説明

DICOMシステム、DICOMワークステーション及びプログラム

【課題】可搬型記憶媒体に記憶されているDICOMオブジェクトに対する比較読影を行う際の、ユーザの利便性を向上させる。
【解決手段】DICOMワークステーション60は、メディアMから読み込んだDICOMオブジェクトに含まれる付帯情報に基づいて、当該DICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトをDICOM管理サーバ80から取得する。そして、DICOMワークステーション60は、当該取得したDICOMオブジェクトとメディアMから読み込んだDICOMオブジェクトとに基づいて、各DICOMオブジェクトに関する医療データを画面にそれぞれ表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DICOMシステム、DICOMワークステーション及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの医療機関において情報のデジタル化が図られている。例えば、CR(Computed Radiography)装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の画像生成装置(モダリティ)は、撮影により得られた医用画像の画像データに付帯情報を付帯させて、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則ったDICOM画像オブジェクトを生成する。
【0003】
また、画像サーバ(DICOM管理サーバ)は、モダリティにおいて生成されたDICOM画像オブジェクトを記憶管理する。画像サーバがDICOM画像オブジェクトを管理する技術として、例えば、付帯情報に含まれる検査情報(スタディ属性)、シリーズ情報(シリーズ属性)等に基づいた階層関係で、DICOM画像オブジェクトを管理するものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、異なる医療施設(例えば、患者の紹介元の病院と、患者の紹介先の病院)で、同一患者に対して同じ検査を実施することは、モダリティの撮影による放射線被爆量や医療コスト等、様々な負担を患者に強いることになる。
【0005】
このような多重検査を防ぐために、CD―R等のメディア(可搬型記憶媒体)を介して医用画像(DICOM画像オブジェクト)のデータ移送が行われている。例えば、患者の紹介元の病院において撮影が行われ、当該撮影により生成された医用画像(DICOM画像オブジェクト)がメディアに書き込まれる。そして、患者は、当該メディアを受け取り、紹介先の病院に持っていく。そして、紹介先の病院では、新たに、患者の撮影(検査)を行わずに、当該メディアに書き込まれたDICOM画像オブジェクトを参照して、患者の診断(読影)が行われる。
【0006】
これらのメディアには、IHE(Integrating Healthcare Enterprise)およびIHE−J(Integrating Healthcare Enterprise - Japan)のPDI(Portable Data for Imaging)によって定められたデータ構造に則って、DICOM画像オブジェクトが書き込まれるため、異なる医療施設間や、異なるベンダのシステム間において、当該DICOM画像オブジェクトのデータ移送、データ参照が可能になっている。
【0007】
また、患者の紹介先の医療施設(病院)において、当該医療施設の画像サーバが保持するDICOM画像オブジェクトを参照しながら、メディアに書き込まれたDICOM画像オブジェクトの読影、即ち比較読影が行われる場合がある。ここで、患者の紹介先の医療施設の画像サーバに保持されている前記DICOMオブジェクトは、過去検査において生成されたDICOM画像オブジェクトである。
【特許文献1】特開2002−133393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、患者の紹介先の医療施設で比較読影を行う場合、以下のような作業を行う必要があり不便であった。即ち、メディアに書き込まれたDICOM画像オブジェクトを画像サーバに取り込ませる。そして、画像ビューワ端末(DICOMワークステーション)に、前記取り込ませたDICOM画像オブジェクトを画像サーバから取得させる。更に、画像ビューワ端末に、前記取り込ませたDICOM画像オブジェクトの過去検査におけるDICOMオブジェクトを画像サーバから取得させる必要があった。
【0009】
また、画像ビューワ端末に、過去検査におけるDICOMオブジェクトを画像サーバから取得させる際、患者の紹介先と紹介元のそれぞれの医療施設で管理されている患者IDが異なる場合は、ユーザが、患者名、患者の生年月日、患者の性別等のような、同一患者であることが期待できる条件を手入力する必要があった。
【0010】
本発明は、上述したような課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、可搬型記憶媒体に記憶されているDICOMオブジェクトに対する比較読影を行う際の、ユーザの利便性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
DICOMオブジェクトを管理するDICOM管理サーバと、当該DICOM管理サーバのクライアント端末であるDICOMワークステーションとが通信ネットワークを介してデータ通信可能に接続されたDICOMシステムであって、
前記DICOMワークステーションは、
可搬型記憶媒体に記憶されたDICOMオブジェクトを読み込む読込手段と、
前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトに含まれる付帯情報に基づいて、当該DICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトを、前記DICOM管理サーバから取得し、当該取得したDICOMオブジェクトと前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトとに基づいて、各DICOMオブジェクトに関する医療データを画面にそれぞれ表示させる制御手段と、
を備える。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記制御手段は、前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトを取得可能か否かを前記DICOM管理サーバに問い合わせ、取得不可能の場合、その旨を画面に表示させる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記DICOMオブジェクトは、医用画像のデータを含み、
前記制御手段は、当該医用画像のデータを含んだ医療データを画面に表示させる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記DICOMオブジェクトは、所見レポートのデータを含み、
前記制御手段は、当該所見レポートのデータを含んだ医療データを画面に表示させる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、
DICOMオブジェクトを管理するDICOM管理サーバのクライアント端末であるDICOMワークステーションであって、
可搬型記憶媒体に記憶されたDICOMオブジェクトを読み込む読込手段と、
前記DICOM管理サーバとデータの送受信を行う通信手段と、
前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトに含まれる付帯情報に基づいて、当該DICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトを、前記通信手段を介して前記DICOM管理サーバから取得し、当該取得したDICOMオブジェクトと前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトとに基づいて、各DICOMオブジェクトに関する医療データを画面にそれぞれ表示させる制御手段と、
を備える。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
前記制御手段は、前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトを取得可能か否かを前記通信手段を介して前記DICOM管理サーバに問い合わせ、取得不可能の場合、その旨を画面に表示させる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の発明において、
前記DICOMオブジェクトは、医用画像のデータを含み、
前記制御手段は、当該医用画像のデータを含んだ医療データを画面に表示させる。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項5又は6に記載の発明において、
前記DICOMオブジェクトは、所見レポートのデータを含み、
前記制御手段は、当該所見レポートのデータを含んだ医療データを画面に表示させる。
【0019】
請求項9に記載のプログラムは、
コンピュータを、
可搬型記憶媒体に記憶されたDICOMオブジェクトを読み込む読込手段、
DICOMオブジェクトを管理するDICOM管理サーバとデータの送受信を行う通信手段、
前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトに含まれる付帯情報に基づいて、当該DICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトを、前記通信手段を介して前記DICOM管理サーバから取得し、当該取得したDICOMオブジェクトと前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトとに基づいて、各DICOMオブジェクトに関する医療データを画面にそれぞれ表示させる制御手段、
として機能させる。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、
前記制御手段は、前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトを取得可能か否かを前記通信手段を介して前記DICOM管理サーバに問い合わせ、取得不可能の場合、その旨を画面に表示させる。
【0021】
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の発明において、
前記DICOMオブジェクトは、医用画像のデータを含み、
前記制御手段は、当該医用画像のデータを含んだ医療データを画面に表示させる。
【0022】
請求項12に記載の発明は、請求項9又は10に記載の発明において、
前記DICOMオブジェクトは、所見レポートのデータを含み、
前記制御手段は、当該所見レポートのデータを含んだ医療データを画面に表示させる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1、5、9に記載の発明によれば、DICOMワークステーションは、可搬型記憶媒体から読み込んだDICOMオブジェクトに含まれる付帯情報に基づいて、当該DICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトをDICOM管理サーバから取得する。そして、DICOMワークステーションは、当該取得したDICOMオブジェクトと前記可搬型記憶媒体から読み込んだDICOMオブジェクトとに基づいて、各DICOMオブジェクトに関する医療データを画面にそれぞれ表示させる。
【0024】
よって、可搬型記憶媒体に記憶されているDICOMオブジェクトに対する比較読影を行う際の、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0025】
請求項2、6、10に記載の発明によれば、可搬型記憶媒体から読み込んだDICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトを取得不可能な場合、ユーザは、その旨を知ることができる。
【0026】
請求項3、7、11に記載の発明によれば、ユーザは、医用画像のデータを参照して、比較読影を行うことができる。
【0027】
請求項4、8、12に記載の発明によれば、ユーザは、所見レポートのデータを参照して、比較読影を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0029】
[DICOMシステムのシステム構成]
図1に、DICOMシステム1のシステム構成を示す。図1に示すように、DICOMシステム1は、A病院内DICOMシステム100とB病院内DICOMシステム200とから構成されている。
【0030】
A病院内DICOMシステム100は、A病院内におけるDICOMシステムである。A病院内DICOMシステム100は、RIS(Radiological Information System:放射線情報システム)10と、モダリティ20と、DICOMワークステーション30と、DICOM管理サーバ40と、図示しないその他の装置とから構成されており、各装置は通信ネットワークN1を介してデータ通信可能に接続されている。
【0031】
RIS10は、A病院の放射線科部門内における診療予約、診断結果のレポート、実績管理、材料在庫管理等の情報管理を行う。RIS10は、図示しない電子カルテシステムから受信した撮影オーダ情報をモダリティ20及びDICOM管理サーバ40に送信する。
【0032】
モダリティ20は、RIS10から受信した撮影オーダ情報に従って、患者を撮影し、医用画像の画像データを生成する撮影装置である。また、モダリティ20は、前記撮影オーダ情報に基づいて、前記画像データに関する付帯情報を生成する。そして、モダリティ20は、前記画像データに当該付帯情報を付帯させて、DICOM規格に則ったDICOMオブジェクトを生成し、DICOM管理サーバ40に送信する。モダリティ20としては、CR装置、CT装置、MRI装置等、様々な種類の医用画像を撮影する撮影装置が適用可能である。
【0033】
図2に、DICOMオブジェクトのデータ構成を示す。図2に示すようにDICOMオブジェクトは、付帯情報と実データとから構成される。実データとは、医用画像の画像データや、当該医用画像に関する所見レポートのデータである。モダリティ20が生成するDICOMオブジェクトの実データは医用画像の画像データとなる。また、後述するDICOMワークステーション30が生成するDICOMオブジェクトの実データは所見レポートのデータとなる。
【0034】
また、付帯情報は、患者情報、検査情報、シリーズ情報及びオブジェクト情報を含む。患者情報は、患者ID、患者名、生年月日、性別等の患者に関する情報である。検査情報は、検査を識別する検査インスタンスUID、検査日、検査時刻、受付番号、担当医師、検査種類、施設等の検査に関する情報である。シリーズ情報は、一つの検査の中で生成されるモダリティ毎の一連の医用画像の単位(シリーズ)や、一つの検査に対応する所見レポートに関する情報である。シリーズ情報には、シリーズを識別するシリーズインスタンスUID、シリーズ番号、モダリティ名、検査部位等の情報が含まれる。オブジェクト情報は、DICOMオブジェクトを識別するSOPインスタンスUID、オブジェクト番号(画像番号やレポート番号)等のDICOMオブジェクトに関する情報である。
【0035】
また、一人の患者に対して一又は複数の検査が関連付けられる。そのため、患者情報と検査情報との間には、一対一、又は一対複数の関連がある。また、一検査に対して一又は複数のシリーズが関連付けられる。そのため、検査情報とシリーズ情報との間には、一対一、又は一対複数の関連がある。また、一シリーズに対して一又は複数のDICOMオブジェクトが関連付けられる。そのため、シリーズ情報とオブジェクト情報との間には、一対一、又は一対複数の関連がある。
【0036】
また、DICOMオブジェクトの実データが医用画像の画像データである場合、当該実データは、医用画像一枚に対応する画像データである。また、DICOMオブジェクトの実データが所見レポートのデータである場合、当該実データは、一つの検査に対応する所見レポートに対応するデータである。
【0037】
具体的に、ある検査Aにおいて、1つのモダリティで100枚医用画像が生成され、検査Aにおける所見レポートを作成した場合、実データが医用画像のデータであるDICOMオブジェクトが100個、実データが所見レポートのデータであるDICOMオブジェクトが1個生成されることになる。
【0038】
以下、DICOMオブジェクトの実データ(医用画像の画像データ)に基づいて表示される医用画像をDICOM画像と称す場合がある。また、実データが医用画像のデータであるDICOMオブジェクトをDICOM画像オブジェクト、実データが所見レポートのデータであるDICOMオブジェクトをDICOMレポートオブジェクトと称す場合がある。
【0039】
図1に戻り、DICOM管理サーバ40は、モダリティ20において生成された、実データが医用画像のデータであるDICOMオブジェクト(DICOM画像オブジェクト)を記憶し、管理する(記憶管理する)情報処理装置である。DICOM管理サーバ40としてPACS(Picture Archiving and Communication System)等が適用可能である。
【0040】
また、DICOM管理サーバ40は、DICOMワークステーション30において生成された、実データが所見レポートのデータであるDICOMオブジェクト(DICOMレポートオブジェクト)を記憶し、管理する。
【0041】
DICOM管理サーバ40は、外部機器からDICOMオブジェクトの取得要求を受信した場合、当該取得要求に応じたDICOMオブジェクトを当該外部機器に送信(提供)する。また、DICOM管理サーバ40は、外部機器から付帯情報取得要求を受信した場合、当該取得要求に応じた、DICOMオブジェクトに含まれる付帯情報を当該外部機器に送信する。
【0042】
また、DICOM管理サーバ40は、IHEおよびIHE−JのPDIによって定められたデータ構造に則って、CD−RやDVD−R等のメディアM(可搬型記憶媒体)にDICOMオブジェクト等を書き込む(EXPORTする)。
【0043】
DICOMワークステーション30は、高精細モニタを有し、当該高精細モニタにDICOM画像を表示する端末である。DICOMワークステーション30は、読影医等によるユーザ操作に基づき、DICOM管理サーバ40にDICOM画像オブジェクト取得要求を送信し、当該取得要求に応じたDICOM画像オブジェクトを取得する。そして、当該DICOM画像オブジェクトに基づきモニタに医用画像(DICOM画像)を表示する。
【0044】
また、DICOMワークステーション30は、読影医等によるユーザ操作に基づき、読影結果である所見レポートのデータを生成する。また、DICOMワークステーション30は、DICOM管理サーバ40から取得したDICOM画像オブジェクトに含まれる付帯情報に基づいて、所見レポートのデータに付帯させる付帯情報を生成する。そして、DICOMワークステーション30は、前記所見レポートのデータに当該付帯情報を付帯させて、DICOM規格に則ったDICOMレポートオブジェクトを生成し、DICOM管理サーバ40に送信する。そして、DICOM管理サーバ40は、送信されたDICOMレポートオブジェクトを記憶し管理する。
【0045】
B病院内DICOMシステム200は、B病院内におけるDICOMシステムである。B病院内DICOMシステム200は、RIS50と、DICOMワークステーション60と、モダリティ70と、DICOM管理サーバ80と、図示しないその他の装置とから構成されており、各装置は通信ネットワークN2を介してデータ通信可能に接続されている。
【0046】
RIS50は、B病院の放射線科部門内における診療予約、診断結果のレポート、実績管理、材料在庫管理等の情報管理を行う。RIS50は、図示しない電子カルテシステムから受信した撮影オーダ情報をモダリティ70及びDICOM管理サーバ80に送信する。
【0047】
モダリティ70は、RIS50から受信した撮影オーダ情報に従って、患者を撮影し、医用画像の画像データを生成する撮影装置である。また、モダリティ70は、前記撮影オーダ情報に基づいて、前記画像データに関する付帯情報を生成する。そして、モダリティ70は、前記画像データに当該付帯情報を付帯させて、DICOM規格に則ったDICOM画像オブジェクトを生成し、DICOM管理サーバ80に送信する。モダリティ70としては、CR装置、CT装置、MRI装置等、様々な種類の医用画像を撮影する撮影装置が適用可能である。
【0048】
DICOM管理サーバ80は、モダリティ70において生成された、実データが医用画像のデータであるDICOMオブジェクト(DICOM画像オブジェクト)を記憶し、管理する(記憶管理する)情報処理装置である。DICOM管理サーバ80としてPACS等が適用可能である。
【0049】
また、DICOM管理サーバ80は、DICOMワークステーション60において生成された、実データが所見レポートのデータであるDICOMオブジェクト(DICOMレポートオブジェクト)を記憶し、管理する。
【0050】
DICOM管理サーバ80は、外部機器からDICOMオブジェクトの取得要求を受信した場合、当該取得要求に応じたDICOMオブジェクトを当該外部機器に送信(提供)する。また、DICOM管理サーバ80は、外部機器から付帯情報取得要求を受信した場合、当該取得要求に応じた、DICOMオブジェクトに含まれる付帯情報を当該外部機器に送信する。
【0051】
DICOMワークステーション60は、高精細モニタを有し、当該高精細モニタにDICOM画像を表示する端末である。DICOMワークステーション60は、読影医等によるユーザ操作に基づき、DICOM管理サーバ80等の外部機器にDICOM画像オブジェクト取得要求を送信し、当該取得要求に応じたDICOM画像オブジェクトを取得する。そして、当該DICOM画像オブジェクトに基づきモニタに医用画像(DICOM画像)を表示する。
【0052】
また、DICOMワークステーション60は、メディアMから各種データを読み出す。DICOMワークステーション60は、A病院内DICOMシステム100のDICOM管理サーバ40において書き込まれたDICOMオブジェクト(DICOM画像オブジェクト、DICOMレポートオブジェクト)等をメディアMから読み出し、比較読影画面631(図8参照)の表示等を行う。比較読影画面631については後述する。
【0053】
また、DICOMワークステーション60は、読影医等によるユーザ操作に基づき、読影結果である所見レポートのデータを生成する。また、DICOMワークステーション60は、DICOM管理サーバ80等から取得したDICOM画像オブジェクトやメディアMから読み出したDICOMオブジェクトに含まれる付帯情報に基づいて、所見レポートのデータに付帯させる付帯情報を生成する。そして、DICOMワークステーション60は、前記所見レポートのデータに当該付帯情報を付帯させて、DICOM規格に則ったDICOMレポートオブジェクトを生成し、DICOM管理サーバ80に送信する。そして、DICOM管理サーバ80は、送信されたDICOMレポートオブジェクトを記憶し管理する。
【0054】
[DICOM管理サーバ(A病院)の機能的構成]
図3に、A病院内DICOMシステム100を構成するDICOM管理サーバ40の機能的構成を示す。
【0055】
図3に示すように、DICOM管理サーバ40は、制御部41、操作部42、表示部43、通信部44、記憶部45、メディアドライブ46を備えて構成され、各部はバス47により接続されている。
【0056】
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、DICOM管理サーバ40の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部42から入力される操作信号又は通信部44により受信される指示信号に応じて、記憶部45に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0057】
操作部42は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部41に出力する。
【0058】
表示部43は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部41から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0059】
通信部44は、LAN(Local Area Network)アダプタ、ルータ、TA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークN1を介して接続されたRIS10、モダリティ20、DICOMワークステーション30等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0060】
記憶部45は、ハードディスク等から構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。また、記憶部45は、モダリティ20により生成された一又は複数のDICOMオブジェクト(DICOM画像オブジェクト)を記憶する。また、記憶部45は、DICOMワークステーション30により生成された一又は複数のDICOMオブジェクト(DICOMレポートオブジェクト)を記憶する。また、記憶部45は、DICOMオブジェクトを管理するデータベースプログラムを記憶する(図示せず)。
【0061】
メディアドライブ46は、制御部41からの制御信号に基づき、メディアMに各種データを書き込む。また、メディアドライブ46は、制御部41からの制御信号に基づき、メディアMに記憶されているデータを読み出す。
【0062】
制御部41は、操作部42からの操作信号等に基づいて、記憶部45に一又は複数のDICOMオブジェクトの中から特定のDICOMオブジェクトを選択し、当該選択したDICOMオブジェクトを記憶部45から読み出し、メディアドライブ46を介してメディアMに書き込む。
【0063】
制御部41は、記憶部45に記憶されたデータベースプログラムと協働して、記憶部45に記憶されているDICOMオブジェクトを管理する。
【0064】
制御部41は、通信部44を介して、外部機器からDICOMオブジェクトを受信すると、当該DICOMオブジェクトを記憶部45に記憶させ、データベースに登録する(管理する)。
【0065】
制御部41は、通信部44を介して、外部機器からDICOM画像オブジェクト取得要求を受信すると、当該DICOM画像オブジェクト取得要求に応じたDICOM画像オブジェクト(実データが医用画像のデータであるDICOMオブジェクト)を記憶部45から読み出す。そして、制御部41は、通信部44を介して、当該読み出したDICOM画像オブジェクトを外部機器に送信(提供)する。
【0066】
また、制御部41は、通信部44を介して、外部機器からDICOMレポートオブジェクト取得要求を受信すると、当該DICOMレポートオブジェクト取得要求に応じたDICOMレポートオブジェクト(実データが所見レポートのデータであるDICOMオブジェクト)を記憶部45から読み出す。そして、制御部41は、通信部44を介して、当該読み出したDICOMレポートオブジェクトを外部機器に送信(提供)する。
【0067】
また、制御部41は、通信部44を介して、外部機器から付帯情報取得要求を受信すると、当該付帯情報取得要求に応じた、DICOMオブジェクトに含まれる付帯情報を記憶部45から読み出す。そして、制御部41は、通信部44を介して、当該読み出した付帯情報を外部機器に送信(提供)する。
【0068】
[DICOM管理サーバ(B病院)の機能的構成]
図4に、B病院内DICOMシステム200を構成するDICOM管理サーバ80の機能的構成を示す。
【0069】
図4に示すように、DICOM管理サーバ80は、制御部81、操作部82、表示部83、通信部84、記憶部85を備えて構成され、各部はバス86により接続されている。
【0070】
制御部81は、CPU、RAM等から構成され、DICOM管理サーバ80の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部82から入力される操作信号又は通信部84により受信される指示信号に応じて、記憶部85に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0071】
操作部82は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部81に出力する。
【0072】
表示部83は、LCDにより構成され、制御部81から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0073】
通信部84は、LANアダプタ、ルータ、TA等を備え、通信ネットワークN2を介して接続されたRIS50、モダリティ70、DICOMワークステーション60等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0074】
記憶部85は、ハードディスク等から構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。また、記憶部85は、モダリティ70により生成された一又は複数のDICOMオブジェクト(DICOM画像オブジェクト)を記憶する。また、記憶部85は、DICOMワークステーション60により生成された一又は複数のDICOMオブジェクト(DICOMレポートオブジェクト)を記憶する。また、記憶部85は、DICOMオブジェクトを管理するデータベースプログラムを記憶する(図示せず)。
【0075】
制御部81は、記憶部85に記憶されたデータベースプログラムと協働して、記憶部85に記憶されているDICOMオブジェクトを管理する。
【0076】
制御部81は、通信部84を介して、外部機器からDICOMオブジェクトを受信すると、当該DICOMオブジェクトを記憶部85に記憶させ、データベースに登録する(管理する)。
【0077】
制御部81は、通信部84を介して、外部機器からDICOM画像オブジェクト取得要求を受信すると、当該DICOM画像オブジェクト取得要求に応じたDICOM画像オブジェクト(実データが医用画像のデータであるDICOMオブジェクト)を記憶部85から読み出す。そして、制御部81は、通信部84を介して、当該読み出したDICOM画像オブジェクトを外部機器に送信(提供)する。
【0078】
また、制御部81は、通信部84を介して、外部機器からDICOMレポートオブジェクト取得要求を受信すると、当該DICOMレポートオブジェクト取得要求に応じたDICOMレポートオブジェクト(実データが所見レポートのデータであるDICOMオブジェクト)を記憶部85から読み出す。そして、制御部81は、通信部84を介して、当該読み出したDICOMレポートオブジェクトを外部機器に送信(提供)する。
【0079】
また、制御部81は、通信部84を介して、外部機器から付帯情報取得要求を受信すると、当該付帯情報取得要求に応じた、DICOMオブジェクトに含まれる付帯情報を記憶部85から読み出す。そして、制御部81は、通信部84を介して、当該読み出した付帯情報を外部機器に送信(提供)する。
【0080】
[DICOMワークステーション(B病院)の機能的構成]
図5に、B病院内DICOMシステム200を構成するDICOMワークステーション60の機能的構成を示す。図5に示すように、DICOMワークステーション60は、制御部61、操作部62、表示部63、通信部64、記憶部65、メディアドライブ66を備えて構成され、各部はバス67により接続されている。
【0081】
制御部61は、CPU、RAM等から構成され、DICOMワークステーション60の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部62から入力される操作信号又は通信部64により受信される指示信号に応じて、記憶部65に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0082】
操作部62は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部61に出力する。
【0083】
表示部63は、LCDにより構成され、制御部61から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0084】
通信部64は、LANアダプタ、ルータ、TA等を備え、通信ネットワークN2を介して接続されたDICOM管理サーバ80等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0085】
メディアドライブ66は、制御部61からの制御信号に基づき、メディアMに各種データを書き込む。また、メディアドライブ66は、制御部61からの制御信号に基づき、メディアMに記憶されているデータを読み出す。
【0086】
記憶部65は、ハードディスク等から構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。
【0087】
また、記憶部65は、比較読影支援プログラム651を記憶している。比較読影支援プログラム651とは、DICOMワークステーション60に対して、メディアドライブ66を介してメディアMから読み込んだDICOMオブジェクトに含まれる付帯情報に基づいて、当該DICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトを、DICOM管理サーバから取得させ、当該取得したDICOMオブジェクトとメディアMから読み込んだDICOMオブジェクトとに基づいて、各DICOMオブジェクトに関する医療データを画面にそれぞれ表示させるためのプログラムである。
【0088】
また、記憶部65は、DICOM管理サーバ所在情報652を記憶している。DICOM管理サーバ所在情報652とは、B病院内DICOMシステム200内におけるDICOM管理サーバ(DICOM管理サーバ80)の所在を示す情報である。具体的には、DICOM管理サーバの「IPアドレス」、「ポート番号」、「AEタイトル」の項目から構成される。ここで、「AEタイトル」とは、DICOM規格に則った各機器の識別名である。当該DICOM管理サーバ所在情報652の各項目は、ユーザ操作による操作部62からの操作信号に基づき、予め設定されていることとしてもよいし、比較読影支援プログラム651が起動されてから設定されることとしてもよい。
【0089】
制御部61は、メディアドライブ66を介して、メディアMからDICOMオブジェクトを読み込むと、記憶部65から比較読影支援プログラム651を読み出し、当該比較読影支援プログラム651を起動する。尚、制御部61は、DICOMワークステーション60に電源が入れられると同時に、記憶部65から比較読影支援プログラム651を読み出し、当該比較読影支援プログラム651を起動する構成としてもよい。
【0090】
そして、制御部61は、比較読影支援プログラム651と協働で、メディアドライブ66を介してメディアMから読み込んだDICOMオブジェクトに含まれる付帯情報に基づいて、当該DICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトを、DICOM管理サーバ80から取得し、当該取得したDICOMオブジェクトとメディアMから読み込んだDICOMオブジェクトとに基づいて、各DICOMオブジェクトに関する医療データ(医用画像や所見レポート)を画面にそれぞれ表示させる。具体的には、比較読影画面631(図8参照)を表示させる。
【0091】
[メディアにデータを書き込む場合のDICOM管理サーバの具体的な動作]
次に、メディアMに、DICOMオブジェクトを書き込む場合に、A病院内DICOMシステム100を構成するDICOM管理サーバ40が実行する処理の具体的な動作について、図6を用いて説明する。尚、ここでは、A病院で撮影された医用画像の読影を、B病院の読影医に依頼する場合を想定している。
【0092】
まず、メディアドライブ46に、ブランクディスクのメディアMがセットされると、DICOM管理サーバ40の制御部41は、メディアMがセットされたことを検知する。そして、制御部41は、表示部43にメディアMに書き込むDICOMオブジェクトを選択させる画面であるDICOMオブジェクト書込選択画面(図示せず)を表示させる。そして、制御部41は、操作部42からの操作信号に基づいて、メディアMに書き込むDICOMオブジェクトを選択する(ステップS1)。
【0093】
そして、制御部41は、ステップS1において選択した一又は複数のDICOMオブジェクトを記憶部45から読み出し、メディアドライブ46を介してメディアMに書き込む(ステップS2)。以上で処理が終了する。そして、患者又はA病院の医師等は、当該メディアMをB病院に持っていく。
【0094】
[メディアを読み込んだDICOMワークステーション等の具体的な動作]
次に、B病院内DICOMシステム200を構成するDICOMワークステーション60が、メディアMからDICOM管理サーバ40において書き込まれたデータ(DICOMオブジェクト)を読み込んだ場合に、当該DICOMワークステーション60及びDICOM管理サーバ80が実行する処理の具体的な動作について図7を用いて説明する。
【0095】
まず、DICOMワークステーション60のメディアドライブ66に、DICOM管理サーバ40においてデータが書き込まれたメディアMがセットされると、DICOMワークステーション60の制御部61は、メディアMがセットされたことを検知する。そして、制御部61は、メディアドライブ66を介して、メディアMからDICOMオブジェクトを読み出し、記憶部65に一時記憶させる(ステップS101)。尚、メディアMに記憶された各種データを記憶部65に一時記憶させず、制御部61が、必要に応じてメディアMから各種データを直接読み込み、RAMに展開する構成としてもよい。
【0096】
制御部61は、メディアMからDICOMオブジェクトを読み出す(読み込む)と、記憶部65から比較読影支援プログラム651を読み出し、当該比較読影支援プログラム651を起動する(ステップS102)。
【0097】
そして、制御部61は、比較読影支援プログラム651と協働して、読影対象とするDICOMオブジェクトを選択させる画面であるDICOMオブジェクト読影選択画面(図示せず)を表示部63に表示させる。そして、制御部61は、ユーザ操作による操作部62からの操作信号に基づいて、メディアMから読み出した(読み込んだ)DICOMオブジェクトの中から読影対象とするDICOMオブジェクトを選択する(ステップS103)。具体的には、DICOMオブジェクトに含まれる付帯情報の検査情報に基づいて、メディアMから読み出したDICOMオブジェクトを生成した検査の一覧が表示され、当該一覧のある検査が選択されることによって、当該検査に関連するDICOMオブジェクトが選択される。
【0098】
尚、必要に応じてメディアMからDICOMオブジェクトを直接読み込む構成とする場合、制御部61は、メディアMに記憶されているDICOMオブジェクトの一覧をメディアMから読み出し、当該一覧を表示部63に表示させる。そして、制御部61は、操作部62からの操作信号に基づいて当該一覧のある検査が選択されることによって、当該検査に関連するDICOMオブジェクトを選択する。そして、制御部61は、当該選択したDICOMオブジェクトをメディアMから読み出す。
【0099】
そして、制御部61は、記憶部65に記憶されているDICOM管理サーバ所在情報652の「IPアドレス」、「ポート番号」、「AEタイトル」等に基づいて、DICOM管理サーバ80を特定する(ステップS104)。
【0100】
そして、制御部61は、ステップS103において選択したDICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトの取得要求を生成し、当該取得要求をDICOM管理サーバ80に送信する(ステップS105)。具体的に、制御部61は、選択したDICOMオブジェクトに含まれる付帯情報の検査情報から患者名、生年月日、性別等を抽出し、これらの情報を含んだDICOMオブジェクトの取得要求(DICOM画像オブジェクト取得要求及び/又はDICOMレポートオブジェクト取得要求)を生成する。そして、制御部61は、生成したDICOMオブジェクトの取得要求を、DICOM管理サーバ80に送信する。
【0101】
DICOM管理サーバ80の制御部81は、通信部84を介してDICOMオブジェクトの取得要求を受信すると、当該取得要求に応じたDICOMオブジェクトを検索する(ステップS106)。具体的に、DICOMオブジェクトの取得要求に含まれる患者名、生年月日、性別等が一致する検査情報を含んだDICOMオブジェクトが記憶部85に記憶されているか否か(有るか否か)を検索する。つまり、制御部81は、ステップS103において選択されたDICOMオブジェクトの検査に対応する過去検査等において生成されたDICOMオブジェクトを検索することになる。
【0102】
そして、制御部81は、検索の結果、該当するDICOMオブジェクトが有る場合は、取得要求に応じたDICOMオブジェクトをDICOMワークステーション60に通信部84を介して送信する(ステップS107)。一方、検索の結果、該当するDICOMオブジェクトが無い場合は、その旨の通知をDICOMワークステーション60に通信部84を介して送信する。
【0103】
DICOMワークステーション60の制御部61は、取得要求に応じたDICOMオブジェクトが無い旨の通知を受信すると(ステップS108;NO)、表示部63に、取得要求に応じたDICOMオブジェクトが無い旨を表示する(ステップS109)。そして、制御部61は、ステップS103において選択したDICOMオブジェクトに基づいて、当該DICOMオブジェクトに関する医療データを表示部63に表示する(ステップS110)。具体的な画面例については後述する。そして、処理が終了する。また、B病院の読影医は、表示部63に表示された医療データを参照し、読影を行う。
【0104】
一方、DICOMワークステーション60の制御部61は、取得要求に応じたDICOMオブジェクトを受信すると(ステップS108;YES)、ステップS103において選択したDICOMオブジェクトと、当該受信したDICOMオブジェクトとに基づいて比較読影画面631(図8参照)を表示部63に表示する(ステップS111)。そして、処理が終了する。また、B病院の読影医は、比較読影画面631を参照し、比較読影を行う。
【0105】
尚、本フローチャートのステップS105において、DICOMオブジェクトの取得要求を生成する際、付帯情報に含まれる患者情報から患者名、生年月日、性別等を抽出するとしたが、この患者名を、英字の患者名、カナの患者名及び漢字の患者名としてもよい。この場合、付帯情報に含まれる患者情報の患者名も、英字の患者名、カナの患者名及び漢字の患者名となる。
【0106】
[比較読影画面]
図8に、DICOMワークステーション60の表示部63に表示される比較読影画面631を示す。図8に示すように、比較読影画面631は、医療データ表示領域e1、関連医療データ表示領域e2等から構成される。
【0107】
医療データ表示領域e1は、DICOMワークステーション60において選択された(図7:ステップS103)読影対象となるDICOMオブジェクトに基づく医療データを表示する領域である。具体的に、読影対象となるDICOMオブジェクトに含まれる付帯情報に基づいて、患者ID、患者名、検査日、検査種類、施設等の項目が表示される。また、DICOMオブジェクトに含まれる実データに基づいて、医用画像や所見レポートが表示される。図8では、医用画像が表示されている。
【0108】
関連医療データ表示領域e2は、DICOM管理サーバ80から取得した(図7:ステップS107)、前記選択された読影対象となるDICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトに基づく医療データを表示する領域である。具体的に、DICOM管理サーバ80から取得したDICOMオブジェクトに含まれる付帯情報に基づいて、患者ID、患者名、検査日、検査種類、施設等の項目が表示される。また、DICOMオブジェクトに含まれる実データに基づいて、医用画像や所見レポートが表示される。図8では、医用画像が表示されている。
【0109】
このように、ユーザが医療データ表示領域e1に表示される医療データを読影する場合、過去検査等のような関連する医療データが関連医療データ表示領域e2に自動で表示され、比較読影を行うことができる。
【0110】
また、図7のステップS110において表示される画面の画面例は、比較読影画面631の関連医療データ表示領域e2を除いた画面になる。
【0111】
以上、本実施の形態によれば、DICOMワークステーション60は、メディアMから読み込んだDICOMオブジェクトに含まれる付帯情報に基づいて、当該DICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトをDICOM管理サーバ80から取得する。そして、DICOMワークステーション60は、当該取得したDICOMオブジェクトとメディアMから読み込んだDICOMオブジェクトとに基づいて、各DICOMオブジェクトに関する医療データを表示部63にそれぞれ表示させる。つまり、比較読影画面631を表示部63に表示させる。
【0112】
そのため、患者の紹介先(読影の依頼先)の医療施設(B病院)でメディアMに書き込まれたDICOMオブジェクトの比較読影を行う場合、当該DICOMオブジェクトをDICOM管理サーバ80に取り込ませ、DICOMワークステーション60に、前記取り込ませたDICOMオブジェクトをDICOM管理サーバ80から取得させる必要が無い。更に、DICOMワークステーション60に、読影対象のDICOM画像オブジェクトの過去検査におけるDICOMオブジェクトをDICOM管理サーバ80から取得させる必要が無い。
【0113】
また、DICOMワークステーション60に、過去検査におけるDICOMオブジェクトをDICOM管理サーバ80から取得させる際、ユーザは、患者名、患者の生年月日、患者の性別等のような、同一患者であることが期待できる条件を手入力する必要が無い。
【0114】
そのため、メディアM(可搬型記憶媒体)に記憶されているDICOMオブジェクトに対する比較読影を行う際の、ユーザの利便性を向上させることができる。更に、誤って、異なる患者のDICOMオブジェクトを参照することを防止することができる。
【0115】
また、DICOMワークステーション60は、DICOM管理サーバ80にDICOMオブジェクトの取得要求を送信し、該当するDICOMオブジェクトが無い旨の通知を受信すると、その旨を表示部63に表示する。
【0116】
そのため、ユーザは、DICOMワークステーション60が比較読影に必要な過去検査を取得することができない場合、その旨を知ることができる。
【0117】
尚、本実施の形態における記述は、本発明に係るDICOMシステムの一例であり、これに限定されるものではない。システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0118】
また、本実施の形態において、B病院内DICOMシステム200のDICOM管理サーバの台数は一台(DICOM管理サーバ80)であるとしたが、B病院内DICOMシステム200が複数台のDICOM管理サーバを備える構成としてもよい。この場合、DICOMワークステーション60の記憶部65に記憶されているDICOM管理サーバ所在情報652は、これら複数台のDICOM管理サーバの所在を示す情報となる。そして、DICOMワークステーション60の制御部61は、これら複数台のDICOM管理サーバから、メディアMから読み込んだDICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトを取得する。
【0119】
また、本実施の形態では、プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクや可搬型記憶媒体を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ等を適用することが可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明におけるDICOMシステムのシステム構成図である。
【図2】DICOMオブジェクトのデータ構成図である。
【図3】DICOM管理サーバ(A病院)のブロック図である。
【図4】DICOM管理サーバ(B病院)のブロック図である。
【図5】DICOMワークステーション(B病院)のブロック図である。
【図6】DICOM管理サーバ(A病院)において実行される処理を示すフローチャートである。
【図7】B病院内DICOMシステムにおいて実行される処理を示すラダーチャートである。
【図8】比較読影画面の画面例である。
【符号の説明】
【0121】
1 DICOMシステム
10 RIS
20 モダリティ
30 DICOMワークステーション
40 DICOM管理サーバ
41 制御部
42 操作部
43 表示部
44 通信部
45 記憶部
46 メディアドライブ
47 バス
50 RIS
60 DICOMワークステーション
61 制御部
62 操作部
63 表示部
64 通信部
65 記憶部
66 メディアドライブ
67 バス
70 モダリティ
80 DICOM管理サーバ
81 制御部
82 操作部
83 表示部
84 通信部
85 記憶部
86 バス
100 A病院内DICOMシステム
200 B病院内DICOMシステム
651 比較読影支援プログラム
652 DICOM管理サーバ所在情報
631 比較読影画面
e1 医療データ表示領域
e2 関連医療データ表示領域
M メディア
N1 通信ネットワーク
N2 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DICOMオブジェクトを管理するDICOM管理サーバと、当該DICOM管理サーバのクライアント端末であるDICOMワークステーションとが通信ネットワークを介してデータ通信可能に接続されたDICOMシステムであって、
前記DICOMワークステーションは、
可搬型記憶媒体に記憶されたDICOMオブジェクトを読み込む読込手段と、
前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトに含まれる付帯情報に基づいて、当該DICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトを、前記DICOM管理サーバから取得し、当該取得したDICOMオブジェクトと前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトとに基づいて、各DICOMオブジェクトに関する医療データを画面にそれぞれ表示させる制御手段と、
を備えるDICOMシステム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトを取得可能か否かを前記DICOM管理サーバに問い合わせ、取得不可能の場合、その旨を画面に表示させる、
請求項1に記載のDICOMシステム。
【請求項3】
前記DICOMオブジェクトは、医用画像のデータを含み、
前記制御手段は、当該医用画像のデータを含んだ医療データを画面に表示させる、
請求項1又は2に記載のDICOMシステム。
【請求項4】
前記DICOMオブジェクトは、所見レポートのデータを含み、
前記制御手段は、当該所見レポートのデータを含んだ医療データを画面に表示させる、
請求項1又は2に記載のDICOMシステム。
【請求項5】
DICOMオブジェクトを管理するDICOM管理サーバのクライアント端末であるDICOMワークステーションであって、
可搬型記憶媒体に記憶されたDICOMオブジェクトを読み込む読込手段と、
前記DICOM管理サーバとデータの送受信を行う通信手段と、
前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトに含まれる付帯情報に基づいて、当該DICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトを、前記通信手段を介して前記DICOM管理サーバから取得し、当該取得したDICOMオブジェクトと前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトとに基づいて、各DICOMオブジェクトに関する医療データを画面にそれぞれ表示させる制御手段と、
を備えるDICOMワークステーション。
【請求項6】
前記制御手段は、前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトを取得可能か否かを前記通信手段を介して前記DICOM管理サーバに問い合わせ、取得不可能の場合、その旨を画面に表示させる、
請求項5に記載のDICOMワークステーション。
【請求項7】
前記DICOMオブジェクトは、医用画像のデータを含み、
前記制御手段は、当該医用画像のデータを含んだ医療データを画面に表示させる、
請求項5又は6に記載のDICOMワークステーション。
【請求項8】
前記DICOMオブジェクトは、所見レポートのデータを含み、
前記制御手段は、当該所見レポートのデータを含んだ医療データを画面に表示させる、
請求項5又は6に記載のDICOMワークステーション。
【請求項9】
コンピュータを、
可搬型記憶媒体に記憶されたDICOMオブジェクトを読み込む読込手段、
DICOMオブジェクトを管理するDICOM管理サーバとデータの送受信を行う通信手段、
前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトに含まれる付帯情報に基づいて、当該DICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトを、前記通信手段を介して前記DICOM管理サーバから取得し、当該取得したDICOMオブジェクトと前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトとに基づいて、各DICOMオブジェクトに関する医療データを画面にそれぞれ表示させる制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
前記制御手段は、前記読込手段により読み込まれたDICOMオブジェクトに関連するDICOMオブジェクトを取得可能か否かを前記通信手段を介して前記DICOM管理サーバに問い合わせ、取得不可能の場合、その旨を画面に表示させる、
請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記DICOMオブジェクトは、医用画像のデータを含み、
前記制御手段は、当該医用画像のデータを含んだ医療データを画面に表示させる、
請求項9又は10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記DICOMオブジェクトは、所見レポートのデータを含み、
前記制御手段は、当該所見レポートのデータを含んだ医療データを画面に表示させる、
請求項9又は10に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−40019(P2010−40019A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205881(P2008−205881)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】