説明

B型肝炎ウィルスの新規の表面タンパク質(HBsAg)変異体

本発明は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)の新規の変異体の配列、および、患者のサンプル中で、核酸、抗原、および、それに向けられた抗体を検出する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)の新規の突然変異体または変異体の配列、および、このゲノム変異体およびタンパク質変異体を検出する方法、同様に、それに対して向けられた患者サンプル中の抗体に関する。
【0002】
この新規の配列は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)に、すなわち表面抗原のアミノ酸配列のアミノ酸115〜181位に、従来技術でまだ開示されていない5個のアミノ酸置換を生じさせ、そのうち、4個の置換は、決定基領域に位置しており(aa101〜aa180)、および、1個の置換は、それらに隣接している(aa181)。
【0003】
本発明はまた、この新規のHBV変異体と、既知の変異体/サブタイプとを同時に検出するための免疫化学検出法、同様に、HBV特異的抗体を同時に検出するための、新規の配列と、既知の配列とを組み合わせた使用に関する。抗原または抗体の決定はそれぞれ、別々の、または一つの試験分析で行うことができる。
【0004】
最終的に、本発明はまた、それに対応する核酸の、適切なプライマーを用いた核酸試験(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応、PCR)を用いた検出に関し、同様に、ワクチンを生産するための、新規のアミノ酸配列の使用に関する。
【背景技術】
【0005】
知られているように、B型肝炎ウィルスは、穏やかな不顕性感染から、ウイルス感染によって引き起こされる肝臓の炎症(ウイルス性肝炎)にわたる多数の病気の経過に関与する媒介物であり、ウイルス性肝炎は、慢性的に活性で劇症の経過を引き起こす。推定4億人の人が罹患している点で、慢性的なHBV感染は、地球規模の健康問題を構成している(Lee,N.Engl.J.Med.337;1733〜1745(1997年))。
【0006】
世界的に頻繁に遭遇する可能性のあるHBV感染の最も適切な予防法としては、能動免疫法(抗原を投与することによって抗体反応を刺激すること)と、受身免疫法(予め形成された抗体を注入することによって生じる)が考えられている。
【0007】
HBVは、ヘパドナウイルスに属し、コアとエンベロープからなる42nmの直径を有するウイルス粒子を構成する。このウイルスのゲノムは、約3200個のヌクレオチドからなる二本鎖の環状DNA配列であって、この配列は、少なくとも6種の異なるウイルス遺伝子をコードする(Tiollais等,Nature 317:489〜495(1985年))。
【0008】
ウイルスタンパク質を形成するのに、4つのオープンリーディングフレームが利用される。
HBV表面抗原(HBsAg)は、スモールタンパク質(S)とも呼ばれており、それに関する情報は、S遺伝子に含まれている。加えて、それより大きい形態もあり、これらは、ラージタンパク質(L)、および、ミドルタンパク質(M)と命名されている。3種全てのタンパク質は、226個のアミノ酸を含む共通のS−HBsAg配列に存在する(Gerlich等,Viral Hepatitis and Liver Disease,Hollinger等,William−Wilkens,Baltimore,MD,pages 121〜134(1991年))。スモールHBs(small HBs)上流のタンパク質領域は、プレ−S1およびプレ−S2とも呼ばれており、それぞれ108個および55個のアミノ酸を含み、いずれもLタンパク質(389個のアミノ酸)に存在し、一方で、Mタンパク質はS抗原(281個のアミノ酸)と共にプレ−S2の
みを含む。プレ−Sタンパク質は、様々な程度のグリコシル化を示し、肝細胞を認識する受容体を有する。特に他の指定がない限り、本願におけるアミノ酸位置は、プレ−S1領域とプレ−S2領域を含まないS−抗原(226aa)を意味する。
【0009】
C遺伝子は、ヌクレオカプシドタンパク質のB型肝炎コア抗原(HBcAg)に関する情報を有する。このタンパク質の翻訳は、早くもプレ−C領域で開始させることができ、それにより、B型肝炎e抗原(HBeAg)の形成が起こる。HBeAgのフォールディングおよび免疫原性は、HBcAgのそれとは異なる。HBcAgに対して、HBeAgは、血清中で遊離の形態で生じ、陽性検出については、HBcAgの形成、その結果として感染性のウイルス粒子の形成の指標とみなされる。
【0010】
ウイルス粒子に存在する逆転写DNAポリメラーゼは、P遺伝子によってコードされており、トランスアクチベーターX遺伝子が、HBV関連の初期肝細胞癌の発達において原因的な役割を有する可能性が討論されている。
【0011】
HBVのウイルス複製サイクルには、細胞内プレゲノムRNAが含まれ、このRNAは、ウイルスのヌクレオカプシドでDNAに逆転写される。HBVに特有の逆転写酵素DNAポリメラーゼには、まったく校正能力がないため、不正確なヌクレオチドが比較的高い頻度で含まれる。結果として、HBVは、感染年数あたり、塩基10000個につきヌクレオチド約1個の変異率を示し、これは、その他のDNAウイルスが示す速度の約10倍に相当する(Blum,Digestion 56:85〜95(1995年);Okamoto等,Jpn.J.Exp.Med.57:231〜236(1987年))。加えて、欠失および挿入もまた極めて頻繁に起こる(Carman等,Lancet 341:349〜353(1993年))。
【0012】
生じたHBVの変異性は、特に、9種の血清学的に識別されたサブタイプの出現(Courouce等,Bibliotheca Haematologica 42:1(1976)、および、総計で少なくとも6種の異なる遺伝子型で示され、これらの遺伝子型はA〜Fと命名され(図1)、地理的に分散している。(Norder等,J.Gen.Virol.73:3141〜3145(1992年),Norder等,Virology 198:489〜503(1994年))。
加えて、1個またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失または付加された多数の突然変異体が説明されている。
【0013】
自然に生じる突然変異に加えて(Cooreman等,Hepatology 30:1287〜1292(1999年))、HBV免疫グロブリンの投与、および/または、抗ウイルス治療(例えば、ラミブジンを用いた)により選択圧を働かせることができ、それにより、いわゆるエスケープ突然変異体の出現の増加が生じ、HBV突然変異体が出現する確率が著しく高くなる(Terrault等,Hepatology 28:555〜561(1998年);Tillmann等,Hepatology 30:244〜256(1999年);Hunt等,Hepatology 31:1037〜1044(2000年))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
全てのHBV突然変異が複製可能なウイルスを生じるというわけではなく、複製可能なウイルスが頻繁に共存しており、このような状況はまた、単離されたDNAの配列解析の精度も制限してしまい、または、さらに改変された配列を認識するためのPCR、クローニング法およびそれに続く配列解析の失敗をもたらすこともあり、後者の場合、定量的にいえば総DNAの10%未満になる(Cooreman等,J.Biomed.Sci.8:237〜247(2001年))。
【0015】
従って、突然変異体を単離し、それに続き個々の突然変異体を同定および特徴付け、場合によっては改善されたワクチンおよび診断薬を開発することは有利である。
【0016】
HBVに感染した後、免疫反応は、主として、全てのB型肝炎ウィルスに共通のSタンパク質領域としての決定基と呼ばれるものに対して向けられ、この領域は、ウイルス粒子表面上に位置しており(Gerlich等,上記参照)、S遺伝子のB細胞エピトープの最もヘテロジニアスな部分を構成している。
【0017】
知見の現状に鑑み、アミノ酸101位〜180位間の決定基上で総計で少なくとも5種の部分的にオーバーラップするエピトープが、抗体の結合部位と推測されており(図1および2)、これは、モノクローナル抗体を用いることによって実証されている(Peterson等,J.Immunol.132:920〜927(1984年))。
【0018】
これらのエピトープは、主として、数個のジスルフィド架橋によって安定化されている複合的な立体配座のエピトープである。また、合成で製造された環状ペプチド構造を用いて生産可能ないくつかの配列のエピトープも存在する。
【0019】
HBVでの自然感染後に血清中に循環するいわゆる「防御抗体」の99%は、HBVの極めて免疫原性の決定基に対して向けられている(Jilg,Vaccine 16:65〜68(1998年))。
ヒト血清から単離されたワクチンまたは組換えによって製造されたワクチンのいずれかを用いた免疫化の広範囲の使用、および、ヒトHBV特異的抗体を含むB型肝炎免疫グロブリンの投与は、この事実に基づく。いずれの予防対策も、「ループエピトープ」に結合した後にHBs特異的抗体が提示する中和作用に基づく(Carman等,Hepatology 24:489〜493(1996年),Muller等,J.Hepatol.13:90〜96(1991年)、および、Samuel等,N.Engl.J.Med.329:1842〜1847(1993年))。
【0020】
類似した様式で、現在広く用いられている診断薬は、決定基特異的な抗体と、決定基のエピトープとの結合に基づく。
【0021】
従って、献血分野で世界的に用いられている免疫化学的測定方法を用いてHBsAgを決定する場合において、ドナーの血清中に循環するHBV表面抗原が、決定基に対して向けられている抗体(ポリクローナルまたはモノクローナル)を用いて検出され、結果が陽性の場合、HBV汚染血液による医原性のHBV感染を予防するために、それに関連する献血された血液は廃棄される。HBsAgの測定のその他の適用例は、現存の急性HBV感染を検出することにある。逆に言えば、被験体の血液中のHBs特異的抗体(抗HBs)を測定する際の陽性の結果は、自然感染がその過程を経るか、または、実施されたワクチン接種がうまくいったかのいずれかを示している。
【0022】
最後に、核酸試験(例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による核酸試験)も、HBVヌクレオチドに特異的なプライマー(スターター)の使用に基づく。
【0023】
能動免疫法(HBV抗原でのワクチン接種)、受動免疫法(HBV特異的免疫グロブリンによる防御)、ワクチン接種の成功または発症したHBV感染の検出(いずれも、HBsAg特異的抗体、すなわち抗HBsを測定することによる)、および、最終的に、献血分野における安全性(HBsAg測定およびPCR)において決定基が果たす中心的な役割により、突然変異体、さらには新しい変異体の出現が、専門家の世界で大いに注目を集めることが理解できる。
【0024】
その結果として、予防と診断の両方に関して、HBVの決定基において改変されているが複製可能な新規の突然変異体および/または変異体が関心の対象となり得る(Brind等,J.Hepatol.26:228〜235(1997年),Fischer等,Transplant Proc.31:492〜493(1999年),Ghany等,Hepatology 27:213〜222(1998年),Protzer−Knolle等,Hepatology 27:254〜263(1998年),Carman等,Gastroenterology 102:711〜719(1992年)、および、Coleman等,WO02/079217A1,(2002年))。
【0025】
HBVの変異体および突然変異体に著しい差異はないが、それに関する提案が広くなされている(Carman,J.Viral Hepat.4(suppl.1):11〜20(1997年)。
【0026】
この提案によれば、「変異体」という用語は、選択圧(抗ウイルス治療、および/または、免疫グロブリン投与)によるあらゆる既知の障害がなくして出現した、地理的な分散パターンを示す天然に存在するサブタイプに用いることとする。
【0027】
サブタイプの特徴付け、および、それに続く分類は、モノクローナル抗体を用いて行われ、1個または2個〜3個のアミノ酸が置換されたことによる反応パターンの変化に基づく。分類の基準は、最も普遍的なHBV配列のアミノ酸122位および160位:aa122、および、aa160=リシン、Kによって構成される。
【0028】
全ての血清型は、グループに特異的な決定基を含み、一方で、aa122、それに加えて、133および134は、dまたはrサブタイプを決定し、aa160は、wまたはrサブタイプの一員であることを決定する。これに基づき、HBVサブタイプは、おおまかにadr、adw、ayrおよびaywに分類でき、これらのサブタイプは、少なくとも9種のさらに下位のサブタイプ:ayw1、ayw2、ayw3、ayw4、ayr、adwr2、adw4、adrq+、および、adrq−にさらに分類できる(Swenson等,J.Virol.Meth.33:27〜28(1991年),Blitz等,J.Clin.Microbiol.36:648〜651,Ashton−Rickardt等,J.Med.Virol.29:204〜214(1989年))。
【0029】
この分類は血清学的反応に基づいているため、全ての型別がアミノ酸レベルでの変異性を示す必要はなく、その理由としては、S遺伝子レベルでの遺伝子型解析で示されることが好ましいためである(Ohba等,Virus Res.39:25〜34(1995年))。
【0030】
まだ知られていない理由により、サブタイプは特定の地理的および民族的なパターンを表す。
【0031】
Carmanに従って、「突然変異」という用語は、ワクチン接種または抗ウイルス治療のような選択圧下で選択的に発生する変異体に用いられることとする。多くの突然変異がすでに説明されているが、それらの多くは、診断上不正確な所見を引き起こす(Carman等,Lancet 345:1406〜1407);これらの突然変異の例として、以下に示すaa置換を引用する:
コンセンサス: aa位置 突然変異体:
I 110 V
P 111 T
T 114 S
T 116 S
P 120 T/S
T 123 A/N
I/T 126 A/S
Q 129 H/R
K/M 133 L
T 143 M/L
D 144 H/A/E
G 145 R/A
A 157 R
加えて、aa107位、124位、137位、147位および149位に
おけるシステイン置換。
(Coleman,上記参照;Okamoto等,Pediatr.Res.32:264〜268(1992年);Zhang等,Scand.J.Infect.Dis.28:9〜15(1996年);Zuckermann等,Lancet 343:737〜738(1994年))。
【0032】
驚くべきことに、肝炎マーカーの不規則な反応パターンが、萎縮肝の炎症を有するフランス人の患者(内部番号:119617)から採取されたサンプルに見出された。
【0033】
このような感染に典型的な肝臓値の増加を含む臨床像に加えて、検出されたIgMクラス肝炎コア抗体もまた急性HBV感染を示したが、承認された高性能のHBsAg ELISAを用いたところ、HBsAgは検出されなかった。
【0034】
驚くべきことに、PCRを行ったところ、そのサンプルに関して陽性の結果が得られ、さらに配列解析したところ、まったく意外なことに、図3および4に示すヌクレオチド配列、および、図5および6に示すアミノ酸配列が得られ、意外なことに、これらの両方から上述の置換パターンが得られた。
【0035】
これらの配列から、aa115〜181の領域における総数n=5個のアミノ酸が、A遺伝子型と比較して置換されていることから、まったく意外なことに、点突然変異、すなわち2〜3個のヌクレオチドの置換の問題ではなく、おそらく血清学的に特徴付けることが可能なサブタイプのいずれの問題でもないことは明らかである。 アミノ酸置換の頻度の観点で、意外なことに、上記結果は、新しい突然変異体の問題であるか、または、上記突然変異は、その結果から、新しい変異体(以下に示すようなHDB05変異体と命名される)であると記載される可能性が高いことを言明していることが考えられる。
【0036】
決定基のアミノ酸配列と既知の配列との最良の一致を解析したところ、遺伝子型A(図1)、サブタイプadw(図2)が示されるが、驚くべきことに、新しい変異体は、それらと、4つのaa位置が異なる。最も顕著な特徴は、図1、5および6によれば、aa115〜120の間の領域と、aa154〜164の間における2つの隣接する置換、および、決定基のすぐ隣のaa位置#181の置換で構成される。
【0037】
決定基上のエピトープは構造的に生じること、すなわち、構造的なエピトープとして知られているものが存在し得ることがわかっているために、免疫原性、さらに抗体の決定基に結合する能力も、位置#181におけるアミノ酸置換によって影響を受ける可能性があると考えられる。
【0038】
最終的に、まったく意外なことに、血清サンプル#119617のヌクレオチドおよびアミノ酸配列と、それに対応する、他の別個のオーストリアからの血清サンプル(内部番号:118457、これも同様に、萎縮肝の炎症を有する患者から得られた)からの分析結果との間に同一性が観察された。これから、HDB05は、同じ程度で蔓延する可能性のある、複製可能で感染性のHBVの突然変異体または変異体であると結論付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0039】
従って、本発明は、配列番号13と少なくとも94%の同一性を有するアミノ酸配列を含むオリゴペプチドまたはポリペプチドに関する。配列番号13に示されるアミノ酸配列は、B型肝炎のS抗原のアミノ酸111〜185位に対応し、上記抗原は、総長226個のアミノ酸を有する。好ましい実施形態は、配列番号13と、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むオリゴペプチドまたはポリペプチドに関する。
【0040】
本発明はまた、配列番号12と少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むオリゴペプチドまたはポリペプチドに関する。配列番号12に示されるアミノ酸配列は、B型肝炎ウィルスのS抗原のアミノ酸43〜196位に対応し、上記抗原は、226個のアミノ酸の長さを有する。
【0041】
本発明はまた、配列番号14と少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むオリゴペプチドまたはポリペプチドに関する。配列番号14に示されたアミノ酸配列は、B型肝炎ウィルスのS抗原のアミノ酸111〜170位に対応し、上記抗原は、226個のアミノ酸の長さを有する。
【0042】
当業者であれば本来、2つのアミノ酸配列間の同一性を決定する方法に精通しており、この方法は、一般的なコンピュータープログラムを用いて実行することができる。同一性は、好ましくは、ジェネティクス・コンピューター・グループ(Genetics Computer Group,マディソン,ウィスコンシン州)製の「Bestfit」コンピュータープログラムを用いて決定される。パラメーターは、標準(デフォルト)設定で用いられる。本願の優先日において最新のプログラムバージョンを用いることが好ましい。高いパーセンテージの同一性は、2つの配列が、高度の一致、同一性または等価性を示すことを意味する。
【0043】
本発明に係るオリゴペプチドまたはポリペプチドはまた、配列番号13と比較して、0〜4個のアミノ酸が置換、欠失または挿入されているアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記アミノ酸配列において、配列番号14と比較して、0〜3個または0個〜2個のアミノ酸、または、1個のアミノ酸が置換、欠失または挿入されていてもよい。置換はまた、HBVのS抗原の115位、120位、154位、164位および/または181位に対応するアミノ酸位置に影響を与えることもできる。
【0044】
本発明に係るオリゴペプチドまたはポリペプチドはまた、配列番号14と比較して、0〜3個のアミノ酸が置換、欠失または挿入されているアミノ酸配列を含んでいてもよい。上記アミノ酸配列において、配列番号14と比較して、0〜2個のアミノ酸、または、1個のアミノ酸が置換、欠失または挿入されていてもよい。置換はまた、HBVのS抗原の115位、120位、154位、164位および/または181位に対応するアミノ酸位置に影響を与えることもできる。
【0045】
本発明に係るオリゴペプチドまたはポリペプチドはまた、配列番号12と比較して、0〜4個のアミノ酸、または、0〜3個、または、0〜2個のアミノ酸、または、1個のアミノ酸が置換、欠失または挿入されているアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0046】
本発明のオリゴペプチドまたはポリペプチドはまた、配列番号12の構成的な配列(配列番号12の少なくとも5個の連続したアミノ酸を含む)であるアミノ酸配列を含んでいてもよく、上記構成的な配列は、少なくとも配列番号12の72位、78位、112位、122位および139位のいずれか一種を含む。これらのアミノ酸位置は、HBVのS抗原の115位、120位、154位、164位および181位に対応する。上記構成的な配列は、好ましくは、配列番号12に示されるアミノ配列の、少なくとも6個、より好ましくは少なくとも7個、最も好ましくは少なくとも8個の連続したアミノ酸を含む。その他の実施形態において、上記構成的な配列は、配列番号12に示されるアミノ酸配列の、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、または、少なくとも100個の連続したアミノ酸を含む。
【0047】
上記構成的な配列は、好ましくは、配列番号12の72位、78位、112位、122位および139位のうち2個、3個、4個または5個全てを含む。
【0048】
本発明に係るポリペプチドはまた、B型肝炎ウィルスのHBs抗原のフラグメントを含んでいてもよく、ここにおいて、前記フラグメントは、少なくとも5個のアミノ酸の長さを有し、前記HBs抗原は、115位のアルギニン、120位のグルタミン、154位のロイシン、164位のバリン、および/または、181位のアルギニンを有し、前記フラグメントは、115位のアルギニン、120位のグルタミンを含む。本オリゴペプチドまたはポリペプチドは、これらの特異的アミノ酸残基のうち、1個、2個、3個、4個、または、5個を含んでいてもよい。
【0049】
本発明に係るオリゴペプチドまたはポリペプチドの最も短い長さは、5個、好ましくは6個、より好ましくは7個、最も好ましくは8個のアミノ酸である。本オリゴペプチドまたはポリペプチドの総長は、一般的に、5〜1000個のアミノ酸、好ましくは6〜500個のアミノ酸、より好ましくは7〜300個のアミノ酸、最も好ましくは8〜200個のアミノ酸である。本オリゴペプチドまたはポリペプチドはまた、B型肝炎ウィルスのゲノムによってコードされない異種アミノ酸を含んでいてもよい。従って、固相へのカップリングを容易にする、または、標識物質へのカップリングを可能にするアミノ酸を存在させることもできる。クローニングの結果として発生する、および、組換え発現に付随して発現されるアミノ酸を存在させることもできる。最終的に、本発明に係るオリゴペプチドまたはポリペプチドは、HBV由来のアミノ酸に加えて、融合のパートナー、例えば精製を容易にするタグ配列、または、溶解性および/または組換え発現に関する収率を高めるタンパク質成分を含む融合タンパク質であってもよい。この性質を有する融合のパートナーは本来、当業者既知である。
【0050】
その他の実施形態において、本オリゴペプチドまたはポリペプチドは、HBVのゲノムによってコードされていないいかなる異種アミノ酸も含まない。それに相応して、これらのオリゴペプチドまたはポリペプチドは、上述された、および/または、請求項に記載のアミノ酸配列のいずれか一つで構成される。
【0051】
本発明に係るオリゴペプチドまたはポリペプチドは、好ましくは免疫原性であり、すなわち、哺乳動物において抗体反応を誘導することができる。本オリゴペプチドまたはポリペプチドは通常、少なくとも1つの抗原決定基、または、少なくとも1つのエピトープを含む。特定の実施形態において、本オリゴペプチドまたはポリペプチドは、他のHBV変異体に存在しないエピトープ、例えば遺伝子型Aのサブタイプadwに存在しないエピトープを含む。
【0052】
本オリゴペプチドまたはポリペプチドは、好ましくは、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、および、配列番号22のアミノ酸配列のいずれか一つを含む。
【0053】
本発明のその他の形態は、本願で説明されているオリゴペプチドまたはポリペプチドの1つまたはそれ以上を含む、免疫原性ペプチド、または、免疫原性ペプチドの混合物である。この免疫原性ペプチドまたは免疫原性の混合物は、本オリゴペプチドまたはポリペプチドを、その/それら単独で、または、既知のHBV免疫原と組み合わせて含んでいてもよい。
本発明はまた、新規のHBV変異体HDB05またはそれらの突然変異体のゲノムから誘導された核酸分子、特に、HSbAgをコードする遺伝子から誘導された核酸分子に関する。
【0054】
それゆえに、本発明は、例えば、配列番号2と少なくとも98%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに関する。配列番号2のヌクレオチド配列は、配列番号13のアミノ酸配列をコードする。好ましい実施形態は、配列番号2と少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに関する。
【0055】
本発明はまた、配列番号1と少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに関する。配列番号1のヌクレオチド配列は、配列番号12のアミノ酸配列をコードする。
【0056】
この場合、同一性は、2種のDNAセグメントの2つの鎖の間の同一性の程度と定義される。同一性は、比較される2つの配列において同一の塩基の数を、短いほうの配列の長さで割って、100をかけたパーセンテージとして表現される(Smith等,Adv.Appl.Mathem.2:482〜489(1981年))。
【0057】
当業者であれば、2つのアミノ酸配列間の同一性を決定する方法に精通しており、この方法は、一般的なコンピュータープログラムを用いて実行することができる。同一性は、好ましくは、ジェネティクス・コンピューター・グループ(マディソン,ウィスコンシン州)製の「Bestfit」コンピュータープログラムを用いて決定される。パラメーターは、標準(デフォルト)設定で用いられる。本願の優先日において最新のプログラムバージョンを用いることが好ましい。高いパーセンテージの同一性は、2つの配列が、高度の一致、同一性または等価性を示すことを意味する。
【0058】
この評価はまた、ペプチドおよびタンパク質のアミノ酸配列にも適用できる(Dayhoff,Atlas of Protein Sequences and Structure,M.O.Dayhoff ed.5 Suppl.3:353−358,Nat.Biom.Res.Found.,Washington D.C.,USA,Gribskov,Nucl.Acids Res.14(6):6745−66763(1986年))。
【0059】
その上、本発明は、0〜4個のヌクレオチドが、配列番号2と比較して置換、欠失または付加されているヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに関する。また、上記ヌクレオチド配列において、配列番号2と比較して、0〜3個、または、0〜2個のヌクレオチド、または、1個のヌクレオチドが置換、欠失または挿入されていてもよい。
【0060】
本発明に係るオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドはまた、配列番号1の構成的な配列であるヌクレオチド配列(配列番号1の少なくとも8個の連続したヌクレオチドを含む)を含んでいてもよく、ここにおいて、上記構成的な配列は、配列番号1の218位、233位、335位、365位および416位の少なくとも1つを含む。上記構成的な配列は、好ましくは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列の、少なくとも9個、より好ましくは少なくとも10個、最も好ましくは少なくとも12個の連続したヌクレオチドを含む。その他の実施形態において、上記構成的な配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列の、少なくとも15個、少なくとも18個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも120個、少なくとも150個、少なくとも175個、少なくとも200個、少なくとも250個、または、少なくとも300個の連続したヌクレオチドを含む。
【0061】
上記構成的な配列は、好ましくは、配列番号1の218位、233位、335位、365位および416位のうち2個、3個、4個または5個全てを含む。
【0062】
その他の実施形態において、本オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で、好ましくは特異的に、配列番号1の配列に相補的なポリヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。さらにその他の実施形態において、本オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で、好ましくは特異的に、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、および/または、配列番号11の配列に相補的なポリヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。当業者であれば本来、所定のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが、その他のポリヌクレオチドとハイブリダイズするかどうかを決定する方法に精通している。以下の条件は、「ストリンジェントな条件」の特定の例を構成する:a)50%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、および、変性断片化サケ精子DNA20μg/mlを含む溶液中での、42℃で16時間のインキュベート;b)それに続く、0.1×SSC中での、約65℃での洗浄。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は本来、当業者既知であり、一例として、Sambrook等,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第二版,コールドスプリングハーバー,ニューヨーク(1989年)に明記されている。ヌクレオチド配列が所定のポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする場合、そのヌクレオチド配列は、他のヌクレオチド配列とハイブリダイズしない、または、それよりかなり弱くしか他のヌクレオチド配列とハイブリダイズしない。本発明の場合、これは、上記ヌクレオチド配列は、従来のHBV変異体(例えば、遺伝子型A、サブタイプadw)由来のHBsAgをコードするポリヌクレオチドとハイブリダイズしない、または、弱くしかハイブリダイズしないことを意味するといえる。
【0063】
本発明はまた、本願で説明されているような、本発明に係るオリゴペプチドまたはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに関する。本発明のその他の形態は、上述のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドである。
【0064】
本発明に係るオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの最も短い長さは、6個、好ましくは8個、より好ましくは10個、最も好ましくは12個のヌクレオチドである。本オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの総長は、一般的に、6〜3000個のヌクレオチド、好ましくは6〜1500個のヌクレオチド、より好ましくは8〜900個のヌクレオチド、最も好ましくは8〜600個のヌクレオチドである。本オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドはまた、B型肝炎ウィルスのゲノムから誘導されたものではないヌクレオチドを含んでもよい。従って、上述のような望ましい機能を満たすことを目的とする特定のアミノ酸をコードするヌクレオチドが存在していてもよい。例えば特定の切断部位を挿入するために、クローニングのために発生するヌクレオチドが存在していてもよい。最終的に、本発明に係るオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、HBV由来のアミノ酸に加えて、融合のパートナー、例えば精製を容易にするタグ配列、または、溶解性および/または組換え発現に関する収率を高めるタンパク質成分を含む融合タンパク質をコードすることができる。この性質を有する融合のパートナー、および、それらをコードするDNAは本来、当業者既知である。
【0065】
本発明の好ましいオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、および、配列番号11からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0066】
本発明に係るポリヌクレオチドはまた、例えば蛍光標識または放射標識によって標識されていてもよい。この性質を有するポリヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション反応、または、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において有利に用いることができる。
【0067】
本発明はまた、本発明に係るオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含むベクターまたはプラスミドに関する。このようなプラスミドは、例えば宿主細胞中で核酸を複製する、または、特定の制限切断部位を利用可能にするのに用いられるクローニングベクターが可能である。発現ベクターは、クローニングした核酸を宿主細胞で発現させることを可能にするベクターのことである。様々な原核性のまたは真核細胞が、宿主細胞であり得る。原核性の宿主細胞の例としては、細菌細胞が挙げられ、例えばE.coli細胞である。本発明に係る発現ベクターは、特に、プロモーターまたは抑制因子結合部位のような要素を制御することができる。その他の実施形態において、発現ベクターは、融合タンパク質の一部をコードする核酸のセグメントを含む。
【0068】
本発明は、同様に、本発明に係るポリヌクレオチド、本発明に係るプラスミド、または、本発明に係るベクターを包含する細胞、例えば宿主細胞に関する。このような宿主細胞は、存在する核酸の転写、およびそれに続く翻訳を起こすのに適切な条件下で培養することができる。本発明はまた、ポリペプチドを製造する方法に関し、本方法において、本発明のポリヌクレオチド、プラスミドまたは発現ベクターを宿主細胞に導入し、その宿主細胞をポリペプチドが発現されるような条件下で培養する。必要に応じて、その後、上記ポリペプチドを宿主細胞から単離することもできる。上記ポリペプチドは、好ましくは、細菌中で、最も好ましくはE.coli細胞中で製造される。培養に適した手段および条件は、例えば、Ausubel等(1993年)“Current Protocols in Molecular Biology”で説明されている。発現されたポリペプチドは、本来当業者既知の方法を用いて単離される。様々なタンパク質精製方法は、例えば、Scopes R.(1994年)“Protein Purification:Principles and Practice”(第三版)Springer Verlagで説明されている。
【0069】
しかしながら、本発明のポリペプチドおよびペプチドはまた、固相合成のような既知の方法を用いて化学的に製造することもできる。同様に、本発明に係るポリヌクレオチドは、既知の化学合成法を用いて製造することができる。次に、化学合成により得られたポリヌクレオチドフラグメントはまた、リガーゼを用いて酵素的に連結させることもできる。本発明に係るオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドはまた、既知の配列から、点突然変異が特定の位置に挿入される部位特異的変異誘発によって製造することもでき、この性質を有する方法は本来、当業者既知である。
【0070】
本発明のその他の形態は、本発明に係るオリゴペプチドまたはポリペプチドに結合する抗体である。これらの抗体は、本発明のオリゴペプチドまたはポリペプチド、例えば配列番号12〜22の配列のいずれか一つを有するペプチドまたはそれらのフラグメントのいずれかを用いる既知の様式で製造することができる(HarlowおよびLane(1988年)Antibodies:A Laboratory Manual;コールドスプリングハーバーラボラトリー)。上記抗体は、ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよいが、モノクローナル抗体が好ましい。上記抗体は、好ましくは、新規のHBV変異体のHBsAgに対して向けられているが、他のHBV変異体由来のHBsAg(例えば遺伝子型A サブタイプadw)を認識しない特異的抗体である。これらの抗体は、新規のHBsAgと既知の種由来のHBsAgとのアミノ酸配列の比較に基づき、新規のHBsAgに特異的なペプチドを同定すること、および、これらのペプチドを用いて抗体を製造することにより得ることができる。また、ポリクローナル抗体の混合物を製造し、この混合物を、既知のHBsAgとをインキュベートすることによって枯渇させることも可能である。その他の実施形態において、上記抗体は、既知のHBsAg変異体、同様に、新規のHBsAgを認識する。これは、異なるHBsAg変異体を同時に検出することを可能にする。
【0071】
本発明の抗体は、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、および、配列番号22からなる群より選択されるアミノ酸配列で構成されるオリゴペプチドまたはポリペプチドに結合させることができる。上記抗体は、特に好ましくは、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、および、配列番号22からなる群より選択されるアミノ酸配列で構成されるオリゴペプチドまたはポリペプチドに結合する。特定の実施形態において、上記抗体は、既知のHBV遺伝子型A、B、C、D、EおよびFの決定基に結合しない(図1を参照)。特定の実施形態において、上記抗体は、HBV遺伝子型A、サブタイプadwの決定基に結合しない。
【0072】
その上、本発明は、本発明に係るオリゴペプチドまたはポリペプチドのアミノ酸配列を示す抗イディオタイプ抗体に関する。抗イディオタイプ抗体を製造する方法は本来、当業者既知である。
【0073】
本発明はまた、B型肝炎ウィルスを検出するための試験キットに関し、本キットは、本発明に係るオリゴペプチドまたはポリペプチド、本発明に係るオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、および/または本発明に係る抗体を含む。
【0074】
本発明はまた、本発明に係るオリゴペプチドまたはポリペプチドの1種またはそれ以上を、その/それら単独で、または、既知のHBV免疫原と組み合わせて含む免疫原性ペプチド、または、免疫原性ペプチドの混合物に関する。
【0075】
本発明のその他の形態は、(a)サンプルを、本発明に係る抗体と、抗原−抗体複合体の形成が可能な条件下でインキュベートすること;および、(b)前記抗体を含む抗原−抗体複合体を検出すること、を特徴とする、B型肝炎抗原を検出する方法である。
【0076】
実験サンプル(HDB05変異体のHBsAg)中で、新規のHBV変異体のエピトープと反応し、本発明に係るHBV変異体の決定基を、ポリペプチド配列全体またはそれらの部分の形態で測定するモノクローナルまたはポリクローナル抗体(または、それらの混合物もしくはフラグメントまたはフラグメントの混合物)を使用することができる。
【0077】
当業者であれば、HBVの決定基変異体に特異的なモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体(または、それらの混合物もしくはフラグメントまたはフラグメントの混合物)の1つまたはそれ以上を用いて、免疫複合体を形成する、または、それらの形成を阻害する多数の測定方法に精通している。
【0078】
特定の実施形態は、酵素免疫検査法であり、その考えられる試験の原理を一例として以下に説明するが、本発明の観念がこの原理に限定されることはない:
極めて広範囲に用いられているサンドイッチの原理においては、固定化抗体またはそれらのフラグメントは、適切な支持体(例えば、マイクロパーティクルまたはマイクロタイトレーションプレート中のウェル表面)上の試験中のサンプルとインキュベートされる。過量のサンプルが除去された後に、抗体に結合したHBsAgは、プローブと共に提供される抗HBs抗体(モノクローナルまたはポリクローナル、または、フラグメントもしくはこれらのフラグメントの混合物)とさらにインキュベートすることによって検出される。用いられるプローブは、多くの場合、適切な基質が触媒的に変換される(過量の試薬を除去した後に)ことにより色の反応を引き起こす酵素であり、その色の反応は光度的に測定され、その強度はサンプル中に存在するHBsAg量に比例する。
【0079】
この特定の実施形態に加えて、いかなるプローブもまったく必要とせずに実行される実質的に均一な(すなわちあらゆる結合/解離を別々にする必要がない)方法(例えば凝集法)、肉眼で評価できる方法(例えば放射免疫拡散)、または、その他のプローブ(例えば、放射性同位体または化学発光)または数種のプローブ(例えば、ビオチン/ストレプトアビジン系)を使用する方法も既知である。
【0080】
これら全ての実施形態は、本発明の場合において、「新規のHBV変異体のHBsAgを測定すること」は、それそのもので新規の変異体のHBsAgが測定されるかどうか、または、その領域において新規の変異体のHBsAgが既知の決定基および/または既知の突然変異のHBsAgと共に測定されるかどうかにかかわりなく、新規のHBV変異体のポリペプチド配列または抗原を検出するのに適切なあらゆる方法を意味するものと理解される点で従来技術に対応する。
【0081】
同様に、経済的な理由で、HBsAgの測定と、その他の分析物を検出する方法(例えば、HIV抗原、または、HBV変異体HBsAg、および、それに対して向けられた特異的な抗体の同時測定)とを、1つの試験分析(これは、区別してもよいし、区別されていなくてもよい)に統合することも可能である。
【0082】
本発明はまた、B型肝炎抗原に対して向けられた抗体を検出する方法に関し、本方法は、(a)サンプルを、本発明に係るオリゴペプチドまたはポリペプチドと、抗原−抗体複合体の形成が可能な条件下でインキュベートすること;および、(b)前記オリゴペプチドまたはポリペプチドを含む抗体−抗原複合体を検出すること、を特徴とする。
【0083】
特定の実施形態は、酵素免疫検査法であり、その考えられる試験の原理を一例として以下に説明するが、本発明の観念がこの原理に限定されることはない:
極めて広範囲に用いられているサンドイッチの原理においては、固定されたエピトープを有するポリペプチドまたはタンパク質配列を、適切な支持体(例えば、マイクロパーティクルまたはマイクロタイトレーションプレート中のウェル表面)上の調査中のサンプルとインキュベートする。過量のサンプルが除去された後に、エピトープに結合した抗体は、プローブと共に提供されるエピトープを有するポリペプチドまたはタンパク質配列とさらにインキュベートすることによって検出される。用いられるプローブは、多くの場合、適切な基質が触媒的に変換される(過量の試薬を除去した後に)ことにより色の反応を引き起こす酵素であり、その色の反応は光度的に測定され、その強度は、サンプル中に存在する抗体の量に比例する。
【0084】
この特定の実施形態に加えて、実質的に均一な(すなわち、いかなる方法結合/解離の分離も必要としない)方法、プローブをまったく必要とせずに実行される方法(例えば凝集法)、肉眼で評価できる方法(例えば、放射免疫拡散)、または、その他のプローブ(例えば、放射性同位体または化学発光)または数種のプローブを使用する方法(例えば、ビオチン/ストレプトアビジン系)も既知である。
【0085】
同様に、HBV変異体のポリペプチド構造を、抗イディオタイプ抗体、または、適切な試験の原理を選択することによって示すことも可能であり、抗HBs抗体を測定する(競合的な試験様式において)ために変異体に特異的なモノクローナルまたはポリクローナル抗体を用いることも可能である。同様に、試験の原理を選択することによって、免疫グロブリンのクラスを識別することも可能なことがわかっている[例えば、あらゆるプローブを有する第二のクラスに特異的な抗体(例えば、IgM−またはIgG特異的な)を用いた、または、いわゆる抗μ原理(IgMに特異的な)を用いた「間接的な」方法によって]。当然ながら、方法と材料(例えば、プローブおよびポリペプチド配列など)は、所定の目的に適合させなければならない。
【0086】
これら全ての実施形態は、従来技術に対応しており、すなわち、本発明の場合において、「新規のHBD05変異体の決定基に特異的な抗体を測定すること」は、新規のHBV変異体に対して向けられた免疫グロブリン、および/または、免疫グロブリンのクラスを検出するのに適切なあらゆる方法と理解され、ここにおいて、ある領域において、新規の変異体に対して向けられた抗体が、それ単独で、または、既知の決定基および/または既知の突然変異に対して向けられた抗体と組み合わせて探索されるかどうかは問われない。その他の方法において、B型肝炎の核酸を検出することができる。この方法は、以下を特徴とする:(a)サンプル中で本発明に係るオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと、B型肝炎の核酸との選択的なハイブリダイゼーションが可能な条件下で、サンプルを、本発明に係るオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとインキュベートすること;および、(b)前記オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド二重鎖が形成されているかどうかを測定すること。
【0087】
また、B型肝炎の核酸を、(a)サンプル中で前記オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと、B型肝炎の核酸との選択的なハイブリダイゼーションが可能な条件下で、サンプルを、本発明に係るオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの少なくとも1種とインキュベートすること;(b)ポリメラーゼ連鎖反応を行うこと;および、(c)核酸が増幅されているかどうかを測定することによって検出することもできる。
【0088】
本発明はまた、本発明に係るオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの、プライマーおよび/またはプローブとしての使用に関する。本発明のヌクレオチド配列は、プライマーおよび/または遺伝子プローブを製造するのに用いることができ、そのために、試験中のサンプル中で、HBV変異体に特異的な核酸を検出するためのプライマーおよび/またはプローブを、それ単独で、または、既知のHBVヌクレオチド配列と組み合わせてのいずれかで含むキットも同様に本発明の主題の一部である。
【0089】
本発明のヌクレオチド配列に基づき、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で用いることができるプライマーを開発することが可能である。PCRは、核酸または核酸混合物の望ましいヌクレオチド配列を増幅するための方法である。この方法において、プライマーは、それぞれの場合において、リーディングフレームとして、望ましい核酸を用いて、ポリメラーゼによって特異的に伸長する。もとの鎖から解離した後、新しいプライマーがハイブリダイズし、再度ポリメラーゼによって伸長する。これらのサイクルの反復によって、検索後の標的配列分子が濃縮される。
【0090】
核酸試験(NAT)に関して、ウイルス変異体を保持する可能性のある個体、または、例えば、献血分野で貯蔵血液を変異体ゲノムの存在に関してスクリーニングするために、選択的に、または、既知のHBV変異体、および/または、HBV突然変異体のヌクレオチド配列を検出することと組み合わせて、説明されているHBV変異体のウイルスのゲノムを検出するためのハイブリダイゼーションプローブとしての使用に適した6〜8個またはそれ以上のヌクレオチドからなるDNAオリゴマーを製造するのに、本発明のヌクレオチド配列を使用することが可能である。
【0091】
同様に、発見された新規のHBV変異体のヌクレオチド配列に基づき、それに対応する新規の変異体に特異的なプライマー、または、新規の変異体と従来技術において既知の変異体の両方を検出することができるプライマーを開発することも可能である。
【0092】
その上、本発明は、配列番号12と少なくとも97%、少なくとも98%、または、少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHBs抗原を有する単離されたB型肝炎ウィルスに関する。本発明に係るウイルスのHBs抗原は、好ましくは、配列番号12のアミノ酸配列を含む。最終的に、本発明はまた、本発明に係るHBV変異体に感染している組織の細胞の培養物、同様に、単離されたHBV変異体それ自体に関する。弱力化または不活性化したHBVのHDB05変異体を含む免疫原性の調製物もまた、本発明の主題の一部である。本発明はまた、HBV感染を治療または予防するための製薬を製造するための、本発明に係るオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドの使用、または、本発明に係るオリゴペプチドもしくはポリペプチドの使用に関する。特に、本発明に係るオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、または、オリゴペプチドもしくはポリペプチドは、HBVに対するワクチンの生産に用いることができる。
【0093】
加えて、本発明はまた、本発明のポリペプチドと、一般的なアジュバント(例えば、フロインドアジュバント、リン酸緩衝食塩水など)とを含むワクチンも含む。この性質を有するワクチンは、哺乳動物において抗体形成を刺激するのに用いることができる。同様に、本発明は、本発明に係るHBV変異体に特異的なエピトープを含むポリペプチドと、粒子形成を誘導する変異体に特異的ではないアミノ酸配列とを一緒に含む粒子を包含する。
【0094】
本発明のヌクレオチド配列はまた、アンチセンスオリゴヌクレオチド(必要に応じて治療目的の)を製造するのに用いることもできる。
【0095】
本発明のさらなる形態は、以下の主題の項目(1)〜(21)で構成される:
(1)配列番号1〜配列番号11からなる群より選択される配列のいずれか一つを有する単離されたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド:
【0096】
【化1】

【0097】
【化2】

(2)それぞれの場合において、配列番号1〜配列番号11からなる群より選択される配列のいずれか一つと、少なくとも65%、または、66%、または、67%、または、68%、または、69%、または、70%、または、71%、または、72%、または、73%、または、74%、または、75%、または、76%、または、77%、または、78%、または、79%、または、80%、または、81%、または、82%、または、83%、または、84%、または、85%、または、86%、または、87%、または、88%、または、89%、または、90%、または、91%、または、92%、または、93%、または、94%、または、95%、または、96%、または、97%、または、98%、または、99%同一な、(1)に記載のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド。
【0098】
(3)ストリンジェントな条件下で、配列番号1〜配列番号11からなる群より選択される配列のいずれか一つに相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとハイブリダイズする、(1)または(2)に記載のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド。
【0099】
(4)B型肝炎ウィルスのHBs抗原をコードし、(1)〜(3)に記載の項目のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含む、単離されたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド。
【0100】
(5)(1)〜(3)に記載の項目のいずれか一項に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチドを含むことを特徴とする、B型肝炎ウィルスのHBs抗原をコードするオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのフラグメント。
【0101】
(6)B型肝炎ウィルスのHBs抗原の決定基をコードし、(1)〜(3)に記載の項目のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含む単離されたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド。
【0102】
(7)(1)〜(6)に記載の項目のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに特異的なプライマー。
【0103】
(8)(1)〜(5)に記載の項目のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの少なくとも1種を含むベクター。
【0104】
(9)(8)に記載のベクターを包含する宿主細胞。
【0105】
(10)(1)〜(5)に記載の項目のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドによってコードされている、オリゴペプチドまたはポリペプチド。
【0106】
(11)配列番号12〜配列番号22からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する単離されたオリゴペプチドまたはポリペプチド:
【0107】
【化3】

【0108】
【化4】

【0109】
(12)それぞれの場合において、配列番号12〜配列番号22からなる群より選択される配列のいずれか一つと、少なくとも65%、または、66%、または、67%、または、68%、または、69%、または、70%、または、71%、または、72%、または、73%、または、74%、または、75%、または、76%、または、77%、または、78%、または、79%、または、80%、または、81%、または、82%、または、83%、または、84%、または、85%、または、86%、または、87%、または、88%、または、89%、または、90%、または、91%、または、92%、または、93%、または、94%、または、95%、または、96%、または、97%、または、98%、または、99%同一な、(10)または(11)に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチド。
【0110】
(13)(10)〜(12)に記載の項目のいずれか一項に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチドを含むことを特徴とする、B型肝炎ウィルスのHBs抗原の配列に相当する単離されたポリペプチド。
【0111】
(14)(10)〜(12)に記載の項目のいずれか一項に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチドを含むことを特徴とする、B型肝炎ウィルスのHBs抗原の配列に相当するポリペプチドのフラグメント。
【0112】
(15)(10)〜(12)に記載の項目のいずれか一項に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチドを含むことを特徴とする、B型肝炎ウィルスのHBs抗原の決定基をコードする単離されたポリペプチド。
【0113】
(16)(10)〜(15)に記載の項目のいずれか一項に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチドを含むHBs抗原に結合するが、B型肝炎の野生型ウイルスに属するHBs抗原には結合しないか、または、少なくとも著しく弱くしか結合しない、モノクローナルまたはポリクローナル抗体。
【0114】
(17)(10)〜(15)に記載の項目のいずれか一項に記載のアミノ酸配列を示す抗イディオタイプ抗体。
【0115】
(18)(1)〜(7)のいずれか一項に記載の項目に記載のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの少なくとも1つを用いるハイブリダイゼーション反応によって、B型肝炎ウィルスの変異体または突然変異体に特異的な核酸を検出または測定するための試験キット。
【0116】
(19)(16)に記載のモノクローナルまたはポリクローナル抗体の少なくとも1つを用いて、B型肝炎ウィルスの変異体または突然変異体に特異的な抗原を免疫化学的に検出する、または、免疫化学的に測定するための試験キット。
【0117】
(20)(10)〜(15)に記載の項目のいずれか一項に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチドの少なくとも1つを用いて、B型肝炎ウィルスの変異体または突然変異体に対して向けられた抗体を免疫化学的に検出する、または、免疫化学的に測定するための試験キット。
【0118】
(21)主題の項目(3)および(4)の1つまたはそれ以上に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチドの1つまたはそれ以上を、それ単独で、または、既知のHBV免疫原と組み合わせて含む、免疫原性ペプチドまたは免疫原性ペプチドの混合物。
【0119】
本発明は、配列番号1〜11の相補物と特異的にハイブリダイズする、配列番号1、または、図3および4に示されたこの配列のフラグメントと少なくとも65%同一な単離されたヌクレオチド配列を包含する。
【0120】
加えて、本発明は、aa101と180との間のアミノ酸位置で、本発明に係るB型肝炎表面抗原(HBsAg)の決定基の変異体をコードする単離されたヌクレオチド配列、または、aa配列が、図5および6に示す配列番号12または配列番号13〜22に記載のそれらのフラグメントと少なくとも65%の一致を示すペプチド産物を生産する単離されたヌクレオチド配列を包含する。
【0121】
その上、本発明は、前記ヌクレオチド配列の1つまたはそれ以上を含むベクター、同様に、このベクターを包含する宿主細胞、および、決定基から対応するポリペプチドを製造する方法に関し、本方法は、前記ポリペプチドを発現させるのに必要な期間および条件下で、上記の宿主細胞をインキュベートすることを含む。
【0122】
本発明はまた、配列番号11〜22に記載の決定基と反応する抗体に関し、ここにおいて、結合は、好ましくは、アミノ酸領域aa115〜120、aa154〜164またはaa154〜185で起こる。このような抗体は、ポリクローナルでも、またはモノクローナルでもよいし、動物由来でも、またはヒト由来でもよい。
【0123】
本発明は、同様に、単離されたHBV変異体に関し、前記ウイルスは、少なくとも115〜120位、および/または、aa154〜164またはaa154〜181のaa配列に対応する決定基、理想的には全ての前記領域(115〜181)に対応する決定基を有する。
【0124】
本発明はまた、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を生産するための免疫原性の混合物に関し、前記混合物は、上述の単離したHBV、または、上述のポリペプチドの1つまたはそれ以上を含む。
【0125】
本発明はまた、アミノ酸の置換によって、上述の新規のHBV変異体のaa配列と同一な、または、それと少なくとも65%一致する改変された決定基が生産されるHBVゲノム配列を含むポリヌクレオチドプローブも包含する。
【0126】
本発明はまた、前記プローブを用いてHBV変異体のポリヌクレオチドを検出するためのキット、同様に、変異体のHBsAgまたはそれらの個々のエピトープを検出するためのキット、および、それらの変異体またはエピトープに特異的な抗体、同様に、ポリヌクレオチド、抗原および抗体を検出する方法に関し、前記方法は、当業者既知の適切な方法を用いて、対応する複合体を形成するためにインキュベートすること、および、これらの複合体を検出することを含む。
【0127】
これらのキットおよび検出方法の実施形態は、HBV変異体のヌクレオチドおよび抗原、または、それらに対して向けられた抗体を特異的に単独で検出するように設計することもできるし、または、それに加えて、すなわち、現在既知のHBVヌクレオチド、抗原または抗体に加えて、本発明に係る変異体分析物を検出することも可能である。
【0128】
類似の様式において、本発明に係るポリペプチド配列の免疫原性の混合物はまた、例えばワクチンの有効性を改善するために、既知の抗原と組み合わせて用いることができる。
【0129】
本発明は、以下のS−HBsAg配列のaa位置でのアミノ酸置換の結果として、まったく新規の決定基を有するB型肝炎ウィルス(HBV)の新規の変異体を記載する。アミノ酸を記載するのに、一文字コードが用いられる:
HDB05のaa aa位置 adw/遺伝子型Aのaa
R 115 T
Q 120 P
L 154 S
V 164 E
加えて、アルギニン(R)は、HDB05のaa181位における
Gln(Q)の位置に存在する:
R 181 Q
【0130】
これらのaa置換は、対応するコドンにおける対応するヌクレオチド置換による可能性がある。
【0131】
本発明は、上記ウイルスの決定基をコードする単離されたヌクレオチド配列に関する(図3、さらに、配列番号1)。
【0132】
本発明はまた、本発明のヌクレオチド配列、または、それらのフラグメント、同様に、それらに相補的な配列と、少なくとも65%一致する、好ましくは少なくとも75%一致する、特に好ましくは少なくとも90%一致する、ヌクレオチドも包含する。
【0133】
本発明はまた、上述のヌクレオチド配列によってコードされているポリペプチド、特に、HBsAgの決定基を決定するアミノ酸配列、および、これらの配列と、少なくとも65%、好ましくは75%、さらにより好ましくは95%の類似性を示すポリペプチドも包含する。本発明を説明するために、ヌクレオチドフラグメントは、新規のHBV変異体のヌクレオチド配列由来のヌクレオチドの、少なくとも9、好ましくは9〜15、特に、好ましくは15〜21、極めて特に好ましくは21〜60個の連続した配列と理解され、また、これらのヌクレオチドフラグメントの混合物も想定される。
【0134】
ポリペプチドフラグメントは、新規のHBV変異体の決定基由来の、少なくとも3、好ましくは3〜5、特に、好ましくは5〜7、極めて特に好ましくは7〜20個のアミノ酸からなる配列と理解され、また、このようなポリペプチドフラグメントの混合物も本発明に包含される。
【0135】
本発明はまた、新規のHBV変異体のHBsAgまたは新規のHBV変異体の決定基の一部のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列、それらに相補的なヌクレオチド配列、または、サブタイプまたは突然変異としてHDB05を検出することができるヌクレオチド配列とハイブリダイズし、それらを得ることができる、単離されたヌクレオチド配列も包含する。
【0136】
当業者であれば、従来技術に係る方法を用いて それを単離した後に、ヌクレオチド配列を、原核(例えば、E.coli)または真核宿主細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞)または酵母(例えば、S.セレビジエ)に、ベクターまたはコンストラクトを用いて導入でき(トランスフェクション、形質転換またはエレクトロポレーションのような当業者既知の方法を用いて:Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第二版,1〜3巻,Sambrook等編,コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(1989年))、ここにおいて、一過性のまたは永続的な培養が使用できることに精通している。
【0137】
その結果として、本発明は、新規のHBV変異体の決定基の単離されたヌクレオチド配列、これらのヌクレオチドによってコードされているポリペプチド、新規のHBV変異体の決定基のヌクレオチド配列を含むベクター、さらに、ベクターが導入された宿主細胞を包含する。
【0138】
ポリペプチドを(組換えによって)生産する発現系を用いることに加えて、当然ながら、類似のポリペプチド構造を、合成で、またはウイルス変異体から精製することによって直接的に製造することも可能である。
【0139】
新規のHBV変異体の決定基の結合部位(エピトープ)に免疫学的に結合するモノクローナルおよび/またはポリクローナル抗体を生産するのに、新規のHBV変異体のポリペプチドまたはタンパク質を使用することができる。抗体の生産方法は当業者既知である(例えば、Koehler等,Nature 256〜495(1975年)、Mimms等,Vi.176:604〜619(1990年))。
【0140】
その上、HBV変異体に対して向けられている抗体(抗HBs抗体)を測定するために、本発明に係るHDB05変異体の決定基を、ポリペプチド配列全体またはそれらの部分の形態で使用することが可能である。
【0141】
当業者であれば、動物またはヒト由来のHBVの決定基変異体および抗体由来のポリペプチドを用いて、免疫複合体を形成する、または、それらの形成を阻害する多数の測定方法に精通している。
【0142】
最終的に、新規のHBV変異体のエピトープと反応するモノクローナルまたはポリクローナル抗体(または、それらの混合物もしくはフラグメントまたはフラグメントの混合物)を使用することが可能であり、それにより、試験中のサンプル中で、本発明に係るHBV変異体の決定基(HDB05変異体のHBsAg)を、ポリペプチド配列全体またはそれらの一部の形態で測定することができる。
【0143】
当業者であれば、HBVの決定基変異体に特異的なモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体(または、それらの混合物もしくはフラグメントまたはフラグメントの混合物)の1つまたはそれ以上を用いて、免疫複合体を形成する、または、それらの形成を阻害する多数の測定方法に精通している。
【0144】
同様に、発見された新規のHBV変異体のヌクレオチド配列に基づき、対応するプライマーを開発することも可能である。
【0145】
最終的に、本発明はまた、上述の方法に基づき、HBV変異体に特異的な抗原(HBsAg)またはそれに対して向けられた抗体(抗HBs)の検出が可能なキットとしての診断用の試薬に関し、前記検出は、単一の測定であってもよいし、または、互いに組み合わせてもよいし、または、上記抗体またはまったく異なる分析物と特異的に反応するその他の既知のHBV抗原または抗体と組み合わせてもよい。
【0146】
加えて、本発明は、特許請求の範囲で説明される。
【0147】
図面の説明
図1は、HDB05と比較した、6種の上述のHBV遺伝子型の決定基のアミノ酸配列の概要を示す。
図2は、決定基のヌクレオチドおよびアミノ酸配、同様に、HBV遺伝子型A、サブタイプadwのすぐ隣の領域を示す。
図3は、HDB05のヌクレオチド配列と比較した、HBV遺伝子型Aのサブタイプadwに関するHBVの決定基表面抗原のヌクレオチド配列を示す。
図4は、HDB05のヌクレオチド配列における翻訳に関連する差を要約する。
図5は、決定基領域におけるHDB05のヌクレオチド配列、同様に、対応するアミノ酸配列を示す。決定基は、全てのスモールHBsAg(small,S)のアミノ酸番号101および180に位置する。
図6は、HDB05の決定基の対応するポリペプチド配列を示し、このポリペプチド配列は、図5で説明されているヌクレオチド配列によってコードされている。
【0148】
以下の実施例で、本発明をより詳細に説明するが、本発明は、説明されている実施例によって限定されることはない。
【実施例】
【0149】
実施例1:HBsAgを測定するための酵素免疫検査法、EIAの使用
デイド・ベーリング社(Dade Behring GmbH,マールブルク,ドイツ)製の酵素免疫検査法Enzygnost(登録商標)HBsAg5.0を、フランス人およびオーストリア人の患者の血液中のHBV表面抗原、すなわちHBsAgを決定するのに用いた。
【0150】
これは、欧州で承認された高性能の試験であり、同封の情報冊子中の説明書に従って使用される。
【0151】
基礎となる試験の原理は、マイクロタイタープレート様式のサンドイッチ試験である:
試験しようとするサンプル100μlを、一段階法で、25μlの抱合体1(ビオチンで共有結合により標識されたマウスモノクローナルHBsAg特異的抗体)、および、固定されたヒツジポリクローナルHBsAg特異的抗体と接触させた。37℃で60分間インキュベートし、プレートのウェルを4回洗浄することにより過量の成分を除去した後、プローブの酵素ペルオキシダーゼが共有結合したストレプトアビジンからなる抱合体2(100μl)を添加した。37℃で30分間インキュベートし、プレートのウェルを4回洗浄することによって過量の成分を除去した後に、クロモゲン緩衝液/基質溶液75μlを添加し、これに続いて、室温で30分間インキュベートした。青いテトラメチルベンジジン色素の発色を、ストップ溶液(硫酸)75μlを添加することによって止め、色素を450nmで光度的に測定した。
【0152】
光学密度(O.D.)で測定された発色した色の強さは、調査されたサンプル中のHBsAgの量に直接的に比例しており、閾値未満のO.D.値は、HBsAg非含有と評価した。この閾値は、平行して試験されたネガティブコントロール(試験キットに含まれる)のO.D.の平均値に、0.05 O.D.の一定値を加えた値と定義される。
【0153】
試験に用いられたバッチ(#32874)の検出限界は、図形での補間法によって決定され、その際、ポール・エーリッヒ研究所(Paul Ehrlich Institute,ランゲン,ドイツ)製の国際的に容認された標準標品を、それぞれ0.012ngのadサブタイプ/mlと、0.015ngのayサブタイプ/mlを、標準標品のHBsAg非含有血清の希釈液の試験による実験的な分析と平行して用いた。サンプル#119617および118234(それからDNAも単離された)の解析により、異なる2日でなされた2回の独立した実験において、両方のサンプルが0.02〜0.05 O.D.の範囲内であるという結果が得られ、この結果は、HBsAg非含有の試験の基準に従って解釈した。一方で、付随して分析されたポジティブコントロール(試験キットに含まれる)は、上記のadおよびay標準標品と同様に陽性であった(確認基準を満たす)。
【0154】
実施例2:サンプル#118234からのHDB05のDNAの単離
キアゲン(Qiagen,ヒルデン,ドイツ)製のQIA(登録商標)DNA血液ミニキットを用いて、フランス人とオーストリア人のサンプルのアリコート(200μl)からそれぞれDNAを単離した。これを行う際、全ての工程上の段階は同封の情報冊子の説明に従い、溶出はいずれの場合も、容積50μlで行った。
【0155】
実施例3:ポリメラーゼ連鎖反応、PCR
3.1 HBVプライマー
以下に列挙する4種のHBVプライマーを用いた:
5’から3’への配列を有するプライマー1:
GGGTCACCATATTCTTGGGAAC(配列番号23)
5’から3’への配列を有するプライマー2:
TATACCCAAAGACAAAAGAAAATTGG(配列番号24)
5’から3’への配列を有するプライマー3:
GACTCGTGGTGGACTTCTCTC(配列番号25)
5’から3’への配列を有するプライマー4:
TACAGACTTGGCCCCCAATACC(配列番号26)
【0156】
3.2 PCR増幅
パーキン・エルマー(Perkin Elmer)のAmpli Taq(登録商標)DNAポリメラーゼキット、同様に、パーキン・エルマー・アプライド・バイオシステムズ(Perkin Elmer Applied Biosystems,米国)製のサーモサイクラーのGene Amp(登録商標)PCRシステム9700を用いて、表面抗原のネステッドPCR増幅を行った。上記ヌクレオチドは、アマシャム・バイオサイエンス(イギリス)から入手した。
【0157】
第一の増幅サイクルで、単離されたDNA(5μl)を、上述のプライマー1および2、および、以下の条件を用いて増幅した:
PCR1rxn
プライマー1(10μM) 1μl
プライマー2(10μM) 1μl
10倍濃度の緩衝液(15μMのMgCl2を含む) 5μl
dNTP混合物(10μM) 1μl
蒸留水 36.75μl
Ampli Taq (5U/μl) 0.25μl
チューブあたり総容積 45μl
上記に加えて、単離されたDNA 5μl
反応容積 50μl
【0158】
分析物(50μl)を、上述のサーモサイクラーを以下の条件下で用いて増幅した:
94℃、1分間/94℃で28秒−55℃で28秒−72℃で38秒(35サイクル)/72℃、5分間/8℃で浸漬。
【0159】
第二回の増幅で、第一のPCR産物5μlを、HBVプライマー3および4、および、以下の条件を用いてさらに増幅した:
PCR2rxn
プライマー3(10μM) 1μl
プライマー4(10μM) 1μl
10倍濃度の緩衝液 5μl
dNTP混合物(10μM) 1μl
蒸留水 36.75μl
Ampli Taq(5U/μl) 0.25μl
チューブあたり総容積 45μl
上記に加えて、PCR産物v.rxn 5μl
反応容積 50μl
【0160】
このPCR2分析物を、上述のサーモサイクラーを用いて 、以下の条件を用いて増幅した:
94℃、1分間/94℃で28秒−55℃で28秒−72℃で38秒(35サイクル)/72℃、5分間/8℃で浸漬。
【0161】
すなわち、PCR2産物を、電気泳動(適切な分子量マーカーを含む1.5%アガロース)で分画した。約520塩基対を含むバンドを切り出し、キアゲン(ヒルデン,ドイツ)製のQIAクイック(QIA quick)ゲル抽出キットを用いて単離した。
【0162】
実施例4:HDB05の配列解析
精製したPCR産物を、メディジェノミクス(Medigenomix,マルティンスリート,ドイツ)によって、ABI3700カピラールシステム(Kapillar system)をABIビッグダイ(BigDye)ターミネーター・ケミストリー・バージョン1.1とABI配列解析ソフトウェア・バージョン3.6.と組み合わせて用いて、実施例3で説明されているプライマー3および4を用いて配列解析した。
【0163】
配列解析の結果
解析された2つのサンプルのHBsAgが互いに一致したこと、および 、配列解析された領域内で、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列が、遺伝子型A、サブタイプadwと最良の一致を示したことが示された。相互の一致部分において、解析されたフランス人およびオーストリア人由来のサンプルは、遺伝子型A、サブタイプadwと比較して、決定基領域における総計4個のアミノ酸置換を示した(図2および5も参照):
HDB05 A,adw
1.)Arg(R) 115Thr(T)に置換された
2.)Gln(Q) 120Pro(P)に置換された
3.)Leu(L) 154Ser(S)に置換された
4.)Val(V) 164Glu(E)に置換された
加えて、位置#181でのアミノ酸置換がある:
5.)Arg(R) 181Gln(Q)に置換された
【0164】
これらの結果は、調査されたフランス人およびオーストリア人由来の2つの血液サンプルの数回の独立した解析で同じ配列解析結果が再現され、その上、配列解析結果では、2つの独立したサンプルの場合に完全一致を示した。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】HDB05と比較した、6種の上述のHBV遺伝子型の決定基のアミノ酸配列の概要を示す。
【図2】決定基のヌクレオチドおよびアミノ酸配、同様に、HBV遺伝子型A、サブタイプadwのすぐ隣の領域を示す。
【図3】HDB05のヌクレオチド配列と比較した、HBV遺伝子型Aのサブタイプadwに関するHBVの決定基表面抗原のヌクレオチド配列を示す。
【図4】HDB05のヌクレオチド配列における翻訳に関連する差を要約する。
【図5】決定基領域におけるHDB05のヌクレオチド配列、同様に、対応するアミノ酸配列を示す。
【図6】HDB05の決定基の対応するポリペプチド配列を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号13と少なくとも94%の同一性を有するアミノ酸配列;
(b)0〜4個のアミノ酸が、配列番号13と比較して置換、欠失または挿入されているアミノ酸配列;
(c)配列番号12の構成的な配列(配列番号12の少なくとも5個の連続したアミノ酸を含む)であるアミノ酸配列、ここにおいて、該構成的な配列は、配列番号12の72位、78位、112位、122位および139位の少なくとも1つを含む;または、
(d)B型肝炎ウィルスのHBs抗原のフラグメント、ここにおいて、該フラグメントは、少なくとも5個のアミノ酸の長さを有し、該HBs抗原は、115位のアルギニン、120位のグルタミン、154位のロイシン、164位のバリン、および/または、181位のアルギニンを有し、該フラグメントは、115位のアルギニン、120位のグルタミン、154位のロイシン、164位のバリン、および/または181位のアルギニンを含む、
を含む、オリゴペプチドまたはポリペプチド。
【請求項2】
B型肝炎変異体HDB05に感染している個体由来の血清と反応することを特徴とする、請求項1に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチド。
【請求項3】
配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、および配列番号22からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチド。
【請求項4】
(a)配列番号2と少なくとも98%の同一性を有するヌクレオチド配列、
(b)0〜4個のヌクレオチドが、配列番号2と比較して置換、欠失または付加されているヌクレオチド配列、
(c)配列番号1の構成的な配列であるヌクレオチド配列(配列番号1の少なくとも8個の連続したヌクレオチドを含む)、ここにおいて、該構成的な配列は、配列番号1の218位、233位、335位、365位および416位の少なくとも1つを含む、
(d)ストリンジェントな条件下で、配列番号1の配列に相補的なポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズするヌクレオチド配列、または、
(e)請求項1〜3のいずれか一項に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
を含む、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、または、それらに相補的なオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド。
【請求項5】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、および配列番号11からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含むことを特徴とする、請求項4に記載のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド。
【請求項6】
10〜30個のヌクレオチドの長さを有することを特徴とする、請求項4に記載のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含むベクターまたはプラスミド。
【請求項8】
請求項7に記載のベクターまたはプラスミドで形質転換またはトランスフェクションされた細胞。
【請求項9】
請求項4〜6のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、または、請求項7に記載のベクターまたはプラスミドを含む細胞。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチドを製造する方法であって、該オリゴペプチドまたはポリペプチドが発現するのに適切な条件下で請求項8または9に記載の細胞を培養することを含む、該方法。
【請求項11】
オリゴペプチドまたはポリペプチドは、細胞から単離され、その他のオリゴペプチドまたはポリペプチドから分離されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチドに結合する抗体。
【請求項13】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチドを含むHBs抗原に結合するが、遺伝子型A、サブタイプadw、B型肝炎ウィルスに属するHBs抗原には結合しないか、または、著しく弱くしか結合しないことを特徴とする、請求項12に記載の抗体。
【請求項14】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のアミノ酸配列を提示する抗イディオタイプ抗体。
【請求項15】
(i)請求項1〜3のいずれか一項に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチド;
(ii)請求項4〜6のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド;および/または、
(iii)請求項12〜14のいずれか一項に記載の抗体、
を含む、B型肝炎ウィルスを検出するための試験キット。
【請求項16】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチドの1つまたはそれ以上を、その/それら単独で、または、既知のHBV免疫原と組み合わせて含む、免疫原性ペプチドまたは免疫原性ペプチドの混合物。
【請求項17】
(a)サンプルを、請求項12または13に記載の抗体と、抗原−抗体複合体の形成が可能な条件下でインキュベートすること;および、
(b)抗体を含む抗原−抗体複合体を検出すること、
を特徴とする、B型肝炎抗原を検出する方法。
【請求項18】
(a)サンプルを、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオリゴペプチドまたはポリペプチドと、抗原−抗体複合体の形成が可能な条件下でインキュベートすること;および、
(b)オリゴペプチドまたはポリペプチドを含む抗体−抗原複合体を検出すること、
を特徴とする、B型肝炎抗原に対して向けられた抗体を検出する方法で。
【請求項19】
(a)サンプル中でオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと、B型肝炎の核酸との選択的なハイブリダイゼーションが可能な条件下で、該サンプルを、請求項4〜6のいずれか一項に記載の該オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとインキュベートする;および、
(b)オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド二重鎖が形成されているかどうかを測定すること、
を特徴とする、B型肝炎の核酸を検出する方法。
【請求項20】
(a)サンプル中で上記オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと、B型肝炎の核酸との選択的なハイブリダイゼーションが可能な条件下で、該サンプルを、請求項4〜6のいずれか一項に記載の該オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの少なくとも1つとインキュベートすること;
(b)ポリメラーゼ連鎖反応を行うこと;および、
(c)核酸が増幅されているかどうかを測定すること、
を特徴とする、B型肝炎の核酸を検出する方法。
【請求項21】
プライマーとしての、請求項4〜6のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの使用。
【請求項22】
プローブとしての、請求項4〜6のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの使用。
【請求項23】
配列番号12と少なくとも97%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHBs抗原を有する、単離されたB型肝炎ウィルス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−536897(P2007−536897A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515967(P2006−515967)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006515
【国際公開番号】WO2004/113369
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(398032751)デイド・ベーリング・マルブルク・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (36)
【Fターム(参考)】