説明

GHP遠隔監視システム

【課題】既存の無線電話機能付きのアダプタを有効に利用することができ、更に省エネルギー効率に優れると共に、快適な環境を創出することができ、かつ安価なGHP遠隔監視システムを提供すること。
【解決手段】室外機と室内機とを有するガスエンジンヒートポンプ型空調装置(以下GHPという)を遠隔監視するためのGHP遠隔監視システム1。GHP遠隔監視システム1はアダプタ2と監視用コンピュータ3と監視ユニット4とを備える。アダプタ2は、運転データ採取手段と第1運転データ送信手段と指示データ受信手段と指示手段とを有する。監視ユニット4は、人検知センサ又61は/及び室温センサ62と検知データ引渡し手段とを有する。監視用コンピュータ3は、第1運転データ受信手段と検知データ受取り手段と指示データ作成手段と指示データ送信手段とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外機と室内機とを有するガスエンジンヒートポンプ型空調装置を遠隔監視するために配設されるGHP遠隔監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、図6に示すごとく、室外機921と室内機922とを有するガスエンジンヒートポンプ型空調装置(以下GHPという)を、遠隔地に配置した監視用コンピュータ93により遠隔監視するために用いる無線電話機能つきのアダプタ9が提案されている(特許文献1参照)。
上記アダプタ9は、同図に示すごとく、上記室外機921に接続されるアダプタ本体92と、該アダプタ本体92に接続されていると共に外部の監視用コンピュータ93と無線電話回線94を介して接続される無線電話端末91とを有する。
【0003】
上記アダプタ9は、上記アダプタ本体92と無線電話端末91とを有するため、有線の電話回線を接続する必要がなく、上記アダプタ9の設置コストを低減することができる。また、上記アダプタ9は、運転情報送信手段により最新の運転情報を送ることができるため、上記室内機922の運転状況の傾向を容易に把握することができる。
【0004】
しかしながら、上記アダプタ9を用いた遠隔監視システムには限界があり、更に制御精度を高めるための機能を追加することが困難である。例えば、無駄なエネルギー消費や、設定温度と実際の温度との差が大きすぎることにより室内にいる人が不快になってしまうという不具合を防ぐために新たにセンサ機能を設けようとすると、アダプタそのものを新たなタイプに取り替える、或いは改造することが必要となる。そして、取り替える場合には、無線電話機能を有する優れた既存のアダプタが無駄になってしまう。
【0005】
【特許文献1】特開2003−004281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、既存の無線電話機能付きのアダプタを有効に利用することができ、更に省エネルギー効率に優れると共に、快適な環境を創出することができ、かつ安価なGHP遠隔監視システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、室外機と室内機とを有するガスエンジンヒートポンプ型空調装置(以下GHPという)を遠隔監視するためのGHP遠隔監視システムであって、
上記室外機に接続されるアダプタと、該アダプタと無線電話回線を介して通信可能な監視用コンピュータと、該監視用コンピュータと無線電話回線を介して通信可能な監視ユニットとを備え、
上記アダプタは、上記室外機から運転データを採取する運転データ採取手段と、採取した上記運転データを上記監視用コンピュータに送信する第1運転データ送信手段と、上記監視用コンピュータから上記GHPに対する指示データを受信する指示データ受信手段と、受信した上記指示データを上記室外機に伝える指示手段とを有しており、
上記監視ユニットは、上記室内機が配設された室内に人がいるかいないかを検知する人検知センサ又は/及び上記室内の温度を検知する室温センサと、上記人検知センサ又は/及び上記室温センサが検知した検知データを上記監視用コンピュータに送信する検知データ引渡し手段とを有しており、
上記監視用コンピュータは、上記アダプタから送信される上記運転データを受信する第1運転データ受信手段と、上記監視ユニットから送信される上記検知データを受信する検知データ受取り手段とを有すると共に、少なくとも上記運転データ及び上記検知データに基づいて上記指示データを作成する指示データ作成手段と、上記指示データを上記アダプタに送信する指示データ送信手段とを有していることを特徴とするGHP遠隔監視システムにある(請求項1)。
【0008】
本発明のGHP遠隔監視システムは、上記のごとく、上記アダプタと上記監視用コンピュータだけでなく、上記監視ユニットを追加して構成してある。そして、上記監視ユニットは上記人検知センサ又は/及び上記室温センサを備えている。これにより、例えば、アダプタと監視用コンピュータのみで構成されるGHP遠隔監視システムが存在している場合に、上記監視ユニットを追加するだけで、上記の新たなセンシング機能を備えることができ、上記GHPの制御精度の向上を図ることができる。また、新たにGHP遠隔監視システムを導入する場合でも、上記アダプタとしては従来と同様の比較的安価な簡易なものを採用して基本システムを組み、オプションとして本発明のように上記監視ユニットを組み込むことができる。そのため、必要に応じて、本発明のシステムを採用することができ、非常に合理的である。
【0009】
そして、上記監視ユニットは、上記人検知センサ又は/及び上記室温センサを有する。
上記監視ユニットが上記人検知センサを有する場合は、上記人検知センサを配設した室内に人がいるかいないかを検知することができる。この場合には、上記監視用コンピュータは、上記無線電話回線を介して上記検知データ引渡し手段によって送られてきた検知データに基づいて、例えば、上記GHPの起動若しくは停止、又は上記室内機の設定温度の調整といった上記指示データを作成することができる。
【0010】
また、上記室温センサを有する場合は、室内の任意の場所において測定した室温を上記室内機の設定温度に反映させることができる。即ち、上記室温センサによって検知した上記検知データを、上記検知データ引渡し手段により、上記監視ユニットから上記監視用コンピュータに送信することができる。そのため、上記監視用コンピュータの上記指示データ作成手段実行時には、上記アダプタから受け取った上記運転データからだけではなく、上記検知データを考慮に入れて最適な指示データを作成することができる。
【0011】
それ故、上記監視ユニットが上記人検知センサ又は上記室温センサのいずれかを具備している場合には、上記の最適な指示データを上記アダプタを介して受理した上記室外機及びこれに接続された上記室内機は、上記最適な指示データに従った最適な運転制御又は温度制御を行うことができる。そのため、不必要な運転や室内が充分に冷却されているにもかかわらず設定温度が低くなっている等の無駄な消費エネルギーを防ぐことができる。
それ故、上記GHPの省エネルギー効率を向上させることができる。
【0012】
また、上記のごとく、上記監視ユニットに上記人検知データ又は/及び上記室温センサを設けてあるので、上記アダプタに新たに上記人検知センサ又は/及び上記室温センサを設ける必要がない。即ち、仮に、既存のアダプタに新たに上記人検知センサ又は/及び上記室温センサを設ける場合には、非常に手間とコストがかかってしまう。これに対して、上述のごとく、上記監視ユニットに上記の2つのセンサを設けることにより、上記アダプタには、上記GHPに対する機能として上記室外機からのデータの収集と上記室外機への指示データの伝達機能に専念させることができる。そのため、その構造をシンプルにすることができ、また、安価に上記GHP遠隔監視システムを構築することができる。
【0013】
また、上記監視用コンピュータにおける上記指示データ作成手段は、上記第1運転データ受信手段によって上記アダプタから採取した上記運転データと、上記検知データ受取り手段によって上記監視ユニットから採取した上記検知データとに基づいて上記指示データを作成する。それ故、実際の運転状況と指示した運転状況との相違点に基づいて上記指示データを適宜更新していくことができるため、快適な環境を創出することができる。
【0014】
また、上記アダプタ及び上記監視ユニットは、いずれも上記無線電話回線を介して上記監視用コンピュータと通信可能となっている。そのため、上記アダプタ及び上記監視ユニットには、有線の電話回線を接続する必要がなく、上記GHP遠隔監視システムの設置コストを低減することができる。
【0015】
以上のごとく、本発明によれば、既存の無線電話機能付きのアダプタを有効に利用することができ、更に省エネルギー効率に優れると共に、快適な環境を創出することができ、かつ安価なGHP遠隔監視システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明においては、上記アダプタにより、例えば、ガス消費量、冷却水温、エンジン回転数、上記室外機の運転時間、及び設定温度等を上記室外機の運転データとして収集することができる。
また、上記GHP室外機より得られる上記運転データ、及び上記人検知センサ又は上記室温センサより得られる上記検知データの収集間隔としては、例えば、1分、5分、10分、30分、60分等、種々の設定をすることができる。
【0017】
また、上記GHP遠隔監視システムには、上記アダプタ及び上記監視ユニットをそれぞれ1台ずつ設けてもよいし、複数台設けて親子接続することも可能である。更に、上記アダプタには、上記GHPをそれぞれ1台ずつ設けてもよいし、複数台設けて接続することも可能である。
上記無線電話回線として、例えば、NTTドコモ社のパケット通信サービス「DoPa(商品名)」を利用し、ルータ及び専用線(ISDN)及び社内LANを介して上記監視用コンピュータに接続することができる。
【0018】
また、上記監視ユニットと上記アダプタとは、有線又は無線通信手段を介して接続可能であり、上記アダプタは上記運転データを上記監視ユニットに送信する運転データ引渡し手段を有し、上記監視ユニットは上記アダプタから送信される上記運転データを受信する運転データ受取り手段と、上記運転データを上記監視用コンピュータに送信する第2運転データ送信手段とを有し、上記監視用コンピュータは上記監視ユニットから送信される上記運転データを受信する第2運転データ受信手段を有することが好ましい(請求項2)。
【0019】
上記アダプタと上記監視ユニットとは、有線又は無線通信手段を介して接続可能となっており、上記アダプタは上記運転データ引渡し手段を有し、上記監視ユニットは上記運転データ受取り手段を有している。そのため、上記運転データを、上記アダプタから上記監視ユニットへと容易に送信することができる。更に、上記監視ユニットは上記第2運転データ送信手段を有し、上記監視用コンピュータは上記第2運転データ受信手段を有しているため、上記監視用コンピュータに最新の上記運転データを迅速に送信することができる。そのため、例えば、上記アダプタ内のデータ記憶用メモリの容量の制限等によって、上記アダプタの運転データ採取手段のみでは運転データの種類、採取頻度等が不足する場合に、その不足状態を上記監視ユニットの存在によって解消することができる。それ故、GHPの運転状況をより一層容易かつ迅速に把握することができるため、GHPの制御精度の向上を図ることができる。
【0020】
また、上記監視ユニットは、上記アダプタに接続されていない別の空調機(以下、空調機という)に接続されると共に、該空調機から送信されるアナログ信号又は/及びデジタル信号からなる運転情報を採取する運転情報採取手段と、採取した上記運転情報を上記監視用コンピュータに送信する運転情報送信手段とを有し、上記監視用コンピュータは、上記監視ユニットから送信される上記運転情報を受信する運転情報受信手段を有していることが好ましい(請求項3)。
【0021】
この場合には、上記アダプタに接続されてないGHPだけではなく、アナログ信号又はデジタル信号のうち、少なくともいずれか一方の信号を発信することができるGHP以外の空調機についても、上記監視ユニットを介して上記運転情報を入手することができる。そして、上記無線電話回線を介して、上記運転情報を上記監視ユニットから上記監視用コンピュータへと送信することができる。そのため、GHPに限定されることなく種々の空調機をも監視することができ、空調システム全体の省エネルギー効率をも向上させることができる。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるGHP遠隔監視システムにつき、図1〜図4を用いて説明する。
本例のGHP遠隔監視システム1は、図1、図2に示すごとく、室外機210と室内機220とを有するGHP200を遠隔監視するためのGHP遠隔監視システム1である。
【0023】
上記GHP遠隔監視システム1は、図1に示すごとく、室外機210に接続されるアダプタ2と、該アダプタ2と無線電話回線5を介して通信可能な監視用コンピュータ3と、該監視用コンピュータ3と無線電話回線5を介して通信可能な監視ユニット4とを備えている。
【0024】
また、アダプタ2は、図2に示すごとく、室外機210から運転データを採取する運転データ採取手段S201と、採取した運転データを監視用コンピュータ3に送信する第1運転データ送信手段S202とを有する。また、アダプタ2は、監視用コンピュータ3からGHP200に対する指示データを受信する指示データ受信手段S203と、受信した指示データを室外機210に伝える指示手段S204とを有している。
【0025】
また、監視ユニット4は、図2、図4に示すごとく、室内機220が配設された室内221に人がいるかいないかを検知する人検知センサ61及び室内221の温度を検知する室温センサ62を有する。また、人検知センサ61及び室温センサ62が検知した検知データを監視用コンピュータ3に送信する検知データ引渡し手段S401を有している。
【0026】
また、監視用コンピュータ3は、図3に示すごとく、アダプタ2から送信される運転データを受信する第1運転データ受信手段S301と、監視ユニット4から送信される検知データを受信する検知データ受取り手段S302とを有する。また、運転データ及び検知データに基づいて指示データを作成する指示データ作成手段S303と、指示データをアダプタ2に送信する指示データ送信手段S304とを有している。
【0027】
また、本例においては、監視ユニット4とアダプタ2とは、図1、図2、図4に示すごとく、有線通信手段29を介して接続されている。
そして、アダプタ2は、図2に示すごとく、運転データを監視ユニット4に送信する運転データ引渡し手段S205を有する。
【0028】
また、監視ユニット4は、図4に示すごとく、アダプタ2から送信される運転データを受信する運転データ受取り手段S402と、運転データを監視用コンピュータ3に送信する第2運転データ送信手段S403とを有する。
また、監視用コンピュータ3は、図3に示すごとく、監視ユニット4から送信される運転データを受信する第2運転データ受信手段S305を有する。
【0029】
また、監視ユニット4は、図4に示すごとく、アダプタ2に接続されていない別の空調機70に接続されている。そして、該空調機70から送信されるアナログ信号及びデジタル信号からなる運転情報を採取する運転情報採取手段S404と、採取した運転情報を監視用コンピュータ3に送信する運転情報送信手段S405とを有する。
また、監視用コンピュータ3は、図3に示すごとく、監視ユニット4から送信される運転情報を受信する運転情報受信手段S306を有している。
この内容について、以下に詳しく説明する。
【0030】
本例におけるアダプタ2は、図2に示すごとく、GHP接続端子21と回線端末接続端子22とアダプタ中央演算処理部23とアダプタ記憶装置24とアダプタ無線電話端末25とアダプタ小型アンテナ26とユニット間接続端子28と有線通信手段29とアダプタ親子接続端子230と電源端子240とを有している。そして、アダプタ2及びアダプタ無線電話端末25は一つの保護ケース260に収納されている。また、アダプタ無線電話端末25に接続されたアダプタ小型アンテナ26は保護ケース260の外部に配設されている。
【0031】
また、アダプタ2には、複数のGHP200の室外機210がGHP接続端子21を介して接続されており、更に室外機210には、複数の室内機220が接続されている。
また、アダプタ2には、アダプタ親子接続端子230を介して複数のアダプタ子機20が接続されており、該アダプタ子機20には、更に複数の室外機210が接続されている。
また、アダプタ2は、回線端末接続端子22及びアダプタ無線電話端末25を介して監視用コンピュータ3と通信可能に構成されている。
【0032】
無線電話回線5は、本例では、図1に示すごとく、NTTドコモ社のパケット通信サービス「DoPa(商品名)」を利用し、ルータ51、53及び専用線(又はISDN)52及び社内LAN54を介して監視用コンピュータ3に接続されている。
また、アダプタ2と監視ユニット3とは、図2、図4に示すごとく、それぞれユニット間接続端子28、48を介して有線通信手段29により接続されている。
【0033】
また、監視用コンピュータ3は、図3に示すごとく、中央演算処理部31と記憶装置32とLAN端末接続端子33とを有している。そして、監視用コンピュータ3は、ルータ51、53及び専用線52及び社内LAN54を介して無線電話回線5と接続されている。
【0034】
また、監視ユニット4は、図4に示すごとく、アナログ入力端子41とパルス/デジタル入力端子42とユニット中央演算処理部43とユニット記憶装置44とユニット無線電話端末45とユニット小型アンテナ46とユニット間接続端子48と主通信端子49と人検知センサ61と室温センサ62とユニット親子接続端子430と電源端子450とを有する。そして、監視ユニット4及びユニット無線電話端末45は一つの保護ケース460に収納されている。また、ユニット無線電話端末45に接続されたユニット小型アンテナ46は、保護ケース460の外部に配設されている。
【0035】
また、監視ユニット4には、図4に示すごとく、複数の空調機70がアナログ入力端子41又はパルス/デジタル入力端子42を介して接続されており、また、空調室外機710には、複数の空調室内機720が接続されている。アナログ入力端子41には、例えば、16個の端子を設けることができ、パルス/デジタル入力端子42は、8個の端子を設けることができる。
【0036】
また、図4に示すごとく、ユニット親子接続端子430には、監視ユニット子機7が接続されている。また、上記監視ユニット子機7には、複数の空調機70の室外機710及び室内機720が接続されている。
この場合にも、上記監視ユニット子機7は、ユニット親子接続端子430と、アナログ入力端子41と、パルス/デジタル入力端子42と、アダプタ子機20と接続することができるようユニット間接続端子48とを有している。
また、監視ユニット4も、主通信端子49及びユニット無線電話端末45を介して監視用コンピュータ3と通信可能に構成されている。
【0037】
上記GHP遠隔監視システム1によって、GHP200を制御する際には、まず、図2に示すごとく、GHP200の室内機220に接続される室外機210から運転データ採取手段S201により運転データを採取する。該運転データは、アダプタ中央演算処理部23に送信され、例えば、ガス消費量、室外機210の運転時間、設定温度等の演算に使用される。そして、上記運転データのうち一部の運転データ、及び上記運転データにより算出される演算データは、アダプタ記憶装置24に記憶される。
【0038】
次に、上記一部の運転データは、図2に示すごとく、アダプタ中央演算処理部23より第1運転データ送信手段S202を経由してアダプタ無線電話端末25に送信され、アダプタ小型アンテナ26より無線電話回線5を介して監視用コンピュータ3に送信される。そして、図3に示すごとく、無線電話回線5から送信された上記運転データは、第1運転データ受信手段S301を経由して、中央演算処理部31に送信される。
【0039】
一方、上記運転データのうち、上記一部の運転データに含まれない他の運転データは、後述するように、アダプタ2の運転データ引渡し手段S205により有線通信手段29を介して監視ユニット4へと送信される。即ち、上記運転データのすべてをアダプタ2に記憶させる必要がないため、アダプタ2のデータ記憶用メモリの容量の制限等を受けにくくすることができる。
【0040】
また、図4に示すごとく、室内221に配設された人検知センサ61及び室温センサ62が検知した検知データは、監視ユニット4に送信される。該検知データは、ユニット中央演算処理部43に送信され、例えば、室温等の演算に使用される。更に、上記検知データ及び上記検知データにより算出される演算データは、ユニット記憶装置44に記憶される。
【0041】
次に、上記検知データは、図4に示すごとく、ユニット中央演算処理部43より検知データ引渡し手段S401を経由してユニット無線電話端末45に送信され、ユニット小型アンテナ46より無線電話回線5を介して監視用コンピュータ3に送信される。そして、図3に示すごとく、無線電話回線5から送信された上記検知データは、検知データ受取り手段S302を経由して、中央演算処理部31に送信される。
【0042】
また、図2に示すごとく、アダプタ2の運転データ引渡し手段S205により有線通信手段29を介して監視ユニット4へ送信された上記他の運転データは、図4に示すごとく、運転データ受取り手段S402により受信される。更に、上記他の運転データは、ユニット中央演算処理部43を経由して第2運転データ送信手段S403により監視用コンピュータ3へと送信される。
【0043】
図3に示すごとく、中央演算処理部31に送信された上記一部の運転データ、上記他の運転データ、及び上記検知データに基づいて指示データ作成手段S303により作成された室外機210及び室内機220への指示データは、指示データ送信手段S304を経由して、アダプタ2へと送信される。
そして、アダプタ2では、図2に示すごとく、指示データ受信手段S203により指示データを受信した後、該指示データを指示手段S204へと送信することにより、室外機210及び室内機220を制御することができる。アダプタ子機20も、同様の手順により制御することができる。
【0044】
また、図4に示すごとく、空調機70より監視ユニット4に送信された運転情報は、運転情報採取手段S404により受信されて監視ユニット4に取り込まれる。そして、ユニット中央演算処理部43を経由して運転情報送信手段S405によりユニット無線電話端末45を介して監視用コンピュータ3に送信される。上記運転情報は、図3に示すごとく、監視用コンピュータ3の運転情報受信手段S306を経由して中央演算処理部31、記憶装置32へと送信される。以上により、空調機70でも運転状況等の日報を作成することができる。
【0045】
また、アダプタ2及び監視ユニット4には、外部制御機器としてのパソコンを接続するためのサービス端子を設けることもできる。この場合には、サービス端子に接続されたパソコンによってアダプタ2及び監視ユニット4の少なくとも一部の機能を実行できるよう構成しておくことが好ましい。
【0046】
また、アダプタ2には、GHPに供給されるガス流量計に接続するためのガス流量計接続端子が設けられていてもよい。
また、アダプタ2及び監視ユニット4には、手動発呼スイッチと通信禁止スイッチとが設けられていてもよい。この場合には、保守作業が迅速かつ明確なものとすることができると共に、不用意な動作の発生を防止することができる。
また、監視用コンピュータ3における第2運転データ受信手段S305と第1運転データ受信手段S301とは、本例のように別々に設けてもよいし、兼用することも可能である。
【0047】
本例のGHP遠隔監視システム1は、上記のごとく、アダプタ2と監視用コンピュータ3だけでなく、監視ユニット4を追加して構成してある。そして、監視ユニット4は人検知センサ61及び室温センサ62を備えている。これにより、例えば、アダプタと監視用コンピュータのみで構成されるGHP遠隔監視システムが存在している場合に、監視ユニット4を追加するだけで、上記の新たなセンシング機能を備えることができ、GHP200の制御精度の向上を図ることができる。また、新たにGHP遠隔監視システム1を導入する場合でも、アダプタ2としては従来と同様の比較的安価な簡易なものを採用して基本システムを組み、オプションとして本例のように監視ユニット4を組み込むことができる。そのため、必要に応じて、本例のシステムを採用することができ、非常に合理的である。
【0048】
そして、監視ユニット4は、図1、図4に示すごとく、人検知センサ61及び室温センサ62を有する。監視ユニット4が人検知センサ61を有する場合は、人検知センサ61を配設した室内221に人がいるかいないかを検知することができる。この場合には、監視用コンピュータ3は、無線電話回線5を介して検知データ引渡し手段S401によって送られてきた検知データに基づいて、例えば、GHP200の起動若しくは停止、又は室内機220の設定温度の調整といった指示データを作成することができる。
【0049】
また、室温センサ62により、室内221の任意の場所において、測定した室温を室内機220の設定温度に反映させることができる。即ち、室温センサ62によって検知した検知データを、検知データ引渡し手段S401により、監視ユニット4から監視用コンピュータ3に送信することができる。そのため、監視用コンピュータ3の指示データ作成手段S303実行時には、アダプタ2から受け取った運転データからだけではなく、検知データを考慮に入れて最適な指示データを作成することができる。
【0050】
即ち、監視ユニット4が人検知センサ61及び室温センサ62を具備しているため、上記の最適な指示データをアダプタ2を介して受理した室外機210及びこれに接続された室内機220は、上記の最適な指示データに従った最適な運転制御及び温度制御を行うことができる。そのため、不必要な運転や室内221が充分に冷却されているにもかかわらず設定温度が低くなっている等の無駄なエネルギー消費を防ぐことができる。
それ故、GHP200の省エネルギー効率を向上させることができる。
【0051】
また、上記のごとく、監視ユニット4に、人検知データ61及び室温センサ62を設けてあるので、アダプタ2に新たに人検知センサ61及び室温センサ62を設ける必要がない。即ち、仮に、既存のアダプタに新たに人検知センサ61及び室温センサ62を設ける場合には、手間とコストがかかってしまう。これに対して、上述のごとく、監視ユニット4に上記の2つのセンサ61、62を設けることにより、アダプタ2には、GHP200に対する機能として室外機210からのデータ収集と室外機210への指示データの伝達機能に専念させることができる。そのため、その構造をシンプルにすることができ、また、安価にGHP遠隔監視システム1を構築することができる。
【0052】
また、監視用コンピュータ3における指示データ作成手段S303は、図3に示すごとく、第1運転データ受信手段S301によってアダプタ2から採取した運転データと、検知データ受取り手段S302によって監視ユニット4から採取した検知データとに基づいて指示データを作成する。それ故、実際の運転状況と指示した運転状況との相違点に基づいて上記指示データを適宜更新していくことができるため、快適な環境を創出することができる。
【0053】
また、アダプタ2及び監視ユニット4は、いずれも無線電話回線5を介して監視用コンピュータ3と通信可能となっている。そのため、アダプタ2及び監視ユニット4には、有線の電話回線を接続する必要がなく、GHP遠隔監視システム1の設置コストを低減することができる。
【0054】
アダプタ2と監視ユニット4とは、図1、図2、図4に示すごとく、有線通信手段29を介して接続されており、アダプタ2は運転データ引渡し手段S205を有し、監視ユニット4は運転データ受取り手段S402を有している。そのため、運転データを、アダプタ2から監視ユニット4へと容易に送信することができる。また、監視ユニット4は第2運転データ送信手段S403を有し、監視用コンピュータ3は第2運転データ受信手段S305を有しているため、監視用コンピュータ3に最新の運転データを迅速に送信することができる。そのため、例えば、アダプタ2内のデータ記憶用メモリの容量の制限等によって、アダプタ2の運転データ採取手段S201のみでは運転データの種類、採取頻度等が不足する場合に、その不足状態を監視ユニット4の存在によって解消することができる。
それ故、GHP200の運転状況を容易かつ迅速に把握することができるため、GHP200の制御精度の向上を図ることができる。
【0055】
また、監視ユニット4は、図1、図4に示すごとく、空調機70に接続されており、該空調機70から送信される運転情報を監視用コンピュータ3に送信することができる。それ故、アダプタ2に接続されていないGHPだけではなく、アナログ信号及びデジタル信号のいずれか一方の信号を発信することができる別の空調機についても、監視ユニット4を介して運転情報を入手することができる。そして、運転情報送信手段S405を介して、運転情報を監視ユニット4から監視用コンピュータ3へと送信することができる。即ち、GHP200に限定されることなく種々の空調機をも監視することができ、空調システム全体の省エネルギー効率をも向上させることができる。
【0056】
以上のごとく、本例によれば、既存の無線電話機能つきのアダプタを有効に利用することができ、省エネルギー効率に優れると共に、更に快適な環境を創出することができ、かつ安価なGHP遠隔監視システムを提供することができる。
【0057】
(実施例2)
本例は、図5に示すごとく、上記実施例1のGHP遠隔監視システム1より得られた運転データ等に基づいてGHP200及び空調機70の運転状況の日報を作成した例である。
尚、本例では、アダプタ2の運転データ、監視ユニット4の運転情報等の収集間隔を30分として設定した。また、データ記憶量を最大で120とし、その後は最も古いデータを廃棄すると共に新しいデータを記憶するように構成した。
【0058】
上記日報は、図5に示すごとく、送信順序が新しい順に運転状況が配列されている。そして、左からデータを取得した時刻の範囲、データ取得日時、アナログ情報、デジタル情報、室外機210の運転時間、室内機200の情報等が示されている。
【0059】
即ち、上記GHP遠隔監視システム1により必要な運転状況等の日報を容易に作成することができると共に、使用したい運転状況を選択し上記日報に基づいてその後の運転状況に反映させることができる。
尚、図5に示した運転状況は一例であり、上記GHP遠隔監視システム1により得られる日報は本構成に限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施例1における、GHP遠隔監視システムの構成を示す説明図。
【図2】実施例1における、アダプタの構成を示す説明図。
【図3】実施例1における、監視用コンピュータの構成を示す説明図。
【図4】実施例1における、監視ユニットの構成を示す説明図。
【図5】実施例2における、運転状況の日報を示す説明図。
【図6】従来例における、GHP遠隔監視装置の構成を示す説明図。
【符号の説明】
【0061】
1 GHP遠隔監視システム
2 アダプタ
210 室外機
220 室内機
3 監視用コンピュータ
4 監視ユニット
61 人検知センサ
62 室温センサ
S201 運転データ採取手段
S202 第1運転データ送信手段
S203 指示データ受信手段
S204 指示手段
S301 第1運転データ受信手段
S302 検知データ受取り手段
S303 指示データ作成手段
S304 指示データ送信手段
S401 検知データ引渡し手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機と室内機とを有するガスエンジンヒートポンプ型空調装置(以下GHPという)を遠隔監視するためのGHP遠隔監視システムであって、
上記室外機に接続されるアダプタと、該アダプタと無線電話回線を介して通信可能な監視用コンピュータと、該監視用コンピュータと無線電話回線を介して通信可能な監視ユニットとを備え、
上記アダプタは、上記室外機から運転データを採取する運転データ採取手段と、採取した上記運転データを上記監視用コンピュータに送信する第1運転データ送信手段と、上記監視用コンピュータから上記GHPに対する指示データを受信する指示データ受信手段と、受信した上記指示データを上記室外機に伝える指示手段とを有しており、
上記監視ユニットは、上記室内機が配設された室内に人がいるかいないかを検知する人検知センサ又は/及び上記室内の温度を検知する室温センサと、上記人検知センサ又は/及び上記室温センサが検知した検知データを上記監視用コンピュータに送信する検知データ引渡し手段とを有しており、
上記監視用コンピュータは、上記アダプタから送信される上記運転データを受信する第1運転データ受信手段と、上記監視ユニットから送信される上記検知データを受信する検知データ受取り手段とを有すると共に、少なくとも上記運転データ及び上記検知データに基づいて上記指示データを作成する指示データ作成手段と、上記指示データを上記アダプタに送信する指示データ送信手段とを有していることを特徴とするGHP遠隔監視システム。
【請求項2】
請求項1において、上記監視ユニットと上記アダプタとは、有線又は無線通信手段を介して接続可能であり、上記アダプタは上記運転データを上記監視ユニットに送信する運転データ引渡し手段を有し、上記監視ユニットは上記アダプタから送信される上記運転データを受信する運転データ受取り手段と、上記運転データを上記監視用コンピュータに送信する第2運転データ送信手段とを有し、上記監視用コンピュータは上記監視ユニットから送信される上記運転データを受信する第2運転データ受信手段を有することを特徴とするGHP遠隔監視システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記監視ユニットは、上記アダプタに接続されていない別の空調機(以下、空調機という)に接続されると共に、該空調機から送信されるアナログ信号又は/及びデジタル信号からなる運転情報を採取する運転情報採取手段と、採取した上記運転情報を上記監視用コンピュータに送信する運転情報送信手段とを有し、上記監視用コンピュータは、上記監視ユニットから送信される上記運転情報を受信する運転情報受信手段を有していることを特徴とするGHP遠隔監視システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−336903(P2006−336903A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159864(P2005−159864)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000116633)愛知時計電機株式会社 (126)
【Fターム(参考)】