説明

CIP洗浄方法

【課題】製造設備への損傷が少なく、低泡性の、優れた脱臭性能を有するCIP(現場洗浄)用脱臭剤組成物を用いたCIP洗浄方法を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するため、本発明は、(i)アルカリ洗浄剤による洗浄工程の後、(ii)CIP洗浄用脱臭剤組成物による脱臭洗浄工程を行い、更に、(iii)酸洗浄剤による洗浄工程を行うことを含む、CIP洗浄方法であって、該CIP洗浄用脱臭剤組成物が、(A)成分として、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー、リバースタイプのポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、エチレンジアミン型ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー、リバースタイプのエチレンジアミン型ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマーからなる群から選ばれる一種以上の非イオン界面活性剤を0.01〜30.0重量%、(B)成分として水、及び(C)成分として、消泡剤を0.09〜10.0重量%含有を含有する、CIP洗浄方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CIP洗浄用脱臭剤組成物を用いたCIP洗浄方法に関する。詳しくは、食品、飲料工場等の製造設備や製造機器類の洗浄に使用するCIP洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品工場、飲料工場等では、その製造設備や製造機器類のためにCIP洗浄(定置循環洗浄)によって洗浄を行なっている。ここで、CIP洗浄とは、”cleaning in place”の頭文字をとったもので、製造設備や製造機器類を分解することなく、そのままの状態で洗浄用の流体を流通させてその内部を洗浄する洗浄方法であり、定置洗浄又は定置循環洗浄とも呼ばれ、食品工場や飲料工場等の製造設備類の洗浄に広く採用されている。
しかし、近年の各種飲料製品等の品種の増加に伴い、各種の飲料が有する特有のフレーバーが製造設備の内部に残留し、従来のCIP洗浄では必ずしも効果的に除去することができず、フレーバーが切り替えた後の次の製造品へ着香する(臭いの付着)ことが問題となっている。そのため、製品の切り替え時の洗浄・脱臭工程において次亜塩素酸塩、イソシアヌール酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩などの酸化剤を添加してこれらの残留する臭いの除去を行なっている。しかしながら、これらの方法ではまだ充分に満足すべき脱臭効果が得られておらず、そのため脱臭工程を繰り返したり、酸化剤の濃度を高くすることなどで対策が取られているが、このような脱臭処理のためのコストがかさむことや、使用する酸化剤による製造設備類へのダメージが問題となっている。
【0003】
また、CIP洗浄を行なう際のもう一つの問題点は、CIP洗浄の際の循環液の発泡性である。タンクなどの洗浄においてはスプレーボールと言われるものが設置されており、実際に循環液がスプレー状にタンク内に噴霧されるため、製造設備の中にはこのような非常に泡が発生しやすい条件の場所がある。製造設備では、このほかにもいろいろな個所にこのような非常に発泡し易い場所が存在する。そしてCIP洗浄においては、このような場所で泡が大量に発生すると、循環する液量が少なくなり洗浄を続けられなくなるといった問題が生ずる場合もある。このため、製造設備類ヘダメージを与える酸化剤等を使用せず、低泡性の、かつ優れた脱臭効果を有するCIP洗浄用脱臭剤、或いはCIP洗浄用脱臭方法が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の目的は、製造機器類へのダメージが少なく、低泡性の、かつ優れた脱臭性能を有するCIP洗浄用脱臭剤組成物を用いたCIP洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成した。すなわち本発明は、(i)アルカリ洗浄剤による洗浄工程の後、(ii)CIP洗浄用脱臭剤組成物による脱臭洗浄工程を行った後、更に、(iii)酸洗浄剤による洗浄工程を行うことを含む、CIP洗浄方法であって、該CIP洗浄用脱臭剤組成物が、(A)成分として、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー、リバースタイプのポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、エチレンジアミン型ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー、リバースタイプのエチレンジアミン型ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマーからなる群から選ばれる一種以上の非イオン界面活性剤を0.01〜30.0重量%、(B)成分として水、及び(C)成分として、消泡剤を0.09〜10.0重量%含有を含有する、CIP洗浄方法を提供するものである。
【0006】
また、本発明は、(A)成分の非イオン性界面活性剤がHLB8〜18である、前記のCIP洗浄方法を提供するものである。
また、本発明は、(C)成分の消泡剤がHLB7以下である、前記のCIP洗浄方法を提供するものである。
また、本発明は、被洗浄物が飲料の製造設備である、前記のCIP洗浄方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、製造設備や製造機器類へのダメージが少なく、発泡性が低く、かつ製造機器類に残留する製造製品の臭いに対して優れた脱臭性能を有するCIP洗浄用脱臭剤組成物を用いたCIP洗浄方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のCIP洗浄用脱臭剤組成物の、(A)成分は、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー、リバースタイプのポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、エチレンジアミン型ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー、リバースタイプのエチレンジアミン型ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマーからなる群から選ばれる一種以上の非イオン界面活性剤であり、通常油性成分の乳化に用いられているものが好ましい。これらの中でも、特にソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルが優れた脱臭性能を有するので好ましい。
【0009】
また(A)成分の非イオン界面活性剤は、HLBが8〜18の範囲のものが優れた脱臭性能を有するので好ましく、HLBが10〜15の範囲のものが更に好ましい。HLBが8より小さいと、フレーバーや臭い成分の脱臭剤組成物中への溶解力が低下し好ましくない。
【0010】
このような本発明に使用する好ましい(A)成分の非イオン界面活性剤の具体例としては、例えばポリエチレングリコールモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリン、モノステアリン酸プロピレングリコール、ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー(例えば、旭電化工業(株)製、アデカプルロニックP−85)、リバースタイプのポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー(例えば、旭電化工業(株)製、アデカプルロニック17R−2)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ショ糖ステアリン酸エステル、エチレンジアミン型ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー(例えば、旭電化工業(株)製、アデカプルロニックTR−702)、リバースタイプのエチレンジアミン型ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー(例えば、旭電化工業(株)製、アデカプルロニックTR−913R)等が挙げられる。
【0011】
(A)成分の非イオン界面活性剤の含有量は、脱臭剤組成物の全量に対して0.01〜30.0重量%であり、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5.0重量%である。0.01重量%より少ないと充分な脱臭効果は得られず、30.0重量%を越えてもそれ以上脱臭効果は向上しない。
【0012】
本発明の(B)成分は水であり、(A)成分とともに必要に応じて配合されるその他の成分を溶解し、水溶液の形で本発明の脱臭剤組成物を提供する。
【0013】
さらに、本発明のCIP洗浄用脱臭剤組成物は、(C)成分として消泡剤を0.09〜10.0重量%含有する。
本発明の消泡剤としては、例えば、低泡性洗浄用界面活性剤として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(例えば、旭電化工業(株)製のアデカノールBシリーズ);ポリエーテル型・鉱油系・シリコン系・特殊非イオン型の消泡剤として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(例えば、旭電化工業(株)製のアデカノールLGシリーズやPAシリーズ);ポリオキシアルキレングリコール系消泡剤;モノオール系ブロックタイプの消泡剤;脂肪族アルコールアルコキシレート消泡剤(例えば、BASF社製のPlurafac LF シリーズ);特殊工一テル系非イオン界面活性剤系消泡剤として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(例えば、三洋化成工業(株)製のセドランシリーズ);ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル系又はポリオキシエチレン誘導体系消泡剤等が挙げられる。これらの消泡剤は2種以上併用してもよい。
【0014】
(C)成分の消泡剤を含有する場合の好ましい含有量は、脱臭剤組成物の全量に対して0.09〜10.0重量%であり、好ましくは0.1〜5.0重量%であり、最も好ましい含有量は0.5〜3.0重量%である。(C)成分が、0.09重量%より少ないと、充分な消泡効果が得られない場合があり、10.0重量%を越えて含有しても、それ以上の消泡効果は得られず、さらには脱臭効果に悪い影響を及ぼす場合もあり好ましくない。
また(C)成分の消泡剤は、そのHLBが7以下であるものが好ましい。
【0015】
本発明のCIP洗浄用脱臭剤組成物は、食品、飲料や医薬品などの製造機器類、生産設備の洗浄において、設備を分解することなく洗浄用の流体を流すことにより設備内の洗浄を行なう、いわゆるCIP洗浄に用いて、残留するフレーバー等の臭いを十分に除去することができ、しかも酸化剤を使用しないので製造設備類に対して安全である。特に食品工場、飲料製品工場での製造設備類のCIP洗浄への使用が好ましい。
【0016】
本発明のCIP洗浄用脱臭剤組成物は、食品や飲料製品の製造設備のうち、臭いやフレーバーが残留しやすい、製造設備の中のパッキン等に使用されるゴム等の脱臭に特に優れている。それら食品工場の設備類で使用されているかかるゴムの例としては、NBR(ニトリルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、シリコーンゴム、FKM(フッ素ゴム)等が挙げられる。特に臭いが残留しやすいEPDM、NBRの洗浄に対して本発明品は優れた効果を有する。
【0017】
また本発明のCIP洗浄用脱臭剤組成物を使用する、飲料製品の工場等で製造される飲料製品の例としては、オレンジ、アップル、グレープ等の果汁飲料、コーラ、サイダー等の炭酸飲料、酒、ウイスキー、ビール、焼酎、カクテル等のアルコール飲料、緑茶、紅茶、ウーロン茶等の茶飲料、野菜ジュース、スポーツ飲料、ニアウォーター、健康飲料、栄養剤飲料、清涼飲料等が挙げられる。CIP洗浄で、本発明の脱臭剤組成物を使用することによって、これらの製品自体の臭気、香り、あるいは、これらに含まれる香料等の臭気、香り等を除去し、洗浄するのに優れている。
【0018】
本発明の脱臭剤組成物はCIP洗浄において使用する。本発明のCIP洗浄方法では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を主成分とするアルカリ洗浄剤による洗浄工程、硝酸、リン酸、スルファミン酸等の水溶液を主成分とする酸性洗浄剤による洗浄工程、及び本発明の脱臭剤組成物による脱臭洗浄工程とを含むCIP洗浄方法によって行なう。本発明のCIP洗浄方法では、アルカリ洗浄剤による洗浄工程と、酸洗浄剤による洗浄工程との間に、本発明の脱臭組成物を使用した脱臭洗浄工程を行なう。
【0019】
本発明のCIP洗浄用脱臭剤組成物を使用したCIP洗浄方法の例を挙げると以下のようになる。始めに常温水または温水(約90℃以下)による前すすぎを約10分間行なう。そしてアルカリ洗浄工程として、アルカリ洗浄剤(例えばアデカクリーンエイド製アデカサイクルNZ等)の濃度2.0重量%水溶液で、洗浄温度約90℃以下で約20分間行なう。そして約10分間の中間すすぎを挟んで、本発明のCIP洗浄用脱臭剤組成物によって、脱臭洗浄を、洗浄温度約90℃以下で約20分間実施する。また約10分間の中間すすぎを挟んで、次に酸洗浄工程として、酸洗浄剤(例えばアデカクリーンエイド(株)製、アデカ3等)の濃度1.5重量%水溶液で、洗浄温度約90℃以下で約20分間行なう。その後約10分間の中間すすぎを行なった後、殺菌工程を熱水を使用し、洗浄温度90℃以上で約20分間行なう。
【0020】
アルカリ洗浄剤の例としては、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、界面活性剤及びキレート剤を主成分とするアルカリ洗浄剤が挙げられ、市販のものとしては、アデカサイクルNZ、アデカサイクルV7、アデカサイクルNP(いずれもアデカクリーンエイド社製)等が挙げられる。酸洗浄剤の例としては、リン酸と界面活性剤を主成分とするもの、例えば市販のものでは、アデカUS、アデカ3(いずれもアデカクリーンエイド社製)等が、また、硝酸と界面活性剤を主成分とするもの、例えば市販のものではアデカN100(アデカクリーンエイド社製)等が挙げられる。
【0021】
CIP洗浄方法で本発明の脱臭剤組成物を使用することにより、即ち、製造機器類、生産設備等を分解することなく、ここへ洗浄液を流通させて洗浄・脱臭を行なうことにより、製造機器類、生産設備等へ付着した臭いを効率よく除去することができる。
【0022】
本発明のCIP洗浄用脱臭剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を配合することもできる。その他の成分の例としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、その他の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、塩素剤、溶剤、酵素、レシチン(ホスファチジルコリン)誘導体等が挙げられる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。実施例中、%及び部は特に記載しない限りそれぞれ重量%及び重量部である。
【0024】
実施例1〜14:
表1又は表2に示す配合割合及び条件で、本発明の脱臭剤組成物1〜14を調製した。これらの脱臭剤組成物1〜14について、下記の方法で、脱臭試験、腐食性試験、起泡性試験を行ない、これらの脱臭剤組成物を評価した。さらに表3に記載した酸化剤系組成の脱臭剤を調製し、比較品1〜3として同様に評価した。
なお、本発明品1〜8、12は参考品である。
【0025】
i)脱臭試験
(1)被試験体の調製:
被試験体:EPDMパッキン(一辺5.0cmの正方形、厚さ5mm)
NBRパッキン(一辺5.0cmの正方形、厚さ5mm)
使用飲料:オレンジ飲料、アップル飲料上記パッキンのいずれかを使用飲料中に全浸漬し、100℃で8時間放置したものを被試験体とした。
【0026】
(2)試験方法:
表1又は表2の本発明品の脱臭剤組成物または表3の比較品の脱臭剤組成物の200mLを、それぞれ300mLのビーカーに入れた後、上記の方法により着香した被試験体のパッキンを、それぞれのビーカーに1枚投入して75℃にて30分間浸漬した。その後のパッキンを十分に水ですすぎ、乾燥したものを評価用のサンプルとした。
【0027】
(3)評価方法:
10人のパネラーにより被試験体のパッキンの臭いについて五段階評価を実施した。その点数が少ないほど脱臭効果に優れているといえる。10人のパネラーによる評価点の平均値を「臭い残留度」として評価とした。判断基準は下記の通りである。
評価点 判断基準
5 強く飲料の臭いがする。
4 かなり飲料の臭いがする。
3 やや飲料の臭いがする。
2 かすかに飲料の臭いがする。
1 飲料の臭いがない。
【0028】
(ii)腐食性試験
(1)被試験体の調製
EPDMパッキン(50mm×25mm×厚さ5mmの長方形)
(2)試験方法
表1又は表2の各脱臭剤組成物、又は表3の比較品の200mLを300mLビーカーに入れた後、上記の被試験体のパッキンをそれぞれのビーカーに1枚投入して、25℃で1週間の間全浸漬した。
(3)評価方法
一週間経過後に、被試験体のパッキンを取り出し、水洗、風乾後、目視にてパッキン表面の状態を観察し、下記の基準で評価した。
評価基準
○:パヅキン表面に光沢があり、変化はなかった。
×:パヅキン表面の光沢が消え、腐食されたとみなされる
【0029】
(iii)起泡性試験
(1)試験方法:ロス・マイルス法により、各脱臭剤組成物を60℃で発泡させて、測定開始時と5分後の泡高を測定した。
(2)評価方法:測定開始時の泡高と5分後の泡高を比較し、測定開始時の泡高に対する5分後に泡高の減少率で、下記の基準で評価した。10%以上減少した場合、低泡性といえる。
○:10%以上減少し、低泡性である。
△:5〜10%減少し、やや低泡性である。
×:5%以下の減少で、低泡性ではない。
これらの評価結果を表1〜表3に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
*1:ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート(東邦化学工業(株)製ソルボンT85)
*2:テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(30E.O.)(東邦化学工業(株)製ソルボンTR−843)
*3:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(花王(株)製レオドールTW−L120)
*4:脂肪族アルコールアルコキシレート(BASF社製PlurafacLF231)
*5:特殊工一テル系非イオン界面活性剤系消泡剤(三洋化成工業(株)製セドランFF200)
【0033】
【表3】

【0034】
実施例15〜27:
表4に示す組成で本発明品の脱臭剤組成物15〜27を調製し、これらについて、表5に示す各種の飲料製品で着香した被試験体のパッキンの脱臭試験をおこなった。脱臭試験方法は実施例1〜14と同様の方法でおこなった。これらの結果を表5に示す。
【0035】
【表4】

【0036】
*6:ポリオキシエチレンアルキルエーテルタロエート(アデカエストールTL−162、旭電化工業(株)製)
*7:ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー(リバースタイプ)(アデカプルロニック17R−2、旭電化工業(株)製)
*8:ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー(アデカプルロニックP−85、旭電化工業(株)製)
*9:脂肪族アルコールアルコキシレート(PlurafacLF231、BASF社製)
*10:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(セドランFF200、三洋化成工業(株)製)
*11:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(エマルゲン903、花王(株)製)
【0037】
【表5】

【0038】
実施例28
脱臭洗浄工程の脱臭剤組成物として表1の本発明品9の組成のCIP用脱臭剤組成物を使用して、オレンジ飲料製造設備についてそのタンクのスプレーボールによる洗浄を、下記のabcdefgh順番の工程からなるCIP洗浄で行なった。洗浄終了後、タンク内の臭気について、実施例1と同一の評価基準で評価した。
これに対して、比較として、脱臭洗浄行程の脱臭剤組成物として同一の脱臭剤組成物を使用して、次のように洗浄行程を一部省略し、または変えたCIP洗浄を行なった。即ち、比較例4として、abchのアルカリ洗浄工程のみの洗浄を、比較例5として、afghの酸洗浄工程のみの洗浄を、比較例6として、abcfghの順番でアルカリ洗浄工程と酸洗浄工程からなる洗浄を、比較例7として、afgbchの順番で酸洗浄工程とアルカリ洗浄工程からなる洗浄を行なった。
【0039】
<CIP洗浄工程>
a.オレンジ飲料製造後、まず前すすぎを、常温水で10分間行なう。
b.アルカリ洗浄工程を、アルカリ洗浄液(アデカクリーンエイド(株)製アデカサイクルNZ)濃度2.0重量%の水溶液で、温度75℃で20分間行なう。
c.常温水で中間すすぎ工程を10分間行なう。
d.脱臭洗浄工程を、上記の脱臭剤組成物で、温度75℃で20分間行なう。
e.常温水で中間すすぎ工程を10分間行なう。
f.酸洗浄工程を、酸洗浄液(アデカクリーンエイド(株)製アデカ3)濃度1.5重量%の水溶液で、温度75℃で20分間行なう。
g.常温水で中間すすぎ工程を10分間行なう。
h.殺菌工程を熱水を使用し、洗浄温度90℃以上で20分間行なう。
これらのCIP洗浄後の臭いの評価結果を表6に示す。
【0040】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アルカリ洗浄剤による洗浄工程の後、(ii)CIP洗浄用脱臭剤組成物による脱臭洗浄工程を行った後、更に、(iii)酸洗浄剤による洗浄工程を行うことを含む、CIP洗浄方法であって、該CIP洗浄用脱臭剤組成物が、(A)成分として、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー、リバースタイプのポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、エチレンジアミン型ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー、リバースタイプのエチレンジアミン型ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマーからなる群から選ばれる一種以上の非イオン界面活性剤を0.01〜30.0重量%、(B)成分として水、及び(C)成分として、消泡剤を0.09〜10.0重量%含有を含有する、CIP洗浄方法。
【請求項2】
前記(A)成分の非イオン性界面活性剤がHLB8〜18である、請求項1に記載のCIP洗浄方法。
【請求項3】
前記(C)成分の消泡剤がHLB7以下である、請求項1または2に記載のCIP洗浄方法。
【請求項4】
被洗浄物が飲料の製造設備である、請求項1〜3のいずれかに1項に記載のCIP洗浄方法。

【公開番号】特開2011−252160(P2011−252160A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168406(P2011−168406)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【分割の表示】特願2001−236337(P2001−236337)の分割
【原出願日】平成13年8月3日(2001.8.3)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【出願人】(593085808)ADEKAクリーンエイド株式会社 (25)
【Fターム(参考)】