説明

6−(4−シクロプロピルピペリジン−1−イル)−2’−メチル−[3,4’]−ビピリジン及びその医薬としての使用

ヒスタミンH3受容体と相互作用する6-(4-シクロプロピルピペラジン-1-イル)-2'-メチル-[3,4']ビピリジニル及びその塩及び水和物が規定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、当該化合物の医薬組成物における使用、当該化合物を含む医薬組成物、並びにこれらの化合物又は組成物を使用する治療方法に関する。本発明の化合物は、ヒスタミンH3受容体に対して高くかつ選択的な結合親和性を示し、ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト、逆アゴニスト、又はアゴニスト活性を示す。結果として、当該化合物は、ヒスタミンH3受容体に関連する疾患又は障害の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
ヒスタミンH3受容体の存在は、数年にわたって知られており、そして当該受容体は、新しい医薬の開発のための目下の関心事である。近年、ヒトヒスタミンH3受容体がクローニングされた。ヒスタミンH3受容体は、中枢神経系及び末梢神経系の両方、皮膚及び組織、例えば肺、腸、おそらく脾臓及び消化器、に位置するシナプス前自己受容体である。近年の証拠により、H3受容体が、in vitro並びにin vivoにおいて内因性の構成的活性を示す(つまり、アゴニストの非存在下で活性である)ということが示唆される。逆アゴニストとして作用する化合物は、この活性を抑制することができる。ヒスタミンH3受容体は、ヒスタミンの放出、並びにセロトニン及びアセチルコリンなどの他の神経伝達物質の放出も調節することが示された。ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト又は逆アゴニストは、その結果、脳におけるこれらの神経伝達物質の放出を増加させることが予期される。ヒスタミンH3受容体アゴニストは、逆に、ヒスタミンの生合成の抑制を導き、そしてヒスタミン、並びに他の神経伝達物質、例えばセロトニン及びアセチルコリンなどの放出抑制も導く。これらの発見により、ヒスタミンH3受容体アゴニスト、逆アゴニスト、及びアンタゴニストが、神経活性の重要なメディエーターとなりうるということが示唆される。従って、ヒスタミンH3受容体は、新規治療に対する重要な標的である。
【0003】
ヒスタミンH3受容体アゴニスト、逆アゴニスト、及びアンタゴニストについての当該技術分野の関心の点から、ヒスタミンH3受容体と相互作用する新規化合物は、当該技術分野について強く所望される貢献となるだろう。幾つかの文献は、ヒスタミンH3アゴニスト及びアンタゴニストの製造及び使用を開示する。これらのうちの多くは、イミダゾール誘導体である。しかしながら、近年、ヒスタミンH3受容体の幾つかのイミダゾールを伴わないリガンドが記載されてきた。例えば、WO03/066604(Novo Nordisk A/S)は、アリール及びヘテロアリールピペラジンに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の1の対象は、食品摂取の低減効果を有する化合物を提供することである。
本発明の更なる対象は、体重減少に使用できる化合物を提供することである。
本発明の更なる対象は、過体重又は肥満の治療に使用できる化合物を提供することである。
本発明の更なる対象は、食欲抑制又は満腹誘導のために使用できる化合物を提供することである。
本発明の更なる対象は、2型糖尿病の治療に使用できる化合物を提供することである。
本発明の更なる対象は、以下に記載する他の疾患又は薬理学的状態を治療又は予防するために使用できる化合物を提供することである。
本発明の更なる対象は、医薬に対する一般的な要求、例えば非毒性、非変異原性、及び医薬に対するほかの一般的な基準などを満たす化合物を提供することである。
本発明の更なる対象は、hERGカリウムチャネルの低い抑制性を有する化合物を提供することである。
本発明の更なる対象は、従来技術の不利な点の少なくとも幾つかを克服するか又は解決することである。
言及された対象のいずれか及び全てが、完全に克服又は解決されていなくてもよい。
【0005】
「本発明の化合物」という語句は、本出願で特許請求される化合物をカバーし、そして当該語句は、式Iの化合物及びその任意の塩又は溶媒和物をカバーする。
【0006】
本明細書で使用される「溶媒和物」という語句は、溶質(つまり、本発明に記載の化合物)と溶媒により形成された所定の化学量論の複合体である。溶媒和物は、医薬分野において一般的に使用される溶媒、例えば、水、エタノール、酢酸などである。「水和物」という語句は、溶媒分子が水である場合の複合体を指す。
【0007】
本明細書に使用される「治療」という語句は、疾患、障害、又は状態に対抗することを目的とした患者の管理及び治療を意味する。当該語句は、疾患、障害、又は状態の進行の遅延、症状及び合併症の減少又は緩和、及び/又は疾患、障害、又は状態の治癒又は除去を含むことを意図する。治療を受ける患者は、好ましくは哺乳動物であり、特にヒトである。
【0008】
本明細書において使用される「疾患」、「状態」、及び「障害」という語句は、ヒトの通常の生理的状態ではない患者の状態を特定するために互換性を持って使用される。
【0009】
本明細書において使用される「医薬」という語句は、患者に対して医薬として活性な化合物の投与に適した医薬組成物を意味する。
【0010】
本明細書で使用される「プロドラッグ」という語句は、生体加水分解性のアミド及び生体加水分解性のエステルを含み、そして、(a)このようなプロドラッグにおいて生体加水分解性の官能基が本発明に記載の化合物に含まれる化合物、及び(b)所定の官能基で生物学的に酸化又は還元されうる化合物を含んで、本発明に記載される薬剤物質を産生する。これらの官能基の例として、1,4-ジヒドロピリジン、N-アルキルカルボニル-1,4-ジヒドロピリジン、1,4-シクロヘキサジエン、tert-ブチルなどが挙げられる。
【0011】
本明細書で使用される「生物加水分解性エステル」という語句は、(a)本発明の物質の生物活性とは干渉しないが、作用期間、作用開始などについてin vivoで有利な性質を当該物質に与えるか、又は(b)生物的に不活性であるが、対象によりin vivoで容易に生物的に活性な主成分へと変換される薬剤物質(本発明では式Iの化合物)のエステルである。この利点は、例えば、生物加水分解性のエステルが腸から経口的に吸収され、そして血漿において(I)へと変換されるということにある。このような多くの例は当該技術分野に知られており、そして例示として、アルキルエステル(例えばC1-4)、低級アシルオキシアルキルエステル、低級アルコキシシクロオキシアルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステル、及びコリンエステルが挙げられる。
【0012】
本明細書に使用される「医薬として許容される」という語句は、通常の医薬適用に適しているということ、つまり患者などにおいて有害な事象を生じさせないこと、を意味する。
【0013】
本明細書に使用される「有効量」という語句は、未処置に比べて、患者の治療について効果的であるために十分である用量を意味する。
【0014】
本明細書に使用される「治療有効量」の化合物という語句は、所定の疾患及びその合併症の臨床症状を回復、緩和、又は部分的に停止するために十分な量を意味する。これを達成するために適切な量は、「治療有効量」として定義される。各目的のための有効量は、疾患又は損傷の重篤度、並びに対象の重量及び全身状態に依存する。適切な用量の決定は、通常の実験を用いて、数値マトリクスを作成し、そして当該マトリクスの異なる点を試験することにより、達成されるということを理解されたい。これらはすべて、熟練の医師又は獣医師の通常技術の範囲内である。
【0015】
本明細書に使用される「代謝物」という語句は、代謝により生じる任意の中間体または生成物である。
【0016】
本明細書に使用される「代謝」という語句は、患者へと投与される薬剤物質(本発明では、一般式Iの化合物)の生体変換を指す。
【0017】
上で言及された代表的な例は、本発明の特異的実施態様である。
【0018】
発明の要約
本発明は、以下で特定された式Iの化合物及び塩およびその水和物に関する。本発明の化合物は、既知化合物とは構造的に異なっている。
【0019】
本発明は、治療における当該化合物の使用、そして特に当該化合物を含む医薬組成物に関する。
【0020】
別の実施態様では、本発明は、式Iの1以上の化合物の有効量を、治療を必要とする対象に投与することを含む治療方法に関する。
【0021】
さらなる態様では、本発明は、医薬の製造における式Iの化合物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ヒスタミンH3受容体との相互作用のため、添付の特許請求の範囲および本明細書のいたるところにおいて定義される本発明の化合物は、ヒスタミンH3受容体との相互作用が有効である広範囲の状態及び障害の治療に有用である。こうして、本化合物は、例えば、中枢神経系、末梢神経系、心臓血管系、肺システム、胃腸管系、及び内分泌系の疾患の治療における用途を発見することもできる。
【0023】
本発明の化合物は、ヒスタミンH3受容体と相互作用し、そして従ってヒスタミンH3相互作用が有効である様々な疾患又は状態の治療において特に有用である。
【0024】
1の態様では、本発明は、医薬組成物における式Iに記載の化合物の使用を提供する。医薬組成物は、本発明の別の態様において、1以上の医薬として許容される担体又は賦形剤とともに、活性成分として式Iに記載の少なくとも1の化合物を含んでもよい。別の態様では、本発明は、約0.05mg〜約1000mg、例えば約0.1mg〜約500mg、例えば約0.5mg〜約200mgの式Iの化合物を含む、単位剤形の医薬組成物を提供する。
【0025】
別の態様では、本発明は、H3ヒスタミン受容体の阻害が有利な効果をもたらす疾患及び障害の治療用の医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0026】
別の態様では、ヒスタミンH3アンタゴニスト活性又はヒスタミンH3逆アゴニスト活性を有する医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0027】
別の態様では、本発明は、体重減少用の医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0028】
別の態様では、本発明は、過体重又は肥満の治療用の医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0029】
別の態様では、本発明は、食欲の抑制又は飽和誘導性の医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0030】
別の態様では、本発明は、過体重または肥満に関連した障害及び疾患、例えば脂質代謝異常、冠動脈心疾患、胆嚢病、骨関節炎及び様々なタイプの癌、例えば子宮内膜癌、乳房癌、前立腺癌及び結腸癌に関連する障害及び疾患の予防及び/又は治療用の医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0031】
別の態様では、本発明は、摂食障害、例えば過食症又は過食の予防及び/又は治療用の医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0032】
別の態様では、本発明は、IGT(耐糖能障害)の予防及び/又は治療用の医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0033】
別の態様では、本発明は、2型糖尿病の予防及び/又は治療のための医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0034】
別の態様では、本発明は、IGTから2型糖尿病への進行の遅延又は予防用の医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0035】
別の態様では、本発明は、非インスリン要求2型糖尿病からインスリン要求2型糖尿病への進行の遅延又は予防用の医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0036】
別の態様では、本発明は、H3ヒスタミン受容体の刺激が有利な効果を有する疾患及び障害の治療用の医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0037】
別の態様では、本発明は、ヒスタミンH3アゴニスト活性を有する医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0038】
別の態様では、本発明は、アレルギー性鼻カタル、潰瘍、又は拒食症非インスリン要求2型糖尿病からインスリン要求2型糖尿病への進行の遅延又は予防用の医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0039】
別の態様では、本発明は、アルツハイマー疾患、ナルコレプシー、注意欠陥障害、覚醒状態低下の治療又は睡眠制御用の医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0040】
別の態様では、本発明は、気道障害、例えば喘息の治療、胃酸分泌制御、又は下痢治療用の医薬調製品の製造のための本発明の化合物の使用に関する。
【0041】
別の態様では、本発明は、H3ヒスタミン受容体に関連する障害又は疾患の治療方法であって、当該方法が、治療を必要とする対象へ有効量の一般式Iの化合物、又はこのような化合物を含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0042】
別の態様では、本発明は、上記方法であって、一般式Iの化合物の有効量が、約0.05mg〜約2000mg、好ましくは約0.1mg〜約1000mg、そしてより好ましくは約0.5mg〜約500mgの範囲である、方法を提供する。
【0043】
1の態様では、本発明は、ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト活性又は逆アゴニスト活性を抑制し、そして従ってヒスタミンH3受容体の阻害が有利である広範囲の状態及び障害の治療に有用である化合物に関する。
【0044】
別の態様では、本発明は、体重の低下法であって、治療を必要とする対象に、本発明の化合物の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0045】
別の態様では、本発明は、過体重又は肥満の治療法であって、治療を必要とする対象に、本発明の化合物の有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0046】
別の態様では、本発明は、食欲抑制又は満腹誘導法であって、処置を必要とする対象に、本発明の化合物の有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0047】
別の態様では、本発明は、過体重又は肥満、例えば脂質代謝異常、冠動脈心疾患、胆嚢病、骨関節炎及び多様なタイプの癌、例えば子宮内膜癌、乳房癌、前立腺癌及び結腸癌の予防及び/又は治療のための方法であって、治療を必要とする対象に本発明の化合物の有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0048】
別の態様では、本発明は摂食障害、例えば過食症又は過食の予防及び/又は治療法であって、治療を必要とする対象に本発明の化合物の有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0049】
別の態様では、本発明は、IGT(耐糖能障害)の治療法であって、治療を必要とする対象に本発明の化合物の有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0050】
別の態様では、本発明は、2型糖尿病の治療方法であって、治療を必要とする対象に本発明の化合物の有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0051】
別の態様では、本発明は、IGTから2型糖尿病への進行を遅延又は予防するための方法であって、治療を必要とする対象に本発明の化合物の有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0052】
別の態様では、本発明は、非インスリン要求2型糖尿病からインスリン要求2型糖尿病への進行を遅延又は予防するための方法であって、治療を必要とする対象に、本発明の化合物の有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0053】
別の態様では、本発明は、ヒスタミンH3受容体アゴニスト活性を示し、従ってヒスタミンH3受容体活性化が有用である広範囲の状態及び障害の治療に有用でありうる化合物に関する。
【0054】
本発明の化合物は、気道障害(例えば喘息)の治療、下痢止め薬として、そして胃酸分泌の調節のために有用であってもよい。
【0055】
さらに、本発明の化合物は、睡眠及び覚醒状態の調節に関連する疾患の治療のために、そしてナルコレプシーおよび注意欠陥障害の治療のために使用されてもよい。
【0056】
さらに、本発明の化合物は、CNSアゴニスト又は鎮静剤として使用されてもよい。
【0057】
本発明の化合物は、てんかんに関連する状態を治療するために使用されてもよい。さらに、本発明の化合物は、乗り物酔い及び目眩の治療に使用されてもよい。さらに、本発明の化合物は、視床下部下垂体分泌のレギュレーターとして、抗うつ薬として、脳血液循環の調節物質として、そして過敏性腸症候群の治療において有用でありうる。
【0058】
さらに、本発明の化合物は、認知症及びアルツハイマー病の治療に有用でありうる。
【0059】
本発明の化合物は、アレルギー性鼻炎、潰瘍又は拒食症の治療にも有用でありうる。
【0060】
本発明の化合物は、偏頭痛の治療に有用でありうるし(例えば、McLeodら、The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 287 (1998), 43-50を参照のこと)、並びに心筋梗塞の治療に有用でありうる(Mackinsら、Expert Opinion on investigational Drugs 9 (2000), 2537-2542)。
【0061】
本発明の更なる態様では、本発明の化合物での患者の治療は、食事及び/又は運動と組み合わされる。
【0062】
本発明の更なる態様では、本発明の1以上の化合物は、任意の適切な比率で1以上の更なる活性物質と組み合わせて投与される。このような更なる活性剤は、例えば、抗肥満薬、抗糖尿病薬、抗脂質異常薬、降圧薬、糖尿病から生じるか又は糖尿病に関連する合併症の治療薬剤、肥満から生じるか又は肥満に関連する合併症及び障害の治療薬剤から選ばれてもよい。
【0063】
こうして、本発明の更なる態様では、本発明の1以上の化合物は、1以上の抗肥満薬又は食欲調節薬と組み合わせて投与されてもよい。このような薬剤は、例えば、CART(コカインアンフェタミン調節転写産物)アゴニスト、NPY(ニューロペプチドY)アンタゴニスト、MC4(メラノコルチン4)アゴニスト、MC3(メラノコルチン3)アゴニスト、オレキシンアンタゴニスト、TNF(腫瘍壊死因子)アゴニスト、CRF(コルチコトロピン放出因子)アゴニスト、CRF BP(コルチコトロピン放出因子結合タンパク質)アンタゴニスト、ウロコルチンアゴニスト、β3アドレナリンアゴニスト、例えばCL-316243、AJ-9677、GW-0604、LY362884、LY377267又はAZ-40140、MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)アゴニスト、MCH(メラニン形成細胞濃縮ホルモン)アンタゴニスト、CCK(コレシストキニン)アゴニスト、セロトニン再取り込み阻害薬、例えばフルオキセチン、セロキサット(seroxat)又はシタロプラム、セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害剤、混合型セロトニン及びノルアドレナリン作動性化合物、5HT(セロトニン)アゴニスト、ボンベシンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、成長ホルモン、増殖因子、例えばプロラクチン又は胎盤ラクトゲン、成長ホルモン放出化合物、TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)アゴニスト、UCP2又は3(脱共役蛋白質2又は3)モジュレーター、レプチンアゴニスト、DAアゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、PPAR(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体)モジュレーター、RXR(レチノイドX受容体)モジュレーター、TRβアゴニスト、AGRP(アグーチ関連タンパク質)阻害剤、オピオイドアンタゴニスト(例えばナルトレキソン)、エクセジンin-4、GLP-1及び繊毛様神経栄養因子からなる群から選ばれてもよい。
【0064】
本発明の1の実施態様では、本発明の1以上の化合物と組み合わせて投与される抗肥満薬はレプチンである。
別の実施態様では、このような抗肥満薬は、デキストロアンフェタミン又はアンフェタミンである。
別の実施態様では、このような抗肥満薬は、フェンフルラミン又はデキシフェンフルラミンである。
さらに別の実施態様では、このような抗肥満薬は、シブトラミンである。
更なる実施態様では、このような抗肥満薬は、オルリスタットである。
別の実施態様では、このような抗肥満薬は、マジンドール又はフェンテルミンである。
さらに別の実施態様では、このような抗肥満薬は、フェンジメトラジン、ジエチルプロピオン、フルオキセチン、ブプロピオン、トピラメート又はエコピパムである。
【0065】
本発明の更なる態様は、本発明の1以上の化合物は、1以上の抗糖尿病薬と組み合わせて投与されてもよい。関連の抗糖尿病薬は、インスリン、インスリンアナログ及びEP 0 792 290で開示される誘導体(Novo Nordisk A/S)、例えばNεB29テトラデカノイルデス(B30)ヒトインスリン、EP 0 214 826及びEP 0 705 275で開示される誘導体(Novo Nordisk A/S)、例えばAspB28ヒトインスリン、US 5,504,188で開示される誘導体、例えばLysB28ProB29ヒトインスリン、EP 0 368 187で開示される誘導体、例えばLantus(登録商標)(これらの全ては本明細書に援用される)、並びにGLP-1誘導体、例えばWO 98/08871(Novo Nordisk A/S)に開示される誘導体(当該文献は本明細書に援用される)、並びに経口活性血糖降下薬を含む。
【0066】
経口活性血糖降下薬は、好ましくは、イミダゾリン、スルホニル尿素、ビグアナイド、メグリチニド、オキサジアゾーリジンジオン、チアゾリジンジオン、インスリン感作物質、α-グルコシダーゼ阻害剤、β細胞のATP依存性カリウムチャネル上で作用する薬剤、例えば、カリウムチャネル開口固定薬、WO 97/26265、WO 99/03861及びWO 00/37474(Novo Nordisk A/S)(これらの文献は本明細書に援用される)に開示される物質、又はミチグリニド、又はカリウムチャネル遮断薬、例えばBTS-67582、ナテグリニド、グルカゴンアンタゴニスト、例えばWO 99/01423及びWO 00/39088(Novo Nordisk A/S)、(当該文献の両方は、本明細書に援用される)、GLP-1アゴニスト、例えばWO 00/42026(Novo Nordisk A/S)(当該文献は本明細書に援用される)に開示されるもの、DPP-IV(ジペプチジルペプチダーゼ-IV)阻害剤、PTPase(タンパク質チロシンホスファターゼ)阻害剤、糖新生及び/又はグリコーゲン分解の刺激に関与する肝酵素の阻害剤、GSK-3(グリコーゲン合成酵素キナーゼ3)阻害剤、脂質代謝、例えば抗高脂血薬などの脂質代謝調節化合物、食物摂取を低下させる化合物、PPAR(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体)及びRXR(レチノイドX受容体)アゴニスト、例えばALRT-268、LG-1268又はLG-1069を含む。
【0067】
本発明の1の実施態様では、本発明の1以上の化合物は、インスリン又はインスリンアナログ又は誘導体、例えばNεB29-テトラデカノイルデス(B30)ヒトインスリン、AspB28ヒトインスリン、LysB28ProB28ヒトインスリン、Lantus(登録商標)、又はこれらの1以上を含む混合調製品と組み合わせて投与されてもよい。
【0068】
本発明の更なる実施態様では、本発明の1以上の化合物は、スルホニル尿素、例えば、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリメピリド、グリカジド又はグリブリドと組み合わせて投与されてもよい。
【0069】
本発明の別の実施態様では、本発明の1以上の化合物は、ビグアナイド、例えば、メトホルミンと組み合わせて投与されてもよい。
【0070】
本発明のさらに他の実施態様では、本発明の1以上の化合物は、メグリチニド、例えばレパグリニド又はナテグリニドと組み合わせて投与されてもよい。
【0071】
本発明のさらに別の実施態様では、本発明の1以上の化合物は、チアゾリジンジオンインスリン感作薬、例えば、トログリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、イサグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、CS-011/CI-1037又はT174、又はWO 97/41097、WO 97/41119、WO 97/41120、WO 00/41121及びWO 98/45292(当該文献の全ては本明細書に援用される)に開示される化合物と組み合わせて投与されてもよい。
【0072】
本発明のさらに別の実施態様では、本発明の1以上の化合物は、インスリン感作薬、例えば、例えばGI262570、YM-440、MCC-555、JTT-501、AR-H039242、KRP-297、GW-409544、CRE-16336、AR-H049020、LY510929、MBX-102、CLX-0940、GW-501516、又は、WO 99/19313、WO 00/50414、WO 00/63191 、WO 00/63192又はWO 00/63193又はWO 00/23425、WO 00/23415、WO 00/23451 、WO 00/23445、WO 00/23417、WO 00/23416、WO 00/63153、WO 00/63196、WO 00/63209、WO 00/63190又はWO 00/63189 (Novo Nordisk A/S) (これらの文献は全て本明細書に援用される)に開示される化合物と組み合わせて投与されてもよい。
【0073】
本発明の更なる実施態様では、本発明の1以上の化合物は、αグルコシダーゼ阻害剤、例えば、ボグリボース、エミグリテート、ミグリトール又はアカルボースと組み合わせて投与されてもよい。
【0074】
本発明の別の実施態様では、本発明の1以上の化合物は、β細胞のATP依存性カリウムチャネルに作用する薬剤、例えば、トルブタミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリカジド、BTS-67582又はレパグリニドと組み合わせて投与されてもよい。
【0075】
本発明のさらに別の実施態様では、本発明の1以上の化合物は、ナテグリニドと組み合わせて投与されてもよい。
【0076】
さらに別の実施態様では、本発明の1以上の化合物は、抗脂質異常症薬又は抗高脂血薬、例えば、コレスチラミン、コレスチポール、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、プロブコール又はデキストロチロキシンと組み合わせて投与されてもよい。
【0077】
本発明のさらに別の実施態様では、本発明の1以上化合物は、抗高脂血薬、例えば、コレスチラミン、コレスチポール、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、プロブコール又はデキストロチロキシンと組み合わされて投与されてもよい。
【0078】
本発明の別の態様では、本発明の1以上の化合物は、上記化合物の1より多くのものと組み合わせて、例えば、メトホルミンとスルホニル尿素、例えばグリブリド;スルホニル尿素とアカルボース;ナテグリニドとメトホルミン;アカルボースとメトホルミン;スルホニル尿素、メトホルミン及びトログリタゾン;インスリンとスルホニル尿素;インスリンとメトホルミン;インスリン、メトホルミン及びスルホニル尿素;インスリン及びトログリタゾン;インスリン及びロバスタチンなどと組み合わせて投与されてもよい。
【0079】
さらに、本発明の1以上の化合物は、1以上の降圧薬と組み合わせて投与されてもよい。降圧薬の例は、βブロッカー、例えばアルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロプラノロール及びメトプロロール、ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤、例えばベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル及びラミプリル、カルシウムチャネル遮断薬、例えばニフェジピン、フェロジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニモジピン、ジルチアゼム及びベラパミル、並びにβブロッカー、例えばドキサゾシン、ウラピジル、プラゾシン及びテラゾシンである。Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995をさらに参照することができる。
【0080】
本発明に記載される化合物と、食事及び/又は運動、1以上の上記化合物、及び場合により1以上のほかの活性物質との任意の適切な組合せが、本発明の範囲内であると考えられるということが理解されたい。
【0081】
本発明は、本発明の化合物の医薬として許容される塩も包含する。このような塩は、医薬として許容される酸添加塩を含む。酸添加塩は、無機酸並びに有機酸の塩を含む。適切な無機酸の代表的な例として、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。適切な無機酸の代表的な例として、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモ酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、パラアミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などが挙げられる。医薬として許容される無機酸又は有機酸添加塩の更なる例として、J. Pharm. Sci. 1977, 66, 2に載せられている医薬として許容される塩を含む。
【0082】
酸添加塩は、化合物合成の直接生成物として得られることもある。或いは、遊離塩基が適切な酸を含む適切な溶媒中に溶解されることもあり、そして塩は溶媒を蒸発させることにより単離されるか、又はそうでない場合塩及び溶媒を分離することにより単離される。
【0083】
式Iの化合物は、当業者に周知の方法を用いて標準的な低分子量を有する溶媒を形成してもよい。このような溶媒和物は、本発明の範囲内であると理解されたい。
【0084】
本発明は、投与後に代謝過程により化学変換を受け、その後活性医薬物質になる本発明の化合物のプロドラッグも包含する。一般的に、このようなプロドラッグは、式Iの目的の化合物へとin vivoで容易に変換される本発明の化合物の機能的誘導体であろう。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製についての慣用される方法は、例えば、"Design of Prodorugs" H. Bundgaard編、Elsevier, 1985に記載される。
【0085】
本発明は、本発明の化合物の活性代謝物を包含する。
【0086】
医薬組成物
本発明の化合物は、1回又は複数回用量のいずれかで、単独で投与されてもよいし、又は医薬として許容される担体又は賦形剤と組み合わされて投与されてもよい。本発明に記載の医薬組成物は、医薬として許容される担体又は希釈剤で剤形されてもよいし、並びに慣用される技術に従って任意の他の既知のアジュバント及び賦形剤、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy,第19版, Gennaro編 mack Publishing Co., Easton, PA, 1995に開示されるものと剤形されてもよい。
【0087】
医薬組成物は、任意の適切な経路、例えば経口、直腸、鼻腔、肺内、局所(例えば頬側及び舌下)、経皮、嚢内、腹腔内、経膣又は非経口(例えば皮下、筋肉内、髄空内、静脈内及び皮内)経路、により投与するために特異的に剤形されてもよく、経口経路が好ましい。好ましい経路が、治療される対象の一般的な状態及び年齢、治療される状態の性質、および選択された活性成分に左右されるということが理解されたい。
【0088】
経口投与用の医薬組成物は、固体剤形、例えばカプセル、錠剤、糖衣錠、ピル、ロゼンジ、粉末及び顆粒を含む。適切な場合、当該医薬組成物は、被膜、例えば腸溶被膜を伴って調製することができるか、又は当該医薬組成物は、活性成分の制御された放出、例えば当該技術分野に周知の方法に従った徐放性又は持続放出性を提供するために剤形することができる。
【0089】
経口投与用の液体剤形は、溶液、エマルジョン、懸濁液、シロップ及びエリクシルを含む。
【0090】
非経口投与用の医薬組成物は、滅菌注射水溶液及び滅菌非水性注射溶液、分散剤、懸濁剤又はエマルジョン、並びに使用前に滅菌注射溶液又は分散液中に再構成される滅菌粉末を含む。デポー注射製剤は、本発明の範囲内であると理解されたい。
【0091】
他の適切な剤形は、坐薬、スプレー、軟膏、クリーム、ゲル、吸入剤、経皮パッチ、インプラントなどを含む。
【0092】
本出願で特許請求される化合物の典型的な経口用量は、1日当たり約0.001〜約100mg/kg体重、好ましくは焼く0.01〜約50mg/kg体重、そしてより好ましくは約0.05〜約10mg/kg体重の範囲であり、1以上の一回量、例えば1〜3の一回量で投与される。正確な用量は、頻度及び投与様式、性別、年齢体重、及び治療を受ける対象の全身状態、治療される状態の性質及び重篤度、並びに治療される合併症、及び当業者に明らかであるほかの要因に左右されよう。
【0093】
製剤は、当業者に知られている方法により、単位剤形で都合よく提供されてもよい。1日当たり1回以上の、例えば1日当たり1〜3回などの経口投与用の典型的な単位剤形は、0.05〜1000mg、好ましくは約0.1〜約500mg、そしてより好ましくは約0.5mg〜約200mgの本出願で特許請求された化合物を含みうる。
【0094】
非経口経路、例えば静脈内、髄空内、筋肉内、及び同様の投与などでは、典型的な用量は、経口投与で使用される用量のおおよそ半分のオーダーである。
【0095】
本発明の化合物は、一般的に、遊離物質として、又はその医薬として許容されるその塩として使用される。一例は、遊離塩基官能基を有する化合物の酸添加塩である。式Iの化合物が遊離塩基官能基を含む場合、このような塩は、式Iの化合物の遊離塩基形態の溶液又は懸濁液を化学当量の(酸-塩基が同等の)医薬として許容される酸で処理することによって慣用的な様式で調製される。関連する無機酸及び有機酸の代表的な例は上に記載されている。水酸基を有する本発明の化合物の生理的に許容される塩は、適切なカチオン、例えばナトリウム又はアンモニウムイオンなどと組み合わせて当該化合物のアニオンを含む。
【0096】
非経口投与では、滅菌水溶液、水性プロピレングリコール又はごま油又はピーナッツ油中の本発明の化合物の溶液が使用されてもよい。このような水溶液は、必要に応じて適切に緩衝化されるべきであり、そして当該液体希釈液は最初に十分な生理食塩水又はグルコースで等張にされる。水溶液は、特に静脈内、筋肉内、皮下、及び腹腔内投与に適している。使用される水性培地は、当業者に知られている標準的な技術により利用できる。
【0097】
適切な医薬担体は、不活性の固体希釈剤又はフィラー、滅菌水溶液及び様々な有機溶媒を含む。固体担体の例は、ラクトース、白土、スクロース、シクロデキストリン、タルク、ゼラチン、アガー、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はセルロースの低級アルキルエーテルである。液体担体の例は、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸脂肪酸アミン、ポリオキシエチレン又は水である。同様に、担体又は希釈剤は、当該技術分野に知られている任意の徐放性物質、例えばモノステアリン酸グリセリル又は二ステアリン酸グリセリルを単独で、又はワックスと混合されて含んでもよい。本発明の新規化合物と医薬として許容される担体とを組み合わせることにより形成される医薬組成物は、次に、開示された投与経路について適している様々な剤形で容易に投与される。製剤は、都合よく製薬分野で知られている方法により単位剤形で存在してもよい。
【0098】
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセル又は錠剤などの別個の単位として存在してもよく、各々は、所定量の活性成分を含み、そして適切な賦形剤を含んでもよい。これらの製剤は、粉末又は顆粒、水性又は非水性液体中の溶液又は懸濁液として、又は油中水又は水中油液体エマルジョンとしての形態であってもよい。
【0099】
固体担体が経口投与に使用される場合、製剤は錠剤化されてもよいし、粉末又はペレット形態でハードゼラチンカプセル中に配置されてもよく、又はトローチ又はロゼンジの形態でありうる。固体担体の量は、大きく変えられてもよいが、通常約25mg〜約1gであろう。液体担体が使用される場合、調製品は、シロップ、エマルジョン、ソフトゼラチンカプセル又は滅菌注射液、例えば水性又は非水性懸濁液又は溶液の形態であってもよい。
【0100】
慣用の錠剤技術により調製されうる典型的な錠剤は、コアの中に、5.0mgの本発明の化合物、67.8mgのラクトース、Ph. Eur.、31.4mgの微結晶セルロース(Avicel)、1.0mgのAmberlite(登録商標)IRP88(つまり、ポラクリリンカリウムNF、錠剤崩壊剤、Rohm and Haas)及びステアリン酸マグネシウムPH. Eur. q.s.を、約9mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース及び約0.9mgのMywacett9-40T(フィルム被膜用の可塑剤として使用されるアシル化モノグリセリド)の被膜を伴って含む。
【0101】
所望される場合、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物を、1以上のさらなる医薬として活性な物質、例えば上に記載された物の中から選ばれる物質と組み合わせて含んでもよい。
【0102】
簡潔に記載すると、本発明の化合物は、それ自体知られている様式で、又は既知のプロセスと同様の様式で調製することができる。
【0103】
刊行物、特許出願、及び特許を含む本明細書で引用された全ての参考文献は、その全てを各参考文献が個別に及び特異的に援用され、そして本明細書に記載されたのと同程度に(法律で許容される最大の程度で)援用される。
【0104】
全ての見出し及び下位の見出しは、便宜のためだけに本明細書に使用されており、そしてどのようにも本発明を制限するものとして解釈されるべきでない。
【0105】
本明細書に提供される幾つか又は全ての具体例、又は例示の言葉(例えば、「などの」)の使用は、本発明をよりよく理解することを意図したものであり、他に特許請求されていない場合、そして本発明の範囲の限定をもたらさない。明細書のどの言葉も、本発明の実施について特許請求の範囲に記載されていない要素を必須な要素と指し示すものとして解釈されるべきではない。
【0106】
本明細書の特許文献の引用及び援用は、便宜のためだけに行われており、そしてこのような特許文献の妥当性、特許性及び/又は法的強制力の観点を反映しない。参考文献を引用することは、当該参考文献が従来技術を構成することを認めるものではない。
【0107】
本明細書において、「含む(comprise)」という語句は、「含む(include)」、「含む(contain)」、又は「含む(comprehend)」を広く意味すると解釈されるべきである(EPOガイドラインC4.13)。
【0108】
本発明は、適用される法律により許容される場合、添付の特許請求の範囲で列挙された対象事項の全ての修飾及び同等物を含む。
【0109】
以下の実施例は、例示の方法により提供され、制限の方法により提供されるものではない。
【実施例1】
【0110】
6-(4-シクロプロピルピペラジン-1-イル)-2'-メチル-[3,4']ビピリジニル、3HCl
【化1】

1-(5-ブロモピリジン-2-イル)-4-シクロプロピルピペラジン(0.3g、1.06mmol)、2-メチルピリジン-4-ホウ酸(0.16g;1.17mmol)及びトリフェニルホスフィンパラジウム(II)ジクロリド(37mg)をN2雰囲気下で、電磁波照射可能な5mlのバイアル中で、アセトニトリル(2.5ml)及び1N炭酸ナトリウム(Na2CO3;2.5ml)中に混合する。反応混合液を130℃で500秒間加熱した。反応混合液を2相に分離した。アセトニトリル相を取り出し、そして水相を別の2.5mlのアセトニトリルで抽出した。混合されたアセトニトリル相を吸引下で蒸発させ、メタノール(MeOH)中に溶解し、そしてGilson調製的HPLC(HPLC法B)(HPLC E9.S.02 LSk1)で精製した。RP精製を、Gilsonシステム(3 Gilson 306 pumps, Gilson 170 DAD 検出器及びGilson 216 液体ハンドラー)上で、15分間の5%〜95%の溶媒B(アセトニトリル)を含む溶媒A(0.05%トリフルオロ酢酸(以下で指定TFAと呼ぶ)を含む水)の勾配溶出液で、40ml/分、210nmでの検出、室温にてWatersXTerra(商標)PrepRP18(10μm、30mm×150mm)を用いて行った。
【0111】
標題の化合物を、TFA塩として単離した。TFA塩をMeOH中に溶解し、そして塩酸(HCl)を含むジエチルエーテルを加えた。吸引下で蒸発させることにより、標題の化合物をトリヒドロクロリドとして与えた(145mg、収率34%)。
1H-NMR (400MHz): (DMSO-d6)δ=8.95(d, 1H), 8.7(d, 1H), 8.45(m, 3H), 8.2(d,d, 1H), 4.6(d, 2H), 3.5(m, 4H), 3.25(m, 2H), 2.85(m, 1H), 2.7(s, 3H), 1.2(m, 2H), 0.8(m, 2H).
HPLC-MS(エレクトロスプレー):m/z:295、M+1=296、Rt=0.58分。
元素分析は以下の結果を与える:52.8%C、6.7%H、12.7%N、25.3%Cl。
【0112】
hERG結合アッセイ
PJS Chiuら(J Pharmacol Sci 95, 311-319 (2004))により記載されるように、試験化合物のhERGチャネルへの結合能力を、[3H]アステミゾールのhERGトランスフェクトHEK293細胞膜への結合性により評価した。全ての結合アッセイを、合計体積100μl:10μgの膜を含む60μlの緩衝液(10mM HEPES(pH7.4)、5mMのKCl、130mMのNaCl、0.8mMのMgCl2、1mMのEGTA、10mMのグルコース及び0.01%のBSA)、20μlの試験薬剤又はビヒクル(5%DMSOを含有する緩衝液中)、及び20μl[3H]アステミゾール(緩衝液中に15nM)、中で行った。非特異的結合(NSB)を、10μMアステミゾール(FAC)により規定した。インキュベートを、25℃で60分間、96ウェルプロピレンプレートで行った。FilterMate Harvester(Packard)を0.3%ポリエチレンイミンで予浸されたGF/Bフィルター上に用いて迅速にろ過をし、続いて10×300μlの氷冷洗浄緩衝液(25mM Tris(pH7.4)、5mM KCl、130mM NaCl、0.8mM MgCl2、0.05mM CaCl2、及び0.01%BSA)で急速に洗浄することにより、結合反応を終結させた。プレートを乾燥させ、そして50μlのMicroScint0(Perkin Elmer)を添加し、捕捉された放射性標識を、Perkin Elmer TopCount NXTを用いて検出した。結果を、所定濃度の試験化合物(典型的に10μM)における[3H]アステミゾール結合の阻害割合として示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I:
【化1】

で表され、6-(4-シクロプロピルピペラジン-1-イル)-2'-メチル-[3,4']ビピリジニルという名称を有する化合物、及びその塩、好ましくは医薬として許容されるその塩、並びにそれらの溶媒和物。
【請求項2】
前記溶媒和物が水和物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記塩が塩酸塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記塩が三塩酸塩である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記塩がトリフルオロ酢酸塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記塩が、モノトリフルオロ酢酸塩である、請求項1〜5に記載の化合物。
【請求項7】
医薬として使用するための、請求項1に記載の化合物、又はその塩若しくは溶媒和物、好ましくは水和物。
【請求項8】
医薬として使用するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又はその塩、又はその溶媒和物、好ましくはその水和物の使用。
【請求項9】
上に言及される疾患のいずれかの治療に有用である、請求項1に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物、好ましくは水和物。
【請求項10】
上に言及される特定の疾患及び/又は状態のいずれかの治療用の医薬の製造に使用するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又はその塩、又はその溶媒和物、好ましくは水和物の使用。
【請求項11】
本明細書に記載される任意の新規の特徴又は当該特徴の組合せ。

【公表番号】特表2009−537596(P2009−537596A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511487(P2009−511487)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054849
【国際公開番号】WO2007/135111
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(508269525)ハイ ポイント ファーマシューティカルズ,リミティド ライアビリティ カンパニー (26)
【Fターム(参考)】