説明

HDAC阻害剤とキレート化可能な金属化合物を含んでなる医薬組成物、及び金属−HDAC阻害剤キレート錯体

本発明は、HDAC阻害剤とキレート化可能な金属化合物を含んでなる医薬組成物を提供する。1つの実施態様においては、本発明は、当該医薬組成物を投与することにより、癌を治療しかつHDAC阻害剤の副作用を軽減する方法を提供する。別の実施態様においては、本発明はまた、金属HDAC阻害剤キレート錯体を含んでなる医薬組成物も提供する。別の実施態様においては、本発明は、当該医薬組成物を投与することにより、癌を治療する方法を提供する。本発明は、金属HDAC阻害剤キレート錯体を含んでなる結晶性組成物、及びその製造法を提供する。
【図2】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HDAC阻害剤とキレート化可能な金属化合物を含んでなる医薬組成物を提供する。1つの実施態様においては、本発明は、当該医薬組成物を投与することにより、癌を治療しかつHDAC阻害剤の副作用を軽減する方法を提供する。別の実施態様においては、本発明はまた、金属HDAC阻害剤キレート錯体を含んでなる医薬組成物も提供する。別の実施態様においては、本発明は、当該医薬組成物を投与することにより、癌を治療する方法を提供する。本発明は、金属HDAC阻害剤キレート錯体を含んでなる結晶性組成物、及びその製造法を提供する。
【背景技術】
【0002】
本出願全体を通して、種々の出版物がカッコ内のアラビア数字により参照されている。これらの出版物の完全な引用は、本明細書末尾に見出すことができよう。
【0003】
癌は、これにおいて細胞集団が、通常は増殖及び分化を支配している調節メカニズムに対し、程度の差こそあれ、反応しなくなってきた疾患である。長年にわたり、癌の化学療法的処置には二つの主要な方策が存在してきた:a)性ホルモンの産生又は末梢作用を妨害することにより、ホルモン依存性の腫瘍細胞増殖を阻止すること;及びb)癌細胞を、新生細胞及び正常細胞の双方の集団を損傷する細胞傷害物質に対し暴露すること。
【0004】
癌療法はまた、新生細胞の最終分化を誘導することによっても試みられている(1)。細胞培養モデルでは、分化は、細胞をサイクリックAMP及びレチノイン酸(2,3)、アクラルビシン、及び他のアントラサイクリン類(4)を含む多様な刺激に暴露することによって報告されてきた。
【0005】
腫瘍学の分野における多くの進歩にもかかわらず、大多数の固形腫瘍は進行期では不治のままである。細胞傷害の療法が、殆どの症例において用いられるが、それはしばしば患者に対し、有意な臨床上の利益なしに重大な病的状態を引き起こす。進行した悪性病変を治療及び管理するための、より毒性が低くかつ特異性の高い薬剤が探究されている。
【0006】
腫瘍性形質転換が必ずしも癌細胞の分化する能力を破壊しないという有り余るほどの証拠がある(1,5,6)。通常の増殖調節因子に対して反応せず、その分化のプログラムの発現中でブロックされているように見え、そしてなお、分化しかつ複製を中止するべく誘導し得る、腫瘍細胞の多くの例がある。いくつかの比較的単純な極性化合物(5,7−9)、ビタミンD及びレチノイン酸の誘導体(10−12)、ステロイドホルモン(13)、増殖因子(6,14)、プロテアーゼ(15,16)、発癌プロモーター(17,18)、及び、DNA又はRNA合成の阻害剤(4,19−24)を含む種々の薬剤は、多様な形質転換細胞系及び初代ヒト腫瘍移植片を、さらに分化した特性を発現するために、誘導可能である。
【0007】
スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)のようなヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、このクラスの薬剤に属し、腫瘍細胞の増殖停止、分化、及び/又はアポトーシスを誘導する能力をもつ(25)。これらの化合物は、動物における腫瘍増殖の阻害に有効な用量では毒性をもたないように見えることから、新生細胞が悪性になる能力に固有のメカニズムに向けて標的化される(26)。ヒストンアセチル化及び脱アセチル化が、それによって転写調節が細胞において達成されるメカニズムであることには、いくつかの系列の証拠がある(27)。こうした効果は、ヌクレオソーム中のコイルしたDNAに対するヒストンタンパク質の親和性を変えることによる、クロマチンの構造変化を通して起こると考えられている。ヌクレオソームにおいて同定されてきたヒストンには、5つのタイプがある(H1、H2A、H2B、H3、及びH4と呼ばれる)。各ヌクレオソームは、ヌクレオソーム構造の外部において単独で存在するH1を除き、そのコア内に、各ヒストンタイプを2つずつ含有している。ヒストンタンパク質が低アセチル化されているとき、ヒストンには、DNAリン酸骨格に対する、より大きい親和性があると考えられている。この親和性が、DNAをヒストンへ強く結合されるようにし、DNAが転写調節エレメント及びその装置部分にアクセスできないようにする。アセチル化状態の調節は、2つの酵素複合体、ヒストンアセチル基転移酵素(HAT)及びヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の間の、活性のバランスを通して起こる。低アセチル化状態は、結合したDNAの転写を阻害すると考えられている。この低アセチル化状態は、HDAC酵素を含む大きい多タンパク質複合体により触媒される。特に、HDACは、クロマチンコアヒストンからのアセチル基の除去を触媒することが示されてきた。
【0008】
SAHA(ゾリンザ(ZOLINA)TM(ボリノスタット))は、癌を治療すること、新生細胞の最終分化を選択的に誘導すること、細胞増殖停止を誘導すること、及び/又はアポトーシスを誘導することのために有用であることが示されてきた。SAHAによるHDACの阻害は、X線結晶学研究によって示されたように、酵素の触媒部位との直接的な相互作用を介して起こると考えられる(28)。HDAC阻害の結果は、ゲノムに対し全体的な影響をもつのではなく、むしろゲノムの小さいサブセットに影響を及ぼすにすぎないと考えられる(29)。HDAC阻害剤と共に培養された悪性細胞系を用いたDNAマイクロアレイにより提供された証拠は、その産物が改変されている限られた数(1〜2%)の遺伝子があることを示している。例えば、培養中にHDAC阻害剤で処理された細胞は、サイクリン依存キナーゼ阻害因子p21の一定した誘導を示す(30)。このタンパク質は、細胞周期停止において重要な役割を果たす。HDAC阻害剤は、p21遺伝子の領域において、ヒストンの高アセチル化状態を伝播することにより、p21の転写速度を増大し、それにより当該遺伝子を転写装置へアクセス可能にすると考えられている。その発現がHDAC阻害剤に影響されない遺伝子は、局部的に結合したヒストンのアセチル化において変化を示すことはない(31)。
【発明の概要】
【0009】
発明の要旨
本発明は、HDAC阻害剤とキレート化可能な金属錯体を含んでなる医薬組成物を提供する。1つの実施態様においては、本発明は、当該医薬組成物を投与することにより、癌を治療しかつHDAC阻害剤の副作用を軽減する方法を提供する。別の実施態様においては、本発明はまた、金属HDAC阻害剤キレート錯体を含んでなる医薬組成物も提供する。別の実施態様においては、本発明は、当該医薬組成物を投与することにより、癌を治療する方法を提供する。本発明は、金属HDAC阻害剤キレート錯体を含んでなる結晶性組成物、及びその製造法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】参照カプセルロットからのSAHAの溶解プロフィールを示す図であり、該カプセルは、有効成分SAHA100mg及び賦形剤を含有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上有効な量のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤及びキレート化可能な金属化合物と、薬学的に許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項2】
前記キレート化可能な金属化合物が、鉄又は亜鉛を含んでなる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記HDAC阻害剤が、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、又はその薬学的に許容される塩、又はその水和物若しくは溶媒和物である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
請求項1の医薬組成物を患者に投与する工程を含んでなる、癌を治療しかつHDAC阻害剤の副作用を軽減する方法。
【請求項5】
治療上有効な量のHDAC阻害剤とキレート化可能な金属化合物とを、患者に同時投与する工程を含んでなる、癌を治療しかつHDAC阻害剤の副作用を軽減する方法。
【請求項6】
前記キレート化可能な金属化合物が、鉄又は亜鉛を含んでなる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記HDAC阻害剤が、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、又はその薬学的に許容される塩、又はその水和物若しくは溶媒和物である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
治療上有効な量の鉄SAHAキレート錯体、又はその水和物若しくは溶媒和物と、薬学的に許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項9】
前記鉄対SAHAの化学量論比が1:3である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記鉄SAHAキレート錯体が結晶性であり、かつ、8.8、14.5、及び21.8度2θにおける特徴的なピークを包含する、銅Kα照射を用いたX線回折粉末パターンによって特徴づけられる、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記鉄キレート錯体が結晶性であり、かつ、8.8、13.3、14.5、20.3、21.8、及び24.6度2θにおける特徴的なピークを包含する、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記鉄キレート錯体が結晶性であり、かつ、8.8、13.3、14.5、18.5、20.3、21.8、24.6、25.8、及び33.3度2θにおける特徴的なピークを包含する、銅Kα照射を用いたX線回折パターンによって特徴づけられる、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項13】
治療上有効な量の亜鉛SAHAキレート錯体、又はその水和物若しくは溶媒和物と、薬学的に許容される担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項14】
治療上有効な量の金属HDAC阻害剤キレート錯体、又はその水和物若しくは溶媒和物を、患者に投与する工程を含んでなる、癌を治療する方法。
【請求項15】
前記キレート錯体を、有機溶媒、又は有機溶媒と水との混合物中で、結晶化する工程を含んでなる、結晶性金属HDAC阻害剤キレート錯体を得る方法。
【請求項16】
キレート化可能な金属化合物及び塩基を、反応媒体中で、HDAC阻害剤に添加する工程を含んでなる、金属HDAC阻害剤キレート錯体を得る方法。

【図2】結晶性鉄SAHAキレート錯体のX線ディフラクトグラムを示す図である。
【図3】シーメンスD500自動粉末回折器(Siemans D500 Automated Powder Diffractometer)で測定されたSAHAのX線ディフラクトグラムを示す図であり、図3−A−Eは、I−V型(Form I−V)SAHAである。
【図4】X’PERT Proフィリップス(Phillips)X線回折器で測定されたI型(Form I)SAHAのX線ディフラクトグラムを示す図である。
【0011】
発明の詳細な記載
用語「薬学的に許容される担体」は、薬剤の投与に適合する任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、及び吸収遅延剤などを包含することを意図している。好適な担体は、参考として本明細書に含まれている、この分野における標準的な参考テキスト、「レミントンズ・ファーマシューティカル・サイエンセズ(Remington’s Pharmaceutical Sciences)レミントンの薬学」」の最新版に記載されている。リポソーム及び非水性ビヒクル、例えば固定油もまた使用してよい。薬学的活性物質用にかかる媒質及び薬剤を用いることは、当該技術分野において周知である。任意の通常の媒質及び薬剤が本発明組成物に不適合でない限り、当該組成物におけるそれらの使用が期待される。補足的な活性化合物もまた、当該組成物中に取り入れてもよい。
【0012】
用語「f2」又は「F2」は、数式1に示された、参照インビトロ溶解プロフィールに対する新規インビトロ溶解プロフィールの、ポイント・バイ・ポイントの比較により測定された類似係数を指す。
【0013】
【数1】
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【0014】
は、参照についての、各時点(t)において溶解された化合物のパーセントを指す。Tは、試験サンプルについての、各時点(t)において溶解された化合物のパーセントを指す。nは、計算に用いた時点の数を指す。50以上のf2値は、類似したインビトロの溶解速度を反映するものとみなされる。
【0015】
本発明では、当該医薬組成物の全SAHAのインビトロの溶解速度又はプロフィールは、実施例4の工程及び条件に従って、全医薬組成物から測定される。1つの実施態様においては、インビトロの溶解速度又はプロフィールは、らせん型シンカーを具備したUSP溶解装置(Dissolution Apparatus)II(クオリティ・ラボ・アクセサリーズ社(Quality Lab Accessories L.L.C.)、ニュージャージー州マンビル)を使用することにより、900mLの2.0%ツイーン(TCIアメリカ、オレゴン州ポートランド)中で、37±0.5℃の温度において、パドルを100rpmで回転させて測定する。全医薬組成物は、全SAHA及びキレート化可能な金属化合物と、もし当該医薬組成物がカプセルシェルをもつ場合には、担体、賦形剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、結合剤、又は以下の医薬組成物のセクションにおいて記載された任意の追加の薬剤とを包含し、測定はこれらの成分を用いて行なう。
【0016】
用語「約」は、量の文脈において用いる場合、特定の量の±10%を指す。
【0017】
本発明では、X線回折パターンについては、キャリブレーション、サンプル、又はインスツルメンテーションに依存して、2θのピークは一方向に±0.3度(誤差)までシフトしてもよい。例えば、X線回折パターンの全てのピークは、+0.3度まで、又は−0.3度までシフトする。この誤差以内のX線回折パターン又はピークを、同一又は実質的に類似しているとみなす。
【0018】
HDAC阻害剤及びキレート化可能な金属化合物を含んでなる医薬組成物
1つの実施態様においては、治療上有効な量のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤及びキレート化可能な金属錯体と、薬学的に許容される担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。当該医薬組成物は、患者へ投与された場合、インビボにおいて金属HDAC阻害剤キレート錯体を形成してもよい。
【0019】
1つの実施態様においては、HDAC阻害剤は、ヒドロキサム酸誘導体である。別の実施態様においては、HDAC阻害剤は、金属結合性(すなわち、鉄又は亜鉛)リガンド、例えばカルボニル基、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、アミド基、及び既知のHDAC阻害剤において見られる他の基(例えばベンズアミド)を有する。1つの実施態様においては、HDAC阻害剤は、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、又はその薬学的に許容される塩、又はその水和物若しくは溶媒和物である。別の実施態様においては、当該医薬組成物中の全SAHAは、図1に示した参照溶解プロフィールに比較して、少なくとも50ないし100の類似係数(f2)をもつ、インビトロの溶解プロフィールを有する。1つの実施態様においては、f2は56ないし100である。1つの実施態様においては、f2は60ないし100である。1つの実施態様においては、f2は65ないし100である。別の実施態様においては、f2は80ないし100である。さらなる実施態様においては、当該医薬組成物は単一のカプセルであり、これにおいて、SAHAの量は約100mgである。
【0020】
1つの実施態様においては、当該医薬組成物中の全SAHAは、インビトロで、10分間で43−63%が溶解され、30分間で66−86%が溶解され、そして60分間では77−97%が溶解される。1つの実施態様においては、当該医薬組成物中の全SAHAは、インビトロで、15分間で52−72%が溶解され、30分間で66−86%が溶解され、そして45分間では73−93%が溶解される。別の実施態様においては、当該医薬組成物中の全SAHAは、インビトロで、10分間で43−63%が溶解され、15分間で52−72%が溶解され、20分間で58−78%が溶解され、30分間で66−86%が溶解され、45分間で73−93%が溶解され、そして60分間では77−97%が溶解される。1つの実施態様においては、当該医薬組成物中の全SAHAは、インビトロで、10分間で46−60%が溶解され、15分間で55−69%が溶解され、20分間で61−75%が溶解され、30分間で69−83%が溶解され、45分間で76−90%が溶解され、そして60分間では80−94%が溶解される。1つの実施態様においては、15分間で全SAHAの少なくとも45%であるが75%以下が溶解され、60分間では全SAHAの少なくとも75%が溶解される。
【0021】
HDAC阻害剤又はキレート化可能な金属化合物は、アモルファス型であってもよい。HDAC阻害剤又はキレート化可能な金属化合物は、超微粉砕されてもよく、或いは、凝塊形成されるか、微粒子状の顆粒、粉末、油、油性懸濁液、又は任意の他の固体の状態であってもよい。
【0022】
1つの特定の実施態様においては、HDAC阻害剤は、結晶性スベロイルアニリドヒドロキサム酸である。1つの実施態様においては、結晶性SAHAは、I型SAHAであり、図3−Aに示されたものと実質的に類似したX線回折パターンによって特徴づけられる。別の実施態様においては、結晶性SAHAは、I型SAHAであり、図4に示されたものと実質的に類似したX線回折パターンによって特徴づけられる。1つの実施態様においては、I型SAHAは、9.0、9.4、17.5、19.4、20.0、24.0、24.4、24.8、25.0、28.0度2θにおける特徴的なピークを含む、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。別の実施態様においては、I型SAHAは、約9.0、9.4、17.5、19.4、20.0、24.0、24.4、24.8、25.0、28.0、及び43.3度2θにおける特徴的なピークを含む、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。1つの実施態様においては、I型SAHAは、9.4、17.5、19.4、20.0、24.0、及び28.0度2θにおける特徴的なピークを含む、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンにより特徴づけられる。別の実施態様においては、I型スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)は、約9.4、17.5、19.4、20.0、24.0、及び28.0度2θにおける特徴的なピークを含む、X線粉末回折パターンによって特徴づけられ、これにおいて、X線粉末回折は、銅X線源を用いて測定され;かつパーキン・エルマーDSC6インスツルメント(Perkins Elmer DSC6 Instrument)により測定された、約164.4±2.0に単一の最大値をもつ示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry)(DSC)サーモグラムによってさらに特徴づけられる。別の実施態様においては、I型スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)は、約9.4、17.5、19.4、20.0、24.0、及び28.0度2θにおける特徴的なピークを含み、かつ約13.4−14.0及び22.7−23.0度2θにおいてピークを欠く、X線粉末回折パターンによって特徴づけられ、これにおいて、X線粉末回折は銅X線源を用いて測定される。さらなる実施態様においては、I型スベロイルアニリドヒドロキサム酸は、銅X線源の使用による、9.1、10.8、12.3、17.2、19.2、19.8、23.7、24.1、25.7、26.8及び27.7度2θにおける特徴的なピークを含み、かつ13.4−14.0及び22.7−23.0度2θにピークを欠く、X線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0023】
1つの実施態様においては、I型SAHAは、9.0、9.4、17.5、19.4、20.0、24.0、24.4、24.8、25.0、28.0度2θにおける特徴的なピークを含み、かつ13.4−14.0及び22.7−23.0度2θにおいてピークを欠く、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。別の実施態様においては、I型SAHAは、9.0、9.4、17.5、19.4、20.0、24.0、24.4、24.8、25.0、28.0、43.3度2θにおける特徴的なピークを含み、かつ13.4−14.0及び22.7−23.0度2θにおいてピークを欠く、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。さらなる実施態様においては、I型SAHAは、約<8.7、10.0−10.2、13.4−14.0、15.0−15.2、17.5−19.0、20.1−20.3、21.1−21.3、22.0−22.22、22.7−23.0、25.0−25.5、26.0−26.2、及び27.4−27.6度2θにおいて、少なくとも1つのピークを欠くことによってさらに特徴づけられる。
【0024】
別の実施態様においては、I型SAHAは、パーキン・エルマーDSC6インスツルメントにより測定された、約164.4±2.0に単一の最大値をもつ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムによってさらに特徴づけられる。1つの実施態様においては、I型SAHAは、a=10.9Å、b=7.9Å、c=16.4Å、α=90°、β=97.8°、γ=90°の単位セルパラメータ、空間群P2/nを有する。
【0025】
1つの特定の実施態様においては、結晶性スベロイルアニリドヒドロキサム酸はIV型SAHAであり、約8.8、9.3、11.0、12.4、17.4、19.4、19.9、22.4、22.9、23.83、24.2、24.8、25.8、27.0、27.8、28.4度2θにおける特徴的なピークを含む、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0026】
1つの実施態様においては、約100mgのスベロイルアニリドヒドロキサム酸と、キレート化可能な金属化合物とを含んでなる単一のカプセルを提供し、これにおいて全SAHAは、15分間で全SAHAの少なくとも45%であるが75%以下が溶解され、60分間では全SAHAの少なくとも75%が溶解されること、によって特徴づけられるインビトロの溶解プロフィールを有しており、これにおいて、SAHAは結晶性であり、かつ、9.0、9.4、17.5、19.4、20.0、24.0、24.4、24.8、25.0、28.0度2θにおける特徴的なピークを含み、かつ13.4−14.0及び22.7−23.0度2θにおいてピークを欠く、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0027】
1つの実施態様においては、本発明は、約100mgのスベロイルアニリドヒドロキサム酸と、キレート化可能な金属化合物とを含んでなる単一のカプセルを提供し、これにおいて、全SAHAは、15分間で全SAHAの少なくとも45%であるが75%以下が溶解され、60分間では全SAHAの少なくとも75%が溶解されること、によって特徴づけられるインビトロの溶解プロフィールを有しており、これにおいて、SAHAは結晶性であり、かつ、9.4、17.5、19.4、20.0、24.0、及び28.0度2θにおける特徴的なピークを含む、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンによって特徴づけられ、ここで、当該X線回折は、銅X線源を用いて測定され;そして、パーキン・エルマーDSC6インスツルメントにより測定された、約164.4±2.0に単一の最大値をもつ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムによってさらに特徴づけられる。
【0028】
1つの実施態様においては、本発明は、約100mgのスベロイルアニリドヒドロキサム酸と、キレート化可能な金属化合物とを含んでなる単一のカプセルを提供し、これにおいて全SAHAは、15分間で全SAHAの少なくとも45%であるが75%以下が溶解され、60分間では全SAHAの少なくとも75%が溶解されること、によって特徴づけられるインビトロの溶解プロフィールを有しており、これにおいて、SAHAは結晶性であり、かつ、銅X線源の使用による、9.1、10.8、12.3、17.2、19.2、19.8、23.7、24.1、25.7、26.8及び27.7度2θにおける特徴的なピークを含み、かつ13.4−14.0及び22.7−23.0度2θにピークを欠く、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0029】
別の実施態様においては、本発明は、約100mgのスベロイルアニリドヒドロキサム酸と、キレート化可能な金属化合物とを含んでなる単一のカプセルを提供し、これにおいて全SAHAは、図1に示した参照溶解プロフィールに比較して少なくとも50ないし100の類似係数(f2)をもつ、インビトロの溶解プロフィールを有しており、これにおいて、SAHAは結晶性であり、かつ、9.0、9.4、17.5、19.4、20.0、24.0、24.4、24.8、25.0、28.0度2θにおける特徴的なピークを含み、かつ13.4−14.0及び22.7−23.0度2θにおいてピークを欠く、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0030】
別の実施態様においては、本発明は、約100mgのスベロイルアニリドヒドロキサム酸と、キレート化可能な金属化合物とを含んでなる単一のカプセルを提供し、これにおいて全SAHAは、図1に示した参照溶解プロフィールに比較して少なくとも50ないし100の類似係数(f2)をもつ、インビトロの溶解プロフィールを有しており、これにおいて、SAHAは結晶性であり、かつ、9.4、17.5、19.4、20.0、24.0、及び28.0度2θにおける特徴的なピークを含む銅Kα照射を用いたX線粉末解析パターンによって特徴づけられ、これにおいてX線回折は、銅X線源を用いて測定され;そして、パーキン・エルマーDSC6インスツルメントにより測定された、約164.4±2.0に単一の最大値をもつ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムによってさらに特徴づけられる。
【0031】
別の実施態様においては、本発明は、約100mgのスベロイルアニリドヒドロキサム酸と、キレート化可能な金属化合物とを含んでなる単一のカプセルを提供し、これにおいて全SAHAは、図1に示した参照溶解プロフィールに比較して少なくとも50ないし100の類似係数(f2)をもつ、インビトロの溶解プロフィールを有しており、これにおいて、SAHAは結晶性であり、かつ、銅X線源の使用による、9.1、10.8、12.3、17.2、19.2、19.8、23.7、24.1、25.7、26.8及び27.7度2θにおける特徴的なピークを含み、かつ13.4−14.0及び22.7−23.0度2θにピークを欠く、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0032】
さらなる実施態様においては、本発明は、約100mgのスベロイルアニリドヒドロキサム酸と、キレート化可能な金属化合物とを含んでなる単一のカプセルを提供し、これにおいて全SAHAは、10分間で43−63%が溶解され、30分間で66−86%が溶解され、そして60分間では77−97%が溶解されることを特徴とするインビトロの溶解プロフィールを有しており、これにおいて、SAHAは結晶性であり、かつ9.0、9.4、17.5、19.4、20.0、24.0、24.4、24.8、25.0、28.0度2θにおける特徴的なピークを含み、かつ13.4−14.0及び22.7−23.0度2θにおいてピークを欠く、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0033】
さらなる実施態様においては、本発明は、約100mgのスベロイルアニリドヒドロキサム酸と、キレート化可能な金属化合物とを含んでなる単一のカプセルを提供し、これにおいて全SAHAは、10分間で43−63%が溶解され、30分間で66−86%が溶解され、そして60分間では77−97%が溶解されることを特徴とするインビトロの溶解プロフィールを有しており、これにおいて、SAHAは結晶性であり、9.4、17.5、19.4、20.0、24.0、及び28.0度2θにおける特徴的なピークを含む、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンによって特徴づけられ、ここで、当該X線回折は、銅X線源を用いて測定され;そして、パーキン・エルマーDSC6インスツルメントにより測定された、約164.4±2.0に単一の最大値をもつ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムによってさらに特徴づけられる。
【0034】
さらなる実施態様においては、本発明は、約100mgのスベロイルアニリドヒドロキサム酸と、キレート化可能な金属化合物とを含んでなる単一のカプセルを提供し、これにおいて全SAHAは、10分間で43−63%が溶解され、30分間で66−86%が溶解され、そして60分間では77−97%が溶解されることを特徴とするインビトロの溶解プロフィールを有しており、これにおいて、SAHAは結晶性であり、かつ、銅X線源の使用による、9.1、10.8、12.3、17.2、19.2、19.8、23.7、24.1、25.7、26.8及び27.7度2θにおける特徴的なピークを含み、かつ13.4−14.0及び22.7−23.0度2θにピークを欠く、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0035】
さらなる実施態様においては、本発明は、約100mgのスベロイルアニリドヒドロキサム酸と、キレート化可能な金属化合物とを含んでなる単一のカプセルを提供し、これにおいて全SAHAは、10分間で43−63%が溶解され、30分間で66−86%が溶解され、そして60分間では77−97%が溶解されることを特徴とするインビトロの溶解プロフィールを有し、これにおいて、SAHAは結晶性であり、かつ9.0、9.4、17.5、19.4、20.0、24.0、24.4、24.8、25.0、28.0度2θにおける特徴的なピークを含み、かつ13.4−14.0及び22.7−23.0度2θにおいてピークを欠く、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0036】
1つの実施態様においては、キレート化可能な金属化合物は鉄を含んでなる。当該鉄化合物は、患者に対しバイオアベイラブルであり、in situにおいて鉄HDAC阻害剤キレート錯体を形成する任意の形態、例えば、タブレット又はカプセル型といった医薬組成物の形態であってもよい。1つの実施態様においては、当該鉄化合物は、グルコン酸第一鉄、グルコン酸第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フマル酸第一鉄、フマル酸第二鉄、鉄アミノ酸キレート、又はビスグリシン第一鉄の形態にある鉄サプリメントである。当該鉄サプリメントはまた、他のビタミン及びミネラルを含有してもよい。別の実施態様においては、当該医薬組成物中のHDAC阻害剤及び鉄は、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1か、又は2:1の化学量比である。1つの実施態様においては、当該医薬組成物は、約100mgのSAHAと、約1ないし10モル当量の鉄サプリメントとを含んでなる。別の実施態様においては、当該医薬組成物は、約150mgのSAHAと、約1ないし10モル当量の鉄サプリメントとを含んでなる。さらなる実施態様においては、当該医薬組成物は、約200mgのSAHAと、約1ないし10モル当量の鉄サプリメントとを含んでなる。別の実施態様においては、当該医薬組成物は、約50mgのSAHAと、約1ないし10モル当量の鉄サプリメントとを含んでなる。1つの実施態様においては、キレート化可能な金属化合物は亜鉛を含んでなる。当該亜鉛化合物は、患者に対しバイオアベイラブルであり、かつin situにおいて亜鉛HDAC阻害剤キレート錯体を形成する任意の形態、例えば、タブレット又はカプセル形態といった医薬組成物の形態であってもよい。1つの実施態様においては、当該亜鉛化合物は、グルコン酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、亜鉛アミノ酸キレート、又は酸化亜鉛の形態にある亜鉛サプリメントである。当該亜鉛サプリメントはまた、他のビタミン及びミネラルを含有してもよい。別の実施態様においては、当該医薬組成物中のSAHA及び亜鉛は、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1か、又は2:1のSAHA対亜鉛の化学量比である。1つの実施態様においては、当該医薬組成物は、約100mgのSAHAと、約1ないし10モル当量の亜鉛サプリメントとを含んでなる。別の実施態様においては、当該医薬組成物は、約150mgのSAHAと、約1ないし10モル当量の亜鉛サプリメントとを含んでなる。さらなる実施態様においては、当該医薬組成物は、約200mgのSAHAと、約1ないし10モル当量の亜鉛サプリメントとを含んでなる。
【0037】
金属HDAC阻害剤キレート錯体を含んでなる医薬組成物
1つの実施態様においては、本発明は、治療上有効な量の金属HDAC阻害剤キレート錯体か、又はその水和物若しくは溶媒和物と、薬学的に許容される担体とを含んでなる、医薬組成物を提供する。
【0038】
当該金属HDAC阻害剤キレート錯体は、アモルファス型であってもよい。当該金属HDAC阻害剤キレート錯体は、結晶性であるか、超微粉砕されてもよく、或いは、凝塊形成されるか、微粒子状の顆粒、粉末、油、油性懸濁液、又は任意の他の固体の状態であってもよい。当該金属HDAC阻害剤キレート錯体、又はその水和物若しくは溶媒和物は、任意の結晶性の形態であってもよい。1つの実施態様においては、HDAC阻害剤はヒドロキサム酸誘導体である。1つの実施態様においては、HDAC阻害剤はSAHAである。
【0039】
1つの実施態様においては、本発明は、治療上有効な量の鉄SAHAキレート錯体、又はその水和物若しくは溶媒和物と、薬学的に許容される担体とを含んでなる、医薬組成物を提供する。1つの実施態様においては、鉄とSAHAの比は、1:3、1:2、又は1:1である。
【0040】
1つの実施態様においては、鉄SAHAキレート錯体は結晶性であり、図2に示したものと実質的に類似したX線回折パターンによって特徴づけられる。別の実施態様においては、鉄SAHAキレート錯体は8.8、14.5、及び21.8度2θにおける特徴的なピークを含む、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。さらなる実施態様においては、鉄SAHAキレート錯体は、8.8、13.3、14.5、20.3、21.8、及び24.6度2θにおける特徴的なピークを含む、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。さらなる実施態様においては、鉄SAHAキレート錯体は、8.8、13.3、14.5、18.5、20.3、21.8、24.6、25.8、及び33.3度2θにおける特徴的なピークを含む、銅Kα照射を用いたX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0041】
別の実施態様においては、本発明はまた、治療上有効な量の亜鉛SAHAキレート錯体、又はその水和物若しくは溶媒和物と、薬学的に許容される担体とを含んでなる、医薬組成物も提供する。1つの実施態様においては、亜鉛とSAHAの比は、1:3、1:2、又は1:1である。
【0042】
本発明はまた、金属HDAC阻害剤キレート錯体又はSAHAの、水和物若しくは溶媒和物を含んでなる、医薬組成物も包含する。用語「水和物」は、制限なく、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物などを包含する。
【0043】
医薬組成物
当該医薬組成物中の薬学的に許容される担体は、固形粒子の形態であってもよい。例えば、ゴム、デンプン、糖、セルロース物質、アクリラート、又はそれらの混合物といった、一般に担体又は希釈剤として使用される任意の不活性な賦形剤を、本発明の製剤において使用してもよい。1つの実施態様においては、希釈剤は微結晶セルロースである。本発明組成物(例えば、HDAC阻害剤;キレート化可能な金属化合物;HDAC阻害剤及びキレート化可能な金属化合物;又は金属HDAC阻害剤キレート錯体)はさらに、崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)及び潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)を含んでなってもよく、加えて、結合剤、緩衝剤、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤、可溶化剤、可塑剤、乳化剤、安定化剤、増粘剤、甘味剤、被膜剤、又はそれらの任意の組合せの中から選ばれる1種以上の添加剤を含んでなってもよい。さらに、本発明組成物は、制御放出又は即時放出製剤の形態であってもよい。
【0044】
1つの実施態様においては、本明細書に記載の医薬組成物は、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムをさらに含んでなってもよい。製剤における、本発明組成物及び種々の賦形剤の百分率は、異なってもよい。例えば、当該医薬組成物は、重量で、約20と90%の間、約50−80%の間、又は約60−70%の間の本発明組成物を含んでなってもよい。さらに、当該医薬組成物は、重量で、約10と70%の間、約20−40%の間、約25−35%の間の微結晶セルロースを、担体又は希釈剤として含んでなってもよい。さらに、当該医薬組成物は、重量で、約1と30%の間、約1−10%の間、約2−5%の間のクロスカルメロースナトリウムを、崩壊剤として含んでなってもよい。さらに、当該医薬組成物は、重量で、約0.1−5%の間、又は約0.5−1.5%の間のステアリン酸マグネシウムを、潤滑剤として含んでなってもよい。
【0045】
1つの実施態様においては、当該医薬組成物は、約50−80重量%の本発明組成物;約20−40重量%の微結晶セルロース;約1−10重量%のクロスカルメロースナトリウム;及び約0.1−5重量%のステアリン酸マグネシウムである。別の実施態様においては、本発明の当該医薬組成物は、約60−70重量%の本発明組成物;約25−35重量%の微結晶セルロース;約2−5重量%のクロスカルメロースナトリウム;及び約0.5−1.5重量%のステアリン酸マグネシウムである。1つの実施態様においては、記載された医薬組成物は、約50−200mg又は50−600mgのI型SAHAを含んでなる。
【0046】
本発明の1つの特定の実施態様は、ゼラチンカプセル中に含有された、本発明組成物と、微結晶セルロース、NF(アビセル(Avicel)Ph 101)、クロスカルメロースナトリウム、NF(アクジゾル(AC−Di−Sol))及びステアリン酸マグネシウム、NFを含んでなる、固形製剤である。さらなる実施態様は、約100mgの本発明組成物、約44.3mgの微結晶セルロース、約4.5mgのクロスカルメロースナトリウム、約1.2mgのステアリン酸マグネシウムを含んでなる、医薬組成物である。
【0047】
1つの実施態様においては、当該医薬組成物は経口的に投与され、したがって経口投与に適した形態、すなわち、固体又は液体の形態として製剤化される。適当な固形経口製剤は、例えば、タブレット、カプセル、ピル、顆粒、ペレットなどを包含する。好適な液体経口製剤は、例えば、エマルジョン、油などを包含する。本発明の1つの実施態様においては、当該組成物はカプセル中に製剤される。この実施態様によれば、本発明の医薬組成物は、本発明組成物及び不活性な担体又は希釈剤に加えて、硬ゼラチンカプセルを含んでなる。
【0048】
固形の担体/希釈剤は、制限なく、ゴム、デンプン(例えば、コーンスターチ、α−デンプン)、糖(例えば、ラクトース、マンニトール、スクロース、デキストロース)、セルロース物質(例えば、微結晶セルロース)、アクリラート(例えば、ポリメチルアクリラート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タルク、又はそれらの混合物を包含する。
【0049】
液体製剤用には、薬学的に許容される担体は、非水性の溶液、懸濁液、エマルジョン、又は油でよい。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及び注射可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルである。油の例は、石油、動物、植物、又は合成起源のもの、例えば、ラッカセイ油、ダイズ油、鉱物油、オリーブ油、ヒマワリ油、及び魚肝油である。懸濁液はまた、以下の成分:固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、を含有してもよい。
【0050】
加えて、当該医薬組成物はさらに、結合剤(例えば、アラビアゴム、コーンスターチ、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、バレイショデンプン、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、デンプングリコール酸ナトリウム、プリモゲル(Primogel)、洗浄剤(例えば、ツイーン20、ツイーン80、プルロニック(Pluronic)F68、胆汁酸塩)、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、浸透増強剤、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、流動促進剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、ナトリウムメタバイスルファイト、ブチル化ヒドロキシアニソール)、安定化剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、増粘剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアーガム)、甘味剤(例えば、スクロース、アスパルテーム、クエン酸)、着香剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ香料)、保存剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動化剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマーコーティング(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン)、コーティング及び被膜剤(例えばエチルセルロース、アクリラート、ポリメタクリラート)、及び/又はアジュバントを含んでなってもよい。
【0051】
1つの実施態様においては、本発明組成物は、移植片及びマイクロカプセル化された送達系を含む、制御放出製剤のように、身体からの迅速な消失に対し当該組成物を保護することができる担体を用いて調製される。生分解性の生物適合性ポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及び、ポリ乳酸を使用してもよい。かかる製剤の調製のための方法は、当業者には明らかであろう。当該物質はまた、アルザ・コーポレーション(Alza Corporation)及びノバ・ファーマシューティカルズ・インク(Nova Pharmaceuticals,Inc.)から市販されている。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体により感染細胞へ標的化されたリポソームを含む)もまた、薬学的に許容される担体として使用してもよい。これらは、当業者に周知の方法、例えば米国特許第4,522,811号に記載された方法に従って調製してもよい。
【0052】
活性成分を含有する医薬組成物の調製は、当該技術分野において充分に理解されており、例えば、混合、造粒、又はタブレット形成プロセスによる。経口投与用には、活性薬剤は、この目的のための慣例的な添加剤、例えば、ビヒクル、安定化剤、又は不活性な希釈剤と混合され、慣例的な方法により、投与用に好適な形態、例えば、上記に詳述された、錠剤、コートされた錠剤、硬又は軟ゼラチンカプセル、水性、アルコール性、又は油性の溶液などへ転換される。
【0053】
1つの実施態様においては、経口用組成物は、投与の容易さ及び投薬量の均一性のため、単位剤形に製剤される。本明細書に使用された単位剤形は、治療されるべき患者のための単位服用量として好適な、物理的に別個の単位を指し;各単位は、所望の治療効果を生じるべく計算された、予め決められた量の本発明組成物を、必要な医薬担体と共に含有する。本発明の単位剤形に関する仕様は、本発明組成物の固有の特性及び達成されるべき特定の治療効果と、かかる活性化合物を個体の治療のために調剤する技術における固有の限界とによって指示され、かつ直接的に依存する。ある実施態様においては、用量単位は、約600mg、550mg、500mg、450mg、400mg、350mg、300mg、250mg、200mg、150mg、110mg、105mg、100mg、95mg、90mg、85mg、80mg、75mg、70mg、65mg、60mg、55mg、50mg、45mg、又は40mgの本発明組成物を含有する。1つの実施態様においては、本発明組成物の量は、約100mgである。
【0054】
当該医薬組成物は、容器、パック、又はディスペンサー内に、投与のための説明書と一緒に含まれてよい。1つの実施態様においては、当該医薬組成物は単一のカプセルであり、これにおいて本発明組成物の量は、約100mgである。1つの実施態様においては、当該医薬組成物は2カプセルであり、これにおいて各カプセルは、約50mgの本発明組成物を含有する。
【0055】
金属HDAC阻害剤キレート錯体を得る方法及び結晶化
本発明はまた、キレート化可能な金属化合物及び塩基を、反応媒体中で、HDAC阻害剤に添加する工程を含んでなる、金属HDAC阻害剤キレート錯体を得る方法も提供する。1つの実施態様においては、当該反応媒体は、有機溶媒、又は有機溶媒と水との混合物である。1つの実施態様においては、有機溶媒はエタノールである。1つの実施態様においては、キレート化可能な金属化合物は、鉄又は亜鉛を含んでなる。もう1つの実施態様においては、キレート化可能な金属化合物、塩基、及びHDAC阻害剤は、反応媒体に可溶性である。1つの実施態様においては、塩基はN,N−ジイソプロピルエチルアミン又はナトリウムエトキシドである。1つの実施態様においては、キレート化可能な金属化合物は、塩化第二鉄又は塩化亜鉛である。
【0056】
本発明はまた、当該キレート錯体を、有機溶媒中で、又は有機溶媒と水との混合物中で、結晶化する工程を含んでなる、結晶性金属HDAC阻害剤キレート錯体を得る方法も提供する。1つの実施態様においては、当該金属は亜鉛又は鉄である。
【0057】
1つの特定の実施態様においては、結晶性金属HDAC阻害剤キレート錯体は、有機溶媒から結晶化される。当該有機溶媒は、メタノール、エタノール、又はイソプロパノールといったアルコールであってもよい。1つの実施態様においては、当該有機溶媒は、メタノール、エタノール、アセトニトリル、イソプロパノール、及び酢酸のうちの1種以上である。1つの実施態様においては、当該有機溶媒はエタノールである。1つの特定の実施態様においては、反応媒体において使用される有機溶媒は、結晶化におけるものと同一である。
【0058】
別の実施態様においては、有機溶媒と水との混合物は、約1−99%の有機溶媒と、約99−1%の水とを含んでなる。別の実施態様においては、当該混合物は、40−99%のエタノールと、60−1%の水とを含んでなる。1つの実施態様においては、当該混合物は、約15−85%の有機溶媒と、約1−15%の水とを含んでなる。1つの特定の実施態様においては、当該混合物は、約85%の有機溶媒と約15%の水とを含んでなる。別の特定の実施態様においては、当該混合物は、1:1の、エタノール及び水を含んでなる。なお別の特定の実施態様においては、当該混合物は、9:1の、エタノール及び水を含んでなる。ここで記載された有機溶媒と水との比又は百分率は、体積によるものである。
【0059】
1つの特定の実施態様においては、当該有機溶媒はアルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)である。しかしながら、当業者には、本明細書に記載の結晶化又は反応が、有機合成の当業者によって容易に選択されてよい任意の適当な溶媒又は溶媒混合物中で行なってもよいことが明白であるべきである。かかる適当な有機溶媒は、本明細書で用いる場合、単なる例として、かつ制限なく、塩素化溶媒、炭化水素溶媒、エーテル溶媒、極性プロトン性溶媒、及び極性非プロトン性溶媒を包含してもよい。適当なハロゲン化溶媒は、制限なく、四塩化炭素、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルム、クロホルム、ブロモクロロメタン、ジブロモメタン、塩化ブチル、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、2−クロロプロパン、ヘキサフルオロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、フルオロベンゼン、フルオロトリクロロメタン、クロロトリフルオロメタン、ブロモトリフルオロメタン、四フッ化炭素、ジクロロフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,2−ジクロロテトラフルオロエタン、及びヘキサフルオロエタンを包含する。適当な炭化水素溶媒は、制限なく、ベンゼン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、トルエン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、エチルベンゼン、m−、o−、又はp−キシレン、オクタン、インダン、ノナンを包含する。適当なエーテル溶媒は、制限なく、ジメトキシメタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、フラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジイソプロピルエーテル、アニソール、又はt−ブチルメチルエーテルを包含する。
【0060】
適当な極性プロトン性溶媒は、制限なく、メタノール、エタノール、2−ニトロエタノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−エトキエシエタノール、ジエチレングリコール、1−、2−、又は3−ペンタノール、ネオ−ペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、及びグリセロールを包含する。適当な極性非プロトン性溶媒は、制限なく、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、N−メチルピロリジノン(NMP)、ホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、アセトニトリル(ACN)、ジメチルスルホキシド、プロピオニトリル、ギ酸エチル、酢酸メチル、ヘキサクロロアセトン、アセトン、エチルメチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸t−ブチル、スルホラン、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ヘキサメチルホスホラミドを包含する。
【0061】
治療の方法
ヒドロキサム酸誘導体のような、金属結合ドメインをもつHDAC阻害剤は、いくつかの内在性の塩、例えば鉄及び亜鉛を封鎖することができる。これらの塩は、長期間の健康及び生存のため、生体系に必要とされる。さらに、鉄のようなキレート化可能な塩は、酵素及びタンパク質、例えば:リポキシゲナーゼ、P−450スーパーファミリーの酵素、モノアミンオキシダーゼ、ヘム、及びその他多数により、正常な機能を維持するために必要とされる。
【0062】
亜鉛は、細胞分裂及び成長にとり不可欠であり、DNAの形成を支援する。亜鉛はまた、インスリンの適切な機能化を支援するためにも重要であり、免疫系の健康にも関与している。亜鉛の欠乏は、腸粘膜委縮、貧血、下痢、水及び栄養素の吸収の減少(脱水及び食欲不振)、味覚障害、脱毛、胸腺委縮、精巣委縮;高血糖症、血清グルコース増加、クレアチン増加、腎機能不全、障害、又は不全を引き起こし得る。
【0063】
臨床上の有害事象又は副作用、例えば下痢、疲労、悪心、血小板減少症、食欲不振、味覚異常、体重減少、筋痙攣、脱毛、貧血、血中クレアチン増加、嘔吐、悪寒は、SAHAについて、癌患者の治療中に観察されてきており、そのいくつかは、SAHAの金属結合ドメインによるこれらのイオンの封鎖の結果としての、鉄又は亜鉛の欠乏と関連づけられてよい。SAHAの前臨床期毒性は、全ての動物種における、体重減少又は食欲不振、免疫抑制(白血球減少、リンパ球減少、胸腺委縮);ラットにおける血小板減少;イヌにおける胃腸毒性(粘膜委縮、急性炎、壊死、多発性損傷)、脱水、電解質損失、精巣委縮を包含する。
【0064】
同様に、他の亜鉛キレート化剤は、HDAC阻害剤と同様の毒性又は副作用を共有する。例えば、リソスタット(Lithostat)(アセトヒドロキサム酸)は、悪心、嘔吐、食欲不振、疲労、倦怠感、網状赤血球増加、貧血、血小板減少、白血球減少、及び頭痛といった副作用を引き起こす。デスフェリオキサミン(Desferrioxamine)(デスフェリプロン)は、疲労、骨髄委縮、胸腺委縮、及び好中球減少といった副作用を引き起こす。
【0065】
従って、HDAC阻害剤と、キレート化可能な金属化合物、例えば鉄又は亜鉛との同時投与/同時配合は、鉄、亜鉛、及び他のキレート化可能な塩の貯蔵の可用性を維持する上で有益であり、かつHDAC阻害剤の副作用を除去するであろう。同時投与及び同時配合に加えて、金属HDAC阻害剤キレート錯体の前形成が、同様な効果をもつであろうと考えられる。
【0066】
したがって、1つの実施態様においては、本発明は、癌を治療しかつHDAC阻害剤の副作用を軽減する方法であって、治療上有効な量のHDAC阻害剤とキレート化可能な金属化合物とを、患者に同時投与する工程を含んでなる該方法を提供する。別の実施態様においては、本発明はまた、治療上有効な量のHDAC阻害剤とキレート化可能な金属化合物とを、患者に同時投与する工程を含んでなる、癌の治療及びHDAC阻害剤の副作用の軽減用の、医薬の調製のためのHDAC阻害剤の使用も提供する。1つの実施態様においては、当該キレート化可能な金属化合物は、患者に対し毎日投与される。別の実施態様においては、当該キレート化可能な金属化合物は、HDAC阻害剤投与の前又は後に投与される。別の実施態様においては、当該キレート化可能な金属化合物は、HDAC阻害剤と同時に投与される。さらなる実施態様においては、本発明は、キットであって、少なくとも1種の薬学的に有効な単位用量のHDAC阻害剤と、キレート化可能な金属化合物及びHDAC阻害剤を同時投与することにより癌を治療しかつHDAC阻害剤の副作用を軽減するための使用説明書とを含んでなる、該キットを提供する。SAHA、その薬学的に許容される塩、又はその水和物の、薬学的に有効な単位用量は、200mg、300mg、400mg、500mg、又は600mgであってもよい。キレート化可能な金属化合物は、医薬組成物、例えば、ビタミンサプリメント、又はミネラルサプリメントの形態であってよく、これはまた、他のビタミン及びミネラルも含んでなってよい。
【0067】
別の実施態様においては、本発明はまた、癌を治療しかつHDAC阻害剤の副作用を軽減する方法であって、HDAC阻害剤とキレート化可能な金属化合物とを含んでなる医薬組成物を患者に投与する工程を含んでなる、該方法も提供する。別の実施態様においては、本発明は、癌の治療及びHDAC阻害剤の副作用の軽減用の、HDAC阻害剤とキレート化可能な金属化合物とを含んでなる、医薬の調製のための使用を提供する。さらなる実施態様においては、本発明は、癌の治療及びHDAC阻害剤の副作用の軽減における使用のための、HDAC阻害剤とキレート化可能な金属化合物とを含んでなる医薬組成物を提供する。1つの実施態様においては、当該キレート化可能な金属化合物は、鉄又は亜鉛を含んでなる。別の実施態様においては、HDAC阻害剤は、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)である。
【0068】
1つの実施態様においては、当該副作用は、悪心、嘔吐、下痢、食欲不振、腸粘膜委縮、又は胃腸毒性である。別の実施態様においては、当該副作用は、貧血、疲労、又は血小板減少である。さらなる実施態様においては、当該副作用は、悪心、嘔吐、下痢、食欲不振、腸粘膜委縮、胃腸障害、疲労、又は血小板減少である。
【0069】
さらなる実施態様においては、本発明はさらに、治療上有効な量の金属HDAC阻害剤キレート錯体、又はその水和物若しくは溶媒和物を、患者に投与する工程を含んでなる、癌を治療する方法を提供する。別の実施態様においては、本発明は、癌の治療用の、治療上有効な量の金属HDAC阻害剤キレート錯体、又はその水和物若しくは溶媒和物を含んでなる、医薬の調製のための使用を提供する。さらなる実施態様においては、本発明は、癌の治療における使用のための、金属HDAC阻害剤キレート錯体、又はその水和物若しくは溶媒和物を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0070】
本発明はさらに、上記の実施態様に記載の、治療上有効な量の亜鉛又は鉄SAHAキレート錯体、又はその水和物若しくは溶媒和物を、患者に投与する工程を含んでなる、癌を治療する方法を提供する。
【0071】
1つの実施態様においては、本発明の方法は、癌をもつヒト患者の治療用である。しかしながら、この方法はまた、他の哺乳類における癌の治療においても有効であることが有望である。癌は、制限なく、新生細胞の増殖により引き起こされる任意の癌、例えば、肺癌、急性リンパ性白血病、ホジキンリンパ腫、非ポジキンリンパ腫、膀胱黒色腫、腎癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、又は結腸直腸癌を包含する。本発明によれば、当該医薬組成物は、制限なく、固形腫瘍(例えば、頭頸部、肺、乳房、結腸、前立腺、膀胱、直腸、脳、胃組織、骨、卵巣、甲状腺、又は子宮内膜の腫瘍)、血液学的悪性疾患(例えば、白血病、リンパ腫、骨髄腫)、癌腫(例えば、膀胱癌、腎癌、乳癌、結腸直腸癌)、神経芽細胞腫、又は黒色腫を含む、広く多様な癌の治療において使用してもよい。これらの癌の制限しない例は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、T細胞リンパ腫又は白血病、例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、非皮膚性末梢T細胞リンパ腫、ヒトT細胞リンパ球向性ウイルス関連リンパ腫(HTLV)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、並びに急性リンパ性白血病、急性非リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、中皮腫、小児固形腫瘍、脳神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、神経膠腫、ウィルムス腫瘍、骨癌及び柔組織肉腫、成人の一般的な固形腫瘍、例えば頭頸部癌(例えば口腔癌、喉頭癌、及び食道癌)、尿生殖器癌(例えば、前立腺癌、膀胱癌、腎臓癌、子宮癌、卵巣癌、精巣癌、直腸及び結腸癌)、肺癌(例えば、扁平上皮細胞癌及び腺癌を含む、小細胞癌及び非小細胞肺癌)、乳癌、膵臓癌、黒色腫及び他の皮膚癌、基底細胞癌、転移性皮膚癌、潰瘍性及び乳頭型双方の扁平上皮細胞癌、胃癌、脳腫瘍、肝臓癌、副腎癌、腎臓癌、甲状腺癌、髄様癌、骨肉腫、軟組織肉腫、ユーイング肉腫、細網細胞肉腫、及びカポジ肉腫を包含する。また、本明細書に記載の任意の癌の小児型も包含される。
【0072】
投与の方法
本明細書に記載の全ての方法において、当該医薬組成物をゼラチンカプセルにおいて経口投与してもよい。当該組成物は、本明細書に記載の方法に従って、毎日1回、毎日2回、又は毎日3回、単位用量で投与してもよい。
【0073】
毎日投与は、その後、数日間ないし数年間にわたり連続的に反復される。経口治療は、1週間から患者の生涯にわたり、継続してもよい。1つの実施態様においては、投与は、5日間連続して行ない、その後に、患者はさらなる投与が必要かどうかを決定するべく評価されてもよい。投与は、連続的又は間欠的であってよく、すなわち、数日間の連続した治療の後に休止期を続けてもよい。
【0074】
本発明組成物は、25ないし4000mg/mの間、例えば、約25ないし1000mg、50ないし1000mg、100mg、200mg、300mg、400mg、600mg、800mg、1000mgなどの合計1日用量で経口投与してもよい。典型的には、当該組成物は、400mgまでを患者に投与する場合、単回用量として投与する。より高い合計用量(すなわち、400mgよりも多い)については、総量を多数回に分割し、例えば、1日2回、1日3回など、又は、等間隔で1日中にわたる。例えば、2回分(各々が、例えば500mg)を、12時間あけて投与して、1000mgの合計用量を1日で達成してもよい。
【0075】
1つの実施態様においては、SAHAは、200mgの合計1日用量で患者に投与される。別の実施態様においては、SAHAは、400mgの合計1日用量で患者に投与される。別の実施態様においては、SAHAは、600mgの合計1日用量で患者に投与される。
【0076】
1つの実施態様においては、患者に投与されるHDAC阻害剤の量は、管理不能の毒性を患者に引き起こすこととなる量よりも少ない。ある実施態様においては、患者に投与されるHDAC阻害剤の量は、患者の血漿中の化合物の濃度を、当該化合物の毒性レベル以上にさせる量よりも少ない。1つの実施態様においては、患者の血漿中のHDAC阻害剤の濃度は、約10nMと約5000nMとの間に維持される。本発明の実施において、患者に投与されるべきHDAC阻害剤の最適量は、使用される特定の化合物と、治療される癌のタイプとに依存するであろう。
【0077】
ヒストン脱アセチル化酵素及びヒストン脱アセチル化酵素阻害剤
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)は、当該用語が本明細書に使用される場合、ヌクレオソームコアヒストンのアミノ末端テールにおけるリジン残基からのアセチル基除去を触媒する酵素である。例えば、HDACは、ヒストンアセチル基転移酵素(HAT)と一緒に、ヒストンのアセチル化状態を調節する。ヒストンアセチル化は、遺伝子発現に影響を及ぼし、そしてHDACの阻害剤、例えば、ヒドロキサム酸ベースのハイブリッド極性化合物、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)は、形質転換細胞の増殖停止、分化、及び/又はアポトーシスをインビトロにおいて誘導し、かつ腫瘍増殖をインビボにおいて阻害する。HDACは、構造上の相同性に基づき、3つのクラスに分類可能である。クラスI・HDAC(HDAC1、2、3、及び8)は、酵母RPD3タンパク質に類似性をもち、核に局在し、かつ転写コレプレッサーと会合した複合体中に検出される。クラスII・HDAC(HDAC4、5、6、7、及び9)は、酵母HDA1タンパク質に類似しており、そして核及び細胞質の双方に細胞内局在性を有する。クラスI及びIIの双方のHDACは、ヒドロキサム酸ベースHDAC阻害剤、例えばSAHAにより阻害される。クラスIII・HDACは、酵母SIR2タンパク質に関連しているNAD依存性酵素からなる、構造的に離れたクラスを構成しており、そしてヒドロキサム酸ベースHDAC阻害剤によって阻害されない。
【0078】
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤又はHDAC阻害剤は、当該用語が本明細書に使用される場合、ヒストンの脱アセチル化をインビボ、インビトロ、又はその双方において阻害することが可能な化合物である。そういうものとして、HDAC阻害剤は、少なくとも1つのヒストン脱アセチル化酵素の活性を阻害する。少なくとも1つのヒストンの脱アセチル化の阻害の結果として、アセチル化されたヒストンの増加を生じ、アセチル化ヒストンの蓄積が、HDAC阻害剤の活性の評価のための好適な生物学的マーカーである。それ故、アセチル化ヒストンの蓄積についてアッセイし得る方法は、興味の化合物のHDAC阻害活性を測定するために使用してもよい。ヒストン脱アセチル化酵素活性を阻害し得る化合物はまた、他の基質と結合してもよく、例えば、酵素のような他の生物活性分子を阻害してもよいことが理解される。また、本発明化合物は、上記に示された任意のヒストン脱アセチル化酵素か、又は任意の他のヒストン脱アセチル化酵素を阻害可能であることも理解される。
【0079】
例えば、HDAC阻害剤を受けている患者においては、末梢単核細胞並びに、HDAC阻害剤で処理された組織における、アセチル化ヒストンの蓄積が、適当なコントロールに対して測定可能である。
【0080】
特定の化合物のHDAC阻害活性は、インビトロにおいて、例えば、少なくとも1つのヒストン脱アセチル化酵素の阻害を示す酵素アッセイを用いて測定してもよい。さらに、特定の組成物で処理された細胞における、アセチル化ヒストンの蓄積の測定が、1つの化合物のHDAC阻害活性の決定要因であってもよい。
【0081】
アセチル化ヒストンの蓄積に関するアッセイは、文献において周知である。例えば、マークス(Marks,P.A.)ら著、「ジャーナル・オブ・ナショナル・キャンサー・インスチチュート(J.Natl.Cancer Inst.)」、2000年、第92巻、p.1210−1215;バトラー(Butler,L.M.)ら著、「キャンサー・リサーチ(Cancer Res.)」、2000年、第60巻、p.5165−5170;リコン(Richon,V.M.)ら著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA)」、1998年、第95巻、p.3003−3007、及びヨシダ(Yoshida,M.)ら著、「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)」、1990年、第265巻、p.17174−17179参照。
【0082】
例えば、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤化合物の活性を測定するための酵素アッセイは、以下のように行なってよい。手短に言えば、アフィニティ精製されたヒトエピトープをタグされた(Flag)HDAC1に対するHDAC阻害剤化合物の効果は、当該酵素標品を、基質不在下に、氷上で約20分間、指定された量の阻害剤化合物と共にインキュベートすることによりアッセイしてもよい。基質([H]アセチル標識されたマウス赤白血病細胞由来のヒストン)を添加してよく、サンプルは、全量30μL中で、37℃において20分間インキュベートしてよい。反応は、次に停止してよく、放出されたアセタートを抽出してよく、かつ放射能放出の量をシンチレーションカウンティングにより測定する。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤化合物の活性を測定するために有用な別のアッセイは、バイオモル・リサーチ・ラボラトリーズ・インク(BIOMOL(登録商標) Research Laboratories,Inc.)、ペンシルベニア州、プリマス・ミーティング(Plymouth Meeting)から市販されている「HDACフルオレセント・アクティビティ・アッセイ(HDAC Fluorescent Activity Assay);ドラッグ・ディスカバリー・キット(Drug Discovery Kit)−AK−500」である。
【0083】
インビボの研究は、以下のように行ってもよい。動物、例えば、マウスに、HDAC阻害剤化合物を腹腔内に注射してもよい。選択された組織、例えば脳、脾臓、肝臓などは、投与後の予め決められた時間に単離してもよい。ヒストンは、本質的に、ヨシダ(Yoshida,M.)ら、「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」、1990年、第265巻、p.17174−17179、によって記載されたように、組織から単離してもよい。等量のヒストン(約1μg)が、15%SDS−ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動してもよく、ハイボンド(Hybond)−Pフィルタ(アマシャム(Amersham)より市販)へ移してもよい。フィルタは、3%ミルクでブロックしてもよく、精製されたウサギポリクローナル抗アセチル化ヒストンH4抗体(αAc−H4)及び、抗アセチル化ヒストンH3抗体(αAc−H3)(アップステート・バイオテクノロジー・インク(Upstate Biotechnoligy,Inc.))を用いてプローブしてもよい。アセチル化ヒストンのレベルは、西洋ワサビペルオキシダーをコンジュゲートしたヤギ抗ウサギ抗体(1:5000)と、スーパーシグナル(SuperSignal)化学発光基質(ピアース(Pierce))とを用いて可視化してもよい。ヒストンタンパク質用の負荷のコントロールとして、平行したゲルを流し、クーマシー・ブルー(CB)で染色してもよい。
【0084】
さらに、ヒドロキサム酸ベースのHDAC阻害剤は、p21WAF1遺伝子の発現をアップレギュレートすることが示されてきた。p21WAF1タンパク質は、標準的な方法を用いて、様々な形質転換細胞において、HDAC阻害剤との培養の2時間以内に誘導される。p21WAF1遺伝子の誘導は、この遺伝子のクロマチン領域におけるアセチル化ヒストンの蓄積と関連づけられている。それ故、p21WAF1の誘導は、形質転換細胞においてHDAC阻害剤により引き起こされる、G1細胞周期停止に関与していると認識してもよい。
【0085】
典型的には、HDAC阻害剤は、5つの大まかなクラス:1)ヒドロキサム酸誘導体;2)短鎖脂肪酸(SCFA);3)環状テトラペプチド;4)ベンズアミド;及び5)求電子ケトン、に分類される。
【0086】
従って、本発明は、その広い範囲の中に、ヒストン脱アセチル化酵素の阻害、新生細胞の最終分化の誘導、及び/又は腫瘍内の腫瘍細胞の分化の誘導において使用するための、1)ヒドロキサム酸誘導体;2)短鎖脂肪酸(SCFA);3)環状テトラペプチド;4)ベンズアミド;及び5)求電子ケトン;及び/又は、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害することができる任意の他のクラスの化合物である、HDAC阻害剤を含んでなる組成物を包含する。
【0087】
かかるHDAC阻害剤の例は、制限なく以下を包含する:
A. ヒドロキサム酸誘導体、例えば、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)(リコン(Richon)ら著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ、USA」、1998年、第95巻、p.3003−3007);m−カルボキシケイ皮酸ビスヒドロキシアミド(CBHA)(リコン(Richon)ら、上記);ピロキサミド;トリコスタチン類似体、例えば、トリコスタチンA(TSA)及びトリコスタチンC(コーゲ(Koghe)ら著、「バイオケミカル・ファーマコロジー(Biochem.Pharmacol.)」、1998年、第56巻、p.1359−1364);サリチルヒドロキサム酸(SBHA)(アンドリュース(Andrews)ら著、「インタナショナル・ジャーナル・フォー・パラジトロジー(International J.Parasitology)」、2000年、第30巻、p.761−768);スベロイルビスヒドロキサム酸(SBHA)(米国特許第5,608,108号);アゼラインビスヒドロキサム酸(ABHA)(アンドリュース(Andrews)ら、上記);アゼライン−1−ヒドロキサマート−9−アニリド(AAHA)(キウ(Qiu)ら著、「モレキュラー・バイオロジー・オブ・ザ・セル(Mol.Biol.Cell)」、2000年、第11巻、p.2069−2083);6−(3−クロロフェニルウレイド)カプロンヒドロキサム酸(3Cl−UCHA);オキサムフラチン[(2E)−5−[3−[(フェニルスルホニル)アミノフェニル]−ペント−2−エン−4−イノヒドロキサム酸](キム(Kim)ら著、「オンコジーン(Oncogene)」、1999年、第18巻、p.2461 2470);A−161906、スクリプタイド(Scriptaid)(スー(Su)ら著、「キャンサー・リサーチ(Cancer Research)」、2000年、第60巻、p.3137−3142);PXD−101(プロリフィックス(Prolifix));LAQ−824;CHAP;MW2796(アンドリュース(Andrews)ら、上記);MW2996(アンドリュース(Andrews)ら、上記);又は米国特許第5,369,108、5,932,616、5,700,811、6,087,367、及び6,511,990号に開示された任意のヒドロキサム酸。
B.環状テトラペプチド、例えばトラポキシンA(TPX)−環状テトラペプチド(シクロ−(L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−D−ピペコリニル−L−2−アミノ−8−オキソ−9,10−エポキシデカノイル))(キジマ(Kijima)ら著、「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」、1993年、第268巻、p.22429−22435;FR901228(FK228、デプシペプチド)(ナカジマ(Nakajima)ら著、「エクスペリメンタル・セル・リサーチ(Exp.Cell Res.)」、1998年、第241巻、p.126−133);FR225497環状テトラペプチド(モリ(H.Mori)ら、PCT出願WO 00/08048(2000年2月17日));アピシジン環状テトラペプチド[シクロ(N−O−メチル−L−トリプトファニル−L−イソロイシニル−D−ピペコリニル−L−2−アミノ−8−オキソデカノイル)](ダーキン−ラトレー(Darkin−Rattray)ら著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ、USA」、1996年、第93巻、p.13143 13147);アピシジンIa、アピシジンIb、アピシジンIc、アピシジンIIa、及びアピシジンIIb(ダルスキ(P.Dulski)ら、PCT出願WO 97/11366);CHAP、HC−トキシン環状テトラペプチド(ボッシュ(Bosch)ら著、「ザ・プラント・セル(Plant Cell)」、1995年、第7巻、p.1941−1950);WF27082 環状テトラペプチド(PCT出願WO 98/48825);及びクラミドシン(ボッシュ(Bosch)ら、上記)。
C.短鎖脂肪酸(SCFA)誘導体、例えば、酪酸ナトリウム(カズンズ(Cousens)ら著、「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」、1979年、254巻、p.1716−1723);イソバレレート(マクベイン(MacBain)ら著、「バイオケミカル・ファーマコロジー」、1997年、第53巻、p.1357−1368);吉草酸塩(マクベイン(MacBain)ら、上記);4−フェニルブチラート(4−PBA)(リー及びタルシヤン(Lea&Tulsyan)著、「アンチキャンサー・リサーチ(Anticancer Research)」、1995年、第15巻、p.879−873);フェニルブチラート(PB)(ワン(Wang)ら著、「キャンサー・リサーチ」、1999年、第59巻、p.2766−2799);プロピオン酸塩(マクベイン(MacBain)ら、上記);ブチルアミド(リー及びタルシヤン、上記);イソブチルアミド(リー及びタルシヤン、上記);酢酸フェニル(リー及びタルシヤン、上記); 3−ブロモプロピオナート(リー及びタルシヤン、上記);トリブチリン(グアン(Guan)ら著、「キャンサー・リサーチ」、2000年、第60巻、p.749−755);バルプロ酸及びバルプロエート。
D.ベンズアミド誘導体、例えば、CI−994;MS−27−275[N−(2−アミノフェニル)−4−[N−(ピリジン−3−イルメトキシカルボニル)アミノメチル]ベンズアミド](サイトウ(Saito)ら著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ、USA」、1999年、第96巻、p.4592−4597);及び、MS−27−275の3’−アミノ誘導体(サイトウ(Saito)ら、上記)。
E.求電子ケトン誘導体、例えば、トリフルオロメチルケトン(フレイ(Frey)ら著、「バイオオーガニック・アンド・メディシナル・ケミストリー・レターズ(Bioorganic & Med Chem.Lett.)」、2002年、第12巻、p.3443−3447;米国特許第6,511,990号)、及びα−ケトアミド、例えば、N−メチル−α−ケトアミド。
F.他のHDAC阻害剤、例えばデプデシン(クウォン(Kwon)ら著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ(PNAS)」、1998年、第95巻、p.3356−3361)。
【0088】
1つの実施態様においては、ヒドロキサム酸ベースのHDAC阻害剤は、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、m−カルボキシケイ皮酸ビスヒドロキサム酸塩(CBHA)、及びピロキサミドである。SAHAは、ヒストン脱アセチル化酵素の触媒ポケットにおいて、直接的に結合することが示されてきた。SAHAは、培養にある形質転換細胞の、細胞周期停止、分化、及び/又はアポトーシスを誘導し、かつげっ歯類における腫瘍増殖を阻害する。SAHAは、固形腫瘍及び血液癌の双方における、これらの効果の誘導に有効である。SAHAは、動物に対し何ら毒性なしに、動物の腫瘍増殖を阻害するのに有効であることが示されてきた。SAHA誘導性の腫瘍増殖の阻害は、腫瘍におけるアセチル化ヒストンの蓄積と関係づけられる。SAHAは、ラットにおいて発癌物質に誘導された(N−メチルニトロソ尿素)乳腺腫瘍の、発生及び持続的増殖を阻害するのに有効である。SAHAは、130日に及ぶ研究の間、ラットに対し、その食餌中に投与された。したがって、SAHAは非毒性であり、経口活性のある抗腫瘍剤であり、その作用メカニズムは、ヒストン脱アセチル化酵素活性の阻害を包含する。もう1つの実施態様においては、HDAC阻害剤は、米国特許第5,369,108、5,932,616、5,700,811、6,087,367、及び6,511,990号に開示されたものである。
【0089】
併用療法
本発明の方法はまた、最初に抗腫瘍剤を患者に投与して、該患者の新生細胞を抗腫瘍剤に対し抵抗性にさせ、その後に、かかる細胞の最終分化、細胞増殖停止、及び/又はアポトーシスを選択的に誘導するために有効な、有効量の任意の本発明組成物を投与することを含んでなってもよい。
【0090】
抗腫瘍剤は、数多の化学療法剤の1種であってよく、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ホルモン剤、抗生物質、コルヒチン、ビンカアルカロイド、L−アスパラギナーゼ、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、ニトロソ尿素、又はイミダゾールカルボキシアミドでよい。適当な薬剤は、チューブリンの脱重合を促進する薬剤である。1つの実施態様においては、抗腫瘍剤は、コルヒチン又はビンカアルカロイド;ビンブラスチン又はビンクリスチンである。抗腫瘍剤がビンクリスチンである実施態様においては、細胞は、好ましくは、約5mg/mlの濃度において、ビンクリスチンに抵抗性であるように処置される。細胞を処置してそれらを抗腫瘍剤に対し抵抗性にすることは、当該細胞を当該薬剤と、少なくとも3ないし5日間にわたり接触させることによりもたらされてよい。得られた細胞を、上記の任意の化合物と接触させることは、前記に記載のように行なわれる。上記の化学療法剤に加えて、当該化合物はまた、放射線療法と一緒に投与されてもよい。
【0091】
アルキル化剤
アルキル化剤は、求核性残基、例えば、DNA産生用のヌクレオチド前駆体上の化学的実体と反応する。それらは、これらのヌクレオチドをアルキル化すること、及びそのDNAへの集合を阻害することにより、細胞分裂のプロセスに影響を及ぼす。
【0092】
アルキル化剤の例は、制限なく、ビスクロロエチルアミン(ナイトロジェンマスタード、例えば、クロランブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、メクロレタミン、メルファラン、ウラシルマスタード)、アジリジン(例えば、チオテパ)、アルキルアルコンスルホナート(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン)、非古典的アルキル化剤(アルトレタミン、デカルバジン、及びプロカルバジン)、白金化合物(カルボプラチン及びシスプラチン)を包含する。これらの化合物は、リン酸基、アミノ基、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、カルボキシル基、及びイミダゾール基と反応する。
【0093】
生理的条件下では、これらの薬剤はイオン化して正に帯電したイオンを生じ、それが、感受性の核酸及びタンパク質に結合して、細胞周期停止及び/又は細胞死をもたらす。アルキル化剤は、それらが細胞周期の特定の相とは無関係にその活性を及ぼすことから、細胞周期相非特異的な薬剤である。ナイトロジェンマスタード及びアルキルアルコンスルホナートは、G1又はM期にある細胞に対し、最も有効である。ニトロソ尿素、ナイトロジェンマスタード、及びアジリジンは、G1及びS期からM期への進行を害する。シャブナー及びコリンズ(Chabner & Collins)編、「癌化学療法:理論と実践(Cancer Chemotherapy:Principles and Practice)」、1990年、JBリピンコット(Lippincott)、フィラデルフィア)。
【0094】
アルキル化剤は、広く多様な新生物疾患に対し活性があり、白血病及びリンパ腫、並びに固形腫瘍の治療において有意な活性がある。臨床的には、この群の薬剤は、急性及び慢性白血病;ホジキン病;非ホジキンリンパ腫;多発性骨髄腫;原発性脳腫瘍;乳房、卵巣、精巣、肺、膀胱、子宮頸部、頭部及び頸部の癌腫、及び悪性黒色腫の治療において日常的に使用されている。
【0095】
全てのアルキル化剤に共通の主毒性は、骨髄抑制である。さらに、重症度の異なる胃腸管副作用が共通して起こり、様々な臓器毒性が特定の化合物に付随する。ブラック及びリビングストン(Black & Livingston)著、「ドラッグズ(Drugs)」、1990年、第39巻、p.489−501及び第39巻、p.652−673.
【0096】
抗生物質
抗生物質(例えば、細胞傷害抗生物質)は、DNA又はRNA合成を直接的に阻害することにより作用し、かつ細胞周期全体を通じて有効である。抗生剤の例は、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、及びアントラセンジオン)、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカトマイシンを包含する。これらの抗生剤は、種々の細胞成分を標的化することにより、細胞増殖を妨害する。例えば、アントラサイクリンは、一般に、転写活性DNAの領域において、DNAトポイソメラーゼIIの作用を妨害し、そのことがDNA鎖の切断をもたらすと考えられている。
【0097】
ブレオマイシンは、一般に、鉄をキレート化して活性化された錯体を形成し、これが次にDNAの塩基に結合して、鎖切断及び細胞死を引き起こすと考えられている。
【0098】
抗生剤は、乳房、肺、胃、及び甲状腺の癌腫、リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄腫、及び肉腫を含む、ある範囲の新生物性疾患全体にわたり、治療薬として使用されてきた。この群内でのアントラサイクリンの主要毒性は、骨髄抑制、特に顆粒球減少である。顆粒球減少には、しばしば粘膜炎が付随しており、その重症度は、骨髄抑制の程度と相互関係がある。また、アントラサイクリンの高用量の投与に付随した、著しい心臓毒性もある。
【0099】
代謝拮抗剤
抗代謝剤(すなわち、代謝拮抗剤)は、癌細胞の生理学及び増殖にとり不可欠な代謝プロセスを妨害する一群の薬剤である。活発に増殖している癌細胞は、多量の核酸、タンパク質、脂質、及び他の生命維持に不可欠な細胞構成成分の継続した合成を必要とする。
【0100】
多くの代謝拮抗剤は、プリン又はピリミジンヌクレオシドの合成を阻害し、或いはDNA複製の酵素を阻害する。ある代謝拮抗剤はまた、リボヌクレオシド及びRNAの合成、及び/又は、アミノ酸代謝及びタンパク質合成も同様に妨害する。生命維持に不可欠な細胞構成成分の合成を妨害することにより、代謝拮抗剤は癌細胞の増殖を遅らせるか、又は停止することができる。抗代謝剤の例は、制限なく、フルオロウラシル(5−FU)、フロキシウリジン(5−FUdR)、メトトレキセート、ロイコボリン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン(6−TG)、メルカプトプリン(6−MP)、シタラビン、ペントスタチン、フルダラビンリン酸塩、クラドリビン(2−CDA)、アスパラギナーゼ、及びゲムシタビンを包含する。
【0101】
抗代謝剤は、結腸、直腸、乳房、肝臓、胃、及び膵臓の癌腫、悪性黒色腫、急性及び慢性白血病、及びヘアリー細胞白血病を含む、いくつかの一般的な形態の癌を治療するために広く用いられてきた。抗代謝治療の副作用の多くは、有糸分裂の活発な組織、例えば、骨髄又は胃腸粘における、細胞増殖の抑制からの結果として生じる。これらの薬剤を処置された患者は、共通して、骨髄抑制、口内炎、下痢、及び脱毛を経験する。チャン及びグレム(Chen & Grem)著、「カレント・オピニオン・イン・オンコロジー(Curr.Opin.Oncol.)」、1992年、第4巻、p.1089−1098.
【0102】
ホルモン剤
ホルモン剤は、その標的臓器の増殖及び発生を調節する一群の薬剤である。殆どのホルモン剤は、性ステロイド及び、その誘導体及び類似体、例えば、エストロゲン、プロゲストゲン、アンチエストロゲン、アンドロゲン、アンチアンドロゲン、及びプロゲスチンである。これらのホルモン剤は、性ステロイドの受容体のアンタゴニストとしての役目を果たしてよく、受容体の発現及び生命維持に不可欠な遺伝子の転写をダウンレギュレートする。かかるホルモン剤の例は、合成エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール)、アンチエストロゲン(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、フルオキシメステロール(fluoxymesterol)、及びラロキシフェン)、アンチアンドロゲン(ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アミノグルテチミド、アナストロゾール、及びテトラゾール)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体、ケトコナゾール、酢酸ゴセレリン、ロイプロリド、酢酸メゲストロール、及びミフェプリストンである。
【0103】
ホルモン剤は、乳癌、前立腺癌、黒色腫、及び髄膜腫を治療するために使用される。ホルモンの主要な作用は、ステロイド受容体により仲介されることから、受容体ポジティブな乳癌の60%がファーストラインのホルモン療法に対し応答性であり、受容体ネガティブな腫瘍の10%未満が応答性である。ホルモン剤に付随する主要な副作用は、発赤である。しばしば起こる症状発現は、骨痛の急激な増加、皮膚損傷周辺の紅斑、及び、誘導性の高カルシウム血症である。
【0104】
特に、プロゲストゲンは、子宮内膜癌を治療するために使用されるが、その理由は、これらの癌が、プロゲストゲンにより妨害されない高レベルのエストロゲンに暴露されている婦人に発生するからである。
【0105】
アンチアンドロゲンは、ホルモン依存性である前立腺癌の治療用に主として使用される。それらは、テストステロンのレベルを低減し、それにより腫瘍の増殖を阻害するために使用される。
【0106】
乳癌のホルモン治療は、腫瘍性の乳房細胞において、エストロゲン受容体のエストロゲン依存性の活性化レベルを低減することを包含する。アンチエストロゲンは、エストロゲン受容体に結合することによって作用し、そしてコアクチベーターの動員を防止し、したがって、エストロゲンシグナルを阻害する。
【0107】
LHRH類似体は、前立腺癌の治療において、テストステロンのレベルを低下させるべく使用され、それにより腫瘍の増殖を低減する。
【0108】
アロマターゼ阻害剤は、ホルモン合成に必要な酵素を阻害することにより作用する。閉経後の婦人では、エストロゲンの主要供給源は、アロマターゼによるアンドロステンジオンの転換を介するものである。
【0109】
植物由来の薬剤
植物由来の薬剤は、植物から由来するか、又は当該薬剤の分子構造に基づき修飾された、一群の薬剤である。それらは、細胞分裂に不可欠な細胞成分の集合を妨害することにより、細胞複製を阻害する。
【0110】
植物由来の薬剤の例は、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンゾリジン(vinzolidine)、及びビノレルビン)、ポドフィロトキシン(例えば、エトポシド(VP−16)及びテニポシド(VM−26))、タキサン(例えば、パクリタキセル及びドセタキセル)を包含する。これらの植物由来の薬剤は、一般に、抗有糸分裂剤として作用し、チューブリンに結合して有糸分裂を阻害する。ポドフィロトキシン、例えばエトポシドは、トポイソメラーゼIIと相互作用することによりDNA合成を妨害し、DNA鎖切断をもたらすと考えられている。
【0111】
植物由来の薬剤は、多くの形態の癌を治療するために使用される。例えば、ビンクリスチンは、白血病、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、及び小児腫瘍神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、及びウィルムス腫瘍の治療において使用される。ビンブラスチンは、リンパ腫、精巣癌、腎細胞癌、菌状息肉腫、及びカポジ肉腫に対し使用される。ドキセタキセルは、進行した乳癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、及び卵巣癌に対し、有望な活性を示してきた。
【0112】
エトポシドは、広範囲の新生物に対し活性があり、そのうちの小細胞肺癌、精巣癌、及びNSCLCは、最も応答性である。
【0113】
植物由来の薬剤は、治療されている患者に対し、著しい副作用を引き起こす。ビンカアルカロイドは、様々なスペクトルの臨床毒性を示す。ビンカアルカロイドの副作用は、神経毒性、改変された血小板機能、骨髄抑制、及び白血球減少を包含する。パクリタキセルは、他の造血細胞系の相対的なスペアリングを伴う、用量制限性の好中球減少を引き起こす。エピポフィロトキシン(epipophyllotoxins)の主毒性は、血液性(好中球減少及び血小板減少)である。
【0114】
他の副作用は、一過性の肝酵素異常、脱毛、アレルギー性反応、及び末梢神経障害を包含する。
【0115】
生物学的薬剤
生物学的薬剤は、単独で、又は化学療法及び/又は放射線療法と併用して用いた場合、癌/腫瘍の退縮を誘発する一群の生体分子である。生物学的薬剤の例は、免疫調節タンパク質、例えばサイトカイン、腫瘍抗原に対するモノクローナル抗体、腫瘍抑制遺伝子、及び癌ワクチンを包含する。
【0116】
サイトカインは、強い免疫調節活性をもつ。いくつかのサイトカイン、例えば、インターロイキン−2(IL−2、アルデスロイキン)、及びインターフェロン−α(IFN−α)は、抗腫瘍活性を示し、かつ転移性腎細胞癌及び転移性悪性黒色腫をもつ患者の治療用に承認されてきた。IL−2は、T細胞介在性の免疫応答の中心である、T細胞増殖因子である。ある患者に対するIL−2の選択的な抗腫瘍作用は、自己と非自己との間を区別する、細胞介在性の免疫応答の結果であると考えられている。
【0117】
インターフェロン−αは、重複する活性をもつ、23種を超える関連するサブタイプを包含する。IFN−αは、多くの固形及び血液性の悪性腫瘍に対し、実証された活性を有しており、後者は特に感受性であると考えられる。
【0118】
インターフェロンの例は、インターフェロン−α、インターフェロン−β(線維芽細胞インターフェロン)、及びインターフェロン−γ(線維芽細胞インターフェロン)を包含する。他のサイトカインの例は、エリスロポエチン(エポエチン−α)、顆粒球−CSF(フィルグラスチム)、及び顆粒球、マクロファージ−CFS(サルグラモスチム)を包含する。サイトカイン以外の他の免疫調節剤は、カルメット−ゲラン桿菌(bacillus Calmette−Guerin)、レバミソール、及びオクトレオチド(天然産ホルモン、ソマトスタチンの作用を模倣した持続性のオクタペプチド)を包含する。
【0119】
さらに、抗癌治療は、腫瘍ワクチン接種アプローチにおいて使用される抗体及び試薬を用いた、免疫療法による処置を含んでもよい。この療法クラスにおける主剤は、抗体であり、単独か、又は例えば、癌細胞に対する毒又は化学療法剤/細胞傷害剤を含むものである。腫瘍抗原に対するモノクローナル抗体は、腫瘍により発現された抗原、好ましくは腫瘍特異抗原に対し誘起された抗体である。例えば、モノクローナル抗体(HERCEPTIN(登録商標))(トラツズマブ)は、転移性乳癌を含むいくつかの乳房腫瘍において過剰発現される、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)に対して発揮される。HER2タンパク質の過剰発現は、臨床においては、より進行性の疾患及びさらなる予後不良に関連づけられる。ハーセプチン(HERCEPTIN(登録商標))は、その腫瘍がHER2タンパク質を過剰発現する、転移性乳癌患者の治療用の単剤として使用されている。
【0120】
腫瘍抗原に対するモノクローナル抗体のもう1つの例は、リツキサン(RITUXAN(登録商標))(リツキシマブ)であり、これは、リンパ腫細胞CD20に対して発揮され、正常及び悪性の、CD20+の前B及び成熟B細胞を選択的に除去する。
【0121】
リツキサンは、単剤として、再発又は難治性の低悪性度又は濾胞性の、CD20+の、B細胞非ホジキンリンパ腫の治療用に使用される。ミエロターグ(MYELOTARG((登録商標))(ゲムツズマブ・オゾガマイシン)及びキャンパス(CAMPATH(登録商標)))(アレムツズマブ)は、使用してもよい、腫瘍抗原に対するモノクローナル抗体のさらなる例である。
【0122】
腫瘍抑制遺伝子は、細胞増殖及び分裂周期を阻害するべく機能する遺伝子であり、したがって、新生物の発生を妨害する。腫瘍抑制遺伝子における突然変異は、細胞に阻害シグナルのネットワークの1つ以上の成分を無視させ、細胞周期チェックポイントを克服させ、結果として、抑制された細胞増殖癌を高率で生じる。腫瘍抑制遺伝子の例は、Dup−4、NF−1、NF−2、RB、p53、WT1、BRCA1、及びBRCA2を包含する。
【0123】
DPC4は、膵臓癌に関係し、かつ細胞分裂を阻害する細胞質経路に関与している。NF−1は、細胞質の阻害タンパク質、Rasを阻害するタンパク質をコードしている。NF−1は、神経系の神経線維腫及び褐色細胞腫、及び骨髄性白血病に関与している。NF−2は、神経系の髄膜腫、神経鞘腫、及び上衣細胞腫に関与する核タンパク質をコードしている。RBは、細胞周期の主な阻害剤である、核タンパク質、pRBタンパク質をコードする。RBは、網膜芽細胞腫、並びに骨癌、膀胱癌、小細胞肺癌、及び乳癌に関与する。P53は、細胞分裂を調節し、かつアポトーシスを誘導し得る、p53タンパク質をコードする。p53の突然変異及び/又は反応低下は、広範囲の癌において見出される。WTIは、腎臓のウィルムス腫瘍に関与する。BRCA1は、乳癌及び卵巣癌に関与し、BRCA2は、乳癌に関与する。腫瘍抑制遺伝子は、その腫瘍抑制機能をそこで発揮する、腫瘍細胞内に転移可能である。
【0124】
癌ワクチンは、身体に腫瘍に対する特異的な免疫応答を誘導する一群の薬剤である。研究及び開発中、及び臨床試験中の殆どの癌ワクチンは、腫瘍関連抗原(TAA)である。TAAは、腫瘍細胞上に存在し、かつ正常細胞上には相対的にないか、又は減少している構造物(すなわち、タンパク質、酵素、又は炭水化物)である。腫瘍細胞に対し明らかに特有であることで、TAAは、免疫系が認識しかつその破壊を引き起こすための、標的を提供する。TAAの例は、ガングリオシド(GM2)、前立腺特異抗原(PSA)、α−フェトプロテイン(AFP)、胎児性癌抗原(CEA)(結腸癌及び他の腺癌、例えば、乳癌、肺癌、胃癌、及び膵臓癌により産生される)、黒色腫関連抗原(MART−1、gap100、MAGE1,3 チロシナーゼ)、パピローマウイルスE6及びE7フラグメント、自己腫瘍細胞及び異種腫瘍細胞の全細胞又は部分/溶解物を包含する。
【0125】
他の療法
癌を治療ために用いられた伝統的な細胞傷害及びホルモン療法に加えて、最近の開発により、癌を治療するための付加的な療法が導入されてきた。例えば、多くの形態の遺伝子療法が、前臨床又は臨床試験中である。
【0126】
加えて、腫瘍の脈管新生(血管新生)の阻害に基づくアプローチが、現在開発中である。このコンセプトの目的は、新たに構築された腫瘍血管系により供給される、栄養及び酸素の補給から、腫瘍を遮断することである。
【0127】
さらに、癌療法はまた、新生細胞の最終分化を誘導することによっても試みられている。適当な分化剤は、任意の1つ以上の下記の参考文献に開示された化合物を包含する。
a)極性化合物(マークス(Marks)ら著(1987年);フレンド(Friend,C.)、シェア(Scher,W)、ホランド(Holland,J.W.)、及びサトー(Sato,T.)著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ、USA」、1971年、第68巻、p.378−382;タナカ(Tanaka,M.)、レビー(Levy,J.)、テラダ(Terada,M.)、ブレスロー(Breslow,R.)、リフキンド(Rifkind,R.A.)、及びマークス(Marks,P.A.)著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ、USA」、1975年、第72巻、p.1003−1006;ルービン(Reuben,R.C.)、ワイフ(Wife,R.L.)、ブレスロー(Breslow,R.)、リフキンド(Rifkind,R.A.)、及びマークス(Marks,P.A.)著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ、USA」、1976年、第73巻、p.862−866);
b)ビタミンD誘導体及びレチノイン酸(アベ(Abe,E)、ミヤウラ(Miyaura,C.)、サカガミ(Sakagami,H.)、タケダ(Takeda,M.)、コンノ(Konno,K.)、ヤマザキ(Yamazaki,T.)、ヨシカ(Yoshika,S.)、及びスダ(Suda,T.)著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ、USA」、1981年、第78巻、p.4990−4994;シュワルツ(Schwartz,E.L.)、スノディ(Snoddy,J.R.)、クロイター(Kreutter,D.)、ラスムセン(Rasmussen,H.)、及びサルトレリ(Sartorelli,A.C.)著、「プロシーディングズ・オブ・ディ・アメリカン・アソシエーション・フォー・キャンサー・リサーチ(Proc.Am.Assoc.Cancer Res.)」、1983年、第24巻、p.18;タネナガ(Tanenaga,K.)、ホズミ(Hozumi,M.)、及びサカガミ(Sakagami,Y.)著、「キャンサー・リサーチ(Cancer Res.)」、1980年、第40巻、p.914−919);
c)ステロイドホルモン(ロテム(Lotem,J.)及びサクス(Sachs,L.)著、「インターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー(Int.J.Cancer)」、1975年、第15巻、p.731−740);
d)増殖因子(サクス(Sachs,L.)著、「ネイチャー(ロンドン)(Nature(Lond.))」、1978年、第274巻、p.535、メトカーフ(Metcalf,D.)著、「サイエンス(Science)」、1985年、第229巻、p.16−22);
e)プロテアーゼ(シェア(Scher,W)、シェア(Scher,B.M.)、及びワクスマン(Waxman,S.)、「エクスペリメンタル・ヘマトロジー(Exp.Hematol.)」、1983年、第11巻、p.490−498;シェア(Scher,W)、シェア(Scher,B.M.)、及びワクスマン(Waxman,S.)、「バイオケミストリー・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem.&Biophys.Res.Comm.)」、1982年、第109巻、p.348−354);
f)腫瘍プロモータ(フーバーマン(Huberman,E.)及びカラハム(Callaham,M.F.)著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ、USA」、1979年、第76巻、p.1293−1297;ロテム(Lottem,J.)及びサクス(Sachs,L.)著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ、USA」、1979年、第76巻、p.5158−5162);及び
g)DNA又はRNA合成の阻害剤(シュワルツ(Schwartz,E.L)及びサルトレリ(Sartorelli,A.C.)著、「キャンサー・リサーチ」、1982年、第42巻、p.2651−2655、テラダ(Terada,M.)、エプナー(Epner,E.)、ナデル(Nudel,U.)、サーモン(Salmon,J.)、フィバク(Fibach,E.)、リフキンド(Rifkind,R.A.)、及びマークス(Marks,P.A.)著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ、USA」、1978年、第75巻、p.2795−2799;モーリン(Morin,M.J.)及びサルトレリ(Sartorelli,A.C.)著、「キャンサー・リサーチ」、1984年、第44巻、p.2807−2812;シュワルツ(Schwartz,E.L)、ブラウン(Brown,B.J.)、ニーレンバーグ(Nierenberg,M.)、マーシュ(Marsh,J.C.)、及びサルトレリ(Sartorelli,A.C.)著、「キャンサー・リサーチ」、1983年、第43巻、p.2725−2730;スガオ(Sugao,H.)、フルサワ(Furusawa,M.)、カワグチ(Kawagucni,T.)、及びイカワ(Ikawa,Y.)著、「ビブリオテカ・ヘマトロジカ(Bibl.Hematol.)」、1973年、第39巻、p.943−954;エバート(Ebert,P.S.)、ウォーズ(Wars,I.)、及びブエル(Buell,D.N.)著、「キャンサー・リサーチ」、1976年、第36巻、p.1809−1813;ハヤシ(Hayashi,M.)、オカベ(Okabe,J.)、及びホズミ(Hozumi,M.)著、「ガン(Gann)」、1979年、第70巻、p.235−238)。
【0128】
本発明の医薬組成物と、上記記載の任意の抗ガン剤との併用、及びその使用は、本発明の範囲内である。
【0129】
本発明は、以下の実験の詳細のセクションの実施例において例示される。このセクションは、本発明を理解する上で助けとなるべく説明されるものであり、以降に続くクレームにおいて示された本発明を、いかなる方法においても制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0130】
実験の詳細のセクション
実施例1−I型SAHAの製造
工程1 8−アニリノ−8−オキソオクタン酸;スベラニリン酸(化合物3)
スベリン酸(化合物1、174.2g、1.0mol)、アニリン(化合物2、85.8−94.9g)、及びトルエン(0.1−0.2L)を合わせ、加熱還流し、最低60時間還流する。還流下で、10%の水酸化ナトリウム溶液を用いてpH≧11に調整することにより、反応をクエンチする。水性相を分離する。有機相を、トルエン(0.11−0.13L)及び水(0.3−0.4L)と合わせ、そして水性層を分離する。抽出物からの水性層と、トルエン(0.11−0.13L)とを合わせ、静置し、そして次に分離する。水性層を、60−70℃において、トルエン(0.2−0.3L)で2回抽出する。水性層を、必要に応じた塩酸及び10%水酸化ナトリウム溶液を用いて、20−30℃においてpH5.8−6.2に調節する。バッチを濾過し、冷水(0.2−0.3L)で洗浄し、次に冷イソプロパノールで洗浄する。ウェットケークを、最高65℃で真空下に乾燥し、スベラニリン酸を得る。
【0131】
工程2 メチル8−アニリノ−8−オキソオクタノアート;メチルスベラニラート(化合物4)
スベラニリン酸(化合物3、249.3g、1.0mol)及びメタノール(0.4−0.5L)を合わせ、45−55℃に加熱する。塩酸を用いて、pHを≦2に調整し、反応が終了するまでバッチ温度を45−55℃に維持する。脱イオン水(0.1−0.2L)で反応をクエンチする。バッチを25−30℃に冷却し、種晶を加えて結晶化を誘導し、次いで0−10℃に冷却する。バッチを濾過し、ケークを、50:50(v/v)のメタノール/水の溶液(0.28−0.34L)を用いて、0−10℃において洗浄する。ウェットケークを、最高46℃で真空下に乾燥し、メチルスベラニラートを得る。
【0132】
工程3 N−ヒドロキシ−N’−フェニルオクタンジアミド;ボリノスタット(化合物5)
メチルスベラニラート(化合物4、263.3g、1.0mol)及び2Mのヒドロキシルアミン遊離塩基溶液(0.8−1.0L)を合わせる。バッチを最高20℃に維持しながら、見かけのpHを、必要に応じたメタノール中のナトリウムメトキシドを用いて≧10.5に調整する。バッチを最高20℃に、かつ見かけのpHを、必要に応じたメタノール中のナトリウムメトキシドを用いて≧10.5に、維持しながら、バッチを熟成させる。熟成の間に、ヒドロキシルアミン遊離塩基溶液(0.5−0.6L)を添加し、反応が終了するまで、バッチを最高20℃に、かつ見かけのpHを≧10.5に維持する。バッチ温度を20−35℃の間に維持しながら、バッチに対し水(0.9−1.1L)を添加することにより、反応をクエンチし、そしてバッチの水分含量を35−45%に調整する。必要に応じた氷酢酸及び炭酸ナトリウムを用いて、pHを8.8−9.2に調整する。バッチを、5−10時間にわたり、0−10℃に冷却する。バッチを濾過し、ケークを、55:45(v/v)のメタノール/水(0.45−0.6L)を用いて、0−10℃において洗浄する。ウェットケークを、水分含量が≦35%になるまで真空条件下とする。
【0133】
ボリノスタット粗生成物(264.32g、1.0mol)のウェットケーク(wetcake)を、変性エタノール(1308−1599g)及び水(167−204g)と合わせる。このスラリーに対し、ヒドロキシルアミン塩酸塩(>9ミリ当量)及び、メタノール中のナトリウムメトキシド(>9ミリ当量)を添加し、そしてバッチを70−80℃に加熱する。溶液を濾過し、次いで、徐々に0−10℃に冷却することにより結晶化させる。バッチを濾過し、冷やした4:1(v/v)の変性エタノール/水で、ケークを洗浄する。ウェットケークを、真空下に最高45℃で乾燥する。
【0134】
工程4 N−ヒドロキシ−N’−フェニルオクタンジアミド−ボリノスタット−微細(ウェットミル)(化合物6)
ボリノスタット(化合物5、264.3g、1.0mol)を、50:50(v/v)のエタノール/水の溶液中(最少2.8L)でスラリー化する。ボリノスタットスラリーを、バッチ温度を7−30℃に維持しながら、平均サイズ25−45μmまでウェットミルする。最終的なスラリーを濾過し、ウェットケークを、0−40℃の水(最少0.8L)で洗浄する。ウェットケークを、最大水分含量が0.2%(w/w)になるまで、最高55℃で真空下に乾燥し、ボリノスタット−微細薬剤物質を得る。
【0135】
工程5 N−ヒドロキシ−N’−フェニルオクタンジアミド −ボリノスタット−粗粒(化合物7)
ボリノスタット(化合物5、264.3g、1.0mol)を、50:50(v/v)のエタノール/水の溶液中(4.9−5.5L)でスラリー化する。このスラリーを、最小15psigの圧力下に、65−70℃に加熱して溶解し、次に60−64℃に冷却する。晶種スラリーを、バッチ温度を維持しながらバッチ内に移す。このバッチを、61−63℃において、最低2時間熟成させる。ジャケット温度を調節することにより、三段階でバッチを冷却する:(1)0.35−0.78℃/時間で55℃まで、(2)0.83−2.00℃/時間で45℃まで、及び(3)2.00−4.44℃/時間で−5ないし25℃まで。最終的なスラリーは、−5ないし25℃において、約1時間熟成し、次いで濾過する。ウェットケークを水(最少0.8L)で洗浄する。ウェットケークを、最高55℃で真空下に乾燥し、ボリノスタット−粗粒薬剤物質を得る。
【0136】
当該種晶スラリーは、ボリノスタット−微細ドライケーク(97.8−116.3g、0.37−0.44mol)と、50:50(v/v)のエタノール/水の溶液(1.0−1.2L)とを合わせることにより調製する。この種晶スラリーを、最小15psigの圧力下で、62−66℃に加熱し、約0.5時間熟成し、次いで60−64℃に冷却する。
【0137】
実施例2−SAHA結晶のパウダーブレンディング
パウダーブレンディング
30%のボリノスタット−微細結晶を、70%のボリノスタット−粗粒結晶とブレンドする。25.0KgのブレンドしたSAHA多形I(Polymorph I;I型)結晶を、まず、30メッシュスクリーン(600μm)を通して篩った。得られたSAHA、11.1Kgの微結晶セルロース(アビセル(Avicel)PH−101)、及び1.13Kgのクロスカルメロースナトリウムを、141.6LのV−ブレンダー、113Lのトートブレンダー、又は別の匹敵するサイズ及びタイプのブレンダーに投入した。V−ブレンダーについては、得られた材料を、約25rpmで約8分間、均一に混合した。トートブレンダーについては、得られた材料を、約12rpmで約17分間、均一に混合した。
【0138】
パウダーブレンド滑沢化
293.0gのステアリン酸マグネシウム(植物性グレード)を、30メッシュスクリーン(600μm)を通して篩い、そして、ブレンドした粉末混合物と共に、V−ブレンダーに投入した。得られた混合物を、約25rpmで約8分間、均一にブレンドした。293.0gのステアリン酸マグネシウム(植物性グレード)はまた、60メッシュスクリーン(250μm)を通して篩い、そして、ブレンドした粉末混合物と共に、トートブレンダーに投入した。得られた混合物を、約12rpmで約17分間、均一にブレンドした。
【0139】
表1は、カプセル中の原材料の物理的性質を要約する。
【0140】
【表1】
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【0141】
実施例3−SAHAカプセルの封入
カプセル封入/重量選別
滑沢化した粉末混合物を、H&Kカプセル充填機、研磨されたタンピングピン又は窒化クロム被覆されたタンピングピン、及び、サイズ「3」カプセルを用いて、所望の重さにカプセル封入した。充填されたカプセルは、カプセルポリッシャーを用いて研磨し、その後に、重量選別機を用いて、適切な重量制限範囲に重量選別した。表2は、カプセル充填機の設定を要約する。
【0142】
【表2】
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【0143】
最終的なSAHAカプセル組成物を、表3に例示する。カプセルは、目標カプセル重量の±10%の、カプセル重量変動の許容限度を用いて重量選別した。典型的なバッチにおけるカプセル重量の変動は、目標カプセル重量の±4%である。
【0144】
【表3】
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【0145】
実施例4−SAHA含有カプセルの溶解速度の測定
硬ゼラチンカプセルからの、SAHAの溶解速度は、USP溶解装置(Dissolution Apparatus)II(VK7000、バリアン・インク(Varian Inc.)ノースカロライナ州ケアリー)を用いて評価する。各カプセルを、らせん型シンカー(クオリティ・ラボ・アクセサリーズ社(Quality Lab Accessories L.L.C.)、ニュージャージー州マンビル)内に置き、900mLの2.0%ツイーン(TCIアメリカ、オレゴン州ポートランド)を含有する容器へ、37±0.5℃の温度において送り出す。パドルを100rpmで回転させ、35μmのフルフローフィルター(バリアン・インク、ノースカロライナ州ケアリー)を具備したオートサンプラー(VK8000、バリアン・インク、ノースカロライナ州ケアリー)により、特定の時間間隔で試料を引いた。
【0146】
続いてサンプルを、高速液体クロマトグラフィー(アジレント(Agilent)1100シリーズ、アジレント・テクノロジーズ・インク(Agilent Technologies Inc)、デラウェアー州ウィルミントン)によりアッセイした。クロマトグラフィー分析は、フェノメネックス・ルナ(Phenomenex Luna)C8(2)(100×4.6mm)5μm粒子サイズカラム、1:1のメタノール/0.1%トリフルオロ酢酸(試薬グレード、フィッシャー(Fisher))の移動相、及び、検出波長242nmを用いて行なった。
【0147】
実施例5−SAHAのX線粉末回折分析
X線粉末回折分析を、実施例1に従って得られたI型SAHA、及び、下記の表4に詳述した方法により調製したII−V型SAHAについて行なった。
【0148】
【表4】
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【0149】
X線回折分析:
サンプルは、製造業者の指示に従って、標準操作手順(Standard Operating Procedure)EQ−27,Rev.12に従って操作される、シーメンスD500自動粉末回折器(Siemens D500 Automated Powder Diffractometer)(機器ID番号LD−301−4)において分析した。回折器は、グラファイトモノクロメーターと、50kV、40mAで操作されるCu(λ=1.54A)のX線源とを具備している。2−シータキャリブレーションは、NBS製マイカ標準(SRM675)を用いて行なう。サンプルは、以下の機器パラメータを用いて分析した:
測定範囲: 4−40 2シータ
ステップ幅: 0.05Å
ステップ当たりの測定時間: 1.2秒間
【0150】
サンプル調製は、製造業者の指示に従い、標準操作手順MIC−7,Rev.2(3.1.2項)に従って、ゼロバックグラウンド・サンプルプレート(#1)を用いて行なった。サンプルは、均一性を確保するため、軽い乳鉢及び乳棒の粉砕の後に加工した。
【0151】
図3−A−Eは、I−V型SAHAのX線ディフラクトグラムを描いている。X線ディフラクトグラムについての対応するデータを、以下の表5−9に示す:
【0152】
【表5】
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【0153】
【表6】
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【0154】
【表7】
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【0155】
【表8】
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【0156】
【表9】
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【0157】
I型SAHAのX線粉末回折パターンはまた、X’PERT Pro フィリップス(Phillips)X線回折器を用いて、銅Kα照射(波長1.542Å)により収集された。顕著な2θの位置を、格子面間隔(d−spacing)と共に、表5Aに要約する。
【0158】
【表10】
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【0159】
実施例6−鉄SAHA金属キレート錯体の調製
化学反応スキーム
【0160】
【化1】
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【0161】
実験
室温において、SAHA(1.0g、3.78mmol)及びエタノール(10.0mL)を、エレンマイヤーフラスコに加え、次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.66mL、3.78mmol)を、攪拌しながら滴下添加した。得られたスラリーに対し、エタノール中の塩化第二鉄(10.0mLのエタノール中、0.205g、1.26mmol)の溶液を添加した。混合物は、塩化第二鉄溶液が添加されると、直ちに濃い赤色を呈した。エタノール(5.0mL)を用いて、残りの塩化第二鉄溶液を反応フラスコ内へ洗い流した。室温で5分間の攪拌の後に、反応混合物は透明な暗赤色の溶液になった。この反応混合物を、室温で16時間攪拌した。この時間の後、暗橙色の沈澱が観察された。橙色の固体を濾過により収集し、エタノール(3×3.0mL)で洗浄した。濾液は、無色であった。橙色の固体を、24時間乾燥した(質量1.02g、収率96%)。
【0162】
分析
C、H、N、及びFe含量についての元素分析を、以下の表10に示す:
【0163】
【表11】
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【0164】
元素分析の結果は、上記に示した提案された構造と良好に一致する。
【0165】
実施例7−鉄SAHAキレート錯体のX線粉末回折分析
結晶性鉄SAHAキレート錯体のX線粉末回折パターン(図2)は、PW3040/60コンソールを備えた、フィリップス・アナリティカル(Philips Analytical)X’Pert PROX線回折システム上で作成した。PW3373/00セラミックCu LEF X線管K−アルファ照射を、線源として使用した。結晶性鉄SAHAキレート錯体は、8.8、14.5、及び21.8度(2θ)においてキャラクタライズ可能である。結晶性鉄SAHAキレート錯体は、さらに、13.3、20.3、及び24.6度(2θ)においてキャラクタライズされる。この錯体に起因すると思われる付加的なピークが、18.5、25.8、及び33.3度(2θ)において観察される。
【0166】
実施例8−患者研究
癌をもつ患者に、金属HDAC阻害剤キレート錯体を含んでなる医薬組成物、又は、HDAC阻害剤とキレート化可能な金属化合物を含んでなる医薬組成物を投与する。患者の副作用を記録し、そしてHDAC阻害剤を投与された患者の副作用と比較する。
【0167】
皮膚T細胞リンパ腫又は末梢T細胞リンパ腫のいずれかをもつ患者に、当該医薬組成物を毎日1回継続して投与し、これにおいて、投与されるSAHAの量は400mgである。皮膚T細胞リンパ腫又は末梢T細胞リンパ腫のいずれかをもつ患者に、当該医薬組成物を1日2回、週3ないし5日投与し、これにおいては、投与毎のSAHAの投与量は300mgである。進行した白血病及び骨髄異形成症候群(MDS)の患者には、3週間のコースで、当該医薬組成物を1日3回(tid)、14日間にわたり経口的に(po)投与し、続いて1週間休止し、これにおいて、投与毎のSAHAの投与量は100mg、150mg、200mg、又は250mgである。
【0168】
癌の患者に、HDAC阻害剤と、キレート化可能な金属化合物とを同時投与する。患者の副作用を記録し、そしてHDAC阻害剤のみを投与された患者の副作用と比較する。
【0169】
皮膚T細胞リンパ腫又は末梢T細胞リンパ腫のいずれかをもつ患者に、経口的に、SAHAを、継続して1日1回400mg、又は1日2回300mgにて週3ないし5日と、毎日の鉄又は亜鉛のサプリメントとを同時投与する。進行した白血病及び骨髄異形成症候群(MDS)の患者には、3週間のコースで、経口的に(po)、SAHAを1日3回(tid)、100mg、150mg、200mg、又は250mgにて14日間当量投与し、続いて1週間休止し、かつ、鉄又は亜鉛のサプリメントを毎日投与する。血液癌及び固形腫瘍を含む、進行した癌の患者には、経口的に、SAHAを1日1回400又は500mg毎日、1日2回200又は300mg毎日、1日2回300mg又は400mgを間欠的に週3日、或いは、1日3回100mg(2週間)を、そして、鉄又は亜鉛のサプリメントを毎日投与する。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、又は中皮腫の患者には、経口的に、SAHA300mgを1日2回で週に3日、そして鉄又は亜鉛のサプリメントを毎日投与する。投与される鉄又は亜鉛の量は、患者毎に異なることが予測され、金属の過剰負荷を介した毒性を引き起こすことなく、HDAC阻害剤誘導性の毒性を軽減するために必要な量となるであろう。
【0170】
実施例9−ボリノスタット介在性の副作用に対する亜鉛補足の効果
マウスにおけるボリノスタットの最大耐性量(MTD)が亜鉛補足により増加し得るかどうかを試験するため、マウス(CD1 nu/nu 雌、6−8週齢、チャールズ・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories))に、ビヒクル、150mg/kg(MTD)、又は300mg/kgの、ビヒクル中のボリノスタットを投与する(表11)。マウスに、0.5、1、又は5モル当量(ボリノスタットに対して)の塩化亜鉛を与える。これは、150mg/kgのボリノスタット群で、38.5、77、及び385mg/kgのZnCl用量に相当する。
【0171】
非腫瘍マウスによる最初の実験は、ボリノスタット/Znの組合せのMTDを確立するために使用される。もしMTDのシフトが示されれば、マウスを用いたその後の実験は、HCT116結腸癌皮下(s.q.)異種移植を確立して、腫瘍増殖に対する改変されたMTDの役割(有効性)を評価するために使用される。
【0172】
【表12】
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【0173】
ボリノスタット(10μl/gにてIP投与)用のビヒクルは、10%(v/v)のDMSO(シグマ、カタログ#:D8418)、45%(v/v)のPEG―400、及び45%の水を含有する。ビヒクル中のボリノスタット(10μl/gにてIP投与)は、化合物を秤量すること(当該化合物を製剤するに先立ち、各ビヒクル成分を37℃に予加熱する)、終体積の1/10の100%DMSOを添加すること、透明な溶液になるまで超音波処理すること、50%PEG−400(水中)を所望の終体積まで添加すること、超音波処理すること、及び、常に37℃に維持することにより調製する。ZnClは、無菌のリン酸緩衝食塩水(PBS)中に溶解する。
【0174】
体重及び生存を、毒性の指標としてモニターする。群内に、平均20%を超える平均体重減少を生じる結果となる用量を、非耐性とみなすものとする。同様に、群当たり2匹を超える処置関連の死を生じる結果となる用量を、非耐性とみなすものとする。腫瘍動物については、処置に応じた腫瘍サイズを、週2−3回のキャリパー測定器により測定する。
【0175】
【表13】
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【0176】
後眼窩採血:イソフルラン麻酔下に、0.2mLの血液を、後眼窩採血により採取する。血液を血清へ加工する(抗凝固剤の添加なし)。
心臓穿刺:CO麻酔下での、終末の心臓穿刺により、血液全量を収集する。血液を血清へ加工する(抗凝固剤の添加なし)。
【0177】
全血算(CBC)
ボリノスタット処置は、血小板及びリンパ球を含む、ある血液集団の数の減少と関連づけられてきた。マウスからのCBCを、処置前(ベースライン)及び処置中(7日目)、及び処置後(14日目)にモニターする。少量(<50μl)の血液をRO出血により得て、サブセットをアドヴィア(Advia)120検査装置(シーメンス・メディカル(Seimens Medical))によりカウントする。
【0178】
解剖及び組織採取
腫瘍動物については、異種移植腫瘍を除去し、秤量し、部分を急速冷凍するか、又はホルマリン緩衝液中で固定する。固定した腫瘍材料を、パラフィン包埋切片として加工し、免疫組織化学分析に供する。これらは、増殖(Ki−67、BrdU)、アポトーシス(カスパーゼ−3)、及び種々のヒストン(H2、H3、H4)のアセチル化に関するアッセイを包含する。凍結材料からのヒストンタンパク質は、ELISA(酵素結合免疫吸着法)により、ヒストンアセチル化の変化をアッセイするべく使用する。マウスはまた、全身解剖に供する。
【0179】
本発明は、その実施態様に関連して特に示されかつ記載されてきたが、当業者には、記載された本発明の意味から離れることなく、形態及び詳細における種々の変更が行われてもよいことが理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、クレイムにより定義される。
【0180】
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【図1】
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【図2】
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【図3−A】
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【図3−B】
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【図3−C】
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【図3−D】
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【図3−E】
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【公表番号】特表2010−504968(P2010−504968A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530388(P2009−530388)
【出願日】平成19年9月24日(2007.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/020609
【国際公開番号】WO2008/039421
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】