説明

DNA被覆無機基材及びそれを用いた有害物質除去材

【課題】環境汚染物質などの有害物質を効率よく除去することができ、且つ簡便な方法で製造可能でしかも再生容易な有害物質除去材を提供すること、及びナノテクノロジーの分野で有用であり且つ生体低吸収性の無機微粒子を提供することを課題とする。
【解決手段】 金属又は金属酸化物(例えば光触媒)等の無機基材とDNAとを溶媒中で接触させ、該無機基材表面にDNAが被覆されたDNA被覆無機基材とし、これを有害物質除去材あるいは生体低吸収性無機材料として用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物等の無機基材の表面にDNAが被覆されてなるDNA被覆無機基材及びその製造方法に関する。本発明のDNA被覆無機基材は、環境汚染物質などの有害物質を効果的に吸着することができる。また、無機基材の微粒子をDNAで被覆することにより、生体細胞に取り込まれにくくなり人体に安全な金属粒子材料が得られる。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の汚染が大きな社会問題となっており、その汚染された環境を元に戻すための環境浄化技術の開発が求められている。特にダイオキシン類等の平面構造を有する芳香族系有機分子は、生物体に極めて高い毒性があると懸念されており、環境中から除去することが切望されている。また、これらの平面構造を有する芳香族系有機分子は、DNAの塩基対間に平行挿入(インターカレーション)する性質があり、そのことによってDNAの読み枠変異等の損傷を与えることで極めて高い毒性を発現していると示唆されている。また、DNAに結合(アダクト)する、あるいはDNAに架橋(クロスリンク)する性質のある環境汚染物質も、DNAに同様の損傷を与えることが明らかになっている。
【0003】
そこで、この性質を逆手にとり、DNAを吸着場として用いた高い選択性を有する環境浄化材料あるいは有害物質除去材料等の開発が試みられている(特許文献2,3)。
また、DNAは海洋産業廃棄物として処分されているシャケの白子等から抽出したものを用いることができるため、廃棄物の再利用という側面でも環境問題解決に一役を担うことができる。
【0004】
しかし、DNAを環境浄化材料あるいは有害物質除去材料に応用するためには、何らかの不溶性担体に固定化するなどの方法によりDNAを水に不溶化させる必要がある。DNAの不溶化技術は以前より様々な方法が報告されている(非特許文献1及び2参照)が、それらの方法はどれも有害物質除去材料として用いた場合、必ずしも適切な方法とは言えない。
【0005】
一方、有害物質除去材料等として光触媒性能を有する二酸化チタンを利用する試みが多くなされている(特許文献1、4,5)。二酸化チタンの光照射時における酸化分解能力は非常に高く、環境汚染物質を分解するのには有効であるが、二酸化チタンの近隣に汚染物質が存在しない限り光触媒性能力を発揮できないという欠点を有する。
したがって、有害物質をより効率よく除去しうる材料のさらなる開発が望まれている。
【0006】
また、近年ナノテクノロジーの発達により、医療分野などのあらゆる場面においてナノサイズの金属微粒子が広く利用されている。その人体への影響に関しては必ずしも明らかではないが、サイズの小さな粒子は生体に取り込まれやすい傾向にあり、健康への影響が懸念される。よって、生体細胞に吸収されにくく安全性の高いナノ金属粒子の開発が望まれている。
【0007】
【非特許文献1】M. Yamada, et al.: "Preparation and Characterization of DNA Films Induced by Irradiation": Chem. Eur. J. 2002, 8, No.6, 1407-1412
【非特許文献2】吉永健二、他;第15回環境化学討論会、ポスター発表(仙台市;2006年)「環境浄化を目的とした新規発泡材料の開発と評価」
【特許文献1】WO2002/034301号公報
【特許文献2】特開2002−345460号公報
【特許文献3】WO2004/091753号公報
【特許文献4】特開2005−314409号公報
【特許文献5】特開2006−150344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、環境汚染物質などの有害物質を効率よく除去することができ、且つ簡便な方法で製造可能でしかも再生容易な有害物質除去材を提供することを課題とする。また、ナノテクノロジーの分野で有用な生体低吸収性の無機微粒子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上述した課題に鑑み鋭意検討した結果、溶媒中でDNAを無機基材と接触させることにより容易に無機基材表面にDNA被覆層が形成され、しかも該DNA被覆層は簡便な処理により容易に離脱可能なことを見いだした。また、本発明者らは、DNAを被覆した金属粒子が生体細胞内に取り込まれにくいという性質を有することを見いだし、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下に示すDNA被覆無機基材、その製造法、該DNA被覆無機基材を含む有害物質除去材、及び生体低吸収性無機材料並びにその製造方法を提供する。
(1)無機基材の表面にDNAが被覆されていることを特徴とする、DNA被覆無機基材。
(2)前記無機基材が金属又は金属酸化物である、請求項1記載のDNA被覆無機基材。
(3)前記金属酸化物が酸化チタンである、請求項2記載のDNA被覆無機基材。
(4)前記金属酸化物が光触媒である、請求項2記載のDNA被覆無機基材。
【0011】
(5)請求項1記載のDNA被覆無機基材を製造する方法であって、DNAと無機基材とを溶媒中で接触させる工程を含むことを特徴とする、DNA被覆無機基材の製造方法。
(6)前記溶媒が水であることを特徴とする、請求項5記載のDNA被覆無機基材の製造方法。
【0012】
(7)請求項1〜4のいずれかに記載のDNA被覆無機基材を含むことを特徴とする、有害物質除去材。
(8)生体内への吸収性を低下させた無機材料であって、請求項1記載のDNA被覆無機基材からなることを特徴とする、生体低吸収性無機材料。
(9)請求項8記載の生体低吸収性無機材料を製造する方法であって、DNAと無機材料とを溶媒中で接触させることにより無機材料をDNAで被覆する工程を含むことを特徴とする、生体低吸収性無機材料の製造方法。
(10) 前記無機材料が平均粒径1nm〜1000μmの微粒子である、請求項9記載の生体低吸収性無機材料。
【発明の効果】
【0013】
(1)本発明のDNA被覆無機基材においては、DNAは無機基材に比較的緩やかに付着しているに過ぎない。すなわち、DNAと無機基材とを溶媒中で接触させるだけで得られるという製造方法の簡便性を有するだけでなく、簡便な方法でDNAを無機基材から取り外すことができるという特徴をも有する。このようなDNAの着脱は可逆的である。
よって、本発明のDNA被覆無機基材を有害物質除去材として用いれば、DNA中に環境汚染物質等の有害物質を集めた後、該有害物質をDNAごと大量に回収することが可能となり、DNAのインターカレーション、アダクト、クロスリンク等による有害物質吸着能を最大限に利用することができる。また、無機基材の回収・再利用が容易である。
【0014】
(2)また、無機基材として酸化チタン等の光触媒を用いた場合、有害物質除去能をより高めることができる。光触媒表面のDNAに捕捉された有害物質を光触媒能により分解することが可能となるため、光触媒の従来の欠点であった近傍に有害物質が存在しない限り光触媒能を発揮できないという点を克服することができる。このことから、本発明によるDNA被覆無機基材は、有害物質を近傍に近づけつつ光触媒として働く新しい機能性光触媒とすることもできる。さらに、被覆されたDNA及びDNAに取り込まれた有害物質は容易に除去可能であるから、光触媒の回収・再利用が容易である。
さらに、本発明においては、無機基材にDNAを被覆すると蛋白質の該無機基材への吸着が阻害され、蛋白質による無機基材の汚れが防止されることが見いだされた。これにより、汚れによる光触媒活性の低下が抑えられることから、光触媒による環境浄化能の効率をさらに向上させることができる。
よって、本発明によれば、光触媒性能により有害物質を分解しうる高い環境浄化性能を有する有害物質除去材を提供することができる。
【0015】
(3)また、本発明によれば、ナノ金属粒子等の無機基材をDNAで被覆することにより生体細胞へ取り込まれにくくすることができる。よって、人体に安全な生体低吸収性ナノ金属粒子を提供することができる。
【0016】
(4)なお、上記特許文献7及び8では、二酸化チタンに対し、特殊な親水性高分子を介在させて化学反応でDNAを固定化させており、本発明のような金属酸化物の表面に直接DNAが被覆されているものとは構造上全く異なる。本発明の製造方法は、特殊な親水性高分子を介在させる必要がなく、極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
1.DNA被覆無機基材
(1)DNA
本発明で用いられるDNAは、らせん状の二本のポリヌクレオチド鎖(二重らせん構造)を有するものであって、特に制限はないが、サケ、ニシン、タラ等の魚類の白子(精巣)から安価に取得することができる。このようにDNAは海洋産業廃棄物として処分されるものから容易に抽出可能であるため、廃棄物の再利用という側面でも環境問題に一役を担うことができる。また、DNAはウシ、ブタ、ニワトリ等の哺乳動物もしくは鳥類の胸腺、あるいは植物や菌類など、すべての生き物(動植物)から取得することが可能である。
【0018】
二本鎖DNAは、二本のポリヌクレオチド鎖の糖−リン酸骨格から、構造的相補正を有する平面的な塩基同士がらせんの軸に対して垂直に、らせんの中央部に向かって突出し合い、水素結合で結合している。DNAの二本鎖の塩基対と塩基対との間には隙間があり、平面構造を有する小分子はこの隙間に入り込むことが可能である。これをインターカレーション(平行挿入)と呼ぶ。
【0019】
ダイオキシン等の生体に毒性の高い環境汚染物質の多くは複数のベンゼン環からなり平面構造を有する芳香族系有機分子であり、DNAの塩基対の間にインターカレーションされやすい。また、喫煙時にタバコから発生する有害物質やアゾ色素等もインターカレーションされやすい物質である。
また、DNAは種々の物質と結合(アダクト)あるいは架橋(クロスリンク)することができる。アダクトしやすい物質としては、多環芳香族炭化水素の代謝体などが挙げられる。クロスリンクしやすい物質としては、ホルムアルデヒドなどが挙げられる。
【0020】
DNAの分子量は特に制限されず、いかなる大きさのものでもよいが、好ましくは数bp〜数十Mbp、より具体的には100bp〜10Mbpである。
【0021】
(2)無機基材
本発明で用いられる無機基材としては、金属又は金属酸化物が好ましい。金属としては鉄(Fe)、チタン(Ti)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、プラチナ(Pt)等が挙げられる。また、ケイ素(Si)を用いることもできる。金属酸化物としては酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銅等が挙げられる。また、SiO2を用いることもできる。酸化チタンとしてはアナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、ブルカイト型二酸化チタン等が挙げられる。これらのうち、好ましいものは金属酸化物であり、より好ましくは酸化チタンであり、特に好ましくはアナターゼ型二酸化チタンである。
【0022】
また、本発明では、無機基材として光触媒を用いることが好ましい。DNAのインターカレーション、アダクト、クロスリンク等による物質の捕捉能によりDNA被覆層に捕捉された有害物質を、無機基材の光触媒能により分解させることができるため、環境汚染物質等の有害物質を効率的に分解・除去することができる。無機基材の表面にDNA被覆層が形成されても、光触媒能は何ら影響されず、DNAにより捕捉された物質を分解する能力を維持する。
【0023】
光触媒能を有する無機基材としては多くの金属酸化物があり、それらは単一の金属酸化物であっても複合酸化物であってもよい。複合酸化物としては固溶体、混晶、多結晶体、非晶質固溶体、金属酸化物微結晶の混合物のいずれでもよい。具体的には、周期律表の第3〜6周期に属する金属元素の酸化物、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等が挙げられる。好ましいものは酸化チタンであり、特に好ましくは光触媒能を有するアナターゼ型二酸化チタンである。
【0024】
無機基材の形状は粒状、板状、繊維状、薄膜状、多孔質固体等のいずれの形状であってもよいが、粒状が好ましく、より好ましくは平均粒径1nm〜1000μm、さらに好ましくは5nm〜100μm、特に好ましくは5〜5000nmの微粒子が挙げられる。
【0025】
無機基材として粒状の金属酸化物を用いると、本発明の効果をより効果的に発揮させることができる。本発明により得られるDNA被覆金属酸化物は、粒子状とした場合に凝集性が低く、有害物質を除去すべき対象処理液又は対象処理気体中での分散性がよい。したがって、無機基材の形状を粒子状とした場合に、環境汚染物質などの有害物質をより効果的に吸着させることができる。また、粒子状であれば洗浄等によってDNAを脱離・除去して無機基材を回収・再利用することが容易である。
【0026】
(3)DNA被覆無機基材
本発明のDNA被覆無機基材は、DNAを上記無機基材の表面に被覆してなる複合材料である。図1に、本発明のDNA被覆無機基材を模式的に表した概念図を示す。DNAは無機基材の表面に化学結合(共有結合、イオン結合、配位結合等)により結合したものではなく、物理的な力、例えば分子間力、静電気力などにより無機基材上に保持あるいは付着しているに過ぎない。したがって、本発明のDNA被覆無機基材においては、使用中にDNAが無機基材上から容易に脱離することはないが、一定の処理を施すことによりDNA被覆無機基材から容易にDNAを取り外すことができる。
【0027】
このようなDNAの無機基材上への特徴的な固定化状態が保たれる理由は必ずしも明らかではないが、無機基材とDNAとの間の分子間力又は静電気力の違いによるものと考えられる。
【0028】
本発明のDNA被覆無機基材における無機基材とDNAの割合は特に限定されないが、DNA;無機基材=1:10〜1:2000(重量比)、より好ましくは1:20〜1:200(重量比)程度の割合で複合化するのが望ましい。DNAの無機基材上への固定化状態は化学結合でなく分子間力、静電気力等の違い等によるものであるため、無機基材の表面積に関わらず大量のDNAを被覆させることができる。
DNA被覆層の厚みは特に限定されないが、好ましくは0.1〜1nm程度の厚みである。
【0029】
2.DNA被覆無機基材の製造方法
【0030】
本発明のDNA被覆無機基材は、DNAと無機基材とを溶媒中で混合することにより製造することができる。混合温度は制限されないが、DNAは化学結合により無機基材表面に結合するわけではないため、常温(10〜40℃程度)で十分である。また、DNAは無機基材に緩やかに接触させるだけで無機基材表面に付着させることができるため、強力な剪断力等を加える必要はない。溶媒としては、水、緩衝液、生理食塩水、エタノール溶液などが挙げられる。
【0031】
このように、本発明のDNA被覆無機基材は、常温でDNAと無機基材とを溶媒中で混合させるという極めて簡便な工程のみで、DNAを無機基材表面に適度の強度で保持あるいは付着させることができる。このような簡便な工程のみでDNAを無機基材に保持し得ることは、例えば二酸化チタン表面に特殊な親水性高分子等を介在させて化学反応でDNAを固定化させる方法しか知られていなかった従来技術からすると、容易に予測し得ない驚くべきことである。
【0032】
DNAと無機基材とを溶媒中で混合させる場合、予めDNAを溶媒に溶解し(DNA調製溶液)、これに固体の無機基材を混合させる方法であってもよく、また無機基材を含む溶媒にDNA単体を添加し混合させる方法であってもよいが、DNA調製溶液に無機基材を混合させる方法が好ましい。
【0033】
DNA調製溶液は通常、水溶性のDNAを水に溶解してDNA水溶液の形にしたものである。DNA調製溶液中のDNA濃度は、好ましくは0.1〜1mg/mlである。また、DNA調製溶液のpHは特に限定されないが、強酸性及び強アルカリ性を除く中性域、具体的にはpH=4〜10程度が好ましい。DNA調製溶液のpHが低すぎたり高すぎたりすると、DNAのインターカレーション等による捕捉能が劣る場合がある。
【0034】
無機基材として粒状の金属酸化物を用いた場合、水と金属酸化物とDNA水溶液とを混合すると、DNA被覆無機基材を含む懸濁液が得られる。得られた懸濁液は比較的安定であり、これをそのまま各用途、例えば有害物質除去材として使用することができるほか、必要に応じて該懸濁液からDNA被覆無機基材を単離することもできる。単離方法としては、例えば遠心分離によりDNA被覆無機基材を沈殿させた後、上清液を除去して公知の各種方法で乾燥させる方法、あるいは粒子径にあった濾(ろ)紙を利用して懸濁液を濾過後、同様に公知の各種方法で乾燥させる方法などが挙げられる。
【0035】
このようにして得られるDNA被覆無機基材におけるDNAの無機基材への固定化状態は、化学結合とは異なる。DNAが無機基材上から容易に脱離することはないが、一定の処理を施すことによりDNA被覆無機基材から容易にDNAを取り外すことができる。この着脱は可逆的であり、必要に応じてDNAを無機基材へ固定化させ、またDNAを外して元通りに無機基材を回収することができる。
【0036】
DNAを無機基材から外すための処理としては、pH12〜14程度の強アルカリ性溶液による洗浄等の洗浄処理が挙げられる。また、熱処理を行うことも有効である。熱処理の温度としては80〜100℃程度、熱処理時間は1〜5分程度である。最も有効な処理は、強アルカリ性溶液による洗浄と熱処理とを組み合わせた処理である。
【0037】
本発明のDNA被覆無機基材は、このような簡便な処理により、DNA及び無機基材に化学変化等の影響を何ら与えることなく容易にDNAを無機基材から脱離させることができることを特徴とする。したがって、有害物質を捕捉したDNAを無機基材から脱離・除去した後、無機基材を回収・再利用することが可能である。
【0038】
3.有害物質除去材及びそれを用いた有害物質の除去方法
本発明のDNA被覆無機基材は、有害物質除去材として有用である。本発明の有害物質除去材で処理すべき対象となるのは、有害物質を含む液体及び気体のいずれでもよい。
本発明のDNA被覆無機基材を用いて除去できる有害物質は多岐にわたるが、DNAへのインターカレーションを利用する場合、特に平面的な立体構造を有する有機化合物、例えば芳香族間を有する化合物を効率的に処理することができる。具体的には、ジベンゾ−p−ダイオキシン、ジベンゾフラン、ビフェニル、ポリ塩化ジベンゾ−p−ダイオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン等のダイオキシン類が有効である。その他に、タバコの煙等に含まれる多環芳香族炭化水素や染料に含まれる各種アゾ色素等が挙げられる。また、多環芳香族炭化水素の酸化体などDNAにアダクトし易いものや、ホルムアルデヒドのようにDNAにクロスリンクし易いものなどを挙げることもできる。
【0039】
また、本発明の有害物質除去材において無機基材として光触媒を用いると、DNAのインターカレーション等による捕捉能によりDNA被覆層に捕捉された有害物質を、無機基材の光触媒能により分解させることができるため、有害物質除去能をより高めることができる。また、DNA被覆による防汚作用により、有害物質除去能をさらに高めることができる。また、例えば大量の水溶液中にわずかに存在する有害物質を選択的に吸着することもできる。
【0040】
無機基材の表面にDNA被覆層が形成されても、光触媒能は何ら影響されず、紫外線照射等により効率よく有害物質を分解することができる。さらに、被覆されたDNA及びDNAに取り込まれた有害物質は容易に除去可能であるから、光触媒の回収・再利用が容易である。すなわち、本発明による有害物質除去材は、有害物質を近傍に近づけつつ分解する新しい形の高機能性光触媒として有用である。
【0041】
有害物質除去材の形態としては、粒子状、繊維状、フィルター状、多孔質固体状、薄膜状等が挙げられる。また、粒子状の有害物質除去材を繊維、フィルター、多孔質体等に混入・含浸させて利用することもできる。本発明の有害物質除去材は、粒子状とした場合に凝集性が低く、有害物質除去処理の対象となる処理液又は処理気体中での分散性がよいため、粒子状とするのが好ましい。
【0042】
本発明の有害物質除去材は、種々の製品、例えばタバコフィルター等の喫煙具、防毒マスク等のマスク類、集塵・防塵用フィルター装置、煙突や自動車のマフラー、エアコン、ファンヒーター、加湿器、空気清浄機、マイナスイオン発生機等の気体の流通路に設置される気体濾過装置等、電気掃除機、ドライヤー、冷却器等の空気濾過装置、化粧品の基材、塗料、外壁材などに利用することができる。
【0043】
4.生体低吸収性無機材料の製造方法
本発明のDNA被覆無機基材は、生体低吸収性無機基材として用いることができる。
ナノ金属粒子等の小さいサイズの金属粒子は明らかに生体内に取り込まれやすいが、本発明によれば、そのようなナノ金属粒子をDNAで被覆するだけで、ナノ金属粒子の機能を何ら損なうことなく生体への吸収性を低下させ、人体に安全な材料へと変えることができる。
【0044】
本発明の生体低吸収性無機材料は、DNAと無機材料とを溶媒中で接触させることにより無機材料をDNAで被覆することにより製造することができる。このような簡便な方法でDNAが金属粒子等の無機材料の表面に被覆され、これにより生体細胞へ取り込まれにくい無機材料(ナノ金属粒子)が容易に調製できる。
【0045】
ここで用いられる無機材料としては、ナノ金属粒子が、本発明の生体細胞への低吸収化という効果を有効に発揮できることから、最も好ましい。ナノ金属粒子としては、生体へ吸収されると健康に影響があるとして米国等で使用が制限される傾向にある銀(Ag)粒子、チタン(Ti)粒子、C60、カーボンナノチューブ、鉄粒子、亜鉛粒子、銅粒子などが挙げられる。また、平均粒径は1〜1000μm、より好ましくは1〜100μmである。
【実施例】
【0046】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0047】
<実施例1>
(1)DNA被覆金属酸化物水溶液の調製
DNAはサケ精子から抽出したものを使用した。金属酸化物としては、平均粒径が5nm、25nm、及び5000nmの3種類のアナターゼ型酸化チタンを用いた。
1mg/mlのDNA水溶液、アナターゼ型酸化チタン20mg、及び水を、下記表1に示す割合で混合した後、30秒間のソニケーションを行って均一分散系を得た。その後、水で3回遠心洗浄して余分なDNAを除去し、DNA被覆チタン酸化物の懸濁液(1ml)を調製した。また同時に、DNA水溶液を添加することなく、同様の方法で酸化チタンと水を混合し、未処理のチタン酸化物懸濁液(1ml)を調製した。
【0048】
【表1】

【0049】
(2)有害物質除去性能の評価
代表的なインターカレーターであるメチレンブルー(MB)及び臭化エチジウム(EtBr)をダイオキシンなどの環境汚染物質(有害物質)の代わりに使用し、以下の方法でDNA被覆金属酸化物の有害物質除去性能を評価した。
すなわち、上記(1)で得られた未処理の二酸化チタン(試料(a))とDNA被覆二酸化チタン(試料(b)〜(e))にMB400μl(0.04mgMB)及びEtBr400μl(0.02mgEtBr)を加えて混合し、インターカレーター含有懸濁液を得た。得られたインターカレーター含有懸濁液を遠心分離処理(遠心分離器;TOMY,MR−150、回転数;12,000rpm)した後、上清溶液のMBとEtBrに特徴的な波長における吸光度(MB;664nm、EtBr;478nm)を測定した。結果を図2及び図3に示す。
また、上記インターカレーター含有懸濁液の遠心分離後の様子を目視により観察した。未処理チタン酸化物を用いた場合は遠心分離後の沈殿粒子が白色、上清液が青色(MB)、オレンジ色(EtBr)なのに対し、DNA被覆チタン酸化物を用いた場合は沈殿粒子が青色(MB)及びピンク色(EtBr)となり、上清液が透明になっていることが確認された。
なお、上記実験は、平均粒径が5nm、25nm、及び5000nmの3種類のアナターゼ型酸化チタンを用いて行われたものであり、いずれにおいても同様の有害物質除去効果が示されたが、図2及び図3に示した結果は、平均粒径が5000nmのものである。
【0050】
(3)結果
上記実験の結果、DNAを被覆していない未処理チタン酸化物はインターカレーター単体とほぼ同等の吸光度が得られたのに対し、DNA被覆チタン酸化物は吸光度が減少しているのがわかる。これは、インターカレーターがDNA被覆チタン酸化物に吸着され、遠心分離操作によってチタン酸化物と共に沈殿した結果、溶液の透過率が増したためであると考えられる。
【0051】
また、DNA添加量が増すほど、インターカレーターがチタン酸化物表面に吸着される量は多くなり、吸光度は減少するが、DNA添加量が500μg以上になると、チタン酸化物に吸着されるDNA量は飽和し、ほぼ一定の吸光度となることが分かる。
また、目視による観察の結果から、MB及びEtBrがDNA被覆チタン酸化物に吸着されていることが分かる。
【0052】
<実施例2>
実施例1において、DNA被覆チタン酸化物液の量を5ml(DNA被覆チタン酸化物;20mg、水;5ml)及び10ml(DNA被覆チタン酸化物;20mg、水;10ml)とした以外は実施例1と同様にインターカレーター含有懸濁液を作成し、評価を行った。インターカレーター(MB)の添加量は実施例1と同じである。結果を図4に示す。
【0053】
図4によれば、DNA被覆チタン酸化物を用いた場合の吸光度はインターカレーター単体の場合に比べて減少しており、実施例1の場合と同様にインターカレーターがDNA被覆チタン酸化物の表面に吸着されたことを示している。よって、本発明のDNA被覆チタン酸化物は、大容量の水溶液中にわずかに溶解しているインターカレーターを選択的に吸着できることが分かる。
【0054】
<実施例3>
DNAをチタン酸化物に被覆する際にDNA水溶液のpHによってどの程度インターカレーターの除去率が変化するかを確認するため、以下の実験を行った。すなわち、DNA被覆チタン酸化物懸濁液の調製に用いるDNA水溶液として、pH2,4,6,8,10,12に各々調整したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてDNA被覆チタン酸化物懸濁液(DNA被覆チタン酸化物20mg/400μl)を調製した。なお、pHの調整にはNaOH溶液、HCl溶液を用いた。
【0055】
異なるpHのDNA水溶液を用いて調製されたDNA被覆チタン酸化物懸濁液にインターカレーター(MB及びEtBr)をそれぞれ0.04mg及び0.02mg混合し、インターカレーター含有懸濁液を得た。
このインターカレーター含有懸濁液を遠心分離処理し、実施例1と同様の方法で上清液の吸光度測定を行った。結果を図5に示す。
【0056】
図5からわかるように、EtBrにおいてDNA水溶液のpHを強酸性又は強アルカリ性に調整してからチタン酸化物に作用させたときの吸光度は、中性域に調整したときと比べて高い。このことから、DNA被覆チタン酸化物懸濁液の調製段階におけるDNA水溶液のpHはDNAの吸着量に影響することが分かる。言い換えれば、DNA自身が最も効率的にインターカレーターを吸着できる環境は、物質によっては強酸性並びに強アルカリ性よりもむしろ中性域である。
【0057】
<実施例4>
本実験では、DNA被覆チタン酸化物からDNAを取り外す手法を検討した。
まず、実施例1と同様の方法で、DNA被覆チタン酸化物懸濁液(DNA被覆チタン酸化物20mg/400μl)を調製した。次いで、得られたDNA被覆チタン酸化物懸濁液に対し、水による洗浄、pH2水溶液(HCl水溶液)による洗浄、熱処理(98℃、約5分)、及びアルカリ水溶液(0.4規定NaOH水溶液;pH=14)による洗浄を、下記表2に示すように組み合わせた処理を施した。なお、洗浄処理は遠心洗浄(遠心分離器;TOMY,MR−150、回転数;12,000rpm)によって行った
各処理後のDNA被覆チタン酸化物懸濁液について、遠心処理(TOMY,MR−150、回転数;12,000rpm)後、上清液を抽出してDNAに特有の吸光度(260nm、280nm)を測定し、DNA被覆チタン酸化物から溶出するDNA量を算出した。
結果を表2に示す。なお、初期DNA添加量は500μgであり、各処理後のDNA量はDNA62.5μg/mlにおける吸光度=1.4058を基準に算出した。
【0058】
【表2】

【0059】
上記表2に示す結果から分かるように、合計2回の洗浄処理とpH2水溶液処理では、吸着されたDNAはあまり外れない。pH2水溶液と熱処理の組み合わせでは1回につき吸着されたDNA量の約3〜6%を回収することができた。0.4規定NaOHと熱処理との組み合わせでは、チタン酸化物に吸着したDNAを極めて効率よく回収することができた。これらのことから、本発明のDNA被覆チタン酸化物は、一旦被覆したDNAを簡単に回収でき、また新しいDNAを被覆できるという利点を有することが分かる。
【0060】
<実施例5>
本実験では、初期のDNA添加量を変化させ、チタン酸化物にDNAがどの程度吸着されるかを比較検討した。
チタン酸化物20mgに対して、添加するDNA量を100〜500μgの範囲で変化させ、実施例1と同様の方法でDNA被覆チタン酸化物懸濁液を得た。得られたDNA被覆チタン酸化物懸濁液にアルカリ水溶液(0.4規定NaOH)による洗浄及び熱処理(98℃、10分)を施し、被覆されたDNAをチタン酸化物から分離除去した。除去後、懸濁液を遠心分離し、上清液の吸光度を測定した。測定は波長260、280nmで行った。結果を図6に示す。図6は、初期のDNA添加量に対し、実際のチタン酸化物への吸着量を百分率で表したものである。
【0061】
図6から分かるように、添加したDNAのうち、ほぼ全量がチタン酸化物に吸着されたのはDNA添加量が100〜200μgのときであった。DNAを300〜500μg添加した場合は、初期段階で、およそ50〜220μgのDNAがチタン酸化物に吸着されずに上清液に残っていることが明らかとなった。よって、チタン酸化物に被覆されるDNA量は、初期のDNA添加量に依存する傾向にあることがわかった。
【0062】
<実施例6>
本実験では、本発明のDNA被覆チタン酸化物が、紫外線照射時に吸着したインターカレーターをどの程度分解できるか、すなわち光触媒としてのチタン酸化物がDNAを被覆した状態でも光触媒活性を有するかどうかを確認した。
まず、実施例1と同様の方法で、DNA被覆チタン酸化物懸濁液(DNA被覆チタン酸化物20mg/400μl)を調製した。
【0063】
得られたDNA被覆チタン酸化物懸濁液(DNA被覆チタン酸化物;20mg)にインターカレーターとしてメチレンブルー(MB)0.04mgを混合し、これに対して紫外線(UVA)を一定時間(0〜20分)照射した。その後、前記懸濁液を遠心分離して上清液を除去し、pH2水溶液(HCl溶液)120μlを加えて吸着したインターカレーターをDNAから分離させた。そして更に遠心分離(遠心分離器;TOMY,MR−150、回転数;12,000rpm)を行い、上清液の吸光度(MBに特有の波長(664nm)での吸光度)を測定して上清液中の未分解MB濃度を測定した。
また、比較のためにDNAを被覆していないチタン酸化物を用いた場合とインターカレーター単体に対しても、同様に紫外線を照射してその分解度を確認した。結果を図7に示す。なお、図7のグラフにおける縦軸の「Degradation Ratio」は、添加したMB量に対する未分解MB量の割合を表しており、この数値が高いほど分解率が低い。
【0064】
図7によれば、インターカレーター単体での分解度は紫外線を照射しても変化しない。このことから、紫外線照射だけではインターカレーターは分解されないことが分かる。一方、DNA被覆チタン酸化物と未処理のチタン酸化物を比較すると、初期の分解速度は未処理のチタン酸化物の方が速いが、最終的にはDNA被覆チタン酸化物でも未処理品と同等の分解度を得ることができた。よって、DNA被覆チタン酸化物でも十分にインターカレーターを分解する能力があることが分かる。
【0065】
<実施例7>
本実験では、本発明のDNA被覆チタン酸化物の蛋白質吸着阻害作用を確認した。まず、実施例1と同様の方法で、DNA被覆チタン酸化物懸濁液(DNA被覆チタン酸化物20mg/400μl)を調製した。
【0066】
得られたDNA被覆チタン酸化物懸濁液(DNA被覆チタン酸化物;20mg)とBSA(Bovine Serum Albumin;ウシ血清アルブミン)溶液1ml(5mgBSA/ml)を混合し、遠心分離(遠心分離器;TOMY,MR−150、回転数;12,000rpm)を行った。上清液に残ったBSAを、蛋白質定量キット(Bio-rad)を用いて定量した。
また、比較のためにDNAを被覆していないチタン酸化物を用いた場合に対しても、同様に行って、上清液に残ったBSAを定量した。結果を図8に示す。
【0067】
図8によれば、未処理のチタン酸化物のみではすべてのBSAがチタン酸化物に吸着するので上清液のBSA濃度はゼロであるが、DNA被覆チタン酸化物を用いた場合はBSAのチタン酸化物への吸着が阻害されることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のDNA被覆無機基材は、従来の光触媒等の金属酸化物と同様に紫外線による物質の分解能や光触媒活性を有するだけでなく、従来の金属酸化物とは異なり、DNA被覆層のインターカレーション、アダクト、クロスリンク等による捕捉能によって該金属酸化物自身が環境化学物質を吸着することができるため、格段に効率よく物質を捕捉・分解することができる高機能材料である。さらに、DNA被覆層が防汚作用を有するため、従来の金属酸化物より分解能や光触媒活性の効率が向上する。
このような高機能を備えた本発明のDNA被覆無機基材からなる有害物質除去材は、例えば多量の水溶液中にわずかに存在するインターカレーター(有害物質)を選択的に吸着・回収することが可能であり、実用的な環境汚染物質の吸着分解処理材として、その機能を十分に発揮できると考えられる。
また、本発明のDNA被覆無機基材は細胞に取り込まれにくいという利点を有する。よって、人体に安全なナノ金属粒子を調製することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明のDNA被覆無機基材を模式的に表した概念図である。
【図2】実施例1におけるDNA量とインターカレーター(MB)の捕捉量との関係を示すグラフである。
【図3】実施例1におけるDNA量とインターカレーター(EtBr)除去率との関係を表すグラフである。
【図4】実施例2における大量の水溶液中のインターカレーター除去率を示すグラフである。
【図5】実施例3におけるDNA水溶液のpHとインターカレーター除去率との関係を示すグラフである。
【図6】実施例5における初期DNA添加量とチタン酸化物へ被覆されるDNA量との関係を示すグラフである。
【図7】実施例6における紫外線照射時間とインターカレーター分解度との関係を示すグラフである。
【図8】実施例7におけるDNA被覆チタン酸化物の蛋白質吸着阻害作用を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機基材の表面にDNAが被覆されていることを特徴とする、DNA被覆無機基材。
【請求項2】
前記無機基材が金属又は金属酸化物である、請求項1記載のDNA被覆無機基材。
【請求項3】
前記金属酸化物が酸化チタンである、請求項2記載のDNA被覆無機基材。
【請求項4】
前記金属酸化物が光触媒である、請求項2記載のDNA被覆無機基材。
【請求項5】
請求項1記載のDNA被覆無機基材を製造する方法であって、DNAと無機基材とを溶媒中で接触させる工程を含むことを特徴とする、DNA被覆無機基材の製造方法。
【請求項6】
前記溶媒が水であることを特徴とする、請求項5記載のDNA被覆無機基材の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載のDNA被覆無機基材を含むことを特徴とする、有害物質除去材。
【請求項8】
生体内への吸収性を低下させた無機材料であって、請求項1記載のDNA被覆無機基材からなることを特徴とする、生体低吸収性無機材料。
【請求項9】
請求項8記載の生体低吸収性無機材料を製造する方法であって、DNAと無機材料とを溶媒中で接触させることにより無機材料をDNAで被覆する工程を含むことを特徴とする、生体低吸収性無機材料の製造方法。
【請求項10】
前記無機材料が平均粒径1nm〜1000μmの微粒子である、請求項9記載の生体低吸収性無機材料の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−200594(P2008−200594A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38707(P2007−38707)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(802000020)財団法人浜松科学技術研究振興会 (63)
【Fターム(参考)】