説明

6,11−3C−二環式8A−アザリド誘導体

式(I)の化合物、ならびにその化合物の製薬上許容される塩、エステルおよびプロドラッグ


(式中、A、B、D、L、X、Y、ZおよびRは本明細書に記載されている。)が開示される。この化合物は、抗細菌特性を示す。式(I)の化合物は、その化合物自体として、または製薬上許容される塩、エステルもしくはプロドラッグの形で用いて、細菌感染を治療または予防することができる。その化合物ならびにそれの塩、エステルおよびプロドラッグは、細菌感染の治療用に、適宜に他の抗細菌剤と組み合わせて、医薬組成物中の成分として用いることもできる。その化合物の製造方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌活性を有し、細菌感染の治療および予防において有用な新規な半合成マクロリドに関する。詳細には本発明は、6,11−3C−架橋8a−アザリド誘導体、そのような化合物を含む組成物、それの使用方法ならびにそのような化合物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マクロリド系抗菌薬は、細菌感染の治療および予防に広く用いられている。しかしながら、マクロリド系抗菌薬に対して耐性を有するか感受性の不十分な菌株の発見によって、抗生物質活性プロファイルが変化または向上した化合物の開発が促進されてきた。そのような種類の化合物の一つは、米国特許4474768号および同4517359号に記載されているアジスロマイシンなどのアザリド類である。アザリド類は、エリスロノリドAまたはBと類似の環構造を有するマクロリド系抗菌薬であるが、アザリド類は下記構造で示したように8a位もしくは9a位などに置換もしくは未置換の窒素部分を有する。
【0003】
【化45】

【0004】
アザリドが抗生物質活性に関して変化もしくは向上したプロファイルを示す可能性があることから、向上した臨床特性を有する別のアザリド誘導体を確認するために広範囲の研究が行われるようになった。
【0005】
下記の参考文献は、背景技術として興味深いものである。
【0006】
2004年8月12日公開のUS2004/0157787、2004年3月19日公開のUS2004/0053861およびUS2004/0171818には、一連の6〜11二環式ケトリド誘導体およびその誘導体の製造方法が開示されている。
【0007】
US6764998および6645941には、細菌の治療および予防において有用な架橋9a−アザリド類が開示されている。
【0008】
US5866549には、抗菌活性を有する6−O置換ケトリドが開示されている。
【0009】
1998年12月17日公開のWO98/56801には、一連の9a−(N−(アルキル))−アザリドエリスロマイシンA誘導体および一連の9a−(N−(アルキル))−アザリド6−O−メチルエリスロマイシンA誘導体が開示されている。
【0010】
1998年12月17日公開のWO98/56802には、一連の9a−(N−(H))−アザリドエリスロマイシンA誘導体および一連の9a−(N−(H))−アザリド6−O−メチルエリスロマイシンA誘導体が開示されている。
【0011】
1999年6月7日公開のWO99/00124には、一連の9a−(N−(R))−アザリド3−チオキソエリスロマイシンA誘導体および一連の9a−(N7(R))−アザリド6−O−メチル3−オキソエリスロマイシンA誘導体(Rは置換されていても良いアルキルまたはヘテロアルキルである。)が開示されている。
【0012】
1999年6月7日公開のWO99/00125には、一連の9a−(N−(R))−アザリド3−オキソエリスロマイシンA誘導体および一連の9a−(N−(R))−アザリド6−O−メチル3−オキソエリスロマイシンA誘導体(Rは、置換されていても良いアルキルまたはヘテロアルキルである。)が開示されている。
【0013】
WO99/19331には、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の治療において有用な強力な抗生物質である8a−アザリド類が開示されている。
【0014】
US5686587には、オキシム形成、ベックマン転位、還元およびメチル化によって9a−(N(H))−部分をエリスロマイシンに導入する段階を有するアジスロマイシンの合成が開示されている。
【0015】
US5985844には、哺乳動物での細菌感染の治療法で有用な4″位および8a位で修飾されたホモエリスロマイシンA誘導体が開示されている。
【0016】
US6054434には、家畜、特にウシおよびブタでの細菌の呼吸器および腸感染の治療および予防において有用である8a−アザリド類が開示されている。
【0017】
US6339063には、家畜、特にウシおよびブタでの細菌の呼吸器および腸感染の治療および予防において有用である9a−アザリド類が開示されている。
【0018】
US6645941には、抗菌活性を有し、細菌感染の治療および予防において有用な6,11−3C−二環式9a−アザリド誘導体が開示されている。
【発明の開示】
【0019】
本発明は、新規な種類の6,11−3C−架橋8a−アザリド化合物ならびにそれの製薬上許容される塩、エステルおよびプロドラッグ;少なくとも1種類の本発明の化合物を含む医薬組成物;前記化合物自体もしくは前記医薬組成物を投与することによる、被験者での細菌感染の治療および予防方法;ならびに本発明の化合物の製造方法を提供する。
【0020】
本発明の1実施形態には、下記式Iの化合物ならびにその化合物の製薬上許容される塩、エステルおよびプロドラッグなどがある。
【0021】
【化46】

式中、
Aは、
i)−OH;
ii)−OR(Rは、ヒドロキシ保護基である。);
iii)−R(Rは、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである。);
iv)−OR(Rは前記で定義の通りである);
v)−R[Rは、
(a)水素;
(b)ハロゲン;
(c)ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1以上の置換基で置換されていても良いO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を有する−C〜Cアルキル;
(d)ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1以上の置換基で置換されていても良いO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を有する−C〜Cアルケニル;または
(e)ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1以上の置換基で置換されていても良いO、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を有する−C〜Cアルキニル
である。]
vi)−OR(Rは前記で定義の通りである。);
vii)−S(O)11(n=0、1または2であり;R11はRもしくはRであり;RおよびRは前記で定義の通りである。);
viii)−NHC(O)R11(R11は前記で定義の通りである。);
ix)−NHC(O)NHR11(R11は、前記で定義の通りである。);
x)−NHS(O)11(R11は前記で定義の通りである。);
xi)−NR1415(R14およびR15はそれぞれ独立にR11であり;R11は前記で定義の通りである。);または
xii)−NHR(Rはアミノ保護基である。)
であり;
Bは、
i)水素;
ii)重水素;
iii)ハロゲン;
iv)−OH;
v)−R(Rは前記で定義の通りである。);
vi)−R(Rは前記で定義の通りである。);または
vii)−OR(Rは前記で定義の通りである。)
であり;ただし、Bがハロゲン、−OHまたはORである場合、AはRまたはRであり、RおよびRは前記で定義の通りであり;
あるいは、AとBがそれらが結合している炭素原子と一体となって、
i)C=O;
ii)C(OR(Rは前記で定義の通りである。);
iii)C(SR(Rは前記で定義の通りである。);
iv)C[−O(CH(m=2または3である。);
v)C[−S(CH(mは前記で定義の通りである。);
vi)C=CHR11(R11は前記で定義の通りである。);
vii)C=N−O−R11(R11は前記で定義の通りである。);
viii)C=NNHR11(R11は前記で定義の通りである。);
ix)C=NNHC(O)R11(R11は前記で定義の通りである。);
x)C=NNHC(O)NHR11(R11は前記で定義の通りである。);
xi)C=NNHS(O)11(R11は前記で定義の通りである。);
xii)C=NNHR(Rは前記で定義の通りである。);または
xiii)C=NR11(R11は前記で定義の通りである。)
であり;
Lは、
i)−CH
ii)−CHCH
iii)−CH(OH)CH
iv)アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1以上の置換基で置換されていても良い−C〜Cアルキル;
v)アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1以上の置換基で置換されていても良い−C〜Cアルケニル;または
vi)アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1以上の置換基で置換されていても良い−C〜Cアルキニル
であり;
Dは、−CHN(Q)−、−C(O)N(R′)−または−C(OR′)=N−であり;R′は、前記で定義のR11であり;
Qは、
i)水素;
ii)−C〜C12−アルキル、C〜C12−アルケニルまたはC〜C12−アルキニル[これらはいずれも、独立に
(a)ハロゲン;
(b)−OR(R
1.水素;
2.独立にアリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良いO、SまたはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を有する−C〜C12−アルキル;
3.アリール;
4.置換アリール;
5.ヘテロアリール;および
6.置換ヘテロアリール
から選択される。);
(c)−NR(RおよびRはそれぞれ独立にRであり;Rは前記で定義の通りであり、または別のRおよびRでは、それらが結合している原子と一体となって、ヘテロシクロアルキルもしくは置換ヘテロシクロアルキル部分を形成している。);
(d)−N−O−R(Rは前記で定義の通りである。);
(e)−R(Rは前記で定義の通りである。);
(f)−C〜C−シクロアルキル;
(g)置換−C〜C−シクロアルキル;
(h)ヘテロシクロアルキル;
(i)置換ヘテロシクロアルキル;
(j)−NHC(O)R(Rは前記で定義の通りである。);
(k)−NHC(O)OR(Rは、
1.独立にアリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良いO、SまたはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を有する−C〜C12−アルキル;
2.アリール;
3.置換アリール;
4.ヘテロアリール;または
5.置換ヘテロアリール
から選択される。);
(l)−NHC(O)NR(RおよびRは前記で定義の通りである。);
(m)−OC(O)NR(RおよびRは前記で定義の通りである。);
(n)−OC(O)R(Rは前記で定義の通りである。);
(o)−OC(O)OR(Rは前記で定義の通りである。);
(p)−OC(O)NR(RおよびRは前記で定義の通りである。);
(q)−C(O)R(Rは前記で定義の通りである。);
(r)−CO(Rは前記で定義の通りである。);または
(s)−C(O)NR(RおよびRは前記で定義の通りである。)
から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良い。];
Xは水素であり;
Yは、
i)水素;
ii)−OH;
iii)−OR(Rは前記で定義の通りである。);
iv)−OR11(R11は前記で定義の通りである。);
v)−OC(O)R11(R11は前記で定義の通りである。);
vi)−OC(O)NHR11(R11は前記で定義の通りである。);
vii)−S(O)11(nおよびR11は上記で定義の通りである。);
viii)
【0022】
【化47】

[(1)Rは水素またはメチルであり;Rは水素またはRであり;Rは前記で定義の通りである。];
ix)
【0023】
【化48】

[(1)Rは前記で定義の通りであり;RはNHまたはRamであり;Ramは保護アミノである。]
であり;
または別の形態では、XおよびYが一体となってオキソを形成しており;
Zは、
i)水素;
ii)メチル;または
iii)ハロゲン
であり;
は、水素またはRであり;Rは前記で定義の通りである。
【0024】
本発明の別の実施形態では、治療上または予防上有効量の本発明の化合物および製薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物が開示される。本発明のさらに別の実施形態には、前記医薬組成物による抗菌感染の治療または予防方法がある。好適な担体および製剤方法も開示される。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態では、本発明の第一の化合物および本発明の第二の化合物の組み合わせ医薬ならびに本発明の化合物と公知の抗菌剤の組み合わせが開示され、これらの組み合わせにおいて、各活性成分は、細菌感染の治療または予防において有効な組み合わせを提供する量で用いられる。
【0026】
本発明のさらに別の態様では、式Iの6,11−3C−架橋8a−アザリド誘導体の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の第1の実施形態は、上記で示した式Iの化合物またはそれの製薬上許容される塩、エステルもしくはプロドラッグである。
【0028】
本発明の化合物の好ましい下位属は、下記式IIの化合物:
【0029】
【化49】

(式中、A、B、Q、X、YおよびRは前記で定義の通りである。);
下記式IIIの化合物:
【0030】
【化50】

(式中、A、B、Q、RおよびRは前記で定義の通りである。);
下記式IIIaの化合物:
【0031】
【化51】

(式中、A、B、Q、RおよびRは前記で定義の通りである。);
下記式IVの化合物:
【0032】
【化52】

(式中、A、B、QおよびRは前記で定義の通りである。);
下記式Vの化合物:
【0033】
【化53】

(式中、A、B、Q、X、Y、R′およびRは前記で定義の通りである。);および
下記式VIの化合物:
【0034】
【化54】

(式中、A、B、Q、X、Y、R′およびRは前記で定義の通りである。)
である。
【0035】
本発明による代表的な化合物は、
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Acである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=Z=Hであり;XおよびYが一体となってオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;X=Z=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体となってオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
A=Hであり;B=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Acである式Iの化合物;
A=Hであり;B=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
A=Hであり;B=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=Z=Hであり;XおよびYが一体となってオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
A=Hであり;B=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;X=Z=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
A=Hであり;B=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体となってオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
A=Hであり;B=CHであり;D=−(C=NOH)−であり;X=Z=Hであり;Y=
【0036】
【化55】

であり;L=CHCHであり;R=Acである式Iの化合物;
A=Hであり;B=CHであり;D=−C(=O)NH−であり;X=Z=Hであり;Y=
【0037】
【化56】

であり;L=CHCHであり;R=Acである式Iの化合物;
A=Hであり;B=CHであり;D=−C(=O)NH−であり;X=Z=Hであり;Y=
【0038】
【化57】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CH−Phであり;Z=X=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CH−Phであり;Z=Hであり;XおよびYが一体となってオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CH−(2−ピリジル)であり;Z=X=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CH−(2−ピリジル)であり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CH−(3−キノリル)、Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CH−(3−キノリル)であり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CH(CH=CH)−Phであり;Z=X=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CH(CH=CH)−Phであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHCH=CH−(2−ピリジル)であり;Z=X=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHCH=CH−(2−ピリジル)であり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;、D=−CHN(Q)−であり;Q=CHC=C−(3−キノリル)であり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHC=C−(3−キノリル)であり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CH−CH=CH−Phであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CH−CH=CH−(3−ピリジル)であり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CH−CH=CH−(3−キノリル)であり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CH−(3−キノリル)であり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;および
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CH−Phであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物
から選択されるものである。
【0039】
本発明による別の代表的な化合物は、
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;X=Z=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
A=Hであり;B=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=Oであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=Oであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=Oであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−OHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−OHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−OHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物; AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−C=N(Q)−であり;Q=−C(O)Rであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−C=N(Q)−であり;Q=−アシルであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=
【0040】
【化58】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;X=Z=Hであり;Y=
【0041】
【化59】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;X=Z=Hであり;Y=
【0042】
【化60】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=
【0043】
【化61】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;X=Z=Hであり;Y=
【0044】
【化62】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;X=Z=Hであり;Y=
【0045】
【化63】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=
【0046】
【化64】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;X=Z=Hであり;Y=
【0047】
【化65】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;X=Z=Hであり;Y=
【0048】
【化66】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=
【0049】
【化67】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;X=Z=Hであり;Y=
【0050】
【化68】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;X=Z=Hであり;Y=
【0051】
【化69】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=
【0052】
【化70】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;X=Z=Hであり;Y=
【0053】
【化71】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;および
AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;X=Z=Hであり;Y=
【0054】
【化72】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物
から選択されるものである。
【0055】
本発明の別の実施形態は、前記で記載の式Iの化合物を製造する方法である。
【0056】
本発明の別の実施形態には、本明細書に記載の単一の化合物、またはその化合物の製薬上許容される塩、エステルもしくはプロドラッグおよび製薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物などがある。
【0057】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載の2種類以上の化合物またはそれの製薬上許容される塩、エステルもしくはプロドラッグおよび製薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物である。
【0058】
本発明のさらに別の実施形態は、本明細書に記載のいずれか単一の化合物、当業界で公知の1以上の抗生物質またはそれの製薬上許容される塩、エステルもしくはプロドラッグおよび製薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物である。
【0059】
本発明のさらに別の実施形態は、本明細書に記載のいずれか単一の化合物および当業界で公知の1以上の抗菌剤またはそれの化合物の製薬上許容される塩、エステルもしくはプロドラッグの組み合わせである。
【0060】
本発明のさらに別の実施形態は、本明細書に記載の2種類以上の化合物またはそれの製薬上許容される塩、エステルもしくはプロドラッグの組み合わせである。
【0061】
本発明の化合物と1以上の他の公知の抗菌剤の「組み合わせ」または2種類以上の本発明の化合物の「組み合わせ」とは、これら各成分が別個もしくは一緒に製剤および/または包装されていても良いこと、ならびに別個に製剤された場合、それぞれを同時または異なる時点で(例:交互)投与可能であることを意味することは明らかである。
【0062】
本発明の化合物との併用に好適な抗生物質には、カルバペネム類、ペニシリン類、セファロスポリン類および他のβ−ラクタム系抗生物質などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
式Iの化合物をカルバペネム系構成物質と併用する場合、デヒドロペプチダーゼ(DHP)阻害薬も併用することができる。多くのカルバペネム化合物が、DHPと称される腎臓酵素による攻撃を受けやすい。この攻撃または分解は、カルバペネム抗菌剤の効力を低下させ得る。DHPの阻害薬およびそれらのカルバペネム化合物との併用については、例えば1979年7月24日出願のEP0007614に開示されている。DHP阻害薬の例としては、7−(L−2−アミノ−2−カルボキシエチルチオ)−2−(2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキサミド)−2−ヘプテン酸またはそれの有用な塩がある。
【0064】
クラブラン酸、スルバクタムまたはタゾバクタムなどのセリンβ−ラクタマーゼ阻害薬も、別個の投与によって、または本発明の化合物とβ−ラクタム系抗生物質の一方、他方もしくは両方との共製剤によって、本発明の化合物およびβ−ラクタム系抗生物質とともに併用投与することができる。
【0065】
本発明の化合物と併用投与可能なカルバペネム化合物の例には、イミペネム、メロペネム、ビアペネム、(4R,5S,6S)−3−[(3S,5S)−5−(3−カルボキシフェニル−カルバモイル)ピロリジン−3−イルチオ]−6−(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸、(1S,5R,6S)−2−(4−(2−(((カルバモイルメチル)−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−エチル(1,8−ナフトスルタム)メチル)−6−[1(R)−ヒドロキシエチル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボキシレート・クロライド、BMS181139([4R−[4α,5β,6β(R)]]−4−[2−[(アミノイミノメチル)アミノ]エチル]−3−[(2−シアノエチル)チオ]−6−(1−ヒドロキシエチル)−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸)、B02727([4R−3[3S,5S(R)],4α,5β,6β(R)]]−6−(1−ヒドロキシエチル)−3−[[5−[1−ヒドロキシ−3−(メチルアミノ)プロピル]−3−ピロリジニル]チオ]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸・モノ塩酸塩)、E1010((1R,5S,6S)−6−[1(R)−ヒドロキシメチル]−2−[2(S)−[1(R)−ヒドロキシ−1−[ピロリジン−3(R)−イル]メチル]ピロリジン−4(S)−イルスルファニル]−1−メチル−1−カルバ−2−ペネム−3−カルボン酸塩酸塩)およびS4661((1R,5S,6S)−2−[(3S,5S)−5−(スルファモイルアミノメチル)ピロリジン−3−イル]チオ−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸)、(1S,5R,6S)−1−メチル−2−{7−[4−(アミノカルボニルメチル)−1,4−ジアゾニアビシクロ(2.2.2)オクタン−1−イル]−メチル−フルオレン−9−オン−3−イル}−6−(1R−ヒドロキシエチル)−カルバペン−2−エム−3−カルボキシレート・クロライドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
本発明による化合物との併用投与に好適なペニシリン類の例には、includeベンジルペニシリン、フェノキシメチルペニシリン、カルベニシリン、アジドシリン(azidocillin)、プロピシリン、アンピシリン、アモキシシリン、エピシリン、チカルシリン、シクラシリン、ピルベニシリン(pirbenicillin)、アズロシリン(azloccillin)、メツロシリン、スルベニシリン、ピペラシリンおよび他の公知のペニシリン類などがある。それらのペニシリン類は、それのプロドラッグの形で、例えばアンピシリン、ベンジルペニシリンおよびアモキシシリンのアセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、α−エトキシカルボニルオキシ−エチルおよびフタリジルエステル類のようなイン・ビボで加水分解可能なエステルとして;6−α−アミノアセトアミド側鎖を有するペニシリン類のアルデヒドもしくはケトン付加物(例:ヘタシリン、メタムピシリン(metampicillin)およびアモキシシリンの類似の誘導体)として;ならびに例えばフェニルおよびインダニルα−エステル類などのカルベニシリンおよびチカルシリンのa−エステル類(estsers)として用いることができる。
【0067】
本発明による化合物と併用投与可能なセファロスポリン類の例としては、セファトリジン、セファロリジン、セファロチン、セファゾリン、セファレキシン、セファセトリル、セファピリン、セファマンドール・ナフェート(cephamandolenafate)、セフラジン、4−ヒドロキシセファレキシン、セファログリシン、セフォペラゾン、セフスロジン、セフタジジム、セフロキシム、セフメタゾール、セフォタキシム、セフトリアキソンならびに他の公知のセファロスポリン類などがあり、これらはいずれもそれのプロドラッグの形で用いることができる。
【0068】
本発明による化合物と併用投与可能なペニシリン類およびセファロスポリン類以外のβ−ラクタム系抗生物質の例には、アズトレオナム、ラタモキセフ(モキサラクタム)ならびにイミペネム、メロペネムまたは(4R,5S,6S)−3−[(3S,5S)−5−(3−カルボキシフェニルカルバモイル)ピロリジン−3−イルチオ]−6−(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸などのカルバペネム類のような他の公知のβ−ラクタム系抗生物質などがあり、これらはいずれもそれのプロドラッグの形で用いることができる。
【0069】
本発明のさらに別の実施形態は、(a)細菌増殖の阻害または(b)細菌感染の予防もしくは治療(i)に使用される、(ii)用の医薬として使用される、または(iii)用の医薬製造において使用される本発明の化合物または本発明の化合物を含む医薬組成物である。これらの使用において、本発明の化合物は、1以上の公知の抗菌剤と併用しても良い。
【0070】
定義
本明細書で使用される場合に「C〜Cアルキル」、「C〜Cアルキル」または「C〜C12アルキル」という用語は、それぞれ1〜3個、1〜6個または1〜12個の炭素原子を有する飽和の直鎖もしくは分岐炭化水素基を指す。C〜Cアルキル基の例には、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピル基などがあり;C〜Cアルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチルおよびn−ヘキシル基などがあるが、これらに限定されるものではなく;C〜C12アルキル基の例には、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
本明細書で使用される場合に「C〜C12アルケニル」または「C〜Cアルケニル」という用語は、2〜12個または2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する炭化水素部分から誘導される1価の基を指す。アルケニル基には、例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
本明細書で使用される場合に「C〜C12アルキニル」または「C〜Cアルキニル」という用語は、2〜12個または2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する炭化水素部分から誘導される1価の基を指す。代表的なアルキニル基には、例えばエチニル、1−プロピニル、1−ブチニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
本明細書で使用される場合に「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を指す。
【0074】
「ハロアルキル」という用語は、1、2もしくは3個のハロゲン原子が結合した上記で定義のアルキル基を指し、例としてはクロロメチル、ブロモエチル、トリフルオロメチルなどの基がある。
【0075】
本明細書で使用される場合に「アリール」という用語は、1個もしくは2個の芳香環を有する単環式もしくは二環式炭素環系を指し、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。アリール基(二環式アリール基を含む)は、未置換であるか独立に低級アルキル、置換低級アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、シアノ、ヒドロキシ、ハロ、メルカプト、ニトロ、カルボキシアルデヒド、カルボキシ、アルコキシカルボニルおよびカルボキサミドから選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良い。さらに、置換アリール基には、テトラフルオロフェニルおよびペンタフルオロフェニルなどがある。
【0076】
本明細書で使用される場合に「置換アリール」という用語は、1、2もしくは3個の水素原子がF、Cl、Br、I、OH、NO、CN、C(O)−C〜C−アルキル、C(O)−アリール、C(O)−ヘテロアリール、CO−アルキル、CO−アリール、CO−ヘテロアリール、CONH、CONH−C〜C−アルキル、CONH−アリール、CONH−ヘテロアリール、OC(O)−C〜C−アルキル、OC(O)−アリール、OC(O)−ヘテロアリール、OCO−アルキル、OCO−アリール、OCO−ヘテロアリール、OCONH、OCONH−C〜C−アルキル、OCONH−アリール、OCONH−ヘテロアリール、NHC(O)−C〜C−アルキル、NHC(O)−アリール、NHC(O)−ヘテロアリール、NHCO−アルキル、NHCO−アリール、NHCO−ヘテロアリール、NHCONH、NHCONH−C〜C−アルキル、NHCONH−アリール、NHCONH−ヘテロアリール、SO−C〜C−アルキル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、SONH、SONH−C〜C−アルキル、SONH−アリール、SONH−ヘテロアリール、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、CF、CHCF、CHCl、CHOH、CHCHOH、CHNH、CHSOCH、アリール、ヘテロアリール、ベンジル、ベンジルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C〜C−アルコキシ、メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、アミノ、ベンジルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、C〜C−アルキルアミノ、チオ、アリール−チオ、ヘテロアリールチオ、ベンジル−チオ、C〜C−アルキル−チオもしくはメチルチオメチルによって独立に置き換わることで置換された本明細書で定義のアリール基を指す。
【0077】
本明細書で使用される場合に「ヘテロアリール」という用語は、5〜10個の環原子を有し、そのうちの1個の環原子がS、OおよびNから選択され;0、1もしくは2個の環原子が独立にS、OおよびNから選択される別のヘテロ原子であり;残りの環原子が炭素である環状芳香族基を指し、その基はいずれかの環原子を介して分子の残りの部分に結合しており、例えばピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニルなどがある。
【0078】
本明細書で使用される場合に「置換ヘテロアリール」という用語は、1、2もしくは3個の水素原子がF、Cl、Br、I、OH、NO、CN、C(O)−C〜C−アルキル、C(O)−アリール、C(O)−ヘテロアリール、CO−アルキル、CO−アリール、CO−ヘテロアリール、CONH、CONH−C〜C−アルキル、CONH−アリール、CONH−ヘテロアリール、OC(O)−C〜C−アルキル、OC(O)−アリール、OC(O)−ヘテロアリール、OCO−アルキル、OCO−アリール、OCO−ヘテロアリール、OCONH、OCONH−C〜C−アルキル、OCONH−アリール、OCONH−ヘテロアリール、NHC(O)−C〜C−アルキル、NHC(O)−アリール、NHC(O)−ヘテロアリール、NHCO−アルキル、NHCO−アリール、NHCO−ヘテロアリール、NHCONH、NHCONH−C〜C−アルキル、NHCONH−アリール、NHCONH−ヘテロアリール、SO−C〜C−アルキル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、SONH、SONH−C〜C−アルキル、SONH−アリール、SONH−ヘテロアリール、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、CF、CHCF、CHCl、CHOH、CHCHOH、CHNH、CHSOCH、アリール、アミノで置換されていても良いヘテロアリール、ベンジル、ベンジルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C〜C−アルコキシ、メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、アミノ、ベンジルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、C〜C−アルキルアミノ、チオ、アリール−チオ、ヘテロアリールチオ、ベンジル−チオ、C〜C−アルキル−チオもしくはメチルチオメチルによって独立に置き換わることで置換された本明細書で定義のヘテロアリール基を指す。
【0079】
「C〜C12−シクロアルキル」という用語は、単一の水素原子の脱離によって単環式または二環式飽和炭素環化合物から誘導される1価基を指す。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルおよびビシクロ[2.2.2]オクチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
本明細書で使用される場合に「置換C〜C12−シクロアルキル」という用語は、1、2もしくは3個の水素原子がF、Cl、Br、I、OH、NO、CN、C(O)−C〜C−アルキル、C(O)−アリール、C(O)−ヘテロアリール、CO−アルキル、CO−アリール、CO−ヘテロアリール、CONH、CONH−C〜C−アルキル、CONH−アリール、CONH−ヘテロアリール、OC(O)−C〜C−アルキル、OC(O)−アリール、OC(O)−ヘテロアリール、OCO−アルキル、OCO−アリール、OCO−ヘテロアリール、OCONH、OCONH−C〜C−アルキル、OCONH−アリール、OCONH−ヘテロアリール、NHC(O)−C〜C−アルキル、NHC(O)−アリール、NHC(O)−ヘテロアリール、NHCO−アルキル、NHCO−アリール、NHCO−ヘテロアリール、NHCONH、NHCONH−C〜C−アルキル、NHCONH−アリール、NHCONH−ヘテロアリール、SO−C〜C−アルキル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、SONH、SONH−C〜C−アルキル、SONH−アリール、SONH−ヘテロアリール、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、CF、CHCF、CHCl、CHOH、CHCHOH、CHNH、CHSOCH、アリール、ヘテロアリール、ベンジル、ベンジルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C〜C−アルコキシ、メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、アミノ、ベンジルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、C〜C−アルキルアミノ、チオ、アリール−チオ、ヘテロアリールチオ、ベンジル−チオ、C〜C−アルキル−チオもしくはメチルチオメチルによって独立に置き換わることで置換された本明細書で定義のC〜C12−シクロアルキル基を指す。
【0081】
本明細書で使用される場合に「ヘテロシクロアルキル」という用語は、独立に酸素、硫黄および窒素から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する非芳香族5、6もしくは7員環または縮合6員環を有する二環もしくは三環式基を指し、(i)各5員環が0〜1個の二重結合を有し、各6員環が0〜2個の二重結合を有し、(ii)前記窒素および硫黄ヘテロ原子が酸化されていても良く、(iii)前記窒素ヘテロ原子が4級化されていても良く、(iv)上記複素環のいずれかがベンゼン環に縮合していても良いものを指す。代表的な複素環には、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニルおよびテトラヒドロフリルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
本明細書で使用される場合に「置換ヘテロシクロアルキル」という用語は、1、2もしくは3個の水素原子がF、Cl、Br、I、OH、NO、CN、C(O)−C〜C−アルキル、C(O)−アリール、C(O)−ヘテロアリール、CO−アルキル、CO−アリール、CO−ヘテロアリール、CONH、CONH−C〜C−アルキル、CONH−アリール、CONH−ヘテロアリール、OC(O)−C〜C−アルキル、OC(O)−アリール、OC(O)−ヘテロアリール、OCO−アルキル、OCO−アリール、OCO−ヘテロアリール、OCONH、OCONH−C〜C−アルキル、OCONH−アリール、OCONH−ヘテロアリール、NHC(O)−C〜C−アルキル、NHC(O)−アリール、NHC(O)−ヘテロアリール、NHCO−アルキル、NHCO−アリール、NHCO−ヘテロアリール、NHCONH、NHCONH−C〜C−アルキル、NHCONH−アリール、NHCONH−ヘテロアリール、SO−C〜C−アルキル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、SONH、SONH−C〜C−アルキル、SONH−アリール、SONH−ヘテロアリール、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、CF、CHCF、CHCl、CHOH、CHCHOH、CHNH、CHSOCH、アリール、ヘテロアリール、ベンジル、ベンジルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C〜C−アルコキシ、メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、アミノ、ベンジルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、C〜C−アルキルアミノ、チオ、アリール−チオ、ヘテロアリールチオ、ベンジル−チオ、C〜C−アルキル−チオもしくはメチルチオメチルによって独立に置き換わることで置換された本明細書で定義のヘテロシクロアルキル基を指す。
【0083】
本明細書で使用される場合に「C〜Cアルコキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子部分に結合した前記で定義のC〜Cアルキル基を指す。C〜C−アルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、ネオペントキシおよびn−ヘキソキシなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0084】
本明細書で使用される場合に「C〜C−アルキル−アミノ」という用語は、窒素原子を介して親分子部分に結合した前記で定義の1個もしくは2個のC〜C−アルキル基を指す。C〜C−アルキル−アミノの例には、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノおよびプロピルアミノなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
「アルキルアミノ」という用語は、構造−NH(C〜C12アルキル)を有する基を指し、C〜C12アルキルは前記で定義の通りである。
【0086】
「ジアルキルアミノ」という用語は、構造−N(C〜C12アルキル)(C〜C12アルキル)を有する基を指し、C〜C12アルキルは前記で定義の通りである。ジアルキルアミノの例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、ピペリジノなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0087】
「アルコキシカルボニル」という用語は、エステル基、すなわちメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどのカルボニル基を介して親分子部分に結合したカルボニル基を介して親分子部分に結合したアルコキシ基を表す。
【0088】
本明細書で使用される場合に「カルボキシアルデヒド」という用語は、式−CHOの基を指す。
【0089】
本明細書で使用される場合に「カルボキシ」という用語は、式−COOHの基を指す。
【0090】
本明細書で使用される場合に「カルボキサミド」という用語は、式−C(O)NH(C〜C12アルキル)または−C(O)N(C〜C12アルキル)(C〜C12アルキル)の基を指す。
【0091】
本明細書で使用される場合に「ヒドロキシ保護基」という用語は、合成手順中に望ましくない反応に対してヒドロキシル基を保護する上で当業界において知られている不安定な化学部分を指す。前記合成手順後、本明細書に記載のヒドロキシ保護基は選択的に脱離させることができる。当業界で公知のヒドロキシ保護基は、グリーンらの著作(T. H. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, New York (1999))に記載されている。ヒドロキシ保護基の例には、メチルチオメチル、tert−ジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、芳香族基で置換されたアシルなどがあるが、これらに限定されるものではない。本明細書で使用される場合に「保護ヒドロキシ」という用語は、例えばベンゾイル、アセチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、メトキシメチル基などの上記で定義のヒドロキシ保護基で保護されたヒドロキシ基を指す。
【0092】
本明細書で使用される場合に「アミノ保護基」という用語は、合成手順中に望ましくない反応に対してアミノ基を保護する上で当業界において知られている不安定な化学部分を指す。前記合成手順後、本明細書に記載のアミノ保護基は選択的に脱離させることができる。当業界で公知のアミノ保護基は、グリーンらの著作(T. H. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, New York (1999))に記載されている。アミノ保護基の例には、t−ブトキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0093】
本明細書で使用される場合に「保護アミノ」という用語は、上記で定義のアミノ保護基で保護されたアミノ基を指す。
【0094】
本明細書で使用される場合に「非プロトン性溶媒」という用語は、プロトン活性に対して比較的に不活性な、すなわちプロトン供与体として作用しない溶媒を指す。例としては、例えばヘキサンおよびトルエンなどの炭化水素;例えば塩化メチレン、エチレンクロライド、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;例えばテトラヒドロフランおよびN−メチルピロリジノンなどの複素環 化合物;およびジエチルエーテル、ビス−メトキシメチルエーテルなどのエーテル類などがあるが、これらに限定されるものではない。そのような化合物は当業者には公知であり、個々の溶媒またはそれらの混合物が例えば試薬の溶解度、試薬の反応性および好ましい温度範囲などの要素に応じて、具体的な化合物および反応条件に好ましいものとなり得ることは当業者には明らかであろう。非プロトン性溶媒に関する詳細については、有機化学の教科書や専門の研究書(例えば、Organic Solvents Physical Properties and Methods of Purification, 4th ed., edited by John A. Riddick et al., Vol. II, in the Techniques of Chemistry Series, John Wiley & Sons, N. Y., 1986)に記載されている。
【0095】
本明細書で使用される場合に「プロトン性有機溶媒」という用語は、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール等のプロトンを提供する傾向を有する溶媒を指す。そのような溶媒は当業者には公知であり、個々の溶媒またはそれらの混合物が例えば試薬の溶解度、試薬の反応性および好ましい温度範囲などの要素に応じて、具体的な化合物および反応条件に好ましいものとなり得ることは当業者には明らかであろう。プロトン性溶媒に関する詳細については、有機化学の教科書や専門の研究書(例えば、Organic Solvents Physical Properties and Methods of Purification, 4th ed., edited by John A. Riddick et al., Vol. II, in the Techniques of Chemistry Series, John Wiley & Sons, N. Y., 1986)に記載されている。
【0096】
本明細書で使用される場合に「有効量」という用語は、治療を受ける被験者に対して治療効果を与える化合物の量を指す。治療効果は、客観的(すなわち、何らかの試験またはマーカーによって測定可能)であったり、主観的(すなわち、被験者が効果を表示したり、効果を感じる。)であったりする。上記で記載の化合物の有効量は、約0.1mg/kg〜約500mg/kg体重、好ましくは約1〜約50mg/kg体重の範囲であることができる。効果的な用量も、投与経路ならびに他薬剤との共同使用の可能性に応じて変動するものである。
【0097】
本発明によって想到される置換基および変数の組み合わせは、安定な化合物が形成されることになるもののみである。本明細書で使用される場合に「安定な」という用語は、製造が可能になるだけの安定性を有し、本明細書に詳細に記載の目的において有用となるだけの期間にわたって化合物の完全性を維持する(例えば、被験者に対する治療的もしくは予防的投与)化合物を指す。
【0098】
合成された化合物は、反応混合物から分離することができ、さらにはカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーまたは再結晶などの方法によって精製することができる。当業者には理解できるように、本明細書の式の化合物のさらに別の合成方法が、当業者には明らかである。さらに、別の配置または順序で各種合成段階を行って、所望の化合物を得ることが可能である。本明細書に記載の化合物を合成する上で有用な合成化学変換および保護基の方法(保護および脱保護)は当業界では公知であり、それには例えばラロックの著作(R. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989));グリーンらの著作(T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 2d. Ed., John Wiley and Sons (1991));フィーザーらの著作(L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser′s Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994));およびパケットの編著(L. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995))ならびにこれらのその後の版に記載のものなどがある。
【0099】
本明細書で使用される場合に「被験者」という用語は動物を指す。好ましくは、その動物は哺乳動物である。より好ましくはその哺乳動物はヒトである。被験者は、例えばイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット、魚、鳥なども指す。本発明の化合物は、適切な官能基を懸垂させることで修飾することによって、選択的な生物学的特性を強化することができる。そのような修飾は当業界では公知であり、所定の生体系(例:血液、リンパ系、中枢神経系)への生体浸透を増加させるもの、経口利用能を高めるもの、溶解度を高めて注射による投与を可能とするもの、代謝を変えるもの、および排泄速度を変えるものなどがあり得る。
【0100】
本明細書に記載の化合物は2以上の不斉中心を有することから、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび他の立体異性体型を生じるものであり、それらは絶対立体化学に関して、アミノ酸について(R)−もしくは(S)−、または(D)−もしくは(L)−と定義することができる。本発明は、そのような可能な全ての異性体、ならびにそれらのラセミ体および光学的に純粋な形を含むものである。光学異性体は、上記の手順によって、またはラセミ混合物の分割によって、それらの個々の光学活性前駆体から製造することができる。その分割は、分割剤の存在下に、クロマトグラフィーによって、または繰り返し結晶化によって、または当業者には公知であるこれらの方法の何らかの組み合わせによって行うことができる。分割に関するさらなる詳細に関しては、ジャックらの著作(Jacques, et al., Enantiomers, Racemates, and Resolutions (John Wiley & Sons,1981))に記載されている。本明細書に記載の化合物がオレフィン系二重結合その他の幾何不斉の中心を有し、別段の断りがない場合は、前記化合物は、EおよびZの両方の幾何異性体を含むものである。同様に、全ての互変異体も包含されるものである。本明細書にある炭素−炭素二重結合の立体配置は、簡便さのみを目的として選択されているものであって、本文に記載がない限りは特定の立体配置を指定するものではない。従って、本明細書において任意にトランスとして描かれている炭素−炭素二重結合は、シス、トランスまたは何らかの割合でのそれら2種類の混在であることができる。
【0101】
本明細書で使用される場合に「製薬上許容される塩」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを起こさずにヒトおよびそれより下等な動物の組織と接触しての使用に好適であり、妥当な利益/危険比を与える塩を指す。製薬上許容される塩は当業界では公知である。例えば、バージら(S. M. Berge, et al.)は、製薬上許容される塩について詳細に記載している(J. Pharmaceutical Sciences, 66: 1-19 (1977);参照によって本明細書に組み込まれる。)。それらの塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製時にin situで製造することができるか、別個に有機塩基官能基を好適な有機酸と反応させることで製造することができる。製薬上許容される無毒性の酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸で、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸で形成される、またはイオン交換などの当業界で用いられる他の方法を用いることで形成されるアミノ基の塩がある。他の製薬上許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などがある。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどがある。さらに別の製薬上許容される塩には、適切である場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、スルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成される無毒性のアンモニウム、4級アンモニウムおよびアミンカチオンなどがある。
【0102】
本明細書で使用される場合、本明細書に記載の式の化合物を含む本発明の化合物は、それらの製薬上許容される誘導体またはプロドラッグを含むものと定義される。「製薬上許容される誘導体またはプロドラッグ」とは、被投与者に投与した時に、本発明の化合物を提供(直接または間接的に)する能力を有する本発明の化合物の製薬上許容される塩、エステル、エステルの塩その他の誘導体を意味する。
【0103】
本発明の組成物が本明細書に記載の式の化合物および1以上の別の治療薬もしくは予防薬を含む場合、その化合物と別の薬剤の両方が、単独療法で通常投与される用量の約1〜100%、より好ましくは約5〜95%の用量レベルで存在しなければならない。前記別の薬剤は、多剤投与法の一環として、本発明の化合物とは別個に投与することができる。あるいはそれらの薬剤は、単一組成物中に本発明の化合物と混合して、単一製剤の一部であっても良い。
【0104】
本明細書で使用される場合、別段の断りがない限り、「細菌感染」または「原虫感染」という用語は、哺乳動物、魚および鳥で起こる細菌感染および原虫感染、ならびに本発明の化合物などの抗生物質を投与することで治療もしくは予防可能な細菌感染および原虫感染に関係する障害を含むものである。そのような細菌感染および原虫感染ならびにそのような感染に関連する障害には、肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌、カタラリス菌、黄色ブドウ球菌もしくはペプトストレプトコッカス種による感染に関連する肺炎、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、扁桃炎および乳様突起炎;化膿連鎖球菌、C群およびG群連鎖球菌、クロストリジウム・ジフテリアエ(Clostridium diptheriae)またはアクチノバチルス・ヘモリチクム(Actinobacillus haemolyticum)による感染に関連する咽頭炎、リウマチ熱および糸球体腎炎;肺炎マイコプラズマ、レジオネラ・ニューモフィラ、肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌もしくはクラミジア肺炎菌による感染に関連する気道感染;黄色ブドウ球菌、コアグラーゼ陽性ブドウ球菌(すなわち、表皮ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌など)、化膿連鎖球菌、ストレプトコッカス・アガラクティエ、C〜F群連鎖球菌(微小コロニー連鎖球菌)、緑色レンサ球菌、コリネバクテリウム・ミヌチッシマム(Corynebacterium minutissimum)、クロストリジウム種もしくはバルトネラ・ヘンセラエ(Bartonella henselae)による感染に関連する合併症のない皮膚および軟部組織感染、膿瘍および骨髄炎および産褥熱;腐生ブドウ球菌または腸球菌種による感染に関連する合併症のない急性尿路感染;尿道炎および子宮頸管炎;およびトラコーマ病原体、軟性下疳菌、梅毒トレポネーマ、ウレアプラズマ・ウレアリティカムもしくは淋菌による感染に関連する性感染症;黄色ブドウ球菌(食中毒および毒素性ショック症候群)または A群、S群およびC群連鎖球菌による感染に関連する毒物疾患;ピロリ菌による感染に関連する潰瘍;回帰熱ボレリアによる感染に関連する全身発熱症候群;ボレリア・ブルグドルフェリによる感染に関連するライム病;トラコーマ病原体、淋菌、黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖球菌、化膿連鎖球菌、インフルエンザ菌もしくはリステリア種による感染に関連する結膜炎、角膜炎および涙嚢炎;トリ型結核菌もしくはミコバクテリウム・イントラセルラレによる感染に関連する播種性トリ型結核菌(MAC)疾患;カンピロバクター・ジェジュニによる感染に関連する胃腸炎;クリプトスポリジウム種による感染に関連する腸内原虫類;緑色連鎖球菌による感染に関連する歯性感染; 百日咳菌による感染に関連する持続性咳;ウェルシュ菌またはバクテロイデス種による感染に関連するガス壊疸;およびピロリ菌またはクラミジア肺炎菌による感染に関連するアテローム性動脈硬化などがある。
【0105】
動物において治療または予防可能である細菌感染および原虫感染ならびにそのような感染に関連する障害には、パスツレラ・ヘモリチカ(P. haem.)、パスツレラ・マルトシダ(P. multocida)、マイコプラズマ・ボビス(Mycoplasma bovis)またはボルデテラ種による感染に関連するウシ呼吸器疾患;大腸菌または原虫(すなわちコクシジウム類、クリプトスポリジウムなど)による感染に関連するウシ腸管疾患;黄色ブドウ球菌、ストレプトコッカス・ウベリス(Strep. uberis)、ストレプトコッカス・アガラクティエ、ストレプトコッカス・ディスガラクティエ、クレブシエラ種、コリネバクテリウム種もしくは腸球菌種による感染に関連する乳牛乳腺炎;アクチノバチルス・プリューロニューモニア(A. pleur.)、パスツレラ・マルトシダ、パスツレラ・マルトシダまたはマイコプラズマ種による感染に関連するブタ呼吸器疾患;大腸菌、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)、サルモネラまたはセルプリナ・ヒオジイスインテリアエ(Serpulina hyodyisinteriae)による感染に関連するブタ腸管疾患;フゾバクテリウム種による感染に関連するウシ腐蹄症;大腸菌による感染に関連するウシ子宮筋層炎;壊死桿菌またはバクテロイデス・ノドサス(Bacteroides nodosus)による感染に関連するウシ毛状いぼ(cow hairy warts);モラキセラ・ボビス(Moraxella bovis)による感染に関連するウシ伝染性結膜炎;原虫(すなわち、ネオスポリウム(neosporium))による感染に関連するウシ早流産 ;大腸菌による感染に関連するイヌおよびネコでの尿路感染;表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス・インテルメディウス(Staph. interrmedius)、コアグラーゼ陰性スタフィロコッカスおよびパスツレラ・マルトシダによる感染に関連するイヌおよびネコでの皮膚および軟組織感染;およびアルカリゲネス種、バクテロイデス種、クロストリジウム種、エンテロバクター種、真正細菌、ペプトストレプトコッカス、ポルフィロモナス(Porphfyromonas)またはプレボテラによる感染に関連するイヌおよびヤギ(oat)での歯もしくは口感染などがある。本発明の方法に従って治療または予防可能である他の細菌感染および原虫感染ならびにそのような感染に関連する障害については、サンフォードらの著作(J. P. Sanford at al., ″The Sanford Guide To Antimicrobial Therapy,″ 26th Edition, (Antimicrobial Therapy, Inc., 1996)を参照する。
【0106】
抗菌活性
本発明の化合物が臨床的病原体の代表的な細菌(例:肺炎連鎖球菌、化膿連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌など)の増殖を阻害する能力は代表的には、37℃または対象とする病原体の増殖に至適な別の温度でインキュベートした肉汁中の約1×10〜1×10cfu/mLの終夜培養物の増殖を阻害する上で必要な化合物濃度である化合物の最小阻害濃度(MIC)を測定することで求められる。その化合物は例えば、適切な希釈剤に溶解させ、一連の無菌肉汁管またはマイクロタイタープレート中で、培地中での増殖阻害を示さないレベルまで2倍希釈することで、細菌の増殖または増殖阻害を肉眼で検出できるようにすることができる。MICは、化合物処理も病原体接種も行っていない培地と比較した場合の、細菌増殖を阻害する化合物の最低濃度である。
【0107】
例として、下記の方法によって、本発明の化合物についてイン・ビトロでの抗菌活性を調べることができる。MICは、観察される細菌分離株用の適切なミューラーヒントン肉汁培地(CAMHB)を用いて、96ウェルマイクロタイタープレートで求めることができる。抗微生物剤は、bMSOで連続希釈して(2倍希釈)、濃度範囲を約64μg/mL〜約0.03μg/mLとすることができる。次に、希釈した化合物(2μL/ウェル)を、96固定先端ピペット注入ステーションを用いることで無菌の未接種CAMHB(0.2mL)に移すことができる。各細菌株の接種物は、0.5マクファーランド(McFarland)濁度標準との光学的比較によって、5×10CFU/mLに対して標準化することができる。次に、プレートに調整細菌接種物10μL/ウェルを接種することができる。次に、96ウェルプレートを覆い、環境空気雰囲気にて好適な温度(例:35±2℃)で好適な時間にわたり(例:24時間)インキュベートすることができる。インキュベーション後、プレートのウェルを、増殖の有無(濁度)についての光学密度測定によって肉眼で調べることができ、その場合に肉眼で観察できる増殖が起こらない抗細菌剤の濃度をMICと定義する。
【0108】
タンパク質合成などの巨大分子のイン・ビトロでの転写/翻訳の測定を可能とする反応混合物を用いて、本発明の化合物が細菌におけるタンパク質合成を阻害する能力についての生化学的評価を行うことができる。その反応混合物は代表的には、イン・ビトロで合成されるルシフェラーゼレポーター系をコードする外因的に付加された環状DNAを有する。S30抽出物は、イン・ビトロの組み合わせ転写/翻訳反応でルシフェラーゼを合成するための全ての成分を含む。タンパク質合成が化合物によって阻害される反応では、ルシフェラーゼ生成が阻害される。測定プロトコールでは代表的には、S30転写・翻訳アッセイから取り、ルシフェリンの存在下にインキュベートした少量サンプルを用いる。ルシフェラーゼの存在下にルシフェリンは、相対光単位(rlu)を産生する。タンパク質合成の阻害のためにルシフェラーゼ酵素が少ないと、産生されるrluが少ない。ルシフェラーゼによる光産生は、光度計で測定する。そのような反応混合物は、プロメガ(Promega)から入手可能な環状DNA用大腸菌S30抽出物系などのキットとして市販されている。市販のキット販売業者によって提供されるプロトコールに従って、化合物のタンパク質合成阻害性を定量して、対照のタンパク質合成阻害薬(すなわち、クロラムフェニコールまたはテトラサイクリン)を基準とする50%阻害(IC50)を測定することができる。
【0109】
本発明の化合物による細菌での特異的巨大分子(例:DNA、RNAおよびタンパク質)の阻害を、細菌(例:ブドウ球菌、肺炎球菌または桿菌)における不溶性巨大分子(すなわち、DNA、RNA、タンパク質)の放射能標識前駆体の組み込みレベルを測定することで、増殖する細菌全体でin situで求めることができる。増殖する細菌中への放射能標識前駆体の組み込みは代表的には、イン・ビトロでの光学密度によって測定される細菌の指数関数的増殖に従う。チミジン、ウラシルおよびメチオニン(それぞれ、DNA、RNAおよびタンパク質合成用)の放射性ヌクレオチドを加えての、増殖細菌培養物に添加された化合物の付加を、細菌への前記不溶物への特異的標識の組み込みを検出することで測定することができる。化合物を含まない対照と比較した増殖のIC50を測定することで、または細菌のMIC、MICより下およびMICより上の化合物希釈液を用いることで、定量を行うことができる。特異的巨大分子に適合する特異的標識の組み込み速度によって、化合物の作用機序に関連する巨大分子の経時的阻害を測定することが可能になる。例えば、放射能標識巨大分子前駆体の組み込みを測定することで、本発明の化合物のようなタンパク質合成阻害薬と推定される物質の阻害活性の測定を増殖培地でイン・ビトロにて観察して、RNAまたはDNAを示す標識の組み込みと比較したタンパク質合成の一時的かつ選択的阻害(H−メチオニン組み込みによって検出されるもの)を求めることができる。
【0110】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、1以上の製薬上許容される担体または賦形剤とともに製剤される治療上または予防上有効量の本発明化合物を含む。
【0111】
本明細書で使用される場合、「製薬上許容される担体または賦形剤」という用語は、無毒性で不活性な固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、封入材料またはあらゆる種類の製剤補助剤を意味する。製薬上許容される担体として役立ち得る材料の例をいくつか挙げると、乳糖、グルコースおよびショ糖などの糖類;コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン類;ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびそれの誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバターおよび坐剤ロウなどの賦形剤;落花生油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などのオイル類;プロピレングリコールなどのグリコール類;オレイン酸エチルおよびラウリル酸エチルなどのエステル類;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張性生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の無毒性の適合性潤滑剤があり、そして着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および芳香剤、保存剤および酸化防止剤も、製剤者の判断に従って組成物中に存在させることができる。
【0112】
本発明の医薬組成物は、経口投与、非経口投与、吸入噴霧剤による投与、局所投与、直腸投与、経鼻投与、口腔投与、膣投与または埋込貯留物を介した投与することができ、好ましくは経口投与または注射による投与を行うことができる。本発明の医薬組成物は、従来の無毒性で製薬上許容される担体、補助剤または媒体を含むことができる。場合によっては、製薬上許容される酸、塩基または緩衝剤を用いて製剤のpHを調節して、製剤した化合物またはそれの送達型の安定性を高めることができる。本明細書で使用される場合の非経口という用語は、皮下、皮内、静脈、筋肉、関節内、動脈、滑液包内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内および頭蓋内の注射または注入法を含むものである。
【0113】
経口投与用の液体製剤には、製薬上許容される乳濁液、微細乳濁液、液剤、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤などがある。活性化合物に加えて、液体製剤は、例えば水またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル類(特には、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセリン、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール類およびソルビタンの脂肪酸エステルならびにこれらの混合物などの他の溶媒、可溶化剤および乳化剤のような当業界で一般に使用されている不活性希釈剤を含むことができる。不活性希釈剤以外に、経口組成物は、湿展剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤および芳香剤などの補助剤を含むこともできる。
【0114】
注射製剤、例えば無菌注射用水系もしくは油系懸濁液は、好適な分散剤もしくは湿展剤および懸濁剤を用いて公知の技術に従って製剤することができる。無菌注射製剤は、無毒性で非経口的に許容される希釈剤もしくは溶媒中の無菌注射用溶液、懸濁液もしくは乳濁液であることもでき、例えば1,3−ブタンジオール溶液として用いる。使用可能な許容される媒体および溶媒の中には、水、リンゲル液U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の固定油を、溶媒または懸濁媒体として従来のように用いる。それに関しては、いずれの商品の固定油も使用可能であり、合成のモノまたはジグリセリドなどがある。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を、注射剤の調製で用いる。
【0115】
注射製剤は、例えば細菌保持フィルターによる濾過によって、または使用前に無菌水その他の無菌注射媒体に溶解もしくは分散させることができる無菌の固体組成物の形で滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。
【0116】
薬剤の効果を延長するために、皮下注射または筋肉注射からの薬剤吸収を遅らせることが望ましい場合が多い。それは、水溶解度が低い結晶材料または非晶質材料の懸濁液を用いることで行うことができる。薬剤の吸収速度は、それの溶解速度によって決まり、それは結晶の大きさおよび結晶形態によって決まる。あるいは、非経口投与される剤型の遅延吸収は、オイル媒体中に薬剤を溶解または懸濁させることで行われる。注射デポー剤は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生体分解性ポリマー中の薬剤のマイクロカプセルマトリクスを形成することによって作られる。薬剤/ポリマー比および使用される特定のポリマーの性質に応じて、薬剤放出速度を制御することができる。他の生体分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)類およびポリ(無水物)などがある。デポー注射製剤は、身体組織と適合性であるリポソームまたは微細乳濁液中に薬剤を捕捉することによっても製造される。
【0117】
直腸投与または膣投与用の組成物は好ましくは坐剤であり、それの製造は、室温で固体であるが体温で液体であることから、直腸または膣腔で溶融して活性化合物を放出するカカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ロウなどの好適な非刺激性の賦形剤もしくは担体と本発明の化合物を混和することによって行うことができる。
【0118】
経口投与用の固体製剤には、カプセル、錠剤、丸薬、粉剤および粒剤などがある。そのような固体製剤では、活性化合物をクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムおよび/またはa)デンプン類、乳糖、ショ糖、グルコース、マニトールおよびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、ショ糖およびアカシアなどの結合剤、c)グリセリンなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶液遅延剤、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセリンなどの湿展剤、h)カオリンおよびベントナイトクレーなどの吸収剤およびi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール類、ラウリル硫酸ナトリウムおよびこれらの混合物などの潤滑剤のような少なくとも1種類の不活性で製薬上許容される賦形剤または担体と混合する。カプセル、錠剤および丸薬の場合、製剤は緩衝剤を含むこともできる。
【0119】
同様の種類の固体組成物を、ラクトースもしくは乳糖などの賦形剤ならびに高分子量ポリエチレングリコール類等を用いて軟および硬充填ゼラチンカプセル中の充填剤として用いることもできる。
【0120】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬および粒剤という固体製剤は、医薬製剤業界で公知の腸溶コーティングおよび他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて製造することができる。それらは、乳白剤を含むことができ、それらが適宜に遅延的に、腸管の一定の部分のみまたはそこで優先的に放出する組成物とすることもできる。使用可能な包埋組成物の例には、ポリマー物質およびロウ類などがある。
【0121】
本発明の化合物の局所投与または経皮投与用の製剤には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉剤、液剤、噴霧剤、吸入剤または貼付剤などがある。活性成分は、製薬上許容される担体および要求がある場合に必要な保存剤もしくは緩衝剤と無菌条件下で混合する。眼科製剤、点耳液、眼球軟膏、粉剤および液剤も、本発明の範囲に含まれることが想到される。
【0122】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルには、本発明の活性化合物に加えて、動物および植物脂肪、オイル類、ロウ類、パラフィン類、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール類、シリコーン類、ベントナイト類、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛またはそれらの混合物などの賦形剤を含むことができる。粉剤および噴霧剤は、本発明の化合物に加えて、乳糖、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれら物質の混合物などの賦形剤を含むことができる。噴霧剤はさらに、クロロフルオロハイドロカーボンなどの一般的な推進剤を含むこともできる。
【0123】
経皮貼付剤は、身体への化合物の徐放を提供するという別の利点を有する。そのような」製剤は、適切な媒体に化合物を溶解または分配することで製造することができる。吸収促進剤を用いて、皮膚を通過する化合物の流れを増加させることもできる。その速度は、速度制御膜を提供するか、ポリマー基質もしくはゲル中に化合物を分散させることで制御することができる。
【0124】
本発明の治療方法によれば、細菌感染は、所望の結果を達成する上で必要な量および時間で、治療上もしくは予防上有効量の本発明の化合物を患者に投与することによって、ヒトその他の動物などの患者において治療または予防される。
【0125】
本発明の化合物の「治療上有効量」とは、医学的治療に適用可能な妥当な利益/危険比で、化合物の細菌感染を治療する上で十分な量を意味する。本発明の化合物の「予防上有効量」とは、疾患または状態の予防を行う上で十分な量を意味する。しかしながら、本発明の化合物および組成物の総1日使用量は、妥当な医学的判断の範囲内で担当医が決定するものであることは明らかであろう。特手の患者に関しての具体的な治療上または予防上有効な用量レベルは、治療対象の障害およびその障害の重度;使用される具体的な化合物の活性;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別および食事;使用される具体的な化合物の投与時刻、投与経路および排泄速度;治療期間;使用される具体的な化合物と併用または同時投与される薬剤;および医学分野で公知の同様の要素などの各種要素によって決まる。
【0126】
単回または分割投与でヒトその他の動物に投与される本発明の化合物の総1日用量は、例えば0.01〜50mg/kg体重、またはより普通には0.1〜25mg/kg体重の量とすることができる。単一用量組成物は、そのような量または1日用量を構成するそれの約数量を含むことができる。概して本発明による治療法は、単回投与または複数回投与で、本発明の化合物約10mg〜約1000mgを、そのような治療を必要とする患者に対して投与する段階を有する。
【0127】
本明細書に記載の式の化合物は、約0.5〜約100mg/kg体重の範囲の用量で、あるいは1mg〜1000mg/用量の用量で、4〜120時間ごとに、または特定の薬剤の必要条件に応じて、例えば注射、静脈投与、動脈投与、皮下投与、腹腔内投与、筋肉投与または皮下投与;または経口投与、口腔投与、経鼻投与、経粘膜投与、局所投与、眼科製剤投与、または吸入投与することができる。本明細書における方法は、有効量の化合物または化合物組成物を投与して所望または記載の効果を得ることを想到するものである。代表的には、本発明の医薬組成物は、1日約1〜約6回、あるいは連続注入として投与される。そのような投与は、慢性もしくは急性療法として用いることができる。単一製剤を製造するのに担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、治療対象の宿主および特定の投与形態に応じて変動するものである。代表的な製剤は、約5%〜約95%の活性化合物(重量基準)を含む。あるいはそのような製剤は、約20%〜約80%の活性化合物を含むことができる。
【0128】
上記のものより低いまたは高い用量が必要な場合がある。特定の患者における具体的な用量および治療法は、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時刻、排泄速度、併用薬剤、疾患の重度および経過、状態もしくは症状、その疾患、状態もしくは症状に対する患者の素因、および治療担当医の判断などの各種要素によって決まる。
【0129】
患者の状態が改善したら、必要に応じて、本発明の化合物、組成物または組み合わせの維持用量を投与することができる。その後、症状の関数として、投与の用量もしくは回数またはその両方を、症状が改善されて所望のレベルに達した場合に、改善された状態が保持されるレベルまで低下させることができる。しかしながら患者は、疾患症状の再発時に長期的に間歇的な治療を必要とする場合がある。
【0130】
本発明の医薬組成物は、前記医薬組成物を魚飼料に混合することで魚に経口投与することができるか、前記医薬組成物を、感染した魚の入った水に溶かすことができ、それは薬浴と一般に称されるものである。魚を治療する上での用量は、投与の目的(疾患の予防または治癒)ならびに投与の種類、治療を受ける魚の大きさおよび感染程度に応じて異なるものである。概して、5〜1000mg、好ましくは20〜100mg/kg魚体重という用量を、1回または数回に分けて1日に投与することができる。上記に具体的に示した用量は一般的な範囲であって、それは魚の年齢、体重、疾患状態などに応じて低下させたり増加させることができることは明らかであろう。
【0131】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、一般に当業者に公知の意味に一致するものである。本明細書で言及される全ての刊行物、特許、公開特許請求および他の参照資料は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0132】
略称
下記の合成図式および実施例に記載の略称には、Ac:アセチル;AIBN:アゾビスブチロニトリル;Boc;tert−ブトキシカルボニル;BuSnH:水素化トリブチルスズ;Bz:ベンジル;CDI:カルボニルジイミダゾール;dba:ジベンジリデンアセトン;DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン;DEAD:ジエチルアゾジカルボキシレート;デス−マーチンペルヨージナン:1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンゾヨードオキソール−3−(1H)−オン;DMAP:ジメチルアミノピリジン;DMF:ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;DPPA:ジフェニルホスホリルアジド;dppb:ジフェニルホスフィノブタン;EtOAc:酢酸エチル;iPrOH:イソプロパノール;NaHMDS:ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド;NMO:N−メチルモルホリンN−オキサイド;MeOH:メタノール;MOM:メトキシメチル;PDC:ジクロム酸ピリジニウム;Ph:フェニル;POPd:2水素・2クロロ・ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ−κP)パラジウム酸(II);pTSA:無水p−トルエンスルホン酸;TBAHS:硫酸水素テトラブチルアンモニウム;TBS:tert−ブチルジメチルシリル;TEA:トリエチルアミン;THF:テトラヒドロフラン;TMS:トリメチルシリル;TPAP:過ルテニウム酸テトラ−n−プロピルアンモニウム;TPP:トリフェニルホスフィン;およびTris:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどがある。
【0133】
合成方法
本発明の化合物を製造できる方法を示した下記の合成図式を参照することで、本発明の化合物および方法についての理解が深まるであろう。
【0134】
式Iによって表される化合物の製造のための好ましい中間体は、下記式Iaによって表される化合物である。
【0135】
【化73】

式中、
1)Rは、
a.水素、
b.−CHO(CHOCH
c.−CHO(CHO)CH(nは前記で定義の通りである。)、
d.アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択される1以上の置換基で置換されていても良い−C〜C12アルキル、
e.−C〜C12シクロアルキル、
f.−C(O)−C〜C12アルキル、
g.−C(O)−C〜C12シクロアルキル、
h.−C(O)−R(Rは前記で定義の通りである。)、または
i.−Si(R)(R)(R)(R、RおよびRはそれぞれ独立にC〜C12アルキル、アリールおよび置換アリールから選択される。)
であり;
2)RおよびRは前記で定義の通りである。
【0136】
式Iによって表される化合物の製造のための第2の好ましい中間体は、下記式Ibによって表される化合物である。
【0137】
【化74】

式中、Rは前記で定義の通りである。
【0138】
【化75】


【0139】
図式1には、式(1−3)の化合物を好適なアルキル化剤と反応させることで式(1−5)の化合物を製造する本発明の方法を示してある。図式1によれば、エリスロマイシンの9−ケト基を、US4990602に記載の方法によってオキシムに変換することができる。(Z−オキシムの特許参考文献が必要)に記載の方法に従って、エリスロマイシンのE−オキシム(1−1)を、エリスロマイシンZ−オキシム(1−2)に変換する。この変換の次に、エリスロマイシン誘導体の2′−および4″−ヒドロキシルと所望に応じてオキシム基の保護を行って、式(1−3)の化合物を得る。保護エリスロマイシンの製造については、US4990602;US4331803;US4680386;US4670549;およびEP260938にも記載されている。
【0140】
2′−および4″−ヒドロキシルは、非プロトン性溶媒中での好適なヒドロキシル保護試薬との反応によって保護する。代表的なヒドロキシル保護試薬には、アセチル化剤、シリル化剤、酸無水物などがあるが、これらに限定されるものではない。ヒドロキシル保護試薬の例には、例えばアセチルクロライド、無水酢酸、塩化ベンゾイル、無水安息香酸、クロルギ酸ベンジル、ヘキサメチルジシラザンおよびトリアルキルシリルクロライド類がある。
【0141】
非プロトン性溶媒の例には、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、これらの混合物またはエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエタン、アセトニトリル、酢酸エチル、アセトンなどとこれら溶媒のいずれかとの混合物がある。非プロトン性溶媒は、反応に悪影響を与えないものである。好ましくはその溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリジノンおよびこれらに混合物から選択される。ヒドロキシル基の保護のための溶媒および条件についてのさらに詳細な説明は、グリーンらの著作(T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Son, Inc., 1999)にある。
【0142】
2′−および4″−ヒドロキシル基の保護を順次または同時に行って、Rおよび/またはRが例えばアセチル、ベンゾイル、トリメチルシリルなどであることができる化合物(1−3)を得ることができる。好ましい保護基には、アセチル、ベンゾイルおよびトリメチルシリルなどがある。ヒドロキシル基およびオキシム基を保護する上で特に好ましい基は、アセチル保護基であり、R=R=R=Acである。
【0143】
ヒドロキシル基のアセチル化は代表的には、例えば無水酢酸または塩化アセチルなどのアセチル化試薬で化合物(1−2)を処理することで行う。
【0144】
次に、式(1−3)のエリスロマイシン誘導体を、式R12−OC(O)O−CH[C=CHR11]CH−OC(O)−OR12(1−4)(R12はC〜C12アルキルであり、R11は前記で定義の通りである。)のアルキル化剤と反応させる。
【0145】
ほとんどのパラジウム(0)触媒がこの方法では使用可能であると予想される。ホスフィンの作用によってin situでパラジウム(0)種に変換される酢酸パラジウム(II)などの一部のパラジウム(II)触媒も使えるであろう。例えばベラーらの報告(Beller et al. Angew. Chem. Int Ed. Engl., 1995, 34 (17), 1848)を参照する。パラジウム触媒は、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、テトラジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどから選択することができるが、これらに限定されるものではない。パラジウム/炭素およびパラジウム(II)ハライド触媒は、この方法においては他のパラジウム触媒ほど好ましくない。好適なホスフィンには、トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、トリ−o−トリル−ホスフィンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0146】
反応は、好ましくは高温、好ましくは50℃以上で非プロトン性溶媒中で行うことができる。好適な非プロトン性溶媒には、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,2−ジメトキシエタン、メチル−tert−ブチルエーテル、ヘプタン、アセトニトリル、酢酸イソプロピルおよび酢酸エチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。最も好ましい溶媒はテトラヒドロフランまたはトルエンである。
【0147】
一般に、アルキル化剤は、前記の式(1−4)を有する。好ましいアルキル化剤は、R12がtert−ブチル、イソプロピルまたはイソブチルであるものである。そのアルキル化試薬は、ジカーボネート部分を取り込むための非常の多様な化合物とジオールの反応によって製造することができる。その化合物には、クロルギ酸tert−ブチル、ジ−tert−ブチルジカーボネートおよび1−(tert−ブトキシカルボニル)イミダゾールなどがあるがこれらに限定されるものではなく、その反応は有機塩基もしくは無機塩基の存在下に行うことができる。反応温度は、約−30℃〜約30℃で変動し得る。好ましくはアルキル化試薬は、ジ−tert−ブチルジカーボネートである。
【0148】
前記アルコールをカーボネートに変換する別途方法では、アルコールをホスゲンまたは取りホスゲンで処理して、ジオールのクロルギ酸誘導体を製造する。次に、得られたジクロルギ酸誘導体は、コタルカらの報告(Cotarca, L., Delogu, P., Nardelli, A., Sunijic, V, Synthesis, 1996, 553)に記載の方法によってジカーボネートに変換することができる。その反応は、塩基の存在下に塩化メチレン、トルエン、ジエチルエーテル、酢酸エチルおよびクロロホルムなどの多様な有機溶媒中で行うことができる。好適な塩基の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、DMAP、ピリジン、トリエチルアミンなどがあるが、これらに限定されるものではない。温度は、約0℃〜約60℃で変動させ得る。反応時間は、反応の規模、使用する条件および試薬の選択(例:溶媒および塩基)に応じて広い範囲で変動し得るが、代表的にはその反応は、約3〜約5時間で進行して完了すると予想される。
【0149】
【化76】


【0150】
図式1−Aは図式1に類似している。それは、式(1−3a)の化合物を好適なアルキル化剤と反応させることで、式(1−5a)の化合物を製造する方法を示したものである。式(1−1a)、(1−2a)および(1−3a)の化合物は、これら化合物における4″−ヒドロキシルおよび4″保護ヒドロキシルがアミノおよび保護アミノで置き換わっており、4″の立体化学が反転している以外は、それぞれ式(1−1)、(1−2)および(1−3)の化合物と同じである。EryAからの式(1−1a)の化合物の製造において(1−1)の製造についての化学と異なる化学を用い、(1−2a)から(1−3a)を得るのにヒドロキシル保護段階に加えてアミノ保護段階が必要であること以外は、図式1について上記で記載した化学の説明が図式1−Aにも当てはまる。
【0151】
アミノ基は、好適な溶媒中にて好適なアミン保護試薬との反応によって保護することができる。代表的なアミン保護試薬には、アシル化剤、スルホニル化剤、ホスホニル化剤、無水物などがあるが、これらに限定されるものではない。アシル化剤で処理するとカーバメート保護基が形成され、スルホニル化剤ではスルホンアミドが得られ、ホスホニル化剤ではホスホルアミデートまたはホスフィンアミドが得られ、無水物ではカーバメートが得られる。好適なアミン保護試薬には、(C1−6アルキルオキシ)カルボニルハライド(Bocハライド)、ジ−tert−ブチルカーボネート、ジ−アリルカーボネート、ジベンジルカーボネート、ベンジルオキシカルボニルハライド(CBZハライド)、アリルオキシカルボニルハライド(ALLOCハライド)、ジフェニルホスフィニルハライド、ジ−(C1−3アルキル)ホスフィノハライド、ジフェニルホスホノハライドおよびジベンジルホスホノハライドなどがあるが、これらに限定されるものではない。この種類のアミン保護剤の代表例は、PhP(=O)Cl、(i−PrO)P(=O)Cl、(t−BuO)P(=O)Cl、(BnO)P(=O)Cl、BOC−Cl、CBZ−Cl、(CBZ)O、(ALLOC)O、クロルギ酸アリルおよび(BOC)Oである。特に好適なアミン保護剤は、BOC−ハライドおよび(BOC)Oから選択される。
【0152】
アミン保護段階に好適な溶媒には、脂肪族および脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、アルコール類、エステル類、エーテル類およびニトリル類などがあるが、これらに限定されるものではない。溶媒の例には、ヘキサン(純粋なものおよび混合異性体)、シクロヘキサン、シクロヘプタン、トルエン、単一および混合異性体のキシレン、塩化メチレン、DCE、クロロホルム、四塩化炭素、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールおよびイソ−ブタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、THF、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、MTBE、DME、アセトニトリルおよびプロピオニトリルなどがある。
【0153】
アミン保護段階で用いられる温度は好適には、約−20〜約60℃の範囲であり、代表的には約−20〜約50℃(例えば、約−5〜約35℃)の範囲である。
【0154】
アミン基保護のための溶媒および条件についてのさらに詳細な説明は、グリーンらの著作(T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd ed., John Wiley & Son, Inc., 1999)にある。
【0155】
2′−ヒドロキシルおよび4″−アミノの保護は、いずれかの順序で順次行うことができる。次に、式(1−3a)のエリスロマイシン誘導体を、式:R12−OC(O)O−CH[C=CHR11]CH−OC(O)−OR12(1−3)(R12はC〜C12アルキルであり、R11は前記で定義の通りである。)のアルキル化剤と反応させることができる。
【0156】
【化77】

【0157】
本発明の別の方法では、オキシム基の選択的脱保護を行い、式(1−5)の保護Z−オキシムを塩基で処理してE−オキシムへの異性化を起こさずに脱保護(すなわち、保護基Rの脱離)を行う。好適な塩基には、好ましくは有機相として塩化メチレンなどの塩基安定性の溶媒を用いる2相系である水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムなどの水溶液などがある。式(2−1)の9Z−オキシムは、この時点で単離および精製することができる。
【0158】
【化78】

【0159】
がAcである化合物(2−1)は、ベックマン転位によって式(3−1)の化合物に変換することができる。従って、式(2−1)の化合物をオキシム活性化剤で処理し、次にメタノールを加えることで反応停止して、式(3−1)の化合物を得ることができる。代表的なオキシム活性化剤には、適宜にピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、NaHCO、NaCO、KHCOおよびKCOなど(これらに限定されるものではない)の塩基の存在下での、無水p−トルエンスルホン酸、無水メタンスルホン酸、p−トルエンスルホニルクロライド、メタンスルホニルクロライド、p−ブロモスルホニルクロライドなどの無水スルホン酸およびスルホニルハライドなどがあるが、これらに限定されるものではない。ベックマン転位に関するさらなる詳細については、文献(L. G. Donaruma, W. Z. Heldt, Org. React. 11, 1-156 (1960); R. E. Gawley, ibid. 35, 1-420 (1988); C. G. McCarty in The Chemistry of the Carbon-Nitrogen Double Bond, S. Patai, Ed. (Interscience, New York, 1970) pp 408-439; J. R. Hauske, Comp. Org. Syn. 1, 98-100 (1991); K. Maruoka, H. Yamamoto, ibid. 6, 763-775 ; D. Craig, ibid. 7, 689-702; and US 5,985,844.)を参照する。
【0160】
式(3−1)の化合物の式(3−2)の化合物への還元は、適宜にTiCl、COCl、AlCl、メタンスルホン酸もしくは酢酸などの酸の存在下に、ボランのTHF溶液、ボランジメチルスルフィド、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムなど(これらに限定されるものではない)の還元剤で前記化合物を処理することで行うことができる。適用可能な溶媒には、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、イソプロパノール、エタノール、ブタノールアセトニトリル、ジエチルエーテル、塩化メチレン、水およびこれらの混合物から選択されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。反応温度は、約−78℃〜約30℃である。特に好ましい実施形態では、式(2−1)の化合物を、塩化メチレン中にて無水p−トルエンスルホン酸およびトリエチルアミンで処理し、次にメタノールで反応停止して、式(3−1)の化合物を得ることができる。次に、式(3−1)の化合物を、メタノール中NaBHで処理して、式(3−2)の化合物を得ることができる。この還元は、中間体のイミノエーテル(3−1)を単離せずに行って、アザリド(3−2)を直接得ることもできる。
【0161】
式(3−2)の化合物は、塩基の存在下にアルキル化剤Q−X(Xはハロ脱離基である。)で前記化合物を処理することで、式(3−3)の化合物に変換することができる。式(3−2)の化合物を式(3−3)の化合物に変換する別の手段は、酢酸および過剰のNaCNBHの存在下に式(3−2)の化合物をアルデヒドQ−CHOで処理して、式(3−3)の化合物(Qは−CHであり、Rは前記で定義の通りである。)を得るというものである。溶媒の例には、アセトニトリル、ジエチルエーテル、塩化メチレン、クロロホルム、酢酸エチル、THF、ジオキサンまたはこれらの混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。その反応は好適には、約−20℃〜約80℃の温度で約30分〜約18時間で進行する。特に好ましい実施形態では、Q−CHOおよびギ酸を、クロロホルム中約80℃で(3−2)と反応させることができる。
【0162】
アルケン(3−3)のケトン(3−4)への変換は、オゾン分解とそれに続く適切な還元剤によるオゾニドの分解によって行うことができる。その反応は、メタノール、エタノール、酢酸エチル、氷酢酸、クロロホルム、塩化メチレンまたはヘキサンまたはそれらの混合物など(これらに限定されるものではない)の不活性溶媒中で行うことができる。好ましい実施形態では、溶媒はメタノールであり、その変換は約−78℃〜約−20℃の温度で行う。代表的な還元剤には、例えばトリフェニルホスフィン、亜リン酸トリメチル、チオ尿素およびジメチルスルフィドから選択されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。トリフェニルホスフィンが好ましい還元剤である。オゾン分解とそれの条件についてのさらに詳細な議論は、マーチの著作(J. March, Advanced Organic Chemistry, 4th ed., Wiley & Son, Inc, 1992.)にある。あるいは、式(3−4)の化合物は、OsOによるジヒドロキシ化とそれに続くNaIO開裂によって式(3−4)の化合物を得ることで、式(3−3)の化合物から製造することができる。
【0163】
式(3−4)のケトンは、式(3−5)のオキシムに変換することができる。オキシム形成は、各種溶媒中にて酸性もしくは塩基性条件下で適切な置換ヒドロキシルアミンを用いて行うことができる。代表的な酸には、塩酸、リン酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸ピリジニウムから選択されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。同様に、代表的な塩基には、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、2,6−ルチジンなどから選択されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。適切な溶媒には、メタノール、エタノール、水、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンおよび酢酸エチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。その反応は好ましくは、塩基としてトリエチルアミンを用いてエタノール中で行うことができる。反応温度は代表的には約25℃であり、反応時間は代表的には約1〜約12時間である。
【0164】
【化79】

【0165】
式(4−1)の化合物は、アセトンおよび水中にて式(2−1)の化合物をp−トルエンスルホニルクロライドおよびNaHCOで処理することで合成することができる。アルケン(4−1)のケトン(4−2)への変換は、前記の方法に従って行うことができる。式(4−2)のケトンは、前記の方法に従って式(4−3)のオキシムに変換することができる。
【0166】
【化80】

【0167】
本発明の別の方法では、式(4−1)の化合物のクラジノース部分の脱離を行う。マクロリド化合物(4−1)のクラジノース部分は、温和な酸加水分解または酵素的加水分解によって脱離させて、図式5における式(5−1)の化合物を得る。代表的な酸には、希塩酸、硫酸、過ヨウ素酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸またはトリフルオロ酢酸などがあるが、これらに限定されるものではない。その反応に好適な溶媒には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、水およびこれらの混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。反応時間は代表的には、約0.5〜約24時間である。反応温度は好ましくは、約0〜約80℃である。
【0168】
式(5−1)の化合物の式(5−2)の化合物への変換は、デス−マーチンペルヨージナン(デス−マーチン酸化に関するさらなる詳細については、デスらの報告(D. B. Dess, J. C. Martin, J. Org. Chem. 48, 4155 (1983))を参照。)、N−クロロコハク酸イミド−ジメチルスルフィドを用いるコーリー−キム反応(コーリー−キム反応に関するさらなる詳細については、コーリーらの報告(E. J. Corey, C. U. Kim, J. Am.Chem. Soc. 94, 7586 (1972))を参照。)、またはトリフルオロ酢酸ピリジニウム、TPAP、PdCなどの存在下でのカルボジイミド−DMSO錯体を用いるモファット酸化(モファット酸化に関するさらなる詳細については、モファットの報告(J. G. Moffatt,″Sulfoxide-Carbodiimide and Related Oxidations″, Oxidation vol. 2, R. L. Augustine, D. J. Trecker, Eds. (Dekker, New York,1971) pp 1-64;ティッドウェルの報告(T. T. Tidwell, Org. React. 39, 297-572 passim (1990);およびリーの報告(T. V. Lee, Comp. Org. Syn. 7, 291-303 passim (1991))を参照。)を用いる3−ヒドロキシ基の3−オキソ基への酸化によって行うことができる。好ましい実施形態では、式(5−1)の化合物を、約0℃〜約25℃の温度で約0.5〜約4時間にわたって塩化メチレン中にてデス−マーチンペルヨージナンで処理して、式(5−2)の化合物を製造することができる。
【0169】
アルケン(5−2)のケトン(5−3)への変換は、前記の方法に従って行うことができる。式(5−3)のケトンは、前記の方法に従って式(5−4)のオキシムに変換することができる。
【0170】
図式6には、前記の手順を用いてアザリド(3−3)をオキシム(6−5)に変換する方法を示してある。
【0171】
【化81】


【0172】
式(6−4)の本発明による化合物は、各種方法でさらに官能化することができる。図式7には、式(6−4)のケトンを式(7−1)のオキシムに変換する手順を詳細に示してある。式(6−4)のケトンを、還元的アミノ化を介して式(7−5)のアミンに変換することでさらに利用することができる。還元的アミノ化は、還元剤の存在下にケトンをアミンで処理して生成物のアミン(7−5)を得ることで行うことができる。その反応は、酸を添加したり、添加せずに行うことができる。一般に使用される酸の例には、塩酸、リン酸、硫酸、酢酸などがあるが、これらに限定されるものではない。還元的アミノ化を行うことができる還元剤には、水素および触媒、亜鉛および塩酸、水素化ホウ素シアノナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、鉄ペンタカルボニルおよびアルコール性水酸化カリウムなどがあるが、これらに限定されるものではない。代表的にはアルコール性溶媒を用いる。還元的アミノ化は好ましくは、酢酸を加えてメタノール中にて水素化シアノホウ素ナトリウムを用いる。
【0173】
式(6−4)のケトンを官能化するさらに別の手段は、グリニャール試薬を加えての式(7−4)のアルコールの形成を介したものである。必要なグリニャール試薬は、標準的な条件下での(B. S. Fumiss, A. J. Hannaford, P. W. G. Smith, A. R. Tatchell, Vogel′s Textbook of Practical Organic Chemistry, 5thed., Longman, 1989)多様なアルキルまたはアリールハライドのマグネシウムとの反応を介して容易に入手可能である。その添加は、通常は低温にて不活性溶媒中で行う。好適な溶媒には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンおよびヘキサンなどがあるが、これらに限定されるものではない。好ましくはその溶媒は、テトラヒドロフランまたはジエチルエーテルである。好ましくはその反応は、約−78℃〜約0℃の温度で行う。
【0174】
同様にして、他の有機金属試薬との反応によって、式(7−4)のアルコールが得られる。有用な有機金属試薬の例には、有機アルミニウム、有機リチウム、有機セリウム、有機亜鉛、有機タリウムおよび有機ホウ素試薬などがあるが、これらに限定されるものではない。有機金属試薬に関するさらなる詳細な議論については、フミスらの著作(B. S. Fumiss, A. J. Hannaford, P. W. G. Smith, A. R. Tatchell, Vogel′s Textbook of Practical Organic Chemistry, 5thed., Longman, 1989)に記載されている。
【0175】
さらに、(7−2)型のアルコールは、多様な条件 (Hudlicky, M. Reductions in Organic Chemistry, Ellis Horwood Limited: Chichester, 1984参照。)下に式(6−4)の相当するケトンの還元によって製造することができる。そうして誘導されたアルコールをさらに修飾して、式(7−3)の化合物を得ることができる。 式(7−3)の化合物を形成する方法には、アルコールの求電子剤によるアルキル化またはアルコールのトリフレート、トシレート、ホスホネート、ハライドなどの脱離基への変換と、それに続くヘテロ原子求核剤(例:アミン、アルコキシド、スルフィドなど)による置き換えなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0176】
式(6−4)の ケトンは、塩基の存在下に適切なホスホニウム塩とのウィティッヒ反応によって式(7−1)および(7−6)のアルケンに変換可能であることは、当業者には明らかであろう((a)Burke, Tetrahedron Lett., 1987, 4143-4146、(b)Rathke and Nowak, J. Org. Chem., 1985, 2624-2626、(c)Maryanoff and Reitz, Chem. Rev., 1989, 863- 927参照)。さらに、式(7−6)のビニルハライドを、パラジウム触媒、銅ハライドおよびアミン塩基の存在下にアルキンとソノガシラカップリングによって官能化して、式(7−7)の化合物を得ることができる((a)Sonogashira, Comprehensive Organic Synthesis, Volume 3, Chapters 2, 4;(b)Sonogashira, Synthesis 1977, 777参照)。同様にして、式(7−1)のアルケンを、パラジウム触媒および塩基の存在下に有機ホウ素試薬とのスズキ交差カップリングによって、またはパラジウム触媒の存在下に有機スタンナンとのシュティル交差カップリングによって、ビニルハライド(7−6)から得ることができる((a)Suzuki, J. Organomet. Chem. 1999, 576, 147-168、(b)Stille, Angew Chem. Int Ed. Engl., 1986, 508-524、(c)Farina, J. Am. Chem. Soc., 1991, 9585-9595参照)。
【0177】
化合物(7−1)および(7−7)によって表される不飽和化合物を還元して、相当する飽和化合物を形成することが可能であることは、当業者には明らかであろう(Hudlicky, M., Reductions in Organic Chemistry, Ellis Horwood Limited: Chichester, 1984参照)。
【0178】
【化82】

【0179】
式(6−3)による本発明の化合物(R11は水素である)をさらに官能化して、本発明の化合物を形成することもできる。図式8に示したように、アルケン(6−3)をパラジウム触媒[Pd(0)またはPd(II)]の存在下にアリールハライドまたはアリールトリフレートで処理して、化合物(8−3)を得ることができる ((a)Heck, Palladium Reagents in Organic Synthesis, Academic Press: New York, 1985, Chapter 1;(b)Sonogashira, Comprehensive Organic Synthesis, Volume 3, Chapters 2, 4;(c)Sonogashira, Synthesis 1977, 777参照)。ヘックカップリング条件下では、二重結合の位置異性体および立体異性体が可能である。あるいは、化合物(6−3)についてルテニウム触媒を用いるビニル芳香族誘導体との交差複分解反応を行って、式(8−2)の化合物を得ることができる((a)J. Org. Chem. 2000, 65, 2204-2207;(b) Reviews:Synlett. 1999, 2, 267;(c)Reviews: Ivin, K. J.; Mol, J. C., Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization, 2nd ed., Academic Press: New York, 1997;(d)J. Org. Chem. 1999, 64, 4798-4816;(e)Angew. Chem., Int Ed. Engl. 1997, 36, 2036-2056;(f)Tetrahedron 1998, 54, 4413-4450参照)。
【0180】
【化83】

【0181】
図式9には、式(9−1)の化合物(A、B、QおよびRは前記で定義の通りである。)を、ハロゲン化試薬で処理することで式(9−2)の化合物(A、B、Q、ZおよびRは前記で定義の通りである。)に変換することができる手順を示してある。この試薬は、ケトリドのC−2位で水素原子をハロゲン原子で置き換える作用を行う(すなわち、9−2においてZ=ハロゲン)。各種ハロゲン化試薬がこの手順に好適である。好適なフッ素化試薬には、塩基存在下でのN−フルオロベンゼンスルホンイミド、10%Fのギ酸溶液、3,5−ジクロロ−1−フルオロピリジニウム・テトラフルオロボレート、3,5−ジクロロ−1−フルオロピリジニウム・トリフレート、(CFSONF、塩基存在下でのN−フルオロ−N−メチル−p−トルエンスルホンアミド、N−フルオロピリジニウム・トリフレートおよび塩基存在下でのN−フルオロペルフルオロピペリジンなどがあるが、これらに限定されるものではない。好適な塩素化試薬には、塩基存在下でのヘキサクロロエタン、CFCFCHICl、SOCl、SOCl、Cl存在下でのCFSOClおよび酢酸存在下でのNaOClなどがあるが、これらに限定されるものではない。好適な臭素化試薬には、Br・ピリジン・HBr、Br/酢酸、塩基存在下のN−ブロモコハク酸イミド、LDA/BrCHCHBrおよびLDA/CBrなどがあるが、これらに限定されるものではない。好適なヨウ素化試薬には、塩基存在下でのN−ヨードコハク酸イミドおよびIなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0182】
塩基を必要とするハロゲン化反応用に好適な塩基は、NaHおよびKHなどのアルカリ金属水素化物または例えばLDAもしくはトリエチルアミンなどのアミン塩基のような化合物である。異なる試薬は異なる種類の塩基を必要とする場合があるが、これは当業界内では公知である。
【0183】
好ましいハロゲン化試薬は、水素化ナトリウム存在下でのN−フルオロベンゼンスルホンイミドである。
【0184】
好適な溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピロリジノンなどである。
【0185】
本明細書に記載の全てのケトリド化合物が所望に応じて2−炭素でハロゲン化することが可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0186】
印刷物、電子データ、コンピュータ読取可能記憶媒体および他の形態のいずれであるかを問わず、本明細書に引用の全ての参考文献が、参照によってそれらの全体が本明細書に明瞭に組み込まれ、それには要約、記事、雑誌、刊行物、テキスト、論文、インターネットウェブサイト、データベース、特許および特許公開などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0187】
実施例
本発明の化合物および方法については、下記の実施例との関連で理解が深まるが、これら実施例は説明のみを目的とするものであって、本発明の範囲を限定するものではない。開示の実施形態に対する各種の変更および修正は当業者には明らかであり、本発明の化学構造、置換基、誘導体、製剤および/または方法に関係するものなど(それらに限定されるものではない)のそのような変更および修正は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲から逸脱しない限りにおいて行うことが可能である。
【実施例1】
【0188】
【化84】

【0189】
段階1a
化合物I−1(8.8g、11.76mmol)の無水テトラヒドロフラン(47mL)溶液に、無水酢酸(3.33mL、35.29mmol)、トリエチルアミン(5.25mL、37.63mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(144mg、1.18mmol)を加えた。混合物を室温で18時間攪拌し、酢酸エチル(500mL)と5%重炭酸ナトリウム水溶液(500mL)との間で分配した。酢酸エチル層を追加の5%重炭酸塩水溶液(500mLで4回)、ブライン(200mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒留去して、ベンゼンからの凍結乾燥後に化合物I−2を泡状物として得た(9.48g)。
【0190】
MSm/e(M+H)=875.39。
【0191】
【化85】

【0192】
段階1b
2−メチレン−1,3−プロパンジオールI−3(2mL、24.51mmol)および硫酸水素テトラブチルアンモニウム(1.39g、4.09mmol)の塩化メチレン(60mL)溶液に、5N水酸化ナトリウム(34mL、172mmol)を滴下した。混合物を室温で18時間攪拌し、5%重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)に加えた。有機相を追加の5%重炭酸ナトリウム水溶液(100mLで2回)、ブライン(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒留去して、I−4(5.87g)を得た。
【0193】
【化86】

【0194】
段階1c
I−2(8.7g、0.01mmol)およびI−4(3.6g、0.0125mmol)の無水トルエン(100mL)溶液を、減圧下に溶媒留去した。残留物を無水トルエン(100mL)に再溶解させ、溶媒留去した。酢酸パラジウムII(157mg、0.0007mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.05g、0.004mmol)を加え、混合物を高真空下に10分間置いた。無水テトラヒドロフラン(100mL)を加え、反応液について減圧および窒素充填を繰り返し行った(5回)。得られた混合物を窒素雰囲気下に70℃油浴に7時間置いた。冷却して室温とした後、溶媒を留去した。固体を6.5×130cmシリカ60カラムに乗せた。カラムを、1:1アセトン/ヘキサンで溶離しながら、分画25mLずつを回収した。150mLの前溶出後に、分画24〜44を合わせ、溶媒留去して、標題化合物I−5(3.87g)を得た。
【0195】
MSm/e(M+H)=927.54。
【0196】
IR(CM−1)2976、1741、1454、1370、1236、1173、1049。
【0197】
13C NMR(CDCl):δ(ppm)175.9、174.7、170.7、170.1、168.6、141.8、123.0、100.5、96.1、79.6、78.7、78.4、78.1、76.9、74.4、73.0、71.0、67.9、65.3、63.6、63.4、49.7、44.3、41.5、41.0、36.8、35.1、35.0、31.3、23.5、21.8、21.7、21.4、21.2、21.0、20.9、20.3、18.2、17.3、14.3、13.4、12.9、8.73。
【実施例2】
【0198】
【化87】

【0199】
段階2a
氷浴中、I−5(1.25g、1.35mmol)のテトラヒドロフラン(9.3mL)およびイソプロピルアルコール(9.3)の混合物中溶液に水酸化リチウム・1水和物(340mg、8.1mmol)の水溶液(水8.1mL)溶液を加えた。40分間高撹拌後、酢酸エチル(100mL)および5%重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)を加え、水層を追加の酢酸エチルで再度抽出し(50mLで3回)、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒留去して、化合物II−1(1.25g)を得た。
【0200】
MSm/e(M+H)=885.54。
【実施例3】
【0201】
【化88】

【0202】
段階3a
II−1(1.25g)の溶液を無水トルエン(30mL)に溶かし、減圧下に溶媒留去して泡状物を得た。この工程を2回繰り返した。得られた固体(1.19g、1.35mmol)を塩化メチレン(13.6mL)に溶かし、−30℃ドライアイス/アセトニトリル浴で冷却した。トリエチルアミン(0.455mL、3.24mmol)を加え、次に無水トルエンスルホン酸(0.529g、1.62mmol)を加えた。浴温を30分間かけて上昇させて−20℃とした。無水メタノール(13.6mL)を加えてから、浴温を30分間かけてゆっくり上昇させて0℃とした。水素化ホウ素ナトリウム(0.255g、6.75mmol)を加えてから、浴温を3時間かけてゆっくり上昇させて7℃とした。5%Tris水溶液(50mL)を混合物に加え、それを室温で1時間攪拌した。水層を酢酸エチルで抽出し(100mLで1回、75mLで3回)、合わせた層をブライン(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒留去して、化合物III−1(1.25g)を得た。
【0203】
MSm/e(M+H)=871.6。
【0204】
13C NMR(CDCl):δ(ppm)177.4、170.5、169.8、141.7、120.8、100.1、94.4、80.6、78.7、78.1、76.4、75.7、72.9、71.8、68.1、67.3、66.3、63.2、62.9、54.3、51.2、49.3、44.7、44.0、40.7、34.8、34.1、31.3、23.0、22.8、21.6、21.5、21.3、20.9、18.1、17.7、13.9、13.2、12.7、12.6、8.63。
【0205】
【化89】

【0206】
段階3b
III−1(290mg、0.333mmol)および炭酸カリウム(290mg、2.10mmol)のメタノール(5.0mL)溶液を室温で24時間攪拌した。混合物を酢酸エチル(30mL)とブライン(10mL)との間で分配した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mLで2回)、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒留去して、III−2を固体として得た(260mg)。
【0207】
MSm/e(M+H)=787.77。
【0208】
【化90】

【0209】
段階3c
III−2(0.26g、0.33mmol)、37%ホルムアルデヒド水溶液(0.315mL、3.89mmol)および酢酸(0.315mL、5.3mmol)のメタノール(31.5mL)溶液に室温で、水素化シアノホウ素ナトリウム(0.165g、2.6mmol)を加えた。2時間後、5%Tris水溶液(50mL)を加え、溶液をさらに2時間攪拌した。水層を酢酸エチルで抽出した(100mLで1回、50mLで1回)。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒留去して、固体を得た(0.3g)。固体を2.75×15cmシリカゲル60カラムに乗せた。カラムを1:1アセトン/ヘキサンで溶離しながら、8mLずつの分画を回収した。分画19〜32を合わせ、溶媒留去して、標題化合物III−3(0.18g)を得た。
【0210】
MSm/e(M+H)=801.64。
【0211】
【化91】

【0212】
段階3d
III−3(60mg、0.075mmol)およびカンファースルホン酸(34.8mg、0.15mmol)のメタノール(3.0mL)溶液をドライアイス/アセトン浴で冷却した。オゾンを溶液に吹き込み、青色が最初に認められてから10分間続けた。青色が消失するまで溶液に酸素を吹き込み、ジメチルスルフィド(0.055mL、0.75mmol)を加え、反応液を室温とした。3時間後、溶媒留去し、残留物をシリカカラム(1.25×9cm)に乗せ、それを60:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合物で溶離した。生成物分画を合わせ、溶媒留去して、III−4を固体として得た(0.06g)。
【0213】
MSm/e(M+H)=821.65(ケタール)、835.67(MeOHケタール)。
【0214】
【化92】

【0215】
段階3e
2−クロロ−5−ヒドロキシメチルピリジンIII−5(144mg、1mmol)、ピラゾール(340mg、5mmol)および炭酸カリウム(828mg、6mmol)のジメチルアセトアミド(1mL)懸濁液を、140℃油浴で23時間攪拌した。油浴温を上昇させて150℃とし、反応液をさらに8時間攪拌した。冷却して室温とした後、酢酸エチル(20mL)および水(20mL)を加えた。有機層を水(20mL)およびブライン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒留去して油状物(144mg)を得た。その油状物を500ミクロンの逆相分取シリカプレート3枚に乗せ、それを25%アセトニトリル/水で展開してIII−6(30mg)を得た。
【0216】
H NMR(CDCl):d1.85(t、1H);4.76(d、2H);6.48(d、1H);7.74(d、1H);7.85(dd、1H);7.98(d、1H);8.39(d、1H);8.57(d、1H)。
【0217】
段階3f
III−6(40mg、0.229mmol)およびトリフェニルホスフィン(90mg、0.343mmol)の無水テトラヒドロフラン(0.92mL)溶液に室温で、ジエチルアゾジカルボキシレート(0.054mL、0.343mmol)を滴下した。5分後、N−ヒドロキシフタルイミド(56mg、0.343mmol)を加え、明赤色溶液を18時間攪拌した。溶媒留去し、残留物を1000ミクロン分取シリカゲルプレート2枚に乗せ、20%酢酸エチル/塩化メチレンで展開して、III−7を固体として得た(31.3mg)。
【0218】
H NMR(CDCl):5.26(s、2H);6.47(m、1H);7.75(m、3H);7.83(m、2H);8.03(d、1H);8.08(dd、1H);8.50(d、1H);8.57(d、1H)。
【0219】
【化93】

【0220】
段階3g:R=フェニル
III−8(10.2mg、0.013mmol)、O−フェニルヒドロキシルアミン塩酸塩(3.7mg、0.025mmol)およびピリジン(0.0042mL、0.0524mmol)のエタノール(0.26mL)溶液を室温で18時間攪拌し、40℃油浴で1.5時間加熱した。溶媒留去し、残留物を1mLシリカカラムに乗せ、それを60:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合物で溶離して、III−9(9.0mg)を主要および少量オキシム異性体の混合物として得た。そのオキシム異性体は、分取シリカプレートクロマトグラフィー(120/10/1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウム、2回展開)によって分離することができた。
【0221】
MSm/e(M+H)=894.93。
【0222】
段階3h:R=ベンジル
III−8(13mg、0.016mmol)、O−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(5.3mg、0.033mmol)およびピリジン(0.0052mL、0.064mmol)のエタノール(0.32mL)溶液を、室温で2.5時間攪拌した。溶媒留去し、残留物を1mLシリカカラムに乗せ、それを60:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合物で溶離して、III−9(11.3mg)を主要および少量オキシム異性体の混合物として得た。それらのオキシム異性体は、分取シリカプレートクロマトグラフィー(120/10/1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウム、2回展開)によって分離することができた。
【0223】
MSm/e(M+H)=908.91。
【0224】
段階3i:R=フェネチル
N−フタロイル−O−フェネチル−ヒドロキシルアミン(39mg、0.146mmol)のエタノール(1.0mL)溶液に、ヒドラジン水和物(5.3μL、0.109mmol)を加え、混合物を60℃油浴で75分間加熱した。冷却して室温とした後、酢酸(3.μL、0.057mmol)およびIII−8(15.0mg、0.019mmol)を加え、混合物を室温で18時間攪拌した。溶媒留去し、残留物を500μ分取TLCプレート2枚に乗せ、それを120:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合物で展開して、III−9(10.0mg)をオキシム異性体のほぼ等量混合物として得た。そのオキシム異性体を、追加の分取シリカプレートクロマトグラフィー(120/10/1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウム)によって分離した。
【0225】
MSm/e(M+H)=922.89。
【0226】
段階3j:R=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチル
III−7(12mg、0.038mmol)のエタノール(0.3mL)溶液に、ヒドラジン水和物(1.4μL、0.029mmol)を加え、混合物を40℃油浴で3時間加熱した。冷却して室温とした後、酢酸(3.3μL、0.057mmol)およびIII−8(15.0mg、0.019mmol)を加え、混合物を40℃油浴で18時間攪拌した。溶媒留去し、残留物を500μ分取薄層クロマトグラフィープレート2枚に乗せ、それを120:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合物で展開して、III−9をオキシム異性体1(3.2mg)およびオキシム異性体2(4.1mg)を得た。
【0227】
MSm/e(M+H)=975.69。
【実施例4】
【0228】
【化94】

【0229】
段階4a
II−1(270mg、0.31mmol)および重炭酸ナトリウム(108mg、1.28mmol)のアセトン(1.5mL)および水(1.5mL)混合液中の懸濁液を氷冷しながら、それにトルエンスルホニルクロライド(122mg、0.64mmol)のアセトン(0.5mL)溶液を加えた。30分後、反応液を氷浴から取り出し、昇温させて室温とした。さらに1時間後、反応は実質的に完了したと判断され、冷凍庫で66時間保存した。昇温させて室温とした後、酢酸エチル(300mL)およびブラインを加え(100mL)、有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒留去して、化合物IV−1(267mg)を得た。
【0230】
MSm/e(M+H)=885.88。
【0231】
【化95】

【0232】
段階4b
IV−1(50mg、0.057mmol)および炭酸カリウム(47mg、0.339mmol)のメタノール(1.0mL)溶液を室温で26時間攪拌した。混合物を酢酸エチル(20mL)と5%重炭酸ナトリウム水溶液(20mL)との間で分配した。有機層をブライン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒留去して、IV−2を固体として得た(35mg)。
【0233】
【化96】

【0234】
段階4c
IV−2(25mg、0.031mmol)およびカンファースルホン酸(7.2mg、0.031mmol)のメタノール(1.25mL)溶液をドライアイス/アセトン浴で冷却した。オゾンを溶液に吹き込み、青色が最初に認められてから10分間続けた。青色が消失するまで溶液に酸素を吹き込んだ。ジメチルスルフィド(0.023mL、0.31mmol)を加え、反応液を室温とした。3時間後、溶媒留去し、残留物を1mLシリカカラムに乗せ、それを60:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合物で溶離した。生成物分画を合わせ、溶媒留去して、IV−3を固体として得た(23.3mg)。
【0235】
MSm/e(M+H)=803.76。
【0236】
【化97】

【0237】
段階4d:R=ベンジル
IV−3(15mg、0.019mmol)、O−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(6.0mg、0.037mmol)およびピリジン(0.006mL、0.076mmol)のエタノール(0.35mL)溶液を、室温で6時間攪拌した。溶媒留去し、残留物を500μ分取シリカプレート1枚に乗せ、それを60:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合物で溶離して、IV−4(12mg)を主要および少量オキシム異性体の混合物として得た。それらのオキシム異性体は、逆相HPLCによって分離することができた。
【0238】
MSm/e(M+H)=908.70。
【実施例5】
【0239】
【化98】

【0240】
段階5a
アセチルクロライド(0.1mL、1.4mmol)をメタノール(2.0mL)に滴下した。15分後、IV−1(120mg、0.136mmol)を加え、溶液を60℃油浴に6.5時間置いた。冷却して室温とした後、溶媒留去し、残留物を2.75×8cmシリカカラムに乗せ、それを60:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合物で溶離して、V−1を得た(86.5mg)。
【0241】
【化99】

【0242】
段階5b
ジメチルスルホキシド(0.09mL、1.26mmol)、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(48mg、0.252mmol)およびトリフルオロ酢酸ピリジニウム(48mg、0.252mmol)を、V−1(86.5mg、0.126mmol)の塩化メチレン(0.5mL)溶液に加えた。溶液を2.5時間攪拌し、追加のカルボジイミド(24mg、0.13mmol)およびトリフルオロ酢酸ピリジニウム(24mg、0.13mmol)を加えた。60分後、反応混合物を溶媒留去し、2.75×8cmシリカカラムに乗せ、それを60:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合物で溶離して、V−2を得た(80mg)。
【0243】
MSm/e(M+H)=683.82。
【0244】
【化100】

【0245】
段階5c
V−2(30mg、0.044mmol)およびカンファースルホン酸(10.2mg、0.44mmol)のメタノール(2.5mL)溶液をドライアイス/アセトン浴で冷却した。オゾンを溶液に吹き込み、青色が最初に認められてから10分間続けた。青色が消失するまで溶液に酸素を吹き込んだ。ジメチルスルフィド(0.032mL、0.44mmol)を加え、反応液を室温とした。24時間後、溶媒留去し、残留物を1mLシリカカラムに乗せ、それを60:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合物で溶離した。生成物分画を合わせ、溶媒留去して、ベンゼンからの凍結乾燥後にV−3を固体として得た(29mg)。
【0246】
MSm/e(M+H)=685.45。
【0247】
【化101】

【0248】
段階5d
V−3(39mg)のメタノール(1.0mL)溶液を室温で18時間攪拌した。溶媒を溶媒留去して、V−4を得た(29mg)。
【0249】
MSm/e(M+H)=675.79(MeOHケタール)。
【0250】
【化102】

【0251】
段階5e:R=ベンジル
V−4(10mg、0.016mmol)、O−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(5mg、0.031mmol)およびピリジン(0.005mL、0.062mmol)のエタノール(0.16mL)溶液を、室温で1時間攪拌した。溶媒留去し、残留物を500μ分取シリカプレート1枚に乗せ、それを60:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合物で溶離して、V−5(4.6mg)をオキシム異性体の混合物として得た。それらのオキシム異性体は、分取シリカプレートクロマトグラフィー(120:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウム)によって分離することができた。
【0252】
MSm/e(M+H)=748.80。
【0253】
段階5f:R=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチル
III−7(7.9mg、0.025mmol)のエタノール(0.3mL)溶液に、ヒドラジン水和物(1.2μL、0.025mmol)を加え、混合物を40℃油浴で3時間加熱した。冷却して室温とした後、酢酸(4.3μL、0.075mmol)およびV−4(16.0mg、0.025mmol)を加え、混合物を40℃油浴で3.5時間攪拌した。溶媒留去し、残留物を1mLシリカカラムに乗せ、それを60:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合物で溶離して、V−5を主要および少量オキシム異性体の混合物として得た(18mg)。これらのオキシム異性体は、分取シリカプレートクロマトグラフィー(120:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウム)によって分離することができた。
【0254】
MSm/e(M+H)=815.82。
【実施例6】
【0255】
【化103】

【0256】
段階6a
アセチルクロライド(0.2mL、2.8mmol)をメタノール(4.0mL)に滴下した。15分後、VI−1(180mg、0.2mmol)を加え、溶液を60℃油浴に6時間入れた。冷却して室温とした後、溶媒留去し、残留物を1mLシリカカラムに乗せ、それを60:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合液で溶離して、VI−2を得た(150mg)。
【0257】
MSm/e(M+H)=643.67。
【0258】
【化104】

【0259】
段階6b
ジメチルスルホキシド(0.05mol、0.7mmol)、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(40.3mg、0.21mmol)およびトリフルオロ酢酸ピリジニウム(40.5mg、0.21mmol)を、VI−2(45mg、0.07mmol)の塩化メチレン(0.5mL)溶液に加えた。溶液を30時間攪拌し、追加のカルボジイミド(40.3mg、0.21mmol)およびトリフルオロ酢酸ピリジニウム(40.5mg、0.21mmol)を加えた。18時間後、追加のカルボジイミド(20mg、0.11mmol)を加えた。80分後、反応混合物を溶媒留去し、2.75×10cmシリカカラムに乗せ、それを60:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合物で溶離して、VI−3(24mg)を得た。
【0260】
MSm/e(M+H)=641.72。
【0261】
【化105】

【0262】
段階6c
VI−3(24mg、0.035mmol)およびカンファースルホン酸(16.3mg、0.07mmol)のメタノール(2.0mL)溶液をドライアイス/アセトン浴で冷却した。オゾンを溶液に吹き込み、青色が最初に認められてから10分間続けた。青色が消失するまで溶液に酸素を吹き込んだ。ジメチルスルフィド(0.026mL、0.35mmol)を加え、反応液を室温とした。18時間後、溶媒留去し、残留物を1mLシリカカラムに乗せ、それを60:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合物で溶離した。生成物分画を合わせ、溶媒留去して、VI−4を固体として得た(32mg)。
【0263】
MSm/e(M+H)=717.75(MeOHケタール)。
【0264】
【化106】

【0265】
段階6d
VI−4(32mg)のメタノール(1.5mL)溶液を40℃の油浴に6時間入れた。溶媒留去して、VI−5を油状物として得た(29mg)。
【0266】
【化107】

【0267】
段階6e:R=ベンジル
VI−5(9mg、0.014mmol)、O−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(4.5mg、0.028mmol)およびピリジン(0.0045mL、0.056mmol)のエタノール(0.5mL)溶液を、室温で2時間攪拌した。溶媒留去し、残留物を1mLシリカカラムに乗せ、それを60:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合物で溶離して、VI−6(7mg)を主要および少量オキシム異性体の混合物として得た。それらのオキシム異性体は、分取シリカプレートクロマトグラフィー(1:1アセトン/ヘキサン)によって分離することができた。
【0268】
MSm/e(M+H)=748.77。
【0269】
段階6f:R=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチル
N−フタロイル−O−2−ピラゾロピリジル−5−メチル−ヒドロキシルアミン(10mg、0.031mmol)のエタノール(0.3mL)溶液に、ヒドラジン水和物(1.2μL、0.025mmol)を加え、混合物を40℃油浴で3時間加熱した。冷却して室温とした後、酢酸(4.3μL、0.075mmol)およびVI−5(16.9mg、0.025mmol)を加え、混合物を40℃油浴で18時間攪拌した。溶媒留去し、残留物を1mLシリカカラムに乗せ、それを60:10:1塩化メチレン/メタノール/濃水酸化アンモニウムの混合物で溶離して、VI−6を主要および少量オキシム異性体の混合物として得た(16mg)。これらのオキシム異性体は、分取シリカプレートクロマトグラフィー(1:1アセトン/ヘキサン)によって分離することができた。
【0270】
MSm/e(M+H)=815.82。
【実施例7】
【0271】
【化108】

【0272】
化合物IV−1(Q=H)の酢酸溶液に5重量%PtOを加え、得られた不均一混合物を水素雰囲気に置き、1〜5日間攪拌する。生成物V−1(Q=H)を濾過および濃縮によって単離し、フラッシュクロマトグラフィーによって精製する。同様にして、化合物V−1(Q=CH)およびV−1(Q=C)を適切なIV−1から製造することができる。
【実施例8】
【0273】
【化109】


【0274】
化合物VIII−1(1当量)のTHF溶液を窒素下に、ビス−(2−t−ブトキシカルボニル)−2−メチレン−1,3−プロパンジオール(1.2当量)および1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(0.1当量)およびPd(dba)(0.05当量)の順で処理し、反応が完結するまで混合物を還流させる。溶媒を除去し、残留物をクロマトグラフィーによって精製して、化合物VIII−2を得る。次に、化合物VIII−2を、実施例1において前述した方法と同様にして処理して、順次化合物VIII−3、VIII−4およびVIII−5を得る。化合物VIII−5は所望に応じて、実施例2および3に記載の手順によってアルキル化して化合物VIII−6とすることができる。化合物VIII−6のCHCl溶液を1〜10体積%のトリフルオロ酢酸で処理し、反応が完結するまで混合物を攪拌することができる。反応混合物をNaHCOで中和し、生成物をCHClでの抽出によって単離し、クロマトグラフィー精製して、化合物VIII−7を得る。
【0275】
以上、各種の好ましい実施形態に関して本発明について説明したが、本発明はそれらに限定されるものではない、むしろ当業者には、本発明の精神および添付の特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて、本発明において変更および修正を行うことが可能であることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iの化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくはエステルもしくはプロドラッグ。
【化1】

[式中、
Aは、
i)−OH;
ii)−OR(Rは、ヒドロキシ保護基である。);
iii)−R(Rは、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである。);
iv)−OR(Rは前記で定義の通りである);
v)−R[Rは、
(a)水素;
(b)ハロゲン;
(c)ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1以上の置換基で置換されていても良い、O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を有する−C〜Cアルキル;
(d)ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1以上の置換基で置換されていても良い、O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を有する−C〜Cアルケニル;または
(e)ハロゲン、アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1以上の置換基で置換されていても良い、O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を有する−C〜Cアルキニル
である。]
vi)−OR(Rは前記で定義の通りである。);
vii)−S(O)11(n=0、1または2であり;R11はRもしくはRであり;RおよびRは前記で定義の通りである。);
viii)−NHC(O)R11(R11は前記で定義の通りである。);
ix)−NHC(O)NHR11(R11は、前記で定義の通りである。);
x)−NHS(O)11(R11は前記で定義の通りである。);
xi)−NR1415(R14およびR15はそれぞれ独立にR11であり;R11は前記で定義の通りである。);または
xii)−NHR(Rはアミノ保護基である。)
であり;
Bは、
i)水素;
ii)重水素;
iii)ハロゲン;
iv)−OH;
v)−R(Rは前記で定義の通りである。);
vi)−R(Rは前記で定義の通りである。);または
vii)−OR(Rは前記で定義の通りである。)
であり;ただし、Bがハロゲン、−OHまたはORである場合、AはRまたはRであり、RおよびRは前記で定義の通りであり;
あるいは、AとBがそれらが結合している炭素原子と一体となって、
i)C=O;
ii)C(OR(Rは前記で定義の通りである。);
iii)C(SR(Rは前記で定義の通りである。);
iv)C[−O(CH(m=2または3である。);
v)C[−S(CH(mは前記で定義の通りである。);
vi)C=CHR11(R11は前記で定義の通りである。);
vii)C=N−O−R11(R11は前記で定義の通りである。);
viii)C=NNHR11(R11は前記で定義の通りである。);
ix)C=NNHC(O)R11(R11は前記で定義の通りである。);
x)C=NNHC(O)NHR11(R11は前記で定義の通りである。);
xi)C=NNHS(O)11(R11は前記で定義の通りである。);
xii)C=NNHR(Rは前記で定義の通りである。);または
xiii)C=NR11(R11は前記で定義の通りである。)
であり;
Lは、
i)−CH
ii)−CHCH
iii)−CH(OH)CH
iv)アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1以上の置換基で置換されていても良い−C〜Cアルキル;
v)アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1以上の置換基で置換されていても良い−C〜Cアルケニル;または
vi)アリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1以上の置換基で置換されていても良い−C〜Cアルキニル
であり;
Dは、−CHN(Q)−、−C(O)N(R′)−または−C(OR′)=N−であり;R′は、前記で定義のR11であり;
Qは、
i)水素;
ii)−C〜C12−アルキル、C〜C12−アルケニルまたはC〜C12−アルキニル[これらはいずれも、独立に
(a)ハロゲン;
(b)−OR(R
1.水素;
2.独立にアリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良い、O、SまたはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を有する−C〜C12−アルキル;
3.アリール;
4.置換アリール;
5.ヘテロアリール;および
6.置換ヘテロアリール
から選択される。);
(c)−NR(RおよびRはそれぞれ独立にRであり;Rは前記で定義の通りであり、または別のRおよびRでは、それらが結合している原子と一体となって、ヘテロシクロアルキルもしくは置換ヘテロシクロアルキル部分を形成している。);
(d)−N−O−R(Rは前記で定義の通りである。);
(e)−R(Rは前記で定義の通りである。);
(f)−C〜C−シクロアルキル;
(g)置換−C〜C−シクロアルキル;
(h)ヘテロシクロアルキル;
(i)置換ヘテロシクロアルキル;
(j)−NHC(O)R(Rは前記で定義の通りである。);
(k)−NHC(O)OR(Rは、
1.独立にアリール、置換アリール、ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリールから選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良い、O、SまたはNから選択される0、1、2もしくは3個のヘテロ原子を有する−C〜C12−アルキル;
2.アリール;
3.置換アリール;
4.ヘテロアリール;または
5.置換ヘテロアリール
から選択される。);
(l)−NHC(O)NR(RおよびRは前記で定義の通りである。);
(m)−OC(O)NR(RおよびRは前記で定義の通りである。);
(n)−OC(O)R(Rは前記で定義の通りである。);
(o)−OC(O)OR(Rは前記で定義の通りである。);
(p)−OC(O)NR(RおよびRは前記で定義の通りである。);
(q)−C(O)R(Rは前記で定義の通りである。);
(r)−CO(Rは前記で定義の通りである。);または
(s)−C(O)NR(RおよびRは前記で定義の通りである。)
から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良い。];
Xは水素であり;
Yは、
i)水素;
ii)−OH;
iii)−OR(Rは前記で定義の通りである。);
iv)−OR11(R11は前記で定義の通りである。);
v)−OC(O)R11(R11は前記で定義の通りである。);
vi)−OC(O)NHR11(R11は前記で定義の通りである。);
vii)−S(O)11(nおよびR11は上記で定義の通りである。);
viii)
【化2】

[(1)Rは水素またはメチルであり;Rは水素またはRであり;Rは前記で定義の通りである。];
ix)
【化3】

[(1)Rは前記で定義の通りであり;RはNHまたはRamであり;Ramは保護アミノである。]
であり;
または別の形態では、XおよびYが一体となってオキソを形成しており;
Zは、
i)水素;
ii)メチル;または
iii)ハロゲン
であり;
は、水素またはRであり;Rは前記で定義の通りである。]
【請求項2】
Dが−CHN(Q)−である請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくはエステルもしくはプロドラッグ。
【請求項3】
Dが−CHN(Q)−であり;Xが水素であり;Yが
【化4】

(式中、R、RおよびRはそれぞれ請求項1で定義の通りである。)である請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくはエステルもしくはプロドラッグ。
【請求項4】
Yが
【化5】

である請求項3に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくはエステルもしくはプロドラッグ。
【請求項5】
Dが−N(Q)CH−であり;XおよびYが一体でオキソである請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくはエステルもしくはプロドラッグ。
【請求項6】
Dが−N=CH(OR′)−であり;R′が請求項1で定義の通りである請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくはエステルもしくはプロドラッグ。
【請求項7】
Dが−C(O)N(R′)−であり;R′が請求項1で定義の通りである請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくはエステルもしくはプロドラッグ。
【請求項8】
(i)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Acである式Iの化合物;
(ii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=Z=Hであり;XおよびYが一体となってオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(iii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;X=Z=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(iv)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体となってオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(v)A=Hであり;B=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Acである式Iの化合物;
(vi)A=Hであり;B=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(vii)A=Hであり;B=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=Z=Hであり;XおよびYが一体となってオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(viii)A=Hであり;B=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;X=Z=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(ix)A=Hであり;B=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体となってオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(x)A=Hであり;B=CHであり;D=−(C=NOH)−であり;X=Z=Hであり;Y=
【化6】

であり;L=CHCHであり;R=Acである式Iの化合物;
(xi)A=Hであり;B=CHであり;D=−C(=O)NH−であり;X=Z=Hであり;Y=
【化7】

であり;L=CHCHであり;R=Acである式Iの化合物;
(xii)A=Hであり;B=CHであり;D=−C(=O)NH−であり;X=Z=Hであり;Y=
【化8】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xiii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CH−Phであり;Z=X=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xiv)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CH−Phであり;Z=Hであり;XおよびYが一体となってオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xv)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CH−(2−ピリジル)であり;Z=X=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xvi)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CH−(2−ピリジル)であり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xvii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CH−(3−キノリル)、Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xviii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CH−(3−キノリル)であり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xix)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CH(CH=CH)−Phであり;Z=X=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xx)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CH(CH=CH)−Phであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxi)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHCH=CH−(2−ピリジル)であり;Z=X=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHCH=CH−(2−ピリジル)であり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxiii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHC≡C−(3−キノリル)であり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxiv)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHC≡C−(3−キノリル)であり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxv)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CH−CH=CH−Phであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxvi)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CH−CH=CH−(3−ピリジル)であり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxvii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CH−CH=CH−(3−キノリル)であり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxviii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CH−(3−キノリル)であり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;および
(xxix)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CH−Phであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxx)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxxi)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;X=Z=Hであり;Y=OHであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxxii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxxiii)A=Hであり;B=CHであり;D=−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxxiv)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=Oであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxxv)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=Oであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxxvi)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=Oであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxxvii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−OHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxxviii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−OHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xxxix)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−OHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xl)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xli)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xlii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物; (xliii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xliv)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xlv)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=5−[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;Z=Hであり;XおよびYが一体でオキソであり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xlvi)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=
【化9】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xlvii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;X=Z=Hであり;Y=
【化10】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xlviii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=CHであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;X=Z=Hであり;Y=
【化11】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(xlix)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=
【化12】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(l)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;X=Z=Hであり;Y=
【化13】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(li)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;X=Z=Hであり;Y=
【化14】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(lii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=
【化15】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(liii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;X=Z=Hであり;Y=
【化16】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(liv)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;X=Z=Hであり;Y=
【化17】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(lv)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=
【化18】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(lvi)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=2−[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;X=Z=Hであり;Y=
【化19】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(lvii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[5−(6−アミノピリド−2−イル)チエン−2−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;X=Z=Hであり;Y=
【化20】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(lviii)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=5−[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=X=Z=Hであり;Y=
【化21】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;
(lix)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHであり;X=Z=Hであり;Y=
【化22】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物;および
(lx)AおよびBがそれらが結合している炭素原子と一体となってC=N−O−R11であり;R11=[2−(ピラゾール−1−イル)ピリド−5−イル]メチルであり;Dが−CHN(Q)−であり;Q=CHCHCHであり;X=Z=Hであり;Y=
【化23】

であり;L=CHCHであり;R=Hである式Iの化合物
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくはエステルもしくはプロドラッグ。
【請求項9】
【化24】








からなる群から選択される請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくはエステルもしくはプロドラッグ。
【請求項10】
(i)細菌感染の治療もしくは予防に有効な量での請求項1に記載の式Iの化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくはエステルもしくはプロドラッグ;および
(ii)製薬上許容される担体
を含む医薬組成物。
【請求項11】
(i)請求項1に記載の式Iの化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくはエステルもしくはプロドラッグおよび
(ii)式Iの化合物または該化合物の塩、エステルもしくはプロドラッグ以外の抗菌剤
の医薬組み合わせ剤において、
前記式Iの化合物または該化合物の製薬上許容される塩またはエステルまたはプロドラッグおよび前記抗菌剤がそれぞれ、細菌感染を治療もしくは予防する上で有効な組み合わせを与える量で用いられる医薬組み合わせ剤。
【請求項12】
被験者に対して、治療上または予防上有効量の請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくはエステルもしくはプロドラッグを投与する段階を有する、処置を必要とする被験者での細菌感染の治療または予防方法。
【請求項13】
被験者に対して、治療上または予防上有効量の請求項10に記載の医薬組成物を投与する段階を有する、処置を必要とする被験者での細菌感染の治療または予防方法。
【請求項14】
被験者に対して、治療上または予防上有効量の請求項11に記載の医薬組み合わせ剤を投与する段階を有する、処置を必要とする被験者での細菌感染の治療または予防方法。
【請求項15】
下記式:
【化25】

(式中、QおよびRは請求項1で定義の通りである。)の化合物の製造方法において、
(1)還流条件下にホスフィン配位子およびPd(0)触媒存在下にて、下記式:
【化26】

の化合物を、下記式:
【化27】

のアルキル化剤と反応させて、下記式:
【化28】

[式中、

a.水素、
b.−CHO(CHOCH
c.−CHO(CHO)CH(nは、0、1または2である。)、
d.アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択される1以上の置換基で置換されていても良い−C〜C12アルキル、
e.−C〜C12シクロアルキル、
f.−C(O)−C〜C12アルキル、
g.−C(O)−C〜C12シクロアルキル、
h.−C(O)−R(Rは前記で定義の通りである。)、または
i.−Si(R)(R)(R)(R、RおよびRはそれぞれ独立にC〜C12アルキル、アリールおよび置換アリールから選択される。)
であり;
およびRは請求項1で前記にて定義の通りであり;
11は請求項1で定義の通りである。]
の化合物を製造する段階;
(2)段階(1)で得られた化合物を水性塩基で処理して、下記式:
【化29】

のZ−オキシムを得る段階;
(3)段階(2)で製造した化合物をオキシム活性化剤と反応させ、メタノールで反応停止して、下記式:
【化30】

の化合物を製造する段階;
(4)段階(3)で製造した化合物を還元剤と反応させて、下記式:
【化31】

の化合物を製造する段階;
(5)段階(4)で製造した化合物を温和な酸と反応させて、下記式:
【化32】

の化合物を製造する段階;
(6)段階(5)で製造した化合物を、アルキル化剤、塩基存在下でのアルキルハライドおよびNaCNBHの存在下での還元的アミノ化を介してのアルデヒドからなる群から選択される基Qを含む薬剤と反応させて、下記式:
【化33】

の化合物を製造する段階;および
(7)デス−マーチン酸化、コーリー−キム酸化またはモファット酸化を介して、段階(6)で製造した化合物の3位におけるヒドロキシルを酸化して、下記式:
【化34】

の化合物を製造する段階
を有する方法。
【請求項16】
下記式:
【化35】

の化合物の製造方法において、
(a)ルテニウム触媒の存在下に、下記式:
【化36】

の化合物をCH=CH−R11(Q、RおよびR11はそれぞれ請求項1で定義の通りである。)と反応させる段階を有する方法。
【請求項17】
下記式:
【化37】

の化合物の製造方法において、
(a)適宜にホスフィン配位子とともにパラジウム触媒を用いるヘックカップリング条件下に、下記式:
【化38】

の化合物をR11−ハライド(QおよびRはそれぞれ請求項1で定義の通りであり、R11はアリール、置換アリールまたはアリールもしくは置換アリールで置換されたC〜Cアルキルである。)と反応させる段階を有する方法。
【請求項18】
下記式の化合物:
【化39】

の製造方法において、
(a)下記式:
【化40】

の化合物(QおよびRはそれぞれ請求項1で定義の通りである。)に対してオゾン分解を行う段階を有する方法。
【請求項19】
下記式の化合物:
【化41】

の製造方法において、
(a)下記式の化合物:
【化42】

(Q、RおよびR11は請求項1で定義の通りである。)をウィティッヒ条件下でホスホリドと反応させる段階を有する方法。
【請求項20】
下記式の化合物:
【化43】

の製造方法において、
(a)下記式の化合物:
【化44】

(Q、RおよびR11は請求項1で定義の通りである。)を
11基を有するグリニャール試薬と反応させる段階を有する方法。

【公表番号】特表2007−518806(P2007−518806A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551226(P2006−551226)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/001647
【国際公開番号】WO2005/072204
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】