説明

HID照明システム

低コストのHID照明システム100は、6よりも小さいアスペクト比を持つHIDランプ1と、HIDランプを駆動する共鳴電子ドライバ10とを有し、ドライバは、ランプに交流電流を与えるように設計され、電流周波数を決定する制御デバイス30を含んでいる。ランプは、少なくとも1つのアークを形成する音響共鳴周波数及び好ましくない音響共鳴周波数を含む周波数スペクトルを有する。正常動作中、ランプは、ランプ電流が10kHzから200kHzの間の範囲内に比較的広いパワースペクトルを持つように周波数変調ランプ電流を与えられ、その結果、ランプの向きとは無関係に、上記アークを形成する音響共鳴が引き起こされ、上記好ましくない音響共鳴が回避される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として放電ランプの分野に関し、特に、高圧放電ランプとも示されるHIDランプ、すなわち、高輝度放電ランプの分野に関する。また、具体的には、本発明は、セラミックの壁を持つ放電容器であるセラミック放電容器を有するHIDランプの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
HIDランプ自体は、一般に知られており、従って、ここでは、説明は簡潔になされる。そのようなランプは、ほとんどの場合、2つの電極及びイオン化可能なガス充填物を伴う放電空間を囲む細長い放電容器を有していると言うにとどめておく。代替として、放電容器は、球形をしている。動作中、高い電圧が放電を引き起こし、これは、ランプ電流を与える導電性プラズマをもたらす。電流が流れている限りは、プラズマは維持される。生成される光の量は、電流の大きさに依存し、また、色は電流とともに変化する。直流電流を用いることは可能であるが、整流した直流電流、すなわち、電流の大きさは一定のままであるが、向きが整流周波数で変化する電流を用いるのが一般的である。
【0003】
公共照明及び家庭照明の両方の分野において幅広く適用されるHIDランプの特定のグループは、セラミックの放電容器を有している。この明細書及び特許請求の範囲では、これは、セラミック放電容器の壁部が、単結晶サファイア及び高密度に焼結された(PCAとしても知られる)多結晶アルミナ、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)並びにYOX(酸化イットリウム・アルミニウム)のような透光性の結晶性金属酸化物又はAlNのような透光性の金属窒化物を有することを意味する。上記容器の壁部は、当該技術分野において知られているように、1つ又はそれ以上の(焼結)部分から成っている。
【0004】
HIDランプは、光出力及びエネルギー消費という視点で好ましい。しかしながら、HIDランプは、電源又は任意の他の電圧源から直接的に電力を供給されることができず、電子ドライバを必要とする。HIDシステムは、実際のランプとその電子ドライバとの組み合わせを有している。本発明の目的は、低コストのHIDシステムを提供することにある。ドライバの原価は、HIDシステムの原価の大部分を構成する。従って、電子ドライバのサイズ及びコストの低減に対する需要がある。
【0005】
電子ドライバを設計する際、動作可能な整流周波数が、ドライバのコストにおいて重要な役割を果たす。従って、コストという視点では、10kHzから200kHzの周波数範囲が最も興味深い範囲である。これは、蛍光ランプの動作可能な範囲であり、基本的に同じドライバの設計が用いられ得る場合にコスト効率的である。蛍光ランプに一般に用いられるドライバの設計は共鳴を起こす設計であり、これは、ほぼサイン形状の波形の交流電流を生成する。共鳴を起こすドライバは、正常運転中に上昇した始動電圧及び定常電流の両方を与えるという固有の利点を有している。
【0006】
しかしながら、問題は、この周波数範囲において、HIDランプにランプの音響共鳴が生じることである。当業者であれば、音響共鳴が不安定性を招くことを理解するであろう。
【0007】
本発明の目的は、上記の周波数範囲において動作する低コストのドライバが用いられることができ、一方で、音響共鳴により引き起こされるランプの不安定性を少なくとも十分に大きく回避するHIDシステムを設計することにある。
【0008】
この目的を達成するために、上記の範囲内において音響共鳴が生じない所謂「安全な」周波数を見出そうと試みることができる。典型的には、固有のHIDランプの音響の挙動は、音響共鳴が生じる音響スペクトル線を持つ音響スペクトルとして表され、各スペクトル線は高さ及び幅を持ち、これらの線の間に安全な領域、すなわち共鳴のない領域が存在する。このため、上記スペクトルを決定し、従って上記安全な領域を決定することが可能である。
【0009】
上記範囲についてのランプドライバを設計する際、大まかに3種類の克服すべき問題が存在する。すなわち、
・スペクトルのばらつき
・必要とされる精度
・電極の設計
の問題が存在する。
【0010】
HIDランプの周波数スペクトル、すなわち、音響スペクトル線の正確な位置及び形状は、とりわけ、ランプの正確な形状及び大きさ、その充填物の成分等に依存する。一般に、ランプの製造自体はランプの寸法の許容誤差を採り入れており、この許容誤差は音響スペクトルのばらつき及び従って安全な領域の狭小化につながる。この問題は、HIDランプの周波数スペクトルが一定ではなく、向き、すなわち、水平方向若しくは垂直方向又は中間の角度に依存するという事実によってさらに悪くなる。音響スペクトル線は、位置角度(positional angle)の変化とともに変化する。任意の与えられたランプの任意の与えられた向きにおいて、上記安全領域は比較的広いが、問題は、動作可能な向きが予め分からず、ランプシステムは任意の向きにおいて正しく作用することができるべきであることであり、従って、ドライバの設計者は、ランプの許容誤差を考慮して任意の及び全てのランプの向きにおいて共鳴のない領域を探すべきである。通常、そのような全ての向きの安全領域を見つけることは可能であるが、上記領域は、典型的には非常に狭く、それらの領域を用いることは非常に精密で安定なドライバを必要とする。これは、ドライバを高価にする。
【0011】
更に、高周波数においてHIDを動作させることは、より高い電極温度につながる。高い電極温度のために、電極はより速く溶融し、これは、バーナ内におけるより高いタングステンの遊離及び従って壁の黒化及び従って相対的に低い保守管理を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上述した問題の何れか、好ましくは問題の組み合わせに対する解決策を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一観点は、ランプのタイプの選択に関連している。本発明に係る低コストのHIDシステムは、6よりも小さい、好ましくは5よりも小さいアスペクト比を持つ(CDMランプとも示される)セラミックメタルハライドランプを有している。そのようなランプでは、容器が石英又は石英ガラスで作られたランプとは対照的に、放電容器がセラミック材料で作られている。そのようなセラミック放電容器の製造プロセスは、高精度で行われ、石英容器の場合に可能である精度よりも高い。ここでは、アスペクト比はEA/diとして定義され、EAが容器内の相互の電極距離を示し、diが電極距離にわたって全ての場所において測定されたとして容器の最大断面内径を示す。
【0014】
高い製造の精度のために、ランプドライバの設計は、ランプの音響スペクトルのばらつきを考慮に入れる必要がない。
【0015】
好ましくは、上記ランプは約3よりも小さいアスペクト比を有しており、より好ましくは、アスペクト比は約1から約3の間である。このアスペクト比の範囲では、多くのタイプのHIDランプが、高水準のライトの技術的性質を持つ市場において利用可能である。
【0016】
本発明の第2の観点によれば、上記音響スペクトルは、実質的に向きに依存しないようにされる。本発明のこの観点は、音響共鳴周波数の向き依存性は主に放電チャネルの変化する形状に起因するという見識に基づいている。そのままにすると、垂直方向に動作するランプの放電チャネルは直線状であるが、水平方向に動作するランプの放電チャネルは湾曲する。「アーク」という語句は水平方向の放電の湾曲形状に由来するが、この語句は、以下においては、いかなる形状であっても単に放電チャネルを示すために用いられる。
【0017】
この見識に基づいて、本発明に係るHIDシステムは、アークの形状を向きに依存しない形状に固定するアーク形成手段を有している。結果として、ランプの音響スペクトルは、実質的に向きに依存しない。従って、ドライバ設計者に対する制限が少なくなり、比較的広い共鳴のない周波数領域を選択すること及び必要とされるドライバの高い精度を伴うことなくこの領域において動作するようにドライバを設計することが可能になる。
【0018】
アーク形成手段を実現する1つの可能なやり方は、アークに位置決め力(positioning force)を及ぼすことができる外部手段を与えることである。そのような外部手段は、例えば、磁界を有している。
【0019】
上記において、幾つかの動作可能な周波数が音響共鳴をもたらすことが述べられた。これは、ランプが或る音響共鳴周波数を有し、これらの周波数はランプの特性であることを意味しており、これらは電力周波数に関連し、交流電流の場合には電流周波数の2倍の高さであることに注意されたい。同様に、アークが或る固定的な形状となるようにする或る特性周波数が存在する。例えば、上記ランプは、アークの形状が直線である1つ又はそれ以上の特性周波数を有する、アークの形状が単一の曲線である1つ又はそれ以上の特性周波数を有する、アークの形状が二重曲線又はS字形である1つ又はそれ以上の特性周波数を有する等である。そのような周波数は、概して、アーク形成周波数として示される。特定の形状が示される場合、上記アーク形成周波数は、直線化周波数、一次曲げ周波数、二次曲げ周波数等として示される。従って、アーク形成手段を実現する他の可能なやり方は、或るアーク形成周波数、好ましいアーク直線化周波数においてドライバを動作させることである。アーク直線化周波数は、通常、第1の方位角モードに関連する周波数と第1の半径方向モードに関連する周波数との間に位置することに注意されたい。
【0020】
原理的には、1つの単一の固定された動作可能な周波数でランプを動作することが可能である。これは、ランプが共鳴のない周波数領域において動作することになる場合に特に有用である。しかしながら、ランプがアーク形成周波数で動作することになる場合には、ドライバは比較的高精度で設計されなければならない。その一方で、いかなる理由であっても、動作可能な周波数が望ましくない音響共鳴周波数に近い場合、単一の動作可能な周波数で与えられる高いパワーが望ましくない音響共鳴を引き起こす可能性がある。
【0021】
この問題を克服するために、ランプ電流のパワースペクトルが、好ましくは、拡大及び低減される。これを実現する比較的簡単で好ましいやり方は、例えば周波数掃引の形態で、動作可能な周波数に変調を加えることである。一例では、ランプは、60kHzから150kHzまでの約110kHz以外では共鳴のない領域内の約110kHzにおいてアークを直線化する共鳴周波数を有している。ドライバが、例えば、90kHzから130kHzまで電力周波数を掃引するように設計されると、上記範囲内の任意の周波数における電力の振幅は、単一の電力周波数における電力の振幅と比較してかなり低く、その結果、ランプの許容誤差及びドライバの許容誤差が電流パワースペクトルと一致する望ましくない音響共鳴周波数を作る場合、偶然に含まれる望ましくない共鳴モードを引き起こすには不十分なエネルギーが存在する一方で、同時に、アークの直線化を実現するようにアーク直線化共鳴周波数において十分なパワーが与えられる。電流のパワースペクトルはランプの望ましくない音響共鳴周波数を回避することが好ましいが、そのような望ましくない音響共鳴周波数と一致する電力の振幅が共鳴を起こさないほど低い場合、それは受け入れられる。これは、対応する共鳴を引き起こすのに十分高い有効な(enabling)電力の振幅とは対照的に、非有効(non-enabling)な電力の振幅として示される。
【0022】
上記掃引周波数は、臨界ではないが、十分に高くあるべきであることに注意されたい。例として、掃引周波数は、約10kHzである。
【0023】
選択される変調方式(すなわち、振幅変調、周波数変調、位相変調、周波数偏移キーイング)及び変調度又は変調範囲(例えば、掃引範囲)に依存して、電流のパワースペクトルにおける最大パワーを10倍以上低減することが、容易に可能である。
【0024】
上記に説明された特徴を持つ場合、低コストで安定なHIDシステムを提供することが可能である。本発明に係る有利な照明システムでは、ランプは、セラミック放電容器を有するメタルハライドランプであり、その放電空間は不活性ガス及び塩を含んでいる。好ましくは、上記塩は、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化タリウム並びに元素Dy、Ho及びTmの1つ又はそれ以上のハロゲン化物を有している。より好ましくは、上記塩は、Na、Tlのヨウ化物並びに元素Dy、Ho及びTmのうちの少なくとも1つのヨウ化物を有している。従って、本発明に係る照明システムは、発光効率及び演色の両方に関して広く受け入れられる全面的に高品質のランプを備えて実現される。
【0025】
本発明の第3の観点によれば、効率の維持としても示される経時的な発光効率という視点でこのシステムを更に改善することが可能である。10kHzから200kHzの比較的高い範囲の動作可能な整流周波数を使用する場合、電極温度の上昇が生じ、電極をより速く溶融させ、これが、今度は放電容器内のより高いタングステンの遊離、容器の壁の黒化の増大及び従って低減された保守管理をもたらす。この観点は、全体としてシステムのコストの低減がより頻繁な交換にかかわるコストの増大を上回る場合に受け入れられる。しかしながら、ランプの特定の設計によって保守管理の有効性を高めることも可能である。
【0026】
第1の手法では、ランプの容器は、タングステンのサイクル(tungsten cycle)を可能にする塩を含んでいる。例として、そのような塩は、ナトリウム、タリウム、カルシウム、セリウム又はこれらの元素の混合物を含んでいる。実験の結果、2000時間の点灯後、タングステンのサイクルを伴わず、垂直方向に動作するランプは65%に低下した効率を有する一方で、タングステンのサイクルを伴う同等のランプの効率は、85%に低下するのみであることが分かった。同様に、実験の結果、2000時間の点灯後、タングステンのサイクルを伴わず、水平方向に動作するランプは88%に低下した効率を有する一方で、タングステンのサイクルを伴う同等のランプの効率は、98%に低下するのみであることが分かった。
【0027】
第2の手法では、ランプの容器は、動作中、希土類の高圧を適用可能にする不飽和の充填物を含んでいる。実験の結果、2000時間の点灯後、垂直方向に動作するランプについての有効性は(65%と比較して)90%に低下するのみであり、水平方向に動作するランプの場合、これは(88%と比較して)95%に低下するのみであることが分かった。
【0028】
この点において特に有用であるランプは、例えば、国際特許出願公開WO1999/053522−A1号公報、WO2005/088675−A1号公報及びWO2008/068666−A2号公報に開示されている。最も好適には、ランプのイオン化可能な充填物は、Hgに加えて、多量のNa及びTlのハロゲン化物を含んでおり、Caも含んでいる。上記充填物は、1つ又はそれ以上の希土類金属を含んでいなくてもよいし、含んでいてもよい。後者は、例えば、国際特許出願公開WO98/45872号公報に開示されている。
【0029】
本発明のこれら及び他の観点、特徴及び利点は、図面を参照して、以下の1つ又はそれ以上の好ましい実施の形態の記述によって更に説明される。各図面において、同じ参照符号は、同一又は類似の部品を示している。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】HIDランプを模式的に示している。
【図2A】HIDランプの典型的な安定性のプロットを示している。
【図2B】HIDランプの音響共鳴スペクトルの向き依存性を示している。
【図3】アーク直線化共鳴を測定した結果を示すグラフである。
【図4】ランプ容器の計算された周波数スペクトルを示すグラフである。
【図5】電子ランプドライバのブロック図である。
【図6】パワースペクトルを示すグラフである。
【図7A】図2Aに相当する安定性のプロットである。
【図7B】図2Aに相当する安定性のプロットである。
【図7C】図2Aに相当する安定性のプロットである。
【図8】整流電源により電力を供給されるHIDランプの電圧及び電流を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は例示的なHIDランプ1を模式的に示しており、HIDランプ1は、イオン化可能なガス5で満たされた「バーナ」としても示されるセラミック容器2を有している。2つの電極3,4は、互いに対向配置されており、ドライバ10から電力を受け取るために容器の壁部から外部に延在している。
【0032】
図2Aは、HIDランプについての典型的な周波数−安定性のプロットを示しており、横軸は対数で表されている。この図は、蛍光ランプに典型的に用いられる10kHzから200kHzまでの範囲が、HIDランプが音響共鳴(AR)を示す範囲と一致していることを示している。
【0033】
各バーナの幾何学的形状は、それ自体の固有のARスペクトルを有している。そのようなスペクトルの一例が、図2Bに示されている。この図は、向き依存性があるアークの形状に起因して、ARスペクトルがランプの向きに主に依存することも示している。本発明に係るドライバ10は、バーナの場所に依存しないARスペクトルを実現するためにアークの直線化を使用するように設計されている。
【0034】
アークの直線化は、固有の音響共鳴に電力成分を置くこと、すなわち、アーク直線化共鳴により実現される。以下に、ARスペクトル及びアークの直線化についてのより詳細な情報が与えられる。
【0035】
HIDバーナの共鳴周波数は、同次ヘルムホルツ方程式、すなわち、

を解くことにより計算される。ここで、pはガス圧であり、cは音速であり、ωは角周波数である。
【0036】
長さL、半径Rの円柱の場合、例えば、共鳴周波数は、

によって与えられる。ここで、cは半径方向の音速であり、cは長手方向の音速であり、l,m,nはモード指数である。nは長手方向のモードを指し、l及びmは方位角及び半径方向のモードを指し、αlmは第1種ベッセル関数(Jl)の一次導関数のm番目のゼロ点である。
【0037】
アークの直線化は、第1の半径方向/方位角モードに関係があり、従って、円柱形のバーナの半径及び音速が与えられると、アークを直線化するピーク周波数を計算することが可能である。相対的に標準的な幾何学的形状に関して簡単に言えば、アーク直線化周波数は、

を用いて概算される。ここで、FASはアーク直線化周波数であり、Aは定数であり、cは音速であり、Dはバーナの直径である。cは、水銀を含有するランプの場合、一般に400から500m/sの値である。水銀を含まないランプの場合、この値は圧力及び粘度の関数として増減する。
【0038】
同様の計算は、全ての他の幾何学的形状に関して行われ、勿論、幾何学的形状が「古典的な」形状から外れている場合、同次ヘルムホルツ方程式は数値的に解かれなければならない。
【0039】
これらの理論的な計算に加えて、HIDバーナのアークの直線化が実験的に測定され得る。1つの技術は、重畳されたHF正弦波プロービング信号を伴う低周波数の矩形波の使用にある。
【0040】
パワースペクトルにおいて、上記信号の矩形波部分は、DC電源のように機能する。矩形波の振幅は一定に保たれ、HF信号の振幅及び周波数は変更され得る。
【0041】
重畳されたHF信号電圧と矩形波の振幅との比は、変調度と呼ばれる。この比は、ソース信号におけるプロービング周波数の量の尺度である。
【0042】
アークの直線化の測定例
図3は、アークを直線化する共鳴を測定した結果を示している。
【0043】
水平方向の位置において、アークの直線化がランプ電圧の減少によって検出され、これは、ランプ電極により規定される軸に対して湾曲した位置から直線状の場所へ移動するプラズマアークに対応する。
【0044】
従って、バーナの形状と無関係であるとともに、そのアスペクト比とも無関係に、アーク直線化周波数は、安定な動作のためのランプ駆動周波数を規定するために計算及び測定され得る。
【0045】
アーク直線化周波数の次に、他の音響共鳴周波数が存在する。バーナの幾何学的形状は、不安定な動作を招く他の音響共鳴の周波数を規定する。電極の距離及び圧力は、これらの音響共鳴の振幅を規定する。これは、周波数変調の幅及びパワースペクトルの形状に影響を及ぼす。
【0046】
この技術は、始動ガス、水銀を伴う(ナトリウム、タリウム、セリウム、カルシウム、スカンジウム、ジスプロシウムを含むが、これらに限定されない)塩充填物及び始動ガス、水銀を伴わない(ナトリウム、タリウム、セリウム、カルシウム、スカンジウム、ジスプロシウムを含むが、これらに限定されない)塩充填物を含有するHIDランプに適用可能である。
【0047】
ARスペクトルの計算の例
上記容器の形状が既知である場合、例えば図1を参照すると、アークを直線化する共鳴周波数(同次方程式の解)を計算するためにヘルムホルツ方程式を解くことが可能であるが、その相対振幅(ソース項又は励起項を含む非同次方程式の解)を計算するためにヘルムホルツ方程式を解くことも可能である。図4は、直線状のプラズマアークを仮定した2次元回転対称モデルを用いて計算されるARスペクトルを示すグラフである。
【0048】
これらの計算を測定値と比較することにより、アークを直線化する共鳴が約110kHzの周波数であると結論を下している。
【0049】
従って、この110kHzの周波数領域において安定な動作を見込んでおり、周波数掃引を加えることは、バーナの幾何学的形状に関する許容誤差を伴う場合であってもアークを直線化する共鳴を励起することを確実にする。
【0050】
ドライバ10を設計するために、蛍光ランプを駆動するために用いられるような共鳴回路の標準的な設計が出発点として用いられ得る。図5は、ハーフブリッジトポロジを有するこの標準的な設計を模式的に示したHID照明システム100のブロック図であり、共鳴の設計はハーフブリッジトポロジとは異なるトポロジを用いて得られることに注意されたい。例えば、フルブリッジトポロジが用いられ得る。この図5の設計は既知であるので、その説明は簡潔になされる。ドライバ10が電源11から電力を供給されると仮定すると、ドライバ10は、整流段12、オプションの力率補正段13、電圧バッファ又は電圧源14及び共振ハーフブリッジ回路20を有している。正確な実現に依存して、ブリッジ回路20の入力部における電圧は、電源に起因する及び/又は力率補正段13におけるスイッチングに起因するリップルを伴うが、ほぼ安定である。ハーフブリッジ回路20は、電圧入力レール間に接続された2つの分岐部21,22の並列配置を有している。第1の分岐部21は、中間ノードAを持つ2つのスイッチM2及びM3の直列配置を有している。第2の分岐部22は、中間ノードBを持つ2つのキャパシタC3及びC4の直列配置を有している。HIDランプは、ランプと直列に配されたインダクタL2及びランプと並列に配されたキャパシタC2とともに上記2つのノードA及びBの間に接続されている。
【0051】
回路10は、2つのスイッチM2及びM3とPFC段13とを制御する制御デバイス30を有している。この制御デバイス30は、ランプがオフである時にランプを点灯する点灯モードにおいて動作することができ、その場合、ノードAとノードBとの間の経路のインピーダンスは、L2とC2との共鳴回路によって決定される。制御デバイス30は、かなり高い周波数で2つのスイッチM2及びM3を作動し始め、その後、この周波数を減らし、L2とC2との共鳴回路の共鳴周波数が達せられると、高い電圧がC2にわたって生じ、ランプが点灯する。ランプがオンである時には、制御デバイス30は、より低い周波数で動作する安定モードに素早く切り換わり、ランプ電流がL2によって安定化される。
【0052】
上記安定モードでは、制御デバイス30は、放電が直線化され、望ましくないARに関連した不安定さが緩和されるように2つのスイッチM2及びM3の切り換えを制御することができる。周波数の変調、前述のアークを直線化するイネーブラ及び安定な動作が、FMの形態で実現される。
【0053】
ハーフブリッジ周波数の変更は、幾つかの波形を用いて行われる。好適な例は、例えば、三角波形、鋸歯状波形、正弦波形である。波形は、最終的には、パワースペクトルの形状、すなわち、放電に伝えられるパワースペクトルの振幅を決定する。FMアルゴリズムに加えて、(例えば、非理想的な整流電源により引き起こされる)AMリップルのような他の要素もパワー(振幅)スペクトル及び共鳴ランプドライバ素子(L及びC)の周波数特性に影響を及ぼす。
【0054】
図6は、正弦波に基づく周波数変調の場合に結果として生じたパワースペクトルを示すグラフである。この図は、HF領域における電力の振幅が低くなっていること(放電の安定性を高め、望ましくないARが緩和される。)及びスペクトルが広くなっていること(アーク直線化ピークを引き起こすイネーブラである。)を明らかに示している。
【0055】
上記スペクトルは、FM振幅が増大すると広げられる又は低くされる。以下の典型的なFMパラメータは、例示的な設計内のものである。
・変調振幅=10kHz(電力周波数)
・変調周波数=100kHz
・変調形状=回路の電源のリップルから生じる
【0056】
上述したようなFMパラメータが広範に試験されたが、本発明により提案される解決法は、他のFMパラメータとも共働する。結果として得られるFMによって決定されるパワースペクトルは、本発明に以下の結果をもたらす。すなわち、
・広いスペクトルが、(向きに依存しない放電をもたらす)アークを直線化する共鳴を引き起こすのに役立つ。
・広いスペクトルが、望ましくないARを抑制する(及び従って安定性を高める)のに役立つ。
【0057】
前述したように、向きに依存しない放電は、アークが直線化される時に、又は、実際には、アークの形状がランプの向きに依存しないように任意のアークの形状が安定化される時に実現される。アークの直線化は、前述したアークを直線化する周波数上に電力の振幅を置くことにより実現される。このピークに達することは、種々のやり方、すなわち、
・(変調から生じるような)広いパワースペクトルにおける周波数の少なくとも1つがアークを直線化する共鳴を標的にしていることを確実にすること
・AS共鳴を標的にするために起動時に単一の周波数掃引を適用すること
で実現され得る。
【0058】
図7AないしCは、異なるスケールであるが図2に相当する安定性のプロットであり、実験で得られた結果を示している。図7Aには、変調を伴わない直線状の放電で垂直方向において動作する特定のランプの安定性のプロットが示されている。この図は、85kHzから125kHzの領域で、濃い色で示されたランプが安定ではない多数の帯域72が存在することを示しており、これらは、薄い色で示されたランプが安定である相対的に小さい領域71と交互になっている。図7Bは、同じ向きにおいて動作するが、FM変調を伴う同じランプの安定性のプロットを示している。図7Cは、FM変調を伴うが、直線状の放電で水平方向において動作する同じランプの安定性のプロットを示している。これらの図は、FM変調の使用が73から120kHzの電力の大いに安定した動作可能な周波数範囲をもたらすことを明らかに示している。この範囲の幅は、より悪いケースの動作の向き、すなわち、水平方向の動作によって決定される。電圧の測定が行われ、結果(ここでは図示せず。)は、アークの直線化は測定された安定な周波数範囲内において実現されることを証明している。
【0059】
ドライバが整流電源により電力を供給される場合、電圧のリップルは、HIDランプの大きいインピーダンス応答を招く。これは、整流電源により電力を供給されるHIDランプの電圧及び電流を示すグラフである図8に説明されている。ランプインピーダンスは電源のリップルが低いと大きくなることが分かる。このランプインピーダンスの増大の後に、ランプが消灯する。この望ましくない効果は、特定の変調アルゴリズムによって回避され得る。従って、FM変調は、電源のリップル(100Hz)と同期して行われることが好ましい。すなわち、変調の位相とランプインピーダンスの位相との間に明らかな関係が存在することが好ましく、具体的には、リップルが低い時にFM信号は低ハーフブリッジ周波数をもたらし、リップルが高い時にはFM信号は高ハーフブリッジ周波数をもたらすような関係が存在することが好ましい。結果として、ランプインピーダンスは、より一定に作用する。これは、システムの寿命を延ばす。
【0060】
本発明に用いられる特に好ましいランプは、セラミック放電容器を有するメタルハライドランプであって、セラミック放電容器のイオン化可能なガス充填物が、LiI、NaI、KI、RbI、CsI、MgI、CaI、SrI、BaI、ScI、YI、LaI、CeI、PrI、NdI、SmI、EuI、GdI、TbI、DyI、HoI、ErI、TmI、YbI、LuI、InI、TlI、SnI及びZnIよりなる群から選択される1つ又はそれ以上の成分を有し、μg/cmで表される放電容器内の各成分の濃度hが
logh=A/Tcs+B/Tcs+C+logz
の式を満たすメタルハライドランプである。上記式において、Tcsは、ランプの公称動作中のケルビンで表される放電容器内の最低の最冷スポット温度であり、Tcsは少なくとも1200Kであり、zは0.001と2との間であり、A、B及びCは以下のように規定される。すなわち、
成分 A*10-6 B*10-3 C
LiI -0.51 -5.88 7.16
NaI -1.30 -5.82 6.99
KI -2.51 -3.48 5.66
RbI -2.04 -4.95 6.48
CsI -1.40 -5.72 7.13
MgI2 -1.92 -4.40 8.20
CaI2 -3.45 -5.99 6.83
SrI2 -1.99 -9.33 8.05
BaI2 -2.15 -10.00 8.47
ScI3 -17.70 18.76 0.16
YI3 -7.96 0.43 6.41
LaI3 -4.24 -4.66 6.98
CeI3 -3.15 -7.37 9.36
PrI3 -1.98 -7.86 8.43
NdI3 -4.29 -4.42 6.58
SmI2 -1.62 -11.20 9.71
EuI2 -1.95 -10.50 8.95
GdI3 -9.69 4.26 3.62
TbI3 -9.41 4.09 3.59
DyI3 -11.90 6.42 4.68
HoI3 -9.48 3.15 5.61
ErI3 -12.10 6.54 5.46
TmI3 -3.12 -5.25 7.64
YbI2 -1.33 -10.10 8.45
LuI3 -9.00 3.37 5.38
InI -1.30 -2.02 6.11
TlI -1.36 -2.92 7.01
SnI2 -1.99 -1.14 6.39
ZnI2 -2.58 0.65 5.23
と規定される。
【0061】
この明細書における公称動作とは、ランプが動作するように設計されている条件の下での最大電力における動作を意味する。
【0062】
そのようなランプは、高効率であることが見いだされ、発せられる光の非常に安定な色特性を示す。また、そのようなランプは、カラーポイントの実質的なシフトを伴うことなく明暗の調整が可能である(すなわち、最大電力を下回る電力の低下は、好ましくは10SDCM(等色標準偏差)内にとどまるカラーポイントのシフトを生じる。)そのようなランプを備えた本発明に係るHID光システムは、空間的な向き及び/又は周囲温度に実質的に依存しない測光的性質も更に有する。
【0063】
好ましい実施の形態では、zは、0.01から1の間のように1又はそれよりも小さい。その場合、上記充填物は、少なくとも公称動作状態において不飽和である。zの値が小さいほど、ランプの動作電力は、充填物が飽和になっていない状態でより一層低下される。これは、ランプの動作可能な電力の範囲にわたる安定な色特性に有利である。
【0064】
この好ましいランプのより詳細な説明については、国際特許出願公開WO2008/068666号公報に記載されており、その全ての内容は参照することにより本明細書に組み込まれたものとする。
【0065】
要約すると、本発明は、6よりも小さいアスペクト比を持つHIDランプと、HIDランプを駆動する共鳴電子ドライバ10とを有し、ドライバが、ランプに交流電流を与えるように設計され、電流周波数を決定する制御デバイス30を含む低コストのHID照明システムを提供する。上記ランプは、少なくとも1つのアークを形成する音響共鳴周波数及び好ましくない音響共鳴周波数を含む周波数スペクトルを有する。正常動作中、上記ランプは、ランプ電流が10kHzから200kHzの間の範囲内に比較的広いパワースペクトルを持つように周波数変調ランプ電流を与えられ、その結果、ランプの向きとは無関係に、上記アークを形成する音響共鳴が引き起こされ、上記好ましくない音響共鳴が回避される。
【0066】
本発明が図面及び上記の記述において詳細に示され、説明されたが、そのような図及び説明は、実例又は例示的であり、限定的ではないとみなされるべきであることが当業者には明らかであるべきである。本発明は、開示された実施の形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に規定された本発明の保護範囲内において幾つかの変形形態及び変更形態が可能である。
【0067】
例えば、アークを直線化する共鳴周波数を選択するのではなく、アークが直線とは異なる固定的な形状であることを仮定してアークを形成する周波数を選択することが可能である。
【0068】
また、共鳴の点火(低温及び高温)の直後に、ランプインピーダンスは著しく降下する。ドライバは、好ましくは、アーク直線化手段がランプの点灯直後に実行されるように実現される。
【0069】
更に、ドライバは、好ましくは、ランプが点灯しない場合に備えて停止及び再始動機能を取り付けられている。始動していないランプは、ドライバの故障を生じさせる極度のロスを引き起こすので、これは望ましい。この機能は、これらのロスからドライバを保護し、電子機器のクールダウン期間後に再点火の試みを始める。
【0070】
図面、この開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、開示された実施の形態以外の他の変更形態が、特許請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、もたらされる。特許請求の範囲において、「有する」という語は他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除するものではない。単一の処理器又は他のユニットは、特許請求の範囲内に列挙されている幾つかのアイテムの機能を果たし得る。或る方策が互いに異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの方策の組み合わせが有利に用いられないことを示してはいない。特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0071】
上記において、本発明は、本発明に係るデバイスの機能ブロックを示したブロック図を参照して説明された。これらの機能ブロックの1つ又はそれ以上はハードウェアで実現され、そのような機能ブロックの機能が個々のハードウェア要素によって実行されるが、これらの機能ブロックの1つ又はそれ以上はソフトドウェアで実現されることが可能であり、そのような機能ブロックの機能は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ等のようなプログラマブルデバイス又はコンピュータプログラムの1つ又はそれ以上のプログラムラインによって実行されることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン化可能な充填物を含む放電空間を囲むセラミック壁を有する閉じた放電容器を含むHIDランプであって、電極を更に含み、前記電極の先端部は前記電極間の放電経路を規定する相互距離(EA)で前記放電空間内に位置し、前記容器は最大内径(di)を有し、前記相互距離と前記最大内径とのアスペクト比(EA/di)が6よりも小さい当該HIDランプと、
前記HIDランプを駆動する共鳴電子ドライバであって、前記ランプに交流電流を供給し、電流周波数を決定する制御デバイスを含む当該共鳴電子ドライバと
を有するHID照明システムであって、
前記ランプは、少なくとも1つのアーク形成音響共鳴周波数及び好ましくない音響共鳴周波数を含む周波数スペクトルを有し、
前記ドライバは、正常動作中、ランプ電流が10kHzから200kHzの範囲内の比較的広いパワースペクトルを有するように前記ランプに周波数変調ランプ電流を供給し、前記パワースペクトルは、前記アーク形成音響共鳴周波数と一致する有効な電力の振幅を含む一方で、前記好ましくない音響共鳴周波数と一致する専ら非有効な電力の振幅を有する、当該HID照明システム。
【請求項2】
前記パワースペクトルが前記好ましくない音響共鳴周波数を排除している、請求項1記載のHID照明システム。
【請求項3】
前記アーク形成音響共鳴周波数がアーク直線化音響共鳴周波数であり、前記アークは前記ランプの向きにかかわらず直線形状を有する、請求項1記載のHID照明システム。
【請求項4】
前記ドライバが共鳴ハーフブリッジを有する、請求項1記載のHID照明システム。
【請求項5】
前記周波数変調ランプ電流の変調が周波数掃引を含む及び/又は前記変調が正弦波形状の関数に従って行われる、請求項1記載のHID照明システム。
【請求項6】
前記ドライバは整流電源により電力を供給され、前記周波数変調ランプ電流の変調は、前記整流電源のリップルが低い時は電流周波数が低く、リップルが高い時は電流周波数が高いようにリップルと同期して行われる、請求項1記載のHID照明システム。
【請求項7】
前記アスペクト比が3よりも小さい、請求項1記載のHID照明システム。
【請求項8】
前記アスペクト比が1から3の間である、請求項1記載のHID照明システム。
【請求項9】
前記ランプがメタルハライドランプであり、前記放電空間が不活性ガス及び塩を含み、前記塩は、好ましくは、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化タリウム並びにジスプロシウム、ホルミウム及びツリウムの1つ又はそれ以上のハロゲン化物を有し、より好ましくは、前記塩は、ナトリウム、タリウム並びにジスプロシウム、ホルミウム及びツリウムの少なくとも1つのヨウ化物を有する、請求項1記載のHID照明システム。
【請求項10】
前記不活性ガスがキセノンを有する、請求項9記載のHID照明システム。
【請求項11】
前記塩がタングステンのサイクルを可能にする、請求項9記載のHID照明システム。
【請求項12】
前記塩が、NaI、TlI、CaI及びXのヨウ化物を有するイオン化可能な塩であり、Xは、La、Sc、Y及び希土類金属を有する群から選択される1つ又はそれ以上の元素である、請求項9記載のHID照明システム。
【請求項13】
前記ランプはメタルハライドランプであり、前記イオン化可能なガス充填物は、LiI、NaI、KI、RbI、CsI、MgI、CaI、SrI、BaI、ScI、YI、LaI、CeI、PrI、NdI、SmI、EuI、GdI、TbI、DyI、HoI、ErI、TmI、YbI、LuI、InI、TlI、SnI及びZnIよりなる群から選択される1つ又はそれ以上の成分を有し、μg/cmで表される前記放電容器内の各成分の濃度hが
logh=A/Tcs+B/Tcs+C+logz
の式を満たし、Tcsは、前記ランプの公称動作中のケルビンで表される前記放電容器内の最低の最冷スポット温度であり、Tcsは少なくとも1200Kであり、zは0.001と2との間であり、A、B及びCは以下のように、すなわち、
成分 A*10-6 B*10-3 C
LiI -0.51 -5.88 7.16
NaI -1.30 -5.82 6.99
KI -2.51 -3.48 5.66
RbI -2.04 -4.95 6.48
CsI -1.40 -5.72 7.13
MgI2 -1.92 -4.40 8.20
CaI2 -3.45 -5.99 6.83
SrI2 -1.99 -9.33 8.05
BaI2 -2.15 -10.00 8.47
ScI3 -17.70 18.76 0.16
YI3 -7.96 0.43 6.41
LaI3 -4.24 -4.66 6.98
CeI3 -3.15 -7.37 9.36
PrI3 -1.98 -7.86 8.43
NdI3 -4.29 -4.42 6.58
SmI2 -1.62 -11.20 9.71
EuI2 -1.95 -10.50 8.95
GdI3 -9.69 4.26 3.62
TbI3 -9.41 4.09 3.59
DyI3 -11.90 6.42 4.68
HoI3 -9.48 3.15 5.61
ErI3 -12.10 6.54 5.46
TmI3 -3.12 -5.25 7.64
YbI2 -1.33 -10.10 8.45
LuI3 -9.00 3.37 5.38
InI -1.30 -2.02 6.11
TlI -1.36 -2.92 7.01
SnI2 -1.99 -1.14 6.39
ZnI2 -2.58 0.65 5.23
と規定される、請求項1記載のHID照明システム。
【請求項14】
光を生成する方法であって、
イオン化可能な充填物を含む放電空間を囲むセラミック壁を有する閉じた放電容器を含み、電極を更に含み、前記電極の先端部は前記電極間の放電経路を規定する相互距離(EA)で前記放電空間内に位置し、前記容器は最大内径(di)を有し、前記相互距離と前記最大内径とのアスペクト比(EA/di)が6よりも小さいHIDランプを与えるステップであって、前記ランプは、少なくとも1つのアーク形成音響共鳴周波数及び好ましくない音響共鳴周波数を含む周波数スペクトルを有する当該ステップ
を有するとともに、
電流周波数が10kHzから200kHzの範囲内に設定された交流電流を前記ランプに与えるステップと、
パワースペクトルを低減及び拡大する前記ランプに入力される電力の周波数変調を行うステップであって、結果として得られるパワースペクトルが、アークの形成、好ましくはアークの直線化を実現するために前記アーク形成音響共鳴周波数と一致する有効な電力の振幅を含む一方で、結果として得られるパワースペクトルが、好ましくない音響共鳴の誘発を回避するために前記好ましくない音響共鳴周波数と一致する専ら非有効な電力の振幅を有する当該ステップと
を有する、当該方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2013−520781(P2013−520781A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554450(P2012−554450)
【出願日】平成23年1月30日(2011.1.30)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050402
【国際公開番号】WO2011/104644
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】