説明

HAPエミッションの防止および効率的な乾燥/脱水プロセスを実施するためのシステム

本発明は、高含水率供給原材料を乾燥または脱水して乾燥製品または低含水率製品にするためのシステム、装置および方法を開示する。本装置システムは、ガスタービン発電装置(好ましくは熱源)、乾燥器およびプロセス装置を含んでなり、前記ガスタービンと前記乾燥器との間の連結手段は前記ガスタービン排ガスのほぼ全部を前記乾燥器に誘導すると共に前記乾燥器内への空気の侵入を実質的に排除し、前記プロセス装置は前記乾燥器からの乾燥材料を細粒、ペレット、フレークまたは最終製品に所望されるその他の形状に成形する。本発明によるシステム、装置および方法はまた、高含水率供給原材料の上記処理と結びついたもしくは上記処理とは独立した、製造設備からのVOCを含むHAPエミッションの放出防止を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造工程における原材料または中間材料からの経済的な水分除去および/または工業的加工・生産プラントにおけるVOCエミッションを含むHAPエミッションの経済的な抑止または防止を行うためのプロセス、システムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大量の水の使用および除去を必要とする、食品、紙、薬品およびその他を製造するための生産加工設備は、原材料流れおよび/または中間産物流れから水分を除去するための、より効率的かつより経済的な装置とプロセスを不断に求めている。燃料コストの上昇は絶えず、より効率的かつより低コストの水分除去および脱水技術に対するニーズをますます切実なものとしている。
【0003】
揮発性有機化合物(VOC)を含む有害大気汚染物質(HAP)エミッションを発生する工業的製造・加工設備は、大気中へのこの種のエミッションを抑止、防止するための、より効果的かつより経済的な装置とプロセスを不断に求めている。HAPエミッションを排除または減少させようとする連邦、州および地方環境保護当局(EPAs)による生産工程に対する規制圧力の強化によって、改良された、より経済的なHAPエミッション抑止技術に対するニーズはますます切実なものとなっている。
【0004】
工業的製造工程に起因するHAPエミッションの問題に対して従来の技術によるシステムは十分に対処してきていない。この種のエミッションの源は製造工程自体と、その製造工程で発生した物質である。これらのエミッションのうちあるものはHAP成分を抑止または変質させるべくスクラバーまたはコンバータを通過させられるが、あるものは一般に大気中に排気または排出されることが多く、これはVOC、温室効果ガスおよびその他の含有成分に起因する大気汚染の点で環境にとって好ましくない。
【0005】
上記の問題を取り上げた従来技術の文献例は、Gooznerの米国特許第5,866,752号明細書および、Staplesの米国特許第6,944,967号明細書であり、前記文献の開示内容全体は本引用によって本明細書に組み込んだものとする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記から、HAPエミッションの抑止と防止ならびに高含水率工程流れからの経済的な水分除去を実現するための、環境面、経済面から受入れ可能な技術に対するまだ満たされていない大きなニーズが存在することは明白である。本発明はこれらのニーズのあるものまたはこれらのニーズの全てに対処するための方法、装置、システムおよび製品に向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、さまざまな生産工程からのVOCエミッションを含むHAPエミッションを抑止、防止するための経済的かつ簡易な方法、システムおよび装置を提供する。
【0008】
一態様において、本発明は、前記HAPエミッションをガスタービン好ましくはガスタービン発電機の燃焼空気取入口に誘導することを含んでなる、製造設備からのHAPエミッションを抑止するための方法を提供する。
【0009】
さらに別の態様において、本発明は、ガスタービン好ましくはガスタービン発電機と、前記HAPエミッションの少なくとも一部、好ましくは全部を前記ガスタービンの前記燃焼空気取入口に誘導する、前記HAP発生装置と前記ガスタービンとの間に配設された連結手段とを含んでなる、製造設備からのHAPエミッションを抑止するための装置を提供する。
【0010】
さらに別の態様において、本発明は、ガスタービンまたはガスタービン発電機を含みかつHAPエミッションを生ずる既存の製造設備を改良する、前記HAPエミッション源を前記タービン燃焼空気取入口に連結して前記HAPエミッションの少なくとも一部、好ましくは全部を前記ガスタービンの前記燃焼空気取入口に誘導することを含んでなる方法を提供する。
【0011】
さらに別の態様において、本発明は、水分を含有した少なくとも1つの供給原材料、好ましくは少なくとも1つの高含水率供給原材料の水分除去、脱水および/または熱的変換を実施するための経済的かつ簡易な方法、システムおよび装置を提供する。
【0012】
さらに別の態様において、本発明は、高含水率供給原材料から水分を除去するための方法であって、前記供給原材料をガスタービン好ましくはガスタービン発電機からの排ガスと接触させることを含んでなる方法を提供する。好ましくは、前記接触は、前記接触ステップから外気を実質的に排除した条件下で、最善の経済性を達成すると共に水分除去中における前記供給原材料の酸化を排除することができる。
【0013】
さらに別の態様において、本発明は、高含水率供給原材料を乾燥および/または変換するための装置であって、高含水率供給原材料を受け入れると共に連結手段を通じて前記ガスタービンからの前記排ガスを受け入れるのに適した乾燥器と結ばれたガスタービンを含んでなり、前記ガスタービンと前記乾燥器との間の連結手段は好ましくは前記乾燥器内への空気の侵入を実質的に排除し、好ましくはこうして、前記排ガスと前記高含水率供給原材料との直接の接触によって前記高含水率供給原材料を乾燥および/または変換するのに適した乾燥器が実現されるように構成した装置を提供する。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は、高含水率供給原材料を処理するための持運び可能なシステムであって、高含水率供給原材料を乾燥または熱処理して乾燥または変質した材料を製造するのに適した少なくとも1つの持運び可能な乾燥装置と、前記乾燥装置からの前記乾燥または変質した材料を従来の取り扱いならびに輸送に適した形の製品に変換するのに適した少なくとも1つの持運び可能なプロセス装置とを含んでなるシステムを提供し、好ましくは、前記乾燥設備がガスタービン好ましくはガスタービン発電機と乾燥器とを含んでなる持運び可能なシステムを提供する。さらに本発明は任意選択で、前記ガスタービン排ガスが前記乾燥器に誘導されかつ前記乾燥器内への空気の侵入が実質的に排除されるような配置によって前記ガスタービンと前記乾燥器とが連結されるように構成した持運び可能なシステムを提供する。
【0015】
さらに別の態様において、本発明は、発電に適した前記ガスタービン発電機を含んだ第1のスキッド取付け型装置と、前記ガスタービン排ガスを受け入れると共に前記乾燥器内への空気の侵入を排除するようにして前記ガスタービンと連結するのに適した前記乾燥器を含んだ第2のスキッド取付け型装置とを含んでなる上記持運び可能なシステムを提供する。任意選択で、前記プロセス装置を含んだ第3のスキッド取付け型装置が設けられる。好ましくは本発明による前記持運び可能なシステムは鉄道車両搭載型、トラック搭載型またはセミトレーラ搭載型装置を構成する。さらに別の態様において、本発明は、単一のスキッド取付け型またはトラック搭載型設備用に構成されたサイズの前記ガスタービンおよび乾燥器+任意のプロセス装置を含んでなる前記持運び可能なシステムを提供する。さらに別の任意の態様は、主として運転騒音低下ならびに天候条件からの保護を目的とした、前記持運び可能なシステム用の1または複数の密閉カバーを含んでいる。
【0016】
さらに別の態様において、本発明は、工業設備からのHAPエミッションを抑止、分解するためのシステムであって、燃焼空気取入口を有したガスタービンと、HAPエミッションを生ずる設備とを含んでなり、前記燃焼空気取入口は前記設備からの前記HAPエミッションの少なくとも一部、好ましくはほぼ全部を受け入れるのに適するように構成したシステムを提供する。前記ガスタービンは任意選択でガスタービン発電機を含みかつ任意選択で、前記ガスタービン排ガスを受け入れると共に高含水率供給原材料を受け入れて熱処理するのに適した乾燥器を含むことができる。さらに別の態様において、本発明は、往復機関の燃焼空気取入口を通じてこの種のHAPエミッションを処理するための前記システムであって、任意選択で発電機を含みかつ任意選択で、前記機関の排ガスを受け入れるのに適した乾燥器を含むことのできるシステムを提供する。さらに別途態様において、前記HAPエミッションは、本発明の上記態様に基づく乾燥、脱水および/または材料変換を実施すべく使用されるガス、オイルまたはその他のバーナーの燃焼空気取入口に誘導されることが可能である。
【0017】
さらに別の態様において、本発明は、高含水率供給原材料を処理するための装置であって、高含水率供給原材料を発生する工業設備からのHAPエミッションを受け入れるのに適した燃焼空気取入口を有したガスタービンと、前記ガスタービンからの排ガスを受け入れるのに適した連結手段および前記高含水率供給原材料を受け入れるための装入口を有した乾燥器とを含んでなる装置を提供する。任意選択で前記燃焼空気取入口は前記設備の換気システムとの連結に適合されていてよく、この場合、前記燃焼空気取入口は前記設備からのほぼ全部のHAPエミッションを受け入れる。さらに加えて本態様において、前記乾燥器と前記ガスタービン排気口との間の前記連結手段は前記乾燥器内への空気の侵入を実質的に排除するように適合されていてよい。
【0018】
上記態様ならびにその他の態様は本明細書の開示から当業者に明らかであろう。
【0019】
本発明は、生産工程からのHAPエミッションに起因するますます深刻化しつつある環境汚染問題に対する経済的、効率的かつ簡易な解決方法を提供する。これまでに供された従来の技術による方法およびシステムはこの種のエミッションの抑止にとって十分効率的でないかもしくは小規模ならびに大規模の生産工程にとって経済的に実施可能とするには不適である。従来の技術によるシステムの多くには、運転の不経済性、除染障害および大気汚染抑止障害(または、実際の、プロセス運転による付加的または代替の環境問題の惹起)を含むその他の問題が存在している。
【0020】
本発明は、(a)高含水率供給原材料の処理および(b)望ましくないHAPエミッションの減少または排除を行うためのプロセス、装置およびシステムの形態の高度に効率的かつ経済的な技術を提供する。本発明の最大の効果ならびに経済的利点は本発明によるプロセス、装置およびシステムが単一の工業設備において高含水率供給原材料の処理ならびにHAPエミッションの抑止の双方のために使用される場合に達成されるが、ただし、本発明によるプロセス、装置およびシステムが1つの設備における高含水率供給原材料の処理に使用されると共に第2の近接ないし隣接設備におけるHAPエミッションの抑止に使用される場合にも同様の利点が実現可能である。したがって、本発明は(a)または(b)もしくはそれら双方を利用する設備に大きな便益をもたらすことができる。
【0021】
本明細書で使用される「高含水率供給原材料」なる用語は、爾後の処理または最終製品の製造を可能とすべく水分除去を必要としかつ任意選択で有機材料または任意選択で無機材料またはそれらの混合物を含んでいてよい原材料流れ、中間産物流れまたは半製品流れであってよい工業的製造工程流れを意味し、含意している。本発明は工程流れからの水分除去を行うための効率的なプロセスおよびシステムおよび/または(バッチ運転または連続運転による)製品流れを熱的に変換または反応させて変換または反応済みの製品にするための加熱装置を提供することができる。本発明の使用は、製紙、パーチクルボード、厚紙、乾式壁ボード、環境適合ボード等の製造、ポテト加工、食品製造たとえばオートミール、コーンフレーク、コーンシロップ、コーンミール、コーンスターチ、マッシュポテト、砂糖、ミルク、粉末ミルク、チーズ、ソース、ケチャップ、ジャムおよびゼリー、「インスタント」コーヒー、濃縮ジュース、および使用時に再加水される脱水されたその他の製品、ビールおよびその他の発酵および/または蒸留製品、スナック食品およびその他の消費品たとえばペットフードの製造、薬品、化粧品、化学物質およびその他の製造設備における連続的な工程流れおよび/またはバッチからの水分除去、乾燥および加工処理を含んでいる。明らかなように、本発明によるシステムおよびプロセスは、変換または反応なしの脱水、脱水なしの変換または反応または両者の任意の比率での組み合わせによる供給原材料の処理に使用することができる。本発明によるシステムおよび装置はまた、特定の個別設備に設置して水分除去のために工程流れをカットするのに適合させることも可能である。廃棄物、糞尿汚水および一般汚水の処理に使用するための本発明の関連態様は、共に2005年7月18日出願の、共通指定された共同出願中の米国特許出願第11/184,738号明細書および同第11/184,739号明細書に開示されており、前記文献の開示内容の全体は本引用により本明細書に組み込んだものとする。
【0022】
本発明は、液体、ペースト、スラリーまたは、所望の含水率レベルに脱水および/または所望のように物理的および/または化学的に変換、反応または変質された(中間工程流れまたは中間産物を含む)前記高含水率供給原材料の固体成分からなる固体製品を製造する簡易な、経済的に効率的なプロセスを提供する。本発明はまた、前記供給原材料から除去された水の回収およびリサイクル−この水はプロセス水またはその他の工業的使用目的に使用可能である−ならびに前記プロセスで生じた全ての固体(微粉またはその他)の回収およびリサイクルを可能にするため、商業的使用に適した所望の製品以外の有意な固体産物が本発明から生じまたは結果としてもうけられることはない。特定の供給原材料を処理または加工して特定の所望の固体、液体、ペーストまたはスラリー製品を製造するための本発明によるプロセス、装置およびシステムの選択および適応は本明細書の開示から当業者に明らかであろう。
【0023】
本発明によれば、前記高含水率供給原材料と接触させるための高温ガスを供する最も効率的な方法は、ガスタービン、好ましくはガスタービン発電機から生ずる排ガスである。本発明によるシステムによれば、前記ガスタービンの供給燃料は現地入手可能な慣用の燃料源たとえばパイプライン天然ガスである。前記ガスタービン発電機から発生した電力は好ましくは前記製造設備内または他の隣接工程において動力源として使用されるかまたは、動力および本発明によって使用されるプロセスからの熱回収のために組み合わせ使用されるかあるいは、収入源として現地電力網に売却可能である。
【0024】
本発明によるプロセスおよび装置の好ましい特徴は、前記ガスタービンと前記ガスタービンからの前記排ガスを受け入れる前記高含水率供給原材料乾燥器とが、前記乾燥器内への外気の侵入が実質的にまたは完全に排除され、好ましくは、前記乾燥器が前記ガスタービンから前記排ガスを直接受け入れるようにして互いに連結されていることである。前記乾燥器が前記ガスタービン排ガスから最大限の熱を受け取れるように、前記ガスタービン排ガスは100%、最も効率的な運転を期して、中間に介在する熱交換器、サイレンサまたはその他の装置を通過することなく、前記乾燥器に流入するのが好ましい。また、前記乾燥器運転に必要とされない余剰排ガスを前記製造設備における他の目的または他の隣接工程に要される熱を供するために転用し得ることも認められる。また、前記排ガスが前記タービン内の慣用の効率的な燃焼比から生じて、最小限度または限定された量の遊離酸素を含んでいるにすぎず、基本的に未燃の燃料、裸火炎を一切含んでおらず、かつ、消費燃料単位当たり最大限の熱が生ずるように、最適な排ガス温度(EGT)が達成されることも好ましい。所望であれば、燃焼は本発明によるプロセスおよびシステムにとって最大温度および最大熱入力でのピークEGT運転のためにストイキ(stoichiometric ratio)で行われてよい。前記排ガス中における過剰酸素の欠如、前記乾燥器内への外気侵入の排除、裸火炎の欠如および本明細書に記述した温度での運転は、前記乾燥器内での前記高含水率供給原材料の有意な酸化を防止し、最終製品に閉じ込められる前記高含水率供給原材料中の最大栄養価を保存しかつ、前記乾燥器の産出物が乾燥した酸化可能な材料である場合には、装置の火炎損害の危険を防止し、突発的な火災に対して安全な前記乾燥器の運転を実現する。前記排ガス中の過剰燃料の欠如は、前記排ガスが、大気中に放出される前に本発明の前記運転から生ずる蒸気から洗浄除去されなければならない炭化水素源となることを防止する。本発明の別の好ましい運転態様において、空気または酸素が制御された量または比率で導入されて、前記乾燥器内において前記高含水率供給原材料の所望の酸化または化学的変換が行われるようにすることが望ましいかまたは重要となることもあり得る。
【0025】
本発明での使用にとって、前記高含水率供給原材料は−本発明の経済的利点が最大限に利用されるようにするため−少なくとも水分重量比30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%を有しているのが好ましい。ただし、一定の運転において、前記供給原材料の含水率は90%、95%または98%でさえあってもよい。加えてさらに、前記供給原材料は全ての固体が溶解した溶液であってもよく、この場合、溶解した固体は本発明のプロセスおよびシステムにおいて前記供給原材料から水分が蒸発させられるにつれて沈殿する。本発明はこうした高含水率供給原材料を効率的かつ経済的に処理して、固体成分を最終製品の形で回収し得るだけでなく、プロセス水も回収することができ、こうしたプロセス水はリサイクルされ、再使用されることができる。本発明は、本発明の好ましい態様において、所与の天然ガス燃料の燃焼から、前記ガスタービン発電機が使用または売電用の電力と前記供給原材料を処理するための熱との双方を発生し、加えてさらに、前記乾燥器で生じた過剰な蒸気が下流、上流または他の隣接工程においてたとえば高含水率供給原材料の予熱、プロセス加熱等に使用可能であり、こうして、運転燃料効率のさらなる向上をもたらすことからして、高含水率供給原材料を効率的かつ経済的に処理、脱水することが可能である。本発明は、本明細書に開示されているように、水分および固体のみならず製造工程で生じたガスも閉じ込めて処理するように適応させることが可能である。場合によっては、本発明によるシステム内で前記供給原材料を加工する前に、たとえば遠心分離器、フィルタまたはプレスによって高含水率供給原材料から機械的に水分を分離することが経済的な運転上の理由から望ましいことがある。こうして分離された水は、以上に開示されたように、リサイクルされて使用されることができる。
【0026】
本明細書で使用される「ガスタービン」なる用語は、圧縮タービン段と、燃焼ゾーンと、少なくとも500°F、好ましくは少なくとも約700°F、より好ましくは少なくとも約900°F、最も好ましくは約1,000°Fを超える排ガス温度を発生することのできる排気タービン段とを有した任意のタービン機関を意味し、含意している。ガスタービンはその効率的な運転と高い熱出力の点からして本発明での使用にとって好適な熱源である。ガスタービン発生器は、本発明によるシステムの運転の経済性を向上させるべく使用もしくは売却可能なエネルギーが発生器によって発生させられる点で、本発明での使用にとってさらに好適である。前記発生器は一般に、発生した電力を使用および/または売却し得る利便性からして発電機となろう。ただし、前記発生器は、ポンプ、オーガ、コンベアおよび本発明によるシステムまたは他の隣接工程における他のタイプの装置の油圧原動機を駆動することのできる所望の他の任意のタイプのエネルギー発生器たとえば油圧ポンプまたはパワーパックであってもよい。ガスタービンが使用されるかそれともガスタービン発電機が使用されるかは所要熱量とシステム経済性とによって決定されるであろう。所与の相対的に小型のガスタービンから相対的に高温の排ガスと相対的に高い熱出力とを得ることが所望される場合には、類似の小型のガスタービン発電機ではなく、ガスタービンを使用するのが望ましいと言えよう。ガスタービンに比較して、ガスタービン発電機は発電機を駆動するエネルギーの吸収によってさらに排ガスを膨張、冷却させるが、他方、ガスタービンでは、本発明の前記乾燥器で使用可能な相対的に高温のガス中にエネルギーが閉じ込められている。これは、ガスタービンによる電力またはその他のエネルギー発生に基づく収入または経済的利益を得ることよりも、小型(トラック搭載型)の高温装置を備えることの方が本発明の実施に際して経済的により重要である場合に、1つの選択肢になり得る。
【0027】
本発明に有用な前記ガスタービンまたはガスタービン発電機は、特定のガスタービンおよび本発明に基づいて設計された前記プロセス装置に適した、入手可能な任意の燃料源から燃料供給されることができる。好適な慣用の燃料は、スイートガス、ディーゼル、ケロシンおよびジェット燃料である。というのも、前記ガスタービンはこれらのタイプの高品位燃料で最も効率的に稼動するように設計されていると共に、これらの燃料が、特に本発明による装置が最も効率的に設置されることの多い遠隔農業施設において入手可能だからである。ただし、前記ガスタービンの燃料として使用可能なその他の燃料は、メタン、プロパン、ブタン、水素およびバイオガスおよびバイオ液体燃料(たとえばメタン、オイル、ディーゼルおよびエタノール)を含んでいる。本発明によるシステムはバイオ燃料を発生しないため、本発明で使用される前記ガスタービン用の燃料は本発明が使用される現場で入手可能でなければならない。燃料が入手できない場合には、燃料たとえばディーゼルを必要とされる現場にトラック輸送することが可能である。
【0028】
本発明に有用な、商業的に入手可能なガスタービンおよびガスタービン発電機の実例は以下の通りである(定格メガワット(MW)出力はおおよその値である):
−Rolls Royce Gas Turbine Engines Allison 501−KB5、KB5SまたはKB7、標準条件定格出力3.9MW
−European Gas Turbines Tornado、定格出力7.0MW
−Solar Mars 90、定格出力9.4MWおよびSolar Mars 100、定格出力10.7MW
−Solar Tarus 60、定格出力5.5MWおよびSolar Tarus 70、定格出力7.5MW。
【0029】
2.5メートルトン/時(2,500kg/hr)の公称固体産出物産出能力向けには、システム全体の設計にあらかじめ盛り込まれた断熱および熱回収効率に応じ、約4MW規模のガスタービン発電機を使用することができる。小形の単一のセミトレーラまたはトラックシステム向けには、前記装置はもっと小規模であってもよい。もっと少量の製品産出システム向け、たとえば0.3メートルトン/時の産出システム向けには、システム効率と所要入熱範囲に応じて、小型のガスタービンたとえばSolar Saturn 0.8 MW、Solar Spartan 0.2MWまたはCapstone 0.5MWまたは0.3MW発電機を使用することができる。本発明によるシステムを設備間で移動させる必要のない大規模工業設備向けには、前記ガスタービン発電機は設備内に永久設置するのに適した任意の大型サイズたとえば10MW、20MWまたは40MWもしくはそれ以上の規模の装置であってよい。本発明によるシステムは、ガソリンまたはディーゼル発電機等の往復式機関から排ガス熱を利用するように設計することもできる。
【0030】
本発明で使用される前記乾燥器は、入手される前記高含水率供給原材料の乾燥に適していると共に、排ガスが前記高含水率供給原材料と接触する前記乾燥器の乾燥チャンバ内に有意な量の外気の侵入を許すことなく、前記ガスタービン排ガスと前記高含水率供給原材料とを受け入れるのに適合可能な任意のタイプないし構造のものであってよい。本発明の目的からする前記乾燥器への前記ガスタービン排気口連結手段の設計目標は、前記高含水率供給原材料の有意な酸化の防止に資すべく、前記乾燥器内への外気の有意な侵入を排除することである。先に指摘したように、これは前記タイプの高含水率供給原材料に存在する有機物、炭素価および/または栄養価を保存し、火災を防止して安全な運転を実現するために好ましい。本発明で使用されるように、前記タービンは、前記乾燥器のために最も効率的な排ガス温度(EGT)が生ずると共に、最小限の遊離酸素を含んだ前記乾燥器内導入ガスが生ずるように、慣用の空燃比で運転されるのが好ましくかつそれが期待されよう。ガスタービン以外の代替高温ガス源、たとえば従来型のオイルないしガスバーナーおよび往復機関を使用し、前記乾燥器に連結することも本発明の開示からして当業者に理解されようが、ただしこれはそれらが排ガス中の遊離酸素を最小限に抑止するために慣用の燃焼比条件または排ガス中に遊離酸素が一切含まれないようにストイキで運転され、前記供給原材料の有意な酸化を排除すべく前記乾燥器内への外気の有意な侵入を排除するようにして前記乾燥器に連結されることを前提にしている。勿論、この種の代替および補助的な高温ガス源は、始動、停止またはサージ負荷条件のためあるいは前記ガスタービンがオフラインの場合のバックアップのために必要であれば、本発明による前記乾燥器に任意選択で連結されて、前記乾燥器のための補助的な入熱容量を供すべく前記ガスタービンの排ガス出力を補足するために使用されてよい。
【0031】
本発明の一定の運転において、主として前記高含水率供給原材料中に存在するかまたは同伴された空気、前記高含水率供給原材料中に存在する水分に溶解した空気および、ストイキ空燃比で運転されない期間の前記タービン排ガス中に存在し得る過剰な酸素のせいで、必ずしも全ての外気を排除し得ず、したがって、前記高含水率供給原材料の酸化を完全には排除し得ないことがある旨理解されよう。さらに、場合によっては、前記高含水率供給原材料中に存在する有機物またはその他の材料から、熱的な処理と変換が行われてその種の材料が分解、変換される際に、酸素が発生しまたは遊離することがあろう。したがって、本明細書で使用される「空気の侵入の排除」、「有意な酸化なし」等を指す用語は、上記運転状況において、前記高含水率供給原材料または排ガスの一部としてシステム内に侵入するかまたは前記熱的変換プロセスで生ずる空気または酸素を排除することは意図されていず、また、前記高含水率供給原材料と共に空気がシステム内に侵入する結果として生じ得る酸化を防止することも意図されていないとの認識ならびに所期の意味で使用される。ただし、この種のレベルの酸化は本発明の範囲、状況および実施の範囲内または本明細書で使用される上記用語の意味において有意とは見なされない。同様に、「有意な熱分解なし」も本明細書において、たとえば米国特許第6,039,774号明細書におけるように、せいぜい問題にならない程度の前記高含水率供給原材料が分解されるにすぎないことを意味すべく使用される。本発明のプロセスおよび産出物において熱分解生成物はふつう望ましくなく、本発明によるプロセスおよび装置は前記高含水率供給原材料の所望の乾燥と、所望の最終製品へのさまざまな高含水率供給原材料成分の所望の変換とを達成するために運転される。本明細書の開示によれば、本発明の一定の適用には、特定の高含水率供給原材料を処理して所望の結果を達成し、所望の最終製品量の最大化を図るべく、排ガス温度、前記乾燥器内における接触時間および/または滞留時間、前記乾燥器内における固体相および蒸気相の含水率ならびにその他の変数の制御が行なわれることは当業者に明らかであろう。本発明のその他の適用において、本発明を使用して製造さるべき最終製品の特性が前記供給原材料の酸化または熱分解を必要とする場合には、所望のレベルまたは所望の程度の酸化または熱分解を達成すべく、前記温度、接触時間および本発明のその他のパラメータを適合させることが可能である。
【0032】
外気の排除は同じく、前記高含水率供給原材料の加熱と並行した過剰空気または外気の加熱がプロセス効率を低下させるために、経済効率上からしても好ましい。前記高含水率供給原材料の含水率が非常に低いかまたは本発明の好ましい運転にとって乾きすぎているような場合には、前記乾燥器内の水分レベルを効率的な運転を可能にするレベルに引上げて、前記乾燥器から所望の含水率を有した固体材料を産出すべく、前記供給原材料、前記タービン排ガス、前記タービン取入口または前記乾燥器に水を加えることが可能である。
【0033】
前記乾燥器の運転目的は通例、前記高含水率供給原材料の乾燥または含水率低下を行うためであるが、前記高含水率原材料の高温加熱を実施して一定の成分を変換するため、また、前記供給原材料の化学的または熱的変質を達成して最終製品に所望される含水率ならびに特性を供するためでもあることが理解されよう。上述したように、本発明の一態様は、外気に起因する有意な酸化なしに前記高含水率供給原材料のさまざまな成分を熱的に変換することである。高含水率供給原材料に含まれる成分の範囲は広範に変化するとはいえ、特定の高含水率供給原材料の従来型の処理を行う当業者には、本発明をいかに効果的かつ効率的に使用してこうした供給原材料加工処理工程の経済性を改善し得るかが理解されよう。
【0034】
本発明で使用可能なタイプの前記乾燥器はたとえば以下の通りである:
−回転ドラム。内部スクレーパ、攪拌プレートおよび/または羽根を装備または非装備。
−定置「ポーキュパイン」ドラム乾燥器。スクレーパおよび/または攪拌プレートおよび/または羽根を装備または非装備。
−トリプルパス段乾燥シリンダまたは回転ドラム乾燥器システム。スクレーパおよび/または攪拌プレートおよび/または羽根を装備または非装備。
−回転ドラム乾燥器システム。スチーム管付き/なしおよびスクレーパおよび/または攪拌プレートおよび/または羽根を装備または非装備。
−ターボ乾燥器または乱流器システム。
−コンベア乾燥器システム。スクレーパおよび/または攪拌プレートおよび/または羽根を装備または非装備。
−間接または直接接触型乾燥器システム。スクレーパおよび/または攪拌プレートおよび/または羽根を装備または非装備。
−棚型乾燥器。
−流動層乾燥器。
−蒸発器システム。
−熱処理オーブン。
【0035】
本発明に有用なまたは本発明での使用に適合させることのできる、商業的に入手可能な乾燥器の実例は以下の通りである:
−Scott AST Dryer[登録商標]システム
−Simon Dryer Ltd.−ドラム乾燥器
−Wyssmont Turbo Dryerシステム
−Duske Engineering Co.,Inc.
−Energy Unlimited乾燥システム
−The Onix Corporation脱水システム
−International Technology Systems,Inc.直接または間接型乾燥器システム
−Pulse Drying Systems,Inc.
−MEC Company乾燥器システム。
【0036】
本発明に有用なまたは本発明での使用に適合させることのできる乾燥器のその他の実例は、Duskeらの米国特許第5,746,006号および同第5,570,517号およびLukerの米国特許第6,367,163の各明細書に開示されており、これらの文献の開示内容全体は本引用により本明細書に組み込んだものとする。
【0037】
上述したように、前記「乾燥器」は必ずしも常に主として、本発明によるシステムにおいて前記高含水率供給原材料からの水分の除去を行う乾燥器としてのみ機能するわけではない。前記乾燥器は、熱的な処理/変換/変質タンクとしても機能し、あるいは、本明細書開示の所望の最終材料、製品を生み出すべく、前記高含水率供給原材料が十分な時間にわたり十分な温度に加熱されるオーブンとしても機能する。加えてさらに、前記乾燥器は前記タービン排ガスまたはその他の熱源と前記高含水率供給原材料との直接の接触を実施するには及ばないが、本発明による所望の乾燥および/または熱的な処理/変換/変質を達成すべく、前記高含水率供給原材料の間接的加熱を実施することも可能である。前記乾燥器は、腐食、浸食または過度な摩耗を防止もしくは低減するため、適切な材料でライニングが施されていてよい。本発明によるシステムは特定の設備または工程でさまざまな編成によりさまざまな機能を果たすように適応可能であることが理解されよう。たとえば、2台の乾燥器が直列運転されて、第1の乾燥器で高含水率供給原材料の乾燥が行われ、次いで、第1の乾燥器からの産出物が第2の乾燥器で熱処理されて、所望の化学的または物理的変換ないし変質が達成されるように編成することが可能である。こうした編成において、前記排ガスは単一のガスタービン排気口から前記2台の乾燥器に分路されて供給されるかまたは2台の別々のガスタービンによってそれぞれの乾燥器に別個に供給されるようにすることができる。本例から、本発明によるプロセス、装置およびシステムは、さまざまな装置要素を直列または並列運転して、本発明の開示に従ってさまざまな所望のプロセス機能を実行させ、それらの効率的かつ経済的な運転を達成するように適合させることが可能である旨看取されよう。
【0038】
本発明での使用に適合された前記乾燥器のさらに別の態様は、前記乾燥器が好ましくは前記ガスタービンまたは前記高温排ガスを供するその他の機関のためのサイレンサとしても機能することである。ガスタービン(基本的にジェット航空機エンジン)は近隣環境に高レベルの騒音衝撃を与えることはよく知られている。発電またはその他の目的に使用される定置ガスタービンは通例、地方、州および連邦の規制によって、ガスタービン排ガス騒音を許容可能なレベルに消音すべくサイレンサを装備することが求められている。この種のサイレンサはコスト上の経済的短所を有すると共に、ガスタービン排ガスに作用する背圧を生み出し、こうして前記ガスタービン運転の効率を低下させるという短所を有している。本発明により、好ましくは外気に対して閉じられた、前記ガスタービンと前記乾燥器との間に配設された連結手段によってもたらされる1つの利点は、前記乾燥器が前記ガスタービン用のサイレンサとして効果的に機能することである。これは、少なくとも一部、前記高含水率供給原材料の存在との組み合わせで作用する前記乾燥器の内部構造の結果であり、この組み合わせによって前記ガスタービン排気騒音が効果的に吸収され、消音される。これはまた、大気に対して閉じられている前記乾燥器の下流端のお陰でもある。というのも、前記乾燥器からの蒸気および排ガスは、凝縮、浄化、リサイクルおよび下流での熱回収のために集められ、大気中に排出される前にクローズドシステムで処理されるからである。前記プロセスおよび装置システムのさまざまな箇所での排出能が、始動、停止、障害または供給原材料の多様性に対処するのに望ましいと言えようが、通例は、最終製品産出とクリーンガス排出のみを行うクローズドシステムとしての運転が行われると考えられることは当業者に明らかであろう。他のプロセス装置においてまたは始動、停止または障害時に補助的な熱が必要とされる場合、前記タービン排ガスは任意選択で、その一部または臨時的にその全体が他の下流装置に向けて分路されて、前記乾燥器を経由しないようにすることができる。
【0039】
本発明のさらに別の態様は、前記蒸気および排ガスが適切なファン、排気ブロワー等によって前記乾燥器の吐出端から引き出されて、前記乾燥器の上流側入口で圧力が低下させられ、こうして、前記タービン排ガスにかかる背圧を減少させることができることである。これによって前記ガスタービンの運転効率は高まるが、これは前記ガスタービン排気口と前記乾燥器との間の連結手段が外気に対して開放されていないために可能とされる。商業用システム設計は排気口または、始動、停止または運転障害の間に使用するため、前記ガスタービン排気口と前記乾燥器との間の前記連結手段にT管またはその他の構成によって連結された従来のサイレンサさえも含んでいてよいが、ただしそうしたシステム設計は上述したような本発明によるプロセスおよび装置の通常の運転形態では使用されないことが理解されよう。本発明の最善の運転効率を達成するには、前記ガスタービン排気口と前記乾燥器との間の連結手段に障害物がなく、前記ガスタービンと前記乾燥器との間の熱ならびにエネルギー損失を最小限にして前記排ガスを前記乾燥器に供給し得るのが好ましい。また、本開示から、ガスタービン発電機の運転は前記高含水率供給原材料の乾燥、熱的変換、化学的変質およびその他のプロセスニーズにとって最適の効率ないし経済性を意図して制御されるのが好ましく、これは発電にとっては必ずしも最適もしくは最善のガスタービン運転条件ではないとのことも理解されよう。発電はシステムにとってコスト回収収入源であるが、本発明の運転の総合的経済性は、発電にとっては不利があるが、効率的な乾燥器運転と所望の特性を有した製品の下流側製造とにとって最適な排ガス熱出力の達成を有利とするガスタービン運転条件下の方が良好であると言えよう。本発明の特定の設備にとってのこの種の運転条件の決定は本明細書の教示から当業者に明らかであろう。このタイプのガスタービン制御システムは2005年7月19日出願の、共通指定された同時係属中の米国特許出願第11/185,433号明細書に開示されており、前記文献の開示内容の全体は本引用により本明細書に組み込んだものとする。
【0040】
本発明によってもたらされるさらに別の利点は、前記乾燥器の限定された空間内で有意量の外気の非存在下で前記ガスタービン排ガスと前記高含水率供給原材料とが接触させられることから生ずる。前記ガスタービン排ガス中のNOおよびSOエミッションならびにある程度までのCOおよびCOエミッションは、NOおよびSO成分が前記高含水率供給原材料に吸収または複合化されることによって、大幅に減少し、場合によってはゼロにまで減少し、しかもこれらのエミッションは前記乾燥器から出てゆく乾燥または処理済みの材料中および、細粒状、ペレット状または小球状またはその他の形状に加工された後の製品中に吸収、複合または固定されたままである。これは大気中へのNOおよびSO(およびCO/CO)のエミッションを低下ないし排除すると共に、本発明によるプロセスおよび装置によって製造された製品の栄養価に窒素、硫黄および炭素成分を付加するという利点をもたらす。
【0041】
前記乾燥器の運転条件および方法は本発明を開示する本明細書の教示から当業者に明らかであろう。前記乾燥器に進入する代表的な前記タービン排ガス温度は、前記高含水率供給原材料の水分およびその他の成分含有率ならびに前記乾燥器からの産出物の所望状態に応じ、約500°F〜約1,500°Fの範囲内にあるであろう。小型の機関を備えた小型のシステムにあっては、前記入口排ガス温度は約300°Fまたは約350°Fの低さであることが可能である。好ましい範囲は約600°Fから約1200°Fまでであり、より好ましくは、前記入口温度は少なくとも約650°Fであり、最も好ましくは少なくとも約700°Fである。前記乾燥器に進入する前記ガスの温度および流量は、一部、前記高含水率供給原材料の含水率およびその他の特性に依存するであろう。含水率が高ければ、含水率を低下させるために一般に高い入口ガス温度が必要とされることは明らかであろう。高含水率供給原材料が高温ガスと接触させられれば、本発明によるシステムにおいて付加的な効果が達成されると考えられる。この種の接触は、前記高含水率供給原材料から水分が出てくるので、時として瞬時に、過熱蒸気の生成を生じ、続いて、この過熱蒸気が近接周囲の高含水率供給原材料を加熱して、そこから水分を追い出す。このメカニズムが前記高含水率供給原材料を急速に乾燥させて低含水率にもたらす原因であり、その結果、前記乾燥器内の前記高含水率供給原材料の残りの滞留時間が本発明による前記供給原材料の所望の熱的な処理/変換/変質または「煮沸」に寄与すると考えられる。一定の高含水率供給原材料の場合には、自動結合特性または所望のその他の特性を有した製品を製造するために必要とされる変換または「煮沸」を達成するのに、より低温であってよいが、ただしより長い滞留時間を要すると言えよう。前記乾燥器を出てゆく材料の温度は一般に約150°F〜約450°Fの範囲内、好ましくは約200°F〜約350°Fの範囲内にあるであろう。一定の運転にあっては、前記材料の前記乾燥器出口温度は少なくとも約175°F、好ましくは少なくとも約200°Fであるべきである。
【0042】
本明細書で使用される「変換された材料」なる用語は、本発明に基づきもともとのレベルから低レベルへの前記高含水率供給原材料の含水率の低下および/または本明細書に述べられた化学的な変質および変換の達成によって前記乾燥器内で作られた乾燥された前記高含水率供給原材料を指し、意味するために使用される。前記「変換された材料」とは、消費者向け、商業的または工業的使用に適した最終製品にさらに加工するのに適した中間産物と見なされる。一般に、前記乾燥器から得られた前記変換された材料は、その後に細粒化、ペレット化または小球化される粉末またはミールを製造すべくまたは、従来の取り扱い、パッケージングおよび/または輸送に適したフレークまたはその他の形態の最終製品を製造すべく、粉砕加工されよう。前記変換された材料はまた、粉砕されるかまたはその他の方法で粉末化され、スラリーまたはその他の液体または必要に応じて使用もしくはリサイクルし得るポンピング可能な製品にすることもできる。前記乾燥器から産出された材料または本発明によるシステムから製造された最終製品の最終的な使用法ならびに前記乾燥器から得られた材料がさらなる加工に付されるかどうかの決定には、現地経済条件が大きく影響するであろう。
【0043】
本明細書で使用される「細粒」、「造粒」等の用語は、前もって形成されたペレットまたは小球の破砕または細砕を含む従来の造粒プロセスおよび装置によって製造された通常の細粒、粉末、微粉、小片等を含めた、本発明によって製造された任意の粒状形態の材料または製品を意味している。「ペレット」、「ペレット化」等の用語は、一般に従来のペレット製造プロセスおよび装置により、たとえばスラリーまたはペーストの押出しと所望のサイズへの押出し品の切断、裁断または破断によって製造された、円筒状、弾丸状、球状またはその他の形状を含む、本発明によって製造された任意のペレット形状の材料または製品を指している。「小球」、「小球化」等の用語は、スプレー塔処理、凍結乾燥処理等を含む従来の小球化プロセスおよび装置によって作られた、本発明によって製造された任意の小球状の材料または製品を指している。「フレーク」および「チップ」等の用語は、コーンフレーク、ポテトチップ、コーンチップ等のような任意の形状の製品を指している。その他の形状の食品(人、ペットまたは動物)は、通常のナゲット、星形等に成形された製品等を含んでいる。
【0044】
押出ペレタイザは、前記乾燥器で作られた材料の自動結合特性が生かされると共に、本発明による製品の基本的なおよび/または高度な自動結合特性を生み出すべく前記材料の「煮沸」をもたらすかまたはさらにそれに寄与し得る温度・圧力条件下で運転可能であるという理由から、本発明と共にまたはその一部として使用するのに好ましいプロセス装置の一つである。標準的な運転において、前記乾燥器から得られた材料は粉砕され、次いで、粉砕装置から得られた粉末またはミールは、ペレットまたはその他の形状を成形すべく高い圧力および温度で押出可能な材料を形成し得るように、十分な蒸気または水たとえば前記乾燥器からの蒸気または凝縮された水蒸気と混合される。前記押出ペレタイザ内で達成される加熱および温度は加熱されたスクリュー、ダイスまたはドラムから得られてよく、あるいは高圧圧縮エネルギーから得られてよい。いずれの場合にも、前記押出可能材料は前記プロセス中に高温に加熱される。一定の高含水率供給原材料については、前記押出ペレタイザ内での高い温度および圧力はさらに前記材料中の一定の成分の「煮沸」または変換に寄与し、こうして、結果として生じるペレット化、細粒化または小球化された製品の付加的なまたは高度な自動結合特性をもたらすか、またはそれに寄与すると考えられる。この種の押出ペレタイザの標準的な運転条件は、約20重量%までのまたは、使用される押出装置に応じて、それより高い含水率を有する押出可能材料であろう。押出機温度および圧力は一般に従来の押出装置で使用される温度および圧力であろう。処理中の前記高含水率供給原材料および成形される製品の所望特性に応じて、その他の運転条件も使用し得ることは明らかである。製造されたペレットは、安定した製品貯蔵に適したレベルたとえば約10重量%に含水率を低下させるため、乾燥させられてよい。前記プロセスのこの箇所で除去された水分は、本明細書に開示されるように、本発明によるシステムのその他のステップおよびプロセスで使用するためにリサイクル可能である。
【0045】
前記高含水率供給原材料は通常、約50〜約90重量%、好ましくは約60〜約80重量%、最も好ましくは約65〜約75重量%の含水率を有しているであろう。(本明細書で使用される重量パーセントとは当該混合物の総重量を基準にした、問題となる成分のパーセントである)。ただし、高含水率供給原材料とはいえ、相対的に低い含水率たとえば40重量%または30重量%の供給原材料でも本発明によって処理可能である。好適な高含水率供給原材料は、少なくとも約50重量%、より好ましくは少なくとも約60重量%、最も好ましくは少なくとも約70重量%の含水率を有している。前記高含水率供給原材料がこの範囲内の高い含水率を有している場合には、前記1,000°Fの排ガスが大気圧または減圧下で前記高含水率供給原材料と接触する前記乾燥器の入口における基本的に即時の蒸気および過熱蒸気の発生により、プロセス上の利点が達成される。こうして発生した前記蒸気および過熱蒸気は高含水率供給原材料の近接または隣接および下流側粒子の乾燥、煮沸および変換に寄与し、これが前記プロセスの効率を高める。本発明によるプロセスおよび装置の運転には、前記高含水率供給原材料が、高含水率供給原材料特性の均一性を達成するため、バッチ同士または同一バッチの異なった部分同士(トップ、ボトム、インドア、アウトドア等)で混合、混和されるのが好ましい。こうした好適な前処理によって、前記乾燥器からのより均一な材料の産出が可能とされ、前記プロセス運転の制御が容易になる。前記高含水率供給原材料の温度は一般に周囲温度つまり約30°F〜約100°Fの範囲内にあろうが、ただし、冷凍凝集が前記供給原材料前処理または前記乾燥器および原材料供給装置の運転を妨げない限りで、30°F以下であってよい。前記高含水率供給原材料は、高温であってよい製造設備からかまたはプロセス装置から直接に生ずる任意の温度のものが使用されてよい。本発明によるシステムの経済性は、前記高含水率供給原材料が高温であるかまたは前記乾燥器への導入前に予熱されれば、一般に改善される。この種の供給原材料予熱が実施される場合には、それは任意の所望の方途で中間準備・供給原材料前処理領域で、熱交換器、ソーラヒーティング、加熱されたコンベアまたはオーガまたは加熱されたコンクリートスラブで行うことができ、本発明によるプロセスシステムから回収、リサイクルされた熱を用いて行うこともできる。
【0046】
前記タービン排ガスと前記高含水率供給原材料との接触時間は、前記供給原材料の含水率、前記乾燥器産出材料に所望される含水率、所望の化学的変質/変換、前記乾燥器に進入する前記排ガスの体積と温度およびその他の因子を含む、幾つかの変数によって決定されよう。前記接触時間の調整は、所望の乾燥を実施するためのみならず、その種の変換が所望される場合に前記供給原材料中に存在する成分の十分な変換を達成すべく高含水率供給原材料固体粒子を十分な高温にまで引上げるためおよび/または所望される場合に自動結合製品を製造するためにも行われよう。所望のレベルの前記成分の分解および変換、所望のレベルの自動結合特性またはその他の所望の特性が達成される限り、前記粒子が達する実際の温度は決定にとって重要ではない。所望の前記接触時間は前記乾燥器の容積とサイズおよび前記供給原材料と排ガスとの処理量によって変化し、また、それらによって調整することができる。前記排ガスから前記供給原材料への熱移動、したがって前記供給原材料が加熱される温度は、主として、排ガスと供給原材料との質量比の関数であると言えよう。ガスタービン発電機による前記乾燥器運転の一例は、1,000°Fにて約122,000lb/hrの排ガス出力を有したRolls Royce Allison 501−KB5発電機(定格3.9MW)と、それに接続された約26立方メートル(m3)の容積を有したScott Equipment Company、New Prague、Minnesota、USAの回転チューブラ乾燥器モデルAST 8424である。前記高含水率供給原材料は小さな粒子サイズの材料であり、約70重量%の含水率と約65°Fの温度を有し、前記乾燥器内における固体の平均ないし公称滞留時間約10〜18分と排ガス/高含水率供給原材料の重量比約7.5とを達成するために、約6,500kg/hrつまり約10m/hr(約16,200lb/hr)の割合で前記乾燥器に供給される。前記乾燥器産出物は約200°Fである。排ガスと供給原材料との重量比は一般に約15:1〜約1:1であり、好ましくは約10:1〜約3:1であり、より好ましくは約8:1〜約4:1である。前記供給原材料が含水率が非常に高くて冷えており、前記排ガスが高温でも最大温度でもない場合には、所要熱量は少なくとも約20:1または少なくとも約25:1より高い比率を必要とすると言えよう。前記乾燥器を通る前記排ガス流れと前記高含水率供給原材料流れとは、所望の結果およびさまざまなシステム設計および経済的考慮に応じて、並流段、向流段、単段、多重段等であってよい。
【0047】
前記乾燥器からの産出物は、蒸気、水蒸気、ガスタービン燃焼ガスおよび、乾燥済みおよび/または熱処理済みおよび所望の形に変換済みの固体を含んでいる。前記ガスおよび/または固体の通常の乾燥器出口温度は一般に約200°F〜約350°Fの範囲内にあろうが、経済性、製品品質および/またはプロセス効率上の理由から、それより低いまたは高い温度が選択および/または所望されてよいであろう。前記出口温度は、少なくとも約110°Fから少なくとも約500°F、好ましくは少なくとも約180°F、より好ましくは少なくとも約200°Fであってよい。一般に、前記乾燥器から出てゆく前記固体材料は一般に約10〜約15重量%の含水率を有しているのが望ましいが、ただし約5〜約25重量%の範囲内にあってもよい。またも同様の理由から、より低いまたはより高い前記乾燥器産出固体の含水率が選択および/または所望されてよいであろう。前記乾燥器を出てゆく前記蒸気、水蒸気および燃焼ガスは通常、熱交換器(下流における造粒またはペレット化運転あるいは上流における供給原材料またはタービン取入れ空気の予熱に使用し得るプロセス熱の回収)、凝縮器(上流または下流での使用、農業使用または処分のためのプロセス水回収)、スクラバー、フィルタまたはサイクロン(ガスまたは液体に同伴された固体を回収し、ガスおよび液体を環境面からして放出可能とするため)およびその他の通常のプロセス装置を経由させられよう。
【0048】
本明細書において変換済み材料と称される、前記乾燥器からの前記固体産出物は一般にさらに、粉砕、造流、ペレット化、小球化、フレーク化またはその他の処理によって加工され、最終産物、燃料、リサイクル品またはパッケージング/ばら物流通、輸送および使用に適したその他の形の製品が製造される。本発明に有用なこの種の粉砕、造流、ペレット化または小球化用の装置ならびに工程は、前記乾燥器からの前記産出物が固体および蒸気成分を含んでいるために、その種の加工に適した従来型のよく知られた装置および工程である。どんな形のどんなものであれ、本発明によるプロセス、システムおよび装置は高含水率供給原材料の環境面ならびに経済面から見て効率的な処理を可能とし、環境的マイナス材料を取り除き、商業的に有用な製品を製造し、かつ、都市下水路または埋立て処分地への廃棄を排除する。本発明は高含水率供給原材料から多様な製品および材料を製造するのに使用することが可能であり、しかもこれらの好適な材料および製品は前記乾燥器またはその他の工程における加熱、化学的変質および/または乾燥処理によって変換も分解もされなかった望ましくない有意な残留成分をまったく含まない材料および製品である。本発明によって製造された製品および材料は有用な産物、燃料、リサイクル可能またはその他の製品であるのが好ましいが、ただし本発明は埋立て処分に適した減容固体を生み出すのに有用であると共に、埋立地から地表または地下水に浸出する有害成分が低レベルであるかまたはそうした成分をまったく含まない固体を供することができるという利点を有している。
【0049】
本発明によって製造された前記製品および材料は有用であり、特定の特性または特徴を必要とする特定の最終使用に所望されるような、その他の材料、製品または化学物質との配合物を含んでいる。こうしたその他の材料および添加剤はプロセスの任意の適切な箇所で付加、配合可能であり、たとえば、前記高含水率供給原材料に混合され、前記乾燥器に加えられ、任意の箇所で前記プロセス水に加えられ、前記乾燥器から出てゆく前記材料に加えられ、粉砕、造流、ペレット化、フレーク化またはその他の任意の加工処理の一部として加えられまたは、単に前記最終製品とのみ混合されまたは、袋詰めまたはパッケージングの前または使用時において配合されることが可能である。たとえば通例、比較的無臭である前記最終製品に、食品加工業でよく知られている所望の心地よい香りを与えまたは香気付けを行うことのできるその他の材料を配合することも可能である。
【0050】
本発明によるシステムは、本明細書において「有害大気汚染物質」(HAP)エミッションと称される、製造設備から大気中への有毒ガス臭気および温室効果ガスの排出を減少させ、一定の運転においては、それを基本的に排除すべく使用することのできる機器構成を含んでいる。製造運転設備は、そうした設備周辺の住民地区からの圧力の高まりを受けて、連邦および州当局による規制の強化に曝されている。前記規制は大気汚染防止の2つの側面に向けられている。第1の側面は、悪臭を放つメルカプタンおよびその他多くの有機化合物を含み、住宅地域にとって迷惑を生ずるHAPエミッションガス中の有毒ガス臭気である。第2の側面は、大気環境にとっては有害であるが、毒性については不定の、揮発性有機化合物(VOCs)および温室効果ガス(GHG)エミッションである。温室効果ガスは、CO、CHおよびNOを含んでおり、通例、大気に対するCO等価効果に換算して言及される。メタン(一般に、加工設備から放出される)は(USDOEで使用される)約23というCO等価係数を有しており、これは大気中に放出された1kgのCHは大気中に放出された23kgのCOに等しいことを意味している。(ある出典では前記等価係数を約21としている)。CHは多くの生物変換工程で発生する温室効果ガスであるが、COおよびNOも同じく同所で発生させられる。NOは約310というCO等価係数を有すると見込まれることから、大気中へのNO放出を防止することは特に望ましい。エタノールは、(ガソリンへの燃料添加剤としてのエタノールを製造する)エタノールプラント、ワイン醸造所、蒸留酒製造所、製パン工場および、発酵処理を使用するその他の生体材料製造業を含む多くの設備で発生するVOCである。本発明は、本明細書に開示されているように、HAPエミッションを、単独でまたは、高含水率供給原材料の加工による製品製造と結びつけて、封じ込めによって処理することにより、大気中へのHAPエミッションを基本的に排除するために使用することが可能である。
【0051】
本発明によるシステムは、生産工程からのHAPエミッションの放出を基本的に排除するのに特に有用である。本発明による基本システムにおいて、生産工程で発生するHAPエミッションを抑止するためにガスタービンが使用され、前記ガスタービン燃焼空気取入口がHAPエミッションを発生もしくは吐出す製造設備に連結される結果、前記HAPエミッションは前記ガスタービン燃焼空気取入口に誘導されて、前記ガスタービン内で通例1つのおよび任意選択で2つの処理が行われよう。第1に、前記エミッションガスは正規のガスタービン供給燃料と共に燃焼させられ、これによって、CHはHOとCOに、メルカプタンとその他の有毒もしくは刺激性化合物はHO、CO、NOおよびSOにそれぞれ変換される。第2に、任意の乾燥器が前記ガスタービン排気口に連結されていれば、前記ガスタービンからの排ガスは前記乾燥器内で高含水率供給原材料と接触させられ、前記高含水率供給原材料が同所で乾燥および/または熱処理されるにつれて、NOおよびSOおよび、ある程度までのCOガスが前記高含水率供給原材料に吸収もしくは複合されて、変換済みの材料または最終製品が形成される。本発明のこの態様は大気中へのHAPエミッションの放出を防止する。
【0052】
既存の製造設備は、ガスタービン好ましくは持運び可能なまたは永続設置型のガスタービン発電機を設置して、前記設備中の少なくとも一定の、好ましくは全てのHAPエミッション源を前記タービン燃焼空気取入口に連結することにより、HAPエミッションを抑止するための本発明を即座に直接かつ効率的に利用することができる。密閉されて、外気取入れ口と排気出口とによって換気される設備、特に、加熱と空調とによって温湿度調節される設備は、さらに加えて、そうした循環空気がHAPエミッションを含んでいれば、少なくとも一部、好ましくは全ての前記循環排気を前記ガスタービン燃焼空気取入口に誘導することができるため、本発明から利益を得ることかできる。さらに、設備を(たとえばキャンバス被覆壁によって)経済的に密閉して、(温湿度調節してまたは温湿度調節なしで)強制空気循環を行い、製造工程からの基本的に全てのHAPエミッションを集めて、前記循環空気を前記ガスタービン燃焼空気取入口に誘導することが可能である。また、本明細書に開示されているように、前記設備は前記ガスタービン発電機と共に、前記設備内の適切なプロセス流れまたは製造ステップにおける脱水および水分除去のために乾燥器を含むことによって、本発明の燃料経済上の利点および利益を得ることが好ましいことは言うまでもない。
【0053】
本発明の前記態様において、全てのHAPエミッション源および/または前記製造設備から排出された循環空気は、大気中へのHAPエミッション放出を防止すべく、前記ガスタービン空気取入口に供給されるようにして運転されるのが好ましい旨理解されよう。前記ガスタービンに必要とされる残りの燃焼空気は通常のエアフィルタを通して周囲空気から取り込まれようが、ただし、同伴されたダストまたはその他の粒子によってタービン部品が破損ないし浸食されるのを防止すべく、前記HAPエミッション源ならびに前記設備循環空気も前記ガスタービン空気取入れフィルタを通過するのが好ましい。前記エアフィルタによって捕集された固体は、本発明によるシステムによって製造された最終製品に組み込まれるように、前記乾燥器またはシステム中のその他のプロセス装置に供給されることができる。メタンまたは前記エミッションガス中のその他の酸化性ガスは一般に本発明によるシステムの所要燃料の有意な部分を構成するものではないが、熱を得るために燃焼させられて、大気中には放出されない。それでも、燃焼させられたエミッションガス1kgごとに所要の外部ガスタービン燃料を等価kgずつ減少させることが可能である。本発明によってもたらされる主たる環境上の利点の1つは、大気にとって非常に有害なVOCたとえばメタン、エタノール、メチルエチルケトン等を含めたHAPエミッション成分が、COと、大気に対してごく僅かな影響を及ぼすにすぎないその他の化合物に変換されることである旨理解されよう。加えてさらに、本発明の前記好ましい態様が使用されて、本発明による水分除去・脱水プロセスおよび装置が利用される場合には、前記ガスタービン排ガスと前記高含水率供給原材料との接触によって、NO、SOおよびCOと、前記ガスタービン燃焼時のHAPエミッションの変換から結果として生じた前記排ガスに由来するその他の化合物の少なくとも一部が吸収または「洗浄除去」されて、これらの化合物は除去された水分中または結果として生じた前記供給原材料の固体を含んだ流れのうちに保持され、こうして、これらの結果として生じた化合物の大気中への放出が防止される。いずれにせよ、本発明のこれらの態様は、本明細書の開示から当業者に明らかなように、基本的に全てのHAPエミッションが分解されるようにして運転されることができる。
【0054】
また、上記説明はガスタービンの使用と関連させられているが、本システムでの使用のためにいかなる熱源が選択されても、それを使用して、HAPエミッションを抑止する本発明の前記態様をまったく同じように利用することができることも理解されよう。前記熱源がガスタービンであれ、ガスタービン発電機であれ、往復ガス/ディーゼル機関であれ、あるいは(図1の107のように)従来型のオイル/ガスバーナーでさえあっても、前記製造設備循環空気排気および/またはHAPエミッション流れないし排気は前記燃焼空気取入口に誘導されて、前記HAPエミッションは燃焼させられ、好ましくはこうして前記燃焼ガスが前記高含水率供給原材料と接触させられるようにすることが可能である。
【0055】
本発明によるプロセス、システムおよび装置のさらに詳細な開示および説明として、図1の摸式フローチャートが参照される。図示した例示的なプロセスにおいて、ガスタービン発電装置100はガスタービン101と発電機102とを含んでいる。前記ガスタービンは空気取入れフィルタ104および燃料供給系103を有している。所望であれば、始動、停止または障害発生時のために任意のバイパス排ガスサイレンサ106を含むことが可能であり、その間、前記ガスタービンは稼動しているが、排ガスは乾燥器に誘導されることはできない。ただし、乾燥器200は本発明によるシステムの通常運転中、サイレンサとして機能するであろう。別法として、サイレンサ106に代えて、前記乾燥器周りの排ガスバイパス(図5の908、参照)を、一時的なサイレンサ機能を供することができる、任意の適切な下流装置たとえば分離器208および/または分離器600に誘導することが可能である。この配置は別途サイレンサのコストおよび別途サイレンサに要されるスペースを不要とするものであり、これは持運び可能なトラック搭載システムにとって重要な点である。ガスタービン101の排気口はコネクタ105によって乾燥器200に接続される。コネクタ105またはその他の箇所には乾燥器200のため、特に、乾燥器200内に排ガスも高含水率供給原材料もない場合に、乾燥器またはシステムのパージ、始動または停止もしくはその他の理由のために、任意の空気吸入口(図示せず)が含まれていてよい。ただし、前記両者が存在する場合には、前記乾燥器内への空気の侵入を実質的に排除しかつ乾燥器200内で処理中の材料の有意な酸化を排除するため、この種の空気吸入口は閉じられて使用されない。前記乾燥器に補助的な熱源と燃焼ガスを供するため、コネクタ105またはその他の箇所に、補助熱/燃焼ガス投入用に設けることのできる任意のバーナー107も含まれていてよい。前記任意の補助的熱源は、始動、停止、プロセス障害、タービンの故障停止中または、ピーク負荷ないし非常に高含水率の供給原材料に直面する際に所望の処理量を維持するために有用であると言えよう。
【0056】
前記高含水率供給原材料は一般に機械的手段たとえばポンプ、オーガまたは、特定の供給原材料にとって適切な任意の手段によって前記システムに導入される。本図および本例において、フロントエンドローダ201が固体の高含水率供給原材料を、石屑分離器、ミキサ、細断装置202内に投入する。前記供給原材料はさらに混合され、スクリューコンベア203,204により異物が分離され、次いで215を通って乾燥器200に供給される。前記供給原材料は、ローダ201によって本システムに導入される前に、たとえば一体にまとめて混合可能な貯蔵ウィンドローにより、予備混合もしくは所望の均一性が得られるように状態調節されることも可能である。別途運転態様において、液体またはスラリーまたは、取り除かれる必要のある異物を含んでいない高含水率供給原材料は装入口215を経て乾燥器200に直接供給されることが可能である。
【0057】
乾燥器200からの産出物は管路205,206によって分離器208に輸送され、同所で固体とガスが分離される。前記ガスは209とブロワー210を通過し211を経て大気中にエミッションされるかまたは212を経て他の下流処理に付される。ブロワー210は分離器208および乾燥器200の内部の圧力を低下させるために運転されることができ、これは前記乾燥器内における水の沸点を低下させ、タービン排ガスにかかる背圧を減少させて、タービン出力と効率を高めることになる。別法として、より高温の処理、変換または、前記高含水率供給原材料の「煮沸」が所望される場合に、乾燥器内の高い圧力を維持するためにブロワー210を運転することが可能である。乾燥器200からの前記産出物は、下流での使用のためまたは高含水率供給原材料またはタービン吸気の予備加熱に使用すべくプロセス熱を回収する任意の熱交換器207を通過することができる。分離器208からの固体産出物は管路、コンベアまたはオーガ301と任意のミキサおよびコンディショナ302,303を経てボールミルまたはハンマミル300に移動する。さらに、リサイクルループ305からのリサイクル固体たとえば微粉が304を経て303で混合されて、ボールミルまたはハンマミル300への供給のために一体化されることができる。システムのさまざまな箇所で発生する微粉および規格外材料は集められ、ループ305を経てリサイクルされて、さらなる処理のために任意の所望の箇所で産出物処理システムに再導入されることができ、たとえば、304を経て粉砕装置300に、404を経てペレット製造装置400に導入可能であり、あるいは高含水率供給原材料前処理段202,203,204またはその他の箇所にも導入可能である。本発明によるシステムの重要な機能の1つは、最終製品に最終的に組み込まれるようにして、全ての微粉または規格外材料がリサイクルループ305を経て完全にリサイクルされることである。したがって、本発明によるシステムは(処理不能な石屑およびその他の異物を除いて)高含水率供給原材料固体を最終製品に100%変換することを可能にし、他の場合ではたとえば埋め立て処分されなければならないような固体廃棄物流れを生み出すことはない。
【0058】
ボールミルまたはハンマミル300は、乾燥品に通常使用される通例の処理、パッケージングおよび貯蔵用に、十分な硬さ、機械的堅牢性および安定性を有する製品を供すべく、ペレット製造装置400での処理に適した「ミール」と称される均一な小径粒子、短繊維材料を産出する必要がある場合に使用される。ボールミルまたはハンマミル300の産出物は分離器310を通過し、同所で蒸気が取り除かれ、315を経て、リサイクルループ305を介して固体をリサイクルするための分離器600に送られ、同所で蒸気はブロワー601と吐出し口602を経て大気中に逃がされる。分離器310は微粉または、リサイクルループ305を介したリサイクルに適した材料を分別して、当該ミールをミキサ311に引渡す。次いで、前記ミールは312を経て分離器401に送られ、さらに408を経てペレット製造装置400に直接送られるかまたは、その他の材料、404からのリサイクル材料または添加剤との混合のため、またはプロセス始動、停止または障害発生時における保持のため、409a,409bを経て保持ビンないしサージビン402に送られる。前記ミールはサージビン402からミキサ403を通り、417を経てペレット製造装置400に直接送られるかまたは所望の場合に新鮮ミールとの混合のため412を経てミキサ311に送られる。
【0059】
ペレット製造装置400からのペレットは熱交換器、蒸気除去装置405を通過し、同所から406,414を経て最終製品浄化装置407,415に直接送られ、さらに416a,416b,501および503を経て完成品積み出しビンまたは貯蔵ビン500に送られるかまたは、413とサージビン410を経て細砕装置または粗砕装置411に送られ、次いで、最終製品浄化装置407,415に送られる。最終製品は501,503または貯蔵ビン500を経て市場に輸送すべくトラックに積載される。最終浄化装置415で分別された微粉および規格外製品はリサイクルループ305を経て再処理のためにリサイクルされることができる。細砕機または粗砕機411はペレットを、基本的にペレットと同じ硬さおよび機械的堅牢性、安定性を有する、より小さな粒子または細粒サイズに変換する。前記固体は本発明によるプロセス装置間を、材料および環境面への配慮から適切なようにして、慣用のオーガ、エレベータ、コンベアベルト、気送管等によって輸送可能である。明らかなように、前記システムは乾燥器200から材料または製品(これは直接使用のために梱包可能である)を製造しまたは、ミル装置300からミール(これは爾後の処理または直接使用のために袋詰め可能である)を製造しまたは、415から細粒製品、ペレット製品または小球製品を製造し得るように設計、構成することが可能である。
【0060】
本発明によるシステムの運転例は以下の表から看取できよう。本例はRolls Royce Allison 501−KB5(定格3.9MW)ガスタービン発電機と、タンパク源ペットフード製造用の加工済みスラリーまたはペーストの形の高含水率供給原材料を処理するScott Equipment Co.乾燥器モデルAST 8424との使用を基礎としている。
【0061】
[表1]
公称2.5メートルトン/時・完成品用のシステム例

【0062】
図2は、高含水率供給原材料が日々または定期的および一時的または永続的に得られる所望の製造運転サイトに輸送可能かつ同所で運転可能なスキッド取付け型、トラック搭載型または鉄道車両搭載型装置の形態の本発明によるシステムの1つの構成を図示している。第1の装置700はガスタービン101と発電機102とを含んでいる。第2の装置701は乾燥器200と分離器208とを含んでいる。乾燥器200は高含水率供給原材料装入口215を有し、定置運転時に、コネクタ105によってガスタービン排気口に接続される。第3の装置702は特定の運転用に所望される加工装置たとえばボールミルおよびペレット製造装置を含んでいる。産出製品は501によって貯蔵装置500または市場輸送用トラック502にコンベア輸送される。任意の装置にはさまざまな市場向け最終製品の袋詰めおよびその他のパッケージングを行う装置を含めることもできる。
【0063】
図3は、図2と同じ装置であるが、異なる構成によって運転サイトに配された装置を図示したものである。本発明による持ち運び可能なトラック搭載型装置は利用可能な空間が制限されることのある多様なサイトに適応可能であることが明らかである。
【0064】
図4Aおよび図4Bは、本発明によるシステムの持運び可能な別の構成をそれぞれ平面図および側面図で示したものであり、ここで、全てのプロセス運転装置は単一のセミトレーラトラック800aと800bに搭載されている。ガスタービン装置100の排気口はコネクタ105によって乾燥器200に接続されている。乾燥器200は高含水率供給原材料装入口215を有し、管路206によって分離器208に接続されている。分離器208は管路209により蒸気/空気浄化分離器600に接続され、分離器600は排気口602によって大気中に排気する。分離器208の底部吐出し口は管路301を経てボールミル装置300に接続されている。ボールミル装置300の吐出し口は管路312を経てペレット製造装置400に接続され、前記ペレット製造装置は管路414によって製品浄化装置415に接続されている。浄化装置415は製品吐出し口416を有している。風雨からの保護および騒音低下を目的として装置全体を被覆するそれぞれのスキッド取付け型またはトラック搭載型装置用の任意の密閉カバーは、図2,3および4には不図示である。
【0065】
図5は、本発明による一定の任意のシステムの概略的なプロセスフローチャートを示したものである。製造設備900は高含水率供給原材料を生ずる工程901と、プロセスおよび/または通気に使用するための外気取入れ口902とを含んでいる。流れ903は、燃焼空気供給系904の一部としてエアフィルタ104を通してガスタービン101に供給されるHAPエミッションおよび循環空気である。高含水率セクション901は同一の設備密閉カバー内にあるかまたは別個の保持タンクであるかまたは、供給原材料からエミッションされた任意のHAP蒸気を閉じ込めて、設備HAPエミッションと共にガスタービン101および/または慣用のガスタービン燃料103たとえば現地入手可能な天然ガスと並行して燃焼用循環空気取入れ口903に送ることができるように密閉可能なその他の領域であってよい。本発明の構成により、設備内のあらゆる製造工程から生ずるHAPエミッションの大気中への放出を防止することができる。これはまさしく温室効果ガス排出の減少に対する大気汚染防止信用を得るために、本発明が商業的に利用される機会を供するだけでなく、全てのHAPエミッションをシステム内に閉じ込めて、大気中に放出される前に有害でも不快でもない成分に変換することができるため、製造工程を近隣の住宅地域と共存可能なものにする方途も供することになる。
【0066】
ガスタービン発電機101/102は電力905を発生し、前記電力は地元の電力会社906に売却されるかまたは907によって配給されて製造工程または本発明によるシステムのプロセス装置で使用される。一定の製造工程につき、903を介して全てのHAPを閉じ込めて処理すべく開放式の製造設備を密閉被覆すると共に換気設備を設置・運転するコストは、当該換気システムの運転に電力905を使用することによって、たとえ大幅ではないにせよ、少なくとも部分的に相殺可能であることが判明しよう。たとえば、通常は開放式の製造工程をテニスコート用に使用されるのと同様な膨張式テントを用いて被覆し、そうした工程から生ずる全てのHAPエミッションを閉じ込め、収集するための経済的なシステムを提供し、こうして、当該ガスを本発明により903を経て処理し得るようにすることは実施可能であり、あるいは場合によっては政府規制によって必要になることがあろう。電力が製造設備内部で使用されるか、電力会社に売却されるか、本発明によるシステム内または他の隣接工程内もしくはそれらの任意の組み合わせによって使用されるかどうかは、各々の商業運転、燃料コスト、電力の売却価格/購買価格および装置の資本コストにかかわる経済的諸条件によって決定されることになろう。
【0067】
ガスタービン101からの排ガスは、外気が乾燥器に侵入するのを防止する連結手段105によって乾燥器200にもたらされる。本明細書に開示されているように、本システムは乾燥器200およびシステム内のその他の箇所における高含水率供給原材料の酸化が最小限度に抑止され、ほぼ回避されるようにして運転される。乾燥器200はガスタービン用のサイレンサとしても機能する。任意のバイパス908を設けて、排ガスが下流装置たとえば分離器/凝縮器208に送られ、前記乾燥器がオフラインの場合にガスタービン排ガスを静音化し、かつ、こうした一時的運転中に、大気中への放出前に排ガスが浄化されるようにすることができる。前記バイパスは乾燥器がオフラインの場合にガスタービンの騒音低減を実施する別個のサイレンサを設けるコストを省き、持運び可能なもしくはトラック搭載型装置にとってよりコンパクトな設計を可能にする。
【0068】
高含水率供給原材料215は、連結手段105からの排ガスと、代替ないし補助的な熱源107からの任意の補助熱と共に乾燥器200に供給される。この高含水率供給原材料は好ましくは設備900内の901の高含水率供給原材料に直接由来しており、したがって、新鮮であって、生物変換の時間はほとんどないかもしくは全くない。その他の高含水率供給原材料源910たとえば備蓄供給原材料または、直属の設備から生じた供給原材料と一体化もしくは混合さるべくもたらされる他の工程から生じた供給原材料も本システム内で使用され、含められることが可能である。本発明は本明細書において乾燥器の一実施形態と共に図示説明されているが、本発明を使用する製造設備のニーズと構成に応じて、本発明の別の形態およびプロセス設計も使用可能であることは当業者に明らかであろう。たとえば、紙、厚紙、乾式壁ボードの製造設備は、乾燥器自体の内部ではなく、可動ベルト上のスラリー、マットまたはラミネートから水分を除去する必要があると考えられる。こうした工程において、ガスタービンからの排ガスを前記材料(本明細書における供給原材料)との直接の接触のために適切な管路を経てベルト上に導き、本明細書に開示されているように、所望の水分除去、脱水および/または変換を実施することが可能である。要するに、このような構成においては、タービン排ガスがベルト上の材料と接触する領域ならびにベルト周りの被覆全体が、本発明を説明するための前記「乾燥器」になる。
【0069】
乾燥器200からの産出物は205を経て、爾後の下流プロセスのために固体912を分離し、水蒸気を凝縮して回収水913とし、かつ大気中に放出されるガス914を浄化すべく設計された分離器/凝縮器に送られる。前記回収水は下流でプロセス水として使用可能であり、また、製造設備での使用のため、高含水率供給原材料の前処理または状態調節のためにリサイクル可能であり、またさらに、工業プロセス水またはその他の使用目的に使用することが可能である。分離装置208からの固体産出物912は通常、粉砕、ペレット化、粗砕、袋詰め等によってさらに処理される。ただし、固体912は他のタイプの製品を形成するための中間産物として使用することが可能である。たとえば、乾燥材料は梱包され、さまざまな形に成形され、ポンピングのためにスラリー化されることも可能であり、あるいは単独または焼却用の他の材料と組み合わせて材料の燃焼価を利用すべく使用することも可能である。
【0070】
下流プロセスのそれぞれにおいて、水蒸気は回収され、再使用のために分離器/凝縮器208にリサイクルされてよい。明らかなように、本発明によるシステムは、特定の製造工程のプロセスニーズおよび経済性に応じて、さまざな構成とさまざまな設計に適合させることが可能である。本明細書の開示から当業者に明らかなように、通常のプロセス工学設計知見を使用して、図1に示した微粉リサイクル305、さまざまな熱回収および予熱のためのガス/蒸気流れ914の使用、システム内のさまざまな所望の箇所での結合剤、添加剤、配合材料の投入、ガスタービンの効率および電力出力を向上させるための、たとえば水の噴霧による燃焼空気904および/または設備HAPエミッション903の冷却、非常に高含水率の供給原材料を脱水するための供給原材料の機械的前処理等を含む、図5には不図示の、従来のさまざまな熱回収およびリサイクル態様を本発明によるシステムの商用設備に組み入れることが可能である。
【0071】
当業者に明らかなように、同一または異なったタイプおよびサイズの複数のガスタービン、その他の機関および/またはバーナーを共同設置して多岐化し、単一の設備内の同一または異なったタイプおよびサイズの複数の乾燥器に供給を行うことも可能である。これは供給原材料処理能力の増加を意図して行うことができるだけでなく、多様な供給原材料負荷を処理しかつ、運転を停止することなく、装置のメンテナンスを実施し得るようにする運転フレキシビリティーを実現するためにも行うことができる。
【0072】
以上に本発明のさまざまな実施形態を図示、説明したが、これらは例示のみを目的としたものであり、本発明の意図の範囲内および下記請求項の範囲内でさまざまな変更、改良を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明によるプロセスおよび装置を使用して行われる高含水率供給原材料処理プロセスの模式図である。
【図2】トラック輸送可能な持運び式スキッド取付け型装置の形態の本発明によるプロセス装置の平面図である。
【図3】別の構成による、トラック輸送可能な持運び式スキッド取付け型装置の形態の本発明によるプロセス装置の平面図である。
【図4】Aはセミトレーラトラックに搭載された本発明によるシステムの構成を示す平面図であり、Bはセミトレーラトラックに搭載された本発明によるシステムの構成を示す側面図である。
【図5】本発明によるシステムを使用して行われる、大気中へのHAPエミッションおよびその他のガスエミッションを防止するためのプロセスの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造設備の高含水率供給原材料を処理するための方法であって、
排ガスを発生するガスタービンを運転する工程と、
前記供給原材料よりも低い含水率を有する乾燥材料を生ずるのに十分な接触時間にわたって前記排ガスと高含水率供給原材料とを接触させる工程と、
前記製造設備で発生したHAPエミッションを前記ガスタービンの燃焼空気取入口に誘導する工程と
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記ガスタービンはガスタービン発電機を含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
製造設備のHAPエミッションを抑止するための方法であって、
ガスタービンを運転する工程と、
前記製造設備で発生したHAPエミッションを前記ガスタービンの燃焼空気取入口に誘導する工程と
を含んでなる方法。
【請求項4】
前記ガスタービンはガスタービン発電機を含んでなる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
製造設備の高含水率供給原材料を処理するための装置であって、
ガスタービンと、
連結手段を通じて前記ガスタービンからの排ガスを受け入れると共に高含水率供給原材料を受け入れるのに適した乾燥器とを含んでなり、
前記ガスタービンと前記乾燥容器との間の連結手段は前記乾燥器内への空気の侵入を実質的に排除するのに適していることを特徴とする装置。
【請求項6】
前記ガスタービンはガスタービン発電機を含んでなる、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記製造設備で発生したHAPエミッションを前記ガスタービンの燃焼空気取入口に誘導する連結手段を含んでなる、請求項5記載の装置。
【請求項8】
前記ガスタービンはガスタービン発電機を含んでなる、請求項7記載の装置。
【請求項9】
1つの製造設備からさらに別の製造設備へと持運び可能な、請求項5記載の装置。
【請求項10】
限定された空間内での、前記高含水率供給原材料の有意な酸化の排除下における前記廃棄物供給原材料とガスタービン排ガスとの接触に起因して吸収もしくは複合化されたNO,SOまたはCO成分を含有する熱処理された高含水率供給原材料。
【請求項11】
通常の取り扱い、輸送または使用に適した細粒、ペレットまたは小球の形状の、請求項10記載の熱処理された材料。
【請求項12】
製造設備からのHAPエミッションを処理するための装置であって、
燃焼空気取入口を有するガスタービンと、
前記HAPエミッションの少なくとも一部を前記ガスタービン取入口に受け入れるべく、前記HAP発生装置と前記ガスタービン燃焼空気取入口との間に配設された連結手段と
を含んでなる装置。
【請求項13】
前記ガスタービンはガスタービン発電機を含んでなる、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記設備排気口と前記ガスタービン燃焼空気取入口との間に配設された連結手段を含んでなる、請求項12記載の装置。
【請求項15】
前記ガスタービンはガスタービン発電機を含んでなる、請求項14記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2009−523999(P2009−523999A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551409(P2008−551409)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/001411
【国際公開番号】WO2007/084656
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(507020381)アースリニュー・アイピー・ホールディングズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (4)
【氏名又は名称原語表記】EarthRenew IP Holdings LLC
【Fターム(参考)】