説明

CARTを用いた閉塞した血管の再疎通

慢性完全閉塞、特に治療が困難である慢性完全閉塞を治療する方法及びシステムが開示されている。このアプローチでは、CTOを再疎通することが、順行性及び逆行性アプローチの組合せを用いることによって実現される。閉塞の近位端は、伝統的なアプローチを使用して順行性ワイヤを用いて貫入される。側副血管を用いて、閉塞の遠位端を逆行性のやり方で通過し、各部材を適切に操作することによって連続的なチャンネルが生成される。捕獲デバイス、拡張器及び注入カテーテル等の追加の要素も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、次に示すもの、すなわち2006年2月13日に出願された米国仮出願第60/773357号(整理番号037679−002)、及び2006年6月28日に出願された米国仮出願第60/817603号(整理番号037679−003)の利益及び優先権を主張するものであり、これら仮出願の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般にカテーテルに関し、より詳細には、体内の管腔の重篤または完全な慢性的閉塞を治療するカテーテル装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
慢性完全閉塞(CTO:Chronic total occlusion)は、血管の完全な封鎖であり、通常、時宜を得たやり方で治療しなければ深刻な結果を招く。この封鎖は、粥腫斑または陳旧性血栓(old thrombus)によるものであり得る。冠状動脈のCTOを治療する一般的な処置(procedures)のうちの1つは、経皮経管冠動脈形成術(PTCA:percutaneous transluminal coronary angioplasty)である。PTCA処置の間は、典型的には、小切開が鼠径部で行われる。ガイドワイヤ上のガイディングカテーテルは、大腿動脈に導入され、閉塞へ進められる。ガイドワイヤはしばしば、愛護的操作で狭窄を通過(cross)できる。次いで、バルーンが先端に付いた血管形成術用カテーテルが、ガイドワイヤ上を狭窄へ進められる。バルーンは、膨張させられ、それにより粥腫を分離または破壊する。PTCA処置に含まれる一般的な段階のうちのいくつかは、対側血管(contra-lateral vessel)においての造影剤の同時注入、ガイドワイヤ(このガイドワイヤは、カテーテルを取り扱うための補助人員を生じさせ得る)についてバックアップ力または安定化を得る段階、斑を穿刺する段階、穴を開けるまたはガイドワイヤを回転してガイドワイヤを濃い斑(dense plaque)に押し通す段階等である。時には、濃い斑によってもたらされる激しい抵抗のために、硬いワイヤを使用せざるを得なくなり得る。ワイヤは、場合によっては血管壁を穿刺することもあり得、それにより善後処置を必要とする。
【0004】
冠動脈の慢性完全閉塞の経皮的治療は、依然としてインターベンション心臓病学における大きな課題のうちの1つである。最近のデータにより、経皮的な慢性冠動脈閉塞の再疎通の成功は、生存率の改善、並びに左心室の機能の強化、狭心症の減少及び運動耐性の改善をもたらすことが明らかになっている(非特許文献1〜非特許文献3参照)。
【0005】
しかし、CTOにおける血管形成術についての手続の複雑さの認識のために、それが今もなお、バイパス手術への紹介または内科療法の選択の最も一般的な理由を表している(非特許文献4及び非特許文献5参照)。
【0006】
CTOについての最も一般的な経皮的な経皮的冠動脈インターベンション(PCI:percutaneous coronary intervention)の故障モード(failure mode)は、病巣を横切って遠位の血管の真腔の中にガイドワイヤをうまく通すことができないことである(非特許文献6参照)。現在に至るまで、従来のガイドワイヤを用いた試みが失敗した後のCTOを治療する最善の方法に関しての一致した意見はない。側枝技術、パラレルワイヤ技術、IVUSガイドの技術及び逆行性アプローチを用いた内膜下のトラッキング(subintimal tracking)及びリエントリ−等のCTO用のさまざまな戦略及び特殊なデバイスが、開発されてきた(非特許文献7〜非特許文献10参照)。しかし、これら代替の戦略はどれも、CTOの最大の難問に関しては満足のいく結果をもたらしていなかった。
【非特許文献1】Melchior JP, Doriot PA, Chatelain P, et al. Improvement of left ventricular contraction and relaxation synchronism after recanalization of chronic total coronary occlusion by angioplasty. JAm Coll Cardiol. 1987; 9(4): 763-768
【非特許文献2】Olivari Z, Rubartelli P, Piscione F, et al. Immediate results and one-year clinical outcome after percutaneous coronary interventions in chronic total occlusions: data from a multicenter, prospective, observational study (TOAST-GISE). JAm Coll Cardiol. 2003; 41(10): 1672- 1678
【非特許文献3】Suero JA, Marso SP, Jones PG, et al. Procedural outcomes and long-term survival among patients undergoing percutaneous coronary intervention of a chronic total occlusion in native coronary arteries: a 20-year experience. J Am Coll Cardiol. 2001; 38(2): 409-414)
【非特許文献4】Bourassa MG, Roubin GS, Detre KM, et al. Bypass Angioplasty Revascularization Investigation: patient screening, selection, and recruitment. Am J Cardiol. 1995; 75(9): 3C-8C
【非特許文献5】King SB, 3rd, Lembo NJ, Weintraub WS, et al. A randomized trial comparing coronary angioplasty with coronary bypass surgery. Emory Angioplasty versus Surgery Trial (EAST). N Engl J Med. 1994; 331(16): 1044-1050
【非特許文献6】Kinoshita I, Katoh O, Nariyama J, et al. Coronary angioplasty of chronic total occlusions with bridging collateral vessels: immediate and follow-up outcome from a large single-center experience. J Am Coll Cardiol. 1995; 26(2): 409-415
【非特許文献7】Colombo A, Mikhail GW, Michev I, et al. Treating chronic total occlusions using subintimal tracking and reentry: the STAR technique. Catheter Cardiovasc Interv. 2005; 64(4): 407-41 1; discussion 412
【非特許文献8】Ito S, Suzuki T, Ito T, et al. Novel technique using intravascular ultrasound-guided guidewire cross in coronary intervention for uncrossable chronic total occlusions. Circ J. 2004; 68(11): 1088-1092
【非特許文献9】Kimura BJ, Tsimikas S, Bhargava V, et al. Subintimal wire position during angioplasty of a chronic total coronary occlusion: detection and subsequent procedural guidance by intravascular ultrasound. Cathet Cardiovasc Diagii. 1995; 35(3): 262-265
【非特許文献10】Matsubara T5 Murata A, Kanyama H, et al. IVUS-guided wiring technique: promising approach for the chronic total occlusion. Catheter Cardiovasc Interv. 2004; 61(3): 381-386
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、現在の技術の欠点がない、CTOを再疎通することになる代替の技術及びデバイスを有することが有利であり得る。病変血管の蛇行構造が理由で、あるいは狭窄の近位端が固過ぎてガイドワイヤが貫入できない、または標準の処置を失敗しやすくさせることになるCTOの他の特性が理由で、再疎通するのが困難であるCTOは、CTOを再疎通するためのより新しいアプローチから利益を得るはずである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
慢性完全閉塞の治療において一般的に遭遇する問題のうちのいくつかを打開するためにさまざまな方法及びデバイスが提供される。本発明の一態様は、組合せで、順行性及び逆行性のやり方でガイドワイヤを閉塞へ進めることによって閉塞した血管をうまく再疎通する方法及びシステムを提供するものである。
【0009】
閉塞した血管を再疎通する方法は、順行性のやり方で閉塞の近位端を貫いて第1の縦部材を進める段階と、逆行性のやり方で閉塞の遠位端を貫いて第2の縦部材を進める段階と、閉塞の近位端と遠位端の間で連続的なチャンネル(channel)を生成する段階とを備える。
【0010】
別の態様では、本発明は、閉塞の近位端を貫いて進めることができる遠位端を有する順行性縦部材と、この閉塞の遠位端を貫いて進めることができる遠位端を有する逆行性縦部材とを備え、順行性縦部材の遠位端及び逆行性縦部材の遠位端が協働して閉塞した血管内部で連続的なチャンネルを形成する、閉塞した血管を再疎通するカテーテル組立体に関する。
【0011】
本発明の別の実施形態では、閉塞した血管を再疎通するカテーテル組立体は、閉塞の近位端を貫いて進めることができる遠位端を有する順行性縦部材と、この閉塞の遠位端を貫いて進めることができる遠位端を有する逆行性縦部材とを備え、逆行性縦部材の遠位端が、圧縮性要素によって接続される近位先端部及び遠位先端部を有し、一方の先端部を他方の先端部に向って進めることにより圧縮性要素が張り出し、捕獲機構を形成することを可能にする。逆行性部材の遠位端の圧縮性要素を展開し、順行性部材を進めると、その結果、順行性部材が展開された捕獲機構の中で係合され、逆行性の遠位端の一方の端部を他方の端部から引くことにより圧縮性要素を引っ込め、結合した順行性部材及び逆行性部材を近位または遠位管腔の中に引き戻すことを可能にする。
【0012】
本発明の更に別の実施形態は、閉塞の近位端を貫いて進めることができる遠位端を有する順行性縦部材と、この閉塞の遠位端を貫いて進められることができる遠位端を有する逆行性縦部材とを備え、順行性縦部材の遠位端が、圧縮性要素によって接続される近位先端部及び遠位先端部を有し、一方の先端部を他方の先端部に向って進めることにより圧縮性要素が張り出し、捕獲機構を形成することを可能にする、閉塞した血管を再疎通するカテーテル組立体である。順行性部材の遠位端で圧縮性要素を展開し、更に逆行性部材を進めると、その結果、逆行性部材が、展開された捕獲機構の中で係合され、順行性の遠位端の一方の端部を他方から引くことにより圧縮性要素を崩し、結合した順行性部材及び逆行性部材を近位または遠位管腔の中に引き戻すことを可能にする。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、次に示すもの、すなわち順行性ガイドワイヤ、逆行性ガイドワイヤ、拡張デバイス、捕獲デバイス及び注入カテーテルのうちの1つまたは複数を含む、閉塞した血管を再疎通するキットである。
【0014】
本発明の他の態様は、上述のデバイス及びシステムに対応する方法を含む。加えて、本発明は、動脈の視覚化を助けるための注入カテーテル、チャンネルの生成及び維持を助けるための拡張カテーテル、並びに逆行性ガイドワイヤを含むがこれに限定されるものではない、カテーテル組立体の送出を可能にしまたは助ける補助的なデバイスを含む。
【0015】
本発明は、他の利点及び特徴を有し、この他の利点及び特徴は、添付図面と併用すると後続の発明の詳細な説明及び添付した特許請求の範囲からより容易に明らかになることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
詳細な説明は、多くの具体的内容を含むが、これら具体的内容は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、単に本発明のさまざまな例及び態様を例示しているものと解釈されるべきである。本発明の範囲は、上記詳細の中で述べられていない他の実施形態を含むことを理解されたい。当業者に明らかとなる他のさまざまな修正形態、変更形態及び変形形態は、本明細書で説明される精神及び範囲から逸脱することなく本明細書中で開示される本発明の方法及び装置の配置、動作及び詳細において行われてよい。
【0017】
本発明は、閉塞した管腔、特に慢性完全閉塞を再疎通するためのコントロールされた順行性及び逆行性トラッキング(CART:controlled antegrade and retrograde tracking)アプローチの使用を組み合わせる。逆行性アプローチは、冠状動脈間のチャンネル(intercoronary channel)を利用するものであり、この冠状動脈間のチャンネルは、心外膜のチャンネル、心房間のチャンネル、中隔間のチャンネル(intra-septal channel)(中隔側副(septal collateral)とも呼ばれる)、またはバイパスグラフトであってよい。通常、血管造影図の慎重な見直しにより、誰もがほとんどのCTO患者中の(特にLADまたはRCA中の)中隔のチャンネルを発見することを可能にする。CART技術の基本概念は、順行的に及び逆行的にその両方で閉塞に近づくことによって、好ましくは限られた切開で、閉塞を貫いてチャンネルを生成することである。チャンネルが形成されると、ガイドワイヤは閉塞を貫いて配置でき、病巣は従来のやり方で治療できる。
【0018】
CART技術の実施についての一般概念は、次に示すように、すなわち閉塞の近位端まで順行性縦部材を進める。閉塞の遠位端まで逆行性縦部材を進める。両部材が、互いに近づき、閉塞を貫いて連続的なチャンネルを生成するまで、閉塞を貫いて両部材を進める。このプロセスは、チャンネルを拡大し一方の縦部材が閉塞の向こう側の他方の縦部材を捕獲し及び押したり引いたりするための手段を与えることによって容易にできる。拡大機構は、バルーン拡張、穴開け、張り出しリブ(flaring ribs)及び当技術分野で知られている他のもの等のさまざまな設計であってよいが、これらに限定されるものではない。捕獲用機構は、張り出しリブ、コイル及びバルーン等のさまざまな設計であってもよいが、これらに限定されるものではなく、この捕獲用機構において実際には一方の部材が他方の縦部材あるいはバスケットまたはネットを罠で捕らえ、それにより閉塞を貫いての他方の縦部材の通過を可能にする。閉塞を横断する(traversing)と、縦部材は、その後の治療用デバイスの送出を可能にするために伸ばされる必要があり得る。縦部材は、ガイドワイヤ、マイクロカテーテル、カテーテル等であってよい。
【0019】
図1には、CART技術の実施におけるプロセスの段階を表す流れ図が示されている。順行性ガイドワイヤは、閉塞の近位端まで進められ、逆行性ワイヤは、適当な中隔を通って閉塞の遠位端まで進められる。場合によっては、中隔は、簡単に識別されない。そのような場合には、注入カテーテルを使用してコントラストを注入して血管を突き止め、逆行性アプローチに使用できる適当な中隔が識別される。次に、逆行性ガイドワイヤ及び捕獲デバイスは、CTOへ進められる。逆行性ワイヤを進めることが困難である場合には、特殊な中隔拡張器ツール(special septal dilator tool)を使用して中隔の管腔を拡大し、次いで捕獲デバイスが、閉塞を貫いて進められる。次に、順行性ガイドワイヤが、病巣を通って進められ、捕獲デバイスの位置に運ばれ、次いで捕獲デバイスが展開される。捕獲デバイスを展開することに困難がある場合には、PTCAバルーンを使用して適当な位置で管腔を拡大し、次いで捕獲デバイスが展開され、順行性ガイドワイヤが、逆行性ガイドワイヤに取り付けられるデバイスによって捕獲される。それによって、完全閉塞の通過に成功する。
【0020】
上記段階は、図2A〜図2F中に例示される。図2A中に示されるように、まず、ガイドワイヤは、近位の真腔からCTOの中に、次いでCTO部位での内膜下のスペースの中に順行的に進められる。次に、別のガイドワイヤが、マイクロカテーテルを用いて冠状動脈間の側副を貫いて進められる。マイクロカテーテルは、チャンネルを損傷から保護するのに役立ち、よりよいワイヤの操作性を実現する。このガイドワイヤは、CTOの遠位端で配置され、次いで遠位の真腔からCTOの中に、次いでCTO部位での内膜下の中に逆行的に貫入する(図2A)。逆行性ガイドワイヤ上を内膜下の中に小さいバルーン(1.5〜2.0mm)を進めた後に、バルーンは膨張させられ、CTOの遠位端に及ぶ解離面(dissection plane)を生成する(図2B)。この内膜下のスペースを開いた状態に保つために、収縮したバルーンは、所定位置に残される(図2C)。従って、順行性ワイヤ及び逆行性バルーンによって生成された2つの解離が、CTO部位で内膜下において横たわったことになり、それによりそれらが簡単に接続できる(図2D)。その後、順行性ワイヤは、収縮した逆行性バルーンによって生成されたスペースに沿って更に進められる(図2E及び図2F)。図2Fでは、順行性ワイヤは、逆行性ワイヤによって生成されたチャンネルを通って遠位の真腔の中に進められる。この技術は、CTO病巣の一部だけに位置している解離の限定を可能にし、遠位の真腔に再び入ることの困難を避ける。再疎通の成功後に、拡張及びステント移植が行われる。逆行性アプローチに推奨される典型的な材料を表1にまとめる。
【0021】
図3及び図4は、特許請求の範囲に記載されている再疎通技術の実施の臨床例を示す。CTO特性は、両側冠動脈注入(bilateral coronary injection)によってよく示されている(図3A:左前斜位(LAO:left anterior oblique)視野、図3B:左前斜位−頭側方向(LAO-cranial)視野)。この長いCTOは、古く(72ヵ月超)、突発的発症であったものであり、中程度の石灰化及び橋渡し側副路を有した。図3C及び図3Dでは、順行性ワイヤは、CTOの内膜下のスペース中に進められ、遠位の真腔に再び入ろうとしたが成功しなった。図3Eでは、逆行性ワイヤが、CTOの遠位端に貫入した。図3Fは、逆行性ワイヤの更なる前進及び内膜下のスペースのバルーン拡張を示す。図3Gは、順行性ワイヤが、逆行性ワイヤによって生成された内膜下のスペースを簡単に発見し、次いで遠位の真腔の中に進められたことを示す。図3Hでは、次いで逆行性ワイヤは、回収された。両側冠動脈注入は、遠位の真腔中で順行性ワイヤの正しい位置を確認した。図3Iは、順行性シーケンシャルバルーンの拡張を示し、図3Jは、ステント移植後の最終的な血液造影の結果を示す。
【0022】
図4は、上記の例に関してのIVUS画像を示す。連続画像は、内膜下のスペース(A、B及びC)から遠位の真腔(D)まで通路を示す。矢じりは、大きい内膜下の解離の広がりを示す。矢印は、解離の近傍にあるCTO組織を示す。
【0023】
さまざまなタイプの捕獲デバイスが、本発明の扱いにおいて予想される。図5Aは、特許請求の範囲に記載されている発明の一実施形態を示す。スライド可能なスリーブ40は、管状部材30の遠位端に配設される。管状部材30は、マイクロカテーテル、ガイドワイヤまたはバルーンカテーテルであってよいが、必ずしもそう限らない。スリーブ40は、近位端41と、遠位端42と、複数のリブ43とを有する。遠位端42は、一般的に知られている技術を用いて管状部材30の遠位端に固定される。近位端41が、遠位端42に向って押されるときに、または操作者に向って遠位端42を引くこと(インナーシャフトを引き戻すこと)によって、リブは、図5B中に示されるようにバスケットのように張り出す。
【0024】
撚ることができるワイヤを使用して逆行性または順行性のやり方で進められるガイドワイヤを捕獲するためのバスケット状構造を生成する、捕獲デバイスの別の実施形態が、図5C及び図5D中に示されている。図5Cは、その展開された状態の捕獲デバイスを示す。よく知られている機構を用いて一方の端部でワイヤを撚ることができ、それにより所望の位置でバスケット状開口部になる。これにより反対方向に進められてきたガイドワイヤをバスケット状開口部の中に捕獲することを可能にする。撚ることができるワイヤは、図5D中に示されるバスケット状構造に外に張り出されて(展開されて)、ガイドワイヤの端部を捕獲する。ワイヤの撚りを戻すことによりバスケットをその元の状態に崩し、それにより結合した捕獲デバイス及びガイドワイヤが、連続的なチャンネルを生成するように操作されることを可能にする。ワイヤは、ステンレス鋼、白金、タンタル、チタン、Elgiloy(商標)またはニチノール等の、カテーテル及びガイドワイヤの製造で一般的に使用される材料で作製できる。ニチノールワイヤは、ニチノールワイヤが、その展開されていない状態で低い外形を有することができ、及び力または温度を用いることによって展開できるので、特に魅力的であるはずである。よく知られている機構を用いて一方の端部でワイヤを撚ることができ、それにより所望の位置でバスケット状開口部になる。これにより反対方向に進められてきたガイドワイヤをバスケット状開口部の中に捕獲することを可能にする。次に、ワイヤの撚りを戻すことによりバスケットをその元の状態に崩し、それにより結合した捕獲デバイス及びガイドワイヤが、連続的なチャンネルを生成するように操作されることを可能にする。
【0025】
更に捕獲デバイスの別の実施形態が、図5E及び図5F中に示されている。デバイス500は、カテーテルシャフト510と、ガイドワイヤ管腔515と、捕獲管腔520とを備える。これらの2つの管腔は、同軸または並列であってよい。カテーテルシャフトの遠位端は、テンションワイヤ540を備え、テンションワイヤ540は、ガイドワイヤ管腔515の遠位先端部550で係留される。そのワイヤ及び止め具530(止め具530は、カテーテルシャフト510の遠位端であるが係留位置550の近位に取り付けられる)は、バスケット560を形成し、バスケット560を使用して、ガイドワイヤを捕獲管腔520の中に狭いところを通すことによって順行性ガイドワイヤまたは逆行性ガイドワイヤを捕獲する。図5Eでは、バスケット560は、その低い外形の(崩れた)状態で示されており、ここで、テンションワイヤ540は、例えばバスケットを捻ることによってまたは拘束スリーブ(図示せず)を用いることによって張力を受けて保たれている。バスケットがその崩れた状態にあるカテーテルは、ガイドワイヤの上を閉塞の中に進められる。張力を緩めまたは拘束スリーブを引き戻すと、バスケットは、500A中に示されるように張り出して開く。バスケットが開くと、順行性または逆行性ガイドワイヤは、バスケットの中に及び捕獲デバイスの捕獲管腔を通って進められ狭いところを通される。
【0026】
バスケット自体は、ニチノール等の弾性合金製のメッシュ状構造またはリブで作製可能であり、及び血液をいくらか流すことができるほど大きいがガイドワイヤを巻き込まないほど小さい孔を有するPTFEまたはDacron(商標)等の非多孔性の材料または半多孔性の材料で覆われてよい。
【0027】
別の実施形態では、代替としてガイドワイヤ管腔515は、補強ワイヤであってよく、この補強ワイヤはガイドワイヤとして働く。しかも別の例では、捕獲管腔520は、捕獲デバイスを閉塞へ進めるために使用される元のガイドワイヤ管腔であることになる。
【0028】
捕獲デバイスの別の実施形態が、図6A〜図6C中に示されている。カテーテル600は、標準のPTCAまたはPTAバルーンカテーテルに類似している。バルーン620は、カテーテルの遠位端にある。ワイヤ610は、バルーン620の周囲に巻かれている。トリガが、トリガが引き戻される位置650にあるときには、ワイヤ610は、バルーンの周囲にきつく巻かれている(遠位端で巻き付けられており、630として示されている)。トリガが651へ進められ、バルーンが膨らまされると、コイル630は、コイルが膨らまされた状態になる。処置の開始時には、トリガ650は、トリガが引き戻されロックされた位置にある。これにより、630がバルーン620の周囲にきつく巻き付けられた状態を保ち、とても低い外形のバルーンを与え、所望の位置へのバルーン620の簡単な送出を可能にする。カテーテル600が、逆行性縦部材として使用される場合には、図2D中に示されるようにバルーンを置くと、トリガはトリガの前方位置651へ進められる。次いで、バルーンは、標準の手段を用いて膨らまされてバルーンが膨張した状態620Aを実現し、それによりワイヤの遠位部を膨らませる。血管壁に対して斑を固めると、バルーンは、バルーンの元の状態620に収縮させられる。次に、ワイヤの遠位部は、図5B、図5Cまたは図5F中に示される捕獲デバイスの展開された状態に類似して、ワイヤが膨らまされた状態のままである。次に、順行性ワイヤが進められ、順行性ワイヤは、膨らまされたワイヤ中で捕獲される。この捕獲に続いて、次にトリガは、引き戻される位置650に戻される。これにより順行性及び逆行性ワイヤが互いに協働して連続的なチャンネルを形成することが可能になる。
【0029】
理解され得るように、カテーテル600は、逆行性のやり方で進められるガイドワイヤを捕獲するために順行性のやり方で進められてもよい。逆行性のやり方でカテーテル600を用いる上述の方法と同様に、カテーテル600は、ワイヤ610がバルーン620の周囲に巻かれ、従って低い外形のバルーンを呈している状態で所望の位置に進められる。所望の位置に到達すると、トリガは緩められ、バルーンは膨張させられる。血管壁に対して斑を固めた後に、バルーンは、収縮させられるが、ワイヤは、ワイヤが膨らまされた状態のままである。次いで、逆行性ガイドワイヤは、進められ、ワイヤ610の膨らまされた遠位部分の中で捕獲される。次いで、トリガは、トリガが引き戻される位置650にセットされ、その結果として順行性のカテーテル及び逆行性ガイドワイヤが協働して病巣において連続的なチャンネルを形成する。
【0030】
図7A〜図7Fは、図5中に示される捕獲デバイスが、CART技術の実施中にどのように使用され得るかを示す。図7A中に示されるように、順行性ガイドワイヤ710は、閉塞の近位端に配置され、逆行性ガイドワイヤ720は、遠位端を通って進められ、バルーン730を拡張して内膜下にスペースを生成する。次いで、図5A中に示されるデバイス40は、バルーン拡張によって生成されるスペースの中に進められる(図7B)。インナーシャフト30を引き戻す(またはアウターシャフト41を押す)ことによって、リブ43は、張り出し、バスケット状構造を生成する(図7C)。次に、閉塞の一部を貫いてすでに進められている順行性ワイヤは、(透視下で)展開されたバスケットに向って更に進められる(図7D)。図7E中に示されるように張り出されたリブ(バスケット)の中に罠で捕らえられると、リブは、閉じてよい(図7F)。ここで、順行性ワイヤ及び逆行性ワイヤは、結合したユニットのように見え、この結合したユニットは、閉塞の遠位端に向って遠位の管腔の中に引かれる。これにより閉塞を貫いて順行性ワイヤを横断させ、閉塞を再疎通するという目標が達成される。
【0031】
張り出し可能なリブを含む遠位端を有するカテーテルは、長さ約20〜200cm、約0.006〜0.035インチのガイドワイヤコンパチブルであってよく、外径が約1.5〜5.0Frを有し、及びリブは、リブが展開されていない状態で長さ約2〜40mmであり得る。
【0032】
容易に理解され得るように、スライド可能なスリーブ40(図5A及び図5B)は、順行性のやり方でやはり展開できる。スライド可能なスリーブ40が逆行性ガイドワイヤの上を進められる上述のアプローチと同様に、スライド可能なスリーブは、逆行性ワイヤの代わりに順行性ワイヤの上を進められてもよい。図7B中に示されるようにチャンネルがバルーン拡張によって生成されたら、スライド可能なスリーブは、拡張によって生成されたチャンネル中の順行性ワイヤの上を進められる。医師が、スライド可能なスリーブが都合のよい位置に到達したと判断を下すと、リブは展開される。逆行性ワイヤを進めることにより、張り出されたリブが逆行性ワイヤを捕獲することが更に可能になる。リブを閉じると、次いで順行性ワイヤ及び逆行性ワイヤが結合され、それにより医師が、結合したユニットを操作し、閉塞中に連続的な経路またはチャンネルを生成し、それによって閉塞を再疎通することを可能にする。
【0033】
捕獲機構の別の実施形態は、順行性縦部材及び逆行性縦部材の遠位先端部での磁気要素であり得る。磁気要素が反対の極性を保有する場合は、順行性部材及び逆行性部材が互いに接近すると、磁気要素は、互いに対して引寄せられ、順行性部材及び逆行性部材を互いに接続させることになる。これにより、閉塞を貫いて順行性部材を引き出すこと及び閉塞の中に連続的な経路またはチャンネルを生成すること、それによって閉塞を再疎通することを容易にすることになる。
【0034】
本明細書中で説明される捕獲デバイスは、バルーンカテーテル上に装着され、バルーンと共に展開されてもよいことに留意されたい。
【0035】
先の実施形態において述べられたように本発明の目的を成し遂げる際には、ある種のツールによりCART技術を実施することの容易性が強化されることが見出されている。そのような状況の1つは、(逆行的にまたは順行的に)CTOにアクセスするために必要なチャンネルが、それらを治療するために使用される(捕獲デバイス等の)補助的なデバイスを進めるのに理想的には適していないかもしれない場合である。これは、チャンネルの大きさ、蛇行または完全性に起因し得る。そのような特殊なツールの1つは、捕獲デバイスが内部を横断しなければならないチャンネルを拡大するために使用される拡張デバイスである。特殊なツールの別の例は、ロードマップを与え、チャンネルの視覚化を助けるための注入デバイスである。
【0036】
図8は、(中隔拡張器(septal dilator)とも呼ばれる)拡張デバイスの2つの実施形態を示す。図8A中に示されている拡張デバイスのうちの一実施形態は、螺旋状の溝805を有する先細になった特別に成形されるプラスチックチューブ800からなり、プラスチックチューブ800は、冠状動脈間のチャンネル及び場合によっては閉塞自体を拡大または拡張するための逆行性ガイドワイヤ上を進むことができる。先細になった拡大された部分810は、典型的には2〜20mm延在し、最大直径6.0mmである。先端部での壁厚は、典型的には0.10〜1.0mmである。実際には、拡張される必要がある中隔が識別されたら、医師は、ガイドワイヤ上に乗っている拡張器を優しく回転する、捻るまたは押すことによって拡張器をゆっくりと進めることになる。薄壁のプラスチックチューブ中の溝は、ねじ上の溝のように働き、チャンネルを同時に拡大しながらガイドワイヤ上で拡張器を進めることになる。
【0037】
拡張デバイスの別の実施形態が、図8B及び図8Cに示されている。この拡張デバイス850は、中央のPTFEライナー865の周囲に巻かれている8本のワイヤ(しかし、ワイヤの本数は、4〜20本に及ぶことができる)及びポリマーの先端部領域855からなる。先端部855は、このデバイスの遠位端で長さ約2〜20mmであり、デバイスの最遠位先端部でも最も狭い。直径方向に向かい合う位置で配置されるワイヤ851のうちの少なくとも2本は、拡張デバイス850の遠位端に沿って他の6本のワイヤ852よりわずかに大きい直径からなる。図8A中に示される螺旋状の溝805の役割と同様に、大きいワイヤ及び小さいワイヤ(851及び852)の組合せにより、ガイドワイヤ上でデバイスが優しく捻られると拡張デバイスが前進することを可能にする。より小さいワイヤの直径は、0.01mm〜1.0mmに及ぶことができ、典型的な大きさが0.08mmであり、及びより大きいワイヤの直径は、0.02mm〜2.0mmに及ぶことができ、典型的な大きさが0.13mmである。螺旋状の溝の長さは、典型的には約200mmであるが、20〜300cmに及び得る拡張デバイスの全長にわたって及ぶことができる。拡張デバイス850は、その長さの少なくとも一部に沿ってポリマーのジャケット860内に封入されて拡張デバイス850の可撓性を修正すると共に体内の管腔を滑らかに通過することを可能にする。代替として、拡張デバイス850は、親水性のポリマーで皮膜されてもよい。典型的には、PTFEライナー865は、内径0.43mmを有するが、0.15〜1.0mmに及ぶことができ、一方、拡張デバイスは、外径0.83mmを有するが、0.5〜2.0mmに及ぶことができる。拡張デバイス850の別の実施形態では、中央のライナーの周囲に巻かれているワイヤの本数は、それぞれがより同様の直径である3〜20本に及ぶことができる。
【0038】
拡張デバイスの使用により、チャンネル(通常は中隔)を拡大及び準備して、例えば注入デバイス及び捕獲デバイス等のその後の補助的なデバイスの前進をより容易に可能にする。より幅広い管腔は、チャンネル及び/またはCTOを貫いてのデバイスの通過性(crossability)を改善すると共に、チャンネルをリモデリングまたは「真っ直ぐに」してデバイスの前進及び除去を容易にすることによって安全性を改善することもできる。拡張デバイスが、コントラストを注入用にも使用される場合には、拡張デバイスは、チャンネルのロードマップの視覚化を助けることができる(超選択的注入(super-selective injections))。
【0039】
処置時間及びCART技術の実行の容易性を改善できる別の特殊なツールは、逆行性ガイドワイヤである。特殊な逆行性ガイドワイヤは、極度に狭い血管及び極度に蛇行した血管をナビゲートするのに役立つ。逆行性ガイドワイヤの一実施形態は、図9A中に示されている。この可撓性ガイドワイヤ900は、近位部910、先細の遠位部940並びに近位部910から遠位部940まで移行する部分920及び930を備える細長いコアからなる。部分940は、遠位で円錐部945の中に更に延在し、次に円錐部945は、当技術分野で知られている標準の接続技術を用いてリボン946によって遠位先端部970に接続される。部分940から始まり先端部970まで至って終わる部分930に対して遠位の部分のほとんど全体は、先細になった螺旋コイル950によって囲まれている。螺旋コイルによって囲まれているこの遠位部は、ポリマーの外装またはジャケット955、典型的にはポリウレタンによっても覆われ、次にこのポリマーの外装またはジャケット955は、親水性皮膜960によって覆われる。螺旋コイル950は、遠位先端部970の近位縁部まで延在する。外装955及び親水性皮膜960は、可撓性ガイドワイヤの最外側先端部までずっと延在する。
【0040】
螺旋コイル950は典型的には、白金、イリジウム、パラジウム、タングステン及びその合金等放射線不透過性の材料で作製される。コアは、ステンレス鋼またはNi−Ti合金等の高い強度を有する材料で形成できる。
【0041】
ガイドワイヤ900は、長さ350cmまで及び直径0.008インチ〜0.035インチであってよく、長さ約160mmにまで及ぶ放射線不透過性部950を有する。場合によっては、ガイドワイヤの全長が、放射線不透過性であってよい。放射線不透過性コイル部950は、遠位先端部に向っての(部分940を覆う)約110mmについて直径約0.012〜0.014インチであり、次いで、放射線不透過性コイル部950は、円錐部945及び970の近位縁部までを覆う約5〜160mmについて約0.006〜0.009インチまで下がるように先細りする。ガイドワイヤの急に先細になった構成は特有の可撓性を与え、その結果、微細な蛇行管腔はアクセス可能になる。
【0042】
逆行性ガイドワイヤの別の態様が、図9B中に示されており、この態様では、遠位先端部が、蛇行血管及び/または狭い血管、特に中隔を通って進むことを更に容易にするために3次元構成に成形されている。通常、医師は、ガイドワイヤ900の遠位先端部がまだ曲げられていない場合には、蛇行及び分岐した脈管構造をナビゲートするために、ガイドワイヤ900の遠位先端部を曲げる。図9B中に示されている本実施形態は、蛇行及び分岐した血管を通ってガイドワイヤを進めることを容易にする予め成形された先端部構成975及び980を示している。遠位先端部975及び980は、遠位端から約2〜10mmからのどこか、及び次いでやはり遠位端から約4〜20mmのどこかで直角に予め成形されている。曲げ角度は、どこでも0〜180度に及ぶことができる。ガイドワイヤの遠位端での直径は、0.006インチと同程度まで下がるように先細りできる。
【0043】
放射線不透過性コイルを備える(長さ180cm及び直径約0.014インチの)ガイドワイヤの性能は、標準の技術を用いて試験された。ガイドワイヤの性能の測定の1つは、近位先端部が回転するときの遠位先端部での回転角である。理想的なガイドワイヤは、1対1の並進を有することになり、すなわち、近位端でのガイドワイヤの一回転に対して、遠位端が一回転を行うはずである。図9中に示されているガイドワイヤについては、近位端で与えられる回転の関数としての遠位先端部の回転角は、市販のガイドワイヤの遠位先端部の回転角に匹敵することが分かった。本発明のガイドワイヤの先端部の可撓性は、市販のガイドワイヤの先端部の可撓性に匹敵することも分かった。
【0044】
CART技術についての概略手順(図1)の中で説明されたように、場合によっては、CART技術を続行するための中隔が、簡単に識別可能でないかもしれない。適当な位置で造影剤を注入することにより利用できる中隔を明らかにできる。図10中に示されている注入デバイスは、ガイドワイヤを進ませると共に操ると同時に、適当なチャンネルの識別を容易にするために冠状動脈間のチャンネルの中にコントラストを超選択的に注入するために使用される。
【0045】
注入デバイスの実施形態が、図10A中に示されている。カテーテル1200は、カテーテルシャフト1210、1220及び1230を含むマルチルーメンカテーテルである。インナーシャフト1230(ガイドワイヤシャフト)は、ガイドワイヤ管腔1250及び薄壁1251によって画定される。注入ポート1240は、インナーシャフト1230の壁1251及びシャフト1220の壁1245によって画定される。インナーシャフト1230は、カテーテル1200の全長に延在する。注入カテーテル1200の位置の識別を容易にするために、インナーシャフト1230は、インナーシャフト1230の遠位先端部の近傍に放射線不透過性のマーカー1260を含む。
【0046】
図10Bは、シャフト1220の断面を示す。図10Cは、カテーテル1210の近位端での断面を示す。各シャフト1210、1220及び1230は、ナイロン、PEBAX(商標)、ポリウレタン、ポリエチレン及びポリイミドを含むさまざまなポリマーで作製できるが、これらに限定されるものではない。カテーテルの近位端で注入される造影剤は、注入ポート1240から出る。図10Cは、ガイドワイヤ管腔1250及び任意の網状の内層1260及び任意のPTFE内層1255を有するガイドワイヤチャンネルも示す。ガイドワイヤ管腔1250の典型的な内径は、約0.39mmであろうが、0.15〜1.0mmに及ぶことができる。カテーテルシャフト1230の典型的な外径は、0.83mmであろうが、0.5〜2.0mmに及ぶことができる。
【0047】
各デバイス、ガイドワイヤ、捕獲デバイス、拡張デバイス及び注入カテーテルは、独立してまたは列挙したデバイスのうちの1つまたは複数と共に使用できることにも留意されたい。例えば、図9中に示されるガイドワイヤは、伝統的なガイドワイヤに類似して使用される他に図10の注入デバイスまたは捕獲デバイスと共に動作できる。
【実施例】
【0048】
材料及び方法及び処置の説明
登録された全患者は、第1の選択肢としてまたは同じまたは先の処置中に従来のワイヤまたは専用のワイヤを用いて失敗した順行性の試みの後にCART技術を用いて治療された。CTO脈管再生についての指示は、狭心症の症状または確認されたストレスによる虚血だった。閉塞の期間は、以前の血管造影によるデータから、あるいは臨床情報(急性心筋梗塞または狭心症パターンの急変)または閉塞の位置に整合するECG(心電図)の変化から推定された。
【0049】
処置は、コントロールされた順行性及び逆行性アプローチを用いて行われた。前述のように、逆行性アプローチは、冠状動脈間のチャンネルを使用するものであり、この冠状動脈間のチャンネルは、心外膜のチャンネル、心房間のチャンネル、中隔間のチャンネル(中隔側副)またはバイパスグラフトであってよい。接続チャンネルとして使用するために適した形態を有する心外膜の冠状動脈間の側副を発見することはむしろ珍しい。しかし、血管造影図の見直しによりしばしば、ほとんどのCTO症例において、特にLADまたはRCAにおいて、中隔のチャンネルを発見することが可能になる。
【0050】
CART技術を用いて研究中の患者を治療する際には、ワイヤは当初、近位の真腔からCTOの中に、次いでCTO部位での内膜下のスペースの中に順行的に進められた。ワイヤの先端部の抵抗またはワイヤの動きをモニタすることによって、操作者は、ワイヤがいつ内膜下に入ったか確かめることができる。次に、別のワイヤが、マイクロカテーテルを用いて冠状動脈間の側副を貫いて進められた。このワイヤは、CTOの遠位端で配置され、次いで遠位の真腔からCTOの中に、次いでCTO部位での内膜下の中に逆行的に貫入された。逆行性ワイヤの上を内膜下の中に小さいバルーン(1.5〜2.0mm)を進めた後に、バルーンは膨張させられた。この内膜下のスペースを開いた状態に保つために、収縮したバルーンは、所定位置に残された。従って、順行性ワイヤ及び逆行性バルーンによって生成された2つの解離が、CTO部位で内膜下にあり、これによりそれらの両方が簡単に接続できた。その後、順行性ワイヤは、内膜下のスペースから遠位の真腔まで延在した収縮した逆行性バルーンに沿って更に進められた。再疎通の成功後、拡張及びステント移植が行われた。CART技術に推奨される適当な材料を表1にまとめる。
【0051】
【表1】

【0052】
定義
冠動脈の慢性完全閉塞は、心筋梗塞(TIMI:thrombolysis in myocardial infarction)における血栓溶解がグレード0の流れであった場合に真の完全閉塞として定義される。3ヵ月を超える期間の完全閉塞は、慢性的とみなされた。
【0053】
血液造影の成功は、TIMIグレード3の流れの順行性の流れの回復、及びしかも最終的な残存狭窄が30%未満として定義された。
【0054】
院内主要有害心イベント(MACE:major adverse cardiac events)は、死亡、非Q波心筋梗塞及びQ波心筋梗塞、または標的血管血行再建(TVR:target vessel revascularization)の必要として定義された。
【0055】
統計分析
記述的分析を使用した。結果は、カテゴリーデータについてのパーセンテージとして、または連続変数についての平均±標準偏差として引き合いに出される。
【0056】
結果
ネイティブ冠状動脈のCTOを有する10名の患者(男性9名、女性1名)が、CART技術を用いて治療された。患者特性を表2にまとめる。基本病巣特性(Baseline lesion characteristics)を表3中に示す。CTOの期間は、7ヵ月から84ヵ月までさまざまであった。全てのCTOは、TIMI 0の流れの完全閉塞であった。10症例のうちの8症例において、それは、反復治療の試みだった。
【0057】
処置の特性及び結果を表4に示す。
【0058】
遠位の真腔内のTIMI3の流れの血管再疎通は、10症例全てにおいて達成された。薬剤溶出性ステントが、2症例を除いた全てにおいて移植された。逆行性アプローチのために使用される冠状動脈間の側副は、4症例において中隔枝、5症例において回旋動脈と遠位右冠状動脈(RCA:right coronary artery)の後側壁枝(PL:postero-lateral branch)間の側副であった。1症例では、逆行性アプローチが、バイパスグラフト(胃大網動静脈)を通ってRCAの後下行枝に行われた。逆行的に使用されたバルーンの大きさは、1.5〜3.0mmに及び、内膜下のスペースを拡張するための膨張圧力は、6〜18気圧に及んだ。穿孔または閉塞等のいかなる問題も側副チャンネル中で生じなかった。全ての症例において、内膜下の解離は、CTO領域に限定された。院内死亡、心筋梗塞または緊急標的血管再疎通(emergent target vessel recanalization)はなかった。
【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
【表4】

【0062】
上記結果は、CART技術の使用により、医師が通過困難なCTOをうまく再疎通するのを助けることができることを示す。
【0063】
本発明は、ある実施形態に関連して開示されてきたが、本発明の範囲から逸脱することなくさまざまな変更が成されてよく及び均等物で置き換えられてよいことが当業者によって理解されよう。特に、例は、閉塞した冠状動脈におけるCART技術の使用を示してきたが、開示発明は、冠動脈閉塞に限定されず、あらゆる種類の閉塞、例えば末梢動脈に適用可能であり、それらに関連する末梢動脈疾患及びCTOは、本明細書中で説明されたデバイス及び技術を用いてやはり治療できることに留意されたい。更に、純粋な逆行性アプローチも、閉塞を再疎通するための実行可能なアプローチであるはずであることを理解されたい。そのような場合、デバイスのサブセット、例えば可撓性ガイドワイヤ及び中隔拡張器は、再疎通に十分であり得る。捕獲デバイスは必須ではなく、注入カテーテルは使用されてもされなくてもよい。加えて、多くの修正形態が、本発明の範囲から逸脱することなく本発明の教示に対して特定の状況または材料に適合するようになされてよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】再疎通技術に含まれるさまざまな段階を示す略図である。
【図2】CART技術を絵で示す図である。
【図3】CART技術を示す血管造影図を含む図である。
【図4】示された例についてのIVUS画像を表示する図である。
【図5A】捕獲デバイスが展開されていない状態の捕獲デバイスの一実施形態を示す図である。
【図5B】捕獲デバイスが展開された状態の捕獲デバイスの一実施形態を示す図である。
【図5C】捕獲機構(バスケット)が展開された状態の、別のそのような捕獲デバイスの例を示す図である。
【図5D】順行性ガイドワイヤがバスケットの中に捕獲された状態の、別のそのような捕獲デバイスの例を示す図である。
【図5E】展開されていない状態の捕獲デバイスの別の実施形態を示す図である。
【図5F】展開された状態の捕獲デバイスの別の実施形態を示す図である。
【図6A】血管形成術用バルーンを含む捕獲デバイスの別の実施形態を示す図である。
【図6B】血管形成術用バルーンを含む捕獲デバイスの別の実施形態を示す図である。
【図6C】血管形成術用バルーンを含む捕獲デバイスの別の実施形態を示す図である。
【図7A】捕獲デバイスを用いるCART技術を示す図である。
【図7B】捕獲デバイスを用いるCART技術を示す図である。
【図7C】捕獲デバイスを用いるCART技術を示す図である。
【図7D】捕獲デバイスを用いるCART技術を示す図である。
【図7E】捕獲デバイスを用いるCART技術を示す図である。
【図7F】捕獲デバイスを用いるCART技術を示す図である。
【図8A】拡張デバイスの一実施形態及び視野を示す図である。
【図8B】拡張デバイスの別の実施形態及び視野を示す図である。
【図8C】拡張デバイスの別の実施形態及び視野を示す図である。
【図9A】放射線不透過性コイル及び3次元の予め成形された先端部を有するCART技術に適しているガイドワイヤを示す図である。
【図9B】放射線不透過性コイル及び3次元の予め成形された先端部を有するCART技術に適しているガイドワイヤを示す図である。
【図10A】注入デバイスを示す図である。
【図10B】注入デバイスを示す図である。
【図10C】注入デバイスを示す図である。
【符号の説明】
【0065】
30 管状部材、インナーシャフト
40 スライド可能なスリーブ、スリーブ、インナーシャフト、デバイス
41 近位端、アウターシャフト
42 遠位端
43 複数のリブ
500 デバイス
510 カテーテルシャフト
515 ガイドワイヤ管腔
520 捕獲管腔
530 止め具
540 テンションワイヤ
550 遠位先端部、係留位置
560 バスケット
600 カテーテル
610 ワイヤ
620 バルーン
630 コイル
650 トリガが引き戻される位置、トリガ
651 トリガの前方位置
710 順行性ガイドワイヤ
720 逆行性ガイドワイヤ
730 バルーン
800 プラスチックチューブ
805 螺旋状の溝
810 先細になった拡大された部分
850 拡張デバイス
851 大きいワイヤ、ワイヤ
852 小さいワイヤ、ワイヤ
855 ポリマーの先端部領域、先端部
860 ポリマーのジャケット
865 中央のPTFEライナー、PTFEライナー
900 可撓性ガイドワイヤ、ガイドワイヤ
910 近位部
920 部分
930 部分
940 先細の遠位部、部分
945 円錐部
946 リボン
950 螺旋コイル、放射線不透過性部、放射線不透過性コイル部、放射線不透過性部
955 ポリマーの外装またはジャケット、外装
960 親水性皮膜
970 遠位先端部、先端部
975 遠位先端部、先端部構成
980 遠位先端部、先端部構成
1200 カテーテル、注入カテーテル
1210 カテーテルシャフト、カテーテル、シャフト
1220 カテーテルシャフト、シャフト
1230 カテーテルシャフト、インナーシャフト、シャフト
1240 注入ポート
1245 壁
1250 ガイドワイヤ管腔
1251 薄壁、壁
1255 PTFE内層
1260 マーカー、網状の内層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順行性のやり方で閉塞の近位端を貫いて第1の縦部材を進める段階と、
逆行性のやり方で前記閉塞の遠位端を貫いて第2の縦部材を進める段階と、
前記閉塞の前記近位端と前記遠位端の間で連続的なチャンネルを生成する段階と
を含む閉塞した血管を再疎通する方法。
【請求項2】
前記縦部材のうちの少なくとも1つが、管状である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記縦部材のうちの少なくとも1つが、ワイヤのストランドで作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記縦部材のうちの少なくとも1つが、ガイドワイヤである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
インターベンション処置が行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の縦部材が、側副血管の近位端にまず導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の縦部材が、外膜のチャンネル、心房間のチャンネル、中隔間のチャンネルまたはバイパスグラフトの近位端にまず導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記連続的なチャンネルを生成する段階が、拡張デバイスの使用を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記連続的なチャンネルを生成する段階が、捕獲デバイスの使用を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記連続的なチャンネルが、前記閉塞内で開いた状態で維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
閉塞の近位端を貫いて進めることができる遠位端を有する順行性縦部材と、
前記閉塞の遠位端を貫いて進めることができる遠位端を有する逆行性縦部材と
を備え、
前記順行性縦部材の前記遠位端及び前記逆行性縦部材の前記遠位端が協働して前記閉塞した血管内で連続的なチャンネルを形成する
閉塞した血管を再疎通するカテーテルシステム。
【請求項12】
前記縦部材のうちの少なくとも1つが、拡張及び回収できる、請求項11に記載のカテーテルシステム。
【請求項13】
前記カテーテルシステムが、インターベンション処置を行うためのバルーンカテーテルを更に備える、請求項11に記載のカテーテルシステム。
【請求項14】
前記順行性縦部材が、次に示すもの、すなわちガイドワイヤ、拡張デバイス、注入デバイス及び捕獲デバイスのうちの1つまたは複数を備える、請求項11に記載のカテーテルシステム。
【請求項15】
前記逆行性縦部材が、次に示すもの、すなわちガイドワイヤ、拡張デバイス、注入デバイス及び捕獲デバイスのうちの1つまたは複数を備える、請求項11に記載のカテーテルシステム。
【請求項16】
前記閉塞内の開いたスペースを維持し、連続的なチャンネルを生成するために前記逆行性縦部材と前記順行性縦部材を対合する手段を含む、請求項11に記載のカテーテルシステム。
【請求項17】
前記逆行性縦部材の前記遠位端が、側副チャンネルを貫いて進めることができる、請求項11に記載のカテーテルシステム。
【請求項18】
前記側副チャンネルが、心外膜のチャンネル、心房間のチャンネル、中隔間のチャンネルまたはバイパスグラフトから選択される、請求項17に記載のカテーテルシステム。
【請求項19】
a.閉塞の近位端を貫いて進めることができる遠位端を有する順行性縦部材と、
b.前記閉塞の遠位端を貫いて進めることができる遠位端を有する逆行性縦部材と
を備え、
c.前記逆行性部材の前記遠位端が、圧縮性要素によって接続される近位先端部及び遠位先端部を有し、該遠位先端部に向って該近位先端部を進めること、または前記近位先端部に向って前記遠位先端部を進めることにより前記圧縮性要素が張り出し、捕獲機構を形成することを可能にする
閉塞した血管を再疎通するカテーテルシステム。
【請求項20】
前記逆行性部材の前記遠位端の前記圧縮性要素を展開し前記順行性部材を進めると、その結果、前記順行性部材の前記遠位端が前記捕獲機構の中で係合されることになり、前記逆行性の遠位端の前記近位先端部または遠位先端部を引くことにより前記圧縮性要素を引っ込め、結合した前記順行性部材及び前記逆行性部材を前記閉塞を貫いて動かすことを可能にする、
請求項19に記載のカテーテルシステム。
【請求項21】
a.閉塞の近位端を貫いて進めることができる遠位端を有する順行性縦部材と、
b.前記閉塞の遠位端を貫いて進めることができる遠位端を有する逆行性縦部材と、
を備え、
c.前記順行性部材の前記遠位端が、圧縮性要素によって接続される近位先端部及び遠位先端部を有し、該遠位先端部に向って該近位先端部を進め、または前記近位先端部に向って前記遠位先端部を進めることにより前記圧縮性要素が張り出し、捕獲機構を形成することを可能にする
閉塞した血管を再疎通するカテーテルシステム。
【請求項22】
前記順行性部材の前記遠位端の前記圧縮性要素を展開し前記逆行性部材を進めると、その結果、前記逆行性部材の前記遠位端が前記捕獲機構の中で係合されることになり、前記順行性の遠位端の前記近位先端部または遠位先端部を引くことにより前記圧縮性要素を引っ込め、結合した前記順行性部材及び前記逆行性部材を前記閉塞を貫いて動かすことを可能にする、
請求項21に記載のカテーテルシステム。
【請求項23】
前記圧縮性要素が、リブまたはワイヤの形態である、請求項19または21に記載のシステム。
【請求項24】
a.閉塞の近位端を貫いて進めることができる遠位端を有する順行性縦部材と、
b.前記閉塞の遠位端を貫いて進めることができる遠位端を有する逆行性縦部材と、
を備え、
c.前記逆行性部材の前記遠位端が、コイルを張り出させ捕獲要素を形成させるように作動できる該コイルの設計を含む
閉塞した血管を再疎通するカテーテルシステム。
【請求項25】
前記逆行性部材の前記遠位端の前記コイルを作動し前記順行性部材を進めると、その結果、前記順行性部材の前記遠位端が展開された前記コイルの中で係合される、請求項24に記載のカテーテルシステム。
【請求項26】
a.閉塞の近位端を貫いて進めることができる遠位端を有する順行性縦部材と、
b.前記閉塞の遠位端を貫いて進めることができる遠位端を有する逆行性縦部材と、
を備え、
c.前記逆行性縦部材の前記遠位端が、前記順行性縦部材を受容できる圧縮性バスケット状捕獲機構を有する
閉塞した血管を再疎通するカテーテルシステム。
【請求項27】
前記バスケット状構造を展開し前記順行性部材を進めると、その結果、該順行性部材が該捕獲機構の中で係合され、前記順行性部材及び前記逆行性部材を前記閉塞を貫いて動かすことを可能にする、請求項26に記載のカテーテルシステム。
【請求項28】
a.閉塞の近位端を貫いて進めることができる遠位端を有する順行性縦部材と、
b.前記閉塞の遠位端を貫いて進めることができる遠位端を有する逆行性縦部材と、
を備え、
c.前記順行性縦部材の前記遠位端が、前記逆行性縦部材を受容できる圧縮性バスケット状捕獲機構を有する
閉塞した血管を再疎通するカテーテルシステム。
【請求項29】
前記バスケット状捕獲機構を展開し前記逆行性部材を進めると、その結果、該逆行性部材が該捕獲機構の中で係合され、前記順行性部材及び前記逆行性部材を前記閉塞を貫いて動かすことを可能にする、請求項28に記載のカテーテルシステム。
【請求項30】
順行性ガイドワイヤと
逆行性ガイドワイヤと
を含む、閉塞した血管を再疎通するキット。
【請求項31】
捕獲デバイスを備える管状部材を含む、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
拡張デバイスを含む、請求項30または31に記載のキット。
【請求項33】
注入カテーテルを含む、請求項30、31または32に記載のキットのデバイス。
【請求項34】
(a)近位部、中央部及び可撓性遠位部を有する細長いコア部材
を備える逆行性ガイドワイヤであって、
(b)前記遠位部が、近位端及び遠位端を有し、前記遠位部で前記細長いコア部材が、螺旋コイルによって覆われており、
逆行性ガイドワイヤが、更に、
(c)前記細長いコア部材の最遠位点に接合される前記遠位部の遠位最先端部での先細端と、
(d)前記螺旋コイルを囲み、前記細長いコア部材の前記遠位部を覆うポリマーの外装と
を備え、該ポリマーの外装が、親水性皮膜によって覆われている、
逆行性ガイドワイヤ。
【請求項35】
前記螺旋コイルが、放射線不透過性の材料で作製される、請求項34に記載のガイドワイヤ。
【請求項36】
a.逆行性のやり方で閉塞の遠位端を貫いて縦部材を進ませる段階と、
b.前記閉塞の近位端を貫いて前記縦部材を進ませる段階と、
c.前記閉塞の前記近位端と前記遠位端の間で連続的なチャンネルを生成する段階と
を含む、閉塞した血管を再疎通する方法。
【請求項37】
前記縦部材がまず、側副血管の近位端に導入される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
連続的なチャンネルを生成する段階が、拡張デバイスの使用を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
連続的なチャンネルを生成する段階が、捕獲デバイスの使用を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
インターベンション処置が行われる、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記縦部材が管状である、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記縦部材がガイドワイヤである、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記縦部材が拡張デバイスである、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
閉塞の遠位端から該閉塞を貫いて及び前記閉塞の近位端を貫いて進めることができる遠位端を有する縦部材を備え、閉塞した血管内で連続的なチャンネルを生成する、前記閉塞した血管を再疎通するカテーテルシステム。
【請求項45】
前記縦部材が、次に示すもの、すなわちガイドワイヤ、拡張デバイス、注入デバイス及び捕獲デバイスのうちの1つまたは複数を含む、請求項44に記載のカテーテルシステム。
【請求項46】
螺旋の外観を有する縦部材を備える拡張デバイスであって、狭い血管を貫いて該縦部材を進ませることにより、該血管の直径を拡大する、拡張デバイス。
【請求項47】
a.ガイドワイヤ管腔によって画定され、遠位先端部及び近位先端部を有するガイドワイヤシャフトと、
b.前記ガイドワイヤシャフトを囲む中空インナーシャフトであって、インナーシャフトの遠位端が、前記ガイドワイヤシャフトの前記遠位先端部の前で末端を成し、注入ポートを画定する中空インナーシャフトと、
c.前記インナーシャフトを収容するアウターシャフトであって、前記インナーシャフトの前記遠位端の前で末端を成すアウターシャフトと、
を備える、注入カテーテル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図5E】
image rotate

【図5F】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図7D】
image rotate

【図7E】
image rotate

【図7F】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate


【公表番号】特表2009−526570(P2009−526570A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554416(P2008−554416)
【出願日】平成19年2月12日(2007.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/003706
【国際公開番号】WO2007/095191
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508244304)レトロヴァスキュラー・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】