説明

CD20結合性ポリペプチド構成物

本発明はCD20抗原、特にヒトCD20抗原と結合するポリペプチド構成物に関する。前記ポリペプチド構成物は公知の抗CD20抗体、例えば2B8又はLeu16の生物学的活性を有するが、前記非改変分子と比較したとき免疫原性の低下を示す。前記ポリペプチド構成物にはキメラ抗体、抗体フラグメント、及び抗体又は抗体フラグメントとサイトカインとの融合タンパク質が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCD20抗原と結合するポリペプチド構成物(polypeptide composition)に関する。より具体的には、本発明は、ヒトCD20抗原と結合するポリペプチド構成物及び前記構成物を使用する方法に関する。前記のようなポリペプチド構成物にはキメラ抗体、抗体フラグメント、及び抗体又は抗体フラグメントとサイトカインとの融合タンパク質が含まれる。
【背景技術】
【0002】
治療用タンパク質の有効性が前記タンパク質に対する望ましくない免疫反応によって制限される事例は多い。いくつかのマウスモノクローナル抗体がヒトの多くの症状で治療薬として有望であることが示されたが、ある種の事例では激しいヒト抗ネズミ抗体(HAMA)応答誘導のために成功しなかった(R.W. Schroff et al. (1985) Cancer Res. 45:879-885;D.L. Shawler et al. (1985) J. Immunol. 135:1530-1535)。モノクローナル抗体については、HAMA応答を軽減させるために多くの技術が開発された(WOA8909622;EPA0239400;EPA0438310;WOA9106667;EPA0699755)。一般的には、これらのリコンビナントDNAアプローチでは、最終的な抗体構築物におけるマウスの遺伝情報を減少させ、一方、最終構築物においてヒトの遺伝情報を増加させて一般的に“ヒト化”抗体と称される抗体分子が得られる。
ヒト化抗体はその大部分がヒトの免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、前記免疫グロブリンでは前記レシピエントの超可変領域残基は非ヒト種(例えばマウス、ラット、又は霊長類)由来の超可変領域残基(ドナー抗体)によって置き換えられ、この過程は時に“CDR移植”と称される。一般的には、更にヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が対応する非ヒト残基によって置き換えられ、さらにいくつかの事例では更なる抗体機能の回復のために他の置換が実施される。典型的には、ヒト化抗体は、2つの可変ドメインを含む完全な抗体分子に再構成される。前記抗体では、全ての又は実質的に全ての超可変ループは非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに一致し、さらに全ての又は実質的に全てのFR領域はヒト免疫グロブリン配列のFR領域に一致する。一般的に、ヒト化抗体はまたヒト由来の免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分を含む(Jones et al. (1986) Nature 321:522-525;Reichmann et al. (1988) Nature 332:323-329)。それにもかかわらず、いくつかの事例でヒト化抗体はなお患者で免疫応答を誘導する(J.D. Issacs (1990) Sem. Immunol. 2:449-456;P.R. Rebello et al. (1999) Transplantation 68:1417-1420)。
【0003】
免疫応答の誘導の鍵となるのは、MHCクラスII分子上での提示によるT細胞の活性化を刺激することができるペプチド(いわゆる“T細胞エピトープ”)がタンパク質内に存在することである。このようなT細胞エピトープは一般的には、MHCクラスII分子と結合する能力を有する任意のアミノ酸残基配列と定義される。暗黙の内に、“T細胞エピトープ”とは、MHC分子と結合したとき、T細胞レセプター(TCR)に認識され、さらに少なくとも原理的に、TCRと嵌合することによりこれらT細胞の活性化を惹起してT細胞応答を促進することができるエピトープを意味する。
MHCクラスII分子は、ヘルパーT細胞の選別及び活性化に中心的役割を果たす高度に多型性のタンパク質の一群である。ヒト白血球抗原グループDR(HLA-DR)は、前記タンパク質群の支配的アイソタイプであり、アイソタイプHLA-DQ及びHLA-DPは類似の機能を果たす。ヒトの集団では、個体は2つから4つのDR対立遺伝子、2つのDQ及び2つのDP対立遺伝子を有する。多数のDR分子の構造が解析されており、これらは、多数の疎水性ポケット(ペプチドの疎水性残基(ポケット残基)と結合する)を有する末端開放性ペプチド結合溝として出現する(Brown et al. (1993) Nature 364:33;Stern et al. (1994) Nature 368:215)。クラスII分子の種々のアロタイプを特定する多型性は、ペプチド結合溝内に存在するペプチドに対する種々の結合表面の広い多様性に寄与し、さらに集団レベルでは、外来タンパク質を認識する能力に関して最大の融通性を担保し、病原生物に対する免疫応答に備える。
【0004】
治療用タンパク質に対する免疫応答は、MHCクラスIIペプチド提示経路により進行する。外因性タンパク質はこれに巻き込まれ、DR、DQ又はDPタイプのMHCクラスII分子と会合した提示のためにプロセッシングされる。MHCクラスII分子は専門的抗原提示細胞(APC)(とりわけ例えばマクロファージ及び樹状細胞)によって発現される。T細胞表面上の同系T細胞レセプターおよび他のある種の補助レセプター(例えばCD4分子)のクロス結合によるMHCクラスIIペプチド複合体の嵌合はT細胞内で活性化状態を誘導する。活性化はサイトカインの遊離をもたらし、さらに抗体の産生のために他のリンパ球(例えばB細胞)を活性化させ又は完全な細胞性免疫応答としてTキラー細胞を活性化させる。
T細胞エピトープの特定はエピトープ除去の最初の工程である。同定されたエピトープは慎重なアミノ酸置換又は他の改変手法によって除去することができる。前記のようなアプローチはWO98/52976及びWO00/34317で認識されている。後者の事例では、ヒトMHCクラスIIDRアロタイプのサブセットと結合する潜在能力を有するポリペプチド配列を特定する手段としてコンピュータスレッディング技術が開示され、予想されるT細胞エピトープが問題のタンパク質内のアミノ酸置換によって除去される。
原理的に治療的価値があるが、本来的に免疫原性ペプチドであるペプチド又はタンパク質のT細胞エピトープを同定しこれを除去する(又は少なくとも減少させる)ことは望ましいであろう。これら治療的に価値がある分子の1つは、ヒトB細胞抗原CD20に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体である。本発明の好ましいモノクローナル抗体は抗体2B8及びLeu16の改変形である。抗体2B8は米国特許第5,736,137号に開示されている(前記文献は参照により本明細書に含まれる)。抗体Leu16はWuらの論文(Protein Engineering (2000) 14:1025-1033)に記載されている(前記文献は引用により本明細書に含まれる)。
【0005】
CD20は、35,000ダルトンの非グリコシル化リンタンパク質で、典型的にはヒトBリンパ球拘束分化抗原Bp35Bと称される。このタンパク質は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の90%以上を構成する前-B細胞および成熟B細胞上で発現される高度に細胞特異的な細胞表面分子である。CD20を標的とするモノクローナル抗体及び放射性免疫共役物はNHLのための新規な治療として台頭してきた。もっとも重要な例には本発明の親抗体(すなわちモノクローナル抗体2B8)が含まれる(M.E. Reff et al. (1994) Blood 83:435-445)。2B8の可変領域ドメインがクローニングされておりヒトの定常領域ドメインと結合させ、C2B8と称されるキメラ抗体が作製されている。この抗体はRITUXAN(商標)(リツキサン)として米国で、又はMABTHERA(登録商標)(マブセラ)(rituximab(リツキシマブ))としてヨーロッパで市販されている。C2B8は、NHL及び他のB細胞疾患の治療に重要な治療物質として認識されている(D.G. Maloney et al. (1997) J. Clin. Oncol. 15:3266-3274;D.G. Maloney et al. (1997) Blood 90:2188-2195)。
抗CD20治療薬のまた別の例は、米国特許第6,090,365号に記載の抗体B1によって提供される。この抗体もNHL治療物質として使用するために登録されたが、この事例ではこの分子(BEXXAR(商標))は131I放射性免疫共役物である。天然のB1(非共役)抗体は、リンパ腫及び難治性白血病の自家骨髄移植療法のためのex vivoパージ処置で有用である(A.S. Freedman et al. (1990) J. Clin. Oncol. 8:784)。
C2B8(リツキシマブ)及びBEXXAR(商標)のような抗体の成功にもかかわらず、強化された特性を有する抗CD-20類似体が引き続き必要とされている。ヒトに投与したときにin vivoにおける性質の強化が特に要求される。これに関して、ヒトで免疫応答を誘導する潜在的能力が低いか又は存在しない抗CD20を提供することが強く所望される。このようなタンパク質はヒトの体内で循環時間の延長を示し、抗CD20分子の治療的使用の場合のように長期的な使用環境で特に有益であろう。本発明は、in vivoで強化された特性を示す改変抗CD20抗体を提供する。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明は、CD20抗原(好ましくはヒトCD20抗原)と結合するポリペプチド構成物を提供する。本CD20構成物は、1つ又は2つ以上の抗CD20重鎖及び/又は軽鎖可変領域ポリペプチドセグメント(polypeptide segment)を含む。前記セグメントは、抗CD20抗体2B8の重鎖可変領域(Vh)の改変形、抗CD20抗体2B8の軽鎖可変領域(Vk)の改変形、抗CD20抗体Leu16の重鎖可変領域(Vh)の改変形及び抗CD20抗体Leu16の軽鎖可変領域(Vk)の改変形からなる群から選択されるポリペプチドであり得る。前記改変Vh及びVkポリペプチドは、2B8及びLeu16の天然のVh及びVkとは前記抗体のVh及び/又はVk領域の天然の配列中の1つ又は2つ以上のアミノ酸残基置換によって相違する。Vh及びVkポリペプチド中の前記アミノ酸残基置換は、天然の2B8及びLeu16抗体のVh又はVk領域の免疫原性と比較してより低レベルの免疫原性を本発明のCD20結合性構成物にもたらす。
本発明のCD20結合性構成物は、配列番号:1(2B8抗体のVh)のアミノ酸残基配列を有するが、ただしV12K、A14P、M20V、I48T、A68T、Q82E、T87R、S91T及びT106Wからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基置換を配列番号:1中に含むポリペプチド;配列番号:4(2B8抗体のVk)のアミノ酸残基配列を有するが、ただしL11I、S12T、S27T、V29A、G40T、V59S、S69T、L72M、R76S及びV77Lからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基置換を配列番号:4中に含むポリペプチド;配列番号:9(Leu16抗体のVh)のアミノ酸残基配列を有するが、ただしV12K、M20V、A68T、Q82E、T87R、S91T、D93V及びA114Tからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基置換を配列番号:9中に含むポリペプチド;及び配列番号:11(Leu16抗体のVk)のアミノ酸残基配列を有するが、ただしL11I、S12T、A59S、S69T、L72M、R76S及びV77Lからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基置換を配列番号:11中に含むポリペプチドからなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチドセグメントを含む。
【0007】
本明細書及び添付の請求の範囲で用いられるように、アミノ酸残基置換は、配列中の天然のアミノ酸残基のための単一文字コード、その後に前記残基の位置番号(下付文字)、その後に前記天然のアミノ酸と置換されるアミノ酸残基の単一文字コードを挙げることによって示される。したがって、配列番号:4における置換L11Iは、配列番号:4の11位(N-末端から番号付与)のロイシン残基(L)がイソロイシン(I)によって置き換えられている(すなわち置換される)ことを意味する。
好ましくは、本発明のCD20結合性ポリペプチド構成物は、モノクローナル抗体2B8又はLeu16のヒトCD20結合親和性とほぼ等しいか又は前記より強いヒトCD20抗原に対する結合親和性を有する。
本発明の好ましい実施態様は、ポリペプチドセグメント例えば、本明細書でVhCと称される重鎖(配列番号:2:QVQLQQPGAELKKPGASVKVSCKASGYTFTSYNMHWVKQTPGRGLEWTGAIYPGNGDTSYNQKFKGKTTLTADKSSSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSTYYGGDWYFNVWGAGTTVTVSAのアミノ酸残基配列を含む);
本明細書でVhDと称されるモノクローナル抗体V-領域重鎖(配列番号:3:QVQLQQPGAELKKPGASVKVSCKASGYTFTSYNMHWVKQTPGRGLEWIGAIYPGNGDTSYNQKFKGKTTLTADKSSSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSTYYGGDWYFNVWGAGTTVTVSAのアミノ酸残基配列を含む);及び
本明細書でVhYと称されるモノクローナル抗体V-領域重鎖(配列番号:10:EVQLQQSGAELKKPGASVKVSCKASGYTFTSYNMHWVKQTPGQGLEWIGAIYPGNGDTSYNQKFKGKTTLTADKSSSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSNYYGSSYWFFDVWGTGTTVTVSSのアミノ酸残基配列を含む)を含む。
【0008】
本発明の他の好ましい実施態様は、ポリペプチドセグメント例えば、本明細書でVkAと称されるモノクローナル抗体V-領域軽鎖(配列番号:5:QIVLSQSPAIITASPGEKVTMTCRASTSASYIHWFQQKPTSSPKPWIYATSNLASGVPSRFSGSGSGTTYSMTISSLEAEDAATYYCQQWTSNPPTFGGGTKLEIKのアミノ酸残基配列を含む);
本明細書でVkBと称されるモノクローナル抗体V-領域軽鎖(配列番号:6:QIVLSQSPAIITASPGEKVTMTCRASTSVSYIHWFQQKPTSSPKPWIYATSNLASGVPSRFSGSGSGTTYSMTISSLEAEDAATYYCQQWTSNPPTFGGGTKLEIKのアミノ酸残基配列を含む);
本明細書でVkCと称されるモノクローナル抗体V-領域軽鎖(配列番号:7:QIVLSQSPAIITASPGEKVTMTCRASTSVSYIHWFQQKPGSSPKPWIYATSNLASGVPSRFSGSGSGTTYSMTISSLEAEDAATYYCQQWTSNPPTFGGGTKLEIKのアミノ酸残基配列を含む);
本明細書でVkDと称されるモノクローナル抗体V-領域軽鎖(配列番号:8:QIVLSQSPAIITASPGEKVTMTCRASSSVSYIHWFQQKPGSSPKPWIYATSNLASGVPSRFSGSGSGTTYSMTISSLEAEDAATYYCQQWTSNPPTFGGGTKLEIKのアミノ酸残基配列を含む);及び
本明細書でVkZと称されるモノクローナル抗体V-領域軽鎖(配列番号:12:DIVLTQSPAIITASPGEKVTMTCRASSSVNYMDWYQKKPGSSPKPWIYATSNLASGVPSRFSGSGSGTTYSMTISSLEAEDAATYYCQQWSFNPPTFGGGTKLEIKのアミノ酸残基配列を含む)を含む。
【0009】
本発明は、ヒトのCD20陽性B細胞疾患の治療に潜在的治療能力を有するポリペプチド構成物を提供する。本発明のCD20結合性ポリペプチド構成物は、無傷の抗体、Fabフラグメント、又は全抗体及びサイトカインを含む融合タンパク質、抗体フラグメント及びサイトカインの融合タンパク質の形態、又はCD20抗原と結合する他の任意の他の形態を有することができる。
本発明のCD20結合性ポリペプチド構成物は、好ましくは重鎖(Vh)抗CD20抗体可変領域及び軽鎖(Vk)抗CD20抗体可変領域(前記は一緒にCD20抗原と結合する)の組合せを含む。Vh/Vkの組合せは、無傷の抗体、Fabフラグメント、又は全抗体及びサイトカインを含む融合タンパク質、抗体フラグメント及びサイトカインの融合タンパク質、又はCD20抗原と結合する他の任意の他の形態として構成することができる。他の好ましい実施態様では、V領域はポリペプチド骨格により互いに結合される。
【0010】
好ましくは、本発明のCD20結合性ポリペプチド構成物は、無傷の抗体(軽鎖定常領域及び重鎖CH1、CH2及びCH3ドメインを含む)として構成されたVh及びVkポリペプチドを含む。あるいは、Vh及び/又はVkポリペプチドは、Fabフラグメント、又はCH3ドメインを有するがCH2ドメインを欠く“ミニボディ”として構成できる(例えば以下を参照されたい:Wu et al. US 5,837,821)。あるいは、Vh及びVkポリペプチドはリンカーを介して互いに結合して“単鎖Fv”抗体分子を形成することができる。好ましいある一組の実施態様では、ヒト定常領域はCD20結合Vh及びVkポリペプチドと結合される。このような定常領域はIgA、IgD、IgM、IgE又は、IgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4型免疫グロブリンに由来するものを含む。CH2ドメインがCD20結合性ポリペプチド構成物に含まれる場合、ヒトIgGドメイン(例えばIgG1 CH2ドメイン)を含むのが好ましい。他の好ましい実施態様は、IgG CH2ドメインに見出されるN結合オリゴ糖グリコシル化部位を欠く。N結合グリコシル化部位の欠落は、好ましくは関連するアスパラギン、セリン若しくはスレオニン、又は近傍アミノ酸残基の変異によって操作するか、又はCH2含有タンパク質のPNGアーゼFで処理して前記オリゴ糖を除去することによる。
【0011】
Vh及びVk領域の好ましい組合せには、重鎖V領域VhC(配列番号:2)及び軽鎖VkA(配列番号:5)を含むポリペプチド構成物;重鎖V領域VhC(配列番号:2)及び軽鎖V領域VkB(配列番号:6)を含むポリペプチド構成物;重鎖V領域VhC(配列番号:2)及び軽鎖V領域VkC(配列番号:7)を含むポリペプチド構成物;重鎖V領域VhC(配列番号:2)及び軽鎖V領域VkD(配列番号:8)を含むポリペプチド構成物;重鎖V領域VhD(配列番号:3)及び軽鎖V-領域VkB(配列番号:6)を含むポリペプチド構成物;重鎖V領域VhD(配列番号:3)及び軽鎖V領域VkD(配列番号:8)を含むポリペプチド構成物;重鎖V領域VhY(配列番号:10)及び軽鎖V領域VkZ(配列番号:12)を含むポリペプチド構成物が含まれる。
本発明のある好ましいポリペプチド構成物は抗体2B8のV領域重鎖(配列番号:1)を含み、前記は、V12K、A14P、M20V、I48T、A68T、Q82E、T87R、S91T及びT106Wからなる群から選択される1つ又は2つ以上のアミノ酸残基置換を配列番号:1中に含む。
別の好ましいポリペプチド構成物は抗体2B8のV領域軽鎖を含み、前記は改変されて、L11I、S12T、S27T、V29A、G40T、V59S、S69T、L72M、R76S及びV77Lからなる群から選択される1つ又は2つ以上のアミノ酸残基置換を配列番号:4中に含む。図16は好ましいアミノ酸残基置換の位置を太字の書体で示している。
本発明のまた別の好ましいCD20結合性ポリペプチド構成物は抗体Leu16のV領域重鎖(Vh)(配列番号:9)を含み、前記は改変されてV12K、M20V、A68T、Q82E、T87R、S91T、D93V及びA114Tからなる群から選択される1つ又は2つ以上の置換を配列番号:9中に含む。
本発明のさらに又別の好ましいポリペプチド構成物は、抗体Leu16のV領域軽鎖(Vk)(配列番号:11)を含み、前記は改変されてL11I、S12T、A59S、S69T、L72M、R76S及びV77Lからなる群から選択される1つ又は2つ以上のアミノ酸残基置換を配列番号:11中に含む。図16は好ましいアミノ酸残基置換の位置を太字の書体で示している。
【0012】
本発明のCD20結合性ポリペプチド構成物はまた、1つ又は2つ以上の抗CD20抗体重鎖V領域を有する構成物を含み、前記領域は以下からなる群から選択されるポリペプチドセグメントを含む:SGAELKKPGAS(配列番号:15)、VSCKASGYT(配列番号:16)、LEWTGAIY(配列番号:17)、YNQKFKGKT(配列番号:18)、FKGKTTLTA(配列番号:19)、YMELSSLRS(配列番号:20)、SSLRSEDTAV(配列番号:21)及びDWGTGTTVT(配列番号:22)。
同様に、本発明のCD20結合性ポリペプチド構成物はまた、1つ又は2つ以上の抗CD20抗体軽鎖V領域を有する構成物を含み、前記領域は以下からなる群から選択されるポリペプチドセグメントを含む:IITASPGEKV(配列番号:23)、CRASTSASY(配列番号:24)、QQKPTSSP(配列番号:25)、LASGVPSRF(配列番号:26)、FSGSGSGTT(配列番号:27)及びYSMTISSLE(配列番号:28)。
前記V領域重鎖及び軽鎖は、例えば無傷の抗体、抗体フラグメント、抗体とサイトカインとの融合タンパク質、抗体フラグメント-サイトカイン融合タンパク質、Fab分子、単鎖Fv分子及びミニボディとして構成することができる。好ましくは、前記CD20結合構成物は無傷の抗体として、より好ましくはIgG重鎖定常領域アイソタイプを含むヒト定常領域を有する抗体として、もっとも好ましくはIgG1重鎖定常領域を含み、さらに完全なエフェクター機能、例えば抗体依存、細胞媒介細胞傷害性を有する抗体として構成される。
【0013】
また別の好ましい実施態様では、CD20結合構成物は、抗体-サイトカイン融合タンパク質、好ましくはアイソタイプIgG1を有するヒト定常領域を含み、さらに完全なエフェクター機能、例えば抗体依存、細胞媒介細胞傷害性を有する融合タンパク質として構成される。前記のような好ましい抗体-サイトカイン融合タンパク質では、インターロイキン(例えばインターロイキン-2(IL-2)、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16及びIL-18)、造血因子、例えば顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、エリスロポエチン、腫瘍壊死因子(TNF)(例えばTNF-アルファ)、リンホカイン(例えばリンホトキシン)、代謝過程調節因子(例えばレプチン)、インターフェロン(例えばインターフェロンアルファ及びインターフェロンガンマ)又はケモカインを含むことは有用である。好ましくは、本発明の抗体-サイトカイン融合タンパク質は、サイトカインの生物学的活性(例えば免疫細胞(例えばT細胞又はB細胞)の刺激)を示す。
本発明のポリペプチド構成物は多くの有用な生物学的特性を有する。前記特性には、ヒトB細胞に結合する能力、CD20抗原と結合する能力、抗体Leu16、2B8又は1H4と比較して低い免疫応答能力及びB細胞増殖性疾患(例えば白血病、リンパ腫、慢性関節リウマチ及び他の自己免疫疾患)に対する活性が含まれる。本発明のCD20結合性ポリペプチド構成物の診断的使用もまた意図される。その場合には、本構成物は完全長抗体、抗体フラグメント(例えばF(ab')2)、放射能標識抗体、固定抗体、又は異種化合物と共役させた抗体であり得る。このような診断方法を用いてCD20提示細胞の検出、CD20提示細胞の精製又は分離などを実施することができる。
本発明ではまた、上記で定義したCD20結合構成物を医薬的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤とともに含む医薬組成物が、前記ポリペプチド構成物を製造する方法と同様に提供される。
【0014】
(発明の詳細な説明)
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、“ポリペプチド構成物”という用語およびこの語の文法的な変化形は、単鎖ポリペプチドとともに、互いに化学的に、例えば1つの鎖のシステイン残基と別の鎖のシステイン残基との間の1つ又は2つ以上のジスルフィド結合によって、エステル結合によって、アミド結合によって又は任意の他の適切な結合によって結合されたマルチ鎖ポリペプチドを指す。
CD20結合性ポリペプチド構成物は、以下からなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチドセグメントを含む:配列番号:1のアミノ酸残基配列を有するが、V12K、A14P、M20V、I48T、A68T、Q82E、T87R、S91T及びT106Wからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基置換を配列番号:1中に含む改変重鎖可変領域ポリペプチド(Vh);配列番号:4のアミノ酸残基配列を有するが、L11I、S12T、S27T、V29A、G40T、V59S、S69T、L72M、R76S及びV77Lからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基置換を配列番号:4中に含む改変軽鎖可変領域ポリペプチド(Vk);配列番号:9のアミノ酸残基配列を有するが、V12K、M20V、A68T、Q82E、T87R、S91T、D93V及びA114Tからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基置換を配列番号:9中に含む改変Vh;及び配列番号:11のアミノ酸残基配列を有するが、L11I、S12T、A59S、S69T、L72M、R76S及びV77Lからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基置換を配列番号:11中に含む改変Vk。
好ましくは、前記CD20結合性ポリペプチド構成物は、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:15及び配列番号:28からなる群から選択されるアミノ酸残基配列を有する、少なくとも1つのポリペプチドセグメントを含む。
【0015】
好ましい実施態様では、CD20結合性ポリペプチド構成物は、改変重鎖可変領域ポリペプチド及び改変軽鎖可変領域ポリペプチドを含む。より好ましくは、CD20結合性ポリペプチド構成物はキメラ抗体の形態を有し、さらにまたヒト重鎖定常領域及びヒト軽鎖定常領域を含む。好ましくは、前記ヒト重鎖定常領域はIgG定常領域、より好ましくはIgG1定常領域である。前記ヒト軽鎖定常領域は、好ましくはヒトカッパ軽鎖定常領域である。本発明のCD20結合性ポリペプチド構成物のまた別の好ましい実施態様は、上記で述べたように、サイトカインと融合した改変重鎖又は軽鎖可変領域セグメントを含むポリペプチド構成物を含む融合タンパク質である。好ましくは、前記サイトカインはIL2である。
本発明のCD20結合性ポリペプチド構成物のまた別の好ましい実施態様は、抗体分子、例えばFab抗体フラグメント、単鎖Fv抗体フラグメント又はミニボディであり、上記で述べた少なくとも1つの改変Vh又は改変Vkセグメントを含む。
特に好ましいCD20結合性ポリペプチド構成物は、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:10からなる群から選択されるアミノ酸残基配列を有する少なくとも1つのVhポリペプチドセグメントを含む。
特に好ましいまた別のCD20結合性ポリペプチド構成物は、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8及び配列番号:12からなる群から選択されるアミノ酸残基配列を有する少なくとも1つのVkポリペプチドセグメントを含む。
より好ましくは、CD20結合性ポリペプチド構成物は、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:10からなる群から選択されるアミノ酸残基配列を有するVhポリペプチドセグメント;及び配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8及び配列番号:12からなる群から選択されるアミノ酸残基配列を有するVkポリペプチドセグメントを含む。
【0016】
他の好ましい本発明のCD20結合性ポリペプチド構成物は、以下からなる群から選択される改変Vh及び改変Vkセグメントの組合せを含む:
(a)配列番号:2のアミノ酸残基配列を有するVhセグメント及び配列番号:5のアミノ酸残基配列を有するVkセグメント;
(b)配列番号:2のアミノ酸残基配列を有するVhセグメント及び配列番号:6のアミノ酸残基配列を有するVkセグメント;
(c)配列番号:2のアミノ酸残基配列を有するVhセグメント及び配列番号:7のアミノ酸残基配列を有するVkセグメント;
(d)配列番号:2のアミノ酸残基配列を有するVhセグメント及び配列番号:8のアミノ酸残基配列を有するVkセグメント;
(e)配列番号:3のアミノ酸残基配列を有するVhセグメント及び配列番号:6のアミノ酸残基配列を有するVkセグメント;
(f)配列番号:3のアミノ酸残基配列を有するVhセグメント及び配列番号:8のアミノ酸残基配列を有するVkセグメント;
(g)配列番号:10のアミノ酸残基配列を有するVhセグメント及び配列番号:12のアミノ酸残基配列を有するVkセグメント。
本発明のまた別の特徴は、本発明のCD20結合性ポリペプチド構成物を医薬的に許容できる担体、賦形剤、希釈剤とともに含む医薬組成物である。本医薬組成物は、さらにまた別の薬理学的に有効な薬剤を含むことができる。
【0017】
開示の配列は、本明細書で“親”抗体として参照されるマウスモノクローナル抗体2B8及びLeu16のV領域配列の分析から導かれている。前記モノクローナル抗体は、米国特許第5,736,137号、同5,776,456号、同6,399,061号、同6,455,043号及び外国の等価文献、並びにWuらの文献(Protein Engineering (2000) 14:1025-1033)とその中に引用されている参考文献において、それらの有用なin vitro及びin vivoタンパク質に関して完全に開示されている。
前記のように実施された配列分析は、ヒトでMHCクラスIIリガンドとして作用し、したがってT細胞エピトープとして機能することができる配列内に含まれているペプチドの同定のためであった。本発明の目的は親抗体の改良型を提供することである。したがって、潜在的なMHCクラスIIエピトープの位置を知ることは操作プロセスの重要な最初の工程である。エピトープの同定は、WO02/069232(前記文献は参照により本明細書に含まれる)で詳細に説明されたスキームにしたがってコンピュータにより実施された。この最初の工程に続いて、驚くべきことに本発明者らは、前記親抗体における所望の改変の実施に関していくつかの異なる基準を包括的に満たすアミノ酸置換の組を発見した。
親抗体のV領域内の置換セットは、MHCクラスIIリガンド数が減少した、したがってT細胞エピトープとして作用する傾向が低下したポリペプチド配列を生じさせる。同様に、前記置換セットは、親抗体の構造及び機能的特性を維持するポリペプチド配列をもたらし、さらにこのことは、宿主細胞内で維持され安定的に発現されること、及び特に重要なことにはヒトCD20抗原と(特にヒトB細胞とin vitroで)結合するポリペプチドの能力の維持という特に所望される二元的特性に関しても事実である。
【0018】
2B8及びLeu16のVh及びVkアミノ酸残基配列は、抗CD20抗体B1と同様に極めて類似している(それらは別個の起源を有するが)ということは注目に値する。理論に拘束されないが、本発明の考え方は以下のとおりである。ヒトCD20の配列CEPANPSEKNSPSTQYC(配列番号:29)(CD20の短い細胞外ペプチドの部分であり、この部分にはおそらくジスルフィド結合を形成するシステインがフランキングしている)は、マウスのCD20の配列CEPSNSSEKNSPSTQYC(配列番号:38)と一致する。マウスNSS配列はおそらくN-結合グリコシル化部位であり、一方、ヒトの対応するNPS配列はおそらくN-結合グリコシル化部位ではない。マウスとヒトCD20配列間のこの相違は、マウスの免疫系という観点から、ヒト配列におけるエピトープを明らかにするであろう。したがってヒトCD20に対して作製されたマウス抗体の全てを、極めて限定されたエピトープの認識のために選別することが可能で、これを実施するために最適なマウスV領域が存在するであろう。
本発明はしたがって、ヒトCD20の認識のために重要である、免疫原性が低下したコンセンサスV領域配列の組を提供する。例えば重鎖では、本発明の改変重鎖中の配列セグメントVSCKASGYT(配列番号:16)は、CD20と結合する抗体として有用である。特に前記セグメントは、2B8 及びLeu16由来の対応するセグメントMSCKASGYT(配列番号:30)より免疫原性が低い。同様に、配列YNQKFKGKT (配列番号:18)、FKGKTTLTA(配列番号:19)及びYMELSSLRS(配列番号:20)はCD20抗体との関連で有用であり、親の2B8 及びLeu16抗体で見出される対応する配列、YNQKFKGKA(配列番号:31)、FKGKATLTA(配列番号:32)及びYMQLSSLRS(配列番号:33)よりも免疫原性が低い。
軽鎖を考えると、本発明の改変軽鎖中の配列セグメントIITASPGEKV(配列番号:23)はCD20と結合する抗体として有用である。特に前記セグメントは、親の2B8 及びLeu16由来の対応するセグメントILSASPGEKV(配列番号:34)より免疫原性が低い。同様に、配列LASGVPSRF(配列番号:26)、FSGSGSGTT(配列番号:27)及びYSMTISSLE(配列番号:28)はCD20抗体との関連で有用であり、親の2B8 及びLeu16抗体で見出される対応する配列、LASGVPVARF(配列番号:35)、FSGSGSGTS(配列番号:36)及びYSLTISRVE(配列番号:37)よりも免疫原性が低い。
【0019】
本明細書及び添付の請求の範囲において、“実質的に非免疫原性”又は“免疫原性潜在能力が低下”という場合、対応する抗体又は“親”抗体(すなわち非改変ネズミ又はキメラモノクローナル抗体、例えば2B8又はLeu16)と比較した免疫原性の低下が含まれる。用語“免疫原性”には、宿主動物、特に宿主動物がヒトである場合に、液性および/又はT-細胞媒介応答を惹起若しくは誘導する、または容易にする能力が含まれる。
“抗体分子”という用語は、完全な抗体を含む、抗原と合体するか、相互作用するか又は結合することができる免疫グロブリンファミリーのポリペプチドをいう。
“抗原”という用語は、本明細書では抗体分子と相互作用することができる物質を指し、本発明との関係ではCD20であることを意味する。本発明のCD20はヒトのCD20又は抗体2B8に対する抗原を提示する任意のCD20である。CD20は可溶性CD20誘導体であっても膜結合CD20であってもよい。
“免疫グロブリン”という用語は、本明細書では実質的に免疫グロブリンによってコードされる1つ又は2つ以上のポリペプチドからなるタンパク質を指すために用いられる。認知されている免疫グロブリン遺伝子にはIgG1、IgG2、IgG3、IgG4定常領域遺伝子及び天然では多数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。天然の免疫グロブリンのある形態は2組の同一対(各対は1本の軽鎖及び1本の重鎖を有する)を含むテトラマーである。各対において、重鎖及び軽鎖可変領域は一緒になって抗原と相互作用することができる結合表面を提供する。Vhという用語は本明細書において重鎖可変領域を指すために用いられ、さらにVkという用語は本明細書において軽鎖可変領域を指すために用いられる。本事例では、多数のモノクローナル抗体に関して共通して軽鎖はカッパ(κ)型鎖である。
V領域は、“相補性決定領域”又は“CDR”由来のアミノ酸残基を含む(すなわち、Kabatら(Kabat et al. Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md (1991)によって定義されたとおり、軽鎖可変ドメインではアミノ酸残基約24−34(L1)、50−56(L2)及び89−97(L3)、重鎖可変ドメインではアミノ酸残基約31−35(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3))。CDRのまた別の定義は、当技術分野では例えばChothia(Chothia & Lesk (1987) J. Mol. Biol. 196:901-917)のスキームにしたがって認定される。この場合には、CDRは、軽鎖ではアミノ酸残基約26−32(L1)、50−52(L2)及び91−96(L3)、重鎖ではアミノ酸残基約26−32(H1)、53−55(H2)及び96−101(H3)で見出される。“フレームワーク”又は“FR”残基は、本明細書で定義したCDR残基以外のV領域残基である。
【0020】
本明細書において、Vhは長さが約110から125アミノ酸残基であるポリペプチドを指し、その配列は本明細書において特定したVh鎖のいずれかに一致し、Vkと一緒になってヒトCD20と結合することができる。同様に、Vkは長さが約95から130アミノ酸残基であるポリペプチドを指し、その配列は本明細書の特定のVk鎖のいずれかに一致し、Vhと一緒になってヒトCD20と結合することができる。完全長の免疫グロブリン重鎖は約50kDaの分子量で、N-末端のVh遺伝子及びC-末端の定常領域遺伝子の1つによってコードされる。同様に、完全長の軽鎖は約25kDaの分子量で、N-末端のV領域遺伝子及びC-末端の定常領域遺伝子によってコードされる。
完全な抗体(テトラマー)の他に、免疫グロブリンは、組換えDNA技術又はタンパク質生化学の応用によって誘導される多数の他の形態で存在することができる。これらの形態には、例えばFv、Fab、Fab'及び(Fab)2分子が含まれ、前記は全て本発明の任意のVh又はVk配列を含むことができよう。さらに別の例には“二重特異性”抗体が含まれ、前記は、本発明のVh/Vk組合せと異なる抗原特異性を有する第二のVh/Vk組合せとが組み合わされたものを含む。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる“T細胞エピトープ”は、MHCクラスIIと結合する能力を有し、T細胞を刺激及び/又はMHCクラスIIとの複合体の状態でT細胞と結合する(必ずしもT細胞の測定可能な活性化を必要としない)能力を有するアミノ酸配列を指す。
【0021】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられるように、“ペプチド”という用語は2つ又は3つ以上のアミノ酸残基を含む化合物である。アミノ酸残基はペプチド結合(以下で定義される)によって結合される。ペプチドの生物学的な生成に必要なそれぞれ別個の20個の一般的な天然に存在するアミノ酸が有り、任意の数のそれらアミノ酸が任意の順序で連結されてペプチド鎖又はペプチド環が形成される。生物学的なペプチド生成に利用される天然に存在するアミノ酸は全てL-立体配置を有する。合成ペプチドもまた通常の合成方法を利用し、L-アミノ酸だけでなくD-アミノ酸又は前記2種の異なる立体配置のアミノ酸の種々の組合せを用いて製造することができる。いくつかのペプチドは数個のアミノ酸残基を含むだけである。短いペプチド(すなわち10未満のアミノ酸残基を有する)は時に“オリゴペプチド”と称される。他のペプチドは多くのアミノ酸残基(例えば100又はそれより多い)を含み、“ポリペプチド”と称される。
慣行では、“ポリペプチド”は3つ又は4つ以上のアミノ酸残基を含む任意のペプチドと解され、一方、“オリゴペプチド”は通常特定のタイプの“短い”ポリペプチドと考えられる。したがって本明細書で用いられるように、“ポリペプチド”という場合はいずれもオリゴペプチドもまた含まれると理解される。さらにまた、“ペプチド”という場合はいずれもポリペプチド、オリゴペプチド及びタンパク質を含む。アミノ酸残基の種々の編成によってそれぞれ種々のポリペプチド又はタンパク質が形成される。形成されるポリペプチドの数、したがって個々のタンパク質の数は実際には無限である。
“ペプチド構成物”という用語は、抗CD20抗体、好ましくは2B8及びLeu16に由来する少なくとも1つのポリペプチドを含む構成物を意味する。ポリペプチドは単鎖(例えば重鎖若しくはその部分、軽鎖若しくはその部分、又は単鎖Fv)として、又はダイマー型として存在することできる。前記ダイマー型は完全抗体、Fabフラグメント、ミニボディ、又は任意の二鎖分子(この場合単鎖が単なる化学的結合によって連結される)であり得る。この構成物は、化学的結合又はシステイン結合によって連結されていないいくつかの単鎖ポリペプチドのみを含んでもよい。
【0022】
本発明はまた、少なくとも1つのアミノ酸残基が抗体分子のV領域内の位置で置換され、1つ又は2つ以上の潜在的なT細胞エピトープの活性が実質的に低下している、又は前記エピトープが前記タンパク質から除去された抗CD20モノクローナル抗体に関する。アミノ酸の改変(例えば置換)が親分子のもっとも免疫原性が強い領域内で実施される改変抗体分子を提供することがもっとも好ましい。本発明の主要な好ましい実施態様は、MHCアロタイプの結合性が除去されるか、又はペプチドが結合することができるMHCアロタイプの数が減少するように、MHCクラスIIリガンドのいずれかが変異した改変抗体分子を含む。T細胞エピトープの除去のためには、予想されるペプチド配列内の適切な点でアミノ酸置換が実施され、T細胞エピトープの活性の実質的な低下又は消失が達成される。実際には、適切な点は、MHCクラスII結合溝内に提供されるポケットの一つの内部のアミノ酸残基結合と一致するであろう。
前記ペプチドのいわゆるP1又はP1アンカー位置にある開裂部の第一のポケット内の結合性を変異させることがもっとも好ましい。前記ペプチドのP1アンカー残基とMHCクラスII結合溝の第一のポケットとの間の結合相互作用の質は、ペプチド全体の総体的結合親和性の主要な決定要因であると認識されている。ペプチドのこの位置における適切な置換は、前記ポケット内での適合性がより低い残基への置換、例えばより疎水性の残基への置換である。MHC結合開裂部内の他のポケット領域内の結合と等価な位置に存在するペプチドのアミノ酸残基もまた考慮され、本発明の範囲内に包含される。
ある潜在的なT細胞エピトープ内の単一のアミノ酸置換が、エピトープが除去されるもっとも好ましい道であることは理解されよう。単一のエピトープ内の置換の組合せも意図され、例えば個々の特定されたエピトープが互いにオーバーラップする場合には特に好ましいかもしれない。さらにまた、あるエピトープ内の単一のアミノ酸置換又は単一のエピトープ内の組合せ置換は、MHCクラスII結合溝に関して“ポケット残基”と等価でない、前記ペプチド配列内の任意の位置で実施してもよい。前記のような全ての置換が本発明の範囲内に包含される。
【0023】
本発明の改変抗体分子の重要で意義のある特色は、それらが非改変親抗体の機能的活性を保持しているということである。したがって、親の非改変抗体の治療的有効性に付随する有益な技術的特色の全てを示す改変抗体又は改変抗体分子を製造することが特に望ましい。これは、本発明の意図された有用性、すなわちヒトの多数の重要な疾患(特にB細胞リンパ腫及び他のB細胞媒介病的変化を含む)において治療的有効性を有する組成物の提供にとって適切である。そのような治療薬は本発明の好ましい実施態様である。
したがって、本発明の改変抗体分子は、親抗体が示す親和性と同様な親和性をその標的抗原に対して示す。したがって前記抗体分子はCD20陽性ヒトB細胞を認識する。親分子の治療的有効性は、抗体依存-細胞傷害性(ADCC)を誘導する抗体の能力によって媒介されると考えられる。この活性にとって決定的なものは、抗体の定常領域(すなわちFcドメイン)のヒト血清補体成分C1qと結合する能力である。ADCC及びC1q結合は完全な抗体分子の定常領域ドメインによって仲介され、本発明はADCC誘導に適合するヒトFcを含む抗体分子全体の作製を意図している。そのような定常領域は、最も好ましくはヒトカッパ軽鎖(例えばKm3)と組み合わされたIgG1重鎖である。
本発明が改変抗CD20抗体分子に関する限りにおいて、改変抗体又は改変抗体フラグメントを含む構成物及び関連構成物は本発明の範囲内にある。したがって、本発明は、例えばFv、Fab、Fab'及びF(ab')2フラグメントを含む抗体フラグメントの使用及び作製を含む。前記のようなフラグメントは標準的な方法(例えば:Coligan et al. Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons 1991-1997)によって作製することができる。本発明はまた、当業界で周知の分子種に由来する抗体分子の種々のリコンビナント形を含む。そのような分子種には、安定化されたFvフラグメント(Vh及びVkドメインをつなぐペプチドリンカーを含む単鎖Fv形(例えばscFv)を含む)、又は鎖間ジスルフィド結合によって安定化されたFv(dsFv)、及びVhとVkドメインの結合を促進するために操作されたさらに別のシステイン残基を含むFvフラグメントが含まれる。同様に、他の構成物も当業界では周知であり、“ミニボディ”及び単一可変ドメイン“dAbs”と称される分子種を含み得る。他の分子種は、改変抗体V領域ドメインの結合手の数を増す手段をさらに取り入れていることがある。すなわち、例えばダイマー化ドメインの操作(例えば“ロイシンジッパー”)又は化学的改変方法によりマルチ抗原結合部位を有する分子種である。
【0024】
また別の特徴では、本発明は、本発明の抗CD20 V領域が非免疫グロブリン融合パートナータンパク質(例えば抗癌タンパク質)と共役している融合タンパク質に関する。このようなタンパク質の例には、毒素(例えばシュードモナス外毒素)、酵素(例えば抗体依存プロドラッグ療法(“ADEPT”)のための細菌性プロテアーゼ)、又はサイトカインが含まれる。特に有用なサイトカインは、IL-2、IL-12の野生型及び変異型、IL-2及びIL-12と他のインターロイキン、インターフェロン及び腫瘍壊死因子との融合形である。Gilliesと共同研究者ら(US5,150,650;WO98/25978;WO01/10912;WO02/72605;WO03/48334)、Epstein(WO03/15697)及びHalin et al.(Cancer Res. (2003)63:3202-10)は、抗癌抗体V領域とサイトカインの多くの配置形態を記載している(これらの方法及び配置形態は参照により本明細書に含まれる)。本発明のV領域を含む融合タンパク質の免疫グロブリン定常領域は変異によって、例えば補体結合に影響を与える変異、Fcレセプター結合に影響を与える変異、FcRn結合に影響を与える変異及び融合タンパク質の血中半減期に影響を与える変異によってさらに改変することができる。前記のような変異の例はWO09943713 及びWO01/58957に記載されている(前記文献は引用により本明細書に含まれる)。
さらに別の特徴では、本発明は、CD20結合性ポリペプチド構成物をコードする単離核酸に関する。前記は、例えば改変抗CD20抗体分子、改変重鎖可変領域ポリペプチド、改変軽鎖可変領域ポリペプチド、抗CD20抗体融合タンパク質などをコードする核酸等である。Leu16の軽鎖をコードするポリヌクレオチドのDNA配列は図17に示されている(配列番号:39)。Leu16軽鎖の好ましいエピトープ涸渇型(すなわちVkZ及びヒト定常領域を含む)は配列番号:40として図17に示されている。Leu16重鎖をコードするポリヌクレオチドのDNA配列は図17に示されている(配列番号:41)。Leu16重鎖の好ましいエピトープ涸渇型をコードするDNA配列(すなわちVhY及びヒト定常領域を含む)は配列番号:42として図17に示されている。IL-2と融合したLeu16重鎖の好ましいエピトープ涸渇型をコードするDNA配列(すなわちVhY、ヒト定常領域及び前記定常領域のC-末端と結合したIL-2を含む)は配列番号:43として図17に示されている。
【0025】
さらに別の特徴では、本発明は、本発明のCD20結合性ポリペプチド構成物を用いるヒトの治療的処置方法に関する。実施例では、本発明のポリペプチド構成物をどのように使用してマウスモデルでヒト癌細胞を治療したかが説明される。さらに以下で得られた結果は、ヒト癌(例えばB細胞リンパ腫及び他のCD20発現癌)の治療に用いることができる戦略の一般的な実例である。
本発明のCD20結合性ポリペプチド構成物(例えば抗CD20-IL2融合タンパク質)は以下のように用いられる。CD20を発現している癌(例えばB細胞リンパ腫)に罹患している患者に本発明のポリペプチド構成物を投与する。好ましい投与経路は静脈内または皮下注射であるが、筋肉内、腹腔内、皮内注射又は他の注射経路もまた可能である。他の投与経路として、吸入、経口又は座薬による投与もまた可能である。好ましくは、投与は、1週間ごとに3回の4週1サイクル、続く次の3週間は無処置である。処置は、個々の個体における融合タンパク質の薬理学的動態に応じてもっと多くても少なくてもよい。約70kgの成人の好ましい用量は、1投与当たり約1から約100mgの範囲で、好ましい範囲は1投与当たり約4から約20mgである。もっとも好ましい用量は、70kgの成人に対し約10mgが1ヶ月に1回処置される。患者は標準的な方法にしたがって応答についてモニターされる。
(実施例)
【0026】
実施例では、本発明のタンパク質を作製する具体的な方法が記載されるが、しかしながら、多様な周知の技術を本発明のタンパク質の発現に用いることが可能なことはタンパク質発現分野の当業者には理解されよう。例えば、本発明のタンパク質は好ましくは、真核細胞、例えば哺乳動物細胞(例えばNS/0細胞、BHK細胞、CHO細胞、293細胞又はPERC6細胞)で実施される。本発明のタンパク質は、例えば以下の工程のいくつか又は全てを連続的に用いて精製することができる:Abx混合樹脂(Abx Mixed Resin)カラムクロマトグラフィー、組換えプロテインAクロマトグラフィー及びQセファロースカラムクロマトグラフィー、続いて製剤処方緩衝液への緩衝液交換のためにペリコン(Pellicon)2タンジェントフロー透析遠心。ウイルスの不活化及び除去工程はこれらの工程中に組み入れられる。前記ウイルス不活化及び除去工程は精製自体のために必要ではないが、規制上の重要事項を満足させるために用いられる。さらに別の特徴では、本発明は、改変抗CD20抗体分子を用いるヒトの治療的処置のための方法に関する。実施例では、本発明のタンパク質をどのように使用してマウスモデルでヒト癌細胞を治療したかが説明される。さらに下記で得られた結果は、ヒト癌(例えばB細胞リンパ腫及び他のCD20発現癌)の治療に用いることができる方法の一般的な実例である。
本発明の融合タンパク質は以下のように用いられる。CD20を発現している癌(例えばB細胞リンパ腫)に罹患している患者を治療する。好ましい投与経路は静脈内または皮下注射であるが、筋肉内、腹腔内、皮内注射又は他の注射経路もまた可能である。他の投与経路として、吸入、経口又は座薬による投与もまた可能である。好ましくは、投与は、1週間ごとに3回の4週1サイクル、続く次の3週間は無処置であるが、処置は、個々の個体における抗CD20-IL2融合タンパク質の薬理学的動態に応じてもっと多くても少なくてもよい。約70kgの成人の用量は、1回当たり約1から約100mgの範囲で、好ましい範囲は1回当たり約4から約20mgである。もっとも好ましい用量は、70kgの成人に対し約10mgで1ヶ月に1回処置される。患者は標準的な方法にしたがって応答についてモニターされる。
【実施例1】
【0027】
脱免疫化Leu16抗体を発現させるための方法及び試薬
1A:細胞培養とトランスフェクション:安定的にトランスフェクションされたクローンを得るために、プラスミドDNAをエレクトロポレーションによってマウスミエローマNS/0細胞に導入した。約5x106個の細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で1回洗浄しさらに再懸濁した。続いて10μgの直鎖化プラスミドDNAを細胞とともにジーンパルサー(Gene Pulser)キュベット(0.4cm電極ギャップ、BioRad)で10分間氷上でインキュベートした。エレクトロポレーションにはジーンパルサー(BioRad)を用い、0.25V及び500μFの設定で実施した。細胞を氷上で10分間回復させ、その後、増殖培養液に再懸濁してから96ウェルプレートに播種した。安定的にトランスフェクトされたクローンを100nMのメトトレキセート(MTX)(トランスフェクションの2日後に導入した)の存在下で増殖させることによって選別した。3日毎にさらに2又は3回培養液を交換して細胞を培養しMTX耐性クローンは2から3週間で出現した。クローンの上清を抗ヒトFC ELISA及び分析用高速液体クロマトグラフィー(HPLC)でアッセイして、高産生クローンを同定した(Gillies et al. (1989) J. Immunol. Methods 125:191)。高産生クローン(中等度の細胞培養規模での細胞培養上清1mLにつき約100μgの精製タンパク質を産生する)を単離し、100mMのMTXを含む増殖培養液で増殖させた。
【0028】
1B:ELISA:ELISAを用いて、MTX耐性クローンの上清中のタンパク質生成物の濃度を決定した。抗huFC ELISAを用いてヒトFc含有タンパク質の量を測定した。抗hu-FC ELISAは下記で詳細に述べる。
A.プレートのコーティング:ELISAプレートは、PBS中で5μg/mLのAFFINIPURE(商標)ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(Jackson Immuno Research)で被覆した(100μL/ウェル、96ウェルプレート(Nunc Immuno Plate Maxisorp))。被覆したプレートに覆いをして4℃で一晩インキュベートした。続いてプレートをPBS中で0.05%のトゥイーン(トゥイーン20)で4回洗浄し、さらにPBS中で1%のウシ血清アルブミン(BSA)/1%ヤギ血清(200μL/ウェル)でブロックした。このブロッキング緩衝液を用いて37℃で2時間インキュベートした後、前記プレートを0.05%トゥイーンで4回洗浄しペーパータオルの上で軽く叩いて水気を切った。
B.テストサンプルと二次抗体とのインキュベーション:テストサンプルをサンプル緩衝液で適切な濃度に希釈した。サンプル緩衝液は、PBS中に1%BSA/1%ヤギ血清/0.05%トゥイーンを含んでいた。標準曲線は、濃度が既知のキメラ抗体(ヒトFcを保有する)を用いて作成した。標準曲線を作成するために、サンプル緩衝液で段階希釈を実施し125ng/mLから3.9ng/mLの範囲の標準曲線を作成した。プレートに希釈サンプル及び標準物を添加し(100μL/ウェル)、前記プレートを37℃で2時間インキュベートした。
インキュベーション後、前記プレートをPBS中の0.05%トゥイーンで8回洗浄した。続いて各ウェルに100μLの二次抗体(セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)共役抗ヒトIgG(Jackson Immuno Research)、サンプル緩衝液でほぼ1:120,000に希釈)を添加した。二次抗体の正確な希釈はHRP-共役抗ヒトIgGの各ロットについて別個に決定する必要があった。37℃で2時間インキュベートしてから、プレートをPBS中の0.05%トゥイーンで8回洗浄した。
C.発色:既製品の基質溶液(MTB Substrate, BioFX Laboratories, MD)を前記プレートにウェル当たり100μLで添加し、室温で10分間発色させた。反応は1NのHClを100μL/ウェルで添加することによって停止させた。前記プレートを波長450nmに設定したプレート読取装置で読み取った。
1C:タンパク質濃度の決定のための分析用HPLCを基礎とする方法:分析用HPLCを用いてタンパク質濃度も決定した。アジレント(Agilent)1100HPLCシステムでPOROSカラム(Perceptive Biosystems)によるpH基準溶出プロトコルを用い、さらに標準物質としてKS-IL2イムノコンジュゲートを用いて、0.78から50.0μg/mLの範囲のタンパク質濃度のための標準曲線を決定した。
【実施例2】
【0029】
CD20抗原を提示しているダウディ(Daudi)腫瘍細胞に対するエピトープ涸渇Leu16抗体-IL2融合タンパク質の相対的結合親和性の決定
エピトープ涸渇Leu16-IL2融合タンパク質とCD20抗原を保持するDaudiリンパ腫細胞との結合を、他の公知の抗CD20抗体の結合とフローサイトメトリー分析を用いて比較した。被検サンプルの各々について、100μL体積の約106個のDaudi細胞を種々の濃度の抗体とともに用いた。前記分析によって、VHY及びVKZ可変領域をもつ改変抗体-IL2融合タンパク質は、対応するキメラLeu16-IL2融合タンパク質と少なくとも同様にCD20発現細胞と結合することが示された。このことは、VHY及びVKZを作出するためにLeu16のV領域に導入された変異は抗原の結合を妨げなかったことを示している。VHY及びVKZ可変領域を有する抗体-IL2融合タンパク質はまた、RITUXAN(C2B8)並びに2B8-IL2融合タンパク質(ネズミ2B8のV領域を含む)とも十二分に匹敵した。下記の表1のデータは、フローサイトメトリーで測定したときの、種々の濃度の抗体又は抗体-IL2融合タンパク質に暴露されたDaudi細胞の平均蛍光濃度を示している。このデータは一組の典型的な実験結果を示している。
【0030】
表1

【実施例3】
【0031】
免疫原性を低下させる変異を有する抗CD20-IL2融合タンパク質によって駆動される抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)
CD20を発現するNS/0細胞を種々の濃度の抗体又は抗体-IL2融合タンパク質に暴露し、標準的な方法に従ってADCC溶解についてテストした。典型的な一組のデータは図5に示されている。被検タンパク質は以下のとおりである:chLeu16はLeu16マウスV領域及びヒトIgG1定常領域からなるキメラ抗体である;chLeu16-IL2は、Leu16マウスV領域及びヒトIgG1定常領域から成り、前記抗体重鎖のC-末端にヒトIL-2成分が融合されているキメラ抗体である;Ab(VhY/VkZ)-IL2はchLeu16-IL2と同一であるが、ただし図3及び4に挙げたVhHY及びVkZドメインがネズミLeu16のV領域の代わりに存在する;2B8は、この図では2B8マウスV領域及びヒトIgG1定常領域からなる;2B8-IL2は、この図では2B8マウスV領域及びヒトIgG1定常領域から成り、ヒトIL-2部分が前記抗体の重鎖C-末端に融合されている;さらにKS-IL2及び抗EpCAM抗体でヒトIL-2部分が前記抗体重鎖のC-末端に融合されている。KS-IL2タンパク質は陰性コントロールとして機能する。抗体-IL2融合タンパク質のある種のものは、Gilliesら(WO02/66514)に記載されているようにC-末端重鎖アミノ酸変異を含んでいた。これらの変異はADCCデータに影響を与えなかった。
これらのデータは、VhY及びVkZ可変領域を保持する融合タンパク質は、ADCCを刺激することにおいてCD-20結合ネズミV領域を保持する同様な分子と同様な活性を有することを示している。IL2活性はいくつかの別個の細胞アッセイで決定した。結果は下記の表2に示されている。
【0032】
表2

CD20を標的とするIL2を基礎とするイムノサイトカインは、十分に発達したリンパ腫をもつSCIDマウスモデルにおいて(少なくとも、同じ表面抗原を発現している正常なヒトB細胞の非存在下で)高度に有効であり、イムノサイトカインの使用は、播種性症状をもつマウスの延命においては、機能的T細胞の欠如にもかかわらず(T細胞は多くの前臨床実験でイムノサイトカインの抗腫瘍活性の主要なエフェクターであることが明らかにされている)裸の抗体よりもはるかに有効であることが判明した。
【実施例4】
【0033】
免疫原性を低下させる変異を保持する抗CD20-IL2融合タンパク質によって駆動される補体依存細胞傷害性(CDC)
本発明の抗体及び融合タンパク質のCDC活性を測定するために、51Cr標識Daudi細胞を、補体供給源としてのヒト血漿(8体積中に1の割合で希釈)とともに1時間インキュベートした。実験値からバックグラウンドの放射能活性を差し引き、変性剤溶解によって得られた放出可能な総放射能活性で割り、さらに100を乗じて特異的溶解百分率を算出した。
キメラLeu16抗体及びエピトープ涸渇V領域をもつ対応するLeu16抗体のCDC活性の比較によって、これら2つの抗体の活性は本質的に同一であることが示された。キメラLeu16抗体-IL2融合タンパク質及びエピトープ涸渇V領域をもつ対応するLeu16抗体-IL2融合物のCDC活性の同様な比較によって、これら2つの融合タンパク質の活性もまた本質的に同一であることが示された。
ADCCとは対照的に、H鎖のC-末端へIL-2を融合させた結果としてCDCは幾分低下した(図2B)。同様な影響が抗GD2イムノサイトカインに関して以前に報告された(SD. Gillies et al. Cancer Res. (1991) 59:2159-2166)。典型的な結果は図7Cに示されている。
【実施例5】
【0034】
エピトープ涸渇Leu16-IL2融合タンパク質の薬理動態プロファイル
特に有用なLeu16Vhy/VkZ-IL2構築物では、FcR結合及びADCC活性はCg1重鎖アイソタイプを用いることによって維持されたが、細胞内タンパク質分解を減少させるためにH鎖とIL-2の間に改変された接合領域が取り込まれていた(WO01/58957)。特に、前記抗体重鎖のC-末端アミノ酸に対応するリジンからアラニンへの変更が用いられた。得られたタンパク質は、静脈内注射後、特に分布期において有利な薬理動態プロファイルを示した(図8)。薬理動態プロファイルに対するFcR結合の影響は、酵素的に脱グリコシル化したLeu16VhY/VkZ(Lys-Ala)-IL2を同じ実験でテストすることによって調べた。結果は、FcR結合性の低下は薬理動態を幾分改善することを示している。用途及び所望される投与頻度に応じて、CH2ドメインにN-結合グリコシル化部位をもつLeu16VhY/VkZ-IL2分子(ADCC活性をもつが血中半減期は比較的短い)を用いるか、又はCH2ドメインにN-結合グリコシル化部位を欠くLeu16VhY/VkZ-IL2分子(ADCC活性をもたないが血中半減期は比較的長い)を用いることが好ましいことがある。
【実施例6】
【0035】
エピトープ涸渇Leu16-IL2融合タンパク質の有効性プロファイル
SCIDマウスに5x106個のCD20+のDaudiリンパ腫細胞を静脈注射し(第0日)、続いて7日目からイムノサイトカイン(毎日5又は20mgを5回)又はコントロール抗体(1日置きに500mg、全部で3回)注射した。主としてIL-2の改変された半減期に起因する活性を示すために、ターゲッティング性の低いコントロールイムノサイトカイン425-IL2(EGFR(コントロール)に特異的)を高用量で用いた。結果を全身の健康状態、例えばマウスの麻痺(死亡の10−14日前に先行する)及び生存として記録した。図9−12は典型的な結果を示している。図10−12のデータは、単一の大規模な実験から得られているが、データは見やすいように別個の図で示されている。第一の抗腫瘍実験では、Daudi細胞はSCIDマウスに静注され、30日までに全てのマウスが麻痺に至る広範囲の播種性症状がもたらされた。治療は7日目まで引き伸ばし、腫瘍細胞の完全な移植を担保した。我々は、低用量及び中用量のキメラ及びLeu16VhY/VkZ-IL2イムノサイトカインの両方を高用量のrituximabと比較した(イムノサイトカインでは毎日1回を5回、後者の抗体では1日おきに3回投与を用いた)。このスケジュールは、イムノサイトカイン(約8時間)と比較してrituximabがはるかに長い循環半減期(数日)をもつために選択された。
これらの条件下で、rituximab(25mg/kg、3回)は、PBSコントロールと比較して担癌マウスの50%生存を39日から56日に延長した(図4)。低用量のキメラ及びLeu16VhY/VkZ-IL2群(0.25mg/kg、5回)は高用量rituximabと類似する生存曲線を示した(64日の50%生存)。高用量のイムノサイトカイン(1mg/kg、5回)処置群は劇的な生存増加を示し、Leu16VhY/VkZ-IL2群では実験終了時(第110日)に死亡マウスは存在せず、chLeu16-IL2群で8匹のマウスのうち1匹だけが死亡した。したがって、SCIDマウスの播種性リンパ腫の治療について、Leu16抗体のエピトープ涸渇V領域は、IL-2を基礎とするイムノサイトカインとの関係において、ネズミLeu16抗体と同様に有効であった。同じ実験で、抗腫瘍活性に対する抗体エフェクター機能の寄与も、酵素的に脱グリコシル化Leu16VhY/VkZ-IL2を用いてテストした(脱グリコシル化Leu16VhY/VkZ-IL2はADCC活性を失うことが上記で示された(図7B))。
図12に示されたように、ADCC活性の消失にもかかわらず、抗腫瘍活性の大部分が保存された。後の時点で、完全形と脱グリコシル化型との間の顕著な相違が高用量群で観察された。したがって、ADCCはこのモデルで役割を果たすかのように見えるが、このモデルにおける抗腫瘍活性の相当量が、腫瘍を標的とするIL-2の標的化デリバリーのみに起因し得る。IL-2の血中半減期を単純に延長する作用とは対照的に、エピトープ涸渇イムノサイトカインの標的細胞への実際の結合の重要性を取り扱うために、EGFRを標的とするコントロールIL-2イムノサイトカイン(Cruz et al. J. Biotechnol. (2002) 26(96):169-183)(EGFRはこの細胞株で極めて低レベルで発現される(図6B))をテストした。毎日連続して5日間高用量(1mg/kg)で与えた場合でさえ、このモデルではCD20を標的とする同じ用量のイムノサイトカインよりはるかに低い抗腫瘍活性しか認められないことが判明した(図13)。EGFRを標的とするイムノサイトカインもまた、同じ用量で3日間空けて2回(7日目及び10日目)のみ投与されたか、又は4倍低い用量で5日間にわたって投与されたLeu16VhY/VKkIL2よりも顕著に低い活性を示した。これらの結果は、抗腫瘍活性のために特定の腫瘍細胞を標的化することの重要性を示している。
【0036】
分離された抗体およびIL-2成分の抗腫瘍活性
rituximab及びIL-2を併用した臨床実験は応答率の増加を示した(Friedberg et al. Br. J. Haematol. (2002) 117:828-834)。前記の組合せを同じDaudiリンパ腫モデルで2つの別個のアプローチを用いてテストし、Leu16VhY/VkZ-IL2による治療と比較した。第一の事例では、動物に連続して5日間等モル量のLeu16VhY/VkZ抗体及びLeu16VhY/VkZ-IL2の20mg に含まれるIL-2を静脈内投与した。第二の事例では、25mg/kgのrituximab及び10mcgのIL-2を1日おきに3回皮下投与した。この後者の投与処方は、皮下投与の蓄積作用により高レベルの抗体とともに持続的IL-2活性化が担保されるであろう。結果は、2つの併用プロトコルはほぼ同じ程度の抗腫瘍活性をもたらし、50%生存は63日であることを示した(図14)。低用量の併用群で使用した等価量のLeu16VhY/VkZ-IL2イムノサイトカインによる治療は全てのマウスの長期生存をもたらした。このことは特に注目に値する。なぜならば、別個の抗体及びIL-2で治療された群は、そのはるかに長い半減期のために、Leu16VhY/VkZ-IL2よりもはるかに長時間抗体に暴露されるからである。さらにまた、比較のために用いられたIL-2の量は質量を基準にしておりIL-2活性単位が基準ではなかった。上記の表2に示したように、遊離のrIL-2は、高親和性IL-2Rを発現しているマウスの細胞株で測定したとき、Leu16VhY/VkZ-IL2に含まれるIL-2の等モル量よりほぼ3倍活性が高かった。中間体IL-2Rのみを発現しているマウス免疫細胞の場合、前記の相違は遊離rIL-2が10倍以上大きい。
【実施例7】
【0037】
ヒト免疫細胞で再構成したLeu16VhY、VkZ分子のマウスにおける抗腫瘍活性
ヒトB細胞で再構成されたSCIDモデルにおいて、5x106個のCD20+のDaudiリンパ腫細胞を第0日にマウスに静注し、さらに4.5x107個のヒトPBMCを第5日に静注した。マウスの1つの群(n=8)はPBSのみを投与し;1つの群は抗体のみ(第7、9及び11日に500mg)を投与し;1つの群はイムノサイトカインのみ(第11−15日に20mg)を投与し;1つの群は抗体(第7、9及び11日に500mg)及びイムノサイトカイン(第11−15日に20mg)の組合せを投与した。全てのマウスは、抗ヒトIgG ELISAによりその血清中のヒト抗体の有無について第21日及び第34日にチェックした。Bリンパ球上のCD20を標的とすることは、この抗原が正常なB細胞で発現されるという事実により面倒である。したがって、治療は、多数の正常なB細胞のバックグラウンドの中で腫瘍細胞だけを狙って涸渇させることを必要とする。IL-2イムノサイトカイン投与はおそらくIL-2成分の毒性によって制限されるので、裸の抗体による正常なB細胞涸渇のために要求される高用量をLeu16VhY、VkZ-IL2のために用いることができるとはありそうもない。CD20+の腫瘍細胞及び正常B細胞の両者を最初に大量に除去するためにLeu16VhY、VkZ-IL2治療がrituximab治療に続く併用療法は可能な臨床アプローチである。より現実的な腫瘍モデルを作製するために、マウスにヒトB細胞を含むPBMCを注射し、続いてrituximab又はLeuVhY/VkZ-IL2による単一療法とともに前記併用療法を比較した。前記では、抗体は第7日に単回投与として与えられ、その後第11日に開始するLeuVhY/VkZ-IL2による治療コースが続く。第二のマウスの組にはヒトPBMCを移植しないが同じ治療処方を施した。B細胞が移植されたことの確認は、ヒトIgGレベルを全てのマウス群で測定することによって得られた。表3のデータは、ヒトPBMCを投与されたマウスは全て>500μg/mLのヒトIgGレベルを示し、移植が有効であったことを示している。



【0038】
表3:ヒトPBMCを移植されたSCIDマウスにおけるヒト抗体の産生

【0039】
ヒト抗体は抗IgG ELISAによって定量し、mcg/mLで示した。−B細胞群で検出された抗体は、全循環抗体に対するrituximab及びDI-Leu16-IL2(ともにヒトIgG)の寄与を示している。第21日の抗体レベルは全ての治療群(Leu16VhY/VkZ-IL2による単一療法を含む)で劇的な低下を示したが、IgGレベルは第34日までにわずかに増加し、B細胞による持続的な産生を示している。他方、rituximabによる治療又は併用療法は第34日までにヒト抗体の消失をもたらした。rituximabによる治療群又は併用療法群の両方においてマウス血中で検出された残留レベルは明らかにrituximab自体であった。なぜならば同じレベルがPBMCを移植されなかった対応する群で観察されたからである。結果はまた、全ての治療群の抗腫瘍活性はCD20+のB細胞の存在によって顕著な影響を受けなかったことを示した(図15)。理論に拘束されないが、これは部分的には移植されたB細胞の大半を腫瘍細胞と同様に排除するLeu16VhY/VkZ-IL2単独の能力のためであろう。このモデルにおけるLeu16VhY/VkZ-IL2の活性レベルは、治療開始の遅延のために先の実験と比較して顕著に低下したが(第11日に対して第7日)、しかしながらただ1回の治療コースを用いて異なる分子が比較されており、臨床ではさらにまた追加の治療サイクルが用いられるであろうということは留意されねばならない。我々はまた、1回のrituximabの投与とそれに続くLeu16VhY/VkZ-IL2の単一コースの併用は少なくとも追加的抗腫瘍活性をもたらし、大半のマウスが実験の終了時(第120日)に疾患から回復したことを見出した。
【実施例8】
【0040】
抗CD20抗体からT細胞エピトープを除去するための一般的方法
Haismaら(Blood 92:184 (1998))にはまた別の抗CD抗体が記載されている。この抗体は1H4と称され、そのV領域はLeu16のV領域と約95%同一である。図16は、2B8、Leu16、本発明にしたがってエピトープを涸渇させたそれらの誘導体、及び1H4の重鎖及び軽鎖(カッパ)V領域のアラインメントを示す。抗体2B8、Leu16及び1H4の配列は非常に類似しているという発見から、これらの抗体の全てがCD20内の同じエピトープを認識すると本発明では推論する。理論に拘束されないが、CD20はマウスとヒトの間で高度に保存されたタンパク質であり、マウスのCD20中の配列CEPSNSSEKNSPSTQYC(配列番号:29)と一致する配列CEPANPSEKNSPSTQYC(配列番号:38)がCD20の細胞外ドメインに存在すると本発明では洞察している。ヒトCD20では、配列NPSはN-グリコシル化されておらず、一方、マウスCD20の対応する配列NSSはN-グリコシル化されている。本発明の前記理論に従えば、ヒトCD20のN-グリコシル化の欠如はマウスCD20に存在しない抗体エピトープの存在を明らかにし、その結果、マウスをヒトCD20で免疫したとき、このエピトープはマウス免疫系によって自己として認識されないであろう。したがって、本発明にしたがえば、CD20に対して生成されたモノクローナル抗体の開始V領域の配列は、Leu16又は2B8のV領域と少なくとも80%同一、より頻繁には少なくとも90%同一である。抗体1H4はそのような例の1つである。本発明にしたがえば、抗CD20抗体(例えば1H4)におけるT細胞エピトープは、先ず初めに重鎖および軽鎖V領域をLeu16、2B8及び図16に示した対応するエピトープ涸渇変種とアラインメントし、二番目にCD20抗体(例えば1H4)のV領域にLeu16及び/又は2B8のエピトープ涸渇型に導入された変異に対応する変異を導入することによって除去される。前記アラインメントは、手動アラインメント又は周知のアラインメントプログラム(例えばBLAST)を用いて実施することができる。例えば図16におけるアラインメントを用いれば、以下のアミノ酸セグメントの1つ又は2つ以上をもつ抗CD20 Vhドメインが創出されていることが明らかである:SGAELKKPGAS、VSCKASGYT、LEWTGAIY、YNQKFKGKT、FKGKTTLTA、YMELSSLRS、SSLRSEDTAV及びDWGTGTTVT(すなわちそれぞれ配列番号:15−22)。同様に、図16のアラインメントを用いれば、以下のアミノ酸セグメントの1つ又は2つ以上をもつ抗CD20 VLドメインが創出されていることが明らかである:IITASPGEKV、CRASTSASY、QQKPTSSP、LASGVPSRF、FSGSGSGTT及びYSMTISSLE(すなわちそれぞれ配列番号:23−28)。特に、このパラグラフで前出のアミノ酸の1つ又は2つ以上を有する抗体1H4の変種が作製される。新規に導入される前記変異の有用性は、T細胞エピトープが実際に除去されていることを標準的なT細胞エピトープ活性検出方法を用いてチェックすることによりさらに立証することができる。例えば、Carrら(米国特許出願20030153043号及びWO02/069232)のような方法を用いることができる。
あるいは、潜在的なT細胞エピトープに対応するペプチドを免疫細胞(好ましくはヒト免疫細胞)に添加し、標準的な技術にしたがって細胞増殖を刺激する能力についてテストしてもよい。対応するV領域を含むタンパク質は、完全抗体、抗体融合タンパク質、Fab、Fab融合タンパク質、単鎖Fvタンパク質、又は抗体V領域の他の標準的な構成として構成される。続いて前記対応するV領域含有タンパク質は、標準的なタンパク質発現方法(例えば上記の実施例に記載されたような方法)にしたがって作製される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】一文字コードで表した、2B8抗体のV領域重鎖タンパク質の天然のアミノ酸残基配列及び前記天然の配列を基にした改変アミノ酸残基配列VhC及びVhDを示す。
【図2】一文字コードで表した、2B8抗体のV領域重鎖タンパク質の天然のアミノ酸残基配列及び前記天然の配列を基にした改変配列VkA、VkB、VkC及びVkDを示す。
【図3】一文字コードで表した、Leu16Vhの重鎖可変領域のアミノ酸残基配列及びVhYと称されるLeu16Vhを示す。
【図4】一文字コードで表した、Leu16Vkの軽鎖可変領域のアミノ酸残基配列及びVhZと称されるLeu16Vkを示す。
【図5】実施例3に記載された抗体依存性細胞性細胞障害(ADCC)溶解アッセイのグラフである。被検タンパク質は、キメラLeu16抗体(chLEU16;黒三角)、chLeu16とIL2の融合タンパク質(chLeu16-IL2;黒四角)、LeuVhY/VkZ-IL2融合タンパク質(黒四角)、キメラ2B8抗体(C2B8、黒丸)、C2B8-IL2融合タンパク質(白四角)及びKS-IL2イムノサイトカイン融合タンパク質(前記はCD20を標的としない))(白丸)である。X軸は濃度(ng/mL)であり、y軸は%溶解である。
【図6】CD-20結合性ポリペプチド構成物及びイムノサイトカイン(IC)の抗CD20結合活性を示す。ヒトDaudiリンパ腫細胞を種々の濃度のポリペプチド構成物及びICとインキュベートし、前記細胞との相対的結合を実施例2に記載されたようにフローサイトメトリーによって判定した。図6Aは平均蛍光強度(MFI、Y軸)を示し、前記蛍光強度はポリペプチド濃度(X軸)の関数として増加する。図6Bは、一次抗体の非存在下(一番左のピーク);EGFレセプター(Daudi細胞上では発現されていない)に対して作出された抗体-IL2融合物の存在下(左中央のピーク);及びLeu16VhY/VkZ-IL2の存在下(一番右のピーク)でDaudi細胞サンプルで測定された蛍光強度を示す。X軸は10μg/mLでの蛍光強度、Y軸は事象の数を示す。
【図7】抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性及び補体依存性細胞傷害性を示す。図7A及び7Bは、図5と比較したそれぞれ別個のADCC試験を示す。ADCCは、51Cr標識Daudi標的細胞及びエフェクターとしてヒトPBMCを用い(E:T=100)、4時間アッセイで測定した。図7A:被検抗体は2B8(黒丸)、chLeu16(黒ひし形)、及びLeu16VhY、VkZ(白三角)であった。図7B:被検イムノサイトカインはchLeu16-IL2(黒四角)及びLeu16VhY/VkZ-IL2(黒三角)、脱グリコシル化LeuVhY/VkZ-IL2(X印)及び非結合コントロールとしてhuKS-IL2(白丸)であった。Y軸は%溶解、X軸は濃度(ng/mL)である。図7Cは、実施例4に記載したように51Cr標識Daudi細胞及び補体供給源としてヒト血漿を用いたCDC活性を示す。インキュベーションは、同じ抗体及びイムノサイトカインを用いて1時間実施した。被検抗体は、2B8(黒丸)、chLeu16(黒ひし形)、chLeu16-IL2(黒四角)、Leu16VhY/VkZ-IL2(黒三角)、及び非結合コントロールとしてhuKS-IL2(白丸)であった。
【図8】実施例5に記載されたように、エピトープ涸渇Leu16イムノサイトカインのマウスにおける薬物動態学を示す。各イムノサイトカインを静脈内投与した後で時間-濃度分析を実施した。血中濃度は、天然タンパク質(黒四角)及び脱グリコシル化タンパク質(白丸)について無傷の形態を検出するELISAによって測定した。表示したイムノサイトカイン25mgをマウスに注射し、後眼窩採血によってサンプルを採取し、抗ヒトIgG H&L抗血清による捕捉及び抗ヒトIL2抗体による検出によってアッセイした。結果は、注射直後に採取した各マウス中の初期濃度に対して正規化されている。X軸は時間であり、Y軸は残留%IDである。
【図9】SCIDマウスにおける抗腫瘍モデルの評価を示す。SCIDマウスに2x106個のCD20+のDaudiリンパ腫細胞を静脈内注射し、続いて第3日(図9A)又は第7日(図9B)からイムノサイトカインを1日1回連続して5回注射した。非標的誘導コントロールイムノサイトカイン425-IL2(EGFRに特異的)を高用量で用いて、IL-2の改変された半減期に起因する不完全な活性を示した。図9Aの処置は第3、4、5、6日及び第7日に実施し、以下が含まれていた:PBSのみ(黒ひし形);425-IL2(黒字X);並びにLeu16VhY/VkZ-IL2を毎日5マイクログラム(mcg)(白字X)、10mcg(黒三角)及び20mcg(黒四角)。図9Aでは、最後の3つの用量は全て完全なマウスの防御を示し、データ点をスーパーインポーズしてある。図9Bの処置は第7、8、9、10及び11日に実施され、以下が含まれていた:PBSのみ(黒ひし形);並びにLeu16VhY/VkZ-IL2を毎日5mcg(白字X)及び20mcg(黒四角)。X軸は日数、Y軸は%生存である。
【図10】SCIDマウスにおける抗腫瘍モデルの評価の結果を示す(2B8対chLeu16-IL2)。図9に記載したように、SCIDマウスにDaudiリンパ腫細胞を注射し、7日後から表示の抗体又はイムノサイトカインで処置した。処置には以下が含まれていた:PBSのみ(X;7−11日目);rituximab(リツキシマブ)(C2B8;黒丸、第7、9及び11日に25mg/kg);高用量のLeu16VhY/VkZ-IL2(大四角、第7−11日に1mg/kg);低用量Leu16VhY/VkZ-IL2(小四角、7−11日目に0.25mg/kg)。(A):健常マウス、(B)マウスの生存。X軸は日数、Y軸は健常マウス%(A)、生存マウス%(B)である。
【図11】SCIDマウスにおける抗腫瘍モデルの評価の結果を示す(chLeu16-IL2対脱免疫(DI)-Leu16-IL2)。図9に記載したように、SCIDマウスにDaudiリンパ腫細胞を注射し、7日後から表示の抗体又はイムノサイトカインで処置した。処置には以下が含まれていた:PBSのみ(X;第7−11日);rituximab(黒丸、第7、9及び11日に25mg/kg);高用量のLeu16VhY/VkZ-IL2(大四角、第7−11日に1mg/kg);低用量Leu16VhY/VkZ-IL2(小四角、第7−11日に0.25mg/kg);高用量のchLeu16-IL2(大三角、第7−11日に1mg/kg);及び低用量chLeu16-IL2(小四角、第7−11日に0.25mg/kg)。(A):健常マウス、(B)マウスの生存。X軸は日数、Y軸は%健常マウス(A)、%生存マウス(B)である。
【図12】ADCC活性の低下は、Leu16VhY/VkZ-IL2によって媒介される抗腫瘍活性に対して部分的影響しか与えないことを示す(DI-Leu16-IL2対脱グリコシル化DI-Leu16-IL2)。天然のLeu16VhY/VkZ-IL2及び酵素的に脱グリコシル化したLeu16VhY/VkZ-IL2の2つの異なる用量を用いて、図9に記載したようにDaudiリンパ腫細胞を注射後7日してからSCIDマウスを処置した。処置には以下が含まれていた:PBSのみ(X;第7−11日);rituximab(黒丸、第7、9及び11日に25mg/kg);高用量のLeu16VhY/VkZ-IL2(大三角、第7−11日に1mg/kg);低用量Leu16VhY/VkZ-IL2(小三角、第7−11日に0.25mg/kg);高用量の脱グリコシル化Leu16VhY/VkZ-IL2(太い線の大きなX、第7−11日に1mg/kg);及び低用量の脱グリコシル化Leu16VhY/VkZ-IL2(細い線の小さなX、第7−11日に0.25mg/kg)。(A):健常マウス、(B)マウスの生存。X軸は日数、Y軸は%健常マウス(A)、%生存マウス(B)である。
【図13】最適な抗腫瘍活性に抗原特異性が重要であることを示す。腫瘍細胞の標的化の役割を、Leu16-IL2及びEGFR(Daudiリンパ腫細胞では低レベルでしか発現されない分子)に対して結合特異性をもつまた別のイムノサイトカインの活性を比較することによってテストした。処置には以下が含まれていた:PBSのみ(X;7−11日目);rituximab(黒ひし形、第7、9及び11日に25mg/kg);DI-Leu16抗体(白ひし形、第7、9及び11日に25mg/kg);中用量のDI-Leu16-IL2(黒四角、第7−11日に1mg/kg);減少用量のDI-Leu16-IL2(白丸、第7及び10日に1mg/kg);低用量のDI-Leu16-IL2(白四角、第7−11日に0.25mg/kg);及び中用量の抗EGFR-IL2(黒三角、第7−11日に1mg/kg)。結果は疾患を持たない生存としてスコアリングした。X軸は日数、Y軸は疾患をもたない%である。
【図14】Leu16VhY/VkZ-IL2は、遊離IL-2と併用したより高用量の抗CD20抗体よりも強力であることを示す。中用量のLeu16VhY/VkZ-IL2(黒四角、第7−11日に20mg/マウス)及び対応する用量の個々の抗体とIL-2成分(白四角、16.7mgのLeu16VhY、VkZ及び3.3mgのIL-2を第7−11日に静注)を高用量のrituximabと皮下(s.c.)IL-2(白ひし形、第7日に500mgのrituximab及び第7、9及び11日に10mgのIL-2)、rituximab単独(黒ひし形、第7日に500mg)又はPBSコントロールと比較した。X軸は日数、Y軸は疾患をもたない%である。
【図15】正常な抗CD20+ B細胞の存在はLeu16VhY/VkZ-IL2の抗腫瘍活性を減弱させないことを示す。方法の項に記載した同じSCID/Daudiリンパ腫モデルで、正常な抗CD20+ B細胞を先に移植することによる影響をテストした。マウス群を以下のように処置した:1回の高用量rituximab(ひし形、第7日に25mg)、Leu16VhY/VkZ-IL2(四角、第11−15日に1mg/kg)、両投与処方の併用(三角、第7日にrituximab、続いて第11−15日にLeu16VhY/VkZ-IL2)又は全投与日にPBSのみ。第5日に前記群の半分に4.5x106個のPBMC(白記号)を静注するか、又はPBSのみ(黒記号)を投与した。B細胞移植は、全マウスの血清中のヒト抗体レベルを測定することによって確認した。X軸は日数、Y軸は疾患をもたない%である。
【図16】抗CD20抗体2B8、Leu16及び1H4の重鎖及び軽鎖V領域、とともに2B8V領域のエピトープ涸渇誘導体(VhC、VhD、VkA、VkB、VkC及びVkD)、及びエピトープ涸渇Leu16のV領域、VhY及びVkZのアラインメントを示す。
【図17A】本出願で用いた全ての配列番号(配列番号:1−43)のまとめを示す。
【図17B】図17A続き。
【図17C】図17B続き。
【図17D】図17C続き。
【図17E】図17D続き。
【図17F】図17E続き。
【図17G】図17F続き。
【図17H】図17G続き。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下からなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチドセグメントを含む、CD20抗原と結合する能力を有するポリペプチド構成物:
(i)配列番号:1のアミノ酸残基配列を有するが、V12K、A14P、M20V、I48T、A68T、Q82E、T87R、S91T及びT106Wからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基置換を配列番号:1中に含む、改変された重鎖可変領域ポリペプチド;
(ii)配列番号:4のアミノ酸残基配列を有するが、L11I、S12T、S27T、V29A、G40T、V59S、S69T、L72M、R76S及びV77Lからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基置換を配列番号:4中に含む、改変された軽鎖可変領域ポリペプチド;
(iii)配列番号:9のアミノ酸残基配列を有するが、V12K、M20V、A68T、Q82E、T87R、S91T、D93V及びA114Tからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基置換を配列番号:9中に含む、改変された重鎖可変領域ポリペプチド;及び
(iv)配列番号:11のアミノ酸残基配列を有するが、L11I、S12T、A59S、S69T、L72M、R76S及びV77Lからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基置換を配列番号:11中に含む、改変された軽鎖可変領域ポリペプチド。
【請求項2】
改変された重鎖可変領域ポリペプチド及び改変された軽鎖可変領域ポリペプチドを含む、請求項1記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項3】
キメラ抗体の形態であって、ヒト重鎖定常領域及びヒト軽鎖定常領域を含む、請求項2記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項4】
ヒト重鎖定常領域がIgG定常領域である、請求項3記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項5】
IgG定常領域がIgG1定常領域である、請求項4記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項6】
ヒト軽鎖定常領域がヒトカッパー軽鎖定常領域である、請求項3記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項7】
CD20抗原と結合する能力を有し、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:10からなる群から選択されるアミノ酸残基配列を有する少なくとも1つのポリペプチドセグメントを含むポリペプチド構成物。
【請求項8】
CD20抗原と結合する能力を有し、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8及び配列番号:12からなる群から選択されるアミノ酸残基配列を有する少なくとも1つのポリペプチドセグメントを含むポリペプチド構成物。
【請求項9】
CD20抗原と結合する能力を有し、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:10からなる群から選択されるアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメント;並びに、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8及び配列番号:12からなる群から選択されるアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメントを含むポリペプチド構成物。
【請求項10】
配列番号:2のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメント及び配列番号:5のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメントを含む、請求項9記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項11】
配列番号:2のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメント及び配列番号:6のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメントを含む、請求項9記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項12】
配列番号:2のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメント及び配列番号:7のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメントを含む、請求項9記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項13】
配列番号:2のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメント及び配列番号:8のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメントを含む、請求項9記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項14】
配列番号:3のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメント及び配列番号:6のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメントを含む、請求項9記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項15】
配列番号:3のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメント及び配列番号:8のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメントを含む、請求項9記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項16】
配列番号:10のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメント及び配列番号:12のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメントを含む、請求項9記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項17】
ポリペプチドがサイトカインと融合している、請求項1から16のいずれか1項記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項18】
サイトカインがIL2である、請求項17記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項19】
ポリペプチドのC-末端が前記サイトカインのN-末端と融合している、請求項17または18記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項20】
サイトカインがIL2である、請求項19記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項21】
ポリペプチドが完全な抗体、Fab抗体フラグメント、単鎖Fv抗体フラグメント又はミニボディの形態を有する、請求項1から20のいずれか1項に記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項22】
配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:15及び配列番号:28からなる群から選択されるアミノ酸残基配列を有するポリペプチドセグメントを含む、請求項1から21のいずれか1項記載のCD20結合性ポリペプチド構成物。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか1項記載のCD20結合性ポリペプチド構成物を医薬的に許容できる担体、賦形剤、希釈剤とともに含む医薬組成物。
【請求項24】
さらにまた別の薬理学的に有効な薬剤を含む、請求項23の医薬組成物。
【請求項25】
請求項1から22のいずれか1項記載のポリペプチドをコードするDNA分子。
【請求項26】
配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43からなる群から選択される請求項25記載のDNA分子。
【請求項27】
自己免疫疾患の治療を目的とする医薬の製造のための請求項1から22のいずれか1項記載のポリペプチド構成物又は請求項23若しくは24記載の医薬組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図17E】
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【図17F】
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【図17G】
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【図17H】
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【公表番号】特表2007−525202(P2007−525202A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522984(P2006−522984)
【出願日】平成16年8月16日(2004.8.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009033
【国際公開番号】WO2005/016969
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】