説明

FCC再生器からのSOx排出を低減するための添加剤を含む陰イオン性粘土およびそれらの製造プロセス

一般に、a)2価金属化合物と3価金属化合物との物理的混合物を粉砕するステップと、b)前記粉砕された物理的混合物を、約200℃〜約800℃の範囲の温度でか焼するステップと、c)前記か焼された混合物を水性懸濁液中で再水和させて、添加剤を含有する陰イオン性粘土を形成するステップと、を含み、添加剤は前記ステップ(a)の物理的混合物中に任意選択的に存在し、かつ、前記ステップ(c)の水性懸濁液中に存在し、また前記添加剤は実質上バナジウムを含まない、添加剤を含有する陰イオン性粘土の調製のためのプロセスを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
反応ゾーンにおける適切な条件下で炭化水素を流動触媒粒子と接触させるプロセス(流動接触分解)において、炭化水素を触媒的に変換させることができる。このプロセスでは、コークスの副産物が形成されて触媒粒子上に沈殿すると、触媒の分子が徐々に失活する。(部分的に)失活した触媒粒子は反応ゾーンから除去され、ストリッピングゾーンで揮発性構成成分が取り除かれ、続いて再生ゾーンへと送られ、酸素を含有する気体を用いたコークスの燃焼により再生されて、反応ゾーンに送り返される。
【0002】
再生ゾーンでのコークスの燃焼は、炭化水素フィード中の硫黄含有化合物に由来し、コークス中に存在する硫黄からの硫黄酸化物の形成をもたらす。再生器からの燃焼排気中に含まれる硫黄酸化物の排出は、環境保護の観点から望ましくなく、熱的または化学的に再生することができ、また触媒組成物の一部を形成し得る、好適な硫黄酸化物吸収剤を添加することにより制御することができる。
【0003】
金属酸化物は、SOx移動触媒および/または添加剤の形態で、硫黄酸化物の排出量を減少するために用いられてきた。金属酸化物は、再生ゾーンにおいて硫黄酸化物と反応し、非揮発性の無機硫黄化合物を形成する。続いてこれらの硫黄化合物は、反応ゾーンおよびストリッピングゾーンにおいて炭化水素および蒸気の影響下で変換され、無機硫黄化合物が硫化水素を含有する気体に変換され、金属酸化物が回収される。また、これらの金属酸化物は、陰イオン性粘土と併せて用いられてきた。
【0004】
陰イオン性粘土は、陰イオンおよび水分子が間に存在する2価および3価の金属水酸化物の特定の組み合わせの正電荷層からなる結晶構造を有する。ハイドロタルサイトは自然発生型の陰イオン性粘土の一例であり、Mgが2価金属、Alが3価金属、そして炭酸塩が存在する主な陰イオンである。マイクスナライト(Meixnerite)は、Mgが2価金属、Alが3価金属、そしてヒドロキシルが存在する主な陰イオンである、陰イオン性粘土である。
【0005】
陰イオン性粘土は、それらの結晶構造を構成する原子により、さらに細分化される。例えば、パイロオーロ石‐ショグレン石‐ハイドロタルサイト族における陰イオン性粘土は、水分子および/または多様な陰イオン(例えば、炭酸イオン)の介在層が交互に存在するブルーサイト様層(マグネシウム陽イオンがヒドロキシル基に8面体配位で囲まれる)に基づいている。ブルーサイト様層内のマグネシウムの一部が、電荷のより高い陽イオン(例えばAl3+)によって同形置換されると、得られるMg2+−−Al3+−−OH層の正電荷が増加する。よって、化合物全体を電気的に中性にするためには、上記のような適切な数の介在する陰イオンが必要とされる。
【0006】
かかる結晶構造を呈する天然鉱物には、パイロオーロ石、ショグレン石、ハイドロタルサイト、スティッヒト石、リーブス石、アードルヤイト(eardleyite)、マナサイト(mannaseite)、バーバートン石、およびハイドロカルマイトを含むが、これらに限定されるものではない。
【0007】
陰イオン性粘土は、しばしば「混合金属水酸化物」または「層状複水酸化物」とも称される。この表現は、上述の通り、陰イオン性粘土の正電荷を持つ金属水酸化物のシートは、異なる酸化状態において2つの金属陰イオン(例えばMg2+およびAl3+)を含有する可能性があるという事実に由来する。さらに、数多くの陰イオン性粘土のXRDパターンが、ハイドロタルサイト(MgAl(OH)16(CO)4HO)のパター
ンと類似するため、陰イオン性粘土は、「ハイドロタルサイト様化合物」と称されることも多い。
【0008】
本明細書の目的のために(特に記載の無い限り)、「ハイドロタルサイト様」化合物(複数を含む)および「陰イオン性粘土」と言う用語の使用は、これらの物質が陰イオン性粘土、ハイドロタルサイト自体、および「ハイドロタルサイト様化合物」として一般的に知られる物質のクラスの任意のメンバーを含むと見なされるべきであるという理解のもとに、同義で使用され得ると見なされるものとする。
【0009】
陰イオン性粘土の調製は、従来技術に関する多くの出版物に記載されてきた。陰イオン性粘土の合成に利用可能な合成方法が概説された、陰イオン性粘土の化学についての主要なレビューが2つ出版されている: F. Cavani et al “Hydrotalcite−type anionic clays: Preparation, Properties and Applications,” Catalysis Today”, 11 (1991) Elsevier Science Publishers B. V. Amsterdam;およびJ P Besse and others “Anionic clays: trends in pillary chemistry, its synthesis and microporous
solids”(1992), 2, 108, editors: M. I. Occelli, H. E. Robson, Van Nostrand Reinhold, N.Y。
【0010】
これらのレビューにおいて、著者は、Mg−−Al陰イオン性粘土の特徴は、500℃で穏やにか焼することにより、無秩序なMgO様生成物の形成をもたらすことである、と述べている。無秩序なMgO様生成物は、スピネル(激しいか焼の結果である)および陰イオン性粘土と区別できる。本明細書では、無秩序なMgO様物質をMg−−Al固溶体と称する。さらに、これらのMg−−Al固溶体は、かかるか焼した物質が水に暴露されると、陰イオン性粘土構造が再形成されるという周知の記憶効果を持つ。
【0011】
これらのレビューには2種類の陰イオン性粘土の調製が記載されている。最も慣習的な方法は、可溶性の2価金属塩と可溶性の3価金属塩との共沈殿(Besseの文献ではこの方法は塩‐塩基法(salt−base method)と呼ばれる)であり、任意選択的に、続いて結晶のサイズを大きくするために水温処理または熟成が行われる。2つめの方法は塩‐酸化物法(salt−oxide method)であり、大気圧で2価金属酸化物を可溶性の3価金属塩と反応させてから、大気圧下で熟成を行うものである。この方法は、可溶性の3価金属塩と組み合わせたZnOおよびCuOの使用についてのみ記述されている。
【0012】
陰イオン性粘土に関する研究については、以下の論文をさらに参照する: Chemistry Letters (Japan), 843 (1973) Clays and Clay Minerals, 23, 369 (1975) Clays and Clay Minerals, 28, 50 (1980) Clays and Clay Minerals, 34, 507 (1996) Materials Chemistry and Physics, 14, 569 (1986)。また、陰イオン性粘土の使用およびそれらの調製のためのプロセスについての膨大な量の特許文書が存在する。
【0013】
安価な原料から陰イオン性粘土を製造することに関連する特許出願がいくつか出版されている。これらの物質には、酸化マグネシウムおよびアルミニウム三水和物を含む。
【0014】
国際公開第WO99/441198号は、2種類のアルミニウム化合物と、マグネシウム源とから陰イオン性粘土を製造することに関する。アルミニウム源のうちの1つは、アルミニウム三水和物またはその熱処理を施した形態である。
【0015】
国際公開第WO99/41196号は、酢酸マグネシウムからの荷電平衡陰イオンとしての酢酸塩、もう1のマグネシウム源、およびアルミニウム三水和物を有する陰イオン性粘土の調製を開示している。
【0016】
国際公開第WO99/41195号には、Mg源およびアルミニウム三水和物からのMg−−Al陰イオン性粘土の製造のための連続プロセスが記載される。
【0017】
国際公開第WO99/41197号は、Mg−−Al陰イオン性粘土および未反応のアルミニウム三水和物またはその熱処理を施した形態を含む、陰イオン性粘土を含有する組成物の製造を開示している。
【0018】
いくつかの特許が、非熱水条件下において、回分式で、酸化マグネシウムおよび遷移アルミナからハイドロタルサイト、すなわち陰イオン性粘土を合成することについて記載している:米国特許第5,728,364号、5,728,365号、5,728,366号、5,730,951号、5,776,424号、5,578,286号。これらの特許に示される比較例1〜3は、アルミニウム三水和物をアルミニウム源として使用すると、陰イオン性粘土が形成されないことを示している。
【0019】
SOx削減の化学において陰イオン性粘土が用いられる場合、添加剤が陰イオン性粘土中に使用されることが多い。一般に、これらの添加剤は含浸により陰イオン性粘土に被着されるか、または米国特許第7,022,304に記載されるように、陰イオン性粘土が添加剤でドープされる。
【0020】
SOx移動触媒および/または添加剤について一般に認められている機構は次の通りである:(1)SOをSOに酸化させる、(2)金属硫酸塩としてSOを触媒および/または添加剤に化学吸着させる、および(3)硫酸をHSへ還元する。ステップ1および2は、約520℃〜530℃のFCC再生器内で、還元条件下で起こる。それぞれのステップが連続して起こるため、3つのステップのうちのいずれもが、SOx移動添加剤の性能を制限する可能性がある。
【0021】
SOx移動添加剤の機構における第1のステップは、SOの酸化である。FCC再生器の条件下では、SOがSOよりも好まれる。よって、SOx移動触媒および/または添加剤は、SOの酸化を促進する触媒作用のある成分を含有する。SOの化学吸着に望ましい金属酸化物は、例えばマグネシウムアルミナスピネル等、適度に安定した金属硫酸塩を形成する、高いSO吸着能を持つものである。さらに、SOx移動触媒および/または添加剤は、FCCライザー内にける金属硫酸塩および硫化物のHSへの還元を促進するために、典型的には酸化バナジウムの形態で、バナジウムを含んでいなければならない(Davey, Stephen W., Environmental Fluid Catalytic Cracking, Petroleum Technology Quarterly, presented at the European
Refining Technology Conference, Feb 2000)。
【0022】
しかしながら、環境に及ぼす有害な影響のために、政府のより厳しい規制により、バナジウム含有物質に対する監視が強化されることになった。したがって、FCC再生器において良好なSOx低減性能を呈する、バナジウムを含まない物質の必要性が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】SOx添加剤の試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本目的は、本発明によるプロセスによって達成される。一般的に、本プロセスは、a)2価金属化合物と3価金属化合物との物理的混合物を粉砕するステップと、b)約200℃〜約800℃の範囲の温度で物理的混合物をか焼するステップと、c)か焼された混合物を水性懸濁液中で再水和させて、添加剤を含有する陰イオン性粘土を形成するステップと、を含み、上記添加剤は物理的混合物および/またはステップC)の水性懸濁液中に存在する。
【0025】
本明細書において、「粉砕」という用語は、粒度の減少をもたらす任意の方法として定義される。かかる粒度の減少は、同時に、反応面の形成および/または粒子の加熱をもたらす可能性がある。粉砕に使用することができる器具には、ボールミル、高剪断ミキサー、コロイドミキサー、およびスラリー中に超音波を導入することができる電気変換器を含む。低剪断混合、すなわち、実質上、成分を懸濁液中に保持するために行われる撹拌は、「粉砕」とは見なされない。
【0026】
物理的混合物は、乾燥粉末としてまたは懸濁液中で粉砕することができる。物理的混合物が懸濁液中にある場合は、混合物中に存在する金属化合物のうちの少なくとも1つ(2価金属化合物、3価金属化合物、または両方)は不水溶性でなければならないことは明らかであろう。
【0027】
好適な2価金属には、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、およびそれらの組み合わせを含む。好ましい2価金属にはマグネシウム、マンガンおよび鉄、またはそれらの組み合わせを含む。好適な亜鉛、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、カルシウム、ストロンチウム,およびバリウム化合物は、それら各々の不水溶性の酸化物、水酸化物、炭酸塩、ヒドロキシカーボネート、炭酸水素塩、および粘土、ならびに、通常は、酢酸塩、ヒドロキシアセテート、硝酸塩、および塩化物等の水溶性塩である。好適な不水溶性マグネシウム化合物には、MgO、Mg(OH)2、炭酸マグネシウム、水酸化炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、ハイドロマグネサイト、等の酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウム、ならびに白雲石、サポナイト、およびセピオライト等のマグネシウムを含有する粘土を含む。好適な水溶性マグネシウム化合物は、酢酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、酢酸(水酸化)マグネシウム、硝酸マグネシウム、および,塩化マグネシウムである。
【0028】
好ましい2価金属化合物は、これらの物質は比較的安価であるため、酸化物、水酸化物、炭酸塩、ヒドロキシカーボネート、重炭酸塩、および(ヒドロキシ)アセテートである。さらに、これらの物質は、洗い流す必要があるかまたは加熱時に環境に有害なガスとして排出されるかのいずれかである望ましくない陰イオンを、添加剤を含有する陰イオン性粘土中に残さない。
【0029】
好適な3価金属には、アルミニウム、ガリウム、鉄、クロム、バナジウム、コバルト、マンガン、ニッケル、インジウム、セリウム、ニオブ、ランタン、およびそれらの組み合わせを含む。好ましい3価金属はアルミニウムである。好適なガリウム、鉄、クロム、バナジウム、コバルト、ニッケル、およびマンガン化合物は、それら各々の不水溶性の酸化物、水酸化物、炭酸塩、ヒドロキシカーボネート、重炭酸塩、アルコキシド、および粘土、ならびに通常は酢酸塩、ヒドロキシアセテート、硝酸塩、および塩化物等の水溶性塩である。好適な不水溶性アルミニウム化合物には、遷移アルミナ、アルミニウム三水和物(ボーキサイト鉱石の精鉱、ギブサイト、バイヤライト)およびその熱処理を施した形態(瞬間的にか焼したアルミニウム三水和物を含む)、ゾル、非晶質アルミナ、(偽)ベーマイト等の酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウム、カオリン、セピオライト、ベントナイト等のアルミニウムを含有する粘土、ならびにメタカオリン等の改質粘土を含む。好適な水溶性アルミニウム塩は、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化アルミニウム水和物(aluminium chlorohydrate)、およびアルミン酸ナトリウムである。
【0030】
本発明の一実施形態は、アルミナ三水和物(ギブサイト、バイヤライトまたはノルドストランダイト等)またはその熱処理を施した形態の使用を用いる。もう1つの実施形態は、ベーマイトまたは偽ベーマイトを使用する。反応は、反応器から回収したスラリーを単純に乾燥させることにより得ることができる陰イオン性粘土を直接的に形成する。洗浄または濾過の必要は無く、反応生成物において2価金属/3価金属の多様な比率が可能である。
【0031】
アルミニウム三水和物には結晶性のアルミニウム三水和物(ATH)を含む。BOC(ボーキサイト鉱石の精鉱)、バイヤライトおよびノルドストランダイトも、好適なアルミニウム三水和物である。BOCは最も安価なアルミナ源である。アルミナ三水和物は、好ましくは1〜150μmの粒度、より好ましくは20μmより小さい粒度を有することが好ましい。
【0032】
アルミニウム三水和物の熱処理を施した形態が、本発明のプロセスにおいて用いられ得る。か焼したアルミニウム三水和物は、100℃を超える温度(好ましくは100〜800℃の範囲)で、アルミニウム三水和物(ギブサイト)を15分〜24時間熱処理することにより、容易に得ることができる。いずれの場合も、か焼したアルミニウム三水和物を得るためのか焼温度および時間は、Bayerプロセスによって生成されるギブサイトの表面積(通常は30〜50m/g)と比較して、測定可能な表面積の増加をもたらすのに十分であるべきである。本発明の文脈では、瞬間的にか焼したアルミナは、通常は非常に特殊なアルミナであると見なされるものだが、アルミニウム三水和物の熱処理を施した形態であるとも見なされるべきであることに注目すべきである。瞬間的にか焼したアルミナは、米国特許第4,051,072号および第3,222,129号に開示されるような特殊な工業設備において、800〜1000℃の温度で非常に短時間アルミニウム三水和物を処理することにより得られる。アルミニウム三水和物とアルミニウム三水和物の熱処理を施した形態との組み合わせが用いられてもよく、また、熱処理を施した様々な形態のアルミニウム三水和物の組み合わせが用いられてもよい。
【0033】
使用される場合は、アルミニウム三水和物またはその熱処理を施した形態は、好ましくはスラリーの形態で反応器に加えられる。具体的には、解膠可能なアルミナ源(ギブサイトは解膠可能ではない)を用いる必要がなく、結果として、混合物のpHを変動させるために、鉱物または有機酸のいずれも加える必要がないことが強調される。本発明によるプロセスにおいて、アルミニウム三水和物またはその熱処理を施した形態以外のアルミニウム源、例えば、アルミニウムの酸化物および水酸化物(例えば、ゾル、ゲル、偽ベーマイト、微結晶ベーマイト)、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化アルミニウム水和物(aluminium chlorohydrate)、およびアルミン酸ナトリウム等のアルミニウム塩等が、水性懸濁液に加えられてもよい。上述の他のアルミニウム源は、水溶性または不水溶性であり得、アルミニウム三水和物および/またはその熱処理を施した形態に加えられてもよく、あるいは個体、溶液、または懸濁液として、個別に水性懸濁液に加えられてもよい。
【0034】
本発明のもう1つの実施形態は、ベーマイトおよび/または偽ベーマイトを使用する。
ベーマイトおよび偽ベーマイトの調製は、典型的には、これに限定されないが、制御されたpH条件下で可溶性アルミニウム塩を沈殿させて偽ベーマイトを形成し、通常は約200〜約350m/g(窒素吸収により測定されるBET)の範囲の表面積を持つ結晶ベーマイトを得るために、さらに熱処理を施すことができる合成経路である。調製された材料は、水性スラリーの形態で、単独で、またはATHと組み合わせて用いることができる。
【0035】
好ましい3価金属化合物は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、ヒドロキシカーボネート、および(ヒドロキシ)アセテートである(これらの材料が比較的安価であるため)。さらに、これらの物質は、洗い流す必要があるかまたは加熱時に環境に有害なガスとして排出されるかのいずれかである望ましくない陰イオンを、添加剤を含有する陰イオン性粘土中に残さない。
【0036】
2価金属化合物および/または3価金属化合物はドープされてもよく、それによりドープされた陰イオン性粘土が調製され得る。
【0037】
ドープされた金属化合物は、いくつかの方法で調製することができる。一般に、金属化合物およびドーパントは、均一に分散した状態にあるドーパントを含有する金属化合物に変換される。
【0038】
好適なドーパントは、アルカリ土類金属(例えばCaおよびBa)、アルカリ金属、遷移金属(例えばMn、Fe、Co、Ti、Zr、Cu、Ni、Zn、Mo、W、V、Sn)、アクチニド、La、Ce、Nd、等の希土類金属、PtおよびPd等の貴金属、ケイ素、ガリウム、ボロン、チタン、およびリンからなる群から選択される元素を含有する化合物である。
【0039】
ドーパントは、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、アルコキシド、炭酸塩、およびタングステン酸塩として用いられ得る。触媒の目的に望ましくない陰イオンは存在しないので、断続的に洗浄することなく直接乾燥することができるため、得られたドープされた金属化合物を熱分解性陰イオンとともに化合物を使用することが好ましい
【0040】
上記のとおり、本発明のプロセスにおける第1のステップは、2価金属化合物と3価金属化合物との物理的混合物の粉砕を含む。この物理的混合物は様々な様式で調製することができる。2価金属化合物と3価金属化合物とは、乾燥粉末として(ドープされるかまたは交換されるかのいずれか)または(水性)懸濁液中で混合することができ、それによってスラリー、ゾル、またはゲルを形成する。後者の場合、2価金属化合物および3価金属化合物は、粉末、ゾル、またはゲルとして懸濁液に加えられ、混合物の調製および粉砕の後に乾燥される。
【0041】
物理的混合物が水性懸濁液中で調製される場合、懸濁液に分散剤を加えることができる。好適な分散剤には、界面活性剤、リン酸塩、糖、デンプン、ポリマー、ゲル化剤、膨潤性粘土等を含む。酸または塩基が懸濁液に加えられてもよい。
【0042】
物理的混合物における2価金属と3価金属とのモル比は、好ましくは約0.01:約10の範囲、より好ましくは約0.1:約5、そして最も好ましくは約1:約3である。物理的混合物は、乾燥粉末としてまたは懸濁液中のいずれかで粉砕される。物理的混合物の粉砕に加えて、2価金属化合物および3価金属化合物は、物理化合物を形成する前に個別に粉砕されてもよい。
【0043】
物理的混合物が懸濁液中で粉砕される場合、混合物は、例えばボールミル、ビーズミル、サンドミル、コロイドミル、高剪断ミキサー、ニーダー、または超音波を用いて、室温で約1〜約30分湿式粉砕される。湿式粉砕の後、かつ、か焼を行う前に、物理的混合物は乾燥されなければならず、例えば、噴霧乾燥を用いることができる。
【0044】
物理的混合物の乾燥に加えて、結合特性を最適化するために、物理的混合物を約20〜約110℃の範囲の温度、より好ましくは約30〜約90℃で、および周囲圧力で、約15分〜約6時間熟成させることができる。
【0045】
粉砕後に得られる粒子の好ましい平均サイズは、約0.1〜約10ミクロン、より好ましくは約0.5〜約5ミクロン、最も好ましくは約1〜約3ミクロンである。粉砕の間の温度は、周囲温度かまたはそれより高くてもよい。より高い温度は、例えば、粉砕プロセスから自然にもたらされるか、または外的な加熱源により産生され得る。好ましくは、粉砕中の温度は約20〜約90℃の範囲、より好ましくは約30〜約50℃である。
【0046】
物理的混合物は、約200〜約800℃の範囲、より好ましくは約300〜約700℃の範囲、そして最も好ましくは約350〜約600℃の範囲の温度でか焼される。か焼は、約0.25〜約25時間、好ましくは約1〜約8時間、そして最も好ましくは約2〜約6時間実施される。固定床または回転式のか焼炉等、市販されるすべての種類のか焼炉を用いることができる。
【0047】
か焼は、例えば、空気、酸素、不活性雰囲気(例えばN2)、蒸気、またはそれらの混合物等の、様々な雰囲気中で行うことができる。
【0048】
そのように得られたか焼された物質は、再水和可能な酸化物を含有していなければならない。形成される再水和可能な酸化物の量は、使用される2価金属化合物および3価金属化合物の種類ならびにか焼温度に依存する。好ましくは、か焼された物質は約10〜100%の再水和可能な酸化物を含有し、より好ましくは約30〜100%、さらにより好ましくは約50〜100%、そして最も好ましくは約70〜100%の再水和可能な酸化物を含有する。ステップb)において形成される再水和可能な酸化物の量は、ステップc)において得られる陰イオン性粘土の量に等しく、またそれから計算される。この量は、様々な既知量の純粋な陰イオン性粘土を、ステップc)の再水和された生成物のサンプルと混合することにより決定することができる。これらの混合サンプルにおける、陰イオン性粘土の非陰イオン性粘土に対する相対強度の外挿法(粉末X線回折(Powder X−Ray Diffraction (PXRD))を用いて測定される)を、再水和された生成物中における陰イオン性粘土の量を決定するために用いることができる。再水和可能ではない酸化物の例は、スピネル種の酸化物である。
【0049】
か焼された物質の再水和は、か焼された混合物を、水または陰イオンの水溶液と接触させることにより実施される。これは、か焼された混合物を十分な液体を噴霧した濾過床上に通過させることにより、またはか焼された混合物を液体中に懸濁させることにより、行うことが可能である。再水和中の液体の温度は、好ましくは約25〜約350℃、より好ましくは約25〜約200℃、最も好ましくは約50〜約150℃であり、選択される温度は、使用される2価金属化合物および3価金属化合物の性質に依存する。再水和は、約20分〜約24時間、好ましくは約30分〜約8時間、より好ましくは約1〜約4時間行われる。
【0050】
再水和の間、高剪断ミキサー、コロイドミキサー、ボールミル、ニーダー、超音波等を用いることにより、懸濁液を粉砕することができる。再水和は、回分式または連続的に、任意選択的に、米国特許申請番号第2003−0003035号による連続多段階操作に
おいて、実施することができる。例えば、再水和懸濁液は、フィード調製容器の中で調製され、その後、懸濁液は2つ以上の変換容器を通して連続的に汲み上げられる。必要に応じて、添加剤、酸、または塩基を、いずれかの変換容器内の懸濁液に加えてもよい。各容器は、それぞれの望ましい温度に調節することが可能である。
【0051】
再水和の間、液体に陰イオンを加えることができる。好適な陰イオンの例には、NO、NO、CO2−、HCO、SO2−、SONH、SCN、S2−、SeO、F、Cl、Br、I、ClO、ClO、BrO、およびIOのような無機陰イオン、ケイ酸、アルミン酸、ならびにメタケイ酸;酢酸塩、シュウ酸塩、ギ酸塩、長鎖カルボン酸塩(例えばセバシン酸塩、カプリン酸塩およびカプリル酸塩(CPL))、アルキル硫酸塩(例えばドデシル硫酸塩(DS)およびドデシルベンゼンスルホン酸塩)、ステアリン酸塩、安息香酸塩、フタロシアニンテトラスルホン酸塩のような有機陰イオン;ポリスチレンスルホン酸塩、ポリイミド、ビニル安息香酸塩,およびビニルアクリル酸塩等のポリマー陰イオン;pH依存性ボロン含有陰イオン;ビスマス含有陰イオン;タリウム含有陰イオン;リン含有陰イオン;ケイ素含有陰イオン;クロム含有陰イオン;タングステン含有陰イオン;モリブデン含有陰イオン;鉄含有陰イオン;ニオブ含有陰イオン、タンタル含有陰イオン;マンガン含有陰イオン;アルミニウム含有陰イオン;およびガリウム含有陰イオンを含む。
【0052】
本発明の一実施形態において、最終生成物の物理的特性の向上につながる粒子の整合性を向上させるために、可溶性SO2−陰イオン性物質が用いられる。陰イオン性物質は、使用される陰イオン性塩の上に、またはその一部として加えられ得る。再水和の間、陰イオンが可溶性形態のままであることが好ましい。
【0053】
本発明によるプロセスにおいて使用される添加物は、アルカリ土類金属(例えばMg、CaおよびBa)、IIIB族遷移金属、IVB族遷移金属(例えばTi、Zr)、VB族遷移金属(バナジウムを除く)(例えばNb)、VIB族遷移金属(例えばCr、Mo、W)、VIIB族遷移金属(例えばMn)、VIII族遷移金属(例えばFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Pt)、IB族遷移金属(例えばCu、Ag)、IIB族遷移金属(例えばZn)、IIIA族元素(例えばB、Al、Ga)、IVA族元素(例えばSi、Sn)、VA族元素(例えばP)、ランタニド(例えばLa、Ce)およびそれらの混合物からなる群から選択される元素を含む化合物であるが、ただし、上記元素はステップa)の2価金属化合物および3価金属化合物を構成する金属とは異なる。好ましい元素は、Fe、Zn、Zr、Nb、Ag、Mn、Cu、Cr、Rh、またはそれらの組み合わせである。添加剤は、好ましくは、望ましい元素の酸化物、水酸化物、炭酸塩、またはヒドロキシカーボネートである。1つ以上の添加剤が、物理的混合物および/またはステップc)の水性懸濁液に存在し得る。
【0054】
物理的混合物中に存在する場合、粉砕ステップa)の前、か焼ステップb)の最中、または粉砕ステップa)とか焼ステップb)との間に、添加剤を物理的混合物に加えることができる。か焼中の添加には、ミキサーおよびか焼炉として効率的に用いることのできる十分な混合力を持つか焼炉の使用が必要となる。添加剤は、ステップa)の物理的混合物およびステップc)の懸濁液に、個体粉末として、懸濁液中に、また好ましくは溶液中に、加えることができる。か焼中に加える場合は、粉末の形態で加えられる。
【0055】
得られた添加剤を含有する陰イオン性粘土は、追加のか焼および任意選択的に付加的な再水和ステップに供してもよい。か焼の後に再水和を行う場合は、第1の再水和ステップの後に形成されるものと類似する添加剤を含有する陰イオン性粘土が形成されるが、機械的強度が増加する。これら第2の付加的なか焼および再水和ステップは、第1のか焼および再水和ステップと同じかまたは異なる条件下のいずれかで行うことができる。付加的な
か焼ステップ(複数を含む)および/または再水和ステップ(複数を含む)の最中に、追加の添加剤を加えることができる。これらの追加の添加剤は、物理的混合物および/またはステップc)の水性懸濁液と同じでもまたは異なっていてもよい。
【0056】
さらに、付加的な再水和ステップ(複数でもよい)の間に陰イオンを加えることもできる。好適な陰イオンは、第1の再水和ステップに関して上述されたものである。第1および付加的な再水和ステップの間に加えられた陰イオンは、同じでも、または異なってもよい。
【0057】
必要に応じて、本発明のプロセスにより調製される添加剤を含有する陰イオン性粘土は、シリカ、アルミナ、アルミノケイ酸、ジルコニア、チタニア、ボリア;カオリン、酸で浸出したカオリン、脱アルミニウム化カオリン、スメクタイト、およびベントナイト等の(改質)粘土;(改質またはドープした)リン酸アルミニウム、ゼオライト(例えばゼオライトX、Y、REY、USY、RE−USY、またはZSM−5、ゼオライトβ、シリカライト)、酸塩(例えば、メタまたはピロリン酸塩)、細孔制御剤(例えば糖、界面活性剤、ポリマー)、結合剤、充填剤、およびそれらの組み合わせ等の、従来の触媒または吸着剤成分と混合されてもよい。任意選択的に上記従来の触媒構成成分のうちの1つ以上と混合される、添加剤を含有する陰イオン性粘土は、成形された物体を形成するために成形されてもよい。好適な成形方法には、噴霧乾燥、ペレット化、押出(任意選択的に混練と組み合わせる)、ビーズ化、または触媒および吸着剤の分野において使用される他の任意の従来の成形方法、またはそれらの組み合わせを含む。
【実施例】
【0058】
実施例1:

SOx添加剤の調製
【0059】
苦土とアルミナとの4:1モル混合物を、水中で固形分15%のスラリー状にして、3ミクロンまで粉砕した。続いて、粉砕したスラリーを50℃で2時間熟成させ、硝酸セリウムの溶液を加えた。その後、粘稠性のスラリーを噴霧乾燥した。噴霧乾燥した材料を550℃で2時間か焼し、50℃で30分間再度スラリー状にして固形分30%にした。再水和の間に、鉄および亜鉛等の様々な添加剤を可溶性塩として加えた。

添加剤の周期的な失活
【0060】
市販のFCCユニットから市販の廃(コークス化)触媒(これ以後、廃触媒と称する)を得た。このコークス化触媒は、炭素0.91重量%、硫黄470ppm、および窒素220ppmを含有していた。周期的な失活試験に用いる前に、固定床−流動床反応器内で、788oCで20時間、100%の蒸気下でFCC触媒を事前に蒸気処理した。周期的な失活プロセスではクウェート産の減圧軽油を用いた。このフィードストックは、イオウ含有量3.1重量%、総窒素濃度1027ppm、および基準窒素濃度301ppmを有する。
【0061】
周期的な失活(CD)の詳細な方法は、次の参照文献に記載されている:(1) Efthimiadis, E. A., Iliopoulou, E. F., Lappas, A. A., Iatridis, D. K., and Vasalos
I. A. Ind. Eng. Chem. Res. 41(22), 5401
- 5409, (2002); および(2) Dishman, K. L., Doolin, P. K., and Tullock, L. D., Ind. Eng. Chem. Res., 37, 4631−4636, (1998)。例
示的なSOx還元添加剤の失活は、クウェート産VGO(vacuum gas oil=減圧軽油)を用いて、添加剤と事前に蒸気処理したFCC触媒(PST FCC Base)とのブレンドのCDによって実施した。フィードには追加金属は加えなかった。ブレンド中の添加剤レベルは5重量%だった。失活は、クラッキング、ストリッピング、再生サイクルを通して行われ、触媒再生ステップの後に終了した。この最後の再生ステップは、失活させた添加剤/触媒ブレンド上に沈着したコークスを除去し、失活プロセスが試験自体に与える影響を打ち消す。CD周期の数は、失活の程度の違いを反映して調節することができる。市販のFCCUの動作をより良くシミュレートするために、再生サイクルの間は低い分圧の蒸気を適用した。
【0062】
失活後、添加剤/FCC触媒ブレンド10gを、廃触媒49.5gと混合して、全体量を0.5gに維持した。廃触媒と混合する添加剤/FCC触媒ブレンドの量を変化させることで、様々な添加剤レベルを得ることができる。

SOx添加剤試験
【0063】
コークス化触媒の模擬再生の間、高度添加剤試験装置(Advanced Additive Testing Unit (AATU))において添加剤を評価した。反応装置は、ガス供給システム、固定床−流動床反応器、およびガス分析システムを有する。主なガス分析計として、FTIRに基づくマルチガス分析計(MKS 2030)が選ばれた。測定可能なガスには、COx、SOx、NOx(NO、NO、NO)およびHCN、ならびに、コークス燃焼中に典型的に観察される一部の炭化水素を含む。O分析は、常磁性の酸素分析計(California Analytical Instruments社製Oxygen Analyzer Model 100P)を用いて行われた。反応器は10〜200gの範囲のサンプルサイズに対応することができ、様々な濃度の排出制御用の添加剤の評価を可能にする。
【0064】
SOの低減は、添加剤とともに、または添加剤なし(基準ケース)で、放出されたガスの総量における差に従って、以下の通り算出された。
【数1】

SOx添加剤の評価結果
【0065】
SOx添加剤の試験結果を図1に示す。上の棒グラフは、本発明のプロセスに従って調製されたバナジウムを含まないSOx添加剤が、5CDサイクルおよび9CDサイクルの失活の後でさえも好成績を示したことを表している。KDSOx 2002、DeSOxおよびSoxgetterは市販のSOx添加剤である。(KDSOx2002は、11%のCeO2および3%のV2O5を含む、MgO/Al2O3の比率が4:1のHTC物質である。SoxgetterはHTCベースのもう1つの材料であり、ほぼ同量のCeO2およびV2O5を含む。DeSOxはスピネルベースの材料であり、セリウムおよびバナジウムを同様の量含有する)バナジウムを含まない添加剤は、バナジウム含有添加剤と比較して、高い放出機能を特色とするという利点を持つ。この影響は、下表中に示すTGA試験結果に見ることができる。TGA試験には、オートサンプラーを有するPerkin Elmer Pyris 1を利用した。20mgサンプルを次のプロトコルに供した:1)サンプルを20℃/分で680℃まで加熱した後、窒素流(80cc/分)下で10℃/分で725℃まで加熱した、2)725℃の温度で5分間維持した、3)サンプルをSO混合ガス(0.5% SO、2% O、残りN)に14分間暴露した、4)N下でサンプルを575℃まで冷却した、5)575℃の温度で5分間維持した後、サンプルをH流(N中の5% H)に10分間暴露した、6)N下でサンプルを20℃/分で725℃まで加熱した、7)ステップ2から6を繰り返す、8)ステップ2から5を繰り返す。SO回収およびH放出サイクルの間の重量%の変化を、TGAのためのソフトウェアを用いて決定した。Fe、CuおよびZn−Ce/HTCは、バナジウム含有物質と比較して、同等のSOxの回収量を示したが、放出量は高かった。TGA結果(重量%の変化)
【表1】

実施例2:

物理的特性の比較
【0066】
実施例1に記載するように、11重量%のセリウムを含有するCe/HTCを調製した。再水和の間に陰イオン性物質が存在しない本発明に従って作られる生成物の磨耗指数は、7.0と決定された。再水和ステップの間に陰イオン性物質(再水和容積1リットル当たり20gのHSO)を含む本発明に従って調製される類似するCe/HTC(11重量%セリウム)は、磨耗指数1.0を示した。本実施例において測定された磨耗指数は、ASTM Standard Test Method D−5757に記載される磨耗装置で試験され、その方法に記載される類似条件下で操作される触媒から3時間で産生される細粒の割合(%)の4分の1であると定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
添加剤を含有する陰イオン性粘土の調製のためのプロセスであって、

ア 2価金属化合物と3価金属化合物との物理的混合物を粉砕するステップと、
イ 前記粉砕された物理的混合物を、約200℃〜約800℃の範囲の温度でか焼する
ステップと、
ウ 前記か焼された混合物を水性懸濁液中で再水和させて、添加剤を含有する陰イオン
性粘土を形成するステップと、を含み、

添加剤はステップ(a)の前記物理的混合物中に任意選択的に存在し、添加剤はステップ(c)の前記水性懸濁液中に存在し、前記添加剤を含有する陰イオン性粘土は、実質上バナジウムを含まない、プロセス。
【請求項2】
前記粉砕は、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、コロイドミル、ニーダー、もしくは高剪断ミキサーにおいて、または超音波を用いて行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記か焼温度は約300〜約700℃の範囲である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記か焼温度は約350〜約600℃の範囲である、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ステップa)の物理的混合物を熟成させるステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記熟成は、約20〜約110℃の範囲の温度で、約15分〜約6時間の範囲である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記2価金属は、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、およびそれらの組み合わせである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記2価金属は、マグネシウム、マンガン、鉄、またはそれらの組み合わせである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記3価金属は、アルミニウム、ガリウム、鉄、クロム、バナジウム、コバルト、マンガン、ニッケル、インジウム、セリウム、ニオブ、ランタン、およびそれらの組み合わせである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記3価金属はアルミニウムである、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記添加剤は、アルカリ土類金属、IIIB族遷移金属、IVB族遷移金属、バナジウムを除くVB族遷移金属、VIB族遷移金属、VIIB族遷移金属、VIII族遷移金属、IB族遷移金属、IIB族遷移金属、IIIA族元素、IVA族元素、VA族元素、ランタニド、およびそれらの混合物からなる群から選択される元素を含む化合物であるが、ただし、前記元素は、ステップa)の前記2価および前記3価金属化合物を構成する金属とは異なる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記添加剤は、鉄、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、銀、マンガン、銅、クロム、ロジウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される元素を含む化合物である、請求
項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記添加剤は、酸化物、水酸化物、またはヒドロキシカーボネートである、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記形成された添加剤を含有する陰イオン性粘土を後にか焼するステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記後にか焼された添加剤を含有する陰イオン性粘土を再水和するステップをさらに含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
ステップ(c)の間に陰イオン性物質が存在する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記陰イオン性物質は、無機陰イオン、有機陰イオン、およびポリマー陰イオンからなる群から選択される陰イオンを供給する、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記供給される陰イオンはSOである、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記2価金属化合物および/または前記3価金属化合物は、ドーパントを含有する金属化合物である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項20】
前記ドーパントは、アルカリ土類金属、アルカリ金属、遷移金属、アクチニド、希土類金属、貴金属、ケイ素、ガリウム、ホウ素、チタン、およびリンからなる群から選択される元素を含有する化合物である、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記ドーパントは、鉄、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、銀、マンガン、銅、クロム、ロジウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される元素を含有する化合物である、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記ドーパントは、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、アルコキシド、炭酸塩、またはタングステン酸塩である、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】

ア 2価金属化合物と3価金属化合物との物理的混合物を粉砕するステップと、
イ 前記粉砕された物理的混合物を、約200℃〜約800℃の範囲の温度でか焼する
ステップと、
ウ 前記か焼された混合物を水性懸濁液中で再水和させて、添加剤を含有する陰イオン
性粘土を形成するステップと、を含むプロセスによって製造される陰イオン性粘土
であって、

添加剤はステップ(a)の前記物理的混合物中に任意選択的に存在し、添加剤はステップ(c)の前記水性懸濁液中に存在し、前記陰イオン性粘土は、実質上バナジウムを含まない、陰イオン性粘土。
【請求項24】
前記ステップa)の物理的混合物を熟成させるステップをさらに含む、請求項23に記載の陰イオン性粘土。
【請求項25】
前記熟成は、約20〜約90℃の範囲の温度で、約15分〜約6時間の範囲である、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記2価金属は、マグネシウム、マンガン、鉄、またはそれらの組み合わせである、請求項23に記載の陰イオン性粘土。
【請求項27】
前記3価金属はアルミニウムである、請求項23に記載の陰イオン性粘土。
【請求項28】
前記添加剤は、鉄、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、銀、マンガン、銅、クロム、ロジウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される元素を含む化合物である、請求項23に記載の陰イオン性粘土。
【請求項29】
前記2価金属化合物および/または前記3価金属化合物は、鉄、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、銀、マンガン、銅、クロム、ロジウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される元素を含有する化合物でドープされる、請求項23に記載の陰イオン性粘土。
【請求項30】
前記2価金属化合物はセリウムを含む、請求項23に記載の陰イオン性粘土。
【請求項31】
ステップc)の間に陰イオン性物質が存在する、請求項23に記載の陰イオン性粘土。
【請求項32】
前記陰イオン性物質は、無機陰イオン、有機陰イオン、およびポリマー陰イオンからなる群から選択される陰イオンを供給する、請求項31に記載の陰イオン性粘土。
【請求項33】
前記供給される陰イオンはSO2‐である、請求項32に記載の陰イオン性粘土。
【請求項34】
FCC再生器からのSOx排出量を低減させるための方法であって、2価金属化合物と3価金属化合物との物理的混合物を粉砕するステップと、前記粉砕された物理的混合物を、約200℃〜約800℃の範囲の温度でか焼するステップと、前記か焼された混合物を水性懸濁液中で再水和させて、添加剤を含有する陰イオン性粘土を形成するステップと、を含むプロセスによって製造される前記陰イオン性粘土を、前記FCC再生器に加えるステップを含み、添加剤は前記物理的混合物中に任意選択的に存在し、添加剤は前記水性懸濁液中に存在し、前記陰イオン性粘土は実質上バナジウムを含まない、方法。
【請求項35】
前記物理的混合物を、約20〜約90℃の範囲の温度で、約15分〜約6時間熟成させるステップをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記2価金属は、マグネシウム、マンガン、鉄、またはそれらの組み合わせである、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記3価金属はアルミニウムである、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記添加剤は、鉄、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、銀、マンガン、銅、クロム、ロジウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される元素を含む化合物である、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記2価金属化合物および/または前記3価金属化合物は、鉄、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、銀、マンガン、銅、クロム、ロジウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される元素を含有する化合物でドープされる、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記2価金属化合物はセリウムを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
ステップc)の間に陰イオン性物質が存在する、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記陰イオン性物質は、無機陰イオン、有機陰イオン、およびポリマー陰イオンからなる群から選択される陰イオンを供給する、請求項41に記載の陰イオン性粘土。
【請求項43】
前記供給される陰イオンはSO2‐である、請求項42に記載の陰イオン性粘土。

【図1】
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【公表番号】特表2010−522134(P2010−522134A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501108(P2010−501108)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/057675
【国際公開番号】WO2008/116076
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(509129255)
【Fターム(参考)】