説明

6−アルコキシ−2,3−ジアミノピリジンカップラー、及びケラチン繊維を染色するための該カップラーの使用

本発明は、少なくとも一の酸化ベースと、2位のアミノ基が一置換されたアミノ基である少なくとも一の6-アルコキシ-2,3-ジアミノピリジン型カップラーを含有する、ケラチン繊維を染色するのに使用される染色用組成物に関する。また本発明は、ケラチン繊維を染色するための本発明の組成物の用途、及び該組成物を使用する染色方法に関する。さらに本発明は、カップラーとして使用される新規の6-アルコキシ-2,3-ジアミノピリジン化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、少なくとも一の酸化ベースと、2位のアミノ基が一置換されたアミノ基である少なくとも一の6-アルコキシ-2,3-ジアミノピリジン型カップラーを含有する、ケラチン繊維を染色するのに有用な染色用組成物、ケラチン繊維を染色するためのこの組成物の用途、及びこの組成物を使用する染色方法に関する。また本発明は、カップラーとして有用な新規の6-アルコキシ-2,3-ジアミノピリジン化合物に関する。
【0002】
一般的に酸化ベース(oxidation bases)として知られている酸化染料先駆物質、例えばオルト-又はパラ-フェニレンジアミン類、オルト-又はパラ-アミノフェノール類及び複素環カップラー等を含有する染色用組成物でケラチン繊維、特にヒトの毛髪を染色することが知られている。これらの酸化ベースは酸化物質と組み合わされて、酸化縮合プロセスにより着色した化合物を生じうる無色か弱く着色した化合物である。
また、カップラー又は調色剤と組み合わせることにより、これら酸化ベースにより得られる色調を変化させることができることも知られており、これらの薬剤は芳香族のメタ-ジアミン類、メタ-アミノフェノール類、メタ-ジフェノール類及びある種の複素環化合物、例えばインドール化合物から特に選択される。
酸化ベースとカップラーとして使用される様々な分子により、広範囲の色調を得ることが可能になる。
【0003】
これらの酸化染料により得られる「永久的な」着色は、いくつかの要求をさらに満足させるものでなくてはならない。例えば、毒学的な欠点がなく、所望の強さの色調が得られ、外的要因、例えば光、悪天候、洗浄、パーマネントウェーブ処理、発汗及び摩擦に対して良好な堅牢性を示すものでなくてはならない。
また、染料は白髪をカバー可能なものでなければならず、最終的に可能な限り非選択的であること、すなわち、一般的には毛髪の先端と毛根との間で敏感化度(すなわち傷み具合)が異なる、同じケラチン繊維に沿って可能な限り色差が小さくなるようにできなければならない。
【0004】
仏国特許第1397551号公報には、それぞれの置換基がヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、もしくはR及びRがH、アルキル又はアリールを表すNR基であってもよい、三置換ピリジン誘導体型の酸化染料先駆物質を含有する染色用組成物が記載されている。塩基性pHで過酸化水素水溶液を含有する酸化媒体を使用するか、空気酸化により、着色が得られる。これらのピリジン先駆物質は高い酸化性を有するために、結果として毛髪上に得られる染色は、色調変化により経時的に変化する傾向にあり、これはあまり好ましいものではなかった。
【0005】
独国特許第3233540号公報では、カップラーとして、R=H、C-Cアルキル又はC-CヒドロキシアルキルであるNH又はNHR基で2位が置換された6-アルコキシ-3-アミノピリジン誘導体を、標準的な酸化ベースと組み合わせて含有する毛髪染色組成物が提案されている。これらの組成物により、ある種のベース、例えばパラ-フェニレンジアミン又はパラ-トルエンジアミンの存在下でダークブルーの色調が得られるが、これは光に対して不安定で、強度を欠き、毛髪の根本から末端までの均質性を欠くものであった。
【0006】
独国特許第4115148号、仏国特許第2779952号、欧州特許第728464号及び独国特許第19936442号には、ピラゾロピリミジン、パラ-アミノフェノール、ピリミジン、又は4,5-又は3,4-ジアミノピラゾールベースの特定の酸化ベースと、この種の特定のピリジンベースのカップラーとを組み合わせることが提案されている。
しかしながら、これらの組成物では、毛髪の先端から毛根まで均質で、ほとんど選択的ではなく、特に良好な耐性があり、良好な色度を有する、多様な色調の強い着色を得ることはできない。
【0007】
この目的は本発明において達成され、その主題の一つは、染色に適した媒体に、
− 少なくとも一の酸化ベースと、
− 少なくとも一の次の式(I):
【化1】

[上式中:
− Rは、一又は複数のヒドロキシル、C-Cアルコキシ又はNR基で置換されていてもよい直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基を表し、ここでR及びRは、水素、C-Cアルキル、C-C(ポリ)ヒドロキシアルキル、C-C(ポリ)アミノアルキル又はC-Cアミノヒドロキシアルキルから選択され;
− Rは、2-ヒドロキシエチルオキシエチル基;C-Cアルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、スルホン(-SOH)、NR10、ヒドロキシアルコキシ、アシルアミノ又はハロゲノ基から選択される一又は複数の基で置換された直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基を表し;Rがヒドロキシル又はアルコキシで置換されたアルキル基である場合、Rは第2の基を担持しており;
− R及びR10は互いに独立して、水素原子;一又は複数のヒドロキシル、アミノ、C-Cモノ-又はジアルキルアミノ、アルコキシ又はアシルアミノ(RがC-Cアルキル基を表すRCONH)基で置換されていてもよいC-Cアルキル基を示し;R及びR10はそれらが結合している窒素原子と共同して、一又は複数の窒素、酸素又は硫黄原子を含有可能な複素環を形成する]
の6-アルコキシ-2,3-ジアミノピリジンカップラー又はその対応する付加塩、
を含有せしめてなる染色用組成物にある。
【0008】
本発明において、「アルキル」なる用語は、直鎖状又は分枝状の基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル等、シクロアルキル基、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を意味する。アルコキシ基はalk(アルキル)-O基であり、アルキル基は上述した定義を有する。
【0009】
例えばRは、アミノエチル、カルボキシエチル、アシルアミノエチル、ジヒドロキシエチル、ジヒドロキシプロピル、3-アミノプロピル、N,N-ジメチルアミノエチル、N-メチルアミノエチル、2-ヒドロキシエチルアミノエチル、2-ヒドロキシエチルオキシエチル、アセトアミド、(2-ヒドロキシ-1-メチル)エチル又は2-ヒドロキシプロピル基を表す。
【0010】
好ましくは、Rは、ヒドロキシル、C-Cアルコキシ、アミノ、C-Cモノ-又はジアルキルアミノ、カルボキシル又はスルホン基から選択される一又は複数の基で置換されたC-Cアルキル基を表す。好ましくは、Rは、アミノ、又はモノ-又はジアルキルアミノで置換されたアルキル基から選択される。特定の一実施態様において、Rは二置換されたアルキル基である。特にRは、2-ジメチルアミノエチル、3-ジメチルアミノプロピル及びアセトアミドエチル基の一つ等のアミノ及びヒドロキシルで置換されたアルキル基、ジアルキルアミノアルキル基、アセトアミドアルキル基、ジヒドロキシアルキル基を表す。
【0011】
式(I)において、Rは、好ましくは一又は複数のヒドロキシル又はC-Cアルコキシ基で置換されていてもよいC-Cアルキル基を表す。好ましくは、RはC-Cアルキル基を表す。
【0012】
本発明において有用な式(I)の化合物は、例えば次の化合物である:
【化2】

【0013】
本発明の酸化染色用組成物は、酸化染色に従来から使用されている一又は複数の酸化ベースを含有する。例えば、これらの酸化ベースは、パラ-フェニレンジアミン類、ビス(フェニル)アルキレンジアミン類、パラ-アミノフェノール類、ビス-パラ-アミノフェノール類、オルト-アミノフェノール類及び複素環ベース類、及びそれらの付加塩から選択される。
【0014】
挙げることのできるパラ-フェニレンジアミン類は、例えばパラ-フェニレンジアミン、パラ-トルエンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノフェニルピロリドン、2-チエニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-アミノトルエン、及び3-ヒドロキシ-1-(4'-アミノフェニル)ピロリドン、及びそれらの酸付加塩である。
上述したパラ-フェニレンジアミン類の中でも、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルエンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン及び2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン及びそれらの酸付加塩が特に好ましい。
【0015】
挙げることのできるビス(フェニル)アルキレンジアミン類は、例えばN,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(エチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)エチレンジアミン、及び1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン及びそれらの酸付加塩である。
【0016】
挙げることのできるパラ-アミノフェノール類は、例えばパラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール及び4-アミノ-2-フルオロフェノール、及びそれらの酸付加塩である。
挙げることのできるオルト-アミノフェノール類は、例えば2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール及び5-アセトアミド-2-アミノフェノール、及びそれらの酸付加塩である。
【0017】
挙げることのできる複素環ベース類は、例えばピリジン誘導体、ピリミジン誘導体及びピラゾール誘導体である。
挙げることのできるピリジン誘導体は、例えば英国特許第1026978号及び英国特許第1153196号に記載されている化合物、例えば2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-(β-メトキシエチル)アミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、及び3,4-ジアミノピリジン、及びそれらの酸付加塩である。
【0018】
本発明で有用な他のピリミジン酸化ベースは、例えば仏国特許出願第2801308号に記載されている3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン酸化ベース又はその付加塩である。挙げることのできる例には、ピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-アセチルアミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-モルホリン-4-イルピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボン酸、2-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミノ、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)メタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)エタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)エタノール、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-2-イル)メタノール、3,6-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、3,4-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,7-ジアミン、7-モルホリン-4-イルピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,5-ジアミン、5-モルホリン-4-イルピラゾロ[1,5-a]ピリド-3-イルアミン、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-5-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリド-7-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オール、及び3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オール、及びそれらの酸又は塩基との付加塩が含まれる。
【0019】
挙げることのできるピリミジン誘導体は、例えば独国特許第2359399号;JP88-169571;JP05-63124;欧州特許第0770375号又は国際公開第96/15765号に記載されている化合物、例えば2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジン、及び2,5,6-トリアミノピリミジンであり、また仏国特許出願公開第2750048号に記載されているようなピラゾロピリミジン誘導体、例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、2,5-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン、2,7-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-オール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミノ)エタノール、2-(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イルアミノ)エタノール、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2-[(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、5,6-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、2,5-N7,N7-テトラメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン及び3-アミノ-5-メチル-7-イミダゾリルプロピルアミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン及びそれらの酸付加塩及び互変異性平衡が存在する場合にはそれらの互変異性体を挙げることができる。
【0020】
挙げることのできるピラゾール誘導体は、独国特許第3843892号及び独国特許第4133957号及び国際公開第94/08969号、国際公開第94/08970号、仏国特許出願公開第2733749号及び独国特許第19543988号に記載されている化合物、例えば4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4'-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(2'-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール、及び3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾール、及びそれらの酸付加塩である。
【0021】
本発明の組成物に存在する酸化ベース(類)は、染色用組成物の全重量に対して一般的に約0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.005重量%〜6重量%の量で存在している。
【0022】
本発明の組成物は、酸化染色に従来から使用されている一又は複数の付加的なカップラーを含有してよい。これらの付加的なカップラーとしては、特にメタ-フェニレンジアミン類、メタ-アミノフェノール類、メタ-ジフェノール類、ナフタレンベースのカップラー及び上述した式(I)のカップラー以外の複素環カップラー類、及びそれらの付加塩を挙げることができる。
挙げることのできる例には、2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、6-クロロ-2-メチル-5-アミノフェノール、3-アミノフェノール、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド-1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン及び2,6-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、及びそれらの酸付加塩が含まれる。
本発明の組成物において、カップラー(類)は、染色用組成物の全重量に対して、約0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.005重量%〜6重量%の量で一般的に存在している。
【0023】
一般的に、本発明において使用され得る酸化ベース及びカップラーの付加塩は、特に酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩及び酢酸塩、さらに例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、アミン又はアルカノールアミン等の塩基との付加塩から選択される。
【0024】
本発明の染色用組成物は、特にニトロベンゼン染料、アゾ直接染料及びメチン直接染料から選択され得る一又は複数の直接染料をさらに含有してもよい。これらの直接染料は、非イオン性、アニオン性又はカチオン性であってよい。
【0025】
本発明の染色用組成物は、特にケラチン繊維、中でもヒトのケラチン繊維の染色に有用である。この場合、媒体はこれらの繊維の染色に適した化粧品用媒体である。
染色用支持体としても公知の染色に適したこの媒体は、一般的に、水、又は水に十分には溶解しない化合物を溶解させるための少なくとも1種の有機溶媒と水との混合物からなる。挙げることのできる有機溶媒の例には、C-C低級アルカノール類、例えばエタノール及びイソプロパノール;ポリオール及びポリオールエーテル類、例えば2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びモノメチルエーテル、並びに芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール又はフェノキシエタノール、及びそれらの混合物が含まれる。
溶媒は、染色用組成物の全重量に対して、好ましくは約1重量%〜40重量%、さらに好ましくは約5重量%〜30重量%の割合で存在する。
【0026】
本発明の染色用組成物は、従来より毛髪の染色用組成物に使用されている種々のアジュバント、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性又は双性イオン性の界面活性剤又はそれらの混合物、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性又は双性イオン性のポリマー又はそれらの混合物、無機又は有機の増粘剤、特にアニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の会合性ポリマー増粘剤、酸化防止剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、香料、バッファー、分散剤、コンディショナー、例えば揮発性又は非揮発性で、変性又は未変性のシリコーン、皮膜形成剤、セラミド、防腐剤及び乳白剤をさらに含有してもよい。
上述したアジュバントは、それぞれ、組成物の重量に対して0.01重量%〜20重量%の量で、一般的に存在している。
言うまでもなく、当業者であれば、本発明の酸化染色組成物に固有の有利な特性が、考えている添加によって悪影響を受けないか、実質的に受けないように留意して、これ又はこれらの任意の付加的な化合物(類)を選択するであろう。
【0027】
本発明の染色用組成物のpHは、一般的に約3〜12、好ましくは約5〜11である。それは、ケラチン繊維の染色に通常使用されている酸性化剤又は塩基性化剤により、又は標準的なバッファー系を使用して所望の値に調節することができる。
挙げることのできる酸性化剤は、例えば、無機酸又は有機酸、例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸又は乳酸、及びスルホン酸である。
挙げることのできる塩基性化剤は、例えば、アンモニア水、アルカリ性の炭酸塩、アルカノールアミン類、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンとその誘導体、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び次の式(II):
【化3】

[Wは、C-Cアルキル基又はヒドロキシル基で置換されていてもよいプロピレン残基であり;R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はC-Cアルキル又はC-Cヒドロキシアルキル基を表す]
の化合物である。
【0028】
本発明の染色用組成物は種々の形態、例えば、液体、クリーム又はゲルの形態、又はケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色に適した任意の他の形態にすることができる。
【0029】
本発明の方法は、上述した本発明の組成物を、酸化剤の存在下、所望の発色がなされるのに十分な時間、繊維に適用する方法である。色調は、酸性、中性又はアルカリ性のpHで発現し、酸化剤は、本発明の組成物の丁度使用時にのみ添加されるか、又は本発明の組成物と同時に又は逐次適用される、該酸化剤を含有する酸化組成物を使用することで挿入され得る。
特定の一実施態様において、染色に適した媒体に、発色させるのに十分な量で存在する少なくとも一の酸化剤を含有せしめてなる組成物と、本発明の組成物とを、好ましくは使用時に混合する。ついで、得られた混合物をケラチン繊維に適用する。約3〜50分、好ましくは約5〜30分間の放置時間の後にケラチン繊維をすすいで、シャンプーで洗髪し、再度すすいで乾燥させる。
【0030】
ケラチン繊維の酸化染色において従来から使用されている酸化剤は、例えば過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属の臭素酸塩、過酸塩、例えば過ホウ酸塩及び過硫酸塩、過酸及びオキシダーゼ酵素、例えばペルオキシダーゼ、2電子オキシドレダクターゼ、例えばウリカーゼ、及び4電子オキシゲナーゼ、例えばラッカーゼである。過酸化水素が特に好ましい。
【0031】
また酸化組成物は、毛髪の染色用組成物に従来から使用されている、上述したような種々のアジュバントをさらに含有してもよい。
酸化剤を含有する酸化組成物のpHは、染色用組成物と混合した後に得られる、ケラチン繊維に適用される組成物のpHが、約3〜12、好ましくは約5〜11の範囲にあるようになされる。それは、ケラチン繊維の染色に通常使用される、上述したような、酸性化剤又は塩基性化剤を使用することにより、所望の値に調節される。
【0032】
最終的にケラチン繊維に適用される使用準備が整った組成物は、種々の形態、例えば、液体、クリーム又はゲルの形態、又はケラチン繊維、特にヒトの毛髪を染色するのに適した任意の他の形態にすることができる。
【0033】
本発明の組成物はキットの形態であってもよい。このようなキットは、一方で上述したような組成物、他方で酸化組成物を含有する。
また本発明の主題は、複数の区画部を有する染色具にあり、その第1の区画部は上述した本発明の染色用組成物を含み、第2の区画部は酸化剤を含む。この染色具は、毛髪に所望の混合物を塗布する手段、例えば本出願人名義の仏国特許第2586913号に記載されている手段を具備したものであってよい。
この染色具を使用することにより、本発明の染色用組成物と酸化剤とを混合し、得られた混合物を、所望の発色がなされるのに十分な時間ケラチン繊維に適用することを含む方法を使用してケラチン繊維を染色することができる。
【0034】
最後に、本発明の主題は、上述した式(I)の6-アルコキシ-2,3-ジアミノピリジン化合物、及びその相当する付加塩にある。
【0035】
これらの化合物は、次の合成概略図に従い合成され得る:
【化4】

第1工程は、70℃〜180℃の沸点を有する極性溶媒中で、R及びRが上述した同様の意味を有するHNRタイプのアミンと、6-アルコキシ-3-ニトロ-2-ハロピリジン誘導体とを反応させることからなる。反応温度はピリジン誘導体及び求核アミンに応じて、75℃〜140℃の間で変えられる。アルコール類、例えばエタノール、イソプロパノール、ブタノール又はペンタノール、及び酢酸、ギ酸、ジオキサン又はDMFが、溶媒として好ましく選択される。
第2工程は、不均一性触媒下における水素化、又は水素転移、あるいはパラジウムの存在下におけるギ酸/酢酸の対又は金属水素化物によって行われる還元反応である。
例えば、文献において広く例証されているような方法では、パラジウム(0)、Pd(II)又はラネーニッケル又はPtOにより触媒される水素化が使用される。
パラジウムの存在下でシクロヘキセンを反応させることによる水素転移による還元も、また非常に効果的であることがわかっている。
次の実施例は本発明を例証するために提供されるものであって、その本質を限定するものではない。
【実施例】
【0036】
合成例:
実施例1:2-(3-アミノ-6-メトキシ-2-ピリジルアミノ)プロパン-1,3-ジオール
【化5】

A)2-(6-メトキシ-3-ニトロ-2-ピリジルアミノ)プロパン-1,3-ジオールの合成
4g(0.0212mol)の生成物2-クロロ-3-ニトロ-6-メトキシピリジン、40mlのエタノール、及び3.86g(0.042mol)の2-アミノプロパン-1,3-ジオールを連結丸底フラスコ(equipped round-bottomed flask)に配する。混合物を攪拌しつつ2時間還流し、ついで氷/水の混合物に、攪拌しながら注ぐ。形成された沈澱物を吸引濾過し、一定重量になるまで真空下で乾燥させる。4.54gの黄色パウダーが得られ、収率は88.2%である。
【0037】
B)2-(3-アミノ-6-メトキシ-2-ピリジルアミノ)プロパン-1,3-ジオールの合成
上述した手順(A)に従い合成された4.48g(0.0184mol)の生成物2-(6-メトキシ-3-ニトロ-2-ピリジルアミノ)プロパン-1,3-ジオール、50mlのエタノール、10mlのシクロヘキセン及び2gのパラジウム炭を、連結丸底フラスコ(equipped round-bottomed flask)に配する。混合物を攪拌しつつ2時間還流し、濾過により触媒を除去し、ついで濾液を塩酸で酸性化する。ジイソプロピルエーテルで希釈した後、形成された沈澱物を吸引濾過し、一定重量になるまで真空下で乾燥させる。4.1gのパウダーが得られ、収率は89%である。
質量分光分析法及び磁気共鳴分光法による分析は所望の構造と一致する。
【0038】
実施例2:3-(3-アミノ-6-メトキシ-2-ピリジルアミノ)プロパン-1,2-ジオール
【化6】

A)3-(6-メトキシ-3-ニトロ-2-ピリジルアミノ)プロパン-1,2-ジオールの合成
4g(0.0212mol)の生成物2-クロロ-3-ニトロ-6-メトキシピリジン、50mlのエタノール、及び3.9g(0.0424mol)のラセミ3-アミノプロパン-1,2-ジオールを連結丸底フラスコ(equipped round-bottomed flask)に配する。混合物を攪拌しつつ2時間還流し、ついで氷/水の混合物に、攪拌しながら注ぐ。形成された沈澱物を吸引濾過し、一定重量になるまで真空下で乾燥させる。2.19gの黄色パウダーが得られ、収率は43%である。
質量分光分析法及び磁気共鳴分光法による分析は所望の構造と一致する。
【0039】
B)3-(3-アミノ-6-メトキシ-2-ピリジルアミノ)プロパン-1,2-ジオールの合成
上述した手順(A)に従い合成された2g(0.008mol)の生成物3-(6-メトキシ-3-ニトロ-2-ピリジルアミノ)プロパン-1,2-ジオール、30mlのエタノール、10mlのシクロヘキセン及び1.1gのパラジウム炭を、連結丸底フラスコ(equipped round-bottomed flask)に配する。混合物を攪拌しつつ2時間還流し、濾過により触媒を除去し、ついで濾液を塩酸で酸性化する。ジイソプロピルエーテルで希釈した後、形成された沈澱物を吸引濾過し、一定重量になるまで真空下で乾燥させる。1.74gのパウダーが得られ、収率は85%である。
質量分光分析法及び磁気共鳴分光法による分析は所望の構造と一致する。
重量分析:
実測値:C 38.5 H 6.02 N 14.91 O 17.29 Cl 23.87
計算値:C 37.78 H 5.99 N 14.68 O 16.77 Cl 24.78
【0040】
実施例3:N-[2-(3-アミノ-6-メトキシ-2-ピリジルアミノ)エチル]アセトアミド
【化7】

A)N-[2-(6-メトキシ-3-ニトロ-2-ピリジルアミノ)エチル]アセトアミドの合成
4g(0.0212mol)の生成物2-クロロ-3-ニトロ-6-メトキシピリジン、50mlのエタノール、及び4.51ml(0.0424mol)のN-アセチルエタン-1,2-ジアミンを連結丸底フラスコ(equipped round-bottomed flask)に配する。混合物を攪拌しつつ2時間還流し、ついで氷/水の混合物に、攪拌しながら注ぐ。形成された沈澱物を吸引濾過し、一定重量になるまで真空下で乾燥させる。3.9gの黄色パウダーが得られ、収率は72.5%である。
【0041】
B)N-[2-(3-アミノ-6-メトキシ-2-ピリジルアミノ)エチル]アセトアミドの合成
上述した手順(A)に従い合成された3.87g(0.0152mol)の生成物N-[2-(6-メトキシ-3-ニトロ-2-ピリジルアミノ)エチル]アセトアミド、50mlのエタノール、10mlのシクロヘキセン及び1.5gのパラジウム炭を、連結丸底フラスコ(equipped round-bottomed flask)に配する。混合物を攪拌しつつ2時間還流し、濾過により触媒を除去し、ついで濾液を塩酸で酸性化する。ジイソプロピルエーテルで希釈した後、形成された沈澱物を吸引濾過し、一定重量になるまで真空下で乾燥させる。3.96gのオレンジ色のパウダーが得られ、収率は100%である。
質量分光分析法及び磁気共鳴分光法による分析は所望の構造と一致する。
重量分析:
実測値:C 37.52 H 5.96 N 18.29 O 16.03 Cl 23.89
計算値:C 38.11 H 6.40 N 17.77 O 15.23 Cl 22.50
【0042】
実施例4:N2-(3-ジメチルアミノプロピル)-6-メトキシピリジン-2,3-ジアミン
【化8】

A)N-(6-メトキシ-3-ニトロ-2-ピリジル)-N',N'-ジメチルプロパン-1,3-ジアミンの合成
4g(0.0212mol)の生成物2-クロロ-3-ニトロ-6-メトキシピリジン、40mlのエタノール、及び5.33ml(0.0424mol)の3-ジメチルアミノプロピルアミンを連結丸底フラスコ(equipped round-bottomed flask)に配する。混合物を攪拌しつつ2時間還流し、ついで氷/水の混合物に、攪拌しながら注ぐ。形成された沈澱物を吸引濾過し、一定重量になるまで真空下で乾燥させる。4.2gの黄色パウダーが得られ、収率は78.1%である。
【0043】
B)N2-(3-ジメチルアミノプロピル)-6-メトキシピリジン-2,3-ジアミンの合成
上述した手順(A)に従い合成された4g(0.0157mol)の生成物N-(6-メトキシ-3-ニトロ-2-ピリジル)-N',N'-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン、40mlのエタノール、10mlのシクロヘキセン及び2gのパラジウム炭を、連結丸底フラスコ(equipped round-bottomed flask)に配する。混合物を攪拌しつつ2時間還流し、濾過により触媒を除去し、ついで濾液を塩酸で酸性化する。ジイソプロピルエーテルで希釈した後、形成された沈澱物を吸引濾過し、一定重量になるまで真空下で乾燥させる。4.2gのパウダーが得られ、収率は100%である。
質量分光分析法及び磁気共鳴分光法による分析は所望の構造と一致する。
重量分析:
実測値:C 41.54 H 7.59 N 17.33 O 9.54 Cl 24.41
計算値:C 41.91 H 7.67 N 17.77 O 10.15 Cl 22.49
【0044】
実施例5:N2-(2-ジメチルアミノエチル)-6-メトキシピリジン-2,3-ジアミン
【化9】

A)N-(6-メトキシ-3-ニトロ-2-ピリジル)-N',N'-ジメチルエタン-1,2-ジアミンの合成
4g(0.0212mol)の生成物2-クロロ-3-ニトロ-6-メトキシピリジン、40mlのエタノール、及び3.85ml(0.0424mol)のN,N-ジメチルエチレンジアミンを連結丸底フラスコ(equipped round-bottomed flask)に配する。混合物を攪拌しつつ2時間還流し、ついで氷/水の混合物に、攪拌しながら注ぐ。形成された沈澱物を吸引濾過し、一定重量になるまで真空下で乾燥させる。54.027gの黄色パウダーが得られ、収率は79.1%である。
【0045】
B)N2-(2-ジメチルアミノエチル)-6-メトキシピリジン-2,3-ジアミンの合成
上述した手順(A)に従い合成された3.2g(0.0133mol)の生成物N-(6-メトキシ-3-ニトロ-2-ピリジル)-N',N'-ジメチルエタン-1,2-ジアミン、40mlのエタノール、10mlのシクロヘキセン及び1.5gのパラジウム炭を、連結丸底フラスコ(equipped round-bottomed flask)に配する。混合物を攪拌しつつ2時間還流し、濾過により触媒を除去し、ついで濾液を塩酸で酸性化する。ジイソプロピルエーテルで希釈した後、形成された沈澱物を吸引濾過し、一定重量になるまで真空下で乾燥させる。1.204gのパウダーが得られ、収率は37%である。
質量分光分析法及び磁気共鳴分光法による分析は所望の構造と一致する。
重量分析:
実測値:C 40.44 H 7.2 N 18.63 O 9.97 Cl 24.01
計算値:C 39.88 H 7.36 N 18.60 O 10.62 Cl 23.54
【0046】
実施例6ないし9(Ex.6-Ex.9)
次の6-アルコキシ-2,3-ジアミノピリジン化合物を、以下の表に示すニトロ化合物から出発して、実施例1Bに記載された方法によって得た。
【表1】

合成方法が上述にて提示された6-アルコキシ-2,3-ジアミノピリジン化合物それぞれから出発して、次の染色用組成物を調製した:
【0047】
酸性媒体における染色実施例1
以下の染色用組成物を調製した:
【表2】

(1)染色用支持体
96°エタノール 20g
35%水溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム 0.23gAM
40%水溶液としてのジエチレントリアミン五
酢酸の五ナトリウム塩 0.48gAM
60%水溶液としてのC-C10アルキルポリグ
ルコシド 3.6gAM
ベンジルアルコール 2.0g
8のエチレンオキシド単位を含有するポリエチ
レングリコール 3.0g
NaHPO 0.28g
KHPO 0.46g
【0048】
使用時に、組成物を、20容量の過酸化水素水溶液(6重量%)と同量ずつ混合する。7の最終pHが得られる。
得られた混合物を白髪を90%含有するグレイの毛髪の束に適用する。30分の放置時間の後、毛髪の束を標準的なシャンプーで洗浄し、すすいで乾燥させる。
染色前後の各毛髪の束を、ミノルタCM2002(登録商標)分光光度計(光源 D65)を使用し、L系により評価する。
このL空間において、明度は0〜100の尺度でL値により示され、一方、色度座標は、aが赤-緑軸を、bが黄-青軸である2つの色軸を示すa及びbにより表される。この系において、L値が高くなればなる程、明度があって色は弱くなる。逆に、L値が低くなればなるほど、色は暗くなるか、又は強まる。
次の染色結果が得られた:
【表3】

【0049】
アルカリ性媒体における染色実施例2ないし7
以下の割合の染色用組成物を調製した:
【表4】

(*)染色用支持体(2)pH9.5
96°エタノール 20.8g
35%水溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム 0.23gAM
40%水溶液としてのジエチレントリアミン五
酢酸の五ナトリウム塩 0.48gAM
60%水溶液としてのC-C10アルキルポリグ
ルコシド 3.6gAM
ベンジルアルコール 2.0g
8のエチレンオキシド単位を含有するポリエチ
レングリコール 3.0g
NHCl 4.32g
20%のNHを含有するアンモニア水 3.2g
【0050】
使用時に、各組成物を、20容量の過酸化水素水溶液(6重量%)と同量ずつ混合する。9.5の最終pHが得られる。
得られた各混合物を白髪を90%含有するグレイの毛髪に適用する。30分の放置時間の後、毛髪をすすぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させる。
次の染色結果が得られた。
【表5】

【0051】
アルカリ性媒体における染色実施例8ないし14
以下の割合の染色用組成物を調製した:
【表6】

(*)染色用支持体(2)pH9.5
96°エタノール 20.8g
35%水溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム 0.23gAM
40%水溶液としてのジエチレントリアミン五
酢酸の五ナトリウム塩 0.48gAM
60%水溶液としてのC-C10アルキルポリグ
ルコシド 3.6gAM
ベンジルアルコール 2.0g
8のエチレンオキシド単位を含有するポリエチ
レングリコール 3.0g
NHCl 4.32g
20%のNHを含有するアンモニア水 3.2g
【0052】
使用時に、各組成物を、20容量の過酸化水素水溶液(6重量%)と同量ずつ混合する。9.5の最終pHが得られる。
得られた各混合物を白髪を90%含有するグレイの毛髪に適用する。30分の放置時間の後、毛髪をすすぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させる。
次の染色結果が得られた。
【表7】

【0053】
アルカリ性媒体における染色実施例15ないし19
以下の割合の染色用組成物を調製した:
【表8】

(*)染色用支持体(2)pH9.5
96°エタノール 20.8g
35%水溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム 0.23gAM
40%水溶液としてのジエチレントリアミン五
酢酸の五ナトリウム塩 0.48gAM
60%水溶液としてのC-C10アルキルポリグ
ルコシド 3.6gAM
ベンジルアルコール 2.0g
8のエチレンオキシド単位を含有するポリエチ
レングリコール 3.0g
NHCl 4.32g
20%のNHを含有するアンモニア水 3.2g
【0054】
使用時に、各組成物を、20容量の過酸化水素水溶液(6重量%)と同量ずつ混合する。9.5の最終pHが得られる。
得られた各混合物を白髪を90%含有するグレイの毛髪に適用する。30分の放置時間の後、毛髪をすすぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させる。
次の染色結果が得られた。
【表9】

【0055】
アルカリ性媒体における染色実施例20ないし23
以下の割合の染色用組成物を調製した:
【表10】

(*)染色用支持体(2)pH9.5
96°エタノール 20.8g
35%水溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム 0.23gAM
40%水溶液としてのジエチレントリアミン五
酢酸の五ナトリウム塩 0.48gAM
60%水溶液としてのC-C10アルキルポリグ
ルコシド 3.6gAM
ベンジルアルコール 2.0g
8のエチレンオキシド単位を含有するポリエチ
レングリコール 3.0g
NHCl 4.32g
20%のNHを含有するアンモニア水 3.2g
【0056】
使用時に、各組成物を、20容量の過酸化水素水溶液(6重量%)と同量ずつ混合する。9.5の最終pHが得られる。
得られた各混合物を白髪を90%含有するグレイの毛髪に適用する。30分の放置時間の後、毛髪をすすぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させる。
次の染色結果が得られた。
【表11】

【0057】
アルカリ性媒体における染色実施例24ないし30
以下の割合の染色用組成物を調製した:
【表12】

(*)染色用支持体(3)pH7
96°エタノール 20.8g
35%水溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム 0.23gAM
40%水溶液としてのジエチレントリアミン五
酢酸の五ナトリウム塩 0.48gAM
35%水溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム 3.6gAM
ベンジルアルコール 2.0g
8のエチレンオキシド単位を含有するポリエチ
レングリコール 3.0g
KHPO 0.28g
NaHPO 0.47g
【0058】
使用時に、各組成物を、20容量の過酸化水素水溶液(6重量%)と同量ずつ混合する。7の最終pHが得られる。
得られた各混合物を白髪を90%含有するグレイの毛髪に適用する。30分の放置時間の後、毛髪をすすぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させる。
次の染色結果が得られた。
【表13】

【0059】
酸性媒体における染色実施例31ないし35
以下の割合の染色用組成物を調製した:
【表14】

(*)染色用支持体(3)pH7
96°エタノール 20.8g
35%水溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム 0.23gAM
40%水溶液としてのジエチレントリアミン五
酢酸の五ナトリウム塩 0.48gAM
35%水溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム 3.6gAM
ベンジルアルコール 2.0g
8のエチレンオキシド単位を含有するポリエチ
レングリコール 3.0g
KHPO 0.28g
NaHPO 0.47g
【0060】
使用時に、各組成物を、20容量の過酸化水素水溶液(6重量%)と同量ずつ混合する。7の最終pHが得られる。
得られた各混合物を白髪を90%含有するグレイの毛髪に適用する。30分の放置時間の後、毛髪をすすぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させる。
次の染色結果が得られた。
【表15】

【0061】
酸性媒体における染色実施例36ないし42
以下の割合の染色用組成物を調製した:
【表16】

(*)染色用支持体(3)pH7
96°エタノール 20.8g
35%水溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム 0.23gAM
40%水溶液としてのジエチレントリアミン五
酢酸の五ナトリウム塩 0.48gAM
35%水溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム 3.6gAM
ベンジルアルコール 2.0g
8のエチレンオキシド単位を含有するポリエチ
レングリコール 3.0g
KHPO 0.28g
NaHPO 0.47g
【0062】
使用時に、各組成物を、20容量の過酸化水素水溶液(6重量%)と同量ずつ混合する。7の最終pHが得られる。
得られた各混合物を白髪を90%含有するグレイの毛髪に適用する。30分の放置時間の後、毛髪をすすぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させる。
次の染色結果が得られた。
【表17】

【0063】
酸性媒体における染色実施例43ないし49
以下の割合の染色用組成物を調製した:
【表18】

(*)染色用支持体(3)pH7
96°エタノール 20.8g
35%水溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム 0.23gAM
40%水溶液としてのジエチレントリアミン五
酢酸の五ナトリウム塩 0.48gAM
35%水溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム 3.6gAM
ベンジルアルコール 2.0g
8のエチレンオキシド単位を含有するポリエチ
レングリコール 3.0g
KHPO 0.28g
NaHPO 0.47g
【0064】
使用時に、各組成物を、20容量の過酸化水素水溶液(6重量%)と同量ずつ混合する。7の最終pHが得られる。
得られた各混合物を白髪を90%含有するグレイの毛髪に適用する。30分の放置時間の後、毛髪をすすぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させる。
次の染色結果が得られた。
【表19】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
染色に適した媒体に、
− 少なくとも一の酸化ベースと、
− 少なくとも一の次の式(I):
【化1】

[上式中:
− Rは、一又は複数のヒドロキシル、C-Cアルコキシ又はNR基で置換されていてもよい直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基を表し、ここでR及びRは、水素、C-Cアルキル、C-C(ポリ)ヒドロキシアルキル、C-C(ポリ)アミノアルキル又はC-Cアミノヒドロキシアルキルから選択され;
− Rは、2-ヒドロキシエチルオキシエチル基;C-Cアルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、スルホン(-SOH)、NR10、ヒドロキシアルコキシ、アシルアミノ又はハロゲノ基から選択される一又は複数の基で置換された直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基を表し;Rがヒドロキシル又はアルコキシで置換されたアルキル基である場合、Rは第2の基を担持しており;
− R及びR10は互いに独立して、水素原子;一又は複数のヒドロキシル、アミノ、C-Cモノ-又はジアルキルアミノ、アルコキシ又はアシルアミノ(RがC-Cアルキル基を表すRCONH)基で置換されていてもよいC-Cアルキル基を示し;R及びR10はそれらが結合している窒素原子と共同して、一又は複数の窒素、酸素又は硫黄原子を含有可能な複素環を形成する]
の6-アルコキシ-2,3-ジアミノピリジンカップラー又はその対応する付加塩、
を含有せしめてなる染色用組成物。
【請求項2】
が、ヒドロキシル、C-Cアルコキシ、アミノ、C-Cモノ-又はジアルキルアミノ、カルボキシル又はスルホン基から選択される一又は複数の基で置換されたC-Cアルキル基を表す、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
が、アミノ、モノ-又はジアルキルアミノで置換されたアルキル基である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
が二置換されたアルキル基を表す、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
が、アミノ及びヒドロキシルで置換されたアルキル基、ジヒドロキシアルキル、アセトアミドアルキル又はジアルキルアミノアルキル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
が、一又は複数のヒドロキシル又はC-Cアルコキシ基で置換されていてもよいC-Cアルキル基を表す、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
がC-Cアルキル基を表す、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
式(I)の化合物が:
− 2-(3-アミノ-6-メトキシピリド-2-イルアミノ)プロパン-1,3-ジオール;
− 3-(3-アミノ-6-メトキシピリド-2-イルアミノ)プロパン-1,2-ジオール;
− N-[2-(3-アミノ-6-メトキシピリド-2-イルアミノ)エチル]アセトアミド;
− N2-(3-ジメチルアミノプロピル)-6-メトキシピリジン-2,3-ジアミン;
− N2-(2-ジメチルアミノエチル)-6-メトキシピリジン-2,3-ジアミン;
− N2-(2-フルオロエチル)-6-メトキシピリジン-2,3-ジアミン;
− 6-メトキシ-N2-(2-モルホリン-4-イルエチル)ピリジン-2,3-ジアミン;
− 2-(3-アミノ-6-メトキシピリド-2-イルアミノ)シクロヘキサノール;
及びそれらの付加塩
から選択される、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
酸化ベースが、パラ-フェニレンジアミン類、ビス(フェニル)アルキレンジアミン類、パラ-アミノフェノール類、ビス-パラ-アミノフェノール類、オルト-アミノフェノール類及び複素環ベース類、及びそれらの付加塩から選択される、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
酸化ベースが、染色用組成物の全重量に対して0.001重量%〜10重量%の量で存在している、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
メタ-フェニレンジアミン類、メタ-アミノフェノール類、メタ-ジフェノール類、ナフタレンベースのカップラー、及び請求項1ないし8のいずれか1項に記載の式(I)のカップラー以外の複素環カップラー類、及びそれらの付加塩から選択される一又は複数の付加的なカップラーを含有している、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
カップラーが、染色用組成物の全重量に対して、0.001重量%〜10重量%の量で存在している、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
染色用の媒体がケラチン繊維の染色に適した化粧品用媒体である、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
酸化剤をさらに含有している、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物を、酸化剤の存在下、所望の発色がなされるのに十分な時間、繊維に適用することを特徴とする、ケラチン繊維の酸化染色方法。
【請求項16】
酸化剤が、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属の臭素酸塩、過酸塩、過酸及びオキシダーゼ酵素から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物と酸化剤を使用時に混合する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
酸化剤が、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物と同時に又は逐次、酸化組成物の形態で繊維に適用される、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項19】
第1の染色区画部が請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物を含み、第2の区画部が酸化組成物を含む、複数の区画部を有する染色具。
【請求項20】
第1に請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物、第2に酸化組成物を含む、ケラチン繊維を染色するためのキット。
【請求項21】
ケラチン繊維を染色するための、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項22】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の式(I)の6-アルコキシ-2,3-ジアミノピリジン化合物。

【公表番号】特表2006−508931(P2006−508931A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540895(P2004−540895)
【出願日】平成15年10月3日(2003.10.3)
【国際出願番号】PCT/FR2003/002919
【国際公開番号】WO2004/031152
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】