7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシンのマルチアームポリマー性コンジュゲートを用いた血管新生の阻害方法
本発明は、哺乳動物での血管新生を阻害する方法に関する。本発明は、それを必要とする哺乳動物に、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリマー性プロドラッグを投与するステップを含む。本発明はまた、それを必要とする哺乳動物に7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリマー性プロドラッグを投与することにより、哺乳動物での血管新生に関連する疾患を治療する方法にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年4月17日に出願された米国仮特許出願第61/170,386号に基づく優先権を主張し、その内容を参照により本明細書に組み入れる。
【0002】
発明の分野
本発明は、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリマー性プロドラッグを投与することによる、血管新生または血管新生活性の阻害方法に関する。特に、本発明は、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリエチレングリコールコンジュゲートを投与することによる、血管新生の阻害方法に関する。
【背景技術】
【0003】
血管新生は、新しい血管の形成を含む、身体内での自然なプロセスである。健康な身体では、血管新生刺激因子と血管新生抑制因子とのバランスを維持することにより、血管新生が制御されている。
【0004】
様々な疾患および病理学的状態が、不十分な血管新生または過剰な血管新生のいずれかの血管新生に関連している。近年、血管新生を阻害または刺激することにより疾患を治療するために、血管新生に基づく治療的アプローチが開発されている。血管新生促進療法は、血管新生性増殖因子を用いて血管新生を促進することにより、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、卒中、創傷治癒などの疾患を治療する。抗血管新生療法は、血管新生インヒビターを用いて、血管新生を阻害するかまたは遅延させることにより、疾患を治療する。例えば、癌および転移を治療するための様々な試みが血管新生インヒビターを用いており、なぜなら、血管新生は腫瘍増殖および転移において重要な役割を果たしており、腫瘍は正常組織と比較してより多くの血管を有するためである。既知の血管新生インヒビターのリストとしては、例えば、以下のものが挙げられる:アンジオアレスチン、アンジオスタチン(プラスミノーゲン断片)、抗血管新生性アンチトロンビンIII、軟骨由来インヒビター(CDI)、CD59補体断片、エンドスタチン(コラーゲンXVIII断片)、フィブロネクチン断片、GRO-β、ヘパリナーゼ、ヘパリン六糖断片、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、インターフェロンα/β/γ、インターフェロン誘導性タンパク質(IP-10)、インターロイキン-12、クリングル5(K5;プラスミノーゲン断片)、メタロプロテイナーゼインヒビター(TIMP)、2-メトキシエストラジオール、胎盤リボヌクレアーゼインヒビター、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター、血小板因子-4(PF-4)、プロラクチン16kD断片、プロリフェリン関連タンパク質(PRP)、レチノイド、テトラヒドロコルチゾール-S、トロンボスポンジン-1(TSP-1)、形質転換増殖因子-β(TGF-b)、バスキュロスタチン、バソスタチン(カルレティキュリン断片)およびオルチプラズ[(5-2-ピラジニル)-4-メチル-1,2-ジチオール-3-チオン]。FDAは、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、ペガプタニブ(マクジェン(登録商標))などの血管新生インヒビターを、一部の癌の治療のために承認している。
【0005】
不運なことに、既知の血管新生インヒビターは患者を延命はするが、必ずしも疾患を治癒させるのではない。つまり、患者は、長期にわたって抗血管新生剤の投与を受ける必要があり、血管新生インヒビターを用いたそのような長期の治療は、免疫系、生殖系、心臓などに悪影響を及ぼす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、血管新生を阻害するための改善された薬剤および方法についての必要性が依然として存在する。本発明は、この必要性を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、哺乳動物での血管新生または血管新生活性を阻害するための方法が提供される。該方法は、有効量の式(I):
【化1】
[式中、
R1、R2、R3およびR4は独立に、OHまたは
【化2】
であり、式中、
Lは二官能性リンカーであり、(m)が2以上の場合、各Lは同じかまたは異なり;
(m)は0または正の整数であり;
(n)は正の整数であり;
ただし、R1、R2、R3およびR4はすべてがOHであることはない]
の化合物または製薬上許容されるその塩を哺乳動物に投与するステップを含む。
【0008】
本発明の1つの特定の態様では、用いられる7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリマー性プロドラッグは、以下の構造:
【化3】
[式中、
(n)は約28〜約341、好ましくは約114〜約239、より好ましくは約227である]
を有する4アームPEG-7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンコンジュゲートを含む。
【0009】
別の態様では、本発明は、血管新生を伴う疾患または障害を治療する方法、ならびに哺乳動物での血管新生依存性細胞の増殖を抑制する方法を提供する。
【0010】
また別の態様では、本発明は、哺乳動物でのアポトーシスを誘導または促進する方法を提供する。
【0011】
また別の態様では、本発明は、哺乳動物で細胞に7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンを送達する方法を提供する。該方法は、以下のステップ:
(a)7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリマー性コンジュゲートまたは製薬上許容されるその塩を形成させるステップ;および
(b)それを必要とする哺乳動物に該コンジュゲートまたは製薬上許容されるその塩を投与するステップ
を含む。
【0012】
さらなる態様では、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩が、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドまたは製薬上許容されるその塩との組み合わせで投与される、本発明の方法が実施される。
【0013】
本発明の方法の1つの利点は、本発明が、相加効果をもたらすために他のタイプの治療と組み合わせて実施することができる点である。例えば、本発明は、同時もしくは連続的に、放射線療法と、または1種以上の追加の治療薬の投与と組み合わせて実施することができる。
【0014】
別の利点は、本発明が、血管新生を阻害し、かつHIF-1α発現をダウンレギュレーションするので、予後不良な癌(すなわち、リンパ腫)の抑制に有効である点である。HIF-1α発現は、薬剤抵抗性および全体的に不良な治療帰結と相関すると考えられる。
【0015】
さらなる利点は、以下の説明および図面から明らかであろう。
【0016】
本発明の目的のために、「残基」との用語は、それが参照する化合物(例えば、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン、アミノ酸等)の一部分であって、別の化合物との置換反応を行なった後に残っているものを意味するものと理解されるであろう。
【0017】
本発明の目的のために、「ポリマー性含有残基」または「PEG残基」との用語は、それぞれ、例えば、アミノ酸、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン含有化合物との反応を行なった後に残っているポリマーまたはPEGの一部分を意味するものと理解されるであろう。
【0018】
本発明の目的のために、「アルキル」との用語は、直鎖、分岐鎖、および環状アルキル基を含む、飽和脂肪族炭化水素を指す。「アルキル」との用語はまた、アルキル-チオ-アルキル基、アルコキシアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクロアルキル着、およびC1〜6アルキルカルボニルアルキル基も含む。好ましくは、アルキル基は、1〜12個の炭素を有する。より好ましくは、アルキル基は、約1〜7個の炭素、さらにより好ましくは約1〜4個の炭素の低級アルキルである。アルキル基は、置換されていても非置換でもよい。置換されている場合、置換基としては、好ましくは、以下のものが挙げられる:ハロ基、オキシ基、アジド基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキル-チオ基、アルキル-チオ-アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、トリハロメチル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルシリル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、テロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、C1〜6ヒドロカルボニル基、アリール基、およびアミノ基。
【0019】
本発明の目的のために、「置換された」との用語は、官能基または化合物中に含まれる1以上の原子に、ハロ基、オキシ基、アジド基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキル-チオ基、アルキル-チオ-アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、トリハロメチル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルシリル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、C1〜6アルキルカルボニルアルキル基、アリール基およびアミノ基の群からの部分のうちの1つが付加されているか、またはこれらのうちの1つで置き換えられていることを指す。
【0020】
本発明の目的のために、「アルケニル」との用語は、直鎖、分岐鎖および環状基を含む、少なくとも1箇所の炭素-炭素二重結合を含む基を指す。好ましくは、アルケニル基は、約2〜12個の炭素を有する。より好ましくは、アルケニル基は、約2〜7個の炭素、さらにより好ましくは約2〜4個の炭素の低級アルケニルである。アルケニル基は、置換されていても非置換でもよい。置換されている場合、置換基としては、以下のものが挙げられる:ハロ基、オキシ基、アジド基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキル-チオ基、アルキル-チオ-アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、トリハロメチル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルシリル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、C1〜6ヒドロカルボニル基、アリール基およびアミノ基。
【0021】
本発明の目的のために、「アルキニル」との用語は、直鎖、分岐鎖および環状基を含む、少なくとも1箇所の炭素-炭素三重結合を含む基を指す。好ましくは、アルキニル基は、約2〜12個の炭素を有する。より好ましくは、アルキニル基は、約2〜7個の炭素、さらにより好ましくは約2〜4個の炭素の低級アルキニルである。アルキニル基は、置換されていても非置換でもよい。置換されている場合、置換基としては、以下のものが挙げられる:ハロ基、オキシ基、アジド基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキル-チオ基、アルキル-チオ-アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、トリハロメチル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルシリル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、C1〜6ヒドロカルボニル基、アリール基およびアミノ基。「アルキニル」の例としては、プロパルギル、プロピンおよび3-ヘキシンが挙げられる。
【0022】
本発明の目的のために、「アリール」との用語は、少なくとも1個の芳香族環を含む芳香族炭化水素環系を指す。芳香族環は、任意により、他の芳香族炭化水素環もしくは非芳香族炭化水素環と縮合しているか、またはそれ以外の方法で連結していることができる。アリール基の例としては、例えば、フェニル、ナフチニル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンおよびビフェニルが挙げられる。アリール基の好ましい例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0023】
本発明の目的のために、「シクロアルキル」との用語は、C3〜8環状炭化水素を指す。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。
【0024】
本発明の目的のために、「シクロアルケニル」との用語は、少なくとも1箇所の炭素-炭素二重結合を含むC3〜8環状炭化水素を指す。シクロアルケニルの例としては、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、1,3-シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタトリエニル、およびシクロオクテニルが挙げられる。
【0025】
本発明の目的のために、「シクロアルキルアルキル」との用語は、C3〜8シクロアルキル基で置換されたアルキル基を指す。シクロアルキルアルキル基の例としては、シクロプロピルメチルおよびシクロペンチルエチルが挙げられる。
【0026】
本発明の目的のために、「アルコキシ」との用語は、酸素ブリッジを介して親分子部分に連結された指定された数の炭素原子のアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびイソプロポキシが挙げられる。
【0027】
本発明の目的のために、「アルキルアリール」基との用語は、アルキル基で置換されたアリール基を指す。
【0028】
本発明の目的のために、「アラルキル」基との用語は、アリール基で置換されたアルキル基を指す。
【0029】
本発明の目的のために、「アルコキシアルキル」基との用語は、アルコキシ基で置換されたアルキル基を指す。
【0030】
本発明の目的のために、「アミノ」との用語は、有機基による1以上の水素基の置き換えにより、アンモニアに由来することが当技術分野で知られている含窒素基を指す。例えば、「アシルアミノ」および「アルキルアミノ」との用語は、それぞれアシルおよびアルキル置換基を有する特定のN置換有機基を指す。
【0031】
本発明の目的のために、「ハロゲン」または「ハロ」との用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
【0032】
本発明の目的のために、「ヘテロ原子」との用語は、窒素、酸素および硫黄を指す。
【0033】
本発明の目的のために、「ヘテロシクロアルキル」との用語は、窒素、酸素、および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む非芳香族環系を指す。ヘテロシクロアルキル環は、任意により、他のヘテロシクロアルキル環および/もしくは非芳香族炭化水素環と縮合しているか、またはそれ以外の方法で連結していることができる。好ましいヘテロシクロアルキル基は、3〜7員を有する。ヘテロシクロアルキル基の例としては、例えば、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、ピロリジン、およびピラゾールが挙げられる。好ましいヘテロシクロアルキル基としては、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、およびピロリジニルが挙げられる。
【0034】
本発明の目的のために、「ヘテロアリール」との用語は、窒素、酸素、および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む芳香族環系を指す。ヘテロアリール環は、1個以上のヘテロアリール環、芳香族もしくは非芳香族炭化水素環またはヘテロシクロアルキル環と縮合しているか、またはそれ以外の方法で連結していることができる。ヘテロアリール基の例としては、例えば、ピリジン、フラン、チオフェン、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリンおよびピリミジンが挙げられる。ヘテロアリール基の好ましい例としては、チエニル、ベンゾチエニル、ピリジル、キノリル、ピラジニル、ピリミジル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、フラニル、ベンゾフラニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピロリル、インドリル、ピラゾリル、およびベンゾピラゾリルが挙げられる。
【0035】
本発明の目的のために、「正の整数」とは、1以上であり(例えば、1、2、3、4、5、6)かつ当業者による合理性の範囲内にあると当業者により理解されるであろう整数を含むと理解されるであろう。
【0036】
本発明の目的のために、「減少した」、「低減した」、「減弱した」または「低下した」などの語句の使用は、薬理学的活性の少なくとも10%の変化を含み、血管新生または血管新生関連遺伝子発現での低下に関して、より大きなパーセンテージでの変化が好ましい。例えば、変化は、25%、35%、45%、55%、65%もしくは10%より大きな他の増分より大きくてもよく、または、範囲は25%〜99%の範囲内であり得る。
【0037】
本発明の目的のために、「連結した」との用語は、1つの基と別の基との、すなわち、化学反応の結果としての、共有結合(好ましい)または非共有結合を含むと理解されるであろう。
【0038】
本発明の目的のための「有効量」および「十分量」との用語は、当業者により理解される効果などの所望の効果または治療効果を達成する量を意味するであろう。治療対象のそれぞれの哺乳動物またはヒト患者に対する有効量は、所望の臨床的応答をもたらしながら、適正実施に反する望ましくない作用を回避する範囲内で、熟練者により容易に決定される。用量範囲は、下記に記載する。
【0039】
本発明の目的のために、「癌」および「腫瘍」との用語は、特に記載しない限り、交換可能に用いられる。「癌」は、特に記載しない限り、悪性かつ/または転移性の癌を包含する。好ましくは、癌との用語は、血管化した固形癌を含む。
【0040】
本発明の目的のために、「血管新生を調節すること」とは、本明細書中に記載された治療により、所望の様式で血管新生が生じることを意味するものと理解されるであろう。この表現は、血管の形成を、阻害する、遮断する、減少させる、刺激する、誘導する、等を含む。
【0041】
本発明の目的のために、「血管新生の阻害」とは、本明細書中に記載された治療を受けていない哺乳動物(例えば、患者)と比較して、本明細書中に記載された治療の完了後の患者で明らかになる、血管形成もしくは血管新生関連疾患の減少、軽減または予防を意味すると理解されるであろう。一実施形態では、本明細書中に記載された治療なしに観察されるものと比較して、当業者により検討されるマーカーの少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%またはそれ以上(すなわち、40%、50%)の減少が明らかである場合に、治療が成功したとみなされるであろう。血管新生での変化を測定するために有用な系としては、ニワトリ絨毛尿膜(CAM)アッセイが挙げられる。他の系としては、ウシ毛細血管内皮(BCE)細胞アッセイ(例えば、米国特許第6,024,688号)、HUVEC(ヒト臍帯静脈血管内皮細胞)増殖阻害アッセイ(例えば、米国特許第6,060,449号)、角膜血管新生アッセイ、大動脈輪アッセイおよび生体顕微鏡検査が挙げられる。選択肢において、本明細書中に記載された治療なしで観察されるものと比較して、HIF-1α、HIF-2α、VEGF、CD31、MMP-2またはMMP-9の発現での少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%またはそれ以上(すなわち、40%、50%)の減少があった場合に、治療が成功したとみなされるであろう。
【0042】
本発明の目的のために、「核酸」または「ヌクレオチド」との用語は、特に記載しない限り一本鎖か二本鎖かにかかわらず、またそのいずれの化学的修飾にかかわらず、デオキシリボ核酸(「DNA」)、リボ核酸(「RNA」)に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例1〜2に記載された4アームポリエチレングリコール酸の調製についての反応模式図である。
【図2】実施例3〜7に記載された4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の調製についての反応模式図である。
【図3】実施例8〜12に記載された4アームPEG-Ala-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の調製についての反応模式図である。
【図4】実施例13〜16に記載された4アームPEG-Met-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の調製についての反応模式図である。
【図5】実施例17〜21に記載された4アームPEG-Sar-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の調製についての反応模式図である。
【図6】実施例24に記載された4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の安定性を示す図である。
【図7】実施例24に記載された4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の安定性に対するpHの影響を示す図である。
【図8】実施例25に記載された4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の薬物動態学プロフィールを示す図である。
【図9】図9Aは、実施例26に従い生検サンプルを用いて行なった血管増殖についての絨毛尿膜(「CAM」)アッセイの結果を示す顕微鏡写真である。図9Bは、処理サンプルと対照サンプルでのCD31陽性微小血管の比較を示す図である。
【図10】図10Aは、実施例27に従い作製した生検サンプルでのVEGFおよびCD31の相対的発現を示す画像である。図10Bは、実施例27に従い作製した生検サンプルでのVEGFおよびCD31の相対的発現(%)を示すグラフである。図10Cは、実施例27に従い作製した生検サンプルでのMMP-2およびMMP-9の相対的発現を示す画像である。図10Dは、実施例27に従い作製した生検サンプルでのMMP-2およびMMP-9の相対的発現(%)を示すグラフである。
【図11】図11Aは、実施例27〜28に従い作製した生検サンプルに対する改良TUNEL染色およびヒストンH2ax免疫染色を示す顕微鏡写真である。図11Aでは、明るい領域がより多くのアポトーシス細胞を有する領域を表す。図11Bおよび11Cは、実施例27〜28に従い作製した生検サンプルに対するTUNEL染色(図11B)およびH2ax免疫染色(図11C)の相対的割合(%)を示すグラフである。
【図12】図12Aは、実施例29に従う化合物9の単一用量での、ヒト神経膠腫異種移植モデルにおけるHIF-1α発現のベースラインからの変化(%)を示すグラフである。白色バー(長方形)は0時間を表し、灰色バーは48時間を表し、黒色バーは120時間を表す。図12Bは、実施例29に従うU251-HRE異種移植片での、化合物9の単一用量(qdx1)での、ベースラインおよび120時間における相対的HIF-1依存性ルシフェラーゼ発現を示す写真である。図12Cは、実施例29に従う化合物9の複数用量(q2dx3)での、ヒト神経膠腫異種移植モデルにおけるHIF-1α発現のベースラインからの変化(%)を示すグラフである。白色バー(長方形)は0時間を表し、灰色バーは48時間を表し、黒色バーは120時間を表す。図12Dは、実施例29に従うU251-HRE異種移植片での、化合物9の複数用量(q2dx3)での、ベースラインおよび120時間における相対的HIF-1依存性ルシフェラーゼ発現を示す写真である。
【図13】処置の0〜125時間での、実施例29に従う試験で記録された異種移植マウスでの腫瘍体積の減少を示す図である。
【図14】図14Aは、実施例30に従い作製したサンプルでの相対的HIF-2α発現を示すウエスタンブロット画像である。図14Bは、実施例30に従い作製したサンプルでの相対的HIF-1α発現を示すウエスタンブロット画像である。図14Cは、実施例30に従い作製したサンプルでの相対的HIF-1α発現を示すウエスタンブロット画像である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
A. 概要
本発明の一態様では、哺乳動物での血管新生または血管新生活性を阻害する方法が提供される。該方法は、以下のステップ:
有効量の式(I):
【化4】
[式中、
R1、R2、R3およびR4は独立に、OHまたは
【化5】
であり、式中、
Lは二官能性リンカーであり;
(m)は0または正の整数であり、(m)が2以上の場合、各Lは同じかまたは異なり;
(n)は正の整数であり;
ただし、R1、R2、R3およびR4はすべてがOHであることはない]
の化合物または製薬上許容されるその塩を該哺乳動物に投与するステップを含む。
【0045】
1つの好ましい実施形態では、該方法は、医薬組成物の一部分として式(I)の化合物を含み、R1、R2、R3およびR4はすべてが、
【化6】
である。
【0046】
より好ましい態様では、該方法は、式(Ia):
【化7】
[式中、
(n)は約227であり、それにより、該化合物のポリマー部分は約40,000ダルトンの合計数平均分子量を有する]
の化合物を投与するステップを含む。
【0047】
本発明で用いられる式(I)の化合物は、細胞および/または組織において血管新生活性を有する。一部の実施形態では、本明細書中に記載された化合物が、腫瘍血管新生または腫瘍依存性血管新生を阻害する本発明が実施される。
【0048】
本発明の別の態様では、本発明は、哺乳動物での血管新生に関連する疾患または障害を治療する方法を提供する。該方法は、有効量の式(I):
【化8】
[式中、
R1、R2、R3およびR4は独立に、OHまたは
【化9】
であり、式中、
Lは二官能性リンカーであり;
(m)は0または正の整数であり、(m)が2以上の場合、各Lは同じかまたは異なり;
(n)は正の整数であり;
ただし、R1、R2、R3およびR4はすべてがOHであることはない]
の化合物または製薬上許容されるその塩を該哺乳動物に投与するステップを含む。
【0049】
一実施形態では、血管新生に関連する疾患または障害が、新生物疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、関節リウマチ、クローン病、糖尿病性網膜症、乾癬、子宮内膜症、黄斑変性、血管新生緑内障、および肥満を含む、本明細書中に記載された本発明の方法が実施される。過剰な血管新生を含む病理学的状態は、血管新生の阻害によって恩恵を受ける。好ましくは、これらの方法は、そのような疾患または障害を有する患者を特定するステップを含む。
【0050】
別の実施形態では、本発明は、本明細書中に記載された式(I)の化合物もしくは製薬上許容されるその塩を哺乳動物に投与するステップによる、哺乳動物での血管新生依存性癌の増殖または転移を治療する方法を提供する。例えば、血管新生依存性癌としては、固形腫瘍、結腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、胃癌、消化管間質腫瘍(GIST)、食道癌、前立腺癌、腎臓癌、肝臓癌、リンパ腫、白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、黒色腫、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)、乳癌、膀胱癌、膠芽腫、卵巣癌、非ホジキンリンパ腫、肛門癌、神経芽細胞腫、頭頸部癌が挙げられる。血管新生依存性癌としては、転移性癌(例えば、転移性結腸直腸癌、転移性乳癌)が挙げられる。一部の実施形態では、式(I)の化合物を用いる療法は、同時または連続的に、放射線療法と共に施される。
【0051】
また別の態様では、本発明は、哺乳動物での血管新生依存性細胞の増殖を阻害する方法を提供する。該方法は、有効量の式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩を哺乳動物に投与するステップを含む。あるいは、該方法は、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩を、それを必要とする哺乳動物の細胞および組織に送達することにより実施される。一部の態様では、細胞は癌性細胞である。
【0052】
さらに別の態様では、本発明は、疾患を有しない哺乳動物で観察されるものと比較して、高レベルのHIF-1α遺伝子(例えば、遺伝子発現)もしくはタンパク質と関連する疾患または障害を治療する方法を提供する。該方法は、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩を哺乳動物に投与するステップを含む。式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩が、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドと組み合わせて投与される方法を実施することができる。
【0053】
本発明のさらに別の実施形態では、本発明は、血管新生に関連する遺伝子もしくはタンパク質の正常な発現を有する(またはそのような遺伝子もしくはタンパク質の過剰発現を有しない)哺乳動物で観察されるものと比較して、血管新生に関連する遺伝子もしくはタンパク質発現(例えば、HIF-1α、HIF-2β、VEGF)の高レベルと関連する疾患または障害を治療する方法を提供する。該方法は、血管新生に関連する遺伝子またはタンパク質の異常な発現を有する患者の治療に有用である。該方法は、以下のステップ:
(a)血管新生に関連する遺伝子もしくはタンパク質の高レベルと関連する疾患または障害を有する患者での、そのような遺伝子もしくはタンパク質発現のレベルを測定するステップ;
(b)式(I)の化合物をそれを必要とする患者に投与するステップ
を含む。
【0054】
本発明のまた別の実施形態では、本発明は、血管新生に関連する遺伝子もしくはタンパク質の正常な発現を有する(またはそのような遺伝子もしくはタンパク質の過剰発現を有しない)哺乳動物で観察されるものと比較して、血管新生に関連する遺伝子もしくはタンパク質発現(例えば、HIF-1α、HIF-2β、VEGF)の高レベルと関連する疾患または障害を治療するための投薬を調節/最適化する方法を提供する。該方法は以下のステップ:
(a)式(I)の化合物をそれを必要とする患者に投与するステップ;
(b)血管新生に関連する遺伝子またはタンパク質発現のレベルを測定するステップ;および
(c)式(I)の化合物の投薬を調節するステップ
を含む。
【0055】
本発明のまた別の態様では、本発明は、哺乳動物でのHIF-1α誘導性血管形成または血管浸潤を阻害する方法を提供する。該方法は、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩を哺乳動物に投与するステップを含む。また別の態様では、該方法は、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドと組み合わせて実施することができる。
【0056】
別の態様では、本発明は、癌を有する哺乳動物での血管ネットワークを減少させる方法を提供する。該方法は、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩を、癌を有する哺乳動物に投与するステップを含む。本明細書中に記載された方法は、血管化した固形腫瘍または原発性腫瘍からの転移の発達を減少させる。また別の態様では、該方法は、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドと組み合わせて実施することができる。
【0057】
さらに別の態様では、本発明は、哺乳動物でのアポトーシスを誘導または促進する方法を提供する。該方法は、有効量の式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩を哺乳動物に投与するステップを含む。該方法は、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導するかまたは増加させる。
【0058】
さらに別の態様では、本発明は、哺乳動物体内の細胞に7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンを送達する方法を提供する。該方法は、以下のステップ:
(a)7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリマー性コンジュゲートまたは製薬上許容されるその塩を形成させるステップ;および
(b)該コンジュゲートまたは製薬上許容されるその塩を、それを必要とする哺乳動物に投与するステップ
を含む。
【0059】
一実施形態では、ポリマー性コンジュゲートがポリアルキレンオキシドを含む方法が実施される。好ましくは、該方法は、式(I)の化合物を用いる。
【0060】
さらなる態様では、式(I)の化合物もしくは製薬上許容されるその塩が、同時または連続的に、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドもしくは製薬上許容されるその塩と組み合わせて投与される本発明が実施される。
【0061】
さらに別の態様では、本発明は、哺乳動物での癌を治療する方法を提供する。該方法は、該哺乳動物に、以下のもの:
(i)有効量の配列番号1に示される少なくとも8個の連続するヌクレオチドに相補的な約8〜50ヌクレオチド長のアンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドまたは製薬上許容されるその塩であって、該アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、1箇所以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合および1個以上のロックド核酸を含む、上記アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは製薬上許容されるその塩;および
(ii)有効量の式(Ia):
【化10】
の化合物または製薬上許容されるその塩であって、式中、(n)は約227であり、それにより、式(Ia)の化合物のポリマー部分の合計分子量が約40,000ダルトンである、上記化合物または製薬上許容されるその塩
を投与することにより実施される。
【0062】
1つの好ましい実施形態では、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドは、約4〜約25mg/kg/用量の量で投与され、式(Ia)の化合物は、約1mg/m2体表面積/用量〜約18mg/m2体表面積/用量の量で投与され、式(Ia)の化合物の量は、式(Ia)の化合物に含まれる7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの重量である。
【0063】
別の好ましい態様では、本明細書中に記載された方法は、血管新生依存性癌を治療する方法を提供する。
【0064】
本発明の目的のために、「血管新生の阻害」とは、本明細書中に記載された式(I)の化合物を投与されていない患者と比較して、患者で明らかになる血管新生(新規血管形成)の発生の減少、軽減および予防を意味すると理解されるであろう。一部の態様では、「血管新生の阻害」は、式(I)の化合物を用いた治療の完了後の、患者での腫瘍増殖、腫瘍組織量および/もしくは転移の変化、腫瘍の寛解、または腫瘍再発および/もしくは新生物増殖の予防により測定することができる。
【0065】
本発明の目的のために、本発明に従って意図される血管新生に関連する疾患または障害としては、血管新生が状態の病理または進行において役割を果たしているために、そのような状態を有する患者での血管新生の阻害が、該状態のさらなる進行を遅延させるかもしくは防止し、または病状の寛解もしくは退縮をもたらし得る状態が挙げられる。一部の態様では、そのような状態は、癌の中などでの異常な細胞増殖および生長と関連する。
【0066】
本発明の目的のために、「腫瘍/癌の治療」とは、抗癌療法を受けていない患者と比較して、抗癌療法の完了後に患者で明らかになる腫瘍増殖、腫瘍組織量および転移の阻害、減少、軽減および予防、腫瘍の寛解、または腫瘍再発および/もしくは新生物増殖の予防を意味すると理解されるであろう。
【0067】
患者が有効な臨床結果を達成した場合、治療が生じたとみなされる。例えば、本明細書中に記載された治療なしで観察されるものと比較して、当業者により考慮される他の臨床的マーカーを含む腫瘍増殖での少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%またはそれ以上(すなわち、40%、50%)の減少が明らかである場合、腫瘍の治療が成功したとみなされるであろう。本明細書中に記載された治療の結果として生じる腫瘍臨床状態での変化を測定する他の方法としては、以下のものが挙げられる:腫瘍生検などの生検;抗体、放射性同位体、色素を用いる免疫組織化学研究;および全血算(CBC)。
【0068】
B. 式(I)の化合物:
1. マルチアームポリマー
本明細書中に記載された化合物のポリマー部分には、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの20-OH基に結合したマルチアームPEGが含まれる。本発明の一態様では、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリマー性プロドラッグには、コンジュゲーション前に、以下の構造:
【化11】
[式中、(n)は正の整数である]
を有する4アームPEGが含まれる。
【0069】
マルチアームPEGは、NOF社、Drug Delivery System catalog, Ver. 8, 2006年4月に記載されているものである(その開示は参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0070】
本発明の1つの好ましい実施形態では、ポリマー(n)についての重合度は、約28〜約341(約5,000Da〜約60,000Daの合計数平均分子量を有するポリマーをもたらす)であり、好ましくは約114〜約239(約20,000Da〜約42,000Daの合計数平均分子量を有するポリマーをもたらす)である。(n)は、ポリマー鎖中の反復単位の数を表し、ポリマーの分子量に依存する。本発明の1つの特定の好ましい実施形態では、(n)は約227であり、約40,000Daの合計数平均分子量を有するポリマー部分をもたらす。
【0071】
2. 二官能性リンカー
本発明の一部の好ましい態様では、二官能性リンカーは、アミノ酸を含む。既知の天然に存在するL-アミノ酸のいずれかから選択することができるアミノ酸は、一部を挙げると、例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、グリシン、セリン、トレオニン、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、および/またはそれらの組み合わせである。別の態様では、Lはペプチド残基であり得る。ペプチドは大きさを変化させることができ、例えば、約2〜約10アミノ酸残基(例えば、2、3、4、5または6)である。
【0072】
天然に存在するアミノ酸の誘導体およびアナログ、ならびに種々の当技術分野で公知の天然に存在しないアミノ酸(DまたはL)(疎水性または非疎水性)も、本発明の範囲内にあるものと意図される。単なる例示として、アミノ酸アナログおよび誘導体としては、以下のものが挙げられる:
2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、β-アラニン、β-アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、ピペリジン酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、2,4-アミノ酪酸、デスモシン、2,2-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロ-イソロイシン、N-メチルグリシンまたはサルコシン、N-メチルイソロイシン、6-N-メチルリシン、N-メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン、および言及するには膨大過ぎるその他のもの(63 Fed. Reg., 29620, 29622に列挙されている;参照により本明細書中に組み入れられる)。一部の好ましいL基としては、グリシン、アラニン、メチオニンまたはサルコシンが挙げられる。例えば、化合物は以下のものの中にある:
【化12】
【0073】
説明を容易にするためだけに、限定ではなく、4アームPEGの1本のアームのみを示している。1本のアーム(4アームPEGの4本のアームまで)を、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンとコンジュゲートすることができる。
【0074】
より好ましくは、本明細書中に記載された治療は、連結基(L)としてグリシンを含む化合物を用いる。
【0075】
本発明の別の態様では、ポリマーと7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンとの結合後のLは、以下のものから選択することができる:
-[C(=O)]v(CR22R23)t-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t-O-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t-NR26-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)t-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tO-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tNR26-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)t-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tO-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tNR26-、
-[C(=O)]v(CR22R23O)t-、
-[C(=O)]vO(CR22R23O)t-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23O)t-、
-[C(=O)]v(CR22R23O)t(CR24R25)y-、
-[C(=O)]vO(CR22R23O)t(CR24R25)y-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23O)t(CR24R25)y-、
-[C(=O)]v(CR22R23O)t(CR24R25)yO-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t(CR24R25O)y-、
-[C(=O)]vO(CR22R23O)t(CR24R25)yO-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)t(CR24R25O)y-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23O)t(CR24R25)yO-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)t(CR24R25O)y-、
-[C(=O)]v(CR22R23)tO-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)tNR26-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)tS-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tO-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tNR26-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tS-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tO-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tNR26-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tS-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]v(CR22R23CR28R29O)tNR26-、
-[C(=O)]v(CR22R23CR28R29O)t-、
-[C(=O)]vO(CR22R23CR28R29O)tNR26-、
-[C(=O)]vO(CR22R23CR28R29O)t-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23CR28R29O)tNR26-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23CR28R29O)t-、
-[C(=O)]v(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)y-、
-[C(=O)]vO(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)y-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)y-、
-[C(=O)]v(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)yO-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)y-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)yNR26-、
-[C(=O)]vO(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)yO-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)y-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)t(CR24CR25CR28R29O)yNR26-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)yO-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)y-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)yNR26-、
【化13】
[式中、
R21〜R29は独立に、水素、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シリルエーテル、スルホニル、メルカプト、C1〜6アルキルメルカプト、アリールメルカプト、置換アリールメルカプト、置換C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜19分岐アルキル、C3〜8シクロアルキル、C1〜6置換アルキル、C2〜6置換アルケニル、C2〜6置換アルキニル、C3〜8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1〜6ヘテロアルキル、置換C1〜6ヘテロアルキル、C1〜6アルコキシ、アリールオキシ、C1〜6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2〜6アルカノイル、アリールカルボニル、C2〜6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2〜6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2〜6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2〜6置換アルカノイルオキシ、置換アリールカルボニル、C2〜6置換アルカノイルオキシ、置換およびアリールカルボニルオキシから選択され;
(t)、(t')および(y)は独立に、0または正の整数、好ましくは約1〜約10(1、2、3、4、5および6など)から選択され;
(v)は0または1である]。
【0076】
一部の好ましい実施形態では、Lとしては、以下のものが挙げられる:
-[C(=O)]v(CH2)t-、
-[C(=O)]v(CH2)t-O-、
-[C(=O)]v(CH2)t-NR26-、
-[C(=O)]vO(CH2)t-、
-[C(=O)]vO(CH2)tO-、
-[C(=O)]vO(CH2)tNH-、
-[C(=O)]vNH(CH2)t-、
-[C(=O)]vNH(CH2)tO-、
-[C(=O)]vNH(CH2)tNH-、
-[C(=O)]v(CH2O)t-、
-[C(=O)]vO(CH2O)t-、
-[C(=O)]vNH(CH2O)t-、
-[C(=O)]v(CH2O)t(CH2)y-、
-[C(=O)]vO(CH2O)tH2)y-、
-[C(=O)]vNH(CH2O)t(CH25)y-、
-[C(=O)]v(CH2O)t(CH2)yO-、
-[C(=O)]v(CH2)t(CH2O)y-、
-[C(=O)]vO(CH2O)t(CH2)yO-、
-[C(=O)]vO(CH2)t(CH2O)y-、
-[C(=O)]vNH(CH2O)t(CH2)yO-、
-[C(=O)]vNH(CR22R23)t(CH2O)y-、
-[C(=O)]v(CH2)tO-(CH2)t'-、
-[C(=O)]v(CH2)tNH-(CH2)t'-、
-[C(=O)]v(CH2)tS-(CH2)t'-、
-[C(=O)]vO(CH2)tO-(CH2)t'-、
-[C(=O)]vO(CH2)tNH-(CH2)t'-、
-[C(=O)]vO(CH2)tS-(CH2)t'-、
-[C(=O)]vNH(CR22R23)tO-(CH2)t'-、
-[C(=O)]vNH(CH2)tNH-(CH2)t'-、
-[C(=O)]vNH(CH2)tS-(CH2)t'-、
-[C(=O)]v(CH2CH2O)tNR26-、
-[C(=O)]v(CH2CH2O)t-、
-[C(=O)]vO(CH2CH2O)tNH-、
-[C(=O)]vO(CH2CH2O)t-、
-[C(=O)]vNH(CH2CH2O)tNH-、
-[C(=O)]vNH(CH2CH2O)t-、
-[C(=O)]v(CH2CH2O)t(CH2)y-、
-[C(=O)]vO(CH2CH2O)t(CH2)y-、
-[C(=O)]vNH(CH2CH2O)t(CH2)y-、
-[C(=O)]v(CH2CH2O)t(CH2)yO-、
-[C(=O)]v(CH2)t(CH2CH2O)y-、
-[C(=O)]v(CH2)t(CH2CH2O)yNH-、
-[C(=O)]vO(CH2CH2O)t(CH2)yO-、
-[C(=O)]vO(CH2)t(CH2CH2O)y-、
-[C(=O)]vO(CH2)t(CH2CH2O)yNH-、
-[C(=O)]vNH(CH2CH2O)t(CH2)yO-、
-[C(=O)]vNH(CH2)t(CH2CH2O)y-、
-[C(=O)]vNH(CH2)t(CH2CH2O)yNH-、
【化14】
[式中、
(t)、(t')および(y)は独立に、0または正の整数、好ましくは約1〜約10(例えば、1、2、3、4、5および6)から選択され;
(v)は0または1である]。
【0077】
本発明の一部の態様では、式(I)の化合物は、1〜約10単位(例えば、1、2、3、4、5および6)の二官能性リンカーを含む。本発明の一部の好ましい態様では、化合物は、1単位の二官能性リンカーを含み、つまり、(m)は1である。
【0078】
追加のリンカーは、Greenwaldら(Bioorganic & Medicinal Chemistry, 1998, 6:551-562)のTable 1に見出される(その内容は、参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0079】
3. プロドラッグの合成
一般的に、治療で用いられるポリマー性プロドラッグは、アミノ基がポリマーのカルボン酸との反応を行なって結合を形成するのを有効に引き起こすのに十分な条件下で、1当量以上の活性化型マルチアームポリマーを、例えば、活性部位あたり1当量以上のアミノ酸-(20)-7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンと反応させることにより調製される。合成の詳細は、米国特許第7,462,627号に記載されている(その内容はその全体が参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0080】
より具体的には、前記方法は、以下のステップ:
(1)利用可能な20-ヒドロキシル基を含む1当量の7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンおよび利用可能なカルボン酸基を含む1当量以上の二官能性リンカーを準備するステップ;
(2) 1,(3-ジメチルアミノプロピル)3-エチルカルボジイミド(EDC)(または1,3-ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、いずれかの好適なジアルキルカルボジイミド、向山試薬、(例えば、2-ハロ-1-アルキル-ピリジニウムハライド)または環状無水プロパンホスホン酸(PPACA)など)などのカップリング試薬および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの好適な塩基の存在下で、ジクロロメタン(DCM)(またはジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルム、トルエンまたはそれらの混合物)などの不活性溶媒中で、2種類の反応物を反応させて、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン-二官能性リンカー中間体を形成させるステップ;および
(3) 0℃〜22℃までの温度で、1,(3-ジメチルアミノプロピル)3-エチルカルボジイミド(EDC)、PPAC(または1,3-ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、いずれかの好適なジアルキルカルボジイミド、向山試薬、(例えば、2-ハロ-1-アルキル-ピリジニウムハライド)または環状無水プロパンホスホン酸(PPACA)など)などのカップリング試薬および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの好適な塩基(これらは、例えば、Sigma Chemicals社などの商業的供給元から入手可能であり、または公知の技術を用いて合成される)の存在下で、ジクロロメタン(DCM)(またはジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルム、トルエンまたはそれらの混合物)などの不活性溶媒中で、活性部位あたり1当量以上(例えば、実施例では2当量)の得られた中間体(アミノ基を有する)および1当量の活性化型ポリマー(PEG酸など)を反応させるステップ
を含むことができる。
【0081】
1つの好ましい態様では、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの10-ヒドロキシル基は、ステップ(1)の前に保護される。
【0082】
7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの10-ヒドロキシ基の芳香族OHに対する保護基が好ましく、なぜなら、その保護された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン中間体は、よりよい溶解性を有し、効率よくかつ効果的に非常に純粋な形態に精製することができるためである。例えば、TBDPSCl(塩化t-ブチルジフェニルシリル)、TBDMSCl(塩化t-ブチルジメチルシリル)およびTMSCl(塩化トリメチルシリル)などのシリル含有保護基を用いて、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの10-ヒドロキシル基を保護することができる。
【0083】
活性化型ポリマー、すなわち、1〜4個の末端カルボン酸基を含むポリマーは、例えば、末端OH基を有するNOF社のSunbrightシリーズを、当業者に周知の標準的な技術を用いて対応するカルボン酸誘導体に変換することにより、調製することができる。例えば、本明細書中の実施例1〜2、ならびに、同一出願人による米国特許第5,605,976号(その内容は参照により本明細書中に組み入れられる)を参照されたい。
【0084】
第1および第2のカップリング試薬は、同じでも異なっていてもよい。
【0085】
好ましい二官能性リンカー基の例としては、グリシン、アラニン、メチオニン、サルコシンなどが挙げられ、合成は実施例に記載されている。別の合成を、過度の試行錯誤を要さずに用いることができる。
【0086】
本発明によれば、投与される化合物としては、以下のものが挙げられる:
【化15】
【0087】
1つの特に好ましい実施形態は、以下の構造:
【化16】
[式中、ポリマーの4本すべてのアームが、グリシンを介して7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンに結合しており、ポリマー部分は、約40,000ダルトンの合計数平均分子量を有する]
を有する化合物を投与するステップを含む。
【0088】
C. アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドを用いる併用療法
本発明のさらなる態様では、式(I)の化合物が、相加効果のために第2の治療薬と共に投与される本明細書中に記載された方法を実施することができる。第2の治療薬としては、製薬上活性な化合物(1500ダルトン未満、すなわち1000ダルトン未満の分子量を有する小分子)、抗体およびオリゴヌクレオチドが挙げられる。第2の治療薬は、同時にまたは連続的に投与することができる。
【0089】
一態様では、第2の治療薬が、血管新生促進経路遺伝子を標的とするオリゴヌクレオチドである本発明が実施される。
【0090】
1つの好ましい態様では、式(I)の化合物が、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドと共に投与される本明細書中に記載された方法が実施される。本明細書中に記載された方法で用いられるアンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドは、HIF-1α遺伝子またはタンパク質発現のダウンレギュレーションに関与する。HIF-1α遺伝子もしくはタンパク質は、血管新生またはアポトーシスに関連している。HIF-1α遺伝子/タンパク質は、腫瘍細胞および/または抗癌療法に対する腫瘍細胞の抵抗性にも関連している。
【0091】
低酸素症誘導性因子1(Hypoxia-inducible factor 1;HIF-1)は、酸素枯渇に対する哺乳動物細胞の転写応答の重要な調節因子である。この遺伝子は、低酸素状態に応答しての血管新生、グルコース代謝、細胞増殖、細胞生存、および転移を制御する多数の遺伝子の発現において重要な役割を果たす。HIF-1のαサブユニット(HIF-1a)の発現上昇は、肺癌、乳癌、結腸直腸癌、脳の癌、膵臓癌、卵巣癌、腎臓癌、および膀胱癌などの多くのタイプの固形腫瘍での予後不良と関連している。近年、HIFおよびチオレドキシンファミリーがリンパ腫において異常に活性化されることが示唆されている。HIFはリンパ腫で活性化されている場合が多く、疾患進行に関与している可能性がある。1つの研究では、DLBCL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)生検のうち44%およびFL(濾胞性リンパ腫)生検のうち11%が、HIF-1αおよびHIF-2αの両者の中〜高発現を有していた(Evens et al. BJH 2008, 141:676)。Trx-1は多数のヒトの癌でしばしば過剰発現されており、その発現は、高レベルのHIF-1αタンパク質およびHIF-1α標的遺伝子と関連づけられている(Welsh et al Mol Cancer therapy)。
【0092】
一実施形態では、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドは、HIF-1αプレmRNAまたはmRNAの少なくとも8個の連続するヌクレオチドに相補的な核酸を含む。
【0093】
「オリゴヌクレオチド」とは、一般的に、比較的短いポリヌクレオチドであり、例えば、約2〜約200ヌクレオチド、好ましくは約8〜約50ヌクレオチド、より好ましくは約8〜約30ヌクレオチドのサイズにわたる。本発明のオリゴヌクレオチドは、一般的に、合成核酸であり、特に記載していない限り、一本鎖である。「ポリヌクレオチド」または「ポリ核酸」との用語も、本明細書中では同義に用いられる。
【0094】
オリゴヌクレオチド(アナログ)は、単一分子種のオリゴヌクレオチドに限られず、むしろ、広範囲のそのような部分と共に機能するように設計されている。意図される核酸分子は、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾、糖修飾、核酸塩基修飾および/またはリン酸骨格修飾を含むことができる。オリゴヌクレオチドは、天然のホスホロジエステル骨格またはホスホロチオエート骨格もしくはLNA(ロックド核酸)、PNA(ペプチド骨格を有する核酸)、CpGオリゴマーなどのいずれかの他の修飾骨格アナログ(Tides 2002, Oligonucleotide and Peptide Technology Conferences, May 6-8, 2002, Las Vegas, NVおよびOligonucleotide & Peptide Technologies, 18th & 19th November 2003, Hamburg, Germanyで開示されたものなど、その内容は参照により本明細書中に組み入れられる)を含有することができる。
【0095】
本発明により意図されるオリゴヌクレオチドに対する修飾としては、例えば、オリゴヌクレオチドに対して、追加の電荷、分極率、水素結合、静電的結合、および官能性を組み込む、機能的部分の付加または置換が挙げられる。そのような修飾としては、限定するものではないが、2'位糖修飾、5位ピリミジン修飾、8位プリン修飾、環外アミンでの修飾、4-チオウリジンの置換、5-ブロモまたは5-ヨードウラシルの置換、骨格修飾、メチル化、塩基対形成性の組み合わせ(イソ塩基(isobase)であるイソシチジンとイソグアニジンなど)、および類似の組み合わせが挙げられる。本発明の範囲内に意図されるオリゴヌクレオチドは、3'および/または5'キャップ構造も含むことができる。
【0096】
本発明の目的のために、「キャップ構造」とは、オリゴヌクレオチドのいずれかの末端に組み込まれた化学修飾を意味するものと理解されるであろう。キャップは、5'末端(5'キャップ)もしくは3'末端(3'キャップ)に存在することができ、または両端に存在することができる。5'キャップの非限定的な例としては、逆向き脱塩基残基(inverted abase residue)(部分)、4',5'-メチレンヌクレオチド;1-(β-D-エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4'-チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;1,5-無水ヘキシトールヌクレオチド;L-ヌクレオチド;α-ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオエート結合;トレオペントフラノシルヌクレオチド;非環式3',4'-セコヌクレオチド;非環式3,4-ジヒドロキシブチルヌクレオチド;非環式3,5-ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、3',3'-逆向きヌクレオチド部分;3',3'-逆向き脱塩基部分(3',3'-inverted abasic moiety);3'-2'-逆向きヌクレオチド部分;3'-2'-逆向き脱塩基部分;リン酸1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol phosphate);3'-ホスホルアミデート;ヘキシルリン酸エステル;アミノヘキシルリン酸エステル;3'-リン酸;37=ホスホロチオエート;ホスホロジチオエート;または架橋性もしくは非架橋性メチルホスホネート部分が挙げられる。詳細は、WO97/26270に記載されている(参照により本明細書中に組み入れられる)。3'キャップとしては、例えば、4',5'-メチレンヌクレオチド;1-(β-D-エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4'-チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;リン酸5'-アミノ-アルキル;リン酸1,3-ジアミノ-2-プロピル、リン酸3-アミノプロピル;リン酸6-アミノヘキシル;リン酸1,2-アミノドデシル;リン酸ヒドロキシプロピル;1,5-無水ヘキシトールヌクレオチド;L-ヌクレオチド;α-ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオエート;トレオ-ペントフラノシルヌクレオチド;非環式3',4'-セコヌクレオチド;3,4-ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3,5-ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5'-5'-逆向きヌクレオチド部分;5'-5'-逆向き脱塩基部分;5'-ホスホルアミデート;5'-ホスホロチオエート;リン酸1,4-ブタンジオール;5'-アミノ;架橋性および/もしくは非架橋性5'-ホスホルアミデート、ホスホロチオエートおよび/またはホスホロジチオエート、架橋性または非架橋性メチルホスホネートおよび5'-メルカプト部分が挙げられる。Beaucage and Iyer, 1993, Tetrahedron 49, 1925も参照されたい(その内容は参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0097】
ヌクレオシドアナログの非限定的なリストは、以下の構造を有する:
【化17】
【0098】
Freier & Altmann; Nucl. Acid Res., 1997, 25, 4429-4443およびUhlmann; Curr. Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213に記載されているヌクレオシドアナログのさらなる例を参照されたい(各文献の内容は、参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0099】
本明細書中で用いる場合、「アンチセンス」との用語は、遺伝子産物をコードするかもしくは制御配列をコードする特定のDNAまたはRNA配列に相補的なヌクレオチド配列を指す。「アンチセンス鎖」との用語は、「センス」鎖に対して相補的な核酸鎖への言及において用いられる。細胞内代謝の正常な働きでは、DNA分子のセンス鎖とは、ポリペプチドおよび/または他の遺伝子産物をコードする鎖である。アンチセンス鎖は、メッセンジャーRNA(「mRNA」)転写産物(センス鎖)の合成のための鋳型として機能して、これが続いて、いずれかのコードされた遺伝子産物の合成に向かう。アンチセンス核酸分子は、対象となる遺伝子を、逆向きに、相補鎖の合成を可能にするウイルスプロモーターにライゲーションすることによる合成をはじめとする、いずれかの当技術分野で公知の方法により作製することができる。細胞に導入されれば、この転写された鎖は細胞により生成される天然の配列と組み合わされて、二本鎖を形成する。続いて、これらの二本鎖が、さらなる転写または翻訳のいずれかをブロックする。「負の」または(-)との記載も、アンチセンス鎖を指すものとして当技術分野で公知であり、「正の」または(+)もセンス鎖を指すものとして当技術分野で公知である。
【0100】
本発明の目的のために、「相補的」とは、核酸配列が別の核酸配列と水素結合を形成することを意味するものと理解されるであろう。相補性%は、第2の核酸配列と水素結合を形成(すなわち、ワトソン-クリック塩基対形成)することができる核酸分子中の連続する残基のパーセンテージを示し、すなわち、10個のうち5、6、7、8、8、9、10個は、50%、60%、70%、80%、90%、および100%相補的である。「完全に相補的」とは、核酸配列の連続する残基すべてが、第2の核酸配列中の同じ数の連続する残基と水素結合を形成することを意味する。
【0101】
本明細書中に記載された方法で有用なオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体は、約10〜約1000個の核酸、好ましくは比較的短いポリヌクレオチド(例えば、約8〜約30ヌクレオチド長(例えば、約8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)にわたる)を含むことができる。
【0102】
本明細書中に記載された方法で用いられる有用な核酸の一態様では、天然のホスホロジエステル骨格またはホスホロチオエート骨格もしくはいずれかの他の修飾骨格アナログを有するオリゴヌクレオチドおよびオリゴデオキシヌクレオチドとして、以下のものが挙げられる:
LNA(ロックド核酸);
PNA(ペプチド骨格を有する核酸);
小分子干渉RNA(siRNA);
ミクロRNA(miRNA);
ペプチド骨格を有する核酸(PNA);
ホスホロジアミデートモルホリノオリゴヌクレオチド(PMO);
トリシクロDNA;
デコイODN(二本鎖オリゴヌクレオチド);
触媒性RNA配列(RNAi);
リボザイム;
アプタマー;
スピーゲルマー(L-配座オリゴヌクレオチド);
CpGオリゴマー等、以下の学会で開示されたものなど:
Tides 2002, Oligonucleotide and Peptide Technology Conferences, May 6-8, 2002, Las Vegas, NVおよびOligonucleotide & Peptide Technologies, 18th & 19th November 2003, Hamburg, Germany(その内容は参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0103】
本明細書中に記載された方法で用いられる核酸の別の態様では、オリゴヌクレオチドは、任意により、以下の表1に列挙したものをはじめとするいずれかの好適な当技術分野で公知のヌクレオチドアナログおよび誘導体を含むことができる。
【表1】
【0104】
1つの好ましい実施形態では、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドは、配列番号1に示される配列の少なくとも8個の連続するヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを含む。
【0105】
好ましくは、本明細書中に記載された本発明のオリゴヌクレオチドは、1箇所以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合(骨格)および1個以上のロックド核酸(LNA)を含む。
【0106】
意図される1つの詳細な実施形態は、以下のアンチセンスHIF-1αLNA(配列番号2)を含む:
5'-TGGcaagcatccTGTa-3'
[配列中、
大文字はLNAを表し、ヌクレオチド間結合はホスホロチオエートであり;
LNAは、以下に示される2'-O,4'-Cメチレンビシクロヌクレオチドを含む。]
【化18】
【0107】
例えば、米国特許出願公開第2004/0096848号(表題“Oligomeric Compounds for the Modulation HIF-1 Alpha Expression”)および同第2006/0252721号(表題“Potent LNA Oligonucleotides for Inhibition of HIF-1α Expression”)に開示されているHIF-1αLNAの詳細な説明を参照されたい(各文献の内容は、その全体が参照により本明細書中に組み入れられる)。WO2008/113832も参照されたい(その内容は、その全体が参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0108】
さらなる態様では、本発明は、例えば、限定するものではないが、癌遺伝子、細胞増殖促進経路遺伝子、ウイルス感染因子遺伝子、および炎症促進経路遺伝子を標的とするオリゴヌクレオチドを含むことが意図される。治療用オリゴヌクレオチドの非限定的なリストは、アンチセンスサバイビン(survivin)オリゴヌクレオチド、アンチセンスErbB3オリゴヌクレオチド、アンチセンスβ-カテニンオリゴヌクレオチド、アンチセンスアンドロゲン受容体オリゴヌクレオチド、アンチセンスPIK3CAオリゴヌクレオチド、アンチセンスHSP27オリゴヌクレオチド、アンチセンスGli2オリゴヌクレオチド、およびアンチセンスBcl-2オリゴヌクレオチドを含む。好適な標的遺伝子のさらなる例は、WO 03/74654、PCT/US03/05028、WO2008/138904、WO2008/132234、WO 2009/068033、WO2009/071082、WO 2010/001349、WO 2010/007522および米国特許出願第10/923,536号に記載されている(その内容は、参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0109】
D. 組成物/製剤
本明細書中に記載されたポリマーコンジュゲートを含有する医薬組成物は、例えば、様々な周知の混合法、溶解法、粒状化法、粉末化(levigating)法、乳化法、カプセル封入法、封入化(entrapping)法または凍結乾燥法を用いる、当技術分野で周知の方法により製造することができる。組成物は、製薬上使用することができる調製物への活性化合物の加工を促進する賦形剤および添加剤を含む1種以上の生理学的に許容される担体と共に、製剤化することができる。適正な製剤化は、選択した投与経路に依存する。本発明の多くの態様で、非経口経路が好ましい。
【0110】
限定するものではないが、静脈内、筋肉内および皮下注入をはじめとする注入のために、本明細書中に記載された式(I)の化合物を、水溶液中に、好ましくは生理食塩水バッファーなどの生理学的に許容されるバッファーまたは限定するものではないがピロリドンもしくはジメチルスルホキシドをはじめとする極性溶媒中に製剤化することができる。
【0111】
本明細書中に記載された化合物は、例えば、ボーラス注入または持続点滴による非経口投与のために製剤化することもできる。注入用の製剤は、単位投与剤形で(例えばアンプル中)または複数用量容器中に存在することができる。有用な組成物としては、限定するものではないが、油性もしくは水性ビヒクル中の懸濁液剤、溶液剤またはエマルジョン剤が挙げられ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの添加物を含有することができる。非経口投与のための医薬組成物としては、限定するものではないが、活性化合物の塩(好ましい)などの水溶性形態の水溶液が挙げられる。さらに、活性化合物の懸濁液を、親油性ヒビクル中に調製することができる。好適な親油性ビヒクルとしては、ゴマ油などの脂性油、オレイン酸エチルおよびトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームなどの材料が挙げられる。水性注射用懸濁液は、懸濁液の粘性を増大させる物質(カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなど)を含有することができる。任意により、懸濁液は、化合物の溶解性を増大させて、高濃度溶液の調製を可能にする好適な安定化剤および/または薬剤を含有することもできる。あるいは、活性成分は、使用前に好適なビヒクル(例えば、無菌パイロジェン不含水)で調製するための粉末剤形であることができる。
【0112】
経口投与のために、化合物は、活性化合物を、当技術分野で周知の製薬上許容される担体と組み合わせることにより製剤化することができる。そのような担体は、本発明の化合物を、患者自身による経口的投与のための、錠剤、丸剤、ロゼンジ錠、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、パスタ剤、スラリー剤、溶液剤、懸濁液剤、患者の飲料水での希釈用の濃縮溶液剤および懸濁液剤、患者の食餌での希釈用のプレミックス剤などとして製剤化することを可能にする。経口用途のための医薬調製物は、固体賦形剤を用い、任意により得られた混合物を粉砕し、所望であれば他の好適な添加剤を添加した後に顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠コアを得て、製造することができる。有用な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、もしくはソルビトールをはじめとする糖などの充填剤、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプンおよびバレイショデンプンなどのセルロース調製物ならびにゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル-メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの他の材料である。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸などの崩壊剤を添加することができる。アルギン酸ナトリウムなどの塩も、用いることができる。
【0113】
吸入による投与のために、本発明の化合物は、加圧パックまたは噴霧器および好適な噴射剤を用いたエアロゾルスプレーの形態で、便利に送達することができる。
【0114】
化合物は、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドなどの慣用の坐薬基剤を用いて、坐薬または停留浣腸などの直腸用組成物に製剤化することもできる。
【0115】
上記で記載した製剤に加えて、組成物は、デポー製剤に製剤化することもできる。そのような長期作用製剤は、インプランテーション(例えば、皮下または筋肉内)により、または筋肉内注入により投与することができる。本発明の化合物は、好適なポリマー性材料または疎水性材料と共に(例えば、製薬上許容される油とのエマルジョン中に)、イオン交換樹脂とともに、または限定するものではないが難溶性塩などの難溶性誘導体として、この投与経路のために製剤化することができる。
【0116】
リポソームおよびエマルジョンなどの他の送達システムも、用いることができる。
【0117】
さらに、化合物は、治療剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスなどの持続放出系を用いて送達することができる。様々な持続放出材料が開発されており、当業者に周知である。その化学的性質に依存して、持続放出カプセルは、数週間から100日超にわたって、化合物を放出することができる。特定の化合物の化学的性質および生物学的安定性に依存して、追加の安定化方法を用いることができる。
【0118】
E. 投与量
治療上有効量とは、血管新生または血管新生関連状態などの病理学的状態を、阻害し、予防し、緩和し、または軽減するのに有効な化合物の量を指す。治療上有効量の決定は、特に本明細書中の開示に照らせば、十分に当業者の技能の範囲内である。
【0119】
本発明の方法で用いられるいずれの化合物についても、治療上有効量は、初めにin vitroアッセイから推量される。続いて、有効な投与量を含む循環濃度範囲を達成できるように、投与量を動物モデルでの使用のために製剤化することができる。次いでそのような情報を用いて、患者で有用な投与量をより精密に決定する。
【0120】
例えば、プロドラッグとして用いられ、投与される組成物の量は、そこに含まれる親分子(この場合、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)に依存するであろう。一般的に、本明細書中に記載された方法で用いられるプロドラッグの量は、哺乳動物で所望の治療上の結果を有効に達成する量である。自然に、様々なプロドラッグ化合物の投与量は、親化合物、in vivoでの加水分解速度、ポリマーの分子量等に依存して、いくぶんか変わり得る。さらに、当然のことながら、投与量は、投与剤形および投与経路に依存して変わり得る。
【0121】
しかしながら、一般的に、本明細書中に記載された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリマー性エステル誘導体は、全身送達に対して、約0.3〜約90mg/m2体表面積、好ましくは約0.5〜約50mg/m2体表面積/用量、さらに好ましくは約1〜約18mg/m2体表面積/用量、さらにより好ましくは約1.25mg/m2体表面積/用量〜約16.5mg/m2体表面積/用量の範囲の量で投与することができる。一部の詳細な用量としては、以下のうち1つが挙げられる:1.25、2.5、5、9、10、12、13、14、15、16および16.5mg/m2/用量。1つの好ましい投与量としては、5mg/m2体表面積/用量が挙げられる。この態様では、量は、式(I)の化合物に含まれる7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの重量である。
【0122】
化合物は、約0.3〜約90mg/m2体表面積/週(例えば、約1〜約18mg/m2体表面積/週など)の量で投与することができる。特定の実施形態では、投与レジメンは、例えば、4週サイクルで3週間にわたって約5〜約7mg/m2体表面積で週1回、3週毎に約1.25〜約45mg/m2の1回注射、および/または4週サイクルで約1〜約16mg/m2の週3回注射であり得る。
【0123】
治療プロトコールは、例えば、3週毎に1回投与される単一用量に基づくか、または複数週治療プロトコールの一部として施される複数用量に分割することができる。つまり、治療レジメンとしては、例えば、各治療サイクルに対して3週毎に1回投与、あるいは、3週間にわたる週1回投与とそれに続く各サイクルに対して1週間の休みが挙げられる。所望の臨床的結果が得られるまで、治療が1以上のサイクルにわたって施されるであろうことも考慮される。
【0124】
上記で示した範囲は例示であり、当業者は、臨床的経験および治療適応に基づいて選択された最適なプロドラッグ投与法を決定するであろう。さらに、実際の製剤化、投与経路および投与量は、患者の状態に鑑みて、個々の医師が選択することができる。精密な用量は、当業者が理解を示すであろうように、状態のステージおよび重症度、ならびに治療対象の患者の個々の特性に依存するであろう。
【0125】
さらに、本明細書中に記載された化合物の毒性および治療上の有効性は、当技術分野で周知の方法を用いて、細胞培養または実験動物において、標準的な製薬学の手順により決定することができる。
【0126】
一部の好ましい実施形態では、治療プロトコールは、3週間にわたって約1.25〜約16.5mg/m2体表面積/用量、週1回の量を投与するステップ、続いて治療を行なわない1週間、および所望の結果が観察されるまで約3サイクル以上を反復するステップを含む。各サイクル毎に投与される量は、約2.5〜約16.5mg/m2体表面積/用量であり得る。
【0127】
1つの特定の実施形態では、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリマー性エステル誘導体は、5、9または10mg/m2/週などの1回用量で3週間にわたって投与し、続いて治療を施さない1週間を設けることができる。治療サイクルの投与量は、2回以上の治療サイクルを施す場合、漸増用量レジメンとして設計することができる。ポリマー薬は、好ましくは、IV注入により投与する。
【0128】
別の特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約12〜約16mg/m2体表面積/用量の用量で投与される。投与は、週1回行なうことができる。治療プロトコールは、約12〜約16mg/m2体表面積/用量、週1回の量で3週間にわたって式(I)の化合物を投与するステップ、続いて治療を行なわない1週間を含む。
【0129】
また別の特定の実施形態では、投与レジメンは、約10mg/m2体表面積/用量(3週間毎)であり得る。
【0130】
別の実施形態としては、以下のレジメンが挙げられる:小児患者の治療のために、約1.85mg/m2体表面積/用量、1日1回、3週間毎に5日間のプロトコール、約1.85〜約7.5mg/m2体表面積/用量、1日1回、25日毎に3日間のプロトコール、または約22.5mg/m2体表面積/用量、3週間毎に1回のプロトコールに基づくレジメン、および成人患者の治療のために、約13mg/m2体表面積/用量、3週間毎または約4.5mg/m2体表面積/用量、週1回、6週間毎に4週間に基づくプロトコール。本明細書中に記載された化合物は、第2の治療薬と組み合わせて投与することができる。一実施形態では、併用療法は、第2の治療薬と組み合わせて、約0.75mg/m2体表面積/用量、1日1回、各サイクル毎に5日間のプロトコールを含む。
【0131】
あるいは、化合物は、体重に基づいて投与することができる。哺乳動物での式(I)の化合物の全身送達のための投与量範囲は、約1〜約100mg/kg/週であると考えられ、好ましくは約2〜約60mg/kg/週である。つまり、量は、約0.1mg/kg体重/用量〜約30mg/kg体重/用量、好ましくは約0.3mg/kg〜約10mg/kgの範囲であり得る。q2dで10mg/kg×5レジメン(複数用量)または単一用量レジメンで30mg/kgなどの具体的な用量を投与することができる。
【0132】
ポリマー性コンジュゲートを投与する本発明のすべての態様で、言及した投与量は、投与されるポリマー性コンジュゲートの量ではなく、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの量に基づく。PEGコンジュゲート化7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの実際の重量は、PEGの重量およびPEGの含有量(例えば、任意により、マルチアームPEGあたり1〜4当量の7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)に依存して変わるであろう。所望の臨床的結果が得られるまで1サイクル以上にわたって治療が施されるであろうことが考慮される。本発明の化合物の実際の投与量、投与頻度および投与期間は、当然のことながら、患者の性別、年齢および医学的状態、ならびに主治医により決定される疾患の重症度に依存して変わるであろう。
【0133】
本発明のさらなる態様は、本明細書中に記載された化合物を、相乗効果もしくは相加効果のために、第2の治療薬または放射線療法などの他の療法と組み合わせることを含む。
【0134】
併用療法プロトコールは、約2〜約100mg/kg/用量(例えば、2、3、4、5、6、8、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、100mg/kg/用量)の量でアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与するステップを含む。例えば、併用療法レジメン用量としては、約2〜約50mg/kg/用量の量のアンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドを用いる治療が挙げられる。好ましくは、併用療法で投与されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、約3〜約25mg/kg/用量の量である。
【0135】
併用療法の一態様では、プロトコールは、約4〜約18mg/kg/用量、週1回、または約4〜約9.5mg/kg/用量、週1回の量でアンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドを投与するステップを含む。
【0136】
1つの特定の実施形態では、併用療法プロトコールは、約4〜約18mg/kg/用量、週1回、6週サイクルで3週間(すなわち、約8mg/kg/用量)の量のアンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドを含む。別の特定の実施形態は、約4〜約9.5mg/kg/用量、週1回(すなわち、約4mg/kg/用量)を含む。
【実施例】
【0137】
以下の実施例は、本発明のさらなる理解をもたらすために機能するが、どのようにも本発明の有効範囲を制限することが意図されるものではない。実施例中に記載される太字の数字(例えば、化合物番号)は、図面に示されたものと対応する。
【0138】
一般的手順:すべての反応は、乾燥窒素またはアルゴン雰囲気下で行なった。市販の試薬は、さらなる精製を行なわずに用いた。すべてのPEG化合物は、使用前に、真空下またはトルエンからの共沸蒸留により乾燥させた。13C NMRスペクトルは、特に記載しない限り、75.46MHzで、Varian Mercury(登録商標)300 NMR分光器ならびに重水素化クロロホルムおよびメタノールを溶媒として用いて取得した。化学シフト(δ)は、テトラメチルシラン(TMS)の下に100万分の1(ppm)で報告する。
【0139】
HPLC法:反応混合物ならびに中間体および最終生成物の純度は、Beckman Coulter System Gold(登録商標)HPLC装置によりモニタリングした。該装置は、0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)中のアセトニトリルの10〜90%勾配を流速1mL/分で用いて、ZOBAX(登録商標)300SB C8逆相カラム(150×4.6mm)またはPhenomenex Jupiter(登録商標)300A C18逆相カラム(150×4.6mm)を、複数波長UV検出器と共に用いる。
【0140】
実施例1. 40k4アームPEG-tBuエステル(化合物2):
40k4アームPEG-OH(12.5g、1当量)を220mLのトルエンと共沸して、35mLのトルエン/水を除去した。溶液を30℃まで冷却し、1.0M カリウムt-ブトキシド(t-ブタノール中、3.75mL、3当量×4=12当量)を添加した。混合物を30℃で30分間撹拌し、続いてt-ブチルブロモ酢酸(0.975g、4当量×4=16当量)を添加した。反応物を30℃で1時間で維持し、続いて25℃まで冷却した。150mLのエーテルをゆっくりと添加し、生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を17℃まで冷却し、17℃で0.5時間維持した。粗生成物をろ過し、湿ケーキをエーテルで2回洗浄した(2×125mL)。単離した湿ケーキを50mLのDCMに溶解し、生成物を350mLのエーテルで沈殿させ、ろ過した。湿ケーキを、エーテルで2回洗浄した(2×125mL)。生成物を、40℃にて真空下で乾燥させた(収率=98%、12.25g)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3): δ 27.71, 68.48-70.71 (PEG), 80.94, 168.97。
【0141】
実施例2. 40k4アームPEG酸(化合物3):
40k4アームPEG-tBuエステル(化合物2、12g)を120mLのDCM中に溶解し、続いて60mLのTFAを添加した。混合物を室温で3時間撹拌し、続いて、35℃にて真空下で溶媒を除去した。得られた油残渣を、37.5mLのDCMに溶解した。粗生成物を、375mLのエーテルで沈殿させた。湿ケーキを、30mLの0.5%NaHCO3に溶解した。生成物を、DCMで2回抽出した(2×150mL)。併せた有機層を、2.5gのMgSO4上で乾燥させた。溶媒を、室温にて真空下で除去した。得られた残渣を37.5mLのDCMに溶解し、生成物を300mLのエーテルで沈殿させ、ろ過した。湿ケーキを、エーテルで2回洗浄した(2×125mL)。生成物を、40℃にて真空下で乾燥させた(収率=90%、10.75g)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3): δ 67.93-71.6 (PEG), 170.83。
【0142】
実施例3. TBDPS-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物5):
100mLの無水DCM中の7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン(化合物4、2.0g、5.10mmol、1当量)の懸濁液に、Et3N(4.3mL、30.58mmol、6当量)およびTBDPSCl(7.8mL、30.58mmol、6当量)を添加した。反応混合物を一晩加熱還流し、続いて、0.2N HCl溶液(2×50mL)、飽和NaHCO3溶液(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。残渣を無水DCMに溶解し、ヘキサンを添加することにより沈殿させた。DCM/ヘキサンを用いた沈殿を反復し、過剰なTBDPSClを除去した。固体をろ過し、真空下で乾燥させ、2.09gの生成物を得た(65%収率)。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 0.90 (3 H, t, J = 7.6 Hz), 1.01 (3 H, t, J = 7.3 Hz), 1.17 (9H, s), 1.83-1.92 (2H, m), 2.64 (2H, q, 6.9 Hz), 3.89 (1 H, s, OH), 5.11 (2H, s), 5.27 (1H, d, J = 16.1 Hz), 5.72 (1H, d, J = 16.4 Hz), 7.07 (2 H, d, J = 2.63 Hz), 7.36-7.49 (7 H, m), 7.58 (1 H, s), 7.75-7.79 (4H, m), 8.05 (1 H, d, J = 9.4 Hz). 13C NMR (75.4 MHz, CDCl3): δ 7.82, 13.28, 19.52, 22.86, 26.48, 31.52, 49.23, 66.25, 72.69, 97.25, 110.09, 117.57, 125.67, 126.57, 127.65, 127.81, 130.02, 131.69, 131.97, 135.26, 143.51, 145.05, 147.12, 149.55, 149.92, 154.73, 157.43, 173.72。
【0143】
実施例4. TBDPS-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Gly-Boc(化合物6):
100mLの無水DCM中のTBDPS-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物5、3.78g、5.99mmol、1当量)およびBoc-Gly-OH(1.57g、8.99mmol、1.5当量)の0℃溶液に、EDC(1.72g、8.99mmol、1.5当量)およびDMAP(329mg、2.69mmol、0.45当量)を添加した。HPLCが出発物質の完全な消失を示すまで(約1時間45分)、反応混合物を0℃で撹拌した。0.5%NaHCO3溶液(2×50mL)、水(1×50mL)、0.1N HCl溶液(2×50mL)およびブライン(1×50mL)で有機層を洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。ろ過および真空下での蒸発後に、4.94gの粗生成物を得た(定量的収量)。粗製の固体を、さらなる精製をせずに次の反応に用いた。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 0.89 (3 H, t, J = 7.6 Hz), 0.96 (3 H, t, J = 7.5 Hz), 1.18 (9H, s), 1.40 (9H, s), 2.07-2.29 (3H, m), 2.64 (2H, q, 7.5 Hz), 4.01-4.22 (2H, m), 5.00 (1 H, br s), 5.01 (2H, s), 5.37 (1H, d, J = 17.0 Hz), 5.66 (1H, d, J = 17.0 Hz), 7.08 (1 H, d, J = 2.34 Hz), 7.16 (1H, s), 7.37-7.50 (7 H, m), 7.77 (4H, d, J = 7.6 Hz), 8.05 (1 H, d, J = 9.4 Hz). 13C NMR (75.4 MHz, CDCl3): δ 7.52, 13.30, 19.50, 22.86, 26.45, 28.21, 31.64, 42.28, 49.14, 67.00, 76.65, 79.96, 95.31, 110.13, 118.98, 125.75, 126.45, 127.68, 127.81, 130.03, 131.54, 131.92, 135.25, 143.65, 144.91, 145.19, 147.08, 149.27, 154.75, 155.14, 157.10, 166.98, 169.17。
【0144】
実施例5. TBDPS-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Gly・HCl(化合物7):
5mLの無水ジオキサン中のTBDPS-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Gly-Boc(化合物6、1g、1.27mmol)の溶液に、5mLのHClの4M溶液(ジオキサン中)を添加した。HPLCが出発物質の完全な消失を示すまで(1時間)、反応混合物を室温で撹拌した。反応混合物を50mLのエチルエーテルに添加し、得られた固体をろ過した。固体を50mL DCMに溶解し、ブラインで洗浄した(飽和NaHCO3溶液の添加により、pHを2.5に調整した)。有機層をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。残渣を5mLのDCMに溶解し、50mLのエチルエーテルの添加により沈殿させた。ろ過により、770mg(84%収率)の最終生成物を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 0.84 (3 H, t, J = 7.6 Hz), 1.05 (3 H, t, J = 7.3 Hz), 1.16 (9H, s), 2.15-2.30 (3H, m), 2.59 (2H, q, 7.6 Hz), 4.16 (1H, d, J = 17.9 Hz), 4.26 (1H, d, J = 17.9 Hz), 5.13 (2H, s), 5.46 (1H, d, J = 17.0 Hz), 5.60 (1H, d, J = 17.0 Hz), 7.11 (1 H, d, J = 2.34 Hz), 7.30 (1H, s), 7.40-7.51 (6 H, m), 7.56 (1H, dd, J = 2.34, 9.4 Hz), 7.77 (4H, dd, J = 7.6, 1.6 Hz), 7.98 (1 H, d, J = 9.1 Hz). 13C NMR (75.4 MHz, CDCl3): δ 8.09, 13.72, 20.26, 23.61, 26.94, 31.83, 41.01, 50.71, 67.62, 79.51, 97.03, 111.65, 119.69, 127.13, 128.97, 128.99, 129.11, 131.43, 131.96, 133.00, 133.03,136.51, 145.62, 145.81, 147.24, 148.29, 150.58, 156.27, 158.68, 167.81, 168.34。
【0145】
実施例6. 40k4アームPEG-Gly-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-TBDPS(化合物8):
14mLの無水DCM中の40k4アームPEGCOOH(化合物3、1.4g、0.036mmol、1当量)の溶液に、TBDPS-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Gly・HCl(化合物7、207mg、0.29mmol、活性部位あたり2.0当量)、DMAP(175mg、1.44mmol、10当量)およびPPAC(0.85mLの50%溶液(EtOAc中)、1.44mmol、10当量)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、続いて真空下で蒸発させた。得られた残渣をDCMに溶解し、生成物をエーテルで沈殿させ、ろ過した。残渣をDMF/IPAで再結晶させ、生成物(1.25g)を得た。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3): δ 7.45, 13.20, 19.39, 22.73, 26.42, 31.67, 40.21, 49.01, 66.83, 95.16, 110.02, 118.83, 125.58, 126.40, 127.53, 127.73, 129.96, 131.49, 131.76, 131.82, 135.12, 143.51, 144.78, 145.13, 146.95, 149.21, 154.61, 156.92, 166.70, 168.46, 170.30。
【0146】
実施例7. 40k4アームPEG-Gly(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物9):
40k4アームPEG-Gly-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-TBDPS(化合物8、1.25g)に、THFと0.05M HCl溶液との1:1混合物(12.5mL)中のTBAF(122mg、0.46mmol、4当量)の溶液を添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌し、続いてDCMで2回抽出した。併せた有機相をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。残渣を7mLのDMFに溶解し、37mLのIPAで沈殿させた。固体をろ過し、IPAで洗浄した。DMF/IPAでの沈殿を反復した。最後に、残渣を2.5mLのDCMに溶解し、25mLのエーテルを添加することにより沈殿させた。固体をろ過し、真空オーブン中で40℃にて一晩乾燥させた(860mg)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3): δ 7.48, 13.52, 22.91, 31.67, 40.22, 49.12, 66.95, 94.82, 105.03, 118.68, 122.54, 126.37, 128.20, 131.36, 142.92, 144.20, 144.98, 147.25, 148.29, 156.44, 156.98, 166.82, 168.49, 170.39。このNMRデータはPEG-COOHの形跡を示さず、このことは、COOHのすべてが反応したことを示す。蛍光検出により測定した付加量は3.9であることが明らかになり、これは、ポリマーの4本の分岐のそれぞれへの7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの完全な付加に合致する。非常に大規模でのこの実験の反復実施により、一貫した結果が得られた。
【0147】
実施例8. Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物10):
250mLの無水DCM中の7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン(化合物4、2.45g、1当量)の懸濁液に、室温で、N2下、二炭酸ジ-tert-ブチル(1.764g、1.3当量)および無水ピリジン(15.2mL、30当量)を添加した。懸濁液を、室温で一晩撹拌した。濁った溶液をセライト(10g)を通してろ過し、ろ液を0.5N HClで3回(3×150mL)、NaHCO3飽和溶液で1回(1×150mL)洗浄した。溶液を、MgSO4(1.25g)上で乾燥させた。30℃にて真空下で溶媒を除去した。生成物を、40℃にて真空下で乾燥させた(収率=82%、2.525g)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3) δ 173.53, 157.38, 151.60, 151.28, 150.02, 149.70, 147.00, 146.50, 145.15, 131.83, 127.19, 127.13, 124.98, 118.53, 113.88, 98.06, 84.26, 72.80, 66.18, 49.33, 31.62, 27.73, 23.17, 13.98, 7.90。
【0148】
実施例9. Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Ala-Bsmoc(化合物11):
無水CH2Cl2(20mL)中のBoc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物10、0.85g、1.71mmol)およびBsmoc-Ala(0.68g、2.30mmol)に、EDC(0.51g、2.67mmol)およびDMAP(0.065g、0.53mmol)を0℃で添加した。混合物をN2下で0℃にて45分間撹拌し、続いて室温まで加温した。反応の完了をHPLCにより確認したら、反応混合物を1%NaHCO3(2×50mL)、H2O(50mL)および0.1N HCl(2×50mL)で洗浄した。有機相を無水MgSO4で乾燥させ、ろ過した。減圧下で溶媒を除去した。得られた固体を、40℃にて真空下で一晩乾燥させ、1.28gの生成物を得た(収率95%)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3) δ : 171.16,166.83, 157.16, 154.78, 151.59, 151.33, 149.82, 147.17, 146.68, 145.35, 145.15, 139.08, 136.88, 133.60, 131.83, 130.45, 130.40, 130.33, 127.40, 127.08, 125.32, 125.14, 121.38, 120.01, 114.17, 95.90, 84.38, 77.19, 76.64, 67.10, 56.66, 53.45, 49.96, 49.34, 31.7, 27.76, 17.94, 14.02, 7.53. ESI-MS, 786.20 [M + H]+。
【0149】
実施例10. Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Ala(化合物12):
無水CH2Cl2(200mL)中のBoc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Ala-Bsmoc(化合物11、4.2g、5.35mmol)および4-ピペリジノピペリジン(1.17g、6.96mmol)の溶液を、室温で5時間撹拌した。続いてこの混合物を0.1N HClで洗浄し(2×40mL)、次に無水MgSO4上で有機層を乾燥させた。この溶液をろ過し、真空蒸留により溶媒を除去して、2.8gの生成物を得た(HPLCにより測定した純度93%)。この生成物を、エーテルとの粉砕(3×20mL)および続く酢酸エチルとの粉砕(4×20mL)によりさらに精製して、1.52g(2.70mmol)を得た(純度97%)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3) δ 168.39, 166.63, 156.98, 151.20, 151.15, 149.69, 146.67, 146.56, 145.37, 144.53, 131.66, 127.13, 124.99, 119.80, 113.82, 96.15, 84.21, 77.67, 67.16, 49.48, 49.06, 31.56, 27.74, 23.14, 15.98, 13.98, 7.57。
【0150】
実施例11. 40k4アームPEG-Ala-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-Boc(化合物13):
無水CH2Cl2(100mL)に、Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Ala(化合物12、1.50g、2.5mmol)および4アームPEG-COOH(化合物3、10.01g、1.0mmol)を室温で添加した。溶液を0℃まで冷却し、続いてEDC(0.29g、1.5mmol)およびDMAP(0.30g、2.5mmol)を添加した。混合物を、N2下、0℃にて1時間撹拌した。続いて、室温で一晩維持した。減圧下で、溶媒を蒸発させた。残渣を40mLのDCMに溶解し、粗生成物をエーテル(300mL)で沈殿させた。ろ過により得られた湿固体を、65℃でDMF/IPA(60/240mL)の混合物に溶解した。2〜3時間以内に溶液を室温まで冷却させ、生成物を沈殿させた。次に、固体をろ過し、エーテル(2×200mL)で洗浄した。湿ケーキを、40℃未満で真空下にて一晩乾燥させ、8.5gの生成物を得た。
【0151】
実施例12. 40k4アームPEG-Ala-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物14):
無水CH2Cl2中の30%TFAの溶液(130mL)に、40k4アームPEG-Ala-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-Boc(化合物13、7.98g)を室温で添加した。混合物を、3時間または出発物質の消失がHPLCで確認されるまで、撹拌した。35℃で真空下にて、溶媒を可能な限り除去した。残渣を50mLのDCMに溶解し、粗生成物をエーテル(350mL)で沈殿させ、ろ過した。湿固体を、65℃でDMF/IPA(50/200mL)の混合物に溶解した。溶液を2〜3時間以内に室温まで冷却させ、生成物を沈殿させた。続いて、固体をろ過し、エーテル(2×200mL)で洗浄した。湿ケーキを40℃未満で真空下にて一晩乾燥させ、6.7gの生成物を得た。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3) δ : 170.75, 169.30, 166.65, 157.00, 156.31, 148.36, 147.19, 145.03, 144.29, 143.00, 131.49, 128.26, 126.42, 122.47, 118.79, 105.10, 94.57, 78.08, 77.81, 77.20, 71.15, 70.88, 70.71, 70.33, 70.28, 70.06, 69.93, 69.57, 66.90, 49.14, 47.14, 31.53, 22.95, 17.78, 13.52, 7.46。
【0152】
実施例13. Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Met-Bsmoc(化合物15):
無水CH2Cl2(50mL)中のBoc-(10)-7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン(化合物10、2.73g、5.53mmol)およびBsmoc-Met(3.19g、8.59mmol)に、EDC(1.64g、8.59mmol)およびDMAP(0.21g、1.72mmol)を0℃で添加した。混合物を、N2下、0℃で45分間撹拌し、続いて室温まで加温した。HPLCにより反応の完了が確認されたら、反応混合物を1%NaHCO3(2×100mL)、H2O(100mL)および0.1N HCl(2×100mL)で洗浄した。有機相を無水MgSO4で乾燥させ、ろ過した。減圧下で溶媒を除去した。得られた固体を、40℃未満で真空下にて一晩乾燥させ、4.2gの生成物を得た(収率88%)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3) δ: 170.3, 166.8, 157.1, 155.2, 151.4, 151.2, 149.7, 147.0, 146.6, 145.3, 145.1, 138.9, 136.6, 133.5, 131.7, 130.5, 130.3, 130.2, 127.3, 127.0, 125.3, 125.1, 121.2, 119.8, 114.1, 96.1, 84.3, 76.7, 67.0, 56.7, 53.5, 53.4, 49.3, 31.6, 31.0, 29.7, 27.7, 23.1, 15.4, 13.9, 7.4; ESI-MS, 846.24 [M + H]+。
【0153】
実施例14. Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Met-NH2・HCl(化合物16):
無水CH2Cl2(200mL)中のBoc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Met-Bsmoc(化合物15、4.1g、4.85mmol)および4-ピペリジノピペリジン(1.06g、6.31mmol)の溶液を、室温で5時間撹拌した。続いてこの混合物を0.1N HCl(2×40mL)で洗浄し、次に無水MgSO4上で有機層を乾燥させた。この溶液をろ過し、真空蒸留により溶媒を除去して、2.8gの生成物を得た(HPLCにより測定した純度約97%)。この生成物を、エーテルとの粉砕(3×20mL)、および続く酢酸エチルとの粉砕(4×20mL)によりさらに精製して、1.54g(純度97%)を得た。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3) δ: 167.2, 166.5, 156.9, 151.12, 150.9, 149.8, 146.3, 145.9, 145.8, 144.9, 131.3, 127.2, 127.0, 125.1, 119.6, 113.8, 96.7, 84.3, 78.2, 67.0, 60.4, 52.2, 49.4, 31.4, 29.6, 29.1, 27.7, 23.2, 15.1, 13.9, 7.7。
【0154】
実施例15. 40k4アームPEG-Met-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-Boc(化合物17):
無水CH2Cl2(80mL)溶液に、Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Met(化合物16、1.48g、2.25mmol)および4アームPEG-COOH(化合物3、9.0g、0.9mmol)を室温で添加した。溶液を0℃まで冷却し、続いてEDC(0.26g、1.35mmol)およびDMAP(0.27g、2.25mmol)を添加した。混合物を、N2下、0℃で1時間撹拌した。続いて、室温で一晩維持した。反応混合物を70mLのCH2Cl2で希釈し、30mLの0.1N HCl/1M NaCl水溶液で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥させた後、減圧下で溶媒を蒸発させた。残渣を40mLのCH2Cl2に溶解し、粗生成物をエーテル(300mL)で沈殿させた。ろ過により得られた湿固体を、65℃で270mLのDMF/IPAに溶解した。溶液を2〜3時間以内に室温まで冷却させ、生成物を沈殿させた。続いて固体をろ過し、エーテル(2×400mL)で洗浄した。DMF/IPA中での上記の結晶化手順を反復した。湿ケーキを、40℃未満で真空下にて一晩乾燥させて、7.0gの生成物を得た。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3) δ:169.8, 169.6, 166.5, 156.9, 151.2, 151.1, 149.9, 147.0, 146.6, 145.0, 131.7, 127,1, 126.8, 124.9, 119.7, 113.8, 95.5, 84.1, 70.1, 69.9, 66.9, 50.7, 49.2, 31.5, 31.2, 29.6, 27.6, 23.1, 15.3, 13.9, 7.5。
【0155】
実施例16. 40k4アームPEG-Met-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物18):
無水CH2Cl2(100mL)中の30%TFAの溶液に、硫化ジメチル(2.5mL)および4アームPEG-Met-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-Boc(化合物17、6.0g)を室温で添加した。混合物を、3時間またはHPLCにより出発物質の消失が確認されるまで、撹拌した。35℃で真空下にて、溶媒を可能な限り除去した。残渣を50mLのCH2Cl2に溶解し、粗生成物をエーテル(350mL)で沈殿させ、ろ過した。湿固体を、65℃でDMF/IPA(60/300ml)の混合物に溶解した。溶液を2〜3時間以内に室温まで冷却させ、生成物を沈殿させた。続いて固体をろ過し、エーテル(2×200mL)で洗浄した。湿ケーキを40℃未満で真空下にて一晩乾燥させ、5.1gの生成物を得た。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3) δ :169.7, 166.6, 157.0, 156.3, 148.4, 147.3, 145.0, 144.4, 142.9, 131.5, 128.3, 126.4, 122.5, 118.7, 105.2, 94.7, 78.1, 67.0, 50.7, 49.2, 31.6, 31.3, 29.7, 23.0, 15.3, 13.5, 7.5;PEGに対する7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの比:2.1重量%。
【0156】
実施例17. Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Sar-Boc(化合物19):
Boc-Sar-OH(432g、2.287mmol)を75mLのDCM中のBoc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物10、750mg、1.52mmol)に添加し、0℃まで冷却した。DMAP(432mg、2.287mmol)およびEDC(837g、0.686mmol)を添加し、反応混合物を0℃〜室温で1.5時間撹拌した。続いて反応混合物を0.5%NaHCO3(75mL×2)、水(75mL×2)で洗浄し、最後に0.1N HCl(75mL×1)で洗浄した。塩化メチレン層をMgSO4上で乾燥させ、真空下で溶媒を蒸発させ、乾燥させた。収量=0.900mg(89%)。構造をNMRにより確認した。
【0157】
実施例18. 7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン-(20)-Sar・TFA(化合物20):
Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Sar-Boc(化合物19、900mg、1.357mmol)を、4mL TFAおよび16mL DCMの溶液に添加し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を、30℃でトルエンと共に蒸発させた。残渣を10mL CHCl3に溶解し、エチルエーテルで沈殿させた。生成物をろ過し、乾燥させた。収量700mg(1.055mmol、78%)。13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 168.26, 167.07, 158.84, 158.71, 148.82, 147.94, 147.22, 146.34, 144.04, 131.18, 130.08, 128.97, 124.46, 119.78, 106.02, 97.23, 79.84, 79.34, 66.87, 50.84, 49.86, 31.81, 23.94, 15.47, 13.84, 8.08。
【0158】
実施例19. TBDMS-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Sar・HCl(化合物21):
無水DMF(30mL)中の7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン-(20)-Sar・TFA(化合物20、2.17g、3.75mmol、1当量)の溶液を、200mLの無水DCMで希釈した。Et3N(2.4mL、17.40mmol、4.5当量)、次にTBDMSCl(2.04g、13.53mmol、3.5当量)を添加した。HPLCにより出発物質の消失が示されるまで(約1時間)、反応混合物を室温で撹拌した。有機層を、0.5%NaHCO3で2回、水で1回、ブラインで飽和させた0.1N HCl溶液で2回洗浄し、続いてMgSO4上で乾燥させた。ろ過および真空下での溶媒の蒸発後、得られた油をDCMに溶解した。エーテルの添加により固体が得られ、これを細径または中径ブフナー漏斗を用いてろ過した(2.00g、87%収率)。固体のHPLCにより、96%の純度が示された。1H NMRおよび13C NMRにより、構造を確認した。1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ 0.23 (6H, s), 0.96 (9H, s), 0.98 (3 H, t, J = 7.3 Hz), 1.30 (3 H, t, J = 7.6 Hz), 2.13-2.18 (2H, m), 2.67 (3H, s), 3.11 (2 H, q, J = 7.6 Hz), 4.10 (1H, d, J = 17.6 Hz), 4.22 (1H, d, J = 17.6 Hz), 5.23 (2 H, s), 5.40 (1 H, d, J = 16.7 Hz), 5.55 (1H, d, J = 16.7 Hz), 7.32 (1H, s), 7.38-7.43 (2H, m), 8.00 (1H, d, J = 9.1 Hz). 13C NMR (75.4 MHz, CD3OD): δ -4.14, 8.01, 14.10, 19.30, 23.98, 26.16, 31.78, 33.52, 49.46, 50.95, 67.66, 79.80, 97.41, 111.96, 119.99, 127.75, 129.28, 129.67, 131.57, 145.24, 146.86, 147.16, 148.02, 150.34, 156.69, 158.72, 167.02, 168.27。
【0159】
実施例20. 40K4アームPEG-Sar-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-TBDMS(化合物22):
150mLの無水DCM中の40K4アームPEG-COOH(化合物3、10g、0.25mmol、1当量)の溶液に、20mLの無水DMF中のTBDMS-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-Sar・HCl(化合物21、1.53g、2.5mmol、2.5当量)の溶液を添加し、混合物を0℃まで冷却した。この溶液に、EDC(767mg、4mmol、4当量)およびDMAP(367mg、3mmol、3当量)を添加し、反応混合物を室温までゆっくりと加温させ、室温で一晩撹拌した。続いて、反応混合物を真空下で蒸発させ、残渣を最小限の量のDCMに溶解した。エーテルの添加後、固体が形成され、真空下でろ過した。残渣を30mLの無水CH3CNに溶解し、600mLのIPAを添加することにより沈殿させた。固体をろ過し、IPAおよびエーテルで洗浄し、生成物(9.5g)を得た。NMRにより構造を確認した。
【0160】
実施例21. 40K4アームPEG-Sar-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物23):
方法A. 40K4アームPEG-Sar-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-TBDMS(化合物22)を、H2O(200mL)中のTFAの50%混合物に溶解した。反応混合物を室温で10時間撹拌し、続いて100mLのH2Oで希釈し、DCM(2×300mL)で抽出した。併せた有機相をH2O(2×100mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。残渣を100mLの無水DMF(ヒートガンを用いてゆっくりと加熱した)に溶解し、400mLのDMFをゆっくりと添加することにより沈殿させた。固体をろ過し、IPAおよびエーテル中の20%DMFで洗浄した。固体をDCMに溶解し、エーテルで沈殿させた(6.8g)。NMRにより構造を確認した。
【0161】
方法B. 40K4アームPEG-Sar-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-TBDMS(1g)を、10mLの1N HCl溶液に溶解した。反応混合物を室温で1時間撹拌し(HPLCによりチェックし)、続いてDCM(2×40mL)で抽出した。有機層を、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。得られた明黄色の残渣を10mLのDMF(ヒートガンでわずかに加熱した)に溶解し、続いて40mLのIPAを添加した。得られた固体をろ過し、真空オーブン中で40℃にて一晩乾燥させた。NMRにより構造を確認した。
【0162】
生物学的データ
実施例22. 毒性データ
上記の実施例7により調製された4アームPEGコンジュゲート化7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン(化合物9)の最大耐容量(「MTD」)を、ヌードマウスを用いて研究した。死亡率および不調の徴候について、マウスを14日間モニタリングし、体重減少が処置前体重の20%超となった場合に屠殺した。
【0163】
以下の表2は、単一用量投与および複数用量投与の両方に対する各化合物の最大耐容量を示す。複数用量投与のための各用量は、隔日で10日間マウスに投与し、マウスをさらに4日間、つまり合計で14日間観察した。
【表2】
【0164】
4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物9)について明らかになったMTDは、単一用量として投与した場合30mg/kg、複数用量(q2d×5)として投与した場合10mg/kgであった。
【0165】
実施例23. PEGコンジュゲートの特性
以下の表3は、4種類の異なるPEG-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)コンジュゲートの生理食塩水溶液中での溶解性を示す。4種類すべてのPEG-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)コンジュゲートが、4mg/mL当量の7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンまでの良好な溶解性を示した。ヒト血漿中では、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンが22〜52分の倍増時間でPEGコンジュゲートから安定的に放出され、放出は、下記の実施例24に記載されているようにpHおよび濃度依存的であるようであった。
【表3】
【0166】
PEG-7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンコンジュゲートは、生理食塩水および他の水性媒体中で、室温で24時間まで良好な安定性を示す。
【0167】
実施例24. 安定性に対する濃度およびpHの影響
20-OH位でのアシル化は、活性な閉環型でラクトン環を保護する。ラットおよびヒト血漿中での水性安定性ならびに加水分解特性を、UVベースのHPLC法を用いてモニタリングした。4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)コンジュゲートを、室温で5分間、各サンプルとインキュベートした。
【0168】
バッファー中でのPEG-7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンコンジュゲートの安定性は、pH依存的であった。図6は、種々のサンプル中での4アームPEG-Gly-7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン安定性を示す。図7は、PEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)からの7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン放出速度が、pHが上昇すると増大することを示す。
【0169】
実施例25. 薬物動態
腫瘍を有しないBalb/Cマウスに、20mg/kgの4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)コンジュゲートの単回注射を注入した。様々な時点でマウスを屠殺し、完全なコンジュゲートおよび放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンについて、HPLCにより血漿を分析した。薬物動態解析を、非コンパートメント解析(WinNonlin)を用いて行なった。詳細を、以下の表4に示す。
【表4】
【0170】
図8Aおよび8Bに示されているように、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのPEG化は、長い循環半減期および元の薬物である7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンへの高度の曝露を可能にする。4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)コンジュゲートの腸肝循環が観察された。マウスでのPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の薬物動態プロフィールは、二相性であり、最初の2時間での迅速血漿分布相と、それに続くコンジュゲートに対する18〜22時間の終末相排出半減期および付随する7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンに対する18〜26時間の終末相排出半減期を示す。
【0171】
さらに、4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の薬物動態プロフィールを、ラットで調べた。ラットでは、3、10および30mg/kg(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン当量)の用量レベルを用いた。ラットでの薬物動態プロフィールは、マウスでのものと一致した。
【0172】
ラットでは、4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)は循環からの二相性のクリアランスを示し、ラットで12〜18時間の排出半減期を有していた。4アームPEG-Gly-7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンコンジュゲートから放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンは、21〜22時間の見かけ上の排出半減期を有していた。最大血漿濃度(Cmax)および曲線下面積(AUC)は、ラットでは用量依存的に増大した。マウスまたはラットでの4アームPEG-Glyコンジュゲートから放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの見かけの半減期は、CPT-11から放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの報告された見かけの半減期よりも著しく長く、4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)から放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの曝露は、CPT-11から放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの報告された曝露よりも著しく高い。親化合物のクリアランスは、ラットでは0.35mL/hr/kgであった。親化合物の定常状態での分布の推定量(VSS)は、5.49mL/kgであった。放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのクリアランスは、ラットで131mL/hr/kgであった。放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの推定VSSは、ラットで2384mL/kgであった。放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの腸肝循環は、マウスおよびラットの両方で観察された。
【0173】
実施例26. 血管新生に対する効果 − 絨毛尿膜(CAM)アッセイ
化合物9の抗血管新生活性を、Ribatti D. et al. Nat. Protoc. 2006, 1:85-91に従い、CAMアッセイを用いて評価した。マウスに、ヒトNB細胞株であるHTLA-230またはGI-LI-Nを注入した。1〜2mm3のサイズの腫瘍生検標本を、異種移植マウスから取得し、CAM上に移植した。CAMを10もしくは40mg/kgのCPT-11または10mg/kgの化合物9(SN38、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンに基づき)とインキュベートした。対照群では、CAMをPBSバッファーとインキュベートした。すべての態様で、化合物9の量は、投与されたポリマー性コンジュゲートの量ではなく、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの量に基づく。CAMを、1日1回、12日間調べ、カメラおよび画像解析システム(Olympus Italia, Italy)を取り付けた実体顕微鏡で卵内で写真撮影した。画像を図9Aに示す。CD31陽性微小血管を測定し、対照群のものに対して標準化した。より少ないCD31陽性微小血管が、より大きい抗血管新生効果を意味する。結果を図9Bに示す。微小血管密度は、横断面で切ったCD31陽性血管(直径3〜10μm)により占められる交点の合計数のパーセンテージにより表した。各分析について、平均値±SDを決定した。
【0174】
腫瘍標本に向かう「スポーク付き車輪」(spoked wheel)パターンで放射状に広がる尿膜血管の数は、対照CAMと比較して、CPT-11または化合物9で処理した両方のCAMで減少していた。図9Aおよび9Bに示されているように、結果は、腫瘍標本に侵入している放射状血管の数は、CPT-11よりも化合物9で処理したCAMではずっと少なかったことを示す(P<0.01)。結果は、化合物9は、CPT-11と比較して、著しく血管新生を阻害することを示す。
【0175】
実施例27. GI-LI-N異種移植マウスモデルでの腫瘍細胞血管新生および腫瘍浸潤に対する効果
血管新生および腫瘍浸潤に対する化合物9の効果を、同所性に移植したヒト神経芽細胞腫異種移植マウスで評価した。異種移植腫瘍は、第0日(T0)に副腎にヒト神経芽細胞腫細胞(GI-LI-N)を注入することによりマウスで確立した。腫瘍を増殖させ、第35日(T35)に約400mm3の平均体積に達した。続いて、10mg/kg体重のCAMPTOSAR(医薬製剤中のCPT-11)または化合物9(SN38に基づき)を、第35、37、39、41および43日(q2×dで合計5用量)にマウスに静脈内注射した。対照群マウスには、HEPES緩衝生理食塩溶液を投与した。第44日(T44)にマウスから取り出した腫瘍に対して、組織学的検査を行なった。
【0176】
組織切片をVEGFおよびCD31に対する抗体を用いて染色し、血管新生の阻害を評価した。組織切片は、MMP-2およびMMP-9に対する抗体でも染色して、腫瘍浸潤の阻害を検出した。抗体は、以下の供給元から購入した:抗VEGF(Thermo Fisher Scientific, Fremont, CA, USA)、および抗CD31(クローンSC-1506、Santa Cruz Biotechnology, D.B.A Italia S.R.L., Segrate, Milan, Italy)、抗MMP-2(クローン36006、R & D System, Abingdon, UK)および抗MMP-9(クローン443、R & D System)。細胞核は、DAPIを用いて染色した。形態学的解析は、画像解析ソフト(Olympus Italia, Italy)を用いてOlympus社のカメラ付き顕微鏡で200倍の倍率で観察した、3切片毎に9箇所の無作為に選択した視野に対して行なった。VEGF、CD31、MMP-2、およびMMP-9標識領域を評価した。MMP-2およびMMP-9に対する抗体を用いた染色に先立って、パラフィン包埋組織切片をキシレン-エタノール系列で脱パラフィンし、段階的エタノール溶液およびTRIS緩衝生理食塩水(TBS、pH7.6)中で再水和し、続いて電子レンジで1mM EDTA、pH8.0中で10分間、組織切片をボイルすることにより抗原回復のために処理した。次に、切片をPBS中で2回洗浄し、PBS中の2%BSAで飽和させた。形態学的解析では、切片からの各画像での平均値、すべての画像に対する最終平均値およびSEMを算出した。異なる実験条件の平均値間の差異の統計学的有意性は、スチューデントのt検定(GraphPadソフトウェア)により決定した。すべての統計学的評価について、P値<0.05で知見が有意であるとみなした。
【0177】
結果を、図10(A)、(B)、(C)および(D)に示す。結果により、CAMPTOSARおよび化合物9の両方が、原発性ND腫瘍でのVEGFおよびCD31発現を阻害したことが示される。化合物9でのマウスの処置は、CAMPTOSARで処置したマウスと比較して、CD31陽性内皮細胞の数を有意に減少させた(図10(A))。化合物9での処置によるCD31発現阻害の増大は、CAMPTOSARでの処置と比較して、統計学的に有意であった(P<0.05)。図10(B)を参照されたい。化合物9は、CAMPTOSARと比較して、MMP-2およびMMP-9発現も有意に阻害した(P<0.05)(図10(C)および(D))。エラーバーは、95%CIを示す。n.s.:有意差なし;*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001。
【0178】
結果により、化合物9での処置が、腫瘍血管新生および全身性腫瘍拡散(腫瘍浸潤/転移)を阻害することが示された。結果は、本明細書中に記載された処置が、血管新生を伴う癌などの、血管新生に関連する疾患を有する患者の治療での有用性を有することを示す。
【0179】
実施例28. GI-LI-N異種移植マウスモデルでの腫瘍細胞アポトーシスに対する効果
実施例27で処置したマウスから取り出した組織切片を、アポトーシスを評価するためにTUNELで免疫染色し、DNAダメージ依存的ヒストンリン酸化を評価するためにヒストンH2axに対する一次抗体(H2AFX)を用いて免疫染色した。結果を図11に示す。スケールバーは150μmを表し、エラーバーは95%CIを表す。*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001。結果により、CAMPTOSARで処置したマウスと比較して、化合物9で処置したマウスから取り出した腫瘍組織での増大したTUNEL染色およびヒストンH2ax染色が示される。CPT-11で処置したマウスと比較して、化合物9で処置したマウスでは、より多くの腫瘍細胞がアポトーシスを起こしていた。
【0180】
実施例29. ヒト神経膠腫異種移植マウスモデルでのHIF-1α発現に対する化合物9の効果
HIF-1α発現の阻害に対する化合物9の効果を、ヒト神経膠腫異種移植モデルで評価した。効果は、U251-HRE異種移植片でのHIF-1依存的ルシフェラーゼ発現により測定した。
【0181】
ヒト神経膠腫細胞株であるU251-HREは、米国国立癌研究所(Frederick, Maryland, United States)のGiovanni Melillo博士から厚意で提供された。細胞を、誘導性一酸化窒素シンターゼ遺伝子由来のカノニカルな低酸素症応答エレメント(HRE)を3コピー含むルシフェラーゼレポータープラスミドを用いてトランスフェクションした(Rapsirada, et al. 2000)。U251-HRE腫瘍は、1×107 U251-HRE細胞/マウスの皮下注入により、メスHarlan Sprague-Dawleyヌードマウス(Harlan World, Indianapolis, IN)の右腋下に確立した。腫瘍が平均体積100mm3に達したら、マウスを無作為に5匹ずつの群に分け、生理食塩水(qd×10)、化合物9(30mg/kgでqd×1または10mg/kgでq2d×3)またはCPT-11(80mg/kgでqd×1または40mg/kgでq2d×3)を静脈内投与した。各処置時点で、腫瘍体積測定値を記録し、mg=[腫瘍長×(腫瘍幅)2]/2を用いて、腫瘍重量(mg)を算出した。U251-HRE誘導腫瘍でのルシフェラーゼ発現レベルは、薬物処置の開始後、0、48および120時間での生体発光を用いて測定した。そのために、マウスに150mg/kgのD-ルシフェリンFirefly、カリウム塩(Biosynth International, Inc., Itasca, IL)を会陰内注入した。10分後、マウスをイソフルラン(isofluoran)ガスで麻酔し、Xenogen IVIS 100イメージングステーション(Xenogen Corp., Alameda, CA)を用いて画像取得した。
【0182】
生理食塩溶液で処置した対照マウスは、発光の進行性の増大を有していた。単一用量または複数用量の化合物9で処置したマウスは、48時間および120時間の両方の時点で、減少した発光を有していた(図12Bおよび12D)。一方、CPT-11処置は、発光に対して最小限の効果を有した(図12Bおよび12D)。腫瘍質量は化合物9およびCPT-11処置により減少したので(図13)、発光値(光子/秒)は、腫瘍質量に対して標準化し、ベースラインからの変化(%)として表した(図12Aおよび12C)。図12Aから見て取れるように、単一用量の化合物9は、HIF-1αの強力で持続的なダウンレギュレーションを誘導した(48時間で37%のダウンレギュレーションおよび120時間で83%のダウンレギュレーション)。対照的に、CPT-11の単回注入はHIF-1αのダウンレギュレーションを誘導しなかった(図12A)。複数日(第0、2、4日)にMTDで投与した場合、化合物9は、HIF-1αの非常に強力なダウンレギュレーションを誘導した(120時間で93%)。さらに、CPT-11は、48時間および120時間で、それぞれ15%および32%の中程度のHIF-1αダウンレギュレーションを引き起こす。
【0183】
結果により、化合物9はヒト神経膠腫異種移植モデルでHIF-1αをダウンレギュレーションしたこと、およびCPT-11ではほとんど効果が観察されないことが示される。
【0184】
実施例30. HIF-1αおよびHIF-2α発現に対する効果
腫瘍細胞でのHIF-1αおよびHIF-2αの発現に対する化合物9の効果を、ヒト神経芽細胞腫細胞(GI-LI-N、HTLA-230、およびSH-SY5Y)を用いてin vitroで評価した。
【0185】
癌細胞は、Pastorino F. et al., Cancer Res. 2006, 66:10073-82, 2006;Pastorino F. et al., Clin. Cancer Res. 2008, 14:7320-9;およびBrignole C, et al., J. Nat’l. Cancer Inst. 2006, 98:1142-57に記載されているように、10%加熱非働化FCSを添加した完全DMEMまたはRPMI-1640培地中で増殖させた。細胞を、同じ濃度のCPT-11もしくは化合物9で24時間または48時間処理した(図14(A))。対照では、細胞をCPT-11および化合物9で処理しなかった。一部の実験では(図14(B)および(C))、癌細胞を、HIF-1αを誘導するために0.15mMのデスフェラール(DFXまたはデフェロキサミン、Novartis Pharma(Stein, Swizerland)から購入)と共に6時間プレインキュベーションした。その後、細胞を洗浄し、CPT-11および化合物9で合計24時間処理した。細胞を回収し、Pagnan G. et al., Clin. Cancer Res. 2009, 15:1199-209に記載されているように細胞溶解物を用いてウエスタンブロット分析を行なった。モノクローナル抗p53(クローンPAb 1801)および抗HIF-1α(クローン54)は、BD Biosciences(Buccinasco, MI, Italy)から購入した。抗HIF-2α(クローンep190b)および抗GAPDH(クローン14c10)抗体は、それぞれNovus Biologicals, Inc(Cambridge, UK)およびCell Signaling Technology(Danvers, MA, US)からのものであった。
【0186】
結果により、化合物9がHIF-2αタンパク質の発現を阻害したことが示された(図14(A))。p53の迅速で強力な誘導(データ示さず)およびHIF-2αのダウンレギュレーション後に、細胞死が続いた(図14A)。結果により、化合物9が構成的(図14B)およびDFX誘導(図14C)HIF-1αタンパク質レベルの両方を減少させたことも示された。
【0187】
HIF-1α発現の阻害は、CPT-11と比較して著明であった。結果は、化合物9が、HIF-1αおよびHIF-2αの発現の阻害において強力であることを示す。
【0188】
VEGFなどの血管新生促進性増殖因子発現の影響下での、既存の毛細血管からの新規血管の出芽が報告されている(Ribatti D, et al., Eur. J. Cancer, 2002, 38:750-7)。HIF-1αは、VEGFの誘導により血管新生を媒介し、腫瘍血管新生および浸潤で役割を果たす(Carmeliet P. et al., Nature, 1998, 394:485-90 and Du R. et al., Cancer Cell 2008, 13:206-20)。いかなる理論に拘泥するものではないが、本明細書中に記載された処置は、HIF-1αを減少させ、これがp53タンパク質の増加、およびCD31、VEGF、MMP-2およびMMP-9などの血管新生および腫瘍浸潤に関連する因子の統計学的に有意な減少をもたらす。HIF-2αも、高度な腫瘍血管化に強く関連する(Peng J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2000, 97:8386-91)。本明細書中に記載された化合物は、HIF-1αおよびHIF-2α発現を顕著に阻害し、本明細書中に記載された化合物を用いた処置は、血管新生に関連する疾患を治療するのに有用な方法を提供する。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年4月17日に出願された米国仮特許出願第61/170,386号に基づく優先権を主張し、その内容を参照により本明細書に組み入れる。
【0002】
発明の分野
本発明は、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリマー性プロドラッグを投与することによる、血管新生または血管新生活性の阻害方法に関する。特に、本発明は、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリエチレングリコールコンジュゲートを投与することによる、血管新生の阻害方法に関する。
【背景技術】
【0003】
血管新生は、新しい血管の形成を含む、身体内での自然なプロセスである。健康な身体では、血管新生刺激因子と血管新生抑制因子とのバランスを維持することにより、血管新生が制御されている。
【0004】
様々な疾患および病理学的状態が、不十分な血管新生または過剰な血管新生のいずれかの血管新生に関連している。近年、血管新生を阻害または刺激することにより疾患を治療するために、血管新生に基づく治療的アプローチが開発されている。血管新生促進療法は、血管新生性増殖因子を用いて血管新生を促進することにより、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、卒中、創傷治癒などの疾患を治療する。抗血管新生療法は、血管新生インヒビターを用いて、血管新生を阻害するかまたは遅延させることにより、疾患を治療する。例えば、癌および転移を治療するための様々な試みが血管新生インヒビターを用いており、なぜなら、血管新生は腫瘍増殖および転移において重要な役割を果たしており、腫瘍は正常組織と比較してより多くの血管を有するためである。既知の血管新生インヒビターのリストとしては、例えば、以下のものが挙げられる:アンジオアレスチン、アンジオスタチン(プラスミノーゲン断片)、抗血管新生性アンチトロンビンIII、軟骨由来インヒビター(CDI)、CD59補体断片、エンドスタチン(コラーゲンXVIII断片)、フィブロネクチン断片、GRO-β、ヘパリナーゼ、ヘパリン六糖断片、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、インターフェロンα/β/γ、インターフェロン誘導性タンパク質(IP-10)、インターロイキン-12、クリングル5(K5;プラスミノーゲン断片)、メタロプロテイナーゼインヒビター(TIMP)、2-メトキシエストラジオール、胎盤リボヌクレアーゼインヒビター、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター、血小板因子-4(PF-4)、プロラクチン16kD断片、プロリフェリン関連タンパク質(PRP)、レチノイド、テトラヒドロコルチゾール-S、トロンボスポンジン-1(TSP-1)、形質転換増殖因子-β(TGF-b)、バスキュロスタチン、バソスタチン(カルレティキュリン断片)およびオルチプラズ[(5-2-ピラジニル)-4-メチル-1,2-ジチオール-3-チオン]。FDAは、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、ペガプタニブ(マクジェン(登録商標))などの血管新生インヒビターを、一部の癌の治療のために承認している。
【0005】
不運なことに、既知の血管新生インヒビターは患者を延命はするが、必ずしも疾患を治癒させるのではない。つまり、患者は、長期にわたって抗血管新生剤の投与を受ける必要があり、血管新生インヒビターを用いたそのような長期の治療は、免疫系、生殖系、心臓などに悪影響を及ぼす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、血管新生を阻害するための改善された薬剤および方法についての必要性が依然として存在する。本発明は、この必要性を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、哺乳動物での血管新生または血管新生活性を阻害するための方法が提供される。該方法は、有効量の式(I):
【化1】
[式中、
R1、R2、R3およびR4は独立に、OHまたは
【化2】
であり、式中、
Lは二官能性リンカーであり、(m)が2以上の場合、各Lは同じかまたは異なり;
(m)は0または正の整数であり;
(n)は正の整数であり;
ただし、R1、R2、R3およびR4はすべてがOHであることはない]
の化合物または製薬上許容されるその塩を哺乳動物に投与するステップを含む。
【0008】
本発明の1つの特定の態様では、用いられる7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリマー性プロドラッグは、以下の構造:
【化3】
[式中、
(n)は約28〜約341、好ましくは約114〜約239、より好ましくは約227である]
を有する4アームPEG-7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンコンジュゲートを含む。
【0009】
別の態様では、本発明は、血管新生を伴う疾患または障害を治療する方法、ならびに哺乳動物での血管新生依存性細胞の増殖を抑制する方法を提供する。
【0010】
また別の態様では、本発明は、哺乳動物でのアポトーシスを誘導または促進する方法を提供する。
【0011】
また別の態様では、本発明は、哺乳動物で細胞に7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンを送達する方法を提供する。該方法は、以下のステップ:
(a)7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリマー性コンジュゲートまたは製薬上許容されるその塩を形成させるステップ;および
(b)それを必要とする哺乳動物に該コンジュゲートまたは製薬上許容されるその塩を投与するステップ
を含む。
【0012】
さらなる態様では、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩が、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドまたは製薬上許容されるその塩との組み合わせで投与される、本発明の方法が実施される。
【0013】
本発明の方法の1つの利点は、本発明が、相加効果をもたらすために他のタイプの治療と組み合わせて実施することができる点である。例えば、本発明は、同時もしくは連続的に、放射線療法と、または1種以上の追加の治療薬の投与と組み合わせて実施することができる。
【0014】
別の利点は、本発明が、血管新生を阻害し、かつHIF-1α発現をダウンレギュレーションするので、予後不良な癌(すなわち、リンパ腫)の抑制に有効である点である。HIF-1α発現は、薬剤抵抗性および全体的に不良な治療帰結と相関すると考えられる。
【0015】
さらなる利点は、以下の説明および図面から明らかであろう。
【0016】
本発明の目的のために、「残基」との用語は、それが参照する化合物(例えば、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン、アミノ酸等)の一部分であって、別の化合物との置換反応を行なった後に残っているものを意味するものと理解されるであろう。
【0017】
本発明の目的のために、「ポリマー性含有残基」または「PEG残基」との用語は、それぞれ、例えば、アミノ酸、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン含有化合物との反応を行なった後に残っているポリマーまたはPEGの一部分を意味するものと理解されるであろう。
【0018】
本発明の目的のために、「アルキル」との用語は、直鎖、分岐鎖、および環状アルキル基を含む、飽和脂肪族炭化水素を指す。「アルキル」との用語はまた、アルキル-チオ-アルキル基、アルコキシアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクロアルキル着、およびC1〜6アルキルカルボニルアルキル基も含む。好ましくは、アルキル基は、1〜12個の炭素を有する。より好ましくは、アルキル基は、約1〜7個の炭素、さらにより好ましくは約1〜4個の炭素の低級アルキルである。アルキル基は、置換されていても非置換でもよい。置換されている場合、置換基としては、好ましくは、以下のものが挙げられる:ハロ基、オキシ基、アジド基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキル-チオ基、アルキル-チオ-アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、トリハロメチル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルシリル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、テロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、C1〜6ヒドロカルボニル基、アリール基、およびアミノ基。
【0019】
本発明の目的のために、「置換された」との用語は、官能基または化合物中に含まれる1以上の原子に、ハロ基、オキシ基、アジド基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキル-チオ基、アルキル-チオ-アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、トリハロメチル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルシリル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、C1〜6アルキルカルボニルアルキル基、アリール基およびアミノ基の群からの部分のうちの1つが付加されているか、またはこれらのうちの1つで置き換えられていることを指す。
【0020】
本発明の目的のために、「アルケニル」との用語は、直鎖、分岐鎖および環状基を含む、少なくとも1箇所の炭素-炭素二重結合を含む基を指す。好ましくは、アルケニル基は、約2〜12個の炭素を有する。より好ましくは、アルケニル基は、約2〜7個の炭素、さらにより好ましくは約2〜4個の炭素の低級アルケニルである。アルケニル基は、置換されていても非置換でもよい。置換されている場合、置換基としては、以下のものが挙げられる:ハロ基、オキシ基、アジド基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキル-チオ基、アルキル-チオ-アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、トリハロメチル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルシリル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、C1〜6ヒドロカルボニル基、アリール基およびアミノ基。
【0021】
本発明の目的のために、「アルキニル」との用語は、直鎖、分岐鎖および環状基を含む、少なくとも1箇所の炭素-炭素三重結合を含む基を指す。好ましくは、アルキニル基は、約2〜12個の炭素を有する。より好ましくは、アルキニル基は、約2〜7個の炭素、さらにより好ましくは約2〜4個の炭素の低級アルキニルである。アルキニル基は、置換されていても非置換でもよい。置換されている場合、置換基としては、以下のものが挙げられる:ハロ基、オキシ基、アジド基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキル-チオ基、アルキル-チオ-アルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、トリハロメチル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルシリル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、C1〜6ヒドロカルボニル基、アリール基およびアミノ基。「アルキニル」の例としては、プロパルギル、プロピンおよび3-ヘキシンが挙げられる。
【0022】
本発明の目的のために、「アリール」との用語は、少なくとも1個の芳香族環を含む芳香族炭化水素環系を指す。芳香族環は、任意により、他の芳香族炭化水素環もしくは非芳香族炭化水素環と縮合しているか、またはそれ以外の方法で連結していることができる。アリール基の例としては、例えば、フェニル、ナフチニル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンおよびビフェニルが挙げられる。アリール基の好ましい例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0023】
本発明の目的のために、「シクロアルキル」との用語は、C3〜8環状炭化水素を指す。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。
【0024】
本発明の目的のために、「シクロアルケニル」との用語は、少なくとも1箇所の炭素-炭素二重結合を含むC3〜8環状炭化水素を指す。シクロアルケニルの例としては、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、1,3-シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタトリエニル、およびシクロオクテニルが挙げられる。
【0025】
本発明の目的のために、「シクロアルキルアルキル」との用語は、C3〜8シクロアルキル基で置換されたアルキル基を指す。シクロアルキルアルキル基の例としては、シクロプロピルメチルおよびシクロペンチルエチルが挙げられる。
【0026】
本発明の目的のために、「アルコキシ」との用語は、酸素ブリッジを介して親分子部分に連結された指定された数の炭素原子のアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびイソプロポキシが挙げられる。
【0027】
本発明の目的のために、「アルキルアリール」基との用語は、アルキル基で置換されたアリール基を指す。
【0028】
本発明の目的のために、「アラルキル」基との用語は、アリール基で置換されたアルキル基を指す。
【0029】
本発明の目的のために、「アルコキシアルキル」基との用語は、アルコキシ基で置換されたアルキル基を指す。
【0030】
本発明の目的のために、「アミノ」との用語は、有機基による1以上の水素基の置き換えにより、アンモニアに由来することが当技術分野で知られている含窒素基を指す。例えば、「アシルアミノ」および「アルキルアミノ」との用語は、それぞれアシルおよびアルキル置換基を有する特定のN置換有機基を指す。
【0031】
本発明の目的のために、「ハロゲン」または「ハロ」との用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
【0032】
本発明の目的のために、「ヘテロ原子」との用語は、窒素、酸素および硫黄を指す。
【0033】
本発明の目的のために、「ヘテロシクロアルキル」との用語は、窒素、酸素、および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む非芳香族環系を指す。ヘテロシクロアルキル環は、任意により、他のヘテロシクロアルキル環および/もしくは非芳香族炭化水素環と縮合しているか、またはそれ以外の方法で連結していることができる。好ましいヘテロシクロアルキル基は、3〜7員を有する。ヘテロシクロアルキル基の例としては、例えば、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、ピロリジン、およびピラゾールが挙げられる。好ましいヘテロシクロアルキル基としては、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、およびピロリジニルが挙げられる。
【0034】
本発明の目的のために、「ヘテロアリール」との用語は、窒素、酸素、および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む芳香族環系を指す。ヘテロアリール環は、1個以上のヘテロアリール環、芳香族もしくは非芳香族炭化水素環またはヘテロシクロアルキル環と縮合しているか、またはそれ以外の方法で連結していることができる。ヘテロアリール基の例としては、例えば、ピリジン、フラン、チオフェン、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリンおよびピリミジンが挙げられる。ヘテロアリール基の好ましい例としては、チエニル、ベンゾチエニル、ピリジル、キノリル、ピラジニル、ピリミジル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、フラニル、ベンゾフラニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピロリル、インドリル、ピラゾリル、およびベンゾピラゾリルが挙げられる。
【0035】
本発明の目的のために、「正の整数」とは、1以上であり(例えば、1、2、3、4、5、6)かつ当業者による合理性の範囲内にあると当業者により理解されるであろう整数を含むと理解されるであろう。
【0036】
本発明の目的のために、「減少した」、「低減した」、「減弱した」または「低下した」などの語句の使用は、薬理学的活性の少なくとも10%の変化を含み、血管新生または血管新生関連遺伝子発現での低下に関して、より大きなパーセンテージでの変化が好ましい。例えば、変化は、25%、35%、45%、55%、65%もしくは10%より大きな他の増分より大きくてもよく、または、範囲は25%〜99%の範囲内であり得る。
【0037】
本発明の目的のために、「連結した」との用語は、1つの基と別の基との、すなわち、化学反応の結果としての、共有結合(好ましい)または非共有結合を含むと理解されるであろう。
【0038】
本発明の目的のための「有効量」および「十分量」との用語は、当業者により理解される効果などの所望の効果または治療効果を達成する量を意味するであろう。治療対象のそれぞれの哺乳動物またはヒト患者に対する有効量は、所望の臨床的応答をもたらしながら、適正実施に反する望ましくない作用を回避する範囲内で、熟練者により容易に決定される。用量範囲は、下記に記載する。
【0039】
本発明の目的のために、「癌」および「腫瘍」との用語は、特に記載しない限り、交換可能に用いられる。「癌」は、特に記載しない限り、悪性かつ/または転移性の癌を包含する。好ましくは、癌との用語は、血管化した固形癌を含む。
【0040】
本発明の目的のために、「血管新生を調節すること」とは、本明細書中に記載された治療により、所望の様式で血管新生が生じることを意味するものと理解されるであろう。この表現は、血管の形成を、阻害する、遮断する、減少させる、刺激する、誘導する、等を含む。
【0041】
本発明の目的のために、「血管新生の阻害」とは、本明細書中に記載された治療を受けていない哺乳動物(例えば、患者)と比較して、本明細書中に記載された治療の完了後の患者で明らかになる、血管形成もしくは血管新生関連疾患の減少、軽減または予防を意味すると理解されるであろう。一実施形態では、本明細書中に記載された治療なしに観察されるものと比較して、当業者により検討されるマーカーの少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%またはそれ以上(すなわち、40%、50%)の減少が明らかである場合に、治療が成功したとみなされるであろう。血管新生での変化を測定するために有用な系としては、ニワトリ絨毛尿膜(CAM)アッセイが挙げられる。他の系としては、ウシ毛細血管内皮(BCE)細胞アッセイ(例えば、米国特許第6,024,688号)、HUVEC(ヒト臍帯静脈血管内皮細胞)増殖阻害アッセイ(例えば、米国特許第6,060,449号)、角膜血管新生アッセイ、大動脈輪アッセイおよび生体顕微鏡検査が挙げられる。選択肢において、本明細書中に記載された治療なしで観察されるものと比較して、HIF-1α、HIF-2α、VEGF、CD31、MMP-2またはMMP-9の発現での少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%またはそれ以上(すなわち、40%、50%)の減少があった場合に、治療が成功したとみなされるであろう。
【0042】
本発明の目的のために、「核酸」または「ヌクレオチド」との用語は、特に記載しない限り一本鎖か二本鎖かにかかわらず、またそのいずれの化学的修飾にかかわらず、デオキシリボ核酸(「DNA」)、リボ核酸(「RNA」)に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例1〜2に記載された4アームポリエチレングリコール酸の調製についての反応模式図である。
【図2】実施例3〜7に記載された4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の調製についての反応模式図である。
【図3】実施例8〜12に記載された4アームPEG-Ala-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の調製についての反応模式図である。
【図4】実施例13〜16に記載された4アームPEG-Met-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の調製についての反応模式図である。
【図5】実施例17〜21に記載された4アームPEG-Sar-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の調製についての反応模式図である。
【図6】実施例24に記載された4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の安定性を示す図である。
【図7】実施例24に記載された4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の安定性に対するpHの影響を示す図である。
【図8】実施例25に記載された4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の薬物動態学プロフィールを示す図である。
【図9】図9Aは、実施例26に従い生検サンプルを用いて行なった血管増殖についての絨毛尿膜(「CAM」)アッセイの結果を示す顕微鏡写真である。図9Bは、処理サンプルと対照サンプルでのCD31陽性微小血管の比較を示す図である。
【図10】図10Aは、実施例27に従い作製した生検サンプルでのVEGFおよびCD31の相対的発現を示す画像である。図10Bは、実施例27に従い作製した生検サンプルでのVEGFおよびCD31の相対的発現(%)を示すグラフである。図10Cは、実施例27に従い作製した生検サンプルでのMMP-2およびMMP-9の相対的発現を示す画像である。図10Dは、実施例27に従い作製した生検サンプルでのMMP-2およびMMP-9の相対的発現(%)を示すグラフである。
【図11】図11Aは、実施例27〜28に従い作製した生検サンプルに対する改良TUNEL染色およびヒストンH2ax免疫染色を示す顕微鏡写真である。図11Aでは、明るい領域がより多くのアポトーシス細胞を有する領域を表す。図11Bおよび11Cは、実施例27〜28に従い作製した生検サンプルに対するTUNEL染色(図11B)およびH2ax免疫染色(図11C)の相対的割合(%)を示すグラフである。
【図12】図12Aは、実施例29に従う化合物9の単一用量での、ヒト神経膠腫異種移植モデルにおけるHIF-1α発現のベースラインからの変化(%)を示すグラフである。白色バー(長方形)は0時間を表し、灰色バーは48時間を表し、黒色バーは120時間を表す。図12Bは、実施例29に従うU251-HRE異種移植片での、化合物9の単一用量(qdx1)での、ベースラインおよび120時間における相対的HIF-1依存性ルシフェラーゼ発現を示す写真である。図12Cは、実施例29に従う化合物9の複数用量(q2dx3)での、ヒト神経膠腫異種移植モデルにおけるHIF-1α発現のベースラインからの変化(%)を示すグラフである。白色バー(長方形)は0時間を表し、灰色バーは48時間を表し、黒色バーは120時間を表す。図12Dは、実施例29に従うU251-HRE異種移植片での、化合物9の複数用量(q2dx3)での、ベースラインおよび120時間における相対的HIF-1依存性ルシフェラーゼ発現を示す写真である。
【図13】処置の0〜125時間での、実施例29に従う試験で記録された異種移植マウスでの腫瘍体積の減少を示す図である。
【図14】図14Aは、実施例30に従い作製したサンプルでの相対的HIF-2α発現を示すウエスタンブロット画像である。図14Bは、実施例30に従い作製したサンプルでの相対的HIF-1α発現を示すウエスタンブロット画像である。図14Cは、実施例30に従い作製したサンプルでの相対的HIF-1α発現を示すウエスタンブロット画像である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
A. 概要
本発明の一態様では、哺乳動物での血管新生または血管新生活性を阻害する方法が提供される。該方法は、以下のステップ:
有効量の式(I):
【化4】
[式中、
R1、R2、R3およびR4は独立に、OHまたは
【化5】
であり、式中、
Lは二官能性リンカーであり;
(m)は0または正の整数であり、(m)が2以上の場合、各Lは同じかまたは異なり;
(n)は正の整数であり;
ただし、R1、R2、R3およびR4はすべてがOHであることはない]
の化合物または製薬上許容されるその塩を該哺乳動物に投与するステップを含む。
【0045】
1つの好ましい実施形態では、該方法は、医薬組成物の一部分として式(I)の化合物を含み、R1、R2、R3およびR4はすべてが、
【化6】
である。
【0046】
より好ましい態様では、該方法は、式(Ia):
【化7】
[式中、
(n)は約227であり、それにより、該化合物のポリマー部分は約40,000ダルトンの合計数平均分子量を有する]
の化合物を投与するステップを含む。
【0047】
本発明で用いられる式(I)の化合物は、細胞および/または組織において血管新生活性を有する。一部の実施形態では、本明細書中に記載された化合物が、腫瘍血管新生または腫瘍依存性血管新生を阻害する本発明が実施される。
【0048】
本発明の別の態様では、本発明は、哺乳動物での血管新生に関連する疾患または障害を治療する方法を提供する。該方法は、有効量の式(I):
【化8】
[式中、
R1、R2、R3およびR4は独立に、OHまたは
【化9】
であり、式中、
Lは二官能性リンカーであり;
(m)は0または正の整数であり、(m)が2以上の場合、各Lは同じかまたは異なり;
(n)は正の整数であり;
ただし、R1、R2、R3およびR4はすべてがOHであることはない]
の化合物または製薬上許容されるその塩を該哺乳動物に投与するステップを含む。
【0049】
一実施形態では、血管新生に関連する疾患または障害が、新生物疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、関節リウマチ、クローン病、糖尿病性網膜症、乾癬、子宮内膜症、黄斑変性、血管新生緑内障、および肥満を含む、本明細書中に記載された本発明の方法が実施される。過剰な血管新生を含む病理学的状態は、血管新生の阻害によって恩恵を受ける。好ましくは、これらの方法は、そのような疾患または障害を有する患者を特定するステップを含む。
【0050】
別の実施形態では、本発明は、本明細書中に記載された式(I)の化合物もしくは製薬上許容されるその塩を哺乳動物に投与するステップによる、哺乳動物での血管新生依存性癌の増殖または転移を治療する方法を提供する。例えば、血管新生依存性癌としては、固形腫瘍、結腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、胃癌、消化管間質腫瘍(GIST)、食道癌、前立腺癌、腎臓癌、肝臓癌、リンパ腫、白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、黒色腫、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)、乳癌、膀胱癌、膠芽腫、卵巣癌、非ホジキンリンパ腫、肛門癌、神経芽細胞腫、頭頸部癌が挙げられる。血管新生依存性癌としては、転移性癌(例えば、転移性結腸直腸癌、転移性乳癌)が挙げられる。一部の実施形態では、式(I)の化合物を用いる療法は、同時または連続的に、放射線療法と共に施される。
【0051】
また別の態様では、本発明は、哺乳動物での血管新生依存性細胞の増殖を阻害する方法を提供する。該方法は、有効量の式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩を哺乳動物に投与するステップを含む。あるいは、該方法は、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩を、それを必要とする哺乳動物の細胞および組織に送達することにより実施される。一部の態様では、細胞は癌性細胞である。
【0052】
さらに別の態様では、本発明は、疾患を有しない哺乳動物で観察されるものと比較して、高レベルのHIF-1α遺伝子(例えば、遺伝子発現)もしくはタンパク質と関連する疾患または障害を治療する方法を提供する。該方法は、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩を哺乳動物に投与するステップを含む。式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩が、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドと組み合わせて投与される方法を実施することができる。
【0053】
本発明のさらに別の実施形態では、本発明は、血管新生に関連する遺伝子もしくはタンパク質の正常な発現を有する(またはそのような遺伝子もしくはタンパク質の過剰発現を有しない)哺乳動物で観察されるものと比較して、血管新生に関連する遺伝子もしくはタンパク質発現(例えば、HIF-1α、HIF-2β、VEGF)の高レベルと関連する疾患または障害を治療する方法を提供する。該方法は、血管新生に関連する遺伝子またはタンパク質の異常な発現を有する患者の治療に有用である。該方法は、以下のステップ:
(a)血管新生に関連する遺伝子もしくはタンパク質の高レベルと関連する疾患または障害を有する患者での、そのような遺伝子もしくはタンパク質発現のレベルを測定するステップ;
(b)式(I)の化合物をそれを必要とする患者に投与するステップ
を含む。
【0054】
本発明のまた別の実施形態では、本発明は、血管新生に関連する遺伝子もしくはタンパク質の正常な発現を有する(またはそのような遺伝子もしくはタンパク質の過剰発現を有しない)哺乳動物で観察されるものと比較して、血管新生に関連する遺伝子もしくはタンパク質発現(例えば、HIF-1α、HIF-2β、VEGF)の高レベルと関連する疾患または障害を治療するための投薬を調節/最適化する方法を提供する。該方法は以下のステップ:
(a)式(I)の化合物をそれを必要とする患者に投与するステップ;
(b)血管新生に関連する遺伝子またはタンパク質発現のレベルを測定するステップ;および
(c)式(I)の化合物の投薬を調節するステップ
を含む。
【0055】
本発明のまた別の態様では、本発明は、哺乳動物でのHIF-1α誘導性血管形成または血管浸潤を阻害する方法を提供する。該方法は、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩を哺乳動物に投与するステップを含む。また別の態様では、該方法は、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドと組み合わせて実施することができる。
【0056】
別の態様では、本発明は、癌を有する哺乳動物での血管ネットワークを減少させる方法を提供する。該方法は、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩を、癌を有する哺乳動物に投与するステップを含む。本明細書中に記載された方法は、血管化した固形腫瘍または原発性腫瘍からの転移の発達を減少させる。また別の態様では、該方法は、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドと組み合わせて実施することができる。
【0057】
さらに別の態様では、本発明は、哺乳動物でのアポトーシスを誘導または促進する方法を提供する。該方法は、有効量の式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩を哺乳動物に投与するステップを含む。該方法は、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導するかまたは増加させる。
【0058】
さらに別の態様では、本発明は、哺乳動物体内の細胞に7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンを送達する方法を提供する。該方法は、以下のステップ:
(a)7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリマー性コンジュゲートまたは製薬上許容されるその塩を形成させるステップ;および
(b)該コンジュゲートまたは製薬上許容されるその塩を、それを必要とする哺乳動物に投与するステップ
を含む。
【0059】
一実施形態では、ポリマー性コンジュゲートがポリアルキレンオキシドを含む方法が実施される。好ましくは、該方法は、式(I)の化合物を用いる。
【0060】
さらなる態様では、式(I)の化合物もしくは製薬上許容されるその塩が、同時または連続的に、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドもしくは製薬上許容されるその塩と組み合わせて投与される本発明が実施される。
【0061】
さらに別の態様では、本発明は、哺乳動物での癌を治療する方法を提供する。該方法は、該哺乳動物に、以下のもの:
(i)有効量の配列番号1に示される少なくとも8個の連続するヌクレオチドに相補的な約8〜50ヌクレオチド長のアンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドまたは製薬上許容されるその塩であって、該アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、1箇所以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合および1個以上のロックド核酸を含む、上記アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは製薬上許容されるその塩;および
(ii)有効量の式(Ia):
【化10】
の化合物または製薬上許容されるその塩であって、式中、(n)は約227であり、それにより、式(Ia)の化合物のポリマー部分の合計分子量が約40,000ダルトンである、上記化合物または製薬上許容されるその塩
を投与することにより実施される。
【0062】
1つの好ましい実施形態では、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドは、約4〜約25mg/kg/用量の量で投与され、式(Ia)の化合物は、約1mg/m2体表面積/用量〜約18mg/m2体表面積/用量の量で投与され、式(Ia)の化合物の量は、式(Ia)の化合物に含まれる7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの重量である。
【0063】
別の好ましい態様では、本明細書中に記載された方法は、血管新生依存性癌を治療する方法を提供する。
【0064】
本発明の目的のために、「血管新生の阻害」とは、本明細書中に記載された式(I)の化合物を投与されていない患者と比較して、患者で明らかになる血管新生(新規血管形成)の発生の減少、軽減および予防を意味すると理解されるであろう。一部の態様では、「血管新生の阻害」は、式(I)の化合物を用いた治療の完了後の、患者での腫瘍増殖、腫瘍組織量および/もしくは転移の変化、腫瘍の寛解、または腫瘍再発および/もしくは新生物増殖の予防により測定することができる。
【0065】
本発明の目的のために、本発明に従って意図される血管新生に関連する疾患または障害としては、血管新生が状態の病理または進行において役割を果たしているために、そのような状態を有する患者での血管新生の阻害が、該状態のさらなる進行を遅延させるかもしくは防止し、または病状の寛解もしくは退縮をもたらし得る状態が挙げられる。一部の態様では、そのような状態は、癌の中などでの異常な細胞増殖および生長と関連する。
【0066】
本発明の目的のために、「腫瘍/癌の治療」とは、抗癌療法を受けていない患者と比較して、抗癌療法の完了後に患者で明らかになる腫瘍増殖、腫瘍組織量および転移の阻害、減少、軽減および予防、腫瘍の寛解、または腫瘍再発および/もしくは新生物増殖の予防を意味すると理解されるであろう。
【0067】
患者が有効な臨床結果を達成した場合、治療が生じたとみなされる。例えば、本明細書中に記載された治療なしで観察されるものと比較して、当業者により考慮される他の臨床的マーカーを含む腫瘍増殖での少なくとも10%、好ましくは20%、より好ましくは30%またはそれ以上(すなわち、40%、50%)の減少が明らかである場合、腫瘍の治療が成功したとみなされるであろう。本明細書中に記載された治療の結果として生じる腫瘍臨床状態での変化を測定する他の方法としては、以下のものが挙げられる:腫瘍生検などの生検;抗体、放射性同位体、色素を用いる免疫組織化学研究;および全血算(CBC)。
【0068】
B. 式(I)の化合物:
1. マルチアームポリマー
本明細書中に記載された化合物のポリマー部分には、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの20-OH基に結合したマルチアームPEGが含まれる。本発明の一態様では、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリマー性プロドラッグには、コンジュゲーション前に、以下の構造:
【化11】
[式中、(n)は正の整数である]
を有する4アームPEGが含まれる。
【0069】
マルチアームPEGは、NOF社、Drug Delivery System catalog, Ver. 8, 2006年4月に記載されているものである(その開示は参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0070】
本発明の1つの好ましい実施形態では、ポリマー(n)についての重合度は、約28〜約341(約5,000Da〜約60,000Daの合計数平均分子量を有するポリマーをもたらす)であり、好ましくは約114〜約239(約20,000Da〜約42,000Daの合計数平均分子量を有するポリマーをもたらす)である。(n)は、ポリマー鎖中の反復単位の数を表し、ポリマーの分子量に依存する。本発明の1つの特定の好ましい実施形態では、(n)は約227であり、約40,000Daの合計数平均分子量を有するポリマー部分をもたらす。
【0071】
2. 二官能性リンカー
本発明の一部の好ましい態様では、二官能性リンカーは、アミノ酸を含む。既知の天然に存在するL-アミノ酸のいずれかから選択することができるアミノ酸は、一部を挙げると、例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、グリシン、セリン、トレオニン、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、および/またはそれらの組み合わせである。別の態様では、Lはペプチド残基であり得る。ペプチドは大きさを変化させることができ、例えば、約2〜約10アミノ酸残基(例えば、2、3、4、5または6)である。
【0072】
天然に存在するアミノ酸の誘導体およびアナログ、ならびに種々の当技術分野で公知の天然に存在しないアミノ酸(DまたはL)(疎水性または非疎水性)も、本発明の範囲内にあるものと意図される。単なる例示として、アミノ酸アナログおよび誘導体としては、以下のものが挙げられる:
2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、β-アラニン、β-アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、ピペリジン酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、2,4-アミノ酪酸、デスモシン、2,2-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロ-イソロイシン、N-メチルグリシンまたはサルコシン、N-メチルイソロイシン、6-N-メチルリシン、N-メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン、および言及するには膨大過ぎるその他のもの(63 Fed. Reg., 29620, 29622に列挙されている;参照により本明細書中に組み入れられる)。一部の好ましいL基としては、グリシン、アラニン、メチオニンまたはサルコシンが挙げられる。例えば、化合物は以下のものの中にある:
【化12】
【0073】
説明を容易にするためだけに、限定ではなく、4アームPEGの1本のアームのみを示している。1本のアーム(4アームPEGの4本のアームまで)を、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンとコンジュゲートすることができる。
【0074】
より好ましくは、本明細書中に記載された治療は、連結基(L)としてグリシンを含む化合物を用いる。
【0075】
本発明の別の態様では、ポリマーと7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンとの結合後のLは、以下のものから選択することができる:
-[C(=O)]v(CR22R23)t-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t-O-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t-NR26-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)t-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tO-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tNR26-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)t-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tO-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tNR26-、
-[C(=O)]v(CR22R23O)t-、
-[C(=O)]vO(CR22R23O)t-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23O)t-、
-[C(=O)]v(CR22R23O)t(CR24R25)y-、
-[C(=O)]vO(CR22R23O)t(CR24R25)y-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23O)t(CR24R25)y-、
-[C(=O)]v(CR22R23O)t(CR24R25)yO-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t(CR24R25O)y-、
-[C(=O)]vO(CR22R23O)t(CR24R25)yO-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)t(CR24R25O)y-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23O)t(CR24R25)yO-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)t(CR24R25O)y-、
-[C(=O)]v(CR22R23)tO-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)tNR26-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)tS-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tO-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tNR26-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tS-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tO-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tNR26-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tS-(CR28R29)t'-、
-[C(=O)]v(CR22R23CR28R29O)tNR26-、
-[C(=O)]v(CR22R23CR28R29O)t-、
-[C(=O)]vO(CR22R23CR28R29O)tNR26-、
-[C(=O)]vO(CR22R23CR28R29O)t-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23CR28R29O)tNR26-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23CR28R29O)t-、
-[C(=O)]v(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)y-、
-[C(=O)]vO(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)y-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)y-、
-[C(=O)]v(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)yO-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)y-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)yNR26-、
-[C(=O)]vO(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)yO-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)y-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)t(CR24CR25CR28R29O)yNR26-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)yO-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)y-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)yNR26-、
【化13】
[式中、
R21〜R29は独立に、水素、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シリルエーテル、スルホニル、メルカプト、C1〜6アルキルメルカプト、アリールメルカプト、置換アリールメルカプト、置換C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜19分岐アルキル、C3〜8シクロアルキル、C1〜6置換アルキル、C2〜6置換アルケニル、C2〜6置換アルキニル、C3〜8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1〜6ヘテロアルキル、置換C1〜6ヘテロアルキル、C1〜6アルコキシ、アリールオキシ、C1〜6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2〜6アルカノイル、アリールカルボニル、C2〜6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2〜6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2〜6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2〜6置換アルカノイルオキシ、置換アリールカルボニル、C2〜6置換アルカノイルオキシ、置換およびアリールカルボニルオキシから選択され;
(t)、(t')および(y)は独立に、0または正の整数、好ましくは約1〜約10(1、2、3、4、5および6など)から選択され;
(v)は0または1である]。
【0076】
一部の好ましい実施形態では、Lとしては、以下のものが挙げられる:
-[C(=O)]v(CH2)t-、
-[C(=O)]v(CH2)t-O-、
-[C(=O)]v(CH2)t-NR26-、
-[C(=O)]vO(CH2)t-、
-[C(=O)]vO(CH2)tO-、
-[C(=O)]vO(CH2)tNH-、
-[C(=O)]vNH(CH2)t-、
-[C(=O)]vNH(CH2)tO-、
-[C(=O)]vNH(CH2)tNH-、
-[C(=O)]v(CH2O)t-、
-[C(=O)]vO(CH2O)t-、
-[C(=O)]vNH(CH2O)t-、
-[C(=O)]v(CH2O)t(CH2)y-、
-[C(=O)]vO(CH2O)tH2)y-、
-[C(=O)]vNH(CH2O)t(CH25)y-、
-[C(=O)]v(CH2O)t(CH2)yO-、
-[C(=O)]v(CH2)t(CH2O)y-、
-[C(=O)]vO(CH2O)t(CH2)yO-、
-[C(=O)]vO(CH2)t(CH2O)y-、
-[C(=O)]vNH(CH2O)t(CH2)yO-、
-[C(=O)]vNH(CR22R23)t(CH2O)y-、
-[C(=O)]v(CH2)tO-(CH2)t'-、
-[C(=O)]v(CH2)tNH-(CH2)t'-、
-[C(=O)]v(CH2)tS-(CH2)t'-、
-[C(=O)]vO(CH2)tO-(CH2)t'-、
-[C(=O)]vO(CH2)tNH-(CH2)t'-、
-[C(=O)]vO(CH2)tS-(CH2)t'-、
-[C(=O)]vNH(CR22R23)tO-(CH2)t'-、
-[C(=O)]vNH(CH2)tNH-(CH2)t'-、
-[C(=O)]vNH(CH2)tS-(CH2)t'-、
-[C(=O)]v(CH2CH2O)tNR26-、
-[C(=O)]v(CH2CH2O)t-、
-[C(=O)]vO(CH2CH2O)tNH-、
-[C(=O)]vO(CH2CH2O)t-、
-[C(=O)]vNH(CH2CH2O)tNH-、
-[C(=O)]vNH(CH2CH2O)t-、
-[C(=O)]v(CH2CH2O)t(CH2)y-、
-[C(=O)]vO(CH2CH2O)t(CH2)y-、
-[C(=O)]vNH(CH2CH2O)t(CH2)y-、
-[C(=O)]v(CH2CH2O)t(CH2)yO-、
-[C(=O)]v(CH2)t(CH2CH2O)y-、
-[C(=O)]v(CH2)t(CH2CH2O)yNH-、
-[C(=O)]vO(CH2CH2O)t(CH2)yO-、
-[C(=O)]vO(CH2)t(CH2CH2O)y-、
-[C(=O)]vO(CH2)t(CH2CH2O)yNH-、
-[C(=O)]vNH(CH2CH2O)t(CH2)yO-、
-[C(=O)]vNH(CH2)t(CH2CH2O)y-、
-[C(=O)]vNH(CH2)t(CH2CH2O)yNH-、
【化14】
[式中、
(t)、(t')および(y)は独立に、0または正の整数、好ましくは約1〜約10(例えば、1、2、3、4、5および6)から選択され;
(v)は0または1である]。
【0077】
本発明の一部の態様では、式(I)の化合物は、1〜約10単位(例えば、1、2、3、4、5および6)の二官能性リンカーを含む。本発明の一部の好ましい態様では、化合物は、1単位の二官能性リンカーを含み、つまり、(m)は1である。
【0078】
追加のリンカーは、Greenwaldら(Bioorganic & Medicinal Chemistry, 1998, 6:551-562)のTable 1に見出される(その内容は、参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0079】
3. プロドラッグの合成
一般的に、治療で用いられるポリマー性プロドラッグは、アミノ基がポリマーのカルボン酸との反応を行なって結合を形成するのを有効に引き起こすのに十分な条件下で、1当量以上の活性化型マルチアームポリマーを、例えば、活性部位あたり1当量以上のアミノ酸-(20)-7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンと反応させることにより調製される。合成の詳細は、米国特許第7,462,627号に記載されている(その内容はその全体が参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0080】
より具体的には、前記方法は、以下のステップ:
(1)利用可能な20-ヒドロキシル基を含む1当量の7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンおよび利用可能なカルボン酸基を含む1当量以上の二官能性リンカーを準備するステップ;
(2) 1,(3-ジメチルアミノプロピル)3-エチルカルボジイミド(EDC)(または1,3-ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、いずれかの好適なジアルキルカルボジイミド、向山試薬、(例えば、2-ハロ-1-アルキル-ピリジニウムハライド)または環状無水プロパンホスホン酸(PPACA)など)などのカップリング試薬および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの好適な塩基の存在下で、ジクロロメタン(DCM)(またはジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルム、トルエンまたはそれらの混合物)などの不活性溶媒中で、2種類の反応物を反応させて、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン-二官能性リンカー中間体を形成させるステップ;および
(3) 0℃〜22℃までの温度で、1,(3-ジメチルアミノプロピル)3-エチルカルボジイミド(EDC)、PPAC(または1,3-ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、いずれかの好適なジアルキルカルボジイミド、向山試薬、(例えば、2-ハロ-1-アルキル-ピリジニウムハライド)または環状無水プロパンホスホン酸(PPACA)など)などのカップリング試薬および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの好適な塩基(これらは、例えば、Sigma Chemicals社などの商業的供給元から入手可能であり、または公知の技術を用いて合成される)の存在下で、ジクロロメタン(DCM)(またはジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルム、トルエンまたはそれらの混合物)などの不活性溶媒中で、活性部位あたり1当量以上(例えば、実施例では2当量)の得られた中間体(アミノ基を有する)および1当量の活性化型ポリマー(PEG酸など)を反応させるステップ
を含むことができる。
【0081】
1つの好ましい態様では、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの10-ヒドロキシル基は、ステップ(1)の前に保護される。
【0082】
7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの10-ヒドロキシ基の芳香族OHに対する保護基が好ましく、なぜなら、その保護された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン中間体は、よりよい溶解性を有し、効率よくかつ効果的に非常に純粋な形態に精製することができるためである。例えば、TBDPSCl(塩化t-ブチルジフェニルシリル)、TBDMSCl(塩化t-ブチルジメチルシリル)およびTMSCl(塩化トリメチルシリル)などのシリル含有保護基を用いて、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの10-ヒドロキシル基を保護することができる。
【0083】
活性化型ポリマー、すなわち、1〜4個の末端カルボン酸基を含むポリマーは、例えば、末端OH基を有するNOF社のSunbrightシリーズを、当業者に周知の標準的な技術を用いて対応するカルボン酸誘導体に変換することにより、調製することができる。例えば、本明細書中の実施例1〜2、ならびに、同一出願人による米国特許第5,605,976号(その内容は参照により本明細書中に組み入れられる)を参照されたい。
【0084】
第1および第2のカップリング試薬は、同じでも異なっていてもよい。
【0085】
好ましい二官能性リンカー基の例としては、グリシン、アラニン、メチオニン、サルコシンなどが挙げられ、合成は実施例に記載されている。別の合成を、過度の試行錯誤を要さずに用いることができる。
【0086】
本発明によれば、投与される化合物としては、以下のものが挙げられる:
【化15】
【0087】
1つの特に好ましい実施形態は、以下の構造:
【化16】
[式中、ポリマーの4本すべてのアームが、グリシンを介して7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンに結合しており、ポリマー部分は、約40,000ダルトンの合計数平均分子量を有する]
を有する化合物を投与するステップを含む。
【0088】
C. アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドを用いる併用療法
本発明のさらなる態様では、式(I)の化合物が、相加効果のために第2の治療薬と共に投与される本明細書中に記載された方法を実施することができる。第2の治療薬としては、製薬上活性な化合物(1500ダルトン未満、すなわち1000ダルトン未満の分子量を有する小分子)、抗体およびオリゴヌクレオチドが挙げられる。第2の治療薬は、同時にまたは連続的に投与することができる。
【0089】
一態様では、第2の治療薬が、血管新生促進経路遺伝子を標的とするオリゴヌクレオチドである本発明が実施される。
【0090】
1つの好ましい態様では、式(I)の化合物が、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドと共に投与される本明細書中に記載された方法が実施される。本明細書中に記載された方法で用いられるアンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドは、HIF-1α遺伝子またはタンパク質発現のダウンレギュレーションに関与する。HIF-1α遺伝子もしくはタンパク質は、血管新生またはアポトーシスに関連している。HIF-1α遺伝子/タンパク質は、腫瘍細胞および/または抗癌療法に対する腫瘍細胞の抵抗性にも関連している。
【0091】
低酸素症誘導性因子1(Hypoxia-inducible factor 1;HIF-1)は、酸素枯渇に対する哺乳動物細胞の転写応答の重要な調節因子である。この遺伝子は、低酸素状態に応答しての血管新生、グルコース代謝、細胞増殖、細胞生存、および転移を制御する多数の遺伝子の発現において重要な役割を果たす。HIF-1のαサブユニット(HIF-1a)の発現上昇は、肺癌、乳癌、結腸直腸癌、脳の癌、膵臓癌、卵巣癌、腎臓癌、および膀胱癌などの多くのタイプの固形腫瘍での予後不良と関連している。近年、HIFおよびチオレドキシンファミリーがリンパ腫において異常に活性化されることが示唆されている。HIFはリンパ腫で活性化されている場合が多く、疾患進行に関与している可能性がある。1つの研究では、DLBCL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)生検のうち44%およびFL(濾胞性リンパ腫)生検のうち11%が、HIF-1αおよびHIF-2αの両者の中〜高発現を有していた(Evens et al. BJH 2008, 141:676)。Trx-1は多数のヒトの癌でしばしば過剰発現されており、その発現は、高レベルのHIF-1αタンパク質およびHIF-1α標的遺伝子と関連づけられている(Welsh et al Mol Cancer therapy)。
【0092】
一実施形態では、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドは、HIF-1αプレmRNAまたはmRNAの少なくとも8個の連続するヌクレオチドに相補的な核酸を含む。
【0093】
「オリゴヌクレオチド」とは、一般的に、比較的短いポリヌクレオチドであり、例えば、約2〜約200ヌクレオチド、好ましくは約8〜約50ヌクレオチド、より好ましくは約8〜約30ヌクレオチドのサイズにわたる。本発明のオリゴヌクレオチドは、一般的に、合成核酸であり、特に記載していない限り、一本鎖である。「ポリヌクレオチド」または「ポリ核酸」との用語も、本明細書中では同義に用いられる。
【0094】
オリゴヌクレオチド(アナログ)は、単一分子種のオリゴヌクレオチドに限られず、むしろ、広範囲のそのような部分と共に機能するように設計されている。意図される核酸分子は、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合修飾、糖修飾、核酸塩基修飾および/またはリン酸骨格修飾を含むことができる。オリゴヌクレオチドは、天然のホスホロジエステル骨格またはホスホロチオエート骨格もしくはLNA(ロックド核酸)、PNA(ペプチド骨格を有する核酸)、CpGオリゴマーなどのいずれかの他の修飾骨格アナログ(Tides 2002, Oligonucleotide and Peptide Technology Conferences, May 6-8, 2002, Las Vegas, NVおよびOligonucleotide & Peptide Technologies, 18th & 19th November 2003, Hamburg, Germanyで開示されたものなど、その内容は参照により本明細書中に組み入れられる)を含有することができる。
【0095】
本発明により意図されるオリゴヌクレオチドに対する修飾としては、例えば、オリゴヌクレオチドに対して、追加の電荷、分極率、水素結合、静電的結合、および官能性を組み込む、機能的部分の付加または置換が挙げられる。そのような修飾としては、限定するものではないが、2'位糖修飾、5位ピリミジン修飾、8位プリン修飾、環外アミンでの修飾、4-チオウリジンの置換、5-ブロモまたは5-ヨードウラシルの置換、骨格修飾、メチル化、塩基対形成性の組み合わせ(イソ塩基(isobase)であるイソシチジンとイソグアニジンなど)、および類似の組み合わせが挙げられる。本発明の範囲内に意図されるオリゴヌクレオチドは、3'および/または5'キャップ構造も含むことができる。
【0096】
本発明の目的のために、「キャップ構造」とは、オリゴヌクレオチドのいずれかの末端に組み込まれた化学修飾を意味するものと理解されるであろう。キャップは、5'末端(5'キャップ)もしくは3'末端(3'キャップ)に存在することができ、または両端に存在することができる。5'キャップの非限定的な例としては、逆向き脱塩基残基(inverted abase residue)(部分)、4',5'-メチレンヌクレオチド;1-(β-D-エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4'-チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;1,5-無水ヘキシトールヌクレオチド;L-ヌクレオチド;α-ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオエート結合;トレオペントフラノシルヌクレオチド;非環式3',4'-セコヌクレオチド;非環式3,4-ジヒドロキシブチルヌクレオチド;非環式3,5-ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、3',3'-逆向きヌクレオチド部分;3',3'-逆向き脱塩基部分(3',3'-inverted abasic moiety);3'-2'-逆向きヌクレオチド部分;3'-2'-逆向き脱塩基部分;リン酸1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol phosphate);3'-ホスホルアミデート;ヘキシルリン酸エステル;アミノヘキシルリン酸エステル;3'-リン酸;37=ホスホロチオエート;ホスホロジチオエート;または架橋性もしくは非架橋性メチルホスホネート部分が挙げられる。詳細は、WO97/26270に記載されている(参照により本明細書中に組み入れられる)。3'キャップとしては、例えば、4',5'-メチレンヌクレオチド;1-(β-D-エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4'-チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;リン酸5'-アミノ-アルキル;リン酸1,3-ジアミノ-2-プロピル、リン酸3-アミノプロピル;リン酸6-アミノヘキシル;リン酸1,2-アミノドデシル;リン酸ヒドロキシプロピル;1,5-無水ヘキシトールヌクレオチド;L-ヌクレオチド;α-ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオエート;トレオ-ペントフラノシルヌクレオチド;非環式3',4'-セコヌクレオチド;3,4-ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3,5-ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5'-5'-逆向きヌクレオチド部分;5'-5'-逆向き脱塩基部分;5'-ホスホルアミデート;5'-ホスホロチオエート;リン酸1,4-ブタンジオール;5'-アミノ;架橋性および/もしくは非架橋性5'-ホスホルアミデート、ホスホロチオエートおよび/またはホスホロジチオエート、架橋性または非架橋性メチルホスホネートおよび5'-メルカプト部分が挙げられる。Beaucage and Iyer, 1993, Tetrahedron 49, 1925も参照されたい(その内容は参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0097】
ヌクレオシドアナログの非限定的なリストは、以下の構造を有する:
【化17】
【0098】
Freier & Altmann; Nucl. Acid Res., 1997, 25, 4429-4443およびUhlmann; Curr. Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213に記載されているヌクレオシドアナログのさらなる例を参照されたい(各文献の内容は、参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0099】
本明細書中で用いる場合、「アンチセンス」との用語は、遺伝子産物をコードするかもしくは制御配列をコードする特定のDNAまたはRNA配列に相補的なヌクレオチド配列を指す。「アンチセンス鎖」との用語は、「センス」鎖に対して相補的な核酸鎖への言及において用いられる。細胞内代謝の正常な働きでは、DNA分子のセンス鎖とは、ポリペプチドおよび/または他の遺伝子産物をコードする鎖である。アンチセンス鎖は、メッセンジャーRNA(「mRNA」)転写産物(センス鎖)の合成のための鋳型として機能して、これが続いて、いずれかのコードされた遺伝子産物の合成に向かう。アンチセンス核酸分子は、対象となる遺伝子を、逆向きに、相補鎖の合成を可能にするウイルスプロモーターにライゲーションすることによる合成をはじめとする、いずれかの当技術分野で公知の方法により作製することができる。細胞に導入されれば、この転写された鎖は細胞により生成される天然の配列と組み合わされて、二本鎖を形成する。続いて、これらの二本鎖が、さらなる転写または翻訳のいずれかをブロックする。「負の」または(-)との記載も、アンチセンス鎖を指すものとして当技術分野で公知であり、「正の」または(+)もセンス鎖を指すものとして当技術分野で公知である。
【0100】
本発明の目的のために、「相補的」とは、核酸配列が別の核酸配列と水素結合を形成することを意味するものと理解されるであろう。相補性%は、第2の核酸配列と水素結合を形成(すなわち、ワトソン-クリック塩基対形成)することができる核酸分子中の連続する残基のパーセンテージを示し、すなわち、10個のうち5、6、7、8、8、9、10個は、50%、60%、70%、80%、90%、および100%相補的である。「完全に相補的」とは、核酸配列の連続する残基すべてが、第2の核酸配列中の同じ数の連続する残基と水素結合を形成することを意味する。
【0101】
本明細書中に記載された方法で有用なオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体は、約10〜約1000個の核酸、好ましくは比較的短いポリヌクレオチド(例えば、約8〜約30ヌクレオチド長(例えば、約8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)にわたる)を含むことができる。
【0102】
本明細書中に記載された方法で用いられる有用な核酸の一態様では、天然のホスホロジエステル骨格またはホスホロチオエート骨格もしくはいずれかの他の修飾骨格アナログを有するオリゴヌクレオチドおよびオリゴデオキシヌクレオチドとして、以下のものが挙げられる:
LNA(ロックド核酸);
PNA(ペプチド骨格を有する核酸);
小分子干渉RNA(siRNA);
ミクロRNA(miRNA);
ペプチド骨格を有する核酸(PNA);
ホスホロジアミデートモルホリノオリゴヌクレオチド(PMO);
トリシクロDNA;
デコイODN(二本鎖オリゴヌクレオチド);
触媒性RNA配列(RNAi);
リボザイム;
アプタマー;
スピーゲルマー(L-配座オリゴヌクレオチド);
CpGオリゴマー等、以下の学会で開示されたものなど:
Tides 2002, Oligonucleotide and Peptide Technology Conferences, May 6-8, 2002, Las Vegas, NVおよびOligonucleotide & Peptide Technologies, 18th & 19th November 2003, Hamburg, Germany(その内容は参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0103】
本明細書中に記載された方法で用いられる核酸の別の態様では、オリゴヌクレオチドは、任意により、以下の表1に列挙したものをはじめとするいずれかの好適な当技術分野で公知のヌクレオチドアナログおよび誘導体を含むことができる。
【表1】
【0104】
1つの好ましい実施形態では、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドは、配列番号1に示される配列の少なくとも8個の連続するヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを含む。
【0105】
好ましくは、本明細書中に記載された本発明のオリゴヌクレオチドは、1箇所以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合(骨格)および1個以上のロックド核酸(LNA)を含む。
【0106】
意図される1つの詳細な実施形態は、以下のアンチセンスHIF-1αLNA(配列番号2)を含む:
5'-TGGcaagcatccTGTa-3'
[配列中、
大文字はLNAを表し、ヌクレオチド間結合はホスホロチオエートであり;
LNAは、以下に示される2'-O,4'-Cメチレンビシクロヌクレオチドを含む。]
【化18】
【0107】
例えば、米国特許出願公開第2004/0096848号(表題“Oligomeric Compounds for the Modulation HIF-1 Alpha Expression”)および同第2006/0252721号(表題“Potent LNA Oligonucleotides for Inhibition of HIF-1α Expression”)に開示されているHIF-1αLNAの詳細な説明を参照されたい(各文献の内容は、その全体が参照により本明細書中に組み入れられる)。WO2008/113832も参照されたい(その内容は、その全体が参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0108】
さらなる態様では、本発明は、例えば、限定するものではないが、癌遺伝子、細胞増殖促進経路遺伝子、ウイルス感染因子遺伝子、および炎症促進経路遺伝子を標的とするオリゴヌクレオチドを含むことが意図される。治療用オリゴヌクレオチドの非限定的なリストは、アンチセンスサバイビン(survivin)オリゴヌクレオチド、アンチセンスErbB3オリゴヌクレオチド、アンチセンスβ-カテニンオリゴヌクレオチド、アンチセンスアンドロゲン受容体オリゴヌクレオチド、アンチセンスPIK3CAオリゴヌクレオチド、アンチセンスHSP27オリゴヌクレオチド、アンチセンスGli2オリゴヌクレオチド、およびアンチセンスBcl-2オリゴヌクレオチドを含む。好適な標的遺伝子のさらなる例は、WO 03/74654、PCT/US03/05028、WO2008/138904、WO2008/132234、WO 2009/068033、WO2009/071082、WO 2010/001349、WO 2010/007522および米国特許出願第10/923,536号に記載されている(その内容は、参照により本明細書中に組み入れられる)。
【0109】
D. 組成物/製剤
本明細書中に記載されたポリマーコンジュゲートを含有する医薬組成物は、例えば、様々な周知の混合法、溶解法、粒状化法、粉末化(levigating)法、乳化法、カプセル封入法、封入化(entrapping)法または凍結乾燥法を用いる、当技術分野で周知の方法により製造することができる。組成物は、製薬上使用することができる調製物への活性化合物の加工を促進する賦形剤および添加剤を含む1種以上の生理学的に許容される担体と共に、製剤化することができる。適正な製剤化は、選択した投与経路に依存する。本発明の多くの態様で、非経口経路が好ましい。
【0110】
限定するものではないが、静脈内、筋肉内および皮下注入をはじめとする注入のために、本明細書中に記載された式(I)の化合物を、水溶液中に、好ましくは生理食塩水バッファーなどの生理学的に許容されるバッファーまたは限定するものではないがピロリドンもしくはジメチルスルホキシドをはじめとする極性溶媒中に製剤化することができる。
【0111】
本明細書中に記載された化合物は、例えば、ボーラス注入または持続点滴による非経口投与のために製剤化することもできる。注入用の製剤は、単位投与剤形で(例えばアンプル中)または複数用量容器中に存在することができる。有用な組成物としては、限定するものではないが、油性もしくは水性ビヒクル中の懸濁液剤、溶液剤またはエマルジョン剤が挙げられ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの添加物を含有することができる。非経口投与のための医薬組成物としては、限定するものではないが、活性化合物の塩(好ましい)などの水溶性形態の水溶液が挙げられる。さらに、活性化合物の懸濁液を、親油性ヒビクル中に調製することができる。好適な親油性ビヒクルとしては、ゴマ油などの脂性油、オレイン酸エチルおよびトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームなどの材料が挙げられる。水性注射用懸濁液は、懸濁液の粘性を増大させる物質(カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなど)を含有することができる。任意により、懸濁液は、化合物の溶解性を増大させて、高濃度溶液の調製を可能にする好適な安定化剤および/または薬剤を含有することもできる。あるいは、活性成分は、使用前に好適なビヒクル(例えば、無菌パイロジェン不含水)で調製するための粉末剤形であることができる。
【0112】
経口投与のために、化合物は、活性化合物を、当技術分野で周知の製薬上許容される担体と組み合わせることにより製剤化することができる。そのような担体は、本発明の化合物を、患者自身による経口的投与のための、錠剤、丸剤、ロゼンジ錠、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、パスタ剤、スラリー剤、溶液剤、懸濁液剤、患者の飲料水での希釈用の濃縮溶液剤および懸濁液剤、患者の食餌での希釈用のプレミックス剤などとして製剤化することを可能にする。経口用途のための医薬調製物は、固体賦形剤を用い、任意により得られた混合物を粉砕し、所望であれば他の好適な添加剤を添加した後に顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠コアを得て、製造することができる。有用な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、もしくはソルビトールをはじめとする糖などの充填剤、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプンおよびバレイショデンプンなどのセルロース調製物ならびにゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル-メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの他の材料である。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸などの崩壊剤を添加することができる。アルギン酸ナトリウムなどの塩も、用いることができる。
【0113】
吸入による投与のために、本発明の化合物は、加圧パックまたは噴霧器および好適な噴射剤を用いたエアロゾルスプレーの形態で、便利に送達することができる。
【0114】
化合物は、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドなどの慣用の坐薬基剤を用いて、坐薬または停留浣腸などの直腸用組成物に製剤化することもできる。
【0115】
上記で記載した製剤に加えて、組成物は、デポー製剤に製剤化することもできる。そのような長期作用製剤は、インプランテーション(例えば、皮下または筋肉内)により、または筋肉内注入により投与することができる。本発明の化合物は、好適なポリマー性材料または疎水性材料と共に(例えば、製薬上許容される油とのエマルジョン中に)、イオン交換樹脂とともに、または限定するものではないが難溶性塩などの難溶性誘導体として、この投与経路のために製剤化することができる。
【0116】
リポソームおよびエマルジョンなどの他の送達システムも、用いることができる。
【0117】
さらに、化合物は、治療剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスなどの持続放出系を用いて送達することができる。様々な持続放出材料が開発されており、当業者に周知である。その化学的性質に依存して、持続放出カプセルは、数週間から100日超にわたって、化合物を放出することができる。特定の化合物の化学的性質および生物学的安定性に依存して、追加の安定化方法を用いることができる。
【0118】
E. 投与量
治療上有効量とは、血管新生または血管新生関連状態などの病理学的状態を、阻害し、予防し、緩和し、または軽減するのに有効な化合物の量を指す。治療上有効量の決定は、特に本明細書中の開示に照らせば、十分に当業者の技能の範囲内である。
【0119】
本発明の方法で用いられるいずれの化合物についても、治療上有効量は、初めにin vitroアッセイから推量される。続いて、有効な投与量を含む循環濃度範囲を達成できるように、投与量を動物モデルでの使用のために製剤化することができる。次いでそのような情報を用いて、患者で有用な投与量をより精密に決定する。
【0120】
例えば、プロドラッグとして用いられ、投与される組成物の量は、そこに含まれる親分子(この場合、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)に依存するであろう。一般的に、本明細書中に記載された方法で用いられるプロドラッグの量は、哺乳動物で所望の治療上の結果を有効に達成する量である。自然に、様々なプロドラッグ化合物の投与量は、親化合物、in vivoでの加水分解速度、ポリマーの分子量等に依存して、いくぶんか変わり得る。さらに、当然のことながら、投与量は、投与剤形および投与経路に依存して変わり得る。
【0121】
しかしながら、一般的に、本明細書中に記載された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリマー性エステル誘導体は、全身送達に対して、約0.3〜約90mg/m2体表面積、好ましくは約0.5〜約50mg/m2体表面積/用量、さらに好ましくは約1〜約18mg/m2体表面積/用量、さらにより好ましくは約1.25mg/m2体表面積/用量〜約16.5mg/m2体表面積/用量の範囲の量で投与することができる。一部の詳細な用量としては、以下のうち1つが挙げられる:1.25、2.5、5、9、10、12、13、14、15、16および16.5mg/m2/用量。1つの好ましい投与量としては、5mg/m2体表面積/用量が挙げられる。この態様では、量は、式(I)の化合物に含まれる7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの重量である。
【0122】
化合物は、約0.3〜約90mg/m2体表面積/週(例えば、約1〜約18mg/m2体表面積/週など)の量で投与することができる。特定の実施形態では、投与レジメンは、例えば、4週サイクルで3週間にわたって約5〜約7mg/m2体表面積で週1回、3週毎に約1.25〜約45mg/m2の1回注射、および/または4週サイクルで約1〜約16mg/m2の週3回注射であり得る。
【0123】
治療プロトコールは、例えば、3週毎に1回投与される単一用量に基づくか、または複数週治療プロトコールの一部として施される複数用量に分割することができる。つまり、治療レジメンとしては、例えば、各治療サイクルに対して3週毎に1回投与、あるいは、3週間にわたる週1回投与とそれに続く各サイクルに対して1週間の休みが挙げられる。所望の臨床的結果が得られるまで、治療が1以上のサイクルにわたって施されるであろうことも考慮される。
【0124】
上記で示した範囲は例示であり、当業者は、臨床的経験および治療適応に基づいて選択された最適なプロドラッグ投与法を決定するであろう。さらに、実際の製剤化、投与経路および投与量は、患者の状態に鑑みて、個々の医師が選択することができる。精密な用量は、当業者が理解を示すであろうように、状態のステージおよび重症度、ならびに治療対象の患者の個々の特性に依存するであろう。
【0125】
さらに、本明細書中に記載された化合物の毒性および治療上の有効性は、当技術分野で周知の方法を用いて、細胞培養または実験動物において、標準的な製薬学の手順により決定することができる。
【0126】
一部の好ましい実施形態では、治療プロトコールは、3週間にわたって約1.25〜約16.5mg/m2体表面積/用量、週1回の量を投与するステップ、続いて治療を行なわない1週間、および所望の結果が観察されるまで約3サイクル以上を反復するステップを含む。各サイクル毎に投与される量は、約2.5〜約16.5mg/m2体表面積/用量であり得る。
【0127】
1つの特定の実施形態では、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのポリマー性エステル誘導体は、5、9または10mg/m2/週などの1回用量で3週間にわたって投与し、続いて治療を施さない1週間を設けることができる。治療サイクルの投与量は、2回以上の治療サイクルを施す場合、漸増用量レジメンとして設計することができる。ポリマー薬は、好ましくは、IV注入により投与する。
【0128】
別の特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約12〜約16mg/m2体表面積/用量の用量で投与される。投与は、週1回行なうことができる。治療プロトコールは、約12〜約16mg/m2体表面積/用量、週1回の量で3週間にわたって式(I)の化合物を投与するステップ、続いて治療を行なわない1週間を含む。
【0129】
また別の特定の実施形態では、投与レジメンは、約10mg/m2体表面積/用量(3週間毎)であり得る。
【0130】
別の実施形態としては、以下のレジメンが挙げられる:小児患者の治療のために、約1.85mg/m2体表面積/用量、1日1回、3週間毎に5日間のプロトコール、約1.85〜約7.5mg/m2体表面積/用量、1日1回、25日毎に3日間のプロトコール、または約22.5mg/m2体表面積/用量、3週間毎に1回のプロトコールに基づくレジメン、および成人患者の治療のために、約13mg/m2体表面積/用量、3週間毎または約4.5mg/m2体表面積/用量、週1回、6週間毎に4週間に基づくプロトコール。本明細書中に記載された化合物は、第2の治療薬と組み合わせて投与することができる。一実施形態では、併用療法は、第2の治療薬と組み合わせて、約0.75mg/m2体表面積/用量、1日1回、各サイクル毎に5日間のプロトコールを含む。
【0131】
あるいは、化合物は、体重に基づいて投与することができる。哺乳動物での式(I)の化合物の全身送達のための投与量範囲は、約1〜約100mg/kg/週であると考えられ、好ましくは約2〜約60mg/kg/週である。つまり、量は、約0.1mg/kg体重/用量〜約30mg/kg体重/用量、好ましくは約0.3mg/kg〜約10mg/kgの範囲であり得る。q2dで10mg/kg×5レジメン(複数用量)または単一用量レジメンで30mg/kgなどの具体的な用量を投与することができる。
【0132】
ポリマー性コンジュゲートを投与する本発明のすべての態様で、言及した投与量は、投与されるポリマー性コンジュゲートの量ではなく、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの量に基づく。PEGコンジュゲート化7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの実際の重量は、PEGの重量およびPEGの含有量(例えば、任意により、マルチアームPEGあたり1〜4当量の7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)に依存して変わるであろう。所望の臨床的結果が得られるまで1サイクル以上にわたって治療が施されるであろうことが考慮される。本発明の化合物の実際の投与量、投与頻度および投与期間は、当然のことながら、患者の性別、年齢および医学的状態、ならびに主治医により決定される疾患の重症度に依存して変わるであろう。
【0133】
本発明のさらなる態様は、本明細書中に記載された化合物を、相乗効果もしくは相加効果のために、第2の治療薬または放射線療法などの他の療法と組み合わせることを含む。
【0134】
併用療法プロトコールは、約2〜約100mg/kg/用量(例えば、2、3、4、5、6、8、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、100mg/kg/用量)の量でアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与するステップを含む。例えば、併用療法レジメン用量としては、約2〜約50mg/kg/用量の量のアンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドを用いる治療が挙げられる。好ましくは、併用療法で投与されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、約3〜約25mg/kg/用量の量である。
【0135】
併用療法の一態様では、プロトコールは、約4〜約18mg/kg/用量、週1回、または約4〜約9.5mg/kg/用量、週1回の量でアンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドを投与するステップを含む。
【0136】
1つの特定の実施形態では、併用療法プロトコールは、約4〜約18mg/kg/用量、週1回、6週サイクルで3週間(すなわち、約8mg/kg/用量)の量のアンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドを含む。別の特定の実施形態は、約4〜約9.5mg/kg/用量、週1回(すなわち、約4mg/kg/用量)を含む。
【実施例】
【0137】
以下の実施例は、本発明のさらなる理解をもたらすために機能するが、どのようにも本発明の有効範囲を制限することが意図されるものではない。実施例中に記載される太字の数字(例えば、化合物番号)は、図面に示されたものと対応する。
【0138】
一般的手順:すべての反応は、乾燥窒素またはアルゴン雰囲気下で行なった。市販の試薬は、さらなる精製を行なわずに用いた。すべてのPEG化合物は、使用前に、真空下またはトルエンからの共沸蒸留により乾燥させた。13C NMRスペクトルは、特に記載しない限り、75.46MHzで、Varian Mercury(登録商標)300 NMR分光器ならびに重水素化クロロホルムおよびメタノールを溶媒として用いて取得した。化学シフト(δ)は、テトラメチルシラン(TMS)の下に100万分の1(ppm)で報告する。
【0139】
HPLC法:反応混合物ならびに中間体および最終生成物の純度は、Beckman Coulter System Gold(登録商標)HPLC装置によりモニタリングした。該装置は、0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)中のアセトニトリルの10〜90%勾配を流速1mL/分で用いて、ZOBAX(登録商標)300SB C8逆相カラム(150×4.6mm)またはPhenomenex Jupiter(登録商標)300A C18逆相カラム(150×4.6mm)を、複数波長UV検出器と共に用いる。
【0140】
実施例1. 40k4アームPEG-tBuエステル(化合物2):
40k4アームPEG-OH(12.5g、1当量)を220mLのトルエンと共沸して、35mLのトルエン/水を除去した。溶液を30℃まで冷却し、1.0M カリウムt-ブトキシド(t-ブタノール中、3.75mL、3当量×4=12当量)を添加した。混合物を30℃で30分間撹拌し、続いてt-ブチルブロモ酢酸(0.975g、4当量×4=16当量)を添加した。反応物を30℃で1時間で維持し、続いて25℃まで冷却した。150mLのエーテルをゆっくりと添加し、生成物を沈殿させた。得られた懸濁液を17℃まで冷却し、17℃で0.5時間維持した。粗生成物をろ過し、湿ケーキをエーテルで2回洗浄した(2×125mL)。単離した湿ケーキを50mLのDCMに溶解し、生成物を350mLのエーテルで沈殿させ、ろ過した。湿ケーキを、エーテルで2回洗浄した(2×125mL)。生成物を、40℃にて真空下で乾燥させた(収率=98%、12.25g)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3): δ 27.71, 68.48-70.71 (PEG), 80.94, 168.97。
【0141】
実施例2. 40k4アームPEG酸(化合物3):
40k4アームPEG-tBuエステル(化合物2、12g)を120mLのDCM中に溶解し、続いて60mLのTFAを添加した。混合物を室温で3時間撹拌し、続いて、35℃にて真空下で溶媒を除去した。得られた油残渣を、37.5mLのDCMに溶解した。粗生成物を、375mLのエーテルで沈殿させた。湿ケーキを、30mLの0.5%NaHCO3に溶解した。生成物を、DCMで2回抽出した(2×150mL)。併せた有機層を、2.5gのMgSO4上で乾燥させた。溶媒を、室温にて真空下で除去した。得られた残渣を37.5mLのDCMに溶解し、生成物を300mLのエーテルで沈殿させ、ろ過した。湿ケーキを、エーテルで2回洗浄した(2×125mL)。生成物を、40℃にて真空下で乾燥させた(収率=90%、10.75g)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3): δ 67.93-71.6 (PEG), 170.83。
【0142】
実施例3. TBDPS-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物5):
100mLの無水DCM中の7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン(化合物4、2.0g、5.10mmol、1当量)の懸濁液に、Et3N(4.3mL、30.58mmol、6当量)およびTBDPSCl(7.8mL、30.58mmol、6当量)を添加した。反応混合物を一晩加熱還流し、続いて、0.2N HCl溶液(2×50mL)、飽和NaHCO3溶液(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。残渣を無水DCMに溶解し、ヘキサンを添加することにより沈殿させた。DCM/ヘキサンを用いた沈殿を反復し、過剰なTBDPSClを除去した。固体をろ過し、真空下で乾燥させ、2.09gの生成物を得た(65%収率)。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 0.90 (3 H, t, J = 7.6 Hz), 1.01 (3 H, t, J = 7.3 Hz), 1.17 (9H, s), 1.83-1.92 (2H, m), 2.64 (2H, q, 6.9 Hz), 3.89 (1 H, s, OH), 5.11 (2H, s), 5.27 (1H, d, J = 16.1 Hz), 5.72 (1H, d, J = 16.4 Hz), 7.07 (2 H, d, J = 2.63 Hz), 7.36-7.49 (7 H, m), 7.58 (1 H, s), 7.75-7.79 (4H, m), 8.05 (1 H, d, J = 9.4 Hz). 13C NMR (75.4 MHz, CDCl3): δ 7.82, 13.28, 19.52, 22.86, 26.48, 31.52, 49.23, 66.25, 72.69, 97.25, 110.09, 117.57, 125.67, 126.57, 127.65, 127.81, 130.02, 131.69, 131.97, 135.26, 143.51, 145.05, 147.12, 149.55, 149.92, 154.73, 157.43, 173.72。
【0143】
実施例4. TBDPS-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Gly-Boc(化合物6):
100mLの無水DCM中のTBDPS-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物5、3.78g、5.99mmol、1当量)およびBoc-Gly-OH(1.57g、8.99mmol、1.5当量)の0℃溶液に、EDC(1.72g、8.99mmol、1.5当量)およびDMAP(329mg、2.69mmol、0.45当量)を添加した。HPLCが出発物質の完全な消失を示すまで(約1時間45分)、反応混合物を0℃で撹拌した。0.5%NaHCO3溶液(2×50mL)、水(1×50mL)、0.1N HCl溶液(2×50mL)およびブライン(1×50mL)で有機層を洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。ろ過および真空下での蒸発後に、4.94gの粗生成物を得た(定量的収量)。粗製の固体を、さらなる精製をせずに次の反応に用いた。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 0.89 (3 H, t, J = 7.6 Hz), 0.96 (3 H, t, J = 7.5 Hz), 1.18 (9H, s), 1.40 (9H, s), 2.07-2.29 (3H, m), 2.64 (2H, q, 7.5 Hz), 4.01-4.22 (2H, m), 5.00 (1 H, br s), 5.01 (2H, s), 5.37 (1H, d, J = 17.0 Hz), 5.66 (1H, d, J = 17.0 Hz), 7.08 (1 H, d, J = 2.34 Hz), 7.16 (1H, s), 7.37-7.50 (7 H, m), 7.77 (4H, d, J = 7.6 Hz), 8.05 (1 H, d, J = 9.4 Hz). 13C NMR (75.4 MHz, CDCl3): δ 7.52, 13.30, 19.50, 22.86, 26.45, 28.21, 31.64, 42.28, 49.14, 67.00, 76.65, 79.96, 95.31, 110.13, 118.98, 125.75, 126.45, 127.68, 127.81, 130.03, 131.54, 131.92, 135.25, 143.65, 144.91, 145.19, 147.08, 149.27, 154.75, 155.14, 157.10, 166.98, 169.17。
【0144】
実施例5. TBDPS-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Gly・HCl(化合物7):
5mLの無水ジオキサン中のTBDPS-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Gly-Boc(化合物6、1g、1.27mmol)の溶液に、5mLのHClの4M溶液(ジオキサン中)を添加した。HPLCが出発物質の完全な消失を示すまで(1時間)、反応混合物を室温で撹拌した。反応混合物を50mLのエチルエーテルに添加し、得られた固体をろ過した。固体を50mL DCMに溶解し、ブラインで洗浄した(飽和NaHCO3溶液の添加により、pHを2.5に調整した)。有機層をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。残渣を5mLのDCMに溶解し、50mLのエチルエーテルの添加により沈殿させた。ろ過により、770mg(84%収率)の最終生成物を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 0.84 (3 H, t, J = 7.6 Hz), 1.05 (3 H, t, J = 7.3 Hz), 1.16 (9H, s), 2.15-2.30 (3H, m), 2.59 (2H, q, 7.6 Hz), 4.16 (1H, d, J = 17.9 Hz), 4.26 (1H, d, J = 17.9 Hz), 5.13 (2H, s), 5.46 (1H, d, J = 17.0 Hz), 5.60 (1H, d, J = 17.0 Hz), 7.11 (1 H, d, J = 2.34 Hz), 7.30 (1H, s), 7.40-7.51 (6 H, m), 7.56 (1H, dd, J = 2.34, 9.4 Hz), 7.77 (4H, dd, J = 7.6, 1.6 Hz), 7.98 (1 H, d, J = 9.1 Hz). 13C NMR (75.4 MHz, CDCl3): δ 8.09, 13.72, 20.26, 23.61, 26.94, 31.83, 41.01, 50.71, 67.62, 79.51, 97.03, 111.65, 119.69, 127.13, 128.97, 128.99, 129.11, 131.43, 131.96, 133.00, 133.03,136.51, 145.62, 145.81, 147.24, 148.29, 150.58, 156.27, 158.68, 167.81, 168.34。
【0145】
実施例6. 40k4アームPEG-Gly-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-TBDPS(化合物8):
14mLの無水DCM中の40k4アームPEGCOOH(化合物3、1.4g、0.036mmol、1当量)の溶液に、TBDPS-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Gly・HCl(化合物7、207mg、0.29mmol、活性部位あたり2.0当量)、DMAP(175mg、1.44mmol、10当量)およびPPAC(0.85mLの50%溶液(EtOAc中)、1.44mmol、10当量)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、続いて真空下で蒸発させた。得られた残渣をDCMに溶解し、生成物をエーテルで沈殿させ、ろ過した。残渣をDMF/IPAで再結晶させ、生成物(1.25g)を得た。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3): δ 7.45, 13.20, 19.39, 22.73, 26.42, 31.67, 40.21, 49.01, 66.83, 95.16, 110.02, 118.83, 125.58, 126.40, 127.53, 127.73, 129.96, 131.49, 131.76, 131.82, 135.12, 143.51, 144.78, 145.13, 146.95, 149.21, 154.61, 156.92, 166.70, 168.46, 170.30。
【0146】
実施例7. 40k4アームPEG-Gly(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物9):
40k4アームPEG-Gly-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-TBDPS(化合物8、1.25g)に、THFと0.05M HCl溶液との1:1混合物(12.5mL)中のTBAF(122mg、0.46mmol、4当量)の溶液を添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌し、続いてDCMで2回抽出した。併せた有機相をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。残渣を7mLのDMFに溶解し、37mLのIPAで沈殿させた。固体をろ過し、IPAで洗浄した。DMF/IPAでの沈殿を反復した。最後に、残渣を2.5mLのDCMに溶解し、25mLのエーテルを添加することにより沈殿させた。固体をろ過し、真空オーブン中で40℃にて一晩乾燥させた(860mg)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3): δ 7.48, 13.52, 22.91, 31.67, 40.22, 49.12, 66.95, 94.82, 105.03, 118.68, 122.54, 126.37, 128.20, 131.36, 142.92, 144.20, 144.98, 147.25, 148.29, 156.44, 156.98, 166.82, 168.49, 170.39。このNMRデータはPEG-COOHの形跡を示さず、このことは、COOHのすべてが反応したことを示す。蛍光検出により測定した付加量は3.9であることが明らかになり、これは、ポリマーの4本の分岐のそれぞれへの7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの完全な付加に合致する。非常に大規模でのこの実験の反復実施により、一貫した結果が得られた。
【0147】
実施例8. Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物10):
250mLの無水DCM中の7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン(化合物4、2.45g、1当量)の懸濁液に、室温で、N2下、二炭酸ジ-tert-ブチル(1.764g、1.3当量)および無水ピリジン(15.2mL、30当量)を添加した。懸濁液を、室温で一晩撹拌した。濁った溶液をセライト(10g)を通してろ過し、ろ液を0.5N HClで3回(3×150mL)、NaHCO3飽和溶液で1回(1×150mL)洗浄した。溶液を、MgSO4(1.25g)上で乾燥させた。30℃にて真空下で溶媒を除去した。生成物を、40℃にて真空下で乾燥させた(収率=82%、2.525g)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3) δ 173.53, 157.38, 151.60, 151.28, 150.02, 149.70, 147.00, 146.50, 145.15, 131.83, 127.19, 127.13, 124.98, 118.53, 113.88, 98.06, 84.26, 72.80, 66.18, 49.33, 31.62, 27.73, 23.17, 13.98, 7.90。
【0148】
実施例9. Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Ala-Bsmoc(化合物11):
無水CH2Cl2(20mL)中のBoc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物10、0.85g、1.71mmol)およびBsmoc-Ala(0.68g、2.30mmol)に、EDC(0.51g、2.67mmol)およびDMAP(0.065g、0.53mmol)を0℃で添加した。混合物をN2下で0℃にて45分間撹拌し、続いて室温まで加温した。反応の完了をHPLCにより確認したら、反応混合物を1%NaHCO3(2×50mL)、H2O(50mL)および0.1N HCl(2×50mL)で洗浄した。有機相を無水MgSO4で乾燥させ、ろ過した。減圧下で溶媒を除去した。得られた固体を、40℃にて真空下で一晩乾燥させ、1.28gの生成物を得た(収率95%)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3) δ : 171.16,166.83, 157.16, 154.78, 151.59, 151.33, 149.82, 147.17, 146.68, 145.35, 145.15, 139.08, 136.88, 133.60, 131.83, 130.45, 130.40, 130.33, 127.40, 127.08, 125.32, 125.14, 121.38, 120.01, 114.17, 95.90, 84.38, 77.19, 76.64, 67.10, 56.66, 53.45, 49.96, 49.34, 31.7, 27.76, 17.94, 14.02, 7.53. ESI-MS, 786.20 [M + H]+。
【0149】
実施例10. Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Ala(化合物12):
無水CH2Cl2(200mL)中のBoc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Ala-Bsmoc(化合物11、4.2g、5.35mmol)および4-ピペリジノピペリジン(1.17g、6.96mmol)の溶液を、室温で5時間撹拌した。続いてこの混合物を0.1N HClで洗浄し(2×40mL)、次に無水MgSO4上で有機層を乾燥させた。この溶液をろ過し、真空蒸留により溶媒を除去して、2.8gの生成物を得た(HPLCにより測定した純度93%)。この生成物を、エーテルとの粉砕(3×20mL)および続く酢酸エチルとの粉砕(4×20mL)によりさらに精製して、1.52g(2.70mmol)を得た(純度97%)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3) δ 168.39, 166.63, 156.98, 151.20, 151.15, 149.69, 146.67, 146.56, 145.37, 144.53, 131.66, 127.13, 124.99, 119.80, 113.82, 96.15, 84.21, 77.67, 67.16, 49.48, 49.06, 31.56, 27.74, 23.14, 15.98, 13.98, 7.57。
【0150】
実施例11. 40k4アームPEG-Ala-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-Boc(化合物13):
無水CH2Cl2(100mL)に、Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Ala(化合物12、1.50g、2.5mmol)および4アームPEG-COOH(化合物3、10.01g、1.0mmol)を室温で添加した。溶液を0℃まで冷却し、続いてEDC(0.29g、1.5mmol)およびDMAP(0.30g、2.5mmol)を添加した。混合物を、N2下、0℃にて1時間撹拌した。続いて、室温で一晩維持した。減圧下で、溶媒を蒸発させた。残渣を40mLのDCMに溶解し、粗生成物をエーテル(300mL)で沈殿させた。ろ過により得られた湿固体を、65℃でDMF/IPA(60/240mL)の混合物に溶解した。2〜3時間以内に溶液を室温まで冷却させ、生成物を沈殿させた。次に、固体をろ過し、エーテル(2×200mL)で洗浄した。湿ケーキを、40℃未満で真空下にて一晩乾燥させ、8.5gの生成物を得た。
【0151】
実施例12. 40k4アームPEG-Ala-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物14):
無水CH2Cl2中の30%TFAの溶液(130mL)に、40k4アームPEG-Ala-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-Boc(化合物13、7.98g)を室温で添加した。混合物を、3時間または出発物質の消失がHPLCで確認されるまで、撹拌した。35℃で真空下にて、溶媒を可能な限り除去した。残渣を50mLのDCMに溶解し、粗生成物をエーテル(350mL)で沈殿させ、ろ過した。湿固体を、65℃でDMF/IPA(50/200mL)の混合物に溶解した。溶液を2〜3時間以内に室温まで冷却させ、生成物を沈殿させた。続いて、固体をろ過し、エーテル(2×200mL)で洗浄した。湿ケーキを40℃未満で真空下にて一晩乾燥させ、6.7gの生成物を得た。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3) δ : 170.75, 169.30, 166.65, 157.00, 156.31, 148.36, 147.19, 145.03, 144.29, 143.00, 131.49, 128.26, 126.42, 122.47, 118.79, 105.10, 94.57, 78.08, 77.81, 77.20, 71.15, 70.88, 70.71, 70.33, 70.28, 70.06, 69.93, 69.57, 66.90, 49.14, 47.14, 31.53, 22.95, 17.78, 13.52, 7.46。
【0152】
実施例13. Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Met-Bsmoc(化合物15):
無水CH2Cl2(50mL)中のBoc-(10)-7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン(化合物10、2.73g、5.53mmol)およびBsmoc-Met(3.19g、8.59mmol)に、EDC(1.64g、8.59mmol)およびDMAP(0.21g、1.72mmol)を0℃で添加した。混合物を、N2下、0℃で45分間撹拌し、続いて室温まで加温した。HPLCにより反応の完了が確認されたら、反応混合物を1%NaHCO3(2×100mL)、H2O(100mL)および0.1N HCl(2×100mL)で洗浄した。有機相を無水MgSO4で乾燥させ、ろ過した。減圧下で溶媒を除去した。得られた固体を、40℃未満で真空下にて一晩乾燥させ、4.2gの生成物を得た(収率88%)。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3) δ: 170.3, 166.8, 157.1, 155.2, 151.4, 151.2, 149.7, 147.0, 146.6, 145.3, 145.1, 138.9, 136.6, 133.5, 131.7, 130.5, 130.3, 130.2, 127.3, 127.0, 125.3, 125.1, 121.2, 119.8, 114.1, 96.1, 84.3, 76.7, 67.0, 56.7, 53.5, 53.4, 49.3, 31.6, 31.0, 29.7, 27.7, 23.1, 15.4, 13.9, 7.4; ESI-MS, 846.24 [M + H]+。
【0153】
実施例14. Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Met-NH2・HCl(化合物16):
無水CH2Cl2(200mL)中のBoc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Met-Bsmoc(化合物15、4.1g、4.85mmol)および4-ピペリジノピペリジン(1.06g、6.31mmol)の溶液を、室温で5時間撹拌した。続いてこの混合物を0.1N HCl(2×40mL)で洗浄し、次に無水MgSO4上で有機層を乾燥させた。この溶液をろ過し、真空蒸留により溶媒を除去して、2.8gの生成物を得た(HPLCにより測定した純度約97%)。この生成物を、エーテルとの粉砕(3×20mL)、および続く酢酸エチルとの粉砕(4×20mL)によりさらに精製して、1.54g(純度97%)を得た。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3) δ: 167.2, 166.5, 156.9, 151.12, 150.9, 149.8, 146.3, 145.9, 145.8, 144.9, 131.3, 127.2, 127.0, 125.1, 119.6, 113.8, 96.7, 84.3, 78.2, 67.0, 60.4, 52.2, 49.4, 31.4, 29.6, 29.1, 27.7, 23.2, 15.1, 13.9, 7.7。
【0154】
実施例15. 40k4アームPEG-Met-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-Boc(化合物17):
無水CH2Cl2(80mL)溶液に、Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Met(化合物16、1.48g、2.25mmol)および4アームPEG-COOH(化合物3、9.0g、0.9mmol)を室温で添加した。溶液を0℃まで冷却し、続いてEDC(0.26g、1.35mmol)およびDMAP(0.27g、2.25mmol)を添加した。混合物を、N2下、0℃で1時間撹拌した。続いて、室温で一晩維持した。反応混合物を70mLのCH2Cl2で希釈し、30mLの0.1N HCl/1M NaCl水溶液で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥させた後、減圧下で溶媒を蒸発させた。残渣を40mLのCH2Cl2に溶解し、粗生成物をエーテル(300mL)で沈殿させた。ろ過により得られた湿固体を、65℃で270mLのDMF/IPAに溶解した。溶液を2〜3時間以内に室温まで冷却させ、生成物を沈殿させた。続いて固体をろ過し、エーテル(2×400mL)で洗浄した。DMF/IPA中での上記の結晶化手順を反復した。湿ケーキを、40℃未満で真空下にて一晩乾燥させて、7.0gの生成物を得た。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3) δ:169.8, 169.6, 166.5, 156.9, 151.2, 151.1, 149.9, 147.0, 146.6, 145.0, 131.7, 127,1, 126.8, 124.9, 119.7, 113.8, 95.5, 84.1, 70.1, 69.9, 66.9, 50.7, 49.2, 31.5, 31.2, 29.6, 27.6, 23.1, 15.3, 13.9, 7.5。
【0155】
実施例16. 40k4アームPEG-Met-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物18):
無水CH2Cl2(100mL)中の30%TFAの溶液に、硫化ジメチル(2.5mL)および4アームPEG-Met-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-Boc(化合物17、6.0g)を室温で添加した。混合物を、3時間またはHPLCにより出発物質の消失が確認されるまで、撹拌した。35℃で真空下にて、溶媒を可能な限り除去した。残渣を50mLのCH2Cl2に溶解し、粗生成物をエーテル(350mL)で沈殿させ、ろ過した。湿固体を、65℃でDMF/IPA(60/300ml)の混合物に溶解した。溶液を2〜3時間以内に室温まで冷却させ、生成物を沈殿させた。続いて固体をろ過し、エーテル(2×200mL)で洗浄した。湿ケーキを40℃未満で真空下にて一晩乾燥させ、5.1gの生成物を得た。13C NMR (75.4 MHz, CDCl3) δ :169.7, 166.6, 157.0, 156.3, 148.4, 147.3, 145.0, 144.4, 142.9, 131.5, 128.3, 126.4, 122.5, 118.7, 105.2, 94.7, 78.1, 67.0, 50.7, 49.2, 31.6, 31.3, 29.7, 23.0, 15.3, 13.5, 7.5;PEGに対する7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの比:2.1重量%。
【0156】
実施例17. Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Sar-Boc(化合物19):
Boc-Sar-OH(432g、2.287mmol)を75mLのDCM中のBoc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物10、750mg、1.52mmol)に添加し、0℃まで冷却した。DMAP(432mg、2.287mmol)およびEDC(837g、0.686mmol)を添加し、反応混合物を0℃〜室温で1.5時間撹拌した。続いて反応混合物を0.5%NaHCO3(75mL×2)、水(75mL×2)で洗浄し、最後に0.1N HCl(75mL×1)で洗浄した。塩化メチレン層をMgSO4上で乾燥させ、真空下で溶媒を蒸発させ、乾燥させた。収量=0.900mg(89%)。構造をNMRにより確認した。
【0157】
実施例18. 7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン-(20)-Sar・TFA(化合物20):
Boc-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Sar-Boc(化合物19、900mg、1.357mmol)を、4mL TFAおよび16mL DCMの溶液に添加し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を、30℃でトルエンと共に蒸発させた。残渣を10mL CHCl3に溶解し、エチルエーテルで沈殿させた。生成物をろ過し、乾燥させた。収量700mg(1.055mmol、78%)。13C NMR (67.8 MHz, CDCl3) δ 168.26, 167.07, 158.84, 158.71, 148.82, 147.94, 147.22, 146.34, 144.04, 131.18, 130.08, 128.97, 124.46, 119.78, 106.02, 97.23, 79.84, 79.34, 66.87, 50.84, 49.86, 31.81, 23.94, 15.47, 13.84, 8.08。
【0158】
実施例19. TBDMS-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(20)-Sar・HCl(化合物21):
無水DMF(30mL)中の7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン-(20)-Sar・TFA(化合物20、2.17g、3.75mmol、1当量)の溶液を、200mLの無水DCMで希釈した。Et3N(2.4mL、17.40mmol、4.5当量)、次にTBDMSCl(2.04g、13.53mmol、3.5当量)を添加した。HPLCにより出発物質の消失が示されるまで(約1時間)、反応混合物を室温で撹拌した。有機層を、0.5%NaHCO3で2回、水で1回、ブラインで飽和させた0.1N HCl溶液で2回洗浄し、続いてMgSO4上で乾燥させた。ろ過および真空下での溶媒の蒸発後、得られた油をDCMに溶解した。エーテルの添加により固体が得られ、これを細径または中径ブフナー漏斗を用いてろ過した(2.00g、87%収率)。固体のHPLCにより、96%の純度が示された。1H NMRおよび13C NMRにより、構造を確認した。1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ 0.23 (6H, s), 0.96 (9H, s), 0.98 (3 H, t, J = 7.3 Hz), 1.30 (3 H, t, J = 7.6 Hz), 2.13-2.18 (2H, m), 2.67 (3H, s), 3.11 (2 H, q, J = 7.6 Hz), 4.10 (1H, d, J = 17.6 Hz), 4.22 (1H, d, J = 17.6 Hz), 5.23 (2 H, s), 5.40 (1 H, d, J = 16.7 Hz), 5.55 (1H, d, J = 16.7 Hz), 7.32 (1H, s), 7.38-7.43 (2H, m), 8.00 (1H, d, J = 9.1 Hz). 13C NMR (75.4 MHz, CD3OD): δ -4.14, 8.01, 14.10, 19.30, 23.98, 26.16, 31.78, 33.52, 49.46, 50.95, 67.66, 79.80, 97.41, 111.96, 119.99, 127.75, 129.28, 129.67, 131.57, 145.24, 146.86, 147.16, 148.02, 150.34, 156.69, 158.72, 167.02, 168.27。
【0159】
実施例20. 40K4アームPEG-Sar-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-TBDMS(化合物22):
150mLの無水DCM中の40K4アームPEG-COOH(化合物3、10g、0.25mmol、1当量)の溶液に、20mLの無水DMF中のTBDMS-(10)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-Sar・HCl(化合物21、1.53g、2.5mmol、2.5当量)の溶液を添加し、混合物を0℃まで冷却した。この溶液に、EDC(767mg、4mmol、4当量)およびDMAP(367mg、3mmol、3当量)を添加し、反応混合物を室温までゆっくりと加温させ、室温で一晩撹拌した。続いて、反応混合物を真空下で蒸発させ、残渣を最小限の量のDCMに溶解した。エーテルの添加後、固体が形成され、真空下でろ過した。残渣を30mLの無水CH3CNに溶解し、600mLのIPAを添加することにより沈殿させた。固体をろ過し、IPAおよびエーテルで洗浄し、生成物(9.5g)を得た。NMRにより構造を確認した。
【0160】
実施例21. 40K4アームPEG-Sar-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物23):
方法A. 40K4アームPEG-Sar-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-TBDMS(化合物22)を、H2O(200mL)中のTFAの50%混合物に溶解した。反応混合物を室温で10時間撹拌し、続いて100mLのH2Oで希釈し、DCM(2×300mL)で抽出した。併せた有機相をH2O(2×100mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。残渣を100mLの無水DMF(ヒートガンを用いてゆっくりと加熱した)に溶解し、400mLのDMFをゆっくりと添加することにより沈殿させた。固体をろ過し、IPAおよびエーテル中の20%DMFで洗浄した。固体をDCMに溶解し、エーテルで沈殿させた(6.8g)。NMRにより構造を確認した。
【0161】
方法B. 40K4アームPEG-Sar-(20)-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)-(10)-TBDMS(1g)を、10mLの1N HCl溶液に溶解した。反応混合物を室温で1時間撹拌し(HPLCによりチェックし)、続いてDCM(2×40mL)で抽出した。有機層を、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させた。得られた明黄色の残渣を10mLのDMF(ヒートガンでわずかに加熱した)に溶解し、続いて40mLのIPAを添加した。得られた固体をろ過し、真空オーブン中で40℃にて一晩乾燥させた。NMRにより構造を確認した。
【0162】
生物学的データ
実施例22. 毒性データ
上記の実施例7により調製された4アームPEGコンジュゲート化7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン(化合物9)の最大耐容量(「MTD」)を、ヌードマウスを用いて研究した。死亡率および不調の徴候について、マウスを14日間モニタリングし、体重減少が処置前体重の20%超となった場合に屠殺した。
【0163】
以下の表2は、単一用量投与および複数用量投与の両方に対する各化合物の最大耐容量を示す。複数用量投与のための各用量は、隔日で10日間マウスに投与し、マウスをさらに4日間、つまり合計で14日間観察した。
【表2】
【0164】
4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)(化合物9)について明らかになったMTDは、単一用量として投与した場合30mg/kg、複数用量(q2d×5)として投与した場合10mg/kgであった。
【0165】
実施例23. PEGコンジュゲートの特性
以下の表3は、4種類の異なるPEG-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)コンジュゲートの生理食塩水溶液中での溶解性を示す。4種類すべてのPEG-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)コンジュゲートが、4mg/mL当量の7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンまでの良好な溶解性を示した。ヒト血漿中では、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンが22〜52分の倍増時間でPEGコンジュゲートから安定的に放出され、放出は、下記の実施例24に記載されているようにpHおよび濃度依存的であるようであった。
【表3】
【0166】
PEG-7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンコンジュゲートは、生理食塩水および他の水性媒体中で、室温で24時間まで良好な安定性を示す。
【0167】
実施例24. 安定性に対する濃度およびpHの影響
20-OH位でのアシル化は、活性な閉環型でラクトン環を保護する。ラットおよびヒト血漿中での水性安定性ならびに加水分解特性を、UVベースのHPLC法を用いてモニタリングした。4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)コンジュゲートを、室温で5分間、各サンプルとインキュベートした。
【0168】
バッファー中でのPEG-7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンコンジュゲートの安定性は、pH依存的であった。図6は、種々のサンプル中での4アームPEG-Gly-7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン安定性を示す。図7は、PEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)からの7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン放出速度が、pHが上昇すると増大することを示す。
【0169】
実施例25. 薬物動態
腫瘍を有しないBalb/Cマウスに、20mg/kgの4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)コンジュゲートの単回注射を注入した。様々な時点でマウスを屠殺し、完全なコンジュゲートおよび放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンについて、HPLCにより血漿を分析した。薬物動態解析を、非コンパートメント解析(WinNonlin)を用いて行なった。詳細を、以下の表4に示す。
【表4】
【0170】
図8Aおよび8Bに示されているように、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのPEG化は、長い循環半減期および元の薬物である7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンへの高度の曝露を可能にする。4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)コンジュゲートの腸肝循環が観察された。マウスでのPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の薬物動態プロフィールは、二相性であり、最初の2時間での迅速血漿分布相と、それに続くコンジュゲートに対する18〜22時間の終末相排出半減期および付随する7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンに対する18〜26時間の終末相排出半減期を示す。
【0171】
さらに、4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)の薬物動態プロフィールを、ラットで調べた。ラットでは、3、10および30mg/kg(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン当量)の用量レベルを用いた。ラットでの薬物動態プロフィールは、マウスでのものと一致した。
【0172】
ラットでは、4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)は循環からの二相性のクリアランスを示し、ラットで12〜18時間の排出半減期を有していた。4アームPEG-Gly-7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンコンジュゲートから放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンは、21〜22時間の見かけ上の排出半減期を有していた。最大血漿濃度(Cmax)および曲線下面積(AUC)は、ラットでは用量依存的に増大した。マウスまたはラットでの4アームPEG-Glyコンジュゲートから放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの見かけの半減期は、CPT-11から放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの報告された見かけの半減期よりも著しく長く、4アームPEG-Gly-(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)から放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの曝露は、CPT-11から放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの報告された曝露よりも著しく高い。親化合物のクリアランスは、ラットでは0.35mL/hr/kgであった。親化合物の定常状態での分布の推定量(VSS)は、5.49mL/kgであった。放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンのクリアランスは、ラットで131mL/hr/kgであった。放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの推定VSSは、ラットで2384mL/kgであった。放出された7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの腸肝循環は、マウスおよびラットの両方で観察された。
【0173】
実施例26. 血管新生に対する効果 − 絨毛尿膜(CAM)アッセイ
化合物9の抗血管新生活性を、Ribatti D. et al. Nat. Protoc. 2006, 1:85-91に従い、CAMアッセイを用いて評価した。マウスに、ヒトNB細胞株であるHTLA-230またはGI-LI-Nを注入した。1〜2mm3のサイズの腫瘍生検標本を、異種移植マウスから取得し、CAM上に移植した。CAMを10もしくは40mg/kgのCPT-11または10mg/kgの化合物9(SN38、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンに基づき)とインキュベートした。対照群では、CAMをPBSバッファーとインキュベートした。すべての態様で、化合物9の量は、投与されたポリマー性コンジュゲートの量ではなく、7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの量に基づく。CAMを、1日1回、12日間調べ、カメラおよび画像解析システム(Olympus Italia, Italy)を取り付けた実体顕微鏡で卵内で写真撮影した。画像を図9Aに示す。CD31陽性微小血管を測定し、対照群のものに対して標準化した。より少ないCD31陽性微小血管が、より大きい抗血管新生効果を意味する。結果を図9Bに示す。微小血管密度は、横断面で切ったCD31陽性血管(直径3〜10μm)により占められる交点の合計数のパーセンテージにより表した。各分析について、平均値±SDを決定した。
【0174】
腫瘍標本に向かう「スポーク付き車輪」(spoked wheel)パターンで放射状に広がる尿膜血管の数は、対照CAMと比較して、CPT-11または化合物9で処理した両方のCAMで減少していた。図9Aおよび9Bに示されているように、結果は、腫瘍標本に侵入している放射状血管の数は、CPT-11よりも化合物9で処理したCAMではずっと少なかったことを示す(P<0.01)。結果は、化合物9は、CPT-11と比較して、著しく血管新生を阻害することを示す。
【0175】
実施例27. GI-LI-N異種移植マウスモデルでの腫瘍細胞血管新生および腫瘍浸潤に対する効果
血管新生および腫瘍浸潤に対する化合物9の効果を、同所性に移植したヒト神経芽細胞腫異種移植マウスで評価した。異種移植腫瘍は、第0日(T0)に副腎にヒト神経芽細胞腫細胞(GI-LI-N)を注入することによりマウスで確立した。腫瘍を増殖させ、第35日(T35)に約400mm3の平均体積に達した。続いて、10mg/kg体重のCAMPTOSAR(医薬製剤中のCPT-11)または化合物9(SN38に基づき)を、第35、37、39、41および43日(q2×dで合計5用量)にマウスに静脈内注射した。対照群マウスには、HEPES緩衝生理食塩溶液を投与した。第44日(T44)にマウスから取り出した腫瘍に対して、組織学的検査を行なった。
【0176】
組織切片をVEGFおよびCD31に対する抗体を用いて染色し、血管新生の阻害を評価した。組織切片は、MMP-2およびMMP-9に対する抗体でも染色して、腫瘍浸潤の阻害を検出した。抗体は、以下の供給元から購入した:抗VEGF(Thermo Fisher Scientific, Fremont, CA, USA)、および抗CD31(クローンSC-1506、Santa Cruz Biotechnology, D.B.A Italia S.R.L., Segrate, Milan, Italy)、抗MMP-2(クローン36006、R & D System, Abingdon, UK)および抗MMP-9(クローン443、R & D System)。細胞核は、DAPIを用いて染色した。形態学的解析は、画像解析ソフト(Olympus Italia, Italy)を用いてOlympus社のカメラ付き顕微鏡で200倍の倍率で観察した、3切片毎に9箇所の無作為に選択した視野に対して行なった。VEGF、CD31、MMP-2、およびMMP-9標識領域を評価した。MMP-2およびMMP-9に対する抗体を用いた染色に先立って、パラフィン包埋組織切片をキシレン-エタノール系列で脱パラフィンし、段階的エタノール溶液およびTRIS緩衝生理食塩水(TBS、pH7.6)中で再水和し、続いて電子レンジで1mM EDTA、pH8.0中で10分間、組織切片をボイルすることにより抗原回復のために処理した。次に、切片をPBS中で2回洗浄し、PBS中の2%BSAで飽和させた。形態学的解析では、切片からの各画像での平均値、すべての画像に対する最終平均値およびSEMを算出した。異なる実験条件の平均値間の差異の統計学的有意性は、スチューデントのt検定(GraphPadソフトウェア)により決定した。すべての統計学的評価について、P値<0.05で知見が有意であるとみなした。
【0177】
結果を、図10(A)、(B)、(C)および(D)に示す。結果により、CAMPTOSARおよび化合物9の両方が、原発性ND腫瘍でのVEGFおよびCD31発現を阻害したことが示される。化合物9でのマウスの処置は、CAMPTOSARで処置したマウスと比較して、CD31陽性内皮細胞の数を有意に減少させた(図10(A))。化合物9での処置によるCD31発現阻害の増大は、CAMPTOSARでの処置と比較して、統計学的に有意であった(P<0.05)。図10(B)を参照されたい。化合物9は、CAMPTOSARと比較して、MMP-2およびMMP-9発現も有意に阻害した(P<0.05)(図10(C)および(D))。エラーバーは、95%CIを示す。n.s.:有意差なし;*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001。
【0178】
結果により、化合物9での処置が、腫瘍血管新生および全身性腫瘍拡散(腫瘍浸潤/転移)を阻害することが示された。結果は、本明細書中に記載された処置が、血管新生を伴う癌などの、血管新生に関連する疾患を有する患者の治療での有用性を有することを示す。
【0179】
実施例28. GI-LI-N異種移植マウスモデルでの腫瘍細胞アポトーシスに対する効果
実施例27で処置したマウスから取り出した組織切片を、アポトーシスを評価するためにTUNELで免疫染色し、DNAダメージ依存的ヒストンリン酸化を評価するためにヒストンH2axに対する一次抗体(H2AFX)を用いて免疫染色した。結果を図11に示す。スケールバーは150μmを表し、エラーバーは95%CIを表す。*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.001。結果により、CAMPTOSARで処置したマウスと比較して、化合物9で処置したマウスから取り出した腫瘍組織での増大したTUNEL染色およびヒストンH2ax染色が示される。CPT-11で処置したマウスと比較して、化合物9で処置したマウスでは、より多くの腫瘍細胞がアポトーシスを起こしていた。
【0180】
実施例29. ヒト神経膠腫異種移植マウスモデルでのHIF-1α発現に対する化合物9の効果
HIF-1α発現の阻害に対する化合物9の効果を、ヒト神経膠腫異種移植モデルで評価した。効果は、U251-HRE異種移植片でのHIF-1依存的ルシフェラーゼ発現により測定した。
【0181】
ヒト神経膠腫細胞株であるU251-HREは、米国国立癌研究所(Frederick, Maryland, United States)のGiovanni Melillo博士から厚意で提供された。細胞を、誘導性一酸化窒素シンターゼ遺伝子由来のカノニカルな低酸素症応答エレメント(HRE)を3コピー含むルシフェラーゼレポータープラスミドを用いてトランスフェクションした(Rapsirada, et al. 2000)。U251-HRE腫瘍は、1×107 U251-HRE細胞/マウスの皮下注入により、メスHarlan Sprague-Dawleyヌードマウス(Harlan World, Indianapolis, IN)の右腋下に確立した。腫瘍が平均体積100mm3に達したら、マウスを無作為に5匹ずつの群に分け、生理食塩水(qd×10)、化合物9(30mg/kgでqd×1または10mg/kgでq2d×3)またはCPT-11(80mg/kgでqd×1または40mg/kgでq2d×3)を静脈内投与した。各処置時点で、腫瘍体積測定値を記録し、mg=[腫瘍長×(腫瘍幅)2]/2を用いて、腫瘍重量(mg)を算出した。U251-HRE誘導腫瘍でのルシフェラーゼ発現レベルは、薬物処置の開始後、0、48および120時間での生体発光を用いて測定した。そのために、マウスに150mg/kgのD-ルシフェリンFirefly、カリウム塩(Biosynth International, Inc., Itasca, IL)を会陰内注入した。10分後、マウスをイソフルラン(isofluoran)ガスで麻酔し、Xenogen IVIS 100イメージングステーション(Xenogen Corp., Alameda, CA)を用いて画像取得した。
【0182】
生理食塩溶液で処置した対照マウスは、発光の進行性の増大を有していた。単一用量または複数用量の化合物9で処置したマウスは、48時間および120時間の両方の時点で、減少した発光を有していた(図12Bおよび12D)。一方、CPT-11処置は、発光に対して最小限の効果を有した(図12Bおよび12D)。腫瘍質量は化合物9およびCPT-11処置により減少したので(図13)、発光値(光子/秒)は、腫瘍質量に対して標準化し、ベースラインからの変化(%)として表した(図12Aおよび12C)。図12Aから見て取れるように、単一用量の化合物9は、HIF-1αの強力で持続的なダウンレギュレーションを誘導した(48時間で37%のダウンレギュレーションおよび120時間で83%のダウンレギュレーション)。対照的に、CPT-11の単回注入はHIF-1αのダウンレギュレーションを誘導しなかった(図12A)。複数日(第0、2、4日)にMTDで投与した場合、化合物9は、HIF-1αの非常に強力なダウンレギュレーションを誘導した(120時間で93%)。さらに、CPT-11は、48時間および120時間で、それぞれ15%および32%の中程度のHIF-1αダウンレギュレーションを引き起こす。
【0183】
結果により、化合物9はヒト神経膠腫異種移植モデルでHIF-1αをダウンレギュレーションしたこと、およびCPT-11ではほとんど効果が観察されないことが示される。
【0184】
実施例30. HIF-1αおよびHIF-2α発現に対する効果
腫瘍細胞でのHIF-1αおよびHIF-2αの発現に対する化合物9の効果を、ヒト神経芽細胞腫細胞(GI-LI-N、HTLA-230、およびSH-SY5Y)を用いてin vitroで評価した。
【0185】
癌細胞は、Pastorino F. et al., Cancer Res. 2006, 66:10073-82, 2006;Pastorino F. et al., Clin. Cancer Res. 2008, 14:7320-9;およびBrignole C, et al., J. Nat’l. Cancer Inst. 2006, 98:1142-57に記載されているように、10%加熱非働化FCSを添加した完全DMEMまたはRPMI-1640培地中で増殖させた。細胞を、同じ濃度のCPT-11もしくは化合物9で24時間または48時間処理した(図14(A))。対照では、細胞をCPT-11および化合物9で処理しなかった。一部の実験では(図14(B)および(C))、癌細胞を、HIF-1αを誘導するために0.15mMのデスフェラール(DFXまたはデフェロキサミン、Novartis Pharma(Stein, Swizerland)から購入)と共に6時間プレインキュベーションした。その後、細胞を洗浄し、CPT-11および化合物9で合計24時間処理した。細胞を回収し、Pagnan G. et al., Clin. Cancer Res. 2009, 15:1199-209に記載されているように細胞溶解物を用いてウエスタンブロット分析を行なった。モノクローナル抗p53(クローンPAb 1801)および抗HIF-1α(クローン54)は、BD Biosciences(Buccinasco, MI, Italy)から購入した。抗HIF-2α(クローンep190b)および抗GAPDH(クローン14c10)抗体は、それぞれNovus Biologicals, Inc(Cambridge, UK)およびCell Signaling Technology(Danvers, MA, US)からのものであった。
【0186】
結果により、化合物9がHIF-2αタンパク質の発現を阻害したことが示された(図14(A))。p53の迅速で強力な誘導(データ示さず)およびHIF-2αのダウンレギュレーション後に、細胞死が続いた(図14A)。結果により、化合物9が構成的(図14B)およびDFX誘導(図14C)HIF-1αタンパク質レベルの両方を減少させたことも示された。
【0187】
HIF-1α発現の阻害は、CPT-11と比較して著明であった。結果は、化合物9が、HIF-1αおよびHIF-2αの発現の阻害において強力であることを示す。
【0188】
VEGFなどの血管新生促進性増殖因子発現の影響下での、既存の毛細血管からの新規血管の出芽が報告されている(Ribatti D, et al., Eur. J. Cancer, 2002, 38:750-7)。HIF-1αは、VEGFの誘導により血管新生を媒介し、腫瘍血管新生および浸潤で役割を果たす(Carmeliet P. et al., Nature, 1998, 394:485-90 and Du R. et al., Cancer Cell 2008, 13:206-20)。いかなる理論に拘泥するものではないが、本明細書中に記載された処置は、HIF-1αを減少させ、これがp53タンパク質の増加、およびCD31、VEGF、MMP-2およびMMP-9などの血管新生および腫瘍浸潤に関連する因子の統計学的に有意な減少をもたらす。HIF-2αも、高度な腫瘍血管化に強く関連する(Peng J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2000, 97:8386-91)。本明細書中に記載された化合物は、HIF-1αおよびHIF-2α発現を顕著に阻害し、本明細書中に記載された化合物を用いた処置は、血管新生に関連する疾患を治療するのに有用な方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物での血管新生または血管新生活性を阻害する方法であって、以下のステップ:
有効量の式(I):
【化1】
[式中、
R1、R2、R3およびR4は独立に、OHまたは
【化2】
であり、式中、
Lは二官能性リンカーであり;
(m)は0または正の整数であり、(m)が2以上の場合、各Lは同じかまたは異なり;
(n)は正の整数であり;
ただし、R1、R2、R3およびR4はすべてがOHであることはない]
の化合物または製薬上許容されるその塩を該哺乳動物に投与するステップ
を含む、上記方法。
【請求項2】
哺乳動物での血管新生活性が、細胞または組織内でのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
血管新生が、腫瘍血管新生または腫瘍依存性血管新生である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(n)が約28〜約341であり、それにより式(I)の化合物のポリマー部分の合計平均分子量が約5,000〜約60,000ダルトンである、請求項1および3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
(n)が約114〜約239であり、それにより式(I)の化合物のポリマー部分の合計分子量が約20,000〜約42,000ダルトンである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
式(I)の化合物が、
【化3】
からなる群より選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
式(I)の化合物が、
【化4】
である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
式(I)の化合物が、約0.5mg/m2体表面積/用量〜約50mg/m2体表面積/用量の量で投与され、該量が、式(I)の化合物中に含まれる7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの重量である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩が、同時もしくは連続的に、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドまたは製薬上許容されるその塩との組み合わせで投与される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、HIF-1αプレmRNAまたはmRNAの少なくとも8個の連続するヌクレオチドに相補的である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、約8〜50ヌクレオチド長を含む、請求項9〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、配列番号1に示される少なくとも8個の連続するヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、1箇所以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、1個以上のロックド核酸(LNA)を含む、請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、約2〜約50mg/kg/用量の量で投与される、請求項9〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
哺乳動物での血管新生または血管新生活性を阻害する方法であって、以下のステップ:
有効量の以下:
【化5】
の化合物または製薬上許容されるその塩を該哺乳動物に投与するステップ
を含み、
ここで、(n)が約227であり、それにより式(I)の化合物のポリマー部分の合計分子量が約40,000ダルトンである、上記方法。
【請求項17】
哺乳動物での血管新生に関連する疾患または障害を治療する方法であって、以下のステップ:
有効量の式(I):
【化6】
[式中、
R1、R2、R3およびR4は独立に、OHまたは
【化7】
であり、式中、
Lは二官能性リンカーであり;
(m)は0または正の整数であり、(m)が2以上の場合、各Lは同じかまたは異なり;
(n)は正の整数であり;
ただし、R1、R2、R3およびR4はすべてがOHであることはない]
の化合物または製薬上許容されるその塩を該哺乳動物に投与するステップ
を含む、上記方法。
【請求項18】
哺乳動物での血管新生依存性細胞の増殖を阻害する方法であって、以下のステップ:
有効量の式(I):
【化8】
[式中、
R1、R2、R3およびR4は独立に、OHまたは
【化9】
であり、式中、
Lは二官能性リンカーであり;
(m)は0または正の整数であり、(m)が2以上の場合、各Lは同じかまたは異なり;
(n)は正の整数であり;
ただし、R1、R2、R3およびR4はすべてがOHであることはない]
の化合物または製薬上許容されるその塩を該哺乳動物に投与するステップ
を含む、上記方法。
【請求項19】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドまたは製薬上許容されるその塩が、同時もしくは連続的に、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩と組み合わせて投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、配列番号1に示される少なくとも8個の連続するヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを含む、請求項18〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、1箇所以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および1個以上のロックド核酸(LNA)を含む、請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、約2〜約50mg/kg/用量の量で投与される、請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
細胞が癌性細胞である、請求項18〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
哺乳動物でのアポトーシスを誘導または促進する方法であって、以下のステップ:
有効量の式(I):
【化10】
[式中、
R1、R2、R3およびR4は独立に、OHまたは
【化11】
であり、式中、
Lは二官能性リンカーであり;
(m)は0または正の整数であり、(m)が2以上の場合、各Lは同じかまたは異なり;
(n)は正の整数であり;
ただし、R1、R2、R3およびR4はすべてがOHであることはない]
の化合物または製薬上許容されるその塩を該哺乳動物に投与するステップ
を含む、上記方法。
【請求項25】
哺乳動物でのアポトーシスが腫瘍細胞でのものである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
哺乳動物で癌を治療する方法であって、該哺乳動物に、
(i)配列番号1に示される少なくとも8個の連続するヌクレオチドに相補的な約8〜約50ヌクレオチド長の有効量のアンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドであって、1箇所以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合および1個以上のロックド核酸を含む、上記アンチセンスオリゴヌクレオチド;ならびに
(ii)有効量の式(Ia):
【化12】
の化合物または製薬上許容されるその塩であって、 (n)が約227であり、それにより式(Ia)の化合物のポリマー部分の合計分子量が約40,000ダルトンである、上記化合物または製薬上許容されるその塩
を投与するステップを含み、
ここで、
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、約4〜約25mg/kg/用量の量で投与され、かつ
式(Ia)の化合物が、約1mg/m2体表面積/用量〜約18mg/m2体表面積/用量の量で投与され、該量は、式(Ia)の化合物中に含まれる7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの重量である、上記方法。
【請求項27】
癌が血管新生依存性癌である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
癌を有する哺乳動物で血管ネットワークを減少させる方法であって、以下のステップ:
有効量の式(I):
【化13】
[式中、
R1、R2、R3およびR4は独立に、OHまたは
【化14】
であり、式中、
Lは二官能性リンカーであり;
(m)は0または正の整数であり、(m)が2以上の場合、各Lは同じかまたは異なり;
(n)は正の整数であり;
ただし、R1、R2、R3およびR4はすべてがOHであることはない]
の化合物または製薬上許容されるその塩を該哺乳動物に投与するステップ
を含む、上記方法。
【請求項29】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドまたは製薬上許容されるその塩が、同時もしくは連続的に、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩と組み合わせて投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項1】
哺乳動物での血管新生または血管新生活性を阻害する方法であって、以下のステップ:
有効量の式(I):
【化1】
[式中、
R1、R2、R3およびR4は独立に、OHまたは
【化2】
であり、式中、
Lは二官能性リンカーであり;
(m)は0または正の整数であり、(m)が2以上の場合、各Lは同じかまたは異なり;
(n)は正の整数であり;
ただし、R1、R2、R3およびR4はすべてがOHであることはない]
の化合物または製薬上許容されるその塩を該哺乳動物に投与するステップ
を含む、上記方法。
【請求項2】
哺乳動物での血管新生活性が、細胞または組織内でのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
血管新生が、腫瘍血管新生または腫瘍依存性血管新生である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(n)が約28〜約341であり、それにより式(I)の化合物のポリマー部分の合計平均分子量が約5,000〜約60,000ダルトンである、請求項1および3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
(n)が約114〜約239であり、それにより式(I)の化合物のポリマー部分の合計分子量が約20,000〜約42,000ダルトンである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
式(I)の化合物が、
【化3】
からなる群より選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
式(I)の化合物が、
【化4】
である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
式(I)の化合物が、約0.5mg/m2体表面積/用量〜約50mg/m2体表面積/用量の量で投与され、該量が、式(I)の化合物中に含まれる7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの重量である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩が、同時もしくは連続的に、アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドまたは製薬上許容されるその塩との組み合わせで投与される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、HIF-1αプレmRNAまたはmRNAの少なくとも8個の連続するヌクレオチドに相補的である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、約8〜50ヌクレオチド長を含む、請求項9〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、配列番号1に示される少なくとも8個の連続するヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、1箇所以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、1個以上のロックド核酸(LNA)を含む、請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、約2〜約50mg/kg/用量の量で投与される、請求項9〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
哺乳動物での血管新生または血管新生活性を阻害する方法であって、以下のステップ:
有効量の以下:
【化5】
の化合物または製薬上許容されるその塩を該哺乳動物に投与するステップ
を含み、
ここで、(n)が約227であり、それにより式(I)の化合物のポリマー部分の合計分子量が約40,000ダルトンである、上記方法。
【請求項17】
哺乳動物での血管新生に関連する疾患または障害を治療する方法であって、以下のステップ:
有効量の式(I):
【化6】
[式中、
R1、R2、R3およびR4は独立に、OHまたは
【化7】
であり、式中、
Lは二官能性リンカーであり;
(m)は0または正の整数であり、(m)が2以上の場合、各Lは同じかまたは異なり;
(n)は正の整数であり;
ただし、R1、R2、R3およびR4はすべてがOHであることはない]
の化合物または製薬上許容されるその塩を該哺乳動物に投与するステップ
を含む、上記方法。
【請求項18】
哺乳動物での血管新生依存性細胞の増殖を阻害する方法であって、以下のステップ:
有効量の式(I):
【化8】
[式中、
R1、R2、R3およびR4は独立に、OHまたは
【化9】
であり、式中、
Lは二官能性リンカーであり;
(m)は0または正の整数であり、(m)が2以上の場合、各Lは同じかまたは異なり;
(n)は正の整数であり;
ただし、R1、R2、R3およびR4はすべてがOHであることはない]
の化合物または製薬上許容されるその塩を該哺乳動物に投与するステップ
を含む、上記方法。
【請求項19】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドまたは製薬上許容されるその塩が、同時もしくは連続的に、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩と組み合わせて投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、配列番号1に示される少なくとも8個の連続するヌクレオチドに相補的なヌクレオチドを含む、請求項18〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、1箇所以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および1個以上のロックド核酸(LNA)を含む、請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、約2〜約50mg/kg/用量の量で投与される、請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
細胞が癌性細胞である、請求項18〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
哺乳動物でのアポトーシスを誘導または促進する方法であって、以下のステップ:
有効量の式(I):
【化10】
[式中、
R1、R2、R3およびR4は独立に、OHまたは
【化11】
であり、式中、
Lは二官能性リンカーであり;
(m)は0または正の整数であり、(m)が2以上の場合、各Lは同じかまたは異なり;
(n)は正の整数であり;
ただし、R1、R2、R3およびR4はすべてがOHであることはない]
の化合物または製薬上許容されるその塩を該哺乳動物に投与するステップ
を含む、上記方法。
【請求項25】
哺乳動物でのアポトーシスが腫瘍細胞でのものである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
哺乳動物で癌を治療する方法であって、該哺乳動物に、
(i)配列番号1に示される少なくとも8個の連続するヌクレオチドに相補的な約8〜約50ヌクレオチド長の有効量のアンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドであって、1箇所以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合および1個以上のロックド核酸を含む、上記アンチセンスオリゴヌクレオチド;ならびに
(ii)有効量の式(Ia):
【化12】
の化合物または製薬上許容されるその塩であって、 (n)が約227であり、それにより式(Ia)の化合物のポリマー部分の合計分子量が約40,000ダルトンである、上記化合物または製薬上許容されるその塩
を投与するステップを含み、
ここで、
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドが、約4〜約25mg/kg/用量の量で投与され、かつ
式(Ia)の化合物が、約1mg/m2体表面積/用量〜約18mg/m2体表面積/用量の量で投与され、該量は、式(Ia)の化合物中に含まれる7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシンの重量である、上記方法。
【請求項27】
癌が血管新生依存性癌である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
癌を有する哺乳動物で血管ネットワークを減少させる方法であって、以下のステップ:
有効量の式(I):
【化13】
[式中、
R1、R2、R3およびR4は独立に、OHまたは
【化14】
であり、式中、
Lは二官能性リンカーであり;
(m)は0または正の整数であり、(m)が2以上の場合、各Lは同じかまたは異なり;
(n)は正の整数であり;
ただし、R1、R2、R3およびR4はすべてがOHであることはない]
の化合物または製薬上許容されるその塩を該哺乳動物に投与するステップ
を含む、上記方法。
【請求項29】
アンチセンスHIF-1αオリゴヌクレオチドまたは製薬上許容されるその塩が、同時もしくは連続的に、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩と組み合わせて投与される、請求項28に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2012−524102(P2012−524102A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506203(P2012−506203)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/031165
【国際公開番号】WO2010/120980
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(596124151)エンゾン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (24)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/031165
【国際公開番号】WO2010/120980
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(596124151)エンゾン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (24)
【Fターム(参考)】
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