説明

DNA反復不安定性関連遺伝性障害を治療するための方法及び手段

本発明は、ヒトにおけるシスエレメント反復不安定性関連遺伝性障害の診断、治療又は予防用の薬物の製造のための、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドが、好ましくは、実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、ヒト遺伝子転写物中の繰返し配列のみに相補的である上記オリゴヌクレオチドを用いる方法及び薬物を提供する。したがって、本発明は、シスエレメント反復不安定性関連遺伝性障害のための治療方法を提供する。本発明は、細胞における反復伸長転写物の蓄積及び/又は翻訳を妨げるために、本発明の方法において用いることができる修飾オリゴヌクレオチドにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学分野に、特にそのコード配列又は非コード配列に不安定な反復を有する遺伝子、もっとも具体的には、ヒトハンチントン病誘発HD遺伝子又は筋緊張性ジストロフィー1型誘発DMPK遺伝子に不安定な反復を有する遺伝子に関連する遺伝性障害の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子特異的マイクロサテライト及びミニサテライト繰返し配列の不安定性は、サテライトにおける繰返し配列の長さを増加させるが、約35のヒト遺伝性障害に関連している。トリヌクレオチド反復の不安定性は、たとえば、X連鎖脊髄性及び延髄性筋萎縮症(SBMA)、筋緊張性ジストロフィー1型(DM1)、脆弱X症候群(FRAX遺伝子A、E、F)、ハンチントン病(HD)並びにいくつかの脊髄小脳失調症(SCA遺伝子ファミリー)を引き起こす遺伝子に見出される。不安定な反復は、障害の表現型がタンパク質機能及び/又はタンパク質折り畳みの変化によって引き起こされるハンチントン病遺伝子などの遺伝子のコード領域に見出される。不安定な反復単位は、筋緊張性ジストロフィー1型(DM1)の場合の3’UTRなどの非翻訳領域において、又は筋緊張性ジストロフィー2型(DM2)の場合などのイントロン配列においても見出される。正常な反復数はDMPKで約5〜37であるが、前変異及び完全病態までに2〜10倍以上、50、100、及び時には1000以上の反復単位まで増加する。DM2/ZNF9では、10000以上の反復までの増加が報告されている(Cleary and Pearson、Cytogenet.Genome Res.100:25−55、2003)。
【0003】
ハンチントン病(HD)の原因遺伝子は、4番染色体上に位置している。ハンチントン病は、常染色体優性な形で遺伝する。この遺伝子がポリグルタミンストレッチをコードする35を超えるCAGトリヌクレオチド反復を有する場合、その反復数は代々拡大することがある。反復の長さが漸進的に増加するために、この疾患は重症度が増す傾向があり、代々より低年齢で症状が見つかり、これは表現促進と呼ばれる過程である。HD遺伝子の産物は348kDaの細胞質タンパク質ハンチンチンである。ハンチンチンは、正常型では40未満のグルタミンアミノ酸残基の特徴的な配列を有するが、この疾患を引き起こす変異ハンチンチンは40を超える残基を有する。神経細胞において変異ハンチンチン分子が連続発現すると、大きなタンパク質沈着物が形成され、これが最終的に、特に前頭葉及び大脳基底核において(主に尾状核において)細胞死を引き起こす。この疾患の重症度は、通常余分な残基の数に比例する。
【0004】
DM1は成人におけるもっとも一般的な筋ジストロフィーであり、主に骨格筋、心臓及び脳の遺伝性、進行性、退行性、多臓器性障害である。DM1は、ヒト染色体19q上のDMPK遺伝子(筋緊張性ジストロフィープロテインキナーゼ)の3’非翻訳領域における不安定なトリヌクレオチド(CTG)n反復の伸長により引き起こされる(Brook et al、Cell、1992)。2型筋緊張性ジストロフィー(DM2)は、ZNF9遺伝子のイントロン1におけるCCTG伸長により引き起こされる(Liquori et al、Science 2001)。筋緊張性ジストロフィー1型の場合、DMPK転写物の核−細胞質搬出が、核フォーカスに蓄積するヘアピン様二次構造体を形成する反復の長さが増加することにより阻まれる。長い(CUG)nトラクトを担うDMPK転写物は、マッスルブラインド(muscleblind)ファミリーのタンパク質に結合し続いて核内のリボ核フォーカスに凝集するヘアピン様構造体を形成することができる。このような核封入体は、マッスルブラインドタンパク質及び潜在的に他の因子を隔離し、その後細胞に対して制限的になると考えられている。DM2では、(CCUG)n伸長反復を担うZNF9 RNAの蓄積により類似のフォーカスが形成される。マッスルブラインドタンパク質はスプライシング因子であるため、その枯渇により他の転写物のスプライシングに劇的再構成が生じる。したがって、多くの遺伝子の転写物は、たとえば、胎児エクソンの包含又はエクソンの排除により、異常にスプライシングされ、非機能的タンパク質及び障害性細胞機能がもたらされる。
【0005】
上記の所見及び新たな洞察により、筋緊張性ジストロフィー1型、ハンチントン病及び他の疾患などの不安定反復疾患は、その疾患を引き起こす異常転写物を、完全に又は少なくとも部分的に除去することにより治療することができると理解されている。DM1では、核内に蓄積する異常転写物は下方調節するか、完全に除去することができると考えられる。異常転写物を比較的少量減少させるだけでも、かなりの及びおそらく十分な量の隔離された細胞因子を放出し、それによって、DMの正常なRNAプロセッシング及び細胞代謝を回復させるのに寄与することができると考えられる(Kanadia et al、PNAS 2006)。HDの場合には、HD患者の細胞内のハンチンチンタンパク質沈着物の蓄積を減少させれば、ハンチントン病の症状を寛解させることができる。
【0006】
アンチセンス核酸、RNA干渉又はリボザイムを使用して、不安定反復疾患筋緊張性ジストロフィー1型に対する治療法及び薬物を設計する2、3の試みが行われた。
【0007】
(i)Langloisら(Molecular Therapy、Vol.7 No.5、2003)は、DMPK mRNAを切断することができるリボザイムを設計した。ハンマーヘッド型リボザイムに、そのCUG反復の直前で、DMPKの3’UTRに相補的な一続きのRNAを与える。インビボでは、ベクター転写リボザイムは、伸長CUG反復含有mRNAも正常mRNA種もトランスフェクト細胞内で切断し、それぞれ63%及び50%減少することができた。したがって、正常転写物もこのアプローチにより重大な影響を受けるので、伸長反復を有する罹患mRNA種は特異的にターゲティングされない。
【0008】
(ii)Langloisら(Journal Biological Chemistry、vol280、no.17、2005)により、RNA干渉を使用して別のアプローチが行われた。レンチウイルス送達低分子ヘアピン型RNA(shRNA)がDM1筋芽細胞に導入され、核内保持変異DMPK mRNAを下方調節することが実証された。4種のshRNA分子が試験され、2種はDMPKのコード領域に対して相補的であり、1種は3’UTR中の特有の配列に対して相補的であり、1種は無関係な配列を有する負の対照であった。最初の2種のshRNAは、反復が増幅された変異DMPK転写物を約50%まで下方調節することができたが、細胞質野生型転写物を約30%以下まで下方調節してはるかに効果的であった。陽イオン性脂質により送達される等価な合成siRNAは無効であった。3’UTR配列に向けられたshRNAは両転写物で無効であることが判明した。したがって、このアプローチも伸長反復mRNA種に選択的にターゲティングされない。
【0009】
(iii)Furlingら(Gene Therapy、Vol.10、p795−802、2003)による第3のアプローチは、ヒトDM1筋芽細胞においてDMPK mRNAレベルを阻害するために、149bp長アンチセンスRNAを発現している組換えレトロウイルスを使用した。レトロウイルスは、特異性を高めるために、DM1細胞に、39bp長(CUG)13反復とその反復に続く110bp領域に相補的な149bp長アンチセンスRNAを与えるように設計された。この方法では、野生型DMPK転写物の50%の減少と比べて変異(反復伸長)DMPK転写物が80%減少し、感染DM1筋芽細胞における分化及び機能的特徴が回復した。したがって、このアプローチも伸長反復mRNA種に選択的にターゲティングされず、このアプローチは、非常に長いアンチセンスRNAに依存し、組換えウイルス送達技術と組み合わせてしか使用することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の方法及び技術は、反復不安定性及び/又は伸長に関連する遺伝病に対する罹患反復伸長対立遺伝子と非罹患若しくは正常対立遺伝子の両方の非選択的分解を引き起こす核酸ベースの方法を提供する。さらに、当技術分野はこの疾患に関連する遺伝子に特異的な配列を用いるが、反復伸長に関連する数種の遺伝性障害に適用可能な方法を提供していない。最後に、当技術分野は、組換えDNAベクター送達システムの使用を伴う方法を教えるのみで、このシステムはオリゴヌクレオチドと標的細胞ごとに適合させる必要があり、それでもさらに最適化する必要がある。
【0011】
本発明は、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含む又は含有する短い核酸分子又はオリゴヌクレオチドを使用することによりこれらの問題の解決策を提供するが、前記核酸分子は伸長反復領域のみに相補的な配列を含む又はからなり、すなわち、この核酸分子は反復含有遺伝子のエクソン又はイントロンにおける特有の配列へのハイブリダイゼーションに頼っていない。第2の解決策は、伸長反復領域のみに相補的な配列を含む又はからなり、リボヌクレアーゼHを動員する及び/又は活性化することが実質的にできない短い核酸分子、すなわち、実質的にリボヌクレアーゼH非依存性の核酸分子を使用することにある。両方の解決策を組み合わせてもよく、本発明は、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド又は核酸分子の使用を提供するが、前記オリゴヌクレオチドはリボヌクレアーゼHを動員する及び/又は活性化することが実質的にできない。
【0012】
理論に縛られることを望まなければ、本発明は、成熟前RNAの転写後プロセシング及び/又はスプライシングの改変により転写物レベルの減少を引き起こすことがある。別のスプライシング及び/又は転写後プロセシングを介した転写物レベルの減少により、過度に伸長した又は不安定な(トリ)ヌクレオチド反復を欠くが、それでも機能的活性は有している転写物が生じることがある。さらに又は代わりに、mRNAの安定性は、mRNA中の標的配列への結合後、分解機構の開始又は活性化により減少することがある。RNAプロセシング及び/若しくはスプライシング並びに/又はRNA安定性の改変による異常転写物の減少により、細胞内での異常反復伸長転写物の蓄積及び/又は翻訳が妨げられる可能性がある。
【0013】
理論に縛られることを望まなければ、本発明の方法は、伸長反復へのハイブリダイゼーションの動態学がより有利だという理由で、伸長反復を有する罹患転写物に対する特異性を与えるとも考えられる。反復特異的相補的核酸オリゴヌクレオチド分子がRNA又はDNA分子中の相補的ストレッチにハイブリダイズする可能性は、繰返しストレッチの大きさに従って増加する。RNA分子及び特に繰返し配列を含むRNA分子は、標準的には内部的に対形成して、開ループ及び閉鎖ヘアピン部分を含む二次構造を形成する。開部分のみが相補的核酸に比較的接近しやすい。疾患に関連していない野生型転写物の短い繰返しストレッチは、多くの場合、わずか5から約20〜40反復であり、二次構造のせいで、相補的核酸との塩基対形成のために比較的接近しにくい。これとは対照的に、伸長反復及び疾患関連対立遺伝子の反復単位は、標準的には伸長が少なくとも2倍であるが、通常、伸長はさらに多く、3、5、10倍、最大100倍であり、一部の不安定反復障害では伸長は1000倍よりはるかに多い。この伸長により、反復の一部が、少なくとも一時的には、開ループ構造にあり、それによって、野生型対立遺伝子と比べて、相補的核酸分子との塩基対形成により接近しやすくなる可能性が増加する。したがって、前記オリゴヌクレオチドは、野生型転写物にも反復伸長転写物にも存在する反復配列に相補的であり、理論的には両方の転写物にハイブリダイズすることができると考えられるという事実にもかかわらず、本発明は、繰返しトラクトに相補的なオリゴヌクレオチドは、疾患関連又は疾患誘発転写物に好んでハイブリダイズし、正常な転写物の機能は比較的影響を受けないままにしておくことを教唆する。この選択性は、異常転写物の減少の機構と無関係な反復不安定性に関連する疾患を治療するのに有益である。さらに、2倍伸長であるが、通常、さらに多く、3、5、10倍、最大100倍であり、1000倍よりはるかに多い伸長のせいで、もっと多くのオリゴヌクレオチドの結合が可能になり、それが変異転写物を減少させる機構に追加の効果を生じる可能性がある。本発明の文脈では、本明細書において設計されるオリゴヌクレオチドは、患者の細胞において、患者の組織において、及び/又は患者において「反復含有遺伝子転写」を減少させる且つ/又は「いかなる不安定シスエレメントDNA反復関連遺伝性障害も治療する」ことができる。これは、好ましくは、前記オリゴヌクレオチドが、前記患者の細胞において、前記患者の組織において及び/又は患者において、伸長する又は不安定な数の繰返し反復を含有する検出可能な量の疾患関連又は疾患誘発又は変異転写物を減少させることを意味する。代わりに又は前文と組み合わせると、前記オリゴヌクレオチドは、前記変異転写物の翻訳を減少する可能性がある。
【0014】
したがって、本発明は、繰返し配列のみに相補的である及び/又はハイブリダイズすることができる核酸分子を提供することにより、不安定シスエレメントDNA反復関連遺伝性障害の治療のための方法を提供する。この方法は、それにより、伸長反復転写物を優先的にターゲティングし、正常な野生型対立遺伝子の転写物は比較的影響を受けないままにしておく。正常対立遺伝子はそれにより遺伝子の正常機能を提供することができるために、この方法は有利であり、このことは少なくとも望ましいものであり、不安定DNA反復を有する特定の遺伝子次第で、多くの場合、治療される細胞及び/又は個人にとり不可欠になる可能性がある。したがって、本発明の文脈では、本明細書において設計されるオリゴヌクレオチドを使用して、いかなる「シスエレメント反復不安定性関連遺伝性障害」も治療することができる。前記疾患は、好ましくは、所与の遺伝子の対立遺伝子が、前記繰返し配列中に存在する反復の数が前記疾患の進行中に合わせて増加する又は伸長するためにいわゆる不安定な繰返し配列である繰返し配列を含む任意の疾患である。反復数の前記増加又は伸長は、一人の所与の個人において及び/又は所与の個人の後に続く世代(子孫)において起こる。
【0015】
さらに、このアプローチは特定の不安定DNA反復関連遺伝性障害に限定されてはおらず、ポリグルタミン(CAG)反復を有するコード領域反復疾患、すなわち、ハンチントン病、ホーリバー症候群、ケネディー病/球脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳失調症、又は点頭てんかん症候群、鎖骨頭蓋異形成症(deidocranial dysplasia)、瞼裂狭小/下垂/眼角贅皮インベンサス(invensus)症候群、手足生殖器症候群、多合肢症、眼咽頭型筋ジストロフィー、全前脳症などのポリアラニン(GCG)反復を有する疾患などの、しかしこれらに限定されるものではない、既知の不安定DNA反復疾患のいずれに適用してもよい。本発明に従って治療される遺伝子の非コード領域に反復を有する疾患は、トリヌクレオチド反復疾患(大部分が、CTG及び/又はCAG及び/又はCCTG反復)、筋緊張性ジストロフィー1型、筋緊張性ジストロフィー2型、フリードライヒ失調症(主に、GAA)、脊髄小脳失調、自閉症を含む。さらに、本発明の方法は、種々の脆弱X症候群、ヤコブセン症候群、並びにミオクローヌスてんかん、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー及びある種の2型糖尿病などの他の不安定繰返しエレメント疾患を含む脆弱部位関連反復疾患に適用することができる。
【0016】
本発明のもう1つの利点は、反復領域に特異的なオリゴヌクレオチドは細胞に直接投与してもよく、ベクターベース送達システムに頼らないことである。先行技術に記載される技術、たとえば、DM1の治療及び細胞からのDMPK転写物の除去についての上記の技術は、十分なレベルのオリゴヌクレオチドを細胞に投与するためにベクターベース送達システムの使用を必要とする。治療組換えDNAベクターに対する現行の厳しい安全規制、広い臨床的応用に十分な組換えベクターの生産、並びに適用後の過剰な(又は非特異的な)応答に対する限られた制御及び可逆性のせいで、プラスミド又はウイルスベクターの使用は、治療目的にははるかに好ましくない。にもかかわらず、これらの領域では将来最適化される可能性があり、プラスミドのウイルス送達は有利な長期の効果をもたらすことができると考えられる。驚くべきことに、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーションに対する分子標的の伸長のせいで伸長反復転写物の繰返し配列に相補的な配列を含む又はからなる上記オリゴヌクレオチドは、転写物中のユニークな配列に特異的なオリゴヌクレオチドに比べて、その標的に対して非常に増加した親和性及び/又は結合力を有していることを本発明者らは発見した。反復伸長標的転写物に対するこのような高親和性及び結合力のせいで、もっと少量の前記オリゴヌクレオチドで、リボヌクレオアーゼH分解、RNA干渉分解又は改変された転写後プロセシング(スプライシング若しくはエクソンスキッピングを含むがこれらに限定されるものではない)活性による反復伸長対立遺伝子の十分な阻害及び/又は減少をもたらすには十分である。イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドが繰返し配列のみに相補的である上記オリゴヌクレオチドは、合成的に作製してもよく、細胞及び/又は組織へのオリゴヌクレオチドの直接送達に一般に用いられている技術を使用して細胞に直接送達される場合には効果的であるのに十分強力である。組換えベクター送達システムは、必要ならば、本発明の方法及びオリゴヌクレオチドを使用することにより、回避してもよい。イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの使用は、下で説明するように非常に魅力的である。たとえば、イノシンは既知の修飾塩基であり、3種の塩基、すなわちウラシル、アデニン、及びシトシンと塩基対を形成することができる。イノシンは、ヒポキサンチンがβ−N9−グリコシド結合を介してリボース環(リボフラノースとしても知られる)に結合すると形成されるヌクレオシドである。イノシンはtRNA中に一般に含まれ、ゆらぎ塩基対での遺伝コードの正確な翻訳に不可欠である。ゆらぎ塩基対は、RNA二次構造において基本的なG−U及びI−U/I−A/I−C対である。その熱力学的安定性はワトソン−クリック型塩基対の熱力学的安定性に匹敵する。ゆらぎ塩基対は、遺伝コードの正確な翻訳に重大な意味を持つ。遺伝コードは、アンチコドンの第1塩基に修飾塩基対を使用することにより、トリプレットコドン(64)に対するアミノ酸(20)数の不一致を補う。同様に、ポリメラーゼ連鎖反応用のプライマーを設計する場合、イノシンはアデニン、チミン又はシトシンと無差別に対を形成するという点で有用である。このおかげで、多型性がプライマーのアニーリング効率を台無しにすると心配せずとも、単一ヌクレオチド多型に及ぶプライマーを設計することができる。本発明では、本明細書において定義されるオリゴヌクレオチド内に存在するイノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドは、好ましくは、本明細書において定義される繰返し配列に相補的な前記オリゴヌクレオチドの一部に存在する。しかし、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドは、繰返し配列に相補的ではない前記オリゴヌクレオチドの一部に、たとえば、本明細書において後で特定されるターゲティングリガンドに存在していてもよい。
【0017】
本発明では、mRNA中の(トリプレット)ヌクレオチド反復伸長の発現により、トリプレットヌクレオチド反復配列及びその関連遺伝子に依存している種々の疾患が生じることがある。たとえば、DM1は、DMPK転写物由来のエクソン15中の(CUG)n反復によって引き起こされ、HDはハンチンチン転写物由来のエクソン1中の(CAG)n反復によって引き起こされる。これらの伸長反復を特異的にターゲティングするには、2つのオリゴヌクレオチドが必要だと考えられるが、イノシンを含むオリゴヌクレオチドを用いれば、両転写物に対して活性な単一オリゴヌクレオチド、すなわち、好ましくは、9から50まで、さらに好ましくは、12から40まで、もっとも好ましくは、15から30までの総ヌクレオチド長を有する(CIG)n、(IGC)n又は(GCI)nを含む又はからなる単一オリゴヌクレオチドの設計が可能になる。出願全体の文脈の中で、当業者であれば、nは好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20以上である整数であることは理解されるであろう。しかし、前記オリゴヌクレオチドの長さはそれ自体が3の倍数ではない。一実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、3の倍数である長さを有する。したがって、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを使用すれば、数種の疾患に対する薬物として潜在的に使用されるために設計し開発しなければならない核酸分子の数が減少する可能性がある。表2では、既知の反復それぞれに対する、イノシン及び/又はウラシルを含むオリゴヌクレオチドの設計法が例示されている。
【0018】
第1の態様では、本発明は、好ましくは、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドが、好ましくは、実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、前記オリゴヌクレオチドがヒト遺伝子転写物の繰返し配列のみに相補的である配列を含む又はからなる上記オリゴヌクレオチドの、ヒトにおけるシスエレメント反復不安定性関連遺伝性障害の診断、治療又は予防用の薬物の製造のための使用を開示し教唆する。したがって、本発明は、シスエレメント反復不安定性関連遺伝性障害のための治療法を提供する。
【0019】
第2の態様では、本発明は、好ましくは、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドが、好ましくは、実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、前記オリゴヌクレオチドが、好ましくは、本発明の第1の態様において使用され、且つ/又は細胞内の反復伸長転写物の蓄積及び/若しくは翻訳を妨げる本発明の方法において適用される上記オリゴヌクレオチドにも関する。
【0020】
好ましくは、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、好ましくは、実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、以下に定義される繰返し配列のみに相補的である配列を含んでいてもよい。このことは、前記オリゴヌクレオチドが、治療される細胞内に存在する配列に相補的ではない追加の部分をさらに含んでいてもよいことを意味する。この追加の部分は、たとえば、クローニング処理中に添加される且つ/又は本明細書において後に定義されるターゲティング部分であってもよい。
【0021】
代わりの実施形態では、このことは、オリゴヌクレオチドが、治療される細胞内に存在する配列に相補的である追加の部分をさらに含んでいてもよいことを意味する。この追加の部分は、たとえば、繰返し領域に隣接する配列でもよい。又は、この追加の部分は、たとえば、繰返し領域に直接隣接していない配列でもよい。又は、この追加の部分は、たとえば、繰返し領域に直接隣接していない配列であり、機能的モチーフ(たとえば、ESEであるが、これに限定されることはない)を含有していてもよい。又は、この追加の部分は、たとえば、繰返し領域に直接隣接してはいないが、二次構造若しくは三次構造のせいで近接している配列でもよい。好ましくは、繰返し配列は、本発明のオリゴヌクレオチドの長さの少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%以上である。もっとも好ましい実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、下で定義される繰返し配列のみに相補的な配列からなる。たとえば、オリゴヌクレオチドは、下で定義される繰返し配列のみに相補的な配列、及び後にターゲティングリガンドと呼ばれるターゲティング部分を含んでいてもよい。
【0022】
反復若しくは繰返しエレメント又は繰返し配列又は繰返しストレッチは、ヒト対象を含む対象のゲノム中の転写される遺伝子配列において、少なくとも3、4、5、10、100、1000以上の、繰返し単位若しくは繰返しヌクレオチド単位の若しくはトリヌクレオチド繰返し単位を含む反復ヌクレオチド単位、又は代わりに4、5、若しくは6ヌクレオチド繰返し単位の連続繰返しとして本明細書では定義される。
【0023】
本発明のオリゴヌクレオチドは、好ましくは、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含有する又は含む。さらに好ましくは、前記オリゴヌクレオチドはイノシン及び/又はウラシルを含む。本発明の文脈では、含有する(contains)は好ましくは含む(comprises)を意味する。イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのヌクレオチドがイノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドですでに置換されているオリゴヌクレオチドとして定義される。当業者であれば、ヌクレオチドがゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するかどうかを検査する方法を承知している。たとえば、イノシンは、ウラシル、アデニン、及び/又はシトシンと塩基対を形成することができるので、それはウラシル、アデニン、及び/又はシトシンと塩基対を形成することができる少なくとも1つのヌクレオチドがイノシンで置換されていることを意味する。しかし、特異性を保護するために、イノシン含有オリゴヌクレオチドは、好ましくは、ウラシル又はアデニン又はシトシンと塩基対を形成することができる少なくとも1つのヌクレオチドの置換を含む。さらに好ましくは、ウラシル又はアデニン又はシトシンと塩基対を形成することができるヌクレオチドはすべてがイノシンで置換される。たとえば、繰返しエレメント(CAG)n又は(CUG)nに相補的なイノシン含有オリゴヌクレオチドは、(CIG)n、又は(IGC)n、又は(GCI)nを含む又はからなることになる。(CAG)n、(CUG)n、(CGG)n、(GCG)n、(GAA)n、(GCC)n又は(CCUG)nに相補的なイノシン及び/又はウラシル含有オリゴヌクレオチドの例は表2に示されている。便宜上、この表では、nは2であると解釈されている。当業者であれば、本発明のオリゴヌクレオチドでは、nは、好ましくは、本明細書で後に定義されるように3から17までに含まれる整数であることを理解するであろう。得られる配列のうちのどれか1つが他より効率的になりえるという先入観を持たずに、所与の反復配列(又はモチーフ)内のいかなる位置でも開始する又は終わらせることにより特異的なオリゴヌクレオチドを設計することができることも当業者には明らかである。たとえば、繰返しエレメント(CAG)n又は(CUG)nに相補的なイノシン含有オリゴヌクレオチドは、(CIG)n、又は(IGC)n、又は(GCI)nを含む又はからなることになる。本明細書において定義されるオリゴヌクレオチド中では、少なくとも1つのヌクレオチドがイノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドですでに置換されているために、(CAG)nなどの繰返しエレメントに相補的なオリゴヌクレオチドは(CIG)nを含む又はからなるものでもよいことも、本発明に包含されることになる。上記のように、前記相補的オリゴヌクレオチドは、(IGC)n又は(GCI)nも含む又はからなるものでもよい。(CIG)nを例にとり、例としてnに3を有すれば、本発明は、指示された位置に1又は2又は3イノシン(単数又は複数)を含む(CIG)などの所与の式、すなわち(CTG)(CIG)(CTG)、(CIG)(CTG)(CTG)、(CIG)(CTG)(CIG)、(CIG)(CIG)(CTG)、(CIG)(CIG)(CIG)に基づくいかなる考えうるオリゴヌクレオチドも包含する。
【0024】
イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドが好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性である上記オリゴヌクレオチドは、一本鎖でも二本鎖でもよい。二本鎖ならば、前記オリゴヌクレオチドは、siRNA中などの2本の相補鎖からなるヘテロ二量体であることを意味する。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは一本鎖である。当業者であれば、けれども、一本鎖オリゴヌクレオチドは内部二本鎖構造を形成することがありうることを理解するであろう。しかし、本発明の文脈においては、このオリゴヌクレオチドは、それでも一本鎖オリゴヌクレオチドと命名される。一本鎖オリゴヌクレオチドは二本鎖siRNAオリゴヌクレオチドと比べると、いくつかの利点を有しており、すなわち、(i)その合成は2本の相補的siRNA鎖よりも容易であると予想される、(ii)細胞内へのより効果的な取込み、より優れた(生理学的)安定性を最適化し、潜在的一般的有害効果を減少する、より広範囲な化学修飾が可能である、(iii)siRNAは非特異的効果(オフターゲット遺伝子を含む)及び過剰な薬理作用(たとえば、治療スケジュール又は用量による有効性及び選択性の考えうる制御が少ない)に対してより高い潜在力を有しており、並びに(iv)siRNAは核内で作用する可能性は低く、イントロンに対して向けることはできない。したがって、第1の態様の好ましい実施形態では、本発明は、好ましくは、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含む一本鎖オリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドが好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、前記オリゴヌクレオチドがヒト遺伝子転写物中の繰返し配列のみに相補的である配列を含む又はからなる上記一本鎖オリゴヌクレオチドの、ヒトにおけるシスエレメント反復不安定性関連遺伝性障害の診断、治療又は予防用の薬物を製造するための使用に関する。
【0025】
前記オリゴヌクレオチドは、好ましくは、繰返しエレメントに相補的な少なくとも9〜約50連続ヌクレオチド、又は繰返しエレメントに相補的な少なくとも9〜50連続ヌクレオチド、さらに好ましくは12〜45ヌクレオチド、さらに好ましくは12〜40ヌクレオチド、さらに好ましくは12〜30ヌクレオチド、さらに好ましくは15〜30ヌクレオチド、及びもっとも好ましくは繰返しストレッチに相補的な12〜25ヌクレオチドを含み、好ましくは、トリヌクレオチド反復単位又はテトラヌクレオチド反復単位を有する。好ましくはイノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であるオリゴヌクレオチドは、転写物のコード領域における繰返しストレッチ、すなわち、好ましくはポリグルタミン(CAG)又はポリアラニン(GCG)コードトラクトに相補的であり及び/又はハイブリダイズすることができてもよい。前記オリゴヌクレオチドは、非コード領域、たとえば、5’若しくは3’非翻訳領域、又はRNA前駆体分子に存在するイントロン配列にも相補的であり及び/又はハイブリダイズすることができてもよい。
【0026】
好ましい実施形態では、好ましくはイノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、本発明の方法において使用されるオリゴヌクレオチドは、(CAG)n、(GCG)n、(CUG)n、(CGG)n、(GAA)n、(GCC)n、及び(CCUG)nからなるグループから選択される繰返しヌクレオチド単位を、繰返しヌクレオチド単位として有する繰返しエレメントに相補的である配列を含む又はからなる。前記オリゴヌクレオチドは一本鎖オリゴヌクレオチドでも二本鎖オリゴヌクレオチドでもよい。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは二本鎖である。オリゴヌクレオチドは、好ましくは、繰返しエレメントに相補的な少なくとも9〜約50連続ヌクレオチドを含み、さらに好ましくは、繰返しエレメントに相補的な少なくとも9〜50連続ヌクレオチドを含むために、それは、nが、3から17まで、さらに好ましくは4から15まで、さらに好ましくは4から14まで、さらに好ましくは4から13まで、さらに好ましくは4から10まで、さらに好ましくは5から10まで、もっとも好ましくは4から8まで、又は4から9までに含まれる整数であることを意味する。
【0027】
好ましくはイノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、転写物中のポリグルタミン(CAG)nトラクトに相補的である配列を含む又はからなるオリゴヌクレオチドの使用は、HD、HDL2/JPH3、SBMA/AR、SCA1/ATX1、SCA2/ATX2、SCA3/ATX3、SCA6/CACNAIA、SCA7、SCA17、AR又はDRPLAヒト遺伝子における反復伸長により引き起こされるヒト疾患、すなわち、ハンチントン病、数種類の脊髄小脳失調症若しくはホーリバー症候群、X連鎖球脊髄性筋萎縮症及び/又は歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症の診断、治療及び/又は予防に特に有用である。そのようなオリゴヌクレオチド、好ましくはイノシンを含むそのようなオリゴヌクレオチドは、好ましくは、(CIG)n、又は(IGC)n、又は(GCI)nを含む又はからなる。他の好ましい可能性のあるものは、表2を参照されたい。
【0028】
好ましくはイノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、転写物中のポリアラニン(GCG)nトラクトに相補的である配列を含む又はからなるオリゴヌクレオチドの使用は、ARX、CBFA1、FOXL2、HOXA13、HOXD13、OPDM/PABP2、TCFBR1又はZIC2ヒト遺伝子における反復伸長により引き起こされるヒト疾患、すなわち、点頭てんかん症候群、鎖骨頭蓋異形成症、瞼裂狭小、手足生殖器病、多合肢症、眼咽頭型筋ジストロフィー及び/又は全前脳症の診断、治療及び/又は予防に特に有用である。好ましいオリゴヌクレオチドについては、表2を参照されたい。
【0029】
好ましくはイノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、転写物中の(CUG)n反復に相補的である配列を含む又はからなるオリゴヌクレオチドの使用は、それぞれDM1/DMPK、SCA8又はJPH3遺伝子における反復伸長により引き起こされるヒト遺伝性障害、すなわち、筋緊張性ジストロフィー1型、脊髄小脳失調症8及び/又はハンチントン病類縁疾患2の診断、治療及び/又は予防に特に有用である。そのようなオリゴヌクレオチド、好ましくはそのようなイノシン含有オリゴヌクレオチドは、好ましくは、(CIG)n、又は(IGC)n、又は(GCI)nを含む又はからなる。他の好ましいオリゴヌクレオチドについては、表2を参照されたい。
【0030】
好ましくはイノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、転写物中の(CCUG)n反復に相補的である配列を含む又はからなるオリゴヌクレオチドの使用は、DM2/ZNF9遺伝子における反復伸長により引き起こされるヒト遺伝性障害、すなわち、筋緊張性ジストロフィー2型の診断、治療及び/又は予防に特に有用である。好ましいオリゴヌクレオチドについては、表2を参照されたい。
【0031】
好ましくはイノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、転写物中の(CGG)n反復に相補的である配列を含む又はからなるオリゴヌクレオチドの使用は、FRAXA/FMR1、FRAXE/FMR2及びFRAXF/FAM11A遺伝子における反復伸長により引き起こされるヒト脆弱X症候群の診断、治療及び/又は予防に特に有用である。好ましいオリゴヌクレオチドについては、表2を参照されたい。
【0032】
好ましくはイノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、転写物中の(CCG)n反復に相補的である配列を含む又はからなるオリゴヌクレオチドの使用は、FRA11B/CBL2遺伝子における反復伸長により引き起こされるヒト遺伝性障害、すなわち、ヤコブセン症候群の診断、治療及び/又は予防に特に有用である。好ましいオリゴヌクレオチドについては、表2を参照されたい。
【0033】
好ましくはイノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、転写物中の(GAA)n反復に相補的である配列を含む又はからなるオリゴヌクレオチドの使用は、ヒト遺伝性障害、すなわち、フリードライヒ失調症の診断、治療及び/又は予防に特に有用である。好ましいオリゴヌクレオチドについては、表2を参照されたい。
【0034】
好ましくはイノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、イントロン中の(ATTCT)n反復に相補的である配列を含む又はからなるオリゴヌクレオチドの使用は、ヒト遺伝性障害、すなわち、脊髄小脳失調症10型(SCA10)の診断、治療及び/又は予防に特に有用である。好ましいオリゴヌクレオチドについては、表2を参照されたい。
【0035】
本発明の方法において使用される反復相補的オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドは、RNA、DNA、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、モルフォリノホスホロジアミデート(PMO)、エチレン架橋核酸(ENA)又は天然に存在するDNA及びRNAヌクレオチド並びに合成、修飾ヌクレオチドの組合せを含むその混合物/ハイブリッドを含む又はからなるものでもよい。当業者であれば、たとえば、2−アミノプリン、ウラシルの代わりにチミジン、5−メチルシトシン、5−メチルイノシン、7−メチルグアノシン又はジアミノアデニンなどの、どんなヒトヌクレオチド塩基も、しかしどんな他の天然又は合成ヌクレオチド塩基も又はその誘導体も使用することができることを理解するであろう。当業者であれば、オリゴヌクレオチドの多くの合成誘導体が存在することも認識するであろう。したがって、「オリゴヌクレオチド」は、リン酸ジエステル、リン酸トリエステル、ホスホロチオエート、ホスホジチオエート、ホスホロチオジアミデート及びH−ホスホン酸誘導体を含むが、これらに限定されることはない。オリゴヌクレオチドは、天然に存在するオリゴヌクレオチド誘導体も合成オリゴヌクレオチド誘導体も包含する。
【0036】
そのようなオリゴヌクレオチドでは、リン酸ジエステル骨格化学は、ホスホロチオエート又はメチルホスホン酸などの他の修飾物によりさらに置換されてもよい。他のオリゴヌクレオチド修飾物が存在し、新たな修飾物が開発され、実際に使用される可能性がある。しかし、そのようなオリゴヌクレオチドはすべて、RNAへの配列特異的結合能力のあるオリゴマーの特徴を有する。したがって、好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNAヌクレオチド、2’O−置換RNAヌクレオチド、DNAヌクレオチド、ロックド核酸(LNA)ヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)ヌクレオチド、モルフォリノホスホロジアミデート、エチレン架橋核酸(ENA)ヌクレオチド又はホスホロチオエート含有骨格のある又はないその混合物を含む又はからなる。
【0037】
少なくとも部分的に天然に存在するDNAヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドは、リボヌクレアーゼH活性による細胞内でのDNA−RNAハイブリッド分子の分解を誘導するのに有用である(EC.3.1.26.4)。
【0038】
オリゴヌクレオチドを含む天然に存在するRNAリボヌクレオチド又はRNA様合成リボヌクレオチドは、RNA干渉又はサイレンシング(RNAi/siRNA)経路を通じて酵素依存性アンチセンスとして作用する二本鎖RNA−RNAハイブリッドを形成し、センス−アンチセンス鎖対形成を通じた標的RNA認識とそれに続くRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)による標的RNA分解を伴う本発明の方法に適用してもよい。
【0039】
代わりに、又はさらに、立体的ブロッキングアンチセンスオリゴヌクレオチド(リボヌクレアーゼH非依存性アンチセンス)は、RNA転写物の標的配列に結合して、翻訳などの過程を妨害することにより、又はスプライスドナー部位若しくはスプライスアクセプター部位を遮断することにより、遺伝子発現又は他のRNA前駆体又はメッセンジャーRNA依存性細胞内過程、特にRNAスプライシング及びエクソンスキッピングを妨げるが、RNAスプライシング及びエクソンスキッピングに限定されるものではない。修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用するスプライシングの改変及びエクソンスキッピング技術は、十分に裏付けられており、当業者には既知であり、たとえば、米国特許第6210892号、WO9426887、WO04/083446及びWO02/24906に見出だせる。さらに、立体的妨害は、タンパク質、核内因子及びその他の結合を阻害し、それによって、DM1のような疾患における核内蓄積又はリボヌクレアフォーカスの減少に寄与する可能性がある。
【0040】
合成ヌクレオチド又は修飾ヌクレオチドを含むことがあり、(伸長)繰返し配列に相補的な本明細書に定義されるオリゴヌクレオチドは、siRNA/RNA干渉又はサイレンシング経路を介して、反復含有転写物を減少する又は不活化するための本発明の方法において有用である。
【0041】
本発明の方法において使用される一本鎖又は二本鎖オリゴヌクレオチドは、DNAヌクレオチド、RNAヌクレオチド、アルキル及びメトキシエチル置換体(本明細書に特定される2’−4’拘束変種を含む)を含む2’−O置換リボヌクレオチド(好ましくは、2’−O−置換RNAホスホロチオエートヌクレオチド)、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、及びモルフォリノ(PMO)アンチセンスオリゴヌクレオチド及びエチレン架橋ヌクレオチド(ENA)及びその組合せ、随意にリボヌクレアーゼH依存性アンチセンスとのキメラを含む、又はからなるものでもよい。好ましいオリゴヌクレオチドは、2’−O−置換RNAホスホロチオエートヌクレオチドを含み、好ましくは、2’−O−置換体は、メトキシエチル(MOE)及び/又はメチル(Me)及び/又は2’O、4’Cメチレン架橋(LNA)及び/又は2’O、4’C拘束エチル(cEt)及び/又は2’O、4’拘束メトキシエチル(cMOEt)である(参照:「新規の2’−4’立体配座制限ヌクレオシドアナローグを含む短鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、動物における毒性増大なしに、効力の改善を示す(Short Antisense Oligonucleotides with Novel 2’−4’Conformationaly Restricted Nucleoside Analogues Analogues Show Improved Potency without Increased Toxicity in Animals.)」、Punit P.Seth、Andrew Siwkowski、Charles R.Allerson、Guillermo Vasquez、Sam Lee、Thazha P.Prakash、Edward V.Wancewicz、Donna Witchell、and Eric E.Swayze J.Med.Chem.、2009、52(1)、10−13)。オリゴヌクレオチドへのロックド核酸の組込みは、塩基対形成後にヘリックスの立体構造を変化させ、二重鎖の安定性を増加する。したがって、LNA塩基のオリゴヌクレオチド配列への組込みを使用して、インビトロ及びインビボにおいて活性であって、RNA分解を増加する、転写物の蓄積を阻害する、又はエクソンスキッピング能力を増加する本発明の相補的オリゴヌクレオチドの能力を増加することができる。骨格が糖ではなく偽ペプチドである、人工DNA/RNA類似物であるペプチド核酸(PNA)は、結合が増加し溶融温度が高くなることにより、相補的DNAオリゴマーと極端に安定な複合体を形成する能力を有する。PNAは、本発明のアンチセンス及びエクソンスキッピング適用における優れた試薬でもある。さらに好ましくは、本発明の方法において使用されるオリゴヌクレオチドは、少なくとも部分的に又は完全に、2’−O−メトキシエチルホスホロチオエートRNAヌクレオチド、2’−O−メチルホスホロチオエートRNAヌクレオチド及び/又はロックド核酸(LNA)を含む。さらに好ましくは、オリゴヌクレオチドは、LNA及び2’−O−メチルホスホロチオエートRNAヌクレオチドを含む又はからなる。別の好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、LNA及びホスホロチオエートDNAヌクレオチドを含む又はからなる。別の好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、LNA及び2’−O−メチルホスホロチオエートRNAヌクレオチド及びホスホロチオエートDNAヌクレオチドを含む又はからなる。別の好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、LNA及び2’−O−メトキシエチルホスホロチオエートRNAヌクレオチドを含む又はからなる。別のさらに好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、PMOオリゴヌクレオチドからなる。別の好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2’−O−メチルホスホロチオエートRNAヌクレオチドからなる。もっとも好ましくは、これらの修飾物は、リボヌクレアーゼH以外の機構により、変異mRNAを分解する又は阻害することになる立体配置で用いられることになる。(CAG)n、(GCG)n、(CUG)n、(CGG)n、(CCG)n、(GAA)n、(GCC)n、及び(CCUG)nからなるグループから選択される繰返し配列に相補的である配列を含む又はからなり、9〜50の、さらに好ましくは12〜40、もっとも好ましくは12〜25ヌクレオチドの長さを有し、2’−O−メトキシエチルホスホロチオエートRNAヌクレオチド、2’−O−メチルホスホロチオエートRNAヌクレオチド、LNAヌクレオチド又はPMOヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、シスエレメント反復不安定性遺伝性障害の診断、治療又は予防のための本発明における使用にもっとも好ましい。
【0042】
代わりに又は前で定義した好ましい実施形態のうちの1つ又は複数と組み合わせて、本発明は、さらに具体的には、遺伝子転写物中の繰返し配列のみに相補的である配列を含む又はからなるオリゴヌクレオチド、及びヒトシスエレメント反復不安定性関連遺伝性障害の治療又は予防用の薬物の製造のためのその使用を提供し、このオリゴヌクレオチドは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性のオリゴヌクレオチドである。
【0043】
実質的にリボヌクレアーゼH非依存性のオリゴヌクレオチドは、好ましくは、標的RNAに結合後は実質的にリボヌクレアーゼHを動員する且つ/又は活性化することができないオリゴヌクレオチドとして定義される。リボヌクレアーゼHの動員及び/又は活性化は、好ましくは大腸菌(E coli.)由来のリボヌクレアーゼH、標的RNA及び試験されるオリゴヌクレオチドを接触させた後に、標準リボヌクレアーゼH消化アッセイを使用して評価してもよい。そのようなアッセイは、当業者には既知であり、Honcharenko Dら、又はKurreck Jら(Honcharenko D et al、(2007)、Biochemistry、46:5635〜5646、及びKurreck J et al(2002)、Nucl.Ac.Res.、30:1911−1918)に記載されている通りに実施してもよい。本発明の文脈では、オリゴヌクレオチド又は所与の用量若しくは濃度のオリゴヌクレオチドは、上で定義される2種のアッセイのうちの少なくとも1つにおいて、標的RNAの50%未満が消化されている場合は、好ましくは、実質的にリボヌクレアーゼHを動員する且つ/若しくは活性化することができないと言われ、及び/又は実質的にリボヌクレアーゼH非依存性と言われる。さらに好ましくは、標的RNAの45%未満が消化されており、さらに好ましくは40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%以下未満である。もっとも好ましくは、オリゴヌクレオチド又は所与の用量若しくは濃度の前記オリゴヌクレオチドは、リボヌクレアーゼHを動員する且つ/又は活性化することはできない。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドが本明細書に特定される前記疾患に対する薬物として作用する濃度範囲で使用される場合、前記オリゴヌクレオチドは実質的にリボヌクレアーゼHを動員する且つ/若しくは活性化することができない及び/又は実質的にリボヌクレアーゼH非依存性と言われると予測される。この場合、そのようなアッセイでは、好ましくは、標的RNAの消化は検出されない。そのようなオリゴヌクレオチドはリボヌクレアーゼH非依存性のオリゴヌクレオチドである。リボヌクレアーゼH活性などの、標的mRNAを分解する酵素依存性機構を含む多くの種類のアンチセンスがこれまで記載されている。リボヌクレアーゼHは、RNA−DNA二重鎖においてのみ切断し、したがって、mRNAを下方調節するためには、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、デオキシリボース(DNA)ヌクレオチドを含有するほうがよい。ホスホロチオエートデオキシリボースヌクレオチドの使用などのわずかな修飾物で、このリボヌクレアーゼH活性を保持することができる。オリゴヌクレオチドの3’及び5’末端での2’O−アルキル及び2’O−メトキシエチル修飾物の適用などの、その安定化させる特性(生理的安定性又は半減期を増強する)のせいで、キメラオリゴヌクレオチド(又はオリゴマー)は使用されてきた。しかし、デオキシリボースヌクレオチドのストレッチは、それでもオリゴヌクレオチド−標的RNA二重鎖によるリボヌクレアーゼHの動員に必要とされる。これらのキメラオレゴヌクレオチド(ホスホロチオエート骨格修飾物を有する又は有さない)はギャップマーと呼ばれてきた(WO2007/089611を参照されたい)。そのような(デオキシリボース)ギャップは、リボヌクレアーゼHを動員する且つ/又は活性化することができるためには、好ましくは少なくとも6ヌクレオチド、さらに好ましくは10ヌクレオチド長であるほうがよい。
【0044】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、標的RNAに結合後は実質的にリボヌクレアーゼHを動員しない且つ/又は活性化しないオリゴヌクレオチドが設計される。本発明は、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼHを動員する且つ/又は活性化することができないオリゴヌクレオチド(オリゴマー)を好ましくは用いる。そのようなオリゴヌクレオチドは、たとえば、2’−O骨格修飾物、好ましくは、2’O−アルキル又は2’O−メトキシエチル、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)又はモルフォリノアンチセンスを含んでいてもよい。そのようなオリゴヌクレオチドは、デオキシヌクレオチドを含有するキメラ分子であることもできると考えられるが、好ましくは9未満のデオキシヌクレオチドを有し、又はもっとも好ましくは、互いに隣接している6未満のデオキシヌクレオチドを有している(連続デオキシヌクレオチド)。
【0045】
驚くべきことに、本発明は、ヒトシスエレメント反復不安定性関連遺伝性障害の治療又は予防用の薬物の製造のために、実質的にリボヌクレアーゼH非依存性のオリゴヌクレオチドを使用することができることを実証している。前記実質的にリボヌクレアーゼH非依存性のオリゴヌクレオチドは、対応する古典的リボヌクレアーゼH依存性オリゴヌクレオチドよりも魅力的である。なぜならば、そのような実質的にリボヌクレアーゼH非依存性のオリゴヌクレオチドは、対応するリボヌクレアーゼH依存性対応物よりも合成が容易であり、毒性が低くより安定しているからであるとかなり期待することができるからである。
【0046】
したがって、好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチド及びその使用が提供され、その使用は本明細書において前に定義される通りであり、前記オリゴヌクレオチドは、約9〜約50ヌクレオチドの長さを有し、その5’又は3’末端のうちの少なくとも1つで置換され、その配列の残りに9未満の、さらに好ましくは6未満の連続デオキシリボースを含む。オリゴヌクレオチドのさらに好ましい長さは、本明細書においてすでに定義されている。好ましい置換体は、ホスホロチオエート含有骨格を含む。好ましいホスホロチオエート含有骨格は、2’−O−置換RNAホスホロチオエートヌクレオチドを含む。好ましい2’−O−置換RNAホスホロチオエートヌクレオチドは、2’−O−置換メトキシエチル及び/若しくはメチル、並びに/又は2’O、4’Cメチレン架橋(LNA)、並びに/又は2’O、4’C拘束エチル(cEt)、並びに/又は2’O、4’C拘束メトキシエチル(cMOEt)を含む。
【0047】
本明細書で定義されるように、オリゴヌクレオチドは、その5’又は3’末端のうちの少なくとも1つで置換され、その配列の残りに9未満の、さらに好ましくは6未満の連続デオキシリボースを含む。その配列の残りは、好ましくは、その配列の中心である。本明細書で定義されるその5’又は3’末端の両方で置換され、その配列の中心に9以上の連続デオキシリボースを含むオリゴヌクレオチドは、ギャップマーと呼ばれる。ギャップマーはWO2007/089611に広範に記載されている。ギャップマーは、リボヌクレアーゼHの動員及び/又は活性化を可能にするように設計されている。理論に縛られることは望まないが、リボヌクレアーゼHは、デオキシリボースで作られているギャップマーの中央領域への結合を介して動員され且つ/又は活性化されると考えられる。リボヌクレアーゼHに実質的に非依存性である本発明のオリゴヌクレオチドは、実質的にリボヌクレアーゼHを動員する且つ/又は活性化することができない中央領域を有するように設計される。好ましい実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドの配列の残りは、さらに好ましくはその中央部分は、9、8、7、6、5、4、3、2、1未満のデオキシリボースを含む又はデオキシリボースを含まない。したがって、本発明のこのオリゴヌクレオチドは、本明細書において前に定義されるように、好ましくは、部分置換から完全置換までの置換を有する。部分置換とは、好ましくは、オリゴヌクレオチドが、少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%置換されている、又は100%(すなわち、完全に)置換されているそのヌクレオチドの少なくとも50%を含むことを意味する。
【0048】
したがって、好ましい実施形態では、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、本発明において使用されるオリゴヌクレオチドは、(CAG)n、(GCG)n、(CUG)n、(CGG)n、(GAA)n、(GCC)n、及び(CCUG)nからなるグループから選択される繰返し配列に相補的である配列を含む又はからなり、9〜50ヌクレオチドの長さを有し、
a)2’−O−メチル若しくは2’−O−メトキシエチル若しくは2’−O4’Cエチレン(cEt)、2’−O4’Cメトキシエチレン(cMOE)RNAホスホロチオエートヌクレオチド、LNAヌクレオチド、又はPMOヌクレオチドなどの2’−O−置換RNAホスホロチオエートヌクレオチドを含むこと(ヌクレオチドはいかなる組合せでも、及び/又はDNAホスホロチオエート若しくはRNAヌクレオチドと一緒に使用することもできると考えられる)、並びに/或いは
b)一本鎖オリゴヌクレオチドであること
によりさらに特徴づけられる。
【0049】
したがって、別の好ましい実施形態では、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、本発明において使用されるオリゴヌクレオチドは、(CAG)n、(GCG)n、(CUG)n、(CGG)n、(GAA)n、(GCC)n、及び(CCUG)nからなるグループから選択される繰返し配列に相補的である配列を含む又はからなり、9〜50ヌクレオチドの長さを有し、
a)2’−O−メチル若しくは2’−O−メトキシエチル若しくは2’−O4’Cエチレン若しくは2’−O4’CメトキシエチレンRNAホスホロチオエートヌクレオチド、LNAヌクレオチド、又はPMOヌクレオチドなどの2’−O−置換RNAホスホロチオエートヌクレオチドを含むこと(ヌクレオチドは組み合わせて、及び/又はDNAホスホロチオエート若しくはRNAヌクレオチドと一緒に使用することができると考えられる)、並びに/或いは
b)二本鎖オリゴヌクレオチドであること
によりさらに特徴づけられる。
【0050】
さらに好ましい実施形態では、上の好ましい修飾物は、リボヌクレアーゼH以外の機構により変異mRNAを分解させることになる立体配置において用いられることになる。
【0051】
念のために、本発明は、ヒト遺伝子転写物中の繰返し配列のみに相補的な、2本の相補鎖、アンチセンス鎖を有する二本鎖オリゴヌクレオチドに関し、この二本鎖オリゴヌクレオチドは好ましくは、GFPに融合されたヒトハンチントン遺伝子エクソン1でトランスフェクトされた又はされていない培養サル線維芽細胞(COS−7)又はヒト神経芽細胞腫(SH−SY5Y)細胞系に適用され、Wanzhao Liuら(Wanzhao Liu et al、(2003)、Proc.Japan Acad、79:293−298)に記載のアンチセンスRNA鎖(CUG)及びセンスRNA鎖(GCA)を有するsiRNAではない。さらに好ましくは、本発明は、二本鎖オリゴヌクレオチドsiRNA(アンチセンス鎖(CUG)及びセンス鎖(GCA)を有する)に関するものでも、ハンチントン病の治療又は予防用の、さらに好ましくは、ハンチントン病遺伝子エクソン1含有構築物の治療又は予防用の薬物を製造するためのその使用に関するものでもない。
【0052】
単一オリゴヌクレオチドの使用は、核内蓄積されたDMPK又はZNF9転写物若しくはそのセグメントなどの反復伸長転写物の量を減少するのに、又は反復伸長HDタンパク質の蓄積を十分に減少させるのに十分である可能性があるが、2、3、4、5以上のオリゴヌクレオチドを組み合わせることも本発明の範囲内である。転写物の繰返し部分に相補的である配列を含む又はからなるオリゴヌクレオチドは、反復含有転写物中の特有の配列に相補的である及び/又はハイブリダイズすることができる配列を含む又はからなる別のオリゴヌクレオチドと有利に組み合わせてもよい。本明細書において前に定義したように、本発明は、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性のオリゴヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドの使用を包含する。イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの使用を、実質的にリボヌクレアーゼH非依存性のオリゴヌクレオチドである別のオリゴヌクレオチドと組み合わせることも本発明により包含される。本発明の方法及び反復特異的オリゴヌクレオチドを含む本発明の薬物は、シスエレメント反復不安定性遺伝性障害のための他のどんな治療又は薬物と組み合わせてもよい。
【0053】
診断目的のために、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、本発明の方法において使用されるオリゴヌクレオチドにインビボ、試料中、インビボ原位置(in situ)、エクスビボ又はインビトロ細胞内の転写物の検出を可能にする放射性標識又は蛍光標識を与えてもよい。筋緊張性ジストロフィーでは、標識されたオリゴヌクレオチドを、診断目的のために、付随タンパク質を併ったDMPK又はZNF9 RNA転写分子の核内凝集物の視覚化のために使用してよい。蛍光標識は、Cy3、Cy5、FITC、TRITC、ローダミン、GFPなどを含んでいてよい。放射性標識は、H、35S、32/33P、125Iを含んでいてよい。酵素並びに/又はジゴキシゲニン、ビオチン及び他の分子タグ(HA、Myc、FLAG、VSV、lexA)などの免疫原性ハプテンを使用してもよい。したがって、追加の態様では、本発明は、上で定義されるイノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であるオリゴヌクレオチドが使用される、インビトロ又はエクスビボ検出及び/又は診断法を開示する。
【0054】
イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、本発明に従って使用されるオリゴヌクレオチドは、シスエレメント反復不安定性障害に罹っている又はこれを発症する危険のある個人のインビボの細胞、組織及び/又は器官への直接投与に適しており、インビボ、エクスビボ又はインビトロにおいて直接投与してよい。代わりに、前記オリゴヌクレオチドは、前記オリゴヌクレオチドの持続可能な供給源を与えるために、ヒト細胞において前記オリゴヌクレオチドの発現を与えることができる核酸ベクターにより提供してよい。本発明に従ったオリゴヌクレオチド分子は、ヒト細胞において前記オリゴヌクレオチドの発現を与えることができる発現ベクターの形で、治療される細胞、組織、器官及び/又は被験者に提供してよい。前記ベクターは、好ましくは、遺伝子送達媒体により細胞内に導入される。送達のための好ましい媒体は、レトロウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター(AAV)、アデノウイルスベクター、セムリキ森林ウイルスベクター(SFV)、EBVベクター等、などのウイルスベクターである。プラスミド、人工染色体、細胞のヒトゲノムにおいて標的相同組換え及び取込みに適したプラスミドも、オリゴヌクレオチドの送達のために適切に用いてよい。本発明に好ましいのは、転写がpolIIIプロモーターにより推進される、及び/又は転写物がU1若しくはU7転写物との融合物の形であり、小転写物の送達に良好な結果をもたらすベクターである。
【0055】
好ましい実施形態では、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であるオリゴヌクレオチドの濃度は、約0.1nMから約1μMまでの範囲である。さらに好ましくは、使用される濃度は、約0.3〜約400nMまでの、さらに好ましくは、約1〜約200nMまでの範囲である。好ましい濃度は、0.1nMから1μMまでである。さらに好ましくは、使用される濃度は、0.3〜400nMまでの、さらに好ましくは、1〜200nMまでの範囲である。数種のオリゴヌクレオチドが使用される場合、この濃度は、オリゴヌクレオチドの全濃度又は添加される各オリゴヌクレオチドの濃度に言及していてよい。上記のオリゴヌクレオチド(単数又は複数)の濃度の範囲は、インビトロ又はエクスビボ使用のための好ましい濃度である。当業者であれば、使用されるオリゴヌクレオチド(単数又は複数)、治療される標的細胞、遺伝子標的及びその発現レベル、使用される培養液、並びにトランスフェクション及びインキュベーション条件に依存して、使用されるオリゴヌクレオチド(単数又は複数)の濃度はさらに変化してよく、さらに最適化される必要があってよい。
【0056】
さらに好ましくは、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、シスエレメント反復不安定性障害を予防し、治療し又は診断するために本発明において使用されるオリゴヌクレオチドは、合成的に作製され、薬剤的に許容可能な組成物中の処方された形で、細胞、組織、器官及び/又は患者若しくは個人若しくは被験者に直接投与される。好ましくは、前記医薬品組成物の被験者への送達は、ヒト身体の1部位で又は複数部位で、1又は複数回の非経口注射、たとえば、静脈内及び/又は皮下及び/又は筋肉内及び/又はくも膜下腔内及び/又は脳室内投与、好ましくは注射により実施される。くも膜下腔内又は脳室内投与(脳脊髄液に)は、好ましくは、被験者の身体中に拡散ポンプを導入することにより実現される。当業者には数種の拡散ポンプが既知である。
【0057】
本明細書において定義される繰返し配列に相補的である配列を含む又はからなるオリゴヌクレオチド分子をターゲティングするために使用されることになる薬剤組成物は、希釈剤、注入剤、保存剤、可溶化剤等などの種々の賦形剤を含んでいてよく、これらの賦形剤は、たとえば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、20th Edition、Baltimore、MD:Lippincott Williams & Wilkins、2000に見られる。
【0058】
本発明の方法に特に好ましいのは、前記オリゴヌクレオチドの細胞への及び細胞内への送達を支援することになる賦形剤、特に、複合体を形成することができる賦形剤、媒体若しくはリポソームに複合化される若しくはトラップされる物質及び/若しくはオリゴヌクレオチド(単数又は複数)を細胞膜を通じて送達する媒体並びに/又はリポソームの使用である。これらの物質の多くは当技術分野では既知である。適切な物質は、ポリエチレンイミン(PEI)、ExGen500、合成両親媒性物質(SAINT−18)、リポフェクチンTM、DOTAP及び/又は前記オリゴヌクレオチドを細胞へ送達することができる粒子へ自己組織化することができるウイルスカプシドタンパク質を含む。リポフェクチンは、リポソームトランスフェクション試薬の例を表す。リポフェクチンは、陽イオン性脂質N−[1−(2,3ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(DOTMA)(cp.硫酸メチル塩であるDOTAP)と中性脂質ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)の2種の脂質成分からなる。中性成分は細胞内放出を媒介する。別のグループの送達システムは、ポリマーナノ粒子である。ジエチルアミノエチルアミノエチル(DEAE)−デキストランなどのポリカチオンは、DNAトランスフェクション試薬としてよく知られているが、ブチルシアノアクリレート(PBCA)及びヘキシルシアノアクリレート(PHCA)と組み合わせて、細胞膜を通過して細胞内へオリゴヌクレオチドを送達することができる陽イオン性ナノ粒子を処方することができる。これらの一般的なナノ粒子材料に加えて、陽イオン性ペプチドプロタミンは、オリゴヌクレオチドをコロイドとして処方する別のアプローチを提供する。このコロイド状ナノ粒子システムは、いわゆるプロティクル(proticle)を形成することができ、このプロティクルは、単純な自己組織化過程により調製されて、本明細書において定義されるオリゴヌクレオチドのパッケージ及び細胞内放出を媒介することができる。当業者であれば、ヒトにおけるシスエレメント反復不安定性障害の治療のためのそのようなオリゴヌクレオチドを送達するために、本発明において使用するためのオリゴヌクレオチドをパッケージし送達する上の又は他の市販の代わりの賦形剤及び送達システムのいずれかを選択し適応させることができる。
【0059】
さらに、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であるオリゴヌクレオチドは、細胞、細胞質及び/又はその核への取込みを促進するよう特に設計されたターゲティングリガンドに共有的に又は非共有的に連結することができると考えられる。そのようなリガンドは、(i)細胞取込みを促進する細胞、組織若しくは器官特異的エレメントを認識する化合物(ペプチド(様)構造物を含むが、これに限定されるものではない)並びに/又は(ii)細胞への取込み及び/若しくは媒体、たとえば、エンドソーム若しくはリソソームからのオリゴヌクレオチドの細胞内放出を促進することができる化学的化合物を含むことができると考えられる。そのようなターゲティングリガンドは、血液脳関門を通って脳内へのオリゴヌクレオチドの取込みを促進する分子も包含するであろう。
【0060】
したがって、好ましい実施形態では、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であるオリゴヌクレオチドは、薬物の一部であり、又は薬物と見なされ、少なくとも賦形剤及び/又は送達のためのターゲティングリガンド及び/又は細胞への前記オリゴヌクレオチドの送達装置及び/又はその細胞内送達を増強することと一緒に提供される。したがって、本発明は、本発明のオリゴヌクレオチドを含み、少なくとも1つの賦形剤並びに/又は細胞への前記オリゴヌクレオチドの送達及び/若しくは送達装置及び/若しくはその細胞内送達を増強するためのターゲティングリガンドをさらに含む薬剤的に許容可能な組成物も包含する。
【0061】
本発明は、イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含み、好ましくは実質的にリボヌクレアーゼH非依存性であり、好ましくは、2’−O−メチル若しくは2’−O−メトキシエチルRNAホスホロチオエートヌクレオチド又はLNA又はcET又はcMOEヌクレオチド又はPMOヌクレオチドなどの2’−O−置換RNAホスホロチオエートヌクレオチドを含み、繰返し配列のみに相補的である9〜50ヌクレオチドの長さを有する一本鎖又は二本鎖オリゴヌクレオチドの投与を含む、細胞において反復含有遺伝子転写物の減少のための方法にも関する。前記ヌクレオチドは、組み合わせて及び/又はDNAホスホロチオエートヌクレオチドと一緒に使用することができると考えられる。
【0062】
本文書において及びその特許請求の範囲において、動詞「含む(to comprise)」及びその活用は、その非限定的意味で使用されて、前記単語に続く品目は含まれるが、具体的に言及されていない組合せ及び/又は品目が排除されないことを意味する。
【0063】
さらに、動詞「なる(to consist)」は、本明細書において定義される分子又はウイルスベースのベクター又は組成物が、特に特定された成分以外の追加の成分(単数又は複数)、本発明の特有の特徴を変えない前記追加の成分(単数又は複数)を含んでよいことを意味する「本質的にからなる」によって置き換えてもよい。
【0064】
単語「約」又は「おおよそ」は、数値(約10)と関連して使用される場合、好ましくは、その値は、その値の10より1%多い又は1%少ないのうちの任意の値であってよいことを意味する。
【0065】
さらに、不定冠詞「a」又は「an」による要素への言及は、要素のうちの1つ及び1つのみが存在することを文脈が明確に要求しなければ、要素のうちの2つ以上が存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞「a」又は「an」は通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【0066】
本発明は以下の例によりさらに説明されるが、この例は本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】オリゴヌクレオチドPS58(配列番号4)又はPS142(配列番号5)の種々の濃度での治療後のDM500筋管における濃度応答曲線を示す図である。オリゴ(リボ)ヌクレオチドPS58は全長2’O−メチルホスホロチオエート修飾骨格を、及びオリゴ(デオキシリボ)ヌクレオチドPS142は全長ホスホロチオエートDNA骨格を示している。PS58は、変異伸長hDMPK転写物をPS142よりも効率よく阻害している。PS58は、PS142と違って、オリゴヌクレオチドによる標的mRNAのリボヌクレオアーゼH媒介分解を妨げる2’OMe修飾を含有する。hDMPKの発現は、ノーザンブロット解析とそれに続くホスフォイメージャー解析を介して定量化された。シグナルは、GAPDHシグナルに合わせて規準化され、ニセ治療後の応答に対して表された。
【図2】RT−PCR解析は、種々の濃度でオリゴヌクレオチドPS57(CUG)7(配列番号3)又はPS261(CIG)7(配列番号6)を使用した治療後、ハンチントン病の男性患者由来のGM00305線維芽細胞で実施された。GM00305の解析は、変異(伸長疾患)対立遺伝子と正常対立遺伝子の両方の転写物を表している2つのRT−PCR産物を示している。PS57とPS261は、変異転写物の用量依存性阻害を示している。
【図3】RT−PCR解析は、種々の濃度でオリゴヌクレオチドPS262(UGC)7(配列番号7)を使用した治療後、ハンチントン病の男性患者由来のGM00305線維芽細胞、又は健常ボランティア由来のPAFC1線維芽細胞で実施された。対照処理GM00305の解析は、変異(伸長疾患)対立遺伝子と正常対立遺伝子の両方の転写物を表している2つのRT−PCR産物を示しており、PAFC1細胞の解析は、両正常対立遺伝子の転写物を表している1つのRT−PCR産物を示している。PS262は、GM00305又はPAFC1における正常転写物よりも、GM00305における変異転写物のより効率的阻害を示している。
【図4】RT−PCR産物(図2及び3にも描かれている実験由来の)のレベルは、変異転写物では正常転写物に対する割合として決定され、対照治療(100%に設定されていた)の百分率として表された。図は、異なる濃度での、PS262(正方形)、PS57(丸)及びPS261(三角形)を使用した治療後のGM00305細胞における変異対正常対立遺伝子転写物の濃度依存性減少を描いている。
【図5】RT−PCR解析は、オリゴヌクレオチドPS57を使用した4時間治療後、ハンチントン病の男性患者由来のGM00305線維芽細胞で実施された。細胞は、治療開始後24時間(丸)又は48時間(ダイヤモンド)で回収された。RT−PCR産物のレベルは、変異転写物では正常転写物に対する割合として決定され、対照治療(100%に設定されていた)の百分率として表された。図は、PS57を使用した4時間治療期間の開始後24時間(丸)又は48時間(ダイヤモンド)での変異対正常対立遺伝子転写物の濃度依存性減少を描いている。
【図6】RT−PCR解析は、オリゴヌクレオチドPS278(配列番号9)又はPS277(配列番号8)又は対照を使用した治療後、ハンチントン病の男性患者由来のGM00305線維芽細胞から示されている。PS278とPS277はともに、原則として標的mRNAに結合するとリボヌクレオアーゼHを活性化することができるギャップマー(オリゴヌクレオチドの3’及び5’末端にのみ2’O−メチル置換物を含むキメラ)である。PS277は、単一ミスマッチを含有する。GM00305の解析は、変異(伸長疾患)対立遺伝子及び正常対立遺伝子由来の転写物を表す2つのRT−PCR産物を示している。
【図7】GM00305におけるRT−PCR産物(図2及び6にも描かれている実験由来の)のレベルは、変異転写物では正常転写物に対する割合として決定され、対照治療(100%に設定されていた)の百分率として表された。図は、50nMのPS57(クローズド)、PS278(斑点で覆われたコラム)及びPS261(縞模様のコラム)を使用した治療後の変異対正常対立遺伝子転写物の濃度依存性減少を描いている。
【図8】200nMオリゴヌクレオチドPS259(別の開始ヌクレオチドを有する)又は200nMオリゴヌクレオチドPS261(アデノシン(A)の代わりにイノシン(I)ヌクレオチドを含む)を使用した治療後の、DM500筋管におけるhDMPK mRNAレベル(実線バー)を示す図である。hDMPKの発現は、ノーザンブロット解析とそれに続くホスフォイメージャー解析を介して定量化された。シグナルは、GAPDHシグナルに合わせて規準化され、ニセ治療後の応答に対して表された。PS259又はPS261を使用した治療により、hDMPK mRNAレベルが減少した。実線バーはhDMPKを描き、空白バーはm(マウス)DMPKを描いている。mDMPKは、トリプレットヌクレオチド反復領域を含有していない。
【図9】PEI(200nMオリゴヌクレオチド)での又は代わりにリポフェクタミン2000(50nMオリゴヌクレオチド)でのトランスフェクション後の二本鎖siRNAオリゴヌクレオチド組合せPI−01又はPI−02を使用した治療後のDM500筋管におけるhDMPK mRNAレベルを示す図である。治療後のhDMPKシグナルは、PS58と比べてsiRNAオリゴヌクレオチドによる阻害の欠如を示す図8にすでに描かれている。hDMPKの発現は、ノーザンブロット解析とそれに続くホスフォイメージャー解析を介して定量化された。シグナルは、GAPDHシグナルに合わせて規準化され、ニセ治療後の応答に対して表された。PI−01又はPI−02を使用した治療は、ともに繰返し反復配列のみに向けられたが、有効なオリゴヌクレオチドPS58と比べて、hDMPK mRNAレベルは減少しなかった。
【実施例】
【0068】
(例1)
不死筋芽細胞系は、当業者には既知の標準技術を使用して、DM500マウスから得られた。DM500マウスは、パリのde Gourdonグループから入手したマウス由来であった。DMPK遺伝子に約500の可変性(CTG)n反復長を有する不死筋芽細胞系DM500は、サブコンフルエントに増殖され、0.1%ゼラチン被膜皿上で5%CO雰囲気中33℃で維持された。筋芽細胞は、20%FCS、50μg/mlゲンタマイシン及び20ユニットのγ−インターフェロン/mlで補充されたDMEM中でサブコンフルエントに増殖された。Matrigel(BD Biosciences)被膜皿上で筋芽細胞を増殖させ、コンフルエント筋芽細胞培養物を37℃で、5%ウマ血清及び50μg/mlゲンタマイシンで補充されたDMEM中に置くことにより、筋管形成を誘導させた。5日後、この低血清培地上で、収縮筋管が培養液中に生じ、所望のオリゴヌクレオチドでトランスフェクトされた。トランスフェクションNaCl(500mM、濾過減菌)では、オリゴヌクレオチド及びトランスフェクション試薬PEI(ExGen500、Fermentas)をこの一定の順序で添加し、直接混合させた。前記オリゴヌクレオチドトランスフェクション溶液は、使用説明書(ExGen500、Fermentas)に従って、μgオリゴヌクレオチド当たり5μlExGen500の割合を含有していた。室温での15分間インキュベーション後、前記オリゴヌクレオチドトランスフェクション溶液は、前記培養筋管と一緒に低血清培養液に添加され、穏やかに混合された。最終オリゴヌクレオチド濃度は10pMから600nMまでの範囲であった。ニセ対照治療は、オリゴヌクレオチドなしのトランスフェクション溶液を使用して実施された。37℃での4時間インキュベーション後、新鮮な培養液を培養物に添加し(約2.3倍の希釈になる)、インキュベーションは37℃で一晩に延長された。次の日、オリゴヌクレオチドを含有する培養液は除去され、新鮮な低血清培養液が筋管に添加され、筋管はもう1日間37℃で培養液中に維持された。筋管培養液へのオリゴヌクレオチドの添加48時間後(筋管形成を誘導するための、低血清条件への切り替えの7日後にあたる)、RNAは「Total RNAミニキット」(Bio−Rad)を使用して単離され、ノーザンブロットとRT−PCR解析に備えた。前記ノーザンブロットは、放射性ヒトDMPK(hDMPK)プローブ及びマウスGAPDHプローブとハイブリダイズされた。DMPKに使用されたプローブは、完全3’UTR及び11CTGを有するDMPKオープンリーディングフレームからなるヒトDMPK cDNAである。
【0069】
ヒト及びマウスDMPKシグナルは、ホスフォイメージャー解析により定量化されGAPDHシグナルに合わせて規準化された。
【0070】
図1は、オリゴヌクレオチドPS58及びPS142のhDMPKシグナルの濃度依存性阻害を描いている。PS58、すなわち標的mRNAに結合後はリボヌクレアーゼHを活性化することができない完全修飾2’O−メチルホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、DNAホスホロチオエートオリゴヌクレオチドPS142の約3000分の1の濃度で有効であった。
【0071】
(例2)
ハンチントン病の男性患者由来の線維芽細胞(GM00305)は、Coriell Cell Repository(Camden、New Jersey、US)から入手し、添付の使用説明書及び当業者には既知の標準技術に従って培養した。ハンチントン患者は、ハンチントン遺伝子の1つの健常対立遺伝子と1つの疾患誘発対立遺伝子を担っており、それぞれ正常数の及び伸長数の(CAG)反復を有する両方のmRNAを発現している。対照線維芽細胞(PAFC1)は、両方のハンチンチン対立遺伝子に正常反復長を有する健常ボランティアから入手した。
【0072】
線維芽細胞に、すべてがハンチンチン転写物中の相補的(CAG)トリプレット反復への指向性を有する、オリゴヌクレオチドPS57、PS261、PS262、PS277及びPS278でトランスフェクトした。トランスフェクションは、製造元が指示する通りにPEIを使用していくつかの濃度レベルで適用させた。治療開始の4時間後、細胞を洗浄し新鮮な培養液を適用した。トランスフェクション開始の24時間又は84時間後、細胞を回収し全RNAを単離し、RT−PCRにより解析した。逆転写は、ランダムヘキサマーを使用して55℃で実施した。ハンチンチン転写物はエクソン1の反復伸長領域に隣接するプライマー(順方向:5’ATGGCGACCCTGGAAAAGCTG3’:配列番号1及び5’TGAGGCAGCAGCGGCTGT3’:配列番号2)を使用して決定された。この方法は、両種類のハンチントンmRNA、すなわち、正常転写物と追加の(CAG)伸長を有する変異転写物とも検出し、この2つは定性的評価については2%アガロースゲル上で、又は定量化についてはAgilent 2100 Bioanalyzer若しくはCaliper LabChip90で別々に解析することができる。変異転写物についてのRT−PCR産物の量的結果は、正常転写物についての量的結果と比較して表され、同一患者の線維芽細胞由来の媒体対照治療(オリゴヌクレオチドなし)(100%に設定された)からの百分率として表された。
【0073】
実験結果は図2〜7に描かれている。図1〜3は、すべてが反復配列への特異的な指向性を有する3種の異なるオリゴヌクレオチド、(CUG)7、(UCG)7又は(CIG)7が、伸長(CAG)反復を有する変異ハンチンチン転写物を効率的に阻害できることを示している。これらの化合物は、担っている(CAG)反復の数が少ない正常転写物よりも、多数の疾患誘発(CAG)反復を有する変異ハンチントン転写物に対して、より有効である。これは、ハンチントン患者由来のGM00305細胞において実証されているが、健常ボランティア由来の対照細胞(PAFC1)においても確認されている。PCR産物は配列決定により確認された。図5は、その効果が4時間治療期間の24時間後だけではなく、48時間後においても示されていることを示している。この後者の時点は、明確な阻害が低濃度ですでに始まっているので、24時間よりも最適であると思われる。これらの結果は、短い4時間治療期間にもかかわらず、おそらくさらに長期間にわたり維持されることを示している。
【0074】
最後に、図7及び8は、2つのキメラオリゴヌクレオチドの結果を描いている。オリゴヌクレオチドの3’及び5’末端のヌクレオチドは、2’O−メチル置換物により修飾されているが、中央の10ヌクレオチドは修飾されておらず、いわゆるギャップマーを生じている。当業者には、2’O−メチル置換物(又は2’O−メトキシエチル若しくはロックド核酸を含む他の修飾物の使用)は、標的mRNAへの結合後はリボヌクレアーゼH媒介分解を制限することが知られている。mRNA阻害の手段としてのそのようなリボヌクレアーゼH媒介分解機構は、オリゴヌクレオチド内に(ホスホロチオエート)DNAヌクレオチドのストレッチ(「ギャップ」)を維持することにより保存することができる。しかし、図7及び8の結果は、完全修飾PS57オリゴヌクレオチドのほうがはるかに効果的であり、オリゴヌクレオチドPS278又はPS277による曖昧な阻害又は全く阻害がない場合に用いられる濃度で、変異HD転写物レベルを効果的に阻害することを明確に示している。
【0075】
(例3)
例1に記載される方法に従って、DM500細胞由来の筋管は、200nMオリゴヌクレオチドPS259(PS58と比べて別の開始ヌクレオチドを有する)又は200nMオリゴヌクレオチドPS261(アデノシン(A)の代わりにイノシン(I)ヌクレオチドを含む)を使用して治療された。治療後のhDMPKシグナル(実線バー)は図8に描かれており、オリゴヌクレオチドによる効果的な阻害を実証している。
【0076】
(例4)
例1に記載された方法に従って、DM500細胞由来の筋管は、PEI(200nMオリゴヌクレオチド)を使用した、又は代わりにリポフェクタミン2000(製造元の使用説明書に従って、50nMオリゴヌクレオチドを有する)を使用したトランスフェクション後、二本鎖siRNAオリゴヌクレオチド組合せPI−01又はPI−02を使用して治療された。オリゴヌクレオチド組合せ(siRNA)PI−01又はPI−02は、繰返し配列のみに相補的である。トランスフェクションプロトコルは、治療インキュベーション期間中2度実施された。治療後のhDMPKシグナルは図8に描かれており、PS58と比べてsiRNAオリゴヌクレオチドによる阻害の欠如を示している。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2−1】


【表2−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドが遺伝子転写物中の繰返し配列のみに相補的である配列を含む又はからなる上記オリゴヌクレオチドの、ヒトシスエレメント反復不安定性関連遺伝性障害の治療又は予防用の薬物を製造するための使用。
【請求項2】
前記イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチド含有オリゴヌクレオチドが一本鎖オリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記繰返しエレメントが遺伝子転写物のコード配列に又は非コード配列に存在する、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記オリゴヌクレオチドが、(CAG)n、(GCG)n、(CUG)n、(CGG)n、(CCG)n、(GAA)n、(GCC)n及び(CCUG)nから選択される繰返しエレメントに相補的である配列を含む又はからなる、請求項1から3までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記オリゴヌクレオチドが約9から約50ヌクレオチド、好ましくは12から40ヌクレオチド、さらに好ましくは15から30ヌクレオチドの長さを有する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記オリゴヌクレオチドが、ホスホロチオエート含有骨格を有する又は有しないRNAヌクレオチド、DNAヌクレオチド、ロックド核酸(LNA)ヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)ヌクレオチド、モルフォリノホスホロジアミデート、エチレン架橋核酸(ENA)ヌクレオチド又はその混合物を含む又はからなる、請求項1から5までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記オリゴヌクレオチドが、2’−O−置換RNAホスホロチオエートヌクレオチドを含む、好ましくは、2’−O−置換がメトキシエチル及び/又はメチル及び/又は2’O,4’Cメチレン架橋(LNA)及び/又は2’O,4’C拘束エチレン(cEt)及び/又は2’O,4’C拘束メトキシエチレン(cMOEt)である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記オリゴヌクレオチドが、遺伝子転写物中の繰返し配列のみに相補的である配列を含む又はからなるヒトシスエレメント反復不安定性関連遺伝性障害の治療又は予防用の薬物を製造するための、好ましくは請求項1から7までのいずれか一項に記載の使用であって、前記オリゴヌクレオチドが実質的にリボヌクレアーゼH非依存性のオリゴヌクレオチドであり、好ましくは、前記オリゴヌクレオチドが9から50ヌクレオチドの長さを有し、その5’又は3’末端のうちの少なくとも1つにおいて請求項6で定義されるように置換されており、その配列の残りに9未満の、さらに好ましくは6未満の連続デオキシリボースを含む上記使用。
【請求項9】
前記オリゴヌクレオチドがデオキシリボースを含まず、その骨格が請求項6で定義されるように完全に修飾されている、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記薬物中の前記オリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチドの発現を与えることができる核酸ベクターにより提供され、並びに/又は前記薬物中の前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも賦形剤及び/若しくは前記オリゴヌクレオチドの細胞への送達及び/若しくはその細胞内送達の増強のためのターゲティングリガンドと一緒に提供される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
イノシン及び/又はウラシル及び/又はゆらぎ塩基対を形成することができる塩基を含有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドが、(CAG)n、(GCG)n、(CUG)n、(CGG)n、(GAA)n、(GCC)n及び(CCUG)nからなるグループから選択される繰返し配列に相補的である配列を含む又はからなり、9から50ヌクレオチドの長さを有する上記オリゴヌクレオチド。
【請求項12】
(CAG)n、(GCG)n、(CUG)n、(CGG)n、(GAA)n、(GCC)n及び(CCUG)nからなるグループから選択される繰返し配列に相補的である配列を含む又はからなり、9から50ヌクレオチドの長さを有し、前記オリゴヌクレオチドが実質的にリボヌクレアーゼH非依存性のオリゴヌクレオチドである、好ましくは請求項11に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のオリゴヌクレオチドであって、さらに請求項1から10までのいずれか一項において定義され、好ましくは、放射性標識又は蛍光標識を有するように用意されている上記オリゴヌクレオチド。
【請求項14】
請求項11から13までのいずれか一項において定義されるオリゴヌクレオチドを含み、好ましくは少なくとも1つの賦形剤及び/又は前記オリゴヌクレオチドの細胞への送達のためのターゲティング及び/又はその細胞内送達の増強を行うリガンドをさらに含む、薬剤的に許容可能な組成物。
【請求項15】
請求項11から13までのいずれか一項において定義されるオリゴヌクレオチドの発現をヒト細胞でもたらすことのできる、核酸ベクター、好ましくはウイルスベクター。
【請求項16】
請求項11から13までのいずれか一項において定義されるオリゴヌクレオチドの投与又は請求項14において定義される薬剤的に許容可能な組成物、又は請求項15において定義される核酸ベクターを含む、細胞における反復含有遺伝子転写物を減少させるためのインビトロ方法。
【請求項17】
請求項11から13までのいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドが使用される、インビトロ若しくはエクスビボ検出及び/又は診断法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−510678(P2011−510678A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545818(P2010−545818)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際出願番号】PCT/NL2009/050049
【国際公開番号】WO2009/099326
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(510215477)プロセンサ ホールディング ビーブイ (3)
【Fターム(参考)】