D1451光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを配合するための方法
権利請求される本発明の第1の態様は、遠距離通信ネットワークに用いられる光ファイバに塗布するための放射線硬化性スーパーコーティングを配合する方法である。放射線硬化性スーパーコーティングを配合する方法に有用な多層フィルムドローダウン方法も記載され、権利請求される。特定の放射線硬化性スーパーコーティングで被覆されたシングルモード光ファイバも記載され、権利請求される。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連特許出願]
本特許出願は、2009年10月9日に出願された米国仮特許出願第61/272596号および2009年10月9日に出願された米国仮特許出願第61/250329号、2009年12月17日に出願された米国仮特許出願第61/287567号および2010年7月13日に出願された米国仮特許出願第61/363965号の優先権を主張するものであり、これらの仮特許出願は全て、全体が参照により援用される。
【0002】
[技術分野]
本発明は、光ファイバ用の放射線硬化性コーティングに関する。
【0003】
[背景技術]
光ファイバは、その長さに沿って光を伝送するガラスファイバである。光ファイバは、光ファイバ通信に広く用いられており、光ファイバ通信により、他の通信形態より長距離にわたり、かつより高い帯域幅(データ速度)での伝送が可能になる。信号がファイバに沿ってより少ない損失で移動し、また、ファイバは電磁妨害に影響されないため、金属線の代わりにファイバが用いられる。
【0004】
光は、全反射によって光ファイバのコアに保持される。これによりファイバは導波路として働く。多くの伝播経路または横モードを支持するファイバがマルチモードファイバ(MMF)と呼ばれる一方、シングルモードのみを支持することが可能なファイバはシングルモードファイバ(SMF)と呼ばれる。MMFは一般により大きなコア径を有し、短距離通信リンクおよび高電力を伝送しなければならない用途に用いられる。SMFは、550メートル(1,800フィート)より長いほとんどの通信リンクに用いられる。
【0005】
本特許出願全体を通して、伝送損失としても知られている光ファイバの減衰は、伝送媒体を通って移動された距離に対する光線(または信号)の強度の低下と定義される。光ファイバの減衰損失係数は、通常、デシベル/キロメートル(dB/kmと略記される)の単位を用いて報告される。
【0006】
減衰は、長距離にわたるデジタル信号の伝送を制限する重要な要因である。このため、光信号の減衰の抑制および増幅の最大化の両方に多くの研究が参入している。光ファイバの減衰が主に散乱および吸収の両方によって引き起こされることが実証的研究により示されている。
【0007】
1965年に、チャールズ・K・カオ(Charles K.Kao){「groundbreaking achievements concerning the transmission of light in fibers for optical communication」で2009年のノーベル物理学賞を受賞した3人の受賞者の1人}および英国企業のStandard Telephones and Cables(STC)のGeorge A.Hockhamが、光ファイバの減衰が20デシベル/キロメートル(dB/km)未満に低減され得る(これにより、光ファイバが通信用の実用的な媒体となり得る)という考えを最初に広めた。彼らは、当時入手可能なファイバの減衰が、散乱などの根本的な物理的影響よりむしろ、除去可能な不純物によって引き起こされたことを提案した。米国のガラスメーカーのコーニンググラスワークス(Corning Glass Works)(現コーニング社(Corning Incorporated))に勤務する研究者のRobert D.Maurer、Donald Keck、Peter C.Schultz、およびFrank Zimarによって、20dB/kmという決定的な減衰レベルが1970年に最初に達成された。彼らは、シリカガラスにチタンをドープすることによって、17dB/kmの減衰を有するファイバを実証した。数年後、彼らは、コアドーパントとして二酸化ゲルマニウムを用いて、わずか4dB/kmの減衰を有するファイバを製造した。このような低い減衰の達成は、光ファイバ通信の途を開き、インターネットを可能にした。
【0008】
以下の米国特許の全体が参照により援用される:2000年1月11日に交付された米国特許第6,014,488号明細書。
【0009】
マイクロベンドは、数マイクロメートルの局所的な軸方向変位および数ミリメートルの空間波長を含む光ファイバにおけるシャープであるが微細な屈曲である。マイクロベンドは、熱応力および/または機械的な横力によって引き起こされ得る。マイクロベンドが存在すると、被覆された光ファイバの信号伝送能力が減衰される。したがって、遠距離通信ネットワークの成功のために、各遠距離通信システムが光ファイバの減衰の許容増加量に対する限度を有し、その限度に達するのを防ぐために、全体的にマイクロベンドを低減するのがよいことが知られている。その理由は、マイクロベンドの低減が減衰の増加を低減するためである。
【0010】
光ファイバコーティング技術の開発の重要な原動力の1つは、映像(video)におけるユーザ需要の高まりである。光ファイバコーティングの既存の技術では、2Gネットワークアプリケーションで十分である。しかしながら、3G、4G、およびIPTVなどの将来のネットワーク、高解像度テレビ(HDTV)、テレビ会議および他の高帯域幅アプリケーションは、光ファイバの性能のより高い要件を課すことになるため、光ファイバコーティングの性能の要件はますます高まるであろう。
【0011】
インターネット上の映像アプリケーションの大きな需要を満たすために、次世代の遠距離通信ネットワークは、より大きな容量、より長い距離およびより広いスペクトル領域の伝送を支持する必要があり、現世代の光ファイバG652の性能は、長距離線形ユーティリティ(long haul straight alignment utility)向けに開発されたため;G562は、ファイバトゥザホーム(FTTH)という難題の要件を満たすのに適していない。
【0012】
通信信号の光伝送が、家庭およびMDU(集合住宅)に入り込むにしたがい、ガラス光ファイバはよりきつい曲げに直面し、光ファイバの製造業者はG657に準拠した耐マクロベンドファイバを提供することが求められている。同時に、帯域幅の需要の高まりは、配備されるネットワークの利用可能なマージンに負担をかけている。
【0013】
光ファイバ用の第1世代の放射線硬化性DeSolite Radiation curable Supercoating(商標)(DSM IP Assets B.V.の商標)が、全体が参照により本明細書に援用される以下の米国特許出願に記載され、権利請求されている:2007年12月13日に出願され、2008年9月19日に米国特許出願公開第20080226916号明細書として公開された米国特許出願第11/955935号明細書;2007年12月13日に出願され、2008年10月23日に米国特許出願公開第20080241535号明細書として公開された米国特許出願第11/955838号明細書;2007年12月13日に出願され、2008年9月19日に米国特許出願公開第20080226912号明細書として公開された米国特許出願第11/955547号明細書;2007年12月13日に出願され、2008年9月19日に米国特許出願公開第20080226914号明細書として公開された米国特許出願第11/955614号明細書;2007年12月13日に出願され、2008年9月19日に米国特許出願公開第20080226913号明細書として公開された米国特許出願第11/955604号明細書;2007年12月13日に出願され、2008年9月25日に米国特許出願公開第20080233397号明細書として公開された米国特許出願第11/955721号明細書;2007年12月13日に出願され、2008年9月19日に米国特許出願公開第20080226911号明細書として公開された米国特許出願第11/955525号明細書;2007年12月13日に出願され、2008年9月19日に米国特許出願公開第20080226915号明細書として公開された米国特許出願第11/955628号明細書;および2007年12月13日に出願され、2008年9月19日に米国特許出願公開第20080226909号明細書として公開された米国特許出願第11/955541号明細書。
【0014】
「D1381 RADIATION CURABLE SUPERCOATINGS FOR OPTICAL FIBER」という発明の名称で、2007年12月13日に出願され、2009年9月18日に米国特許出願公開第20080226909号明細書として公開された米国仮特許出願第11/955541号明細書には、光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティング(Radiation Curable Supercoatings)が以下のとおりに記載され、権利請求されている:
光ファイバを被覆するのに好適なスーパーコーティングであって;
スーパーコーティングが、少なくとも2層を含み、第1の層が、光ファイバの外側表面と接触状態にある一次被覆であり、第2の層が、一次被覆の外側表面と接触状態にある二次被覆であり、
光ファイバの上の硬化された一次被覆が、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
A)約84%〜約99%の%RAU;
B)約0.15MPa〜約0.60MPaのインサイチュ弾性率;および
C)約−25℃〜約−55℃のチューブTg
を有し;
光ファイバの上の硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
A)約80%〜約98%の%RAU;
B)約0.60GPa〜約1.90GPaのインサイチュ弾性率;および
C)約50℃〜約80℃のチューブTg
を有するスーパーコーティング。
【0015】
DSM Desotechによって、DeSolite Supercoatings(商標)ラインの光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティング(www.Supercoatings.comを参照)が最近発売されたのに伴い、スーパーコーティングの使用が、光ファイバのマイクロベンド特性に大きなプラスの効果を与えることが報告された。したがって、スーパーコーティングの使用が、光ファイバにおけるマイクロベンドの量を低減することが知られ、マイクロベンドの量の低減が、遠距離通信ネットワークにおける減衰の量を低減する。
【0016】
インターネットおよび最新の遠距離通信デバイスにおける帯域幅の需要の高まりを受けて、耐減衰性の光ファイバに対する需要も高まることになる。したがって、放射線硬化性スーパーコーティングに対する需要が高まることになる。耐減衰性の光ファイバおよび放射線硬化性スーパーコーティングに対する需要が高まるにしたがい、光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを選択し、配合するための方法を有することが望ましいであろう。
【0017】
[発明の概要]
権利請求される本発明の第1の態様は、遠距離通信ネットワークに用いられる光ファイバに塗布するための放射線硬化性スーパーコーティングを配合する方法であり、前記スーパーコーティングが、少なくとも2層を含み、第1の層が、光ファイバの外側層表面と接触状態にある一次被覆であり、第2の層が、一次被覆の外側表面と接触状態にある二次被覆であり、光ファイバの上の硬化された一次被覆が、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で少なくとも1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
1)約84%〜約99%の%RAU;
2)約0.15MPa〜約0.60MPaのインサイチュ弾性率;および
3)約−25℃〜約−55℃のチューブTgを有し;
光ファイバの上の硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で少なくとも1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
4)約80%〜約98%の%RAU;
5)約0.060GPa〜約1.90GPaのインサイチュ弾性率;および
6)約50℃〜約80℃のチューブTgを有し;
前記方法は:
a)光ファイバが設置される遠距離通信ネットワークの減衰の最大許容増加(Maximum Acceptable Increase in Attenuation)要件を決定する工程と;
b)スーパーコーティングのフィールドアプリケーション環境(Field Application Environment)を決定する工程であって:
i)光ファイバに用いられるガラスのタイプを選択する工程と;
ii)スーパーコーティングの二次被覆が、スーパーコーティングの一次被覆の上にウェットオンドライまたはウェットオンウェットのどちらで塗布されるかを決定する工程と;
iii)光ファイバ上にスーパーコーティングを硬化するのに用いられる光のタイプ、数を選択し、その光を線引き塔(draw tower)製造ラインに沿って位置決めする工程と;
iv)スーパーコーティングが塗布されるライン速度を選択する工程と
を含む工程と;
c)液体の非硬化状態の一次被覆組成物を配合する工程と;
d)液体の非硬化状態の二次被覆組成物を配合する工程と;
e)図2、3および4に示される、以下の三次元ひも付け方法(Three−Dimensional Laced Methodology):
i)スーパーコーティングパラメータ1)〜6)が達成されるかどうかを決定するためにスーパーコーティングの一次被覆および二次被覆を試験する工程であって;
ここで、
−スーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てが達成された場合、工程f)に進み;
−スーパーコーティングパラメータ1)〜6)のいずれか1つでも達成されなかった場合、スーパーコーティングの一次被覆または二次被覆のいずれかまたは両方を再配合し、スーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てが達成されるまで工程ii)を繰り返す工程と;次に
ii)他の配合に対しておよびスーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てに対して各配合の変更を評価することによって、スーパーコーティングの一次被覆および二次被覆の再配合の完全性を確認する工程と
を用いる工程と;
f)工程e)i)および工程e)ii)からの結果を用いて、被覆された光ファイバの減衰の最大許容増加を達成するためのスーパーコーティングの選択を最終決定する工程と
を含む。
【0018】
権利請求される本発明の第2の態様は、三次元ひも付け方法が、放射線硬化性スーパーコーティングの一次被覆層および二次被覆層の結合された複合物を評価するために多層フィルムドローダウン方法(Multi−Layer Film Drawdown method)を用いる工程を含む、第1の態様の方法である。
【0019】
権利請求される本発明の第3の態様は、多層フィルムドローダウン方法であって:
a)試験用の基材を選択する工程と;
b)所定の厚さのドローダウンバーを用いて、一次被覆を基材に塗布する工程と;
c)場合により一次被覆を硬化する工程と;
d)所定の厚さのドローダウンバーを用いて、二次被覆を一次被覆に塗布する工程であって、二次被覆を塗布するためのドローダウンバーの所定の厚さが、一次被覆を塗布するのに用いられるドローダウンバーの所定の厚さより厚い工程と;
e)一次被覆および二次被覆の両方を硬化させて結合された複合フィルムにするのに十分な放射線を多層フィルムに加える工程と;
f)フィルムを基材から取り外す工程と;
g)硬化されたフィルムの機能特性を評価する工程と
を含む方法である。
【0020】
権利請求される本発明の第4の態様は、一次被覆層と二次被覆層とを含むスーパーコーティングで被覆されたシングルモード光ファイバであり;
硬化の前の一次被覆層の組成は、実施例1PA2、1PB3、1PC1、1PD5、2α、および2βの配合からなる群から選択され;
硬化の前の二次被覆層の組成は、実施例2SA4および2SB3および3SA1および5SA1の配合からなる群から選択される。
【0021】
権利請求される本発明の第5の態様は、一次被覆層と二次被覆層とを含む放射線硬化性コーティングで被覆されたマルチモード光ファイバであり、
硬化の前の一次被覆層の組成は、実施例1PD5の配合からなる群から選択され;
硬化の前の二次被覆層の組成は、実施例2SA4および2SB3および3SA1および5SA1の配合からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】光ファイバコーティングの通常の配合がどのように行われてきたかについての配合図の従来の描写の略図である(先行技術を示す)。これは比較例であり、権利請求される本発明の実施例ではない。
【図2】光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを配合するための三次元ひも付け方法を示す第1の実施形態である。
【図3】光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを配合するための三次元ひも付け方法を示す第2の実施形態である。
【図4】光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを配合するための三次元ひも付け方法を示す第3の実施形態である。
【図5】多層フィルムドローダウン方法の結果の図であり、1.5ミルのバーでドローダウンされたスーパーコーティングの一次層、次に褐色層として観察され、3ミルのバーで一次層の上にドローダウンされたスーパーコーティングの二次層の候補、および硬化されたプレート全体の着色された写真を示している。
【図6】2組の2つの配置(sitting)が互いに重ねられているのと同等の外観を有する4つのスペクトルを示す「全て」のスペクトルである。
【図7】着色された二次部分のみ、および2回のドローダウン部分の上部を示す「褐色」のスペクトルである。2つのスペクトルはかなり一致している。
【図8】「実施例1PC1のスーパーコーティングの一次層についての」スペクトルであり、二重層のガラス側面、および単一の3ミルの実施例1PC1のスーパーコーティングの一次層のガラス側面のドローダウンを示す。同様に、スペクトルは非常に一致している。
【図9】一次被覆PMoctスーパーコーティングの候補のフラットフィルムドローダウンのDMAプロットであり、これは比較例であり、権利請求される本発明の試験方法の実施例ではない。
【図10】二次被覆PMoct、スーパーコーティングの候補のフラットフィルムドローダウンのDMAプロットであり、これは比較例であり、権利請求される本発明の試験方法の実施例ではない。
【図11】線引き塔シミュレータを用いてワイヤの上に設置された一次被覆PMoctスーパーコーティングに対する二次被覆PMoct、スーパーコーティングの候補のチューブのDMAプロットであり;これは比較例であり、権利請求される本発明の試験方法の実施例ではない。
【図12】ウェットオンウェット(W−O−Wと略記される)で塗布されたPMoct二次被覆(実施例2SB3)によって覆われたPMoct一次被覆(実施例1PB3)の複合フィルムの動的機械分析(「DMA」)プロットである。
【図13】ウェットオンドライ(W−O−Dと略記される)で塗布されたPMoct二次被覆(実施例2SB3)によって覆われたPMoct一次被覆(実施例1PB3)の複合フィルムのDMAプロットである。
【0023】
[発明の詳細な説明]
権利請求される本発明の第1の態様は、遠距離通信ネットワークに用いられる光ファイバに塗布するための放射線硬化性スーパーコーティングを配合する方法であり、前記スーパーコーティングが、少なくとも2層を含み、第1の層が、光ファイバの外側層表面と接触状態にある一次被覆であり、第2の層が、一次被覆の外側表面と接触状態にある二次被覆であり、光ファイバの上の硬化された一次被覆が、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で少なくとも1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
1)約84%〜約99%の%RAU;
2)約0.15MPa〜約0.60MPaのインサイチュ弾性率;および
3)約−25℃〜約−55℃のチューブTgを有し;
光ファイバの上の硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で少なくとも1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
4)約80%〜約98%の%RAU;
5)約0.060GPa〜約1.90GPaのインサイチュ弾性率;および
6)約50℃〜約80℃のチューブTgを有し;
前記方法は:
a)光ファイバが設置される遠距離通信ネットワークの減衰の最大許容増加要件を決定する工程と;
b)スーパーコーティングのフィールドアプリケーション環境を決定する工程であって:
i)光ファイバに用いられるガラスのタイプを選択する工程と;
ii)スーパーコーティングの二次被覆が、スーパーコーティングの一次被覆の上にウェットオンドライまたはウェットオンウェットのどちらで塗布されるかを決定する工程と;
iii)光ファイバ上にスーパーコーティングを硬化するのに用いられる光のタイプ、数を選択し、その光を線引き塔製造ラインに沿って位置決めする工程と;
iv)スーパーコーティングが塗布されるライン速度を選択する工程と
を含む工程と;
c)液体の非硬化状態の一次被覆組成物を配合する工程と;
d)液体の非硬化状態の二次被覆組成物を配合する工程と;
e)図2、3および4に示される、以下の三次元ひも付け方法:
i)スーパーコーティングパラメータ1)〜6)が達成されるかどうかを決定するためにスーパーコーティングの一次被覆および二次被覆を試験する工程であって;
ここで、
− スーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てが達成された場合、工程f)に進み;
− スーパーコーティングパラメータ1)〜6)のいずれか1つでも達成されなかった場合、スーパーコーティングの一次被覆または二次被覆のいずれかまたは両方を再配合し、スーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てが達成されるまで工程ii)を繰り返す工程と;次に
ii)他の配合に対しておよびスーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てに対して各配合の変更を評価することによって、スーパーコーティングの一次被覆および二次被覆の再配合の完全性を確認する工程と
を用いる工程と;
f)工程e)i)および工程e)ii)からの結果を用いて、被覆された光ファイバの減衰の最大許容増加を達成するためのスーパーコーティングの選択を最終決定する工程と
を含む。
【0024】
本方法の第1の工程は、光ファイバが設置される遠距離通信ネットワークの減衰の最大許容増加要件を決定する工程である。遠距離通信ネットワークの減衰要件を決定する工程は、光ファイバネットワークの設計基準を含む。設計のいくつかの考慮事項には:どのくらいのネットワークがシングルモード光ファイバのファイバトゥザホーム(FFTHと略記される)設置であるかと比較して、どのくらいのネットワークがマルチモード光ファイバの直線設置であるかを理解することが含まれる。光ファイバネットワークを設計する技術分野の当業者に公知の、光ファイバネットワークの多くの他の設計基準がある。
【0025】
光ファイバネットワークの設計の具体的な考慮事項には以下が含まれる:
従来の直線光ファイバ長距離ネットワークに対して、FTTHアプリケーションは、少なくとも3つの波長で動作する必要があることが現在知られている:
1310nm(データ/音声アップストリーム)
1490nm(データ/音声ダウンストリーム)
1550nm(映像信号)。
従来の光ファイバネットワークは、1310nm〜1550nmの標準的なシングルモード波長を使用しており、1625nmの波長がシステムの試験に利用可能である。現在、信号伝送に対する要求の高まりとともに、将来の光ファイバネットワークは、1310nm、1550nmおよび1625nmで、実データを含む信号を伝送可能である必要があることが予想されている。これらの3つの波長の全てで伝送可能なファイバを組み込んだ光ファイバネットワークは、マクロベンドおよびマイクロベンドの両方により脆弱であることが知られている。マイクロベンドは、1625の波長における伝送により多くの被害を与えることが知られている。
【0026】
遠距離通信産業における減衰の規格にはいくつかの提供源がある。このような規格設定組織の1つは、米国電気通信工業会(Telecommunications Industry Association)(TIA)であり、これは、規格開発、市場戦略情報の提供、政府業務のガイダンス、光ファイバおよび光ファイバを含むネットワークの認証および世界規模の環境規制コンプライアンスに関する勧告などの活動を通して世界情報通信技術(ICT)産業を代表する主導的な事業者団体である。TIAの米国技術諮門グループ(United States Technical Advisory Groups)(USTAG)も国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)(IEC)などの国際的な規格設定活動に参加している。
【0027】
遠距離通信産業における減衰の規格の別の提供源はIECである。国際電気標準会議(IEC)は、全ての電気、電子および関連技術の国際規格を作成し、発表している主導的な国際組織である。これらは、国内の標準化の基準として、ならびに国際入札および国際契約を行うときの参考として機能している。
【0028】
Telcordiaは、光ファイバの媒体および構成要素分析およびコンサルタント業務を提供する米国に本社がある企業である。彼らはまた、光ファイバの一般要件のライブラリーを作成し、保持している。
【0029】
これらの組織の全ては、公表された文献、報告および規格を有し、これらは、光ファイバネットワークを設計する技術分野の当業者によって用いられる。
【0030】
マイクロベンド感受性を試験するのに用いられる方法は、IEC TR 62221、第1版10〜2001に記載されている。マイクロベンド感受性を測定するのに用いられる試験方法は現在4つあり、マイクロベンド感受性は、dB/kmの減衰単位で報告される。
【0031】
方法A−拡張可能なドラムは、ドラム表面に一定の粗さの材料を有する拡張可能なドラムの周りに最小の張力で巻かれる少なくとも400mのファイバを必要とする。方法B−一定の直径のドラムは、ドラム表面に一定の粗さの材料を有する一定の直径のドラムの周りに3Nの張力で巻かれる少なくとも400mのファイバを必要とする。方法C−ワイヤメッシュは、試験されるファイバへのワイヤメッシュの取付け(荷重下)を必要とする。方法D−綾織りは、「綾織り」の覆い(“basketweave”wrap)によって一定の直径のドラムに塗布される2.5kmのファイバを必要とする。
【0032】
これらの4つの試験方法のうち、方法Dのみが、温度に応じたファイバのマイクロベンド感受性を測定する手順を具体的に説明しており、広い温度範囲にわたるマイクロベンド感受性を提供し、温度サイクルが−60℃などのより低い温度を含み得ることを示唆している。
【0033】
本特許出願全体を通して、試験方法D−綾織りを用いたマイクロベンド感受性は、規定の波長および温度において、dB/Kmの数値を単位として表される。
【0034】
マイクロベンド感受性を試験するのに現在用いられている少なくとも4つの異なるタイプの試験があり、試験結果がdB/kmの減衰単位で報告される。4つの特定のマイクロベンド感受性試験方法は、IEC TR 62221、第1版10〜2001に記載されている。
【0035】
それらの試験方法は以下のとおりである:
方法A 拡張可能なドラム:ドラム表面に一定の粗さの材料を有する拡張可能なドラムの周りに最小の張力で巻かれる少なくとも400mのファイバを必要とする。
方法B 一定の直径のドラム:ドラム表面に一定の粗さの材料を有する一定の直径のドラムの周りに3Nの張力で巻かれる少なくとも400mのファイバを必要とする。
方法C ワイヤメッシュ:試験されるファイバへのワイヤメッシュの取付け(荷重下)を必要とする。
方法D 綾織り:「綾織り」の覆いによって一定の直径のドラムに塗布される2.5kmのファイバを必要とする。
【0036】
本特許出願全体を通して、方法Dで測定されたマイクロベンド感受性は、所定の波長および温度における、dB/Kmの数値を単位として表される減衰単位で記載され、報告される。いかなるマイクロベンド感受性が得られても、得られた数値は、所与の遠距離通信ネットワークにおけるその光ファイバに許容可能な減衰の最大許容増加であることが理解される。
【0037】
これらの4つの試験方法のうち、方法Dのみが、温度に応じたファイバのマイクロベンド感受性を測定する手順を具体的に説明しており、広い温度範囲にわたるマイクロベンド感受性を提供し、温度サイクルが−60℃などのより低い温度を含み得ることを示唆している。
【0038】
当業界において、遠距離通信ネットワークにおける光ファイバが、−60℃の低さの温度に日常的に曝され得る可能性は低いことが理解される。しかしながら、最近の中国での現場故障の後、遠距離通信ネットワークにおける光ファイバのマイクロベンド感受性の規格が約25℃の室温であるのは、長期間にわたって温度が氷点(0℃または32°F)下になる冬の間に遠距離通信ネットワークが「ダークファイバー」を発生させるのを防ぐのに不十分であることも理解され始めている。
【0039】
本出願人は、IEC手順によるベースラインからの減衰の変化としてマイクロベンド感受性を報告することを選択した。この手順では、減衰の変化の報告を規定の波長および−60℃の温度で報告する必要がある。本出願人は、これらの極端な温度条件におけるマイクロベンド感受性データの報告が、現場における被覆された光ファイバのマイクロベンド感受性のある種の「最悪のシナリオ」の可能性をもたらし得ると考えている。
【0040】
−60℃のレベルにおける光ファイバのマイクロベンド感受性特性が許容可能とみなされる場合、同じレベルの機械的応力を想定している室温における光ファイバの性能も許容可能であろうと想定するのが妥当であるというのが本出願人の見解である。
【0041】
この点に付け加えて、室温におけるマイクロベンド感受性試験では、標準的な「スーパーコーティングでない」コーティングで被覆された光ファイバの間のマイクロベンド感受性の差を特定できる場合またはできない場合があり、その理由は、室温においては、スーパーコーティングも非スーパーコーティングも、一次被覆のガラス転移温度(Tg)に近い温度範囲にないためである。
【0042】
標準的な「スーパーコーティングでない」コーティングで被覆された光ファイバと、スーパーコーティングで被覆された光ファイバとの間の差は、非常に低い温度でのマイクロベンド試験で現れるが、その理由は、標準的な「スーパーコーティングでない」一次被覆層は非常に低い温度でそのガラス転移温度を超え、それによってゴム状態からガラス状態へと移行するためである。光ファイバコーティングの一次層をガラス状態にすることは、マイクロベンド感受性を高めることが知られている。これに対して、スーパーコーティングの一次層のTgははるかに低いため、スーパーコーティングの一次層は、ゴム状態のままであり、これはマイクロベンド感受性にとってより有利である。
【0043】
光ファイバ用の標準的な「非放射線硬化性スーパーコーティング」と光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングとの間の差を説明する別の方法は、一次被覆層における完全に硬化された低弾性率の低Tgコーティングと、スーパーコーティングの二次被覆層における完全に硬化された高弾性率の高Tgコーティングとの組合せが、極端な温度もしくは機械的応力のいずれかまたは極端な温度および機械的応力の両方の下での許容可能な性能につながることであり、ここで、許容可能な性能は、報告される減衰の増加が許容可能なファイバに反映される低レベルのマイクロベンド感受性によって判断される。
【0044】
現行の慣例では、遠隔通信ネットワークには、一般に1310nmおよび室温において公知の最大減衰を有する光ファイバが供給されることが必要であることが理解される。この最高の許容レベルの減衰は、遠距離通信ネットワークの設計基準の技術分野の当業者に公知である。
【0045】
放射線硬化性スーパーコーティングで被覆された光ファイバでは、3つの別の波長および非常に低温(−60℃)でマイクロベンド感受性を報告することが可能であり、望ましい。次に、このデータは、ネットワーク設計者が限界を理解し、ネットワークの故障モードを予測できるようにするのに用いられ得る。標準的な「非スーパーコーティング」で被覆された光ファイバを含むネットワークは、放射線硬化性スーパーコーティングで被覆された光ファイバを含むネットワークより、極端な温度および機械力のケーブル環境に伴う応力に対する耐性がはるかに低いというのが本出願人の見解である。別の要因は、光ファイバを被覆するのに放射線硬化性スーパーコーティングを使用することで、光ファイバを被覆するのに標準的な「非放射線硬化性スーパーコーティング」を用いた際に組み込まれるのと同じ「安全マージン」を必要とせずに設計することができるほど十分なデータを遠隔通信ネットワークに与え得ると考えられていることである。
【0046】
本方法の次の工程は、光ファイバが設置される遠距離通信ネットワークのスーパーコーティングのフィールドアプリケーション環境要件を決定する工程である。フィールドアプリケーション環境は、4つの要因を理解することを含む:
i)光ファイバに用いられるガラスのタイプ;
ii)スーパーコーティングの二次層が、スーパーコーティングの一次層の上にウェットオンドライまたはウェットオンウェットのどちらで塗布されるか;
iii)光ファイバ上にスーパーコーティングを硬化するのに用いられる光のタイプ、数、および線引き塔製造ラインに沿ったその光の位置決め;ならびに
iv)スーパーコーティングが塗布されるライン速度。
【0047】
関連要素i):光ファイバは、長距離直線ケーブルの設置のための標準グレードを有することが知られている。最近、様々なグレードの「耐曲げ」光ファイバが、コーニングおよびDrakaおよびOFSおよびYOFCなどの光ファイバ供給業者によって開発されている。これらの耐曲げ光ファイバは、ファイバトゥザノード(FTTX)およびファイバトゥザホーム(FTTH)アプリケーションに配備されている。
【0048】
標準グレードおよび耐マイクロベンド光ファイバについての詳細は、供給業者独自の文献およびウェブサイトから得られる。
【0049】
現在販売されている市販の光ファイバとしては以下が挙げられる:コーニング(登録商標)InfiniCor(登録商標)光ファイバ、コーニング(登録商標)ClearCurve(登録商標)OM2/OM3/OM4マルチモード光ファイバ、コーニング(登録商標)ClearCurve(登録商標)シングルモード光ファイバ、コーニング(登録商標)SMF−28e(登録商標)XB光ファイバ、コーニング(登録商標)SMF−28(登録商標)ULL光ファイバ、コーニング(登録商標)LEAF(登録商標)光ファイバ、コーニング(登録商標)Vascade(登録商標)光ファイバおよびコーニング(登録商標)Specialty Fiber、Draka BendBright SingleMode(BB)、Draka TeraLight Singlemode(TM)、Draka TeraLight Ultra Singlemode(TU)、Draka BendBright−XS(BX)、Draka Enhanced Single Mode、Draka NZDSF−LA Singlemode(LA)、OFS AllWave(登録商標)Zero Water Peak(ZWP)および新たに導入されたOFS AllWave FLEX ZWP Fibers、OFS LaserWave(登録商標)Fibers、OFS Access ADVANTAGE(商標)System。OFS HCS(登録商標)、OFS FiberWire(登録商標)、およびOFS PYROCOAT(登録商標)ブランドの技術、YOFC HiBand GIMMファイバ、YOFC High Temperature Fibre(HTF)シリーズ、YOFC HiBand Graded−Index Multimode Optical Fiber(50/125および62.5/125um)など。
【0050】
通常、直線アプリケーションに配備されるファイバは、FTTXおよびFTTHアプリケーションに配備されるファイバより応力が少なく、マイクロベンドが少ない。したがって、FTTXおよびFTTHアプリケーション用のファイバに塗布される放射線硬化性スーパーコーティングの選択は、FTTXおよびFTTH光ファイバの性能に極めて重要である。したがって、被覆される光ファイバがFTTXおよびFTTHアプリケーションに指定されるときは常に、スーパーコーティングは、マイクロベンドに対する耐性が高くなければならない。
【0051】
スーパーコーティングの配合に特有なのは、6つの所要の特性を達成するためのどのくらいの配合要件が、光ファイバのコーティングの機械的態様に依存するのかということだけである。例えば、標準グレードの光ファイバをスーパーコーティングで被覆し、所望の減衰特性を有する被覆された光ファイバを得ることができるが、「耐曲げ」高品質グレードの光ファイバを標準的な「非スーパーコーティング」で被覆し、被覆された光ファイバが許容できないマイクロベンド感受性を有する結果となり、システムの所要の許容レベルの減衰を達成できないこともあり得る。したがって、所望の減衰特性を有する光ファイバを製造するために、スーパーコーティングの配合者が、光ファイバ製造プロセスの詳細を理解していることが望ましく、場合により必須でさえある。これらの詳細には、ガラスのタイプ、処理温度、コーティングのアプリケーションの周囲の雰囲気、ライン速度、放射線源(通常、「硬化ランプ」として表される)のタイプ、ならびに処理ラインに沿った硬化ランプの位置および数ならびに二次被覆が一次被覆の上にウェットオンウェットまたはウェットオンドライのどちらで塗布されるかが含まれる。ガラス処理に対するこれらのタイプの機械的態様は、これまで、光ファイバコーティングの配合者にとって関心の対象ではなかった。その理由は、配合者は光ファイバコーティングに着目し、ガラスメーカーがガラスに着目していたためである。上述したように、ガラスの処理についての十分な量の情報がなくても、標準グレードの光ファイバをスーパーコーティングで被覆し、所望のマイクロベンド感受性特性を有する被覆された光ファイバを得ることができるが、「耐曲げ」高品質グレードの光ファイバを標準的な非スーパーコーティングで被覆し、被覆された光ファイバが、所望のマイクロベンド感受性特性を有さない結果になることもあり得る。
【0052】
関連要素iii)光ファイバ上にスーパーコーティングを硬化するのに用いられる光のタイプ、数、および線引き塔製造ラインに沿ったその光の位置決め;光ファイバに塗布される放射線硬化性コーティングを硬化するのに好適な紫外光を発する従来の紫外光水銀アークランプの使用は周知である。紫外光アークランプは、電気アークを用いて、不活性ガス(例えば、アルゴン)環境中にある水銀を励起して、硬化を生じさせる紫外光を生成することによって光を発する。あるいは、不活性ガス媒体中で水銀ランプを励起して紫外光を生成するのにマイクロ波エネルギーも用いることができる。本特許出願全体を通して、アークで励起されたおよびマイクロ波で励起された水銀ランプ、ならびにこれらの水銀ランプの様々な添加剤(鉄金属、ガリウムなど)で変性された形態が水銀ランプとみなされる。従来の紫外光水銀アークランプは、光ファイバ用の放射線硬化性コーティングの硬化に関して言えば「従来技術」である。
【0053】
しかしながら、放射線源としての紫外光水銀ランプの使用には、水銀および副生成物としてのオゾンの生成による環境問題を含むいくつかの欠点がある。さらに、水銀ランプは、通常、より低いエネルギー転換率を有し、起動時間を必要とし、動作中に熱を生成し、発光ダイオード「LED」によって生成される光と比較して大量のエネルギーを消費する。
【0054】
放射線硬化性スーパーコーティングの硬化にどのタイプの光が用いられることになるかを知ることは重大な情報であるが、その理由は、被覆された光ファイバの製造において、コーティングが揮発性物質の存在を回避するように配合されない場合、それらの揮発性物質は励起され、石英管表面に堆積されて、UV線がガラスファイバ上の液体コーティングを照射するのを妨げることで、液体コーティングが固体へと硬化されるのを妨げ得る点で、UV水銀ランプによって生成される熱は、液体コーティングに悪影響を与えるおそれがあるためである。
【0055】
紫外光水銀ランプに対して、発光ダイオード(LED)は、光を生成するのに電界発光現象を用いる半導体デバイスである。LEDは、電圧が加えられたときに正孔が負電子と結合する際に発光することが可能なp−n接合を生成するために不純物をドープされた半導体材料からなる。発される光の波長は、半導体の活性領域に用いられる材料によって決まる。LEDの半導体に用いられる通常の材料としては、例えば、周期表の第13族(III)および第15族(V)の元素が挙げられる。これらの半導体は、第III−V族半導体と呼ばれ、これらとしては、例えば、GaAs、GaP、GaAsP、AlGaAs、InGaAsP、AlGaInP、およびInGaN半導体が挙げられる。LEDに用いられる半導体の他の例としては、第14族(IV−IV半導体)および第12〜16族(II−VI)からの化合物が挙げられる。材料の選択は、発光の所望の波長、性能パラメータ、およびコストを含む複数の要因に基づいて行われる。
【0056】
初期のLEDは、赤外(IR)線および低強度の赤色光を発するのにガリウムヒ素(GaAs)を用いた。材料科学の進歩により、他の色の可視光およびUV光を含む、より高い強度およびより短い波長を有する光を発することができるLEDが開発された。約100nmの低さから約900nmの高さまでの範囲の光を発するLEDを作り出すことが可能である。現在、公知のLEDのUV光源は、約300〜約475nmの波長の光を発し、365nm、390nmおよび395nmが、一般的なピークスペクトル出力である。ケンブリッジ大学出版局(Cambridge University Press)によって出版されたE.Fred Schubertによるテキスト「Light−Emitting Diodes」、第2版、(著作権)E.Fred Schubert 2006を参照されたい。
【0057】
LEDランプは、硬化用途において従来の水銀ランプに勝る利点を提供する。例えば、LEDランプは、UV光を生成するのに水銀を使用せず、通常、水銀UVアークランプよりかさ張らない。さらに、LEDランプは、起動時間を必要としない即時のオン/オフ源であり、このことはLEDランプの低エネルギー消費に役立つ。LEDランプはまた、より高いエネルギー変換効率で、熱の生成がはるかに少なく、ランプの耐用期間がより長く、LEDに用いられる半導体材料の選択によって調節される所望の波長の光を実質的に単色で発する。
【0058】
いくつかのメーカーが、商業的な硬化用途のためのLEDランプを提供している。例えば、Phoseon Technology、Summit UV Honle UV America,Inc.、IST Metz GmbH、Jenton International Ltd.、Lumios Solutions Ltd.、Solid UV Inc.、Seoul Optodevice Co.,Ltd、Spectronics Corporation、Luminus Devices Inc.、およびClearstone Technologiesが、インクジェット印刷組成物、PVCフロアコーティング組成物、金属コーティング組成物、プラスチックコーティング組成物、および接着剤組成物を硬化するためのLEDランプを現在提供しているメーカーの一部である。
【0059】
関連要素iv)スーパーコーティングが塗布されるライン速度、「D 1381 RADIATION CURABLE SUPERCOATINGS FOR OPTICAL FIBER」という発明の名称で、2007年12月13日に出願され、2009年9月18日に米国特許出願公開第20080226909号明細書として公開された米国特許出願第11/955541号明細書には、スーパーコーティングが、約750メートル/分〜約2100メートル/分のライン速度でシングルモード光ファイバに塗布され得ることが記載されている。本特許出願の出願日の2010年10月8日時点で、光ファイバ産業は現在、2100メートル/分を超えるライン速度でシングルモード光ファイバをドローすることが可能である程度まで進歩している。2200メートル/分を超えるライン速度でシングルモード光ファイバをドローすることも可能である。2300メートル/分を超えるライン速度でシングルモード光ファイバをドローすることも可能である。それによって制約されるものではないが、2350メートル/分を超えるライン速度でシングルモード光ファイバをドローすることも可能であり得ることが考えられる。それによって制約されるものではないが、2400メートル/分を超えるライン速度でシングルモード光ファイバをドローすることができないこともあることが考えられる。
【0060】
本方法の次の工程は、三次元ひも付け方法、放射線硬化性スーパーコーティングの一次層および二次層の評価による放射線硬化性スーパーコーティングの候補の評価を用いることを含む。従来、光ファイバ用の一次および二次被覆は、二次元図式(two−dimensional diagramed way)の配合にしたがって配合され、再配合されていた。図1は、光ファイバコーティングの通常の配合がどのように行われてきたかについての配合図の従来の描写の略図である(先行技術を示す)。
【0061】
図1において、決定図10は、光ファイバコーティングを配合するための先行技術の二次元の手法を示す。図1において、望ましい機能特性Aが円Aによって示され、検討ポイントBは、光ファイバ上のフラットフィルムの形態または管状コーティングの形態のいずれかの液体光ファイバコーティングまたは硬化されたコーティングが、所望の機能特性を有するかどうかを決定する試験を表す。光ファイバコーティングが所望の機能特性を有する場合、決定木はyesへと進み、質問は終了する。光ファイバコーティングが所望の機能特性を有さない場合、配合者は、平行四辺形Dで表されるように、配合を検討し行うべき変更を決定し、次に矩形Cにおいて、配合が変更される。機能特性が検討ポイントBで再試験され、所望の機能特性が得られた場合、質問は終了する。所望の機能特性が得られない場合、決定木は上に戻り、配合者によって次の可能な配合が決定されるまで他の再配合の選択肢が考えられ、次に配合が変更され、次に所望の機能特性が再試験される。これは所望の物理的特性が得られるまで続く。
【0062】
コーティングを変更するための可能な方法は、表1A、1B、1C、1D、1E、2A、2B、2C、2D、2E、1F、2F、1G、2G、1H、2H、1J、および2Jに含まれる情報によって示され、これらの表は、スーパーコーティングの厳しい基準を満たす光ファイバ上の一次被覆層および二次被覆層の物理的特性を有する配合物を生成することに関して、光ファイバ用の一次および二次放射線硬化性コーティングを配合するのに用いられてもまたは用いられなくてもよい成分の従来技術の理解をまとめている。本明細書に含まれる表中の情報に加えて、交付された特許、公開された特許出願、学術論文および光ファイバ用の放射線硬化性コーティングの技術分野の当業者に一般的に公知の他の情報にさらなる情報が見られる。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】
【表8】
【0071】
【表9】
【0072】
【表10】
【0073】
【表11】
【0074】
【表12】
【0075】
【表13】
【0076】
【表14】
【0077】
【表15】
【0078】
【表16】
【0079】
【表17】
【0080】
【表18】
【0081】
【表19】
【0082】
【表20】
【0083】
図1に示される「二次元」の手法に対して、図2は、権利請求される本発明の光ファイバ用のスーパーコーティングを配合するための方法の工程2の第1の態様を示す。図2は、結び付けひも(linking lace)307によって三次元モデルにおいて結び付けられる6つの決定図10、20、30、40、50および60を示す。結び付けひも307は、配合の1つ以上の変更が一次被覆層および二次被覆層の1つ以上の機能特性に対する悪影響を確実に生じないように、光ファイバスーパーコーティングの一次被覆層または二次被覆層のいずれかになされるいかなる配合の変更も光ファイバスーパーコーティングの他の所望の特性が最初の変更がなされた後に試験されなければならないことを意味することを示す。
【0084】
光ファイバ用のスーパーコーティングの6つの必要な特性は以下のとおりである:
光ファイバ上の硬化された一次被覆は、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
A)約84%〜約99%の%RAU;
B)約0.15MPa〜約0.60MPaのインサイチュ弾性率;および
C)約−25℃〜約−55℃のチューブTgを有し;
光ファイバの上の硬化された二次被覆は、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
A)約80%〜約98%の%RAU;
B)約0.60GPa〜約1.90GPaのインサイチュ弾性率;および
C)約50℃〜約80℃のチューブTgを有する。
【0085】
図2に示されるように、権利請求される本発明の工程ii)は、スーパーコーティングの1つの態様の変更が他の5つの特性に確実に影響しないように、これらの6つの特性のうちの1つに影響を与えるようになされるいかなる配合の変更も、他の5つの機能特性の全てが同様に試験されなければならないことを意味することを示す。
【0086】
図3は、権利請求される本発明の光ファイバ用のスーパーコーティングを配合するための方法の工程ii)の第2の実施形態を示す。図3において、スーパーコーティングの一次被覆層または二次被覆層の再配合を含む可能な変更は、所望の機能特性を達成するための1つの変更が所望の機能特性を損ない得る他の変更も生じ得るかどうかを互いに対して試験されなければならない。
【0087】
図4は、権利請求される本発明の光ファイバ用のスーパーコーティングを配合するための方法の工程ii)の第3の実施形態を示す。図4において、可能な変更は、6つの必要なスーパーコーティングの機能特性の間で水平方向および垂直方向の両方において結び付けひもによって結び付けられる。この特性の結び付けは、光ファイバ用のスーパーコーティングを単に二次被覆層によって覆われた一次被覆層とは異なるものとする本質である。光ファイバ用のスーパーコーティングでは、実際は、一次および二次被覆層を互いに別個に配合する代わりに、これらの層のうちの1つのいかなる配合の変更も、スーパーコーティングの所要の全ての特性に対して試験されなければならない。
【0088】
権利請求される本発明の第2の態様は、三次元ひも付け方法が、放射線硬化性スーパーコーティングの一次被覆層および二次被覆層の結合された複合物を評価するために多層フィルムドローダウン方法を用いる工程を含む、権利請求される本発明の第1の態様の方法である。
【0089】
権利請求される本発明の第3の態様は:
a)試験用の基材を選択する工程と;
b)所定の厚さのドローダウンバーを用いて、一次被覆を基材に塗布する工程と;
c)場合により一次被覆を硬化する工程と;
d)所定の厚さのドローダウンバーを用いて、二次被覆を一次被覆に塗布する工程であって、二次被覆を塗布するためのドローダウンバーの所定の厚さが、一次被覆を塗布するのに用いられるドローダウンバーの所定の厚さより厚い工程と;
e)一次被覆および二次被覆の両方を硬化させて結合された複合フィルムにするのに十分な放射線を多層フィルムに加える工程と;
f)フィルムを基材から取り外す工程と;
硬化されたフィルムの機能特性を評価する工程と
を含む多層フィルムドローダウン方法である。
【0090】
図5は、このようなフィルムの1つを示す。
【0091】
多層フィルムドローダウン方法、可能な放射線硬化性スーパーコーティング一次および二次層の層を評価するための平板基材方法(flat plate substrate method)は、以下の工程を含む:
1)参照のために、UV硬化用のドローダウンフィルムを作製するための一般的な方法が、Szumらによって、43rd IWCS Proceedings(1994年)、p.59に記載されている。
2)通常の慣例は、透明な単一の厚さの窓ガラスで開始することになっている。1つ以上の少量の試験コーティングがガラス板自体、またはガラス板を覆う重ねられたポリエステルシートに塗布され、鳥型の目盛り付きバー(Bird type calibrated bar)でドローダウンされて、25μ〜75μの粘着性の(coherent)薄膜を広げられる。第1の層用の1つのこのような鳥型のバーは、1.5ミルのフィルム堆積高さを有する。これらの試験コーティングは、最も典型的な内側一次被覆である。
3)この第1のドローダウンの直後、第1のドローダウンフィルムの上にわたって、かつ第1のドローダウンフィルムの縁部を覆うのに十分広く第2のドローダウンが行われる。この第2のドローダウンも、鳥型の目盛り付きバーを用いて行われて、通常、75μ〜254μのフィルムが堆積される。第2の層用のこのような鳥型のバーの1つは、3.0ミルのフィルム堆積高さを有する。2回のドローダウンを有するガラス板および結果として得られる複合フィルムが、所望の硬化度を得るのに好適な化学線に曝される。この方法は、ウェットオンウェット方法として知られている。
4)ウェットオンドライ方法として知られている同様の方法が、第1のドローダウンフィルムが、一次被覆層を硬化するために化学線に曝されることを除いて、上述したウェットオンウェット方法と同じように行われる。この放射線曝露の後、第2のドローダウンが行われ、次に、板がさらに放射線に曝されて、二次層および一次層が硬化されて結合された複合フィルムにされる。
5)この手順により、規定の厚さの第1の層と、第2の上塗りドローダウンに用いられる目盛り付きの鳥型のバーの公称厚さから第1の層の厚さを差し引いた差によって計算される厚さの第2の層とで構成される硬化された複合フィルムを表面領域に有するガラス板が得られる。その際、これらの結合された複合フィルムは、光ファイバ用途に向けた放射線硬化性スーパーコーティングに望ましい特性に関連する通常の試験に好適である。
【0092】
この方法を用いて、少量の一次被覆をガラス板に塗布し、1ミルまたは1.5ミルの鳥型のバーを用いてドローダウンする。一次被覆層が未硬化である一方、着色された二次被覆層の第2のドローダウンが、3ミルのバーを用いて、一次被覆層の上になされる。図5に見られるように、結果は、許容可能な程度に均一であることが観察される。
【0093】
実際に、スーパーコーティングの一次層は、1.5ミルのバーを用いてドローダウンされ、次に、褐色層として観察されるスーパーコーティングの二次層の候補である実施例3SA3 着色2H、{着色2H褐色}が、3ミルのバーを用いてスーパーコーティングの一次被覆の上にドローダウンされる。このウェットオンウェット塗布の後、板は、一次被覆層および二次被覆層の両方を硬化して結合された複合フィルムにするのに十分な放射線に曝される。
【0094】
図5において、結合された複合フィルムは、3ミルの着色された二次被覆のより暗い領域と、各々が1.5ミルの一次被覆およびその上の着色された二次被覆のより明るい領域とを有して非常に均一であるように見える。結合された複合フィルムは、容易に取り外し可能であり、厚さおよび%RAUの測定、光ファイバ用のスーパーコーティングの両方の層の重要な測定を手作業で行うことができる(hand able)。
【0095】
追跡調査解析は、2回のドローダウン方法の際の層の混合が非常に少ないことを示す。簡単なw−o−wドローダウンが下層および上層の両方の別個の属性をそのまま残しながら、なおかつ2つの層が硬化の際に結合して、結合された複合フィルムになることを発見することは意外であった。
【0096】
層の混合がないことは、図7、8および9にさらに示される。
【0097】
図7は、2組の2つの配置が互いに重ねられているのと同等の外観を有する4つのスペクトルを示す「全て」のスペクトルである。
【0098】
図8は、着色された二次部分のみ、および2回ドローダウンした部分の上部を示す「褐色」のスペクトルである。2つのスペクトルはかなり一致している。
【0099】
図9は、「実施例3SA3 着色2H、{着色2H褐色}のスーパーコーティングの一次層についての配合選択肢A」のスペクトルであり、二重層のガラス側面、および単一の3ミルの実施例3のスーパーコーティングの一次層のガラス側面のドローダウンを示す。同様に、スペクトルは非常に一致している。
【0100】
その際、これらの複合フィルムは、光ファイバ用途に向けた放射線硬化性スーパーコーティングに望ましい特性に関連する通常の試験に好適である。試験は%RAUを含み得る。これは、二次層がウェット一次被覆層上にウェット塗布されるときに特に有用であり、二次層の硬化速度が一次被覆層の硬化速度より速くないことが重要となるが、その理由は、硬化された二次被覆層の光透過が液体の硬化されていない二次被覆層の光透過より通常低いことから、二次被覆が一次被覆より速く硬化する場合、一次被覆はその所望の%RAUになるまで硬化しないであろうためである。
【0101】
興味深い見解は、光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを配合するためのこの新規な方法によって、以下の向上された機能特性を有する放射線硬化性スーパーコーティングを配合することが可能になったことである:
一次被覆層および二次被覆層の両方について現在約100%の上限に及ぶ範囲の%RAU。
【0102】
この方法により、これまで利用できなかった方法で複合スーパーコーティングフィルムとしての一次および二次被覆の特性を調査するのが可能になる。この方法を用いて、線引き塔シミュレータを用いる必要なく取り扱いやすいフィルムで、引張特性、DMA特性、環境耐久性などについて、スーパーコーティングの候補の一次層の上のスーパーコーティングの候補の二次層の実現可能性調査を行うことが現在可能である。以下を含むがこれらに限定されない多層フィルムドローダウン方法を使用することの多くの利点が理解されている:フィルムドローダウンは、より基本的な分析を可能にするためにコーティング機能性の要因としてライン速度を除外し;また、配合者がウェットオンドライおよびウェットオンウェット処理工程の際の材料の層間の移動を評価するのも可能にする。
【0103】
多層フィルムドローダウン方法の別の利点は、被覆がワイヤまたは光ファイバに塗布されるとき必要な%RAUまで一次被覆を硬化するのに十分な完全硬化が可能であることがウェットオンウェット処理およびウェットオンドライ処理の両方にとって重要であることである。実際に、ウェットオンドライ処理の際、放射線が二次被覆にかけられるとき一次被覆において硬化が完了されるのを予想して、一次被覆は、ライン速度を達成するには硬化不足であり得ることが知られている。したがって、多層フィルムドローダウン方法の使用は、ウェットオンドライ塗布と比較してウェットオンウェット塗布をシミュレートし、一次被覆から二次被覆の硬化を測定するために%RAUを試験するのに有用である。シミュレーションにより、配合者が異なる光開始剤の有効性を迅速に評価することができる。この試験により、光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングにとって、所望され必要とされる非常に高いレベルの%RAUを達成するために、それによって制約されるものではないが、一次被覆層より二次被覆層に異なる化学薬品タイプの光開始剤を有することがより好ましいと考えられるという仮説が既に導びかれた。このように、1種の光開始剤を有することで両方の層において所望のレベルの硬化を達成しようとするのではなく、層において2種の異なる光開始剤による反応が起こることになる。
【0104】
多層フィルムドローダウン方法の別の利点は、スーパーコーティングにおいて規定され得る一次および二次特性と相関され得る硬化された一次被覆の上の硬化された二次被覆層の合成挙動に近似していることである。DMA(動的機械分析)の別名で知られている、固体フィルムレオロジー試験を用いてフィルムを分析することによって、各被覆層の機能特性を評価することが可能である。
【0105】
結論は、2回のドローダウンプロセスの際の混合が非常に少なく、本方法がスーパーコーティングの一次被覆層およびスーパーコーティングの二次被覆層の候補を評価するのに有用であることである。
【0106】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、当然ながら、決して本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0107】
[実施例]
これらの実施例に挙げられる成分は、以下の商品名を有し、挙げられる供給元から入手可能であり、示される化学組成を有する。
【0108】
【表21】
【0109】
【表22】
【0110】
本発明は、いくつかの実施例を用いてさらに例示される。
【0111】
これらの実施例の全てにおいて、プロセスは以下のとおりである:
工程1:光ファイバが設置される遠距離通信ネットワークの減衰の最大許容増加要件を決定する工程;
工程2:
i)光ファイバに用いられるガラスのタイプ;
ii)スーパーコーティングの二次層がスーパーコーティングの一次層の上にウェットオンドライまたはウェットオンウェットのどちらで塗布されるか;
iii)光ファイバ上にスーパーコーティングを硬化するのに用いられる光のタイプ、数および線引き塔製造ラインに沿ったその光の位置決め;ならびに
iv)スーパーコーティングが塗布されるライン速度
を理解することによって、スーパーコーティングのフィールドアプリケーション環境を決定する工程;
工程3:以下の三次元ひも付け方法:
i)6つの所定の放射線硬化性スーパーコーティングパラメータについて、放射線硬化性スーパーコーティングの一次層および二次層を評価することによって放射線硬化性スーパーコーティングの候補を評価する工程;
ii)スーパーコーティングの所要の機能特性が達成されるかどうかを決定するために放射線硬化性スーパーコーティングの一次層および二次層を試験する工程であって;
スーパーコーティングの所要の機能特性が達成されなかった場合、一次または二次被覆のいずれかまたは両方を再配合する工程;
iii)所望の機能特性が達成されるかどうかを決定するために再配合された一次または二次被覆を試験する工程であって;
所望の機能特性が達成された場合、工程d)に進み;
所望の機能特性が達成されない場合、所望の機能特性が達成されるまで工程ii)およびiii)を繰り返す工程
を用いる工程;および次に
工程4:スーパーコーティングの全ての他の所定の機能特性要件に対して配合の変更を評価することによって、スーパーコーティングの一次被覆層およびスーパーコーティングの二次被覆層の再配合の効果を統合する工程;ならびに
工程5:三次元ひも付け方法からの結果を用いて、被覆された光ファイバの減衰の最大許容増加を達成するために必要な特性を提供するためのスーパーコーティングの選択を最終決定する工程。
【0112】
[実施例1 耐マイクロベンドシングルモード光ファイバ用のスーパーコーティングに対する要求]
光ファイバメーカーは、自社のシングルモード光ファイバに放射線硬化性スーパーコーティングを塗布することを望んでいる。このシングルモード光ファイバに用いられるガラスは、マイクロベンドに耐え得る最新のタイプのものである。
工程1:
このネットワークに用いられる光ファイバに求められるマイクロベンド感受性は:
1310nmおよび−60℃で約0.06未満のdB/Km;
1550nmおよび−60℃で約0.11未満のdB/Km;ならびに
1625nmおよび−60℃で約0.15未満のdB/Km
で報告される。
工程2
市販のファイバのデータ
放射線硬化性の放射線硬化性スーパーコーティングは、ウェットオンドライで塗布される。利用可能な硬化光は:600w/10インチのDランプである。硬化光の数は:一次被覆の領域に2つおよび二次被覆が塗布された後4つ、必要に応じて場合により最大で5つである。スーパーコーティングが塗布されるライン速度は、約1400m/分である。
工程3−スーパーコーティングの配合
4人の異なる配合者に、この放射線硬化性スーパーコーティング用の可能な一次被覆層に対して行う作業が与えられる。
【0113】
各一次被覆配合者は、各自の出発オリゴマーの原料、次に光開始剤、酸化防止剤、1種以上の希釈剤モノマーおよび入手可能な情報に基づく他の添加剤を選択する。一般に、それによって制約されるものではないが、オリゴマーの合成は、以下のとおりに行われる:
【0114】
本発明のコーティング組成物に好適なオリゴマーは、少なくとも1種のポリエーテルポリオール、少なくとも1種のジイソシアネート、少なくとも1種のヒドロキシル末端アクリレートまたは(メタ)アクリレート、および場合によりアルコールの反応によって調製される。以下のオリゴマー合成方法は、オリゴマーを合成するための2つの異なる方法を例示している。しかしながら、オリゴマーが、アルケニル基またはビニル基などの少なくとも1つの末端不飽和基とともにウレタン主鎖を含む限り、他の合成方法も用いられ得ることが当業者によって理解されよう。
【0115】
オリゴマー合成−方法Aは、まず、イソシアネートをヒドロキシル末端アクリレートまたはメタクリレートと反応させ、その後、ポリオールと反応させる「アウトサイドイン(outside−in)」方法としても知られている。
【0116】
ジイソシアネートと抑制剤との混合物に、温度が40℃を超えないように制御された方法でHEAを添加する。所望のNCO含量に達するように混合物を40℃で2時間反応させる。次に、ポリオールおよび触媒を添加し、NCO含量が0.10以下になるまで、混合物を80℃で2時間以上反応させる。
【0117】
オリゴマー合成−方法Bは、まず、イソシアネートをポリオールと反応させ、その後、ヒドロキシル末端アクリレートまたはメタクリレートと反応させる「インサイドアウト(inside−out)」方法としても知られている。
【0118】
触媒をジイソシアネートとポリオールと抑制剤との混合物に添加する。所望のNCO含量に達するように、混合物を60℃で2時間反応させる。次に、HEAを添加し、NCO含量が0.05以下になるまで、混合物を85℃で1時間以上反応させる。
【0119】
本発明にしたがってオリゴマーを調製するのに好適なポリエーテルポリオールは、好ましくはポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群から選択される。一実施形態において、ポリエーテルポリオールはポリプロピレングリコールである。
【0120】
光ファイバ用の放射線硬化性コーティングに使用するためのウレタンベースのオリゴマーを合成するための触媒は、当該技術分野で公知である。触媒は、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンアミン、ジブチルスズジラウレート(DBTDL);ネオデカン酸ビスマス、CAS 34364−26−6などの有機ビスマス触媒;ネオデカン酸亜鉛、CAS 27253−29−8;ネオデカン酸ジルコニウム、CAS 39049−04−2;および2−エチルヘキサン酸亜鉛、CAS 136−53−8を含むがこれらに限定されない金属カルボキシレート;ドデシルベンゼンスルホン酸、CAS 27176−87−0;およびメタンスルホン酸、CAS 75−75−2を含むがこれらに限定されないスルホン酸;1,2−ジメチルイミダゾール、CAS 1739−84−0を含むがこれらに限定されないアミノまたは有機系触媒;およびジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、CAS 280−57−9(強塩基);およびトリフェニルホスフィン;ジルコニウムブトキシド、(ジルコン酸テトラブチル)CAS 1071−76−7;およびチタンブトキシド、(チタン酸テトラブチル)CAS 5593−70−4を含むがこれらに限定されないジルコニウムおよびチタンのアルコキシド;ならびに以下に限定はされないが、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、CAS番号374683−44−0;1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、CAS番号284049−75−8;およびN−ブチル−4−メチルピリジニウムクロリド、CAS番号125652−55−3;およびテトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウムなどのイオン性液体ホスホニウム、イミダゾリウム、およびピリジニウム塩からなる群から選択される。
【0121】
これらの触媒の全ては市販されている。
【0122】
一実施形態において、触媒は、DBTDLであるか、またはCosChemから入手可能な「COSCAT 83」の商標の有機ビスマス触媒などの有機ビスマス触媒である。
【0123】
光開始剤の選択は以下:
1)放射線源、強度、コーティングとの近接性、
2)被覆層の厚さ、
3)配合物が透明かどうかまたは配合物が顔料を含有するかどうか、ならびに「顔料を含有する」場合、配合物中に存在する顔料のタイプおよび顔料の量、
4)組成物中に存在するオリゴマーのタイプ、
5)コーティング組成物が一次被覆層または二次被覆層のどちらであるか、および二次被覆層が、ウェットオンウェットまたはウェットオンドライのどちらで塗布されるか
によって決定される。
【0124】
2つの一般的な種類の光開始剤がある:
タイプI:光開始剤は、照射の際に単分子結合開裂を起こしてフリーラジカルを生成する。
タイプII:光開始剤は、光開始剤の励起状態が第2の分子(共開始剤)と相互作用する二分子反応を起こしてフリーラジカルを生成する。
【0125】
タイプIおよびタイプIIの両方のUV光開始剤が利用可能である。
【0126】
2人の異なる配合者に、この放射線硬化性スーパーコーティング用の可能な二次被覆層に対して行う作業が与えられる。
【0127】
各二次被覆配合者は、各自の出発オリゴマーの原料、その後、光開始剤、酸化防止剤、1種以上の希釈剤モノマーおよび入手可能な情報に基づく他の添加剤を選択する。
【0128】
それらの原料を選択する際、各二次被覆配合者は、以下のこと、すなわち、TDIタイプIIが安価であり、反応の速いイソシアネートであることを考慮に入れる。二次被覆に用いられるTDIタイプIIの選択に加えて、基寄与理論(group contribution theory)(基の各部分の特性および寄与を解釈する)は、イソシアネートの芳香族基が二次被覆の高いTgおよび高弾性率に寄与し、このことがなぜ芳香族イソシアネートが二次被覆に好ましいかの技術的な理由であることを教示している。
【0129】
BHT食品グレード:酸化防止剤がフリーラジカルを除去するため{これは、HEA(メチルヒドロキノンによって抑制される)が自己重合可能であるため重要である};合成化学者は、合成がHEAの前に反応混合物中にBHTを有するように計画する。この除去反応も酸素の存在を必要とし、通常の周囲空気中の酸素でこの目的のために一般的に十分であることが知られている。
【0130】
2−HEA(2−ヒドロキシエチルアクリレート)は単純なアクリレートであり、これは、従来から、光ファイバ用の配合された放射線硬化性コーティングの非常に良好な硬化速度を得られた。HBA(ヒドロキシブチルアクリレート)またはHPA(ヒドロキシルエチルアクリレート)は、合成の際に反応性ではないことが知られている。
【0131】
一次被覆配合者および二次被覆配合者は両方とも、彼らが配合する際に以下のこと、すなわち、二次被覆層の重合がその層の収縮を引き起こすことおよび二次被覆層の収縮が一次被覆層に圧力をかけること、二次被覆層が硬化されているときに一次被覆層が既に硬化されているかまたは硬化が進行中であるかを認識している。応力緩和は、二次被覆が重合する際に二次被覆の収縮によって生じる一次被覆にかかる応力の軽減の尺度である。スーパーコーティングの二次被覆層の重合の温度は、その収縮を迅速に軽減するためにTgより高くする必要がある。光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを配合する際、一次および二次被覆層の両方の重合の温度が、そのTgより十分に高いことが想定される。重合温度がTg未満である場合、応力緩和はそれほど速くない。応力緩和が適時に起こらない場合、光ファイバにかかる応力が、許容できない減衰の原因となり得る。
【0132】
ウェットオンウェット処理は、さらなる応力緩和問題の可能性を有する。その理由は単に、重合が起こる前にファイバが2種の液体で被覆され、両方の液体の温度はファイバより低い可能性があり、その後、2重の重合熱を伴って同時重合が起こることで硬化が起こり、被覆層の間で温度分布が不均一になるためである。また、配合者は、重合が同時に起こっている場合、一次被覆の架橋密度が二次被覆よりはるかに低いため、架橋密度の差も大きな要因であることを認識している必要がある。
【0133】
光ファイバ製造の分野において、ファイバケーブル敷設者は、光ファイバがケーブル敷設プロセス中にさらに操作される前に、光ファイバが応力緩和された状態であることを望んでいることが知られている。したがって、全ての配合者は、応力緩和問題を最小限に抑えることが重要であることを認識している必要があり、さもなければ、より十分な応力緩和を起こすように光ファイバにケーブルを敷設するために、コーティングが光ファイバに塗布された後にケーブル敷設者がより長く待つ必要があるため、ケーブル敷設作業により長い時間がかかる。配合者の配合ミスにより、一次被覆層および二次被覆層が適切にかつ適時に応力緩和しない場合、ケーブル敷設された光ファイバが減衰の最大許容増加を超えないようにするのは非常に困難であり、達成できないであろうことが知られている。
【0134】
応力緩和を促すために、配合者は、二次被覆により可撓性の材料を選択するが;これらの可撓性材料は、さらなる可撓性が高いTgおよび高強度という目標とする物理的特性を不都合に妨げないように選択されなければならない。
【0135】
[実施例1〜4]
これらの実施例は、スーパーコーティングの候補の一次被覆層の配合者αの候補の配合物を示す。
【0136】
【表23】
【0137】
[実施例1PB1〜1PB4]
これらの実施例は、スーパーコーティングの一次被覆層の配合者βの候補の配合物を示す。
【0138】
【表24】
【0139】
[実施例1PC1〜1PC4]
これらの実施例は、スーパーコーティングの一次被覆層の配合者γの候補の配合物を示す。
【0140】
【表25】
【0141】
実施例2SA1〜2SA5は、二次被覆層の配合者εの候補の配合物を示す。
【0142】
【表26】
【0143】
[実施例2SB1〜2SB4:]
これらの実施例は、スーパーコーティングの二次被覆層の配合者ζの候補の配合物を示す。
【0144】
【表27】
【0145】
【表28】
【0146】
多層フィルムドローダウンの分析の結果は、最も適合する可能性のある組合せは以下のものであることを示す:
1PA2および2SA4
1PA2および2SB3
1PB3および2SA4
1PB3および2SB3
1PC1および2SA4
1PC1および2SB3
1PD5および2SA4
1PD5および2SB3。
【0147】
そこで、これらの組合せを、線引き塔シミュレータで試験する。特定の組合せが、約750m/分〜約2,100m/分のライン速度の全てではないが一部で、スーパーコーティングの特性を達成することが分かった。これらの組合せは、全てのライン速度でスーパーコーティングであることが分かっており:
硬化の前の一次被覆層の組成は、実施例1PA2、1PB3、1PC1の配合からなる群から選択され;
硬化の前の二次被覆層の組成は、実施例2SA4および2SB3の配合からなる群から選択される。
【0148】
[実施例2]
光ファイバメーカーは、硬化光の少なくとも一部をLED光に切り替えることによってエネルギーコストを節減することを望んでいる。彼らは、一次被覆を硬化する光をLED光に変更することによって切り替えを開始することを決定している。彼らの現在の一次被覆は、実施例1PB3(実施例1から)である。シングルモード光ファイバは、マイクロベンドに耐え得る最新のタイプのものである。
工程1:
このネットワークに用いられるシングルモード光ファイバに求められるマイクロベンド感受性は:
1310nmおよび−60℃で約0.02未満のdB/Km;
1550nmおよび−60℃で約0.03未満のdB/Km;ならびに
1625nmおよび−60℃で約0.05未満のdB/Km
で報告される。
工程2
シングルモード光ファイバは、マイクロベンドに耐え得る最新のタイプのものである。放射線硬化性の放射線硬化性スーパーコーティングは、ウェットオンドライで塗布される。一次被覆用の硬化光のタイプは以下のとおりである:光ファイバメーカーは、少なくとも4W/cm2の電力で395nmで任意のLEDランプで動作するという柔軟性を求めている。この実施例の目的のために、選択されるLEDランプは、395nmでピーク発光を有する8W/cm2のLEDユニットである。このタイプのLEDランプは、RX Fireline LEDユニットとしてPhoseonから入手可能である。硬化光の数は:一次被覆領域において1〜3つである。二次被覆用の硬化光のタイプは:600w/10インチのDランプである。硬化光の数は:二次被覆領域において3つである。スーパーコーティングが塗布されるライン速度は、約1300m/分である。
【0149】
【表29】
【0150】
【表30】
【0151】
したがって、権利請求される本発明の第4の態様は、一次被覆層と二次被覆層とを含むスーパーコーティングで被覆されたシングルモード光ファイバであり;
硬化の前の一次被覆層の組成は、実施例1PA2、1PB3、1PC1、2α、2βの配合からなる群から選択され;
硬化の前の二次被覆層の組成は、実施例2SA4および2SB3および5SA1の配合からなる群から選択される。
【0152】
[実施例3]
光ファイバメーカーは、自社のシングルモード光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを塗布することを望んでいる。シングルモード光ファイバは、マイクロベンドに耐え得る最新のタイプのものである。
工程1:
このネットワークに用いられるシングルモード光ファイバに求められるマイクロベンド感受性は:
1310nmおよび−60℃で約0.02未満のdB/Km;
1550nmおよび−60℃で約0.06未満のdB/Km;ならびに
1625nmおよび−60℃で約0.09未満のdB/Km
で報告される。
工程2
シングルモード光ファイバは、マイクロベンドに耐え得る最新のタイプのものである。放射線硬化性の放射線硬化性スーパーコーティングは、ウェットオンウェットで塗布される。二次被覆は着色された二次被覆であり、透明な二次被覆ベースコートが、色濃縮物とインラインで混合される。硬化光のタイプは:Fusion Dランプと同様の金属ハロゲン化物スペクトルを有する専用のランプである。硬化光の数は:20インチにつき3つのランプである。スーパーコーティングが塗布されるライン速度は、約1700メートル/分である。
工程3
工程3−スーパーコーティングの配合
一次被覆層のために、光開始剤、酸化防止剤、2種の希釈剤モノマーおよび入手可能な情報に基づく他の添加剤とともに、オリゴマーを選択する。二次被覆層のために、光開始剤、酸化防止剤、2種の希釈剤モノマーおよび透明な二次被覆を配合するための入手可能な情報に基づく他の添加剤とともに、オリゴマーブレンドを選択する。インライン混合の際に透明な二次被覆に加えるために着色剤を配合する。1625メートル/分で動作している線引き塔シミュレータにおいて一次被覆および二次被覆を試験するのに加えて、多層フィルムドローダウン試験方法を用いて、透明な二次被覆層の上塗りとともに一次被覆層のスーパーコーティングフィルムを生成する。フィルムを基材から取り外し、スーパーコーティングの特性を試験する。
【0153】
多層フィルムドローダウン試験方法を用いて、透明な二次被覆層の上塗りとともに一次被覆層のスーパーコーティングフィルムを生成するのに加えて、多層フィルムドローダウンは、一次被覆層と、透明な二次被覆および着色剤で作製された着色された二次被覆とで作製される。
【0154】
【表31】
【0155】
【表32】
【0156】
【表33】
【0157】
[実施例3の続き]
オリゴマーM3∴はオリゴマーである。オリゴマーM3を作製するために組み合わせられる成分は以下を含む:
【0158】
【表34】
【0159】
【表35】
【0160】
[実施例4]
光ファイバメーカーは、自社のマルチモード光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを塗布することを望んでいる。マルチモード光ファイバは、マイクロベンドに耐え得る最新のタイプのものである。
工程1:
このネットワークに用いられるシングルモード光ファイバに求められるマイクロベンド感受性は、本明細書を記載している時点で、850nmおよび1300nmでまだ調査中である。詳細がより進展すると、さらなるマイクロベンド感受性試験が行われることになる。
工程2
マルチモード光ファイバは、マイクロベンドに耐え得る最新のタイプのものである。放射線硬化性二次被覆は、ウェットオンウェットで一次被覆に塗布される。一次被覆および二次被覆が塗布されるライン速度は、約200メートル/分である。二次被覆は透明な二次被覆である。硬化光のタイプは:600w/Dランプである。硬化光の数は:一次被覆領域において3つであり、二次被覆領域において3つである。
工程3
一次被覆層のために、光開始剤、酸化防止剤、2種の希釈剤モノマーおよびマルチモードコーティングを作製するための入手可能な情報に基づく他の添加剤とともに、オリゴマーを選択する。二次被覆層のために、光開始剤、酸化防止剤、2種の希釈剤モノマーおよびマルチモードコーティング用の透明な二次被覆を配合するための入手可能な情報に基づく他の添加剤とともに、オリゴマーブレンドを選択する。
【0161】
[実施例4PD1〜4PD5]
これらの実施例は、一次被覆層の配合者δの配合物を示す。
【0162】
【表36】
【0163】
権利請求される本発明の第5の態様は、一次被覆層と二次被覆層とを含む放射線硬化性コーティングで被覆されたマルチモード光ファイバであり、
硬化の前の一次被覆層の組成は、実施例4PD5の配合からなる群から選択され;
硬化の前の二次被覆層の組成は、実施例2SA4および2SB3の配合からなる群から選択される。
【0164】
[実施例5]
消費者が完成された被覆ファイバの同心性を確保するように設置設備を使用できるようにより高い屈折率を有する製品を求める消費者のニーズを満たすために、既存のスーパーコーティングの二次被覆からこのスーパーコーティングの二次被覆を配合する。従来のコーティングからの変更は以下のとおりである:
a)約10%のレベルでSR−601の使用を含む、
b)0.5%〜0.75%の、わずかにより多いTPOの使用、
c)2%〜2.5%の、わずかにより多いChivacure 184の使用、
d)IBOAおよびSR−306をなくし、その代わりに約15%のPEAを使用する。
【0165】
【表37】
【0166】
オリゴマーM3∴はオリゴマーである。オリゴマーM3を作製するために組み合わせられる成分は以下を含む:
【0167】
【表38】
【0168】
[実施例6]
これは、挙げられるスーパーコーティングの各々における一次被覆と二次被覆との組合せを示す。
【0169】
【表39】
【0170】
本明細書に引用される、刊行物、特許出願、および特許を含む全ての参照文献は、参照により援用されるべき各々の参照文献が個別にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度に、参照により本明細書に援用される。
【0171】
本発明を説明する文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)、用語「a」および「an」ならびに「the]ならびに類似の指示語の使用は、本明細書において特に示されない限り、あるいは文脈上明白に矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含するものと解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(containing)」は、特に断らない限り、オープンエンド用語(すなわち、「含むが、これらに限定されない」ことを意味する)と解釈されるべきである。本明細書における数値の範囲の記載は、本明細書において特に示されない限り、その範囲内に入るそれぞれ個別の数値を個々に引用することの単に簡単な方法として使用しているものであり、それぞれの個別の数値が、本明細書に個々に引用されたかのように組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書において特に示されない限り、あるいは文脈上明白に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することが可能である。本明細書で提供されるいずれかおよび全ての例、または例示語(例えば、「など」)の使用は、本発明をより明瞭に説明することを単に意図しており、特に断らない限り、本発明の範囲を限定しない。本明細書中のいかなる文言も、権利請求されていない要素を本発明の実施に対して不可欠であるものとして示しているものと解釈されるべきではない。
【0172】
本発明を実施するための、本発明者らが知り得る最良の形態を含む、本発明の実施形態を本明細書に記載した。上記の説明を読めば、それらの実施形態の変形が当業者にとって明らかになるであろう。本発明者らは、そのような変形を当業者が必要に応じて用いることを予想し、また本発明者らは、本明細書に具体的に記載されたのと別の方法で本発明が実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法によって許されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載される主題の全ての変更および均等物を包含する。さらに、本明細書において特に示されない限り、あるいは文脈上明白に矛盾しない限り、全ての可能な変形において、上述した要素のいかなる組合せも本発明に包含される。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連特許出願]
本特許出願は、2009年10月9日に出願された米国仮特許出願第61/272596号および2009年10月9日に出願された米国仮特許出願第61/250329号、2009年12月17日に出願された米国仮特許出願第61/287567号および2010年7月13日に出願された米国仮特許出願第61/363965号の優先権を主張するものであり、これらの仮特許出願は全て、全体が参照により援用される。
【0002】
[技術分野]
本発明は、光ファイバ用の放射線硬化性コーティングに関する。
【0003】
[背景技術]
光ファイバは、その長さに沿って光を伝送するガラスファイバである。光ファイバは、光ファイバ通信に広く用いられており、光ファイバ通信により、他の通信形態より長距離にわたり、かつより高い帯域幅(データ速度)での伝送が可能になる。信号がファイバに沿ってより少ない損失で移動し、また、ファイバは電磁妨害に影響されないため、金属線の代わりにファイバが用いられる。
【0004】
光は、全反射によって光ファイバのコアに保持される。これによりファイバは導波路として働く。多くの伝播経路または横モードを支持するファイバがマルチモードファイバ(MMF)と呼ばれる一方、シングルモードのみを支持することが可能なファイバはシングルモードファイバ(SMF)と呼ばれる。MMFは一般により大きなコア径を有し、短距離通信リンクおよび高電力を伝送しなければならない用途に用いられる。SMFは、550メートル(1,800フィート)より長いほとんどの通信リンクに用いられる。
【0005】
本特許出願全体を通して、伝送損失としても知られている光ファイバの減衰は、伝送媒体を通って移動された距離に対する光線(または信号)の強度の低下と定義される。光ファイバの減衰損失係数は、通常、デシベル/キロメートル(dB/kmと略記される)の単位を用いて報告される。
【0006】
減衰は、長距離にわたるデジタル信号の伝送を制限する重要な要因である。このため、光信号の減衰の抑制および増幅の最大化の両方に多くの研究が参入している。光ファイバの減衰が主に散乱および吸収の両方によって引き起こされることが実証的研究により示されている。
【0007】
1965年に、チャールズ・K・カオ(Charles K.Kao){「groundbreaking achievements concerning the transmission of light in fibers for optical communication」で2009年のノーベル物理学賞を受賞した3人の受賞者の1人}および英国企業のStandard Telephones and Cables(STC)のGeorge A.Hockhamが、光ファイバの減衰が20デシベル/キロメートル(dB/km)未満に低減され得る(これにより、光ファイバが通信用の実用的な媒体となり得る)という考えを最初に広めた。彼らは、当時入手可能なファイバの減衰が、散乱などの根本的な物理的影響よりむしろ、除去可能な不純物によって引き起こされたことを提案した。米国のガラスメーカーのコーニンググラスワークス(Corning Glass Works)(現コーニング社(Corning Incorporated))に勤務する研究者のRobert D.Maurer、Donald Keck、Peter C.Schultz、およびFrank Zimarによって、20dB/kmという決定的な減衰レベルが1970年に最初に達成された。彼らは、シリカガラスにチタンをドープすることによって、17dB/kmの減衰を有するファイバを実証した。数年後、彼らは、コアドーパントとして二酸化ゲルマニウムを用いて、わずか4dB/kmの減衰を有するファイバを製造した。このような低い減衰の達成は、光ファイバ通信の途を開き、インターネットを可能にした。
【0008】
以下の米国特許の全体が参照により援用される:2000年1月11日に交付された米国特許第6,014,488号明細書。
【0009】
マイクロベンドは、数マイクロメートルの局所的な軸方向変位および数ミリメートルの空間波長を含む光ファイバにおけるシャープであるが微細な屈曲である。マイクロベンドは、熱応力および/または機械的な横力によって引き起こされ得る。マイクロベンドが存在すると、被覆された光ファイバの信号伝送能力が減衰される。したがって、遠距離通信ネットワークの成功のために、各遠距離通信システムが光ファイバの減衰の許容増加量に対する限度を有し、その限度に達するのを防ぐために、全体的にマイクロベンドを低減するのがよいことが知られている。その理由は、マイクロベンドの低減が減衰の増加を低減するためである。
【0010】
光ファイバコーティング技術の開発の重要な原動力の1つは、映像(video)におけるユーザ需要の高まりである。光ファイバコーティングの既存の技術では、2Gネットワークアプリケーションで十分である。しかしながら、3G、4G、およびIPTVなどの将来のネットワーク、高解像度テレビ(HDTV)、テレビ会議および他の高帯域幅アプリケーションは、光ファイバの性能のより高い要件を課すことになるため、光ファイバコーティングの性能の要件はますます高まるであろう。
【0011】
インターネット上の映像アプリケーションの大きな需要を満たすために、次世代の遠距離通信ネットワークは、より大きな容量、より長い距離およびより広いスペクトル領域の伝送を支持する必要があり、現世代の光ファイバG652の性能は、長距離線形ユーティリティ(long haul straight alignment utility)向けに開発されたため;G562は、ファイバトゥザホーム(FTTH)という難題の要件を満たすのに適していない。
【0012】
通信信号の光伝送が、家庭およびMDU(集合住宅)に入り込むにしたがい、ガラス光ファイバはよりきつい曲げに直面し、光ファイバの製造業者はG657に準拠した耐マクロベンドファイバを提供することが求められている。同時に、帯域幅の需要の高まりは、配備されるネットワークの利用可能なマージンに負担をかけている。
【0013】
光ファイバ用の第1世代の放射線硬化性DeSolite Radiation curable Supercoating(商標)(DSM IP Assets B.V.の商標)が、全体が参照により本明細書に援用される以下の米国特許出願に記載され、権利請求されている:2007年12月13日に出願され、2008年9月19日に米国特許出願公開第20080226916号明細書として公開された米国特許出願第11/955935号明細書;2007年12月13日に出願され、2008年10月23日に米国特許出願公開第20080241535号明細書として公開された米国特許出願第11/955838号明細書;2007年12月13日に出願され、2008年9月19日に米国特許出願公開第20080226912号明細書として公開された米国特許出願第11/955547号明細書;2007年12月13日に出願され、2008年9月19日に米国特許出願公開第20080226914号明細書として公開された米国特許出願第11/955614号明細書;2007年12月13日に出願され、2008年9月19日に米国特許出願公開第20080226913号明細書として公開された米国特許出願第11/955604号明細書;2007年12月13日に出願され、2008年9月25日に米国特許出願公開第20080233397号明細書として公開された米国特許出願第11/955721号明細書;2007年12月13日に出願され、2008年9月19日に米国特許出願公開第20080226911号明細書として公開された米国特許出願第11/955525号明細書;2007年12月13日に出願され、2008年9月19日に米国特許出願公開第20080226915号明細書として公開された米国特許出願第11/955628号明細書;および2007年12月13日に出願され、2008年9月19日に米国特許出願公開第20080226909号明細書として公開された米国特許出願第11/955541号明細書。
【0014】
「D1381 RADIATION CURABLE SUPERCOATINGS FOR OPTICAL FIBER」という発明の名称で、2007年12月13日に出願され、2009年9月18日に米国特許出願公開第20080226909号明細書として公開された米国仮特許出願第11/955541号明細書には、光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティング(Radiation Curable Supercoatings)が以下のとおりに記載され、権利請求されている:
光ファイバを被覆するのに好適なスーパーコーティングであって;
スーパーコーティングが、少なくとも2層を含み、第1の層が、光ファイバの外側表面と接触状態にある一次被覆であり、第2の層が、一次被覆の外側表面と接触状態にある二次被覆であり、
光ファイバの上の硬化された一次被覆が、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
A)約84%〜約99%の%RAU;
B)約0.15MPa〜約0.60MPaのインサイチュ弾性率;および
C)約−25℃〜約−55℃のチューブTg
を有し;
光ファイバの上の硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
A)約80%〜約98%の%RAU;
B)約0.60GPa〜約1.90GPaのインサイチュ弾性率;および
C)約50℃〜約80℃のチューブTg
を有するスーパーコーティング。
【0015】
DSM Desotechによって、DeSolite Supercoatings(商標)ラインの光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティング(www.Supercoatings.comを参照)が最近発売されたのに伴い、スーパーコーティングの使用が、光ファイバのマイクロベンド特性に大きなプラスの効果を与えることが報告された。したがって、スーパーコーティングの使用が、光ファイバにおけるマイクロベンドの量を低減することが知られ、マイクロベンドの量の低減が、遠距離通信ネットワークにおける減衰の量を低減する。
【0016】
インターネットおよび最新の遠距離通信デバイスにおける帯域幅の需要の高まりを受けて、耐減衰性の光ファイバに対する需要も高まることになる。したがって、放射線硬化性スーパーコーティングに対する需要が高まることになる。耐減衰性の光ファイバおよび放射線硬化性スーパーコーティングに対する需要が高まるにしたがい、光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを選択し、配合するための方法を有することが望ましいであろう。
【0017】
[発明の概要]
権利請求される本発明の第1の態様は、遠距離通信ネットワークに用いられる光ファイバに塗布するための放射線硬化性スーパーコーティングを配合する方法であり、前記スーパーコーティングが、少なくとも2層を含み、第1の層が、光ファイバの外側層表面と接触状態にある一次被覆であり、第2の層が、一次被覆の外側表面と接触状態にある二次被覆であり、光ファイバの上の硬化された一次被覆が、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で少なくとも1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
1)約84%〜約99%の%RAU;
2)約0.15MPa〜約0.60MPaのインサイチュ弾性率;および
3)約−25℃〜約−55℃のチューブTgを有し;
光ファイバの上の硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で少なくとも1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
4)約80%〜約98%の%RAU;
5)約0.060GPa〜約1.90GPaのインサイチュ弾性率;および
6)約50℃〜約80℃のチューブTgを有し;
前記方法は:
a)光ファイバが設置される遠距離通信ネットワークの減衰の最大許容増加(Maximum Acceptable Increase in Attenuation)要件を決定する工程と;
b)スーパーコーティングのフィールドアプリケーション環境(Field Application Environment)を決定する工程であって:
i)光ファイバに用いられるガラスのタイプを選択する工程と;
ii)スーパーコーティングの二次被覆が、スーパーコーティングの一次被覆の上にウェットオンドライまたはウェットオンウェットのどちらで塗布されるかを決定する工程と;
iii)光ファイバ上にスーパーコーティングを硬化するのに用いられる光のタイプ、数を選択し、その光を線引き塔(draw tower)製造ラインに沿って位置決めする工程と;
iv)スーパーコーティングが塗布されるライン速度を選択する工程と
を含む工程と;
c)液体の非硬化状態の一次被覆組成物を配合する工程と;
d)液体の非硬化状態の二次被覆組成物を配合する工程と;
e)図2、3および4に示される、以下の三次元ひも付け方法(Three−Dimensional Laced Methodology):
i)スーパーコーティングパラメータ1)〜6)が達成されるかどうかを決定するためにスーパーコーティングの一次被覆および二次被覆を試験する工程であって;
ここで、
−スーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てが達成された場合、工程f)に進み;
−スーパーコーティングパラメータ1)〜6)のいずれか1つでも達成されなかった場合、スーパーコーティングの一次被覆または二次被覆のいずれかまたは両方を再配合し、スーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てが達成されるまで工程ii)を繰り返す工程と;次に
ii)他の配合に対しておよびスーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てに対して各配合の変更を評価することによって、スーパーコーティングの一次被覆および二次被覆の再配合の完全性を確認する工程と
を用いる工程と;
f)工程e)i)および工程e)ii)からの結果を用いて、被覆された光ファイバの減衰の最大許容増加を達成するためのスーパーコーティングの選択を最終決定する工程と
を含む。
【0018】
権利請求される本発明の第2の態様は、三次元ひも付け方法が、放射線硬化性スーパーコーティングの一次被覆層および二次被覆層の結合された複合物を評価するために多層フィルムドローダウン方法(Multi−Layer Film Drawdown method)を用いる工程を含む、第1の態様の方法である。
【0019】
権利請求される本発明の第3の態様は、多層フィルムドローダウン方法であって:
a)試験用の基材を選択する工程と;
b)所定の厚さのドローダウンバーを用いて、一次被覆を基材に塗布する工程と;
c)場合により一次被覆を硬化する工程と;
d)所定の厚さのドローダウンバーを用いて、二次被覆を一次被覆に塗布する工程であって、二次被覆を塗布するためのドローダウンバーの所定の厚さが、一次被覆を塗布するのに用いられるドローダウンバーの所定の厚さより厚い工程と;
e)一次被覆および二次被覆の両方を硬化させて結合された複合フィルムにするのに十分な放射線を多層フィルムに加える工程と;
f)フィルムを基材から取り外す工程と;
g)硬化されたフィルムの機能特性を評価する工程と
を含む方法である。
【0020】
権利請求される本発明の第4の態様は、一次被覆層と二次被覆層とを含むスーパーコーティングで被覆されたシングルモード光ファイバであり;
硬化の前の一次被覆層の組成は、実施例1PA2、1PB3、1PC1、1PD5、2α、および2βの配合からなる群から選択され;
硬化の前の二次被覆層の組成は、実施例2SA4および2SB3および3SA1および5SA1の配合からなる群から選択される。
【0021】
権利請求される本発明の第5の態様は、一次被覆層と二次被覆層とを含む放射線硬化性コーティングで被覆されたマルチモード光ファイバであり、
硬化の前の一次被覆層の組成は、実施例1PD5の配合からなる群から選択され;
硬化の前の二次被覆層の組成は、実施例2SA4および2SB3および3SA1および5SA1の配合からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】光ファイバコーティングの通常の配合がどのように行われてきたかについての配合図の従来の描写の略図である(先行技術を示す)。これは比較例であり、権利請求される本発明の実施例ではない。
【図2】光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを配合するための三次元ひも付け方法を示す第1の実施形態である。
【図3】光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを配合するための三次元ひも付け方法を示す第2の実施形態である。
【図4】光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを配合するための三次元ひも付け方法を示す第3の実施形態である。
【図5】多層フィルムドローダウン方法の結果の図であり、1.5ミルのバーでドローダウンされたスーパーコーティングの一次層、次に褐色層として観察され、3ミルのバーで一次層の上にドローダウンされたスーパーコーティングの二次層の候補、および硬化されたプレート全体の着色された写真を示している。
【図6】2組の2つの配置(sitting)が互いに重ねられているのと同等の外観を有する4つのスペクトルを示す「全て」のスペクトルである。
【図7】着色された二次部分のみ、および2回のドローダウン部分の上部を示す「褐色」のスペクトルである。2つのスペクトルはかなり一致している。
【図8】「実施例1PC1のスーパーコーティングの一次層についての」スペクトルであり、二重層のガラス側面、および単一の3ミルの実施例1PC1のスーパーコーティングの一次層のガラス側面のドローダウンを示す。同様に、スペクトルは非常に一致している。
【図9】一次被覆PMoctスーパーコーティングの候補のフラットフィルムドローダウンのDMAプロットであり、これは比較例であり、権利請求される本発明の試験方法の実施例ではない。
【図10】二次被覆PMoct、スーパーコーティングの候補のフラットフィルムドローダウンのDMAプロットであり、これは比較例であり、権利請求される本発明の試験方法の実施例ではない。
【図11】線引き塔シミュレータを用いてワイヤの上に設置された一次被覆PMoctスーパーコーティングに対する二次被覆PMoct、スーパーコーティングの候補のチューブのDMAプロットであり;これは比較例であり、権利請求される本発明の試験方法の実施例ではない。
【図12】ウェットオンウェット(W−O−Wと略記される)で塗布されたPMoct二次被覆(実施例2SB3)によって覆われたPMoct一次被覆(実施例1PB3)の複合フィルムの動的機械分析(「DMA」)プロットである。
【図13】ウェットオンドライ(W−O−Dと略記される)で塗布されたPMoct二次被覆(実施例2SB3)によって覆われたPMoct一次被覆(実施例1PB3)の複合フィルムのDMAプロットである。
【0023】
[発明の詳細な説明]
権利請求される本発明の第1の態様は、遠距離通信ネットワークに用いられる光ファイバに塗布するための放射線硬化性スーパーコーティングを配合する方法であり、前記スーパーコーティングが、少なくとも2層を含み、第1の層が、光ファイバの外側層表面と接触状態にある一次被覆であり、第2の層が、一次被覆の外側表面と接触状態にある二次被覆であり、光ファイバの上の硬化された一次被覆が、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で少なくとも1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
1)約84%〜約99%の%RAU;
2)約0.15MPa〜約0.60MPaのインサイチュ弾性率;および
3)約−25℃〜約−55℃のチューブTgを有し;
光ファイバの上の硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で少なくとも1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
4)約80%〜約98%の%RAU;
5)約0.060GPa〜約1.90GPaのインサイチュ弾性率;および
6)約50℃〜約80℃のチューブTgを有し;
前記方法は:
a)光ファイバが設置される遠距離通信ネットワークの減衰の最大許容増加要件を決定する工程と;
b)スーパーコーティングのフィールドアプリケーション環境を決定する工程であって:
i)光ファイバに用いられるガラスのタイプを選択する工程と;
ii)スーパーコーティングの二次被覆が、スーパーコーティングの一次被覆の上にウェットオンドライまたはウェットオンウェットのどちらで塗布されるかを決定する工程と;
iii)光ファイバ上にスーパーコーティングを硬化するのに用いられる光のタイプ、数を選択し、その光を線引き塔製造ラインに沿って位置決めする工程と;
iv)スーパーコーティングが塗布されるライン速度を選択する工程と
を含む工程と;
c)液体の非硬化状態の一次被覆組成物を配合する工程と;
d)液体の非硬化状態の二次被覆組成物を配合する工程と;
e)図2、3および4に示される、以下の三次元ひも付け方法:
i)スーパーコーティングパラメータ1)〜6)が達成されるかどうかを決定するためにスーパーコーティングの一次被覆および二次被覆を試験する工程であって;
ここで、
− スーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てが達成された場合、工程f)に進み;
− スーパーコーティングパラメータ1)〜6)のいずれか1つでも達成されなかった場合、スーパーコーティングの一次被覆または二次被覆のいずれかまたは両方を再配合し、スーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てが達成されるまで工程ii)を繰り返す工程と;次に
ii)他の配合に対しておよびスーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てに対して各配合の変更を評価することによって、スーパーコーティングの一次被覆および二次被覆の再配合の完全性を確認する工程と
を用いる工程と;
f)工程e)i)および工程e)ii)からの結果を用いて、被覆された光ファイバの減衰の最大許容増加を達成するためのスーパーコーティングの選択を最終決定する工程と
を含む。
【0024】
本方法の第1の工程は、光ファイバが設置される遠距離通信ネットワークの減衰の最大許容増加要件を決定する工程である。遠距離通信ネットワークの減衰要件を決定する工程は、光ファイバネットワークの設計基準を含む。設計のいくつかの考慮事項には:どのくらいのネットワークがシングルモード光ファイバのファイバトゥザホーム(FFTHと略記される)設置であるかと比較して、どのくらいのネットワークがマルチモード光ファイバの直線設置であるかを理解することが含まれる。光ファイバネットワークを設計する技術分野の当業者に公知の、光ファイバネットワークの多くの他の設計基準がある。
【0025】
光ファイバネットワークの設計の具体的な考慮事項には以下が含まれる:
従来の直線光ファイバ長距離ネットワークに対して、FTTHアプリケーションは、少なくとも3つの波長で動作する必要があることが現在知られている:
1310nm(データ/音声アップストリーム)
1490nm(データ/音声ダウンストリーム)
1550nm(映像信号)。
従来の光ファイバネットワークは、1310nm〜1550nmの標準的なシングルモード波長を使用しており、1625nmの波長がシステムの試験に利用可能である。現在、信号伝送に対する要求の高まりとともに、将来の光ファイバネットワークは、1310nm、1550nmおよび1625nmで、実データを含む信号を伝送可能である必要があることが予想されている。これらの3つの波長の全てで伝送可能なファイバを組み込んだ光ファイバネットワークは、マクロベンドおよびマイクロベンドの両方により脆弱であることが知られている。マイクロベンドは、1625の波長における伝送により多くの被害を与えることが知られている。
【0026】
遠距離通信産業における減衰の規格にはいくつかの提供源がある。このような規格設定組織の1つは、米国電気通信工業会(Telecommunications Industry Association)(TIA)であり、これは、規格開発、市場戦略情報の提供、政府業務のガイダンス、光ファイバおよび光ファイバを含むネットワークの認証および世界規模の環境規制コンプライアンスに関する勧告などの活動を通して世界情報通信技術(ICT)産業を代表する主導的な事業者団体である。TIAの米国技術諮門グループ(United States Technical Advisory Groups)(USTAG)も国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)(IEC)などの国際的な規格設定活動に参加している。
【0027】
遠距離通信産業における減衰の規格の別の提供源はIECである。国際電気標準会議(IEC)は、全ての電気、電子および関連技術の国際規格を作成し、発表している主導的な国際組織である。これらは、国内の標準化の基準として、ならびに国際入札および国際契約を行うときの参考として機能している。
【0028】
Telcordiaは、光ファイバの媒体および構成要素分析およびコンサルタント業務を提供する米国に本社がある企業である。彼らはまた、光ファイバの一般要件のライブラリーを作成し、保持している。
【0029】
これらの組織の全ては、公表された文献、報告および規格を有し、これらは、光ファイバネットワークを設計する技術分野の当業者によって用いられる。
【0030】
マイクロベンド感受性を試験するのに用いられる方法は、IEC TR 62221、第1版10〜2001に記載されている。マイクロベンド感受性を測定するのに用いられる試験方法は現在4つあり、マイクロベンド感受性は、dB/kmの減衰単位で報告される。
【0031】
方法A−拡張可能なドラムは、ドラム表面に一定の粗さの材料を有する拡張可能なドラムの周りに最小の張力で巻かれる少なくとも400mのファイバを必要とする。方法B−一定の直径のドラムは、ドラム表面に一定の粗さの材料を有する一定の直径のドラムの周りに3Nの張力で巻かれる少なくとも400mのファイバを必要とする。方法C−ワイヤメッシュは、試験されるファイバへのワイヤメッシュの取付け(荷重下)を必要とする。方法D−綾織りは、「綾織り」の覆い(“basketweave”wrap)によって一定の直径のドラムに塗布される2.5kmのファイバを必要とする。
【0032】
これらの4つの試験方法のうち、方法Dのみが、温度に応じたファイバのマイクロベンド感受性を測定する手順を具体的に説明しており、広い温度範囲にわたるマイクロベンド感受性を提供し、温度サイクルが−60℃などのより低い温度を含み得ることを示唆している。
【0033】
本特許出願全体を通して、試験方法D−綾織りを用いたマイクロベンド感受性は、規定の波長および温度において、dB/Kmの数値を単位として表される。
【0034】
マイクロベンド感受性を試験するのに現在用いられている少なくとも4つの異なるタイプの試験があり、試験結果がdB/kmの減衰単位で報告される。4つの特定のマイクロベンド感受性試験方法は、IEC TR 62221、第1版10〜2001に記載されている。
【0035】
それらの試験方法は以下のとおりである:
方法A 拡張可能なドラム:ドラム表面に一定の粗さの材料を有する拡張可能なドラムの周りに最小の張力で巻かれる少なくとも400mのファイバを必要とする。
方法B 一定の直径のドラム:ドラム表面に一定の粗さの材料を有する一定の直径のドラムの周りに3Nの張力で巻かれる少なくとも400mのファイバを必要とする。
方法C ワイヤメッシュ:試験されるファイバへのワイヤメッシュの取付け(荷重下)を必要とする。
方法D 綾織り:「綾織り」の覆いによって一定の直径のドラムに塗布される2.5kmのファイバを必要とする。
【0036】
本特許出願全体を通して、方法Dで測定されたマイクロベンド感受性は、所定の波長および温度における、dB/Kmの数値を単位として表される減衰単位で記載され、報告される。いかなるマイクロベンド感受性が得られても、得られた数値は、所与の遠距離通信ネットワークにおけるその光ファイバに許容可能な減衰の最大許容増加であることが理解される。
【0037】
これらの4つの試験方法のうち、方法Dのみが、温度に応じたファイバのマイクロベンド感受性を測定する手順を具体的に説明しており、広い温度範囲にわたるマイクロベンド感受性を提供し、温度サイクルが−60℃などのより低い温度を含み得ることを示唆している。
【0038】
当業界において、遠距離通信ネットワークにおける光ファイバが、−60℃の低さの温度に日常的に曝され得る可能性は低いことが理解される。しかしながら、最近の中国での現場故障の後、遠距離通信ネットワークにおける光ファイバのマイクロベンド感受性の規格が約25℃の室温であるのは、長期間にわたって温度が氷点(0℃または32°F)下になる冬の間に遠距離通信ネットワークが「ダークファイバー」を発生させるのを防ぐのに不十分であることも理解され始めている。
【0039】
本出願人は、IEC手順によるベースラインからの減衰の変化としてマイクロベンド感受性を報告することを選択した。この手順では、減衰の変化の報告を規定の波長および−60℃の温度で報告する必要がある。本出願人は、これらの極端な温度条件におけるマイクロベンド感受性データの報告が、現場における被覆された光ファイバのマイクロベンド感受性のある種の「最悪のシナリオ」の可能性をもたらし得ると考えている。
【0040】
−60℃のレベルにおける光ファイバのマイクロベンド感受性特性が許容可能とみなされる場合、同じレベルの機械的応力を想定している室温における光ファイバの性能も許容可能であろうと想定するのが妥当であるというのが本出願人の見解である。
【0041】
この点に付け加えて、室温におけるマイクロベンド感受性試験では、標準的な「スーパーコーティングでない」コーティングで被覆された光ファイバの間のマイクロベンド感受性の差を特定できる場合またはできない場合があり、その理由は、室温においては、スーパーコーティングも非スーパーコーティングも、一次被覆のガラス転移温度(Tg)に近い温度範囲にないためである。
【0042】
標準的な「スーパーコーティングでない」コーティングで被覆された光ファイバと、スーパーコーティングで被覆された光ファイバとの間の差は、非常に低い温度でのマイクロベンド試験で現れるが、その理由は、標準的な「スーパーコーティングでない」一次被覆層は非常に低い温度でそのガラス転移温度を超え、それによってゴム状態からガラス状態へと移行するためである。光ファイバコーティングの一次層をガラス状態にすることは、マイクロベンド感受性を高めることが知られている。これに対して、スーパーコーティングの一次層のTgははるかに低いため、スーパーコーティングの一次層は、ゴム状態のままであり、これはマイクロベンド感受性にとってより有利である。
【0043】
光ファイバ用の標準的な「非放射線硬化性スーパーコーティング」と光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングとの間の差を説明する別の方法は、一次被覆層における完全に硬化された低弾性率の低Tgコーティングと、スーパーコーティングの二次被覆層における完全に硬化された高弾性率の高Tgコーティングとの組合せが、極端な温度もしくは機械的応力のいずれかまたは極端な温度および機械的応力の両方の下での許容可能な性能につながることであり、ここで、許容可能な性能は、報告される減衰の増加が許容可能なファイバに反映される低レベルのマイクロベンド感受性によって判断される。
【0044】
現行の慣例では、遠隔通信ネットワークには、一般に1310nmおよび室温において公知の最大減衰を有する光ファイバが供給されることが必要であることが理解される。この最高の許容レベルの減衰は、遠距離通信ネットワークの設計基準の技術分野の当業者に公知である。
【0045】
放射線硬化性スーパーコーティングで被覆された光ファイバでは、3つの別の波長および非常に低温(−60℃)でマイクロベンド感受性を報告することが可能であり、望ましい。次に、このデータは、ネットワーク設計者が限界を理解し、ネットワークの故障モードを予測できるようにするのに用いられ得る。標準的な「非スーパーコーティング」で被覆された光ファイバを含むネットワークは、放射線硬化性スーパーコーティングで被覆された光ファイバを含むネットワークより、極端な温度および機械力のケーブル環境に伴う応力に対する耐性がはるかに低いというのが本出願人の見解である。別の要因は、光ファイバを被覆するのに放射線硬化性スーパーコーティングを使用することで、光ファイバを被覆するのに標準的な「非放射線硬化性スーパーコーティング」を用いた際に組み込まれるのと同じ「安全マージン」を必要とせずに設計することができるほど十分なデータを遠隔通信ネットワークに与え得ると考えられていることである。
【0046】
本方法の次の工程は、光ファイバが設置される遠距離通信ネットワークのスーパーコーティングのフィールドアプリケーション環境要件を決定する工程である。フィールドアプリケーション環境は、4つの要因を理解することを含む:
i)光ファイバに用いられるガラスのタイプ;
ii)スーパーコーティングの二次層が、スーパーコーティングの一次層の上にウェットオンドライまたはウェットオンウェットのどちらで塗布されるか;
iii)光ファイバ上にスーパーコーティングを硬化するのに用いられる光のタイプ、数、および線引き塔製造ラインに沿ったその光の位置決め;ならびに
iv)スーパーコーティングが塗布されるライン速度。
【0047】
関連要素i):光ファイバは、長距離直線ケーブルの設置のための標準グレードを有することが知られている。最近、様々なグレードの「耐曲げ」光ファイバが、コーニングおよびDrakaおよびOFSおよびYOFCなどの光ファイバ供給業者によって開発されている。これらの耐曲げ光ファイバは、ファイバトゥザノード(FTTX)およびファイバトゥザホーム(FTTH)アプリケーションに配備されている。
【0048】
標準グレードおよび耐マイクロベンド光ファイバについての詳細は、供給業者独自の文献およびウェブサイトから得られる。
【0049】
現在販売されている市販の光ファイバとしては以下が挙げられる:コーニング(登録商標)InfiniCor(登録商標)光ファイバ、コーニング(登録商標)ClearCurve(登録商標)OM2/OM3/OM4マルチモード光ファイバ、コーニング(登録商標)ClearCurve(登録商標)シングルモード光ファイバ、コーニング(登録商標)SMF−28e(登録商標)XB光ファイバ、コーニング(登録商標)SMF−28(登録商標)ULL光ファイバ、コーニング(登録商標)LEAF(登録商標)光ファイバ、コーニング(登録商標)Vascade(登録商標)光ファイバおよびコーニング(登録商標)Specialty Fiber、Draka BendBright SingleMode(BB)、Draka TeraLight Singlemode(TM)、Draka TeraLight Ultra Singlemode(TU)、Draka BendBright−XS(BX)、Draka Enhanced Single Mode、Draka NZDSF−LA Singlemode(LA)、OFS AllWave(登録商標)Zero Water Peak(ZWP)および新たに導入されたOFS AllWave FLEX ZWP Fibers、OFS LaserWave(登録商標)Fibers、OFS Access ADVANTAGE(商標)System。OFS HCS(登録商標)、OFS FiberWire(登録商標)、およびOFS PYROCOAT(登録商標)ブランドの技術、YOFC HiBand GIMMファイバ、YOFC High Temperature Fibre(HTF)シリーズ、YOFC HiBand Graded−Index Multimode Optical Fiber(50/125および62.5/125um)など。
【0050】
通常、直線アプリケーションに配備されるファイバは、FTTXおよびFTTHアプリケーションに配備されるファイバより応力が少なく、マイクロベンドが少ない。したがって、FTTXおよびFTTHアプリケーション用のファイバに塗布される放射線硬化性スーパーコーティングの選択は、FTTXおよびFTTH光ファイバの性能に極めて重要である。したがって、被覆される光ファイバがFTTXおよびFTTHアプリケーションに指定されるときは常に、スーパーコーティングは、マイクロベンドに対する耐性が高くなければならない。
【0051】
スーパーコーティングの配合に特有なのは、6つの所要の特性を達成するためのどのくらいの配合要件が、光ファイバのコーティングの機械的態様に依存するのかということだけである。例えば、標準グレードの光ファイバをスーパーコーティングで被覆し、所望の減衰特性を有する被覆された光ファイバを得ることができるが、「耐曲げ」高品質グレードの光ファイバを標準的な「非スーパーコーティング」で被覆し、被覆された光ファイバが許容できないマイクロベンド感受性を有する結果となり、システムの所要の許容レベルの減衰を達成できないこともあり得る。したがって、所望の減衰特性を有する光ファイバを製造するために、スーパーコーティングの配合者が、光ファイバ製造プロセスの詳細を理解していることが望ましく、場合により必須でさえある。これらの詳細には、ガラスのタイプ、処理温度、コーティングのアプリケーションの周囲の雰囲気、ライン速度、放射線源(通常、「硬化ランプ」として表される)のタイプ、ならびに処理ラインに沿った硬化ランプの位置および数ならびに二次被覆が一次被覆の上にウェットオンウェットまたはウェットオンドライのどちらで塗布されるかが含まれる。ガラス処理に対するこれらのタイプの機械的態様は、これまで、光ファイバコーティングの配合者にとって関心の対象ではなかった。その理由は、配合者は光ファイバコーティングに着目し、ガラスメーカーがガラスに着目していたためである。上述したように、ガラスの処理についての十分な量の情報がなくても、標準グレードの光ファイバをスーパーコーティングで被覆し、所望のマイクロベンド感受性特性を有する被覆された光ファイバを得ることができるが、「耐曲げ」高品質グレードの光ファイバを標準的な非スーパーコーティングで被覆し、被覆された光ファイバが、所望のマイクロベンド感受性特性を有さない結果になることもあり得る。
【0052】
関連要素iii)光ファイバ上にスーパーコーティングを硬化するのに用いられる光のタイプ、数、および線引き塔製造ラインに沿ったその光の位置決め;光ファイバに塗布される放射線硬化性コーティングを硬化するのに好適な紫外光を発する従来の紫外光水銀アークランプの使用は周知である。紫外光アークランプは、電気アークを用いて、不活性ガス(例えば、アルゴン)環境中にある水銀を励起して、硬化を生じさせる紫外光を生成することによって光を発する。あるいは、不活性ガス媒体中で水銀ランプを励起して紫外光を生成するのにマイクロ波エネルギーも用いることができる。本特許出願全体を通して、アークで励起されたおよびマイクロ波で励起された水銀ランプ、ならびにこれらの水銀ランプの様々な添加剤(鉄金属、ガリウムなど)で変性された形態が水銀ランプとみなされる。従来の紫外光水銀アークランプは、光ファイバ用の放射線硬化性コーティングの硬化に関して言えば「従来技術」である。
【0053】
しかしながら、放射線源としての紫外光水銀ランプの使用には、水銀および副生成物としてのオゾンの生成による環境問題を含むいくつかの欠点がある。さらに、水銀ランプは、通常、より低いエネルギー転換率を有し、起動時間を必要とし、動作中に熱を生成し、発光ダイオード「LED」によって生成される光と比較して大量のエネルギーを消費する。
【0054】
放射線硬化性スーパーコーティングの硬化にどのタイプの光が用いられることになるかを知ることは重大な情報であるが、その理由は、被覆された光ファイバの製造において、コーティングが揮発性物質の存在を回避するように配合されない場合、それらの揮発性物質は励起され、石英管表面に堆積されて、UV線がガラスファイバ上の液体コーティングを照射するのを妨げることで、液体コーティングが固体へと硬化されるのを妨げ得る点で、UV水銀ランプによって生成される熱は、液体コーティングに悪影響を与えるおそれがあるためである。
【0055】
紫外光水銀ランプに対して、発光ダイオード(LED)は、光を生成するのに電界発光現象を用いる半導体デバイスである。LEDは、電圧が加えられたときに正孔が負電子と結合する際に発光することが可能なp−n接合を生成するために不純物をドープされた半導体材料からなる。発される光の波長は、半導体の活性領域に用いられる材料によって決まる。LEDの半導体に用いられる通常の材料としては、例えば、周期表の第13族(III)および第15族(V)の元素が挙げられる。これらの半導体は、第III−V族半導体と呼ばれ、これらとしては、例えば、GaAs、GaP、GaAsP、AlGaAs、InGaAsP、AlGaInP、およびInGaN半導体が挙げられる。LEDに用いられる半導体の他の例としては、第14族(IV−IV半導体)および第12〜16族(II−VI)からの化合物が挙げられる。材料の選択は、発光の所望の波長、性能パラメータ、およびコストを含む複数の要因に基づいて行われる。
【0056】
初期のLEDは、赤外(IR)線および低強度の赤色光を発するのにガリウムヒ素(GaAs)を用いた。材料科学の進歩により、他の色の可視光およびUV光を含む、より高い強度およびより短い波長を有する光を発することができるLEDが開発された。約100nmの低さから約900nmの高さまでの範囲の光を発するLEDを作り出すことが可能である。現在、公知のLEDのUV光源は、約300〜約475nmの波長の光を発し、365nm、390nmおよび395nmが、一般的なピークスペクトル出力である。ケンブリッジ大学出版局(Cambridge University Press)によって出版されたE.Fred Schubertによるテキスト「Light−Emitting Diodes」、第2版、(著作権)E.Fred Schubert 2006を参照されたい。
【0057】
LEDランプは、硬化用途において従来の水銀ランプに勝る利点を提供する。例えば、LEDランプは、UV光を生成するのに水銀を使用せず、通常、水銀UVアークランプよりかさ張らない。さらに、LEDランプは、起動時間を必要としない即時のオン/オフ源であり、このことはLEDランプの低エネルギー消費に役立つ。LEDランプはまた、より高いエネルギー変換効率で、熱の生成がはるかに少なく、ランプの耐用期間がより長く、LEDに用いられる半導体材料の選択によって調節される所望の波長の光を実質的に単色で発する。
【0058】
いくつかのメーカーが、商業的な硬化用途のためのLEDランプを提供している。例えば、Phoseon Technology、Summit UV Honle UV America,Inc.、IST Metz GmbH、Jenton International Ltd.、Lumios Solutions Ltd.、Solid UV Inc.、Seoul Optodevice Co.,Ltd、Spectronics Corporation、Luminus Devices Inc.、およびClearstone Technologiesが、インクジェット印刷組成物、PVCフロアコーティング組成物、金属コーティング組成物、プラスチックコーティング組成物、および接着剤組成物を硬化するためのLEDランプを現在提供しているメーカーの一部である。
【0059】
関連要素iv)スーパーコーティングが塗布されるライン速度、「D 1381 RADIATION CURABLE SUPERCOATINGS FOR OPTICAL FIBER」という発明の名称で、2007年12月13日に出願され、2009年9月18日に米国特許出願公開第20080226909号明細書として公開された米国特許出願第11/955541号明細書には、スーパーコーティングが、約750メートル/分〜約2100メートル/分のライン速度でシングルモード光ファイバに塗布され得ることが記載されている。本特許出願の出願日の2010年10月8日時点で、光ファイバ産業は現在、2100メートル/分を超えるライン速度でシングルモード光ファイバをドローすることが可能である程度まで進歩している。2200メートル/分を超えるライン速度でシングルモード光ファイバをドローすることも可能である。2300メートル/分を超えるライン速度でシングルモード光ファイバをドローすることも可能である。それによって制約されるものではないが、2350メートル/分を超えるライン速度でシングルモード光ファイバをドローすることも可能であり得ることが考えられる。それによって制約されるものではないが、2400メートル/分を超えるライン速度でシングルモード光ファイバをドローすることができないこともあることが考えられる。
【0060】
本方法の次の工程は、三次元ひも付け方法、放射線硬化性スーパーコーティングの一次層および二次層の評価による放射線硬化性スーパーコーティングの候補の評価を用いることを含む。従来、光ファイバ用の一次および二次被覆は、二次元図式(two−dimensional diagramed way)の配合にしたがって配合され、再配合されていた。図1は、光ファイバコーティングの通常の配合がどのように行われてきたかについての配合図の従来の描写の略図である(先行技術を示す)。
【0061】
図1において、決定図10は、光ファイバコーティングを配合するための先行技術の二次元の手法を示す。図1において、望ましい機能特性Aが円Aによって示され、検討ポイントBは、光ファイバ上のフラットフィルムの形態または管状コーティングの形態のいずれかの液体光ファイバコーティングまたは硬化されたコーティングが、所望の機能特性を有するかどうかを決定する試験を表す。光ファイバコーティングが所望の機能特性を有する場合、決定木はyesへと進み、質問は終了する。光ファイバコーティングが所望の機能特性を有さない場合、配合者は、平行四辺形Dで表されるように、配合を検討し行うべき変更を決定し、次に矩形Cにおいて、配合が変更される。機能特性が検討ポイントBで再試験され、所望の機能特性が得られた場合、質問は終了する。所望の機能特性が得られない場合、決定木は上に戻り、配合者によって次の可能な配合が決定されるまで他の再配合の選択肢が考えられ、次に配合が変更され、次に所望の機能特性が再試験される。これは所望の物理的特性が得られるまで続く。
【0062】
コーティングを変更するための可能な方法は、表1A、1B、1C、1D、1E、2A、2B、2C、2D、2E、1F、2F、1G、2G、1H、2H、1J、および2Jに含まれる情報によって示され、これらの表は、スーパーコーティングの厳しい基準を満たす光ファイバ上の一次被覆層および二次被覆層の物理的特性を有する配合物を生成することに関して、光ファイバ用の一次および二次放射線硬化性コーティングを配合するのに用いられてもまたは用いられなくてもよい成分の従来技術の理解をまとめている。本明細書に含まれる表中の情報に加えて、交付された特許、公開された特許出願、学術論文および光ファイバ用の放射線硬化性コーティングの技術分野の当業者に一般的に公知の他の情報にさらなる情報が見られる。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】
【表8】
【0071】
【表9】
【0072】
【表10】
【0073】
【表11】
【0074】
【表12】
【0075】
【表13】
【0076】
【表14】
【0077】
【表15】
【0078】
【表16】
【0079】
【表17】
【0080】
【表18】
【0081】
【表19】
【0082】
【表20】
【0083】
図1に示される「二次元」の手法に対して、図2は、権利請求される本発明の光ファイバ用のスーパーコーティングを配合するための方法の工程2の第1の態様を示す。図2は、結び付けひも(linking lace)307によって三次元モデルにおいて結び付けられる6つの決定図10、20、30、40、50および60を示す。結び付けひも307は、配合の1つ以上の変更が一次被覆層および二次被覆層の1つ以上の機能特性に対する悪影響を確実に生じないように、光ファイバスーパーコーティングの一次被覆層または二次被覆層のいずれかになされるいかなる配合の変更も光ファイバスーパーコーティングの他の所望の特性が最初の変更がなされた後に試験されなければならないことを意味することを示す。
【0084】
光ファイバ用のスーパーコーティングの6つの必要な特性は以下のとおりである:
光ファイバ上の硬化された一次被覆は、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
A)約84%〜約99%の%RAU;
B)約0.15MPa〜約0.60MPaのインサイチュ弾性率;および
C)約−25℃〜約−55℃のチューブTgを有し;
光ファイバの上の硬化された二次被覆は、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
A)約80%〜約98%の%RAU;
B)約0.60GPa〜約1.90GPaのインサイチュ弾性率;および
C)約50℃〜約80℃のチューブTgを有する。
【0085】
図2に示されるように、権利請求される本発明の工程ii)は、スーパーコーティングの1つの態様の変更が他の5つの特性に確実に影響しないように、これらの6つの特性のうちの1つに影響を与えるようになされるいかなる配合の変更も、他の5つの機能特性の全てが同様に試験されなければならないことを意味することを示す。
【0086】
図3は、権利請求される本発明の光ファイバ用のスーパーコーティングを配合するための方法の工程ii)の第2の実施形態を示す。図3において、スーパーコーティングの一次被覆層または二次被覆層の再配合を含む可能な変更は、所望の機能特性を達成するための1つの変更が所望の機能特性を損ない得る他の変更も生じ得るかどうかを互いに対して試験されなければならない。
【0087】
図4は、権利請求される本発明の光ファイバ用のスーパーコーティングを配合するための方法の工程ii)の第3の実施形態を示す。図4において、可能な変更は、6つの必要なスーパーコーティングの機能特性の間で水平方向および垂直方向の両方において結び付けひもによって結び付けられる。この特性の結び付けは、光ファイバ用のスーパーコーティングを単に二次被覆層によって覆われた一次被覆層とは異なるものとする本質である。光ファイバ用のスーパーコーティングでは、実際は、一次および二次被覆層を互いに別個に配合する代わりに、これらの層のうちの1つのいかなる配合の変更も、スーパーコーティングの所要の全ての特性に対して試験されなければならない。
【0088】
権利請求される本発明の第2の態様は、三次元ひも付け方法が、放射線硬化性スーパーコーティングの一次被覆層および二次被覆層の結合された複合物を評価するために多層フィルムドローダウン方法を用いる工程を含む、権利請求される本発明の第1の態様の方法である。
【0089】
権利請求される本発明の第3の態様は:
a)試験用の基材を選択する工程と;
b)所定の厚さのドローダウンバーを用いて、一次被覆を基材に塗布する工程と;
c)場合により一次被覆を硬化する工程と;
d)所定の厚さのドローダウンバーを用いて、二次被覆を一次被覆に塗布する工程であって、二次被覆を塗布するためのドローダウンバーの所定の厚さが、一次被覆を塗布するのに用いられるドローダウンバーの所定の厚さより厚い工程と;
e)一次被覆および二次被覆の両方を硬化させて結合された複合フィルムにするのに十分な放射線を多層フィルムに加える工程と;
f)フィルムを基材から取り外す工程と;
硬化されたフィルムの機能特性を評価する工程と
を含む多層フィルムドローダウン方法である。
【0090】
図5は、このようなフィルムの1つを示す。
【0091】
多層フィルムドローダウン方法、可能な放射線硬化性スーパーコーティング一次および二次層の層を評価するための平板基材方法(flat plate substrate method)は、以下の工程を含む:
1)参照のために、UV硬化用のドローダウンフィルムを作製するための一般的な方法が、Szumらによって、43rd IWCS Proceedings(1994年)、p.59に記載されている。
2)通常の慣例は、透明な単一の厚さの窓ガラスで開始することになっている。1つ以上の少量の試験コーティングがガラス板自体、またはガラス板を覆う重ねられたポリエステルシートに塗布され、鳥型の目盛り付きバー(Bird type calibrated bar)でドローダウンされて、25μ〜75μの粘着性の(coherent)薄膜を広げられる。第1の層用の1つのこのような鳥型のバーは、1.5ミルのフィルム堆積高さを有する。これらの試験コーティングは、最も典型的な内側一次被覆である。
3)この第1のドローダウンの直後、第1のドローダウンフィルムの上にわたって、かつ第1のドローダウンフィルムの縁部を覆うのに十分広く第2のドローダウンが行われる。この第2のドローダウンも、鳥型の目盛り付きバーを用いて行われて、通常、75μ〜254μのフィルムが堆積される。第2の層用のこのような鳥型のバーの1つは、3.0ミルのフィルム堆積高さを有する。2回のドローダウンを有するガラス板および結果として得られる複合フィルムが、所望の硬化度を得るのに好適な化学線に曝される。この方法は、ウェットオンウェット方法として知られている。
4)ウェットオンドライ方法として知られている同様の方法が、第1のドローダウンフィルムが、一次被覆層を硬化するために化学線に曝されることを除いて、上述したウェットオンウェット方法と同じように行われる。この放射線曝露の後、第2のドローダウンが行われ、次に、板がさらに放射線に曝されて、二次層および一次層が硬化されて結合された複合フィルムにされる。
5)この手順により、規定の厚さの第1の層と、第2の上塗りドローダウンに用いられる目盛り付きの鳥型のバーの公称厚さから第1の層の厚さを差し引いた差によって計算される厚さの第2の層とで構成される硬化された複合フィルムを表面領域に有するガラス板が得られる。その際、これらの結合された複合フィルムは、光ファイバ用途に向けた放射線硬化性スーパーコーティングに望ましい特性に関連する通常の試験に好適である。
【0092】
この方法を用いて、少量の一次被覆をガラス板に塗布し、1ミルまたは1.5ミルの鳥型のバーを用いてドローダウンする。一次被覆層が未硬化である一方、着色された二次被覆層の第2のドローダウンが、3ミルのバーを用いて、一次被覆層の上になされる。図5に見られるように、結果は、許容可能な程度に均一であることが観察される。
【0093】
実際に、スーパーコーティングの一次層は、1.5ミルのバーを用いてドローダウンされ、次に、褐色層として観察されるスーパーコーティングの二次層の候補である実施例3SA3 着色2H、{着色2H褐色}が、3ミルのバーを用いてスーパーコーティングの一次被覆の上にドローダウンされる。このウェットオンウェット塗布の後、板は、一次被覆層および二次被覆層の両方を硬化して結合された複合フィルムにするのに十分な放射線に曝される。
【0094】
図5において、結合された複合フィルムは、3ミルの着色された二次被覆のより暗い領域と、各々が1.5ミルの一次被覆およびその上の着色された二次被覆のより明るい領域とを有して非常に均一であるように見える。結合された複合フィルムは、容易に取り外し可能であり、厚さおよび%RAUの測定、光ファイバ用のスーパーコーティングの両方の層の重要な測定を手作業で行うことができる(hand able)。
【0095】
追跡調査解析は、2回のドローダウン方法の際の層の混合が非常に少ないことを示す。簡単なw−o−wドローダウンが下層および上層の両方の別個の属性をそのまま残しながら、なおかつ2つの層が硬化の際に結合して、結合された複合フィルムになることを発見することは意外であった。
【0096】
層の混合がないことは、図7、8および9にさらに示される。
【0097】
図7は、2組の2つの配置が互いに重ねられているのと同等の外観を有する4つのスペクトルを示す「全て」のスペクトルである。
【0098】
図8は、着色された二次部分のみ、および2回ドローダウンした部分の上部を示す「褐色」のスペクトルである。2つのスペクトルはかなり一致している。
【0099】
図9は、「実施例3SA3 着色2H、{着色2H褐色}のスーパーコーティングの一次層についての配合選択肢A」のスペクトルであり、二重層のガラス側面、および単一の3ミルの実施例3のスーパーコーティングの一次層のガラス側面のドローダウンを示す。同様に、スペクトルは非常に一致している。
【0100】
その際、これらの複合フィルムは、光ファイバ用途に向けた放射線硬化性スーパーコーティングに望ましい特性に関連する通常の試験に好適である。試験は%RAUを含み得る。これは、二次層がウェット一次被覆層上にウェット塗布されるときに特に有用であり、二次層の硬化速度が一次被覆層の硬化速度より速くないことが重要となるが、その理由は、硬化された二次被覆層の光透過が液体の硬化されていない二次被覆層の光透過より通常低いことから、二次被覆が一次被覆より速く硬化する場合、一次被覆はその所望の%RAUになるまで硬化しないであろうためである。
【0101】
興味深い見解は、光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを配合するためのこの新規な方法によって、以下の向上された機能特性を有する放射線硬化性スーパーコーティングを配合することが可能になったことである:
一次被覆層および二次被覆層の両方について現在約100%の上限に及ぶ範囲の%RAU。
【0102】
この方法により、これまで利用できなかった方法で複合スーパーコーティングフィルムとしての一次および二次被覆の特性を調査するのが可能になる。この方法を用いて、線引き塔シミュレータを用いる必要なく取り扱いやすいフィルムで、引張特性、DMA特性、環境耐久性などについて、スーパーコーティングの候補の一次層の上のスーパーコーティングの候補の二次層の実現可能性調査を行うことが現在可能である。以下を含むがこれらに限定されない多層フィルムドローダウン方法を使用することの多くの利点が理解されている:フィルムドローダウンは、より基本的な分析を可能にするためにコーティング機能性の要因としてライン速度を除外し;また、配合者がウェットオンドライおよびウェットオンウェット処理工程の際の材料の層間の移動を評価するのも可能にする。
【0103】
多層フィルムドローダウン方法の別の利点は、被覆がワイヤまたは光ファイバに塗布されるとき必要な%RAUまで一次被覆を硬化するのに十分な完全硬化が可能であることがウェットオンウェット処理およびウェットオンドライ処理の両方にとって重要であることである。実際に、ウェットオンドライ処理の際、放射線が二次被覆にかけられるとき一次被覆において硬化が完了されるのを予想して、一次被覆は、ライン速度を達成するには硬化不足であり得ることが知られている。したがって、多層フィルムドローダウン方法の使用は、ウェットオンドライ塗布と比較してウェットオンウェット塗布をシミュレートし、一次被覆から二次被覆の硬化を測定するために%RAUを試験するのに有用である。シミュレーションにより、配合者が異なる光開始剤の有効性を迅速に評価することができる。この試験により、光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングにとって、所望され必要とされる非常に高いレベルの%RAUを達成するために、それによって制約されるものではないが、一次被覆層より二次被覆層に異なる化学薬品タイプの光開始剤を有することがより好ましいと考えられるという仮説が既に導びかれた。このように、1種の光開始剤を有することで両方の層において所望のレベルの硬化を達成しようとするのではなく、層において2種の異なる光開始剤による反応が起こることになる。
【0104】
多層フィルムドローダウン方法の別の利点は、スーパーコーティングにおいて規定され得る一次および二次特性と相関され得る硬化された一次被覆の上の硬化された二次被覆層の合成挙動に近似していることである。DMA(動的機械分析)の別名で知られている、固体フィルムレオロジー試験を用いてフィルムを分析することによって、各被覆層の機能特性を評価することが可能である。
【0105】
結論は、2回のドローダウンプロセスの際の混合が非常に少なく、本方法がスーパーコーティングの一次被覆層およびスーパーコーティングの二次被覆層の候補を評価するのに有用であることである。
【0106】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、当然ながら、決して本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0107】
[実施例]
これらの実施例に挙げられる成分は、以下の商品名を有し、挙げられる供給元から入手可能であり、示される化学組成を有する。
【0108】
【表21】
【0109】
【表22】
【0110】
本発明は、いくつかの実施例を用いてさらに例示される。
【0111】
これらの実施例の全てにおいて、プロセスは以下のとおりである:
工程1:光ファイバが設置される遠距離通信ネットワークの減衰の最大許容増加要件を決定する工程;
工程2:
i)光ファイバに用いられるガラスのタイプ;
ii)スーパーコーティングの二次層がスーパーコーティングの一次層の上にウェットオンドライまたはウェットオンウェットのどちらで塗布されるか;
iii)光ファイバ上にスーパーコーティングを硬化するのに用いられる光のタイプ、数および線引き塔製造ラインに沿ったその光の位置決め;ならびに
iv)スーパーコーティングが塗布されるライン速度
を理解することによって、スーパーコーティングのフィールドアプリケーション環境を決定する工程;
工程3:以下の三次元ひも付け方法:
i)6つの所定の放射線硬化性スーパーコーティングパラメータについて、放射線硬化性スーパーコーティングの一次層および二次層を評価することによって放射線硬化性スーパーコーティングの候補を評価する工程;
ii)スーパーコーティングの所要の機能特性が達成されるかどうかを決定するために放射線硬化性スーパーコーティングの一次層および二次層を試験する工程であって;
スーパーコーティングの所要の機能特性が達成されなかった場合、一次または二次被覆のいずれかまたは両方を再配合する工程;
iii)所望の機能特性が達成されるかどうかを決定するために再配合された一次または二次被覆を試験する工程であって;
所望の機能特性が達成された場合、工程d)に進み;
所望の機能特性が達成されない場合、所望の機能特性が達成されるまで工程ii)およびiii)を繰り返す工程
を用いる工程;および次に
工程4:スーパーコーティングの全ての他の所定の機能特性要件に対して配合の変更を評価することによって、スーパーコーティングの一次被覆層およびスーパーコーティングの二次被覆層の再配合の効果を統合する工程;ならびに
工程5:三次元ひも付け方法からの結果を用いて、被覆された光ファイバの減衰の最大許容増加を達成するために必要な特性を提供するためのスーパーコーティングの選択を最終決定する工程。
【0112】
[実施例1 耐マイクロベンドシングルモード光ファイバ用のスーパーコーティングに対する要求]
光ファイバメーカーは、自社のシングルモード光ファイバに放射線硬化性スーパーコーティングを塗布することを望んでいる。このシングルモード光ファイバに用いられるガラスは、マイクロベンドに耐え得る最新のタイプのものである。
工程1:
このネットワークに用いられる光ファイバに求められるマイクロベンド感受性は:
1310nmおよび−60℃で約0.06未満のdB/Km;
1550nmおよび−60℃で約0.11未満のdB/Km;ならびに
1625nmおよび−60℃で約0.15未満のdB/Km
で報告される。
工程2
市販のファイバのデータ
放射線硬化性の放射線硬化性スーパーコーティングは、ウェットオンドライで塗布される。利用可能な硬化光は:600w/10インチのDランプである。硬化光の数は:一次被覆の領域に2つおよび二次被覆が塗布された後4つ、必要に応じて場合により最大で5つである。スーパーコーティングが塗布されるライン速度は、約1400m/分である。
工程3−スーパーコーティングの配合
4人の異なる配合者に、この放射線硬化性スーパーコーティング用の可能な一次被覆層に対して行う作業が与えられる。
【0113】
各一次被覆配合者は、各自の出発オリゴマーの原料、次に光開始剤、酸化防止剤、1種以上の希釈剤モノマーおよび入手可能な情報に基づく他の添加剤を選択する。一般に、それによって制約されるものではないが、オリゴマーの合成は、以下のとおりに行われる:
【0114】
本発明のコーティング組成物に好適なオリゴマーは、少なくとも1種のポリエーテルポリオール、少なくとも1種のジイソシアネート、少なくとも1種のヒドロキシル末端アクリレートまたは(メタ)アクリレート、および場合によりアルコールの反応によって調製される。以下のオリゴマー合成方法は、オリゴマーを合成するための2つの異なる方法を例示している。しかしながら、オリゴマーが、アルケニル基またはビニル基などの少なくとも1つの末端不飽和基とともにウレタン主鎖を含む限り、他の合成方法も用いられ得ることが当業者によって理解されよう。
【0115】
オリゴマー合成−方法Aは、まず、イソシアネートをヒドロキシル末端アクリレートまたはメタクリレートと反応させ、その後、ポリオールと反応させる「アウトサイドイン(outside−in)」方法としても知られている。
【0116】
ジイソシアネートと抑制剤との混合物に、温度が40℃を超えないように制御された方法でHEAを添加する。所望のNCO含量に達するように混合物を40℃で2時間反応させる。次に、ポリオールおよび触媒を添加し、NCO含量が0.10以下になるまで、混合物を80℃で2時間以上反応させる。
【0117】
オリゴマー合成−方法Bは、まず、イソシアネートをポリオールと反応させ、その後、ヒドロキシル末端アクリレートまたはメタクリレートと反応させる「インサイドアウト(inside−out)」方法としても知られている。
【0118】
触媒をジイソシアネートとポリオールと抑制剤との混合物に添加する。所望のNCO含量に達するように、混合物を60℃で2時間反応させる。次に、HEAを添加し、NCO含量が0.05以下になるまで、混合物を85℃で1時間以上反応させる。
【0119】
本発明にしたがってオリゴマーを調製するのに好適なポリエーテルポリオールは、好ましくはポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群から選択される。一実施形態において、ポリエーテルポリオールはポリプロピレングリコールである。
【0120】
光ファイバ用の放射線硬化性コーティングに使用するためのウレタンベースのオリゴマーを合成するための触媒は、当該技術分野で公知である。触媒は、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンアミン、ジブチルスズジラウレート(DBTDL);ネオデカン酸ビスマス、CAS 34364−26−6などの有機ビスマス触媒;ネオデカン酸亜鉛、CAS 27253−29−8;ネオデカン酸ジルコニウム、CAS 39049−04−2;および2−エチルヘキサン酸亜鉛、CAS 136−53−8を含むがこれらに限定されない金属カルボキシレート;ドデシルベンゼンスルホン酸、CAS 27176−87−0;およびメタンスルホン酸、CAS 75−75−2を含むがこれらに限定されないスルホン酸;1,2−ジメチルイミダゾール、CAS 1739−84−0を含むがこれらに限定されないアミノまたは有機系触媒;およびジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、CAS 280−57−9(強塩基);およびトリフェニルホスフィン;ジルコニウムブトキシド、(ジルコン酸テトラブチル)CAS 1071−76−7;およびチタンブトキシド、(チタン酸テトラブチル)CAS 5593−70−4を含むがこれらに限定されないジルコニウムおよびチタンのアルコキシド;ならびに以下に限定はされないが、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、CAS番号374683−44−0;1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、CAS番号284049−75−8;およびN−ブチル−4−メチルピリジニウムクロリド、CAS番号125652−55−3;およびテトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウムなどのイオン性液体ホスホニウム、イミダゾリウム、およびピリジニウム塩からなる群から選択される。
【0121】
これらの触媒の全ては市販されている。
【0122】
一実施形態において、触媒は、DBTDLであるか、またはCosChemから入手可能な「COSCAT 83」の商標の有機ビスマス触媒などの有機ビスマス触媒である。
【0123】
光開始剤の選択は以下:
1)放射線源、強度、コーティングとの近接性、
2)被覆層の厚さ、
3)配合物が透明かどうかまたは配合物が顔料を含有するかどうか、ならびに「顔料を含有する」場合、配合物中に存在する顔料のタイプおよび顔料の量、
4)組成物中に存在するオリゴマーのタイプ、
5)コーティング組成物が一次被覆層または二次被覆層のどちらであるか、および二次被覆層が、ウェットオンウェットまたはウェットオンドライのどちらで塗布されるか
によって決定される。
【0124】
2つの一般的な種類の光開始剤がある:
タイプI:光開始剤は、照射の際に単分子結合開裂を起こしてフリーラジカルを生成する。
タイプII:光開始剤は、光開始剤の励起状態が第2の分子(共開始剤)と相互作用する二分子反応を起こしてフリーラジカルを生成する。
【0125】
タイプIおよびタイプIIの両方のUV光開始剤が利用可能である。
【0126】
2人の異なる配合者に、この放射線硬化性スーパーコーティング用の可能な二次被覆層に対して行う作業が与えられる。
【0127】
各二次被覆配合者は、各自の出発オリゴマーの原料、その後、光開始剤、酸化防止剤、1種以上の希釈剤モノマーおよび入手可能な情報に基づく他の添加剤を選択する。
【0128】
それらの原料を選択する際、各二次被覆配合者は、以下のこと、すなわち、TDIタイプIIが安価であり、反応の速いイソシアネートであることを考慮に入れる。二次被覆に用いられるTDIタイプIIの選択に加えて、基寄与理論(group contribution theory)(基の各部分の特性および寄与を解釈する)は、イソシアネートの芳香族基が二次被覆の高いTgおよび高弾性率に寄与し、このことがなぜ芳香族イソシアネートが二次被覆に好ましいかの技術的な理由であることを教示している。
【0129】
BHT食品グレード:酸化防止剤がフリーラジカルを除去するため{これは、HEA(メチルヒドロキノンによって抑制される)が自己重合可能であるため重要である};合成化学者は、合成がHEAの前に反応混合物中にBHTを有するように計画する。この除去反応も酸素の存在を必要とし、通常の周囲空気中の酸素でこの目的のために一般的に十分であることが知られている。
【0130】
2−HEA(2−ヒドロキシエチルアクリレート)は単純なアクリレートであり、これは、従来から、光ファイバ用の配合された放射線硬化性コーティングの非常に良好な硬化速度を得られた。HBA(ヒドロキシブチルアクリレート)またはHPA(ヒドロキシルエチルアクリレート)は、合成の際に反応性ではないことが知られている。
【0131】
一次被覆配合者および二次被覆配合者は両方とも、彼らが配合する際に以下のこと、すなわち、二次被覆層の重合がその層の収縮を引き起こすことおよび二次被覆層の収縮が一次被覆層に圧力をかけること、二次被覆層が硬化されているときに一次被覆層が既に硬化されているかまたは硬化が進行中であるかを認識している。応力緩和は、二次被覆が重合する際に二次被覆の収縮によって生じる一次被覆にかかる応力の軽減の尺度である。スーパーコーティングの二次被覆層の重合の温度は、その収縮を迅速に軽減するためにTgより高くする必要がある。光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを配合する際、一次および二次被覆層の両方の重合の温度が、そのTgより十分に高いことが想定される。重合温度がTg未満である場合、応力緩和はそれほど速くない。応力緩和が適時に起こらない場合、光ファイバにかかる応力が、許容できない減衰の原因となり得る。
【0132】
ウェットオンウェット処理は、さらなる応力緩和問題の可能性を有する。その理由は単に、重合が起こる前にファイバが2種の液体で被覆され、両方の液体の温度はファイバより低い可能性があり、その後、2重の重合熱を伴って同時重合が起こることで硬化が起こり、被覆層の間で温度分布が不均一になるためである。また、配合者は、重合が同時に起こっている場合、一次被覆の架橋密度が二次被覆よりはるかに低いため、架橋密度の差も大きな要因であることを認識している必要がある。
【0133】
光ファイバ製造の分野において、ファイバケーブル敷設者は、光ファイバがケーブル敷設プロセス中にさらに操作される前に、光ファイバが応力緩和された状態であることを望んでいることが知られている。したがって、全ての配合者は、応力緩和問題を最小限に抑えることが重要であることを認識している必要があり、さもなければ、より十分な応力緩和を起こすように光ファイバにケーブルを敷設するために、コーティングが光ファイバに塗布された後にケーブル敷設者がより長く待つ必要があるため、ケーブル敷設作業により長い時間がかかる。配合者の配合ミスにより、一次被覆層および二次被覆層が適切にかつ適時に応力緩和しない場合、ケーブル敷設された光ファイバが減衰の最大許容増加を超えないようにするのは非常に困難であり、達成できないであろうことが知られている。
【0134】
応力緩和を促すために、配合者は、二次被覆により可撓性の材料を選択するが;これらの可撓性材料は、さらなる可撓性が高いTgおよび高強度という目標とする物理的特性を不都合に妨げないように選択されなければならない。
【0135】
[実施例1〜4]
これらの実施例は、スーパーコーティングの候補の一次被覆層の配合者αの候補の配合物を示す。
【0136】
【表23】
【0137】
[実施例1PB1〜1PB4]
これらの実施例は、スーパーコーティングの一次被覆層の配合者βの候補の配合物を示す。
【0138】
【表24】
【0139】
[実施例1PC1〜1PC4]
これらの実施例は、スーパーコーティングの一次被覆層の配合者γの候補の配合物を示す。
【0140】
【表25】
【0141】
実施例2SA1〜2SA5は、二次被覆層の配合者εの候補の配合物を示す。
【0142】
【表26】
【0143】
[実施例2SB1〜2SB4:]
これらの実施例は、スーパーコーティングの二次被覆層の配合者ζの候補の配合物を示す。
【0144】
【表27】
【0145】
【表28】
【0146】
多層フィルムドローダウンの分析の結果は、最も適合する可能性のある組合せは以下のものであることを示す:
1PA2および2SA4
1PA2および2SB3
1PB3および2SA4
1PB3および2SB3
1PC1および2SA4
1PC1および2SB3
1PD5および2SA4
1PD5および2SB3。
【0147】
そこで、これらの組合せを、線引き塔シミュレータで試験する。特定の組合せが、約750m/分〜約2,100m/分のライン速度の全てではないが一部で、スーパーコーティングの特性を達成することが分かった。これらの組合せは、全てのライン速度でスーパーコーティングであることが分かっており:
硬化の前の一次被覆層の組成は、実施例1PA2、1PB3、1PC1の配合からなる群から選択され;
硬化の前の二次被覆層の組成は、実施例2SA4および2SB3の配合からなる群から選択される。
【0148】
[実施例2]
光ファイバメーカーは、硬化光の少なくとも一部をLED光に切り替えることによってエネルギーコストを節減することを望んでいる。彼らは、一次被覆を硬化する光をLED光に変更することによって切り替えを開始することを決定している。彼らの現在の一次被覆は、実施例1PB3(実施例1から)である。シングルモード光ファイバは、マイクロベンドに耐え得る最新のタイプのものである。
工程1:
このネットワークに用いられるシングルモード光ファイバに求められるマイクロベンド感受性は:
1310nmおよび−60℃で約0.02未満のdB/Km;
1550nmおよび−60℃で約0.03未満のdB/Km;ならびに
1625nmおよび−60℃で約0.05未満のdB/Km
で報告される。
工程2
シングルモード光ファイバは、マイクロベンドに耐え得る最新のタイプのものである。放射線硬化性の放射線硬化性スーパーコーティングは、ウェットオンドライで塗布される。一次被覆用の硬化光のタイプは以下のとおりである:光ファイバメーカーは、少なくとも4W/cm2の電力で395nmで任意のLEDランプで動作するという柔軟性を求めている。この実施例の目的のために、選択されるLEDランプは、395nmでピーク発光を有する8W/cm2のLEDユニットである。このタイプのLEDランプは、RX Fireline LEDユニットとしてPhoseonから入手可能である。硬化光の数は:一次被覆領域において1〜3つである。二次被覆用の硬化光のタイプは:600w/10インチのDランプである。硬化光の数は:二次被覆領域において3つである。スーパーコーティングが塗布されるライン速度は、約1300m/分である。
【0149】
【表29】
【0150】
【表30】
【0151】
したがって、権利請求される本発明の第4の態様は、一次被覆層と二次被覆層とを含むスーパーコーティングで被覆されたシングルモード光ファイバであり;
硬化の前の一次被覆層の組成は、実施例1PA2、1PB3、1PC1、2α、2βの配合からなる群から選択され;
硬化の前の二次被覆層の組成は、実施例2SA4および2SB3および5SA1の配合からなる群から選択される。
【0152】
[実施例3]
光ファイバメーカーは、自社のシングルモード光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを塗布することを望んでいる。シングルモード光ファイバは、マイクロベンドに耐え得る最新のタイプのものである。
工程1:
このネットワークに用いられるシングルモード光ファイバに求められるマイクロベンド感受性は:
1310nmおよび−60℃で約0.02未満のdB/Km;
1550nmおよび−60℃で約0.06未満のdB/Km;ならびに
1625nmおよび−60℃で約0.09未満のdB/Km
で報告される。
工程2
シングルモード光ファイバは、マイクロベンドに耐え得る最新のタイプのものである。放射線硬化性の放射線硬化性スーパーコーティングは、ウェットオンウェットで塗布される。二次被覆は着色された二次被覆であり、透明な二次被覆ベースコートが、色濃縮物とインラインで混合される。硬化光のタイプは:Fusion Dランプと同様の金属ハロゲン化物スペクトルを有する専用のランプである。硬化光の数は:20インチにつき3つのランプである。スーパーコーティングが塗布されるライン速度は、約1700メートル/分である。
工程3
工程3−スーパーコーティングの配合
一次被覆層のために、光開始剤、酸化防止剤、2種の希釈剤モノマーおよび入手可能な情報に基づく他の添加剤とともに、オリゴマーを選択する。二次被覆層のために、光開始剤、酸化防止剤、2種の希釈剤モノマーおよび透明な二次被覆を配合するための入手可能な情報に基づく他の添加剤とともに、オリゴマーブレンドを選択する。インライン混合の際に透明な二次被覆に加えるために着色剤を配合する。1625メートル/分で動作している線引き塔シミュレータにおいて一次被覆および二次被覆を試験するのに加えて、多層フィルムドローダウン試験方法を用いて、透明な二次被覆層の上塗りとともに一次被覆層のスーパーコーティングフィルムを生成する。フィルムを基材から取り外し、スーパーコーティングの特性を試験する。
【0153】
多層フィルムドローダウン試験方法を用いて、透明な二次被覆層の上塗りとともに一次被覆層のスーパーコーティングフィルムを生成するのに加えて、多層フィルムドローダウンは、一次被覆層と、透明な二次被覆および着色剤で作製された着色された二次被覆とで作製される。
【0154】
【表31】
【0155】
【表32】
【0156】
【表33】
【0157】
[実施例3の続き]
オリゴマーM3∴はオリゴマーである。オリゴマーM3を作製するために組み合わせられる成分は以下を含む:
【0158】
【表34】
【0159】
【表35】
【0160】
[実施例4]
光ファイバメーカーは、自社のマルチモード光ファイバ用の放射線硬化性スーパーコーティングを塗布することを望んでいる。マルチモード光ファイバは、マイクロベンドに耐え得る最新のタイプのものである。
工程1:
このネットワークに用いられるシングルモード光ファイバに求められるマイクロベンド感受性は、本明細書を記載している時点で、850nmおよび1300nmでまだ調査中である。詳細がより進展すると、さらなるマイクロベンド感受性試験が行われることになる。
工程2
マルチモード光ファイバは、マイクロベンドに耐え得る最新のタイプのものである。放射線硬化性二次被覆は、ウェットオンウェットで一次被覆に塗布される。一次被覆および二次被覆が塗布されるライン速度は、約200メートル/分である。二次被覆は透明な二次被覆である。硬化光のタイプは:600w/Dランプである。硬化光の数は:一次被覆領域において3つであり、二次被覆領域において3つである。
工程3
一次被覆層のために、光開始剤、酸化防止剤、2種の希釈剤モノマーおよびマルチモードコーティングを作製するための入手可能な情報に基づく他の添加剤とともに、オリゴマーを選択する。二次被覆層のために、光開始剤、酸化防止剤、2種の希釈剤モノマーおよびマルチモードコーティング用の透明な二次被覆を配合するための入手可能な情報に基づく他の添加剤とともに、オリゴマーブレンドを選択する。
【0161】
[実施例4PD1〜4PD5]
これらの実施例は、一次被覆層の配合者δの配合物を示す。
【0162】
【表36】
【0163】
権利請求される本発明の第5の態様は、一次被覆層と二次被覆層とを含む放射線硬化性コーティングで被覆されたマルチモード光ファイバであり、
硬化の前の一次被覆層の組成は、実施例4PD5の配合からなる群から選択され;
硬化の前の二次被覆層の組成は、実施例2SA4および2SB3の配合からなる群から選択される。
【0164】
[実施例5]
消費者が完成された被覆ファイバの同心性を確保するように設置設備を使用できるようにより高い屈折率を有する製品を求める消費者のニーズを満たすために、既存のスーパーコーティングの二次被覆からこのスーパーコーティングの二次被覆を配合する。従来のコーティングからの変更は以下のとおりである:
a)約10%のレベルでSR−601の使用を含む、
b)0.5%〜0.75%の、わずかにより多いTPOの使用、
c)2%〜2.5%の、わずかにより多いChivacure 184の使用、
d)IBOAおよびSR−306をなくし、その代わりに約15%のPEAを使用する。
【0165】
【表37】
【0166】
オリゴマーM3∴はオリゴマーである。オリゴマーM3を作製するために組み合わせられる成分は以下を含む:
【0167】
【表38】
【0168】
[実施例6]
これは、挙げられるスーパーコーティングの各々における一次被覆と二次被覆との組合せを示す。
【0169】
【表39】
【0170】
本明細書に引用される、刊行物、特許出願、および特許を含む全ての参照文献は、参照により援用されるべき各々の参照文献が個別にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度に、参照により本明細書に援用される。
【0171】
本発明を説明する文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)、用語「a」および「an」ならびに「the]ならびに類似の指示語の使用は、本明細書において特に示されない限り、あるいは文脈上明白に矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含するものと解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(containing)」は、特に断らない限り、オープンエンド用語(すなわち、「含むが、これらに限定されない」ことを意味する)と解釈されるべきである。本明細書における数値の範囲の記載は、本明細書において特に示されない限り、その範囲内に入るそれぞれ個別の数値を個々に引用することの単に簡単な方法として使用しているものであり、それぞれの個別の数値が、本明細書に個々に引用されたかのように組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書において特に示されない限り、あるいは文脈上明白に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することが可能である。本明細書で提供されるいずれかおよび全ての例、または例示語(例えば、「など」)の使用は、本発明をより明瞭に説明することを単に意図しており、特に断らない限り、本発明の範囲を限定しない。本明細書中のいかなる文言も、権利請求されていない要素を本発明の実施に対して不可欠であるものとして示しているものと解釈されるべきではない。
【0172】
本発明を実施するための、本発明者らが知り得る最良の形態を含む、本発明の実施形態を本明細書に記載した。上記の説明を読めば、それらの実施形態の変形が当業者にとって明らかになるであろう。本発明者らは、そのような変形を当業者が必要に応じて用いることを予想し、また本発明者らは、本明細書に具体的に記載されたのと別の方法で本発明が実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法によって許されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載される主題の全ての変更および均等物を包含する。さらに、本明細書において特に示されない限り、あるいは文脈上明白に矛盾しない限り、全ての可能な変形において、上述した要素のいかなる組合せも本発明に包含される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠距離通信ネットワークに用いられる光ファイバに塗布するための放射線硬化性スーパーコーティングを配合する方法であって、前記スーパーコーティングが、少なくとも2層を含み、前記第1の層が、前記光ファイバの外側層表面と接触状態にある一次被覆であり、前記第2の層が、前記一次被覆の外側表面と接触状態にある二次被覆であり、前記光ファイバの上の前記硬化された一次被覆が、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で少なくとも1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
1)約84%〜約99%の%RAU;
2)約0.15MPa〜約0.60MPaのインサイチュ弾性率;および
3)約−25℃〜約−55℃のチューブTgを有し;
前記光ファイバの上の前記硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で少なくとも1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
4)約80%〜約98%の%RAU;
5)約0.060GPa〜約1.90GPaのインサイチュ弾性率;および
6)約50℃〜約80℃のチューブTgを有し;
前記方法が:
a)前記光ファイバが設置される前記遠距離通信ネットワークの減衰の最大許容増加要件を決定する工程と;
b)前記スーパーコーティングのフィールドアプリケーション環境を決定する工程であって:
i)前記光ファイバに用いられるガラスのタイプを選択する工程と;
ii)前記スーパーコーティングの前記二次被覆が、前記スーパーコーティングの前記一次被覆の上にウェットオンドライまたはウェットオンウェットのどちらで塗布されるかを決定する工程と;
iii)前記光ファイバ上に前記スーパーコーティングを硬化するのに用いられる光のタイプ、数を選択し、その光を線引き塔製造ラインに沿って位置決めする工程と;
iv)前記スーパーコーティングが塗布されるライン速度を選択する工程と
を含む工程と;
c)液体の非硬化状態の一次被覆組成物を配合する工程と;
d)液体の非硬化状態の二次被覆組成物を配合する工程と;
e)図2、3および4に示される、以下の三次元ひも付け方法:
i)前記スーパーコーティングパラメータ1)〜6)が達成されるかどうかを決定するために前記スーパーコーティングの前記一次被覆および前記二次被覆を試験する工程であって;
ここで、
−前記スーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てが達成された場合、工程f)に進み;
−前記スーパーコーティングパラメータ1)〜6)のいずれか1つでも達成されなかった場合、前記スーパーコーティングの前記一次被覆または二次被覆のいずれかまたは両方を再配合し、前記スーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てが達成されるまで工程ii)を繰り返す工程と;次に
ii)前記他の配合に対しておよび前記スーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てに対して各配合の変更を評価することによって、前記スーパーコーティングの前記一次被覆および前記二次被覆の前記再配合の完全性を確認する工程と
を用いる工程と;
f)工程e)i)および工程e)ii)からの結果を用いて、前記被覆された光ファイバの前記減衰の最大許容増加を達成するためのスーパーコーティングの選択を最終決定する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記三次元ひも付け方法が、放射線硬化性スーパーコーティングの一次被覆層および二次被覆層の結合された複合物を評価するために多層フィルムドローダウン方法を用いる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
多層フィルムドローダウン方法であって:
a)前記試験用の基材を選択する工程と;
b)所定の厚さのドローダウンバーを用いて、一次被覆を前記基材に塗布する工程と;
c)場合により前記一次被覆を硬化する工程と;
d)所定の厚さのドローダウンバーを用いて、二次被覆を前記一次被覆に塗布する工程であって、前記二次被覆を塗布するための前記ドローダウンバーの前記所定の厚さが、前記一次被覆を塗布するのに用いられる前記ドローダウンバーの前記所定の厚さより厚い工程と;
e)前記一次被覆および二次被覆の両方を硬化させて結合された複合フィルムにするのに十分な放射線を前記多層フィルムに加える工程と;
f)前記フィルムを前記基材から取り外す工程と;
g)前記硬化されたフィルムの機能特性を評価する工程と
を含む方法。
【請求項4】
一次被覆層と二次被覆層とを含むスーパーコーティングで被覆されたシングルモード光ファイバであって;
硬化の前の前記一次被覆層の組成が、実施例1PA2、1PB3、1PC1、1PD5、2α、2βの配合からなる群から選択され、
硬化の前の前記二次被覆層の組成が、実施例2SA4および2SB3および3SA1および5SA1の配合からなる群から選択されるシングルモード光ファイバ。
【請求項5】
一次被覆層と二次被覆層とを含む放射線硬化性コーティングで被覆されたマルチモード光ファイバであって、
硬化の前の前記一次被覆層の組成が、実施例4PD5の配合からなる群から選択され;
硬化の前の前記二次被覆層の組成が、実施例2SA4および2SB3および3SA1および5SA1の配合からなる群から選択されるマルチモード光ファイバ。
【請求項1】
遠距離通信ネットワークに用いられる光ファイバに塗布するための放射線硬化性スーパーコーティングを配合する方法であって、前記スーパーコーティングが、少なくとも2層を含み、前記第1の層が、前記光ファイバの外側層表面と接触状態にある一次被覆であり、前記第2の層が、前記一次被覆の外側表面と接触状態にある二次被覆であり、前記光ファイバの上の前記硬化された一次被覆が、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で少なくとも1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
1)約84%〜約99%の%RAU;
2)約0.15MPa〜約0.60MPaのインサイチュ弾性率;および
3)約−25℃〜約−55℃のチューブTgを有し;
前記光ファイバの上の前記硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃および相対湿度85%で少なくとも1ヶ月間エージングさせた後には以下の特性:
4)約80%〜約98%の%RAU;
5)約0.060GPa〜約1.90GPaのインサイチュ弾性率;および
6)約50℃〜約80℃のチューブTgを有し;
前記方法が:
a)前記光ファイバが設置される前記遠距離通信ネットワークの減衰の最大許容増加要件を決定する工程と;
b)前記スーパーコーティングのフィールドアプリケーション環境を決定する工程であって:
i)前記光ファイバに用いられるガラスのタイプを選択する工程と;
ii)前記スーパーコーティングの前記二次被覆が、前記スーパーコーティングの前記一次被覆の上にウェットオンドライまたはウェットオンウェットのどちらで塗布されるかを決定する工程と;
iii)前記光ファイバ上に前記スーパーコーティングを硬化するのに用いられる光のタイプ、数を選択し、その光を線引き塔製造ラインに沿って位置決めする工程と;
iv)前記スーパーコーティングが塗布されるライン速度を選択する工程と
を含む工程と;
c)液体の非硬化状態の一次被覆組成物を配合する工程と;
d)液体の非硬化状態の二次被覆組成物を配合する工程と;
e)図2、3および4に示される、以下の三次元ひも付け方法:
i)前記スーパーコーティングパラメータ1)〜6)が達成されるかどうかを決定するために前記スーパーコーティングの前記一次被覆および前記二次被覆を試験する工程であって;
ここで、
−前記スーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てが達成された場合、工程f)に進み;
−前記スーパーコーティングパラメータ1)〜6)のいずれか1つでも達成されなかった場合、前記スーパーコーティングの前記一次被覆または二次被覆のいずれかまたは両方を再配合し、前記スーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てが達成されるまで工程ii)を繰り返す工程と;次に
ii)前記他の配合に対しておよび前記スーパーコーティングパラメータ1)〜6)の全てに対して各配合の変更を評価することによって、前記スーパーコーティングの前記一次被覆および前記二次被覆の前記再配合の完全性を確認する工程と
を用いる工程と;
f)工程e)i)および工程e)ii)からの結果を用いて、前記被覆された光ファイバの前記減衰の最大許容増加を達成するためのスーパーコーティングの選択を最終決定する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記三次元ひも付け方法が、放射線硬化性スーパーコーティングの一次被覆層および二次被覆層の結合された複合物を評価するために多層フィルムドローダウン方法を用いる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
多層フィルムドローダウン方法であって:
a)前記試験用の基材を選択する工程と;
b)所定の厚さのドローダウンバーを用いて、一次被覆を前記基材に塗布する工程と;
c)場合により前記一次被覆を硬化する工程と;
d)所定の厚さのドローダウンバーを用いて、二次被覆を前記一次被覆に塗布する工程であって、前記二次被覆を塗布するための前記ドローダウンバーの前記所定の厚さが、前記一次被覆を塗布するのに用いられる前記ドローダウンバーの前記所定の厚さより厚い工程と;
e)前記一次被覆および二次被覆の両方を硬化させて結合された複合フィルムにするのに十分な放射線を前記多層フィルムに加える工程と;
f)前記フィルムを前記基材から取り外す工程と;
g)前記硬化されたフィルムの機能特性を評価する工程と
を含む方法。
【請求項4】
一次被覆層と二次被覆層とを含むスーパーコーティングで被覆されたシングルモード光ファイバであって;
硬化の前の前記一次被覆層の組成が、実施例1PA2、1PB3、1PC1、1PD5、2α、2βの配合からなる群から選択され、
硬化の前の前記二次被覆層の組成が、実施例2SA4および2SB3および3SA1および5SA1の配合からなる群から選択されるシングルモード光ファイバ。
【請求項5】
一次被覆層と二次被覆層とを含む放射線硬化性コーティングで被覆されたマルチモード光ファイバであって、
硬化の前の前記一次被覆層の組成が、実施例4PD5の配合からなる群から選択され;
硬化の前の前記二次被覆層の組成が、実施例2SA4および2SB3および3SA1および5SA1の配合からなる群から選択されるマルチモード光ファイバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2013−500936(P2013−500936A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523611(P2012−523611)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/002720
【国際公開番号】WO2011/043825
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/002720
【国際公開番号】WO2011/043825
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】
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