説明

3次元タッチパネル

【課題】 この発明の課題は、特殊なパネルを使用することなく、押下した画面の位置(X、Y座標)のみでなく、同時にZ方向(圧力)を検出することができるタッチパネルを提供することにある。
【解決手段】 ディスプレイに装着するパネルの四隅に、荷重を検出するセンサーを備えるように構成し、このセンサーからの出力をデジタル化するAD変換部を備えるように構成する。
デジタル化された荷重データを用いて、X、Y、Z座標に変換する荷重および座標変換制御部を備えるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ホストコンピュータへの入力装置であるタッチパネルに関し、X、Y座標だけではなく、Z軸(パネルへの押下圧力)まで同時に検知することができる3次元タッチパネルを実現するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の情報端末機器で採用されているタッチパネルは、抵抗膜や静電容量方式にて押下した画面の位置(X、Y座標)を検出できるようにしたものである。この方式では、押下した画面の位置(X、Y座標)は検出できるものの、同時に押下した圧力(Z方向)を検出することができなかった。
【0003】
このような問題を解決するため、X、Y座標は抵抗膜や静電容量方式を使用して検出し、Z方向の圧力を別の方法で検出するタッチパネルが考案されている(特許文献1を参照)。
【0004】
しかし、このような方式では、X、Y座標を検出する抵抗膜や静電容量方式の特別なパネルが必要となり、パネルの透過率が低く、パネルの裏側のディスプレイの表示内容が見にくくなったり、パネルの値段が高価であったりといった問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開平8−44887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のごとく、従来の技術では次のような問題点がある。
従来のタッチパネルは、抵抗膜や静電容量方式にて押下した画面の位置(X、Y座標)のみを検出できるようにしたものであり、押下した圧力(Z方向)を検出することができなかった。
【0007】
このような問題を解決するため、X、Y座標とZ方向への圧力とを別々の方式で検出するようにしたタッチパネルが考案されているが、このような方式では、タッチパネルに抵抗膜や静電容量方式で使用される特殊なパネルが必要であり、パネルの透過率が低く、パネルの裏側にあるディスプレイの内容が見にくかったり、パネルの値段が高価であったりといった問題があった。
【0008】
この発明の課題は、特殊なパネルを使用することなく、例えば板ガラス、アクリルパネルで、押下した画面の位置(X、Y座標)のみでなく、同時にZ方向(圧力)を検出することができるタッチパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の問題点を解決するために、この発明では次に示す手段を取った。
ディスプレイに装着するパネルの四隅に、荷重を検出するセンサーを備えるように構成し、このセンサーからの出力をデジタル化するAD変換部を備えるように構成する。
【0010】
デジタル化された荷重データを用いて、X、Y、Z座標に変換する荷重および座標変換制御部を備えるように構成する。
【発明の効果】
【0011】
この発明により、以下に示すような効果が期待できる。
従来のタッチパネルは、押下した画面の位置(X、Y座標)のみを検出できるものであり、押下した圧力(Z方向)を検出することができなかった。また、Z方向を検出するように改良されたものについても、画面位置と圧力を別々の方式で検出するものであり、タッチパネルに抵抗膜や静電容量方式で使用される特殊なパネルが必要であり、パネルの透過率が低く、パネルの裏側のディスプレイの表示内容が見にくかったり、パネルの値段が高価であったりといった問題があった。
【0012】
本発明を利用すれば、押下した画面位置(X、Y座標)と押下した圧力(Z方向)を特殊なパネルを使用せずに検出することが可能となり、安価で見やすい3次元タッチパネルを提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明は、次に示す実施の形態を取った。
【0014】
ディスプレイを覆う透明なパネルの四隅に圧力センサーを備えるように構成する。
【0015】
これにより、ディスプレイ上に表示された文字や図形をパネルを通して鮮明に見ることができ、さらに、いずれかの位置を押下した場合、パネルのどの位置(X、Y座標)に荷重がかかったか、およびその荷重の量(Z方向)を計測することができる。
【0016】
これらの四隅のセンサーからの出力は、AD変換部に入力されるように構成する。
【0017】
これにより、四隅のセンサーから出力されたアナログの圧力値をデジタルに変換して、ホストコンピュータに通知することができるようになる。
【0018】
AD変換部から出力された四隅の圧力センサー値は、デジタルデータとして、ホストコンピュータ上にある荷重および座標変換制御部に伝えられるように構成している。
【0019】
これにより、各センサーの荷重値から、X、Y、Z座標を所定の計算式により求めることができるようにしている。
【実施例】
【0020】
この発明による代表的な実施例を図によって説明する。なお、以下において、同じ箇所は同一の符号を付してあり、詳細な説明を省略することがある。
【0021】
図1は本発明の実施例を示す。
【0022】
同図に示すように、ディスプレイ2を覆うようにして透明なアクリル板などの四隅に圧力センサーを備えたパネル1を設けている。このパネル1は特殊な素材や加工が必要ではないので、安価で、しかも高い透過率によりディスプレイ2の表示内容も見やすいものとすることができる。
【0023】
四隅に備えた圧力センサーからは、タッチパネルを押下したことによる荷重の変化を検出することができるようにしている。
【0024】
これら4つの圧力センサーからのアナログ出力値は、それぞれAD変換部3に入力され、デジタルの圧力値としてホストコンピュータ上の荷重および座標変換制御部4に伝送され、荷重および座標変換制御部4において押下位置(X、Y座標)および荷重の量(Z方向)に変換される。
【0025】
変換方法については、圧力センサーA10の荷重をΔS0、圧力センサーB11の荷重をΔS1、圧力センサーC12の荷重をΔS2、圧力センサーD13の荷重をΔS3とし、荷重校正が実施されていたなら、基準重量とそのセンサー値から各センサーの補正をする。
【0026】
各センサーのX、Y軸上のベクトルを算出すると、図2のように求められる。次に各センサーの合計荷重(SumV)とベクトル和(ΔX、ΔY)を算出する。
【0027】
SumV=ΔS0+ΔS1+ΔS2+ΔS3
ΔX=ΔS0x+ΔS1x+ΔS2x+ΔS3x
ΔY=ΔS0y+ΔS1y+ΔS2y+ΔS3y
【0028】
荷重量(V)を算出する。
V=√(ΔX+ΔY
【0029】
荷重量(V)と合計加重(SumV)の比率(ratio)から押下座標(calcX、calcY)を算出する。
ratio=V/SumV
calcX=ratio×(ΔX/V)
calcY=ratio×(ΔY/V)
※ calcX、calcY=−1〜+1の範囲
※ 合計荷重(SumV)がZ軸値となる。
【0030】
このようにして、押下した位置(X、Y座標)だけではなく、同時に押下した荷重(Z軸値)も算出するようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の全体構成図である。
【図2】X軸、Y軸上のベクトルの求め方説明図
【符号の説明】
【0032】
1:パネル
2:ディスプレイ
3:AD変換部
4:荷重および座標変換制御部
10:圧力センサーA
11:圧力センサーB
12:圧力センサーC
13:圧力センサーD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータのディスプレイにパネルを装着し、指やペンなどでこのパネルに触れることで、画面上の位置を入力するタッチパネルにおいて、
パネルの四隅に圧力センサーと、
当該圧力センサーの出力値をデジタルデータとしてホストコンピュータに取り込むAD変換部と、
当該デジタル化された圧力センサーの各出力値から所定の式により、押下された位置(X、Y座標)と荷重(Z方向)を同時に算出する荷重および座標変換制御部と、
を備えたことを特徴とする3次元タッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−126997(P2006−126997A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311879(P2004−311879)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】