説明

GDNFの送達のための移植可能な生体適合性免疫隔離ビヒクル

本発明は、コアおよびGDNFタンパク質の拡散を可能にする半透過性膜を備えるデバイス中にカプセル化された、治療的に有効な量のGDNF(グリア細胞株由来神経栄養因子)を分泌するヒト細胞の組成物を含むデバイスに関する。本発明のデバイスまたは組成物により処置される疾患の一例としては、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜症、加齢黄斑変性、緑内障、眼の新血管形成または網膜変性などが挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、GDNF分泌細胞を含むデバイスに関し、このデバイスは、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病および網膜症の処置のために用いられ得る。本明細書中に引用されるすべての参考文献は、参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(先行技術)
GDNFは、ドパミン作用性ニューロンが変性するパーキンソン病におけるドパミン作用性ニューロンの生存を促進し得る神経栄養因子である。GDNFの長期間送達がパーキンソン病を処置するための実行可能な手段であることを示す文献における十分な報告がある。GDNFは、血液脳関門を容易に横切らないので、中枢神経系中へのその投与は、血液脳関門の一体性を損ない得る侵襲的手順を必要とする。
【0003】
血液脳関門の背後にある中枢神経系へのGDNFの長期間送達は、種々の手段:移植されたポンプまたはカニューレを用いる連続的注入、インビボ遺伝子治療、GDNFを分泌するように遺伝子的に改変された裸細胞の移植、および半透過性膜の背後にカプセル化されたGDNF分泌細胞を含むカテーテル様デバイスの移植、で達成され得る。血液網膜関門の背後にある眼へのGDNFの送達についても同じことが適用される。
【0004】
移植されたポンプまたはカニューレを用いる送達は、カニューレを経由するか、またはポンプからの注入によるかいずれかである脳中への繰り返し注入を必要とし、これは、リザーバーが枯渇されるごとに再充填されなければならない。ポンプリザーバーが補充されなければならないか、または注入シリンジがカニューレを通じて再挿入されなければならない場合ごとに、夾雑物が脳中に導入され得る別の機会があり、これは、特に感染を受け易い。滅菌手順の注意深い使用でさえ、感染のリスクがある。徹底的に注意したユニットにおいてでさえ、頭蓋内圧力をモニターするために用いられる脳室内カテーテルは、約3日後に細菌で感染されるようになることが報告されている(非特許文献1)。感染のリスクに加え、注入手順に付随する特定のリスクがあるようである。脳室中への注入は、水頭症を生成し(非特許文献2)、そして実質組織中への溶液の連続的注入は、脳中の細胞壊死をともなうことが報告されている。
【0005】
インビボ遺伝子治療は、中枢神経系へのタンパク質因子の送達のための有望な技法である。それは、活性GDNF因子のインサイチュ(in−situ)合成の利点を保持している。しかし、遺伝子治療は、その使用が、厄介な影響を生じる挿入変異誘発および腫瘍形成のリスク、ならびにGDNF分泌を停止する能力のないことを本質的にともなうウイルスベクターの使用を必要とする。
【0006】
GDNFを分泌するよう遺伝子改変された裸細胞の移植もまた、局所送達および処置部位での活性因子のデノボ(de novo)合成の利点を有している。しかし、裸細胞が移植された組織中に組み込まれると、処置の終了はほぼ不可能である。さらに、移植された裸細胞は、一旦脳の内側に入ると移動し得、そして脳におけるGDNF分泌細胞の所望されない集団を確立し得る。これは、幹細胞および初代細胞の場合、特に真実である。このタイプの処置の例として、Akerudら(非特許文献3)は、裸のマウス神経球細胞の移植を用いるマウス線条へのGDNFの送達を記載している。最近、Kleinら(非特許文献4)は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)に対する治療を開発する狙いで、ラットの腰脊髄への、GDNFをコードするウイルスベクターで形質導入された裸のヒト神経初代細胞の移植を記載している。
【0007】
カプセル化細胞生物送達は、上記欠点を避けながら、遺伝子治療の上記利点を組み合わせる。なぜなら、患者の細胞のゲノムは影響されず、そして移植されたデバイスは、なんらかの厄介な影響が観察されると回収され得るからである。
【0008】
異なる細胞タイプが、カプセル化細胞から齧歯類および霊長類の中枢神経系にGDNFを送達するために用いられている。例えば、Kishimaら(非特許文献5)は、カプセル化されたC2C12細胞を用いてヒヒ脳室へのGDNFの送達を記載している。C2C12細胞はマウス細胞である。Tsengら(非特許文献6)は、GDNFを分泌するカプセル化BHK細胞を用いるラット脳へのGDNFの送達を記載している。BHKは、ハムスターの細胞株である。
【0009】
BHK細胞およびC2C12細胞の両者についてPDの処置における概念の証明がラットおよびヒヒの疾患モデルで提供されたが、これら細胞は、臨床研究では用いられていないるこの主要な理由は、BHK細胞およびC212細胞の両者がたとえカプセル化されたとしてもヒトの治療には有用ではないからである。なぜなら、異種細胞の使用から免疫応答または人獣共通伝染病を誘因する潜在的リスク、および継続する増殖に起因する可能性のあるカプセル化後に示す乏しい長期間生存率のBHK細胞およびC212細胞のためである。これら細胞は、本質的に多くのマウスタンパク質およびハムスタータンパク質をそれぞれ分泌し、これらはヒトに免疫原性であり得る。いずれにしろ、BHK細胞およびC212細胞は、人工成長培地でのストレス条件下で成長されるとき必要な生存率を有さない(特許文献1)。
【特許文献1】米国特許第6,361,771号明細書
【非特許文献1】Saffran,Perspectives in Biology and Medicine(1992)35,471〜86頁
【非特許文献2】Saffranら,Brain Research(1989)492,245〜254
【非特許文献3】J Nerusci(2001)21:8108〜18
【非特許文献4】Hum Gen Ther(2005)16:509〜521
【非特許文献5】Neurobiol Dis(2004)16:428〜39
【非特許文献6】J Neurosci(1997)17:325〜33
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、当該技術分野には、GDNF分泌細胞をもつデバイスであって、これらGDNF分泌細胞がヒト治療に適合され、大量のGDNFを分泌し、そして哺乳動物、特にヒトの中枢神経系または眼に移植されるとき長期間安定性を示すデバイスを提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
第1の局面では、本発明は、a.GDNFをコードする発現構築物を含むヒト細胞の組成物を含む内部コア、およびb.この細胞の組成物を取り囲む半透過性膜であって、GDNFの拡散を可能にする膜を含む生体適合性デバイスに関し、ここで、上記ヒト細胞は1つの細胞株に由来する。
【0012】
ヒト細胞を用いることにより、人獣共通伝染病および有害な免疫反応のリスクが低減される。
【0013】
細胞株を用いることにより、上記組成物中のすべての細胞が同一であるということが確実にされる。デバイス中に同一の細胞を有することにより、この「ユニット」はより安定である。なぜなら、このデバイスの内側のすべての細胞が同一であるからである。デバイスは、非常に長期間、好ましくは6ヶ月を超えて患者の脳または眼中に留まることが意図される。このような長期間の間に、いくらかの細胞は必然的に死滅し、そして壊死するので、このデバイス内の細胞の特定の更新が存在し得、そしてこのデバイス内の自然の細胞分裂を通じて置換され得る。このデバイス中に装填された細胞の組成物中の細胞が、最初、細胞の2つ以上のサブ集団を提示する場合、このデバイス内の自己更新は、この細胞の組成物における変化を生じ得る。これは、次に、GDNFアウトプットにおける変化を生じ得る。
【0014】
特に好ましい実施形態では、上記細胞は食作用し得る。このようにして、デバイス内で死滅する細胞からの残渣は除去され、そしてデバイス内の環境は「クリーン」に維持され得る。
【0015】
好ましくは、細胞中にトランスフェクトされる発現構築物は、プラスミドベクターである。治療的細胞製品のために、ウイルス−ベクターで形質導入された細胞を用いることはより好ましくない。
【0016】
本発明のなおより好ましい実施形態では、上記細胞中にトランスフェクトされる発現構築物は、転写物中にイントロンを含む。比較例は、最も高いレベルのGDNF分泌が、イントロンのない構築物をもつ細胞株と比較して、イントロンをもつ発現物でトランスフェクトされた細胞株で得られることを示す。
【0017】
さらなる局面では、本発明は、1つの細胞株由来のヒト細胞の組成物に関し、ここで、これら細胞は、GDNFをコードする異種発現構築物を含む。
【0018】
別の局面では、本発明は、パーキンソン病の処置の方法に関し、その必要のある被験体の被殻構造体および/または線条体構造体中に、本発明による少なくとも1つのデバイス、または本発明による細胞の組成物を移植する工程を包含する。
【0019】
別の局面では、本発明は、ハンチントン病の処置の方法に関し、その必要のある被験体の被殻構造体および線条体構造体中に、本発明による少なくとも1つのデバイス、または本発明による細胞の組成物を移植する工程を包含する。
【0020】
本発明はまた、筋萎縮性側索硬化症の処置の方法に関し、その必要のある被験体の髄腔内スペースおよび/または脊髄中に、本発明による少なくとも1つのデバイス、または本発明による細胞の組成物を移植する工程を包含する。移植は、腰椎の脊髄に行われ得る。
【0021】
さらに、本発明は、網膜症、加齢黄斑変性、緑内障、眼の新血管形成または網膜変性の処置の方法に関し、その必要のある被験体の眼中に、本発明による少なくとも1つのデバイス、または本発明による細胞の組成物を移植する工程を包含する。
【0022】
(定義)
本研究における「イントロン」は、コード配列(エクソン)とともに転写されるが、次に、成熟mRNAの形成で除去されるようなDNA配列の領域をいう。イントロンは、転写された配列内、遺伝子のコード配列間、遺伝子のコード配列内、および5’非翻訳領域(5’UTR)(プロモーター領域を含む)内いずれにも存在し得る。一次転写物中のイントロンは切除され、そしてこれらエクソン配列が同時かつ正確に連結され、成熟mRNAを形成する。イントロンとエクソンとの間の接続部は、スプライス部位を形成する。イントロンの塩基配列は、多くの高等真核生物では、保存的に、GTで開始し、そしてAGで終わる。
【0023】
本明細書で用いられるとき、「生体適合性カプセル」または「生体適合性デバイス」は、このデバイスが、宿主哺乳動物中の移植に際し、このデバイスの拒絶を生じるか、または、例えば、分解によりそれを作動不能にするに十分な有害な宿主応答を惹起しないことを意味する。
【0024】
本明細書で用いられるとき、「免疫隔離(immunoisolatory)カプセルまたはデバイス」は、哺乳動物宿主中への移植に際し、このデバイスまたはカプセルが、そのコア内の細胞に対する宿主の免疫系の有害な影響を最小にすることを意味する。
【0025】
生物学的活性は、特定細胞に対する分子の生物学的に有用な効果をいう。本明細書中で用いられるとき、「生物学的に活性なGDNF」は、それが作製される細胞から放出または分泌され、そして標的細胞に対するその効果を奏するものである。分泌されたGDNFの生物学的活性は、実施例中に記載されるRET−L1(またはRET−L2)ElisaアッセイおよびPC−12アッセイ中で確認され得る。
【0026】
「哺乳動物プロモーター」により、哺乳動物細胞中で機能し得るプロモーターが意図される。
【0027】
プロモーターの下方制御は、インビボ移植の後、導入遺伝子産物の有意な生物学的活性の欠如に至り得るレベルまで、導入遺伝子の産物の発現における減少を意味する。本明細書で用いられるとき、「下方制御を受けないプロモーター」は、哺乳動物宿主におけるインビボ移植の後、生物学的に活性であるレベルで導入遺伝子の発現を駆動、または駆動し続けるプロモーターを意味する。
【0028】
本明細書中で用いられるとき、「生物学的に活性なGDNFの長期間の安定発現」は、1ヶ月を超える、好ましくは3ヶ月を超える、そして最も好ましくは6ヶ月を超える期間の間、その有用な生物学的活性を維持するに十分なレベルでの、生物学的に活性なGDNFの継続された産生を意味する。
【0029】
高レベルの配列同一性は、第1の配列が第2の配列から派生される可能性を示す。アミノ酸配列同一性は、2つのアラインされた配列間で同じアミノ酸配列を要求する。それ故、参照配列と70%アミノ酸同一性を共有する候補配列は、アラインメントの後、この候補配列中の70%のアミノ酸が、参照配列中の対応するアミノ酸と同一であることを要求する。同一性は、制限されないで、Clustal Wコンピューターアラインメントプログラム(Higgins D.Thompson J.,Gibson T.,Thompson J.D.,Higgins D.G.,Gibson T.J.,1994.CLUSTAL W:improving the sensitivity of progressivemultiple sequence alignment through seqeunce weighting,postion−specific gap penalties and weight matrix choice.Nucleic Acids Res.22:4673〜4680 between)、およびその中に示唆されるデフォルトパラメーターのような、コンピューター分析の支援によって決定され得る。このClustalWソフトウェアは、European Bioinformatics InstituteにおけるClustalW WWW Service http:www.ebi.ac.uk/clustalwとしてから入手可能である。このプログラムをそのデフォルト設定で用い、クエリーおよび参照ポリペプチドの成熟(生物活性)部分がアラインされる。完全に保存された残基の数がカウントされ、そして参照ポリペプチドの長さによって除される。
【0030】
このClustalWアルゴリズムは、核酸配列をアラインするために同様に用いられ得る。配列同一性は、アミノ酸配列について示されたのと同じように算出され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(詳細な説明)
GDNF(グリア(神経膠)細胞株由来神経栄養因子)
GDNFは、最初、WO93/06116に記載された。それは、GFRα1またはGFRα2コレセプターとの複合体中のRETレセプターチロシンキナーゼを通じてシグナル伝達する。このヒトGDNFの「プレ−プロ(pre−pro)」形態のアミノ酸配列は、配列番号2、4、および17中に提示される。マウスGDNFの「プレ−プロ」形態のアミノ酸配列は、配列番号6に提示される。ラットGDNFの「プレ−プロ」形態のアミノ酸配列は、配列番号8に提示される。
【0032】
ヒト、マウスおよびラットGDNFの転写物のヌクレオチド配列は、Genbank中に、それぞれ受託番号NM_000514.2、NM_010275.1、およびNM_019139.1の下で見い出され得る。これらの配列はまた、本出願にそれぞれ配列番号3、5、および7として示される。
【0033】
転写物は、プレ−プロ−前駆体をコードする。プレペプチドおよびプロペプチドはプロセッシングされ、そして成熟GDNFタンパク質が分泌される。この分泌された成熟GDNFは、ヒト、マウスおよびラットGDNFの両方についてC末端134アミノ酸からなる(それぞれ配列番号9、10、および11)。
【0034】
GDNFは、TGF−βスーパーファミリーのメンバー(Massagueら、1994、Trends in Cell Biology,4:172〜178)、およびグリア細胞株由来神経栄養因子リガンドファミリーのメンバーである。このGDNFファミリーは、GDNF、persephin(「PSP」;Milbrandtら、1998、Neuron 20:245253)、neublastin(「NBN」;WO 00/01815)およびneurturin(「NTN」;WO 97/08196)を含む。GDNFサブファミリーのリガンドは、共通して、RETレセプターチロシンキナーゼを通るシグナル伝達を誘導する能力を有している。GDNFサブファミリーのリガンドは、神経栄養レセプター、GFRαレセプターのファミリーに対するそれらの相対的親和性が異なる。GDNFは、好ましくは、GFRα1−RETまたはGFRα2−RET複合体を通じて作用する。
【0035】
【表1】

表1に示されるアミノ酸配列アラインメントから、GDNFは、TGF−[β]スーパーファミリー内で保存されている位置で7つのシステイン残基を有することが観察され得る。この配列アラインメントに基づき、GDNFは、GDNFサブファミリーフィンガープリント(LGLG−FRYCSGSC−QACCRP−SAKRCGC、GDNFサブファミリーフィンガープリント、表1で下線が引かれる)を含む。
【0036】
(表2.マウス(配列番号6)、ラット(配列番号8)およびヒトGDNF(配列番号4)オルトログのClustal W(1.83)複数配列アラインメント。保存は、表1に示されるように標識する)
【0037】
【表2】

本発明の細胞株によって分泌されるGDNFポリペプチドは、成熟タンパク質、グリコシル化タンパク質、リン酸化タンパク質、短縮型形態、または任意のその他の翻訳後改変タンパク質の形態を含む、任意の生物活性形態で存在し得る。生物活性GDNFは、各GDNF改変体についてダイマー化形態で存在すると想定される。なぜなら、ダイマー形成が活性に必要であるからである。活性がほとんどないか、またはないのが、モノマーGDNFポリペプチドで観察される。生物活性GDNFポリペプチドは、(GFRα1またはGFRα2のような)コファクターの存在下で、RET、またはGFRα1もしくは2とRETの複合体に結合するダイマー化ポリペプチドを含み、RETのダイマー化、およびRETの自己リン酸化を誘導する。
【0038】
本発明の細胞株によって産生されるGDNFポリペプチドは、ネイティブGDNFの少なくとも1つの生物学的活性を示す。本発明の目的のための生物学的活性は、任意の適切な方法によって決定され得る。生物学的に活性なGDNFポリペプチドは、ダイマー化されるとき、GFRα1もしくは2とともに、RETに結合し得るポリペプチドであり、そしてRETダイマー化および自己リン酸化を誘導する(例えば、Sanicolaら、1997、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:6238を参照のこと)。レセプター結合およびレセプター自己リン酸化を決定する任意の方法が、本発明の方法によって産生されるGDNFポリペプチドの生物学的活性を評価するために用いられ得る。例えば、KIRAアッセイ(ELISA)が、GDNF生物学的活性を評価するために用いられ得る。(Sadickら、1996、Anal.Biochem.,235(2):207もまた参照のこと)。
【0039】
生物活性形態にあるGDNFはまた、実施例4に記載されるRetL1 ELISAアッセイを用いて検出され得る。生物学的機能を有さないGDNFは、このRetL1 ELISAアッセイによっては検出されない。
【0040】
以下の「野生型」GDNFアミノ酸(「aa」または「AA」)配列は、本発明の方法および組成物で有用であるような分泌されたGDNFポリペプチドの例である。
【0041】
配列番号4または9(ヒト成熟)の−−AA−AA134
配列番号6または10(マウス成熟)の−−AA−AA134
配列番号8または11(ラット成熟)の−−AA−AA134
【0042】
1つの実施形態では、好ましいGDNFポリペプチドは、配列番号4で位置41、68、72、101、102、131、および133として保存される(7つの)システインを含む。これら7つの保存されたシステイン残基は、TGFスーパーファミリー内で3つの分子内モノマー性ジスルフィド結合(例えば、配列番号4において、41−102、68−131、および72−133間に企図される)、および1つの分子間ジスルフィド結合(例えば、配列番号4において、システイン残基101−101間に企図される)を形成することが知られ、これらは、伸長されたβ鎖領域とともに、このTGF−[β]スーパーファミリーの保存された構造モチーフを構成する。例えば、Daopinら、Proteins 1993、17:176〜192を参照のこと。
【0043】
好ましくは、この分泌されたGDNFポリペプチドは、野生型タンパク質の成熟形態の1つである。
【0044】
分泌されたGDNFポリペプチドは、長さが異なり得る。成熟ヒトGDNFポリペプチドは、通常、プレプロGDNFのC末端134アミノ酸からなるが、この134アミノ酸のすべてが、有用なGDNF生物学的活性を達成するために必要なわけではない。アミノ末端短縮が許される(WO 97/11964)。それ故、この分泌されたGDNFポリペプチドは、ネイティブヒトGDNFのC末端アミノ酸の94〜134のいずれか、好ましくは少なくとも95のC末端アミノ酸(配列番号12に対応する)を含み得る。分泌されるべきこのGDNFポリペプチドの正確な長さの選択は、当業者によってなされ得る設計選択である。長さが変動することに加え、この分泌されるGDNFポリペプチドは、配列が変動し得る。
【0045】
分泌GDNFポリペプチドはまた、完全長GDNF分子の短縮型形態を含む。このような短縮された分子では、1つ以上のアミノ酸が、N末端またはC末端、好ましくはN末端から欠失されている。この短縮型GDNFポリペプチドは、短縮型形態およびこのポリペプチドの分泌を確実にするための適切なシグナル配列をコードする発現構築物を用いることにより得られ得る。
【0046】
本明細書中に記載されるこの短縮型GDNFポリペプチドは、好ましくは、成熟GDNF配列中で保存される上記7つのシステイン残基を包含するポリペプチドを含む。好ましい実施形態では、この短縮型GDNFポリペプチドは、成熟ヒトGDNF(配列番号12)の少なくとも95のカルボキシ末端アミノ酸を含む。短縮型GDNFポリペプチドはまた、神経栄養活性が保存される限り、野生型配列に対し、1つ以上のアミノ酸置換を含み得る。それ故、本発明はまた、配列番号12、13、または14の配列の1つに少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する分泌された神経栄養ポリペプチドの使用を含む。好ましくは、参照配列は配列番号12である。
【0047】
1つの短縮型形態は、成熟GDNFの7つのシステイン残基の最初から最後までの93アミノ酸を含む。これは、配列番号4のアミノ酸番号41〜133に対応する。
【0048】
本明細書中に開示されるGDNFの短縮型形態(例えば、134AA〜95AA形態)は、神経栄養活性を有することが理解される。
【0049】
マウスおよびラットGDNFの短縮型形態もまた企図される。これらは、配列番号6(マウス)のC末端アミノ酸の94〜133を含み得るか、またはそれらは、配列番号8(ラット)のC末端アミノ酸の94〜133を含み得る。好ましい短縮型形のマウス配列およびラット配列は、配列番号13および14に示される。
【0050】
本発明で有用なGDNFはまた、上記に提示された種々のプレプロ、プロ、成熟および短縮型GDNFポリペプチドに実質的類似性または同一性をもつアミノ酸配列を有するようなGDNFポリペプチドを含む。好ましくは、この分泌されたGDNFポリペプチドは、配列番号9、10、および11の配列の1つに、少なくとも70%、より好ましくは85%、なおより好ましくは90%、より好ましくは少なくとも85%、またはなおさらに好ましくは95%の同一性または類似性を有する。最も好ましくは、この分泌されたGDNFポリペプチドは、配列番号9、10、および11の配列の1つに、少なくとも98%の類似性または同一性を有する。好ましくは配列番号9に対してである(ヒト成熟GDNF)。
【0051】
好ましくは、任意の改変体GDNFポリペプチドは、ヒトにおいてこのポリペプチドに対する抗体の形成を誘導しない。さらに、発現構築物が分泌され、そして生物活性のGDNFの正確なプロセッシングおよび折り畳みを許容するポリペプチドをコードすることが重要である。なぜなら、誤折り畳みは、このタンパク質に対する抗体の形成を誘因し得るからである。
【0052】
候補ポリペプチドが本発明のGDNFポリペプチドと相同性を共有する程度は、2つのアミノ酸配列間の類似性または同一性の程度として決定される。
【0053】
高レベルの配列同一性は、第1の配列が第2の配列から派生される可能性を示す。アミノ酸配列同一性は、2つのアラインされた配列間で同一のアミノ酸配列を必要とする。それ故、参照配列と70%の配列同一性を共有する候補配列は、アラインメント後、候補配列中のアミノ酸の70%が、参照配列中の対応するアミノ酸に同一であることを要求する。同一性は、本出願の定義のセクション中に記載されるように決定される。ClustalWプログラムを用い、ポリペプチドの成熟部分は、本明細書中に配列番号4(ヒトGDNF)、配列番号6および8(齧歯類GDNF)として提示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、より好ましくは85%、なおより好ましくは90%、またはなおさらに好ましくは95%、最も好ましくは少なくとも98%の同一性の程度を示し得る。好ましくは参照配列は配列番号4である。
【0054】
上記に注記されたように、本発明のGDNFポリペプチドは改変体ポリペプチドを含む。本発明の文脈では、用語「改変体ポリペプチド」は、配列番号4(ヒトGDNF)、または配列番号6および8(齧歯類GDNF)の一部として提示される成熟ポリペプチドから、1つ以上のアミノ酸位置で異なるアミノ酸配列を有するポリペプチド(またはタンパク質)を含む。このような改変体ポリペプチドは、保存的置換、スプライス改変体、イソ形態、その他の種からのホモログ、および多形をもつ改変されたポリペプチドを含む。
【0055】
本明細書中で規定されるとき、用語「保存的置換」は、別の、生物学的に類似の残基によるアミノ酸残基の置換を示す。代表的には、上記で言及されるような生物学的類似性は、野生型配列上の保存されたアミノ酸での置換を反映する。好ましくは、保存的置換は、ClustalWアラインメントプログラムによって規定されるセンスにおいて保存的である。生物活性に影響することなく変更され得るGDNF配列中の位置は、例えば、GDNFオルトログ(表2)のClustalWアラインメントを作製することにより識別され得、そして非保存残基または半保存残基を識別する。位置はまた、GDNFファミリーのタンパク質のアラインメント(表1)への参照により識別され得る。GDNFサブファミリーを横切って保存されている残基は、このタンパク質の生物活性のために重要である可能性がある。
【0056】
本発明によるカプセル化細胞または裸細胞を受容する被験体においてGDNFに対する循環性抗体の生成を避けるために、上記細胞によって分泌されるGDNFは、問題の被験体において天然に存在するGDNFと同一であるべきである。ヒトに対しては、これは、分泌されたGDNFが、好ましくはGDNF(配列番号9)の134のC末端アミノ酸からなり、ヒト細胞によって分泌されるとき、GDNFのように正常にグリコシル化されることを意味する。
【0057】
(細胞株)
本発明は、異種不死化遺伝子の挿入により不死化されたGDNF分泌性ヒト細胞株;自然に不死である細胞株;および成長因子で増殖された細胞株に関する。本発明の好ましい実施形態では、ヒト細胞株は、異種不死化遺伝子の挿入で不死化されていない。本発明は、好ましくはカプセル化細胞のような、細胞移植に特に適している細胞に関するので、このような不死化された細胞株はより好まれない。なぜなら、それらが、ヒト身体内側で制御されない様式で増殖を開始し、それらが既知の発癌遺伝子を保持する場合、腫瘍を形成する可能性の固有のリスクが存在するからである。
【0058】
成長因子で増殖された細胞株は、それらは、継続される増殖のために添加された分裂促進剤に依存するという利点を有する。それ故、デバイスを細胞で充填する前、またはそれと組み合わせたこの分裂促進剤の中止に際し、これら細胞は増殖することを停止し、そしてヒト身体中への移植後、再び増殖しない。いくつかの成長因子増殖細胞株はまた、分裂促進剤の中止に際し、分化し得る。成長因子で増殖された細胞株は、神経幹細胞および胚性幹細胞のような幹細胞を含む。
【0059】
好ましくは、この細胞株は食作用し得る。食作用を通じて、デバイス内で崩壊または死滅する細胞によって落とされる残渣を除去し得る。
【0060】
好ましくは、この細胞株は、接触阻害される細胞株である。接触阻害される細胞株によって、従来条件下で単層として培養フラスコで成長されるとき集密まで成長し、そして次に分裂を実質的に停止する細胞株が意図される。これは、限られた数の細胞が単層から逃れる可能性を排除しない。カプセルまたはデバイスの内側で、これら細胞は集密まで成長し、そして次に増殖速度を顕著に遅くするか、または分裂を完全に停止する。
【0061】
特に好ましいタイプの細胞は、それらの性質によって接触阻害され、そして培養で安定な単層を形成する上皮細胞を含む。
【0062】
なおより好ましいのは、網膜色素上皮細胞(RPE細胞)である。RPE細胞の供給源は、哺乳動物網膜からの初代細胞単離による。RPE細胞は食作用し得、そしてまた接触阻害される細胞である。
【0063】
RPE細胞を回収するためのプロトコルは、良好に確立されており(LiおよびTurner,1998,Exp.Eye Res.47:911〜917;Lopezら,1989,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.30:586〜588)、そして慣用の方法であると考えられる。RPE細胞同時移植の公開された報告の大部分では、細胞はラット由来である(LiおよびTuner,1988;Lopezら,1989)。本発明によれば、RPE細胞は、ヒト由来である。単離された初代RPE細胞に加え、培養されたヒトRPE細胞株が、本発明の実施で用いられ得る。
【0064】
すべての通常の二倍体脊椎動物細胞は、増殖するために制限された能力を有し、現象は、Hayflick制限または複製老化として知られるようなった。ヒト線維芽細胞では、この制限は、50〜80の集団倍加の後に生じ、その後、細胞は生存したままであるが、数ヶ月の間、非分裂の老化状態である。これは、大部分の癌細胞の挙動とは対照的であり、癌細胞は、それらの増殖能力を制限する制御から逃れており、そして効率的に不死である。
【0065】
細胞が遺伝子的に改変され、そしてカプセル化細胞療法または移植療法のために十分な細胞を生成するように増殖され得るように、それらが特定数の細胞分裂を行い得ることが好ましい。従って、好ましい細胞株は、少なくとも50の倍加、より好ましくは少なくとも60の倍加、より好ましくは少なくとも70の倍加、より好ましくは少なくとも80の倍加、より好ましくは約100の倍加のような、少なくとも90の倍加を行い得る。
【0066】
カプセル化のためには、これら細胞は、CNSの低酸素分圧レベルで生存し、かつ機能的GDNF分泌を維持し得る必要がある。好ましくは、本発明の細胞株は、5%未満、より好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満の酸素分圧で生存し得る。1%酸素分圧は、脳における酸素レベルに対応する。
【0067】
カプセル化細胞を基礎にした送達システムのためのプラットホーム細胞株であるために、細胞株は、以下の特徴を可能な限り多く有するべきである:(1)細胞は頑健、すなわち、緊縮な条件で生存すべきである(カプセル化された細胞は、中枢神経系実質組織内、または脳室内、または髄膜の下にある流体スペース、または眼、特に眼内環境内のような血管または非血管組織の腔で機能的であるべきである)。(2)細胞は、遺伝子的に改変されてGDNFを発現し得るべきである。(3)細胞は、比較的長い一生を有するべきである(細胞は、貯蔵され、特徴付けられ、操作され、安全に試験され、そして臨床ロットで製造されるべき十分な子孫を産生すべきである)。(4)細胞は、ヒト起源でなければならない(これは、カプセル化された細胞と宿主との間の適合性を増大する)。(5)細胞は、デバイス中、インビボで1ヶ月を超える期間の間80%より大きい生存率を示すべきである(これは、長期間送達を確実にする)。(6)カプセル化細胞は、効き目のある量のGDNFを送達すべきである(これは、処置の有効性を確実にする)。(7)カプセル化されるとき、細胞は、顕著な宿主免疫反応を引き起こすべきではない(これは、移植片の長命を確実にする)。(8)細胞は、非腫瘍原性であるべきである(デバイス漏失の場合に、宿主に対し付加された安全性を提供する)。
【0068】
いくつかの細胞株のスクリーニングおよび特徴付けにおいて、ARPE−19細胞株(Dunnら,62 Exp.Eye Res.155〜69(1996),Dunnら、39 Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.2744〜9,Finnemanら,94 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 12932〜7(1997),Handaら、66 Exp.Eye.411〜9(1998),Holtkampら、112 Clin.Exp.Immunol.34〜43(1998),Maidjiら,70 J.Virol.8402〜10(1996))は、カプセル化細胞を基礎にした送達システムのための首尾良いプラットホームのすべての特徴を有する(米国特許第6,361,771号,Taoら)。このARPE−19細胞株は、試験されたその他の細胞株に対して優れていた。
【0069】
このARPE−19細胞株は、American Type Culture Collection(ATCC番号CRL−2032)から入手可能である。このARPE−19細胞株は、正常な網膜色素上皮(RPE)細胞の培養から派生し、そして網膜色素上皮細胞特異的マーカーCRALBPおよびRPE−65を発現する。ARPE−19細胞は、安定な単層を形成し、これは、形態学的および機能的極性を示す。
【0070】
ARPE−19細胞は、細胞寄託者によって推奨される血清含有培地である完全成長培地中で培養され得る。完全成長培地は、3mMのL−グルタミンを含むダルベッコの改変イーグル培地とハムのF12培地との1:1混合物、90%;ウシ胎児血清、10%、または、10%のウシ胎児血清、56mMの最終濃度の重炭酸ナトリウムおよび2mMのL−グルタミンを含むHEPES緩衝液をともなうダルベッコの改変イーグル培地とハムのF12培地との1:1混合物のいずれかである。細胞は、好ましくは5%CO中37℃でインキュベートされる。細胞は、代表的には、プレートにまかれ、そしてFalcon組織培養処理6または12ウェルプレートまたはT25またはT75フラスコ中で成長される。
【0071】
継代培養には、培地が除去され、そしてARPE−19細胞は、好ましくは、0.05%トリプシン、0.02%EDTA溶液ですすがれ、そしてトリプシンは除去される。1〜2mlのさらなるトリプシン溶液が添加される。この培養は、室温(または37℃)でARPE−19細胞が剥がれるまでインキュベートされる。継代培養の比は、1:3〜1:5が推奨される。
【0072】
カプセル化細胞療法のための候補細胞株の強壮性は、以下の3ステップのスクリーニングを用いて試験され得る。(a)細胞生存率スクリーニング(細胞は、人工眼房水(aAH)培地または人工大脳脊髄流体(aCSF)培地を用いてストレス条件下で評価され得る)。(b)インビトロECMスクリーニング(細胞は、インビトロ細胞外マトリックス(ECM)スクリーニングで評価され得る)。(c)インビボデバイス生存率スクリーニング(カプセル化細胞は、インビボ膜スクリーニングで評価され得る)。いくつかのヒトおよび非ヒト細胞株でのスクリーニングおよび結果の詳細な説明は、米国特許第6,361,771号(参考として援用される)に見い出される。
【0073】
上記に記載の3つのタイプのスクリーニングにおいて、ARPE−19細胞は、試験された多くのその他の細胞株に対し優れることが証明された(米国特許第6,361,771号を参照のこと)。特に、GDNFを分泌するために先行技術で用いられているBHKおよびC2C12細胞は、細胞生存率スクリーニングに合格しなかったことが注記されるべきである。
【0074】
別の実施形態では、細胞株は、好ましくはSV40T、vmyc、またはテロメラーゼ(TERT)の触媒サブユニットで不死化された、ヒト不死化線維芽細胞株、ヒト不死化間葉幹細胞株、ヒト不死化星状細胞株、ヒト不死化中脳細胞株、およびヒト不死化内皮細胞株:からなる群より選択される。
【0075】
本発明による別のタイプの好ましいヒト細胞は、不死化ヒト星状細胞株である。これらの細胞株はまた、本発明による使用のために必要な性質を有し得る。不死化ヒト星状細胞を生成するための方法は、先に記載されている(Price TN,Burke JF,Mayne LV.A novel human astrocyte cell line(A735) with astrocyte−specific neurotransmitter function.In Vitro Cell Dev Biol Anim.1999 May:35(5):279〜88)。このプロトコルは、星状細胞株を生成するために用いられ得る。
【0076】
モノクローナル細胞株を生成するために、実施例1に記載されるように、GDNFを分泌するように遺伝子的に改変された細胞がトランスフェクトされた細胞の生存のみを許容する条件下で接種される。生存細胞またはコロニーの選択の後、これらは増殖して、モノクローナル細胞株の組成物を形成する。モノクローナル細胞株の生成はまた、限界希釈を用いて生成され得、この方法は、トランスフェクトされた細胞の選択がないので、単一に選択されたクローン毎の試験が必要である。
【0077】
モノクローナル細胞株は、次に、適切なクローンが選択される前に、GDNFの高分泌、インビトロおよびインビボ長期間安定性スクリーニングのための選択に供され得る。選択されたモノクローナル細胞株は、それがヒト治療のために用いられる前に、安全性試験および細胞貯蔵(banking)にさらに供される。
【0078】
(長期間安定性)
好ましくは、本発明で用いられる細胞株は、インビボでカプセル化細胞として移植されるとき、延長された期間(数ヶ月、そして1年まで、またはそれ以上)の間生存し得る。細胞株はまた、好ましくは1ヶ月を超える、好ましくは3ヶ月を超える、より好ましくは6ヶ月を超える期間の間、治療の効き目を確実にするに十分なレベルで生物活性GDNFの分泌を維持し得る。これら細胞が、カプセル化の後少なくとも1ヶ月、より好ましくは少なくとも3ヶ月、より好ましくは少なくとも6ヶ月の間、生物活性GDNFの意味のある分泌を維持し得ることがまた好ましい。実施例8に示されるように、GDNF分泌および生存率は、正常なラットの脳における2ヶ月の移植の後、高いままであった。
【0079】
分泌のレベルは、好ましくは、少なくとも0.5ng生物活性GDNF/10細胞/24時間であり、少なくとも0.5ng、より好ましくは少なくとも0.75ng、より好ましくは少なくとも1ng、より好ましくは少なくとも2ng、より好ましくは少なくとも2.5ng、より好ましくは少なくとも5ng、より好ましくは少なくとも7.5ng、より好ましくは少なくとも10ng、より好ましくは少なくとも15ng、より好ましくは少なくとも20ng、より好ましくは少なくとも25ng、より好ましくは少なくとも50ngである。添付の実施例によって証明されるように、5および10ng/10/24時間をも超えて分泌する、いくつかのヒト接触阻害されるクローンが確立された。
【0080】
デバイスレベルで測定されるとき、(カプセル化細胞を含む)デバイスは、好ましくは、0.1ngの生物学的に活性なGDNF/24時間を超えて分泌し得る。より好ましくは、24時間あたり、デバイスあたりの生物学的に活性なGDNFの量は、少なくとも1ng、より好ましくは少なくとも2ng、より好ましくは少なくとも2.5ng、より好ましくは少なくとも5ng、より好ましくは少なくとも7.5ng、より好ましくは少なくとも10ng、より好ましくは少なくとも15ng、より好ましくは少なくとも20ng、より好ましくは少なくとも25ngである。これらの数は、500〜700μmの内径を有する5〜7mm長さの、そして50000細胞が装填された円筒形デバイスについて言及している。
【0081】
(寄託)
2つの好ましいHomo sapiens細胞株が、NsGene A/S,Baltorpvej 154,DK−2750 Ballerup,Denmarkにより、ブタペスト条約の下、DSMZ,Mascheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweig,Germanyに、2005年9月21日に、受託番号:DSM ACC2733(NGC−0363)およびACC2732(NCG−0301)の下で寄託された。両方の寄託された細胞株は、本明細書中で規定されるような、pCln.hGでトランスフェクトされたARPE−19クローンである。これら寄託された細胞株は、実施例中でC101(NCG−0301)およびC63(NGC−0363)として識別される。
【0082】
(発現ベクター)
本発明における使用のためのGDNFの組換え発現のためのベクターの構築は、当業者に詳細な説明を必要としない従来技法を用いて達成され得る。総説には、当業者は、Maniatisら,Molecualar Cloning:A Laboratory Mannual,Cold Spring Harbor Laborartory,(NY 1982)を調べることを希望し得る。
【0083】
本明細書で用いられるとき、用語「ベクター」は、それが連結された別の核酸を輸送し得る核酸分子をいう。1つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、これは、さらなるDNAセグメントが連結され得る環状の二本鎖DNAループをいう。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、ここで、さらなるDNAセグメントは、ウイルスゲノム中に連結され得る。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞中で自律複製し得る(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム性哺乳動物ベクター)。その他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞中への導入に際し、宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、そしてそれによって宿主ゲノムとともに複製される。さらに、特定のベクターは、それらが作動可能に連結される遺伝子の発現を行い得る。このようなベクターは、本明細書中で「発現ベクター」と称される。一般に、組換えDNA技法において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。本明細書では、「プラスミド」および「ベクター」は交換可能に用いられ得、なぜなら、このプラスミドは、ベクターの最も一般的に用いられる形態であるからである。しかし、本発明は、等価な機能を供する、ウイルスベクター(例えば、複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)のようなそのようなその他の形態の発現ベクターを含むことが意図される。
【0084】
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中で核酸の発現に適した形態にある本発明の核酸を含み、これは、この組換え発現ベクターが、発現されるべき核酸配列に作動可能に連結されている、発現のために用いられる宿主細胞を基に選択された、1つ以上の調節配列を含むことを意味する。組換え発現ベクター内で、「作動可能に連結され」は、目的の核酸配列が、調節配列(単数または複数)に、(例えば、このベクターが宿主細胞中に導入されるときこの宿主細胞中で)核酸配列の発現を可能にする様式で連結されていることを意味することが意図される。
【0085】
用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサーおよびその他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。このような調節配列は、例えば、Goeddel,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Clif.(1990)に記載されている。調製配列は、多くのタイプの宿主細胞中でヌクレオチド配列の構成的発現を行う配列、および特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を行う配列(例えば、組織特異的調節配列)を含む。発現ベクターの設計は、形質転換されるべき宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現のレベルなどのような因子に依存し得ることが当業者によって認識される。本発明で用いられる発現ベクターは、宿主細胞中に導入され得、それによって、本明細書中に記載されるような核酸によってコードされるGDNFおよびGDNF変異体および改変体を産生する。
【0086】
本発明の好ましい実施形態では、細胞は、非ウイルスベクターでトランスフェクトされる。非ウイルス発現ベクターの使用は、一旦、細胞がレシピエント被験体中に移植されると、安全性の理由のために好ましい。
【0087】
好ましい実施形態では、発現ベクターは、哺乳動物プラスミド発現ベクターである。哺乳動物プラスミド発現ベクターの例は、pCDM8(Seed,1987.Nature 329:840)、pCI(Promega Inc)、pSI(Promega)、pNS(実施例1)、pUbi1z(Johansenら、2003,J Gene Medicine,5:1080〜1089)、およびpMT2PC(Kaufmanら、198.EMBO J.6:187 195)を含む。哺乳動物細胞で用いられるとき、この発現ベクターの制御機能は、しばしばウイルス調節エレメントによって提供される。真核動物細胞のためのその他の適切な発現システムについては、例えば、Sambrookら、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989の16および17章を参照のこと。
【0088】
遺伝子の発現は、転写レベル、翻訳レベルまたは翻訳後レベルで制御される。転写開始は、遺伝子発現において初期のそして重要な事象である。これは、プロモーターおよびエンハンサー配列に依存し、そしてこれら配列と相互作用する特異的細胞因子によって影響される。多くの遺伝子の転写ユニットは、プロモーターと、いくつかの場合にはエンハンサーまたはレギュレーターエレメントとからなる(Banerjiら,Cell 27:299(1981);Cordenら,Science 209:1406(1980);およびBreathnachおよびChambon,Ann.Rev.Biochem.50:349(1981))。レトロウイルスについては、レトロウイルスゲノムの複製に関与する制御エレメントは、長い末端反復(LTR)中にある(Weissら編,The molecular biology of tumor viruses:RNA tumor viruses,Cold Spring Harbor Laboratory,(NY 1982))。モロニーマウス白血病ウイルス(MLV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)のLTRは、プロモーターおよびエンハンサー配列を含む(Jollyら,Nucleic Acids Res.11:1855(1983);Capecchiら:Enhancer and eukaryotic gene expression,GulzmanおよびShenk編、101〜102頁,Cold Spring Harbor Laboratories(NY 1991))。その他の能力のあるプロモーターは、サイトメガロウイスル(CMV)由来のプロモーター、およびその他の野生型ウイルスプロモーター、およびヒトユビキチンC由来のUbiCプロモーター(WO 98/32869)を含む。
【0089】
多くの非ウイルスプロモーターのプロモーター領域およびエンハンサー領域もまた記載されている(Schmidtら,Nature 314:285(1985);RossiおよびdeCrombrugghe,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:5590〜5594(1987))。休止細胞中の導入遺伝子の発現を維持および増加するための方法は、I型コラーゲンを含むプロモーター(1および2)(ProckopおよびKivirikko,N.Eng.J.Med.311:376(1984);SmithおよびNiles,Biochem.19:1820(1980);de Wetら、J.Biol.Chem.,258:14385(1983))、SV40およびLTRプロモーターの使用を含む。
【0090】
本発明の1つの実施形態によれば、上記プロモーターは、ユビキチンプロモーター、CMVプロモーター、JeTプロモーター(米国特許第6,555,674号)、SV40プロモーター、Mt1プロモーター、および伸長因子1αプロモーター(EF−1α)からなる群から選択される。特に好ましいプロモーターは、インビボで下方制御を受けないプロモーターである。
【0091】
誘導性/抑制可能プロモーターの例は、Tet−On、Tet−Off、ラパマイシン誘導性プロモーター、Mx1を含む。
【0092】
導入遺伝子発現を駆動するためにウイルスプロモーターおよび非ウイルスプロモーターを用いることに加え、エンハンサー配列が、導入遺伝子発現のレベルを増加するために用いられ得る。エンハンサーは、それらのネイティブ遺伝子の転写活性のみならず、いくつかの異種遺伝子の転写活性をまた増大し得る(Armelor,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 70:2702(1973))。例えば、本発明では、コラーゲンエンハンサー配列が、コラーゲンプロモーター2(I)とともに用いられ得、導入遺伝子発現を増大する。さらに、SV40ウイルスに見出されるエンハンサーエレメントは、導入遺伝子発現を増加するために用いられ得る。このエンハンサー配列は、本明細書中に参考として援用される、Grussら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:943(1981);BenoistおよびChambon,Nature 290:304(1981)、およびFrommおよびBerg,FrommおよびBerg,J.Mol.Appl.Genetics,1:457(1982)によって記載されるように、72塩基対反復からなる。この反復配列は、それが種々のプロモーターと連続して存在しているとき、多くの異なるウイルス遺伝子および細胞遺伝子の転写を増大し得る(Moreauら,Nucleic Acids Res.9;6047(1981))。
【0093】
さらなる発現増大配列は、制限されないで、Kozakコンセンサス配列、Woodchuck肝炎ウイルス転写後調節エレメント、WPRE、SP163エンハンサー、CMVエンハンサー、tau、THまたはAPP遺伝子からの非翻訳5’または3’領域、およびニワトリ[β]−グロビンインシュレーターおよびその他のインシュレーターを含む。好ましい増大エレメントは、Kozakコンセンサス配列、WPREおよびβ−グロビンインシュレーターを含む。
【0094】
遺伝子導入ベクターとして有用なウイルスは、パポバウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、およびレトロウイルスを含む。適切なレトロウイルスは、HIV、SIV、FIV、EIAV、MoMLVからなる群を含む。
【0095】
特別でかつ好ましいタイプのレトロウイルスは、細胞に形質導入し、そして細胞分裂なしにそのゲノム中に組み込み得るレンチウイルスを含む。レンチウイルス粒子は、5’レンチウイルスLTR、tRNA結合部位、パッケージシグナル、GDNFをコードするポリヌクレオチドシグナルに作動可能に連結されたプロモーター、第2の鎖のDNA合成の起点および3’レンチウイルスLTRを含むレトロウイルスベクターから産生され得る。
【0096】
レトロウイルスベクターは、ヒト臨床試験で最も一般的に用いられるベクターである。それらは7〜8kbの異種DNAを保持し得るからであり、そしてそれらは細胞を感染する能力を有し、かつ高い効率で宿主細胞中に安定に組み込まれるそれらの遺伝子材料を有しているからである。例えば、WO 95/30761;WO 95/24929を参照のこと。オンコウイルス亜科は、患者中に外来核酸配列の導入および組み込みのために少なくとも1つのラウンドの標的細胞増殖を必要とする。レトロウイルスベクターは、細胞のゲノム中にランダムに組み込む。
【0097】
3つのクラスのレトロウイルス粒子が記載されている;エコトロピック、これは、マウス細胞に効率的に感染し得、および両栄養性、これは、多くの種の細胞に感染し得る。第3のクラスは、異種栄養性レトロウイルスを含み、これは、このウイルスを産生した種の他の別の種の細胞を感染し得る。分裂する細胞のゲノム中のみに組み込むそれらの能力は、レトロウイルスを発生研究における細胞系統を作製するため、および癌または腫瘍に治療または自殺遺伝子を送達するために、レトロウイルスを魅力的にした。
【0098】
これらレトロウイルスベクターは、好ましくは、複製欠損である。これは、標的組織における感染性レトロウイルス粒子のさらなる生成を防ぎ−−それに代わって、複製欠損ベクターは、標的細胞ゲノム中に安定に取り込まれる「捕らわれの」導入遺伝子になる。代表的には、複製欠損ベクターにおいては、gag、env、およびpol遺伝子が(ウイルスゲノムの残りの大部分とともに)欠失されている。異種DNAが、この欠失されたウイルスゲノムの代わりに挿入される。これら異種遺伝子は、内因性の異種プロモーター、標的細胞内で活性な別の異種プロモーター、またはレトロウイルス5’LTR(このウイルスLTRは、種々の組織で活性である)の制御下であり得る。代表的には、レトロウイルスベクターは、約7〜8kbの導入遺伝子能力を有する。
【0099】
複製欠損レトロウイルスベクターは、例えば、操作されたパッケージング細胞株から、トランスに、複製およびアセンブリのために必要なウイルスタンパク質の供給を必要とする。パッケージング細胞が、複製能力のあるウイルスおよび/またはヘルパーウイルスを放出しないことが重要である。これは、シグナルを欠くRNAからウイルスタンパク質を発現すること、および別個の転写ユニットからのgag/pol遺伝子およびenv遺伝子を発現することにより達成された。さらに、いくつかの2.および3.世代のレトロウイルスでは、5’LTRは、これら遺伝子の発現を制御する非ウイルスプロモーターで置き換えられ、そして3’プロモーターは、近位プロモーターのみを含むように最小にされている。これらの設計は、複製能力のあるベクター、またはヘルパーウイルスの産生に至る組換えの可能性を最小にする。例えば、本明細書によって参考として援用される米国特許第4,861,719号を参照のこと。
【0100】
(イントロン)
本発明の好ましい実施形態では、GDNFまたはGDNF改変体をコードする発現構築物は、転写物中にイントロンを含む。最高生産性の細胞株は、イントロン含有発現構築物とともに得られた。
【0101】
GenBankにおけるヒトゲノムの分析から、最小の既知のイントロンは4bpであり、そして最長の既知のイントロンは、1,022,077bpであることが導かれ得る。この知識に基づき、本発明の文脈で用いられるイントロンの長さは、かなり変動され得ることが企図される。GenBankによって与えられる既知の上限からを除いて、本発明の文脈において機能的である、イントロンの長さの任意の上限を与えることは困難である。最も広く可能な文脈では、それが発現ベクター中に首尾良くクローン化され得る限り、イントロンの長さに対する上限はない。実施上の理由のため、当業者は、100,000bpより短い長さ、より好ましくは10,000bpより短い長さであるイントロンを選択するであろう。
【0102】
実際に高度に保存されているイントロンの唯一の部分は、イントロン内ですぐ隣の配列である。これは、包括的なイントロンの式を:GT.....AGとして識別する。
【0103】
両端部はイントロンに沿って左から右に進行して命名され、すなわち、左(または5’)および右(または3’)スプライシング部位と命名される。ときどき、それらは、ドナー部位およびアクセプター部位と称される。このドナー部位およびアクセプター部位にすぐ隣接する塩基は、より保存性が低い。スプライシング部位に対する特定位置における異なる塩基の頻度は、以下の%に従う(Lewin B,Genes V,Oxford University Press,Oxford,1994,914頁):
【0104】
【化1】

これらスプライシング部位内の配列は、単一のイントロン毎に、塩基の付加、欠失または置換によってかなり変動され得る。本発明の好ましい実施形態では、イントロンは、天然に存在するイントロンに由来し、そしてこの天然に存在するイントロンに少なくとも50%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。より好ましくは、このイントロンは、上記天然に存在するイントロンに対し少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する。より高い%の配列同一性が好ましい。なぜなら、発現構築物にアセンブルするために必要な仕事がより少ないからであり、そしてイントロンの機能を変化する可能性は、天然に存在するイントロンとその改変体との間の差異の数とともに増加するからである。
【0105】
好ましい実施形態では、このイントロンは10,000bpより短いようにより短く、これは、クローニングをかなり容易にする。従って、イントロンは、9,000bp長より短く、好ましくは8,000より短く、より好ましくは7,000より短く、より好ましくは6,000より短く、より好ましくは5,000より短く、より好ましくは4,500より短く、より好ましくは4,000より短く、より好ましくは3,500より短く、より好ましくは3,000より短く、より好ましくは2,500より短く、より好ましくは2,000より短く、より好ましくは1,500より短く、より好ましくは750より短いように1,000より短く、250より短いように例えば500より短く、例えば200より短くあり得る。
【0106】
同様に、イントロンは、翻訳前に転写物から適正にスプライシングされる特定長さを有することが予期される。従って、好ましくは、イントロンは、10bp長より長いように、4pb長より長く、例えば20bp長より長く、好ましくは50bp長より長く、より好ましくは75bp長より長い。
【0107】
イントロンは、4bp〜1 mio bp長、より好ましくは10〜10,000bp、より好ましくは20〜2000bp、例えば好ましくは75〜200bpのように50〜1500bp、例えば好ましくは500〜1500bpであり得る。本発明の好ましいイントロンは、100〜1000bpの範囲に横たわる。
【0108】
イントロンの起源はいずれでもあり得る。それがイントロンとして機能する限り、それはまた合成イントロンであり得る。本発明はヒト細胞株に関するので、ヒトに可能な限り緊密に関連している種からのイントロンを用いることが好ましい。従って、好ましくは、このイントロンは真核生物起源である。より好ましくは、このイントロンは哺乳動物起源である。例えば、このイントロンは齧歯類起源または霊長類起源であり得る。なおより好ましくは、このイントロンはヒト起源である。
【0109】
5’UTR中、または開始コドンに最も近いコード配列の部分、すなわちコード配列の最初の部分中に位置するイントロンを有することが好ましい。クローニングは、イントロンが転写物の5’UTR中に配置されるときより容易である。本発明者らによって、同様の効果が、イントロンをGDNFをコードする配列中にクローニングすることにより得られ得ることが企図される。コード配列内側のクローニングの場合には、好ましくは、イントロンは、開始コドンに最も近いコード配列の部分、すなわち、コード配列の最初の部分に配置される。
【0110】
好ましい実施形態では、イントロンは最初のイントロン由来である。最初のイントロンは、それが由来する遺伝子中の転写開始部位に最も近く位置するイントロンである。最初のイントロンが好ましいが、第2番目、第3番目、第4番目、第5番目、または第6番目のイントロンのような任意のイントロンもまた用いられ得ることが理解されるべきである。特定遺伝子の第1のイントロンは、イントロンAと称され得る。
【0111】
本発明のヒト細胞株中の発現構築物中に1つのイントロンを含むことで十分であることが予期される。さらなるイントロンを含むことは勿論可能であり、そしてまた本発明者らによって企図される。原則的に、転写物中に挿入されるイントロンの数に上限はないが、実施上の理由から、当業者は、その数を、実施の制限内で発現構築物の長さを可能な限り短く保つように選択するであろう。イントロンの数は、2、3、4、5またはなおより多くてもよい。
【0112】
1つの特に好ましいイントロンは、Promega Corp,Madison Wisconsin,USAから入手可能なpCI発現ベクター(カタログ番号:E1731)中に含められるキメライントロンである。このイントロンは、ヒトb−グロビン遺伝子の最初のイントロンからの5’ドナー部位、分岐部分(branch)、および免疫グロブリン遺伝子重鎖可変領域のリーダーと本体との間にあるイントロンからの3’アクセプター部位からなる(Bothwellら,1981,Cell 24:625)。このドナー部位およびアクセプター部位の配列は、分岐点部位とともに、スプライシングのためのコンセンサス配列(Senapathyら,1990,Meth.Enzymol.183:252)に一致するように変更されている。pCI発現ベクターは、Promega Corpから入手可能である。このイントロンの長さは、113bpであり、そしてこのイントロンの配列は、配列番号1中に提示される(塩基番号890〜1022)。「pCIイントロン」のスプライス部位間に横たわる配列は変更され得る。好ましくは、このイントロンは、この「pCIイントロン」に由来し、この由来する配列が上記で提示される配列に対して少なくとも50%の配列同一性を有する配列を含む。より好ましくは、このイントロンは、上記「pCIイントロン」に対して少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列を含む。
【0113】
別の好ましいイントロンは、インシュリン由来である。好ましくは齧歯類インシュリンII、より好ましくはラットプレプロインシュリンIIイントロンA(GenBank受託#J00748の塩基番号982..1100)である。ラットインシュリンIIイントロンAのスプライス部位間に横たわる配列は変動され得る。好ましくは、イントロンは、ラットインシュリンIIのAイントロン由来である配列を含み、そしてそれ故、上記に提示された配列に対して少なくとも50%の配列同一性を有する。より好ましくは、イントロンは、上記配列に対して少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列を含む。
【0114】
さらなる好ましいイントロンは、ユビキチンプロモーターイントロン、好ましくはヒトユビキチンCプロモーターイントロン(Johansenら,1990,FEBS Lett.267,289〜294)である。このUbiCイントロンは、811bp長(GenBank受託#D63791の塩基番号3959..4769)である。このユビキチンCプロモーターイントロンは、Johansenら、2003,J Gene Medicine,5:1080〜1089中に記載されるpUbi1z発現ベクターから入手可能である。このユビキチンイントロンのスプライス部位間に横たわる配列は変動され得る。好ましくは、イントロンは、ラットユビキチンイントロン由来であり、そして上記に提示された配列に対して少なくとも50%の配列同一性を有する配列を含む。より好ましくは、イントロンは、上記ユビキチンイントロンの配列に対して少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列を含む。
【0115】
別の好ましいイントロンは、EF−1αイントロンA(GenBank受託番号:J04617 J04616 ヒト伸長因子EF−1α遺伝子、完全cdsの塩基番号609..1551)である。このイントロンは943bp長である。このEF−1αイントロンAのスプライス部位間に横たわる配列は、変動され得る。好ましくは、イントロンは、EF−1αイントロンA由来であり、そして上記に提示された配列に対して少なくとも50%の配列同一性を有する配列を含む。より好ましくは、イントロンは、上記EF−1αイントロンAの配列に対して少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列を含む。
【0116】
好ましくは、イントロンは、pCIイントロン、ラットINS−intrA、およびユビキチンイントロン;およびこれらイントロンのいずれかの配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列改変体からなる群から選択される。より好ましくは、イントロンは、pCIイントロンおよびこのイントロンの配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列改変体からなる群から選択される。
【0117】
(カプセル化)
カプセル化細胞生物送達は、宿主内の移植の前に、細胞を半透過性の生体適合性材料で取り囲むことにより、レシピエント宿主の免疫系からこの細胞を保護する概念に基づく。本発明は、細胞が免疫隔離デバイス中にカプセル化されるデバイスを含む。「免疫隔離デバイス」は、このデバイスが、レシピエント宿主中への移植に際し、このデバイスのコア中の細胞に対する宿主の免疫系の有害な影響を最小にする。細胞は、宿主から、それらを多孔性膜によって形成される移植可能なポリマーデバイス内に取り囲むことにより免疫隔離される。このアプローチは、宿主と移植された組織との間の細胞対細胞接触を防ぎ、直接提示による抗原認識をなくする。用いられる膜はまた、GDNFのような、それらの分子量に基づく分子の拡散を制御するよう仕立てられ得る。カプセル化技法を用い、細胞は、免疫抑制薬物の使用とともに、またはそれなしのいずれかで、免疫拒絶なくして宿主中に移植され得る。有用な生体適合性ポリマーデバイスは、通常、液体培地中に懸濁されるか、または固定化マトリックス内で固定化されるかのいずれかで細胞を含むコア、および隔離された細胞を含まず、生体適合性であり、しかも有害な免疫学的攻撃からコア中の細胞を保護するに十分である透過選択的マトリックスまたは膜(「ジャケット」)である周辺または周縁領域を含む。カプセル化は、免疫系の要素がデバイスに侵入することを防ぎ、それによって、カプセル化細胞を免疫破壊から保護する。デバイス膜の半透過性性質はまた、目的の生物学的に活性な分子がデバイスから周辺宿主組織中に容易に拡散することを可能にする。
【0118】
デバイスは、生体適合性材料から作製され得る。「生体適合性材料」は、宿主に移植の後、デバイスの拒絶を生じるか、またはそれを例えば分解により作動不能にするに十分な有害な宿主の応答を惹起しない材料である。この生体適合性材料は、宿主の免疫系の構成要素のような高分子に対しては比較的不透過性であるが、インシュリン、成長因子、および栄養分のような低分子には透過性であり、その一方、代謝廃棄物が除去されることを可能にする。種々の生体適合性材料が、本発明の組成物による成長因子の送達のために適切である。多くの生体適合性材料が公知であり、種々の外面形態ならびにその他の機械的および構造的特徴を有している。好ましくは、本発明のデバイスは、参考として援用されるWO92/19195もしくはWO 95/05452;または参考として援用される米国特許第5,639,275号;同第5,653,975号;同第4,892,538号;同第5,156,844号;同第5,283,187号;もしくは米国特許第5,550,050号によって記載されるデバイスに類似している。このようなデバイスは、代謝物、栄養物および治療用物質の通過を可能にし、その一方、宿主免疫系の有害な影響を最小にする。生体適合性材料の構成要素は、周辺の半透過性膜および内部の細胞を支持する足場を含み得る。好ましくは、組換え細胞はこの足場に接種され、これは透過選択性膜によってカプセル化される。繊維状の細胞を支持する足場は、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンポリアセトニトリル、ポリエチレンテトラフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリブトエステル、シルク、綿、キチン、カーボン、または生体適合性金属からなる群から選択される任意の生体適合性材料から作製され得る。また、結合された繊維構造物が、細胞移植のために用いられ得る(参考として援用される米国特許第5,512,600号)。生分解性ポリマーは、ポリ(乳酸)PLA、ポリ(乳酸−コグリコール酸)PLGA、およびポリ(グリコール酸)PGAおよびそれらの等価物を含む。発泡体足場は、接種された細胞がその上に接着し得る表面を提供するために用いられている(参考として援用されるWO98/05304)。織られたメッシュは、血管グラフトとして用いられている(参考として援用されるWO99/52573)。さらに、上記コアは、細胞の位置を安定化するヒドロゲルから形成される固定化マトリックスから構成され得る。ヒドロゲルは、実質的に水から構成されるゲルの形態にある架橋された親水性ポリマーの3次元ネットワークである。
【0119】
上記ジャケットは、好ましくは、1000kDより少ない、より好ましくは50〜700kDの間、最も好ましくは70〜300kDの間の分子量カットオフを有する。この分子量カットオフは、生物活性GDNFがデバイスから逃れ得、その一方、カプセル化細胞を患者の免疫系から保護することを確実にするように選択されるべきである。
【0120】
上記ジャケットの厚みは、代表的には、2〜200ミクロン、より好ましくは50〜150ミクロンの範囲にある。このジャケットは、デバイスに、細胞をカプセル化して維持するに十分な強度を与える厚みを有するべきであり、そしてこれを考慮して、可能な限り少ないスペースを占めるよう可能な限り薄く維持すべきである。
【0121】
種々のポリマーおよびポリマーブレンドが、周辺の半透過性膜を製造するために用いられ得、ポリアクリレート(アクリルコポリマーを含む)、ポリビニリデン、ポリ塩化ビニルコポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアミド、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリ(アクリロニトリル/コ塩化ビニル)、ならびにそれらの誘導体、コポリマーおよび混合物を含む。好ましくは、この周辺の半透過性膜は、生体適合性の半透過性の中空繊維膜である。このような膜およびそれらを製造する方法は、参考として援用される米国特許第5,284,761号および同第5,158,881号によって開示される。この周辺の半透過性膜は、参考として援用される米国特許第4,976,859号または米国特許第4,968,733号によって記載されるようなポリエーテルスルホン中空繊維から形成され得る。代替の周辺の半透過性膜材料は、ポリ(アクリロニトリル/コ塩化ビニル)である。
【0122】
デバイスは、生物学的活性を維持し、そして産物または機能の送達のためのアクセスを提供するために適切な任意の形態であり得、例えば、円筒形、矩形、ディスク形状、パッチ形状、卵形、星形、または球形を含む。さらに、デバイスは、メッシュ様構造または入れ子式構造に巻かれるか、またはくるまれ得る。デバイスがそれが移植された後回収されるべき場合、レシピエント宿主の血管中を辿るに十分小さい球形デバイスのような、移植の部位からデバイスの移動に至る傾向の形態は好まれない。特定の形状、例えば、矩形、パッチ、ディスク、円筒形、および平坦シートは、より大きな構造的一体性を提供し、そして回収が所望される場合に好ましい。特に好ましい形状は円筒形形状であり、なぜなら、このような形状は、工業的に産生され得る中空繊維から容易に産生されるからである。
【0123】
マクロカプセルが用いられるとき、各デバイス中に、好ましくは10と10との間の細胞がカプセル化されるような、少なくとも10細胞がカプセル化され、最も好ましくは10〜10の細胞がカプセル化される。勿論、各デバイス中の細胞の数は、デバイスのサイズに依存する。大ざっぱにいって、(以下に記載のように)発泡体を備えたデバイスでは、本発明者らは、デバイスのμLあたり(支持体を含む内部容量として算出された容量)10,000と100,000との間の細胞、より好ましくは15,000〜50,000細胞/μL、より好ましくは20,000〜30,000細胞/μLの装填を見出した。装填されるべき細胞の数はまた、細胞のサイズに依存する。
【0124】
適用量は、より少ないかまたはより多い数のデバイス、好ましくは患者あたり1と10との間のデバイスを移植することにより制御され得る。
【0125】
マクロカプセルは、現在の文脈では、1〜10μLのように、少なくとも0.5μLの容量を有するデバイスである。
【0126】
足場は、細胞外マトリックス(ECM)分子で被覆され得る。細胞外マトリックス分子の適切な例は、例えば、コラーゲン、ラミニン、およびフィブロネクチンを含む。この足場の表面はまた、プラズマ照射で処理することにより改変され得、細胞の接着を増大するために荷電を与える。
【0127】
デバイスをシールする任意の適切な方法が用いられ得、ポリマー接着剤またはクリンプ留め、編み加工および熱シーリングの使用を含む。さらに、例えば、参考として援用される米国特許第5,653,687号に記載されるような任意の適切な「乾燥」シーリング法もまた、用いられ得る。
【0128】
カプセル化細胞デバイスは、公知の技法に従って移植される。多くの移植部位が、本発明のデバイスおよび方法のために企図される。これらの移植部位は、制限されないで、脳、脊髄を含む中枢神経系(参考として援用される、米国特許第5,106,627号、同第5,156,844号、および同第5,554,148号を参照のこと)、および眼房水および硝子液(参考として援用される、WO 97/34586を参照のこと)を含む。
【0129】
(発泡体足場:)
発泡体足場は、開放セルをもつ生体適合性発泡体またはポアのネットワークをもつ微多孔性構造を形成する任意の適切な材料から形成され得る。開放セル発泡体は、相互連結されたポアの網目状構造である。発泡体足場は、接着性細胞の付着を可能にする、非生分解性の、安定な足場材料を提供する。本発明のデバイスのための発泡体足場を形成することで有用なポリマーは、とりわけ、熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂エラストマーである。
【0130】
適切な発泡体足場を形成することで有用な材料のいくつかの例は、表3に列挙されている。
【0131】
表3
熱可塑性
熱可塑性樹脂: エラストマー:
アクリル ポリアミド
モダクリック ポリエステル
ポリアミド ポリエチレン
ポリカーボネート ポリプロピレン
ポリエステル ポリスチレン
ポリエチレン ポリウレタン
ポリプロピレン ポリビニルアルコール
ポリスチレン シリコーン
ポリスルホン
ポリエーテルスルホン
フッ化ポリビニリデン
ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンから作製される熱可塑性発泡体足場、ならびにポリウレタンおよびポリビニルアルコールから作製される熱可塑性エラストマー発泡体足場が好ましい。
【0132】
発泡体は、細胞がポア内の壁または表面に付着することを許容するサイズのいくつか(しかし必ずしもすべてではない)ポアを有さなければならない。発泡体足場のポアサイズ、ポア密度および空隙容量は変動し得る。ポア形状は、円形、楕円または不規則であり得る。ポア形状は相当に変動し得るので、その寸法は、測定されている軸に従って変動し得る。本発明の目的には、発泡体中の少なくともいくつかのポアは、20〜500μm、好ましくは50〜150μmのポア直径を有するべきである。好ましくは、先行する寸法は、発泡体の平均ポアサイズを表す。非円形である場合、ポアは、そのサイズが、接着細胞がポア内の壁または表面に付着することを可能にするに十分である限り、変動する寸法を有し得る。1つの実施形態では、発泡体は、副軸に沿って20〜250μmの直径および主軸に沿って1500μmまでの直径を有するいくつかの楕円形のポアを有することが企図される。
【0133】
前述の細胞を許容するポアサイズに加え、好ましくは発泡体中のポアの少なくとも一部分のポアは、10μm未満〜細胞を入れないようであるまでであるが、発泡体全体で栄養物および生物学的に活性な分子の輸送のためのチャネルをなお提供する。発泡体のポア密度(すなわち、上記のように、細胞を収容し得るポアの容量あたりの数)は、20〜90%の間、好ましくは50〜70%の間で変動し得る。同様に、発泡体の空隙容量は、20〜90%の間、好ましくは30〜70%の間で変動し得る。
【0134】
これらポアの壁または表面は、細胞外マトリックス分子(単数もしくは複数)、またはその他の適切な分子で被覆され得る。この被覆は、細胞のポアの壁への接着を容易にするために用いられ得、細胞を特定の表現型に保持し、そして/または細胞分化を誘導する。
【0135】
発泡体のポア内の表面に接着され得る細胞外マトリックス分子(ECM)の好ましい例は:コラーゲン、ラミニン、ビトロネクチン、ポリオルニチンおよびフィブロネクチンを含む。その他の適切なECM分子は、グリコサミノグリカンおよびプロテオグリカン:硫酸コンドロイチン、硫酸ヘパリン、ヒアルロン、硫酸デルマタン、硫酸ケラチン、硫酸ヘパリンプロテオグリカン(HSPG)およびエラスチンなどを含む。
【0136】
ECMは、ECMを堆積することが知られる細胞を培養することにより得られ得、これには、間葉細胞または星状細胞起源の細胞を含む。Schwann細胞は、アスコルベートおよびcAMPで処理されるとき、ECMを合成するよう誘導され得る。例えば、Baron−Van Evercoorenら、「Schwann Cell Differentiation in vitro:Exracellular Matrix Deposition and Interaction,」Dev.Neurosci.,8,182〜96頁(1986)を参照のこと。
【0137】
さらに、接着ペプチドフラグメント、例えば、RGD含有配列(ArgGlyAsp)、YIGSR−含有配列(TyrIleGlySerArg)、およびIKVAV含有配列(IleLysValAlaVal)は、細胞接着を促進することで有用であることが見出されている。いくつかのRGD含有分子は、市販され入手可能である−−例えば、PepTite−2000TM(Telios)。
【0138】
本発明の発泡体足場はまた、デバイス内の細胞分布を増大するその他の材料で処理され得る。例えば、発泡体のポアは、細胞増殖または移動を阻害する非許容ヒドロゲルで充填され得る。このような改変は、発泡体足場への接着細胞の付着を改善し得る。適切なヒドロゲルは、荷電に起因して細胞をはねつけ得るアニオン性ヒドロゲル(例えば、アルギネートまたはカラギーナン)を含む。あるいは、「固形」ヒドロゲル(例えば、アガロースまたはポリエチレンオキシド)がまた、細胞によって分泌される細胞外マトリックス分子の結合を阻止することによって細胞増殖を阻害するために用いられ得る。
【0139】
非許容材料の領域を備える発泡体足場の処理は、他方を駆逐する1つの集団を有することなしにデバイス内で2つ以上の別個の細胞集団のカプセル化を可能にする。それ故、非許容材料が、発泡体足場内でもちいられ得、カプセル化細胞の別個の集団を分離する。細胞の別個の集団は、同じまたは異なる細胞タイプであり得、そして同じまたは異なる生物学的に活性な分子を産生し得る。1つの実施形態では、1つの細胞集団は、他方の細胞集団の成長および/または生存を増強する物質を産生する。別の実施形態では、複数の生物学的に活性な分子を産生する複数の細胞タイプがカプセル化される。これは、レシピエントに治療物質の混合物または「カクテル」を提供する。
【0140】
本発明のデバイスは、任意の適切な方法に従って形成され得る。1つの実施形態では、発泡体足場は予備形成され、そして別個の構成要素として、予備製作されたジャケット、例えば中空の繊維膜中に挿入され得る。
【0141】
任意の適切な熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂エラストマーの発泡体樹脂材料が、予備製作されたジャケット中への挿入のために予備形成され得る。1つの実施形態では、本発明者らは、この発泡体足場としての使用のためにポリビニルアルコール(PVA)スポンジを好む。いくつかのPVAスポンジが、市販され入手可能である。例えば、PVA発泡体スポンジ#D−3、60μmのポアサイズが適切である(Rippey Corp,Kanebo)。同様に、PVAスポンジは、Ivalon Inc.(San Diego,Calif.)から市販され入手可能である。PVAスポンジは、架橋剤としてホルムアミド蒸気で曝気されたポリ(ビニルアルコール)溶液の反応により形成される非水溶性発泡体である。このPVA上のヒドロキシル基は、アルデヒド基と共有結合で架橋され、ポリマーネットワークを形成する。これら発泡体は湿潤されるとき可撓性かつ弾性であり、そして乾燥されるとき半剛直性である。
【0142】
代替として、メッシュまたはがヤーンが、米国特許第6,627,422号中に記載されるように用いられ得る。
【0143】
容易な回復のため、およびデバイスを頭蓋に固定するために、デバイスには、テザーアンカーが装備され得る。同様に、容易な回収および眼への固定のために、デバイスには、縫合糸アイレット(小穴)が装備され得る。
【0144】
カプセルは、実施例に記載のようにシリンジを用いて充填され得る。あるいは、自動化または半自動化充填が用いられ得る。
【0145】
(マイクロカプセル)
上記に記載のマクロカプセルに加え、本発明のGDNF分泌細胞は、マイクロカプセルまたはマイクロスフェア中にカプセル化され得る。本明細書中で規定されるマイクロカプセルまたはマイクロスフェアは、カプセルあたり10細胞未満の細胞を保持するカプセルである。マイクロカプセルは、カプセルあたり1000細胞より少ないような、例えばカプセルあたり100細胞未満、カプセルあたり50細胞より少ないような、例えばカプセルあたり10細胞未満、カプセルあたり5細胞より少ないような、実質的に10より少ない細胞を含み得る。このようなマイクロカプセルは、それらが、マトリックス内で多かれ少なかれ均一に分散された細胞を含むという点で構造的に比較的単純であり得る。マイクロカプセルはまた、被覆され、2層以上の層構造を提供し、そしてマイクロカプセルの表面を通って突出する細胞がないことを確実にし得る。これらマイクロカプセルは、代表的には小さいので(代表的には、150μm未満のような250μm未満、例えば50μm未満のような100μm未満、例えば25μmの直径)、それらは、液体懸濁物のように取り扱われ得、そして処置部位で注入される。
【0146】
(GDNF産生細胞のための支持体マトリックス)
本発明の方法は、哺乳動物の脳中への移植の前に支持体マトリックス上のインビトロでのGDNF産生細胞の培養をさらに含む。脳における移植の前のマイクロキャリアへの細胞の予備接着は、移植された細胞の長期間生存率を増大するように設計され、そして長期間の機能的利益を提供する。支持体マトリックス上で細胞を培養するための方法、およびこれら細胞を脳中に移植するための方法は、米国特許第5,750,103号中に記載されている(参考として援用される)。
【0147】
移植された細胞の長期間生存率を増加するために、移植されるべき細胞は、移植の前に支持体マトリックスにインビトロで付着され得る。この支持体マトリックスが構成され得る材料は、インビトロインキュベーション後に細胞が接着するような、そして細胞が成長し得、そして毒性反応、あるいは移植された細胞を破壊する炎症性反応を生成することなく、またはそうでなければそれらの生物学的もしくは治療活性を妨害することなく哺乳動物身体中に移植され得る材料を含む。このような材料は、合成もしくは天然の化学的物質、または生物学的起源を有する物質であり得る。
【0148】
これらマトリックス材料は、制限されないで、ガラスおよびその他の酸化ケイ素、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、フッ化ポリビニリデン、ポリウレタン、ポリアルギネート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、アクリロニトリルポリマー、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリペンテント、ナイロン、アミラーゼ、天然および改変ゼラチン、ならびに天然および改変コラーゲン、デキストランおよびセルロース(例えば、ニトロセルロース)、寒天を含む天然および改変多糖、ならびにマグネタイトを含む。吸収性材料または非吸収性材料のいずれかが用いられ得る。当該技術分野で周知である細胞外マトリックス材料もまた意図される。細胞外マトリックス材料は、商業的に得られ得るか、または、このようなマトリックスを分泌する細胞を成長させること、これら分泌細胞を除去すること、および移植されるべきである細胞をこのマトリックスと相互作用し、そしてそれに接着することにより調製され得る。移植されるべき細胞が成長し、または細胞が混合されるマトリックス材料は、細胞の固有の産物であり得る。それ故、例えば、このマトリックス材料は、細胞外マトックスまたは基礎膜材料であり得、これは、移植されるべき細胞により産生され、そして分泌され得る。
【0149】
細胞接着、生存および機能を改善するために、固形マトリックスは、必要に応じて、その外面が、細胞接着、成長または生存を促進するための当該技術分野で公知の因子で被覆され得る。このような因子は、例えば、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、エラスチン、グリコサミノグリカン類、またはプロテオグリカン類または成長因子のような、細胞接着分子、細胞外マトリックスを含む。
【0150】
あるいは、移植された細胞が付着される固形マトリックスが、多孔性材料から構築される場合、成長または生存促進因子(単数または複数)は、このマトリックス材料中に取り込まれ得、それからそれらは、インビボでの移植の後、ゆっくりと放出される。
【0151】
本発明による支持体に付着されるとき、移植のために用いられる細胞は、ほぼこの支持体の「外面」上にある。この支持体は中実または多孔性であり得る。しかし、多孔性支持体においてさえ、細胞は、介在膜またはその他の障壁なくして外部環境と直接接触する。それ故、本発明によれば、細胞は、たとえそれらが接着する表面が粒子またはビーズ自体の外部にない多孔性支持体材料の内部ひだまたは屈曲部の形態であり得るとしても、支持体の「外面」上にあると考えられる。
【0152】
支持体の形態は、好ましくは、ビーズにおけるように球形であるが、円筒形、楕円、平坦シートまたは細片、ニードルまたはピン形状などであり得る。支持体マトリックスの好ましい形態はガラスビーズである。別の好ましいビーズはポリスチレンビーズである。
【0153】
ビーズサイズは、直径が約10μm〜1mm、好ましくは約90μm〜約150μmの範囲であり得る。種々のマイクロキャリアビーズの説明のためには、例えば、Fisher Biotech Source 87〜88,Fisher Scientific Co.,1987,72〜75頁;Sigma Cell Culture Catalog,Sigma Chemical Co.,St,Louis,1991,162〜163頁;Ventrex Product Catalog,Ventrex Laboratoies,1989を参照のこと;これらの参考文献は、本明細書によって参考として援用される。ビーズのサイズの上限は、所望されない宿主反応のビーズの刺激によって規定され得、この宿主反応は、移植された細胞の機能を妨害し得るか、または周辺組織への損傷を引き起し得る。ビーズのサイズの上限はまた、投与の方法によって規定され得る。このような制限は、当業者によって容易に決定可能である。
【0154】
(自殺システム)
GDNF分泌細胞をカプセル化する本発明のデバイスは、必要なとき患者から回収され得る。さらなる安全性予防措置として、細胞には自殺システムが装備され得、これは、問題の患者への適切な薬物の投与に際し、細胞が選択的に殺傷され得ることを確実にする。
【0155】
この自殺システムは、本発明による裸細胞移植のために特に好ましい。なぜなら、移植後に裸細胞を除去する可能性は非常に制限されるからである。
【0156】
1つのこのような自殺システムは、チミジンキナーゼに基づく。チミジンキナーゼが構成的または誘導的に発現される組み込まれた自殺システムを有することにより、細胞は、治療的に有効な量のAZTのようなヌクレオシドアナログを個体に投与することにより殺傷され得る。このヌクレオシドアナログは、カプセル化された細胞が非制御様式で増殖することを開始する場合に投与され得る。また、終了は即座でなければならず、そしてカプセル化細胞の手術的除去を待つことはできないからであるか、またはさらなる処置が特定のその他の経路によるからであるがゆえに、単に、もはやGDNF分泌細胞の必要がないので処置を終了することが希望され得る。
【0157】
移植されたか、またはカプセル化された細胞が移植前に条件付きで不死化されている事例では、発癌遺伝子が移植後転写を開始し、しかも移植された細胞が結果として腫瘍原性になる理論的リスクがある。細胞が誘導性プロモーター(例えば、Tet on−offシステム、Mx1プロモーターなど)の制御下にある発癌遺伝子での形質導入により不死化されているときはいつも、チミジンキナーゼ(TK)酵素コード配列が、(例えば、IRES構築物を用いることにより)同じプロモーターの制御下にあるベクター構築物中に挿入され得るか、またはこのTKコード配列は、同じプロモーターをもつ別のベクター中に挿入され得る。これは、発癌遺伝子が転写されるときはいつも、このTKもまた転写および形質導入され、そして腫瘍原性細胞がプロドラッグを投与することにより選択的に殺傷され得ることを確実にする。
【0158】
当該技術分野で記載されるチミジンキナーゼ(TK)遺伝子のいくつかの例がある。1つの好ましいTKは、HSV−チミジンキナーゼである。その他の好ましいキナーゼは、Munch−Petersenら 2000,J.Biol.Chem.275:6673〜6679に記載されるDrosophila melanogasterチミジンキナーゼを含む。この特定のキナーゼの変異体がなおより好ましい。なぜなら、それらは、いくつかのヌクレオシドアナログに対して減少したLD50を有するからである(WO 01/88106)。好ましいチミジンキナーゼの別の群は、WO 03/100045に記載される植物キナーゼを含む。
【0159】
(免疫刺激細胞表面タンパク質)
1つの実施形態では、GDNFまたはGDNF改変体に加え、免疫刺激細胞表面ポリペプチドを発現し得るカプセル化ヒト細胞が提供される。これらの免疫刺激細胞表面発現細胞は、ヒト患者における移植のためにカプセル化されるとき特に有用である。なぜなら、破裂したデバイスから逃れる細胞は、患者の免疫系によって破壊されるからである。宿主免疫応答は、インタクトなデバイスで免疫刺激細胞表面ポリペプチドを発現する組換え細胞によっては誘因されない。しかし、デバイス失敗の場合には、放出された細胞は、補体活性化なくして食作用または免疫記憶の創製により効率的に除去される。
【0160】
特定の実施形態では、ヒトトランスフェリンレセプター膜ドメインを含むキメラポリペプチドが、ヒトIgG1 Fcを「逆配向」で細胞原形質膜の表面に係留し、それ故、オプソニン作用の間にIgGの形態を模倣する。このヒトIgG1キメラポリペプチドは、Fcレセプターに結合し、マクロファージのような食細胞を活性化するが、補体カスケードをまた活性化する(「補体固定化」)所望されない特徴を避ける。長期に亘り活性化された補体系は宿主細胞を殺傷し得、そしてこの機構が、炎症および神経変性疾患を含む多くの変性疾患を引き起こし得ることを示唆する証拠を蓄積している。本発明のこの実施形態のさらなる詳細は、米国特許第6,197,294号に記載されている。
【0161】
この実施形態によれば、細胞株は、アミノ末端で第2の細胞表面ポリペプチドに連結される免疫刺激細胞表面タンパク質を含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む構築物をさらに含み、ここで、この第2の細胞表面ポリペプチドはトランスメンブレン領域を含み、ここで発現に際し、この融合タンパク質は細胞表面上で発現される。
【0162】
好ましくは、免疫刺激細胞表面ポリペプチドは食作用を活性化するが、補体を固定化しない。1つの実施形態では、この免疫刺激細胞表面ポリペプチドは、IgG、好ましくはFcの領域である。第2の細胞表面ポリペプチドは、トランスフェリンレセプターヒンジ領域である。
【0163】
(神経学的障害)
GDNFは、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病(米国特許第5,731,284号)、ハンチントン病のようなNMDA関連障害(米国特許第5,741,778号)、感覚神経聴力損失(米国特許第5,837,681号)、眼疾患(米国特許第6,299,895号、痛み、脊椎損傷、発作、外傷、およびてんかんの処置のための治療因子として示唆されている。
【0164】
本発明によれば、インビボにおけるヒト細胞によって合成されたGDNFの脳室、脳実質、またはその他の適切なCNS位置への、1〜1500ng/日の範囲のカプセル送達が企図される。GDNFの実際の投薬量は、高または低生産性クローン、より多いかまたより少ない細胞またはより多くの数のデバイスを移植することにより変動され得る。本発明者らは、脳室送達には、0.1〜1500、好ましくは1〜1000、より好ましくは10〜600、最も好ましくは50〜500ngGDNF/ヒト/日、そして実質送達のためには、0.1〜1500、好ましくは10〜150ngGDNF/ヒト/日の送達を企図する。比較のために、E.coli中で産生される組換えヒトメチオニルGDNF(r−metHuGDNF)が、25〜4,000μgの毎月の投与として脳室内に投与された(Nuttら,Neurology,60:69〜73)。r−metHuGDNFはまた、毎日14.4〜43.2μg/被殻/日の投薬量での後背部被殻中への連続注入として投与された(Loveら、2005、Nature Medicine,vv(7):703〜74)。
【0165】
眼内、好ましくは硝子体内に、本発明者らは、50pg〜500ng、好ましくは100pg〜100ng、そして最も好ましくは1ng〜50ngの/眼/患者/日の送達を企図する。好ましくはトノン腔の下のスペースまたは領域中への眼周囲送達には、1μg/患者/日までのわずかにより高い投薬量範囲が企図される。
【0166】
1つの実施形態では、ヒトGDNF(hGDNF)を分泌する遺伝子改変ヒト細胞が半透過性膜中にカプセル化され、そして適切な哺乳動物宿主、好ましく霊長類、最も好ましくはヒト中、眼内、脳室内または実質内に移植される。
【0167】
従って、本発明のGDNF発現細胞株は、中枢(脳および脊髄)、末梢(交感、副交感、知覚、および腸神経)、および運動神経を含むインビボでのニューロンの発生、維持または再生を促進することで有用であると考えられる。本発明のGDNF発現細胞株は、種々の神経学的疾患および障害の処置のための方法で利用される。好ましい実施形態では、本発明の細胞株は、神経学的障害を処置するために患者に投与される。本明細書中では、「神経学的障害」により、ニューロン変性もしくは損傷またはニューロンの損失にともなう中枢および/または末梢神経系の障害が意味される。神経障害の特定の例は、制限されないで、中枢または末梢いずれかにかかわらず、外傷、火傷、腎臓不全、損傷、および癌またはAIDSを処置するために用いられた化学療法剤の毒性影響に起因する損傷された神経を処置することに加え、アルツハイマー病、パ―キンソン病、ハンチントン病、発作、CNS外傷、ALS、末梢神経障害、神経障害性の痛み、およびニューロンの壊死もしくは損失もしくはそれらのプロセスにより特徴付けられるその他の症状を含む。例えば、糖尿病、AIDS、または化学療法に付随する神経障害のような、特定の症状に付随する末梢神経障害は、本発明の処方物を用いて処置され得る。
【0168】
本発明の種々の実施形態では、GDNF発現細胞株は、その神経系が、突発性プロセス、外傷、手術、発作および虚血、感染、代謝疾患、栄養上の欠損、悪性腫瘍、または毒性薬物によって損傷されたか、またはGDNFで処置可能であることが見出されたすべての症状で、患者に投与され、ニューロンの生存または成長を促進する。例えば、本発明のGDNF発現細胞株は、外傷または手術によって損傷されている運動ニューロンの生存または成長を促進するために用いられ得る。また、本発明のGDNF発現細胞株は、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリグ病)、ベル麻痺、および脊髄筋萎縮症を含む種々の症状、または麻痺症のような、変性性運動ニューロン障害を処置するために用いられ得る。本発明のGDNF発現細胞株は、アルツハイマー病およびその他の痴呆、最小認知損傷(MCI)、パーキンソン病、てんかん、多発性硬化症、ハンチントン病、ダウン症候群、神経聴覚障害、およびメニエール病のようなヒト神経変性障害を処置するために用いられ得る。本発明のGDNF発現細胞株は、パーキンソン病を処置するために特に有用である。
【0169】
さらに、末梢組織中またはCNS内いずれかに移植された本発明のGDNF分泌細胞株またはデバイスは、好ましくは、神経障害、そして特に末梢神経障害を処置するために用いられる。「末梢神経障害」は、運動、感覚、感覚運動、または自律神経機能不全の1つ、または組み合わせとして最もしばしば顕示される末梢神経系に影響する障害をいう。末梢神経障害によって示される広範な範囲の形態は、各々、等しく広範な数の原因に特有に帰し得る。例えば、末梢神経障害は、遺伝子的に獲得され得るか、全身疾患から生じ得るか、または毒性薬剤によって誘導され得る。例は、制限されずに、糖尿病性末梢神経障害、遠位感覚運動神経障害、神経障害、AIDS関連神経障害、または胃腸管の減少した運動性もしくは膀胱の無緊張症のような自律神経障害を含む。全身疾患に付随する神経障害の例は、小児麻痺後症候群を含み;遺伝的神経障害の例は、シャルコー−マリー−ツース病、レフサム病、無β−リポ蛋白血症、タンジアー病、クラッベ病、異染性白質萎縮症、ファブリー病、およびドゥジェリーヌ−ソッタ病を含み;そして毒性薬剤により引き起こされる神経障害の例は、タキソール、ビンクリスチン、シスプラチン、メトトレキセート、または3’−アジド−3’−デオキシチミジンのような化学療法剤での処置によって引き起こされるようなものを含む。
【0170】
治療的に有効な用量のGDNF分泌細胞またはデバイスが患者に投与される。本明細書において「治療的に有効な用量」は、効果のためにそれが投与されるその効果を生成する用量であるか、または特定の投与養生法において治療効果を提供する量が意味される。本発明の細胞株またはデバイスから放出されるGDNFの投薬量は、処置される特定の症状のためにインビボでGDNFの有効濃度を達成するために必要であるが、この投薬量は、GDNF改変体のタイプ、放出の所望の持続時間、標的疾患、被検体動物種、および患者症状のようなその他の因子とともに変動する。正確な用量は、処置されるべき障害および移植部位に依存し、そして公知の技法を用いて当業者によって確認され得る。投与されたタンパク質処方物と比較してインサイチュで合成されたGDNFのより高い能力、およびデバイスからの連続的および局所的放出により得られ得る改善された投薬プロフィールに起因して、一般に、本発明のGDNF分泌細胞株またはデバイスは、約0.01ngGDNF/kg体重〜約100μg/kg/日、好ましくは0.02ng/kg〜10μg/kg、より好ましくは0.03〜500ng/kg、そして最も好ましくは0.5ng/kg〜100ng/kgを与えるように投与される。いくつかの実施形態では、0.03〜1.0ng/kg、より好ましくは0.1〜0.3ng/kgの用量が与えられる。さらに、当該分野で公知であるように、年齢および体重、全身健康、性、食餌、投与の時間、薬物相互作用および疾患の重篤度に対する調節が必要であり得、そして当業者によって慣用の実験で確認され得る。代表的には、臨床医は、本発明のGNDF分泌細胞株またはデバイスを、ニューロン機能を改善、修復、維持、および/または最適に再確立する投薬量が到達されるまで投与する。これら用量はまた、ニューロンの変性を予防または低減する予防用量であり得る。この療法の進行は、従来アッセイにより容易にモニターされる。
【0171】
(眼科障害)
本発明のGDNF放出デバイスおよび細胞株は、米国特許第6,436,427号(参考として援用される)に記載のような眼科障害を処置するために用いられ得る。GDNFは、網膜症の処置のための能力があることが示されており、それ故、好ましい実施形態によれば、本発明のGNDF放出デバイスは、網膜症を処置するために用いられる。
【0172】
一般に、デバイスは、眼の硝子体液中に移植され、網膜への投与を得る。デバイスは、好ましくは、硝子体液の毛様体輪中に挿入される。
【0173】
網膜症、例えば、糖尿病網膜症は、血管形成および網膜変性によって特徴付けられる。網膜症は、制限されないで、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症、および毒性網膜症を含む。網膜症は、デバイスを眼内、好ましくは硝子体中に移植することにより処置され得る。本発明者らは、この適応症のために硝子体中への送達を最も好む。1つ以上の抗血管形成因子を、眼内、好ましくはガラス体内に同時送達することがまた所望される。
【0174】
ブドウ膜炎は、網膜細胞に影響し得る炎症および二次的変性を含む。本発明は、ブドウ膜炎によって引き起こされる網膜変性を、好ましくはデバイスの硝子体内または前眼房移植によって処置することを企図する。
【0175】
比較して、色素性網膜炎は、一次網膜変性によって特徴付けられる。本発明は、デバイスの眼内、好ましくは、硝子体内移植により、色素性網膜炎を処置することを企図する。
【0176】
年齢関連黄斑変性は、血管形成および網膜変性の両方を含む。年齢関連黄斑変性は、制限されないで、乾燥年齢関連黄斑変性、浸出性年齢関連黄斑変性、および近視眼変性を含む。本発明は、1つ以上のデバイスを、眼内、好ましくはガラス体内に、および/または1つ以上の抗血管形成因子を眼内または眼周囲に移植することによりこの疾患を処置することを企図する。
【0177】
緑内障は、増加した眼圧力よび網膜神経節細胞の損失によって特徴付けられる。本発明において企図される緑内障のための処置は、眼内、好ましくはガラス体内移植を通じて、緑内障関連損傷から網膜細胞を保護するGNDFの送達を含む。
【0178】
眼内新血管形成は、多くの眼疾患および障害に付随する症状であり、そして大部分の重篤な視覚損失の原因である。例えば、本発明者らは、糖尿病および多くのその他の疾患における失明の主要な原因である網膜虚血関連眼新血管形成;患者が角膜移植片不全を受けやすくする角膜新血管形成;糖尿病性網膜症、中央網膜静脈閉塞、および可能には年齢関連黄斑変性に付随する新血管形成の処置を企図する。
【0179】
本発明の1つの実施形態では、本発明の細胞はカプセル化され、そして手術により(球後麻酔の下)眼のガラス体中に挿入される。硝子体内配置には、デバイスは、強膜を通じ、デバイスの一部またはテザーの一部分を強膜を通して突出させて移植され得る。最も好ましくは、デバイスの全部の本体がガラス体内に移植され、強膜中またはそれを通って突出するデバイスの部分はない。好ましくは、デバイスは強膜(またはその他の適切な眼の構造)に繋がれる。このテザーは、縫合糸小穴、または任意のその他の適切な係留手段(例えば、米国特許第6,436,427号参照)を含み得る。このデバイスは、所望の予防または治療を達成するために必要な限りガラス体内に残り得る。このような治療は、例えば、ニューロンもしくは光レセプターの生存もしくは修復の促進、または網膜新血管形成の阻害および/または逆転、ならびにブドウ膜、網膜および光神経炎症の阻害を含む。
【実施例】
【0180】
(実施例1:GDNFのクローニングおよび発現)
(候補の核ポリAmRNAからのGDNFのクローニング)
cDNAを候補の核ポリAmRNA(Clonetech,Becton Dickinson,カタログ番号636132)から、先に記載のように(Current Protocols in Molecuar Biology)合成した。プレプロの長いイソ形態をコードするフラグメントを、プライマーrGDNF(5’GGTCTACGGAGACCGGATCCGAGGTGC−3’;配列番号15)およびrGDNF(5’−TCTCTGGAGCCAGGGTCAGATACATC−3’;配列番号16)を用い、本質的にSchaarら、1994(Exp.Neurol.130,387〜393)に記載のように、PCRによりcDNAから増幅された。得られるPCR産物は精製され、そしてpCRScriptベクター(Stratagene)のSrfI部位中にクローン化された。次いで、GDNF cDNAフラグメントは、pNS1nおよびpCIn.hNGF中のBamHI/XhoI部位中にサブクローン化され、pNS1n.hGDNFおよびpCIn.hGをそれぞれ得た。pNS1nは、zeo(Jensenら、2002,J Biol Chem,277:41438〜41447)の代わりにneo耐性マーカーを保持するサイトメガロウイルスプロモーターの制御下の発現をもつ、pcDNA(Invitrogen)由来の特注ベクターである。pCIn.hNGFは、より先にWO 2005/068498中に記載されている。クローン化GDNFの挿入は、図1中に示されている。
【0181】
pCI.hGのためのCMVプロモーター/エンハンサーの最初の塩基から一次転写物(GDNF配列を含む)の端部まで広がるヌクレオチド配列は、配列番号1に提示されている。pNS1n.hGDNFのためのCMVプロモーターの最初の塩基から一次転写物(GDNF配列を含む)の最後の塩基までの対応する配列は、配列番号17に提示される。
【0182】
(細胞株の成長およびトランスフェクション)
ARPE−19細胞(ATCC受託番号CRL−2302,Dunn KCら,ARPE−19,A human retinal pigment epithelial cell line with differential properties.Exp.Eye.Res.62:155〜169,1996.)を、10%FBS(REF Hyclone)を補填したDMEM/F12培地(REF Invitrogen)中、5%CO37℃で成長させた。
【0183】
(pCIn.hGおよびpNS1n.hGDNFでトランスフェクトされた安定クローンの分析)
組換え細胞クローンを生成するために、細胞を、FuGENE6 Transfection Reagent(REF Roche)を用い、製造業者の推奨に従って、線状化プラスミドでトランスフェクトした。トランスフェクション後、組換えクローンは、G418(REF Sigma)で補填された成長培地中で選択され、そして従来の細胞培養技法を用いて単離された。固定された数の細胞が、成長培地中に接種され、次いで、細胞付着後培地置換を行った。4時間のインキュベーションの後、培地を除去し、そしてDuoSetヒトGDNF ELISAキット(REF R&D systems)を用いるGDNF ELISA分析に、製造業者の推奨に従って供した。ELISA値は、ng GDNF/10細胞/24時間として算出された。pCIn.hGおよびpNS1n.hGDNFでトランスフェクトされたイントロンありおよびイントロンなしの代表的クローンのGDNFレベルは、それぞれ、図2A(イントロンあり)および2B(イントロンなし)に示される。pCIn.hGおよびpNS1n.hGDNFクローンは、それぞれ、最初の文字「C」および「N」で指定される。すべての選択されたクローンは、50ng過剰GDNF/10細胞/24時間で分泌した。
【0184】
クローンC101(NGC−0301)およびC63(NGC−0363)は、ブタペスト条約の下、DSMZ、Mascheroder Weg 1b,D−38124 Brauschweig,Germanyに、それぞれ、受託番号DSM ACC2732およびDSM ACC2733の下、寄託された。
【0185】
(実施例2:集密安定クローンからのGDNF放出の評価)
安定クローンの集密培養中のGDNF放出の安定性を評価するために、固定された数の細胞を成長培地中に接種した。翌日、培地をInvitrogen(カタログ番号11111−044)からのヒト内皮無血清培地(HE−SFM)または成長培地で置換した。4時間のインキュベーションの後、培地を除去し、そして製造業者の推奨に従って、DuoSetヒトGDNF ELISAキット(REF R&Dシステム)を用い、GDNF ELISA分析に供した。ELISA値は、ngGDNF/ml/24時間として算出した。細胞を、HE−SFMまたは成長培地中集密まで成長させ、そして8週までの間培養中に維持した。4時間培地におけるGDNF放出を毎週決定した。構築物pCIn.hGおよびpNS1n.hGDNFでトランスフェクトされた代表的クローンのGDNFレベルは、図3Aおよび3Bに示される。実験の終わりに、細胞をトリプシン処理し、そして計数した。図4Aは、ng GDNF/10細胞/24時間として算出されたHE−SFM中4週の間のGDNF放出を示す。図4Bは、2つの群の構築物から放出されたGDNFの平均を示す。
【0186】
(実施例3:ARPE−19細胞から分泌されたGDNFのプロセッシングおよびグリコシル化)
この実験の目的は、トランスフェクトされたARPE−19クローンから分泌されたGDNFをウェスタンブロット中で分析し、この分泌されたGDNFのグリコシル化および正確なプロセッシングを確認することである。簡単に述べれば、GDNF−産生ARPE−19細胞からの調整培地を、脱グリコシル化反応緩衝液(Prozyme Enzymatic Deglycosylationキット#GK80110)中に、ELISA結果に従って0.2ng/μlの濃度まで希釈した。組換え哺乳動物産生hGDNF(R&D systems#212GD)を、同じ濃度まで希釈し、そして対照として用いた。変性ステップありまたはなしの脱グリコシル化を、製造業者によって提供されるプロトコル3.2および3.3に従って実施した。サンプルを、8〜18%グラディエントのSDSゲル上で電気泳動した。E.coli産生hGDNF(Alomone Lab#G−240)を、非グリコシル化GDNFのための対照として用いた。タンパク質をPVDF膜に移した。ブロックされた膜を、抗GDNF抗体(R&D Systems,No AF−212−NA 1:500)、次いでHRP−連結抗ヤギ抗体(1:2000)とともにインキュベートし、そしてECL(Amersham)で検出した。
【0187】
(結果)
GDNF産生ARPE−19細胞(NGC−0310)からのならし培地でのサンプルでは、GDNFモノマーに対応するバンドが検出された。R&D SystemからのGDNFはN末端中の31アミノ酸を欠き、そしてそれ故、低分子量を示した(図5)。ARPE−19産生GDNFの脱グリコシル化は、15kDaの分子量(E.coli産生GDNAと同じ)、およびR&D GDNFについて約12kDaのMWをもつGDNFを生じた。GDNFモノマーに対応するバンドの分子量は、ARPE−19細胞から分泌されたGDNFは、グリコシル化され、そして正確にプロセッシングされたことを示した。
【0188】
(実施例4.三元複合体形成アッセイで測定されたARPE−19細胞産生GDNFの生物活性)
GDNFは、チロシンキナーゼレセプターRetおよびGDNF特異的コレセプターGFRα1とレセプター複合体を形成することにより細胞内シグナル伝達および細胞内応答を仲介する。ARPE−19産生GDNFのシグナル伝達レセプター複合体を形成する能力は、先に記載(Sanicolaら、1997,Proc Natl Acad Sci USA 94:6238〜43)のように測定された。手短にいえば、GDNFは、GFRα1−Igで被覆されたプレート中で捕捉された。次いで、Retおよびアルカリホスファターゼの融合タンパク質(Ret−AP)を添加した。洗浄後、APに対する基質を添加し、そして発色を測定した。細菌が産生したヒトGDNFおよび哺乳動物が産生したGDNFをAlmone Labs(#G−240)およびR&D Systems(#212GD)からそれぞれ購入し、そしてコントロールとして用いた。
【0189】
(結果:)
ARPE−19細胞産生GDNFからのレセプター複合体の形成は、用量依存性であり、そしてその他の供給源からのGDNFに匹敵した(図6)。
【0190】
(実施例5:PC12細胞中で測定されたARPE−19細胞産生GDNFの生物活性)
PC12細胞は、褐色細胞腫細胞発現TrkAであり、そしてNGF−誘導分化のためのモデル系として広く用いられている。さらに、PC12細胞は、チロシンキナーゼレセプターRetを発現する。GDNF特異的コレセプターGFRα1の存在下、GDNF−GFRα1−Retシグナル伝達複合体の形成は、NGF−TrkAシグナル伝達:成長制止、長い神経突起の伸長および交感神経ニューロンに類似の表現型と類似の細胞応答に至る。GFRα1の内因性レベルは、有意な応答には不十分であるが、より高いGFRα1レベルが、GFRα1のcDNAを含むプラスミドでのトランスフェクションにより、またはGFRα1−Ig融合タンパク質の添加により得られ得る。現在の実験では、PC12サブクローンが、GFRα1−Ig(R&D Systems #714−GR)の存在下、トランスフェクトされたARPE−19クローンにより産生されるヒトGDNFの生物活性を試験するために用いられた。組換え哺乳動物が産生したhGDNF(R&D Systems #212GD)およびE.coli産生hGDNF(Alomone Lab #G−240)がポジティブコントロールとして用いられた。
【0191】
親のARPE−19細胞およびGDNF産生クローンは、T75フラスコ(フラスコあたり3×10細胞)中に接種された。翌日、細胞を予備加熱無血清DMEMに変更した。24時間後、ならし培地を集め、そして遠心分離(3000×G、5分間)し、細胞残渣を除去した。ならし培地中のGDNF濃度を、GDNF DuoSet ELISA(R&D systems #DY212)により、製造業者の指示書に従って決定された。R&D Systems GDNFおよびAlomone GDNFの濃度は、ELISA結果に従って調節された。
【0192】
PC12細胞は、37℃で5%COの存在下、7.5%のドナー馬血清(Life Technologies #16050−098)および7.5%FBS(Life Technologies #10099−141)をともなう、4.5g/lグルコースおよびグルタマックス(Life Technologies #32430−027)をともなう、Dulbeccoの改変Eagle培地(DMEM)中で培養した。培地は2〜3日毎に変更し、そして細胞は、このフラスコから引き出し、そして新たなフラスコ中に分与することにより、週に2度、1:3〜1:6で継代培養した。
【0193】
PC12細胞は、コラーゲンで被覆された48ウェルデッシュにおける生存アッセイのために、血清を含む成長培地中、25,000細胞/cm(2×10細胞/ウェル)の密度で接種された。翌日、親ARPE−19細胞からのならし培地を、無血清DMEM培地中1:2で希釈した。この培地は、ならし培地からのGDNF、およびR&D SystemsおよびAlomone LabsからのGDNFの希釈物を作製するために用いた。GDNFの希釈物は、1μg/mlで添加したGFRα−IgとともにPC12細胞に添加された。細胞を3日間インキュベートし、そして細胞生存を、MTSアッセイ(Promega #G5430)を製造業者の指示書に従って実施することにより決定した。
【0194】
(結果)
ARPE−19細胞から産生されたGDNFは、用量依存様式でMTS減少を増加した。ARPE−19産生GDNFの生物活性は、少なくとも、その他の供給源からのGDNFと同じぐらい高かった(図7)。
【0195】
(実施例6:CNS使用のためのデバイスの調製)
デバイスは、ポリスルホン(PS)、またはポリエーテルスルホン(PES)、または等価なポリマー中空繊維膜から、800〜1000μmの外側直径および約100μmの壁厚を備えて制作される。膜繊維内腔中に挿入されたポリビニルアルコール(PVA)スポンジ、ポリエチレン(PET)ヤーンまたは類似の材料からなる足場材料は、適正な細胞分布および細胞の付着を確実にする。最後に、デバイス端部に固定されたポリウレタン(PU)または等価な材料から製作されたテザーは、移植後のデバイス回収のための手段を提供する。
【0196】
(ラットにおける)臨床前試験のために用いられるデバイスは、約5〜7mm長である。ヒト脳中への移植のために企図されるデバイスは、約5〜20mm長である。
【0197】
細胞装填は、テザーへの遠位端で中空繊維デバイスに取り付けられたハブセグメントおよびポートを通じて起こる。単一細胞懸濁物として調製されたGDNF細胞は、ポート中に注入され、ハブセグメントは回収され、そして注入穴は接着剤でシールされる。デバイスの各mm長さについて、約10,000のGDNF発現細胞が装填される。これらデバイスは、使用まで培地中に維持される。
【0198】
ラット脳中への移植のためのデバイスは、以下の材料で作製された:膜:PSデバイス:90kDA分子量カットオフをもつ、ポリスルホン中空繊維膜(Minntech Corp,Minneapolis,Minnesota,USAからのPS90/700)。寸法:700μm+/−50μm内径、100μm+/−20μm壁。PESデバイス:ポリエーテルスルホン:280kDa分子量カットオフをもつAkzo NobelからのPES5。寸法:520μm+/−50μm内径、100μm+/−20μm壁。中空繊維は、約5mm(PSデバイス)および7mm(PESデバイス)の長さに切断された。
発泡体:PSデバイス:PVA発泡体、Hydrofera Inc.Cleveland,Ohio,USAからの製品番号160LD。PESデバイス:M−PACT,Eudora,Kansas,USAからのCinicelスポンジ。このPVA発泡体は、中空繊維の内径に適合するように切断された。
装填チューブ:ペルフルオロアルコキシコポリマー。寸法:PSデバイス:.0037”+/−.005”ID;.005”+/−.001”壁。PESデバイス:410μm+/−50μmID;45μm+/−5μm壁。両方は、Zeus Industrial Products,Orangeburg,South Carolina,USAからである。装填チューブは、一方の端部で中空繊維に、そして他方の端部でハブに接着される。
ハブ:製品番号P/N 02030200 Rev 1、Abtec,Bristol,PA,USAから。
装填チューブをハブに接着するための接着剤:Dymax 201−CTH(Diatom,Hvidovre,Denmark)。
中空繊維のための接着剤:PSデバイス:Dymax 1181−M。PESデバイス:Dymax 1188−M。
【0199】
デバイスは、制御された環境でアセンブルされ、Falcon 15mLポリプロピレン試験管(Becton Dickinson、カタログ#352096)に梱包され、そして細胞を充填する前にエチレンオキシドに曝すことにより滅菌した。
【0200】
(実施例7:カプセル化GDNF産生ARPE−19細胞クローンのインビトロ試験)
細胞を、上記に記載されるように成長培地で増殖させた。カプセル化の前の日に、細胞をトリプシン処理し、計数し、そして成長培地中に再接種した。カプセル化直前に、細胞をトリプシン処理し、計数し、洗浄し、そしてヒト内皮無血清培地(HE−SFM,Invtrogen)中に再懸濁した。懸濁物は、実験を通じて室温に維持された。デバイスは、実施例6にある仕様に従って作製された。細胞を、Hamiltonシリンジを用いてデバイス中に注意深く注入した。実験デバイスには、各デバイスにおいて、8μl中の50,000細胞を注入した。細胞カプセル化およびデバイスシーリングの後、これらデバイスをHF−SFMに移した。残りの細胞を、従来の細胞培養ディシュにおいて成長培地中に接種し、細胞生存率を確認した。実験全体で、デバイスは、37℃/5%COでHE−SFM中で維持された。サンプルを、GDNF ELISAのために所望の時間点で取り出し:デバイスは、HE−SFM中で洗浄し、そして引き続き1ml HE−SFM中で4時間インキュベートした。放出されたGDNFは、DuoSetヒトGDNF−ELISA(R&D systems)を用いて測定した。デバイスあたり分泌されたGDNFの量は図8に示される。
【0201】
インビトロで14日後、デバイスをパラホルムアルデヒド中で固定化し、包埋し、そして切片にし、そして標準的な組織学的技法を用いてエオシン/ヘマトキシリン染色した。細胞生存は、デバイス切片から決定した。これらデバイス切片は、インビトロ生存が優れていたことを確認した。
【0202】
(実施例8:カプセル化GDNF産生ARPE−19細胞クローンのインビボ試験)
移植14日前、細胞を、実施例6に記載のようにカプセル化した。移植まで、このカプセル化細胞を、37℃/5%COでHE−SFM中で維持した。クローンC11、C63、C71、C74、C101およびクローンN2のサンプルをカプセル化した。デバイスの1ロットをインビトロで10週間維持した。GDNF−放出(1時間の間)は、本明細書のいずれかに記載のように、1週間に2回測定された。培地は、GDNF放出測定と組み合わせて交換した。インビトロで2週間後、デバイスの1つのロットをラット脳に移植した。
【0203】
成体の220gの雌のSprague−Dawleyラットを、12時間の光:闇サイクルの下、そしてラット固形飼料および水に自由に接近させて収容し、これらを移植手術のために用いた。デバイスは、イソフルオラン麻酔された(1.5〜2%)動物の線条体の両側に、ブレグマに対し以下の座標によって記載される部位に移植された:AP:0.0、ML:+/−3.2、DV:−8、TB:3.3。手術後、一般的挙動および体重の評価が隔週にモニターされた。移植8週間後に、動物を断頭した。デバイスを脳から取り出し、そしてPBS中で一回すすいだ。このPBSを1mlの無血清培地で置換し、そして先に記載のようにGDNF放出測定のためにインキュベートした。デバイスを次いで4%パラホルムアルデヒド中に固定し、そしてヘマトキシリン&エオシン染色による組織学的分析のために処理した。脳を解剖し、そして4%パラホルムアルデヒドにおける調製および4℃における一晩の浸漬固定の前に1分間冷生理食塩水中ですすいだ。脳を次に25%シュークロース/0.1Mリン酸緩衝液中に移し、そして48時間後、40μmの切片を凍結ミクロトーム上で切断した。脳切片は、次いで、一般形態のために処理された(ヘマトキシリン&エオシン、クリスタルバイオレット)。
【0204】
ラットの体重および挙動は正常であり、そして異なる処理の間で異ならなかった。
【0205】
図10に描写される結果は、PSおよびPESデバイスの両方における正常ラット中8週後の卓越した細胞生存を示す。移植されたデバイスからのGDNF分泌は、移植前分泌と同じ程高く、そしてPSデバイスからより(図9B)、PESデバイスから(図9A)より高いようであった。
【0206】
(実施例9.デバイスのくも膜下腔内移植)
くも膜下腔内移植は、脊柱管に沿って、好ましくは、例えばヒトにおける脊髄円錐の下の腰椎レベルで達成され得る。小切開が腰椎レベルで作製され、そして脊髄ニードルがくも膜下腔内スペースに入るために用いられる。CSF流れが確立された後、ガイドワイヤが、くも膜下腔内スペース中に挿入され、そして拡大器システムがこのスペースに入るために用いられる。ガイドワイヤは引き抜かれ、そしてカプセル化されたテバイスは、上記スペース中に、活性部分がCSF区画中に完全に取り囲まれるように挿入される。テザーが、非吸収性縫合糸により、そして好ましくは固定クリップを用いて腰椎筋膜に固定される。皮膚は、標準的な外科的手順を用いて閉鎖される。
【0207】
(実施例10.ヒト線条体構造中の移植)
全身麻酔、または局所麻酔および鎮静作用の下、神経外科的定位固定フレームを患者の頭部に固定する。規準ボックスおよび次のMRI造影を、解剖学的領域および移植座標を決定するために適用する。移植はまた、BrainLAB AGによって供給される特注ソフトウェアおよびナビゲーション設備を利用して、拡散テンソル造影および用量マッピングによって案内され得る。患者は、次に、手術室に連れてこられ、そこで、彼/彼女は、下調べされ、そして掛け布をされる。定位固定画像データを基に、小さな皮膚切開が前線の側方に、そして小さなギザギザ穴が頭蓋骨を通って作製される。硬膜および下にある髄膜は、切開によって貫通され、そしてトロカールを備えたガイドカニューレが、被殻および尾状核の核標的領域中に挿入される。トロカールは除去され、そしてデバイスは位置にスライドされる。ガイドは除去され、そしてデバイステザーは、チタンプレートまたは特注の保持クリップで頭蓋骨に固定される。1つ以上のデバイスが、同じ構造に挿入され得る。皮膚は、中断された3−0ナイロン縫合糸で閉鎖縫合される。この手順は、対向する側で繰り返される。
【図面の簡単な説明】
【0208】
【図1】図1は、GDNF発現ベクターを得るために発現ベクターpNS1nおよびpCln.hNGF中に挿入されたGDNFオープンリーディングフレームを示す。翻訳されるアミノ酸配列もまた示される。
【図2】図2は、GDNF ELISAによって測定される、選択されたAPRE−19クローンからのGDNF分泌を示す。固定数の細胞をプレートにまいた。付着後、GDNF分泌を、内皮無血清培地中で4時間のインキュベーションの後に測定した。エラーバーは、異なる独立した測定間の平均からの標準偏差を示す。図2Aは、pCln.hG(イントロンをもつ)でトランスフェクトされたクローンを示す。図2Bは、pNS1n.hGDNF(イントロンなし)でトランスフェクトされたクローンを示す。
【図3】図3は、集密培養として成長する選択されたARPE−19クローンの8週間に亘るGDNF放出を示す。下の線は、トランスフェクトされていない親細胞株ARPE−19を示す。GDNF放出は、培地中4時間のインキュベーションの後にGDNF Elisaによって測定された。各々の線は、1つの個々のクローンを表す。図3Aは、ヒト内皮無血清培地(Invitrogen)中で成長させたクローンを示す。図3Bは、DMEM/F12(Invitrogen)中で成長させた同じクローンを示す。垂直軸の異なる目盛りに注意のこと。
【図4】図4Aは、個々のクローンについて図3の4週からのデータを示す。C−と標識されたクローンは、pCln.hGでトランスフェクトされ、これはイントロンを含む。N−と標識されたクローンは、pNS1n.hGDNFでトランスフェクトされ、これはイントロンを含まない。図4Bは、イントロンの影響のより直接的な比較のための2つのグループのクローンの平均を示す。
【図5】図5は、R&D(#212GD;哺乳動物が産生したGDNF)およびAlomone(#G−240;E.coliが産生したGDNF)から購入されたGDNFと比較された、NGC−0301(本発明によるARPE−19クローン)により産生されたGDNFのウェスタンブロットを示す。左に分子量マーカーが示されている。−で標識されたレーンは、脱グリコシル化されなかった。Dと標識されるレーンは、変性条件下で脱グリコシル化された。Nと標識されたレーンは、ネイティブ条件下で脱グリコシル化された。さらなる詳細については、実施例3への参照がなされる。
【図6】図6は、GFRα1−RetへのGDNF結合を示す。x軸はGDNFの量(ng/mL)を示す。y軸は三元複合体形成の程度を示す。NGC−0301は、本発明による細胞株からのならし培地からのGDNFを表す。R&Dは、R&D systemsからの哺乳動物組換えGDNF(#212GD)を表す。Alomoneは、Alomone labsからのE.coli組換えGDNF(#G−240)を表す。
【図7】図7は、無血清培地におけるPC12生存を示す。x軸はGDNFの量(nM)を示す。y軸は、相対的MTS減少+/−SEMを示す。NGC−0301は、本発明による細胞株からのならし培地からのGDNFを表す。R&Dは、R&D systemsからの哺乳動物組換えGDNF(#212GD)を表す。Alomoneは、Alomone labsからのE.coli組換えGDNF(#G−240)を表す。
【図8】図8は、HE−SFM中4時間のインキュベーションの後に測定されたGDNF分泌細胞を含むデバイスからのGDNF放出を示す。これらの結果は、インビトロで2週間成長させたデバイスからである。これらデバイスは、実施例6に記載のようなPSデバイスである(50,000細胞で充填された、90kDaのカットオフ、5mm長、700μmの内径をもつポリスルホン膜)。y軸は、ng GDNF/24時間としてのGDNF放出を示す。カラムは、5つのデバイスの平均を表す。棒は、平均の標準偏差を表す。
【図9】図9は、ラット脳中の移植8週後のGDNF分泌細胞を含むデバイスからのGDNF放出を示す。このGDNF放出は、HE−SFM中の4時間のインキュベーションの後に測定され、そしてng GDNF/24時間として与えられる。カラムは、5つのデバイスの平均を表す。図6Aは、PESデバイス(50,000細胞で充填された、280kDaのカットオフ、7mm長、500μmの内径をもつポリスルホン膜)で得た結果を示す。図6Bは、PSデバイス(50,000細胞で充填された、90kDaのカットオフ、5mm長、700μmの内径をもつポリスルホン膜)で得た結果を示す。
【図10】図10は、代表的なPESデバイスの組織学的断面を示し、これは、ラット脳におけるインビボで8週、そして引き続くGDNFアウトプットの測定の後に切断された。図10Aは、膜、発泡体支持体および生存細胞をともなう全デバイスの断面である。図10Bは、優れた細胞生存を示すデバイスの小区分の拡大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GDNFをコードする異種発現構築物を含むヒト細胞の組成物を含む内部コア、および該細胞の組成物を取り囲む半透過性膜を含む生体適合性デバイスであって、該膜が、GDNFの拡散を可能にし、該ヒト細胞が1つの細胞株に由来する、デバイス。
【請求項2】
前記細胞株が、モノクローナル細胞株である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記細胞が、非ウイルス発現構築物でトランスフェクトされる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記発現構築物が、プラスミドである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ヒト細胞が、接触阻害される細胞である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記細胞が、食作用し得る、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記細胞が、非腫瘍原性である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記細胞が、異種不死化遺伝子の挿入により不死化されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記細胞株が、異種不死化遺伝子の挿入により不死化されていない、請求項1〜8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記細胞株が、哺乳動物、好ましくはヒトで非腫瘍原性である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記細胞株が、例えば5%未満の酸素分圧、より好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満のような低酸素分圧で生存し得る、請求項1〜10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記細胞株が、初代培養から始められる、請求項1〜11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記細胞株が、少なくとも50の倍加、より好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも70、より好ましくは少なくとも80、より好ましくは少なくとも90、より好ましくは少なくとも100の倍加を行い得る、請求項1〜12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記細胞株が、低レベルのヒト宿主免疫反応を誘因し、好ましくはここで、ヒト抗体および/または補体依存性細胞毒性が非ヒト動物よりもヒトにおいてより低い、請求項1〜13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記細胞が、上皮細胞に由来する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記上皮細胞が、網膜色素上皮細胞である、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記発現構築物が、転写物中にイントロンを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
前記イントロンが、前記転写物の5’UTR中に位置する、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記デバイスが、1ng GDNF/24時間より多くを分泌し得る、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
10,000〜100,000細胞/デバイスμL、より好ましくは15,000〜50,000細胞/デバイスμL、より好ましくは20,000〜30,000細胞/デバイスμLを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
少なくとも0.5μL、好ましくは少なくとも1μLの容量を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
1000細胞/カプセル未満、例えば50細胞/カプセル未満のような100細胞/カプセル未満、例えば5細胞/カプセル未満のような10細胞/カプセル未満のような実質的に10より少ない細胞を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項23】
150μm未満、例えば100μm未満のような、50μm未満、例えば25μm未満のような、250μm未満の直径を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項24】
前記コアが、前記細胞のための支持体を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項25】
前記半透過性膜が、前記コア中の細胞と前記デバイスの外側の細胞との間の細胞−細胞接触を防ぎ得る、請求項1に記載のデバイス。
【請求項26】
前記膜が、300kDa以下の分子量カットオフを有する、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
テザーをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項28】
縫合糸小穴をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項29】
受託番号DSM ACC2732またはDSM ACC2733の下、DSMZに寄託された細胞株から得られ得る細胞を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項30】
1つの細胞株に由来するヒト細胞の組成物であって、該細胞がGDNFをコードする異種発現構築物を含む、組成物。
【請求項31】
分泌されるGDNFが、配列番号9のアミノ酸配列を有する、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
受託番号DSM ACC2732またはDSM ACC2733の下、DSMZに寄託された細胞株から得られ得る細胞を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
前記細胞が、支持体−マトリックス上で培養される、請求項30に記載の組成物。
【請求項34】
パーキンソン病の処置の方法であって、その必要のある被験体の被殻構造体および線条体構造体中に、請求項1〜29のいずれか1項に記載の少なくとも1つのデバイス、または請求項30〜33のいずれか1項に記載の細胞の組成物を移植する工程を包含する、方法。
【請求項35】
筋萎縮性側索硬化症の処置の方法であって、その必要のある被験体の髄腔内スペースおよび/または脊髄中に、請求項1〜29のいずれか1項に記載の少なくとも1つのデバイス、または請求項30〜33のいずれか1項に記載の細胞の組成物を移植する工程を包含する、方法。
【請求項36】
ハンチントン病の処置の方法であって、その必要のある被験体の被殻構造体および線条体構造体中に、請求項1〜29のいずれか1項に記載の少なくとも1つのデバイス、または請求項30〜33のいずれか1項に記載の細胞の組成物を移植する工程を包含する、方法。
【請求項37】
網膜症、加齢黄斑変性、緑内障、眼の新血管形成または網膜変性の処置の方法であって、その必要のある被験体の眼中に、請求項1〜29のいずれか1項に記載の少なくとも1つのデバイス、または請求項30〜33のいずれか1項に記載の細胞の組成物を移植する工程を包含する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【公表番号】特表2009−513584(P2009−513584A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536932(P2008−536932)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000596
【国際公開番号】WO2007/048413
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(501008705)エヌエスゲーネ・アクティーゼルスカブ (6)
【Fターム(参考)】