説明

5−フェニル−ピラゾロピリジンのアセチレン系誘導体、これの調製および治療的使用

塩基のまたは酸による付加塩の形の、式(I)


(式中:R1およびR2は、互いに独立して、水素原子または(C−C)アルキル基を表し、R3は、1個以上の水素もしくはハロゲン原子を表し、Xは、互いに同じでありまたは異なり、水素、ハロゲンまたは(C−C)アルキルから選択される、1から4個の置換基を表す。)の化合物。
治療的使用および合成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセチレン系5−フェニルピラゾロピリジン誘導体、これの調製ならびにNR4A2、NOT、TINUR、RNR−1およびHZF3としても公知のNurr−1核内受容体に関係する疾患の処置または予防における治療的用途に関するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明の主題は、塩基のまたは酸による付加塩の形の、式(I):
【0003】
【化1】

の化合物であって、
式中、
R1およびR2は、互いに独立して、水素原子または(C−C)アルキル基を表し、
R3は、1個以上の水素もしくはハロゲン原子を表し、
Xは、互いに同じでありまたは異なり、水素、ハロゲンまたは(C−C)アルキルから選択される、1から4個の置換基を表す。
【0004】
式(I)の化合物は、1個以上の不斉炭素原子を備えることができる。これらはこのため、エナンチオマーまたはジアステレオマーの形で存在することができる。これらのエナンチオマーおよびジアステレオマー、およびラセミ混合物を含むこれらの混合物は、本発明に含まれる。
【0005】
式(I)の化合物は、塩基のまたは酸による付加塩の形で存在することができる。このような付加塩は本発明に含まれる。
【0006】
これらの塩は医薬的に許容される酸によって調製することができるが、例えば式(I)の化合物の精製または単離で有用な他の酸の塩も、本発明に含まれる。
【0007】
式(I)の化合物は、水和物または溶媒和物の形でも、即ち水の1個以上の分子または溶媒との化合または会合の形でも存在することができる。このような水和物および溶媒和物も、本発明に含まれる。
【0008】
本発明の状況において、
(C−C)基は、x個とt個の間の炭素原子を備える基を意味すると理解される。
ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味すると理解される。
アルキル基は、飽和直鎖、分枝または環式アルキル基によって場合により置換された飽和直鎖、分枝または環式脂肪族基を意味すると理解される。一例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロプロピルまたはシクロプロピルメチル基などが挙げられ得る。
【0009】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、化合物の第1の群は、塩基のまたは酸による付加塩の形の化合物
(式中、
Xは、ハロゲン原子または(C−C)アルキル基を表し、
R1およびR2は、水素原子または(C−C)アルキル基を表し、
R3は、1個以上の水素もしくはハロゲン原子を表す。)
で構成される。
【0010】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、化合物の第2の群は、塩基のまたは酸による付加塩の形の化合物
(式中、
Xは、塩素、フッ素またはメチル基を表し、
R1およびR2は、水素原子またはメチル基を表し、
R3は、水素原子またはジフルオロ基を表す。)
で構成される。
【0011】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、特に以下の化合物が挙げられ得る:
1−{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}ブタ−2−イン−1−オール
2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}ブタ−3−イン−2−オール
1−{2−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
1−{2,6−ジフルオロ−3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
1−{3−[2−(2−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
1−{3−[2−(p−トリル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル)フェニル]プロパ−2−イン−1−オール
(−)−1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
(+)−1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
(−)−2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}ブタ−3−イン−2−オール
(+)−2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}ブタ−3−イン−2−オール。
【0012】
本発明により、一般式(I)の化合物は、スキーム1に記載された方法に従って調製できる。
【0013】
【化2】

【0014】
本発明の化合物は、例えばS.Chassaing,M.Kueny−Stotz,G.Isorez and R.Brouillard in Eur.J.Org.Chem.,2007,2438によって記載された方法に従って、一般式(I)の化合物を得るために、一般式(III)の有機金属誘導体(式中、R1は上で定義された通りであり、Yは金属誘導体、例えばマグネシウムハライドを表す。)の一般式(II)のカルボニル誘導体(式中、R2、R3およびXは、上で定義した通りである。)に対する作用によって、スキーム1に従って調製することができる。
【0015】
一般式(II)の化合物(式中、R2、R3およびXは、上で定義した通りである。)は、例えばA.Gueiffier in Helv.Chim.Acta,2001,84,3610によって記載された方法に従って、一般式(IV)のピラゾロピリジン(式中、Xは上で定義された通りであり、Halはハロゲン原子を表す。)と一般式(V)のカルボニル誘導体(式中、R2およびR3は上で定義した通りであり、Zは、ホウ素またはスズ誘導体を表す。)との間の、パラジウムなどの金属によって触媒されたカップリング反応によって得ることができる。
【0016】
本発明により、一般式(IV)の化合物は、スキーム2に記載された方法に従って調製できる。
【0017】
【化3】

【0018】
スキーム2の経路Aにおいて、一般式(IV)の化合物(式中、Xは上で定義された通りであり、Halはハロゲン原子を表す。)は、例えばY.Tamura,J.−H.Kim,Y.Miki,H.Hayashi and M.Ikeda,in J.Het.Chem.,1975,12,481によって記載された方法に従って、O−(メシチレンスルホニル)ヒドロキシルアミン(MSH)の一般式(VI)の化合物(式中、XおよびHalは上で定義された通りである。)に対する作用によって調製することができる。
【0019】
スキーム2の経路Bにおいて、一般式(IV)の化合物(式中、Xは上で定義された通りであり、Halはハロゲン原子を表す。)は、例えばK.S.Gudmundsson in Bioorg.Med.Chem.,2005,13,5346によって記載された方法に従って、トリエチルアミンなどの塩基の存在下での、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物の作用、続いての塩化鉄などの触媒の存在下での、一般式(IV)の化合物を得るための環化による、一般式(VI)の化合物の一般式(VI’)の化合物(式中、XおよびHalは上で定義された通りである。)への変換によって調製することができる。
【0020】
化合物(VI)は、化合物(VII)に対するヒドロキシルアミンの作用によって得ることができる。
【0021】
化合物(VII)は、例えばK.S.Gudmundsson in Bioorg.Med.Chem.,2005,13,5346によって記載された方法に従って、化合物(IX)から、強塩基の存在下での一般式(VIII)のエステル(式中、Xは上で定義された通りであり、Alkはアルキル基を表す。)の作用によって得ることができる。
【0022】
スキーム1および2において、出発化合物および反応物質は、これらの調製方法が記載されていないときは、市販されているか、または文献に記載されているか、さもなければ文献に記載されているもしくは当業者に公知である方法に従って調製することができる。
【0023】
式(I)の化合物のエナンチオマーは、例えば炭化水素型(例えばヘプタン)およびアルコール型(例えばメタノールおよびエタノール)の溶媒を用いた溶離による、Chiralpak AD 20μm型のキラルカラムでのクロマトグラフィーによって、ラセミ化合物の分割によって得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の実施例は、本発明によるある化合物の調製について記載する。これらの実施例は限定的ではなく、本発明を例証する役割のみを果たす。実施例の化合物の番号は、下の表に示した番号を指し、表では本発明による幾つかの化合物の化学構造および物理的特性が例証されている。
【実施例】
【0025】
[実施例1]
1−{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
1.1 2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−クロロフェニル)エタノン
4−ブロモ−2−メチルピリジン5g(29.07mmol)およびエチル4−クロロベンゾアート11.27g(61.04mmol)を窒素流下で丸底フラスコに入れ、無水テトラヒドロフラン50mlに溶解させる。溶液を5℃まで冷却して、ヘキサメチルジシラザンリチウム溶液(テトラヒドロフラン中1M)70ml(70mmol)を滴加する。滴加後、混合物を周囲温度にて2時間撹拌して、5℃まで冷却し、次に水100mlを徐々に添加する。続いて媒体を酢酸エチル250mlおよび水100mlで希釈する。有機相を分離して、水相を酢酸エチル100mlで2回抽出する。続いて有機相を合せ、硫酸ナトリウムで脱水して、濾過する。続いてシリカ15gを濾液に添加して、混合物を減圧下で濃縮する。得られた粉末を、シクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(9/1)を溶離液としたシリカゲルによるクロマトグラフィーに固体析出物として使用する。化合物8.4g(93%)を黄色粉末の形で得る。
LC−MS:M+H=310
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):4.6(s,2H);6.4(s,1H);7.4(s,1H);from 7.5 to 7.6(m,6H);7.7(s,1H);7.9(d,2H);8.1(d,2H);8.3(d,1H);8.4(d,1H);15.0(s,1H).(ケト/エノール混合物:40/60)。
【0026】
1.2 2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−クロロフェニル)エタノンオキシム
2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−クロロフェニル)エタノン8.4g(27.05mmol)を丸底フラスコ内のエタノール150ml中に入れる。ピリジン22ml(272.56mmol)およびヒドロキシルアミンモノヒドロクロリド7.5g(107.93mmol)を添加する。続いて混合物を周囲温度にて5時間撹拌して、次に反応媒体をペースト状黄色固体が得られるまで減圧下で濃縮し、この固体を酢酸エチル400mlおよび水400mlに取る。有機相を分離して、水相を酢酸エチル200mlで3回抽出する。続いて有機相を合せ、硫酸ナトリウムで脱水して、濾過する。濾液を減圧下で濃縮する。化合物8.1g(91.9%)を青色粉末の形で得る。
LC−MS:M+H=325
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):4.3(s,2H);7.45(m,2H);7.50(d,1H);7.55(s,1H);7.75(m,2H);8.35(d,1H);11.65(s,1H)。
【0027】
1.3 5−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン
エチルO−(2−メシチレンスルホニル)アセトヒドロキサメート12.9g(45.21mmol)を丸底フラスコ内の1,4−ジオキサン30ml中に入れる。混合物を0℃まで冷却して、過塩素酸(水中70%)13.5ml(156.60mmol)を添加する。続いて1,4−ジオキサン10mlを添加して、次に媒体を0℃にて2時間30分にわたって激しく撹拌した。続いて媒体を氷冷水350mlに注入する。媒体をおよそ0℃にて10分間放置して、次に形成された白色固体を焼結ガラス漏斗(完全に乾燥させないこと。生成物は乾燥状態では爆発する可能性がある。)での濾過によって回収する。得られたペースト状白色固体を氷冷水350mlによって洗浄して、次におよそ約5gまで冷却された1,2−ジクロロエタン250mlおよび塩水150mlに取る。有機相を回収して、疎水性カートリッジで濾過する。濾液を回収して、およそ0℃まで冷却された2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−クロロフェニル)エタノンオキシム(段階1.2で得た化合物)8.1g(24.88mmol)の1,2−ジクロロエタン150mlによる溶液に滴加する。
【0028】
添加後、混合物を周囲温度まで戻して、周囲温度にて3時間撹拌する。続いてジクロロメタン250ml、水200mlおよびNaOH水溶液(1N)100mlを媒体に連続して添加する。混合物を撹拌したままにして、次に沈降により分離する。有機相を分離して、水相をジクロロメタン200mlで2回抽出する。続いて有機相を合せ、疎水性カートリッジ(70ml液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過して、次にシリカ15gと混合する。続いて濾液を減圧下で濃縮する。褐色粉末を得て、この粉末をシリカゲルによるクロマトグラフィーに固体析出物として使用して、溶離をシクロヘキサンおよびジクロロメタンの混合物(1/1)を用いて行う。化合物5.8g(75%)をやや黄色の綿状固体の形で得る。
LC−MS:M+H=307
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):7.0(d,1H);7.1(s,1H);7.6(d,2H);8.0(s,1H);8.1(d,2H);8.7(d,1H)。
【0029】
1.4 3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンズアルデヒド
1.3に記載されたプロトコルに従って得た5−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン0.300g(0.98mmol)、3−ホルミルフェニルボロン酸0.292g(1.95mmol)および炭酸セシウム0.94g(2.88mmol)をテトラヒドロフランおよび水の9/1混合物5ml中に窒素流下で導入する。[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.08g(0.10mmol)を添加して、媒体を70℃にて2時間加熱する。続いて媒体を周囲温度に戻して、次にジクロロメタンおよび水で希釈する。媒体を疎水性カートリッジ(70ml液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過して、有機相を回収し、これにシリカ2gを添加する。溶媒を蒸発させた後、残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、溶離はシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(9/1)を用いて行う。予想生成物0.302g(93%)を黄色粉末の形で得る。
融点(℃):152−154
LC−MS:M+H=333
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):7.2(s,1H);7.35(d,1H);7.55(d,2H);7.75(t,1H);7.95(d,1H);8.05(d,2H);8.15(s,1H);8.20(d,1H);8.40(s,1H);8.85(d,1H);10.15(s,1H)。
【0030】
1.5 1−{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
1.4に従って得られた3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンズアルデヒド0.100g(0.30mmol)を窒素流下でテトラヒドロフラン8mlに溶解させる。エチニルマグネシウムブロミド溶液(テトラヒドロフラン中0.5M)0.800ml(0.40mmol)の低速での添加のために、媒体を0℃まで冷却する。続いて媒体を周囲温度に戻して、次に45分間撹拌する。加水分解を冷却条件下で塩化アンモニウム飽和水溶液を滴加することによって行い、次に酢酸エチル40mlおよび水30mlを用いて希釈を行う。有機相を回収して、水相を酢酸エチル20mlで2回抽出する。続いて有機相を合せ、次にシリカ1gを添加した後に減圧下で濃縮する。続いて残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、固体析出物の溶離はシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(9/1)を用いて行う。予想生成物0.02g(18%)をベージュ色粉末の形で得る。
融点(℃):195−197。
LC−MS:M+H=359
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):3.55(s,1H);5.50(m,1H);6.15(d,1H);7.20(s,1H);7.30(d,1H);7.60(m,4H);7.80(m,1H);7.90(s,1H);8.00(m,3H);8.80(d,1H)。
【0031】
[実施例2]
1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール(表の化合物2)
2.1 2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−フルオロフェニル)エタノン
4−ブロモ−2−ピコリン5.0g(29.07mmol)およびエチル4−フルオロベンゾアート10.2g(60.95mmol)を窒素流下で丸底フラスコに入れ、無水テトラヒドロフラン50mlに溶解させる。溶液を0℃まで冷却して、ヘキサメチルジシラザンリチウム溶液(テトラヒドロフラン中1M)70ml(70mmol)を滴加する。滴加後、混合物を周囲温度にて2時間撹拌して、5℃まで冷却し、次に水100mlを徐々に添加する。続いて媒体を酢酸エチル250mlおよび水100mlで希釈する。有機相を分離して、水相を酢酸エチル100mlで2回抽出する。続いて有機相を合せ、硫酸ナトリウムで脱水して、濾過する。続いてシリカ15gを濾液に添加して、次に減圧下で濃縮する。得られた粉末を、シクロヘキサンおよび酢酸エチル(9/1)の混合物を溶離液としたシリカゲルによるクロマトグラフィーに固体析出物として使用する。化合物7.5g(88%)を黄色粉末の形で得る。
LC−MS:M+H=294(ケト/エノール比:43/57)
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):4.56(s,2H);6.34(s,1H);from 7.23 to 7.40(m,5H);7.53(d,1H);7.56(m,1H);7.70(d,1H);from 7.81 to 7.92(m,2H);from 8.04 to 8.16(m,2H);8.29(d,1H);8.37(d,1H);15.0(s,1H)。
【0032】
2.2 2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−フルオロフェニル)エタノンオキシム
2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−フルオロフェニル)エタノン7.5g(24.26mmol)を、無水エタノール100mlを含有する丸底フラスコに入れる。ピリジン20ml(247.78mmol)およびヒドロキシルアミンモノヒドロクロリド7.08g(101.88mmol)を添加してから、媒体を周囲温度にて3時間撹拌したままにする。続いてエタノールを真空下で蒸発させ、得られた残渣を水250mlおよび酢酸エチル250mlに取る。有機相を分離して、次に水相を酢酸エチル150mlで5回抽出する。続いて有機相を合せ、硫酸ナトリウムで脱水して、真空下で濃縮する。化合物7.82gを得る。
LC−MS:M+H=309
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):4.26(s,2H);7.19(t,2H);7.50(m,2H);7.75(m,2H);8.33(d,1H);11.50(s,1H).((E)得られたオキシム)。
【0033】
2.3 5−ブロモ−2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン
2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−フルオロフェニル)エタノンオキシム7.82g(25.50mmol)を丸底フラスコに入れて、1,2−ジクロロエタン400mlに溶解させる。O−(メシチレンスルホニル)ヒドロキシルアミンの溶液(1,2−ジクロロエタン中0.27M、1.3に記載されたプロトコルに従って得た化合物)170mlを、およそ0℃に冷却した媒体に滴加する。滴加後、媒体を周囲温度にて1時間30分撹拌する。続いて媒体を水200mlおよび水酸化ナトリウム溶液(1N)200mlで希釈する。2相媒体を撹拌して、次に沈降により分離する。有機相を分離して、次に水相をジクロロメタン200mlで4回抽出する。続いて有機相を合せ、硫酸ナトリウムで脱水して、濾過する。続いてシリカ15gを濾液に添加して、次に混合物を減圧下で濃縮する。得られた粉末を、シクロヘキサンおよびジクロロメタンの混合物(1/1)を溶離液としたシリカゲルによるクロマトグラフィーに固体析出物として使用する。化合物5.06g(68%)を白色綿状粉末として得る。
LC−MS:M+H=291
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):from 7.00 to 7.10(m,2H);7.45(m,2H);8.05(m,3H);8.70(d,1H)。
【0034】
2.4 3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンズアルデヒド
段階2.3で得られた5−ブロモ−2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン0.200g(0.69mmol)、3−ホルミルフェニルボロン酸0.125g(0.83mmol)および炭酸セシウム0.670g(2.06mmol)を窒素流下でテトラヒドロフランおよび水の9/1混合物5ml中に導入する。[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.055g(0.07mmol)を添加して、媒体を70℃にて3時間加熱する。70℃にて4時間撹拌したまま、続いてさらなる3−ホルミルフェニルボロン酸0.063g(0.42mmol)、炭酸セシウム0.335g(1.03mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.028g(0.03mmol)を添加する。続いて媒体を周囲温度に戻して、次にジクロロメタンおよび水で希釈する。2相媒体を疎水性カートリッジ(70ml液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過して、有機相を回収し、これにシリカ1.2gを添加する。溶媒を蒸発させた後、残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、溶離はシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)を用いて行う。予想生成物0.175g(80%)を白色粉末の形で得る。
LC−MS:M+H=317
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):7.15(s,1H);from 7.30 to 7.37(m,3H);7.77(t,1H);7.98(m,1H);8.08(m,2H);8.15(m,1H);8.20(m,1H);8.38(s,1H);8.82(d,1H);10.15(s,1H)。
【0035】
2.5 1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
段階2.4で得られた3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンズアルデヒド0.100g(0.32mmol)を窒素流下でテトラヒドロフラン8mlに溶解させる。エチニルマグネシウムブロミド溶液(テトラヒドロフラン中0.5M)2ml(1mmol)の低速での添加(solidation)のために、媒体を5℃まで冷却する。媒体を徐々に周囲温度に戻して、次に30分間撹拌する。加水分解を冷却条件下で塩化アンモニウム飽和水溶液を滴加することによって行い、次に媒体をジクロロメタン50mlおよび水40mlによって希釈する。続いて媒体を疎水性カートリッジ(70mlの液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過して(floated through)、有機相を回収し、これにシリカ1gを添加してから、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、固体析出物の溶離はシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(7/3)を用いて行う。予想生成物0.055g(50%)を白色固体の形で得る。
融点(℃):192−194
LC−MS:M+H=343
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):3.55(s,1H);5.50(m,1H);6.15(d,1H);7.10(s,1H);7.20(d,1H);7.35(m,2H);7.55(q,2H);7.75(q,1H);7.90(s,1H);8.00(s,1H);8.10(m,2H);8.80(d,1H)。
【0036】
[実施例3]
1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}ブタ−2−イン−1−オール(表の化合物3)
段階2.5に記載された手順に従い、2.4に記載された方法に従って得られた3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンズアルデヒド0.300g(0.95mmol)のテトラヒドロフラン10mlによる溶液から開始して、(プロピン−1−イル)マグネシウムブロミド溶液(テトラヒドロフラン中0.5M)5.70ml(2.85mmol)の添加を続け、シリカゲルによるクロマトグラフィーで溶離をシクロヘキサンおよび酢酸エチル(8/2)の混合物によって行った後、予想生成物0.23g(67%)を薄黄色粉末の形で得る。
融点(℃):164−166
LC−MS:M+H=357
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):1.87(s,3H);5.45(m,1H);5.95(d,1H);7.12(s,1H);7.25(dd,1H);7.32(t,2H);7.53(m,2H);7.75(m,1H);7.86(s,1H);7.99(m,1H);8.08(m,2H);8.78(d,1H)。
【0037】
[実施例4]
2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}ブタ−3−イン−2−オール(表の化合物4)
4.1 1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}エタノン
段階2.4に記載された手順に従って、テトラヒドロフランおよび水の9/1混合物5ml中の、段階2.3で得られた5−ブロモ−2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン0.300g(1.03mmol)、3−アセチルフェニルボロン酸0.185g(1.13mmol)、炭酸セシウム1.00g(3.09mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.084g(0.10mmol)から開始する。シリカゲルによるクロマトグラフィーで溶離をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)によって行った後、予想生成物0.268g(78%)をベージュ色粉末の形で得る。
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):2.70(s,3H);7.10(s,1H);7.32(m,3H);7.68(m,1H);from 7.95 to 8.12(m,5H);8.32(m,1H);8.80(d,1H)。
【0038】
4.2 2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}ブタ−3−イン−2−オール
段階2.5に記載された手順に従い、段階4.1で得られた1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}エタノン0.261g(0.79mmol)テトラヒドロフラン10mlによる溶液から開始して、エチニルマグネシウムブロミド溶液(テトラヒドロフラン中0.5M)4.74ml(2.37mmol)の添加を続け、シリカゲルによるクロマトグラフィーで溶離をシクロヘキサンおよびジクロロメタンの混合物(1/9)によって行った後、予想生成物0.018g(6%)を白色粉末の形で得る。
融点(℃):215−217
LC−MS:M+H=357
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):1.75(s,3H);3.58(s,1H);6.20(s,1H);7.12(s,1H);7.25(m,1H);7.32(t,2H);7.53(m,1H);7.65(m,1H);7.75(m,1H);7.98(m,2H);8.08(m,2H);8.80(d,1H)。
【0039】
[実施例5]
1−{2−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール(表の化合物5)
5.1 2−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンズアルデヒド
段階2.4に記載された手順に従って、テトラヒドロフランおよび水の9/1混合物5ml中の、段階2.3で得られた5−ブロモ−2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン0.300g(1.03mmol)、2−ホルミルフェニルボロン酸0.170g(1.13mmol)、炭酸セシウム1.00g(3.09mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.084g(0.10mmol)から開始する。シリカゲルによるクロマトグラフィーで溶離をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(85/15)によって行った後、予想生成物0.254g(77%)をベージュ色粉末の形で得る。
LC−MS:M+H=317
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):7.05(d,1H);7.12(s,1H);7.35(t,2H);7.78(m,2H);7.78(s,1H);7.81(m,1H);8.00(d,1H);8.05(m,2H);8.80(d,1H),10.05(s,1H)。
【0040】
5.2 1−{2−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
段階2.5に記載された手順に従い、段階5.1で得られた2−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンズアルデヒド0.245g(0.77mmol)のテトラヒドロフラン15mlによる溶液から開始して、エチニルマグネシウムブロミド溶液(テトラヒドロフラン中0.5M)4.65ml(2.32mmol)の添加を続け、シリカゲルによるクロマトグラフィーで溶離をジクロロメタンによって行った後、予想生成物0.08g(30%)を薄黄色粉末の形で得る。
融点(℃):104−106
LC−MS:M+H=343
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):3.50(s,1H);5.35(m,1H);6.12(m,1H);6.95(dd,1H);7.12(s,1H);from 7.30 to 7.40(m,3H);7.46(m,1H);7.52(m,1H);7.69(m,1H);7.83(m,1H);8.07(m,2H);8.78(d,1H)。
【0041】
[実施例6]
1−{2,6−ジフルオロ−3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]−フェニル}プロパ−2−イン−1−オール(表の化合物6)
6.1 2,6−ジフルオロ−3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンズアルデヒド
段階2.4に記載された手順に従って、テトラヒドロフランおよび水9/1混合物5ml中の、段階2.3で得られた5−ブロモ−2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン0.300g(1.03mmol)、2,4−ジフルオロ−3−ホルミルフェニルボロン酸0.210g(1.13mmol)、炭酸セシウム1.00g(3.09mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)0.084g(0.10mmol)から開始する。シリカゲルによるクロマトグラフィーで溶離をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)によって行った後、予想生成物0.278g(76%)をベージュ色粉末の形で得る。
LC−MS:M+H=353
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):7.12(m,1H);7.20(s,1H);from 7.30 to 7.50(m,3H);7.95(m,1H);from 8.05 to 8.15(m,3H);8.85(d,1H),10.32(s,1H)。
【0042】
6.2 1−{2,6−ジフルオロ−3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
段階2.5に記載された手順に従い、段階6.1で得られた2,6−ジフルオロ−3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンズアルデヒド0.270g(0.77mmol)のテトラヒドロフラン15mlによる溶液から開始して、エチニルマグネシウムブロミド溶液(テトラヒドロフラン中0.5M)4.60ml(2.30mmol)の添加を続け、シリカゲルによるクロマトグラフィーにより溶離をシクロヘキサンおよびジクロロメタンの混合物(1/3)によって行った後、予想生成物0.171g(57%)を薄黄色粉末の形で得る。
融点(℃):151−153
LC−MS:M+H=379
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):3.50(s,1H);5.75(s,1H);6.28(d,1H);7.05(m,1H);7.15(s,1H);from 7.25 to 7.38(m,3H);7.70(m,1H);7.85(s,1H);8.05(m,2H);8.78(d,1H)。
【0043】
[実施例7]
1−{3−[2−(2−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール(表の化合物7)
7.1 5−ブロモ−2−(2−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン
4−ブロモ−2−メチルピリジン1g(5.81mmol)およびメチル2−フルオロベンゾアート1.88g(12.20mmol)を丸底フラスコに入れ、窒素流下で無水テトラヒドロフラン25mlに溶解させる。溶液を5℃まで冷却して、ヘキサメチルジシラザンリチウム溶液(テトラヒドロフラン中1M)14ml(14mmol)を滴加する。滴加後、混合物を周囲温度にて2時間30分撹拌して、5℃まで冷却し、次に水15mlを徐々に添加する。続いて媒体を酢酸エチル100mlおよび水100mlで希釈する。有機相を分離して、水相を酢酸エチル100mlで抽出する。続いて有機相を合せ、硫酸ナトリウムで脱水して、濾過する。続いてシリカ6gを濾液に添加して、混合物を減圧下で濃縮する。得られた粉末を、シクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(95/5)を溶離液としたシリカゲルによるクロマトグラフィーに固体析出物として使用する。黄色粉末1.71gを回収し、この粉末をヒドロキシルアミンヒドロクロリド1.60g(23.02mmol)、ピリジン5ml(61.95mmol)およびエタノール30mlの存在下で丸底フラスコに入れる。媒体を周囲温度にて一晩撹拌したままにして、次に反応媒体を減圧下で濃縮する。得られた残渣を酢酸エチル50mlおよび水50mlに取る。有機相を回収して、次に水相を酢酸エチル50mlで抽出する。続いて有機相を合せ、硫酸ナトリウムで脱水して、次に減圧下で濃縮する。オレンジ色ろう状物質1.05gが得られ、このろう状物質を1,2−ジクロロエタン50mlを含有する丸底フラスコに入れる。次に混合物をおよそ5℃まで冷却して、次にO−(メシチレンスルホニル)ヒドロキシルアミンの1,2−ジクロロエタンによる溶液(c=0.11mol/l)61mlを滴加する。媒体を周囲温度にて一晩撹拌して、次に水50ml、NaOH水溶液(1N)50mlおよびジクロロメタン100mlを添加する。有機相を回収して、次に水相をジクロロメタン100mlで抽出する。続いて有機相を合せ、硫酸ナトリウムで脱水して、濾過する。続いてシリカ5gを濾液に添加して、次に混合物を減圧下で濃縮する。得られた粉末を、シクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)を溶離液としたシリカゲルによるクロマトグラフィーに固体析出物として使用する。予想生成物0.675g(39.9%)を黄色粉末の形で回収する。
LC−MS:M+H=291
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):7.03(d,1H);7.1(dd,1H);from 7.33 to 7.43(m,2H);from 7.48 to 7.55(m,1H);from 8.05 to 8.18(m,2H);8.73(d,1H)。
【0044】
7.2 3−[2−(2−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンズアルデヒド
段階2.4に記載された手順に従って、テトラヒドロフランおよび水の9/1混合物5ml中の、段階7.1で得られた5−ブロモ−2−(2−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン0.150g(0.52mmol)、3−ホルミルフェニルボロン酸0.092g(0.61mmol)、炭酸セシウム0.502g(1.54mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.042g(0.050mmol)から開始する。シリカゲルによるクロマトグラフィーで溶離をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)によって行った後、予想生成物0.130g(79%)をベージュ色粉末の形で得る。
LC−MS:M+H=317
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):7.10(m,1H);from 7.35 to 7.45(m,3H);7.50(m,1H);7.78(t,1H);7.98(m,1H);from 8.15 to 8.25(m,3H);8.38(s,1H);8.88(d,1H);10.15(s,1H)。
【0045】
7.3 1−{3−[2−(2−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
段階2.5に記載された手順に従い、段階7.2で得られた3−[2−(2−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンズアルデヒド0.125g(0.40mmol)のテトラヒドロフラン15mlによる溶液から開始して、エチニルマグネシウムブロミド溶液(テトラヒドロフラン中0.5M)3.50ml(1.75mmol)の添加を続け、シリカゲルによるクロマトグラフィーで溶離をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)によって行った後、予想生成物0.112g(82%)をベージュ色粉末の形で得る。
融点(℃):157−159
LC−MS:M+H=343
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):3.55(d,1H);5.55(m,1H);6.15(m,1H);7.12(m,1H);7.30(m,1H);from 7.32 to 7.45(m,2H);from 7.46 to 7.52(m,1H);7.55(m,2H);7.78(m,1H);7.90(s,1H);8.08(s,1H);8.15(m,1H);8.82(d,1H)。
【0046】
[実施例8]
1−[3−(2−{p−トリル}ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル)フェニル]プロパ−2−イン−1−オール(表の化合物8)
8.1 2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(p−トリル)エタノン
4−ブロモ−2−メチルピリジン1g(5.81mmol)およびメチル4−メチルベンゾアート1.75g(11.60mmol)を丸底フラスコに入れ、窒素流下で無水テトラヒドロフラン30mlに溶解させる。溶液を5℃まで冷却して、ヘキサメチルジシラザンリチウム溶液(テトラヒドロフラン中1M)14ml(14mmol)を滴加する。滴加後、混合物を周囲温度にて2時間30分撹拌して、次に5℃まで冷却し、水20mlを徐々に添加する。続いて媒体を酢酸エチル200mlおよび水200mlで希釈する。有機相を分離して、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過する。続いてシリカ5gを濾液に添加してから、これを減圧下で濃縮する。得られた粉末を、シクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(95/5)を溶離液としたシリカゲルによるクロマトグラフィーに固体析出物として使用する。化合物1.03g(61%)を黄色粉末の形で得る。
LC−MS:M+H=290。
【0047】
8.2 4−ブロモ−2−(3−{p−トリル}−2H−アジリン−2−イル)ピリジン
段階8.1で得られた2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(p−トリル)エタノン1.03gを、ヒドロキシルアミンモノヒドロクロリド0.99g(14.2mmol)、ピリジン3ml(37mmol)およびエタノール100mlと共に丸底フラスコに入れる。反応媒体を一晩撹拌したままにして、次に減圧下で濃縮する。得られた残渣を次に酢酸エチル200mlおよび水200mlに取る。有機相を回収し、硫酸ナトリウムで脱水して、次に減圧下で濃縮する。化合物1.10gを回収して、トリエチルアミン0.660ml(4.74mmol)およびジクロロメタン30mlを含有する丸底フラスコに溶解させる。続いて反応媒体をおよそ5℃まで冷却して、次に無水トリフルオロ酢酸0.200ml(1.42mmol)を滴加する。続いて媒体を周囲温度にて3時間撹拌してから、水100mlによって加水分解する。続いて媒体を10分間撹拌してから、疎水性カートリッジ(70ml液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過する。続いてシリカ1.2gを濾液に添加してから、これを減圧下で濃縮する。得られた粉末を、シクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(95/5)を溶離液としたシリカゲルによるクロマトグラフィーに固体析出物として使用する。予想化合物0.746g(77%)を白色粉末の形で回収する。
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):2.42(d,3H);3.45(s,1H);from 7.42 to 7.58(m,4H);7.78(m,2H);8.30(d,1H)。
【0048】
8.3 5−ブロモ−2−(p−トリル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン
段階8.2で得られた4−ブロモ−2−(3−{p−トリル}−2H−アジリン−2−イル)ピリジン0.746gを、塩化鉄(II)6.6mg(0.052mmol)の存在下で1,2−ジメトキシエタン30mlに溶解させる。次に媒体を6時間還流させる。続いてさらなる塩化鉄(II)10mg(0.078mmol)を添加して、続いて混合物を再度、3時間にわたって還流下で撹拌したままにする。次に媒体を酢酸エチル50mlおよび水50mlで希釈する。続いて有機相を回収し、硫酸ナトリウムで脱水して、次に濾過する。続いてシリカ2gを濾液に添加して、これを減圧下で濃縮する。得られた粉末を、シクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(85/15)を溶離液としたシリカゲルによるクロマトグラフィーに固体析出物として使用する。予想化合物0.534g(71%)を黄色粉末の形で回収する。
LC−MS:M+H=287
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):2.48(m,3H);7.00(m,2H);7.32(m,2H);7.88(m,2H);8.00(m,1H);8.68(d,1H)。
【0049】
8.4 3−(2−{p−トリル}ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル)ベンズアルデヒド
段階2.4に記載された手順に従って、テトラヒドロフランおよび水の9/1混合物5ml中の、段階8.3で得られた5−ブロモ−2−(p−トリル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン0.157g(0.54mmol)、3−ホルミルフェニルボロン酸0.098g(0.65mmol)、炭酸セシウム0.535g(1.64mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.045g(0.055mmol)から開始する。シリカゲルによるクロマトグラフィーで溶離をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)によって行った後、予想生成物0.110g(65%)をベージュ色粉末の形で得る。
LC−MS:M+H=313
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):2.38(s,3H);7.12(s,1H);7.32(m,3H);7.78(m,1H);from 7.90 to 8.00(m,3H);8.12(m,1H);8.20(m,1H);8.38(s,1H);8.80(d,1H);10.15(s,1H)。
【0050】
8.5 1−[3−(2−{p−トリル}ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル)フェニル]プロパ−2−イン−1−オール
段階2.5に記載された手順に従い、段階8.4で得られた3−(2{p−トリル}ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル)ベンズアルデヒド0.105g(0.34mmol)のテトラヒドロフラン15mlによる溶液から開始して、エチニルマグネシウムブロミド溶液(テトラヒドロフラン中0.5M)3.20ml(1.60mmol)の添加を続け、シリカゲルによるクロマトグラフィーで溶離をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)によって行った後、予想生成物0.062g(54%)を黄色粉末の形で得る。
融点(℃):183−185。
LC−MS:M+H=339
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):2.40(s,3H);3.55(d,1H);5.55(m,1H);6.15(m,1H);7.10(s,1H);7.22(m,1H);7.32(m,2H);7.55(m,2H); 7.78(m,1H);from 7.90 to 7.95(m,3H);7.95(s,1H);8.80(d,1H)。
【0051】
[実施例9]
(−)−1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール(表の化合物9)
実施例2に記載されたように得られた1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール0.217gを、Chiralpak AD 20μmキラル静止相(835cm)1200gを含有するカラムに注入する。溶離は、ヘプタン、エタノールおよびメタノールの混合物(70/15/15)を溶離液として用いて140ml/分で、次に180ml/分で行う。エナンチオマー(−)−1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オールが最初に溶離する(保持時間=60分)。減圧下で濃縮した後、予想生成物0.106gを白色粉末の形で得る。
融点(℃):147−149。
LC−MS:M+H=343
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):3.55(s,1H);5.50(m,1H);6.15(d,1H);7.10(s,1H);7.20(d,1H);7.35(m,2H);7.55(q,2H);7.75(q,1H);7.90(s,1H);8.00(s,1H);8.10(m,2H);8.80(d,1H)。
旋光度:α=−6.9°(c=0.427g/dl,DMSO,589nm)
エナンチオマー純度:99.5%(ヘキサン/エタノール/メタノール(70/15/15)混合物を溶離液として用いてChiralpak AD−H 5μmカラム(2504.6mm)による(1ml/分)、保持時間18.51分)
【0052】
[実施例10]
(+)−1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール(表の化合物10)
エナンチオマー(+)−1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オールを、実施例9で行った分離の間に2番目に溶離させる(保持時間=80分)。減圧下で濃縮した後、予想生成物0.098gを淡黄色粉末の形で得る。
融点(℃):139−141。
LC−MS:M+H=343
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):3.55(s,1H);5.50(m,1H);6.15(d,1H);7.10(s,1H);7.20(d,1H);7.35(m,2H);7.55(q,2H);7.75(q,1H);7.90(s,1H);8.00(s,1H);8.10(m,2H);8,80(d,1H)。
旋光度:α=+8.8°(c=0.502g/dl,DMSO,589nm)
エナンチオマー純度:99%(ヘキサン/エタノール/メタノール(70/15/15)混合物を溶離液として用いてChiralpak AD−H 5μmカラム(2504.6mm)による(1ml/分)、保持時間24.58分)
【0053】
[実施例11]
(−)−2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}ブタ−3−イン−2−オール(表の化合物11)
実施例3に記載されたように得られた2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}ブタ−3−イン−2−オール0.167gを、Chiralpak AD 20μmキラル静止相(835cm)1200gを含有するカラムに注入する。溶離は、ヘプタン、エタノールおよびメタノールの混合物(70/15/15)を溶離液として用いて250ml/分で行う。エナンチオマー(−)−2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}ブタ−3−イン−2−オールが最初に溶離される(保持時間=32分)。減圧下で濃縮した後、予想生成物0.082gを白色粉末の形で得る。
融点(℃):122−124。
LC−MS:M+H=357
H NMR(D−DMSO)δ(ppm):1.87(s,3H);5.45(m,1H);5.95(d,1H);7.12(s,1H);7.25(dd,1H);7.32(t,2H);7.53(m,2H);7.75(m,1H);7.86(s,1H);7.99(m,1H);8.08(m,2H);8.78(d,1H)。
旋光度:α=−14.2°(c=0.323g/dl,MeOH,589nm)
エナンチオマー純度:100%(ヘキサン/エタノール/メタノール(70/15/15)混合物を溶離液として用いてChiralpak AD−H 5μmカラム(2504.6mm)による(1ml/分)、保持時間15.00分)
【0054】
[実施例12]
(+)−2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}ブタ−3−イン−2−オール(表の化合物12)
エナンチオマー(+)−2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}ブタ−3−イン−2−オールを、実施例11で行った分離の間に2番目に溶離させる(保持時間=44分)。減圧下で濃縮した後、予想生成物0.083gを白色粉末の形で得る。
融点(℃):126−128。
LC−MS:M+H=357
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):1.87(s,3H);5.45(m,1H);5.95(d,1H);7.12(s,1H);7.25(dd,1H);7.32(t,2H);7.53(m,2H);7.75(m,1H);7.86(s,1H);7.99(m,1H);8.08(m,2H);8.78(d,1H)。
旋光度:α=+18°(c=0.244g/dl,MeOH,589nm)
エナンチオマー純度:99.5%(ヘキサン/エタノール/メタノール(70/15/15)混合物を溶離液として用いてChiralpak AD−H 5μmカラム(2504.6mm)による(1ml/分)、保持時間21.10分)
【0055】
続いての表は、本発明による化合物の幾つかの例の一般式(I)の化学構造(表1)および物理化学的特徴(表2)を例証する。
【0056】
これらの表において、
「融点」列は、生成物の融点を摂氏温度(℃)で表す。
「位置」列は、フェニル核における
【0057】
【化4】

基の置換位置を表す(2、3または4)。
【0058】
【化5】

【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
本発明による化合物は、NOTに対するこれらの調節効果を判定できるようにする薬理学的アッセイの対象となった。
【0062】
N2A細胞に対するインビトロ活性の評価
本発明による化合物の活性を、マウスNurrl受容体を内因的に発現し、ルシフェラーゼレポーター遺伝子にカップリングされたNOT結合応答要素(NBRE)が安定的にトランスフェクトされた株化細胞(N2A)に対して評価した。アッセイは、下に記載した手順に従って行った。
【0063】
Neuro−2A株化細胞を標準販売元(ATCC)から入手する。Neuro−2Aクローンは、R.J Klebe et al.によるアルビノマウス株Aから発生した自然発生腫瘍から取得した。このNeuro−2A系統は続いて、8NBREルシフェラーゼに安定的にトランスフェクトされる。N2A 8NBRE細胞を、10%のウシ胎仔血清、4.5g/lのグルコースおよび0.4mg/mlのジェネティシンが添加されたDMEMを含有する75cm培養フラスコ内でコンフルエントまで培養する。1週間の培養の後、細胞を、0.25%トリプシンを用いて30秒間回収して、次に4.5g/lのグルコースおよび10%のHyclone脱脂血清を含有する、フェノールレッドなしのDMEMに再懸濁させ、透明底96ウェル・ホワイト・プレート内に配置する。細胞を75μl中60000/ウェルの割合で24時間配置してから、生成物を添加した。生成物を25μl加えて、さらに24時間インキュベートする。測定日に同量(100μl)のSteadyliteを各ウェルに添加して、次に、完全な細胞溶解および最大シグナル産生を得るために、30分の期間にわたって放置する。続いて、接着フィルムで密封した後に、プレートをマイクロプレート用ルミネッセンスカウンタで測定する。生成物を10−2Mの原液の形で調製して、次に100%のDMSOで希釈する。各生成物濃縮物は細胞によるインキュベーションの前に培養媒体で事前に希釈され、このため0.625%のDMSO最終濃度を含有していた。
【0064】
最良の化合物は、0.1nMと10μMとの間のEC50を有する。
【0065】
例えば化合物番号2は、3nMのEC50値を示した。
【0066】
このため本発明による化合物がNOTに対する調節効果を有することが明らかである。
【0067】
本発明による化合物はこのため、NOT受容体に関係する疾患の処置または予防におけるこれらの治療的用途のための医薬の調製に使用することができる。
【0068】
このため、別の態様により、本発明の主題は、式(I)の化合物または式(I)の化合物の医薬的に許容される酸による付加塩を備える医薬である。
【0069】
これらの医薬は特に、神経変性疾患、例えばパーキンソン病、アルツハイマー病またはタウオパチー(例えば進行性核上性麻痺、前頭側頭型認知症、大脳皮質基底核変性症またはピック病);脳外傷、例えば虚血および頭蓋外傷およびてんかん;精神疾患、例えば統合失調症、うつ病、物質依存または注意欠陥過活動性障害;中枢神経系の炎症性疾患、例えば多発性硬化症、脳炎、脊髄炎および脳脊髄炎、ならびに他の炎症性疾患、例えば血管病変、アテローム性動脈硬化、関節の炎症、関節症または関節リウマチ;変形性関節症、クローン病、潰瘍性大腸炎;アレルギー性炎症性疾患、例えば喘息;自己免疫疾患、例えば1型糖尿病、狼瘡、強皮症、ギラン−バレー症候群、アジソン病および他の免疫媒介疾患;骨粗鬆症;または癌の処置および予防で治療的に使用される。
【0070】
これらの化合物は、幹細胞移植および/またはグラフトに関連する処置としても使用でき得る。
【0071】
本発明は、別の態様により、本発明による化合物を活性成分として備える医薬組成物に関する。これらの医薬組成物は、有効量の本発明による少なくとも1つの化合物、または前記化合物の医薬的に許容される塩と、少なくとも1つ医薬的に許容される賦形剤も備える。
【0072】
前記賦形剤は、医薬形態および所望の投与方法に応じて、当業者に公知である通常の賦形剤から選択される。
【0073】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、外用、局所、気管内、鼻内、経皮または経直腸投与のための本発明の医薬組成物において、上の式(I)の活性成分、またはこれの塩は単位投与形で、在来の医薬賦形剤との混合物として、上の障害または疾患の予防または処置のために動物またはヒトに投与することができる。
【0074】
適切な単位投与形は、経口形、例えば錠剤、軟または硬ゼラチンカプセル剤、粉剤、顆粒剤および経口液剤または懸濁剤、舌下、頬側、気管内、眼内もしくは鼻内投与形または吸入投与形、外用、経皮、皮下、筋肉内もしくは静脈内投与形、経直腸投与形およびインプラントを含む。外用用途では、本発明による化合物はクリーム、ゲル、軟膏またはローションで使用することができる。
【0075】
一例として、錠剤形の本発明による化合物の単位投与形は、以下の構成成分を備えることができる:
本発明による化合物 50.0mg
マンニトール 223.75mg
クロスカルメロースナトリウム 6.0mg
トウモロコシデンプン 15.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.25mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
【0076】
より多いまたはより少ない用量が適切である特定の症例があり得る。このような用量は、本発明の範囲から逸脱しない。通常の実施により、各患者に適切な用量は、投与方法ならびに前記患者の体重および応答に従って、医師により決定される。
【0077】
本発明は、別の態様により、患者への有効量の本発明による化合物またはこれの医薬的に許容される塩の1つの投与を備える、上で指摘された病状の処置のための方法にも関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
R1およびR2は、互いに独立して、水素原子または(C−C)アルキル基を表し、
R3は、1個以上の水素もしくはハロゲン原子を表し、
Xは、互いに同じでありまたは異なり、水素、ハロゲンまたは(C−C)アルキルから選択される、1から4個の置換基を表す。)
の、塩基のまたは酸による付加塩の形の、化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I)の化合物であって、
Xは、ハロゲン原子または(C−C)アルキル基を表し、
R1およびR2は、水素原子または(C−C)アルキル基を表し、
R3は、1個以上の水素もしくはハロゲン原子を表す
ことを特徴とする、塩基のまたは酸による付加塩の形の、化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の式(I)の化合物であって、
Xは、塩素、フッ素またはメチル基を表し、
R1およびR2は、水素原子またはメチル基を表し、
R3は、水素原子またはジフルオロ基を表す
ことを特徴とする、塩基のまたは酸による付加塩の形の、化合物。
【請求項4】
1−{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}ブタ−2−イン−1−オール
2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}ブタ−3−イン−2−オール
1−{2−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
1−{2,6−ジフルオロ−3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
1−{3−[2−(2−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
1−{3−[2−(p−トリル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル)フェニル]プロパ−2−イン−1−オール
(−)−1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
(+)−1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパ−2−イン−1−オール
(−)−2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}ブタ−3−イン−2−オール
(+)−2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}ブタ−3−イン−2−オール
の、化合物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、または医薬的に許容される酸によるこの化合物の付加塩を備えることを特徴とする、医薬。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはこの化合物の医薬的に許容される塩、および少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を備えることを特徴とする、医薬。
【請求項7】
神経変性疾患の処置または予防を目的とする医薬の調製での、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項8】
脳外傷およびてんかんの処置または予防を目的とする医薬の調製での、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項9】
精神疾患の処置または予防を目的とする医薬の調製での、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項10】
炎症性疾患の処置または予防を目的とする医薬の調製での、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項11】
骨粗鬆症および癌の処置または予防を目的とする医薬の調製での、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項12】
パーキンソン病、アルツハイマー病、タウオパチーまたは多発性硬化症の処置または予防を目的とする医薬の調製での、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項13】
統合失調症、うつ病、物質依存または注意欠陥過活動性障害の処置または予防を目的とする医薬の調製での、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2013−505226(P2013−505226A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529328(P2012−529328)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051931
【国際公開番号】WO2011/033229
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(504456798)サノフイ (433)
【Fターム(参考)】