤より10%から40%の薬物が放出され、2から約7時間の測定時に製剤より約30から60%の薬物が放出され、7から約12時間後の測定時に製剤より約50%から80%の薬物が放出され、かつ約20時間の測定時に製剤より約80%から100%の薬物が放出され、あるいはより好ましくは2時間の測定の間に製剤より15%から35%の薬物が放出され、7時間の測定時間の間に製剤より約40%から60%の薬物が放出され、12時間の測定時に製剤より約60%から80%の薬物が放出され、かつ約20時間後の測定時に製剤より約85%から100%の薬物が放出され、あるいは2時間の測定の間に製剤より20%から40%の薬物が放出され、7時間の測定の間に製剤より約40%から60%の薬物が放出され、12時間の測定時に製剤より約60%から80%の薬物が放出され、かつ約20時間後の測定時に製剤より約85%〜100%の薬物が放出される。
【0076】
本発明は、本発明の範囲を限定するためではなくそれを例示するために示された以下の実施例を参照することにより、より容易に理解することができるであろう。
【実施例】
【0077】
これらの実施例に用いられる架橋高アミロースデンプンは、架橋および化学的に修飾し、その後ゼラチン化および乾燥する手順を含む方法によって形成される。このような方法は、2003年8月19日に公表された米国特許第6,607,748(Lenaerts et al.)により詳細に記載され、市場ではコントラミド(登録商標)の名称で知られ、かつ実施例1および2に記載されている。
【0078】
(実施例1)
(A.架橋)
約70%w/wのアミロースを含む高アミロースデンプン(Cl AmyloGel 03003)(3.0kg)を反応装置に入れる。この反応装置に水酸化ナトリウム(33.0g)および硫酸ナトリウム(2.40kg)を含んだ水(55.0L)を加える。生成したスラリーを温度30℃まで加熱する。反応混合物にオキシ塩化リン(22.5g)を加え、1時間反応させる。
【0079】
(B.化学的修飾、ヒドロキシプロピル化)
A節に由来する粗反応混合物をヒドロキシプロピル化反応装置に移す。反応混合物を40℃で30分間加熱し、さらに反応物を窒素パージする。完全にパージした後、プロピレンオキシド(1.80kg)を添加する。反応混合物を40℃で20時間保持する。0.1N H2S04を用いて(1:2v/v)反応混合物をpH5.5に中和する。デンプンスラリーを、遠心速度1200rmpのバスケット遠心機で洗浄する。得られたデンプンケークを35Lの水で再スラリー化し、2度目の遠心分離を行う。生成したデンプンケークをフラッシュドライヤー中で入口温度160℃、かつ出口温度60℃で乾燥する。
【0080】
(C.ゼラチン化)
修飾した顆粒状デンプンケークを脱イオン水で希釈し、乾燥物質について算出して約8%の濃度のスラリーを形成する。生成したスラリーの水に対する比重は1.032kg/Lである。修飾デンプンスラリーのpHを6.0に調節する。次にスラリーを直接蒸気噴射(Schlick
Model 825)により160℃に加熱する。温度変動は1℃を上回らない。スラリーを温度160℃、かつ圧力5.5barで保持カラム内に4分間保持する。次にフラッシュを通過させることにより圧力を大気圧まで下げる。次にスラリーを95℃で保持タンク内に保持する。
【0081】
(D.噴霧乾燥)
0.8mmノズルを装備しかつ10L/時間でフィードするNiroFSD4噴霧乾燥塔を用いてC節に由来するスラリーの乾燥を実施する。入口温度は300℃、かつ出口温度は120℃に固定する。得られる粉末は、以下の特性を有する放出制御賦形剤である。
【0082】
【表1】

【0083】
(実施例2)
(A.架橋)
約70%w/wのアミロースを含む高アミロースデンプン(Cl AmyloGel 03003)(3.0kg)を反応装置に入れる。この反応装置に水酸化ナトリウム(33.0g)および硫酸ナトリウム(2.40kg)を含んだ水(55.0L)を加える。生成したスラリーを温度30℃まで加熱する。反応混合物にトリメタリン酸ナトリウム(45g)を加え、1時間反応させる。
【0084】
(B.化学的修飾、ヒドロキシプロピル化)
A節に由来する粗反応混合物をヒドロキシプロピル化反応装置に移す。反応混合物を40℃で30分間加熱し、さらに反応物を窒素パージする。完全にパージした後、プロピレンオキシド(1.80kg)を添加する。反応混合物を40℃で20時間保持する。0.1N HS0を用いて(1:2v/v)反応混合物をpH5.5に中和する。デンプンスラリーを、遠心速度1200rmpのバスケット遠心機で洗浄する。得られたデンプンケークを35Lの水で再スラリー化し、2度目の遠心分離を行う。生成したデンプンケークをフラッシュドライヤー中にて入口温度160℃、かつ出口温度60℃で乾燥する。
【0085】
(C.ゼラチン化)
修飾した顆粒状デンプンケークを脱イオン水で希釈し、乾燥物質について算出して約8%の濃度のスラリーを形成する。生成したスラリーの水に対する比重は1.032kg/Lである。修飾デンプンスラリーのpHを6.0に調節する。次にスラリーを直接蒸気噴射(Schlick
Model 825)により160℃に加熱する。温度変動は+1℃を上回らない。スラリーを温度160℃、かつ圧力5.5barで保持カラム内に4分間保持する。次にフラッシュを通過させることにより圧力を大気圧まで下げる。次にスラリーを95℃で保持タンク内に保持する。
【0086】
(D.噴霧乾燥)
0.8mmノズルを装備しかつ10L/時間でフィードするNiroFSD4噴霧乾燥塔を用いてC節に由来するスラリーを実施する。入口温度は300℃、かつ出口温度は120℃に固定する。得られる粉末は、以下の特性を有する放出制御賦形剤である。
【0087】
【表2】

【0088】
ラブリタブOはペンウエスト製薬株式会社(米国アイオワ州シダーラピッズ)が販売する製品である。コリドンTMSRはBASF社(ドイツ)が製造する製品である。エンコンプレスTMは、マンデール社(ニューヨーク州パターソン)より購入することができるリン酸二カルシウム二水和物である。塩酸トラマドールはケマジス社(3
Hashlosha Street, P. O. Box 9091, 61090, Tel Aviv, Israel)より入手可能である。トラマドールの合成および精製方法は、例えば米国特許第3,652,589号、第5,414,129号、第5,672,755号、第5,874,620号、第5,877,351号および第6,169,205号に記載されている。
【0089】
(製造方法)
本発明の錠剤は、図1のフローチャートに一般的に記載され、以下により詳細に記載されている方法に従って製造することができる。
【0090】
秤量:原料は明確にラベル表示された容器に入れる。
【0091】
中心錠の予備混合:コントラミドとコロイド状二酸化ケイ素の一部を#30メッシュのふるいを篩過して適当な容器に入れる。
【0092】
中心錠の混合:コントラミド(登録商標)の一部を取って混合機に入れる。塩酸トラマドールを#30メッシュのふるいで篩過し、かつ混合機に加える。コントラミド(登録商標)の一部で容器をすすぎ、さらに混合機に加える。硬化植物油I型を#30メッシュのふるいで篩過し、かつ混合機に加える。中心錠予備混合物を混合機に加える。残りのコントラミド(登録商標)を混合機に入れ、かつ全ての成分を混合する。ステアリン酸マグネシウムを#30メッシュのふるいで篩過し、かつ他の成分との混合物を加える。混合物を適当な容器に入れ、中心錠混合物として識別する。
【0093】
ドライコーティングの予備混合:キサンタンガムの一部とコロイド状二酸化ケイ素の全量を混合し、#30メッシュのふるいで篩過する。
【0094】
ドライコーティングの混合:コリドン(登録商標)SRの一部を取って混合機に入れる。
塩酸トラマドールを#30メッシュのふるいをつけたKason分離器で篩過して適当な容器に入れ、さらに混合器に加える。残りのキサンタンガムで容器をすすぎ、さらに混合機に入れる。硬化植物油1型を#30メッシュのふるいで篩過し、かつ混合機に加える。ドライコーティング予備混合物とコリドン(登録商標)SRの残りを混合機に入れ、全ての成分を混合する。ステアリン酸マグネシウムを#30メッシュのふるいで篩過し、かつ他の成分と混合する。顆粒を適当な容器に入れ、ドライコーティング混合物として識別する。
【0095】
圧縮:Manesty Dry−Cota圧縮機を用いて圧縮コーティング錠を製造する。
【0096】
(実施例3)
表3に示すように、製剤A,BおよびCは上述の方法に従って製造した。
【0097】
【表3】

【0098】
製剤A,BおよびCの溶解プロフィールを図2に示す。
【0099】
(トラマドール1日1回型製剤)
本発明は、経口投与より2時間以内に鎮痛効果をもたらし、かつ投与後少なくとも24時間持続する放出制御錠剤組成物に関する。
【0100】
驚くべきことに、本発明の放出制御組成物の200mg用量は、経口投与より2時間以内に迅速な鎮痛作用の発現をもたらし、かつ1回投与後少なくとも24時間は平均トラマドール血漿濃度が100ng/mLから200ng/mLである。
【0101】
さらに、定常状態において平均血漿トラマドール濃度は100ng/mLから350ng/mLを維持する。驚くべきことに、本発明の放出制御組成物は経口投与後少なくとも24時間の間完全な臨床効果をもたらすことが示されている。
【0102】
(バイオアベイラビリティ試験)
本発明の目的の1つは、1日1回型製剤により多様な鎮痛要求を有する患者に対して柔軟な投与の選択肢を提供することである。
【0103】
本発明の実施態様の1つは、初回に100mgを摂取するとき望ましい早期の作用発現をもたらすが、2から24時間には少なくとも45ng/mLの平均トラマドール血漿濃度を達成すると思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0104】
本発明の他の実施態様の1つは、初回に200mgを摂取するとき望ましい早期の作用発現をもたらすが、2から24時間には少なくとも100ng/mLの平均トラマドール血漿濃度を達成すると思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0105】
本発明のさらなる実施態様の1つは、初回に300mgを摂取するとき望ましい早期の作用発現をもたらすが、2から24時間には少なくとも150ng/mLの平均トラマドール血漿濃度を達成すると思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0106】
本発明のさらなる実施態様の1つは、初回に400mgを摂取するとき望ましい早期の作用発現をもたらすが、2から24時間後に少なくとも180ng/mLの平均トラマドール血漿濃度を達成すると思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0107】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に用量に対するC’maxの比率が約0.90から約1.0となると思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0108】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に約4から約6時間のTmaxでトラマドール最高濃度を達成するまでに一定して上昇するトラマドール血漿濃度をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、Tmaxは約5時間から約5.5時間に発生する。
【0109】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にTmax後に緩やかではあるが一定した形で低下し、消失過程に加えて持続する吸収を反映するトラマドール血漿濃度をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、Tmax後のトラマドール血漿濃度の低下は対数線形の形で起こり、見かけ上の最終消失半減期の平均は約5.5時間から約6.5時間である。
【0110】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にTmax後に緩やかではあるが一定した形で低下し、消失過程に加えて持続する吸収を反映し、摂取された用量の吸収が開始されたときより少なくとも20時間吸収が持続するトラマドール血漿濃度をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0111】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に、Tmax後に対数線形型に低下し、見かけ上の最終消失速度定数(λz)が約0.12h−1であるトラマドール血漿濃度をもたらす1日1回型製剤を提供することである。
【0112】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に約15時間から約18時間のトラマドール平均滞留時間(MRT)をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0113】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に約22.5時間から約25.4時間のトラマドール半減時間(HVD)をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0114】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にAUC0−∞に対するC’maxの比率が約0.04h−1から約0.06h−1となると思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、AUC0−∞に対するC’maxの比率は約0.04h−1から約0.05h−1である。C’max/AUC0−∞比率は薬物吸収速度の評価に用いられる。
【0115】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に放出制御組成物の用量力価100mgから300mgの範囲に渡りトラマドール血漿濃度についての平均AUC0−24が用量と比例して増加すると思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0116】
本発明の他の実施態様は、初回の100mgを摂取する際に約610ng・h/mLから630ng・h/mLの平均AUC0−Tmaxをもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0117】
本発明の他の実施態様は、初回の200mgを摂取する際に約910ng・h/mLから920ng・h/mLのAUC0−Tmaxをもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0118】
本発明の他の実施態様は、初回の300mgを摂取する際に約1570ng・h/mLから1590ng・h/mLの平均AUC0−Tmaxをもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0119】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にトラマドール血漿濃度のAUC0−24/AUC0−∞の平均比率が約70%から約85%となると思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、トラマドール血漿濃度のAUC0−24/AUC0−∞ は約74%から約80%である。その結果、投与より24時間後の血漿中には投与された用量に応じて投与された用量の約15%から約30%が未だに循環している。
【0120】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に、最初の24時間に血漿中に放出された用量(すなわち、AUC0−24/AUC0−∞に用量をかけたもの)に対するC’maxの比率が約1.10から約1.35となると思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、比率は約1.15から約0.31である。
【0121】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に用量に対するC’max/Tmaxの比率が約0.10から約0.20となると思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、比率は約0.12から0.19である。
【0122】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に、最高血漿レベル後のng/mL・hr単位の勾配がmg単位の全投与量の約0.035倍を上回らないと思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、係数は約0.03である。
【0123】
放出制御組成物のトラマドール薬物動態パラメータを表4に示す。
【0124】
【表4】

【0125】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に血漿O−デスメチルトラマドール血漿濃度について算出されたC’maxのトラマドール用量に対する比率が約0.19から約0.22となると思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、前記比率は約0.20から0.21である。
【0126】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に約8から約16時間のTmaxでトラマドール最高濃度を達成するまでに一定して上昇するO−デスメチルトラマドール血漿濃度をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0127】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にTmax後に緩やかではあるが一定した形で低下し、消失過程に加えて持続するトラマドール吸収およびこれに続く代謝物の形成を反映するO−デスメチルトラマドール血漿濃度をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、O−デスメチルトラマドール血漿濃度の低下は対数線形の形で起こり、見かけ上の最終消失半減期の平均は約6.7時間から約8.1時間である。
【0128】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に少なくとも18時間の間代謝物の形成をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0129】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に、Tmax後に見かけ上の最終消失速度定数(λz)約0.1h−1でO−デスメチルトラマドール血漿濃度を対数線形型に低下させると思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0130】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に約25.6時間から約28.1時間のO−デスメチルトラマドール半減時間(HVD)をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0131】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にO−デスメチルトラマドール血漿濃度について算出されたAUC0−∞に対するC’maxの比率が約0.04h−1となると思われる1日1回型製剤を提供することである。C’max/AUC0−∞比率は代謝物形成速度の評価に用いられる。
【0132】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にO−デスメチルトラマドール血漿濃度について算出され、放出制御組成物の用量力価100mgから300mgの範囲に渡って用量と比例して増加する平均AUC0−24をもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0133】
本発明の他の実施態様は、初回に用量100mgを摂取する際にO−デスメチルトラマドールの血漿濃度について約175ng・h/mLから180ng・h/mLの平均AUC0−Tmaxをもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0134】
本発明の他の実施態様は、初回に用量200mgを摂取する際にO−デスメチルトラマドールの血漿濃度について約530ng・h/mLから550ng・h/mLの平均AUC0−Tmaxをもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0135】
本発明の他の実施態様は、初回に用量300mgを摂取する際にO−デスメチルトラマドールの血漿濃度について約580ng・h/mLから約590ng・h/mLの平均AUC0−Tmaxをもたらすと思われる1日1回型製剤を提供することである。
【0136】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際にO−デスメチルトラマドール血漿濃度のAUC0−24/AUC0−∞平均比率が約65%から約80%となると思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、O−デスメチルトラマドール血漿濃度のAUC0−24/AUC0−∞の平均は約68%から約75%である。その結果、投与より24時間後の血漿中には未だに約25%から約32%の活性代謝物が循環している。
【0137】
本発明の他の実施態様は、初回の1用量を摂取する際に投与後24時間のO−デスメチルトラマドール血漿濃度に対するO−デスメチルトラマドールの血漿濃度について算出されたC’maxの比率(AUC0−24/AUC0−Tmaxにトラマドール用量をかけたもの)が約0.0025から約0.0035となると思われる1日1回型製剤を提供することである。好ましくは、比率は約0.0027から約0.0031である。
【0138】
放出制御組成物のトラマドール薬物動態パラメータを表5に示す。
【0139】
【表5】

【0140】
(実施例4)
((i)用量比例性−単回投与)
3用量力価(100mg,200mgおよび300mg)間の用量比例性を評価するためにバイオアベイラビリティ試験を実施した。この試験は、各投与間に適当なウォッシュアウト期間をおいて実施した。27例の健常ヒトボランティアに対して絶食状態で投与を行った。
【0141】
図3は、本発明の放出制御組成物(100mg、200mgおよび300mg用量の塩酸トラマドール)の投与後の被験者より得たトラマドール平均血漿濃度時間プロフィールを描出する。図3の作成に用いたデータは表6に含まれている。
【0142】
【表6】

【0143】
この試験による結果は、本発明の放出制御組成物の100mg、200mgおよび300mg製剤は、トラマドールの吸収速度および吸収度およびO−デスメチルトラマドールの形成速度および形成度について用量比例的であることを示した。
【0144】
本発明の放出制御組成物の薬物動態特性の特徴を解明し、かつ対照製品と比較するとき薬物および/あるいはその活性代謝物の曝露が同様であることを証明するためにバイオアベイラビリティ試験を実施した。
【0145】
(実施例5)
(ii)1日2回製剤との比較−単回投与)
24例の健常ヒトボランティアを対象とした絶食状態での投与後の比較バイオアベイラビリティ試験において、本発明の放出制御組成物の2×200mg用量を、ラボラトリーズ・ヘキスト・ホウデ社が製造する1日2回型製剤トパルジック(登録商標)LP(200mg)錠と比較した。
【0146】
被験製品と参照製品の生物学的同等性を評価するために、本発明の放出制御組成物からの薬物動態の結果を、参照製剤の1日2回投与後(12時間間隔)に得られたものと比較した。参照製品に対する被験製品の幾何平均比率の90%信頼区間の算出に基づき、曝露度(用量標準化後のトラマドールのAUC0−tおよびAUC0−∞の評価より算出)は対数変換パラメータについて従来の生物学的同等性区間である80から125%の範囲内であった。従って、本発明の放出制御組成物および1日2回型製剤は全般的なトラマドール曝露について生物学的に同等であることが確認された。トラマドールAUC0−∞についての結果を表7に示す。
【0147】
【表7】

【0148】
図5は、24例の健常ボランティアを対象として、本発明の放出制御組成物(Test formation)を1日1回および参照製品(Reference formation)を12時間おきに1日投与した後に得られたトラマドールの算術平均血漿濃度経時変化プロフィールを描出する。図5の作成に用いたデータは表8に含まれている。
【0149】
【表8】

【0150】
図6は、24例の健常ボランティアを対象として、本発明の放出制御組成物(Test formation)を1日1回および参照製品(Reference formation)を12時間おきに1日投与した後に得られたO−デスメチルトラマドールの算術平均血漿濃度経時変化プロフィールを描出する。図6の作成に用いたデータは表9に含まれている。
【0151】
【表9】

【0152】
(実施例6)
((iii)1日2回型製剤との比較−定常状態)
【0153】
26例の健常ヒトボランティアを対象とした絶食状態における複数回投与後の比較バイオアベイラビリティ試験において、本発明の放出制御組成物の200mg用量を、ラボラトリーズ・ヘキスト・ホウデ社が製造する1日2回型製剤トパルジック(登録商標)LP(100mg)錠と比較した。
【0154】
この試験による結果は、本発明の放出制御組成物は、トラマドールの吸収速度および吸収度およびO−デスメチルトラマドールの形成速度および形成度について参照製品と同等であることを示した。2製品の比較バイオアベイラビリティは、従来の生物学的同等性範囲である80%から125%に関して、トラマドールおよびO−デスメチルトラマドールについての主要変数AUCssの信頼区間に基づいて評価した。トラマドールAUCssについての結果を表10に示す。
【0155】
【表10】

【0156】
図7は、200mg用量の本発明の放出制御組成物1日1回および参照製品(Reference formulation:トパルジック(r)LP100mBID)12時間おきに1日投与後のトラマドールおよびO−デスメチルトラマドール(Metabolite)の算術平均血漿濃度経時変化プロフィールを描出する。図7の作成に用いたデータは表11に含まれている。
【0157】
【表11】

【0158】
本発明は、本発明の最も好ましい実施態様を例示することを意図したこれらの実施例に開示された具体的な実施態様による範囲に限定されない。実際に、本明細書に示され、かつ記載されたものと機能的に同等である本発明の多様な変法あるいは他の実施態様は当業者に明らかになると思われ、かつ添付した請求項の対象となることを意図している。
【0159】
数多くの参照文献が引用されており、その開示の全文が参照文献として本明細書に組み入れられている。
【0160】
本発明の組み合わされた要素の多様な実例が記載されているものの、これらは包括的であることを意図せず、かつ1つの実施態様の特性が他のものと組み合わされてもよいことが理解されると思われ、かつこのような他の組み合わせが本明細書に開示された本発明の範囲内となることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0161】
本発明の多様な特性および利点は、添付した図面に関して与えられた以下に示すより詳細な説明によって明確になると思われる。
【図1】錠剤の製造方法を示すフローチャート。
【図2】製剤(Formulation)A,BおよびCの溶解プロフィール:USP1型条件の下での50mMリン酸緩衝液pH6.8,100rpmにおける製剤A,BおよびCのin vitro成績。各測定時につき6錠を試験した。
【図3】(i)本発明の用量100mgの放出制御組成物(●)、(ii)本発明の用量200mgの放出制御組成物(■)、および本発明の(iii)用量300mgの放出制御組成物(▲)1回投与後の平均トラマドール(Tramadol)血漿濃度。
【図4】100mg(◆)、200mg(○)、あるいは300mg(△)力価のトラマドール製剤(それぞれA,BおよびC)の1回投与後の血漿O−デスメチルトラマドール濃度。
【図5】(i)本発明の放出制御組成物の用量2×200mg(▲)および(ii)トルパジック(登録商標)LP200mg12時間おき1日2回(△)の1用量投与後の平均血漿トラマドール濃度。
【図6】(i)本発明の放出制御組成物の用量2×200mg(▲)および(ii)トルパジック(登録商標)LP200mg12時間おき1日2回(△)の1回投与後の平均血漿O−デスメチルトラマドール(O-Desmethyltramadol)濃度。
【図7】(i)本発明の放出制御組成物の用量200mg(●および○)および(ii)トルパジック(登録商標)LP100mg12時間おき1日2回(▲および△)の投与後の平均定常状態血漿トラマドールおよびO−デスメチルトラマドール濃度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、前記組成物が、初回の1用量を投与する際に、2時間以内の鎮痛作用の開始をもたらし、その鎮痛作用が少なくとも投与後24時間持続する組成物。
【請求項2】
トラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回経口医薬組成物であって、前記組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に、少なくとも100ng/mLの平均血漿濃度をもたらしかつ投与後少なくとも22時間の間少なくとも100ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物である。
【請求項3】
トラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回経口医薬組成物であって、前記組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に、少なくとも100ng/mLの平均血漿濃度をもたらしかつ投与後少なくとも23時間の間少なくとも100ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物である。
【請求項4】
トラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回経口医薬組成物であって、前記組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に、少なくとも100ng/mLの平均血漿濃度をもたらしかつ投与後少なくとも24時間の間少なくとも100ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物である。
【請求項5】
請求項1,2,3または4に記載された1日1回型経口医薬組成物であって、前記医薬組成物が約200mgのトラマドールまたはその塩を含む組成物。
【請求項6】
トラマドールまたはその塩を100mg含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回経口医薬組成物であって、前記組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも50ng/mLの平均血漿濃度をもたらしかつ投与後少なくとも22時間の間少なくとも50ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物。
【請求項7】
トラマドールまたはその塩を100mg含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回経口医薬組成物であって、前記組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも50ng/mLの平均血漿濃度をもたらしかつ投与後少なくとも23時間の間少なくとも50ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物。
【請求項8】
トラマドールまたはその塩を300mg含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回経口医薬組成物であって、前記組成物が、初回の1用量を最初に投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも150ng/mLの平均血漿濃度をもたらしかつ投与後少なくとも22時間の間少なくとも150ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物。
【請求項9】
トラマドールまたはその塩を300mg含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回経口医薬組成物であって、前記組成物が、初回の1用量を最初に投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも150ng/mLの平均血漿濃度をもたらしかつ投与後少なくとも23時間の間少なくとも150ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物。
【請求項10】
トラマドールまたはその塩を300mg含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回経口医薬組成物であって、前記組成物が、初回の1用量を最初に投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも150ng/mLの平均血漿濃度をもたらしかつ投与後少なくとも24時間の間少なくとも150ng/mLの平均血漿濃度をもたらし続ける組成物。
【請求項11】
トラマドールまたはその塩を200mg含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、初回に400mgを投与するとき、前記組成物が投与後少なくとも22時間の間少なくとも200ng/mLの平均血漿濃度をもたらす組成物。
【請求項12】
トラマドールまたはその塩を190mg含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、初回に400mgを投与するとき、前記組成物が投与後少なくとも23時間の間少なくとも190ng/mLの平均血漿濃度をもたらす組成物。
【請求項13】
トラマドールまたはその塩を180mg含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、初回に400mgを投与するとき、前記組成物が投与後少なくとも24時間の間少なくとも180ng/mLの平均血漿濃度をもたらす組成物。
【請求項14】
請求項6または7に記載された1日1回型経口医薬組成物であって、前記平均最高血漿濃度(Cmax)が100ng/mL未満である組成物。
【請求項15】
請求項1,2,3,4または5に記載された1日1回型経口医薬組成物であって、前記平均最高血漿濃度(Cmax)が300ng/mL未満である組成物。
【請求項16】
請求項1,2,3,4または5に記載された1日1回型経口医薬組成物であって、前記平均最高血漿濃度(Cmax)が200ng/mL未満である組成物。
【請求項17】
請求項1,2,3,4あるいは5に記載された1日1回型医薬品組成物であって、前記平均最高血漿濃度(Cmax)が投与後24時間に得られる平均血漿濃度(C24h)の2.2倍未満である組成物。
【請求項18】
請求項8,9または10に記載された1日1回型経口医薬組成物であって、前記平均最高血漿濃度(Cmax)が300ng/mL未満である組成物。
【請求項19】
請求項8,9あるいは10に記載された1日1回型医薬組成物であって、前記平均最高血漿濃度(Cmax)が投与後24時間に得られる平均血漿濃度(C24h)の2倍未満である組成物。
【請求項20】
請求項11,12あるいは13に記載された1日1回型医薬組成物であって、前記平均最高血漿濃度(Cmax)が投与後24時間に得られる平均血漿濃度(C24h)の2.3倍未満である組成物。
【請求項21】
請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19あるいは20に記載された1日1回型医薬組成物であって、平均最高血漿濃度到達時間の中央値(tmax)が2から10時間である組成物。
【請求項22】
請求項1,2,3,4,5,8,9,10,11,12,13,15,16,17,18,19,20あるいは21に記載された1日1回型医薬組成物であって、前記tmaxが3から6時間である組成物。
【請求項23】
請求項1,2,3,4,5,8,9,10,11,12,13,15,16,17,18,19,20,21あるいは22に記載された1日1回型医薬組成物であって、前記tmaxが5から6時間である組成物。
【請求項24】
トラマドールまたはその塩を200mg含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、前記組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも24ng/mLのO−デスメチルトラマドール平均血漿濃度をもたらしかつ投与後少なくとも24時間の間少なくとも25ng/mLのO−デスメチルトラマドール平均血漿濃度をもたらし続ける組成物。
【請求項25】
トラマドールまたはその塩を200mg含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、前記組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも11ng/mLのO−デスメチルトラマドール平均血漿濃度をもたらしかつ投与後少なくとも24時間の間少なくとも12ng/mLのO−デスメチルトラマドール平均血漿濃度をもたらし続ける組成物。
【請求項26】
トラマドールまたはその塩を200mg含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、前記組成物が、初回の1用量を投与する際に、投与より2時間以内に少なくとも32ng/mLのO−デスメチルトラマドール平均血漿濃度をもたらしかつ投与後少なくとも24時間の間少なくとも32ng/mLのO−デスメチルトラマドール平均血漿濃度をもたらし続ける組成物。
【請求項27】
トラマドールまたはその塩を200mg含むトラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、初回に400mgを投与する際に、前記組成物が投与より2時間以内に少なくとも50ng/mLのO−デスメチルトラマドール平均血漿濃度をもたらしかつ投与後少なくとも24時間の間少なくとも50ng/mLのO−デスメチルトラマドール平均血漿濃度をもたらし続ける組成物。
【請求項28】
前述の請求項のいずれかに記載された1日1回型経口医薬組成物であって、前記組成物が錠剤である組成物。
【請求項29】
前述の請求項のいずれかに記載された製剤であって、0から約2時間の測定時に前記製剤より前記薬物の10%から40%が放出され、2から約7時間の測定時に前記製剤より前記薬物の約30から60%が放出され、7から約12時間の測定時に前記製剤より前記薬物の約50%から80%が放出され、かつ約20時間の測定後に前記製剤より前記薬物の約80%から100%が放出される製剤。
【請求項30】
トラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、前記組成物が、初回の1用量を投与する際に、2時間以内の鎮痛作用の開始をもたらし、その鎮痛作用が少なくとも投与後24時間持続しかつ50mMリン酸緩衝液pH6.8において100rpmのHPLC−USP1型機器で測定するとき、in
vitro溶解速度が1時間後に約5%から約30%;2時間後に約15%から約40%;4時間後に約20%から約50%;8時間後に約30%から約70%;12時間後に約40%から約90%;16時間後に約50%から約100%;24時間後に約60%から約100%である組成物。
【請求項31】
トラマドールまたはその塩の放出制御のための1日1回型経口医薬組成物であって、前記組成物が、初回の1用量を投与する際に、2時間以内の鎮痛作用の開始をもたらし、その鎮痛作用が少なくとも投与後24時間持続しかつ50mMリン酸緩衝液pH6.8において100rpmのHPLC−USP1型機器で測定するとき、in
vitro溶解速度が1時間後に約10%から約25%;2時間後に約15%から約30%;4時間後に約25%から約40%;8時間後に約40%から約55%;12時間後に約60%から約75%;16時間後に約70%から約90%;24時間後に約90%から約100%である組成物。
【請求項32】
請求項30および31に記載された1日1回型経口医薬組成物であって、前記組成物が約200mgのトラマドールまたはその塩を含む組成物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−507277(P2006−507277A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545655(P2004−545655)
【出願日】平成15年10月27日(2003.10.27)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001638
【国際公開番号】WO2004/037222
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(504355273)ラボファーマ インコーポレイテッド (6)
【出願人】(504355284)ラボファーマ ヨーロッパ リミテッド (4)
【出願人】(504355295)ラボファーマ(バルバドス)リミテッド (4)
【Fターム(参考)】