説明

HDAC阻害剤と代謝拮抗剤の組み合わせ

本発明は:
(a) HDAI;および
(b) 代謝拮抗剤、
を含む、一緒の、同時の、別々のまたは連続使用のための、特に増殖性疾患、より具体的にMDSまたはAMLの処置に使用するための、組み合わせに関する。本発明はまた、このような組み合わせを含む医薬組成物およびこのような組み合わせでの哺乳動物、特にヒトにおけるMDSまたはAMLの処置方法にも関する。本発明はさらにまたこのような組み合わせを含む商業用包装物または製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は:
(a) ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAI);および
(b) 代謝拮抗剤、
を含む、一緒の、同時の、別々のまたは連続使用のための、特に増殖性疾患、より具体的に骨髄異形成症候群(MDS)または急性骨髄性白血病(AML)の処置に使用するための、組み合わせに関する。本発明はまた、そのような組み合わせを含む医薬組成物および、哺乳動物、特にヒトにおける、MDSまたはAMLのそのような組み合わせでの処置方法に関する。本発明は、さらに、そのような組み合わせを含む商業用包装物または製品にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ヒストンの可逆性アセチル化は、DNAに対する転写因子の可触性を変えることにより作用する遺伝子発現の主要なレギュレーターである。正常細胞では、ヒストンデアセチラーゼ(HDA)とヒストンアセチルトランスフェラーゼが一体となってヒストンのアセチル化のレベルを制御して、バランスを維持する。HDA阻害は過アセチル化ヒストンをもたらし、それが種々の細胞応答をもたらす。HDAIは、癌細胞に対するそれらの治療効果について試験されている。HDAI研究分野における最近の発展は、非常に有効で且つ安定であり、腫瘍の処置に適する活性化合物を提供している。
【0003】
蓄積中の証拠は、HDAIが、他の化学療法剤と組み合わせて使用されたとき、遙かに有効であることを示唆する。効果および安全性の両方に、相乗および相加両方の作用がある。化学療法剤とHDAIの組合せの治療効果は、組み合わせ中の各成分のより低い安全投与量範囲をもたらし得る。
【発明の概要】
【0004】
発明の要約
本発明は、増殖性疾患、特に非固形腫瘍疾患の進行遅延または処置のために、代謝拮抗剤と組み合わせて使用するための、有機化合物、特に、医薬組成物に関する。
【0005】
我々は、本発明により、ある種のHDAI、すなわち、HDACが、代謝拮抗剤と組み合わせたとき、増殖性疾患、特にMDSまたはAMLの進行遅延または処置に有効であることを発見した。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】LBH589と5−AzaCの組み合わせが、単剤としての各薬剤よりもより高いp21レベルおよびPARP開裂を誘発することを図説する。
【図2】U937 AML細胞株における、LBH589、5−アザシチジンまたはLBH589+5−アザシチジンのアポトーシス誘導を図説する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
発明の詳細な記載
従って、本発明は、処置を必要とする対象におけるMDSまたはAMLの進行遅延または処置方法を提供し、それは該対象に有効量の式(I):
【化1】

〔式中、
はH;ハロ;または直鎖C−Cアルキル、特にメチル、エチルまたはn−プロピルであり、このメチル、エチルおよびn−プロピル置換基は、非置換であるか、または以下にアルキル置換基について記載した1個以上の置換基で置換されており;
はH;C−C10アルキル、好ましくはC−Cアルキル、例えば、メチル、エチルまたは−CHCH−OH;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキルアルキル;シクロアルキルアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;−(CH)C(O)R;−(CH)OC(O)R;アミノアシル;HON−C(O)−CH=C(R)−アリール−アルキル−;および−(CH)から選択され;
およびRは同一または異なり、独立して、H;C−Cアルキル;アシル;またはアシルアミノであるか、または
およびRは、それらが結合している炭素と一体となって、C=O、C=SまたはC=NRであるか、または
は、それが結合している窒素と一体となり、そしてRは、それが結合している炭素と一体となり、C−Cヘテロシクロアルキル;ヘテロアリール;ポリへテロアリール;非芳香族性ポリへテロ環;またはアリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環を形成でき;
はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アシル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;芳香族性多環;非芳香族性多環;アリールおよび非アリール混合多環;ポリへテロアリール;非芳香族性ポリへテロ環;およびアリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環から選択され;
n、n、nおよびnは同一または異なり、独立して0−6から選択され、nが1−6であるとき、各炭素原子は、所望により、独立してRおよび/またはRで置換されてよく;
【0008】
XおよびYは同一または異なり、独立してH;ハロ;C−Cアルキル、例えばCHおよびCF;NO;C(O)R;OR;SR;CN;およびNR1011から選択され;
はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;シクロアルキルアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジルおよび2−フェニルエテニル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;OR12;およびNR1314から選択され;
はOR15;SR15;S(O)R16;SO17;NR1314;およびNR12SOから選択され;
はH;OR15;NR1314;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;およびヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチルから選択され;
−Cアルキル、例えば、CHおよびCF;C(O)−アルキル、例えば、C(O)CH;およびC(O)CFから選択され;
10およびR11は同一または異なり、独立してH;C−Cアルキル;および−C(O)−アルキルから選択され;
12はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキルアルキル;アリール;アリールおよび非アリール混合多環;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;およびヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチルから選択され;
13およびR14は同一または異なり、独立してH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;アミノアシルから選択されるか、または
13およびR14は、それらが結合している窒素と一体となって、C−Cヘテロシクロアルキル;ヘテロアリール;ポリへテロアリール;非芳香族性ポリへテロ環;またはアリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環であり;
15はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;および(CH)ZR12から選択され;
16はC−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;ポリへテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;および(CH)ZR12から選択され;
17はC−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;芳香族性多環;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;ポリへテロアリールおよびNR1314から選択され;
mは0−6から選択される整数であり;そして
ZはO;NR13;S;およびS(O)から選択される。〕
のHDACまたは薬学的に許容されるその塩と代謝拮抗剤の組み合わせを投与することを含む。
【0009】
適当であれば、“非置換”は置換基が存在しないまたは唯一の置換基が水素であることを意味する。
【0010】
ハロ置換基はフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード、好ましくはフルオロまたはクロロから選択される。
【0011】
アルキル置換基は、特記されない限り、直鎖または分枝鎖C−Cアルキルを含む。適当な直鎖または分枝鎖C−Cアルキル置換基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル等を含む。特記されない限り、アルキル置換基は非置換アルキル基および、1個以上の、不飽和、すなわち、1個以上の二重または三重C−C結合の存在;アシル;シクロアルキル;ハロ;オキシアルキル;アルキルアミノ;アミノアルキル;アシルアミノ;およびOR15、例えば、アルコキシを含む適当な置換基で置換されたアルキル基の両方を含む。アルキル基のための好ましい置換基は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、オキシアルキル、アルキルアミノおよびアミノアルキルを含む。
【0012】
シクロアルキル置換基は、特記されない限り、C−Cシクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含む。特記されない限り、シクロアルキル置換基は、非置換シクロアルキル基および、C−Cアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノアルキル、オキシアルキル、アルキルアミノおよびOR15、例えばアルコキシを含む1個以上の適当な置換基で置換されたシクロアルキル基の両方を含む。シクロアルキル基のための好ましい置換基は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、オキシアルキル、アルキルアミノおよびアミノアルキルを含む。
【0013】
アルキルおよびシクロアルキル置換基についての上記の考察は、他の置換基、例えば、限定しないが、アルコキシ、アルキルアミン、アルキルケトン、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルスルホニルおよびアルキルエステル置換基等のアルキル部分にも適用される。
【0014】
ヘテロシクロアルキル置換基は、1−3個の窒素、硫黄、酸素から選択されるヘテロ原子を含む、3−9脂肪族環、例えば4−7員脂肪族環を含む。適当なヘテロシクロアルキル置換基の例は、ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフラニル、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、モルホリノ、1,3−ジアザパン、1,4−ジアザパン、1,4−オキサゼパンおよび1,4−オキサチアパンを含む。特記されない限り、本環は非置換であるか、またはC−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;ハロ;アミノ;アルキルアミノおよびOR15、例えば、アルコキシを含む、1個以上の適当な置換基で炭素原子を置換されている。特記されない限り、窒素ヘテロ原子は、非置換であるか、またはH、C−Cアルキル;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;アシル;アミノアシル;アルキルスルホニル;およびアリールスルホニルで置換されている。
【0015】
シクロアルキルアルキル置換基は、式−(CH)n5−シクロアルキル(式中、n5は1−6の数字である)の化合物を含む。適当なアルキルシクロアルキル置換基は、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル等を含む。そのような置換基は、非置換であるか、またはアルキル部分またはシクロアルキル部分を、アルキルおよびシクロアルキルについて上記に挙げたものを含む、適当な置換基で置換されている。
【0016】
アリール置換基は、非置換フェニルおよび、C−Cアルキル;シクロアルキルアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;O(CO)アルキル;オキシアルキル;ハロ;ニトロ;アミノ;アルキルアミノ;アミノアルキル;アルキルケトン;ニトリル;カルボキシアルキル;アルキルスルホニル;アミノスルホニル;アリールスルホニルおよびOR15、例えばアルコキシを含む、1個以上の適当な置換基で置換されたフェニルを含む。好ましい置換基は、C−Cアルキル;シクロアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;アルコキシ;オキシアルキル;ハロ;ニトロ;アミノ;アルキルアミノ;アミノアルキル;アルキルケトン;ニトリル;カルボキシアルキル;アルキルスルホニル;アリールスルホニルおよびアミノスルホニルを含む。適当なアリール基の例は、C−Cアルキルフェニル、C−Cアルコキシフェニル、トリフルオロメチルフェニル、メトキシフェニル、ヒドロキシエチルフェニル、ジメチルアミノフェニル、アミノプロピルフェニル、カルボエトキシフェニル、メタンスルホニルフェニルおよびトリルスルホニルフェニルを含む。
【0017】
芳香族性多環は、ナフチル、およびC−Cアルキル;アルキルシクロアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;オキシアルキル;ハロ;ニトロ;アミノ;アルキルアミノ;アミノアルキル;アルキルケトン;ニトリル;カルボキシアルキル;アルキルスルホニル;アリールスルホニル;アミノスルホニルおよびOR15、例えばアルコキシを含む、1個以上の適当な置換基で置換されたナフチルを含む。
【0018】
ヘテロアリール置換基は、N、OおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子、例えば、1−4個のヘテロ原子を含む、5−7員芳香環を含む。典型的ヘテロアリール置換基は、フリル、チエニル、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、チアゾール、オキサゾール、ピリジン、ピリミジン、イソオキサゾリル、ピラジン等を含む。特記されない限り、ヘテロアリール置換基は、非置換であるか、または炭素原子を、アルキル、上記で同定したアルキル置換基、および他のヘテロアリール置換基を含む、1個以上の適当な置換基で置換されている。窒素原子は、非置換であるか、または、例えば、R13で置換されており;特に有用なN置換基は、H、C−Cアルキル、アシル、アミノアシルおよびスルホニルを含む。
【0019】
アリールアルキル置換基は、式−(CH)n5−アリール、−(CH)n5−1−(CH−アリール)−(CH)n5−アリールまたは−(CH)n5−1CH(アリール)(アリール)(式中、アリールおよびn5は上記で定義の通りである)の基を含む。このようなアリールアルキル置換基は、ベンジル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチル、トリル−3−プロピル、2−フェニルプロピル、ジフェニルメチル、2−ジフェニルエチル、5,5−ジメチル−3−フェニルペンチル等を含む。アリールアルキル置換基は、非置換であるか、またはアルキル部分またはアリール部分もしくは両方をアルキルおよびアリール置換基について上記の通り置換されている。
【0020】
ヘテロアリールアルキル置換基は、式−(CH)n5−ヘテロアリール(式中、ヘテロアリールおよびn5は上記で定義の通りであり、架橋基がヘテロアリール部分の炭素または窒素を連結している)の基、例えば2−、3−または4−ピリジルメチル、イミダゾリルメチル、キノリルエチルおよびピロリルブチルを含む。ヘテロアリール置換基は、非置換であるか、またはヘテロアリールおよびアルキル置換基について上記の通り置換されている。
【0021】
アミノアシル置換基は、式−C(O)−(CH)−C(H)(NR1314)−(CH)−R(式中、n、R13、R14およびRは上記で定義の通りである)の基を含む。適当なアミノアシル置換基は、天然および非天然アミノ酸、例えばグリシニル、D−トリプトファニル、L−リシニル、D−またはL−ホモセリニル、4−アミノブチリックアシルおよび±−3−アミン(amin)−4−ヘキセノイルを含む。
【0022】
非芳香族性多環置換基は、各環が4−9員であってよく、そして各環が0(zerio)、1個またはそれ以上の二重および/または三重結合を含み得る、二環式および三環式縮合環系を意味する。非芳香族性多環の適当な例は、デカリン、オクタヒドロインデン、ペルヒドロベンゾシクロヘプテンおよびペルヒドロベンゾ−[f]−アズレンを含む。このような置換基は、非置換であるか、またはシクロアルキル基について上記の通り置換されている。
【0023】
アリールおよび非アリール混合多環置換基は、各環が4−9員であってよく、そして少なくとも1個の環が芳香族性である、二環式および三環式縮合環系を含む。アリールおよび非アリール混合多環の適当な例は、メチレンジオキシフェニル、ビス−メチレンジオキシフェニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、ジベンゾスベラン、ジヒドロ(hdydro)アントラセンおよび9H−フルオレンを含む。このような置換基は、非置換であるか、またはニトロでまたはシクロアルキル基について上記の通り置換されている。
【0024】
ポリへテロアリール置換基は、各環が独立して5または6員であってよく、そして縮合環系が芳香族性であるように、O、NまたはSから選択される1個以上のヘテロ原子、例えば、1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を含む、二環式および三環式縮合環系を含む。ポリへテロアリール環系の適当な例は、キノリン、イソキノリン、ピリドピラジン、ピロロピリジン、フロピリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフラン、ベンズインドール、ベンゾオキサゾール、ピロロキノリン等を含む。特記されない限り、ポリへテロアリール置換基は、非置換であるか、または炭素原子を、アルキル、上記で同定したアルキル置換基および式−O−(CHCH=CH(CH)(CH))1−3Hの置換基を含む、1個以上の適当な置換基で置換されている。窒素原子は、非置換であるか、または、例えば、R13で置換されており、特に有用なN置換基は、H、C−Cアルキル、アシル、アミノアシルおよびスルホニルを含む。
【0025】
非芳香族性ポリへテロ環式置換基は、各環が、O、NまたはSから選択される1個以上のヘテロ原子、例えば、1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を含み、0個、1個またはそれ以上のC−C二重または三重結合を含む4−9員であってよい、二環式および三環式縮合環系を含む。非芳香族性ポリへテロ環の適当な例は、ヘキシトール、cis−ペルヒドロ−シクロヘプタ[b]ピリジニル、デカヒドロ−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピニル、2,8−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、ヘキサヒドロ−チエノ[3,2−b]チオフェン、ペルヒドロピロロ[3,2−b]ピロール、ペルヒドロナフチリジン、ペルヒドロ−1H−ジシクロペンタ[b,e]ピランを含む。特記されない限り、非芳香族性ポリへテロ環式置換基は、非置換であるか、または炭素原子を、アルキルおよび上記で同定したアルキル置換基を含む、1個以上の置換基で置換されている。窒素原子は、非置換であるか、または、例えば、R13で置換され、特に有用なN置換基は、H、C−Cアルキル、アシル、アミノアシルおよびスルホニルを含む。
【0026】
アリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環置換基は、各環が、O、NまたはSから選択される1個以上のヘテロ原子を含む4−9員であってよく、環の少なくとも1個が芳香族性でなければならない、二環式および三環式縮合環系を含む。アリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環の適当な例はm、2,3−ジヒドロインドール、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、5,11−ジヒドロ−10H−ジベンズ[b,e][1,4]ジアゼピン、5H−ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン、1,2−ジヒドロピロロ[3,4−b][1,5]ベンゾジアゼピン、1,5−ジヒドロ−ピリド[2,3−b][1,4]ジアゼピン−4−オン、1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロ−ベンゾ[b]ピリド[2,3−e][1,4]ジアゼピン−5−オンを含む。特記されない限り、アリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環式置換基は、非置換であるか、または炭素原子を、−N−OH、=N−OH、アルキルおよび上記で同定したアルキル置換基を含む、1個以上の適当な置換基で置換されている。窒素原子は、非置換であるか、または、例えば、R13で置換されており;特に有用なN置換基は、H、C−Cアルキル、アシル、アミノアシルおよびスルホニルを含む。
【0027】
アミノ置換基は、1級、2級および3級アミン類および塩形で、4級アミン類を含む。アミノ置換基の例は、モノ−およびジ−アルキルアミノ、モノ−およびジ−アリールアミノ、モノ−およびジ−アリールアルキルアミノ、アリール−アリールアルキルアミノ、アルキル−アリールアミノ、アルキル−アリールアルキルアミノ等を含む。
【0028】
スルホニル置換基は、アルキルスルホニルおよびアリールスルホニル、例えば、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トシル等を含む。
【0029】
アシル置換基は、式−C(O)−W、−OC(O)−W、−C(O)−O−Wまたは−C(O)NR1314(式中、WはR16、Hまたはシクロアルキルアルキルである)の基を含む。
【0030】
アシルアミノ置換基は、式−N(R12)C(O)−W、−N(R12)C(O)−O−Wおよび−N(R12)C(O)−NHOH(ここで、R12およびWは上記で定義の通りである)の置換基を含む。
【0031】
置換基HON−C(O)−CH=C(R)−アリール−アルキル−は、式
【化2】

の基である。
【0032】
置換基の各々について以下のものが好ましい:
はH、ハロまたは直鎖C−Cアルキルであり;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、−(CH)C(O)R、アミノアシルおよび−(CH)から選択され;
およびRは同一または異なり、独立してHおよびC−Cアルキルから選択されるか、または
およびRは、それらが結合している炭素と一体となって、C=O、C=SまたはC=NRであり;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、芳香族性多環、非芳香族性多環、アリールおよび非アリール混合多環、ポリへテロアリール、非芳香族性ポリへテロ環、およびアリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環から選択され;
n、n、nおよびnは同一または異なり、独立して0−6から選択され、nが1−6であるとき、各炭素原子は非置換であるか、または独立してRおよび/またはRで置換されており;
XおよびYは同一または異なり、独立してH、ハロ、C−Cアルキル、CF、NO、C(O)R、OR、SR、CNおよびNR1011から選択され;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、OR12およびNR1314から選択され;
はOR15、SR15、S(O)R16、SO17、NR1314およびNR12SOから選択され;
はH、OR15、NR1314、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから選択され;
はC−CアルキルおよびC(O)−アルキルから選択され;
10およびR11は同一または異なり、独立してH、C−Cアルキルおよび−C(O)−アルキルから選択され;
12はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから選択され;
13およびR14は同一または異なり、独立してH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよびアミノアシルから選択され;
15はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび(CH)ZR12から選択され;
16はC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび(CH)ZR12から選択され;
17はC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよびNR1314から選択され;
mは0−6から選択される整数であり;そして
ZはO、NR13、SおよびS(O)から選択される。
【0033】
有用な式(I)の化合物は、nおよびnの一方が0であり、そして他方が1であるものを含む、R、X、Y、RおよびRの各々がHであるもの、特にRがHまたは−CH−CH−OHであるものを含む。
【0034】
ヒドロキサメート化合物の一つの適当な群は、式(Ia):
【化3】

〔式中、
は0−3であり;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、−(CH)C(O)R、アミノアシルおよび−(CH)から選択され;そして
はヘテロアリール;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;芳香族性多環;非芳香族性多環;アリールおよび非アリール混合多環;ポリへテロアリールまたは混合アリール;および非アリールポリへテロ環である。〕
の化合物、または薬学的に許容されるその塩である。
【0035】
ヒドロキサメート化合物の他の一つの群は、式(Ia):
【化4】

〔式中、
は0−3であり;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、−(CH)C(O)R、アミノアシルおよび−(CH)から選択され;
はアリール;アリールアルキル;芳香族性多環;非芳香族性多環および混合アリール;および非アリール多環、特にアリール、例えばp−フルオロフェニル、p−クロロフェニル、p−O−C−Cアルキルフェニル、例えばp−メトキシフェニル、およびp−C−Cアルキルフェニル;およびアリールアルキル、例えばベンジル、オルト−、メタ−またはパラ−フルオロベンジル、オルト−、メタ−またはパラ−クロロベンジル、オルト−、メタ−またはパラ−モノ−、ジ−またはトリ−O−C−Cアルキルベンジル、例えばオルト−、メタ−またはパラ−メトキシベンジル、m,p−ジエトキシベンジル、o,m,p−トリ(trii)メトキシベンジルおよびオルト−、メタ−またはパラ−モノ−、ジ−またはトリ−C−Cアルキルフェニル、例えばp−メチル、m,m−ジエチルフェニルである。〕
の化合物、または薬学的に許容されるその塩である。
【0036】
他の興味深い群は、式(Ib):
【化5】

〔式中、
はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;シクロアルキルアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;(CH)2−4OR21(ここで、R21はH、メチル、エチル、プロピルおよびi−プロピルである)から選択され;そして
は非置換1H−インドール−3−イル、ベンゾフラン−3−イルまたはキノリン−3−イル、または置換1H−インドール−3−イル、例えば5−フルオロ−1H−インドール−3−イルまたは5−メトキシ−1H−インドール−3−イル、ベンゾフラン−3−イルまたはキノリン−3−イルである。〕
の化合物、または薬学的に許容されるその塩である。
【0037】
ヒドロキサメート化合物の他の興味深い群は、式(Ic):
【化6】

〔式中、
含有環は芳香族性または非芳香族性であり、その非芳香環は飽和または不飽和であり、
はO、SまたはN−R20であり;
18はH;ハロ;C−Cアルキル(メチル、エチル、t−ブチル);C−Cシクロアルキル;アリール、例えば、非置換フェニルまたは4−OCHまたは4−CFで置換されたフェニル;またはヘテロアリール、例えば2−フラニル、2−チオフェニルまたは2−、3−または4−ピリジルであり;
20はH;C−Cアルキル;C−Cアルキル−C−Cシクロアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;アシル、例えば、アセチル、プロピオニルおよびベンゾイル;またはスルホニル、例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼンスルホニルおよびトルエンスルホニルであり;
は独立してH;C−Cアルキル;−OR19;ハロ;アルキルアミノ;アミノアルキル;ハロ;またはヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチルである1個、2個または3個の置換基であり;
19は;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチルおよび−(CHCH=CH(CH)(CH))1−3Hから選択されH;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、−(CH)C(O)R、アミノアシルおよび−(CH)から選択され;
vは0、1または2であり;
pは0−3であり;そして
qは1−5であり、そしてrは0であるか、または
qは0であり、そしてrは1−5である。〕
の化合物、または薬学的に許容されるその塩である。
【0038】
他の可変置換基は上記で定義の通りである。
【0039】
特に有用な式(Ic)の化合物は、RがHであるか、または−(CH)CHOHであり、ここで、pが1−3である化合物、特にRがHである化合物;例えば、RがHであり、そしてXおよびYが各々Hであり、そしてここで、qが1−3であり、そしてrが0であるか、またはqが0であり、そしてrが1−3である化合物、特にZがN−R20である化合物である。これらの化合物の中で、Rは好ましくはHまたは−CH−CH−OHであり、qとrの合計は好ましくは1である。
【0040】
ヒドロキサメート化合物の他の興味深い群は、式(Id):
【化7】

〔式中、
はO、SまたはN−R20であり;
18はH;ハロ;C−Cアルキル(メチル、エチル、t−ブチル);C−Cシクロアルキル;アリール、例えば、非置換フェニルまたは4−OCHまたは4−CFで置換されたフェニル;またはヘテロアリールであり;
20はH;C−Cアルキル、C−Cアルキル−C−Cシクロアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;アシル、例えば、アセチル、プロピオニルおよびベンゾイル;またはスルホニル、例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニルであり;
は独立してH、C−Cアルキル、−OR19またはハロである1個、2個または3個の置換基であり;
19はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;およびヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチルから選択され;
pは0−3であり;そして
qは1−5であり、そしてrは0であるか、または
qは0であり、そしてrは1−5である。〕
の化合物、または薬学的に許容されるその塩である。
【0041】
他の可変置換基は上記で定義の通りである。
【0042】
特に有用な式(Id)の化合物は、RがHまたは−(CH)CHOHであり、ここで、pが1−3である化合物、特にRがHである化合物;例えば、RがHであり、そしてXおよびYが各々Hであり、そしてここで、qが1−3であり、そしてrが0であるか、またはqが0であり、そしてrが1−3である化合物である。これらの化合物の中で、Rは好ましくはHまたは−CH−CH−OHであり、qとrの合計は好ましくは1である。
【0043】
本発明は、さらに、式(Ie):
【化8】

の化合物、または薬学的に許容されるその塩に関する。
【0044】
可変置換基は上記で定義の通りである。
【0045】
特に有用な式(Ie)の化合物は、R18がH、フルオロ、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル基、置換C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、非置換フェニル、パラ位を置換されているフェニル、またはヘテロアリール、例えば、ピリジル環である化合物である。
【0046】
有用な式(Ie)の化合物の他の群は、RがHまたは−(CH)CHOHであり、ここで、pが1−3であり、特にRがHである化合物;例えば、RがHであり、そしてXおよびYが各々Hであり、そしてここで、qが1−3であり、そしてrが0であるか、またはqが0であり、そしてrが1−3である化合物。これらの化合物の中で、Rは好ましくはHまたは−CH−CH−OHであり、qとrの合計は好ましくは1である化合物である。これらの化合物の中で、pは好ましくは1であり、そしてRおよびRは好ましくはHである。
【0047】
有用な式(Ie)の化合物の他の群は、R18がH、メチル、エチル、t−ブチル、トリフルオロメチル、シクロヘキシル、フェニル、4−メトキシフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、2−フラニル、2−チオフェニル、または2−、3−または4−ピリジルであり、ここで、2−フラニル、2−チオフェニルおよび2−、3−または4−ピリジル置換基は非置換であるか、またはヘテロアリール環について上記の通り置換されており;RがHまたは−(CH)CHOHであり、ここで、pが1−3である化合物;特にRがHであり、そしてXおよびYが各々Hであり、そしてここで、qが1−3であり、そしてrが0であるか、またはqが0であり、そしてrが1−3である化合物である。これらの化合物の中で、Rは好ましくはHまたは−CH−CH−OHであり、qとrの合計は好ましくは1である。
【0048】
20がHまたはC−Cアルキル、特にHである式(Ie)の化合物は、上記の式(Ie)の化合物の各下位群の重要なメンバーである。
【0049】
N−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドおよびN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドまたは薬学的に許容されるその塩は、重要な式(Ie)の化合物である。
【0050】
具体的態様において、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドはHDAC阻害剤である。
【0051】
本発明は、さらに、式(If):
【化9】

の化合物、または薬学的に許容されるその塩に関する。
【0052】
可変置換基は上記で定義の通りである。
【0053】
有用な式(If)の化合物は、RがHまたは−(CH)CHOHであり、ここで、pが1−3である化合物、特にRがHである化合物;例えば、RがHであり、そしてXおよびYが各々Hであり、そしてここで、qが1−3であり、そしてrが0であるか、またはqが0であり、そしてrが1−3である化合物を含む。これらの化合物の中で、Rは好ましくはHまたは−CH−CH−OHであり、qとrの合計は好ましくは1である。
【0054】
N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(ベンゾフル−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドまたは薬学的に許容されるその塩は、重要な式(If)の化合物である。
【0055】
上記の化合物は、しばしば薬学的に許容される塩の形で使用される。薬学的に許容される塩は、適当であれば、薬学的に許容される塩基付加塩および酸付加塩、例えば、金属塩、例えばアルカリおよびアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩およびアミノ酸付加塩およびスルホン酸塩を含む。酸付加塩は、無機酸付加塩、例えば塩酸塩、硫酸塩およびリン酸塩;および有機酸付加塩、例えばアルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩および乳酸塩を含む。金属塩の例は、アルカリ金属塩、例えばリチウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩およびカルシウム塩、アルミニウム塩および亜鉛塩である。アンモニウム塩の例は、アンモニウム塩およびテトラメチルアンモニウム塩である。有機アミン付加塩の例は、モルホリンおよびピペリジンとの塩である。アミノ酸付加塩の例は、グリシン、フェニルアラニン、グルタミン酸およびリシンとの塩である。スルホン酸塩は、メシル酸塩、トシル酸塩およびベンゼンスルホン酸塩を含む。
【0056】
式(I)の範囲内に入るさらなるHDAI化合物、およびそれらの合成は、WO02/22577に開示されている。WO02/22577の範囲内の2個の好ましい化合物は、式(II):
【化10】

のN−ヒドロキシ−3−[4−[(2−ヒドロキシエチル){2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、または薬学的に許容されるその塩、および式(III):
【化11】

のN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、または薬学的に許容されるその塩である。
【0057】
ここで使用する用語“代謝拮抗剤”は、DNAの合成を阻止または妨害し、細胞死をもたらす化合物に関する。代謝拮抗剤の例は、6−メルカプトプリン;シタラビン;フルダラビン;フロクスウリジン(flexuridine);フルオロウラシル;カペシタビン;ラルチトレキセド;メトトレキサート;クラドリビン;ゲムシタビン;ゲムシタビンヒドロクロライド;チオグアニン;ヒドロキシウレア;DNA脱メチル化剤、例えば5−アザシチジンおよびデシタビン;エダトレキサート;およびペメトレキセドのような、しかしこれに限定されない葉酸アンタゴニストを含み、これに限定されない。カペシタビンは、例えば、商標名XELODAの下に、例えば市販の形で、投与できる;そしてゲムシタビンはGEMZARとして投与できる。
【0058】
好ましい態様において、代謝拮抗剤は5−アザシチジンである。
【0059】
さらに、本発明は、増殖性疾患の処置において代謝拮抗剤と組み合わせて使用するための医薬の製造のための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグエステルの使用を提供する。
【0060】
さらなる局面において、本発明は、増殖性疾患、特にMDSまたはAMLの処置のための、HDAC阻害剤と代謝拮抗剤の組み合わせの使用を提供する。
【0061】
さらに別の局面において、本発明は、増殖性疾患、特にMDSまたはAMLの処置のために、代謝拮抗剤と組み合わせて使用するための、活性成分としてのHDAC阻害剤を提供する。
【0062】
なおさらに別の局面において、本発明は、HDAC阻害剤を、増殖性疾患、特にMDSまたはAMLの処置のために、代謝拮抗剤と組み合わせて使用することに関する指示書と共に含む、包装物を提供する。
【0063】
ここで使用する用語“進行遅延”は、本組合せの、処置すべき増殖性疾患の初期相にある患者への投与を意味する。
【0064】
組み合わせは、HDAC阻害剤を代謝拮抗剤の別々の、同時のまたは連続的な投与なしに投与したときには得られないであろう相乗効果が存在するように(ここで、代謝拮抗剤の投与は、断続的、連続的または散発的であってよい)、またはHDAC阻害剤の別々の、同時のまたは連続的な投与なしの代謝拮抗剤の投与では得られないであろう効果が存在するように(ここで、投与は、断続的、連続的または散発的であってよい)、一定量のHDAC阻害剤の投与を、一定量の代謝拮抗剤の投与と組み合わせることを意味する。
【0065】
好ましくは、組み合わせは、一定量のHDAC阻害剤の投与と一定量の代謝拮抗剤の投与を下記の条件では存在しないであろう、相乗的抗増殖効果および/または殺クローン原性細胞効果が存在するように投与することを意味する:
a) HDACを代謝拮抗剤の前もっての、同時のまたはその後の投与なく投与する。投与は、断続的、連続的または散発的であってよい;
b) 代謝拮抗剤をHDAC阻害剤の前もっての、同時のまたはその後の投与なく投与する。投与は、断続的、連続的または散発的であってよい。
【0066】
(a) 遊離形または薬学的に許容される塩で存在し得るHDAC阻害剤および所望により少なくとも1個の薬学的に許容される担体;および
(b) 代謝拮抗剤
を含む組み合わせを、以後本発明の組み合わせと呼ぶ。
【0067】
本発明の組み合わせにおいて、HDAC阻害剤および薬学的に許容される塩およびプロドラッグ誘導体は、好ましくは、適切な治療的有効量の活性成分を、所望により投与に適当な無機または有機、固体または液体、薬学的に許容される担体と一緒にまたは混合して含む、医薬製剤の形で使用する。
【0068】
別の態様において、代謝拮抗剤を前処置として、すなわち本発明の組み合わせでの処置を開始する前に投与する;代謝拮抗剤単独を、規定の時間患者に投与する。
【0069】
HDAC医薬組成物は、例えば、経腸、例えば経口、直腸、エアロゾル吸入または経鼻投与用組成物、非経腸、例えば静脈内または皮下投与用組成物、または(例えば、受動的またはイオン泳動的(iontophoretic))経皮投与用組成物、または局所投与用組成物であってよい。
【0070】
好ましくは、HDAC医薬組成物は経口投与に適する。
【0071】
本発明の医薬組成物はそれ自体既知の方法で製造でき、治療的有効量の少なくとも1個の薬理活性組み合わせパートナーを単独でまたは、特に適当な経腸または非経腸適用に適当な1個以上の薬学的に許容される担体を含む、ヒトを含む哺乳動物(温血動物)への経腸、例えば経口または直腸、および非経腸投与に適当なものである。
【0072】
新規医薬組成物は、例えば、約10%〜約100%、好ましくは約20%〜約60%の複数活性成分を含む。経腸または非経腸投与用組み合わせ治療用医薬製剤は、例えば、単位投与形態、例えば糖衣錠、錠剤、カプセル剤または坐薬、およびさらにアンプルであるものである。特記しない限り、これらは、それ自体既知の方法で、例えば、慣用の混合、造粒、糖コーティング、溶解または凍結乾燥工程により製造する。各投与形態の個々の投与量に含まれる組み合わせパートナーの単位含量は、必要な有効量が複数の投与単位の投与により到達され得るため、それ自体有効量を構成する必要がないことは認識されよう。
【0073】
経口投与形態のための組成物の製造に際し、例えば、粉末、カプセル剤および錠剤のような経口固体製剤の場合、例えば、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤;または担体、例えばデンプン、糖、微晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、平滑剤、結合剤、崩壊剤等のような任意の通常の医薬媒体を用いてよく、固体経口製剤は、液体製剤よりも好ましい。その投与の容易さのために、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口投与単位形態の代表であり、その場合、固体医薬担体を明らかに用いる。
【0074】
特に、本発明の組み合わせの各組み合わせパートナーの治療的有効量を、同時に、または連続的に任意の順番で投与してよく、これらの成分を別々にまたは固定組み合わせ剤として投与してよい組み合わせ。例えば、本発明に従う増殖性疾患の進行遅延または処置方法は、併用で治療的有効量で、好ましくは相乗的有効量で、例えば、ここに記載の量に対応する毎日または毎週の量での:
(i)第一組み合わせパートナーの投与;および
(ii)第二組み合わせパートナーの投与を含み、
ここで、組み合わせパートナーの投与は同時でも任意の順番で連続的でもよい。本発明の組み合わせの個々の組み合わせパートナーは、治療経過中の異なる時点で別々にまたは同時に投与できる。さらに、用語投与はまた、インビボで本組み合わせパートナー自体に変換するHDAC阻害剤のプロドラッグの使用も包含する。本発明は、それ故に、同時または交互の処置の全てのこのようなレジメを包含すると理解すべきであり、用語“投与”はそれに従い解釈すべきである。
【0075】
代謝拮抗剤およびHDAC阻害剤の相互に関連した投与量は、好ましくは相乗的である比率である。
【0076】
温血動物がヒトであるならば、式(I)の化合物の投与量は好ましくは1日100−1,500mg、例えば、200−1,000mg/日、例えば200、400、500、600、800、900または1,000mg/日の範囲の適当な量であり、1日1回または12回投与する。細胞死受容体リガンド適当な投与量および投与頻度は、処置する適応症の性質および重症度、所望の応答、患者の状態等のような因子に依存する。
【0077】
HDAC阻害剤の特定の投与形式および投与量は、患者の特性、特に年齢、体重、ライフスタイル、活動レベル等を考慮に入れて、担当医により選択され得る。
【0078】
HDAC阻害剤の投与量は、種々の因子、例えば活性成分の有効性および作用時間、投与形式、イオン化放射の有効性および作用時間および/または処置対象の性別、年齢、体重および個々の状態のような種々の因子に依存し得る。
【0079】
イオン化放射の量は、例えばイオン化放射の有効性および作用時間、投与形式、投与一、HDAC阻害剤の有効性および作用時間および/または処置対象の性別、年齢、体重および個々の状態に依存し得る。イオン化放射の投与量は、一般に放射吸収線量、時間およびフラクションの観点から規定され、担当医により注意深く規定されなければならない。
【0080】
本発明の一つの好ましい態様において、本組み合わせは、代謝拮抗剤および上記式(III)のN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドまたは薬学的に許容されるその塩を含む。
【0081】
本発明の他の好ましい態様において、本組み合わせは、5−アザシチジンおよび上記式(III)のN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドまたは薬学的に許容されるその塩を含む。
【0082】
さらに、本発明は、増殖性疾患を有する温血動物の処置方法であって、該動物に本発明の組み合わせを、増殖性疾患に対して併用で治療的に有効であるような方法で投与することを含み、ここで、これらの組み合わせパートナーはまたその薬学的に許容される塩の形でも存在できる、方法に関する。
【0083】
さらに、本発明は、増殖性疾患の進行遅延または処置のための、および増殖性疾患の進行遅延または処置用医薬の製造のための本発明の組み合わせの使用に関する。
【0084】
以下の実施例は単に説明的であり、いかなる方法でも本発明の範囲を限定することを意図しない:
【実施例】
【0085】
実施例1:LBH589と脱メチル化剤5−Azaの組み合わせは、各剤単独よりも多くのアポトーシスを誘発する
クロマチンレベルでの腫瘍サプレッサー遺伝子の沈黙は腫瘍形成の主要な特徴である。LBH589および5−アザシチジンは、両方ともクロマチン構造の調節を介して腫瘍サプレッサー遺伝子の発現を促進する化合物である。HDAIであるLBH589は、ヒストンのアセチル化の増加を引き起こし、転写因子結合および活性に都合が良い弛緩クロマチン構造を導く。多くの腫瘍サプレッサー遺伝子はまたCpG島でのDNAメチル化により沈黙し、そして5−アザシチジンは、これらの遺伝子の再発現を導くCpG島脱メチル化をもたらす。これらの主要な後成的機構の間のクロストークおよび相乗性を報告するいくつかの試験があり、我々は、LBH589と5−アザシチジンの組み合わせが、各化合物単独よりも腫瘍細胞死を増強するはずであると仮説立てた。
【0086】
材料、方法および結果
AML細胞株U937を単剤または組み合わせとしてLBH589または5−azaとインキュベートする。図1に見られる通り。5−azaではなく、LBH589はアルファ−チューブリンのアセチル化の増加を誘発し、各化合物は、細胞増殖阻害因子p21の発現を誘発するが、両化合物の組み合わせが、各化合物単独より高レベルのp21を誘発する。さらに、各化合物がアポトーシス細胞死で測定して、ほんの僅かなPARP開裂しか誘発しないのに対し、両化合物の組み合わせは相加を超えるPARP開裂を誘発する。このように機構的に、LBH589は、5−azaと組み合わせたとき、各化合物単独と比較して、成長抑制因子p21の発現を増強し、相乗的に多いアポトーシスを誘発する。
【0087】
U937細胞を、2μM 5−aza、10nM LBH589または5−aza+LBH589の組み合わせで24時間処理する。細胞を溶解し、タンパク質をSDS−PAGEにより分離し、ウェスタン免疫ブロット法分析を、アセチル化チューブリン、p21、PARPおよびβ−アクチン(ローディングのコントロール)に対する抗体で行う。
【0088】
U937 AML細胞株および原発性ヒトAML芽細胞におけるLBH589、5−azaまたはLBH589+5−azaによるアポトーシス誘導
LBH589+5−azaの組み合わせをAMLにおける細胞死を誘発についてさらに試験するために、AML患者からのU937 AML細胞株および新鮮な白血病芽細胞を、組み合わせとしてまたは単剤としてこれら化合物とインキュベートする。細胞死を、Annexin V(アポトーシスを指示)での細胞染色により、またはトリパンブルー排除により生存細胞を計測することによりモニターする。図2に示す通り、LBH589+5−aza組み合わせで処置したU937細胞は、単剤で誘発されるよりも遙かに高いアポトーシス(annexin V染色で測定して)を生じる。同様に、表1に示す通り、患者から単離した原発性ヒトAML芽細胞において、LBH589+5−aza組み合わせで、単剤よりも高い割合の細胞死が誘発される。重要なことに、2化合物を組み合わせたとき、拮抗作用は観察されない。
【0089】
U937細胞を、1μM、2μM、5μM 5−aza、10nM、20nM LBH589またはLBH589および5−azaの組み合わせと24時間インキュベートする。Annexin V染色を行い、緑色に染色された(アポトーシス)細胞の割合を計算し、プロットする。
【表1】

【0090】
AML患者から単離した原発性白血病芽細胞を10nM、20nM LBH589、1μM、2μM 5−azaまたはLBH589+5−azaの組み合わせとインキュベートする。トリパンブルー排除を使用して、生存可能細胞の数を計数し、各処置の視細胞の割合を計算し、表にする。
【0091】
実施例2:MDSまたはAMLの成人患者における5−Azaと共に投与した経口N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドのフェーズI、オープンラベル、多施設、用量漸増試験
両アームにおける用量漸増相中、5−Azaを、5−Aza治療で再発したかまたはそれに難治性であり、標準治療に不適切であると見なされるMDS(RAEBまたはCMML)患者に、または、標準治療後に再発したかまたはそれに難治性であるAML患者、または年齢、予後不良、または付随する医学的状態のために以前は未処置のままであったAML患者、および標準導入治療の不適切な候補と見なされるAML患者に、4−6週スケジュールで75mg/m SQを1日1回7日間投与する。N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドをアームにより2種のスケジュールで投与する。
5−Azaを4−6週スケジュールで投与する。
【0092】
アーム1用量漸増:アーム1:午後投与LBH589 15mg(開始投与レベル)、経口、1−3週目月水金、Q4−6週目。午前投与5−Aza 75mg/m、1−7日目 Q4−6週目。
N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドを、1週目、2週目、および3週目の月曜日、水曜日、金曜日に15mg経口投与する。毒性が許容されるならば、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドを、過量対照を伴う3パラメータベイジアンロジスティック回帰モデルに従い増加させる。アーム1について、MTD投与レベルは、この3週間スケジュールを使用したN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドの低投与量で定義する。さらに6患者コホートを3週間N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドDLT投与レベルを2週間のみ使用して、毒性を評価する。
【0093】
アーム2用量漸増:N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドを、2週目および3週目の月曜日、水曜日、金曜日に15mg経口投与する。毒性が許容されるならば、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドを、コホートあたり5−10mg増加する。アーム2について、MTD投与レベルは、この2週間スケジュールを使用したN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドの低投与量で定義する。さらに6患者コホートをN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドMTD投与レベル未満の低用量で3週間処置して、毒性を評価する。
【0094】
アーム1および2コホート拡大:アーム2:LBH58915mg(開始投与レベル)、po、2−3週目月水金、Q4−6週目。5−Aza 75mg/m、1−7日目、Q4−6週目。
用量拡大相を、各アームについてMTDで開始し、用量漸増相と同じ患者集団を処置し、以前は年齢、予後不良、または付随する医学的状態のために未処置であったおよび標準導入治療に不適切な候補であると見なされる、または標準導入治療を拒む5−Azaでの処置に適格な全MDS患者を包含するように拡大する。
【0095】
各スケジュールは、重複毒性(すなわち、骨髄抑制)および投与の順序の2剤組合せの問題を扱う。
【0096】
用量漸増 ベイジアンロジスティック回帰。過量対照を伴う3パラメータベイジアンロジスティック回帰モデルを用量漸増について使用する。このモデルは単剤として包含される各薬剤の用量毒性曲線を示す傾斜および切片パラメータに加えて、より高用量(dose-dense)スケジュール(アーム1)に環系する何らかの付加的毒性を示すさらなるパラメータを含む。分布は、各用量組み合わせが以下の範疇に入る確実性を要約する:
1) 用量不足:DLT率20%未満
2) 標的毒性:DLT率20%〜<35%(除く)
3) 過剰毒性:DLT率35%〜<60%(除く)
4) 許容されない毒性:60%以上のDLT。
【0097】
過量対照は、少なくとも12名のMTDと評価可能患者がそのアームについての推奨用量に包含されているとき、各アームについて25%を超える用量漸増がある何らかのLBH589Aの投与量の終わりを指定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置を必要とする対象における増殖性疾患から選択され骨髄異形成症候群(MDS)または急性骨髄性白血病(AML)の処置方法であって:
(a) 式(I):
【化1】

〔式中、
はH;ハロ;または直鎖C−Cアルキル、特にメチル、エチルまたはn−プロピルであり、このメチル、エチルおよびn−プロピル置換基は、非置換であるか、または以下にアルキル置換基について記載した1個以上の置換基で置換されており;
はH;C−C10アルキル、好ましくはC−Cアルキル、例えば、メチル、エチルまたは−CHCH−OH;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキルアルキル;シクロアルキルアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;−(CH)C(O)R;−(CH)OC(O)R;アミノアシル;HON−C(O)−CH=C(R)−アリール−アルキル−;および−(CH)から選択され;
およびRは同一または異なり、独立して、H;C−Cアルキル;アシル;またはアシルアミノであるか、または
およびRは、それらが結合している炭素と一体となって、C=O、C=SまたはC=NRであるか、または
は、それが結合している窒素と一体となり、およびRは、それが結合している炭素と一体となり、C−Cヘテロシクロアルキル;ヘテロアリール;ポリへテロアリール;非芳香族性ポリへテロ環;またはアリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環を形成でき;
はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アシル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;芳香族性多環;非芳香族性多環;アリールおよび非アリール混合多環;ポリへテロアリール;非芳香族性ポリへテロ環;およびアリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環から選択され;
n、n、nおよびnは同一または異なり、独立してから選択され0−6、nが1−6であるとき、各炭素原子は、所望により、独立してRおよび/またはRで置換されてよく;
XおよびYは同一または異なり、独立してH;ハロ;C−Cアルキル、例えばCHおよびCF;NO;C(O)R;OR;SR;CN;およびNR1011から選択され;
はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;シクロアルキルアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジルおよび2−フェニルエテニル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;OR12;およびNR1314から選択され;
はOR15;SR15;S(O)R16;SO17;NR1314;およびNR12SOから選択され;
はH;OR15;NR1314;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;およびヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;
はC−Cアルキル、例えば、CHおよびCF;C(O)−アルキル、例えば、C(O)CH;およびC(O)CFから選択され;
10およびR11は同一または異なり、独立してH;C−Cアルキル;および−C(O)−アルキルから選択され;
12はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキルアルキル;アリール;アリールおよび非アリール混合多環;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;およびヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチルから選択され;
13およびR14は同一または異なり、独立してH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;アミノアシルから選択されるか、または
13およびR14は、それらが結合している窒素と一体となって、C−Cヘテロシクロアルキル;ヘテロアリール;ポリへテロアリール;非芳香族性ポリへテロ環;またはアリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環であり;
15はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;および(CH)ZR12から選択され;
16はC−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;ポリへテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;および(CH)ZR12から選択され;
17はC−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;芳香族性多環;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;ポリへテロアリールおよびNR1314から選択され;
mは0−6から選択される整数であり;そして
ZはO;NR13;S;およびS(O)から選択される。〕
のHDACまたは薬学的に許容されるその塩と、
(b) 代謝拮抗剤
の組み合わせを投与することを含む、方法。
【請求項2】
(a) 式(I)の化合物と、
(b) 代謝拮抗剤
の組み合わせを投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
HDACがN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、または薬学的に許容されるその塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
代謝拮抗剤が5−アザシチジンである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
MDSまたはAMLから選択される増殖性疾患の進行遅延または処置のために、代謝拮抗剤と組み合わせて使用するための医薬の製造のための、請求項1に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項6】
薬学的に許容される形態の式(I)の化合物を、MDSまたはAMLから選択される増殖性疾患の処置のために、代謝拮抗剤と組み合わせて使用することに関する指示書と共に含む、包装物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−511702(P2010−511702A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540242(P2009−540242)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/024712
【国際公開番号】WO2008/070011
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】