説明

3官能UV吸収性化合物およびその用途

眼用レンズの製造に有用な3官能化合物が本明細書に記載される。前記化合物は、重合開始剤が直接または間接的に結合したUV吸収剤、および前記紫外線吸収剤に直接または間接的に結合したオレフィン基から構成されている。また、前記本明細書に記載された3官能化合物から製造されたポリマーおよび眼用レンズも、本明細書に記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線(「UV」)の照射を遮断し、それによって角膜をUV照射による損傷からある程度保護することのできる眼用レンズ(コンタクトレンズおよび眼内レンズを含む)を作るのに有用な化合物に関する。本発明はまた、UV吸収性眼用レンズおよびUV吸収性眼用レンズの作成方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、コンタクトレンズは、いわゆるキャスト成型法により大量に生産されており、その方法は、型内におけるビニルモノマーおよび/またはビニルマクロマーを含むレンズ形成用組成物の熱もしくはUV光誘発性フリーラジカル重合を伴う。UV光誘発性重合法が一般に好まれるが、そのプロセスサイクルは熱誘発性重合プロセスよりも短いからである。一定の適用においては、眼用レンズにUV吸収剤を導入することが望ましい。一つの方法は、重合可能なUV吸収剤をほかのレンズ形成ビニルモノマーおよび/またはマクロマーと共重合させることであり、その結果、UV吸収剤が共重合体に共有結合により結合する。共重合可能なベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンおよびトリアジンUV吸収剤(それらのUV吸収性残基に共有結合により連結したエチレン性不飽和基を含んでいる)は知られており、過去使用されている。しかしながら、公知の重合可能なUV吸収剤を使用することには、いくつかの不利益が伴う。第一に、レンズ中へのUV吸収剤の導入効率は一定ではないかもしれない。さらに、レンズ形成組成物中に存在するUV吸収剤は、重合開始に利用できるUV照射量を減少させる可能性があり、得られるレンズ中へのUV吸収剤の共有結合の導入効率さえも減少させうる。未反応のUV吸収剤は、一般的に1以上の抽出工程によってレンズから除去されなければならない。第二に、UV吸収剤は、レンズ形成組成物の非効率的な、または不均一な重合という結果をもたらしうる。
【0003】
したがって、比較的高い導入効率を有し、かつレンズ形成組成物のUV光重合に対する悪影響が最小限である新規なUV吸収性化合物を持つことが望ましいであろう。
【0004】
UV遮断性(またはUV吸収性)眼用レンズの製造に有用な3官能化合物が本明細書に記載される。その化合物は、UV吸収性部分、該UV吸収性部分に直接または間接的に結合した重合開始剤部分、および前記UV吸収性部分に直接または間接的に結合したオレフィン性(エチレン性)不飽和基から構成されていて、他のレンズ形成材料(たとえば、エチレン性不飽和化合物)と重合することができる。好ましい態様では、前記化合物は必ずしもレンズ形成材料の硬化時の重合を妨害しない。本発明の3官能UV吸収性化合物を使用してUV吸収性眼用レンズを作成する方法だけでなく、本明細書に記載される3官能化合物から製造されるポリマーおよび眼用レンズもまた、本明細書に記載される。本発明の優位性は、一部は以下の記載で説明され、また一部は当該記載から自明であるか、または以下に記載される態様を実施することにより理解しうる。以下に記載される優位性は、添付の特許請求の範囲に具体的に示された要素および組み合わせの手段により実現され、達成されるであろう。以上の一般記載および以下の詳細な説明は例示的かつ説明的なものにすぎないのであって、限定的なものではないことが理解されるべきである。
【0005】
本明細書に取り込まれ、その一部を構成する添付の図面は、以下に記載されるいくつかの態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本発明の好ましい3官能化合物の構造を示す。
【図2】図2は、本発明の好ましい3官能化合物を製造するための反応スキームの例を示す。
【図3】図3は、本発明の好ましい3官能化合物を製造するための反応スキームの例を示す。
【図4】図4は、本発明の好ましい3官能化合物を製造するための反応スキームの例を示す。
【図5】図5は、本発明の好ましい3官能化合物を製造するための反応スキームの例を示す。
【図6】図6は、本発明の好ましい3官能化合物を製造するための反応スキームの例を示す。
【図7】図7は、本発明の好ましい3官能化合物を製造するための反応スキームの例を示す。
【図8】図8は、本発明の好ましい3官能化合物を製造するための反応スキームの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本3官能化合物、組成物および方法が開示され記載される前に、以下に記載される態様は特定の化合物、合成方法または用途に限定されるのではなく、それ自体は、もちろん変化しうることが理解されるべきである。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様を記載する目的のためだけのものであり、限定することを意図しているのではないことが理解されるべきである。
【0008】
本明細書およびそれに続く特許請求の範囲において、以下の意味を有すると定義される多くの用語が言及されるであろう。
【0009】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないと示さない限り、それの指示対象の複数形を含む。したがって、たとえば「一つのモノマー」は、二つ以上のそのようなモノマーの混合物などを含む。
【0010】
「場合による」または「場合により」は、それに続いて記載される事象または状況が起こることも起こらないこともあることを意味し、その記載は、前記事象または状況が起こる場合、および起こらない場合を含む。たとえば、「任意のリンカー」という言葉は、リンカーが存在することもしないこともあることを意味する。
【0011】
そうではないと定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野における通常の知識を有する者が通常理解するのと同じ意味を有している。本開示全体にわたって採用されるが、以下の用語は、そうではないと示されない限り、以下の意味を有するものと理解されるべきである。
【0012】
本明細書で使用される用語「アルキル基」は、炭素原子1〜24個の分岐しているか、または分岐していない飽和炭化水素の一価の基である。「低級アルキル」基とは、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0013】
本明細書で使用される用語「アリール基」は、炭素系芳香族基であり、ベンゼン、ナフタレンなどを含むが、それらに限定されない。用語「芳香族」はまた、「ヘテロアリール基」を含み、それは少なくとも一つのヘテロ原子がその環中に組み込まれた芳香族基と定義される。ヘテロ原子の例としては、窒素、酸素、硫黄およびリンが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は置換されていてもされていなくてもよい。アリール基は、下記のものに限定されるものではないが、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ハライド、ニトロ、アミノ、エステル、ケトン、アルデヒド、ヒドロキシ、カルボン酸またはアルコキシの一つ以上の基で置換されていてもよい。
【0014】
本明細書で使用される用語「アルコキシ基」は、式−ORを有し、Rは本明細書で定義された通りのアルキル基である。
【0015】
本明細書で使用される用語「アリールオキシ基」は、式−OR’を有し、R’は本明細書で定義された通りのアリール基である。
【0016】
本明細書で使用される用語「アラルキル基」は、式−R−R’を有し、RおよびR’はそれぞれ、本明細書で定義された通りのアルキル基およびアリール基である。アラルキル基の例はベンジル基(−CHPh)である。
【0017】
本明細書で使用される用語「アルキレン」は、二価の炭化水素基をさす。
【0018】
本明細書で使用される用語「アルキレンオキシド基」は、式−(RO−の一つ以上の繰り返し単位から構成される基であり、Rは直鎖または分岐のC−C12−アルキレンであり、nは1〜10である。
【0019】
本明細書で使用される用語「アミノ基」は、式−NRを有し、RおよびRは独立に水素、直鎖または分岐のC−C12アルキル基あるいはC−C24アリール基である。
【0020】
本明細書で使用される用語「アルキレンアミン基」は、式−(RNR−の一つ以上の繰り返し単位から構成される基であり、Rは直鎖または分岐のC−C−アルキレンであり、nは1〜10であり、そしてRは水素、アルキル基またはアリール基である。
【0021】
本明細書で使用される用語「ジカルボニル基」は、二つのC=O基から構成される基または分子である。それぞれのカルボニル基は独立に、アルデヒド、ケトン、エステル、無水物またはカルボン酸基として存在してもよい。
【0022】
本明細書で使用される用語「ケイ素基」は、少なくとも一つのケイ素原子から構成される基または分子である。前記ケイ素基は一つ以上のアルキル基で置換されていてもよく、それらアルキル基は同じでも異なっていてもよい。
【0023】
「ヒドロゲル」は、完全に水和したときに少なくとも10重量%の水を吸収することのできるポリマー材料をさす。ヒドロゲル材料は、少なくとも一つの親水性モノマーを、追加のモノマー及び/又はマクロマーの存在下で、もしくは非存在下で重合もしくは共重合させることにより、あるいはプレポリマーの架橋により得ることができる。
【0024】
「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも一つのシリコーン含有ビニルモノマーまたは少なくとも一つのシリコーン含有マクロマーを含む重合可能な組成物、あるいはシリコーン含有プレポリマーの共重合により得ることができる。
【0025】
本明細書で使用する「親水性の」とは、脂質よりも水と容易に会合する物質又はその部分を記述するものである。
【0026】
「モノマー」は、光により、熱により、または化学的に重合することができる低分子量化合物を意味する。低分子量とは、典型的には平均分子量が700ダルトン未満であることを意味する。
【0027】
本明細書で使用される、レンズ形成材料の硬化または重合における「化学線により」とは、硬化(たとえば、架橋及び/又は重合)が化学線の照射、たとえばUV照射、可視光線照射、電離放射線照射(たとえば、ガンマ線またはX線照射)、マイクロ波照射などによって行われることを意味する。化学線による硬化法は当業者によく知られている。
【0028】
本明細書で使用される「ビニルモノマー」は、エチレン性不飽和基を有し、化学線によりまたは熱によって重合することのできる低分子量化合物をさす。低分子量とは、典型的には平均分子量が700ダルトン未満であることを意味する。
【0029】
本明細書で使用される「親水性ビニルモノマー」は、完全に水和したときに少なくとも10重量%の水を吸収できるホモポリマーを形成することができるビニルモノマーをさす。親水性ビニルモノマーの例としては、限定するものではないが、ヒドロキシ置換低級アルキル(C−C)(メタ)アクリラート、ヒドロキシ置換低級アルキルビニルエーテル、C−Cアルキル(メタ)アクリルアミド、ジ−(C−Cアルキル)(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−ビニル−4,4’−ジアルキルオキサゾリン−5−オン、2−および4−ビニルピリジン、アミノ(低級アルキル)−、モノ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)およびジ(低級アルキルアミノ)(低級アルキル)(メタ)アクリラート(ここで、用語「アミノ」には第4級アンモニウムも含まれる)、アリルアルコール、N−ビニルC−Cアルキルアミド、N−ビニル−N−C−Cアルキルアミド、重量平均分子量が1500までのC−C−アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリラートなどが挙げられる。好ましい親水性ビニルモノマーの例は、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N,N−ジメチルメタクリルアミド(DMMA)、2−アクリルアミドグリコール酸、3−アクリロイルアミノ−1−プロパノール、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−アクリルアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−イソプロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−n−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−tert−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリラート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリラート、ヒドロキシプロピルメタクリラート(HPMA)、トリメチルアンモニウム2−ヒドロキシプロピルメタクリラート塩酸塩、アミノプロピルメタクリラート塩酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリラート(DMAEMA)、グリセロールメタクリラート(GMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、アリルアルコール、ビニルピリジン、重量平均分子量が1500までのC−C−アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリラート、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、アリルアルコール、N−ビニルカプロラクタムおよびそれらの混合物である。
【0030】
本明細書で使用される「疎水性ビニルモノマー」は、吸収できる水が10重量%未満であるホモポリマーを形成することができるビニルモノマーをさす。ほとんどいずれの疎水性ビニルモノマーも使用可能である。好ましい疎水性ビニルモノマーの例としては、メチルアクリラート、エチルアクリラート、プロピルアクリラート、イソプロピルアクリラート、シクロヘキシルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、プロピルメタクリラート、ビニルアセタート、ビニルプロピオナート、ビニルブチラート、ビニルバレラート、スチレン、クロロプレン、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、アクリロニトリル、1−ブテン、ブタジエン、メタクリロニトリル、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、ペルフルオロヘキシルエチル−チオ−カルボニル−アミノエチル−メタクリラート、イソボルニルメタクリラート、トリフルオロエチルメタクリラート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリラート、ヘキサフルオロブチルメタクリラート、それらの混合物が挙げられる。
【0031】
「マクロマー」は、さらなる重合/架橋反応をすることができる官能基を含む中〜高分子量の化合物またはポリマーをさす。中〜高分子量とは、典型的には平均分子量が700を超えることを意味する。一つの態様では、マクロマーはエチレン性不飽和基を含み、化学線によりまたは熱により重合することができる。
【0032】
「プレポリマー」は出発ポリマーを指し、それは化学線によりまたは熱により硬化(たとえば、架橋及び/又は重合)して、該出発ポリマーよりもはるかに分子量の高い架橋及び/又は重合ポリマーを得ることができる。
【0033】
UV吸収性眼用レンズの製造に有用な3官能化合物が本明細書に記載される。前記化合物は一般的に、(1)紫外線吸収剤部分(または要素)、(2)重合開始剤部分、および(3)重合可能なオレフィン性不飽和基を有する。それぞれの要素は一分子内で共有結合により結合している。一つの態様では、前記3官能化合物は以下の式Iで定義される。
【化1】


ここで、Zはベンゾトリアゾール部分またはベンゾフェノン部分を含む二価の基であり、以下の式(1a)、(1b)、(1c)または(1d)で定義される。
【化2】


ここで、R3a、R3b、R3c、R2z、R3z、R4zおよびR1zは互いに独立に、水素、ハロゲン(Cl、Br、またはI)、直鎖または分岐のC−C12アルキル基、直鎖または分岐のC−C12アルコキシ基、C−C24アリールまたは置換アリール基であり、PGは不安定な保護基(たとえば、C−C18アルキルカルボニル、トリ(C−C12アルキル)シリル、直鎖または分岐のC−C18アルキル、直鎖または分岐のC−C18アルコキシアルキル、およびこの出願中で後述するほかのもの)である。
Xは、ホスフィンオキシド(以下の三価の基:
【化3】


ペルオキシド基、アジド基、α−ヒドロキシケトンまたはα−アミノケトンからなる群より選ばれるラジカル開始剤部分を含む一価の基である。
Yは以下の式(2)で示される一価の基である。
【化4】


ここで、ZおよびZは互いに独立に、共有結合、直鎖または分岐の二価C−C12アルキレン基、一つ以上のヒドロキシル基を有する直鎖または分岐の二価C−C12アルキレン基、基:−(CHCHO)−CHCH−(ここで、dは1〜10の整数である)、非置換二価フェニレン基、C−CアルキルもしくはC−Cアルコキシ置換二価フェニレン基、二価C−C12アラルキレン基、−O−または−NR’−(ここで、R’はHまたはC−Cアルキルである)であり;Aは共有結合、−O−または−NR’−(ここで、R’はHまたはC−Cアルキルである)であり;qおよびqは互いに独立に、0または1の整数であり;R14は水素、C−Cアルキルまたはハロゲンであり;R15およびR16は互いに独立に、水素、C−Cアルキル、フェニル、カルボキシ、ハロゲン、または基:−C(=O)−X−R17(ここで、Xは−O−、上記で定義された−NR’−または−S−であり、R17はC−C12アルキル、C−C12ヒドロキシアルキル、C−C12アミノアルキル、炭素原子24個までのアルキルアミノアルキル、または炭素原子24個までのジアルキルアミノアルキルである)であり;そして
およびLは互いに独立に、共有結合またはリンカーである。
それぞれの要素は、以下で詳細に記載される。
【0034】
好ましい態様では、紫外線吸収剤はベンゾニトリルまたはベンゾフェノンを含む。多くのベンゾトリアゾールおよびベンゾフェノンUV吸収剤が知られており、多くのものが市販されている。ベンゾトリアゾールまたはベンゾフェノンUV吸収剤のアイデンティティは重要ではないが、所望のUV吸収特性を得るため、そのUVカットオフ特性に基づいて選択すべきである。一つの態様においては、ベンゾトリアゾールUV吸収剤は、ヒドロキシフェニル−ベンゾトリアゾールであってもよく、またベンゾフェノンUV吸収剤は、ヒドロキシフェニルベンゾフェノンであってもよい。好ましくは、3官能化合物のUV吸収剤部分であるZは、式(1a)であり、ここで、R3b,R3cおよびR1zは水素であり、R3aは、以下の式Xで表わされるようにRであって、これは、水素、ハロゲン、直鎖または分岐のC−C12アルキル基、直鎖または分岐のC−C12アルコキシ基、あるいはC−C24アリールまたは置換アリール基である。
【化5】

【0035】
本明細書に記載される3官能化合物は、紫外線吸収剤要素に直接または間接的に結合した一つ以上の重合開始剤部分を含む。該開始剤は熱開始剤(すなわち、熱への曝露により重合を開始する)または光開始剤(たとえば、化学線エネルギーに曝露されたとき)でもよい。好ましくは、前記開始剤が光開始剤であるときは、その光開始剤部分はホスフィンオキシド、ペルオキシド基、アジド基、α−ヒドロキシケトンまたはα−アミノケトンを含む。他の1型および2型開始剤も使用可能である。たとえば、チオキサントンおよびベンジルジメチルケタールである。
【0036】
好ましいホスフィンオキシド光開始剤部分の例は、以下の式XIで示される一価の基を含む。
【化6】


ここで、t1およびt2は互いに独立に、0または1であり(ただし、t1およびt2の少なくとも一つは1である)、Q1aおよびQ1bの一つは共有結合(リンカーに結合するか、またはUV吸収剤部分に直接結合する)であり、他方は水素、直鎖もしくは分岐のC−C12アルキル基または直鎖もしくは分岐のC−C12アルコキシ基であり、Q2a、Q2b、Q3a、Q3bは互いに独立に、水素、直鎖もしくは分岐のC−C12アルキル基または直鎖もしくは分岐のC−C12アルコキシ基である。
【0037】
開始剤部分としての好ましいペルオキシド基の例は、以下の式XIIで示されるものである。
【化7】


ここで、Vは共有結合または酸素であり、Rは直鎖または分岐のC−C20アルキル基[たとえば例を挙げると、−(CHH(n=1〜18);−CH(CH)CH;−C(CH;−CH(CH)CHCH;−C(CHCHC(CH;−C(CH(CHH;−C(CHCH(CHH;−C(CH(CHH;−C(CHCH(CHH;−C(CH(CHH;または−C(CHCH(CHH)である]、またはフェニル基である。
【0038】
アジド基(−N=N−)の例は、国際特許出願公開WO2004/062371に挙げられている。たとえば、ここでは和光純薬工業(株)製の4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)が使用可能である。
【0039】
もう一つの好ましい態様では、一価光開始剤部分は、以下の式IIaまたはIIbで示されるα−ヒドロキシケトンもしくはα−アミノケトンの一価の基を含む。
【化8】


ここで、Rは酸素、窒素、直鎖または分岐の二価C−C12アルキレン基、二価の基:−OCHCHO−、二価の基:−alk−NRII−(ここで、RIIはヒドロゲルまたはC−C12アルキル基であり、alkは二価のC−C12アルキレン基である)、またはその組み合わせであり、RおよびRは独立に、水素、直鎖または分岐のC−C12アルキル基、C−C24アリールもしくは置換アリール基、C−C24アラルキル基である。そしてAはヒドロキシル基、C−C12アルコキシ基、C−C24アリールオキシ基、または第1級、2級もしくは3級アミノ基を含む。
【0040】
好ましくは、一価の光開始剤部分は以下の式IIIまたはIVaもしくはIVbを含む。
【化9】


ここで、Phはフェニルであり、Meはメチルである。
【0041】
UV重合開始剤としての使用に適した官能基化α−ヒドロキシケトンは市販されている。例えば、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン(Irgacure(登録商標)2959、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))は、光開始剤を紫外線吸収剤要素に直接または間接的に結合させるのに使用することができる遊離の第1級ヒドロキシル基を含んでいる。市販のα−ヒドロキシケトンの他の例としては、限定されるわけではないが、Irgacure(登録商標)369および379ならびにDarocure 1173が挙げられる。
【0042】
本明細書で記載される3官能化合物はまた、一つ以上のオレフィン基を含んでいる。用語「オレフィン基」または「エチレン性不飽和基」は、この出願においては少なくとも一つのC=C基を含むあらゆる基、と定義される。オレフィン基の例としては、限定するわけではないが、アクリラート、メタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリル、ビニル、ビニルエステルまたはスチレニルが挙げられる。前記オレフィン基は、オレフィン基を有するほかのモノマーまたはポリマーと、化学線照射または熱に曝露されると重合することができる。
【0043】
もう一つの好ましい態様においては、前記開始剤及び/又はオレフィン基が紫外線吸収剤に間接的に結合している場合には、リンカーが使用可能である。さまざまな異なった基がリンカーとして使用可能である。リンカーの長さも変化しうる。加えて、リンカーを選択することで、3官能化合物の親水/疎水性を変えることができる。これは、眼用レンズの製造中にある種の溶媒を使用する場合に特に有用である。本明細書において有用なリンカー(L及び/又はL)の例としては、限定するわけではないが、ケイ素基、カルボニル基、ジカルボニル基、直鎖または分岐のC−C12アルキレン基、直鎖または分岐のC−C12アルキレンオキシド基、二価のC−C24アリールアルキレンもしくはアリーレン基(たとえば、−Ph−または−CH(Ph)−)、直鎖または分岐のC−C12アルキレンアミン基、
【化10】


あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。これらの基のあらゆる組み合わせもまた意図されている。
【0044】
好ましくは、式IにおけるLおよびLは互いに独立に、共有結合または二価の基:
【化11】


である。
ここで、Xは共有結合、カルボニル(−C(=O)−)、−SiR−(ここで、RおよびRは互いに独立にC−C−アルキル、フェニル、またはC−Cアルキル−もしくはC−C−アルコキシ−置換フェニルである)、二価の基:−(RO)−(ここで、Rは直鎖または分岐のC−C12−アルキレンであり、nは1〜10である)、−C(=O)−O−または−C(=O)−NR”−(ここで、R”はHまたはC−Cアルキルである)であり;
およびEは互いに独立に、共有結合、二価の基:−(RO)−(ここで、Rおよびnは上記で定義したとおりである)、
【化12】


−C(=O)−O−または−C(=O)−NR”−(ここで、R”はHまたはC−Cアルキルである)、直鎖または分岐の二価C−C12アルキレン基、炭素原子40個までの二価シクロアルキル基、炭素原子40個までの二価アルキルシクロアルキル基、炭素原子40個までの二価アルキルアリール基、炭素原子40個までの二価アリールアルキレン基、あるいは式−C(O)LC(O)−のジカルボニル基[ここで、Lは直鎖もしくは分岐の二価C−C12アルキレン基、または−(Re1−O)w1−(Re2−O)w2−(Re3−O)w3−(ここで、Re1、Re2およびRe3は互いに独立に、直鎖または分岐のC−C−アルキレンであり、w1、w2およびw3は互いに独立に、0〜20の数であるが、n+m+pの合計は1〜60である)である]であり;
そして、XおよびXは互いに独立に、共有結合、
【化13】


である(ここで、R”は上記で定義したとおりである)。本明細書において有用なリンカーの他の具体例は以下に記載される。
【0045】
また、図1は、本明細書中に記載される好ましい3官能化合物の具体例を示しており、それらは該化合物中に存在する特定のリンカーを有している。
【0046】
一つの態様において、前記3官能化合物は以下の式Vを含む。
【化14】


ここで、Rは水素、直鎖または分岐のC−C12アルキル基、ハロゲン、C−C24アリール基、C−C24アラルキル、あるいは直鎖または分岐のC−C12アルコキシ基であり;LおよびLは独立に、上記したリンカーであり;Xは上記した重合開始剤を含み;そして、Yは上記したオレフィン基を含む。
【0047】
一つの態様において、式V中のRは水素である。もう一つの態様では、式V中のXは以下の式VIで示される一価の基を含む。
【化15】


ここで、RおよびRは独立に、水素、直鎖または分岐のC−C12アルキル基、C−C24アリールまたは置換アリール基、C−C24アラルキル基であり;そしてAはヒドロキシル基、C−C12アルコキシ基、C−C24アリールオキシ基またはアミノ基であり;また、Bはケイ素基、カルボニル基、ジカルボニル基、直鎖または分岐のC−C12アルキレン基、直鎖または分岐のC−C12アルキレンオキシド基、直鎖または分岐のC−C12アルキレンアミン基、あるいはそれらの任意の組み合わせである。さらなる態様において、式V中の−L−Yは、式−(CHUC(O)C(R)=CHを含み、tは1〜3であり、UはOまたはNHであり、そしてRは水素またはメチルである。
【0048】
もう一つの好ましい3官能化合物は、以下の式VIIを有する。
【化16】


ここで、R10は水素またはメチルであり、LおよびXは上記のものである。好ましくは、Lはたとえば下記表1に示されたものを含む、本明細書において記載される任意の不安定な保護基(これはアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシまたはアラルキルオキシ基と組み合わされてもよい)に由来してもよい。好ましいLは以下の式を有してもよい。
【化17】


ここで、o、p、q、r、s、uおよびvは独立に、1〜5の整数であり;R11およびR12は独立に、水素または直鎖もしくは分岐のC−C12アルキル基であり;Xは好ましくは以下の式を含む。
【化18】

【0049】
一つの態様では、3官能化合物は以下の式VIIIを含む。
【化19】


ここで、Rは水素、直鎖または分岐のC−C12アルキル基、ハロゲン、C−C24アリール基、C−C24アラルキルまたはC−C12アルコキシ基であり;LおよびLは互いに独立に、上記のリンカーであり;Xは上記の重合開始剤を含み;Yは上記のオレフィン基を含み;そしてPGは不安定な保護基である。
【0050】
もう一つの態様では、3官能化合物は以下の式IXaまたはbを含む。
【化20】


ここで、Rは水素、直鎖または分岐のC−C12アルキル基、直鎖または分岐のC−C12アルコキシ基、あるいはC−C24アリールまたは置換アリール基であり;LおよびLは独立に、上記のリンカーを含み;Xは上記の重合開始剤を含み;Yは上記のオレフィン基を含み;そしてPGは保護基を含む。
【0051】
一つの態様では、3官能化合物は以下の式Xを含む。
【化21】


ここで、Rは水素、直鎖または分岐のC−C12アルキル基、直鎖または分岐のC−C12アルコキシ基あるいはC−C24アリールまたは置換アリール基を含み;LおよびLは独立に、上記のリンカーを含み;Xは上記の重合開始剤を含み;Yは上記のオレフィン基を含み;そしてPGは上記の保護基を含む。
【0052】
3官能化合物の構造によって、当該化合物を、UV吸収剤要素が基本的に特定の波長においてエネルギーを吸収しないようにデザインすることができる。以下でさらに詳細に議論されるとおり、UV吸収剤要素によって吸収されるエネルギー量を最小化することによって、より短い硬化時間を達成することができる。これは部分的には、UV吸収剤要素による何らの妨害(すなわち競合)なしに、エネルギー源によって開始剤が効果的に活性化することによる。さらに、3官能化合物を使用して、均一な硬化を達成することができ、これは眼用レンズを製造する際のもう一つの望ましい特徴である。
【0053】
ある態様では、前記3官能化合物のUV吸収剤要素は、該UV吸収剤要素によるエネルギーの吸収を本質的に防ぐ保護基を一つ以上有してもよい。したがって、この態様では、前記保護基は前記UV吸収剤要素を本質的に非UV吸収性にすることができる。一般に保護基は、当該技術分野で知られた技術を使用して容易に切断することができる任意の基である。保護基の例としては、限定するわけではないが、シリル基またはエステル基を挙げることができる。一つの態様において、シリル基またはカルボニル基が芳香族性酸素に結合しているとき、前記シリル基またはカルボニル基は、pHを変えることによって切断することができる。本明細書において有用な保護基および脱保護法の一覧が表1に示されている。
【表1−1】


【表1−2】


【表1−3】

【0054】
保護基が存在する場合の化合物の脱保護の方法としては、たとえば、完成品の眼用装置を高塩基性溶液に浸漬することが挙げられる。一つの態様では、前記装置をpHが10超、11超、または12超の水溶液に浸漬して、次いで乾燥することができる。他の態様では、脱保護は、前記装置を熱に曝露することで行うことができる。たとえば、前記装置をオートクレーブに入れて、保護基を切断するのに十分な時間・温度で加熱することができる。
【0055】
他の態様では、前記開始剤(および任意のリンカー)は保護基として作用することができる。例えば、式Vを有する3官能化合物および式VIIを有する3官能化合物では、L−Xは該3官能化合物のUV吸収剤要素の芳香族性酸素に結合しており、これによってUV吸収剤要素を本質的に非UV吸収性にすることができる。
【0056】
本明細書で記載される3官能化合物は、当該技術分野で知られた技術を使用して合成することができる。本明細書に記載される3官能化合物を作るための反応順序の例が図2〜8に示されている。図2を参照すると、化合物20をリンカーLと反応させて化合物25を製造することができる。例えば、前記リンカーは芳香族性ヒドロキシル基と反応しうる任意の化合物でよい。次に、式25を有する前記化合物を引き続いて開始剤Xと反応させて、一般式で表わされる(generic)化合物30を製造することができる。あるいは、式20を有する化合物を式L−Xを有する化合物と反応させることができ、ここではリンカーは、式20を有する化合物と反応させる前に共有結合により開始剤に結合させ、そして前記リンカーはUV吸収剤要素の芳香族性ヒドロキシル基と反応することができる官能基を有している。図3は反応順序の具体例を示している。式20を有する化合物を最初、無水コハク酸(すなわち、リンカー)と反応させて式35を有する化合物を調製する。次に、式35を有する化合物をX−OH(ここでXは開始剤の残基である)と反応させる。例えば、X−OHはIrgacure(登録商標)2959であってもよく、ここで、芳香環から垂れ下がったヒドロキシル基は35の遊離のカルボン酸基と反応して、式40を有する化合物を製造することができる。もう一つの合成方法が図4に描かれており、ここでは化合物20を、まずシリル化合物(たとえば、SiMeCl)と、次にX−OH(たとえば開始剤)と反応させて式50を有する化合物が製造される。一般式20を有する出発原料として有用な化合物は当該技術分野において知られている。例えば、U.S.特許4,528,311;4,716,234;4,719,248;3,159,646;および3,761,272はオレフィン性ベンゾトリアゾールを開示している。U.S.特許4,304,895は重合可能なベンゾフェノン(すなわち、オレフィン基を有している)を開示している。図5−8はそれぞれ、図1の化合物15、図1の化合物15に類似しているが、光開始剤部分およびUV吸収剤部分の間のリンカーがわずかに異なる化合物、図1の化合物14に類似しているが光開始剤部分およびUV吸収剤部分の間のリンカーがわずかに異なる化合物、ならびに図1の化合物14を調製するための反応スキームおよび反応条件を説明している。当業者は前記スキームを理解し、そして前記スキームおよび後述する実施例に示された教示に従って、本発明のこれらの化合物をどのようにして調製するかわかるであろう。
【0057】
さらに本発明の化合物は、エステル、チオエステル、アミド、ウレタンまたは尿素の形成における通常の条件の下、周知の反応に基づいて調製することができる。
【0058】
本発明の化合物は、UV吸収性眼用レンズの製造に使用することができる。一つの態様では、本発明はUV吸収性眼用レンズの作成方法を提供する。前記方法は以下の工程を含む:
a. 型に、本明細書に記載される一種以上の3官能化合物を含むレンズ形成材料を導入する工程;
b. 前記レンズ形成材料を硬化してレンズを製造する工程;および
c. 前記レンズを前記型から取り出す工程。
【0059】
本明細書においては、さまざまな種類のレンズ形成材料が使用可能である。本明細書において用語「レンズ形成材料」は、当該技術分野で知られた方法を使用して重合することができる任意の材料、と定義される。前記レンズ形成材料はビニルモノマーでも、プレポリマーでも、ビニルマクロマーでも、あるいはこれらの任意の組み合わせでもよい。本明細書において記載される3官能化合物は、ビニルモノマーとして前記レンズ形成材料の一部となることができる。例えば、前記レンズ形成材料は、他のビニルモノマー、プレポリマー又はマクロマーと組み合わせて、一種以上の3官能化合物から構成されることができる。そのかわりに、前記3官能化合物を他のモノマーと重合させて、プレポリマー又はマクロマーを製造することができる。レンズ形成材料における3官能化合物の使用量は変更することができる。一つの態様では、3官能化合物の量は、開始剤の量が、レンズ形成材料の0.05〜3重量%、0.5〜5重量%、0.5〜4重量%、0.5〜3重量%、0.5〜2重量%、0.5〜1.5重量%、または約1重量%になるように選択される。
【0060】
一つの態様では、前記レンズ形成材料はプレポリマーを含む。例えば、少なくとも一種の化学線架橋可能なまたは熱架橋可能なプレポリマーを含む流体プレポリマー組成物が使用可能である。一つの態様では、前記流体プレポリマー組成物は、少なくとも一種の化学線架橋可能プレポリマーを含む水溶液である。前記プレポリマー組成物はまた、一種以上のビニルモノマー、一種以上のビニルマクロマー及び/又は一種以上の架橋剤を含むことができることが理解される。しかしながら、それら成分の量は、最終的な眼用装置が許容できない量の非重合モノマー、マクロマー及び/又は架橋剤を含まないように低くあるべきである。許容できない量の非重合モノマー、マクロマー及び/又は架橋剤が存在すると、それらを取り除くために抽出が必要であり、それには、費用がかかり、また非効率的な追加の工程が必要であろう。
【0061】
化学線架橋可能なプレポリマーの例としては、限定するわけではないが、U.S.特許5,583,163および6,303,687(それらの全てが参照により取り込まれる)に記載された水可溶性架橋性ポリ(ビニルアルコール)プレポリマー;U.S.特許出願公開2004/0082680(その全体が参照により本明細書に取り込まれる)に記載された水可溶性ビニル基末端ポリウレタンプレポリマー;U.S.特許5,849,841(その全体が参照により取り込まれる)に開示されたポリビニルアルコール、ポリエチレンイミンまたはポリビニルアミンの誘導体;U.S.特許6,479,587およびU.S出願公開2005/0113549(それら全体が参照により本明細書に取り込まれる)に記載された水可溶性架橋性ポリ尿素プレポリマー;架橋性ポリアクリルアミド;EP655,470およびU.S.特許5,712,356に開示された、ビニルラクタム、MMAおよびコモノマーの架橋性統計コポリマー;EP712,867およびU.S.特許5,665,840に開示された、ビニルラクタム、ビニルアセタートおよびビニルアルコールの架橋性コポリマー;EP932,635およびU.S.特許6,492,478に開示された、架橋性側鎖を有するポリエーテル−ポリエステルコポリマー;EP958,315およびU.S.特許6,165,408に開示された分岐ポリアルキレングリコール−ウレタンプレポリマー;EP961,941およびU.S.特許6,221,303に開示されたポリアルキレングリコール−テトラ(メタ)アクリラートプレポリマー;国際出願WO 2000/31150およびU.S.特許6,472,489に開示された架橋性ポリアリルアミングルコノラクトンプレポリマーが挙げられ、またシリコーン含有プレポリマーは、共通の所有の(commonly−owned)US特許6,039,913、7,091,283、7,268,189および7,238,750に記載されたものである。
【0062】
もう一つの態様において、レンズ形成材料は少なくとも一種の親水性ビニルモノマーを含む重合性組成物である。上記したいずれの親水性ビニルモノマーも使用可能である。前記重合性組成物はさらに、一種以上の疎水性ビニルモノマー、架橋剤、ラジカル開始剤および他の当業者に知られた成分を含むことができる。これらの材料は典型的には抽出工程を要する。
【0063】
もう一つの態様では、前記レンズ形成材料はシリコーン含有プレポリマーである。そのようなシリコーン含有プレポリマーの例としては、共通の所有のUS特許6,039,913、7,091,283、7,268,189および7,238,750、7,521,519;共通の所有の米国特許出願公開US2008−0015315 A1、US2008−0143958 A1、US2008−0143003 A1、US2008−0234457 A1、US2008−0231798 A1、ならびに共通の所有のUS特許出願61/180,449および61/180,453に記載されたものが挙げられ、それらすべての全体が、参照により本明細書に取り込まれる。
【0064】
もう一つの態様では、前記レンズ形成材料は少なくとも一つのケイ素含有ビニルモノマーまたはマクロマーを含む重合性組成物であり、あるいはソフトコンタクトレンズを作るためのいずれのレンズ処方でもよい。レンズ処方の例としては、限定するわけではないが、ロトラフィルコン(lotrafilcon)A、ロトラフィルコン(lotrafilcon)B、コンフィルコン(confilcon)、バラフィルコン(balafilcon)、ガリフィルコン(galyfilcon)、セノフィルコン(senofilcon)Aなどの処方が挙げられる。レンズ形成材料はさらに親水性ビニルモノマー、架橋剤、疎水性ビニルモノマー、可視性ティント剤、光増感剤、抗菌剤などの他の成分などを含むことができる。
【0065】
一つの態様では、前記レンズ形成材料は、いずれのシリコーン含有ビニルモノマーでもよい。好ましいシリコーン含有ビニルモノマーの例としては、限定するわけではないが、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルプロピルシロキシ)−シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルエチルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;3−メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロピルメタクリラート(TRIS)、(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン)、(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−メタクリロキシ−2−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、N−2−メタクリロキシエチル−O−(メチル−ビス−トリメチルシロキシ−3−プロピル)シリルカルバマート、3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカルボナート、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−トリス(トリメチル−シロキシ)シラン、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバマート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバマート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルボナート、t−ブチルジメチル−シロキシエチルビニルカルボナート;トリメチルシリルエチルビニルカルボナート、およびトリメチルシリルメチルビニルカルボナートが挙げられる。式(1)の最も好ましいシロキサン含有(メタ)アクリルアミドモノマーは、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アクリルアミド、TRIS、N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミドである。
【0066】
他の態様では、エチレン性不飽和基を有するシロキサン含有ビニルモノマーまたはマクロマーを、シリコーンヒドロゲル材料を製造するのに使用でき、その材料はレンズ形成材料として有用である。そのようなシロキサン含有ビニルモノマーおよびマクロマーの例としては、限定するわけではないが、様々な分子量のモノメタクリル化またはモノアクリル化ポリジメチルシロキサン(たとえば、モノ−3−メタクリロキシプロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサンまたはモノ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン);様々な分子量のジメタクリル化またはジアクリル化ポリジメチルシロキサン;ビニルカルボナート末端ポリジメチルシロキサン;ビニルカルバマート末端ポリジメチルシロキサン;様々な分子量のビニル末端ポリジメチルシロキサン;メタクリルアミド末端ポリジメチルシロキサン;アクリルアミド末端ポリジメチルシロキサン;アクリラート末端ポリジメチルシロキサン;メタクリラート末端ポリジメチルシロキサン;ビス−3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン;N,N,N’,N’−テトラキス(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−α,ω−ビス−3−アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン;ポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマー;US5,760,100(その全体が参照により本明細書に取り込まれる)に記載されたマクロマーA、マクロマーB、マクロマーCおよびマクロマーDからなる群より選ばれるシロキサン含有マクロマー;グリシジルメタクリラートとアミノ−官能ポリジメチルシロキサンとの反応生成物;ヒドロキシル−官能基化シロキサン含有ビニルモノマー又はマクロマー;U.S.特許4,136,250、4,153,641、4,182,822、4,189,546、4,343,927、4,254,248、4,355,147、4,276,402、4,327,203、4,341,889、4,486,577、4,543,398、4,605,712、4,661,575、4,684,538、4,703,097、4,833,218、4,837,289、4,954,586、4,954,587、5,010,141、5,034,461、5,070,170、5,079,319、5039,761、5,346,946、5,358,995、5,387,632、5,416,132、5,451,617、5,486,579、5,962,548、5,981,675、6,039,913および6,762,264(それらの全体が参照により本明細書に取り込まれる)に開示されたポリシロキサン含有マクロマー;U.S.特許4,259,467、4,260,725および4,261,875(それらの全体が参照により本明細書に取り込まれる)に開示されたポリシロキサン含有マクロマーが挙げられる。ポリジメチルシロキサンおよびポリアルキレンオキシドからなるジおよびトリブロックマクロマーもまた使用できるだろう。例えば、メタクリラートエンドキャップポリエチレンオキシド−ブロック−ポリジメチルシロキサン−ブロック−ポリエチレンオキシドを、酸素透過性を上げるために使用するかもしれない。適切な1官能ヒドロキシル−官能基化シロキサン含有ビニルモノマー/マクロマーおよび適切な多官能ヒドロキシル−官能基化シロキサン含有ビニルモノマー/マクロマーは、Gelest, Inc(モリスビル、ペンシルバニア)から市販されている。
【0067】
本明細書に記載される一種以上の3官能化合物を含むレンズ形成材料は、特定の形状および大きさの型へ流し込まれる。眼用装置がコンタクトレンズである場合、前記レンズは当該技術分野で知られた技術により製造可能である。例えば、前記コンタクトレンズは、例えばU.S.特許3,408,429に記載された従来の「スピンキャスト成形」により製造することができ、またはU.S.特許4,347,198;5,508,317;5,583,463;5,789,464;および5,849,810に記載された、静的形態の「フルキャスト成形処理」により製造することができる。
【0068】
コンタクトレンズを作るためのレンズ型は、当該技術分野でよく知られている。例えば、(フルキャスト成形のための)型は一般に、少なくとも二つの型部分(または部位)あるいは型半分、すなわち、第一および第二の型半分を含んでいる。前記第一の型半分は第一の成形(または眼の)表面の輪郭を画定し、第二の型半分は第二の成形(または眼の)表面の輪郭を画定する。前記第一および第二の型半分は、レンズを形成する空洞が前記第一の成形表面および第二の成形表面の間に形成されるように、互いを受け止めるように構成されている。前記型半分の成形表面は、型の空洞形成表面であり、レンズ形成材料と直接接触している。
【0069】
コンタクトレンズをキャスト成形するための型部分の製造方法は、一般に当業者によく知られている。第一および第二の型半分は、様々な方法、例えば射出成形または旋盤加工により形成可能である。型半分を形成するための適切な工程の例は、U.S.特許4,444,711;4,460,534;5,843,346;および5,894,002に開示されており、これらもまた参照により本明細書に取り込まれる。
【0070】
型を作るための当該技術分野で知られた実質的にすべての材料が、眼用レンズを作成するための型を作るのに使用可能である。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、環状オレフィン共重合体(例えば、Ticona GmbH(フランクフルト、ドイツ、およびサミット、ニュージャージー)製Topas(登録商標)COC;Zeon Chemicals LP(ルイスビル、ケンタッキー)製Zeonex(登録商標)およびZeonor(登録商標))などのポリマー材料などが使用可能である。UV光透過性の他の材料、例えば石英ガラス及びサファイアが使用可能であろう。
【0071】
レンズ形成材料が型に流し込まれると、そのレンズ形成材料は硬化(すなわち、重合)させられて、ポリマーマトリックス、そして最終的にはレンズが製造される。重合工程を実施するための技術は、レンズ形成材料の選択によって変わるであろう。一つの態様では、レンズ形成材料が一つ以上の化学線架橋可能なエチレン性不飽和基を含むプレポリマーを含む場合、混合物を含む型は空間的制限を受けた光照射をされ、プレポリマーが重合する。他の態様では、前記レンズ形成材料を含む前記型は、レンズ形成材料を硬化させるために加熱される。
【0072】
他の態様では、前記レンズ形成材料を硬化させるために使用されるエネルギーは光線の形態で、例えばマスクもしくはスクリーンまたはその組み合わせにより、空間的に限定された形でさし向けられ、輪郭がきれいに画定された周囲との境界を有する領域に作用する。例えば、空間的に限定されたUV照射は、U.S.特許6,627,124(その全体が参照により本明細書に取り込まれる)の図1−9に模式的に示されるように、UV非透過性領域(マスク領域)に囲まれた透明な、または解放された領域(非マスク領域)を有するマスクまたはスクリーンを使用することによって実現することができる。前記非マスク領域は、当該非マスク領域と周囲との境界の輪郭がきれいに形作られている(defined)。架橋のために使用されるエネルギーは、放射線エネルギー、UV放射線、可視光線、γ放射線、電子線または熱輻射であり、放射線エネルギーは、好ましくは実質的に平行な光線の形態である。それは一方では優れた限定を達成するため、そして他方ではエネルギーを効率的に利用するためである。
【0073】
一つの態様では、前記レンズ形成材料を含む型は波長が340nm超、350nm超、360nm超、370nm超、または380nm超の光に曝露される。当該技術分野で知られているカットオフフィルターが、特定の波長のエネルギーを選別して型およびレンズ形成材料に接触するのを防ぐのに使用可能である。前記レンズ形成材料がエネルギーに曝露される時間は比較的短く、例えば150分間以下、90分間以下、60分間以下、20分間以下、10分間以下、5分間以下、1〜60秒、または1〜30秒である。
【0074】
レンズ形成材料の重合およびレンズの形成の後、開始剤と、存在する場合はリンカーが任意に3官能化合物から切断される。ある態様では、開始剤および任意のリンカーの除去により、前記3官能化合物のUV吸収剤要素が「脱保護」される。他の態様では、UV吸収剤要素が他の基で保護されている場合(例えば、式VIII−X)、保護基を容易に切断することができる。UV吸収剤要素を脱保護するための条件は、これらの要素の選択によって変化しうる。温度やpHなどの条件を変更することによって、開始剤またはほかの保護基を切断することができ、活性なUV吸収剤要素が製造される。脱保護のための上記条件は、本明細書において開始剤およびリンカーを切断するのに使用することができる。
【0075】
本発明はさらに、本発明のUV吸収性化合物を組み込んだUV吸収性眼用レンズを提供する。
【0076】
以下の実施例は、当業者に本明細書に記載され特許請求された化合物、組成物および方法がどのように作られ、評価されるのかを完全に開示及び説明するために示されるものであり、純粋に例として意図されるものであって、本発明者が自身の発明とみなすものの範囲を制限することを意図するものではない。数字(例えば量及び温度など)について正確性を保証するために努力がなされたが、いくらかの誤差や偏差が当然存在する。断りのない限り、部は重量部であり、温度は℃または周囲温度であり、また圧力は大気圧またはその付近である。反応条件には数多くの変動および組み合わせがある。たとえば成分濃度、望ましい溶媒、溶媒混合物、温度、圧力、および記載される工程から得られる生成物の純度および収率を最適化するのに使用することができる他の反応範囲及び条件である。そのような工程条件を最適化するためには、妥当かつありふれた実験だけが必要とされるであろう。
【0077】
試薬の略号:
DCM:ジクロロメタン;TEA:トリエチルアミン;D−MAP:4−(ジメチルアミノ)ピリジン;DCC:N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド;HMPA:ヘキサメチルホスホルアミド;THF:テトラヒドロフラン;AIBN:2−2−アゾイソビスブチロニトリル;NBS:N−ブロモスクシンイミド
実施例1
【0078】
この実施例は、以下のスキームに基づいた、本発明の3官能UV吸収剤、UVA1の調製を説明する。
【化22】


【化23】

【0079】
500mg(2.22mmol)の1、245mg(2.45mmol)の無水コハク酸、247mg(2.47mmol)のTEAおよび10mlのトルエンの混合物を窒素雰囲気下、5時間還流させた。反応混合物を周囲温度に冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を10mlの酢酸エチルに溶解し、5mlの1N HClで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、得られた中間体2を減圧下、30℃で乾燥させた。1H−NMR(400MHz,DMSO−D)δの結果は以下の通りである:1.35 (s, 6H), 2.47-2.54 (m, 4H), 4.27-4.26 (d, J= 4 Hz, 2H), 4.370-4.358 (d, J=4.8 Hz, 2H), 5.68 (bs, 1H, OH), 7.03-7.01(d, J=8.8 Hz, 2H), 8.22-8.19(d, J=8.8 Hz, 2H), 12.24(bs, 1H, COOH)。分子量は質量分析により325(M+H)と測定された。UV−可視吸収スペクトルで、212nmおよび266nmにおいて二つのピークが観測された。
【0080】
15mlのDCM中の7.47g(36.2mmol)のDCC溶液を、4.7g(14.4mmol)の2、4.21g(13.04mmol)の3、20mg(0.090mmol)のD−MAPおよび35mlのDCMの撹拌されている混合物に、0℃で窒素雰囲気下、添加した。反応混合物を0℃で3時間攪拌し、20mlの水を加え、混合物をDCMで抽出し、有機層を20mlの1N HCl、続いてブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、そして粗最終化合物、UVA1を、酢酸エチル中の50%n−ヘキサン中、シリカ(100−200メッシュ)上でカラムクロマトグラフィーにより精製した。1H−NMR(400MHz,CDCl)δの結果は以下の通りである:1.66(s, 6H), 1.93(s, 3H), 2.77-2.80(t, d=6.8 Hz, 2H), 2.95-2.99(t, J= 6.8 Hz, 2H), 3.08-3.12(t, J=6.8 Hz, 2H), 4.21-4.23(m, 2H), 4.42-4.48 (m, 4H), 5.55-5.56 (t, J=1.6 Hz, 1H), 6.1(s, 1H), 6.91-6.94 (dd, J=2.8Hz, 2H), 7.23-7.25(d, J=8.4 Hz, 1H), 7.34-7.37 (dd, J=2 Hz, 1H), 7.39-7.43(m, 2H), 7.87-7.93(m, 2H), 8.03-8.07(m, 3H) MS:630(M+H), 652(M+Na)。UV/可視吸収スペクトルで、212nm、272nm、302nmおよび590nmにおいて4つのピークが観測された。
実施例2
【0081】
この実施例は、以下に示されるスキームに従った、本発明の3官能UV吸収剤、UVA2の合成を説明する:
【化24】


【化25】

【0082】
60%NaH(0.246g,6mmol)を、化合物−1(1g,3mmol)と20mlの乾燥THF中の2mlのHMPAとの撹拌されている溶液に、0℃にて窒素雰囲気下、添加した。10分後、乾燥THF中に溶解したジメチルマロニルクロリド(3mmol、ジメチルマロン酸および塩化オキサリルから新たに調製した)の溶液を反応混合物に0℃にて滴下した。前記反応混合物を0℃で1時間攪拌し、そして反応混合物を1N HCl(20ml)でクエンチし、DCMで抽出し、NaSOで乾燥させ、そして減圧下で濃縮して粗中間体(2)を得た。
【0083】
上記粗中間体(2)をTHF(20ml)に溶解し、0.2M(10ml)のLiOH水溶液で処理し、一晩周囲温度で攪拌した。THFを減圧下で蒸発させ、得られる粗中間体(3)の残留物を水で希釈し、1N HClで酸性化し(PH=3)、DCMで抽出し、NaSOで乾燥させ、そして減圧下で濃縮した。このようにして得られた粗中間体(3)を、カラムクロマトグラフィー(100−200シリカ)により精製し、DCM中の5%MeOHで溶出した。1H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.59(s, 6H), 1.92(s, 3H), 3.09-3.12(t, 2H, J=6.4), 4.41-4.44(t, 2H, J=6.4), 5.54-5.55(t, 1H, J=1.6), 7.24-8(7H, Ar-H)。MS:438(M+H), 460(M+Na)。
【0084】
3mlのジクロロメタン中の0.589g(2.8mmol)のDCCの溶液を、0.5g(1.14mmol)の3、0.256g(1.14mmol)の4、触媒量のD−MAPおよび5mlのジクロロメタンの撹拌されている混合物に、0℃にて窒素雰囲気下、添加した。反応混合物を0℃で3時間攪拌し、5mlの水を加えて混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を5mlの1N HCl、続いてブラインで洗浄した。有機層を次にNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、そして得られる粗生成物(5)、UVA2を、酢酸エチル中の50%n−ヘキサン中、シリカ(100−200メッシュ)上でカラムクロマトグラフィーにより精製した。1H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.54 (s, 6H), 1.63(S, 6H), 1.92(s, 3H), 3.04-3.08(t, J=6.8 Hz, 2H), 4.20-4.23(m, 3H), 4.37-4.4 (t, J=6.8 Hz, 2H), 4.50-4.52 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 5.54-5.55 (t, J=1.6 Hz, 1H), 6.09 (s, 1H), 6.87-6.91(m, 2H), 7.16-7.21 (m, 2H), 7.39-7.44 (m, 2H), 7.87-7.91(m, 2H), 7.99(s, 1H), 8.04-8.08 (m, 2H)。MS:M+H (644), M+Na (666)。UV可視吸収スペクトルで、218nm、266nmおよび302nmにおいて3つのピークが観測された。
実施例3
【0085】
この実施例は、下記に示されるスキームに従った、本発明の3官能UV吸収剤、UVA3の合成を説明する。
【化26】

【0086】
出発フッ素化合物(p−フルオロアセトフェノン誘導体1)を、U.S.特許5,554,663(その全体が参照により本明細書に取り込まれる)に記載された手順に従って調製した。
【0087】
中間体−2を以下のようにして調製した。p−フルオロアセトフェノン誘導体1(5g,0.017mol)、ピペリジン(2.0g,0.033mol)および炭酸カリウム(6.9g,0.05mol)を50mlの乾燥DMFに溶解し、24時間窒素雰囲気下で還流した。出発物質を完全に消費した後(反応の進行はTLCによりモニタリングされた)、反応液を室温まで冷まし、溶媒(DMF)を蒸発させた後、残留物をジクロロメタンに溶解し、水で洗浄した(3X20ml)。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。留去後に得られた粗生成物を、ジクロロメタン中の5%メタノールを使用したカラムクロマトグラフィー(100−200メッシュシリカゲル)により精製した。
【0088】
アセトニトリル(50ml)に溶解した中間体2(5g,0.01369mol)と無水コハク酸(1.37g,0.0137)とを、室温で1時間攪拌した、次に溶媒を減圧下で蒸発させて黄色残留物として化合物3を得た。それをさらに精製することなく、次の工程に使用した。
【0089】
DCM(20ml)中のDCC(6.2g,0.05mol)を、化合物3(5.6g,0.012mol)、ベンゾトリゾール誘導体(4.28g,0.013mol)およびDCM(40ml)中の触媒量のD−MAPの撹拌されている混合物に、0℃にて窒素下、添加した。混合物を0℃で6時間攪拌した。水50mlを加え、混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を30mlの1N HCl、続いてブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、そして粗目的化合物4、UVA3をシリカ(100−200メッシュ)上でカラムクロマトグラフィーにより精製し、続いて酢酸エチル中の30%n−ヘキサンで溶出した。1H−NMR(400MHz,CDCl)δ 0.58-0.62 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 1.17-1.18 (m, 2H), 1.73-1.80 (m, 2H), 1.85 (s, 4H), 2.28 (s, 6H), 2.65-2.68 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.93-2.97 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.01-3.15 (m, 4H), 3.24 (s, 4H), 3.52-3.54 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 3.7 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 4.35 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 5.48 (s, 1H), 6.03 (s, 1H), 6.72 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.09 - 7.11 (m, 4H), 7.22-7.24 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.30-7.33 (dd, J = 2 Hz, 1H), 7.35-7.38 (m, 2H), 7.84-7.88 (m, 2H), 8.27-8.30 (d, J = 8.8 Hz, 2H)。MS:M+H (771.8)。UV可視スペクトルで、216nm、284nmおよび302nmにおいて3つのピークが観測された。
実施例4
【0090】
この実施例は、以下に示すスキームに従った、本発明の3官能UV吸収剤、UVA4の合成を説明する。
【化27】


【化28】

【0091】
化合物−3の調製:60%NaH(0.246g,6mmol)を、化合物−1(1g,3mmol)と、0℃、窒素雰囲気下にて添加された20mlの乾燥THF中の2mlのHMPAとの、攪拌された溶液に添加した。10分後、乾燥THFに溶解したジメチルマロニルクロリド(3mmol、ジメチルマロン酸および塩化オキサリルから新たに調製された)の溶液を反応混合物に0℃にて滴下した。前記反応混合物を0℃で1時間攪拌し、次に反応混合物を1N HCl(20ml)でクエンチして、DCMで抽出し、NaSOで乾燥して、そして減圧下で濃縮して粗生成物(2)を得た。
【0092】
上記粗化合物(2)をTHF(20ml)に溶解し、LiOHの0.2M水溶液で一晩、周囲温度で処理した。THFを減圧下で蒸発させ、次に粗残留物を水で希釈して、1N HClで酸性化し(PH=3)、DCMで抽出し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、そして得られた粗中間体(3)を、100−200シリカ、溶出剤としてのDCM中の5%MeOHを使用したカラムクロマトグラフィーにより精製した。1H−NMR(400MHz,CDCl)δ: 1.59(s, 6H), 1.92(s, 3H), 3.09-3.12(t, 2H, J=6.4), 4.41-4.44 (t, 2H, J=6.4), 5.54-5.55(t, 1H, J=1.6), 7.24-8(7H, Ar-H)。MS:438(M+H), 460(M+Na)。
【0093】
20mlのジクロロメタン中の5.7g(0.00277mol)のDCC溶液を、4.8g(0.01108mol)の3、2.83g(0.0077mol)の4、触媒量のD−MAPおよび40mlのジクロロメタンの攪拌されている混合物に、0℃にて窒素雰囲気下、添加した。反応混合物を0℃にて6時間攪拌し、50mlの水を加え、混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を30mlの1N HCl、続いてブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗目的化合物、DP−UVA4を、酢酸エチル中の50%n−ヘキサン中、シリカ(100−200メッシュ)上でカラムクロマトグラフィーにより精製した。1H−NMR(400MHz,CDCl)δ:0.63-0.67 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.57 (s, 8H), 2.00 (s, 3H), 2.33 (s, 3H), 3.07-3.20 (m, 8H), 3.45-3.46 (m, 4H), 4.39-4.42 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 5.53 (m, 1H), 6.07 (s, 1H), 6.67-6.70 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.12-7.22 (m, 8H), 7.38-7.46 (m, 2H), 7.88-7.91 (m, 2H), 8.30-8.33 (d, J = 9.2 Hz, 2H)。MS: M+H (785.5), M+Na (807.4)。UV可視スペクトルで、302nm、350nm、482nm、530nmおよび560nmにおいて5つのピークが観測された。
実施例5
【0094】
この実施例は、以下に示されるスキームに従った、本発明の3官能UV吸収剤、UVA5の合成を説明する。
【化29】


【化30】


【化31】


【化32】


【化33】

【0095】
5g(14.3mmol)の化合物1、3.55g(20.09mmol)のN−ブロモスクシンイミド、0.05gのAIBNおよび30mlのテトラクロロメタンの混合物を窒素雰囲気下、5時間還流させた。反応混合物を冷却後濾過した。濾液を留去し、乾燥させて化合物−2(8.4g 未精製)を得て、粗生成物のTLCは複数の閉鎖スポット(closure multiple spots)を示した。更に精製しないでその物質を次の工程に使用した。
【0096】
19.8mmolの化合物2、3.64g(21.8mmol)の酢酸銀および85mlの氷酢酸の混合物を3時間還流した。混合物をろ過し、500mlの水を濾液に加え、混合物を150mlのDCMで抽出した(3回)。合わせた有機層を100mlの水で洗浄し(3回)、NaSOで乾燥させ、溶媒を減圧下に除去した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の25%EtOAc)で精製した。化合物−3を溶媒蒸発後に得た。1H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.05(s, 6H),2.35(s, 3H), 5.1(s 2H), 6.99(s, 2H), 7.49-7.60 (m, 6H), 7.97-8.02(m, 4H)。MS: 407(M+H), 429(M+Na)。
【0097】
2g(4.922mmol)の化合物3.28、12mlのTHF、2.81mlのHCl、14.06mlの水(0.2:2:1)の混合物を一晩還流させた。THFを減圧下で除去し、10mlの水を加え、混合物を15mlのDCMで抽出し(3回)、合わせた有機層を15mlの水で洗浄し(3回)、有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(DCM中の2%MeOH)により精製した。乾燥後、化合物4を得た。1H−NMR:(400MHz,CDCl)δ: 2.05(s, 6H), 2.74 (bs, 1H, OH), 4.59 (s 2H), 6.99 (s, 2H), 7.49-7.60 (m, 6H), 7.97-8.02(m, 4H)。MS: 365(M+H), 387(M+Na)。
【0098】
4g(10.977mmol)の4、1.20g(12.0747mmol)の無水コハク酸5、1.22g(12.0474mmol)のトリエチルアミンおよび40mlの乾燥トルエンの混合物を窒素雰囲気下で5時間還流し、次に周囲温度に冷却した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を50mlの酢酸エチルに溶解し、20mlの1N HClで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、得られた生成物6を真空下、30℃にて乾燥させた。1H−NMR:(400MHz,CDCl)δ:2.05 (s, 6H), 2.58-2.56 (t, J = 5.6 Hz, 4H), 5.08 (s 2H), 6.99 (s, 2H), 7.49-7.60 (m, 6H), 7.97-8.02 (m, 4H)。MS:465(M+H), 487(M+Na)。
【0099】
50mlのジクロロメタン中の5.44g(26.37mmol)のDCC溶液を、4.9g(10.55mmol)の6、3.411g(10.55mmol)の7、50mg(0.225mmol)のD−MAPおよび50mlのジクロロメタンの撹拌されている混合物に、0℃にて窒素雰囲気下で添加した。反応混合物を0℃で3時間撹拌した。20mlの水を添加し、混合物をジクロロメタンで抽出した。有機層を20mlの1N HCl、続いてブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗化合物をDCM中の2%アセトン中、シリカ(100−200メッシュ)上でカラムクロマトグラフィーにより精製した。1H−NMR(400MHz,CDCl)δ: 1.73 (s, 3H), 1.89 (s, 6H), 2.69-2.72(t, J=7.2 Hz, 2H), 2.85-2.89(t, J=6.0 Hz, 2H), 3.07-3.10 (t, J=6.4 Hz, 2H), 4.35-4.38 (t, J=6.4 Hz,2H), 5.01(s, 1H), 5.99(s, 1H), 7.00(s, 1H), 7.28-7.30(d, J=8.4 Hz, 1H), 7.48-7.50 (m, 3H), 7.51-7.62 (m, 4H), 7.63-7。70 (m, 2H), 7.86-7.99(m, 4H), 8.03-8.07(m, 2H),8.08(s,1H)。MS: 770(M+H)。UV/可視吸収スペクトルで、それぞれ218nm、296nmおよび380nmにおいて3つのピークが観測された。
【0100】
この出願全体を通して、さまざまな公開文献が参照されている。これら公開文献の開示全体が、本明細書に記載される化合物、組成物および方法をより完全に記載するために、参照によってこの出願に取り込まれる。
【0101】
本明細書に記載される化合物、組成物および方法に対して、さまざまな修飾および変更を行うことができる。本明細書に記載される化合物、組成物および方法のほかの態様は、本明細書を考慮すれば、また本明細書に開示された化合物、組成物および方法を実施すれば明らかであろう。明細書および実施例は、例示とみなされることが意図されている。
【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】

【図1−4】

【図1−5】

【図1−6】

【図1−7】

【図1−8】

【図1−9】

【図1−10】

【図1−11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線吸収剤、該紫外線吸収剤に直接または間接的に結合した重合開始剤および前記紫外線吸収剤に直接または間接的に結合したエチレン性不飽和基を含む化合物。
【請求項2】
以下の式Iを含む請求項1記載の化合物:
【化34】


[ここで、Zは以下の式(1a),(1b),(1c)または(1d)で示される二価の基であり:
【化35】


(ここで、R3a、R3b、R3c、R2z、R3z、R4zおよびR1zは互いに独立に、水素、ハロゲン、直鎖または分岐のC−C12アルキル基、直鎖または分岐のC−C12アルコキシ基、C−C24アリールまたは置換アリール基であり、PGは不安定な保護基である);
Xは、ホスフィンオキシド:
【化36】


ペルオキシド基、アジド基、α−ヒドロキシケトン、またはα−アミノケトンからなる群より選ばれる重合開始剤部分を含む一価の基であり;
Yは以下の式(2)で示される一価の基であり;
【化37】


(ここで、ZおよびZは互いに独立に、共有結合、直鎖または分岐の二価C−C12アルキレン基、一つ以上のヒドロキシル基を有する直鎖または分岐の二価C−C12アルキレン基、基:−(CHCHO)−CHCH−(ここで、dは1〜10の整数である)、非置換二価フェニレン基、C−CアルキルもしくはC−Cアルコキシ置換二価フェニレン基、二価C−C12アラルキレン基、−O−または−NR’−(ここで、R’はHまたはC−Cアルキルである)であり;Aは共有結合、−O−または−NR’−(ここで、R’はHまたはC−Cアルキルである)であり;qおよびqは互いに独立に、0または1の整数であり;R14は水素、C−Cアルキルまたはハロゲンであり;R15およびR16は互いに独立に、水素、C−Cアルキル、フェニル、カルボキシ、ハロゲンまたは基:−C(=O)−X−R17(ここで、Xは−O−、上記で定義された−NR’−または−S−であり、R17はC−C12アルキル、C−C12ヒドロキシアルキル、C−C12アミノアルキル、炭素原子12個までのアルキルアミノアルキルまたは炭素原子12個までのジアルキルアミノアルキルである)であり;そして
およびLは互いに独立に、共有結合またはリンカーである]。
【請求項3】
前記重合開始剤が、ホスフィンオキシド、ペルオキシド基またはアジド基を含む、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
前記重合開始剤部分が、以下の式IIa、IIbまたはXIで示される一価の基を含む、請求項1または2記載の化合物:
【化38】


[ここで、Rは酸素、窒素、直鎖もしくは分岐の二価C−C12アルキレン基、二価の基:−OCHCHO−、二価の基:−alk−NRII−(ここで、RIIはヒドロゲルまたはC−C12アルキル基であり、alkは二価C−C12アルキレン基である)、またはそれらの組み合わせであり、RおよびRは独立に、水素、直鎖もしくは分岐のC−C12アルキル基、C−C24アリールもしくは置換アリール基、C−C24アラルキル基であり;そして
Aはヒドロキシル基、C−C12アルコキシ基、C−C24アリールオキシ基、または第一級、二級もしくは三級アミノ基を含む]、
【化39】


[ここで、t1およびt2は互いに独立に、0または1であり(ただし、t1およびt2の少なくとも一つは1である)、Q1aおよびQ1bの一つは共有結合であり、他方は水素、直鎖もしくは分岐のC−Cアルキル基、または直鎖もしくは分岐のC−Cアルコキシ基であり、Q2a、Q2b、Q3a、Q3bは互いに独立に、水素、直鎖もしくは分岐のC−C12アルキル基、または直鎖もしくは分岐のC−C12アルコキシ基である]。
【請求項5】
前記重合開始剤部分が、以下の式IIIまたはIVaもしくはIVbで示される一価の基を含む、請求項1または2記載の化合物:
【化40】


(ここで、Phはフェニル基であり、Meはメチル基である)。
【請求項6】
前記重合開始剤部分が、以下の式XIIで示される一価の基を含む、請求項1または2記載の化合物:
【化41】


(ここで、Vは共有結合または酸素であり、Rは直鎖もしくは分岐のC−C20アルキル基、またはフェニルである)。
【請求項7】
およびLが互いに独立に、共有結合であるか、またはケイ素基、カルボニル基、ジカルボニル基、アルキレン基、アルキレンオキシド基、アルキレンアミン基、もしくはそれらの任意の組み合わせのリンカーである、請求項1〜6のいずれか記載の化合物。
【請求項8】
およびLが互いに独立に、共有結合または以下の式で示される二価の基である、請求項1〜6のいずれか記載の化合物:
【化42】


[ここで、Xは共有結合、カルボニル(−C(=O)−)、−Si(R)(R)−(ここで、RおよびRは互いに独立に、C−C−アルキル、フェニル、またはC−Cアルキル−もしくはC−C−アルコキシ−置換フェニルである)、二価の基:−(RO)−(ここで、Rは直鎖または分岐のC−C12−アルキレンであり、nは1〜10である)、−C(=O)−O−または−C(=O)−NR”−(ここで、R”はHまたはC−Cアルキルである)であり;
およびEは互いに独立に、共有結合、二価の基:−(RO)−(ここで、Rおよびnは上記で定義したとおりである)、
【化43】


−C(=O)−O−または−C(=O)−NR”−(ここで、R”はHまたはC−Cアルキルである)、直鎖または分岐の二価C〜C12アルキレン基、炭素原子40個までの二価シクロアルキル基、炭素原子40個までの二価アルキルシクロアルキル基、炭素原子40個までの二価アルキルアリール基、炭素原子40個までの二価アリールアルキレン基、あるいは式−C(O)LC(O)−(ここで、Lは直鎖もしくは分岐の二価C−C12アルキレン基または−(Re1−O)w1−(Re2−O)w2−(Re3−O)w3−(ここで、Re1、Re2およびRe3は互いに独立に、直鎖または分岐のC−C−アルキレンであり、w1、w2およびw3は互いに独立に、0〜20の数であるが、ただし、n+m+pの合計は1〜60である)である)のジカルボニル基であり;そして
およびXは互いに独立に、共有結合、
【化44】


(ここで、R”は上記で定義したとおりである)である]。
【請求項9】
以下の式Vで定義される、請求項8記載の化合物:
【化45】


(ここで、Rは水素、ハロゲン、直鎖もしくは分岐のC−C12アルキル基、直鎖もしくは分岐のC−C12アルコキシ基、またはC−C24アリールもしくは置換アリール基である)。
【請求項10】
Xが以下の式VIで示される一価の基である、請求項9記載の化合物:
【化46】


(ここで、RおよびRは独立に、水素、直鎖もしくは分岐のC−C12アルキル基、C−C24アリールもしくは置換アリール基、C−C24アラルキル基であり;
Aはヒドロキシル基、C−C12アルコキシ基、C−C24アリールオキシ基、またはアミノ基であり;そして
Bはケイ素基、カルボニル基、ジカルボニル基、直鎖もしくは分岐のC−C12アルキレン基、直鎖もしくは分岐のC−C12アルキレンオキシド基、直鎖もしくは分岐のC−C12アルキレンアミン基、またはそれらの任意の組み合わせである)。
【請求項11】
以下の式VIIで示される、請求項8または9記載の化合物:
【化47】


(ここで、R10は水素またはメチルである)。
【請求項12】
が以下の式の二価の基である、請求項11記載の化合物:
【化48】


(ここで、o、p、q、r、s、uおよびvは独立に、1〜5の整数であり;そして
11およびR12は互いに独立に、水素、または直鎖もしくは分岐のC−C12アルキル基である)。
【請求項13】
以下の式VIIIを含む、請求項8または9記載の化合物:
【化49】


(ここで、Rは水素、ハロゲン、直鎖もしくは分岐のC−C12アルキル基、直鎖もしくは分岐のC−C12アルコキシ基、またはC−C24アリールもしくは置換アリール基である)。
【請求項14】
以下の式IXaまたはbで示される、請求項8または9記載の化合物:
【化50】


(ここで、Rは水素、直鎖もしくは分岐のC−C12アルキル基、直鎖もしくは分岐のC−C12アルコキシ基、またはC−C24アリールもしくは置換アリール基である)。
【請求項15】
以下の式Xを有する、請求項8または9記載の化合物:
【化51】


(ここで、Rは水素、直鎖もしくは分岐のC−C12アルキル基、直鎖もしくは分岐のC−C12アルコキシ基、またはC−C24アリールもしくは置換アリール基を含む)。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか記載の一種以上の化合物と、一種以上のビニルモノマー及び/又はマクロマーとの共重合生成物であるポリマーを含む眼用レンズ。
【請求項17】
以下の工程を含む方法により得ることができる眼用レンズ:
a. 型に、請求項1〜15のいずれか記載の一種以上の化合物を含むレンズ形成材料を導入する工程;
b. レンズ形成混合物を硬化してレンズを製造する工程;および
c. 前記レンズを型から取り出す工程。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−513998(P2012−513998A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543582(P2011−543582)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/068347
【国際公開番号】WO2010/078001
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】