説明

CETP阻害剤の医薬組成物

本発明は、コレステリルエステル転送蛋白(CETP)阻害剤及び水不溶性の濃度増大添加剤を含む医薬組成物を提供し、当該組成物は改善された生物学的利用能を示す。本発明はまた、CETP阻害剤を含有する医薬組成物の投与を含む、心臓血管障害の治療方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓血管障害の治療又は予防のための、CETP阻害剤を含有する組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全コレステロール及び低密度リポ蛋白(LDL)コレステロールの濃度の上昇と関連した高脂質血症は、冠状動脈性心疾患、特にアテローム性動脈硬化の主要な危険因子である。更に、高密度リポ蛋白(HDL)コレステロールの低血漿濃度は、アテローム性動脈硬化の発症の強力な危険因子であることを、多数の研究が示した。
【0003】
コレステリルエステル転送蛋白(CETP)は、血中の種々のリポ蛋白間でコレステリルエステルとトリグリセリドとの移動を容易にする血漿蛋白である。CETPによるHDLからLDLへのコレステリルエステルの移動は、HDLコレステロールを下げ、LDLコレステロールを増加させる効果を有する。CETP阻害剤によるCETP活性の阻害は、血漿HDLコレステロールを上昇させかつ血漿LDLコレステロールを下げることによって、プラスミドHDL/LDL比を有効に改変することが示された。
【0004】
有効であるためには、CETP阻害剤は血中に吸収される必要がある。このようなCETP阻害剤は、有効であるために、定期的(毎日など)に摂取される必要があるので、CETP阻害剤の経口投与が好ましい。CETP阻害剤、特に、高結合活性を有するものは、一般的に疎水性で、非常に低い水溶解性を有し、通常に投与された場合、低い経口の生物学的利用能しか有さない。このような化合物は、一般的に、高い生物学的利用能が達成されるような経口投与用に製剤化されるのが困難であることが分かっている。
【0005】
国際特許出願WO 02/11710は、この低い生物学的利用能という問題を認識し、非晶質の形態のCETP阻害剤と水溶性ポリマー(これは、使用環境におけるCETP阻害剤の濃度を増加させる)との固体分散物を含有する組成物を処方することによってこのような問題を解決しようとする。しかし、多くのCETP阻害剤は結晶の形態であるので、結晶性CETP阻害剤の組成物の改良は、継続する必要性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故、使用環境におけるCETP阻害剤の生物学的利用能の増大を結果として生じる、結晶形態のCETP阻害剤を含有する医薬組成物の必要性がある。本発明は、このような医薬組成物、および当該医薬組成物を用いた心臓血管障害の治療方法を提供する。本発明のこれらのおよび他の利点、並びに、更なる本発明の特徴は、本明細書で提供される本発明の説明から明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コレステリルエステル転送蛋白阻害剤と水不溶性の濃度増大添加剤(クロスポビドンなど)とを含有する医薬組成物を提供する。
【0008】
本発明はまた、心臓血管障害を治療する必要のある哺乳動物に、治療有効量の本発明によって提供される医薬組成物を投与することによって、哺乳動物における心臓血管障害を治療又は予防するための方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、少なくとも1種のCETP阻害剤と少なくとも1種の水不溶性の濃度増大添加剤との組成物を提供し、ここで、該添加剤は、望ましくは、CETP阻害剤又はその活性型の生物学的利用能を、添加剤の非存在下でのCETP阻害剤の投与に対して増加させる。
【0010】
CETP阻害剤は、CETPを阻害するか、又はCETPを阻害する活性型を形成する任意の化合物を指す。任意の適切なCETP阻害剤、例えば、米国特許第6,140,342号、同第6,140,343号、同第6,147,089号、同第6,147,090号、同第6,197,786号および同第6,426,365号;欧州特許出願番号EP 796846 A1及びEP 818448 A1;及び国際特許出願番号WO 98/04528、WO 98/35937、WO 99/14174、WO 99/14204、WO 99/14215、WO 99/41237、及びWO 02/11710に記載のものなどが、本発明の文脈において使用することができる。
【0011】
好ましくは、CETP阻害剤は、式I:
【0012】
【化1】

【0013】
の化合物、又は式Iの化合物のプロドラッグ化合物、医薬上許容される塩、エナンチオマー、立体異性体、水和物、もしくは溶媒和物である。式Iにおいて、Rは、置換されているかまたは置換されていないC3−10シクロアルキル基又は置換されているかまたは置換されていないC5−8シクロアルケニル基を表す。X、X、X、及びXの各々は、同一でも異なっていてもよく、以下の1つ以上を表す:水素原子;ハロゲン原子;C1−4アルキル基;ハロ−C1−4アルキル基;C1−4アルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;アシル基;又はアリール基。Zは、水素原子;−YR(式中、Yは、−CO−又は−CS−を表す、及びRは、置換されているかまたは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基;C1−4アルコキシ基;C1−4アルキルチオ基;置換されているかまたは置換されていないアミノ基;置換されているかまたは置換されていないウレイド基;置換されているかまたは置換されていないC3−10シクロアルキル基;置換されているかまたは置換されていないC3−10シクロアルキルC1−10アルキル基;置換されているかまたは置換されていないアリール基;置換されているかまたは置換されていないアラルキル基;置換されているかまたは置換されていないアリールアルケニル基;置換されているかまたは置換されていないアリールチオ基;1−3個の窒素、酸素、又は硫黄原子を有する、置換されているかまたは置換されていない5員又は6員複素環基;又は置換されているかまたは置換されていない5員又は6員ヘテロアリールアルキル基を表す)、又は、−S−R(式中、Rは、置換されているかまたは置換されていないC1−4アルキル基、又は置換されているかまたは置換されていないアリール基を表す)を表す。
【0014】
本明細書で使用する用語「直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基」は、1−10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖でありうるアルキル基を意味する。その具体的例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1−プロピルブチル、1,1−ジメチルブチル、1−イソブチル−3−メチルブチル、1−エチルペンチル、1−プロピルペンチル、1−イソブチルペンチル、2−エチルペンチル、2−イソプロピルペンチル、2−tert−ブチルペンチル、3−エチルペンチル、3−イソプロピルペンチル、4−メチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、2,4−ジメチルペンチル、1−エチル−4−メチルペンチル、ヘキシル、1−エチルヘキシル、1−プロピルヘキシル、2−エチルヘキシル、2−イソプロピルヘキシル、2−tert−ブチルヘキシル、3−エチルヘキシル、3−イソプロピルヘキシル、3−tert−ブチルヘキシル、4−エチルヘキシル、5−メチルヘキシル、ヘプチル、1−エチルヘプチル、1−イソプロピルヘプチル、2−エチルヘプチル、2−イソプロピルヘプチル、3−プロピルヘプチル、4−プロピルヘプチル、5−エチルヘプチル、6−メチルヘプチル、オクチル、1−エチルオクチル、2−エチルオクチル、ノニル、1−メチルノニル、2−メチルノニル、デシルなどの基が挙げられる。1−8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。
【0015】
本明細書で使用する用語「C1−4低級アルキル基」は、1−4個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの基が挙げられる。
【0016】
用語「直鎖又は分岐鎖のC2−10アルケニル基」は、少なくとも1つ以上の二重結合を有する、2−10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖でありうるアルケニル基を意味する。その具体的例として、アリル、ビニル、イソプロペニル、1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1−メチル−1−ブテニル、クロチル、1−メチル−3−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1,3−ジメチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、1−メチル−2−ペンテニル、1−エチル−3−ペンテニル、4−ペンテニル、1,3−ペンタジエニル、2,4−ペンタジエニル、1−ヘキセニル、1−メチル−2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、1−ブチル−5−ヘキセニル、1,3−ヘキサジエニル、2,4−ヘキサジエニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、4−ヘプテニル、5−ヘプテニル、6−ヘプテニル、1,3−ヘプタジエニル、2,4−ヘプタジエニル、1−オクテニル、2−オクテニル、3−オクテニル、4−オクテニル、5−オクテニル、6−オクテニル、7−オクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、4−ノネニル、5−ノネニル、6−ノネニル、7−ノネニル、8−ノネニル、9−デセニルなどの基が挙げられる。2−8個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖でありうるアルケニル基が好ましい。
【0017】
用語「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、及び臭素原子を意味する。
【0018】
用語「ハロ−C1−4アルキル基」は、同一又は異なり得る1−3個のハロゲンで置換された上記C1−4低級アルキル基を意味する。その具体的例として、フルオロメチル、クロロメチル、ブロモメチル、ジフルオロメチル、ジクロロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、クロロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、ペンタクロロエチル、ブロモプロピル、ジクロロプロピル、トリフルオロブチルなどの基が挙げられる。トリフルオロメチル及びクロロエチルが好ましい。
【0019】
用語「C1−4低級アルコキシ基」は、上記C1−4低級アルキル基を含むアルコキシ基を意味する。その例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどの基が挙げられる。
【0020】
用語「C1−4低級アルキルチオ基」は、上記C1−4低級アルキル基を含むアルキルチオ基を意味する。その例として、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオなどの基が挙げられる。
【0021】
用語「C3−10シクロアルキル基」は、3−10個の炭素原子を有する単環又は多環でありうるシクロアルキル基を意味する。その例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、オクタヒドロインデニル、デカヒドロナフチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、アダマンチルなどの基が挙げられる。シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルを含む5−7個の炭素原子を有するものが好ましい。
【0022】
用語「C5−8シクロアルケニル基」は、環上に1つ以上の二重結合を有する5−8個の炭素原子を有するシクロアルケニル基を意味する。その例として、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタジエニル,シクロオクタジエニルなどの基が挙げられる。シクロペンテニル、シクロヘキセニル、及びシクロヘプテニルを含む5−7個の炭素原子を有するものが好ましい。
【0023】
用語「C3−10シクロアルキルC1−10アルキル基」は、上記C3−10シクロアルキル基で置換された、上記直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基を意味する。その具体的例として、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルシクロペンチルメチル、ジシクロヘキシルメチル、1−シクロペンチルエチル、1−シクロヘキシルエチル、2−シクロプロピルエチル、2−シクロペンチルエチル、2−シクロヘキシルエチル、2−シクロヘプチルエチル、1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、1−シクロヘキシルプロピル、2−シクロペンチルプロピル、3−シクロブチルプロピル、3−シクロペンチルプロピル、3−シクロヘキシルプロピル、3−シクロヘプチルプロピル、1−シクロプロピル−1−メチルプロピル、1−シクロヘキシル−2−メチルプロピル、1−シクロペンチルブチル、1−シクロヘキシルブチル、3−シクロヘキシルブチル、4−シクロプロピルブチル、4−シクロブチルブチル、4−シクロペンチルブチル、1−シクロヘキシル−1−メチルブチル、1−シクロペンチル−2−エチルブチル、1−シクロヘキシル−3−メチルブチル、1−シクロペンチルペンチル、1−シクロヘキシルペンチル、1−シクロヘキシルメチルペンチル、2−シクロヘキシルペンチル、2−シクロヘキシルメチルペンチル、3−シクロペンチルペンチル、1−シクロヘキシル−4−メチルペンチル、5−シクロペンチルペンチル、1−シクロペンチルヘキシル、1−シクロヘキシルヘキシル、1−シクロペンチルメチルヘキシル、2−シクロペンチルヘキシル、2−シクロプロピルエチルヘキシル、3−シクロペンチルヘキシル、1−シクロヘキシルヘプチル、1−シクロペンチル−1−メチルヘプチル、1−シクロヘキシル−1,6−ジメチルヘプチル、1−シクロヘプチルオクチル、2−シクロペンチルオクチル、3−シクロヘキシルオクチル、2−シクロペンチルメチルオクチル、1−シクロペンチルノニル、1−シクロヘキシルノニル、3−シクロプロピルノニル、1−シクロペンチルデシル、1−シクロヘキシルウンデシル、1−シクロペンチルトリデシル、2−シクロヘキシルトリデシルなどの基が挙げられる。
【0024】
「アリール基」として、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ビフェニルなどの基が挙げられる。フェニル、ナフチル、及びビフェニル基が好ましい。
【0025】
「アラルキル基」は、上記の1つ以上のアリール基で置換された上記C1−4低級アルキル基を意味する。その例として、ベンジル、ベンズヒドリル、トリチル、フェネチル、3−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、ナフチルメチル、2−ナフチルエチル、4−ビフェニルメチル、3−(4−ビフェニル)プロピルなどの基が挙げられる。
【0026】
「アリールアルケニル基」は、上記アリール基で置換された2−4個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。その例として、2−フェニルビニル、3−フェニル−2−プロペニル、3−フェニル−2−メチル−2−プロペニル、4−フェニル−3−ブテニル、2−(1−ナフチル)ビニル、2−(2−ナフチル)ビニル、2−(4−ビフェニル)ビニルなどの基が挙げられる。
【0027】
「アリールチオ基」は、上記アリール基を含むアリールチオ基を意味し、具体的には、フェニルチオ、ナフチルチオなどの基が挙げられる。
【0028】
「複素環基」は、少なくとも1つ以上、具体的には1−4個、好ましくは1−3個の、窒素、酸素、及び硫黄原子から選択されるヘテロ原子を含む5員及び6員の芳香族又は非芳香族の複素環を意味する。その具体例として、チアトリアゾリル、テトラゾリル、ジチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、ピロリル、フリル、チエニル、テトラジニル、トリアジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピリジルなどの基などの芳香族複素環、ジオキソラニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、ジチアジアジニル、チアジアジニル、モルホリノ、モルホリニル、オキサジニル、チアジニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピペリジノ、ピラニル、チオピラニルなどの基などの非芳香族複素環が挙げられる。好適な基は、フリル、チエニル、ピロリル、ピリジルなどを含む芳香族複素環(ヘテロアリール)基、及び少なくとも1つの窒素原子を含む非芳香族複素環基(ピロリジニル、テトラヒドロフリル、ピペラジニル、ピペリジル、ピペリジノなどの基を含む)が挙げられる。
【0029】
「ヘテロアリールアルキル基」は、上記5員又は6員の芳香族複素環(ヘテロアリール)基で置換された上記C1−4低級アルキル基を意味し、具体的には、2−チエニルメチル、2−フリルメチル、2−ピリジルメチル、3−ピリジルメチル、2−チエニル−2−エチル、3−フリル−1−エチル、2−ピリジル−3−プロピルなどの基が挙げられる。
【0030】
「アシル基」として具体的には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、アクリロイル、プロピオロイル、メタクリロイル、クロトノイル、ベンゾイル、ナフトイル,トルオイル,ヒドロアトロポイル、アトロポイル、シンナモイル、フロイル、テノイル、ニコチノイル、イソニコチノイル、グルコロイル、ラクトイル、グリセロイル、トロポイル、ベンジロイル、サリチロイル、アニソイル、バニロイル、ベラトロイル、ピペロニロイル、プロトカテコイル、ガロイル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、シクロヘプタンカルボニル、1−メチルシクロヘキサンカルボニル、1−イソペンチルシクロペンタンカルボニル、1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニルチオカルボニルなどの基が挙げられる。アセチル、tert−ブトキシカルボニル、ベンゾイル、1−メチルシクロヘキサンカルボニル、1−イソペンチルシクロペンタンカルボニル、1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニル、及び2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニルチオカルボニルが好ましい。
【0031】
R、Rなどについて記載された「置換されているかまたは置換されていないC3−10シクロアルキル基」、「置換されているかまたは置換されていないC5−8シクロアルケニル基」、及び「置換されているかまたは置換されていないC3−10シクロアルキルC1−10アルキル基」の用語「置換されているかまたは置換されていない」は、基が同一又は異なり得る1−4個の置換基で置換されていてもよく、任意の位置が限定無しに随意に置換されていてもよいことを意味する。これらの基の具体例は、上記直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基;上記直鎖又は分岐鎖のC2−10アルケニル基;上記C3−10シクロアルキル基;上記C1−10シクロアルケニル基;上記C3−10シクロアルキルC1−10アルキル基;上記アリール基;アミノ基;メチルアミノ、エチルアミノなどの基などのC1−4低級アルキルアミノ基;アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ベンジルアミノなどの基などのアシルアミノ基;オキソ基;上記アラルキル基;上記アリールアルケニル基などである。
【0032】
上記置換基は、Rについての置換基として推奨される。これらの中で、Rについて好適なのは、上記直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基、上記C3−10シクロアルキル基、上記C5−8シクロアルケニル基、上記アリール基、及び上記アミノ基である。
【0033】
R、Rなどに関して記載された「置換されているかまたは置換されていないアリール基」、「1−3個の窒素、酸素、又は硫黄原子を含む5員又は6員の複素環基」、「置換されているかまたは置換されていないアラルキル基」、「置換されているかまたは置換されていないアリールアルケニル基」、「置換されているかまたは置換されていないアリールチオ基」、及び「置換されているかまたは置換されていない5員又は6員のヘテロアリールアルキル基」の用語「置換されているかまたは置換されていない」は、基が同一又は異なり得る1−4個、好ましくは1−3個の置換基で置換されていてもよく、任意の位置が特に限定無しに随意に置換されていてもよいことを意味する。これらの基の例として、上記直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基、好ましくは直鎖又は分岐鎖のC1−6アラルキル基;上記直鎖又は分岐鎖のC2−10アルケニル基、好ましくは直鎖又は分岐鎖のC2−6アルケニル基;上記ハロゲン原子;ニトロ基;上記C1−4低級アルキル基又は上記アシル基で置換されていてもよい上記アミノ基;ヒドロキシル基;上記C1−4低級アルコキシ基;上記C1−4低級アルキルチオ基;上記ハロ−C1−4低級アルキル基;上記アシル基;オキソ基などが挙げられる。
【0034】
上記置換基は、主にRについての置換基として推奨される。これらの中で上記直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基、上記ハロゲン原子及びニトロ基が、Rについて好適である。
【0035】
などについて記載された「置換されているかまたは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基」の「置換されているかまたは置換されていない」は、基が同一又は異なり得る1−3個の置換基で置換されていてもよく、任意の位置が特定の限定無しに随意に置換されていてもよいことを意味する。これらの基の例は、上記C1−4低級アルコキシ基;上記C1−4低級アルキル基;アシル又はヒドロキシル基で置換されていてもよい上記アミノ基;上記低級C1−4アルキルチオ基;カルバモイル基;ヒドロキシル基;上記ハロゲン原子;アシル基を含む上記アシルオキシ基;カルボキシル基;上記アシル基;置換されていてもよいアリール基を含む上記アリールオキシ基;などである。
【0036】
などに関して記載された「C1−4低級アルキル基」の「置換されているかまたは置換されていない」は、基が同一又は異なり得る1−3個の置換基で置換されていてもよく、任意の位置が特定の限定無しに随意に置換されていてもよいことを意味する。該基の例として、上記C1−4低級アルコキシ基;上記C1−4低級アルキル基又は上記アシル基で置換されていてもよい上記アミノ基;上記C1−4低級アルキルチオ基;カルバモイル基;ヒドロキシル基;カルボキシル基;上記アシル基;上記複素環基(特に、チエニルなどの芳香族複素環基又はテトラヒドロフリルなどの非芳香族複素環基);などが挙げられる。
【0037】
に関して記載された「置換されているかまたは置換されていないアミノ基」及び「置換されているかまたは置換されていないウレイド基」の用語「置換されているかまたは置換されていない」は、基が同一又は異なり得る1つ以上、好ましくは1−2個の置換基で置換されていてもよく、任意の位置が特定の限定無しに随意に置換されていてもよいことを意味する。これらの基の例は、上記C1−4低級アルキル基;ヒドロキシル基;上記アシル基;上記C1−4低級アルコキシ基で置換されていてもよい上記アリール基;などである。
【0038】
より具体的には、Rについて「直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基」として、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ヘプチル、1−プロピルブチル、及び1−イソブチル−3−メチルブチルが好適である。
【0039】
Rとして言及される「直鎖又は分岐鎖のC2−10アルケニル基」は、好ましくは、アリル、ビニル、イソプロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1−メチル−1−ブテニル、クロチル、1,3−ジメチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、及び1−メチル−2−ペンテニルである。
【0040】
Rについて「ハロ−C1−4低級アルキル基」は、上記ハロゲン原子、特に好ましくはフッ素及び塩素で置換された、C1−4低級アルキル基、特に好ましくはメチル基を意味し、トリフルオロメチル基が好適である。
【0041】
Rについて「置換されているかまたは置換されていないC3−10シクロアルキル基」は、上記直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基(特に好ましくは、C1−8アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2,2−ジメチルプロピル、4−メチルペンチル、2−エチルブチルなど)、上記直鎖又は分岐鎖のC2−10アルケニル基(特に好ましくは、C2−8アルケニル基、例えば、1−メチルビニル、2−メチルビニル、3−メチル−3−プロペニルなど)、上記C3−10シクロアルキル基(特に好ましくは、C3−7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)、上記C5−8シクロアルケニル基(特に好ましくは、C5−6シクロアルケニル基、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなど)、上記C3−10シクロアルキルC1−10アルキル基(特に好ましくは、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル基、例えば、シクロプロピルメチル、2−シクロプロピルエチル、2−シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチルなど)、上記アリール基(特に好ましくは、フェニル基)、オキソ基、上記アラルキル基(特に好ましくは、フェニルC1−4低級アルキル基、例えば、ベンジル、フェネチルなど)、及び上記アリールアルケニル基(特に好ましくは、2−フェニルビニル基)から選択される1−4個の置換基で置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基(特に好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、オクタヒドロインデニル、デカヒドロナフチル、アダマンチル、及びビシクロ[2.2.1]ヘプチル)を意味する。その好適例として、2,2,3,3−テトラメチルシクロプロピル、1−イソペンチルシクロブチル、1−イソプロピルシクロペンチル、1−イソブチルシクロペンチル、1−イソペンチルシクロペンチル、1−シクロヘキシルメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシル、1−プロピルシクロヘキシル、1−イソプロピルシクロヘキシル、1−ブチルシクロヘキシル、1−イソブチルシクロヘキシル、1−ペンチルシクロヘキシル、1−イソペンチルシクロヘキシル、1−(2,2−ジメチルプロピル)シクロヘキシル、1−(4−メチルペンチル)シクロヘキシル、1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル、4−tert−ブチル−1−イソペンチルシクロヘキシル、1−シクロプロピルシクロヘキシル、1−ビシクロヘキシル、1−フェニルシクロヘキシル、1−シクロプロピルメチルシクロヘキシル、1−シクロヘキシルメチルシクロヘキシル、1−(2−シクロプロピルエチル)シクロヘキシル、1−(2−シクロペンチルエチル)シクロヘキシル、1−(2−シクロヘキシルエチル)シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−プロピルシクロヘキシル、4−イソプロピルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、4−ペンチルシクロヘキシル、4−ビシクロヘキシル、1−イソペンチルシクロヘプチル、3a−オクタヒドロインデニル、4a−デカヒドロナフチル、1−アダマンチル、及び7,7−ジメチル−1−(2−オキソ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプチルが挙げられる。置換位置は特に限定されないが、1位が特に好ましい。上記の任意の置換基を使用することができるが、直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基が特に好ましい。
【0042】
置換されたC3−10シクロアルキル基の特に好適な例は、1−置換−C3−10シクロアルキル基である。「1−置換−C3−10シクロアルキル基」は、上記直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基(特に好ましくは、C1−8アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、2,2−ジメチルプロピル、4−メチルペンチル、又は2−エチルブチル)、上記直鎖又は分岐鎖のC2−10アルケニル基(特に好ましくは、C2−8アルケニル基、例えば、1−メチルビニル、2−メチルビニル、又は3−メチル−3−プロペニル)、上記C3−10シクロアルキル(特に好ましくは、C3−7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、又はシクロヘキシル)、上記C5−8シクロアルケニル基(特に好ましくは、C5−6シクロアルケニル基、例えば、シクロペンテニル又はシクロヘキセニル)、上記C3−10シクロアルキルC1−10アルキル基(特に好ましくは、C3−7シクロアルキルC1−4低級アルキル基、例えば、シクロプロピルメチル、2−シクロプロピルエチル、2−シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、又は2−シクロヘキシルエチル)、上記アリール基(特に好ましくは、フェニル基)、上記アラルキル基(特に好ましくは、フェニルC1−4低級アルキル基、例えば、ベンジル及びフェネチル)、及びアリールアルケニル基(特に好ましくは、2−フェニルビニル)から選択される置換基で1位が置換されているシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチル、好ましくは、C5−7シクロアルキル基、特に好ましくは、シクロヘキシル基)を意味する。1−置換−C3−10シクロアルキル基の好適例として、1−イソペンチルシクロブチル、1−イソプロピルシクロペンチル、1−イソブチルシクロペンチル、1−イソペンチルシクロペンチル、1−シクロヘキシルメチルシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシル、1−プロピルシクロヘキシル、1−イソプロピルシクロヘキシル、1−ブチルシクロヘキシル、1−イソブチルシクロヘキシル、1−ペンチルシクロヘキシル、1−イソペンチルシクロヘキシル、1−(2,2−ジメチルプロピル)シクロヘキシル、1−(4−メチルペンチル)シクロヘキシル、1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル、1−シクロプロピルシクロヘキシル、1−ビシクロヘキシル、1−フェニルシクロヘキシル、1−シクロプロピルメチルシクロヘキシル、1−シクロヘキシルメチルシクロヘキシル、1−(2−シクロプロピルエチル)シクロヘキシル、1−(2−シクロペンチルエチル)シクロヘキシル、1−(2−シクロヘキシルエチル)シクロヘキシル、及び1−イソペンチルシクロヘプチルが挙げられる。直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基が、1位の置換基として特に好ましい。
【0043】
Rについて「置換されているかまたは置換されていないC5−8シクロアルケニル基」の置換基は、上記「置換されているかまたは置換されていないC3−10シクロアルキル基」についてのものと同じである。具体的には、それは、上記直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基(特に好ましくは、C1−8アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、2,2−ジメチルプロピル、4−メチルペンチルなど)、上記直鎖又は分岐鎖のC2−10アルケニル基(特に好ましくは、C2−8アルケニル基、例えば、1−メチルビニル、2−メチルビニル、3−メチル−3−プロペニルなど)、上記C3−10シクロアルキル基(特に好ましくは、C3−7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)、上記C5−8シクロアルケニル基(特に好ましくは、C5−6シクロアルケニル基、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなど)、上記C3−10シクロアルキルC1−10アルキル基(特に好ましくは、C3−7シクロアルキルC1−4低級アルキル基、例えば、シクロプロピルメチル、2−シクロプロピルエチル、2−シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチルなど)、上記アリール基(特に好ましくは、フェニル基)、オキソ基、上記アラルキル基(特に好ましくは、フェニルC1−4低級アルキル基、例えば、ベンジル、フェネチルなど)、及びアリールアルケニル基(特に好ましくは、2−フェニルビニル)から選択される1−4個の置換基を有してもよいシクロアルケニル基(特に、シクロペンテニル及びシクロヘキセニル)を意味する。シクロアルケニル基の好適例として、1−イソプロピル−2−シクロペンテニル、1−イソプロピル−3−シクロペンテニル、1−イソブチル−2−シクロペンテニル、1−イソブチル−3−シクロペンテニル、1−イソペンチル−2−シクロペンテニル、1−イソペンチル−3−シクロペンテニル、1−シクロヘキシルメチル−2−シクロペンテニル、1−シクロヘキシルメチル−3−シクロペンテニル、1−シクロヘキセニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、1−メチル−2−シクロヘキセニル、1−メチル−3−シクロヘキセニル、1−エチル−2−シクロヘキセニル、1−エチル−3−シクロヘキセニル、1−プロピル−2−シクロヘキセニル、1−プロピル−3−シクロヘキセニル、1−イソプロピル−2−シクロヘキセニル、1−イソプロピル−3−シクロヘキセニル、1−ブチル−2−シクロヘキセニル、1−ブチル−3−シクロヘキセニル、1−イソブチル−2−シクロヘキセニル、1−イソブチル−3−シクロヘキセニル、1−ペンチル−2−シクロヘキセニル、1−ペンチル−3−シクロヘキセニル、1−イソペンチル−2−シクロヘキセニル、1−イソペンチル−3−シクロヘキセニル、1−(2,2−ジメチルプロピル)−2−シクロヘキセニル、1−(2,2−ジメチルプロピル)−3−シクロヘキセニル、1−(4−メチルペンチル)−2−シクロヘキセニル、1−(4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセニル、1−シクロプロピル−2−シクロヘキセニル、1−シクロプロピル−3−シクロヘキセニル、1−シクロヘキシル−2−シクロヘキセニル、1−シクロヘキシル−3−シクロヘキセニル、1−フェニル−2−シクロヘキセニル、1−フェニル−3−シクロヘキセニル、1−シクロプロピルメチル−2−シクロヘキセニル、1−シクロプロピルメチル−3−シクロヘキセニル、1−シクロヘキシルメチル−2−シクロヘキセニル、1−シクロヘキシルメチル−3−シクロヘキセニル、1−(2−シクロプロピルエチル)−2−シクロヘキセニル、1−(2−シクロプロピルエチル)−3−シクロヘキセニル、1−(2−シクロペンチルエチル)−2−シクロヘキセニル、1−(2−シクロペンチルエチル)−3−シクロヘキセニル、1−(2−シクロヘキシルエチル)−2−シクロヘキセニル、及び1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−シクロヘキセニルが挙げられる。置換位置に特別の制限は無いが、特に好適な位置は1位である。上記置換基のいずれも使用することができるが、直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基又はC3−10シクロアルキルC1−4アルキル基が特に好適である。
【0044】
置換されたC5−8シクロアルケニル基の特に好適な例は、1−置換−C5−8シクロアルケニル基である。「1−置換−C5−8シクロアルケニル基」は、上記直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基(特に好ましくは、C1−8アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、2,2−ジメチルプロピル、4−メチルペンチルなど)、上記直鎖又は分岐鎖のC2−10アルケニル基(特に好ましくは、C2−8アルケニル基、例えば、1−メチルビニル、2−メチルビニル、又は3−メチル−3−プロペニルなど)、上記C3−10シクロアルキル基(特に好ましくは、C3−7シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルなど)、上記C5−8シクロアルケニル基(特に好ましくは、C5−6シクロアルケニル基、例えば、シクロペンテニル又はシクロヘキセニルなど)、上記C3−10シクロアルキルC1−10アルキル基(特に好ましくは、C3−7シクロアルキルC1−4低級アルキル基、例えば、シクロプロピルメチル、2−シクロプロピルエチル、2−シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、又は2−シクロヘキシルエチルなど)、上記アリール基(特に好ましくは、フェニル基)、上記アラルキル基(特に好ましくは、フェニルC1−4低級アルキル基、例えば、ベンジル又はフェネチルなど)、及び上記アリールアルケニル基(特に好ましくは、2−フェニルビニル基)から選択される置換基で1位が置換されているシクロアルケニル基(特に好ましくは、C5−6シクロアルケニル基、例えば、シクロペンテニル又はシクロヘキセニル)を意味する。1−置換−C5−8シクロアルケニル基の好適例として、1−イソプロピル−2−シクロペンテニル、1−イソプロピル−3−シクロペンテニル、1−イソブチル−2−シクロペンテニル、1−イソブチル−3−シクロペンテニル、1−イソペンチル−2−シクロペンテニル、1−イソペンチル−3−シクロペンテニル、1−シクロヘキシルメチル−2−シクロペンテニル、1−シクロヘキシルメチル−3−シクロペンテニル、1−メチル−2−シクロヘキセニル、1−メチル−3−シクロヘキセニル、1−エチル−2−シクロヘキセニル、1−エチル−3−シクロヘキセニル、1−プロピル−2−シクロヘキセニル、1−プロピル−3−シクロヘキセニル、1−イソプロピル−2−シクロヘキセニル、1−イソプロピル−3−シクロヘキセニル、1−ブチル−2−シクロヘキセニル、1−ブチル−3−シクロヘキセニル、1−イソブチル−2−シクロヘキセニル、1−イソブチル−3−シクロヘキセニル、1−ペンチル−2−シクロヘキセニル、1−ペンチル−3−シクロヘキセニル、1−イソペンチル−2−シクロヘキセニル、1−イソペンチル−3−シクロヘキセニル、1−(2,2−ジメチルプロピル)−2−シクロヘキセニル、1−(2,2−ジメチルプロピル)−3−シクロヘキセニル、1−(4−メチルペンチル)−2−シクロヘキセニル、1−(4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセニル、1−シクロプロピル−2−シクロヘキセニル、1−シクロプロピル−3−シクロヘキセニル、1−シクロヘキシル−2−シクロヘキセニル、1−シクロヘキシル−3−シクロヘキセニル、1−フェニル−2−シクロヘキセニル、1−フェニル−3−シクロヘキセニル、1−シクロプロピルメチル−2−シクロヘキセニル、1−シクロプロピルメチル−3−シクロヘキセニル、1−シクロヘキシルメチル−2−シクロヘキセニル、1−シクロヘキシルメチル−3−シクロヘキセニル、1−(2−シクロプロピルエチル)−2−シクロヘキセニル、1−(2−シクロプロピルエチル)−3−シクロヘキセニル、1−(2−シクロペンチルエチル)−2−シクロヘキセニル、1−(2−シクロペンチルエチル)−3−シクロヘキセニル、1−(2−シクロヘキシルエチル)−2−シクロヘキセニル、及び1−(2−シクロヘキシルエチル)−3−シクロヘキセニルが挙げられる。1位の置換基として、直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基が特に好ましい。
【0045】
Rについて「置換されているかまたは置換されていないC3−10シクロアルキルC1−10アルキル基」は、上記C3−10シクロアルキル基(特に好ましくは、C3−7シクロアルキル基、例えば、シクロペンチル又はシクロヘキシルなど)、上記C5−8シクロアルケニル基(特に好ましくは、C5−7シクロアルケニル基、例えば、シクロペンテニル又はシクロヘキセニルなど)、及び上記アリール基(特に好ましくは、フェニル基)から選択される1−4個の置換基を有していてもよい、そのC1−10アルキル基が直鎖又は分岐鎖である、C3−10シクロアルキルC1−10アルキル基(特に好ましくは、シクロヘキシルメチル、1−シクロヘキシルエチル、1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、1−シクロヘキシル−2−メチルプロピル、1−シクロヘキシル−3−メチルブチル、1−シクロヘキシルヘキシル、1−シクロヘキシル−4−メチルペンチル、及び1−シクロヘキシルヘプチル)を意味する。置換位置に特別の制限は無い。上記置換基は、直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル部分に位置していてもよい。C3−10シクロアルキルC1−10アルキル基の好適例として、シクロヘキシルメチル、1−シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルシクロペンチルメチル、ジシクロヘキシルメチル、1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、1−シクロヘキシル−2−メチルプロピル、1−シクロヘキシル−3−メチルブチル、1−シクロヘキシル−4−メチルペンチル、1−シクロヘキシルヘキシル、及び1−シクロヘキシルヘプチルが挙げられる。
【0046】
Rについて「置換されているかまたは置換されていないアリール基」は、上記直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基(特に好ましくは、tert−ブチル基)、上記ハロゲン原子(特に好ましくは、フッ素及び塩素)、及びニトロ基から選択される1−4個の置換基を有していてもよいアリール基(特に好ましくは、フェニル基)を意味する。アリール基の好適例は、フェニル、2−クロロフェニル、4−ニトロフェニル、及び3,5−ジ−tert−ブチルフェニルである。
【0047】
Rについて「置換されているかまたは置換されていないアラルキル」は、上記ハロゲン原子(特に好ましくは、フッ素及び塩素)、ニトロ基及びヒドロキシ基から選択される置換基を有してもよいアラルキル基(特に好ましくは、ベンジル、ベンズヒドリル、及びトリチル)を意味し、ここで、C1−4低級アルキル基は直鎖又は分岐鎖である。置換位置に特別の制限は無い。直鎖又は分岐鎖のC1−4低級アルキル部分が置換されていてもよい。アラルキル基の好適例は、ベンジル及びトリチルである。
【0048】
Rについて「1−3個の窒素、酸素又は硫黄原子を有する、置換されているかまたは置換されていない5員又は6員の複素環基」は、上記直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基(特に好ましくは、tert−ブチル基)、上記ハロゲン原子(特に好ましくは、フッ素及び塩素)、及びニトロ基から選択される1−4個の置換基を有してもよい上記複素環基を意味する。複素環基は、好ましくは、芳香族複素環基、特に好ましくは、フリル、チエニル、及びピリジルである。
【0049】
について「置換されているかまたは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基」は、上記ハロゲン原子(特に好ましくは、フッ素及び塩素)、上記C1−4低級アルコキシ基(特に好ましくは、メトキシ基)、上記C1−4低級アルキル基(特に好ましくは、メチル基)、上記アシル基(特に好ましくは、アセチル基)又はヒドロキシル基で置換されていてもよいアミノ基、上記C1−4低級アルキルチオ基(特に好ましくは、メチルチオ基)、カルバモイル基、ヒドロキシル基、上記アシル基を有するアシルオキシ基(特に好ましくは、アセチルオキシ基)、カルボキシル基、アシル基(特に好ましくは、メトキシカルボニル基)、及び上記置換されているかまたは置換されていないアリール基を有するアリールオキシ基(特に好ましくは、フェノキシ基及び4−クロロフェノキシ基)から選択される置換基を有してもよい直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基を意味する。アルキル基の好適例として、メチル、クロロメチル、エチル、イソプロピル、1−メチル−2−ペンチル、オクチル、メトキシメチル、ジメチルアミノメチル、アセチルアミノメチル、1−アセチルアミノエチル、1−アセチルアミノ−2−メチルプロピル、1−アセチルアミノ−3−メチルブチル、1−アセチルアミノ−3−メチルチオプロピル、1−アセチルアミノ−3−カルバモイルプロピル、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル、1−アセチルオキシ−1−メチルエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシカルボニルエチル、フェノキシメチル、及び4−クロロフェノキシメチルが挙げられる。
【0050】
について「C1−4低級アルコキシ基」は、好ましくは、メトキシ基およびtert−ブトキシ基である。
【0051】
について「C1−4低級アルキルチオ基」は、好ましくは、メチルチオ基である。
【0052】
について「置換されているかまたは置換されていないアミノ基」は、上記C1−4低級アルキル基(特に好ましくは、エチル、イソプロピル、及びtert−ブチル)、上記アシル基(特に好ましくは、アセチル及びベンゾイル)、及び上記C1−4低級アルコキシ基で置換されていてもよい上記アリール基(特に好ましくは、フェニル及び4−メトキシフェニル)から選択される置換基を有してもよいアミノ基を意味する。アミノ基の好適例は、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、tert−ブチルアミノ、フェニルアミノ、及び4−メトキシフェニルアミノである。
【0053】
について「置換されているかまたは置換されていないウレイド基」は、上記C1−4低級アルキル基(特に好ましくは、メチルおよびエチル)、上記アシル基(特に好ましくは、アセチルおよびベンゾイル)、及び上記C1−4低級アルコキシ基で置換されていてもよい上記アリール基(特に好ましくは、フェニルおよび4−メトキシフェニル)から選択される置換基を有してもよいウレイド基を意味し、N,N’−ジフェニルウレイド基が好ましい。
【0054】
について「置換されているかまたは置換されていないC3−10シクロアルキル基」は、上記直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基(特に好ましくは、メチル、tert−ブチル、及びイソペンチル)、アミノ基、上記C1−4低級アルキル又はアシル基で置換されていてもよいアミノ基(特に好ましくは、メチルアミノ、エチルアミノ、アセチルアミノ、及びベンジルアミノ)から選択される置換基を有してもよいC3−10シクロアルキル基(特に好ましくは、シクロプロピルおよびシクロヘキシル)を意味する。シクロアルキル基の好適例は、シクロプロピル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、1−イソペンチルシクロヘキシル、1−アミノシクロヘキシル、1−アセチルアミノシクロヘキシル、及び4−tert−ブチルシクロヘキシルである。
【0055】
について「置換されているかまたは置換されていないC3−10シクロアルキルC1−10アルキル基」は、上記C3−10シクロアルキル基(特に好ましくは、シクロペンチルおよびシクロヘキシル)、上記C5−8シクロアルケニル基(特に好ましくは、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニル)、及び上記アリール基(特に好ましくは、フェニル基)から選択される置換基を有してもよいC3−10シクロアルキルC1−10アルキル基(ここで、C1−10アルキル部分は直鎖又は分岐鎖である)を意味する。置換位置に特別の制限は無い。直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル部分が置換されていてもよい。C3−10シクロアルキルC1−10アルキル基としてシクロヘキシルメチル基が好ましい。
【0056】
について「置換されているかまたは置換されていないアリール基」は、上記直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基(特に好ましくは、メチルおよびtert−ブチル基)、上記ハロゲン原子(特に好ましくは、フッ素および塩素)、ニトロ基、ヒドロキシル基、上記C1−4低級アルコキシ基(特に好ましくは、メトキシ基)、及び上記アシル基(特に好ましくは、2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニルチオカルボニル基)から選択される置換基を有してもよいアリール基(特に好ましくは、フェニルおよびナフチル)を意味する。アリール基の好適例として、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−クロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2−メトキシフェニル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル、及び4−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニルチオカルボニル]フェニルが挙げられる。
【0057】
について「置換されているかまたは置換されていないアラルキル基」は、上記ハロゲン原子(特に好ましくは、フッ素および塩素)、ニトロ基、上記C1−4低級アルキル基又は上記アシル基で置換されていてもよいアミノ基(特に好ましくは、アミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、1−メチルシクロヘキサンカルボニル−アミノ、tert−ブトキシカルボニルアミノ、及びベンゾイルアミノ)、及びヒドロキシル基から選択される置換基を有してもよいアラルキル基(特に好ましくは、ベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、ナフチルメチル、及びビフェニルメチル)(ここで、C1−4低級アルキル基は、直鎖又は分岐鎖である)を意味する。置換位置に特別の制限は無い。直鎖又は分岐鎖のC1−4低級アルキル部分が置換されていてもよい。アラルキル基の好適例として、ベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、2−ナフチルメチル、4−ビフェニルメチル、ベンズヒドリル、2−クロロフェニルメチル、3−クロロフェニルメチル、4−クロロフェニルメチル、2−ニトロフェニルメチル、4−ニトロフェニルメチル、2−ピバロイルアミノフェニルメチル、2−(1−メチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニルメチル、2−tert−ブトキシ−カルボニルアミノフェニルメチル、3−アセチルアミノフェニルメチル、3−(1−メチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニルメチル、α−アミノベンジル、α−アセチルアミノベンジル、α−(1−メチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)ベンジル、α−ベンゾイルアミノベンジル、α−アミノフェネチル、α−アセチルアミノフェネチル、及び1−アセチルアミノ−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルが挙げられる。
【0058】
について「置換されているかまたは置換されていないアリールアルケニル基」は、上記直鎖又は分岐鎖のC1−6低級アルキル基(特に好ましくは、メチルおよびtert−ブチル)、上記ハロゲン原子(特に好ましくは、フッ素および塩素)、ニトロ基及びヒドロキシル基から選択される置換基を有してもよいアリールアルケニル基(特に、フェニルビニル)を意味し、2−フェニルビニル基が好ましい。
【0059】
について「置換されているかまたは置換されていないアリールチオ基」は、上記ハロゲン原子(特に好ましくは、フッ素および塩素)、ニトロ基、及び上記C1−4低級アルキル基又は上記アシル基で置換されていてもよいアミノ基(特に好ましくは、アミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、1−メチルシクロヘキサンカルボニルアミノ、及びベンゾイルアミノ)、ヒドロキシル基、及び上記ハロ−C1−4低級アルキル基(特に好ましくは、トリフルオロメチル基)から選択される置換基を有してもよいアリールチオ基(特に好ましくは、フェニルチオ基)を意味する。アリールチオ基の好適例として、フェニルチオ、2−ピバロイルアミノフェニルチオ、2−(1−メチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニルチオ、及び2−(1−メチルシクロヘキサンカルボニルアミノ−4−トリフルオロメチル)フェニルチオが挙げられる。
【0060】
について「1−3個の窒素、酸素、又は硫黄原子を有する、置換されているかまたは置換されていない5員又は6員の複素環基」は、上記直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基(特に好ましくは、メチル基)、ハロゲン原子(特に好ましくは、フッ素および塩素)、上記アシル基(特に好ましくは、アセチルおよびベンゾイル)、及びオキソ基から選択される置換基を有してもよい複素環基(特に好ましくは、ピリジルなどの芳香族複素環基、又はピペリジルもしくはピロリジニルなどの非芳香族複素環基)を意味する。その好適例は、3−ピリジル、1−メチル−4−ピペリジル、1−アセチル−4−ピペリジル、5−オキソ−2−ピロリジニル、1−アセチル−2−ピロリジニル、及び1−ベンゾイル−2−ピロリジニルである。1−メチル−4−ピペリジル又は1−アセチル−4−ピペリジル基などの4−ピペリジル基が特に好ましい。
【0061】
について「置換されているかまたは置換されていない5員又は6員のヘテロアリールアルキル基」は、上記直鎖又は分岐鎖のC1−6アルキル基(特に好ましくは、メチル基)及び上記ハロゲン原子(特に好ましくは、フッ素および塩素)で置換されていてもよい上記ヘテロアリールアルキル基(特に好ましくは、2−テニル基)を意味する。2−テニル基が好ましい。
【0062】
について「置換されているかまたは置換されていないC1−4低級アルキル基」は、上記C1−4低級アルコキシ基(特に好ましくは、メトキシ基)、上記C1−4低級アルキル又はアシル基で置換されていてもよいアミノ基(特に好ましくは、ジメチルアミノ基)、上記C1−4低級アルキルチオ基(特に好ましくは、メチルチオ基)、カルバモイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、上記アシル基(特に好ましくは、メトキシカルボニル基)、及び上記複素環基(特に好ましくは、チエニルなどの芳香族複素環基、又はテトラヒドロフリルなどの非芳香族複素環基)から選択される1−3個の置換基を有してもよいC1−4低級アルキル基(特に好ましくは、メチル基)を意味する。テトラヒドロフリルメチル基が好ましい。
【0063】
について「置換されているかまたは置換されていないアリール基」は、Rについてのものと同一である。その好適例は、フェニル基、ハロゲン化フェニル基、アシルアミノ−置換フェニル基などである。
【0064】
、X、X、及びXについて「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素などを含むハロゲン原子を意味し、フッ素および塩素が好ましい。
【0065】
、X、X、及びXについて「C1−4低級アルキル基」は、好ましくは、メチル基である。
【0066】
、X、X、及びXについて「ハロ−C1−4低級アルキル基」は、上記ハロゲン原子(特に好ましくは、フッ素および塩素)で置換されたC1−4低級アルキル基(特に好ましくは、メチル基)を意味する。トリフルオロメチル基が好ましい。
【0067】
、X、X、及びXについて「C1−4低級アルコキシ基」は、好ましくは、メトキシ基である。
【0068】
、X、X、及びXについて「アシル基」は、好ましくは、ベンゾイル基である。
【0069】
、X、X、及びXについて「アリール基」は、好ましくは、フェニル基である。
【0070】
好ましくは、CETP阻害剤は、N−(2−メルカプトフェニル)−1−イソペンチルシクロヘキサンカルボキサミド;N−(2−メルカプトフェニル)−1−メチルシクロヘキサンカルボキサミド;N−(2−メルカプトフェニル)−1−イソペンチルシクロペンタンカルボキサミド;N−(2−メルカプトフェニル)−1−イソプロピルシクロヘキサンカルボキサミド;N−(4,5−ジクロロ−2−メルカプトフェニル)−1−イソペンチルシクロヘキサンカルボキサミド;N−(4,5−ジクロロ−2−メルカプトフェニル)−1−イソペンチルシクロペンタンカルボキサミド;N−(2−メルカプト−5−メチルフェニル)−1−イソペンチルシクロヘキサンカルボキサミド;N−(2−メルカプト−4−メチルフェニル)−1−イソペンチルシクロヘキサンカルボキサミド;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] チオアセテート;S−[2−(1−メチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2−アセチルアミノ−3−フェニルチオプロピオネート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 3−ピリジンチオカルボキシレート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] クロロチオアセテート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] メトキシチオアセテート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] チオプロピオネート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] フェノキシチオアセテート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2−メチルチオプロピオネート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 4−クロロフェノキシチオアセテート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] シクロプロパンチオカルボキシレート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2−アセチルアミノ−4−カルバモイルチオブチレート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2−ヒドロキシ−2−メチルチオプロピオネート;S−[2−(1−イソペンチルシクロペンタンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルプロピオネート;2−[2−(1−イソペンチルシクロペンタンカルボニルアミノ)フェニル] チオアセテート;S−[4,5−ジクロロ−2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[4,5−ジクロロ−2−(1−イソペンチルシクロペンタンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)−4−トリフルオロメチルフェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;O−メチル S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] モノチオカーボネート;S−[2−(1−メチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] S−フェニル ジチオカーボネート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] N−フェニルチオカルバメート;S−[4,5−ジクロロ−2−(1−シクロプロピルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[4,5−ジクロロ−2−(1−ペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[4,5−ジクロロ−2−(1−シクロプロピルメチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[4,5−ジクロロ−2−(1−シクロヘキシルメチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[4,5−ジクロロ−2−(1−イソプロピルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[4,5−ジクロロ−2−(1−イソペンチルシクロヘプタンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[4,5−ジクロロ−2−(1−イソペンチルシクロブタンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)−4−ニトロフェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[4−シアノ−2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[4−クロロ−2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[5−クロロ−2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[4−フルオロ−2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[4,5−ジフルオロ−2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[5−フルオロ−2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;N−(2−メルカプトフェニル)−1−エチルシクロヘキサンカルボキサミド;N−(2−メルカプトフェニル)−1−プロピルシクロヘキサンカルボキサミド;N−(2−メルカプトフェニル)−1−ブチルシクロヘキサンカルボキサミド;N−(2−メルカプトフェニル)−1−イソブチルシクロヘキサンカルボキサミド;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] シクロヘキサンチオカルボキシレート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] チオベンゾエート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 5−カルボキシチオペンタノエート;S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)−4−メチルフェニル] チオアセテート;N−(2−メルカプトフェニル)−1−(2−エチルブチル)シクロヘキサンカルボキサミド;S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエート;S−[2−(1−イソブチルシクロヘキサンカルボニルアミノ]フェニル] 2−メチルチオプロピオネート;S−[2−[1−(2−エチルブチル)シクロヘキサンカルボニルアミノ]フェニル] 1−アセチルピペリジン−4−チオカルボキシレート;S−[2−[1−(2−エチルブチル)シクロヘキサンカルボニルアミノ]フェニル] チオアセテート;S−[2−[1−(2−エチルブチル)シクロヘキサンカルボニルアミノ]フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;S−[2−[1−(2−エチルブチル)シクロヘキサンカルボニルアミノ]フェニル] メトキシチオアセテート;S−[2−[1−(2−エチルブチル)シクロヘキサンカルボニルアミノ]フェニル] 2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオネート;S−[2−[1−(2−エチルブチル)シクロヘキサンカルボニルアミノ]フェニル] 4−クロロフェノキシチオアセテート;S−[2−(1−イソブチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 4−クロロフェノキシチオアセテート;及びS−[2−(1−イソブチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 1−アセチルピペリジン−4−チオカルボキシレートからなる群から選択される化合物、又はそのプロドラッグ化合物、医薬上許容される塩、水和物もしくは溶媒和物である。
【0071】
最も好ましくは、CETP阻害剤は、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエート(プロパンチオ酸、2−メチル−、S−[2−[[[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ]フェニル]エステル;S−[2−[1−(2−エチルブチル)シクロヘキサンカルボニルアミノ]フェニル] 2−メチルチオプロピオネート又はJTT−705としても知られる)(以後、化合物Iという)である。化合物Iは以下の構造式を有する。
【0072】
【化2】

【0073】
S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートは、ヒトにおいて(de Groothら、Circulation、105、2159−2165(2002))及びウサギにおいて(Shinkaiら、J.Med.Chem.、43、3566−3572(2000);Kobayashiら、Atherosclerosis、162、131−135(2002);及びOkamotoら、Nature、406(13)、203−207(2000))、CETP活性の阻害剤であることが示された。S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートは、ヒトにおいて(de Groothら、上記)及びウサギにおいて(Shinkaiら、上記;Kobayashiら、上記;Okamotoら、上記)、血漿HDLコレステロールを増加させることが示された。更に、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートは、ヒトにおいて(de Groothら、上記)及びウサギにおいて(Okamotoら、上記)、LDLコレステロールを減少させることが示された。更に、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートは、ウサギにおいて、アテローム性動脈硬化の進行を阻害する(Okamotoら、上記)。S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエート、並びに該化合物の製造方法および使用方法は、米国特許第6,426,365号に記載されている。
【0074】
いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、患者の体内において、化合物Iは、血漿、肝臓、及び/又は小腸で加水分解されて、S−[2([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] チオール(以後、化合物IIという)を形成するという仮説が立てられる。低分子量チオール成分(即ち、R−SH)(システインやグルタチオンなど)及び高分子量チオール成分(即ち、Prot−SH)(ペプチドや蛋白質(例えば、酵素や細胞膜)など)が、分子間又は分子内で酸化されたジスルフィド結合(S−S結合)を含む混合ジスルフィドとして体内に存在することが知られている(例えば、Shimadeら、J.Chromatogr.B、659、227(1994)を参照)。従って、患者の体内において、化合物IIは、低分子量又は高分子量チオールとコンジュゲートして、混合ジスルフィド又は化合物IIのダイマーを生じるという仮説が立てられる。これらの形態は、化合物IIを介して互いに酸化還元平衡にあるので、これらの形態の全て及び化合物IIは、集合的であるが非排他的に、以後、化合物Iの活性型と見なされ、そのように呼ぶ。以下のスキームは、上記仮説を表す。
【0075】
【化3】

【0076】
化合物Iの投与は本発明の特に好適な実施態様であるが、本発明はまた、化合物Iの活性型を生じるであろう他の化合物、即ち、化合物Iの活性型のプロドラッグの投与も意図する。例えば、このようなプロドラッグは、異なるメルカプト保護基を有するが、なお患者の体内で(即ち、インビボで)化合物Iの活性型(例えば、化合物II)を結果として形成する化合物でありうる。用語「メルカプト保護基」は、通常使用されるメルカプト保護基(例えば、Wolman、The Chemistry of the Thiol Group、D.Patai編、Wiley−Interscience、New York、1974に記載のようなもの)を指す。特に制限されることなく、インビボで解離することができる任意の有機残基を使用することができる。特に適したメルカプト保護基の例は、米国特許第6,426,365号に記載されている。本発明は更に、化合物Iの活性型を生じるような化合物I’(式中、R’は、イソプロピル基以外の有機残基を意味する)の投与を意図する。
【0077】
【化4】

【0078】
更に、化合物III、IV、およびV(ここで、Rは有機残基を意味し、Protはペプチド又は蛋白質を意味する)は、インビボで化合物IIと平衡にあると考えられ、同様に患者に直接投与することができる。
【0079】
CETP阻害剤(例えば、化合物I)は、任意の適切な形態(例えば、固体又は液体として、結晶又は非晶質の形態で、又はそれらの任意の組み合せ)でありうる。好適な実施態様では、CETP阻害剤は、結晶又は非晶質の形態の固体である。用語「非晶質」は、非結晶状態を意味する。CETP阻害剤の非晶質又は結晶状態に適用される用語「それらの組み合せ」は、CETP阻害剤の非晶質の形態と結晶の形態との混合物を指す。CETP阻害剤の主要部分は、非晶質又は結晶の形態でありうる。本明細書で使用される、CETP阻害剤の用語「主要部分」は、組成物中でCETP阻害剤の50%を超えることを意味する。例えば、組成物中のCETP阻害剤の主要部分は結晶の形態でありうる。あるいは、組成物中のCETP阻害剤は、「実質的に非晶質」(即ち、結晶形態のCETP阻害剤の量は、約10%を超えない)又は「実質的に結晶性」(即ち、非晶質形態のCETP阻害剤の量は、約10%を超えない)でありうる。好ましくは、CETP阻害剤は、少なくとも約50%(例えば、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は実質的に約100%)が結晶である。結晶性CETP阻害剤の量は、粉末X線回折、走査電子顕微鏡(SEM)解析、示差走査熱量測定(DSC)、又は任意の他の標準的定量的測定によって測定することができる。
【0080】
相当数のCETP阻害剤は、低い水溶解度、低い生物学的利用能、及び/又は低い吸収速度を有するので、水性の使用環境においてその濃度を増大させることが望ましい。本明細書で使用される用語「生物学的利用能」は、一般的に、活性成分又はその活性型が薬物製品から吸収されて作用部位で有効となるような速度および程度を意味する。米国連邦規制基準、表題21、第320.1部(2001年編)を参照。経口投与形態では、生物学的利用能は、活性成分が経口投与形態、例えば、錠剤から放出され、活性型に変換され(もし、活性成分が既に活性型でなければ)、作用部位に移動する(例えば、全身循環に吸収される)過程に関する。
【0081】
CETP阻害剤の水溶解度が非常に低い(即ち、CETP阻害剤は実質的に水不溶性である)ので、多くのCETP阻害剤の経口送達はしばしば困難である。用語「非常に低い水溶解度」及び「実質的に水不溶性」は、CETP阻害剤が、任意の生理学上適切なpH(例えばpH1−8)および約22℃にて約10μg/mL未満(例えば、約5μg/mL未満、約2μg/mL未満、約1μg/mL未満、約0.5μg/mL未満、約0.1μg/mL未満、約50ng/mL未満、約20ng/mL未満、又は約10ng/mL未満)の最大水溶解度を有することを意味する。例えば、水中での化合物Iの溶解度は、約0.0001mg/mL未満である。このような低い溶解度は、CETPに結合し、それによってCETP阻害剤として作用する種の特定の構造的特徴の直接的な結果である。この低い溶解度は、主としてCETP阻害剤の疎水性の性質によるものである。
【0082】
従って、CETP阻害剤の疎水性及び不溶性の性質は、経口送達について特別の挑戦を与える。実用的な量の薬剤の経口投与によって血中の治療薬剤レベルを達成することは、一般的に、胃腸流体中の薬剤濃度の大きな増大とその結果としての生物学的利用能の大きな増大とを必要とする。更に、CETP阻害剤は、非常に高い投与量:溶解度比を有し得る。薬剤が通常の方法で経口投与される場合、非常に低い溶解度により、しばしば、胃腸管の流体からの薬剤の乏しい又は遅い吸収が生じる。非常に低い溶解度の薬剤にとって、投与量(経口投与する薬剤量)が増加するにつれて、乏しい吸収は一般的に次第により困難となる。
【0083】
CETP阻害剤は、低い融点によって特徴付けられる。CETP阻害剤は、好ましくは、約150℃以下(例えば、約140℃以下、約130℃以下、約120℃以下、約110℃以下、約100℃以下、約90℃以下、約80℃以下、又は約70℃以下)の融点を有する。例えば、化合物Iは約63−65℃の融点を有する。
【0084】
1つ以上のこれらの特性の結果として、CETP阻害剤は、典型的には非常に低い絶対的生物学的利用能を有する。具体的には、非分散状態で経口投与された場合、CETP阻害剤の絶対的生物学的利用能は、約10%未満(例えば、約9%未満、約8%未満、約7%未満、又は約6%未満)であり、しばしば約5%未満(例えば、約4%未満、約3%未満、約2%未満、又は約1%未満)である。
【0085】
CETP阻害剤に関連した非常に低い絶対的生物学的利用能を克服するために、本発明は、CETP阻害剤と1つ以上の水不溶性の濃度増大添加剤とを含有する医薬組成物を提供する。有利には、水不溶性の濃度増大添加剤の含有は、CETP阻害剤の生物学的利用能を劇的に改善することが見出された。
【0086】
水不溶性の濃度増大添加剤は、CETP阻害剤の生物学的利用能を、添加剤の非存在下でのCETP阻害剤の投与に対して増大させる任意の適切な添加剤であり得る。濃度増大添加剤は、好ましくはポリマーである。「水不溶性」添加剤とは、添加剤が任意の生理学的に適切なpH(例えば、pH1−8)および約22℃にて約10μg/mL未満の最大水溶解度を有することを意味する。「濃度増大添加剤」とは、添加剤(例えば、ポリマー)が、CETP阻害剤の生物学的利用能を、濃度増大添加剤の非存在下でのCETP阻害剤の投与に対して増大させることを意味する。例えば、医薬組成物中の添加剤の存在は、好ましくは、水性の使用環境(例えば、血漿、特にヒトの血漿)において、CETP阻害剤(又はその活性型)の濃度を、添加剤の非存在下でのCETP阻害剤の投与と比較して増大させる。従って、添加剤は、「濃度増大添加剤」、又はこのような添加剤がポリマーであるとき、「濃度増大ポリマー」と見なすことができる。
【0087】
医薬組成物の使用方法の説明で更に考察するように、CETP阻害剤と水不溶性の濃度増大添加剤とを含有する医薬組成物は、使用環境(典型的には、血漿、特にヒトの血漿)において、CETP阻害剤の活性型(例えば、化合物Iの活性型)の、特定の最大濃度と、時間0〜最後の定量可能な濃度(0−t)及び/又は時間0〜無限(0−∞)の濃度−時間曲線下面積(AUC)とを達成することができる。
【0088】
医薬組成物中に存在するCETP阻害剤の量に対する水不溶性の濃度増大添加剤の量は、CETP阻害剤と濃度増大添加剤とに依存する。添加剤に対するCETP阻害剤の重量比は、約1:100〜約10:1(例えば、約1:50、約1:25、約1:10、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、又はその範囲)でありうる。好ましくは、添加剤に対するCETP阻害剤の重量比は、約2:1〜約9:1、より好ましくは約2:1〜約4:1である。最適結果を生じる添加剤に対するCETP阻害剤の比は、CETP阻害剤ごとに異なり、インビトロ溶解試験及び/又はインビボ生物学的利用能試験において最適に決定される。
【0089】
特に好適な水不溶性の濃度増大添加剤は、クロスポビドン(即ち、架橋性N−ビニル−2−ピロリドンの合成ホモポリマー)である。クロスポビドンは、任意の適切な量で、望ましくは、CETP阻害剤(例えば、化合物I)の約30重量%〜約100重量%(例えば、約40重量%、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、又はその範囲)の範囲内で、医薬組成物中に存在しうる。本発明の好適な実施態様では、クロスポビドンに対するCETP阻害剤の重量比は、約1:1〜約3.3:1、より好ましくは約2:1〜約3:1でありうる。医薬組成物中のクロスポビドンの量は、投与形態(例えば、錠剤)の崩壊および溶解にとって重要である。例えば、医薬組成物が約30重量%未満(例えば、約25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、又は約5重量%未満)のCETP阻害剤を含有する場合、錠剤の崩壊時間は遅れ、結果として生じるCETP阻害剤の溶解量は減少する。崩壊時間および結果として生じる溶解量は、胃腸管におけるCETP阻害剤の吸収可能な量に密接に関連し、このことは、医薬組成物の効能レベルに影響を与える。
【0090】
CETP阻害剤と水不溶性の濃度増大添加剤(例えば、クロスポビドン)とを含有する医薬組成物はまた、1つ以上の医薬上許容される添加剤(例えば、医薬上許容される担体もしくは賦形剤)及び必要に応じて他の治療剤(例えば、ヒドロキシ−メチルグルタリルコエンザイムAレダクターゼ阻害剤)及び/又は成分を含みうる。例えば、CETP阻害剤は、公知の医薬上許容される担体、賦形剤、希釈剤、増量剤、崩壊剤、安定化剤、保存剤、緩衝剤、乳化剤、芳香剤、着色剤、甘味剤、増粘剤、香味改善剤、可溶化剤、および他の添加剤と共に使用することができる。これらの添加剤は、他の成分と適合性であるという意味で許容可能である必要があり、その受容者に対して有害であってはならない。経口投与用添加剤の例として、コーンスターチ、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、微結晶性セルロース、ステアリン酸、ポビドン、2塩基性リン酸カルシウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910)及びラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0091】
医薬組成物は、望ましくは混合物、好ましくは固体混合物の形態であり、それは、CETP阻害剤と水不溶性の濃度増大添加剤と更なる医薬上許容される添加剤とを機械的に混合することによって製造される。CETP阻害剤が組成物中にできる限り均一に分散されるように、組成物は好ましくは実質的に均一である。本明細書で使用される「実質的に均一」は、組成物中に比較的純粋なドメインで存在するCETP阻害剤の分画が比較的小さいこと、例えば、CETP阻害剤の全量の約20%未満、約15%未満、約10%未満、又は約5%未満であることを意味する。
【0092】
好適な固体組成物は、1つ又は多数のガラス転移温度(Tgs)を有し得る。1実施態様では、固体組成物は、単一のガラス転移温度を有し、これは、該組成物が実質的に均一であることを示す。本明細書で使用するTは、ガラス状物質が、徐々の加熱によって、ガラス状態からゴム状態への比較的急速な(例えば、約10〜約100秒)物理変化を受ける特徴的な温度である。物質のTは、動的機械分析器(DMA)、膨張計、誘電率分析器、及び示差走査熱量計を含む幾つかの技術によって測定することができる。各技術によって測定される正確な値は、幾らか異なり得るが、通常、互いの10℃〜30℃内である。使用する技術にかかわらず、組成物が単一のTを示す場合、これは、組成物が実質的に均一であることを示す。
【0093】
医薬組成物は、任意の適切な方法、例えば、医薬業界で周知の方法、例えば、Gennaroら、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第18版、Mack Publishing Co.、1990)、特に第8部:Pharmaceutical Preparations and their Manufactureに記載の方法などの方法によって製造することができる。このような方法は、CETP阻害剤を医薬組成物の他の成分と混合する工程を含む。
【0094】
CETP阻害剤と水不溶性の濃度増大添加剤とを含有する医薬組成物は、任意の適切な方法に従って製造することができる。好ましくは、製造方法は、製粉や押出しなどの機械的方法を含む。あるいは、医薬組成物は、溶融方法(例えば、高温融解、溶媒改変融解、及び融解−凝固方法など);又は溶媒方法(例えば、非溶媒沈殿、噴霧被覆、及び噴霧乾燥など)によって製造することができる。
【0095】
医薬組成物は、所定の時間にわたって、CETP阻害剤の制御された徐放、又は持続放出を提供することができる。治療化合物の制御された徐放、又は持続放出は、患者の血流中で長時間維持されるCETP阻害剤又はその活性型の濃度を提供する。このような医薬組成物として、被覆錠剤、ペレット、およびカプセルが挙げられる。あるいは、医薬組成物は、生理液に不溶である媒質中での治療化合物の分散物の形態であり得、すなわち、ここでは、治療化合物の放出は、機械的、化学的、又は酵素活性による医薬組成物の崩壊の後である。
【0096】
医薬組成物は、例えば、ピル、カプセル、又は錠剤の形態であり得、各々は、所定量の粉末又は顆粒の形態のCETP阻害剤を含み、好ましくは、飲み込みの容易さのために被覆されている。好ましくは、医薬組成物は、CETP阻害剤と本明細書の実施例で使用し記載した錠剤成分とを含有する錠剤の形態である。経口投与に関して、微粉末又は顆粒は、希釈剤、分散剤、及び/又は界面活性剤を含み得、例えば、カプセルもしくは乾燥状態のサッシェ、又は結合剤や潤滑剤が含まれうる錠剤中に存在しうる。甘味剤、香剤、保存剤(例えば、抗微生物保存剤)、懸濁剤、増粘剤、及び/又は乳化剤などの成分も医薬組成物中に存在しうる。製剤の成分は、2つ以上の機能を果たし得る。
【0097】
経口送達方法は、しばしば、胃腸管での異なるpH、酵素への曝露、胃腸膜の不透過性などの、身体による化学的及び物理的障壁によって制限される。医薬組成物の経口投与はまた、アジュバントの共投与を含みうる。例えば、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテルやn−ヘキサデシルポリエチレンエーテル)は、医薬組成物と共に投与され得、又は医薬組成物中に含有され得、腸壁の透過性を人工的に増大させうる。酵素阻害剤もまた、医薬組成物と共に投与され得、又は医薬組成物中に含有され得る。
【0098】
医薬組成物は、任意の適切な方法で投与することができる。好ましくは、組成物は食物と共に投与される。用語「食物と共に」は、一般的に、CETP阻害剤を含有する医薬組成物の投与前約1時間〜該組成物の投与後約2時間の期間の間、食物を摂取した状態を意味するように定義される。好ましくは、食物は、十分な量および脂肪含量を有する固体食物であり、胃で急速に溶解されずかつ吸収されない。より好ましくは、食物は、朝食、昼食、又は夕食などの食事である。
【0099】
有利には、医薬組成物は、一日の任意の時刻に食物と共に投与される。食物は、医薬組成物の投与前約1時間〜該組成物の投与後約2時間の期間の間の任意の時刻に摂取することができる。例えば、食物は、組成物の投与前約1時間、約45分、約30分、約15分、約10分、又は約5分の期間内で摂取することができる。同様に、食物は、組成物の投与後約5分、約10分、約15分、約30分、約45分、約1時間、約1.25時間、約1.5時間、約1.75時間、又は約2時間の期間内で摂取することができる。より好ましくは、組成物の患者への投与は、食物摂取の直後(例えば、食物摂取後約1分内)から食物摂取後約1時間までである。理想的には、CETP阻害剤を含有する医薬組成物は、食物の摂取とほぼ同時に投与される。食物と共に医薬組成物を投与することによって、水性の使用環境において、CETP阻害剤の生物学的利用能を増加させることができる。
【0100】
用語「食物無し」又は「絶食」は、組成物の投与前約1時間〜組成物の投与後約2時間の期間内に食物を摂取しなかった状態を意味するように定義される。
【0101】
医薬組成物は、哺乳動物、特にヒト(即ち、男性又は女性)における心臓血管障害(アテローム性動脈硬化、末梢血管疾患、異常脂質血症(例えば、高脂質血症)、高ベータリポ蛋白血症、低アルファリポ蛋白血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、アンギナ、虚血、心臓虚血、脳卒中、心筋梗塞、再灌流傷害、血管形成性再狭窄、高血圧、心臓血管疾患、冠状動脈性心疾患、冠状動脈疾患、高脂質蛋白血症、糖尿病、肥満又は内毒素血症の血管合併症を含むが、それらに限定されない)を治療又は予防するために使用することができる。
【0102】
従って、本発明は、哺乳動物における心臓血管障害の治療又は予防のための方法を提供し、当該方法は、哺乳動物(好ましくは、その必要のある哺乳動物)に、治療有効量の当該医薬組成物を投与することを含む。哺乳動物は、好ましくはヒト(即ち、男性又は女性)である。ヒトは、任意の人種(例えば、コーカソイド人又は東洋人)でありうる。心臓血管障害は、好ましくは、哺乳動物におけるアテローム性動脈硬化、末梢血管疾患、異常脂質血症、高ベータリポ蛋白血症、低アルファリポ蛋白血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、アンギナ、虚血、心臓虚血、脳卒中、心筋梗塞、再灌流傷害、血管形成性再狭窄、高血圧、並びに、糖尿病、肥満又は内毒素血症の血管合併症からなる群から選択される。より好ましくは、心臓血管障害は、心臓血管疾患、冠状動脈性心疾患、冠状動脈疾患、低アルファリポ蛋白血症、高ベータリポ蛋白血症、高コレステロール血症、高脂質血症、アテローム性動脈硬化、高血圧、高トリグリセリド血症、高脂質蛋白血症、末梢血管疾患、アンギナ、虚血、及び心筋梗塞からなる群から選択される。
【0103】
CETP阻害剤は、(例えば、治療有効量を達成するための)任意の適切な投与量で哺乳動物に投与することができる。例えば、患者への投与のための化合物Iの治療有効量の適切な投与量は、1日につき約100mg〜約1800mgの間であろう。望ましい投与量は、好ましくは1日につき約300mg〜約900mgである。好適な投与量は、1日につき約600mgである。薬物動態学的パラメーター(例えば、濃度−時間曲線下面積、最大濃度など)は、勿論、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与した投与量に基づいて変わるであろう。薬物動態学的パラメーターは、更なる因子、例えば、哺乳動物の重さや遺伝子成分など、によっても影響されうる。例えば、実施例1−4で示すように、化合物Iの生物学的利用能(Cmax、AUC0−tz、及びAUC0−∞によって示される)は、コーカソイド人と比較して東洋人(特に日本人)への投与後がより大きい。
【0104】
所望ならば、CETP阻害剤(例えば、化合物I)の有効1日投与量は、必要に応じて、単位投与形態で、1日を通して適当な間隔で分離して投与される2回、3回、4回、5回、6回以上のサブ投与として投与されうる。各々のこのようなサブ投与は、治療有効量のCETP阻害剤(例えば、化合物I)を含む。
【0105】
医薬組成物は、哺乳動物、特にヒトに投与される場合、望ましくは、CETP阻害剤の活性型(例えば、化合物Iの活性型)の観察される最大血漿濃度(Cmax)、CETP阻害剤(例えば、化合物Iの活性型)の時間0〜最終定量可能濃度(0−t)の血漿濃度−時間曲線下面積(AUC)、及び/又はCETP阻害剤(例えば、化合物Iの活性型)の時間0〜無限(0−∞)の血漿濃度−時間曲線下面積(AUC)、及び/又はCETP活性の減少(医薬組成物の投与前のCETP活性と比較して)によって評価されるある種の薬物動態学的効果を達成する。
【0106】
医薬組成物は、300mg、600mg、又は900mgのCETP阻害剤(特に化合物I)の1日投与量にて食物と共に投与され、好ましくは、下記のように、使用環境(例えば、血漿、特にヒト血漿)において、Cmax、AUC0−tz、AUC0−∞、及び/又はCETP活性の減少を達成する。
【0107】
max(300mgの1日投与量):少なくとも約0.1μg/mL(例えば、少なくとも約0.15μg/mL、少なくとも約0.2μg/mL、少なくとも約0.25μg/mL、少なくとも約0.3μg/mL、少なくとも約0.4μg/mL、少なくとも約0.5μg/mL、少なくとも約0.6μg/mL、少なくとも約0.7μg/mL、少なくとも約0.8μg/mL、少なくとも約0.9μg/mL、少なくとも約1μg/mL、少なくとも約1.1μg/mL、少なくとも約1.2μg/mL、少なくとも約1.3μg/mL、少なくとも約1.4μg/mL、少なくとも約1.5μg/mL、少なくとも約1.6μg/mL、少なくとも約1.7μg/mL、又は少なくとも約1.8μg/mL)。
【0108】
max(600mgの1日投与量):少なくとも約0.35μg/mL(例えば、少なくとも約0.4μg/mL、少なくとも約0.5μg/mL、少なくとも約0.6μg/mL、少なくとも約0.7μg/mL、少なくとも約0.8μg/mL、少なくとも約0.9μg/mL、少なくとも約1μg/mL、少なくとも約1.1μg/mL、少なくとも約1.2μg/mL、少なくとも約1.3μg/mL、少なくとも約1.4μg/mL、少なくとも約1.5μg/mL、少なくとも約1.6μg/mL、少なくとも約1.7μg/mL、少なくとも約1.8μg/mL、少なくとも約1.9μg/mL、又は少なくとも約2μg/mL)。
【0109】
max(900mgの1日投与量):少なくとも約0.8μg/mL(例えば、少なくとも約0.9μg/mL、少なくとも約1μg/mL、少なくとも約1.1μg/mL、少なくとも約1.2μg/mL、少なくとも約1.3μg/mL、少なくとも約1.4μg/mL、少なくとも約1.5μg/mL、少なくとも約1.6μg/mL、少なくとも約1.7μg/mL、少なくとも約1.8μg/mL、少なくとも約1.9μg/mL、少なくとも約2μg/mL、少なくとも約2.1μg/mL、少なくとも約2.2μg/mL、少なくとも約2.3μg/mL、少なくとも約2.4μg/mL、又は少なくとも約2.5μg/mL)。
【0110】
AUC0−tz(300mgの1日投与量):少なくとも約0.5μg・h/mL(例えば、少なくとも約1μg・h/mL、少なくとも約1.5μg・h/mL、少なくとも約2μg・h/mL、少なくとも約2.5μg・h/mL、少なくとも約3μg・h/mL、少なくとも約3.5μg・h/mL、少なくとも約4μg・h/mL、少なくとも約4.5μg・h/mL、少なくとも約5μg・h/mL、少なくとも約5.5μg・h/mL、少なくとも約6μg・h/mL、少なくとも約6.5μg・h/mL、少なくとも約7μg・h/mL、少なくとも約7.5μg・h/mL、少なくとも約8μg・h/mL、少なくとも約8.5μg・h/mL、少なくとも約9μg・h/mL、少なくとも約9.5μg・h/mL、又は少なくとも約10μg・h/mL)。
【0111】
AUC0−tz(600mgの1日投与量):少なくとも約3.5μg・h/mL(例えば、少なくとも約4μg・h/mL、少なくとも約4.5μg・h/mL、少なくとも約5μg・h/mL、少なくとも約5.5μg・h/mL、少なくとも約6μg・h/mL、少なくとも約6.5μg・h/mL、少なくとも約7μg・h/mL、少なくとも約7.5μg・h/mL、少なくとも約8μg・h/mL、少なくとも約8.5μg・h/mL、少なくとも約9μg・h/mL、少なくとも約9.5μg・h/mL、少なくとも約10μg・h/mL、少なくとも約10.5μg・h/mL、少なくとも約11μg・h/mL、少なくとも約11.5μg・h/mL、少なくとも約12μg・h/mL、少なくとも約12.5μg・h/mL、少なくとも約13μg・h/mL、少なくとも約13.5μg・h/mL、少なくとも約14μg・h/mL、少なくとも約14.5μg・h/mL、又は少なくとも約15μg・h/mL)。
【0112】
AUC(0−tz)(900mgの1日投与量):少なくとも約7.5μg・h/mL、少なくとも約8μg・h/mL、少なくとも約8.5μg・h/mL、少なくとも約9μg・h/mL、少なくとも約9.5μg・h/mL、少なくとも約10μg・h/mL、少なくとも約10.5μg・h/mL、少なくとも約11μg・h/mL、少なくとも約11.5μg・h/mL、少なくとも約12μg・h/mL、少なくとも約12.5μg・h/mL、少なくとも約13μg・h/mL、少なくとも約13.5μg・h/mL、少なくとも約14μg・h/mL、少なくとも約14.5μg・h/mL、少なくとも約15μg・h/mL、少なくとも約15.5μg・h/mL、少なくとも約16μg・h/mL、少なくとも約16.5μg・h/mL、少なくとも約17μg・h/mL、少なくとも約17.5μg・h/mL、少なくとも約18μg・h/mL、少なくとも約18.5μg・h/mL、少なくとも約19μg・h/mL、少なくとも約19.5μg・h/mL、又は、少なくとも約20μg・h/mL)。
【0113】
AUC0−∞(300mgの1日投与量):少なくとも約0.5μg・h/mL(例えば、少なくとも約1μg・h/mL、少なくとも約1.5μg・h/mL、少なくとも約2μg・h/mL、少なくとも約2.5μg・h/mL、少なくとも約3μg・h/mL、少なくとも約3.5μg・h/mL、少なくとも約4μg・h/mL、少なくとも約4.5μg・h/mL、少なくとも約5μg・h/mL、少なくとも約5.5μg・h/mL、少なくとも約6μg・h/mL、少なくとも約6.5μg・h/mL、少なくとも約7μg・h/mL、少なくとも約7.5μg・h/mL、少なくとも約8μg・h/mL、少なくとも約8.5μg・h/mL、少なくとも約9μg・h/mL、少なくとも約9.5μg・h/mL、又は少なくとも約10μg・h/mL)。
【0114】
AUC0−∞(600mgの1日投与量):少なくとも約3.5μg・h/mL(例えば、少なくとも約4μg・h/mL、少なくとも約4.5μg・h/mL、少なくとも約5μg・h/mL、少なくとも約5.5μg・h/mL、少なくとも約6μg・h/mL、少なくとも約6.5μg・h/mL、少なくとも約7μg・h/mL、少なくとも約7.5μg・h/mL、少なくとも約8μg・h/mL、少なくとも約8.5μg・h/mL、少なくとも約9μg・h/mL、少なくとも約9.5μg・h/mL、少なくとも約10μg・h/mL、少なくとも約10.5μg・h/mL、少なくとも約11μg・h/mL、少なくとも約11.5μg・h/mL、少なくとも約12μg・h/mL、少なくとも約12.5μg・h/mL、少なくとも約13μg・h/mL、少なくとも約13.5μg・h/mL、少なくとも約14μg・h/mL、少なくとも約14.5μg・h/mL、又は少なくとも約15μg・h/mL)。
【0115】
AUC(0−∞)(900mgの1日投与量):少なくとも約7.5μg・h/mL、少なくとも約8μg・h/mL、少なくとも約8.5μg・h/mL、少なくとも約9μg・h/mL、少なくとも約9.5μg・h/mL、少なくとも約10μg・h/mL、少なくとも約10.5μg・h/mL、少なくとも約11μg・h/mL、少なくとも約11.5μg・h/mL、少なくとも約12μg・h/mL、少なくとも約12.5μg・h/mL、少なくとも約13μg・h/mL、少なくとも約13.5μg・h/mL、少なくとも約14μg・h/mL、少なくとも約14.5μg・h/mL、少なくとも約少なくとも約15μg・h/mL、少なくとも約15.5μg・h/mL、少なくとも約16μg・h/mL、少なくとも約16.5μg・h/mL、少なくとも約17μg・h/mL、少なくとも約17.5μg・h/mL、少なくとも約18μg・h/mL、少なくとも約18.5μg・h/mL、少なくとも約19μg・h/mL、少なくとも約19.5μg・h/mL、又は少なくとも約20μg・h/mL)。
【0116】
CETP活性の減少(300mgの1日投与量):医薬組成物の投与前のCETP活性と比較して、少なくとも約10%(例えば、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、又は少なくとも約75%以上)。
【0117】
CETP活性の減少(600mgの1日投与量):医薬組成物の投与前のCETP活性と比較して、少なくとも約25%(例えば、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、又は少なくとも約85%以上)。
【0118】
CETP活性の減少(900mgの1日投与量):医薬組成物の投与前のCETP活性と比較して、少なくとも約35%(例えば、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%以上)。
【0119】
医薬組成物は、300mg、600mg、又は900mgのCETP阻害剤(特に化合物I)の1日投与量にて食物無しで投与され、好ましくは、下記のように、Cmax、AUC0−tz、AUC0−∞、及び/又はCETP活性の減少を達成する。
【0120】
max(300mgの1日投与量):少なくとも約0.05μg/mL(例えば、少なくとも約0.1μg/mL、少なくとも約0.15μg/mL、少なくとも約0.2μg/mL、少なくとも約0.25μg/mL、少なくとも約0.3μg/mL、少なくとも約0.4μg/mL、少なくとも約0.5μg/mL、少なくとも約0.6μg/mL、少なくとも約0.7μg/mL、少なくとも約0.8μg/mL、少なくとも約0.9μg/mL、少なくとも約1μg/mL、少なくとも約1.1μg/mL、少なくとも約1.2μg/mL、少なくとも約1.3μg/mL、少なくとも約1.4μg/mL、又は少なくとも約1.5μg/mL)。
【0121】
max(600mgの1日投与量):少なくとも約0.15μg/mL(例えば、少なくとも約0.2μg/mL、少なくとも約0.25μg/mL、少なくとも約0.3μg/mL、少なくとも約0.4μg/mL、少なくとも約0.5μg/mL、少なくとも約0.6μg/mL、少なくとも約0.7μg/mL、少なくとも約0.8μg/mL、少なくとも約0.9μg/mL、少なくとも約1μg/mL、少なくとも約1.1μg/mL、少なくとも約1.2μg/mL、少なくとも約1.3μg/mL、少なくとも約1.4μg/mL、少なくとも約1.5μg/mL、少なくとも約1.6μg/mL、少なくとも約1.7μg/mL、少なくとも約1.8μg/mL、少なくとも約1.9μg/mL、又は少なくとも約2μg/mL)。
【0122】
max(900mgの1日投与量):少なくとも約0.35μg/mL(例えば、少なくとも約0.4μg/mL、少なくとも約0.5μg/mL、少なくとも約0.6μg/mL、少なくとも約0.7μg/mL、少なくとも約0.8μg/mL、少なくとも約0.9μg/mL、少なくとも約1μg/mL、少なくとも約1.1μg/mL、少なくとも約1.2μg/mL、少なくとも約1.3μg/mL、少なくとも約1.4μg/mL、少なくとも約1.5μg/mL、少なくとも約1.6μg/mL、少なくとも約1.7μg/mL、少なくとも約1.8μg/mL、少なくとも約1.9μg/mL、又は少なくとも約2μg/mL)。
【0123】
AUC0−tz(300mgの1日投与量):少なくとも約0.1μg・h/mL(例えば、少なくとも約0.2μg・h/mL、少なくとも約0.3μg・h/mL、少なくとも約0.4μg・h/mL、少なくとも約0.5μg・h/mL、少なくとも約0.6μg・h/mL、少なくとも約0.7μg・h/mL、少なくとも約0.8μg・h/mL、少なくとも約0.9μg・h/mL、少なくとも約1μg・h/mL、少なくとも約1.5μg・h/mL、少なくとも約2μg・h/mL、少なくとも約2.5μg・h/mL、少なくとも約3μg・h/mL、少なくとも約3.5μg・h/mL、少なくとも約4μg・h/mL、少なくとも約4.5μg・h/mL、少なくとも約5μg・h/mL、少なくとも約5.5μg・h/mL、少なくとも約6μg・h/mL、少なくとも約6.5μg・h/mL、少なくとも約7μg・h/mL、又は少なくとも約7.5μg・h/mL)。
【0124】
AUC0−tz(600mgの1日投与量):少なくとも約1.5μg・h/mL(例えば、少なくとも約2μg・h/mL、少なくとも約2.5μg・h/mL、少なくとも約3μg・h/mL、少なくとも約3.5μg・h/mL、少なくとも約4μg・h/mL、少なくとも約4.5μg・h/mL、少なくとも約5μg・h/mL、少なくとも約5.5μg・h/mL、少なくとも約6μg・h/mL、少なくとも約6.5μg・h/mL、少なくとも約7μg・h/mL、少なくとも約7.5μg・h/mL、少なくとも約8μg・h/mL、少なくとも約8.5μg・h/mL、少なくとも約9μg・h/mL、少なくとも約9.5μg・h/mL、又は少なくとも約10μg・h/mL)。
【0125】
AUC(0−tz)(900mgの1日投与量):少なくとも約5.5μg・h/mL(例えば、少なくとも約6μg・h/mL、少なくとも約6.5μg・h/mL、少なくとも約7μg・h/mL、少なくとも約7.5μg・h/mL、少なくとも約8μg・h/mL、少なくとも約8.5μg・h/mL、少なくとも約9μg・h/mL、少なくとも約9.5μg・h/mL、少なくとも約10μg・h/mL、少なくとも約10.5μg・h/mL、少なくとも約11μg・h/mL、少なくとも約11.5μg・h/mL、少なくとも約12μg・h/mL、少なくとも約12.5μg・h/mL、少なくとも約13μg・h/mL、少なくとも約13.5μg・h/mL、少なくとも約14μg・h/mL、少なくとも約14.5μg・h/mL、少なくとも約少なくとも約15μg・h/mL、少なくとも約15.5μg・h/mL、少なくとも約16μg・h/mL、少なくとも約16.5μg・h/mL、少なくとも約17μg・h/mL、又は少なくとも約17.5μg・h/mL)。
【0126】
AUC0−∞(300mgの1日投与量):少なくとも約0.1μg・h/mL(例えば、少なくとも約0.2μg・h/mL、少なくとも約0.3μg・h/mL、少なくとも約0.4μg・h/mL、少なくとも約0.5μg・h/mL、少なくとも約0.6μg・h/mL、少なくとも約0.7μg・h/mL、少なくとも約0.8μg・h/mL、少なくとも約0.9μg・h/mL、少なくとも約1μg・h/mL、少なくとも約1.5μg・h/mL、少なくとも約2μg・h/mL、少なくとも約2.5μg・h/mL、少なくとも約3μg・h/mL、少なくとも約3.5μg・h/mL、少なくとも約4μg・h/mL、少なくとも約4.5μg・h/mL、少なくとも約5μg・h/mL、少なくとも約5.5μg・h/mL、少なくとも約6μg・h/mL、少なくとも約6.5μg・h/mL、少なくとも約7μg・h/mL、又は少なくとも約7.5μg・h/mL)。
【0127】
AUC0−∞(600mgの1日投与量):少なくとも約1.5μg・h/mL(例えば、少なくとも約2μg・h/mL、少なくとも約2.5μg・h/mL、少なくとも約3μg・h/mL、少なくとも約3.5μg・h/mL、少なくとも約4μg・h/mL、少なくとも約4.5μg・h/mL、少なくとも約5μg・h/mL、少なくとも約5.5μg・h/mL、少なくとも約6μg・h/mL、少なくとも約6.5μg・h/mL、少なくとも約7μg・h/mL、少なくとも約7.5μg・h/mL、少なくとも約8μg・h/mL、少なくとも約8.5μg・h/mL、少なくとも約9μg・h/mL、少なくとも約9.5μg・h/mL、又は少なくとも約10μg・h/mL)。
【0128】
AUC(0−∞)(900mgの1日投与量):少なくとも約5.5μg・h/mL (例えば、少なくとも約6μg・h/mL、少なくとも約6.5μg・h/mL、少なくとも約7μg・h/mL、少なくとも約7.5μg・h/mL、少なくとも約8μg・h/mL、少なくとも約8.5μg・h/mL、少なくとも約9μg・h/mL、少なくとも約9.5μg・h/mL、少なくとも約10μg・h/mL、少なくとも約10.5μg・h/mL、少なくとも約11μg・h/mL、少なくとも約11.5μg・h/mL、少なくとも約12μg・h/mL、少なくとも約12.5μg・h/mL、少なくとも約13μg・h/mL、少なくとも約13.5μg・h/mL、少なくとも約14μg・h/mL、少なくとも約14.5μg・h/mL、少なくとも約15μg・h/mL、少なくとも約15.5μg・h/mL、少なくとも約16μg・h/mL、少なくとも約16.5μg・h/mL、少なくとも約17μg・h/mL、又は少なくとも約17.5μg・h/mL)。
【0129】
CETP活性の減少(300mgの1日投与量):医薬組成物の投与前のCETP活性と比較して、少なくとも約2.5%(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約7.5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、または少なくとも約50%以上)。
【0130】
CETP活性の減少(600mgの1日投与量):医薬組成物の投与前のCETP活性と比較して、少なくとも約5%(例えば、少なくとも約7.5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、又は少なくとも約60%以上)。
【0131】
CETP活性の減少(900mgの1日投与量):医薬組成物の投与前のCETP活性と比較して、少なくとも約12.5%(例えば、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、又は少なくとも約75%以上)。
【0132】
更に、本発明の医薬組成物は、患者に投与される場合、望ましくは、患者に以下の状態の1つ以上(例えば、2又は3)を生じさせる:(a)(上記のように)治療前のCETP活性に対して、患者におけるコレステリルエステル転送蛋白(CETP)活性の阻害、(b)治療前のHDL−Cレベルに対して、患者における高密度リポ蛋白コレステロール(HDL−C)レベルの増加、及び(c)治療前のTC/HDL−Cに対して、患者における全コレステロール対HDL−Cレベルの比(TC/HDL−C)の減少。用語「治療前」は、患者への本発明の組成物の活性化合物の投与前(望ましくは直前)の時間を指す。治療前に対する、患者における上述の状態の各々の変化の所望の程度を下に列挙する。
【0133】
HDL−Cレベルは、当該分野で公知の標準的技術を用いて測定される。好ましくは、300mgのCETP阻害剤(特に化合物I)の投与後(例えば、治療4週後)のHDL−Cレベルは、治療前のHDL−Cレベルに対して、約10%以上(例えば、約12.5%以上、約15%以上、約17.5%以上、約20%以上、約22.5%以上、約25%以上、約27.5%以上、約30%以上、約32.5%以上、約35%以上、約37.5%以上、約40%以上、約42.5%以上、約45%以上、約47.5%以上、又は約50%以上)増加する。
【0134】
600mgのCETP阻害剤(特に化合物I)の投与後(例えば、治療4週後)のHDL−Cレベルは、治療前のHDL−Cレベルに対して、約15%以上(例えば、約17.5%以上、約20%以上、約22.5%以上、約25%以上、約27.5%以上、約30%以上、約32.5%以上、約35%以上、約37.5%以上、約40%以上、約42.5%以上、約45%以上、約47.5%以上、約50%以上、約52.5%以上、又は約55%以上)増加する。
【0135】
好ましくは、900mgのCETP阻害剤(特に化合物I)の投与後(例えば、治療4週後)のHDL−Cレベルは、治療前のHDL−Cレベルに対して、約20%(例えば、約22.5%以上、約25%以上、約27.5%以上、約30%以上、約32.5%以上、約35%以上、約37.5%以上、約40%以上、約42.5%以上、約45%以上、約47.5%以上、約50%以上、約52.5%以上、約55%以上、約57.5%以上、又は約60%以上)増加する。
【0136】
全コレステロール(TC)は、当該分野で公知の標準的技術を用いて測定される。好ましくは、300mgのCETP阻害剤(特に化合物I)の投与後(例えば、治療4週後)のTC/HDL−C比は、治療前のTC/HDL−C比に対して、約5%以上(例えば、約7.5%以上、約10%以上、約12.5%以上、約15%以上、約17.5%以上、約20%以上、約22.5%以上、約25%以上、約27.5%以上、約30%以上、約32.5%以上、又は約35%以上)減少する。
【0137】
600mgのCETP阻害剤(特に化合物I)の投与後(例えば、治療4週後)のTC/HDL−C比は、治療前のTC/HDL−C比に対して、約10%以上(例えば、約12.5%以上、約15%以上、約17.5%以上、約20%以上、約22.5%以上、約25%以上、約27.5%以上、約30%以上、約32.5%以上、約35%以上、又は約37.5%以上、又は約40%以上)減少する。
【0138】
900mgのCETP阻害剤(特に化合物I)の投与後(例えば、治療4週後)のTC/HDL−C比は、治療前のTC/HDL−C比に対して、約15%以上(例えば、約17.5%以上、約20%以上、約22.5%以上、約25%以上、約27.5%以上、約30%以上、約32.5%以上、約35%以上、または約37.5%以上、約40%以上、約42.4%以上、又は約45%以上)減少する。
【0139】
更に、本発明は、治療有効量のCETP阻害剤(例えば、化合物I)と水不溶性の濃度増大添加剤とを含有する医薬組成物、指示情報、及び容器を含むキットを提供する。指示情報は、本発明の方法及び/又は本明細書で議論した他のものに従う指示情報でありうる。指示情報は、好ましくは、特にCETP阻害剤の生物学的利用能を改善するために、食物と共にCETP阻害剤(例えば、化合物I)を投与することに関する、患者へのアドバイスを含む。
【0140】
以下の実施例は、本発明を更に説明するが、勿論、その範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0141】
本実施例は、本発明による医薬組成物で投与した場合のCETP阻害剤(例えば、化合物I)の吸収を示す。
【0142】
この研究のために、コーカソイド人男性被験者に、標準的な朝食後、100mg、300mg、600mg、900mg、1200mg、1500mg、又は1800mgの化合物I又はプラセボを投与した。各投与量レベルで投与した錠剤を表1に列挙する。
【0143】
【表1】

【0144】
標準的錠剤化技術を用いて、非被覆白色錠剤を製造した。100mgの錠剤は、100mgの化合物I、結合剤として6mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、希釈剤として175.1mgの微結晶性セルロース及び116.8mgのラクトース、潤滑剤として18mgのタルク及び1.2mgのステアリン酸マグネシウム、崩壊剤として39.9mgのクロスポビドン及び90mgの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含んでいた。
【0145】
300mgの錠剤は、300mgの化合物I、結合剤として18mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、潤滑剤として18mgのタルク及び1.2mgのステアリン酸マグネシウム、崩壊剤として119.8mgのクロスポビドン及び90mgの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含んでいた。
【0146】
プラセボ錠剤は、希釈剤として175.1mgの微結晶性セルロース及び262.7mgのラクトース、潤滑剤として18mgのタルク及び1.2mgのステアリン酸マグネシウム、崩壊剤として90mgの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含んでいた。プラセボ錠剤は、化合物Iを含有する錠剤と同様の外観であった。
【0147】
治療は、立ちながら、150mLの水と共に経口投与した。研究の処置を除いて、投与後2時間、被験者はあおむけに横たわることを許されなかった。
【0148】
投与量は、各治療期間で各被験者に同様の時間で投与した。投与は約08:30時に始まった。全ての被験者は、投与(1日目)の前日22:00時から1日目の朝食まで、および、研究後の訪問前の午後から実験室の安全評価が翌日に行われるまで、食物と液体(水は例外)を絶食した。液体が許されていなかった際、水は、投与後2時間までの期間は例外として、研究の間いつでも摂取できた。
【0149】
被験者は、投与約45分前に標準的な朝食をとった。食事は、15分かけて一定速度でとり、投与30分前に終了した。標準的な朝食は以下からなった:
200ml オレンジジュース
穀類 2塊(約60g)
全麦トースト 2スライス
低脂肪スプレッド10g(1箱)
ジャム 20g(1箱)
全脂肪牛乳 242mL(約250g)

全エネルギー含量:711Kcal
全脂肪含量:15.72g(全カロリーの19.9%)
全蛋白質:20.82g(全カロリーの11.7%)
【0150】
薬物動態学的解析のための血液サンプルは、投与直前、及び投与後次の時間:投与後1、2、4、6、7、10、12、24、及び36時間、に採取した。
【0151】
以下の薬物動態学的パラメーターを、異なる投与プロフィールについて計算し、以下の様に定義する。
max 化合物Iの活性型の観察された最大血漿濃度の時間;
max 化合物Iの活性型の観察された最大血漿濃度;
1/2 化合物Iの活性型の血漿濃度の半減期;
AUC0−tz 化合物Iの活性型の時間0〜最終定量可能濃度(0−t)の血漿濃度−時間曲線下面積(AUC);
AUC0−∞ 時間0〜無限(0−∞)のAUC。
【0152】
薬物動態学的パラメーターを、解析によって対数変換し、被験者、治療、および期間について三元配置分散分析(ANOVA)合致効果由来のSAS(登録商標)最小二乗平均を用いて評価した。治療比較は、それぞれの治療についてのパラメーター間の、差異及びlogSAS(登録商標)最小二乗平均の差異の95%信頼区間(CIs)を計算することによって行なった。差異と差異のCIsとは、報告目的のためにバック変換した。
【0153】
化合物Iの活性型の血漿濃度は、以下のアッセイによって測定した。血漿サンプルは、化合物Iで処置した患者から単離した。血漿サンプルは、水酸化ナトリウム(Wako Pure Chemical Industries、Ltd.)で処理し、化合物Iの活性型を血漿中でチオール型(即ち、化合物II)に変換した。次いで、血漿サンプルを、ジチオトレイトール(DTT)(Wako Pure Chemical Industries、Ltd.)で処理し、チオール基の酸化を防止した(即ち、還元状態でチオール基を維持した)。N−エチルマレイミド(NEM)(Wako Pure Chemical Industries、Ltd.)を加え、NEM付加物への誘導体化によって遊離スルフヒドリル基をブロックすること(と考えられている)によって、チオール型(即ち、化合物II)を安定化した。次いで、サンプルを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析した。最後に、血漿サンプルのHPLC分析の結果を、既知標準と比較し、化合物Iの活性型の血漿濃度を決定した。既知濃度の標準は、化合物Iで処置しなかったヒトからヒト血漿を単離したこと以外は、実質的に上記のように調製した。これらの「ブランク血漿」サンプルは、既知量の化合物Iと混合した。
【0154】
化合物Iの活性型の血漿薬物動態学的パラメーターである、AUC0−∞(μg・h/mL)、AUC0−tz(μg・h/mL)、Cmax(μg/mL)、t1/2(h)、及びtmax(h)の平均試験結果を表2に要約する。
【0155】
【表2】

【0156】
*=幾何平均(分散%の幾何係数)
=メジアン(最小−最大)
=調和平均(最小−最大)
NA=適用できなかった
NC=計算できなかった
norm=投与量および体重(mg/kg)について正規化
【0157】
表2のデータによって示されるように、CETP阻害剤を含有する医薬組成物は、食物と共に投与した場合、300mgの投与量で、少なくとも約0.1μg/mLの、哺乳動物の血流中のCETP阻害剤又はその活性型の観察された最大血漿濃度(Cmax)を達成することができる。例えば、300mgの化合物Iの投与量で、Cmaxは約0.16μg/mLであった。
【0158】
表2のデータはまた以下のことを示す:CETP阻害剤を含有する医薬組成物は、食物と共に投与された場合、600mgの投与量で、少なくとも約0.35μg/mLの、哺乳動物の血流中のCETP阻害剤又はその活性型の観察された最大血漿濃度(Cmax)及び少なくとも約3.5μg・h/mLの血漿濃度−時間曲線下面積(AUC0−∞)を達成することができる。例えば、600mgの化合物Iの投与量で、Cmaxは約0.5μg/mL、AUC0−∞は約5μg・h/mLであった。
【0159】
更にデータは以下のことを示す:CETP阻害剤を含有する医薬組成物は、食物と共に投与された場合、900mgの投与量で、少なくとも約0.8μg/mLの観察された最大血漿濃度(Cmax)及び少なくとも約7.5μg・h/mLの血漿濃度−時間曲線下面積(AUC0−∞)を達成することができる。例えば、600mgの化合物Iの投与量で、Cmaxは約0.9μg/mL、AUC0−∞は約9μg・h/mLであった。
【実施例2】
【0160】
患者におけるCETP阻害剤の吸収に対する食物の効果を、食物と共におよび食物なしでコーカソイド人男性ボランティアに経口投与した900mgの化合物Iの生物学的利用能を比較するように設計された研究で同定した。
【0161】
この研究のために、6人の被験者の各々は、2つの治療期間の各々において(1度は食物と共に(標準的朝食後)、1度は絶食状態で)900mgの投与量レベルで化合物Iをとった。各治療期間の間は最小7日であった。治療の間のこの7日の間隔は、被験者内繰り越し効果を除去するのに適当と考えられた。
【0162】
被験者は、各300mgの3個の錠剤の投与によって900mgの化合物Iをとった。錠剤製造及び投与方法は、以下の例外はあるが、実施例1で記載したとおりであった。
【0163】
投与量を、各被験者について各治療期間において同様の時間で投与した。投与は約08:30時に始まった。全ての被験者は、投与(1日目)の前日22:00時から1日目の朝食まで(食事をとった状態で(即ち、食物と共に)化合物Iをとる患者について)、又は1日目の昼食時まで(絶食状態で化合物Iをとる被験者について)、および、研究後の訪問前の午後から実験室安全評価が翌日行われるまで、食物と液体(水は例外)を絶食した。液体が許されていなかった際、水は、投与後2時間までの期間は例外として、研究の間いつでも摂取できた。
【0164】
被験者は、食事をとった状態で化合物Iを投与された場合、実施例1に記載のように投与前約45分に標準的な朝食をとった。
【0165】
化合物Iの活性型の血漿薬物動態学的パラメーターである、AUC0−∞(μg・h/mL)、AUC0−tz(μg・h/mL)、Cmax(μg/mL)、t1/2(h)、及びtmax(h)の平均試験結果を表3に要約する。
【0166】
【表3】

【0167】
*=幾何平均(分散%の幾何係数)
=メジアン(最小−最大)
NA=適用できなかった
‡=調和平均(最小−最大)
【0168】
化合物Iの活性型の吸収は比較的遅く、観察された最大血漿濃度の時間は、化合物Iの投与後4〜5時間で起こる。表3から明白なように、観察された最大血漿濃度の時間は、食物と共のおよび食物なしでの化合物Iの投与後で同様であった。更に、化合物Iの活性型の半減期は、食物と共のおよび食物なしでの薬剤の投与後で同様であると決定した。
【0169】
しかし、薬物動態学的パラメーターの幾つかは、食物と共の化合物Iの投与によって影響された。これらは、AUC0−tz、AUC0−∞、及びCmaxを含み、化合物Iを食物と共に投与した場合、絶食状態における化合物Iの投与と比較して、それぞれ、65%、57%、及び126%高かった。化合物Iの活性型の幾何平均血漿濃度を図1において線型でプロットし、図2において半対数型でプロットした場合、これらの増加は顕著に明白である。
【0170】
化合物Iを食物と共に投与した場合に観察された薬物動態学的パラメーターの増加は、絶食条件下の薬剤の投与と比較した場合、薬剤の活性型の生物学的利用能の増大を示す。
【0171】
従って、本実施例は、CETP阻害剤が食物と共に投与される場合、CETP阻害剤の生物学的利用能が食物無しでの投与に対して増大することを示す。
【実施例3】
【0172】
本実施例は、本発明による医薬組成物で投与した場合のCETP阻害剤(例えば、化合物I)の吸収を更に示す。
【0173】
日本人男性被験者に、標準的な朝食後、100mg、300mg、600mg、900mg、1200mg、1500mg、又は1800mgの化合物I又はプラセボを投与した。投与、投薬、及びサンプリングスケジュールは、実施例1に記載のものと同じであった。錠剤は、実施例1に記載のように製造した。
【0174】
化合物Iの活性型の血漿薬物動態学的パラメーターである、AUC0−∞(μg・h/mL)、Cmax(μg/mL)、及びtmax(h)、並びにt1/2α(h)及びt1/2βの平均試験結果を表4に要約する。t1/2αは、化合物Iの活性型の血漿濃度のα相の半減期を意味し、及びt1/2βは、化合物Iの活性型の血漿濃度のβ相の半減期を意味する。
【0175】
【表4】

【0176】
表4のデータで示すように、CETP阻害剤を含有する医薬組成物は、食物と共に投与された場合、300mgの投与量で、少なくとも約0.1μg/mLの、哺乳動物の血流中のCETP阻害剤又はその活性型の観察された最大血漿濃度(Cmax)、及び少なくとも約0.5μg・h/mLの血漿濃度−時間曲線下面積(AUC0−∞)を達成することができる。例えば、300mgの化合物Iの投与量で、Cmaxは約0.16μg/mL、AUC0−∞は約2μg・h/mLであった。
【0177】
表4のデータはまた以下のことを示す:CETP阻害剤を含有する医薬組成物は、食物と共に投与された場合、600mgの投与量で、少なくとも約0.35μg/mLの、哺乳動物の血流中のCETP阻害剤又はその活性型の観察された最大血漿濃度(Cmax)、及び少なくとも約3.5μg・h/mLの血漿濃度−時間曲線下面積(AUC0−∞)を達成することができる。例えば、600mgの化合物Iの投与量で、Cmaxは約1μg/mL、AUC0−∞は約10μg・h/mLであった。
【0178】
更に、データは以下のことを示す:CETP阻害剤を含有する医薬組成物は、食物と共に投与された場合、900mgの投与量で、少なくとも約0.8μg/mLの観察された最大血漿濃度(Cmax)、及び少なくとも約7.5μg・h/mLの血漿濃度−時間曲線下面積(AUC0−∞)を達成することができる。例えば、900mgの化合物Iの投与量で、Cmaxは約1.7μg/mL、AUC0−∞は約15μg・h/mLであった。
【実施例4】
【0179】
実施例2で記載したものと同様の研究において、患者における化合物Iの活性型の吸収に対する食物の効果を、食物と共におよび食物なしで日本人男性ボランティアに経口投与した600mgの化合物Iの生物学的利用能を比較するように設計された研究で同定した。
【0180】
投与、投薬、およびサンプリングスケジュールは、実施例2で記載したものと同じであった。しかし、患者には、食物と共におよび食物なしで600mg(900mgではなく)の化合物Iを投与した。患者には、各々300mgの2個の錠剤を投与した。錠剤は、実施例1に記載のように製造した。
【0181】
化合物Iの活性型の血漿薬物動態学的パラメーターであるAUC0−∞(μg・h/mL)、Cmax(μg/mL)、及びtmax(h)、並びにt1/2α(h)及びt1/2βの平均試験結果を表5に要約する。
【0182】
【表5】

【0183】
観察された最大血漿濃度(Cmax)及び時間0〜無限の血漿濃度−時間曲線下面積(AUC0−∞)などの薬物動態学的パラメーターは、食物と共の化合物Iの投与によって影響された。600mgの化合物Iの投与後のCmax値は、食物と共に投与した場合は1.029μg/mLで、食物無しで投与した場合はわずか0.316μg/mLであった。600mgの化合物Iの投与後のAUC0−∞値は、食物と共に投与した場合は10.458μg h/mLで、食物無しで投与した場合はわずか5.395μg h/mLであった。従って、Cmax及びAUC0−∞は、CETP阻害剤を食物と共に患者に投与した場合、食物無しと比較すると、それぞれ約3倍および約2倍高かった。
【0184】
化合物Iが食物と共に投与される場合に観察される薬物動態学的パラメーターの増加は、以下のことを示す:薬剤の活性型は、食事後などのように、食物と共に投与される場合により容易に吸収される。従って、食物と共のCETP阻害剤(例えば、化合物I)の投与によって、薬剤の活性型の生物学的利用能は、絶食条件下でのCETP阻害剤の投与に対して増大する。
【実施例5】
【0185】
本実施例は、本発明による医薬組成物で投与された場合のCETP活性に対するCETP阻害剤(例えば、化合物I)の投与の効果を示す。
【0186】
コーカソイド人男性患者に、朝食後、100mg、200mg、600mg、900mg、1200mg、1500mg、1800mgの化合物I又はプラセボを経口投与した。投与、投薬、およびサンプリングスケジュールは、実施例1に記載したものとほぼ同様であった。錠剤は、実施例1に記載したように製造した。
【0187】
CETP活性を決定する方法は、Tollefsonら、Methods Enzymol.、129、797−816(1986)、及びKatoら、J.Biol.Chem.、264、4082−4087(1989)に記載された方法とほぼ同様であった。
【0188】
CETP活性及びベースライン(投与前)からの変化を測定し、得られた結果を、ベースラインからの変化のパーセンテージとして表6に要約する。
【0189】
【表6】

【0190】
表6のデータで示されるように、CETP阻害剤を含有する医薬組成物は、300mgの投与量で、投与前のレベルに対して少なくとも約10%のCETP活性の減少を達成することができる。例えば、300mgの化合物Iの投与6時間後、CETP活性は13%減少した。
【0191】
表6のデータはまた以下のことを示す:CETP阻害剤を含有する医薬組成物は、600mgの投与量で、投与前のレベルに対して少なくとも約25%のCETP活性の減少を達成することができる。例えば、600mgの化合物Iの投与6時間後、CETP活性は36%減少した。
【0192】
更に、データは以下のことを示す:CETP阻害剤を含有する医薬組成物は、900mgの投与量で、プラセボに対して少なくとも約35%のCETP活性の減少を達成することができる。例えば、900mgの化合物Iの投与6時間後、CETP活性は55%減少した。
【実施例6】
【0193】
コーカソイド人男性患者における化合物Iの活性型の吸収に対する食物の効果を、食物と共のおよび食物なしでの900mgの化合物Iの経口投与後のCETP活性を比較するように設計された研究で同定した。
【0194】
投与、投薬、およびサンプリングスケジュールは、実施例1に記載されたものとほぼ同様であった。
【0195】
CETP活性を決定する方法は、実施例5に記載されている。
【0196】
経時のCETP活性及びベースライン(投与前)からの変化を測定し、得られたデータを表7に要約する。経時のベースライン(投与前)からのCETP活性の平均変化を図3のプロットに示す。
【0197】
【表7】

【0198】
食物と共におよび食物なしで化合物Iを投与した場合、CETP活性の明確な差異が観察された。CETP活性の阻害は、絶食処置プロトコルと比較して、食事有処置プロトコルにおいてずっと顕著であった。例えば、投与後4−24時間で、絶食状態に対して食事有の状態においてCETP活性のかなりの減少があった。CETP活性のこのような減少は、薬剤の活性型の生物学的利用能が、食物無しでの薬剤の投与と比較して、食物と共に投与した場合に増大したことを示す。
【0199】
食事有の状態および絶食状態に関して、化合物Iの活性型の血漿濃度とCETP活性の阻害との関係は、それぞれ図4および5のプロットによって示される。化合物Iの活性型の血漿濃度が増加するにつれて、CETPに対する阻害効果が増加した(即ち、CETP活性は減少した)。
【実施例7】
【0200】
本実施例は、本発明による医薬組成物で投与された場合のCETP活性に対するCETP阻害剤(例えば、化合物I)の投与の効果を示す。
【0201】
日本人男性患者に、朝食後、100mg、300mg、600mg、900mg、1200mg、1500mg、又は1800mgの化合物I又はプラセボを経口投与した。
【0202】
投与、投薬、及びサンプリングスケジュールは、実施例1に記載のものと同じであった。錠剤は、実施例1に記載のように製造した。
【0203】
相対的CETP活性(ベースラインCETP活性のパーセンテージとして計算)及び標準偏差(SD)を測定し、得られたデータを表8に要約する。
【0204】
【表8】

【0205】
表8のデータで示されるように、CETP阻害剤を含有する医薬組成物は、300mgの投与量で、投与前のレベルに対して少なくとも約10%のCETP活性の減少を達成することができる。例えば、300mgの化合物Iの投与後6時間で、CETP活性は、投与前の値の約80.5%である。従って、CETP活性は、化合物Iの投与後、約19.5%減少した。
【0206】
表8のデータはまた以下のことを示す:CETP阻害剤を含有する医薬組成物は、600mgの投与量で、投与前のレベルに対して少なくとも約25%のCETP活性の減少を達成することができる。例えば、600mgの化合物Iの投与後6時間で、CETP活性は、投与前の値のわずか約38%である。従って、CETP活性は、化合物Iの投与後、約62%減少した。
【0207】
更にデータは以下のことを示す:CETP阻害剤を含有する医薬組成物は、900mgの投与量で、投与前のCETP活性に対して少なくとも約35%のCETP活性の減少を達成することができる。例えば、900mgの化合物Iの投与後4時間で、CETP活性は、投与前の値のわずか約24%である。従って、CETP活性は、約76%減少した。
【実施例8】
【0208】
実施例6で記載したものと同様な研究において、日本人男性患者における化合物Iの活性型の吸収に対する食物の効果を、食物と共のおよび食物なしでの600mgの化合物Iの経口投与後の相対的CETP活性を比較するように設計された研究で同定した。
【0209】
投与、投薬、およびサンプリングスケジュールは、実施例1および6で記載したものと同じであった。しかし、患者には、食物と共におよび食物なしで600mg(実施例6における900mgではない)の化合物Iを投与した。患者には、各々300mgの2個の錠剤を投与した。錠剤は、実施例1に記載のように製造した。
【0210】
相対的CETP活性(ベースラインCETP活性のパーセンテージとして計算)及び標準偏差(SD)を測定し、得られたデータを表9に要約する。
【0211】
【表9】

【0212】
実施例2で考察した結果と一致して、食物と共におよび食物なしで化合物Iが投与された場合、CETP相対活性の明確な差異が観察された。CETP活性の阻害は、絶食処置プロトコルと比較して、食事有処置プロトコルにおいてずっと顕著であった。例えば、投与後4−24時間で、絶食状態に対して食事有の状態においてCETP活性のかなりの減少があった。具体的には、食物と共の化合物Iの投与後のCETP活性の阻害は、投与後6時間でピークに達し、ベースラインに対して37.6%のCETP活性であった。対照的に、食物無しの化合物Iの投与後のCETP活性の阻害は、投与後8時間でピークに達し、ベースラインに対して87.8%のCETP活性であった。食物と共の化合物Iの投与後の相対CETP活性のこのような減少は、薬剤の活性型の生物学的利用能が、食物無しでの薬剤の投与と比較して、食物と共に投与した場合に増加したことを示す。
【実施例9】
【0213】
本実施例は、健康な個人におけるCETP活性と脂質レベルとに対する化合物Iの投与の効果を示す。
【0214】
約200人のボランティア(男性と女性)を無作為化して、プラセボを与えるか、又は4週間にわたって1日当り300mg(低投与量)、600mg(中投与量)、又は900mg(高投与量)の化合物Iを与えた。各患者は、4週間にわたって毎日、朝食後、3個の錠剤をとった。患者は、3個のプラセボ錠剤(プラセボ);1個の300mgの錠剤と2個のプラセボ錠剤(低投与量);2個の300mgの錠剤と1個のプラセボ錠剤(中投与量);又は3個の300mgの錠剤(高投与量)のいずれかをとった。錠剤製造は、実施例1に記載したとおりであった。
【0215】
試験期間は、(a)4週間のならし期間、次いで(b)4週間の処置、及び(c)4週間の監視からなった。血液サンプルは、一晩絶食後に採取した。CETP活性アッセイに関して、血液は、化合物Iの摂取前、処置中、および処置後に採取した。HDL−Cは、ヘパリンMnCl沈殿試薬を用いて決定し、LDL−Cは、Friedewald式(de Groothら、上記参照)によって計算した。CETP活性は、実施例5に記載のように測定した。
【0216】
表10は、ベースライン(即ち、化合物Iの投与前)にてアッセイした特性((平均)±標準偏差)の値を記載する。表11は、処置4週後にアッセイした特性の絶対的変化を記載する。ベースライン(即ち、化合物Iの投与前)からのCETP活性、全コレステロール(TC)、HDL−C、LDL−C、および全コレステロール/HDL−C(TC/HDL−C)比の絶対的変化についてのデータ点を以下に提供する。解析は、ANOVAモデルを、4群(即ち、プラセボ、300mg、600mg、又は900mgの化合物I)についての別個の処置効果と適合させることによって行なった。
【0217】
【表10】

【0218】
【表11】

【0219】
【数1】

【0220】
表10および11のデータによって示されるように、CETP阻害剤を含有する医薬組成物は、4週間にわたる毎日の処置後、300mg、600mg、及び900mgの化合物Iの投与量レベルで、それぞれ、約10%、約15%、及び約20%のHDL−Cレベルの増加を達成することができる。例えば、HDL−Cレベルは、300mg、600mg、及び900mgの処置群のベースラインレベルに対して、それぞれ約15%、約26%、及び約34%増加した。
【0221】
表10および11はまた以下のことを示す:TC/HDL−C比は、4週間にわたる毎日の処置後、300mg、600mg、及び900mgの化合物Iの投与量レベルで、それぞれ、約5%、約10%、及び約15%減少し得る。例えば、TC/HDL−C比は、300mg、600mg、及び900mgの処置群のベースラインレベルに対して、それぞれ約13%、約18%、及び約23%減少した。
【0222】
表10および11のデータはまた以下のことを示す:CETP阻害剤を含有する医薬組成物は、4週間にわたる食物と共のCETP阻害剤の毎日の投与後、300mg、600mg、及び900mgのCETP阻害剤(例えば、化合物I)の投与量レベルで、投与前レベルに対して、それぞれ、少なくとも約10%、約25%、及び約35%のCETP活性の減少を達成することができる。例えば、CETP活性は、300mg、600mg、及び900mgの処置群のベースラインレベルに対して、それぞれ、約17%、約33%、及び約39%減少した。
【実施例10】
【0223】
以下の実施例は、実施例1で記載した300mgの化合物Iを含有する製剤の製造方法を示す。
【0224】
工程1において、化合物Iをジェットミルによって粉末状にした。粉末状にした化合物Iの約10μm(例えば、約5μm)未満の粒径分布を、工程管理の使用によって試験した。
【0225】
工程2において、粉末状にした化合物Iを、ドラムミキサーによってクロスポビドンと混合し、混合粉末を得た。
【0226】
工程3において、工程2の混合粉末を、約3回、スクリーン#12に通した。
【0227】
工程4において、篩い分けした工程3の混合粉末を、湿式造粒機によって予備混合した。
【0228】
工程5において、プロペラーミキサーを用いて、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910を精製水に溶解した。
【0229】
工程6において、工程4の混合粉末を、湿式造粒機中で、結合剤として工程5の溶液を用いて顆粒化した。本工程で顆粒化物質の4つのバッチを得た。
【0230】
工程7において、工程6の顆粒化物質の4つのバッチのうちの2つのバッチを、流動床ドライヤーに移して乾燥した。本プロセスを、残りの2つのバッチに対して繰り返した。
【0231】
工程8において、工程7の顆粒化物質を、スクリーン#22に通した。水分含量及び粒径分布を、工程管理によって試験した。
【0232】
工程9において、工程8の乾燥した顆粒化物質の全てをドラムミキサーで混合した。
【0233】
工程10において、工程9の顆粒化物質を、ドラムミキサーによって低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと混合し、混合顆粒化物質を得た。
【0234】
工程11において、工程10の混合顆粒化物質を、ドラムミキサーによって、タルクおよびステアリン酸マグネシウムと混合した。含量の均一性、比体積、および安息角を工程管理によって試験した。
【0235】
工程12において、混合顆粒化物質を打錠機によって圧縮した。含量の均一性、錠剤硬度、厚さ、および破砕性をアッセイした。更に、溶解及び重量偏差試験を行った。
【0236】
本実施例は、300mgの化合物I、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、タルク、ステアリン酸マグネシウム、クロスポビドン、および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有する(実施例1で記載した)製剤を経口投与形態に製剤化することができることを示す。
【0237】
本明細書で引用した刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が参考として援用されるように個々に及び具体的に示され、かつ本明細書にその全体が記載されているかのような程度まで、本明細書において参考として援用される。
【0238】
本発明の説明の文脈において(特に、以下のクレームの文脈において)、用語「a」及び「an」及び「the」及び同様の指示語の使用は、本明細書で違うように記載されていなければ、又は、文脈によって明確に否定されなければ、単数と複数の両方を包含するように解釈されるべきである。用語「含有する(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含む(containing)」は、違うように記載されていなければ、オープンエンドの用語(即ち、「・・を含むが、・・に限定されない」ことを意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で違うように記載されていなければ、その範囲内の各々の分離した値へ個々に言及することの略記方法として役立つことが単に意図され、各々の分離した値は、それが本明細書に個々に記載されているかのように本明細書に含まれるものである。本明細書で記載される方法の全ては、本明細書で違うように記載されていなければ、又は、文脈によって明確に否定されなければ、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書で提供される任意の、及び全ての例、又は例示的言葉(例えば、「などの」)の使用は、本発明をより良く明瞭にすることが単に意図され、違うようにクレームされていなければ、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書の如何なる言葉も、本発明の実施に必須なものとしてクレームされていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0239】
本発明を実施するのに本発明者らが知っている最良の形態を含む、本発明の好適な実施態様を本明細書で記載する。勿論、上記説明を読むと、それらの好適な実施態様のバリエーションが当業者に明白となるであろう。本発明者らは、当業者が適宜このようなバリエーションを用いることを期待し、本発明者らは、本発明が、本明細書に具体的に記載されたものとは異なるように実施されることを意図する。それ故、本発明は、適用法によって許されるように、本明細書に添付されたクレームに記載の主題の全ての改変及び均等物を含むものである。更に、本明細書で違うように記載されていないか、または文脈によって違うように明瞭に否定されていなければ、その全ての可能なバリエーション中の上記要素の任意の組み合わせも本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0240】
【図1】図1は、食物と共にまたは食物なしで900mgのS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートを経口投与したコーカソイド人男性患者における、36時間にわたるS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートの活性型の幾何平均血漿濃度(μg/mL)の線形プロットである。
【図2】図2は、食物と共にまたは食物なしで900mgのS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートを経口投与したコーカソイド人男性患者における、36時間にわたるS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートの活性型の幾何平均血漿濃度(μg/mL)の半対数プロットである。
【図3】図3は、食物と共にまたは食物なしで900mgのS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートを経口投与したコーカソイド人男性患者における、24時間にわたるCETP活性のベースライン(投与前)からの平均変化のプロットである。
【図4】図4は、食物と共の900mgのS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートの経口投与後のコーカソイド人男性患者における、24時間にわたるS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートの活性型の平均CETP活性及び平均血漿濃度のプロットである。
【図5】図5は、食物なしでの900mgのS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートの経口投与後のコーカソイド人男性患者における、24時間にわたるS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートの活性型の平均CETP活性及び平均血漿濃度のプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレステリルエステル転送蛋白阻害剤及びクロスポビドンを含有する医薬組成物。
【請求項2】
コレステリルエステル転送蛋白の大部分が結晶性である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
コレステリルエステル転送蛋白が実質的に結晶性である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
コレステリルエステル転送蛋白が結晶性である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
実質的に結晶性のコレステリルエステル転送蛋白阻害剤及び水不溶性の濃度増大添加剤を含有する医薬組成物であって、該コレステリルエステル転送蛋白阻害剤が、式I
【化1】

(式中、
Rは、置換されているかまたは置換されていないC3−10シクロアルキル基又は置換されているかまたは置換されていないC5−8シクロアルケニル基を表す;
、X、X、及びXの各々は、同一でも異なっていてもよく、
水素原子;
ハロゲン原子;
1−4アルキル基;
ハロ−C1−4アルキル基;
1−4アルコキシ基;
シアノ基;
ニトロ基;
アシル基;又は
アリール基;
を表す;及び
Zは、
水素原子;
−YR(式中、Yは、−CO−又は−CS−を表す、及び
は、置換されているかまたは置換されていない直鎖又は分岐鎖のC1−10アルキル基;
1−4アルコキシ基;
1−4アルキルチオ基;
置換されているかまたは置換されていないアミノ基;
置換されているかまたは置換されていないウレイド基;
置換されているかまたは置換されていないC3−10シクロアルキル基;
置換されているかまたは置換されていないC3−10シクロアルキルC1−10アルキル基;
置換されているかまたは置換されていないアリール基;
置換されているかまたは置換されていないアラルキル基;
置換されているかまたは置換されていないアリールアルケニル基;
置換されているかまたは置換されていないアリールチオ基;
1−3個の窒素、酸素、又は硫黄原子を有する、置換されているかまたは置換されていない5員又は6員複素環基;又は
置換されているかまたは置換されていない5員又は6員ヘテロアリールアルキル基を表す)、又は、
−S−R(式中、Rは、置換されているかまたは置換されていないC1−4アルキル基、又は置換されているかまたは置換されていないアリール基を表す)
を表す)
又はそのプロドラッグ化合物、医薬上許容される塩、エナンチオマー、立体異性体、水和物、もしくは溶媒和物の構造を有する、医薬組成物。
【請求項6】
コレステロールエステル転送蛋白阻害剤が結晶性である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
コレステロールエステル転送蛋白阻害剤と水不溶性の濃度増大添加剤とが、約2:1〜約9:1の重量比である、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
水不溶性の濃度増大添加剤がクロスポビドンである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
コレステリルエステル転送蛋白阻害剤が、
N−(2−メルカプトフェニル)−1−イソペンチルシクロヘキサンカルボキサミド;
N−(2−メルカプトフェニル)−1−メチルシクロヘキサンカルボキサミド;
N−(2−メルカプトフェニル)−1−イソペンチルシクロペンタンカルボキサミド;
N−(2−メルカプトフェニル)−1−イソプロピルシクロヘキサンカルボキサミド;
N−(4,5−ジクロロ−2−メルカプトフェニル)−1−イソペンチルシクロヘキサンカルボキサミド;
N−(4,5−ジクロロ−2−メルカプトフェニル)−1−イソペンチルシクロペンタンカルボキサミド;
N−(2−メルカプト−5−メチルフェニル)−1−イソペンチルシクロヘキサンカルボキサミド;
N−(2−メルカプト−4−メチルフェニル)−1−イソペンチルシクロヘキサンカルボキサミド;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] チオアセテート;
S−[2−(1−メチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2−アセチルアミノ−3−フェニルチオプロピオネート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 3−ピリジンチオカルボキシレート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] クロロチオアセテート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] メトキシチオアセテート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] チオプロピオネート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] フェノキシチオアセテート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2−メチルチオプロピオネート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 4−クロロフェノキシチオアセテート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] シクロプロパンチオカルボキシレート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2−アセチルアミノ−4−カルバモイルチオブチレート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2−ヒドロキシ−2−メチルチオプロピオネート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロペンタンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルプロピオネート;
2−[2−(1−イソペンチルシクロペンタンカルボニルアミノ)フェニル] チオアセテート;
S−[4,5−ジクロロ−2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[4,5−ジクロロ−2−(1−イソペンチルシクロペンタンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)−4−トリフルオロメチルフェニル] 2,2ジメチルチオプロピオネート;
O−メチル S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] モノチオカーボネート;
S−[2−(1−メチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] S−フェニル ジチオカーボネート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] N−フェニルチオカルバメート;
S−[4,5−ジクロロ−2−(1−シクロプロピルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[4,5−ジクロロ−2−(1−ペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[4,5−ジクロロ−2−(1−シクロプロピルメチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[4,5−ジクロロ−2−(1−シクロヘキシルメチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[4,5−ジクロロ−2−(1−イソプロピルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[4,5−ジクロロ−2−(1−イソペンチルシクロヘプタンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[4,5−ジクロロ−2−(1−イソペンチルシクロブタンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)−4−ニトロフェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[4−シアノ−2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[4−クロロ−2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[5−クロロ−2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[4−フルオロ−2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[4,5−ジフルオロ−2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[5−フルオロ−2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
N−(2−メルカプトフェニル)−1−エチルシクロヘキサンカルボキサミド;
N−(2−メルカプトフェニル)−1−プロピルシクロヘキサンカルボキサミド;
N−(2−メルカプトフェニル)−1−ブチルシクロヘキサンカルボキサミド;
N−(2−メルカプトフェニル)−1−イソブチルシクロヘキサンカルボキサミド;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] シクロヘキサンチオカルボキシレート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] チオベンゾエート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 5−カルボキシチオペンタノエート;
S−[2−(1−イソペンチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)−4−メチルフェニル] チオアセテート;
N−(2−メルカプトフェニル)−1−(2−エチルブチル)シクロヘキサンカルボキサミド;
S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエート;
S−[2−(1−イソブチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 2−メチルチオプロピオネート;
S−[2−[1−(2−エチルブチル)シクロヘキサンカルボニルアミノ]フェニル] 1−アセチルピペリジン−4−チオカルボキシレート;
S−[2−[1−(2−エチルブチル)シクロヘキサンカルボニルアミノ]フェニル] チオアセテート;
S−[2−[1−(2−エチルブチル)シクロヘキサンカルボニルアミノ]フェニル] 2,2−ジメチルチオプロピオネート;
S−[2−[1−(2−エチルブチル)シクロヘキサンカルボニルアミノ]フェニル] メトキシチオアセテート;
S−[2−[1−(2−エチルブチル)シクロヘキサンカルボニルアミノ]フェニル] 2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオネート;
S−[2−[1−(2−エチルブチル)シクロヘキサンカルボニルアミノ]フェニル] 4−クロロフェノキシチオアセテート;
S−[2−(1−イソブチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 4−クロロフェノキシチオアセテート;及び
S−[2−(1−イソブチルシクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニル] 1−アセチルピペリジン−4−チオカルボキシレート;
からなる群から選択される化合物、又はそのプロドラッグ化合物、医薬上許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物である、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
コレステリルエステル転送蛋白阻害剤が、インビボでS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] チオールを形成するプロドラッグである、請求項5に記載の組成物。
【請求項11】
コレステリルエステル転送蛋白阻害剤が、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートである、請求項5に記載の組成物。
【請求項12】
コレステリルエステル転送蛋白阻害剤が結晶性である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
コレステロールエステル転送蛋白阻害剤と水不溶性の濃度増大添加剤とが、約2:1〜約9:1の重量比である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
水不溶性の濃度増大添加剤がクロスポビドンである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
哺乳動物における心臓血管障害の治療又は予防のための方法であって、治療有効量の請求項1〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項16】
心臓血管障害が、アテローム性動脈硬化、末梢血管疾患、異常脂質血症、高ベータリポ蛋白血症、低アルファリポ蛋白血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、アンギナ、虚血、心臓虚血、脳卒中、心筋梗塞、再灌流傷害、血管形成性再狭窄、高血圧、並びに、糖尿病、肥満又は内毒素血症の血管合併症からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
心臓血管障害が、心臓血管疾患、冠状動脈性心疾患、冠状動脈疾患、低アルファリポ蛋白血症、高ベータリポ蛋白血症、高コレステロール血症、高脂質血症、アテローム性動脈硬化、高血圧、高トリグリセリド血症、高脂質蛋白血症、末梢血管疾患、アンギナ、虚血、及び心筋梗塞からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
コレステリルエステル転送蛋白阻害剤がS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートであり、食物と共に600mgの1日投与量で投与される場合、哺乳動物の血流中でのコレステリルエステル転送蛋白阻害剤又はその活性型の最大濃度が、治療前に対して治療後で少なくとも約0.35μg/mLである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
コレステリルエステル転送蛋白阻害剤がS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートであり、食物と共に900mgの1日投与量で投与される場合、哺乳動物の血流中でのコレステリルエステル転送蛋白阻害剤又はその活性型の最大濃度が、治療前に対して治療後で少なくとも約0.8μg/mLである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
コレステリルエステル転送蛋白阻害剤がS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートであり、食物と共に600mgの1日投与量で投与される場合、哺乳動物の血流中でのコレステリルエステル転送蛋白阻害剤又はその活性型の血漿濃度−時間曲線下面積AUC0−∞が、治療前に対して治療後で少なくとも約3.5μg・h/mLである、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
コレステリルエステル転送蛋白阻害剤がS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートであり、食物と共に900mgの1日投与量で投与される場合、哺乳動物の血流中でのコレステリルエステル転送蛋白阻害剤又はその活性型の血漿濃度−時間曲線下面積AUC0−∞が、治療前に対して治療後で少なくとも約7.5μg・h/mLである、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
コレステリルエステル転送蛋白阻害剤がS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートであり、食物と共に600mgの1日投与量で投与される場合、哺乳動物の血流中でのコレステリルエステル転送蛋白活性が、治療前のCETP活性に対して治療後で少なくとも約25%阻害される、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
コレステリルエステル転送蛋白阻害剤がS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートであり、食物と共に900mgの1日投与量で投与される場合、哺乳動物の血流中でのコレステリルエステル転送蛋白活性が、治療前のCETP活性に対して治療後で少なくとも約35%阻害される、請求項15に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−520808(P2006−520808A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507668(P2006−507668)
【出願日】平成16年3月17日(2004.3.17)
【国際出願番号】PCT/JP2004/003585
【国際公開番号】WO2004/082593
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】