説明

COX2阻害剤としての7−アザインドール誘導体

式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩は、COX-2の強力かつ選択的阻害剤であり、様々な状態および疾患の発熱および炎症の治療において使用される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、7-アザインドール誘導体、該誘導体の製造方法、該誘導体を含む医薬組成物および医薬における該誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素シクロオキシゲナーゼ(COX)は2つのアイソフォームCOX-1およびCOX-2で存在するということが、最近見出された。COX-1は初めに同定された構成酵素に相当するが、COX-2はマイトジェン、エンドトキシン、ホルモン、サイトカインおよび増殖因子などの多数の作用因子によって迅速かつ容易に誘導可能である。COXの作用によって生じたプロスタグランジンは、生理学的役割と病理学的役割の双方を有している。一般に、主としてCOX-1は胃腸管の完全性および腎臓血流の維持などの重要な生理学的機能を担っていると考えられている。それとは対照的に、誘導型のCOX-2(催炎物質、ホルモン、増殖因子およびサイトカインのような作用因子に応答してこの酵素の迅速な誘導が生じる)は、主としてプロスタグランジンの病理学的作用を担っていると考えられている。したがって、COX-2の選択的阻害剤は、COX-1の阻害に付随する潜在的な副作用を生じさせずに、抗炎症特性、解熱特性及び鎮痛特性を有するものと考えられる。
【発明の開示】
【0003】
今般、本発明者らは、COX-2の強力かつ選択的阻害剤である新規化合物群を見出した。
【0004】
したがって、本発明は、式(I):
【化1】

【0005】
(式中、
Yは、CHおよび窒素からなる群から選択され;
R1は、C1-6アルキル、NH2およびR2CONHからなる群から選択され;
R2は、H、C1-6アルキル、C1-
6アルコキシ、C1-6アルキルOC1-6アルキル、フェニル、HO2CC1-6アルキル、C1-6アルキルOCOC1-6アルキル、C1-6アルキルOCO、H2NC1-6アルキル、C1-6アルキルOCONHC1-6アルキルおよびC1-6アルキルCONHC1-6アルキルからなる群から選択され;
R3は、Hおよびハロゲンからなる群から選択され;
R4は、H、C1-5アルキル、および1〜5個のフッ素原子で置換されたC1-2アルキルからなる群から選択され;
R5は、H、CHO、および非置換またはハロゲンもしくはヒドロキシで1以上置換されたC1-6アルキルからなる群から選択され;
Aは、(CH2)nまたは-SO2-であり;
R6は、C1-6アルキル、C4-8 シクロアルキル、フェニルおよび6員ヘテロアリールであり、ここでフェニルおよび6員ヘテロアリール環は、非置換であっても、ハロゲンもしくはヒドロキシで1以上置換されていてもよく;
nは0〜3である。)
で表される化合物または製薬上許容されるその塩を提供する。
【0006】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。
【0007】
基または基の一部としての用語「アルキル」は、直鎖状または分枝鎖状のアルキルを指し、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、またはt-ブチル基である。
【0008】
用語「6員ヘテロアリール」は、下記の群から選択されるヘテロアリールを指す:
【化2】

【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、COX-2の強力かつ選択的阻害剤である式(I)で表される化合物の、全ての幾何学異性体、互変異性体および光学異性体ならびにそれらの混合物(例えばラセミ混合物)を含む全ての異性体、その製薬上許容される塩を包含するものと理解されるべきである。
【0010】
当然のことながら、場合によっては、本発明の化合物は、置換基としてアミノ基などの塩基性官能基を含んでいてもよい。そのような塩基性官能基を利用して、酸付加塩、特に製薬上許容される塩を形成することができる。製薬上許容される塩としては、Berge、Bighley、and Monkhouse、J. Pharm. Sci.、1977、66、1-19に記載されているものが挙げられる。かかる塩は、無機酸または有機酸から誘導することができる。その代表的な例としては、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、パモ酸、コハク酸、ビスメチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、タウロコール酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、シクロヘキシルスルファミン酸、リン酸および硝酸が挙げられる。
【0011】
当然のことながら、場合によっては、本発明の化合物は、置換基としてカルボキシ基を含んでいてもよい。そのようなカルボキシ基を利用して、塩、特に製薬上許容される塩を形成することができる。製薬上許容される塩としては、Berge、Bighley、and Monkhouse、J. Pharm. Sci.、1977、66、1-19に記載されているものが挙げられる。好ましい塩としては、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩およびカリウム塩が挙げられる。
【0012】
一態様においては、本発明は、式(IA):
【化3】

【0013】
(式中、全置換基は上記の式(I)の化合物について定義したとおりである。)
で表される化合物または製薬上許容されるその塩を提供する。
【0014】
別の態様においては、本発明は、式(IB):
【化4】

【0015】
(式中、全置換基は上記の式(I)の化合物について定義したとおりである。)
で表される化合物または製薬上許容されるその塩を提供する。
【0016】
本発明の別の態様においては、R1はC1-6アルキル、例えばC1-3アルキルである。
【0017】
R1の代表的な例にはCH3がある。
【0018】
本発明の別の態様においては、R2はC1-6アルキル(例えばエチル)、フェニルおよびアミノメチルからなる群から選択される。
【0019】
本発明の別の態様においては、R4はH、CHF2、CH2F、CF3またはC1-4アルキルである。
【0020】
R4の代表的な例にはHがある。
【0021】
本発明の別の態様においては、R5はH、C1-4アルキル、-CHO、または-(CH2)nCH2OHである。
【0022】
R5の代表的な例にはH、メチル、s-ブチル、CHOおよびCH2OHがある。
【0023】
本発明の別の態様においては、nは0または1である。
【0024】
本発明の別の態様においては、R6はC3-5アルキル、シクロヘキシル、C1-3アルキルで場合により置換されていてもよいピリジル、またはハロゲンで場合により置換されていてもよいフェニルである。
【0025】
R6の代表的な例には、シクロヘキシル、フェニル、2-メチルピリド-3-イル、ペンタ-3-イル、プロピル、4-フルオロフェニル、ピリド-2-イル、ピリド-3-イル、ピリド-4-イル、6-メチルピリド-3-イル、および4-クロロフェニルがある。
【0026】
本発明の別の態様においては、R6がピリジルの場合、nは1である。
【0027】
別の態様においては、本発明は、式(IB)において、R1がC1-3アルキルであり、R4がH、CHF2、CH2F、CF3またはC1-4アルキルであり、R5がH、C1-4アルキル、-CHO、または-CH2OHであり、nが1であり、R6がC3-5アルキル、シクロヘキシル、C1-3アルキルで場合により置換されていてもよいピリジル、またはハロゲンで場合により置換されていてもよいフェニルである化合物群を提供する。
【0028】
別の態様においては、本発明は、式(IB)において、R1がC1-3アルキルであり、R4がH、CHF2、CH2F、CF3またはC1-4アルキルであり、R5がH、C1-4アルキル、-CHO、または-CH2OHであり、nが0であり、R6がハロゲンで場合により置換されていてもよいフェニルである化合物群を提供する。
【0029】
別の態様においては、本発明は、式(IB)において、R1がCH3であり、R3がHであり、R4がHであり、R5がH、C1-4アルキル、-CHO、または-CH2OHであり、Aが(CH2)nであり、nが1であり、R6がC3-5アルキル、シクロヘキシル、CH3で場合により置換されていてもよいピリジルまたはクロロで場合により置換されていてもよいフェニルである化合物群を提供する。
【0030】
別の態様においては、本発明は、式(IB)において、R1がCH3であり、R3がHであり、R4がHであり、R5がHであり、Aが(CH2)nであり、nが0であり、R6がフルオロで場合により置換されていてもよいフェニルである化合物群を提供する。
【0031】
本発明は、上記の本発明の特定の態様の全ての組み合わせに及ぶものと理解されるべきである。
【0032】
本発明の化合物、特に式(I)の化合物は、医薬組成物において使用することを意図しているので、当然ながら、それらはそれぞれ実質的に純粋な形態、例えば少なくとも50%の純度、より好適には少なくとも75%の純度、好ましくは少なくとも95%の純度(%は重量/重量基準)で提供される。式(I)の化合物の純粋でない調製物は、医薬組成物中で使用される、より純度の高い形態のものを調製するために使用することができる。本発明の中間体化合物の純度はあまり重要ではないけれども、式(I)の化合物に関しては実質的に純粋な形態が好ましいということが容易に理解されるであろう。好ましくは、可能ならいつでも、本発明の化合物は結晶形態で得られる。
【0033】
本発明の化合物のいくつかが結晶化可能であるか有機溶媒から再結晶される場合、再結晶の溶媒が結晶生成物中に存在してもよい。本発明の範囲にはそのような溶媒和物が含まれる。同様に、本発明の化合物のいくつかは、含水溶媒から結晶化可能であるか再結晶され得る。そのような場合、水和物水が形成され得る。本発明の範囲には化学量論水和物ならびに凍結乾燥などの方法によって製造可能な可変量の水を含む化合物が含まれる。さらに、結晶化条件を変えて結晶生成物の異なる多形体を生成することが可能である。本発明の範囲には、式(I)の化合物の全ての多形体が含まれる。
【0034】
本発明の化合物はCOX-2の強力かつ選択的な阻害剤である。この活性は、COX-1よりもCOX-2を選択的に阻害するその化合物の能力によって示される。
【0035】
その選択的COX-2阻害活性に鑑みて、本発明の化合物はヒトおよび動物用医薬における使用、特にCOX-2の選択的阻害によって媒介される疼痛(慢性と急性の双方)、様々な状態および疾患の発熱および炎症の治療にとって重要である。そのような状態および疾患は当技術分野でよく知られており、リウマチ熱;インフルエンザまたはその他のウイルス感染、例えば一般的な風邪に伴う症状;下背および頚部痛;頭痛;歯痛;捻挫および挫傷;筋肉炎;交感神経により維持される疼痛;滑膜炎;慢性関節リウマチなどの関節炎;骨関節炎などの変形性関節疾患;通風および強直性脊椎炎;腱炎;滑液包炎;乾癬、湿疹、火傷および皮膚炎のような皮膚関連状態;スポーツ損傷ならびに外科処置および歯科処置から生じる損傷などの損傷が挙げられる。
【0036】
本発明の化合物は神経障害性疼痛の治療にも有用である。神経障害性疼痛症候群はニューロン損傷後に発症しうるものであり、その結果生じる疼痛は、その元の損傷が治癒した後でさえ何ヶ月もあるいは何年も持続する可能性がある。ニューロン損傷は、末梢神経、後根、脊髄または脳の特定領域において発生しうる。神経障害性疼痛症候群は、伝統的にかかる症候群を誘発した疾患または現象によって分類される。神経障害性疼痛症候群としては、糖尿病性腎障害;,坐骨神経痛;非特異的下背痛;多発性硬化症疼痛;線維筋痛;HIV関連神経障害;神経痛、例えば帯状疱疹後神経痛および三叉神経痛;ならびに身体的外相、切断、癌、毒素、または慢性炎症性状態から生じる疼痛が挙げられる。これらの症状は、治療が困難であり、いくつかの薬物が限定された効力を有することが知られているが、完全な疼痛コントロールはめったに達成されない。神経障害性疼痛の症状は、途方もなく不均質であり、突発的なうずくような電激痛、または持続する灼熱痛と表現されることが多い。加えて、「ちくちくする痛み」(感覚異常症および知覚不全)、触覚に対する高感受性(触覚過敏症)、無害性刺激の後に起る痛みの感覚(動的、静的、または熱的な異痛症)、有害性刺激に対する高感受性(熱的、冷的、機械的な痛覚過敏症)、刺激を取り除いた後の継続する痛みの感覚(痛覚過敏)、あるいは選択的感覚経路がないことまたは不足していること(感覚鈍麻)などの通常は痛くない感覚が関与する痛みがある。
【0037】
本発明の化合物はCOX-2の選択的阻害によって媒介される他の状態の治療にも有用である。
【0038】
例えば、本発明の化合物は細胞および新生物のトランスフォメーションならびに転移性腫瘍の増殖を阻害するので、一部の癌性疾患、例えば結腸癌や前立腺癌の治療に有用である。本発明の化合物はまた結腸直腸の腺腫様ポリープの数を減らすのに有用であり、その結果結腸癌になるリスクが減る。本発明の化合物はまたHER-2/neuの過剰発現が関与する癌、特に乳癌の治療にも有用である。
【0039】
本発明の化合物はまた神経フリーラジカル(つまり酸化ストレス)の生成を阻害することで神経損傷を防ぐので、神経発作;癲癇;および癲癇性発作(大発作、小発作、ミオクローヌス癲癇、および部分発作を含む)の治療に有用である。
【0040】
本発明の化合物はまたプロスタノイド誘発平滑筋収縮を阻害するので、月経困難症および早期分娩の治療に有用である。
【0041】
本発明の化合物はまた炎症性肝臓疾患、例えば慢性ウイルス性B型肝炎、慢性ウイルス性C型肝炎、アルコール性肝臓傷害、一次性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎、および肝臓移植拒絶反応などの肝臓疾患の治療に有用である。
【0042】
本発明の化合物は炎症性の状態を阻害するので、喘息、アレルギー性鼻炎、および呼吸窮迫症候群;炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎などの消化管疾患;および血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、強膜腫、I型糖尿病、重症筋無力症、多発性硬化症、類肉腫症、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、結膜炎、および心筋虚血症の治療に有用である。
【0043】
本発明の化合物はまた網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、および眼組織に対する急性損傷の治療に有用である。
【0044】
本発明の化合物は、痴呆特に退行性痴呆(老人性痴呆、アルツハイマー病、ピック病、ハンチングトン舞踏病、パーキンソン病、およびクロイツフェルト・ヤコブ病が挙げられる)、および血管性痴呆(多発性脳梗塞性痴呆が挙げられる)、ならびに頭蓋内空間梗塞性の病変、損傷、感染とその関連する状態(HIV感染が挙げられる)、代謝、毒素、酸素欠乏、およびビタミン欠乏が関与する痴呆などの認知障害;および加齢が関与する中程度の認知障害特に年齢関与記憶障害;の治療に有用である。
【0045】
本発明の化合物はまた胃運動促進剤で改善される障害の治療にも有用である。胃運動促進剤により改善される障害としては、腸閉塞例えば術後腸閉塞や敗血症腸閉塞;胃食道逆流障害(GORD、または別名GERD);胃不全麻痺例えば糖尿病性胃不全麻痺;およびその他の腸機能障害例えば非潰瘍性消化不良(NUD)や非心臓性胸痛(NCCP)が挙げられる。
【0046】
本発明のさらなる態様により、ヒトまたは動物の医療で使用するための式(I)の化合物が提供される。
【0047】
本発明のさらなる態様により、COX-2によって媒介される状態に罹患しているヒトまたは動物被験体の治療方法が提供され、その方法はそのような被験体に式(I)の化合物の有効量を投与することを含んでなる。
【0048】
本発明のさらなる態様により、炎症性障害に罹患しているヒトまたは動物被験体の治療方法が提供され、その方法はそのような被験体に式(I)の化合物の有効量を投与することを含んでなる。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態により、COX-2によって媒介される状態の治療用治療薬の製造のための式(I)の化合物の使用が提供される。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態により、炎症性障害の治療用治療薬の製造のための式(I)の化合物の使用が提供される。
【0051】
治療という用語には、特に明白に断らない限り、確定された症状の治療および予防的治療の両方が含まれることを理解されたい。
【0052】
式(I)の化合物および式(I)で表される化合物という用語には、特に明白に断らない限り、式(IA)の化合物および式(IB)の化合物ならびにそれらについての例のそれぞれが含まれることを理解されたい。
【0053】
本発明の化合物は有利にも1種以上の他の治療薬と組み合せて用いることができることは理解されると思われる。付加治療用の好適な薬剤の例としては、5HT1作動薬例えばトリプタン(例えばスマトリプタンまたはナラトリプタン);アデノシンA1作動薬;EPリガンド;NMDAモジュレーター例えばグリシン拮抗薬;ナトリウムチャネル遮断薬(例えばラモトリジン);物質P拮抗薬(例えばNK1拮抗薬);カンナビノイド;アセトアミノフェンまたはフェナセチン;5-リポオキシゲナーゼ阻害薬;ロイコトリエン受容体拮抗薬;DMARD(例えばメトトレキセート);ガバペンチンとその関連化合物;三環系抗鬱薬(例えばアミトリプチリン);神経安定化型抗痙攣薬;モノアミン作用性取り込み阻害薬(例えばベンラファキシン);マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害薬;一酸化窒素シンターゼ(NOS)阻害薬例えばiNOS阻害薬またはnNOS阻害薬;腫瘍壊死因子α放出もしくは作用阻害薬;抗体治療薬例えばモノクローナル抗体治療薬;抗ウイルス薬例えばヌクレオシド阻害薬(例えばラミブジン)または免疫系モジュレーター(例えばインターフェロン);オピオイド鎮痛薬;局所麻酔薬;カフェインなどの刺激物質;H2-拮抗薬(例えばラニチジン);プロトンポンプ阻害薬(例えばオメプラゾール);制酸薬(例えば水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウム;整腸剤(例えばシメチコン);鬱血除去薬(例えばフェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン、またはレボ-デソキシエフェドリン);鎮咳薬(例えばコデイン、ヒドロコドン、カルミフェン、カルベタペンタン、またはデクストラメトルファン);利尿薬;鎮静性または非鎮静性抗ヒスタミン薬;が挙げられる。本発明には、1種以上の他の治療薬と組み合せた式(I)の化合物の使用も包含されることを理解されたい。
【0054】
式(I)の化合物は医薬組成物の形態で簡便に投与される。つまり、本発明のもう1つの態様において、ヒトまたは動物の医療における使用に適合する式(I)の化合物を含んでなる医薬組成物が提供される。そのような組成物は、1種以上の生理学的に許容される担体または賦形剤と混ぜて従来からのやり方で使用するのに都合良く提供することができる。
【0055】
当業者には分かるように、本発明の化合物は、湿式ミリングのような既知のミリング(milling)操作を用いて粉砕することで錠剤形成および他の剤形に適した粒径を得ることができる。特に、バイオアベイラビリティに乏しい化合物については、当業者に既知の方法によって、本発明の化合物の微粉化(ナノ粒子)調製物を製造することが可能である。例えば国際公開第WO02/00196(スミスクラインビーチャム)を参照されたい。
【0056】
式(I)の化合物はどのような適したやり方で投与するのにも製剤化することができる。例えば、局所投与用に、または吸入による投与用に、あるいはより好ましくは経口投与、経皮投与、または非経口投与用に製剤化することができる。医薬組成物は、式(I)の化合物の制御放出を行うことができるような形態にあってもよい。
【0057】
経口投与には、本医薬組成物は、許容される賦形剤と混ぜて在来の方法で調製された、例えばタブレット(舌下タブレットを含む)、カプセル、粉末、溶液、シロップ、または懸濁液の形態をとることができる。
【0058】
経皮投与には、本医薬組成物は経皮パッチ例えば経皮イオン導入パッチの形態で提供することができる。
【0059】
非経口投与には、本医薬組成物は注射または連続輸液として投与することができる(例えば経静脈的、経脈管的、皮下的に)。本組成物は、懸濁液、油性または水性媒体中の溶液または乳液のような形態をとることができ、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤用調剤を含有していてもよい。注射による投与用には、好ましくはさらに保存剤を加えて、単位用量の供給形体、あるいは複数用量の供給形体をとることができる。
【0060】
別の形態として、非経口投与には、本作用成分を粉末形態にして、適切な媒体でもって再構成することもできる。
【0061】
本発明の化合物はデポー製剤として製剤化することもできる。そのような長期間作用性製剤は埋め込み(例えば皮下的または筋肉内的に)あるいは筋肉内注射により投与することができる。つまり、例えば、本発明の化合物は、適切な高分子もしくは疎水性の材料(例えば許容される油中の乳液として)またはイオン交換樹脂と混ぜて製剤化することができるし、あるいは少しずつ溶ける誘導体、例えば少しずつ溶ける塩として製剤化することもできる。
【0062】
上記で述べたように、本発明の化合物は他の治療薬との組み合せで用いることもできる。つまり本発明はさらなる態様において、さらなる治療薬と一緒に式(I)の化合物を含む組み合せが提供される。
【0063】
上記で言及した組み合せは、医薬製剤の形態での使用に都合良く提供することができ、従って医薬的に許容される担体もしくは賦形剤が混ぜられた上記で定義した組み合せを含んでなる医薬製剤は、本発明のさらなる態様をなす。そのような組み合せの個々の成分は、別々のまたは一緒の医薬製剤で順次的または同時的に投与することができる。
【0064】
式(I)の化合物を、同じ疾患状態に対して活性である第2の治療薬と組み合せて用いる場合、各化合物の用量は、その化合物が単独で使用された場合の用量とは異なる場合がある。適切な用量は、当業者なら容易に解かると思われる。
【0065】
ヒト治療用の、式(I)の化合物の推奨される1日当たりの用量は0.01mg/kg〜50mg/kg、例えば0.05mg/kg〜10mg/kg、さらには0.1mg/kg〜5mg/kgであり、1〜4個の用量で都合良く投与することができる。採用される正確な用量は、患者の年齢や健康状態、投与の経路により決まるものである。従って、例えば、1日当たりの用量が0.25mg/kg〜10mg/kgは、全身投与に適切であると考えられる。
【0066】
式(I)の化合物は、同様の構造の化合物を調製するのに当技術分野で知られている方法により調製することができる。
【0067】
R4およびR5のそれぞれが水素である式(IA)で表される化合物は、式(III):
【化5】

【0068】
で表される化合物を還元することにより、式(VIII):
【化6】

【0069】
で表される化合物を生成させるステップ、
式(VIII)で表される前記化合物を、化合物R6-A-X(ここで、XはCl、BrもしくはIのようなハロゲン、またはメタンスルホネート、(4-メチル)ベンゼンスルホネートもしくはトリフルオロメタンスルホネートのようなスルホネートであり、AおよびR6は上記で定義したとおりである)またはその保護誘導体と反応させて、R4およびR5が双方とも水素である式(IA):
【化7】

【0070】
で表される化合物を生成させるステップ
を含み、その後、必要に応じて、
式(IA)で表される前記化合物を、式(IA)で表される別の化合物に相互変換するステップ、および/または
式(IA)で表される化合物の保護誘導体を脱保護するステップ
を含む方法によって製造することができる。
【0071】
R4およびR5が双方とも水素である式(IA)の化合物の合成は下記のスキーム1に示されており、R1、R6およびAは、特に明記しない限り、式(I)に関して定義したとおりであり、XはCl、BrもしくはIのようなハロゲン、またはメタンスルホネート、(4-メチル)ベンゼンスルホネートもしくはトリフルオロメタンスルホネートのようなスルホネートである。
【0072】
スキーム1に関して、式(IA)の化合物は、水素化ナトリウムなどの塩基の存在下、式(VIII)で表される化合物を、化合物R6-A-Xで処理することによって製造することができる。この反応は、溶媒(例えばDMF(N,N-ジメチルホルムアミド))中、0℃から高温までの間の温度で行うのが都合がよい。
【0073】
スキーム1
【化8】

【0074】
式(III)の化合物の、式(VIII)の化合物への変換は、溶媒(例えばテトラヒドロフラン)の存在下、周囲温度〜高温にて、ボランなどの還元剤を用いて行うのが都合がよい。
【0075】
R4およびR5のそれぞれが水素である式(IB)で表される化合物は、
化合物R6-A-X(II)(ここで、XはCl、BrもしくはIのようなハロゲン、またはメタンスルホネート、(4-メチル)ベンゼンスルホネートもしくはトリフルオロメタンスルホネートのようなスルホネートであり、AおよびR6は上記で定義したとおりである)またはその保護誘導体を、式(III):
【化9】

【0076】
で表される化合物と反応させることにより、本発明の式(IB):
【化10】

【0077】
で表される化合物を生成させるステップ
を含み、その後、必要に応じて、
式(IB)で表される前記化合物を、式(I)で表される別の化合物に相互変換するステップ、および/または
式(IB)で表される化合物の保護誘導体を脱保護するステップ
を含む方法によって製造することができる。
【0078】
式(IB)の化合物の全体的な合成を下記のスキーム2に示す。ここで、R1、R6およびAは、特に指定しない限り上記の定義のとおりであり; XはCl、BrもしくはIのようなハロゲン、またはメタンスルホネート、(4-メチル)ベンゼンスルホネートもしくはトリフルオロメタンスルホネートのようなスルホネートであり; Mはボロン酸またはエステル、例えばB(OH)2またはB(OC1-6アルキル)2またはB(OC(CH3)2C(CH3)2O)である。
【0079】
スキーム2に関して、R4およびR5のそれぞれが水素であり、nが1、2または3である式(IB)の化合物は、塩基、例えば水素化ナトリウムの存在下、式(III)の化合物をR6-A-X(II)で処理することにより製造することができる。この反応は、溶媒(例えばDMF(N,N-ジメチルホルムアミド))中、0℃から高温までの間の温度で行うのが都合がよい。
【0080】
あるいは、nがゼロの場合、式(III)の化合物のR6-A-X(II)による処理は、触媒量の銅(I)塩(例えばヨウ化銅(I))、ジアミンリガンド(例えばN,N'-ジメチルエチレンジアミンおよび塩基(例えばリン酸カリウム)の存在下で行うことができる。この反応は、例えばAntilla et al in J. C. Antilla, A. Klapars & S. L. Buchwald in J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 11684に記載された方法にしたがって、溶媒(例えばトルエン)中、高温で行うのが都合がよい。
【0081】
スキーム2
【化11】

【0082】
あるいは、nがゼロの場合、式(III)の化合物のR6-A-X(II)による処理は、触媒量のパラジウム源(例えばトリス(ジベンジリジンアセトン)ジパラジウム[Pd2(dba)3]、リガンド(例えば2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2'-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニルおよび塩基(例えばナトリウムtert-ブトキシド)の存在下で行うことができる。この反応は、例えばOld et al in D. W. Old, M. C. Harris & S. L. Buchwald in Org Lett 2000, 2, 1403に記載された方法にしたがって、溶媒(例えばトルエン)中、高温で行うのが都合がよい。
【0083】
式(IV)の化合物の、式(III)の化合物への変換は、溶媒、例えばアルコール(例えばメタノール)中、高温にて水酸化ナトリウム水溶液を用いて行うのが都合がよい。
【0084】
式(VI)の化合物は、パラジウム源(例えばパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン[Pd(PPh3)4]またはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム[Pd2(dba)3]およびリガンド(例えばトリフェニルホスフィンまたはトリ(tertブチル)ホスフィン)および塩基(例えば炭酸ナトリウムまたはフッ化カリウム)を用いて、溶媒(例えば水/トルエン混合物、水/ジメトキシエタン混合物または1,4-ジオキサン)中で、Suzukiカップリング反応により式(IV)の化合物に変換することができる。
【0085】
化合物(VI)は、S. Minakata, M. Komatsu & Y Ohshiro in Synthesis 1992, 661に記載された方法にしたがって7-アザインドールから都合よく調製することができる。
【0086】
R4およびR5が双方とも水素である式(IB)の化合物は、下記スキーム3にしたがって、R5が水素以外である本発明の他の式(IB)の化合物に変換することができる。
【0087】
スキーム3
【化12】

【0088】
スキーム3において、R7は、式(VII)の化合物を除く各化合物が本発明の式(IB)の化合物であるような、非置換またはハロおよびヒドロキシから選択される1種以上の置換基で1以上置換された分枝鎖状または直鎖状C1-5アルキルである。
【0089】
式(IB)-iの化合物の、式(IB)-iiの化合物への変換は、還元剤(例えばトリエチルシラン)を用いて、酸(例えばトリフルオロ酢酸)の存在下で都合よく行われる。この反応は、溶媒(例えばジクロロメタン)中、0℃〜周囲温度にて都合よく行われる。
【0090】
式(VII)の化合物の、式(IB)-iの化合物への変換は、還元剤(例えば水素化ホウ素ナトリウム)を用いて、溶媒中(例えばメタノール/THF混合物)、0℃〜周囲温度にて都合よく行われる。
【0091】
R4およびR5が双方とも水素である式(IB)の化合物は、フリーデルクラフツアシル化反応を利用することによって触媒(例えば三塩化アルミニウム)の存在下、式R7COClで表される酸塩化物を用いて式(VII)の化合物に変換することができる。この反応は、溶媒(例えばジクロロメタン)の存在下、0℃〜周囲温度にて都合よく行われる。
【0092】
スキーム3において、R7が水素である場合、式(VII)の化合物は、本発明の式(IB)の化合物である。R4およびR5が双方とも水素である式(IB)の化合物の、R5がCHOである式(IB)の化合物への変換は、オキシ塩化リンおよびジメチルホルムアミドの混合物を用いて、周囲温度〜高温にて都合よく実施することができる。R5がCHOである式(IB)の化合物の、R5 がCH2OHまたはCH3である式(IB)の化合物へのさらなる変換は、上記の式(VII)の化合物の、式(IB)-iの化合物への変換について、および式(IB)-iの化合物の、式(IB)-iiの化合物への変換について記載した手法と同様の手法で行うことができる。
【0093】
当業者には理解されるように、式(I)の化合物またはその中間体の製造に関するスキーム1〜3のいずれかに記載した手順のいくつかが、可能な置換基のいくつかに適用できないことがあり得る。
【0094】
さらに、当業者には理解されるように、スキーム1〜3のいずれかに記載の変換を記載された順序と異なる順序で行うことが必要な場合や、あるいは変換のうちの1つ以上を改変して所望の式(I)の化合物を提供することが必要な場合がある。
【0095】
当業者なら理解するように、式(I)の化合物の合成のいずれかの段階において分子内の反応性基の1つまたは複数を保護して望ましくない副反応を防ぐことが必要あるいは望ましい場合がある。式(I)の化合物の調製で使用される保護基は通常のやり方で使用することができる。例えば'Protective Groups in Organic Synthesis' by Theodora W Green and Peter G M Wuts, third edition,(Wiley, 1999)に記載されているもの[参照により本明細書に組み込む]を参照されたい。ここにはそのような基の除去方法も記載されている。
【0096】
式R6-A-X(II)の化合物は既知の化合物であるか、または文献にある方法、例えば'Comprehensive Organic Transformations: a guide to functional group preparations' by Richard Larock (VCH, 1989)に記載されている方法[参照により本明細書に組み込む]により調製することができる。
【0097】
上記した中間体のあるものは新規な化合物であり、本明細書における全ての新規な中間体は本発明のさらなる態様を形成することは理解すべきである。式(III)および(IV)の化合物は重要な中間体であり、本発明の特定の態様をなす。本明細書に記載し、定義したようなこれらの中間体の製造方法も、本発明の一部を形成する。
【0098】
本発明の化合物は、遊離塩基の形態で後処理後に単離するのが都合がよい。本発明の化合物の製薬上許容される付加塩は、通常の手段を用いて調製することができる。
【0099】
本発明の化合物の溶媒和物(例えば水和物)は、上記したプロセスステップの1つの後処理操作の際に形成させることができる。
【実施例】
【0100】
以下の中間体および実施例は本発明を説明するものであるが、決して本発明を限定するものではない。全ての温度の単位は℃である。シリカクロマトグラフィーは、Biotageカラムクロマトグラフィーカートリッジを用いて行うフラッシュカラムクロマトグラフィーまたはVarian Mega Bond Elut (Si) カートリッジ(Anachem)を15mmHg下で用いる固相抽出(Solid Phase Extraction, SPE)クロマトグラフィーのいずれかを指す。薄層クロマトグラフィー(Tlc)はシリカプレート上で行った。分析HPLCは、水中0.1% HCO2Hおよび0.01M酢酸アンモニウム(溶媒A)、ならびにアセトニトリル中0.05% HCO2H 5%水(溶媒B)で溶離する、Supelcosil LCABZ+PLUSカラム(3.3 cm x 4.6 mm ID)上で、下記の溶離グラジエント:0-0.7分 0%B、0.7-4.2分 100%Bまでの直線クラジエント、4.2-5.3分 0%B、5.3-5.5分を用いて、3ml/分の流量で行った。マススペクトル(MS)は、Waters ZQマススペクトロメータ上で、エレクトロスプレーポジティブ[(MH+よびM(NH4)+分子イオンを得るためのES+ve]またはエレクトロスプレーネガティブ[((M-H)--分子イオンを得るためのES-ve]モードを用いて記録した。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Bruker DPX400スペクトロメーターを用いて特に指定しない限りはCDCl3中で記録した。質量ベース(Mass-directed)分取HPLCは、水中0.1% HCO2H(溶媒A)、およびアセトニトリル中0.05% HCO2H/5%水(溶媒B)で溶離するSupelco ABZ+カラム(10cm x 10mm ID、5mm)上で、分析LC保持時間: 1.5-2.2分、0-30%B; 2.0-2.8分、5-30%B; 2.5-3.0分、15-55%B; 2.8-4.0分、30-80%B; 3.8-5.5分、50-90%Bによる10分間溶離グラジエントを用いて行った。マススペクトル(MS)は、Micromass ZMDマススペクトロメータ上でエレクトロスプレーポジティブ[MH+ and M(NH4)+分子イオンを得るための(ES+ve]またはエレクトロスプレーネガティブ[(M-H)--分子イオンを得るための(ES-ve]モードを用いて記録した。
【0101】
さらに、既に定義したものに加えて、次の略記号:Me、メチル;NMP、N-メチルピロリドン;およびTHF、テトラヒドロフランを用いる。
【0102】
中間体1
6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-7-アザインドール-1-カルボン酸メチル
【化13】

【0103】
1,4-ジオキサン(25mL)に、例えば7-アザインドールからS Minakata, M Komatsu and Y Ohshiro in Synthesis 1992, 661に記載された方法により得られた化合物VI(1.02g、4.9mmol)、4-(メチルスルホニル)フェニルボロン酸(1.9g、9.7mmol)およびフッ化カリウム(0.93g、16mmol)を加えた完全に脱気した懸濁液に室温で、窒素雰囲気下、トリス(ジベンジリジンアセトン)ジパラジウム(67mg)およびトリtert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(64mg)を加えた。100℃で14時間撹拌した後、反応液を冷却し、濃縮し、残渣を重炭酸ナトリウム飽和水溶液と酢酸エチルとの間で分配させた。相を分離し、水相を酢酸エチルでさらに抽出し、有機相を一つにあわせて硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、シクロヘキサン〜酢酸エチルのグラジエントで溶離するシリカクロマトグラフィーで精製後、表題化合物を得た(1.39g、TLC RF 0.26、酢酸エチル:シクロヘキサン2:3)。MS m/z 331 (MH+)。
【0104】
中間体2
6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-7-アザインドール
【化14】

【0105】
2N水酸化ナトリウム水溶液(20mL)およびメタノール(20mL)に中間体1(1.34g、4.0mmol)を溶かした溶液を80℃で3時間加熱した。冷却後、メタノールを減圧除去し、残った懸濁液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を一つにあわせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧で濃縮して表題化合物を得た(1.01g)。LC保持時間2.82分、MS m/z 273 (MH+)。
【0106】
実施例1
1-(シクロヘキサンメチル)-6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-7-アザインドール
【化15】

【0107】
ジメチルホルムアミド(0.5mL)に水素化ナトリウム(60%鉱油分散液5mg、0.12mmol)を加えた懸濁液を、0℃で、ジメチルホルムアミド(0.5mL)に中間体2(30mg、0.11mmol)を溶かした溶液を加えた。この温度で30分間撹拌した後、シクロヘキサンメチルブロミド(0.017mL、0.12mmol)を加えて、反応液を室温まで温めた。14時間撹拌しあ後、溶媒を減圧除去して、残渣をジクロロメタンと炭酸ナトリウム飽和水溶液との間で分配させた。有機相を分離し、乾燥し、ジクロロメタンで溶離するシリカクロマトグラフィーで直接精製して表題化合物(37mg)を得た。LC保持時間4.02分、MS m/z 369 (MH+)。
【0108】
実施例2
1-フェニル-6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-7-アザインドール
【化16】

【0109】
トルエン(1mL)に中間体2(30mg、0.11mmol)、ヨードベンゼン(0.01mL、0.09mmol)、ヨウ化銅(I)(1mg)、N,N'-ジメチルエチレンジアミン(0.002mL)およびリン酸カリウム(41mg、0.19mmol)を加えた懸濁液を完全に脱気し、窒素雰囲気下で14時間110℃で加熱した。冷却後、溶媒を減圧除去して、残渣をジクロロメタンで溶離するシリカクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(15mg)を得た。LC保持時間3.54分、MS m/z 349 (MH+)。
【0110】
中間体3
1-{1-(シクロヘキサンメチル)-6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-7-アザインドール-3-イル}-2-メチル-1-プロパン
【化17】

【0111】
ジクロロメタン(5mL)に三塩化アルミニウム(180mg、1.36mmol)を加えた懸濁液に、撹拌下、室温でジクロロメタン(2mL)に実施例1(100mg、0.27mmol)を溶かした溶液を加えた。1.5時間撹拌した後、塩化イソブチリル(0.14mL、1.36mmol)を加え、反応液をさらに6時間撹拌し、メタノールを加えてクエンチした。溶媒を減圧除去し、残渣をジクロロメタンと水との間で分配させた。有機相を分離し、乾燥し、ジクロロメタン:酢酸エチル1:1で溶離するシリカクロマトグラフィーで直接精製して、表題化合物(46mg)を得た。LC保持時間3.85分、MS m/z 439 (MH+)。
【0112】
中間体4
1-{1-(シクロヘキサンメチル)-6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-7-アザインドール-3-イル}-2-メチル-1-プロパノール
【化18】

【0113】
メタノール/THF混合物(1:1、4mL)に中間体3(40mg、0.09mmol)を溶かした溶液に、撹拌下、0℃で水素化ホウ素ナトリウム(7mg、0.18mmol)を加えた。反応液を室温まで温めて、3時間撹拌した。水を加え、混合物をジクロロメタンにより抽出した。有機相を一つにまとめて、乾燥し、濃縮して表題化合物(33mg)を得た。LC保持時間3.90分、MS m/z 441 (MH+)。
【0114】
実施例3
1-(シクロヘキサンメチル)-3-(2-メチルプロパ-1-イル)-6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-7-アザインドール
【化19】

【0115】
ジクロロメタン(1mL)に中間体4(18mg、0.041mmol)を溶かした溶液に、撹拌下、トリエチルシラン(0.008mL、0.053mmol)およびトリフルオロ酢酸(0.016mL、0.20mmol)を加えた。3時間撹拌した後、水を加え、混合物を分離し、水相をさらにジクロロメタンで抽出した。有機相を一つにあわせて、乾燥し、濃縮し、質量ベース分取HPLCで精製して表題化合物(6mg)を得た。LC保持時間4.29分、MS m/z 425 (MH+)。
【0116】
実施例4
1-(シクロヘキサンメチル)-6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-7-アザインドール-3-カルボキシアルデヒド
【化20】

【0117】
ジメチルホルムアミド(1mL)をオキシ塩化リン(0.07mL、0.75mmol)に0℃で加えた。室温で10分間撹拌した後、反応液を0℃に冷却し、 ジメチルホルムアミド(2mL)に実施例1(250mg、0.68mmol)を溶かした溶液を加えた。反応液を60℃で2時間加熱し、冷却し、炭酸カリウム飽和水溶液(25mL)を加えることによりクエンチして、ジクロロメタンで抽出した。有機相を一つにあわせて、乾燥し、濃縮し、ジクロロメタン:酢酸エチル1:1で溶離するシリカクロマトグラフィーにより精製した後、表題化合物(228mg)を得た。LC保持時間3.58分、MS m/z 397 (MH+)。
【0118】
実施例5
{1-(シクロヘキサンメチル)-6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-7-アザインドール-3-イル}メタノール
【化21】

【0119】
メタノール/THF混合物(1:1、5mL)に実施例4(100mg、0.25mmol)を加えた懸濁液に、撹拌下、0℃で水素化ホウ素ナトリウム(19mg、0.50mmol)を加えた。反応液を室温まで温めて、3時間撹拌した。水を加え、混合物をエーテル抽出した。有機相を一つにあわせて、乾燥し、濃縮して表題化合物(96mg)を得た。LC保持時間3.42分、MS m/z 399 (MH+)。
【0120】
実施例6
1-(シクロヘキサンメチル)-3-メチル-6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-7-アザインドール
【化22】

【0121】
ジクロロメタン(1mL)に実施例5(25mg、0.063mmol)を溶かした溶液に、撹拌下、トリエチルシラン(0.013mL、0.082mmol)およびトリフルオロ酢酸(0.024mL、0.32mmol)を加えた。1時間撹拌した後、混合物を分離し、水相をさらにジクロロメタンで抽出した。有機相を一つにあわせて、乾燥し、濃縮し、ジクロロメタンで溶離するシリカクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(12mg)を得た。LC保持時間4.19分、MS m/z 383 (MH+)。
【0122】
中間体5
6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-7-アザインドリン
【化23】

【0123】
テトラヒドロフラン(10mL)に中間体2(150mg、0.55mmol)を溶かした溶液に、窒素雰囲気下、ボラン(1Mテトラヒドロフラン溶液2.2mL、2.20mmol)を加えた。4時間加熱還流後、反応液を室温まで冷却し、さらにボラン(1Mテトラヒドロフラン溶液1.1mL、1.10mmol)を加えて、加熱を2時間続けた。溶媒を減圧除去し、残渣をジクロロメタン:酢酸エチル1:1で溶離するシリカクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(45mg)を得た。LC保持時間2.07分、MS m/z 275 (MH+)。
【0124】
実施例7
1-ベンジル-6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-7-アザインドリン
【化24】

【0125】
ジメチルホルムアミド(0.5mL)に水素化ナトリウム (60%鉱油分散液、0.10mmol)を加えた懸濁液に、0℃で、 ジメチルホルムアミド(0.5mL)に中間体5(22mg、0.08mmol)を溶かした溶液を加えた。室温で30分間撹拌した後、ベンジルブロミド(0.010mL、0.08mmol)を加えて、反応液を室温まで温めた。14時間撹拌した後、溶媒を減圧除去し、残渣をジクロロメタンと水との間で分配させた。有機相を分離し、乾燥し、濃縮し、質量ベース分取HPLCで精製して、表題化合物(9mg)を得た。LC保持時間3.66分、MS m/z 365 (MH+)。
【0126】
実施例8〜18
下記の表1に示した実施例8〜18を、実施例1または2に記載した方法で調製した。
【化25】

【表1】

【0127】
生物学的データ
ミクロソームアッセイ
ミクロソームh-COX2に対する阻害活性を、バキュロウイルス感染SF9細胞からのミクロソーム調製物に対して評価を行った。ミクロソーム調製物のアリコートを氷上でゆっくりと解凍し、それをアッセイ緩衝液[滅菌水、アルゴンで脱気、100mM HEPES(pH 7.4)、10mM EDTA(pH7.4)、1mMフェノール、1mM還元グルタチオン、20mg/mLゼラチン、および0.001mM Hematinを含有]の中に入れて1/40,000の希釈液を調製した。希釈したらこの酵素溶液を次に5秒間超音波処理(Branson超音波処理器、セッティングは4、1cmのチップ)して確実に均質な懸濁液とした。次に酵素溶液155μLを、試験化合物(所要試験濃度の40x)5μLか、対照用のDMSO 5μLが入った96ウェル微量滴定プレートの各ウェルに加えた。この後各プレートをかき混ぜ、室温で1時間インキュベートした。インキュベート期間の後、0.5μMアラキドン酸40μLを各ウェルに加えて最終濃度0.1μMを得た。この後プレートをかき混ぜて、丁度10分間(室温)インキュベートした後1M HCl(塩酸)25μLを各ウェルに加えて反応を停止させた。次に1M NaOH(水酸化ナトリウム)25μLを各ウェルに加えて溶液を中和した後、PGE2レベルを酵素免疫アッセイ(EIA)により測定した。
【0128】
下記の実施例は、0.5μM以下のCOX-2の阻害についてのIC50値を示し、COX-1よりもCOX-2に対する選択性が少なくとも100倍であった(各IC50値の比較に基づく):実施例1、2、3、4、6、9、10、12、13、14、15、16、18。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物または製薬上許容されるその塩。
【化1】

(式中、
Yは、CHおよび窒素からなる群から選択され;
R1は、C1-6アルキル、NH2およびR2CONHからなる群から選択され;
R2は、H、C1-6アルキル、C1-
6アルコキシ、C1-6アルキルOC1-6アルキル、フェニル、HO2CC1-6アルキル、C1-6アルキルOCOC1-6アルキル、C1-6アルキルOCO、H2NC1-6アルキル、C1-6アルキルOCONHC1-6アルキルおよびC1-6アルキルCONHC1-6アルキルからなる群から選択され;
R3は、Hおよびハロゲンからなる群から選択され;
R4は、H、C1-5アルキル、および1〜5個のフッ素原子で置換されたC1-2アルキルからなる群から選択され;
R5は、H、CHO、および非置換またはハロゲンもしくはヒドロキシで1以上置換されたC1-6アルキルからなる群から選択され;
Aは、(CH2)nまたは-SO2-であり;
R6は、C1-6アルキル、C4-8 シクロアルキル、フェニルおよび6員ヘテロアリールであり、ここでフェニルおよび6員ヘテロアリール環は、非置換であっても、ハロゲンもしくはヒドロキシで1以上置換されていてもよく;
nは0〜3である。)
【請求項2】
式(IA)で表される化合物または製薬上許容されるその塩。
【化2】

(式中、全置換基は請求項1に記載の式(I)の化合物について定義したとおりである。)
【請求項3】
式(IB)で表される化合物または製薬上許容されるその塩。
【化3】

(式中、全置換基は請求項1に記載の式(I)の化合物について定義したとおりである。)
【請求項4】
R1がC1-6アルキルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R4がH、CHF2、CH2F、CF3またはC1-4アルキルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
R5がH、C1-4アルキル、-CHO、または-(CH2)nCH2OHである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
R6がC3-5アルキル、シクロヘキシル、C1-3アルキルで場合によって置換されていてもよいピリジル、またはハロゲンで場合によって置換されていてもよいフェニルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
nが0または1である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
R1がC1-3アルキルであり、R4がH、CHF2、CH2F、CF3またはC1-4アルキルであり、R5がH、C1-4アルキル、-CHO、または-CH2OHであり、nが1であり、R6がC3-5アルキル、シクロヘキシル、C1-3アルキルで場合によって置換されていてもよいピリジル、またはハロゲンで場合によって置換されていてもよいフェニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項10】
R1がC1-3アルキルであり、R4がH、CHF2、CH2F、CF3またはC1-4アルキルであり、R5がH、C1-4アルキル、-CHO、または-CH2OHであり、nが0であり、R6がハロゲンで場合によって置換されていてもよいフェニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項11】
R1がCH3であり、R3がHであり、R4がHであり、R5がH、C1-4アルキル、-CHO、または-CH2OHであり、Aが(CH2)nであり、nが1であり、R6がC3-5アルキル、シクロヘキシル、CH3で場合によって置換されていてもよいピリジルであり、またはクロロで場合によって置換されていてもよいフェニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項12】
R1がCH3であり、R3がHであり、R4がHであり、R5がHであり、Aが(CH2)nであり、nが0であり、R6がフルオロで場合によって置換されていてもよいフェニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項13】
請求項1に記載され、実施例1〜18のいずれかから選択される式(I)で表される化合物。
【請求項14】
R4およびR5のそれぞれが水素である、請求項2に記載の式(IA)で表される化合物の製造方法であって、
式(III):
【化4】

で表される化合物を還元することにより、式(VIII):
【化5】

で表される化合物を生成させるステップ、
式(VIII)で表される前記化合物を、化合物R6-A-X(ここで、XはCl、BrもしくはIのようなハロゲン、またはメタンスルホネート、(4-メチル)ベンゼンスルホネートもしくはトリフルオロメタンスルホネートのようなスルホネートであり、AおよびR6は上記で定義したとおりである)またはその保護誘導体と反応させて、R4およびR5が双方とも水素である式(IA):
【化6】

で表される化合物を生成させるステップ
を含み、その後、必要に応じて、
式(IA)で表される前記化合物を、式(IA)で表される別の化合物に相互変換するステップ、および/または
式(IA)で表される化合物の保護誘導体を脱保護するステップ
を含む、方法。
【請求項15】
R4およびR5のそれぞれが水素である、請求項3に記載の式(IB)で表される化合物の製造方法であって、
化合物R6-A-X(II)(ここで、XはCl、BrもしくはIのようなハロゲン、またはメタンスルホネート、(4-メチル)ベンゼンスルホネートもしくはトリフルオロメタンスルホネートのようなスルホネートであり、AおよびR6は上記で定義したとおりである)またはその保護誘導体を、式(III):
【化7】

で表される化合物と反応させることにより、本発明の式(IB):
【化8】

で表される化合物を生成させるステップ
を含み、その後、必要に応じて、
式(IB)で表される前記化合物を、式(I)で表される別の化合物に相互変換するステップ、および/または
式(IB)で表される化合物の保護誘導体を脱保護するステップ
を含む、方法。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物と、1種以上の生理学的に許容される担体または賦形剤とを混合して含む医薬組成物。
【請求項17】
ヒト用または動物用医薬において使用するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物。
【請求項18】
COX-2によって媒介される状態に罹患しているヒトまたは動物被験体を治療する方法であって、該被験体に、請求項1〜10のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項19】
炎症性障害に罹患しているヒトまたは動物被験体を治療する方法であって、該被験体に、請求項1〜10のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項20】
COX-2によって媒介される状態を治療するための治療薬を製造するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物の使用。
【請求項21】
炎症性障害を治療するための治療薬を製造するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物の使用。

【公表番号】特表2007−501834(P2007−501834A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522994(P2006−522994)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009073
【国際公開番号】WO2005/016924
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】