説明

3−アリールオキシ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン誘導体及びそれらのモノアミン神経伝達物質再取込阻害剤としての使用

本発明は、モノアミン神経伝達物質再取込抑制剤として有用な新規8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン誘導体に関する。もう一つの態様において、本発明はこれらの化合物の治療方法における使用及び本発明による化合物を含有する医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノアミン神経伝達物質再取込阻害剤として有用な新規8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン誘導体に関する。
もう一つの態様において、本発明はこれらの化合物の治療方法における使用及び本発明による化合物を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
セロトニン選択性再取込阻害剤(SSRIs)は現時点で、うつ病及びパニック障害を包含する数種の中枢神経系障害の処置に有効であるものとして提供されている。SSRI物質は一般に、効果的で、良好な寛容性を有し、また投与が容易であるものとして精神科医及び一般開業医に理解されている。しかしながら、これらの化合物は多くの望ましくない特徴を付随する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、モノアミン神経伝達物質セロトニン、ドーパミン及びノルアドレナリンの再取込に対する活性について、例えばセロトニン再取込活性対ノルアドレナリン及びドーパミン再取込活性の比などの最適な薬理学的プロフィールを有する化合物が依然として強く求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
その第一の態様において、本発明は下記式Iで表される化合物、そのいずれかの異性体又はその異性体のいずれかの混合物、あるいはその薬学的に許容される塩を提供する:
【0005】
【化1】


式中、R及びRは以下で定義されているとおりである。
【0006】
その第二の態様において、本発明は治療有効量の本発明による化合物、そのいずれかの異性体又はその異性体のいずれかの混合物、あるいはその薬学的に許容される塩を少なくとも1種の薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤とともに含有する医薬組成物を提供する。
【0007】
もう一つの態様において、本発明はヒトを包含する哺乳動物の病気又は障害又は症状の処置、予防又は緩和用の医薬組成物であって、当該病気、障害又は症状が中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取込の阻害に応答する病気、障害又は症状である医薬組成物の製造における本発明による化合物、そのいずれかの異性体又はその異性体のいずれかの混合物、あるいはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0008】
さらにもう一つの態様において、本発明はヒトを包含する生存している動物身体の中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取込の阻害に応答する病気又は障害又は症状を処置、予防又は緩和する方法であって、その必要性を有する生存している動物身体に治療有効量の本発明による化合物、そのいずれかの異性体又はその異性体のいずれかの混合物、あるいはその薬学的に許容される塩を投与する段階を包含する方法を提供する。
本発明のその他の目的は下記詳細な説明及び実施例から当業者にとって明白であろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(発明の詳細な説明)
置換8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン誘導体
その第一の態様において、本発明は下記式Iで表される化合物、そのいずれかの異性体又はその異性体のいずれかの混合物、あるいはその薬学的に許容される塩を提供する:
【0010】
【化2】

【0011】
式中、
は、水素又はアルキルを表し、このアルキルはハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニルからなる群から独立して選択される1個又は2個以上の置換基により置換されていてもよく;及び
は、アリール基を表し、このアリール基はハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルコキシアルキル、シクロアルコキシアルキル、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、−NR’R’’、−(C=O)NR’R’’又は−NR’(C=O)R’’からなる群から独立して選択される1個又は2個以上の置換基により置換されていてもよく;ここでR’及びR’’はそれぞれ独立して水素又はアルキルを表す。
【0012】
実施形態の一つにおいて、Rは水素又はアルキルを表す。特定の実施形態において、Rは水素を表す。別の実施形態において、Rはアルキル、例えばメチルを表す。
さらに別の実施形態において、Rはフェニル基を表し、このフェニル基はハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルコキシからなる群から独立して選択される1個又は2個以上の置換基により置換されていてもよい。
別の実施形態において、Rはフェニル基を表し、このフェニル基はハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルコキシからなる群から独立して選択される2個の置換基により置換されている。
さらに別の実施形態において、Rはナフチル基を表し、このナフチル基はハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルコキシからなる群から独立して選択される1個又は2個以上の置換基により置換されていてもよい。
【0013】
特定の実施形態において、Rはジハロフエニル、例えば3,4−ジクロロフェニルなどのジクロロフェニルを表す。別の実施形態において、Rはブロモ−クロロフェニル、例えば3−ブロモ−4−クロロフェニル又は4−ブロモ−3−クロロ−フェニルなどを表す。さらに別の実施形態において、Rはクロロ−フルオロ−フェニル、例えば3−クロロ−4−フルオロ−フェニル又は4−クロロ−3−フルオロ−フェニルなどを表す。
さらに別の実施形態において、Rはアルコキシ−ナフチル、例えば6−メトキシ−ナフタレン−2−イルなどのメトキシ−ナフチルを表す。
【0014】
特定の実施形態において、本発明による化合物は:
エキソ−3−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(3−ブロモ−4−クロロ−フェノキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(3−クロロ−4−フルオロ−フェノキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(4−ブロモ−3−クロロ−フェノキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(4−クロロ−3−フルオロ−フェノキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
【0015】
エキソ−3−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(3−ブロモ−4−クロロ−フェノキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(3−クロロ−4−フルオロ−フェノキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(4−ブロモ−3−クロロ−フェノキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(4−クロロ−3−フルオロ−フェノキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
である化合物又はその薬学的に許容される塩である。
上記実施形態の2つ又は3つ以上の組合せのいずれもが本発明の範囲内にあるものと考える。
【0016】
(置換基の定義)
本発明の文脈において、ハロはフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。
本発明の文脈において、アルキル基は1価の飽和、直鎖状又は分枝状炭化水素鎖を表す。この炭化水素鎖は好ましくは、1〜6個の炭化水素(C1−6−アルキル)を含有し、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、三級ペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルを包含する。好適実施形態において、アルキルはC1−4−アルキル基を表し、ブチル、イソブチル、二級ブチル、及び三級ブチルを包含する。本発明のもう一つの好適な実施形態において、アルキルはC1−3−アルキル基を表し、この基は特に、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであることができる。
【0017】
本発明の文脈において、アルケニル基は1個又は2個以上の二重結合を含有する炭素鎖を表し、ジ−エン類、トリ−エン類及びポリ−エン類を包含する。好適実施形態において、本発明におけるアルケニル基は2〜6個の炭素原子(C2−6−アルケニル)を含有し、少なくとも1個の二重結合を包含する。最も好適な実施形態において、本発明におけるアルケニル基はエテニル;1−又は2−プロペニル;1−、2−又は3−ブテニル又は1,3−ブタジエニル;1−、2−、3−、4−又は5−ヘキセニル又は1,3−ヘキサジエニル、あるいは1,3,5−ヘキサトリエニルである。
【0018】
本発明の文脈において、アルキニル基は1個又は2個以上の三重結合を含有する炭素鎖を表し、ジ−イン類、トリ−イン類及びポリ−イン類を包含する。好適実施形態において、本発明におけるアルキニル基は2〜6個の炭素原子(C2−6−アルキニル)を含有し、少なくとも1個の三重結合を包含する。その最も好適な実施形態において、本発明におけるアルキニル基はエチニル;1−又は2−プロピニル;1−、2−又は3−ブチニル、又は1,3−ブタジニル;1−、2−、3−、4−ペンチニル、又は1,3−ペンタジニル;1−、2−、3−、4−又は5−ヘキシニル又は1,3−ヘキサジニルあるいは1,3,5−ヘキサトリニルである。
【0019】
本発明の文脈において、シクロアルキル基は環状アルキル基を表し、好ましくは3〜7個の炭素原子(C3−7−シクロアルキル)を含有し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを包含する。
アルコキシはO−アルキルを意味し、ここでアルキルは前記定義のとおりである。
シクロアルコキシはO−シクロアルキルを意味し、ここでシクロアルキルは前記定義のとおりである。
シクロアルキルアルキルは前記のとおりのシクロアルキル及び前記のとおりのアルキルを意味し、例えばシクロプロピルメチルを意味する。
本発明の文脈において、アリール基は炭素環状芳香族環系を表し、例えばフェニル、ナフチル(1−ナフチル又は2−ナフチル)又はフルオレニルなどを表す。
【0020】
(薬学的に許容される塩)
本発明による化合物は意図する投与に適するいずれかの形態で提供することができる。このような形態は、本発明による化合物の薬学的に(すなわち、生理学的に)許容される塩の形態、及びプレ−又はプロ−ドラッグ形態を包含する。
【0021】
薬学的に許容される塩の例は、これらに制限されないものとして、無毒性の無機及び有機酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコネート、アスコルベート、ベンゼンスルホネート、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボネート、エナンテート、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホネート、ナフタレン−2−スルホネート、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン−p−スルホネートなどを包含する。これらの塩は周知であり、当技術で開示されている方法によって生成することができる。
【0022】
薬学的に許容されるものとは考えられないこともある別種の酸、例えばシュウ酸などは本発明による化合物及びその薬学的に許容される酸付加塩を得るための中間体として有用な塩の製造に有用であることができる。
本発明による化合物の薬学的に許容されるカチオン塩の例は、これらに制限されないものとして、アニオン基を含有する本発明による化合物のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、コリン、リジニウム及びアンモニウム塩などを包含する。このようなカチオン塩は周知であり、当技術で開示されている方法によって形成することができる。
【0023】
本発明の文脈において、N−含有化合物の「オニウム塩類」はまた、薬学的に許容される塩であると考えられる。好適な「オニウム塩」はアルキル−オニウム塩、シクロアルキル−オニウム塩及びシクロアルキルアルキル−オニウム塩を包含する。
本発明によるプレ−及びプロ−ドラッグ形態は、本発明による物質の適当なプロドラッグの例を包含し、親の化合物の1個又は2個以上の反応性又は誘導体化性基の部位が修飾されている化合物を包含する。特に重要な化合物はカルボキシル基、ヒドロキシル基又はアミノ基の部位が修飾されている化合物である。適当な誘導体の例には、エステル類又はアミド類がある。
【0024】
本発明による化合物は薬学的に許容される溶媒、例えば水、エタノールなどと一緒になって可溶性形態又は不溶性形態で提供することができる。可溶性形態はまた、水和物形態、例えば一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物などを包含する。一般に、この可溶性形態は、本発明の目的に対して不溶性形態と均等であると考えられる。
【0025】
(立体異性体)
本発明による化合物がエナンチオマー、ジアステレオマー及びシス−トランス−異性体を包含する種々の立体異性体形態で存在することができることは当業者にとって明白であろう。
本発明はこのような異性体及びラセミ体混合物を包含する全てのその混合物を包含する。
さらにまた、式Iで表される8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン骨格の3位置に存在する置換基−O−Rは特に、エキソ又はエンド配置であることができる。本発明の一実施形態において、この3位置に存在する置換基はエキソ配置にある。本発明の別の態様において、この3位置に存在する置換基はエンド配置にある。
【0026】
本発明はこれら全部の異性体及びラセミ体混合物を包含するいずれかの混合物を包含する。
ラセミ体形態は公知方法及び技術によって光学対掌体に分割することができる。エナンチオマー化合物(エナンチオマー中間体を包含する)を分離する方法の一つは、化合物がキラル酸である場合、光学活性アミンを用いることによる方法であり、次いで酸で処理することによってジアステレオマー的に分割された塩を遊離させる方法である。ラセミ体を光学対掌体に分割するためのもう一つの方法は、光学活性マトリックスにおけるクロマトグラフイに基づいている。従って、本発明によるラセミ体化合物は、例えばD−又はL−(酒石酸塩、マンデル酸塩又はカンホスルホネート)塩の分別結晶化によって、それらの光学対掌体に分割することができる。
【0027】
本発明による化合物はまた、本発明による化合物を光学活性活性化カルボン酸、例えば誘導形態(+)又は(−)フェニルアラニン、(+)又は(−)フェニルグリシン、(+)又は(−)カンファン酸との反応によってジアステレオマー−アミド類を生成することにより、あるいは本発明による化合物を光学活性クロロホーメートなどと反応させることによってジアステレオマーカルバメート類を生成させることにより分割することもできる。
光学異性体の分割にかかわる追加の方法は当技術で公知である。このような方法はJaques J、Collet A及びWilen Sにより”Enantiomers,Racemates,and Resolutions”、John Wiley and Sons、New York(1981)に開示されている方法を包含する。
光学活性化合物はまた、光学活性出発材料又は中間体から製造することもできる。
【0028】
(標識化合物)
本発明による化合物はそれらの標識された又は標識されていない形態で使用することができる。本発明の文脈において、標識付けされた化合物は、天然に普通に見出される原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられている1個又は2個以上の原子を有する。標識は当該化合物の容易な定量的検出を可能にする。
本発明による標識された化合物は各種診断方法における診断用具、ラジオトレーサー又は追跡剤として有用であることができ、またインビボレセプター造影に有用であることができる。
【0029】
本発明による標識された異性体は好ましくは、標識として少なくとも1個の放射性核種を含有する。陽電子を発射する放射性核種は全部が使用候補である。本発明に関連して、放射性核種は好ましくは、H(ジウトリウム)、H(トリチウム)、13C、14C、131I、125I、123I及び18Fから選択される。
本発明による標識された異性体の物理的検出方法は、陽電子射出断層撮影(Position Emission Tomography)(PET)、シングルフォトン造影コンピュータ断層撮影(Single Photon Imaging Computed Tomography)(SPECT)、磁気共鳴分光測定(Magnetic Resonance Spectroscopy)(MRS)、磁気共鳴造影(Magnetic Resonance Imaging)(MRI)、及びコンピュータ連動X線断層撮影( Computed Axial X−ray Tomography)(CAT)、又はその組合せから選択される。
【0030】
(製造方法)
本発明による化合物は化学合成について慣用の方法、例えば実施例に記載の方法によって製造することができる。本明細書に記載されている方法のための出発物質は公知であるか、又は市販されている化学物質から慣用の方法により容易に製造することができる。
また、本発明による化合物の1種は慣用の方法を用いて本発明による別種の化合物に変換することができる。
本明細書に記載の反応の最終生成物は慣用の技法により、例えば抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフイなどによって単離することができる。
【0031】
(生物学的活性)
本発明による化合物は、例えばWO97/30997などに記載されているシナプトソームにおけるモノアミンドーパミン、ノルアドレナリン及びセロトニンの再取込を阻害するそれらの能力について試験することができる。これらの試験で見出される均衡のとれた活性に基づき、本発明による化合物はヒトを包含する哺乳動物の病気、障害又は症状の処置、予防又は緩和に有用であると考えられ、当該病気、障害又は症状は中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取込の阻害に応答する病気、障害又は症状である。
【0032】
特定の実施形態において、本発明による化合物は下記病気、障害又は症状の処置、予防又は緩和に有用であるものと考えられる:気分障害、うつ病、非定型うつ病、疼痛による二次的うつ病、大うつ障害、気分変調、双極性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、全般的医療症状による気分障害、物質誘発性気分障害、仮性痴呆症、ガンザー(Ganser)症候群、脅迫性障害、パニック障害、広場恐怖症を伴わないパニック障害、広場恐怖症を伴うパニック障害、パニック障害の病歴がない広場恐怖症、パニック発作、記憶欠損、記憶喪失、注意欠如過活動性障害、肥満症、不安症、全般性不安障害、摂食障害、パーキンソン(Perkinson)病、パーキンソニズム、痴呆症、加齢による痴呆症、老人性痴呆症、アルツハイマー(Alzheimer)病、後天性免疫不全症候群、認知症候群、加齢による記憶機能不全、特異性恐怖症、社会恐怖症。
【0033】
社会不安性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、薬物依存症、薬物乱用症、コカイン乱用症、ニコチン乱用症、タバコ乱用症、アルコール依存症、アルコール症、盗癖、疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、偏頭痛、緊張型頭痛、慢性緊張型頭痛、うつ症状を伴う疼痛、繊維筋肉痛、関節炎、変形性関節炎、リューマチ性関節炎、背中痛(back pain)、癌疼痛、刺激性腸疼痛、刺激性腸症候群、手術後疼痛、乳房切除後疼痛症候群(PMPS)、発作後疼痛、薬物誘発性神経障害、糖尿病性神経障害、交感神経依存症疼痛、三叉神経痛、歯痛、筋膜痛、幻影四肢痛、過食症、月経前症候群、月経前性不快気分障害、黄体期後期精神症状、外傷後症候群、慢性疲労症候群、尿失禁、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、夜行性尿失禁、性機能障害、早漏、勃起困難症、勃起機能不全、早発性女性オルガズム、下肢静止不能症候群、周期性四肢運動障害、
【0034】
摂食障害、神経性食欲不振、睡眠障害、広汎性発達障害、自閉症、アスペルガー(Asperger)障害、レッツ(Rett)障害、小児期崩壊性障害、学習障害、運動技術障害、無言症、抜毛狂、ナルコレプシー、発作後うつ症、発作誘発性脳損傷、発作誘発性神経損傷、ジルドラレット(Gilles de la Tourettes)病、耳鳴、チック障害、身体醜形障害、反抗挑戦性障害又は発作後障害。好適実施形態において、本発明による化合物はうつ病の処置、予防又は緩和に有用であると考えられる。
【0035】
活性医薬成分(API)の適当な用量は、現時点で、一日あたり約0.1mg〜約1000mgAPIの範囲、さらに好ましくは一日あたり約10mg〜約500mgAPIの範囲、最も好ましくは、一日あたり約30mg〜約100mgAPIの範囲であるものと考えられるが、正確な投与形式、投与される形態、考慮すべき指示、対象及び特に包含される対象の体重、及びさらに好ましくは担当の医師又は動物医師の好み及び経験に応じて変化する。
本発明による好適化合物は、準マイクロモル及びマイクロモル範囲、すなわち1μM以下から約100μMまでの範囲で生物学的活性を示す。
【0036】
(医薬組成物)
もう一つの態様において、本発明は治療有効量の本発明による化合物を含有する新規医薬組成物を提供する。
治療に使用する場合、本発明による化合物はそのままの化合物の形態で投与することができるが、活性成分を任意に生理学的に許容される塩の形態で、1種又は2種以上の助剤、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤、及び/又はその他慣用の調剤用助剤とともに含有する医薬組成物中に導入すると好ましい。
【0037】
好適実施形態において、本発明は、本発明による化合物、その薬学的に許容される塩又は誘導体を1種又は2種以上の薬学的に許容される担体及び場合により、公知であって、当技術で使用されている別種の治療及び/又は予防性成分とともに含有する医薬組成物を提供する。担体(1種又は2種以上)は組成物中のその他の成分と適合し、またその摂取対象にとって有害ではないという観点から「許容」されるものでなければならない。
【0038】
本発明による医薬組成物は、経口、直腸、気管支、鼻、肺、局所(口腔及び舌下を包含する)、経皮、膣又は非経口(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、脳内、眼内注射又は注入を包含する)投与に適するもの、あるいは吸入又は注入に適する形態(粉末及び液体エアゾル投与を包含する)、又は持続放出系による投与に適するものであることができる。持続放出系の適当な例には、本発明による化合物を含有する固形疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを包含し、このマトリックスは成型された形態、例えばフイルム又はマイクロカプセルの形態であることができる。
【0039】
本発明による化合物は慣用の助剤、担体、又は希釈剤とともに、医薬組成物及びその単位用量形の形態中に配合することができる。このような形態は固体、特に錠剤、充填カプセル、粉末及びペレット形態、ならびに液体、特に水性又は非水性溶液、懸濁液、エマルジョン、エレキシル及び全部が経口使用用のこれらを充填したカプセル、直腸投与用座薬、ならびに非経口用の無菌注射溶液を包含する。このような医薬組成物及びその単位投与形態は、追加の活性化合物又は成分とともに、又は追加の活性化合物又は成分を伴うことなく、慣用の割合で慣用の成分を含有することができ、またこのような単位投与形態は、使用されるべき意図する一日薬用量範囲に相応するいずれか適当な有効量で活性成分を含有することができる。
【0040】
本発明による化合物は広く種々の経口及び非経口投与形態で投与することができる。下記投与形態が活性成分として本発明による化合物又は本発明による化合物の薬学的に許容される塩のどちらかを含有することができることは当業者にとって明白である。
本発明による化合物から医薬組成物を調製する場合、薬学的に許容される担体は固体又は液体であることができる。固形製剤は粉末、錠剤、ピル、カプセル、カシェ剤、座薬及び分散性顆粒を包含する。固形担体は希釈剤、風味付与剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤又はカプセル形成物質としても動作することができる1種又は2種以上の物質であることができる。
粉末の場合、担体は微粉砕状固体であって、微粉砕されている活性成分との混合物として存在する。
【0041】
錠剤の場合、活性成分は必要な結合能力を有する担体と適当な割合で混合し、次いで所望の形状及び大きさに圧縮する。
粉末及び錠剤は好ましくは、5〜10パーセントから約70パーセントまでの活性化合物を含有する。適当な担体は炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、カカオ脂などである。「製剤」の用語はカプセルを提供する担体としてカプセル形成物質及び活性化合物からの製剤を包含し、担体を伴うか、又は担体を伴わない活性成分が担体によって取り囲まれ、担体と一体になってカプセルを形成している場合を包含する。同様に、カシェ剤及びトローチ剤が包含される。錠剤、粉末、カプセル、ピル、カシェ剤、及びトローチは経口投与に適する固形形態として使用することができる。
【0042】
座薬を調製する場合、低融点ワックス、例えば脂肪酸グリセライド又はカカオ脂の混合物などを先ず、溶融し、次いで活性成分を攪拌などによってそこに均一に分散させる。この融解した均一混合物を次いで、都合の良い大きさの型中に注入し、冷却させ、これにより固化させる。
膣投与に適する組成物は、活性成分に加えて、当技術で適当であることが知られている担体を含有するペッサリイ、タンボン、クリーム、ペースト、フォーム又はスプレイとして提供することができる。
液体製剤は溶液、懸濁液及びエマルジョン、例えば水又は水−プロピレングリコール溶液を包含する。一例として、非経口注射液体製剤は水性ポリエチレングリコール溶液中の溶液として製剤化することができる。
【0043】
従って、本発明による化合物は非経口投与用(注射による、例えばボーラス注射又は連続注入による)に製剤化することができ、アンプル、予め充填されている注射器、少量注入容器又は添加保存剤を含有する多回−用量容器中の単位投与形態で提供することができる。これらの組成物は油性又は水性媒質中の懸濁液、溶液又はエマルジョンのような形態であることができ、懸濁化剤、安定剤及び/又は分散剤などの製剤助剤を含有することができる。別様に、活性成分は使用前に、適当な媒質、例えば発熱性物質を含有していない水により構成するための粉末形態であることができ、これは殺菌した固体の無菌単離によるか、又は溶液からの凍結乾燥により得られる。
【0044】
経口用途に適する水性溶液は、活性成分を水に溶解し、次いで所望により適当な着色剤、風味付与剤、安定剤及び増粘剤を添加することによって調製することができる。
経口用途に適する水性懸濁液は、微粉砕活性成分を粘性物質、例えば天然又は合成ガム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、又はその他公知の懸濁化剤とともに水中に分散させることによって調製することができる。
また、経口投与用に使用前に液体形態の製剤に短時間で変換されるようにされている固体形態製剤を包含する。このような液体形態は溶液、懸濁液及びエマルジョンを包含する。このような製剤は、活性成分に加えて、着色剤、風味付与剤、安定剤、緩衝剤、合成及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有することができる。
【0045】
皮膚への局所投与の場合、本発明による化合物は軟膏、クリーム又はローションとして、あるいは経皮貼布剤として製剤化することができる。軟膏及びクリームは、例えば水性又は油性基剤を用い、適当な増粘剤及び/又はゲル化剤を用いて調製することができる。ローションは水性又は油性基剤を用い調製することができ、また一般に、1種又は2種以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤又は着色剤を含有する。
口中への局所投与に適する組成物は、風味賦与した基剤、通常ショ糖及びアカシア又はトラガカントガム中に活性成分を含有するトローチ剤;不活性基剤,例えばゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアカシア中に活性成分を含有するペストリイ;及び活性成分を適当な液体担体中に含有する口腔洗浄剤を包含する。
【0046】
溶液又は懸濁液は、慣用の手段、例えば滴下器具、ピペット又はスプレイによって鼻空洞に直接に適用する。この組成物は一回又は多回−用量形態で提供することができる。
呼吸器官に投与する場合、これはまた、活性成分が適当な推進剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、又はジクロロテトラフルオロエタンなどのクロロフルオロカーボン(CFC)、二酸化炭素又はその他適当な気体により加圧充填されている形態で提供することができる。エアゾルはレシチンなどの界面活性剤を含有すると好ましい。医薬の用量は計量付きバルブを付与することによって制御することができる。
【0047】
別様に、活性成分は乾燥粉末形態、例えば乳糖、デンプン、デンプン誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びボリビニルピロリドン(PVP))などの適当な粉末状基剤中に当該化合物を混合した粉末形態で提供することができる。好ましくは、粉末状担体は鼻空洞中でゲルを形成する。この粉末組成物は、例えばゼラチンのカプセル又はカートリッジなどの単位投与形態で、あるいは当該粉末を吸入器によって投与できる水泡充填容器として提供することができる。
鼻内用組成物を包含する呼吸器官への投与を意図する組成物の場合、化合物は一般に、例えば5ミクロン程度又はそれ以下の小さい粒子サイズを有する。このような粒子サイズは、当技術で知られている手段、例えばミクロン化によって得ることができる。
【0048】
所望される場合、活性成分の持続放出を得るのに適する組成物を使用することもできる。
医薬製剤は好ましくは、単位投与形態である。このような形態において、製剤は適量の活性成分を含有する単位用量に再分割される。この単位投与形態は、包装されている製剤であることができ、この包装物品はバイアル又はアンプル内に包装されている錠剤、カプセル、及び粉末などの分離した量の製剤を含有する。また、この単位投与形態はそれ自体がカプセル、錠剤、カシェ又はトローチであることもでき、あるいは相当数のこれらの単位投与形態のいずれかであることもできる。
【0049】
経口投与用錠剤又はカプセル及び静脈投与用及び連続注入用液体は好適組成物である。
調製及び投与にかかわる技術のさらに詳細な説明は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版に見出すことができる。
【0050】
治療有効量は症状又は症候群を改善する活性成分の量を表す。治療効力及び毒性、例えばED50及びLD50は細胞培養又は実験動物における標準的薬理学的方法によって決定することができる。治療効果と毒性作用との間の用量比は治療指数であり、比LD50/ED50で表すことができる。大きい治療指数を示す医薬組成物は好適である。
投与される用量は、処置される個人の年齢、体重及び状態、ならびに投与経路、投与形態及び投与計画、及び望まれる結果に応じて注意深く調節されるべきであることは勿論のことであり、また正確な投与量が実施者により決定されるべきことは勿論のことである。
【0051】
実際の投与量は、処置される病気の性質及び重篤度に依存し、医師の判断内にあり、また本発明の特定の状況に対して所望の治療効果が得られる量を定量することによって変えることができる。しかしながら、現時点で、活性成分を一回用量あたり約0.1mg〜約500mg、好ましくは約1mg〜約100mg、最も好ましくは約1mg〜約10mgの量で含有する医薬組成物が治療処置に適するものと考えられる。
活性成分は一日あたり1回又は数回投与することができる。満足すべき結果は、或る場合、0.1μg/kg i.v.及び1μg/kg p.o.ほどの少量の投与で得られることもある。投与量範囲の上限は現時点で、約10mg/kg i.v.及び100mg/kg p.o.であると考えられる。好適範囲は約0.1μg/kg/日〜約10mg/kg/日 i.v.及び約1μg/kg〜約100mg/kg/日 p.o.である。
【0052】
(治療方法)
もう一つの態様において、本発明は生存しているヒトを包含する動物身体の病気又は障害又は症状の処置、予防又は緩和方法を提供し、ここで病気又は障害又は症状は中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取込の抑制に応答する病気又は障害又は症状である。この方法は、その必要性を有するヒトを包含する生存している動物身体に本発明による化合物の有効量を投与することを包含する。
【0053】
現時点において、適当投与量範囲は通常、正確な投与様相、投与形態、投与が向けられる指示、包含される対象及び包含される対象の体重に応じ、さらに担当の医師及び動物医師の裁量及び経験に応じて、一日あたり0.1〜1000mg、一日あたり10〜500mg、特に一日あたり30〜100mgである。
【実施例】
【0054】
(例)
下記例を引用し、本発明をさらに説明する。これらの例は特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲をいかなる方法でも制限しようとするものではない。
一般的説明:空気感受性反応剤又は中間体を包含する全反応は窒素雰囲気下及び無水溶媒中で行った。硫酸マグネシウムは仕上げ処理において乾燥剤として使用し、また溶媒は減圧下に蒸発させた。
【0055】
方法A
エキソ−3−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン塩酸塩
2,2,2−トリクロロエチルクロロホーメート(2.99g、14.1mmol)を、3−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン(1.34g、4.7mmol)とトルエン(25ml)との混合物に添加した。この混合物を30分間攪拌し、次いで100℃で15時間攪拌した。水(50ml)を添加し、次いでその有機相を分離し、次いで水(2x25ml)で洗浄した。蒸発によって得られた粗製混合物を酢酸(40ml)及び水(10ml)中に溶解させた。この混合物に、アエン粉末(2.0g)を少しづつ添加し、次いで5時間にわたり攪拌した。氷−水(50ml)を添加し、次いで濃水性アンモニア(50ml)を添加した。この混合物をジクロロメタン(2x50ml)により抽出した。塩酸塩は、ジエチルエーテルに溶解した遊離塩基にエタノールに溶解した塩酸を添加することによって沈殿させた。収量:0.84g(58%)、融点:200℃(分解)。
【0056】
エキソ−3−(3−ブロモ−4−クロロ−フェノキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン塩酸塩
方法Aに従い製造した。融点:240−243℃。[M+H]+のLC−ESI−HRMSは313.9952Daを示す。理論値:313.99473Da、dev.1.5ppm。
エキソ−3−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン塩酸塩
方法Aに従い製造した。[M+H]+のLC−ESI−HRMSは282.1501Daを示す。理論値:282.149404Da、dev.2.5ppm。
【0057】
エキソ−3−(3−クロロ−4−フルオロ−フェノキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン塩酸塩
方法Aに従い製造した。融点:216−219℃。[M+H]+のLC−ESI−HRMSは254.0737Daを示す。理論値:254.074795Da、dev.−4.3ppm。
エキソ−3−(4−ブロモ−3−クロロ−フェノキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン塩酸塩
方法Aに従い製造した。[M+H]+のLC−ESI−HRMSは313.995Daを示す。理論値:313.99473Da、dev.0.9ppm。
エキソ−3−(4−クロロ−3−フルオロ−フェノキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン塩酸塩
方法Aに従い製造した。[M+H]+のLC−ESI−HRMSは254.0749Daを示す。理論値:254.074795Da、dev.0.4ppm。
【0058】
方法B
エキソ−3−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン塩酸塩
ジオキサン(10ml)中のジエチルアゾジカルボキシレート(4.0g、23mmol)の混合物を、室温において、ジオキサン(40ml)中に溶解したトリフェニルホスフィン(6.03g、23mmol)に添加した。この混合物を15分間にわたり攪拌した。この混合物にジオキサン(10ml)中に溶解したエンド−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン−3−オール(3.3g、19mmol)を添加し、次いで3,4−ジクロロフェノール(3.3g、20mmol)を添加した。温度は発熱反応によって30℃に上昇した。この混合物を室温で一夜にわたり攪拌した。水(100ml)及び水性塩酸(15ml、4M)を添加し、次いでジエチルエーテル(3x50ml)で洗浄した。この水性相を水酸化ナトリウム(20ml、4M)の添加によりアルカリ性にし、次いでジエチルエーテル(3x80ml)で抽出した。この粗製混合物を、ジクロロメタン、次いでメタノールとジクロロメタンとの混合物、次いで水性アンモニア(40:9:1)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフイにより精製した。塩酸塩はエタノール中に溶解した塩酸の混合物を添加することによって製造した。収量:2.52g(41%)、融点:248.8℃。
【0059】
エキソ−3−(3−ブロモ−4−クロロ−フェノキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン塩酸塩
方法Bに従い製造した。融点:234−236℃。[M+H]+のLC−ESI−HRMSは328.0098Daを示す。理論値:328.01038Da、dev.−1.8ppm。
エキソ−3−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−メチル−−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン遊離塩基
方法Bに従い製造した。融点:240℃(分解)。[M+H]+のLC−ESI−HRMSは296.1639Daを示す。理論値:296.165054Da、dev.−3.9ppm。
【0060】
エキソ−3−(3−クロロ−4−フルオロ−フェノキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン塩酸塩
方法Bに従い製造した。融点:200−203℃。[M+H]+のLC−ESI−HRMSは268.0891Daを示す。理論値:268.090445Da、dev.−5ppm。
エキソ−3−(4−ブロモ−3−クロロ−フェノキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン遊離塩基
方法Bに従い製造した。[M+H]+のLC−ESI−HRMSは328.0092Daを示す。理論値:328.01038Da、dev.−3.6ppm。
エキソ−3−(4−クロロ−3−フルオロ−フェノキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン塩酸塩
方法Bに従い製造した。[M+H]+のLC−ESI−HRMSは268.0915Daを示す。理論値:268.090445Da、dev.3.9ppm。
【0061】
方法C
エンド−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン−3−オール(中間体)
アエン粉末(10g)と塩酸(10ml、1M)との混合物を1分間にわたり攪拌し、次いで塩酸(3x10ml、1M)及び水(5x10ml)で洗浄し、次いで水性硫酸銅(25ml、2%)、水(5x10ml)、エタノール(10ml、96%)及びジエチルエーテル(10ml)により洗浄し、次いで乾燥させた。標題の化合物は、Tetrahedron Letters 42(2001)、1975頁に従い、スコポラミンヒドロブロマイド三水化物及びアエン粉末から、引き続いて水性水酸化ナトリウムによる処置による加水分解によって製造した。
【0062】
試験例
インビトロ抑制活性
WO97/16451に記載のとおりにして、シナプトソームにおけるモノアミン神経伝達物質ドーパミン(DA)、ノルアドレナリン(NA)及びセロトニン(5−HT)の再取込を阻害するそれらの能力について一連の化合物を試験した。
この試験の数値は、IC50H−DA、H−NA又はH−5−HTの特異的結合を50%抑制する被験物質の濃度(μM))として得られる。
本発明による選択された化合物の試験によって得られた試験結果は下記表から明白である:
【0063】
【表1】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される化合物、そのいずれかの異性体又はその異性体のいずれかの混合物、あるいはその薬学的に許容される塩:
【化1】


式中、
は、水素又はアルキルを表し、このアルキルはハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニルからなる群から独立して選択される1個又は2個以上の置換基により置換されていてもよく;及び
は、アリール基を表し、このアリール基はハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルコキシアルキル、シクロアルコキシアルキル、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルケニル、−NR’R’’、−(C=O)NR’R’’又は−NR’(C=O)R’’からなる群から独立して選択される1個又は2個以上の置換基により置換されていてもよく;ここでR’及びR’’はそれぞれ独立して水素又はアルキルを表す。
【請求項2】
が水素又はアルキルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がフェニル基を表し、このフェニル基はハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルコキシからなる群から独立して選択される1個又は2個以上の置換基により置換されていてもよい、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
がフェニル基を表し、このフェニル基はハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルコキシからなる群から独立して選択される2個の置換基により置換されている、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
がナフチル基を表し、このナフチル基はハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルコキシからなる群から独立して選択される1個又は2個以上の置換基により置換されていてもよい、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項6】
エキソ−3−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(3−ブロモ−4−クロロ−フェノキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(3−クロロ−4−フルオロ−フェノキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(4−ブロモ−3−クロロ−フェノキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(4−クロロ−3−フルオロ−フェノキシ)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(3,4−ジクロロ−フェノキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(3−ブロモ−4−クロロ−フェノキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イルオキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(3−クロロ−4−フルオロ−フェノキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(4−ブロモ−3−クロロ−フェノキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
エキソ−3−(4−クロロ−3−フルオロ−フェノキシ)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−6−エン;
である化合物又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
治療有効量の請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物、そのいずれかの異性体又はその異性体のいずれかの混合物、あるいはその薬学的に許容される塩を、少なくとも1種の薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤とともに含有する医薬組成物。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物、そのいずれかの異性体又はその異性体のいずれかの混合物、あるいはその薬学的に許容される塩の医薬製造における使用。
【請求項9】
ヒトを包含する哺乳動物の病気又は障害又は症状の処置、予防又は緩和用の医薬組成物であって、当該病気、障害又は症状が中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取込の阻害に応答する病気、障害又は症状である医薬組成物の製造における、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
病気、障害又は症状が、気分障害、うつ病、非定型うつ病、疼痛に対する二次的うつ病、大うつ障害、気分変調、双極性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、全般的医療症状による気分障害、物質誘発性気分障害、仮性痴呆症、ガンザー症候群、脅迫性障害、パニック障害、広場恐怖症を伴わないパニック障害、広場恐怖症を伴うパニック障害、パニック障害の病歴がない広場恐怖症、パニック発作、記憶欠損、記憶喪失、注意欠如過活動性障害、肥満症、不安症、全般性不安障害、摂食障害、パーキンソン病、パーキンソニズム、痴呆症、加齢による痴呆症、老人性痴呆症、アルツハイマー病、後天性免疫不全症候群、認知症候群、加齢による記憶機能不全、特異性恐怖症、社会恐怖症、社会不安性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、薬物依存症、薬物乱用症、コカイン乱用症、ニコチン乱用症、タバコ乱用症、アルコール依存症、アルコール症、盗癖、疼痛、慢性の疼痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、偏頭痛、緊張型頭痛、慢性緊張型頭痛、うつ症状を伴う疼痛、繊維筋肉痛、関節炎、変形性関節炎、リューマチ性関節炎、背中痛、癌疼痛、刺激性腸疼痛、刺激性腸症候群、手術後疼痛、乳房切除後疼痛症候群(PMPS)、発作後疼痛、薬物誘発性神経障害、糖尿病性神経障害、交感神経依存性疼痛、三叉神経痛、歯痛、筋膜痛、幻影四肢痛、過食症、月経前症候群、月経前性不快気分障害、黄体期後期精神症状、外傷後症候群、慢性疲労症候群、尿失禁、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、夜行性尿失禁、性機能障害、早漏、勃起困難症、勃起機能不全、早発性女性オルガズム、下肢静止不能症候群、周期性四肢運動障害、摂食障害、神経性食欲不振、睡眠障害、広汎性発達障害、自閉症、アスペルガー障害、レッツ障害、小児期崩壊性障害、学習障害、運動技術障害、無言症、抜毛狂、ナルコレプシー、発作後うつ症、発作誘発性脳損傷、発作誘発性神経損傷、ジルドラレット病、耳鳴、チック障害、身体醜形障害、反抗挑戦性障害又は発作後障害である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
ヒトを包含する生存している動物身体の中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取込の阻害に応答する病気又は障害又は症状を処置、予防又は緩和する方法であって、その必要性を有する生存している動物身体に治療有効量の請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物、そのいずれかの異性体又はその異性体のいずれかの混合物、あるいはその薬学的に許容される塩を投与する段階を包含する方法。

【公表番号】特表2008−542431(P2008−542431A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515209(P2008−515209)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062952
【国際公開番号】WO2006/131525
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】