説明

3―ピリジル―1―ヒドロキシエチリデン−1、1―ビスホスホン酸ナトリウム塩A型結晶の製造方法

【課題】 3−ピリジル−1−ヒドロキシー1、1−ビスホスホン酸ナトリウム塩2.5水和物のA型結晶を製造する方法を提供する。
【解決手段】 (1)3−ピリジル−1、1−ビスホスホン酸を懸濁した水と有機溶媒との容量比7:3〜9:1の混合溶媒中に、当量〜2倍量のアルカリ金属水酸化物を、水と有機溶剤が8:2の混合溶媒に溶解した液を添加する工程、 (2)前記混合溶媒を1〜3時間、45〜90℃の温度範囲で加熱する工程、 (3)前記混合溶媒を冷却する工程からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−ピリジル−1−ヒドロキシー1、1−ビスホスホン酸ナトリウム塩の結晶化方法に関し、具体的には、該塩の2.5水和物のA型結晶を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
骨粗鬆症は、骨の量的減少がある程度以上になって、そのために何らかの症状または危険を起こしている病的状態あるいは疾患であって、女性では閉経期の40〜50歳代から急激に骨量が減少し、60歳代では2人に1人、70歳以上になると10人に7人が骨粗鬆症を起こすような状態になっているといわれている。
一方、男性では60歳過ぎから徐々に増え、70歳以上では10人に4人の割合であり、現在、日本には1,000万人以上の骨粗鬆症患者がいると推定されている。
【0003】
その主要症状は、脊椎の後彎、腰背骨ならびに椎体、大腿骨頸部、橈骨下端、肋骨、上腕骨上端等の骨折である。従来、骨粗鬆症の予防治療薬としては、エストロゲン剤、カルシトニン、ビスホスホネ−ト等の骨吸収抑制物質が主に使用されてきた。
しかしながら、これらの骨吸収抑制剤を投与する場合、投与対象が限定されたり、効果が不確実である場合もあり、十分な効果が得られていない。
このような事情から、骨粗鬆症の予防治療薬として、減少した骨量を積極的に増加させる骨形成促進剤が望まれている。
【0004】
異常カルシウムおよびホスフェート代謝により特徴つけられる病気の治療に用いられる薬剤として、gem−ジホスホネートを含有する薬学的組成物が知られている。
ジホスホン酸化合物は、ジホスホン酸含有炭素が1またはそれ以上の窒素原子を含有する6員芳香族環に連結している上記のgem―ジホスホン酸化合物或いはその薬学的に許容可能な塩或いはエステルとして、16種類のジホスホン酸(特許文献1参照)が知られている。
【0005】
更に、上記の目的で薬学的組成物のジホスホン酸化合物として、化1の構造を有する、ジホスホン酸化合物が報告されている。化1のZはピリジン、ピリダジン、ピリミジンおよびピラジン環を含む、ジホスホン酸化合物(特許文献2参照)である。
【0006】
【化1】

【0007】
また、骨粗鬆症の予防治療薬として、リセドロン酸ナトリウム(すなわち、3−ピリジル−1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ビスホスホン酸)が「アクトネルR錠2.5mg」、「ベネットR錠2.5mg」の製品名販売されている。
この3−ピリジル−1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ビスホスホン酸(以下、リセドロン酸という)ナトリウムは、骨表面に付着し、破骨細胞が骨吸収窩面で発達した波状縁を形成し、骨の吸収が始まると、骨吸収窩のpH低下により、リセドロン酸が遊離し、破骨細胞に取り込まれ、波状縁を消失させ、破骨細胞を不活性化し、骨吸収を抑制して骨代謝回転を抑制すると考えられている。
特に、異常骨代謝により特徴付けられる病気の治療或いは予防に効果があり、骨粗鬆症等の治療に用いられている。
【0008】
リセドロン酸ナトリウムは、3つの水和状態(1水和物、2.5水和物、及び無水塩)で存在することが文献により知られており、核形成温度は、水と溶質との割合、溶液温度、及び有機溶媒と水との割合で制御することができることが知られている(特許文献3参照)。
具体的なリセドロン酸ナトリウム2.5水和物製法は、リセドロン酸を60℃の熱水8.2部に懸濁し、pHを水酸化ナトリウムで4.7〜5.0に調整して、2〜4時間保持後、イソプロパノール1.05〜1.99部を加え、懸濁水を室温まで2時間かけて冷却し、生成物を濾過して収集することにより、水分含有量が2.5水和物の理論量(12.9%)に近い13.0%のリセドロン酸ナトリウム2.5水和物が生成すると報告されており、2.5水和物は、X線粉末回折、示差走査熱量計、フーリエ変換赤外分光分析計又は近赤外分光分析計で測定するとき、識別可能な特性を示すと報告されている。
【0009】
また、1水和物の核形成温度条件は約45℃以上、好ましくは約55℃以上であり、この温度で適切な時間保持し、冷却を行わないか又は急速に冷却することにより1水和物を生成する。
すなわち、リセドロン酸ナトリウムの水溶液を70℃で保持すると1水和物が徐々に結晶化し、この溶液を高温のまま濾過して結晶を単離する。あるいは、70℃の水溶液を0℃のイソプロパノール中で直接冷却することにより、結晶性1水和物を生成すると報告されている。
【0010】
リセドロン酸ナトリウムは、リセドロン酸、少なくとも約2当量のナトリウム塩基、及びアルコールと水の混合液体を還流する段階と、室温又は5℃以下に冷却する、あるいは、イソプロパノールを添加する段階で、A型からF型までのリセドロン酸ナトリウムの生成が、前記液体中の水の割合とアルコールの種類によって制御可能であることが報告されている(特許文献4参照)。
この報告によると、A型の製造条件は、水80部でイソプロピルアルコール20部を使用した場合である。
そして、特許文献3に記載されている、1水和物の合成の再現実験で得られた1水和物のX線解析によると、B型、A型、BB型の混合物であったと報告している。
【0011】
【特許文献1】特許568999号文献
【特許文献2】特許2702419号文献
【特許文献3】特表2003−521532号文献
【特許文献4】特表2005−529103号文献
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一般に、医薬化合物及びそれらの組成物に関しては、その化学的又は物理的な安定性がその有効性及び安全性に大きな影響を与えることが知られており、特に結晶形がその重要な因子であり、より高い安全性を有する医薬化合物を得るためには、同一品質を維持できる特定の結晶形にする必要がある。
【0013】
特許文献3のリセドロン酸ナトリウム酸ナトリウム2.5水和物の製法では、結晶形が明らかにされておらず、1水和物のように、混合物である可能性がある。
【0014】
本発明は、これらの点を考慮し、リセドロン酸ナトリウムのA型結晶体を選択的に合成する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち、本発明の方法は、下記3つの工程よりなる。
(1)3−ピリジル−1、1−ビスホスホン酸を、水と有機溶媒(ノルマルプロパノール、ノルマルブタノール、変性エタノール(イソプロピルアルコール13%含有)、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアルデヒドから選択する少なくとも1種類)を容量比で7:3〜9:1、好ましくは7.5:2.5〜8.5:1.5の割合で混合した混合溶媒に懸濁した液中、当量〜2倍量のアルカリ金属水酸化物を、水と有機溶剤が容量比で7:3〜9:1、好ましくは7.5:2.5〜8.5:1.5の混合溶媒(好ましくは、上記の3−ピリジル−1、1−ビスホスホン酸を懸濁する混合溶媒と同じ組成の混合溶媒)に溶解した液を添加する工程、
(2)次いで、前記混合溶媒を1〜3時間、45〜90℃の温度範囲で加熱する工程、
(3)前記混合溶媒を冷却する工程
よりなり、生成した結晶を濾別後、乾燥し、生成物を得る方法である。
【0016】
上記3つの工程により生成する生成物は、下記(a)のX線粉末回折分析、下記(b)のフーリエ変換赤外分光分析、下記(c)の示差熱熱重量同時測定(TG/DTA)、下記(d)の示差走査熱量測定(DSC)により、化2に示されるリセドロン酸ナトリウムA型結晶であることが確認されている。
【0017】
(a)前記生成物のX線回折分析より得たチャート(一例を図1に示す)より、回折角9.14°、12.47°、24.72°(2θ)にあるピークおよび、回折角13.09°、13.76°、15.54°、15.85°、28.03°、31.31°(2θ)にある他のピーク。
(b)フーリエ変換赤外分光分析(FTIR)による吸収スペクトル(一例を図2に示す)より見出された、波長801.5、891.7、934.1、1133.3、1637.3、1658.0、1691.3cm-1のピーク。
(c)示差熱熱重量同時測定(TG/DTA)の熱重量測定(一例を図3に示す)により計算された、水分含有量13.16%。
(d)示差走査熱量測定(DSC)(一例を図4に示す)のチャートより、200〜254℃にかけての吸熱ピークと、溶融温度254.17℃。
【0018】
【化2】

【発明の効果】
【0019】
上記のように、本発明の方法によれば、結晶形が明らかな、リセドロン酸ナトリウムA型結晶としての品質管理を行うことができ、この結果として安全性の高い骨粗鬆症の治療薬を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の反応溶媒は、水混和性有機溶媒を含んだ水溶液であり、ナトリウム塩化剤の滴下中すべての成分を溶解・懸濁させておく組成が好ましいが、反応の進行と共に生成物が析出しても問題ない。
ここで、水混和性有機溶媒とは、水と自由な割合で均一に混合することができる有機溶媒であって、ナトリウム塩化反応を阻害しないものを意味する。
【0021】
本発明に使用される水混和性有機溶媒は、ノルマルプロパノール、ノルマルブタノール、変性エタノール(イソプロピルアルコール13%含有)、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアルデヒドが挙げられ、中でもテトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ノルマルプロパノールが収率や取扱性等の点で好ましい。
また、反応溶媒は、これらの水混和性有機溶媒のいずれかから選択される1種以上と水との混合体であって、水混和性有機溶媒を総計で10〜30vol%含むものである。有機溶媒が少なすぎれば有機溶媒を混合する技術的意義(A型結晶の選択的生成、該結晶の高い収率等)が生ぜず、多すぎてもこの効果が飽和してしまう。
【0022】
リセドロン酸のナトリウム塩化法は、リセドロン酸を懸濁した溶液中に、当モル〜2倍モルの水酸化ナトリウムを溶解した液を添加し、温度を加えてナトリウム塩化を進めることで行う。
この反応は、水と有機溶剤との上記容量比(水:有機溶剤=7:3〜9:1)の混合溶媒中で行うが、その手順は、次の通りである。
先ず、リセドロン酸をこの混合溶媒中に懸濁しておき、ここにこの溶媒と同じ組成の混合溶媒に溶解した当モル〜2倍モルの水酸化ナトリウムの液を添加する。
この水酸化ナトリウムを溶解する混合溶媒は、ナトリウム塩化反応、特にA型結晶体を選択的に生成する反応を阻害しなければ、リセドロン酸を懸濁している混合溶媒と同じ組成のものでなくてもよいが、準備や後処理等の際の容易さや、収率等の点から、同じ組成の混合溶媒を使用することが好適である。
また、水酸化ナトリウムの使用量は、理論的には当量であるが、やや過剰にするのが反応を十分に進行させる上で好ましく、その上限は2倍量である。あまり多量であっても、反応に寄与しない水酸化ナトリウムが大量に発生してしまったり、A型以外の結晶形の生成を招くなどの問題も懸念される。
さらに、水酸化ナトリウムの添加は、所要量を反応開始前に一度に添加することが好ましいが、反応開始直前から反応開始後に渡って一定量づつを連続的にあるいは間歇的に添加してもよく、この連続的添加や間歇的添加の場合には、ナトリウム塩化が十分に進行するように、添加終了の後、数分〜数10分程度の反応時間を確保することが好ましい。
【0023】
次いで、上記の混合溶媒を1〜3時間、45〜90℃の温度範囲で加熱する。
加熱の温度と時間については、低温・短時間ではナトリウム塩化反応が十分に進行せず、高温・長時間にしてもこの反応のそれ以上の進行はなく、熱経済上無駄であるばかりか、却ってA型以外の結晶形の生成を招くなどの問題が生じてしまう。なお、上記の45〜90℃は、本発明における混合溶媒の還流温度条件である。
上記のナトリウム塩化が終了したなら、上記の混合溶媒を冷却して、目的物であるA型結晶を析出させる。
冷却温度・時間は、A型結晶が析出できる温度・時間であれば特に限定せず、冷却に用いる冷媒(例えば、水道水)で冷却できる温度(例えば、室温)で、長くても一昼夜程度で十分である。析出を早める場合や、収率を向上させる場合等には、水道水で冷却した後、より低温の冷媒(例えば、氷)で更に冷却してもよい。また、A型結晶の純度を高めるために、水道水での冷却後、氷での冷却前に、有機溶媒を加えてもよい。
【0024】
析出した目的物は、固液分離手段で分離し、上記の水と有機溶媒との混合溶媒で洗浄することによって、容易に精製することもできる。
このときの混合溶媒の組成については何ら限定せず、上記の反応に用いた混合溶媒と同じ組成のものであってもよいし、有機溶媒の種類や容量比を異ならせたものであってもよく、あるいは有機溶媒単独であってもよい。
【0025】
上記の手順で得られる結晶の同定は、結晶物質固有の結晶構造に基づき、X線回折装置、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)、熱重量分析装置(TG/DTA)、示差走査熱量測定(DSC)などを使用して、結晶形の同定を行う。
【0026】
X線回析法は、物質にX線を照射し、X線の回析現象を利用することで、物質の定性分析(どんな物質が含まれているか)及び、結晶構造や結晶子サイズ、物質内部の応力等の情報が評価できる測定方法である。粉末X線回折パターンは、物質の同定、定性・定量分析などに極めて有効であり、物質に固有なパターンを与えるため、物質の同定や結晶多形の確認など、原薬の物性評価に利用されている。
【0027】
赤外スペクトルは、主としてその分子の固有振動数にもとづくので、分子が異なればその赤外吸収スペクトルも必ず異なる。この事実を利用して、赤外吸収スペクトルによって物質の同定、定性分析、構造解析などに利用されている。赤外吸収帯の強度(吸光度)は原則としてベールの法則に従うので、定量分析にも利用できる。フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)は、試料からの赤外領域の光を光干渉計にいれ、出てくる光の強度を可動鏡の移動距離の関数として測定し、そのフーリエ変換によってスペクトルを得る方法で、高感度、高分解能測定が可能である。
【0028】
物質が状態変化を起こす時には熱の出入りが発生する。通常、物理的変化は吸熱になることが多いが、結晶転移の中には発熱となるものもある。
熱分析法では、少量の試料(mg単位)から、これらの変化が起こる際の温度、熱の出入り、熱量などの情報を得ることができる。いずれも温度を一定に変化させた時、その物質の物理的性質、重量、温度、熱量ならびに発生ガス量、を温度の関数として測定するものである。
示差走査熱量測定(DSC)は、サンプルの融解、ガラス転移、熱履歴、結晶化、硬化、キュリー点、酸化安定性、熱変性などのいわゆる相転移に伴う熱の出入りを定量的に測定し、熱重量/示差熱同時測定(TC/DTA)装置は、温度を上げていったときに起こる熱分解に伴う重量変化とそのときに起こる吸発熱を測定し、試料中の結晶水の測定に利用できる。
【実施例1】
【0029】
水6.02mlとノルマルプロパノール1.5mlの混合溶媒に水酸化ナトリウム0.14gを溶解し、この溶液を、水34.0mlとノルマルプロパノール8.5mlの混合溶媒にリセドロン酸1.00gを懸濁させた液に添加した。
混合液を加熱還流下2時間攪拌しナトリウム塩化した後、水道水で室温まで冷却し20時間攪拌した。
更に氷浴で5℃まで冷却後、沈殿物を濾取し、ノルマルプロパノール3mlで洗浄後、20℃で24時間減圧乾燥した。
【実施例2】
【0030】
水6.02mlとノルマルブタノール1.5mlの混合液に水酸化ナトリウム0.14gを溶解し、この溶液を、水34.0mlとノルマルブタノール8.5mlの混合溶媒にリセドロン酸1.00gを懸濁させた液に添加した。
混合液を加熱還流下2時間攪拌しナトリウム塩化した後、水道水で室温まで冷却し20時間攪拌した。
ノルマルブタノール45mlを添加後、更に氷浴で5℃まで冷却後、沈殿物を濾取し、ノルマルブタノール3mlで洗浄後、20℃で24時間減圧乾燥した。
【実施例3】
【0031】
水6.02mlとテトラヒドロフラン1.5mlの混合液に水酸化ナトリウム0.14gを溶解し、この溶液を、水34.0mlとテトラヒドロフラン8.5mlの混合溶媒にリセドロン酸1.00gを懸濁させた液に添加した。
混合液を加熱還流下2時間攪拌しナトリウム塩化した後、室温まで冷却し20時間攪拌した。
更に氷浴で5℃まで冷却後、沈殿物を濾取し、テトラヒドロフラン3mlで洗浄後、20℃で24時間減圧乾燥した。
【0032】
実施例1で得られた結晶のX線回折分析より得たチャートを図1に示す。図1において、回折角9.14°、12.47°、24.72°(2θ)にあるピークおよび、回折角13.09°、13.76°、15.54°、15.85°、28.03°、31.31°(2θ)にある他のピークが確認された。
また、フーリエ変換赤外分光分析(FTIR)による吸収スペクトルを図2に示す。図2において、波長801.5、891.7、934.1、1133.3、1637.3、1658.0、1691.3cm-1のピークが確認された。
さらに、示差熱熱重量同時測定(TG/DTA)の熱重量測定結果を図3に示す。この測定結果により計算された13.16%の水分含有量より、リセドロン酸ナトリウムA型結晶の2.5水和物であることが確認できた。
また、示差走査熱量測定(DSC)のチャートを図4に示す。このチャートより200〜254℃にかけての吸熱ピークと、溶融温度254.17℃により、リセドロン酸ナトリウムA型結晶が確認できた。
【0033】
実施例1〜3で得られた、生成物の量と収率、及びその結晶形を表1に示す。
【表1】

【0034】
リセドロン酸ナトリウムA型結晶2.5水和物を経口剤として製剤化するには、医薬品として許容される添加物、例えば、充填剤、滑沢剤、崩壊剤、ポリマー、結合剤、溶媒、共溶媒、緩衝液系、界面活性剤、防腐剤、甘味剤、着香料、医薬品等級の染料及び色素等を適量配合し、混合、造粒工程、打錠工程等を経て製剤化される。添加物は製造上必要とされるものであるが、特に上記に限定されるものではない。
【0035】
充填剤として好ましいものの例として、ラクトース、スクロース、マルトデキストリン、マンニトール、デンプン、及び微晶性セルロースが含まれるが、これらに限定されない。
滑沢剤として好ましいものの例として、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及びタルクが含まれるが、これらに限定されない。
崩壊剤として好ましいものの例として、クロスポビドン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸、粘土、及びイオン交換樹脂が含まれるが、これらに限定されない。
ポリマー、結合剤として好ましいものの例として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボマー、ポビドン、アカシア、グアーゴム、キサンタンゴム、及びトラガカントが含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
溶剤、共溶媒として好ましいものの例として、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールが含まれるが、これらに限定されない.
緩衝液系には、酢酸カリウム、ホウ酸、炭酸、リン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、酢酸、安息香酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、グルタル酸、及びグルタミン酸の緩衝液系が含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい緩衝液系は、リン酸、酒石酸、クエン酸、及び酢酸カリウムの緩衝液系である。
【0037】
界面活性剤として好ましいものの例として、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、スクロースモノエステル、及びラノリンエステル及びエーテルが含まれるが、これらに限定されない。
また、防腐剤として好ましいものの例として、フェノール、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、安息香酸及びそれらの塩、ホウ酸及びそれらの塩、ソルビン酸及びそれらの塩、クロロブタノール、ベンジルアルコール、チメロサール、ニトロメルソール、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、メチルパラベン、及びプロピルパラベンが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい防腐剤は、安息香酸の塩、塩化セチルピリジニウム、メチルパラベン、及びプロピルパラベンである。
甘味剤として好ましいものの例として、スクロース、グルコース、サッカリン、及びアスパルテームが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい甘味剤はスクロース及びサッカリンである。
【0038】
本発明のリセドロン酸ナトリウム1水和物又は2.5水和物の経口組成物は、好ましくは0.25〜40%、好ましくは約0.5〜約30%のリセドロン酸有効成分、及び約60〜約97%、好ましくは約70〜約99.5%の医薬品として許容される添加物を含有する。
1回投与単位形の製剤は、好ましくは約1%から約90%、および1回投与単位形ではない製剤は約0.1%から約20%の活性成分を含む。
輸液のアンプルまたは輸液投与量の調製のための固体、カプセル、錠剤または糖衣錠のような1回投与単位形は、例えば約0.5mgから約500mgの活性成分を含む。
【0039】
本発明におけるリセドロン酸ナトリウムA型結晶を有効成分として含有する骨形成促進剤(例、骨粗鬆症予防治療剤、骨折治癒促進剤など)は、例えば、次のような処方によって製造することができる。
例えば、カプセル剤は、
リセドロン酸ナトリウムA型結晶2.5水和物 1部
サッカロース 9部
微結晶セルロース 7部
ステアリン酸マグネシウム 0.5部
をブレンドし造粒工程で顆粒化する、これに、滑沢剤を少量加え、全体をゼラチンカプセルに封入する。
【0040】
錠剤の処方例は、
リセドロン酸ナトリウムA型結晶2.5水和物 1部
サッカロース 3部
コーンスターチ 15部
微結晶セルロース 2部
ステアリン酸マグネシウム 0.3部
をブレンドし、造粒工程で、ほぼ均一の形状と大きさの粒子を作り出す。
得られた顆粒に少量の充填剤、滑沢剤を添加し打錠用顆粒を作り、打錠機で圧縮し錠剤を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施例1で得た生成物のX線回折のチャートである。
【図2】本発明の実施例1で得た生成物のフーリエ転換赤外スペクトルチャートである。
【図3】本発明の実施例1で得た生成物の示差熱熱重量同時測定のチャートである。
【図4】本発明の実施例1で得た生成物の示差走査熱量測定のチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)3−ピリジル−1、1−ビスホスホン酸を懸濁した水と有機溶媒との容量比7:3〜9:1の混合溶媒中に、当量〜2倍量のアルカリ金属水酸化物を、水と有機溶剤が容量比7:3〜9:1の混合溶媒に溶解した液を添加する工程、
(2)前記混合溶媒を1〜3時間、45〜90℃の温度範囲で加熱する工程、
(3)前記混合溶媒を冷却する工程
からなることを特徴とする3―ピリジル―1―ヒドロキシエチリデン−1、1―ビスホスホン酸ナトリウム塩A型結晶の製造方法。
【請求項2】
有機溶媒が、ノルマルプロパノール、ノルマルブタノール、変性エタノール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアルデヒドから選択する少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の3―ピリジル―1―ヒドロキシエチリデン−1、1―ビスホスホン酸ナトリウム塩A型結晶の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−291033(P2007−291033A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−122702(P2006−122702)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(000135760)株式会社パーマケム・アジア (17)
【Fターム(参考)】