説明

CNDAC(2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−ベータ−D−アラビノフラノシル−シトシン)及び細胞毒性薬を含む組合せ

本発明の第1の態様は、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と、(a)HDAC阻害薬、及び(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬とを含む組合せに関する。第2の態様は、(i)2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と、(ii)(a)HDAC阻害薬、及び(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬とを療法で同時、逐次、又は別々に使用するための組合せ製剤として含む医薬製品に関する。第3の態様は、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と、(a)HDAC阻害薬、及び(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬とを同時、別々、又は逐次に対象に投与するステップを含む、増殖性障害を治療する方法に関する。本発明の第4の態様は、主題の2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩の、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL,cutaneous T-cell lymphoma)を治療するための医薬の調製における使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増殖性障害の治療に適した組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
増殖性障害の治療でのピリミジンヌクレオシドの治療上の使用は当技術分野で十分に立証されている。一例として、ピリミジン類の市販で入手可能な抗腫瘍薬は、5−フルオロウラシル(Duschinsky, R., et al., J. Am. Chem. Soc., 79, 4559 (1957))、テガフール(Hiller, SA., et al., Dokl. Akad. Nauk USSR, 176, 332 (1967))、UFT(Fujii, S., et al., Gann, 69, 763 (1978))、カルモフール(Hoshi, A., et al., Gann, 67, 725 (1976))、ドキシフルリジン(Cook, A. F., et al., J. Med. Chem., 22, 1330 (1979))、シタラビン(Evance, J. S., et al., Proc. Soc. Exp. Bio. Med., 106. 350 (1961))、アンシタビン(Hoshi, A., et al., Gann, 63, 353, (1972))、及びエノシタビン(Aoshima, M., et al., Cancer Res., 36, 2726 (1976))を含む。
【0003】
癌細胞中で代謝拮抗性の活性を示すヌクレオシド類似体は、様々なヒト悪性疾患の治療で使用されて成功してきた。1−ベータ−D−アラビノフラノシルシトシン(Ara−C,1-beta-D-arabinofuranosylcytosine)、フルダラビン、及びクラドリビンなどのようなヌクレオシドは白血病の治療で重要な役割を演じるが、ゲムシタビンは、多くのタイプの固形腫瘍の治療で広範囲に使用されている。これらの化合物は、内在性ヌクレオシド及び内在性ヌクレオチドに同様の様式で代謝される。活性代謝産物は、ヌクレオシド及びヌクレオチドのデノボ合成に干渉する並びに/又はDNA鎖の中に組み込まれた後にDNA鎖伸長を阻害して、連鎖停止剤として作用する。さらに、DNA鎖の中に組み込まれたヌクレオシド代謝拮抗薬は、最終的にアポトーシスの誘発をもたらすかもしれない鎖切断を誘発する。
【0004】
ヌクレオシド代謝拮抗薬は、1又は複数の特異的な酵素を標的とする(Galmarini et al, Nucleoside analogues and nucleobases in cancer treatment. Lancet Oncol. 2002 Jul;3(7):415-24; Review)。標的酵素に対する阻害作用のモードは、Ara−C及びゲムシタビンなどのような同じヌクレオシド塩基を有するヌクレオシド代謝拮抗薬の間で異なるかもしれない。両方のヌクレオシドは、デオキシシチジンキナーゼによってリン酸化され、またシチジンデアミナーゼの好適な基質でもあるが、ゲムシタビンだけが、固形腫瘍に対する抗腫瘍活性を示す。これは、これらのヌクレオシド代謝拮抗薬の薬理学的活性に差異があることを示唆し、これは、標的分子に対する作用の異なるモードを反映しているかもしれない。
【0005】
dCK欠損は、様々な細胞モデル及び動物モデルでのAra−Cに対する抵抗性と関連していることが示された(Galmarini et al, In vivo mechanisms of resistance to cytarabine in acute myeloid leukaemia, Br J Haematol. 2002 Jun;l17(4):860-8)。Ara−C治療AML患者でのdCK遺伝子の発現の変化又はこの酵素の活性の有意な減少もまた臨床結果と相互に関連してきた。これらのデータは、dCKによるAra−Cの細胞内リン酸化が、細胞のモデルでの及び患者での細胞毒性にとって不可欠であるといった概念と一貫している。芽細胞形質膜中のhENT1の欠損もまたAra−Cに対する細胞の抵抗性のメカニズムとして示唆された。他の著者は、Ara−Cに対する薬剤抵抗性のメカニズムが、CDAなどのようなAra−C分解酵素のレベルの増加に関連していることを示唆した。
【0006】
欧州特許第536936号明細書(Sankyo Company Limited社)は、有益な抗腫瘍活性を示すことが示された、1−β−D−アラビノフラノシルシトシンの様々な2’−シアノ−2’−デオキシ−誘導体を開示する。欧州特許第536936号に開示されている1つの特定の化合物は、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシルシトシン(以下、「サパシタビン」と呼ぶ)であり、この化合物は、現在、さらなる研究中である。
【0007】
CYC682及び1−(2−C−シアノ−2−ジオキシ−β−D−アラビノ−ペンタフラノシル)−N−パルミトイルシトシンとしても知られているサパシタビン(Hanaoka, K., et al, Int. J. Cancer, 1999:82:226-236; Donehower R, et al, Proc Am Soc Clin Oncol, 2000: abstract 764; Burch, PA, et al, Proc Am Soc Clin Oncol, 2001: abstract 364)は、ヌクレオシドCNDAC、1−(2−C−シアノ−2−デオキシ−β−D−アラビノ−ペンタフラノシル)−シトシンの経口投与の新規な2’−デオキシシチジン代謝拮抗薬プロドラッグである。
【0008】
【化1】

【0009】
サパシタビンは、自発的なDNA鎖切断作用を有し、種々様々の細胞系、異種移植片、及び転移癌モデルで強力な抗腫瘍活性をもたらすといった点で、ゲムシタビンなどのような他のヌクレオシド代謝産物に対して、作用の特有のモードを有する(Hanaoka et al, 1999; Kaneko et al, 1997; Wu et al, 2003)。作用のその特有のモードのために、サパシタビンは、ゲムシタビン及びara−Cについて見られる細胞周期のS期でではなく、細胞周期のG2/M期でのブロックを引き起こす(Azuma et at 2001)。
【0010】
サパシタビンは、固形腫瘍での前臨床データに基づく、ゲムシタビン(主要な市販のヌクレオシド類似体)及び5−FU(広く使用される代謝拮抗剤)を超えるその経口的な生物学的利用能及びその活性の改善のゆえに多くの研究の焦点となってきた。最近、研究者らは、サパシタビンが結腸癌のモデルで強度の抗癌活性を呈することを報告した。同じモデルで、サパシタビンは、生存を増加させ、また肝臓への結腸癌転移の広がりをも予防する点から、ゲムシタビン又は5−FUに対して優れていることが分かった(Wu M, et al, Cancer Research, 2003:63:2477-2482)。現在に至るまで、種々様々の癌を有する患者からの第I相データが、サパシタビンがヒトに十分な耐容性を示し、用量制限毒性としての骨髄抑制を伴うといったことを示唆している。
【0011】
活性医薬品は、治療プログラムを最適化するために組み合わせて投与することができることが多いことが当技術分野で十分に確立されている。たとえば、CDK阻害薬及び1−(2−C−シアノ−2−ジオキシ−β−D−アラビノ−ペンタフラノシル)−N4−パルミトイルシトシン、その代謝産物を含む組合せ及び増殖性障害の治療でのそれらの使用は、国際公開第2005/053699号パンフレット(Cyclacel Limited社)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許第536936号明細書
【特許文献2】国際公開第2005/053699号パンフレット
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Duschinsky, R., et al., J. Am. Chem. Soc., 79, 4559 (1957)
【非特許文献2】Hiller, SA., et al., Dokl. Akad. Nauk USSR, 176, 332 (1967)
【非特許文献3】Fujii, S., et al., Gann, 69, 763 (1978)
【非特許文献4】Hoshi, A., et al., Gann, 67, 725 (1976)
【非特許文献5】Cook, A. F., et al., J. Med. Chem., 22, 1330 (1979)
【非特許文献6】Evance, J. S., et al., Proc. Soc. Exp. Bio. Med., 106. 350 (1961)
【非特許文献7】Hoshi, A., et al., Gann, 63, 353, (1972)
【非特許文献8】Aoshima, M., et al., Cancer Res., 36, 2726 (1976)
【非特許文献9】Galmarini et al, Nucleoside analogues and nucleobases in cancer treatment. Lancet Oncol. 2002 Jul;3(7):415-24; Review
【非特許文献10】Galmarini et al, In vivo mechanisms of resistance to cytarabine in acute myeloid leukaemia, Br J Haematol. 2002 Jun;l17(4):860-8
【非特許文献11】Hanaoka, K., et al, Int. J. Cancer, 1999:82:226-236
【非特許文献12】Donehower R, et al, Proc Am Soc Clin Oncol, 2000: abstract 764
【非特許文献13】Burch, PA, et al, Proc Am Soc Clin Oncol, 2001: abstract 364
【非特許文献14】Wu M, et al, Cancer Research, 2003:63:2477-2482
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、増殖性障害、とりわけ癌の治療に特に適している、知られている医薬品の新しい組合せを提供することを試みるものである。より具体的には、本発明は、様々な細胞毒性剤と2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩とを含む組合せに関する。
【0015】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン及びこれらの細胞毒性剤は、個々の治療薬として当技術分野で十分に確立されているが、現在に至るまで、本明細書で請求される特定の組合せが癌の治療に有効であろうといった示唆はなかった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様は、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と(a)HDAC阻害薬;及び(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬とを含む組合せに関する。
【0017】
第2の態様は、本発明による組合せ及び薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0018】
第3の態様は、(i)2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と(ii)(a)HDAC阻害薬;及び(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬とを療法で同時、逐次、又は別々に使用するための組合せ製剤として含む医薬製品に関する。
【0019】
第4の態様は、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と(a)HDAC阻害薬;及び(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬とを同時、別々、又は逐次に対象に投与するステップを含む、増殖性障害を治療する方法に関する。
【0020】
第5の態様は、増殖性障害を治療するための医薬の調製における本発明による組合せの使用に関する。
【0021】
第6の態様は、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩の、増殖性障害の治療のための医薬の調製での使用に関し、上述の治療は、(a)HDAC阻害薬;及び(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬を同時、別々、又は逐次に対象に投与するステップを含む。
【0022】
第7の態様は、(a)HDAC阻害薬;及び(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬の、増殖性障害の治療のための医薬の調製における使用に関し、上述の治療は、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩を同時、別々、又は逐次に対象に投与するステップを含む。
【0023】
第8の態様は、
(i)薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体と混合されていてもよい2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩並びに
(ii)薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体と混合されていてもよい(a)HDAC阻害薬;及び(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬を含む部品のキットに関する。
【0024】
本発明の第9の態様は、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩の、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL,cutaneous T-cell lymphoma)を治療するための医薬の調製における使用に関する。
【0025】
本発明の第10の態様は、治療有効量の2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与するステップを含む、上述の対象の皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)を治療する方法に関する。
【0026】
本発明は、さらに、一例として及び以下の図に関して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】CNDAC及びSAHAが、サブG1 Hut78細胞の用量依存的な増加を誘発することを示す図である。
【図2】イリノテカン(CPT−11)又はSAHAのいずれかとのサパシタビンの組合せからの異種移植片データを示す図である。各カラムで、記号は個々のマウスを表し、ラインは、そのグループについての平均を表す。エラーバーは平均値の標準誤差を表す。データは、治療の開始の22日後に得た。この時点は、21日の治療プログラムが終了した直後であった。
【図3】CNDAC及びSAHAが、サブG1 DNA含有量に関係してHut78細胞中で相乗的な増加を誘発することを示す図である(治療に対する全細胞%)。
【図4】死細胞及びアポトーシス細胞でのアネキシンV染色を示す図である(治療に対する細胞数%)。染色は、CNDAC及びSAHAが、死んでいるHut78細胞/瀕死のHut78細胞の相加的な増加を誘発することを示す。
【図5】Hut78細胞でのウェスタンブロッティングによるCNDAC/SAHAの組合せの分析を示す図である。PI染色及びアネキシンV染色は、CNDAC/SAHAの組合せが、Hut78細胞での細胞死の弱い相乗的な増加を引き起こすことを示す。
【図6】P388マウスモデルでの様々な治療の組合せについての、接種後の日数に対するマウスの数を示す図である(媒体(コントロール)、CYC682 20mg/kg PO QD×5×2、SAHA 75mg/kg IP QD×12、又はCYC682+SAHA)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
下記に説明される好ましい実施形態は、本発明のすべての上記の態様に該当する。
【0029】
本発明は、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物の、(i)皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)の治療での様々な他の治療薬との組合せ又は(ii)皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)の治療での単独療法における使用に関する。
【0030】
好ましい一実施形態では、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシンの代謝産物は、1−(2−C−シアノ−2−デオキシ−β−D−アラビノ−ペンタフラノシル)−シトシン(その他にCNDACとして知られている)である。
【0031】
上記に述べられるように、本発明の一態様は、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩とHDAC阻害薬である選択された細胞毒性薬とを含む組合せに関する。
【0032】
ヒストンは、塩基性アミノ酸が豊富な小さな陽性に荷電したタンパク質である(生理的pHで陽性に荷電)。5つの主なタイプのヒストン、すなわち、H1、H2A、H2B、H3、H4があり、これらは高度の構造類似性を呈する。ヒストンは、真正細菌(たとえば大腸菌(E. coli))で見出されていないが、これらの細菌のDNAは、細菌細胞内のDNAをまとめるようにヒストンのように推定上機能する他のタンパク質と関連している。しかしながら、古細菌は、真核生物のクロマチンに類似する構造物中にそれらのDNAをまとめるヒストンを含有している(G. M. Cooper, "The Cell - A Molecular Approach", 2ndEdition, Chapter II)。
【0033】
大多数のヒストンは、細胞周期のS期の間に合成され、新しく合成されたヒストンは、速やかに核に入って、DNAと関連するようになる。その合成の数分内に、新しいDNAは、ヌクレオソーム構造物中のヒストンと関連するようになる。
【0034】
ヒストンのアミノ末端部ドメインは、メチル基(リシン基及びアルギニン基に)、アセチル基(リシン基に)、又はリン酸基(セリン基に)への翻訳後の付加によって酵素的に修飾されるかもしれない(Spencer et al, Gene, 1999, 240(1), 1)。これは、ヒストンの正味の陽電荷の低下をもたらし、これは、結果的に、DNAへのヒストンの結合を弱めるかもしれない。
【0035】
ヒストンデアセチレーター(HDAC,histone deacetylator)及びHDACを阻害する化合物に関する研究により、いくつかの疾患状態が作用するメカニズムが解明された。たとえば、新規な抗マラリア化合物の調査では、自然発生のアピシジンは、ヒストンを過剰にアセチル化することによって熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)のインビトロでの成長を阻害することが示された(K. T. Andrews et al, Int. J. Parasitol., 2000, 30(6), 761)。
【0036】
したがって、HDACは、白血病(Lin et al, Nature, 1998, 391, 811)、メラノーマ/扁平上皮癌(Gillenwater et al, Int. J. Cancer, 1998, 75217;Saunders et al, Cancer Res., 1999, 59, 399)、乳癌、前立腺癌、膀胱癌(Gelmetti et al, Mol. Cell Biol., 1998, 18, 7185; Wang et al, PNAS, 1998, 951, 10860)、及び結腸癌(C. A. Hassig, et al, 1997, Chem. Biol., 4, 783; S. Y. Archer et al, PNAS, 1998, 95(12), 6791)などのような増殖性障害を含む多くの異なる疾患に関連していると考えられる。
【0037】
現在に至るまで、本出願で請求される特定の組合せが、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)及び非小細胞肺癌(NSCLC,non-small cell lung cancer)などのような癌の治療で治療上有用であることは示唆も開示もされていない。
【0038】
好ましい一つの実施形態では、HDAC阻害薬は、酪酸ナトリウム又はそのプロドラッグ、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA,suberoylanilide hydroxamic acid)、バルプロ酸ナトリウム、バルプロ酸、トリコスタチンA(TSA,trichostatin A)、PXD101、LAQ824、MS−275、CI−994、SB939、MGCD0103、及びデプシペプチドから選択される。
【0039】
本発明の特に好ましい実施形態では、HDAC阻害薬は、酪酸ナトリウム又はそのプロドラッグである。
【0040】
高度に好ましい実施形態では、酪酸ナトリウムのプロドラッグは酪酸ピバロイルオキシメチルである。
【0041】
他の特に好ましい実施形態では、HDAC阻害薬は、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)である。
【0042】
他の特に好ましい実施形態では、HDAC阻害薬は、バルプロ酸ナトリウム又はバルプロ酸である。
【0043】
他の特に好ましい実施形態では、HDAC阻害薬は、トリコスタチンA(TSA)である。
【0044】
高度に好ましい一実施形態では、組合せは、サパシタビン及びSAHAを含む。
【0045】
他の高度に好ましい実施形態では、組合せは、CNDAC及びSAHAを含む。
【0046】
高度に好ましい一実施形態では、組合せは、サパシタビン及びバルプロ酸ナトリウム又はバルプロ酸を含む。
【0047】
他の高度に好ましい実施形態では、組合せは、CNDAC及びバルプロ酸ナトリウム又はバルプロ酸を含む。
【0048】
上記に述べられるように、本発明の他の態様は、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と、エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグである細胞毒性薬とを含む組合せに関する。
【0049】
DNA分子は、空間でコイル状になり、屈曲して、負又は正のスーパーコイルの形成を含む、トポロジーの変化に至り得る。DNAのトポロジーをコントロールする酵素は、原核細胞及び真核細胞の両方での複製のいくつかの異なるステップで機能する。2つのクラスのトポイソメラーゼ、すなわち、トポイソメラーゼI及びトポイソメラーゼIIがある。したがって、好ましい一実施形態では、トポイソメラーゼ阻害薬はトポイソメラーゼI阻害薬であるのに対して、他の好ましい実施形態では、トポイソメラーゼ阻害薬はトポイソメラーゼII阻害薬である。
【0050】
I型トポイソメラーゼは、二重鎖DNAの一方の鎖に切れ目を入れて、次いで、それを閉鎖することによりDNAを緩和する。II型トポイソメラーゼは、二本鎖DNAを切断して、再結合することによってDNAトポロジーを変化させる(Molecular Cell Biology, 4th Edition, Eds. H. Lodish et al, 2000, WH Freeman & Company)。トポイソメラーゼ阻害薬は、DNA−タンパク質共有結合の形成に関与する酵素の領域で又はその領域の近くでDNA、トポイソメラーゼ、又はどちらかの分子に結合すると考えられる(Holland & Frei Cancer Medicine 6, Eds. Kufe et al, 2003, BC Decker Inc.)。
【0051】
高度に好ましい一実施形態では、トポイソメラーゼ阻害薬は、SN−38又はそのプロドラッグである。
【0052】
7−エチル−10−ヒドロキシ−20(S)−カンプトテシンとしても知られている、SN−38[(+)−(4S)−4,11−ジエチル−4,9−ジヒドロキシ−1H−ピラノ[3’,4:6,7]−インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオン]は、下記に示される構造を有する。
【0053】
【化2】


SN-38
【0054】
SN−38は、癌の治療に使用される、カンプトテシンの半合成で水溶性の誘導体であるイリノテカン(CPT−11としても知られている)の活性代謝産物である、つまり、CPT−11は、その活性形態、SN−38に代謝される、SN−38のプロドラッグである。高度に好ましい実施形態では、本発明の組合せは、SN−38のプロドラッグを含む。好ましくは、そのプロドラッグはイリノテカンである。
【0055】
【化3】

【0056】
イリノテカンは、二本鎖切断を誘発するDNAトポイソメラーゼI阻害薬である。イリノテカンは、DNA結合核酵素トポイソメラーゼI(top1,topoisomerase I)へのその結合及びDNA結合核酵素トポイソメラーゼIの阻害を通して発揮される細胞毒性効果と共に、インビボでその活性形態SN−38に変換され、したがって、top1 DNAの切断可能な三元複合体を安定化する(Tanizawa, A. et al, J. Natl. Cancer Inst., 86: 836-42, 1994)。これは、DNA再連結反応を妨害し、DNA二本鎖切断をもたらして、最終的にアポトーシスに至る(Kjeldsen, E. et al, J. Mol. Biol., 228: 1025-30, 1992)。
【0057】
イリノテカンは、(i)進行疾患のための事前の化学療法を受けていない患者で5−フルオロウラシル及びフォリン酸と組み合わせて、並びに(ii)確立された5−フルオロウラシル含有治療レジメンに応答しなかった患者での単一の作用物質として、進行結腸直腸癌を有する患者の治療で使用するために承認されている。
【0058】
他の好ましい実施形態では、トポイソメラーゼ阻害薬はエトポシドである。
【0059】
エトポシド[4’−デメチルエピポドフィロトキシン9−[4,6−O−(R)−エチリデン−β−D−グルコピラノシド]は、ポドフィロトキシンの半合成誘導体、アメリカミヤオソウに見出される毒素である。エトポシドは、下記に示される化学構造を有する。
【0060】
【化4】

【0061】
エトポシドは、(i)既に適切な外科的療法、化学療法的療法、及び放射線療法的療法を受けた、難治性の精巣腫瘍を有する患者、並びに(ii)小細胞肺癌の最良の治療としての患者で他の承認された化学療法薬と組み合わせての使用が承認されている(情報源:www.rxlist.com)。
【0062】
他の好ましい実施形態では、トポイソメラーゼ阻害薬はトポテカンである。
【0063】
塩酸トポテカンは、カンプトテシンの半合成誘導体であり、トポイソメラーゼI阻害活性を有する抗腫瘍剤である。トポテカンは、下記に示される構造及び化学名(S)−10−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−エチル−4,9−ジヒドロキシ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14−(4H,12H)−ジオン一塩酸塩を有する。
【0064】
【化5】

【0065】
それは、分子式C2323・HCl及び457.9の分子量を有する。それは、水に可溶性であり、213℃〜218℃での分解と共に融解する。
【0066】
トポイソメラーゼIは、可逆的な一本鎖切断を誘発することによってDNA中のねじれ歪みを軽減する。トポテカンは、トポイソメラーゼI−DNA複合体に結合し、これらの一本鎖切断の再連結を予防する。複製酵素が、トポテカン、トポイソメラーゼI、及びDNAによって形成される三元複合体と相互作用する場合、トポテカンの細胞毒性は、DNA合成の間にもたらされる二本鎖DNA損傷のためであると考えられる。哺乳動物細胞は、これらの二本鎖切断を効率的に修復することができない。
【0067】
現在に至るまで、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と、(a)HDAC阻害薬;及び(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬とを含む組合せを投与する示唆はなかった。
【0068】
多くの抗癌剤が、治療プログラムを最適化するために組み合わせて与えられる。薬剤の組合せの効果は本質的に予測不能であり、一方の薬剤が、部分的に又は完全に他方の効果を阻害する傾向があることが多い。
【0069】
本発明は、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と細胞毒性薬とを含む組合せの同時、別々、又は逐次の投与が、2つの作用物質の間の、有意又は劇的で、有害ないかなる相互作用にも至らないといった驚くべき観察に基づくものである。あらゆるそのような拮抗的な相互作用が、予期に反してないといったことは臨床応用にとって重大である。
【0070】
好ましくは、本発明の組合せは、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と細胞毒性薬とを含む相乗的組合せであり、つまり、組合せは相乗効果を有する。
【0071】
好ましい実施形態では、単独で投与されたどちらかの薬剤と比較して、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と細胞毒性薬との組合せは、効果の増強をもたらす。この観察の驚くべき性質は、先行技術に基づいて予期された性質と対照的である。有利には、相乗的相互作用は、各構成成分の患者への投与量が低用量になるといった効果があり、それによって、同じ治療効果をもたらす及び/又はそれを維持しつつ、化学療法の毒性を減少させるかもしれない。したがって、特に好ましい実施形態では、各構成成分は、治療量以下の量で投与することができる。
【0072】
他の好ましい実施形態では、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩及び細胞毒性薬は、単独療法における個々の構成成分の使用又は知られている組合せにおけるそれらの使用に関連する有害な副作用を軽減又は排除するように相互作用する。
【0073】
上記のように、本発明の一態様は、(i)2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩、と(ii)(a)HDAC阻害薬、並びに(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬とを療法で同時、逐次、又は別々に使用する組合せ製剤として含む医薬製品に関する。
【0074】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩及び細胞毒性薬を含む組合せは、同時、逐次、又は別々に投与されてもよい(投与プログラムの一部として)。
【0075】
本明細書で使用されるように、「同時に」は、2つの作用物質が一斉に投与されることを意味するために使用される。したがって、「逐次」投与は、一方の作用物質が、他方の後に、5分、10分、又は数時間以内に投与されることを認めてもよい、ただし、第1の投与される作用物質の循環半減期は、それらが両方とも治療有効量で一斉に存在するような状態であることを条件とする。それらの構成成分の投与の間の時間遅延は、構成成分の厳密な性質、それらの間の相互作用、及びそれぞれの半減期に依存して変動するであろう。
【0076】
「逐次」とは対照的に、「別々に」は、一方の作用物質及び他方の作用物質の投与の間の合間が長いことを意味するために本明細書で使用される、つまり、第1の投与される作用物質は、第2の作用物質が投与される場合に、治療有効量で血流にもはや存在していなくてもよい。
【0077】
好ましい一実施形態では、第2の作用物質は、第1の作用物質の少なくとも2時間後、より好ましくは少なくとも4時間後、さらに好ましくは少なくとも8時間後、さらに好ましくは少なくとも12時間後、24時間後又は48時間後に投与される。特に好ましい一実施形態では、第2の作用物質は、第1の作用物質の少なくとも24時間後に投与される。
【0078】
本発明の一態様は、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩の、増殖性障害の治療のための医薬の調製での使用に関し、上述の治療は、(a)HDAC阻害薬、並びに(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬を同時、逐次、又は別々、対象に投与するステップを含む。
【0079】
好ましくは、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩及び細胞毒性薬は、逐次又は別々に投与される。
【0080】
好ましくは、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩は、細胞毒性薬の少なくとも2時間前、より好ましくは少なくとも4時間前、さらに好ましくは少なくとも8時間前、さらに好ましくは少なくとも12時間前、24時間前又は48時間前に投与される。特に好ましい一実施形態では、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩は、細胞毒性薬の少なくとも24時間前に投与される。
【0081】
好ましい一実施形態では、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩及び細胞毒性薬は、同時に投与される。
【0082】
他の態様では、本発明は、(a)HDAC阻害薬、並びに(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬の、増殖性障害の治療のための医薬の調製における使用に関し、上述の治療は、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩を同時、別々、又は逐次に対象に投与するステップを含む。
【0083】
好ましい一実施形態では、細胞毒性薬及びサパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩は、同時に又は逐次に投与される。
【0084】
高度に好ましい一実施形態では、細胞毒性薬は、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩の少なくとも2時間前、より好ましくは少なくとも4時間前、さらに好ましくは少なくとも8時間前、さらに好ましくは少なくとも12時間前、24時間前又は48時間前に投与される。特に好ましい一実施形態では、細胞毒性薬は、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩の少なくとも24時間前に投与される。
【0085】
他の好ましい実施形態では、細胞毒性薬及び2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩は、同時に投与される。
【0086】
本発明の他の態様は、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩、と(a)HDAC阻害薬、並びに(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬とを同時、別々、又は逐次に対象に投与するステップを含む、増殖性障害を治療する方法に関する。
【0087】
好ましくは、対象は、哺乳動物、より好ましくはヒトである。
【0088】
好ましい一実施形態では、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩及び細胞毒性薬は、個々の構成成分に関して治療有効量でそれぞれ投与される。
【0089】
代替の好ましい実施形態では、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩及び細胞毒性薬は、個々の構成成分に関して治療有効量以下の量でそれぞれ投与される。
【0090】
用語「治療有効量以下の量」は、サパシタビン若しくはその代謝産物若しくはその薬学的に許容される塩又は細胞毒性薬を単独で用いる治療に関して治療効果をもたらすのに典型的に必要とされる量よりも低い量を意味する。
【0091】
特に好ましい実施形態では、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩及び細胞毒性薬は、同時に投与される。
【0092】
他の特に好ましい実施形態では、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩は、逐次又は別々に投与される。
【0093】
高度に好ましい実施形態では、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩は、細胞毒性薬に先立って逐次又は別々に投与される。
【0094】
他の特に好ましい実施形態では、細胞毒性薬は、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩に先立って逐次又は別々に投与される。
【0095】
他の態様は、増殖性障害を治療するための医薬の調製における本発明の組合せの使用に関する。
【0096】
本明細書で使用されるように、語句「医薬の調製」は、直接的に医薬としての又はそのような医薬の製造の任意の段階での、上記に記載される構成成分の1つ又は複数の使用を含む。
【0097】
増殖性障害
用語「増殖性障害」は、細胞周期のコントロールを必要とするあらゆる障害、たとえば、再狭窄及び心筋症などのような心血管障害、糸球体腎炎及び関節リウマチなどのような自己免疫障害、乾癬などのような皮膚障害、マラリア、気腫、及び脱毛症などのような抗炎症性、抗真菌性、駆虫性障害を含むように、広い意味で本明細書で使用される。これらの障害では、本発明の化合物は、必要に応じて、所望の細胞内でアポトーシスを誘発する又は静止を維持しうる。
【0098】
上記の態様及び実施形態のすべてに関して、好ましくは、増殖性障害は癌である。
【0099】
特に好ましい一実施形態では、癌は、リンパ腫、好ましくは非ホジキンリンパ腫、より好ましくは皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。
【0100】
皮膚T細胞リンパ腫(CTCL;皮膚の菌状息肉腫、セザリー症候群、又は細網肉腫としても知られている)は、癌性T細胞が皮膚内で成長する特有の珍しいタイプのリンパ腫である。
【0101】
CTLCは、原因が知られていない珍しい状態である。100万人ごとに診断されるのはわずか約4症例であり、ほとんどの患者は40〜60歳である。この状態は、男性で2倍観察され、黒人で若干多く観察される。それは、生検材料を採取し、癌性T細胞について顕微鏡下で検査することによってのみ確実に診断することができる。
【0102】
その状態に4つの主な段階がある。段階1は皮膚のみを冒す;段階2では、リンパ節は肥大しているが、それらの内部に癌の徴候はない;段階3では、リンパ節中にリンパ腫細胞がある;段階4では、リンパ腫は、体器官へ広がる。
【0103】
CTCLの予後は、その疾患がどれくらい広範にわたるかに依存する。10%未満の皮膚が冒されている場合、完全治癒又は長期コントロールの十分な見込みがある。皮膚の10%以上が病変している場合又はリンパ腫がリンパ節又は体器官へ広がっている場合、疾患はたいてい不治のものとなるが、長期治療を用いてなおコントロールすることができる。
【0104】
CTCLの治療は、診断時の疾患の段階に依存する。従来の治療は、現在に至るまで、局所的化学療法、紫外線を用いる治療(PUVA,psoralen ultraviolet treatment;ソラレン紫外線治療)、放射線療法、電子線療法(EBT,electron beam therapy)、及び経口的化学療法又は注入化学療法を含む。化学療法は、一般に、CTLCが進行型である場合のみ使用される。CTLCは化学療法に十分に応答するが、効果は短期間である。開発中の他の治療は、インターフェロン、デニロイキン(Ontak)、キャンパス1H(Alemtuzumub)、ベキサロテン、及びデプシペプチド(FK228)を含む。
【0105】
他の特に好ましい実施形態では、癌は、肺癌であり、より好ましくは非小細胞肺癌(NSCLC)又は小細胞肺癌(SCLC,small cell lung cancer)であり、さらに好ましくはNSCLCである。
【0106】
他の特に好ましい実施形態では、癌は、結腸直腸癌である。
【0107】
好ましい一実施形態では、増殖性障害は白血病である。好ましくは、白血病は、急性骨髄性白血病(AML,acute myelogenous leukemia)、急性リンパ性白血病(ALL,acute lymphocytic leukemia)、慢性骨髄性白血病(CML,chronic myelogenous leukemia)、及び慢性リンパ性白血病(CLL,chronic lymphocytic leukemia)から選択される。
【0108】
高度に好ましい一実施形態では、細胞毒性薬は、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)であり、増殖性障害は、非ホジキンリンパ腫又は肺癌である。
【0109】
他の特に好ましい実施形態では、細胞毒性薬は酪酸ナトリウムであり、増殖性障害は肺癌である。
【0110】
他の特に好ましい実施形態では、細胞毒性薬はイリノテカンであり、増殖性障害は結腸直腸癌である。
【0111】
他の特に好ましい実施形態では、細胞毒性薬はイリノテカンであり、増殖性障害は肺癌である。
【0112】
他の好ましい実施形態では、細胞毒性薬はエトポシドであり、増殖性障害は、肺癌又は精巣癌である。
【0113】
特に好ましい実施形態では、細胞毒性薬はエトポシドであり、増殖性障害は肺癌である。
【0114】
高度に好ましい一実施形態では、組合せは、サパシタビン及びSAHAを含み、増殖性障害は、NSCLC、AML、及びCTCLから選択される。
【0115】
他の好ましい実施形態では、組合せは、サパシタビン及びバルプロ酸ナトリウムを含み、増殖性障害は、CTCL及びAMLから選択される。
【0116】
他の好ましい実施形態では、組合せは、CNDAC及びトポテカンを含み、増殖性障害は小細胞肺癌(SCLC)である。
【0117】
高度に好ましい一実施形態では、組合せは、CNDAC及びSAHAを含み、増殖性障害は、NSCLC及びAMLから選択される。とりわけ好ましい一実施形態では、増殖性障害はAMLであり、この特定の実施形態については、CNDAC前治療はさらに好ましい。
【0118】
他の好ましい実施形態では、組合せは、CNDAC及びバルプロ酸ナトリウムを含み、増殖性障害は、CTCL及びAMLから選択される。
【0119】
本発明の他の態様は、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩の、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)を治療するための医薬の調製での使用に関する。
【0120】
同様に、本発明は、さらに、治療有効量の2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、上述の被検者の皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)を治療する方法に関する。
【0121】
本発明の好ましい一実施形態では、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と組み合わせて投与される。
【0122】
本発明の好ましい一実施形態では、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩は、1つ又は複数の他の抗増殖性薬と組み合わせて投与される。
【0123】
医薬組成物
特に好ましい実施形態では、本発明の医薬製品は、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬組成物の形態をしている。
【0124】
たとえ、本発明の化合物(それらの薬学的に許容される塩、エステル、及び薬学的に許容される溶媒和化合物を含む)を単独で投与することができても、それらは、特にヒト療法については、医薬担体、賦形剤、又は希釈剤と混合して一般に投与されるであろう。医薬組成物は、ヒト医学及び獣医学でのヒト使用又は動物使用向けのものであってもよい。
【0125】
本明細書に記載される医薬組成物の様々な異なる形態に適したそのような賦形剤の例は、"Handbook of Pharmaceutical Excipients", 2nd"Edition, (1994), Edited by A Wade and PJ Wellerに見出されるかもしれない。
【0126】
治療上の使用に容認できる担体又は希釈剤は、医薬の技術分野で十分に知られており、たとえば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit. 1985)に記載されている。
【0127】
適した担体の例は、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトール、及びその他同種のものを含む。適した希釈剤の例は、エタノール、グリセロール、及び水を含む。
【0128】
医薬担体、賦形剤、又は希釈剤の選考は、投与の予定された経路及び標準的な薬務に関して選択することができる。医薬組成物は、担体、賦形剤、若しくは希釈剤として又はそれに加えて、任意の適した結合剤(複数可)、潤滑剤(複数可)、懸濁剤(複数可)、コーティング剤(複数可)、可溶化剤(複数可)を含んでいてもよい。
【0129】
適した結合剤の例は、デンプン、ゼラチン、グルコースなどのような天然糖類、無水ラクトース、フリーフローラクトース、ベータ−ラクトース、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガカント、又はアルギン酸ナトリウムなどのような天然ゴム及び合成ゴム、カルボキシメチルセルロース、並びにポリエチレングリコールを含む。
【0130】
適した潤滑剤の例は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、及びその他同種のものを含む。
【0131】
防腐剤、安定剤、染料、さらには香料に至るまで医薬組成物中に提供されてもよい。防腐剤の例は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルを含む。酸化防止剤及び懸濁剤もまた使用されてもよい。
【0132】
プロドラッグ
本発明は、さらに、プロドラッグ形態の本発明の作用物質を含む。そのようなプロドラッグは、一般に、1つ又は複数の適切な基が、修飾が、ヒト又は哺乳動物の対象への投与に際して解除されてもよいように、修飾されている化合物である。そのような解除は、そのような対象に本来存在する酵素によってたいてい行なわれるが、インビボでの置き換えを行なうために第2の作用物質をそのようなプロドラッグと一緒に投与することができる。そのような修飾の例は、エステル(たとえば上記に記載されるもののうちのいずれか)を含み、解除はエステラーゼなどによって実行されてもよい。他のそのような系を当業者らは十分に知っているであろう。
【0133】
一例として、好ましい一実施形態では、酪酸ナトリウムのプロドラッグは酪酸ピバロイルオキシメチルである。好ましくは、SN−38のプロドラッグはイリノテカンである。
【0134】
塩/エステル
本発明の作用物質は、塩又はエステル、特に薬学的に許容される塩又はエステルとして存在することができる。
【0135】
本発明の作用物質の薬学的に許容される塩は、その適した酸付加塩又は塩基性塩を含む。適した医薬塩の検討は、Berge et al, J Pharm Sci, 66, 1-19 (1977)に見出されるかもしれない。塩は、例えば鉱酸、例えば硫酸、リン酸、若しくはハロゲン化水素酸等の強無機酸;未置換又は(例えばハロゲンで)置換されている、1〜4個の炭素原子を有するアルカンカルボン酸等の強有機カルボン酸;置換又は未置換のジカルボン酸(例えば、たとえばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、若しくはテレフタル酸);ヒドロキシカルボン酸(例えばアスコルビン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、若しくはクエン酸);アミノ酸(例えばアスパラギン酸若しくはグルタミン酸);安息香酸;或いは未置換又は(例えばハロゲンで)置換されている、(C1−C4)−アルキル−スルホン酸又はアリル−スルホン酸(例えばメタン−スルホン酸又はp−トルエンスルホン酸)等の有機スルホン酸;を用いて形成される。
【0136】
エステルは、エステル化される官能基に依存して、有機酸又はアルコール/水酸化物を使用して形成される。有機酸は、未置換又は(例えばハロゲンで)置換されている1〜12個の炭素原子のアルカンカルボン酸等のカルボン酸(例えば酢酸);飽和ジカルボン酸若しくは不飽和ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、若しくはテレフタル酸);ヒドロキシカルボン酸(例えばアスコルビン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、若しくはクエン酸);アミノ酸(例えばアスパラギン酸若しくはグルタミン酸);安息香酸;又は未置換又は(例えばハロゲンで)置換されている、(C1−C4)−アルキル−スルホン酸又はアリル−スルホン酸等の有機スルホン酸(例えばメタン−スルホン酸若しくはp−トルエンスルホン酸);を含む。適した水酸化物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどのような無機水酸化物を含む。アルコールは、未置換又は(例えばハロゲンで)置換されていてもよい1〜12個の炭素原子のアルカンアルコールを含む。
【0137】
鏡像異性体/互変異性体
本発明はまた、適切な場合には、作用物質のすべての鏡像異性体及び互変異性体をも含む。当業者は、光学的特性(1つ又は複数のキラル炭素原子)又は互変異性の特徴を持つ化合物を認識するであろう。対応する鏡像異性体及び/又は互変異性体は、当技術分野で知られている方法によって単離/調製されてもよい。
【0138】
立体異性体及び幾何異性体
本発明の作用物質のうちのいくつかは、立体異性体及び/又は幾何異性体として存在してもよく、−たとえば、それらは、1つ又は複数の非対称性の及び/又は幾何学的な中心を持っていてもよく、したがって、2つ以上の立体異性体の形態及び/又は幾何学的な形態で存在していてもよい。本発明は、それらの阻害剤のすべての個々の立体異性体及び幾何異性体及びその混合物の使用を企図する。特許請求の範囲で使用される用語はこれらの形態を包含する、ただし、上述の形態は適切な機能的活性(必ずしも同じ程度ではない)を保持することを条件とする。
【0139】
本発明はまた、作用物質の適した同位体異形又はその薬学的に許容される塩をもすべて含む。本発明の作用物質の同位体異形又はその薬学的に許容される塩は、少なくとも1つの原子が、同じ原子番号を有するが、自然界で普通見出される原子質量と異なる原子質量を有する原子と交換されたものとして定義される。作用物質及びその薬学的に許容される塩の中に組み込むことができる同位体の例は、それぞれ、2H、3H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、及び36Clなどのような、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、及び塩素の同位体を含む。作用物質及びその薬学的に許容される塩のある種の同位体異形、たとえば、3H又は14Cなどのような放射性同位体が組み込まれたものは、薬剤組織分布研究及び/又は基質組織分布研究で有用である。トリチウム化、つまり3H及び炭素−14、つまり14Cの同位体は、調製及び検出を容易にするのに特に好ましい。さらに、重水素、つまり2Hなどのような同位体を用いる置換は、より優れた代謝安定性、たとえばインビボ半減期の増加又は投薬必要量の低下に起因するある種の治療上の利点があるかもしれず、したがって、いくつかの状況で好ましいかもしれない。本発明の作用物質の同位体異形及び本発明のその薬学的に許容される塩は、一般に、適した試薬の適切な同位体異形を使用して、従来の手順によって調製することができる。
【0140】
溶媒和化合物
本発明はまた、本発明の作用物質の溶媒和化合物形態をも含む。特許請求の範囲で使用される用語はこれらの形態を包含する。
【0141】
多形体
本発明は、さらに、それらの様々な結晶形態、多形形態、及び無水又は含水形態の本発明の作用物質に関する。化学化合物は、そのような化合物の合成的調製で使用される、溶媒からの精製及び/又は単離の方法をわずかに変更することによって、そのような形態のうちのいずれかで単離されるかもしれないことが医薬品産業内で十分に確立されている。
【0142】
投与
本発明の医薬組成物は、投与の経口的経路、直腸経路、膣経路、非経口的経路、筋肉内経路、腹腔内経路、動脈内経路、鞘内経路、気管支内経路、皮下経路、皮内経路、静脈内経路、経鼻経路、頬経路、又は舌下経路に適用してもよい。
【0143】
経口的投与については、圧縮錠剤、丸剤、錠剤、ジェル剤(gellule)、滴剤、及びカプセル剤が特に使用される。好ましくは、これらの組成物は、1回用量当たり1〜2000mg、より好ましくは50〜1000mgの有効成分を含有する。
【0144】
投与の他の形態は、静脈内に、動脈内に、鞘内に、皮下に、皮内に、腹腔内に、又は筋肉内に注入されてもよく、滅菌溶液又は滅菌可能な溶液から調製される水剤又は乳剤を含む。本発明の医薬組成物はまた、坐剤、ペッサリー、懸濁剤、乳剤、ローション剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、噴霧剤、水剤、又は散布剤の形態をしていてもよい。
【0145】
経皮的投与の代替の手段は、皮膚用パッチ剤の使用によるものである。たとえば、有効成分は、ポリエチレングリコールの水溶乳剤又は流動パラフィンからなるクリーム剤の中に組み込むことができる。有効成分はまた、必要に応じて安定剤及び防腐剤と一緒に、白ろうベース又は白色ワセリンベースからなる軟膏剤の中に、1〜10重量%の濃度で組み込むことができる。
【0146】
注入可能な形態は、1回用量当たり10〜1000mg、好ましくは10〜500mgの有効成分を含有していてもよい。
【0147】
組成物は、単位剤形で、つまり、単位用量を含有する個別の部分の形態で又は単位用量の倍数単位若しくはサブ単位で製剤されてもよい。
【0148】
好ましい実施形態では、サパシタビンは経口的に投与される。
【0149】
他の好ましい実施形態では、イリノテカンは静脈内に投与される。
【0150】
他の好ましい実施形態では、エトポシドは経口的に又は静脈内に投与される。
【0151】
調剤
当業者は、過度の実験作業を伴わないで、対象に投与するための本組成物のうちの1つの適切な用量を容易に決定することができる。典型的に、医師は、個々の患者に最も適しているであろう実際の投薬量を決定するであろう、また、それは、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の作用の代謝安定性及び代謝期間、年齢、体重、健康状態、性別、食事、投与のモード及び時間、排出の速度、薬剤の組合せ、特定の状態の重症度、並びに個人が受けている療法を含む種々様々の因子に依存するであろう。本明細書で開示されている投薬量は、平均的な症例の例示である。より高い又はより低い投薬範囲がふさわしい個々の事例ももちろんあり得る、また、そのような範囲は本発明の範囲内である。
【0152】
必要性に依存して、作用物質は、2〜20mg/kgのように、体重1kg当り0.1〜30mg、より好ましくは体重1kg当り0.1〜1mgの用量で投与されてもよい。
【0153】
ガイダンスとして、サパシタビンは、成人ヒト患者について0.05〜5gの間の投薬量で、医師の指示に従って、典型的に投与される。好ましくは、投薬量は、経口的に体の表面積1m当り1〜120mgである。調剤は、週5日を4週間、又は週3日を4週間投与とすることができる。サパシタビンはまた、1日2回、用量当たり1〜500mgの投薬量で投与されてもよい。好ましくは、これらの用量は、3週間のうちの2週間の間、1週間当たり2〜約6日間、サパシタビンを投与することを含む治療サイクルで与えられてもよい。より好ましくは、サパシタビンは、2週間の間、1週間当たり3〜5日間投与し、その後1週間停止してもよい。さらに好ましくは、サパシタビンは、2週間の間、1週間当たり連続して3、4、又は5日間与え、その後、1週間停止してもよい。その代わりに、サパシタビンは、21日ごとに、7日間又は14日間、より好ましくは21日ごとに、連続して7日間又は連続して14日間、さらに好ましくは2週間停止の後に連続して7日間、サパシタビンを投与することを含む治療サイクルとしてもよい。投薬量及び適用の回数は、典型的に、患者の全体的な医学的状態に並びに引き起こされた有害な影響、特に造血系、肝臓系、及び腎臓系に引き起こされた有害な影響の重症度に適合される。サパシタビンの合計の一日用量は、単一用量として投与してもよく、又は別々の投薬量に分割してもよい。好ましくは1日当り2、3、又は4回投与することができる。
【0154】
ガイダンスとして、細胞毒性薬は、上述の細胞毒性薬について承認された投薬量の間の投薬量で、医師の指示に従って典型的に投与される。上述の投薬量は、メーカー又は文献、たとえばwww.emea.eu.int/htms/human/epar/a-zepar.htmから得られるかもしれない、各作用物質についてのSummary of Product Characteristicsから入手可能である。
【0155】
好ましくは、細胞毒性薬がエトポシドである場合、それは、注入、より好ましくは静脈内注入によって投与される。好ましくは、エトポシドは、30〜60分間にわたる継続的な注入を介して100〜120mg/m/日の投薬量で投与される。
【0156】
好ましくは、細胞毒性薬がイリノテカンである場合、それは、注入によって末梢静脈又は中心静脈の中へ、より好ましくは静脈内注入によって投与される。好ましくは、イリノテカンは、100〜400mg/m、より好ましくは150〜350mg/m、さらに好ましくは150〜200mg/mの投薬量で投与される。好ましくは、イリノテカンは30〜90分間の期間にわたって投与される。
【0157】
好ましくは、細胞毒性薬がトポテカンである場合、それは、経口的な形態又は静脈内の形態で投与される。経口的な形態については、推奨される用量は、21日ごとに繰り返して、連続して5日間、毎日1回、2.3mg/m/日である。静脈内の形態については、推奨される用量は、21日間のコースの1日目に開始して、連続して5日間、毎日、30分間にわたる静脈内注入による1.5mg/m2である。
【0158】
ガイダンスとして、HDAC阻害薬は、医師の指示に従って典型的に投与される。Pivanex(酪酸ピバロイルオキシメチル)は、1日当たり約2.34g/mで典型的に投与される。Pivanexは好ましくは静脈内に投与される。スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)は、1日当たり約100〜600mgで典型的に投与される。スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)は好ましくは経口的に投与される。バルプロ酸は、経口的に投与される場合、約10〜60mg/kgで又は静脈内に投与される場合、約10〜150mg/kgで典型的に投与される。HDAC阻害薬の合計の一日用量は、単一用量として投与することができる又は別々の投薬量に分割することができる、好ましくは1日につき2、3、又は4回投与することができる。
【0159】
部品のキット
本発明のさらなる態様は、
(i)薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体と混合されていてもよい2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩、及び
(ii)薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体と混合されていてもよい(a)HDAC阻害薬並びに(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬を含む部品のキットに関する。
【0160】
好ましくは、サパシタビン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩及び細胞毒性薬はそれぞれ単位剤形である。好ましくは、部品のキットは、各構成成分の、つまり、上記の構成成分(i)及び(ii)の複数の単位剤形を含有する。
【0161】
部品のキットは、特定の投薬レジメンへのコンプライアンスを容易にするための手段、たとえば、いつ、どのように、そしてどれくらい頻繁に各構成成分の単位剤形を摂取するべきかを示す説明書をさらに含んでいてもよい。
[実施例]
【0162】
材料及び方法
CNDACはCyclacel Ltd.社(Dundee、UK)によって提供された。エトポシドはSigma社によって提供された。SN−38は、Abatra technology Co Ltd社、Xi'an、Chinaによって提供された。イリノテカンはPfizer社によって提供された。酪酸ナトリウム、バルプロ酸、及びバルプロ酸ナトリウムはSigma社から得た。トリコスタチンA(TSA)はAG Scientific, Inc.社から得た。SAHAはToronto Research Chemicals, Inc社から得た。細胞系H1299、H460、Hut78、MV4−11、HL−60、及びPL−21はATCCから得た。
【0163】
サパシタビンの調製
サパシタビンは、Sankyo Company Limited社の名義の欧州特許第536936号の実施例1及び2に記載される方法論に従って調製した。
【0164】
細胞培養
実験は、96ウェルプレート中で実行し、細胞系は、H1299については2500細胞/ウェル、H460については2500細胞/ウェル又は3000細胞/ウェル、HL−60細胞については5000細胞/ウェル、並びにHut78細胞、MV4−11細胞、及びPL−21細胞については8,000細胞/ウェルの密度で播種した。固形腫瘍細胞系(H460及びH1299)では、24時間の治療及び72時間の治療でのIC50値が、Alamar blueアッセイを使用して各化合物について決定されたのに対して、浮遊細胞系では、72時間のIC50値のみが得られた(Hut78、MV4−11、HL60、及びPL21)。次いで、各化合物は、3つの異なる治療プログラム:併用、HDAC阻害薬/トポイソメラーゼ阻害薬が後続するCNDAC前治療、及びHDAC阻害薬/トポイソメラーゼ阻害薬を用いる前治療後のCNDAC治療を使用してCNDACと組み合わせて試験した。Hut78細胞では、併用治療プログラムは、24時間の間のCNDAC培地、SAHA培地、又は薬剤なしの培地を用いる前治療後に用いた。
【0165】
Calcusynの薬剤の組合せのプロトコール
いくつかの細胞系はプレートに付着せず、吸引が不可能になるので、組合せプロトコールのわずかに異なる変化形を、試験した異なる細胞系で使用した。
【0166】
H460細胞及びH1299細胞の併用治療プログラムについては、2倍に階段希釈したCNDAC、HDAC阻害薬/トポイソメラーゼ阻害薬、又は両方の薬剤を、平板培養の24時間後に細胞に同時に添加し、37℃で72時間の間、放置した。前治療プログラムでは、細胞を平板培養した2時間後、第1の薬剤を添加し、24時間の間、放置した。培地を吸引し、第2の薬剤を含有する新鮮な培地と交換し、72時間の間、インキュベートした。各逐次の治療についての2つのコントロールは、薬剤治療のうちの一方の代わりに培地を用いた。培地吸引ステップは省いたが、同様のプロトコールをHut78細胞で使用した(Hut78細胞は浮遊細胞系なので、これらの細胞から前治療薬剤を除去することができなかったため)。AML細胞系(HL60、MV4−11、PL21):それらの速い成長速度を補正するために、72時間の薬剤インキュベーション期間をAML細胞系で48時間に低下させた以外は、組合せの分析は、Hut78細胞について記載されるように本質的に実行した。
【0167】
薬剤治療後に、各ウェル中の細胞数は、次いで、10% alamar blue(Roche社製、Lewes、East Sussex、U.K.)を含有する培地中で1時間の間、細胞をインキュベートし、544〜595nmの吸光度を読み取ることによって評価した。薬剤相互作用は、市販のソフトウェアパッケージであるCalcusynを使用して分析した。これは、Chou及びTalalayの半数有効モデルに基づくものである(Chou, T.C. & Talalay, P. (1984) Adv. Enzyme Regul. 22, 27-55. Quantatative analysis of dose-effect relationships: the combined effects of multiple drugs or enzyme inhibitors)。1の組合せインデックス(C.I.)は相加的な薬剤相互作用を示したのに対して、1を超えるC.I.は拮抗的であり、1未満のスコアは相乗的であった。
【0168】
フローサイトメトリー
Hut78細胞を、約5×10細胞/プレートで10cmのプレート中に播種し、2時間の間、放置して、定着させた。CNDAC、SAHA、又は両方の薬剤を、指定の時間の間、指定の濃度で添加した(16〜72時間の治療)。処理後に、細胞を回収し、細胞周期分析を行なった。細胞は、遠心分離によってペレットにし、PBS中で2回洗浄し、次いで、−20℃で70%(v/v)のエタノール中で一晩固定した。細胞は、20分の間、50μg/mlヨウ化プロピジウムを用いて染色し、DNA含有量をフローサイトメーターで分析した。アネキシンV染色を、メーカーの説明書に示されるように生非固定細胞に行なった。
【0169】
相乗的活性の統計分析及び決定
薬剤の組合せの効果は、半数有効の原理に基づくChou及びTalalayの方法を使用して評価した(Chou TC, Talalay P. Quantitative analysis of dose-effect relationships: the combined effects of multiple drugs or enzyme inhibitors. Adv Enzyme Regul. 1984;22:27-55).これは、方程式:f/f=(C/Cを使用して、各薬剤及び倍数希釈した固定比の組合せについての用量効果曲線をプロットすることを伴い、fは、薬剤濃度Cによって影響された細胞画分であり(たとえば、細胞成長が90%だけ阻害された場合、0.9)、fは、影響されていない画分であり、Cは薬剤濃度であり、IC50は、最大の半分の効果(つまり、細胞成長の50%の阻害)に必要とされる濃度であり、mは、濃度効果曲線のシグモイド係数である。組合せの各薬剤についての曲線の傾きに基づいて、薬剤が、相互に非排他的な効果(たとえば作用の非依存的な又は相互作用的なモード)を有するかどうかを決定することができる。
【0170】
次いで、組合せインデックス(CI)は、方程式:
CI=[(C)/(C]+[(C)/(C]+[α(C)(C)/(C(C]、
によって決定され、(Cx)は、その薬剤のxパーセントの効果を単独でもたらすために必要とされる薬剤1の濃度であり、(C)は、(C)と組み合わせて、同じxパーセントの効果をもたらすために必要とされる薬剤1の濃度である。薬剤の作用のモードが相互に排他的又は非排他的である場合、αはそれぞれ0又は1となる。CI値は、異なる値のfを使用して(つまり、異なる程度の細胞成長阻害について)、この方程式を用いて算出されることとなる。1未満のCI値は相乗効果を示し、1の値は相加効果を示し、1を超える値は拮抗作用を示す。データは、マイクロコンピュータソフトウェア(Biosoft社製、Cambridge、UK)の濃度効果分析を使用してIBM−PCコンピュータで解析した。統計分析及びグラフについては、発明者らは、Instatソフトウェア及びPrismソフトウェアを使用することとする(GraphPad社製、San Diego、USA)。単独で又は対の組合せで試験した薬剤についての用量効果の関係を半数有効プロット分析にかけて、各選択された細胞系でのそれらの相対的効力(IC50)、形状(m)、及び適合(r)を決定した。上記に述べられるように、IC50値及びm値は、CI方程式に基づいて相乗作用及び拮抗作用を算出するためにそれぞれ使用した。結果は、二通り行なった少なくとも3回の実験の平均値±標準偏差として表した。各実験で、細胞を、上記に記載されるように48時間の間、対の組合せに曝露した。平均値及び標準偏差をスチューデントのt検定(両側P値)を使用して比較した。
【0171】
ウェスタンブロッティング分析
タンパク質溶解物を、10%のFCSを含有する培地中で、約5×10細胞/ウェルで播種した10cmのプレートから生成した。細胞は、収集に先立って、指定の濃度及び時間に、CNDAC、SAHA、又はその両方の化合物と共にインキュベートした。細胞は、遠心分離(5分×2,000g)によって回収し氷冷バッファーAを用いて1回洗浄し(50mM HEPES、pH7.0、20mM NaCl、1mM DTT、プロテアーゼ阻害薬、10mMピロリン酸ナトリウム、10mMフッ化ナトリウム、及び1mMオルトバナジン酸ナトリウム)、0.3mlの同じバッファー中に再懸濁した。細胞を、超音波処理(プローブ超音波処理器を用いる2×3秒の破砕)によって溶解し、各チューブのタンパク質濃度をBCAアッセイを使用して決定した。溶解物(装填した20〜30μgタンパク質/ウェル)を、10又は12%アクリルアミドを含有するBis-Trisゲル上で分解し、ウェスタンブロッティングによる分析のためにニトロセルロースに移した。膜は、0.02%(v/v)Tween20及び5%(w/v)無脂肪粉乳を含有するPBS中で室温で1時間の間、ブロックした。抗体インキュベーションは、3%(w/v)粉乳を含有する0.02%(v/v)Tween20(PBST)を含有するPBS中で2〜8℃で一晩実行した。ニトロセルロース膜は以下の抗体を用いてプローブした:
【0172】
【表1】

【0173】
次いで、膜を、PBST中で3回洗浄し、次いで、1:5,000希釈の適切なホースラディッシュペルオキシダーゼ抱合2次抗体(Perbio社製)と共に1時間の間、インキュベートした。最後に、膜は、高感度化学発光キット(Amersham Corporation社製、Buckinghamshire、U.K.)又はMillipore社製Immobilon HRP基質を使用する現像に先立ってPBST中で3回洗浄した。
【0174】
結果
皮膚T細胞リンパ腫細胞系(Hut78)に対するCNDAC及びSAHAの抗増殖性効果
表1は、3つの異なる治療プログラムを使用しての、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)細胞系Hut78細胞に対するCNDAC及びSAHAの効果を示す。各薬剤治療からの組合せインデックス値をED50値、ED75値、及びED90値(50%、75%、及び90%の細胞が殺された曲線上のポイント)について示す。データは、3回の独立した実験の平均である。
【0175】
これらの結果は、CNDAC及びSAHAが、試験した3つの治療プログラムすべてでHut78細胞で高度に相乗的であることを実証する。SAHA又はCNDACのいずれかを用いる前治療は、併用治療プログラムをわずかに向上させるように考えられる。これらのデータは、CNDACをSAHAと組み合わせることが、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)細胞を治療するための、見込みのある治療プログラムとなるかもしれないことを実証する。
【0176】
浮遊した細胞系を用いる作業が困難であることを考慮して、一方の薬剤を、2つの薬剤の組合せに先立って試験した。この方法は、第1の薬剤の半減期が、第2の薬剤が適用される場合に第1の薬剤がなお存在するような状態である状況で、最初に一方の薬剤を、次いで他方の薬剤を試験するのに相当する。
【0177】
CNDAC及びSAHAは、サブG1 Hut78細胞の用量依存的な増加を誘発する
図1は、CNDAC及びSAHAが、サブG1 Hut78細胞の用量依存的な増加を誘発することを示す。Hut78細胞を、72時間の間、0.5×〜2×IC50 CNDAC、0.5〜2×IC50 SAHA、又は0.5〜2×IC50 CNDAC+SAHAと共にインキュベートした。1×IC50値は、Hut78細胞中でCNDACについては0.36μM、SAHAについては0.46μMである。薬剤治療後に、次いで、細胞を収集し、ヨウ化プロピジウムを用いて染色し、それらのDNA含有量をフローサイトメトリーによって分析した。SAHA単独では、普通死滅した又はアポトーシスを受けているサブG1細胞(正常二倍体細胞よりも少ないDNAを含有する細胞)のわずかな増加を誘発した2×IC50以外は、細胞周期にほとんど効果がなかった。CNDAC治療は、サブG1細胞の用量依存的な増加を誘発し、これは、SAHAの混在化によって相乗的に向上した。これらのデータは、CNDAC及びSAHAが、死滅した又は瀕死の細胞の相乗的な増加を誘発することを示す。
【0178】
CNDAC及びSAHAは、サブG1 Hut78細胞の時間依存的な増加を誘発する
図4は、CNDAC及びSAHAが、サブG1 Hut78細胞の時間依存的な増加を誘発することを示す。Hut78細胞を、16、24、48、又は72時間の間、1×IC50 CNDAC、1×IC50 SAHA、又は1×IC50 CNDAC+SAHAと共にインキュベートした。1×IC50値は、Hut78細胞中でCNDACについては0.36μM、SAHAについては0.46μMである。治療後に、次いで、細胞を収集し、ヨウ化プロピジウムを用いて染色し、それらのDNA含有量をフローサイトメトリーによって分析した。SAHA単独では、細胞周期にほとんど効果がなく、普通死滅した又はアポトーシスを受けているサブG1細胞(<2n DNA)のわずかな増加を誘発した。CNDAC治療は、48時間の治療によって明らかになり、72時間までに細胞集団のほぼ30%を含む、サブG1細胞の時間依存的な増加を誘発した。CNDAC及びSAHAは、48時間までに明らかとなり、72時間までに細胞集団の約70%を含む、サブG1細胞の相乗的な増加をもたらした。これらのデータは、CNDAC及びSAHAが、死細胞又は瀕死細胞の相乗的な増加を誘発すること及びこの効果が、CNDAC治療が、S期細胞又はG2期(4n DNA)で死ぬ細胞の亜集団を表し得る、2〜3n DNAを含有するDNA含有量の細胞の個別の集団(S期)をも誘発した48時間の治療時間によって有意となることを示す。後者の説明が正しい場合、CNDACは、おそらく、図4に示されるよりも高い割合の死細胞/瀕死細胞を誘発するであろう。全体として、これらのデータは、CNDAC/SAHAの組合せが、死滅した又は瀕死の細胞の相乗的な又は相加的な増加のいずれかを誘発することを示唆する。
【0179】
非小細胞肺癌細胞(H460及びH1299)に対するCNDAC及びSAHAの抗増殖性効果
表2は、H460細胞及びH1299細胞に対するCNDAC及びSAHAの効果を示す。CNDACは、3つの異なる治療プログラムを使用して試験した。各薬剤治療からの組合せインデックス値をED50値、ED75値、及びED90値(50%、75%、及び90%の細胞が殺された曲線上のポイント)について示す。データは、少なくとも2回の独立した実験の平均である。これらの結果は、CNDAC及びSAHAが、試験した3つの治療プログラムすべてでH1299細胞で相乗的であることを実証する。これらのデータは、CNDACをSAHAと組み合わせることが、非小細胞肺癌(NSCLC)細胞系を治療するための有用な治療プログラムをもたらすかもしれないことを示唆する。
【0180】
非小細胞肺癌細胞(H460及びH1299)に対するCNDAC及び酪酸ナトリウムの抗増殖性効果
表3は、H460細胞及びH1299細胞に対するCNDAC及び酪酸ナトリウムの効果を示す。これらの結果は、CNDAC及び酪酸が、3つの治療プログラムすべてでH460細胞及びH1299細胞で中程度から強度の相乗効果を生み出し、正の薬剤相互作用を示すことを実証する。特に、結果は、CNDAC前治療及び併用治療プログラムがH460細胞で相乗的であることを実証する。H1299細胞では、酪酸前治療が相乗的薬剤相互作用をもたらした。これらのデータは、CNDACを酪酸と組み合わせることが、非小細胞肺癌(NSCLC)細胞系を治療するための有用な治療プログラムをもたらすかもしれないことを示唆する。
【0181】
非小細胞肺癌細胞(H460及びH1299)に対するCNDAC及びトポイソメラーゼ阻害薬の抗増殖性効果
表4は、H460及びH1299の細胞に対するCNDAC及びトポイソメラーゼ阻害薬の効果を示す。これらの結果は、CNDACをトポイソメラーゼ阻害薬エトポシド又はSN38(イリノテカンに由来する活性作用物質)と組み合わせることがH1299細胞で相乗効果を生み出すことを実証する。ED50、75、及び90は、細胞集団の50、75、及び90%が殺された場合のものである。これらのデータは、CNDACをトポイソメラーゼ阻害薬と組み合わせることが、非小細胞肺癌(NSCLC)細胞系を治療するための有用な治療プログラムをもたらすかもしれないことを示唆する。
【0182】
急性骨髄性白血病(AML,Acute Myeloid Leukaemia)細胞系での組合せでのCNDAC及びHDAC阻害薬
CNDACは、3つの異なる治療プログラムを使用して、AML細胞系HL60、PL21、及びMV4−11で示されるHDAC阻害薬と組み合わせて試験した(表5及び6)。各薬剤治療からの組合せインデックス値をED50値、ED75値、及びED90値(50%、75%、及び90%の細胞が殺された曲線上のポイント)について示す。データは、3回の独立した実験の平均である。
【0183】
CNDAC及びSAHAは、試験した3種の細胞系すべてで中程度から強度の相乗効果を生み出し、それらの化合物の間の拮抗作用はほとんど証明されなかった。CNDAC前治療は、この組合せにとってかろうじて最善の治療プログラムとなった。
【0184】
CNDAC及びバルプロ酸もまた、3種のAML細胞系すべてで中程度から強度の相乗効果をもたらした。この組合せで、いかなる治療プログラムも、最適であると証明されなかった。
【0185】
ほとんどの組合せが相乗効果を生み出し、有意な拮抗作用は観察されなかったので、これらの結果は、AML細胞系でCNDACをHDAC阻害薬と組み合わせるアイデアを支持する。加えて、バルプロ酸及びSAHAは、CNDACと組み合わせた場合、同等のデータをもたらし、観察された相乗効果が、HDAC阻害薬とCNDACを組み合わせた結果であり、特定のHDAC阻害薬の特有の特性のためではないことを証明した。
【0186】
CNDAC及びSAHAは、アポトーシスHut78細胞/死んでいるHut78細胞の相加的な増加を誘発する
Hut78細胞を、24時間、48時間、又は72時間の間、IC50のCNDAC、SAHA、又はCNDAC+SAHAと共にインキュベートした。次いで、細胞を収集し、アネキシンVを用いて染色し、フローサイトメーターで分析した。データは、2回の独立した実験の代表的なものとする。アネキシンVは、アポトーシスを受けている又は既に死んでいる生細胞をラベルする。SAHA治療は、死細胞/瀕死細胞の取るに足りない増加を誘発した。図3は、CNDAC単一作用物質の治療及び組合せが、両方とも、アポトーシス細胞/死細胞の時間依存的な増加をもたらしたことを示す。さらに、CNDAC治療及び組合せは、組合せで観察されたサブG1ピーク(図3)に大きさが同等であった、アポトーシス細胞/死細胞の割合の同様の増加をもたらした。まとめると、これらのデータは、図3のPI染色が、CNDAC治療によって誘発されたサブG1細胞の割合を少なく見積もったこと及び組合せが、アポトーシス細胞の相加的な増加を誘発したのみであったことを示唆する。したがって、calcusyn分析で検出された相乗効果(表1)は、主として、細胞増殖の阻害のためであろう。
【0187】
Hut78細胞のウェスタンブロッティングによるCNDAC及びSAHAの組合せの分析
Hut78細胞を、指定の時間の間、1×IC50 CNDAC、SAHA、又はCNDAC+SAHAを用いて治療した。細胞を収集し、結果として生じる細胞溶解物は、指定の抗体を用いて、ウェスタンブロッティングによって分析した。データは、2回の独立した実験の代表的なものとする(図5)。SAHA治療は、アセチル−ヒストンH4の増加を誘発し、HDAC阻害薬がこの実験で活性であることを確証した。組合せは、切断PARPの相加的な/相乗的な増加を誘発し、これは、上記に提示されるアネキシンVデータと一致している(図4)。CNDACが、Mcl−1の減少を引き起こし、組合せが、XIAP及びサバイビンのダウンレギュレーションをもたらしたので、アポトーシスの増加は、抗アポトーシスタンパク質のダウンレギュレーションによって誘発されるかもしれない。CNDACは、セリン139でのH2A.Xリン酸化の増加を誘発し、これは、SAHAの混在化によって有意に高められた。セリン139でのH2A.Xのリン酸化は二本鎖DNAの切断を示し、これらの結果は、SAHA及びCNDACが、この形態のDNA損傷の相乗的な増加を引き起こすことを示唆する。相同組み換えは、二本鎖DNA切断についての主要な修復経路のうちの1つであり、RAD51は相同組み換えで重要な役割を演じる。したがって、この組合せによって誘発されたRAD51のダウンレギュレーションは、このダウンレギュレーションが、最も有害性のタイプのDNA損傷のうちの1つである二本鎖DNA切断の修復の減少をもたらすであろうといったことから、これらの作用物質の間の相乗効果について説明する際に役割を演じ得る可能性がある。
【0188】
p388異種移植片でのサパシタビン及びSAHA
p388マウス白血病異種移植片は、様々な治療群でのマウスの生存時間によって薬剤の組合せを評価する。このモデルでは、SAHAは、媒体コントロールと比較して、生存に対する効果がほとんどなかった(図6を参照されたい)。他方では、CYC682は、生存時間の有意な増加を引き起こした。CYC682/SAHAの組合せは、最悪の場合でも、生存の相加的な増加をもたらした。これらのデータは、CYC682/SAHAの組合せがp388異種移植片モデルで少なくとも相加的であるといった証明を提供する。
【0189】
インビボ研究
メスのマウス(nu/nu)はHarlan社から入手した。動物の側腹部の単一部位に、約1×10 H358細胞/マウスを皮下に注入した。腫瘍は、腫瘍サイズによって対でマッチさせて、治療グループ(10匹のマウス/グループ)にする前に約127mmまで成長させた。あるグループは、2日間の中断が後続する連続して5日間の経口的な胃管栄養法によって、毎日1回、サパシタビン(15mg/kg)を用いて治療した。次いで、この治療は、合計3サイクル繰り返した。イリノテカン(50mg/kg)は、3週間の間の腹腔内注入によって毎週1回治療された。SAHA(50mg/kg)は、連続して21日間の間、経口的な胃管栄養法によって毎日1回投薬した。投薬はすべて1日目に開始し、イリノテカン治療には、サパシタビン及びSAHAの治療に先立って12時間与えた。組合せの投薬はすべて、単一の作用物質治療に等価なスケジュールに基づくものとした。コントロールとして、マウスのあるグループは、サパシタビンと同じ媒体/スケジュールを用いて投薬した(2.5%DMA 9.75%Emulphor)。マウスは、治療の毒性を評価するために1週間に少なくとも2回、体重を量り、腫瘍は、腫瘍の成長を決定するために1週間に少なくとも2回、カリパスを用いて測定した。腫瘍測定値は、式:腫瘍容量(mm)=幅(mm)×長さ(mm)×0.52を使用して、容量に変換した。腫瘍の成長阻害パーセントは、式:1−(治療した腫瘍容量での変化/コントロール腫瘍容量での変化)×100%を用いて決定した。統計的有意差は両側独立スチューデントのt検定を使用して決定した。
【0190】
結果
これらの異種移植片実験からの結果を図2に示す。22日目に、媒体コントロールは、517mmの平均腫瘍容量を有したが、イリノテカン及びサパシタビンを投薬した動物は、225及び229mmの平均容量をそれぞれ有し、両化合物が、約75%の腫瘍の成長阻害(% TGI,tumour growth inhibition)をもたらす活性を有していたことを実証した。2つの作用物質の組合せは、151mm(94%TGI)の平均腫瘍容量を有し、組合せが有益であることを実証した。
【0191】
対照的に、SAHAは、腫瘍の成長に対する効果を有しておらず、コントロールグループ(517mm)に等価な平均腫瘍容量を有した。サパシタビン及びSAHAの組合せは、168mm(89%TGI)の平均腫瘍容量を有した。これは、サパシタビン単独治療よりも小さいので、組合せは、腫瘍の成長に対する相乗効果を有していることが示唆される。
【0192】
本発明の様々な修飾及び変形は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者らに明らかとなるであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関して記載されたが、請求される本発明は、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきでないことを理解されたい。実際に、当業者らにとって明白な、本発明を実行するために記載されるモードの様々な修飾は、本発明によって包含されることが意図される。
【0193】
【表2】

【表3】

【0194】
【表4】

【表5】

【0195】
【表6】

【0196】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と、(a)HDAC阻害薬;及び(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬とを含む組合せ。
【請求項2】
細胞毒性薬がHDAC阻害薬である、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
HDAC阻害薬が、酪酸ナトリウム又はそのプロドラッグ、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、バルプロ酸ナトリウム、バルプロ酸、トリコスタチンA(TSA)、PXD101、LAQ824、MS−275、CI−994、SB939、MGCD0103、及びデプシペプチドから選択される、請求項1又は2に記載の組合せ。
【請求項4】
HDAC阻害薬が、酪酸ナトリウム又はそのプロドラッグである、請求項1〜3のいずれかに記載の組合せ。
【請求項5】
酪酸ナトリウムのプロドラッグが、酪酸ピバロイルオキシメチルである、請求項4に記載の組合せ。
【請求項6】
HDAC阻害薬が、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)である、請求項1〜3のいずれかに記載の組合せ。
【請求項7】
HDAC阻害薬が、バルプロ酸ナトリウム又はバルプロ酸である、請求項1〜3のいずれかに記載の組合せ。
【請求項8】
HDAC阻害薬が、トリコスタチンA(TSA)である、請求項1〜3のいずれかに記載の組合せ。
【請求項9】
トポイソメラーゼ阻害薬が、SN−38又はそのプロドラッグである、請求項1に記載の組合せ。
【請求項10】
トポイソメラーゼ阻害薬が、SN−38である、請求項9に記載の組合せ。
【請求項11】
SN−38のプロドラッグが、イリノテカンである、請求項9に記載の組合せ。
【請求項12】
トポイソメラーゼ阻害薬が、エトポシド又はトポテカンである、請求項1に記載の組合せ。
【請求項13】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシンの代謝産物が、1−(2−C−シアノ−2−デオキシ−β−D−アラビノ−ペンタフラノシル)−シトシン(CNDAC)である、請求項1〜12のいずれかに記載の組合せ。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の組合せと薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項15】
(i)2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と、(ii)(a)HDAC阻害薬;及び(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬とを含む、療法で同時、逐次、又は別々に使用する組合せ製剤である医薬製品。
【請求項16】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と細胞毒性薬とが、同時に投与される、請求項15に記載の医薬製品。
【請求項17】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と細胞毒性薬とが、別々又は逐次に投与される、請求項15に記載の医薬製品。
【請求項18】
HDAC阻害薬が、酪酸ナトリウム又はそのプロドラッグ、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、バルプロ酸ナトリウム、バルプロ酸、トリコスタチンA(TSA)、PXD101、LAQ824、MS−275、CI−994、SB939、MGCD0103、及びデプシペプチドから選択される、請求項15〜17のいずれかに記載の医薬製品。
【請求項19】
HDAC阻害薬が、酪酸ナトリウム又はそのプロドラッグである、請求項15〜18のいずれかに記載の医薬製品。
【請求項20】
プロドラッグが、酪酸ピバロイルオキシメチルである、請求項19に記載の医薬製品。
【請求項21】
HDAC阻害薬が、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)である、請求項15〜18のいずれかに記載の医薬製品。
【請求項22】
HDAC阻害薬が、バルプロ酸ナトリウム又はバルプロ酸である、請求項15〜18のいずれかに記載の医薬製品。
【請求項23】
HDAC阻害薬が、トリコスタチンA(TSA)である、請求項15〜18のいずれかに記載の医薬製品。
【請求項24】
トポイソメラーゼ阻害薬が、SN−38又はそのプロドラッグである、請求項15〜17のいずれかに記載の医薬製品。
【請求項25】
SN−38のプロドラッグが、イリノテカンである、請求項24に記載の医薬製品。
【請求項26】
トポイソメラーゼ阻害薬が、エトポシド又はトポテカンである、請求項15〜17のいずれかに記載の医薬製品。
【請求項27】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシンの代謝産物が、1−(2−C−シアノ−2−デオキシ−β−D−アラビノ−ペンタフラノシル)−シトシンである、請求項15〜26のいずれかに記載の医薬製品。
【請求項28】
医薬担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬組成物の形態の請求項15〜27のいずれかに記載の医薬製品。
【請求項29】
増殖性障害の治療で使用する請求項15〜28のいずれかに記載の医薬製品。
【請求項30】
増殖性障害が、癌又はリンパ腫である、請求項29に記載の医薬製品。
【請求項31】
癌が、非ホジキンリンパ腫である、請求項30に記載の医薬製品。
【請求項32】
癌が、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である、請求項30に記載の医薬製品。
【請求項33】
癌が、肺癌である、請求項30に記載の医薬製品。
【請求項34】
肺癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)又は小細胞肺癌(SCLC)である、請求項33に記載の医薬製品。
【請求項35】
増殖性障害が、白血病である、請求項29に記載の医薬製品。
【請求項36】
白血病が、急性骨髄性白血病(AML)である、請求項35に記載の医薬製品。
【請求項37】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と、(a)HDAC阻害薬;及び(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬とを同時、別々、又は逐次に対象に投与するステップを含む、増殖性障害を治療する方法。
【請求項38】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン又はその代謝産物又はその薬学的に許容される塩及び細胞毒性薬が、個々の構成成分に関して治療有効量でそれぞれ投与される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と細胞毒性薬とが、個々の構成成分の治療有効量以下の量でそれぞれ投与される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と、細胞毒性薬とが、同時に投与される、請求項37〜39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と、細胞毒性薬とが、逐次又は別々に投与される、請求項37〜39のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩が、細胞毒性薬に先立って逐次又は別々に投与される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
細胞毒性薬が、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩に先立って逐次又は別々に投与される、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシンの代謝産物が、1−(2−C−シアノ−2−デオキシ−β−D−アラビノ−ペンタフラノシル)−シトシンである、請求項37〜43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
増殖性障害が、癌又はリンパ腫である、請求項37〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
癌が、非ホジキンリンパ腫である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
癌が、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
癌が、肺癌である、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
肺癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)又は小細胞肺癌(SCLC)である、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
増殖性障害が、白血病である、請求項37〜45のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
白血病が、急性骨髄性白血病(AML)である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
増殖性障害を治療するための医薬の調製における、請求項1〜13のいずれかに記載の組合せの使用。
【請求項53】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩の、増殖性障害の治療のための医薬の調製における使用であって、前記治療が、(a)HDAC阻害薬;及び(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬を同時、別々、又は逐次に対象に投与するステップを含む使用。
【請求項54】
(a)HDAC阻害薬;及び(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬の、増殖性障害の治療のための医薬の調製における使用であって、前記治療が、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシルシトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩を同時、別々、又は逐次に対象に投与するステップを含む使用。
【請求項55】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と細胞毒性薬とが、逐次又は別々に投与される、請求項53又は54に記載の使用。
【請求項56】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩が、細胞毒性薬に先立って逐次又は別々に投与される、請求項55に記載の使用。
【請求項57】
細胞毒性薬が、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩に先立って逐次又は別々に投与される、請求項55に記載の使用。
【請求項58】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩と細胞毒性薬とが同時に投与される、請求項53又は54に記載の使用。
【請求項59】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシンの代謝産物が、1−(2−C−シアノ−2−デオキシ−β−D−アラビノ−ペンタフラノシル)−シトシンである、請求項52〜58のいずれかに記載の使用。
【請求項60】
増殖性障害が、癌又はリンパ腫である、請求項52〜59のいずれかに記載の使用。
【請求項61】
癌が、非ホジキンリンパ腫である、請求項60に記載の使用。
【請求項62】
癌が、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である、請求項60に記載の使用。
【請求項63】
癌が、肺癌である、請求項60に記載の使用。
【請求項64】
肺癌が、非小細胞肺癌(NSCLC)又は小細胞肺癌(SCLC)である、請求項63に記載の使用。
【請求項65】
増殖性障害が、白血病である、請求項52〜59のいずれかに記載の使用。
【請求項66】
白血病が、急性骨髄性白血病である、請求項65に記載の使用。
【請求項67】
(i)任意で薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体と混合される、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩;と
(ii)任意で薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体と混合される、(a)HDAC阻害薬;及び(b)エトポシド、トポテカン、及びSN−38から選択されるトポイソメラーゼ阻害薬又はそのプロドラッグから選択される細胞毒性薬
とを含む部品のキット。
【請求項68】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩の、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)を治療するための医薬の調製における使用。
【請求項69】
治療有効量の2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、前記対象の皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)を治療する方法。
【請求項70】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩が、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と組み合わせて投与される、請求項68に記載の使用又は請求項69に記載の方法。
【請求項71】
2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシル−シトシン、その代謝産物又はその薬学的に許容される塩が、1又は複数の他の抗増殖性薬と組み合わせて投与される、請求項68に記載の使用又は請求項69に記載の使用。
【請求項72】
増殖性障害の治療のための請求項1〜13のいずれかに記載の組合せ。
【請求項73】
実質的に本明細書に記載される組合せ、医薬組成物、医薬製品、方法、又は使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−527908(P2010−527908A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542208(P2009−542208)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004883
【国際公開番号】WO2008/075042
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(506138030)サイクラセル リミテッド (21)
【Fターム(参考)】