説明

3次元構造メソポーラスシリカとその薄膜の製造方法

【課題】 簡便、かつ容易に、効率的に所定の3D(三次元)立方晶系メソ構造のシリカ、そしてその薄膜を形成することのできる新しい技術手段を提供する。
【解決手段】
シリカ前駆物質とカチオン界面活性剤並びに疎水性有機化合物とを混合して調製したゾルを乾燥し、次いで焼成することで3次元立方晶系メソポーラスシリカモノリスを形成し、さらには、シリカ前駆物質とカチオン界面活性剤並びに疎水性有機化合物とを混合して調製したゾルを固体基板上に薄層に塗布または展開して乾燥し、次いで焼成することで3次元立方晶系メソポーラスシリカ薄膜を生成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着材、触媒、医療・生化学材料、光・電子材料等の諸分野において有用な、3次元構造メソポーラスシリカとその薄膜の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
90年代初期の初報告以来、無機シリカ前駆物質と有機界面活性剤の自己組織化により合成されるメソポーラスシリカは、吸着、触媒、バイオミネラル化などといった複数の分野において、多大な興味を惹いている。この興味の主な理由は、このメソポーラス材料は良く秩序立った多孔構造と大きな表面積を有するためである。さらに、必要に応じたテクスチャ性質を有する異なるメソポーラス構造を合成することができる。これまでに、六方晶系(p6mm)、立方晶系(Ia3d、Pm3nなど)ならびに層状メソ多孔構造の合成を目的とした、複数のプロトコルが開発されている。なかでも、立方晶系メソポーラス材料は、相互連結された3Dポア系が存在することから、MCM−41などのような平坦な1Dチャネルを含む材料と比較して大量輸送を行う場合に有利である。これまでには、MCM−48(Ia3d)(非特許文献1−2)、SBA−1(Pm3n)(非特許文献3)、FDU−1(非特許文献4)、SBA−2(非特許文献3、5)、SBA−12(非特許文献6、7)、KIT−5(非特許文献8)、FDU−12(非特許文献9)などの立方晶系メソポーラスシリカの合成に関する報告が存在する。
【0003】
そして、メソポーラス材料の構造と特性を精密にコントロールすることが、工業過程におけるこれらの材料の応用を実現させるための重要な要素であることは、十分に認められている。メソポーラスシリカのナノ構造エンジニアリングに関する先行研究によれば、1,3,5−トリメチルベンゼン(非特許文献2)、アルカン類(非特許文献10)、アミン類(非特許文献11)などの適切な有機添加物を添加することによって、メソ細孔の直径を大きくできることが判明している。最近Luechinger et al.(非特許文献12)は、アルカリ条件下で合成したメソポーラス材料の構造に、各種疎水性添加物が及ぼす効果について調査を行っている。Ryooらのグループも同様に、添加剤にトリブロック共重合体F−127とブタノールを用いて、高度に秩序化された巨大ポア立方晶系または六方晶系メソポーラスシリカ粉末の相選択に対する制御を示している(非特許文献13)。
【0004】
たとえば上記のように様々に検討が進められているメソポーラスシリカについては、その薄膜が科学的・技術的に重要であるとされている。これは高度電子工学や光学分野での応用が可能であることが理由となっている。これらを広範囲に業務応用するためには、メソ相選択と配向コントロールを用いた経済的な処理が重要な要素であると考えられる。薄膜の構造を考慮すると、Ia3d、Pm3n、Im3m、R−3m等の3D開放メソ構造が膜分離やセンシングなどの各種応用に利用できる可能性を有しているが、これは当該構造では表面−空気界面からの直接的なポア接触性が得られるためである。
【0005】
しかしながら、以上のように、メソポーラスシリカについての検討が進展し、その薄膜の重要性への関心も高まっているが、従来においては、簡便で、かつ容易に、効率的な手段で、所定の3D(三次元)立方晶系のメソ構造のポーラスシリカ、そしてその薄膜を形成することには必ずしも成功していないのが実情である。
【非特許文献1】Kresge, C. T. et al. Nature 1992, 6397, 710.
【非特許文献2】Beck, J. S. et al. J. Am. Chem. Soc. 1992, 114, 10834.
【非特許文献3】Huo, Q. S. et al. Chem. Mater. 1996, 8, 1147.
【非特許文献4】Yu, C. et al. Chem. Commun. 2000, 575.
【非特許文献5】Zhou, W. Z. et al. J. Phys. Chem. B 1998, 102, 6933.
【非特許文献6】Zhao, D. et al. J. Am. Chem. Soc. 1998, 120, 6024.
【非特許文献7】Sakamoto, Y. et al. J. Phys. Chem. B 2002, 106, 3118.
【非特許文献8】Kleitz, F. et al. J. Phys. Chem. B 2003, 107, 14296.
【非特許文献9】Fan, J. et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2003, 42, 3146.
【非特許文献10】Blin, J. L.; Su, B. L.; Langmuir 2002, 18, 5303.
【非特許文献11】Sayari, A. et al. Adv. Mater. 1998, 10, 1376.
【非特許文献12】Luechinger, M. et al. Micropor. Mesopor. Mater. 2005, 79, 41.
【非特許文献13】Kleitz, F. et al. Chem. Commun. 2004, 1536.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のとおりの背景から、簡便、かつ容易に、効率的に所定の3D(三次元)立方晶系メソ構造のシリカ、そしてその薄膜を形成することのできる新しい技術手段を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題を解決すべく検討を進め、その過程において、これまでに知られていない新しい技術的知見を導き、これに基づいて本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明者は、構造規定剤として汎用性の高いカチオン性界面活性剤、たとえばcetyltrimethylammoniumbromide(CTAB)を用いて蒸発誘起自己組織化(EISA)過程(Lu, Y. et al., Nature 1997, 389, 3684)によりメソポーラスシリカを合成する際に、シリカ−界面活性剤混合物に疎水性有機物、たとえば1,3,5−triisopropylbenzene(TIPB)を添加することによって、ゲル状態のSiO/CTABミセル形状を制御し、3D立方晶系、Im3m、ポア直径3−4nmのメソポーラスシリカモノリスの合成が着実なアプローチとして実現されることを見出した。そして、このアプローチの主な利点は(1)単純な過程である、(2)室温で材料合成を行う、(3)短時間で合成される、(4)秩序立った立方晶系メソポーラス材料が高収率で得られる、(5)CTABイオン界面活性剤を用いて立方晶系Im3m材料が形成されることなどである。体心立方性Im3mメソ相は、水中のCTAB二元状態図に存在せず、このIm3mメソ構造にはケージ状のポア構造がみられ、そこでは比較的大きな空洞がサイズの小さなポア入り口を介して接続されている。材料のこういった独特な特徴は、巨大分子を吸着や触媒処理のため処理する場合に有益である。
【0009】
また、本発明は、同様の反応系によって、高度に多孔化したねじれ立方晶状R−3mメソポーラスシリカ薄膜が形成可能とされることも見出した。この薄膜は、表面−空気界面から開放メソ細孔を非常に高密度で保有していることが確認された。
【0010】
以上のような新しい知見に基づく本発明は以下のことを特徴としている。
【0011】
第1:シリカ前駆物質とカチオン界面活性剤並びに疎水性有機化合物とを混合して調製したゾルを乾燥し、次いで焼成することで3次元立方晶系メソポーラスシリカモノリスを形成する。
【0012】
第2:上記の方法によって、カチオン性界面活性剤は四級アンモニウム塩であり、疎水性有機化合物は、芳香族炭化水素化合物があって、3次元立方晶系Im3mメソポーラスシリカモノリスを形成する。
【0013】
第3:シリカ前駆物質とカチオン界面活性剤並びに疎水性有機化合物とを混合して調製したゾルを固体基板上に薄層に塗布または展開して乾燥し、次いで焼成することで3次元立方晶系メソポーラスシリカ薄膜を形成する。
【0014】
第4:上記の方法において、カチオン性界面活性剤は四級アンモニウム塩であり、疎水性有機化合物は芳香族炭化水素化合物であって、ねじれ立方晶状R−3mメソポーラスシリカ薄膜を形成する。
【0015】
第5:BET表面積800−1000m2/g、BJHポア直径2.9−4.3nm、ポア容積0.7−1.0cm3/gの3次元立方晶系Im3mメソポーラスシリカモノリス。
【0016】
第6:BET表面積800−1200m2/g、BJHポア直径2.5−4.5nm、ポア容積0.7−1.5cm3/gのねじれ立方晶状R−3mメソポーラスシリカ薄膜。
【発明の効果】
【0017】
以上のとおりの本発明によれば、簡便、かつ容易に、効率的に所定の3D立方晶系メソ構造のシリカと、その薄膜を形成することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は上記のとおりの特徴を有するものであるが、以下に、その実施の形態について説明する。なお、本発明における「モノリス」の用語については、「薄膜」以外の各種の形態であることを意味している。たとえば、微粒子、粒子、ブロック状のもの等の形態である。
【0019】
本発明においては、メソポーラスシリカモノリスあるいはメソポーラスシリカ薄膜のいずれの製造においても、まず共通して
1)シリカ前駆物質
2)カチオン界面活性剤
3)疎水性有機化合物
を用いてゾルを調製する。シリカ前駆物質としては、従来より用いられているアルコキシシラン、アルコキシハロゲノシラン、アルキルシリケート、これらの部分縮合物などやその加水分解物等を適宜に考慮することができる。カチオン界面活性剤についても同様に従来公知のものを用いることができ、なかでも、四級アンモニウム塩、たとえば次の略称と一般式、
TMA:C2n+1(CH
TEA:C2n+1(C
(n=12〜20)
で表わされるものが挙げられる。なかでも、トリアルキルアンモニウムハライドとしてのセシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)等がその代表的で好ましいものとして考慮される。
【0020】
一方、疎水性の有機化合物としては、より大きな疎水性を示す炭化水素化合物、なかでも芳香族炭化水素化合物が好適なものとして考慮される。たとえばトリイソプロピルベンゼン(TIPB)やトリイソブチルベンゼン、トリt−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン等のトリアルキル置換ベンゼンが例示される。
【0021】
これらの使用割合については、1モルのSiO2に対しての比率として、カチオン界面活性剤5〜20、疎水性有機化合物0.05〜0.5を一般的な目安として考慮することができる。そして、ゾルの調製は5〜30℃程度の温度条件であってよい。
【0022】
ポーラスシリカモノリスの形成においては、混合ゾルを自然乾燥、あるいは加熱乾燥し、次いで焼成する。一方、薄膜の形成においては基板に塗布あるいは展開し、同様に乾燥後に焼成する。
【0023】
焼成については、通常は、空気中において、あるいは酸素含有の不活性ガス中において、350〜600℃の温度で30分〜10時間程度加熱することが考慮される。
【0024】
また、薄膜形成のためのゾルの塗布や展開は各種の方法であってよく、ゾル中への基板の浸漬と引上げ、スピンコート、スプレー、流下塗布、ブレードコーティング、その他の適宜な方法であってよい。
【0025】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
【実施例】
【0026】
<A>三次元構造メソポーラスシリカモノリス
(1)モノリスの形成方法
最初に透明なシリカ前駆物質溶液を調製したが、そのためには2gのテトラエチルオルソシリケート(TEOS,Wako)を0.5gのHCl(0.1m,Wako)ならびに1gの98%エタノール(Wako)存在下、室温条件下で1時間にわたり撹拌して加水分解した。0.52gのCTAB(Aldrich)、0.45gのTIPB(Across)ならびに3.5gのエタノールを含む界面活性剤溶液は、室温条件下(25℃)で1時間にわたり撹拌して調製した。次にこの界面活性剤溶液を室温条件下でシリカ溶液と混合し、SiO/CTAB/TIPBゾルを作成した。透明なゾルを5分間撹拌し、その後室温条件下で2時間にわたり熟成させた。このゾルの分子構成は1SiO:0.0017HCl:5.2HO:10EtOH:0.10CTAB:xTIPBであった。xを0.17に固定した場合をもって、標準状態とした。次に透明なゾルの一部(50%)を磁製のペトリ皿(直径20cm)に移し、室温条件下(25℃、相対湿度70%)で4日間にわたり乾燥させてモノリスを得た。TIPBが合成されたメソポーラスシリカモノリスの性質に及ぼす影響を調べるため、ゾル中のTIPB量をx=0から0.5まで変化させて、試料を追加調製した。
【0027】
合成状態のメソポーラス材料に由来する有機分子は、空気中500℃条件下で焼成することによって除去した。温度は1分あたり1℃の割合で増加させ、500℃の最終温度を5時間にわたり維持した。
(2)分析
メソポーラスシリカモノリスの構造分析を、M03X−HF(Bruker AXS)機器によるCuKα放射(40kV、40mA)を用いたX線回折(XRD)により行った。電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)測定を、S−900(Hitachi)機器により6kV条件で行った。試料はイオンスパッタリング装置E−1030(Hitachi)中で、0.1Paアルゴン大気中、5sにわたりPtでコーティングしてから測定を行った。より高解像度のFE−SEM画像については、S−5200(Hitachi)機器により30kV条件下で、試料の表面コーティングを行わずに記録した。
【0028】
焼成済みモノリスの透過型電子顕微鏡(TEM)画像は、JEM2010電子顕微鏡(JEOL)を用いて加速電圧200kV条件下で記録した。試料調製は、焼成済み材料を室温条件下でエタノール中に分散させて行った。この分散を数滴、穴の空いた炭素蒸着メッシュ状に置き、室温で乾燥させた。
【0029】
このモノリスの29Siマジック角スピニング核磁気共鳴(29Si MAS NMR)スペクトルは、ケイ素−29ラーモア周波数が59.7MHzである条件でCMX−300(JEOL)機器を用いて取得した。SP(単一パルス)MAS測定の条件は、補足時間204.8msならびにパルス遅延7.0sとなるように選択して、ケミカルシフトを十分に分析できるだけの信号対雑音比が得られるようにした。CP(交差分極)MAS測定の条件は、補足時間102.4ms、接触時間5.0ms、パルス遅延15.0sである。ケミカルシフトの基準は0ppmのテトラメチルシラン外部標準に、二次標準は−34.16ppmのポリジメチルシランに合わせた。焼成済みメソポーラスシリカ試料のN吸着/脱着等温線の測定は、AutoSorb−1機器(Quantachrome Co.)を用いて77K条件にて行った。測定前に350℃、10Pa条件下で少なくとも12時間にわたり試料を脱ガスした。
(3)結果
1SiO:0.0017HCl:5.2HO:10EtOH:0.10CTAB:0.17TIPBの標準分子構成を有するゾルから合成されたメソポーラスシリカモノリスは3D立方晶系Im3m構造を示すが、これはそれぞれ図1(a)ならびに(b)に示された、合成状態ならびに焼成済み材料のXRDパターンから推定されるものである。上記ゾルからx=0条件で調製したメソポーラスシリカモノリスは、p6mm六方晶系メソ相を形成し、これは図1(c)に示すXRDパターンから観察される。立方晶系メソ相の選択的形成が、疎水性添加物であるTIPBをシリカゾルに添加することによって達成される。TIPBなどの大きな疎水性分子はミセル核にサイズ特異的に局在することから、SiO/CTAB形状を変化させる傾向がある。ミセル形状の変化は、界面活性剤とシリカ分子種の相互作用により形成されるメソポーラスシリカの構造に影響する。
【0030】
メソポーラスモノリスに関して図1に観察されたブラッグ回折ピークは、従来のゾル−ゲル/水熱合成によるメソポーラスシリカ粉末について得られた値と比べて幅広であった。これはEISA過程により合成されたメソポーラス材料にいつも観察される単軸の構造収縮が原因である。焼成途中には2シータ値に向かう微量のシフトが観察された。これはメソポーラスシリカにおいて常に観察される現象であり、焼成途中の高温状態で表面の水酸基に対する濃縮がさらに進行する結果、単位セルの収縮(本稿の事例ではおよそ8%)が生じるためである。
【0031】
図2に示す焼成済みメソポーラスシリカモノリスのFE−SEMならびにTEM画像によって、この材料の3D立方晶系Im3m構造がさらに確認される。この3D立方晶系構造の(110)ならびに(100)平面は、図2の(c)ならびに(d)にそれぞれ示されている。図2(a)における焼成済み材料の低解像度のFE−SEM画像は、ディンプルのあるテクスチャー形態を示している。これはSiO/CTABミセルの核内に取り込まれなかった過剰なTIPB分子が、マイクロメートルサイズの液滴形態でシリカメソ相の表面上に位置するためであり、これらは乾燥および/あるいは焼成途中で除去され、これによって中空の楕円状空洞を形成する。原子間力顕微鏡技術を用いて、この試料では空洞の深さが平均130nmであることを確認した。同じゾルからx=0条件で作成した材料のTEM画像を図3に示すが、これによって、XRDパターンから観察されるようなp6mm六方晶系構造を有することが確認される。
【0032】
合成状態ならびに焼成済み材料の29Si MAS NMRスペクトルを、それぞれ図4の(a)ならびに(b)に示す。Q(−90.1ppm)、Q(−100ppm)、Q(−112.2ppm)のシリコン環境に割り当てられたピークが、合成状態の材料のNMRスペクトルに明らかに観察されている。Q、Q、Qシリコンの比率の評価値はそれぞれ8.7、50.7、40.6であった。この材料中にQ、Qシリコンがかなり存在していることから、不完全にポリマー化したシリカ分子種が存在することが示される。焼成済み材料中のQならびにQシリコン(Qは存在しない)の比率の評価値はそれぞれ35.6ならびに64.4であり、これは500℃条件での焼成中にシリカの凝縮と再構造化がさらに生じたことを明示している。
【0033】
焼成済みモノリス上の窒素吸着/脱着測定の結果は図5(a)に示すように、IV型等温線を示した。材料のBET表面積は840m/gであった。総ポア容積ならびにBJHポア直径を等温線の吸収ブランチから計算すると、それぞれ0.75cm/gならびに3.3nmであった。さらに図5(b)から観察されるように、等温線の脱着ブランチから計算した平均ポア直径は、吸着ブランチからの計算値を下回ることが判明しており、これは材料中で、大きなコンパートメントが狭い開口部または窓により相互連結されているようなポア形状を示している。
【0034】
合成された3D立方晶系材料のテクスチャ特性に対するTIPBの影響を調べるために、合成ゾル中のTIPB量を変化させて複数の試料を調製した。ゾルの分子構成は1SiO:0.0017HCl:5.2HO:10EtOH:0.10CTAB:0.05−0.5TIPB(SiO/TIPB=4−20)に保った。図6に示す焼成済み材料のXRDパターンから、3D立方晶系構造が得られるSiO/TIPBの範囲が観察できる。
【0035】
焼成済み材料についてのN吸着/脱着プロットならびにポアサイズ分布を、BJH法を用いて等温線の吸着ブランチから計算し、図7と8にそれぞれ示した。x=0条件下で得られた六方晶系材料[図(e)]とTIPB存在下で合成された材料[図7(a)−(d)]の間には、等温線のヒステリシスループに対応したP/Pのシフトが明らかに観察される。図8からはっきり分かる事実は、最大ポア直径約4.2nmを有する材料がx=0.10−0.14(SiO/TIPB=7−10)の条件で得られていることである。事実、格子定数計算値「a」も同じ条件下で最大値8.44nmになった。TIPB存在下で作られたポア直径の最低値は、x=0.05(SiO/TIPB=20)条件下での2.93nmであった。この材料の格子定数は7.62nmであった。事実上、TIPBでは、合成された3D立方晶系材料におけるポア直径を2.9から4.2nmに調節することが可能であった。合成された3D立方晶系材料のBET表面積は800−1000m/gの範囲になり、総ポア容積は0.7から1.0cm/gの範囲になった。XRDならびにN吸着/脱着実験から得られたデータを表1に示した。
【0036】
【表1】

ゾルに対するTIPB添加によるメソ細孔直径ならびに格子定数のばらつきの概要を得るため、図9においてゾル中のTIPBのモル濃度に対し、ポア直径ならびに格子定数の変化をプロットした。TIPB非存在条件下で得られた六方晶系材料でのポア直径ならびに格子定数は、それぞれ2.0nmと2.5nmであった。TIPBの添加はメソ細孔のサイズならびに結晶格子に積極的な影響を及ぼしているが、これはTIPBがミセル核に選択的に局在することで、界面活性剤のミセルが膨張するためである。しかしポア直径ならびに格子定数の増加が続くのはx=0.12(SiO/TIPB=8)までであり、それ以後、ポア直径ならびに格子定数は減少し、最終的にはx=0.25で横ばい状態になる。XRDならびにN吸着データから観察されるように、最適なミセル膨潤の存在が示されることから、ゲル中ではTIPBを取り込むことによってx=0.12で飽和点に達することが確認される。実際にTIPB量をさらに増やすと、図9に見られるようにメソ構造の格子サイズはわずかに減少することになる。これはおそらく、ゲル中の過剰なTIPB分子によって、界面活性剤による疎水性の鎖が選択的に膨張し、その結果ミセルの曲率がわずかに変化することに起因していると考えられる。
【0037】
図10(a)ならびに(b)における焼成済み材料のFE−SEM画像は、x=0.14ならびにx=0.25(それぞれSiO/TIPB=7ならびに4)のゾルから得られたものであるが、これは乾燥または焼成途中でモノリスの疎水性領域からTIPBが蒸発することによりシリカモノリスの上面に形成された、ミクロンサイズの楕円形空洞またはディンプルが存在することを示している。他の2種類の試料はx=0ならびにx=0.1(それぞれSiO/TIPB=∞ならびに10)のゾルから調製されたものであるが、これらのゾルではTIPB量が最適レベル未満であるため、それぞれ図10(c)ならびに(d)に示すFE−SEM画像において、これらには同様の楕円形空洞は観察されなかった。
<B>三次元構造メソポーラスシリカ薄膜
(1)形成方法と分析
シリカ前駆物質溶液を最初に調整したが、これは0.5gのHCl(0.1M,Wako)ならびに1.0gの98%エタノール(Wako)存在下で2.0gのテトラエチルオルト珪酸塩(TEOS,Wako)を1時間にわたり室温条件下で撹拌することによって行った。界面活性剤溶液の成分は0.52gのCTAB(Aldrich)、0.45gの1,3,5−triisopropylbenzene(TIPB,Across)ならびに3.5gのエタノールであり、1時間にわたり室温(25℃)条件下で撹拌して調整した。この界面活性剤溶液を室温条件下で15分間にわたりゆっくりとシリカ前駆物質溶液に混合し、シリカ−界面活性剤コーティングゾルを作った。薄膜の製造は、予め洗浄した薄いカバーガラスを基質に用いて、環境条件下5cm/分の条件で浸漬コーティングを行うことにより行った。比較目的として、[TIPB]=0とした条件下で同成分のゾルを用い、p6mm六方晶系薄膜を調製した。コーティングされた状態の薄膜は室温条件下、24時間にわたり保存し、続いて5時間にわたり空気中500℃の条件で焼成した。
【0038】
ビームライン8−ID−E、Advanded Photon Source(波長0.1631nm、入射角0.22度)、Argonne National Laboratory条件下で、薄膜からの反射X線小角散乱(GISAX)パターンを収集した。基質は垂直に配置し、延長したビームストップを用いて主な入射ビームと反射ビームをブロックした。2D強度データを任意の強度スケールを用い、それぞれ2θとα、面内および面外の出口角としてプロットした。散乱スポットパターンのシミュレーションならびに実験データへのオーバーレイはNANOCELLを用いて行った。このプログラムはひずみ波ボルン近似(DWBA)を用いて、反射ならびに屈折効果を説明している。焼成したメソポーラスシリカ薄膜の透過型電子顕微鏡(TEM)画像は、JEM2010電子顕微鏡(JEOL)を用いて加速電圧200kVの条件で記録した。電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)測定は、S−5200機器(Hitachi)にて加速電圧30kVの条件で、薄膜サンプルを何らコーティングせずに実施した。基質から剥離された焼成済みメソポーラスシリカ薄膜のN吸着/脱着等温線の測定は、Autosorb−1機器(Quantachrome Co.)を用いて77K条件で行った。
(2)結果
高いポア接触性を有する薄膜の製造を行うための妥当なアプローチの一つに、小孔や小窓により本質的に相互連結された、立方晶またはケージ状のメソ構造を形成する方法がある。近年Boissiere et al.(Langmuir 2005, 21(26), 12362-12371)は環境偏光ポロシメトリーを用いて、Pm3mならびにIm3m立方晶構造にはHO等の分子による空気−基質界面からの高度のポア接触性があることを示している。この薄膜に独特なR−3mメソ構造が存在することを、合成状態の試料と焼成済み試料について行ったGISAXS分析をもとに、図11(a)ならびに(b)にそれぞれ示すかたちで確認した。合成状態の薄膜の示す散乱パターンは、基質に垂直なベクトルに対する多数の回転配向をサンプリングした場合、基質平面に対して配向した薄膜を示していた。NANOCELLを用いて、基質に平行に(111)平面が配向されたねじれ立方晶相をもとにシミュレーションを行った回折点パターンをデータ上にオーバーレイした。このシミュレーションされた回折点パターンは、パターンの主な特徴を説明している。さらに(111)回折点にわずかに円弧が観察されるのは、基質に対する(111)平面の配向にわずかに拡散が存在するためである。
【0039】
焼成済み薄膜から得られたGISAXSパターンは、合成状態の薄膜と類似した特徴を示す。しかし焼成済み薄膜ではリングに沿った強い散乱が存在し、薄膜中の配向秩序が減少していることが示されている。さらに薄膜からのX線散乱の臨界角について、焼成時にはおよそ0.25°から0.17°に減少していることが観察されており、これは界面活性剤の除去とそれによって生じる薄膜の平均電子密度の減少を示している。
【0040】
コーティングされた状態の薄膜の上面ならびに断面図における基質上FE−SEM画像をそれぞれ図12(a)ならびに(b)に、また焼成済み薄膜の対応する基質上TEM画像を図13(a)ならびに(b)にそれぞれ示す。これらの画像から、薄膜内部には高度に多孔化して整然としたR−3m構造が存在することが判る。これらの画像は、表面−空気界面におけるメソ細孔の明確な証明となる。
【0041】
吸着/脱着プロットならびにBJHポアサイズ分布(吸着ブランチ)はそれぞれ図14[(a)−(i)]ならびに[(b)−(i)]に示すが、これによって薄膜のメソ細孔構造がさらに確認される。薄膜のBET表面領域は1000m/gであった。BJH法をもちいて評価したポア直径ならびにポア容積は、それぞれ3.4nmならびに1.0cm/gであった。これに対してそれぞれ図14[(a)−(ii)]ならびに[(b)−(ii)]に示すように、同一ゾルから[TIPB]=0条件で合成したp6mm六方晶系薄膜の示すN吸着能力はかなり低く、ポア直径も小さかった。六方晶系薄膜のBET表面領域は900m/gであったが、ポア直径ならびにポア容積はそれぞれ2.0nmならびに0.5cm/gであった。以上の結果から多孔性の高い3D開放フレームワークメソ構造が存在し、分子に対する接触性をもたらしていることが明示される。なお、ゾル調製途中、シリカ/CTABゾルにTIPBを添加することにより、液状のシリカ−界面活性剤混合物のミセル構造を変化させることを見込んでいる。Luechinger et al.(Micropor. Mesopor. Mater. 2005, 79, 41-52)によってこれまでに示されている事実によれば、SiO/界面活性剤ゲルに適切な疎水性添加物を添加することによって疎水性添加物がミセル構造内に選択的に配置されるため、液状の界面活性剤ミセルの形状を変化させてアルカリ条件下でメソポーラスシリカ粉末を合成することが可能である。Ryooらのグループも同様に、トリブロック共重合体F−127を添加剤のブタノールと併用し、高度に秩序化された巨大ポアメソ構造化シリカ粉末の相挙動に対する(Fm3m、Im3m、p6mm対称性の選択を有する)例外的制御を示している(Chem, Commun. 2004, 1536-1537)。一方、本実施例では、ゾル中のTIPB分子がSiO/CTABミセル中でサイズ特異的に位置することによって、球状ミセルの形成を誘導している。円筒状ミセルから球状ミセルへの移行によって3D開放メソ構造が得られるが、増加したTIPB容積をCTABにより補わねばならないことによってこの移行が促進される。TIPBは界面活性剤の炭化水素鎖を膨張させて飽和に至り、その後にミセル中心部に純粋なTIPB核が形成される。TIPB分子をCTABで覆うためにミセルは球状化し、3D開放メソ構造の形成を生じさせる。ここでは薄膜処理途中に形成される中間的な3D立方晶メソ相、おそらくはIm3mがねじれることによってR−3mメソ構造、すなわち、ねじれ立方晶状R−3mメソ構造が形成されると考えられる。薄膜の乾燥/焼成時に生じる蒸発誘起自己組織化(EISA)プロセスによるメソ相への変換はよく知られている。また通常EISAアプローチによって固体基質上に作成した薄膜は、おそらくは薄膜の急速形成か、焼成途中に生じる圧力のため、薄膜基質に対して垂直方向に圧縮を受けることも認められている。圧縮が生じる様式は、薄膜のポアトポロジーに大きな影響を及ぼす。R−3mが生ずるまでの中間的メソ相としてIm3mが形成されることは、ペトリ皿中のコーティングゾルを室温条件下でゆるやかに乾燥させた場合に得られるモノリスが、Im3m立方晶メソ構造を示すという事実から確認される。この場合、固体中のIm3mメソ相は急速形成されないため室温条件下で安定し、基質によるさらなる一方向性のメソ相圧縮は、最小限またはゼロであった。疎水性添加物TIPBの添加が、3Dメソ構造の形成に決定的であることがわかる。さらにTIPBを添加してもコーティングゾル中に沈殿や濁りは生じなかった。従って各種基質上にゾルをコーティングするならば、連続的かつ亀裂のない薄膜を容易に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】1SiO:0.0017HCl:5.2HO:10EtOH:0.10CTAB:0.17TIPBの分子構成を有するゾルから合成した3D立方晶系材料の合成後(a)ならびに焼成済み(b)のXRDパターンであって、パターン(c)は同一成分であるがTIPB非添加のゾルから調製した材料のものである。
【図2】1SiO:0.0017HCl:5.2HO:10EtOH:0.10CTAB:0.17TIPBの分子構成を有するゾルから合成した焼成済み3D立方晶系材料のFE−SEM(a)−(c)ならびにTEM(d)画像であり、(c)と(d)の画像はそれぞれIm3m構造の(110)ならびに(100)平面に対応している。
【図3】1SiO:0.0017HCl:5.2HO:10EtOH:0.10CTABの分子構成を有するゾルから合成した焼成済み2D六方晶系p6mm材料のTEM画像である。
【図4】1SiO:0.0017HCl:5.2HO:10EtOH:0.10CTABの分子構成を有するゾルから合成した合成状態(a)ならびに焼成済み(b)3D立方晶系材料の59.7MHzマジック角回転Si−NMRスペクトルである。
【図5】(a)1SiO:0.0017HCl:5.2HO:10EtOH:0.10CTABの分子構成を有するゾルから合成した焼成済み3D立方晶系材料のN吸着/脱着等温線と、(b)BJHモデルを用いて計算したポア直径分布である。
【図6】各種SiO/TIPBモル比の条件下、1SiO:0.0017HCl:5.2HO:10EtOH:0.10CTAB:0.05−0.5TIPBの分子構成を有するゾルから合成した3D立方晶系材料のXRDパターンで、XRDパターンに対応するSiO/TIPBモル比はそれぞれ(a)20、(b)10、(c)7ならびに(d)4である。
【図7】各種SiO/TIPBモル比の条件下、1SiO:0.0017HCl:5.2HO:10EtOH:0.10CTAB:0.05−0.5TIPBの分子構成を有するゾルから合成した3D立方晶系材料のN吸着/脱着等温線で、N吸着等温線に対応するSiO/TIPBモル比はそれぞれ(a)20、(b)10、(c)7ならびに(d)4であり、プロット(e)は、同様の分子構成を有するけれどもTIPBのみ含まないゾルから合成した六方晶系p6mm材料に対応している。
【図8】各種SiO/TIPBモル比の条件下、1SiO:0.0017HCl:5.2HO:10EtOH:0.10CTAB:0.05−0.5TIPBの分子構成を有するゾルから合成した3D立方晶系材料のN吸着/脱着等温線をもとにして、BJH法により計算したポア直径分布であり、パターンに対応するSiO/TIPBモル比はそれぞれ(a)20、(b)10、(c)7ならびに(d)4で、プロット(e)は、同様の分子構成を有するけれどもTIPBのみ含まないゾルから合成した六方晶系p6mm材料に対応している。
【図9】各種TIPB含有量条件下で合成した材料に関するポア直径(BJH、吸着ブランチ)と立方格子パラメータ「a」のばらつきを示した図である。
【図10】(a)1SiO:0.0017HCl:5.2HO:10EtOH:0.10CTABの分子構成を有するゾルから合成した六方晶系p6mm、ならびに(b)−(d)、1SiO:0.0017HCl:5.2HO:10EtOH:0.10CTAB:0.05−0.5TIPBの分子構成を有するゾルから合成した3D立方晶系の、各種焼成済み材料のFE−SEM画像で、画像に対応するSiO/TIPBモル比はそれぞれ(b)20、(c)10ならびに(d)4である。
【図11】合成時(a)ならびに焼成後(b)薄膜のGISAXSパターンであって、合成時の試料には、(111)平面が基質に平衡な状態で配向されたR−3m相をシミュレーションした回折点パターンを示す。
【図12】コーティングされた状態のメソポーラスシリカ薄膜に対する上面(a)ならびに断面(b)FE−SEM画像である。
【図13】コーティングされた状態の薄膜に対する、それぞれ(111)ならびに(100)平面に沿った上面(a)ならびに断面(b)TEM画像(挿入図は電子回折パターン)である
【図14】(a)(i)斜方晶系R−3m薄膜基質、ならびに(ii)同一ゾルであるが[TIPB]=0条件下で調製した六方晶系p6mmの基質から剥離された、焼成済みメソポーラスシリカ薄膜の窒素吸着等温線;(b)Barrett Joyner Halenda(BJH)法によりこれら2種類の薄膜について計算されたポアサイズ分布である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ前駆物質とカチオン界面活性剤並びに疎水性有機化合物とを混合して調製したゾルを乾燥し、次いで焼成することで3次元立方晶系メソポーラスシリカモノリスを形成することを特徴とする3次元構造メソポーラスシリカの製造方法。
【請求項2】
カチオン性界面活性剤は四級アンモニウム塩であり、疎水性有機化合物は、芳香族炭化水素化合物であって、3次元立方晶系Im3mメソポーラスシリカモノリスを形成することを特徴とする請求項1の3次元構造メソポーラスシリカの製造方法。
【請求項3】
シリカ前駆物質とカチオン界面活性剤並びに疎水性有機化合物とを混合して調製したゾルを固体基板上に薄層に塗布または展開して乾燥し、次いで焼成することで3次元立方晶系メソポーラスシリカ薄膜を生成させることを特徴とする3次元構造メソポーラスシリカ薄膜の製造方法。
【請求項4】
カチオン性界面活性剤は四級アンモニウム塩であり、疎水性有機化合物は芳香族炭化水素化合物であって、ねじれ立方晶状R−3mメソポーラスシリカ薄膜を形成することを特徴とする請求項3の3次元構造メソポーラスシリカ薄膜の製造方法。
【請求項5】
BET表面積800−1000m2/g、BJHポア直径2.9−4.3nm、ポア容積0.7−1.0cm3/gの3次元立方晶系Im3mメソポーラスシリカモノリス。
【請求項6】
BET表面積800−1200m2/g、BJHポア直径2.5−4.5nm、ポア容積0.7−1.5cm3/gのねじれ立方晶状R−3mメソポーラスシリカ薄膜。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図14】
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【図2】
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【図3】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−284303(P2007−284303A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114882(P2006−114882)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】