説明

7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン誘導体、その産生方法、および薬学的使用

ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニスト、および肺疾患等の、ムスカリン性アセチルコリン受容体媒介性疾患の治療のためにそれらを使用する方法を提供する。本発明は、ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)媒介性疾患を治療するために有用な化合物、および治療する方法を提供し、該方法は、式(I)または式(II)の有効量の立体化学的に純粋な化合物を投与することを含む。本発明はまた、アセチルコリンのその受容体への結合を阻害する化合物に関する。本発明はまた、それを必要とする対象において、アセチルコリンのその受容体への結合を阻害する方法に関し、前述の対象に、式(I)または式(II)の有効量の立体化学的に純粋な化合物を投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本特許出願は、2010年1月28日出願の米国仮特許出願第61/336,952号、および2010年9月24日出願の米国仮特許出願第61/386,450号の優先権利益を主張する。それらの特許出願の内容全体は、本明細書において、参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン誘導体、当該誘導体の薬学的組成物、および呼吸器のムスカリン性アセチルコリン受容体媒介性疾患を治療する上でのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
末梢および中枢神経系において、コリン作動性ニューロンより放出されるアセチルコリンは、2つの主要部類のアセチルコリン受容体である、ニコチン性およびムスカリン性アセチルコリン受容体との相互作用を通じて、多くの異なる生物学的プロセスに影響する。ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)は、7つの膜貫通ドメインを有する、Gタンパク質結合受容体のスーパーファミリーに属する。M〜Mと称される、5つのサブタイプのmAChRが存在し、各々は、別個の遺伝子の産物である。これらの5つのサブタイプの各々は、固有の薬理学的特性を呈する。ムスカリン性アセチルコリン受容体は、それらが多くの生体機能を媒介する脊椎動物の器官において、広く分布する。ムスカリン性受容体は、阻害および興奮作用の両方を媒介することができる。例えば、気道に位置する平滑筋において、M mAChRは、収縮反応を媒介する。確認のため、非特許文献1を参照されたい。
【0004】
肺において、mAChRは、気管および気管支における平滑筋、ならびに粘膜下腺、ならびに副交感神経節に局限されている。ムスカリン性受容体密度は、副交感神経節において最も大きく、次いで、密度は、粘膜下腺から、気管、次いで気管支平滑筋まで減少する。ムスカリン性受容体は、肺胞にはほぼ存在しない。肺におけるmAChR発現および機能の確認のため、非特許文献2を参照されたい。
【0005】
、M、およびM mAChRという、mAChRの3つのサブタイプが、肺内で重要であるとして同定されている。気道平滑筋上に位置するM mAChRは、筋肉収縮を媒介する。M mAChRの刺激は、刺激性Gタンパク質Gq/11(Gs)の結合を介して、酵素ホスホリパーゼCを活性化し、ホスファチジルイノシトール−4,5−ビスホスフェートの遊離につながり、収縮性タンパク質のリン酸化をもたらす。M mAChRはまた、肺粘膜下腺上でも見出される。この集団のM mAChRの刺激は、粘液分泌をもたらす。
【0006】
mAChRは、気道平滑筋上のコリン作動性受容体集団のうちの約50〜80%を構成する。明確な機能は、依然として不明であるが、それらは、cAMP生成の阻害を介して、気道平滑筋のカテコールアミン作動性弛緩を阻害する。ニューロンM mAChRは、節後副交感神経上に位置する。正常な生理学的条件下において、ニューロンM mAChRは、副交感神経からのアセチルコリン放出の厳格な制御を提供する。阻害性M mAChRもまた、一部の種の肺における交感神経上で実証されている。これらの受容体は、ノルアドレナリンの放出を阻害し、このため肺への交感神経入力が減少する。
【0007】
mAChRは、それらが神経伝達を強化するように機能する肺副交感神経節において見出される。これらの受容体はまた、末梢肺実質に局限されているが、しかしながら、実質におけるそれらの機能は、不明である。
【0008】
肺におけるムスカリン性アセチルコリン受容体機能障害が、多様な異なる病態生理学的状態において注目されている。特に、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)において、炎症状態は、肺平滑筋を供給する副交感神経上の阻害性Mムスカリン性アセチルコリン自己受容体機能の損失につながり、迷走神経刺激に続く、アセチルコリン放出の増加を引き起こす(非特許文献3)。このmAChR機能障害は、M mAChRの刺激の増加によって媒介される、気道過敏性および過反応性をもたらす。このため、強力なmAChRアンタゴニストの同定が、これらのmAChR媒介性疾患状態における治療として有用であろう。
【0009】
COPDは、慢性気管支炎および気腫を含む、多様な進行性の健康問題を網羅する、不明確な用語であり、それは、世界における死亡率および罹患率の主要な原因である。喫煙は、COPDの発症に対する主要な危険因子であり、米国のみでほぼ5000万人が、タバコを喫煙し、推定3,000人が、毎日それを習慣としている。結果として、COPDは、2020年までに、世界中の健康上の負担として、上位5位の疾患にランク付けされることが予想される。吸入抗コリン療法は、現在、COPDに対する一次療法として、「至適基準(gold standard)」と見なされている(非特許文献4)。
【0010】
COPD等の気道過敏性疾患の治療のための、抗コリン療法の使用を裏付ける多数の証拠にもかかわらず、肺適応症に対する臨床における使用には、比較的少数の抗コリン化合物が利用可能である。より具体的には、米国において、イプラトロピウム(Atrovent;アルブテロールとの組み合わせにおいてCombiventとしても)、およびチオトロピウム(Spiriva)が、現在、唯一の過敏性気道疾患の治療のために市販されている吸入抗コリン剤である。後者は、強力かつ長時間作用型の抗ムスカリン性薬剤である一方で、それは、アルブテロール等の他の薬理学的薬剤との組み合わせとしては利用可能ではない。これは、ある追加の薬剤の存在下でのチオトロピウムの十分な化学的安定性の欠如によるものと思われる。
【0011】
このため、新規の抗コリン剤、即ち、他の医薬と共製剤化することができ、かつ喘息およびCOPD等の過敏性気道疾患の治療のために、1日1回等、簡便に投与することができる、アセチルコリンのその受容体への結合を阻害する薬剤への必要性が依然として存在する。
【0012】
mAChRは身体中に広く分布しているため、より低用量の薬物を利用することを可能にするであろうために、抗コリン剤を局所的および/または局部的に呼吸器に適用する能力が、特に有利である。さらに、作用の長い持続時間を有し、かつ、特に、受容体において、もしくは肺によってのいずれかで保持される、局部的に活性な薬物を設計する能力は、全身抗コリン曝露で見られ得る望ましくない副作用を回避するであろう。しかしながら、他のムスカリン性アセチルコリン受容体媒介性疾患は、全身投与に反応する。このため、呼吸器障害に有用な医薬を、呼吸器障害の治療に適切な場合、または非呼吸器障害の治療に適切な場合、全身に投与することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Caufield,Pharmac.Ther.58,319(1993)
【非特許文献2】Fryer and Jacoby,Am.J.Respir.Crit.Care Med.158,154(1998)
【非特許文献3】Fryer et al.,Life Sci.64,449(1999)
【非特許文献4】Pauwels et al.,Am.J.Respir.Crit.Care Med.163,1256(2001)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)媒介性疾患を治療するために有用な化合物、および治療する方法を提供し、該方法は、式(I)または式(II)の有効量の立体化学的に純粋な化合物を投与することを含む。
【0015】
本発明はまた、アセチルコリンのその受容体への結合を阻害する化合物に関する。本発明はまた、それを必要とする対象において、アセチルコリンのその受容体への結合を阻害する方法に関し、前述の対象に、式(I)または式(II)の有効量の立体化学的に純粋な化合物を投与することを含む。
【0016】
本発明はまた、式(I)または式(II)の新規の立体化学的に純粋な化合物、および式(I)または式(II)の立体化学的に純粋な化合物と、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、もしくは希釈剤とを含む、薬学的組成物を提供する。
【0017】
一実施形態において、本発明は、式(I)によって示される構造を有する化合物を提供し、
【0018】
【化1】

式中、Rは、アルキル、アルコキシ、ハロ、もしくはCOOR基で任意に置換される、フェニルまたはチエニルであり、
は、R、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−アルキルシクロペンチル、または1−アルキルシクロヘキシルであるか、
あるいは、RおよびRは、ともに、いずれかもしくは両方のベンゼン環上で、アルキル、アルコキシ、ハロ、もしくはCOOR基で任意に置換される、9−キサンテニルまたは9−ヒドロキシキサンテニルであり得るか、
あるいは、RC基は、いずれかもしくは両方のベンゼン環上で、アルキル、アルコキシ、ハロ、もしくはCOOR基で任意に置換される、10−フェノチアジニルであり得、
は、HまたはOHであり、
およびRは、低級アルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アラルキル、またはアリールオキシアルキル(後者2つは、アルキル、アルコキシ、ハロ、もしくはCOOR基で任意に置換される)であるか、あるいはアリールもしくはアリールオキシで任意に置換される、5または6員環をともに形成し、
Rは、低級アルキルであり、
は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびトルエンスルホン酸塩を含むが、これらに限定されない、N原子の正電荷と会合する、薬学的に許容可能なアニオンを表す。Xは、一価または多価アニオンであり得る。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物であって、該化合物は、立体化学的に純粋である、化合物を提供する。
【0020】
一実施形態において、Rは、−C−Cアルキル、‐O‐C−Cアルキル、‐F、‐Cl、‐Br、‐I、もしくは‐C(=O)‐O‐C−Cアルキル基等の、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはCOOR基で任意に置換されるフェニルより独立して選択される。別の実施形態において、Rは、非置換フェニルである。
【0021】
一実施形態において、Rは、シクロペンチルである。
【0022】
一実施形態において、Rは、OHである。
【0023】
一実施形態において、RおよびRは、C−Cアルキルより独立して選択される。別の実施形態において、RおよびRの両方は、メチルである。
【0024】
一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な担体または賦形剤を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(I)の単離された化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な担体または賦形剤を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(I)の単離された、立体化学的に純粋な化合物を包含する。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、本明細書において定義される化合物(5)、(6)、(7)、および/もしくは(8)、またはその代替塩を除外するという条件を付加してもよい。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0025】
一実施形態において、本発明は、式(II)によって示される構造の立体化学的に純粋な化合物を提供し、
【0026】
【化2】

式中、Aは、
−C(R)(R)(R
(式中、Rは、−C−Cアルキル、‐O‐C−Cアルキル、‐F、‐Cl、‐Br、‐I、もしくは‐C(=O)‐O‐C−Cアルキル基等の、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはCOOR基で任意に置換される、フェニルまたはチエニルより独立して選択され。
【0027】
式中、Rは、フェニル、チエニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ヒドロキシシクロペンチル、または1−ヒドロキシシクロヘキシルより独立して選択され、フェニル、チエニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ヒドロキシシクロペンチル、または1−ヒドロキシシクロヘキシルは、−C−Cアルキル、‐O‐C−Cアルキル、‐F、‐Cl、‐Br、‐I、もしくは‐C(=O)‐O‐C−Cアルキル基等の、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはCOOR基で任意に置換され、
式中、Rは、HまたはOHである)、
いずれかもしくは両方のベンゼン環上で、−C−Cアルキル、‐O‐C−Cアルキル、‐F、‐Cl、‐Br、‐I、もしくは‐C(=O)‐O‐C−Cアルキル基等の、アルキル、アルコキシ、ハロ、もしくはCOOR基で任意に置換される、9−キサンテニルまたは9−ヒドロキシキサンテニル、および
いずれかもしくは両方のベンゼン環上で、−C−Cアルキル、‐O‐C−Cアルキル、‐F、‐Cl、‐Br、‐I、もしくは‐C(=O)‐O‐C−Cアルキル基等の、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはCOOR基で任意に置換される、10−フェノチアジニル、
から成る群より独立して選択され、
およびRは、低級アルキル(C−Cアルキル等)、アルコキシカルボニルアルキル(−C‐Cアルキル‐O‐(C=O)‐C‐Cアルキル等)、アラルキル(‐C‐Cアルキル‐C−C10アリール等)、またはアリールオキシアルキル(−C‐Cアルキル‐O‐C−C10アリール等)独立して選択され、アルコキシカルボニルアルキルおよびアラルキルは、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはCOOR基(−C−Cアルキル、‐O‐C−Cアルキル、‐F、‐Cl、‐Br、‐I、もしくは‐C(=O)‐O‐C−Cアルキル基等)で任意に置換することができるか、あるいは、アリール(‐C−C10アリール等)、またはアリールオキシ(‐O‐C−C10アリール等)で任意に置換される、5または6員環をともに形成することができ、
Rは、低級アルキルであり、
は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびトルエンスルホン酸塩を含むが、これらに限定されない、薬学的に許容可能なアニオンを表す。Xは、一価または多価アニオンであり得る。
【0028】
一実施形態において、Aは、−C(R)(R)(R)基である。別の実施形態において、Rは、−C−Cアルキル、‐O‐C−Cアルキル、‐F、‐Cl、‐Br、‐I、もしくは‐C(=O)‐O‐C−Cアルキル基等の、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはCOOR基で任意に置換される、フェニルより独立して選択される。別の実施形態において、Rは、非置換フェニルである。
【0029】
一実施形態において、Aは、−C(R)(R)(R)基である。別の実施形態において、Rは、シクロペンチルである。
【0030】
一実施形態において、Aは、−C(R)(R)(R)基である。別の実施形態において、Rは、OHである。
【0031】
一実施形態において、RおよびRは、C−Cアルキルより独立して選択される。別の実施形態において、RおよびRの両方は、メチルである。
【0032】
一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な担体または賦形剤を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(II)の単離された化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な担体または賦形剤を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(II)の単離された、立体化学的に純粋な化合物を包含する。前述の実施形態はまた、1つ以上の他の治療剤が、本明細書において定義される化合物(5)、(6)、(7)、および/もしくは(8)、またはその代替塩を除外するという条件を付加してもよい。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0033】
本発明の範囲に含まれるものは、各々、結晶形態、非晶形態、水和物、または溶媒和物を含む、式(I)または式(II)の化合物の活性で、立体化学的に純粋な異性体である。本発明は、式(I)または式(II)の各単離された、立体化学的に純粋な化合物を含む。
【0034】
本発明はまた、式(I)または式(II)の立体化学的に純粋な化合物と、薬学的に許容可能な担体または賦形剤と、任意に、1つ以上の他の治療剤とを含む、薬学的製剤を包含する。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、本明細書において定義される化合物(5)、(6)、(7)、および/もしくは(8)、またはその代替塩を除外するという条件を付加してもよい。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0035】
一実施形態において、本明細書において開示される化合物のうちのいずれかと会合する、薬学的に許容可能なアニオンは、酢酸塩、ベシル酸塩(ベンゼンスルホン酸塩)、安息香酸塩、重炭酸塩、重酒石酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンファースルホン酸塩(カンシル酸塩)、炭酸塩、塩化物、クロロテオフィリン酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エタンジスルホン酸塩(エジシル酸塩)、エタンスルホン酸塩(エシル酸塩)、フマル酸塩、グルセプト酸塩(グルコヘプトン酸塩)、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩(エストル酸塩)、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸メチル、硫酸メチル、ムコ酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、およびトリフルオロ酢酸塩から成る群より選択される。アニオンは、一価アニオンまたは多価アニオンであり得る。
【0036】
本発明はまた、ムスカリン性アセチルコリン受容体によって媒介される疾患を含むが、これに限定されない、多様な適応症を治療するための、式(I)または式(II)の立体化学的に純粋な化合物等の、本化合物を使用する方法を包含する。本発明はまた、慢性閉塞性肺障害(COPD、慢性閉塞性肺疾患とも呼ばれる)、慢性気管支炎、喘息、慢性呼吸閉塞、肺線維症、肺気腫、鼻漏、アレルギー性鼻炎、塵肺(黒肺塵症、珪肺、および石綿肺等)を含む職業性肺疾患、急性肺損傷(ALI)、ならびに急性呼吸促迫症候群(ARDS)等の、呼吸器障害を治療するための、式(I)または式(II)の立体化学的に純粋な化合物等の、本化合物を使用する方法を包含する。ムスカリン性受容体アンタゴニストで治療することができる、他の非呼吸性医学的状態としては、切迫性尿失禁、過活動膀胱、または排尿筋過反射およびそれらの症状等の泌尿生殖器系障害、胃食道逆流性疾患(GERD)、過敏性腸症候群、憩室疾患、アカラシア、胃腸の過剰運動障害、および下痢等の胃腸管障害等が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
別の実施形態において、本発明は、式:
【0038】
【化3】

アニオンX‐−を伴う、(1S,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
【0039】
【化4】

アニオンX‐−を伴う、(1R,2S,)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
【0040】
【化5】

アニオンX‐−を伴う、(1R,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、または
【0041】
【化6】

アニオンX‐−を伴う、(1S,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
の立体化学的に純粋な化合物を包含し、
式中、Xは、薬学的に許容可能なアニオンである。Xは、一価アニオンまたは多価アニオンであり得る。各化合物は、任意に、薬学的に許容可能な担体または賦形剤を追加で含むことができ、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含むことができる。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、本明細書において定義される化合物(5)、(6)、(7)、および/もしくは(8)、またはその代替塩を除外するという条件を付加してもよい。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0042】
別の実施形態において、本発明は、式:
【0043】
【化7】

アニオンXを伴う、(1R,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
【0044】
【化8】

アニオンXを伴う、(1R,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
【0045】
【化9】

アニオンXを伴う、(1S,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および
【0046】
【化10】

アニオンXを伴う、(1S,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン
の立体化学的に純粋な化合物を包含し、
式中、Xは、薬学的に許容可能なアニオンである。X ̄は、一価アニオンまたは多価アニオンであり得る。各化合物は、任意に、薬学的に許容可能な担体または賦形剤を追加で含むことができ、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含むことができる。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、本明細書において定義される化合物(1)、(2)、(3)、および/もしくは(4)、またはその代替塩を除外するという条件を付加してもよい。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0047】
別の実施形態において、本発明は、立体化学的に純粋な形態における、式:
【0048】
【化11】

(1)(1S,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【0049】
【化12】

(2)(1R,2S,)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【0050】
【化13】

(3)(1R,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、および
【0051】
【化14】

(4)(1S,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
の特定の化合物を包含する。各化合物は、任意に、薬学的に許容可能な担体または賦形剤を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含むことができる。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、本明細書において定義される化合物(5)、(6)、(7)、および/もしくは(8)、またはその代替塩を除外するという条件を付加してもよい。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0052】
別の実施形態において、本発明は、立体化学的に純粋な形態における、式:
【0053】
【化15】

(5)(1R,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【0054】
【化16】

(6)(1R,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【0055】
【化17】

(7)(1S,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、および
【0056】
【化18】

(8)(1S,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
の特定の化合物を包含する。各化合物は、任意に、薬学的に許容可能な担体または賦形剤を追加で含むことができ、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含むことができる。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0057】
別の実施形態において、本発明は、立体化学的に純粋な形態における、式:
【0058】
【化19】

(1)(1S,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【0059】
【化20】

(2)(1R,2S,)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【0060】
【化21】

(3)(1R,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【0061】
【化22】

(4)(1S,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
の化合物から本質的に成る、あるいは、1:1:1:1の割合等の、任意の割合の(1)、(2)、(3)、および(4)の混合物から本質的に成る組成物を包含する。各化合物または混合物は、任意に、追加で、1つ以上の他の治療剤から本質的に成ることができる。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、本明細書において定義される化合物(5)、(6)、(7)、および/もしくは(8)、またはその代替塩を除外するという条件を付加してもよい。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0062】
一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(1)の単離された化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(1)の立体化学的に純粋な化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(1)の単離された、立体化学的に純粋な化合物を包含する。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、本明細書において定義される化合物(5)、(6)、(7)、および/もしくは(8)、またはその代替塩を除外するという条件を付加してもよい。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0063】
一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(2)の単離された化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(2)の立体化学的に純粋な化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(2)の単離された、立体化学的に純粋な化合物を包含する。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、本明細書において定義される化合物(5)、(6)、(7)、および/もしくは(8)、またはその代替塩を除外するという条件を付加してもよい。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0064】
一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(3)の単離された化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(3)の立体化学的に純粋な化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(3)の単離された、立体化学的に純粋な化合物を包含する。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、本明細書において定義される化合物(5)、(6)、(7)、および/もしくは(8)、またはその代替塩を除外するという条件を付加してもよい。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0065】
一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(4)の単離された化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(4)の立体化学的に純粋な化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(4)の単離された、立体化学的に純粋な化合物を包含する。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、本明細書において定義される化合物(5)、(6)、(7)、および/もしくは(8)、またはその代替塩を除外するという条件を付加してもよい。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0066】
一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(5)の単離された化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(5)の立体化学的に純粋な化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(5)の単離された、立体化学的に純粋な化合物を包含する。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0067】
一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(6)の単離された化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(6)の立体化学的に純粋な化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(6)の単離された、立体化学的に純粋な化合物を包含する。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0068】
一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(7)の単離された化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(7)の立体化学的に純粋な化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(7)の単離された、立体化学的に純粋な化合物を包含する。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0069】
一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(8)の単離された化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(8)の立体化学的に純粋な化合物を包含する。一実施形態において、本発明は、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤または担体を追加で含み、かつ任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含む、式(8)の単離された、立体化学的に純粋な化合物を包含する。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0070】
別の実施形態において、本発明は、ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)媒介性疾患を治療する方法であって、治療有効量の式(I)または式(II)の立体化学的に純粋な化合物を、かかる治療を必要とする対象に投与することを含む、方法を含む。該方法の一実施形態において、投与される化合物は、(1)である、即ち、該化合物は、(1S,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドである。該方法のさらなる実施形態において、化合物(1)は、単離され、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法のさらなる実施形態において、化合物(1)は、立体化学的に純粋であり、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法のさらなる実施形態において、化合物(1)は、単離され、かつ立体化学的に純粋である。該方法のさらなる実施形態において、化合物(1)は、単離され、かつ立体化学的に純粋であり、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法の一実施形態において、投与される化合物は、(2)である、即ち、該化合物は、(1R,2S,)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドである。該方法のさらなる実施形態において、化合物(2)は、単離され、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法のさらなる実施形態において、化合物(2)は、立体化学的に純粋であり、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法のさらなる実施形態において、化合物(2)は、単離され、かつ立体化学的に純粋である。該方法のさらなる実施形態において、化合物(2)は、単離され、かつ立体化学的に純粋であり、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法の一実施形態において、投与される化合物は、(3)である、即ち、該化合物は、(1R,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドである。該方法のさらなる実施形態において、化合物(3)は、単離され、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法のさらなる実施形態において、化合物(3)は、立体化学的に純粋であり、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法のさらなる実施形態において、化合物(3)は、単離され、かつ立体化学的に純粋である。該方法のさらなる実施形態において、化合物(3)は、単離され、かつ立体化学的に純粋であり、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法の一実施形態において、投与される化合物は、(4)である、即ち、該化合物は、(1S,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドである。該方法のさらなる実施形態において、化合物(4)は、単離され、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法のさらなる実施形態において、化合物(4)は、立体化学的に純粋であり、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法のさらなる実施形態において、化合物(4)は、単離され、かつ立体化学的に純粋である。該方法のさらなる実施形態において、化合物(4)は、単離され、かつ立体化学的に純粋であり、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法の一実施形態において、投与される化合物は、(5)である、即ち、該化合物は、(1R,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドである。該方法のさらなる実施形態において、化合物(5)は、単離され、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法のさらなる実施形態において、化合物(5)は、立体化学的に純粋であり、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法のさらなる実施形態において、化合物(5)は、単離され、かつ立体化学的に純粋である。該方法のさらなる実施形態において、化合物(5)は、単離され、かつ立体化学的に純粋であり、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法の一実施形態において、投与される化合物は、(6)である、即ち、該化合物は、(1R,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドである。該方法のさらなる実施形態において、化合物(6)は、単離され、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法のさらなる実施形態において、化合物(6)は、立体化学的に純粋であり、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法のさらなる実施形態において、化合物(6)は、単離され、かつ立体化学的に純粋である。該方法のさらなる実施形態において、化合物(6)は、単離され、かつ立体化学的に純粋であり、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法の一実施形態において、投与される化合物は、(7)である、即ち、該化合物は、(1S,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドである。該方法のさらなる実施形態において、化合物(7)は、単離され、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法のさらなる実施形態において、化合物(7)は、立体化学的に純粋であり、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法のさらなる実施形態において、化合物(7)は、単離され、かつ立体化学的に純粋である。該方法のさらなる実施形態において、化合物(7)は、単離され、かつ立体化学的に純粋であり、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法の一実施形態において、投与される化合物は、(8)である、即ち、該化合物は、(1S,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドである。該方法のさらなる実施形態において、化合物(8)は、単離され、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法のさらなる実施形態において、化合物(8)は、立体化学的に純粋であり、任意に、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法のさらなる実施形態において、化合物(8)は、単離され、かつ立体化学的に純粋である。該方法のさらなる実施形態において、化合物(8)は、単離され、かつ立体化学的に純粋であり、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。上の実施形態のいずれかにおいて、該組成物は、任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含んでもよく、かかる実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0071】
別の実施形態において、本発明は、疾患を部分的または全体的に抑制するのに十分な、ある量の式(I)または式(II)の1つ以上の化合物を、かかる治療を必要とする対象に投与することによって、ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)媒介性疾患を抑制する方法を含む。該方法の一実施形態において、投与される化合物は、(1)である、即ち、該化合物は、(1S,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドである。該方法のさらなる実施形態において、化合物(1)は、単離され、かつ立体化学的に純粋である。該方法のさらなる実施形態において、化合物(1)は、単離され、かつ立体化学的に純粋であり、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法の一実施形態において、投与される化合物は、(2)である、即ち、該化合物は、(1R,2S,)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドである。該方法のさらなる実施形態において、化合物(2)は、単離され、かつ立体化学的に純粋である。該方法のさらなる実施形態において、化合物(2)は、単離され、かつ立体化学的に純粋であり、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法の一実施形態において、投与される化合物は、(3)である、即ち、該化合物は、(1R,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドである。該方法のさらなる実施形態において、化合物(3)は、単離され、かつ立体化学的に純粋である。該方法のさらなる実施形態において、化合物(3)は、単離され、かつ立体化学的に純粋であり、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法の一実施形態において、投与される化合物は、(4)である、即ち、該化合物は、(1S,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドである。該方法のさらなる実施形態において、化合物(4)は、単離され、かつ立体化学的に純粋である。該方法のさらなる実施形態において、化合物(4)は、単離され、かつ立体化学的に純粋であり、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法の一実施形態において、投与される化合物は、(5)である、即ち、該化合物は、(1R,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドである。該方法のさらなる実施形態において、化合物(5)は、単離され、かつ立体化学的に純粋である。該方法のさらなる実施形態において、化合物(5)は、単離され、かつ立体化学的に純粋であり、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法の一実施形態において、投与される化合物は、(6)である、即ち、該化合物は、(1R,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドである。該方法のさらなる実施形態において、化合物(6)は、単離され、かつ立体化学的に純粋である。該方法のさらなる実施形態において、化合物(6)は、単離され、かつ立体化学的に純粋であり、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法の一実施形態において、投与される化合物は、(7)である、即ち、該化合物は、(1S,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドである。該方法のさらなる実施形態において、化合物(7)は、単離され、かつ立体化学的に純粋である。該方法のさらなる実施形態において、化合物(7)は、単離され、かつ立体化学的に純粋であり、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。該方法の一実施形態において、投与される化合物は、(8)である、即ち、該化合物は、(1S,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドである。該方法のさらなる実施形態において、化合物(8)は、単離され、かつ立体化学的に純粋である。該方法のさらなる実施形態において、化合物(8)は、単離され、かつ立体化学的に純粋であり、薬学的に許容可能な賦形剤と組み合わされる。上の実施形態のうちのいずれかにおいて、該組成物は、任意に、1つ以上の他の治療剤を追加で含んでもよく、かかる実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0072】
上の方法のうちのいずれかにおいて、ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)媒介性疾患は、慢性閉塞性肺障害(COPD、慢性閉塞性肺疾患とも呼ばれる)、慢性気管支炎、喘息、慢性呼吸閉塞、肺線維症、肺気腫、鼻漏、アレルギー性鼻炎、塵肺(黒肺塵症、珪肺、および石綿肺等)を含む職業性肺疾患、急性肺損傷(ALI)、急性呼吸促迫症候群(ARDS)等の、呼吸器障害、切迫性尿失禁、過活動膀胱、または排尿筋過反射、およびそれらの症状等の、泌尿生殖器系障害、胃食道逆流性疾患(GERD)、過敏性腸症候群、憩室疾患、アカラシア、胃腸の過剰運動障害、および下痢等の胃腸管障害等から成る群より選択することができる。
【0073】
別の実施形態において、本発明は、1:1の割合等の任意の割合の(1)および(4)の混合物から本質的に成る組成物を包含する。別の実施形態において、本発明は、1:1の割合等の任意の割合の(2)および(3)の混合物から本質的に成る組成物を包含する。別の実施形態において、本発明は、1:1の割合等の任意の割合の(1)および(2)の混合物から本質的に成る組成物を包含する。別の実施形態において、本発明は、1:1の割合等の任意の割合の(3)および(4)の混合物から本質的に成る組成物を包含する。前述の組成物のうちのいずれかは、追加で、任意の追加の治療剤から本質的に成ることができる。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、本明細書において定義される化合物(5)、(6)、(7)、および/もしくは(8)、またはその代替塩を除外するという条件を付加してもよい。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0074】
別の実施形態において、本発明は、1:1の割合等の任意の割合の(1)および(3)の混合物から本質的に成る組成物を包含する。別の実施形態において、本発明は、1:1の割合等の任意の割合の(2)および(4)の混合物から本質的に成る組成物を包含する。前述の組成物のうちのいずれかは、追加で、任意の追加の治療剤から本質的に成ることができる。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、本明細書において定義される化合物(5)、(6)、(7)、および/もしくは(8)、またはその代替塩を除外するという条件を付加してもよい。前述の実施形態はまた、任意に、1つ以上の他の治療剤が、式(I)および/または式(II)の別の化合物ではないという条件を付加してもよい。
【0075】
別の実施形態において、本発明は、式
【0076】
【化23】

の化合物を含む。
【0077】
exo−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ−2’−フェニルアセトキシ)スピロ[ビシクロ−[2.2.1]ヘプタン−7,1’−ピロリジン]−1’−イウムアニオンであり、式中、アニオンXは、薬学的に許容可能なアニオンである。
【0078】
別の実施形態において、本発明は、式
【0079】
【化24】

の化合物を含む。
(exo−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ−2’−フェニルアセトキシ)スピロ[ビシクロ−[2.2.1]ヘプタン−7,1’−ピロリジン]−1’−イウムブロミド(9)).
別の実施形態において、本発明は、化合物(9)と、薬学的に許容可能な賦形剤または担体と、任意に、追加で1つ以上の他の治療剤と、を含む、組成物を含む。一実施形態において、化合物(9)と、薬学的に許容可能な賦形剤または担体とを含む組成物はまた、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、または(8)より選択される、1つ以上の化合物を含む。
【0080】
本発明はまた、ムスカリン性アセチルコリン受容体によって媒介される疾患を含むが、これに限定されない、多様な適応症を治療するために、単独、または他の薬剤と組み合わせて、および任意に薬学的に許容可能な賦形剤または担体を含む、化合物(9)を使用する方法を包含する。本発明はまた、慢性閉塞性肺障害(COPD、慢性閉塞性肺疾患とも呼ばれる)、慢性気管支炎、喘息、慢性呼吸閉塞、肺線維症、肺気腫、鼻漏、アレルギー性鼻炎、塵肺(黒肺塵症、珪肺、および石綿肺等)を含む職業性肺疾患、急性肺損傷(ALI)、ならびに急性呼吸促迫症候群(ARDS)等の、呼吸器障害を治療するために、単独、または他の薬剤と組み合わせて、および任意に薬学的に許容可能な賦形剤または担体を含む、化合物(9)を使用する方法を包含する。ムスカリン性受容体アンタゴニストで治療することができる、他の非呼吸性医学的状態としては、切迫性尿失禁、過活動膀胱、または排尿筋過反射、およびそれらの症状等の、泌尿生殖器系障害、胃食道逆流性疾患(GERD)、過敏性腸症候群、憩室疾患、アカラシア、胃腸の過剰運動障害、および下痢等の胃腸管障害等が含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
本明細書において説明される一部の実施形態は、種々の要素を「含む(「comprising」または「comprise」)」として列挙される。代替的な実施形態において、それらの要素は、それらの要素に適用される際、「から本質的に成る(「consisting essentially of」または「consist essentially of」)」という移行句を伴って列挙され得る。さらなる代替的な実施形態において、それらの要素は、それらの要素に適用される際、「から成る(「consisting of」または「consist of」)」という移行句を伴って列挙され得る。このため、例えば、組成物または方法が、AおよびBを含むとして本明細書において開示される場合、「AおよびBから本質的に成る」その組成物または方法に関する代替的な実施形態、ならびに「AおよびBから成る」その組成物または方法に関する代替的な実施形態もまた、本明細書において開示されたと見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明のある化合物によって提供される、ラットにおける気管支保護のパーセンテージを描写する。
【図2】本発明のある化合物によって提供される、モルモットにおける気管支保護のパーセンテージを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0083】
本発明は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)等の、ムスカリン性アセチルコリン受容体媒介性疾患を治療するための化合物および方法を提供する。
【0084】
定義
「対象」、「個体」、または「患者」とは、個々の生命体、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを意味する。
【0085】
本明細書において述べられる化合物および方法で、疾患を「治療する」は、疾患、もしくは疾患の1つ以上の症状のいずれかを低減または排除するために、あるいは疾患、もしくは疾患の1つ以上の症状の進行を遅延させるために、あるいは疾患、もしくは疾患の1つ以上の症状の重篤度を低減するために、追加の治療剤を伴って、または伴わずに、本明細書において述べられる化合物のうちの1つ以上を投与することとして定義される。本明細書において述べられる化合物および方法での疾患の「抑制」は、疾患の臨床兆候を抑制するために、または疾患の有害な症状の兆候を抑制するために、追加の治療剤を伴って、または伴わずに、本明細書において述べられる化合物のうちの1つ以上を投与することとして定義される。治療と抑制との間の差異は、治療は、疾患の有害な症状が対象において明らかとなる後に行われる一方で、抑制は、疾患の有害な症状が対象において明らかとなる前に行われるということである。抑制は、部分的、実質的に全体、または全体であってもよい。本発明の化合物および方法は、いかなる有害な症状の出現も抑制するために、疾患の臨床症状の発症の危険がある無症状の患者に投与することができる。
【0086】
本明細書において述べられる化合物の「治療的使用」は、上で定義されるように、疾患を治療または抑制するために、本明細書において述べられる化合物のうちの1つ以上を使用することとして定義される。化合物の「治療有効量」は、対象に投与される時、疾患、もしくは疾患の1つ以上の症状のいずれかを低減または排除する、あるいは疾患、もしくは疾患の1つ以上の症状の進行を遅延させる、あるいは疾患、もしくは疾患の1つ以上の症状の重篤度を低減する、あるいは疾患の臨床兆候を抑制する、あるいは疾患の有害な症状の兆候を抑制するのに十分である、化合物の量である。治療有効量は、1回以上の投与において与えることができる。
【0087】
「アルキル」は、飽和直鎖、分岐鎖、環状、または直鎖および/もしくは分岐鎖および/もしくは環状炭化水素鎖の組み合わせ、ならびに/または炭素原子の環を包含することが意図される。一実施形態において、アルキル基は、1個から12個の炭素原子を有する、即ち、C−C12アルキルである。別の実施形態において、アルキル基は、1個から8個の炭素原子を有する、即ち、C−Cアルキルである。分子の残部へのアルキル基の結合点は、断片上の任意の化学的に実現可能な場所にあり得る。
【0088】
「アルコキシ」は、−O‐アルキル基、例えば、‐O‐C−C12アルキルまたは−O‐C−Cアルキル基を指す。
【0089】
「低級アルキル」は、「C−Cアルキル」と同義であり、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(Pr)、n−プロピル(nPr)、イソプロピル(iPr)、ブチル(Bu)、n−ブチル(nBu)、イソブチル(iBu)、sec−ブチル(sBu)、t−ブチル(tBu)、シクロプロピル(cyclPr)、シクロブチル(cyclBu)、シクロプロピル−メチル(cyclPr−Me)、およびメチル−シクロプロパン(Me−cyclPr)を包含することが意図され、C−Cアルキル基は、C−Cアルキル基上の任意の原子価を介して、分子の残部に結合することができる。
【0090】
「ハロ」は、F、Cl、Br、およびIを指す。
【0091】
「アリール」は、フェニルおよびナフチルを含むが、これらに限定されない、C−C10芳香族炭化水素等の、芳香族炭化水素を指す。
【0092】
「アリールオキシ」は、−O‐アリール基を指す。
【0093】
「アラルキル」は、−アルキル‐アリール基を指す。
【0094】
「アリールオキシアルキル」は、−アルキル‐O‐アリール基を指す。
【0095】
アルコキシカルボニルアルキル」は、−アルキル‐(C=O)‐O‐アルキル基を指す。
【0096】
「単離される」とは、望ましくない構成要素を低減する化学的意味において、精製された化合物を意味する。単離は、約80%純粋もしくは少なくとも約80%純粋、約90%純粋もしくは少なくとも約90%純粋、約95%純粋もしくは少なくとも約95%純粋、約98%純粋もしくは少なくとも約98%純粋、約99%純粋もしくは少なくとも約99%純粋、約99.5%純粋もしくは少なくとも約99.5%純粋、または約99.9%純粋または少なくとも約99.9%純粋であり得る。単離率は、好ましくは重量パーセントであるが、モルパーセントであることも可能である。薬学的に許容可能な賦形剤、薬学的担体、または追加の治療剤等の、所望される構成要素は、単離の純度率を計算する時には含まれない。
【0097】
「立体化学的に純粋な化合物」とは、主に、2つ以上の可能な立体異性体のうちの1つの立体異性体を含有する化合物の調製物を意味する。立体化学的に純粋な化合物は、約80%もしくは少なくとも約80%の単一の立体異性体、約90%もしくは少なくとも約90%の単一の立体異性体、約95%もしくは少なくとも約95%の単一の立体異性体、約98%もしくは少なくとも約98%の単一の立体異性体、約99%もしくは少なくとも約99%の単一の立体異性体、約99.5%もしくは少なくとも約99.5%の単一の立体異性体、または約99.9%もしくは少なくとも約99.9%の単一の立体異性体を有する。立体化学的純度率は、好ましくはモルパーセントであるが、重量パーセントであることも可能である。立体化学的に純粋な際の化合物の特定の立体異性体、または立体化学的に純粋な化合物を含む、立体化学的に純粋な化合物から本質的に成る、もしくは立体化学的に純粋な化合物から成る組成物の言及は、化合物の調製物が、約80%もしくは少なくとも約80%の参照立体異性体、約90%もしくは少なくとも約90%の参照立体異性体、約95%もしくは少なくとも約95%の参照立体異性体、約98%もしくは少なくとも約98%の参照立体異性体、約99%もしくは少なくとも約99%の参照立体異性体、約99.5%もしくは少なくとも約99.5%の参照立体異性体、または約99.9%もしくは少なくとも約99.9%の参照立体異性体を有することを意味する。
【0098】
例として、25mgのベータ−アラニン、25mgのD−アラニン、および50mgのL−アラニンを含有する混合物における、所望の構成要素である、L−アラニンの単離率は、ベータ−アラニンおよびD−アラニンが、所望されない構成要素である場合、50%であろう。同じ混合物におけるL−アラニンの立体化学的純度率は、66.7%であり、2−アミノプロパン酸の全ての立体異性体(即ち、アラニン;ベータ−アラニンは、3−アミノプロパン酸であり、アラニンの立体異性体ではない)の合計に関して計算される。(3つ全ての分子は、同じ分子量を有し、重量パーセントおよびモルパーセントの両方は、本実施例において、同じパーセンテージをもたらす。)例えば、1グラムの薬学的に許容可能な担体、および50mgのビタミンC(薬学的に許容可能な担体およびビタミンCが、組成物の所望の追加の構成要素である場合)の添加は、L−アラニンに関して計算される、単離率または立体化学的純度率には影響しないであろう。
【0099】
「活性M3ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニスト」および「活性M3 mAChRアンタゴニスト」という用語は、同義であり、実施例2において、以降で説明される、ムスカリン性受容体放射性リガンド結合アッセイによって測定されるように、5ナノモル未満もしくは約5ナノモル未満、好ましくは3ナノモル未満もしくは約3ナノモル未満、より好ましくは1ナノモル未満もしくは約1ナノモル未満、さらにより好ましくは0.5ナノモル未満もしくは約0.5ナノモル未満、およびなおさらにより好ましくは0.3ナノモル未満もしくは約0.3ナノモル未満のIC50を有する化合物を指定するために使用される。
【0100】
「その代替塩」は、化合物に言及する時、化合物の対イオンが、別の対イオンで置き換えられてもよいことを示す。例えば、化合物(5)、(1R,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの可能な代替塩は、対応する塩化物:(1R,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンクロリド、対応するトシル酸塩:(1R,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタントルエンスルホン酸塩等を含む。
【0101】
「から本質的に成る」は、本明細書において使用される際、列挙される指定された材料またはステップへの制限として意図され、また、組成物または方法の基本的特性に大いには影響しない、任意の列挙されていない材料またはステップの包含を可能にする。このため、化合物(1)から本質的に成る組成物は、混合物に存在することから、化合物(2)〜(8)等の任意の他のmAChRアンタゴニスト化合物を除外するであろうが、意図される投与経路に好適な1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤もしくは担体(例えば、吸入を介した投与のための薬学的に許容可能な賦形剤もしくは担体、注射を介した投与のための薬学的に許容可能な賦形剤もしくは担体、または経口投与を介した投与のための薬学的に許容可能な賦形剤もしくは担体)は、かかる薬学的に許容可能な賦形剤もしくは担体が、明示的に列挙されない場合でさえも、化合物(1)から本質的に成る組成物から除外されないであろう。
【0102】
式(I)および式(II)に描写される構造は、例解されるように、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール部分の4つの可能な異性体を組み込む、少なくとも4つの可能な立体異性体を表すことを理解されたい。
【0103】
【化25】

追加の立体中心が存在する場合、例えば、‐C(R)(R)(R)基に関して、R、R、およびRによって置換される炭素原子が、不斉である場合、合計少なくとも8つの異なるジアステレオマが生じる。
【0104】
およびR基が異なる場合、追加の立体異性体は、四級化ステップにおいて生成されてもよい。
【0105】
本発明の範囲には、対象化合物の活性異性体、活性異性体の混合物、結晶形態、非晶形態、水和物、または溶媒和物の全てが含まれる。
【0106】
本明細書において描画される化学構造、および本明細書において列記される化学名は、全ての同位体置換体を含むとして解釈されるものとする。同位体置換体は、同位体組成(同位体置換の数)においてのみ異なる、分子的実体、例えば、CH、CHD、CH等(式中、「D」は重水素、即ち、Hである)である。同位体置換体は、構造における任意もしくは全ての原子で同位体置換を有することができるか、または構造における任意もしくは全ての場所で、天然存在量において存在する原子を有することができる。
【0107】
本明細書において説明される本発明の種々の実施形態は、種々の要素を「含む(「comprising」または「comprise」)」として列挙される。代替的な実施形態において、それらの要素は、それらの要素に適用される際、「から本質的に成る(「consisting essentially of」または「consist essentially of」)」という移行句を伴って列挙され得る。さらなる代替的な実施形態において、それらの要素は、それらの要素に適用される際、「から成る(「consisting of」または「consist of」)」という移行句を伴って列挙され得る。このため、例えば、組成物または方法が、AおよびBを含むとして本明細書において開示される場合、「AおよびBから本質的に成る」その組成物または方法に関する代替的な実施形態、ならびに「AおよびBから成る」その組成物または方法に関する代替的な実施形態もまた、本明細書において開示されたと見なされる。
【0108】
調製の方法
式(I)および式(II)の化合物は、適切な合成手順を適用することによって得られてもよく、これらのうちの一部は、例解目的に過ぎない、以下のスキームにおいて例解される。
【0109】
スキーム1において概略されるように、式(I)の所望の化合物、および式(II)のある化合物は、エステル1適切なN−Boc保護アミノアルコール2とのエステル交換によって調製することができる。得られたエステル3の酸処理は、第2級アミン4を提供し、これは、還元的アミノ化手順を利用するN−アルキル化によって第3級アミン5に変換される。最後に、臭化アルキルまたはアラルキルでのアミノエステル5の第3級窒素の四級化が、式(I)の化合物をもたらす。
【0110】
スキーム1
【0111】
【化26】

エステル1(式中、RおよびRは、フェニルまたは2−チエニルであり、Rは、OHである)は、商業的に入手可能である。エステル1(式中、Rは、フェニルまたはチエニルであり、Rは、シクロアルキルであり、Rは、OHである)は、シクロアルキルグリニャール試薬とのグリオキシル酸アリール(即ち、PhCOCOOMe)の反応によって調製することができる。エステル(式中、Rは、OHではない)もまた調製されている。光学活性産物につながるキラルなグリオキシル酸アリールへのかかる有機金属のジアステレオ選択的付加は、説明されている(Tetrahedron Letters 29,2175(1988))。
【0112】
アミノエステル3を形成するためのBoc保護アミノアルコール2とのメチルエステル1のエステル交換は、蒸留によって形成されるメタノールの分離を可能にするのに十分高い温度のn−ヘプタンまたはトルエン等の好適な不活性溶媒中の水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド等等の触媒量の強塩基を使用して実行される。
【0113】
AまたはRC基が、10−フェノチアジニルである場合、所望のエステル3は、塩基の存在下で、10−クロロカルボニルフェノチアジンを、アミノアルコール2と反応させることによって調製される。
【0114】
Boc保護基の除去は、酸による処理によって達成され、第2級アミン4をもたらす。
【0115】
基、例えば、メチルは、J.Org.Chem.61,3489−3862(1996)において説明されるように、ホルムアルデヒドおよびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムでの還元的アミノ化によって導入され、第3級アミン5をもたらす。
【0116】
最後に、不活性溶媒中の式RXの化合物での第3級アミンの処理が、式(I)の第4級アンモニウム化合物を提供する。
【0117】
スピロアゾニア化合物(式中、RおよびRは、5または6員環をともに形成する)は、好適な溶媒中のトリエチルアミンまたは炭酸カリウム等の塩基の存在下で、1,4−ジクロロブタンまたは1,5−ジブロモペンタン等のジハロアルカンでの処理によって、第2級アミン4から調製することができる。
【0118】
米国特許第4,353,922号、およびJ.Pharm.Sci.74,208−210(1985)において説明される方法論は、これらの方法が、単離された化合物ではなくむしろ化合物の混合物を提供するため、本発明の化合物を提供しない。例えば、この方法論は、本明細書において説明される化合物(3)、(4)、(6)、および(8)の混合物を産生するということが、本来考えられていた。しかしながら、より最近の研究は、重要な分子内エポキシド開環ステップが、前例のないcis(transではない)機構を介して進行し、exoアミノアルコール中間体につながるということを決定的に実証している。J.Org.Chem.59,1771−1778(1994)およびOrg.Lett.,1439−1441(1999)を参照されたい。このため、J.Pharm.Sci.74,208−210(1985)において報告される化合物4のendo立体化学(RS−11635、立体化学的に純粋な化合物ではなくむしろ4つの別個のジアステレオマの混合物)は、誤っており、J.Pharm.Sci.74,208−210(1985)の化合物4は、実際、本明細書において説明される化合物(1)、(2)、(5)、および(7)の混合物である。
【0119】
実施例の項に列記される手順は、RC基の炭素原子が不斉炭素である、式(I)の8つ全ての可能な個々のジアステレオマをいかに合成するかを始めて実証する。
【0120】
本発明の化合物で治療可能な疾患
本明細書において開示される化合物および方法は、種々の疾患、特に、ムスカリン性アセチルコリン受容体によって媒介される疾患を治療するために使用することができる。これらの疾患としては、慢性閉塞性肺障害(COPD、慢性閉塞性肺疾患とも呼ばれる)、慢性気管支炎、喘息、慢性呼吸閉塞、肺線維症、肺気腫、鼻漏、アレルギー性鼻炎等の、呼吸器障害が含まれるが、これらに限定されない。疾患はまた、塵肺(黒肺塵症、珪肺、および石綿肺等)を含む職業性肺疾患、急性肺損傷(ALI)、ならびに急性呼吸促迫症候群(ARDS)が含まれるが、これらに限定されない。
【0121】
ムスカリン性受容体アンタゴニストで治療することができる、追加の非呼吸性医学的状態としては、切迫性尿失禁、過活動膀胱、または排尿筋過反射、およびそれらの症状等の泌尿生殖器系障害、胃食道逆流性疾患(GERD)、過敏性腸症候群、憩室疾患、アカラシア、胃腸の過剰運動障害、および下痢等の胃腸管障害等が含まれるが、これらに限定されない。
使用の方法
本発明の化合物、薬学的組成物、および方法は、ムスカリン性アセチルコリン受容体媒介性疾患の治療および/または抑制において、ならびに1つの特定の実施形態において、呼吸器のムスカリン性アセチルコリン受容体媒介性疾患の治療および/または抑制において、使用することができる。特に、本発明の化合物、薬学的組成物、および方法は、慢性閉塞性肺障害(COPD)、慢性気管支炎、および/もしくは気腫を治療ならびに/または抑制する上で使用することができる。
【0122】
呼吸器障害の治療のために、該化合物および薬学的組成物は、好ましくは、エアロゾル、ミスト、スプレー、または粉末等の、吸入することができる形態で投与される。一実施形態において、該化合物または薬学的組成物は、吸入に好適な形態で送達される。吸入に好適な形態は、直径約10μm以下、好ましくは、約0.1μmから約5μmの範囲内、または約1μmから約5μmの範囲内の平均サイズを有する、粒子、エアロゾル、粉末、または液滴であり得る。例えば、Hickey,Anthony J.,ed.,Pharmaceutical Inhalation Aerosol Technology,2nd Ed.,New York:Marcel Dekker,2004、特に、Part Two on Methods of Generation,Administration,and Characterization of Aerosolsを参照されたい。典型的に、粒子、エアロゾル、粉末、または液滴の約3分の2、好ましくは80%、より好ましくは90%が、指定されるサイズ範囲内にある。例えば、約1μmから約5μmの範囲内の直径を有する液滴が指定される時、液滴の3分の2、好ましくは約80%、より好ましくは約90%が、約1μmから約5μmの範囲内にある直径を有する。
【0123】
該化合物または薬学的組成物は、噴霧吸入器、定用量吸入器、または乾燥粉末吸入器(DPI)等の、種々のタイプの吸入器を使用することによって、吸入に好適な形態で送達することができる。該化合物または薬学的組成物は、対象もしくは患者による自発的吸入によって、または、対象もしくは患者が、呼吸において支援を必要とする場合、機械的換気によって、送達することができる。
【0124】
本明細書において説明される化合物は、薬学的に許容可能な賦形剤、薬学的に許容可能な担体、および薬学的に許容可能なビヒクル等の、添加剤との製剤化によって、薬学的組成物として製剤化することができる。好適な薬学的に許容可能な賦形剤、担体、およびビヒクルとしては、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖類、二糖類、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ポリビニルピロリジノン、低融点ワックス、イオン交換樹脂等、ならびにそれらの任意の2つ以上の組み合わせ等の、処理剤、ならびに薬物送達改質剤および促進剤が含まれる。他の好適な薬学的に許容可能な賦形剤は、本明細書において、参照することにより組み込まれる、“Remington’s Pharmaceutical Sciences,” Mack Pub.Co.,New Jersey(1991)、および“Remington:The Science and Practice of Pharmacy,” Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,20th edition(2003) and 21st edition(2005)において説明される。
【0125】
薬学的組成物は、単位用量製剤を含むことができ、単位用量とは、治療または抑制効果を有するのに十分な用量である。単位用量は、治療または抑制効果を有するように単回用量として十分であってもよい。代替として、単位用量は、障害の治療または抑制過程において、定期的に投与される用量であってもよい。
【0126】
本発明の化合物を含有する薬学的組成物は、意図される投与方法に好適な任意の形態、例えば、溶液、懸濁液、またはエマルションであってもよい。液体担体は、典型的に、溶液、懸濁液、およびエマルションを調製する上で使用される。本発明の実践にける使用に対して企図される液体担体としては、例えば、水、生理食塩水、薬学的に許容可能な有機溶媒(複数を含む)、薬学的に許容可能な油もしくは脂等、ならびにそれらの2つ以上の混合物が含まれる。液体担体は、可溶化剤、乳化剤、栄養素、緩衝剤、防腐剤、懸濁剤、増粘剤、粘性調節剤、安定化剤等等の、他の好適な薬学的に許容可能な添加剤を含有してもよい。好適な有機溶媒としては、例えば、エタノール等の一価アルコール、およびグリコール等の多価アルコールが含まれる。好適な油としては、例えば、大豆油、ヤシ油、オリーブ油、ベニバナ油、綿実油等が含まれる。非経口投与に関して、担体はまた、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等のような、油性エステルでもあり得る。本発明の組成物もまた、微粒子、マイクロカプセル、リポソームカプセル等、ならびにこれらの任意の2つ以上の組み合わせの形態であってもよい。
【0127】
例えば、Lee,“Diffusion−Controlled Matrix Systems”,pp.155−198、およびRon and Langer,“Erodible Systems”,pp.199−224,in “Treatise on Controlled Drug Delivery”,A.Kydonieus Ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York 1992において説明されるように、拡散制御マトリクス系、または侵食系等の、時間放出または制御放出送達系が使用されてもよい。マトリクスは、例えば、加水分解、または例えば、プロテアーゼによる酵素的開裂によって、原位置および体内で自然発生的に分解することができる、例えば、生分解性材料であってもよい。送達系は、例えば、ヒドロゲルの形態の、例えば、自然発生または合成ポリマーもしくはコポリマーであってもよい。開裂可能な結合を伴う例示的なポリマーとしては、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリサッカリド、ポリ(リン酸エステル)、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(イミド炭酸)、およびポリ(ホスファゼン)が含まれる。
【0128】
本発明の化合物は、所望される際、従来の非毒性の薬学的に許容可能な担体、アジュバント、およびビヒクルを含有する用量単位製剤において、腸内投与、経口投与、非経口投与、舌下投与、吸入(例えば、ミストまたはスプレーとして)投与、直腸投与、または局部投与されてもよい。例えば、好適な投与形態としては、経口、皮下、経皮、経粘膜、イオン導入、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内(例えば、鼻粘膜を介して)、眼内、硬膜下、膣内、直腸、胃腸等、および、肺もしくは膀胱等の、特定の、または罹患した器官もしくは組織への直接投与が含まれる。局部投与はまた、経皮パッチまたはイオン導入デバイス等の、経皮投与の使用を含んでもよい。非経口という用語は、本明細書において使用される際、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、胸骨内注射、または注入技術を含む。該化合物は、所望の投与経路に適切な薬学的に許容可能な担体、アジュバント、およびビヒクルと混合される。本明細書における使用に関して説明される化合物は、固体形態において、液体形態において、エアロゾル形態において、または錠剤、ピル、粉末混合物、カプセル、顆粒、注射剤、クリーム、溶液、坐薬、かん腸、結腸洗浄、エマルション、分散液、フードプレミックスの形態において、ならびに他の好適な形態において、投与することができる。該化合物はまた、リポソーム製剤において投与することができる。該化合物はまた、プロドラッグとして投与することができ、プロドラッグは、治療される対象における、治療上有効な形態への変質を受ける。追加の投与方法は、当該技術分野において既知である。
【0129】
注射剤調製物、例えば、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液は、好適な分散または湿潤剤および懸濁剤を使用して、既知の技術に従って、製剤化されてもよい。無菌の注射可能な調製物はまた、例えば、プロピレングリコール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であってもよい。中でも、採用されてもよい許容可能なビヒクルおよび溶媒は、水、リンガー溶液、および等張塩化ナトリウム溶液である。加えて、無菌固定油が、溶媒または懸濁媒体として、従来採用される。この目的上、合成モノまたはジグリセリドを含む、任意の無菌性固定油が、採用されてもよい。加えて、オレイン酸等の脂肪酸は、注射剤の調製物において用途を見出す。
【0130】
経口投与のための固体用量形態としては、カプセル、錠剤、ピル、粉末、および顆粒が含まれてもよい。かかる固体用量形態において、活性化合物は、スクロース、ラクトース、またはデンプン等の、少なくとも1つの不活性希釈剤と混和されてもよい。かかる用量形態はまた、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウム等の滑剤を含んでもよい。カプセル、錠剤、およびピルの場合、用量形態はまた、緩衝剤を含んでもよい。錠剤およびピルは、追加で、腸溶性コーティングで調製することができる。
【0131】
経口投与のための液体用量形態としては、水等の、当該技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤を含有する、薬学的に許容可能なエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが含まれてもよい。かかる組成物はまた、湿潤剤、乳化および懸濁剤、シクロデキストリン、ならびに甘味、香味、および芳香剤等の、アジュバントを含んでもよい。
【0132】
本発明の化合物はまた、リポソームの形態で投与することができる。当該技術分野において既知であるように、リポソームは、一般的に、リン脂質または他の脂質物質に由来する。リポソームは、水性媒体中に分散される、単層状または多層状の水和液体結晶によって形成される。リポソームを形成することができる、任意の非毒性の生理学的に許容可能かつ代謝可能な脂質を使用することができる。リポソーム形態の本組成物は、本発明の化合物に加えて、安定化剤、防腐剤、賦形剤等を含有することができる。好ましい脂質は、天然および合成の両方のリン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成するための方法は、当該技術分野において既知である。例えば、Prescott,Ed.,Methods in Cell Biology,Volume XIV,Academic Press,New York,N.W.,p.33以下参照(1976)を参照されたい。
【0133】
本発明のある実施形態において、本発明の製剤および調製物、ならびに本発明の方法において使用される製剤および調製物は、無菌である。無菌の薬学的製剤は、当業者に既知の製薬等級殺菌基準(米国薬局方第797、1072、および1211章、California Business & Professions Code 4127.7、16 California Code of Regulations 1751,21 Code of Federal Regulations 211)に従って、調合または製造される。
【0134】
本発明はまた、製造品、およびムスカリン性アセチルコリン受容体媒介性疾患を治療または抑制するために有用な材料を含有するキットを提供する。本発明はまた、本発明の化合物のうちの任意の1つ以上を含むキットを提供する。一部の実施形態において、本発明のキットは、上で説明される容器を含む。
【0135】
他の態様において、キットは、例えば、ムスカリン性受容体媒介性疾患を有する個体を治療するための、または個体においてムスカリン性アセチルコリン受容体媒介性疾患を抑制するための、本明細書において説明される方法のうちのいずれかに対して使用されてもよい。
【0136】
単回用量形態を産生するように、担体材料と組み合わされてもよい活性成分の量は、活性成分が投与されるホスト、および特定の投与形態に依存して変化する。しかしながら、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、採用される特定の化合物の活性、年齢、体重、体面積、肥満度指数(BMI)、健康全般、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄率、薬物の組み合わせ、ならびに療法を受けている特定の疾患のタイプ、進行、および重篤度を含む、多様な要因に依存することが理解されよう。選択される薬学的単位用量は、通常、血液、組織、器官、もしくは身体の他の標的領域において、定義された最終濃度の薬物を提供するように、または肺等の特定の部位に、定義された用量の薬物を提供するように、製作および投与される。所与の状況に対する治療有効量または有効量は、通常の実験によって容易に決定することができ、かつ一般の臨床医の技能および判断内である。
【0137】
使用することができる、本明細書において説明される化合物の用量の例は、体重1キログラムあたり約0.1μgから約10mg、体重1キログラムあたり約0.1μgから約5mg、体重1キログラムあたり約0.1μgから約1mg、体重1キログラムあたり約0.1μgから約0.5mg、体重1キログラムあたり約0.1μgから約100μg、体重1キログラムあたり約0.1μgから約50μg、体重1キログラムあたり約0.1μgから約10μg、または体重1キログラムあたり約1μgから約10μgの用量範囲内の有効量である。経口投与または吸入投与される時、用量の例は、約0.001mgから約0.01mg、または約0.01mgから約0.1mg、または約0.1mgから約1mg、または約1mgから約10mg、または約10mgから約100mg、または約100mgから約1gの用量範囲内の有効量である。好ましい固定用量には、体重とは独立して、約0.005mg、約0.01mg、約0.018mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.1mg、約1mg、約2mg、約5mg、約10mg、約20mg、約40mg、約50mg、約80mg、または約100mgが含まれる。しかしながら、小児患者は、より少用量を必要とし得、かつ患者の疾患および状態の重篤度に依存して、用量は変化し得ることを理解されたい。化合物は、好ましくは、1日1回投与されるが、1日2回、3回、もしくは4回、または1日おき、または1週間に1回もしくは2回投与されてもよい。
【0138】
本発明の化合物は、単回1日用量で投与されてもよく、または合計の1日用量が、1日2回、3回、もしくは4回の分割用量で投与されてもよい。
【0139】
液体として製剤化される時、本明細書において説明される化合物の濃度は、典型的に、約0.01mg/mLから約0.1mg/mL、または約0.1mg/mLから約1mg/mLであるが、約1mg/mLから約10mg/mL、または約10mg/mLから約100mg/mLであることもまた可能である。固体として、例えば、錠剤として、または吸入のための粉末として、製剤化される時、総重量によって除算される重量化合物として表される、濃度は、典型的に、約0.01%から約0.1%、約0.1%から約1%、約1%から約10%、または約10%から約100%である。
【0140】
本発明の化合物は、単独の活性医薬剤として投与することができる一方で、それらはまた、ムスカリン性アセチルコリン受容体媒介性疾患の治療または抑制において使用される、1つ以上の他の薬剤と組み合わせて使用することができる。本発明の化合物と組み合わせて使用することができる、追加の薬剤の例としては、イプラトロピウムおよびチオトロピウム等の他のアセチルコリン受容体阻害剤、または1つ以上の抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、充血除去剤、もしくは鎮咳剤が含まれるが、これらに限定されない。追加の薬剤は、同じ薬学的組成物において同時に、異なる薬学的組成物において同時に、または異なる時間に投与することができる。特定の薬剤としては、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、シクレソニド、またはフロ酸モメタゾン等の、コルチコステロイド;アルブテロール、サルメテロール、およびメタプロテレノール等の、β2−アドレナリン受容体アゴニスト;コデインまたはデキストロモルファン(dextromorphan)等の、鎮咳剤(咳止め薬);ならびにテオフィリンが含まれるが、これらに限定されない。所望の組み合わせは、追加の治療利点、潜在的な副作用、および当業者に既知の他の考慮事項に基づいて、決定することができる。吸入を介した投与のために、本発明の化合物と組み合わせることができる薬剤がある一方で、他の投与経路を介して投与することができるものもある。
【0141】
追加の活性薬剤が、本発明の化合物と組み合わせて使用される時、追加の活性薬剤は、一般的に、本明細書において参照することによって組み込まれるPhysicians’ Desk Reference(PDR) 53rd Edition(1999)に示される治療量、または当業者に既知であろう、かかる治療上有用な量において、採用されてもよい。
【0142】
本発明の化合物および他の治療活性薬剤は、推奨された最大臨床用量、またはより低用量で投与することができる。本発明の組成物における、活性化合物の用量レベルは、投与経路、疾患の重篤度、および患者の反応に依存して、所望の治療反応を得るように、変更されてもよい。他の治療剤と組み合わせて投与される時、治療剤は、同時もしくは異なる時間に与えられる、別々の組成物として製剤化することができるか、または治療剤は、単一の組成物として与えることができる。
【0143】
第4級窒素によって、式(I)および式(II)の化合物、ならびに化合物(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、もしくは(8)は、正に帯電され、このため、会合した負の対イオンを有する。Berge et al.,J.Pharm.Sci.66:1(1977)、Bighley et al.,“Salt Forms of Drugs and Absorption,” in Swarbrick J,Boylan JC,eds.Encyclopedia of Pharmaceutical Technology 13,New York,NY:Marcel Dekker;1996:453−499、およびPaulekuhn et al.,J.Med.Chem.50:6665(2007)において説明されるもの等の、任意の薬学的に許容可能なアニオンを、本発明の化合物とともに使用することができる。アニオンは、一価(即ち、−1の電荷)、または多価(例えば、−2、−3等の電荷)であり得る。薬学的に許容可能なアニオンとしては、酢酸塩、ベシル酸塩(ベンゼンスルホン酸塩)、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩、重酒石酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンファースルホン酸塩(カンシル酸塩)、炭酸塩、塩化物、クロロテオフィリン酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エタンジスルホン酸塩(エジシル酸塩)、エタンスルホン酸塩(エシル酸塩)、フマル酸塩、グルセプト酸塩(グルコヘプトン酸塩)、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩(エストル酸塩)、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸メチル、硫酸メチル、ムコ酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、およびトリフルオロ酢酸塩が含まれるが、これらに限定されない。複数のアニオンは、所望される場合、単一の調製物において使用することができる。例えば、1ミクロモルの化合物(1)は、2分の1ミクロモルの塩化物イオン、および2分の1ミクロモルの臭化物イオンと組み合わせることができる。
【0144】
式(I)および式(II)の化合物、ならびに化合物(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、もしくは(8)は、単一の形式正電荷を有する、即ち、それらは、一価カチオンである。単荷電(一価)カチオンに対するアニオンの化学量論は、アニオンの原子価に依存する。例えば、アニオンが、Br−等の、一価アニオンである時、カチオン:アニオンの割合は、1:1であり、アニオンが、硫酸塩(SO2−)等の、二価アニオンである時は、カチオン:アニオンの割合は、2:1である、等である。
【実施例】
【0145】
実施例
実施例1
合成方法
実施例1.1
(±)−exo−7−[(tert−ブトキシカルボニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール、および(±)−endo−7−[(tert−ブトキシカルボニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール
【0146】
【化27】

炭素上のパラジウム(10%、1.55g)およびギ酸アンモニウム(2.48g、39.3mmol)を、無水メタノール(51mL)中の(±)−exo−7−(フェニルメチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール、および(±)−endo−7−(フェニルメチル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール(1.55g、7.63mmol)の合わせたアルコールの撹拌した溶液に添加した。得られた懸濁液を、還流温度で20〜30分撹拌した。完了後、触媒をCeliteのパッドを通した濾過によって除去し、次いで、メタノールで数回洗浄した。濾液を真空で濃縮し、残渣に、無水テトラヒドロフラン(17mL)、続いて、ジ−tert−ブチルジカルボネート(2.0g、9.16mmol)を添加した。反応混合物を、室温で3時間撹拌し、溶媒を真空で濃縮した。残渣を、塩化メチレンで処理し、水酸化アンモニウムの溶液で洗浄した。有機相を乾燥させ(MgSO)、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製して、アルコール(±)−exo−7−[(tert−ブトキシカルボニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール、および(±)−endo−7−[(tert−ブトキシカルボニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール(1.50g、95%)を得た。
【0147】
実施例1.2
(±)−7−[tert−ブトキシカルボニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン
【0148】
【化28】

デスマーチンペルヨージナン(3.83g、9.03mmol)を、数回に分けて、窒素下で、無水塩化メチレン(125mL)中のアルコール(±)−exo−7−[(tert−ブトキシカルボニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール、および(±)−endo−7−[(tert−ブトキシカルボニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール(1.50g、7.04mmol)の撹拌した溶液に添加した。反応混合物を、終夜室温で撹拌した。真空内での溶媒の除去後、固体残渣を、ジエチルエーテルで粉砕し、濾過した。固体をジエチルエーテルで数回洗浄し、濾液を真空で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製して、ケトン(±)−7−[tert−ブトキシカルボニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン(1.06g、71%)を得た。
【0149】
実施例1.3
(1S,4’R,5’R)−tert−ブチル4’,5’−ジフェニル−7−アザスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,2’−イミダゾリジン]−7−カルボキシレート、および(1R,4’R,5’R)−tert−ブチル4’,5’−ジフェニル−7−アザスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,2’−イミダゾリジン]−7−カルボキシレート
【0150】
【化29】

(R,R)−ジフェニルエチレンジアミン(1.14g、5.37mmol)を、窒素下で、4A分子篩を含有する無水塩化メチレン(17mL)中のケトン(±)−7−[tert−ブトキシカルボニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン(1.06g、5.02mmol)の溶液に添加した。反応混合物を、室温で24時間撹拌した。トリエチルアミン(2.8mL)を添加し、次いで、分子篩を濾過によって排除した。濾液を真空で濃縮し、得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(エーテル/石油エーテル/EtN、10:15:1から15:10:1)によって精製し、最初に(1S,4’R,5’R)−tert−ブチル4’,5’−ジフェニル−7−アザスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,2’−イミダゾリジン]−7−カルボキシレート(992mg、49%)、次いで(1R,4’R,5’R)−tert−ブチル4’,5’−ジフェニル−7−アザスピロ−[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,2’−イミダゾリジン]−7−カルボキシレート(0.938g、46%)を得た。
【0151】
実施例1.4
(+)(1S)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン
【0152】
【化30】

0.1M HPO−THF(2:1、14.4mL)中の(1S,4’R,5’R)−tert−ブチル4’,5’−ジフェニル−7−アザスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,2’−イミダゾリジン]−7−カルボキシレート(992mg、2.45mmol)の溶液を、30分間室温で撹拌した。次いで、反応混合物を水で希釈し、エーテルで抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO)、溶媒を真空で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製して、ケトン(+)(1S)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン(496mg、96%)を得た;[α]22+74.2o(c 0.43,CHCl3)H NMR δ(CDCl,400MHz) 4.56(t,1H),4.25(d,1H),2.47(dd,1H),1.99(m+d,2+1H),1.59(m,2H),1.46(s,9H)。
【0153】
実施例1.5
(−)−(1R)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン
【0154】
【化31】

(+)(1S)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンの調製に関して説明される手順に従い、ジアミン(1R,4’R,5’R)−tert−ブチル4’,5’−ジフェニル−7−アザスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,2’−イミダゾリジン]−7−カルボキシレート(938mg、2.31mmol)を、(−)(1R)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン(468mg、96%)に変換した。[α]22−58.6o(c 0.11,CHCl);H NMR δ(CDCl,400MHz) 4.56(t,1H),4.25(d,1H),2.47(dd,1H),1.99(m+d,2+1H),1.59(m,2H),1.46(s,9H)。
【0155】
実施例1.6
(1S,2S)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール、および(1S,2R)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール
【0156】
【化32】

酸化白金(27mg)、続いて、トリエチルアミン(0.98mL、7.05mmol)を、エタノール(1.2mL)中のケトン(+)(1S)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン(496mg、2.35mmol)の撹拌した溶液に添加した。フラスコを真空下でパージし、次いで、バルーンを使用して、水素で充填した。反応混合物を室温で48時間撹拌した。次いで、触媒をCeliteのパッドを通した濾過によって除去し、これを、メタノールで数回洗浄した。濾液を真空で濃縮し、得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製して、最初に(1S,2S)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール(140mg、28%)、次いで(1S,2R)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール(160mg、32%)を得た。
【0157】
実施例1.7
(1R,2R)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール、および(1R,2S)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール
【0158】
【化33】

(1S,2S)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール、および(1S,2R)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オールの調製に関して説明される手順に従い、ケトン(−)(1R)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン(468mg、2.22mmol)を、(1R,2R)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール(150mg、32%)、および(1R,2S)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール(140mg、30%)に変換した。
【0159】
実施例1.8
(1R,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン
【0160】
【化34】

5mLのヘプタン中の(1R,2S)−2−ヒドロキシ−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(68mg、0.32mmol)に、(R)−メチル−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ2−フェニルアセテート(149mg、0.64mmol)、続いて、触媒NaH(油中の60%分散液として8mg)を添加し、混合物を100℃で20時間撹拌した。水を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣を、溶離液としてヘキサン/酢酸エチルを使用して、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィによって精製して、76mgの所望の生成物、(1R,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンを、油として得た。
【0161】
同様に、以下も調製した:
(1S,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
(1S,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
(1R,2R,)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
(1R,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
(1S,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
(1S,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および
(1R,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン。
【0162】
実施例1.9
(1R,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン
【0163】
【化35】

(1R,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−(tert−ブトキシカルボニル)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(76mg、0.182mmol)に、1mLのジオキサン中の4N 塩酸を添加し、混合物を、室温で0.5時間撹拌した。ジオキサンを真空下で除去し、残渣を水酸化アンモニウムでpH 10に塩基性化し、3×30mLの塩化メチレンで抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮して、粗製アミンを得た。5mLのジクロロエタンに溶解されたこのアミンに、0.1mLのホルムアルデヒド溶液(水中37% w/v)、続いて、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(76mg、0.364mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。水を添加し、混合物を3×50mLの塩化メチレンで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮して、粗製第3級アミンを得、これを、溶離液として塩化メチレン/メタノール/アンモニア(90:9:1)を使用して、シリカゲル上でさらに精製して、46mgの(1R,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−メチル−7−アザビシクロ[2,2,1]ヘプタンを油として得た。
【0164】
同様に、以下も調製した:
(1S,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
(1S,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
(1R,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
(1R,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
(1S,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
(1S,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および
(1R,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン。
【0165】
実施例1.10
(1R,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド(2)
【0166】
【化36】

アセトン(2mL)中の(1R,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−メチル−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(46mg、0.139mmol)に、1mLの臭化メチル溶液(エーテル中2M)を添加した。得られた混合物を、室温で48時間放置した。結晶化した生成物を濾過し、乾燥させて、36mgの(1R,2S,)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド(2)を、白色結晶固体として得た。融点233〜234℃、HNMR:7.6(dd,2H);7.4(m,2H);7.28(m,1H);5.0(m,1H);4.9(m,1H);4.45(m,1H);3.8(s,1H);3.49(s,3H);3.28(s,3H);3.0(m,1H);2.5−2.2(m,4H);1.9−1.3(m,10H)。
【0167】
同様に、以下も調製した:
(1)、(1S,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、融点198〜200℃、HNMR:7.45(dd,2H);7.25(m,2H);7.1(m,1H);5.1(m,1H);4.9(m,1H);4.1(m,1H);3.8(s,1H);3.23(s,3H);3.0(s,3H);2.8(m,1H);2.3(m,4H);2.8−1.2(m,10H)、
(4)、(1S,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、融点210〜212℃、HNMR:7.59(d,2H);7.36(t,2H);7.3(m,1H);5.4(m,1H);4.8(m,1H);5.6(m,1H);3.6(s,1H);3.5(s,6H);2.85(m,2H);2.2(m,2H);1.8−1.2(m,9H)、
(3)、(1R,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、融点232〜233℃、HNMR:7.59(d,2H);7.37(t,2H);7.32(m,1H);5.4(m,1H);4.9(t,1H);4.4(t,1H);3.6(s,1H);3.56(s,3H);3.46(s,3H);3.0(m,2H);2.3(m,1H);1.9(m,1H);1.8−1.2(m,10H)、
(5)、(1R,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、融点222〜224℃、HNMR:7.6(dd,2H);7.4(m,2H);7.28(m,1H);5.0(m,1H);4.9(m,1H);4.45(m,1H);3.8(s,1H);3.49(s,3H);3.28(s,3H);3.0(m,1H);2.5−2.2(m,4H);1.9−1.3(m,10H)、
(7)、(1S,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、融点231〜233℃、HNMR:7.45(dd,2H);7.25(m,2H);7.1(m,1H);5.1(m,1H);4.9(m,1H);4.1(m,1H);3.8(s,1H);3.23(s,3H);3.0(s,3H);2.8(m,1H);2.3(m,4H);2.8−1.2(m,10H)、
(8)、(1S,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、融点223〜225℃、HNMR:7.59(d,2H);7.36(t,2H);7.3(m,1H);5.4(m,1H);4.8(m,1H);5.6(m,1H);3.6(s,1H);3.5(s,6H);2.85(m,2H);2.2(m,2H);1.8−1.2(m,9H)、および
(6)、(1R,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、融点212〜214℃、HNMR:7.59(d,2H);7.37(t,2H);7.32(m,1H);5.4(m,1H);4.9(t,1H);4.4(t,1H);3.6(s,1H);3.56(s,3H);3.46(s,3H);3.0(m,2H);2.3(m,1H);1.9(m,1H);1.8−1.2(m,10H)。
【0168】
実施例1.11
Exo−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ−2’−フェニルアセトキシ)スピロ[ビシクロ−[2.2.1]ヘプタン−7,1’−ピロリジン]−1’−イウムブロミド(9)
【0169】
【化37】

アセトニトリル(3mL)中のExo−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(151mg、0.479mmol)の溶液に、1,4−ジブロモブタン(206mg、0.958mmol)、および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(109mg、0.717mmol)を添加した。得られた溶液を、60℃で20時間撹拌した。冷却した溶液を蒸発させて乾燥させ、残渣油をアセトン/酢酸エチルで粉砕した。得られた固体をアセトン/酢酸エチルから再結晶化させ、濾過し、乾燥させて、44mgの所望の生成物を得た。融点214〜217℃、MS 370(M)。
【0170】
実施例2
生物学的方法
本発明のM mAChRでの化合物のアンタゴニスト効果は、以下の体外および体内アッセイによって判断された。
【0171】
ムスカリン性受容体放射性リガンド結合アッセイ:
放射性リガンド結合研究は、説明されるとおり、M受容体細胞ホモジネートで行った(Peralta et al.,The EMBO Journal ,3923−3929,(1987))。0.2nMの[H]4−DAMPとの試験リガンド(または標準)のインキュベーションは、120分間、22℃で、ヒトM受容体発現細胞ホモジネートを使用して、インキュベートした。受容体への特定のリガンド結合は、過剰の非標識化リガンド(10μmアトロピン)の存在下で判断される、総放射性リガンド結合と非特異的結合との間の相違として定義された。結果は、種々の濃度の試験化合物の存在下で得られる、対照特異的結合率((測定された特異的結合/対照特異的結合)×100)として表した。
【0172】
IC50値(対照特異的結合の半最大阻害を引き起こす濃度)、および係数(nH)は、Hill式曲線フィッティング(Y=D+[(A−D)/(1+(C/C50nH)]、式中、Y=特異的結合、D=最小特異的結合、A=最大特異的結合、C=化合物濃度、C50=IC50、およびnH=傾斜係数)を使用して、平均複製値で生成される、競合曲線の非線形回帰分析によって判断した。
【0173】
阻害定数(K)は、Cheng−Prusoff方程式
(K=IC50/(1+(L/K))、(式中、L=アッセイにおける放射性リガンドの濃度、およびK=受容体に対する放射性リガンドの親和性)
を使用して計算した。Scatchardプロットは、放射性リガンドKを判断するために使用した。
【0174】
上の方法によって試験する時、本発明の化合物は、表1に示されるように、0.1から100nMの範囲内のK値を有した。
【0175】
【表1−1】

【0176】
【表1−2】

気管支拡張剤の効力および作用持続時間研究;ラットEinthovenモデル:
気管支拡張剤の効力および作用持続時間研究は、雄のSprague−Dawleyラット(200〜350g)を利用する。動物を、投薬チャンバ内に配置し、投薬チャンバ内に30分間以下配置することによって、LC Star Nebulizer Setから生成され、かつガスの混合物(5% CO、20% 酸素、および75% 窒素)によって駆動されるエアロゾルに曝露させる。投薬チャンバ内において、動物は拘束せずに、ほぼ18平方インチの床面積を有する空間に限定させる。動物を10分間、チャンバに順応させ、次いで、吸入を介して送達される試験化合物で処理する。各試験化合物溶液を、5から25分にわたって噴霧する。既定の期間後、研究される時点に基づいて、動物を試験化合物の薬力学的効果に関して評価する。肺評価の開始の30分前に、動物に、ペントバルビタールナトリウム(Nembutal、25mg/kg)で麻酔する。頸静脈に、気管支収縮剤メタコリン(MCh)を注入するために使用される生理食塩水+10U/mLヘパリン充填ポリエチレンカテーテル(PE−20)を用いて、カテーテル挿入する。頸動脈に、10U/mLヘパリン/生理食塩水充填PE−50カテーテルを用いて、カニューレ挿入し、血圧および心拍数(CV効果)の測定のために、圧力変換器に接続する。次いで、気管を切開開放し、肺抵抗の測定のための圧力変換器、および適切な一回換気量を送達するように、かつ動物の重量によって判断される速度で設定される定容齧歯類レスピレータに接続される14G鋼管を用いて、カニューレ挿入する。これは、試験品の肺およびCV効果の評価の間のラットの換気のために使用される。静脈内MChを、未処理動物において、最大肺収縮の80%を引き起こすのに十分な用量で投与する(4匹のラットを使用した試験的研究における実験によって判断)。MChに対する肺およびCV反応は、試験品の効力、安全性、および薬力学的効果を判断する。
【0177】
ラット気管支保護プロトコル−MCh用量反応:
試験化合物および対照(水)を、吸入を介して、雄のSprague Dawleyラット(200〜350g)に投与した。吸入投薬は、ラットを投薬チャンバ内に配置し、それらを25分間、Pari噴霧器を使用して、噴霧された薬物溶液に曝露することによって行われた。次いで、動物をそれらのケージに戻した。チャンバは、水で洗浄することによって、使用の合間に浄化した。
【0178】
投薬の24時間後、および肺評価の開始の30分前に、動物にペントバルビタールナトリウム(Nembutal、50mg/mL、1mL/kg、IP)で麻酔した。次いで、気管を切開開放し、圧力変換器(肺膨張圧力の測定のため)、および適切な一回換気量(2.5mL)を送達するように、かつ動物の重量によって判断される速度(60回の呼吸/分)で設定される定容齧歯類レスピレータに接続される14G鋼管を用いて、カニューレ挿入した。頸動脈に、5U/mLヘパリン/生理食塩水充填PE−50カニューレを用いて、カニューレ挿入し、血圧および心拍数の測定のために、圧力変換器に接続した。頸静脈に、気管支収縮剤メタコリン(MCh)のボーラスチャレンジを送達するために使用される、生理食塩水充填ポリエチレンカテーテル(PE−10)を用いて、カテーテル挿入した。先の用量に対する反応がベースラインに戻った後で、静脈内漸増用量のMCh(1から300μg/kg)を投与した。肺膨張圧力および血圧を、AcqKnowledgeソフトウェアを伴うBiopacシステムを使用して記録した。動物は、頸椎脱臼、続いて、開胸によって、研究の完了後、安楽死させた。
【0179】
気管支保護研究の結果を、図1に示す。表2は、ラットにおける、メタコリン誘導性気管支収縮に対する気管支保護効果の体内効力(吸入の24時間後)および持続時間を示す。
【0180】
【表2】

気管支拡張剤の効力および作用持続時間研究;モルモットEinthovenモデル:
気管支拡張剤の効力および作用持続時間研究は、雄のDunkin Hartleyモルモット(250〜350g)を利用する。動物を投薬チャンバ内に配置し、投薬チャンバ内に30分間以下配置することによって、LC Star Nebulizer Setから生成され、かつガスの混合物(5% CO、20%酸素、および75%窒素)によって駆動されるエアロゾルに曝露させる。投薬チャンバ内において、動物は拘束せずに、ほぼ18平方インチの床面積を有する空間に限定させる。動物を10分間、チャンバに順応させ、次いで、吸入を介して送達される試験化合物で処理する。各試験化合物溶液を、5から25分にわたって噴霧する。既定の期間後、研究される時点に基づいて、動物を試験化合物の薬力学的効果に関して評価する。肺評価の開始の30分前に、動物に、筋肉内ケタミン(55.8mg/kg)、キシラジン(3.9mg/kg)、およびアセプロマジン(1mg/kg)で麻酔する。頸静脈に、気管支収縮剤メタコリン(MCh)を注入するために使用される生理食塩水+10U/mLヘパリン充填ポリエチレンカテーテル(PE−20)を用いて、カテーテル挿入する。頸動脈に、10U/mLヘパリン/生理食塩水充填PE−50カテーテルでカニューレ挿入し、血圧および心拍数(CV効果)の測定のために、圧力変換器に接続する。次いで、気管を切開開放し、肺抵抗の測定のための圧力変換器、および適切な一回換気量を送達するように、かつ動物の重量によって判断される速度で設定される定容齧歯類レスピレータに接続される14G鋼管を用いて、カニューレ挿入する。これは、試験品の肺およびCV効果の評価の間のモルモットの換気のために使用される。静脈内MChを、未処理動物において、最大肺収縮の80%を引き起こすのに十分な用量で投与する(4匹モルモットを使用した試験的研究における実験によって判断)。MChに対する肺およびCV反応は、試験品の効力、安全性、および薬力学的効果を判断する。
【0181】
モルモット気管支保護プロトコル−MCh用量反応:
試験化合物および対照(水)を、吸入を介して、雄のDunkin Hartleyモルモット(250〜350g)に投与した。吸入投薬は、モルモットを投薬チャンバ内に配置し、それらを25分間、Pari噴霧器を使用して、噴霧された薬物溶液に曝露することによって行われた。次いで、動物をそれらのケージに戻した。チャンバは、水で洗浄することによって、使用の合間に浄化した。
【0182】
投薬の24時間後、および肺評価の開始の30分前に、動物に、筋肉内ケタミン(55.8mg/kg)、キシラジン(3.9mg/kg)、およびアセプロマジン(1mg/kg)で麻酔する。次いで、気管を切開開放し、圧力変換器(肺膨張圧力の測定のため)、および適切な一回換気量(2.5mL)を送達するように、かつ動物の重量によって判断される速度(100回の呼吸/分)で設定される定容齧歯類レスピレータに接続される14G鋼管を用いて、カニューレ挿入した。頸動脈に、5U/mLヘパリン/生理食塩水充填PE−50カニューレを用いて、カニューレ挿入し、血圧および心拍数の測定のために、圧力変換器に接続した。頸静脈に、気管支収縮剤メタコリン(MCh)のボーラスチャレンジを送達するために使用される、生理食塩水充填ポリエチレンカテーテル(PE−10)を用いて、カテーテル挿入した。先の用量に対する反応がベースラインに戻った後で、静脈内漸増用量のMCh(1から300μg/kg)を投与した。肺膨張圧力および血圧を、AcqKnowledgeソフトウェアを伴うBiopacシステムを使用して記録した。動物は、頸椎脱臼、続いて、開胸によって、研究の完了後、安楽死させた。
【0183】
気管支保護研究の結果を、図2に示す。表3は、モルモットにおける、メタコリン誘導性気管支収縮に対する気管支保護効果の体内効力(吸入の24時間後)および持続時間を示す。
【0184】
【表3】

引用元を特定することによって本明細書において参照される全ての公開物、特許、特許出願、および公開特許出願の開示は、本明細書によって、各個々の公開物、特許、特許出願、および公開特許出願が、全ての目的上、その全体として参照することによって組み込まれるべく、具体的かつ個々に示されるかのように、同じ程度に、全ての目的上、それらの全体として参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0185】
前述の発明は、理解の明確性の目的上、例解および例として、いくらか詳細に説明されるが、特定の変更および修正が実践されることになることは、当業者にとって明白である。他に文脈から明白でない限り、本発明の任意のステップ、要素、実施形態、特性、または態様を、任意の他のものとともに使用することができる。したがって、本説明および例は、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)に従う、立体化学的に純粋なM3ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニスト化合物であって、
【化38】

式中、Rは、アルキル、アルコキシ、ハロ、もしくはCOOR基で任意に置換される、フェニルまたはチエニルであり、
は、R、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−アルキルシクロペンチル、または1−アルキルシクロヘキシルであるか、あるいはRおよびRは、ともに、いずれかもしくは両方のベンゼン環上で、アルキル、アルコキシ、ハロ、もしくはCOOR基で任意に置換される、9−キサンテニルまたは9−ヒドロキシキサンテニルであり得るか、
あるいは、RC基は、いずれかもしくは両方のベンゼン環上で、アルキル、アルコキシ、ハロ、もしくはCOOR基で任意に置換される、10−フェノチアジニルであり、
は、HまたはOHであり、
およびRは、低級アルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アラルキル、またはアリールオキシアルキル(後者2つは、アルキル、アルコキシ、ハロ、もしくはCOOR基で任意に置換される)であるか、あるいはアリールもしくはアリールオキシで任意に置換される、5または6員環をともに形成し、
Rは、低級アルキルであり、
は、N原子の正電荷と会合する、薬学的に許容可能なアニオンを表す、立体化学的に純粋なM3ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニスト化合物。
【請求項2】
式(II)に従う、立体化学的に純粋なM3ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニスト化合物であって、
【化39】

式中、Aは、
−C(R)(R)(R
(式中、Rは、−C−Cアルキル、‐O‐C−Cアルキル、‐F、‐Cl、‐Br、‐I、もしくは‐C(=O)‐O‐C−Cアルキル基等の、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはCOOR基で任意に置換される、フェニルまたはチエニルより独立して選択され、
は、フェニル、チエニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ヒドロキシシクロペンチル、または1−ヒドロキシシクロヘキシルより独立して選択され、フェニル、チエニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ヒドロキシシクロペンチル、または1−ヒドロキシシクロヘキシルは、−C−Cアルキル、‐O‐C−Cアルキル、‐F、‐Cl、‐Br、‐I、もしくは‐C(=O)‐O‐C−Cアルキル基等の、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはCOOR基で任意に置換され、
は、HまたはOHである)、
いずれかもしくは両方のベンゼン環上で、−C−Cアルキル、‐O‐C−Cアルキル、‐F、‐Cl、‐Br、‐I、もしくは‐C(=O)‐O‐C−Cアルキル基等の、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはCOOR基で任意に置換される、9−キサンテニルまたは9−ヒドロキシキサンテニル、および
いずれかもしくは両方のベンゼン環上で、−C−Cアルキル、‐O‐C−Cアルキル、‐F、‐Cl、‐Br、‐I、もしくは‐C(=O)‐O‐C−Cアルキル基等の、アルキル、アルコキシ、ハロ、もしくはCOOR基で任意に置換される、10−フェノチアジニル
から成る群より独立して選択され、
およびRは、低級アルキル(C−Cアルキル等)、アルコキシカルボニルアルキル(−C‐Cアルキル‐O‐(C=O)‐C‐Cアルキル等)、アラルキル(‐C‐Cアルキル‐C−C10アリール等)、またはアリールオキシアルキル(−C‐Cアルキル‐O‐C−C10アリール等)より独立して選択され、アルコキシカルボニルアルキルおよびアラルキルは、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはCOOR基(−C−Cアルキル、‐O‐C−Cアルキル、‐F、‐Cl、‐Br、‐I、もしくは‐C(=O)‐O‐C−Cアルキル基等)で任意に置換することができるか、あるいは、アリール(‐C−C10アリール等)、またはアリールオキシ(‐O‐C−C10アリール等)で任意に置換される、5または6員環をともに形成することができ、
Rは、低級アルキルであり、
は、薬学的に許容可能なアニオンを表す、立体化学的に純粋なM3ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニスト化合物。
【請求項3】
Aは、
−C(R)(R)(R)基
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
は、−C−Cアルキル、‐O‐C−Cアルキル、‐F、‐Cl、‐Br、‐I、もしくは‐C(=O)‐O‐C−Cアルキル基等の、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはCOOR基で任意に置換される、フェニルより独立して選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
は、非置換フェニルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
は、シクロペンチルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
は、OHである、請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
およびRは、独立して、C−Cアルキルより選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項9】
およびRの両方は、メチルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物は、
【化40】

アニオンXを伴う、(1S,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
【化41】

アニオンXを伴う、(1R,2S,)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
【化42】

アニオンXを伴う、(1R,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
【化43】

アニオンXを伴う、(1S,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
【化44】

アニオンXを伴う、(1R,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
【化45】

アニオンXを伴う、(1R,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
【化46】

アニオンXを伴う、(1S,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
【化47】

アニオンXを伴う、(1S,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
から成る群より選択され、
式中、アニオンXは、薬学的に許容可能なアニオンである、請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
は、酢酸塩、ベシル酸塩(ベンゼンスルホン酸塩)、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩、重酒石酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンファースルホン酸塩(カンシル酸塩)、炭酸塩、塩化物、クロロテオフィリン酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エタンジスルホン酸塩(エジシル酸塩)、エタンスルホン酸塩(エシル酸塩)、フマル酸塩、グルセプト酸塩(グルコヘプトン酸塩)、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩(エストル酸塩)、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸メチル、硫酸メチル、ムコ酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、およびトリフルオロ酢酸塩から成る群より選択される、請求項1〜10のうちのいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびトルエンスルホン酸塩から成る群より選択される、請求項1〜10のうちのいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物は、
【化48】

(1)(1S,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【化49】

(2)(1R,2S,)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【化50】

(3)(1R,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【化51】

(4)(1S,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、

【化52】

(5)(1R,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【化53】

(6)(1R,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【化54】

(7)(1S,2R)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、および
【化55】

(8)(1S,2S)−2−((S)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、ならびに
任意に、薬学的に許容可能な担体
から成る群より選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物は、単離される、請求項1〜13のうちのいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
前記化合物は、約3ナノモル未満のムスカリン性アセチルコリン受容体に結合するためのIC50を有する、請求項1〜13のうちのいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
前記化合物は、単離され、約3ナノモル未満のムスカリン性アセチルコリン受容体に結合するためのIC50を有する、請求項1〜13のうちのいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
【化56】

(1)(1S,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【化57】

(2)(1R,2S,)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【化58】

(3)(1R,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【化59】

(4)(1S,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
から成る群より選択される化合物であって、
前記化合物は、立体化学的に純粋である、化合物と、
任意に、薬学的に許容可能な担体と、から本質的に成る、薬学的組成物。
【請求項18】
【化60】

(1)(1S,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【化61】

(2)(1R,2S,)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【化62】

(3)(1R,2R)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
【化63】

(4)(1S,2S)−2−((R)−2’−シクロペンチル−2’−ヒドロキシ2’−フェニルアセトキシ)−7,7−ジメチル−7−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド、
から成る群より選択される、2つ、3つ、または4つの化合物であって、
前記化合物は、任意の割合で存在することができる、化合物と、
任意に、薬学的に許容可能な担体と、から本質的に成る組成物。
【請求項19】
前記組成物は、2つの化合物を含有し、任意の割合の化合物(1)および(4)、任意の割合の化合物(2)および(3)、任意の割合の化合物(1)および(2)、ならびに任意の割合の化合物(3)および(4)から成る群より選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
薬学的に許容可能な担体を追加で含む、請求項1〜19のうちのいずれかに記載の化合物または組成物。
【請求項21】
追加の治療剤をさらに含むが、但し、前記追加の治療剤が、化合物(5)、(6)、(7)、もしくは(8)、または化合物(5)、(6)、(7)、もしくは(8)の代替塩ではないことを条件とする、請求項1〜20のうちのいずれかに記載の化合物または組成物。
【請求項22】
1つ以上の追加の治療剤をさらに含むが、前記1つ以上の追加の治療剤が、式(I)または式(II)の化合物ではないことを条件とする、請求項1〜20のうちのいずれかに記載の化合物または組成物。
【請求項23】
ムスカリン性アセチルコリン受容体媒介性疾患を有する患者を治療する方法であって、前記患者に、治療有効量の請求項1〜22のいずれかに記載の化合物または組成物を投与することを含む、方法。
【請求項24】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体媒介性疾患は、呼吸器疾患である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記呼吸器疾患は、呼吸器障害、慢性閉塞性肺障害(COPD)、慢性気管支炎、喘息、慢性呼吸閉塞、肺線維症、肺気腫、鼻漏、アレルギー性鼻炎、職業性肺疾患、塵肺、黒肺塵症、珪肺、石綿肺、急性肺損傷(ALI)、および急性呼吸促迫症候群(ARDS)から成る群より選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記呼吸器疾患は、慢性閉塞性肺障害(COPD)である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記疾患は、泌尿生殖器系障害、切迫性尿失禁、過活動膀胱、または排尿筋過反射、およびそれらの症状、胃食道逆流性疾患(GERD)、胃腸管障害、過敏性腸症候群、憩室疾患、アカラシア、胃腸の過剰運動障害、ならびに下痢から成る群より選択される、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−518120(P2013−518120A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551290(P2012−551290)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2011/022760
【国際公開番号】WO2011/094434
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(512197571)セロン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】