説明

CpGアイランドを含む単離核酸フラグメントの利用

本発明は、CpGジヌクレオチドの密度にしたがって核酸のフラグメントを単離する方法、その単離に続いてこれらフラグメントのライブラリー及び/又はアレイ又はマイクロアレイを作製する方法、及びそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CpGジヌクレオチドの密度にしたがって核酸のフラグメントを単離する方法、それに続いてこれらフラグメントのライブラリー及び/又はアレイ又はマイクロアレイを作製する方法、及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物及び他の脊椎動物のゲノムは合成後の化学的改変パターンを示す。これらの生物ではただ1種類の改変(修飾)が知られている。すなわち5-メチルシトシンを生成するシトシンのメチル化である。このメチル化修飾の標的DNA配列は、自己相補性であるジヌクレオチド5'CpG3'(CpGジヌクレオチドとも称される)であり、対称的な対として存在する。
ヒトのゲノムでは、CpGジヌクレオチドのほぼ70%が、大部分の細胞型でメチル化される。特に、CpGアイランドと称される非メチル化CpGジヌクレオチドクラスターは、ヒト遺伝子の56%の転写開始部位に存在する。これらのCpGアイランドは一般的には長さが1〜2Kbpである。これらのCpGアイランドクラスターは合計してゲノムの約2%になる。ゲノムの残り98%におけるCpG部分は分散して分布し、そこに位置するCpG対のほぼ80%はメチル化されている。CpGアイランドの高いシトシン-グアニン頻度のために、DNAのメチル化パターンの知識がなくてもそれらを同定することが可能である。この生物情報学的規準を用いて、ヒトゲノムプロジェクトは、ゲノム当たり約30,000CpGアイランドが存在すると概算している。
ほとんどの哺乳動物遺伝子のプロモーター及び転写開始部位はCpGアイランドを含む。通常は、CpGアイランド内のCpGジヌクレオチド対はメチル化されず、結果として、CpGアイランドに付随する遺伝子は転写されうるが、ただし必ずしも転写されるとは限らない。女性由来の細胞の不活性なX染色体内のCpGアイランドのほとんど全ては、強くメチル化され凝縮している。例外はXist遺伝子であり、その5'CpGアイランドでメチル化されないままである。このことは、この不活性状態の初期伝播(initial propagation)に要求されるXist遺伝子の活性と一致する。
これらCpGアイランドのメチル化の状態はDNAの複製中にコピーされるという事実の結果として、CpGジヌクレオチド対の強いメチル化によって沈黙させられた遺伝子は無限に伝播されうる。
【0003】
CpGジヌクレオチド密度の増加と非メチル化との相対的関係は、長期にわたる偶発的な脱アミノの発生によって説明されている。非メチル化CpGジヌクレオチドは偶発的に脱アミノしてヌクレオチドウラシルを生じることができ、前記ヌクレオチドウラシルは細胞内のDNA修復メカニズムによって認識され、またシトシンに変換される。しかしながら、メチル化されているシトシンの脱アミノはチミンへの変換を生じ、前記チミンは同じDNA修復メカニズムによっては認識されず、結果として5'TG3'ジヌクレオチドとして存続する。この事象は偽遺伝子によって強調される。偽遺伝子では、発現される遺伝子と相同な配列(例えばα-グロブリン偽遺伝子)がシトシンヌクレオチドでメチル化され、CpGジヌクレオチドの大部分を長期にわたり自由にしているが5'TG3'ジヌクレオチドを増加するように見える。
CpGアイランドがメチル化されない状態で維持されるメカニズムはほとんど理解されていない。メチルトランスフェラーゼDNMT1の維持は、これらのエピジネティックランドマークの遺伝に役割を果たすのかもしれない。少なくともヒトゲノム内のある種の遺伝子の発現は、CpGアイランドのメチル化によって極めて厳密に調節されているようにみえる。
正常な環境下では、CpGアイランドのメチル化は、例えば不活性なX染色体上のある種の遺伝子、例えばホスホグリン酸キナーゼ1によって生じ得るように、またインプリンティング遺伝子、例えばインスリン様増殖因子2受容体遺伝子(Igf2r)で生じ得るように、遺伝子が決定的に停止させられるときに、引き起こされる。計画的でないCpGアイランドのメチル化は疾患の結果としても生じる場合があり、癌のような症状で重点的に立証されている。例えばRB遺伝子の停止は網膜芽細胞腫を引き起し、MLH1遺伝子のサイレンシングは何種類かの腫瘍を促進する変異生成能の増加を引き起こす。この種類の遺伝子は、変異を不活化する出来事により通常は失われていくけれども、それらはまたDNAメチル化によってサイレンシングされる得ることも明白である。CpGアイランドの異常なメチル化の別の例は、脆弱X症候群におけるFMRI遺伝子のサイレンシングである。脆弱X症候群は、精神遅滞を発症している男性のもっとも一般的な遺伝型である。疾患におけるCpGアイランドメチル化のこれら実証される事例に加えて、他の一般的症状(精神分裂病、関節炎、自己免疫疾患)もまた同様な根拠を有する可能性があることが示唆されている。
【0004】
CpGアイランドライブラリーの作製は、例えば上記に記載したような疾患に関してこれらCpGアイランドのメチル化パターンについての研究を著しく促進し得る。
そのようなライブラリーを作製しようとした先の試みは、メチル化CpGジヌクレオチド対に結合することができる、ラツス・ラツス(Rattus rattus)のMeCP2由来のペプチドの使用を必要としていた(Cross et al. 1994)。ほとんどのCpGアイランドでは、一定の割合のCpGジヌクレオチドはメチル化されないという事実のために、これらのペプチドの使用は、メチル化CpGジヌクレオチドの精製か、又は精製に前もって人工的にメチル化されているCpGアイランドの精製に限られた。これらの技術は感度、正確さを欠き、とりわけ、例えばヒトゲノム内の、実質的に全てのCpGアイランドを表現するフラグメントライブラリーを作製することができない。
前述の欠点の少なくとも1つを除去及び/又は軽減することが、とりわけ本発明の目的である。
本発明は、非メチル化CpGジヌクレオチドに排他的に結合することができるペプチドを用いてCpGアイランドの核酸フラグメントを単離することができるという本発明者らの発見に部分的に依拠する。
【発明の開示】
【0005】
本発明の第一の観点では、以下の工程を含む、CpGアイランド核酸フラグメントを単離する方法が提供される:
a)生物から核酸サンプルを得る工程;
b)前記核酸サンプルをフラグメント化する工程;
c)核酸フラグメントを、CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドと接触させる工程;
d)結合していない核酸フラグメントを、結合している核酸フラグメントから分離する工程;及び
e)結合している核酸フラグメントを前記ペプチドから分離する工程。
典型的には、CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドは、適切な支持体(例えば固形支持体)と複合体を形成する(カップリングする(coupled)か、そうでなければ結合する(associated))。有利には、前記ペプチドは前記固形支持体と、例えば共有結合、イオン結合、又は疎水性相互作用によってカップリング/結合され得る。
前記固形支持体は、例えばアガロース、セファロース、ポリアクリルアミド、アガロース/ポリアクリルアミドコポリマー、デキストラン、セルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ニトロセルロース、ガラスペーパー、又は適切な固形支持体を供給することができる他の任意の適切な物質であり得る。
有利には、前記固形支持体は、クロマトグラフィーでの使用に適した顆粒、粉末、又はゲル、例えばアマシャム・バイオサイエンシーズ(Amersham Biosciences)から入手できるようなものの形態を有していてもよい。
好ましくは、前記CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドは、CpGジヌクレオチド対に結合する能力を保持しているCpG結合ドメインタンパク質1(CpG Binding Domain protein 1; MBD1)の少なくとも一部分を含む。
好ましくは、前記CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドは、MBD1転写リプレッサーのシステインに富むCxxC-3ドメインを含む(Jorgensen, 2004)。
本発明のある実施態様では、前記CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドはMBD1転写リプレッサーを含む。
【0006】
前記に加えて、又は前記とは別に、前記CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドは、MBD1転写リプレッサーと相同なペプチド又はそのフラグメントによって提供し得る(Lee et al. 2001及びBirke et al. 2002)。
“相同な”という用語は、CpGジヌクレオチド対に結合する手段を保持し、かつ天然に存在するMBD1転写リプレッサーと、特にそのCxxC-3ドメインとある程度の配列同一性/類似性を共有するポリペプチド又はそのフラグメントをさすことは理解されよう。ポリペプチドの四次及び三次構造は、そのポリペプチドの固有の機能も保持されるように通常は高度に保存されていることが当業者には周知である。さらに、ペプチドの一次構造は、成熟ペプチドの活性に顕著な低下をもたらすことなく、その配列において顕著な変化を示し得ることもまたよく知られている。結果として、本発明で有用である相同なペプチドは、MBD1ポリペプチドと、2つのペピチドの保存された残基でアラインメントを実施したとき、例えば、たった25%のアミノ酸配列同一性を共有する場合もある。したがって、CpGジヌクレオチド対に結合することができる本発明のポリペプチドは、MBD1転写リプレッサーと25%、好ましくは40%、より好ましくは60%、さらに好ましくは75%、最も好ましくは90%又は95%の配列同一性を示すポリペプチド又はそのフラグメントを含む。
さらにまた、CpGジヌクレオチド対に結合することができる本発明のペプチドの一次配列内に生じ得る、多数の“保存的置換”が潜在的に存在することも理解されよう。“保存的置換”とは、天然に存在する1及び/又は複数のアミノ酸残基と物理的及び化学的特性に関して実質的に相違しない1及び/又は複数のアミノ酸残基による1及び/又は複数のアミノ酸残基の置き換えを意味する。これらの“保存的置換”は当該ペプチドの機能に対して実質的に影響をもたらさないであろう。
有利には、CpGジヌクレオチド対に結合することができる本発明のペプチドは、好ましくはメチル化されていないCpGジヌクレオチド対に結合する。“メチル化されていない(非メチル化)”という用語は、さもなくば5'-メチルシトシンを生じる5'シトシンヌクレオチドへのメチル基の添加による改変を欠くCpGジヌクレオチド対を指す。
【0007】
便利には、CpGジヌクレオチド対に結合することができる本発明のペプチドは、固形支持体にカップリングされている。
本発明のある実施態様では、CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドはさらに、固形支持体に前記ペプチドをカップリングする手段を提供する結合部分を含む。そのような結合部分は、例えばペプチド又は他の小型の化学物質部分、例えばビオチン/ストレプトアビジンであり得る。
好ましくは、前記結合部分は、CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドに融合されたペプチドである。有利には、組換えの手段によってペプチド融合体を生成することができる。あるいは、前記結合部分は、CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドに共役させる(conjugated)ことができる。
本発明のある実施態様では、前記結合部分は、任意のオリゴペプチドHisn(式中nは4〜20、好ましくは5〜10、より好ましくは6である)を含むことができる。そのようなオリゴペプチドは二価のニッケル(Ni)に対して高い親和性を有し、前記ポリペプチドとニッケルキレート樹脂Ni2+−NTA−アガロースとのカップリングを可能にする。
CpGジヌクレオチド::結合部分融合物と結合することができるペプチド、例えばCpGジヌクレオチド::Hisnと結合することができるペプチドを発現するために適切な例示的ベクターは、一般的にはメルク・バイオサイエンシーズ(Novagen(商標))から入手可能であり、例えばpET14b、pET15b、pET16b、pET19b及びpET30bが含まれる(参考文献)。
あるいは、本発明の更なる実施態様では、前記結合部分は、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を含むことができる。GSTはグルタチオンに対して強い親和性を有し、グルタチオンは固形支持体(例えばセファロース4B)にカップリングさせることができる。
CpGジヌクレオチド対::結合部分融合体と結合することができるペプチド、例えばCpGジヌクレオチド::GSTと結合することができるペプチドを発現するために適切な例示的ベクターは、一般的にはアマシャム・バイオサイエンシーズから入手可能であり、例えばpGEX-4T2、pGEX-6P-1及びpGEX-4T-3が含まれる。
【0008】
固形支持体(例えば、実質的には上記に記載したようなもの)に固定することができるいずれの小型分子も、CpGヌクレオチド対に結合することができるペプチドの固定に適切であり得ることは理解されよう。“小型分子”という用語によって、2000未満のMrを有する分子が有用であると考えられることは理解されよう。
例えば、CpGヌクレオチド対に結合することができるペプチドを、例えばビオチンで標識し、例えばストレプトアビジンのような分子をカップリングさせた適切な固形支持体(例えばアガロース)と接触させることができる。この方法では、ビオチン/ストレプトアビジン複合体の形成は、前記ペプチドと前記支持媒体との結合を容易にする。
あるいは、本発明の更なる実施態様では、CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドは、固形支持体と化学的に架橋させることができる。
有利には、CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドは、例えば、Axenら(1967)によって開示されたように臭化シアン(CNBr)の添加による固形支持体の活性化という手段によって固形支持体と化学的に架橋することができる。簡単に記せば、CNBrの添加に際して、固形支持体はポリペプチドのアミノ酸基とpH8〜9で迅速に反応して固形支持体と架橋される。好ましくは、このように使用される固形支持体はアガロース、例えばCNBr活性化アガロースである。
有利には、CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドは、前記ペプチドの一部分と特異的に反応する抗体又はその抗体断片という手段によって、固形支持体とカップリングさせることができる。好ましくは、前記抗体は適切な固形支持体とカップリングさせられる。
有利には、この方法では、前記抗体又はその抗体断片は、CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドに対して親和性を有するモノクローナル抗体又はそのフラグメントであり得る。モノクローナル抗体の生成技術は当業者には周知である。
【0009】
多様な生物からCpGアイランド核酸フラグメントを単離することもまた所望され得る。核酸(例えばDNA)サンプルを動物、例えばげっ歯類(例えばラット及びマウス)、ヒト、魚、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ニワトリなどから入手ことができる。さらにまた、本発明の方法はまた植物材料から単離したサンプルにも適用し得ることも想定されている。植物ゲノムはCpGで非常にメチル化されているが、植物遺伝子は、動物のCpGアイランドと等価である非メチル化DNAを選別することによってゲノムDNAから顕著に濃縮することができることが示された(Whitelaw et al. 2003;Palmer et al. 2003)。したがって、本発明は、植物の多くの種のゲノムから遺伝子を単離するために用いることができる。
核酸サンプルは、例えばin vitro又はin vivoで増殖させた細胞から、又は組織生検材料から得ることができるが、また適切な場合には、血液、唾液、又は核酸を得ることができる他の適切な任意のサンプルを含むことができる。好ましくは、入手サンプルは、患者の5'CP3'アイランドのメチル化状態を正確に反映する核酸を生じるべきであり、前記メチル化状態は、対象者の罹患状態、すなわち健康であるか、具体的な疾患を有するか、又はある疾患の素因を有し又は発症しつつあるかの結果としてもたらされる。例えば、癌の場合には、前記サンプルは、可能な場合には、腫瘍又は腫瘍近傍の細胞から直接採取される組織生検材料を含むことができる。有利には、前記サンプルは少なくとも、前記疾患に冒されている同じ組織に由来する細胞を含むことができる。細胞からDNAを抽出する技術は周知であり、例えば脂質膜可溶化剤(例えば洗剤及びプロテアーゼ酵素)の使用を含むことができる。核酸を沈殿させる物質(例えばエタノール)を続いて用い、核酸を単離することができる(例えばSambrookらの文献を参照されたい)。
【0010】
好ましくは、前記サンプルから得られた核酸は、制限エンドヌクレアーゼ(例えばHindIII、EcoRI、BamH1及びPst1)でフラグメント化することができる。前記制限エンドヌクレアーゼは個々に用いて核酸をフラグメント化してもよいが、あるいは多数の制限エンドヌクレアーゼを組み合わせて用いることもできよう。
他の核酸フラグメント化の方法も本特許の範囲内に含まれ、前記には核酸の超音波破壊又はせん断力の使用が含まれ得ることは理解されよう。
一般的には、結合していない物質(未結合物質)、例えばフラグメント化核酸、好ましくはいずれのCpGアイランドも欠くフラグメント化核酸又はもっぱらメチル化CpGアイランドのみを保持するフラグメント化核酸は、固形支持体媒体に結合しないままである。典型的には固体の基盤(substrate)を洗浄し、さらに、未結合物質が取り除かれるように、例えば浸透圧が均衡している中性の溶液(例えばリン酸緩衝食塩水(PBS))を前記固形支持体媒体に施すことができる。典型的にはそのような方法は、何回もくり返され、固形支持体媒体から除去される未結合物質の量を最大化する。
結合物質(例えば核酸フラグメント)を固形支持体(例えば上記に記載したようなもの)から分離するために用いられる技術は本技術分野では周知であり、そのような技術をここで利用することができる。例えば、アフィニティークロマトグラフィーカラム内に充填した樹脂(例えばニッケルキレート樹脂、例えばTNA-アガロース)内に、塩化ナトリウム勾配を創り出すことができ、それによって特定の濃度の塩化ナトリウムとの接触に際して特定の核酸フラグメントをカラムから分離させることができる。他の分離手段には、GSTアフィニティークロマトグラフィーの場合は還元グルタチオン溶液の使用、pHの変更、又は酵素的切断が含まれる。
好ましい実施態様では、本発明の第一の観点の方法の工程c)及び工程d)はくり返すことができる。このようにして、CpGアイランドを含む実質的に全ての核酸フラグメントが単離され、一方CpGアイランドを含まない核酸フラグメント又はメチル化CpGアイランドによる夾雑は顕著に低下する。
【0011】
本発明の第二の観点では、CpGアイランド核酸フラグメントを単離することを目的とする、固形支持体及びCpGヌクレオチド対に結合することができるペプチドを含むペプチド/支持体複合体の使用が提供される。
本発明の第三の観点では、以下の工程を含む、CpGアイランドライブラリーを作製する方法が提供される:
a)本発明の第一及び/又は第二の観点にしたがって、CpGアイランド核酸フラグメントを単離する工程;及び
b)前記単離フラグメントを適切なベクターでクローニングする工程。
前記フラグメントは、多くの方法(そのいずれも当業者には公知である)によって適切なベクターでクローニングすることができる。例えば、前記固形支持体から引き離した核酸フラグメントを、DNAリガーゼ(例えばT4リガーゼ)の存在下で適切なベクターに添加し、しばらく(例えば16℃で約10時間)インキュベートすることができる。あるいは、市販のクローニング及び配列決定ベクター(例えばTOPO pCR4、インビトロジェン・ライフサイエンシーズ(Invitrogen lifesciences)から入手できる)を用いるか又は他のそのようなリガーゼを含まない系を用い、その後に続くPCRによる増幅及び/又は配列決定の準備として核酸フラグメントをクローニングすることができる。
便利には、本発明のCpGアイランドライブラリーのクローン化フラグメントの配列が決定され得る。核酸の配列決定技術は本技術分野では周知であり、例えばサンガー(Sanger)のジデオキシヌクレオチド配列決定が挙げられる。上記の方法によって得た核酸のクローン化フラグメントの配列を決定することにより、サンプルが由来する生物のゲノム内の実質的に全てのCpGアイランドを表すフラグメントライブラリーを得ることが可能である(Molecular Clining: A Laboratory Manual, Sambrook & Russell)。
【0012】
本発明の第四の観点では、以下の工程を含む、CpGアイランドライブラリーアレイを作製する方法が提供される:
a)本発明の第三の観点にしたがって作製したCpGライブラリーの核酸フラグメントを増幅する工程;
b)前記増幅させた核酸フラグメントを変性させる工程;及び
c)前記変性核酸フラグメントを、適切なライブラリーアレイの基盤とアレイで(in an array)カップリングさせる工程。
典型的には、CpGアイランドライブラリーのクローン化CpGアイランド核酸フラグメントは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用によって増幅される。くり返せば、そのような技術は周知であり、例えばSambrookらの文献に記載されている。あるいは、CpGアイランド核酸ライブラリーのクローン化CpGアイランド核酸フラグメントは、それらをクローニングした適切なベクターから、制限エンドヌクレアーゼを使用することによって切り出すことができる。制限エンドヌクレアーゼの組合せを付加的に又は選択的に使用してもよい。典型的には、前記制限エンドヌクレアーゼ又は制限エンドヌクレアーゼ酵素の組合せは、クローン化CpGアイランド核酸フラグメントのいずれかの側の一点でベクターを分断する。
好ましくは、前記増幅核酸フラグメントは、一本鎖核酸のフラグメントを形成するために変性させることができる。有利には、前記増幅核酸フラグメントは熱処理を行われ、例えば、二本鎖DNAのフラグメントが一本鎖フラグメントに解離されるように、沸騰水浴中又は加熱ブロック中で、一定の時間インキュベートされる。
【0013】
あるいは、前記CpGアイランドアレイは、本発明にしたがって生成したCpGアイランドの核酸フラグメントに特異的なオリゴヌクレオチドを合成し、前記オリゴヌクレオチドを適切なライブラリーアレイの基盤にカップリングすることによって、作製することができる。
アレイは全ゲノムをカバーするように作製する必要がないことは当業者には理解されよう。本発明の方法を用いて、例えば1つ以上の染色体を含む(染色体に対応するものとしてミトコンドリアを含む)ゲノムの複数の部分からアレイを調製することができる。
本明細書に記載した方法にしたがって、本発明者らはCpGアイランドフラグメントのライブラリーを得て、それらをクローニングし、配列を決定した(表1参照)。これは、本発明にしたがって作製されたライブラリーは、従来の方法(例えばCrossら(1994)が記載した方法)にしたがって得られるライブラリーよりもはるかに代表的であることを示している。したがって更なる観点では、本発明は、表1に特定されるクローンに由来するCpGアイランド特異的核酸配列を含むライブラリーを提供する。
以下の工程を含む、CpGアイランドアレイを作製する方法が提供される:表1から得られる情報を用いて、1以上のCpGアイランド特異的配列を調製する工程;及び前記1以上のCpGアイランド特異的配列をアレイで基盤に結合させる工程。
前記ライブラリーは、1以上のクローン、例えば1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000を超えるクローン、又は同定された実質的に全てのクローンに由来する配列、又は特定のゲノム(典型的にはゲノムの25%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%を超える)に由来する1つ以上のクローン(個々のゲノムから同定された実質的に全てのクローンを含む)に由来する配列を含むことができる。
【0014】
本発明はまた、CpGアイランドライブラリー及び/又はアレイの調製における、表1から得られる情報の使用を提供する。
前記配列はまた、例えば組換え又は合成手段により得ることができる。
好ましくは、CpGアイランドライブラリーは、アレイ、好ましくはマイクロアレイとして配置される。有利には、前記アレイ又はマイクロアレイは任意の適切な、好ましくは無孔性の基盤上に作製される。典型的には、前記適切な基盤にはガラス又はプラスチック材が含まれ得る。適切な基盤及びアレイ又はマイクロアレイの作製に用いられるプロトコルは、米国立ヒトゲノム研究所(National Human Genome Research Institute, Bethesda, USA)から入手することができる。
一般的には、適切なマイクロアレイの表面は、フラグメント化された核酸が前記基盤にカップリングされ得るように処理される。例えば、適切な基盤の表面は、マイクロアレイの基盤に適用された個々の核酸サンプルの拡散を防ぐために疎水性にされ、さらにフラグメント化された核酸とマイクロアレイの基盤とのカップリングを容易にするために陽性に帯電させることができる。そのような疎水性/陽性帯電表面は、例えばポリ-L-リジンのような物質の使用によって得ることができる。
マイクロアレイの基盤をそのように調製した後、増幅した核酸フラグメントをアレイとして前記表面に点在させることができる。好ましくは、本技術分野で公知の自動プリント手法を利用して、前記増幅核酸フラグメントをアレイとして適用することができる。
本明細書に実質的に記載したCpGライブラリー及びアレイ又はマイクロアレイを作製する方法は、結果として、調査する生物のゲノム中のCpGアイランドの実質的に全てに正確に対応するCpGアイランドフラグメントを生じる。このようにして得られたライブラリー及び/又はアレイ又はマイクロアレイは、異常な遺伝子発現をもたらし得る改変についてCpGアイランドの完全な相補物をプローブする手段を提供する。あるいは、CpGアイランドの実質的に全てに正確に対応するアレイは、ゲノムの特定の1又は複数の部分、例えば1又は複数の染色体から提供され得る。
【0015】
改変(修飾)には、例えば、そのCpGアイランドと結合した遺伝子のサイレンシングをもたらすCpGジヌクレオチド対のメチル化が含まれる。他の改変には、メチル化によってサイレンシングされた遺伝子を、前記メチル修飾の除去により突然活性化することができるような、CpGアイランドからのメチル基の除去が含まれ得る。
本発明の第五の観点では、CpGアイランドライブラリーアレイ、好ましくは、第四の観点の方法によって得ることができるマイクロアレイが提供される。
前記CpGアイランドライブラリーマイクロアレイは、例えば特定の疾患をもつ対象者から単離した核酸のメチル化状態を決定する手段を提供することができる。このようにして、メチル基の付加又は除去によって調節された遺伝子の正確なプロフィールを得ることが可能になりえよう。
したがって本発明の更なる観点では、以下の工程を含む、核酸サンプルでCpGアイランドのメチル化パターンを決定する方法が提供される:
a)対象者から核酸サンプルを得る工程;
b)本発明の第一及び/又は第二の観点で記載したCpGアイランドフラグメントを単離する方法を行う工程;
d)単離したフラグメント化CpGアイランド核酸フラグメントを、場合によっては標識の存在下で、増幅する工程(例えば、Crossら(2000)の方法に従って);
e)標識された増幅フラグメント化核酸を、本発明のCpGアイランドライブラリーマイクロアレイと接触させ、結合した(場合によっては、標識されていてもよい)増幅フラグメント化核酸を検出する工程。
f)その結果を、対照サンプルから得られた結果と比較する工程。
【0016】
サンプルは、任意の適切なヒト又は非ヒト対象者、例えば植物、ウマ、ブタ又はニワトリ(上記参照)から、組織生検材料、例えば液体サンプル(例えば血液、唾液など)の形態で得ることができる。有利には、前記サンプルは細胞を含むことができる。加えて又あるいは、サンプルは、無菌的スワブ、メスなどを用いて、特定の組織表面(例えば皮膚又は頬腔内の頬若しくは口蓋)を掻きとるか又はぬぐって得ることができる。
Crossら(2000)は、少量の核酸の増幅を容易にするために、短いオリゴヌクレオチドキャッチ-リンカー分子の使用を開示している。本発明の第一及び/又は第二の観点にしたがって単離したCpGアイランド核酸フラグメントは、キャッチ-リンカーオリゴヌクレオチドに連結することができる。単離したCpGヌクレオチドフラグメントのキャッチ-リンカーオリゴヌクレオチドへの連結は、PCRによる前記フラグメントの増幅を可能にする。加えて又あるいは、ランダムオリゴヌクレオチドプライマーを用い、単離CpGアイランドフラグメントを増幅することができる。
あるいは、放射能標識ヌクレオチドをPCR反応で用いて、検出可能な増幅DNAフラグメントを得ることができる。加えて又あるいは、蛍光、比色又は化学発光タグを付加したヌクレオチドもまた用いことができる。典型的には、蛍光色素(例えばCy3及びCy5)を用いて、増幅DNAフラグメントを標識することができる。
一般的には、DNAフラグメントを、本発明のアレイ又はマイクロアレイとハイブリダイゼーション方法の手段によって接触させることができる。適切なマイクロアレイ基盤とのDNAフラグメントのハイブリダイゼーションを引き起こすために適切な条件を用い、任意で標識した核酸フラグメントを、適切なマイクロアレイ表面とハイブリダイズさせることができる。DNAフラグメントがマイクロアレイ基盤と結合するハイブリダイゼーション条件は本技術分野では周知である。簡単に記せば、温度、塩濃度及びインキュベーション時間の多様な組合せが、ハイブリダイズされるDNAの長さ及びAT::GC含有量に応じて用いられる(McCarthy & Church, 1970;McKeon et al. 1982;McKim & Hawley, 1995;McKnight & Kingsbury, 1982;及びMcNally et al. 2000)。
【0017】
フラグメント化した結合DNAフラグメントの検出は任意の適切な手段によって達成することができる。例えば、Cy3及びCy5のような蛍光色素がマイクロアレイで用いられる場合は、これらアレイは、典型的には約525nm及び650nm(増幅させたフラグメント化DNAの標識に用いたCy3及びCy5蛍光色素に蛍光を発生させる作用を有する)の波長のレーザーによって発生させた光に付すことができる。これらの環境下では、前記マイクロアレイは顕微鏡下で観察することができ、病変組織サンプルから得られたDNAフラグメントとCpGライブラリーマイクロアレイ内のDNAフラグメントとの間のハイブリダイゼーションが生じる場合はいつでも、蛍光スポットが観察されるであろう。
“対照サンプル”とは、正常なCpGアイランドメチル化パターンを保持する患者由来の組織、血液、唾液又は任意の適切な供給源から得られた核酸サンプルを指す。“正常”とは、健常な個体が保持しているものに典型的なメチル化パターンを指す。
この技術を用いて、病変組織のCpGアイランドのメチル化パターンを正常な健常組織由来のものと比較することができる。
本発明の更なる観点では、以下の工程を含む、核酸サンプルでCpGアイランドのメチル化パターンを決定するさらに別の方法が提供される:
a)例えばCrossら(1994)の方法にしたがい、メチルCpGと結合することができる物質を用いてCpGアイランド核酸フラグメントを単離する工程;
b)単離したフラグメント化CpGアイランド核酸フラグメントを、場合によっては標識の存在下で、増幅する工程(例えばCrossら(2000)の方法にしたがって);
c)増幅した(場合によっては標識した)フラグメント化核酸を、本発明のマイクロアレイと接触させ、結合した増幅フラグメント化核酸を検出する工程;及び
d)その結果を、対照サンプルから得た結果と比較する工程。
【0018】
Crossら(1994)は、固形支持体に結合させた、ラット染色体タンパク質MeCP2のメチル-CpG結合ドメインを含むアフィニティーマトリックスの使用を開示している。このマトリックスを含むカラムは、高度にメチル化されているDNA配列を強固に保持し、CpGメチル化の程度に応じてDNAが分画される。
本発明の更なる観点では、以下の工程を含む、薬物(agent)が、CpGアイランドのメチル化パターンを調節することができるか否かを決定する方法が提供される:
a)1又は複数の細胞を薬物と接触させる工程;
b)前記1又は複数の細胞から核酸サンプルを得る工程;
c)本発明の第一及び/又は第二の観点にしたがって、前記核酸サンプルからCpGアイランド核酸フラグメントを単離する工程;
d)得られた核酸フラグメントを、本発明のアレイ又はマイクロアレイにアプライする(applying)工程;
e)結合した核酸フラグメントを検出する工程;及び
f)その結果を、前記薬物で処理していない対照サンプルから得た結果と比較する工程。
このようにして、CpGアイランドのメチル化状態を調節することができる薬物を同定することができる。例えば、遺伝子を再活性化させるためにCpGアイランドからメチル基を除去するか、あるいは関連するCpGアイランドのメチル化により遺伝子をサイレンシングすることができる薬物を同定することが所望され得る。この方法によって同定された薬物は、疾患(例えば癌、精神分裂病、関節炎、アルツハイマー病及び自己免疫疾患)の治療に有用である可能性があり得る。
【0019】
本発明のさらに別の観点では、以下の工程を含む、病変組織でCpGアイランドのメチル化パターンを決定する別の方法が提供される:
a)対象者から核酸サンプルを得る工程;
b)(i)本発明の第一の観点にしたがって、前記核酸サンプルの一部分からCpGアイランド核酸フラグメントを単離する工程;
(ii)Crossら(1994)が記載するように、前記核酸サンプルの更なる部分からメチル化CpGアイランド核酸フラグメントを単離する工程;
c)工程b)の(i)及び(ii)から得られた単離したフラグメント化CpGアイランド核酸フラグメントを、場合によっては標識の存在下で、増幅する工程(Cross et al. 2000);
d)増幅した(場合によっては標識されている)フラグメント化核酸を、本発明のマイクロアレイと接触させ、結合した増幅フラグメント化核酸を検出する工程;
e)得られた結果を、対照サンプルにより示される結果と比較する工程。
このようにして、Crossら(1994)の方法を用いるメチル化CpGアイランドの同時抽出及び本明細書に記載の非メチル化CpGアイランドを得る方法と、それに続く得られたフラグメントの標識及び本発明のアレイ又はマイクロアレイへの同時ハイブリダイゼーションによって、ある種の疾患におけるCpGアイランドのメチル化状態の決定を容易にすることができる。
【0020】
本発明の方法及び装置はまた分析用として用いて、いずれのDNAフラグメントのメチル化状態も同定することができる。いずれの供給源から得られるゲノムDNAも、例えば2つの別個の小容積カラム(例えば本技術分野で公知の回転カラム)に適用することができる。そのような2つのカラムは、それぞれ、固定された本発明のペプチド(好ましくは、非メチル化DNAと結合することができるMBD1のCxxC-3ドメインを含むペプチド)と、メチル化CpGアイランドと結合することができる固定されたペプチド(例えばCrossら(1994)によって教示されたメチル-CpG結合ドメイン)を含む。カラムを洗浄して弱く結合したDNAを除去した後、“メチル化”カラムは強くメチル化されたDNA(例えばCpGアイランド)を保持し、一方、本発明のカラムはCpGに富む非メチル化DNA(例えば非メチル化CpGアイランド)を保持しているであろう。特定のDNA配列に対するプライマーを用いて、保持されたDNAのPCR増幅を行うこと(カラムから溶出させた後で)によって、前記DNA配列がメチル化されているか(従来技術の“メチル化”カラムによって保持されるが、本発明のカラムでは保持されない)、又はメチル化されていないか(本発明のカラムによって保持されるが、メチル化DNAを結合することができる従来技術のカラムでは保持されない)が特定されるであろう。補完的な両カラムを一緒に使用することによって、個々のDNA配列のCpGメチル化状態の信頼できる読み出しを提供する強力なアッセイが提供される。
【0021】
本発明のさらに別の観点では、以下の工程を含む、転写因子遺伝子標的を同定する方法が提供される:
a)対象者からサンプルを得る工程;
b)前記サンプルをA.S. Weinmannら(2002)の方法に付す工程;
c)標識された核酸を本発明のマイクロアレイと接触させる工程。
簡単に記せば、A.S. Weinmannら(2002)は、転写因子の遺伝子標的を同定する方法を開示している。第一の事例では、核酸は、核酸と結合することができるタンパク質(例えばクロマチン)と、例えばホルムアルデヒドのような化学物質の添加によって架橋させられる。続いて、前記核酸/タンパク質フラグメントを、例えば超音波又はフレンチプレスの使用による細胞破壊によって単離させる。続いて、核酸結合タンパク質又は対象の転写因子と特異的に反応する抗体を、前記核酸/タンパク質複合体と接触させる。アフィニティークロマトグラフィーのような技術を用いて、抗体/核酸/タンパク質複合体を回収することができる。アフィニティークロマトグラフィーは、抗体と結合することができる化合物、例えばプロテインA及び/又は抗体の使用を伴うことができる。続いて、ホルムアルデヒドの添加によって形成された架橋を無効にする手段によって、抗体/核酸/タンパク質複合体の核酸を前記複合体から取り外す。続いて、取り外した核酸を本発明のマイクロアレイにアプライする。このようにして、核酸と結合することができるタンパク質、例えば転写因子によって調製される蓋然性が高い標的遺伝子を同定することができる。
これから、図面を参照しながら、本発明を実施例によってさらに詳述する。
【実施例】
【0022】
[材料と方法]
コンピテント細胞の形質転換及び接種
X1L Blue予備調製コンピテント細胞及びBL21予備調製コンピテント細胞の両方並びにpet30b及びc3581プラスミドを氷上で解凍した。pet30bは予め希釈されており、c3581はTE(Tris/EDTA)で10〜100ng/μLに100x希釈した。各プラスミドの2つの1μLアリコートを2x2の丸底のスナップ蓋付き15mLチューブにピペットで入れ、続いて(各株が各プラスミドに添加されるように)70μLのコンピテント細胞を加えた。70μLのBL21のみを含む第5の対照チューブを調製し、カナマイシンプレートの生存度を調べた。前記チューブを氷上に戻して30分間保持し、その後、前記チューブを45秒間42℃の水浴に移し(ヒートショック活性化)、さらに氷上に戻して5分間保持した。各チューブに0.5mLのLBブロスを添加し、続いて37℃の攪拌インキュベーターに移して1時間保持した(プレーティング前にカナマイシン耐性を発現させるため)。ガラスのスプレッダーを用いて、各株を5枚の予備乾燥させておいたカナマイシン/寒天平板に接種し、37℃のインキュベーターに一晩静置した(スプレッディングは無菌的技術を用いて実施した)。
無菌的プラスチックループを用い、一晩培養した平板の各々から2つの別個のコロニーを3mLのkan/LB(3μL−1000x/50mg/mLストック)に接種し、充分に混合した。続いてX1L Blue培養物を37℃インキュベーターに移して一晩保持し、一方、BL21培養物は5時間インキュベートした(lacプロモーター仲介発現のためのIPTG誘導に先立って)。CxxC-3大量生産のために大規模BL21接種を40mLの一晩培養で実施し(前述のように接種)、続いて4リットルのLB/Kan(2.5リットルの円錐フラスコに付き0.5Lを8本)に希釈して、攪拌インキュベーターでOD600が0.4〜0.7になるまで増殖させた(後の節参照)。
プラスミドDNAの小規模調製
4つのX1L Blue一晩培養物の各々の1.5mLをエッペンドルフ管に移し、微量遠心器で16000rpmにて30秒間遠心分離した。続いて、ペレット中に存在するプラスミドDNAを、QIAprep、ミニプレップ(Mini-prep)キット(Qiagen)を用い標準的プロトコルにしたがって抽出した。
【0023】
His-CxxC-3のIPTG誘導
3μLのIPTG(1000x/1M)を3mLの分析用BL21培養物(37℃で5時間増殖)に添加した。混合したら直ちに、前記培養物をインキュベーターに戻し、さらに3時間誘導した。誘導の分析のために、IPTGの添加直前、添加後1、2及び3時間にそれぞれ250μLのサンプルを採取した。これらのサンプルをSDS-PAGE(後の節を参照)で分析して、大規模BL21誘導を実施した。希釈した4リットルの一晩培養物をOD600により増殖状態について分析した。各培養物の1mLサンプルを種々の経過時間で取り出し、600nmにおけるそれらの吸光度を分光光度計及び1mLキュベットを用いて測定した(kan/LBを0として用いた)。培養物がOD600 0.4〜0.7に達したら(最適IPTG誘導密度)直ちに分析用サンプルの場合のようにIPTGを添加し、(分析用サンプルのSDS-PAGE分析によって決定したように)2時間誘導した。続いて、タンパク質抽出のため、誘導した培養物を氷に戻した。誘導していない培養物及び誘導した培養物の250μLサンプルをSDS-PAGE分析のために保存した。
培養物からのタンパク質の抽出
2時間IPTG誘導したBL21培養物を、予備冷却した1リットルの遠心管4本に移し、4200rpmで20分、4℃で遠心分離した。上清を注意深くデカントし、ペレットを50mLの予備冷却(1x)PBS中に再懸濁した。細胞を50mLの予備冷却遠心管の4本に移し、再び遠心分離(今回は10分)した。上清を捨て、30mLの溶解バッファー(予備冷却)中にパスツールピペットを用いて各ペレットを再懸濁した。ペレットを完全に再懸濁(重要)したら直ちに30mgのリゾチーム(最終濃度1mg/mL)を添加し、サンプルを30分間氷上で静置した。続いて、懸濁物を超音波で5分間処理し(30%、設定は4)、続いて4℃で10分間、1,7000gで遠心分離した(JA25.50ローター)。続いて上清を4本の50mLファルコン管にデカントし、精製のために−80℃で凍結した。SDS-PAGE分析のために、250μLの上清サンプル及びペレットの少量サンプル(それぞれ可溶性及び不溶性タンパク質画分として)を採取した。
【0024】
ニッケルタンパク質の精製
凍結溶解物を氷上で解凍し、続いて15分間17,000g(4℃)で遠心分離して、上清を氷上に保持した。ストックNi-NTAスーパーフロー(Qiagen)を穏やかにひっくり返して、ビーズをスラリー中に再懸濁させた(スラリー容積はベッド容積の約2倍)。3つの2mLアリコートのスラリーを3本の50mLファルコン管に移し、500gで5分間沈殿させた。上清(エタノール)を注意深くデカントし、ビーズを10mLの予備冷却した洗浄バッファー(ベッド容積の10倍)中に再懸濁させた。これを再び上記のように遠心分離し、上清を廃棄した。溶解物を添加する前に前記洗浄をさらに2回繰り返した。前記溶解物を3x40mLアリコートに均等に分け、洗浄したビーズを含む3本の管に添加した。前記ビーズを溶解物中で再懸濁し、4℃のローラー上に2時間静置した(HisタグのNi-NTAビーズへの結合のため)。続いて、ビーズを洗浄の場合のように遠心分離し、上清を取り出して保存し、ビーズは5mLの洗浄バッファー中で再懸濁させた。3本の管全てを1本の20mLバイオラド(Bio-Rad)ポリプレップ(poly-prep)カラムに移し、前記管を洗浄バッファーでリンスしてカラムに加えた。流出物を保存し、カラムを3回10mL容積の洗浄バッファーで洗浄し、その後カラムに蓋をした。
His-CxxC-3は、7つの2mL画分にわたってカラムから250mMイミダゾール洗浄バッファー中に溶出させた。溶出バッファーの1mLアリコートをカラムに添加し、10分間平衡化させ、その後流出させて収集した。(Ni-NTAが褐色ではなく青色になるまで)前記プロセスをさらに6回くり返した。未結合サンプル、洗浄液、及び画分はSDS-PAGEで分析し、純度と、プールして透析(タンパク質から大半のイミダゾールを除去するため)すべき画分とを判定した。
プールした画分は25mm-3500Daスペクトレーパー(Spectrapor)透析チューブに移し、末端を完全に閉じた(しっかりと縛りかつクリップで留めた)。続いて、前記透析チューブをマグネットスターラー上の2リットルの予備冷却透析バッファーに移して4時間保持し、その後、新しい透析バッファーに移し、一晩4℃で静置した。透析したら、His-CxxC-3を14,000rpmで10分間遠心分離し、上清を15mLのファルコン管に移して4℃で保存した。
【0025】
イオン(陽イオン)交換タンパク質精製
更なるHis-CxxC-3の精製は、フラクトゲル(Fractogel, Merck)EMD SO3-陽イオン交換及びHEPES系溶出バッファーによる溶出を伴う(フラクトゲルハンドブックに従う)。簡単に記せば、ストックEMD SO3-ゲルを、スラリーが完全に平衡化するまで穏やかにひっくり返した。5mLをピペットで取り20mLのバイオラドポリプレップカラム(ベッド容積は約4mL)に加え、カラムからエタノールを抜き取った。続いて、20mLの1x結合バッファーでカラムを4回洗浄した。ニッケル精製から得たプールした画分4mLを2xの結合バッファーで8mLにし、カラムに移した。サンプルをカラムから流出させ、20mLの1x結合バッファーで洗浄した。続いて、100mMずつ200〜1000mMの範囲のNaCl(2xのマスターミックス(5MのNaCl及びdH2O)を用いて調製)の溶出バッファーを用いて溶出を実施した。2mLの第一の溶出バッファーをカラムに通して氷上で保存し、その後第二、・・・と続けた。いったん全ての画分を収集したらカラムは置いておき、純度及びプールする画分(His-CxxC-3を含むもの)の決定のために、未結合画分、洗浄液、及び画分のSDS-PAGE分析を実施した。これらの画分をプールしたら、それらをニッケル精製の場合のように透析し、4℃で保存した。
タンパク質濃度の決定
精製His-CxxC-3のタンパク質濃度は、タンパク質色素(Bio-Rad 500-0002)ブラッドフォードアッセイ(Bradford, 1976)を用いて決定した。
バンドシフトアッセイ
バンドシフトアッセイは、15ウェルを持つようにセットされた100mLの1.3%w/vアガロースゲル(0.5xのTBE中に1.3gのアガロースから成る)で実施した。バンドシフトは、文献(Meehan et al. 1989)によって報告されたように、メチル化及び非メチル化型の両方について構築した放射能標識プローブCG11で探索した。CG11は、ゲルに装填する前に、ブロモフェノールブルー染料中で1:1の比で希釈し、15〜25pmol/μLの濃度とした。非特異的な競合DNAは既に大腸菌で調製してあった。
4μLの結合バッファー(5x)、1μLの大腸菌競合DNA、2μLのCG11(必要に応じてメチル化又は非メチル化)、ある範囲のHis-CxxC-3(200〜1000ng)、及び20μLの反応物を作製するために要求されるdH2Oを含む、20μLの反応物を調製した。対照実験としては、両方のCG11形のために2つを作製し、1つは3μLのHis-CxxC-3(以前のバンドシフトアッセイによって活性は立証されている)を含み、もう一方はタンパク質因子を含まない。
サンプルは上記のようにプローブ無しで調製し、His-CxxC-3は最後に添加し、続いて室温で10分間インキュベートした。続いて2μLの希釈したプローブを添加し(注意深くピペットで混合した)、さらに25分間室温でインキュベートした。20μLの反応物を予備冷却(4℃)した0.5xのTBE中のゲル上に装填し、この温度で2時間、120vで泳動した。続いて、2枚のDE81及び2枚の3mmワットマンろ紙上にゲルを置いてサランラップで覆いをし、さらに80℃で2〜3時間真空乾燥させた。ゲルをホスホイメージャースクリーンに移し、さらに一晩静置し、次の朝ホスホイメージャー上に画像を得た。
カラムの調製及び充填
His-CxxC-3をNi-NTAスーパーフロービーズと結合させ、以下の調整を加えながら(3)の方法にしたがってファルマシアHR5/5液体クロマトグラフィーカラムに充填した。バッファー洗浄は2x3mLで、合計6画分を収集した。ブラッドフォードアッセイは全画分について実施し、カラムへの非特異的結合を評価した。Ni-NTA結合タンパク質サンプルのさらに別のSDS-PAGE分析をBSA標準物に対して比較し、カラムのCxxC-3含有量を決定した。HR5/5カラムは完全に分解し、充填前にカラムバッファー1で平衡化させた。ビーズを3x3mLのカラムバッファー1に再懸濁し、全てのビーズが完全に沈降するまで(底から1mL/分の連続的流速による)カラムに充填した。(空気の閉じ込めがないことを担保するために)カラムはドロップ・ツー・ドロップ(drop to drop)法を用いて組み立て、20mLのカラムバッファー1を逆方向に流動させてNi-NTAを完全に充填した(組み立てに関するファルマシア指示シート参照)。
【0026】
カラム検定用pABS DNAの調製
制限処理:プラスミドpABSの2x5μL(6μg)をEcoRI及びBamHI(それぞれ1及び2制限部位)を用いて消化し、2.7、2.1及び1.4kbの異なるサイズの3つのフラグメントを生成した(制限消化については後の節を参照されたい)。消化の完了はアガロースゲル電気泳動によって分析した。続いて、標準的方法にしたがい、DNAの損失を少なくするために担体としてtRNA(10mg/mLを2μL)を添加して、制限処理サンプルをNaCl/エタノール沈殿させた。続いて制限処理サンプルを30μLのTE(Tris/EDTA)に再懸濁させた。
SssIメチル化:6μgのDNAをメチル化するために充分な、300μLのSssIメチル化反応混合物を調製した(222μLのdH2O、9μLのSAM(S-アデノシルメチオニン)、30μLのNEバッファー2(10x)、30μLのDNA、最終的に9μLのSssIメチラーゼ)。続いてその反応物を37℃で一晩インキュベートし、その後、さらに追加の6μLのSAM及びSssIを反応物に添加し、さらに6時間インキュベートした。メチル化効率は、HpaII制限処理及びアガロースゲル電気泳動によって分析した(前記酵素はメチル化DNAを切断しないメチル化感受性エンドヌクレアーゼである)。
メチル化及び非メチル化サンプルの両方をEcoRI/HindIII制限処理サンプルとともにアガロースゲルで泳動し、反応物の適切な相対的DNA含有量を決定した。
クレノー標識:DNAポリメラーゼIのクレノーフラグメントを用いて、DNAフラグメント(メチル化/非メチル化両DNAフラグメント)のEcoRI突出及びHindIII突出を32P-dCTPで標識した。3μLのDNA、4μLのNEバッファーH、各々1μLのA/T/G dNTP、2μLの32P-dCTP及び1μLのクレノーフラグメントを用いて反応混合物を調製し、続いて1時間前記反応混合物をインキュベートした。
EcoRIのAATT突出の標識は、クレノーフラグメントの微弱なエキソヌクレアーゼ活性のために可能であった。
標識DNAの沈殿及び再懸濁:標識したサンプルを先のサンプルから別個に沈殿させて、低温での維持の必要性(放射能実験室ではより困難である)を回避した。2μLのストックtRNA(担体)及び1/10のサンプル容積のNaOAC(5M)を前記サンプルに添加し、数回ひっくり返して混合した。全混合物の2.5容積のエタノール(−20℃)を前記サンプルに添加し、続いて充分にボルテックス攪拌し、室温で20分間沈殿させた。前記サンプルを微量遠心器で14k rpmで20分間遠心分離し、上清をピペットで注意深く取り除いた。続いて1mLの70%エタノール(−20℃)をサンプルに添加し、これをボルテックス攪拌し、さらに10分間遠心分離した。沈殿したDNAが動かないように、p1000ピペット、続いて注意深くp20ピペットを用いてエタノールを取り除き、5〜10分風乾した。サンプルを所望の量のTEにp1000ピペットを用いて再懸濁し、−20℃でパースペックス(Perspex)ホルダーで保存した。
【0027】
カラムのマウンティング(mounting)及びランニング(running)
サンプル: 0.1MのNaClランニングバッファーに前記DNAが含まれるように、装填用の3x1mLのサンプルを調製した。メチル化サンプル及び非メチル化サンプルは両方とも500ngのDNAを含み、メチル化/非メチル化サンプルは各々の500ngを含んでいた。これらのサンプルは、カラムへの装填直前に0.1MのNaClランニングバッファー中で調製した。
CxxC-3アフィニティーカラムのファルマシアFPLC(Fast Protein Liquid Chromatography)系へのマウンティング:FPLCポンプを、1mL/分、バルブ位置1.3、及びWASH A.Bをポジション1.1に設定し、洗い流しを実施した(最初にdH2O/アジ化物、続いてサンプルの0.1M NaClランニングバッファーを用いる)。ポンプA及びBはそれぞれバッファー1及び2から流れ、FPLCは0.1M NaClバッファー(1mL/分で10mL)でシステムを洗い流しするように設定した。続いて、ドロップ・ツー・ドロップ法によってCxxC-3カラムを結合させ、結合時に出口が入口より高い位置にあることを確認した(0.1MのNaClバッファーは結合時にポンプにより0.2mL/分で送られた)。
カラムの洗浄及びランニング:これはいくつかの調整を加えながら方法(3)を用いて実施した。簡単に記せば、FPLCを2つの別個の方法、最初に洗浄、続いてカラムのランニングを実行するように設定した。洗浄サイクルでは、5mLの0.1M NaClバッファーをカラムに通し、続いて5mLの1M NaClバッファー、続いてもう1回5mLの0.1M NaClバッファーを通過させた。前記ランニングサイクルが完了したら、直ちに予備装填DNAサンプル1mLをカラムに導入し(サンプルループから)、続いて0.1MのNaClバッファー4.8mLをカラムに通した。この時点で、濃度を1MのNaClバッファーに増加させた(30の1mL画分にわたって濃度勾配を形成するため)。この濃度は、最後の5mLの0.1M NaClに戻す前に5mLの間維持した。全てのランニングは1mL/分で実施し、1mL画分を0〜41mLまで採集し、UVチャートリーダーで全プログラムにわたって測定した。画分はそれらを分析するまでパースペックス収納庫で保存した。
【0028】
一次検定の解析
シンチレーション分析:プロトコル4フラッグ(32P用)を含む液体シンチレーションバイアルに前記41の画分を移した。カウンターを開始し、2.5時間にわたって41サンプルのCPM(カウント/分)を測定した。続いて前記の値をマイクロソフトEXCELでプロットし、標識DNAの溶出プロフィールを決定した。
電気泳動分析:(クレノー標識の生成物の場合のように)300μLアリコートのメチル化及び非メチル化画分を沈殿させ、TE/6xローディングバッファーに再懸濁した。400μLのメチル化/非メチル化泳動画分を上記のように沈殿させたが、ただし30μLのTEに再懸濁してから3x10μLアリコートに分割した。続いて2セットを制限エンドヌクレアーゼで消化し(1つをHpaIIで他方をMspI(それぞれメチル化感受性及びメチル化耐性)で消化)、続いて3つ全てのセットを6xのローディングバッファーを用いて調製した。全てのサンプルをアガロースゲルで泳動し(後の節を参照)、UV及びホスホイメージャーで画像化した。
制限消化物
制限消化はニューイングランドバイオラブ制限エンドヌクレアーゼ及び供給されたバッファー/BSAを指示に従って用いて実施した。簡単に記せば、反応物はたいてい20μLで作製し、前記反応物は、所望の量のDNA(たとえば1〜10μL)、0.5μLの各制限酵素、2μLの(10x)BSA(必要な場合)、2μLの(10x)NEバッファー(どちらでも用いるエンドヌクレアーゼの最適活性をもたらすもの)を含み、続いてdH2Oで20μLにする。続いて反応物を切断の分析の前に37℃に移して3〜4時間保持した。制限エンドヌクレアーゼを常に最後に反応混合物に添加し、それらが正しく緩衝化されていることを担保した。添加される酵素の容積が全反応容積の10%を決して超えないことが、結果として生じるグリセロール含有量の増加がエンドヌクレアーゼ活性の阻害をもたらし得るので重要である。
完了しなかったように見える制限反応は、一晩消化、及び追加のNEバッファー、酵素及びdH2O(正確な濃度を維持するため)の添加によってより強制的に進行させ、さらに4時間消化したが、一方、酵素容積が10%を越えないことを確認した。
アガロースゲル電気泳動
実施した全てのアガロースゲル電気泳動は、プラスミド及び制限処理プラスミドDNA(サイズは100〜6000bpの範囲)に関してであった。したがって、アガロースゲルは、標準的技術(1)にしたがい、臭化エチジウム(50,000x)を含むTAEバッファー(1x)で1.3%(w/v)で作製した。プラスミド分析(制限処理/メチル化)については、15ウェルの櫛歯を有する100mLゲルを作製し、1リットルタンクでTAE(1x)を満たして(ゲル表面よりおよそ3mm上)泳動した。泳動は、ローディングバッファーがゲルの底から0.5cmに達するまで120vで実施した。続いてゲルを枠から取り出し、UV下で可視化し(臭化エチジウムの相互作用によりDNAが可視化される)、写真撮影した。32P標識DNA(カラム画分分析)のためには、26レーンウェルを有する大きな400mLゲルをセットし、前記のように泳動したが(2.6リットルのTAE中で)、ただしUV画像化の後で乾燥させ、バンドシフトの場合のように画像化した。
サンプルはローディングバッファー(6x)中で調製した(例えば4μLのローディングバッファーで20μLのDNA/又は水で総計を達成する)。沈殿させたサンプル(画分分析)のためには、乾燥DNAを15μLの(TE:ローディングバッファー/6:1)に再懸濁して装填した。全てのゲルは、レーン1に1kb+DNAラダーを10μL装填して画像化した。分画ゲルのUV画像は、サイズマーカーが32Pリン画像と重なり合うように、UVルーラーとともに撮影した。
【0029】
SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動)
全てのCxxC-3のSDS-PAGE分析は、標準的方法(1)にしたがって作製及び装填した3mL、10ウェル、15%SDS-PAGEゲルで実施した。櫛を取り除いたとき、バッファーを用いて全てのウェルを注射筒でフラッシュして、分離したゲル及び気泡の両方を取り除き効率的なサンプル装填を可能にした。ゲルにサンプルを装填し、ローディングバッファー(色素)がゲルの基底に達するまで45〜60分泳動した。
サンプルは使用した個々の方法に応じて調製したが、通例は、大量のサンプル(250μL)は16k rpmで1分遠心し、ペレットを所望の量の1xのDTTローディングバッファーに再懸濁した(溶解物のようなペレットサンプルも同じ方法で調製した)。精製段階から得られたサンプルのような少量画分サンプルは、2xのDTTローディングバッファー中で所望の濃度とした。各SDS-PAGEゲルは、2〜212kDaの広範囲サイズマーカー(New England Biolabs)の10μLを装填することにより検定した。全てのサンプル及びサイズマーカーは、装填の前に100℃で3分煮沸し、短時間氷上に戻した。
いったん泳動したら、クーマシーブリリアントブルーでゲルを振盪台上で20分染色した。続いてゲルを取り出し、新しいdH2O中に浸漬し、5分間電子レンジで加熱してから、正常なdH2Oにゲルを移した。明瞭なタンパク質バンドが確認され得るまで、前記の過程を数回繰り返した。
上記に記載の方法にしたがい、本発明者らはライブラリーを生成し、CpGアイランド配列の配列を決定した。これらの配列は、ヒトのゲノム配列と相関性を示し、さらに前記配列、クローン識別名及びそれらの位置は表1に記載されている。本発明のCxxCカラムを用いたとき、例えばCrossらの方法(1994)を用いて得られたライブラリーと比較して、はるかに典型的なフラグメントライブラリーがヒトゲノムから作製された(6000の固有マップ配列に対して12,000の固有マップ配列)。本発明の方法及びそれによって得られたライブラリーはしたがって、従来の方法を用いて得られたライブラリーよりも約2倍典型的であり、したがって潜在的により高い有用性を有する。






















【0030】
参考文献








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【表1−1】

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【表1−157】

【0189】
【表1−158】

【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】メチル-CpG結合タンパク質MBD1の線状図である。a)メチル-CpG結合ドメイン(MBD)、3つのCxxCドメイン(I、II及びIII)及び転写抑制ドメイン(TRD)が示されている。本線状図の下には、そのアミノ酸配列(一番上の行)を示すMBD1のCxxC-IIIドメインの拡大図が示されている。他のタンパク質の関連ドメインの配列のアラインメントが直ぐ下に示されている。MBD1のCxxC-I及び-IIドメインは一番下に示されている。CxxC-IIIとは異なり、これら2つのドメインは5'CG3'に対し結合特異性を示さない。黒い陰影は完全に同一のアミノ酸残基を示す。灰色の陰影は、このグループの全てのメンバーではないがいくつかと共有されるアミノ酸を示す。b)MBD1マトリックスの構築に用いられるCxxCタンパク質のアミノ酸配列である。マウスのMbd1由来の領域は緑の陰影が付され、a)で示された部分には下線が付されている。ポリ-ヒスチジンタグには黄色の陰影が付されている。電気移動度シフトアッセイは、CxxCドメインは、27のCpG部位でメチル化されたDNA(MeCG11)とタンパク質DNA複合体を形成するが、非メチル化状態の同じDNA配列(CG11)とは複合体を形成しないことを示している。
【図2】a)細菌で発現されたCxxCドメインのニッケルアガロースアフィニティーカラムでの精製である。17kDaのタンパク質フラグメントはもっぱら最初の溶出洗浄(E1)で溶出し、以降の洗浄(E2〜E5)では溶出は少なかった。タンパク質はフロースルー(FT)及び最初のカラム洗浄液(W1)には存在しないので、前記タンパク質は定量的にニッケルアフィニティーカラムと結合する。b)ゲノムDNAのCpGアイランド画分を調製するために用いた方法の模式図である。非メチル化(灰色の棒付き飴)CpGアイランドを含むゲノムDNA及び周辺のメチル化された(黒い棒付き飴)大半のゲノムDNAは、TTAA部位でMse1により切断される。生成されたフラグメントはそのまま通過させるか、又は非メチル化CpGが豊富なDNAが結合するようにCxxCマトリックスとインキュベートする。非結合DNAを洗い流し、その後結合CpGアイランドフラグメントをマトリックスから洗い落とす。
【図3】ヒトゲノムDNAによるCxxCカラムの試験である。a)活性(Xa)及び不活性(Xi)X染色体によるメチル化及び非メチル化XIST CpGアイランドの分離を示す。漸増塩勾配は、比較的低塩濃度でメチル化XIST(男性及び女性)を、さらに高塩濃度で非メチル化XIST(女性のみ)を溶出させる。XIST CpGアイランド内のプライマーを用いPCRによって、各カラム画分でXIST配列を検出した。b)メチル化CpGアイランドをもつ遺伝子(SCP1)及び非CpGアイランド遺伝子(CATHEPSIN)はCxxCマトリックスと弱く結合し、低塩濃度で溶出した。p48遺伝子及びc-FOS遺伝子由来のCpGアイランド配列は堅くカラムと結合する。
【図4】図2の方法にしたがって作製した推定的CpGアイランドライブラリーのDNA配列分析を示す。合計1,119の配列がサンガー・センター(Sanger Center)(Dr. Jane Rogers及び共同研究者との共同研究)によって入手され、さらに塩基組成及びCpG頻度に関して解析された(Dr. Alastair Kerr, Wellcome Trust Centre, Edinburgh)。データは、配列挿入物の大半が、65%G+Cの平均塩基組成及び〜0.8のCpG[観察/予想]頻度の周辺に集合することを示している。大半のゲノムは、40%G+Cの平均塩基組成及び〜0.25の[観察/予想]頻度(緑色の四角で示されている)を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、CpGアイランド核酸フラグメントを単離する方法:
a)生物から核酸サンプルを得る工程;
b)前記核酸サンプルをフラグメント化する工程;
c)前記核酸フラグメントを、CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドと接触させる工程;
d)結合した核酸フラグメントから結合していない核酸フラグメントを分離する工程;及び
e)結合した核酸フラグメントを前記ペプチドから取り外す工程。
【請求項2】
CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドが、適切な支持体と複合体を形成するか、共役しているか、あるいは結合している、請求項1記載の方法。
【請求項3】
支持体が、分離を容易にするためのクロマトグラフィー媒体、アフィニティー標識又は磁性支持体である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
CpGアイランド核酸フラグメントを単離するための装置であって、
CpGジヌクレオチド対に結合でき且つ適切な支持体と複合体を形成するペプチドを含む、前記装置。
【請求項5】
支持体が、アガロース、セファロース、ポリアクリルアミド、アガロース/ポリアクリルアミドコポリマー、デキストラン、セルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ニトロセルロース、磁性材料、及びガラスペーパーから成る群から選択することができる、請求項2〜4記載の方法又は装置。
【請求項6】
CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドが、CpGジヌクレオチド対に結合する能力を保持するCpG結合ドメインタンパク質1(MBD1)の少なくとも一部分を含む、請求項1〜5記載の方法又は装置。
【請求項7】
CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドが、MBD1転写リプレッサーを含む、請求項1〜6記載の方法又は装置。
【請求項8】
CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドが、MBD1転写リプレッサーのシステインに富むCxxC-3ドメインを含む、請求項1〜7記載の方法又は装置。
【請求項9】
CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドが、MBD1転写リプレッサーと相同なペプチド又はそのフラグメントである、請求項1〜8記載の方法又は装置。
【請求項10】
CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドが、メチル化されていないCpGジヌクレオチド対と優先的に結合する、請求項1〜9記載の方法又は装置。
【請求項11】
CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドが、固形支持体に前記ペプチドをカップリングする手段を提供する結合部分をさらに含む、請求項1〜10記載の方法又は装置。
【請求項12】
結合部分が、CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドと融合、カップリング、あるいは結合されている、ペプチド又は他の小型の化学物質部分である、請求項11の方法又は装置。
【請求項13】
CpGジヌクレオチド対に結合することができるペプチドが、固形支持体と化学的に架橋されている、請求項1〜12記載の方法又は装置。
【請求項14】
請求項1記載の方法で請求項4〜13のいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項15】
工程c)及びd)が1回以上くり返される、請求項1記載の方法又は請求項13記載の使用。
【請求項16】
CpGアイランド核酸フラグメントを単離するための、固形支持体及び非メチル化CpGヌクレオチド対に結合することができるペプチドを含むペプチド/支持体複合体の使用。
【請求項17】
以下の工程を含む、CpGアイランドライブラリーを作製する方法:
a)請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法にしたがって又は装置を用いて、CpGアイランド核酸フラグメントを単離する工程;及び
b)単離したフラグメントを適切なベクターにクローニングする工程。
【請求項18】
以下の工程を含む、CpGアイランドライブラリーアレイを調製する方法:
a)請求項17にしたがって作製したCpGライブラリーの核酸フラグメントを増幅する工程;
b)増幅した核酸フラグメントを変性させる工程;及び
c)変性した核酸フラグメントを、適切なライブラリーアレイ基盤とアレイでカップリングさせる工程。
【請求項19】
以下の工程を含む、CpGアイランドライブラリーアレイを調製する方法:
a)請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法にしたがって又は装置を用いて、CpGアイランドライブラリーを得る工程;
b)単離したフラグメントの核酸配列の少なくとも一部分を決定して、単離したフラグメントに特異的なオリゴヌクレオチドを合成する工程;及び
c)前記オリゴヌクレオチドを、適切なライブラリーアレイ基盤とアレイでカップリングさせる工程。
【請求項20】
請求項17又は18記載の方法によって入手し得る、CpGアイランドライブラリーアレイ。
【請求項21】
表1で特定される1以上の染色体特異的クローンに由来するCpGアイランド特異的核酸を含む、染色体特異的CpGアイランドライブラリーアレイ。
【請求項22】
表1で特定される各染色体特異的クローンに由来するCpGアイランド特異的核酸を含む、請求項21記載の染色体特異的CpGアイランドライブラリー。
【請求項23】
表1で特定される1以上のクローンに由来するCpGアイランド特異的核酸を含む、CpGアイランドライブラリー。
【請求項24】
表1で特定される各クローンに由来するCpGアイランド特異的核酸を含む、請求項23記載のCpGアイランドライブラリー。
【請求項25】
請求項21〜24のいずれか1項に記載のCpGアイランドライブラリーのアレイ。
【請求項26】
以下の工程を含む、核酸サンプルでCpGアイランドのメチル化パターンを決定する方法:
a)対象者から核酸サンプルを得る工程;
b)前記核酸サンプルに、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法にしたがって又は装置を用いてCpGアイランドフラグメントを単離する方法を行う工程;
c)単離したフラグメント化CpGアイランド核酸フラグメントを、標識した増幅核酸を生成するために、場合によっては標識の存在下で、増幅する工程;
d)標識した増幅フラグメント化核酸を、請求項18〜20又は25のいずれか1項にしたがって調製したCpGアイランドライブラリーアレイと接触させて、結合した増幅核酸を検出することによってCpGアイランドのメチル化パターンを決定する工程。
【請求項27】
さらに以下の工程を含む、請求項26記載の方法:
e)サンプルのメチル化パターンを対照サンプルのメチル化パターンと比較する工程。
【請求項28】
以下の工程を含む、核酸サンプルでCpGアイランドのメチル化パターンを決定する方法:
a)メチルCpGと結合することができる物質を用いて、メチル化CpGアイランド核酸フラグメントを単離する工程;
b)単離したフラグメント化CpGアイランド核酸フラグメントを、場合によっては標識の存在下で、増幅する工程;
c)前記増幅したフラグメント化核酸を、請求項18〜20又は25のいずれか1項に記載のアレイと接触させ、さらに、結合した増幅核酸を検出することによってCpGアイランドのメチル化パターンを決定する工程;及び
d)場合によっては、前記サンプルのメチル化パターンを対照サンプルから得たメチル化パターンと比較する工程。
【請求項29】
以下の工程を含む、薬物が、CpGアイランドのメチル化パターンを調節することができるか否かを決定する方法:
a)1又は複数の細胞を薬物と接触させる工程;
b)前記1又は複数の細胞から核酸サンプルを得る工程;
c)請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法にしたがって又は装置を用いて、前記核酸サンプルからCpGアイランド核酸フラグメントを単離する工程;
d)工程c)から得られた前記CpGアイランド核酸フラグメントを、いずれの適切なCpGアイランド核酸フラグメントも請求項18〜20又は25のいずれか1項に記載のCpGアイランドライブラリーアレイと結合できるように、前記CpGアイランドライブラリーアレイと接触させる工程;
e)結合したCpGアイランド核酸フラグメントのいずれをも検出する工程;及び
f)結合したCpGアイランド核酸フラグメントのパターンを、前記薬物で処理していない対照サンプルから得たパターンと比較する工程。
【請求項30】
以下の工程を含む、組織サンプル、例えば病変組織サンプルにおけるCpGアイランドのメチル化パターンを決定する方法:
a)対象者から核酸サンプルを得る工程;
b)(i)請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法にしたがって又は装置を用いて、前記核酸サンプルの一部分からCpGアイランド核酸フラグメントを単離する工程;
(ii)メチル化CpGアイランド核酸フラグメントに結合することができる物質を用いて、前記核酸サンプルの更なる部分からメチル化CpGアイランド核酸フラグメントを単離する工程;
c)工程b)の(i)及び(ii)から得られた1以上の単離したCpGアイランド核酸フラグメントを、場合によっては標識の存在下で、増幅する工程;
d)工程c)から得られた増幅核酸を、請求項18〜20又は25のいずれか1項に記載のCpGアイランドライブラリーアレイと接触させ、結合した増幅核酸を検出する工程;
e)前記核酸サンプルのCpGアイランドのメチル化パターンを得る工程;及び
f)場合によっては、得られた前記メチル化パターンを対照サンプルにより示されたパターンと比較する工程。
【請求項31】
以下の工程を含む、サンプル中のCpGアイランド配列のメチル化状態を決定する方法:
a)核酸サンプルを得る工程;
b)(i)請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法にしたがって又は装置を用いて、前記核酸サンプルの一部分からCpGアイランド核酸フラグメントを単離する工程;
(ii)メチル化CpGアイランド核酸フラグメントと結合することができる物質を用いて、前記核酸サンプルの更なる部分からメチル化CpGアイランド核酸フラグメントを単離する工程;
c)工程b)の(i)及び(ii)から得た1以上の単離したCpGアイランド核酸フラグメントを、場合によっては標識の存在下で、増幅する工程;及び
d)前記1以上のCpGアイランドが、メチル化されているか又はメチル化されていないかを決定する工程。
【請求項32】
以下の工程を含む、CpGアイランドアレイを作製する方法:
a)表1から得られる情報を用いて、1以上のCpGアイランド特異的配列を調製する工程;及び
b)前記1以上のCpGアイランド特異的配列を、基盤とアレイで結合させる工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−518596(P2008−518596A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538516(P2007−538516)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004202
【国際公開番号】WO2006/046076
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(504373299)ユニヴァーシティ コート オブ ザ ユニヴァーシティ オブ エディンバラ (11)
【Fターム(参考)】