説明

GABA(γアミノ酪酸)が含まれる薬用効果を有するトマト飲料の製造方法

【課題】 トマトに含まれるGABA、βカロチン、リコピンなどのビタミンを効率よく体に吸収させるために食酢を使った効率の良い吸収を施す飲料の製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】 トマト果汁を80℃にて30分加熱し冷却後瓶詰め、食酢、みりん、食塩を添加し100℃30分にて再加熱、再冷却し飲料にすることによりもっともGABAその他トマトに含まれるビタミンが効率よく体に吸収される飲料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトマト果汁に食酢を使い調味することを特徴とする飲料の製造方法と成分に関する。
【背景技術】
【0002】
他社のトマトジュースの製造において、GABA吸収効率の良いトマトジュースを製造する方法はあるが食酢を用いて製造する方法はない。
【0003】
トマトの赤い色素は「リコピン」という成分で、とりわけ「抗酸化作用」が強いことが分かっています。「リコピン」は「カロテノイド」(動植物に含まれる、赤や黄色、オレンジ色の色素)のひとつで、「カロテノイド」には「リコピン」のほか「β−カロテン」などがあります。「β−カロテン」はにんじんやパセリ、ほうれん草などに多く含まれ、体内でビタミンAに変化するため、早くから栄養学的に注目されていました。
「カロテノイド」自体が強い抗酸化作用を持つことが知られるようになり、「カロテノイド」の中でも、とりわけ「リコピン」は抗酸化作用が強く、その作用は「β−カロテン」の2倍以上、ビタミンEの100倍以上にもなることが分かったのです。
【0004】
トマトの栄養成分としてはビタミンA・B6・C・E・リコピン・リンゴ酸・クエン酸・カリウムなどで、トマトの効能としては脂肪の消化を促進し、肥満、高血圧の人に適していると言われています。清熱解毒、強肝、動脈硬化、高血圧、胃腸病、疲労回復、美肌など幅広い健康野菜としても好まれるようになってきました。
【0005】
GABA(ギャバ)はアミノ酸の一種で、正式名称をγ(ガンマ)−アミノ酪酸といいます。動物、植物を問わず、自然界に広く分布している物質ですが、人をはじめとする哺乳動物の脳や脊髄に、特に多く存在します。
「抑制性」の神経伝達物質といわれ、ストレスの多い現代人の脳では、このグルタミン酸の分泌量が増えやすい状態にあるといえます。脳内のグルタミン酸量が多くなると神経が常に高ぶった状態となり、全身に悪影響が出てくると考えられます。血圧の上昇がその代表です。GABAはグルタミン酸の上昇を抑えるブレーキ役としての機能をもつとされています。
【特許文献1】 特許公開2008−259460
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トマトに含まれるGABA、その他のビタミンを効率よく体に吸収させるために食酢を使った効率の良い吸収を施す飲料の製造方法の提供を課題とする。
他社での製造について、添加物を使用せずに製造する方法としては解決に至っていないため本発明では解決した。
【発明が解決しようとする手段】
【0007】
本発明はトマト前記課題解決のため研究を重ねた結果、トマトに食酢を加え調味することでさまざまなトマト本来の成分(ビタミンA・B6・C・E・リコピン・リンゴ酸・クエン酸・カリウム)を最大限に崩すことなく吸収効率の良いGABA含有トマト飲料を製造することができることを見つけ本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明に使うトマトは一般的なトマトに比べ1個あたりに含まれるすべての成分が4倍以上含有するのとGABA量、βカロチン、ビタミンA・B6・C・E・リコピン・リンゴ酸・クエン酸・カリウムなどのビタミンも多いので最も吸収させるために食酢を使用して製造した。
【課題を解決するための最良の形態】
【0009】
本発明で用いられるトマトは高濃度(糖度6度〜8度)のものを用い特に国産、海外からの輸入品でもよい。
【0010】
トマトが熟するとピペリジン酸という苦味の元であるアミノ酸がグルタミン酸に変化します。グルタミン酸は旨み、甘みの成分です。よって本発明に使用するトマトは完熟トマトを用います。
【0011】
トマトの香味を増強させる方法としてセルラーゼ、ペクトリアーゼ、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼという酵素を添加し酵素処理を行う方法があるが、本発明はこのような添加物を添加せずに熱処理と食酢を使うことだけで香味を損なわずに吸収の良いトマト飲料を完成させた。
【0012】
衛生面に関しては本来、熱処理のみの殺菌では限界があるが食酢を加えることでPH値を下げ、衛生面でも細菌検査をクリアーした。
【0013】
トマト搾汁のGABA含有量を増強させるためにグルタミン酸脱炭酸酵素やグルタミン酸脱炭酸酵素活性を有する微生物を作用させて増強させる方法もあるが、本発明に関してはGABAの含有を増やす方法ではなく、効率よく体内に浸透させるかを考え現在の製造方法に至った。
【0014】
ライオン社製のトマト酢として販売されている商品と本発明のトマト酢の成分を比較するとライオン社製のトマト酢はアラニン24、アスパラギン酸49、グルタミン酸109、GABA46、に対し本発明のトマト酢はアラニン18、アスパラギン酸73、グルタミン酸260、GABA64と圧倒的に多く含まれ、効率のいい数値を得られた。
【0015】
トマトの色は、カロチン類の「β−カロチン」と「リコピン」という色素が赤くしています。β−カロチンは、体内でビタミンAに変わることからその有効性については広く知られています。しかし、リコピンについては、ビタミンAに変わる性質がないため、これまで栄養素としては軽視されてきました。ところが近年、「リコピン」にはβ−カロチン優るとも劣らないパワーがある事がわかったのです。それが、リコピンの抗酸化作用です。リコピンは、体内で活性酸素の増殖を抑え、体内組織が酸化する障害から守ってくれるのです。しかも、パワーは強力で、リコピンの抗酸化能力はビタミンEの100倍、β−カロチンの2倍あると言われています。
強力な抗酸化作用から、リコピンには抗癌作用がある事が証明されました。ガンは、活性酸素により体が酸化することによって発病するとされているからです。イタリアの癌研究所とミラノ大学が共同で行ったトマトとガンの関係調査によると、トマトを多く食べる人は消化器系のガン発生率が低いとされています。
その他アトピー症、夜尿症、などにも効果が得られています。
【0016】
ヘモグロビン(hemoglobin)とは、ヒトを含む全ての脊椎動物や一部のその他の動物の血液中に存在する赤血球の中にある蛋白質である。酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。本発明のトマト飲料を飲むことで血中のヘモグロビン合成に役立つことがわかりました。
【0017】
酢の効能として、弱アルカリ性を保つ、風邪の予防、血圧の上昇を抑え、カルシウムの吸収を助け、肝機能を助け、疲労回復、ストレス解消、肥満防止、心臓病の予防、神経痛に効果的、血液の浄化作用、動脈硬化を防ぐなどの効果が得られます。また末梢(まっしょう)血管が拡張し、体温が上昇するので睡眠を助け、さまざまな病気に対する抵抗力の源となります。
【0018】
トマト酢を寝る前に飲む事により、睡眠が深くなる傾向があると、ライオン薬品第1研究所が発表しました。その他、手の指先の末梢(まっしょう)血管が拡張し、温度が上昇。中の特定たんぱく質の量が、飲まない場合に比べて減り、睡眠初期の眠りの深さに比例する成長ホルモン分泌量の満足度が向上したそうです。
【0019】
このように本発明による製造方法、使用するトマトにより他のトマトジュースに比べ圧倒的な健康的効果が得られる。添加物を使わず製造するためにトマト本来の香味が損なわれず、さまざまなトマトに含まれる健康的な要素、酢の効能などから栄養医薬品としても使用できる可能性があると考える。現在の食品業界の課題である安心、安全の面でもなんら問題ない。
【0020】
このように本発明のトマト飲料はGABA量も多く、血圧降下作用を有するカリウム等のミネラル、ポリフェノール、ペプチドやニコチアナミン等を混合して健康飲料とすることができる。さらには食品全般に添加しても健康食品として製造することができる可能性がある。今後もトマトに関してのさまざまな効能も期待される材料と言ってもいいでしょう。
【0021】
本発明の配合比としては
トマト:約60%
りんご酢:約4.5%
みりん:約1%
砂糖:約0.75%
食塩:約0.35%
加水:約33.4%
【0022】
本発明の成分分析表
エネルギー・・・・・26.0kcal
たんぱく質・・・・・0.7g
脂質・・・・・・・・0.0g
炭水化物・・・・・・5.7mg
ナトリウム・・・・・170.0g
食塩相当量・・・・・0.4g
水分・・・・・・・・92.9g
灰分・・・・・・・・0.8g
カルシウム・・・・・4.0mg
βカロチン・・・・・240μg
リコピン・・・・・・3.2mg
GABA(ガンマ−アミノ酪酸)・・・63.98mg

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トマト果汁を80℃にて30分加熱し冷却後瓶詰め、食酢、みりん、食塩を添加し100℃30分にて再加熱、再冷却し飲料にすることによりもっともGABAその他トマトに含まれるビタミンが効率よく体に吸収される飲料の製造方法。