説明

3個以上の炭素原子によって第一カルバメート基から分離された第二ヒドロキシ基もしくは第3ヒドロキシ基またはハロゲン化物基を有する反応性化合物を含有する硬化性塗料およびその製造法

式:X−Cn(R1)(R2)−C(R0)(Y)−Cn′(R3)(R4)(R5)〔式中、Xは、第一カルバメート基であり、Yは、ヒドロキシ基またはハロゲン化物基であり、nは、2以上の整数であり、n′は、1以上の整数であり、R、R、R、R、RおよびRは、Hまたはアルキル基、脂肪族基、脂環式基、芳香族基またはこれらの混合物から選択された基であり、但し、この場合R基またはR基の少なくとも1つは、脂肪族基、脂環式基、芳香族基またはこれらの混合物から構成されている群から選択されたものであり、実質的に全ての構造において、第一カルバメート基Xは、官能基Yが結合している炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合されている〕で示される1つ以上の構造を有する反応性化合物を有する硬化性塗料が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
硬化性塗料、例えば熱硬化性塗料は、塗料業界において広範囲に使用されている。この硬化性塗料は、しばしば自動車塗装工業および工業用塗装産業において上塗りのために使用されている。
【0002】
高光沢でカラークリヤーを組み合わせた複合塗料は、例外的な光沢、色の深さ、イメージの識別または特殊なメタリック効果が望まれているような上塗りとして特に有用である。自動車産業では、自動車車体の板のために前記塗料は、広範囲に使用されている。前記塗料には、望ましい目視的効果、例えばイメージの高度な識別(DOI)を達成させるために、塗装面での極めて高度な透明度および低い目視的光学収差が要求される。
【0003】
1つの結果として、高光沢でカラークリヤーを組み合わせた複合塗料は、環境による腐蝕として公知である現象の影響を受けやすい。環境による腐蝕それ自体は、しばしば摩擦することが不可能な塗膜の仕上げ面上または仕上げ面中に斑点または印として現れる。高光沢の複合塗料またはカラークリヤーを組み合わせた複合塗料が示すであろう環境による腐蝕に対する耐性の程度を予測することは、しばしば困難である。エクステリア用塗料、例えばハイソリッドエナメルに使用した場合に耐久性および/または耐候性に対して公知の数多くの塗料は、高光沢でカラークリヤーを組み合わせた複合塗料に使用した場合に環境による腐蝕に対する耐性の望ましいレベルを提供しない。
【0004】
カラークリヤーを組み合わせた複合塗料のクリヤーコートとして使用するために多数の組成物、例えばポリウレタン、酸−エポキシ系等が提案された。しかし、多数の公知技術水準の系は、欠点、例えば塗布可能性の問題、顔料添加されたベースコートとの相容性の問題、可溶性の問題を有している。更に、殊に自動車塗装に要求される環境中で環境による腐蝕に対する十分な耐性を提供する若干数の一液型塗料(one-pack coating composition)が見い出された。
【0005】
カルバメート官能性ポリマー、例えば米国特許第5356669号明細書に記載のカルバメート官能性ポリマーは、十分に改善された、環境による腐蝕に対する耐性を示す塗料を提供するために使用されることができる。カルバメート官能性ポリマーは、殊にカラークリヤーを組み合わせた複合塗料中のクリヤーコートとして商業的に有利な塗料を提供するために使用された。
【0006】
不利なことに、当業界で公知の幾つかのカルバメート官能性化合物および/またはカルバメート官能性ポリマーは、殊に環式カーボネートおよび環式カーボネートの形成に関連して不安定性および分解に対して脆弱である。この結果、製造および貯蔵は、困難である。
【0007】
また、ヒドロキシ官能性モノカーボネート官能性化合物を効率的で安価な方法で製造することは、困難であった。殊に、このような化合物を製造する、安価な出発化合物、例えばポリオールおよびジオールを利用する、商業的に実行可能な方法が望まれている。
【0008】
付加的に、カルバメート官能性ポリマーを含有する塗料は、一般に自動車産業で通常必要とされる性能特性を提供する。結果として、有利に固体分または%での不揮発性分、柔軟性、耐引掻性および耐表面損傷性、常温時の耐亀裂性、耐チッピング性および/または等々の改善が提供される。同時に、このような改善は、環境による腐蝕に対する耐性または他の商業的に必要とされる性能特性がなんら減少されることなく達成されなければならない。
【0009】
また、広範囲の塗料および用途、例えばプライマー、ベースコート、クリヤーコート、二成分系、耐チッピング塗料、水性塗料、溶剤塗料、柔軟な支持体用の塗料、粉末塗料、溶剤なしの粉末−スラリー塗料、溶剤なしの液体塗料等々に使用するために適用されるであろう、かかる技術を提供することが望まれている。
【0010】
最後に、噴霧可能な粘度で増加された%でのNV(不揮発性分)または減少されたVOC(揮発性有機含量)を有する、改善された耐蝕性塗料を提供することが望まれている。
【0011】
公知技術水準は、前記問題点に対処し、前記問題点を修正することを行わなかった。
【0012】
置換プロパンジオールから製造された環式カーボネートのアンモノリシスによるモノカーボネートアルコールの製造は、Some Anticonvulsant Agents Derived from 1,3-Propanediols, Ludwig, B.J.およびPiech, E.C.; J. Am. Chem. Soc. (1951) 73 5779-5781. CAN 47: 3228に開示されている。
【0013】
米国特許第5719237号明細書、Rehfuss等、には、トランスカルバミル化反応によって得られた複数のカルバメート基を有するカルバメート官能性化合物(a)の使用が開示されており、この場合アルコールまたはヒドロキシアルキルカルバメートは、アルキルカルバメートと反応される。この米国特許第5719237号明細書には、化合物(a)中のヒドロキシル基、例えば脆性のエーテル橋の形成を導くヒドロキシル基の包接を回避させることは望ましいことが教示されている。
【0014】
米国特許第5907024号明細書、Ohrbom等および米国特許第5945499号明細書には、一般構造式
−C(OH)−(CH−O−C(O)−NHR
〔式中、nは、0〜6の整数であり、Rは、Hまたは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である〕で示されるヒドロキシアルキルカルバメートの使用が開示されている。
【0015】
米国特許第5760127号明細書、Bammel他および米国特許第6262297号明細書、Clements他、には、無水アンモニアまたは水酸化アンモニウム水溶液と6員の環式カーボネートとの反応によって製造されたヒドロキシアルキルカルバメート組成物が開示されている。Bammel他の明細書には、5員環は、より良好な性能の結果としてではなく、合成の簡易性および大きな商業的有用性の結果として好ましいことが開示されている。Clements他の明細書には、6員環が増加された安定性のために好ましいことが教示されている。しかし、6員の環式カーボネートの価格および商業的有用性は、方法および生じる生成物を高価なものにする。また、出発環式カーボネート上の任意の置換基の位置に依存して、Clements他の明細書に開示された方法は、反応性および選択性を変える構造の混合物を有する化合物である反応生成物を生じる。
【0016】
WO 0156978、Rink他、には、位置的に異性体のジエチルオクタンジオールジカルバメートおよびジエチルオクタンジオールジアロファネートが開示されている。ジカルバメート種およびジアロファネート種は、ヒドロキシル官能性を有さず、ジエチルオクタンジオールの位置異性体から形成されている。
【0017】
公知技術水準の前記の試みおよび他の試みにも拘わらず、公知技術水準は、ポリオールおよびジオールからヒドロキシ官能性モノカルバメート官能性化合物を製造する安価で効率的な方法を提供することに失敗した。更に、公知技術水準は、望ましくない環式カーボネートおよびカルバメートの分解および形成に関連して改善された安定性を有する、かかるヒドロキシ官能性モノカルバメート官能性化合物を提供することに特に失敗した。
【0018】
従って、本発明の対象は、改善された反応性、安定性および反応選択性を有する反応性化合物を有する硬化性塗料を提供することである。
【0019】
殊に、本発明の対象は、第一カルバメート官能性およびハロゲン化物官能性またはヒドロキシ官能性を有する反応性化合物を含有し、望ましくない環式カーボネートおよびカルバメートの分解および形成に関連して改善された安定性を有する硬化性塗料を提供することである。
【0020】
また、本発明の対象は、公知技術水準のカルバメート含有塗料の全ての利点、殊に環境による腐蝕に対する良好な耐性を提供し、さらに、次の性能パラメーター、即ち柔軟性、耐引掻性および耐表面損傷性、および/または耐チッピング性の1つ以上の改善を示す硬化性塗料を提供することである。
【0021】
本発明の別の対象は、広範囲の塗料および用途、例えばプライマー、ベースコート、クリヤーコート、二成分系、耐チッピング塗料、水性塗料、溶剤塗料、柔軟な支持体用の塗料等々中で、次の性能パラメーター、即ち%での不揮発性固体分、柔軟性、耐引掻性および耐表面損傷性、および/または耐チッピング性の1つ以上を改善するための技術を提供することである。
【0022】
最後に、本発明の対象は、噴霧可能な粘度で増加された%でのNV(不揮発性分)または減少されたVOC(揮発性有機含量)を有する耐蝕性塗料を提供することである。
【0023】
発明の開示
本発明の前記目的および他の目的は、特に反応性の化合物を有する硬化性塗料を用いて達成された。意外なことに、反応性化合物の反応性、安定性および反応選択性における同時の改善は、特殊な式のモノカルバメート官能性の反応性化合物およびモノヒドロキシ官能性またはハロゲン化物官能性の反応性化合物の使用により達成されうることが見い出された。更に、硬化性塗料中での前記の反応性化合物の使用は、環境による腐蝕に対する耐性を犠牲とすることなく、次の性能パラメーター、即ち柔軟性、耐引掻性および耐表面損傷性、および/または耐チッピング性の1つ以上の改善を示すことが見い出された。
【0024】
実際に、
【0025】
【化1】

〔式中、Xは、第一カルバメート基であり、Yは、ヒドロキシ基またはハロゲン化物基であり、nは、2以上の整数であり、n′は、1以上の整数であり、R、R、R、R、RおよびRは、独立にH、アルキル基、芳香族基またはこれらの混合物である〕で示される1つ以上の構造を有する反応性化合物を有する硬化性塗料は、公知技術水準を上廻る予想されなかった利点を提供することが見い出された。(i)R基またはR基の少なくとも1つが、水素原子ではなく、(ii)実質的に全ての構造において、第一カルバメート基Xは、官能基Yが結合している炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合されていることは、1つの視点である。
【0026】
発明を実施するための最良の形態
本発明は、(A)1個以上の活性水素含有基を有する結合剤、(B)結合剤(A)の官能基と反応性の1個以上の基を有する硬化剤および特殊な構造の第二ヒドロキシ基もしくは第3ヒドロキシ基またはハロゲン化物基を含有するモノカルバメート官能性の反応性化合物を有する反応性化合物(C)を有する硬化性塗料を提供し、この場合第一カルバメート基およびヒドロキシ基またはハロゲン化物基は、3個以上の炭素原子によって分離されている。本発明による反応性化合物は、改善された安定性、官能的選択性および反応性を有し、付加的に環境による腐蝕に対する耐性を犠牲にすることなく、硬化性塗料の次の性能パラメーターの1つ以上の改善、即ち柔軟性、耐引掻性および耐表面損傷性、および/または耐チッピング性の改善を提供する。
【0027】
本発明による硬化性塗料は、活性水素含有官能基を有する結合剤またはポリマー樹脂(A)を有する。ポリマー樹脂上の活性水素含有官能基は、刊行物に十分に公知である。このような基は、例えばカルバメート基、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、ヒドラジド基、活性化メチレン基およびこれらの混合物を含む。カルバメート基、ヒドロキシル基およびこれらの混合物は、最も好ましい水素含有官能基である。
【0028】
本発明の目的のためには、”ポリマー”の用語は、1500〜1000000ダルトンの範囲内の数平均分子量を有する化合物に言及され、一方で、”オリゴマー”は、200〜1499ダルトンの範囲内の数平均分子量を有する化合物に言及される。本明細書中で使用される”結合剤”および”ポリマー化合物”の用語は、上記に定義されたような”ポリマー”および”オリゴマー”の双方を含んでいることを意味する。
【0029】
適当なポリマー樹脂は、例えばアクリル酸ポリマー、変性アクリル酸ポリマー、ポリエステル、ポリエポキシド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミドおよびポリシロキサンを含み、これら全ては、刊行物中に十分に公知である。好ましくは、ポリマーは、アクリル酸ポリマー、変性アクリル酸ポリマー、ウレタン、ポリウレタン、エステルまたはポリエステルである。更に、好ましくは、ポリマーは、アクリル酸ポリマーまたはウレタンもしくはポリウレタンである。
【0030】
本発明の1つの好ましい実施態様において、ポリマーは、アクリル酸である。アクリル酸ポリマーは、好ましくは500〜1000000の分子量、よりいっそう好ましくは1500〜50000の分子量を有する。本明細書中で使用されているように、”分子量”は、ポリスチレン標準を用いてGPC法によって測定されうる数平均分子量に言及される。
【0031】
アクリル酸ポリマーは、刊行物中に十分に公知であり、モノマー、例えばメチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等から製造されることができる。活性水素含有官能基は、適当なエチレン系不飽和官能性モノマーを選択することによってアクリル酸モノマーのエステル部分中に配合されることができる。例えば、このようなポリマーを形成するために使用されうるヒドロキシ官能性アクリル酸モノマーは、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等を含む。アミノ官能性アクリル酸モノマーは、t−ブチルアミノエチルメタクリレートおよびt−ブチルアミノエチルアクリレートを含む。また、モノマーのエステル部分中に活性水素官能基を有する他のアクリル酸モノマーは、公知技術水準である。
【0032】
カルバメート官能性アクリル酸は、本明細書中で結合剤(A)として使用するのに殊に好ましい。このようなポリマーを製造するための1つの方法は、モノマーのエステル部分中にカルバメート官能基を有するアクリル酸モノマーを製造することである。このようなモノマーは、刊行物中に十分に公知であり、例えば米国特許第3479328号明細書、米国特許第3674838号明細書、米国特許第4126747号明細書、米国特許第4279833号明細書および米国特許第4340497号明細書、米国特許第5356669号明細書ならびにWO 94/10211中に記載されており、この場合これら刊行物の開示は、本明細書中で参考のために記載されている。合成の1つの方法は、ヒドロキシエステルと尿素とを反応させ、カルバミルオキシカルボキシレートを形成させることを含む(即ち、カルバメート変性アクリル酸)。合成の別の方法によれば、α,β−不飽和酸エステルは、ヒドロキシカルバメートエステルと反応され、カルバミルオキシカルボキシレートが形成される。なお、別の技術によれば、第一アミンもしくは第二アミンまたは第一ジアミンもしくは第二ジアミンを環式カーボネート、例えばエチレンカーボネートと反応させることによってヒドロキシアルキルカルバメートを形成させることを含む。更に、ヒドロキシアルキルカルバメート上のヒドロキシル基は、アクリル酸またはメタクリル酸との反応によってエステル化され、モノマーを形成させる。カルバメート変性アクリル酸モノマーを製造する他の方法は、刊行物中に記載されており、十分に利用されることができる。更に、アクリル酸モノマーは、必要な場合には、刊行物中に十分に公知の技術によって、他のエチレン系不飽和モノマーと一緒に重合されることができる。
【0033】
本発明による硬化性塗料中に使用されるポリマー(A)を製造するための選択的な方法は、米国特許第4758632号明細書の記載と同様に、既に形成されたポリマー、例えばアクリル酸ポリマーを別の成分と反応させ、ポリマー骨格に付随されたカルバメート官能基を形成させることであり、この場合この米国特許明細書の開示は、本明細書中で参考のために記載されている。成分(A)として有用なポリマーを製造するための1つの異なる技術は、ヒドロキシ官能性アクリル酸ポリマーの存在下で尿素を(アンモニアおよびHNCOの放出のために)熱分解し、カルバメート官能性アクリル酸ポリマーを形成させることを含む。別の方法は、ヒドロキシアルキルカルバメートのヒドロキシル基をイソシアネート官能性アクリル酸またはビニルモノマーと反応させ、カルバメート官能性アクリル酸を形成させることを含む。イソシアネート官能性アクリル酸は、刊行物中に公知であり、例えば米国特許第4301257号明細書中に記載されており、この場合この米国特許明細書の開示は、本明細書中に参考のために記載されている。イソシアネートビニルモノマーは、刊行物中に十分に公知であり、不飽和m−テトラメチルキシレンイソシアネート(American Cyanamid社によってTMI(登録商標)として販売されている)を含む。また、別の技術は、カルバメート官能性アクリル酸の形成のために、環式カーボネート官能性アクリル酸上の環式カーボネート基をアンモニアと反応させることである。環式カーボネート官能性アクリル酸ポリマーは、刊行物中に公知であり、例えば米国特許第二979514号明細書中に記載されており、この場合この米国特許明細書の開示は、本明細書中に参考のために記載されている。別の技術は、ヒドロキシ官能性アクリル酸ポリマーをアルキルカルバメートでトランスカルバミル化することである。ポリマーを製造する、よりいっそう困難ではあるが、実現可能な方法は、アクリレートポリマーをヒドロキシアルキルでトランスエステル化することである。
【0034】
最も好ましい結合剤またはポリマー(A)は、一般に2000〜20000、好ましくは3000〜6000の分子量を有する。本明細書中で使用されているように、分子量は、数平均分子量を意味し、ポリスチレン標準を用いてGPC法によって測定されることができる。カルバメート官能基1当量当たりの分子量に対するポリマーのカルバメート含量は、一般に200〜1500、好ましくは300〜500である。成分(A)および(B)のガラス転移温度Tは、必要とされる特殊な適用のためにTを有する硬化された塗膜を達成させるために調節されうる。
【0035】
1つの実施態様において、ポリマー成分(A)は、次式:
【0036】
【化2】

で示されるランダムな繰返し単位によって表わされることができる。
【0037】
上記式において、Rは、HまたはCHを表わし、Rは、H、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキルまたは好ましくは6個までの環員炭素原子を有するシクロアルキルを表わす。アルキルおよびシクロアルキルの用語は、置換アルキルおよび置換シクロアルキル、例えばハロゲン置換されたアルキルまたはシクロアルキルを含むことができる。しかし、硬化された材料の性質に対して不利な影響力を有するであろう置換基は、回避されるべきである。例えば、エーテル結合は、加水分解に対して影響されやすいと思われ、エーテル結合を架橋マトリックス中に配置するであろう位置で回避されるべきである。値xおよびyは、質量%を表わし、この場合xは、10〜90%、好ましくは40〜60%であり、yは、90〜10%、好ましくは60〜40%である。
【0038】
上記式中で、Aは、1個以上のエチレン系不飽和モノマーから誘導される繰返し単位を表わす。アクリル酸モノマーとの共重合のためのかかるモノマーは、刊行物中に公知である。このようなモノマーは、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル、例えばエチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等を含み;ビニルモノマーは、例えば不飽和m−テトラメチルキシレンイソシアネート(American Cyanamid社によってTMI(登録商標)として販売されている)、スチレン、ビニルトルエン等を含む。
【0039】
Lは、二価結合基、好ましくは1〜8個の炭素原子を有する脂肪族結合、脂環式基または6〜10個の炭素原子を有する芳香族結合基を表わす。Lの例は、
【0040】
【化3】

−(CH)−、−(CH−、−(CH−を含む。1つの好ましい実施態様において、−L−は、−COO−L′−によって表わされており、この場合L′は、二価結合基である。従って、本発明の好ましい実施態様において、ポリマー成分(a)は、次式:
【0041】
【化4】

で示されるランダムな繰返し単位によって表わされる。
【0042】
前記の式において、R、R、A、xおよびyは、上記の定義と同様である。L′は、有利に1〜8個の炭素原子を有する二価脂肪族結合基、例えば−(CH)−、−(CH−、−(CH−等であることができるかまたは有利に8個までの炭素原子を有する二価脂環式結合基、例えばシクロヘキシル等であることができる。しかし、ポリマーを製造するための使用される技術に依存して、他の二価結合基が使用されてもよい。例えば、ヒドロキシアルキルカルバメートがイソシアネート官能性アクリル酸ポリマー上に付加される場合には、結合基L′は、イソシアネート基の残基としての−NHCOO−ウレタン結合基を含む。
【0043】
別の好ましい実施態様において、結合剤(A)は、1000〜5000の数平均分子量、300〜600のカルバメート当量および0〜15℃のTを有する特殊なカルバメート官能性ポリマーおよびヒドロキシル官能性ポリマーである。殊に好ましい実施態様において、このカルバメート官能性ポリマーおよびヒドロキシル官能性ポリマー(A)は、1500〜3000の数平均分子量、350〜500のカルバメート当量および25〜100℃のTを有する。
【0044】
この好ましいカルバメート官能性ポリマーおよびヒドロキシル官能性ポリマー(A)は、
【0045】
【化5】

およびその混合物から構成されている群から選択された1個以上の繰返し単位Aを、ポリマーの全質量に対して少なくとも66〜100質量%および
【0046】
【化6】

の構造式を有する1個以上の繰返し単位A′を、ポリマーの全質量に対して0から35質量%未満有する。
【0047】
よりいっそう好ましくは、この最も好ましいカルバメート官能性ポリマー(A)は、最終的なカルバメート官能性ポリマーの1個以上の繰返し単位A80〜100質量%および1個以上の繰返し単位A′20〜0質量%、最も好ましくは1個以上の繰返し単位A90〜100質量%および1個以上の繰返し単位A′10〜0質量%を有する。特に好ましいカルバメート官能性ポリマーは、カルバメート官能性ポリマーの全質量に対して、1個以上の繰返し単位Aを90質量%超および1個以上の繰返し単位A′を10質量%未満、好ましくは1〜9質量%有する。
【0048】
上記の式において、Rは、1〜60個の炭素原子および酸素、窒素、硫黄、燐およびシラン、およびこれらの混合物から構成されている群から選択されたヘテロ原子0〜20個を有する少なくとも二価の非官能性結合基である。本明細書中で使用されているように、”非官能性”は、伝統的な塗布硬化条件下で架橋剤と反応する基が不在であることに言及される。
【0049】
適当なR基の詳細な例は、1〜60個の炭素原子を有する脂肪族結合基または脂環式結合基、1〜10個の炭素原子を有する芳香族結合基およびこれらの混合物である。好ましいR基は、2〜10個の炭素原子を有する脂肪族基または脂環式基を含む。Rは、1個以上の二価の内部結合基、例えばエステル、アミド、第二カルバメート、エーテル、第二尿素、ケトンおよびこれらの混合物を介して1個以上のヘテロ原子を含むことができ、好ましくは前記ヘテロ原子を含む。エステル、第二カルバメートおよびこれらの混合物から構成されている群から選択された内部結合基は、有利であり、この場合には、エステルは、最も有利である。
【0050】
特に好ましいR基の例は、下記に記載されている。FはRの一部分ではなく、下記の構造式で示され、将来の展望を示す。
【0051】
【化7】

【0052】
【化8】

【0053】
【化9】

およびこれらの異性体、この場合Xは、Hであるかまたは1〜20個の炭素原子を有する一価の非官能性結合基ならびに酸素、窒素、硫黄、燐およびシラン、ならびにこれらの混合物から選択された0〜20個のヘテロ原子であり;i、j、gおよびhは、0〜8の整数であり;Qは、1〜60個の炭素原子ならびに酸素、窒素、硫黄、燐およびシラン、ならびにこれらの混合物から構成されている群から選択された0〜20個のヘテロ原子を有する少なくとも二価の非官能性結合基である。
【0054】
最も好ましいR基は、
【0055】
【化10】

であり、この場合jは、1〜6であり、Xは、上記の定義と同様である。
【0056】
R′は、1〜60個の炭素原子を有する少なくとも一価の非官能性結合基ならびに酸素、窒素、硫黄、燐およびシラン、ならびにこれらの混合物から構成されている群から選択された0〜20個のヘテロ原子を有する少なくとも一価の非官能性結合基である。本明細書中で使用されているように、”非官能性”は、伝統的な塗布硬化条件下で架橋剤と反応する基が不在であることに言及される。
【0057】
適当なR′基の詳細な例は、1〜60個の炭素原子を有する脂肪族結合基または脂環式結合基、1〜10個の炭素原子を有する芳香族結合基およびこれらの混合物である。好ましいR′基は、2〜10個の炭素原子有する脂肪族基または脂環式基を含む。R′は、1個以上の二価の内部結合基、例えばエステル、アミド、第二カルバメート、エーテル、第二尿素、ケトンおよびこれらの混合物を介して1個以上のヘテロ原子を含むことができ、好ましくは前記ヘテロ原子を含む。エステルを内結合基として使用することは、最も好ましい。特に好ましいR′基の例は、
【0058】
【化11】

であり、この場合xおよびyは、0〜10、好ましくは3〜8である。
【0059】
1つの好ましい実施態様において、少なくとも一価の非官能性結合基R′は、5〜20個の炭素原子、好ましくは5〜15個の炭素原子、最も好ましくは8〜12個の炭素原子を有する少なくとも1個の分枝鎖状アルキル基を有する。結合基R′への配合に殊に好適な構造の1例は、
【0060】
【化12】

であり、この場合R、RおよびRは、1〜1個の炭素原子を有するアルキル基である。最も好ましくは、R、RおよびRは、合計で8〜12個の炭素原子を有し、この場合R、RおよびRの少なくとも1つは、メチル基である。最も好ましい実施態様において、R′が前記の分枝鎖状アルキルの構造を有する場合に、nは、0である。
【0061】
R′′は、Hであるかまたは1〜20個の炭素原子を有する一価の非官能性結合基ならびに酸素、窒素、硫黄、燐およびシラン、ならびにこれらの混合物から構成されている群から選択された0〜20個のヘテロ原子である。
【0062】
適当なR′′基の詳細な例は、水素、1〜60個の炭素原子を有する脂肪族結合基または脂環式結合基、1〜10個の炭素原子を有する芳香族結合基およびこれらの混合物である。R′′は、1個以上の二価の内部結合基、例えばエステル、アミド、第二カルバメート、エーテル、第二尿素、ケトンおよびこれらの混合物を介して1個以上のヘテロ原子を含むことができ、好ましくは前記ヘテロ原子を含む。
【0063】
好ましいR′′基は、H、−CH、芳香族基、例えばベンジル、および2〜10個の炭素原子、殊に4〜8個の炭素原子を有するアルキルエステルである。Hおよびメチルは、R′′として最も好ましい。
【0064】
Lは、1〜60個の炭素原子を有する少なくとも三価の非官能性結合基ならびに酸素、窒素、硫黄、燐およびシラン、ならびにこれらの混合物から構成されている群から選択された0〜20個のヘテロ原子を有する少なくとも三価の非官能性結合基である。本明細書中で使用されているように、”非官能性”は、伝統的な塗布硬化条件下で架橋剤と反応する基が不在であることに言及される。
【0065】
適当なL基の詳細な例は、1〜60個の炭素原子を有する脂肪族結合基または脂環式結合基、1〜10個の炭素原子を有する芳香族結合基およびこれらの混合物である。好ましいL基は、2〜10個の炭素原子を有する脂肪族基または脂環式基を含む。Lは、1個以上の二価の内部結合基、例えばエステル、アミド、第二カルバメート、エーテル、第二尿素、ケトンおよびこれらの混合物を介して1個以上のヘテロ原子を含むことができ、好ましくは前記ヘテロ原子を含む。エステル、第二カルバメートおよびこれらの混合物から構成されている群から選択された内部結合基は、有利であり、この場合には、エステルは、最も有利である。
【0066】
好ましいL基の例は、
【0067】
【化13】

およびその異性体であり、この場合FおよびRは、前記の記載と同様であり、xおよびyは、同一でも異なっていてもよく、0〜10、好ましくは1〜3であり、最も好ましくは、1である。
【0068】
F、FおよびFは、第一カルバメート基、ヒドロキシル基およびこれらの混合物、例えばβ−ヒドロキシ第一カルバメートから構成されている群から選択された官能基であり、この場合FおよびFの少なくとも1つは、第一カルバメート基またはβ−ヒドロキシ第一カルバメート基であり、nは、0〜3の整数であり、最も好ましくは、0である。
【0069】
変性アクリル酸は、ポリマーまたは結合剤(A)として本発明の硬化性塗料中に使用されてもよい。このようなアクリル酸は、刊行物中で十分に公知であるポリエステル変性されたアクリル酸またはポリウレタン変性されたアクリル酸であることができる。ε−カプロラクトンで変性された、ポリエステル変性アクリル酸は、米国特許第4546046号明細書、Etzell et alに記載されており、この場合この米国特許明細書は、本明細書中に参考のために記載されている。また、ポリウレタン変性されたアクリル酸も刊行物中に十分に公知である。このポリウレタン変性されたアクリル酸は、例えば米国特許第4584354号明細書中に記載されており、この場合この米国特許明細書は、本明細書中に参考のために記載されている。
【0070】
活性水素基、例えばヒドロキシル基を有するポリエステルは、本発明による硬化性塗料中に結合剤(A)として使用されてもよい。このようなポリエステルは、刊行物中に十分に公知であり、有機ポリカルボン酸(例えば、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、マレイン酸)またはその無水物を第一ヒドロキシル基または第二ヒドロキシル基を含有する有機ポリオール(例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール)でポリエステル化することによって製造されることができる。
【0071】
また、活性水素官能基を有するポリウレタンも刊行物中に十分に公知である。このポリウレタンは、ポリイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、MDI等)とポリオール(例えば、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン)とを連鎖延長反応させることによって製造される。このポリウレタンは、ポリウレタン鎖を過剰のジオール、ポリアミン、アミノアルコール等でキャッピングすることによって活性水素官能基を備えさせることができる。
【0072】
更に、本発明の硬化性塗料は、硬化剤(B)を含む。結合剤(A)は、結合剤(A)に対して活性水素含有官能基と反応する複数の官能基を有する成分(B)との反応により硬化される。このような反応性基は、アミノプラスト架橋剤または他の成分、例えばフェノール/ホルムアルデヒド付加物、イソシアネート基、シロキサン基、環式カーボネート基および無水物基に対する活性メチロール基またはメチルアルコキシ基を含む。
【0073】
硬化剤(B)として使用するのに適した化合物の例は、メラミンホルムアルデヒド樹脂(モノマーまたはポリマーのメラミン樹脂および部分的または完全にアルキル化されたメラミン樹脂)、封鎖されたかまたは封鎖されていないポリイソシアネート(例えば、アルコールまたはオキシムで封鎖されていてもよい、TDI、MDI、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびこれらのイソシアヌレート三量体)、尿素樹脂(例えば、メチロール尿素、例えば尿素ホルムアルデヒド樹脂、アルコキシ尿素、例えばブチル化尿素ホルムアルデヒド樹脂)、ポリ無水物(例えば、ポリコハク酸無水物)およびポリシロキサン(例えば、トリメトキシシロキサン)を含む。アミノプラスト樹脂、例えばメラミンホルムアルデヒド樹脂または尿素ホルムアルデヒド樹脂は、殊に好ましい。
【0074】
本発明の反応性化合物(C)は、式:
【0075】
【化14】

〔式中、Xは、第一カルバメート基であり、Yは、第二ヒドロキシ基もしくは第三ヒドロキシ基またはハロゲン化物基であり、nは、2以上の整数であり、n′は、1以上の整数であり、R、R、R、R、RおよびRは、独立にH、アルキル基、脂肪族基、脂環式基、芳香族基またはこれらの混合物から選択される基であり、但し、この場合R基またはR基の少なくとも1つは、脂肪族基、脂環式基および芳香族基から構成されている群から選択され、第一カルバメート基Xは、官能基Yが結合している炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合されている〕で示される1つ以上の構造を有する。
【0076】
本明細書中で使用されるような”構造”の用語は、本発明による要件を満足させる異性体に言及される。本明細書中で使用されるような”異性体”は、同じ実験的化学式を有する構造異性体および位置異性体に言及される。本明細書中で使用されるような構造式は、同じ実験的化学式を有するが、しかし、本発明による式の要件を満足させるような異性体に言及される。本発明の目的のために、1つの化合物が1つ以上の構造式を有していてよいことは、評価される。構造異性体の詳細な例は、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールおよび2−プロピル−1,3−ペンタンジオールである。位置異性体の詳細な例は、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールおよび2−エチル−1,4−ヘキサンジオールである。構造異性体および位置異性体の双方である異性体の詳細な例は、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールおよび2−プロピル−1,4−ペンタンジオールである。しかし、本発明の要件を満足させる異性体だけが本発明の反応性化合物の構造であることができる、即ち本発明の反応性化合物が、(1)式:
【0077】
【化15】

〔式中、Xは、第一カルバメート基であり、Yは、ヒドロキシ基またはハロゲン化物基であり、nは、2以上の整数であり、n′は、1以上の整数であり、R、R、R、R、RおよびRは、独立にH、アルキル基、芳香族基またはこれらの混合物であり、但し、この場合(2)R基またはR基の少なくとも1つは、水素であってはならず、(3)最も重要なことに、第一カルバメート基Xは、官能基Yが結合している炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合されていなければならない〕で示される構造を有しなければならないことは、評価される。
【0078】
一般に、本発明の反応性化合物(C)は、上記要件を満足させる1つ以上の構造式を有することができる。1つの好ましい実施態様において、反応性化合物は、上記の定義とは異性体的に異なるが、しかし、本発明の上記に注釈した要件をそれぞれ満足させる少なくとも2つの構造を有する。本発明の最も好ましい実施態様において、本発明の反応性化合物は、少なくとも4つの構造を有する。
【0079】
上記に記載したように、本発明の1つの視点によれば、第一カルバメート基Xは、官能基Yが結合している炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合されている。”低い置換度”の用語は、次の記載により理解することができる。Xが第一炭素原子に結合した第一カルバメート基(即ち、X−CH−)である場合には、Yは、第二炭素原子(即ち、−Cn−CH(Y)−Cn′−)または第三炭素原子(即ち、−Cn−CR(Y)−Cn′−、この場合Rは、水素ではなく、本明細書中にさらに定義されているようなアルキル含有基または芳香族化合物含有基である。Xが第二炭素原子に結合した第一カルバメート基(即ち、X−CHR−、この場合Rは、上記に定義したようなRまたはRであるが、しかし、水素ではない)であり、Yは、第三炭素原子に結合した官能基(即ち、−Cn−CR(Y)−Cn′−、この場合Rは、上記の定義と同様であるが、しかし、水素ではない)でなければならない)に結合した官能基である。第一カルバメート基Xは、官能基Yが結合している炭素原子よりも少なくとも1個少ない非水素の置換基を有する炭素原子に結合されていなければならないので、置換基RおよびRの少なくとも1つは、Xが結合されている炭素のために水素でなければならない。
【0080】
本明細書中で使用されているように、”第一カルバメート基”は、構造式
【0081】
【化16】

を有する官能基に言及される。従って、本発明の第一カルバメート基は、末端カルバメート基またはペンダントカルバメート基として定義されることができる。付加的に、本発明の方法の1つの視点によれば、生じた反応性化合物は、1個および1個だけの第一カルバメート基を有する。
【0082】
即ち、本発明による方法によって製造される反応性化合物は、少なくとも1つの官能基、即ち第二官能基または第三官能基を有するモノカルバメート官能性化合物に限定されている。
【0083】
本発明による方法によって製造された反応性化合物は、実質的にヘテロ原子を含有しない。本明細書中で使用されるような”ヘテロ原子”は、炭素または水素以外の原子に言及される。本明細書中で使用されるような”実質的に含有しない”の記載は、第一カルバメート基Xまたは第二官能基もしくは第三官能基Yを含まない反応性添加剤(c)の一部分が一般に炭素または水素以外の2個より多い原子、即ちN、O、Si、これらの混合物等を有しないことを意味する。よりいっそう好ましくは、第一カルバメート基Xまたは第三官能基もしくは第二官能基Yを含まない反応性添加剤(c)の一部分は、炭素または水素以外の1個以上の原子を有しない。最も好ましい実施態様において、官能基XおよびYを含まない反応性添加剤(C)の一部分は、ヘテロ原子を有さず、即ち単独で炭素原子および水素から構成されている。即ち、本発明の最も好ましい視点において、反応性添加剤(c)中の唯一のヘテロ原子は、官能基XおよびY中に存在する。
【0084】
官能基Yは、カルバメート基に変換可能な任意の基であることができるが、しかし、カルバメート基であることができない。官能基Yは、好ましくはヒドロキシル基またはハロゲン化物基である。ヒドロキシル基は、官能基Yとしての使用にとって最も好ましい。
【0085】
Yが上記式中で第一炭素原子上に位置していないことは、評価される。むしろ、RがHである場合、官能基Yは、第二官能基であり、Rがアルキル含有基または芳香族化合物含有基、即ち脂肪族基、脂環式基、芳香族基またはこれらの混合物である場合には、官能基Yは、第三官能基である。最も好ましい実施態様において、Yは、第二官能基であり、Rは、水素である。
【0086】
一般に、R、R、R、R、RおよびRは、Hであってよいし、アルキル基、芳香族基またはこれらの混合物であってよい。詳細なアルキル基は、脂肪族基および脂環式基である。適当なアルキル基含有基および芳香族化合物含有基は、一般に1〜16個の炭素原子を有し、直鎖状であってよいし、分枝鎖状であってよい。本明細書中で使用されるように、”分枝鎖状”の用語は、側方の分枝鎖および二又の分枝鎖に言及される。側方の分枝鎖は、炭素鎖の末端原子上での2本の短い鎖の分枝に言及される。二又の分枝鎖は、炭素鎖の中央部での2本の短い鎖の分枝に言及される。任意の個々の置換基は、本明細書中で分枝および二又の双方を有することができる。付加的に、本発明の範囲内で2個以上の種々のR置換基は、互いに結合されている。
【0087】
上記に記載したように、Rは、Hであってよいし、芳香族化合物含有置換基であってよい。最も好ましい実施態様において、Rは、Hであり、したがって官能基Yは、第二官能基である。Rが水素でない場合には、適当な基は、脂肪族基、脂環式基、芳香族基およびこれらの混合物の群から選択される基である。Rとして使用するのに好ましいのは、脂肪族基および脂環式基であり、この場合脂肪族基は、Rとして使用するのに最も好ましい。Rとして使用するのに特に好適な基は、1〜16個の炭素原子を有する脂肪族基および脂環式基であり、この場合Rがアルキル基である場合には、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族基が好ましく、Rがアルキル基である場合には、1〜8個の炭素原子を有する脂肪族基が好ましい。最後に、本発明の範囲内で、Rは、他のR〜R置換基の任意の置換基に結合されたアルキル基または芳香族基である。
【0088】
、R、R、RおよびRは、Hであってよいし、Rについて上記に定義されたような基であってよい。
【0089】
しかしながら、本発明の1つの視点によれば、少なくとも1つのR基またはR基は、脂肪族基、脂環式基、芳香族基およびこれらの混合物から構成されている群から選択されていなければならない。即ち、R置換基およびR置換基の少なくとも1つは、第一カルバメート基Xが、官能基Yが結合している炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合されている限り、水素以外でなければならない。水素でないR基またはR基として使用するのに適した詳細な基は、Rについて上記に定義されたとおりである。RおよびRとして使用するのに好ましいのは、脂肪族基および脂環式基であり、この場合この脂肪族基は、この脂肪族基が水素でない場合にRまたはRとして使用するにも最も好ましい。RおよびRとして使用するのに特に好適な非水素基は、1〜16個の炭素原子を有する脂肪族基および脂環式基であり、この場合RまたはRがアルキル基である場合には、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族基が好ましく、RまたはRがアルキル基である場合には、1〜8個の炭素原子を有する脂肪族基が最も好ましい。最後に、本発明の範囲内で、RまたはRは、他のR置換基、R〜R置換基の任意の置換基に結合されたアルキル基または芳香族基である。
【0090】
上記に記載したように、第一カルバメート基Xは、官能基Yが結合している炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合されていなければならないので、置換基RおよびRの少なくとも1つは、Xが結合されている炭素のための水素でなければならない。この要件は、少なくとも1つのR基またはR基が脂肪族基、脂環式基、芳香族基およびこれらの混合物から構成されている群から選択されなければならないという要件と一致している。nが2であり、Rが水素でない場合、水素でない少なくとも1つのR基またはR基は、第一カルバメート基Xに結合した炭素に直接に隣接した炭素の置換基であることができる。即ち、カルバメート基が結合されている炭素は、第一または第二の置換度を有することができる。nが2より大きく、Rが水素でない場合には、水素でない少なくとも1つのR基またはR基は、カルバメート基が結合されている炭素の置換基であることができるかまたは第一カルバメート基Xに結合された炭素と官能基Yに結合された炭素、即ちCn炭素との間の任意の炭素に対する置換基であることができる。
【0091】
しかしながら、好ましくは、水素でない少なくとも1つのR基またはR基は、カルバメート基Xに直接に結合されていない炭素に結合されている。よりいっそう好ましくは、水素でない少なくとも1つのR基またはR基は、好ましくは官能基Xよりもむしろ官能基Yに隣接して配置された炭素原子に結合されている。nが2である場合、水素でない少なくとも1つのR基またはR基が最も有利に官能基XとYが結合されている炭素間に等間隔で配置されている炭素原子に結合されていることは、評価される。nが3以上である場合、水素でない少なくとも1つのR基またはR基は、最も有利に官能基Yが結合されている炭素原子に隣接している炭素原子に結合されているかまたは官能基Xが結合されている炭素原子よりも官能基Yが結合されている炭素原子に隣接している炭素原子に隣接している。
【0092】
本発明の別の視点によれば、nが2以上の整数であり、したがって官能基XおよびYは、官能基XおよびYに結合されている炭素を含む少なくとも3つの炭素原子によって分離されている。本発明の1つの好ましい実施態様において、nは、2〜12、よりいっそう好ましくは2〜8、最も好ましくは2〜4の整数である。本発明の別の実施態様において、nは、少なくとも3、よりいっそう好ましくは3〜12、最も好ましくは3〜4の整数である。
【0093】
本発明による方法によって製造される反応性添加剤(c)において、n′は、1以上の整数でなければならず、0であってはならない。本発明の好ましい実施態様において、n′は、1〜16、よりいっそう好ましくは1〜12の整数であり、最も好ましくはn′は、1〜8の整数である。
【0094】
、RおよびRは、H、C〜C16脂肪族基、脂環式基、芳香族基およびこれらの混合物から構成されている群から選択される。本発明の1つの好ましい実施態様において、R、RおよびRは、H、脂肪族基、脂環式基およびこれらの混合物から構成された群から選択されることができる。最も好ましい実施態様において、R、RおよびRは、H、脂肪族基およびこれらの混合物から構成された群から選択されている。本発明による1つの実施態様において、R、RおよびRは、Cn′、R、RまたはRに結合されていてよく、環式の環を形成する。
【0095】
本発明の別の視点によれば、一般に、R、RおよびRの少なくとも1つは、n′が1より大きい場合に水素以外の基であることが、好ましい。1つの好ましい実施態様において、R、RおよびRの少なくとも2つは、n′が1より大きい場合に水素以外のもの、即ちC〜C16脂肪族基、脂環式基、芳香族基およびこれらの混合物である。本発明の最も好ましい実施態様において、n′が1より大きい場合には、R、RおよびRの少なくとも3つは、C〜C16脂肪族基、脂環式基、芳香族基およびこれらの混合物の群から選択される。
【0096】
最も好ましい実施態様において、本発明による反応性化合物は、本発明による方法によって製造される。本発明による方法の特殊な利点によれば、生じる反応生成物中で実質的にこの反応生成物中の全ての構造式は、官能基Yが結合されている炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合した第一カルバメート基Xを有する。前記の構造式がこのような反応生成物の提供を欠いていることは、公知技術水準の特別な欠点である。
【0097】
本明細書中で使用されているように、”実質的に”は、生じるモノカルバメート官能性反応生成物の10%以下、好ましくは7%以下、最も好ましくは3%以下が、Y官能基が結合されている炭素原子の置換度に等しいかまたはこの置換よりも高い置換度を有する炭素原子に結合された第一カルバメート基を有することに言及される。未反応の出発物質量がこの計算に含まれないことは、評価される。
【0098】
本発明による方法は、本発明による反応性化合物が化合物(a)と化合物(b)との反応によって製造されることを必要とする。
【0099】
化合物(a)は、少なくとも3個の炭素原子によって分離された官能基Fと官能基Fiiを有しなければならず、この場合官能基FとFiiは、第一カルバメート基に変換可能な官能基から構成されている基から独立に選択され、官能基Fは、官能基Fiiが結合されている炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合されている。
【0100】
官能基FとFiiは、それぞれ独立に第一カルバメート基に変換可能な官能基の群から選択されている。第一カルバメート基に変換可能な官能基FとFiiの好ましい例は、ヒドロキシ基およびハロゲン化物基である。適当なハロゲン化物基は、クロリド、ブロミドおよびヨージドを含み、この場合クロリドは、最も好ましいハロゲン化物である。最も好ましい官能基FとFiiは、ヒドロキシル基である。
【0101】
適当な化合物(a)は、ポリオール、ジオール、ポリハロゲン化物およびジハロゲン化物を含むことができる。しかしながら、ジオールおよびジハロゲン化物を化合物(a)として使用することは、これらジオールおよびジハロゲン化物が最も商業的に入手可能であり、経済的に有用であるので、殊に好ましい。ジオールは、化合物(a)として使用するためには最も好ましい。実際に、ジハロゲン化物およびジオールから構成されている群から選択された化合物(a)の出発物質からの少なくとも1個の官能基を含有する熱的に安定したモノカルバメート化合物を製造する経済的で商業的に有用な方法が提供されることは、本発明の特別な利点である。
【0102】
最も好ましい実施態様において、化合物(a)は、次式:
【0103】
【化17】

〔式中、FとFiiは、ヒドロキシ官能基またはハロゲン化物官能基であり、nは、2以上の整数であり、n′は、1以上の整数であり、R、R、R、R、RおよびRは、独立にHまたはC〜C16脂肪族基、脂環式基、芳香族基またはこれらの混合物の群から選択された基であることができる〕で示されるジオールおよびジハロゲン化物の群から選択される。
【0104】
しかし、本発明の1つの視点によれば、少なくとも1個のR基またはR基は、C〜C16脂肪族基、脂環式基、芳香族基およびこれらの混合物から構成された群から選択される。官能基Fは、官能基Fiiが結合されている炭素原子の置換度よりも低い置換度を有する炭素原子に結合されていなければならない。
【0105】
従って、化合物(a)中で、官能基Fが、官能基Fiiが結合されている炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合されていることは、本発明による方法の1つの重要な視点である。例えば、官能基Fが第一炭素原子に結合された第一官能基(即ち、X−CH−)である場合には、官能基Fiiは、第二炭素原子に結合された官能基(即ち、−C−CH(Y)−Cn′−)または第三炭素原子に結合された官能基(即ち、−C−CR(Y)−Cn′−、こ場合Rは、水素ではなく、上記に定義されたものである)に結合された官能基である。Fが第二炭素原子に結合された第一官能基(即ち、X−CHR−、この場合Rは、上記に定義されたようにRまたはRであるが、しかし、水素ではない)である場合には、Fiiは、第三炭素原子に結合された官能基(即ち、−C−CR(Y)−C−、この場合Rは、水素ではなく、上記に定義されたものである)でなければならない。官能基Fは、官能基Fiiが結合されている炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合されていなければならないので、官能基Fが結合されている炭素上の置換基RおよびRの少なくとも1個は、水素でなければならないことは、評価される。
【0106】
最も好ましい化合物(a)は、実質的にヘテロ原子を含有しない。本明細書中で使用されるような”ヘテロ原子”は、炭素または水素以外の原子に言及される。本明細書中で使用されるような”実質的に含有しない”の記載は、官能基FおよびFiiを含まない化合物(a)の一部分は、一般に炭素または水素以外の原子、即ちN、O、S、これらの混合物等を2個以上有しないことを意味する。よりいっそう好ましくは、官能基FおよびFiiを含まない化合物(a)の一部分は、ヘテロ原子を有しない、即ち単独で炭素原子および水素から構成されている。従って、本発明の最も好ましい視点において、化合物(a)中の唯一のヘテロ原子は、官能基FおよびFii中に存在する。
【0107】
官能基Fiiが上記式中で第一炭素原子上に位置していないことは、評価される。むしろ、RがHである場合、官能基Fiiは、第二官能基であり、Rが水素でなく、脂肪族基、脂環式基、芳香族基またはこれらの混合物の群から選択される場合には、官能基Fiiは、第三官能基である。最も好ましい実施態様において、Fiiは、第二官能基であり、R0は、水素である。
【0108】
一般に、R、R、R、R、RおよびRは、Hであることができるか、またはアルキル基、芳香族基またはこれらの混合物であることができる。詳細なアルキル基は、脂肪族基および脂環式基である。適当なアルキル含有基および芳香族化合物含有基は、一般に1〜16個の炭素原子を有し、直鎖状または分枝鎖状である。本明細書中で使用されているように、”分枝鎖状”の用語は、側方の分枝鎖および二又の分枝鎖に言及される。側方の分枝鎖は、炭素鎖の末端原子上での2本の短い鎖の分枝に言及される。二又の分枝鎖は、炭素鎖の中央部での2本の短い鎖の分枝に言及される。任意の個々の置換基は、本明細書中で分枝および二又の双方を有することができる。付加的に、本発明の範囲内で2個以上の種々のR置換基は、互いに結合されている。
【0109】
上記に記載したように、Rは、Hであってよいし、アルキルもしくは芳香族化合物含有基またはこれらの混合物であってよい。最も好ましい実施態様において、Rは、Hであり、したがって官能基Fiiは、第二官能基である。Rが水素でない場合には、適当な基は、脂肪族基、脂環式基、芳香族基およびこれらの混合物の群から選択される基である。Rとして使用するのに好ましいのは、脂肪族基および脂環式基であり、この場合脂肪族基は、Rとして使用するのに最も好ましい。Rとして使用するのに特に好適な基は、1〜16個の炭素原子を有する脂肪族基および脂環式基であり、この場合Rがアルキル基である場合には、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族基が好ましく、Rがアルキル基である場合には、1〜8個の炭素原子を有する脂肪族基が最も好ましい。最後に、本発明の範囲内で、Rは、他のR〜R置換基の任意の置換基に結合されたアルキル基または芳香族基である。
【0110】
、R、R、RおよびRは、Hであってよいし、Rについて上記に定義されたような基であってよい。
【0111】
しかしながら、本発明の1つの視点によれば、少なくとも1つのR基またはR基は、脂肪族基、脂環式基および芳香族基から構成されている群から選択されていなければならない。即ち、R置換基およびR置換基の少なくとも1つは、官能基Fが、官能基Fiiが結合している炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合されている限り、水素以外でなければならない。水素でないR基またはR基として使用するのに適した詳細な基は、Rについて上記に定義されたとおりである。RおよびRとして使用するのに好ましいのは、脂肪族基および脂環式基であり、この場合この脂肪族基は、この脂肪族基が水素でない場合にRまたはRとして使用するにも最も好ましい。RおよびRとして使用するのに特に好適な非水素基は、1〜16個の炭素原子を有する脂肪族基および脂環式基であり、この場合RまたはRがアルキル基である場合には、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族基が好ましく、RまたはRがアルキル基である場合には、1〜8個の炭素原子を有する脂肪族基が最も好ましい。最後に、本発明の範囲内で、RまたはRは、他のR置換基、R〜R置換基の任意の置換基に結合されたアルキル基または芳香族基である。
【0112】
上記に記載したように、官能基Fは、官能基Fiiが結合している炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合されていなければならないので、置換基RおよびRの少なくとも1つは、Fが結合されている炭素のための水素でなければならない。この要件は、少なくとも1つのR基またはR基が脂肪族基、脂環式基、芳香族基およびこれらの混合物から構成されている群から選択されなければならないという要件と一致している。nが2であり、Rが水素でない場合、水素でない少なくとも1つのR基またはR基は、第一カルバメート基Xに結合した炭素に直接に隣接した炭素の置換基であることができる。即ち、カルバメート基が結合されている炭素は、第一または第二の置換度を有することができる。nが2より大きく、Rが水素でない場合には、水素でない少なくとも1つのR基またはR基は、カルバメート基が結合されている炭素の置換基であることができるかまたは官能基Fiに結合された炭素と官能基Fiiに結合された炭素、即ちCn炭素との間の任意の炭素に対する置換基であることができる。
【0113】
しかしながら、好ましくは、水素でない少なくとも1つのR基またはR基は、官能基Fに直接に結合されていない炭素に結合されている。よりいっそう好ましくは、水素でない少なくとも1つのR基またはR基は、好ましくは官能基Fよりもむしろ官能基Fiiに隣接して配置された炭素原子に結合されている。nが2である場合、水素でない少なくとも1つのR基またはR基が最も有利に官能基FとFiiが結合されている炭素間に等間隔で配置されている炭素原子に結合されていることは、評価される。nが3以上である場合、水素でない少なくとも1つのR基またはR基は、最も有利に官能基Fiiが結合されている炭素原子に隣接している炭素原子に結合されているかまたは官能基Fが結合されている炭素原子よりも官能基Fiiが結合されている炭素原子に隣接している炭素原子に隣接している。
【0114】
本発明の別の視点によれば、nが2以上の整数であり、したがって官能基FおよびFiiは、官能基FおよびFiiに結合されている炭素を含む少なくとも3つの炭素原子によって分離されている。本発明の1つの好ましい実施態様において、nは、2〜12、よりいっそう好ましくは2〜8、最も好ましくは2〜4の整数である。本発明の別の実施態様において、nは、少なくとも3、よりいっそう好ましくは3〜12、最も好ましくは3〜4の整数である。
【0115】
本発明による方法で使用される最も好ましい化合物(a)において、n′は、1以上の整数でなければならず、0であってはならない。本発明の好ましい実施態様において、n′は、1〜16、よりいっそう好ましくは1〜12の整数であり、最も好ましくはn′は、2〜8の整数である。
【0116】
、RおよびRは、H、C〜C16脂肪族基、脂環式基、芳香族基およびこれらの混合物から構成されている群から選択される。本発明の1つの好ましい実施態様において、R、RおよびRは、H、脂肪族基、脂環式基およびこれらの混合物から構成された群から選択されることができる。最も好ましい実施態様において、R、RおよびRは、H、脂肪族基およびこれらの混合物から構成された群から選択されている。本発明による1つの実施態様において、R、RおよびRは、Cn′、R、RまたはRに結合されていてよく、環式の環を形成する。
【0117】
本発明の別の視点によれば、一般に、R、RおよびRの少なくとも1つは、n′が1より大きい場合に水素以外の基であることが、好ましい。1つの好ましい実施態様において、R、RおよびRの少なくとも2つは、n′が1より大きい場合に水素以外のもの、即ちC〜C16脂肪族基、脂環式基、芳香族基およびこれらの混合物である。本発明の最も好ましい実施態様において、n′が1より大きい場合には、R、RおよびRの少なくとも3つは、C〜C16脂肪族基、脂環式基、芳香族基およびこれらの混合物の群から選択される。
【0118】
本発明による方法の1つの好ましい実施態様に使用するための詳細な化合物(a)は、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−オクタンジオール、1−ヒドロキシメチルシクロヘキサン−4−オールおよび化合物(a)のために好ましい式の上記要件を満たす全ての前記化合物の異性体を含む。
【0119】
本明細書中で使用されるような”異性体”は、同じ実験的化学式を有する構造異性体および位置異性体に言及される。幾つかの構造異性体の詳細な例は、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールおよび2−プロピル−1,3−ペンタンジオールである。位置異性体の詳細な例は、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールおよび2−エチル−1,4−ヘキサンジオールである。構造異性体および位置異性体の双方である異性体の詳細な例は、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールおよび2−プロピル−1,4−ペンタンジオールである。しかし、本発明の要件を満足させる異性体だけが適している、即ちこの異性体が、(1)式:
【0120】
【化18】

〔式中、FiおよびFiiは、ヒドロキシ基またはハロゲン化物基であり、nは、2以上の整数であり、n′は、1以上の整数であり、R、R、R、R、RおよびRは、独立にH、アルキル基、芳香族基またはこれらの混合物であり、(2)前記式中のR基またはR基の少なくとも1つは、水素であってはならず、(3)最も重要なことに、官能基Fは、官能基Fiiが結合している炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合されていなければならない〕で示される要件を有しなければならないことは、評価される。
【0121】
1つの好ましい実施態様において、化合物(a)は、特に好ましい異性体分布を有する化合物(a)のための好ましい式の構成要素から選択される。本明細書中で使用されるような”異性体分布”は、材料を形成する個々の異性体の数に言及される。特に好ましい異性体分布は、化合物(a)が少なくとも4個以上の個々の異性体または構造を有する異性体の混合物である場合のものである。前記材料から本発明により形成されて生じる生成物は、天然で非結晶性である著しい傾向を有する。これは、低いVOCの塗料を得るために有利である。
【0122】
しかしながら、1つの構造または異性体から構成されている化合物(a)であっても低いVOCの塗料に関連して受け容れ可能な性能のレベルを提供することは、評価される。特殊な理論に関連付けられることは、望ましくないけれども、これは、特殊な化合物(a)、ひいては本発明による最終的な反応性化合物中で見い出された低い対称度に帰因しうることは、確実である。
【0123】
化合物(b)の選択度が化合物(a)の官能基FおよびFiiの選択度に若干依存することは、評価される。一般に、官能基(i)がヒドロキシル基である場合には、このヒドロキシル基は、アルキルカルバメート、シクロアルキルカルバメート、エーテルカルバメート、β−ヒドロキシアルキルカルバメート、アリールカルバメート、例えば尿素およびホスゲンの分解、引続くアンモニアとの反応によって製造されるシアン酸から構成されている群から選択された化合物(b)との反応によって第一カルバメートに変換される。官能基(i)がハロゲン化物基である場合には、このハロゲン化物基は、P. Adams & F. Baron, "Esters of Carbamic Acid", Chemical Review, v. 65, 1965中で論議されたように、金属カルバミン酸塩、例えばカルバミン酸銀との反応によって第一カルバメート基に変換されうる。1つの好ましい実施態様において、化合物(b)は、アルキルカルバメート、シクロアルキルカルバメート、エーテルカルバメートおよびアリールカルバメートならびにこれらの混合物の群から選択され、この場合アルキルカルバメートは、化合物(b)として最も好ましい。
【0124】
詳細なアルキルカルバメート、シクロアルキルカルバメートおよびアリールカルバメートは、メチルカルバメート、プロピルカルバメート、n−ブチルカルバメート、シクロヘキシルカルバメート、t−ブチルカルバメート、イソプロピルカルバメートおよびフェニルカルバメートを含む。ヒドロキシルアルキルカルバメートの例は、ヒドロキシエチルカルバメートである。エーテルカルバメートの例は、2−メトキシエチルカルバメートである。(b)が前記化合物から選択される場合には、適当な化合物(a)との反応により、アルコール、フェノール、エーテルアルコールおよび副生成物として関連した物質が生じることは、評価される。化合物(b)として使用するのに最も好ましいアルキルカルバメートの例は、メチルカルバメート、イソプロピルカルバメートおよびn−ブチルカルバメートを含む。
【0125】
化合物(a)および化合物(b)は、カルバメート基に対して官能基Fiiの形成の最少化を意図した条件下で反応される。一般に、化合物(a)および(b)は、化合物(a)の出発量に対して官能基(ii)の10%以下がカルバメート基に変換されるような条件下で反応される。化合物(a)および(b)は、化合物(a)の出発量に対してそれぞれ、よりいっそう好ましくは、官能基Fiiの5%以下がカルバメート基に変換され、最も好ましくは、官能基(ii)の4%以下がカルバメート基に変換されるような条件下で反応される。
【0126】
従って、ジカルバメート種の形成は、本発明による方法においては著しく不利である。ジカルバメートの形成を不利にする1つの方法は、不足量の化合物(b)を使用すること、即ちこの場合には、化合物(b)の官能基の当量が化合物(a)の出発量に対して官能基Fの当量よりも低いことである。この場合、官能基Fに関連して使用される化合物(b)の当量は、0.99対1から0.25対1の範囲内にあることができる。1当量または1当量よりも多い化合物(b)が化合物(a)上の官能基Fとの比較で使用される場合にジカルバメートの形成を不利にするために使用されうる選択的方法は、官能基Fの全てが第一カルバメートに変換される前に反応を停止させることである。この第2の方法は、例えばトランスカルバメート化反応のような高い選択度を有する反応条件のために最も有利に作業される。比較した場合、この方法は、ヒドロキシ基とシアン酸との間の非選択的反応のようなより多数の非選択的反応において不利であろう。
【0127】
特殊な理論に関連付けることは、望ましくないけれども、これら2つのアプローチの効果は、化合物(a)上の立体障害補助官能基(steric hindrance surrouding functional group)FおよびFiiの相対的度合いを増加させることによって増加されうることが確認されている。即ち、一般にジカルバメート形成は、立体障害補助官能基Fiiの程度が立体障害補助官能基Fの程度よりも大きい場合に減少される。この関係は、選択された反応の方法にも拘わらず真実が維持されることが確信される。
【0128】
官能基Fの必ずしも全てが第一カルバメートに変換されなかったとしても、過剰量の未反応の出発物質(a)は、公知技術、例えば真空蒸留、抽出または濾過によって除去されることができるかまたは下記に論議したように留まっていてもよい。
【0129】
幾つかの場合、反応性化合物(C)中での未反応の出発物質(a)の存在は、本発明の硬化性塗料においては望ましい。本発明の硬化性塗料中に留まる場合には、未反応の出発物質(a)の存在は、溶剤、反応性希釈剤または双方として作用しうる。選択的に、任意の過剰量の未反応の出発物質(a)は、最初に上記の記載のように除去されてよい。
【0130】
本発明の1つの視点によれば、成分(A)および(B)の少なくとも1つまたは双方は、反応性化合物(C)の官能基XおよびYの1つまたは双方と反応する少なくとも1つの基を有する。1つの好ましい実施態様において、硬化剤(B)は、反応性化合物(C)の官能基XおよびYの1つまたは双方と反応され、結合剤(A)および反応性化合物(C)の双方との反応が進行しうるような量で使用される。これは、アミノプラストを成分(B)として選択することによって達成されうる。また、化合物(B)として上記のように同定された他の化合物は、硬化条件に依存して反応性化合物(C)の官能基XおよびYの1つまたは双方と反応させることができる。例えば、1つの好ましい実施態様において、硬化剤(B)は、硬化剤(B)の混合物、例えばアミノプラストとイソシアネート官能性化合物との混合物を有する。選択的に、結合剤(A)は、カルバメートと反応する基、例えばイソブトキシメチルアクリルアミド基含有アクリル酸ポリマーを含有することができる。
【0131】
溶剤は、場合によっては本発明の硬化性塗料中に利用されることができる。本発明により使用される組成物は、例えば実質的に固体粉末または分散液の形で利用されることができるけれども、しばしばこの組成物は、溶剤の使用で達成されることができる実質的に液体の状態であることが望ましい。この溶剤は、結合剤(A)、硬化剤(B)および反応性化合物(C)に関連して溶剤として作用する。一般に、溶剤は、成分(A)、(B)および(C)の溶解度特性に依存して、任意の有機溶剤および/または水であることができる。1つの好ましい実施態様において、溶剤は、極性有機溶剤である。よりいっそう好ましくは、溶剤は、極性脂肪族溶剤または極性芳香族溶剤である。なお、よりいっそう好ましくは、溶剤は、ケトン、エステル、アセテート、非プロトン性アミド、非プロトン性スルホキシドまたは非プロトン性アミンである。有用な溶剤の例は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、m−アミルアセテート、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、キシレン、N−メチルピロリドンまたは芳香族炭化水素の配合物を含む。別の好ましい実施態様において、溶剤は、水または水と少量の補助溶剤との混合物である。
【0132】
また、ペイント組成物の残分の形成に依存して、低いレベルの付加的な溶剤を有する液体ペイントを有することもでき、この場合反応性化合物(C)は、反応性希釈剤として作用する。最も好ましい場合には、化合物(C)以外の溶剤は、存在しない。これは、本質的に零のVOCの塗料を提供することで評価される。それというのも、化合物(C)は、最終的に皮膜形成反応に入るからである。
【0133】
本発明の硬化性塗料は、触媒を含むことができ、硬化反応を強化させる。例えば、アミノプラスト化合物、殊にモノマーのメラミンが硬化剤(B)として使用される場合には、強酸の触媒は、硬化反応を強化させるために利用されてよい。このような触媒は、刊行物中に十分に公知であり、例えばp−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェニル酸ホスフェート、モノブチルマレエート、ブチルホスフェートおよびヒドロキシホスフェートエステルを含む。強酸の触媒は、しばしば例えばアミンで封鎖されている。本発明の組成物中で有用であることができる他の触媒は、ルイス酸、亜鉛酸塩および錫酸塩を含む。
【0134】
本発明の1つの好ましい実施態様において、溶剤は、塗料組成物中に約0.00質量%〜約99質量%、好ましくは約10質量%〜約60質量%、よりいっそう好ましくは約30質量%〜約50質量%の量で存在する。
【0135】
使用される任意の付加的薬剤、例えば界面活性剤、充填剤、安定剤、湿潤剤、分散剤、付着促進剤、UV吸収剤、HALS等は、本発明による塗料組成物中に配合されてよい。前記薬剤は、刊行物中に十分に公知であるけれども、使用される量は、塗料の特性に不利な影響を及ぼさないように制御されなければならない。
【0136】
本発明による硬化性塗料は、幅広く種々の用途、例えばプライマー、ベースコート、クリヤーコート、二成分系、耐チッピング塗料、水性塗料、溶剤塗料、柔軟な支持体用の塗料、溶剤なしの液体塗料、粉末塗料等々に使用されてよい。1つの好ましい実施態様において、本発明による硬化性塗料は、高光沢の塗料および/またはカラークリヤーを組み合わせた複合塗料のクリヤーコート中に有利に利用される。本明細書中で使用されるような高光沢の塗料は、20゜の光沢(ASTM D523−89)または少なくとも80のDOI(ASTM E430−91)を有する塗料である。
【0137】
本発明による塗料組成物は、高光沢の顔料添加されたペイント塗料として使用され、顔料は、任意の有機化合物もしくは無機化合物または着色された材料、充填剤、金属フレーク材料もしくは他の無機フレーク材料、例えば雲母またはアルミニウムフレークならびに顔料として通常の名称を有する種類の他の材料であることができる。顔料は、通常、組成物中で成分A、BおよびCの全固体含量に対して1%〜100%の量で使用される(即ち、0.1:1のP:B比)。
【0138】
本発明による塗料組成物をカラークリヤーを組み合わせた複合塗料のクリヤーコートとして使用する場合には、顔料添加されたベースコートは、刊行物中で十分に公知の多数の任意の型であることができ、本明細書中での詳細な説明を必要としない。ベースコート中で有用である刊行物中で公知のポリマーは、アクリル酸、ビニル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、アルキドおよびポリシロキサンを含む。好ましいポリマーは、アクリル酸およびポリウレタンを含む。本発明の1つの好ましい実施態様において、ベースコートは、カルバメート官能性アクリル酸ポリマーを使用している。ベースコートは、熱可塑性樹脂であることができるが、しかし、好ましくは、架橋性であり、1つ以上の型の架橋性官能基を有する。このような基は、例えばヒドロキシ基、イソシアネート基、アミン基、エポキシ基、アクリレート基、ビニル基、シラン基およびアセトアセテート基を含む。これらの基は、これらの基が封鎖されずに望ましい条件下、一般に高められた温度で架橋反応に有用である程度にマスクされていてよいし、封鎖されていてよい。有用な架橋性官能基は、ヒドロキシ基、エポキシ基、酸基、無水物基、シラン基およびアセトアセテート基を含む。好ましい架橋性官能基は、ヒドロキシ官能基およびアミノ官能基を含む。
【0139】
ベースコートのポリマーは、熱可塑性で自己架橋性であってよいし、ポリマーの官能基と反応する別々の架橋剤を必要としてもよい。ポリマーが例えばヒドロキシ官能基を有する場合には、架橋剤は、アミノプラスト樹脂、イソシアネートおよび封鎖されたイソシアネート(イソシアヌレートを含む)ならびに酸または無水物官能性架橋剤であることができる。
【0140】
本発明による塗料組成物は、刊行物中で十分に公知の多数の任意の技術によって製品上または表面上で塗布されることができる。これは、例えば噴霧塗布、浸漬塗布、ロール塗布、流し塗り等々を含む。自動車車体の板のためには、噴霧塗布が好ましい。
【0141】
本明細書中に記載された塗料組成物は、好ましくは塗料層を硬化させる程度の条件にかけられる。種々の硬化方法を使用することができるけれども、熱硬化が好ましい。一般に、熱硬化は、塗布された製品を最初に照射熱源によって提供される高められた温度に晒すことによって行なわれる。硬化温度は、架橋剤に使用される特殊な封鎖基に依存して変動するが、しかし、この硬化温度は、一般に93℃〜177℃の範囲内にある。本発明による化合物(C)は、比較的低い硬化温度であっても反応性である。従って、1つの好ましい実施態様において、封鎖された酸触媒系にとって、硬化温度は、好ましくは115℃〜150℃、よりいっそう好ましくは115℃〜138℃である。封鎖されていない酸触媒系にとっては、硬化温度は、好ましくは82℃〜99℃である。硬化時間は、使用される特殊な成分および物理的パラメーター、例えば層厚に依存して変動するが、しかし、典型的な硬化時間は、封鎖された酸触媒系にとって15〜60分間、好ましくは15〜25分間であり、封鎖されていない触媒系にとっては、10〜20分間である。
【0142】
更に、本発明を次の実施例に記載する。全ての部および百分率は、別記しない限り、質量によるものである。
【0143】
実施例
例1
本発明による方法による反応性化合物(C)の製造
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール55.69部とメチルカルバメート20.94部とトルエン23.26部とジブチル錫オキシド0.07部との混合物を、不活性の雰囲気下で還流下に抽出器を備えた反応器中で加熱し、この場合この抽出器は、メタノールを除去することができるが、しかし、トルエンを反応混合物に返送した。1回の還流で、不活性の雰囲気は停止させた。付加的なジブチル錫オキシド0.04部を最初の3時間後に還流下に添加した。付加的なトルエンを反応混合物に添加し、還流温度を130℃以下に維持した。ヒドロキシ基の理論量の〜85%がカルバメート基に変換された時点で、反応を停止させた。次に、遊離メチルカルバメート、トルエンおよび幾つかの未反応の2−エチル−1,3−ヘキサンジオールを真空蒸留によって除去した。最終生成物は、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール55.5%と3−ヒドロキシ−2−エチルカルバメート42.3%と2−エチルヘキサン−1,3−ジカルバメート2.2%との混合物であった。
【0144】
例2
本発明による方法による反応性化合物(C)の製造
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール45.52部とメチルカルバメート23.4部とブチル錫ヒドロキシドオキシド0.08部とトルエン30.4部との混合物を、不活性の雰囲気下で還流下に抽出器を備えた反応器中で加熱し、この場合この抽出器は、メタノールを除去することができるが、しかし、トルエンを反応混合物に返送した。1回の還流で、不活性の雰囲気は停止させた。モノカルバメート生成物の理論量の約半分が形成された時点で反応を停止させた。次に、オクタンチオール0.6部を添加し、反応混合物を100℃で1.5時間維持した。次に、遊離メチルカルバメート、トルエン、オクタンジオールおよび幾つかの未変換の2−エチル−1,3−ヘキサンジオールを真空蒸留によって除去した。最終生成物は、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール43.0%と3−ヒドロキシ−2−エチルヘキサンカルバメート53.2%と2−エチルヘキサン−1,3−ヘキサンジカルバメート3.7%との混合物であった。
【0145】
例3
本発明による硬化性塗料の予想される製造
次の材料をステンレス鋼製の二五桝(one-quart)の大きさの容器で添加し、その後に中程度に攪拌しながら(混合羽根)約15〜20分間置いた。生じる透明な塗料組成物は、57.0%の理論的%NVを有していた。
【0146】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性塗料において、
(A)官能基を含有する1個以上の活性水素を有する結合剤、
(B)結合剤(A)の官能基と反応する1個以上の官能基を有する硬化剤および
(C)式:
【化1】

〔式中、
Xは、第一カルバメート基であり、
Yは、ヒドロキシ基またはハロゲン化物基であり、
nは、2以上の整数であり、
n′は、1以上の整数であり、
、R、R、R、RおよびRは、独立にH、アルキル基、芳香族基またはこれらの混合物であり、但し、この場合
(i)R基またはR基の少なくとも1つは、水素ではなく、
(ii)実質的に全ての構造において、第一カルバメート基Xは、官能基Yが結合している炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合されている〕で示される1つ以上の構造を有する反応性化合物を有することを特徴とする、硬化性塗料。
【請求項2】
反応性化合物(C)が1つの構造を有する、請求項1記載の硬化性塗料。
【請求項3】
反応性化合物(C)が少なくとも2つの構造を有する、請求項2記載の硬化性塗料。
【請求項4】
反応性化合物(C)が少なくとも4つの構造を有する、請求項2記載の硬化性塗料。
【請求項5】
Yがヒドロキシ基である、請求項1記載の硬化性塗料。
【請求項6】
nが2〜12の整数である、請求項1記載の硬化性塗料。
【請求項7】
nが2〜8の整数である、請求項6記載の硬化性塗料。
【請求項8】
nが2〜4の整数である、請求項7記載の硬化性塗料。
【請求項9】
nが少なくとも3の整数である、請求項1記載の硬化性塗料。
【請求項10】
nが3〜12の整数である、請求項9記載の硬化性塗料。
【請求項11】
nが3〜4の整数である、請求項10記載の硬化性塗料。
【請求項12】
n′が1〜16の整数である、請求項1記載の硬化性塗料。
【請求項13】
n′が1〜12の整数である、請求項12記載の硬化性塗料。
【請求項14】
n′が1〜8の整数である、請求項13記載の硬化性塗料。
【請求項15】
Xが結合している炭素上の置換基RおよびRの少なくとも1つが水素である、請求項1記載の硬化性塗料。
【請求項16】
Xが結合している炭素上の置換基RおよびRの双方が水素である、請求項15記載の硬化性塗料。
【請求項17】
がHである、請求項16記載の硬化性塗料。
【請求項18】
が水素ではない、請求項16記載の硬化性塗料。
【請求項19】
がC〜C16−脂肪族基、C〜C16−脂環式基、C〜C16−芳香族基およびその混合物からなる群から選択されている、請求項17記載の硬化性塗料。
【請求項20】
がC〜C12−脂肪族基からなる群から選択されている、請求項19記載の硬化性塗料。
【請求項21】
がC〜C−脂肪族基からなる群から選択されている、請求項20記載の硬化性塗料。
【請求項22】
Xが結合している炭素上の置換基RおよびRの少なくとも1つが水素ではなく、Rが水素ではない、請求項15記載の硬化性塗料。
【請求項23】
Xが結合している炭素上の置換基RおよびRの少なくとも1つがC〜C16−脂肪族基、C〜C16−脂環式基、C〜C16−芳香族基およびその混合物からなる群から選択されている、請求項22記載の硬化性塗料。
【請求項24】
がC〜C16−脂肪族基、C〜C16−脂環式基、C〜C16−芳香族基およびその混合物からなる群から選択されている、請求項22記載の硬化性塗料。
【請求項25】
がC〜C12−脂肪族基からなる群から選択されている、請求項24記載の硬化性塗料。
【請求項26】
がC〜C−脂肪族基からなる群から選択されている、請求項25記載の硬化性塗料。
【請求項27】
水素ではないR基またはR基の少なくとも1つは、官能基Xが結合している炭素原子よりも官能基Yが結合している炭素原子に隣接して位置している炭素原子に結合されている、請求項1記載の硬化性塗料。
【請求項28】
nが2であり、水素ではないR基またはR基の少なくとも1つは、官能基Yが結合している炭素原子と官能基Xが結合している炭素原子との間に等間隔で位置している炭素原子に結合されている、請求項27記載の硬化性塗料。
【請求項29】
nが3またはそれ以上であり、水素ではないR基またはR基の少なくとも1つは、官能基Xが結合している炭素原子よりも官能基Yが結合している炭素原子に隣接して位置している炭素原子に結合されている、請求項27記載の硬化性塗料。
【請求項30】
nが3またはそれ以上であり、水素ではないR基またはR基の少なくとも1つは、官能基Yが結合している炭素原子に隣接している炭素原子に結合されている、請求項29記載の硬化性塗料。
【請求項31】
、RおよびRがH、C〜C16−脂肪族基、C〜C16−脂環式基、C〜C16−芳香族基およびその混合物からなる群から選択されている、請求項1記載の硬化性塗料。
【請求項32】
n′が1より大きく、R、RおよびRの少なくとも1つがC〜C16−脂肪族基、C〜C16−脂環式基、C〜C16−芳香族基およびその混合物からなる群から選択されている、請求項1記載の硬化性塗料。
【請求項33】
、RおよびRの少なくとも2つがC〜C16−脂肪族基、C〜C16−脂環式基、C〜C16−芳香族基およびその混合物からなる群から選択されている、請求項32記載の硬化性塗料。
【請求項34】
、RおよびRの少なくとも3つがC〜C16−脂肪族基、C〜C16−脂環式基、C〜C16−芳香族基およびその混合物からなる群から選択されている、請求項33記載の硬化性塗料。
【請求項35】
(A)官能基を含有する1個以上の活性水素を有する結合剤、
(B)結合剤(A)の官能基と反応する1個以上の官能基を有する硬化剤および
(C)式:
【化2】

〔式中、
Xは、第一カルバメート基であり、
Yは、ヒドロキシ基またはハロゲン化物基であり、
nは、2以上の整数であり、
n′は、1以上の整数であり、
、R、R、R、RおよびRは、Hであってもよいし、アルキル基であってもよく、但し、この場合
(i)R基またはR基の少なくとも1つは、水素ではなく、
(ii)第一カルバメート基Xは、官能基Yが結合している炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合されている〕で示される反応性化合物を有する硬化性塗料において、
前記の反応性添加剤が
少なくとも3個の炭素原子によって分離された官能基Fおよび官能基Fiiを有する化合物(a)を準備し、この場合
(1.)官能基Fおよび官能基Fiiは、ヒドロキシ基またはハロゲン化物基であり、
(2.)官能基Fは、官能基Fiiが結合している炭素原子よりも低い置換度を有する炭素原子に結合しており、
官能基Fiiと反応する少なくとも1個の官能基(iii)を有する1つ以上の化合物(b)を準備し、第一カルバメート基を生じさせ、
反応性化合物(a)を化合物(b)と反応させ、反応性化合物を生じさせることよりなる方法によって製造されたものであることを特徴とする、硬化性塗料。

【公表番号】特表2006−504840(P2006−504840A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549966(P2004−549966)
【出願日】平成15年9月24日(2003.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/030294
【国際公開番号】WO2004/041949
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(591020700)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (53)
【氏名又は名称原語表記】BASF Corporation
【住所又は居所原語表記】3000 Continental Drive−North,Mount Olive, NJ 07828−1234, U.S.A
【Fターム(参考)】