説明

DNAチップ上の微小有機体の迅速な検出のための方法

本発明は、問題の環境の微生物集団、例えば、空気中からサンプリングされた微生物集団の迅速な分析のための方法に関する。特に、本発明の方法は、DNAチップおよび放射性または化学発光検出方法の使用を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、問題の環境の微生物集団、特に空気からサンプリングされた微生物集団、を分析するための迅速な方法に関する。特に、使用される当該方法は、DNAアレイ(またはチップ)を、放射性または化学発光検出法と共に使用することを具備する。
【背景技術】
【0002】
現行の使用における大部分の検出方法は、DNAまたはRNAの分析に基づくものであり、米国特許US-A-4 683 195およびUS-A-4 683 202に記載されるPCR増幅技術の使用を具備する。
【0003】
PCRは、核酸標的配列を増幅し、次いで慣習的な検出方法により検出できる。しかしながら、増幅反応の実行には、約2時間が必要である。
【0004】
他の技術は、従来技術において記載されおり、ハイブリダイゼーション方法、例えば、ノーザンブロットまたはサザンブロットなどのプローブを使用する方法、またはマイクロプレート技術、例えばELISA試験などを含む。そのような技術は、実行が難しく、比較的高価なものである。特に、多くの数のマイクロプレートと非常に多くのサンプル量が、マイクロプレート上で並行して多数の異なる病原体を分析するためには必要であろう。
【0005】
最近、チップと称される固体支持体上におけるハイブリダイゼーション技術が記載されている(US-A 6 458 584)。そのようなチップは、例えば、ガラス支持体(Ghu et al, 1994, Nucl Acids Res, 22, 5456-5465)、ポリプロピレンスライド(Matson et al、前掲、1995)またはゲルスライド(Khrapko et al, 1991, J DNA sequencing 1: 375-388)の表面に対して結合されるオリゴヌクレオチドを並行して合成することにより製造される(Matson et al, Anal Biochem, 1995, 224, 110-116)。
【0006】
多数のハイブリダイゼーションが、少量のサンプルを使用して並行して実施される。しかしながら、当該ハイブリダイゼーションの期間は依然としてかなり長いものであり、一般的には16〜24時間である。
【0007】
多くの利用できる方法の存在にも関わらず、迅速な検出、例えば、10時間未満または3時間未満などで検出を果せるものはない。炭疽菌(バシラス・アントラシス(Bacillus anthracis))の感染の場合では、早期の抗生剤の特性が、死亡率を制限するためには決定的である。迅速な検出は、従って、生物兵器による汚染の場合において、可能な限り多くの生命を救うために望ましい。
【0008】
多くの微生物種は、芽胞の形態にあることが可能であり、これは環境的ストレスに対する反応において休眠状態で生き残ることが可能である。この休眠状態の細菌が栄養型細胞に変わる過程は発芽として知られている。列挙できる芽胞形成し得る細菌の例は、バシラス・アントラシス、バシラス・セレウス(セレウス菌(Bacillus cereus))、クロストリジウム・ボツリヌム abd (ボツリヌス菌(Clostridium botulinum abd))、クロストリジウム・ペルフリンゲンス(ウエルチ菌(Clostridium perfringens))、ビブリオ・コレラ(コレラ菌(Vibrio cholera))、ビブリオ・ブルニフィクス(Vibrio vulnificus)、マイクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)、マイクロコッカス・ツベルクロシス(Micrococcus tuberculosis)およびレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、である。
【0009】
芽胞形態におけるサンプル中に存在する細菌を検出するるためには、それらを少なくとも24時間に亘り培養することが一般的に勧められる。しかしながら、芽胞形態を発芽するための培養は非常に長すぎる時間、検出を延長するものである。更に、培養は、無菌条件の使用を要求する。
【発明の開示】
【0010】
当該出願人は、十分な感受性と特異性を有する微生物の迅速な検出方法を記載するどのような従来技術も知らない。
【0011】
細菌の芽胞を検出することを可能にする微生物の迅速な検出方法は、これまでに記述されたことは全くない。
【0012】
最終的に、当該出願人は、十分な感受性であり、当該チップの表面での多すぎる光の拡散を避けるDNAチップ上での化学発光により検出を行うためのどのような方法も知らない。
【0013】
より正確には、当該発明は、前記有機体に特異的なRNAのDNAチップにおける分子ハイブリダイゼーションによるサンプルにおける興味のある微生物の迅速な検出のための方法を考える。第1の工程において、前記RNAは、相補的なDNA(cDNA)に逆転写され、それにより当該サンプルプローブが標識され、DNAチップにおける2つの可能な検出様式、即ち、放射性による方法と化学発光による方法を可能にする。当該発明の方法の工程の設定は、自動化でき、サンプルの採取からの開始は、放射性による方法では2時間30分であり、化学発光による方法では3時間を少し上回る時間で、同定結果を得ることが可能である。
【0014】
全体的な迅速同定配列を提供することにおいて、当該発明は特に、非常に大きいハイブリダイゼーション時間の短縮を得られる。科学文献は一般的に少なくとも16時間のハイブリダイゼーション時間を推奨している。この時間は、ハイブリダイゼーション反応の動態学的な性質の利用により30分まで減少されてきた。
【0015】
(cDNA)プローブサンプルと捕獲プローブ(当該チップに固定化されている)との2重鎖の形成を可能にする当該反応速度は、主にそのような2重鎖の大きさに依存する。従って、小型の固定化捕獲プローブ(30〜90塩基、好ましくは70塩基のオリゴヌクレオチド)の使用することにより、当該ハイブリダイゼーション時間は非常に減少され得ることが確立されている。
【0016】
結果として、本発明は、以下を具備する微生物の迅速な検出方法を提供する:
a)微生物を収集すること;
b)当該微生物からRNAを抽出すること;
c)当該RNAを標識すること、またはそれを標識された相補的なDNAに変換すること;
d)工程c)で得られた当該標識された相補的なDNAまたは標識されたRNAを、チップ上に配置され、各微生物に対して特異的な捕獲プローブを使用して、ハイブリダイゼーションすることであって、当該ハイブリダイゼーションが15〜45分、好ましくは約30分間の範囲の時間で実行されることを特徴とするハイブリダイゼーションを行うこと;
e)何れかのハイブリダイゼーションを検出すること;および
f)当該結果を分析して、当該微生物が存在するか否かを決定すること。
【0017】
本発明はまた、化学発光方法における検出のためのチップにおける光の拡散を減少する方法であって、以下を具備する方法を提供する:
a)化学発光基質を含浸された多孔質膜を配置した表面にチップを製造し、当該基質の液相をそれにより固定化されることを可能にすること。
【0018】
多孔質膜を有する当該チップは、本発明の一部分を形成するものでもある。
【0019】
当該発明の事情において、当該用語「環境」とは、水、空気、植物および土壌を含む。当該発明の方法において使用され得る環境的なサンプルの例は、水、廃水、土壌、泥、廃棄物、堆積物、空気である。
【0020】
当該サンプルは、ヒトまたは動物から除去された生物学的サンプルを含む。当該方法は、何れの種類の生物学的なサンプルに対しても適している。生物学的サンプルの非限定的な例は、頭脊柱液(cephalorachidian liquid)、リンパ液、滑液、涙、尿、血液、血漿、血清、皮膚、腫瘍、羊水、組織、細胞、細胞培養物を含む。
【0021】
本発明において使用される当該「核酸ターゲット」の語は、特異的ハイブリダイゼーション捕獲プローブにより検出される生物学的または環境学的なサンプルに由来する核酸を意味する。
【0022】
従って、核酸ターゲットは、対応する捕獲プローブに対して相補的であり、且つ放射性または化学発光マーカーにより標識された配列を有する。
【0023】
以下の本文において使用される「プローブ」の語は、天然の塩基、例えば、A、G、C、U若しくはT、または改変された塩基、例えば、イノシンなどを含む相補的な塩基の組み合わせによってもう1つの核酸をターゲティングすることが可能な核酸を意味する。捕獲プローブは、本発明において使用されるが、当該標的が当該サンプルに存在すれば、そのような標的核酸と結合する。
【0024】
当該発明の文脈の範囲内において、当該「微生物」は、全てのグラム陽性またはグラム陰性菌を含む。本発明の方法により検出され得る細菌は、好ましくはヒトまたは動物の病原体および/または侵襲性の病原体である。本発明の方法により検出可能な多様な種類の細菌は、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス:エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィチクス(Staphylococcus saprophyticus)、マイクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)、マイクロコッカス・ロセウス(Micrococcus roserus)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ストレプトコッカス・ニューモニアエ(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、オエノコッカス・オエニ(Oenococcus oeni)、ペジオコッカス・ダムノサス(Pediococcus damnosus)、エンテロコッカス・ドゥランス(Enterococcus durans)、エンテロコッカス・ファエカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・ファエシウム(Enterococcus faecium)、ネイスセリア・ゴノルローエアエ(Neisseria gonorrhoeae)、ネイスセリア・メニンギチジス(Neisseria meningitidis)、モラキセラ・カタルラリス(Moraxella catarhalis)、アシネトバクター・バウマンニイ(Acinitobacter baumannii)、アシネトバクター・ロウォフィイ(Acinetobacter lwoffii)、シトロバクター・ジベルサス(Citrobacter diversus)、シトロバクター・フレウンジイ(Citrobacter freundii)、エドワルドシエラ・タルダ(Edwardsiella tarda)、エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)、エルウィニア・クリサンタム(Erwinia chrysantum)、エルウィニア・クリサンタム(Eruwinia chrysantum)、エルウィニア・カロトボラ(Erwinia carotovora)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、ハフニア・アルベイ(Hafnia alvei)、クルブシエラ・オキシトカ(Klubsiella oxytoca)、クルブシエラ・ニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae)、モルガネルラ・モルガニイ(Morganella morganii)、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、プロビデンシア・アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)、サルモネラ・エンテリカ subsp エンテリカ(Salmonella enterica subsp enterica)、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、サルモネラ・パラチフイ(Salmonella paratyphi)、セラチア・マルセスセンス(Serratia marcescens)、シゲラ・フレキシネリ(Shigella flexneri)、イエルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、イエルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)、ビブリオ・パラへモリチクス(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・コレラエ(Vibrio cholerae)、アエロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、ブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、ブルクホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)、ブルクホルデリア・シュードマレイ(Burkholderia pserdomallei)、ラルストニア・ピケッチイ(Ralstonia pickettii)、アルカリゲネス・ファエカリス(Alcaligenes faecalis)、アシネトバクター・バウマンニイ(Acinetobacter baumannii)、アシネトバクター・ルワフィイ(Scinetobacter lwoffii)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、バシラス・セレウス、バシラス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)、バシルアス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バシラス・アントラシス、バシラス・グロビギイ(Bacillus globigii)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria mnocytogenes)、ラクトバシラス・カセイ(Lactobacillus casei)、クロストリジウム・ボツリウム、クロストリジウム・ペルフリンゲンス、マイクバクテリウム・ボビス BCG(Mycobacterium bovis BCG)、レギオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、ボルデテルラ・ペルツスシス(Bordetella pertussis)、フランシセルラ・ツラレンシス(Francisella tularensis)、ブルセラ・メリテシス(Brucella melitensis)、ブルセルラ・アボルタス(Brucella abortus)、ブルセラ・スイス(Brucela suis)、ブルセルラ・カニス(Brucella canis)、コシエルラ・ブルネッチ(Cosiella burnetti)、クラミジア・ニューモニア(chlamydia pneumonia)を含む。明らかにこのリストは網羅的なものではない。
【0025】
より正確には、本発明は、微生物の迅速な検出方法を提供する。当該微生物は、何れの公知の適切な手段により採取される。
【0026】
空気からのサンプリングは、空気捕集のための装置またはエアサンプラーを使用してよく、ゲル化媒体または多孔質膜フィルターまたは予め定められた液体培地に当該微生物を捕集可能なものを含む。
【0027】
仮に当該サンプルが、栄養型工程にあるならば、それらはなお以下に記載されるような溶解のための工程および抽出のための工程を受ける。しかしながら、当該サンプルが、芽胞形態で提供される場合、当該サインプルは復活工程を受ける。この復活工程は芽胞の発芽の開始を保証し、芽胞形態の効果的な溶解を生ずるための極度な困難性を克服する。当該細菌の当該芽胞形態は、当該細胞の生理的活性の低下と、内部の脱水および極度に強い外側の外被の形成により特徴付けられる。この形態は、当該細菌に環境培地に対する顕著な抵抗性(熱抵抗性、ある化学薬剤および物理学的薬剤などに対する抵抗性など)を与える。芽胞形態から栄養型形態への変化(発芽現象)は、成長に都合のよい回復条件、よってこの回復工程、がきっかけとなる。
【0028】
芽胞の発芽は、当該技術において公知の何れかの方法、例えば、微生物の懸濁液を65℃に20分間加温することによる、または当該微生物の浸透圧勾配を、経時的な拡散(即ち、一連の抽出)、進行性の拡散(即ち、一連の希釈)、および連続的な拡散(即ち、透析)により調節することによる何れかの方法を用いて実行され得る。US-A-6 589 771に開示される方法も使用することが可能である。当該細胞よりも低いモル浸透圧濃度を有する緩衝液、例えば、PBS緩衝液(ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水)、pH7.3、0.9%のNaCL、などを使用することは、使用され得るもう1つの方法である。温度4℃〜55℃の範囲でpHの範囲5.5〜7.0の当該培地に対してL-アラニンを添加することも、芽胞を発芽させることが可能であり、並びに、脳心臓インフュージョン・ブロス(Brain Heart Infusion Broth)として公知の培地も発芽のために特に好ましい。
【0029】
回復工程は、液体サンプルを1〜30分間、好ましくは2分間10,000xgで遠心すること、HIB培地に残渣を再懸濁すること、および約30〜45、好ましくは40分間の期間で、4℃〜55℃、好ましくは37℃の範囲の温度で攪拌しながらインキュベーションすることを具備する。
【0030】
この芽胞の発芽工程の後、当該微生物を溶解および抽出工程に供して当該RNAを抽出する。
【0031】
この工程の目的は、捕集の後に当該濃縮されたサンプルに含まれる当該細菌の全てを溶解することと、できるだけ短時間でそからRNAを抽出することである。
【0032】
この観点において、当該プロトコールは、当該微生物を化学的、機械的または熱的経路により溶解することを要求する。科学的溶解のためには、何れの適切な溶解手段、例えば、酵素学的、セルロース、β-グルクロニダーゼ、リソスタフィン、リゾチームおよびその他の手段などが本発明の方法において使用されてよい。
【0033】
当該微生物の溶解のための機械的手段は、ホモジネーション、ガラスビーズの存在下での攪拌、超音波処理、フレンチプレスなどを含む。熱的溶解は、当該サンプルを80℃〜90℃の温度に加温することからなる。好ましくは、リゾチームおよびリソスタフィンを使用する化学的溶解とそれに続く超音波処理の組み合わせが、本発明のこの工程において使用される。
【0034】
細胞溶解の後、そのRNAを当該細胞から抽出する。何れの公知の方法を使用して、細胞からRNAを抽出してもよく、特に、多くの商業的に入手可能なRNA抽出キットの1を使用すればよい。例としては、キアゲン(QIAGEN(登録商標))からのRNAイージーキット(RNAeasy kit)を、製造者の説明書に従って使用すればよく、または何れかの他の簡単且つ迅速に使用できる抽出キットを使用してもよい。
【0035】
得られたRNAは、放射性標識化または化学発光マーカーを使用して標識されてよい。或いは、DNAを、RNAから逆転写法を使用して合成してもよく、前記DNAを逆転写工程の間に、修飾されたヌクレオチドを取り込むことによって標識されてもよい。
【0036】
このプローブ合成工程は、RNA抽出物を相補的な標識化DNAに逆転写することに相当する。2つの異なる種類のマーカーを本発明の方法において代わりに使用することも可能である。当該標的核酸は、放射標識または化学発光検出を可能にするマーカーを使用して標識され得る。
【0037】
何れの放射標識マーカーがこの目的のために使用されてもよく、例えば、32P、35S、125I、33P、3H、131Iなどが含まれる。好ましくは、25Sが使用される。
【0038】
化学発光検出の原理は、特異的に化学発光基質を分解する酵素を使用することが基礎となっている。この酵素分解が、フォトンを放射させる。この場合、当該サンプルプローブは、直接に酵素で標識されるか、または間接的に特異的分子複合体(例えば、ビオチン/ストレプトアビジン/ビオチン−酵素複合体)で標識されるかの何れかである。これらの2種類のサンプルプローブの標識は、図1で概略的に示す。
【0039】
化学発光において使用するための何れの公知の酵素も、本発明の当該核酸標的を標識するために使用されてよい。列挙することの可能な例は、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グリコニダーゼ、β-グルコシダーゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼなどである。可能な例は、ビオチン、アビジンおよびステレプトアビジンまたは、当該酵素に対して結合するアンチビオチンまたは抗ジゴキシゲニン抗体複合体、フルオレッセイン-アンチフルオレッセイン抗体複合体を含む化学発光複合体である。
【0040】
標識化サンプルに加えて、また、放射標識または化学発光マーカーを使用して標識化されたコントロールも、慣習的に使用されてもよい。当該コントロールRNAは、当該捕獲プローブへのハイブリダイゼーションの総非存在により特徴付けられる。使用される当該コントロールは、例えば、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)をコードするRNAまたはネオマイシン耐性遺伝子をコードするneoRNAなどである。
【0041】
蛍光発光リーディングの特別な利点は、当該シグナルを増幅することにより、感受性における改善が可能であること、および定量的な測定を実行できることである。更に、当該シグナルを測定するために必要な設備が、蛍光測定よりも簡素(励起照明源が不要)であり、操作が放射活性産物を使用することに比べて容易である。
【0042】
化学発光検出の多くの問題は、化学発光基質が液体溶液にあるという事実に帰する。しかしながら、当該液体におけるフォトンの拡散およびチップの平坦な表面における当該液体の移動は、当該リーディングの空間的な解像度の重大な減少を生じる。この光拡散現象は、DNAチップにおけるスポットの大きさに適合しない測定を与える。
【0043】
当該発明は、ガラススライドの表面との接触において液相(化学発光基質)を固定化して光の拡散を制限するための装置を特徴とすることからなる。
【0044】
この装置は、基質で含浸された多孔質膜からなる。この膜は、当該チップの表面に置かれ、それによって、当該液相を固定化するための三次元のネットワークを創造する。このシステムは、フォトン拡散現象を有意に減少し、当該スポットの直径に矛盾しないリーディングを与え得る。
【0045】
図2は、下方からのチップの2つの写真を示すものであり、ガラススライド/含浸膜と、ガラススライド単独との比較されるべき立体配置において得られる測定を可能にする。
【0046】
微生物の標識されたサンプルを準備する前に、固定化された捕獲プローブを含むチップを準備する。当該捕獲プローブは、DNAまたはRNA分子であればよい。
【0047】
好ましい捕獲プローブは、各病原体の16S rRNAの特異的領域から、および種々のメッセンジャーRNAの特異的領域から選択される。16S rRNAに対応する当該捕獲プローブは、これらのRNAの最も可変性の領域から選択されることにより、使用された菌株の同定が保証される。mRNAに対応する捕獲プローブのために、mRNAは、公知の発現レベルで選択され、これは捕集された病原体の種々の可能な生理学的状態を最もよく表すものである。以下において関連する蛋白質をコードするmRNAが選択される:芽胞の発芽において;細胞周期において;主要な代謝機能において;病原性の発現において。この広範な種類の選択によって、回復工程がサンプルプローブを準備する前に実施できることが分かっているので、捕集された病原体の生理学的な状態を考慮せずに、特異的なシグナルを得ることが可能であり合理的である。
【0048】
当該捕獲プローブのサイズは、30〜90ヌクレオチドで変動してよく、好ましくは約70ヌクレオチドである。使用され得る当該プローブは、それらの5'末端でアミノ化された基を有してもよい。
【0049】
当該チップの製造のために、薄層のガラスを使用し、ポリリジン、シランまたはエポキシで被覆される。好ましい態様において、使用される当該エポキシは、3-グリシドキシルプロピルトリメトキシシランである。この種類のエポキシは、水の存在下で、当該捕獲プローブのアミノ化された5'末端と自発的に反応し、当該プローブの5'末端と共有結合を可能にする。この特異的な結合は、当該プローブが自由にハイブリダイゼーションするための残存部分を残しておく。
【0050】
5'末端でアミノ化された多様なヌクレオチドは、「スポッター」を使用してガラスプレートに沈着させる。例として、当該スポットの平均直径は、10〜150μmの範囲であってよい。2つのスポットについて1つの中心から隣の中心までの間の距離は、300〜500μmの範囲であってよい。
【0051】
標識化されている当該サンプルプローブ(DNAまたはRNA)は、当該チップの表面に置かれ、対応するスポットで配列の相同性によりハイブリダイズを生じ得る。
【0052】
ハイブリダイゼーションは、約30分で生じる。このハイブリダイゼーション相の後、当該チップは濯がれ、リーディングによって効果的なハイブリダイゼーションを示すことが可能になる。
【0053】
ハイブリダイゼーション工程のプロトコールは、実施された標識の種類、放射性または化学発光かに依存して同じである。
【0054】
主に、核酸プローブは最初に変性され、ハイブリダイゼーション緩衝液がその変性された核酸に対して添加される。その混合物を次に、捕獲プローブを含むチップに置く。当該チップを次に、サーモスタットで42℃に調温された容器内に置き、約30分間インキュベートを行う。そのチップを次に、当該容器から回収して濯ぐ。
【0055】
標識の種類、放射性または化学発光かに依存して、示される方法は異なる。仮に放射能を使用する場合には、当該チップは固体シンチラント(scintillant)でコートし、分析を適切な装置(フォトイメージャー、セルフラジオグラフィングフィルムなど)を使用して行う。仮に、化学発光マーカーを使用した場合、薄いナイロン膜を化学発光基質で含浸させ、適切な基質で希釈し、当該チップに置く。それをマイクロイメジャーを使用して結果を示す。
【実施例】
【0056】

栄養型または芽胞形態のグラム陰性およびグラム陽性菌の代表として4つのモデル株を使用した。これらのモデル株は、エシェリキア・コリ(グラム陰性)、パントエア・アグロメランス(グラム陽性、CIP 82 100)、バシラス・スリンギエンシス、クルスタキ亜種(sub species kurstaki)、栄養型形態(グラム陽性、CIP 105 674)、並びに、芽胞形態のバシラス・グロビギイ(CIP 77 18)に該当する。これらの4株を同定するために、我々は、データベースにおいて入手可能な分子データを使用し、16SリボソームRNA(16S rRNA)の可変性領域と特異的メッセンジャーRNA(mRNA)との両方に相当する当該チップ上に固定化される捕獲プローブを選択した。より広い状況において、これらの2分類のRNAの同時検出とそれによる同定が可能であり、従って、属および種へのアクセスが提供された。
【0057】
例1:サンプルの準備
A.回復プロトコール
この工程は、捕集用培地から回収された生物学的病原体を200μLの回復培地においてインキュベーションすることからなる。
【0058】
当該株を含む捕集用培地を、2分間、10,000xgで遠心した。
【0059】
当該細菌ペレットを、200μLのHIB回復培地(脳心臓インフュージョンブロス、ICN、ref:1002417)に回収し、40分間37℃で攪拌しながらインキュベートした。
【0060】
B.溶解および抽出
当該培養物を、2分間10,000xgで、回復培地中で遠心した。
【0061】
その細菌ペレットを次に、50μLの12mg/mLのリゾチーム(TE中で希釈された溶液)(シグマ)、50μLの100μg/mLのリソスタフィン(TE中で希釈された溶液)(シグマ)に回収し、最後に、そのサンプルを30秒間45Hzで超音波処理をした。
【0062】
次にインキュベーションを10分間、37℃で行い、続いて、350μLのRLT-2ME緩衝液(QiagenからのRNAイージーキット)を添加し、同じく250μLの無水エタノールを添加し、吸引/排出により混合して、当該RNAイージーカラム(吸収カラム)上に置いた。その全体を次に8,000xgで15秒間遠心した。
【0063】
当該カラムを700μLのRW1緩衝液で濯ぎ(8,000xg、15秒間の遠心)、次に500μLのRPE緩衝液(2回)(8,000xgで15秒間の遠心)で濯いだ。
【0064】
そのカラムは最初の濯ぎの後で2分間遠心し、過剰な濯ぎ用緩衝液を除去した。
【0065】
20μLの滅菌水を当該カラムの中央に添加し、RNAを8,000xgで1分間の遠心により溶出した。
【0066】
必要に応じて、当該RNAを-80℃で貯蔵した。
【0067】
C.サンプルプローブの合成
2つの異なるプロトコールが可能である。
【0068】
[放射性検出のためのプロトコール]
10μLのpdN6(50ng/μL)を予め抽出された総RNA並びに5ngのチロシンヒドロキシラーゼ(TH)およびneoコントロールを含むの7μLのRNA混合物に添加した。
【0069】
当該混合物を次に、5分間、70℃でインキュベートし、4℃まで迅速に冷却した。
【0070】
以下の試薬を次に4℃で添加した:5μLのRT 10X緩衝液、10μLのMgCL2(25mM)、5μLのDTT(100mM)、2.5μLのRNasin(40U/μL)、1μLのdCGT-TP混合物(各25mMずつ)、5μLのATP35S(1000Ci/mmoL;10Ci/μL)、2.5μLのddTTP(1mM)、2μLのスーパースクリプトII(SuperScript II))(200U/μL)。
【0071】
その混合物を2分間25℃、次に30分間42℃でインキュベートした。
【0072】
この反応を停止し、当該RNAを、7.5μLの2MのNaOH(アルカリ加水分解)を添加すること、5分間50℃でインキュベートすること、7.5μLの2.2Mの酢酸(中和)を添加すること、および最後にプローブを当該P10エクスクルージョンカラム(exclusion column、Bio-Rad)に対して添加することによりハイブリダイゼーションを行った。最終溶出量は40μLだった。
【0073】
[化学発光検出のためのプロトコール]
10μLのpdN6(50ng/μL)を予め抽出された総RNA並びに5ngのTHおよびNeoコントロールRNAを含有する7μLのRNA混合物に添加した。その混合物を5分間70℃でインキュベートし、迅速に4℃にまで冷却した。
【0074】
4℃のまま、以下の試薬を添加した:5μLのRT 10X緩衝液、10μLのMgCL2(25mM)、5μLのDTT(100mM)、2.5μLのRNasin(40U/μL)、1μLのdCGT-TP混合物(各25mMずつ)、5μLのdUTP−ビオチン(1mM)、1μLのdTTP(10mM)、1μLの35S dATP(1000Ci/mmol;10μCi/μL)、2.5μLのddTTP(1mM)および2μLのスーパースクリプトII(200U/μL)。
【0075】
当該混合物を次に2分間25℃で、次に30分間42℃でインキュベートした。
【0076】
反応を止め、そのRNAを、7.5μLの2MのNaOH(アルカリ加水分解)を添加すること、5分間50℃でインキュベートすること、7.5μLの2.2Mの酢酸(中和)を添加することによって加水分解を行った。
【0077】
当該プローブを次にP10エクスクルージョンカラム(Bio-Rad)上で精製した。最終溶出量は40μLだった。
【0078】
例2:捕獲プローブ
A.コントロールの表示
当該チップのコントロールとして、我々は、THおよびneo RNAに対応する捕獲プローブを使用した。このRNAは、直接に抽出されたRNAに、当該サンプルプローブの合成の直前に添加された。従ってそれらは、標識化cDNAの合成の効率を制御でき、従って、チップにおける行列の識別を保証できる。
【化1】

【0079】
B.16S rRNAに対応する捕獲プローブの選択
これらの捕獲プローブの配列は以下の通りである。
【化2】

【0080】
16S rRNA捕獲プローブについては、病原体の間での全ての可能なクロスハイブリダイゼーションが公知であり、以下の誤対合の表に要約する。
【化3】

【0081】
C.mRNAに対応する捕獲プローブの選択
B.スリンギエンシスの特異的mRNAに対応する捕獲プローブ
1.B.スリンギエンシスの特異的cry遺伝子
cry(アクセッションナンバー:AF278797)は、細胞増殖周期静止期の間だけに発現されるプラスミド遺伝子発現である。この遺伝子は、非常に多くの昆虫に対して高度に有効なエンドトキシンを産生する。
【0082】
BTCY1オリゴヌクレオチド(70mers):
【化4】

【0083】
2.B.スリンギエンシスの特異的inhA2遺伝子
inhA2遺伝子(アクセッションナンバー:AF421888)は、以下の論文に記載される:フェドヒラ, S.、ネル, P.およびリアクラス, D. 2002:「バシラス・スリンギエンシス株407のInhA2メタロプロテアーゼは、経口経路を介して感染した昆虫における病原性に必要とされる」(Fedhila, S., Nel, P. and Lerreclus, D. 2002: The InhA2 metalloprotease of Bacillus thuringiensis strain 407 is required for pathogenicity in insects infected via the oral route. J Bacteriol 184(12), 3296-3304)。
【0084】
当該inhA遺伝子は、亜鉛依存性メタロプロテアーゼを産生する。この蛋白質は、昆虫体液性防御系に関与するセクロピン(cecropins)およびアタシン(attacins)を加水分解する。inhAの発現は芽胞形成の開始時に開始され、間接的にSpoAタンパクにより活性化される。当該inhA2遺伝子はInhA蛋白質と66.2%の同一性を有し、且つ亜鉛結合部位を含む蛋白質を産生する。InhA2蛋白質は病原性において重要な働きをする。当該InhA2遺伝子は、細菌が成長するまたは栄養分の多い培地(例えば、回復培地)において芽胞形成する際に発現され、それに対して、InhA遺伝子は、好ましくは当該細胞が栄養分の乏しい培地にある場合に発現される。
【0085】
BTinh1オリゴヌクレオチド(70mers)
【化5】

【0086】
3.B.スリンギエンシス、B.セレウスおよびエドワルシエラ・タルダ(Edwarsiella tarda)の特異的hbIA遺伝子
hbIA遺伝子(アクセッションナンバー:AJ243149、AJ243147、AJ007794、AJ237785、AJ243163、LA3071)は、以下の論文に記載される:
プラス, B. M., ディートリッヒ, R., ニブラー,. B., マーチバウアー, E. およびスケーラー, S. 1999:「溶血性エンテロトキシンHBLは、バシラス・セレウス群の種において広範に分布する」(Pruss, B. M., Dietrich, R., Nibler, B., Martibauer, E. and Scherer, S. 1999: The hemolytic enterotoxin HBL is broadly distributed among species of the Bacillus cereus group. Appl Environ Microbiol65(12), 5436-5442(1999));
オクスタッド, O. A., ゴミネット, M., パーネル, B., ローズ, M., リアクラス, D. およびコルスト, A. B. 1999「分解酵素およびエンテロトキシンをコードするPIcR制御遺伝子を有する3つのバシラス・セレウス部位の配列解析」(Okstad, O.A., Gominet, M., Purnelle, B., Rose, M., Lereclus, D. and Kolsto,A.B. 1999.;Sequence analysis of three Bacilllus cereus loci carrying PIcR-regulated genes encoding degradative enzymes and enterotoxin. Microbiology 145(Pt11),3129-3138);
チェン, J. D., ライ, S. Y.およびファン, S.L. 1996「エドワードシエラ・タルダからの溶血毒遺伝子の分子クローニング、性質決定および配列決定」(Chen,J.D., Lai,S.Y.およびHuang, S.L.1996. Molecular cloning, characterization and sequencing of the hemolysin gene from Edwardsiella tarda. Arch Microbiol 165(1),9-17)。
【0087】
当該hbIA遺伝子は、HBL複合体に結合するエンテロトキシン(ヘモリシンBL)を産生する。
【0088】
オリゴヌクレオチド(70mers)
HbUA1
【化6】

【0089】
4.B.セレウス群の特異的gvrB遺伝子
gyB遺伝子(アクセッションナンバー:AF090331、AF136390、AF13687、AF090332、AF136388)は、以下の論文に記載される:
ヤマダ, S., オオアシ, E., アガタ, N. およびベンケイトワラン, K.1999.「バシラス・セレウス、B スリンギエンシス、B ミコイデス(B mycoides)、およびB アントラシスのgyrBのクローニングおよびヌクレオチド配列解析およびコメにおけるB セレウスの検出に対するそれらの適用」(Yamada, S., Ohashi, E., Agata, N. and Venkateswaran, K.1999. Cloning and nucleotide sequence analysis of gyrB of Bacillus cereus, B thuringiensis, B mycoides and B anthracis and their application to the detection of B. cereus in rice. Appl Environ Microbiol 65(4), 1483-1490)。
【0090】
GyrBは、gyraseDNA(トポイソメラーゼタイプII(toposiomerase typeII))のBサブユニットの蛋白質である。それは複製と転写工程の間に二重鎖DNAに影響する物理的なストレスを減少できる。
【0091】
オリゴヌクレオチド(70mers)
GyrB1
【化7】

【0092】
D.B グロビギイの特異的mRNAに対応する捕獲プローブ
1.B.セレウス、B.アントラシスおよびB.スブチリス群の特異的recA遺伝子
recA遺伝子(アクセッションナンバー:AF229167、AY147925)は以下の論文に記載される:コウ,M., チョイ,H., およびパーク,C.,2002「バシルス・アントラシスのrecA遺伝子におけるグループI自己スプライシングイントロン」J Bacteriol 184(14)、3917-3922(Ko,M., Choi,H. and Park, C. 2002. Group I self-splicing intron in the recA gene of Bacillus anthracis, J Bacteriol 184(14), 3917-3922);マウガン H, バーキー C W Jr, ニコルソン W L, ローゼンツヴァイク,W.D.およびヴリーランド,R.H.「「モダン」蛋白質をコードする遺伝子を含む「古代」細菌の逆説」(Maughan H, Birky C W Jr, Nicholson W L, Rosenzweig, W.D. and Vreeland, R.H. The paradox of the "ancient" bacterium which contains "modern" protein-coding genes.)(未出版)。
【0093】
RecAはタイプAリコンビナーゼである;それは、DNA複製エラーを組換えによって修復する。
【0094】
RecA1オリゴヌクレオチド:B.セレウスおよびB.アントラシス群(B.スリンギエンシスに近い群)に対して特異的、RecA2:B.グロビギイが亜種であるB.スブチリスに対して特異的。
【0095】
オリゴヌクレオチド
【化8】

【0096】
1.B.スブチリスの特異的n17D遺伝子
n17D遺伝子(アクセッションナンバー:D31856)は、以下の論文に記載される:オダ, M.,スギシタ, A.,およびフルカワ,K. 1988「バシラス・スブチリス hut オペロンにおけるヒスチダーゼおよび調節遺伝子のクローニングおよびヌクレオチド配列並びに当該オペロンの陽性調節」(Oda, M., Sugishita,A. and Furukawa, K. 1988. Cloning and nucreotide sequences of histidase and regulatory genes in Bacillus subitilis hut poeron and positive regulation of the operon. J Bacteriol 170(7),3199-3205)。
【0097】
当該n17D遺伝子は酵素、6-ホスホ-β-グルコシダーゼを産生し、これはグルコース代謝に関連する。
【0098】
N17Dオリゴヌクレオチド(70mers)
【化9】

【0099】
2.B.スブチリスの特異的gpr遺伝子
gpr遺伝子(アクセッションナンバー:Z99117)は、以下の論文に記載される:ネッシー,C., ジェドルゼジャス,M. J. およびセットロウ, P.1998.「バシルアス種芽胞の発芽の間に、小型、酸可溶性芽胞蛋白質を分解するプロテアーゼの構造および活性機序」(Nessi, C., Jedrzejas, M. J. and Setlow, P.1998. Structure and mechanism of action of the protease that degrades small, acid-soluble spore proteins during germination of spores of Bacillus species. J Bacteriol.180(19):5077-5084)。
【0100】
gpr遺伝子は、B.スブチリスに対して特異的である。この遺伝子は、芽胞の発芽の際に活性化するプロテアーゼを産生する。それは小型可溶性蛋白質(SASPs)に関連するDNAを分解する。
【0101】
Gpr1オリゴヌクレオチド(70mers)
【化10】

【0102】
3.B.スブチリスの特異的sleB遺伝子
sleB遺伝子(アクセッションナンバー:Z99117)は以下の論文に記載される:モアレ,A., コーフ,B.M.およびベーラバン, J.2002「芽胞の発芽」(Moir, A., Corfe,B.M. and Behravan, J.2002. Spore germination. Cell Mol Life Sci 59:403-409)。
【0103】
sleB遺伝子は、B.スブチリスに特異的である。この遺伝子は、芽胞の決定の早期段階に関与する。それは当該芽胞皮層を分解する溶解性酵素である。
【0104】
sleB1オリゴヌクレオチド(70mers)
【化11】

【0105】
4.B.スブチリスの特異的cwID遺伝子
cwID遺伝子(アクセッションナンバー:Z99117)は、以下の論文に記載される:モアレ, A., コーフ,B.M.およびベーラバン,J. 2002「芽胞の発芽」(Moir, A., Corfe,B.M. and Behravan, J.2002. Spore germination. Cell Mol Life Sci 59:403-409)。
【0106】
cwID遺伝子はB.スブチリスに特異的である。この遺伝子は、芽胞の発芽の初期段階に関与する。それは芽胞壁を分解する加水分解酵素である。その産物はN-アセチルムラモイル-L-アラニンアミダーゼである。
【0107】
cwID1オリゴヌクレオチド(70mers)
【化12】

【0108】
5.B.スブチリスの特異的cwIJ遺伝子
cwIJ遺伝子(アクセッションナンバー:Z99117)は、以下の論文に記載される:モアレ,A., コーフ,B.M.およびベーラバン, J.2002「芽胞の発芽」(Moir, A., Corfe,B.M. and Behravan, J.2002. Spore germination. Cell Mol Life Sci 59:403-409)。
【0109】
cwIJ遺伝子は、B.スブチリスに特異的である。この遺伝子は、芽胞の発芽の早期段階に関与する。それは当該芽胞壁を分解する加水分解酵素である。
【0110】
cwIJ1オリゴヌクレオチド(70mers)
【化13】

【0111】
6.B.スブチリスの特異的dnaG遺伝子
dnaG遺伝子(アクセッションナンバー:Z99117)は、以下の論文に記載される:カンスト,F.,ら、1997「グラム陽性菌バシラス・スブチリスの完全なゲノム配列」(Kunst, F et al, 1997. The complete genome sequence of the gram-positive bacterium Bacillus subtilis, Nature 390(6657)),249-256)。
【0112】
当該dnaG遺伝子は、DNA複製の開始に関連するプライマーゼをコードする。
【0113】
dnaGBSオリゴヌクレオチド(70mers)
【化14】

【0114】
E.P.アグロメランスの特異的mRNAに対応する捕獲プローブ
1.P.アグロメランスの特異的bgIA遺伝子
bgIA遺伝子(アクセッションナンバー:X79911)は以下の論文に記載される:マリ,L.,バレンチーニ, S.およびヴェンジッティ,D. 1995.「アーウィニア・ゲルビコラからのbgIA遺伝子のクローニングとヌクレオチド配列およびエシェリキア・コリにおけるベータ-グルコシダーゼの発現」(Marri, L., Valentini,S. and Venditti, D.1995. Cloning and nucleotide sequence of the bgIA gene from Erwinia herbicola and expression of beta-glucosidase activity in Escherichia coli. FEMS Microbiol Lett 128(2), 135-138)。
【0115】
BgIAはホスホ-β-グルコシダーゼA;それはセルロースを加水分解する。
【0116】
BgIA1オリゴヌクレオチド(70mers)
【化15】

【0117】
2.P.アグロメランスの特異的tutB遺伝子
当該tutB遺伝子(アクセッション番号:AF418598,U25347)は、以下の論文に記載される:カタヤマ,T., スズキ,H., コヤナギ,T. およびクマガイ,H.2002. 「エルウィニア・へルビコラ tutB 遺伝子とその生成物の機能的解析」(Katayama,T., Suzuki, H., Koyanagi, T. and Kumagai, H.2002. Functional analysis of the Erwinia herbicala tutB gene and its product. J Bacteriol, 184(11),3135-3141)、フォーア, F. 1995. 「エルウィニア・へルビコラのチロシン利用遺伝子のヌクレオチド配列および解析」未出版(Foor, F. 1995. Nucleotide sequence and analysis of the tyrosine utilization genes of Erwinia herbicola.)。
【0118】
tutBはチロシンパーミアーゼ(チロシントランスポーター)であり、チロシンの代謝に関与している。
【0119】
Tuti1オリゴヌクレオチド(70mers)
【化16】

【0120】
3.P.アグロメランスの特異的ibdC遺伝子
ipdC遺伝子(アクセッションナンバー:L80006)は、以下の論文に記載される:ブランドル, M. T., キノンズ, B. およびリンドウ, S. E. 2001.「植物表面でのエルウィニア・へルビコラにおけるインドール酸生合成酵素遺伝子の異種転写」(Brandl,M. T., Wuinones, B and Lindow, S.E. 2001. Heterogeneous transcription of an indoleacetic acid biosynthetic gene in Erwinia herbicola on plant surfaces. PNAS 98(6):3454-3459)。
【0121】
ipdCは、野菜起源のホルモンの代謝に関与するインドールピルベートデカルボキシラーゼ酵素を産生する。ipdC遺伝子の例は、植物により誘導されるが、また他の環境状況、例えば、乾燥状態などによっても誘導される。
【0122】
ipdc1オリゴヌクレオチド(70mers)
【化17】

【0123】
4.P.アグロメランスの特異的crtH遺伝子
crtH遺伝子(アクセッションナンバー:L17139、M87280)は、以下の論文に記載される:ハンドル,B., アルベルティ, V., ベイヤー, P., クレイニグ, H., アームストロング, G.A.,バーク, D.H.およびハースト, J.E. 1994「エシェリキア・コリにおいて発現されるエルウィニア・へルビコラ Eho10 カロチノイド遺伝子の機能的割当」(Hundle, B., Alberti, M., Nievelstein, V., Beyer, P., Kleinig, H., Armstrong, G.A., Burke, D. H. and Hearst, J.E. 1994. Functional assignment of Erwinia herbicola Eho10 carotenoid genes expressed in Escherichia coli. Mol Gen Genet, 245(4), 406-416)。
【0124】
この遺伝子は、β-カロテンの合成を可能にする。
【0125】
crtH1オリゴヌクレオチド(70mers):
【化18】

【0126】
F.E.coliの特異的mRNAに対応する捕獲プローブ
1.E.coliの特異的pgm遺伝子
pgm遺伝子は以下の論文に記載される:
ウェルチ, R.A.ら、2002.「尿路疾患性のエシェリキア・コリの完全なゲノム配列により明らかになった広範なモザイク構造」(Welch, R.A. et al, 2002. Extensive mosaic structure revealed by the complete genome sequence of uropathogenic Escherichia coli.) PNAS 99(26),17020-17024。
【0127】
この遺伝子は、グルコースの分解および合成の両方に関与する酵素を産生する。それは、ホスホヘキソースムターゼファミリーに所属する。
【0128】
pgm1オリゴヌクレオチド(70mers):
【化19】

【0129】
2.E.coliに特異的なlipB遺伝子
lipB遺伝子(アクセッションナンバー:AE016757.1)は以下の論文に記載される:シーン W. ジョーダンおよびジョン E クロナン Jr, 2003.「エシェリキア・コリlipB遺伝子はリポイル(オクタのイル)-アシル担体蛋白質:蛋白質トランスフェラーゼをコードする」(Sean W. Jordan and John E. Cronan Jr, 2003. The Escherichia coli lipB gene encodes lipoyl(octanoyl)-acyl carrier protein: protein transferase. J Bacteriol, 185(5):1582-1589)。
【0130】
LipBは、アミド架橋を与えることによる蛋白質へのリポイル基の結合に関与する。この蛋白質は、リジン残基のε-アミノ化された基に対してリポ酸のカルボキシル基を結合させる。
【化20】

【0131】
3.E.coliの特異的dnaG遺伝子
dnaG遺伝子(アクセッションナンバー:V00274)は以下の論文に記載される: スマイリー,B.L.ら,1982「エシェリキア・コリdnaGプライマーゼ遺伝子の配列およびその発現の制御」(Smiley, B.L. et al, 1982. Sequences of the Escherichia coli dnaG primase gene and regulation of its expression. PNAS 79(15)., 4550-4554)。
【0132】
dnaG遺伝子は、DNA複製の開始時に関与するプライマーゼをコードする。
【0133】
dnaG1オリゴヌクレオチド(70mers)
【化21】

【0134】
例3−チップの製造
当該チップを製造するために、我々はエポキシガラススライド、QMTエポキシスライド(Quantifoil#S100005)を使用した。使用されたエポキシスライドは、3-グリシドキシ-プロピルトリメトキシシランでコートされた。
【0135】
5'の位置においてアミド化された種々のオリゴヌクレオチド(Eurogentec)は、10または15μMに、クアンチホイル(Quantifoil)により推奨されるQMTスポッティング溶液I(QMT Epoxy Kit #S106010、Quantifoil)中で希釈された。捕獲プローブはソリッドニードル(proteigene)を伴うQARRAYスポッター(Genetix)を用いてガラススライドに配置される。平均スポット直径は200μmであり中心から中心までのスポット間の距離は500μmであった。配置が完了したのちに、当該捕獲プローブのアミン官能基とエポキシ支持体との間の共有結合を、当該スライドを加湿飽和チャンバー内に30分間37℃に設置することによって実施した。製造されたチップは空気中で乾燥し、使用まで外界温度で湿気のない状態で貯蔵された。
【0136】
ハイブリダイゼーション工程を実施する直前、当該チップをクアンチホイルによる推奨されるプロトコールを使用して処理した:それらを5分間リンス溶液I中で、下界温度でインキュベートし、2分間リンス溶液II中で下界温度で2回インキュベートし、10分間リンス溶液III中で下界温度でインキュベートし、1分間dH2O中で下界温度でインキュベートし、15分間1X QMTブロッキング溶液で50℃でインキュベートし、最後に1分間H2O中で下界温度でインキュベートした。
【0137】
チップの図解表示
当該捕獲プローブがDNAチップ上に配置された位置を表1として以下の図解に示す。
【表1】

【0138】
例4−チップハイブリダイゼーション工程
このステップは、(当該チップ上での)標識化サンプルプローブまたは相補的な捕獲プローブの特異的な結合に相当する。従って、それは単純に、当該チップにサンプルプローブを置くことからなる。
【0139】
選択された検出方法(化学発光または放射能)に依存して、2つの異なるプロトコールが可能である。
【0140】
A.放射能検出法のためのプロトコール
40μLの標識化サンプルプローブを減圧蒸発し、最終量3.4μLを得た。当該プローブを次に、2分間95℃で変性し、以下のものを氷上で添加する:即座に濾過されたSSC20Xの7μL、20μLの100%ホルムアミド、8μLの25%の硫酸デキストラン、0.6μLの濾過された20%のSDS、1μLの3mg/mL酵母tRNA。
【0141】
この溶液の全量を、次に当該スポットを含むチップの領域に置き、パラフィルムの小片を当該チップの表面に施し、ハイブリダイゼーション中の当該プローブの蒸発を防いだ。
【0142】
当該スライドをハイブリダイゼーションチャンバーにサンプルプローブの蒸発のないことが保証される状態で置いた。
【0143】
当該チャンバーを次に、42℃で30分間の恒温チャンバー内に配置した。当該スライドをチャンバーから取り除き、42℃で以下のプロトコールを用いて濯いだ:2分間の溶液I;SSC 2X/SDS 0.1%、2分間の溶液II;SSC 1X;および2分間の溶液III:SSC 0.2X。
【0144】
最後に当該スライドを直接5分間980rpmで下界温度で遠心することにより乾燥した。
【0145】
B.化学発光検出法のためのプロトコール
このプロトコールは、上記に記載したものと同一である。当該スライドを遠心で5分間980rpmで下界温度で遠心することによって乾燥した後、以下の工程を加える。
【0146】
当該スライドを0.120ジュールのUV源に対して暴露し、共有結合を捕獲プローブに対してハイブリダイズしたサンプルプローブの間に形成する。
【0147】
それらを次に迅速にPBS 1X緩衝液中で濯ぎ、予め30分間10%のヤギ血清含有のPBS 1X緩衝液で調製された400μLのABC複合体(ベクター:アルカリホスファターゼスタンダードキット、ABC:ref.AK-5000)で飽和する。
【0148】
当該スライドを30分間、加湿雰囲気(当該スライドを置くディッシュの底でPBSに浸漬されたフィルターによって提供される)内で、下界温度でインキュベートし、次にPBS 1X中で下界温度(暗所にて)1度濯ぐ。
【0149】
当該スライドを次に3PBS 1X浴中で濯ぎ、5分毎に攪拌(暗所にて)し、必要であれば4℃でPBS 1X浴中で(暗所にて)貯蔵する。
【0150】
例5−リーディング工程
A.放射性法のスライドにおいて
リーディングは、マイクロイメージャー(バイオスペース(Biospace))を使用し、当該スライドを固体シンチラントのシートで覆いながら行う。
【0151】
B.化学発光法のスライドにおいて
厚さ50μmのナイロン膜(ハイボンド N+(Hybond N+))と、基質希釈緩衝液(ロッシュ、ref 1759 779)で100倍に希釈されたDCPスター基質(CDP Star substrate(アマシャム))に含浸されたホワイトアピアランスを当該スライドに加える。次に、リーディングをマイクロイメージャー(Biospace)で行う。
【0152】
例6−結果
A.4つのモデル病原体の同定
106の細胞の各々4つの病原体を、上述に示したプロトコールを使用して処理した。サンプルプローブは、放射性標識法を用いて調製し、DNAチップ上でハイブリダイズした。以下のイメージは、10分後にマイクロイメジャーで取得して得たものに相当する。
【0153】
4つの病原体の同定を可能にする図3のスポットは、16S RNA捕獲プローブでは赤色に、mRNAでは青色に円が描かれる。
【0154】
概要を示す以下の表は、各モデル病原体に対応するハイブリダイゼーションパターンを表す。
【0155】
E.coli+THおよびneoコントロール
【表2】

【0156】
結果は、E.コリサンプルプローブがE.coliおよびP.アグロメランスの16S RNAのオリゴヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることを示す。しかしながら、当該スポットの強度がE.コリ 16S RNAについての方が、P.アグロメランス 16S RNAよりも強いことが注目されるだろう。16Sコリスポットと16SPaスポットの間の平均放射能比は2.12である。
【0157】
非特異的ハイブリダイゼーションは、例えば、B.スリンギエンシスの特異的16SBth3、16SBth2オリゴヌクレオチドおよびB.グロビギイの特異的RecA2オリゴヌクレオチドなどに観察された。しかしながら、これらの非特異的ハイブリダイゼーションは、他の病原体の全てについても観察された。
【0158】
P.アグロメランス+THおよびneoコントロール
【表3】

【0159】
結果は、P.アグロメランスのサンプルプローブは、P.アグロメランスおよびE.コリの16S RNAとハイブリダイズするのみではなく、B.スリンギエンシスの16S RNA、16SBth2および16Bth3ともハイブリダイズすることを示す。16Spaと16Scoliの間のスポットの平均強度比は1.13であり、当該スポット強度が、P.アフロメランスの16S rRNAの方がエシェリキア・コリの16S rRNAよりもより強いことを示していた。
【0160】
P.アグロメランスに特異的なmRNAが検出された。それは、β-カロテンの生合成に関与するタンパクをコードするCrth1であった。
【0161】
非特異的なハイブリダイゼーションが、例えば、B.スリンギエンシスに特異的な16SBth3、16SBth2オリゴヌクレオチドおよびB,グロビギイに特異的なRecA2オリゴヌクレオチドなどで観察された。しかしながら、これらの非特異的なハイブリダイゼーションは、他の病原体の全てについても観察された。
【0162】
B.スリンギエンシス+THおよびneoコントロール
【表4】

【0163】
結果は、B.スリンギエンシスの特異的な16S RNA、16SBth1、16SBth2、16SBth3が観察されるを示す。他の非特異的なオリゴヌクレオチドは観察されなかった。バシラス・グロビギイの特異的16SBS2は、B.スリンギエンシスからのサンプルプローブの存在において検出された。この結果は、B.スリンギエンシスの16S RNAとバシルス・グロビギイの特異的16SBS2オリゴヌクレオチドの間の10誤対合が存在することによって説明される。我々のハイブリダイゼーションプロトコールは、10誤対合未満の識別は不可能であった。
【0164】
ここでは、16SBth1捕獲プローブだけが、B.スリンギエンシスを同定することが可能であった。16SBth2と16SBth3に対応するシグナルは、当該病原体の全てについて見られた。
【0165】
B.グロビギイ+THおよびneoコントロール
【表5】

【0166】
結果は、バシラス・グロビギイの特異的16S rRNA、16SBS1および16SBS2の可視化を示す。16SBS1捕獲プローブのみが、バシラス・グロビギイを同定することが可能であった。
【0167】
要約すると、16S rRNAの特異的プローブは、当該病原体の全てを区別することが可能であった。得られたシグナルの強さを比較することよって、P.アグロメランスをエシェリキア・コリから識別することが可能であった。実際に、エシェリキア・コリは、16Scoli/16Spa比が1よりも大きいことで同定され、P.アグロメランスは1未満の比によって同定される。更に、P.アグロメランスに特異的なCrth mRNAの検出は、16S rRNAの検出を基礎にした分析を確証するものである。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】記載なし
【図2】記載なし
【図3】記載なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物を迅速に検出するための以下を具備する方法:
a)微生物を収集すること;
b)当該微生物からRNAを抽出すること;
c)当該RNAを標識すること、またはそれを標識された相補的なDNAに変換すること;
d)工程c)で得られた当該標識された相補的なDNAまたは標識されたRNAを、チップ上に配置され、各微生物に特異的な捕獲プローブを使用して、ハイブリダイゼーションすることであって、当該ハイブリダイゼーションが15〜45分、好ましくは約30分間の範囲の時間で実施されることを特徴とするハイブリダイゼーションすること;
e)何れかのハイブリダイゼーションを検出すること;および
f)当該結果の分析して、当該微生物が存在するか否かを決定すること。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、当該DNAまたはRNAが放射性標識されていることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、当該DNAまたはRNAが化学発光標識を使用して標識されていることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、当該放射性標識が25Sであることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、当該マーカーがビオチン/ストレプトアビジン/ビオチン酵素複合体であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、工程b)の前に、当該微生物を回復工程を受けることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、当該回復工程が、微生物を脳心臓インフュージョン培地において培養することを具備することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の方法であって、当該RNAが当該微生物を溶解した後に抽出されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の方法であって、当該チップがポリリジンシランまたはエポキシでコートされたガラススライドであることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、当該エポキシが3-グリシンドキシ-プロピルトリメトキシランにより構成されることを特徴する方法。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載の方法であって、当該捕獲プローブの長さが、30〜90ヌクレオチドの範囲にあることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか1項に記載の方法であって、当該捕獲プローブが約70ヌクレオチド長であることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1項に記載の方法であって、当該微生物が以下のグループから選択されることを特徴する方法:スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミディス、スタフィロコッカス・サプロフィチクス、マイクロコッカス・ルテウス、マイクロコッカス・ロセウス、ラクトコッカス・ラクチス、ストレプトコッカス・ニューモニアエ、ストレプトコッカス・ボビス、ロイコノストック・メセンテロイデス、オエノコッカス・オエニ、ペジオコッカス・ダムノサス、エンテロコッカス・ドゥランス、エンテロコッカス・ファエカリス、エンテロコッカス・ファエシウム、ネイスセリア・ゴノルローエアエ、ネイスセリア・メニンギチジス、モラキセラ・カタルラリス、アシネトバクター・バウマンニイ、アシネトバクター・ロウォフィイ、シトロバクター・ジベルサス、シトロバクター・フレウンジイ、シトロバクター・ジベルサス、エドワルドシエラ・タルダ、エンテロバクター・クロアカエ、エルウィニア・クリサンタム、エルウィニア・カロトボラ、エシェリキア・コリ、ハフニア・アルベイ、クルブシエラ・オキシトカ、クレブシエラ・ニューモニアエ、モルガネルラ・モルガニイ、パントエア・アグロメランス、プロテウス・ミラビリス、プロテウス・ブルガリス、プロビデンシア・アルカリファシエンス、サルモネラ・エンテリカ・subsp・エンテリカ、サルモネラ・エンテリカ、サルモネラ・パラチフイ、セルラチア・マルセスセンス、シゲラ・フレキシネリ、イエルシニア・エンテロコリチカ、イエルシニア・ペスチス、ビブリオ・パラヘモリチクス、ビブリオ・コレラエ、アエロモナス・ヒドロフィラ、シュードモナス・アエルギノサ、シュードモナス・フルオレッセンス、シュードモナス・プチダ、ブルクホルデリア・セパシア、ブルクホルデリア・マレイ、ブルクホルデリア・シュードマレイ、ラルストニア・ピクケッチイ、アルカリゲネス・ファエカリス、アシネトバクター・バウマンニイ、アシネトバクター・ルワフィイ、ステノトロホモナス・マルトフィラ、カンピロバクター・ジェジュニ、バシラス・セレウス、バシラス・スリンギエンシス、バシラス・スブチリス、バシラス・アントラシス、バシラス・グロビギイ、リステリア・モノサイトゲネス、ラクトバシラス・カセイ、クロストリジウム・ボツリヌム、クロストリジウム・ペルフリンゲンス、マイコバクテリウム・ボビス BCG、レジオネラ・ニューモフィラ、ボルデテルラ・ペルツスシス、フランシセルラ・ツラレンシス、ブルセッラ・メリテンシス、ブルセルラ・アボルタス、ブルセッラ・スイス、ブルセルラ・カニス、コシエルラ・ブルネッチ、クラミジア・ニューモニア。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか1項に記載の方法であって、当該微生物がエアサンプラーを使用して捕集されたことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項2または請求項4の何れか1項に記載の方法であって、当該実行時間が約2.5時間であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項3または請求項5の何れか1項に記載の方法であって、当該実行時間が約3時間であることを特徴とする方法。
【請求項17】
マイクロチップにおける光の拡散を減少する方法であって、前記方法が以下を具備する方法:
a)それによって当該基質の液体相を固定化を可能にする、化学発光基質で含浸された多孔質膜が置かれた表面にチップを製造すること。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、当該多孔質幕がナイロンであることを特徴とする方法。
【請求項19】
化学発光の顕色に適したチップであって、前記チップがガラスの薄層を具備し、その上に微生物に特異的な捕獲プローブと化学発光基質を含浸させた多孔質膜とを配置したチップ。
【請求項20】
請求項19に記載のチップであって、当該多孔質膜がナイロンであることを特徴とするチップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−508811(P2007−508811A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530427(P2006−530427)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002558
【国際公開番号】WO2005/035785
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(505040202)ベルタン・テクノロジーズ (9)
【氏名又は名称原語表記】BERTIN TECHNOLOGIES
【出願人】(500174661)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・レシェルシュ・サイエンティフィーク−セ・エン・エール・エス− (54)
【Fターム(参考)】