説明

GLP−1アゴニスト、インスリン及びメチオニンを含む薬学的組成物

本発明は、GLP−1アゴニスト又は/及びその薬理学的に許容される塩、インスリン又は/及びその薬理学的に許容される塩、及び場合により少なくとも1つの薬学的に許容されるアジュバントを含む液体組成物に関し、場合によりメトホルミンを用いるアドオン療法として、メチオニンを含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、GLP−1アゴニスト又は/及びその薬理学的に許容される塩、インスリン又は/及びその薬理学的に許容される塩、及び場合により少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤を含む液体組成物であって、メチオニンを含む、液体組成物に関する。
【0002】
本出願は、さらに、糖尿病を治療するための本発明に従う組成物に関する。本出願は、さらに、糖尿病を治療するための医薬品の製造における本発明に従う組成物の使用に関する。本出願は、さらに、GLP−1アゴニスト又は/及びその薬理学的に許容される塩をインスリン又は/及びその薬学的に許容される塩、メチオニン、及び場合により少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤と共に製剤化する工程を含む、本発明に従う組成物を製造するための方法に関する。本出願は、さらに、患者に組成物を投与する工程を含む、本発明に従う組成物で患者を治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
インスリン及びGLP−1化合物の通常の組成物は、等張化剤、pHを調整するための緩衝剤、及び保存剤含む。インスリン組成物のさらなる頻繁に使用される成分は、インスリンと錯体を形成する亜鉛である。これによって、インスリンの遅延作用が達成される。
【0004】
特許文献1(Eli Lilly)は、GLP−1化合物及び基礎インスリンを含む液体の予め混合された製剤に関する。特定の製剤は、Val8−GLP−1又はエキセンジン−4、インスリンNPH、等張化剤としてのグリセリン、保存剤としてのm−クレゾール及びフェノール、並びにpH 7.6又は8でのリン酸緩衝剤を含有する。別の製剤は、エキセンジン−4又はVal8−Glu22GLP−1(7−37)OH、インスリングラルギン(ランタス)、亜鉛、等張化剤としてのグリセリン及びマンニトール、保存剤としてのm−クレゾール、亜鉛、並びに酢酸ナトリウム,pH 4を含む。
【0005】
特許文献2(Zealand Pharmaceuticals)は、pH 5.3の、安定化エキセンジン、50mMヒスチジン、100〜200mMスクロース、マンニトール又は他の許容される糖、20mMメチオニン、20mMアスパラギン−グルタミン又はAspを含む液体組成物を開示している。安定化は、例えば、Gln13、Met14、Trp25、又はAsn28位での、エキセンジン−4(1−39)のアミノ酸構築ブロックのある修飾によって行われる。この組成物はインスリンを含まない。
【0006】
特許文献3(Novo Nordisk)は、リラグルチド及びインスリンアスパルト、pH 7.7を有する緩衝剤、界面活性剤としてのポロキサマー188、フェノール、プロピレングリコール、及び場合により亜鉛を含む液体組成物を開示している。ポロキサマー188無しでは、組成物は不安定であった。ポリソルベート20を用いて、安定化が達成された。
【0007】
特許文献4(Novo Nordisk)は、インスリン分泌性ペプチド(GLP−1アゴニスト)、インスリンペプチド、及びHisB10についてのリガンド(インスリンのB鎖の10位のHisのリガンド)を含む液体薬学的組成物に関する。組成物は、界面活性剤としてポリソルベート−20又はポロキサマー188を含み得る。この文献に開示される特定の組成物は、ヒトインスリン又はヒトB28 Aspインスリン(インスリンアスパルト)、リラグルチド(GLP−1アゴニスト)、等張化剤としてのグリセリン、酢酸亜鉛,pH 7.4又は7.9を含む。使用されるインスリンの又はリラグルチドの量に応じて、これらの組成物は、室温での15日間の保存後に、一部分、既に不安定であった。これらの組成物の安定性は、HisB10についてのリガンドを添加することによって達成された。さらなる製剤は、リラグルチド、インスリンアスパルト又はデテミル、プロピレングリコール、フェノール、及びリン酸緩衝剤,pH 7.7からなった。これらの組成物は事実上直ちに不安定であった。ポロキサマー−188又はポリソルベート−20及びHisB10についてのリガンドの添加は、安定化をもたらした。
【0008】
特許文献5(Novo Nordisk)は、デテミル(基礎インスリン)、リラグルチド(GLP−1化合物)、及び界面活性剤としてのポロキサマー188又はポリソルベート20を含む液体組成物を開示している。さらなる成分は、フェノール、NaCl、プロピレングリコール、酢酸亜鉛、及びリン酸ナトリウム緩衝剤又はグリシルグリシン緩衝剤(pH 7.7)である。m−クレゾールがこれらの組成物の一部に存在する。ポロキサマー188又はポリソルベート20を添加することによって、組成物は安定させることができた。
【0009】
特許文献6(Biodel)は、インスリン、亜鉛キレート化剤(例えば、EDTA又はEGTA)、及びGLP−1アナログを含む組成物に関する。
【0010】
世界中で約1億2000万人の人が糖尿病に苦しんでいる。これらは約1200万人のI型糖尿病患者を含み、患者からの不十分な内分泌インスリン分泌の補充が、現在、唯一の可能な療法である。罹患した人は、一生、通常1日数回、インスリン注射に依存する。II型糖尿病は、インスリンの欠乏が必ずしもあるとは限らない点でI型糖尿病と対照的であるが、多くの場合において、特に進行期で、必要に応じて経口糖尿病薬と組み合わせての、インスリンでの治療が、療法の最も有利な形態と考えられている。
【0011】
健康な個体において、膵臓によるインスリンの放出は、血中グルコース濃度と厳密に結び付けられる。上昇した血糖値は、食後に生じるもののように、インスリン分泌の対応の上昇によって迅速に相殺される。空腹状態において、血漿インスリン濃度は基底値へ低下し、これは、インスリンに敏感な器官及び組織へのグルコースの連続供給を確実にし、かつ、夜間の肝臓のグルコース産生を低く維持するのに十分である。インスリンの外因性の、通常は皮下投与による、内因性インスリン分泌の補充は、一般的に、血糖の生理学的調整の上述の質に近づかない。頻繁に、血糖が上方又は下方のいずれかへ外れる場合があり、それらの最も重篤な形態において、これらの場合は生命にかかわり得る。しかし、さらに、初期症状無しに、数年にわたって上昇した血糖値は、かなりの健康上のリスクである。米国における大規模なDCCT研究(非特許文献1)は、慢性的に上昇した血糖値は、晩期糖尿病性合併症の発症の原因であることを明白に示した。晩期糖尿病性合併症は、網膜症、腎症又は神経障害のようなある状況で現れ、失明、腎不全、及び四肢の喪失をもたらし、さらに、心臓血管疾患の危険性の増加と関連する、微小血管及び大血管障害である。このことから、糖尿病の改善された療法は、血糖を生理学的な範囲内で可能な限り厳密に維持することに主として向けられなければならないことが推測され得る。強化インスリン療法の概念によれば、これは、速効型及び遅効型インスリン調製物の1日数回の注射によって達成される。速効型製剤は、血糖の食後の上昇を相殺するために、食事の時に与えられる。遅効型基礎インスリンは、低血糖症をもたらすことなく、特に夜間に、インスリンの基本的な供給を確実にするように意図される。
【0012】
インスリンは、2つのアミノ酸鎖に分割される51個のアミノ酸から構成されるポリペプチドである:21個のアミノ酸を有するA鎖、及び30個のアミノ酸を有するB鎖。鎖は、2つのジスルフィド結合によって一緒に連結されている。インスリン調製物は、長年、糖尿病療法において用いられてきた。このような調製物は、天然のインスリンだけでなく、より最近では、インスリン誘導体及びインスリンアナログも使用する。
【0013】
インスリンアナログは、天然のインスリン、即ち、ヒトインスリン又は動物インスリンのアナログであり、これらは、他のアミノ酸による少なくとも1つの天然のアミノ酸残基の置換、及び/又は、対応の、そうでなければ同一の、天然のインスリンからの、少なくとも1つのアミノ酸残基の付加/欠失の点で相違する。問題のアミノ酸はまた、天然には生じないアミノ酸であり得る。
【0014】
インスリン誘導体は、化学修飾によって得られる、天然のインスリン又はインスリンアナログの誘導体である。化学修飾は、例えば、1つ又はそれ以上のアミノ酸上への1つ又はそれ以上の定義される化学基の付加を含み得る。一般的に、インスリン誘導体及びインスリンアナログの活性は、ヒトインスリンと比較した場合、多少変化している。
【0015】
作用開始が速められたインスリンアナログが、特許文献7、特許文献8、及び特許文献9に記載されている。特許文献7は、特に、B27及びB28の置換に関する。特許文献9は、B29位に異なるアミノ酸、好ましくはプロリン、しかしグルタミン酸以外を有するインスリンアナログを記載している。特許文献8は、B28にリジン又はアルギニンを有するインスリンアナログを包含し、これはまた、場合により、B3及び/又はA21で修飾されている場合がある。
【0016】
特許文献10は、B3のアスパラギン及びA5、A15、A18又はA21位の少なくとも1つのさらなるアミノ酸の修飾によって化学修飾から保護されているインスリンアナログを開示している。
【0017】
特許文献11は、B1〜B6位の少なくとも1つのアミノ酸がリジン又はアルギニンによって置き換えられているインスリンアナログを記載している。このようなインスリンは、特許文献11によれば、延長効果を有する。遅発効果は、特許文献12に記載のインスリンアナログによっても示されている。
【0018】
インスリン補充のための天然のインスリンの市販の調製物は、インスリンの起源(例えば、ウシ、ブタ、ヒトインスリン)及びまたそれらの組成が異なり、それによって、活性プロフィール(作用の開始及び持続)が影響され得る。異なるインスリン製品の組み合わせによって、非常に多種多様の活性プロフィールのいずれをも得ること、及び非常に大きく生理学的な血糖値をもたらすことが可能である。組換えDNA技術は、最近は、この種の修飾インスリンの作製を可能にする。それらは、延長された作用持続を有するインスリングラルギン(Gly(A21)−Arg(B31)−Arg(B32)ヒトインスリン、ランタス)を含む。インスリングラルギンは、透明な酸性溶液の形態で注射され、その溶解特性に起因して、安定な六量体会合として、皮下組織の生理学的pH範囲において、沈殿する。インスリングラルギンは、1日1回注射され、そのフラットな血清プロフィール及び夜間低血糖症の危険性の関連する減少について、他の持効型インスリンと比較して顕著である(非特許文献2)。
【0019】
長時間の作用持続をもたらすインスリングラルギンの特定の調製物は、酸性pHを有する透明溶液を特徴とする。
【0020】
エキセンジンは、血中グルコース濃度を低下させることができるペプチドの群である。エキセンジンは、GLP−1(7−36)の配列に対してある類似性を有する(53%、非特許文献3)。エキセンジン−3及びエキセンジン−4は、エキセンジン受容体と相互作用することによって、モルモット膵臓の腺房細胞における細胞cAMP産生の増加を刺激する(非特許文献4)。エキセンジン−3は、エキセンジン−4とは対照的に、膵臓の腺房細胞におけるアミラーゼの放出の増加をもたらす。エキセンジンはGLP−1アゴニストとして作用する。
【0021】
グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)は、グルコース又は脂肪の経口摂取後のインスリン反応を増強する内分泌ホルモンである。一般的に、GLP−1は、グルカゴン濃度を低下させ、胃排出を遅らせ、(プロ)インスリン合成を刺激し、インスリンに対する感受性を増強し、インスリン非依存性グリコーゲン合成を刺激する(非特許文献5〜7)。ヒトGLP−1は37個のアミノ酸残基を有する(非特許文献8、9)。GLP−1の活性断片としてはGLP−1(7−36)及びGLP−1(7−37)が挙げられる。
【0022】
エキセンジン−3、エキセンジン−4及びエキセンジンアゴニストは、胃運動性及び胃排出を減らすことによって、糖尿病を治療し高血糖症を予防することについて提案された(特許文献13及び14)。
【0023】
エキセンジンアナログは、天然エキセンジン−4配列のアミノ酸置換及び/又はC−末端切断を特徴とし得る。このようなエキセンジンアナログは、特許文献15、16、及び17に記載されている。
【0024】
AVE0010の固相合成が特許文献18に記載されている。AVE0010は配列:desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2を有する。この物質は特許文献18において配列番号93として公開されている。
H−G−E−G−T−F−T−S−D−L−S−K−Q−M−E−E−E−A−V−R−L−F−l−E−W−L−K−N−G−G−P−S−S−G−A−P−P−S−K−K−K−K−K−K−NH2 (配列番号1)
【0025】
エキセンジン−4(39 AS)は以下の配列を有する:
H−G−E−G−T−F−T−S−D−L−S−K−Q−M−E−E−E−A−V−R−L−F−I−E−W−L−K−N−G−G−P−S−S−G−A−P−P−P−S−NH2 (配列番号2)
【0026】
エキセンジン−3は以下の配列を有する(非特許文献10):
H−His−Ser−Asp−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2 (配列番号3)
【0027】
GLP−1は以下の配列を有する:
H−A−E−G−T−F−T−S−D−V−S−S−Y−L−E−G−Q−A−A−K−E−F−I−A−W−L−V−K−G−R−NH2 (配列番号4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】WO 2003/020201
【特許文献2】WO 2004/035623
【特許文献3】WO 2005/046716
【特許文献4】WO 2006/029634
【特許文献5】WO 2006/051103
【特許文献6】WO 2008/124522
【特許文献7】EP 0 214 826
【特許文献8】EP 0 375 437
【特許文献9】EP 0 678 522
【特許文献10】EP 0 419 504
【特許文献11】WO 92/00321
【特許文献12】EP−A 0 368 187
【特許文献13】US 5,424,286
【特許文献14】WO98/05351
【特許文献15】WO 99/07404
【特許文献16】WO 99/25727
【特許文献17】WO 99/25728
【特許文献18】WO 01/04156 A1
【非特許文献】
【0029】
【非特許文献1】The Diabetes Control and Complications Trial Research Group (1993), N. Engl. J. Med. 329, 977−986
【非特許文献2】Schubert−Zsilavecz et al., 2:125−130 (2001)
【非特許文献3】Goke et al. J. Biol Chem 268, 19650−55
【非特許文献4】Raufman, 1996, Reg. Peptides 61:1−18
【非特許文献5】Holst (1999), Curr. Med. Chem 6:1005
【非特許文献6】Nauck et al. (1997) Exp Clin Endocrinol Diabetes 105: 187
【非特許文献7】Lopez−Delgado et al. (1998) Endocrinology 139:2811
【非特許文献8】Heinrich et al., Endocrinol. 115:2176 (1984)
【非特許文献9】Uttenthal et al., J Clin Endocrinol Metabol (1985) 61:472
【非特許文献10】J. Bio. Chem., 267, 1992, 7402−7405
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
本発明の目的は、GLP−1アゴニスト及びインスリンを含む液体製剤の安定性を増加させることである。特に、本発明の目的は、物理的及び化学的完全性を改善することである。本発明者らは、この目的が、GLP−1アゴニスト及びインスリンをメチオニンと共に製剤化することによって達成されることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0031】
メチオニンが、AVE0010などのGLP−1アゴニスト及びインスリングラルギンなどのインスリンを含む組成物の保存安定性を増加させることができることがわかった。メチオニンはこれらの組成物の物理的完全性に影響を与えない。
【0032】
薬学的に活性なポリペプチドの安定性は、様々な機構によって損なわれ得る。これらとしては、pH、温度、光、及びある成分の影響が挙げられる。
【0033】
本発明に関して、インスリン製剤又はGLP−1アゴニスト製剤の様々な通常の成分は、インスリン及びGLP−1アゴニストを含む製剤の化学的又は/及び物理的完全性並びに保存安定性にとって不利であることがわかった。これらは、例えば、酢酸塩、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマー188、塩化ベンザルコニウム、及びリジンである。従って、本発明に従う組成物は、好ましくはこれらの成分を含まない。
【0034】
従って、本発明は、GLP−1アゴニスト又は/及びその薬理学的に許容される塩、インスリン又は/及びその薬理学的に許容される塩、及び場合により少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤を含む液体組成物であって、組成物がメチオニンを含む、液体組成物を提供する。
【0035】
本発明に従う組成物は、好ましくは、0.5mg/mL〜20mg/mLの範囲の量で、より好ましくは1mg/mL〜5mg/mLの範囲の量で、特に好ましくは3.0mg/mLの量で、メチオニンを含む。D型のメチオニンが使用され得る。同様に、L型のメチオニンが使用され得る。同様に、任意の所望の割合のD型及びL型の混合物が使用され得る。
【0036】
特に、本発明に従う組成物は、界面活性剤、例えば、ポリオール、並びに多価アルコールの部分及び脂肪酸エステル並びにエーテル、例えば、グリセリン及びソルビトールのそれらを含まない。本発明に従う組成物は、特に、Span(登録商標)、Tween(登録商標)、Myrj(登録商標)、Brij(登録商標)、Cremophor(登録商標)からなる群より選択される、グリセリン及びソルビトールの部分及び脂肪酸エステル並びにエーテルを含まない。さらに、本発明に従う組成物は、特に、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、Pluronic、Tetronicからなる群より選択されるポリオールを含まない。特に、本発明に従う組成物は、ポリソルベート、ポリソルベート及びポロキサマーからなる群より選択される少なくとも1つの物質を含まない。
【0037】
特に、本発明に従う組成物は、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20を実質的に含まず、好ましくは含まない。
【0038】
特に、本発明に従う組成物は、ポリソルベート80を実質的に含まず、好ましくは含まない。
【0039】
特に、本発明に従う組成物は、ポロキサマー、例えば、ポロキサマー188を実質的に含まず、好ましくは含まない。
【0040】
特に、本発明に従う組成物は、塩化ベンザルコニウムを実質的に含まず、好ましくは含まない。
【0041】
特に、本発明に従う組成物は、ヒスチジンを実質的に含まず、好ましくは含まない。
【0042】
特に、本発明に従う組成物は、EDTA、特にEDTAナトリウムを実質的に含まず、好ましくは含まない。
【0043】
特に、本発明に従う組成物は、ヒスチジン及びEDTAナトリウムを実質的に含まず、好ましくは含まない。
【0044】
本発明に従う組成物は、pHを緩衝化するために通常使用される1つ又はそれ以上の物質(緩衝物質)を含み得る。このような緩衝物質の例は、酢酸塩、クエン酸塩及びリン酸塩である。特に、本発明に従う組成物は、例えば、GLP−1アゴニスト又は/及びインスリンについての対イオンとして、十分である量で、pHを緩衝化するために通常使用される1つ又はそれ以上の物質を含み得る。本発明に従う組成物は、1つ又はそれ以上の緩衝物質を、例えば、各々、1mg/mlまで、0.5mg/mlまで、0.1mg/mlまで、0.05mg/mlまで、0.02mg/mlまで、又は0.01mg/mlまでの量で含み得る。本発明に従う組成物は、同様に、緩衝物質を実質的に含まない場合がある。好ましくは、本発明に従う組成物は緩衝物質を含まない。
【0045】
本発明に従う組成物は、酢酸塩を、例えば、1mg/mlまで、0.5mg/mlまで、0.1mg/mlまで、0.05mg/mlまで、0.02mg/mlまで、又は0.01mg/mlまでの量で含み得る。これらの量は、例えば、GLP−1アゴニストについての対イオンとして十分である。同様に、本発明に従う組成物は酢酸塩を実質的に含まない場合がある。好ましくは、本発明に従う組成物は酢酸塩を含まない。
【0046】
本発明に従う組成物は、クエン酸塩を、例えば、1mg/mlまで、0.5mg/mlまで、0.1mg/mlまで、0.05mg/mlまで、0.02mg/mlまで、又は0.01mg/mlまでの量で含み得る。これらの量は、例えば、GLP−1アゴニストについての対イオンとして十分である。同様に、本発明に従う組成物はクエン酸塩を実質的に含まない場合がある。好ましくは、本発明に従う組成物はクエン酸塩を含まない。
【0047】
本発明に従う組成物は、リン酸塩を、例えば、1mg/mlまで、0.5mg/mlまで、0.1mg/mlまで、0.05mg/mlまで、0.02mg/mlまで、又は0.01mg/mlまでの量で含み得る。これらの量は、例えば、GLP−1アゴニストについての対イオンとして十分である。同様に、本発明に従う組成物はリン酸塩を実質的に含まない場合がある。好ましくは、本発明に従う組成物はリン酸塩を含まない。
【0048】
本発明の薬学的組成物は、酸性又は生理学的pHを有し得る。酸性pH範囲は、好ましくは、pH 1〜6.8、pH 3.5〜6.8、又はpH 3.5〜5の範囲内にある。生理学的pHは、好ましくはpH 2.5〜8.5、より好ましくはpH 4.0〜8.5、なおより好ましくはpH 6.0〜8.5の範囲内にある。特に好ましいのは、pH約4.5である。pH調整について、生理学的に安全な希酸(通常、HCl)及びアルカリ(通常、NaOH)が適切である。
【0049】
本発明に従う組成物は、適切な保存剤を含み得る。適切な保存剤は、例えば、フェノール、m−クレゾール、ベンジルアルコール、及び/又はp−ヒドロオキシ安息香酸エステルである。m−クレゾールが好ましい。しかし、保存剤はまた省かれ得る。
【0050】
本発明に従う組成物は亜鉛イオンを含み得る。亜鉛イオンの濃度は、好ましくは1μg/ml〜2mg/mlの範囲内、より好ましくは5μg〜200μg亜鉛/mlの範囲内にあり、特に最大で0.06mg/ml、特に好ましくは0.06mg/mlである。
【0051】
さらに、本発明に従う組成物は、適切な等張化剤を含み得る。適切な等張化剤は、例えば、グリセリン、デキストロース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、グルコース、NaCl、カルシウム又はマグネシウム化合物、例えばCaCl2などである。グリセリン、デキストロース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、及びグルコースの濃度は、通常、100〜250mMの範囲内、NaClは150mMまでの濃度内である。グリセリンが好ましい。特に、20.0mg/mlでの85%グリセリンが好ましい。
【0052】
本発明に従う組成物は、少なくとも1つのインスリンの放出を遅らせる、塩などの、さらなる添加剤をさらに含み得る。好ましくは、組成物はこれらの添加剤を含まない。
【0053】
特に、組成物は、非経口投与用に意図される。本発明に従う組成物は、好ましくは注射用組成物、より好ましくは皮下注射用のものである。特に、本発明の組成物は、1日1回の注射に適している。
【0054】
特に、本発明に従う製剤は、+5℃又は25℃の温度での1ヶ月、2ヶ月、4ヶ月、又は6ヶ月間保存後、保存開始時の活性の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の活性を有する。
【0055】
本出願において、「活性」は、本発明に従う製剤において使用されるインスリンの活性を意味し得る。インスリンの活性を測定するための方法は、当業者に公知である。
【0056】
本出願において、「活性」は、同様に、本発明に従う製剤において使用されるGLP−1アゴニストの活性を意味し得る。GLP−1アゴニストの活性を測定するための方法は、当業者に公知である。
【0057】
特に、本発明に従う製剤は、1ヶ月、2ヶ月、4ヶ月、又は6ヶ月間保存後化学的完全性を示す。化学的完全性は、特に、+5℃、25℃、又は40℃の温度での保存の後に、製剤が、保存の開始と比較して実質的に化学的に未変化の形態の有効成分を少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%を含むことを意味する。
【0058】
化学的完全性は、GLP−1アゴニストの化学的完全性を意味し得る。GLP−1アゴニストは、メチオニン残基(例えば、AVE0010中の14位)を含み得る。GLP−1アゴニストの化学的完全性は、特に、メチオニン残基の酸化が防止されることを意味する。
【0059】
化学的完全性は、同様に、インスリンの化学的完全性を意味し得る。
【0060】
好ましくは、化学的完全性は、インスリン及びGLP−1アゴニストの完全性を意味する。
【0061】
特に、本発明に従う製剤は、1ヶ月、2ヶ月、4ヶ月、又は6ヶ月間保存後物理的完全性を示す。物理的完全性は、特に、+5℃、25℃、又は40℃の温度での保存の後に、製剤が、保存の開始と比較して実質的に物理的に未変化の形態の有効成分を少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%を含むことを意味する。
【0062】
物理的完全性は、GLP−1アゴニストの完全性を意味し得る。同様に、物理的完全性は、インスリンの完全性を意味し得る。物理的完全性は、特に、GLP−1アゴニスト又は/及びインスリンが、例えばフィブリルなどの凝集体を形成しないことを意味する。
【0063】
好ましくは、物理的完全性は、インスリン及びGLP−1アゴニストの完全性を意味する。
【0064】
GLP−1アゴニストは、好ましくは、エキセンジン−3及びそのアナログ及び誘導体、エキセンジン−4及びそのアナログ及び誘導体からなる群より選択され、この場合、GLP−1アゴニストは、より好ましくは、AVE0010及びエキセンジン−4からなる群より選択される。
【0065】
エキセンジン−3、エキセンジン−3のアナログ及び誘導体、エキセンジン−4、並びにエキセンジン−4のアナログ及び誘導体は、WO 01/04156(特許文献18)、WO 98/30231、US 5,424,286(特許文献13)、EP出願99 610043.4、及びWO 2004/005342において見られ得る。これらの文献は、参照により本明細書に組み入れられる。これらの文献に記載のエキセンジン−3、エキセンジン−4、並びにそのアナログ及び誘導体は、それらに記載の方法によって合成され得、その後、修飾が場合により行われる。
【0066】
AVE0010(配列番号1)、エキセンジン−4(配列番号2)、及びエキセンジン−3(配列番号3)の配列は、高度の類似性を示す。AVE0010及びエキセンジン−4の配列は、1〜37位で同一である。エキセンジン−4の配列1〜39は、48〜86位でのエキセンジン−3配列と39個の位置のうち37個で同一である(94%)。配列を参照して、当業者は、特定の配列(例えば、AVE0010又はエキセンジン−4の配列)に関連する、本明細書において指定される位置を他の配列へ容易に変換することができる。
【0067】
エキセンジン−3又は/及びエキセンジン−4のアナログ及び誘導体は、特に、修飾アミノ酸配列を含有する。例えば、単一のアミノ酸が欠失され得る(例えば、エキセンジン−4中のdesPro36、desPro37、desAsp28、desMet(O)14、及びエキセンジン−3中の対応の位置)。同様に、単一の位置が置換され得(例えば、エキセンジン−4中のMet(O)14、Trp(O2)25、IsoAsp28、Asp28Pro38、及びエキセンジン−3中の対応の位置)、この場合、非天然アミノ酸、例えば、Met(O)(メチオニンスルホキシド又はメチオニンスルホン)、Trp(O2)(N−ホルミルキヌレニン)、又は/及びIsoAsp(β−アスパルテート又はイソアスパルテート)も使用され得る。非天然アミノ酸は、配列中へ、対応のアミノ酸構築ブロックの形態で、容易に挿入され得る。
【0068】
さらに、C末端又は/及びN末端は、例えば、−(Lys)−、−(Lys)2−、−(Lys)3−、−(Lys)4−、−(Lys)5−、−(Lys)6−、−Asn−(Glu)5−などの追加の配列によって修飾され得、この場合、−(Lys)4−、−(Lys)5−、−(Lys)6−、−Asn−(Glu)5−が好ましい。C末端のカルボキシル基は、好ましくはアミド基(−NH2)へ修飾される。場合によりC末端又は/及びN末端の修飾は、合成の完了後のさらなる工程として行われる。
【0069】
薬学的に許容される塩は、本発明に従う方法の合成サイクルの完了後のさらなる工程において製造され得る。ペプチドの薬学的に許容される塩の製造は当業者に公知である。好ましい薬学的に許容される塩は酢酸塩である。
【0070】
GLP−1アゴニストは、好ましくは、エキセンジン−4、エキセンジン−4のアナログ及び誘導体、並びにその薬理学的に許容される塩からなる群より選択される。
【0071】
さらなる好ましいGLP−1アゴニストは、以下からなる群より選択されるエキセンジン−4のアナログである:
H−desPro36−エキセンジン−4−Lys6−NH2,
H−des(Pro36,37)−エキセンジン−4−Lys4−NH2,
H−des(Pro36,37)−エキセンジン−4−Lys5−NH2
及びその薬理学的に許容される塩。
【0072】
さらなる好ましいGLP−1アゴニストは、以下からなる群より選択されるエキセンジン−4のアナログである:
desPro36[Asp28]エキセンジン−4 (1−39),
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4 (1−39),
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4 (1−39),
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4 (1−39),
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−2 (1−39),
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−2 (1−39),
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4 (1−39),
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)
及びその薬理学的に許容される塩。
【0073】
さらなる好ましいGLP−1アゴニストは、ペプチド−Lys6−NH2がエキセンジン−4のアナログのC末端へ結合されている、前段落に記載される群より選択されるエキセンジン−4のアナログである。
【0074】
さらなる好ましいGLP−1アゴニストは、以下からなる群より選択されるエキセンジン−4のアナログである:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2,
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2,
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2,
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2,
des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38 [Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2,
desMet(O)14 Asp28 Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14, Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2,
desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
及びその薬理学的に許容される塩。
【0075】
同様に、GLP−1アゴニストは、GLP−1並びにGLP−1のアナログ及び誘導体からなる群より選択され得る。さらなる好ましいGLP−1アゴニストは、Arg34,Lys26(Nε(γ−グルタミル(Nα−ヘキサデカノイル)))GLP−1(7−37)[リラグルチド]及びその薬理学的に許容される塩からなる群より選択される。
【0076】
さらなる好ましいGLP−1アゴニストはAVE0010である。AVE0010は、配列desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(配列番号1)を有する。同様に、AVE0010の薬理学的に許容される塩が好ましい。
【0077】
GLP−1アゴニスト、例えばAVE0010は、特に、0.01mg/ml〜0.5mg/ml又は0.05mg/ml〜1.5mg/mlの範囲の量で使用される。
【0078】
本出願において、用語「インスリン」は、未修飾インスリンだけでなく、インスリンアナログ、インスリン誘導体、及びインスリン代謝産物をも包含する。本発明に従う組成物は、インスリン(例えば、未修飾 インスリン)、インスリンアナログ、インスリン誘導体、及びインスリン代謝産物、並びにそれらの任意の所望の組み合わせからなる群より独立して選択される1つ又はそれ以上を含む。
【0079】
少なくとも1つのインスリンは、ウシインスリン、そのアナログ、誘導体及び代謝産物、ブタインスリン、そのアナログ、誘導体及び代謝産物、並びにヒトインスリン、そのアナログ、誘導体及び代謝産物からなる群より独立して選択され得る。好ましくは、少なくとも1つのインスリンは、ヒトインスリン、そのアナログ、誘導体及び代謝産物より独立して選択される。
【0080】
さらに、本発明に従うインスリンは、未修飾インスリンより、特にウシインスリン、ブタインスリン、及びヒトインスリンより独立して選択され得る。
【0081】
少なくとも1つのインスリンは、ウシインスリン、ブタインスリン、及びヒトインスリンからなる群より独立して選択され得る。より好ましくは、少なくとも1つのインスリンは、ヒトインスリンより独立して選択される。本発明に従うインスリンは、未修飾インスリンより、特にウシインスリン、ブタインスリン、及びヒトインスリンより選択され得る。
【0082】
本発明に従うインスリン誘導体は、化学修飾によって得られる、天然のインスリン及び/又はインスリンアナログの誘導体である。化学修飾は、例えば、1つ又はそれ以上のアミノ酸上への1つ又はそれ以上の定義される化学基の付加を含み得る。
【0083】
EP 0 214 826(特許文献7)、EP 0 375 437(特許文献8)、EP 0 678 522(特許文献9)、EP 0 419 504(特許文献10)、WO 92/00321(特許文献11)、EP−A 0 368 187(特許文献12)、及びWO2009/063072に記載されるインスリンアナログは、本発明に従う組成物の部分であり得る。文献EP 0 214 826(特許文献7)、EP 0 375 437(特許文献8)、EP 0 678 522(特許文献9)、EP 0 419 504(特許文献10)、WO 92/00321(特許文献11)、EP−A 0 368 187(特許文献12)、及びWO 2009/063072は、参照により本明細書に含まれる。
【0084】
本発明に従うある好ましいインスリンアナログは、Gly(A21)−Arg(B31)−Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン)、Lys(B3)−Glu(B29)ヒトインスリン;LysB28ProB29ヒトインスリン(インスリンリスプロ)、B28 Aspヒトインスリン(インスリンアスパルト)、B28位のプロリンがAsp、Lys、Leu、Val又はAlaによって置換されており、B29位のLysがProによって置換されていてもよいヒトインスリン;AlaB26ヒトインスリン;des(B28−B30)ヒトインスリン;des(B27)ヒトインスリン又はB29Lys(ε−テトラデカノイル),des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル)、NεB29−テトラデカノイルdes(B30)ヒトインスリン、NεB29−(Nα−(HOOC(CH2)14CO)−γ−Glu) desB30ヒトインスリン、LysB29(Nεリトコリル−γ−Glu)−des(B30)ヒトインスリン、NεB29−ω−カルボキシペンタデカノイル−γ−L−グルタミルアミド(glutaylamide)desB30ヒトインスリン、及びNεB29−ω−カルボキシペンタデカノイル−γ−アミノ−ブタノイルdes(B30)ヒトインスリンからなる群より選択され得る。
【0085】
本発明に従う好ましいインスリン誘導体は、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン、B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン、B29−N−ミリストイルヒトインスリン、B29−N−パルミトイルヒトインスリン、B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン、B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン、B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン、B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン、B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン、B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン、B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイルdes(B30)ヒトインスリン、NεB29−(Nα−(HOOC(CH2)14CO)−γ−Glu) des B30ヒトインスリン、LysB29(Nεリトコリル−γ−Glu)−des(B30)ヒトインスリン、NεB29−ω−カルボキシペンタデカノイル−γ−L−グルタイルアミドdesB30ヒトインスリン、及びNεB29−ω−カルボキシペンタデカノイル−γ−アミノ−ブタノイルdes(B30)ヒトインスリンからなる群より選択され得る。
【0086】
本発明に従うより非常に好ましいインスリン誘導体は、Gly(A21)−Arg(B31)−Arg(B32)ヒトインスリン、LysB28ProB29ヒトインスリン(インスリンリスプロ)、B28 Aspヒトインスリン(インスリンアスパルト)、B29Lys(ε−テトラデカノイル),desB30ヒトインスリン(インスリンデテミル)からなる群より選択される。
【0087】
本発明に従う組成物は、本明細書に定義されるインスリンを60〜6000nmol/ml、好ましくは240〜3000nmol/ml含有する。使用されるインスリンに応じて、240〜3000nmol/mlの濃度は、約1.4〜35mg/ml又は40〜500単位/mlの濃度に対応する。
【0088】
本発明は、特に好ましくは、LysB28ProB29ヒトインスリン(インスリンリスプロ)、B28Aspヒトインスリン(インスリンアスパルト)、B29Lys(ε−テトラデカノイル),desB30ヒトインスリン(インスリンデテミル)、及びインスリングラルギン(Gly(A21)−Arg(B31)−Arg(B32)ヒトインスリン)より独立して選択される少なくとも1つのインスリンを含み、かつ、AVE0010及び/又はその薬理学的に許容される塩を含む、本明細書に記載の組成物を提供する。本発明は、さらに特に好ましくは、インスリングラルギン(Gly(A21)−Arg(B31)−Arg(B32)ヒトインスリン)及びAVE0010(desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2)及び/又はその薬理学的に許容される塩を含む、本明細書に記載の組成物を提供する。これらの特に好ましい組成物は、好ましくは、酸性pH 1〜6.8、より好ましくはpH 3.5〜6.8、なおより好ましくはpH 3.5〜4.5の酸性を有する。
【0089】
特定の実施態様において、本発明に従う製剤は、下記の成分を含む:
(a) desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
(b) Gly(A21)−Arg(B31)−Arg(B32)ヒトインスリン、
(c) 塩化亜鉛、
(d) m−クレゾール、
(e) L−メチオニン、
(f) グリセリン、
(g) pH約4.5への調整が必要である場合、塩酸、
(h) pH約4.5への調整が必要である場合、NaOH溶液、及び
(i) 水。
【0090】
特に、本発明に従う製剤は、(a)〜(i)に記載の成分からなる。場合により、m−クレゾールは省かれ得る。従って、本発明に従う製剤は、その場合、成分(a)〜(c)及び(e)〜(i)からなる。
【0091】
本発明は、さらに、本発明に従う少なくとも2つの製剤の組み合わせを提供する。この場合、各々がインスリン及びGLP−1アゴニストを含む、第1及び第2組成物、及び場合により少なくとも1つのさらなる薬学的組成物が提供される。
【0092】
従って、本発明は、第1の薬学的組成物及び第2の薬学的組成物、及び場合により少なくとも1つのさらなる薬学的組成物を含む組み合わせであって、各々が、少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含み、かつ、組成物の総質量に対して異なる質量分率で少なくとも1つのインスリン及び/又は少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含有する、組み合わせを提供する。
【0093】
本出願において、「場合により、少なくとも1つのさらなる薬学的組成物」は、本発明に従う組み合わせが、第1及び第2の薬学的組成物に加えて、少なくとも1つのさらなる薬学的組成物を含み得ることを意味する。従って、本発明に従う組み合わせは、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上の本発明に従う薬学的組成物を含み得る。
【0094】
好ましい組み合わせは、本発明に従う第1及び第2の薬学的組成物を含むものである。
【0095】
同様に好ましいのは、本発明に従う第1、第2及び第3の薬学的組成物を含む組み合わせである。
【0096】
同様に好ましいのは、本発明に従う第1、第2、第3及び第4の薬学的組成物を含む組み合わせである。
【0097】
同様に好ましいのは、第1、第2、第3、第4及び第5の薬学的組成物を含む組み合わせである。
【0098】
薬学的組成物が、質量分率に基づいて、異なる比のインスリン対GLP−1アゴニストを含有するように、少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストの質量分率は、第1の薬学的組成物、第2の薬学的組成物、及び、使用される場合、少なくとも1つのさらなる薬学的組成物中において選択され得る。
【0099】
この場合、第1組成物は最小の比を含み得、第2組成物は次のより大きな比を含み得る。少なくとも1つのさらなる組成物が存在する場合、それは次のより大きな比を含み得る。さらなる組成物が同様に存在する場合、それは、順に、次のより大きな比を含み得る。従って、組成物は、第1から第2及び、使用される場合、さらなる組成物へ増加する、質量分率に基づく、インスリン対GLP−1アゴニストの比を含み得る。
【0100】
第1の薬学的組成物、第2の薬学的組成物、及び、使用される場合、少なくとも1つのさらなる薬学的組成物中の、2つの有効成分のうちの一方の、即ち、少なくとも1つのインスリンの又は少なくとも1つのGLP−1アゴニストの質量分率は、第1、第2及び/又は少なくとも1つのさらなる組成物の規定の体積を投与することによってこの有効成分の所定の用量が投与され得るように、各場合において、好ましくは選択される。特に好ましくは、この有効成分は、少なくとも1つのインスリンである。
【0101】
第1の薬学的組成物、第2の薬学的組成物、及び、使用される場合、少なくとも1つのさらなる薬学的組成物中の、2つの有効成分のうちの他方の、即ち、少なくとも1つのインスリンの又は少なくとも1つのGLP−1アゴニストの質量分率は、質量分率に基づく、インスリン対GLP−1アゴニストの比が、第1から第2及び、使用される場合、さらなる組成物へ増加するように、好ましくは選択される。特に好ましくは、この有効成分は、少なくとも1つのGLP−1アゴニストである。
【0102】
さらに、薬学的組成物中の2つの有効成分のうちの他方の質量分率は、投与される2つの有効成分のうちの第1の用量及び投与される第2有効成分の用量が規定の体積で提供されるように薬学的組成物のうちの一方が選択され得るように、決定される。従って、所望の比を含む薬学的組成物が選択される。
【0103】
理論的には、各患者についての両方の有効成分についての、要求に適合された、最適な投薬量を得るために、少なくとも1つのインスリン対少なくとも1つのGLP−1アゴニストの質量分率の各個々の治療的に望ましい比についての薬学的組成物を提供することが可能である。
【0104】
本発明において、薬学的組成物の特定の数は、2つの有効成分について実際に必要とされる投薬量をカバーするために十分である。各患者について、定義される投薬量範囲は、2つの有効成分の各々についての治療的に合理的な間隔内に定義される。投与される用量は、これによって、過剰投与又は過少投与無しに、特定の患者について本質的にこの投薬量範囲内で変動すべきである。
【0105】
個々の患者に合わせられ正確に投薬されなければならないのは、主にインスリンの量であるので、GLP−1アゴニストの濃度範囲は、少なくとも1つのインスリン対少なくとも1つのGLP−1アゴニストの所望の比を含む本発明に従う薬学的組成物が、GLP−1アゴニストの関連の相乗的な量と同時にインスリン用量の治療域をカバーすることを可能にする。あらゆる所望のインスリン用量が、所望の範囲内、例えば相乗的な範囲内にある少なくとも1つのGLP−1アゴニストのその対応の用量を有するように、比は選択され得る。上記に記載したように、医薬品の第1、第2、及び、使用される場合、少なくとも1つのさらなる組成物の比はまた、比が第1から第2及び、使用される場合、少なくとも1つのさらなる組成物へ増加するように、選択され得る。組成物の(例えば、第1組成物の)所望のインスリン用量でのGLP−1アゴニストの用量がGLP−1アゴニストの所望の投薬量範囲外である(一般的に、超える)場合、少なくとも1つのインスリン対少なくとも1つのGLP−1アゴニストのより大きな比を有する次の組成物(例えば、第2組成物)又はさらなる組成物が、使用について選択され、ここで、所望のインスリン用量でのGLP−1アゴニストの量は、所望の範囲内にある。組み合わせの第1、第2、及び、使用される場合、少なくとも1つのさらなる組成物の比は、少なくとも1つのGLP−1アゴニストの所望の投薬量に対応するインスリン投薬量の範囲が、互いに接する及び/又は互いに重複するように、さらに選択され得る。好ましくは、範囲は重複する。重複は、特に、少なくとも1つのインスリンの所望の用量で、所望の投薬量範囲内にある量の少なくとも1つのGLP−1アゴニストを各々含有する、少なくとも2つの組成物を選択することが可能であることを意味する。
【0106】
例えば、3つの組成物は、個々の患者についての少なくとも1つのインスリンの用量をインスリンの15〜80単位の範囲より選択されるレベルへ調整し、同時に、10〜20μgの範囲内の量でGLP−1アゴニストを投薬するに十分である(図4を参照のこと)。
【0107】
GLP−1アゴニストの各所望の投薬量について、所望の範囲内にある対応の投薬量の少なくとも1つのインスリンが存在するように、比が選択される、本発明に従う組み合わせを提供することも可能である。医薬品の第1、第2、及び、使用される場合、少なくとも1つのさらなる組成物の比はまた、少なくとも1つのインスリンの所望の投薬量に対応するGLP−1アゴニストの投薬量の範囲が、互いに接する及び/又は互いに重複するように、選択され得る。好ましくは、範囲は重複する。この文脈における重複は、特に、少なくとも1つのGLP−1アゴニストの所望の投薬量で、所望の投薬量範囲内にある量の少なくとも1つのインスリンを各々含有する、少なくとも2つの組成物を選択することが可能であることを意味する。
【0108】
好ましくは、本発明に従う組み合わせは、10以下の上記に定義される薬学的組成物、より好ましくは5以下の、4以下の、3又は2以下の薬学的組成物を含有する。
【0109】
本発明に従う組成物は、少なくとも1つのGLP−1アゴニストを、各場合において、同一又は異なる質量分率で含有し得る。例えば、少なくとも2つの本発明に従う組成物は、少なくとも1つのGLP−1アゴニストを実質的に同一の質量分率で含有し得る。
【0110】
第1、第2、及び、使用される場合、さらなる組成物が、少なくとも1つのGLP−1アゴニストを実質的に同一の質量分率で、及び少なくとも1つのインスリンを異なる質量分率で含有することが、好ましい。
【0111】
しかし、本発明に従う組成物はまた、各場合において、少なくとも1つのインスリンを同一又は異なる質量分率で含有し得る。例えば、少なくとも2つの本発明に従う組成物は、少なくとも1つのインスリンを実質的に同一の質量分率で含有し得る。
【0112】
第1、第2、及び、使用される場合、さらなる組成物が、少なくとも1つのインスリンを実質的に同一の質量分率で、及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストを異なる質量分率で含有することが、特に好ましい。
【0113】
本発明に従う第1の好ましい組成物は、以下を含む:
(a) AVE0010 約0.025mg
(b) インスリングラルギン 約3.64mg
(c) 塩化亜鉛 約0.06mg
(d) 85%グリセリン 約20.0mg
(e) m−クレゾール 約2.7mg
(f) L−メチオニン 約3.0mg
(g) NaOH 適量 pH 4.5
(h) HCl, 36% 適量 pH 4.5
(i) 水 1mLまで(ad)。
【0114】
本発明に従う第2の好ましい組成物は、以下を含む:
(a) AVE0010 約0.04mg
(b) インスリングラルギン 約3.64mg
(c) 塩化亜鉛 約0.06mg
(d) 85%グリセリン 約20.0mg
(e) m−クレゾール 約2.7mg
(f) L−メチオニン 約3.0mg
(g) NaOH 適量 pH 4.5
(h) HCl, 36% 適量 pH 4.5
(i) 水 1mLまで。
【0115】
本発明に従う第3の好ましい組成物は、以下を含む:
(a) AVE0010 約0.066mg
(b) インスリングラルギン 約3.64mg
(c) 塩化亜鉛 約0.06mg
(d) 85%グリセリン 約20.0mg
(e) m−クレゾール 約2.7mg
(f) L−メチオニン 約3.0mg
(g) NaOH 適量 pH 4.5
(h) HCl, 36% 適量 pH 4.5
(i) 水 1mLまで。
【0116】
本発明に従う第4の好ましい組成物は、以下を含む:
(a) AVE0010 約0.1mg
(b) インスリングラルギン 約3.64mg
(c) 塩化亜鉛 約0.06mg
(d) 85%グリセリン 約20.0mg
(e) m−クレゾール 約2.7mg
(f) L−メチオニン 約3.0mg
(g) NaOH 適量 pH 4.5
(h) HCl, 36% 適量 pH 4.5
(i) 水 1mLまで。
【0117】
特に好ましいのは、記載される第1、第2、第3及び第4の好ましい組成物のうちの少なくとも2、3又は4つを含む組み合わせである。
【0118】
本出願において、「約」は、成分が、例えば、本発明に従う組成物又は/及び組み合わせにおいて指定された値の±10、±20、又は±30%の範囲内で存在し得ることを意味し;好ましいのは±10である。
【0119】
本発明に従う組成物又は組み合わせが1を超えるインスリンを含む場合、これらのインスリンは互いに独立して選択される。
【0120】
本発明に従う組成物又は組み合わせが1を超えるGLP−1アゴニストを含む場合、これらのGLP−1アゴニストは互いに独立して選択される。
【0121】
本発明に従う組み合わせは、特に医薬品として提供される。
【0122】
本発明は、さらに、少なくとも1つの、4以下の、本発明に従う組成物、及びまた、場合により、ランタス(登録商標)を含む本発明に従う組み合わせを含むキットを提供する。本発明に従うキットは、医療スタッフによる又は専門家医学訓練を受けていない人による、特に、患者自身又は親戚などの補助者による、使用に意図され得る。本発明に従うキットにおいて、本発明に従う組み合わせを構成する個々の薬学的組成物は、別個のパックで集められており、従って、患者は、現在の要求に適切な組成物を選択し、その要求と一致する量を投与することができる。本発明に従うキットは、例えば、場合によりランタス(登録商標)の組成物と組み合わせて、少なくとも1つの本発明に従う組成物を含有する、注射器、ガラスアンプル、及び/又はペンのセットの形態の本発明に従う組み合わせを含む。
【0123】
適切なパッケージングは、適切なクロージャーを有する注射器又はガラス容器であり、ここから、個々の治療有効量が必要に応じて取り出され得る。等しく適切であるのは、インスリンを投与するための注射ペンであり;このようなペンは、本発明に従う薬学的組成物を含有する容器(例えば、カートリッジ)を含む。
【0124】
特に、本発明に従うキットは、2つの別個の容器からなる注射ペンであり、ここから、各場合において、個々の治療用量が必要に応じて取り出され得る。同様に、キットは、2つの容器からなる注射器であり、ここで、第2の容器はリザーバー注射針として備えられている。
【0125】
本発明において、キットは、好ましくは、水中にpH 4.5でGLP−1アゴニスト、インスリン、グリセリン、塩化亜鉛、場合によりm−クレゾール、L−メチオニンを含む第1製剤と、水中にpH 4.5でインスリン、グリセリン、塩化亜鉛、及びm−クレゾールを好ましくは含む第2製剤との組み合わせからなる。
【0126】
第1製剤は、好ましくは下記の組成を有し得る:
(a) AVE0010 約0.4mg又は約0.8mg
(b) インスリングラルギン 約3.64mg
(c) 塩化亜鉛 約0.06mg
(d) 85%グリセリン 約20.0mg
(e) m−クレゾール 0.0mg又は約2.7mg
(f) L−メチオニン 約3.0mg
(g) NaOH 適量 pH 4.5
(h) HCl, 36% 適量 pH 4.5
(i) 水 1mlまで。
【0127】
第2製剤は、好ましくは下記の組成を有し得る:
(a) インスリングラルギン 約3.64mg
(b) 塩化亜鉛 約0.06mg
(c) 85%グリセリン 約20.0mg
(d) m−クレゾール 約2.7mg
(e) NaOH 適量 pH 4.5
(f) HCl, 36 % 適量 pH 4.5
(g) 水 1mlまで。
【0128】
本発明は、さらに、組成物を患者に投与する工程を含む、本発明に従う組成物で患者を治療するための方法を提供する。
【0129】
本発明は、さらにまた、本発明に従う組み合わせで又は本明細書に記載のキットで患者を治療するための方法を提供する。特に、この方法は、第1の薬学的組成物及び第2の薬学的組成物、及び場合により少なくとも1つのさらなる薬学的組成物を含む本発明に従う組み合わせの投与を含み、各々が、少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含み、かつ、少なくとも1つのインスリン及び/又は少なくとも1つのGLP−1アゴニストを、組成物の総質量に対して異なる質量分率で含み、該方法は、以下を含む:
(a) 投与される少なくとも1つのインスリンの用量を選択する工程、
(b) 投与される少なくとも1つのGLP−1アゴニストの用量を選択する工程、
(c) (a)及び(b)からの用量が同一の体積で存在するような濃度で(a)及び(b)からの用量を含む医薬品の第1、第2、及び、使用される場合、少なくとも1つのさらなる組成物から組成物を選択する工程、並びに
(d) (a)及び(b)からの用量に対応する量を決定及び投与する工程。
【0130】
工程(a)及び/又は工程(b)に従う用量は、患者の個々の要求に従って決定される。
【0131】
本発明に従う治療法の工程(c)は、表を参照することによって行われ得る。この表は、本発明に従う組み合わせの、本発明に従う医薬品の、又は本発明に従うキットの、部分であり得る。実施例2は、本発明に従う表の例を含む。
【0132】
本発明に従う組成物、本発明に従う組み合わせ、本発明に従う医薬品、又は/及び本発明に従うキットは、特に、糖尿病の治療、特にI型又はII型糖尿病の治療に意図される。さらなる可能性のある適応症は、糖尿病に関連する症状である。好ましくは、本発明に従う組成物は、空腹時、食後又は/及び吸収後の血漿グルコース濃度をコントロールするために、耐糖能を改善するために、低血糖症を予防するために、膵臓のβ細胞の機能低下を予防するために、体重減少をもたらすために、又は/及び体重増加を予防するために使用される。
【0133】
本発明は、さらに、本明細書に記載されるような、糖尿病、特にI型又はII型、又は/及びそれに関連する症状を治療するための医薬品の製造における本発明に従う組成物、本発明に従う組み合わせ、又は本発明に従うキットの使用を提供する。
【0134】
本発明は、さらに、GLP−1アゴニスト又は/及びその薬理学的に許容される塩をインスリン又は/及びその薬学的に許容される塩、メチオニン、及び場合により少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤と共に製剤化する工程を含む、本発明に従う組成物、本発明に従う組み合わせ、又は/及び本発明に従うキットを製造するための方法を提供する。
【0135】
本発明は、さらに、GLP−1アゴニスト又は/及びその薬理学的に許容される塩をメチオニン、及び場合により少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤と共に製剤化する工程を含む、本発明に従う組成物を製造するため方法を提供する。
【0136】
本発明は、さらに、特にメトホルミン、インスリングラルギン、又はAVE0010を投与するためのアドオン療法における、メトホルミン、インスリングラルギン、又はAVE0010の投与と併用の本発明に従う組成物の使用を提供する。
【0137】
特に、組成物は、des Pro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)及び/又はその薬理学的に許容される塩、インスリングラルギン及び/又はその薬理学的に許容される塩を含む。
【0138】
特に好ましいのは、インスリングラルギン及び/又はAVE0010で十分にコントロールされ得ないII型糖尿病患者における好ましい組成物のアドオン療法である。50歳より若い及び/又は少なくとも30の体格指数を有する患者も意図される。
【0139】
本発明において、アドオン療法は、特に、メトホルミン、AVE0010、及び/又はインスリングラルギンへのサプリメントとしての本発明に従う組成物でのII型糖尿病の治療を含む。本発明に従う組成物は、24時間の時間間隔(1日1回の投薬)で加えられ得る。メトホルミン、インスリングラルギン、及びAVE0010は、異なる投与経路によって投与され得る。メトホルミンは経口投与され得、AVE0010及びインスリングラルギンは、各場合において、皮下投与され得る。
【0140】
本発明に従うアドオン療法で治療患者は、7%〜10%の範囲内のHbA1c値を有し得る。それらは、好ましくは、18〜50歳の年齢範囲内にある。
【0141】
本発明に従うアドオン療法における使用は、特に、II型糖尿病がメトホルミン、AVE0010、又はインスリングラルギン単独では十分にコントロールされ得ない患者に適用可能である。療法は、インスリングラルギン又はAVE0010による不十分なコントロールの場合に好ましい。
【0142】
本発明は、さらに、インスリングラルギン及びAVE0010の適用が示される場合のII型糖尿病患者の血糖値をコントロールするための食事へのサプリメントとしての本発明に従う組成物の使用を提供する。
【0143】
特に、メトホルミンは以下のように投与される:3ヶ月間、少なくとも1.0g/日、好ましくは少なくとも1.5g/日。
【0144】
本発明を下記の図及び実施例によってさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】保存の開始と比べての異なる温度での1ヶ月間の保存後のAVE0010中の酸化メチオニンMet(ox)の含有量を示す。フレームは、AVE0010リファレンス製剤番号1及び2についての値を示している。
【図2】保存の開始と比べての異なる温度での1ヶ月間の保存後のMet(ox)を含まないAVE0010の不純物の含有量を示す。フレームは、25℃及び40℃でのAVE0010リファレンス製剤の値を示す。
【図3】保存の開始と比べての異なる温度での1ヶ月間の保存後のインスリングラルギンの不純物の含有量を示す。幅の狭いフレームは、25℃及び40℃でのインスリングラルギンリファレンス製剤の値を示す。幅の広いフレームは、AVE0010不純物の最も低いフラクションを有する製剤を示す。
【図4】「3ペンズ・カバー・オール」概念。
【実施例】
【0146】
実施例1
1.研究の目的
GLP−1アゴニスト(AVE0010)及びインスリン(インスリングラルギン、ランタス)を含む組成物の物理的及び化学的安定性を試験した。
【0147】
2.使用した製剤
試験した製剤について、物質を下記の濃度/量で使用した:
【表1】

【0148】
ファクターが製剤の成分と共に記載される場合(例えば、1/2酢酸塩、5xリジン、2xランタス、及び3xランタスにおけるような、1/2、1/4、2x、3x、5x)、関係する物質の濃度を、ファクターに応じて減少した又は増加した濃度で使用した。
【0149】
3.試験法
3.1 物理的安定性
3.1.1 THT試験
チオフラビンT(THT)は、タンパク質フィブリルに特異的に結合し、これはTHT蛍光の変化をもたらす。THTはAVE0010又はインスリンへ結合しない。フィブリル形成の動態は、蛍光の変化としてTHTの存在下で測定され得る。蛍光の増加はフィブリル形成に対応する。曲線の形状は、フィブリルを形成する製剤の傾向についての結論を可能にする。
【0150】
蛍光測定をTecan Infinite 200蛍光測定機器において行った。フィブリル化動態の分析のために、Photomed FluoDia 770高温蛍光マイクロプレートリーダーを使用した。チオフラビンT蛍光スペクトルを23℃でTecan Infinite 200蛍光測定機器を用いて行った。インスリン(900μl)をチオフラビンT 10μl(H2O中1mM)と混合した。次いで、混合物をBiozym製のブラックV字形96−ウェルプレートへ配置した(100μl/ウェル)。室温にて100のゲイン、200μsの積分時間及び25の読み取りで、450nmで励起後、蛍光の発光を470〜600nm(1nmずつ増加)で測定した。
【0151】
チオフラビンTの結合動態をPhotomed FluoDia 770高温蛍光マイクロプレートリーダーにおいて測定した。機器は、励起のための50Wクオーツハロゲンランプ、各々4フィルターセットまで含み得る励起及び発光のためのフィルターホイール、並びにPMT検出器から本質的になった。96−ウェルプレートについての加熱プレートは、温度に関して非常に高い精度を可能にした(±0.3℃よりも良好)。
【0152】
チオフラビンTの溶液(10μl)(超純水中10.1mM)を製剤1mlへ添加し、数回小さなチューブを逆さにすることによって穏やかに混合した。次いで、混合物をBiozym製のブラックV字形96−ウェルプレート(100μl/ウェル、8ウェル/サンプル)へ配置した。全ての測定を下記のパラメータを用いて行った:
サイクル数: 181
励起フィルター: 450nm
間隔: 1分
発光フィルター: 486nm
積分時間: 20ms
温度コントロール: 標準温度コントロールモード
平均化数: 4
標的温度: 70℃
減衰: 4。
【0153】
蛍光平均値を8つのパラレルな測定から決定した。
【0154】
3.2 化学的安定性
作製後(t0)又は4℃、25℃(60%相対湿度)、及び40℃(75%相対湿度)で1ヶ月間の保存後、製剤の化学的安定性を試験した。100%ピーク面積法を使用して、Water Systems製のHPLC機器(モデル:alliance)において測定を行った。分離のために、移動相として0.1% TFA及びアセトニトリルの勾配、及び固定相としてC18逆相カラム(Jupiter)を使用した。分析のために、製剤を酢酸亜鉛溶液で処理し、これはインスリングラルギンの沈殿をもたらした。沈澱物を遠心分離し、上澄みのみを分析した。
【0155】
インスリングラルギンの不純物:100%ピーク面積法を使用して、不純物の量をHPLC(Water Systems)で測定した。分離のために、NaCl及びアセトニトリル勾配を有するリン酸ナトリウム緩衝液(pH 2.5)を移動相として使用した。C18逆相カラム(Supersher)を固定相として使用した。
【0156】
4.物理的安定性についての実験データの概要
【表2】

【0157】
【表3】

【0158】
【表4】

【0159】
5.THT試験
メチオニンは、フィブリルを形成する傾向に対して影響を有しなかった。
【表5】

【0160】
製剤は、リファレンス製剤(番号2及び4)と同様の蛍光値を有した。約6000未満の値では、フィブリルを形成する傾向は存在しなかった。
【0161】
AVE0010、ランタス及びメチオニンをpH 4でポリソルベート20有り又は無しで酢酸緩衝剤と組み合わせると、フィブリルを形成するより大きな傾向があった:
【表6】

【0162】
製剤13及び14についての値は、フィブリルを形成する傾向についての閾値を明らかに超えていた。
【0163】
6.1 概要
ポリソルベート20及びポリソルベート80は濁度をもたらし得、これは複屈折試験において検出可能であった。従って、これらの物質は両方とも、AVE0010及びインスリンの製剤の物理的不安定性をもたすことができた。メチオニンの添加は物理的不安定性をもたらさなかった。
【0164】
7.化学的安定性
7.1 時点t0での安定性
【0165】
メチオニンを含む製剤(酢酸ナトリウム有り又は無し)は、最少量の不純物を有した(全体で、約1.2〜1.5%)。下記の製剤は少量の不純物を有した:
【表7】

【0166】
メチオニンを含まなかった製剤は、より高いフラクションの不純物を示した。
【0167】
ポリソルベート20は、製剤の化学的安定性に対して負の影響を有しなかった。
【0168】
酢酸緩衝剤は、メチオニン及びポリソルベート20と組み合わされた場合、化学的安定性に対して負の影響を有さなかった。
【0169】
リジンが製剤中に存在する場合、不純物の合計はより大きかった。同一のことが、ポリソルベート80、ポロキサマー188、及び塩化ベンザルコニウムを含む製剤について当てはまった。インスリングラルギンの不純物の測定によって、全ての製剤が同等の量の不純物(0.3〜0.4%)を有したことが明らかとなった。
【0170】
7.2 1ヶ月後の安定性
7.2.1 AVE0010の不純物
製剤中の酸化メチオニンの含有量を分析した。AVE0010の配列は、14位に1つのメチオニン残基を有する。インスリングラルギンの配列は、メチオニン残基を有さない。従って、酸化メチオニンの含有量は、メチオニン残基でのAVE0010の酸化を示す。データを図1に要約する。全体として、データは、pH 4.5でメチオニン無しでは、Met(ox)のフラクションはpH 4.0の場合よりも高かったことを示している。製剤の成分としてメチオニンが含まれなかった場合、Met(ox)のフラクションは、インスリングラルギンの含有量が増やされたか又はAVE0010の含有量が減らされた場合に、最も大きかった。
【0171】
一般的に、Met(ox)の最も大きなフラクションが、40℃/75%相対湿度での保存後に測定された。ここで、Met(ox)−AVE0010の最も低いフラクション(<1%)が、製剤8、9、11、13、14、25、26、28、30、及び31において見られた。これらの製剤の値は、AVE0010リファレンス製剤番号1及び2についての値の範囲内にあった(図1中のフレーム)。
【0172】
Met(ox)を含まない1ヶ月後のAVE0010の不純物を図2に示す。フレームは、25℃及び40℃でのAVE0010リファレンス製剤の値を示している。AVE0010リファレンス製剤と比べて同一の又はよりよい不純物値を有する製剤は、フレーム内又はフレームより下にある。これは、製剤24、25、26、28、29、30、31、33、及び34(40℃)について当てはまった。AVE0010リファレンス製剤の不純物値を超える不純物値は、インスリングラルギンの不純物を示す。一般的に、pH 4.5を有する製剤は、pH 4.0の場合よりも少ない不純物を有した。
【0173】
下記の製剤は、40℃で1ヶ月間の保存後、最も少ない含有量のMet(ox)及び、同時に、最も少ない含有量の他の不純物を有した(図1及び2の比較)。それらは、AVE0010リファレンス製剤よりもよいか又はAVE0010リファレンス製剤と同一であった:
【表8】

【0174】
これらの製剤はまた、時点t0で最少量のAVE0010不純物を有した製剤に属した。全ての製剤がメチオニンを含んだ。ポリソルベート20は、不純物に対して負の影響を有しなかった。
【0175】
インスリングラルギンの不純物を図3に示す。製剤3及び4は、インスリングラルギンについてのリファレンス製剤である。これらの製剤の値は、幅の狭いフレームとして示されている。AVE0010不純物に関して最良の製剤として同定された全ての製剤(幅の広いフレーム、特に製剤25、26、28、及び30)は、インスリングラルギン不純物に関して、インスリングラルギンリファレンス製剤よりも良かった(40℃で約1.5〜2.4%)。
【0176】
従って、メチオニンはインスリン(例えば、ランタス)及びGLP−1アゴニスト(例えば、AVE0010)を含む組成物の保存安定性を増加させることが、この実験から推定され得る。メチオニンの添加は、この組成物の化学的完全性を生じさせた。
【0177】
8.結論
本明細書に記載のデータは下記の結論を導いた:
・メチオニンは、化学的安定性の増加をもたらし、GLP−1アゴニスト、特にAVE0010、及びインスリン、特にランタスの組み合わせの製剤の物理的安定性に対して負の影響を有さない。従って、メチオニンはこれらの組成物の成分として有利である。
【0178】
・酢酸塩は物理的不安定性をもたらし得る。この不安定性は、酢酸塩濃度が増加するにつれてより大きくなる。従って、酢酸塩を含まない、GLP−1アゴニスト、特にAVE0010、及びインスリン、特にランタスの組み合わせの製剤は、酢酸塩を含む対応の組成物と比較して有利である。
【0179】
・ポリソルベート20は、GLP−1アゴニスト、特にAVE0010、及びインスリン、特にランタスの組み合わせの製剤の物理的及び化学的安定性に対して負の影響を有さない。より低い濃度での酢酸塩(1/2酢酸塩)とポリソルベート20とを組み合わせることによって、酢酸塩の負の影響は部分的に相殺され得る。酢酸塩を含まない組成物において、ポリソルベート20の添加は利益をもたらさない。従って、ポリソルベート20を含まない、GLP−1アゴニスト、特にAVE0010、及びインスリン、特にランタスの組み合わせの製剤が、作製されるべきである。
【0180】
・リジン(通常の及びより高い濃度で)、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート80、及びポロキサマー188は、研究の開始時に(t0)化学的不安定性を既に示した。リジンについて、これはまたTHT試験の結果について当てはまる。
【0181】
実施例2
・「3ペンズ・カバー・オール」概念(図4)
・3つの異なる所定の割合を有する3つのプレミックスペン:
(a) ミックスA:100 Uランタス + 66.66μg AVE0010/mL
(b) ミックスB:100 Uランタス + 40μg AVE0010/mL
(c) ミックスC:100 Uランタス + 25μg AVE0010/mL
【0182】
・3つのプレミックスペンの使用:図4中の例示的な表は、15〜80 U/用量のランタス及び10〜20μg AVE0010の治療域に由来する。特定の患者について、投与されるランタスの用量は、設定されるか又は予め決定される。所定の用量は、左欄において調べられる。10〜20μgの範囲内の対応のAVE0010用量が欄ミックスA〜ミックスCにおいて記載される場合、対応のミックスが選択、計量及び投与される。範囲は重複している:例えば、26〜30 Uランタスが必要とされる場合、ミックスA又はミックスB(より高い用量のAVE0010を有する)が選択され得る。従って、これはミックスB及びCについて当てはまる。例えば、インスリンの50 Uの用量が決定される場合、0.5 mlのミックスB又はミックスCが計量される。この用量は、20μg(ミックスB)又は12.5μg(ミックスC)のAVE0010を含有する。
【0183】
・結論:10〜15μgの範囲内の可能性の高いAVE0010効果及び15〜22μgの範囲内の治療効果が達成されると仮定して、15〜80 Uのランタス用量を取るほぼ全ての患者は、3つの異なるランタス:AVE0010比を含む3つのプレミックスペン(ミックスA、B、又はC)のうちの1つを使用する場合、10〜20μgの範囲内の治療用量のAVE0010を同様に受け得る。ランタス対AVE0010の広範囲の可能性のある比に起因して、ペン中の比は、所望の用量のAVE0010が少なくとも1つのペン中のランタスの各用量について含まれるように、微調整され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GLP−1アゴニスト又は/及びその薬理学的に許容される塩、インスリン又は/及びその薬理学的に許容される塩、及び場合により少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤を含む液体組成物であって、メチオニンを含む、該液体組成物。
【請求項2】
組成物が、薬学的に許容される保存剤又は/及び薬学的に許容される等張化剤を含む、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項3】
組成物が、m−クレゾール又は/及びグリセリンを含む、請求項1又は2に記載の液体組成物。
【請求項4】
組成物が、3.5〜5の範囲内のpHを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項5】
組成物が、0.5mg/mL〜20mg/mLの範囲の量で、特に1mg/mL〜5mg/mLの範囲の量で、メチオニンを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項6】
組成物が、+25℃の温度で6ヶ月間保存後化学的完全性を示す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項7】
組成物が、+25℃の温度で6ヶ月間保存後物理的完全性を示す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項8】
GLP−1アゴニストが、GLP−1、及びそのアナログ及び誘導体、エキセンジン−3、及びそのアナログ及び誘導体、エキセンジン−4、及びそのアナログ及び誘導体からなる群より選択され、好ましくは、GLP−1アゴニストが、desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2及びエキセンジン−4からなる群より選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項9】
インスリンが、ヒトインスリン類、そのアナログ、誘導体、及び代謝産物からなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項10】
インスリンが、Gly(A21)−Arg(B31)−Arg(B32)ヒトインスリン、LysB28ProB29ヒトインスリン、B28Aspヒトインスリン、及びB29Lys(ε−テトラデカノイル),desB30ヒトインスリンからなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項11】
組成物が、下記の成分:
(a) desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
(b) Gly(A21)−Arg(B31)−Arg(B32)ヒトインスリン、
(c) 塩化亜鉛、
(d) m−クレゾール(任意)、
(e) L−メチオニン、
(f) グリセリン、
(g) pH約4.5への調整が必要である場合、塩酸、
(h) pH約4.5への調整が必要である場合、NaOH溶液、及び
(i) 水
を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項12】
組成物が注射用組成物である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
糖尿病を治療するための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の第1の薬学的組成物、及び請求項1〜13のいずれか1項に記載の第2の薬学的組成物、及び場合により請求項1〜13のいずれか1項に記載の少なくとも1つのさらなる薬学的組成物を含む組み合わせであって、各々が、少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含み、そして組成物の総質量に対して異なる質量分率で少なくとも1つのインスリン及び/又は少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含有する、上記組み合わせ。
【請求項15】
少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストの質量分率は、薬学的組成物が、その質量分率に基づいて、異なる比のインスリン対GLP−1アゴニストを含有するように、第1の薬学的組成物、第2の薬学的組成物、及び使用される場合、少なくとも1つのさらなる薬学的組成物中で選択され得る、請求項14に記載の組み合わせ。
【請求項16】
第1、第2の組成物、及び使用される場合のさらなる組成物が、実質的に同一の質量分率で少なくとも1つのインスリンを、そして異なる質量分率で少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含有する、請求項14又は15に記載の組み合わせ。
【請求項17】
第1、第2の組成物、及び使用される場合のさらなる組成物が、実質的に同一の質量分率で少なくとも1つのGLP−1アゴニストを、そして異なる質量分率で少なくとも1つのインスリンを含有する、請求項14又は15に記載の組み合わせ。
【請求項18】
請求項14〜17のいずれか1項に記載の組み合わせを含むキット。
【請求項19】
糖尿病を治療するための医薬品の製造における請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物、請求項14〜17に記載の組み合わせ、又は請求項18に記載のキットの使用。
【請求項20】
GLP−1アゴニスト又は/及びその薬理学的に許容される塩を、インスリン又は/及びその薬学的に許容される塩、メチオニン、及び場合により少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤と共に製剤化する工程を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物、請求項14〜17に記載の組み合わせ、又は請求項18に記載のキットを製造するための方法。
【請求項21】
患者に組成物を投与する工程を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物、請求項14〜17に記載の組み合わせ、又は請求項18に記載のキットで患者を治療するための方法。
【請求項22】
メトホルミン、インスリン、及び/又はGLP−1アゴニスト、及び/又は薬理学的に許容される塩の投与と併用の請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項23】
アドオン療法、特にインスリン及び/又はGLP−1アゴニストでのアドオン療法を含む、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
療法が、II型糖尿病をインスリン及び/又はGLP−1アゴニストで十分にコントロールできない患者に適用される、請求項22または23に記載の組成物の使用。
【請求項25】
インスリン又はGLP−1アゴニストの適用が適応とされる場合のII型糖尿病患者の血糖値をコントロールするための食事へのサプリメントとしての請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項26】
治療患者が、7%〜10%の範囲内のHbA1c値を有する、請求項22又は23に記載の組成物の使用。
【請求項27】
II型糖尿病及び/又は肥満を治療するための請求項22〜24のいずれか1項に記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−510822(P2013−510822A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538332(P2012−538332)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067250
【国際公開番号】WO2011/058083
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】