説明

4−アミノジフェニルアミンの製造法

【課題】4−アミノジフェニルアミンの新規製造法を提供する。
【解決手段】アニリン又はアニリン誘導体とニトロベンゼン又はニトロベンゼン誘導体を、強塩基、4級アンモニウム塩相間移動触媒及び酸化剤の存在下、限定された領域の中で、適切な時間、圧力及び温度において反応させて、4−アミノジフェニルアミン中間体を得る。該中間生成物は還元されて、4−アミノジフェニルアミン又はその置換された誘導体を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は4−アミノジフェニルアミン中間体の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
4−アミノジフェニルアミンは、モノマー及びポリマーの安定化剤であるオゾン劣化防止剤及び抗酸化剤としての用途を有するアルキル化誘導体の製造、及び様々な専門的な用途における中間体として広く使用されている。例えば、メチルイソブチルケトンによる4−アミノジフェニルアミン(4−ADPA)の還元的アルキル化は、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’―フェニル―p−フェニレン―ジアミン、これは種々のゴム製品の保護のために有益なオゾン劣化防止剤である、を与える。
【0003】
4−アミノジフェニルアミン誘導体は種々の方法において製造され得る。魅力的な合成は、例えば(Stemらへの)米国特許第5,608,111号及び(Reinartzらへの)米国特許第5,739,403号において開示されるように、塩基の存在下、場合により置換されていてもよいアニリンと、場合により置換されいてもよいニトロベンゼンとの反応である。
【0004】
米国特許第5,608,111号は、場合により置換されていてもよい4−ADPAの製造法を開示し、該方法において、最初の段階において、場合により置換されていてもよいアニリン及び場合により置換されていてもよいニトロベンゼンが塩基の存在下、反応(カップリング)される。実施例において、アニリン及びニトロベンゼンは、塩基として水酸化テトラメチルアンモニウムの存在下反応され、水及びアニリンはカップリング反応中に共沸的に除去される。
【0005】
国際特許出願公開00/35853は、液状媒体中でのアニリンとニトロベンゼンとの反応による4−アミノジフェニルアミンの中間体の製造法を開示し、該方法において、反応系は水酸化物とともに真の双性イオンの塩の溶液からなる。水酸化カリウム及びベタイン水和物の組合せが例示される。反応は遊離酸素の存在下行われ得る。
【0006】
欧州特許出願公開第566783号は、強いアルカリ性反応系における極性非プロトン性溶媒の媒体中におけるニトロベンゼンとアニリンとの反応による4−アミノジフェニルアミンの製造法を開示する。相間移動触媒、例えば硫酸水素テトラブチルアンモニウムが使用される。この参考文献は、酸化により引き起こされる望ましくない副反応を防ぐために、反応は酸素のない雰囲気中で行われることを要求する。
【0007】
米国特許第5,117,063号及び国際特許出願公開第01/14312号は、クラウンエーテル、相間移動触媒と共に無機塩基を用いて、4−ニトロジフェニルアミン及び4−ニトロソジフェニルアミンの製造法を公開する。
【0008】
米国特許第5,453,541号は、その工程において置換アニリン誘導体及びニトロベンゼンが反応的接触される、1以上の4−ADPA中間体を製造するための酸素欠如工程又は有酸素工程における過剰の水を吸収するために、外部の乾燥剤、例えば無水硫酸ナトリウムが使用され得ることを教える。
【0009】
本発明の目的は、強塩基及び相間移動触媒の存在下、又は有機塩基及び無機塩又は金属有機塩の存在下、アニリンとニトロベンゼンとを反応させることにより1以上の4−ADPA中間体を製造するための優れた方法を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
簡潔にまとめると、1の実施態様において、本発明は4−アミノジフェニルアミン又はその置換された誘導体を製造する方法のためであり、以下の段階を含む:
(a)アニリン又はアニリン誘導体及びニトロベンゼン又はニトロベンゼン誘導体を反応的接触に至らせること;
(b)強塩基、酸化剤及び以下の式により定義される化合物の群から選択される相間移動触媒を含む混合物の存在下,限定された領域において、適切な時間、圧力及び温度においてアニリン又はアニリン誘導体及びニトロベンゼン又はニトロベンゼン誘導体を反応させることにより4−アミノジフェニルアミン中間体を得ること、
【0011】
【化1】

ここでR1,R2,R3は同じであるか又は異なり、C1〜C20を含む任意の直鎖又は分岐状アルキル基から選択され、(R4eはe=0の場合水素であり、e=1又は2の場合R4はR123+であり、Yはアルキル、アリール、アルキルアリール又はベンジル及びそれらの置換された誘導体であり、Zは水酸基、ハロゲン、及び他のヘテロ原子からなる群から選択された置換基であり、Xは弗化物、塩化物、水酸化物、硫酸、酢酸、蟻酸、硝酸、リン酸、第二リン酸、第一リン酸、シュウ酸、炭酸、ホウ酸、酒石酸塩、クエン酸、マロン酸、及び前記化合物の混合物の形のアニオン部分であり、ここでa=アニオン部分の結合価(1,2,又は3)、b及びcは値1,2,又は3の整数であり、dは値0〜4の整数である;そして
(c)段階(b)の4−アミノジフェニルアミン中間生成物を還元して、4−アミノジフェニルアミン又はその置換された誘導体を生成すること
を含む。
【0012】
第2の実施態様において、本発明は4−アミノジフェニルアミン又はその置換された誘導体の製造法であり、以下の段階:
(a)アニリン又はアニリン誘導体及びニトロベンゼン又はニトロベンゼン誘導体を反応的接触に至らせること;
(b)制限された領域の中において適切な時間、圧力及び温度において、酸化剤及び以下の式により定義される化合物の群から選択される、相間移動触媒としてもまた機能する強塩基を含む混合物の存在下、アニリン又はアニリン誘導体及びニトロベンゼン又はニトロベンゼン誘導体を反応させることにより4−アミノジフェニルアミン中間生成物を得ること、
【0013】
【化2】

ここでR1,R2,R3は同じであるか又は異なり、C1〜C20を含む任意の直鎖又は分岐状アルキル基から選択され、(R4eはe=0の場合水素であり、e=1又は2の場合R4はR123+であり、Yはアルキル、アリール、アルキルアリール又はベンジル及びそれらの置換された誘導体であり、Zは水酸基、ハロゲン、及び他のヘテロ原子からなる群から選択された置換基であり、Zは水酸基、ハロゲン及び他のヘテロ原子からなる群から選択された置換基であり、b及びcは値1,2,又は3の整数であり、dは値0〜4の整数である;そして
(c)段階(b)の4−アミノジフェニルアミン中間生成物を還元して、4−アミノジフェニルアミン又はその置換された誘導体を製造すること
を含む。
【0014】
第3の実施態様において、本発明は4−アミノジフェニルアミン又はその置換された誘導体の製造法であり、該方法は以下の段階:
(a)アニリン又はアニリン誘導体及びニトロベンゼン又はニトロベンゼン誘導体を反応的接触に至らせること、及び
(b)制限された領域の中において適切な時間、圧力及び温度において、強い無機塩基の適切なカチオンであろうカチオンを有する無機塩又は金属有機塩又はそれらの混合物を含む混合物、酸化剤及び以下の式により定義される化合物の群から選択される1以上の有機塩基の存在下、アニリン又はアニリン誘導体及びニトロベンゼン又はニトロベンゼン誘導体を反応させることにより4−アミノジフェニルアミン中間生成物を得ること、
【0015】
【化3】

ここでR1,R2,R3は同じであるか又は異なり、1〜20の炭素原子を含む任意の直鎖又は分岐状アルキル基から選択され、eは値0,1,2,又は3の整数であり、(R4eはe=0の場合水素であり、e=1、2又は3の場合R4はR123+であり、Xはアニリン又はアニリン誘導体の窒素からプロトンを引き抜くことのできるアニオンであり、Yはアルキル、アリール、アルキルアリール又はベンジル及びそれらの置換された誘導体であり、Zは水酸基、ハロゲン、及び他のヘテロ原子からなる群から選択された置換基であり、ここでa=アニオン部分の結合価であり、1,2,3,又は4の整数であり、b及びcは値1,2,3、又は4の整数であり、dは値0,1,2,3、又は4の整数であり、前記混合物は、ベタイン及び強い無機塩基との反応生成物を含まない、そして
(c)段階(b)の4−アミノジフェニルアミン中間体生成物を還元して、4−アミノジフェニルアミン又はその置換された誘導体を製造すること
を含む。
【0016】
本発明の他の実施態様は、反応混合物に関する詳細及び、成分の比、特定の相間移動触媒及び特定の強塩基を含み、それらのすべてはこれ以後、本発明の各面の以下の議論において開示される。
【0017】
本発明は、4−ADPAの中間体を製造するための上に記載された方法に関に向けられ、該方法はそれらの中間体に対してより優れた収率と選択性を有する。そのような中間体は4−ニトロソ及び/又は4−ニトロジフェニルアミン(それぞれp−NDPA及び4−NDPA)及びそれらの塩を含む。中間体は次に水素化されて、4−アミノジフェニルアミンを製造し得る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上の式Iと一致する、置換され、多官能性の相間移動触媒の例は、(2S,3S)−ビス(トリメチルアンモニオ)−1,4−ブタンジオールジクロライドである。式Iに当てはまる他の効果的な相間移動触媒は、以下の実施例において示されるものに加えて、文献、例えばC. M. Starks及び C. Liotta著、“相間移動触媒、原理と技術”、アカデミックプレス, 1978年及び W. E. Keller, Fluka、“コンペンディウム”、第 1,2, 3巻、 Georg Thieme出版、ニューヨーク、1986年、1987年、1992年の例から誘導され得る。
【0019】
上の式II及びIIIと一致する、置換された多官能性の有機塩基の例は、(2S,3S)−ビス(トリメチルアンモニオ)−1,4−ブタンジオールジヒドロキシドである。式II及びIIIに当てはまる他の効果的な有機塩基は、以下の実施例において示されるものに加えて、上の相間移動触媒から誘導され得、ここでアニオンはヒドロキシド又は他の適するアニオン形により置換される。
【0020】
公知の本発明において特に効果的であると思われる相間移動触媒は、塩化テトラメチルアンモニウム、弗化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、炭酸ビス―トラメチルアンモニウム、蟻酸テトラメチルアンモニウム、及び酢酸テトラメチルアンモニウム;硫酸水素テトラブチルアンモニウム、及び硫酸テトラブチルアンモニウム;塩化メチルトリブチルアンモニウム;及び水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(Triton B)、塩化トリカプリルメチルアンモニウム(Aliquat 336)、塩化テトラブチルアンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム及び水酸化コリンである。
【0021】
本発明の相間移動触媒はクラウンエーテル、例えば18−クラウンー6、よりいくつかの利点を有し、アルカリ金属水酸化物と共に用いるクラウンエーテルが効果的であることが、文献例えば米国特許第5,117,063号及び上で議論された国際特許出願公開第01/14312号において記載された。クラウンエーテルの最も明らかな欠点は、非常に高い初期費用及び高い毒性である。その上、ほとんどのクラウンエーテルは水への溶解度が低く、そのためそれらは水性の塩基性の流れを用いるリサイクルでは回収され得ない。さらに、クラウンエーテルの沸点は非常に高いので、余分の蒸留工程無しにはクラウンエーテルは回収され得ない。水中において良好な溶解度を有するクラウンエーテルの種類の場合さえ、有機物における溶解度もまた良好であり、その結果、有機生成物の流れへの高い損失があるだろう。最後に、クラウンエーテルは公知のキレート化剤であり、その結果、クラウンエーテルとの錯体化のため、高価な水素化触媒金属の受け入れ可能ではない損失のおそれが高い。
【0022】
本発明の方法において、相間触媒:ニトロベンゼン反応物のモル比は、好ましくは0.05:1〜1.2:1である。
【0023】
本発明の方法は、上の第3の実施態様におけるように、有機塩基および無機塩又は金属有機塩から出発し得る。有機塩基はその実施態様において式IIIにより定義される。
【0024】
公知又は第2及び第3の実施態様の場合に特に効果的であると思われる有機塩基は、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化メチルトリブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(トリトンB)、水酸化トリカプリルメチルアンモニウム、水酸化セチルトリメチルアンモニウム及び水酸化コリンからなる群から選択される4級水酸化アンモニウム、及びアルコキシド、酢酸、炭酸、重炭酸、シアニド、フェノール、リン酸、第二リン酸、ハイポクライト、ホウ酸、第二ホウ酸、第一ホウ酸、スルフィド、ケイ酸、第二ケイ酸、第一ケイ酸、及びケイ酸の等価な4級アンモニウムを含むがそれらに制限されない。
【0025】
無機塩又は金属有機塩のカチオンの意味に関して、用語「強い無機塩基」とは、アニリン又はアニリン誘導体の窒素からプロトンを引き抜くことのできる塩基を意味することが意図され、アニリンのpKbである約9.4より低いpKbを有する任意の塩基を含む。種々のアニリン誘導体が様々なpKb値を有しうるが、約9.4のpKbが一般的な指針として採用される。該塩基は好ましくは約7.4より低いpKbを有する。
【0026】
式IIIのアニオン“X媒に適用された用語「アニリン又はアニリン誘導体の窒素からプロトンを引き抜くことができる」は、強い無機塩基に関して上で議論されたようなpKb値をやはり有するアニオンを意味する。
【0027】
式IIIにおける“X”に対して可能なアニオンは、ヒドロキシドに加えて、アルコキシド(pKb<1)、酢酸イオン(pKb=9.25)、炭酸イオン(pKb=3.75)、重炭酸イオン(pKb=7.6)、シアニド(pKb=4.7)、フェノール(pKb=4.1)、リン酸イオン(pKb=1.3)、リン酸水素イオン(pKb=6.8)、水酸化コリン(pKb=6.5)、ホウ酸イオン(pKb<1)、ホウ酸水素イオン(pKb<1)、ホウ酸二水素イオン(pKb=4.7)、スルフィド(pKb=1.1)、ケイ酸イオン(pKb=2)、ケイ酸水素イオン(pKb=2)、ケイ酸二水素イオン(pKb=2.2)及びケイ酸三水素イオン(pKb=4.1)を含む。
【0028】
アニリンは最も効率的にニトロベンゼンとカップリングするが、アミド、例えばホルムアミド、フェニル尿素及びカルバニリド並びにチオカルバニリドを含むある種のアニリン誘導体は置換されて4−ADPA中間体を生成する。
【0029】
本発明の方法の反応物は“アニリン”及び“ニトロベンゼン”と呼ばれ、製造されているのが4−ADPAであるときは、反応物は実際はアニリン及びニトロベンゼンであるが、反応物は置換アニリン及び置換ニトロベンゼンもまた含み得ると理解される。本発明の方法に従って使用され得る置換アニリンの典型的な例は、2−メトキシアニリン、4−メトキシアニリン、4−クロロアニリン、p−トルイジン、4−ニトロアニリン、3−ブロモアニリン、3−ブロモ―4−アミノトルエン、p−アミノ安息香酸、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジクロロアニリン、1,4−フェニレンジアミン、4,4’―メチレンジアニリン、1,3,5−トリアミノベンゼン、及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。本発明の方法に従って使用され得る置換ニトロベンゼンの典型的な例は、o―及びm−メチルニトロベンゼン、o―及びm−エチルニトロベンゼン、o―及びm−メトキシニトロベンゼン、及びそれらの混合物を含むがそれらに限定されない。
【0030】
本発明の方法は、段階(b)からの4−ADPA中間体又はそれらの置換誘導体が、水素化触媒の使用を含む水素化反応を受ける段階を含む。触媒の選択及び水素化反応の他の側面に関する詳細は米国特許第6,140,538号に見出され得、参照することにより本明細書に取り込まれる。
【0031】
水素の直接使用を含まず、当業者に公知である、他の還元手段もまた、4−ADPA中間体又はその置換誘導体を4−ADPA又はその置換誘導体に還元するために使用され得る。
【0032】
本発明はさらに4−アミノジフェニルアミンのアルキル化誘導体を製造する方法、特に4−ADPA自身のアルキル誘導体を製造する方法に関し、該誘導体はゴム製品の保護のために有用であり、該方法において、場合により置換されていてもよいアニリン及び場合によって置換されていてもよいニトロベンゼンがカップリングされ、続いて本発明の方法に従って還元され、その後そのようにして得られた4−アミノジフェニルアミンが、この技術分野において当業者に公知である方法に従って還元的にアルキル化される。典型的には、4−ADPA及び適するケトン、又はアルデヒド、が水素及び触媒としての炭素上のプラチナの存在下、反応される。適するケトンは、メチルイソブチルケトン、アセトン、メチルイソアミルケトン、及び2−オクタノンを含む。例えば米国特許第4,463,191号及び Banerjeeら, J. Chem. Soc. Chem. Comm. 第18号1275-1276頁 (1988年) を参照されたい。適する触媒は、4−ADPAを得るために上に記載されたものと同じであり得るが、それらに限定されない。
【0033】
本発明の好ましい実施態様において、還元は水の存在下において行われ、例えば水が反応混合物に添加される。水の使用は、アニリン又はアニリン誘導体及びニトロベンゼン又はニトロベンゼン誘導体の反応の間に使用される、適する塩基が水溶性であるとき、特に有利である。塩基が水溶性であるとき、添加される水の量は好ましくは少なくとも、有機相から塩基を抽出するために必要とされる量である。同様に、もし還元的アルキル化が、水溶性である、適する塩基の存在下行われるならば、水の添加は還元的アルキル化にもまた好ましい。
【0034】
本発明に従う方法におけるアニリン:ニトロベンゼンのモル比は、どちらか一方が過剰であれば本方法は効果的であるため、特に重要というわけではない。
【0035】
本発明の第一の実施態様において特に効果的である強塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、t−ブトキシカリウムを含む。強塩基:ニトロベンゼンのモル比は約1:1より大きいことが望ましい。特に好ましい強塩基:ニトロベンゼンのモル比は約2:1〜約6:1である。
【0036】
本発明の方法の第三の実施態様において有機塩基と同時に使用され得る無機塩及び金属有機塩は、強い無機塩基の適するカチオンであるカチオンを有する。これらの無機塩及び金属有機塩は、弗化物、塩化物、臭化物、硫酸塩、硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、蟻酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、クロム酸塩、レニウム酸塩、及びセシウム、ルビジウム、カリウム及びナトリウムの炭酸塩を含む。本発明の方法において、無機塩基又は金属有機塩は約0.05:1〜約6.5:1のニトロベンゼンに対するモル比において使用され得る。
【0037】
公知又は本発明の第三の実施態様において特に効果的であると思われる無機塩及び金属有機塩は、反応媒体中において無機塩又は金属有機塩―有機塩基の組合せに対して許容できる溶解度を与えるものであり、弗化物、塩化物、臭化物、硫酸塩、硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、及びセシウム、ルビジウム、カリウムおよびナトリウムの炭酸塩及びそれらの混合物を含む。無機塩又は金属有機塩と共に使用される有機塩基:ニトロベンゼンのモル比は約1:1以上であることが好ましい。無機塩基又は金属有機塩:有機塩基のモル比もまた約1:1以上であることが好ましい。有機塩基:ニトロベンゼンの特に好ましいモル比は、約1.1:1〜約6:1である。
【0038】
本発明の方法における使用に対して別の状況では効果的であるところの塩の1つが工程で使用される装置に対して腐食の効果を有する場合、無機塩と、金属有機塩、2以上の無機塩及び/又は2以上の金属有機塩との組合せを使用することが望ましい可能性がある。この組合せは、1の塩で得られるであろう結果より良い結果を与える可能性もある。
【0039】
有機塩基と共に無機塩基及び金属有機塩の使用することは、望まれない塩基の分解を減らすと思われる。
【0040】
本発明の第三の実施態様に従う方法において、無機塩又は金属有機塩と一緒の有機塩基はインシチューで、相当する無機塩基及び相間移動触媒の形成を幾分与えるかもしれないことが注目されるべきであり、ここでそのようにして形成された相間移動触媒の式Iにおけるアニオンは該塩からのアニオンである。例えば水酸化テトラメチルアンモニウムプラス臭化カリウムはいくらかのKOHプラス臭化テトラメチルアンモニウムを与えるだろう。従って、本発明は、水酸化テトラメチルアンモニウム及び別の成分としての臭化物塩の代わりに、インシチューで形成され得る任意の相間移動触媒、例えば臭化テトラメチルアンモニウムと共に無機塩基を直接使用することを含む。
【0041】
強塩基及び相間移動触媒の特に好ましい組合せは、水酸化カリウム及びハロゲン化テトラアルキルアンモニウムである。好ましいハロゲン化物は、塩化物である。有機塩基及び無機塩の特に好ましい組合せは、水酸化テトラアルキルアンモニウム及びアニオンがハロゲン化物である塩、例えばハロゲン化カリウムである。好ましいハロゲンアニオンは塩素イオンである。上の反応はアニリン―水共沸混合物の連続蒸留を用いて、水性溶液において行われるだろう。
【0042】
本発明の第一の実施態様の工程の反応的接触は、酸化剤の存在下において行われる。酸化剤は遊離の酸素でよいか、又は酸化剤例えば過酸化物、特に過酸化水素を含む。ニトロベンゼンもまた酸化剤として機能し得る。
【0043】
本発明の方法において,アニリンとニトロベンゼンが反応する時間の一部の間だけ存在することを有利に必要とし得る。そのような部分的な酸化条件は選択性を改善するために特に効果的である。これらの例の1つは弗化物アニオンを有する無機塩が、部分酸化条件下、第三の実施態様の反応混合物において使用されるときである。塩のアニオンが硫酸イオン、炭酸イオン、又は硝酸イオン及び相対的に低い選択性を与える他のアニオンであるとき、部分酸化条件下でよりよい結果、転化率、及び選択性もまた得られ得ると思われる。もう一つの例は、第二の実施態様のための相間触媒としてもまた機能し得る強塩基として、TMAHが使用されるときである。さらに、本発明の方法の第一の実施態様に対して示されなかったが、部分酸化条件は、低い選択性を与える無機塩基と相間触媒との組合せにもまた効果的であると思われる。
【0044】
本発明の第二及び第三の実施態様において使用される酸化剤は、第一の実施態様と同じであり得る。
【0045】
反応的接触は約20℃〜約150℃の温度において行われ得る。反応的接触のための他の条件は約20mbar〜約20bargの範囲の圧力を含む。反応時間は典型的には約3.5時間未満である。反応中ずっと反応混合物を激しく攪拌することは有利である。
【0046】
本発明の方法の第一、第二、及び第三の実施態様の段階(b)の反応は、ニトロベンゼンのモルに対して約10:1未満モルの水の存在下、行われ得る。水の量は、本工程において形成された反応物及び/又は化合物と水和する水を含まない。強塩基及び相間触媒、又は有機塩基及び無機塩又は金属有機塩を含む混合物が水性溶液に存在するとき、反応はアニリン―水共沸混合物の連続蒸留を用いて行われ得る。
【0047】
本発明の第一の実施態様は、臭化テトラメチルアンモニウムである相間移動触媒及び1以上の無機塩基を含む強塩基を用いて行われ得る。
【0048】
新しい反応混合物を形成するために水性相が再使用され得る。新鮮な塩基及び相間触媒又は有機塩基及び無機塩又は金属有機塩が分解、副生物生成及び別の有機相における溶解による損失を補うために添加される。反応生成物混合物から蒸留により回収された過剰のアニリンは、再利用が新しい反応混合物を形成するように、補充の新鮮なアニリンと混合され得る。過剰のニトロベンゼンの回収は好ましくは、4−ADPA中間体の水素化の前に別の工程により行われ、回収されたニトロベンゼンは、本工程における使用のための補充の新鮮なニトロベンゼンと混合されるか又はアニリンに水素化される。
【0049】
4−アミノジフェニルアミン中間体を製造するための本発明の方法は、バッチ法として行われ得、又は当業者に公知である手段及び装置を用いて連続的に行われ得る。
【0050】
本発明の第一、第二、及び第三の実施態様中の段階(a)における反応的接触は、適する溶媒系において起こり得る。適する溶媒系は、極性の非プロトン性溶媒を含む。極性非プロトン性溶媒は、ジメチルスルホキサイド、ベンジルエーテル、1−メチル―2−ピロリジノン、及びN、N―ジメチルホルムアミドを含むがそれらに限定されない。
【0051】
本発明は、その第二の実施態様において、強塩基もまた相間触媒として機能し、反応がアルカリ金属水酸化物の不在においてあり得る方法である。その場合、強塩基/相間移動触媒は上の式IIにより定義される。
【0052】
本発明は以下の実施例により説明される。
【0053】
実験条件は個々の実施例中において詳述される。実施例1〜10において、比較の目的のために行われた実験以外、指示されたところにおいて、反応器への充填は解放された空気中で行われ、その結果反応中、反応器が栓をされたときでさえ遊離の酸素が存在した。実施例1〜10においては反応混合物からの水を除去する試みは行われなかった。
【0054】
実施例11〜16において、反応物の充填、反応温度までの加熱、ニトロベンゼンの供給及び保持の全て又は一部の間、空気の流れが反応器のヘッドスペースに供給され、その結果、指示されたところ以外では、反応中の遊離の酸素の存在をもたらした。水は反応混合物から共沸蒸留によりアニリンと共に除かれた。しかし、アニリンと一緒の水の共沸的除去無しでも、反応はやはり行われ得る。
【0055】
分析
個々の成分の収率は外部標準HPLCにより測定された。約0.6グラムの分析されるべき物質が50mlの容積測定のフラスコに正確に量り入れられ、39v/v%の水、36v/v%のアセトニトリル、24%v/vのメタノール及び1%v/vのpH7のバッファを含むバッファ溶液で希釈された。この溶液は、10μLのループを通して2成分勾配ポンピング系及び1.5mL/分の一定の流れにおける以下の溶出勾配を用いる、逆相Zorbax ODS HPLCカラム(250×4.6mm)に注入された:
【0056】
【表1】

溶出液Aは75%v/vの水、15%v/vのアセトニトリル及び10%v/vのメタノールである。溶出液Bは60%v/vのアセトニトリル及び40%v/vのメタノールである。検出は254nmにおけるUVである。
【0057】
実施例1〜10の転化率は、公知の成分プラス分析された任意の未知のピークの合計添加により計算された。幾つかの例において、合計転化率は、アニリンのみからの誘導体の生成のため100%より高い。
【0058】
実施例11〜16の転化率は、最後のカップリング反応の塊に残っている未反応のニトロベンゼンの量に基づいて計算された。もしニトロベンゼンが全く検出されなかったら、転化率は100%と考えられる。
【0059】
選択性は以下の式により定義される:(p−NDPAの収率+4−NDPAの収率)/(合計収率)。4−NDPAは4−ニトロジフェニルアミンであり、p―NDPAは4−ニトロソジフェニルアミンである。合計収率は、全ての既知及び未知のピーク(216(アニリン+ベンゼン)という適当なモル重量値に同定された)の収率の合計である。
【0060】
表中、“An Recr”は、それからアニリンが容易に回収される化合物を意味し、trans−アゾベンゼン及びアゾキシベンゼンの総合計である;
“その他”はアニリン及びニトロベンゼンのカップリング副生物、例えばフェナジン、N-オキシ―フェナジン、2−NDPA、4−フェナゾージフェニルアミン及び任意の未知物である。
【実施例】
【0061】
実験条件は個々の実施例の中で詳述される。
【0062】
実施例1
実施例1は4−ADPA中間体がアニリンとニトロベンゼンから無機塩基(水酸化カリウム)及び相間移動触媒(塩化テトラメチルアンモニウム、TMACl)の存在下、相対的に緩和な条件下、溶媒なしの系において生成され得ることを示す。所望される生成物の収率は添加された相間移動触媒の量に依存する。
【0063】
アニリン(99%、22.58g、240ミリモル)、ニトロベンゼン(99%、4.97g、40ミリモル)、水酸化カリウム(86%の粉砕された粉末、7.83g、120ミリモル)及び塩化テトラメチルアンモニウムが、磁気攪拌機を装備された50mLの丸底フラスコに、下の表1に示された量において充填された。反応は、栓をされたフラスコにおいて60℃において1時間進行することを許された。中味は次にサンプリングされ、HPLCにより分析された。
【0064】
【表2】

【0065】
少し変化させた条件下(等量のAn/NB、より高い反応温度、より長い周期時間、水の添加など)で反応を行ったとき、同様の結果が、下の表2に与えられたように得られた。
【0066】
アニリン(99%、2.33gm、24.8ミリモル)、ニトロベンゼン(99%、3.08g、24.8ミリモル)、水酸化カリウム(86%の粉砕された粉末、9.77g、150ミリモル)、塩化テトラメチルアンモニウム(97%、表2を参照のこと)及び水(表2)が磁気攪拌機を装備された50mLの丸底フラスコに充填された。水の量は、KOHから14%w/wのH2Oを想定して合計反応器充填の20重量%であった。反応は2時間、80℃において開かれたフラスコ中で進行することを許された。中味が次にサンプリングされ、HPLCにより分析された。
【0067】
【表3】

4−ADPA中間体の収率は、塩化テトラメチルアンモニウムが使用されなかったときの<1%から、ニトロベンゼンに対してほとんど等量の相間移動触媒が添加されたときの、ほとんど77%まで増加した。
【0068】
両方の例において、塩化テトラメチルアンモニウムの充填量が増加するにつれて4−NDPAに対してより多いp−NDPAが製造された。また、過剰のアニリンの存在下では、より多くのp−NDPAが製造された(実施例7を参照)。
【0069】
実施例2
実施例2は、複数の相間移動触媒の任意のものがKOHと共に、p−NDPA及び4−NDPAをアニリンとニトロベンゼンとから製造するために使用され得ることを示す。結果は収率の降下する順に並べられた。
【0070】
磁気攪拌子を装備された50mLの丸底フラスコに、アニリン(99%、22.58g、240ミリモル)、ニトロベンゼン(99%、4.97g、40ミリモル)、水酸化カリウム(86%の粉砕された粉末、7.83g、120ミリモル)及び下の表3において与えられた、指示された相間移動触媒が充填されたが、ここで相間移動触媒の量は限界試薬充填量(limiting reagent charge)に等しい。(注:表示されたように、幾つかの実験は20又は30ミリモルのスケールで行われた)。
【0071】
反応は栓をされたフラスコ中で1時間、60℃において、進行することを許された。中味が次にサンプリングされHPLCにより分析された。
【0072】
上の表3の結果は、相間移動触媒の添加が全ての場合において望ましい生成物の収率を改善することを示す。塩化、弗化、水酸化テトラメチルアンモニウム、炭酸イオン、蟻酸イオン及び酢酸イオン;硫酸水素テトラメチルアンモニウム、及び硫酸イオン;塩化メチルトリブチルアンモニウム;及び水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(トリトンB)が、無機塩基との組合せにおける、最も効果的な相間移動触媒である。その他、例えば塩化トリカプリルメチルアンモニウム(Aliquat 336)、塩化テトラブチルアンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、及び水酸化コリンは適度に効果的である。臭化物及びヨウ化物及び双性イオンベタインは適切ではない。弗化物からヨウ化物へ系列の中で下がって行くとき収率、転化率及び選択性がすべて減少するような周期的傾向がテトラメチルアンモニウム塩の場合観察された。
【0073】
【表4】

【0074】
実施例3
実施例3は、ニトロベンゼンが種々のアニリン誘導体とカップリングして4−ADPA中間体を生成し得ることを示す。
【0075】
下の表4示された化学量論量の基質、ニトロベンゼン(99%、3.08g、24.8ミリモル)、水酸化カリウム(86%の粉砕された粉末、9.77g、150ミリモル)、塩化テトラメチルアンモニウム(97%、2.74g、24.3ミリモル)、及び水(2.84g)が磁気攪拌機を装備された50mLの丸底フラスコに充填された。反応は開かれたフラスコ中で80℃において2時間進行することが許された。中味は次にサンプリングされ、HPLCで分析された。
【0076】
【表5】

アニリンはKOH―TAMCl系においてニトロベンゼンと最も効率的にカップリングするが、アミド例えばホルムアニリド、フェニル尿素、及びカルバニリド並びにチオカルバニリドが代用されることができ、4−ADPA中間体を生成する。
【0077】
実施例4
実施例4は、4−ADPA中間を生成するための塩化テトラメチルアンモニウムと組み合わせて様々な塩基を用いるアニリンとニトロベンゼンとの反応について説明する。
【0078】
アニリン(99%、22.58g、240ミリモル)、ニトロベンゼン(99%、4.97g、40ミリモル)、下の表5に与えられたような、適切な量の塩基、及び塩化テトラメチルアンモニウム(97%、4.52g、40ミリモル)が磁気攪拌機を装備された50mLの丸底フラスコに充填された。反応は栓をされたフラスコ中で60℃において1時間進行することを許された。次に中味がサンプリングされ、HPLCにより分析された。
【0079】
【表6】

【0080】
水酸化リチウム及び水酸化カルシウムが調べられたが、これら2つの塩基のいずれの場合も反応は観察されなかった。
【0081】
水酸化カリウムは好ましい塩基であるが、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、t―ブトキシカリウム、及び水酸化テトラメチルアンモニウムも又適切な塩基であり、それらの任意のものが塩化テトラメチルアンモニウムと組み合わせて使用され得、許容可能な程度の転化率を得ることができる。
【0082】
実施例5
実施例5は水酸化カリウムの仕込み量を増加させることが、相間移動触媒として塩化テトラメチルアンモニウムを用いる、他の点では一定の反応条件下でのアニリン―ニトロベンゼンカップリング生成物に与える影響を示す。
【0083】
アニリン(99%、22.58g、240ミリモル)、ニトロベンゼン(99%、4.97g、40ミリモル)、下の表6に与えられた量の水酸化カリウム及び塩化テトラメチルアンモニウム(97%、4.52g、40ミリモル)が、磁気攪拌機を装備された50mlの丸底フラスコに充填された。反応は栓をされたフラスコ中で60℃において1時間進行することを許された。次に中味がサンプリングされ、HPLCにより分析された。
【0084】
【表7】

【0085】
塩基のより高い過剰はより低い反応選択性およびより多い副生成物をもたらす。下の表7に記載されたような比較的より温和な条件下で反応を行うときに同じ傾向が得られる。
【0086】
アニリン(99%、32.60g、346.5ミリモル)、ニトロベンゼン(99%、6.16g、49.5ミリモル)、下の表7に与えられた量の水酸化カリウム(86%の粉砕された粉末、16.31g、250ミリモル)、及び塩化テトラメチルアンモニウム(97%、5.48g、48.5ミリモル)がテフロン(登録商標)パドル攪拌機を装備された100mLの丸底フラスコに充填された。反応は、栓をされたフラスコ中で外部加熱(反応水におけるKOHの溶解によりいくらかの発熱)の施与なしに1時間進行することを許された。次に中味がサンプリングされ、HPLCにより分析された。
【0087】
【表8】

【0088】
実施例6
実施例6は、水酸化カリウム/塩化テトラメチルアンモニウム塩基―PTC系を使用したときのp−NDPA,4−NDPA及び副生物へのアニリン及びニトロベンゼンの転化率に酸化剤の導入が与える影響を示す。
【0089】
アニリン(99%、2.33g、24.8ミリモル)、ニトロベンゼン(99%、3.08g、24.8ミリモル)、水酸化カリウム(86%の粉砕された粉末、9.77g、150ミリモル)、塩化テトラメチルアンモニウム(97%、0.69g、6.1ミリモル)及び水(2.32g)が磁気攪拌機を装備された50mLの丸底フラスコに充填された。反応は下に記載された大気条件下、80℃において2時間進行することを許された。次に中味がサンプリングされ、HPLCにより分析された。
【0090】
閉鎖系の定義は栓をされたフラスコである。開放系は、栓をされずに大気に対して開放されている。ガススイープ実験の場合、3口フラスコは1口フラスコに置換され、該系はガス導入口及び排出ラインの両方を装備され、及び適切なガスが低いフロー速度において反応体をスイープされる。
【0091】
【表9】

【0092】
反応が過剰の空気に対して開放されている場合,酸化剤の量が制限された実験とは対照的に、選択性が著しく改善された。アゾベンゼンの生成が後者の場合、大きく増加した。
【0093】
反応の選択性における改善が表9の実験によって強化され、該表は反応混合物への過酸化水素の添加の影響を示す。
【0094】
アニリン(99%、22.58g、240ミリモル)、ニトロベンゼン(99%、4.97g、40ミリモル)、過酸化水素(50%水性、下の表9に示された量)、水(追加の水及び2.16gにおいて一定に保たれた過酸化物からの総合計)水酸化カリウム(86%、粉砕された粉末、7.83g、120ミリモル)及び塩化テトラメチルアンモニウム(97%、4.52g、40ミリモル)が、磁気攪拌機を装備された50mLの丸底フラスコに充填された。過酸化物はKOH及びTMAClを添加する前に反応混合物に充填され、フラスコは素早く栓をされ、次に反応は60℃において1時間進行することが許された。中味が次にサンプリングされHPLCにより分析された。
【0095】
【表10】

【0096】
反応の中味を空気に開く場合に特筆された同じ傾向が過酸化物に対しても見られる。即ち酸化剤への暴露が選択性を改善する。この観察は、過剰のニトロベンゼンが酸化剤として作用するために使用されるところの実験試行により強化される(実施例7)。
【0097】
実施例7
実施例7は4−ADPA中間体の比は、反応に添加されるアニリンの量を調節することにより制御され得ることを示す。
【0098】
アニリン(99%、表10において与えられる量)、ニトロベンゼン(99%、4.97g、40ミリモル)、水酸化カリウム(86%粉砕された粉末、7.83g、120ミリモル)、及び塩化テトラメチルアンモニウム(97%、4.52g、40ミリモル)が、磁気攪拌機を装備された50mLの丸底フラスコに充填された。反応は栓をされたフラスコ中で60℃において1時間進行することが許された。中味が次にサンプリングされHPLCにより分析された。
【0099】
【表11】

【0100】
より多くのアニリンが反応に充填されるにつれ,4−NDPAに対してより多くのp−NDPAが生成される。下の表11に概略を示された様々な反応条件下での同じ傾向が特筆される。
【0101】
アニリン(99%、表11において与えられる量)、ニトロベンゼン(99%、3.08g24.8ミリモル)、水酸化カリウム(86%粉砕された粉末、9.77g、150ミリモル)、及び塩化テトラメチルアンモニウム(97%、0.69g、6.1ミリモル)及び水(表11、20%w/w)が、磁気攪拌機を装備された50mLの丸底フラスコに充填された。反応は開放フラスコ中で80℃において2時間進行することを許された。中味が次にサンプリングされHPLCにより分析された。
【0102】
【表12】

4−ADPA中間体(p−NDPA+4−NDPA)の収率は、アニリンが過剰に使用されたとき(約20%)、相対的に変動しないが、アニリンが表11において示されるように制限試薬になるとき、かなり改善する(0.25〜1のAn/NBにおいて73.8%)。また、より少ない全体の水にも関わらずニトロベンゼンが過剰に使用されるとき、選択性は改善される(0.25〜1のAn/NBにおいて96.1%)。実施例9において示されるように、より少ない水は有機塩基系における選択性を典型的に下げる。過剰のニトロベンゼンはここでは酸化剤として作用し、空気及び過酸化物を用いて実施例6において示されたように選択性を改善する。
【0103】
実施例8
実施例8は、塩化テトラメチルアンモニウムと共に塩基として水酸化カリウムを使用するアニリンとニトロベンゼンとの反応は広い範囲の温度にわたって行われ得る。
【0104】
アニリン(99%、2.33g、24.8ミリモル)、ニトロベンゼン(99%、3.08g、24.8ミリモル)、水酸化カリウム(86%粉砕された粉末、9.77g、150ミリモル)、塩化テトラメチルアンモニウム(97%、0.69g、6.1ミリモル)及び水(2.32g、20%w/w)が、磁気攪拌機を装備された50mLの丸底フラスコに充填された。反応は開放フラスコ中で所与の温度において2時間進行することが許された。中味が次にサンプリングされHPLCにより分析された。
【0105】
【表13】

【0106】
反応温度の上昇は、改善された収率及び転化率をもたらすが、反応の選択性は失われる。4−NDPAに対するp−NDPAの量は温度の上昇と共に増加する。
【0107】
【表14】

【0108】
実施例9
実施例9は4−ADPA中間体を製造するための、KOH−TAMCl塩基/相間移動触媒を用いるアニリンとニトロベンゼンとの反応における水の効果を強調する。
【0109】
アニリン(99%、22.58g、240ミリモル)、ニトロベンゼン(99%、4.97g、40ミリモル)、水酸化カリウム(86%粉砕された粉末、7.83g、120ミリモル)、塩化テトラメチルアンモニウム(97%、4.52g、40ミリモル)及び表14及び15において列挙された水が、磁気攪拌機を装備された50mLの丸底フラスコに充填された。反応は栓をされたフラスコ中で60℃において1時間進行することが許された。中味が次にサンプリングされHPLCにより分析された。
【0110】
【表15】

【0111】
【表16】

【0112】
水の量が増加するほど、選択性の一般的な改善及び4−NDPAに対するp−NDPAのより高いレベルが顕著になる。
【0113】
多すぎる水の影響は、実施例2及び表3からもまた注目され、該例及び表において相間移動触媒としての炭酸テトラメチルアンモニウムの60%水性溶液の有効性が示される。希釈25%溶液から得られた以前の未報告のデータは実質的に何の転化も示さなかった。
【0114】
実施例10
実施例10は反応が任意の複数の溶媒中で行われ得ることを示す。
【0115】
アニリン(99%、11.29g、120ミリモル)、ニトロベンゼン(99%、2.49g、20ミリモル)、水酸化カリウム(86%粉砕された粉末、3.91g、60ミリモル)、及び塩化テトラメチルアンモニウム(97%、2.26g、20ミリモル)及び20mLの表16に示された適切な溶媒が、磁気攪拌機を装備された50mLの丸底フラスコに充填された。反応は開放フラスコ中で60℃において1時間進行することが許された。中味が次にサンプリングされHPLCにより分析された。
【0116】
【表17】

【0117】
相間移動触媒が削除されたとき収率のおよそ2/3の減少が注目される(DMSO中TMAClなしの26.7%からTMAClありでは71.8%に増加)。
【0118】
選択性は極性溶媒(〜70%)においては相対的に変動しないが、非極性溶媒例えばp−キシレン又はトルエンが選択されたとき、これら2つの溶媒のそれぞれにおけるアゾベンゼンの収率が40%を超えるので、顕著に減少する。
【0119】
実施例11
実施例11は、水酸化カリウムの水性溶液と塩化テトラメチルアンモニウムとの組合せにおけるアニリン及びニトロベンゼンのアニリン―水共沸混合物の連続蒸留による反応を示す。
【0120】
111.8gのアニリン(99%、1.19モル)、31.2gの水性水酸化カリウム溶液(45%、0.250モル)及び50.0gの水性塩化テトラメチルアンモニウム溶液(55%、0.25モル)がテフロン(登録商標)パドル攪拌機、熱伝対、ニトロベンゼンフィード管及びニードルバルブを装備された500mLのフラスコに充填された。反応器から空気を抜き取ることにより圧力を制御しながら、混合物上で真空が120mmHgまで引かれた。加熱が始められ、所望された80℃の温度が到達されたとき、ニトロベンゼンの流れが開始された(24.6g、99%、0.20モル)。60mmHgの最終的圧力において約1時間内にNBのフィードを完了するように、真空度を増加させることにより温度が制御された。圧力は、45分間、60mmHgに保たれ、反応の完結を保証した。混合物は40mLの水で停止された。HPLC分析:32.1%のアニリン、0%のNB、20.3%のp−NDPA、7.6%の4−NDPA,0.50%のt−アゾベンゼン及び0.05%のフェナジン。NBの100%転化に基づく収率:72.6%のp−NDPA、25.3%の4−NDPA、1.9%のt−アゾベンゼン、0.2%のフェナジン。
【0121】
下の表17に示されたように、同じ反応を空気の存在無しにおいて行うことは12%のより低い収率(97.9%対85.5%)及びアゾベンゼンレベルにおける7倍の増加をもたらした。このシリーズにおける他の反応の要約もまた下の表17に与えられる。
【0122】
【表18】

【0123】
実施例12
この実施例は、水酸化テトラメチルアンモニウムと種々の無機塩の水性溶液とを組み合わせて酸化剤の存在下、アニリン―水共沸混合物の連続蒸留によるアニリンとニトロベンゼンとの反応を示す。TMAH/塩の組合せは、カップリング反応体の4−ADPAへの還元後の無機塩基及び相間移動触媒を含む工程からの可能性のある塩基再利用の流れのイオン性混合物を表す。
【0124】
テフロン(登録商標)パドル攪拌機、熱伝対、ニトロベンゼンフィード管及び空気ブリードバルブを装備された500mLの丸底フラスコに、139.7gのアニリン(99%、1.49モル)、73.9gの水酸化テトラメチルアンモニウムの水性溶液(35.5%、0.29モル)及び下の表18に列挙されたような、当量の塩(対塩基、ニトロベンゼンに対して15%モル過剰)が充填された。混合物は120mmHgにおいて30分間加熱され、次にニトロベンゼンのフィード(30.8g、99%、0.25モル)が開始された。系の圧力は反応周期の継続期間を通して空気ブリードバルブを調節することにより制御されて、80℃の所望される温度を維持して、72mmHgの最終圧力において約75分間でNBの充填を完了した。混合物は70mmHgにおいて30分間保たれて、反応の完結を確保し、そして次に25mLの水で停止された。反応物を充填する、反応温度まで加熱する、ニトロベンゼンをフィードする、及び反応の完結のために保持するの全体の周期の間、空気が反応器のヘッドスペースに吹き込まれた。塩は塩/NB=1.15におけるニトロベンゼンに対するモル当量において充填された。例えば、炭酸カリウム及び硫酸ナトリウムは無機カチオンの2等量を有するので、モル比は0.575である。
【0125】
ニトロベンゼンに対して少し低いモル比におけるKClでの結果は、アニリン―水共沸混合物の連続蒸留を用いる、強塩基及び相間移動触媒(KOH及びTMACl)の使用から得られた結果と良く一致する。これは、無機塩及び有機塩基の使用が、強塩基及び相間移動触媒の使用と同等であることを示す。反応を完結させるために、ナトリウムはカリウムほど効果的でないことが注目され得る。硝酸イオン及び臭化物もまたこの実施例の条件において、反応完結のためには、より効果の低いアニオンである。しかし、反応条件を改良し、例えば反応温度を上げることにより、これらの塩のために添加率を上昇させることが可能であろう。最も重要なことは、反応の選択性に対する塩の添加の決定的な効果である。上の表18の第2及び第3の実験の比較は、KClのみの添加で、アゾベンゼンはほとんど2/3減少され、相対的に少量の“その他”の化合物、例えば4−フェナゾジフェニルアミンが生成されたことを示す。“TMAHのみ”の実験は、化合物、例えばN−メチルアニリンの高いレベル及びトリエチルアミンの悪臭を特徴とし、その両者とも塩基の分解を示唆する。
【0126】
【表19】

【0127】
実施例13
この実験は、無機塩に対するニトロベンゼンのモル比の影響を示す。反応条件は、KClのニトロベンゼンに対するモル比が変化された以外は、実施例12の反応条件と同じである。表19の結果は、少量の無機塩のみの添加が選択性を上げることを示す。従って、高い塩レベルのために腐食が心配である場合、少なくとも適度な選択性の改善が得られ得る。
【0128】
【表20】

【0129】
実施例14
この実施例は、非―塩の化合物の添加が選択性及びニトロベンゼンの添加率に与える影響を示す。反応条件は実施例12の場合と同じであった。ベタイン、すなわち(水酸化(アセチル)トリメチルアンモニウム分子内塩は、正に帯電したテトラメチルアンモニウム基と酢酸イオン基により形成された塩である。従って、その名前にもかかわらず、該化合物は、テトラメチルアンモニウム基と会合する水酸基を実際には有しない。しかし、強塩基が添加されると、ベタインは酢酸イオン基及び水酸化テトラメチルアンモニウム基の両者を含む化合物に転化される。従って、TMAHで、ベタインは酢酸テトラメチルアンモニウム−酢酸イオン基及び水酸化(アセチル)トリメチルアンモニウム基を有する化合物に転化される。KOHでは、該化合物は水酸化(アセチル)トリメチルアンモニウム基と共にカリウム−酢酸基を有する。KOHの場合、該化合物は金属有機塩及び有機塩基を1つの分子中に表す。ベタインは、無機又は有機塩基を有機相の中に運ぶので、文献において相間移動触媒すなわちPTCであることが公知である(Starks及びLiotta、同書中)。
【0130】
表20の結果は、TMAHによる選択性又は転化率に、ベタインがあまり大きくない影響を及ぼすにすぎないことを示す。ベタイン/NB=1.15による結果は、KCl/NB=0.25に等しいにすぎない。さらに無機カチオンなしのアニオン(酢酸アンモニウム)の添加は本質的に効果がない。従って、無機塩又は金属有機塩の使用は良い結果への鍵である。
【0131】
【表21】

【0132】
実施例15
この実施例は,部分的酸化条件が選択性の重要な向上を与えることを示す。反応条件は、示された以外は実施例12と同じであった。結果は表21に示される。反応1は全体を通して実施例12の反応条件と同じ反応条件を有した。反応2に対しては、空気のブリードがニトロベンゼンのフィードの間のみ使用され、フィードの75%が完了したとき、停止された。反応3の場合,空気のブリードはニトロベンゼンのフィード時間の間のみ使用されたが、ニトロベンゼンのフィード時間は45分に短縮され、保持時間は60分に延長された。より高い選択性が、部分的酸化条件の使用により、硫酸塩、炭酸塩及び硝酸塩に対してもまた得られるだろということが期待される。
【0133】
【表22】

【0134】
実施例16
この実施例は、相間移動触媒としてもまた機能するところの強塩基と共に酸化剤を使用することは、選択性を上げることができることを示す。反応は水及びアニリンの共沸的除去で行われた。
【0135】
テフロン(登録商標)パドル攪拌機、熱伝対、ニトロベンゼンフィード管、及び空気ブリードバルブを装備された500mLの丸底フラスコに、実験1〜3の場合、145.28gのアニリン(1.56モル)及び87.36gの水性水酸化テトラメチルアンモニウム溶液(36.0%、0.345g)が充填された。混合物は30分間120mmHgにおいて加熱され、次にニトロベンゼンフィード(36.93g、0.30モル)が開始された。系の圧力は反応期間を通して70mmHgにおいて一定に保たれた。温度は約66℃から約80℃まで反応期間中に上昇した。ニトロベンゼンは約80分かけて充填され、その後、バッチは40分間70mmHgにおいて保たれて、反応の完結を確保し、そして次に25mLの水で停止された。過酸化水素がニトロベンゼンと同時に、20.40g(0.03モル)の5重量%の水性溶液として充填された。水もまた、TMAHを分解から保護しそして反応平衡をずらすことにより選択性に影響を与え得るので、ニトロベンゼンと同時に供給される20.40gの水を用いて対照実験が行われた。実験4〜7は少し異なる条件を有した。主要な相違は、ニトロベンゼンの供給に先立ち、反応器において水及びいくらかのアニリンの除去を用いて25重量%のTMAHから始めたことである。空気はニトロベンゼンのフィード全体か、あるいはフィード時間の半分のいずれかの間に添加された。
【0136】
表22の結果は、過酸化水素が水のみより大きい選択性の改善を与えることを示し、酸化剤の使用が有益であることを示す。結果は、反応周期全体にわたって酸化剤として空気を添加することが選択性に有害な効果を与えることもまた示す。しかし、選択性の改善は、空気の添加が反応周期の一部に限られたとき得られ、部分酸化条件が有益であることを示す。これらの反応は表18の100%空気の場合よりも幾分湿った状態でおこなわれ、このことは表18におけるより低い選択性を説明する。実験4及び5は反応の優れた再現性を示し、その結果1〜2%の選択性の向上は意義深い。
【0137】
【表23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−アミノジフェニルアミン又はその置換された誘導体の製造法において、以下の段階:
(a)アニリン又はアニリン誘導体及びニトロベンゼン又はニトロベンゼン誘導体を反応的接触に至らせること;
(b)強塩基、酸化剤及び以下の式により定義される化合物の群から選択される相間移動触媒を含む混合物の存在下,限定された領域の中で、適切な時間、圧力及び温度において上記アニリン又はアニリン誘導体及びニトロベンゼン又はニトロベンゼン誘導体を反応させることにより4−アミノジフェニルアミン中間体を得ること、

ここでR1,R2,R3は同じであるか又は異なり、C1〜C20を含む任意の直鎖又は分岐状アルキル基から選択され、(R4eはe=0の場合水素であり、e=1又は2の場合R4はR123+であり、Yはアルキル、アリール、アルキルアリール又はベンジル及びそれらの置換された誘導体であり、Zは水酸基、ハロゲン、及び他のヘテロ原子からなる群から選択された置換基であり、Xは弗化物、塩化物、水酸化物、硫酸塩、硫酸水素塩、酢酸塩、蟻酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、シュウ酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、及び前記化合物の混合物のアニオン部分であり、ここでa=アニオン部分の結合価(1,2,又は3)、b及びcは値1,2,又は3の整数であり、dは値0〜4の整数である;そして
(c)段階(b)の4−アミノジフェニルアミン中間生成物を還元して、4−アミノジフェニルアミン又はその置換された誘導体を生成すること、
を含む方法。
【請求項2】
該相間移動触媒が、塩化テトラメチルアンモニウム、弗化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、炭酸ビス―トラメチルアンモニウム、蟻酸テトラメチルアンモニウム、及び酢酸テトラメチルアンモニウム;硫酸水素テトラブチルアンモニウム、及び硫酸テトラブチルアンモニウム;塩化メチルトリブチルアンモニウム;及び水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化トリカプリルメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム及び水酸化コリンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
相間移動触媒:ニトロベンゼンのモル比が約0.05:1〜約1.2:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該アニリン誘導体が、ホルムアニリド、フェニル尿素、カルバニリド、及びチオカルバニリドからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該アニリンが、2−メトキシアニリン、4−メトキシアニリン、4−クロロアニリン、p−トルイジン、4−ニトロアニリン、3−ブロモアニリン、3−ブロモ―4−アミノトルエン、p−アミノ安息香酸、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジクロロアニリン、1,4−フェニレンジアミン、4,4’―メチレンジアニリン、1,3,5−トリアミノベンゼン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
本発明の方法に従って使用され得る置換ニトロベンゼンが、o―及びm−メチルニトロベンゼン、o―及びm−エチルニトロベンゼン、o―及びm−メトキシニトロベンゼン、及びそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該強塩基が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、及びt−ブトキシカリウムからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
強塩基:ニトロベンゼンのモル比が約1:1より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
強塩基:ニトロベンゼンのモル比が約2:1〜約6:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
該酸化剤が遊離の酸素である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
該酸化剤が酸化試薬である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
該酸化試薬が過酸化物である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該酸化試薬が過酸化水素である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
該酸化試薬がニトロベンゼンである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
アニリンとニトロベンゼンとが反応する時間の一部の間のみ該酸化剤が存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
約20℃〜約150℃の温度、20mbar〜約20bargの範囲の圧力及び約3.5時間未満の反応時間において、該反応的接触が行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
水和の水を除いて、ニトロベンゼンのモルに対して約10:1モル以下の水の存在下、段階(b)の反応が行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
強塩基及び相間移動触媒を含む該混合物が水性溶液中にあり、かつ反応が、アニリン―水の共沸混合物の連続蒸留を用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
該相間移動触媒が臭化テトラメチルアンモニウムであり、かつ該強塩基が1以上の無機塩基を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
該反応的接触が適する溶媒系において起きる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
該適する溶媒系が極性非プロトン性溶媒を含む、請求項20の記載の方法。
【請求項22】
該極性非プロトン性溶媒が、ジメチルスルホキサイド、ベンジルエーテル、1−メチル―2−ピロリジノン、及びN、N―ジメチルホルムアミドからなる群から選択される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
生成された4−アミノジフェニルアミンが4−アミノジフェニルアミンのアルキル化誘導体へと還元的にアルキル化される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
4−アミノジフェニルアミン又はその置換された誘導体の製造法において、以下の段階:
(a)アニリン又はアニリン誘導体及びニトロベンゼン又はニトロベンゼン誘導体を反応的接触に至らせること;
(b)酸化剤、及び以下の式により定義される化合物の群から選択される、相間移動触媒としてもまた機能する強塩基を含む混合物の存在下、限定された領域の中で、適切な時間、圧力及び温度において、上記アニリン又はアニリン誘導体及びニトロベンゼン又はニトロベンゼン誘導体を反応させることにより4−アミノジフェニルアミン中間生成物を得ること、

ここでR1,R2,R3は同じであるか又は異なり、C1〜C20を含む任意の直鎖又は分岐状アルキル基から選択され、(R4eはe=0の場合水素であり、e=1又は2の場合R4はR123+であり、Yはアルキル、アリール、アルキルアリール又はベンジル及びそれらの置換された誘導体であり、Zは水酸基、ハロゲン、及び他のヘテロ原子からなる群から選択された置換基であり、b及びcは値1,2,又は3の整数であり、dは値0〜4の整数である;そして
(c)段階(b)の4−アミノジフェニルアミン中間生成物を還元して、4−アミノジフェニルアミン又はその置換された誘導体を製造すること
を含む方法。
【請求項25】
該アニリン誘導体が、ホルムアニリド、フェニル尿素、カルバニリド、及びチオカルバニリドからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
該アニリンが、2−メトキシアニリン、4−メトキシアニリン、4−クロロアニリン、p−トルイジン、4−ニトロアニリン、3−ブロモアニリン、3−ブロモ―4−アミノトルエン、p−アミノ安息香酸、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジクロロアニリン、1,4−フェニレンジアミン、4,4’―メチレンジアニリン、1,3,5−トリアミノベンゼン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
本発明の方法に従って使用され得る置換ニトロベンゼンが、o―及びm−メチルニトロベンゼン、o―及びm−エチルニトロベンゼン、o―及びm−メトキシニトロベンゼン、及びそれらの混合物を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
相間移動触媒としてもまた機能する該強塩基が、水酸化テトラメチルアンモニウム及び/又は水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
強塩基:ニトロベンゼンのモル比が約1:1より大きい、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
強塩基:ニトロベンゼンのモル比が約2:1〜約6:1である、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
該酸化剤が酸化試薬である、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
該酸化試薬が過酸化物である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
該酸化試薬が過酸化水素である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
アニリンとニトロベンゼンとが反応する時間の一部の間のみ、該酸化剤が存在する、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
該酸化剤が遊離の酸素である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
約20℃〜約150℃の温度、20mbar〜約20bargの範囲の圧力及び約3.5時間未満の反応時間において、該反応的接触が行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項37】
水和の水を除いて、ニトロベンゼンのモルに対して約10:1モル以下の水の存在下、段階(b)の反応が行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項38】
該反応的接触が適する溶媒系において起きる、請求項24に記載の方法。
【請求項39】
該適切な溶媒系が極性非プロトン性溶媒を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
該極性非プロトン性溶媒が、ジメチルスルホキサイド、ベンジルエーテル、1−メチル―2−ピロリジノン、及びN、N―ジメチルホルムアミドからなる群から選択される請求項39に記載の方法。
【請求項41】
生成された4−アミノジフェニルアミンが4−アミノジフェニルアミンのアルキル化誘導体へと還元的にアルキル化される、請求項24に記載の方法。
【請求項42】
4−アミノジフェニルアミン又はその置換された誘導体の製造法であり、該方法は以下の段階:
(a)アニリン又はアニリン誘導体及びニトロベンゼン又はニトロベンゼン誘導体を反応的接触に至らせること、及び
(b)強い無機塩基の適切なカチオンであろうところのカチオンを有する無機塩又は金属有機塩又はそれらの混合物、酸化剤、及び以下の式により定義される化合物の群から選択される1以上の有機塩基を含む混合物の存在下、限定された領域の中において適切な時間、圧力及び温度において、アニリン又はアニリン誘導体及びニトロベンゼン又はニトロベンゼン誘導体を反応させることにより4−アミノジフェニルアミン中間生成物を得ること、

ここでR1,R2,R3は同じであるか又は異なり、1〜20の炭素原子を含む任意の直鎖又は分岐状アルキル基から選択され、eは値0,1,2,又は3の整数であり、(R4eはe=0の場合水素であり、e=1、2又は3の場合R4はR123+であり、Xはアニリン又はアニリン誘導体の窒素からプロトンを引き抜くことのできるアニオンであり、Yはアルキル、アリール、アルキルアリール又はベンジル及びそれらの置換された誘導体であり、Zは水酸基、ハロゲン、及び他のヘテロ原子からなる群から選択された置換基であり、ここでa=アニオン部分の結合価であり、1,2,3,又は4の整数であり、b及びcは値1,2,3、又は4の整数であり、dは値0,1,2,3、又は4の整数であり、該混合物は、ベタイン及び強い無機塩基との反応生成物を含まない、そして
(c)段階(b)の4−アミノジフェニルアミン中間体生成物を還元して、4−アミノジフェニルアミン又はその置換された誘導体を製造すること
を含む方法。
【請求項43】
該有機塩基が、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化メチルトリブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化トリカプリルメチルアンモニウム、水酸化セチルトリメチルアンモニウム及び水酸化コリンからなる群から選択される4級水酸化アンモニウム、及びアルコキシド、酢酸、炭酸、重炭酸、シアニド、フェノール、リン酸、第二リン酸、ハイポクライト、ホウ酸、第二ホウ酸、第一ホウ酸、スルフィド、ケイ酸、第二ケイ酸、第一ケイ酸、及びケイ酸の等価な4級アンモニウムである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
無機塩又は金属有機塩と共に使用される有機塩基のニトロベンゼンに対するモル比が約1:1以上である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
有機塩基:ニトロベンゼンのモル比が約1.1:1〜約6:1である、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
無機塩又は金属有機塩:ニトロベンゼンのモル比が約0.05:1〜約6.5:1である、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
無機塩又は金属有機塩:有機塩基のモル比が1:1以上である、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
該アニリン誘導体が、ホルムアニリド、フェニル尿素、カルバニリド、及びチオカルバニリドからなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
該アニリンが、2−メトキシアニリン、4−メトキシアニリン、4−クロロアニリン、p−トルイジン、4−ニトロアニリン、3−ブロモアニリン、3−ブロモ―4−アミノトルエン、p−アミノ安息香酸、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジクロロアニリン、1,4−フェニレンジアミン、4,4’―メチレンジアニリン、1,3,5−トリアミノベンゼン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項50】
本発明の方法に従って使用され得る置換ニトロベンゼンが、o―及びm−メチルニトロベンゼン、o―及びm−エチルニトロベンゼン、o―及びm−メトキシニトロベンゼン、及びそれらの混合物を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項51】
有機塩基と共に使用される該無機塩基又は金属有機塩が、弗化物、塩化物、臭化物、硫酸塩、硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、及びセシウム、ルビジウム、カリウム及びナトリウムの炭酸塩及びそれらの混合物から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項52】
該酸化剤が遊離の酸素である、請求項42に記載の方法。
【請求項53】
該酸化剤が酸化試薬である、請求項42に記載の方法。
【請求項54】
該酸化試薬が過酸化物である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
該酸化試薬が過酸化水素である、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
該酸化試薬がニトロベンゼンである、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
アニリンとニトロベンゼンとが反応する時間の一部の間のみ該酸化剤が存在する、請求項42に記載の方法。
【請求項58】
約20℃〜約150℃の温度、20mbar〜約20bargの範囲の圧力及び約3.5時間未満の反応時間において、該反応的接触が行われる、請求項42に記載の方法。
【請求項59】
水和の水を除いて、ニトロベンゼンのモルに対して10:1モル未満の水の存在下、段階(b)の反応が行われる、請求項42に記載の方法。
【請求項60】
有機塩基及び無機塩又は金属有機塩を含む該混合物が水性溶液中にあり、かつ反応が、アニリン―水の共沸混合物の連続蒸留を用いて行われる、請求項42に記載の方法。
【請求項61】
該反応的接触が適する溶媒系において起きる、請求項42に記載の方法。
【請求項62】
適する溶媒系が極性非プロトン性溶媒を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
該極性非プロトン性溶媒が、ジメチルスルホキサイド、ベンジルエーテル、1−メチル―2−ピロリジノン、及びN、N―ジメチルホルムアミドからなる群から選択される請求項62に記載の方法。
【請求項64】
生成された4−アミノジフェニルアミンが4−アミノジフェニルアミンのアルキル化誘導体へと還元的にアルキル化される、請求項42に記載の方法。
【請求項65】
式IIIのXが、ヒドロキシド、アルコキシド、酢酸イオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、シアニド、フェノール、リン酸イオン、リン酸水素イオン、ハイポクライト、ホウ酸イオン、ホウ酸水素イオン、ホウ酸二水素イオン、スルフィド、ケイ酸イオン、ケイ酸水素イオン、ケイ酸二水素イオン、及びケイ酸三水素イオンからなるアニオンの群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項66】
該有機塩基が、水酸化テトラメチルアンモニウムであり、該無機塩がハロゲン化物アニオンを含み、かつ反応が、アニリン―水の共沸混合物の連続蒸留により水性溶液中で行われる、請求項42に記載の方法。
【請求項67】
該ハロゲン化物アニオンが塩化物である、請求項66に記載の方法。

【公開番号】特開2010−13465(P2010−13465A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203474(P2009−203474)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【分割の表示】特願2003−515487(P2003−515487)の分割
【原出願日】平成14年7月9日(2002.7.9)
【出願人】(500183618)フレクシス アメリカ エル. ピー. (4)
【Fターム(参考)】