説明

A2Aアデノシン受容体アンタゴニスト

本発明は、A2Aアデノシン受容体アンタゴニストである新規化合物、および哺乳動物の種々の疾患状態(CNS障害(「運動障害」(パーキンソン病、ハンチントン舞踏病およびカタレプシー)、脳虚血、興奮毒性、認知障害、生理障害、鬱病、ADHDを含む)、肝線維症、肝硬変および薬物中毒(アルコール、アンフェタミン、カンナビノイド、コカイン、ニコチンおよびオピオイド))を治療するための新規化合物の使用、ならびに免疫応答を向上させるための新規化合物の使用に関する。さらに、本発明は、このような化合物の調製法、およびこの化合物を含有する医薬組成物に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2006年12年1日に出願された米国仮特許出願第60/872,254号(この全体は、参考として本明細書に援用される)への優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、A2Aアデノシン受容体アンタゴニストである新規化合物、および哺乳動物の種々の疾患状態(肥満、「運動障害」(パーキンソン病、ハンチントン舞踏病およびカタレプシー)を含むCNS障害、脳虚血、興奮毒性、認知障害、生理障害、鬱病、ADHD、肝線維症、肝硬変および薬物中毒(アルコール、アンフェタミン、カンナビノイド、コカイン、ニコチンおよびオピオイド))を治療するための新規化合物の使用、ならびに免疫応答を向上させるための新規化合物の使用に関する。さらに、本発明は、このような化合物の調製法、およびこの化合物を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
アデノシンの効果は、アデノシン受容体によって導入される。アデノシン受容体は、A、A2A、A2BおよびAの4種の一般的なサブタイプに分けられ、すべて重要な生理学的プロセスを調節する(非特許文献1;非特許文献2)。例えば、Aアデノシン受容体の刺激によって、房室結節細胞の活動電位の持続時間が短くなり、強度も低くなる。そのため、房室結節細胞の不応期が延びる。したがって、A受容体の刺激によって、上室性頻拍症を治療する方法(房室のリエントリー性頻拍の停止ならびに心房細動および心房粗動中の心拍数の制御を含む)が得られる。細胞表面のA2A受容体の刺激によって、冠抵抗血管が膨張する。この現象は、薬理学的ストレス試験に有用である。A2B受容体は、脂肪細胞の活性化、喘息、血管拡張、細胞増殖の制御、腸機能および神経分泌の調整に関与している(Adenosine A2B Receptors as Therapeutic Targets、Drug Dev Res 45:198;非特許文献3を参照)。Aアデノシン受容体は、細胞増殖プロセスを調整する。特に、A受容体アゴニストである化合物は、癌、心疾患、不妊症、腎疾患およびCNS障害の治療および/または予防的治療に有用性がある。
【0004】
アデノシンは、中枢神経系の重要な内因性プリン神経調整剤である。近年、A2A受容体は、基底核に豊富に存在することが示された。基底核は、運動機能にとって重要な脳の領域であることが知られている。ハロペリドールまたはMPTP(N−メチル−4−フェニル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン)を投与すると、試験動物でパーキンソン病に類似した症状がみられることが示され、この症状は、A2A受容体アンタゴニストを投与すると回復させることができることも示された(例えば、「Piperazine Derivatives of [1,2,4]Triazolo[1,5−a][1,3,5]triazine as Potent and Selective Adenosine A2A Receptor Antagonists」、Chi B.Vuら、Journal of Medicinal Chemistry、2004を参照)。
【0005】
さらに、A2A受容体アンタゴニストは、神経保護性能も示す。A2Aアンタゴニストは、海馬において、カイニン酸によって誘発される興奮毒性を遮断し、虚血を誘発するグルタミン酸およびアスパラギン酸が皮質から放出される量を減らし、ラットおよびアレチネズミにおいて、虚血によって誘発される損傷の程度を下げることが示されている。A2A受容体による神経保護に関するさらなる証拠は、A2A受容体ノックアウトマウスにおいて、一過性虚血後の脳梗塞の大きさおよび神経学的欠損の両方が弱められることを示す試験によって得られている。
【0006】
2Aアデノシン受容体の刺激によって、冠抵抗血管(coronary resistance vessel)が膨張する。この現象は、薬理学的ストレス試験に有用であるが、過剰な血管拡張が冠盗血(coronary steal)をひき起す可能性があるため、内因性アデノシンが増加した患者にとっては好ましくない。冠盗血の現象によって、健康な隣接する動脈の血管拡張が起こりやすくなることによって、血流が遅い動脈から血が供給される血管床で虚血が生じる場合があるため、組織が損傷するおそれがある。したがって、A2Aアンタゴニストは、冠盗血の現象を予防する。
【0007】
アデノシンによるシグナル伝達が、薬物中毒に関与していることが示されている。主要な薬物中毒(アヘン、コカイン、エタノールなど)は、神経(特に、高濃度のA2Aアデノシン受容体を含有する側坐核の神経)でのドーパミンシグナル伝達を直接的または間接的に調整する。中毒性物質に対する依存性は、アデノシンシグナル伝達経路によって高められることがわかっており、A2Aアデノシン受容体アンタゴニストを投与すると、中毒性物質に対する渇望が低下することがわかっている(例えば、「The Critical Role of Adenosine A2A Receptors and Gi βγ Subunits in Alcoholism and Addiction:From Cell Biology to Behavior」、Ivan DiamondおよびLina Yao(The Cell Biology of Addiction、2006、pp291−316)および「Adaptations in Adenosine Signaling in Drug Dependence:Therapeutic Implications」、Stephen P.HackおよびMacdonald J.Christie、Critical Review in Neurobiology、第15巻、235−274(2003)を参照)。
【0008】
アデノシン受容体(特にA2Aアデノシン受容体)が、免疫応答を制限する末端機構として作用し、種々の疾患を発病した際に、正常な組織が過剰な免疫損傷を受けないように保護することによって、in vivoでの炎症度を抑える役割を果たすことも示されている(特許文献1を参照)。したがって、A2Aアデノシン受容体によるシグナル伝達を阻害することによって、哺乳動物での免疫応答が高められ、持続性も向上し、例えば、A2Aアデノシンアンタゴニストをワクチンとともに投与した場合に、ワクチンの効力を高める。
【0009】
したがって、A2A受容体の調整に関連する種々の疾患状態(特に、心疾患、例えば、虚血によって生じる組織損傷、CNS関連疾患(例えば、パーキンソン病))の治療、薬物中毒の治療および免疫の向上に有用な、強力なA2Aアンタゴニストである化合物を提供することが望ましい。好ましくは、この化合物は、A2A受容体に選択的であり、他のアデノシン受容体との相互作用による副作用を起こさない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0220799号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】G.L.Stiles、K.A.JacobsonおよびM.F.Jarvis、Wiley−Liss:New York(1997);pp29−37
【非特許文献2】V.Ralevic;G.Burnstock、G.Pharmacol.Rev.(1998)Vol.50、413−492
【非特許文献3】Feoktistovら、Trends Pharmacol Sci 19:148−153
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、A2A受容体アンタゴニストを提供することである。したがって、第1の態様では、本発明は、式I
【0013】
【化1】

の化合物に関し、式中、
は、水素、場合により置換されたC1〜6アルキル、場合により置換されたC2〜10アルケニルまたは場合により置換されたC2〜6アルキニルであり;
は、水素、場合により置換されたC1〜4アルキル、−X−O−P(O)(OR)または−X−O−Rであり、ここで、Xは、C1〜4アルキレンであり、Rは、水素またはC1〜6アルキルであり、Rはアシルであり;
は、水素、場合により置換されたC1〜4アルキルであるか、または酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を含有する5員環または6員環の場合により置換された単環のヘテロ環であり;
およびRは、独立して、メチルまたは水素であり;
は、場合により置換されたフェニル、場合により置換されたヘテロアリール、場合により置換されたヘテロ環または場合により置換されたシクロアルキルである。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態では、治療的に有効量の式IのA2A受容体アンタゴニストと、少なくとも1つの医薬的に許容される担体とを含む医薬処方物が提供される。この処方物は、好ましくは、経口投与用である。
【0015】
本発明の第3の実施形態では、A2A受容体アンタゴニストで治療可能な哺乳動物の疾患または状態の治療における、式Iの化合物の使用方法が提供される。この方法は、治療の必要な哺乳動物に、治療的に有効量の式Iの化合物を投与する工程を含む。このような疾患としては、限定されないが、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病およびカタレプシー、脳虚血、興奮毒性、認知障害および生理障害が挙げられる(薬物中毒の治療を含む)。式Iの化合物は、冠動脈の拡張の阻害に有用であり、この治療によって冠盗血を予防する。
【0016】
現時点で、本発明で使用するのに好ましい化合物としては、限定されないが、以下のものが挙げられる。
【0017】
6−[(1E)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−1,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1−[(フェニルメトキシ)メチル]−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−フェニルビニル)−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(4−フルオロフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−フェニルビニル)−1,5−ジメチル−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(3−フルオロフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(4−クロロフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(4−フェニルフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−{(1E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル}−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−フェニルビニル)−3−エチル−1,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−フェニルビニル)−1,3−ジエチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−フェニルビニル)−3−エチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−フェニルビニル)−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−フェニルビニル)−3−エチル−1−(3−ヒドロキシプロピル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1Z)−2−フェニルビニル)−3−エチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)ビニル]−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−(3−ピリジル)ビニル)−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(4−メチルフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(4−メトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(2−フルオロフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(3−メトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(2−メトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
ブタン酸{6−[(1E)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジニル}メチル;および
6−[(1E)−2−(3,5−ジメトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(定義および一般的なパラメータ)
本明細書で使用される場合、以下の用語および句は、その用語および語句を本文中で異なる意味で使用する旨が示されている場合を除き、一般的に以下に示す意味を示すという意図がある。
【0019】
用語「アルキル」は、炭素原子数が1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個または20個の、分枝しているかまたは分枝していない一価の飽和炭化水素鎖を指す。アルキルの例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−デシル、テトラデシルなどが挙げられる。
【0020】
用語「置換アルキル」は、
(1)上に定義したアルキル基のうち、1個、2個、3個、4個または5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有し、置換基が、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群から選択されるアルキル基を指す。この定義と矛盾しなければ、あらゆる置換基は、場合により、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)Rから選択される1個、2個または3個の置換基でさらに置換されていてもよく、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である。または
(2)上に定義したアルキル基のうち、アルキル基が、酸素、硫黄およびNR−から独立して選択される1〜10個の原子で中断されており、Rが、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルから選択されるアルキル基を指す。あらゆる置換基は、場合により、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)Rから選択される置換基でさらに置換されていてもよく、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である。または
(3)上に定義したアルキル基のうち、上に定義した置換基を1個、2個、3個、4個または5個有し、上に定義した1〜10個の原子で中断されているアルキル基を指す。
【0021】
用語「低級アルキル」は、炭素原子数が1個、2個、3個、4個、5個または6個の、分枝しているかまたは分枝していない一価の飽和炭化水素鎖を指す。低級アルキルの例は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシルなどが挙げられる。
【0022】
用語「置換低級アルキル」は、上に定義した低級アルキルのうち、置換アルキルについて上に定義した1〜5個の置換基、好ましくは、1個、2個または3個の置換基を有する低級アルキル基を指すか、または置換アルキルについて定義した1個、2個、3個、4個または5個の原子によって中断された低級アルキル基を指すか、または上に定義した置換基を1個、2個、3個、4個または5個有し、上に定義した1個、2個、3個、4個または5個の原子で中断されている低級アルキル基を指す。
【0023】
用語「アルキレン」は、炭素原子数が、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個または20個、好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1個、2個、3個、4個、5個または6個の、分枝しているかまたは分枝していない二価の飽和炭化水素鎖を指す。アルキレンの例としては、例えば、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン異性体(例えば、−CHCHCH−および−CH(CH)CH−)などが挙げられる。
【0024】
用語「低級アルキレン」は、好ましくは、炭素原子数が1個、2個、3個、4個、5個または6個の、分枝しているかまたは分枝していない二価の飽和炭化水素鎖を指す。
【0025】
用語「置換アルキレン」は、
(1)上に定義したアルキレンのうち、1個、2個、3個、4個または5個の置換基を有し、置換基が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群から選択されるアルキレン基を指す。この定義と矛盾しなければ、あらゆる置換基は、場合により、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)Rから選択される1個、2個または3個の置換基でさらに置換されていてもよく、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である。または
(2)上に定義したアルキレン基のうち、アルキレン基が、酸素、硫黄およびNR−から独立して選択される1〜20個の原子で中断されており、Rが、水素、場合により置換されたアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルから選択されるか、またはカルボニル、カルボキシエステル、カルボキシアミドおよびスルホニルから選択されるアルキレン基を指す。または
(3)上に定義したアルキレン基のうち、上に定義した置換基を1個、2個、3個、4個または5個有し、上に定義した1〜20個の原子で中断されているアルキレン基を指す。置換アルキレンの例は、クロロメチレン(−CH(Cl)−)、アミノエチレン(−CH(NH)CH−)、メチルアミノエチレン(−CH(NHMe)CH−)、2−カルボキシプロピレン異性体(−CHCH(COH)CH−)、エトキシエチル(−CHCHO−CHCH−)、エチルメチルアミノエチル(−CHCHN(CH)CHCH−)、1−エトキシ−2−(2−エトキシ−エトキシ)エタン(−CHCHO−CHCH−OCHCH−OCHCH−)などである。
【0026】
用語「アラルキル」は、アルキレン基に共有結合したアリール基を指し、ここで、アリールおよびアルキレンは、本明細書に定義されるとおりである。「場合により置換されたアラルキル」は、場合により置換されたアルキレン基に、場合により置換されたアリール基が共有結合した基を指す。このようなアラルキル基の例としては、ベンジル、フェニルエチル、3−(4−メトキシフェニル)プロピルなどが挙げられる。
【0027】
用語「アルコキシ」は、R−O−基を指し、Rは、場合により置換されたアルキルまたは場合により置換されたシクロアルキルであるか、またはRは、−Y−Z基であり、Yは、場合により置換されたアルキレンであり、Zは、場合により置換されたアルケニル、場合により置換されたアルキニルまたは場合により置換されたシクロアルケニルであり、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニルは、本明細書に定義されるとおりである。好ましいアルコキシ基は、場合により、置換アルキル−O−であり、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシ、トリフルオロメトキシなどが挙げられる。
【0028】
用語「アルキルチオ」は、R−S−基を指し、Rは、アルコキシで定義されたとおりである。
【0029】
用語「アルケニル」は、好ましくは、炭素原子数が2〜20個、さらに好ましくは2〜10個、さらにより好ましくは2〜6個であり、1〜6個、好ましくは1個の二重結合(ビニル)が存在する、分枝しているかまたは分枝していない一価の不飽和炭化水素鎖を指す。好ましいアルケニル基としては、エテニルまたはビニル(−CH=CH)、1−プロピレンまたはアリル(−CHCH=CH)、イソプロピレン(−C(CH)=CH)、ビシクロ[2.2.1]ヘプテンなどが挙げられる。アルケニルが窒素に結合している場合、二重結合は窒素のα位ではありえない。
【0030】
用語「低級アルケニル」は、炭素原子数が2〜6個の、上に定義したアルケニルを指す。
【0031】
用語「置換アルケニル」は、上に定義した低級アルケニルのうち、1個、2個、3個、4個または5個の置換基、好ましくは、1個、2個または3個の置換基を有し、置換基が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される低級アルキル基を指す。この定義と矛盾しなければ、あらゆる置換基は、場合により、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)Rから選択される1個、2個または3個の置換基でさらに置換されていてもよく、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である。
【0032】
用語「アルキニル」は、好ましくは、炭素原子数が2〜20個、さらに好ましくは2〜10個、さらにより好ましくは2〜6個であり、少なくとも1個、好ましくは1〜6個のアセチレン(三重結合)不飽和部が存在する、一価の不飽和炭化水素鎖を指す。好ましいアルキニル基としては、エチニル(−C≡CH)、プロパルギル(またはプロパ−1−イン−3−イル、−CHC≡CH)などが挙げられる。アルキニルが窒素に結合している場合、三重結合は窒素のα位ではありえない。
【0033】
用語「置換アルキニル」は、上に定義したアルキニルのうち、1個、2個、3個、4個または5個の置換基、好ましくは、1個、2個または3個の置換基を有し、置換基が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群から選択されるアルキニル基を指す。この定義と矛盾しなければ、あらゆる置換基は、場合により、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)Rから選択される1個、2個または3個の置換基でさらに置換されていてもよく、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である。
【0034】
用語「アミノカルボニル」は、−C(O)NRR基を指し、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであるか、またはR基同士が結合してヘテロ環基(例えば、モルホリノ)を形成する。この定義と矛盾しなければ、あらゆる置換基は、場合により、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)Rから選択される1〜3個の置換基でさらに置換されていてもよく、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である。
【0035】
用語「アシルアミノ」は、−NRC(O)R基を指し、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルである。この定義と矛盾しなければ、あらゆる置換基は、場合により、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)Rから選択される1〜3個の置換基でさらに置換されていてもよく、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である。
【0036】
用語「アシルオキシ」は、−O(O)C−アルキル基、−O(O)C−シクロアルキル基、−O(O)C−アリール基、−O(O)C−ヘテロアリール基および−O(O)C−ヘテロシクリル基を指す。この定義と矛盾しなければ、あらゆる置換基は、場合により、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)Rでさらに置換されていてもよく、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である。
【0037】
用語「アリール」は、1個の環を有する炭素数6〜20個の芳香族炭素環基(例えばフェニル)または複数個の環を有する炭素数6〜20個の芳香族炭素環基(例えばビフェニル)であるか、または複数個の縮合(融合)環を有する炭素数6〜20個の芳香族炭素環基(例えばナフチルまたはアントリル)を指す。好ましいアリールとしては、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。
【0038】
用語「アリーレン」は、上に定義したアリール基の二価の基を指す。アリーレンの例としては、例えば、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,4’−ビフェニレンなどが挙げられる。
【0039】
アリール置換基またはアリーレン置換基の定義と矛盾しなければ、アリール基またはアリーレン基は、場合により、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基で置換されていてもよい。この定義と矛盾しなければ、あらゆる置換基は、場合により、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)Rから選択される1〜3個の置換基でさらに置換されていてもよく、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である。
【0040】
用語「アリールオキシ」は、アリール−O−基を指し、アリール基は上に定義されるとおりであり、場合により置換されたアリール基(上に定義)を含む。用語「アリールチオ」は、R−S−基を指し、Rは、アリールについて定義されたとおりである。
【0041】
用語「アミノ」は、−NH基を指す。
【0042】
用語「置換アミノ」は、−NRR基を指し、それぞれのRは、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、カルボキシアルキル(例えばベンジルオキシカルボニル)、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリル(但し、R基が両方とも水素ではない)または−Y−Z基からなる群から選択され、Yは、場合により置換されたアルキレンであり、Zは、アルケニル、シクロアルケニルまたはアルキニルである。この定義と矛盾しなければ、あらゆる置換基は、場合により、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)Rから選択される1〜3個の置換基でさらに置換されていてもよく、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である。
【0043】
用語「カルボキシアルキル」は、−C(O)O−アルキル基または−C(O)O−シクロアルキル基を指し、ここで、アルキルおよびシクロアルキルは本明細書に定義されるとおりであり、場合により、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノまたは−S(O)Rから選択される置換基でさらに置換されていてもよく、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である。
【0044】
用語「シクロアルキル」は、1個の環または複数個の縮合環を有する、炭素原子数3〜20個の炭素環基を指す。このようなシクロアルキル基の例としては、環が1個の構造のもの(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなど)、または環が複数個の構造のもの(例えば、アダマンタニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル、(2,3,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル))、またはアリール基に炭素環基が縮合したもの(例えばインダン)などが挙げられる。
【0045】
用語「置換シクロアルキル」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基、好ましくは、1個、2個または3個の置換基を有するシクロアルキル基を指す。この定義と矛盾しなければ、あらゆる置換基は、場合により、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)Rから選択される1個、2個または3個の置換基でさらに置換されていてもよく、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である。
【0046】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ、ブロモ、クロロおよびヨードを指す。
【0047】
用語「アシル」は、−C(O)R基を示し、Rは、水素、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたヘテロシクリル、場合により置換されたアリールおよび場合により置換されたヘテロアリールを指す。
【0048】
用語「ヘテロアリール」は、炭素原子数が、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個または15個であり、酸素、窒素および硫黄から選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を少なくとも1個の環に有する、芳香族環状基(すなわち完全に不飽和)から誘導される基を指す。このようなヘテロアリール基は、環が1個のもの(例えば、ピリジルまたはフリル)であってもよいし、複数個の縮合環(例えば、インドリジニル、ベンゾチアゾリルまたはベンゾチエニル)であってもよい。ヘテロアリールの例としては、限定されないが、[1,2,4]オキサジアゾール、[1,3,4]オキサジアゾール、[1,2,4]チアジアゾール、[1,3,4]チアジアゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリンなどに加え、窒素含有ヘテロアリール化合物のN−オキシド誘導体およびN−アルコキシ誘導体(例えばピリジン−N−オキシド誘導体)が挙げられる。
【0049】
ヘテロアリール置換基またはヘテロアリーレン置換基の定義と矛盾しなければ、ヘテロアリール基またはヘテロアリーレン基は、場合により、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基で置換されていてもよい。この定義と矛盾しなければ、あらゆる置換基は、場合により、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)Rから選択される1〜3個の置換基でさらに置換されていてもよく、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である。
【0050】
用語「ヘテロアラルキル」は、アルキレン基にヘテロアリール基が共有結合した基を指し、ヘテロアリールおよびアルキレンは、本明細書に定義されるとおりである。「場合により置換されたヘテロアラルキル」は、場合により置換されたアルキレン基に、場合により置換されたヘテロアリール基が共有結合した基を指す。このようなヘテロアラルキル基の例としては、3−ピリジルメチル、キノリン−8−イルエチル、4−メトキシチアゾール−2−イルプロピルなどが挙げられる。
【0051】
用語「ヘテロアリールオキシ」は、ヘテロアリール−O−基を指す。
【0052】
用語「ヘテロシクリル」は、1個の環または複数個の縮合環を有し、炭素原子数が1〜40個であり、窒素、硫黄、リンおよび/または酸素から選択される1〜10個のヘテロ原子、好ましくは、1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を環に有する、飽和または部分的に不飽和の一価の基を指す。ヘテロ環基は、1個の環を有していてもよいし、複数個の環を有していてもよく、テトラヒドロフラニル、モルホリノ、ピペリジニル、ピペラジノ、ジヒドロピリジノなどが挙げられる。
【0053】
ヘテロ環置換基の定義と矛盾しなければ、このようなヘテロ環基は、場合により、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される1個、2個、3個、4個または5個の置換基、好ましくは1個、2個または3個の置換基で置換されていてもよい。この定義と矛盾しなければ、あらゆる置換基は、場合により、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノおよび−S(O)Rから選択される1〜3個の置換基でさらに置換されていてもよく、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、nは、0、1または2である。
【0054】
用語「チオール」は、−SH基を指す。
【0055】
用語「置換アルキルチオ」は、−S−置換アルキル基を指す。
【0056】
用語「ヘテロアリールチオール」は、−S−ヘテロアリール基を指し、ヘテロアリール基は、上に定義されるとおりであり、場合により置換されたヘテロアリール基(上に定義)を含む。
【0057】
用語「スルホキシド」は、−S(O)R基を指し、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールである。「置換スルホキシド」は、−S(O)R基を指し、Rは、本明細書に定義されるような置換アルキル、置換アリールまたは置換ヘテロアリールである。
【0058】
用語「スルホン」は、−S(O)R基を指し、Rは、アルキル、アリールまたはヘテロアリールである。「置換スルホン」は、Rが、本明細書に定義されるような置換アルキル、置換アリールまたは置換ヘテロアリールである、−S(O)R基を指す。
【0059】
用語「ケト」は、−C(O)−基を指す。
【0060】
用語「チオカルボニル」基は、−C(S)−基を指す。
【0061】
用語「カルボキシ」は、−C(O)−OH基を指す。
【0062】
「任意の」または「場合により」は、その後に続く事象または環境が、起こっても起こらなくてもよく、その記載に、その事象または環境が起こる場合と、その事象または環境が起こらない場合とを含むことを意味する。
【0063】
用語「式Iおよび式IIの化合物」は、開示されるような本発明の化合物、およびその医薬的に許容される塩、医薬的に許容されるエステル、プロドラッグ、水和物および多形体を包含することを意図している。さらに、本発明の化合物には、1個以上の不斉中心が存在していてもよく、この場合、ラセミ体混合物または個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして製造してもよい。式Iの所与の化合物に存在する立体異性体の数は、存在する不斉中心の数に依存する(nが不斉中心の数だとすると、可能な立体異性体は2個である)。個々の立体異性体は、適切な合成段階で、中間体のラセミ体混合物または非ラセミ体混合物を分割することによって得てもよく、従来の手段によって式Iの化合物を分割することによって得てもよい。個々の立体異性体(個々のエナンチオマーおよびジアスレテオマーを含む)に加え、立体異性体のラセミ体混合物および非ラセミ体混合物も、本発明の範囲に包含され、別の意味であると特定的に示されていない限り、これらの異性体すべてが、本明細書に構造で示されているという意図がある。
【0064】
「異性体」は、分子式は同じであるが、異なる化合物である。
【0065】
「立体異性体」は、原子の空間配置のみが異なる異性体である。
【0066】
「エナンチオマー」は、互いに重ね合わせることができない鏡像体の関係にある一対の立体異性体である。一対のエナンチオマーの1:1混合物は、「ラセミ体混合物」である。用語「(±)」は、適切な場合、ラセミ体混合物を示すのに使用される。
【0067】
「ジアステレオマー」は、少なくとも2個の不斉原子が存在するが、互いに鏡像体ではない立体異性体である。
【0068】
絶対的な立体化学は、Cahn−Ingold−Prelog R−Sシステムによって特定される。化合物が純粋なエナンチオマーの場合、各キラル炭素での立体化学は、RまたはSのいずれかであると特定することができる。絶対配置がわからない分割済化合物は、ナトリウムD線の波長での偏光面の旋回方向(右旋性または左旋性)により、(+)または(−)で示される。
【0069】
「局所投与」は、創傷表面および隣接する上皮に治療薬剤を送達することであると定義される。
【0070】
「非経口投与」は、患者に治療薬剤を注射することによって全身に送達させることである。
【0071】
用語「治療的に有効量」は、治療の必要な哺乳動物に投与する場合、以下に定義するような治療を行うのに十分な式Iの化合物の量を指す。治療的に有効な量は、使用する治療薬剤の特定の活性、患者の年齢、健康状態、他の疾患状況の存在および患者の栄養状態に依存して変わる。さらに、患者が摂取する他の医薬は、投与する治療薬剤の治療的に有効な量の決定に影響を与える。
【0072】
用語「治療」または「治療する」は、哺乳動物の疾患の任意の治療を意味し、例えば、
(i)疾患を予防すること、つまり、疾患の臨床症状が出ないようにすること、
(ii)疾患を抑制すること、つまり、臨床症状の進行を止めること、および/または
(iii)疾患を軽減すること、つまり、臨床症状を回復させることを意味する。
【0073】
多くの場合、本発明の化合物は、アミノ基および/またはカルボキシル基またはこれに類似する基があれば、酸性塩および/または塩基性塩を形成することができる。用語「医薬的に許容される塩」は、式Iの化合物の生物学的な効果および生物学的性質を保持しているが、望ましくない生物学的性質または他の性質を有していない塩を指す。医薬的に許容される塩基性付加塩は、無機塩基および有機塩基から調製することができる。無機塩基から誘導される塩としては、一例を挙げると、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基から誘導される塩としては、限定されないが、一級アミン、二級アミンおよび三級アミン(例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換アルキルアミン、ジ(置換アルキル)アミン、トリ(置換されたアルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、トリアルケニルアミン、置換アルケニルアミン、ジ(置換アルケニル)アミン、トリ(置換アルケニル)アミン、シクロアルキルアミン、ジ(シクロアルキル)アミン、トリ(シクロアルキル)アミン、置換シクロアルキルアミン、二置換シクロアルキルアミン、三置換シクロアルキルアミン、シクロアルケニルアミン、ジ(シクロアルケニル)アミン、トリ(シクロアルケニル)アミン、置換シクロアルケニルアミン、二置換シクロアルケニルアミン、三置換シクロアルケニルアミン、シクロアルケニルアミン、三置換シクロアルケニルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ヘテロアリールアミン、ジヘテロアリールアミン、トリヘテロアリールアミン、ヘテロ環アミン、ジヘテロ環アミン、トリヘテロ環アミン、アミンの置換基のうち、少なくとも2個が異なっており、置換基が、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環などからなる群から選択されるジアミンとトリアミンとの混合物の塩が挙げられる。2個または3個の置換基が、アミノ窒素とともに、ヘテロ環またはヘテロアリール基を形成するアミンも含まれる。
【0074】
適切なアミンの特定例としては、一例を挙げると、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(iso−プロピル)アミン、トリ(n−プロピル)アミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルコサミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N−エチルピペリジンなどが挙げられる。
【0075】
医薬的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸から調製されてもよい。無機酸から誘導される塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などが挙げられる。有機酸から誘導される塩としては、酢酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、ピルビン酸塩,シュウ酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p−トルエン−スルホン酸塩、サリチル酸塩などが挙げられウ。
【0076】
本明細書で使用される場合、「医薬的に許容される担体」は、任意の溶媒およびあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗微生物薬および抗真菌薬、等張性剤および吸収遅延剤などを含む。医薬的に活性な基質に対するこのような媒体および薬剤の使用は、当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と適合しない場合以外は、治療組成物での使用が想定されている。補助的な活性成分を、組成物に組み込むこともできる。
【0077】
用語「オピオイド」は、本明細書で使用される場合、モルフィネ、コデイン、ヘロイン、オキシコドン(OxyContin)、プロポキシフェン(Darvon)、ヒドロコドン(Vicodin)およびヒドロモルホン(Dilaudid)およびメペリジン(Demerol)を含む。
【0078】
用語「興奮毒性」は、グルタミン酸および類似基質によって神経細胞が損傷し、死滅する病理過程を意味する。興奮毒性は、卒中、外傷性脳障害および中枢神経系(CNS)の神経変性疾患(例えば、多発性硬化症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病およびハンチントン病)に関与していると考えられている。
【0079】
(命名法)
本発明の化合物の命名および番号付けを、RおよびRがメチルであり、Rがエチルであり、RおよびRが水素であり、Rが3,4−ジメトキシフェニルである式Iの代表的な化合物によって示す。
【0080】
【化2】

この化合物は、以下のように命名される。
【0081】
6−[(1E)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−1,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン。
【0082】
(合成反応のパラメータ)
用語「溶媒」、「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」は、一緒に記載されている反応条件下で不活性な溶媒を意味する[例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム、塩化メチレン(またはジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、ピリジンなどが挙げられる]。矛盾する意味に特定されていない限り、本発明の反応で使用する溶媒は、不活性有機溶媒であり、反応は、不活性ガス(好ましくは窒素)下で行う。
【0083】
用語「q.s.」は、記載した機能(例えば、溶液を所望の容量(すなわち100%)にする)を達成するのに十分な量を加えることを意味する。
【0084】
(式Iの化合物の合成)
式Iの化合物を調製する1つの方法を反応スキームIに示す。
【0085】
【化3】

(工程1−式(2)の化合物の調製)
式(1)の化合物は市販されている。まず、式RCOHのカルボン酸をジフェニルホスホリルアジドおよび塩基と反応させ、得られた混合物を式(1)の化合物と反応させ、式(2)の化合物を得る。一般的に、上述のカルボン酸を不活性溶媒(例えばベンゼンまたはトルエン)に溶解し、ジフェニルホスホリルアジドおよび三級有機塩基(例えばトリエチルアミン)を加え、混合物を還流下で約1時間攪拌する。式(1)の化合物を加え、混合物を約10〜24時間還流させる。反応が実質的に終了したら、式(2)の生成物を従来の手段で単離する(例えば、酢酸エチルと水とに分配し、生成物を、例えばクロマトグラフィーまたは再結晶で精製する)。
【0086】
(1)と式RCOHのカルボン酸とをジフェニルホスホリルアジドおよび塩基存在下で反応させることは、実質上、(1)と式RN−COのイソシアネートとを反応させることであることを注記しておくべきである。多くのイソシアネートは市販されているか、または当該技術分野で周知の手段によって調製されてもよく、このイソシアネートを、RCOH、ジフェニルホスホリルアジドおよび塩基の混合物の代わりに、上述の反応に直接使用してもよい。
【0087】
(工程2−式(3)の化合物の調製)
式(2)の化合物をプロトン性溶媒中のアルコキシド(例えば、エタノール中のナトリウムエトキシド)と反応させることによって環化させ、式(3)の化合物にする。反応は、ほぼ室温で約1〜8時間行う。反応が実質的に終了したら、従来の手段によって式(3)の生成物を単離し、精製する。
【0088】
(工程4−式(4)の化合物の調製)
式(3)の化合物をハロゲン化剤(例えば臭素化剤またはヨウ素化剤、例えば、N−ブロモスクシンイミドまたはN−ヨードスクシンイミド)と反応させる。一般的に、式(3)の化合物を不活性溶媒(例えばクロロホルム)に溶解し、約0℃まで冷却する。次いで、ハロゲン化剤を加え、反応が終了するまで(例えば約5〜60分間)、この2種の化合物を攪拌する。反応が実質的に終了したら、式(4)の生成物を従来の手段で単離し、精製する(例えば、塩化メチレンと水とに分配する)。溶媒を除去し、式(4)の化合物を得る。
【0089】
(工程5−式Iの化合物の調製)
工程4で臭素化剤を使用する場合、触媒量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム存在下、式(4)の化合物を式(5)の化合物(市販されているか、または当該技術分野で周知の手段によって調製)と反応させる。一般的に、式(4)の化合物を不活性溶媒(例えばジメトキシエタン)に溶解し、式(5)の化合物を加え、次いでパラジウム触媒および炭酸ナトリウム水溶液を加える。ほぼ還流温度で約8〜24時間反応させる。反応が実質的に終了したら、式Iの生成物を従来の手段で単離し、精製する(例えば、酢酸エチルと水とに分配する)。溶媒を除去し、式Iの粗化合物を得て、これを不活性溶媒(例えば酢酸エチル)から再結晶させてさらに精製してもよい。
【0090】
工程4でヨウ素化剤を使用する場合、式(4)の化合物を、以下に示す式(5’)のビニルスタンナン化合物(市販されているか、または当該技術分野で周知の手段によって調製)と反応させる。
【0091】
【化4】

式(4)の化合物および式(5’)の化合物を、アルゴン雰囲気下、DMF中、室温でPd(PhP)と反応させる。反応剤を合わせ、マイクロ波反応器で約140℃〜160℃で5〜15分間加熱する。式Iの生成物を従来の手段で単離し、精製する(例えば、Celite濾過し、EtOAcおよび塩水で洗浄し、NaSOで乾燥する)。乾燥剤を濾別した後、減圧下で溶媒を除去し、粗混合物を得て、これをカラムクロマトグラフィーで精製し、次いで再結晶で精製してもよい。
【0092】
所望な場合、Rが水素ではない式Iの化合物は、次の反応で合成してもよい。Rが水素ではない式Iの化合物を調製する方法を、反応スキームIIに示す。
【0093】
【化5】

(Rが水素以外の式Iの化合物の調製)
が水素の式Iの化合物を、式RHalo(Haloは、クロロ、ブロモまたはヨードである)の化合物と反応させる。一般的に、式Iの化合物を極性溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド)に溶解し、式RHaloの化合物を加え、次いで塩基(例えばトリエチルアミンまたは炭酸カリウム)を加える。ほぼ室温で約8〜24時間反応させる。反応が実質的に終了したら、式Iの化合物を従来の手段で単離し、精製する(例えば、溶媒を除去し、残渣を例えばクロマトグラフィーで精製する)。
【0094】
が水素以外の式Iの化合物を調製する代替法を反応スキームIIIに示す。
【0095】
【化6】

(工程1−式(7)の化合物の調製)
式(6)の化合物は市販されている。まず、不活性溶媒(例えばトルエン)中、式RCOHのカルボン酸をジフェニルホスホリルアジドおよび塩基(例えばトリエチルアミン)と還流下で約1.5時間反応させる。次いで、混合物を40℃未満まで冷却し、式(4)の化合物を加え、混合物を約24時間還流させる。反応が実質的に終了したら、式(7)の生成物を従来の手段で単離する(例えば、酢酸エチルと水とに分配し、例えばクロマトグラフィーで精製する)。
【0096】
(工程2−式(8)の化合物の調製)
式(7)の化合物をプロトン性溶媒中のアルコキシド(例えば、エタノール中のナトリウムエトキシド)と反応させることによって環化させ、式(8)の化合物にする。一般的に、式(7)の化合物をプロトン性(protic)溶媒(例えばエタノール)に室温で溶解し、アルコキシド(例えばナトリウムエトキシド)を加える。混合物を室温で約4〜24時間(例えば一晩)維持する。反応が実質的に終了したら、式(8)の生成物を従来の手段で単離し、精製する(例えば、混合物を酸性にし、減圧下で溶媒を除去する)。
【0097】
(工程3−式(9)の化合物の調製)
次いで、式(8)の化合物を、上のスキームIIに記載したようにR位で置換し、式(9)の化合物を得る。
【0098】
(工程4−式(10)の化合物の調製)
次いで、テトラヒドロフラン中、式(9)の化合物を還元剤(例えばLiBHなど)と反応させ、アルコールに変換する。典型的には、還流条件下で1〜4時間反応させた後、式(10)の化合物を従来の手段で単離し、精製する(例えば、HOおよびMeOHを加え、AcOEtで抽出し、減圧下で溶媒を除去し、AcOEt/ヘキサンで再結晶化させる)。
【0099】
(工程5−式(11)の化合物の調製)
次いで、式(10)のアルコールを酸化剤(例えばクロロギ酸ピリジニウムまたは二酸化マンガン)とトリクロロメタン中で反応させて修飾し、式(11)のアルデヒドを得る。得られた式(11)のアルデヒドを従来の技術で単離する(例えば、エバポレーションによって溶媒を除去し、AcOEtで再結晶させる)。カラムクロマトグラフィーによって、式(11)の生成物をさらに得てもよい。
【0100】
(工程6−式Iの化合物の調製)
次いで、式(11)のアルデヒドを式(12)のジエチルメチルホスホネート誘導体と反応させる。2種類の反応剤を、典型的には、THFに溶解し、窒素雰囲気下、室温でt−BuOKを加える。式(11)の化合物が消失するまで、室温で1〜4時間反応させる。水およびAcOEtを加え、得られた二相懸濁物を濾過し、DMF/ベンゼン混合物中で再結晶化させることによって式Iの化合物を集め、所望の式Iの化合物を得る。
【0101】
式(12)のジエチルメチルホスホネート誘導体は、従来の手順によって合成してもよい。例えば、式(12)の化合物(RおよびRが水素であり、Rが3,4−ジメトキシフェニルである)を、反応スキームIVに示す方法によって調製してもよい。
【0102】
【化7】

(工程1−式(14)の調製)
市販のアルコール(例えば式(13)の化合物)を、窒素雰囲気下、室温でCBrおよびCHClと反応させ、式(14)の臭素化誘導体を得る。典型的には、窒素下、触媒としてPPhを用いて反応を行う。極性溶媒(例えばヘキサン)を加えることによって、溶液から化合物を析出させ、濾過によって集めてもよい。
【0103】
(工程2−式(12)の化合物の調製)
還流条件下、式(14)の臭素化合物をP(OEt)と約1時間反応させる。周囲温度まで冷却した後、混合物をカラムクロマトグラフィーに直接入れ、式(12)のホスホネート化合物を得る。
【0104】
(有用性の試験および投与)
(一般的な有用性)
本発明の化合物は、A2Aアデノシン受容体アンタゴニストであり、種々の疾患状態(「運動障害」(パーキンソン病、ハンチントン舞踏病およびカタレプシー)を含むCNS障害および脳虚血、興奮毒性、認知障害および生理障害、鬱病、ADHDおよび薬物中毒(アルコール、アンフェタミン、カンナビノイド、コカイン、ニコチンおよびオピオイド))を治療するのに有効である。
【0105】
(試験)
上で参照した特許および特許明細書に記載され、以下の実施例に記載されるように、当業者には明らかな方法によって活性試験を行う。
【0106】
パーキンソン病の治療に関する本発明の化合物の有用性は、マウスのカタレプシーの回復によって試験することができる。一般的に、カタレプシーは、マウスではハロペリドールの皮下注射によって誘発され、試験化合物を強制経口投与する。カタレプシーの回復は、パーキンソン病の治療への有効性を示すものである。
【0107】
アルコール症の治療に関する本発明の化合物の有用性は、上述の化合物によって、ラットがエタノールを自分から摂取するのを減らすかどうかを決定することによって試験することができる。
【0108】
不安症の治療に関する本発明の化合物の有用性は、以下の公開済の手順を用いて試験することができる。
【0109】
Behavioral models in psychopharmacology:theoretical,industrial,and clinical perspectives、Cambridge University Press、p.21−49(1991);およびAnn.NY Acad.Sci.、821、332−351,(1997)。
【0110】
高架式十字迷路法は、不安障害(特にGAD、パニック障害、広場恐怖症および特定の恐怖症)のモデルである。Psychopharmacol.、161、314−323(2002);Jpn.J.Psychopharmacol.、15、125−133(1995)およびPol.J.Pharmacol.、49、79−84(1997)。
【0111】
社会性相互作用試験(social interaction test)は、不安障害(特にGADおよび対人恐怖症)のモデルであり、Physiol.Behay.、71、551−557(2000)に記載されている。
【0112】
Vogel型コンフリクト試験(vogel conflict test)は、不安障害(特にGAD)のモデルであり、Eur.J.Pharmacol.、463、67−96(2003)に記載されている。
【0113】
ホールボード試験は、不安障害(特にGAD)のモデルであり、Eur.J.Pharmacol.、350、21−29(1998)およびPol.J.Pharmacol.、49、79−84(1997)に記載されている。
【0114】
ガラス玉覆い隠し試験(marble burying test)は、不安障害(特にOCD)のモデルであり、Jpn.J.Pharmacol.68、65−70(1995)に記載されている。
【0115】
学習性無力感は、不安障害(特にPTSD)のモデルであり、Greenら、Behavioral models in psychopharmacology:theoretical,industrial,and clinical perspectives、Cambridge University Press、p.21−49(1991);およびAnn.NY Acad.Sci.、821、332−351(1997)に記載されている。
【0116】
(医薬組成物)
式Iの化合物は、通常は、医薬組成物の形態で投与される。したがって、本発明は、活性成分として1つ以上の式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩またはエステルと、1つ以上の医薬的に許容される賦形剤、担体(不活性固体希釈剤およびフィラーを含む)、希釈剤(滅菌水溶液および種々の有機溶媒を含む)、可溶化剤およびアジュバントとを含有する医薬組成物を提供する。式Iの化合物は、単独で投与されてもよいし、他の治療薬剤と組み合わせて投与されてもよい。このような組成物は、医薬分野で周知の様式で調製される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mace Publishing Co.、Philadelphia、PA 第17版(1985)および「Modern Pharmaceutics」、Marcel Dekker,Inc.第3版(G.S.Banker & C.T.Rhodes編集)を参照)。
【0117】
(投与)
式Iの化合物は、同様の有用性を有する薬剤を投与するのに許容されるいずれかの態様(例えば、本明細書に参考として組み込まれる特許および特許明細書に記載されるもの、口腔、経鼻、動脈内への注射、静脈内投与、腹腔内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、経口投与、または吸入による投与)によって、1回の投薬で投与されてもよいし、複数回の投薬で投与されてもよい。
【0118】
経口投与は、式Iの化合物を投与するのに好ましい経路である。投与は、カプセルまたは腸溶性コーティングされた錠剤などによって行われてもよい。式Iの少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を製造するにあたり、活性成分は、通常は、賦形剤で希釈され、および/またはカプセル、小袋、紙または他の容器の形態で上述の担体に包まれている。賦形剤が希釈剤の役割を果たす場合、賦形剤は、活性成分に対してビヒクル、担体または媒体として作用する固体、半固体または液体の物質(上述のようなもの)であってもよい。したがって、上述の組成物は、錠剤、丸薬、粉末、薬用キャンディー、小袋、カプセル、エリキシル剤、懸濁物、エマルション、溶液、シロップ、エアロゾル(固体媒体として、または液体媒体中に存在)、軟膏(例えば、活性成分を10重量%まで含有するもの)、軟質ゼラチンカプセルおよび硬質ゼラチンカプセル、滅菌注射溶液および包装された滅菌粉末の形態であってもよい。
【0119】
適切な賦形剤の一例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップおよびメチルセルロースが挙げられる。処方物は、さらに、滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱物油)、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、防腐剤(例えば、メチルベンゾエートおよびプロピルヒドロキシベンゾエート)、甘味剤および矯味矯臭剤を含んでもよい。
【0120】
本発明の組成物は、当該技術分野で既知の手順を用いることによって、患者に投与した後すぐに、持続的に、または遅れて活性成分を放出するように処方化することができる。経口投与による放出制御薬物の送達系としては、ポリマーコーティングされた容器または薬物−ポリマーマトリックスによる処方物を含有する、浸透圧ポンプ系および崩壊系が挙げられる。制御放出系の例は、米国特許第3,845,770号;第4,326,525号;第4,902,514号および第5,616,345号に記載されている。本発明の方法で使用する別の処方物は、経皮送達デバイス(「パッチ」)を使用する。このような経皮パッチを使用し、本発明の化合物を制御された量だけ、連続的または非連続的に注入してもよい。薬剤を送達するための経皮パッチの構築および使用は、当該技術分野で周知である。例えば、米国特許第5,023,252号、第4,992,445号および第5,001,139号を参照。このようなパッチは、薬剤を連続的に送達するか、脈動的に送達するか、または必要に応じて送達するように構築されてもよい。
【0121】
アデノシンA2A受容体アンタゴニスト(例えば、式Iの化合物)は、広範囲の投薬量にわたって有効であり、一般的に、医薬的に有効な量で投与される。典型的には、経口投与の場合、各投薬単位には、アデノシンA2A受容体アンタゴニストが1mg〜2g含まれ、さらに一般的には1〜700mg含まれ、非経口投与の場合、アデノシンA2A受容体アンタゴニストが1〜700mg含まれ、さらに一般的には約2〜200mg含まれる。しかし、実際のアデノシンA2A受容体アンタゴニスト投与量は、関連する環境(治療対象の状態、選択した投与経路、投与する実際の化合物およびその相対活性、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の症状の重篤度など)を鑑み、医師によって決定されることが理解されるであろう。
【0122】
固体組成物(例えば錠剤)を調製する場合、主な活性成分を医薬賦形剤と混合し、本発明の化合物が均質に混合した固体医薬組成物を作製する。これらの製剤組成物が均質であるとは、活性成分が組成物全体に均一に分散しており、この組成物を、有効性が等しい単位投薬形態(例えば錠剤、丸薬およびカプセル)に簡単に分けられることを意味する。
【0123】
本発明の錠剤または丸薬は、コーティングされていてもよいし、長期間作用するという利点を与えるような単位投薬形態を提供するように構成されていてもよいし、または胃の酸性条件から保護されるように構成されていてもよい。例えば、錠剤または丸薬は、内側の投薬形態と、外側の投薬成分とを含んでいてもよく、外側の投薬成分が、内側の投薬形態を包む形態になっていてもよい。この2個の成分は、胃で分解せず、内側成分がそのままで十二指腸を通過するか、または放出が遅れるように、腸溶性層によって分割されていてもよい。このような腸溶性層またはコーティングには、種々の物質を使用することができ、このような物質としては、多くの高分子の酸、および高分子の酸と、シェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような物質との混合物が挙げられる。
【0124】
吸入または注入のための組成物は、医薬的に許容される水性溶媒または有機溶媒またはこれらの混合物の溶液および懸濁物、および粉末を含む。液体組成物または固体組成物は、上述のような適切な医薬的に許容される賦形剤を含有してもよい。好ましくは、上述の組成物は、局所的または全身で効果を発揮させるために、経口投与されるか、または鼻を通って呼吸経路へと投与される。好ましい医薬的に許容される溶媒に組成物を入れ、不活性ガスを用いて噴霧してもよい。噴霧用溶液は、噴霧デバイスから直接吸入してもよいし、噴霧デバイスをテント型フェイスマスクに接続してもよいし、または断続的な加圧呼吸器に接続してもよい。溶液、懸濁物または粉末の組成物は、好ましくは、適切な様式で処方物を送達するデバイスによって経口投与されてもよいし、経鼻投与されてもよい。
【0125】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を説明するために記載される。以下の実施例に開示した技術が、本発明を実施するのに充分に機能することが発明者らによってわかった技術をあらわし、好ましい実施態様を構成していると考えられることが、当業者には理解されるはずである。しかし、本開示内容の観点から、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示した実施形態および同じ結果または同様の結果を与える実施形態において、多くの変更をなし得ることを、当業者は理解するであろう。
【実施例】
【0126】
(実施例1 式(2)の化合物の調製)
(A.Rがエチルであり、Rがメチルである式(2)の化合物の調製)
【0127】
【化8】

プロピオン酸(3.8ml、50.64mmol)、ジフェニルホスホリルアジド(10.9ml、50.64mmol)およびトリエチルアミン(7.1ml、50.64mmol)をトルエン(30ml)中で混合し、1時間還流させた。室温まで冷却した後、2−アミノ−4−メチルチオフェン−3−カルボン酸エチル(3.13g、16.88mmol)を加え、混合物を18時間還流させた。生成物を酢酸エチルと水とに分配し、有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。酢酸エチル/ヘキサン 1:1を用いてシリカゲルで溶出させて残渣を精製し、4−メチル−2−[(メチルアミノ)カルボニルアミノ]−チオフェン−3−カルボン酸エチルを桃色結晶として得た。
【0128】
(B.RおよびRを変えた式(2)の化合物の調製)
同様に、上述の実施例1Aの手順にしたがって、場合により、2−アミノ−4−メチルチオフェン−3−カルボン酸エチルを式(1)の他の化合物に代え、場合により、酢酸を式RCOHの他のカルボン酸に代え、式(2)の以下の化合物を調製した。
【0129】
4−メチル−2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボン酸エチル;
4−メチル−2−[(プロピルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボン酸エチル;
4−メチル−2−{[(メチルエチル)アミノ]カルボニルアミノ}チオフェン−3−カルボン酸エチル;
4−メチル−2−{[(2−メチルプロピル)アミノ]カルボニルアミノ}チオフェン−3−カルボン酸エチル;
2−[(ブチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−メチルチオフェン−3−カルボン酸エチル;
2−{[(シクロプロピルメチル)アミノ]カルボニルアミノ}−4−メチルチオフェン−3−カルボン酸エチル;
4−メチル−2−[(フェニルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボン酸エチル;
4−メチル−2−[(2−チエニルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボン酸エチル;
4−メチル−2−({[(4−メチルフェニル)メチル]アミノ}カルボニルアミノ)チオフェン−3−カルボン酸エチル;
2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−フェニルチオフェン−3−カルボン酸エチル;
2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−(2−フリル)チオフェン−3−カルボン酸エチル;
2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−(2−チエニル)チオフェン−3−カルボン酸エチル;
2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−(4−フェニルフェニル)チオフェン−3−カルボン酸エチル;および
2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−(メチルエチル)チオフェン−3−カルボン酸エチル。
【0130】
(C.RおよびRを変えた式(2)の化合物の調製)
同様に、上述の実施例1Aの手順にしたがって、場合により、2−アミノ−4−メチルチオフェン−3−カルボン酸エチルを式(1)の他の化合物に代え、場合により、酢酸を式RCOHの他のカルボン酸(Rは、酢酸について上に定義したとおりである)に代え、式(2)の他の化合物を調製する。
【0131】
(実施例2 式(3)の化合物の調製)
(A.Rがエチルであり、Rがメチルである式(3)の化合物の調製)
【0132】
【化9】

4−メチル−2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボキン酸エチル(3.45g、13.46mmol)のエタノール(10ml)懸濁物に、ナトリウムエトキシド溶液(2M エタノール溶液、10ml、20mmol)を室温で加え、混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物に氷を加え、氷浴で冷却し濃塩酸でpHが1未満になるまで酸性にした。水(70ml)を加え、得られた固体を濾別し、水で洗浄し、減圧下で乾燥し、3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0133】
(B.RおよびRを変えた式(3)の化合物の調製)
同様に、上述の実施例2Aの手順にしたがって、4−メチル−2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボキン酸エチルを式(2)の他の化合物に代え、式(3)の以下の化合物を調製した。
【0134】
3,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−プロピル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−メチルエチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−(2−メチルプロピル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−ブチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−シクロプロピルメチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−フェニル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−(2−チエニル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−(4−メチルフェニル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−(メチルエチル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−フェニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−(4−フェニルフェニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−6−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
1,5−ジメチル−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
3−エチル−5−(2−フリル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;および
3−エチル−5−(2−チエニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン。
【0135】
(C.Rが水素の式Iの化合物の調製)
同様に、上述の実施例2Aの手順にしたがって、4−メチル−2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボキン酸エチルを式(2)の他の化合物に代え、Rが水素である式Iの他の化合物を調製する。
【0136】
(実施例3 式(4)の化合物の調製)
(HalがBrであり、Rがエチルであり、Rがメチルである式(4)の化合物の調製)
【0137】
【化10】

3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン(2.58g、12.27mmol)のクロロホルム(60ml)懸濁物を0℃まで冷却し、攪拌しながら、N−ブロモスクシンイミド(2.18g、12.27mmol)を15分かけて何回かに分けて加えた。混合物を30分間攪拌し、メタノール(10ml)を加えると、固体を生じ、溶液になった。この溶液を水(30ml)で抽出し、水層を塩化メチレンで洗浄した(50ml×2回)。有機層を合わせた後、固体が生成し、メタノール20mlをさらに加え、この固体を溶解させた。この溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濾液から溶媒を除去し、6−ブロモ−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを褐色結晶として得た。この固体を酢酸エチル(30ml)から結晶化させて淡褐色固体を得た。この残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで酢酸エチル/ヘキサン 1:1で溶出させ、さらに精製した生成物を得た。
【0138】
(B.RおよびRを変えた式(4)の化合物の調製)
同様に、上述の実施例3Aの手順にしたがって、3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを式(3)の他の化合物に代え、例えば、以下の式(4)の他の化合物を調製した:
6−ブロモ−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−プロピル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−メチルエチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−(2−メチルプロピル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−ブチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−シクロプロピルメチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−フェニル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−(2−チエニル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−(4−メチルフェニル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;および
6−ブロモ−3−エチル−5−(メチルエチル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン。
【0139】
(C.RおよびRを変えた式(4)の化合物の調製)
同様に、上述の実施例3Aの手順にしたがって、3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを式(3)の他の化合物に代え、式(4)の以下の化合物を調製する。
【0140】
6−ブロモ−3−エチル−5−フェニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−エチル−5−(4−フェニルフェニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−ブロモ−3−エチル−5−(2−フリル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;および
6−ブロモ−3−エチル−5−(2−チエニル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン。
【0141】
(実施例4 式Iの化合物の調製)
(A.Rがエチルであり、R、RおよびRが水素であり、Rがメチルであり、Rがフェニルである式Iの化合物の調製)
【0142】
【化11】

アルゴン雰囲気下、3mLのSmith Process Vialに、6−ブロモ−3−エチルチエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン(48.8mg、0.1688mmol)、2−フェニルエテニルボロン酸(70.0mg、0.422mmol、2.5当量)およびPd(PhP)(9.8mg、0.00844mmol、0.05当量)を加えた。このフラスコに、DME(2mL)および2M−NaCO(0.5mL)を室温で加え、出発物質の濃度を0.07Mにした。混合物をマイクロ波反応器で160℃で10分間加熱した(Emrys Optimizer microwave、Smith Process VialおよびEmrys Optimizerは、Personal chemistry,Inc.(ウプサラ)の登録商標)。混合物をCelite(3g)で濾過し、CeliteをEtOAc(70mL)で洗浄した。濾液を塩水(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、減圧下で溶媒を除去し、粗混合物を得た。粗混合物をAcOEt(4mL)によって再結晶化することによって精製し、3−エチル−5−メチル−6−(E−2−フェニルエテニル)チエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを淡褐色粉末として得た。
【0143】
【化12】

(B.R、RおよびRを変えた式Iの化合物の調製)
同様に、上述の実施例4Aの手順にしたがって、場合により、6−ブロモ−3−エチルチエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを式(4)の他の化合物に代え、場合により、2−フェニルエテニルボロン酸を他のボロン酸誘導体に代え、式Iの以下の化合物を調製した。
【0144】
6−[(1E)−2−(4−フルオロフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(3−フルオロフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(4−クロロフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(4−フェニルフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−{(1E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル}−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(4−メチルフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(4−メトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(2−フルオロフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(2−メトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(3,5−ジメトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−フェニルビニル)−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;および
6−[(1E)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)ビニル]−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン。
【0145】
(C.R、RおよびRを変えた式Iの化合物の調製)
同様に、上述の実施例4Aの手順にしたがって、場合により、6−ブロモ−3−エチルチエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを式(4)の他の化合物に代え、場合により、2−フェニルエテニルボロン酸を他のボロン酸誘導体に代え、式Iの他の化合物を調製する。
【0146】
(実施例5 式(4)の化合物の調製)
(A.HalがIであり、Rがエチルであり、Rがメチルである式(4)の化合物の調製)
【0147】
【化13】

100mL丸底フラスコに、3−エチル−5−メチルチエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン(513.2mg、2.44mmol)を入れた。このフラスコに、室温でCHCl(6mL)を入れ、出発物質を懸濁させた。得られた懸濁物に、N−ヨードスクシンイミド(549.2mg、2.44mmol、1.0当量)を0℃で15分かけて滴下した。混合物を0℃で30分間攪拌した。反応が終了したら、反応混合物にMeOH(10mL)を加えた。得られた懸濁物を濾過し、第1の生成物(crop)を淡桃色粉末として得た(549.0mg)。得られた母液を濃縮し、EtOAc(4mL)から再結晶化させ、第2の生成物(179.9mg)を淡黄色粉末として得た。生成物の合計収量は、728.7g(89%)であった。
【0148】
(B.RおよびRを変えた式(4)の化合物の調製)
同様に、上述の実施例5Aの手順にしたがって、3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを式(3)の他の化合物に代え、式(4)の以下の化合物を調製する。
【0149】
(実施例6 式(5’)の化合物の調製)
(A.RおよびRが水素であり、Rが3−メトキシフェニルである式Iの化合物の調製)
【0150】
【化14】

冷却器を取り付けた25mLフラスコに、3−メトキシフェニルアセチレン(304.0mg、2.30mmol)を入れた。窒素雰囲気下、このフラスコに室温でベンゼン(3mL)を入れ、出発物質を溶解した。この混合物にBuSnH(1.2ml、4.60mmol、2.0当量)およびAIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、75.5mg、0.46mmol、0.2当量)を加えた。混合物を還流条件下で1時間加熱した。溶媒を除去した後、混合物をカラムクロマトグラフィー(SiO=80g、ヘキサン/EtOAc=1:50)で精製し、所望の生成物(780.3mg、2.68mmol、定量的)を無色油状物として得た。
【0151】
(B.Rを変えた式(5’)の化合物の調製)
同様に、上述の実施例6Aの手順にしたがって、3−メトキシフェニルアセチレンを他のアセチレン化合物に代え、以下の式Iの化合物を調製した:
2−(ピリド−3−イル)ビニルトリブチルスタンナン。
【0152】
(C.R、RおよびRを変えた式Iの化合物の調製)
同様に、上述の実施例6Aの手順にしたがって、3−メトキシフェニルアセチレンを他のアセチレン化合物に代え、以下の式Iの化合物を調製する。
【0153】
(実施例7 式Iの化合物の調製)
(A.Rがエチルであり、R、RおよびRが水素であり、Rがメチルであり、Rが2−メトキシフェニルである式Iの化合物の調製)
【0154】
【化15】

アルゴン雰囲気下、3mLのSmith Process Vialに、6−ヨード−3−エチルチエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン(56.7mg、0.1688mmol)、2−(ピリド−3−イル)トリブチルビニルスタンナン(122.8mg、0.422mmol、2.5当量)およびPd(PhP)(9.8mg、0.00844mmol、0.05当量)を加えた。このフラスコに、DME(2mL)を室温で加え、出発物質の濃度を0.07Mにした。混合物をマイクロ波反応器で160℃で10分間加熱した(Emrys Optimizer microwave、Smith Process VialおよびEmrys Optimizerは、Personal chemistry,Inc.(ウプサラ)の登録商標)。混合物をCelite(3g)で濾過し、CeliteをEtOAc(70mL)で洗浄した。濾液を塩水(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥した。乾燥剤を濾別した後、減圧下で溶媒を除去し、粗混合物を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO=80g、ヘキサン/EtOAc=1:50)を用いて精製した後、得られた物質を再結晶(CHCl/ヘキサン=4mL/4mL)によって精製し、6−[(1E)−2−(3−メトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを淡黄色粉末として得た。
【0155】
(B.R、RおよびRを変えた式Iの化合物の調製)
同様に、上述の実施例7Aの手順にしたがって、場合により、6−ヨード−3−エチルチエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを式(4)の他の化合物に代え、場合により、2−(ピリド−3−イル)トリブチルビニルスタンナンを他のビニルスタンナン誘導体に代え、式Iの以下の化合物を調製した:
6−[(1E)−2−(ピリド−3−イル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオ−フェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン。
【0156】
(C.R、RおよびRを変えた式Iの化合物の調製)
同様に、上述の実施例7Aの手順にしたがって、場合により、6−ヨード−3−エチルチエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを式(4)の他の化合物に代え、場合により、2−(ピリド−3−イル)トリブチルビニルスタンナンを他のビニルスタンナン誘導体に代え、式Iの以下の化合物を調製する。
【0157】
(実施例8 Rが水素以外である式Iの化合物の調製)
(A.Rがエチルであり、RおよびRが水素であり、RおよびRがメチルであり、Rがフェニルである、式Iの化合物の調製)
【0158】
【化16】

10mL丸底フラスコに、3−エチル−5−メチル−6−(E−2−フェニルエテニル}チエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを入れた。出発物質をDMF(0.5mL)に溶解し、室温で溶液をi−PrNEt(6.2mg、0.048mmol、5当量)およびMeI(4.1mg、0.0288mmol、3当量)で処理した。混合物を室温で2時間攪拌した。この反応混合物にHO(30mL)を加え、混合物全部をAcOEtで抽出した(30mL×3回)。有機層を合わせ、塩水(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥した。濾過によって乾燥剤を除去した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた粗混合物をカラムクロマトグラフィー(SiO=25g、ヘキサン/EtOAc=1:1)を用いて精製し、メチル化生成物を得た。
【0159】
【化17】

(B.R、RおよびRを変えた式Iの化合物の調製)
同様に、上述の実施例8Aの手順にしたがって、場合により、3−エチル−5−メチル−6−(E−2−フェニルエテニル}チエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを、Rが水素の式Iの他の化合物に代え、場合により、MeIを他のハロゲン化R誘導体に代え、式Iの以下の化合物を調製した:
6−((1E)−2−フェニルビニル)−1,3−ジエチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−フェニルビニル)−3−エチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−フェニルビニル)−3−エチル−1−(3−ヒドロキシプロピル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン;および
6−((1Z)−2−フェニルビニル)−3−エチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン。
【0160】
(実施例9 式(7)の化合物の調製)
(A.Rがエチルであり、Rがメチルである式(7)の化合物の調製)
【0161】
【化18】

プロピオン酸(0.8ml、10mol)、ジフェニルホスホリルアジド(2.22ml、10.3mmol)およびトリエチルアミン(1.39ml、10mmol)をトルエン(15ml)中で混合し、90分間還流させた。混合物を40℃未満まで冷却した後、2−アミノ−5−(エトキシカルボニル)−4−メチルチオフェン−3−カルボン酸エチル(1.76g、6.85mmol)のトルエン(10ml)溶液を加え、混合物を24時間還流させた。反応混合物を塩水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を除去し、酢酸エチル/ヘキサン 1:6から1:4を用いたカラムクロマトグラフィーで溶出させて残渣を精製し、5−(エトキシカルボニル)−2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−メチルチオフェン−3−カルボン酸エチルを得た。構造をH NMRおよび質量分析で確認した。
【0162】
(B.式(7)の他の化合物の調製)
同様に、上述の実施例9Aの手順にしたがって、場合により、2−アミノ−5−(エトキシカルボニル)−4−メチルチオフェン−3−カルボン酸エチルを式(4)の他の化合物に代え、場合により、プロピオン酸を式RCOHの他のカルボン酸に代え、式(7)の他の化合物を調製する。
【0163】
(実施例10 式(8)の化合物の調製)
(A.Rがエチルであり、Rがメチルである式(8)の化合物の調製)
【0164】
【化19】

5−(エトキシカルボニル)−2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−メチルチオフェン−3−カルボン酸エチル(0.93g、2.84mmol)のエタノール(20ml)溶液に、ナトリウムエトキシドのエタノール溶液(21%w/w、2ml)を加えた。混合物を室温で一晩攪拌し、0℃まで冷却し、1N塩酸で酸性にした。減圧下で混合物から溶媒を除去し、固体残渣に水を加え、得られた固体を濾別し、水で洗浄し、エタノールから再結晶させ、3−エチル−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルを得た。質量分析およびH NMRの結果は満足のいくものであった。
【0165】
(B.式(8)の他の化合物の調製)
同様に、上述の実施例10Aの手順にしたがって、5−(エトキシカルボニル)−2−[(エチルアミノ)カルボニルアミノ]−4−メチルチオフェン−3−カルボン酸エチルを式(7)の他の化合物に代え、式(8)の他の化合物を調製する。
【0166】
(実施例11 式(9)の化合物の調製)
(A.Rがエチルであり、RおよびRがメチルである式(9)の化合物の調製)
【0167】
【化20】

100mL丸底フラスコに、3−エチル−5−メチルチエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン−6−カルボン酸エチルを入れた。このフラスコに、室温でDMF(4mL)を入れ、出発物質を溶解させた。この溶液に、室温でi−PrNEt(3.0mL、18.1mmol、5当量)およびMeI(0.67ml、10.86mmol、3当量)を連続して加えた。この混合物を室温で1時間攪拌した。反応が終了したら、懸濁物にHO(30mL)およびAcOEt(30mL)を加えた。しかし、沈殿は、二相性の層に残ったままであり、溶解しなかった。そこで、この懸濁物をガラスフィルタで濾過した。ガラスフィルタ上に残った残渣をAcOEt(10mL)で洗浄し、3−エチル−1,5−ジメチルチエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン−6−カルボン酸エチルの第1の生成物を得た。濾液をAcOEtで抽出した(10mL×2回)。有機層を合わせ、塩水(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥した。減圧下で溶媒を除去し、粗混合物を得た。この粗物質をAcOEt(4mL)から再結晶させて精製し、第2の生成物を得た。
【0168】
(B.式(9)の他の化合物の調製)
同様に、上述の実施例11Aの手順にしたがって、3−エチル−5−メチルチエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン−6−カルボン酸エチルを式(8)の他の化合物に代え、式(9)の以下の化合物を調製する。
【0169】
(実施例12 式(10)の化合物の調製)
(A.Rがエチルであり、RおよびRがメチルである式(10)の化合物の調製)
【0170】
【化21】

冷却器を取り付けた100mL丸底フラスコに、3−エチル−1,5−ジメチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルを加えた。このフラスコに、室温でTHF(10mL)を入れ、出発物質を懸濁させた。この懸濁物に、LiBH(629.2mg、28.89mmol、9当量)を室温で加え、混合物を還流条件下で2時間加熱した。反応が終了したら、0℃で懸濁物にHO(30mL)およびMeOH(20mL)を加えた。全体をAcOEtで抽出した(30mL×3回)。有機層を合わせ、塩水(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥した。減圧下で溶媒を除去し、粗生成物を得た。この粗物質をAcOEt/ヘキサン(1:1、18mL)から再結晶させて精製し、無色針状物を第1の生成物として得た。母液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO=25g、ヘキサン/EtOAc=1:1)を用いて精製し、所望の生成物の第2の生成物を得た。質量分析およびH NMRの結果は満足のいくものであった。
【0171】
(B.式(10)の他の化合物の調製)
同様に、上述の実施例12Aの手順にしたがって、3−エチル−1,5−ジメチル−2,4−ジオキソ−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−6−カルボン酸エチルを式(9)の他の化合物に代え、式(10)の他の化合物を調製する。
【0172】
(実施例13 式(11)の化合物の調製)
(A.Rがエチルであり、RおよびRがメチルである式(11)の化合物の調製)
【0173】
【化22】

冷却器を取り付けた100mL丸底フラスコに、3−エチル−1,5−ジメチル−6−ヒドロキシメチルチエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを加えた。このフラスコに、室温でMnO(1.77g、20.32mmol、8当量)およびCHCl(10mL)を加えた。懸濁物を還流条件下で1時間加熱した。反応が終了したら、懸濁物に室温でMeOH(30mL)を加えた。Celite(3g)およびAcOEt(70mL)を用いたガラスフィルタで酸化剤を濾液から濾別した。濾液から溶媒を除去し、AcOEt/ヘキサン(1:1)(18mL)を残渣に加え、第1の生成物を得た(黄色粉末、540.9mg)。母液を濃縮し、AcOEt(3mL)から再結晶化させることによって精製し、第2の生成物を得た。得られた母液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO=25g、ヘキサン/EtOAc=1:1)を用いて精製し、第3の生成物を得た。
【0174】
(B.式(11)の他の化合物の調製)
同様に、上述の実施例13Aの手順にしたがって、3−エチル−1,5−ジメチル−6−ヒドロキシメチルチエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを式(10)の他の化合物に代え、式(11)の他の化合物を調製する。
【0175】
(実施例14 式(12)の化合物の調製)
(A.RおよびRが水素であり、Rが3,4−ジメトキシフェニルである式Iの化合物の調製)
【0176】
【化23】

注入口を取り付けた1L丸底フラスコに、CBr(5.48g、16.53mmol、1当量)およびCHCl(30mL)を入れた。この溶液に、窒素雰囲気下室温でPPh(8.67g、33.06mmol、2当量)を加えた。室温で30分間攪拌した後、3,5−ジメトキシベンジルアルコール(2.78g、16.53mmol)を加えた。反応混合物を室温でさらに1時間攪拌した。この混合物にヘキサン(600mL)を加えた。14時間攪拌した後、粘着性の褐色がかった黄色物質がフラスコ表面にへばりついていた。上澄みをデカンテーションし、ガラスフィルタで濾過した。次いで、減圧下で濾液から溶媒を除去し、粗臭化ベンジルを得た。
【0177】
得られた粗生成物をすぐに次の反応条件下においた。粗臭化ベンジルにP(OEt)(5.49g、33.06mmol、2当量)を室温で加えた。混合物を還流条件下で1時間加熱した。周囲温度まで冷却した後、混合物をカラムクロマトグラフィー(SiO=80g、ヘキサン/EtOAc=1:1、次いでAcOEt、次いで20%MeOH/AcOEt)で精製し、ホスホネートを得た。
【0178】
(実施例15 式Iの化合物の調製)
(A.Rがエチルであり、RおよびRがメチルであり、RおよびRが水素であり、Rが3,4−ジメトキシフェニルである式Iの化合物の調製)
【0179】
【化24】

注入口を取り付けた250mL丸底フラスコに、3−エチル−1,5−ジメチルチエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン−6−カルボキシアルデヒド(562.9mg、2.231mmol)およびジエチル(3,4−ジメトキシフェニル)メチルホスホネート(965.7mg、3.35mmol、1.5当量)を入れた。これらの出発物質をTHF(7mL)に溶解した。窒素雰囲気下、この溶液に室温でt−BuOK(500.7mg、4.46mmol、2当量)を加えた。室温で2時間攪拌した後、t−BuOKをさらに1当量(250.3mg、2.23mmol)加えた。反応混合物を室温でさらに1時間攪拌した。アルデヒドが完全に消失したら、HO(20mL)およびAcOEt(30mL)を混合物に加えた。得られた二相懸濁物をガラスフィルタで濾過し、粗生成物の第1の生成物を淡褐色粉末として得た。粗生成物をDMF/ベンゼン(2mL+10mL)から再結晶化させ、純粋な所望の生成物を淡褐色粉末(168.2mg)として得た。すべての母液を合わせ、AcOEtで抽出した(30mL×3回)。有機層を合わせ、塩水(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥した。減圧下で溶媒を除去し、別の粗生成物を得た。これをカラムクロマトグラフィー(SiO=80g、ヘキサン/EtOAc=1:1)で精製し、AcOEt/ヘキサン(1:1、10mL)から再結晶化させ、所望の生成物を得た。
【0180】
【化25】

(B.Rを変えた式Iの他の化合物の調製)
同様に、上述の実施例15Aの手順にしたがって、3−エチル−1,5−ジメチルチエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオン−6−カルボキシアルデヒドを式(11)の他の化合物に代え、および/またはジエチル(3,4−ジメトキシフェニル)メチルホスホネートを式(12)の他の化合物に代え、式Iの以下の他の化合物を調製する。
【0181】
(実施例16 式Iの化合物の調製)
(A.Rがプロパ−2−イニルであり、Rがメチルである化合物を得るための、式(3)の化合物のアルキル化)
上述の実施例2Aの手順にしたがい、4−メチル−2−[(メチルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボン酸エチルを4−メチル−2−[(プロパ−2−イニルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボン酸エチルに代え、3−エチル−5−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを調製した。
【0182】
(B.Rがプロパ−2−イニルであり、Rがメチルであり、Rがメチルである、式(3)の化合物の調製)
3−エチル−5−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンのDMF溶液に、炭酸カリウム(2当量)を加え、次いでヨウ化メチル(2当量)を加え、室温で4時間攪拌した。出発物質が完全に反応したら、溶媒を留去し、残渣を水で処理した。沈殿を濾過し、水で洗浄し、乾燥した。NMRは、1,5−ジメチル−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェン[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンの構造と一致しており、この化合物を次の工程で使用した。
【0183】
(C.Rがプロパ−2−イニルであり、Rがメチルであり、Rがメチルである、Bで合成した化合物のヨウ素化)
Bで合成した化合物のクロロホルム溶液に、0℃でN−ヨードコハク酸アミド(1.2当量)を30分かけて何回かにわけてゆっくりと加え、2時間攪拌した。沈殿を濾過し、クロロホルムで洗浄し、乾燥した。この生成物を工程Dで使用した。
【0184】
(D.Rがプロパ−2−イニルであり、RおよびRがメチルであり、RおよびRが水素であり、Rがフェニルである、式Iの化合物の調製)
上述の実施例4Aの手順にしたがい、場合により、6−ブロモ−3−エチルチエノ[2,3−b]ピリミジン−2,4−ジオンを他の化合物に代え、場合により、2−フェニルエテニルボロン酸を他のボロン酸誘導体に代え、以下の式Iの化合物を調製した。
【0185】
6−((1E)−2−フェニルビニル)−1,5−ジメチル−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン。
【0186】
(E.式Iの他の化合物の調製)
同様に、上述の実施例16A〜16Dの手順にしたがって、4−メチル−2−[(プロパ−2−イニルアミノ)カルボニルアミノ]チオフェン−3−カルボン酸エチルを式(2)の他の化合物に代え、式Iの以下の化合物を調製した。
【0187】
6−[(1E)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1−[(フェニルメトキシ)メチル]−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン。
【0188】
(実施例17)
以下の成分を含有する硬質ゼラチンカプセルを調製する。
【0189】

成分 量(mg/カプセル)
活性成分 30.0
デンプン 305.0
ステアリン酸マグネシウム 5.0

上述の成分を混合し、硬質ゼラチンカプセルに充填する。
【0190】
(実施例18)
以下の成分を用いて、錠剤処方物を調製する。
【0191】

成分 量(mg/錠剤)
活性成分 25.0
微晶質セルロース 200.0
コロイド状二酸化ケイ素 10.0
ステアリン酸 5.0

上述の成分をブレンドし、圧縮して錠剤を作製する。
【0192】
(実施例19)
以下の成分を含有する硬質ゼラチンカプセルを調製する。
【0193】

成分 量(mg/カプセル)
活性成分 30.0
デンプン 305.0
ステアリン酸マグネシウム 5.0

上述の成分を混合し、硬質ゼラチンカプセルに充填する。
【0194】
(実施例20)
以下の成分を用いて、錠剤処方物を調製する。
【0195】

成分 量(mg/錠剤)
活性成分 25.0
微晶質セルロース 200.0
コロイド状二酸化ケイ素 10.0
ステアリン酸 5.0

上述の成分をブレンドし、圧縮して錠剤を作製する。
【0196】
(実施例21)
以下の成分を含有する乾燥粉末吸入処方物を調製する。
【0197】

成分 重量%
活性成分 5
ラクトース 95

活性成分をラクトースと混合し、混合物を乾燥粉末吸入装置(appliance)に入れる。
【0198】
(実施例22)
それぞれ活性成分30mgを含有する錠剤を以下のように調製する。
【0199】

成分 量(mg/錠剤)
活性成分 30.0mg
デンプン 45.0mg
微晶質セルロース 35.0mg
ポリビニルピロリドン(10%滅菌水溶液) 4.0mg
ナトリウムカルボキシメチルデンプン 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
タルク 1.0mg
合計 120mg

活性成分、デンプンおよびセルロースを20番メッシュのU.S.ふるいに通し、充分に混合する。得られた粉末とポリビニルピロリドン溶液とを混合し、16番メッシュのU.S.ふるいに通す。このようにして得られた顆粒を50〜60℃で乾燥し、16番メッシュのU.S.ふるいに通す。ナトリウムカルボキシメチルデンプン、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクをあらかじめ30番メッシュのU.S.ふるいに通しておき、顆粒に加え、混合した後、錠剤作製機で圧縮し、それぞれ120mgの錠剤を得る。
【0200】
(実施例23)
それぞれ活性成分25mgを含有する坐剤を以下のように作製する。
【0201】

成分 量
活性成分 25mg
飽和脂肪酸グリセリド 2000mgになる量

活性成分を60番メッシュのU.S.ふるいに通し、必要最小限の熱を加えて融解させておいた飽和脂肪酸グリセリドに懸濁させる。この混合物を名目上2.0gの用量の坐剤型に流し、冷却する。
【0202】
(実施例24)
投薬量5.0mLあたり、それぞれ活性成分50mgを含有する坐剤を以下のように作製する。
【0203】

成分 量
活性成分 50.0mg
キサンタンゴム 4.0mg
ナトリウムカルボキシメチルセルロース(11%)
微晶質セルロース(89%) 50.0mg
スクロース 1.75g
安息香酸ナトリウム 10.0mg
矯味矯臭剤および色素 q.v.
精製水 5.0mLになる量

活性成分、スクロースおよびキサンタンゴムをブレンドし、10番メッシュのU.S.ふるいに通し、あらかじめ作製しておいた微晶質セルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースの水溶液と混合する。安息香酸ナトリウム、矯味矯臭剤および色素をいくらかの水で希釈し、水を攪拌しながら加えた。所望の容積を得るのに充分な水を加える。
【0204】
(実施例25)
皮下処方物を以下のように調製してもよい。
【0205】

成分 量
活性成分 5.0mg
トウモロコシ油 1.0mL

(実施例26)
以下の組成を有する注射用製剤を調製する。
【0206】

成分 量
活性成分 2.0mg/mL
マンニトール,USP 50mg/mL
グルコン酸,USP q.s.(pH5〜6)
水(蒸留、滅菌) 1.0mLになる量
窒素ガス,NF q.s.

(実施例27)
以下の組成を有する局所製剤を調製する。
【0207】

成分 グラム
活性成分 0.2〜10
Span 60 2.0
Tween 60 2.0
鉱物油 5.0
ワセリン 0.10
メチルパラベン 0.15
プロピルパラベン 0.05
BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール) 0.01
水 100になるまでの量

上述の成分をすべて(水以外)混合し、攪拌しながら60℃まで加熱する。60℃で激しく攪拌しながら充分な量の水を加え、成分を乳化させ、100gになるまで水を加える。
【0208】
(実施例28)
持続性放出組成物
【0209】
【化25−1】

本発明の持続性放出組成物は、以下のように調製する。化合物およびpH依存性バインダーおよび任意の賦形剤を充分に混合する(乾式混合)。乾式混合した混合物に、強塩基水溶液を噴霧して顆粒にする。顆粒を乾燥し、ふるい、任意の滑沢剤(例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム)と混合し、圧縮して錠剤にする。好ましい強塩基水溶液は、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)の溶液であり、例えば水酸化ナトリウム水溶液である(場合により、水混和性の溶媒(例えば低級アルコール)を25%まで含有)。
【0210】
得られた錠剤を、識別の目的、味をマスキングする目的および飲み込みやすさを改良する目的で、任意の膜形成剤でコーティングしてもよい。膜形成剤は、典型的には、錠剤の2重量%〜4重量%の範囲の量で存在する。適切な膜形成剤は、当該技術分野で周知であり、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン性メタクリル酸コポリマー(ジメチルアミノエチルメタクリレート/メチル−ブチルメタクリレートコポリマー−Eudragit(商標)E−Roehm.Pharma)などが挙げられる。これらの膜形成剤は、場合により、着色剤、可塑剤および他の補助成分を含有してもよい。
【0211】
圧縮した錠剤は、例えば、8Kpの圧縮力に耐えるのに充分な硬度を有する。錠剤の大きさは、主に錠剤に含まれる化合物の量に依存する。錠剤は、化合物の遊離塩基を300〜1100mg含む。例えば、錠剤は、化合物の遊離塩基を400〜600mg、650〜850mg、900〜1100mg含む。
【0212】
崩壊速度に影響を与えるために、化合物を含有する粉末を湿式混合する時間を制御する。例えば、粉末を混合する合計時間(すなわち、粉末が水酸化ナトリウム溶液にさらされる時間)は1〜10分であり、例えば、2〜5分である。顆粒にした後、この粒子を顆粒作製機から取り出し、流動床式乾燥機に入れ、約60℃で乾燥する。
【0213】
(実施例29)
(A2Aアンタゴニスト活性の決定)
(試薬)
トリチウム化したアデノシンA2Aアンタゴニストである3−(3−ヒドロキシプロピル)−7−メチル−8−(m−メトキシスチリル)−1−プロパルギルキサンチン(H−MSX−2、比活性:80Ci/mmol)をAmerican Radiolabeled Chemicals,Inc(ミズーリ州セントルイス)から購入した。トリチウム化したアデノシンAアンタゴニストである1,3−ジプロピル−8−シクロペンチルキサンチン([H]DPCPX、比活性:120Ci/mmol)を、Perkin Elmer(マサチューセッツ州ボストン)から購入した。トリチウム化したアデノシンA2Bアンタゴニストである4−(2−[7−アミノ−2−(2−フリル)[1,2,4]トリアゾロ[2,3−a][1,3,5]トリアジン−5−イルアミノ]エチル)フェノール([H]ZM241385、比活性:27.4Ci/mmol)を、American Radiolabeled Chemicals,Inc(ミズーリ州セントルイス)から購入した。アデノシンデアミナーゼ(ADA)を、Roche Molecular Biochemicals(ニュージャージー州ナットレー)から購入した。GTPを、Sigmaから購入した。化合物の濃縮ストック溶液(10mM)をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、−20℃で保存し、実験に使用するために、Tris−EDTA緩衝液(50mM Trisおよび1mM EDTA、10mM MgCl、pH7.4)で希釈した。実験中のTris−EDTA緩衝液中のジメチルスルホキシドの最終濃度は、1%以下であった。雄のSprague Dawleyラット(体重250〜400g、8〜10週齢)を、Charles River Labs(マサチューセッツ州ウィルミントン)から購入した。
【0214】
(細胞培養)
ヒトA2Aアデノシン受容体またはヒトA2Bアデノシン受容体を安定に発現するHEK293(ヒト胚性腎臓293)細胞を、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、100 IU/ml ペニシリン、50μg/ml ストレプトマイシンおよび2μg/ml ピューロマイシンを追加したDMEM中で維持した。ヒトAアデノシン受容体またはヒトAアデノシン受容体を安定に発現するCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞を、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、100 IU/ml ペニシリン、50μg/ml ストレプトマイシンおよび8μg/ml ピューロマイシンを追加したF12K培地中で維持した。PC12(ラット褐色細胞腫)細胞を、10%ウマ血清および2.5%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、100 IU/ml ペニシリンおよび50μg/ml ストレプトマイシンを追加したF12K培地中で培養した。すべての細胞を、加湿した5% CO/95% 空気のインキュベータ中で37℃で維持し、1週間に2回培養を繰り返した(recultivate)。
【0215】
(膜の調製)
150mm皿で培養した細胞をPBSで1回洗浄し、かきとり、プロテアーゼ阻害剤のカクテルを含有する緩衝液A(10mM HEPES、10mM EDTA、pH7.4)を用いて集めた。次いで、手持ち式のホモジナイザーで、速度4.5で1分間、細胞をホモジェネートした。ホモジェネートをBeckman超遠心分離機で、速度29,000×gで15分間、遠心分離にかけた。ペレットを緩衝液HE(10mM HEPES、1mM EDTA、pH7.4、プロテアーゼ阻害剤のカクテル含有)に再び懸濁させ、29,000×gで15分間、再び遠心分離にかけた。粗膜を緩衝液HEに再び懸濁させ、標準としてBSAを用い、Lowery法によってタンパク質濃度を測定した。新鮮なラット組織の膜を調製する場合も、同様の手順を使用した。すべての実験手順は4℃で行った。膜を等量ずつわけ、−80℃で保存した。
【0216】
(放射性リガンド結合アッセイ)
この結合アッセイは、A2A膜(ヒト組み換えA2A膜)、ラット線条体の膜またはPC12細胞の膜)15ugを用い、これらをアデノシンデアミナーゼおよび50mM Tris−EDTA緩衝液(pH=7.4)で処理し、次いで、本発明の化合物のDMSOストック溶液を10μM〜0.1nMの濃度範囲で連続希釈した溶液2μLを混合するか、またはDMSOのみ2μLを入れたコントロールを混合し、トリチウム化したアンタゴニストである3−(3−ヒドロキシプロピル)−7−メチル−8−(m−メトキシスチリル)−1−プロパルギルキサンチン(H−MSX−2)をTris−EDTA緩衝液(50mM Tris、1mM EDTA、10mM MgCl、pH7.4)に入れたものを加え、最終濃度を2nMにした。23℃で2時間インキュベートした後、この溶液を膜収集機を用いて濾過し、膜を複数回洗浄した(3回)。シンチレーションカクテルでフィルタープレートを計測し、本発明の競合的な結合組成物によるH−MSX−2交換量を得た。放射リガンド結合データは、GraphPad Prism version 4.0(カリフォルニア州サンディエゴ)で分析した。適切な場合、one−way ANOVA試験、次いでStudent−Newman−Keels試験によって、3個以上の個々の平均値の差の有意性を決定した。P値が0.05未満の場合、統計的に有意な差が示されたと考える。
【0217】
上述の競合結合アッセイを用い、本発明の化合物について、Ki(A2A)データを作成した。多くの代表的な化合物に関するデータを以下の表1に記載している。
【0218】
【表1】

(cAMPアッセイ)
推定上のA2Aアンタゴニストが、cAMPの蓄積を阻害する能力を、以下のように決定した。HEK293−A2A細胞およびPC12細胞を、150×25mm組織培養皿に接種し、約80%コンフルエントになるまで36〜72時間成長させた。次いで、細胞をPBSで1回洗浄し、2mM EDTAを含有するPBSではがした。細胞を速度1000rpmでペレット状にし、Opti−MEM Iに再び懸濁させた。ADA(1U/ml)を加え、アデノシンを除去した。細胞を96ウェルプレートに入れ(約6500細胞/ウェル)、A2AアゴニストCGS21680とともに、A2Aアンタゴニストであると推定される物質存在下(5分間前処理)または非存在下で、37℃で30分間インキュベートした。次いで、DiscoveRxキットを用い、製造業者の指示にしたがってcAMP産生量を測定した。
【0219】
(実施例30)
(ハロペリドールによって誘発されるラットのカタレプシーに対する、in vivoでの抗パーキンソン病活性の評価)
この方法は、神経弛緩性のドーパミンD2アンタゴニストであるハロペリドールを摂取した後の、外部から強制される姿勢に対して動物が反応する能力について評価するものである。パーキンソン病の治療に有効な薬物(例えばL−DOPA)は、ハロペリドールによって誘発されるカタレプシーをブロックする(Mandhane,S.N.;Chopde,C.T.;Ghosh,A.K.(1997))。アデノシンA2A受容体は、ハロペリドールによって誘発されるラットのカタレプシーを調整する。
【0220】
本発明の化合物を注射可能な形態で調製し、生理食塩水を用いて最終濃度まで希釈する。3,7−ジメチル−1−プロパルギルキサンチン(DMPX)(0.3mg/kg)を食塩水に溶解する。全薬物を、2ml/kg投与する。動物に3回注射する。(1)試験6時間前にビヒクルまたは化合物を経口投与、(2)試験2.5時間前にハロペリドール(0.2mg/kg)を腹腔内投与、および(3)試験30分前にビヒクルまたはDMPX(3mg/kg)を投与。
【0221】
試験手順は以下のとおりである。
【0222】
工程I
ラットをかごから出し、テーブルに置く。ラットの背中をやさしく触るかまたは押したときに、ラットが動かない場合、スコア0.5を割り当てる。
【0223】
工程II
ラットの前肢を高さ3cmの木製ブロックの上に交互に置く。ラットが15秒以内にこの姿勢を正すことができない場合、それぞれの肢について、スコア0.5を工程Iのスコアに足す。
【0224】
工程III
ラットの前肢を高さ9cmの木製ブロックの上に交互に置く。ラットが15秒以内にこの姿勢を正すことができない場合、それぞれの肢について、スコアを工程Iおよび工程IIのスコアに足す。このようにして、任意の動物について、可能な最大スコアは3.5であり(カットオフスコア)、全体的なカタレプシーを反映している。
【0225】
この実験で得たデータを、適切な場合にKruskal−Wallis ANOVA、次いでMann−Whitney U試験を用いて分析し、ビヒクルコントロールに対する、平均値*p<0.05の平均±標準誤差であらわす。
【0226】
(MPTP病変モデル)
マウス(C57/BL Harlan)に、試験化合物、ビヒクルコントロールおよびポジティブコントロールを1.0.mu.lの容積で線条体内に片側だけ注射する(1群あたりマウス15匹)。試験化合物を投与した30分後に、すべてのマウスにMPTP(N−メチル−4−フェニル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン)を全身投与し(25mg/kg、皮下)、このMPTP処置を24時間後に繰り返す。適切な時間点で、動物の自発運動の活性(自動化活性モニターで測定)をコントロール動物と比較する。
【0227】
2回目のMPTP注射の14日後に動物を殺し、ドーパミンおよびその代謝物である3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸およびホモバニリン酸をHPLC分析するために線条体組織を解剖する。逆相HPLCと電気化学的検出(Antec Decade検出器、光沢のあるカーボンセル、Ag/AgCl参照に対して+0.65Vに設定)を使用する。HPLCの移動相の構成は、0.15M NaHPO、0.1mM EDTA、0.55mM 硫酸オクチル、16% メタノール(pH3.6、オルトリン酸で調節
)である。
【0228】
MPTPによって誘発される中脳の損傷に対する試験化合物の効果を、化合物を注射した側および反対側の尾組織でのドーパミン、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸およびホモバニリン酸の効果と比較して示す。MPTPによって誘発される運動に対する試験化合物の影響およびカテコールアミンおよび代謝物の組織濃度を、適切な試験による反復測定分散分析(ANOVA)によって評価する。
【0229】
(実施例31)
(ラットにおけるin vivoでのアルコール中毒の治療の評価)
体重約250gの雄のLong Evansラット(Harlan、インディアナ州インディアナポリス)に、餌および水は随時与え、12時間の明/暗サイクルで1匹ずつ飼育する。自己投与(self−administration)のためのエタノール希釈物(10% v/v)を95%エチルアルコールおよび水道水を用いて調製する。スクロース溶液(10% w/v)を水道水を用いて調製する。試験化合物を温めた食塩水に溶解し、1ml/kgで投与する。エタノールのオペラント自己投与は、防音室に入れた標準的なオペラントチャンバ(Med Associates、バーモント州ジョージア)で行う。それぞれのチャンバ(33×30.5×33cm)には、右の壁に2個の引き込み式レバーが備わっており、このレバーは、床から7cm上の、右の壁の右端または左端から1cmのところにある。床のレベルから2.5cm上、チャンバの中央に向かってレバーから6cmの位置にある1個の凹型の皿は、強化因子の容器(reinforcer receptacle)である。2個の引き込み式反応レバーのうち1個が起動すると、シリンジポンプが10回動き、液体(0.1ml)が運ばれてくる。レバーを押すと3秒間音が起動する。一晩のスクロースセッション中を除き、起動していないレバーを押しても、なんら視覚的/聴覚的な変化はないか、または強化因子の送達(reinforcement delivery)はない。トレーニングセッション開始の合図は、レバーに面する壁の中心部分の床から27.2cmのところにある光の点灯である。刺激および流体の送達はコンピュータ制御されており、オペラント反応を記録する。
【0230】
エタノールのオペラント自己投与を始める前に、ラットの入ったかごに、唯一の液体供給源として10%エタノール溶液を4日間入れておく。その後14日間、傾斜したガラス管に水道水中の10%エタノール溶液と水道水とを入れ、ラットがどちらかを自由に選択できるようにしておく。14日間が終了したら、僅かに改変したスクロースを徐々に減らす技術(Samson、1986)によって、オペラント自己投与を開始する。連続した2日間、1日あたり、ラットが水を摂取できる時間を30分間に制限する。水を制限した2日目の夜に、FR1スケジュール(レバーを押すと強化因子0.1mlを1回)に沿い、強化因子として10%スクロースを用い、両方のレバーを起動した状態で、ラットを12〜15時間の一晩のセッションの間、オペラントチャンバに入れる。次の日に、ラットのオペラント自己投与トレーニングを開始する。その次の4〜5日間、動物に対し水を制限する。この間、動物は、強化因子として10%エタノール溶液および1個の起動レバーでのFR1スケジュールでの、1日あたり1回の45分間のセッションを受容する。実験の残りの期間は、ラットがかごの中で自由に水を摂取できるようにしておき、上述のセッションをさらに2〜3回行い、トレーニングする。その次の日に、セッションを30分間に短くし、応答比率をFR3スケジュールまで増大させた。甘い溶液(10%スクロース/10%エタノール)にエタノールを加え、この溶液をラットに3〜4つのセッション与え、10%エタノールのみを少なくとも20セッション与える。任意の薬物治療を開始する8セッション前に、最小の平均でエタノール0.3g/kgを消費していることが必要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化26】

の化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグまたは水和物であって、式中、
は、水素、場合により置換されたC1〜6アルキル、場合により置換されたC2〜10アルケニルまたは場合により置換されたC2〜6アルキニルであり;
は、水素、場合により置換されたC1〜4アルキル、−X−O−P(O)(OR)または−X−O−Rであり、ここで、Xは、C1〜4アルキレンであり、Rは、水素またはC1〜6アルキルであり、RはC1〜6アルキルであり;
は、水素、場合により置換されたC1〜4アルキルであるか、または酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を含有する5員環または6員環の場合により置換された単環のヘテロ環であり;
およびRは、独立して、メチルまたは水素であり;
は、場合により置換されたフェニル、場合により置換されたヘテロアリール、場合により置換されたヘテロ環または場合により置換されたシクロアルキルである、
化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグまたは水和物。
【請求項2】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、場合により置換されたC1〜6アルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、場合により置換されたC1〜4アルキルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、場合により置換されたフェニルまたは場合により置換されたヘテロアリールである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
以下からなる群から選択される、請求項5に記載の化合物:
6−[(1E)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−1,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(4−フルオロフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(3−フルオロフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(4−クロロフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(4−フェニルフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−{(1E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル}−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−フェニルビニル)−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−{(1E)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)ビニル]−5−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−(3−ピリジル)ビニル)−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(4−メチルフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(4−メトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(2−フルオロフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(3−メトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(2−メトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;および
6−[(1E)−2−(3,5−ジメトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン。
【請求項7】
が、場合により置換されたC1〜4アルキル、X−O−P(O)(OR)または−X−O−Rであり、XがC1〜4アルキレンであり、Rが、水素またはC1〜6アルキルであり、RがC1〜6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が場合により置換されたC1〜4アルキルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、場合により置換されたC1〜6アルキルまたは場合により置換されたC2〜6アルキニルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が、場合により置換されたC1〜4アルキルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
が、場合により置換されたフェニルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
以下からなる群から選択される、請求項11に記載の化合物:
6−[(1E)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−1,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−[(1E)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)ビニル]−3−エチル−5−メチル−1−[(フェニルメトキシ)メチル]−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−フェニルビニル)−1,5−ジメチル−3−プロパ−2−イニル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−フェニルビニル)−3−エチル−1,5−ジメチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−フェニルビニル)−1,3−ジエチル−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−フェニルビニル)−3−エチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;
6−((1E)−2−フェニルビニル)−3−エチル−1−(3−ヒドロキシプロピル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン;および
6−((1Z)−2−フェニルビニル)−3−エチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−5−メチル−1,3−ジヒドロチオフェノ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオン。
【請求項13】
治療的に有効量の請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグまたは水和物を含む、医薬組成物。
【請求項14】
治療の必要な哺乳動物に、治療的に有効量の式I:
【化27】

の構造を有する化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、プロドラッグまたは水和物を投与する工程を含む、A2Aアデノシン受容体アンタゴニスト化合物で治療可能な、哺乳動物の疾患または状態を治療するための方法であって、式中、
は、水素、場合により置換されたC1〜6アルキル、場合により置換されたC2〜10アルケニルまたは場合により置換されたC2〜6アルキニルであり;
は、水素、場合により置換されたC1〜4アルキル、−X−O−P(O)(OR)または−X−O−Rであり、ここで、Xは、C1〜4アルキレンであり、Rは、水素またはC1〜6アルキルであり、RはC1〜6アルキルであり;
は、水素、場合により置換されたC1〜4アルキルであるか、または酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を含有する5員環または6員環の場合により置換された単環のヘテロ環であり;
およびRは、独立して、メチルまたは水素であり;
は、場合により置換されたフェニル、場合により置換されたヘテロアリール、場合により置換されたヘテロ環または場合により置換されたシクロアルキルである、
方法。
【請求項15】
前記疾患の状況または状態が、肥満、「運動障害」(パーキンソン病、ハンチントン舞踏病およびカタレプシーを含む)CNS障害、脳虚血、興奮毒性、認知障害および生理障害、鬱病、ADHD、肝線維症、肝硬変および薬物中毒(アルコール、アンフェタミン、カンナビノイド、コカイン、ニコチンおよびオピオイド)からなる群から選択され、かつその使用が免疫応答を向上させるためのものである、請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2010−511628(P2010−511628A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539494(P2009−539494)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/085978
【国際公開番号】WO2008/070529
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(504003226)ギリアード・パロ・アルト・インコーポレイテッド (62)
【氏名又は名称原語表記】Gilead Palo Alto,Inc.
【Fターム(参考)】