説明

DC−DCコンバータの制御回路、DC−DCコンバータ及び電子機器

【課題】回路規模の増大を抑止しつつ、スイッチング周波数を所望の周波数にするDC−DCコンバータの制御回路、DC−DCコンバータ及び電子機器を提供すること。
【解決手段】カウンタ回路5の第1及び第2D−FF回路A1,A2は、ソフトスタートにおいて基準クロック信号CLKのカウンタクロック信号CCKをカウントし、通常動作において、スイッチング電圧Vswのカウンタクロック信号CCKを分周する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
DC−DCコンバータの制御回路、DC−DCコンバータ及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器にはDC−DCコンバータが搭載されている。DC−DCコンバータは、リチウムイオン電池や乾電池などからの入力電圧を昇圧・降圧して所望の電圧レベルの出力電圧を生成し、その出力電圧を電源として電子機器内の各半導体装置の電子部品(負荷)にそれぞれ供給する。
【0003】
この種のDC−DCコンバータには、負荷急変に対して高速応答が可能なコンパレータ方式のDC−DCコンバータが知られている。
コンパレータ方式のDC−DCコンバータは、スイッチング素子を一定時間オンさせ、出力電圧及び基準電圧を比較してその比較結果に応じてスイッチング素子をオフさせる時間を制御して目標の出力電圧(目標電圧)を生成する。すなわち、コンパレータ方式のDC−DCコンバータは、スイッチング周波数を制御することで目標電圧を生成している。
【0004】
ところで、コンパレータ方式のDC−DCコンバータは、入出力電圧差や負荷変動などによってスイッチング周波数が変動するため、広帯域の輻射ノイズ対策が必要となって輻射ノイズ対策が困難となる。その結果、一般にAV機器のような高周波の微小信号を扱う機器では性能低下を招くおそれがあった。
【0005】
上記の対策として、コンパレータ方式のDC−DCコンバータは、スイッチング周波数及び基準クロック信号の位相を比較する位相比較器を設け、その比較結果に応じてスイッチング周波数を一定にするように制御していた(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−159319号公報
【特許文献2】特開2007−174771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のコンパレータ方式のDC−DCコンバータでは、基準クロック信号を生成するクロック生成回路を新たに設ける、又は、基準クロック信号を外部から入力する必要がある。さらに、基準クロック信号がスイッチング周波数と異なる場合、コンパレータ方式のDC−DCコンバータは、スイッチング周波数及びクロック信号の周波数をそろえるために分周回路が必要になる。
【0008】
このDC−DCコンバータの制御回路、DC−DCコンバータ及び電子機器は、回路規模の増大を抑止しつつ、スイッチング周波数を所望の周波数にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このDC−DCコンバータの制御回路は、通常動作の前にソフトスタートを行うソフトスタート機能を備え、前記通常動作において、スイッチング素子のスイッチング周波数を分周するカウンタ回路とを有し、基準周波数と、前記スイッチング周波数を分周した周波数とを比較し、前記スイッチング周波数を補正することを特徴とするDC−DCコンバータの制御回路であって、前記カウンタ回路は、前記ソフトスタートの期間を計測するようにした。
【0010】
このDC−DCコンバータの制御回路によれば、ソフトスタートにおいて使用するカウンタ回路と、通常動作においてスイッチング周波数を分周するカウンタ回路を兼用している。このため、兼用したカウンタ回路の分、回路規模を縮小することができる。
【発明の効果】
【0011】
開示されたDC−DCコンバータの制御回路、DC−DCコンバータ及び電子機器は、回路規模の増大を抑止しつつ、スイッチング周波数を所望の周波数にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態のDC−DCコンバータのブロック図である。
【図2】本実施形態のカウンタ回路の回路図である。
【図3】本実施形態の位相比較器の回路図である。
【図4】本実施形態のオン時間設定回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を図1〜図4に従って説明する。
図1に示すDC−DCコンバータ1は、コンパレータ方式のDC−DCコンバータである。DC−DCコンバータ1は、入力電圧VINを降圧した出力電圧Voを生成する降圧型DC−DCコンバータであり、コンバータ部2、制御回路3を有している。コンバータ部2は、NチャネルMOSトランジスタからなる出力トランジスタTr1、ダイオードD1、チョークコイルL1、平滑用コンデンサC1を含んでいる。
【0014】
また、DC−DCコンバータ1(制御回路3)はソフトスタートを設けている。ソフトスタートは、DC−DCコンバータ1の入力電圧VINを供給する時の突入電流を防ぐため、出力電圧Voを予め定めた電圧値まで徐々に上昇させる動作をいう。本実施形態では、DC−DCコンバータ1は、出力電圧Voを予め定めた電圧値まで段階的に上昇させるデジタルソフトスタートを用いている。
【0015】
なお、DC−DCコンバータ1は、ソフトスタートが完了すると、つまり、入力電圧VINが供給されて予め定めた電圧値まで段階的に出力電圧Voを上昇させると、出力電圧Voを予め定めた目標電圧となるように制御する通常動作に移行する。
【0016】
コンバータ部2の出力トランジスタTr1は、そのゲートに制御回路3からの駆動信号Sdが入力され、そのソースに入力電圧VINが供給される。また、出力トランジスタTr1は、そのドレインがダイオードD1のカソードに接続されている。ダイオードD1は、そのアノードがグランド線G1に接続されている。出力トランジスタTr1とダイオードD1との接続点(ノードN1)は、その電圧値をスイッチング電圧Vswとして制御回路3に出力する。また、ノードN1は、チョークコイルL1を介して外部出力端子Toに接続されている。
【0017】
この外部出力端子Toは、平滑用コンデンサC1を介してグランド線G1に接続されている。これにより、チョークコイルL1及び平滑用コンデンサC1は平滑回路として機能する。ここで、外部出力端子To及び平滑用コンデンサC1の間に接続された抵抗Reは、平滑用コンデンサC1に含まれる等価直列抵抗である。
【0018】
そして、コンバータ部2は、制御回路3からの駆動信号Sdに基づいて、出力トランジスタTr1がオン・オフすることによって、入力電圧VINが降圧されて出力電圧Voとして外部出力端子Toから負荷Zに供給する。DC−DCコンバータ1は、出力トランジスタTr1のオン時間とオフ時間の比(デューティー比)を変更することより出力電圧Voを予め定めた目標電圧に制御する。
【0019】
このため、スイッチング電圧Vswは、出力トランジスタTr1のオン・オフに応じて、その電圧値が入力電圧VIN及びグランドレベルを遷移する。すなわち、スイッチング電圧Vswは、出力トランジスタTr1がオンすると、入力電圧VINなり、反対に、スイッチング電圧Vswは、出力トランジスタTr1がオフすると、グランドレベルなる。つまり、スイッチング電圧Vswの入力電圧VIN及びグランドレベルを遷移する周波数と、出力トランジスタTr1がスイッチングする周波数は同じになっている。
【0020】
制御回路3は、カウンタ回路5、D/A変換部6、第1コンパレータ回路8、パルス発生器9、位相比較器10、オン時間設定回路11を有している。
図2に示すように、カウンタ回路5は、第1〜第4D−フリップフロップ回路(D−FF回路)A1〜A4、第1RS−フリップフロップ回路(RS−FF回路)B1、第1切り替えスイッチSWC1、第1及び第2アンド回路15,16を含んでいる。
【0021】
第1D−FF回路A1は、第1切り替えスイッチSWC1を介して、図示しない外部装置からの基準クロック信号CLK、又は、コンバータ部2からスイッチング電圧Vswがカウンタクロック信号CCKとして入力される。このとき、第1切り替えスイッチSWC1は、図示しない外部装置からのリセット信号Sr、及び、第1RS−FF回路B1からのソフトスタート完了信号Ssoが入力される。
【0022】
リセット信号Srは、DC−DCコンバータ1に入力電圧VINが供給されるとDC−DCコンバータ1を初期設定に戻すための信号である。詳しくは、リセット信号Srは、DC−DCコンバータ1に入力電圧VINが供給されるとLレベルからHレベルに一定時間立ち上がる。
【0023】
一方、ソフトスタート完了信号Ssoは、DC−DCコンバータ1のソフトスタートが完了したことを知らせるための信号である。具体的には、ソフトスタート完了信号Ssoは、DC−DCコンバータ1に入力電圧VINが供給されるとLレベルになり、そして、ソフトスタートが完了するとHレベルになり、その後、Hレベルを維持するようになっている。
【0024】
第1切り替えスイッチSWC1は、入力されたリセット信号Sr及びソフトスタート完了信号Ssoに応じて、その第1端子Taを第2端子Tb又は第3端子Tcに切り替えて接続し、図示しない外部装置からの基準クロック信号CLK又はコンバータ部2からのスイッチング電圧Vswをカウンタクロック信号CCKとして第1D−FF回路A1に出力する。
【0025】
詳述すると、まず、DC−DCコンバータ1に入力電圧VINが供給され、第1切り替えスイッチSWC1に、図示しない外部装置からHレベルのリセット信号Sr及び第1RS−FF回路B1からLレベルのソフトスタート完了信号Ssoが入力された時、第1切り替えスイッチSWC1は第1端子Taを第2端子Tbに接続させる。これによって、第1切り替えスイッチSWC1は、基準クロック信号CLKのカウンタクロック信号CCKを第1D−FF回路A1に出力する。
【0026】
そして、DC−DCコンバータ1のソフトスタートが完了し、第1切り替えスイッチSWC1に、図示しない外部装置からHレベルのリセット信号Sr及び第1RS−FF回路B1からHレベルのソフトスタート完了信号Ssoが入力された時、第1切り替えスイッチSWC1は第1端子Taを第3端子Tcに接続させる。これによって、第1切り替えスイッチSWC1は、スイッチング電圧Vswのカウンタクロック信号CCKを第1D−FF回路A1に出力する。
【0027】
第1D−FF回路A1は、そのクロック入力端子CKにカウンタクロック信号CCKが入力される。第1D−FF回路A1は、そのデータ入力端子D及び反転出力端子*Qが互いに接続されている。また、第1D−FF回路A1は、そのリセット入力端子Rに第1アンド回路15からの第1カウント信号Sk1が入力されるとともに、第2アンド回路16からの第2カウント信号Sk2が入力される。
【0028】
第1D−FF回路A1は、その出力端子Qから出力される第1分周信号Sb1を第1及び第2アンド回路15,16、D/A変換部6に出力し、その反転出力端子*Qから出力される第1反転分周信号BSb1を第2D−FF回路A2のクロック入力端子CKに出力する。
【0029】
そして、第1D−FF回路A1は、カウンタクロック信号CCKがLレベルからHレベルに立ち上がる毎に、第1分周信号Sb1をLレベル及びHレベルで遷移させる。従って、第1D−FF回路A1は、カウンタクロック信号CCKを2分周した第1分周信号Sb1を生成している。
【0030】
第2D−FF回路A2は、そのクロック入力端子CKに第1D−FF回路A1からの第1反転分周信号BSb1が入力されている。また、第2D−FF回路A2は、そのリセット入力端子Rに第1アンド回路15からの第1カウント信号Sk1が入力されるとともに、第2アンド回路16からの第2カウント信号Sk2が入力される。また、第2D−FF回路A2は、そのデータ入力端子D及び反転出力端子*Qが互いに接続されている。
【0031】
第2D−FF回路A2は、その出力端子Qから出力される第2分周信号Sb2を第1及び第2アンド回路15,16、D/A変換部6に出力し、その反転出力端子*Qから出力される第2反転分周信号BSb2を第3D−FF回路A3のクロック入力端子CKに出力する。
【0032】
そして、第2D−FF回路A2は、第1反転分周信号BSb1がLレベルからHレベルに立ち上がる毎に、第2分周信号Sb2をLレベル及びHレベルで遷移させる。つまり、第2D−FF回路A2は、第1分周信号Sb1を2分周した第2分周信号Sb2を生成している。従って、第2分周信号Sb2は、カウンタクロック信号CCKを4分周した信号となっている。
【0033】
第3D−FF回路A3は、そのクロック入力端子CKに第2D−FF回路A2からの第2反転分周信号BSb2が入力される。また、第3D−FF回路A3は、そのリセット入力端子Rに第1アンド回路15からの第1カウント信号Sk1が入力されるとともに、第2アンド回路16からの第2カウント信号Sk2が入力される。また、第3D−FF回路A3は、そのデータ入力端子D及び反転出力端子*Qが互いに接続されている。
【0034】
第3D−FF回路A3は、その出力端子Qから出力される第3分周信号Sb3を第1アンド回路15、D/A変換部6に出力し、その反転出力端子*Qから出力される第3反転分周信号BSb3を第4D−FF回路A4のクロック入力端子CKに出力する。
【0035】
そして、第3D−FF回路A3は、第2反転分周信号BSb2がLレベルからHレベルに立ち上がる毎に、第3分周信号Sb3をLレベル及びHレベルで遷移させる。換言すると、第3D−FF回路A3は、第2分周信号Sb2を2分周した第3分周信号Sb3を生成している。従って、第3分周信号Sb3は、カウンタクロック信号CCKを8分周した信号になっている。
【0036】
第4D−FF回路A4は、そのクロック入力端子CKに第3D−FF回路A3からの第3反転分周信号BSb3が入力される。また、第4D−FF回路A4は、そのリセット入力端子Rに第1アンド回路15からの第1カウント信号Sk1が入力されるとともに、第2アンド回路16からの第2カウント信号Sk2が入力される。また、第4D−FF回路A4は、そのデータ入力端子D及び反転出力端子*Qが互いに接続されている。
【0037】
第4D−FF回路A4は、その出力端子Qから出力される第4分周信号Sb4を第1アンド回路15、D/A変換部6に出力する。そして、第4D−FF回路A4は、第3反転分周信号BSb3がLレベルからHレベルに立ち上がる毎に、第4分周信号Sb4をLレベルとHレベルとで遷移する。つまり、第4D−FF回路A4は、第3分周信号Sb3を2分周した第4分周信号Sb4を生成している。従って、第4分周信号Sb4は、カウンタクロック信号CCKを16分周した信号になっている。
【0038】
このような構成により、カウンタ回路5は、4ビットの2進カウンタを構成している。つまり、各D−FF回路A1〜A4からそれぞれ出力される第1〜第4分周信号Sb1〜Sb4は、第1分周信号Sb1、第2分周信号Sb2、第3分周信号Sb3、第4分周信号Sb4の順で最下位ビットから最上位ビットになり、4ビットのデジタルデータであるカウンタデータになっている。
【0039】
詳述すると、カウンタ回路5は、カウンタクロック信号CCKのHレベルへの立ち上がりを検出する毎に、カウンタデータを「0000」、「0001」、「0010」、・・・・・・、「1111」とカウントアップしていく。つまり、10進数で言い換えると、カウンタ回路5は、カウンタクロック信号CCKのHレベルへの立ち上がりを検出する毎に、カウント値を「0」、「1」、「2」、・・・・・・、「15」とカウントアップしていく。
【0040】
第1アンド回路15は、各D−FF回路A1〜A4から第1〜第4分周信号Sb1〜Sb4が入力される。第1アンド回路15は、入力された第1〜第4分周信号Sb1〜Sb4が共にHレベルのとき、Hレベルの第1カウント信号Sk1を第1〜第4D−FF回路A1〜A4のリセット入力端子R、第1RS−FF回路B1のセット入力端子S、位相比較器10に出力する。
【0041】
換言すると、第1アンド回路15は、カウンタ回路5がカウント値「15」までカウントアップすると、Hレベルの第1カウント信号Sk1を出力する。従って、第1アンド回路15は、カウンタ回路5がカウント値「15」までカウントアップすると、カウンタ回路5の第1〜第4D−FF回路A1〜A4をリセットする。
【0042】
第1RS−FF回路B1は、セット入力端子Sに第1アンド回路15からの第1カウント信号Sk1が入力され、リセット入力端子Rに外部からリセット信号Srが入力される。第1RS−FF回路B1は、出力端子Qから出力されるソフトスタート完了信号SsoをD/A変換器7、第2アンド回路16に出力する。
【0043】
そして、第1RS−FF回路B1は、リセット信号SrのHレベルへの立ち上がりを検出すると、Lレベルのソフトスタート完了信号Ssoを出力する。また、第1RS−FF回路B1は、入力された第1カウント信号Sk1のHレベルへの立ち上がりを検出すると、Hレベルのソフトスタート完了信号Ssoを出力する。従って、第1RS−FF回路B1は、DC−DCコンバータ1に入力電圧VINが供給されると第1カウント信号Sk1をリセットしてLレベルにしている。
【0044】
第2アンド回路16は、第1及び第2D−FF回路A1,A2から第1及び第2分周信号Sb1,Sb2、ソフトスタート完了信号Ssoが入力される。第2アンド回路16は、入力された第1及び第2分周信号Sb1,Sb2、ソフトスタート完了信号Ssoが共にHレベルのとき、Hレベルの第2カウント信号Sk2を第1〜第4D−FF回路A1〜A4のリセット入力端子R及び位相比較器10に出力する。
【0045】
つまり、第2アンド回路16は、DC−DCコンバータ1のソフトスタートが完了し、そして、カウンタ回路5がカウント値「4」までスイッチング電圧Vswのカウンタクロック信号CCKをカウントアップして第1及び第2分周信号Sb1,Sb2が共にHレベルになると、Hレベルの第2カウント信号Sk2を出力する。従って、第2アンド回路16は、DC−DCコンバータ1のソフトスタートが完了し、カウンタ回路5がカウント値「4」までスイッチング電圧Vswのカウンタクロック信号CCKをカウントアップすると、カウンタ回路5の第1〜第4D−FF回路A1〜A4をリセットする。
【0046】
詳述すると、DC−DCコンバータ1のソフトスタートが完了した後、第2アンド回路16は、カウンタ回路5がカウント値「4」までスイッチング電圧Vswのカウンタクロック信号CCKをカウントアップするとHレベルの第2カウント信号Sk2を出力し、そして、カウンタ回路5がリセットされるとLレベルの第2カウント信号Sk2を出力する。
【0047】
次に再度、第2アンド回路16は、カウンタ回路5がカウント値「4」までスイッチング電圧Vswのカウンタクロック信号CCKをカウントアップするとHレベルの第2カウント信号Sk2を出力する。上記の動作を繰り返すことで、DC−DCコンバータ1のソフトスタートが完了した後、第2カウント信号Sk2は、カウンタクロック信号CCKを4分周した信号になっている。
【0048】
図1に示すように、D/A変換部6は、第1〜第4スイッチSW1〜SW4、D/A変換器7を有している。
D/A変換器7は、カウンタ回路5から第1〜第4スイッチSW1〜SW4を介して第1〜第4分周信号Sb1〜Sb4が入力される。第1〜第4スイッチSW1〜SW4は、図示しない外部装置からのソフトスタート完了信号Ssoに基づいて、それぞれ開放・短絡する。具体的には、第1〜第4スイッチSW1〜SW4は、Lレベルのソフトスタート完了信号Ssoを入力すると短絡し、反対に、第1〜第4スイッチSW1〜SW4は、Hレベルのソフトスタート完了信号Ssoを入力すると開放する。
【0049】
D/A変換器7は、入力された第1〜第4分周信号Sb1〜Sb4であるカウントデータをアナログ信号であるソフトスタート電圧Vsに変換して第1コンパレータ回路8に出力する。つまり、D/A変換器7は、カウンタ回路5がカウンタクロック信号CCKのHレベルへの立ち上がりを検出してカウントアップする毎に、ソフトスタート電圧Vsを段階的に上げている。そして、D/A変換器7は、カウンタ回路5からHレベルのソフトスタート完了信号Ssoを入力すると、そのときのソフトスタート電圧Vsを維持するようになっている。
【0050】
詳しくは、D/A変換器7は、カウンタ回路5がカウンタクロック信号CCKをカウントアップするごとに、ソフトスタート電圧Vsを段階的に上げていき、カウンタ回路5がカウント値「15」までカウンタクロック信号CCKをカウントアップすると、ソフトスタート電圧Vsを一定にしている。なお、本実施形態では、ソフトスタート電圧Vsは、D/A変換器7がカウントデータ「1111」を入力すると、第1コンパレータ回路8の非反転入力端子に入力される第1基準電圧Vr1より大きな電圧値になっている。
【0051】
第1コンパレータ回路8は、その非反転入力端子にD/A変換器7からのソフトスタート電圧Vs、及び、第1基準電圧Vr1がそれぞれ入力される。なお、第1基準電圧Vr1は、出力電圧Voの目標電圧より小さく、出力電圧Voの目標電圧に応じて設定される。また、第1コンパレータ回路8は、その反転入力端子に出力電圧Voが帰還されて入力される。第1コンパレータ回路8は、入力されたソフトスタート電圧Vs、第1基準電圧Vr1、出力電圧Voを比較し、その比較結果に応じた判定信号J1をパルス発生器9に出力する。
【0052】
具体的には、第1コンパレータ回路8は、ソフトスタート電圧Vsと第1基準電圧Vr1のうちの低い電圧値と、出力電圧Voとを比較している。
つまり、第1コンパレータ回路8は、ソフトスタート電圧Vsと第1基準電圧Vr1のうちの低い電圧が出力電圧Voより低いとき、Lレベルの判定信号J1を出力する。反対に、第1コンパレータ回路8は、ソフトスタート電圧Vsと第1基準電圧Vr1のうちの低い電圧値が出力電圧Vo以上のとき、Hレベルの判定信号J1を出力する。
【0053】
詳しくは、まず、第1コンパレータ回路8は、DC−DCコンバータ1に入力電圧VINが入力されると、ソフトスタート電圧Vsが第1基準電圧Vr1より小さいため、ソフトスタート電圧Vsと出力電圧Voを比較する。そして、ソフトスタート電圧Vsが段階的に上がっていき、ソフトスタート電圧Vsが基準電圧Vo以上になると、第1コンパレータ回路8は、第1基準電圧Vr1と出力電圧Voを比較する。
【0054】
パルス発生器9はRS−FF回路であり、そのセット入力端子Sに第1コンパレータ回路8からの判定信号J1が入力される。パルス発生器9は、そのリセット入力端子Rにオン時間設定回路11からのオン時間設定信号Seが入力される。
【0055】
本実施形態では、オン時間設定回路11からのオン時間設定信号Seは、パルス発生器9の出力端子QからHレベルの駆動信号Sdがオン時間設定回路11に出力されるとLレベルになり、そして、オン時間設定回路11で設定された時間経過した後にHレベルになる。
【0056】
パルス発生器9は、セット入力端子SにHレベルの判定信号J1が入力されると、セット状態になり、出力端子QからHレベルの駆動信号Sdを出力トランジスタTr1に出力する。そして、パルス発生器9は、リセット入力端子RにHレベルのオン時間設定信号Seが入力されると、出力端子QからLレベルの駆動信号Sdを出力トランジスタTr1に出力する。
【0057】
言い換えると、パルス発生器9は、出力電圧Voが第1基準電圧Vr1以下になると、Hレベルの駆動信号Sdを出力し、オン時間設定回路11で設定された時間経過すると、Lレベルの駆動信号Sdを出力する。
【0058】
詳述すると、パルス発生器9は、出力電圧Voが第1基準電圧Vr1以下になってからオン時間設定回路11で設定された時間経過するまで、Hレベルの駆動信号Sdをコンバータ部2に出力して出力電圧Voを上げるようになっている。そして、パルス発生器9は、オン時間設定回路11で設定された時間経過してから出力電圧Voが第1基準電圧Vr1以下になるまで、Lレベルの駆動信号Sdをコンバータ部2に出力して出力電圧Voを下げるようになっている。
【0059】
つまり、パルス発生器9は、オン時間設定回路11で設定されたHレベルの駆動信号Sdを出力する時間、及び、オン時間設定回路11で設定された時間が経過してから出力電圧Voが第1基準電圧Vr1以下になるまでのLレベルの駆動信号Sdを出力する時間のデューティー比のパルス信号としての駆動信号Sdを生成している。
【0060】
このような第1コンパレータ回路8、パルス発生器9、コンバータ部2を含む制御ループにおいて、出力電圧Voが第1基準電圧Vr1に基づく一定電圧(目標電圧)に維持されるように制御される。すなわち、この制御ループでは、パルス発生器9の駆動信号SdがLレベルとなり、出力トランジスタTr1がオフされると、出力トランジスタTr1のオン動作時にチョークコイルL1に蓄えられたエネルギーが放出される。チョークコイルL1に蓄えられたエネルギーが減少して出力電圧Voが低下し、その出力電圧Voが第1基準電圧Vr1よりも低くなると、パルス発生器9の駆動信号Sdが所定時間Hレベルとなり、出力トランジスタTr1が再度オンされる。以下、このような動作が繰り返され、出力電圧Voが第1基準電圧Vr1に基づく目標電圧に維持される。
【0061】
上記のように、構成したDC−DCコンバータ1の制御回路3には、位相比較器10、オン時間設定回路11が設けられている。位相比較器10及びオン時間設定回路11は、オン時間設定信号SeをLレベルからHレベルに立ち上げるタイミングを制御している。すなわち、位相比較器10及びオン時間設定回路11は、パルス発生器9がHレベルの駆動信号Sdを出力する時間、つまり、出力トランジスタTr1がオンする時間を制御している。
【0062】
図3に示すように、位相比較器10は、位相比較回路20、排他的論理和回路21、積分回路22を有している。
位相比較回路20は、第7及び第8D−FF回路A7,A8、第7及び第8スイッチSW7,SW8、第3アンド回路23を含んでいる。
【0063】
第7D−FF回路A7は、そのデータ入力端子Dに常に入力電圧VINが供給され、そのクロック入力端子CKに第7スイッチSW7を介して基準クロック信号CLKが入力される。また、第7D−FF回路A7は、そのリセット入力端子Rに第3アンド回路23から比較信号Scが入力される。
【0064】
このとき、第7スイッチSW7は、前記第1RS−FF回路B1からのソフトスタート完了信号Ssoに基づいて、開放・短絡する。具体的には、第7スイッチSW7は、Lレベルのソフトスタート完了信号Ssoを入力すると開放し、反対に、第7スイッチSW7は、Hレベルのソフトスタート完了信号Ssoを入力すると短絡する。
【0065】
つまり、第7スイッチSW7は、DC−DCコンバータ1のソフトスタートにおいて基準クロック信号CLKを第7D−FF回路A7のクロック入力端子CKに入力しない、反対に、第7スイッチSW7は、DC−DCコンバータ1のソフトスタートが完了して通常動作になると、基準クロック信号CLKを第7D−FF回路A7のクロック入力端子CKに入力するようになっている。
【0066】
従って、第7D−FF回路A7は、DC−DCコンバータ1のソフトスタートにおいて動作せず、反対に、第7D−FF回路A7は、DC−DCコンバータ1のソフトスタートが完了して通常動作になると動作するようになっている。
【0067】
第7D−FF回路A7は、基準クロック信号CLKのHレベルへの立ち上がりを検出する毎に、そのときデータ入力端子Dに入力されているHレベルの入力電圧VINを第1FF信号Sf1として第3アンド回路23及び排他的論理和回路21に出力する。詳しくは、第7D−FF回路A7は、基準クロック信号CLKのHレベルへの立ち上がりを検出すると、出力端子QからHレベルの第1FF信号Sf1を出力する。一方、第7D−FF回路A7は、第3アンド回路23からHレベルの比較信号Scを入力すると、Lレベルの第1FF信号Sf1を出力する。
【0068】
第8D−FF回路A8は、そのデータ入力端子Dに常に入力電圧VINが供給され、そのクロック入力端子CKにカウンタ回路5(第2アンド回路16)から第8スイッチSW8を介して第2カウント信号Sk2が入力される。また、第8D−FF回路A8は、そのリセット入力端子Rに第3アンド回路23から比較信号Scが入力される。
【0069】
このとき、第8スイッチSW8は、前記第1RS−FF回路B1からのソフトスタート完了信号Ssoに基づいて、開放・短絡する。具体的には、第8スイッチSW8は、Lレベルのソフトスタート完了信号Ssoを入力すると開放し、反対に、第8スイッチSW8は、Hレベルのソフトスタート完了信号Ssoを入力すると短絡する。
【0070】
つまり、第8D−FF回路A8は、DC−DCコンバータ1のソフトスタートにおいて第2カウント信号Sk2をクロック入力端子CKに入力しない、反対に、第8D−FF回路A8は、DC−DCコンバータ1のソフトスタートが完了すると、第2カウント信号Sk2をクロック入力端子CKに入力するようになっている。
【0071】
第8D−FF回路A8は、第2カウント信号Sk2のHレベルへの立ち上がりを検出する毎に、そのときデータ入力端子Dに供給されているHレベルの入力電圧VINを第2FF信号Sf2として第3アンド回路23、排他的論理和回路21、積分回路22に出力する。つまり、第8D−FF回路A8は、第2カウント信号Sk2のHレベルへの立ち上がりを検出すると、出力端子QからHレベルの第2FF信号Sf2を出力する。第8D−FF回路A8は、第3アンド回路23からHレベルの比較信号Scを入力すると、Lレベルの第2FF信号Sf2を出力する。
【0072】
第3アンド回路23は、第7及び第8D−FF回路A7,A8から第1及び第2FF信号Sf1,Sf2がそれぞれ入力される。第3アンド回路23は、入力された第1及び第2FF信号Sf1,Sf2が共にHレベルのとき、Hレベルの比較信号Scを第7及び第8D−FF回路A7,A8のリセット入力端子Rに出力して第7及び第8D−FF回路A7,A8をリセットする。
【0073】
上記の構成により、位相比較回路20では、第7及び第8D−FF回路A7,A8は、対応する基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2のHレベルへの立ち上がりを共に検出すると、リセットされる。これにより、位相比較回路20は、基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2のHレベルへの立ち上がりの時間差を検出している。
【0074】
詳述すると、基準クロック信号CLKが第2カウント信号Sk2よりHレベルへの立ち上がりが遅いとき、第8D−FF回路A8は、第2カウント信号Sk2のHレベルへの立ち上がりを検出すると、Hレベルの第2FF信号Sf2を出力する。そして、第8D−FF回路A8は、第7D−FF回路A7が基準クロック信号CLKのHレベルの立ち上がりを検出すると、第2FF信号Sf2をHレベルからLレベルに立ち下げて出力する。
【0075】
つまり、第8D−FF回路A8は、基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2のHレベルへの立ち上がりの時間差に応じたパルス幅のHレベルの第2FF信号Sf2を出力している。第8D−FF回路A8は、基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2のHレベルへの立ち上がりの時間差が大きいほど、大きなパルス幅のHレベルの第2FF信号Sf2を出力する。反対に、第8D−FF回路A8は、基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2のHレベルへの立ち上がりの時間差が小さいほど、小さい大きなパルス幅のHレベルの第2FF信号Sf2を出力する。
【0076】
従って、第8D−FF回路A8からのHレベルの第2FF信号Sf2で、基準クロック信号CLKが第2カウント信号Sk2より周期が長いということを判定する。さらに、Hレベルの第2FF信号Sf2のパルス幅で、基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2の周期の時間差がわかる。
【0077】
反対に、基準クロック信号CLKが第2カウント信号Sk2よりHレベルへの立ち上がりが早いとき、第7D−FF回路A7は、基準クロック信号CLKのHレベルへの立ち上がりを検出すると、Hレベルの第1FF信号Sf1を出力する。そして、第7D−FF回路A7は、第8D−FF回路A8が第2カウント信号Sk2のHレベルの立ち上がりを検出すると、第1FF信号Sf1をHレベルからLレベルに立ち下げて出力する。
【0078】
つまり、第7D−FF回路A7は、基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2のHレベルへの立ち上がりの時間差に応じたパルス幅のHレベルの第1FF信号Sf1を出力している。第7D−FF回路A7は、基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2のHレベルへの立ち上がりの時間差が大きいほど、大きなパルス幅のHレベルの第1FF信号Sf1を出力する。反対に、第7D−FF回路A7は、基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2のHレベルへの立ち上がりの時間差が小さいほど、小さいパルス幅のHレベルの第1FF信号Sf1を出力する。
【0079】
従って、第7D−FF回路A7からのHレベルの第1FF信号Sf1で、基準クロック信号CLKが第2カウント信号Sk2より周期が短いということを判定する。さらに、Hレベルの第1FF信号Sf1のパルス幅で、基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2の周期の時間差がわかる。
【0080】
さらに、基準クロック信号CLKが第2カウント信号Sk2よりHレベルへの立ち上がりが同じとき、第7及び第8D−FF回路A7,A8は、対応する基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2のHレベルへの立ち上がりを検出すると、Hレベルの第1及び第2FF信号Sf1,Sf2を出力して瞬時にLレベルに立ち下げる。これにより、基準クロック信号CLKが第2カウント信号Sk2より周期が同じということがわかる。このため、説明の便宜上、基準クロック信号CLKが第2カウント信号Sk2と周期が同じ場合、第7及び第8D−FF回路A7,A8は、Hレベルの対応する第1及び第2FF信号Sf1,Sf2を出力しないものとみなす。
【0081】
排他的論理和回路21は、第7及び第8D−FF回路A7,A8から第1及び第2FF信号Sf1,Sf2がそれぞれ入力される。排他的論理和回路21は、入力された第1又は第2FF信号Sf1,Sf2がHレベルのとき、Hレベルの切り替え信号Sswをオン時間設定回路11に出力する。
【0082】
このように、排他的論理和回路21は、第1及び第2FF信号Sf1,Sf2のHレベルへの立ち上がりの時間差を検出している。つまり、排他的論理和回路21は、基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2のHレベルへの立ち上がりの時間差を検出し、基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2のHレベルへの立ち上がりの時間差があるとき、Hレベルの切り替え信号Sswを出力する。
【0083】
言い換えると、排他的論理和回路21は、基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2の周期が異なるとき、Hレベルの切り替え信号Sswを出力する。なお、DC−DCコンバータ1のソフトスタートにおいて、排他的論理和回路21は、第7及び第8D−FF回路A7,A8は動作しないため、第1及び第2FF信号Sf1,Sf2は共にLレベルになり、Lレベルの切り替え信号Sswを出力している。
【0084】
積分回路22は、第1アンプ回路26、第1及び第2抵抗R1,R2、第2コンデンサC2を有している。
第1アンプ回路26は、その反転入力端子に第1抵抗R1を介して第2FF信号Sf2が入力されるとともに、第2抵抗R2及び第2コンデンサC2よりなる並列回路を介して出力端子に接続されている。第1アンプ回路26は、その非反転入力端子に第2基準電圧Vr2(本実施形態では、VIN/2)が入力されている。
【0085】
このような構成により、積分回路22は、第2FF信号Sf2を積分して積分電圧Vdとしてオン時間設定回路11に出力する。換言すると、積分回路22は、Lレベルの第2FF信号Sf2を入力する時間が長いほど、積分電圧Vdを第2基準電圧Vr2に対して大きくする。反対に、積分回路22は、Hレベルの第2FF信号Sf2を入力する時間が長いほど、積分電圧Vdを第2基準電圧Vr2に対して小さくする。
【0086】
詳述すると、積分回路22は、基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2のHレベルへの立ち上がりの時間差に応じて、積分電圧Vdをオン時間設定回路11に出力する。つまり、積分回路22は、基準クロック信号CLKが第2カウント信号Sk2よりHレベルへの立ち上がりが遅いほど、積分電圧Vdを第2基準電圧Vr2に対して低くする。反対に、積分回路22は、基準クロック信号CLKが第2カウント信号Sk2よりHレベルへの立ち上がりが早いほど、積分電圧Vdを第2基準電圧Vr2に対して高くする。
【0087】
言い換えると、積分回路22は、基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2の周期の時間差に応じて、積分電圧Vdをオン時間設定回路11に出力する。つまり、積分回路22は、基準クロック信号CLKが第2カウント信号Sk2より周期が短いほど、積分電圧Vdを第2基準電圧Vr2に対して高くする。反対に、積分回路22は、基準クロック信号CLKが第2カウント信号Sk2より周期が長いほど、積分電圧Vdを第2基準電圧Vr2に対して低くする。
【0088】
図4に示すように、オン時間設定回路11は、設定電圧制御回路31、比較部32を有している。
設定電圧制御回路31は、npnバイポーラトランジスタである第2トランジスタTr2、第2切り替えスイッチSWC2、PチャネルMOSトランジスタである第3及び第4トランジスタTr3,Tr4、NチャネルMOSトランジスタである第5トランジスタTr5、第2抵抗R2、第3コンデンサC3、インバータ回路35を含んでいる。
【0089】
第2トランジスタTr2は、そのエミッタが第2抵抗R2を介してグランド線G1に接続され、そのコレクタが第3トランジスタTr3のゲート及びドレイン、第4トランジスタTr4のゲートに接続されている。第2トランジスタTr2のベースは、第2切り替えスイッチSWC2を介して位相比較器10からの積分電圧Vd、又は、第3基準電圧Vr3(本実施形態では、VIN/2)を電流制御電圧Veとして入力されるようになっている。
【0090】
第2切り替えスイッチSWC2は、位相比較器10からの切り替え信号Sswに基づいて、その第1端子Taを第2端子Tb又は第3端子Tcに切り替えて接続する。つまり、第2切り替えスイッチSWC2は、Lレベルの切り替え信号Sswが入力されると、第1端子Taを第2端子Tbに接続して第3基準電圧Vr3を電流制御電圧Veとして出力する。また、第2切り替えスイッチSWC2は、Hレベルの切り替え信号Sswが入力されると、第1端子Taを第3端子Tcに接続して積分電圧Vdを電流制御電圧Veとして出力する。
【0091】
詳述すると、DC−DCコンバータ1のソフトスタートにおいて、第2切り替えスイッチSWC2は、第3基準電圧Vr3を電流制御電圧Veとして出力する。また、DC−DCコンバータ1の通常動作において、第2切り替えスイッチSWC2は、基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2の周期が同じとき、第3基準電圧Vr3の電流制御電圧Veを出力する。
【0092】
一方、DC−DCコンバータ1の通常動作において、第2切り替えスイッチSWC2は、基準クロック信号CLKが第2カウント信号Sk2より周期が短いとき、第3基準電圧Vr3より電圧値が高い積分電圧Vdの電流制御電圧Veを出力する。反対に、DC−DCコンバータ1の通常動作において、第2切り替えスイッチSWC2は、基準クロック信号CLKが第2カウント信号Sk2より周期が長いとき、第3基準電圧Vr3よりも電圧値が低い積分電圧Vdを電流制御電圧Veとして出力する。
【0093】
このような構成により、第2トランジスタTr2のコレクタ電流I2は、電流制御電圧Veに応じた電流値になっている。つまり、第2トランジスタTr2のコレクタ電流I2は、電流制御電圧Veが大きいほど大きくなり、反対に、第2トランジスタTr2のコレクタ電流I2は、電流制御電圧Veが小さいほど小さくなる。
【0094】
第3及び第4トランジスタTr3,Tr4は、そのソースに基準電圧VREFが供給される。基準電圧VREFは、入力電圧VINから降圧され、入力電圧VINや温度などの変化に影響されない電圧である。第4トランジスタTr4は、そのドレインが第3コンデンサC3を介してグランド線G1に接続され、また、第5トランジスタTr5のドレインに接続されている。
【0095】
このような構成により、第3及び第4トランジスタTr3,Tr4は、カレントミラーを構成している。これにより、第3トランジスタTr3のドレイン電流I3は、第2トランジスタTr2のコレクタ電流I2と同じになっている。また、第3及び第4トランジスタTr3,Tr4のドレイン電流I3,I4は、トランジスタサイズの比になっている。
【0096】
これにより、第4トランジスタTr4のドレイン電流I4は、電流制御電圧Veに応じた電流値になっている。つまり、第4トランジスタTr4のドレイン電流I4は、電流制御電圧Veが大きいほどその電流値が大きくなり、反対に、第4トランジスタTr4のドレイン電流I4は、電流制御電圧Veが小さいほどその電流値が小さくなる。
【0097】
そして、第3コンデンサC3は、第4トランジスタTr4のドレイン電流I4によって充電され、その一端(第4トランジスタTr4側)の電圧値であるオン時間設定電圧Vtが上昇する。従って、オン時間設定電圧Vtは、電流制御電圧Veに応じた電圧値になる。すなわち、オン時間設定電圧Vtは、電流制御電圧Veが大きいほど第3コンデンサC3が早く充電され、その電圧値が早く上昇する。反対に、オン時間設定電圧Vtは、電流制御電圧Veが小さいほど第3コンデンサC3が遅く充電され、その電圧値が遅く上昇する。
【0098】
第5トランジスタTr5は、そのゲートに前記パルス発生器9からの駆動信号Sdがインバータ回路35にて反転されて生成された反転駆動信号BSdが入力され、そのソースがグランド線G1に接続されている。そして、第5トランジスタTr5は、入力される反転駆動信号BSdに基づいてオン・オフする。第5トランジスタTr5は、Lレベルの反転駆動信号BSdが入力されるとオフする。反対に、第5トランジスタTr5は、Hレベルの反転駆動信号BSdが入力されるとオンし、第3コンデンサC3に蓄積された電荷を放電してオン時間設定電圧Vtをグランドレベルにする。
【0099】
従って、第5トランジスタTr5は、前記コンバータ部2の出力トランジスタTr1がオフすると、オン時間設定電圧Vtをグランドレベルする。第4及び第5トランジスタTr4,Tr5及び第3コンデンサC3の接続点(ノードN2)は、比較部32にオン時間設定電圧Vtを出力する。
【0100】
比較部32は、第2コンパレータ回路33、第4及び第5抵抗R4,R5を有している。
第2コンパレータ回路33の非反転入力端子は、設定電圧制御回路31からオン時間設定電圧Vtが入力される。第2コンパレータ回路33の反転入力端子は、第4及び第5抵抗R4,R5は直列回路の第4及び第5抵抗R4,R5の接続点(ノードN3)と接続されている。第4及び第5抵抗R4,R5の直列回路の一端(第4抵抗R4側)は出力電圧Voが供給され、他端(第5抵抗R5側)がグランド線G1に接続されている。そして、ノードN3の電圧値を第5基準電圧Vr5として第2コンパレータ回路33の反転入力端子に出力している。
【0101】
そして、第2コンパレータ回路33は、入力されたオン時間設定電圧Vtが第5基準電圧Vr5より小さいと、Lレベルのオン時間設定信号Seをパルス発生器9のリセット入力端子Rに出力する。反対に、第2コンパレータ回路33は、入力されたオン時間設定電圧Vtが第5基準電圧Vr5以上のとき、Hレベルのオン時間設定信号Seをパルス発生器9のリセット入力端子Rに出力する。
【0102】
従って、オン時間設定回路11は、パルス発生器9からHレベルの駆動信号Sd(出力トランジスタTr1がオン)が入力されると、Lレベルのオン時間設定信号Seを出力してコンバータ部2の出力トランジスタTr1のオンを維持させる。そして、オン時間設定回路11は、電流制御電圧Veに応じて、オン時間設定信号SeをLレベルからHレベルに立ち上げて出力し、コンバータ部2の出力トランジスタTr1をオフさせる。つまり、オン時間設定回路11は、電流制御電圧Veが高いほど出力トランジスタTr1のオン時間が短くし、反対に、オン時間設定回路11は、電流制御電圧Veが低いほど出力トランジスタTr1のオン時間が長くする。なお、DC−DCコンバータ1のソフトスタートにおいて、オン時間設定回路11は、電流制御電圧Veは一定のため、出力トランジスタTr1のオン時間を一定している。
【0103】
すなわち、DC−DCコンバータ1の通常動作において、位相比較器10は、基準クロック信号CLK及び第2カウント信号Sk2の周期の時間差を検出し、オン時間設定回路11は、位相比較器10が検出した時間差を無くすようにコンバータ部2の出力トランジスタTr1のオン時間を制御している。
【0104】
このため、スイッチング電圧Vswを4分周して第2カウント信号Sk2を生成しているため、DC−DCコンバータ1は、出力トランジスタTr1のスイッチングの4回に1回においてスイッチング周波数を補正することができる。
【0105】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)カウンタ回路5は、ソフトスタートにおいて、その第1〜第4D−FF回路A1〜A4を用いて基準クロック信号CLKをカウントしている。また、カウンタ回路5は、通常動作時において、その第1及び第2D−FF回路A1,A2を用いてスイッチング電圧Vswを分周している。
【0106】
このため、第1及び第2D−FF回路A1,A2は、ソフトスタートにおいて基準クロック信号CLKのカウント、及び、通常動作においてスイッチング電圧Vswを分周して兼用にしているため、その分、回路規模を縮小することできる。
【0107】
尚、上記実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態において、カウンタ回路5の第1〜第4D−FF回路A1〜A4は、D−フリップフロップ回路で構成していた。これに限らず、カウンタとしての機能を有する回路構成であれば、その回路構成は特に制限されない。
【0108】
・上記実施形態において、通常動作にてスイッチング電圧Vswを分周するカウンタ回路を、ソフトスタートにて基準クロック信号CLKをカウントするカウンタ回路である第1及び第2D−FF回路A1,A2と兼用していた。これに限らず、通常動作にてスイッチング電圧Vswを分周するカウンタ回路と兼用するカウンタ回路は、通常動作時に使用しないカウンタ回路であれば特に制限されない。
【0109】
・上記実施形態において、スイッチング電圧Vswを4分周して第2カウント信号Sk2を生成し、また、基準クロック信号CLKをカウント値「16」までカウントアップしていたが、その分周数及びカウント値については特に制限されない。これに伴い、分周数及びカウンタ値に応じて第1〜第4D−FF回路A1〜A4の数は変更することになる。
【0110】
・上記実施形態において、第3コンデンサC3に充電する第4トランジスタTr4のドレイン電流I4を制御してオン時間設定電圧Vtを変更していた。これに限らず、第3コンデンサC3の容量値を制御してオン時間設定電圧Vtを変更してもよい。
【0111】
・上記各実施形態では、入力電圧VINを降圧した出力電圧Voを生成する降圧型のDC−DCコンバータに具体化したが、入力電圧VINを昇圧した出力電圧Voを生成する昇圧型のDC−DCコンバータに具体化してもよい。
【0112】
・上記各実施形態では、非同期整流方式のDC−DCコンバータに具体化したが、同期整流方式のDC−DCコンバータに具体化してもよい。
・上記各実施形態では、電圧制御モードのDC−DCコンバータに具体化したが、電流制御モードのDC−DCコンバータに具体化してもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 DC−DCコンバータ
3 制御回路
5 カウンタ回路
A1〜A4 D−フリップフロップ回路
CLK 基準クロック信号
Tr1 スイッチング素子(出力トランジスタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常動作の前にソフトスタートを行うソフトスタート機能を備え、
前記通常動作において、スイッチング素子のスイッチング周波数を分周するカウンタ回路とを有し、
基準周波数と、前記スイッチング周波数を分周した周波数とを比較し、前記スイッチング周波数を補正することを特徴とするDC−DCコンバータの制御回路であって、
前記カウンタ回路は、前記ソフトスタートの期間を計測することを特徴とするDC−DCコンバータの制御回路。
【請求項2】
請求項1に記載のDC−DCコンバータの制御回路であって、
前記ソフトスタートにおいて使用されるカウンタ回路は、
デジタルソフトスタートに用いられることを特徴とするDC−DCコンバータの制御回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のDC−DCコンバータの制御回路であって、
前記ソフトスタートにおいて使用されるカウンタ回路は、
D−フリップフロップ回路を有することを特徴とするDC−DCコンバータの制御回路。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のDC−DCコンバータの制御回路を備えることを特徴とするDC−DCコンバータ。
【請求項5】
請求項4に記載のDC−DCコンバータを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−10390(P2011−10390A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148930(P2009−148930)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】