説明

3次元地図表示システム

【課題】 3次元地図表示の描画態様に関するパラメータを直感的かつ容易に設定、変更可能とすることを目的とする。
【解決手段】 3次元地図VW1と併せて視線ベクトルを含む鉛直平面の状態を示す側面ビューVW2、上空からの状態を示す上空ビューVW3を表示する。側面ビュVW2、上空ビューVW3内には、3次元表示時の注視点VP、視点位置CP、視線ベクトル方向CDを表すアイコンを表示する。アイコンVPを移動すると、地図全体が平行移動する。アイコンCPを移動させると、地図のズーム状態が変化する。アイコンCDを移動させると、視線ベクトルの方位および仰ぎ角が変化する。
かかるインタフェースを提供することにより、3次元地図の描画態様に関するパラメータの設定・変更の操作性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,建物等の地物を3次元的に描画する3次元地図を表示するための3次元地図表示システムに関し、特に、オペレータの操作に応じて3次元地図の表示状態を制御するためのインタフェース技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地図データを用いてコンピュータ等の画面上に地図を表示する電子地図の分野では、建物等の地物を3次元的に表示した3次元地図の活用が広まっている。3次元地図は、各建物等の3次元形状を表す3次元地図データを用いて描画される。3次元地図を描画するためには、透視投影法が用いられることが多い。この投影法では、3次元空間内に設定された視点および視線ベクトルに沿って3次元空間を見た状態が画面内に投影される。視点位置、視線ベクトルを変化させることによって、表示される3次元地図の位置、方向、ズームなどの描画態様を変えることができる。
特許文献1は、ユーザの現在位置を視点として利用することで、簡易に3次元地図データを表示する技術を開示する。
特許文献2は、3次元地図を表示するためのインタフェースに関する技術を開示する。特許文献2に開示されたインタフェースは、3次元地図が表示されたウィンドウの右横に設けられた2つのスライドバーによって、それぞれ縮尺の調整、視点の高度の調整を行うことができる。また、マウスで画像をドラッグすることによって視線の方向を水平回転させたり、視点を平行移動させたりすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−279757号公報
【特許文献2】特開2000−010693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
3次元地図の描画態様は、視点、視線ベクトルの方向、画角など、多くのパラメータに依存するため、ユーザが所望の描画態様を得るためには、これらのパラメータを設定しやすいインタフェースが望まれる。従来技術は、かかる観点では、まだ不十分であり、利便性を向上させるためには、まだ工夫の余地が残されていた。これは透視投影に限らず平行投影で3次元地図を表示する場合でも同様である。
本発明は、かかる課題に考慮し、3次元地図表示の描画態様に関するパラメータを直感的かつ容易に設定、変更可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の3次元表示システムの構成を説明する。
本発明は、
所定の表示パラメータに基づいて、地物等を3次元的に描画した3次元地図を画面に表示する3次元地図表示システムであって、
前記表示パラメータに応じた描画態様で前記3次元地図を表示する3次元地図表示部と、
前記表示パラメータを設定するためにオペレータが操作するためのインタフェースを表示するインタフェース表示部と、
前記インタフェースの操作状態に応じて前記表示パラメータを設定する表示パラメータ設定部とを備え、
前記インタフェースは、前記画面内で、前記操作のためのアイコンが、所定の直線に沿う第1方向と、該直線上からずれた第2方向に、それぞれ移動可能に構成されており、
前記表示パラメータ設定部は、前記第1方向の動きまたは位置に応じて前記3次元地図のズーム状態に関する表示パラメータを設定し、前記第2方向の動きまたは位置に応じて前記3次元地図を表示する際の投影方向に関する表示パラメータを設定する3次元地図表示システムである。
【0006】
本発明によれば、表示パラメータを設定するためのインタフェースにおいて、第1方向、第2方向に移動可能なアイコンを設ける。第1方向、第2方向のアイコンは単一のものとしてもよいし、異なるものとしてもよい。そして、第1方向という直線的な動きに対してズーム状態を対応づけ、第2方向という直線以外の方向に対して投影方向を対応づけることによって、オペレータは、直感的かつ容易に描画態様を設定することが可能となる。
3次元地図の表示方法は、透視投影、平行投影など種々の方法を採ることができる。透視投影における投影方向は、視線ベクトルと言うこともある。
ズーム状態は、例えば、透視投影であれば、3次元地図上に描画される地物と視点との距離を近づけることによりズームアップすることができ、遠ざけることによりズームアウトすることができる。3次元表示する際の画角を変更するものとしてもよい。
上述のインタフェースは、3次元地図表示内に重畳して表示してもよいし、3次元地図とは別に表示してもよい。
【0007】
本発明の3次元地図表示システムにおいて、第1、第2の方向は種々の設定が可能であるが、例えば、
前記第1方向は、前記3次元地図表示を行う際の投影方向に沿った方向であり、
前記表示パラメータ設定部は、前記投影方向上に設定された基準点と前記アイコンとの距離に応じて前記ズーム状態を設定し、
前記第2方向は、前記基準点を中心とする円周方向であり、
前記表示パラメータ設定部は、前記基準点と前記アイコンとを結ぶ方向に前記投影方向を合わせるものとしてもよい。
【0008】
こうすれば、第1方向、即ち投影方向に沿った方向の動きまたは位置によってズーム状態が設定可能となる。この動きは、特定の基準点にアイコンを近づけたり遠ざけたりする動きであるから、オペレータは、直感的に容易にズーム状態を設定することができる。また、第2方向、即ち円周方向の動きによって投影方向を設定できる。こうした円周方向の動きは、視線ベクトルの回転と直結しやすいため、オペレータは、直感的かつ容易に投影方向を設定可能となる。
上記態様において、基準点は種々の設定が可能である。例えば、投影方向と、地表面または高度=0の平面との交点を基準点としてもよいし、投影方向と地物との交点を基準点としてもよい。
ズーム状態は、基準点とアイコンとの距離に応じて線形となるように設定してもよいし、非線形に設定してもよい。
単一のアイコンを第1、第2方向に移動可能と構成している場合は、第1方向と第2方向を同時に変更可能としてもよい。
【0009】
本発明において、第1方向、第2方向は単一のアイコンで操作可能としてもよいが、
前記インタフェースは、前記第1方向に移動可能な第1アイコンと、前記第2方向に移動可能な第2アイコンとを異なるアイコンとし、
前記第1アイコンおよび第2アイコンは、前記投影方向に沿って一直線に配置されているものとしてもよい。
【0010】
単一のアイコンで操作する場合、第1方向の変更時に、第2方向が意図せずに変更されてしまうなどの弊害が生じるおそれがあるが、上記態様のように第1方向、第2方向に個別のアイコンを設けることにより、第1方向、第2方向を独立して操作することが可能となる。
上記態様では、第1アイコン、第2アイコンを一直線上に配置する。例えば、第2アイコンを操作した場合には、これに連動して第1アイコンの位置も変わることになる。ただし、第1アイコンを操作している訳ではないので、第1方向に基づく描画態様は変化させない。このようにすることにより、両者の位置関係を把握しやすく、操作しやすいインタフェースを提供することができる。
【0011】
本発明において、
前記インタフェース表示部は、前記インタフェースとして、前記3次元地図と別に上空から見た状態の2次元画像、および前記投影方向を含む鉛直平面における2次元画像の少なくとも一方を表示し、該2次元画像内に前記アイコンを表示するものとしてもよい。
【0012】
上記態様によれば、3次元地図とは別にインタフェース画面を表示するため、3次元地図の視認性を害することなくインタフェースを提供することができる。
インタフェース画面として上空から見た状態の2次元画像を提供すれば、投影方向を直感的かつ正確に設定することができる。インタフェースとして投影方向を含む鉛直平面における2次元が図を提供すれば、投影方向の仰ぎ角を直感的かつ正確に設定することができる。これらの2次元画像は、一方のみを表示してもよいし、双方を表示してもよい。
【0013】
本発明においては、更に、
前記地物について、該地物の形状を表すデータとは別に、前記3次元地図表示における該地物の表示可否および表示態様を規定するフィルタリングパラメータを記憶するフィルタリングパラメータ記憶部を備え、
前記3次元地図表示部は、前記フィルタリングパラメータに従って、前記地物等の表示可否および表示態様を決定し、前記3次元地図を表示するものとしてもよい。
【0014】
こうすることによって、地物の形状を表すデータを変更することなく、3次元地図の見栄えを容易に変更することができる。例えば、特定の地物のみを表示不可に設定すれば、地物の一部を間引いた状態で視認性を向上した3次元地図を提供することができる。また、特定の地物の表面を、赤など視認性の高い色に変更して表示させることも可能である。上記態様における表示態様とは、このように地物の表面の色、模様(テクスチャ)などを意味する。
フィルタリングパラメータは、地物ごとに設定可能としてもよいし、複数の地物を対象として設定可能としてもよい。また、地物が複数の面から構成されている場合には、面単位で設定可能としてもよい。
【0015】
本発明は、上述した特徴を必ずしも全て備えている必要はなく、これらの特徴を適宜、一部を省略したり、組み合わせたりして構成することができる。
本発明は,その他,コンピュータによって3次元地図を表示する3次元地図表示方法として構成してもよいし、3次元地図を表示する機能をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして構成してもよい。また、かかるコンピュータプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体として構成してもよい。記録媒体は、CD−ROMやサーバなどのようにコンピュータと別体の媒体であってもよいし、コンピュータに内蔵のRAM、ROMやハードディスクなどの内部記憶装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例における3次元地図表示システムの構成を示す説明図である。
【図2】3次元地図の全体表示例を示す説明図である。
【図3】上空ビューのインタフェース画像例を示す説明図である。
【図4】側面ビューのインタフェース画像例を示す説明図である。
【図5】フィルタリングの設定画面例を示す説明図である。
【図6】フィルタリングによる表示態様の変更例を示す説明図である。
【図7】3次元地図表示処理のフローチャートである。
【図8】表示パラメータ更新処理のフローチャートである。
【図9】フィルタリング操作処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
A.システム構成:
図1は実施例における3次元地図表示システムの構成を示す説明図である。本実施例の3次元地図表示システム100は、図示する種々の機能ブロックを実現するためのコンピュータプログラムを、コンピュータにインストールすることによって構成される。本実施例では、スタンドアロンで稼働する1台のコンピュータで構成する例を示すが、ネットワークで接続された複数台のコンピュータ、サーバなどで構成されるシステムとしてもよい。以下、各機能ブロックについて内容を説明する。
3次元地図データベース110は、3次元地図の表示に利用される3次元地図データを格納するデータベースである。3次元地図データには、地図内に表示される建物その他の地物や地表面の3次元形状を表す3次元ポリゴンデータ(「3次元モデル」ということもある)、地図内に表示される文字等のデータが含まれる。3次元ポリゴンデータには、種々の属性データが関連づけて格納されている。属性データとしては、例えば、各地物の名称、種別、地物の高さや底面積などの数値、色、テクスチャなどとすることができる。また、各地物を構成する面ごとに、屋根、壁などのように面の特性を表す属性データを対応づけてもよい。
3次元地図表示部102は、3次元地図データベース110の3次元地図データに基づき3次元地図画面VW1を表示する。3次元地図の表示方法としては、透視投影法、平行投影法などの方法があるが、本実施例では、オペレータが選択可能とした。
3次元地図を表示するためには、投影方法に応じて、視点位置、投影方向などの表示パラメータを設定する必要がある。本実施例では、これらの表示パラメータは、オペレータが、後述するインタフェースを通じて設定可能であり、設定結果は表示パラメータ記憶部126に保持されている。3次元地図表示部102は、この表示パラメータを用いることにより、オペレータの指定に従った3次元地図を表示することができる。
また、3次元地図表示部102は、表示時のフィルタリング機能も備えている。フィルタリングとは、特定の地物または特定種別の地物について、表示/非表示を切り替えたり、複数の建物について屋根の色、壁の色というように部分ごとに色を変えて表示するなど、元来の3次元モデルで指定された表示態様に関わらず、種々の表示態様を指定可能な機能を言う。フィルタリング機能において、いかなる地物または部分を対象として、どのような表示態様とするかは、オペレータが後述するインタフェースを通じて設定可能であり、設定結果はフィルタリングパラメータ記憶部128に保持されている。3次元地図表示部102は、このフィルタリングパラメータで指定された地物については、3次元地図データベース110に格納された3次元地図データでの指定内容に関わらず、フィルタリングパラメータで指定された態様で3次元地図を表示する。
【0018】
表示パラメータインタフェース表示部104は、上述した表示パラメータを設定するためのインタフェース画面VW2,VW3を表示する。これらのインタフェース画面VW2、VW3の内容は後述するが、本実施例では、3次元地図画面VW1とは別に、2種類のインタフェース画面を表示するものとした。
フィルタリングインタフェース表示部106は、上述したフィルタリングパラメータを設定するためのインタフェース画面IFを表示する。
指示入力部120は、オペレータがコンピュータのマウスやキーボードを通じて、インタフェース画面VW2,VW3、IFで行った操作を入力する。
オペレータが表示パラメータを設定するためのインタフェースVW2、VW3を操作したときは、表示パラメータ設定部124は、操作内容を指示入力部120から受け取り、それに基づいて表示パラメータを設定し、結果を表示パラメータ記憶部126に格納する。これに応じて、3次元地図表示部102は新たな表示パラメータを用いて3次元地図画面VW1を表示する。
オペレータがフィルタリングパラメータを設定するためのインタフェースIFを操作したときは、フィルタリング操作部122は、操作内容を指示入力部120から受け取り、それに基づいてフィルタリングパラメータを設定し、結果をフィルタリングパラメータ記憶部128に格納する。これに応じて、3次元地図表示部102は新たなフィルタリングで3次元地図画面VW1を表示する。
【0019】
B.3次元地図画面表示例:
図2は、3次元地図の全体表示例を示す説明図である。本実施例の3次元地図は、3次元地図画面VW1、表示パラメータ設定用のインタフェース画面VW2、VW3の3つから構成される。
3次元地図画面VW1は、3次元地図データを用いて透視投影法または平行投影法で描画した3次元地図を表示する画面である。
インタフェース画面VW2は、3次元地図を表示する際の投影方向を含む鉛直平面内の地物を描いた2次元画像を表示する画面である(以下、「側面ビュー」ということもある)。3次元地図が透視投影法で描画されている場合には、側面ビューは、透視投影法の視線ベクトルを含む鉛直平面を表す表示とすることができる。3次元地図が平行投影法で描画されている場合には、側面ビューは、3次元地図の中心点を通る投影方向を含む鉛直平面を表す表示とすることができる。
インタフェース画面VW3は、鉛直下方に投影した場合の地物を描いた2次元画像を表示する画面である(以下、「上空ビュー」ということもある)。
3次元地図画面VW1、側面ビューVW2、上空ビューVW3の大きさおよび配置は、任意に設定可能である。側面ビューVW2、上空ビューVW3の一方または双方を非表示とできるようにしてもよい。
側面ビューVW2、上空ビューVW3には、表示パラメータを設定するためのアイコンVP、CP,CDが表示される。これらのアイコンの意味および動きについては、以下、側面ビューVW2、上空ビューVW3の拡大図を用いてそれぞれ説明する。
【0020】
図3は上空ビューのインタフェース画像例を示す説明図である。上空ビューには、アイコンVP、CP,CDがラインVL上に並んだ形状のインタフェースが表示されている。アイコンVP、CDを結ぶ直線VLは、透視投影の場合には視線ベクトルを表し、平行投影の場合には投影方向を表す。
アイコンVPは、3次元地図を表示する際の注視点の位置を表す。3次元地図が透視投影法で描画されている場合には、視線ベクトルと地表面との交点を注視点とすることができる。平行投影法で描画されている場合には、3次元地図に中心に表すべき地点の地表面上の点を注視点とすることができる。注視点は、他の定義も可能であり、例えば、透視投影法において視線ベクトルと地物との交点としてもよい。
アイコンVPは、オペレータがマウス等でドラッグすることによって、図中の矢印MV1のように、地表面上の任意の位置に移動可能である。アイコンVPを移動させると、インタフェース全体が平行移動するとともに、注視点が移動するため、3次元地図表示(図2のVW1)も平行移動する。
【0021】
アイコンCPは、透視投影法における視点を表す。平行投影の場合は、特定の視点が存在しないため、ズーム状態を抽象的に表すことになる。
アイコンCPは、矢印MV2のように、アイコンVP、CDを結ぶ直線VL上を移動可能である。アイコンCPを移動させると、アイコンVP、CP間の距離に応じて3次元地図画面(図2のVW1)のズーム状態が変化する。アイコンCPをアイコンVPに近づければ、あたかも注視点に近づいて見たときのように、3次元地図がズームアップされる。逆に、遠ざければ、注視点から遠ざかって見たときのように、3次元地図がズームアウトされる。ズーム状態に合わせて、上空ビューの拡大縮小を変化させてもよい。
ズーム状態は、アイコンVP,CPの距離に応じて線形に変化させてもよいし、非線形に変化させてもよい。直線VL上に、ズーム状態を表す数値などの指標を併せて表示してもよい。
【0022】
アイコンCDは、視線ベクトルまたは投影方向を規定する。アイコンCDは、矢印MV3のように、アイコンVPを中心とする円弧上を移動させることができる。
上空ビューVW3で、アイコンCDを移動させると、直線VLの方向が変化するから視線ベクトルまたは投影方向の方位を変化させることができる。この結果、3次元地図を水平回転させるように、その向きを変えることができる。この時、アイコンVP,CP,CDからなるインタフェースは、アイコンVPを中心に上空ビューに対して相対的に回転する。ただし、この回転に伴って、アイコンVP、CP間の距離は変化しないから、ズーム状態は変化しない。
地図画面自体をマウス等でドラッグする方法に比べて、アイコンCDを移動させる方法は、操作しやすいだけでなく、オペレータが操作量を視覚的に認識しやすいという利点がある。
アイコンCDの操作の目安として、平面ビュー内に、方位を示す指標を表示してもよい。一例として、矢印MV3に示す円弧に沿う形で方位を角度等で表す目盛りを表示する方法をとることができる。
【0023】
図4は側面ビューのインタフェース画像例を示す説明図である。アイコンVP、CP、CDの意味は、上空ビュー(図3)の場合と同じである。側面ビューが描かれているVLP軸,Z軸からなる平面は、直線VLを含む鉛直平面である。
注視点を意味するアイコンVPは、マウス等でドラッグして移動させることが可能であるが、本実施例では、注視点は地表面上の点であるという拘束条件が設定されているため、側面ビューVW2では、アイコンVPは矢印MV4に示すように図中の左右方向に移動する。
視点を表すアイコンCPは、矢印MV5に示すように直線VL上を移動可能である。上空ビュー(図3)の場合と同様、アイコンCPを移動させると、アイコンVP,CPの距離に応じてズーム状態が変化する。直線VL上にズーム状態を表す指標を表示してもよい。
視線ベクトルまたは投影方向を規定するアイコンCDは、矢印MV6に示すように、アイコンVPを中心とする円弧上を移動させることができる。
アイコンCDを移動させると、注視点のアイコンVPを中心に直線VLの傾きが変化するから視線ベクトルまたは投影方向の仰ぎ角αを変化させることができる。アイコンCDを上の方に移動させれば、上空から真下に近い角度で見下ろした状態で3次元地図が表示されるようになり、下の方に移動させれば、水平近くのように浅い角度で見た状態で3次元地図が表示されるようになる。
アイコンCDに変えて、3次元地図の横にスライドバーを設けて仰ぎ角αを操作可能とする方法をとることもできるが、図4に示した方法によれば、オペレータの直感に即した形で仰ぎ角αを操作することができる利点がある。
アイコンCDの操作の目安として、側面ビュー内に、仰ぎ角αの角度を示す指標を表示してもよい。一例として、矢印MV6に示す円弧に沿う形で角度を表す目盛りを表示する方法をとることができる。
【0024】
本実施例では、アイコンCP、CDを別々のものとした。両者の機能を単一のアイコンに統合してもよい。例えば、アイコンCPに統合させた場合、アイコンCPを直線VL上で動かせばズーム状態を変化させることができ、円弧状に動かせば視線ベクトルまたは投影方向を変化させることが可能となる。
ただし、実施例のように別々のアイコンを用いる場合には、アイコンCPの移動中はアイコンCDは移動しないから、視線ベクトルや投影方向を固定したまま、ズーム状態を変化させることができる。また、逆にズーム状態を固定したまま、視線ベクトルや投影方向を変化させることもできる。
【0025】
また、本実施例では、アイコンVP、CP、CDを一直線に配列したが、必ずしもかかる配列に限る必要はない。例えば、画面の横に縦方向に移動するアイコンまたはスライドバー、上または下に左右宝庫に移動するアイコンまたはスライドバーを配置し、いずれか一方をズーム状態の操作、他方を視線ベクトルまたは投影方向の操作に利用する方法をとってもよい。
インタフェース画面内にはアイコンVP、CPのみを表示し、視線ベクトルまたは投影方向については、スライドバーを利用する態様、逆に、画面内にアイコンVP、CDのみを表示し、ズーム状態についてはスライドバーを利用する態様などをとることもできる。
【0026】
C.フィルタリング画面例:
図5はフィルタリングの設定画面例を示す説明図である。フィルタリングとは、特定の地物または特定種別の地物について、表示のオン/オフを切り替えたり、複数の建物について屋根の色、壁の色というように部分ごとに色を変えて表示するなど、元来の3次元モデルで指定された表示態様に関わらず、種々の表示態様を指定可能な機能を言う。図5の設定画面は、どの部分を対象に、どのような表示態様をさせるかを設定するための画面である。
【0027】
設定画面IFは、表示態様の制御対象を選択するフィルタリング条件を設定するためのキー設定画面IF1と、その制御対象に対する表示態様の操作内容を規定するための操作設定画面IF2で構成される。
キー設定画面IF1は、属性、マテリアル、幾何形状の3通りのカテゴリーで制御対象を設定可能である。なお、図5における「属性」は、制御対象を設定するためのカテゴリーの呼び名であり、3次元モデルに関連づけて格納されている属性データとは同義ではない。
「属性」の要素としては、種別コード、部品種別コード、DEコードが用意されている。種別コードとは、地物の種類ごとに付されたコード番号である。種別コードを用いることにより、例えば、ビル、一般家屋というように、地物の種類によってフィルタリングの対象を特定することができる。部品種別コードとは、地物を構成するポリゴンの種類を表すコードである。例えば、屋根、壁というように、複数の地物の特定の部分をフィルタリングの対象とすることができる。DEコードは、いわゆるワイルドカードを用いた形式で、フィルタリングの対象を広範囲に設定することができる。
「マテリアル」の要素としては、拡散光、環境光が用意されている。それぞれ色を指定することで、制御対象を特定することができる。
「幾何形状」では、高さ、底面積が用意されている。これらの数値を指定することにより、例えば、高さまたは底面積が指定された範囲内の地物のみ、というようにして制御対象を特定することができる。
上述した種々の要素のうち、チェックマークを外した要素は、制御対象の特定には用いられない。キー設定画面IF1には、図示した以外の要素を設けても良い。
【0028】
操作設定画面IF2では、表示変更、輪郭線表示変更、テクスチャ描画方法変更、マテリアル変更、スケール変更を行うことができる。
表示変更は、制御対象の地物の表示/非表示の切り替えである。輪郭線表示変更では、建物などの立体物、路面ペイントなどの平面地物に分けて、地物の輪郭線の表示有無を設定することができる。テクスチャ描画方法変更は、地物表面のテクスチャの表示有無の切り替えである。マテリアル変更は、地物の表面等の色を、拡散光、環境光のそれぞれについて指定可能である。スケール変更は、地物の表示倍率を変更可能である。
地物に対しては、この他、種々の操作方法を指定可能としてもよい。
【0029】
図6はフィルタリングによる表示態様の変更例を示す説明図である。図6(a)はフィルタリングを施す前の状態の3次元地図を示し、図6(b)はフィルタリングを施した状態の3次元地図を示している。
この例では、地物のうち屋根に相当する部分(図中のハッチングを付した部分)に色を付して表示する例を示した。図5で示した「部品種別コード」で屋根に相当するコードを指定し、「マテリアル変更」で色を指定することによって、かかる制御を実現することができる。
図の例では、煩雑化を避けるため、中央付近のビルについてのみハッチングを付して示したが、他のビル等についても同様の表示態様の制御を施すことができる。
【0030】
D.ソフトウェア処理:
以下、図2〜図6で示した3次元地図およびインタフェースの表示を実現するための処理内容について説明する。各処理は、3次元地図表示システムを構成するコンピュータのCPUが実行する処理である。
【0031】
図7は3次元地図表示処理のフローチャートである。図1の3次元地図表示部102および表示パラメータインタフェース表示部104の機能に相当する処理である。
CPUは、まず表示パラメータおよびフィルタリングパラメータを読み込む(ステップS10)。表示パラメータは、表示パラメータ記憶部126(図1参照)に記憶されており、フィルタリングパラメータは、フィルタリングパラメータ記憶部128(図1参照)に記憶されている。
CPUは、フィルタリングパラメータに基づいて、表示範囲内の3次元モデルの表示態様を設定する(ステップS11)。3次元地図データベース110に格納されている3次元モデル自体の色等を変更するのではなく、表示時に一時的にこれらのデータを書き換えるのである。こうすることで、3次元モデルを元の状態に保持したまま、多様な表示態様を実現することができる。
フィルタリングパラメータ記憶部128には、3次元モデルの表示態様を表示に変更するためのデータを記憶させるようにしてもよいし、表示態様を一時的に変化させた3次元モデルを記憶させるようにしてもよい。
【0032】
CPUは、ステップS10で読み込んだ表示パラメータに従って、3次元地図データをレンダリングし、3次元地図画像VW1(図2参照)を表示し(ステップS12)、表示パラメータインタフェースVW2.VW3(図2参照)を表示する(ステップS13)。
【0033】
図8は表示パラメータ更新処理のフローチャートである。図1の指示入力部120および表示パラメータ設定部124の機能に相当する処理である。
CPUは、表示パラメータインタフェースにおける指示を入力する(ステップS20)。つまり、上空ビューVW3または側面ビューVW2で、オペレータがマウス等をドラッグして各アイコンを移動させた状態を入力するのである。
指示入力に対する処理は、側面ビューVW2、上空ビューVW3のいずれにおいて操作されたかによって異なる。
【0034】
側面ビューVW2での操作の場合(ステップS21)、CPUは次に示す規則に従い、指示に応じて表示パラメータを変更する(ステップS22)。
アイコンVPがドラッグされた場合には、注視点を側面ビューの平面内で平行移動する。アイコンCPがドラッグされた場合には、アイコンVP、CP間の距離に応じてズーム状態を変更する。アイコンCDがドラッグされた場合には、視線ベクトルまたは投影方向の仰ぎ角αを変更する。
【0035】
上空ビューVW3での操作の場合(ステップS21)、CPUは次に示す規則に従い、指示に応じて表示パラメータを変更する(ステップS23)。
アイコンVPがドラッグされた場合には、注視点を上空ビューの平面内で平行移動する。アイコンCPがドラッグされた場合には、アイコンVP、CP間の距離に応じてズーム状態を変更する。アイコンCDがドラッグされた場合には、視線ベクトルまたは投影方向の方位を変更する。
【0036】
CPUは、それぞれの場合において、表示パラメータを変更すると、表示パラメータ記憶部の内容を更新する(ステップS24)。
表示パラメータ記憶部の内容は、図7で説明した通り、3次元地図表示に利用されるため、ステップS24における表示パラメータ記憶部の更新によって、3次元地図の描画態様が変化する。
【0037】
図9はフィルタリング操作処理のフローチャートである。図1のフィルタリングインタフェース表示部106、指示入力部120、フィルタリング操作部122の機能に相当する処理である。フィルタリング機能によって地物の表示態様を変化させる場合、フィルタリングパラメータ記憶部128(図1)には、各地物を表す3次元モデルの表示態様を変化させるためのデータを記憶させる方法と、表示態様を変化させた3次元モデルを記憶させる方法とがある。本実施例では、後者の方法をとるものとした。
【0038】
この処理を開始すると、CPUは、フィルタリングインタフェースを表示する(ステップS30)。そして、インタフェース内における指示を入力する(ステップS31)。
指示が完了すると、CPUは、フィルタリングインタフェース内で設定されたフィルタリング条件に合う3次元モデルを3次元地図データベースから抽出する(ステップS32)。
CPUは、フィルタリングインタフェースで指定された操作指示に応じて、抽出された3次元モデルの表示態様を変更し(ステップS33)、その結果を、フィルタリングパラメータ記憶部に格納することで、フィルタリングパラメータを更新する(ステップS34)。
この処理に代えて、3次元モデルの表示態様を変化させるためのデータを記憶させるようにしてもよい。例えば、制御対象となる3次元モデルを特定する識別コードと、表示態様を指定するデータとを関連づけて格納する方法をとることができる。
【0039】
オペレータが変更を指示した場合は(ステップS35)、CPUは、ステップS31〜S34の処理を繰り返し実行する。変更でない場合は(ステップS33)、フィルタリングインタフェース画面を消去して(ステップS36)、フィルタリング操作処理を終了する。
【0040】
E.効果および変形例:
以上で説明した実施例によれば、3次元地図およびインタフェース画面VW2、VW3を表示することができる。インタフェース画面に表示されるインタフェースは、それぞれアイコンVP,CP、CDの移動によって3次元地図の表示位置、ズーム状態、視線ベクトルまたは投影方向を直感的かつ容易に変化させることができ、3次元地図の描画態様を設定・変更する際の操作性を向上させることができる。
【0041】
以上、本発明の実施例について説明したが、上述の実施例で説明した種々の処理は、必ずしも全てを備えている必要はなく、一部を省略したり他の処理と置換したりしても構わない。また、上述の例において、ソフトウェア的に実行されている処理は、ハードウェア的に実行してもよいし、その逆も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は,3次元地図の表示において、オペレータの操作に応じて表示状態を制御するためのインタフェースに利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
100…3次元地図表示システム
102…3次元地図表示部
104…表示パラメータインタフェース表示部
106…フィルタリングパラメータ表示部
110…3次元地図データベース
120…指示入力部
122…フィルタリング操作部
124…表示パラメータ設定部
126…表示パラメータ記憶部
128…フィルタリングパラメータ記憶部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の表示パラメータに基づいて、地物等を3次元的に描画した3次元地図を画面に表示する3次元地図表示システムであって、
前記表示パラメータに応じた描画態様で前記3次元地図を表示する3次元地図表示部と、
前記表示パラメータを設定するためにオペレータが操作するためのインタフェースを表示する表示パラメータインタフェース表示部と、
前記インタフェースの操作状態に応じて前記表示パラメータを設定する表示パラメータ設定部とを備え、
前記インタフェースは、前記画面内で、前記操作のためのアイコンが所定の直線に沿う第1方向と、該直線上からずれた第2方向に、それぞれ移動可能に構成されており、
前記表示パラメータ設定部は、前記第1方向の動きまたは位置に応じて前記3次元地図のズーム状態に関する表示パラメータを設定し、前記第2方向の動きまたは位置に応じて前記3次元地図を表示する際の投影方向に関する表示パラメータを設定する3次元地図表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の3次元地図表示システムであって、
前記第1方向は、前記3次元地図表示を行う際の投影方向に沿った方向であり、
前記表示パラメータ設定部は、前記投影方向上に設定された基準点と前記アイコンとの距離に応じて前記ズーム状態を設定し、
前記第2方向は、前記基準点を中心とする円周方向であり、
前記表示パラメータ設定部は、前記基準点と前記アイコンとを結ぶ方向に前記投影方向を合わせる3次元地図表示システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の3次元地図表示システムであって、
前記インタフェースは、前記第1方向に移動可能な第1アイコンと、前記第2方向に移動可能な第2アイコンとを異なるアイコンとし、
前記第1アイコンおよび第2アイコンは、前記投影方向に沿って一直線に配置されている3次元地図表示システム。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか記載の3次元地図表示システムであって、
前記表示パラメータインタフェース表示部は、前記インタフェースとして、前記3次元地図と別に上空から見た状態の2次元画像、および前記投影方向を含む鉛直平面における2次元画像の少なくとも一方を表示し、該2次元画像内に前記アイコンを表示する3次元地図表示システム。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の3次元地図表示システムであって、
前記地物について、該地物の形状を表すデータとは別に、前記3次元地図表示における該地物の表示可否および表示態様を規定するフィルタリングパラメータを記憶するフィルタリングパラメータ記憶部を備え、
前記3次元地図表示部は、前記フィルタリングパラメータに従って、前記地物等の表示可否および表示態様を決定し、前記3次元地図を表示する3次元地図表示システム。
【請求項6】
所定の表示パラメータに基づいて、地物等を3次元的に描画した3次元地図をコンピュータの画面に表示する3次元地図表示方法であって、
前記コンピュータが実行する工程として、
前記表示パラメータに応じた描画態様で前記3次元地図を表示する3次元地図表示工程と、
前記表示パラメータを設定するためにオペレータが操作するためのインタフェースを表示する表示パラメータインタフェース表示工程と、
前記インタフェースの操作状態に応じて前記表示パラメータを設定する表示パラメータ設定工程とを備え、
前記インタフェースは、前記画面内で、前記操作のためのアイコンが所定の直線に沿う第1方向と、該直線上からずれた第2方向に、それぞれ移動可能に構成されており、
前記表示パラメータ設定工程は、前記第1方向の動きまたは位置に応じて前記3次元地図のズーム状態に関する表示パラメータを設定し、前記第2方向の動きまたは位置に応じて前記3次元地図を表示する際の投影方向に関する表示パラメータを設定する3次元地図表示方法。
【請求項7】
所定の表示パラメータに基づいて、地物等を3次元的に描画した3次元地図をコンピュータの画面に表示するためのコンピュータプログラムであって、
前記表示パラメータに応じた描画態様で前記3次元地図を表示する3次元地図表示機能と、
前記表示パラメータを設定するためにオペレータが操作するためのインタフェースを表示する表示パラメータインタフェース表示機能と、
前記インタフェースの操作状態に応じて前記表示パラメータを設定する表示パラメータ設定機能とをコンピュータによって実現するためのコンピュータプログラムであり、
前記インタフェースは、前記画面内で、前記操作のためのアイコンが所定の直線に沿う第1方向と、該直線上からずれた第2方向に、それぞれ移動可能に構成されており、
前記表示パラメータ設定機能は、前記第1方向の動きまたは位置に応じて前記3次元地図のズーム状態に関する表示パラメータを設定し、前記第2方向の動きまたは位置に応じて前記3次元地図を表示する際の投影方向に関する表示パラメータを設定する機能であるコンピュータプログラム。



【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−177809(P2012−177809A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40969(P2011−40969)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(502002186)株式会社ジオ技術研究所 (23)
【Fターム(参考)】