説明

GICミラー及びスズロッドEUV・LPPターゲットシステムを備える光源集光モジュール

【課題】レーザ生成プラズマ方式のEUV源を利用するEUVリソグラフィシステムで、より安価で、より単純で、より堅牢で、一般的に商業的に実現可能な光源集光モジュールを提供する。
【解決手段】レーザ生成プラズマ(LPP)は、光源部41およびターゲット部42を備えるLPPターゲットシステム40を使用して形成される。光源部41からのパルスレーザ光線13は、ターゲット部42において回転するSnロッドを照射する。GICミラーMGは、LPPに相対配置され、入射端でEUVを受光し、受光したEUVを、出射端に隣接する中間焦点IFに集束する。中間焦点IFに供給され、さらに/または、下流のイルミネータに導かれるEUVの量を増加させるために、少なくとも一つの漏斗部を有する放射集光強化装置を使用してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、斜入射集光器(GIC)に関し、特に、スズロッドを使用して極端紫外光(EUV)を生成するレーザ生成プラズマ(LPP)ターゲットシステムを採用する極端紫外光(EUV)リソグラフィシステムにおいて使用される光源集光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ生成プラズマ(LPP)は、例えば、Sn液滴に集束レーザ光線を照射して形成される。LPPは、電磁スペクトルの極端紫外光(EUV)の範囲において放射する。このため、LPPは、EUVリソグラフィシステムにとって有望なEUV放射源として期待されている。
【0003】
図1は、直入射集光器(NIC)ミラーMNを利用する従前のLPP方式の光源集光モジュール(SOCOMO)10の一般構成の概略図である。一方、図2は、図1の「LPP・NIC」型SOCOMO10のより具体的な例の構成図である。LPP・NIC型SOCOMO10は、高出力レーザ光源12を備えている。高出力レーザ光源12は、焦点F13を有する高出力で高反復率のレーザ光線13を生成する。また、LPP・NIC型SOCOMO10は、光学軸A1に沿って、折り返しミラーFMと、大型の(例えば、径が600mm以下の)楕円形NICミラーMNとを備えている。NICミラーMNは、多層コーティング18を含む表面16を有する。多層コーティング18は、EUVの波長において良好な反射率を確保するために不可欠である。また、LPP・NIC型SOCOMO10は、スズ(Sn)供給源20を備えている。Sn供給源20は、レーザ光線の焦点F13にSnペレット(液滴)22を通過させる。
【0004】
LPP・NIC型SOCOMO10の動作時、Snペレット22がレーザ光線の焦点F13を通過する際、レーザ光線13がSnペレット22を照射し、これにより高出力LPP24が生成される。LPP24は、典型的には、NICミラーMNから約数百ミリメートルの距離に位置し、エネルギーSnイオン、粒子、中性原子、赤外線(IR)とともにEUV30を発する。EUV30の一部は、NICミラーMNに導かれ、NICミラーMNによって集光され、中間焦点IFに導かれ(焦点が合わせられ)る。その結果、焦点スポットFSが形成される。中間焦点IFは、開口絞りAS上または開口絞りASに隣接して配置される。開口絞りASを通過するEUV30の一部のみが中間スポットFSを形成する。なお、中間スポットFSは、中間焦点IFの直上に配置される極めて小さな点というよりは、中間焦点IFをほぼ中心とするEUV30の分布である。
【0005】
LPP・NIC型SOCOMO10は、光学設計が簡素であること(即ち、単一の楕円形NICミラーが使用されている)に利点があると共に、NICミラーMNが、LPP24から放出されたEUV30を広角度で集光するように設計可能であるため、理論上、集光率を高くすることができることに利点がある。なお、LPP24の反対側に配置される単反射型NICミラーMNを使用することにより、中間焦点IFが形成され、幾何学的に便利であるものの、NICミラーMNから中間焦点IFに送られるEUV30をSn供給源20が著しく妨げないようにする必要がある。したがって、例えば、Snペレット22のペレット流の吐出に器材が必要となることを除き、LPP・NIC型SOCOMO10には、一般的に障害は存在しない。
【0006】
LPP・NIC型SOCOMO10は、実験室および実験装置において良好に動作し、こうした環境ではLPP・NIC型SOCOMO10の寿命や交換コストは問題視されない。しかし、商業的に利用されるEUVリソグラフィシステムには、長寿命のSOCOMOが必要とされる。残念ながら、NICミラーMNの表面16およびその表面上の多層コーティング18からLPP24までの距離が短いため、放射線集光プロセスのほぼ通常の入射特性が加わると、典型的なEUV方式の半導体製造条件では、多層コーティング18を妥当な時間、損傷なく維持することは極めて困難である。
【0007】
LPP・NIC型SOCOMO10には、塵埃軽減装置と連動させることができないというさらなる問題点がある。なお、塵埃軽減装置は、複数の放射ラメラに基づくものであり、放射ラメラにガスを通過させることにより、LPP24から放出されたイオンや中性原子がNICミラーMNに到達するのを効果的に阻止する。LPP・NIC型SOCOMO10を塵埃軽減装置と連動させることができないのは、NICミラーMNによるEUV30の反射も放射ラメラにより妨げられるからである。
【0008】
また、多層コーティング18にSnが堆積すると、コーティングに入射して反射されるEUV30をSnが著しく吸収してしまうため、多層コーティング18の性能が著しく低下しやすく、多層コーティングされた楕円形ミラーの反射効率が低下する。また、LPP24によって生成される上記のエネルギーイオン、原子、粒子は、多層コーティング18に衝突し、多層コーティング18の上層を順に破壊する。さらに、エネルギーイオン、原子および粒子は、多層コーティング18を侵食する。また、IRの生成時に発生する熱により、多層コーティング18の層が混合したり相互拡散したりする場合もある。
【0009】
上述のLPP・NIC型SOCOMO10の問題を解消するために、様々な解決策が提案されているが、これらの解決策は、全て、商業ベースのEUVリソグラフィシステムにLPP・NIC型SOCOMO10を組み込むことが非現実的になる程度までSOCOMOの費用および複雑性を増大させる。さらに、Sn液滴型LPP・EUV光源は、LPP・NIC型SOCOMO10の複雑で高価な部分である。したがって、より単純で費用対効果の高いLPP方式のEUV源を利用するEUVリソグラフィシステムには、より安価で、より単純で、より堅牢で、一般的に商業的に実現可能なSOCOMOが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許仮出願第61/341,806号
【特許文献2】米国特許出願第US2004/0265712A1号
【特許文献3】米国特許出願第US2005/0016679A1号
【特許文献4】米国特許出願第US2005/0155624A1号
【特許文献5】米国特許出願第12/592,735号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一般に、斜入射集光器(GIC)に関し、特に、EUVリソグラフィシステムで使用される光源集光モジュール(SOCOMO)を形成するために使用されるGICミラーに関する。ここで、SOCOMOは、EUVを生成するためにスズ(Sn)ロッドとレーザ光源とを使用するLPPターゲットシステムを備える。
【0012】
本発明の一態様は、極端紫外光(EUV)リソグラフィシステムのSOCOMOである。ここで、SOCOMOは、レーザ光源と折り返しミラーとを備える。レーザ光源は、パルスレーザ光線を生成する。折り返しミラーは、光源集光モジュール軸に沿って配置され、パルスレーザ光線を受光して光源集光モジュール軸の第1方向にパルスレーザ光線を反射するように構成されている。また、SOCOMOは、Snロッドシステムを備える。Snロッドシステムは、Sn表面を有するSnロッドを備え、パルスレーザ光線によってSn表面が照射される照射位置を通過するようにSn表面を回転させるように構成されている。そして、これにより、第1方向とほぼ反対の第2方向にEUVを放射するLPPが生成される。また、SOCOMOは、GICミラーを備える。GICミラーは、入射端および出射端を有する。そして、GICミラーは、入射端においてEUVを受光し、出射端に隣接する中間焦点において、受光したEUVを集束するように配置されている。
上述のSOCOMOにおいて、Snロッドは、中実Snロッドと、中空Snロッドと、Snで被覆された少なくとも一つの材料からなる中実ロッドと、Sn管と、Snで被覆された少なくとも一つの材料からなる管と、接着層とSnが順に被覆された管とからなる群から選択されることが好ましい。
上述のSOCOMOにおいて、Snロッドは、中心軸周りに回転可能であり、中心軸に沿って直線的に平行移動可能であることが好ましい。
このSOCOMOは、支持フレームと回転駆動部とをさらに備えることが好ましい。支持フレームは、Snロッドを動作可能位置で回転可能かつ平行移動可能に支持する。回転駆動部は、機械駆動部材を介して支持フレーム内でSnロッドを回転するように機械構成されている。
上述のSOCOMOは、並進駆動部をさらに備えることが好ましい。並進駆動部は、支持フレームを平行移動させることにより、Snロッドを当該ロッドの回転軸に沿って平行移動させるように機械構成されている。
上述のSOCOMOにおいて、並進駆動部は、支持フレームが接続部材を介して移動可能に取り付けられるレールを備えることが好ましい。並進駆動部は、精密送りねじとリニアドライブとをさらに備えることが好ましい。リニアドライブは、精密送りねじを回転させて接続部材を平行移動させ、Snロッドを含む支持フレームを平行移動させる。
上述のSOCOMOにおいて、並進駆動部は、支持フレームが接続部材を介して移動可能に取り付けられるレールを備えることが好ましい。並進駆動部は、電気機械アクチュエータ及びステップモータの少なくともいずれかを備えることが好ましい。電気機械アクチュエータ及びステップモータの少なくともいずれかは、接続部材に動作可能に接続され、支持フレームと、支持フレームに含まれるSnロッドとを平行移動させるように構成される。
上述のSOCOMOは、少なくとも一つのSnロッドを収容するように構成されるロッド収容部をさらに備えることが好ましい。
上述のSOCOMOは、ロボットハンドラをさらに備えることが好ましい。ロボットハンドラは、支持フレームから複数の使用済Snロッドを取り除き、使用済ロッドをロッド収容部に収容し、複数の未使用ロッドをロッド収容部から取り出し、未使用ロッドを支持フレームの動作可能位置に載置するように構成される。
上述のSOCOMOは、放射線集光強化装置(RCED)をさらに備えることが好ましい。RCEDは、中間焦点に隣接して配置される。RCEDは、少なくとも一つの漏斗部を有する。少なくとも一つの漏斗部は、軸方向において中間焦点の少なくとも片側に配置される。また、少なくとも一つの漏斗部は、中間焦点に近接する幅狭端を有する。
上述のSOCOMOにおいて、RCEDは、第1漏斗部と第2漏斗部とを備えることが好ましい。第1漏斗部と第2漏斗部とは、中間焦点の各側に配置される。
上述のSOCOMOにおいて、GICミラーは、多層コーティングを含まない第1反射面を有することが好ましい。
上述のSOCOMOにおいて、GICミラーは、Ruコーティング及び多層コーティングのいずれかを有することが好ましい。
上述のSOCOMOにおいて、GICミラーは、少なくとも一つの区分化GICシェルを備えることが好ましい。少なくとも一つの区分化GICシェルは、多層コーティングを含まない第1反射面と、多層コーティングを含む第2反射面とを有する。
本発明の他の態様は、反射レチクルに光を照射する極端紫外光(EUV)リソグラフィシステムである。このEUVリソグラフィシステムは、上述の光源集光モジュールと、イルミネータとを備える。このイルミネータは、中間焦点に形成された集束EUVを受光して凝縮EUVを形成し、その凝縮EUVを反射レチクルに照射するように構成される。
上述のEUVリソグラフィシステムは、感光性半導体ウエハ上にパターン像を形成するためのEUVリソグラフィシステムであることが好ましい。このEUVリソグラフィシステムは、投影光学システムをさらに備えることが好ましい。この投影光学システムは、反射レチクルの下流に配置される。また、この投影光学システムは、反射レチクルによって反射されたEUVを受光し、そこから感光性半導体ウエハ上にパターン像を形成するように構成される。
【0013】
本発明の他の態様は、LPPからEUVを集光する方法である。この方法は、入射端および出射端を有するGICミラーを軸方向に配置することを備える。また、この方法は、Sn表面を有するSnロッドを供給するように構成されるLPPターゲットシステムをGICミラーの入射端に隣接して配置し、照射位置を通過するようにSn表面を移動させることを備える。また、この方法は、GICミラーの軸方向にパルスレーザ光線を照射し、パルスレーザ光をGICミラーの出射端からGICミラーを介して入射端まで通過させ、照射位置のSn表面に到達させることにより、EUVを放射するLPPを形成することをさらに備える。また、この方法は、GICミラーを使用して、LPPからのEUVの一部をGICミラーの入射端で集光し、集光したEUVをGICミラーの出射端から出射し、中間焦点に焦点スポットを形成することを備える。
上述の方法は、中間焦点に近傍に放射線集光強化装置(RCED)を配置することをさらに備えることが好ましい。RCEDは、少なくとも一つの漏斗部を有する。少なくとも一つの漏斗部は、軸方向において中間焦点の少なくとも片側に配置される。また、少なくとも一つの漏斗部は、中間焦点に近接した幅狭端を有する。
上述の方法は、GICミラーの出射端と中間焦点との間に上流漏斗部を設けると共に、上流漏斗部を使用して、通常は中間焦点に導かれないEUVの一部を中間焦点に導くことと、中間焦点からEUVを集光し、集光したEUVを下流位置に導くように、GICミラーとは反対側の中間焦点に隣接する位置に下流漏斗部を設けることをさらに備えることが好ましい。
上述の方法は、照射位置を通過するようにSn表面を回転移動させながらSn表面を平行移動させることをさらに備えることが好ましい。
上述の方法は、多層コーティングを含まない第1反射面を有するGICミラーを設けることをさらに備えることが好ましい。
上述の方法は、Ruコーティング及び多層コーティングのいずれかを有するGICミラーを設けることをさらに備えることが好ましい。
上述の方法は、第1反射面と第2反射面とを有する少なくとも一つの区画化GICシェルを備えるGICミラーを設けることをさらに備えることが好ましい。ここで、第2反射面は多層コーティングを有する。
上述の方法は、中間焦点においてEUVから凝縮EUVを形成し、凝縮EUVを反射レチクルに照射することをさらに備えることが好ましい。
上述の方法は、反射レチクルによって反射されたEUVを受光し、そこから投影光学システムを使用して感光性半導体ウエハ上にパターン像を形成することをさらに備えることが好ましい。
【0014】
本発明の他の態様は、LPPターゲットシステムである。LPPターゲットシステムは、レーザ光源を備える。レーザ光源は、一連の光学パルスを有するパルスレーザ光線を生成する。また、LPPターゲットシステムは、Snロッドと支持フレームとを備える。Snロッドは、Sn表面と中心軸とを有する。支持フレームは、Snロッドが中心軸周りに回転及び平行移動できるようにSnロッドを動作可能位置で支持する。また、LPPターゲットシステムは、回転駆動部および併進駆動部を備える。回転駆動部および併進駆動部は、Snロッドにそれぞれ機械接続され、Snロッドを中心軸周りに回転および平行移動させることにより、Sn表面の未使用部分をパルスレーザ光線の各光学パルスで照射する。
LPPターゲットシステムは、ロッド収容部およびロボットハンドラをさらに備えることが好ましい。ロッド収容部は、少なくとも一つのSnロッドを収容するように構成されている。ロボットハンドラは、支持フレームから複数のSnロッドを取り除き、取り除いたSnロッドをロッド収容部に収容し、新しい複数のSnロッドをロッド収容部から取り出し、新しい複数のSnロッドを支持フレームの動作可能位置に載置するように構成されている。
【0015】
本発明のさらなる特徴および利点は、下記の詳細な説明(発明を実施するための形態)に明記されている。また、それらの一部は、詳細な説明の記載内容から当業者にとって直ちに明白となるか、下記の詳細な説明、特許請求の範囲、添付図面を含む、ここに記載された発明を実施することによって認識される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従前のLPP・NIC型SOCOMOの一般例の概略図である。
【図2】図1に係る従前のLPP・NIC型SOCOMOの特定例の概略図である。
【図3A】LPP源用のGIC型SOCOMO(LPP・GIC型SOCOMO)の一例の一般概略図である。本図では、LPP及び中間焦点は、GICミラーの反対側に位置する。
【図3B】図3Aと同様の図である。本図では、LPP・GIC型SOCOMOが、GICミラーと中間焦点との間に配置された放射線集光強化装置(RCED)をさらに選択的に備え、RCEDが中間焦点の両側にそれぞれ上流漏斗部と下流漏斗部とを有することが示されている。
【図4】図3Bの一般構成に基づくLPP・GIC型SOCOMOの一例の概略図であり、LPPターゲットシステムの光源部およびターゲット部を示す図である。
【図5A】ターゲットシステムのターゲット部の一例を示す概略側面図である。本図では、ターゲット部は、EUVを生成するSnロッドシステムの一例を有する。
【図5B】図5AのSnロッドシステムの一例の部分拡大部である。
【図6】EUVの第1反射および第2反射を実現する第1面および第2面をそれぞれ有する2つの区画を備えるGICミラーの一例の断面図である。
【図7】GICミラーの一例の概略部分断面図であって、GICミラーの外側部分において使用される2つの区画を有する複数のGICシェルのうちの2つのシェルを示す図である。
【図8】図7のGICミラーの概略部分断面図であって、全8つのGICシェルとLPPとを示す図である。
【図9A】複数のGICシェルに対して多項式表面形状補正を適用せずに遠隔フィールド像の均一性を向上させる場合における、正規化遠隔フィールド位置に対する強度(任意の単位)のプロット図である。
【図9B】図9Aと同様のプロット図であって、遠隔フィールド像の均一性を向上させる多項式表面形状補正が実行された場合のプロット図である。
【図10】本発明に係るLPP・GIC型SOCOMOを利用するEUVリソグラフィシステムの概略図である。
【0017】
図中の様々な構成要素は単に図示されたに過ぎず、必ずしも実際の縮尺通りに図示されている訳ではない。これらの構成要素のうち、ある部分は誇張して図示され、ある部分は最小化して図示されている場合もある。本図面は、当業者によって理解され、適切に実行され得る本発明の実施形態の一例を図示することを意図するものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願では、一般に、GICが開示され、特に、EUVリソグラフィシステムに利用される光源集光モジュール(SOCOMO)を形成するために使用されるGICミラーが開示される。なお、EUVリソグラフィシステムは、LLP方式のEUV光源を有する。
【0019】
図3A及び図3Bは、LPP・GIC型SOCOMO100の一般例の概略図である。本図では、LPP24及び中間焦点IFはGICミラーMGの反対側に位置する。GICミラーMGは、入射端3および出射端5を有する。LPP24を生成するLPPターゲットシステム40についても図示されており、以下、LPPターゲットシステム40の例について詳細に議論する。図3Bにおいて、LPP・GIC型SOCOMO100は、さらに放射線集光強化装置(RCED)110を選択的に備えている。RCED110については米国特許仮出願第61/341,806号(発明の名称:EUVの集光を強化したEUV集光システム)に記載されており、当該仮出願は本出願に援用される。RCED110は、光学軸A1に沿って、GICミラーMG側で中間焦点IFおよび開口絞りASに隣接して配置される。RCED110は、開口絞りASを通過して中間焦点IFに達し焦点スポットFSを形成するEUV30の光量を増大させるように構成されている。この構成は、RCED110により方向転換され、開口絞りASを通過して中間スポットFSを形成する屈折EUV光線30Sにより図示されている。
【0020】
実施形態の一例では、RCED110は、逆漏斗状部(下流漏斗部)111Dを備える。逆漏斗状部111Dは、中間焦点IFの下流に配置され、EUV30を中間焦点IFから下流位置(例えば、後述の図10に示す照明光学系)に導くように構成されている。こうした実施形態は、下流のイルミネータで投影されたEUV30をより均一な状態にし、レチクル面で良好に利用する際に有効となる。RCED110は、上流漏斗部111Uおよび下流漏斗部111Dを備えてもよい。なお、ここに記載する「上流」および「下流」は、中間画像IFの位置を基準に定義されている。RCED110は、上流漏斗部111U(例えば図4を参照)および下流漏斗部111Dのいずれかを備えてもよい。他の例では、RCED110は、別個の構成要素ではなく、連続型(一体型)の構成要素であり、上流漏斗部111Uと下流漏斗部111Dとを結合して、上流漏斗部と下流漏斗部とを有する一つの漏斗部111を形成する。一つの漏斗部111を使用する場合、漏斗部111を単純にRCED110と称する。
【0021】
図4は、図3Bの一般構成に基づくLPP・GIC型SOCOMO100の一例の概略図である。図4のLPP・GIC型SOCOMO100は、光源部41およびターゲット部42を備えるLPPターゲットシステム40を利用する。光源部41は、光学軸A1に垂直な軸A2に沿ってレーザ光線13を発するレーザ光源12を備える。また、光源部41は、光学軸A1及び軸A2の交点に光学軸A1に沿って配置される折り返しミラーFMを備える。なお、交点は、GICミラーMGと中間焦点IFとの間(例えば、GICミラーMGとRCED110との間)に位置する。これにより、マルチシェル型GICミラーMG(図4の一例では、2つのGICシェルM1及びM2を有する)が、光学軸1に沿ってLPP24と中間焦点IFとの間に配置される構成が実現する。詳細は後述するが、レーザ光線13をターゲット部42の焦点F13に焦点合わせし、LPP24を形成する際に、レーザ光源12に隣接するレンズ17がこれを補助する。一実施形態において、GICシェルM1及びM2は、各反射面にRuコーティング(図示せず)を有する。
【0022】
ターゲット部42は、光学軸A1に沿って−X方向にGICミラーMGを進行するレーザ光線13によって照射される。これにより、ほぼ+X方向に放射されるEUV30が生成される。折り返しミラーFMによる軸方向の広がりは最小となっている。したがって、レーザ光線13はほぼ光学軸A1に沿ってGICミラーMGを一方向(即ち、−X方向)に進行し、EUV30はほぼ反対方向(即ち、+X方向)にGICミラーMG、RCED110を進行し、中間焦点IFに到達する。
【0023】
(LPPターゲットシステム)
図5Aは、EUV30を生成するSnロッド源を構成するターゲット部42の一例の概略側面図である。参考として、直交座標X、Y、Zを示す。ターゲット部42は、内部空間122を有する真空チャンバ120を備える。真空システム126は、真空チャンバ120の内部空間122に空気圧接続されており、内部空間122を真空状態にするように動作可能である。
【0024】
また、ターゲット部42は、Snロッドシステム130を備える。Snロッドシステム130は、内部空間122に配置されている。図5Bは、Snロッドシステム130の一例の部分拡大図である。Snロッドシステム130は、回転駆動部132および並進駆動部134を備える。駆動部132,134は、それぞれSnロッド136に機械接続されている。これにより、回転駆動部132はY軸周りに回転し(矢印135)、並進駆動部134はSnロッド136の+/−Y方向に平行移動する(矢印137)。Snロッド136は、長手方向中心軸AL、上端136U、下端136L、外面136Sを有する。Snロッド136の一例として、中実Snロッド、中空Snロッド、「Snのみを被覆した」又は「接着層とSnをこの順で被覆した」少なくとも一つの材料(例えば、セラミック、ガラスなど)からなる中実ロッド、Sn管、「Snのみを被覆を被覆した」又は「接着層とSnをこの順で被覆した」一つ以上の材料(例えば、セラミック、ガラスなど)からなる管などが含まれる。
【0025】
後述の通り、実施例の一例では、複数のSnロッド136が予備のロッドとしてロッド収容部138に収容されている。ロボットハンドラ144は、ロッド収容部138からSnロッド136を動作可能位置に移動させる。その結果、LPPが形成される。一例では、複数の使用済みSnロッド136は、ロッド収容部138または使用済ロッド収容部(図示せず)に収容される。
【0026】
図5Bを参照すると、Snロッドシステム130は、Snロッド136を動作可能位置148で動作可能に支持するU字型支持フレーム150を備える。支持フレーム150は、上アーム154、下アーム156、上下アーム154,156を接続する垂直部材159を備える。支持台160は、下アーム156上に配置され、Snロッド136を下端136Lで回転可能に支持するように構成されている。スピンドル170は、上アーム154で回転可能に支持され、Snロッド136の上端136Uに回転可能に係合する回転可能な支持部材174に接続されている。回転可能な支持部材174は、(例えば、プーリ、ギア、チェーンなどを介して)回転駆動部材180に機械係合している。なお、回転駆動部材180は、回転駆動部132に機械接続されている。
【0027】
また、Snロッドシステム130は、垂直レールシステム200を備える。垂直レールシステム200は、支持フレーム150に機械接続されており、ほぼ垂直方向(+/−Y軸方向、即ち、Snロッド136の長手方向中心軸ALの方向)に沿って支持フレーム150を平行移動させるように構成されている。実施形態の一例では、垂直レールシステム200はレール210を備えており、レール210には、接続部材220を介して支持フレーム150が移動可能に装着されている。一例では、支持フレーム150は、垂直部材159に配置される複数の転輪151を備えている。このため、回転可能な支持部材174は、レール210に沿って上下に転がることができる。
【0028】
実施形態の他の例では、垂直部材159は、レール210にスライド可能に接続され、電気機械アクチュエータまたはステップモータを配置することにより、レール210に対して相対移動する。図5Bに示す実施形態の一例では、Snロッドシステム130は、リニアドライバ254に機械接続される精密送りねじ240を備える。リニアドライバ254は、起動時に精密送りねじ240を回転させる。接続部材220は、精密送りねじ240に動作可能に接続される。そして、精密送りねじ240が回転されると、支持フレーム150、さらには支持フレーム150に支持されるSnロッド136が垂直方向に平行移動する。
【0029】
ここで再び図5Aを参照すると、ターゲット部42は、制御部290を備えている。制御部290は、真空システム126、回転駆動部132、並進駆動部134、ロボットハンドラ144、LPPターゲットシステム40の光源部41のレーザ光源12(図4参照)に動作可能に接続されている。一例において、制御部290は、コンピュータ読み込み可能な媒体(メモリ)に指示(ソフトウェア)を保存可能なパーソナルコンピュータを備え、コンピュータに(搭載されたプロセッサを介して)当該指示を実行させ、LPPターゲットシステム40がLPP24を生成するように動作させる。
【0030】
図5A、5Bを参照すると、ターゲット部42の動作時、制御部290は、真空システム126に信号Sg0を送信する。これにより、真空システム126は、真空チャンバ120の内部空間122を真空状態にする。ここで、真空チャンバ120は、LPP・GIC型SOCOMO100を収容するより大型の真空チャンバ(図示せず)に接続されるか、その一部であることが想定されている。また、制御部290は、回転駆動部132に信号Sg1を送信して回転駆動部132にSnロッド136を回転させる。また、制御部290は、並進駆動部134に信号Sg2を送信する。これにより、並進駆動部134は、Snロッド136を垂直並進させる。
【0031】
また、制御部290は、光源部41(図4)内のレーザ光源12に信号Sg3を送信して、一連の光学パルスを有するレーザ光線13を形成し始めさせる。レーザ光線13は、回転中のSnロッド136の表面136Sの一部を、照射位置158で照射する。これにより、LPP24が形成され、略+X方向にEUV30が放射される。
【0032】
Snロッド136の回転と平行移動とを連動させることで、Snロッド136の外面136Sの新しい(未使用の)部分をレーザ光線13の各光学パルスの照射位置158に供給し、LPP24を高繰り返し率で長時間生成することができる。実施形態の一例では、Snロッド136は所定の回転速度で回転し、レーザ光線13の各レーザパルスが未使用のSn表面に入射する。実施形態の一例では、Snロッド136が螺旋状に動作するように回転と平行移動とが実行され、Snロッド136の外面136Sの露光部がSnロッド136の外面136S上に螺旋パターンを形成する。この螺旋状動作により、Snロッドの動作のうち垂直平行移動の動作が、停止・起動を繰り返す場合に比してスムーズになる。
【0033】
レーザ光線13が25ミクロン(0.001インチ)径のレーザスポットを形成する一例では、1インチ径のSnロッド136は1回転当たり3140箇所照射される。レーザ光源12が1Khzで動作する場合、ロッドは3.14秒(または、約19rpmの速度で)で1回転する。1回転当たり0.001インチの直線的平行移動により、各レーザパルスに対してクリーンなターゲットスポットが供給される。3.14秒間で0.001インチ平行移動するということは、52.3分で1インチ移動することになる。したがって、12インチ長のSnロッド136では、約10.5時間かかる。
【0034】
Snロッド136の外面136Sの全体またはそのほとんどが一旦照射されると、使用済みとなり、新しいSnロッド136に交換される必要がある。この場合、制御部290は、回転駆動部132からフィードバック信号Sb1を、並進駆動部134からフィードバック信号Sb2を受信する。これらの信号は、Snロッド136の回転数および平行移動量に関する情報を提供する。また、制御部290は、レーザ光源12からフィードバック信号Sb3を受信する。フィードバック信号Sb3は、レーザ装置12のパルス繰り返し率を示す。任意のSnロッド136が使用済となり、取り除いて新しいSnロッド136と交換する必要がある場合、コントローラ290は、フィードバック信号Sb1、Sb2、Sb3の情報に基づいて演算を行なう。または、Snロッド136が使用済となる時期を決定するために、照射位置158に対するSnロッド136の最終位置が使用される。
【0035】
新しいSnロッド136が必要とされる場合、コントローラ290はロボットハンドラ144に制御信号Sg4を送信する。これに対し、ロボットハンドラ144は、動作可能位置148から使用済Snロッド136を取り除き、ロッド収容部138に戻すか、使用済ロッド収容部(図示せず)に載置する。そして、ロボットハンドラ144は、ロッド収容部138から新しいSnロッド136を取得し、動作可能位置148に配置されるようにSnロッド136を支持フレーム150に載置する。そして、未使用のSnロッド136を使用して、LPP24を形成するプロセスが繰り返される。
【0036】
(多層第1ミラーのないSOCOMO)
LPP・GIC型SOCOMO100の一構成例では、多層コートが設けられていない「第1ミラー」が設けられている。即ち、EUV30が最初に入射する(最初に反射する)ミラーまたはミラー部が、多層コーティング18を有していない。LPP・GIC型SOCOMO100の他の構成例では、第1ミラーは、実質的に斜入射ミラーである。また、他の実施形態では、第1ミラーが多層コーティング18を有してもよい。
【0037】
LPP・GIC型SOCOMO100の主な利点は、その性能が多層被覆反射面の残存に依存しない点にある。一実施形態例に係るGICミラーMGは、例えば、図6に示されるGICシェルM1等のような、少なくとも一つの区画化GICシェルを有している。GICシェルM1は、2つのミラー区画、即ち、第1面Sf1を有するミラー区画M1Aと、第2面Sf2を有するミラー区画M1Bとを有することが示されている。第1面Sf1により第1反射が行われ(したがって、「第1ミラー」であり)、第2面Sf2により第2反射が行われる。なお、第2反射はLPP24の目標線上に位置しない。一実施形態例では、第2面Sf2が、多層コーティング18を支持する。これは、EUV30が一旦反射されると、その強度が相当弱められると共に、通常はLPP24が目標線上に位置しないため、多層コーティング18に入射するイオン及び中性原子の量が最小になるからである。
【0038】
(GIC型SOCOMO対NIC型SOCOMO)
LPP・NIC型SOCOMO10とLPP・GIC型SOCOMO100とには、あるトレードオフの関係が成立する。例えば、LPP24からのEUV30の特定の集光角度に関しては、LPP・NIC型SOCOMO10は、LPP・GIC型SOCOMO100よりもコンパクトに設計することができる。
【0039】
また、LPP・NIC型SOCOMO10は、原則、(光学軸A1に対して)90°を超える角度で、Sn光源20から放射されたEUV30を集光するように設計することができ、集光効率をより高めることができる。しかし、NICの径が過度に大きくなる、または、EUV30が中間焦点IFにおいて光学軸A1となす角度が過度に大きくなるので、通常、上記の利点が実際に利用されることはない。
【0040】
また、LPP・GIC型SOCOMO100により生成される遠隔フィールドの強度分布は、GICシェルM1及びM2の厚みの影と、複数のGICミラーMGを支持する機械的構造体の厚みの影とが原因でさらに広がる。しかし、本発明において以下議論する実施形態では、GICの表面が、表面補正機能を有している。この表面補正機能により、GICの複数のシェルの厚みによる陰影効果が低減され、中間焦点IFにおける中間スポットFSの均一性が向上する。
【0041】
さらに、LPP・GIC型SOCOMO100は、LPP・NIC型SOCOMO10に比べて、中間焦点IFにおいて一般的により大きな中間スポットFSを形成する。こうした大きさの相違は、主としてGICミラーの形状誤差に関係があり、技術進歩に伴い低減されつつある。
【0042】
全体としては、LPP・GIC型SOCOMO100から得られる利益、即ち、より長い動作寿命、費用の低減、簡素であること、維持費用および問題の低減が、上記のトレードオフを上回るものであると一般に考えられている。
【0043】
(LPP・GIC型SOCOMO用GICミラーの一例)
図7は、LPP・GIC型SOCOMO100用のGICミラーMGの一例の概略部分側面図である。一例として、光学設計上、図7のGICミラーMGは、実際には、図8に示されるように、光学軸A1周りに対称な円筒状の8つの入れ子状GICシェル250から構成されている。この例では、GICシェル250の数を最小化するために、3つの最内部GICシェル250は楕円形を有し、残りの5つの最外部GICシェル250は、楕円形かつ双曲線状の断面を有する軸外し二重反射設計に基づいている。なお、このようなGICミラーMGは、欧州特許出願公報第EP1901126A1(発明の名称:コレクタ光学システム)等に記載されており、当該公報は本出願に援用される。図7は、2つの最外部GICシェル250を図示している。当該最外部GICシェル250は、それぞれ、楕円形部250Eおよび双曲線部250Hを有する。また、図7には、光源焦点SF、仮想共通焦点CFおよび中間焦点IFに加えて、GICシェル250の楕円形部250Eおよび双曲線部250Hそれぞれの軸AEおよび軸AHが図示されている。仮想共通焦点CFと中間焦点IFとの間の距離は、ΔLである。仮想共通焦点CFは、光学軸A1から距離Δr分だけオフセットされている。光学軸A1周りに楕円形部250Eおよび双曲線部250Hの断面を1回転させることで、光学面全体が得られる。
【0044】
GICミラーMGの一例の設計例が、下記の表1及び表2に掲載されている。当該設計の主な光学パラメータは、a)LPP24と中間焦点IFとの間の距離ΔL=2400mm、b)LPP側の最大集光角度=70.7°である。一実施形態例では、各GICシェル250はRuコーティングを有し、各EUV波長での反射率が改善される。複数のGICシェル250の光学面がRuで被覆された場合、波長13.5nmのEUV30に対するGICミラーMGの理論上の集光効率は、LPP24からの2πステラジアン放射に対して37.6%となる。
【0045】
LPP・EUV光源は、放電生成プラズマ(DPP)EUV光源に比べて随分小型(典型的には、約10分の1の面積)である。このため、LPP24を使用すれば、GICミラーMGの出射とイルミネータ入射との間の面積効率(etendue)を良好に一致させることができる。特に、LPP24における集光角度は、GICミラーMGとイルミネータの面積効率との不一致による効率損失が無視できる程度の状態または極めて限定的な状態で、極めて大きな値に増加し得る。一実施形態例において、集光半角は約70度または70度を超える。
【0046】
特定の集光器の光学設計に関して、遠隔フィールドにおける強度分布の均一性がDPP源よりも劣る傾向にあるという点で、LPP24の寸法には問題がある。事実、LPP24は、小型であるため、DPP源に比べて、複数のGICシェル250の厚みによる遠隔フィールドの影がよりくっきりとする傾向がある。
【0047】
こうした効果を少なくとも部分的に相殺するために、各GICシェル250に対して表面形状(即ち光学プロファイル)補正が加えられ、遠隔フィールドにおける強度分布の均一性が改善されている(例えば、国際特許出願公報第WO2009−095219A1号(発明の名称:EUV及びX線を適用する改良型斜入射集光器光学システム)を参照。なお、当該公報は本出願に援用される。)。このように、GICミラーMGの一実施形態例では、各GICシェル250は、GICシェルの2つの縁において、ゼロに等しい多項式補正(放物線補正)が重畳されている。なお、その値は、最大でも0.01mmである。
【0048】
表1および表2には、図10に示されるGICミラーMGの一設計例が示されている。「ミラー番号」は、特定のGICシェル250の番号であり、最内部GICシェル250から順に最外部GICシェル250まで付与されている。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
図9Aは、GICシェルのプロファイルを補正しない場合における、中間焦点IFにおける正規化遠隔フィールド位置と、そこに入射する光線の強度(任意の単位)との関係を表すプロットである。当該プロットは、中間焦点IFにおいて形成されるLPP24の中間画像(即ち、「中間スポット」FS)の均一性に関する測定値である。LPP24は、0.2mmの径を有する球体としてモデル化されている。
【0052】
図9Bは、複数のGICシェル250に上記補正を適用したことを除いて、先と同様のプロットである。図9Aのプロットと図9Bのプロットとを比較すると、図9Bの強度においては振幅が相当低減されており、複数のGICシェル250の表面形状を補正した結果、中間焦点IFにおける中間スポットFSでの遠隔フィールド均一性が著しく改善されていることがわかる。
【0053】
(LPP・GIC型SOCOMOを備えるEUVリソグラフィシステム)
図10は、本発明に係るEUVリソグラフィシステム(以下、リソグラフィシステムと称す)300の一例である。リソグラフィシステム300は、例えば、米国特許出願第US2004/0265712A1号、第US2005/0016679A1号、第US2005/0155624A1号に開示されており、当該出願は本出願に援用される。
【0054】
リソグラフィシステム300は、システム軸A3およびEUV光源LSを備えている。EUV光源LSは、LPP・GIC型SOCOMOを備えている。LPP・GIC型SOCOMOは、光学軸A1を有し、上述のスズロッド方式のLPPターゲットシステム40を備えている。LPPターゲットシステム40は、λ=13.5nmの作用EUV30を放出するLPP24を生成する。
【0055】
LPP・GIC型SOCOMO100は、上述の通り、GICミラーMGを備え、RCED110を選択的に備えている。一実施形態例において、GICミラーMGは、米国特許出願第12/592,735号に記載されるように冷却される。なお、当該米国特許出願は、本出願に援用される。また、一例においては、RCED110が冷却される。
【0056】
GICミラーMGは、EUV光源LSの下流側の近傍に配置されており、光学(集光器)軸A1がシステム軸A3に沿うようにして配置されている。GICミラーMGは、光源焦点SFに位置するEUV光源LSからの作用EUV30(即ち、光線LR)を集光する。そして、集光された放射光線は、中間焦点IFに中間光源像IS(即ち、焦点スポット)を結像する。RCED110は、中間焦点IFに通常は到達しないEUV30を中間焦点IFに到達させることにより、EUV30の集光を強化する。LPP・GIC型SOCOMO100は、一例において、LPPターゲットシステム40、GICミラーMG及びRCED110を備えている。
【0057】
図3Bに関連して上述したRCED110の実施形態では、少なくとも一つの漏斗部111が備えられている。一例では、漏斗部111は、下流漏斗部111Dあり、EUV30を中間焦点IFの中間焦点(焦点スポット)FSから、下流位置(例えば、中間焦点IFの下流に位置する照明光学系(イルミネータ)の位置)に導くように構成されている。他の例では、漏斗部111は、上流漏斗部111Uであり、中間焦点IFに中間焦点(焦点スポット)FSを形成するようにEUV30を導く。このとき、通常は中間焦点(焦点スポット)FSの形成に寄与しない放射線を集光することも含まれる。一例では、RCED110は、上流漏斗部111Uおよび下流漏斗部111Dの両方を備える。RCED110は、イルミネータで投影された放射線をより均一にし、レチクル面で良好に利用する役割を果たす。
【0058】
照明システム316は、入射端317および出射端318を有する。また、照明システム316は、入射端317がGICミラーMG側に配置された状態で、システム軸A3に沿ってGICミラーMGの下流側の近傍に配置されている。照明システム316は、入射端317において中間光源像ISからのEUV30を受け、出射端318において略均一なEUVビーム320(即ち、凝縮EUV)を出射する。リソグラフィシステムシステム300が走査型システムである場合、EUVビーム320は、典型的には、反射レチクル336を走査する略均一なライン状のEUV30として、反射レチクル336上に形成される。
【0059】
投影光学システム326は、(屈折した)システム軸A3に沿って、照明システム316の下流および反射レチクル336の下流に配置されている。投影光学システム326は、照明システム316の出射端318に対向する入射端327と、反対側の出射端328とを有する。反射レチクル336は投影光学システム326の入射端327に隣接して配置されており、半導体ウエハ340は投影光学システム326の出射端328に隣接して配置されている。反射レチクル336は、半導体ウエハ340に転写されるパターン(図示せず)を有し、半導体ウエハ340は感光性コーティング(例えば、フォトレジスト層)342を有する。動作時において、均一化されたEUVビーム320は、反射レチクル336を照射し、レチクル336によって反射される。そして、投影光学システム326によって、半導体ウエハ340の感光性コーティング342の表面上に、レチクル336上のパターンが結像される。走査型リソグラフィシステムシステム300では、反射レチクル像が感光性コーティング342の表面上を走査し、露光フィールド上にパターンが形成される。典型的には、反射レチクル336と半導体ウエハ340とを同期させて移動させることにより、走査が実行される。
【0060】
一旦、レチクルパターンが半導体ウエハ340に結像されて記録されると、パターン化された半導体ウエハ340は、標準的なフォトリソグラフィ技術および半導体プロセス技術を使用して処理される。その結果、複数の集積回路(IC)チップが形成される。
【0061】
なお、一般的にリソグラフィシステム300の構成要素は、図10に図示されるように、共通の屈折したシステム軸A3に沿って配置される。当業者であれば、例えば、照明システム316や投影光学システム326の様々な構成要素の入口軸および出口軸がオフセットされる場合もあり得ることは、理解される。
【0062】
当業者には明白であるが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、本発明に対して様々な修正および変更を加えることができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等範囲内において本発明の修正および変更を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極端紫外光(EUV)リソグラフィシステムの光源集光モジュールであって、
パルスレーザ光線を生成するレーザ光源と、
光源集光モジュール軸に沿って配置され、前記パルスレーザ光線を受光して前記光源集光モジュール軸の第1方向に前記パルスレーザ光線を反射するように構成される折り返しミラーと、
Sn表面を有するSnロッドを有し、前記Sn表面が前記パルスレーザ光線に照射される照射位置を通過するように前記Sn表面を回転させるように構成され、前記第1方向とほぼ反対の第2方向にEUVを生成するレーザ生成プラズマ(LPP)を形成するSnロッドシステムと、
入射端および出射端を有し、前記入射端において前記EUVを受光し、前記出射端に隣接する中間焦点において、受光した前記EUVを集束するように配置される斜入射集光器(GIC)ミラーと
を備える、光源集光モジュール。
【請求項2】
前記Snロッドは、中実Snロッドと、中空Snロッドと、Snで被覆された少なくとも一つの材料からなる中実ロッドと、Sn管と、Snで被覆された少なくとも一つの材料からなる管と、接着層とSnが順に被覆された管とからなる群から選択される
請求項1に記載の光源集光モジュール。
【請求項3】
前記Snロッドは、前記中心軸周りに回転可能であり、前記中心軸に沿って直線的に平行移動可能である、
請求項1または2に記載の光源集光モジュール。
【請求項4】
前記Snロッドを動作可能位置で回転可能かつ平行移動可能に支持する支持フレームと、
機械駆動部材を介して前記支持フレーム内で前記Snロッドを回転するように機械構成された回転駆動部と
をさらに備える、請求項3に記載の光源集光モジュール。
【請求項5】
前記支持フレームを平行移動させることにより、前記Snロッドを前記Snロッドの回転軸に沿って平行移動させるように機械構成された並進駆動部をさらに備える
請求項4に記載の光源集光モジュール。
【請求項6】
前記並進駆動部は、前記支持フレームが接続部材を介して移動可能に取り付けられるレールを備え、
精密送りねじと、前記精密送りねじを回転させて前記接続部材を平行移動させ、前記Snロッドを含む前記支持フレームを平行移動させるリニアドライブをさらに備える
請求項5に記載の光源集光モジュール。
【請求項7】
前記並進駆動部は、前記支持フレームが接続部材を介して移動可能に取り付けられるレールを備え、
前記接続部材に動作可能に接続され、前記支持フレームと、前記支持フレームに含まれる前記Snロッドとを平行移動させるように構成される電気機械アクチュエータ及びステップモータの少なくともいずれかを備える
請求項5に記載の光源集光モジュール。
【請求項8】
少なくとも一つのSnロッドを収容するように構成されるロッド収容部をさらに備える
請求項5から7のいずれかに記載の光源集光モジュール。
【請求項9】
前記支持フレームから複数の使用済Snロッドを取り除き、前記使用済ロッドを前記ロッド収容部に収容し、複数の未使用ロッドを前記ロッド収容部から取り出し、前記未使用ロッドを前記支持フレームの前記動作可能位置に載置するように構成されるロボットハンドラをさらに備える
請求項8に記載の光源集光モジュール。
【請求項10】
前記中間焦点に隣接して配置される放射線集光強化装置(RCED)をさらに備え、
RCEDは、軸方向において前記中間焦点の少なくとも片側に配置される少なくとも一つの漏斗部を有し、
前記少なくとも一つの漏斗部は、前記中間焦点に近接する幅狭端を有する
請求項1から9のいずれかに記載の光源集光モジュール。
【請求項11】
前記RCEDは、前記中間焦点の各側に配置される第1漏斗部と第2漏斗部とを備える
請求項10に記載の光源集光モジュール。
【請求項12】
前記GICミラーは、多層コーティングを含まない第1反射面を有する
請求項1から11のいずれかに記載の光源集光モジュール。
【請求項13】
前記GICミラーは、Ruコーティング及び多層コーティングのいずれかを有する
請求項1から11のいずれかに記載の光源集光モジュール。
【請求項14】
前記GICミラーは、少なくとも一つの区画化GICシェルを有し、
前記区画化GICシェルは、多層コーティングを含まない第1反射面と、多層コーティングを含む第2反射面とを有する
請求項1から11のいずれかに記載の光源集光モジュール。
【請求項15】
反射レチクルに光を照射する極端紫外光(EUV)リソグラフィシステムであって、
請求項1から14のいずれかに記載の光源集光モジュールと、
前記中間焦点に形成された前記集束EUVを受光して凝縮EUVを形成し、前記凝縮EUVを前記反射レチクルに照射するように構成されるイルミネータと
を備える、EUVリソグラフィシステム。
【請求項16】
前記EUVリソグラフィシステムは、感光性半導体ウエハ上にパターン像を形成するためのEUVリソグラフィシステムであり、
前記反射レチクルの下流に配置され、前記反射レチクルによって反射されたEUVを受光し、そこから前記感光性半導体ウエハ上に前記パターン像を形成するように構成される投影光学システムをさらに備える
請求項15に記載のEUVリソグラフィシステム。
【請求項17】
レーザ生成プラズマ(LPP)から極端紫外光(EUV)を集光する方法であって、
入射端および出射端を有する斜入射集光器(GIC)ミラーを軸方向に配置することと、
Sn表面を有するSnロッドを供給するように構成されるLPPターゲットシステムを前記GICミラーの入射端に隣接して配置し、照射位置を通過するように前記Sn表面を移動させることと、
前記GICミラーの軸方向にパルスレーザ光線を照射し、前記パルスレーザ光を前記GICミラーの前記出射端から前記GICミラーを介して前記入射端まで通過させ、前記照射位置の前記Sn表面に到達させることにより、EUVを放射する前記LPPを形成することと、
前記GICミラーを使用して、前記LPPからのEUVの一部を前記GICミラーの入射端で集光し、集光した前記EUVを前記GICミラーの出射端から出射し、中間焦点に焦点スポットを形成することと
を備える方法。
【請求項18】
前記中間焦点の近傍に放射集光強化装置(RCED)を配置することをさらに備え、
RCEDは、軸方向において前記中間焦点の少なくとも片側に配置される少なくとも一つの漏斗部を有し、
前記少なくとも一つの漏斗部は、前記中間焦点に近接する幅狭端を有する
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記GICミラーの出射端と前記中間焦点との間に上流漏斗部を設けると共に、前記上流漏斗部を使用して、通常は前記中間焦点に導かれない前記EUVの一部を前記中間焦点に導くことと、
前記中間焦点からEUVを集光し、前記集光したEUVを下流位置に導くように、前記GICミラーとは反対側の前記中間焦点に隣接する位置に下流漏斗部を設けることと
をさらに備える、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記照射位置を通過するように、前記Sn表面を回転移動させながら前記Sn表面を平行移動させることをさらに備える
請求項17から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
多層コーティングを含まない第1反射面を有する前記GICミラーを設けることをさらに備える
請求項17から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
Ruコーティング及び多層コーティングのいずれかを有する前記GICミラーを設けることをさらに備える
請求項17から20のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
第1反射面と、前記多層コーティングを有する第2反射面とを有する少なくとも一つの区画化GICシェルを有する前記GICミラーを設けることをさらに備える
請求項17から20のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記中間焦点においてEUVから凝縮EUVを形成し、前記凝縮EUVを反射レチクルに照射することをさらに備える
請求項17から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記反射レチクルによって反射されたEUVを受光し、そこから投影光学システムを使用して前記感光性半導体ウエハ上に前記パターン像を形成することをさらに備える
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
一連の光学パルスを有するパルスレーザ光線を生成するレーザ光源と、
Sn表面と中心軸とを有するSnロッドと、
前記Snロッドが前記中心軸周りに回転および平行移動できるように前記Snロッドを動作可能位置で支持する支持フレームと、
前記Snロッドにそれぞれ機械接続され、前記Snロッドを前記中心軸周りに回転及び平行移動させることにより、前記Sn表面の未使用部分を前記パルスレーザ光線の各光学パルスで照射する回転駆動部と並進駆動部と
を備える、レーザ生成プラズマ(LPP)ターゲットシステム。
【請求項27】
少なくとも一つのSnロッドを収容するように構成されるロッド収容部と、
前記支持フレームから複数のSnロッドを取り除き、前記取り除いたSnロッドを前記ロッド収容部に収容し、新しい複数のSnロッドを前記ロッド収容部から取り出し、前記新しい複数のSnロッドを前記支持フレームの前記動作可能位置に載置するように構成されるロボットハンドラと
をさらに備える、請求項26に記載のLPPターゲットシステム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−49529(P2012−49529A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−178026(P2011−178026)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(509105237)メディア ラリオ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (18)
【氏名又は名称原語表記】MEDIA LARIO S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Localita Pascolo,I−23842 Bosisio Parini,Lecco,Repubblica Italiana
【Fターム(参考)】