説明

HCV阻害大環状フェニルカルバメート

HCV阻害剤として有用な;その立体異性体を包含する式(I)
【化1】


の化合物、またはそのN−オキシド、製薬学的に許容しうる付加塩もしくは製薬学的に許容しうる付加溶媒和物;これらの化合物を製造する方法ならびに有効成分としてこれらの化合物を含んでなる製薬学的組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HCVのNS3セリンプロテアーゼに対する阻害活性を有する大環状化合物に関する。それはさらに有効成分としてこれらの化合物を含んでなる組成物ならびにこれらの化合物および組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)は世界的に慢性肝疾患の主要原因であり、そして多数の医学研究の焦点になっている。HCVはヘパシウイルス属におけるウイルスのフラビウイルス科のメンバーであり、そしてテングウイルスおよび黄熱病ウイルスのようなヒト疾患に関与する多数のウイルスが包含されるフラビウイルス属と、そしてウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)が包含される動物ペスチウイルス科と近縁関係にある。HCVのゲノムは、RNA二次構造をとる5’および3’非翻訳領域の両方、ならびに単一のポリタンパク質をコードする中央のオープンリーディングフレームを含んでなる。ポリタンパク質は10個の遺伝子産物をコードし、それらはホストおよびウイルスプロテアーゼの両方により媒介される組織化された一連の翻訳時および翻訳後エンド型タンパク質分解(endoproteolytic)切断により前駆体ポリタンパク質から生成される。ウイルス構造タンパク質には、コアヌクレオキャプシドタンパク質ならびに2つのエンベロープ糖タンパク質E1およびE2が包含される。非構造(NS)タンパク質は、いくつかの必須のウイルス酵素機能(ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、プロテアーゼ)ならびに未知の機能のタンパク質をコードする。ウイルスゲノムの複製は、非構造タンパク質5b(NS5B)によりコードされるRNA依存性RNAポリメラーゼにより媒介される。ポリメラーゼに加えて、両方とも二機能性NS3タンパク質においてコードされる、ウイルスのヘリカーゼおよびプロテアーゼ機能は、HCV RNAの複製に必須であることが示されている。NS3セリンプロテアーゼに加えて、HCVはまたNS2領域においてメタロプロテイナーゼもコードする。
【0003】
初期急性感染後に、HCVは肝細胞において優先的に複製するが直接的に細胞変性性ではないので、感染した個体の大部分は慢性肝炎を発症する。特に、活発なTリンパ球応答の欠如および突然変異するウイルスの高い傾向は、高い率の慢性感染を促進するように思われる。慢性肝炎は肝線維症に進行し、肝硬変、末期肝疾患およびHCC(肝細胞癌)を引き起こす可能性があり、それを肝移植の主要原因にしている。
【0004】
6つの主要なHCV遺伝子型および50より多くのサブタイプがあり、これらは地理的に異なって分布している。HCV1型は、欧州および米国における優勢遺伝子型である。HCVの大きな遺伝的多様性は重要な診断的および臨床的意味を有し、おそらくワクチン開発の困難および現行治療への反応の欠如を説明する。
【0005】
HCVの伝染は、例えば輸血もしくは静脈内薬物使用の後に、汚染された血液もしくは血液製剤との接触によって起こり得る。血液スクリーニングにおいて使用する診断試験の導入は、輸血後のHCV発生率の減少傾向をもたらしている。しかしながら、末期肝疾患への緩徐な進行を考えると、現在の感染は数十年間深刻な医学的および経済的負担を与え続ける。
【0006】
現行のHCV治療は、リバビリンと組み合わせた(PEG化)インターフェロン−アルファ(IFN−α)に基づく。この組み合わせ療法は、遺伝子型1型ウイルスに感染した患者の40%より多くそして遺伝子型2および3型に感染したものの約80%において持続性ウイルス学的著効をもたらす。HCV1型への限られた効能に加えて、この組み合わ
せ療法は重大な副作用を有し、そして多数の患者において十分に耐容されない。主要な副作用にはインフルエンザ様症状、血液学的異常および神経精神症状が包含される。従って、より有効な都合のよいそしてより良く耐容される処置の必要性がある。
【0007】
多数の類似したHCVプロテアーゼ阻害剤が、学術および特許文献において開示されている。HCVプロテアーゼ阻害剤の持続投与は、通常、耐性HCV突然変異体、いわゆる薬剤エスケープ突然変異体の選択をもたらす。これらは、HCVプロテアーゼゲノムにおける特徴的な突然変異、特にD168V、D168Yおよび/もしくはA165Sを有する。従って、うまくいかない患者に処置の選択肢を提供するために異なる耐性パターンを有する追加の薬剤の必要性がある。そのような薬剤は、一次処置にさえ、将来に標準となることが予想される、組み合わせ療法において用途を見出すことができる。
【0008】
HIV薬での、特にHIVプロテアーゼ阻害剤での経験は、次善の薬物動態および複雑な投与計画が不注意によるコンプライアンス不履行をすぐにもたらすことを教示している。これは次にHIV処方計画におけるそれぞれの薬剤の24時間トラフ濃度(最小血漿濃度)が1日の大部分にわたってIC90もしくはED90閾値より低くなることが多いことを意味する。少なくともIC50、そしてより現実的にはIC90もしくはED90の24時間トラフレベルは、薬剤エスケープ突然変異体の発生を遅らせるために必須であると考えられる。
【0009】
そのようなトラフレベルを可能にするために必要な薬物動態および薬剤代謝を達成することは、薬剤設計に厳しい課題を与える。多数のペプチド結合を有する既知のHCVプロテアーゼ阻害剤は、有効な投与計画にさらなる薬物動態学的問題を提示する。
【0010】
副作用、限られた効能、耐性の出現およびコンプライアンス不履行のような現行のHCV治療の不都合を克服することができるHCV阻害剤の必要性がある。
【0011】
本発明は、先行技術化合物の化合物を考慮して少なくとも1つの改善された特性を示すHCV複製の阻害剤に関する。特に、本発明の阻害剤は以下の薬理学的に関連する特性、すなわち、効能、減少した細胞毒性、改善された薬物動態、改善された耐性プロフィール、許容しうる投薬量および投薬負担(pill burden)の1つもしくはそれ以上において優れている。
【発明の概要】
【0012】
発明の簡単な記述
本発明は、その立体異性体を包含する、式(I):
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、
Aは−C(=O)OR、−C(=O)−NH−SO−R、−C(=O)C(=O)NR3a3b、−C(=O)−NH−SO−NR3a3b、−C(=O)NH−P(=O)(OR4a)(R4b)もしくは−P(=O)(OR4a)(R4b)であり、ここで;
は水素;アリール;Het;場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいC3〜7シクロアルキル;または場合によりC3〜7シクロアルキル、アリールでもしくはHetで置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
はアリール;Het;場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいC3〜7シクロアルキル;または場合によりC3〜7シクロアルキル、アリールでもしくはHetで置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
3aおよびR3bは各々独立して水素;場合によりC1〜6アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、C3〜7シクロアルキル、アリールでもしくはHetで置換されていてもよいC1〜6アルキル;アリール;C2〜6アルケニル;Het;場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいC3〜7シクロアルキルであるか;またはR3aおよび3bはそれらが結合している窒素原子と一緒になって基Hetを形成し;そしてR3aはまたC1〜6アルコキシであることもでき;
4aは水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜7シクロアルキル、アリール、または場合によりC3〜7シクロアルキルもしくはアリールで置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
4bはR4b’、OR4b’もしくはNHR4b’であり;
4b’はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜7シクロアルキル、アリール、または場合によりC3〜7シクロアルキルでもしくはアリールで置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
XはN、CHであり、そしてXが二重結合を有する場合、それはCであり;
EはNRであり、またはXがNである場合、EはNRもしくはCR6a6bであり;
は水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキルもしくはC3〜7シクロアルキルであり;
6aおよびR6bは独立して水素もしくはC1〜6アルキルであるか、またはR6aおよびR6bはそれらが結合している炭素原子と一緒になってC3〜7シクロアルキルを形成し;
nは3、4、5もしくは6であり;
各点線−−−−−は独立して場合による二重結合を表し;
は水素であり、またはXがCもしくはCHである場合、RはまたC1〜6アルキルであることもでき;
は式
【0015】
【化2】

【0016】
の基であり、
8aおよびR9aは各々独立して水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、ポリハロC1〜6アルキル、シアノ、アミノ、モ
ノ−もしくはC1〜6ジアルキルアミノであり;
各Rは独立して場合によりC1〜6アルコキシ、ヒドロキシもしくはハロで置換されていてもよいC1〜6アルキル;C3〜7シクロアルキル;C2〜6アルケニル;C1〜6アルコキシ;C3〜7シクロアルキルオキシ;アリールオキシ;Het−O−;ヒドロキシ;シアノ;ポリハロC1〜6アルキル;モノ−もしくはC1〜6ジアルキルアミノであり;
各R10は独立して水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、ポリハロC1〜6アルキル、シアノ、アミノ、モノ−もしくはC1〜6ジアルキルアミノであり;
各アリールは独立して場合によりハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、アミノ、モノ−もしくはジC1〜6アルキル−アミノ、アジド、メルカプト、C1〜6アルキルチオ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルコキシ、C3〜7シクロアルキルおよびHetから選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
各Hetは独立して、窒素、酸素および硫黄から各々独立して選択される1、2、3もしくは4個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員の飽和した、部分的に不飽和のもしくは完全に不飽和の複素環式環であり、該複素環式環は、場合によりハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、アミノ、モノ−もしくはジC1〜6アルキルアミノ、アジド、メルカプト、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルコキシ、C3〜7シクロアルキル、Hetから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよく;
各Hetは独立してピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−C1〜6アルキル−ピペラジニル、4−C1〜6アルキルカルボニル−ピペラジニルおよびモルホリニルであり、そしてここで、モルホリニルおよびピペリジニル基は場合により1もしくは2個のC1〜6アルキル基で置換されていてもよい]
により表すことができるHCV複製の阻害剤、またはそのN−オキシド、製薬学的に許容しうる付加塩もしくは製薬学的に許容しうる溶媒和物に関する。
【0017】
本発明は、薬剤としての使用のための式(I)の化合物自体、ならびにそのN−オキシド、製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性体に関する。本発明はさらに、HCV感染を患っている患者への投与のための上記化合物を含んでなる製薬学的組成物に関する。製薬学的組成物は、他の抗HCV薬と上記化合物との組み合わせを含んでなることができる。
【0018】
本発明はまた、HCV複製を阻害するための薬剤の製造のための式(I)の化合物、そのN−オキシド、製薬学的に許容しうる付加塩もしくは立体化学的異性体の使用にも関する。あるいは、本発明は温血動物におけるHCV複製を阻害する方法に関し、該方法は、式(I)の化合物、そのN−オキシド、製薬学的に許容しうる付加塩もしくは立体化学的異性体の有効量の投与を含んでなる。
【0019】
発明の詳細な記述
上記および下記において用いる場合、他に記載されない限り以下の定義が適用される。
【0020】
本明細書において用いる場合、基もしくは基の一部としての「C1〜4アルキル」は、例えばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピルのような1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基を定義し;「C1〜6アルキル」には、C1〜4アルキル基および例えば1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、2−メチル−1−
ブチル、2−メチル−1−ペンチル、2−エチル−1−ブチル、3−メチル−2−ペンチルなどのような5もしくは6個の炭素原子を有するその高級同族体が包含される。C1〜6アルキルの中で興味深いのは、C1〜4アルキルである。
【0021】
基もしくは基の一部としての「C2〜6アルケニル」という用語は、例えばエテニル(もしくはビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル(もしくはアリル)、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、2−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ペンテニルなどのような、飽和した炭素−炭素結合および少なくとも1個の二重結合を有しそして2〜6個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状炭化水素基を定義する。C2〜6アルケニルの中で興味深いのは、C2〜4アルケニルである。
【0022】
3〜7シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルの総称である。
【0023】
1〜6アルコキシは、C1〜6アルキルが上記に定義したとおりでありそして酸素原子に結合しているC1〜6アルキルオキシ、すなわち、−O−C1〜6アルキルを意味する。C1〜6アルコキシの中で興味深いのは、メトキシ、エトキシおよびプロポキシである。
【0024】
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの総称であり、特にフルオロもしくはクロロである。
【0025】
基もしくは基の一部としての、例えばポリハロC1〜6アルコキシにおける「ポリハロC1〜6アルキル」という用語は、1個もしくはそれ以上のフルオロ原子を有するメチルもしくはエチル、例えばジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチルのような、モノ−もしくはポリハロ置換されたC1〜6アルキル、特に1、2、3、4、5、6個までもしくはそれ以上のハロ原子で置換されたC1〜6アルキルとして定義される。好ましいのはトリフルオロメチルである。また包含されるのは、全ての水素原子がフルオロ原子で置換されるC1〜6アルキル基であるペルフルオロC1〜6アルキル基、例えばペンタフルオロエチルである。1個より多くのハロゲン原子がポリハロC1〜6アルキルの定義内のアルキル基に結合している場合、これらのハロゲン原子は同じであるかもしくは異なることができる。
【0026】
前に本明細書において用いる場合、(=O)もしくはオキソという用語は、炭素原子に結合している場合にはカルボニル部分、硫黄原子に結合している場合にはスルホキシド部分、そして2個の該用語が硫黄原子に結合している場合にはスルホニル部分を形成する。環もしくは環系がオキソ基で置換される場合はいつでも、オキソが結合している炭素原子は飽和した炭素である。
【0027】
基Hetは、本明細書および請求項において特定したとおりの複素環である。Hetの例は、例えば、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジノリル、イソチアジノリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル(1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリルを包含する)、テトラゾリル、フラニル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、トリアジニルなどを含んでなる。Het基の中で興味深いのは不飽和であるもの、特に芳香族性を有するものである。さらに興味深いのは、1もしくは2個の窒素を有するHet基である。
【0028】
このおよび以下の段落において記載するHet基の各々は、場合により式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかの定義において記載する置換基の数および種類で置換されていてもよい。このおよび以下の段落において記載するHet基のあるものは、1、2もしくは3個のヒドロキシ置換基で置換されることができる。そのようなヒドロキシで置換された環は、ケト基を保有するそれらの互変異性型として存在することができる。例えば、3−ヒドロキシピリダジン部分はその互変異性型2H−ピリダジン−3−オンにおいて存在することができる。Hetがピペラジニルである場合、それは好ましくは炭素原子で4−窒素に連結される置換基、例えば4−C1〜6アルキル、4−ポリハロC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C3〜7シクロアルキルによりその4位において置換される。
【0029】
興味深いHet基は、例えばピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル(1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリルを包含する)、テトラゾリル、フラニル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラゾリル、トリアジニル、もしくはインドリル、インダゾリル(特に1H−インダゾリル)、インドリニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル(特に1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル)、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル(特に1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)、キナゾリニル、フタラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニルのような、ベンゼン環と縮合したそのような複素環のいずれかを含んでなる。
【0030】
Het基ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、4−置換されたピペラジニルは、好ましくはそれらの窒素原子を介して連結される(すなわち、1−ピロリジニル、1−ピペリジニル、4−チオモルホリニル、4−モルホリニル、1−ピペラジニル、4−置換された1−ピペラジニル)。
【0031】
定義において使用する任意の分子部分上の基の位置は、それが化学的に安定である限りそのような部分上の任意の場所であり得ることに留意すべきである。
【0032】
変記号の定義において使用する基には、他に示されない限り全ての可能な異性体が包含される。例えば、ピリジルには2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジルが包含され;ペンチルには1−ペンチル、2−ペンチルおよび3−ペンチルが包含される。
【0033】
任意の変記号が任意の部分において1回より多く存在する場合、各定義は独立している。
【0034】
「式(I)の化合物」もしくは「本発明の化合物」という用語または同様の用語を以下に用いる場合はいつでも、式(I)の化合物、それらのN−オキシド、製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性体が包含されるものとする。1つの態様は、本明細書に特定される式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の任意の亜群、ならびにその製薬学的に許容しうる付加塩および可能な立体異性体を含んでなる。
【0035】
式(I)の化合物はいくつかのキラリティー中心を有し、そして立体化学的異性体として存在する。「立体化学的異性体」という用語は、本明細書において用いる場合、式(I)の化合物が有し得る、同じ順序の結合により結合している同じ原子で構成されるが互いに交換できない異なる3次元構造を有する全ての可能な化合物を定義する。
【0036】
(R)もしくは(S)が置換基内のキラル原子の絶対配置を指定するために用いられる場合に関して、該指定は全化合物を考慮して行われ、そして分離した置換基ではない。
【0037】
他に記載されないかもしくは示されない限り、化合物の化学表示には該化合物が有し得る全ての可能な立体化学的異性体の混合物が包含される。該混合物は、該化合物の基本分子構造の全てのジアステレオマーおよび/もしくは鏡像異性体を含有することができる。純粋形態のもしくは相互に混合した両方の本発明の化合物の全ての立体化学的異性体は、本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0038】
本明細書に記載される場合に化合物および中間体の純粋な立体異性体は、該化合物もしくは中間体の同じ基本分子構造の他の鏡像異性体もしくはジアステレオマー形態を実質的に含まない異性体として定義される。特に、「立体異性的に純粋な」という用語は、少なくとも80%の立体異性体過剰率(すなわち、最低90%の一方の異性体および最大10%のもう一方の可能な異性体)〜100%の立体異性体過剰率(すなわち、100%の一方の異性体およびもう一方は全くない)を有する化合物もしくは中間体、さらに特に90%〜100%の立体異性体過剰率を有する、なおさらに特に94%〜100%の立体異性体過剰率を有する、そして最も特に97%〜100%の立体異性体過剰率を有する化合物もしくは中間体に関する。「鏡像異性的に純粋な」および「ジアステレオマー的に純粋な」という用語は同様に、しかしその場合問題になっている混合物のそれぞれ鏡像異性体過剰率およびジアステレオマー過剰率を考慮して理解されるべきである。
【0039】
本発明の化合物および中間体の純粋な立体異性体は、当該技術分野で既知の方法の適用により得ることができる。例えば、鏡像異性体は、光学活性酸もしくは塩基でのそれらのジアステレオマー塩の選択的結晶化により相互から分離することができる。その例は、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびショウノウスルホン酸である。あるいはまた、鏡像異性体はキラル固定相を用いてクロマトグラフィー技術により分離することができる。該純粋な立体化学的異性体はまた、反応が立体特異的に起こるならば、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体から得ることもできる。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合、該化合物は立体特異的製造方法により合成される。これらの方法は、鏡像異性的に純粋な出発物質を都合よく用いる。
【0040】
式(I)の化合物のジアステレオマーラセミ化合物は、常法により別個に得ることができる。都合よく用いることができる適切な物理的分離方法は、例えば、選択的結晶化およびクロマトグラフィー、例えばカラムクロマトグラフィーである。
【0041】
式(I)の化合物、そのN−オキシド、製薬学的に許容しうる付加塩および溶媒和物、ならびにその製造において使用する中間体のいくつかについて、絶対立体化学配置は実験的に決定されなかった。当業者は、例えばX線回折のような当該技術分野で既知の方法を用いてそのような化合物の絶対配置を決定することができる。
【0042】
本発明はまた、本発明の化合物上に存在する原子の全ての同位体も包含するものとする。同位体には、同じ原子番号しかし異なる質量数を有する原子が包含される。一般的な例としてそして限定されずに、水素の同位体にはトリチウムおよび重水素が包含される。炭素の同位体にはC−13およびC−14が包含される。
【0043】
製薬学的に許容しうる付加塩は、式(I)の化合物の治療的に有効な無毒の酸および塩基付加塩形態を含んでなる。製薬学的に許容しうる酸付加塩は、塩基形態をそのような適切な酸で処理することにより都合よく得ることができる。適切な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸;または例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわ
ち、エタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわち、ブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸(すなわち、ヒドロキシルブタン二酸)、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモン酸などのような有機酸を含んでなる。逆に、該塩形態は、適切な塩基での処理により遊離塩基形態に転化することができる。
【0044】
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物はまた、適切な有機および無機塩基での処理によりそれらの無毒の金属もしくはアミン付加塩形態に転化することもできる。適切な塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン(hydrabamine)塩、ならびに例えばアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含んでなる。
【0045】
付加塩という用語はまた、式(I)の化合物ならびにその塩が形成することのできる溶媒和物も含んでなるものとする。そのような溶媒和物は、例えば水和物、アルコラート、例えばエタノラート、プロパノラートなどである。
【0046】
本発明の化合物のN−オキシド形態は、1個もしくはいくつかの窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化される式(I)の化合物を含んでなるものとする。
【0047】
式(I)の化合物のあるものはまた、それらの互変異性型において存在することもできる。そのような型は上記の式において明白に示されないが、本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0048】
上記のように、式(I)の化合物はいくつかの不斉中心を有する。これらの不斉中心の各々により効率よく言及するために、以下の構造式において示されるような付番方式を用いる。
【0049】
【化3】

【0050】
不斉中心は大員環の1、4および6位にならびに5員環における炭素原子3’に、R置換基がC1〜6アルキルである場合には炭素原子2’に、そしてXがCHである場合には炭素原子1’に存在する。これらの不斉中心の各々は、それらのRもしくはS立体配置において存在することができる。
【0051】
XがNである場合、1位での立体化学は好ましくはL−アミノ酸立体配置のもの、すなわち、以下に示されるようなL−プロリンのものに対応する。
【0052】
【化4】

【0053】
XがCHである場合、シクロペンタン環の1’および5’位で置換された2個のカルボニル基は好ましくはトランス立体配置にある。5’位のカルボニル置換基は、好ましくはL−プロリン立体配置に対応する立体配置にある。1’および5’位で置換されたカルボニル基は、好ましくは以下の式の構造において以下に示されるとおりである:
【0054】
【化5】

【0055】
式(I)の化合物は、以下の構造フラグメントにおいて表されるようなシクロプロピル基を含み:
【0056】
【化6】

【0057】
ここで、Cは7位の炭素を表し、そして4および6位の炭素はシクロプロパン環の不斉炭素原子である。これら2個の不斉中心の存在は、7位の炭素が以下に示されるようにカルボニルに対してシスもしくはアミドに対してシスのいずれかに配置される式(I)の化合物のジアステレオマーのようなジアステレオマーの混合物として化合物が存在できることを意味する。
【0058】
【化7】

【0059】
1つの態様は、7位の炭素がカルボニルに対してシスに配置される式Iの化合物に関する。別の態様は、4位の炭素での立体配置がRである式(I)の化合物に関する。式(I)の化合物の特定の亜群は、7位の炭素がカルボニルに対してシスに配置されそして4位の炭素での立体配置がRであるものである。
【0060】
1つの態様によれば、シクロプロピル基(C−C−C)はホスホネート基−P(=O)(OR4a)(R4b)である基Aに連結される。この態様によれば、7位の炭素は以下の構造フラグメントにおいて提示されるようにホスホネートに対してもしくはアミドに対してのいずれかにシスの関係で配置される:
【0061】
【化8】

【0062】
1つの態様は、7位の炭素がホスホネートに対してシスに配置される式(I)の化合物に関する。別の態様は、4位の炭素での立体配置がSである式(I)の化合物に関する。式(I)の化合物の特定の亜群は、7位の炭素がホスホネートに対してシスに配置されそ
して4位の炭素での立体配置がSであるものである。
【0063】
式(I)の化合物は、プロリン残基(すなわち、XはNである)またはシクロペンチルもしくはシクロペンテニル残基(すなわち、XはそれぞれCHもしくはCである)を含むことができる。本発明の1つの態様によれば、これらの化合物は部分構造:
【0064】
【化9】

【0065】
を含んでなる。
【0066】
本発明のさらなる態様は、Rがメチルであり、EがNRであり、XがRを保有する炭素に二重結合で結合しているCである式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0067】
好ましいのは、1(もしくは5’)位の置換基および3’位のエーテル結合ピリミジン置換基がトランス立体配置にある式(I)の化合物である。特に興味深いのは、1位がL−プロリンに対応する立体配置を有し、そして3’位のエーテル結合ピリミジン置換基が1位に関してトランス立体配置にある式(I)の化合物である。
【0068】
好ましくは、式(I)の化合物は以下の式(I−a)および(I−b)の構造において示されるような立体化学を有する:
【0069】
【化10】

【0070】
本発明の1つの態様は、以下の条件:
(a)Rが水素である;
(b)Xが窒素である;
(c)EがNRである;
(d)二重結合が炭素原子7と8の間に存在する
の1つもしくはそれ以上が当てはまる、式(I)のもしくは式(I−a)、(I−b)の
もしくは式(I)の化合物の任意の亜群の化合物に関する。
【0071】
本発明のさらなる態様は、以下の条件:
(a)Rが水素である;
(b)Xが窒素である;
(c)EがCR6a6bである;
(d)二重結合が炭素原子7と8の間に存在する
の1つもしくはそれ以上が当てはまる、式(I)のもしくは式(I−a)、(I−b)のもしくは式(I)の化合物の任意の亜群の化合物に関する。
【0072】
本発明のさらなる態様は、以下の条件:
(a)Rが水素である;
(b)XがCHである;
(c)EがNRであり、ここで、Rが上記に定義したとおりであり、特にRが水素もしくはC1〜6アルキルである;
(d)二重結合が炭素原子7と8の間に存在する
の1つもしくはそれ以上が当てはまる、式(I)のもしくは式(I−a)、(I−b)のもしくは式(I)の化合物の任意の亜群の化合物に関する。
【0073】
式(I)の化合物の特定の亜群は、以下の構造式(I−c)、(I−d)および(I−e):
【0074】
【化11】

【0075】
により表されるものである。
【0076】
式(I−c)、(I−d)および(I−e)の化合物の中で、それぞれ、式(I−a)および(I−b)に示される立体化学配置を有するものは特に興味深い。
【0077】
式(I)の化合物におけるもしくは式(I)の化合物の任意の亜群における炭素原子7と8の間の二重結合は、シスもしくはトランス立体配置にあることができる。好ましくは、炭素原子7と8の間の二重結合は、式(I−c)、(I−d)および(I−e)に示されるように、シス立体配置にある。
【0078】
式(I)の化合物の他の特定の亜群は、以下の構造式:
【0079】
【化12】

【0080】
により表されるものである。
【0081】
式(I−f)、(I−g)もしくは(I−h)の化合物の中で特に興味深いのは、式(I−a)および(I−b)の化合物の立体化学配置を有するものである。
【0082】
(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)もしくは(I−h)において、適用可能な場合、A、E、X、n、R、R、RおよびRは本明細書に特定される式(I)の化合物のもしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかの定義において特定したとおりである。
【0083】
式(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)もしくは(I−e)の化合物の上記に定義される亜群ならびに本明細書に定義される任意の他の亜群はまた、そのような化合物の任意のN−オキシド、付加塩および立体化学的異性体も含んでなるものとすることが理解されるべきである。
【0084】
nが2である場合、「n」により括弧で囲まれる部分−CH−は式(I)の化合物においてもしくは式(I)の化合物の任意の亜群においてエタンジイルに対応する。nが3である場合、「n」により括弧で囲まれる部分−CH−は式(I)の化合物においてもしくは式(I)の化合物の任意の亜群においてプロパンジイルに対応する。nが4である場合、「n」により括弧で囲まれる部分−CH−は式(I)の化合物においてもしくは式(I)の化合物の任意の亜群においてブタンジイルに対応する。nが5である場合、「n」により括弧で囲まれる部分−CH−は式(I)の化合物においてもしくは式(I)の化合物の任意の亜群においてペンタンジイルに対応する。nが6である場合、「n」により括弧で囲まれる部分−CH−は式(I)の化合物においてもしくは式(I)の化合物の任意の亜群においてヘキサンジイルに対応する。式(I)の化合物の特定の亜群は、nが4もしくは5である化合物である。
【0085】
本発明の態様は、Aが−C(=O)ORであり、特にここでRがメチル、エチルもしくはtert−ブチルのようなC1〜6アルキルであり、そして最も好ましくはここでRが水素である式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0086】
本発明のさらなる態様は、Aが−C(=O)−NH−SOであり、特にここでRがC3〜7シクロアルキル、フェニルもしくは基Het、例えばチアゾリルもしくはピリジルであり、これらのいずれかが場合により1個もしくはそれ以上の、例えばC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、トリフルオロメチルおよびハロから選択される1もしくは2個の置換基で、または特にメチル、フルオロおよびクロロから選択される1もしくは
2個の置換基で置換されていてもよい式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。例えば、Rは1−メチルシクロプロピルであることができる。
【0087】
本発明のさらなる態様は、Aが−C(=O)C(=O)NR3a3bであり、特にここでR3aおよびR3bが水素、場合によりアリールで置換されていてもよいC1〜6アルキル、およびC2〜6アルケニルから独立して選択される式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。1つの態様において、R3aおよびR3bの一方は水素であり、そしてもう一方は3−プロペニル、シクロプロピルメチルもしくはシクロプロピルである。さらなる態様において、R3aおよびR3bは両方とも水素である。
【0088】
本発明のさらなる態様は、Aが−C(=O)−NH−P(=O)(OR4a)(R4b)であり、特にここでR4aがC1〜6アルキル、特にエチルもしくはイソプロピルであり、そしてR4bがOR4b’であり、そしてR4b’がエチルもしくはイソプロピルのようなC1〜6アルキルである式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0089】
本発明のさらなる態様は、Aが−P(=O)(OR4a)(R4b)であり、特にここでR4aがC1〜6アルキル、特にエチルもしくはイソプロピルであり、そしてR4bがOR4b’であり、そしてR4b’がC1〜6アルキル、特にエチルもしくはイソプロピルである式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0090】
本発明のさらなる態様は、
(a)Rが水素;C1〜6アルキル;C1〜6アルコキシC1〜6アルキル;もしくはC3〜7シクロアルキルである
(b)Rが水素もしくはC1〜6アルキルである;
(c)Rが水素である
式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0091】
本発明の好ましい態様は、Rが水素もしくはC1〜6アルキル、より好ましくは水素もしくはメチルである式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0092】
なおさらなる態様は、R6aおよびR6bが独立して水素もしくはC1〜6アルキル、例えばメチルである式(I)、(I−e)の化合物もしくは式(I)の化合物の任意の亜群に関する。好ましくは、R6aは水素であり、そしてR6bはメチルであり、もしくはより好ましくはR6aおよびR6bは両方とも水素である。
【0093】
本発明の態様は、
(a)Rが式:
【0094】
【化13】

【0095】
の基であるか;もしくは
(b)Rが式:
【0096】
【化14】

【0097】
の基であるか;もしくは
(c)Rが式:
【0098】
【化15】

【0099】
の基である
式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0100】
本発明の態様は、
(d)Rが式:
【0101】
【化16】

【0102】
の基であるか;もしくは
(e)Rが式:
【0103】
【化17】

【0104】
の基であるか;もしくは
(f)Rが式:
【0105】
【化18】

【0106】
の基である
式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0107】
本発明の態様は、RおよびR10、もしくはRおよびR10の1つが下記のとおりである:
がC1〜6アルキル(例えば、メチル、エチルもしくはイソプロピル);C1〜6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシもしくはイソプロポキシ);アリールオキシ;Het−O−;シアノであるか;またはRがC1〜6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシもしくはイソプロポキシ)もしくはアリールオキシ(例えば、フェノキシもしくは4−メトキシ−フェノキシ)であり;
10が水素;C1〜6アルキル(例えば、メチル、エチルもしくはイソプロピル);C1〜6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシもしくはイソプロポキシ);シアノである
式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0108】
前段落において、アリールおよびHetは上記にもしくは以下に本明細書において特定したとおりであり、特にアリールは場合によりC1〜6アルコキシで(例えば、メトキシ、エトキシもしくはイソプロポキシで)置換されていてもよいフェニル、さらに特に4−置換されたフェニルであり;そしてHetは特にピリジルもしくはピリミジニルである。
【0109】
本発明の好ましい態様は、Rの1つが水素、メトキシもしくはシアノである式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0110】
本発明の好ましい態様は、Rがシアノ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、モノ−およびジ(C1〜6アルキルアミノ)、ハロ、アミノ、C1〜6アルコキシ、アリールオキシ、C1〜6アルキル、Hetであるか;もしくはRがシアノ、C1〜6アルキルオキシカルボニル(例えばメトキシカルボニル)、モノ(C1〜6アルキルアミノ)(例えばメチルアミノ)、ハロ(例えばクロロ)、C1〜6アルコキシ(例えばメトキシ)、フェノキシ、C1〜6アルキル(例えばメチル)、場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいチアゾリル(例えば2−メチル−4−チアゾリル)である式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0111】
本発明の好ましい態様は、R10が水素、C1〜6アルコキシ(例えばメトキシ)もしくはハロである式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0112】
本発明の好ましい態様は、RおよびR10の1つがハロ(特にフルオロ)もしくはトリフルオロメチルである式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。他の好ましい態様は、Rの1つがハロ(特にフルオロ)もしくはトリフルオロメチルであり、そしてR10が水素であるものである。
【0113】
本発明の好ましい態様は、Rが式:
【0114】
【化19】

【0115】
[式中、Rはシアノもしくはメチルであり、そしてR10は水素もしくはメトキシであるか;またはRはシアノもしくはメトキシであり、そしてR10は水素である]
の基である式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0116】
本発明の他の好ましい態様は、Rが式:
【0117】
【化20】

【0118】
[式中、以下の(a)もしくは(b):
(a)Rはシアノ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、モノ−およびジ(C1〜6アルキルアミノ)、ハロ、アミノ、C1〜6アルコキシ、アリールオキシ、C1〜6アルキル、Hetであるか;もしくはRはシアノ、C1〜6アルキルオキシカルボニル(例えばメトキシカルボニル)、モノ(C1〜6アルキルアミノ)(例えばメチルアミノ)、ハロ(例えばクロロ)、C1〜6アルコキシ(例えばメトキシ)、フェノキシ、C1〜6アルキル(例えばメチル)、場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいチアゾリル(例えば2−メチル−4−チアゾリル)である;
(b)R10は水素、C1〜6アルコキシ(例えばメトキシ)もしくはハロである
のいずれかもしくは両方が当てはまる]
の基である式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0119】
本発明の態様は、基
【0120】
【化21】

【0121】
が以下の構造:
【0122】
【化22】

【0123】
を有する基:
【0124】
【化23】

【0125】
である式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0126】
本発明の態様は、基
【0127】
【化24】

【0128】
が前段落におけるとおりであり、そしてR8a、R9aおよびR10、もしくはR8a、RおよびR10の1つが特に下記のとおりである:
8a、R9aが独立して水素、C1〜6アルキル(例えば、メチル、エチルもしくはイソプロピル);C1〜6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシもしくはイソプロポキシ);アリールオキシ;Het−O−;シアノであるか;もしくはR10が水素、C
〜6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシもしくはイソプロポキシ)もしくはアリールオキシ(例えば、フェノキシもしくは4−メトキシ−フェノキシ)であり;
8a、R9aが独立して水素、C1〜6アルキル(例えば、メチル、エチルもしくはイソプロピル);C1〜6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシもしくはイソプロポキシ);シアノであるか;もしくはR10が水素、C1〜6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシもしくはイソプロポキシ)である
式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0129】
本発明の態様は、Rが水素である式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0130】
前段落において、アリールおよびHetは上記にもしくは以下に本明細書において特定したとおりであり、特にアリールは場合によりC1〜6アルコキシで(例えば、メトキシ、エトキシもしくはイソプロポキシで)置換されていてもよいフェニル、さらに特に4−置換されたフェニルであり;そしてHetは特にピリジルもしくはピリミジニルである。
【0131】
本発明の好ましい態様は、Rの1つが水素、メトキシもしくはシアノである式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかである。
【0132】
式(I)の化合物は、3つの構成要素P1、P2、P3からなる。構成要素P1はさらにP1’尾部を含有する。以下の化合物(I−i)において星印で印をつけたカルボニル基は、構成要素P2のもしくは構成要素P3のいずれかの一部であることができる。化学の理由により、XがCである式(I)の化合物の構成要素P2は、1’位に結合しているカルボニル基を含む。
【0133】
P2と構成要素P1、P3とP2そしてP1’とP1(Rが−NH−SOである場合)の連結は、アミド結合を形成することを伴う。要素P1とP3の連結は、二重結合形成を伴う。化合物(I−i)もしくは(I−j)を製造するための構成要素P1、P2およびP3の連結は、任意の既定の順序で行うことができる。段階の1つは、大員環が形成される環化を伴う。
【0134】
以下に表されるのは、炭素原子C7およびC8が二重結合により連結される式(I)の化合物である化合物(I−i)、および炭素原子C7およびC8が単結合により連結される式(I)の化合物である化合物(I−j)である。式(I−j)の化合物は、大員環における二重結合を還元することにより式(I−i)の対応する化合物から製造することができる。
【0135】
【化25】

【0136】
以下に記述する合成方法は、ラセミ化合物、立体化学的に純粋な中間体もしくは最終生成物、または任意の立体異性体混合物に同様に適用可能であるものとする。ラセミ化合物もしくは立体化学的混合物は、合成方法の任意の段階で立体異性体に分離することができる。1つの態様において、中間体および最終生成物は式(I−a)および(I−b)の化合物において上記に特定した立体化学を有する。
【0137】
以下の記述において、R11は基
【0138】
【化26】

【0139】
を表す。
【0140】
1つの態様において、化合物(I−i)は、最初にアミド結合を形成しそして次に大員環への付随する環化とともにP3とP1の間で二重結合連結を形成することにより製造される。
【0141】
1つの態様において、上記に定義したとおり、式(I−i)の化合物である、CとCの間の結合が二重結合である化合物(I)は、以下の反応スキームにおいて概説されるように製造することができる:
【0142】
【化27】

【0143】
大員環の形成は、例えば、Miller,S.J.,Blackwell,H.E.,Grubbs,R.H.J.Am.Chem.Soc.118,(1996),9606−9614;Kingsbury,J.S.,Harrity,J.P.A.,Bonitatebus,P.J.,Hoveyda,A.H.,J.Am.Chem.Soc.121,(1999),791−799;およびHuang et al.,J.Am.Chem.Soc.121,(1999),2674−2678により報告されるRuに基づく触媒;例えばホベイダ−グラブス触媒のような適当な金属触媒の存在下でオレフィンメタセシス反応によって実施することができる。
【0144】
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)−3−フェニル−1H−インデン−1−イリデンルテニウムクロリド(Neolyst M1(R))もしくはビス(トリシクロヘキシルホスフィン)−[(フェニル−チオ)メチレン]ルテニウム(IV)ジクロリドのような空気中で安定なルテニウム触媒を用いることができる。用いることができる他の触媒は、グラブス第一および第二世代触媒、すなわち、それぞれ、ベンジリデン−ビス(トリシクロヘキシル−ホスフィン)ジクロロルテニウムおよび(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムである。特に興味深いのは、それぞれジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)および1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウムであるホベイダ−グラブス第一および第二世代触媒である。Moのような他の遷移金属を含有する他の触媒もまたこの反応に用いることができる。
【0145】
メタセシス反応は、例えばエーテル、例えばTHF、ジオキサン;ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、CHCl、1,2−ジクロロエタンなど、炭化水素、例えばトルエンのような適当な溶媒において行われることができる。好ましい態様において、メタセシス反応はトルエンにおいて行われる。これらの反応は、窒素雰囲気下で高い温度で行われる。
【0146】
大員環におけるC7とC8の間の結合が単結合である式(I)の化合物、すなわち、式(I−j)の化合物は、式(I−i)の化合物におけるC7−C8二重結合の還元により式(I−i)の化合物から製造することができる。この還元は、例えばPt、Pd、Rh、Ruもしくはラネーニッケルのような貴金属触媒の存在下で水素での接触水素化により行うことができる。興味深いのは、アルミナ上Rhである。水素化反応は、好ましくは例えばメタノール、エタノールのようなアルコール、もしくはTHFのようなエーテルのような溶媒、またはその混合物において行われる。水もまたこれらの溶媒もしくは溶媒混合
物に加えることができる。
【0147】
A基は合成の任意の段階で、すなわち、環化の前もしくは後に、または上に本明細書に記述されるような環化および還元の前もしくは後にP1構成要素に連結することができる。Aが−CO−NHSOを表す式(I)の化合物(該化合物は式(I−k−1)で表される)は、両方の部分の間でアミド結合を形成することによりP1にA基を連結することによって製造することができる。同様に、Rが−C(=O)ORを表す式(I)の化合物(すなわち、化合物(I−k−2))は、エステル結合を形成することによりP1にR基を連結することにより製造することができる。1つの態様において、−C(=O)OR基は、Gが基:
【0148】
【化28】

【0149】
を表す以下の反応スキームに概説されるように化合物(I)の合成の最終段階において導入される:
【0150】
【化29】

【0151】
中間体(2a)は、下記のアミド結合の形成のための方法のいずれかのようなアミド形成反応によりスルホンアミド(2b)と連結することができる。特に、(2a)はエーテル、例えばTHF、もしくはハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンのような溶媒において、カップリング剤、例えばN,N’−カルボニル−ジイミダゾール(CDI)、EEDQ、IIDQ、EDCIもしくはベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(PyBOP(R)として市販されている)で処理し、そして好ましくは(2a)をカップリング剤と反応させた後に、所望のスルホンアミド(2b)と反応させることができる。(2b)と(2a)との反応は好ましくは、塩基、例えばトリエチルアミンもしくはジイソプロピルエチルアミンのようなトリアルキルアミン、または1,8−ジアザビシクロ[5.
4.0]ウンデク−7−エン(DBU)の存在下で行われる。中間体(2a)はまた活性型、例えば一般式G−CO−Z(式中、Zはハロもしくは活性エステルの残りを表し、例えば、Zはフェノキシ、p.ニトロフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシ、トリクロロ−フェノキシ、ペンタクロロフェノキシなどのようなアリールオキシ基であり;またはZは混合無水物の残りであることができる)の活性型に転化することもできる。1つの態様において、G−CO−Zは酸塩化物(G−CO−Cl)もしくは混合酸無水物(G−CO−O−CO−RもしくはG−CO−O−CO−OR、後者におけるRは例えばメチル、エチル、プロピル、i.プロピル、ブチル、t.ブチル、i.ブチルのようなC1〜4アルキル、もしくはベンジルである)である。活性型G−CO−Zをスルホンアミド(2b)と反応させる。
【0152】
Aが−C(=O)−NH−P(=O)(OR4a)(R4b)を表す式(I)の化合物(該化合物は式(I−k−3)で表される)は、下記のアミド結合の形成のための方法に従って、中間体(2a)とホスホルアミデート(2d)との間でアミド結合を形成することにより製造することができる。特に、(2a)を適切な溶媒においてカップリング剤で処理し、続いて好ましくは(2a)をカップリング剤と反応させた後に、好ましくは水素化ナトリウムのような塩基の存在下で、ホスホルアミデート(2d)と反応させることができる。中間体(2a)はまた活性型、例えば一般式G−CO−Z(式中、Zはハロもしくは活性エステルの残りを表し、例えば、Zはフェノキシ、p−ニトロフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシ、トリクロロフェノキシ、ペンタクロロフェノキシなどのようなアリールオキシ基であり;またはZは混合無水物の残りであることができる)の活性型に転化することもできる。1つの態様において、G−CO−Zは酸塩化物(G−CO−Cl)もしくは混合酸無水物(G−CO−O−CO−RもしくはG−CO−O−CO−OR、後者におけるRは例えばメチル、エチル、プロピル、i.プロピル、ブチル、t.ブチル、i.ブチルのようなC1〜4アルキル、もしくはベンジルである)である。活性型G−CO−Zを所望の(2b)と反応させる。カップリング剤、溶媒および塩基は、アミド結合の製造の一般的記述において以下に記述したとおりであることができる。
【0153】
【化30】

【0154】
上記の反応において記述されるような(2a)におけるカルボン酸の活性化は、式
【0155】
【化31】

【0156】
のアザラクトン中間体への内部環化反応をもたらすことができ、ここで、X、E、R、R11およびnは上記に特定したとおりであり、そしてここで、ステレオジェン中心は、例えば(I−a)もしくは(I−b)におけるように、上記に特定したとおりの立体化学配置を有することができる。中間体(2a−1)は通常の方法論を用いて反応混合物から単離することができ、そして単離された中間体(2a−1)を次に(2b)と反応させ、または(2a−1)を含有する反応混合物を(2a−1)の単離なしに(2b)もしくは(2d)とさらに反応させることができる。1つの態様において、カップリング剤との反応が水非混和性溶媒において行われる場合、全ての水溶性副生成物を除くために(2a−1)を含有する反応混合物を水でもしくはわずかに塩基性の水で洗浄することができる。このようにして得られる洗浄された溶液は、次に、さらなる精製段階なしに(2b)もしくは(2d)と反応させることができる。一方で中間体(2a−1)の単離は、任意のさらなる精製後に、単離された生成物を(2b)もしくは(2d)と反応させ、より少ない副生成物および反応物のより容易な処理をもたらすことができる点においてある種の利点を提供することができる。
【0157】
中間体(2a)は、エステル形成反応によりアルコール(2c)と連結することができる。例えば、(2a)および(2c)を例えば共沸水除去により物理的にもしくは脱水剤を用いることにより化学的に水の除去を伴って一緒に反応させる。中間体(2a)はまた、上記の活性型のような活性型G−CO−Zに転化し、そして次にアルコール(2c)と反応させることもできる。エステル形成反応は好ましくは、アルカリ金属炭酸塩もしくは炭酸水素塩、例えば炭酸水素ナトリウムもしくはカリウム、またはアミド形成反応に関して本明細書に記載されるアミンのような第三級アミン、特にトリアルキルアミン、例えばトリエチルアミンのような塩基の存在下で行われる。エステル形成反応において使用することができる溶媒は、THFのようなエーテル;ジクロロメタン、CHClのようなハロゲン化炭化水素;トルエンのような炭化水素;DMF、DMSO、DMAのような極性非プロトン性溶媒;および同様の溶媒を含んでなる。
【0158】
EがNHである式(I)の化合物(該化合物は(I−l)で表される)はまた、以下の反応スキームにおけるように、対応する窒素保護中間体(3a)から、保護基PGの除去により製造することもできる。保護基PGは特に以下に記載する窒素保護基のいずれかであり、そして同様に以下に記載する方法を用いて取り除くことができる:
【0159】
【化32】

【0160】
上記の反応における出発物質(3a)は、式(I)の化合物の製造の方法に従って、しかし基Rが本明細書に定義したとおりのN−保護基PGである中間体を用いて製造することができる。
【0161】
式(I)の化合物はまた、各種の基が上記に特定した意味を有する以下の反応スキームにおいて概説されるように中間体(4a)をカルバメート形成試薬の存在下でアミン(4b−1)、(4b−2)もしくは(4b−3)と反応させることにより製造することもできる:
【0162】
【化33】

【0163】
カルバメート形成試薬と中間体(4a)との反応は、下記のようなアミド結合形成に用いられるものと同じ溶媒および塩基において行われる。
【0164】
カルバメート形成反応は様々な方法を用いて、特にクロロギ酸アルキルとアミンとの反応により;カルバモイルクロリドもしくはイソシアネートとアルコールとの反応により;金属錯体もしくはアシル転移剤を伴う反応によって行うことができる。例えば、Greene,T.W.and Wuts,P.G.M.,“Protective Group
s in Organic Synthesis”;1999;Wiley and Sons,p.309−348を参照。一酸化炭素およびある種の金属触媒は、アミンを包含する、いくつかの出発化合物からカルバメートを合成するために用いることができる。パラジウム、イリジウム、ウランおよび白金のような金属を触媒として用いることができる。同様に報告されているカルバメートの合成に二酸化炭素を使用する方法もまた用いることができる(例えば、Yoshida,Y.,et al.,Bull.Chem.Soc.Japan 1989,62,1534;およびAresta,M.,et al.,Tetrahedron,1991,47,9489を参照)。
【0165】
カルバメートの製造の1つの方法は、中間体
【0166】
【化34】

【0167】
の使用を伴い、ここで、Qはハロ、特にクロロおよびブロモのような脱離基、または上記のもののようなアミド結合形成のために活性エステルにおいて使用される基、例えばフェノキシもしくは置換されたフェノキシ、例えばp.クロロおよびp.ニトロフェノキシ、トリクロロフェノキシ、ペンタクロロフェノキシ、N−ヒドロキシ−スクシンイミジルなどである。中間体(4d)はアルコール(4a)およびホスゲンから、このようにしてクロロギ酸エステルを形成するか、もしくはQがQである式(4d)の中間体である中間体(5a)に後者におけるクロロを移動させることにより誘導することができる。このおよび以下の反応方法において、Qは上記のもののような活性エステル部分のいずれかを表す。中間体(4d)をアミン(4b−1)、(4b−2)もしくは(4b−3)と反応させ、このようにして化合物(I)が得られる。
【0168】
QがQである中間体(4d)である中間体(4e)はまた、アルコール(4a)を例えばビスフェノール、ビス−(置換されたフェノール)もしくはビスN−ヒドロキシ−スクシンイミジルカーボネートのようなカーボネートQ−CO−Qと反応させることにより製造することもできる:
【0169】
【化35】

【0170】
中間体(4d)を製造するための上記の反応は、アミド結合の合成のための下記の塩基および溶媒、特に塩基としてトリエチルアミンそして溶媒としてジクロロメタンの存在下で行うことができる。
【0171】
あるいはまた、式(I)の化合物を製造するために、最初に構成要素P2とP1の間のアミド結合を形成し、続いてP1−P2におけるP1部分にP3構成要素を連結し、そして次に付随する閉環とともにP2−P1−P3におけるP3とP2部分の間でカルバメートもしくはエステル結合を形成する。
【0172】
さらに別の代替合成方法論は、構成要素P2とP3の間のアミド結合の形成、続いてP3−P2におけるP3部分への構成要素P1のカップリング、そして付随する閉環とともにP1−P3−P2におけるP1とP2の間の最後のアミド結合形成である。
【0173】
構成要素P1およびP3は、P1−P3配列(sequence)に連結することができる。所望に応じて、P1およびP3を連結する二重結合を還元することができる。還元されるかもしくはそうでないいずれかの、このようにして形成されるP1−P3配列を構成要素P2に連結し、そしてこのようにして形成する配列P1−P3−P2を次にアミド結合を形成することにより環化することができる。
【0174】
前の方法のいずれかにおける構成要素P1およびP3は、二重結合形成によって、例えば下記のオレフィンメタセシス反応もしくはウィッティヒ型反応により連結することができる。所望に応じて、(I−j)への(I−i)の転化についての上記と同様に、このようにして形成される二重結合を還元することができる。二重結合はまた後の段階で、すなわち、第三の構成要素の付加後に、もしくは大員環の形成後に還元することもできる。構成要素P2およびP1はアミド結合形成により連結され、そしてP3およびP2はカルバメートもしくはエステル形成により連結される。
【0175】
尾部P1’は、式(I)の化合物の合成の任意の段階で、例えば構成要素P2およびP1を連結する前もしくは後に;P3構成要素をP1に連結する前もしくは後に;または閉環の前もしくは後にP1構成要素に結合することができる。
【0176】
個々の構成要素を最初に製造し、そして次に一緒に連結することができ、あるいはまた、構成要素の前駆体を一緒に連結し、そして後の段階で所望の分子組成に改変することができる。
【0177】
構成要素の各々における官能基は、副反応を防ぐために保護することができる。
【0178】
アミド結合の形成は、ペプチド合成においてアミノ酸を連結するために使用されるもののような標準的な方法を用いて実施することができる。後者は、連結するアミド結合を形成するために一方の反応物質のカルボキシル基のもう一方の反応物質のアミノ基との脱水カップリングを伴う。アミド結合形成は、カップリング剤の存在下で出発物質を反応させることにより、もしくはカルボキシル官能基を活性型、例えば活性エステル、混合無水物またはカルボキシル酸塩化物もしくは臭化物に転化することにより行うことができる。そのようなカップリング反応およびそこで使用する試薬の一般的な記述は、ペプチド化学に関する一般的な教科書、例えば、M.Bodanszky,“Peptide Chemistry”,2nd rev.ed.,Springer−Verlag,Berlin,Germany,(1993)に見出すことができる。
【0179】
アミド結合形成を伴うカップリング反応の例には、アジド法、混合炭酸−カルボン酸無水物(クロロギ酸イソブチル)法、カルボジイミド(ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、もしくはN−エチル−N’−[(3−ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミドのような水溶性カルボジイミド)法、活性エステル法(例えば、p−ニトロフェニル、p−クロロフェニル、トリクロロフェニル、ペンタクロロフェニル、ペンタフルオロフェニル、N−ヒドロキシコハク酸イミドおよび同様のエステル)、Woodward試薬K法、1,1−カルボニルジイミダゾール(CDIもしくはN,N’−カルボニル−ジイミダゾール)法、リン試薬もしくは酸化還元法が包含される。これらの方法のあるものは、適当な触媒を加えることにより、例えばカルボジイミド法において1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン)もしくは4−DMAPを加えることにより高めることができる。さらなるカップリング剤は、単独のもしくは1−ヒドロキシベンゾトリアゾールもしくは4−DMAPの存在下のいずれかの、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩;または2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラ−メチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩、もしくはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩である。これらのカップリング反応は、溶液(液相)もしくは固相のいずれかにおいて行うことができる。
【0180】
好ましいアミド結合形成は、N−エチルオキシカルボニル−2−エチルオキシ−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)もしくはN−イソブチルオキシ−カルボニル−2−イソブチルオキシ−1,2−ジヒドロキノリン(IIDQ)を用いて行われる。古典的な無水物法と異なり、EEDQおよびIIDQは塩基も低い反応温度も必要としない。典型的に、該方法は有機溶媒(多種多様な溶媒を用いることができる)において等モル量のカルボキシルおよびアミン成分を反応させることを含む。次にEEDQもしくはIIDQを過剰に加え、そして混合物を室温で攪拌させる。
【0181】
カップリング反応は好ましくはハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、クロロホルム、双極性非プロトン性溶媒、例えばアセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、DMSO、HMPT、エーテル、例えばテトラヒドロフラン(THF)のような不活性溶媒において行われる。
【0182】
多くの場合において、カップリング反応は第三級アミン、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、N−メチル−モルホリン、N−メチルピロリジン、4−DMAPもしくは1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)のような適当な塩基の存在下で行われる。反応温度は0℃〜50℃の間であることができ、そして反応時間は15分〜24hの間であることができる。
【0183】
一緒に連結される構成要素における官能基は、好ましくない結合の形成を防ぐために保護することができる。用いることができる適切な保護基は、例えばGreene,“Protective Groups in Organic Chemistry”,John Wiley & Sons,New York(1999)および“The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology”,Vol.3,Academic Press,New York(1987)に記載される。
【0184】
カルボキシル基は、カルボン酸を生成せしめるように切断して除くことができるエステルとして保護することができる。用いることができる保護基には、1)メチル、トリメチルシリルおよびtert−ブチルのようなアルキルエステル;2)ベンジルおよび置換されたベンジルのようなアリールアルキルエステル;もしくは3)トリクロロエチルおよびフェナシルエステルのような弱塩基もしくは弱い還元手段により切断することができるエステルが包含される。
【0185】
アミノ基は:
1)ホルミル、トリフルオロアセチル、フタリルおよびp−トルエンスルホニルのようなアシル基;
2)ベンジルオキシカルボニル(CbzもしくはZ)および置換されたベンジルオキシカルボニル、ならびに9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)のような芳香族カルバメート基;
3)tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、エトキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシ−カルボニルおよびアリルオキシカルボニルのような脂肪族カルバメート基;4)シクロペンチルオキシカルボニルおよびアダマンチルオキシカルボニルのような環状アルキルカルバメート基;
5)トリフェニルメチル、ベンジルもしくは4−メトキシベンジルのような置換されたベンジルのようなアルキル基;
6)トリメチルシリルもしくはt.Buジメチルシリルのようなトリアルキルシリル;ならびに
7)フェニルチオカルボニルおよびジチアスクシノイルのようなチオール含有基
のような様々なN−保護基により保護することができる。興味深いアミノ保護基は、BocおよびFmocである。
【0186】
好ましくは、アミノ保護基は次のカップリング段階の前に切断して除かれる。N−保護基の除去は、当該技術分野で既知の方法に従って行うことができる。Boc基を用いる場合、最適な方法はニートの(neat)もしくはジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸、またはジオキサン中のもしくは酢酸エチル中のHClである。得られるアンモニウム塩を次にカップリングの前にもしくはin situのいずれかで塩基性溶液、例えば水性バッファー、またはジクロロメタンもしくはアセトニトリルもしくはジメチルホルムアミド中の第三級アミンで中和する。Fmoc基を使用する場合、最適な試薬はジメチルホルムアミド中のピペリジンもしくは置換されたピペリジンであるが、任意の第二級アミンを用いることができる。脱保護は、0℃〜室温の間の温度、通常は約15〜25℃もしくは20〜22℃で行われる。
【0187】
構成要素のカップリング反応において干渉し得る他の官能基もまた保護することができる。例えば、ヒドロキシル基はベンジルもしくは置換されたベンジルエーテル、例えば4−メトキシベンジルエーテル、ベンゾイルもしくは置換されたベンゾイルエステル、例えば4−ニトロベンゾイルエステルとして、またはトリアルキルシリル基(例えばトリメチルシリルもしくはtert−ブチルジメチルシリル)で保護することができる。
【0188】
さらなるアミノ基は、選択的に切断して除くことができる保護基で保護することができる。例えば、Bocをα−アミノ保護基として用いる場合、以下の側鎖保護基が適当であり:p−トルエンスルホニル(トシル)部分は、さらなるアミノ基を保護するために用いることができ;ベンジル(Bn)エーテルは、ヒドロキシ基を保護するために用いることができ;そしてベンジルエステルはさらなるカルボキシル基を保護するために用いることができる。あるいは、Fmocをα−アミノ保護に選択する場合、通常はtert−ブチルに基づく保護基が許容可能である。例えば、Bocはさらなるアミノ基に;tert−ブチルエーテルはヒドロキシル基に;そしてtert−ブチルエステルはさらなるカルボキシル基に用いることができる。
【0189】
保護基のいずれも合成方法の任意の段階で取り除くことができるが、好ましくは、反応段階に関与しない官能基のいずれかの保護基は、大員環の組み立ての完了後に取り除かれる。保護基の除去は、保護基の選択によりどのような方法が指示されようと行うことができ、これらの方法は当業者に周知である。
【0190】
XがNである式(1a)の中間体(該中間体は式(1a−1)で表される)は、中間体(5a)から出発して製造することができ、それを以下の反応スキームにおいて概説されるようにカルボニル導入剤の存在下でアルケンアミン(5b)と反応させる。
【0191】
【化36】

【0192】
カルボニル(CO)導入剤には、ホスゲンもしくはカルボニルジイミダゾール(CDI)のようなホスゲン誘導体などが包含される。1つの態様において、(5a)を上記のようなアミド形成反応において用いられる塩基および溶媒であることができる適当な塩基および溶媒の存在下でCO導入剤と反応させる。特定の態様において、塩基は炭酸水素塩、例えばNaHCO、もしくはトリエチルアミンなどのような第三級アミンであり、そして溶媒はエーテルもしくはハロゲン化炭化水素、例えばTHF、CHCl、CHClなどである。その後に、アミン(5b)を加え、それにより上記のスキームにおけるように中間体(1a−1)が得られる。同様の反応条件を用いる代替経路は、最初にCO導入剤をアルケンアミン(5b)と反応させ、そして次にこのようにして形成される中間体を(5a)と反応させることを含む。
【0193】
あるいはまた、中間体(1a−1)は以下のように製造することができる:
【0194】
【化37】

【0195】
PGはO−保護基であり、それは本明細書に記載される基のいずれかであることができ、そして特にベンゾイルもしくは4−ニトロベンゾイルのような置換されたベンゾイル基である。後者の場合、この基は水および水溶性有機溶媒、例えばアルカノール(メタノール、エタノール)およびTHFを含んでなる水性媒質においてアルカリ金属水酸化物(LiOH、NaOH、KOH)との、特にPGが4−ニトロベンゾイルである場合、LiOHとの反応により取り除くことができる。
【0196】
上記と同様に、中間体(6a)をカルボニル導入剤の存在下でアルケンアミン(5b)と反応させ、そしてこの反応は中間体(6c)をもたらす。これらは、特に上記の反応条件を用いて、脱保護される。得られるアルコール(6d)を(4b−1)、(4b−2)もしくは(4b−3)と(4a)との反応についての上記のとおり中間体(4b−1)、(4b−2)もしくは(4b−3)と反応させ、そしてこの反応は中間体(1a−1)をもたらす。
【0197】
XがCである式(1a)の中間体(該中間体は式(1a−2)で表される)は、中間体(7a)から出発してアミド形成反応により製造することができ、それを上記のもののようなアミドを製造するための反応条件を用いて、以下の反応スキームにおいて示されるようにアミン(5b)と反応させる。
【0198】
【化38】

【0199】
あるいはまた、中間体(1a−2)は下記のとおり製造することができる:
【0200】
【化39】

【0201】
PGは上記のようなO−保護基である。上記と同じ反応条件を用いることができ;上記のようなアミド形成、保護基の記述におけるようなPGの除去およびアミン(4b−1)、(4b−2)もしくは(4b−3)と(4a)との反応におけるような−OR11の導入。
【0202】
式(2a)の中間体は、下記のように最初にオープンアミド(9a)を大環状エステル(9b)に環化し、それを今度は(2a)に転化することにより製造することができる:
【0203】
【化40】

【0204】
PGはカルボキシル保護基、例えば上記のカルボキシル保護基の一つ、特にC1〜4アルキルもしくはベンジルエステル、例えばメチル、エチルもしくはt.ブチルエステルである。(9b)への(9a)の反応はメタセシス反応であり、そして上記のとおり行われる。基PGは、同様に上記の方法に従って取り除かれる。PGがC1〜4アルキルエステルである場合、それは水性溶媒、例えばC1〜4アルカノール/水混合物においてアルカリ加水分解により、例えばNaOHもしくは好ましくはLiOHで取り除かれる。ベンジル基は、接触水素化により取り除くことができる。
【0205】
代替合成において、中間体(2a)は下記のとおり製造することができる:
【0206】
【化41】

【0207】
PG基は、それがPGに対して選択的に切断可能であるように選択される。PGは例えばメチルもしくはエチルエステルであることができ、それは水性媒質におけるアルカリ金属水酸化物での処理により取り除くことができ、この場合、PGは例えばt.ブチルもしくはベンジルである。PGは弱酸性条件下で取り除くことができるt.ブチルエステルであることができ、またはPGは強酸でもしくは接触水素化により取り除くことができるベンジルエーテルであることができ、後者の2つの場合、PGは例えば4−ニトロ安息香酸エステルのような安息香酸エステルである。
【0208】
最初に、中間体(10a)を大環状エステル(10b)に環化し、後者を(10c)にPG基の除去により脱保護し、それを上記のとおりカルバメート形成反応において中間体(4b)と反応させ、続いてカルボキシル保護基PGを除去する。環化、PGおよびPGの脱保護、ならびに(4b−1)、(4b−2)もしくは(4b−3)とのカルバメート形成反応は、上記のとおりである。
【0209】
A基は合成の任意の段階で、上記のように最終段階として、もしくは前に、大員環形成前に導入することができる。以下のスキームにおいて、−CO−NH−SOもしくは−CO−OR(これらは上記に特定したとおりである)である基Aが導入される:
【0210】
【化42】

【0211】
上記のスキームにおいて、PGは上記に定義したとおりであり、そしてLはP3基
【0212】
【化43】

【0213】
であり、ここで、nおよびRは上記に定義したとおりであり、そしてここでXがNである場合、Lはまた窒素保護基(上記に定義したとおりのPG)であることもでき、そしてここでXがCである場合、Lはまた基−COOPG2aであることもでき、ここで、基PG2aはPGと同様なカルボキシル保護基であるが、ここで、PG2aはPGに対して選択的に切断可能である。1つの態様において、PG2aはt.ブチルであり、そしてPGはメチルもしくはエチルである。
【0214】
が基(b)を表す中間体(11c)および(11d)は中間体(1a)に対応し、そして上記に特定したとおりさらに処理することができる。
【0215】
P1およびP2構成要素の連結
P1およびP2構成要素は、上記の方法に従ってアミド形成反応を用いて連結される。P1構成要素はカルボキシル保護基PGを有することができ((12b)におけるように)、もしくはP1’基にすでに連結されることができる((12c)におけるように)。Lは、上記に特定したとおり、N−保護基(PG)もしくは基(b)である。Lは、上記に特定したとおり、ヒドロキシ、−OPGもしくは基−O−R11である。以下の反応スキームのいずれかにおいてLがヒドロキシである場合、各反応段階の前に、それを基−OPGとして保護し、そして所望に応じて、次に遊離ヒドロキシ官能基に脱保護して戻すことができる。同様に上記のように、ヒドロキシ官能基を基−O−R11に転化することができる。
【0216】
【化44】

【0217】
上記のスキームの方法において、上記の方法に従って、シクロプロピルアミノ酸(12b)もしくは(12c)をアミド結合の形成を伴ってP2構成要素(12a)の酸官能基に連結する。中間体(12d)もしくは(12e)が得られる。後者においてLが基(b)である場合、得られる生成物は前の反応スキームにおける中間体(11c)もしくは(11d)のいくらかを包含するP3−P2−P1配列である。使用する保護基に適切な条件を用いて、(12d)における酸保護基を除去し、続いて上記のとおりスルホンアミドHN−SO(2b)、ホスホルアミド(2d)と、もしくはHOR(2c)と連結することにより再び中間体(12e)を生成せしめ、ここで、−Aはアミドもしくはエステル基である。LがN−保護基である場合、それを取り除いて中間体(5a)もしくは(6a)を生成せしめることができる。1つの態様において、この反応におけるPGはBOC基であり、そしてPGはメチルもしくはエチルである。さらにLがヒドロキシである場合、出発物質(12a)はBoc−L−ヒドロキシプロリンである。特定の態様において、PGはBocであり、PGはメチルもしくはエチルであり、そしてLは−O−R11である。
【0218】
1つの態様において、Lは基(b)であり、そしてこれらの反応はP1をP2−P3に連結することを含み、それは上記の中間体(1a−1)もしくは(1a)をもたらす。別の態様において、Lは上記に特定したとおりであるN−保護基PGであり、そしてカップリング反応は中間体(12d−1)もしくは(12e−1)をもたらし、それから上記の反応条件を用いて基PGを取り除き、それぞれ中間体(12−f)もしくは(12g)を得ることができ、それらは上記に特定したとおりの中間体(5a)および(6a)を包含する:
【0219】
【化45】

【0220】
1つの態様において、上記のスキームにおける基Lは、Lがヒドロキシである出発物質(12a)上に導入することができる基−O−PGを表す。この場合にPGは、PGである基Lに対してそれが選択的に切断可能であるように選択される。
【0221】
同様に、シクロペンタンもしくはシクロペンテン誘導体である、XがCであるP2構成要素は、以下のスキームにおいて概説されるようにP1構成要素に連結することができ、ここで、A、R、Lは上記に特定したとおりであり、そしてPGおよびPG2aはカルボキシル保護基である。PG2aは典型的に、それが基PGに対して選択的に切断可能であるように選択される。(13c)におけるPG2a基の除去により中間体(7a)もしくは(8a)を生成せしめ、それを上記のとおり(5b)と反応させることができる。
【0222】
【化46】

【0223】
特定の態様において、XがCであり、RがHである場合、そしてXおよびRを保有
する炭素が単結合により連結される(P2はシクロペンタン部分である)場合、PG2aおよびLは一緒になって結合を形成し、そしてP2構成要素は式:
【0224】
【化47】

【0225】
により表される。
【0226】
二環式酸(14a)を上記と同様に(12b)もしくは(12c)とそれぞれ(14b)および(14c)へと反応させ、ここで、ラクトンは開かれて中間体(14c)および(14e)を生成せしめる。ラクトンは、エステル加水分解方法を用いて、例えば(9b)におけるPG基のアルカリ除去のための上記の反応条件を用いて、特にアルカリ金属水酸化物、例えばNaOH、KOH、特にLiOHのような塩基性条件を用いて開くことができる。
【0227】
【化48】

【0228】
中間体(14c)および(14e)は、下記のようにさらに処理することができる。
【0229】
P3およびP2構成要素の連結
ピロリジン部分を有するP2構成要素について、P3とP2もしくはP3とP2−P1構成要素は、(5b)と(5a)との連結のための上記の方法に従ってカルバメート形成反応を用いて連結される。ピロリジン部分を有するP2要素を連結するための一般的な方法は以下の反応スキームにおいて表され、ここで、Lは上記に特定したとおりであり、そしてLは基−O−PG、基
【0230】
【化49】

【0231】
である。
【0232】
【化50】

【0233】
1つの態様において、(15a)におけるLは基−OPGであり、このPG基を取り除き、そして得られる酸をシクロプロピルアミノ酸(12a)もしくは(12b)と連結し、Lが基(d)もしくは(e)である中間体(12d)もしくは(12e)を生成せしめることができる。
【0234】
P3要素をP2要素ともしくはP2−P1要素と(ここで、P2はシクロペンタンもしくはシクロペンテンである)連結するための一般的な方法は、以下のスキームにおいて示される。LおよびLは、上記に特定したとおりである。
【0235】
【化51】

【0236】
特定の態様において、LおよびLは一緒になって(14a)におけるようにラクトン架橋を形成することができ、そしてP2要素とP3要素との連結は下記のとおりである:
【0237】
【化52】

【0238】
二環式ラクトン(14a)を(5b)とアミド形成反応においてアミド(16c)へと反応させ、ここで、ラクトン架橋は(16d)へと開かれる。アミド形成およびラクトン開環(opening)反応の反応条件は、上にもしくは以下に記述したとおりである。中間体(16d)を今度は上記のとおりP1基に連結することができる。
【0239】
上記のスキームにおける反応は、(5b)と(5a)、(7a)もしくは(8a)との反応についての上記と同じ方法を用いて行われ、そして特にLが基(d)もしくは(e)である上記の反応は、上記のとおり、(5b)と(5a)、(7a)もしくは(8a)との反応に対応する。
【0240】
式(I)の化合物の製造において使用する構成要素P1、P1’、P2およびP3は、当該技術分野で既知の中間体から出発して製造することができる。多数のそのような合成は、さらに詳細に以下に記述される。
【0241】
個々の構成要素を最初に製造し、そして次に一緒に連結することができ、あるいはまた、構成要素の前駆体を一緒に連結し、そして後の段階で所望の分子組成に改変することができる。
【0242】
構成要素の各々における官能基は、副反応を防ぐために保護することができる。
【0243】
P2構成要素の合成
P2構成要素は、基−O−R11で置換されたピロリジン、シクロペンタンもしくはシクロペンテン部分のいずれかを含有する。
【0244】
ピロリジン部分を含有するP2構成要素は、市販されているヒドロキシプロリンから得ることができる。
【0245】
シクロペンタン環を含有するP2構成要素の製造は、以下のスキームにおいて示されるように行うことができる。
【0246】
【化53】

【0247】
二環式酸(17b)は、Acta Chem.Scand.46(1992)1127−1129にRosenquist et al.により記述されるように、例えば、3,4−ビス(メトキシカルボニル)−シクロペンタノン(17a)から製造することができる。この方法における第一段階は、メタノールのような溶媒における水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤でのケト基の還元、続いてエステルの加水分解そして最後にラクトン形成方法を用いる、特にピリジンのような弱塩基の存在下で無水酢酸を用いることによる二環式ラクトン(17b)への閉環を含む。次に、(17b)におけるカルボン酸官能基を上記に特定したとおりである基PGのような適切なカルボキシル保護基を導入することにより保護することができ、このようにして二環式エステル(17c)を生成せしめる。基PGは特にt.ブチル基のように酸に不安定であり、そして例えばジクロロメタンのような溶媒においてルイス酸の存在下でイソブテンでのまたはジメチルアミノピリジンもしくはトリエチルアミンのような第三級アミンのような塩基の存在下でジ−tert−ブチルジカーボネートでの処理により導入される。上記の反応条件を用いる、特に水酸化リチウムでの(17c)のラクトン開環により酸(17d)を生成せしめ、それをP1構成要素とのカップリング反応においてさらに用いることができる。(17d)における遊離の酸はまた、好ましくはPGに対して選択的に切断可能である酸保護基PG2aで、保護することもでき、そしてヒドロキシ官能基は基−OPGにもしくは基−O−R11に転化することができる。基PGの除去の際に得られる生成物は、上記に特定した中間体(13a)もしくは(16a)に対応する中間体(17g)および(17i)である。
【0248】
特定の立体化学を有する中間体は、上記の反応順序における中間体を分割することにより製造することができる。例えば、(17b)は当該技術分野で既知の方法に従って、例えば光学活性塩基との塩形成反応(salt form action)によりもしくはキラルクロマトグラフィーにより分割することができ、そして得られる立体異性体を上記のとおりさらに処理することができる。(17d)におけるOHおよびCOOH基はシス位にある。トランスアナログは、例えばミツノブ反応を適用することによるような、立体化学を反転させる−OPGもしくは−O−R11を導入する反応において特定の試薬を用いることにより−OH官能基を保有する炭素で立体化学を反転させることにより製造することができる。
【0249】
1つの態様において、中間体(17d)をP1要素(12b)もしくは(12c)に連結し、これらのカップリング反応は、同じ条件を用いて、同じP1要素と(13a)もしくは(16a)との連結に対応する。その後の上記のような−O−R11置換基の導入、続いて酸保護基PGの除去により中間体(8a−1)を生成せしめ、それは中間体(7a)のサブクラスもしくは中間体(16a)の一部である。PG除去の反応生成物をP3構成要素にさらに連結することができる。1つの態様において、(17d)におけるPGは酸性条件下で、例えばトリフルオロ酢酸で取り除くことができるt.ブチルである。
【0250】
【化54】

【0251】
不飽和のP2構成要素、すなわち、シクロペンテン環は、以下のスキームにおいて説明されるように製造することができる。
【0252】
【化55】

【0253】
J.Org.Chem.36(1971)1277−1285にDolby et al.により記述されるような3,4−ビス(メトキシカルボニル)シクロペンタノン(17a)の臭素化−脱離反応、続いて水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤でのケト官能基の還元によりシクロペンテノール(19a)を生成せしめる。ジオキサンと水の混合物のような溶媒における例えば水酸化リチウムを用いる選択的エステル加水分解によりヒドロキシ置換されたモノエステルシクロペンテノール(19b)を生成せしめる。
【0254】
が水素以外であることもできる不飽和のP2構成要素は、以下のスキームにおいて示されるように製造することができる。
【0255】
【化56】

【0256】
特にクロロクロム酸ピリジニウムのような酸化剤による、市販されている3−メチル−3−ブテン−1−オール(20a)の酸化により(20b)を生成せしめ、それを例えばメタノールにおける塩化アセチルでの処理により、対応するメチルエステルに転化し、続いて臭素での臭素化反応によりα−ブロモエステル(20c)を生成せしめる。次に後者をエステル形成反応により(20d)から得られるアルケニルエステル(20e)と縮合することができる。(20e)におけるエステルは好ましくはt.ブチルエステルであり、それは例えばジメチルアミノピリジンのような塩基の存在下でジ−tert−ブチルジカーボネートでの処理により、対応する市販されている酸(20d)から製造することができる。中間体(20e)をテトラヒドロフランのような溶媒においてリチウムジイソプロピルアミドのような塩基で処理し、そして(20c)と反応させてアルケニルジエステル(20f)を生成せしめる。上記のとおり行われるオレフィンメタセシス反応による(20f)の環化によりシクロペンテン誘導体(20g)を生成せしめる。(20g)の立体選択的エポキシ化をJacobsen不斉エポキシ化方法を用いて実施してエポキシド(20h)を得ることができる。最後に、塩基性条件下での、例えば塩基、特にDBN(1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]ノン−5−エン)の添加によるエポキシド開環反応によりアルコール(20i)を生成せしめる。場合により、中間体(20i)における二重結合を例えば炭素上パラジウムのような触媒を用いる接触水素化により還元することができ、対応するシクロペンタン化合物を生成せしめる。t.ブチルエステルを対応する酸へと除去することができ、それを次にP1構成要素に連結する。
【0257】
−O−R11基は、本発明の化合物の合成の任意の都合のよい段階でピロリジン、シクロペンタンもしくはシクロペンテン環上に導入することができる。1つの方法は、最初に該環に−O−R11基を導入し、そして次に他の所望の構成要素、すなわち、P1(場合によりP1’尾部を有する)およびP3を付加し、続いて大員環を形成することである。別の方法は、−O−R11置換基を保有しない構成要素P2を各P1およびP3と連結し、そして大員環形成の前もしくは後のいずれかで−O−R11基を付加することである。後者の方法において、P2部分はヒドロキシ基を有し、それはヒドロキシ保護基PGで保護することができる。
【0258】
11基は、(4a)から出発する(I)の合成についての上記と同様に中間体(4b)とヒドロキシ置換された中間体(21a)もしくは(21b)を反応させることにより
構成要素P2上に導入することができる。これらの反応は以下のスキームにおいて表され、ここで、Lは上記に特定したとおりであり、そしてLおよびL5aは相互に独立してヒドロキシ、カルボキシル保護基−OPGもしくは−OPG2aを表し、またはLはまた上記に特定したとおりの基(d)もしくは(e)のようなP1基を表すこともでき、またはL5aはまた上記に特定したとおりの基(b)のようなP3基を表すこともできる。基PGおよびPG2aは、上記に特定したとおりである。基LおよびL5aがPGもしくはPG2aである場合、それらは各基がもう一方に対して選択的に切断可能であるように選択される。例えば、LおよびL5aの一方はメチルもしくはエチル基であり、そしてもう一方はベンジルもしくはt.ブチル基であることができる。
【0259】
1つの態様において、(21a)において、LはPGであり、そしてLは−OPGであり、もしくは(21d)において、L5aは−OPGであり、そしてLは−OPGであり、そしてPG基は上記のとおり取り除かれる。
【0260】
【化57】

【0261】
別の態様において、基LはBOCであり、Lはヒドロキシであり、そして出発物質(21a)は市販されているBOC−ヒドロキシプロリンもしくはその任意の他の立体異
性体、例えばBOC−L−ヒドロキシプロリン、特に後者のトランス異性体である。(21b)におけるLがカルボキシル保護基である場合、それは(21)へと上記の方法に従って取り除くことができる。さらに別の態様において、(21b−1)におけるPGはBocであり、そしてPGは低級アルキルエステル、特にメチルもしくはエチルエステルである。酸への後者のエステルの加水分解は標準的な方法、例えばメタノールにおける塩酸での酸加水分解によりもしくはNaOHのようなアルカリ金属水酸化物で、特にLiOHで行うことができる。別の態様において、ヒドロキシ置換されたシクロペンタンもしくはシクロペンテンアナログ(21d)を(21e)に転化し、LおよびL5aが−OPGもしくは−OPG2aである場合には、基PGの除去によりそれを対応する酸(21f)に転化することができる。(21e−1)におけるPG2aの除去は、同様の中間体をもたらす。
【0262】
P1構成要素の合成
P1フラグメントの製造において使用するシクロプロパンアミノ酸は市販されているか、もしくは当該技術分野で既知の方法を用いて製造することができる。
【0263】
特に、アミノ−ビニル−シクロプロピルエチルエステル(12b)は、WO00/09543に記述される方法に従ってもしくは以下のスキームにおいて説明されるように得ることができ、ここで、PGは上記に特定したとおりのカルボキシル保護基である:
【0264】
【化58】

【0265】
塩基の存在下で1,4−ジハロ−ブテンでの市販されているかもしくは容易に得ることができるイミン(31a)の処理により(31b)を生成せしめ、それは加水分解後にカルボキシル基に対してシンのアリル置換基を有するシクロプロピルアミノ酸(12b)を生成せしめる。鏡像異性体混合物(12b)の分割により(12b−1)をもたらす。分割は、酵素的分離;キラル酸での結晶化;もしくは化学誘導体化;もしくはキラルカラムクロマトグラフィーによるような当該技術分野で既知の方法を用いて行われる。中間体(12b)もしくは(12b−1)は、上記のように適切なP2誘導体に連結することができる。
【0266】
Aが−COOR、−CO−NH−SOもしくは−CO−NH−PO(OR4a)(OR4b)である一般式(I)の化合物の製造のためのP1構成要素は、エステルもしくはアミド形成のための標準的な条件下でアミノ酸(32a)をそれぞれ適切なアルコール、スルホンアミドもしくはホスホルアミドと反応させることにより製造することができる。シクロプロピルアミノ酸(32a)は、N−保護基PGを導入することおよびPGの除去により製造され、そしてPGが上記に特定したとおりである、以下の反応スキー
ムにおいて概説されるように、得られるPGで保護されたアミノ酸(32a)は、中間体(12c)の亜群であるアミド(12c−1)もしくはエステル(12c−2)に転化される。
【0267】
【化59】

【0268】
アミン(2b)ともしくは(2d)と(32a)との反応はアミド形成法である。(2c)との同様の反応はエステル形成反応である。両方のタイプの反応は、上記の方法に従って行うことができる。この反応は中間体(32b)、(32b−1)もしくは(32c)を生成せしめ、それからアミノ保護基を上記のもののような標準的な方法により取り除く。これは今度は所望の中間体(12c−1)、(12c−1a)もしくは(12c−2)をもたらす。出発物質(32a)は、上記の中間体(12b)から最初にN−保護基PGを導入しそして次に基PGの除去により製造することができる。
【0269】
1つの態様において、(2b)ともしくは(2d)と(32a)との反応は、THFのような溶媒におけるカップリング剤、例えばN,N’−カルボニル−ジイミダゾール(CDI)などでのアミノ酸の処理、続いて1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)のような塩基の存在下での(2b)ともしくは(2d)との反応により行われる。あるいはまた、アミノ酸をジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下で(2b)もしくは(2d)で、または(2d)の場合には水素化ナトリウムで処理し、続いてベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(PyBOP(R)として市販されている)のようなカップリング剤で処理してスルホンアミド基の導入をもたらすことができる。
【0270】
Aが−C(=O)C(=O)NR3a3bである一般式(I)の化合物の製造のためのP1構成要素は、以下のスキームに概説されるように都合よく製造される。
【0271】
【化60】

【0272】
出発物質(32d)におけるPG2aはアルキル基、特にメチルもしくはエチルのようなC1〜6アルキルである。(32d)は、上記のように、適切なアルカノールと(32a)とのエステル形成反応により、もしくは(12b)上に窒素保護基PGを導入することにより得ることができる。例えば水素化ホウ素リチウムでの処理によりもたらされる、対応するヒドロキシメチレン中間体(32e)へのアミノ酸誘導体(32d)におけるエステル基の還元、続いて例えばデス−マーチンペルヨージナンのような弱い酸化剤を用いる得られるヒドロキシメチレン基の酸化により、アルデヒド(32f)を生成せしめる。パセリニ反応における(例えば、Org.Lett.,Vol.2,No18,2000に記述されるような)、適当なイソニトリル誘導体とのそして塩基、例えばピリジンの存在下でトリフルオロ酢酸(TFA)のようなカルボン酸の存在下での後者のアルデヒド(32f)の反応により、得られるα−ヒドロキシアミドのカルボン酸エステル、例えばTFAの場合にはトリフルオロ酢酸エステルを生成せしめる。このようにして得られるα−ヒドロキシアミドにおけるカルボン酸エステルを次に標準的な方法を用いて、例えばLiOHのような塩基性条件を用いて取り除くことができ、このようにしてα−ヒドロキシアミド(32g)を生成せしめる。基PGの除去により中間体(32h)をもたらし、それはP2基に連結することができる。(32g)におけるヒドロキシ官能基は対応するα−ケトアミドに酸化することができるが、副反応を防ぐためにα−ヒドロキシアミドもしくはその前駆体カルボン酸エステルをさらなる反応(N−保護基の除去、P2部分との連結などのような)において使用する。次に、P1部分のα−ヒドロキシ基の酸化は、例えばデス−マーチンペルヨージナンのような弱い酸化剤を用いて、合成の任意の都合のよい段階で、例えばP2部分とのこの連結後にもしくは合成の後の段階、例えば最終段階で行われ、このようにしてAが−C(=O)C(=O)NR3a3bである式Iの化合物もしくは中間体を生成せしめる。
【0273】
上記の方法、すなわち、エステルの還元、アルデヒドへの酸化、イソニトリルとの反応はまた、合成方法の後の段階で、例えば大員環を構築した後に行うこともできる。
【0274】
Aが−C(=O)NH−P(=O)(OR4a)(R4b)もしくは−P(=O)(OR4a)(R4b)ホスホネートである一般式(I)の化合物の製造に有用なP1構成要素は、WO2006/020276に記述される方法に従って製造することができる。特にAが−P(=O)(OR4a)(R4b)である式(I)の化合物は、下記のとおり製造することができる:
【0275】
【化61】

【0276】
出発物質32iを好ましくはトリエチルベンジルアンモニウムクロリドのような相間移動触媒の存在下で塩基と、特にCsOHと反応させ、そして32jを加えてビニル側鎖を有するシクロプロピル環、すなわち、ホスホン酸シクロプロピル32kを形成する。フェニル−CH=保護基を酸性条件下(例えばジクロロメタン中のHCl)で取り除き、32lを生成せしめる。後者を当該技術分野で既知の方法論を用いて、例えば光学活性酸との、例えばジベンゾイル−L−酒石酸との塩の形成によりその立体異性体において分割することができ、それは酒石酸誘導体の除去後に32mを生成せしめる。ホスホン酸エチル以外のアナログは、エチル以外のエステル基を有する出発物質32iから製造することができる。出発物質32iは既知の物質であるか、もしくは当該技術分野で既知の方法を用いて容易に製造することができる。
【0277】
中間体(12c−1)もしくは(12c−2)は次に、上記のように適切なプロリン、シクロペンタンもしくはシクロペンテン誘導体に連結することができる。
【0278】
P3構成要素の合成
P3構成要素は市販されているか、もしくは当業者に既知である方法論に従って製造することができる。これらの方法論の1つは以下のスキームに示され、そしてトリフルオロアセトアミドもしくはBocで保護されたアミンのようなモノアシル化アミンを使用する。
【0279】
【化62】

【0280】
上記のスキームにおいて、RはCO基と一緒になってN−保護基を形成し、特にRはt−ブトキシ、トリフルオロメチルであり;Rおよびnは上記に定義したとおりであり、そしてLGは脱離基、特にハロゲン、例えばクロロもしくはブロモである。
【0281】
モノアシル化アミン(33a)を水素化ナトリウムのような強塩基で処理し、そして次に試薬LG−C5〜8アルケニル(33b)、特にハロC5〜8アルケニルと反応させて対応する保護されたアミン(33c)を形成する。(33c)の脱保護により構成要素P3である(5b)を生成せしめる。脱保護は官能基Rにより決まり、従って、Rがt−ブ
トキシである場合、対応するBocで保護されたアミンの脱保護は酸性処理、例えばトリフルオロ酢酸で成し遂げることができる。あるいはまた、Rが例えばトリフルオロメチルである場合、R基の除去は塩基、例えば水酸化ナトリウムで成し遂げられる。
【0282】
以下のスキームは、P3構成要素を製造するためのさらに別の方法、すなわち、第一級C5〜8アルケニルアミンのガブリエル合成を説明し、それはNaOHもしくはKOHのような塩基での、そして上記に特定したとおりである(33b)でのフタルイミド(34a)の処理、続いて中間体N−アルケニルイミドの加水分解により行われ、第一級C5〜8アルケニルアミン(5b−1)を生成せしめることができる。
【0283】
【化63】

【0284】
上記のスキームにおいて、nは上記に定義したとおりである。
【0285】
式(I)の化合物は、当該技術分野で既知の官能基転化反応に従って相互に転化することができる。例えば、アミノ基はN−アルキル化し、ニトロ基はアミノ基に還元することができ、ハロ原子は別のハロに交換することができる。
【0286】
式(I)の化合物を製造するために使用する多数の中間体は既知の化合物であるか、もしくは既知の化合物のアナログであり、それらは当業者が容易に利用可能な当該技術分野で既知の方法論の改変に従って製造することができる。
【0287】
式(I)の化合物は、3価の窒素をそのN−オキシド形態に転化するための当該技術分野で既知の方法に従って対応するN−オキシド形態に転化することができる。該N−酸化反応は、式(I)の出発物質を適切な有機もしくは無機過酸化物と反応させることにより一般に実施することができる。適切な無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含んでなり;適切な有機過酸化物は、例えば、ベンゼンカルボペルオキソ酸もしくはハロ置換されたベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸のようなペルオキシ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばtert−ブチルヒドロ−ペルオキシドを含んでなることができる。適当な溶媒は、例えば、水、低級アルコール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエン、ケトン、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、およびそのような溶媒の混合物である。
【0288】
式(I)の化合物の純粋な立体化学的異性体は、当該技術分野で既知の方法の適用により得ることができる。ジアステレオマーは、選択的結晶化およびクロマトグラフィー技術、例えば向流分配、液体クロマトグラフィーなどのような物理的方法により分離することができる。
【0289】
式(I)の化合物は、当該技術分野で既知の分割方法に従って相互から分離することができる鏡像異性体のラセミ混合物として得ることができる。十分に塩基性もしくは酸性で
ある式(I)のラセミ化合物は、それぞれ適当なキラル酸、キラル塩基との反応により対応するジアステレオマー塩形態に転化することができる。該ジアステレオマー塩形態を次に例えば選択的もしくは分別結晶化により分離し、そして鏡像異性体をアルカリもしくは酸によりそれから遊離させる。式(I)の化合物の鏡像異性体を分離する代わりの方法は、液体クロマトグラフィー、特にキラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを含む。該純粋な立体化学的異性体はまた、反応が立体特異的に起こるならば、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体から得ることもできる。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合、該化合物は立体特異的な製造方法により合成することができる。これらの方法は、鏡像異性的に純粋な出発物質を都合よく用いることができる。
【0290】
さらなる態様において、本発明は本明細書に特定したとおりの式(I)の化合物もしくは本明細書に特定したとおりの式(I)の化合物の亜群のいずれかの化合物の治療的に有効な量および製薬学的に許容しうる担体を含んでなる製薬学的組成物に関する。本文脈における治療的に有効な量は、感染患者もしくは感染する危険性がある患者において、ウイルス感染そして特にHCVウイルス感染に対して予防的に作用するために、それを安定させるためにもしくは減らすために十分な量である。なおさらなる態様において、本発明は製薬学的に許容しうる担体を本明細書に特定したとおりの式(I)の化合物のもしくは本明細書に特定したとおりの式(I)の化合物の亜群のいずれかの化合物の治療的に有効な量と密接に混合することを含んでなる、本明細書に特定したとおりの製薬学的組成物を製造する方法に関する。
【0291】
従って、本発明の化合物もしくはその任意の亜群は、投与目的のために様々な製薬学的形態に調合することができる。適切な組成物として、薬剤を全身投与するために通常用いられる全ての組成物を挙げることができる。本発明の製薬学的組成物を製造するために、有効成分として、場合により付加塩形態もしくは金属錯体における、特定の化合物の有効量を製薬学的に許容しうる担体と密接に混合して合わせ、この担体は投与に所望される製剤の形態により多種多様な形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、特に、経口的、経直腸的、経皮的もしくは非経口注射による投与に適当な単位投与形態物において望ましい。例えば、経口投与形態物の組成物を製造することにおいて、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および液剤のような経口用液状製剤の場合には例えば、水、グリコール、油、アルコールなどのような通常の製薬学的媒質のいずれかを;または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には澱粉、糖、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような固形担体を用いることができる。錠剤およびカプセル剤は、それらの投与の容易さのために、最も都合のよい経口投与単位形態物に相当し、この場合、固形の製薬学的担体が明らかに用いられる。非経口組成物では、例えば、溶解性を促進するために他の成分を含むことができるが、通常、少なくとも大部分において滅菌水を含んでなる。例えば、注入可能な液剤を製造することができ、ここで、担体は食塩水溶液、グルコース溶液もしくは食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる。注入可能な懸濁剤もまた製造することができ、この場合、適切な液状担体、沈殿防止剤などを用いることができる。また包含されるのは、使用直前に液状製剤に転化することが意図される固形製剤である。経皮投与に適当な組成物において、担体は、場合によりわずかな割合の任意の性質の適当な添加剤と組み合わせて、場合により浸透促進剤および/もしくは適当な湿潤剤を含んでなってもよく、これらの添加剤は皮膚に重大な悪影響をもたらさない。
【0292】
本発明の化合物はまた、経口吸入もしくは吹送により、この方法による投与に当該技術分野において用いられる方法および製剤を使用して投与することもできる。従って、一般に本発明の化合物は溶液、懸濁液もしくは乾燥粉末の形態で肺に投与することができ、溶液が好ましい。経口吸入もしくは吹送による溶液、懸濁液もしくは乾燥粉末の送達用に開発される任意の系は、本発明の化合物の投与に適当である。
【0293】
従って、本発明はまた式(I)の化合物および製薬学的に許容しうる担体を含んでなる経口での吸入もしくは吹送による投与に適応した製薬学的組成物も提供する。好ましくは、本発明の化合物は噴霧もしくはエアロゾル化用量における溶液の吸入によって投与される。
【0294】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために単位投与形態物における上記の製薬学的組成物を調合することは特に好都合である。単位投与形態物は、本明細書において用いる場合、単位投薬量として適当な物理的に別個の単位をさし、各単位は、必要な製薬学的担体と会合して所望の治療効果をもたらすように計算された有効成分の所定の量を含有する。そのような単位投与形態物の例は、錠剤(分割錠もしくはコート錠を包含する)、カプセル剤、丸剤、座薬、散剤パケット、カシェ剤、注入可能な液剤もしくは懸濁剤など、およびその分離した倍量である。
【0295】
式(I)の化合物は、抗ウイルス特性を示す。本発明の化合物および方法を用いて処置できるウイルス感染およびそれらの関連疾患には、HCVならびに黄熱病、デング熱(1〜4型)、セントルイス脳炎、日本脳炎、マリーバレー脳炎、ウエストナイルウイルスおよびクンジンウイルスのような他の病原性フラビウイルスにより引き起こされる感染が包含される。HCVと関連する疾患には、肝硬変、末期肝疾患およびHCCをもたらす進行性肝線維症、炎症および壊死が包含され;そして他の病原性フラビウイルスでは疾患には黄熱病、デング熱、出血熱および脳炎が包含される。本発明の化合物の多数はさらにHCVの突然変異株に対して有効である。さらに、本発明の化合物の多くは好ましい薬物動態プロフィールを示し、そして許容しうる半減期、AUC(曲線下面積)およびピーク値ならびに不十分な迅速発現および組織保持のような好ましくない現象を欠くことを包含する生物学的利用能の点において魅力的な特性を有する。
【0296】
式(I)の化合物のHCVに対するインビトロ抗ウイルス活性は、実施例の節においてさらに例示される、Krieger et al.(2001)Journal of Virology 75:4614−4624(引用することにより本明細書に組み込まれる)により記述されるさらなる改変を有する、Lohmann et al.(1999)Science 285:110−113に基づく細胞HCVレプリコン系において試験することができる。このモデルは、HCVの完全な感染モデルではないが、現在利用可能な自律的HCV RNA複製の最も強力なそして効率のよいモデルとして広く受け入れられている。この細胞モデルにおいて抗HCV活性を示す化合物は、哺乳類でのHCV感染の処置におけるさらなる開発のための候補とみなされる。HCVレプリコンモデルにおいて細胞毒性もしくは細胞静止効果を及ぼし、そして結果としてHCV RNAもしくは連結されるレポーター酵素濃度の減少を引き起こすものからHCV機能を特異的に妨げる化合物を区別することは重要であることが理解される。例えばレザズリンのような蛍光性レドックス色素を用いるミトコンドリア酵素の活性に基づく細胞毒性の評価のためにアッセイが該分野において既知である。さらに、細胞カウンタースクリーニングは、ホタルルシフェラーゼのような連結されたレポーター遺伝子活性の非選択的阻害の評価のために存在する。適切な細胞タイプは、その発現が構成的に活性の遺伝子プロモーターに依存するルシフェラーゼレポーター遺伝子での安定なトランスフェクションにより用意することができ、そしてそのような細胞は非選択的阻害剤を除くためにカウンタースクリーニングとして用いることができる。
【0297】
式(I)の化合物もしくはその任意の亜群、N−オキシド、製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性体は、それらの抗ウイルス特性、特にそれらの抗HCV特性のために、ウイルス、特にHCVであるウイルスに感染した個体の処置において、そしてウイルス感染、特にHCV感染の予防のために有用である。一般に、本発明の化合物はウイルス、特にHCVのようなフラビウイルスに感染した温血動物の処置において有用であるこ
とができる。
【0298】
従って、本発明の化合物もしくはその任意の亜群は、薬剤として用いることができる。薬剤としての該使用もしくは処置の方法は、ウイルス感染、特にHCV感染と関連する症状と闘うために有効な量のウイルス感染患者へのもしくはウイルス感染を受けやすい患者への全身投与を含んでなる。
【0299】
本発明はまた、ウイルス感染、特にHCV感染の処置もしくは予防のための薬剤の製造における本発明の化合物もしくはその任意の亜群の使用にも関する。
【0300】
本発明はさらに、特にHCVによる、ウイルスに感染したもしくはウイルスによる感染の危険性がある温血動物を処置する方法に関し、該方法は本明細書に特定したとおりの式(I)の化合物のもしくは本明細書に特定したとおりの式(I)の化合物の亜群のいずれかの化合物の抗ウイルス的に有効な量の投与を含んでなる。
【0301】
一般に、抗ウイルス有効毎日量は0.01mg/kg〜500mg/kg体重、もしくは0.1mg/kg〜50mg/kg体重、もしくは0.5mg/kg〜5mg/kg体重であると考えられる。1日を通して適切な間隔で2、3、4もしくはそれ以上のサブ用量として必要とされる用量を投与することは適切であり得る。該サブ用量は、例えば単位投与形態物当たり1〜1000mg、そして特に5〜200mgの有効成分を含有する単位投与形態物として調合することができる。
【0302】
本発明はまた、その立体異性体、製薬学的に許容しうる塩もしくはその製薬学的に許容しうる溶媒和物を包含する式(I)の化合物と別の抗ウイルス化合物、特に別の抗HCV化合物との組み合わせにも関する。「組み合わせ」という用語は、HCV感染の処置における同時、別個もしくは逐次使用のための組み合わされた製剤として、(a)上記に特定したとおりの式(I)の化合物、および(b)場合により別の抗HCV化合物を含有する生成物に関することができる。
【0303】
そのような組み合わせにおいて使用することができる抗HCV化合物には、HCVポリメラーゼ阻害剤、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCV生活環における別の標的の阻害剤および免疫調節薬から選択される薬剤、ならびにその組み合わせが包含される。HCVポリメラーゼ阻害剤には、NM283(バロピシタビン)、R803、JTK−109、JTK−003、HCV−371、HCV−086、HCV−796およびR−1479が包含される。HCVプロテアーゼの阻害剤(NS2−NS3阻害剤およびNS3−NS4A阻害剤)には、WO02/18369の化合物(例えば、273頁9〜22行目および274頁4行目〜276頁11行目を参照);BILN−2061、VX−950、GS−9132(ACH−806)、SCH−503034およびSCH−6が包含される。使用することができるさらなる薬剤は、WO98/17679、WO00/056331(Vertex);WO98/22496(Roche);WO99/07734(Boehringer Ingelheim)、WO2005/073216、WO2005/073195(Medivir)に開示されるものおよび構造的に類似する薬剤である。
【0304】
NS3ヘリカーゼを包含する、HCV生活環における他の標的の阻害剤;メタロプロテアーゼ阻害剤;ISIS−14803、AVI−4065などのようなアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤;SIRPLEX−140−NなどのようなsiRNAのもの;ベクターにコードされる低分子ヘアピンRNA(shRNA);DNAザイム;ヘプタザイム(heptazyme)、RPI.13919などのようなHCV特異的リボザイム;HepeX−C、HuMax−HepCなどのような侵入阻害剤;セルゴシビル、UT−231Bなどのようなアルファグルコシダーゼ阻害剤;KPE−02003002;およびBIVN401。
【0305】
免疫調節薬には、イントロンA(R)(Intron A(R))、ロフェロン−A(R)(Roferon−A(R))、カンフェロン−A300(R)(Canferon−A300(R))、アドバフェロン(R)(Advaferon(R))、インフェルゲン(R)(Infergen(R))、フモフェロン(R)(Humoferon(R))、スミフェロンMP(R)(Sumiferon MP(R))、アルファフェロン(R)(Alfaferone(R))、IFN−ベータ(R)(IFN−beta(R))、フェロン(R)(Feron(R))などのような、α−インターフェロン、β−インターフェロン、γ−インターフェロン、ω−インターフェロンなどを包含する、天然および組換えインターフェロンアイソフォーム化合物;PEGインターフェロン−α−2a(ペガシス(R)(Pegasys(R)))、PEGインターフェロン−α−2b(PEG−イントロン(R))、PEG化IFN−α−con1などのような、ポリエチレングリコール誘導体化(PEG化)インターフェロン化合物;アルブミンに融合したインターフェロンアルブフェロンαなどのようなインターフェロン化合物の長時間作用製剤および誘導体化;レシキモド(resiquimod)などのような、細胞におけるインターフェロンの合成を刺激する化合物;インターロイキン;SCV−07などのような、1型ヘルパーT細胞応答の発生を高める化合物;CpG−10101(アクチロン)、イサトリビンなどのようなTOLL様受容体アゴニスト;チモシンα−1;ANA−245;ANA−246;ヒスタミン2塩酸塩;プロパゲルマニウム;テトラクロロデカオキシド;アンプリゲン;IMP−321;KRN−7000;シバシル(civacir)、XTL−6865などのような抗体;ならびにInno Vac C、HCV E1E2/MF59などのような予防および治療ワクチンが包含される。
【0306】
他の抗ウイルス薬には、リバビリン、アマンタジン、ビラミジン、ニタゾキサニド;テルビブジン;NOV−205;タリバビリン;内部リボソーム侵入の阻害剤;広域ウイルス阻害剤、例えばIMPDH阻害剤、ならびにミコフェノール酸およびその誘導体、そしてVX−950、メリメポジブ(VX−497)、VX−148および/もしくはVX−944が包含されるがこれらに限定されるものではない;または上記のいずれかの組み合わせが包含される。
【0307】
該組み合わせにおける使用のための特定の薬剤には、インターフェロン−α(IFN−α)、PEG化インターフェロン−αもしくはリバビリン、ならびにHCVエピトープを標的とする抗体、低分子干渉RNA(SiRNA)、リボザイム、DNAザイム、アンチセンスRNA、例えばNS3プロテアーゼ、NS3ヘリカーゼおよびNS5Bポリメラーゼの小分子アンタゴニストに基づく治療法が包含される。
【0308】
別の態様において、本明細書に特定したとおりの式(I)の化合物と抗HIV化合物との組み合わせが提供される。後者は好ましくは、生物学的利用能を改善する薬剤代謝および/もしくは薬物動態へのプラス効果を有するHIV阻害剤である。そのようなHIV阻害剤の例は、リトナビルである。そのようなものとして、本発明はさらに(a)式(I)のHCV NS3/4aプロテアーゼ阻害剤もしくはその製薬学的に許容しうる塩;および(b)リトナビルもしくはその製薬学的に許容しうる塩を含んでなる組み合わせを提供する。化合物リトナビル、その製薬学的に許容しうる塩、およびその製造方法は、WO94/14436に記述される。US6,037,157およびその中に引用される参考文献:US5,484,801、US08/402,690、WO95/07696およびWO95/09614は、リトナビルの好ましい投与形態物を開示する。1つの態様は、(a)式(I)のHCV NS3/4aプロテアーゼ阻害剤もしくはその製薬学的に許容しうる塩;および(b)リトナビルもしくはその製薬学的に許容しうる塩を含んでなり;場合により上記の化合物から選択される追加の抗HCV化合物を含んでなる組み合わせに関する。
【0309】
本発明はまた、上記に特定したとおりの式(I)の化合物と抗HCVもしくは抗HIV薬を包含する抗ウイルス薬のような別の薬剤、特に上記のものを合わせる段階を含んでなる、本明細書に記述したとおりの組み合わせを製造する方法にも関する。
【0310】
該組み合わせは、HCV感染、または別の病原性フラビ−もしくはペスチウイルスをそれらに感染した哺乳類において処置するための薬剤の製造において用途を見出すことができ、該組み合わせは特に、上記に特定したとおりの式(I)の化合物およびインターフェロン−α(IFN−α)、PEG化インターフェロン−αもしくはリバビリンを含んでなる。または本発明は、本明細書に特定したとおりの組み合わせの有効量の該哺乳類への投与を含んでなる、HCVまたは別の病原性フラビ−もしくはペスチウイルスに感染した哺乳類、特にヒトを処置する方法を提供する。特に、該処置することは、該組み合わせの全身投与を含んでなり、そして有効量はHCV感染と関連する臨床症状を処置することにおいて有効な量である。
【0311】
1つの態様において、上記の組み合わせは、上記のとおり、上記の有効成分および担体を含む製薬学的組成物の形態において調合される。有効成分の各々は別個に調合することができ、そしてこれらの製剤を共投与することができ、もしくは両方および所望に応じてさらなる有効成分を含有する1つの製剤を提供することができる。前者の場合、組み合わせはまたHCV治療における同時、別個もしくは逐次使用のための組み合わされた製剤として調合することもできる。該組み合わせは、上記の形態のいずれかをとることができる。1つの態様において、両方の成分は固定用量組み合わせのような1つの投与形態物において調合される。特定の態様において、本発明は(a)その立体異性体もしくはその製薬学的に許容しうる塩もしくはその製薬学的に許容しうる溶媒和物を包含する、式(I)の化合物の治療的に有効な量、および(b)リトナビルもしくはその製薬学的に許容しうる塩の治療的に有効な量、および(c)担体を含んでなる製薬学的組成物を提供する。
【0312】
本発明の組み合わせの個々の成分は治療の経過中に異なる時点で別個にまたは分割もしくは単一組み合わせ形態において同時に投与することができる。本発明は同時もしくは交互処置の全てのそのような処方計画を包含するものとし、そして「投与すること」という用語はそれに応じて解釈されるべきである。好ましい態様において、別個の投与形態物は同時に投与される。
【0313】
1つの態様において、本発明の組み合わせは、式(I)の該HCV NS3/4aプロテアーゼ阻害剤が単独で投与される場合の生物学的利用能に対して式(I)のHCV NS3/4aプロテアーゼ阻害剤の生物学的利用能を臨床的に改善するために十分であるリトナビルもしくはその製薬学的に許容しうる塩の量を含有する。または、本発明の組み合わせは、式(I)のHCV NS3/4aプロテアーゼ阻害剤が単独で投与される場合の該少なくとも1つの薬物動態変数に対してt1/2、Cmin、Cmax、Css、12時間でのAUCもしくは24時間でのAUCから選択される式(I)のHCV NS3/4aプロテアーゼ阻害剤の薬物動態変数の少なくとも1つを増加するために十分であるリトナビルもしくはその製薬学的に許容しうる塩の量を含有する。
【0314】
本発明の組み合わせは、該組み合わせに含んでなる各成分に特有の投薬量範囲においてヒトに投与することができ、例えば、上記に特定したとおりの式(I)の化合物、およびリトナビルもしくはその製薬学的に許容しうる塩は、0.02〜5.0g/日の範囲の投薬量レベルを有することができる。
【0315】
式(I)の化合物:リトナビルの重量比は、約30:1〜約1:15、もしくは約15:1〜約1:10、もしくは約15:1〜約1:1、もしくは約10:1〜約1:1、も
しくは約8:1〜約1:1、もしくは約1:5〜1:1〜約5:1、もしくは約3:1〜約1:1、もしくは約2:1〜1:1の範囲であることができる。式(I)の化合物およびリトナビルは1日に1もしくは2回、好ましくは経口で共投与することができ、ここで、用量当たりの式(I)の化合物の量は約1〜約2500mg、もしくは約50〜約1500mg、もしくは約100〜約1000mg、もしくは約200〜約600mg、もしくは約100〜約400mgであり;そして用量当たりのリトナビルの量は1〜約2500mg、もしくは約50〜約1500mg、もしくは約100〜約800mg、もしくは約100〜約400mg、もしくは40〜約100mgのリトナビルである。
【実施例】
【0316】
以下の実施例は本発明を説明するものとし、そして本発明をそれに限定するものではない。いくつかの実施例は構成要素の製造を示し、それらは本明細書に記述される任意の他の適切な構成要素に連結することができ、そして式Iの例示される最終生成物の構成要素にだけではない。
【実施例1】
【0317】
【化64】

【0318】
段階a:1−[(3−オキソ−2−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5−カルボニル)−アミノ]−2−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル(1a)
室温でDMF(14ml)およびDCM(25ml)中の3−オキソ−2−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5−カルボン酸(857mg、5.5mmol)の溶液
に、1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(1.15g、6.0mmol)、HATU(2.29g、6.0mmol)およびDIPEA(3.82ml、22mmol)を加えた。反応物を周囲温度でN雰囲気下で1h攪拌した。LC/MS分析は完全な転化を示し、そして反応混合物を真空中で濃縮した。残留物をDCM(100ml)および0.1M HCl(水性)に再溶解し、そして相を分離した。有機相をNaHCO(水性)およびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、そして濾過した。真空中での溶媒の除去により表題化合物(1.6g、99%)を生成せしめた。LC/MS(方法A):t=2.46分、>95%、m/z(ESI)=294(MH)。
【0319】
段階b:2−(1−エトキシカルボニル−2−ビニルシクロプロピルカルバモイル)−4−ヒドロキシ−シクロペンタンカルボン酸ジイソプロピルエチルアミン塩(1b)
20mlのマイクロ波反応容器における水(15ml)中のエステル(1a)(800mg、2.73mmol)の溶液にDIPEA(1.2ml、6.8mmol)および磁気攪拌子を加えた。反応容器を密封し、そして非混和性のスラリーを強く振盪し、その後でマイクロ波空洞に挿入した。1分の予備攪拌後に、反応物を100℃の設定温度に40分間照射した。40℃に冷却した後に、透明な溶液を真空中で濃縮し、そして残留褐色油をアセトニトリルで3回共蒸発させてあらゆる残留水を除いた。DIPEA塩の形態の粗表題化合物をすぐに次の段階に進めた。LC/MS(方法A):t=1.29分、>95%、m/z(ESI)=312(MH)。
【0320】
段階c:1−{[2−(ヘキシ−5−エニルメチルカルバモイル)−4−ヒドロキシシクロペンタンカルボニル]アミノ}−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(1c)
粗酸(1b)(5.5mmol)をDCM(50ml)およびDMF(14ml)に溶解し、続いて室温でHATU(2.09g、5.5mmol)、ヘキシ−5−エニル−メチル−アミン(678mg、6.0mmol)およびDIPEA(3.08ml、17.5mmol)を加えた。反応物を周囲温度で1h攪拌した。LC/MS分析は完全な転化を示し、そして反応混合物を真空中で濃縮した。残留物をEtOAc(100ml)に再溶解し、そして有機層を0.1M HCl(水性)、KCO(水性)およびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、そして濾過した。真空中での溶媒の除去により油を生成せしめ、それをフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc:MeOH)により精製して表題化合物(1.65g、74%)を生成せしめた。TLC(シリカ):MeOH:EtOAc 5:95、R=0.5;LC/MS(方法A):t=3.44分、>95%、m/z(ESI)=407(MH)。
【0321】
段階d:1−{[4−エトキシメトキシ−2−(ヘキシ−5−エニル−メチル−カルバモイル)−シクロペンタンカルボニル]−アミノ}−2−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル(1d)
0℃(氷浴)でDCMおよびDIPEA(9.7ml、6eq)中のジエン1c(7.94g、0.02mol)の攪拌溶液にクロロメチルエチルエーテル(2.79g、3eq)を加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌し、回転蒸発により濃縮し、そしてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製し(EtOAc/石油エーテル 1:1→1:0)、それにより純粋な表題化合物をわずかに黄色のシロップ(6.67g、74%)として生成せしめた。
【0322】
段階e:17−エトキシメトキシ−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−4−カルボン酸エチルエステル(1e)
ジエン(1d)(1.75g)を乾式ジクロロエタン(800ml、0.0046M溶
液)に溶解した。溶液にアルゴンを10分間泡立て、その後でホベイダ−グラブス第一世代触媒(20mg、3.5mol%)を加え、そして反応混合物を95℃で一晩攪拌した。追加の触媒(25mg)を反応混合物に加え(アルゴン流で)、そして反応物を97℃で攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、そしてスカベンジャー(100mg)を加え、そして反応混合物を室温で4h攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を回転蒸発により濃縮し、そして残留物をシリカ上でカラムクロマトグラフィーにより精製し、それにより純粋な表題化合物(1.23g、収率75%)を生成せしめた。
【0323】
段階f:17−エトキシメトキシ−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−4−カルボン酸(1f)
エステル1e(2.26g)をTHF(20ml)、MeOH(20ml)およびLiOHの溶液(1N、20ml)と混合し、そして55℃で〜17h攪拌した。反応混合物を回転蒸発により濃縮し、水(30〜50ml)で希釈し、そして10%クエン酸でpH3〜4に酸性化した。混濁溶液を酢酸エチル(3x50ml)に抽出した。合わせた有機抽出物を水およびブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウム上で乾燥させた。乾燥剤を濾過により除き、そして酢酸エチルを回転蒸発により除いた。残留物を高真空上で乾燥させ、それにより2gの表題化合物を白色の泡状物(foam)として生成せしめた。生成物をさらに精製せずに直接使用した。
【0324】
段階g:シクロプロパンスルホン酸(17−エトキシメトキシ−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−4−カルボニル)−アミド(1g)
酸1fを乾式DCM(20ml)に溶解した。EDC(1.2eq)を加え、そして反応混合物を室温で3h攪拌した。LC−MSは出発物質の完全な転化を示した。溶液をDCMで希釈し、そして水(3x20ml)で洗浄した。水相をDCMに抽出し、そして合わせたDCM抽出物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして回転蒸発により濃縮し、それにより褐色がかったシロップを生成せしめ、それをさらに精製せずに次の段階において使用した。
【0325】
シロップを乾式DCM(20ml)に溶解し、そしてシクロプロパンスルホンアミド(1.1eq)、続いてDBUを溶液に加えた。溶液を室温で17h攪拌した。反応をLC−MSによりモニターした。反応混合物をDCM(70ml)で希釈し、10%クエン酸(2x20ml)およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、回転蒸発により濃縮し、そしてYCMシリカ(約50g、エーテルで溶出する)上でカラムクロマトグラフィーにより精製し、それにより純粋な表題化合物を白色のフォーム(83%)として生成せしめた、(M+H)512。
【0326】
段階h:シクロプロパンスルホン酸(17−ヒドロキシ−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−4−カルボニル)−アミド(1h)
エトキシエーテル1gをTHF/MeOH/水(1:1:1、総容量30ml)の混合物に溶解し、その後で2.5mlの濃塩酸を攪拌しながら加えた。反応物を室温で一晩攪拌し、そしてLC−MSによりモニターした。次に、反応混合物を飽和水性NaHCO(50ml)に注ぎ込み、そして回転蒸発により容量の半分まで濃縮した。得られる混合物を10%クエン酸で酸性化し、そしてDCM(3x20ml)に抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして回転蒸発により濃縮し、そして高真空で一晩乾燥させた。生成物をさらに精製せずに使用した。
【0327】
段階i:(2−シアノフェニル)−カルバミン酸4−シクロプロパンスルホニルアミノカ
ルボニル−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(1i)
アルコール1h(11mg)を乾式ジクロロメタン(2ml)に溶解し、そして2−イソシアンベンゾニトリル(2eq)、続いてトリエチルアミン(5μl)を加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌し、そして次に回転蒸発により濃縮した。分取HPLC(0.1%TFAを有する水/アセトニトリル、勾配30〜80)により残留物を精製して表題化合物(5mg、27%)を生成せしめた、[M+H]598。
【実施例2】
【0328】
【化65】

【0329】
(2−フェノキシフェニル)−カルバミン酸4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(2)
実施例1段階iに記載の方法に従うが2−イソシアンベンゾニトリルの代わりに2−イソシアノフェノキシベンゼンエステルを用いてアルコール1h(11mg)を反応させ、それにより表題化合物(10mg、63%)を生成せしめた、[M+H]665。
【実施例3】
【0330】
【化66】

【0331】
(2−メトキシ−フェニル)−カルバミン酸4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(3)
実施例1段階iに記載の方法に従うが2−イソシアンベンゾニトリルの代わりに2−イソシアノメトキシベンゼンエステルを用いてアルコール1h(11mg)を反応させ、それにより表題化合物(9mg、58%)を生成せしめた、[M+H]603。
【実施例4】
【0332】
【化67】

【0333】
(3−シアノ−5−メトキシ−フェニル)−カルバミン酸4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(4)
アルコール1h(15mg)を乾式DCEに溶解し、そして20mgの重炭酸ナトリウム、続いて2mlのトルエン中ホスゲン溶液(20%)を加えた。反応混合物を室温で3h攪拌し(LC−MSによればクロロイミデートへの完全な転化)、そして次に回転蒸発により濃縮し、そして高真空において過剰のホスゲンから乾燥させた(1.5h)。乾燥した反応混合物を「マイクロ波」バイアル(2〜5ml)に移し、乾式DCE(3ml)、3−アミノ−5−メトキシ−ベンゾニトリル(2eq)、炭酸カリウム(9mg、1.5eq)、粉砕した分子ふるい(4Å、5mg)と混合し、そしてマイクロ波において100℃で45分間加熱した。反応混合物をシリカのショートパッドに通した(溶離剤 DCM、次にDCM中10%のメタノール)。所望のカルバメート化合物を含有する得られる画分を合わせ、回転蒸発により濃縮し、そしてYMCシリカ(15g、過剰のアニリンを除くために酢酸エチル/石油エーテル 1:3、続いてジクロロメタン、そして次にジクロロメタン中2%のメタノール)上でカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を粉末(15mg、8%)として生成せしめた、[M+H]628。
【実施例5】
【0334】
【化68】

【0335】
3−(4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルオキシカルボニルアミノ)−安息香酸メチルエステル(5)
実施例1段階iに記載の方法に従うが3−アミノ−5−メトキシ−ベンゾニトリルの代わりに3−アミノ安息香酸メチルエステルを用いてアルコール1h(20mg)を反応させ、それにより表題化合物(10mg、36%)を生成せしめた。[M+H]631。
【実施例6】
【0336】
【化69】

【0337】
段階a:1−メチル−シクロプロパンスルホン酸(17−エトキシメトキシ−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−4−カルボニル]−アミド(6a)
実施例1段階gに記載の方法に従うがシクロプロパンスルホンアミドの代わりにメチルシクロプロパンスルホンアミドを用いて酸1fを反応させ、それにより表題化合物を生成せしめた。
【0338】
段階b:1−メチルシクロプロパンスルホン酸(17−ヒドロキシ−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−4−カルボニル]アミド(6b)
実施例1段階hに記載の方法に従ってエトキシエーテル3aを処理し、それにより表題化合物を生成せしめた。
【0339】
段階c:(5−シアノ−2−メトキシ−フェニル)−カルバミン酸13−メチル−4−(1−メチル−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル)−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(6c)
実施例1段階iに記載の方法に従うが3−アミノ−5−メトキシベンゾニトリルの代わりに3−アミノ−4−メトキシベンゾニトリルを用いてアルコール3b(30mg)を反応させ、それにより表題化合物(12mg、33%)を生成せしめた、[M+H]642。
【実施例7】
【0340】
【化70】

【0341】
(3−メチルカルバモイル−フェニル)−カルバミン酸13−メチル−4−(1−メチル−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル)−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(7)
実施例1段階iに記載の方法に従うが3−アミノ−5−メトキシベンゾニトリルの代わりに3−アミノ−N−メチルベンズアミドを用いてアルコール3b(34mg)を反応させ、それにより表題化合物(8mg、19%)を生成せしめた、[M+H]644。
【実施例8】
【0342】
【化71】

【0343】
(3−クロロ−フェニル)−カルバミン酸4−(1−メチルシクロプロパンスルホニルアミノカルボニル)−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(5)
実施例1段階iに記載の方法に従うが3−アミノ−5−メトキシベンゾニトリルの代わりに3−クロロアニリンを用いてアルコール3b(35mg)を反応させ、それにより表題化合物(27mg、66%)を生成せしめた、[M+H]622。
【実施例9】
【0344】
【化72】

【0345】
(3−ジメチルアミノフェニル)−カルバミン酸13−メチル−4−(1−メチル−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル)−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(6)
実施例1段階iに記載の方法に従うが3−アミノ−5−メトキシベンゾニトリルの代わりに3−ジメチルアミノアニリンを用いてアルコール3b(80mg)を反応させ、それにより表題化合物(50mg、40%)を生成せしめた、[M+H]63。
【実施例10】
【0346】
【化73】

【0347】
(3−メトキシフェニル)−カルバミン酸4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(10)
アルコール1h(6mg)を乾式ジクロロメタン(2ml)に溶解し、そして3−イソシアノメトキシベンゼン(2eq)、続いてトリエチルアミン(5μl)を加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌し、そして次に回転蒸発により濃縮した。分取HPLC(0.1%TFAを有する水/アセトニトリル、勾配30〜80)により残留物を精製して表題化合物(2mg、27%)を生成せしめた、[M+H]603。
【実施例11】
【0348】
【化74】

【0349】
(3−フェノキシ−フェニル)−カルバミン酸4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル)−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(11)
実施例1段階iに記載の方法に従うが3−イソシアノメトキシベンゼンの代わりに3−イソシアノフェノキシベンゼンを用いてアルコール1h(10mg)を反応させ、それにより表題化合物(11mg、72%)を生成せしめた、[M+H]665。
【実施例12】
【0350】
【化75】

【0351】
(3−シアノ−フェニル)−カルバミン酸4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル)−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(12)
実施例1段階iに記載の方法に従うが3−イソシアノメトキシベンゼンの代わりに3−イソシアノベンゾニトリルを用いてアルコール1h(10mg)を反応させ、それにより表題化合物(10mg、75%)を生成せしめた、[M+H]598。
【実施例13】
【0352】
【化76】

【0353】
(3−シアノフェニル)−カルバミン酸13−メチル−4−(1−メチルシクロプロパンスルホニルアミノカルボニル)−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(13)
実施例7段階iに記載の方法に従うが3−イソシアノメトキシベンゼンの代わりに3−イソシアノベンゾニトリルを用いてアルコール3b(20mg)を反応させ、それにより表題化合物(13mg、51%)を生成せしめた、[M+H]612。
【実施例14】
【0354】
【化77】

【0355】
(3−メトキシ−フェニル)−カルバミン酸13−メチル−4−(1−メチル−シクロプ
ロパンスルホニルアミノカルボニル)−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(14)
実施例7段階iに記載の方法に従ってアルコール3b(18mg)を反応させ、それにより表題化合物(14mg、59%)を生成せしめた、[M+H]617。
【実施例15】
【0356】
【化78】

【0357】
m−トリル−カルバミン酸4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル)−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(15)
実施例1段階iに記載の方法に従うが3−イソシアノメトキシベンゼンの代わりに3−イソシアノトルエンを用いてアルコール1h(17mg)を反応させ、それにより表題化合物(6mg、26%)を生成せしめた、[M+H]587。
【実施例16】
【0358】
【化79】

【0359】
(2−フルオロ−5−メチル−フェニル)−カルバミン酸4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(16)
実施例1段階iに記載の方法に従うが3−イソシアノメトキシベンゼンの代わりに4−フルオロ−3−イソシアノトルエンを用いてアルコール1h(23mg)を反応させ、それにより表題化合物(14mg、46%)を生成せしめた、[M+H]605。
【実施例17】
【0360】
【化80】

【0361】
[3−(2−メチル−チアゾール−4−イル)−フェニル]−カルバミン酸4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(17)
実施例1段階iに記載の方法に従うが3−イソシアノメトキシベンゼンの代わりに4−(3−イソシアノフェニル)−2−メチル−チアゾールを用いてアルコール1h(30mg)を反応させ、それにより表題化合物(19mg、49%)を生成せしめた、[M+H]670。
【実施例18】
【0362】
【化81】

【0363】
(2−シアノ−5−メチル−フェニル)−カルバミン酸4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(18)
実施例1段階iに記載の方法に従うが3−アミノ−5−メトキシベンゾニトリルの代わりに2−アミノ−4−メチルベンゾニトリルを用いてアルコール1h(30mg)を反応させ、それにより表題化合物(25mg、70%)を生成せしめた。
【実施例19】
【0364】
【化82】

【0365】
段階a:(1−ヒドロキシメチル−2−ビニルシクロプロピル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(19a)
0℃でTHF(10ml)中の1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル(0.51g、2.0mmol)の溶液に水素化ホウ素リチウムの2M溶液(4ml、8mmol)を加えた。反応混合物をTLC(7:3 ヘキサン−酢酸エチル、水性10%硫酸中のモリブデン酸アンモニウム−硫酸セリウムを用いて染色する)によりモニターし、そしてrtで一晩攪拌した後に、水性10%クエン酸(25ml、0℃で滴下添加)を用いて反応物を注意深くクエンチした。得られる混合物をジクロロメタン(3x10ml)で洗浄し、そして合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして濃縮した。溶離剤として1:1 ヘキサン−酢酸エチルを用いて残留物をフラッシュクロマトグラフィーにかけ、続いて適切な画分を濃縮し、そして残留物を真空中で一晩乾燥させて生成物を無色のシロップ(0.407g、1.91mmol、96%)として生成せしめた。
NMRデータ(400MHz,CDCl):H,δ0.98(m,1H),1.15(m,1H),1.44(s,9H),1.84(m,1H),3.20(brs,1H),3.60(dd,1H),3.78(brm,1H),5.10−5.26(m,3H),5.70(m,1H)。
【0366】
段階b:(1−ホルミル−2−ビニル−シクロプロピル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(19b)
ジクロロメタン(5ml)中のアルコール19a(0.152g、0.71mmol)の攪拌溶液にrtでデス−マーチンペルヨージナン(0.33g、0.78mmol)を加えた。反応をTLC(3:2 ヘキサン−酢酸エチル、UV−モニタリングおよび水性10%硫酸中のモリブデン酸アンモニウム−硫酸セリウムを用いる染色)によりモニターした。染色はかなりきれいな反応を示すが、UVモニタリングはいくつかの副生成物を示す。1h後に得られる黄色−赤色溶液をジクロロメタン(20ml)で希釈し、次に1:1 水性10%チオ硫酸ナトリウム/水性飽和炭酸水素ナトリウム(3x20ml)で洗浄し、次に乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして濃縮した。段階勾配溶出(ヘキサン中の酢酸エチル20〜30%)を用いて残留物をフラッシュクロマトグラフィーにかけ、続いて適切な画分を濃縮し、そして残留物を真空中で一晩乾燥させて表題化合物を無色の油(0.054g、0.255mmol、36%)として生成せしめた。
【0367】
段階c:[1−(tert−ブチルカルバモイル−ヒドロキシ−メチル)−2−ビニル−シクロプロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(19c)
窒素下でジクロロメタン(1ml)およびピリジン(0.083ml、1.02mmol)中のアルデヒド19b(0.054g、0.255mmol)およびtert−ブチルイソニトリル(0.043ml、0.38mmol)の溶液にトリフルオロ酢酸(0.
039ml、0.51mmol)を加えた。rtで30分後に、反応混合物をrtに到達させ、そしてさらに2日間攪拌した。次に、TLC(7:3 ヘキサン−酢酸エチル)およびLC−MSモニタリングは約60%の転化を示し、そして反応混合物を酢酸エチル(10ml)で希釈した。溶液を水性10%クエン酸(3x5ml)および水性飽和炭酸水素ナトリウム(3x5ml)で連続して洗浄し、次に乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして濃縮した。次に、残留物を1:1:1 水性1M LiOH/THF/MeOH(1.5ml)でrtで10分間処理し、次に水性10%クエン酸で希釈し、そして酢酸エチルに取り入れ(taken into)、次に乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして濃縮した。溶離剤として7:3 ヘキサン−酢酸エチルを用いて残留物をカラムクロマトグラフィーにかけ、続いて適切な画分を濃縮し、そして残留物を真空中で一晩乾燥させて生成物を無色の固体(0.027g、0.086mmol、34%)として生成せしめた。
NMRデータ(400MHz,CDCl):H,δ1.24(m,1H),1.33−1.40(m,10H),1.44(s,9H),1.87(m,1H),3.65(d,1H),5.21(m,3H),5.50(d,1H),5.89(m,1H),7.03(brs,1H)。
【0368】
次に、本発明の式(I)の化合物のα−ヒドロキシアミド誘導体は、表題化合物からN−BOC基を取り除き、続いて実施例1段階gに記載の方法に従う、酸1fのような酸への生じたアミンの連結、続いてそれぞれ実施例1段階hおよびiに記載のとおりのヒドロキシ保護基の除去およびカルバモイル化反応により得られる。
【0369】
α−ケトアミドにα−ヒドロキシアミドを酸化するための一般的方法:
典型的には、α−ヒドロキシアミドをrtでジクロロメタン(20〜30ml/g)に溶解し、次にデス−マーチンペルヨージナン(1.1当量)を加え、そして反応混合物をTLCおよびLC−MSによりモニターする。反応の完了もしくはほぼ完了後に(after or near completion)反応混合物をジクロロメタンで希釈し、そして次に1:1 水性10%チオ硫酸ナトリウム/水性飽和炭酸水素ナトリウム(3回)で洗浄し、次に乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして濃縮する。残留物をカラムクロマトグラフィーもしくは分取−LCにより精製する。
【実施例20】
【0370】
【化83】

【0371】
段階a:1−{[2−(ヘキシ−5−エニルメチルカルバモイル)−4−ヒドロキシシクロペンタンカルボニル]アミノ}−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸(20a)
化合物1c(493mg、1.21mmol)をDMF(1ml)に溶解し、そして2
0mlのマイクロ波反応容器に移した。次に、水性LiOH(2M、10.5ml)および攪拌子を加えた。反応容器を密封し、そして非混和性のスラリーを強く振盪し、その後でマイクロ波空洞に挿入した。反応物を130℃に30分間照射した。反応混合物を40℃に冷却し、そして清澄溶液を水性HCl(1M、24ml)でpH2に酸性化し、そしてEtOAc(20ml)で3回抽出した。プールした有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、そして濾過した。溶媒を真空中で蒸発させて表題化合物(410mg、90%)を生成せしめた。LC/MS>95%、m/z(ESI)=379(MH)。
【0372】
段階b:2−(ヘキシ−5−エニル−メチル−アミノ−カルボニル)−4−ヒドロキシ−シクロペンタンカルボン酸(1−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−2−ビニル−シクロプロピル)−アミド(20b)
粗酸20a(410mg、1.09mmol)をDMF(1.5ml)およびDCM(4.5ml)に溶解し、続いて室温でEDAC(417mg、2.18mmol)を加えた。混合物を室温で攪拌しながらインキュベーションさせた。10分後に、DMAP(133mg、1.09mmol)を加え、続いて室温でさらに20分インキュベーションした。次に、DMF(2ml)およびDCM(2ml)中のシクロプロパンスルホン酸アミド(527mg、4.36mmol)およびDBU(663mg、4.36mmol)の予混合溶液を加え、続いて100℃に30分間マイクロ波において加熱した。得られる赤色溶液を真空中で濃縮し、そしてEtOAc(20ml)に再溶解した。有機相を1M HCl(水性)(3x10ml)およびブライン(10ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、そして濾過した。溶媒を真空中で蒸発させて粗スルホンアミドを生成せしめ、それをクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc/MeOH、97.5:2.5)によりさらに精製して表題化合物(403mg、77%)を生成せしめた;LC/MS、>95%、m/z(ESI)=482(MH)。
【0373】
式(I)の化合物は、例えば実施例1段階iにもしくは実施例10に記載のとおり、上記の方法のいずれかを用いてカルバモイル化反応、続いて実施例1段階eに記載のとおり閉環メタセシス反応を行うことにより中間体20bから得ることができる。
【実施例21】
【0374】
【化84】

【0375】
段階a:2−(1−エトキシカルボニル−2−ビニル−シクロプロピルカルバモイル)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(21a)
Bocで保護された4−ヒドロキシプロリン(4g、17.3mmol)、HATU(6.9g、18.2mmol)およびWO03/099274に記載のとおり製造した1−アミノ−2−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル(3.5g、18.3mmol)をDMF(60ml)に溶解し、そして氷浴上で0℃に冷却した。ジイソプロ
ピルエチルアミン(DIPEA)(6ml)を加えた。氷浴を取り除き、そして混合物を周囲温度で一晩放置した。次にジクロロメタン(〜80ml)を加え、そして有機相を水性炭酸水素ナトリウム、クエン酸、水、ブラインで洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥させた。フラッシュクロマトグラフィー(エーテル→エーテル中7%のメタノール)により精製して純粋な表題化合物(6.13g、96%)を生成せしめた。
【0376】
段階b:2−(1−エトキシカルボニル−2−ビニル−シクロプロピルカルバモイル)−4−(4−ニトロ−ベンゾイルオキシ)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(21b)
化合物21a(11.8g、32.0mmol)およびピリジン(27ml、305mmol)をDCM(200ml)に溶解し、そして0℃に冷却し、4−ニトロベンゾイルクロリド(6.6g、35.6mmol)を加え、そして溶液を室温で一晩攪拌した。反応混合物をNaHCO(水性)、水性クエン酸およびブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、そしてシリカ上で蒸発させた。粗生成物をシリカ上でカラムクロマトグラフィー(EtOAc/n−ヘプタン:50:50)により精製して11.84g、72%の表題化合物を生成せしめた。
【0377】
段階c:4−ニトロ−安息香酸5−(1−エトキシカルボニル−2−ビニル−シクロプロピルカルバモイル)−ピロリジン−3−イルエステル(21c)
化合物21b(11.84g、22.9mmol)をDCM(100ml)に溶解したTFA(30ml)において脱保護し、そして次に化学分野において既知である方法により処理して表題化合物(9.37g、98%)を生成せしめた。
【0378】
段階d:4−ニトロ−安息香酸5−(1−エトキシカルボニル−2−ビニル−シクロプロピルカルバモイル)−1−[ヘプト−6−エニル−(4−メトキシ−ベンジル)−カルバモイル]−ピロリジン−3−イルエステル(21d)
アミン21c(4.68g、11.2mmol)をTHF(100ml)に溶解し、NaHCO(s)(約5ml)、続いてホスゲン溶液(トルエン中20%、11.6ml、22.5mmol)を加えた。反応混合物を強く1h攪拌し、そして次に濾過し、蒸発させ、そしてDCM(100ml)に再溶解した。NaHCO(s)(約5ml)、続いてヘプト−6−エニル−(4−メトキシ−ベンジル)−アミン(3.92g、16.8mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌し、濾過し、そしてシリカ上で蒸発させた。粗生成物をシリカ上でカラムクロマトグラフィー(EtOAc/n−ヘプタン:25/75)により精製して表題化合物(6.9g、91%)を生成せしめた。
【0379】
段階e:14−(4−メトキシ−ベンジル)−18−(4−ニトロ−ベンゾイルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,14,16−トリアザ−トリシクロ[14.3.0.04,6]ノナデク−7−エン−4−カルボン酸エチルエステル(21e)
ジエン21d(406mg、0.6mmol)をDCE(250ml)に溶解し、そして脱気した。ホベイダ−グラブス触媒第二世代(26mg、0.042mmol)を加え、そして溶液を加熱還流させた。3h後に溶液を蒸発させ、そして次の段階において直接使用した。
【0380】
段階f:18−ヒドロキシ−14−(4−メトキシ−ベンジル)−2,15−ジオキソ−3,14,16−トリアザ−トリシクロ[14.3.0.04,6]ノナデク−7−エン−4−カルボン酸エチルエステル(21f)
粗化合物21e(445mg)をTHF(20ml)、MeOH(10ml)および水(10ml)に溶解した。0℃に冷却した後に1M LiOH(2ml)を加えた。1.5h後に加水分解は完了し、そしてHOAc(1ml)を加え、そして溶液を約10mlまで蒸発させた。水を加え、そして混合物をDCM(2x30ml)で抽出した。プール
した有機相をNaHCO(水性)、水、ブラインで洗浄し、そしてMgSO上で乾燥させた。粗生成物をシリカ上でカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH:100/0〜80/20)により精製して表題化合物(201mg、67%)を生成せしめた。
【0381】
段階g:18−エトキシメトキシ−14−(4−メトキシ−ベンジル)−2,15−ジオキソ−3,14,16−トリアザ−トリシクロ[14.3.0.04,6]ノナデク−7−エン−4−カルボン酸エチルエステル(21g)
0℃でジクロロメタン(15ml)中のアルコール21f(1.35g、2.70mmol、75%の純度)およびN−エチルジイソプロピルアミン(1.42ml、8.1mmol)の攪拌溶液にクロロメチルエチルエーテル(0.5ml、5.4mmol)を加えた。rtで攪拌した後に反応混合物を0℃に冷却し、そして追加のN−エチルジイソプロピルアミン(1ml、5.7mmol)およびクロロメチルエチルエーテル(0.3ml、3.2mmol)を加え、次にrtでさらに16h攪拌した。次に、反応混合物をシリカゲルカラム上に直接かけ、そして段階勾配溶出(ヘキサン中の酢酸エチル50〜80%)を用いて溶出した。適切な画分の濃縮により表題化合物をわずかに褐色のシロップとして生成せしめ、それは静置すると結晶化した(0.8g、53%)。LR−MS:C3044の計算値:558。実測値:558[M+H]。
【0382】
段階h:18−エトキシメトキシ−14−(4−メトキシ−ベンジル)−2,15−ジオキソ−3,14,16−トリアザ−トリシクロ[14.3.0.04,6]ノナデク−7−エン−4−カルボン酸(21h)
1:1:1 THF−メタノール−水性1M LiOH(36ml)中のエステル21g(0.775g、1.39mmol)の溶液をrtで3.5h攪拌し、その後でTLC(95:5および9:1 ジクロロメタン−メタノール)およびLC−MSは、カルボン酸への完全な転化を示した。次に、反応混合物を容量の約1/3に濃縮し、次に水(10ml)で希釈し、そして水性10%クエン酸(60ml)を用いて約pH4に酸性化し、その際に沈殿物が生じた。混合物を酢酸エチル(3x25ml)で洗浄し、そして合わせた有機層をブライン(2x50ml)で洗浄し、次に乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして濃縮した。残留物をトルエン(3x10ml)から濃縮し、それにより粗表題化合物を黄色がかった白色のフォーム(0.75g、定量的)として生成せしめた。LR−MS:C2840の計算値:530。実測値:530[M−H]。
【0383】
段階i:化合物21i
rtでジクロロメタン(10ml)中のカルボン酸21h(約1.39mmol)の溶液にN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドxHCl(0.32g、1.67mmol)を加え、次に一晩攪拌し、その後でLC−MSは生成物への酸の完全な転化を示した。次に、反応混合物をジクロロメタン(10ml)で希釈し、水(3x10ml)で洗浄し、次に乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして無色の固体(粗収量:0.7g)に濃縮し、それを次の段階においてすぐに使用した。LR−MS:C2838の計算値:512。実測値:512[M+H]。
【0384】
段階j:シクロプロパンスルホン酸[18−エトキシメトキシ−14−(4−メトキシ−ベンジル)−2,15−ジオキソ−3,14,16−トリアザ−トリシクロ[14.3.0.04,6]ノナデク−7−エン−4−カルボニル]−アミド(21j)
ジクロロメタン(4ml)中の粗オキサゾリノン21i(0.328g,0.64mmol)の攪拌溶液にシクロプロピルスルホンアミド(0.117g、0.96mmol)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデク−7−エン(0.19ml、1.3mmol)を加え、次にrtで一晩攪拌した。反応混合物をLC−MSによりモニターし、次にジクロロメタン(20ml)で希釈し、水性10%クエン酸(3x15ml)およびブライン(1x15ml)で連続して洗浄し、次に乾燥させ(NaSO)、濾
過し、そして黄色がかった白色のフォームに濃縮した。段階勾配溶出(トルエン中の酢酸エチル60〜100%)を用いる残留物のカラムクロマトグラフィー、続いて適切な画分の濃縮および乾燥により表題化合物を無色のフォーム(0.27g、3段階にわたって66%)を生成せしめた。
NMRデータ(500MHz、DMSO−d):H、δ0.9−1.6(m、14H),1.80(m,1H),1.90(m,1H),2.0−2.2(m,3H),2.25(m,1H),2.95(m,1H),3.05(s,1H),3.3−3.4(m,2H),3.50(q,2H),3.7−3.8(m,4H),3.97(d,1H),4.3−4.4(m,2H),4.55(d,1H),4.63(m,2H),5.12(m,1H),5.70(m,1H),6.88(d,2H),7.19(d,2H),8.12(s,1H)。LR−MS:C3145Sの計算値:633。実測値:633[M+H]。
【0385】
段階k:シクロプロパンスルホン酸(18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,14,16−トリアザ−トリシクロ[14.3.0.04,6]ノナデク−7−エン−4−カルボニル]−アミド(21k)
1:1:1 THF−メタノール−2M水性塩酸(1.5ml)中のアセタール21j(0.038g、0.06mmol)の溶液をrtで30分間攪拌し、次に追加の濃塩酸(0.1ml)を加え、そして次にrtで一晩攪拌した。次に、反応混合物を水性飽和炭酸水素ナトリウムを用いて中和し、次にシリカ上に濃縮した。9:1 酢酸エチルメタノールを用いた残留物のフラッシュクロマトグラフィーにより無色のフォーム(0.020g、73%)を生成せしめた。LR−MS:C2029Sの計算値:453。実測値:453[M−H]。
【0386】
本発明の阻害剤は、例えば実施例1段階iにもしくは実施例10に記載のとおり、上記の方法のいずれかを用いてカルバモイル化反応を行うことにより中間体21kから得られる。
【実施例22】
【0387】
【化85】

【0388】
段階a:1−メチル−シクロプロパンスルホン酸[18−エトキシメトキシ−14−(4−メトキシ−ベンジル)−2,15−ジオキソ−3,14,16−トリアザ−トリシクロ[14.3.0.04,6]ノナデク−7−エン−4−カルボニル]−アミド(22a)
ジクロロメタン(4ml)中のオキサゾリノン21i(0.372g,0.73mmol)の攪拌溶液にシクロプロピルメチルスルホンアミド(0.147g、1.09mmol)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデク−7−エン(0.22ml、1.45mmol)を加え、次にrtで一晩攪拌した。実施例19段階jに記載のとおりの処理およびクロマトグラフィーにより所望の生成物を無色のシロップとして生成せしめ、それは静置すると結晶化し始めた(0.31g、3段階にわたって65%)。NMRデータ(500MHz、DMSO−d):H、δ0.92(m,2H),1.1−1.6(m、15H),1.78(m,1H),1.88(m,1H),2.0−2.1(m,3H),2.26(m,1H),3.02(m,1H),3.2−3.4(m,2H),3.49(q,2H),3.7−3.8(m,4H),3.95(d,1H),4.3−4.4(m,2H),4.54(d,1H),4.6−4.7(m,2H),5.06(m,1H),5.69(m,1H),6.88(d,2H),7.19(d,2H),8.22(s,1H),11.23(s,1H)。LR−MS:C3247Sの計算値:647。実測値:647[M+H]。
【0389】
段階b:1−メチル−シクロプロパンスルホン酸(18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,14,16−トリアザ−トリシクロ[14.3.0.04,6]ノナデク−7−エン−4−カルボニル]−アミド(22b)
アセタール化合物22a(0.301g、0.465mmol)を2:1:0.1 ジクロロメタン/トリフルオロ酢酸/HO(6.2ml)を用いてrtで4h脱保護し、次にシリカ上に濃縮し、そして9:1 酢酸エチル/メタノールを用いるフラッシュクロマトグラフィーにより生成物を無色のフォーム(0.065g、30%)として生成せしめた。LR−MS:C2133Sの計算値:469。実測値:469[M+H]。
【0390】
式(I)の化合物は、例えば実施例1段階iにもしくは実施例10に記載のとおり、上記の方法のいずれかを用いてカルバモイル化反応を行うことにより中間体22bから得られる。
【実施例23】
【0391】
【化86】

【0392】
段階i:6H−フェナントリジン−5−カルボン酸4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−17−イルエステル(1i)
5,6−ジヒドロ−フェナントリジン(1k)は、以下の方法を用いて製造した:磁気攪拌子および還流冷却器を備えた500mLの丸底フラスコに6(5H)−フェナントリジノン(1000mg、5123μmol)、THF(250mL)を入れた(微細懸濁液)。フラスコに窒素を散布し、THF(10mL)中2MのBH3−ジメチルスルフィド錯体を加える。これを還流で24時間攪拌させる。TLCは、反応がまだ不完全であることを示す(1/1、酢酸エチル/ヘプタン)。溶媒を減圧下で除く。水(50mL)および酢酸エチル(100mL)を加える。水層を酢酸エチル(3x100mL)で分離する。有機層を合わせ、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、固体を濾過により除き、そして溶媒を減圧下で除く。これをヘプタン〜ヘプタン中50%の酢酸エチルを用いてシリカカラムクロマトグラフィーにより精製する。最良の画分をプールし、そして溶媒を減圧下で除いて黄色がかった白色の固体(270mg、収率:29%)を生成せしめる。LC−MSは質量182(M+H)を示す。
【0393】
アルコール1h(15mg)を乾式DCEに溶解し、そして20mgの重炭酸ナトリウム、続いて2mlのトルエン中ホスゲン溶液(20%)を加えた。反応混合物を室温で3h攪拌し、そして次に回転蒸発により濃縮し、そして高真空において過剰のホスゲンから乾燥させた(1.5h)。乾燥した反応混合物を「マイクロ波」バイアル(2〜5ml)に移し、乾式DCE(3ml)、5,6−ジヒドロ−フェナントリジン(1k)(2eq)、炭酸カリウム(9mg、1.5eq)、粉砕した分子ふるい(4Å、5mg)と混合し、そしてマイクロ波において100℃で45分間加熱した。反応混合物をシリカのショートパッドに通した(溶離剤 DCM、次にDCM中10%のメタノール)。所望のカルバメート化合物を含有する得られる画分を合わせ、回転蒸発により濃縮し、そしてYMC
シリカ(15g、過剰の5,6−ジヒドロ−フェナントリジン(1k)を除くために酢酸エチル/石油エーテル 1:3、続いてジクロロメタン、そして次にジクロロメタン中2%のメタノール)上でカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を粉末として生成せしめた。
【実施例24】
【0394】
1−メチルシクロプロパンスルホン酸(17−ヒドロキシ−13−メチル−2,14−ジオキソ−3,13−ジアザ−トリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデク−7−エン−4−カルボニル)−アミド(24)
上記のとおり製造した化合物(6b)を実施例23に記載のとおり環状アミン(23k)と反応させ、(23i)のメチルシクロプロピルアナログを生成せしめる
【0395】
式(I)の化合物の活性
レプリコンアッセイ
式(I)の化合物を細胞アッセイにおいてHCV RNA複製の阻害における活性について調べた。アッセイは、式(I)の化合物が細胞培養において機能するHCVレプリコンに対して活性を示すことを明らかにした。細胞アッセイは、複数標的スクリーニング戦略において、Krieger et al.(2001)Journal of Virology 75:4614−4624により記述される改変を有するLohmann et al.(1999)Science vol.285 pp.110−113により記述されるような、2シストロン性発現構築物に基づいた。本質的に、方法は下記のとおりであった。
【0396】
アッセイは、安定にトランスフェクションされた細胞系Huh−7 luc/neo(以下にHuh−Lucと称する)を利用した。この細胞系は、レポーター部分(FfL−ルシフェラーゼ)および選択可能なマーカー部分(neo(R)、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ)が前に置かれる、脳心筋炎ウイルス(EMCV)からの内部リボソーム侵入部位(IRES)より翻訳されるHCV 1b型の野生型NS3−NS5B領域を含んでなる2シストロン性発現構築物をコードするRNAを保有する。構築物にはHCV 1b型からの5’および3’NTR(非翻訳領域)が隣接している。G418(neo(R))の存在下でのレプリコン細胞の継続培養は、HCV RNAの複製に依存する。とりわけルシフェラーゼをコードする、自律的にそして高レベルに複製する、HCV RNAを発現する安定にトランスフェクションされたレプリコン細胞は、抗ウイルス化合物をスクリーニングするために用いられる。
【0397】
様々な濃度で加えられた試験およびコントロール化合物の存在下でレプリコン細胞を384ウェルプレートにおいて平板培養した。3日のインキュベーション後に、ルシフェラーゼ活性をアッセイすることにより(標準的なルシフェラーゼアッセイ基質および試薬ならびにPerkin Elmer ViewLuxTm ultraHTSマイクロプレート撮像装置を用いて)HCV複製を測定した。コントロール培養物におけるレプリコン細胞は、任意の阻害剤の不在下で高いルシフェラーゼ発現を有する。ルシフェラーゼ活性に対する化合物の阻害活性をHuh−Luc細胞上でモニターし、各試験化合物の用量反応曲線を可能にした。次にEC50値を計算し、この値は検出されるルシフェラーゼ活性のレベル、もしくはさらに特に、遺伝子的に連結されたHCVレプリコンRNAの複製する能力を50%減少するために必要とされる化合物の量を表す。
【0398】
阻害アッセイ
このインビトロアッセイの目的は、本発明の化合物によるHCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体の阻害を測定することであった。このアッセイは、本発明の化合物がHCV
NS3/4Aタンパク質分解活性を阻害することにおいてどのくらい有効であるかの指
標を与える。
【0399】
全長C型肝炎NS3プロテアーゼ酵素の阻害を本質的にPoliakov,2002 Prot Expression & Purification 25 363 371に記載のとおり測定した。簡潔に言えば、デプシペプチド基質、Ac−DED(Edans)EEAbuψ[COO]ASK(Dabcyl)−NH(AnaSpec,San Jose,USA)の加水分解をペプチド補因子、KKGSVVIVGRIVLSGK(Åke Engstroem,Department of Medical Biochemistry and Microbiology,Uppsala University,Sweden)の存在下で分光蛍光分析的に測定した。[Landro,1997 #Biochem 36 9340−9348]。酵素(1nM)を50mM HEPES、pH7.5、10mM DTT、40%グリセロール、0.1%n−オクチル−D−グルコシドにおいて25μMのNS4A補因子および阻害剤と30℃で10分間インキュベーションし、その際に0.5μMの基質の添加により反応を開始した。阻害剤をDMSOに溶解し、30秒間超音波処理し、そしてボルテックスした。溶液を測定間は−20℃で保存した。
【0400】
アッセイサンプルにおけるDMSOの最終濃度を3.3%に調整した。加水分解の速度は、公開された方法に従って内部フィルター効果に関して補正した。[Liu,Analytical Biochemistry,1999,vol.267,pp.331−335]。競合阻害のモデルおよびKm(0.15μM)の固定値を用いて、Ki値を非線形回帰分析(GraFit,Erithacus Software,Staines,MX,UK)により概算した。最低2回の反復を全ての測定について行った。
【0401】
本発明の化合物は、野生型ウイルスおよび突然変異体HCVウイルス、特に薬剤エスケープ突然変異を含んでなるウイルスに対して好ましくは効能を有する。薬剤エスケープ突然変異は、先行技術抗ウイルス薬の選択圧によって患者において起こりそしてその抗ウイルス薬に対する強化された耐性を与えるものである。
【0402】
本発明の化合物により示されるある突然変異体HCVウイルスの阻害は、WO2004/039970に記載のとおり決定された。
【0403】
A156TおよびD168Vは、NS3プロテアーゼ阻害剤を用いるHCV治療との関連で特に関係する薬剤エスケープ突然変異体であり、そして本発明の化合物は好ましくはこれらの突然変異体に対して低いKi値を有する。
【0404】
以下の表1は、上記実施例のいずれか1つに従って製造された化合物を記載する。試験した化合物の活性もまた表1に示される。値A、B、C、D、EおよびFの説明文は、下記のとおりである:
−値AはEC50>10μMに対応し;
−値Bは10μM〜1μMの間のEC50に対応し;
−値Cは0.99μM〜200nMの間のEC50に対応し;
−値Dは199nM〜0.5nMの間のEC50に対応し;
−値EはKi>100nMに対応し;
−値Fは100nM〜30nMの間のKiに対応し;
−値Gは29.9nM〜0.1nMの間のKiに対応する。
【0405】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
その立体異性体を包含する式(I):
【化1】

[式中、
Aは−C(=O)OR、−C(=O)−NH−SO−R、−C(=O)C(=O)NR3a3b、−C(=O)−NH−SO−NR3a3b、−C(=O)NH−P(=O)(OR4a)(R4b)もしくは−P(=O)(OR4a)(R4b)であり、ここで;
は水素;アリール;Het;場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいC3〜7シクロアルキル;または場合によりC3〜7シクロアルキル、アリールでもしくはHetで置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
はアリール;Het;場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいC3〜7シクロアルキル;または場合によりC3〜7シクロアルキル、アリールでもしくはHetで置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
3aおよびR3bは各々独立して水素;場合によりC1〜6アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、C3〜7シクロアルキル、アリールでもしくはHetで置換されていてもよいC1〜6アルキル;アリール;C2〜6アルケニル;Het;場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいC3〜7シクロアルキルであるか;またはR3aおよびR3bはそれらが結合している窒素原子と一緒になって基Hetを形成し;そしてR3aはまたC1〜6アルコキシであることもでき;
4aは水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜7シクロアルキル、アリール、または場合によりC3〜7シクロアルキルもしくはアリールで置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
4bはR4b’、OR4b’もしくはNHR4b’であり;
4b’はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜7シクロアルキル、アリール、または場合によりC3〜7シクロアルキルでもしくはアリールで置換されていてもよいC1〜6アルキルであり;
XはN、CHであり、そしてXが二重結合を有する場合、それはCであり;
EはNRであり、もしくはXがNである場合、EはNRもしくはCR6a6bであり;
は水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキルもしくはC3〜7シクロアルキルであり;
6aおよびR6bは独立して水素もしくはC1〜6アルキルであるか、またはR6aおよびR6bはそれらが結合している炭素原子と一緒になってC3〜7シクロアルキルを形成し;
nは3、4、5もしくは6であり;
各点線−−−−−は独立して場合による二重結合を表し;
は水素であり、またはXがCもしくはCHである場合、RはまたC1〜6アルキルであることもでき;
は式
【化2】

の基であり、
8aおよびR9aは各々独立して水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、ポリハロC1〜6アルキル、シアノ、アミノ、モノ−もしくはC1〜6ジアルキルアミノであり;
各Rは独立して場合によりC1〜6アルコキシ、ヒドロキシもしくはハロで置換されていてもよいC1〜6アルキル;C3〜7シクロアルキル;C2〜6アルケニル;C1〜6アルコキシ;C3〜7シクロアルキルオキシ;アリールオキシ;Het−O−;ヒドロキシ;シアノ;ポリハロC1〜6アルキル;モノ−もしくはC1〜6ジアルキルアミノであり;
各R10は独立して水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、ポリハロC1〜6アルキル、シアノ、アミノ、モノ−もしくはC1〜6ジアルキルアミノであり;
各アリールは独立して場合によりハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、アミノ、モノ−もしくはジC1〜6アルキルアミノ、アジド、メルカプト、C1〜6アルキルチオ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルコキシ、C3〜7シクロアルキルおよびHetから選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
各Hetは独立して、窒素、酸素および硫黄から各々独立して選択される1、2、3もしくは4個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員の飽和した、部分的に不飽和のもしくは完全に不飽和の複素環式環であり、該複素環式環は、場合によりハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、アミノ、モノ−もしくはジC1〜6アルキルアミノ、アジド、メルカプト、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルコキシ、C3〜7シクロアルキル、Hetから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよく;
各Hetは独立してピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−C1〜6アルキル−ピペラジニル、4−C1〜6アルキルカルボニル−ピペラジニルおよびモルホリニルであり、そしてここで、モルホリニルおよびピペリジニル基は場合により1もしくは2個のC1〜6アルキル基で置換されていてもよい]
の化合物、またはそのN−オキシド、製薬学的に許容しうる付加塩もしくは製薬学的に許容しうる溶媒和物。
【請求項2】
nが4もしくは5である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
−(CH−部分に隣接する−−−−−が二重結合である請求項1もしくは2に記載の化合物。
【請求項4】
Xを有する5員環における−−−−−が単結合であり、そしてRが水素である請求項1、2もしくは3に記載の化合物。
【請求項5】
EがNRである請求項1〜4に記載の化合物。
【請求項6】
XがNである請求項1〜5に記載の化合物。
【請求項7】
が式:
【化3】

の基であるか;もしくは
が式:
【化4】

の基であるか;もしくは
が式:
【化5】

の基である請求項1〜6に記載の化合物。
【請求項8】
が式:
【化6】

の基である請求項1〜6に記載の化合物。
【請求項9】
がC1〜6アルキル(例えば、メチル、エチルもしくはイソプロピル);C1〜6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシもしくはイソプロポキシ);アリールオキシ;Het−O−;シアノであるか;またはRがC1〜6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシもしくはイソプロポキシ)もしくはアリールオキシ(例えば、フェノキシもしくは4−メトキシ−フェノキシ)である請求項7もしくは8に記載の化合物。
【請求項10】
10が水素;C1〜6アルキル(例えば、メチル、エチルもしくはイソプロピル);C1〜6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシもしくはイソプロポキシ);シアノである請求項7もしくは8に記載の化合物。
【請求項11】

【化7】

が構造:
【化8】

を有する請求項1〜6に記載の化合物。
【請求項12】

【化9】

が構造:
【化10】

を有する請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
、R8a、Rが水素である請求項11もしくは12に記載の化合物。
【請求項14】
アリールが場合によりC1〜6アルコキシで置換されていてもよいフェニルであり、そしてHetがピリジルもしくはピリミジニルである請求項1〜13に記載の化合物。
【請求項15】
Aが−C(=O)−NH−SOであり、特にここで、RがC3〜7シクロアルキル、フェニルもしくは基Het、例えばチアゾリルもしくはピリジルであり、これらのいずれかが場合により1個もしくはそれ以上の、例えばC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、トリフルオロメチルおよびハロから選択される1もしくは2個の置換基で、または特にメチル、フルオロおよびクロロから選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよく;またはAがC(=O)ORであり、ここで、Rが水素もしくはC〜Cアルキル、例えばメチルである請求項1〜14に記載の化合物。
【請求項16】
有効成分として請求項1〜15のいずれかに記載の式(I)の化合物および担体を含んでなる製薬学的製剤。
【請求項17】
薬剤としての使用のための請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
ウイルス感染の処置もしくは予防用の薬剤の製造のための請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
ウイルス感染がHCV感染である請求項18に記載の使用。
【請求項20】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物および別の抗ウイルス化合物の組み合わせ。
【請求項21】
他の抗ウイルス化合物が抗HCV化合物である請求項20に記載の組み合わせ。

【公表番号】特表2010−518049(P2010−518049A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548694(P2009−548694)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051556
【国際公開番号】WO2008/096001
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(504347371)テイボテク・フアーマシユーチカルズ・リミテツド (94)
【出願人】(508030109)
【Fターム(参考)】