説明

4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストの噴霧可能組成物

気管支収縮性障害の処置、予防、または1種以上の症状の改善のための組成物および方法を提供する。ここで提供される組成物は、4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストを含む噴霧可能組成物である。本組成物は、それを必要とする患者へのネブライザーを介した直接投与に適当である。また提供されるのは、本発明の噴霧可能組成物をネブライザーと組み合わせて含むキットである。また提供されるのは、治療的有効量の本発明の噴霧可能組成物を、患者の体表面への噴霧可能組成物の暴露が最少でまたは暴露なく処置を必要とする患者にネブライザーを介して投与することによる、気管支収縮性障害の処置、予防または1種以上の症状を改善する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年5月26日出願の米国仮特許出願番号60/803,309の優先権を主張し、その内容をここに引用により包含する。
【0002】
発明の分野
4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストの噴霧可能組成物および該噴霧可能組成物を、処置を必要とする患者における気管支収縮性障害の処置、予防、または1種以上の症状の改善に使用する方法を提供する。また提供されるのは、該噴霧可能組成物を、該噴霧可能組成物を、それを必要とする患者の肺に、患者の体表面への該噴霧可能組成物を最少にしながら送達するためのネブライザーと共に含むキットである。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
気管支収縮性障害は、世界中で数百万人が罹患している。このような障害は、喘息(気管支喘息、アレルギー性喘息および内因性喘息、例えば、遅発型喘息および気道過敏反応性を含む)、慢性気管支炎および他の慢性閉塞性肺疾患を含む。
【0004】
気管支収縮性障害の処置用化合物は、典型的に吸入(エアロゾル)治療用に製剤される。吸入治療に関連する問題は、活性成分の約90%が嚥下され、胃腸管で破壊されて、活性成分のわずか約10%しか肺系に到達しないことである。この問題を悪化させるのは、活性成分を送達するための吸入器の使用の難しさである。研究は、吸入器を使用する50%を超える患者が適切な方法を使用せず、それ故に口腔に付着する量は減らずに肺への吸入される薬剤量が顕著に減少する。Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (10th Ed.- Int'l. Ed,), ed. Hardman et al., McGraw-Hill Med. Pub. Div., page 736, (2001); see also Epstein et al., “Survey of the clinical use of pressurized aerosol inhalers”, Can. Med. Assoc. J., 120: 813-816 (1979) and MacFarlane et al., “Irregularities in the use of regular aerosol inhalers”, Thorax, 35: 477-478 (1980)。
【0005】
この問題の一つの解決は、乾燥粉末吸入器の使用である。しかしながら、乾燥粉末吸入器に使用する粉末組成物もまた、特に、このような治療が最も頻繁に必要となる患者である幼児および高齢者にとって投与が困難である。加えて、粉末吸入器は、空気中に放出された小量の粉末が、粉末化活性成分と患者の皮膚および/または眼との接触をもたらし、患者への刺激と肺へ送達される活性成分の量の減少をもたらすとの問題に悩んでいる。
【0006】
そのようなものとして、水性または液体組成物がまだ吸入治療のために固体組成物よりも好ましい。しかしながら、水性または液体組成物のエアロゾルまたは噴霧形態での送達は、乾燥粉末組成物と同様の問題をまた生ずる。
【0007】
それ故に、便利に投与でき、皮膚および/または眼への刺激をもたらさず、そして、気管支収縮性障害を処置するのに十分量で肺に活性成分を送達する、患者に4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストを送達するための噴霧可能組成物の必要性がある。
【0008】
本命愛書に置ける何らかの文献の引用または同定は、そのような文献が本発明の先行文献として利用可能であるとの許諾ではない。
【発明の開示】
【0009】
発明の要約
気管支収縮性障害の処置、予防、または1種以上の症状の改善のための組成物および方法を提供する。ここで提供される組成物は、4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストを含む噴霧可能組成物である。本組成物は、それを必要とする患者へのネブライザーを介した直接投与に適する。
【0010】
また提供されるのは、ネブライザーと組み合わせて本発明の噴霧可能組成物を含む、キットである。
【0011】
また提供されるのは、治療的有効量の本発明の噴霧可能組成物を、ネブライザーの使用を介して、それを必要とする患者に、噴霧可能組成物の患者の体表面への暴露を最少にしながら投与することを含む、気管支収縮性障害の処置、予防または1種以上の症状を改善する方法である。
【0012】
また提供されるのは、治療的有効量の本発明の噴霧可能組成物を、1日1回、ネブライザーの使用を介して、それを必要とする患者に、患者の体表面への噴霧可能組成物の暴露無しに投与することによる、気管支収縮性障害の処置、予防または1種以上の症状を改善する方法である。
【0013】
より具体的に、本発明は、気管支収縮に関連する疾患または障害の処置、予防または1種以上の症状の改善用キットであって:
(i) ネブライザー;
(ii) 気管支収縮に関連する疾患または障害の処置、予防または1種以上の症状の改善用噴霧可能組成物であって:
(a) アンモニウムに基づいて約0.0005%〜約5重量%の濃度の4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニスト;
(b) 薬理学的に許容される流体;および
(c) 薬理学的に許容される防腐剤を含み、
ここで、該製剤のpHが酸で約2.0〜約4.5に調節されており、そして該4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストが該流体に溶解しており、そして所望により薬理学的に許容される錯化剤、安定化剤、薬理学的に許容される共溶媒、または他の薬理学的に許容されるアジュバントおよび添加剤を含む組成物;および
(iii) 気管支収縮に関連する疾患または障害の処置、予防または1種以上の症状の改善を必要とする患者に対する該噴霧可能組成物の投与の指示を含む包装材を含み;
ここで、該噴霧可能組成物の該ネブライザーによる投与が、患者の体表面への噴霧組成物の最少暴露をもたらす、キットを提供する。
【0014】
本発明は、さらに、本発明のキットからネブライザーを通して該噴霧可能組成物を送達することを含み、ここで、該噴霧可能組成物の該ネブライザーによる投与が、患者の体表面への噴霧組成物の最少暴露をもたらす気管支収縮に関連する疾患または障害の処置、予防または1種以上の症状を改善する方法を提供する。
【0015】
本発明のキットまたは方法において記される患者の体表面は、好ましくは顔面および眼を含む。
【0016】
好ましくは、本発明のキットまたは本発明の方法により、患者の口腔または肺に送達される4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストの損失は、0.001%w/w未満である。
【0017】
本発明のキットまたは本発明の方法のネブライザーは患者による吸入により噴霧組成物の放出を開始し、吸入を止めたときに噴霧組成物の放出を止め、例えば、該ネブライザーは呼吸作動ネブライザーである。
【0018】
好ましくは、本発明のキットまたは本発明の方法の4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストはイプラトロピウムまたはチオトロピウム化合物、例えば、臭化チオトロピウムである。
【0019】
所望により、本発明のキットまたは本発明の方法の噴霧可能組成物は、さらに、β−アドレナリン受容体アゴニスト、ドーパミン(D)受容体アゴニスト、ステロイド性抗炎症剤、抗コリン剤、IL−5阻害剤、IL−5のアンチセンスモジュレーター、トリプターゼ阻害剤、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、5−リポキシゲナーゼ(lapoxygenase)阻害剤、抗IgE抗体、抗ヒスタミン、抗アレルギー剤およびこれらの混合物から成る群から選択される気管支収縮(bronchostriction)の処置のための付加的化合物を含む。
【0020】
好ましくは、本発明のキットまたは本発明の方法の噴霧可能組成物は単位用量バイアルに包含される。さらなる局面において、本発明のキットまたは本発明の方法に包含される指示書は、該噴霧可能組成物の1日1回の就寝前投与を記載する。
【0021】
したがって、以前から知られていた4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストを含む噴霧可能組成物、該組成物の製造方法または該阻止物の使用方法は、出願人が権利を保持できるように、全ての以前から知られていた組成物または該組成物の使用方法をここに放棄し、本発明の範囲内には含まないようにするのが本発明の目的である。
【0022】
定義
他に定義されない限り、ここで使用する全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により共通して理解されるのと同じ意味を有する。全ての特許、出願、公開された出願および他の刊行愚物は引用によりその全体をここに包含させる。その中に多数の用語の定義が存在するとき、特記しない限りこのセクションに記載するものが優先する。
【0023】
ここで使用する噴霧溶液は、エアロゾルから空気中に分散される溶液を意味する。故に、噴霧溶液はエアロゾルの特定の形態である。
【0024】
ここで使用する呼吸作動ネブライザーは、肺への吸入のための非常に細かい液滴を発生できる装置であり、ここで、該ネブライザーは、噴霧が患者の呼吸サイクルと協同するように圧感受性である。この装置内で、該噴霧液体または溶液は、圧縮空気、超音波、または振動オリフィスを含み、これに限定されない当業者に既知の方法により、広範なサイズ分布を有する液滴の霧へと霧化される。本ネブライザーは、さらに、例えば、装置のハウジングと共に固着(impaction)により大液滴を選択的に除去するバッフルを含んでよい。故に、肺に吸入された霧は、微細なエアロゾル液滴を含む。呼吸作動ネブライザーの一つの態様において、本ネブライザーは、吸入する患者が必要な吸入労力を下げるための、補助(relief)ピストンを含む。
【0025】
ここで使用する薬理学的に適切な流体は、液化噴射剤ガスではない、医薬使用に適する溶媒である。薬理学的に適する流体の例は、水のようなプロトン性流体を含む極性流体である。
【0026】
ここで使用する組合せは、2個またはそれ以上のアイテムの間の何らかの関係を意味する。
【0027】
ここで使用する流体は、流れることができる全ての組成物を意味する。それ故に、流体は、半固体、ペースト、溶液、水性混合物、ゲル、ローション、クリームの形の組成物および他のそのような組成物を包含する。
【0028】
ここで使用する混合物は、化学的結合なく、各成分の物理的特性が保持された、2種以上の物質の相互の混合である。
【0029】
ここで使用する化合物の薬学的に許容される誘導体は、それらの塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、酸、塩基、溶媒和物、水和物またはプロドラッグを含む。このような誘導体は、このような誘導体化のための既知の方法を使用して当業者により容易に製造され得る。製造された化合物は、動物またはヒトに実質的な毒性作用なく投与され得て、薬学的に活性であるかまたはプロドラッグであるかのいずれかである。薬学的に許容される塩は、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、アンモニア、ジエタノールアミンおよび他のヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−パラ−クロロベンジル−2−ピロリジン−1'−イルメチルベンゾイミダゾール、ジエチルアミンおよび他のアルキルアミン、ピペラジンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのような、しかしこれに限定されないアミン塩;リチウム、カリウムおよびナトリウムのような、しかしこれに限定されないアルカリ金属塩;バリウム、カルシウムおよびマグネシウムのような、これに限定されないアルカリ土類金属塩;亜鉛のような、しかしこれに限定されない遷移金属塩;およびリン酸水素ナトリウムおよびリン酸二ナトリウムのような、しかしこれに限定されない他の金属塩を含み;そしてまた、塩酸塩および硫酸塩のような、しかしこれに限定されない鉱酸の塩;および酢酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩およびフマル酸塩のような、しかしこれに限定されない有機酸の塩を含む。薬学的に許容されるエステルは、カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸およびボロン酸を含み、これに限定されない酸性基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクリルエステルを含み、これに限定されない。薬学的に許容されるエノールエーテルは、式C=C(OR)(ここで、Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクリルである)の誘導体を含み、これに限定されない。薬学的に許容されるエノールエステルは、式C=C(OC(O)R)(ここで、Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクリルである)の誘導体を含み、これに限定されない。薬学的に許容される溶媒和物および水和物は、1〜約100;1〜約10および1〜約2、3または4、溶媒または水分子の範囲から選択される、化合物と1個以上の溶媒または水分子の複合体である。
【0030】
ここで使用する処置は、状態、障害または疾患の1種以上の症状が軽減するかまたは他の方法で良い方向に変わる、何らか方法を意味する。処置はまた4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストの任意の既知の医薬使用を含む。
【0031】
ここで使用する特定の医薬組成物の投与による特定の障害の症状の改善は、該組成物の投与が寄与し得るまたは関係する、持続的であれ一次的であれ、永続性であれする一過性であれ、何らかの軽減を意味する。
【0032】
ここで使用するプロドラッグは、インビボ投与により、本化合物の生物学的に、薬学的にまたは治療的に活性な形に代謝されるまたは他の方法で変換される、化合物である。プロドラッグを製造するために、薬学的活性化合物を、活性化合物が代謝過程により再生されるように修飾する。プロドラッグは、薬剤の代謝安定性または輸送特性を変えるために、副作用または毒性を遮蔽するために、薬剤の香味を改善するために、または薬剤の他の特徴または特性を変えるように設計してよい。インビボでの薬力学過程および薬物代謝の知識により、当業者は、薬学的活性化合物を知ったならば、その化合物のプロドラッグを設計できる(例えば、Nogrady (1985) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York, pages 388-392参照)。
【0033】
ここで提供する組成物および方法において使用する化合物はキラル中心を含み得ることは理解すべきである。このようなキラル中心は(R)または(S)配置いずれかであってよく、またはそれらの混合物であってよい。故に、ここで提供される組成物において使用するための化合物はエナンチオマー的に純粋でも、立体異性もしくはジアステレオマー混合物でもよい。ここに提供する化合物のキラル中心は、インビボでエピマー化に付され得ることも理解すべきである。故に、当業者は、化合物をその(R)形で投与することは、インビボでエピマー化に付される化合物に取っては、化合物をその(S)形で投与するのと等しいことを認識しよう。
【0034】
ここで使用する気管支収縮は、一つまたは複数の気管支の内径の減少を意味する。
【0035】
ここで使用する、望まないおよび/または未制御の気管支収縮は、病的症状または状態に至るまたはそれからもたらされる気管支収縮を意味する。病的状態は、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含み、これに限定されない。病的症状は、喘息およびCOPDを含み、これに限定されない。
【0036】
ここで使用する、便利に投与されるは、一定投与量の本発明の噴霧可能組成物の1日2回を超えない投与を意味する。本発明の他の態様において、投与は1日1回のみである。
【0037】
本明細書および特に請求の範囲および/または段落において、“含む”、“含まれ”、“含み”などの用語は、米国特許法においてそれに付された意味を有し得ることは注意すべきである;例えば、それらは“包含する”、“包含され”、“包含し”などを意味する;そして“から本質的に成る”および“から本質的に成り”は、米国特許法においてそれらに付された意味を有し、例えば、それらは積極的に引用していない要素を可能にするが、先行技術において判明した要素または本発明の基本的なもしくは新規な特性に影響を与える要素は除外する。
【0038】
本発明のこれらおよび他の態様は記載され、または、以下の詳細な記載から明らかであり、それにより包含される。
【0039】
発明の詳細な記載
驚くべきことに、4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストに関する最新技術に関連する問題を、噴霧可能組成物を送達するための呼吸作動ネブライザーの使用により解決できる。呼吸作動ネブライザーは当分野で知られているが、それらの使用は、以前は、肺への活性剤の送達の増加に主として焦点が絞られていた。呼吸作動ネブライザーは、慣用のエアロゾルまたはネブライザーと比較して、約倍量(約20−30%送達率)の活性成分を肺に送達するが、まだ意図した標的領域、すなわち肺に到達しない相当量の活性成分をもたらす。しかしながら、呼吸作動ネブライザーで使用する小さい粒子径にもかかわらず、皮膚および/または眼と接触する活性成分の量は最少限である。故に、気管支収縮性障害の処置の効果を、副作用を最少にしがなら維持する。
【0040】
本発明の噴霧可能組成物は、1種以上の4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストまたは薬学的に許容されるその誘導体および薬理学的に適当な流体を含む。適当な噴霧可能組成物の代表例は、引用によりその全体を本明細書に包含する米国特許6,890,517に記載された組成物に基づき、それは:
(a) アンモニウムに基づいて約0.0005%〜約5重量%の濃度の4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストを含む第一活性物質;
(b) 抗アレルギー性、抗ヒスタミン、ステロイドおよびロイコトリエンアンタゴニストから成る群から選択される第二活性物質;
(c) 薬理学的に許容される流体;および
(d) 薬理学的に許容される防腐剤を含み、
ここで、該製剤のpHが酸で約2.0〜約4.5に調節されており、そして該4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストが該流体に溶解しており、そして所望により薬理学的に許容される錯化剤、安定化剤、薬理学的に許容される共溶媒、または他の薬理学的に許容されるアジュバントおよび添加剤を含む。
【0041】
本発明の製剤のpHは、約2.0〜約4.5;約2.5〜約3.5;約2.7〜約3.5;約2.7〜約3.2および約3.1の上限のpHから成る範囲から選択される。
【0042】
pHは薬理学的に許容される酸の添加により調節される。
本発明のこの部分の一つの態様である無機酸の例は:塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、および/またはリン酸を含む。他の態様の有機酸の例は:アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸、および/またはプロピオン酸などを含む。本発明のこの局面の一つの態様において、無機酸は塩酸および硫酸である。活性物質と酸付加塩を形成する酸、または、組合せ製剤の場合、活性物質の一つと酸付加塩を形成する酸を使用することも可能である。
【0043】
有機酸の中で、アスコルビン酸、フマル酸およびクエン酸が本発明のこの局面の一つの態様であり、とりわけクエン酸である。望むならば、特に、例えばクエン酸またはアスコルビン酸のように香味剤または抗酸化剤として働くもののような、例えば、その酸性化特性に加えて他の特性を有する酸の場合、上記酸の混合物も使用してよい。塩酸は無機酸のさらに他の態様を代表する。
【0044】
望むならば、薬理学的に許容される塩基を使用して、pHを厳密に滴定してよい。適当な塩基は例えば水酸化アルカリ金属および炭酸アルカリ金属を含む。好ましいアルカリイオンはナトリウムである。この種の塩基を使用するとき、その後に最終医薬製剤に包含される得られた塩が、上記酸と薬理学的に適合することに注意すべきである。
【0045】
本発明によって、エデト酸(EDTA)またはその既知塩の一つ、例えば、エデト酸ナトリウムを、安定化剤または錯化剤として本製剤に添加する必要はない。
【0046】
本発明の他の態様において、噴霧可能組成物はエデト酸および/またはその塩を含む。
【0047】
エデト酸ナトリウムのさらに他の態様において、エデト酸ナトリウムに基づく含量を、約10mg/100ml未満;約5mg/100ml乃至約10mg/100ml未満および約0より多く乃至約5mg/100mlから成る範囲から選択する。
【0048】
さらに他の態様において、エデト酸ナトリウムの含量は、約10〜約30mg/100mlおよび約25mg/100mlを超えないから成る範囲から選択する。
さらに他の態様において、この添加剤を完全に省く。
【0049】
エデト酸ナトリウムに関して成した意見は、例えばニトリロ三酢酸およびその塩のような錯化特性を有し、代わりに使用できる、他の同等な添加剤にも同様に適用される。
【0050】
錯化剤は、好ましくは本発明の範囲内で、錯化結合(complex bond)内に入ることができる分子を意味する。好ましくは、これらの化合物はカチオン、最も好ましくは金属カチオンを錯化する効果を有しなければならない。
【0051】
A. 4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニスト
ムスカリン受容体アンタゴニストは、アセチルコリンの効果を、平滑筋、心筋、および腺細胞上の神経効果器で;末梢神経節において;および中枢神経系において、そのムスカリンコリン受容体への結合の遮断により防止する。一般にムスカリン受容体アンタゴニストは、ニコチン受容体部位でアセチルコリンの効果の遮断をほとんどしない。しかしながら、アトロピンおよび関連薬剤の4級アンモニウム類似体は、一般に、普通程度(general degree)のニコチン遮断活性を有し、その結果、神経節または神経筋伝達を妨害する可能性が高い。
【0052】
中枢神経系(CNS)において、コリン伝達は、脊髄、脳の皮質下、および皮質レベルでムスカリンおよびニコチン両方であるように見える。高または毒性用量で、アトロピンおよび関連薬剤の中枢効果は、一般にCNS刺激、続く低下から成る。4級化合物がほとんど血液−脳バリアーを通過しないため、このタイプのアンタゴニストは、CNSにほとんどまたは全く効果がない。Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (10th Ed.- Int'l. Ed,), ed. Hardman et al., McGraw-Hill Med. Pub. Div., page 162, (2001)参照。
【0053】
本発明の一つの態様において、4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストは、イプラトロピウム、チオトロピウム、これらの混合物およびこれらの薬学的に許容される誘導体を含み、これに限定されない。イプラトロピウムおよびチオトロピウムイオンの構造を、以下の構造式に示す:
【化1】

【0054】
本発明の他の態様において、4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストは、イプラトロピウムまたはチオトロピウムの臭化物である。本発明のさらに他の態様において、4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストはチオトロピウムの臭化物である。
【0055】
本発明の一つの態様において、薬学的に許容される誘導体は、塩酸塩および硫酸塩のような、しかしこれに限定されない鉱酸の塩;および酢酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩およびフマル酸塩のような、しかしこれに限定されない有機酸の塩を含み、これに限定されない4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストの薬学的に許容される塩である。一つの態様において、ここで提供される方法において使用するための組成物は、フマル酸フォルモテロールまたはフマル酸フォルモテロール二水和物を含む。他の態様において、ここで提供される方法において使用するための組成物は、酒石酸フォルモテロールを含む。
【0056】
ある態様において、臭化イプラトロピウムまたは臭化チオトロピウムのような4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストの量は、約5μg/mL〜約5mg/mL、または約50μg/mL〜約200μg/mLである。他の態様において、ここに記載の方法において使用するための組成物は、約83μg/mL〜約167μg/mLの濃度で、臭化イプラトロピウムおよび臭化チオトロピウムを含む抗コリン剤を含む。
【0057】
B. 気管支収縮性障害の処置のための他の薬剤
本発明の噴霧可能組成物の一つの態様において、4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストを、アルブテロール(α−(((1,1−ジメチルエチル)アミノ)メチル)−4−ヒドロキシ−1,3−ベンゼンジメタノール);バンブテロール(ジメチルカルバミン酸5−(2−((1,1−ジメチルエチル)アミノ)−1−ヒドロキシエチル)−1,3−フェニレンエステル);ビトルテロール(4−メチル安息香酸4−(2−((1,1−ジメチルエチル)アミノ)−1−ヒドロキシエチル)−1,2−フェニレンエステル);ブロキサテロール(broxaterol)(3−ブロモ−α−(((1,1−ジメチルエチル)アミノ)メチル)−5−イソオキサゾールメタノール);イソプロテレノール(4−(1−ヒドロキシ−2−((1−メチルエチル)アミノ)エチル)−1,2−ベンゼンジオール);トリメトキノール(1,2,3,4−テトラヒドロ−1−((3,4,5−トリメトキシフェニル)メチル)−6,7−イソキノリンジオール);クレンブテロール(4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−(((1,1−ジメチル(diemthyl)エチル)アミノ)メチル)ベンゼンメタノール);フェノテロール(5−(1−ヒドロキシ−2−((2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)アミノ)エチル)−1,3−ベンゼンジオール);フォルモテロール(2−ヒドロキシ−5−((1RS)−1−ヒドロキシ−2−(((1RS)−2−(p−メトキシフェニル)−1−メチルエチル)アミノ)エチル)ホルムアニリド);(R,R)−フォルモテロール;デスフォルモテロール((R,R)または(S,S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−α−(((2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル)アミノ)メチル)ベンゼンメタノール);ヘキソプレナリン(4,4'−(1,6−ヘキサンジイル)−ビス(イミノ(1−ヒドロキシ−2,1−エタンジイル)))ビス−1,2−ベンゼンジオール);イソエタリン(4−(1−ヒドロキシ−2−((1−メチルエチル)アミノ)ブチル)−1,2−ベンゼンジオール);イソプレナリン(4−(1−ヒドロキシ−2−((メチルエチル)アミノ)エチル)−1,2−ベンゼンジオール);メタプロテレノール(5−(1−ヒドロキシ−2−((1−メチルエチル)アミノ)エチル)−1,3−ベンゼンジオール);ピクメテロール(4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−(((6−(2−(2−ピリジニル)エトキシ)ヘキシル)アミノ)メチル)ベンゼンメタノール);ピルブテロール(α−(((1,1−ジメチルエチル)アミノ)メチル)−3−ヒドロキシ−2,6−ピリジンメタノール);プロカテロール(((R*,S*)−(±)−8−ヒドロキシ−5−(1−ヒドロキシ−2−((1−メチルエチル)アミノ)ブチル)−2(1H)−キノリノン);レプロテロール((7−(3−((2−(3,5−ジヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシエチル)アミノ)プロピル)−3,7−ジヒドロ−1,3−ジメチル−1H−プリン−2,6−ジオン);リミテロール(4−(ヒドロキシ−2−ピペリジニルメチル)−1,2−ベンゼンジオール);サルブタモール((±)−α−(((1,1−ジメチルエチル)アミノ)メチル)−4−ヒドロキシ−1,3−ベンゼンジメタノール);(R)−サルブタモール;サルメテロール((±)−4−ヒドロキシ−α−(((6−(4−フェニルブトキシ)ヘキシル)アミノ)メチル)−1,3−ベンゼンジメタノール);(R)−サルメテロール;テルブタリン(5−(2−((1,1−ジメチルエチル)アミノ)−1−ヒドロキシエチル)−1,3−ベンゼンジオール);ツロブテロール(2−クロロ−α−(((1,1−ジメチルエチル)アミノ)メチル)ベンゼンメタノール);およびTA−2005(8−ヒドロキシ−5−((1R)−1−ヒドロキシ−2−(N−((1R)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル)アミノ)エチル)カルボスチリルヒドロクロライド)を含み、これに限定されないβ−アドレナリン受容体アゴニストと組み合わせる。
【0058】
β−アドレナリン受容体アゴニストの一つの態様において、本アゴニストはフォルモテロール、または薬学的に許容されるその誘導体である。他の態様において、ここで提供される組成物において使用するためのフォルモテロールはフマル酸フォルモテロールである。フォルモテロールは、2−ヒドロキシ−5−((1RS)−1−ヒドロキシ−2−(((1RS)−2−(p−メトキシフェニル)−1−メチルエチル)アミノ)エチル)ホルムアニリド;またはその立体異性体を意味する。用語フォルモテロールはまたここで、一エナンチオマー2−ヒドロキシ−5−((1S)−1−ヒドロキシ−2−(((1S)−2−(p−メトキシフェニル)−1−メチルエチル)アミノ)エチル)ホルムアニリドおよび2−ヒドロキシ−5−((1R)−1−ヒドロキシ−2−(((1R)−2−(p−メトキシフェニル)−1−メチルエチル)−アミノ)エチル)ホルムアニリドも言及する。
【0059】
フォルモテロールの使用の一つの態様において、噴霧可能組成物は、フォルモテロール遊離塩基を約5μg/mL〜約2mg/mLの濃度で含む。他の態様において、組成物中のフォルモテロール遊離塩基の最大濃度は1.5mg/mLである。さらなる態様において、組成物中のフォルモテロール遊離塩基の濃度は約10μg/mL〜約1mg/mL、または約50μg/mL〜約200μg/mLである。他の態様において、組成物はフマル酸フォルモテロールを約80μg/mL〜約175〜200μg/mLの濃度で含む。さらなる態様において、組成物は、フマル酸フォルモテロールを約90μg/mL〜約125〜150μg/mLの濃度で含む。フマル酸フォルモテロールを、ここに提供するある組成物に、約100μg/mLの濃度で製剤する。フマル酸フォルモテロールを、ここに提供する他の組成物に、約85μg/mLまたは約170μg/mLの濃度で製剤する。一つの態様において、フマル酸フォルモテロールを、約100μg/mLの濃度を噴霧を介した一用量投与のために製剤する。他の態様において、組成物は、フォルモテロール遊離塩基を、約40〜約150μg/mLまたは約59〜約118μg/mLの濃度範囲で含む。
【0060】
ドーパミン(D)受容体アゴニストをまた本発明の噴霧可能組成物と組み合わせてもよく、アポモルヒネ((r)−5,6,6a,7−テトラヒドロ−6−メチル−4H−ジベンゾ[de,g]キノリン−10,11−ジオール);ブロモクリプチン((5'α)−2−ブロモ−12'−ヒドロキシ−2'−(1−メチルエチル)−5'−(2−メチルプロピル)エルゴタマン−3',6',18−トリオン);カベルゴリン((8β)−N−(3(ジメチルアミノ)プロピル)−N−((エチルアミノ)カルボニル)6−(2−プロペニル)エルゴリン−8−カルボキサミド);リスリド(N'−((8α)−9,10−ジデヒドロ−6−メチルエルゴリン−8−イル)−N,N−ジエチルウレア);ペルゴリド((8β)−8−((メチルチオ)メチル)−6−プロピルエルゴリン);レボドーパ(3−ヒドロキシ−L−チロシン(tryrosine));プラミペキソール((s)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N−プロピル−2,6−ベンゾチアゾールジアミン);塩酸キンピロール(trans−(−)−4aR−4,4a,5,6,7,8,8a,9−オクタヒドロ−5−プロピル−1H−ピラゾロ[3,4−g]キノリンヒドロクロライド);ロピニロール(4−(2−(ジプロピルアミノ)エチル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン);およびタリペキソール(5,6,7,8−テトラヒドロ−6−(2−プロペニル)−4H−チアゾロ[4,5−d]アゼピン−2−アミン)を含み、これに限定されない。ここで使用するための他のドーパミンD受容体アゴニストは、国際特許出願公開番号WO99/36095に開示されている。
【0061】
ここに記載する組合せ治療において使用するための予防治療剤は、アルクロメタゾン(alclometasone)、二プロピオン酸アルクロメタゾン(alclometasone)、アルサクチド(alisactide)、アムシノニド、アミノグルテチミド、二酢酸アリストコルト、ベクロメタゾン、ベクロメタゾン−17,21−ジプロピオネート、二プロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)、一プロピオン酸ベクロメタゾン(BMP)、吉草酸ベタメタゾン、ベタメタゾンアダマントエート、ブデソニド、ブチキソコート、カーネステン−HC、シクレソニド、シクロメタゾン(ciclometasone)、クロベタゾール、クロベタゾン、クロプレンドノール(cloprednol)、クロプレンドノール(cloprednol)、フルオコルチンブチル、コルチバゾール、デフラザコート、デフラザコート、デメテックス(demetex)、デプロドン、プロピオン酸デプロドン、デキサメサゾン、デキサメサゾン−21−イソニコチネート、デキサニエタゾン(dexaniethasone)イソニコチネート、ジフロラゾン、ジフルプレドナート、エンドリソン、フルアザコート(fluazacort)、フルクロロンアセトニド、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチン、カプロン酸フルオコルトロン、フルオデキサン、フルオロメトロン、フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、フォルメボロン、フォルムノコルタール(formnocortal)、ハルシノニド、ハロメタゾン、ハロプレドンアセテート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン−17−ブチレート、ヒドロコルチゾンアセポネート、ヒドロコルチゾンブチレートプロピオネート、イコメタゾンエンブテート、ロトリソン、マジプレドン、メドリソン(medrysone)、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロンアセポネート、モメタゾン、モメタゾンフロエート、ミコフェノール酸モフェチル、プランルカスト、酢酸パラメタゾン、プレドニカルベート(prednicarbate)、プロメドロール、ロフレポニド、セラトロダスト、チプレダン、ピバル酸チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、トリロスタン、トリアムシノロンベネトニド、プロピオン酸ウロベタゾール、ジロートン、およびメチル9−α−クロロ−6−α−フルオロ−11−β−17−α−ジヒドロキシ−16−α−メチル−3−オキソ−1,4−アンドロスタジエン−17−β−カルボキシレート−17−プロピオネート、モメタゾン、フロ酸モメタゾン(Asmanex(登録商標)、TwisthalerTM、Shering-Plough Corporation, Kenilworth, N.J.)、RPR106541、クロモグリク酸ナトリウムまたはネドクロミルナトリウムを含み、これに限定されないステロイド性抗炎症剤を含む。
【0062】
ここで記載する使用のために本発明の噴霧可能組成物と組合せ得る抗コリン作動剤は、臭化オキシトロピウム、アトロピン・硝酸メチル、硫酸アトロピン、ベラドンナ抽出物、スコポラミン、メトスコポラミンブロマイド、メトホマトロピンブロマイド、ヒヨスチアミン、イソプリオプラミド、オルフェナドリン、塩化ベンズアルコニウムおよび臭化グリコピロニウムを含み、これに限定されない。
【0063】
組合せ治療においてここで使用するための他の活性成分は、米国特許5,668,110、5,683,983、5,677,280および5,654,276に記載のもののようなIL−5阻害剤;米国特許6,136,603に記載のもののようなIL−5のアンチセンスモジュレーター;ミルリノン(1,6−ジヒドロ−2−メチル−6−オキソ−[3,4'−ビピリジン]−5−カルボニトリル);ミルリノンラクテート;米国特許5,525,623に記載のもののようなトリプターゼ阻害剤;米国特許5,691,336、5,877,191、5,929,094、5,750,549および5,780,467に記載のもののようなタキキニン受容体アンタゴニスト;モンテルカストナトリウム(Singular(登録商標)、R−(E)]−1−[[[1−[3−[2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル]フェニル]−3−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]プロピル]チオ]メチル]シクロプロパン酢酸、一ナトリウム塩)のようなロイコトリエン受容体アンタゴニスト、ジロートン(Zyflo(登録商標)、Abbott Laboratories, Abbott Park, Ill.)のような5−リポキシゲナーゼ(lapoxygenase)阻害剤、およびXolair(登録商標)(組み換えヒト化抗IgEモノクローナル抗体(CGP 51901;IGE 025A;rhuMAb-E25), Genentech, Inc., South San Francisco, Calif.)のような抗IgE抗体、モンテルカスト、プランルカスト、ザフィルカスト、1−(((R)−(3−(2−(6,7−ジフルオロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)フェニル)チオ)メチルシクロプロパン酢酸、1−(((R)−3−(3−(2−(2,3−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリジン−5−イル)−(E)−エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル)プロピル)チオ)メチル)シクロプロパン酢酸または[2−[[2−(4−tert−ブチル−2−チアゾリル)−5−ベンゾフラニル]オキシメチル]フェニル]酢酸を含み、これに限定されない。抗ヒスタミンおよび抗アレルギー剤の例は:アゼラスチン、アステミゾール、バミピン、マレイン酸水素カルビノキサミン、セチリジン、デクスクロルフェニラミン、クロルフェノキサミン、クレマスチン、フマル酸水素クレマスチン、デスロラタジン、ジメンヒドリナート、ジメチンデン、二ナトリウムクロモグリケート、ジフェンヒドラミン、ドキシラミン、エバスチン、エメダスチン、エピナスチン、フェキソフェナジン、ケトチフェン、レボカバスチン、ロラタジン、メクロジン、メキタジン、ミゾラスチン、ネドクロミル、フェニラミン、およびプロメタジンを含み、これに限定されない。
【0064】
C. 薬学的に許容される流体
イプラトロピウムまたはチオトロピウムのような4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストを含む噴霧可能組成物は、噴霧およびアンタゴニストの患者の肺への送達を容易にするための、アンタゴニストの溶解のための薬理学的に適当な流体と共に製剤する。薬理学的に適当な流体は、ヒドロキシル基または他の極性基を含む化合物を含み、これに限定されない極性溶媒を含み、これに限定されない。このような溶媒は、水またはアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、およびプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロールおよびポリオキシエチレンアルコールを含むグリコールを含み、これに限定されない。
【0065】
極性溶媒はまた、水、1種以上の薬学的に許容される塩、アルコール、グリコールまたはそれらの混合物の食塩水溶液を含み、これらに限定されないプロトン性溶媒も含む。溶媒またはその成分としての食塩水溶液について、特に適当な塩は、投与後に薬理学的活性を全くまたはほんのわずかしか示さないものである。
【0066】
薬学的に許容される流体の他の態様において、噴霧可能組成物は、クエン酸/ホスフェート、アセテート、バルビタール、ボレート、Britton-Robinson、カコジレート、シトレート、コリジン、ホルメート、マレアート、McIlvaine、ホスフェート、Prideaux-Ward、スクシネート、シトレート−ホスフェート−ボレート(Teorell-Stanhagen)、ベローナルアセテート、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、ビス−TRIS(ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン)、ADA(N−(2−アセトアミド)−2−イミノ二酢酸)、ACES(N−(カルバモイルメチル)−2−アミノエタンスルホン(sulfonaic)酸)、PIPES(ピペラジン−N,N'−ビス(2−エタンスルホン酸))、MOPSO(3−(N−モルホリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、ビス−TRISプロパン(1,3−ビス(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)プロパン)、BES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン(sulfonaic)酸)、MOPS(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸)、TES(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸)、HEPES(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N'−(2−エタンスルホン酸)、DIPSO(3−(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、MOBS(4−(N−モルホリノ)ブタンスルホン酸)、TAPSO(3−(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、TRIZMA(登録商標)(トリス(ヒドロキシメチルアミノメタン)、HEPPSO(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N'−(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、POPSO(ピペラジン−N,N'−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸))、TEA(トリエタノールアミン)、EPPS(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N'−(3−プロパンスルホン酸)、TRICINE(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン)、GLY−GLY(グリシルグリシン)、BICINE(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)、HEPBS(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N'−(4−ブタンスルホン酸))、TAPS(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸)、AMPD(2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール)を含み、これに限定されない緩衝液、および/または当業者に既知の任意の他の緩衝液を含む。一つの態様において、緩衝液はクエン酸/ホスフェート緩衝液、アセテート緩衝液、シトレート緩衝液またはホスフェート緩衝液である。他の態様において、緩衝液はシトレート緩衝液(クエン酸/クエン酸ナトリウム)である。緩衝液濃度は、ここで、組成物の安定性に影響することが判明した。ここで使用する緩衝液濃度は、約0または0.01mM〜約150mM、または約1mM〜約20mMを含む。一つの態様において、緩衝液濃度は約5mMである。他の態様において、緩衝液濃度は約1mM〜約50mM、または約20mMである。
【0067】
薬理学的に適当な流体が食塩水溶液である態様において、浸透圧調製剤を添加して、所望のイオン強度を提供し得る。ここで使用するための浸透圧調製剤は、投与後に薬理学的活性を全くまたはほんのわずかしか示さないものである。無機および有機両方の浸透圧調製剤をここで提供される組成物において使用し得る。浸透圧調製剤は、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、乳酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、アスコルビン酸、酒石酸ビスマス・ナトリウム、ホウ酸、塩化カルシウム、カルシウム二エデト酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸、デキストロース、ジエタノールアミン、ジメチルスルホキシド、エデト酸二ナトリウム、eエデト酸三ナトリウム一水和物、フルオレッセインナトリウム、フルクトース、ガラクトース、グリセリン、乳酸、ラクトース、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、マンニトール、ポリエチレングリコール、酢酸カリウム、塩素酸カリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、硝酸カリウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム、プロピレングリコール、硝酸銀、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重リン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、臭化ナトリウム、カコジル酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、乳酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ソルビトール、スクロース、酒石酸、トリエタノールアミン、ウレア、ウレタン、ウリジンおよび硫酸亜鉛を含み、これに限定されない。ある態様において、浸透圧調節剤は塩化ナトリウムであり、それは約0mg/mL〜約10、15または20mg/mLの濃度で存在する。さらなる態様において、組成物は、塩化ナトリウムを約0mg/mL〜約7.5mg/mLの濃度で含む。他の態様において、組成物は塩化ナトリウムを0mg/mL、1.5mg/mL、6.8mg/mLまたは7.5mg/mLの濃度で含む。これらの態様において、薬理学的に適当な流体は食塩水溶液である。
【0068】
ここで提供する噴霧可能組成物はまた、Remington - The Science and Practice of Pharmacy(21st Edition)(2005), Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics(11th Edition)(2005)およびAnsel's Pharmaceutical Dosage FormsおよびDrug Delivery Systems(8th Edition), edited by Allen et al., Lippincott Williams & Wilkins, (2005)に記載されているような賦形剤および添加剤も含み得る。ここで提供する噴霧可能組成物において使用するための特定の賦形剤または添加剤は、当業者に既知の方法を使用して、経験的に決定し得る(例えば、実施例参照)。賦形剤および添加剤は、活性物質ではない、任意の薬理学的に適当なおよび治療的に有用な物質である。賦形剤および添加剤は、一般に、薬理学的活性を有さず、または少なくとも望ましくない薬理学的活性を有しない。賦形剤および添加剤は、界面活性剤、安定化剤、錯化剤、抗酸化剤、または最終医薬組成物の使用期間を延長する防腐剤、香味剤、ビタミン類、または当分野で既知の他の添加剤を含み、これに限定されない。錯化剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩、例えば二ナトリウム塩、クエン酸、ニトリロ三酢酸およびその塩を含み、これらに限定されない。一つの態様において、錯化剤はEDTAである。防腐剤は、ベンズアルコニウムクロライドまたは安息香酸、または安息香酸塩、例えば安息香酸ナトリウムを含み、これに限定されない、溶液を病原性粒子の汚染から保護するものである。抗酸化剤は、ビタミン類、プロビタミン類、アスコルビン酸、ビタミンEまたはその塩もしくはエステルを含み、これに限定されない。
【0069】
ここで提供される組成物はまた共溶媒も含んでよく、それは添加剤または活性成分の溶解性を増加させる。ここで提供される長時間貯蔵用組成物において使用するための特定の共溶媒は、当業者に既知の方法を使用して、経験的に決定し得る(例えば、実施例参照)。ここで使用するための共溶媒は、アルコール、例えばイソプロピルアルコール、グリコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロール、およびポリオキシエチレンアルコールのようなヒドロキシル化溶媒または他の極性溶媒を含み、これに限定されない。
【0070】
D.本組成物で使用するための化合物の製造
ここで提供される組成物において使用するための化合物および薬学的に許容される誘導体の製造方法を以下に記載する。任意のこのような化合物または類似化合物を、以下に一般的に記載した方法に従い、または、方法のほんのわずかな改変により、適当な出発物質の選択により、合成し得る。
【0071】
例えば、イプラトロピウム化合物の合成は、米国特許3,505,337に記載され、チオトロピウム化合物の製造は米国特許5,610,163(EP418716およびJP7030071Bに対応)に記載され、引用により本明細書に包含させる。各引用文献は、一般に各イプラトロピウムまたはチオトロピウム化合物を製造するためのトロピンの誘導体化を記載する。
【0072】
E. 噴霧可能組成物の製造
ここで提供される組成物を、Remington - The Science and Practice of Pharmacy(21st Edition)(2005), Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics(11th Edition)(2005)およびAnsel's Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(8th Edition)に一般的に記載された方法を含み、これに限定されない当業者に既知の方法により製造する。例えば、臭化チオトロピウム溶液を実施例1の方法により製造し得る。
【0073】
F. 組成物の活性の評価
標準生理学的、薬理学的および生化学的方法が、気管支拡張活性を有するものを同定するために、ここで提供される組成物を試験するために利用可能である。
【0074】
気管支拡張活性の評価に使用し得るインビトロおよびインビボアッセイは、当業者に既知である。例えば、米国特許3,994,974、および6,068,833;ドイツ特許2,305,092;Kaumann et al. (1985) Naunyn-Schmied Arch. Pharmacol. 331:27-39; Lemoine et al. (1985) Naunyn-Schmied Arch. Pharmacol. 331:40-51; Tomioka et al (1981) Arch. Int. Pharmacodyn. 250:279-292; Dellamary et al. (2000) Pharm. Res. 17(2):168-174; Rico-Mendez et al. (1999) Rev. Alerg. Mex. 46(5):130-135; Seberova et al. (2000) Respir. Med. 94(6):607-611; Lotvall et al. (1999) Can. Respir. J. 6(5):412-416; Campbell et al. (1999) Respir. Med. 93(4):236-244; Nightingale et al. (1999) Am. J. Respir. Crit. Care Med. 159(6):1786-1790; Lecaillon et al. (1999) Eur. J. Clin. Pharmacol. 55(2): 131-138; Bartow et al. (1998) Drugs 55(2):303-322; Ekstrom et al. (1998) Respir. Med. 92(8):1040-1045; Ringdal et al. (1998) Respir. Med. 92(8):1017-1021; Totterman et al. (1998) Eur. Respir. J. 12(3):573-579; Palmqvist et al. (1997) Eur. Respir. J. 10(11):2484-2489; Nielsen et al. (1997) Eur. Respir. J. 10(9):2105-2109; Ullman et al. (1996) Allergy 51(10):745-748; Selroos et al. (1996) Clin. Immunother. 6:273-299;およびSchreurs et al. (1996) Eur. Respir. J. 9(8):1678-1683も参照のこと。
【0075】
G. ネブライザー
本発明での使用に適当なネブライザーは、処置患者の体表面への噴霧組成物の暴露を最少にするものである。本発明の一つの態様において、ネブライザーは、処置患者の顔面および眼への噴霧組成物の暴露を最少にする。
【0076】
本発明の一つの態様において、ここで提供する噴霧可能組成物は、そのような処置を必要とする対象への呼吸作動ネブライザーを介した投与を意図する。呼吸作動ネブライザーの一つの態様において、ネブライザーはAeroEclipse呼吸作動ネブライザーおよびAutohaler(登録商標)から成る群から選択される。AeroEclipseは米国特許5,823,179および6,044,841に開示されており、その両方とも引用によりその全体を本明細書に包含させる。
【0077】
単なる例示として、米国特許5,823,179は:
エアロゾルを保持するためのチャンバーを有するハウジング;
該エアロゾルをチャンバーから放出することを可能にするための該チャンバーと連結したチャンバー排気口;
チャンバー内に位置する液体出口;
液体出口に隣接してチャンバー内に位置する加圧ガス排気口;および
チャンバー内に位置し、加圧ガス排気口および液体出口から高さが可変性の噴霧ギャップ(nebulizing gap)により空間的に離された可動性ダイバータ(ここで、該可動性ダイバータは、患者の呼吸に応答したサイクルでエアロゾルを生じるために、加圧ガスをガス排気口から液体出口に迂回させるために噴霧位置と非噴霧位置の間を移動する)
を含むネブライザーを記載する。
【0078】
単に他の一例として、米国特許6,044,84は:
エアロゾルを保持するためのチャンバーを有するハウジング;
エアロゾルがチャンバーから放出されることを可能にするためのチャンバーと連結した排気口;
チャンバーと連結した液体オリフィス;
液体オリフィスに隣接した加圧ガス入口(本加圧ガス入口はチャンバーと連結している);
チャンバー内に移動可能に位置し、そしてダイバータが噴霧位置にあるときに加圧ガスを加圧ガス入口からそして液体オリフィスを通って迂回させるために加圧ガス入口および液体オリフィスに関連しているダイバータ;および
以下を含むバルブ集合体:
ダイバータに接続し、チャンバー内に位置するアクチュエーターピストン(該アクチュエーターピストンは、ダイバータを噴霧位置に移動させるための空気出口を介した吸入の最初の期間を担う);および
チャンバー内に位置する補助ピストン(該補助ピストンはハウジングに対して移動可能であり、アクチュエーターピストンに対して独立に移動可能であり、そしてチャンバーへの増加した気流を可能にするために吸入の最初の期間後のチャンバーのさらなる陰圧を担い、それにより患者が空気出口を通して吸入するのに必要な労力を望ましい範囲内に維持する)
を含むネブライザーを記載する。
【0079】
本発明の他の態様において、ネブライザーは、呼吸作動の原理の下に操作する、すなわち患者による吸入によりネブライザーから噴霧可能組成物を口腔または鼻腔に放出し、吸入の停止により噴霧可能組成物の放出が停止する任意の他のデバイスであってよい。
【0080】
本発明のさらに別の態様において、ネブライザーを、顔面および眼のような体表面を全ての漏出した噴霧組成物から遮蔽するためのマスクと併せて使用する。
【0081】
H. 製品(キット)
ここで提供する噴霧可能組成物は、包装材、望まないおよび/または未制御の気管支収縮と関連する疾患または障害の処置、予防または1種以上の症状の改善に有用なここで提供される組成物、ネブライザーおよび該組成物が望まないおよび/または未制御の気管支収縮と関連する疾患または障害の処置、予防または1種以上の症状の改善に使用されることを示すラベルを含む製品(キット)として包装され得る。
【0082】
噴霧可能組成物は滅菌濾過され、滅菌単位用量組成物を提供する単位用量バイアルを含むバイアルに充填され、それはネブライザーにおいて使用され、適切に噴霧される。各単位用量バイアルは滅菌され、他のバイアルまたは次投与量を汚染することなく適切に噴霧される。本発明の一つの態様において、キットは、一単位用量以上の本発明の噴霧可能組成物を含み得る。
【0083】
単位用量バイアルは、型充填包装機(form-fill-seal machine)または当業者に既知の任意の他の適当な方法により形成される。バイアルはこれらの方法において使用するのに適するプラスチック材製であり得る。例えば、単位用量バイアルを製造するためのプラスチック材は、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエステルを含み、これに限定されない。一つの態様において、プラスチック材は低密度ポリエチレンである。
【0084】
ここで提供される製品は包装材を含む。医薬製品を包装するための包装材は当業者に既知である。例えば、米国特許5,323,907、5,052,558および5,033,252参照。医薬包装材の例は、ブリスターパック、瓶、チューブ、吸入器、ポンプ、袋、バイアル、コンテナ、シリンジ、および選択した組成物ならびに意図する投与方式および処置に適切な任意の包装材を含み、これに限定されない。
【0085】
ここに記載の一つの態様において、噴霧可能組成物を、それを必要とする対象への組成物の直接投与のための呼吸作動ネブライザーと共に包装する。
【0086】
I. 気管支収縮性障害の処置方法
ここで提供する噴霧可能組成物は、対象における気管支収縮性障害の処置、予防または1種以上の症状の軽減のために使用される。一つの態様において、本方法は、有効量の4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストを含む噴霧可能組成物をネブライザーを介して対象に投与することを含み、それにより該疾患または障害が患者の体表面への噴霧可能組成物の暴露なしに処置または予防される。
【0087】
処置方法の他の態様において、体表面は顔面および眼である。
処置方法の他の態様において、ネブライザーは呼吸作動ネブライザーである。
【0088】
本発明の他の態様において、4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストはイプラトロピウムまたはチオトロピウムの臭化物である。本発明のさらに別の態様において、4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストはチオトロピウムの臭化物である。
【0089】
気管支収縮性障害の処置、予防、または1種以上の症状の改善のための方法は、他の態様において、さらに、ここで提供される組成物と同時に、前にまたは後に以下の(a)、(b)、(c)または(d)の1種以上を投与することを含む:(a)β−アドレナリン受容体アゴニスト;(b)ドーパミン(D)受容体アゴニスト;(c)ステロイドのような予防治療;または(d)抗コリン剤。
【0090】
処置される対象は、ある態様において、哺乳動物である。処置される哺乳動物は、ある態様において、ヒトである。
【0091】
本発明の他の態様において、ここで提供される方法は、噴霧組成物による処置を受けている患者体表面の暴露を減らすかまたは無くす。刺激を減らすための一つの態様は、活性成分の雰囲気への損失を無くすことにより達成され、これは、口腔または肺に送達する4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストの0.001%w/w未満の損失を意味する。本発明の他の態様において、活性成分の損失がないことは、口腔または肺に送達する4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストの0.0001%w/w未満の損失を意味する。本発明の他の態様において、活性成分の損失がないことは、口腔または肺に送達する4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストの0.00001%w/w未満の損失を意味する。
【0092】
本発明の他の態様において、ここで提供される方法は、1日1回呼吸作動ネブライザーを介して噴霧可能組成物を投与することにより、処置を受けている患者の顔面および/または眼への暴露を減らす。暴露を減らす他の態様において、投与を患者就寝前に行う。
【0093】
処置、予防、またはその1種以上の症状を軽減すべき気管支収縮性障害は、気管支喘息、アレルギー性喘息および内因性喘息、例えば、遅発性喘息および気道過敏反応性を含み、これに限定されない喘息;および、特に抗コリン剤を使用する態様において、慢性気管支炎、気腫、および肺高血圧を伴う関連する肺性心(肺および呼吸器系の疾患に二次的な心臓疾患)、右室肥大および右心臓不全を含み、これに限定されない他の慢性閉塞性肺疾患(COPDs)である。COPDはしばしば喫煙、感染、大気汚染物および職業的粉塵暴露と関連する。
【0094】
以下の実施例は説明の目的のためのみに包含させ、本発明の範囲を限定する意図はない。
【実施例】
【0095】
実施例1 − 4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニスト含有噴霧可能組成物の製造
本発明の噴霧可能組成物は、以下の組成および量の組成物を含み得る:
【表1】

【0096】
実施例2 − 噴霧可能組成物の投与
実施例1の噴霧可能組成物を滅菌し、単位用量バイアルに入れ、それを次いで呼吸作動ネブライザーに入れ得る。患者は、単位用量を肺へと送達させるためにネブライザー(それは所望により鼻および口を覆うマスクを含んでよい)に息を吹き込む。単位用量の投与は、雰囲気に暴露された臭化チオトロピウムの有害作用を最少化するために患者就寝前に行う。呼吸作動ネブライザーで投与したときに臭化チオトロピウムの0.001%w/w未満の損失が起こることが期待される。
【0097】
本発明の種々の態様をこのように詳細に記載してきたが、上記の段落により定義される本発明は、その多くの明白な変化が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく可能であるため、上記に明示した特定の細部に限定すべきではないことは理解されるべきである。
【0098】
全ての前記の出願、およびその中にまたはそれらの進行中に引用された全文献(“出願引用文献”)、および該出願引用文献中に引用されたまたは言及された全文献、およびここに引用または言及した全文献(“ここに引用した文献”)、および、ここに引用した文献で引用または言及された全文献と、ここに記載したまたは引用によりここに包含される何らかの文献に記載された全ての製品についての全ての製造者の指示、明細、製品明細、および製品シートはここに引用により包含し、そして本発明の実施に際して使用し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管支収縮に関連する疾患または障害の処置、予防または1種以上の症状の改善用キットであって:
(i) ネブライザー;
(ii) 気管支収縮に関連する疾患または障害の処置、予防または1種以上の症状の改善用噴霧可能組成物であって:
(a) アンモニウムに基づいて約0.0005%〜約5重量%の濃度の4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニスト;
(b) 薬理学的に許容される流体;および
(c) 薬理学的に許容される防腐剤を含み、
ここで、該製剤のpHが酸で約2.0〜約4.5に調節されており、そして該4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストが該流体に溶解しており、そして所望により薬理学的に許容される錯化剤、安定化剤、薬理学的に許容される共溶媒、または他の薬理学的に許容されるアジュバントおよび添加剤を含む組成物;および
(iii) 気管支収縮に関連する疾患または障害の処置、予防または1種以上の症状の改善を必要とする患者に対する該噴霧可能組成物の投与の指示を含む包装材を含み;
ここで、該噴霧可能組成物の該ネブライザーによる投与が、患者の体表面への噴霧組成物の最少暴露をもたらす、キット。
【請求項2】
患者の体表面が顔面および眼である、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
患者の口腔および肺に送達される4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストのロスが0.001%w/w未満である、請求項2に記載のキット。
【請求項4】
該ネブライザーが、患者による吸入により噴霧組成物の放出を開始し、吸入を止めたときに噴霧組成物の放出が止む、請求項3に記載のキット。
【請求項5】
該ネブライザーが呼吸作動ネブライザーである、請求項4に記載のキット。
【請求項6】
該4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストがイプラトロピウムまたはチオトロピウム化合物である、請求項5に記載のキット。
【請求項7】
該チオトロピウム化合物が臭化チオトロピウムである、請求項6に記載のキット。
【請求項8】
該噴霧可能組成物が、β−アドレナリン受容体アゴニスト、ドーパミン(D)受容体アゴニスト、ステロイド性抗炎症剤、抗コリン剤、IL−5阻害剤、IL−5のアンチセンスモジュレーター、トリプターゼ阻害剤、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、5−リポキシゲナーゼ(lapoxygenase)阻害剤、抗IgE抗体、抗ヒスタミン、抗アレルギー剤およびこれらの混合物から成る群から選択される気管支収縮(bronchostriction)の処置のための付加的化合物をさらに含む、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
該噴霧可能組成物が単位用量バイアルに包含されている、請求項7に記載のキット。
【請求項10】
該指示書が該噴霧可能組成物の1日1回の就寝前投与を記載する、請求項7に記載のキット。
【請求項11】
気管支収縮に関連する疾患または障害の処置、予防または1種以上の症状の改善のための方法であって、該噴霧可能組成物を請求項1に記載のネブライザーを介して送達することを含み、ここで、該噴霧可能組成物の該ネブライザーによる投与が、患者の体表面への噴霧組成物の最少暴露をもたらす、方法。
【請求項12】
患者の体表面が顔面および眼である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
患者の口腔および肺に送達される4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストのロスが0.001%w/w未満である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
該ネブライザーが、患者による吸入により噴霧組成物の放出を開始し、吸入を止めたときに噴霧組成物の放出を止めることを可能にする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該ネブライザーが呼吸作動ネブライザーである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
該4級アンモニウムムスカリン受容体アンタゴニストがイプラトロピウムまたはチオトロピウム化合物である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該チオトロピウム化合物が臭化チオトロピウムである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
該噴霧可能組成物が、β−アドレナリン受容体アゴニスト、ドーパミン(D)受容体アゴニスト、ステロイド性抗炎症剤、抗コリン剤、IL−5阻害剤、IL−5のアンチセンスモジュレーター、トリプターゼ阻害剤、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、5−リポキシゲナーゼ(lapoxygenase)阻害剤、抗IgE抗体、抗ヒスタミン、抗アレルギー剤およびこれらの混合物から成る群から選択される気管支収縮(bronchostriction)の処置のための付加的化合物をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該噴霧可能組成物が単位用量バイアルに包含される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
該噴霧可能組成物が患者就寝前に1日1回投与される、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2009−538361(P2009−538361A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513398(P2009−513398)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/069707
【国際公開番号】WO2007/140285
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(503377629)デイ・リミテッド・パートナーシップ (3)
【氏名又は名称原語表記】DEY, L.P.
【Fターム(参考)】