説明

AhaのRNAi調節およびその治療上の使用

本発明は、30ヌクレオチド長未満、一般に19〜25ヌクレオチド長であり、Aha遺伝子の少なくとも一部と実質的に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖を含む、Aha遺伝子(Aha1遺伝子)の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)に関する。本発明はまた、薬学的に許容可能なキャリアと共にdsRNAを含む薬学的組成物、薬学的組成物を使用したAha1発現および遺伝子Aha遺伝子の発現に起因する疾患の治療方法、ならびに細胞中のAha遺伝子発現を阻害する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、熱ショックタンパク質90ATPアーゼ(Aha)の遺伝子アクチベーターのモジュレーターを使用した治療方法に関する。より詳細には、本発明は、Ahaの発現を下方制御する短い干渉RNAの投与による望ましくないAha活性に関連する障害の治療方法およびその際に有用な薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
熱ショックタンパク質90ATPアーゼ1のアクチベーター(本明細書中で、Aha1)は、Hsp90のATPアーゼ活性のアクチベーターであり、酵母Hsp90の本来の活性の12倍およびヒトHsp90の本来の活性の50倍を刺激することができる(非特許文献1)。生化学的研究では、Aha1がHsp90の中間領域に結合することが示されており(非特許文献1、非特許文献2)、最近のAha1−Hsp90コア複合体の構造研究により、コシャペロンがHsp90の触媒ループの中間セグメント(370〜390)の高次構造スイッチ(conformational switch)を促進し、触媒Arg380を放出し、N末端ヌクレオチド結合ドメイン中のATPとのその相互作用を促進することが示唆される(非特許文献3)。
【0003】
分子シャペロン熱ショックタンパク質90(Hsp90)は、特異的クライアントタンパク質のin vivo活性化または成熟を担う(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)。かかる活性化には、Hsp90のATPアーゼ活性が不可欠であり(非特許文献8)、この活性はHsp90二量体内のN−末端ヌクレオチド結合ドメインの一過性会合に関与する高次構造サイクルを駆動する(非特許文献9)。
【0004】
分子シャペロンとして、HSP90は、多数の高次構造が不安定なクライアントタンパク質(そのほとんどが腫瘍細胞内でしばしば狂わされる生物学的過程(シグナル伝達、細胞周期の進行、およびアポトーシスなど)に関与する)の成熟を促進し、その安定性を維持する。結果として、他の分子標的化療法と対照的に、HSP90のインヒビターは、癌細胞内の多数の癌遺伝子基質の同時破壊による有望な抗癌活性を達成する(非特許文献10;特許文献1)。さらに、HSP90は、嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス制御因子(CFTR)の分解に関与している。CFTR遺伝子の変異により、HSP90ATPアーゼ活性の結果としてタンパク質が不完全に折り畳まれ、ユビキチン化する。ユビキチン化後、CFTRはその活性部位に到達する前に分解される。次いで、活性なCFTRの欠如により、かかる変異を有するヒト対象が嚢胞性線維症を発症する。したがって、HSP90活性の阻害は、癌または嚢胞性線維症を罹患した対象に有益であり得る。
【0005】
Hsp90は、全細胞タンパク質の約1〜2%に相当し(非特許文献11)、アンタゴニストまたはインヒビターを用いたかかる大量のタンパク質の阻害には、細胞への過剰量のインヒビターまたはアンタゴニストの導入が潜在的に必要であろう。別のアプローチは、より少ない量で存在するHSP90のATPアーゼ活性のアクチベーター(Aha1など)の阻害である。細胞中のAha1の存在量の下方制御により、HSP90の活性を実質的に低下させることができる。
【0006】
ホモ・サピエンス(NM_012111.1)、ハツカネズミ(NM_146036.1)、およびチンパンジー(XM_510094.1)のAha1の間で配列が有意に相同する。Aha1の明確なラットホモログは同定されていないが、酵母Ahsa2とのその配列相補性に基づいて熱ショックタンパク質ATPアーゼホモログ2のアクチベーター(Ahsa2)と呼ばれているラット(XM_223680.3)遺伝子が存在する。その配列は、ハツカネズミ RIKEN cDNA 1110064P04遺伝子(NM_172391.3)と相同であり、同様に、N末端短縮を除いてハツカネズミ(Aus musculus)Aha1と配列が類似している。ホモ・サピエンスAhsa2(NM_152392.1)も予想されているが、配列相同性は制限される。これらの後者の3つの遺伝子の機能は、十分に解明されていない。しかし、上記配列の全てが同一であり、RNAi因子の標的として使用することができる1つの領域が存在する。1つを超えるAha遺伝子の活性を阻害することが有利であり得る。
【0007】
最近、二本鎖RNA分子(dsRNA)は、RNA干渉(RNAi)として公知の高度に保存された調節機構において遺伝子発現を阻害することが示されている。WO99/32619(Fireら)は、シー.エレガンスにおける遺伝子発現を阻害するための少なくとも25ヌクレオチド長のdsRNAの使用を開示している。dsRNAはまた、他の生物(植物(例えば、WO99/53050号、Waterhouseら、およびHeifetzらのWO 99/61631号を参照のこと)、ショウジョウバエ(例えば、Yang,D.ら,Curr.Biol.(2000)10:1191−1200を参照のこと)、および哺乳動物(LimmerのWO00/44895号およびKreutzerらのドイツ特許第101 00 586.5号を参照のこと)が含まれる)において標的RNAを分解することが示されている。この天然の機構は、現在、異常なまたは望ましくない遺伝子調節に起因する障害の治療のための新規の医薬品クラスの開発で注目するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第03/067262号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Panaretou,B.ら,Mol.Cell 2002,10:1307-1318
【非特許文献2】Lotz,G.P.ら,J.Biol.Chem.2003,278:17228-17235
【非特許文献3】Meyer,P.ら,EMBO J.2004,23:511-519
【非特許文献4】Picard,D.,Cell Mol.Life Sci.2002,59:1640-1648
【非特許文献5】Pearl,L.H.,およびProdromou,C.,Adv.Protein Chem.2002,59:157-185
【非特許文献6】Pratt,W.B.,およびToft,D.O.,Exp.Biol.Med.2003,228:111-133
【非特許文献7】Prodromou,C.,およびPearl,L.H.,Curr.Cancer Drug Targets 2003,3:301-323
【非特許文献8】Panaretou,B.ら,EMBO J.1998,17:4829-4836
【非特許文献9】Prodromou,C.ら,EMBO J.2000,19:4383-4392
【非特許文献10】Whitesell L,およびDai C.,Future Oncol.2005;1:529−540
【非特許文献11】Pratt,W.B.,Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.1997,37:297−326
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
RNAi分野の有意な利点およびHSP90によって媒介される病理学的過程の治療における利点にもかかわらず、細胞自体のRNAi機構を使用したHSP90 ATPアーゼ活性を選択的且つ有効に弱めることができる薬剤が必要であり続けている。かかる薬剤は、高い生物活性およびin vivo安定性の両方を有し、Aha発現(例えば、Aha1発現)によって直接または間接的に媒介される病理学的過程の治療で使用するための標的Aha遺伝子(Aha1など)の発現を有効に阻害する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
本発明は、二本鎖リボ核酸(dsRNA)ならびにかかるdsRNAを使用した細胞または哺乳動物におけるAha遺伝子の発現の阻害のための組成物および方法を提供する。本発明はまた、Aha遺伝子の発現によって媒介される病的状態および疾患(癌または嚢胞性線維症など)の治療のための組成物および方法を提供する。本発明のdsRNAは、30ヌクレオチド長未満、一般に、19〜24ヌクレオチド長であり、Aha遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部と実質的に相補的な領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)を含む。
【0012】
1つの態様では、本発明は、Aha遺伝子発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子を提供する。dsRNAは、相互に相補的な少なくとも2つの配列を含む。dsRNAは、第1の配列を含むセンス鎖および第2の配列を含むアンチセンス鎖を含む。アンチセンス鎖はAha遺伝子をコードするmRNAの少なくとも一部と実質的に相補的であるヌクレオチド配列を含み、相補領域は、30ヌクレオチド長未満、一般に、19〜24ヌクレオチド長である。dsRNAは、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175、配列番号177、配列番号179、配列番号181および配列番号183の群から選択されるセンス鎖および後者のセンス鎖と相補的であり、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、配列番号176、配列番号178、配列番号180、配列番号182および配列番号184の群から選択されるアンチセンス鎖を有する第2のdsRNAの標的配列内でAha遺伝子をコードするmRNAを切断する(表1および表2を参照のこと)。Aha遺伝子は、好ましくはAha1遺伝子、より好ましくはホモ・サピエンスAha1遺伝子である。dsRNAは、Aha遺伝子を発現する細胞との接触の際に、前記細胞中(例えば、HeLa細胞および/またはMLE12細胞中)でのAha遺伝子の発現を、少なくとも20%または少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、85%、90%、または95%阻害することができる。dsRNAは、前記第2のdsRNAと異なり得るが、上記の命名したヌクレオチド配列の1つと同様に、鎖あたり少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも18、または少なくとも20個の連続するヌクレオチドを有することができる。
【0013】
好ましくは、第2のdsRNAは、AL−DP−7301、AL−DP−7308、AL−DP−7318、AL−DP−7320、AL−DP−7322、AL−DP−7324、AL−DP−7325、AL−DP−7326、AL−DP−7327、AL−DP−7329、AL−DP−7331、AL−DP−7333、AL−DP−7340、AL−DP−7342、AL−DP−7303、AL−DP−7305、AL−DP−7307、AL−DP−7309、AL−DP−7316およびAL−DP−7337、AL−DP−7304、AL−DP−7312、AL−DP−7339、AL−DP−7344、AL−DP−7306、AL−DP−7317、AL−DP−7346、AL−DP−7310、AL−DP−7323、AL−DP−7335、AL−DP−7338、AL−DP−7341、AL−DP−7302、AL−DP−7315、AL−DP−7328、AL−DP−7330、AL−DP−7336、AL−DP−7345、AL−DP−9250、AL−DP−9251、AL−DP−9252、AL−DP−9253、AL−DP−9254、AL−DP−9255、AL−DP−9256、AL−DP−9257、AL−DP−9258、AL−DP−9259、AL−DP−9260、AL−DP−9261、AL−DP−9262、AL−DP−9263、AL−DP−9264、AL−DP−9265、AL−DP−9266、AL−DP−9267、AL−DP−9268、AL−DP−9269、AL−DP−9270、AL−DP−9271、AL−DP−9272、AL−DP−9273、AL−DP−9274、AL−DP−9275、AL−DP−9276、AL−DP−9277、AL−DP−9279、AL−DP−9280、AL−DP−9281、AL−DP−9282、AL−DP−9283、AL−DP−9284、AL−DP−9285、AL−DP−9286、AL−DP−9287、AL−DP−9288およびAL−DP−9289の群から選択される(表1および表2を参照のこと)。
【0014】
あるいは、dsRNA自体を、AL−DP−7301、AL−DP−7308、AL−DP−7318、AL−DP−7320、AL−DP−7322、AL−DP−7324、AL−DP−7325、AL−DP−7326、AL−DP−7327、AL−DP−7329、AL−DP−7331、AL−DP−7333、AL−DP−7340、AL−DP−7342、AL−DP−7303、AL−DP−7305、AL−DP−7307、AL−DP−7309、AL−DP−7316およびAL−DP−7337、AL−DP−7304、AL−DP−7312、AL−DP−7339、AL−DP−7344、AL−DP−7306、AL−DP−7317、AL−DP−7346、AL−DP−7310、AL−DP−7323、AL−DP−7335、AL−DP−7338、AL−DP−7341、AL−DP−7302、AL−DP−7315、AL−DP−7328、AL−DP−7330、AL−DP−7336、AL−DP−7345、AL−DP−9250、AL−DP−9251、AL−DP−9252、AL−DP−9253、AL−DP−9254、AL−DP−9255、AL−DP−9256、AL−DP−9257、AL−DP−9258、AL−DP−9259、AL−DP−9260、AL−DP−9261、AL−DP−9262、AL−DP−9263、AL−DP−9264、AL−DP−9265、AL−DP−9266、AL−DP−9267、AL−DP−9268、AL−DP−9269、AL−DP−9270、AL−DP−9271、AL−DP−9272、AL−DP−9273、AL−DP−9274、AL−DP−9275、AL−DP−9276、AL−DP−9277、AL−DP−9279、AL−DP−9280、AL−DP−9281、AL−DP−9282、AL−DP−9283、AL−DP−9284、AL−DP−9285、AL−DP−9286、AL−DP−9287、AL−DP−9288およびAL−DP−9289の群から選択することができる(表1および表2を参照のこと)。
【0015】
dsRNAは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含むことができる。好ましくは、修飾ヌクレオチドは、2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、5’−ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、およびコレステリル誘導体またはドデカン酸ビスデシルアミド基に連結した末端ヌクレオチドの群から選択される。あるいは、修飾ヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチド、2’−デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、無塩基ヌクレオチド、2’−アミノ修飾ヌクレオチド、2’−アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホルアミダート、およびヌクレオチドを含む非天然塩基の群から選択される。
【0016】
別の態様では、本発明は、本発明のdsRNAの1つを含む単離細胞を提供する。細胞は、一般に、ヒト細胞などの哺乳動物細胞である。本発明のdsRNAを含む細胞の他の実施形態は、上記本発明の他の態様で提供する通りである。
【0017】
さらに別の態様では、dsRNAおよび薬学的に許容可能なキャリアを含み、dsRNAが相互に相補的な少なくとも2つの配列を含み、センス鎖が第1の配列を含み、アンチセンス鎖がAha遺伝子をコードするmRNAの少なくとも一部と実質的に相補的な相補領域を含む第2の配列を含み、相補領域が、30ヌクレオチド長未満であり、dsRNAが、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175、配列番号177、配列番号179、配列番号181および配列番号183の群から選択されるセンス鎖ならびに後者のセンス鎖と相補的であり、且つ配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、配列番号176、配列番号178、配列番号180、配列番号182および配列番号184の群から選択されるアンチセンス鎖を有する第2のdsRNAの標的配列内のAha遺伝子をコードするmRNAを切断する、生物中のAha遺伝子発現を阻害するための薬学的組成物を提供する(表1および表2を参照のこと)。そのうち、Aha遺伝子は、Aha1遺伝子、好ましくはホモ・サピエンスAha1遺伝子であり得る。薬学的組成物中に含まれるdsRNAは、Aha遺伝子を発現する細胞との接触の際に、前記細胞中(例えば、HeLa細胞および/またはMLE12細胞中)でのAha遺伝子の発現を、少なくとも20%、または少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、85%、90%、もしくは95%阻害する。dsRNAは、前記第2のdsRNAと異なり得るが、上記の命名したヌクレオチド配列の1つと同様に、鎖あたり少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも18、または少なくとも20個の連続するヌクレオチドを有することができる。
【0018】
好ましくは、第2のdsRNAは、AL−DP−7301、AL−DP−7308、AL−DP−7318、AL−DP−7320、AL−DP−7322、AL−DP−7324、AL−DP−7325、AL−DP−7326、AL−DP−7327、AL−DP−7329、AL−DP−7331、AL−DP−7333、AL−DP−7340、AL−DP−7342、AL−DP−7303、AL−DP−7305、AL−DP−7307、AL−DP−7309、AL−DP−7316およびAL−DP−7337、AL−DP−7304、AL−DP−7312、AL−DP−7339、AL−DP−7344、AL−DP−7306、AL−DP−7317、AL−DP−7346、AL−DP−7310、AL−DP−7323、AL−DP−7335、AL−DP−7338、AL−DP−7341、AL−DP−7302、AL−DP−7315、AL−DP−7328、AL−DP−7330、AL−DP−7336、AL−DP−7345、AL−DP−9250、AL−DP−9251、AL−DP−9252、AL−DP−9253、AL−DP−9254、AL−DP−9255、AL−DP−9256、AL−DP−9257、AL−DP−9258、AL−DP−9259、AL−DP−9260、AL−DP−9261、AL−DP−9262、AL−DP−9263、AL−DP−9264、AL−DP−9265、AL−DP−9266、AL−DP−9267、AL−DP−9268、AL−DP−9269、AL−DP−9270、AL−DP−9271、AL−DP−9272、AL−DP−9273、AL−DP−9274、AL−DP−9275、AL−DP−9276、AL−DP−9277、AL−DP−9279、AL−DP−9280、AL−DP−9281、AL−DP−9282、AL−DP−9283、AL−DP−9284、AL−DP−9285、AL−DP−9286、AL−DP−9287、AL−DP−9288およびAL−DP−9289の群から選択される(表1および表2を参照のこと)。
【0019】
あるいは、薬学的組成物自体に含まれるdsRNAを、AL−DP−7301、AL−DP−7308、AL−DP−7318、AL−DP−7320、AL−DP−7322、AL−DP−7324、AL−DP−7325、AL−DP−7326、AL−DP−7327、AL−DP−7329、AL−DP−7331、AL−DP−7333、AL−DP−7340、AL−DP−7342、AL−DP−7303、AL−DP−7305、AL−DP−7307、AL−DP−7309、AL−DP−7316およびAL−DP−7337、AL−DP−7304、AL−DP−7312、AL−DP−7339、AL−DP−7344、AL−DP−7306、AL−DP−7317、AL−DP−7346、AL−DP−7310、AL−DP−7323、AL−DP−7335、AL−DP−7338、AL−DP−7341、AL−DP−7302、AL−DP−7315、AL−DP−7328、AL−DP−7330、AL−DP−7336、AL−DP−7345、AL−DP−9250、AL−DP−9251、AL−DP−9252、AL−DP−9253、AL−DP−9254、AL−DP−9255、AL−DP−9256、AL−DP−9257、AL−DP−9258、AL−DP−9259、AL−DP−9260、AL−DP−9261、AL−DP−9262、AL−DP−9263、AL−DP−9264、AL−DP−9265、AL−DP−9266、AL−DP−9267、AL−DP−9268、AL−DP−9269、AL−DP−9270、AL−DP−9271、AL−DP−9272、AL−DP−9273、AL−DP−9274、AL−DP−9275、AL−DP−9276、AL−DP−9277、AL−DP−9279、AL−DP−9280、AL−DP−9281、AL−DP−9282、AL−DP−9283、AL−DP−9284、AL−DP−9285、AL−DP−9286、AL−DP−9287、AL−DP−9288およびAL−DP−9289の群から選択することができる(表1および表2を参照のこと)。
【0020】
薬学的組成物中に含まれるdsRNAは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含むことができる。好ましくは、前記修飾ヌクレオチドは、2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、5’−ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、およびコレステリル誘導体またはドデカン酸ビスデシルアミド基に連結した末端ヌクレオチドの群から選択される。あるいは、修飾ヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチド、2’−デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、無塩基ヌクレオチド、2’−アミノ修飾ヌクレオチド、2’−アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホルアミダート、およびヌクレオチドを含む非天然塩基の群から選択される。
【0021】
さらに別の態様では、細胞中のAha遺伝子の発現を阻害する方法であって、
(a)細胞中に二本鎖リボ核酸(dsRNA)を導入する工程であって、dsRNAが相互に相補的な少なくとも2つの配列を含み、センス鎖が第1の配列を含み、アンチセンス鎖がAha1をコードするmRNAの少なくとも一部と実質的に相補的な相補領域を含む第2の配列を含み、相補領域が、30ヌクレオチド長未満であり、dsRNAが、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175、配列番号177、配列番号179、配列番号181および配列番号183の群から選択されるセンス鎖ならびに後者のセンス鎖と相補的であり、且つ配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、配列番号176、配列番号178、配列番号180、配列番号182および配列番号184の群から選択されるアンチセンス鎖を有する第2のdsRNAの標的配列内のAha遺伝子をコードするmRNAを切断する、工程、および
(b)工程(a)で産生された細胞を、Aha遺伝子のmRNA転写物を分解するのに十分な時間維持し、それにより、細胞中のAha遺伝子の発現を阻害する工程、を含む方法を提供する。Aha遺伝子は、好ましくはAha1遺伝子、より好ましくはホモ・サピエンスAha1遺伝子である。dsRNAは、前記第2のdsRNAと異なり得るが、上記の命名したヌクレオチド配列の1つと同様に、鎖あたり少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも18、または少なくとも20個の連続するヌクレオチドを有することができる。
【0022】
好ましくは、第2のdsRNAは、AL−DP−7301、AL−DP−7308、AL−DP−7318、AL−DP−7320、AL−DP−7322、AL−DP−7324、AL−DP−7325、AL−DP−7326、AL−DP−7327、AL−DP−7329、AL−DP−7331、AL−DP−7333、AL−DP−7340、AL−DP−7342、AL−DP−7303、AL−DP−7305、AL−DP−7307、AL−DP−7309、AL−DP−7316およびAL−DP−7337、AL−DP−7304、AL−DP−7312、AL−DP−7339、AL−DP−7344、AL−DP−7306、AL−DP−7317、AL−DP−7346、AL−DP−7310、AL−DP−7323、AL−DP−7335、AL−DP−7338、AL−DP−7341、AL−DP−7302、AL−DP−7315、AL−DP−7328、AL−DP−7330、AL−DP−7336、AL−DP−7345、AL−DP−9250、AL−DP−9251、AL−DP−9252、AL−DP−9253、AL−DP−9254、AL−DP−9255、AL−DP−9256、AL−DP−9257、AL−DP−9258、AL−DP−9259、AL−DP−9260、AL−DP−9261、AL−DP−9262、AL−DP−9263、AL−DP−9264、AL−DP−9265、AL−DP−9266、AL−DP−9267、AL−DP−9268、AL−DP−9269、AL−DP−9270、AL−DP−9271、AL−DP−9272、AL−DP−9273、AL−DP−9274、AL−DP−9275、AL−DP−9276、AL−DP−9277、AL−DP−9279、AL−DP−9280、AL−DP−9281、AL−DP−9282、AL−DP−9283、AL−DP−9284、AL−DP−9285、AL−DP−9286、AL−DP−9287、AL−DP−9288およびAL−DP−9289の群から選択される(表1および表2を参照のこと)。
【0023】
あるいは、dsRNA自体は、AL−DP−7301、AL−DP−7308、AL−DP−7318、AL−DP−7320、AL−DP−7322、AL−DP−7324、AL−DP−7325、AL−DP−7326、AL−DP−7327、AL−DP−7329、AL−DP−7331、AL−DP−7333、AL−DP−7340、AL−DP−7342、AL−DP−7303、AL−DP−7305、AL−DP−7307、AL−DP−7309、AL−DP−7316およびAL−DP−7337、AL−DP−7304、AL−DP−7312、AL−DP−7339、AL−DP−7344、AL−DP−7306、AL−DP−7317、AL−DP−7346、AL−DP−7310、AL−DP−7323、AL−DP−7335、AL−DP−7338、AL−DP−7341、AL−DP−7302、AL−DP−7315、AL−DP−7328、AL−DP−7330、AL−DP−7336、AL−DP−7345、AL−DP−9250、AL−DP−9251、AL−DP−9252、AL−DP−9253、AL−DP−9254、AL−DP−9255、AL−DP−9256、AL−DP−9257、AL−DP−9258、AL−DP−9259、AL−DP−9260、AL−DP−9261、AL−DP−9262、AL−DP−9263、AL−DP−9264、AL−DP−9265、AL−DP−9266、AL−DP−9267、AL−DP−9268、AL−DP−9269、AL−DP−9270、AL−DP−9271、AL−DP−9272、AL−DP−9273、AL−DP−9274、AL−DP−9275、AL−DP−9276、AL−DP−9277、AL−DP−9279、AL−DP−9280、AL−DP−9281、AL−DP−9282、AL−DP−9283、AL−DP−9284、AL−DP−9285、AL−DP−9286、AL−DP−9287、AL−DP−9288およびAL−DP−9289の群から選択される。好ましくは、本方法を、in vitroで行う。細胞中のAha遺伝子発現を阻害する方法の他の実施形態は、上記本発明の他の態様で提供する通りである。
【0024】
さらに別の態様では、Aha発現によって媒介される病理学的過程を治療、予防、または管理する方法であって、治療または予防有効量のdsRNAをかかる治療、予防、または管理を必要とする患者に投与する工程を含み、dsRNAが相互に相補的な少なくとも2つの配列を含み、センス鎖が第1の配列を含み、アンチセンス鎖がAha1をコードするmRNAの少なくとも一部と実質的に相補的な相補領域を含む第2の配列を含み、相補領域が、30ヌクレオチド長未満であり、dsRNAが、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175、配列番号177、配列番号179、配列番号181および配列番号183の群から選択されるセンス鎖ならびに後者のセンス鎖と相補的であり、且つ配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、配列番号176、配列番号178、配列番号180、配列番号182および配列番号184の群から選択されるアンチセンス鎖を有する第2のdsRNAの標的配列内のAha遺伝子をコードするmRNAを切断する、方法を提供する。dsRNAは、前記第2のdsRNAと異なり得るが、上記の命名したヌクレオチド配列の1つと同様に、鎖あたり少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも18、または少なくとも20個の連続するヌクレオチドを有することができる。
【0025】
好ましくは、第2のdsRNAは、AL−DP−7301、AL−DP−7308、AL−DP−7318、AL−DP−7320、AL−DP−7322、AL−DP−7324、AL−DP−7325、AL−DP−7326、AL−DP−7327、AL−DP−7329、AL−DP−7331、AL−DP−7333、AL−DP−7340、AL−DP−7342、AL−DP−7303、AL−DP−7305、AL−DP−7307、AL−DP−7309、AL−DP−7316およびAL−DP−7337、AL−DP−7304、AL−DP−7312、AL−DP−7339、AL−DP−7344、AL−DP−7306、AL−DP−7317、AL−DP−7346、AL−DP−7310、AL−DP−7323、AL−DP−7335、AL−DP−7338、AL−DP−7341、AL−DP−7302、AL−DP−7315、AL−DP−7328、AL−DP−7330、AL−DP−7336、AL−DP−7345、AL−DP−9250、AL−DP−9251、AL−DP−9252、AL−DP−9253、AL−DP−9254、AL−DP−9255、AL−DP−9256、AL−DP−9257、AL−DP−9258、AL−DP−9259、AL−DP−9260、AL−DP−9261、AL−DP−9262、AL−DP−9263、AL−DP−9264、AL−DP−9265、AL−DP−9266、AL−DP−9267、AL−DP−9268、AL−DP−9269、AL−DP−9270、AL−DP−9271、AL−DP−9272、AL−DP−9273、AL−DP−9274、AL−DP−9275、AL−DP−9276、AL−DP−9277、AL−DP−9279、AL−DP−9280、AL−DP−9281、AL−DP−9282、AL−DP−9283、AL−DP−9284、AL−DP−9285、AL−DP−9286、AL−DP−9287、AL−DP−9288およびAL−DP−9289の群から選択される(表1および表2を参照のこと)。
【0026】
あるいは、dsRNA自体は、AL−DP−7301、AL−DP−7308、AL−DP−7318、AL−DP−7320、AL−DP−7322、AL−DP−7324、AL−DP−7325、AL−DP−7326、AL−DP−7327、AL−DP−7329、AL−DP−7331、AL−DP−7333、AL−DP−7340、AL−DP−7342、AL−DP−7303、AL−DP−7305、AL−DP−7307、AL−DP−7309、AL−DP−7316およびAL−DP−7337、AL−DP−7304、AL−DP−7312、AL−DP−7339、AL−DP−7344、AL−DP−7306、AL−DP−7317、AL−DP−7346、AL−DP−7310、AL−DP−7323、AL−DP−7335、AL−DP−7338、AL−DP−7341、AL−DP−7302、AL−DP−7315、AL−DP−7328、AL−DP−7330、AL−DP−7336、AL−DP−7345、AL−DP−9250、AL−DP−9251、AL−DP−9252、AL−DP−9253、AL−DP−9254、AL−DP−9255、AL−DP−9256、AL−DP−9257、AL−DP−9258、AL−DP−9259、AL−DP−9260、AL−DP−9261、AL−DP−9262、AL−DP−9263、AL−DP−9264、AL−DP−9265、AL−DP−9266、AL−DP−9267、AL−DP−9268、AL−DP−9269、AL−DP−9270、AL−DP−9271、AL−DP−9272、AL−DP−9273、AL−DP−9274、AL−DP−9275、AL−DP−9276、AL−DP−9277、AL−DP−9279、AL−DP−9280、AL−DP−9281、AL−DP−9282、AL−DP−9283、AL−DP−9284、AL−DP−9285、AL−DP−9286、AL−DP−9287、AL−DP−9288およびAL−DP−9289の群から選択される。本発明のdsRNAの投与を含む方法の他の実施形態は、上記本発明の他の態様で提供する通りである。
【0027】
さらに別の態様では、細胞中のAha遺伝子の発現を阻害するためのベクターであって、前記ベクターがdsRNAの少なくとも1つの鎖をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された調節配列を含み、前記dsRNAの鎖の1つが、Aha1をコードするmRNAの少なくとも一部と実質的に相補的であり、前記dsRNAが30塩基対長未満であり、dsRNAが、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175、配列番号177、配列番号179、配列番号181および配列番号183の群から選択されるセンス鎖ならびに後者のセンス鎖と相補的であり、且つ配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、配列番号176、配列番号178、配列番号180、配列番号182および配列番号184の群から選択されるアンチセンス鎖を有する第2のdsRNAの標的配列内のAha遺伝子をコードするmRNAを切断する、ベクターを提供する。dsRNAは、前記第2のdsRNAと異なり得るが、上記の命名したヌクレオチド配列の1つと同様に、鎖あたり少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも18、または少なくとも20個の連続するヌクレオチドを有することができる。
【0028】
好ましくは、第2のdsRNAは、AL−DP−7301、AL−DP−7308、AL−DP−7318、AL−DP−7320、AL−DP−7322、AL−DP−7324、AL−DP−7325、AL−DP−7326、AL−DP−7327、AL−DP−7329、AL−DP−7331、AL−DP−7333、AL−DP−7340、AL−DP−7342、AL−DP−7303、AL−DP−7305、AL−DP−7307、AL−DP−7309、AL−DP−7316およびAL−DP−7337、AL−DP−7304、AL−DP−7312、AL−DP−7339、AL−DP−7344、AL−DP−7306、AL−DP−7317、AL−DP−7346、AL−DP−7310、AL−DP−7323、AL−DP−7335、AL−DP−7338、AL−DP−7341、AL−DP−7302、AL−DP−7315、AL−DP−7328、AL−DP−7330、AL−DP−7336、AL−DP−7345、AL−DP−9250、AL−DP−9251、AL−DP−9252、AL−DP−9253、AL−DP−9254、AL−DP−9255、AL−DP−9256、AL−DP−9257、AL−DP−9258、AL−DP−9259、AL−DP−9260、AL−DP−9261、AL−DP−9262、AL−DP−9263、AL−DP−9264、AL−DP−9265、AL−DP−9266、AL−DP−9267、AL−DP−9268、AL−DP−9269、AL−DP−9270、AL−DP−9271、AL−DP−9272、AL−DP−9273、AL−DP−9274、AL−DP−9275、AL−DP−9276、AL−DP−9277、AL−DP−9279、AL−DP−9280、AL−DP−9281、AL−DP−9282、AL−DP−9283、AL−DP−9284、AL−DP−9285、AL−DP−9286、AL−DP−9287、AL−DP−9288およびAL−DP−9289の群から選択される(表1および表2を参照のこと)。本発明のベクターの他の実施形態は、上記本発明の他の態様で提供する通りである。
【0029】
さらに別の態様では、上記ベクターを含む単離細胞を提供する。本発明のベクターを含む細胞の他の実施形態は、上記本発明の他の態様で提供する通りである。
【0030】
表1:ホモ・サピエンス(NM_012111.1)、ハツカネズミ(NM_146036.1)、およびチンパンジー(XM_510094.1)のAha1を下方制御し、ラット細胞中でのオフターゲット相互作用が最小なRNAi薬;AL−DP−7561、AL−DP−7562、AL−DP−7563、およびAL−DP−7564は、ハツカネズミ(NM_172391.3)およびラット(XM_223680.3)Aha2に対してさらなる交差反応を示す。
【0031】
【表1−1】

【0032】
【表1−2】

表2:ホモ・サピエンス(NM_012111.1)、ハツカネズミ(NM_146036.1)、およびチンパンジー(XM_510094.1)のAha1を下方制御し、ヒト細胞中でのオフターゲット相互作用が最小なRNAi薬。
【0033】
【表2−1】

【0034】
【表2−2】

【発明を実施するための形態】
【0035】
発明の詳細な説明
本発明は、二本鎖リボ核酸(dsRNA)、ならびにdsRNAを使用した細胞または哺乳動物中のAha遺伝子の発現を阻害するための組成物および方法を提供する。本発明はまた、dsRNAを使用したAha遺伝子の発現に起因する哺乳動物の病的状態および疾患を治療するための組成物および方法を提供する。dsRNAは、RNA干渉(RNAi)として公知の過程によるmRNAの配列特異的分解を指示する。
【0036】
本発明のdsRNAは、30ヌクレオチド長未満、一般に19〜24ヌクレオチド長であり、Aha遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部と実質的に相補的な領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)を含む。これらのdsRNAの使用により、哺乳動物中の癌細胞の複製および/または維持および/または誤折り畳み嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス制御因子(CFTR)の分解に関与する遺伝子のmRNAの標的化分解が可能である。細胞ベースのアッセイおよび動物アッセイを使用して、本発明者らは、これらのdsRNAの非常に低い投薬量がRNAiを特異的且つ有効に媒介し、それにより、Aha遺伝子の発現を有意に阻害することができることを証明した。したがって、これらのdsRNAを含む本発明の方法および組成物は、タンパク質分解に関与する遺伝子のターゲティングによるAha発現によって媒介される病理学的過程(例えば、癌および/または嚢胞性線維症)の治療に有用である。
【0037】
以下の詳細な説明は、Aha遺伝子の発現を阻害するためのdsRNAおよびdsRNAを含む組成物の作製および使用方法ならびにAha遺伝子の発現に起因する疾患および障害(癌および/または嚢胞性線維症など)の治療のための組成物および方法を開示する。本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容可能なキャリアと共に、30ヌクレオチド長未満、一般に19〜24ヌクレオチド長であり、Aha遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部と実質的に相補的な相補領域を含むアンチセンス鎖を有するdsRNAを含む。
【0038】
したがって、本発明の一定の態様は、薬学的に許容可能なキャリアと共に本発明のdsRNAを含む薬学的組成物、Aha遺伝子の発現を阻害するための組成物の使用方法、およびAha遺伝子の発現に起因する疾患を治療するための薬学的組成物の使用方法を提供する。
【0039】
定義
便宜上、明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲中で使用される一定の用語および句の意味を以下に示す。本明細書の他の部分中の用語の使用法と本項で提供した定義との間に明らかな矛盾が生じる場合、本項の定義を優先するものとする。
【0040】
「G」、「C」、「A」、「T」、および「U」(大文字または小文字で記載されているかに関係なく)は、それぞれ一般に、塩基として、それぞれ、グアニン、シトシン、アデニン、チミン、およびウラシルを含むヌクレオチドを示す。しかし、用語「リボヌクレオチド」または「ヌクレオチド」は、以下にさらに詳述の修飾ヌクレオチドまたは代理置換部分をいうことができると理解されるであろう。当業者は、グアニン、シトシン、アデニン、チミン、およびウラシルを、かかる置換部分を保有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対合特性を実質的に変化させることなく、他の部分と置換することができることを十分に承知している。例えば、制限されないが、その塩基としてイノシンを含むヌクレオチドは、アデニン、シトシン、またはウラシルを含むヌクレオチドと塩基対合することができる。したがって、ウラシル、グアニン、またはアデニンを含むヌクレオチドを、本発明のヌクレオチド配列中の、例えば、イノシンを含むヌクレオチドと置換することができる。かかる置換部分を含む配列は、本発明の実施形態である。
【0041】
本明細書中で使用される場合、「Aha遺伝子」は、熱ショックタンパク質90ATPアーゼ遺伝子のアクチベーターをいう。「Aha1」は、熱ショックタンパク質90ATPアーゼ1遺伝子のアクチベーターをいい、その限定的な例は、Genbank受入番号NM_012111.1(ホモ・サピエンス)、NM_146036.1(ハツカネズミ)、およびXM_510094.1(チンパンジー)で見出される。「Aha2」は、Ahsa2としても公知の熱ショックタンパク質90ATPアーゼ2遺伝子の推定アクチベーターをいい、その限定的な例を、Genbank受入番号NM_172391.3(ハツカネズミ)およびXM_223680.3(ラット)に見出すことができる。
【0042】
本明細書中で使用される場合、「標的配列」は、Aha遺伝子の転写中に形成されたmRNA分子(一次転写産物のRNAプロセシング産物であるmRNAが含まれる)のヌクレオチド配列の連続的部分をいう。本発明の任意の所与のRNAi薬の標的配列は、かかる配列とのRNAi薬のアンチセンス鎖の相補性によってRNAi薬によってターゲティングされ、接触した場合にアンチセンス鎖がmRNAとハイブリッド形成することができるXヌクレオチド(ここで、Xは、アンチセンス鎖中のヌクレオチド数およびセンス鎖(存在する場合)の一本鎖オーバーハング中のヌクレオチド数である)のmRNA配列を意味する。
【0043】
本明細書中で使用される場合、用語「配列を含む鎖」は、標準的なヌクレオチド命名法を使用して参照する配列によって記載されるヌクレオチド鎖を含むオリゴヌクレオチドをいう。
【0044】
本明細書中で使用される場合、他で示さない限り、用語「相補性」は、当業者に理解されるように、第2のヌクレオチド配列と比較した第1のヌクレオチド配列を説明するために使用する場合、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが一定の条件下で第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとハイブリッド形成して二重鎖構造を形成する能力をいう。かかる条件は、例えば、ストリンジェントな条件であり得、ストリンジェントな条件には、以下が含まれ得る:400mM NaCl、40mM PIPES(pH6.4)、1mM EDTA、50℃または70℃で12〜16時間、およびその後の洗浄。生物内で遭遇し得る他の条件(生理学的に関連する条件など)を適用することができる。当業者は、ハイブリッド形成されたヌクレオチドの最終的適用にしたがって2つの配列の相補性試験に最も適切な条件組を決定することができるであろう。
【0045】
これには、第1および第2のヌクレオチド配列の全長にわたる、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドへの塩基対合が含まれる。かかる配列を、本明細書中で、相互に関して「完全に相補的」ということができる。しかし、本明細書中で第1の配列が第2の配列に関して「実質的に相補的」という場合、ハイブリッド形成の際、2つの配列は完全に相補的であり得るか、2つの配列は、その最終的な適用に最も関連する条件下でハイブリッド形成する能力を保持しながら、1つ以上であるが、一般に、多くて4、3、または2個のミスマッチ塩基対を形成することができる。しかし、2つのオリゴヌクレオチドがハイブリッド形成の際に1つ以上の一本鎖オーバーハングを形成するようにデザインする場合、かかるオーバーハングは、相補性決定に関してミスマッチと見なされないものとする。例えば、21ヌクレオチド長の一方のオリゴヌクレオチドおよび23ヌクレオチド長の他方のオリゴヌクレオチドを含むdsRNA(ここで、より長いオリゴヌクレオチドは、より短いオリゴヌクレオチドに完全に相補的な21ヌクレオチドの配列を含む)を、本発明の目的のために、依然として「完全に相補的」ということができる。
【0046】
本明細書中で使用される場合、「相補」配列には、そのハイブリッド形成能力に関する上記要件を満たす限り、非ワトソン−クリック塩基対および/または非天然ヌクレオチドおよび修飾ヌクレオチドから形成した塩基対も含まれ得るか、これらから完全に形成することができる。
【0047】
用語「相補的」、「完全に相補的」、および「実質的に相補的」を、本明細書中で、その使用状況から理解されるように、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との間またはdsRNAのアンチセンス鎖と標的配列との間の塩基マッチングに関して使用することができる。
【0048】
本明細書中で使用される場合、伝令RNA(mRNA)「の少なくとも一部と実質的に相補的な」ポリヌクレオチドは、(例えば、Aha1をコードする)目的のmRNAの連続部分と実質的に相補的なポリヌクレオチドをいう。例えば、ポリヌクレオチドは、配列がAha1をコードするmRNAの非干渉部分と実質的に相補的である場合、Aha1 mRNAの少なくとも一部と相補的である。
【0049】
本明細書中で使用される場合、用語「二本鎖RNA」または「dsRNA」は、2つの逆平行で実質的に相補的な上記定義の核酸鎖を含む二重鎖構造を有するリボ核酸分子の複合体をいう。二重鎖構造を形成する2つの鎖は、1つのより巨大なRNA分子の異なる部分であり得るか、個別のRNA分子であり得る。2つの鎖が1つのより巨大な分子の一部であり、それにより、一方の鎖の3’末端とそれぞれの他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの非干渉鎖によって接続されて二重鎖構造を形成する場合、接続されたRNA鎖を、「ヘアピンループ」という。2つの鎖が一方の鎖の3’末端とそれぞれの他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの非干渉鎖以外の手段によって共有結合されて二重鎖構造を形成する場合、接続構造を、「リンカー」という。RNA鎖は、同数または異なる数のヌクレオチドを有することができる。塩基対の最大数は、最も短いdsRNA鎖中のヌクレオチド数−二重鎖中に存在する任意のオーバーハングである。二重鎖構造に加えて、dsRNAは、1つ以上のヌクレオチドオーバーハングを含み得る。
【0050】
本明細書中で使用される場合、「ヌクレオチドオーバーハング」は、dsRNAの一方の鎖の3’末端が他方の鎖の5’末端を超えて伸長する(またはその逆)場合にdsRNAの二重鎖構造から突き出す非対合ヌクレオチドをいう。「ブラント(blunt)」または「平滑末端」は、dsRNAの末端に非対合ヌクレオチドが存在しない(すなわち、ヌクレオチドオーバーハングが存在しない)ことを意味する。「平滑末端」dsRNAは、分子のいずれかの末端にヌクレオチドオーバーハングを持たないdsRNAである。
【0051】
用語「アンチセンス鎖」は、標的配列と実質的に相補的な領域を含むdsRNAの鎖をいう。本明細書中で使用される場合、用語「相補領域」は、本明細書中で定義する配列(例えば、標的配列)と実質的に相補的なアンチセンス鎖上の領域をいう。相補領域が標的配列と完全に相補的ではない場合、ミスマッチは、末端領域中で最も許容され、存在する場合、一般に、末端領域(例えば、5’および/または3’末端の6、5、4、3、または2ヌクレオチド以内)中に存在する。最も好ましくは、ミスマッチは、アンチセンス鎖の5’末端および/またはセンス鎖の3’末端の6、5、4、3、または2ヌクレオチド以内に存在する。
【0052】
本明細書中で使用される場合、用語「センス鎖」は、アンチセンス鎖領域と実質的に相補的な領域を含むdsRNAの鎖をいう。
【0053】
dsRNAをいう場合、「細胞への導入」は、当業者に理解されるように、細胞への取り込みまたは吸収の促進を意味する。dsRNAの吸収または取り込みは、援助のない拡散性または能動的な細胞過程によるか、助剤または補助デバイスによって起こり得る。この用語の意味は、in vitroでの細胞に制限されず、dsRNAを、「細胞に導入する」こともでき、この細胞は生きた生物の一部である。かかる例では、細胞への導入には、生物への送達が含まれるであろう。例えば、in vivo送達のために、dsRNAを、組織部位に注射するか、全身投与することができる。細胞へのin vitro導入には、エレクトロポレーションおよびリポフェクションなどの当該分野で公知の方法が含まれる。
【0054】
用語「サイレンス」および「〜の発現を阻害する」は、Aha遺伝子(例えば、Aha1遺伝子)をいう限り、本明細書中で、Aha遺伝子が転写され、Aha遺伝子の発現が阻害されるように処理された第1の細胞または細胞群から単離することができるAha遺伝子から転写したmRNA量の減少によって示したところ、第1の細胞または細胞群と実質的に同一であるがそのように処理されていない第2の細胞または細胞群(コントロール細胞)と比較した場合にAha遺伝子(例えば、Aha1遺伝子)発現の少なくとも部分的な抑制をいう。好ましくは、細胞は、HeLa細胞またはMLE12細胞である。阻害度を、通常、以下のように示す。
【0055】
【数1】

あるいは、阻害度を、Aha遺伝子転写と機能的に関連するパラメーター(例えば、細胞によって分泌されるか、かかる細胞の溶解後に溶液中で見出されるAha遺伝子によってコードされるタンパク質の量または一定の表現型(例えば、アポトーシスまたは細胞表面CFTR)を示す細胞数)の減少に関して示すことができる。原理上、Aha遺伝子サイレンシングを、構成性またはゲノム工学のいずれかで標的を発現する任意の細胞中で、任意の適切なアッセイによって決定することができる。しかし、所与のdsRNAが一定の程度でAha遺伝子の発現を阻害するかどうかを決定するための基準が必要であり、従って、以下の実施例で提供したアッセイがかかる基準としての機能を果たすものとし、本発明に含まれる。
【0056】
例えば、一定の例では、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドの投与によって、Aha遺伝子(例えば、Aha1遺伝子)の発現が、少なくとも約20%、25%、35%、または50%抑制される。いくつかの実施形態では、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドの投与によって、Aha遺伝子(例えば、Aha1遺伝子)が、少なくとも約60%、70%、または80%抑制される。いくつかの実施形態では、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドの投与によって、Aha遺伝子(例えば、Aha1遺伝子)が、少なくとも約85%、90%、または95%抑制される。表6は、種々の本発明のdsRNA分子を使用したAha1発現の阻害値を示す。
【0057】
Aha発現(例えば、Aha1発現)の文脈において本明細書中で使用される場合、用語「治療する」、「治療」などは、Aha発現によって媒介される病理学的過程からの軽減または緩和をいう。本発明の文脈では、以下に引用した任意の他の容態(Aha発現によって媒介される病理学的過程以外)に関する限り、用語「治療する」、「治療」などは、かかる容態に関連する少なくとも1つの症状の軽減もしくは緩和またはかかる容態の進行の遅延もしくは逆転を意味する。
【0058】
本明細書中で使用される場合、句「治療有効量」および「予防有効量」は、Aha発現によって媒介される病理学的過程またはAha発現によって媒介される病理学的過程の明白な症状の治療、予防、または管理で治療的利点を提供する量をいう。通常の医療従事者は、治療に有効な特定の量を容易に決定することができ、この量は、当該分野で公知の要因(例えば、Aha発現によって媒介される病理学的過程の型、患者の病歴および年齢、Aha発現によって媒介される病理学的過程の段階、およびAha発現因子によって媒介される他の抗病理学的過程薬(anti−pathological processes)の投与など)に応じて変化し得る。
【0059】
本明細書中で使用される場合、「薬学的組成物」は、薬理学的有効量のdsRNAおよび薬学的に許容可能なキャリアを含む。本明細書中で使用される場合、「薬理学的有効量」、「治療有効量」、または単純に「有効量」は、意図する薬理学的結果、治療上の結果、または予防上の結果を得るのに有効なRNAの量をいう。例えば、疾患または障害に関連する測定可能なパラメーターが少なくとも25%減少する場合に所与の臨床的治療を有効と見なす場合、その疾患または障害の治療薬の治療有効量は、パラメーターを少なくとも25%減少させるのに必要な量である。
【0060】
用語「薬学的に許容可能なキャリア」は、治療薬投与のためのキャリアをいう。かかるキャリアには、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、およびその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。この用語は、細胞培養培地を特異的に排除する。経口投与される薬物のために、薬学的に許容可能なキャリアには、不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、甘味剤、香味物質、着色剤、および防腐剤などの薬学的に許容可能な賦形剤が含まれるが、これらに限定されない。適切な不活性希釈剤には、炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウム、リン酸ナトリウムおよびリン酸カルシウム、ならびにラクトースが含まれ、トウモロコシデンプンおよびアルギン酸は適切な崩壊剤である。結合剤には、デンプンおよびゼラチンが含まれ得、潤滑剤は、存在する場合、一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクであろう。必要に応じて、錠剤を、胃腸管での吸収を遅延させるために、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの材料でコーティングすることができる。
【0061】
本明細書中で使用される場合、「形質転換細胞」は、dsRNA分子を発現することができるベクターを導入した細胞である。
【0062】
二本鎖リボ核酸(dsRNA)
1つの実施形態では、本発明は、細胞または哺乳動物中でのAha遺伝子(例えば、Aha1遺伝子)の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子であって、dsRNAがAha遺伝子(例えば、Aha1遺伝子)の発現で形成されるmRNAの少なくとも一部と相補的な相補領域を含むアンチセンス鎖を含み、相補領域が30ヌクレオチド長未満、一般に19〜24ヌクレオチド長である、二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子を提供する。dsRNAは、表1および表2に示すdsRNAの1つと同一であり得るか、表1および表2に示すdsRNAの1つの標的配列内のAha遺伝子をコードするmRNAを切断することができる。好ましくは、dsRNAは、表1および表2に示すdsRNAの1つの少なくとも1つの鎖、好ましくは両方の鎖と同様に鎖あたり少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも18、または少なくとも20個の連続するヌクレオチドを有する。表1および表2に示すdsRNAの1つの標的配列中の他の場所をターゲティングする別のdsRNAを、標的配列および隣接Aha1配列を使用して容易に決定することができる。
【0063】
dsRNAは、ハイブリッド形成して二重鎖構造を形成するのに十分に相補的な2つのRNA鎖を含む。dsRNAの一方の鎖(アンチセンス鎖)は、Aha遺伝子発現中に形成されるmRNA配列由来の標的配列と実質的に相補的、一般に完全に相補的な相補領域を含み、他方の鎖(センス鎖)は、適切な条件下で組み合わせた場合に2つの鎖がハイブリッド形成して二重鎖構造を形成するようにアンチセンス鎖に相補的な領域を含む。一般に、二重鎖構造は、15塩基対長と30塩基対長との間、より一般には18塩基対長と25塩基対長との間、さらにより一般的には19塩基対長と24塩基対長との間、最も一般的には19塩基対長と21塩基対長との間である。同様に、標的配列に対する相補領域は、15ヌクレオチド長と30ヌクレオチド長との間、より一般的には18ヌクレオチド長と25ヌクレオチド長との間、さらにより一般的には19ヌクレオチド長と24ヌクレオチド長との間、最も一般的には19ヌクレオチド長と21ヌクレオチド長との間である。本発明のdsRNAは、さらに、1つ以上の一本鎖ヌクレオチドオーバーハングを含むことができる。dsRNAを、以下でさらに考察する当該分野で公知の標準的な方法(例えば、自動化DNA合成機(例えば、Biosearch、Applied Biosystems、Inc.から市販されるものなど)の使用)によって合成することができる。好ましい実施形態では、Aha遺伝子は、ヒトAha1遺伝子である。特定の実施形態では、dsRNAの第1の鎖は、RNAi薬(AL−DP−7301−AL−DP−7346およびAL−DP−7561−AL−DP−7564(表1)ならびにAL−DP−9250−AL−DP−9289(表2))のセンス鎖を含み、第2の配列は、AL−DP−7301−AL−DP−7346およびAL−DP−7561−AL−DP−7564(表1)ならびにAL−DP−9250−AL−DP−9289(表2)のアンチセンス鎖からなる群から選択される。
【0064】
さらなる実施形態では、dsRNAは、RNAi薬(AL−DP−7301−AL−DP−7346およびAL−DP−7561−AL−DP−7564(表1)ならびにAL−DP−9250−AL−DP−9289(表2))について上記で提供した配列群から選択される少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。他の実施形態では、dsRNAは、この群から選択される少なくとも2つの鎖を含み、ここで、少なくとも2つの配列の一方は少なくとも2つの配列の他方と相補的であり、少なくとも2つの配列の一方は、Aha遺伝子(例えば、Aha1遺伝子)の発現で生成されたmRNAの配列と実質的に相補的である。一般に、dsRNAは2つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、1つのオリゴヌクレオチドを、RNAi薬(AL−DP−7301−AL−DP−7346およびAL−DP−7561−AL−DP−7564(表1)ならびにAL−DP−9250−AL−DP−9289(表2))の1つ中のセンス鎖として記載することができ、第2のオリゴヌクレオチドを、RNAi薬(AL−DP−7301−AL−DP−7346およびAL−DP−7561−AL−DP−7564(表1)ならびにAL−DP−9250−AL−DP−9289(表2))の1つ中のアンチセンス鎖として記載することができる。
【0065】
当業者は、20塩基対と23塩基対との間であるが、特に21塩基対の二重鎖構造を含むdsRNAがRNA干渉の誘導で特に有効であると支持されていることを十分に承知している(Elbashirら、EMBO 2001、20:6877−6888)。しかし、他の者は、より短いかより長いdsRNAが同様に有効であり得ることを見出している。上記の実施形態では、RNAi薬(AL−DP−7301−AL−DP−7346およびAL−DP−7561−AL−DP−7564(表1)ならびにAL−DP−9250−AL−DP−9289(表2))のために提供されたオリゴヌクレオチド配列の性質により、本発明のdsRNAは、最小で21ntの長さの少なくとも1つの鎖を含むことができる。本明細書中でRNAi薬(AL−DP−7301−AL−DP−7346およびAL−DP−7561−AL−DP−7564(表1)ならびにAL−DP−9250−AL−DP−9289(表2))のために提供された配列の1つを含むより短いdsRNA−一方または両方の末端上のほんのわずかなヌクレオチドが上記dsRNAと比較して同様に有効であり得ると予想することが妥当であり得る。したがって、RNAi薬(AL−DP−7301−AL−DP−7346およびAL−DP−7561−AL−DP−7564(表1)ならびにAL−DP−9250−AL−DP−9289(表2))の配列の1つに由来する少なくとも15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の連続するヌクレオチドの部分的配列を含み、下記のFACSアッセイにおけるAha遺伝子(例えば、Aha1遺伝子)の発現を阻害する能力が、全長配列を含むdsRNA由来の阻害の多くて5、10、15、20、25、または30%相違するdsRNAが、本発明によって意図される。
【0066】
RNAi薬(AL−DP−7301−AL−DP−7346およびAL−DP−7561−AL−DP−7564(表1)ならびにAL−DP−9250−AL−DP−9289(表2))の標的配列内で切断するさらなるdsRNAを、Aha1遺伝子配列および各標的配列を使用して容易に作製することができる。表1および表2に示したRNAi薬は、RNAiベースの切断に感受性を示すAha1 mRNA中の部位を同定する。そのようなものとして、本発明は、本発明の薬剤の1つによってターゲティングされる配列内でターゲティングするRNAi薬を含む。本明細書中で使用される場合、dsRNAが第2のdsRNAのアンチセンス鎖と相補的なmRNA内のいずれかのメッセージを切断する場合、dsRNAは第2のdsRNAの配列内でターゲティングするという。かかるdsRNAは、一般に、Aha遺伝子をコードするmRNA中の選択された配列に連続する領域から採取したさらなるヌクレオチド配列にカップリングした表1および表2中に示す配列の1つ由来の最小で5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも18、または少なくとも20個の連続するヌクレオチドを有するであろう。例えば、標的Aha1遺伝子由来の次の6個のヌクレオチドと組み合わせたAL−DP−7301の標的配列の3’側のほとんどの15ヌクレオチドにより、表1および表2に示す配列の1つに基づく21ヌクレオチドの一本鎖薬(single strand agent)が産生される。
【0067】
好ましくは、第2のdsRNAを、適切なアッセイ(本明細書中に記載のアッセイなど)においてAha遺伝子の発現を阻害する一定の能力を有するdsRNA群から選択する。したがって、一定の好ましい実施形態では、第2のdsRNAは、AL−DP−7301、AL−DP−7308、AL−DP−7318、AL−DP−7320、AL−DP−7322、AL−DP−7324、AL−DP−7325、AL−DP−7326、AL−DP−7327、AL−DP−7329、AL−DP−7331、AL−DP−7333、AL−DP−7340、AL−DP−7342、AL−DP−7303、AL−DP−7305、AL−DP−7307、AL−DP−7309、AL−DP−7316およびAL−DP−7337、AL−DP−7304、AL−DP−7312、AL−DP−7339、AL−DP−7344、AL−DP−7306、AL−DP−7317、AL−DP−7346、AL−DP−7310、AL−DP−7323、AL−DP−7335、AL−DP−7338、AL−DP−7341、AL−DP−7302、AL−DP−7315、AL−DP−7328、AL−DP−7330、AL−DP−7336、AL−DP−7345、AL−DP−9250、AL−DP−9251、AL−DP−9252、AL−DP−9253、AL−DP−9254、AL−DP−9255、AL−DP−9256、AL−DP−9257、AL−DP−9258、AL−DP−9259、AL−DP−9260、AL−DP−9261、AL−DP−9262、AL−DP−9263、AL−DP−9264、AL−DP−9265、AL−DP−9266、AL−DP−9267、AL−DP−9268、AL−DP−9269、AL−DP−9270、AL−DP−9271、AL−DP−9272、AL−DP−9273、AL−DP−9274、AL−DP−9275、AL−DP−9276、AL−DP−9277、AL−DP−9279、AL−DP−9280、AL−DP−9281、AL−DP−9282、AL−DP−9283、AL−DP−9284、AL−DP−9285、AL−DP−9286、AL−DP−9287、AL−DP−9288およびAL−DP−9289の群から選択される。
【0068】
本発明のdsRNAは、標的配列に対する1つ以上のミスマッチを含むことができる。好ましい実施形態では、本発明のdsRNAは、わずか3個のミスマッチを含む。dsRNAのアンチセンス鎖が標的配列に対するミスマッチを含む場合、ミスマッチ領域が相補領域の中央に存在しないことが好ましい。dsRNAのアンチセンス鎖が標的配列に対するミスマッチを含む場合、ミスマッチがいずれかの末端から5ヌクレオチド、例えば、相補領域の5’末端または3’末端のいずれか、好ましくは5’末端から5、4、3、2、または1ヌクレオチドに制限されることが好ましい。例えば、Aha遺伝子の相補領域である23ヌクレオチドのdsRNA鎖について、dsRNAは、一般に、中央の13ヌクレオチド内にいかなるミスマッチも含まない。別の実施形態では、dsRNAのアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の1位または2位から9位または10位(5’−3’に計算)の領域中にいかなるミスマッチも含まない。本発明に記載の方法を使用して、標的配列に対するミスマッチを含むdsRNAがAha遺伝子発現の阻害に有効であるかどうかを決定することができる。特に、Aha遺伝子中の特定の相補領域が集団内に多形性の配列多様性を有することが公知である場合、Aha遺伝子発現の阻害におけるミスマッチを有するdsRNAの有効性を考慮することが重要である。
【0069】
1つの実施形態では、dsRNAの少なくとも1つの末端は、1〜4個、一般に1個または2個のヌクレオチドの一本鎖ヌクレオチドオーバーハングを有する。少なくとも1つのヌクレオチドオーバーハングを有するdsRNAは、その平滑末端対応物よりも予想外に優れた阻害特性を有する。さらに、本発明者らは、たった1つのヌクレオチドオーバーハングの存在が、その全体的な安定性に影響を及ぼすことなくdsRNAの干渉活性を強化することを発見した。たった1つのオーバーハングを有するdsRNAが、in vivoならびに種々の細胞、細胞培養培地、血液、および血清中で特に安定且つ有効であることが証明された。一般に、一本鎖オーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端、あるいは、センス鎖の3’末端に存在する。dsRNAはまた、一般に、アンチセンス鎖の5’末端に存在する平滑末端を有することができる。かかるdsRNAは、安定性および阻害活性が改良されているので、低投薬量(すなわち、5mg/kgレシピエント体重/日未満)で投与することが可能である。一般に、dsRNAのアンチセンス鎖は、3’末端にヌクレオチドオーバーハングを有し、5’末端は平滑末端である。別の実施形態では、オーバーハング中の1つ以上のヌクレオチドを、ヌクレオシドチオホスファートと置換する。
【0070】
さらに別の実施形態では、安定性を増強するためにdsRNAを化学修飾する。本発明の核酸を、当該分野で十分に確立されている方法(“Current protocols in nucleic acid chemistry”,Beaucage,S.L.ら(Edrs.),John Wiley & Sons,Inc.,New York,NY,USA(本明細書中で参照により援用される)に記載の方法など)によって合成および/または修飾することができる。本発明で有用な好ましいdsRNA化合物の具体例には、修飾骨格または非天然のヌクレオシド間結合を含むdsRNAが含まれる。本明細書中で定義するように、修飾骨格を有するdsRNAには、骨格中にリン原子が保持されたdsRNAおよび骨格中にリン原子を持たないdsRNAが含まれる。本明細書の目的のために、当該分野で時折参照されるように、そのヌクレオシド間骨格中にリン原子を持たない修飾dsRNAもオリゴヌクレオシドと見なすことができる。
【0071】
好ましい修飾dsRNA骨格には、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルおよび他のアルキルホスホナート(3’−アルキレンホスホナートおよびキラルホスホナートが含まれる)、ホスフィナート、ホスホルアミダート(3’−アミノホスホルアミダートおよびアミノアルキルホスホルアミダートが含まれる)、チオノホスホルアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびに通常の3’−5’結合を有するボラノホスファート(boranophosphate)、これらの2’−5’結合アナログ、およびヌクレオシド単位の隣接対が3’−5’から5’−3’または2’−5’から5’−2’で結合した逆の極性を有するものが含まれる。種々の塩、混合塩、および遊離酸形態も含まれる。
【0072】
上記のリン含有結合の調製を教示した代表的米国特許には、以下が含まれるが、これらに限定されない:米国特許第3,687,808号;同第4,469,863号;同第4,476,301号;同第5,023,243号;同第5,177,195号;同第5,188,897号;同第5,264,423号;同第5,276,019号;同第5,278,302号;同第5,286,717号;同第5,321,131号;同第5,399,676号;同第5,405,939号;同第5,453,496号;同第5,455,233号;同第5,466,677号;同第5,476,925号;同第5,519,126号;同第5,536,821号;同第5,541,316号;同第5,550,111号;同第5,563,253号;同第5,571,799号;同第5,587,361号;および同第5,625,050号(それぞれ本明細書中で参照により援用される)。
【0073】
リン原子を中に含まない好ましい修飾dsRNA骨格は、短鎖アルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子、およびアルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間結合または1つ以上の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環ヌクレオシド間結合によって形成される骨格を有する。これらには、モルホリノ結合(ヌクレオシドの糖部分から一部形成される)を有する骨格;シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシド、およびスルホン骨格;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファマート骨格;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格;スルホナートおよびスルホンアミド骨格;アミド骨格;ならびに混合したN、O、S、およびCH成分の一部を有する他の骨格が含まれる。
【0074】
上記オリゴヌクレオシドの調製を教示した代表的米国特許には、以下が含まれるが、これらに限定されない:米国特許第5,034,506号;同第5,166,315号;同第5,185,444号;同第5,214,134号;同第5,216,141号;同第5,235,033号;同第5,64,562号;同第5,264,564号;同第5,405,938号;同第5,434,257号;同第5,466,677号;同第5,470,967号;同第5,489,677号;同第5,541,307号;同第5,561,225号;同第5,596,086号;同第5,602,240号;同第5,608,046号;同第5,610,289号;同第5,618,704号;同第5,623,070号;同第5,663,312号;同第5,633,360号;同第5,677,437号;および同第5,677,439号(それぞれ本明細書中で参照により援用される)。
【0075】
他の好ましいdsRNA模倣物では、ヌクレオチド単位の糖およびヌクレオシド間結合(すなわち、骨格)の両方を、新規の基と置換する。塩基単位を、適切な核酸標的化合物とのハイブリッド形成のために維持する。1つのかかるオリゴマー化合物(優れたハイブリッド形成特性を有することが示されているdsRNA模倣物)を、ペプチド核酸(PNA)という。PNA化合物では、dsRNAの糖骨格を、アミド含有骨格、特にアミノエチルグリシン骨格と置換する。核酸塩基を保持し、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接または間接的に結合する。PNA化合物の調製を教示した代表的米国特許には、以下が含まれるが、これらに限定されない:米国特許第5,539,082号;同第5,714,331号;および同第5,719,262号(それぞれ本明細書中で参照により援用される)。PNA化合物のさらなる教示を、Nielsenら,Science,1991,254,1497−1500で見出すことができる。
【0076】
本発明の最も好ましい実施形態は、ホスホロチオエート骨格を有するdsRNAおよびヘテロ原子骨格を有するオリゴヌクレオシド、特に、上記で参照した米国特許第5,489,677号の−CH−NH−CH−、−CH−N(CH)−O−CH−(メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として公知)、−CH−O−N(CH)−CH−、−CH−N(CH)−N(CH)−CH−、および−N(CH)−CH−CH−(式中、天然ホスホジエステル骨格を、−O−P−O−CH−として示す)および上記で参照した米国特許第5,602,240号のアミド骨格である。上記で参照した米国特許第5,034,506号のモルホリノ骨格構造を有するdsRNAも好ましい。
【0077】
修飾dsRNAはまた、1つ以上の置換糖部分を含むことができる。好ましいdsRNAは、2’位に以下のうちの1つを含む:OH;F;O−、S−、またはN−アルキル;O−、S−、またはN−アルケニル;O−、S−、またはN−アルキニル;またはO−アルキル−O−アルキル(式中、アルキル、アルケニル、およびアルキニルは、置換または非置換C〜C10アルキルまたはC〜C10アルケニル、およびアルキニルであり得る)。O[(CHO]CH、O(CHOCH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH、およびO(CHON[(CHCH)](式中、nおよびmは、1〜約10である)が特に好ましい。他の好ましいdsRNAは、2’位に以下のうちの1つを含む:C〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリル、またはO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、介入物、dsRNAの薬物動態学的性質を改良するための基、dsRNAの薬力学的性質を改良するための基、および類似の性質を有する他の置換基。好ましい修飾には、2’−メトキシエトキシ(2’−O−CHCHOCH、2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOEとしても公知)(Martinら,Helv.Chim.Acta,1995,78,486−504)(すなわち、アルコキシ−アルコキシ基)が含まれる。さらに好ましい修飾には、2’−ジメチルアミノオキシエトキシ(すなわち、以下の実施例に記載のO(CHON(CH基(2’−DMAOEとしても公知)および2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(当該分野で、2’−O−ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’−DMAEOEとしても公知)(すなわち、以下の実施例にも記載の2’−O−CH−O−CH−N(CH)が含まれる。
【0078】
他の好ましい修飾には、2’−メトキシ(2’−OCH),2’−アミノプロポキシ(2’−OCHCHCHNH)、および2’−フルオロ(2’−F)が含まれる。dsRNA上の他の位置、特に、3’末端ヌクレオチド上または2’−5’結合dsRNA中の糖の3’位、および5’末端ヌクレオチドの5’位に類似の修飾を作製することもできる。dsRNAは、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣物を有することもできる。かかる修飾糖構造の調製を教示した代表的な米国特許には、以下が含まれるが、これらに限定されない:米国特許第4,981,957号;同第5,118,800号;同第5,319,080号;同第5,359,044号;同第5,393,878号;同第5,446,137号;同第5,466,786号;同第5,514,785号;同第5,519,134号;同第5,567,811号;同第5,576,427号;同第5,591,722号;同第5,597,909号;同第5,610,300号;同第5,627,053号;同第5,639,873号;同第5,646,265号;同第5,658,873号;同第5,670,633号;および同第5,700,920号(そのいくつかは本願と共有され、それぞれその全体が本明細書中で参照により援用される)。
【0079】
dsRNAには、核酸塩基(しばしば、当該分野で単純に「塩基」と呼ばれる)の修飾物または置換物も含まれ得る。本明細書中で使用される場合、「無修飾」または「天然」核酸塩基には、プリン塩基であるアデニン(A)およびグアニン(G)ならびにピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)、およびウラシル(U)が含まれる。修飾核酸塩基には、他の合成および天然の核酸塩基(5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、6−メチル、およびアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよび他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシン、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(シュードウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシル、および(anal)他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ、特に、5−ブロモ、5−トリフルオロメチルおよび他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザ(daaza)アデニン、ならびに3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンなど)が含まれる。さらなる核酸塩基には、米国特許第3,687,808号に開示の核酸塩基、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering,pages 858−859,Kroschwitz,J.L,ed.John Wiley & Sons,1990に開示の核酸塩基、Englischら,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613に開示の核酸塩基、およびSanghvi,Y S.,Chapter 15,DsRNA Research and Applications,pages 289−302,Crooke,S.T.およびLebleu,B.,Ed.,CRC Press,1993に開示の核酸塩基が含まれる。これらの核酸塩基のいくつかは、本発明のオリゴマー化合物の結合親和性の増加に特に有用である。これらには、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、ならびにN−2、N−6、および0−6置換プリン(2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル、および5−プロピニルシトシンが含まれる)が含まれる。5−メチルシトシン置換物は、0.6〜1.2℃で核酸二重鎖安定性を増加させることが示されており(Sanghvi,Y.S.,Crooke,S.T.およびLebleu,B.,Eds.,DsRNA Research and Applications,CRC Press,Boca Raton,1993,pp.276−278)、現在好ましい塩基置換物であり、特に2’−O−メトキシエチル糖修飾物と組み合わせた場合、さらに好ましい塩基置換物である。
【0080】
上記修飾核酸塩基および他の修飾核酸塩基のいくつかの調製を教示した代表的な米国特許には、以下が含まれるが、これらに限定されない:上記米国特許第3,687,808ならびに米国特許第4,845,205号;同第5,130,30号;同第5,134,066号;同第5,175,273号;同第5,367,066号;同第5,432,272号;同第5,457,187号;同第5,459,255号;同第5,484,908号;同第5,502,177号;同第5,525,711号;同第5,552,540号;同第5,587,469号;同第5,594,121,5,596,091号;同第5,614,617号;および同第5,681,941号(それぞれ、本明細書中で参照により援用される)および米国特許第5,750,692号(これも本明細書中で参照により援用される)。
【0081】
本発明のdsRNAの別の修飾は、dsRNAの活性、細胞分布、または細胞取り込みを増強する1つ以上の部分または抱合体のdsRNAへの化学結合を含む。かかる部分には、コレステロール部分などの脂質部分(Letsingerら,Proc.Natl.Acid.Sci.USA,199,86,6553−6556)、コール酸(Manoharanら,Biorg.Med.Chem.Let.,1994 4 1053−1060)、チオエーテル(例えば、ベリル−S−トリチルチオール)(Manoharanら,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660,306−309;Manoharanら,Biorg.Med.Chem.Let.,1993,3,2765−2770)、チオコレステロール(Oberhauserら,Nucl.Acids Res.,1992,20,533−538)、脂肪族鎖(例えば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基)(Saison−Behmoarasら,EMBO J,1991,10,1111−1118;Kabanovら,FEBS Lett.,1990,259,327−330;Svinarchukら,Biochimie,1993,75,49−54)、リン脂質(例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールまたはトリエチル−アンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホナート)(Manoharanら,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651−3654;Sheaら,Nucl.Acids Res.,1990,18,3777−3783)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharanら,Nucleosides & Nucleotides,1995,14,969−973)、またはアダマンタン酢酸(Manoharanら,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651−3654)、パルミチル部分(Mishraら,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264,229−237)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニルオキシコレステロール部分(Crookeら,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277,923−937)が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
かかるdsRNA抱合体の調製を教示した代表的な米国特許には、以下が含まれるが、これらに限定されない:米国特許第4,828,979号;同第4,948,882号;同第5,218,105号;同第5,525,465号;同第5,541,313号;同第5,545,730号;同第5,552,538号;同第5,578,717,5,580,731号;同第5,591,584号;同第5,109,124号;同第5,118,802号;同第5,138,045号;同第5,414,077号;同第5,486,603号;同第5,512,439号;同第5,578,718号;同第5,608,046号;同第4,587,044号;同第4,605,735号;同第4,667,025号;同第4,762,779号;同第4,789,737号;同第4,824,941号;同第4,835,263号;同第4,876,335号;同第4,904,582号;同第4,958,013号;同第5,082,830号;同第5,112,963号;同第5,214,136号;同第5,082,830号;同第5,112,963号;同第5,214,136号;同第5,245,022号;同第5,254,469号;同第5,258,506号;同第5,262,536号;同第5,272,250号;同第5,292,873号;同第5,317,098号;同第5,371,241,5,391,723号;同第5,416,203,5,451,463号;同第5,510,475号;同第5,512,667号;同第5,514,785号;同第5,565,552号;同第5,567,810号;同第5,574,142号;同第5,585,481号;同第5,587,371号;同第5,595,726号;同第5,597,696号;同第5,599,923号;同第5,599,928、および同第5,688,941号(それぞれ、本明細書中で参照により援用される)。
【0083】
所与の化合物の全ての位置を均一に修飾する必要はなく、実際、1つを超える上記修飾を1つの化合物中、またはdsRNA内の1つのヌクレオシドにも組み込むことができる。本発明はまた、キメラ化合物であるdsRNA化合物を含む。本発明の文脈における「キメラ」dsRNA化合物または「キメラ」は、dsRNA化合物、特に、それぞれ少なくとも1つの単量体単位(すなわち、dsRNA化合物の場合、ヌクレオチド)から構成される2つ以上の化学的に異なる領域を含むdsRNAである。これらのdsRNAは、典型的には、dsRNAのヌクレアーゼ分解耐性の増加、細胞取り込みの増加、および/または標的核酸に対する結合親和性の増加を付与するようにdsRNAが修飾される少なくとも1つの領域を含む。dsRNAのさらなる領域は、RNA:DNAハイブリッドまたはRNA:RNAハイブリッドを切断することができる酵素の基質としての機能を果たし得る。一例として、RNアーゼHは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼである。したがって、RNアーゼHの活性化により、RNA標的が切断され、そにより、遺伝子発現のdsRNA阻害の効率性が非常に増大する。したがって、キメラdsRNAを使用する場合、同一の標的領域とハイブリッド形成するホスホロチオエートデオキシdsRNAと比較して短いdsRNAを使用してしばしば類似の結果を得ることができる。RNA標的の切断を、当該分野で公知のゲル電気泳動および(必要に応じて)関連する核酸ハイブリッド形成技術によって日常的に検出することができる。
【0084】
一定の例では、dsRNAを、非リガンド基によって修飾することができる。dsRNAの活性、細胞分布、または細胞取り込みを増強するために多数の非リガンド分子がdsRNAに抱合されており、かかる抱合の実施手順は、科学文献から入手可能である。かかる非リガンド部分には、コレステロールなどの脂質部分(Letsingerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86:6553)、コール酸(Manoharanら,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4:1053)、チオエーテル(例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール)(Manoharanら,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660:306;Manoharanら,Bioorg.Med.Chem.Let.,1993,3:2765)、チオコレステロール(Oberhauserら,Nucl.Acids Res.,1992,20:533)、脂肪族鎖(例えば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基)(Saison−Behmoarasら,EMBO J.,1991,10:111;Kabanovら,FEBS Lett.,1990,259:327;Svinarchukら,Biochimie,1993,75:49)、リン脂質(例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホナート)(Manoharanら,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651;Sheaら,Nucl.Acids Res.,1990,18:3777)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharanら,Nucleosides & Nucleotides,1995,14:969)、またはアダマンタン酢酸(Manoharanら,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651)、パルミチル部分(Mishraら,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264:229)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニルオキシコレステロール部分(Crookeら,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277:923)が含まれていた。かかるdsRNA抱合体の調製を教示した代表的な米国特許は、上記に列挙している。典型的な抱合プロトコールは、配列の1つ以上の位置にアミノリンカーを保有するdsRNAの合成を含む。次いで、アミノ基を、適切なカップリング試薬または活性化試薬を使用して抱合された分子と反応させる。抱合反応を、固体支持体に依然として結合しているdsRNAを用いるか、液相でのdsRNAの切断後に行うことができる。HPLCによるdsRNA抱合体の精製により、典型的には、純粋な抱合体が得られる。
【0085】
ベクターコードRNAi薬
本発明のdsRNAを、in vivoにて細胞内で組換えウイルスベクターから発現することもできる。本発明の組換えウイルスベクターは、本発明のdsRNAをコードする配列およびdsRNA配列の発現のための任意の適切なプロモーターを含む。適切なプロモーターには、例えば、U6またはH1 RNA pol IIIプロモーター配列およびサイトメガロウイルスプロモーターが含まれる。他の適切なプロモーターの選択は、当業者の範囲内である。本発明の組換えウイルスベクターは、特定の組織または特定の細胞内環境におけるdsRNA発現のための誘導性プロモーターまたは調節性プロモーターも含むことができる。本発明のdsRNAをin vivoで細胞に送達させるための組換えウイルスベクターの使用を、以下でより詳細に考察する。
【0086】
本発明のdsRNAを、2つの個別の相補RNA分子としてか2つの相補領域を有する1つのRNA分子として組換えウイルスベクターから発現することができる。
【0087】
発現すべきdsRNA分子のコード配列を許容することができる任意のウイルスベクター(例えば、アデノウイルス(AV);アデノ随伴ウイルス(AAV);レトロウイルス(例えば、レンチウイルス(LV)、ラブドウイルス、マウス白血病ウイルス);ヘルペスウイルス由来のベクターなど)を使用することができる。ウイルスベクターの向性を、他のウイルス由来のエンベロープタンパク質もしくは他の表面抗原を用いたベクターのシュードタイピングまたは必要に応じた異なるウイルスキャプシドタンパク質の置換によって修飾することができる。
【0088】
例えば、本発明のレンチウイルスベクターを、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、モコラウイルスなど由来の表面タンパク質を使用してシュードタイピングすることができる。本発明のAAVベクターを、異なるキャプシドタンパク質血清型を発現するようにベクターを操作することによって異なる細胞をターゲティングするように作製することができる。例えば、血清型2ゲノム上で血清型2キャプシドを発現するAAVベクターを、AAV2/2と呼ぶ。AAV2/2ベクター中のこの血清型2キャプシド遺伝子を、血清型5キャプシド遺伝子と置換して、AAV2/5ベクターを産生することができる。異なるキャプシドタンパク質血清型を発現するAAVベクターの構築技術は、当業者の範囲内である。例えば、Rabinowitz J Eら(2002),J Virol 76:791−801(その開示全体が本明細書中で参照により援用される)を参照のこと。
【0089】
本発明での使用に適切な組換えウイルスベクターの選択、ベクターにdsRNAを発現するための核酸配列の挿入方法、および目的の細胞へのウイルスベクターの送達方法は、当業者の範囲内である。例えば、Dornburg R(1995),Gene Therap.2:301−310;Eglitis M A(1988),Biotechniques 6:608−614;Miller A D(1990),Hum Gene Therap.1:5−14;Anderson W F(1998),Nature 392:25−30;およびRubinson D Aら,Nat.Genet.33:401−406(その開示全体が本明細書中で参照により援用される)を参照のこと。
【0090】
好ましいウイルスベクターは、AVおよびAAVに由来するウイルスベクターである。特に好ましい実施形態では、本発明のdsRNAを、例えば、U6もしくはH1 RNAプロモーターまたはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターのいずれかを含む組換えAAVベクターから2つの個別の相補一本鎖RNA分子として発現する。
【0091】
本発明のdsRNAの発現に適切なAVベクター、組換えAVベクターの構築方法、および標的細胞へのベクターの送達方法は、Xia Hら(2002),Nat.Biotech.20:1006−1010に記載されている。
【0092】
本発明のdsRNAの発現に適切なAAVベクター、組換えAVベクターの構築方法、および標的細胞へのベクターの送達方法は、Samulski Rら(1987),J.Virol.61:3096−3101;Fisher K Jら(1996),J.Virol,70:520−532;Samulski Rら(1989),J.Virol.63:3822−3826;米国特許第5,252,479;米国特許第5,139,941;国際特許出願番号WO 94/13788;および国際特許出願番号WO 93/24641(その全開示が、本明細書中で参照により援用される)に記載されている。
【0093】
dsRNAを含む薬学的組成物
1つの実施形態では、本発明は、本明細書中に記載のdsRNAおよび薬学的に許容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。dsRNAを含む薬学的組成物は、Aha遺伝子の発現または活性に関連する疾患または障害(Aha1発現によって媒介される病理学的過程など)の治療に有用である。かかる薬学的組成物を、送達様式に基づいて処方する。1つの例は、非経口送達による全身投与のために処方した組成物である。
【0094】
本発明の薬学的組成物を、Aha遺伝子発現の阻害に十分な投薬量で投与する。本発明者らは、その改良された効率により、本発明のdsRNAを含む組成物を、驚くべき低投薬量で投与することができることを見出した。5mgdsRNA/kgレシピエント体重/日の最大投薬量で、Aha遺伝子の発現を阻害するか完全に抑制するのに十分である。
【0095】
一般に、dsRNAの適切な用量は、0.01μg〜5.0mg/kgレシピエント体重/日、一般に、1μg〜1mg/kg体重/日の範囲であろう。薬学的組成物を、1日1回投与することができるか、dsRNAを、1日を通して2回、3回、またはそれを超える部分用量(sub−doses)として適切な間隔で投与することができるか、持続注入または制御放出処方物による送達を使用しても投与することができる。その場合、各部分用量に含まれるdsRNAは、総1日投薬量を達成するために相応に小さくなければならない。例えば、数日間にわたってdsRNAを徐放する従来の徐放処方物を使用して、数日間にわたる送達のために投薬単位を混合することもできる。徐放処方物は当該分野で周知であり、特に、薬剤(本発明の薬剤と共に使用することができる薬剤など)の膣内送達に有用である。この実施形態では、投薬単位は、対応する複数の1日量を含む。
【0096】
当業者は、一定の要因(疾患または障害の重症度、以前の治療、対象の一般的な健康状態および/または年齢、ならびに他の疾患の存在が含まれるが、これらに限定されない)が対象を有効に治療するために必要な投薬量およびタイミングに影響を及ぼし得ることを認識するであろう。さらに、治療有効量の組成物での対象の治療には、単一の治療または一連の治療が含まれ得る。本発明に含まれる各dsRNAの有効投薬量およびin vivo半減期を、本明細書中の他の場所に記載の従来の方法を使用するか適切な動物モデルを使用したin vivo試験に基づいて評価することができる。
【0097】
マウス遺伝学の進歩により、種々のヒト疾患(Aha発現によって媒介される病理学的過程など)の研究のための多数のマウスモデルが得られている。かかるモデルを、dsRNAのin vivo試験および治療有効用量の決定のために使用する。
【0098】
本発明はまた、本発明のdsRNA化合物を含む薬学的組成物および処方物を含む。本発明の薬学的組成物を、局所または全身投与のいずれが望ましいか、および治療すべき領域に応じて多数の方法で投与することができる。投与は、局所、肺(例えば、粉末またはエアゾールの吸入または吹送(噴霧器が含まれる))、気管内、鼻腔内、上皮および経皮、経口、または非経口であり得る。非経口投与には、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内への注射または注入、または頭蓋内(例えば、髄腔内または脳室内)投与が含まれる。
【0099】
局所投与のための薬学的組成物および処方物には、経皮貼布、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、点滴薬、座剤、スプレー、液体、および粉末が含まれ得る。従来の薬学的キャリア、水溶液、粉末、または油性の基剤、および増粘剤などが必要であり得るか望ましいかもしれない。コーティングされたコンドームおよびグローブなども有用であり得る。好ましい局所処方物には、本発明のdsRNAが脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート剤、および界面活性剤などの局所送達薬との混合物中に存在する局所処方物が含まれる。好ましい脂質およびリポソームには、中性(例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン=DOPE、ジミリストイルホスファチジルコリン=DMPC、ジステアロイルホスファチジルコリン)、陰イオン性(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロール=DMPG)、および陽イオン性(例えば、ジオレオイルテトラメチルアミノプロピル=DOTAPおよびジオレオイルホスファチジルエタノールアミン=DOTMA)が含まれる。本発明のdsRNAを、リポソーム内にカプセル化することができるか、リポソーム、特に陽イオン性リポソームと複合体を形成することができる。あるいは、dsRNAを、脂質、特に、陽イオン性脂質と複合体化することができる。好ましい脂肪酸およびエステルには、アラキドン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプラート、トリカプラート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプラート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、またはC1〜10アルキルエステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、IPM)、モノグリセリド、ジグリセリド、またはその薬学的に許容可能な塩が含まれるが、これらに限定されない。局所処方物は、1999年5月20日に出願された米国特許出願番号09/315,298号(その全体が本明細書中で参照により援用される)に詳述されている。
【0100】
経口投与のための組成物および処方物には、粉末または顆粒、微粒子、ナノ粒子、水または非水性媒質の懸濁液または溶液、カプセル、ゲルカプセル、サシェ、錠剤、またはミニタブレット(minitablet)が含まれる。増粘剤、香味物質、希釈剤、乳化剤、分散助剤、または結合剤が望ましいかもしれない。好ましい経口処方物は、本発明のdsRNAを1つ以上の浸透増強剤、界面活性剤、およびキレート剤と併せて投与する処方物である。好ましい界面活性剤には、脂肪酸および/またはそのエステルもしくは塩、胆汁酸および/またはその塩が含まれる。好ましい胆汁酸/塩には、ケノデオキシコール酸(CDCA)およびウルソデオキシケノデオキシコール酸(UDCA)、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸(glucholic acid)、グリコール酸(glycholic acid)、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロ−24,25−ジヒドロ−フシド酸ナトリウムおよびグリコジヒドロフシド酸ナトリウムが含まれる。好ましい脂肪酸には、アラキドン酸、ウンデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプラート、トリカプラート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプラート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、またはモノグリセリド、ジグリセリド、またはその薬学的に許容可能な塩(たとえば、ナトリウム)が含まれる。浸透増強剤の組み合わせ(例えば、胆汁酸/塩と組み合わせた脂肪酸/塩)も好ましい。特に好ましい組み合わせは、ラウリン酸、カプリン酸、およびUDCAのナトリウム塩である。さらなる浸透増強剤には、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−20−セチルエーテルが含まれる。本発明のdsRNAを、顆粒形態(噴霧乾燥粒子が含まれる)で経口送達させることができるか、複合体化して微粒子またはナノ粒子を形成することができる。dsRNA錯化剤には、ポリアミノ酸;ポリイミン;ポリアクリラート;ポリアルキルアクリラート、ポリオキシエタン(polyoxethane)、ポリアルキルシアノアクリラート;カチオン化ゼラチン、アルブミン、デンプン、アクリラート、ポリエチレングリコール(PEG)、およびデンプン;ポリアルキルシアノアクリラート;DEAE誘導体化ポリイミン、汚染物質、セルロース、およびデンプンが含まれる。特に好ましい錯化剤には、キトサン、N−トリメチルキトサン、ポリ−L−リジン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン、ポリスペルミン、プロタミン、ポリビニルピリジン、ポリチオジエチルアミノメチルエチレン P(TDAE)、ポリアミノスチレン(例えば、p−アミノ)、ポリ(メチルシアノアクリラート)、ポリ(エチルシアノアクリラート)、ポリ(ブチルシアノアクリラート)、ポリ(イソブチルシアノアクリラート)、ポリ(イソヘキシルシアノアクリラート)、DEAE−メタクリラート、DEAE−ヘキシルアクリラート、DEAE−アクリルアミド、DEAE−アルブミンおよびDEAE−デキストラン、ポリメチルアクリラート、ポリヘキシルアクリラート、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(DL−乳酸−コ−グリコール酸(PLGA)、アルギナート、およびポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。dsRNAの経口処方物およびその調製は、米国特許出願番号08/886,829号(1997年7月1日出願)、米国特許出願番号09/108,673号(1998年7月1日出願)、米国特許出願番号09/256,515号(1999年2月23日出願)、米国特許出願番号09/082,624号(1998年5月21日)、および米国特許出願番号09/315,298号(1999年5月20日出願)(それぞれ、その全体が本明細書中で参照により援用される)に詳述されている。
【0101】
非経口投与、髄腔内投与、または脳室内投与のための組成物および処方物は、緩衝液、希釈剤、および他の適切な添加剤(浸透増強剤,キャリア化合物、および他の薬学的に許容可能なキャリアまたは賦形剤などであるが、これらに限定されない)も含むことができる滅菌水溶液を含むことができる。
【0102】
本発明の薬学的組成物には、溶液、乳濁液、およびリポソーム含有処方物が含まれるが、これらに限定されない。これらの組成物を、種々の成分(事前に形成した液体、自己乳化固体、および自己乳化半固体が含まれるが、これらに限定されない)から生成することができる。
【0103】
単位投薬形態で都合良く存在することができる本発明の薬学的処方物を、製薬産業で周知の従来技術にしたがって調製することができる。かかる技術は、有効成分を薬学的キャリアまたは賦形剤と組み合わせる工程を含む。一般に、処方物を、有効成分を液体キャリアまたは微粉化固体キャリアまたはその両方と均一且つ緊密に組み合わせ、次いで、必要に応じて、生成物を成形することによって調製する。
【0104】
本発明の組成物を、多数の可能な投薬形態(錠剤、カプセル、ゲルカプセル、液体シロップ、ソフトゲル、座剤、および浣腸剤などであるが、これらに限定されない)のいずれかに処方することができる。本発明の組成物を、水性媒質、非水性媒質、または混合媒質の懸濁液として処方することもできる。水性懸濁液は、懸濁液の粘度を増大させる物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランが含まれる)をさらに含むことができる。懸濁液は、安定剤も含むことができる。
【0105】
本発明の1つの実施形態では、薬学的組成物を処方し、フォームとして使用することができる。薬学的フォームには、乳濁液、マイクロエマルジョン、クリーム、ゼリー、およびリポソームなどの処方物が含まれるが、これらに限定されない。性質上基本的に類似する一方で、これらの処方物は、最終精製物の成分および一貫性が異なる。かかる組成物および処方物の調製は、一般に、薬学分野および処方分野の当業者に公知であり、本発明の組成物の処方に適用することができる。
【0106】
乳濁液
本発明の組成物を、乳濁液として調製し、処方することができる。乳濁液は、典型的には、通常、直径0.1μmを超える液滴形態の一方の液体が他方の液体に分散した不均一系である(Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,RiegerおよびBanker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,RiegerおよびBanker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Volume 1,p.245;Block in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,RiegerおよびBanker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 2,p.335;Higuchiら,in Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985,p.301)。乳濁液は、しばしば、相互に緊密に混合し、分散させた2つの不混和性液相を含む二相系である。一般に、乳濁液は、油中水滴型(w/o)または水中油滴型(o/w)のいずれかであり得る。水相が細かく分割し、微小液滴として大量の油相に分散される場合、得られた組成物を油注水滴型(w/o)乳濁液と呼ぶ。あるいは、油相が細かく分割し、微小液滴として大量の水相に分散される場合、得られた組成物を水中油滴型(o/w)乳濁的と呼ぶ。乳濁液は、分散相に加えてさらなる成分および水相、油相のいずれかの溶液としてか、それ自体が個別の相として存在することができる活性薬(active drug)を含むことができる。薬学的賦形剤(乳化剤、安定剤、色素、および抗酸化剤など)は、必要に応じて乳濁的中に存在することもできる。薬学的乳濁液はまた、2つを超える相から構成される多相乳濁液(multiple emulsions)であり得る(例えば、油−水−油(o/w/o)乳濁液および水−油−水(w/o/w)乳濁液の場合など)。かかる複合処方物(complex formulation)は、しばしば、単純な二成分乳濁液では得られない一定の利点が得られる。o/w乳濁液の各油滴が小さな水滴を取り囲んだ多相乳濁液は、w/o/w乳濁液を構成する。同様に、油性連続系中に安定化された水小球中に取り囲まれた油滴の系により、o/w/o乳濁液が得られる。
【0107】
乳濁液は、熱力学的安定性がほとんどないか全くないことによって特徴づけられる。しばしば、乳濁液の分散相または不連続相は、外相または連続相に十分に分散されており、乳化剤または処方物の粘度によってこの形態が維持される。乳濁液のいずれかの相は、乳濁液型軟膏基剤およびクリームの場合のように半固体または固体であり得る。乳濁液の他の安定化手段は、乳濁液のいずれかの相に組み込むことができる乳化剤の使用を必要とする。乳化剤は、以下の4つのカテゴリーに大きく分類することができる:合成界面活性剤、天然に存在する乳濁液、吸収基剤、微細分散した固体(Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,RiegerおよびBanker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199)。
【0108】
表面活性剤としても公知の合成界面活性剤は、乳濁液の処方で広範な適用性があることが見出されており、文献で概説されている(Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,RiegerおよびBanker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.285;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,RiegerおよびBanker(Eds.),Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,volume 1,p.199)。界面活性剤は、典型的には、両親媒性であり、親水性部分および疎水性部分を含む。界面活性剤の疎水性に対する親水性の比は、親水性/親油性バランス(HLB)と呼ばれており、処方物の調製における界面活性剤の分類および選択での有益なツールである。界面活性剤を、以下の親水基の性質に基づいて異なるクラスに分類することができる:非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、および両性(Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,RiegerおよびBanker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.285)。
【0109】
乳濁液処方で使用される天然に存在する乳化剤には、ラノリン、蜜蝋、ホスファチド、レシチン、およびアカシアが含まれる。吸収基剤は、水を吸い上げてw/o乳濁液を形成するが一貫して半固体を保持するような親水性を有する(無水ラノリンおよび親水性ペトロラタムなど)。特に界面活性剤と組み合わせた粘性調製物中の良好な乳化剤として微粉化固体も使用されている。これらには、極性無機固体(重金属水酸化物など)、非膨潤クレイ(ベントナイト、アタパルガイト、ヘクトライト、カオリン、モンモリロナイト、コロイド状ケイ酸アルミニウム、およびコロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウムなど)、色素、および非極性固体(炭素またはトリステアリン酸グリセリルなど)が含まれる。
【0110】
多種多様な非乳化物質も乳濁液処方物に含まれ、乳濁液の性質に寄与する。これらには、脂肪、油、ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、保湿剤、親水コロイド、防腐剤、および抗酸化剤が含まれる(Block,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,RiegerおよびBanker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.335;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,RiegerおよびBanker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199)。
【0111】
親水コロイドまたはハイドロコロイドには、天然に存在するゴムおよび合成ポリマー(ポリサッカリド(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアガム、カラヤゴム、およびトラガカント)など)、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシプロピルセルロース)、および合成ポリマー(例えば、カルボマー、セルロースエーテル、およびカルボキシビニルポリマー)が含まれる。これらは、水中で分散または膨潤してコロイド溶液を形成し、分散相の液滴周囲に強い界面薄膜を形成し、外相の粘度が増大することによって乳濁液を安定化する。
【0112】
乳濁液は、しばしば、微生物の成長を容易に支持することができる多数の成分(炭水化物、タンパク質、ステロール、およびホスファチドなど)を含むので、これらの処方物に、しばしば、防腐剤を組み込む。乳濁液処方物中に含まれる一般的に使用される防腐剤には、メチルパラベン、プロピルパラベン、第四級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、p−ヒドロキシ安息香酸のエステル、およびホウ酸が含まれる。一般に、処方物の劣化を回避するために、乳濁液処方物に抗酸化剤も添加する。使用される抗酸化剤は、フリーラジカルスカベンジャー(トコフェロールなど)、没食子酸アルキル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、または還元剤(アスコルビン酸およびメタ重亜硫酸ナトリウムなど)、および抗酸化共力剤(クエン酸、酒石酸、およびレシチン)であり得る。
【0113】
皮膚、経口、および非経口経路を介した乳濁液処方物の適用およびその製造方法は、文献に概説されている(Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,RiegerおよびBanker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199)。経口送達用の乳濁液処方物は、処方の容易さならびに吸収および生体利用能の観点からの有効性により、非常に広範に使用されている(Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,RiegerおよびBanker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,RiegerおよびBanker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199)。そのうち、鉱物油基剤の緩下薬、油溶性ビタミン、および高脂肪栄養調製物は、一般にo/w乳濁液として投与される材料である。
【0114】
本発明の1つの実施形態では、dsRNAおよび核酸の組成物を、マイクロエマルジョンとして処方する。マイクロエマルジョンを、単一の光学的に等方性であり、熱力学的に安定な溶液である水、油、および両親媒性物質の系と定義することができる(Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,RiegerおよびBanker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245)。典型的には、マイクロエマルジョンは、最初に界面活性剤水溶液中に油を分散させ、次いで十分な量の第4の成分(一般に、中鎖アルコール)を添加して透明な系を形成することによって調製される系である。したがって、マイクロエマルジョンは、界面活性分子の界面薄膜によって安定される2つの不混和性液体の熱力学的に安定な等方性に透明な分散物とも説明されている(LeungおよびShah,in:Controlled Release of Drugs:Polymers and Aggregate Systems,Rosoff,M.,Ed.,1989,VCH Publishers,New York,pages 185−215)。マイクロエマルジョンを、一般に、油、水、界面活性剤、共界面活性剤(cosurfactant)、および電解質を含む3〜5つの成分の組み合わせによって調製する。マイクロエマルジョンが油中水滴型(w/o)または水中油滴型(o/w)に由来するかどうかは、使用した油および界面活性剤の性質ならびに界面活性分子の極性頭部(polar head)および炭化水素テールの構造および幾何学的充填(geometric packing)に依存する(Schott,in Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985,p.271)。
【0115】
状態図を使用した現象論的アプローチは広範に研究されており、当業者は、マイクロエマルジョンの処方方法についての包括的知識を得ている(Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,RiegerおよびBanker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245;Block,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,RiegerおよびBanker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.335)。従来の乳濁液と比較して、マイクロエマルジョンは、自発的に形成される熱力学的に安定な液滴の処方において不水溶性薬物が可溶化するという利点が得られる。
【0116】
マイクロエマルジョンの調製で使用される界面活性剤には、単独または共界面活性剤と組み合わせたイオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、Brij 96、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、テトラグリセロールモノラウラート(ML310)、テトラグリセロールモノオレアート(MO310)、ヘキサグリセロールモノオレアート(PO310)、ヘキサグリセロールペンタオレアート(PO500)、デカグリセロールモノカプラート(MCA750)、デカグリセロールモノオレアート(MO750)、デカグリセロールセスキオレアート(decaglycerol sequioleate)(SO750)、デカグリセロールデカオレアート(DAO750)が含まれるが、これらに限定されない。共界面活性剤は、通常、短鎖アルコール(エタノール、1−プロパノール、および1−ブタノールなど)であり、界面活性薄膜(surfactant film)への透過およびそれによる界面活性分子間に生成された空隙による不規則な薄膜の作製によって界面流動性を増大するのに役立つ。しかし、マイクロエマルジョンを、共界面活性剤を使用することなく調製することができ、無アルコール自己乳化マイクロエマルジョン系が当該分野で公知である。水相は、典型的には、水、薬物の水溶液、グリセロール、PEG300、PEG400、ポリグリセロール、プロピレングリコール、およびエチレングリコールの誘導体であり得るが、これらに限定されない。油相には、Captex300、Captex355、Capmul MCM、脂肪酸エステル、中鎖(C〜C12)モノ、ジ、およびトリ−グリセリド、ポリオキシエチル化グリセリル脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ポリグリコール化グリセリド、飽和ポリグリコール化C〜C10グリセリド、植物油、およびシリコーン油などの材料が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0117】
マイクロエマルジョンは、薬物可溶化および薬物吸収の増強の観点から特に興味深い。脂質ベースのマイクロエマルジョン(o/wおよびw/oの両方)は、薬物(ペプチドが含まれる)の経口生体利用性を増強すると提案されている(Constantinidesら,Pharmaceutical Research,1994,11,1385−1390;Ritschel,Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.,1993,13,205)。マイクロエマルジョンは、薬物可溶化の改良、酵素加水分解からの薬物の保護、界面活性剤に誘導された膜流動性および膜透過性の変化に起因する薬物吸収の増強可能性、調製の容易さ、固体投薬形態を超える経口投与の容易さ、臨床効力(clinical potency)の改善、および毒性の減少という利点を付与した(Constantinidesら,Pharmaceutical Research,1994,11,1385;Hoら,J.Pharm.Sci.,1996,85,138−143)。しばしば、マイクロエマルジョンは、その成分が周囲温度で合わされた場合に自発的に形成することができる。これは、特に、熱不安定性薬物、ペプチド、またはdsRNAを処方する場合に有利であり得る。マイクロエマルジョンは、美容的および薬学的適用の両方での有効成分の経皮送達でも有効である。本発明のマイクロエマルジョン組成物および処方物が、胃腸管からのdsRNAおよび核酸の全身吸収の増大を促進し、胃腸管、膣、口腔、および他の投与領域内でのdsRNAおよび核酸の局所細胞取り込みを改良すると予想される。
【0118】
本発明のマイクロエマルジョンはまた、処方物の性質を改善し、本発明のdsRNAおよび核酸の吸収を増大するためのさらなる成分および添加物(ソルビタンモノステアラート(Grill 3)、Labrasol、および浸透増強剤など)を含むことができる。本発明のマイクロエマルジョンで使用される浸透増強剤を、以下の5つの広範なカテゴリーの1つに属するように分類することができる:界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤、及び非キレート化非界面活性剤(Leeら,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92)。これらの各クラスは、上記で考察されている。
【0119】
リポソーム
薬物の処方のために研究および使用されているマイクロエマルジョンに加えて、多数の組織化された界面活性剤の構造が存在する。これらには、単分子層、ミセル、二分子層、および小胞が含まれる。リポソームなどの小胞は、薬物送達の観点から、それらの持つ特異性および作用の持続時間により、非常に関心を引いた。本発明で使用される場合、用語「リポソーム」は、球状二分子層に配置された両親媒性脂質から構成される小胞を意味する。
【0120】
リポソームは、親油性材料および水性内部から形成される膜を有する単層および多層の小胞である。水性部分は、送達すべき成分を含む。陽イオン性リポソームは、細胞壁と融合することができるという利点を有する。非陽イオン性リポソームは、細胞壁と有効に融合することができないが、in vivoでマクロファージによって取り込まれる。
【0121】
インタクトな哺乳動物の皮膚を通過するために、脂質小胞は、適切な経皮勾配の影響下でそれぞれ直径50nm未満の一連の細孔を通過しなければならない。したがって、高度に変形可能であり、且つかかる細孔を通過することができるリポソームを使用することが望ましい。
【0122】
リポソームのさらなる利点には、以下が含まれる:天然リン脂質から得たリポソームは生体適合性および生分解性を示すこと、リポソームは広範な水溶性および脂溶性の薬物を組み込むことができること、リポソームは、その内部区画中にカプセル化された薬物を代謝および分解から保護することができること(Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,RiegerおよびBanker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245)。リポソーム処方物の調製における重要な検討事項は、リポソームの脂質表面の電荷、小胞サイズ、および水容積(aqueous volume)である。
【0123】
リポソームは、作用部位への有効成分の輸送および送達に有用である。リポソーム膜が生体膜と構造的に類似しているので、リポソームを組織に適用する場合、リポソームは細胞膜と融合し始め、リポソームと細胞の融合が進行するにつれて、リポソーム内容物は細胞に流入し、細胞で活性成分(active agent)が作用することができる。
【0124】
リポソーム処方物は、多数の薬物のための送達様式として広範な調査の焦点である。局所投与のために、リポソームは、他の処方物を超えるいくつかの利点を提供するという証拠が増加している。かかる利点には、投与した薬物の全身吸収の高さに関連する副作用の軽減、投与した薬物の所望の標的での蓄積の増加、および広範な薬物(親水性および疎水性の両方)の皮膚への投与能力が含まれる。
【0125】
いくつかの報告により、リポソームが薬剤(高分子量DNAが含まれる)を皮膚に送達する能力が詳述されている。鎮痛薬、抗体、ホルモン、および高分子量DNAを含む化合物を、皮膚に投与した。適用の大部分が、表皮上層がターゲティングされた。
【0126】
リポソームは、2つの広範なクラスに分類される。陽イオン性リポソームは正電荷のリポソームであり、負電荷のDNA分子と相互作用して安定な複合体を形成する。正電荷のDNA/リポソーム複合体は、負電荷の細胞表面に結合し、エンドソーム中に内在化する。エンドソーム内の酸性pHにより、リポソームが破裂し、その内容物が細胞質に放出される(Wangら,Biochem.Biophys.Res.Commun.,1987,147,980−985)。
【0127】
pH感受性または負電荷のリポソームは、DNAと複合体化するよりもむしろDNAを捕捉する。DNAおよび脂質の両方が同様に荷電しているので、複合体形成よりもむしろ反発が起こる。それにもかかわらず、いくつかのDNAは、これらのリポソームの水性内部に捕捉される。pH感受性リポソームを使用して、チミジンキナーゼ遺伝子をコードするDNAを培養物中の細胞単層に送達した。外因性遺伝子の発現を、標的細胞中で検出した(Zhouら,Journal of Controlled Release,1992,19,269−274)。
【0128】
1つの主なリポソーム組成物型には、天然に誘導されたホスファチジルコリン以外のリン脂質が含まれる。中性リポソーム組成物を、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)またはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成することができる。陰イオン性リポソーム組成物を、一般に、ジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成する一方で、陰イオン性融合誘導リポソームを、主に、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成する。別のリポソーム組成物型を、ホスファチジルコリン(PC)(例えば、ダイズPCおよびタマゴPCなど)から形成する。別の型を、リン脂質および/またはホスファチジルコリンおよび/またはコレステロールの混合物から形成する。
【0129】
いくつかの研究により、リポソーム薬処方物の皮膚への局所送達を評価した。インターフェロンを含むリポソームのモルモット皮膚への適用により、皮膚ヘルペスの疼痛が軽減された一方で、他の手段(例えば、溶液または乳濁液として)を介したインターフェロンの送達は効果が無かった(Weinerら,Journal of Drug Targeting,1992,2,405−410)。さらに、さらなる研究により、水系を使用したインターフェロンの投与に対するリポソーム処方物の一部として投与されたインターフェロンの有効性を試験し、リポソーム処方物が水性投与よりも優れていると結論づけられた(du Plessisら,Antiviral Research,1992,18,259−265)。
【0130】
非イオン性リポソーム系、特に、非イオン性界面活性剤およびコレステロールを含む系も試験し、皮膚への薬物の送達におけるその有用性を決定した。Novasome(商標)I(グリセリルジラウラート/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)およびNovasome(商標)II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム処方物を使用して、シクロスポリン−Aをマウス皮膚の真皮に送達させた。結果は、かかる非イオン性リポソーム系が異なる皮膚層へのシクロスポリン−Aの沈積の促進に有効であることが示された(Huら、S.T.P.Pharma.Sci.,1994,4,6,466)。
【0131】
リポソームには、「立体的に安定化された」リポソームも含まれ、この用語は、本明細書中で使用される場合、リポソーム中に組み込まれた場合、かかる特殊化脂質を欠くリポソームと比較して循環半減期が増強される1つ以上の特殊化脂質を含むリポソームをいう。立体的に安定化されたリポソームの例は、リポソームの小胞形成脂質部分(A)の一部が1つ以上の糖脂質(モノシアロガングリオシド、Gm1)を含むか、(B)が1つ以上の親水性ポリマー(ポリエチレングリコール(PEG)部分など)を用いて誘導体化されるリポソームである。いかなる特定の理論に拘束されることも望まないが、ガングリオシド、スフィンゴミエリン、またはPEG誘導体化脂質を含む少なくとも立体的に安定化されたリポソームについて、これらの立体的に安定化されたリポソームの循環半減期の増強が、細網内皮系(RES)の細胞への取り込みの減少に由来すると当該分野で考えられる(Allenら,FEBS Letters,1987,223,42;Wuら,Cancer Research,1993,53,3765)。
【0132】
1つ以上の糖脂質を含む種々のリポソームは、当該分野で公知である。Papahadjopoulosら(Ann.N.Y.Acad.Sci.,1987,507,64)は、モノシアロガングリオシド(Gm1)、硫酸ガラクトセレブロシド、およびホスファチジルイノシトールがリポソームの血中半減期を改善する能力を報告した。これらの所見は、Gabizonら(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1988,85,6949)に詳述されている。米国特許第4,837,028号およびWO88/04924号(共に、Allenら)は、(1)スフィンゴミエリンおよび(2)ガングリオシド(Gm1)またはガラクトセレブロシドの硫酸エステルを含むリポソームを開示している。米国特許第5,543,152号(Webbら)は、スフィンゴミエリンを含むリポソームを開示している。1,2−sn−ジミリストイルホスファチジルコリンを含むリポソームは、WO97/13499号(Limら)に開示されている。
【0133】
1つ以上の親水性ポリマーで誘導体化された脂質を含む多数のリポソームおよびその調製方法は、当該分野で公知である。Sunamotoら(Bull.Chem.Soc.Jpn.,1980,53,2778)は、PEG部分を含む非イオン性界面活性剤2C1215Gを含むリポソームを記載している。Illumら(FEBS Lett.,1984,167,79)は、高分子グリコールでのポリスチレン粒子の親水性コーティングによって血中半減期が有意に増強されることに注目した。ポリアルキレングリコール(例えば、PEG)のカルボン酸基の結合によって修飾された合成リン脂質は、Sears(米国特許第4,426,330号および同第4,534,899号)に記載されている。Klibanovら(FEBS Lett.,1990,268,235)は、PEGまたはステアリン酸PEGで誘導体化されたホスファチジルエタノールアミン(PE)を含むリポソームが血中循環半減期を有意に増大させることを証明する実験を記載している。Blumeら(Biochimica et Biophysica Acta,1990,1029,91)は、かかる所見を他のPEG誘導体化リン脂質(例えば、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)とPEGとの組み合わせから形成されたDSPE−PEG)に拡大した。その外部表面上に共有結合したPEG部分を有するリポソームは、Fisherの欧州特許第EP0445131B1およびWO90/04384号(Fisher)に記載されている。1〜20モルパーセントのPEGで誘導体化されたPEを含むリポソーム組成物およびその使用方法は、Woodleら(米国特許第5,013,556および同第5,356,633号)およびMartinら(米国特許第5,213,804号および欧州特許第EP0496813B1号)によって記載されている。多数の他の脂質−ポリマー抱合体を含むリポソームは、WO91/05545号および米国特許第5,225,212号(共にMartinら)ならびにWO94/20073号(Zalipskyら)に開示されている。PEG修飾セラミド脂質を含むリポソームは、WO96/10391号(Choiら)に記載されている。米国特許第5,540,935号(Miyazakiら)および米国特許第5,556,948号(Tagawaら)は、その表面上の官能部分でさらに誘導体化することができるPEG含有リポソームを記載している。
【0134】
核酸を含む限定された数のリポソームが当該分野で公知である。ThierryらのWO96/40062号は、リポソーム中への高分子量の核酸のカプセル化方法を開示している。Tagawaらの米国特許第5,264,221号は、タンパク質結合リポソームを開示し、かかるリポソームの内容物がdsRNAを含むことができると強く主張している。Rahmanらの米国特許第5,665,710は、リポソーム中へのオリゴデオキシヌクレオチドの一定のカプセル化方法を記載している。LoveらのWO97/04787号は、raf遺伝子にターゲティングしたdsRNAを含むリポソームを開示している。
【0135】
トランスフェルソーム(Transfersome)は、さらに別のリポソーム型であり、高度に変形可能な脂質凝集体であり、薬物送達ビヒクルの魅力的な候補である。トランスフェルソームは、液滴より小さな孔を容易に透過することができる非常に高度に変形可能な脂質液滴と説明することができる。トランスフェルソームは、これが使用される環境に適合することができる。例えば、トランスフェルソームは、自己最適化し(皮膚内の孔の形状に適合する)、自己修復性を示し、断片化することなく頻繁に標的に到達し、しばしば、自己負荷される(self−loading)。トランスフェルソームを作製するために、表面輪部アクチベーター(surface edge−activator)、(通常、界面活性剤)を標準的なリポソーム組成物に添加することが可能である。トランスフェルソームを使用して、血清アルブミンを皮膚に送達させた。血清アルブミンのトランスフェルソーム媒介送達は、血清アルブミンを含む溶液の皮下注射と同等に有効であることが示されている。
【0136】
界面活性剤は、乳濁液(マイクロエマルジョンが含まれる)およびリポソームなどの処方物で広範に適用されている。多数の異なる界面活性剤型(天然および合成の両方)の性質の最も一般的な分類および順位付け方法は、親水性/親油性バランス(HLB)の使用による方法である。親水基(「頭部(head)としても公知」)の性質により、処方物中で使用される異なる界面活性剤の最も有用な分類方法が得られる(Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,p.285)。
【0137】
界面活性剤分子がイオン化されない場合、これを非イオン性界面活性剤と分類する。非イオン性界面活性剤は、医薬品および化粧品で広範に適用され、広範なpH値で使用可能である。一般に、そのHLB値は、その構造に応じて、2〜約18の範囲である。非イオン性界面活性剤には、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル、およびエトキシル化エステルなどの非イオン性エステルが含まれる。非イオン性アルカノールアミドおよびエーテル(脂肪アルコールエトキシラート、プロポキシル化アルコール、およびエトキシル化/プロポキシル化ブロック重合体など)もこのクラスに含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は、非イオン性界面活性剤クラスの最も一般的なメンバーである。
【0138】
水に溶解または分散した場合に界面活性剤分子が負電荷を有する場合、界面活性剤を陰イオン性に分類する。陰イオン性界面活性剤には、カルボキシラート(セッケンなど)、アシルラクチラート、アミノ酸のアシルアミド、硫酸のエステル(アルキルスルファートおよびエトキシル化アルキルスルファートなど)、スルホナート(アルキルベンゼンスルホナートなど)、アシルイセチオナート、アシルタウラートおよびスルホスクシナート、およびホスファートが含まれる。陰イオン性界面活性剤クラスの最も重要なメンバーは、アルキルスルファートおよびセッケンである。
【0139】
水に溶解または分散した場合に界面活性剤分子が正電荷を有する場合、界面活性剤を陽イオン性に分類する。陽イオン性界面活性剤には、第四級アンモニウム塩およびエトキシル化アミンが含まれる。第四級アンモニウム塩は、このクラスの最も使用されているメンバーである。
【0140】
界面活性剤分子が正電荷または負電荷のいずれかを有する能力を有する場合、界面活性剤を両性に分類する。両性界面活性剤には、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N−アルキルベタイン、およびホスファチドが含まれる。
【0141】
製剤、処方物、および乳濁液中の界面活性剤の使用は、概説されている(Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,p.285)。
【0142】
浸透増強剤
1つの実施形態では、本発明は、核酸、特にdsRNAを動物の皮膚に効率的に送達させるための種々の浸透増強剤を使用する。ほとんどの薬物は、イオン化形態および非イオン化形態両方の溶液中に存在する。しかし、通常、脂溶性または親油性の薬物のみが、細胞膜を容易に通過する。通過する膜を浸透増強剤で処理した場合、非親油性薬物でさえも細胞膜を通過し得ることが発見されている。細胞膜を通過する非親油性薬物の拡散の補助に加えて、浸透増強剤は、親油性薬物の透過性も増強する。
【0143】
浸透増強剤を、5つの広範なカテゴリー(すなわち、界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤、および非キレート化非界面活性剤)のうちの1つに属するように分類することができる(Leeら,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92)。上記の各浸透増強剤クラスを、以下により詳細に記載する。
【0144】
界面活性剤:本発明に関連して、界面活性剤(または「表面活性剤」)は、水溶液に溶解した場合に溶液の表面張力または水溶液と別の液体との間の界面張力を減少させる化学物質であり、これにより、粘膜を介したdsRNAの吸収が増強される。胆汁酸塩および脂肪酸に加えて、これらの浸透増強剤には、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム,ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−20−セチルエーテル)(Leeら,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92)およびペルフルオロ化学乳濁液(FC−43など)(Takahashiら,J.Pharm.Pharmacol.,1988,40,252)が含まれる。
【0145】
脂肪酸:浸透増強剤として作用する種々の脂肪酸およびその誘導体には、例えば、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸(n−デカン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプラート、トリカプラート、モノオレイン(1−モノオレオイル−rac−グリセロール)、ジラウリン、カプリル酸、アラキドン酸、グリセロール1−モノカプラート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、そのC〜C10アルキルエステル(例えば、メチル、イソプロピル、およびt−ブチル)、ならびにそのモノおよびジグリセリド(すなわち、オレアート、ラウラート、カプラート、ミリスタート、パルミタート、ステアラート、リロノレアートなど)が含まれる(Leeら,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carryier Systems,1991,p.92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;El Haririら,J.Pharm.Pharmacol.,1992,44,651−654)。
【0146】
胆汁酸塩:胆汁の生理学的役割には、脂質および脂溶性ビタミンの拡散および吸収の促進が含まれる(Brunton,Chapter 38 in:Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Ed.,Hardmanら Eds.,McGraw−Hill,New York,1996,pp.934−935)。種々の天然胆汁酸塩およびその合成誘導体は、浸透増強剤として作用する。したがって、用語「胆汁酸塩」には、胆汁の任意の天然に存在する成分および任意のその合成誘導体が含まれる。本発明の胆汁酸塩には、例えば、コール酸(または薬学的に許容可能なナトリウム塩、コール酸ナトリウム)、デヒドロコール酸(デヒドロコール酸ナトリウム)、デオキシコール酸(デオキシコール酸ナトリウム)、グルコール酸(グルコール酸ナトリウム)、グリコール酸(グリコール酸ナトリウム)、グリコデオキシコール酸(グリコデオキシコール酸ナトリウム)、タウロコール酸(タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸(タウロデオキシコール酸ナトリウム)、ケノデオキシコール酸(ケノデオキシコール酸ナトリウム)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、タウロ−24,25−ジヒドロ−フシド酸ナトリウム(STDHF)、グリコジヒドロフシド酸ナトリウム、およびポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(POE)が含まれる(Leeら,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92;Swinyard,Chapter 39 In:Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990,pages 782−783;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;Yamamotoら,J.Pharm.Exp.Ther.,1992,263,25;Yamashitaら,J.Pharm.Sci.,1990,79,579−583)。
【0147】
キレート剤:本発明に関連して使用する場合、キレート剤を、複合体の形成によって溶液から金属イオンを除去し、それにより、粘膜を介したdsRNAの吸収が増強される化合物と定義することができる。本発明における浸透増強剤としてのその使用に関して、最も特徴づけられたDNAヌクレアーゼが触媒のための2価の金属イオンを必要とし、それにより、キレート剤によって阻害されるので、キレート剤は、DNアーゼインヒビターとしての機能も果たすというさらなる利点を有する(Jarrett、J.Chromatogr.、1993、618、315−339)。本発明のキレート剤には、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、クエン酸、サリチラート(例えば、サリチル酸ナトリウム、5−メトキシサリチラート、およびホモバニラート)、コラーゲンのN−アシル誘導体、ラウレス−9、およびβ−ジケトンのN−アミノアシル誘導体(エナミン)(Leeら,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;Buurら,J.Control Rel.,1990,14,43−51)が含まれるが、これらに限定されない。
【0148】
非キレート化非界面活性剤:本明細書中で使用される場合、非キレート化非界面活性浸透増強化合物を、キレート剤または界面活性剤として有意でない活性を示すが、それにもかかわらず、消化器粘膜を介したdsRNAの吸収を増強する化合物と定義することができる(Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33)。この浸透増強剤クラスには、例えば、不飽和環状尿素,1−アルキル−および1−アルケニルアザシクロ−アルカノン誘導体(Leeら,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92)および非ステロイド系抗炎症薬(ジクロフェナックナトリウム、インドメタシン、およびフェニルブタゾンなど)(Yamashitaら,J.Pharm.Pharmacol.,1987,39,621−626)が含まれる。
【0149】
細胞レベルでdsRNAの取り込みを増強する薬剤を、本発明の薬学的組成物および他の組成物に添加することもできる。例えば、陽イオン性脂質(リポフェクチンなど)(Junichiらの米国特許第5,705,188号)、陽イオン性グリセロール誘導体、および多陽イオン性(polycationic)分子(ポリリジンなど)(Lolloら,PCT出願WO97/30731号)も、dsRNAの細胞取り込みを増強することが公知である。
【0150】
他の薬剤を使用して、投与した核酸の浸透を増強することができる(エチレングリコールおよびプロピレングリコールなどのグリコール、2−ピロールなどのピロール、アゾン、およびならびにリモネンおよびメトンなどのテルペンが含まれる)。
【0151】
キャリア
本発明の一定の組成物に、処方物中のキャリア化合物も組み込む。本明細書中で使用される場合、「キャリア化合物」または「キャリア」は、不活性である(すなわち、それ自体が生物活性を持たない)が、例えば、生物学的に活性な核酸を分解するか、循環からのその除去を促進することによって生物活性を有する核酸の生体利用性を減少させるin vivo過程によって核酸として認識される核酸またはそのアナログをいうことができる。核酸およびキャリア化合物、典型的には過剰な後者の物質との同時投与により、肝臓、腎臓、または他の循環外リザーバ(extracirculatory reservoir)中の核酸の回収量を実質的に減少させることができ、これはおそらく共通の受容体についてのキャリア化合物と核酸との間の競合に起因する。例えば、ポリイノシン酸、硫酸デキストラン、ポリシチジン酸(polycytidic acid)、または4−アセトアミド−4’イソチオシアノ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸と同時投与した場合、肝臓組織中の部分的なホスホロチオエートdsRNAの回収を減少させることができる。(Miyaoら,Antisense Res.Dev.,1995,5,115−121;Takakuraら,Antisense & Nucl.Acid Drug Dev.,1996,6,177−183)。
【0152】
賦形剤
キャリア化合物と対照的に、「薬学的キャリア」または「賦形剤」は、1つ以上の核酸を動物に送達させるための薬学的に許容可能な溶媒、懸濁剤、または任意の他の薬理学的に不活性なビヒクルである。賦形剤は、液体または固体であり得、核酸および所与の薬学的組成物の他の成分と組み合わせた場合に、所望の嵩、一貫性などが得られるように計画された投与様式を考慮して選択される。典型的な薬学的キャリアには、結合剤(例えば、α化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど);充填剤(例えば、ラクトースおよび他の糖、微結晶性セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリラート、またはリン酸水素カルシウムなど);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、金属ステアラート、硬化植物油、トウモロコシデンプン、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど);崩壊剤(例えば、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウムなど);および湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)が含まれるが、これらに限定されない。
【0153】
核酸と有害に反応しない非経口投与以外に適切な薬学的に許容可能な有機または無機の賦形剤を使用して、本発明の組成物を処方することもできる。適切な薬学的に許容可能なキャリアには、水、塩水、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0154】
核酸の局所投与のための処方物は、滅菌および非滅菌水溶液、非水溶液(一般に、アルコールなどの溶媒)、または液体もしくは固体の油性基剤中の核酸溶液を含むことができる。溶液は、緩衝液、希釈剤、および他の適切な添加物も含むことができる。核酸と有害に反応しない非経口投与以外に適切な薬学的に許容可能な有機または無機の賦形剤を使用することができる。
【0155】
適切な薬学的に許容可能な賦形剤には、水、塩水、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0156】
気道への送達のための薬学的組成物
本発明の別の態様は、特に、嚢胞性線維症の治療のための気道へのIRNA薬の送達を提供する。気道には、上気道(中咽頭および喉頭が含まれる)、それに続く下気道(気管が含まれる)、それに続く気管支および細気管支への分岐が含まれる。上気道および下気道を、誘導気管支と呼ぶ。次いで、末端細気管支は、呼吸細気管支に分岐し、最終的な呼吸領域(肺胞)(すなわち、肺深部)に続く。肺深部(すなわち、肺胞)は、iRNA薬の全身送達のための吸入された治療エアゾールの第1の標的である。
【0157】
肺送達組成物を、分散物内の組成物、好ましくはiRNA薬が肺に到達することができ、例えば、肺で分散物を肺胞領域を介して血液循環に容易に直接吸収することができるような患者による分散物の吸入によって送達することができる。肺送達は、肺疾患を治療するための全身送達および局所送達の両方に有効であり得る。
【0158】
肺送達を、異なるアプローチ(噴霧、エアゾール化、ミセル、および乾燥粉末ベースの処方物の使用が含まれる)で行うことができ、吸入による投与は、経口および/または鼻腔内であり得る。液体噴霧器、エアゾールベースの吸入器、および乾燥粉末分散デバイスを使用して送達することができる。定量デバイスが好ましい。霧吹きまたは吸入器使用の利点の1つは、デバイスが自給式であるので、汚染が最小になる可能性があることである。乾燥粉末分散デバイスは、例えば、乾燥粉末として容易に処方することができる薬物を送達する。iRNA組成物自体を凍結乾燥または噴霧乾燥粉末としてか、適切な粉末キャリアと組み合わせて安定に保存することができる。吸入用組成物の送達を、投与時期調節要素(dosing timing element)(タイマー、用量カウンター(dose counter)、時間測定デバイス、または時間表示器が含まれる)によって媒介することができる。これらは、デバイスに組み込んだ場合に用量を追跡し、服薬順守をモニタリングし、そして/またはエアゾール薬の投与中に患者に投薬を開始することができる。
【0159】
エアゾール送達用の薬学的デバイスの例には、定量吸入器(MDI),ドライパウダー吸入器(DPI)、およびエアジェット噴霧器が含まれる。本発明のiRNA薬の送達のために容易に適合することができる例示的な吸入による送達系は、例えば、米国特許第5,756,353号;同第5,858,784号;ならびにPCT出願WO98/31346号;WO98/10796号;WO00/27359号;WO01/54664号;WO02/060412号に記載されている。iRNA薬の送達のために使用することができる他のエアゾール処方物は、米国特許第6,294,153号;同第6,344,194号;同第6,071,497号、ならびにPCT出願WO02/066078号;WO02/053190号;WO01/60420号;WO00/66206号に記載されている。さらに、iRNA薬の送達方法を、吸入による他のオリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)の送達で使用した方法から適合することができる(Templinら,Antisense Nucleic Acid Drug Dev,2000,10:359−68;Sandrasagraら,Expert Opin Biol Ther,2001,1:979−83;Sandrasagraら,Antisense Nucleic Acid Drug Dev,2002,12:177−81などに記載)。
【0160】
本発明の薬剤の送達は、いわゆる「プロドラッグ」(すなわち、好ましくはその作用を望む部位で治療物質を放出するために対象生物に固有の系によってプロセシングまたは輸送されるいくつかの形態を必要とする治療物質の処方物または化学修飾物)の投与も含むことができる。この後者の実施形態を、気道送達と組み合わせて使用することができるが、本発明の他の実施形態と共に使用することもできる。例えば、ヒト肺は、数分から数時間の範囲の期間にわたって加水切断可能な沈着エアゾールを除去するか迅速に分解することができる。上気道では、線毛上皮は、粒子が気道から口腔に向かって押し寄せる「粘膜線毛エスカレーター(mucociliary excalator)」に寄与する。Pavia,D.,“Lung Mucociliary Clearance,” in Aerosols and the Lung:Clinical and Experimental Aspects,Clarke,S.W.およびPavia,D.,Eds.,Butterworths,London,1984。肺深部では、肺胞マクロファージは、その沈積直後に粒子を貪食することができる。Warheitら Microscopy Res.Tech.,26:412−422(1993);およびBrain,J.D.,“Physiology and Pathophysiology of Pulmonary Macrophages,” in The Reticuloendothelial System,S.M.ReichardおよびJ.Filkins,Eds.,Plenum,New.York.,pp.315−327,1985。
【0161】
好ましい実施形態では、特に、iRNA薬の全身投与が望ましい場合、エアゾール化iRNA薬を、微粒子として処方する。直径0.5ミクロンと10ミクロンとの間の微粒子は、ほとんどの天然バリアを通過して肺に浸透することができる。喉を迂回するために10ミクロン未満の直径が必要であり、吐出を回避するために直径0.5ミクロン以上が必要である。
【0162】
他の成分
本発明の組成物は、その分野で確立された使用レベルで薬学的組成物中に伝統的に見出される他の付加成分をさらに含むことができる。したがって、例えば、組成物は、さらなる適合可能な薬学的に活性な材料(例えば、止痒薬、収斂薬、局所麻酔薬、または抗炎症薬など)を含むことができるか、種々の投薬形態の本発明の組成物の物理的処方に有用なさらなる材料(色素、香味物質、防腐剤、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤、および安定剤など)を含むことができる。しかし、かかる材料は、添加する場合、本発明の組成物の成分の生物活性を過度に干渉すべきではない。処方物を、滅菌し、必要に応じて、処方物の核酸と有害に相互作用しない助剤(例えば、潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼす塩、緩衝液、着色剤、香味物質、および/または芳香物質など)と混合することができる。
【0163】
水性懸濁液は、懸濁液の粘度を増大させる物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランが含まれる)を含むことができる。懸濁液は、安定剤も含むことができる。
【0164】
本発明の一定の実施形態は、(a)1つ以上のdsRNA薬および(b)非RNA干渉機構によって機能する1つ以上の他の化学療法薬を含む薬学的組成物を提供する。かかる化学療法薬の例には、ダウノルビシン、ダウノマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソルビシン、ブレオマイシン、マホスファミド、イフォスファミド、シトシンアラビノシド、ビス−クロロエチルニトロソ尿素、ブスルファン、マイトマイシン C、アクチノマイシン D、ミトラマイシン、プレドニゾン、ヒドロキシプロゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバジン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アムサクリン、クロラムブシル、メチルシクロヘキシルニトロソ尿素、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、シクロホスファミド、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−アザシチジン、ヒドロキシ尿素、デオキシコフォルマイシン、4−ヒドロキシペルオキシシクロホスホラミド、5−フルオロウラシル(5−FU)、5−フルオロデオキシウリジン(5−FUdR)、メトトレキサート(MTX)、コルヒチン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド(VP−16)、トリメトトレキサート、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、テニポシド、シスプラチン、およびジエチルスチルベストロール(DES)が含まれるが、これらに限定されない。一般に、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,15th Ed.1987,pp.1206−1228,Berkowら,eds.,Rahway,N.J.を参照のこと。本発明の化合物と共に使用する場合、かかる化学療法薬を、個別に(例えば、5−FUおよびオリゴヌクレオチド)、連続的に(例えば、5−FUおよびオリゴヌクレオチドを使用し、一定期間後にMTXおよびオリゴヌクレオチドを使用する)、または1つ以上の他のかかる化学療法薬と組み合わせて(例えば、5−FU、MTX、およびオリゴヌクレオチド、または5−FU、放射線療法、およびオリゴヌクレオチド)使用することができる。抗炎症薬(非ステロイド性抗炎症薬およびコルチコステロイドが含まれるが、これらに限定されない)および抗ウイルス薬(リビビリン、ビダラビン、アシクロビル、およびガンシクロビルが含まれるが、これらに限定されない)を、本発明の組成物と組み合わせることもできる。一般に、それぞれ、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,15th Ed.,Berkowら,eds.,1987,Rahway,N.J.,pages 2499−2506及び46−49を参照のこと)。他の非dsRNA化学療法薬も本発明の範囲内である。2つ以上の化合物の組み合わせを、同時または連続的に使用することができる。
【0165】
かかる化合物の毒性および治療効果を、細胞培養または実験動物(例えば、LD50(集団の50%が死亡する用量)およびED50(集団の50%で治療有効な用量)の決定のため)における標準的な薬学的手順によって決定することができる。毒性と治療効果との間の用量比は治療指数であり、LD50/ED50比として示すことができる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。
【0166】
細胞培養アッセイおよび動物研究から得たデータを、ヒトで使用するための処方物の投薬量範囲で使用することができる。本発明の組成物の投薬量は、一般に、循環濃度の範囲内であり、毒性をほとんど示さないか全く示さないED50が含まれる。投薬量は、使用した投薬形態および使用した投与経路に応じてこの範囲内で変化し得る。本発明の方法で使用した任意の化合物について、治療有効用量を、最初に細胞培養アッセイから評価することができる。必要に応じて、化合物、または、必要に応じて、標的配列のポリペプチド産物の循環血漿濃度範囲を達成する(例えば、ポリペプチド濃度を減少させる)用量(細胞培養で決定したIC50(すなわち、症状の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)が含まれる)を動物モデルに処方することができる。かかる情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。血漿レベルを、例えば、高速液体クロマトグラフィによって測定することができる。
【0167】
上記で考察した個別または複数の投与に加えて、本発明のdsRNAを、Aha発現によって媒介される病理学的過程の治療で有効な他の公知の薬剤と組み合わせて投与することができる。いずれにしても、投与する医師は、当該分野で公知であるか本明細書中に記載の標準的な有効性の基準を使用して認められた結果に基づいて、dsRNAの投与の量およびタイミングを調整することができる。
【0168】
Aha遺伝子発現に起因する疾患の治療方法
本発明は、特に、嚢胞性線維症の治療のためのdsRNAまたはdsRNAから調製された薬学的組成物の使用に関する。Aha1発現の阻害効果により、本発明のdsRNAまたはdsRNAから調製された薬学的組成物は、嚢胞性線維症患者の生活の質を増強することができる。
【0169】
さらに、本発明は、癌の治療(例えば、腫瘍成長および腫瘍転移の阻害)を目的とした本発明のdsRNAまたは薬学的組成物の使用に関する。例えば、dsRNAまたはdsRNAから調製された薬学的組成物を、乳癌、肺癌、頭頸部癌、脳腫瘍、腹部癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、消化管癌、膠腫、肝臓癌、舌癌、神経芽細胞腫、骨肉種、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、多発性骨髄腫のような固形腫瘍の治療、黒色腫のような皮膚癌の治療、リンパ腫および血液の癌の治療のために使用することができる。本発明は、さらに、異なる癌型(例えば、乳癌、肺癌、頭部癌、頸部癌、脳腫瘍、腹部癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、消化管癌、膠腫、肝臓癌、舌癌、神経芽細胞腫、骨肉種、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、多発性骨髄腫、皮膚癌、黒色腫、リンパ腫、および血液の癌)におけるAha1発現の阻害および/または腹水および胸水の蓄積の阻害のための本発明のdsRNAまたはdsRNAから調製された薬学的組成物の使用に関する。Aha1発現の阻害効果により、本発明のdsRNAまたはdsRNAから調製された薬学的組成物は、癌患者の生活の質を増強することができる。
【0170】
本発明は、さらに、例えば、他の医薬品および/または他の治療方法(例えば、公知の医薬品および/または公知の治療方法(例えば、嚢胞性線維症または癌の治療および/または腫瘍転移の防止のために現在使用されているものなど))と組み合わせた、嚢胞性線維症もしくは癌の治療または腫瘍転移の防止のためのdsRNAまたはその薬学的組成物の使用に関する。薬学的組成物が嚢胞性線維症の治療を目的とする場合、毎日の胸部理学療法、膵臓酵素の経口適用、肺感染に対抗するための毎日の抗生物質の経口投与または吸入、抗喘息療法薬の吸入、コルチコステロイド錠、食事ビタミンサプリメント,(特に、ビタミンAおよびD)、Pulmozyme(商標)の吸入、便秘を軽減するか、酵素サプリメントの活性を改良するための薬物、CF関連糖尿病のためのインスリン、CF関連肝臓疾患のための薬物、および呼吸を補助するための酸素と組み合わせて投与することが好ましい。
【0171】
薬学的組成物が、癌の治療および/または腫瘍転移の防止を目的とする場合、放射線療法および化学療法薬(シスプラチン、シクロホスファミド、5−フルオロウラシル、アドリアマイシン、ダウノルビシン、またはタモキシフェンなど)と組み合わせて投与することが好ましい。
【0172】
本発明を、特定のRNAi薬と共に別の抗癌化学療法薬(任意の従来の化学療法薬など)を含めることによって実施することもできる。特定の結合剤とかかる他の薬剤との組み合わせにより、化学療法プロトコールを増強することができる。本発明の方法に組み込むことができる多数の化学療法プロトコールが、当業者によって想像されるであろう。任意の化学療法薬(アルキル化剤、代謝拮抗物質、ホルモン、およびアンタゴニストが含まれる)、放射性同位体、ならびに天然産物を使用することができる。例えば、本発明の化合物を、抗生物質(ドキソルビシンなど)および他のアントラサイクリンアナログ、ナイトロジェンマスタード(シクロホスファミドなど)、ピリミジンアナログ(5−フルオロウラシル、シスプラチン、ヒドロキシ尿素、タキソールなど)、ならびに天然および合成の誘導体などと共に投与することができる。別の例として、混合腫瘍(乳房の腺癌など)の場合(腫瘍がゴナドトロピン依存性細胞およびゴナドトロピン非依存性細胞を含む場合)、化合物を、ロイプロリドまたはゴセレリン(LH−RHの合成ペプチドアナログ)と併せて投与することができる。他の抗新生物プロトコールには、別の治療方法(例えば、手術、照射など)を使用したテトラサイクリン化合物の使用が含まれ、これを、本明細書中で「付加抗新生物方法(adjunct antineoplastic modalities)」とも呼ぶ。したがって、本発明の方法を、副作用の軽減および有効性の増強に有利なように、かかる従来のレジメとともに使用することができる。
【0173】
Aha遺伝子発現の阻害方法
さらに別の態様では、本発明は、哺乳動物におけるAha遺伝子発現の阻害方法を提供する。本方法は、標的Aha遺伝子(例えば、Aha1)の発現がサイレンシングされるように本発明の組成物を哺乳動物に投与する工程を含む。その高い特異性により、本発明のdsRNAは、標的Aha遺伝子の(一次またはプロセシングされた)RNAを特異的にターゲティングする。dsRNAを使用したこれらのAha遺伝子発現を阻害するための組成物および方法を、本明細書中の他の場所に記載のように行うことができる。
【0174】
1つの実施形態では、本方法は、dsRNAを含む組成物を投与する工程であって、dsRNAが治療すべき哺乳動物のAha遺伝子(例えば、Aha1)のRNA転写物の少なくとも一部に相補的なヌクレオチド配列を含む、投与する工程を含む。治療すべき生物がヒトなどの哺乳動物である場合、組成物を、当該分野で公知の任意の手段(経口または非経口経路(静脈内、筋肉内、皮下、経皮、気道(エアゾール)、鼻腔、直腸、膣、および局所(口腔内および舌下が含まれる)投与が含まれる)が含まれるが、これらに限定されない)によって投与することができる。好ましい実施形態では、組成物を、静脈内注入または注射によって投与する。
【0175】
他に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解される意味を有する。本明細書中に記載のものと類似するか等価な方法および材料を、本発明の実施または試験で使用することができるが、適切な方法および材料を、以下に記載する。本明細書中で言及した全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が本明細書中で参照により援用される。矛盾する場合、本明細書(定義が含まれる)が優先される。さらに、材料、方法、および実施例は、例示のみを目的とし、本発明を制限することを意図しない。
【実施例】
【0176】
Aha遺伝子の遺伝子歩行
Aha1をターゲティングするsiRNAが同定されるようにsiRNAをデザインした。ホモ・サピエンス(NM_012111.1)、ハツカネズミ(NM_146036.1)、およびチンパンジー(XM_510094.1)Aha1のmRNA配列を、コンピュータ分析によって試験して、これら3つの種間で交差反応性を示すRNAi薬が得られる19または21ヌクレオチドの相同配列を同定した。同定された配列のうち、ラットにおける的外れの相互作用を最小にするための48本のかかる配列(ラットゲノム中の任意の他の遺伝子に対する少なくとも3つのミスマッチまたはラットゲノム中の任意の他の遺伝子に対する少なくとも2つのミスマッチ、ここで、前記少なくとも2つのミスマッチのうちの1つが、対応するRNAi薬のアンチセンス鎖の9位または10位(5’→3’方向で計算する)に相補的な位置に存在する)およびスクリーニングのために合成した対応するdsRNA(AL−DP−7301−AL−DP−7346、表1を参照のこと)を選択した。ハツカネズミ(NM_172391.3)およびラット(XM_223680.3)Aha2に対してさらなる交差反応性を示すAL−DP−7561、AL−DP−7562、AL−DP−7563、およびAL−DP−7564も合成し、スクリーニングした。さらに、ヒトにおける予想される的外れの相互作用を最小にするためのさらなる40本の配列(ヒトゲノム中の任意の他の遺伝子に対する少なくとも3つのミスマッチまたはヒトゲノム中の任意の他の遺伝子に対する少なくとも2つのミスマッチ、ここで前記少なくとも2つのミスマッチのうちの1つが、対応するRNAi薬のアンチセンス鎖の9位または10位(5’→3’方向で計算する)に相補的な位置に存在する)およびスクリーニングのために合成した対応するdsRNA(AL−DP−9250−AL−DP−9289、表2を参照のこと)を選択した。17本の配列を、両方の組に属すると同定した(AL−DP−7301、AL−DP−7304、AL−DP−7305、AL−DP−7307、AL−DP−7310、AL−DP−7312、AL−DP−7315、AL−DP−7316、AL−DP−7317、AL−DP−7323、AL−DP−7324、AL−DP−7332、AL−DP−7336、AL−DP−7337、AL−DP−7338、AL−DP−7342、およびAL−DP−7344)。
【0177】
dsRNA合成
試薬の供給元
試薬の供給元を本明細書中に特記しない場合、分子生物学での適用に標準的な質/純度のかかる試薬を、分子生物学用試薬の任意の供給者から入手することができる。
【0178】
siRNAの合成
一本鎖RNAを、Expedite 8909合成器(Applied Biosystems,Applera Deutschland GmbH,Darmstadt,Germany)および固体支持体としての細孔性ガラス(controlled pore glass)(CPG,500Å,Proligo Biochemie GmbH,Hamburg,Germany)を使用して、1μmoleのスケールで固相合成によって産生した。RNAおよびRNA含有2’−O−メチルヌクレオチドを、対応するホスホルアミダイトおよび2’−O−メチルホスホルアミダイトをそれぞれ使用した固相合成によって生成した(Proligo Biochemie GmbH,Hamburg,Germany)。これらの基礎単位を、Current protocols in nucleic acid chemistry,Beaucage,S.L.ら(Edrs.),John Wiley & Sons,Inc.,New York,NY,USAなどに記載の標準的なヌクレオシドホスホルアミダイト化学を使用して、オリゴリボヌクレオチド鎖の配列内の選択された部位に組み込んだ。ホスホロチオエート結合を、ヨウ素酸化溶液のBeaucage試薬(Chruachem Ltd,Glasgow,UK)のアセトニトリル溶液(1%)との置換によって導入した。さらなる補助試薬(ancillary reagent)を、Mallinckrodt Baker(Griesheim,Germany)から得た。
【0179】
陰イオン交換HPLCによる粗オリゴリボヌクレオチドの脱保護および精製を、確立された手順に従って行った。収率および濃度を、分光光度計(DU 640B,Beckman Coulter GmbH,Unterschleissheim,Germany)を使用した260nmの波長での各RNA溶液のUV吸収によって決定した。二本鎖RNAを、水浴中で80〜90℃で3分間加熱し、3〜4時間にわたって室温に冷却するアニーリング緩衝液(20mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、100mM塩化ナトリウム)中での相補鎖の等モル溶液の混合によって生成した。アニーリングしたRNA溶液を、使用するまで−20℃で保存した。
【0180】
3’−コレステロール抱合siRNA(本明細書中で、−Chol−3’と呼ぶ)の合成のために、適切に修飾した固体支持体を、RNA合成のために使用した。修飾固体支持体を、以下のように調製した。
【0181】
ジエチル−2−アザブタン−1,4−ジカルボキシラート(AA)
【0182】
【化1】

4.7M水酸化ナトリウム水溶液(50mL)を、撹拌した氷冷エチルグリシナート塩酸塩溶液(32.19g、0.23mole)を含む水(50mL)に添加した。次いで、アクリル酸エチル(23.1g、0.23mole)を添加し、TLCによって反応の完了が確認されるまで混合物を室温で撹拌した。19時間後、溶液をジクロロメタン(3×100mL)で分配した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣を蒸留して、AAを得た(28.8g、61%)。
【0183】
3−{エトキシカルボニルメチル−[6−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル−アミノ)−ヘキサノイル]−アミノ}−プロピオン酸エチルエステル(AB)
【0184】
【化2】

Fmoc−6−アミノ−ヘキサン酸(9.12g、25.83mmol)を、ジクロロメタン(50mL)に溶解し、氷で冷却した。ジイソプロピルカルボジイミド(3.25g、3.99mL、25.83mmol)を、0℃の溶液に添加した。その後にジエチル−アザブタン−1,4−ジカルボキシラート(5g、24.6mmol)およびジメチルアミノピリジン(0.305g、2.5mmol)を添加した。溶液を室温にし、6時間さらに撹拌した。TLCによって反応の完了を確認した。反応混合物を、真空下で濃縮し、酢酸エチルを添加して、ジイソプロピル尿素を沈殿させた。懸濁液を濾過した。濾過物を、5%塩酸水溶液、5%重炭酸ナトリウム、および水で洗浄した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィ(50%EtOAC/ヘキサン)によって精製して、11.87g(88%)のABを得た。
【0185】
3−[(6−アミノ−ヘキサノイル)−エトキシカルボニルメチル−アミノ]−プロピオン酸エチルエステル(AC)
【0186】
【化3】

3−{エトキシカルボニルメチル−[6−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−ヘキサノイル]−アミノ}−プロピオン酸エチルエステル(AB)(11.5g、21.3mmol)を、0℃の20%ピペリジンを含むジメチルホルムアミド中に溶解した。溶液を、1時間撹拌し続けた。反応混合物を真空下で濃縮し、水を残渣に添加し、生成物を酢酸エチルで抽出した。粗生成物を、その塩酸塩への変換によって精製した。
【0187】
3−({6−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルアミノ]−ヘキサノイル}エトキシカルボニルメチル−アミノ)−プロピオン酸エチルエステル(AD)
【0188】
【化4】

3−[(6−アミノ−ヘキサノイル)−エトキシカルボニルメチル−アミノ]−プロピオン酸エチルエステルACの塩酸塩(4.7g、14.8mmol)を、ジクロロメタン中に溶解した。懸濁液を、氷上で0℃に冷却した。懸濁液に、ジイソプロピルエチルアミン(3.87g、5.2mL、30mmol)を添加した。得られた溶液に、コレステリルクロロホルマート(6.675g、14.8mmol)を添加した。反応混合物を、一晩撹拌した。反応混合物を、ジクロロメタンで希釈し、10%塩酸で洗浄した。生成物を、フラッシュクロマトグラフィによって精製した(10.3g、92%)。
【0189】
1−{6−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルアミノ]−ヘキサノイル}−4−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸エチルエステル(AE)
【0190】
【化5】

カリウムt−ブトキシド(1.1g、9.8mmol)を、30mLの乾燥トルエン中でスラリーにした。混合物を、氷上で0℃に冷却し、5g(6.6mmol)のジエステル(AD)を撹拌しながら20分以内にゆっくり添加した。添加中、温度を5℃未満に保持した。0℃で30分間撹拌し続け、1mLの氷酢酸を添加し、その直後に4gのNaHPO・HOを含む40mLの水を添加した。得られた混合物を、100mLのジクロロメタンでそれぞれ2回抽出し、合わせた有機抽出物を10mLのリン酸緩衝液でそれぞれ2回洗浄し、乾燥させ、蒸発乾燥させた。残渣を、60mLのトルエンに溶解し、0℃に冷却し、50mLずつの冷炭酸緩衝液(pH9.5)で3回抽出した。水抽出物を、リン酸でpH3に調整し、40mLずつのクロロホルムで5回抽出し、これらを合わせ、乾燥させ、蒸発乾固させた。残渣を、25%酢酸エチル/ヘキサンを使用したカラムクロマトグラフィによって精製して、1.9gのb−ケトエステル(39%)を得た。
【0191】
[6−(3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−6−オキソ−ヘキシル]−カルバミン酸17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルエステル(AF)
【0192】
【化6】

メタノール(2mL)を、b−ケトエステル(AE)(1.5g、2.2mmol)と水素化ホウ素ナトリウム(0.226g、6mmol)を含むテトラヒドロフラン(10mL)との還流混合物に1時間にわたって滴下した。還流温度で1時間撹拌し続けた。室温への冷却後、1N HCl(12.5mL)を添加し、混合物を、酢酸エチル(3×40mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮して生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィ(10%MeOH/CHCl)によって精製した(89%)。
【0193】
(6−{3−[ビス−(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メトキシメチル]−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル}−6−オキソ−ヘキシル)−カルバミン酸 17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルエステル(AG)
【0194】
【化7】

ジオール(AF)(1.25gm、1.994mmol)を、真空下でのピリジン(2×5mL)を用いた蒸発によって乾燥させた。無水ピリジン(10mL)および4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(0.724g、2.13mmol)を、撹拌しながら添加した。反応を、室温で一晩行った。反応を、メタノールの添加によって停止させた。反応混合物を、真空下で濃縮し、残渣にジクロロメタン(50mL)を添加した。有機層を、1M重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残存ピリジンを、トルエンとの蒸発によって除去した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィ(2%MeOH/クロロホルム、Rf=0.5、5%MeOH/CHCl)によって精製した(1.75g、95%)。
【0195】
コハク酸モノ−(4−[ビス−(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メトキシメチル]−1−{6−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル 2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルアミノ]−ヘキサノイル}−ピロリジン−3−イル)エステル(AH)
【0196】
【化8】

化合物AG(1.0g、1.05mmol)を、無水コハク酸(0.150g、1.5mmol)およびDMAP(0.073g、0.6mmol)と混合し、40℃の真空下で一晩乾燥させた。混合物を、無水ジクロロエタン(3mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.318g、0.440mL、3.15mmol)を添加し、溶液を、アルゴン雰囲気下にて室温で16時間撹拌した。次いで、これを、ジクロロメタン(40mL)で希釈し、氷冷クエン酸水溶液(5wt%、30mL)および水(2×20mL)で洗浄した。有機相を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮乾固させた。残渣を、次の工程のためにそのまま使用した。
【0197】
コレステロール誘導体化CPG(AI)
【0198】
【化9】

コハク酸塩(AH)(0.254g、0.242mmol)を、ジクロロメタン/アセトニトリルの混合物(3:2、3mL)に溶解した。この溶液に、DMAP(0.0296g、0.242mmol)を含むアセトニトリル(1.25mL)を添加し、2,2’−ジチオ−ビス(5−ニトロピリジン)(0.075g、0.242mmol)を含むアセトニトリル/ジクロロエタン(3:1、1.25mL)を連続的に添加した。得られた溶液に、トリフェニルホスフィン(0.064g、0.242mmol)を含むアセトニトリル(0.6 ml)を添加した。反応混合物が鮮やかな橙色を呈した。溶液を、リストアクションシェーカー(wrist−action shaker)で短期間(5分間)撹拌した。長鎖アルキルアミン−CPG(LCAA−CPG)(1.5g、61mM)を添加した。懸濁液を、2時間撹拌した。CPGを、焼結漏斗で濾過し、アセトニトリル、ジクロロメタン、およびエーテルで連続的に洗浄した。未反応のアミノ基を、無水酢酸/ピリジンを使用してマスキングした。達成されたCPG負荷を、UV測定によって測定した(37mM/g)。
【0199】
5’−12−ドデカン酸ビスデシルアミド基(本明細書中で、「5’−C32−」と呼ぶ)または5’−コレステリル誘導体基(本明細書中で、「5’−Chol−」と呼ぶ)を有するsiRNAの合成を、コレステリル誘導体について、核酸オリゴマーの5末端にホスホロチオエート結合を導入するためにBeaucage試薬を使用して酸化工程を行ったことを除いてWO2004/065601号に記載のように行った。
【0200】
標準的な命名法、特に、表2の略語を使用して、核酸配列を以下に示す。
【0201】
表3:核酸配列表示で使用したヌクレオチド単量体の略語。これらの単量体は、オリゴヌクレオチド中に存在する場合、5’−3’−ホスホジエステル結合によって相互に結合していると理解されるであろう。
【0202】
【表3】

dsRNA発現ベクター
本発明の別の態様では、Aha1遺伝子発現活性を調整するAha1特異的dsRNA分子を、DNAおよびRNAベクターに挿入した転写単位から発現する(例えば、Couture, Aら,TIG.(1996),12:5−10;Skillern,A.らのPCT国際公開番号WO00/22113号、ConradのPCT国際公開番号WO00/22114号、およびConradの米国特許第6,054,299号を参照のこと)。これらの導入遺伝子を、線状構築物、環状プラスミド、またはウイルスベクターとして導入することができ、これらは、宿主ゲノムに取り込まれた導入遺伝子として組み込み、遺伝することができる。導入遺伝子を、染色体外プラスミドとして遺伝するように構築することもできる(Gassmannら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1995)92:1292)。
【0203】
dsRNAの各鎖を、2つの個別の発現ベクター上のプロモーターによって転写し、標的細胞に同時トランスフェクトすることができる。あるいは、dsRNAの各鎖を、プロモーターによって転写することができ、その両方は、同一の発現プラスミド上に存在する。好ましい実施形態では、dsRNAは、dsRNAがステム構造およびループ構造を有するようにリンカーポリヌクレオチド配列によって連結された逆反復として発現する。
【0204】
組換えdsRNA発現ベクターは、一般に、DNAプラスミドまたはウイルスベクターである。dsRNA発現ウイルスベクターを、アデノ随伴ウイルス(概説については、Muzyczkaら,Curr.Topics Micro.Immunol.(1992)158:97−129)を参照のこと);アデノウイルス(例えば、Berknerら,BioTechniques(1998)6:616),Rosenfeldら(1991,Science 252:431−434),およびRosenfeldら(1992),Cell 68:143−155)を参照のこと);またはアルファウイルスならびに当該分野で公知の他のウイルス(これらに制限されない)に基づいて構築することができる。in vitroおよび/またはin vivoで、レトロウイルスを使用して、種々の遺伝子が多数の異なる細胞型(上皮細胞が含まれる)に導入されている(例えば、Eglitisら,Science(1985)230:1395−1398;DanosおよびMulligan,Proc.NatI.Acad.Sci.USA(1998)85:6460−6464;Wilsonら,1988,Proc.NatI.Acad.Sci.USA 85:3014−3018;Armentanoら,1990,Proc.NatI.Acad.Sci.USA 87:61416145;Huberら,1991,Proc.NatI.Acad.Sci.USA 88:8039−8043;Ferryら,1991,Proc.NatI.Acad.Sci.USA 88:8377−8381;Chowdhuryら,1991,Science 254:1802−1805;van Beusechem.ら,1992,Proc.Nad.Acad.Sci.USA 89:7640−19;Kayら,1992,Human Gene Therapy 3:641−647;Daiら,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10892−10895;Hwuら,1993,J.Immunol.150:4104−4115;米国特許第4,868,116;米国特許第4,980,286号;PCT出願WO89/07136号;PCT出願WO89/02468号;PCT出願WO89/05345号;およびPCT出願WO92/07573号を参照のこと)。細胞ゲノムに挿入した遺伝子を形質導入して発現することができる組換えレトロウイルスベクターを、組換えレトロウイルスゲノムの適切なパッケージング細胞株(PA317およびPsi−CRIPなど)へのトランスフェクションによって産生することができる(Cometteら,1991,Human Gene Therapy 2:5−10;Coneら,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6349)。組換えアデノウイルスベクターを使用して、感受性宿主(例えば、ラット、ハムスター、イヌ、およびチンパンジー)中の広範な種々の細胞および組織に感染させることができ(Hsuら,1992,J.Infectious Disease,166:769)、これは、感染に有糸分裂的に活性な細胞を必要としないという利点も有する。
【0205】
本発明のDNAプラスミドまたはウイルスベクターのいずれかでのdsRNA発現を駆動するプロモーターは、真核生物RNAポリメラーゼI(例えば、リボゾームRNAプロモーター)、RNAポリメラーゼII(例えば、CMV初期プロモーターまたはアクチンプロモーターまたはU1 snRNAプロモーター)、または一般にRNAポリメラーゼIIIプロモーター(例えば、U6 snRNAまたは7SK RNAプロモーター)、または原核生物プロモーター(例えば、T7プロモーター)(発現プラスミドがT7プロモーター由来の転写に必要なT7 RNAポリメラーゼをコードする場合)であり得る。プロモーターは、膵臓に導入遺伝子発現を指示することもできる(例えば、膵臓のインスリン調節配列(Bucchiniら,1986,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:2511−2515)を参照のこと)。
【0206】
さらに、導入遺伝子の発現を、例えば、誘導性調節配列および発現系(一定の生理学的レギュレーター(例えば、循環血糖値)またはホルモンに感受性を示す調節配列など)の使用によって正確に調節することができる(Dochertyら,1994,FASEB J.8:20−24)。細胞または哺乳動物中の導入遺伝子発現の調節に適切なかかる誘導性発現系には、エクジソン、エストロゲン、プロゲステロン、テトラサイクリン、二量体化の化学的インデューサー、およびイソプロピル−β−D1−チオガラクトピラノシド(EPTG)による調節が含まれる。当業者は、dsRNA導入遺伝子の意図する使用に基づいて、適切な調節/プロモーター配列を選択することができるであろう。
【0207】
一般に、dsRNA分子を発現することができる組換えベクターを、下記のように送達させ、標的細胞中で保持する。あるいは、dsRNA分子を一過性に発現するウイルスベクターを使用することができる。かかるベクターを、必要に応じて、繰り返し投与することができる。一旦発現されると、dsRNAは、標的RNAに結合し、その機能または発現を調整する。dsRNA発現ベクターの送達は、静脈内または筋肉内投与、患者から外植された標的細胞の投与およびその後の患者への再導入、または所望の標的細胞に導入する任意の他の手段などによる全身送達であり得る。
【0208】
dsRNA発現DNAプラスミドを、典型的には、陽イオン性脂質キャリア(例えば、オリゴフェクタミン)または非陽イオン性脂質ベースのキャリア(例えば、Transit−TKO(商標))との複合体として標的細胞にトランスフェクトする。1週間またはそれを超える期間にわたる1つのAha1遺伝子または複数のAha1遺伝子の異なる領域をターゲティングするdsRNA媒介ノックダウンの多脂質トランスフェクションも本発明で意図される。本発明のベクターの宿主細胞への首尾のよい導入を、種々の公知の方法を使用してモニタリングすることができる。例えば、一過性トランスフェクションを、緑色蛍光タンパク質(GFP)などの蛍光マーカーなどのレポーターでシグナリングすることができる。ex vivo細胞の安定なトランスフェクションを、特定の環境因子(例えば、抗生物質および薬物)に耐性を示す(ハイグロマイシンB耐性など)トランスフェクトされた細胞が得られるマーカーを使用して確認することができる。
【0209】
Aha1特異的dsRNA分子を、ベクターに挿入し、ヒト患者のための遺伝子療法ベクターとして使用することもできる。遺伝子療法ベクターを、例えば、静脈内注射、局所投与(米国特許第5,328,470号を参照のこと)、または定位注射によって対象にと送達することができる(例えば、Chenら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054−3057を参照のこと)。遺伝子療法ベクターの薬学的調製物は、許容可能な希釈剤中の遺伝子療法ベクターを含むことができるか、遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれた徐放マトリックスを含むことができる。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターを組換え細胞(例えば、レトロウイルスベクター)からインタクトに産生することができる場合、薬学的調製物は、遺伝子送達系を産生する1つ以上の細胞を含むことができる。
【0210】
Aha1 siRNAのin vitroスクリーニング
HeLa細胞およびMLE12細胞の単回用量スクリーニング
HeLa細胞を、American Type Culture Collection(Rockville,MD,cat.No.HB−8065)から入手し、10%ウシ胎児血清(FCS)(Biochrom AG,Berlin,Germany,cat.No.S0115)、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン100μg/ml(Biochrom AG,Berlin,Germany,cat.No.A2213)を含むように捕捉したHam’s F12(Biochrom AG,Berlin,Germany,cat.No.FG0815)中にて、加湿インキュベーター(Heraeus HERAcell,Kendro Laboratory Products,Langenselbold,Germany)中の5%COを含む37℃の大気中で培養した。
【0211】
MLE12細胞を、American Type Culture Collection(Rockville,MD,cat.No.CRL−2110)から入手し、2%ウシ胎児血清(FCS)(Biochrom AG,Berlin,Germany,cat.No.S0115)、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン100μg/ml(Biochrom AG,Berlin,Germany,cat.No.A2213)、4mM L−グルタミン(Biochrom AG,Berlin,Germany,cat.No:K0282)、1×インスリン/トランスフェリン/Na−Selenit(Gibco:51500−056)、10nM ヒドロコルチゾン(Sigma Munich,Germany,cat.No:H6909)、10nM β−エストラジオール(Sigma Munich,Germany,cat.No:E2257)、および10mM HEPES(USB Europe GmBH,Staufen,Germany cat.No.:16926)を含むように捕捉したHITES培地(Dulbecco’s MEM (Biochrom AG,Berlin,Germany,cat.No:F0435)+Ham’s F12(Biochrom AG,Berlin,Germany,cat.No:FG0815)の1:1混合物)中にて、加湿インキュベーター(Heraeus HERAcell,Kendro Laboratory Products,Langenselbold,Germany)中の5%COを含む37℃の大気中で培養した。
【0212】
トランスフェクションおよびmRNAの定量
siRNAでのトランスフェクションのために、HeLa細胞およびMLE12細胞を、2.0×10細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種し、直接トランスフェクトした。siRNA(30nM)のトランスフェクションを、製造者が説明するように、リポフェクタミン2000(Invitrogen GmbH,Karlsruhe,Germany,cat.No.11668−019)を使用して行った。トランスフェクションから24時間後、細胞を溶解し、Aha1 mRNAレベルを、製造者のプロトコールに従って、Quantigene Explore Kit(Genosprectra,Dumbarton Circle Fremont,USA,cat.No.QG−000−02)を使用して定量した。Aha1 mRNAレベルを、GAPDH mRNAに規準化した。各siRNAについて、四連で読み取った。Aha1遺伝子に関連しないsiRNA二重鎖を、コントロールとして使用した。所与のAha1特異的siRNA二重鎖の活性を、コントロールsiRNA二重鎖で処理した細胞中のAha1 mRNA濃度と比較した処置細胞中のAha1 mRNA濃度の比率として示した。
【0213】
表4:ホモ・サピエンス(hs)Aha1の定量におけるQuantigene Explore Kit(Genospectra)と共に使用したプローブ配列
【0214】
【表4】

表5:ハツカネズミ(mm)Aha1の定量におけるQuantigene Explore Kit(Genospectra)と共に使用したプローブ配列
【0215】
【表5】

HeLa細胞の用量−応答曲線
トランスフェクションおよびmRNAの定量:siRNAでのトランスフェクションのために、HeLa細胞を、2.0×10細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種し、直接トランスフェクトした。siRNAのトランスフェクションを、製造者が説明するように、リポフェクタミン2000(Invitrogen GmbH,Karlsruhe,Germany,cat.No.11668−019)を使用して行った。siRNAを、3倍希釈の30nMから14pMに濃縮した。トランスフェクションから24時間後、HeLa細胞を溶解し、Aha1 mRNAレベルを、製造者のプロトコールに従って、Quantigene Explore Kit(Genosprectra,Dumbarton Circle Fremont,USA,cat.No.QG−000−02)を使用して定量した。Aha1 mRNAレベルを、GAP−DH mRNAに規準化した。各siRNAについて、4つの個々のデータポイントを回収した。Aha1遺伝子に関連しないsiRNA二重鎖を、コントロールとして使用した。所与のAha1特異的siRNA二重鎖の活性を、コントロールsiRNA二重鎖で処理した細胞中のAha1 mRNA濃度と比較した処置細胞中のAha1 mRNA濃度の比率として示した。XL−fitを使用して、IC50値を計算した。
【0216】
表6は、本発明の種々のdsRNA分子を使用したAha1発現の阻害値を示す。
【0217】
表6:Aha1に特異的な30nMの種々のRNAi薬溶液で処理したHeLa細胞およびMLE12細胞中のコントロールのAha1 mRNAの残存率(%)およびHeLa細胞中で決定された選択されたRNAi薬のIC50
【0218】
【表6−1】

【0219】
【表6−2】

【0220】
【表6−3】

まとめると、AL−DP−7301、AL−DP−7308、AL−DP−7318、AL−DP−7320、AL−DP−7322、AL−DP−7324、AL−DP−7325、AL−DP−7326、AL−DP−7327、AL−DP−7329、AL−DP−7331、AL−DP−7333、AL−DP−7340、およびAL−DP−7342は、Aha1発現を、HeLa細胞およびMLE12細胞の両方で少なくとも80%阻害した。AL−DP−7303、AL−DP−7305、AL−DP−7307、AL−DP−7309、AL−DP−7316、およびAL−DP−7337は、Aha1発現をHeLa細胞で少なくとも80%阻害し、MLE12細胞で少なくとも70%阻害した。AL−DP−7304、AL−DP−7312、AL−DP−7339、およびAL−DP−7344は、Aha1発現を、HeLa細胞で少なくとも80%阻害し、MLE12細胞で少なくとも60%阻害した。AL−DP−7306、AL−DP−7317、およびAL−DP−7346は、Aha1発現を、HeLa細胞で少なくとも70%阻害し、MLE12細胞で少なくとも50%阻害した。AL−DP−7310、AL−DP−7323、AL−DP−7335、AL−DP−7338、およびAL−DP−7341は、Aha1発現を、HeLa細胞およびMLE12細胞の両方で少なくとも40%阻害した。AL−DP−7302、AL−DP−7315、AL−DP−7328、AL−DP−7330、AL−DP−7336、およびAL−DP−7345は、Aha1発現を、HeLa細胞およびMLE12細胞の両方で少なくとも20%阻害した。
【0221】
さらに、AL−DP−9250、AL−DP−9252、AL−DP−9253、AL−DP−9254、AL−DP−9255、AL−DP−9256、AL−DP−9257、AL−DP−9258、AL−DP−9259、AL−DP−9260、AL−DP−9264、AL−DP−9265、AL−DP−9266、AL−DP−9268、AL−DP−9269、AL−DP−9270、AL−DP−9271、AL−DP−9273、AL−DP−9274、AL−DP−9275、AL−DP−9276、AL−DP−9277、AL−DP−9279、AL−DP−9280、AL−DP−9281、AL−DP−9282、AL−DP−9283、AL−DP−9285、AL−DP−9287、およびAL−DP−9289は、Aha1発現を、HeLa細胞で少なくとも80%阻害した。AL−DP−9261、AL−DP−9262、AL−DP−9263、AL−DP−9272、およびAL−DP−9288は、Aha1発現を、HeLa細胞で少なくとも70%阻害した。AL−DP−9263は、Aha1発現を、HeLa細胞で少なくとも60%阻害した。AL−DP−9267は、Aha1発現を、HeLa細胞で少なくとも50%阻害した。AL−DP−9251は、Aha1発現を、HeLa細胞で少なくとも40%阻害した。AL−DP−9286は、Aha1発現を、HeLa細胞で少なくとも30%阻害した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞中のヒトAha遺伝子の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)であって、該dsRNAが相互に相補的な少なくとも2つの配列を含み、センス鎖が第1の配列を含み、アンチセンス鎖がAha遺伝子をコードするmRNAの少なくとも一部と実質的に相補的な相補領域を含む第2の配列を含み、該相補領域が、30ヌクレオチド長未満であり、該dsRNAが、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175、配列番号177、配列番号179、配列番号181および配列番号183の群から選択されるセンス鎖ならびに後者のセンス鎖と相補的であり、且つ配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、配列番号176、配列番号178、配列番号180、配列番号182および配列番号184の群から選択されるアンチセンス鎖を有する第2のdsRNAの標的配列内のAha遺伝子をコードするmRNAを切断する、二本鎖リボ核酸(dsRNA)。
【請求項2】
前記Aha遺伝子がAha1遺伝子、好ましくはホモ・サピエンスAha1遺伝子である、請求項1に記載のdsRNA。
【請求項3】
前記Aha遺伝子を発現する細胞との接触の際、前記dsRNAが該細胞中のAha遺伝子の発現を少なくとも20%阻害する、請求項1または請求項2に記載のdsRNA。
【請求項4】
Aha遺伝子発現の前記少なくとも20%阻害を、HeLa細胞および/またはMLE12細胞中で行う、請求項3に記載のdsRNA。
【請求項5】
前記dsRNAが、AL−DP−7301、AL−DP−7308、AL−DP−7318、AL−DP−7320、AL−DP−7322、AL−DP−7324、AL−DP−7325、AL−DP−7326、AL−DP−7327、AL−DP−7329、AL−DP−7331、AL−DP−7333、AL−DP−7340、AL−DP−7342、AL−DP−7303、AL−DP−7305、AL−DP−7307、AL−DP−7309、AL−DP−7316およびAL−DP−7337、AL−DP−7304、AL−DP−7312、AL−DP−7339、AL−DP−7344、AL−DP−7306、AL−DP−7317、AL−DP−7346、AL−DP−7310、AL−DP−7323、AL−DP−7335、AL−DP−7338、AL−DP−7341、AL−DP−7302、AL−DP−7315、AL−DP−7328、AL−DP−7330、AL−DP−7336、AL−DP−7345、AL−DP−9250、AL−DP−9251、AL−DP−9252、AL−DP−9253、AL−DP−9254、AL−DP−9255、AL−DP−9256、AL−DP−9257、AL−DP−9258、AL−DP−9259、AL−DP−9260、AL−DP−9261、AL−DP−9262、AL−DP−9263、AL−DP−9264、AL−DP−9265、AL−DP−9266、AL−DP−9267、AL−DP−9268、AL−DP−9269、AL−DP−9270、AL−DP−9271、AL−DP−9272、AL−DP−9273、AL−DP−9274、AL−DP−9275、AL−DP−9276、AL−DP−9277、AL−DP−9279、AL−DP−9280、AL−DP−9281、AL−DP−9282、AL−DP−9283、AL−DP−9284、AL−DP−9285、AL−DP−9286、AL−DP−9287、AL−DP−9288およびAL−DP−9289の群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のdsRNA。
【請求項6】
前記dsRNAが、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のdsRNA。
【請求項7】
前記修飾ヌクレオチドが、2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、5’−ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、およびコレステリル誘導体またはドデカン酸ビスデシルアミド基に連結した末端ヌクレオチドの群から選択される、請求項6に記載のdsRNA。
【請求項8】
前記修飾ヌクレオチドが、2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチド、2’−デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックドヌクレオチド(locked nucleotide)、無塩基ヌクレオチド、2’−アミノ修飾ヌクレオチド、2’−アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホルアミダート、およびヌクレオチドを含む非天然塩基の群から選択される、請求項6に記載のdsRNA。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のdsRNAを含む細胞。
【請求項10】
dsRNAおよび薬学的に許容可能なキャリアを含む、生物中のAha遺伝子発現を阻害するための薬学的組成物であって、該dsRNAが相互に相補的な少なくとも2つの配列を含み、センス鎖が第1の配列を含み、アンチセンス鎖がAha遺伝子をコードするmRNAの少なくとも一部と実質的に相補的な相補領域を含む第2の配列を含み、該相補領域が、30ヌクレオチド長未満であり、該dsRNAが、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175、配列番号177、配列番号179、配列番号181および配列番号183の群から選択されるセンス鎖ならびに後者のセンス鎖と相補的であり、且つ配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、配列番号176、配列番号178、配列番号180、配列番号182および配列番号184の群から選択されるアンチセンス鎖を有する第2のdsRNAの標的配列内のAha遺伝子をコードするmRNAを切断する、薬学的組成物。
【請求項11】
前記Aha遺伝子がAha1遺伝子、好ましくはホモ・サピエンスAha1遺伝子である、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記Aha遺伝子を発現する細胞との接触の際、前記dsRNAが該細胞中のAha遺伝子の発現を少なくとも20%阻害する、請求項10または請求項11に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
Aha遺伝子発現の前記少なくとも20%阻害を、HeLa細胞および/またはMLE12細胞中で行う、請求項12に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記dsRNAが、AL−DP−7301、AL−DP−7308、AL−DP−7318、AL−DP−7320、AL−DP−7322、AL−DP−7324、AL−DP−7325、AL−DP−7326、AL−DP−7327、AL−DP−7329、AL−DP−7331、AL−DP−7333、AL−DP−7340、AL−DP−7342、AL−DP−7303、AL−DP−7305、AL−DP−7307、AL−DP−7309、AL−DP−7316およびAL−DP−7337、AL−DP−7304、AL−DP−7312、AL−DP−7339、AL−DP−7344、AL−DP−7306、AL−DP−7317、AL−DP−7346、AL−DP−7310、AL−DP−7323、AL−DP−7335、AL−DP−7338、AL−DP−7341、AL−DP−7302、AL−DP−7315、AL−DP−7328、AL−DP−7330、AL−DP−7336、AL−DP−7345、AL−DP−9250、AL−DP−9251、AL−DP−9252、AL−DP−9253、AL−DP−9254、AL−DP−9255、AL−DP−9256、AL−DP−9257、AL−DP−9258、AL−DP−9259、AL−DP−9260、AL−DP−9261、AL−DP−9262、AL−DP−9263、AL−DP−9264、AL−DP−9265、AL−DP−9266、AL−DP−9267、AL−DP−9268、AL−DP−9269、AL−DP−9270、AL−DP−9271、AL−DP−9272、AL−DP−9273、AL−DP−9274、AL−DP−9275、AL−DP−9276、AL−DP−9277、AL−DP−9279、AL−DP−9280、AL−DP−9281、AL−DP−9282、AL−DP−9283、AL−DP−9284、AL−DP−9285、AL−DP−9286、AL−DP−9287、AL−DP−9288およびAL−DP−9289の群から選択される、請求項10〜請求項13のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記dsRNAが、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項10〜請求項14のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記修飾ヌクレオチドが、2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、5’−ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、およびコレステリル誘導体またはドデカン酸ビスデシルアミド基に連結した末端ヌクレオチドの群から選択される、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記修飾ヌクレオチドが、2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチド、2’−デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、無塩基ヌクレオチド、2’−アミノ修飾ヌクレオチド、2’−アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホルアミダート、およびヌクレオチドを含む非天然塩基の群から選択される、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
細胞中のAha遺伝子の発現を阻害するための方法であって、
(a)該細胞中に二本鎖リボ核酸(dsRNA)を導入する工程であって、該dsRNAが相互に相補的な少なくとも2つの配列を含み、センス鎖が第1の配列を含み、アンチセンス鎖がAha1をコードするmRNAの少なくとも一部と実質的に相補的な相補領域を含む第2の配列を含み、該相補領域が、30ヌクレオチド長未満であり、該dsRNAが、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175、配列番号177、配列番号179、配列番号181および配列番号183の群から選択されるセンス鎖ならびに後者のセンス鎖と相補的であり、且つ配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、配列番号176、配列番号178、配列番号180、配列番号182および配列番号184の群から選択されるアンチセンス鎖を有する第2のdsRNAの標的配列内のAha遺伝子をコードするmRNAを切断する、工程、および
(b)工程(a)で産生された細胞を、Aha遺伝子のmRNA転写物を分解するのに十分な時間維持し、それにより、該細胞中のAha遺伝子の発現を阻害する、工程、を含む方法。
【請求項19】
前記遺伝子がAha1遺伝子、好ましくはホモ・サピエンスAha1遺伝子である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記dsRNAが、AL−DP−7301、AL−DP−7308、AL−DP−7318、AL−DP−7320、AL−DP−7322、AL−DP−7324、AL−DP−7325、AL−DP−7326、AL−DP−7327、AL−DP−7329、AL−DP−7331、AL−DP−7333、AL−DP−7340、AL−DP−7342、AL−DP−7303、AL−DP−7305、AL−DP−7307、AL−DP−7309、AL−DP−7316およびAL−DP−7337、AL−DP−7304、AL−DP−7312、AL−DP−7339、AL−DP−7344、AL−DP−7306、AL−DP−7317、AL−DP−7346、AL−DP−7310、AL−DP−7323、AL−DP−7335、AL−DP−7338、AL−DP−7341、AL−DP−7302、AL−DP−7315、AL−DP−7328、AL−DP−7330、AL−DP−7336、AL−DP−7345、AL−DP−9250、AL−DP−9251、AL−DP−9252、AL−DP−9253、AL−DP−9254、AL−DP−9255、AL−DP−9256、AL−DP−9257、AL−DP−9258、AL−DP−9259、AL−DP−9260、AL−DP−9261、AL−DP−9262、AL−DP−9263、AL−DP−9264、AL−DP−9265、AL−DP−9266、AL−DP−9267、AL−DP−9268、AL−DP−9269、AL−DP−9270、AL−DP−9271、AL−DP−9272、AL−DP−9273、AL−DP−9274、AL−DP−9275、AL−DP−9276、AL−DP−9277、AL−DP−9279、AL−DP−9280、AL−DP−9281、AL−DP−9282、AL−DP−9283、AL−DP−9284、AL−DP−9285、AL−DP−9286、AL−DP−9287、AL−DP−9288およびAL−DP−9289の群から選択される、請求項18または請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法をin vitroで行う、請求項18〜請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
Aha発現によって媒介される病理学的過程を治療、予防、または管理する方法であって、治療または予防有効量のdsRNAをかかる治療、予防、または管理を必要とする患者に投与する工程を含み、該dsRNAが相互に相補的な少なくとも2つの配列を含み、センス鎖が第1の配列を含み、アンチセンス鎖がAha1をコードするmRNAの少なくとも一部と実質的に相補的な相補領域を含む第2の配列を含み、該相補領域が、30ヌクレオチド長未満であり、該dsRNAが、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175、配列番号177、配列番号179、配列番号181および配列番号183の群から選択されるセンス鎖ならびに後者のセンス鎖と相補的であり、且つ配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、配列番号176、配列番号178、配列番号180、配列番号182および配列番号184の群から選択されるアンチセンス鎖を有する第2のdsRNAの標的配列内のAha遺伝子をコードするmRNAを切断する、方法。
【請求項23】
前記dsRNAが、AL−DP−7301、AL−DP−7308、AL−DP−7318、AL−DP−7320、AL−DP−7322、AL−DP−7324、AL−DP−7325、AL−DP−7326、AL−DP−7327、AL−DP−7329、AL−DP−7331、AL−DP−7333、AL−DP−7340、AL−DP−7342、AL−DP−7303、AL−DP−7305、AL−DP−7307、AL−DP−7309、AL−DP−7316およびAL−DP−7337、AL−DP−7304、AL−DP−7312、AL−DP−7339、AL−DP−7344、AL−DP−7306、AL−DP−7317、AL−DP−7346、AL−DP−7310、AL−DP−7323、AL−DP−7335、AL−DP−7338、AL−DP−7341、AL−DP−7302、AL−DP−7315、AL−DP−7328、AL−DP−7330、AL−DP−7336、AL−DP−7345、AL−DP−9250、AL−DP−9251、AL−DP−9252、AL−DP−9253、AL−DP−9254、AL−DP−9255、AL−DP−9256、AL−DP−9257、AL−DP−9258、AL−DP−9259、AL−DP−9260、AL−DP−9261、AL−DP−9262、AL−DP−9263、AL−DP−9264、AL−DP−9265、AL−DP−9266、AL−DP−9267、AL−DP−9268、AL−DP−9269、AL−DP−9270、AL−DP−9271、AL−DP−9272、AL−DP−9273、AL−DP−9274、AL−DP−9275、AL−DP−9276、AL−DP−9277、AL−DP−9279、AL−DP−9280、AL−DP−9281、AL−DP−9282、AL−DP−9283、AL−DP−9284、AL−DP−9285、AL−DP−9286、AL−DP−9287、AL−DP−9288およびAL−DP−9289の群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
細胞中のAha遺伝子の発現を阻害するためのベクターであって、該ベクターがdsRNAの少なくとも1つの鎖をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された調節配列を含み、該dsRNA鎖の1つが、Aha1をコードするmRNAの少なくとも一部と実質的に相補的であり、該dsRNAが30塩基対長未満であり、該dsRNAが、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157、配列番号159、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171、配列番号173、配列番号175、配列番号177、配列番号179、配列番号181および配列番号183の群から選択されるセンス鎖ならびに後者のセンス鎖と相補的であり、且つ配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、配列番号138、配列番号140、配列番号142、配列番号144、配列番号146、配列番号148、配列番号150、配列番号152、配列番号154、配列番号156、配列番号158、配列番号160、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172、配列番号174、配列番号176、配列番号178、配列番号180、配列番号182および配列番号184の群から選択されるアンチセンス鎖を有する第2のdsRNAの標的配列内のAha遺伝子をコードするmRNAを切断する、ベクター。
【請求項25】
請求項24に記載のベクターを含む細胞。

【公表番号】特表2009−537153(P2009−537153A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511246(P2009−511246)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/069229
【国際公開番号】WO2007/137156
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(508290910)アルニラム ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (8)
【出願人】(501244222)ザ スクリプス リサーチ インスティテュート (33)
【Fターム(参考)】