説明

DNA解析用デバイス、DNA解析装置

【課題】マイクロアレイを用いたDNA解析における解析能力を向上させることが可能なDNA解析用デバイスを提供する。
【解決手段】DNA解析を行うためのDNA解析用デバイス1は、同一面上に配列された多数の画素部100aを有する撮像素子100と、撮像素子100の光入射側の表面に配列されて固定されたマイクロアレイとを備え、多数の画素部100aの各々が、シリコン基板5上に積層されたR光を検出するフォトダイオードAと、G光を検出する有機光電変換素子Bとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DNA解析を行うためのDNA解析用デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野、農業分野等の幅広い分野で生物の遺伝子情報が利用されるようになってきているが、遺伝子の利用に際しては、DNA解析が不可欠である。ここで、DNAは螺旋状によじれあった二本のポリヌクレオチド鎖を有し、それぞれのポリヌクレオチド鎖は4種の塩基(アデニン:A、グアニン:G、シトシン:C、チミン:T)が一次元的に並んだヌクレオチド配列を有し、アデニンとチミン、グアニンとシトシンという相補性に基づいて一方のポリヌクレオチド鎖の塩基が他方のポリヌクレオチド鎖の塩基に結合している。
【0003】
従来、DNA解析を行うためにマイクロアレイが用いられている。マイクロアレイはハイブリダイゼーションという方法を利用して遺伝子の量的、質的変化を捉えるために用いられるものである。一般的には蛍光標識した核酸を用いて、マイクロアレイ上でハイブリダイゼーションを行い、その蛍光強度をスキャナーや固体撮像素子等のセンサで検出し、その蛍光強度から遺伝子変化を判定する。ハイブリダイゼーションを用いる方法以外のもう1つの方法に二本鎖DNAのみに結合しその量に依存して光を出す蛍光化合物を用いるインターカレーターを用いる方法もある。
【0004】
セントラルドグマによれば、DNAに保持された生物の遺伝暗号が読まれてRNAに伝えられ、タンパク質が合成される。タンパク質は生物の基本単位であり、その機能単位の根源となる。DNAは遺伝情報の要となる物質であり、塩基と呼ばれるユニットが正確にA−TまたはG−Cの水素結合を形成することにより二重らせん構造を形成する。ハイブリダイゼーションとは二本鎖であるDNAが再会合する反応のことをいう。この反応を利用してサンプル中に含まれるDNAを配列特異的に定性、定量解析することが可能である。
【0005】
マイクロアレイにはRNAの量を測定する発現解析用、DNA一塩基変異(SNPs)検出用、タンパク解析用、そしてCGH(Comparative genomic hybridization)と呼ばれるDNA中の遺伝子欠損,増幅の検出用がある。マイクロアレイ化により変動・変異する遺伝子の染色体位置はもとより、遺伝子名まで特定可能であり、遺伝子の機能解析、癌の進行度の判定、癌の分類による投与前有効薬剤の選定、変異源性試験等の創薬への利用、現行の核型解析の代替、遺伝子の診断、病気の原因遺伝子の探索、転写因子解析、エピジェネティクス解析等への利用が考えられている。
【0006】
マイクロアレイは、スライドガラス板やメンブレンフィルタなどの担体表面上の異なる位置に、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他の蛋白質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成などが既知の特異的結合物質(以下、DNA断片という)を多数配列して固定したものである。DNA断片はピンスポット法、フォトリソグラフィ法又はインクジェット法等により1mmから1μmの大きさのスポットで平板上に並べられる。50000種以上の種類のDNA断片を一枚の平板上に並べることも可能である。これらのDNA断片は、例えば、データベースを利用しある遺伝子特異的に検出するユニークな配列を選択し、平板上でフォトリソグラフィ法を利用した固層合成を行う、あるいはcDNAやゲノムDNAを含む核酸を抽出後、PCR増幅することにより得ることができる。
【0007】
次に、マイクロアレイを用いてDNA解析を行う方法について説明する。
まず、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他の蛋白質、核酸、cDNA、DNA、mRNAなど、抽出、単離などによって生体から採取され、あるいは、化学的、化学修飾などの処理が施された生体由来の物質であって、解析対象なる生体由来の物質であるサンプルDNA(以下、正常DNAという)を、緑色(G)の蛍光を発する蛍光物質であるCy3(最大励起波長が約532nm、最大蛍光波長が約570nm)で標識し、癌に侵されている異常な生体由来の物質であるサンプルDNA(以下、被検検体DNAという)を、赤色(R)の蛍光を発する蛍光物質であるCy5(最大励起波長が約635nm、最大蛍光波長が約670nm)で標識する。
【0008】
次に、正常DNAと被検検体DNAを等量混合し、ハイブリダイゼーションを行って、マイクロアレイを構成する各DNA断片と等量混合したサンプルDNAを結合させる。ハイブリダイゼーションを行って得られたマイクロアレイに、Cy3を励起する光を照射して、Cy3から発せられた蛍光をフォトダイオード等によって検出する。次に、マイクロアレイにCy5を励起する光を照射して、Cy5から発せられた蛍光をフォトダイオード等によって検出する。Cy3やCy5を励起するための光源としては、緑色SHG固体レーザや赤色半導体レーザが用いられる。
【0009】
例えば、図8に示すように、1つのDNA断片Mから発せられる蛍光を、上面にR又はGの波長域の光を透過するカラーフィルタCFが設けられた9つのフォトダイオードPDで検出する。図8の例では、1つのDNA断片Mから、Rの蛍光に応じた5つのR信号と、Gの蛍光に応じた4つのG信号が検出される。そして、例えば、5つのR信号の平均値を、DNA断片Mから検出されたR信号の代表値とし、4つのG信号の平均値を、DNA断片Mから検出されたG信号の代表値とする。
【0010】
そして、各DNA断片から得られた蛍光の信号の代表値から蛍光強度をデータ解析し、クラスタリングを行う。1つのDNA断片から検出された蛍光は、正常DNAが正常に比べて癌で遺伝子が増幅している場合にはRの蛍光強度が強く、癌で遺伝子が減少あるいは欠失している場合にはGの蛍光強度が強くなる。各DNA断片から発せされたRとGの蛍光強度の比を解析することにより、癌のRNAまたはゲノムDNA変化を捉え、変化した遺伝子が何かという情報を得ることができる。これにより適切な治療をサポートすることが可能である。
【0011】
このように、マイクロアレイを用いたDNA解析では、マイクロアレイと、マイクロアレイに光を照射する光源と、マイクロアレイから発せられた蛍光を検出するセンサと、光源から出射された光を平行光化してマイクロアレイに入射させるための光学系とが必要となる。マイクロアレイと蛍光を検出するためのセンサは別々のものであるため、マイクロアレイとセンサの構成に合わせて光学系を設計する必要があり、センサを変更したい場合やマイクロアレイを変更したい場合等には、その都度、光学系を別のものにする必要がある。このように、マイクロアレイとセンサとが別体になっていると、光学系が複雑になったり、装置コストがかかったりしてしまう。しかしながら、マイクロアレイを用いたDNA解析では、特定の疾患や検査に向け、より簡便、迅速、安価なシステムが要求されている。
【0012】
そこで、従来、DNA解析用デバイスとして、同一面上に配列された多数の光電変換素子を有する撮像素子の表面にマイクロアレイを一体的に設けて、光学系を省略可能にしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0013】
【特許文献1】特開2004−205335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1に開示されているデバイスは、マイクロアレイから発せられる光のうち、1色の光しか検出できないため、上述したようなCy3とCy5を用いたDNA解析には適用できない。Cy3とCy5を用いたDNA解析に適用するには、図8に示したように、フォトダイオードPDの上面にRの波長域の光(波長が約600nm〜約660nmの光、以下R光という)又はGの波長域の光(波長が約500nm〜約560nmの光、以下G光という)を透過するカラーフィルタを設け、1つのDNA断片に対して少なくともR光とG光を検出する2つの光電変換素子を対応させておく必要がある。
【0015】
しかし、図8のような構成にした場合、1つのDNA断片から発せられるRの蛍光を受光する面積と、Gの蛍光を受光する面積とが狭くなってしまい、蛍光の検出感度を高くできない。マイクロアレイから発せられる蛍光は、もともと強度が弱く、検出しづらいことから、蛍光の検出感度を高くすることが望まれる。又、Gのカラーフィルタに入射するRの蛍光は、このカラーフィルタでカットされてしまうため、この部分に入射したRの蛍光の強度を考慮することはできず、検出精度が低下する。同様に、Rのカラーフィルタに入射するGの蛍光は、このカラーフィルタでカットされてしまうため、この部分に入射したGの蛍光の強度を考慮することはできず、検出精度が低下する。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、マイクロアレイを用いたDNA解析における解析能力を向上させることが可能なDNA解析用デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1) DNA解析を行うためのDNA解析用デバイスであって、同一面上に配列された多数の画素部を有する撮像素子と、前記撮像素子の光入射側の表面に配列されて固定されたマイクロアレイとを備え、前記多数の画素部の各々が、半導体基板上に積層されたそれぞれ異なる波長域の光を検出してそれに応じた電荷を発生する複数種類の光電変換部を含み、前記複数種類の光電変換部が、同一被写体からの光を受光可能に積層され、前記複数種類の光電変換部の各々は、当該光電変換部で検出する波長域の光に感度のある同一面上に配列された少なくとも1つの光電変換素子で構成されるDNA解析用デバイス。
【0018】
(2)(1)記載のDNA解析用デバイスであって、前記マイクロアレイを構成する多数のDNA断片の各々と、前記多数の画素部の各々とが1対1に対応しているDNA解析用デバイス。
【0019】
(3)(1)又は(2)記載のDNA解析用デバイスであって、前記複数種類の光電変換部が、それぞれ1つの光電変換素子で構成されるDNA解析用デバイス。
【0020】
(4)(1)〜(3)のいずれか1項記載のDNA解析用デバイスであって、前記画素部に含まれる前記複数種類の光電変換部が、一対の電極と前記一対の電極間に挟まれた有機光電変換層とを含む有機の光電変換素子で構成される少なくとも1つの有機の光電変換部と、前記半導体基板内に形成された無機の光電変換素子で構成される少なくとも1つの無機の光電変換部とを含むDNA解析用デバイス。
【0021】
(5)(4)記載のDNA解析用デバイスであって、前記撮像素子が、前記有機の光電変換素子の上方にALCVD法によって形成された前記有機の光電変換素子を保護するための保護層を備えるDNA解析用デバイス。
【0022】
(6)(5)記載のDNA解析用デバイスであって、前記保護層が、無機材料からなるDNA解析用デバイス。
【0023】
(7)(5)記載のDNA解析用デバイスであって、前記保護層が、無機材料からなる無機層と、有機ポリマーからなる有機層との2層構造であるDNA解析用デバイス。
【0024】
(8)(4)〜(7)のいずれか1項記載のDNA解析用デバイスであって、前記複数種類の光電変換部が、前記有機の光電変換部と前記無機の光電変換部の2つであるDNA解析用デバイス。
【0025】
(9)(8)記載のDNA解析用デバイスであって、前記有機の光電変換素子が、赤色又は緑色の波長域の光に感度を有し、前記無機の光電変換素子が、緑色又は赤色の波長域の光に感度を有するDNA解析用デバイス。
【0026】
(10)(9)記載のDNA解析用デバイスであって、前記有機の光電変換素子が、緑色の波長域の光に感度を有し、前記無機の光電変換素子が、赤色の波長域の光に感度を有するDNA解析用デバイス。
【0027】
(11)(1)〜(7)のいずれか1項記載のDNA解析用デバイスであって、前記DNA解析時において、前記マイクロアレイを構成する多数のDNA断片の各々は、励起光によって励起して前記複数種類の光電変換部の各々で検出可能な波長域の蛍光をそれぞれ発する複数種類の蛍光物質、の各々によって標識された複数のサンプルDNAが結合されるものであり、前記複数種類の蛍光物質の各々を励起するための励起光が、当該蛍光物質から発せられる蛍光を検出可能な前記光電変換部に入射するのを防止する励起光入射防止手段を備えるDNA解析用デバイス。
【0028】
(12)(8)〜(10)のいずれか1項記載のDNA解析用デバイスであって、前記DNA解析時において、前記マイクロアレイを構成する多数のDNA断片の各々は、励起光によって励起して前記有機の光電変換部及び前記無機の光電変換部の各々で検出可能な波長域の蛍光をそれぞれ発する2つの蛍光物質、の各々によって標識された2つのサンプルDNAが結合されるものであり、前記2つの蛍光物質の各々を励起するための励起光が、当該蛍光物質から発せられる蛍光を検出可能な前記光電変換部に入射するのを防止する励起光入射防止手段を備えるDNA解析用デバイス。
【0029】
(13)(12)記載のDNA解析用デバイスであって、前記励起光入射防止手段が、第1の励起光カットフィルタと第2の励起光カットフィルタにより構成され、前記第1の励起光カットフィルタは、前記無機の光電変換部と前記有機の光電変換部との間に設けられて、前記無機の光電変換部で検出可能な波長域の蛍光を発する前記蛍光物質を励起するための励起光の透過を防止し、前記第2の励起光カットフィルタは、前記有機の光電変換部の上方に設けられて、前記有機の光電変換部で検出可能な波長域の蛍光を発する前記蛍光物質を励起するための励起光の透過を防止するDNA解析用デバイス。
【0030】
(14)(1)〜(13)のいずれか1項記載のDNA解析用デバイスであって、前記複数種類の光電変換部の各々で発生した電荷に応じた信号をCCD又はCMOS回路によって読み出す信号読み出し部を備えるDNA解析用デバイス。
【0031】
(15)(14)記載のDNA解析用デバイスであって、前記信号読み出し部がCMOS回路によって前記信号を読み出すものであり、前記複数種類の光電変換部で前記CMOS回路の一部が共通化されているDNA解析用デバイス。
【0032】
(16)(1)〜(15)のいずれか1項記載のDNA解析用デバイスであって、前記マイクロアレイが、ハイブリダイゼーションによってDNA解析を行うためのものであるDNA解析用デバイス。
【0033】
(17)(1)〜(16)のいずれか1項記載のDNA解析用デバイスと、前記マイクロアレイが形成された前記撮像素子の表面に対して斜めから光を出射する光出射手段とを備えるDNA解析装置。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、マイクロアレイを用いたDNA解析における解析能力を向上させることが可能なDNA解析用デバイスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0036】
図1は、本発明の実施形態を説明するためのマイクロアレイを用いたDNA解析システムの概略構成を示す図である。本実施形態で説明するマイクロアレイを構成するDNA断片は、DNA解析時において、Cy3によって標識された正常DNAとCy5によって標識された被検検体DNAを等量混合したものが、ハイブリダイゼーションによって結合されるものである。特定の遺伝子を検出するために、マイクロアレイを構成するDNA断片は、ヒト遺伝子データベースから選択した50分子程度からなるオリゴ配列等が使用される。DNA断片の数は、解析する遺伝子の情報量によるが、100個程度から1000000個程度が良く用いられる。
【0037】
図1に示すDNA解析システムは、撮像素子とマイクロアレイとが一体化されたDNA解析用デバイス1と、DNA解析用デバイス1に光を照射するための光照射手段として機能する光源2と、光源2とDNA解析用デバイス1の動作制御を行うと共に、DNA解析用デバイス1から得られた信号に基づいて、DNA解析を行うDNA解析装置3とを備える。
【0038】
光源2は、Cy3の最大励起波長である約532nmの励起光を出射する緑色SHGレーザと、Cy5の最大励起波長である約635nmの励起光を出射する赤色半導体レーザとを内蔵し、DNA解析装置3からの制御により、いずれかのレーザを起動させて、励起光を出射する。光源2の光出射面の前には図示しないコリメートレンズが設けられ、出射光が平行光化されてDNA解析デバイス1の表面に入射させる。光源2は、DNA解析デバイス1の表面に対して斜め方向から励起光を入射するように配置されている。
【0039】
図2は、図1に示すDNA解析用デバイス1の表面模式図である。図3は、図2に示すX−X線の断面模式図である。
DNA解析用デバイス1は、半導体基板であるn型シリコン基板5上の行方向とこれに直交する列方向に配列された多数の画素部100aを備える撮像素子100と、撮像素子100の光入射側の表面に配列されて固定された多数のDNA断片200からなるマイクロアレイとを備える。マイクロアレイを構成する多数のDNA断片200の各々と、多数の画素部100aの各々とは1対1に対応している。
【0040】
画素部100aは、R光を検出してそれに応じた電荷を発生する(R光に感度のある)無機の光電変換素子から構成される無機の光電変換部(以下、無機光電変換部という)と、G光を検出してそれに応じた電荷を発生する(G光に感度のある)有機の光電変換素子から構成される有機の光電変換部(以下、有機光電変換部という)とを含み、有機光電変換部と無機光電変換部はn型シリコン基板5上に積層されている。
【0041】
図3に示すように、端子25が設けられたボード4上にはn型シリコン基板5が形成され、その上にpウェル層6が形成されている。pウェル層6の表面部にはn型不純物領域7(以下、n領域7という)が多数の画素部100a毎に形成され、pウェル層6とn領域7とのpn接合によって無機の光電変換素子であるフォトダイオードAが構成される。このフォトダイオードAは、R光に感度を有するように、n領域7の深さが設計されている。この1つのフォトダイオードAが、画素部100aに含まれる無機光電変換部を構成している。
【0042】
pウェル層6上にはゲート絶縁層9が形成され、この上には酸化シリコン等の入射光に対して透明な絶縁層10が形成されている。絶縁層10上には、Cy5の最大励起波長の光の透過を防止し且つCy5の最大蛍光波長の光を透過させることのできるR励起光カットフィルタ11が形成されている。R励起光カットフィルタ11の材料としては例えば顔料系もしくは染料系の材料をメタクリレ−ト系のバインダ−中に分散したものが好ましく用いられる。キノフタロン系,ピリドンアゾ系,フタロシアニン系材料が好ましく用いられる。を用いることができる。R励起光カットフィルタ11の特性としては、Cy5の最大蛍光波長の光の透過率が、Cy5の最大励起波長の光の透過率の1000倍以上であることが好ましく、10000倍以上がより好ましく、100000倍以上が更に好ましい。
【0043】
R励起光カットフィルタ11上には、酸化シリコン等の入射光に対して透明な絶縁層12が形成されている。n領域7上方の絶縁層12上には、画素部100a毎に分離されたITO等からなる入射光に対して透明な画素電極13が形成され、画素電極13上には有機材料からなる光電変換層14が形成されている。光電変換層14上には全ての画素部100aで共通の一枚構成のITO等からなる入射光に対して透明な対向電極15が形成され、対向電極15上には入射光に対して透明な絶縁材料等からなる保護層16が形成されている。
【0044】
画素電極13と、対向電極15と、これらの電極に挟まれる光電変換層14とによって、有機の光電変換素子(以下、有機光電変換素子Bという)が構成される。この1つの有機光電変換素子Bが、画素部100aに含まれる有機光電変換部を構成している。光電変換層14は、G光に感度を有するものを用いることができ、このような特性を持つ材料としてはキナクリドンが挙げられる。
【0045】
DNA解析用デバイス1は、ハイブリダイゼーションする際に加熱されるが、有機の光電変換層14は、熱に弱い。このため、ハイブリダイゼーションによって有機光電変換素子Bの特性が劣化し、正確な蛍光の検出ができなくなる可能性がある。保護層16は、このような事態を防ぐために設けられている。保護層16は、ALCVD法によって形成した無機材料からなる無機層であることが好ましい。ALCVD法は原子層CVD法であり緻密な無機層を形成することが可能で、有機光電変換素子Bの有効な保護層となり得る。ALCVD法はALE法もしくはALD法としても知られている。ALCVD法により形成した無機層は、好ましくはAl、SiO,TiO,ZrO,MgO,HfO,Taからなり、より好ましくはAl、SiOからなり、最も好ましくはAlからなる。
【0046】
又、有機光電変換素子Bの保護性能をより向上させるために、保護層16を上述した無機層と有機ポリマーからなる有機層との2層構造にすることが好ましい。有機ポリマーとしてはパリレンが好ましく、パリレンCがより好ましい。この場合、特に保護効果が高いのは、無機層と有機層をこの順に積層した場合である。
【0047】
保護層16上には、酸化シリコン等の入射光に対して透明な絶縁層17が形成されている。絶縁層17上には、Cy3の最大励起波長の光の透過を防止し且つCy3の最大蛍光波長の光を透過させることのできるG励起光カットフィルタ18が形成されている。G励起光カットフィルタ18の材料としては、例えば顔料系もしくは染料系の材料をメタクリレ−ト系のバインダ−中に分散したものが好ましく用いられる。ピラゾロトリアゾ−ル系,アザフタロシアニン系,フタロシアニン系材料が好ましく用いられる。G励起光カットフィルタ18の特性としては、Cy3の最大蛍光波長の光の透過率が、Cy3の最大励起波長の光の透過率の1000倍以上であることが好ましく、10000倍以上がより好ましく、100000倍以上が更に好ましい。
【0048】
G励起光カットフィルタ18上には、入射光に対して透明な保護層19が形成されている。n領域7上方の保護層19上には、画素部100aに対応するDNA断片200が形成されている。DNA断片200は、ピンスポット法、インクジェット法、フォトリソグラフィ法等により形成することができる。
【0049】
保護層19は、酸化シリコンや窒化シリコンを主成分とする層でも他の有機ポリマー層でも良い。マイクロアレイとの接着、密着を良くするために適当な下地処理がなされていることが好ましい。またマイクロアレイからの蛍光を効率良く有機光電変換素子BやフォトダイオードAに導くために、誘電体層を重ねることによる反射防止処理がなされていても良い。
【0050】
画素部100aに含まれるフォトダイオードAと有機光電変換素子Bは、それぞれ、その画素部100aに対応するDNA断片200から発せられる蛍光を同一位置で検出できるように、その位置やサイズ(開口率)が決められている。ある画素部100aに対応するDNA断片200から発した蛍光が、隣の画素部100a内のフォトダイオードAや有機光電変換素子Bで検出されないように、各DNA断片200の大きさと、各DNA断片200間の距離と、各DNA断片200からフォトダイオードAまでの距離(n領域7の表面までの距離と同義)とが適宜調整されている。好ましくは、各DNA断片200間の距離は10μm以上であり、各DNA断片200からフォトダイオードAまでの距離は10μm以下である。
【0051】
pウェル層6内には、画素部100aに対応して設けられ、画素部100aに含まれる無機光電変換部と有機光電変換部の各々で発生した電荷に応じた信号を読み出す信号読み出し部8が形成されている。
【0052】
図4は、図3に示す信号読み出し部8の具体的な構成例を示す図である。図4において図3と同様の構成には同一符号を付してある。
信号読み出し部8は、pウェル層6内に形成されたn型不純物領域によって構成され、光電変換層14で発生した電荷を蓄積する蓄積ダイオード44と、ドレインが蓄積ダイオード44に接続され、ソースが電源Vnに接続されたリセットトランジスタ43と、ゲートがリセットトランジスタ43のドレインに接続され、ソースが電源Vccに接続された出力トランジスタ42と、ソースが出力トランジスタ42のドレインに接続され、ドレインが信号出力線45に接続された行選択トランジスタ41と、ドレインがn領域7に接続され、ソースが電源Vnに接続されたリセットトランジスタ46と、ゲートがリセットトランジスタ46のドレインに接続され、ソースが電源Vccに接続された出力トランジスタ47と、ソースが出力トランジスタ47のドレインに接続され、ドレインが信号出力線49に接続された行選択トランジスタ48とを備える。
【0053】
蓄積ダイオード44は、ゲート絶縁層9、絶縁層10、R励起光カットフィルタ11、及び絶縁層12内に埋め込まれたアルミニウム等の金属からなるコンタクト部(図示せず)によって画素電極13と電気的に接続されている。
【0054】
画素電極13と対向電極15間にバイアス電圧を印加することで、光電変換層14で発生した電荷が画素電極13を介して蓄積ダイオード44へと移動する。蓄積ダイオード44に蓄積された電荷は、出力トランジスタ42でその電荷量に応じた信号に変換される。そして、行選択トランジスタ41をONにすることで信号出力線45に信号が出力される。信号出力後は、リセットトランジスタ43によって蓄積ダイオード44内の電荷がリセットされる。
【0055】
n領域7で発生してここに蓄積された電荷は、出力トランジスタ47でその電荷量に応じた信号に変換される。そして、行選択トランジスタ48をONにすることで信号出力線49に信号が出力される。信号出力後は、リセットトランジスタ46によってn領域7内の電荷がリセットされる。
【0056】
このように、信号読み出し部8は、3トランジスタからなる公知のCMOS回路で構成することができる。尚、n領域7に蓄積された電荷に応じた信号を読み出すMOS回路(トランジスタ46,47,48)を、蓄積ダイオード44に蓄積された電荷に応じた信号を読み出すMOS回路(トランジスタ41,42,43)と兼用することも可能である。このようにすることで、回路面積を縮小することができる。例えば、蓄積ダイオード44とn領域7のそれぞれにMOSトランジスタのソースを接続し、このMOSトランジスタのドレインを、トランジスタ42のゲートに接続する構成とすれば良い。そして、蓄積ダイオード44とn領域7のそれぞれに接続されたMOSトランジスタのゲート電圧を制御して、蓄積ダイオード44とn領域7のどちらから信号を読み出すのかを選択し、選択した順に、トランジスタ41,42,43を介して信号を読み出せば良い。
【0057】
尚、信号読み出し部8は、CCDで構成することも可能である。この場合は、蓄積ダイオード44及びn領域7に蓄積された電荷を、pウェル層6内に形成した電荷転送チャネルに読み出して転送し、最後に信号に変換して出力させれば良い。
【0058】
絶縁層12上の光電変換層14が形成されていない領域には電極パッド22が形成され、この電極パッド22と、対向電極15及び信号読み出し部8の各々とが配線20,21によって接続されている。電極パッド22上の保護層16、絶縁層17、G励起光カットフィルタ18、及び保護層19には開口が形成され、この開口を介してボード4に設けられた端子25と電極パッド22とが配線24によって接続されている。配線24は、モールド樹脂23によって覆われている。
【0059】
対向電極15に印加するバイアス電圧、信号読み出し部8を駆動するための駆動信号等を端子25から配線24及び配線20,21を介して供給することができるようになっている。又、信号読み出し部8から読み出された信号も、配線24及び配線20を介して端子25から出力されるようになっている。
【0060】
DNA解析用デバイス1では、有機光電変換素子Bの検出感度と、フォトダイオードAの検出感度とが同じになるように、有機光電変換素子B、フォトダイオードA、及び信号読み出し部8が適宜設計されている。検出感度とは、所定光量の光を光電変換素子に入射したときに、その光電変換素子から外部に出力される信号量を求めたときの、所定光量と信号量との比のことを言う。
【0061】
次に、このように構成されたDNA解析装置を用いてDNA解析を行う方法について説明する。
【0062】
まず、マイクロアレイのDNA断片200を1本鎖にするために、DNA解析用デバイス1を熱水で処理した後、乾燥する。次に、被検体から得られた正常DNAをCy3で標識し、被検検体DNAをCy5で標識する。次に、正常DNAと被検検体DNAをそれぞれ等量混合し、混合して得られたサンプルDNAを各DNA断片200に滴下し、ハイブリダイゼーションを行って、マイクロアレイを構成する各DNA断片200と等量混合したサンプルDNAとを結合させる。ここまでの処理において、DNA解析用デバイス1は、水や熱に曝されることになるが、保護層16や保護層19の機能により、有機光電変換素子Bの性能劣化は抑制される。
【0063】
次に、ハイブリダイゼーションを行って得られた各DNA断片200に、光源2からCy5を励起する光を照射して、DNA断片200から発せられたRの蛍光を、そのDNA断片200に対応する画素部100a内のフォトダイオードAで検出する。次に、ハイブリダイゼーションを行って得られた各DNA断片200に、光源2からCy3を励起する光を照射して、DNA断片200から発せられたGの蛍光を、そのDNA断片200に対応する画素部100a内の有機光電変換素子Bで検出する。
【0064】
画素部100a内の有機光電変換素子B及びフォトダイオードAで発生した電荷は信号読み出し部8によって信号に変換されて、DNA解析用デバイス1から出力される。そして、DNA解析装置3が、各DNA断片200から発せされたRとGの蛍光強度の比を解析することにより、癌のRNAまたはゲノムDNA変化を捉え、変化した遺伝子が何かという情報を得ることができる。
【0065】
このように、DNA解析用デバイス1によれば、1つのDNA断片200から発せられたRとGの蛍光を、積層された有機光電変換素子BとフォトダイオードAとによって同一位置で検出することができる。このため、1つのDNA断片200から発せられたRとGの蛍光を同一平面上に配列された少なくとも2つの光電変換素子で検出しなければならない図8に示したような従来構成に比べて、有機光電変換素子BとフォトダイオードAの開口率を大きくとることができ、蛍光の検出感度を向上させることができる。
【0066】
又、1つのDNA断片200から発せられたRとGの蛍光を同一位置で検出できるため、図8に示す従来構成にあるような、Gの蛍光を検出する光電変換素子に入射してくるRの蛍光の情報や、Rの蛍光を検出する光電変換素子に入射してくるGの蛍光の情報が考慮できないといった問題を無くすことができ、蛍光の検出精度を向上させることができる。
【0067】
又、DNA解析用デバイス1によれば、G励起光カットフィルタ18とR励起光カットフィルタ11を設けることで、有機光電変換素子BとフォトダイオードAが、Cy3とCy5の励起光を検出してしまうのを防ぐことができ、蛍光の検出精度を向上させることができる。図8に示したような従来構成においても、RのCF下方の各PDにCy5を励起する励起光が入射しないようにし、GのCF下方の各PDにCy3を励起する励起光が入射しないようにすることで、検出精度を向上させられる。しかし、図8に示した構成の場合は、Cy3の最大励起波長をカットし、且つ、Cy3の最大蛍光波長を透過し、且つ、Cy5の最大励起波長をカットし、且つ、Cy5の最大蛍光波長を透過するという条件を満たすフィルタを各PDとマイクロアレイとの間に設置する必要がある。
【0068】
このようなフィルタは、材料選択や設計等が難しく、コストが高くなるという問題がある。これに対し、DNA解析用デバイス1は、R励起光カットフィルタ11とG励起光カットフィルタ18を、シリコン基板5上に全面に渡って形成するだけで良いため、製造を容易に行うことができ、製造コストを抑えることができる。
【0069】
又、DNA解析用デバイス1によれば、保護層16を設けているため、DNA断片200を1本鎖にするための熱水処理や、ハイブリダイゼーション時の加熱処理を行った場合でも、有機光電変換素子Bの特性劣化を防ぐことができ、信頼性を高めることができる。
【0070】
以上のようにDNA解析用デバイス1について説明したが、DNA解析用デバイス1は、上述した構成に対して各種変更を加えることが可能である。
【0071】
例えば、画素部100aに含まれる無機光電変換部は、同一平面上に並べられた複数のフォトダイオードAで構成されていても良い。図5(a)の例は、2つのフォトダイオードAと、2つのフォトダイオードAの上方に積層された有機光電変換素子Bとを、1つのDNA断片200に対応させた例である。この構成によれば、DNA断片200から発せられたGの蛍光を有機光電変換素子Bで検出し、Rの蛍光を2つのフォトダイオードAで検出することができる。この構成の場合には、例えば、フォトダイオードAの検出感度を有機光電変換素子Bの半分としておき、2つのフォトダイオードAから得られた2つの信号を加算してRの蛍光に応じた信号とし、有機光電変換素子Bから得られたGの蛍光に応じた信号と共に、RとGの蛍光強度の比を求めれば良い。
【0072】
又、画素部100aに含まれる有機光電変換部は、同一平面上に並べられた複数の有機光電変換素子Bで構成されていても良い。図5(b)の例は、1つのフォトダイオードAと、1つのフォトダイオードAの上方に積層された2つの有機光電変換素子Bとを、1つのDNA断片200に対応させた例である。この構成によれば、DNA断片200から発せられたGの蛍光を2つの有機光電変換素子Bで検出し、Rの蛍光を1つのフォトダイオードAで検出することができる。この構成の場合には、例えば、有機光電変換素子Bの検出感度をフォトダイオードAの半分としておき、2つの有機光電変換素子Bから得られた2つの信号を加算してGの蛍光に応じた信号とし、フォトダイオードAから得られたRの蛍光に応じた信号と共に、RとGの蛍光強度の比を求めれば良い。
【0073】
又、画素部100aに含まれる無機光電変換部が、同一平面上に並べられた複数のフォトダイオードAで構成され、画素部100aに含まれる有機光電変換部が、同一平面上に並べられた複数の有機光電変換素子Bで構成されていても良い。図5(c)の例は、2つのフォトダイオードAと、2つのフォトダイオードAの上方に積層された2つの有機光電変換素子Bとを、1つのDNA断片200に対応させた例である。この構成によれば、DNA断片200から発せられたGの蛍光を2つの有機光電変換素子Bで検出し、Rの蛍光を2つのフォトダイオードAで検出することができる。この構成の場合には、例えば、2つの有機光電変換素子Bから得られた2つの信号を加算してGの蛍光に応じた信号とし、2つのフォトダイオードAから得られた2つの信号を加算してRの蛍光に応じた信号として、RとGの蛍光強度の比を求めれば良い。
【0074】
又、画素部100aに含まれる光電変換部を有機光電変換部のみとし、これを2つ以上積層した構成としても良いし、画素部100aに含まれる光電変換部を無機光電変換部のみとし、これを2つ以上積層した構成としても良いし、画素部100aに含まれる光電変換部を有機光電変換部と無機光電変換部とし、これらを合わせて3つ以上積層した構成としても良い。尚、画素部100aに含まれる光電変換部を3つ以上にした場合には、それぞれの光電変換部の上方に、その光電変換部で検出される波長域の蛍光を発する蛍光物質の最大励起波長の透過を防止し、その蛍光物質の最大蛍光波長を透過させることのできるフィルタを設けておくことが好ましい。
【0075】
図6(a)の例は、1つの有機光電変換素子Bで構成される有機光電変換部を2つ積層して、これらを1つのDNA断片200に対応させた例である。この構成の場合は、2つの有機光電変換素子Bのうちの一方をG光に感度を有するものとし、他方をR光に感度を有するものとすれば良い。
【0076】
図6(b)の例は、1つの有機光電変換素子Bで構成される有機光電変換部を3つ積層して、これらを1つのDNA断片200に対応させた例である。この構成の場合は、3つの有機光電変換素子Bの各々で検出する光の波長域を異なるものとすれば良い。この構成によれば、DNA断片200に結合させるサンプルDNAの数を増やすことが可能となる。
【0077】
図6(c)の例は、1つの有機光電変換素子Bで構成される有機光電変換部を、1つのフォトダイオードAで構成される無機光電変換部上方に2つ積層して、無機光電変換部と、2つの有機光電変換部を1つのDNA断片200に対応させた例である。この構成の場合は、2つの有機光電変換素子B及びフォトダイオードAの各々で検出する光の波長域を異なるものとすれば良い。この構成によれば、DNA断片200に結合させるサンプルDNAの数を増やすことが可能となる。
【0078】
又、図3の例では、有機光電変換素子BでG光を検出し、フォトダイオードAでR光を検出するものとしたが、有機光電変換素子BでR光を検出し、フォトダイオードAでG光を検出する構成としても良い。この場合は、G励起光カットフィルタ18とR励起光カットフィルタ11の位置を逆にすれば良い。
【0079】
又、図1の例では、光源2からDNA解析用デバイス1に向けて斜めに光が出射されるものとしたが、これは斜めに限らず、DNA解析用デバイス1の表面に対して垂直方向から光を入射しても構わない。図3に示したように、DNA解析用デバイス1には、G励起光カットフィルタ18とR励起光カットフィルタ11が設けられているため、励起光が光電変換層14やn領域7に入射することはほとんどないが、それでも、若干は入射する可能性がある。そこで、図1に示したように、光源2から斜めに光を入射することで、この可能性をより減らすことができ、検出精度をより向上させることができる。
【0080】
又、図3の例では、励起光カットフィルタを設けているが、蛍光物質が、励起光が入射されてから蛍光を発するまでにある程度の時間がかかるものであれば、励起光カットフィルタを省略することも可能である。
【0081】
又、図3の例では、フォトダイオードAの上方にR励起光カットフィルタ11を設け、有機光電変換素子Bの上方にG励起光カットフィルタ18を設けて、検出精度を向上させているが、Cy3の最大励起波長をカットし、且つ、Cy3の最大蛍光波長を透過し、且つ、Cy5の最大励起波長をカットし、且つ、Cy5の最大蛍光波長を透過するという条件を満たすR,G励起光カットフィルタを用いることでも、検出精度を向上させることが可能である。この場合は、図7に示すように、絶縁層17と保護層19の間にR,G励起光カットフィルタ30を設けた構成とすれば良い。
【0082】
G励起光カットフィルタ18及びR励起光カットフィルタ11と、R,G励起光カットフィルタ30とは、それぞれ特許請求の範囲の励起光入射防止手段として機能する。
【0083】
最後に、有機光電変換素子Bの具体的な構成例について説明する。
(有機光電変換層(有機層)の説明)
有機層は光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、層間接触改良部位等の積み重ねもしくは混合から形成される。有機層は有機p型化合物または有機n型化合物を含有することが好ましい。有機p型半導体(化合物)は、ドナー性有機半導体(化合物)であり、主に正孔輸送性有機化合物に代表され、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物は、電子供与性のある有機化合物でアレイばいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等を用いることができる。なお、これに限らず、上記したように、n型(アクセプター性)化合物として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であればドナー性有機半導体として用いてよい。
【0084】
有機n型半導体(化合物)は、アクセプター性有機半導体(化合物)であり、主に電子輸送性有機化合物に代表され、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する5ないし7員のヘテロ環化合物(例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピラリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピン、トリベンズアゼピン等)、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などが挙げられる。なお、これに限らず、上記したように、ドナー性有機化合物として用いた有機化合物よりも電子親和力の大きな有機化合物であればアクセプター性有機半導体として用いてよい。
【0085】
p型有機色素、又はn型有機色素としては、いかなるものを用いても良いが、好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素(ゼロメチンメロシアニン(シンプルメロシアニン)を含む)、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、インジゴ色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素、縮合芳香族炭素環系色素(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)が挙げられる。
【0086】
次に金属錯体化合物について説明する。金属錯体化合物は金属に配位する少なくとも1つの窒素原子または酸素原子または硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体であり、金属錯体中の金属イオンは特に限定されないが、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、インジウムイオン、または錫イオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、または亜鉛イオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオン、または亜鉛イオンである。前記金属錯体中に含まれる配位子としては種々の公知の配位子が有るが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer-Verlag社 H.Yersin著1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社山本明夫著1982年発行等に記載の配位子が挙げられる。
【0087】
前記配位子として、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数3〜15であり、単座配位子であっても2座以上の配位子であっても良い。好ましくは2座配位子である。例えばピリジン配位子、ビピリジル配位子、キノリノール配位子、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子)などが挙げられる)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロアリールオキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アルキルチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環置換チオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、またはシロキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、トリフェニルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基などが挙げられる)であり、より好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ基、またはシロキシ配位子であり、更に好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、またはシロキシ配位子が挙げられる。
【0088】
本実施形態の有機光電変換素子は、1対の電極間に、p型半導体層とn型半導体層とを有し、該p型半導体とn型半導体の少なくともいずれかが有機半導体であり、かつ、それらの半導体層の間に、該p型半導体およびn型半導体を含むバルクヘテロ接合構造層を中間層として有する光電変換層を含有する場合が好ましい。このような場合、光電変換層において、有機層にバルクへテロ接合構造を含有させることにより有機層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させることができる。なお、バルクへテロ接合構造については、特願2004−080639号において詳細に説明されている。
【0089】
本実施形態の有機光電変換素子は、1対の電極間にp型半導体の層とn型半導体の層で形成されるpn接合層の繰り返し構造(タンデム構造)の数を2以上有する構造を持つ光電変換層を含有する場合が好ましく、さらに好ましくは、前記繰り返し構造の間に、導電材料の薄層を挿入する場合である。pn接合層の繰り返し構造(タンデム構造)の数はいかなる数でもよいが、光電変換効率を高くするために好ましくは2〜50であり、さらに好ましくは2〜30であり、特に好ましくは2または10である。導電材料としては銀または金が好ましく、銀が最も好ましい。なお、タンデム構造については、特願2004−079930号において詳細に説明されている。
【0090】
1対の電極間にp型半導体の層、n型半導体の層、(好ましくは混合・分散(バルクヘテロ接合構造)層)を持つ有機光電変換素子において、p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも1方に配向制御された有機化合物を含む場合が好ましく、さらに好ましくは、p型半導体及びn型半導体の両方に配向制御された(可能な)有機化合物を含む場合である。有機層に用いられる有機化合物としては、π共役電子を持つものが好ましく用いられるが、このπ電子平面が、基板(電極基板)に対して垂直ではなく、平行に近い角度で配向しているほど好ましい。基板に対する角度として好ましくは0°以上80°以下であり、さらに好ましくは0°以上60°以下であり、さらに好ましくは0°以上40°以下であり、さらに好ましくは0°以上20°以下であり、特に好ましくは0°以上10°以下であり、最も好ましくは0°(すなわち基板に対して平行)である。上記のように、配向の制御された有機化合物の層は、有機層全体に対して一部でも含めば良いが、好ましくは、有機層全体に対する配向の制御された部分の割合が10%以上の場合であり、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。このような状態は、有機層の有機化合物の配向を制御することにより有機層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させるものである。
【0091】
有機化合物の配向が制御されている場合において、さらに好ましくはヘテロ接合面(例えばpn接合面)が基板に対して平行ではない場合である。ヘテロ接合面が、基板(電極基板)に対して平行ではなく、垂直に近い角度で配向しているほど好ましい。基板に対する角度として好ましくは10°以上90°以下であり、さらに好ましくは30°以上90°以下であり、さらに好ましくは50°以上90°以下であり、さらに好ましくは70°以上90°以下であり、特に好ましくは80°以上90°以下であり、最も好ましくは90°(すなわち基板に対して垂直)である。上記のような、ヘテロ接合面の制御された有機化合物の層は、有機層全体に対して一部でも含めば良い。好ましくは、有機層全体に対する配向の制御された部分の割合が10%以上の場合であり、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。このような場合、有機層におけるヘテロ接合面の面積が増大し、界面で生成する電子、正孔、電子正孔ペア等のキャリア量が増大し、光電変換効率の向上が可能となる。以上の、有機化合物のヘテロ接合面とπ電子平面の両方の配向が制御された光電変換膜(光電変換膜)において、特に光電変換効率の向上が可能である。これらの状態については、特願2004−079931号において詳細に説明されている。光吸収の点では有機色素層の膜厚は大きいほど好ましいが、電荷分離に寄与しない割合を考慮すると、本発明における有機色素層の膜厚として好ましくは、30nm以上300nm以下、さらに好ましくは50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下である。
【0092】
(有機層の形成法)
有機層は、乾式成膜法あるいは湿式成膜法により成膜される。乾式成膜法の具体的な例としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法,MBE法等の物理気相成長法あるいはプラズマ重合等のCVD法が挙げられる。湿式成膜法としては、キャスト法、スピンコート法、ディッピング法、LB法等が用いられる。p型半導体(化合物)、又は、n型半導体(化合物)のうちの少なくとも一つとして高分子化合物を用いる場合は、作成の容易な湿式成膜法により成膜することが好ましい。蒸着等の乾式成膜法を用いた場合、高分子を用いることは分解のおそれがあるため難しく、代わりとしてそのオリゴマーを好ましく用いることができる。一方、本実施形態において、低分子を用いる場合は、乾式成膜法が好ましく用いられ、特に真空蒸着法が好ましく用いられる。真空蒸着法は抵抗加熱蒸着法、電子線加熱蒸着法等の化合物の加熱の方法、るつぼ、ボ−ト等の蒸着源の形状、真空度、蒸着温度、基盤温度、蒸着速度等が基本的なパラメ−タ−である。均一な蒸着を可能とするために基盤を回転させて蒸着することは好ましい。真空度は高い方が好ましく10−4Torr以下、好ましくは10−6Torr以下、特に好ましくは10−8Torr以下で真空蒸着が行われる。蒸着時のすべての工程は真空中で行われることが好ましく、基本的には化合物が直接、外気の酸素、水分と接触しないようにする。真空蒸着の上述した条件は有機膜の結晶性、アモルファス性、密度、緻密度等に影響するので厳密に制御する必要がある。水晶振動子、干渉計等の膜厚モニタ−を用いて蒸着速度をPIもしくはPID制御することは好ましく用いられる。2種以上の化合物を同時に蒸着する場合には共蒸着法、フラッシュ蒸着法等を好ましく用いることができる。
【0093】
(電極)
対向電極は正孔輸送性光電変換膜または正孔輸送層から正孔を取り出すことが好ましく、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができる材料である。画素電極は電子輸送性光電変換層または電子輸送層から電子を取り出すことが好ましく、電子輸送性光電変換層、電子輸送層などの隣接する層との密着性や電子親和力、イオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。これらの具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、シリコン化合物およびこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITO、IZOが好ましい。膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm以上1μm以下の範囲のものが好ましく、より好ましくは30nm以上500nm以下であり、更に好ましくは50nm以上300nm以下である。
【0094】
画素電極、対向電極の作製には材料によって種々の方法が用いられるが、例えばITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾルーゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で膜形成される。ITOの場合、UV−オゾン処理、プラズマ処理などを施すことができる。本実施形態においては透明電極をプラズマフリーで作製することが好ましい。プラズマフリーで透明電極を作成することで、プラズマが基板に与える影響を少なくすることができ、光電変換特性を良好にすることができる。ここで、プラズマフリーとは、透明電極の成膜中にプラズマが発生しないか、またはプラズマ発生源から基体までの距離が2cm以上、好ましくは10cm以上、更に好ましくは20cm以上であり、基体に到達するプラズマが減ずるような状態を意味する。
【0095】
透明電極の成膜中にプラズマが発生しない装置としては、例えば、電子線蒸着装置(EB蒸着装置)やパルスレーザー蒸着装置がある。EB蒸着装置またはパルスレーザー蒸着装置については、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)、及びそれらに付記されている参考文献等に記載されているような装置を用いることができる。以下では、EB蒸着装置を用いて透明電極の成膜を行う方法をEB蒸着法と言い、パルスレーザー蒸着装置を用いて透明電極の成膜を行う方法をパルスレーザー蒸着法と言う。
【0096】
プラズマ発生源から基体への距離が2cm以上であって基体へのプラズマの到達が減ずるような状態を実現できる装置(以下、プラズマフリーである成膜装置という)については、例えば、対向ターゲット式スパッタ装置やアークプラズマ蒸着法などが考えられ、それらについては沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)、及びそれらに付記されている参考文献等に記載されているような装置を用いることができる。
【0097】
有機光電変換素子積層の構成例としては、まず基板上に積層される有機層が一つの場合として、基板から画素電極(基本的に透明電極)、光電変換層、対向電極(透明電極)を順に積層した構成が挙げられるが、これに限定されるものではない。さらに、基板上に積層される有機層が2つの場合、例えば、基板から画素電極(基本的に透明電極)、光電変換層、対向電極(透明電極)、層間絶縁膜、画素電極(基本的に透明電極)、光電変換層、対向電極(透明電極)を順に積層した構成が挙げられる。
【0098】
本実施形態の透明電極の材料は、プラズマフリーである成膜装置、EB蒸着装置、及びパルスレーザー蒸着装置により成膜できるものが好ましい。例えば、金属、合金、金属酸化物、金属窒化物、金属ホウ化物、有機導電性化合物、これらの混合物等が好適に挙げられ、具体例としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウムタングステン(IWO)等の導電性金属酸化物、窒化チタン等の金属窒化物、金、白金、銀、クロム、ニッケル、アルミニウム等の金属、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロ−ル等の有機導電性材料、これらとITOとの積層物、などが挙げられる。また、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)等に詳細に記載されているものを用いても良い。
【0099】
透明電極膜の材料として特に好ましいのは、ITO、IZO、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)のいずれかの材料である。透明電極膜の光透過率は、その透明電極膜を含む光電変換素子に含まれる光電変換膜の光電変換光吸収ピーク波長において、60%以上が好ましく、より好ましくは80%以上で、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。また、透明電極膜の表面抵抗は、画素電極であるか対向電極であるか、さらには電荷蓄積/転送・読み出し部位がCCD構造であるかCMOS構造であるか等により好ましい範囲は異なる。対向電極に使用し電荷蓄積/転送/読み出し部位がCMOS構造の場合には10000Ω/□以下が好ましく、より好ましくは、1000Ω/□以下である。対向電極に使用し電荷蓄積/転送/読み出し部位がCCD構造の場合には1000Ω/□以下が好ましく、より好ましくは、100Ω/□以下である。画素電極に使用する場合には1000000Ω/□以下が好ましく、より好ましくは、100000Ω/□以下である。
【0100】
透明電極成膜時の条件について触れる。透明電極成膜時の基板温度は500℃以下が好ましく、より好ましくは、300℃以下で、さらに好ましくは200℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。また、透明電極成膜中にガスを導入しても良く、基本的にそのガス種は制限されないが、Ar、He、酸素、窒素などを用いることができる。また、これらのガスの混合ガスを用いても良い。特に酸化物の材料の場合は、酸素欠陥が入ることが多いので、酸素を用いることが好ましい。
【0101】
本実施形態の有機光電変換素子を構成する一対の電極に電圧を印加した場合、光電変換効率が向上する点で好ましい。印加電圧としては、いかなる電圧でも良いが、光電変換層の厚みにより必要な電圧は変わってくる。すなわち、光電変換効率は、光電変換層に加わる電場が大きいほど向上するが、同じ印加電圧でも光電変換層の厚みが薄いほど加わる電場は大きくなる。従って、光電変換層の厚みが薄い場合は、印加電圧は相対的に小さくでも良い。光電変換層に加える電場として好ましくは、10V/m以上であり、さらに好ましくは1×103V/m以上、さらに好ましくは1×105V/m以上、特に好ましくは1×106V/m以上、最も好ましくは1×107V/ m以上である。上限は特にないが、電場を加えすぎると暗所でも電流が流れ好ましくないので、1×1012V/m以下が好ましく、さらに1×109V/m以下が好ましい。
【0102】
(無機光電変換部(無機層))
無機の光電変換素子としては結晶シリコン、アモルファスシリコン、GaAsなどの化合物半導体のpn接合またはpin接合が一般的に用いられる。積層型構造としてUS特許5965875号に開示されている方法を採用することができる。すなわちシリコンの吸収係数の波長依存性を利用して積層された受光部を形成し、その深さ方向で色分離を行う構成である。この場合、シリコンの光進入深さで色分離を行っているため積層された各受光部で検知するスペクトル範囲はブロードとなる。しかしながら、前述した有機層を上層に用いることにより、すなわち有機層を透過した光をシリコンの深さ方向で検出することにより色分離が顕著に改良される。特に有機層にG層を配置すると有機層を投下する光はB光とR光になるためにシリコンでの深さ方向での光の分別はBR光のみとなり色分離が改良される。有機層がB層またはR層の場合でもシリコンの電磁波吸収/光電変換部位を深さ方向で適宜選択することにより顕著に色分離が改良される。有機層が2層の場合にはシリコンでの電磁波吸収/光電変換部位としての機能は基本的には1色で良く、好ましい色分離が達成できる。
【0103】
無機層は好ましくは、半導体基板内の深さ方向に、画素毎に複数のフォトダイオードが重層され、前記複数のフォトダイオードに吸収される光によって各フォトダイオードに生じる信号電荷に応じた色信号を外部に読み出す構造である。好ましくは、前記複数のフォトダイオードは、B光を吸収する深さに設けられる第1のフォトダイオードと、R光を吸収する深さに設けられる第2のフォトダイオードの少なくとも1つとを含み、前記複数のフォトダイオードの各々に生じる前記信号電荷に応じた色信号を読み出す色信号読み出し回路を備えることが好ましい。この構成により、カラーフィルタを用いることなく色分離を行うことができる。又、場合によっては、負感度成分の光も検出することができるため、色再現性の良いカラー撮像が可能となる。又、本発明においては、前記第1のフォトダイオードの接合部は、前記半導体基板表面から約0.2μmまでの深さに形成され、前記第2のフォトダイオードの接合部は、前記半導体基板表面から約2μmまでの深さに形成されることが好ましい。
【0104】
無機層についてさらに詳細に説明する。無機層の好ましい構成としては、光伝導型、p−n接合型、ショットキー接合型、PIN接合型、MSM(金属−半導体−金属)型の受光素子やフォトトランジスタ型の受光素子が挙げられる。本実施形態においてフォトダイオードを複数積層する場合には、単一の半導体基板内に、第1導電型の領域と、前記第1導電型と逆の導電型である第2導電型の領域とを交互に複数積層し、前記第1導電型及び第2導電型の領域の各接合面を、それぞれ異なる複数の波長帯域の光を主に光電変換するために適した深さに形成した構成を適用することが好ましい。単一の半導体基板としては、単結晶シリコンが好ましく、シリコン基板の深さ方向に依存する吸収波長特性を利用して色分離を行うことができる。
【0105】
無機半導体として、InGaN系、InAlN系、InAlP系、又はInGaAlP系の無機半導体を用いることもできる。nGaN系の無機半導体は、Inの含有組成を適宜変更し、青色の波長範囲内に極大吸収値を有するよう調整されたものである。すなわち、InxGa1-xN(0≦X<1)の組成となる。このような化合物半導体は、有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いて製造される。 Gaと同じ13族原料のAlを用いる窒化物半導体のInAlN系についても、InGaN系と同様に短波長受光部として利用することができる。また、GaAs基板に格子整合するInAlP、InGaAlPを用いることもできる
【0106】
無機半導体は、埋め込み構造となっていてもよい。埋め込み構造とは、短波長受光部部分の両端を短波長受光部とは異なる半導体で覆われる構成のものをいう。両端を覆う半導体としては、短波長受光部のバンドギャップ波長より短い又は同等のバンドギャップ波長を有する半導体であることが好ましい。このようなフォトダイオードは、p型シリコン基板表面から順次拡散される、n型層、p型層、n型層、p型層をこの順に深く形成することで、pn接合ダイオードがシリコンの深さ方向にpnpnの4層が形成される。ダイオードに表面側から入射した光は波長の長いものほど深く侵入し、入射波長と減衰係数はシリコン固有の値を示すので、pn接合面の深さが可視光の各波長帯域をカバーするように設計する。同様に、n型層、p型層、n型層の順に形成することで、npnの3層の接合ダイオードが得られる。ここで、n型層から光信号を取り出し、p型層はアースに接続する。また、各領域に引き出し電極を設け、所定のリセット電位をかけると、各領域が空乏化し、各接合部の容量は限りなく小さい値になる。これにより、接合面に生じる容量を極めて小さくすることができる。
【0107】
(信号読み出し部)
信号読み出し部については特開昭58−103166、特開昭58−103165、特開2003−332551等を参考にすることができる。半導体基板上にMOSトランジスタが形成された構成や、あるいは、素子としてCCDを有する構成を適宜採用することができる。例えばMOSトランジスタを用いた光電変換素子の場合、電極を透過した入射光によって光導電膜の中に電荷が発生し、電極に電圧を印加することにより電極と電極との間に生じる電界によって電荷が光導電膜の中を電極まで走行し、さらにMOSトランジスタの電荷蓄積部まで移動し、電荷蓄積部に電荷が蓄積される。電荷蓄積部に蓄積された電荷は、MOSトランジスタのスイッチングにより電荷読出し部に移動し、さらに電気信号として出力される。これにより、フルカラーの画像信号が、信号処理部を含む固体撮像装置に入力される。
一定量のバイアス電荷を蓄積ダイオードに注入して(リフレッシュモード)おき、一定の電荷を蓄積(光電変換モード)後、信号電荷を読み出すことが可能である。受光素子そのものを蓄積ダイオードとして用いることもできるし、別途、蓄積ダイオードを付設することもできる。
信号の読み出しについてさらに詳細に説明する。信号の読み出しは、通常のカラー読み出し回路を用いることができる。受光部で光/電気変換された信号電荷もしくは信号電流は、受光部そのものもしくは付設されたキャパシタで蓄えられる。蓄えられた電荷は、X−Yアドレス方式を用いたMOS型撮像素子(いわゆるCMOSセンサ)の手法により、画素位置の選択とともに読み出される。他には、アドレス選択方式として、1画素づつ順次マルチプレクサスイッチとデジタルシフトレジスタで選択し、共通の出力線に信号電圧(または電荷)として読み出す方式が挙げられる。2次元にアレイ化されたX−Yアドレス操作の撮像素子がCMOSセンサとして知られる。これは、X−Yの交点に接続された画素に儲けられたスイッチは垂直シフトレジスタに接続され、垂直操走査シフトレジスタからの電圧でスイッチがオンすると同じ行に儲けられた画素から読み出された信号は、列方向の出力線に読み出される。この信号は水平走査シフトレジスタにより駆動されるスイッチを通して順番に出力端から読み出される。
出力信号の読み出しには、フローティングディフュージョン検出器や、フローティングゲート検出器を用いることができる。また画素部分に信号増幅回路を設けることや、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)の手法などにより、S/Nの向上をはかることができる。
信号処理には、ADC回路によるガンマ補正、AD変換機によるデジタル化、輝度信号処理や、色信号処理を施すことができる。色信号処理としては、ホワイトバランス処理や、色分離処理、カラーマトリックス処理などが挙げられる。NTSC信号に用いる際は、RGB信号をYIQ信号の変換処理を施すことができる。
信号読み出し部は電荷の移動度が100cm2/volt・sec以上であることが必要であり、この移動度は、材料をIV族、III−V族、II−VI族の半導体から選択することによって得ることができる。その中でも微細化技術が進んでいることと、低コストであることからシリコン半導体(Si半導体共記す)が好ましい。信号読み出しの方式は数多く提案されているが、何れの方式でも良い。特に好ましい方式はCMOS型あるいはCCD型のデバイスである。更に本実施形態の場合、CMOS型の方が高速読み出し、画素加算、部分読み出し、消費電力などの点で好ましいことが多い。
【0108】
(接続)
画素電極と蓄積ダイオードとを連結するコンタクト部位はいずれの金属で連結してもよいが、銅、アルミ、銀、金、クロム、タングステンの中から選択するのが好ましく、特に銅が好ましい。有機光電変換素子を複数積層した場合には、各有機光電変換素子毎に蓄積ダイオードを設け、各有機光電変換素子の画素電極と蓄積ダイオードとをコンタクト部位で接続する必要がある。
【0109】
(プロセス)
本実施形態のDNA解析用デバイスは、公知の集積回路などの製造に用いるいわゆるミクロファブリケーションプロセスにしたがって製造することができる。基本的には、この方法は活性光や電子線などによるパターン露光(水銀のi,g輝線、エキシマレーザー、さらにはX線、電子線)、現像及び/又はバーニングによるパターン形成、素子形成材料の配置(塗設、蒸着、スパッタ、CVなど)、非パターン部の材料の除去(熱処理、溶解処理など)の反復操作による。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施形態を説明するためのマイクロアレイを用いたDNA解析システムの概略構成を示す図
【図2】図1に示すDNA解析用デバイスの表面模式図
【図3】図2に示すX−X線の断面模式図
【図4】図3に示す信号読み出し部の具体的な構成例を示す図
【図5】DNA解析用デバイスの変形例を説明するための模式図
【図6】DNA解析用デバイスの変形例を説明するための模式図
【図7】DNA解析用デバイスの変形例を説明するための断面模式図
【図8】従来のDNA解析方法を説明するための図
【符号の説明】
【0111】
1 DNA解析用デバイス
2 光源
3 DNA解析装置
4 ボード
5 n型シリコン基板
100 撮像素子
100a 画素部
200 DNA断片
6 pウェル層
7 n型不純物領域
8 信号読み出し部
9 ゲート絶縁層
10,12,17 絶縁層
11 R励起光カットフィルタ
13 画素電極
14 有機光電変換層
15 対向電極
16,19 保護層
18 G励起光カットフィルタ
20,21,24 配線
22 電極パッド
23 モールド樹脂
25 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DNA解析を行うためのDNA解析用デバイスであって、
同一面上に配列された多数の画素部を有する撮像素子と、
前記撮像素子の光入射側の表面に配列されて固定されたマイクロアレイとを備え、
前記多数の画素部の各々が、半導体基板上に積層されたそれぞれ異なる波長域の光を検出してそれに応じた電荷を発生する複数種類の光電変換部を含み、
前記複数種類の光電変換部が、同一被写体からの光を受光可能に積層され、
前記複数種類の光電変換部の各々は、当該光電変換部で検出する波長域の光に感度のある同一面上に配列された少なくとも1つの光電変換素子で構成されるDNA解析用デバイス。
【請求項2】
請求項1記載のDNA解析用デバイスであって、
前記マイクロアレイを構成する多数のDNA断片の各々と、前記多数の画素部の各々とが1対1に対応しているDNA解析用デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2記載のDNA解析用デバイスであって、
前記複数種類の光電変換部が、それぞれ1つの光電変換素子で構成されるDNA解析用デバイス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載のDNA解析用デバイスであって、
前記画素部に含まれる前記複数種類の光電変換部が、一対の電極と前記一対の電極間に挟まれた有機光電変換層とを含む有機の光電変換素子で構成される少なくとも1つの有機の光電変換部と、前記半導体基板内に形成された無機の光電変換素子で構成される少なくとも1つの無機の光電変換部とを含むDNA解析用デバイス。
【請求項5】
請求項4記載のDNA解析用デバイスであって、
前記撮像素子が、前記有機の光電変換素子の上方にALCVD法によって形成された前記有機の光電変換素子を保護するための保護層を備えるDNA解析用デバイス。
【請求項6】
請求項5記載のDNA解析用デバイスであって、
前記保護層が、無機材料からなるDNA解析用デバイス。
【請求項7】
請求項5記載のDNA解析用デバイスであって、
前記保護層が、無機材料からなる無機層と、有機ポリマーからなる有機層との2層構造であるDNA解析用デバイス。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか1項記載のDNA解析用デバイスであって、
前記複数種類の光電変換部が、前記有機の光電変換部と前記無機の光電変換部の2つであるDNA解析用デバイス。
【請求項9】
請求項8記載のDNA解析用デバイスであって、
前記有機の光電変換素子が、赤色又は緑色の波長域の光に感度を有し、
前記無機の光電変換素子が、緑色又は赤色の波長域の光に感度を有するDNA解析用デバイス。
【請求項10】
請求項9記載のDNA解析用デバイスであって、
前記有機の光電変換素子が、緑色の波長域の光に感度を有し、
前記無機の光電変換素子が、赤色の波長域の光に感度を有するDNA解析用デバイス。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項記載のDNA解析用デバイスであって、
前記DNA解析時において、前記マイクロアレイを構成する多数のDNA断片の各々は、励起光によって励起して前記複数種類の光電変換部の各々で検出可能な波長域の蛍光をそれぞれ発する複数種類の蛍光物質、の各々によって標識された複数のサンプルDNAが結合されるものであり、
前記複数種類の蛍光物質の各々を励起するための励起光が、当該蛍光物質から発せられる蛍光を検出可能な前記光電変換部に入射するのを防止する励起光入射防止手段を備えるDNA解析用デバイス。
【請求項12】
請求項8〜10のいずれか1項記載のDNA解析用デバイスであって、
前記DNA解析時において、前記マイクロアレイを構成する多数のDNA断片の各々は、励起光によって励起して前記有機の光電変換部及び前記無機の光電変換部の各々で検出可能な波長域の蛍光をそれぞれ発する2つの蛍光物質、の各々によって標識された2つのサンプルDNAが結合されるものであり、
前記2つの蛍光物質の各々を励起するための励起光が、当該蛍光物質から発せられる蛍光を検出可能な前記光電変換部に入射するのを防止する励起光入射防止手段を備えるDNA解析用デバイス。
【請求項13】
請求項12記載のDNA解析用デバイスであって、
前記励起光入射防止手段が、第1の励起光カットフィルタと第2の励起光カットフィルタにより構成され、
前記第1の励起光カットフィルタは、前記無機の光電変換部と前記有機の光電変換部との間に設けられて、前記無機の光電変換部で検出可能な波長域の蛍光を発する前記蛍光物質を励起するための励起光の透過を防止し、
前記第2の励起光カットフィルタは、前記有機の光電変換部の上方に設けられて、前記有機の光電変換部で検出可能な波長域の蛍光を発する前記蛍光物質を励起するための励起光の透過を防止するDNA解析用デバイス。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項記載のDNA解析用デバイスであって、
前記複数種類の光電変換部の各々で発生した電荷に応じた信号をCCD又はCMOS回路によって読み出す信号読み出し部を備えるDNA解析用デバイス。
【請求項15】
請求項14記載のDNA解析用デバイスであって、
前記信号読み出し部がCMOS回路によって前記信号を読み出すものであり、
前記複数種類の光電変換部で前記CMOS回路の一部が共通化されているDNA解析用デバイス。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項記載のDNA解析用デバイスであって、
前記マイクロアレイが、ハイブリダイゼーションによってDNA解析を行うためのものであるDNA解析用デバイス。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項記載のDNA解析用デバイスと、
前記マイクロアレイが形成された前記撮像素子の表面に対して斜めから光を出射する光出射手段とを備えるDNA解析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−3061(P2008−3061A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175701(P2006−175701)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】