説明

HIVウイルス複製阻害剤としての(1,10b−ジヒドロ−2−(アミノアルキル−フェニル)−5H−ピラゾロ[1,5−c][1,3]ベンゾキサジン−5−イル)フェニルメタノン誘導体

【化1】


本発明は、HIVウイルスのウイルス複製の阻害剤としての5H−ピラゾロ[1,5−c][1,3]ベンゾキサジン−5−イル)フェニルメタノン誘導体、それらの製造方法ならびに製薬学的組成物、薬剤としてのそれらの使用およびそれらを含んでなる診断キットに関する。本発明はまた、他の抗レトロウイルス剤と本発明のHIV阻害剤との組み合わせにも関する。それはさらに対照化合物としてのもしくは試薬としてのアッセイにおけるそれらの使用に関する。本発明の化合物は、HIVによる感染を防ぐかもしくは処置するためにそしてエイズを処置するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HIVウイルスのウイルス複製の阻害剤としての5H−ピラゾロ[1,5−c][1,3]ベンゾキサジン−5−イル)フェニルメタノン誘導体、それらの製造方法ならびに製薬学的組成物、薬剤としてのそれらの使用およびそれらを含んでなる診断キットに関する。本発明はまた、他の抗レトロウイルス剤と本発明のHIV阻害剤との組み合わせにも関する。それはさらに、対照化合物としてのもしくは試薬としてのアッセイにおけるそれらの使用に関する。本発明の化合物は、HIVによる感染を防ぐかもしくは処置するためにそしてエイズを処置するために有用である。
【背景技術】
【0002】
HIV/エイズを抱えて生きる人々の数は、2004年12月において合計約4,000万人になり、そのうち3,700万人より多くは成人であり、そして約220万人は15歳未満の子供である。2004年だけでHIVに新たに感染した人々は490万人に達し、一方、2004年には310万人のエイズによる死亡があった。HIV/エイズに感染したこれらの人々に対する現在の化学療法は、ウイルス融合ならびに逆転写酵素(RT)およびプロテアーゼ酵素の阻害剤を用いる。融合、RTおよびプロテアーゼ阻害剤の現世代に耐性を示すHIV株の出現を考慮して、異なる作用機序を有する新規のそして改善された抗ウイルス剤の開発の増大する必要性が存在する。
【0003】
特許文献1は、HIV逆転写酵素の阻害剤として有用であるベンゾキサジノン、特に1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−2−オン、またはその立体異性体もしくは混合物、または製薬学的に許容しうる塩形態に、そしてそれらを含んでなる製薬学的組成物および診断キット、ウイルス感染を処置するためにまたはアッセイ標準もしくは試薬としてそれらを使用する方法、ならびにそれらを製造するための中間体および方法に関する。
【0004】
非特許文献1は、潜在的な生理学的活性を有する置換された1,10b−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[1,5−c]−1,3−ベンゾキサジン、特に1,10b−ジヒドロ−2−フェニル−5H−ピラゾロ[1,5−c]−1,3−ベンゾキサジン−5−イル)フェニルメタノンを開示する。
【0005】
特許文献2は、抗ウイルス活性を有する薬剤としての既知の7−オキソ−7H−ピリド[1.2.3−デ][1,4]ベンゾキサジン−6−カルボン酸およびそのエステルの使用に関する。
【0006】
本発明の根底にある問題は、HIVウイルスのウイルス複製の阻害剤の提供である。
【特許文献1】EP1359147明細書
【特許文献2】EP0563733明細書
【非特許文献1】Orlov V.D.et al.(1991)
【発明の開示】
【0007】
本発明は式(I)
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、
aは0、1、2、3、4もしくは5であり;
LはC1〜4アルカンジイルであり;
は水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜12シクロアルキル、Het、アリールまたはHet、アリール、C3〜12シクロアルキル、アミノおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜10アルキルであり、ここで、アミノ基上の置換基はC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C3〜12シクロアルキル、Hetおよびアリールから各々個々に選択され;
は水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜12シクロアルキル、Het、アリールまたはHet、アリール、C3〜12シクロアルキル、アミノおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜10アルキルであり、ここで、アミノ基上の置換基はC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C3〜12シクロアルキル、Hetおよびアリールから各々個々に選択され;あるいは
とRはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から各々個々に選択される1個もしくはそれ以上のヘテロ原子を有する5〜12員の飽和したもしくは部分的に飽和した複素環を形成し、そしてここで、該複素環は場合によりC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜12シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、Het、アリールまたはHet、アリール、C3〜12シクロアルキル、アミノおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜10アルキルで置換されていてもよく、ここで、アミノ基上の置換基はC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C3〜12シクロアルキル、Hetおよびアリールから各々個々に選択され;
はカルボキシル、ハロゲン、ニトロ、C1〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、ポリハロC1〜10アルキル、シアノ、アミノ、モノもしくはジ置換されたアミノ、アミノカルボニル、モノもしくはジ置換されたアミノカルボニル、C1〜10アルキルオキシ、C1〜10アルキルチオ、C1〜10アルキルスルホニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニルもしくは場合によりC1〜10アルキルで置換されていてもよいピペラジニルであり、ここで、アミノ基のいずれか上の置換基はC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C3〜12シクロアルキル、Hetおよびアリールから各々個々に選択され;
アリールは場合によりC1〜10アルキル、ポリハロC1〜10アルキル、C1〜10アルキルオキシ、C1〜10アルキルチオ、C1〜10アルキルスルホニル、ニトロ、シアノ、ハロ、C3〜7シクロアルキル、C1〜10アルキルカルボニル、カルボキシル、C1〜10アルキルオキシカルボニル、アミノ、モノもしくはジ置換されたアミノ、アミノカルボニル、モノもしくはジ置換されたアミノカルボニルよりなる群から選択される1
個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、ここで、アミノ基のいずれか上の置換基はフェニル、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C3〜7シクロアルキル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニルもしくは場合によりC1〜10アルキルで置換されていてもよいピペラジニルから各々個々に選択され;
Hetは窒素、酸素もしくは硫黄から各々個々に選択される1個もしくはそれ以上のヘテロ原子を有する5もしくは6員の芳香族の、飽和したもしくは部分的に飽和した単環式複素環であり、そしてこの複素環は場合によりC1〜10アルキル、ポリハロC1〜10アルキル、C1〜10アルキルオキシ、C1〜10アルキルチオ、C1〜10アルキルスルホニル、ニトロ、シアノ、ハロ、C3〜7シクロアルキル、C1〜10アルキルカルボニル、カルボキシル、C1〜10アルキルオキシカルボニル、アミノ、モノもしくはジ置換されたアミノ、アミノカルボニル、モノもしくはジ置換されたアミノカルボニルよりなる群から選択される1個のもしくは可能な場合には1個より多くの置換基で置換されていてもよく、ここで、アミノ基のいずれか上の置換基はフェニル、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C3〜7シクロアルキル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニルもしくは場合によりC1〜10アルキルで置換されていてもよいピペラジニルから各々個々に選択される]
を有する化合物、ならびにそのN−オキシド、立体異性体および塩に関する。
【0010】
本明細書において用いる場合、基もしくは基の一部としての「ハロ」もしくは「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨードの総称である。接頭語とし用いる「ポリハロ」という用語は、1個もしくはそれ以上のハロゲン原子で置換されることを意味する。接頭語としてのポリハロの使用の例には、例えば、ポリハロC1〜10アルキル、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜4アルキルなどが包含される。特に興味深いポリハロアルキルは、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルである。
【0011】
基もしくは基の一部としてのC1〜4アルキルという用語は、1〜4個の炭素原子を含有する直鎖状および分枝鎖状の飽和した1価の炭化水素基を意味する。そのようなC1〜4アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどが包含される。
【0012】
基もしくは基の一部としてのC1〜6アルキルという用語は、1〜6個の炭素原子を含有する直鎖状および分枝鎖状の飽和した1価の炭化水素基を意味する。そのようなC1〜6アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−メチルブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、3−メチルペンチルなどが包含される。
【0013】
基もしくは基の一部としてのC1〜10アルキルという用語は、1〜10個の炭素原子を含有する直鎖状および分枝鎖状の飽和した1価の炭化水素基を意味する。そのようなC1〜10アルキル基の例には、C1〜6アルキル基の例およびヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、3−エチル−ヘプチルなどが包含される。
【0014】
基もしくは基の一部としてのC2〜6アルケニルは、少なくとも1個の二重結合を有しそして2〜6個の炭素原子を含有する直鎖状および分枝鎖状の1価の炭化水素基を意味する。そのようなC2〜6アルケニル基の例には、エテニル、プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブテニル、2−メチル−1−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、3−メチル−2−ペンテニルなどが包含される。
【0015】
基もしくは基の一部としてのC2〜10アルケニルは、少なくとも1個の二重結合を有しそして2〜10個の炭素原子を含有する直鎖状および分枝鎖状の1価の炭化水素基を意
味する。そのようなC2〜10アルケニル基の例には、C2〜6アルケニルの例および2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、3−オクテニル、4−オクテニル、4−ノネニル、4−デセニルなどが包含される。
【0016】
基もしくは基の一部としてのC2〜6アルキニルは、少なくとも1個の三重結合を有しそして2〜6個の炭素原子を含有する直鎖状および分枝鎖状の1価の炭化水素基を意味する。そのようなC2〜6アルキニル基の例には、エチニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、イソブチニル、2−メチル−1−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、3−メチル−2−ペンチニルなどが包含される。
【0017】
基もしくは基の一部としてのC2〜10アルキニルは、少なくとも1個の三重結合を有しそして2〜10個の炭素原子を含有する直鎖状および分枝鎖状の1価の炭化水素基を意味する。そのようなC2〜10アルキニル基の例には、C2〜6アルキニルの例および2−ヘプチニル、3−ヘプチニル、3−オクチニル、4−オクチニル、4−ノニニル、4−デシニルなどが包含される。
【0018】
基もしくは基の一部としてのC1〜2アルカンジイルという用語は、例えば、メチレン、エタン−1,2−ジイルなどのような1〜2個の炭素原子を有する2価の直鎖状および分枝鎖状の飽和炭化水素基を定義する。
【0019】
基もしくは基の一部としてのC1〜4アルカンジイルという用語は、C1〜2アルカンジイル基の例およびプロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、ブタン−1,4−ジイルなどのような1〜4個の炭素原子を有する2価の直鎖状および分枝鎖状の飽和炭化水素基を定義する。
【0020】
基もしくは基の一部としてのC3〜7シクロアルキルという用語は、炭素環もしくはスピロ炭素環の骨格に3〜7個の炭素原子を有する炭素環式もしくはスピロ炭素環式の1価の炭化水素基を意味する。そのようなC3〜7シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、スピロ[2.4]ヘプタニル、シクロヘプチルなどが包含される。
【0021】
基もしくは基の一部としてのC3〜12シクロアルキルという用語は、炭素環もしくはスピロ炭素環の骨格に3〜12個の炭素原子を有する炭素環式もしくはスピロ炭素環式の1価の炭化水素基を意味する。そのようなC3〜12シクロアルキル基の例には、C3〜7シクロアルキルの例およびシクロオクチル、シクロノニル、スピロ[4.4]ノニル、スピロ[4.5]デシル、スピロ[5.5]ウンデシル、シクロドデシル、スピロ[5.6]ドデシルなどが包含される。
【0022】
Hetにより定義されるような5もしくは6員の複素環の例には、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラゾール、フラン、チオフェン、ピロール、キノリン、イソキノリン、ベンゾオキサゾール、イソベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、イソベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ピロリジン、ホモピペリジン、ホモピペラジン、テトラヒドロフランおよびテトラヒドロチエニルが包含されるがこれらに限定されるものではない。Hetについて定義したとおり、これらの例示した複素環の各々は場合によりさらに置換されていてもよい。
【0023】
本明細書において用いる場合、C(=O)という用語はカルボニル部分を定義するものとし、そしてS(=O)という用語はスルホニル部分を定義するものとする。本明細書において用いる場合、ヒドロキシという用語は−OHを意味し、ニトロという用語は−NOを意味し、シアノという用語は−CNを意味し、チオという用語は−Sを意味し、オキソという用語は=Oを意味する。
【0024】
「1個もしくはそれ以上の置換基」もしくは「置換される」という用語を式(I)の化合物を定義することにおいて用いる場合はいつでも、「1個もしくはそれ以上の置換基」もしくは「置換される」を用いる表現において示される原子上の1個もしくはそれ以上の水素が、示される群から選ばれた物で置換されることを示すものとし、ただし、示される原子の通常の価数を超えず、そして置換は化学的に安定な化合物、すなわち、反応混合物からの有用な程度の純度までの単離および治療薬への調合に耐えるために十分に強い化合物をもたらす。
【0025】
治療用途のためには、本発明の化合物の塩は、対イオンが製薬学的にもしくは生理学的に許容しうるものである。しかしながら、製薬学的に許容できない対イオンを有する塩もまた、例えば、本発明の製薬学的に許容しうる化合物の製造もしくは精製において、用途を見出すことができる。全ての塩は、製薬学的に許容しうるかもしくはそうでないにしても、本発明の範囲内に包含される。
【0026】
本発明の化合物が形成することのできる製薬学的に許容しうるもしくは生理学的に耐容しうる酸付加塩形態は、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸;もしくは例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモン酸などのような有機酸のような適切な酸を用いて都合よく製造することができる。
【0027】
逆に、該酸付加塩形態を適切な塩基での処理により遊離塩基形態に転化することができる。
【0028】
酸性プロトンを含有する本発明の化合物はまた、適切な有機および無機塩基での処理によりそれらの無毒の金属もしくはアミン付加塩形態に転化することもできる。適切な塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩、第四級アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えば、ベンザチン、N−メチル,−D−グルカミン、ヒドラバミン(hydrabamine)塩、ならびに例えば、アルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含んでなる。
【0029】
逆に、該塩基付加塩形態を適切な酸での処理により遊離酸形態に転化することができる。
【0030】
「塩」という用語は、また、本発明の化合物が形成することのできる水和物および溶媒付加形態も含んでなる。そのような形態の例は、例えば、水和物、アルコラートなどである。「塩」という用語は、また、本発明の化合物の窒素原子の四級化も含んでなる。塩基性窒素は、例えば、低級アルキルハロゲン化物、硫酸ジアルキル、長鎖ハロゲン化物およびアリールアルキルハロゲン化物を包含する当業者に既知である任意の薬剤で四級化することができる。
【0031】
本発明の化合物のN−オキシド形態は、1個もしくは数個の窒素原子がいわゆるN−オ
キシドに酸化される化合物を含んでなるものとする。
【0032】
本発明の化合物はまた、それらの互変異性形態で存在することもできる。そのような形態は、上記の式において明白に示されないが、本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0033】
本発明の化合物の立体化学的異性体という用語は、上記に用いる場合、本発明の化合物が有し得る、同じ順序の結合により結合している同じ原子で構成されているが互いに交換できない異なる3次元構造を有する全ての可能な化合物を定義する。他に記載されないかもしくは示されない限り、化合物の化学表示には該化合物が有し得る全ての可能な立体化学的異性体の混合物が包含される。該混合物は、該化合物の基本分子構造の全てのジアステレオマーおよび/もしくは鏡像異性体を含有することができる。純粋形態のもしくは相互との混合物の両方の本発明の化合物の全ての立体化学的異性体は、本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0034】
本明細書に記載されるような化合物および中間体の純粋な立体異性体は、該化合物もしくは中間体の同じ基本分子構造の他の鏡像異性体もしくはジアステレオマー形態を実質的に含まない異性体として定義される。特に、「立体異性的に純粋な」という用語は、少なくとも80%の立体異性体過剰率(すなわち、最低80%の一方の異性体および最大20%のもう一方の可能な異性体)〜100%の立体異性体過剰率(すなわち、100%の一方の異性体およびもう一方は全くない)を有する化合物もしくは中間体、さらに特に90%〜100%の立体異性体過剰率を有する、なおさらに特に94%〜100%の立体異性体過剰率を有する、そして最も特に97%〜100%の立体異性体過剰率を有する化合物もしくは中間体に関する。「鏡像異性的に純粋な」および「ジアステレオマー的に純粋な」という用語は、同様に、しかしその一方で問題になっている混合物のそれぞれ鏡像異性体過剰率およびジアステレオマー過剰率を考慮して理解されるはずである。
【0035】
本発明の化合物および中間体の純粋な立体異性体は、当該技術分野で既知の方法の適用により得ることができる。例えば、鏡像異性体は、光学活性酸でのそれらのジアステレオマー塩の選択的結晶化により相互から分離することができる。あるいはまた、鏡像異性体は、キラル固定相を用いてクロマトグラフィー技術により分離することができる。該純粋な立体化学的異性体はまた、反応が立体特異的に起こるならば、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体から得ることもできる。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合、該化合物は立体特異的な製造方法により合成される。これらの方法は、鏡像異性的に純粋な出発物質を都合よく用いる。
【0036】
本発明の化合物のジアステレオマーラセミ化合物は、常法により個々のジアステレオ異性体に分離することができる。都合よく用いることができる適切な物理的分離方法は、例えば、選択的結晶化およびクロマトグラフィー、例えばカラムクロマトグラフィーである。
【0037】
化合物は1個もしくはそれ以上の不斉中心を含有することができ、従って、異なる立体異性体として存在し得る。化合物に存在し得る各不斉中心の絶対配置は、立体化学的記述子RおよびSにより示すことができ、このRおよびS表記法は、Pure Appl.Chem.1976,45,11−30に記載の規則に対応する。
【0038】
本発明は、また、本発明の化合物上に存在する原子の全ての同位体も包含するものとする。同位体には、同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子が包含される。一般的な例としてそして限定されずに、水素の同位体にはトリチウムおよび重水素が包含される。炭素の同位体には、C−13およびC−14が包含される。
【0039】
本特許出願において用いる場合はいつでも、「本発明の化合物(present compounds)」、「本発明の化合物(compounds of the present invention)」、「式(I)の化合物」もしくは同様の用語には、式(I)の化合物、それらのN−オキシド形態、それらの立体異性体、それらの塩形態もしくはその任意の亜群を含んでなるものとする。
【0040】
興味深い化合物は、aが0、1もしくは2であり;さらに特にaが0もしくは1である式(I)の化合物もしくはその任意の亜群である。
【0041】
他の興味深い化合物は、Rが水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、Het、アリールまたはHet、アリール、C3〜7シクロアルキル、アミノおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜6アルキルであり、ここで、アミノ基上の置換基がC1〜6アルキルもしくはC3〜7シクロアルキルから各々個々に選択され;特にRがC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、Het、アリールまたはHet、アリール、C3〜7シクロアルキルおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜6アルキルであり、ここで、アミノ基上の置換基がC1〜6アルキルから各々個々に選択される式(I)の化合物もしくはその任意の亜群である。
【0042】
他の興味深い化合物は、Rが水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜12シクロアルキル、またはHet、アリール、C3〜7シクロアルキル、アミノおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜10アルキルであり、ここで、アミノ基上の置換基がC1〜6アルキルから各々個々に選択され;特にRが水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、もしくはアリールよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜6アルキルである式(I)の化合物もしくはその任意の亜群である。
【0043】
他の興味深い化合物は、RとRがそれらが結合している窒素原子と一緒になって5〜12員の飽和したもしくは部分的に飽和した複素環を形成し、この複素環が場合によりC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、Het、アリールまたはHet、アリール、C3〜7シクロアルキル、アミノおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜6アルキルで置換されていてもよく、ここで、アミノ基上の置換基がC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜7シクロアルキル、Hetおよびアリールから各々個々に選択され;特にRとRがそれらが結合している窒素原子と一緒になって5〜12員の飽和したもしくは部分的に飽和した複素環を形成し、この複素環が場合によりC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルもしくはアリールで置換された1〜6アルキルで置換されていてもよく;さらに特にRとRがそれらが結合している窒素原子と一緒になってピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、インドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリニルよりなる群から選択される複素環を形成し、この複素環が場合によりC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、Het、アリールまたはHet、アリール、C3〜7シクロアルキル、アミノおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜6アルキルで置換されていてもよく、ここで、アミノ基上の置換基がC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜7シクロアルキル、Hetおよびアリールから各々個々に選択され;そしてなおさらに特にRとRがそれらが結合している窒素原子と一緒になってピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、インドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニルよりなる群から選択される複素環を形成し、この複素環が場合によりC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルもしくはアリールで置換されたC1〜6アルキルで置換されていてもよい式(I)の化合物もしくはその任意の亜群である。
【0044】
他の興味深い化合物は、Rがカルボキシル、ハロゲン、ニトロ、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、ポリハロC1〜4アルキル、シアノ、アミノ、モノもしくはジ置換されたアミノ、アミノカルボニル、モノもしくはジ置換されたアミノカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルスルホニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニルまたは場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいピペラジニルであり、ここで、アミノ基のいずれか上の置換基がC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜7シクロアルキル、Hetおよびアリールから各々個々に選択され;特にRがハロゲン、ニトロ、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、ポリハロC1〜4アルキル、シアノ、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルスルホニル、ピペリジニル、モルホリニルである式(I)の化合物もしくはその任意の亜群である。
【0045】
他の興味深い化合物は、アリールが場合によりC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルスルホニル、ニトロ、シアノ、ハロ、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルカルボニル、カルボキシル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノ、モノもしくはジ置換されたアミノ、アミノカルボニル、モノもしくはジ置換されたアミノカルボニルよりなる群から選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、ここで、アミノ基のいずれか上の置換基がフェニル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜7シクロアルキル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニルもしくは場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいピペラジニルから各々個々に選択され;特にアリールが場合によりC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、ニトロ、シアノ、ハロ、アミノ、モノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、ここで、アミノ基のいずれか上の置換基がC1〜6アルキルから各々個々に選択される式(I)の化合物もしくはその任意の亜群である。
【0046】
他の興味深い化合物は、Hetが窒素、酸素もしくは硫黄から各々個々に選択される1個もしくはそれ以上のヘテロ原子を有する5もしくは6員の芳香族の、飽和したもしくは部分的に飽和した単環式もしくは二環式複素環であり、そしてこの複素環が場合によりC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルスルホニル、ニトロ、シアノ、ハロ、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルカルボニル、カルボキシル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノ、モノもしくはジ置換されたアミノ、アミノカルボニル、モノもしくはジ置換されたアミノカルボニルよりなる群から選択される1個のもしくは可能な場合には1個より多くの置換基で置換されていてもよく、ここで、アミノ基のいずれか上の置換基がフェニル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜7シクロアルキル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニルもしくは場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいピペラジニルから各々個々に選択され;特にHetが窒素、酸素もしくは硫黄から各々個々に選択される1個もしくはそれ以上のヘテロ原子を有する5もしくは6員の芳香族の、飽和したもしくは部分的に飽和した単環式もしくは二環式複素環であり、そしてこの複素環が場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよく;さらに特にHetがピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ピラニル、ピロリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、イミダゾリニル、ジオキソラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ジオキサニル、モルホリニル、チオモルホリニルよりなる群から選択される複素環であり、この複素環が場合によりC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルスルホニル、ニトロ、シアノ、ハロ、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルカルボニル、カルボキシル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノ、モノもしくはジ置換されたアミノ、アミノカルボニル、モノもしくはジ置換されたアミノカルボニルよりなる群から選択される1個のもしくは可能な場合には1個より多くの置換基で置換されていてもよく、ここで、アミノ基のいずれか上の置換基がフェニル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜7シクロアルキル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニルもしくは場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいピペラジニルから各々個々に選択され;なおさらに特にHetがピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ピラニル、ピロリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、イミダゾリニル、ジオキソラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ジオキサニル、モルホリニル、チオモルホリニルよりなる群から選択される複素環であり、この複素環が場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよい式(I)の化合物もしくはその任意の亜群である。
【0047】
さらに興味深い化合物は、Hetがピリジニル、フラニル、チエニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピペリジニルよりなる群から選択される複素環であり、この複素環が場合によりC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルスルホニル、ニトロ、シアノ、ハロ、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルカルボニル、カルボキシル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノ、モノもしくはジ置換されたアミノ、アミノカルボニル、モノもしくはジ置換されたアミノカルボニルよりなる群から選択される1個のもしくは可能な場合には1個より多くの置換基で置換されていてもよく、ここで、アミノ基のいずれか上の置換基がフェニル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜7シクロアルキル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニルもしくは場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいピペラジニルから各々個々に選択され;特にHetがピリジニル、フラニル、チエニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピペリジニルよりなる群から選択される複素環であり、この複素環が場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよい式(I)の化合物もしくはその任意の亜群である。
【0048】
化合物の適当な亜群は、以下の制限:
a)aは0もしくは1である;
b)RはC1〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、Het、アリールまたはHet、アリール、C3〜12シクロアルキルおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜10アルキルであり、ここで、アミノ基上の置換基はC1〜10アルキルから各々個々に選択される;
c)Rは水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニルもしくはアリールで置換されたC1〜10アルキルである;
d)RとRはそれらが結合している窒素原子と一緒になって5〜12員の飽和したもしくは部分的に飽和した複素環を形成し、この複素環は場合によりC1〜10アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルもしくはアリールで置換されたC1〜10アルキルで置換されていてもよい;
e)LはC1〜2アルカンジイルである;
f)Rはハロゲン、ニトロ、C1〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、ポリハロC1〜10アルキル、シアノ、C1〜10アルキルオキシ、C1〜10アルキルチオ、C1〜10アルキルスルホニル、ピペリジニル、モルホリニルである;
g)アリールは場合によりC1〜10アルキルオキシ、ハロ、モノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、ここで、アミノ基のいずれか上の置換基はC1〜10アルキルから各々個々に選択される;
h)Hetは窒素、酸素もしくは硫黄から各々個々に選択される1個もしくはそれ以上のヘテロ原子を有する5もしくは6員の芳香族の、飽和したもしくは部分的に飽和した単環式もしくは二環式複素環であり、そしてこの複素環は場合によりC1〜10アルキルで置換されていてもよい
の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物である。
【0049】
特定の化合物は、式(Ia)の化合物により以下の図において示されるように−C(=O)−NR部分が1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン骨格(1,10b−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[1,5−c][1,3]ベンゾキサジン骨格とも命名される)の2位に連結しているフェニル環上のパラ位にある、上記に定義した興味深い化合物のような、式(I)の化合物もしくはその任意の亜群である。
【0050】
【化2】

【0051】
他の特定の化合物は、aが0もしくは1であり、そしてRがハロゲン、ニトロ、C1〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、ポリハロC1〜10アルキル、シアノ、C1〜10アルキルオキシ、C1〜10アルキルチオ、C1〜10アルキルスルホニル、ピペリジニル、モルホリニルである、上記に定義した興味深い化合物のような、式(I)の化合物もしくはその任意の亜群である。
【0052】
他の特定の化合物は、RがC1〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、Het、アリールまたはHet、アリール、C3〜12シクロアルキルおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜10アルキルであり、ここで、アミノ基上の置換基がC1〜10アルキルから各々個々に選択され;Rが水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニルもしくはアリールで置換されたC1〜10アルキルであり;またはRとRがそれらが結合している窒素原子と一緒になって5〜12員の飽和したもしくは部分的に飽和した複素環を形成し、この複素環が場合によりC1〜10アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルもしくはアリールで置換されたC1〜10アルキルで置換されていてもよい、上記に定義した興味深い化合物のような、式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその任意の亜群である。
【0053】
好ましい化合物は、
aが0もしくは1であり;
がC1〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、Het、アリールまたはHet、アリール、C3〜12シクロアルキルおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜10アルキルであり、ここで、アミノ基上の置換基がC1〜10アルキルから各々個々に選択され;
が水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニルもしくはアリールで置換されたC1〜10アルキルであり;
とRがそれらが結合している窒素原子と一緒になって5〜12員の飽和したもしくは部分的に飽和した複素環を形成し、この複素環が場合によりC1〜10アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルもしくはアリールで置換されたC1〜10アルキルで置換されていてもよく;
がハロゲン、ニトロ、C1〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、ポリハロC1〜10アルキル、シアノ、C1〜10アルキルオキシ、C1〜10アルキルチオ、C1〜10アルキルスルホニル、ピペリジニル、モルホリニルである;
上記に定義した興味深いそして特定の化合物のような、式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその任意の亜群である。
【0054】
他の好ましい化合物は、
aが0もしくは1であり;
がC1〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、Het、アリールまたはHet、アリール、C3〜12シクロアルキルおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜10アルキルであり、ここで、アミノ基上の置換基がC1〜10アルキルから各々個々に選択され;
が水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニルもしくはアリールで置換されたC1〜10アルキルであり;あるいは
とRがそれらが結合している窒素原子と一緒になって5〜12員の飽和したもしくは部分的に飽和した複素環を形成し、この複素環が場合によりC1〜10アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルもしくはアリールで置換されたC1〜10アルキルで置換されていてもよく;
がハロゲン、ニトロ、C1〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、ポリハロC1〜10アルキル、シアノ、C1〜10アルキルオキシ、C1〜10アルキルチオ、C1〜10アルキルスルホニル、ピペリジニル、モルホリニルであり;
アリールが場合によりC1〜10アルキルオキシ、ハロ、モノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、ここで、アミノ基のいずれか上の置換基がC1〜10アルキルから各々個々に選択され;
Hetが窒素、酸素もしくは硫黄から各々個々に選択される1個もしくはそれ以上のヘテロ原子を有する5もしくは6員の芳香族の、飽和したもしくは部分的に飽和した単環式もしくは二環式複素環であり、そしてこの複素環が場合によりC1〜10アルキルで置換されていてもよい
上記に定義した興味深いそして特定の化合物のような、式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその任意の亜群である。
【0055】
より好ましい化合物は、
aが0もしくは1であり;
がC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、Het、アリールもしくはHet、アリール、C3〜7シクロアルキルおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜6アルキルであり、ここで、アミノ基上の置換基がC1〜6アルキルから各々個々に選択され;
が水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニルもしくはアリールよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜6アルキルであるか;または
とRがそれらが結合している窒素原子と一緒になってピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、インドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリニルよりなる群から選択される複素環を形成し、この複素環が場合によりC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルもしくはアリールで置換されたC1〜6アルキルで置換されていてもよく;
がハロゲン、ニトロ、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、ポリハロC1〜4アルキル、シアノ、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルスルホニル、ピペリジニル、モルホリニルであり;
アリールが場合によりC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、ニトロ、シアノ、ハロ、アミノ、モノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、ここで、アミノ基のいずれか上の置換基がC1〜6アルキルから各々個々に選択され;
Hetがピリジニル、フラニル、チエニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピペリジニルよりなる群から選択される複素環であり、この複素環が場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよい
上記に定義した興味深いそして特定の化合物のような、式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその任意の亜群である。
【0056】
他のより好ましい化合物は、Rが水素であり、そしてRがシアノである、上記に定義した興味深い、特定のそして好ましい化合物のような、式(I)もしくは(Ia)の化合物またはその任意の亜群である。
【0057】
他のより好ましい化合物は、aが1であり、そしてRがハロゲン、シアノ、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルチオ;モルホリニル、C1〜4アルキルオキシ、ニトロ、C1〜4アルキルスルホニル、トリフルオロメチルである、上記に定義した興味深い、特定のそして好ましい化合物のような、式(I)の化合物もしくはその任意の亜群である。
【0058】
最も好ましい化合物には、
4−[2−(4−ジエチルアミノメチル−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−カルボニル]−ベンゾニトリル;
4−{2−[4−(ベンジルアミノ−メチル)−フェニル]−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−カルボニル]−ベンゾニトリル;
4−[2−(4−{[(ピリジン−4−イルメチル)−アミノ]−メチル}−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−カルボニル]−ベンゾニトリル;
4−[2−(4−{[(4−メトキシ−ベンジル)−メチル−アミノ]−メチル}−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−カルボニル]−ベンゾニトリル;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[2−(4−{[(4−メトキシ−ベンジル)−メチル−アミノ]−メチル}−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−イル]−メタノン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[2−(4−{[(ピリジン−4−イルメチル)−アミノ]−メチル}−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−イル]−メタノン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[2−(4−ジエチルアミノメチル−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−イル]−メタノン;
4−{2−[4−(2−ジエチルアミノ−エチル)−フェニル]−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−カルボニル]−ベンゾニトリル;
4−(2−{4−[(シクロペンチル−メチル−アミノ)−メチル]−フェニル}−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−カルボニル]−ベンゾニトリル;
4−(2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−ブチル]−フェニル}−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−カルボニル)−ベンゾニトリル;
(4−メタンスルホニル−フェニル)−[2−(4−{[(ピリジン−4−イルメチル)−アミノ]−メチル}−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−イル]−メタノン;
(4−メタンスルホニル−フェニル)−[2−(4−{[(4−メトキシ−ベンジル)−メチル−アミノ]−メチル}−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−イル]−メタノン;
[2−(4−ジエチルアミノメチル−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−イル]−(4−メタンスルホニル−フェニル)−メタノン;
ならびにそのN−オキシド、立体異性体および塩が包含される。
【0059】
式(I)の化合物はHIVの複製の阻害剤であるということによって、式(I)の化合物は、HIVに感染した温血動物、特にヒトの処置において有用である。本発明の化合物で防ぐかもしくは処置することができるHIVと関連する症状には、エイズ、エイズ関連症候群(ARC)、進行性全身性リンパ節症(PGL)、ならびに例えばHIVに媒介される認知症および多発性硬化症のようなレトロウイルスにより引き起こされる慢性CNS疾患が包含される。
【0060】
従って、本発明の化合物は薬剤として使用することができる。本発明の化合物は、HIV感染と関連する症状を処置するために有用な薬剤の製造において用いることができる。
【0061】
本発明の化合物はまた、上記の症状に対してもしくはそれらを処置する方法において用いることもできる。該処置方法は、HIVに感染した温血動物、特にHIVに感染したヒトへの式(I)の化合物の有効治療量の全身投与を含んでなる。
【0062】
1つの態様において、本発明は温血動物、特にヒトのHIV伝染もしくはHIV感染もしくはHIV感染と関連する疾患、そして特にパートナー間の性交もしくは関連する親密な接触による伝染もしくは感染を防ぐための薬剤の製造における本発明の化合物の使用に関する。従って、本発明はまた、式(I)の化合物の有効予防量を温血動物、特にヒトに投与することを含んでなるHIV伝染もしくはHIV感染もしくはHIV感染と関連する疾患、そして特にパートナー間の性交もしくは関連する親密な接触による伝染もしくは感染を防ぐ方法にも関する。
【0063】
HIVウイルス複製を阻害するそれらの能力に関する本発明の化合物の有益な特性は、GFPに連結したLTR配列とHIV−tatとの特異的相互作用によってMT4細胞(MT4−LTR−EGFP細胞)における野生型HIVウイルスの進行中の複製を直接測定する抗ウイルス複製アッセイを用いて示すことができる。また、上記の抗ウイルス複製アッセイを用いて、本発明の化合物は一団の逆転写酵素耐性ウイルス、プロテアーゼ耐性ウイルスもしくは組み合わせた逆転写酵素およびプロテアーゼ耐性ウイルス(いわゆる、多剤耐性ウイルス)の複製を阻害することも見出された。
【0064】
本発明の化合物は、添加時間実験(time of addition experiment)において試験した。添加時間実験は、どの時点で試験化合物が細胞環境においてウイルス複製を阻害するかの指標を与える。特に、本発明の試験化合物をHIV−1−LTR−ルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するHIV−1感染MT4細胞(MT4−LTR−Luc)もしくはHIV−1−LTR−EGFPレポーター遺伝子を発現するMT4細胞(MT4−LTR−EGFP)に異なる時間間隔で添加した。試験化合物の添加の最初の時点は、ウイルス同期化後30分であった。
【0065】
本発明の化合物はまた、FACS読み取りを用いてHIVを持続的に発現する細胞系(エフェクター細胞系)とLTR−EGFPを備えたCD4およびCXCR4を発現する細胞系(標的細胞系)との間の細胞−細胞融合の阻害を測定する侵入レポーターアッセイ(ERA)においても試験した。
【0066】
GFPレポータータンパク質(MT4−CMV−EGFP細胞)の減少した発現が試験化合物の細胞毒性のマーカーとして働く毒性アッセイは、本発明の化合物の毒性を測定するために用いることができる。
【0067】
一般に、本発明の化合物は、スキーム1に示される合成順序により得ることができる。
【0068】
【化3】

【0069】
スキーム1において、式1.1の中間体は、例えばアルコールと水の混合物、例えばエタノールと水の混合物のような適当な溶媒系において、無機塩基、例えば水酸化カリウムもしくは水酸化ナトリウムのような適当な塩基の存在下で式1.2のサリチルアルデヒドと縮合することができる。あるいはまた、テトラヒドロフランもしくはジクロロメタンのような適当な溶媒においてピロリジンのような有機塩基を用いることができる。中間体1.2における変記号「PG」は、例えばメトキシメチル、tert−ブトキシメチル、テトラヒドロピラニルもしくはメトキシエトキシメチル(MEM)のようなヒドロキシル基の保護基であるものとする。以下のスキーム3は、保護基がMEMである式1.2の中間体を製造するための反応方法を示す。スキーム1における上記の縮合反応の得られる中間体は、式1.3のカルコンである(J.Med.Chem,2000,43,4868−4876にも記述される)。式1.3の保護されたカルコンは、例えばテトラヒドロフラン、ジクロロメタンもしくはアルコールのような適切な溶媒において例えば塩酸を用いることにより酸性媒質中で脱保護し、そのようにして式1.4の中間体を生成せしめることができる。次に、中間体1.4は、例えばジオキサン、トルエンもしくはアルコール、例えばエタノールのような適当な水混和性溶媒においてヒドラジンとさらに反応させて、式1.5のジヒドロピラゾールを生成せしめることができる(J.Ind.Chem.Soc.,1989,66,893−896)。次に、式1.7の化合物は、トルエンもしくはジオキサンのような適当な溶媒において、そしてパラ−トルエンスルホン酸のような酸の触媒量の存在下で式1.6の適切なグリオキサールと式1.5のジヒドロピラゾールのカップリングによって製造することができる。中間体1.7は、ジクロロメタンもしくはヘキサンのような適当な溶媒においてデス−マーチン試薬もしくはスワーン条件のような化学の技術分野において既知である別の酸化剤で酸化してアルデヒド1.8を得ることができる。次に、所望のアミン1.9は、ジクロロメタン、ジクロロエタンもしくはテトラヒドロフラン(THF)のような適当な溶媒においてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムもしくはシアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いてアルデヒド1.8の還元的アミノ化によって製造することができる。
【0070】
【化4】

【0071】
スキーム2において、スキーム1における出発物質として使用する式1.1.aの化合物は、ジクロロエタンのような適当な溶媒においてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤を用いて市販されているアセチルベンズアルデヒドによって製造することができる。
【0072】
またスキーム2において、式1.1.bの化合物は、ジクロロメタン、エーテルもしくはヘキサンのような適当な溶媒において塩化アルミニウムもしくは三臭化ホウ素のようなルイス酸試薬を用いるアセテート2.2.aのフリーデル・クラフツアシル化、続いてエステル2.3の加水分解によって製造し、所望の化合物1.1.bを生成せしめることができる。
【0073】
【化5】

【0074】
保護基としてMEMを有する式1.2.aの中間体の製造は、水素化ナトリウムもしくは水素化カリウムのような塩基の存在下で、そしてN,N−ジメチルホルムアミドもしくはテトラヒドロフランのような適当な溶媒の存在下でクロロメトキシメトキシエタンと市販されているサリチルアルデヒド3.1を反応させることにより得ることができる。
【0075】
【化6】

【0076】
式1.6のグリオキサールの製造は、J.Het.Chem.1987,24,441−451に記載のようにもしくはそれと同様にして式4.1の中間体から出発して実施することができる。さらに特に、式4.1のアセチルは、酸化剤として酸化セレンを用いてジオキサンのような溶媒において式1.6のグリオキサールに酸化することができる。
【0077】
上記に提示する製造において、反応生成物は、反応媒質から単離し、そして必要に応じて例えば抽出、結晶化、蒸留、研和およびクロマトグラフィーのような当該技術分野において一般に既知である方法論に従ってさらに精製することができる。
【0078】
上記の方法において製造されるような式(I)の化合物は、立体異性体の混合物として、特に鏡像異性体のラセミ混合物の形態で合成される可能性があり、それらは当該技術分野で既知の分割方法に従って相互から分離することができる。式(I)のラセミ化合物は、適当なキラル酸との反応により対応するジアステレオマー塩形態に転化することができる。次に、該ジアステレオマー塩形態を例えば選択的もしくは分別結晶化により分離し、そして鏡像異性体をアルカリによりそれから遊離させる。式(I)の化合物の鏡像異性体を分離する代わりの方法は、キラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを含む。該純粋な立体化学的異性体はまた、反応が立体特異的に起こるならば、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体から得ることもできる。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合、該化合物は立体特異的な製造方法により合成される。これらの方法は、鏡像異性的に純粋な出発物質を都合よく用いる。
【0079】
従って、本発明の化合物は、それ自体薬剤として、相互との混合物においてもしくは製薬学的製剤の形態で動物において、好ましくは哺乳動物において、そして特にヒトにおいて用いることができる。
【0080】
さらに、本発明は、通常の製薬学的に無害の賦形剤および助剤に加えて式(I)の化合
物の少なくとも1つの有効用量を有効成分として含有する製薬学的製剤に関する。製薬学的製剤は、通常、0.1〜90重量%の化合物を含有する。製薬学的製剤は、当業者にそれ自体既知である方法で製造することができる。この目的のために、1つもしくはそれ以上の固形もしくは液状の製薬学的賦形剤および/もしくは助剤と一緒に、そして所望に応じて、他の製薬学的活性化合物と組み合わせて、本発明の化合物の少なくとも1つを適当な投与形態もしくは投与形態物にし、それを次にヒト医学もしくは獣医学における薬剤として用いることができる。
【0081】
本発明の化合物を含有する薬剤は、経口で、非経口で、例えば静脈内に、直腸に、吸入により、もしくは局所的に投与することができ、好ましい投与は個々の場合、例えば処置する疾患の特定の経過により決まる。経口投与が好ましい。
【0082】
当業者は、その専門知識に基づいて所望の製薬学的製剤に適当な助剤に精通している。化合物の溶媒、ゲル形成剤、座薬基剤、錠剤助剤および他の担体に加えて、酸化防止剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、香料矯味薬、防腐剤、可溶化剤、デポー(depot)効果を得るための薬剤、バッファー物質もしくは着色剤もまた有用である。
【0083】
本発明の化合物はまた、HIVを含有するかもしくはHIVにさらされることが予想されるエクスビボサンプルを阻害することにおいて用途を見出すこともできる。従って、本発明の化合物は、HIVを含有するかまたは含有するかもしくはそれにさらされる疑いがある体液サンプルに存在するHIVを阻害するために用いることができる。
【0084】
また、抗レトロウイルス化合物と本発明の化合物との組み合わせを薬剤として用いることもできる。従って、本発明はまた、レトロウイルス感染の処置における同時、別個もしくは順次使用のための組み合わせた製剤として、(a)本発明の化合物および(b)別の抗レトロウイルス化合物を含有する製品にも関する。従って、HIV感染、または後天性免疫不全症候群(エイズ)もしくはエイズ関連症候群(ARC)のようなHIV感染と関連する感染および疾患と闘うかもしくはそれを処置するために、本発明の化合物は、例えば結合阻害剤、例えばデキストラン硫酸、スラミン、ポリアニオン、可溶性CD4、BMS378806のようなgp120結合剤、PRO−542もしくはTNX−355のような抗CD4 Ab化合物;例えばT20、T1249のような融合阻害剤、例えばAK−602、SCH−C、SCH−D、AMD3100(バイサイクラム(Bicyclams))、AMD−070、TAK779、TAK220、UK−427−857、PRO−140のようなコレセプター結合阻害剤;例えばフォスカルネットおよびプロドラッグのようなRT阻害剤;例えばAZT、3TC、DDC、DDI、D4T、アバカビル、FTC、エムトリシタビン、DAPD、dOTCのようなヌクレオシドRTI;例えばPMEA、PMPA、テノフォビルのようなヌクレオチドRTI;例えばネビラピン、デラビルジン、エファビレンズ、チビラピン、ロビリド、エトラビリン、ダピビリン(dapivirine)、リルピビリン(rilpivirine)、TMC120、TMC125、MKC−442、UC781、カプラビリン、DPC961、DPC963、DPC082、DPC083、カラノリドA、SJ−3366、TSAO、4”−脱アミノ化TSAOのようなNNRTI;例えばSP1093V、PD126338のようなRNアーゼH阻害剤;例えばRO−5−3335、K12、K37のようなTAT阻害剤;例えばL708906、L731988のようなインテグラーゼ阻害剤;例えばダルナビル、アンプレナビル、リトナビル、ネルフィナビル、サキナビル、インジナビル、ロピナビル、ラシナビル、アタザナビル、BMS186316、DPC681、DPC684、チプラナビル、AG1776、DMP450、L756425、PD178390、PNU140135のようなプロテアーゼ阻害剤;例えばカスタノスペルミン、デオキシノジリマイシンのようなグリコシル化阻害剤と組み合わせて共投与することができる。
【0085】
特に興味深いのは、レトロウイルス感染の処置における同時、別個もしくは順次使用のための組み合わせた製剤として、(i)式(I)の化合物、ならびに(ii)ダルナビル、およびリトナビルのようなブースターを含んでなる製品である。
【0086】
特に興味深いのは、レトロウイルス感染の処置における同時、別個もしくは順次使用のための組み合わせた製剤として、(i)式(I)の化合物、および(ii)エトラビリンを含んでなる製品である。
【0087】
特に興味深いのは、レトロウイルス感染の処置における同時、別個もしくは順次使用のための組み合わせた製剤として、(i)式(I)の化合物、および(ii)ダピビリンを含んでなる製品である。
【0088】
特に興味深いのは、レトロウイルス感染の処置における同時、別個もしくは順次使用のための組み合わせた製剤として、(i)式(I)の化合物、および(ii)リルピビリンを含んでなる製品である。
【0089】
本発明の化合物はまた、HIV感染およびその症状を改善するか、それと闘うかもしくは除くために免疫調節剤(例えば、ブロピリミン、抗ヒトアルファインターフェロン抗体、IL−2、メチオニンエンケファリン、インターフェロンアルファおよびナルトレキソン)ともしくは抗生物質(例えばイセチオン酸(isothiorate)ペンタミジン)と組み合わせて投与することもできる。
【0090】
経口投与形態のためには、本発明の化合物を賦形剤、安定剤もしくは不活性希釈剤のような適当な添加剤と混合し、そして常法を用いて錠剤、コート錠、ハードカプセル剤、水性、アルコール性もしくは油性液剤のような適当な投与形態にする。適当な不活性担体の例は、アラビアゴム、マグネシア、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、ラクトース、グルコースもしくは澱粉、特にコーンスターチである。この場合、製造は乾燥したおよび湿った顆粒の両方として実施することができる。適当な油性賦形剤もしくは溶媒は、ヒマワリ油もしくはタラ肝油のような植物油もしくは動物油である。水性もしくはアルコール性液剤の適当な溶媒は、水、エタノール、糖溶液もしくはその混合物である。ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールもまた、他の投与形態のさらなる助剤として有用である。
【0091】
皮下もしくは静脈内投与のためには、所望に応じて可溶化剤、乳化剤もしくはさらなる助剤のようなそれに慣例の物質とともに活性化合物を液剤、懸濁剤もしくは乳剤にする。化合物はまた凍結乾燥し、そして得られる凍結乾燥物を例えば注射もしくは注入製剤の製造に用いることができる。適当な溶媒は、例えば、水、生理食塩水溶液もしくはアルコール、例えばエタノール、プロパノール、グリセロール、さらにまたグルコースもしくはマンニトール溶液のような糖溶液、あるいはまた記載した様々な溶媒の混合物である。
【0092】
エアロゾルもしくはスプレーの形態の投与に適当な製薬学的製剤は、例えば、エタノールもしくは水、またはそのような溶媒の混合物のような製薬学的に許容しうる溶媒における化合物もしくはそれらの生理学的に耐容しうる塩の液剤、懸濁剤もしくは乳剤である。必要に応じて、製剤はまた界面活性剤、乳化剤および安定剤ならびに推進剤のような他の製薬学的助剤をさらに含有することもできる。そのような製剤は、通常約0.1〜50%の、特に約0.3〜3重量%の濃度の活性化合物を含有する。
【0093】
製薬学的組成物における化合物の溶解性および/もしくは安定性を高めるために、α−、β−もしくはγ−シクロデキストリンまたはそれらの誘導体を用いることは好都合であることができる。また、アルコールのような共溶媒は、製薬学的組成物における化合物の溶解性および/もしくは安定性を向上することができる。水性組成物の製造において、主題化合物の付加塩はそれらの増加した水溶性のために明らかにより適している。
【0094】
適切なシクロデキストリンは、α−、β−、γ−シクロデキストリン(CD)もしくはそのエーテルおよび混合エーテル(ここで、シクロデキストリンのアンヒドログルコース単位のヒドロキシ基の1つもしくはそれ以上は、アルキル、特にメチル、エチルもしくはイソプロピル(例えばランダムにメチル化されたβ−CD);ヒドロキシアルキル、特にヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルもしくはヒドロキシブチル;カルボキシアルキル、特にカルボキシメチルもしくはカルボキシエチル;アルキルカルボニル、特にアセチル;アルキルオキシカルボニルアルキルもしくはカルボキシアルキルオキシアルキル、特にカルボキシメトキシプロピルもしくはカルボキシエトキシプロピル;アルキルカルボニルオキシアルキル、特に2−アセチルオキシプロピルで置換される)である。コンプレクサント(complexants)および/もしくは可溶化剤として特に特筆すべきは、β−CD、ランダムにメチル化されたβ−CD、2,6−ジメチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−γ−CD、2−ヒドロキシプロピル−γ−CDおよび(2−カルボキシメトキシ)プロピル−β−CD、そして特に2−ヒドロキシプロピル−β−CD(2−HP−β−CD)である。
【0095】
混合エーテルという用語は、少なくとも2個のシクロデキストリンヒドロキシ基が例えばヒドロキシプロピルおよびヒドロキシエチルのような異なる基でエーテル化されるシクロデキストリン誘導体を意味する。
【0096】
シクロデキストリンもしくはその誘導体と組み合わせて本発明の化合物を調合する興味深い方法は、EP−A−721,331に記述されている。そこに記述される製剤は抗真菌有効成分とであるが、それらは本発明の化合物を調合するために同等に興味深い。そこに記述される製剤は経口投与に特に適しており、そして有効成分として抗真菌剤、可溶化剤として十分な量のシクロデキストリンもしくはその誘導体、バルク液状担体として水性酸性媒質および組成物の製造を非常に簡略化するアルコール性共溶媒を含んでなる。該製剤はまた、製薬学的に許容しうる甘味料および/もしくは香料を加えることによりさらに口当たりよくすることもできる。
【0097】
製薬学的組成物における本発明の化合物の溶解性を高めるための他の都合のよい方法は、全て引用することにより本明細書に組み込まれるWO−94/05263、PCT出願第PCT/EP98/01773、EP−A−499299、WO97/44014およびWO01/22938に記述される。
【0098】
さらに特に、本発明の化合物は、(a)本発明の化合物、および(b)1つもしくはそれ以上の製薬学的に許容しうる水溶性ポリマーを含んでなる固体分散体からなる粒子の治療的に有効な量を含んでなる製薬学的組成物において調合することができる。
【0099】
「固体分散体」という用語は、一方の成分がもう一方の成分もしくは複数の成分の全体にわたって大体均一に分散している少なくとも2つの成分を含んでなる固体状態(液体もしくは気体状態とは対照的に)の系を定義する。系が全体にわたって化学的にそして物理的に均一もしくは均質であるかまたは熱力学において定義されるような1つの相からなるように成分の該分散体が存在する場合、そのような固体分散体は「固溶体」と呼ばれる。固溶体は、その中の成分が、それらを投与する生物体に通常は容易に生体利用可能であるので、好ましい物理系である。
【0100】
「固体分散体」という用語はまた、固溶体より全体にわたって均質さが低い分散体も含んでなる。そのような分散体は、全体にわたって化学的にそして物理的に均一ではないか
もしくは1つより多くの相を含んでなる。
【0101】
粒子における水溶性ポリマーは、都合よく、20℃溶液で2%水溶液に溶解した場合に1〜100mPa.sの見掛け粘度を有するポリマーである。
【0102】
好ましい水溶性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、すなわちHPMCである。約0.8〜約2.5のメトキシ置換度および約0.05〜約3.0のヒドロキシプロピルモル置換を有するHPMCは、一般に水溶液である。メトキシ置換度は、セルロース分子のアンヒドログルコース単位当たりに存在するメチルエーテル基の平均数をさす。ヒドロキシプロピルモル置換は、セルロース分子の各アンヒドログルコース単位と反応しているプロピレンオキシドの平均モル数をさす。
【0103】
上記に定義したような粒子は、最初に成分の固体分散体を調製し、そして次に場合によりその分散体を粉砕するかもしくは製粉することにより製造することができる。溶融押し出し、噴霧乾燥および溶液蒸発を包含する固体分散体を製造するための様々な技術が存在する。
【0104】
1000nm未満の有効平均粒径を維持するために十分な量のその表面上に吸着した表面改質剤(surface modifier)を有するナノ粒子の形態の本発明の化合物を調合することはさらに好都合であり得る。有用な表面改質剤には、抗レトロウイルス剤の表面に物理的に接着するが抗レトロウイルス剤に化学的に結合しないものが包含されると考えられる。
【0105】
適当な表面改質剤は、好ましくは、既知の有機および無機製薬学的賦形剤から選択することができる。そのような賦形剤には、様々なポリマー、低分子量オリゴマー、天然物および界面活性剤が包含される。好ましい表面改質剤には、非イオンおよび陰イオン界面活性剤が包含される。
【0106】
本発明の化合物を調合するさらに別の興味深い方法は製薬学的組成物を含み、それにより本発明の化合物は親水性ポリマーに導入され、そしてこの混合物を多数の小ビーズ上にコートフィルムとして適用し、そのようにして都合よく製造することができそして経口投与用の製薬学的投与形態物を製造するのに適している優れた生物学的利用能を有する組成物を生成せしめる。
【0107】
該ビーズは、(a)中心の丸いもしくは球状のコア、(b)親水性ポリマーと抗レトロウイルス剤のコーティングフィルムおよび(c)密封コーティングポリマー層を含んでなる。
【0108】
ビーズにおけるコアとしての使用に適当な物質はマニホールドであり、ただし、該物質は製薬学的に許容でき、そして適切な大きさおよび硬度を有する。そのような物質の例は、ポリマー、無機物質、有機物質、ならびに糖およびその誘導体である。
【0109】
本発明の別の態様は、HIV侵入、HIV増殖もしくは両方を阻害する潜在的薬剤の能力を決定するための試験もしくはアッセイにおける標準もしくは試薬としての使用に有効な量の本発明の化合物を含んでなるキットもしくは容器に関する。本発明のこの態様は、製薬学的研究プログラムにおいてその用途を見出すことができる。
【0110】
投与する本発明の化合物のもしくはその生理学的に耐容しうる塩(1つもしくは複数)の用量は個々の場合により決まり、そして慣例として、最適な効果のために個々の場合の条件に適合される。従って、それはもちろん投与の頻度に、そして治療もしくは予防のた
めに各場合において用いられる化合物の効能および作用期間に、また感染および症状の性質および重症度にも、そして処置するヒトもしくは動物の性別、年齢、体重および個々の反応性に、そして治療が急性もしくは予防的であるかどうかによって決まる。通例、本発明の化合物の毎日用量は、体重が約75kgの患者への投与の場合に、1mg〜5gの間、好ましくは10mg〜2gの間、より好ましくは20mg〜1gの間である。用量は、個々の用量の形態で投与するか、またはいくつかの、例えば2、3、4もしくはさらに多くの個々の用量に分割することができる。
【0111】
[実施例]
実験部分
【実施例1】
【0112】
4−[4−(4−シアノ−ベンゾイル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−2−イル]−N,N−ジエチル−ベンジルアミン1.9a(化合物1)の合成
【0113】
4−ヒドロキシメチル−ベンゾフェノン1.1aの合成
1,2−ジクロロエチレン(1,2−DCE)(100ml)中の4−アセチルベンズアルデヒド(9g、61mmol)の溶液に、NaHB(OAc)もしくはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(19.3g、90mmol)を加え、そして反応混合物を7時間還流させた。次に、混合物をNHCl(飽和、水性)上に注ぎ出し、そしてCHCl(3x50ml)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン=70/30)により精製して8.08gの生成物1.1aを生成せしめた(89%の収率)。
【0114】
化合物2.3aの合成
CHCl(1000ml)中の化合物2.2a(20ml、112mmol)の溶液に塩化アルミニウム(14.9g、112mmol)を加え、そして混合物を0℃に冷却した。次に、温度を0℃未満に保ちながらCHCl中の塩化アセチル(8ml、112mmol)の溶液を滴下して加えた。次に、もう1当量の塩化アルミニウムを加え、そして混合物を0℃で1.5時間攪拌した。混合物を氷水に注ぎ込み、そして〜20mlの濃HClを加えた。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。得られる油をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン=1/1)により精製して12.1gの2.3bを生成せしめた(49%の収率)。
【0115】
化合物1.1bの合成
化合物2.3a(12.1g、55mmol)をTHF/水(400ml、1/1)に溶解し、そして水酸化ナトリウム(2.3g、57mmol)を加えた。反応混合物を室温で6時間攪拌した。次に、THF層を分離し、そして水層をEtOもしくはジエチルエーテル(2x50ml)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮して1.1bを白色の固体として生成せしめた(9.4g、96%の収率)。
【0116】
2−(2−メトキシ−エトキシメトキシ)−ベンズアルデヒド1.2の合成
中間体2.1(20mmol)をTHF(150ml)に溶解した。得られる混合物を0℃に冷却した。水素化ナトリウム(30mmol)を加え、そして混合物を室温で1時間攪拌し、そしてクロロメトキシメトキシエタン(20mol)を加えた。混合物を室温で16時間攪拌した。水(200ml)を加え、そして混合物をジクロロメタンで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO上)、濾過し、そして溶媒を蒸発乾固させた
。溶離剤としてジクロロメタンを用いて残留物をシリカゲル上で濾過した。溶媒を除いて95%の化合物1.2aを生成せしめた。
【0117】
4−{3−[2−(2−メトキシ−エトキシメトキシ)−フェニル]−アクリロイル}−ベンジルアルコール1.3aの合成
エタノール(350ml)中の化合物1.1a(8g、53mmol)および1.2a(11.2g、53mmol)の溶液にHO(5ml)中のKOH(5.94g、106mmol)を加えた。反応混合物をrtで20時間攪拌し、そして次にNHCl(水性、飽和)上に注ぎ出し、そして酢酸エチル(EtOAc)(3x100ml)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン=1/1)により精製して15.5gの生成物1.3aを生成せしめた(85%の収率、LCMS 90%純粋)。
【0118】
4−[3−(2−ヒドロキシ−フェニル)−アクリロイル]−ベンジルアルコール1.4aの合成
化合物1.3a(15.5g、45mmol)をTHF(350ml)に溶解し、そして1MのHCl(95ml)を加えた。反応混合物を20時間還流させ、その後に溶媒を蒸発させた。次に、CHCl(50ml)を加え、そして有機層を1MのNaOH(100ml)で2回抽出した。合わせたNaOH層を1MのHClを用いて酸性化し、そして生成物が溶液から沈殿した。生成物を濾過して分離し、そして真空ストーブ(vacuum stove)において乾燥させて9.3gの生成物1.4aを生成せしめた(81%の収率)。
【0119】
4−[5−(2−ヒドロキシ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−ベンジルアルコール1.5aの合成
化合物1.4a(9.3g、37mmol)をエタノール(EtOH)(350mL)に溶解し、そしてヒドラジン(7.3g、146mmol)を一度に加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した。生成物が溶液から沈殿し、そしてそれを濾過して分離し、そして真空ストーブにおいて乾燥させて6.2gの生成物1.5aを生成せしめた(63%の収率)。
【0120】
4−(2−オキソ−アセチル)−ベンゾニトリル1.6aの合成
ジオキサン(250mL)中の4−シアノアセトフェノン4.1a(6g、41mmol)の溶液に、二酸化セレン(9.1g、82mmol)を加えた。反応混合物を20時間還流させ、室温に冷却し、濾過し、そして濃縮した。残留物をCHClに溶解し、そして再び濾過した。溶媒を蒸発させ、そして残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン=1/1)により精製して5.2gのグリオキサール1.6aを生成せしめた(80%の収率)。
【0121】
4−[4−(4−シアノ−ベンゾイル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−2−イル]−ベンジルアルコール1.7aの合成
化合物1.5a(5.5g、20mmol)をトルエン(200mL)に入れ、そして30分間超音波処理した。次に、溶液を80℃に加熱し、そしてその温度で30分間攪拌した。次に、パラ−トルエンスルホン酸(0.19g、1mmol)を加えた。次に、THF(20mL)中のグリオキサール1.6a(3.6g、23mmol)の溶液を滴下して加え、そして反応混合物を80℃で1.5時間攪拌した。この期間の後に溶媒を蒸発させ、そして生成物をカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=99/1)により精製して5.3gの生成物1.7aを生成せしめた(63%の収率)。「MeOH」はメタノールをさす。
【0122】
4−[4−(4−シアノ−ベンゾイル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−2−イル]−ベンズアルデヒド1.8aの合成
化合物1.7a(2g、4.9mmol)をCHCl(60ml)に溶解し、そしてデス−マーチンペルヨージナン(14ml、CHCl中15wt%、6.83mmol)を反応混合物に加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌した。次に、NaHCO(水性、飽和)およびNa(1当量)を加え、そして混合物を15分間強く攪拌した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン=30/70)により精製して1.22gの生成物1.8aを生成せしめた(61%の収率)。
【実施例2】
【0123】
化合物1.9の合成の一般的方法
CHCl中のアルデヒド1.8および対応するアミン(1.1当量)の溶液にNaHB(OAc)(1.1当量)を加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌し、そして次にNaHCO(水性、飽和)上に注ぎ出した。有機層を分離し、そして水層をCHClで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして濃縮した。CHCl/MeOHを用いてカラムクロマトグラフィーにより生成物を精製した。20〜70%の収率。
【0124】
以下の表に記載する化合物は、実施例1もしくは2に記載の方法と同様にして製造した。
【0125】
【表1】

【0126】
【表2】

【0127】
【表3】

【0128】
【表4】

【0129】
【表5】

【実施例3】
【0130】
本発明の化合物のウイルス学的性質
抗ウイルス活性についてMT4−LTR−EGFP細胞を用いて細胞アッセイにおいて化合物を試験した。アッセイは、これらの化合物が野生型実験室HIV株(HIV−1株LAI)および多剤耐性HIV−1ウイルス(HIV−1−MDR)に対して強力な抗HIV活性を示すことを明らかにした。細胞アッセイは、以下の方法に従って行った。
【0131】
HIVもしくは模擬感染したMT4−LTR−EGFP細胞を様々な濃度の阻害剤の存在下で3日間インキュベーションした。感染の際に、GFPレポーターはウイルスのtatタンパク質により活性化される。インキュベーション期間の最後に、GFPシグナルを測定した。ウイルスコントロールサンプル(任意の阻害剤の不在下)において最大の蛍光シグナルが得られた。化合物の阻害活性をウイルス感染細胞上でモニターし、そしてEC50およびEC90として表した。これらの値は、ウイルス感染から細胞のそれぞれ50%および90%を守るために必要な化合物の量を表す。
【0132】
【表6】

【0133】
【表7】

【実施例4】
【0134】
製薬学的組成物
カプセル剤
有効成分、この場合には式(I)の化合物をエタノール、メタノールもしくは塩化メチレンのような有機溶媒、好ましくはエタノールと塩化メチレンの混合物に溶解する。酢酸ビニルとのポリビニルピロリドンコポリマー(PVP−VA)もしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のようなポリマー、典型的に5mPa.sをエタノール、メタノール、塩化メチレンのような有機溶媒に溶解する。好適には、ポリマーをエタノールに溶解する。ポリマーおよび化合物溶液を混合し、そして次に噴霧乾燥させる。化合物/ポリマーの比率は、1/1〜1/6から選択した。中間範囲は、1/1.5および1/3である。適当な比率は、1/6である。次に、噴霧乾燥した粉末、固体分散体を投与用のカプセルに詰める。1個のカプセルにおける薬剤装填量は、使用するカプセルサイズにより50〜100mgの間である。
【0135】
フィルムコート錠
錠剤コアの製造
100gの有効成分、この場合には式(I)の化合物、570gのラクトースおよび200gの澱粉の混合物をよく混合し、そしてその後で約200mlの水中5gのドデシル硫酸ナトリウムおよび10gのポリビニルピロリドンの溶液で湿らせる。湿った粉末混合物をふるいにかけ、乾燥させ、そして再びふるいにかける。次に、100gの微晶質セルロースおよび15gの水素化植物油を加えた。全体をよく混合し、そして錠剤に圧縮し、各々10mgの有効成分を含んでなる10.000個の錠剤を生成せしめる。
【0136】
コーティング
75mlの変性エタノール中10gのメチルセルロースの溶液に150mlのジクロロメタン中5gのエチルセルロースの溶液を加える。次に、75mlのジクロロメタンおよび2.5mlの1,2,3−プロパントリオールを加える。10gのポリエチレングリコールを融解し、そして75mlのジクロロメタンに溶解する。後者の溶液を前者に加え、そして次に2.5gのオクタデカン酸マグネシウム、5gのポリビニルピロリドンおよび30mlの濃縮色懸濁液を加え、そして全体を均質化する。このようにして得られる混合物で錠剤コアをコーティング装置においてコーティングする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、
aは0、1、2、3、4もしくは5であり;
LはC1〜4アルカンジイルであり;
は水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜12シクロアルキル、Het、アリールまたはHet、アリール、C3〜12シクロアルキル、アミノおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜10アルキルであり、ここで、アミノ基上の置換基はC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C3〜12シクロアルキル、Hetおよびアリールから各々個々に選択され;
は水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜12シクロアルキル、Het、アリールまたはHet、アリール、C3〜12シクロアルキル、アミノおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜10アルキルであり、ここで、アミノ基上の置換基はC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C3〜12シクロアルキル、Hetおよびアリールから各々個々に選択され;あるいは
とRはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から各々個々に選択される1個もしくはそれ以上のヘテロ原子を有する5〜12員の飽和したもしくは部分的に飽和した複素環を形成し、そしてここで、該複素環は場合によりC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C3〜12シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、Het、アリールまたはHet、アリール、C3〜12シクロアルキル、アミノおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜10アルキルで置換されていてもよく、ここで、アミノ基上の置換基はC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C3〜12シクロアルキル、Hetおよびアリールから各々個々に選択され;
はカルボキシル、ハロゲン、ニトロ、C1〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、ポリハロC1〜10アルキル、シアノ、アミノ、モノもしくはジ置換されたアミノ、アミノカルボニル、モノもしくはジ置換されたアミノカルボニル、C1〜10アルキルオキシ、C1〜10アルキルチオ、C1〜10アルキルスルホニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニルまたは場合によりC1〜10アルキルで置換されていてもよいピペラジニルであり、ここで、アミノ基のいずれか上の置換基はC1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C3〜12シクロアルキル、Hetおよびアリールから各々個々に選択され;
アリールは場合によりC1〜10アルキル、ポリハロC1〜10アルキル、C1〜10アルキルオキシ、C1〜10アルキルチオ、C1〜10アルキルスルホニル、ニトロ、シアノ、ハロ、C3〜7シクロアルキル、C1〜10アルキルカルボニル、カルボキシル、
1〜10アルキルオキシカルボニル、アミノ、モノもしくはジ置換されたアミノ、アミノカルボニル、モノもしくはジ置換されたアミノカルボニルよりなる群から選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、ここで、アミノ基のいずれか上の置換基はフェニル、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C3〜7シクロアルキル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニルもしくは場合によりC1〜10アルキルで置換されていてもよいピペラジニルから各々個々に選択され;
Hetは窒素、酸素もしくは硫黄から各々個々に選択される1個もしくはそれ以上のヘテロ原子を有する5もしくは6員の芳香族の、飽和したもしくは部分的に飽和した単環式複素環であり、そしてこの複素環は場合によりC1〜10アルキル、ポリハロC1〜10アルキル、C1〜10アルキルオキシ、C1〜10アルキルチオ、C1〜10アルキルスルホニル、ニトロ、シアノ、ハロ、C3〜7シクロアルキル、C1〜10アルキルカルボニル、カルボキシル、C1〜10アルキルオキシカルボニル、アミノ、モノもしくはジ置換されたアミノ、アミノカルボニル、モノもしくはジ置換されたアミノカルボニルよりなる群から選択される1個のもしくは可能な場合には1個より多くの置換基で置換されていてもよく、ここで、アミノ基のいずれか上の置換基はフェニル、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、C3〜7シクロアルキル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニルもしくは場合によりC1〜10アルキルで置換されていてもよいピペラジニルから各々個々に選択される]
を有する化合物、そのN−オキシド、立体異性体もしくは塩。
【請求項2】
以下の制限:
a)aは0もしくは1である;
b)RはC1〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、Het、アリールまたはHet、アリール、C3〜12シクロアルキルおよびモノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される置換基で置換されたC1〜10アルキルであり、ここで、アミノ基上の置換基はC1〜10アルキルから各々個々に選択される;
c)Rは水素、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニルもしくはアリールで置換されたC1〜10アルキルである;
d)RとRはそれらが結合している窒素原子と一緒になって5〜12員の飽和したもしくは部分的に飽和した複素環を形成し、この複素環は場合によりC1〜10アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルもしくはアリールで置換されたC1〜10アルキルで置換されていてもよい;
e)LはC1〜2アルカンジイルである;
f)Rはハロゲン、ニトロ、C1〜10アルキル、C3〜12シクロアルキル、ポリハロC1〜10アルキル、シアノ、C1〜10アルキルオキシ、C1〜10アルキルチオ、C1〜10アルキルスルホニル、ピペリジニル、モルホリニルである;
g)アリールは場合によりC1〜10アルキルオキシ、ハロ、モノもしくはジ置換されたアミノよりなる群から選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、ここで、アミノ基のいずれか上の置換基はC1〜10アルキルから各々個々に選択される;
h)Hetは窒素、酸素もしくは硫黄から各々個々に選択される1個もしくはそれ以上のヘテロ原子を有する5もしくは6員の芳香族の、飽和したもしくは部分的に飽和した単環式もしくは二環式複素環であり、そしてこの複素環は場合によりC1〜10アルキルで置換されていてもよい
の1つもしくはそれ以上が適用される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式:
4−[2−(4−ジエチルアミノメチル−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−カルボニル]−ベンゾニトリル;
4−{2−[4−(ベンジルアミノ−メチル)−フェニル]−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−カルボニル]−ベンゾニトリル;
4−[2−(4−{[(ピリジン−4−イルメチル)−アミノ]−メチル}−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−カルボニル]−ベンゾニトリル;
4−[2−(4−{[(4−メトキシ−ベンジル)−メチル−アミノ]−メチル}−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−カルボニル]−ベンゾニトリル;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[2−(4−{[(4−メトキシ−ベンジル)−メチル−アミノ]−メチル}−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−イル]−メタノン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[2−(4−{[(ピリジン−4−イルメチル)−アミノ]−メチル}−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−イル]−メタノン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−[2−(4−ジエチルアミノメチル−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−イル]−メタノン;
4−{2−[4−(2−ジエチルアミノ−エチル)−フェニル]−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−カルボニル]−ベンゾニトリル;
4−(2−{4−[(シクロペンチル−メチル−アミノ)−メチル]−フェニル}−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−カルボニル]−ベンゾニトリル;
4−(2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニルアミノ)−ブチル]−フェニル}−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−カルボニル)−ベンゾニトリル;
(4−メタンスルホニル−フェニル)−[2−(4−{[(ピリジン−4−イルメチル)−アミノ]−メチル}−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−イル]−メタノン;
(4−メタンスルホニル−フェニル)−[2−(4−{[(4−メトキシ−ベンジル)−メチル−アミノ]−メチル}−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−イル]−メタノン;
[2−(4−ジエチルアミノメチル−フェニル)−1,9b−ジヒドロ−5−オキサ−3,3a−ジアザ−シクロペンタ[a]ナフタレン−4−イル]−(4−メタンスルホニル−フェニル)−メタノン;
を有する請求項1に記載の化合物またはそのN−オキシド、立体異性体もしくは塩。
【請求項4】
薬剤としての使用のための請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
HIV感染と関連する症状を処置するために有用な薬剤の製造における請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項6】
HIV伝染を防ぐためにもしくはHIV感染を防ぐためにもしくはHIV感染と関連する疾患を防ぐために有用な薬剤の製造における請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項7】
HIVに感染した温血動物、特にHIVに感染したヒトへの請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物の有効治療量の全身投与を含んでなる処置の方法。
【請求項8】
通常の製薬学的に無毒の賦形剤および助剤に加えて請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物の有効用量を有効成分として含有する製薬学的製剤。
【請求項9】
レトロウイルス感染の処置における同時、別個もしくは順次使用のための組み合わせた製剤として、(a)請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物、および(b)別の抗レトロウイルス化合物を含有する製品。
【請求項10】
項b)の別の抗レトロウイルス化合物がTMC120、TMC125、リルピビリンおよびダルナビルの群から選択される化合物である請求項9に記載の製品。

【公表番号】特表2008−535894(P2008−535894A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505881(P2008−505881)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061499
【国際公開番号】WO2006/108828
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(504347371)テイボテク・フアーマシユーチカルズ・リミテツド (94)
【Fターム(参考)】