説明

CCR−2アンタゴニスト塩

本発明は、((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)[(3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]アミン及びそのスクシネート塩を製造する効率的な合成方法を提供する。本発明は更に、中間体(3R)−3−メトキシテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン;(1<i>S</i>,4<i>S</i>)−4−(2,5−ジメチル−1<i>H</i>−ピロール−1−イル)−1−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−カルボン酸及び3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジンを製造するため、並びに、前駆体(3S,4S)−N−((1S,4S)−4−イソプロピル−4−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペント−2−エン−1−イル}−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミンを製造するための効率的な合成方法を提供する。更に、((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)[(3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]アミンのスクシネート塩の優れた諸特性も本発明に包含される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(従来技術)
2003年4月25日出願の国際特許出願US03/12929及び2003年4月25日出願のUS03/13042は、テトラヒドロピラニルシクロペンチルテトラヒドロピリドピリジン化合物を開示している。これらの化合物は、ケモカイン受容体機能のインヒビター、モジュレーターまたはプロモーターによって治療できるヒトまたは他の種の病気または異常の治療に有用である。このような病気または異常は引用した出願に記載された病気または異常を含む。
式:
【0002】
【化2】

の((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)イル]カルボニル}シクロペンチル)[(3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]アミン,1は強力なCCR−2インヒビターである。化合物1の合成に使用されるいくつかの中間体及び前駆体の試験製造を含めた化合物1の試験製造は国際特許出願US03/12929及びUS03/13042に記載されている。
化合物1の従来の合成技術は効率が悪く、時間がかかり、従って製造費が高価である。例えば、ナフチリジン構成単位の合成は別々の9段階から成り、数種類の高価な試薬の使用を要し、これらが合成プロセス全体の効率を制限していた。同様に、シクロペンテン構成単位の合成では、望ましくない立体異性体が高い割合で生じた。その他の合成方法も同様に低効率で高価であり及び/または商業生産可能ではなかった。更に、従来方法で合成された化合物1の塩酸塩は、溶解度、取扱適性(例えば、吸湿性)及びその他の諸特性についても理想からは程遠かった。従って、大規模な生産、配合、貯蔵及び配給が可能な化合物1の改良された合成経路が要望されている。また、化合物1の改良された塩形態を開発することも要望されている。
【発明の開示】
【0003】
本発明は、((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)[(3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]アミン及びそのスクシネート塩を製造するための効率的な合成方法を提供する。本発明は更に、中間体(3R)−3−メトキシテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン;(lS,4S)−4−(2,5−ジメチル−lH−ピロール−l−イル)l−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−カルボン酸;及び3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジを製造するため;及び、前駆体(3S,4S)−N−((1S,4S)−4−イソプロピル−4−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペント−2−エン−1−イル)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミンを製造するための効率的な合成方法を提供する。更に、((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)[(3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]アミンのスクシネート塩の優れた特性も本発明に包含される。
1つの目的によれば本発明は、式:
【0004】
【化3】

の(3S,4S)−N−((1S,4S)−4−イソプロピル−4−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペント−2−エン−1−イル)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン,2の製造方法を提供する。該方法は、
(1)(lS,4S)−4−(2,5−ジメチル−lH−ピロール−l−イル)−1−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−カルボン酸を3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジンと反応させて、6−{[(1S,4S)−4−(2,5−ジメチル−lH−ピロール−1−イル)−l−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−イル]カルボニル}−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジンを形成する段階と、
(2)6−{[(lS,4S)−4−(2,5−ジメチル−lH−ピロール−l−イル)−l−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−イル]カルボニル}−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジンをヒドロキシルアミンで処理して、(lS,4S)−4−イソプロピル−4−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペント−2−エン−1−アミンを形成する段階と、
(3)(lS,4S)−4−イソプロピル−4−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル} シクロペント−2−エン−1−アミンを還元アミノ化を介して(3R)−3−メトキシテトラヒドロ−4H−ピラン−4オンに結合させる段階とを含む。
別の目的によれば本発明は、式:
【0005】
【化4】

の((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル} シクロペンチル)[(3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]アミン,1の製造方法を提供する。該方法は、更に、
(4)(3S,4S)−N−((1S,4S)−4−イソプロピル−4−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペント−2−エン−1−イル)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミンを水素化する段階を含む。
【0006】
以下により詳細に説明する本発明の別の特徴によれば、水素化段階は化合物2の形成よりも前に完了する。
(3S,4S)−N−((lS,4S)−4−イソプロピル−4−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペント−2−エン−1−イル)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン,2及び((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)[(3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]アミン,1の合成を反応スキーム1に示す:
【0007】
【化5】

【0008】
N−((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)−N−[(シス−3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]アミン,1は、3つの構成単位化合物4,5,6を順次に結合させることによって合成する(後出の反応スキーム3,4,5)。3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン,5と(1S,4S)−4−(2,5−ジメチル−lH−ピロール−l−イル)l−イソプロピルシクロペント−2−エン−l−カルボン酸,4とをメタンスルホニルクロリドの存在下でアミド化反応させると、6−{[(1S,4S)−4−(2,5−ジメチル−lH−ピロール−l−イル)−l−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−イル]カルボニル}−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジンが得られる。
この段階で、ヒドロキシルアミンを使用するピロール基の脱保護をスループロセスとして行うとアミン塩が得られた。該アミン塩と(3R)−3−メトキシテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン,6とをトリブチルアミンバッファの存在下でNaBH(OAc)を用いた還元アミノ化によって結合させると、(3S,4S)−N−((1S,4S)−4−イソプロピル−4−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペント−2−エン−1−イル)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン,2が得られる。次いで化合物2のシクロペンテン部分を水素化すると遊離塩基化合物1が形成された。
別の目的によれば本発明は、式:
【0009】
【化6】

の((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)[(3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミンスクシネート,3の製造方法を提供する。該方法は、更に、
(5)((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)[(3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]アミン,1をコハク酸に接触させる段階を含む。
【0010】
場合によっては段階(5)の前に、化合物1をスクシネート塩またはベンゼンスルホネート塩のような他の塩として晶出させ、次いで塩を破壊することによって精製してもよい。このような精製については後出の実施例に記載する。
スクシネート塩である化合物3の合成を反応スキーム2に示す:
【0011】
【化7】

【0012】
別の目的によれば、本発明は、中間体(lS,4S)−4−(2,5−ジメチル−lH−ピロール−l−イル)−l−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−カルボン酸,4の製造方法を提供する。該方法は、
(1)(lR,4S)−4−アミノシクロペンテン−2−エン−1−カルボン酸とMeOHとをチオニルクロリドの存在下で反応させてメチル(lR,4S)−4−アミノシクロペント−2−エン−1−カルボキシレートを形成させる段階と、
(2)該メチル(lR,4S)−4−アミノシクロペント−2−エン−l−カルボキシレートをアセチルアセトンと反応させてメチル(lR,4S)−4−(2, 5−ジメチル−lH−ピロール−l−イル)シクロペント−2−エン−l−カルボキシレートを形成させる段階と、
(3)該メチル(lR,4S)−4−(2,5−ジメチル−lH−ピロール−l−イル)シクロペント−2−エン−1−カルボキシレートを2−ヨードプロパンと反応させてメチル(IS,4S)−4−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−1−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−カルボキシレートを形成させる段階と、
(4)該メチル(lS,4S)−4−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−1−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−カルボキシレートをNaOH及びMeOHと反応させて(lS,4S)−4−(2,5−ジメチル−lH−ピロール−1−イル)−1−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−カルボン酸を形成させる段階とを含む。
(lS,4S)−4−(2,5−ジメチル−lH−ピロール−l−イル)−1−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−カルボン酸,4の合成を反応スキーム3に示す:
【0013】
【化8】

【0014】
ここでは、(lR,4S)−4−アミノシクロペント−2−エン−1−カルボン酸をメタノール中のチオニルクロリドで処理することによって対応するメチルエステルに変換する。次に(1R,4S)−4−アミノシクロペント−2−エン−1−カルボキシレートメチルエステルと2,4−ペンタンジオンとをDIEAの存在下で反応させることによってメチル(lR,4S)−4−(2,5−ジメチル−lH−ピロール−l−イル)シクロペント−2−エン−1−カルボキシレートを合成する。次いで、リチウムビス−(トリメチルシリル)アミドを塩基として使用しメチル(lR,4S)−4−(2,5−ジメチル−lH−ピロール−1−イル)シクロペント−2−エン−1−カルボキシレートをヨードプロパンでアルキル化する。得られたアルキル化生成物を次に加水分解して、(IS,4S)−4−(2,5−ジメチル−lH−ピロール−l−イル)−l−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−カルボン酸,4を形成させる。
【0015】
上記の説明ではシクロペンテン部分が後の段階で水素化されてシクロペンタンを生じると想定しているが、実際には、スキーム1及び3に示した化合物の多くが中間段階で水素化されてシクロペンタン類似体を生成するであろう。(ピロール保護基が存在する場合、ピロール保護基はこのプロセス中に還元されてピロリジンを生じるので、代替保護基が使用される。)
更に、本発明のこの目的の別の特徴としては、2,5−ジメチル−lH−ピロール−l−イル以外の保護基を有している中間体を合成し得る。従って、熟練の化学者は、一般式:
【0016】
【化9】

の中間化合物を求めるであろう。式中の保護基“PG”は非限定的に、tert−ブトキシカルボニル,ベンジルオキシカルボニル,アルキルオキシカルボニル,アリルオキシカルボニル,ベンゾイル,ホルミル,アセチル,トリフルオロアセチル,2−ニトロベンゼンスルホニル,4−ニトロベンゼンスルホニル,2,4−ジニトロベンゼンスルホニル,ベンジル,トリフェニルメチル,イミン(例えばジフェニルメチレン)、及び、Greene,T;Wuts,P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley & Sons,Inc.,New York,NY 1999に例示されているような当業界で公知の他の保護基を包含する。
【0017】
別の目的において本発明は、中間体3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン,5の製造方法を提供する。該方法は、
(1)3,3,3−トリフルオロプロパン酸をPOC1、DMF、NaPF及び塩基と反応させて、N−[3−(ジメチルアミノ)−2−(トリフルオロメチル)プロプ−2−エニリデン]−N−メチルメタナミウムヘキサフルオロホスフェート(CFDT)を形成する段階と、
(2)CFDTを保護されたピペリドンと反応させて−N−(保護基)−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジンを形成させる(例えばCFDTをBOC−ピペリドンと反応させて −N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジンを形成させる)段階と、
(3)該−N−(保護基)−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジネン(例えば、N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン)をHCl及びメタノールの存在下で反応させて、−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジンを形成させる段階と、
を含む。
3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン,5の合成を以下の反応スキーム4A及び4Bに示す:
【0018】
【化10】

【0019】
【化11】

【0020】
オキシ塩化リン(POCl)を、10℃よりも低い温度に維持される速度(約1時間)で冷却したDMFに加える。反応混合物を室温に昇温させ、次いで3,3,3−トリフルオロプロパン酸を加える(約45℃に発熱)。次に反応混合物を50℃に加温し、この温度に約4時間維持する。ビナミジニウム形成が完了すると、反応混合物を室温に放冷する。次に反応混合物を5NのNaOHと共に、0℃に冷却したNaPFの水溶液に加える。2つの溶液の添加速度は、水性スラリーが10℃よりも低い温度に維持されpHが3−4の範囲に維持されるように調節する(添加時間は約2時間を要する)。添加が終了すると、得られた黄色スラリーを0℃で1時間熟成し、次いで濾過して固体を収集する。フィルターケーキを氷冷水でスラリー洗浄し(2回)、ケーキを窒素/真空で乾燥する。典型収率85%。
【0021】
次に、保護ピペリドン、例えばBOC保護ピペリドンのTHF中の溶液を、THF中のリチウムヘキサメチルジシリルアミド(LiN(TMS))の冷却溶液(−20℃)に、10℃よりも低い温度に維持しながら加えて、リチウムエノラートを形成させる(約45分)。室温に昇温させた後、エノラート溶液をTHF中のCFDTの冷却スラリー(−20℃)に、内部温度が−10℃よりも低温に維持される速度で移す(約45分)。この混合物を−20℃で2時間熟成し、次いで酢酸を加えて混合物を30分で室温に加温する。次に酢酸アンモニウムを添加し、混合物を65℃に加熱する。65℃で2時間維持した後、反応混合物を室温に冷却する。次に水とヘプタンとを加えて層を分離させる。有機層を2Mのクエン酸水溶液で洗浄し、次いでBOCナフチリジンを検定する。典型収率65%。
【0022】
次に、ナフチリジン形成後の有機層を濃縮し、溶媒をメタノールに切換える。次いで、IPA中のHC1を添加し、脱保護が完了するまで混合物を60℃で加熱する(約1時間)。室温に冷却後、水を添加し、pHを約10.5に調整する。IPAcを加えて層を分離させる。水層をIPAcで更に2回逆抽出する。集めた有機層を濃縮し、溶媒をIPAに切換える。このIPA溶液を濾過して無機塩を除去し、フィルターケーキをIPAで洗浄し、集めた濾液と洗浄液とを総量約5mL/gまで再濃縮する。遊離塩基/IPA溶液を60℃にした後、IPA中のHClを30分間で加える。約50%の添加で固体が出現する。HCl/IPA添加の終了後、ヘプタンを加えて結晶化を完了させ、スラリーを室温に冷却する。濾過によって固体を単離し、IPA/ヘプタンで洗浄し(3回、1mL/g)、次いで乾燥する。BOCナフチリジンからの典型収率75%。
前述したように、tert−ブトキシカルボニル以外の保護基(“PG”)を有しているピペリドンを使用してもよい。ナフチリジンの合成に有用な他の保護基の非限定例は、ベンジルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、ベンゾイル、アセチル、ホルミル、トリフルオロアセチル、2−ニトロベンゼンスルホニル、4−ニトロベンゼンスルホニル、2,4−ジニトロベンゼンスルホニル、N−ベンジル、トリフェニルメチル、及び、Greene,T;Wuts,P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley & Sons,Inc.,New York,NY 1999に例示されているような他の公知の保護基を含む。
【0023】
別の目的によれば本発明は、中間体(3R)−3−メトキシテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン,6の製造方法を提供する。該方法は、
(1)テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オンをトリプロピルオルトホーメート及びクロロベンゼンと反応させて4−プロポキシテトラヒドロ−2H−ピラン−エテンを形成する段階と、
(2)該4−プロポキシテトラヒドロ−2H−ピラン−エテンをアセトン、水、ヒドロキニジン−1、4−フタラジンジイルジエーテル(DHQDPHAI)、オスミン酸カリウム二水和物、及び、4−メチルモルホリンN−オキシド一水和物(NMO)の存在下で反応させて3,4−ジヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−スルホン酸,ナトリウム塩を形成させる段階と、
(3)該3,4−ジヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−スルホン酸,ナトリウム塩をメタノール及びトリメチルオルトホーメートと酸の存在下で反応させて4,4−ジメトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−オールを形成する段階と、
(4)該4,4−ジメトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−オールをTHF、NaOt−Bu、MeSO及び酸の存在下で反応させて、(3R)−3−メトキシテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オンを形成する段階と、
を含む。
【0024】
(3R)−3−メトキシテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン,6の合成を反応スキーム5に示す:
【0025】
【化12】

【0026】
出発ピラノンを酸触媒の存在下でトリプロピルオルトホーメートで処理することによってそのジプロピルケタールに変換する。次に粗ケタールをクロロベンゼンの存在下で加熱する。これらの条件下でプロパノールが除去されてプロピルエノールエーテルが生じる。反応継続中に蒸留によってプロパノールを除去することによって反応が促進される。次に粗エノールエーテルを修正Sharpless非対称ジヒドロキシル化条件下で酸化する。この反応では、化学量論的酸化剤としてN−メチルモルホリンオキシドを使用する。反応は典型的に約80−85%eeのα−ヒドロキシケトン生成物を生じる。α−ヒドロキシケトンを直接単離しないで、Naの水溶液を加えてケトンのビスルファイト付加物を形成させる。アセトンと水との混合物からラセミビスルファイト付加物が晶出する。濾過によってラセミ化合物を除去すると、得られた母液は典型的には95−99%のエナンチオマー過剰率(ee)である。真空下でアセトンを除去してイソプロパノールを加えると結晶質のビスルファイト付加物が高いエナンチオマー過剰率で得られる。これをHC1及び水捕捉剤としてトリメチルオルトホーメートを含むメタノールで処理するとジメチルケタールが得られる。次にNaOt−Bu及びMeSOを使用してヒドロキシル基をメチル化する。反応混合物に水及びHC1を添加すると目的のα−メトキシピラノンが約96%eeで得られる。
本文中には、いくつかの略号、頭文字語及びその他の短縮形が使用されている。これらの用語は当業者に公知であるが、これらの用語をまとめた表を以下に示す。
【0027】
【表1】

【実施例1】
【0028】
((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)[(3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]アミン
【0029】
段階1−
6−{[(1S,4S)−4−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−1−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−イル]カルボニル}−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン
【0030】
【化13】

【0031】
ピロールシクロペンテン酸(730g,90.4重量%,2.67mmol)とジイソプロピルエチルアミン(0.93L,5.34mol)とをTHF(6.6L)中で混合した。得られた暗色溶液(KF=195mg/mL)を0℃に冷却し、次いでメタンスルホニルクロリド(228mL,2.94mol)を1分間で添加すると、内部温度が数分間で13℃に上昇した。冷却浴を除去し、混合物を室温で4時間熟成した。反応溶液を〜15℃に冷却し、テトラヒドロナフチリジン−HC1塩(670g,遊離塩基当量として73.2重量%,2.42mol)を加えた。温度が23℃に上昇すると、別の部分量のジイソプロピルエチルアミン(0.93L,5.34mol)を〜25℃に冷却しながら15分間で添加した。混合物を1時間以上熟成し、次いで5%NaHC0(16L)で希釈した。生成物を酢酸エチル(EtOAc)(16L)で抽出した。有機相を水(10L)で洗浄し、真空下で濃縮し、EtOAcをメタノールで置換して容量10Lにした。アミドのアッセイ収量は定量的であった(1.055kg,2.45mol)。
【0032】
段階2−
(1S,4S)−4−イソプロピル−4−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペント−2−エン−1−アミン
【0033】
【化14】

【0034】
メタノール(10L)中のアミド(1.055kg,2.45mol)をヒドロキシルアミン−HCl(1kg,14.4mol),水中の50%ヒドロキシルアミン(1L,16.3mol)及び水(5L)に添加した。得られたスラリーを還流(71℃)まで加熱し、この温度で6時間維持した。反応溶液を室温に冷却し、10NのNaOHでpHを11.0に調整した。反応溶液を水(12L)で希釈し、生成物をクロロベンゼンで3回抽出した(14L、13L及び13L)。有機層の各々を同じ水(10L)で一回洗浄した。生成物を含有する有機層(0.79アッセイkg,2.24mol,収率92%)を集めて濃縮した。溶媒をイソプロパノール(8L)に切換えた。IPA中の無水HC1(4.3N,1.4L,6.0mol)を添加した。この混合物を〜2Lに濃縮した。得られたスラリーを70℃に加熱し、n−ヘプタン(8L)をゆっくりと加えた。スラリーを冷却し、室温で一夜(16時間)熟成した。固体を濾過し、20%IPA/ヘプタン(1.5L)で洗浄し、窒素下で乾燥すると1.12kgのHC1塩(遊離塩基当量0.76kg)が総収率91%で得られた。
【0035】
段階3−
(3S,4S)−N−((IS,4S)−4−イソプロピル−4−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペント−2−エン−1−イル)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン
【0036】
【化15】

【0037】
アミン二塩酸塩(777g,遊離塩基として552g,1.56mol)をIPAc(3L)中でスラリーとした。混合物を氷浴で冷却し、n−BuN(860mL,3.61mol)、イソプロパノール(260mL,3.40mol)を順次に添加した。トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(724g,3.42mol)を5℃で添加した。1時間後、IPAc中のメトキシピラノンの溶液(1.76Lの160g/L溶液,2.17mol)を1℃でバッチに添加した。6時間後、混合物を飽和NaHCO水溶液(3L)、水(8L)及びEtOAc(10L)に分配した。水相を更にEtOAc(15L)で抽出した。集めた有機相を飽和NaHCO(4L)で抽出し、MgSO(600g)で乾燥し、濃縮した。得られた油をCHCN(15L)に溶解し、ヘプタン(3×4L)で抽出した。アセトニトリル相は654g(1.4mol,90%)の(3S,4S)−N−((lS,4S)−4−イソプロピル−4−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル} シクロペント−2−エン−1−イル)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミンを含有していた。真空下で溶媒を除去すると、油が得られたのでこれを最終水素化段階に使用した。
【0038】
段階4−
((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)[(3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]アミン
【0039】
【化16】

【0040】
段階3で得られた未精製の結合シクロペンテン(640g)をメタノール(3.2L)で希釈し、溶液を油に濃縮した。メタノール(3.2L)による希釈及び濃縮を更に2回繰り返した。最終濃縮後に油をメタノール(6.4L)で希釈し、オートクレーブに充填した。5%のPd/C(256g)触媒をメタノール(1.4L)中のスラリーとしてオートクレーブに充填した。水素化(40psi)は25℃で一夜(18時間)行った。バッチを8Lの焼結ガラス漏斗中のsolka floc(深さ〜1.5)で濾過した。オートクレーブをメタノール(5.0L)ですすぎ、このすすぎ液を使用してフィルターケーキを洗浄した。ケーキをメタノール(1.3L)で再度洗浄した。この順序のすすぎを更に4回繰り返した。LCアッセイによれば、集めた濾液と洗浄液(合計重量=17.1kg)は633アッセイg(収率98.5%)の遊離塩基を含有していた。濾液と洗浄液とを油(770アッセイg,1.634mol)に濃縮した。この油をIPA(3.1L)に溶解し、溶液を褐色油に濃縮した。IPA(3.1L)による希釈及び濃縮を更に2回繰り返した。
【実施例2】
【0041】
((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)[(3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]アミンスクシネート
合成1:
ベンゼンスルホネート塩からの精製:実施例1で得られた油をIPA(1.54L)に溶解し、結晶化フラスコに移した。IPAすすぎ液(2×385mL)をバッチに加えた。溶液を56℃まで加温し、この温度でベンゼンスルホン酸 (283g,1.79mol)を加えると温度が71℃に上昇した。溶液を60℃に冷却し、ベンゼンスルホネート塩シード(1g)を添加した。希薄なスラリーを30分間熟成して濃厚なシードベッドを発達させた後で、ヘプタン(4.62L)を50分で添加した。55−65℃で2時間熟成後、スラリーを一夜で周囲温度に冷却した。スラリーを濾過し、ウェットケーキを2:1のヘプタン/IPA(2×2.3L)で洗浄した。黄白色の固体をN/真空下で乾燥するとベンゼンスルホネート塩(875g,98.3重量%)が黄褐色固体として得られた(調整収率84%)。水(11.1L)、IPAc(32L)及び((1R,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)[(3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]アミンベンゼンスルホネート塩(1.645kg)を水(18.3L)中のKCO(6.58kg)の溶液に添加した。混合物を15分間熟成した。層を分離し、有機層を 水(16L)で洗浄した。((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)[(3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]アミン遊離塩基のIPAc溶液(1.16kgの遊離塩基を含有する60.5kg)を油に濃縮した。得られた油をエタノール(3.785L)で希釈し、再度油に濃縮した。希釈及び濃縮を更に3回繰り返した。
コハク酸塩の合成:最終濃縮後の油をエタノール(4.055L)で希釈した。次にエタノール溶液を65℃に加熱した。コハク酸(294g,2.48mol)を一回で添加し、次いでヘプタン(530mL)を10分間で添加した。次に、((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)[(3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]アミンスクシネート(5.8g)をヘプタン(50mL)中のスラリーとして溶液にシードした。得られたスラリーを65℃で1時間熟成すると、その間にスラリーが顕著に増粘した。シードベッド熟成の終了後、ヘプタン(7.54L)を1.5時間で添加した。スラリーを65℃で2時間熟成し、次いで一夜(〜9時間)室温に放冷した。固体を濾過し、2:1のヘプタン/エタノール(2×2.3L,遊離塩基2mL/g)で洗浄し、真空下のN流で2時間乾燥した。フィルターケーキを破壊し、N/真空下で更に〜48時間乾燥すると、1.328kgのスクシネート塩(91.6%)が得られた。((lR,3S)−3−イソプロピル−3−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]カルボニル}シクロペンチル)[(3S,4S)−3−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]アミンスクシネート(1.328g)の乾燥バッチを460μmのスクリーンを使用するComilに通すと1.313gが得られた。
【0042】
合成2
スクシネート塩の形成:熱電対とオーバーヘッド撹拌器とN/真空導入口とバッチ濃縮器とを備えた72L容のフラスコに1μmインラインフィルター経由で遊離塩基(3034.2g)を充填した。フラスコに11.2Lの目盛を記入しておいた。集めた濃縮物を更に〜7Lまで濃縮し、17LのEtOHを使用して溶媒を一定容量のEtOHに切換えた。溶液をEtOHによってフラスコの11.2L目盛りまで希釈した。真空を解除し、バッチ濃縮器を添加漏斗に交換した。839gのコハク酸を添加し、バッチを65℃に加温した。ヘプタン(1.4L)を7分間で添加した。5gのシードを100mLのヘプタンに溶解してバッチに加えた。希薄なスラリーを60分間熟成して濃厚なシードベッドを発達させた後、34.9Lのヘプタンを120分間で添加した。65℃で2時間熟成後、スラリーを一夜で周囲温度に冷却した。母液のLCアッセイは、6.5mg/mLの減量を示した。スラリーを濾過し、ウェットケーキスラリーを2×8Lの3/1ヘプタン/EtOHで洗浄し、次いで4Lの3/1ヘプタン/EtOHで置換洗浄した。黄白色の固体をフィルターポットに載せてN/真空下で乾燥すると、3404gの黄褐色固体が得られた。96.7重量%、調整収率86%、アッセイ減量10.3%。
【0043】
スクシネート塩の再結晶化(任意段階):N/真空導入口と機械的撹拌器と熱電対と導入アダプターとを備えた見た目に清潔な50L容のフラスコに12.1LのEtOHを充填した。スクシネート塩を添加し、4.7LのEtOHですすいだ。スラリーを65℃に加温し、ここで溶液を1μmインラインフィルター経由で静止真空下の72L容のフラスコに移した。移送が終了すると、50L容のフラスコを1LのEtOHですすぎ、すすぎ液をインラインフィルター経由で72L容のフラスコに入っているバッチに移した。濾過したEtOH溶液を25inHg、38−44℃で、<12Lに濃縮すると、濃縮中にスクシネート塩が晶出した。スラリーを12.1Lに希釈し、次いで65℃に加温した。1Lのヘプタンを添加し、次いで300mLのヘプタンでスラリー化した14gのシードを添加した。スラリーを65℃で1時間10分熟成後、17.5Lのヘプタンを2時間で添加した。スラリーを65℃で2時間熟成し、次いで一夜(〜13時間)で室温に冷却した。スラリーを濾過して固体を収集し、フィルターケーキを2:1のヘプタン:エタノールから成る5.4Lのスラリー洗浄液、次いで5.4Lの置換洗浄液及び5.4Lのスラリー洗浄液で洗浄した。フィルターケーキに真空下でNを3時間通してフィルターケーキを乾燥し、次いでフィルターケーキを破砕し、N/真空下で更に約48時間乾燥した。乾燥の終了後、バルク薬剤を二重ポリ袋に入れ、粉砕処理するまでファイバードラム内に保管した。合計3.018kgのスクシネート塩(収率93.9%)が得られた。
【実施例3】
【0044】
(1S,4S)−4−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−1−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−カルボン酸
段階1−
メチル(lR,4S)−4−アミノシクロペント−2−エン−1−カルボキシレート
【0045】
【化17】

【0046】
固体(lR,4S)−4−アミノシクロペンテン−2−エン−1−カルボン酸 (1.0kg,7.72mol)をMeOH(3.0L)に溶解した。スラリーを0−5℃に冷却した。<20℃の温度を維持しながらチオニルクロリド(0.576L,7.92mol)を2時間で滴下した。チオニルクロリド添加の終了後、冷浴を除去して反応混合物を20℃で1−2時間熟成した。得られた混合物を次にIPAc(22.5L)に1−2時間で滴下すると、生成物が溶液から直接にHC1塩として晶出した。バッチを濾過し、真空下で一夜乾燥すると、アミノシクロペンテンメチルエステルHCl塩(1081g,収率77%)が得られた。
段階2−
メチル(1R,4S)−4−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)シクロペント−2−エン−1−カルボキシレート
【0047】
【化18】

【0048】
固体アミノシクロペンテンメチルエステル塩(1.076kg,6.059mol)を窒素下、20℃でMeOH(3L,2M)に溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(DIEA,0.78kg,6.059mol)を添加し、次いで アセトニルアセトン(0.711kg,6.241mol)を添加した。バッチは発熱し、温度が32−35℃に上昇した。次に反応混合物を25℃で16時間熟成した。バッチをIPAc(9−10L)で希釈し、10%NHC1(2×3L)及び5%ブライン(2×3L)で洗浄した。IPAcバッチを流酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮すると油が得られた。THF(3L)をフラッシとして使用しバッチを再度油に濃縮した。空気感受性のピロール保護アミノシクロペンテンカルボキシレート(1189g,収率92%)を、アルキル化段階で処理するまで窒素下、5−7℃で保管した。
【0049】
段階3−
メチル(1S,4S)−4−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−1−イル)−1−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−カルボキシレート
【0050】
【化19】

【0051】
THF(1.2L)に溶解したピロールメチルエステル(1189g)を−20℃で、THF(8.65L,8.650mol)中の1Mのリチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS)に40分間で滴下した。バッチを30分間熟成し、2−ヨードプロパンを1時間で添加した。バッチを1時間熟成し、次いで2時間で20℃まで昇温させ、20℃で1−2時間、HPLCによって完了が示されるまで(出発材料が<0.5%になるまで)熟成した。バッチを6%NHC1溶液(10L)に入れて反応を停止させた。IPAc(20L)を充填し、層を分離した。有機層を6%のNHC1水溶液(10L)、5%ブライン(2×10L)で洗浄し、油に濃縮した。空気感受性のアルキル化ピロールメチルエステル (1419g,収率98%)を、ケン化段階で処理するまで窒素下、5−7℃で保管した。
【0052】
段階4−
(1S,4S)−4−(2,5−ジメチル−IH−ピロール−1−イル)−l−イソプロピルシクロペント−2−エン−1−カルボン酸
【0053】
【化20】

【0054】
アルキル化ピロールメチルエステル(1.38kg,5.197mol)をMeOH(7.7L)に溶解した。脱イオン水(2.5L)を添加し、次いで10NのNaOH(2.08L,20.786mol)を添加した。次にバッチを65℃で16時間加熱した。バッチを10℃に冷却した。濃HClでpH4.5に調整することによって生成物を晶出させた。スラリーを1時間熟成し、脱イオン水(15L)をバッチに充填した。スラリーを20−25℃で18時間熟成した。固体を濾過し、10%MeOH/脱イオン水で洗浄し、真空オーブン(40−50℃,25−26”Hg)で乾燥すると、アルキル化ピロールシクロペンテン酸(1223g,収率95%)が得られた。
【実施例4】
【0055】
3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン
段階1−
N−[3−(ジメチルアミノ)−2−(トリフルオロメチル)プロプ−2−エニリデン]−N−メチルメタナミウムヘキサフルオロホスフェート(CFDT)
【0056】
【化21】

【0057】
オキシ塩化リン(1.1L,11.8mol)をジメチルホルムアミド(2.6L)に、4℃、1時間で添加し、反応混合物を20℃に昇温させた。3,3,3−トリフルオロプロピオン酸(TFPA)(771g,6.02mol)を6分間で添加した。次に反応混合物を50−60℃で4時間熟成し、次いで室温に放冷した。このTFPA/POC1/DMF反応混合物を5L容の添加漏斗に充填した。反応フラスコをDMF,3×75mLですすぎ、すすぎ液も5L容の添加漏斗に移した。ヘキサフルオロリン酸(980mL,60重量%水溶液)を4℃に冷却しながら水(7.1L)に添加した。15℃よりも低い内部温度を維持しながら水酸化ナトリウム(5N,2.0L)をゆっくりと添加した。次に溶液を0℃に冷却した。水酸化ナトリウム(5N)を2L容の添加漏斗に充填し、同時にTFPA/POC1/DMF反応混合物を5℃よりも低い内部温度が維持される速度で添加すると、pHが3.05から3.6に変化した(添加中の大半の期間は約3.2)。次に、得られた黄色スラリーを〜0℃で60分間熟成した。固体を濾過し、氷冷水(2×4.0L)でスラリー洗浄し、次いで真空下のN流で乾燥した。合計1.785kg(87%)のCFDT(ビナミジニウム塩)が得られた。
【0058】
段階2−
N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン
【0059】
【化22】

【0060】
THF(2.72L)中のN−BOC−4−ピペリドン(672g)をTHF(3.7L)中のリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LHMDS)の溶液(3.55L,THF中の1.0M溶液)に−12℃で45分間で充填した。 反応混合物を室温に昇温させた。この混合物を−24℃に冷却したTHF(5.45L)中のCFDT(1.17kg)スラリーに30分間で添加した。次に反応混合物を〜−20℃で2時間熟成した。酢酸(295mL)を3分間で添加した。反応混合物を1時間15分間で20℃に昇温させ、酢酸アンモニウム(741g)を一回で加えた。反応混合物を64℃に加温し、この温度で2時間熟成した。反応混合物を室温に冷却し、次いで水(15.4L)及びメチルシクロヘキサン(15.4L)で希釈した。混合物を撹拌し、撹拌を中止して、層を沈降させた。下方の水層を除去し、有機層を2Mのクエン酸水溶液(6.2L)で洗浄した。撹拌及び層分離後の有機層(全重量=19.8kg)のLCアッセイはBOCナフチリジンのアッセイ収量617g(収率64%)を示した。
【0061】
段階3−
3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン
【0062】
【化23】

【0063】
ナフチリジン形成から得られたN−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジンを含有している有機層(989gのBOCナフチリジン含有の全重量34.2kg)を油に濃縮した。残渣をメタノール(6L)で希釈し、溶液を油に濃縮した。残渣にメタノール(6L)を添加し、この溶液を2.3Lに濃縮した。溶液をメタノールで容量7.3Lに希釈し、4.58MのHC1を含むIPA(3.6L)を添加した。溶液を55℃に加熱し、1時間熟成した。室温に冷却後、水(5L)を添加した。次に水(5L)中のKCO(2.28kg)の溶液を慎重に添加した(pH=10)。混合物をIPAc(3×10L)で抽出した。有機抽出物は601g(91%)の脱保護ナフチリジンを含有していた。集めた有機層を濃縮し、残渣をIPA(6L)で希釈し、再度濃縮した。得られた油をIPA(6L)で希釈し、溶液を全容量〜2Lに濃縮した。焼結ガラス漏斗で溶液を濾過し、漏斗をIPA(3×1L)で洗浄した。 集めた濾液及び洗浄液を〜0.5Lに濃縮し、次いでIPA(1.95L)で希釈した。溶液を60℃に加熱し、IPA中のHCI(790mL,滴定によれば4.33M)を40分間で添加した。添加中に固体の形成が明らかになった。ヘプタン(2.75L)を30分間で添加した後、加熱を中止してスラリーを室温に一夜放冷した。追加量のHC1/IPA(80mL)及びヘプタン(2×1.38L)を添加した。固体を濾過し、2:1のヘプタン/IPA(3×550mL)で洗浄し、真空下に窒素流で乾燥すると、BOCナフチリジンから678.8gの3−(トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジンが収率75%で得られた(遊離塩基として497g,73.2重量%)。
【実施例5】
【0064】
(3R)−3−メトキシテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン
段階1−
テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン:機械的撹拌器と熱電対と窒素導入口とを備えた22L容の丸底フラスコに、テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン(3.00kg,30.0mol)とトリプロピルオルトホーメート(5.0kg,30.0mol)とを充填した。移送に使用したポンプをクロロベンゼン(300mL)でフラッシし、フラッシをバッチに加えた。得られた溶液を氷浴で5℃に冷却した。脱イオン水、次いでプロパノールで予洗して乾燥したAmberlyst−15(60g)を一回で添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。これによって2(GC)の溶液が得られた。混合物を真空下(75mmHg)で濃縮した。solka flocパッドで濾過することによって固体を除去し、フィルターパッドをMTBE(2L)ですすいだ。濾液をMTBE(26L)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(24L)次いで水(2×16L)で抽出した。有機相を真空(500mmHg)下で濃縮してMTBEを除去した。内部温度が44℃に達すると、クロロベンゼン(3L)を添加した。充填カラムを使用し、約85−90℃の蒸気温度を維持する速度で蒸留を継続した。一定容量を維持するためにクロロベンゼンを定期的に添加した。合計15Lを使用した。蒸留中のバッチ温度は122−125℃に維持した。16時間後、GCアッセイは>9:1の変換率を示した。真空を50mmHgに上げ、反応物を蒸留すると、53重量%の3の溶液(3.13kg,収率73%)とクロロベンゼンとが生じた。
【0065】
段階2−
3,4−ジヒドロキシ−テトラヒドロ−2−H−ピラン−4−スルホン酸,ナトリウム塩:機械的撹拌器と窒素導入口と熱電対とを備えた50L容の丸底フラスコに、アセトン(12.7L)と水(1.28L)とを充填した。溶媒に、ヒドロキニジン−1,4−フタラジンジイルジエーテル(DHQDPHAL,54.8g,0.070mol),オスミン酸カリウム二水和物(12.95g,0.035mol)及び4−メチルモルホリンN−オキシド一水和物(NMO,1.078kg,7.74mol)を順次添加し、得られた溶液を0℃に冷却した。反応温度を約0℃に維持しながらプロピルエノールエーテル(1.85kgの54重量%溶液,7.03mol)を7時間で添加した。新しく調製したNa(802g,4.22mol)と水(5.63L)との溶液を添加し、次いで氷酢酸(1.2L)を添加した。室温で16時間熟成後、濾過によって固体を除去し、真空下で濾液を濃縮してアセトンを除去した。イソプロパノール(28L)を3.5時間で添加すると無色のスラリーが得られた。固体をフリットに集めて、イソプロパノール(6L)ですすぎ、真空オーブンで乾燥すると、958gの92重量%生成物が得られた(単離収率57%)。生成物は97.2%eeであった。
【0066】
段階3−
4,4−ジメトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−オール:機械的撹拌器と5L容の滴下漏斗と窒素導入口と熱電対とを備えた22L容の丸底フラスコに、ビスルファイト付加物(893gの92重量%固体,4.06mol)、MeOH(8.1L)及びトリメチルオルトホーメート(948g,8.93mol)を充填した。得られたスラリーを50℃に加温し、1.89MのHClを含むMeOH(2.48L,4.69mol)溶液を滴下漏斗から40分間で添加した。スラリーを7℃に冷却し、50重量%のNaOH(340mL)を徐流として添加した。固体をフリットに集め、合計12Lのトルエンを使用して濾液をトルエンに溶媒置換した。バッチを約3Lに濃縮し、次いで濾過によって固体を除去し、ケーキをTHF(2L)ですすいだ。577gの生成物を含有する溶液が得られた(5.33L中に3.56mol,収率88%,97.5%ee)。
【0067】
段階4−
(3R)−3−メトキシテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン:熱電対と窒素導入口と滴下漏斗とを備えた22L容の丸底フラスコに、6の溶液(5.33L中に3.56mol)とTHF(5.8L)とを充填した。溶液のKFは1.11molの水の存在を示す。NaOt−Bu(494g,5.14mol)を一回で添加すると、黄色透明溶液が得られた。フラスコを氷浴に浸漬させ、36℃よりも低い内部温度を維持しながらMeSO(737g,5.84mol)を20分間で添加した。冷浴を除去し、反応混合物を4時間熟成すると、粗溶液が得られた。水(1.5L)、2NのHCl(840mL)を順次添加した。2相混合物の見掛けpHは0.6であった。室温で20時間後、NaHCO(497g)を添加し、混合物をIPAc(4×5L)で抽出した。集めた有機相を濃縮し、残留固体をフリットで除去すると生成物の溶液が得られた(2.635kgの溶液中に429g、d=0.914、149g/L、収率93%、97.2%ee)。
【0068】
本発明をそのいくつかの実施態様を参考として説明及び例示したが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく手順及びプロトコルの様々な応用、変更、修正、置換、削除及び付加が可能であることを当業者は理解されるであろう。例えば、上記に示した本発明の化合物によって何らかの症状が治療されている哺乳動物の応答性に違いがあるとき、その結果として、上記の本文中に示した特定の薬用量以外の有効薬用量を使用することが可能である。また、観察された特定の薬理学的応答が、選択された個々の活性化合物に従属及び依存して異なることもあり、または、医薬担体の有無、配合物の型、使用される投与方法によって異なることもあり得る。このような想定内の変化または結果の違いは本発明の目的及び実施に合致すると考えられる。従って、本発明は、特許請求の範囲によって定義され、これらの特許請求の範囲は妥当な限り広範囲に解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

の化合物。
【請求項2】
有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を含む哺乳動物のケモカイン受容体活性の変調方法。
【請求項3】
有効量の請求項1に記載の化合物を患者に投与する段階を含む炎症性または免疫調節性の疾患または病気の治療、改善、抑制または危険低減方法。
【請求項4】
有効量の請求項1に記載の化合物を患者に投与する段階を含むリューマチ様関節炎の治療、改善、抑制または危険低減方法。
【請求項5】
インサート担体と請求項1の化合物とを含む医薬組成物。

【公表番号】特表2007−509940(P2007−509940A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538125(P2006−538125)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/035069
【国際公開番号】WO2005/044264
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】