ICカード
【課題】効率的に複数のICチップ間で通信を行うことが可能なICカードを提供する。
【解決手段】外部装置との通信にかかる処理を行うカード用IC20と、液晶表示器70と、カード用IC20のデータ入出力端子30が接続され、液晶表示器70の制御を行う表示用マイコン70とを備えるICカード10であって、カード用IC20は、外部装置との通信において行う処理と同様の処理を行うことによって表示用マイコン40と通信を行い、表示用マイコン40は、外部装置と送受信されるデータについて液晶表示器70に表示を行うことを特徴とする。
【解決手段】外部装置との通信にかかる処理を行うカード用IC20と、液晶表示器70と、カード用IC20のデータ入出力端子30が接続され、液晶表示器70の制御を行う表示用マイコン70とを備えるICカード10であって、カード用IC20は、外部装置との通信において行う処理と同様の処理を行うことによって表示用マイコン40と通信を行い、表示用マイコン40は、外部装置と送受信されるデータについて液晶表示器70に表示を行うことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のICチップを備えるICカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICカードは、ATMなどの外部装置とのデータの通信を、接点を介して行う接触型ICカードと、アンテナを介して電磁誘導方式、静電結合方式などの非接触通信手段にて行う非接触型ICカードとに分類される。主に接触型ICカードは、決済用途、非接触型ICカードは、交通システムなどのゲート・アクセス管理に用いられている。また、近年、接触型ICカードの機能と非接触型ICカードの機能を併せ持つ接触/非接触両用型のICチップが開発されており、接触通信及び非接触通信において同一のメモリ領域にアクセスする事が可能な利便性の高い接触/非接触両用型ICカードが登場している。一方、ICカードには、券面に表示部を備えたICカードがある。
感熱発色型リライトなどの表示に電力が不要な不揮発性の表示部を備えるICカードでは、電源を内部に備える必要がないが、表示内容の書き換えに専用リーダライタに挿入しなければならず、ICチップ内部のデータと表示内容との差異が生じるという問題があった。
また、非接触型ICカードのように搬送系を用いずにICチップのデータの更新が可能なアプリケーションでは、交通用途では、固定データである利用可能区間データのみが表示され、非接触通信により更新される可能性のあるカード内部のマネー情報などの更新データは、表示内容とIC内部データとの相違が発生する危険性があるため、表示できないという問題があった。
これらの問題を解決するため、液晶ディスプレイなどの表示に電力が必要な揮発性の表示部を備え、所定のタイミングで表示を行う携帯型電子機器がある(例えば、特許文献1参照。)。このICカードは、カード内部に電源を有し、この電源からの電力によって表示用のCPUなどを駆動させ表示を行うため、固定データのみならず、更新データの表示を行うことが可能である。
【特許文献1】特開2001−344578号公報([0045]、図1及び図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1には、携帯型電子機器が備える2つのICチップ(ICカードチップ部11及びウオッチCPU14)間において、インターフェイス動作を行う各I/O部46,53を介して通信を行っている旨が記載されているだけで詳細な記載は見あたらない。
【0004】
本発明の課題は、効率的に複数のICチップ間で通信を行うことが可能なICカードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。すなわち、請求項1の発明は、複数のICチップ(20,40)を備えるICカードであって、一の前記ICチップ(20)は、外部装置との通信において行う処理と同様の処理を行うことによってICカード内に具備される他の前記ICチップ(40)と通信を行うこと、を特徴とするICカード(10)である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のICカードにおいて、前記一のICチップは、外部装置と行う通信のプロトコルと同一のプロトコルに基づいてICカード内に具備される前記他のICチップと通信を行うこと、を特徴とするICカード(10)である。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のICカードにおいて、前記一のICチップは、外部装置と接触式でデータを送受信するためのデータ入出力端子(309)を有し、前記一のICチップは、前記データ入出力端子を介して前記他のICチップと通信を行うこと、を特徴とするICカード(10)である。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のICカードにおいて、表示及び/又は音声出力することによって、情報を使用者に通知する通知手段(70)を備え、前記一のICチップは、外部装置と送受信されるデータについて処理を行い、前記他のICチップは、前記通知手段を制御し、前記一のICチップの処理にかかるデータについて通知を行わせること、を特徴とするICカード(10)である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるICカードによれば、一のICチップは、外部装置と行う通信のプロトコルと同一のプロトコルに基づいてICカード内に具備される他のICチップと通信を行う、データ入出力端子を介して外部装置及び他のICチップと通信を行うなど、外部装置と通信において行う処理と同様の処理を行うことによって他のICチップと通信を行うため、一のICチップ内の資源を共用して有効活用することによって、外部装置との通信及び内部における複数のICチップ間での通信を簡易な構成で実現し、製造コストを安価にすることが可能となる。また、一のICチップを小型化し、外部からの圧力に対する耐久性を向上し、ICカードの曲げなどによる故障を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、効率的に複数のICチップ間で通信を行うことが可能なICカードを提供するという目的を、複数のICチップを備えるICカードであって、一のICチップは、外部装置との通信において行う処理と同様の処理を行うことによって同一のICカード内に具備される他のICチップと通信を行うことによって実現する。
【実施例1】
【0011】
以下、図面などを参照して、本発明の実施例をあげて、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明によるICカードの実施例における構成を示すブロック図であり、図2は、カード用IC10及び表示用マイコン40の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、ICカード10は、一般的な接触/非接触両用型ICカードの機能を実現するカード用IC20と、カード用IC20に接続されている接触端子30及びアンテナ31と、データを表示する液晶表示器70と、液晶表示器70に接続されている液晶ドライバIC60と、液晶ドライバIC60及びカード用IC20に接続され、カード用IC20から提供されたデータに基づいて液晶表示器70の表示を制御する表示用マイコン40と、表示用マイコン40に接続され、表示にかかるデータなどを記憶する不揮発性メモリ50と、表示用マイコン40などに接続されているクロック生成部35と、表示用マイコン40などに電源電圧(VDD,VSS)を供給するための電池33と、カード使用者からの指示を入力するスイッチであるキー32と、接触端子30、キー32、カード用IC20及び表示用マイコン40に接続されているスイッチ回路部34などとを備えている。表示用マイコン40、液晶ドライバIC60及び液晶表示器70は、電池33から供給される電力によって動作する。
ICカード10は、非接触式又は接触式で通信を行うリーダライタを備える情報処理端末である外部装置と通信経路を確立し、電力の供給を受け、受信した命令(コマンド)に応じた処理を行い、結果を応答(レスポンス)として返信する。また、ICカード10は、電池33によって供給される電力によって液晶表示器70に外部装置との通信にかかる情報を表示し、カード使用者への通知を行う。
【0012】
接触端子30は、ISOなどの規格に準拠してICカード10表面に設けられているクロック信号(CLK)入力用端子301、データ入出力用(I/O)端子302、リセット信号(RST)入力用端子303、電源電圧(Vcc)端子304、ゼロ電圧(GND)端子305及び不揮発性メモリ25の書き込み又は消去に必要な電圧などを供給するプログラム供給電圧端子と、充電信号(Svb)入力端子306及び充電電圧(Vbc)端子307との合計8つの接触端子を備えている(後述する図3参照。プログラム供給電圧端子については、図示しない。)。ICカード10は、規格に従って設けられている予備の2つの接触端子、つまり、従来の接触型ICカードにおける2つの予備の接触端子を充電信号入力端子306及び充電電圧端子307として使用する。
【0013】
充電電圧端子307は、ゼロ電圧端子305との電位差によって電池33への充電用の電力を入力するための端子である。充電信号入力端子306は、電池33の充電中であることを示す充電検出信号(例えば、所定のHレベルの信号)を外部装置から入力するための端子である。接触端子30は、外部装置のリーダライタと接触することによって、外部装置及びカード用IC20間の通信を媒介する。また、接触端子30は、充電のために外部装置と電池33との接続を媒介する。
アンテナ31は、非接触式での通信を実行するための巻線コイル、巻線コイルの両端に接続されている同調用のコンデンサなどを有し、外部装置から送信された電磁波を受信し、電磁結合によってアナログ受信信号(搬送波)を入力する入力装置である。アンテナ31は、入退場を管理するゲート端末などの非接触式の通信を行うリーダライタを有する外部装置及びカード用IC20間の通信を媒介する。
【0014】
図2に示すように、カード用IC20は、接触IC通信機能及び非接触IC通信機能を有する接触/非接触両用型のICチップである。カード用IC20は、アンテナ31を介して入出力される信号のインターフェイスであるRF部21と、RF部21及び接触端子30に接続されているCPU22と、CPU22に接続されているRAM23、ROM24及び不揮発性メモリ25などとを備えている。
カード用IC20は、外部装置から受信したコマンドに応じた処理を行い、一般的なICカードの機能を実現する。また、カード用IC20は、非接触式での外部装置との通信と同様に、表示用マイコン40から受信したコマンドに応じた処理を行い、不揮発性メモリ25に記憶されているデータを表示用マイコン40へ提供する。つまり、カード用IC20は、外部装置との接触式での通信における通信プロトコルに従って、表示用マイコン40と通信を行う。また、カード用IC20のデータ入出力端子309(後述する図3参照。)を交互に使用して外部装置(非接触通信)及び表示用マイコンとの通信が行われる。本実施例においては、カード用IC20は、ISO/IEC7816準拠の接触IC通信機能と、ISO/IEC14443準拠の非接触IC通信機能を有している。
【0015】
RF部21は、アナログ受信信号によってアンテナ31に誘起された電流を整流した後、調整した電源電圧をCPU22などのカード用IC20の各部へ提供する電源生成部211と、アンテナ31を介して入力したアナログ受信信号をアナログ/デジタル変換、復調などを行って受信データとしてCPU22へ出力し、また、逆に、CPU22から出力される送信データをアナログ送信信号へ変換し、アンテナ31へ出力する変復調回路212と、アナログ受信信号から処理の基準信号となるクロック信号を生成するクロック生成回路213と、搬送波検出部214などとを備えている。
搬送波検出部214は、アンテナ31からのアナログ受信信号(搬送波)の入力状態を示す搬送波検出信号を生成し、カード用IC20の搬送波検出信号出力端子308を介してスイッチ回路部34及び表示用マイコン40へ出力する(後述する図3参照。)。本実施例では、搬送波検出部214は、ダイオード検波回路を備え、アナログ受信信号から所定のハイレベルの信号(ON信号)を取り出し、搬送波検出信号を生成する。
【0016】
CPU22は、接触端子30、又は、アンテナ31及びRF部21を介して外部装置と送受信されるデータに基づいて種々の演算などの処理を行う通信処理手段であって、このデータに応じて制御を行い、カード用IC20を統括制御する。RAM23は、揮発性メモリであり、CPU14が処理を行うための作業領域として使用される。ROM24は、不揮発性の読み出し専用メモリであって、オペレーティングシステム(以下、「OS」という。)などの基本ソフトウェアなどを記憶している。不揮発性メモリ25は、EEPROM、フラッシュメモリ、FRAMなどの随時書き換え可能な不揮発性のメモリであって、通常カード使用者のワークエリア、プログラムエリアなどとして使用され、電子マネーアプリケーションなどの単一もしくは複数のアプリケーションに関わるデータを記憶している(以下、「アプリケーション」を「AP」という。)。なお、各APのプログラム部分などの書き換えの必要がないデータについては、ROM24に記憶していてもよく、記憶する場所は、不揮発性のメモリであれば限定されない。
【0017】
表示用マイコン40は、表示用マイコン40を統括制御するCPU42と、CPU42に接続されているROM43、RAM44などを備え、カード用IC20と通信を行うことによって、受信したデータ、不揮発性メモリ50に記憶されているデータなどに基づいて処理を行い、処理結果に応じた表示データを生成し、液晶ドライバIC60へ送信し、液晶表示器70の表示を制御する。
CPU42は、種々の演算及び制御を行い、カード用IC20を統括制御する中央処理装置であって、ROM44に記憶されているプログラムを実行する。
RAM43は、揮発性メモリであって、CPU42が処理を行う作業領域として使用される。ROM44は、不揮発性の読み出し専用メモリであって、表示APプラットフォームなどの各種ソフトウェアを記憶している(ソフトウェアの詳細については、図5以下を用いて後述する。)。
なお、ICカード10は、不揮発性メモリ50にこれらのアプリケーションを記憶していてもよく、表示用マイコン40内に不揮発性メモリを備える場合には、その不揮発性メモリに記憶していてもよく、書き換えが必要なデータを書き換え可能なメモリに記憶していれば、記憶する場所については、限定されない。
【0018】
不揮発性メモリ50は、随時書き換え可能な不揮発性のメモリであって、記録タイムスタンプ、通知履歴記憶情報などの履歴データ、外字コード、記録電圧レベルなどの表示APプラットフォーム、表示用APの実行に必要なデータ、つまり、液晶表示器70に表示を行うために必要なデータを記憶している。外字データは、液晶表示器70に表示される、規格外の文字、図形などの独自のデータであって、識別情報である外字コードに関連づけられている。本実施例においては、規格に準拠する文字などと比べてサイズ(情報量)の大きい図形などの大情報量表示データに外字コードを割り当てている。
【0019】
図1に示すように、液晶ドライバIC60は、表示用マイコン40から受信する表示データに応じて液晶表示器70の画素に電圧を与え、液晶表示器70を駆動させる。
液晶表示器70は、ICカード10表面に設けられている液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)であって、情報を表示することによってカード使用者に通知を行う。液晶表示器70は、本実施例においては、120X26dotの画素を有し、全角で10桁X2行の表示を行うことが可能である。なお、液晶表示器70の基材は、ICカード10の使用態様を考慮し、屈曲性など、ICカード10の基材と同様の性質を有する材料で形成することが好ましい。
【0020】
キー32は、ICカード10表面に設けられ、押圧されている間のみICカード10内側方向へ窪み、ハイレベルとなる信号、つまり、カード使用者の指示を示す指示信号を入力するクリック型の薄い形状を有するスイッチである。キー32は、この指示信号を表示用マイコン40及びスイッチ回路部34へ出力する。本実施例においては、キー32としてエレメントキースイッチを用いている。
電池33は、外部装置から供給される充電用の電力によって充電可能な薄型の電池(内部電源)であって、ICカード10の基材に埋め込まれ、カード用IC20、表示用マイコン40、液晶ドライバIC60などに動作用の電力を供給する。本実施例においては、6mAhのリチウムイオン(Li−ion)ポリマー電池を用いている。
【0021】
図3は、スイッチ回路部34を説明する図であって、接触端子30、アンテナ31及びキー32と、カード用IC20の入出力端子と、表示用マイコン40の入出力端子と、スイッチ回路部34との接続を示している。
スイッチ回路部34は、トランジスタなどを含み、ゲート端子への入力信号に応じて回路(電力供給路)の接続/非接続(オン/オフ)への切り替えを行う。スイッチ回路部34は、電池33から表示用マイコン40への電力供給路について切り替えを行う第1スイッチ回路341、電池33からカード用IC20への電力供給路について切り替えを行う第2スイッチ回路342、外部装置から電池33への充電用の電力供給路について切り替えを行う第3スイッチ回路343などを備えている。
【0022】
第1スイッチ回路341は、電池33及び表示用マイコン40に接続されている。第1スイッチ回路341のゲート端子は、接触端子30のリセット信号(RST)入力端子303、充電信号(Svb)入力端子307、搬送波検出信号出力端子(Vcc2)308、キー32及び表示用マイコン40の第1制御信号出力端子に接続されている。第1スイッチ回路341は、外部装置からリセット信号入力端子303を介して入力されるリセット信号の入力状態を示すリセット検出信号(Srst)、充電信号入力端子307から入力される充電検出信号(Svb)、搬送波検出部214から出力される搬送波検出信号(Svc2)、キー32を介して入力されるカード使用者の指示信号の入力状態を示すキー押圧検出信号(Skey)などの検出信号と、表示用マイコン40の第1制御信号出力端子から出力される第1電源制御信号(Sv1)とを入力する。
【0023】
リセット信号、アナログ受信信号などの検出対象となる信号又は電力が入力されている場合に、各検出信号は、所定のハイレベルの信号(ON信号)となり、入力されていない場合に所定のローレベル(ゼロレベルを含む。)の信号(OFF信号)となる。第1スイッチ回路341は、少なくともいずれかの検出信号がON信号である場合又は表示用マイコン40から接続指示を示すON信号を入力している場合に電池33及び表示用マイコン40間の電力供給路を接続し、全ての検出信号がOFF信号である場合に電力供給路を非接続とし、電力供給路の接続又は非接続への切り替えを行う。
【0024】
従って、ICカード10が外部端末と接触式若しくは非接触式での通信を開始した場合、充電を開始した場合、又は、キー32がカード使用者によって押圧された場合にスイッチ回路341は、電力供給路を接続し、表示用マイコン40へ電力を供給し、表示用マイコン40を起動する。起動後は、表示用マイコン40が第1制御信号出力端子からON信号を第1スイッチ回路341へ出力し、接続を維持する。つまり、第1スイッチ回路341は、接触端子30、アンテナ31、キー32などの入力装置における電力又は信号の入力状態に応じて電池33及び表示用マイコン40間の電力供給路の接続又は非接続への切り替えを行う。なお、第1スイッチ回路341に接続されているリセット信号入力端子303などは、同様に表示用マイコン40の検出信号入力端子を介してCPU42に接続され、検出信号をCPU42へ出力する(後述する図6(a)参照。)。
【0025】
同様に、第2スイッチ回路342は、ゲート端子が表示用マイコン40の第2制御信号出力端子に接続され、この端子から出力される信号に応じて電池33からカード用IC20への電力供給路の接続/非接続への切り替えを行う。
また、第3スイッチ回路343は、ゲート端子が充電信号入力端子306に接続され、外部装置から入力する充電検出信号に応じて、充電電圧端子307から電池33への電力供給路の切り替えを行う。つまり、第3スイッチ回路343は、充電中に外部装置が出力するON信号を入力している間のみ、充電電圧端子307及び電池33を接続する。
【0026】
図1及び図3に示すように、クロック生成部35は、水晶発振器などを備え、水晶発振器の発信周波数に基づいてクロック信号を生成する。また、クロック生成部35は、表示用マイコン40からの信号に応じて、カード用IC20及び表示用マイコン40へクロック信号を供給する。
なお、図示していないが、ICカード10は、リセット信号を生成するリセット生成部を備え、クロック生成部35と同様に表示用マイコン40からの信号に応じてカード用IC20及び表示用マイコン40へリセット信号を供給する。
【0027】
図4は、本発明によるICカードの構造を説明するための概略図であって、図4(a)は表面図、図4(b)は透視図、図4(c)は側面図である。
図4(a)に示すように、ICカード10は、その表面に接触端子30、キー32、液晶表示器70などが設けられている。
また、図4(b),(c)に示すように、ICカード10は、アンテナ31のCu配線などがその周囲に形成された厚さ25μmのポリイミドなどの絶縁性基板11の所定の位置にカード用IC20、電池33、表示用マイコン40、液晶ドライバIC60、液晶表示器70などが搭載され、液晶表示器70に重なる部分に孔121を有する厚さ180μmのポリエステル系カード基材層12が絶縁性基板11の上下面にエポキシ系接着剤層13で接着されている。
【0028】
次に、ICカード10の動作について、ICカード10に搭載されているソフトウェアの機能から説明する。
表示用マイコン40のROM44には、複数のソフトウェアが記憶され、これらを大きく分けると、液晶表示器70の表示に関する基本的なハードウェア制御を行う表示APプラットフォーム、カード用IC20の不揮発性メモリ25に記憶されている各APに応じた固有の表示処理を行う表示用APに分類される。
以下、先ず、ICカード10の全体の動作の流れを表示APプラットフォームの機能を参照しながら説明し、その後に各表示用APについて説明する。
【0029】
表示APプラットフォームは、ハードウェア制御を行うためのライブラリ(ハード制御ライブラリ)を使用し、表示用APが動作するための必要なハードウェア制御を行うための基本ソフトウェアであって、表示用APに各種機能を提供する。具体的には、表示用APは、表示APプラットフォームが提供する表示AP用関数を単に呼出すことにより、表示用のハードウェアを意識することなく、表示用AP固有の表示処理を行うことが可能となる。
【0030】
図5は、表示用マイコン40が行う処理の概略を説明するフローチャート及び概略図である。
図5に示すように、表示用マイコン40の電源が投入され、表示用マイコン40は、処理を開始する(S10)。表示用マイコン40は、表示APプラットフォームを実行し、開始処理を行った後(S20)、表示用APを呼び出す(S30)。
表示用マイコン40は、表示用APを実行し、表示APプラットフォームが提供する表示AP用関数で呼び出しを行うことにより、カード用IC20や、不揮発性メモリ50から表示に必要なデータを読込む、表示すべきデータを計算する、液晶ドライバIC60へ表示すべきデータを送信するなど表示に必要な処理を行う(S30’)。表示用APにおける必要な処理を終えた後、表示APプラットフォームへリターンし、表示用マイコン40は、表示APプラットフォームに従って終了処理を実行し、表示用マイコン40の電源をOFFにし(S40)、処理を終了する(S50)。
なお、表示用マイコン40は、複数の表示用APを記憶することが可能であるが、表示用APが複数ある場合に、表示APプラットフォームから呼び出す(S30)順序は、任意であって、予め設定して記憶していてもよく、不揮発性メモリ25に記憶されているAPを実行した履歴を記憶し、対応するAPの実行頻度の高低に応じた順序で表示用APを呼び出してもよい。また、表示APプラットフォームの実行においてタイムスタンプを呼び出すなど、カード用IC20が実行したAPを識別可能な場合には、対応する表示用APのみを呼び出してもよい。
【0031】
表示APプラットフォームは、開始処理機能、終了処理機能、タイマアクセス機能、カード用ICアクセス機能、不揮発性メモリアクセス機能、LCDアクセス機能、入力ポートチェック機能、モード切替機能、電圧チェック機能などの各種機能を表示用マイコン40に実現させるプログラムを含んでいる。
先ず、他の機能から呼び出しを受けて実行されるモード切替機能、入力ポートチェック機能、電圧チェック機能、タイマアクセス機能などの下位の機能について説明し、その後に開始処理機能などの上位の機能について説明する。
モード切替機能は、表示用マイコン40の動作モードをスタンバイモード(省電力モード、スリープモード)に切り替える機能である。スタンバイモードとは、表示用マイコン40の動作機能を限定し、電力消費が通常の動作モード(アクティブモード)よりも低い動作モードである。CPU42は、所定の場合にアクティブモード/スタンバイモードの切り替えを行う(後述する図9参照。)。モード切替機能の実現方法は、CPU42の動作モードを替える、不必要な周辺機器を止めるなど、電力消費量を低減できれば、その実現方法は限定されない。
【0032】
入力ポートチェック機能は、CPU42が表示用マイコン40の検出信号入力端子を介して入力される各種検出信号に基づいて、ICカード10の使用状態を検出する機能である(図3参照。)。使用状態とは、ICカード10が外部装置と非接触式での通信を行っている状態(以下、「非接触通信状態」という。)、接触式での通信を行っている状態(以下、「接触通信状態」という。)、外部装置から充電用の電圧供給を受け充電中の状態(以下、「充電状態」という。)、キー32が押圧されている状態(以下、「キー押圧状態」という。)、外部との関わりがない状態(以下、「不使用状態」という。)などのICカード10が外部との関わりにおいてどのような状態にあるか又はどのような状態にあったかを示す情報である。表示用マイコン40は、この入力ポートチェック機能によって検出された使用状態に応じて処理を行う。
【0033】
図6及び図7は、入力ポートチェック機能について説明するための図であって、図6(a)は、CPU42に出力される検出信号の種類を示し、図6(b)は、接触端子30の電源電圧端子304及びカード用IC20の搬送波検出信号出力端子308の関係を示している。また、図7(a)は接触通信状態、図7(b)は、非接触通信状態における各接触端子(電源電圧(Vcc)端子304、リセット信号(RST)入力用端子303、クロック信号(CLK)入力用端子301、データ入出力用(I/O)端子302)から入力される信号の振幅(又は電源電圧のレベル)及び搬送波検出信号出力端子308から出力される搬送波検出信号(Svc2)の振幅の時間経過による変化を示している。
図6(a)に示すように、CPU42は、スイッチ回路341と同様に、接触端子30のリセット信号入力端子303、充電信号入力端子306、搬送波検出信号出力端子308、キー32などに接続され、これらから入力する各検出信号(Srst,Svb,Svc2,Skey)に基づいて起動種別、後発起動種別などの使用状態の検出を行う。
【0034】
図6(b)に示すように、接触通信又は非接触通信により外部装置から供給される電力は、共に電源供給部を介してカード用IC20のCPU22へ提供される。また、電源生成部211及び搬送波検出部214は、整流回路を共用するため、電源電圧端子304及び搬送波検出信号出力端子308は、電源供給部において接続され、図7(a)に示すように、接触通信状態であっても搬送波検出信号出力端子308からON信号がCPU42へ出力される。
従って、CPU42は、搬送波検出信号出力端子308からのON信号のみで接触通信状態又は非接触通信状態であるか検出することはできず、搬送波検出信号出力端子308及びリセット信号入力端子303からの検出信号に基づいて検出を行う。例えば、CPU42は、図7(a)に示すように双方の端子からON信号を入力した場合には、接触通信状態にあると検出し、図7(b)に示すように搬送波検出信号出力端子308のみからON信号を入力した場合には、非接触通信状態にあると検出する。
【0035】
また、図6(a)に示すように、CPU42は、充電信号入力端子306からON信号を入力した場合には充電状態、キー32からON信号を入力した場合にはキー押圧状態と検出する。いずれの端子からもON信号の入力がない場合には、不使用状態にあると検出する。
なお、CPU42は、キー押圧状態と検出した場合であって、キー32から所定の期間(例えば、10秒)以上連続してON信号を入力したときには、使用者の意思に反してキー32が押圧されている長押し状態と検出し、モード切替機能を呼び出し、スタンバイモードへの切り替えを実行する。
【0036】
CPU42は、入力ポートチェック機能によって、起動種別、後発起動種別などの使用状態の検出を行う。
起動種別の検出は、表示用マイコン40が起動された場合に、外部装置との接触式若しくは非接触式での通信の開始、外部装置からの充電開始又はカード使用者によるキー32の押圧などのいずれの要因によって起動したかを示す起動種別の検出である(以下、各要因に応じた各起動種別をそれぞれ、「接触通信起動」、「非接触通信起動」、「充電起動」、「キー押圧起動」という。)。
後発起動種別の検出は、表示用マイコン40の起動後において、入力ポートチェック機能の呼び出しがあった場合に所定の検出期間に外部装置との接触式又は非接触式での通信の開始、外部装置からの充電開始、カード使用者によるキー32押圧などの表示用マイコン40の処理を引き起こす後発的な要因(後発要因)があるか否か、また、後発要因があった場合に、いずれの後発要因であるかを示す後発起動種別の検出である(以下、各後発要因に応じた各後発起動種別をそれぞれ、「接触通信後発起動」、「非接触通信後発起動」、「充電後発起動」、「キー押圧後発起動」という。)。
【0037】
CPU42は、起動種別又は後発起動種別を検出した場合には、RAM43又は不揮発性メモリ50に起動種別情報を書き込む。
なお、入力ポートチェック機能において、複数の使用状態を検出した場合には、優先順位を任意に設定することが可能である。CPU42は、検出した複数の起動種別(又は後発起動種別)のうち最も優先順位が高い要因についての処理のみを行い、他の処理を実行しない(他の要因をリセットする。)。また、CPU42は、同順位の複数の起動種別を検出した場合には、エラーとして処理を行う。
【0038】
また、起動種別の検出においては、CPU42は、全ての起動種別について検出を行うが、後発起動種別検出においては、起動種別、表示用マイコン40の処理内容などに応じて検出する後発起動種別を限定して設定することができる(後述する図11参照。)。例えば、LCDアクセス機能における入力ポートチェック機能において、キー押圧後発起動を検出した場合、CPU42は、LCDアクセス機能を実行している間には、キー押圧後発起動のみについて検出を行い、他の後発起動種別には検出を行わないとすることが可能である。
【0039】
電圧チェック機能は、電池33の残量を検出する機能であって、電池33の電圧値をモニタし、電圧値が「良好」、「要充電」、「シャットダウン」のいずれの領域(電圧レベル)に属するかを判別し(電圧レベルを検出し)、電圧レベルに応じた処理を行う機能である。なお、電圧値の高い順に、「良好」、「要充電」、「シャットダウン」であって、「良好」及び「要充電」は、表示用マイコン40が処理を行うことが可能な電圧レベルであって、「シャットダウン」は、処理を行うことができない電圧レベルである。
【0040】
図8は、CPU42による電圧チェック機能の実行を示すフローチャートである。以下、CPU42の処理を中心に説明する。
図8に示すように、電圧チェック機能が呼び出され、CPU42は、電圧チェック機能の実行を開始する(S100)。S110において、CPU42は、不揮発性メモリアクセス機能によって、不揮発性メモリ50に記憶されている記録電圧レベル(VR)を読み出す。記録電圧レベルが「シャットダウン」である場合には、CPU42は、使用状態(起動種別又は後発起動種別)が充電状態であるときを除き、電源OFF制御を行い、表示用マイコン40の電源をOFFとし(S120,S170,S200)、表示用マイコン40は、処理を終了する(S220)。使用状態が充電状態である場合には、記録電圧レベルを「良好」に書き換える(S170,S150)。また、記録電圧レベルが「良好」又は「要充電」である場合には、電池33の電圧レベル(VL)を検出し(S120,S130)、記録電圧レベルよりも低い場合には、検出した電圧レベルを記録電圧レベルとして不揮発性メモリ50へ書き込む(記録電圧レベルを書き換える、S140,S150)。
【0041】
不揮発性メモリ50に記憶されている記録電圧レベル(S110において読み出した記録電圧レベル又はS130において検出した電圧レベルのいずれか低い方の電圧レベル)が「シャットダウン」である場合には、充電状態であるときを除き、表示用マイコン40の電源をOFFとし(S200)、ICカード10は、処理を終了する(S220)。充電状態である場合又は記録電圧レベルが「良好」である場合には、CPU42は、電圧チェック機能についての処理を終了する(S210)。記録電圧レベルが「要充電」である場合には、LCDアクセス機能によって警告を液晶表示器70に表示し(S180)、電源チェック機能についての処理を終了する(S210)。
なお、CPU42が電圧チェック機能において電圧レベルが「シャットダウン」であることを検出した場合の処理が最も優先順位が高く設定され、他の要因を検出してもリセットし、「シャットダウン」に対応する処理のみを行う(S200,S220)。
【0042】
タイマアクセス機能は、表示用マイコン40のハードウェアタイマの初期化、タイマ値のセットを行う機能である。
開始処理機能は、表示用マイコン40の初期化、表示用APの起動、電源維持制御(電力供給維持制御)及び電源OFF制御(電源遮断制御)、電圧チェック機能の呼び出し、入力ポートチェック機能の呼び出しなどを行って表示用APを実行できる環境を整える、表示用マイコン40が起動された場合に実行される機能である。表示用マイコン40の初期化とは、表示用マイコン40のI/Oインターフェイス41、タイマ、A/D変換器、WDTの初期化、液晶ドライバIC60への初期化指示の送信などである。電源維持制御は、第1制御信号出力端子を介してスイッチ回路341へON信号を送信し続け、電池33及び表示用マイコン40間の接続を維持、つまり、電池33から表示用マイコン40への電力の供給を維持する制御であり、電源OFF制御は、第1スイッチ回路341へOFF信号を出力し、表示用マイコン40への電力の供給を終了する制御である。表示用APの起動は、起動種別をパラメータとして、表示用APの呼び出しを行う処理である。
【0043】
終了処理機能は、液晶表示器70の表示画面の内容のクリア、電源OFF制御、モード切替機能の呼び出しなどを行うなど、表示用APの所定の処理が終了して制御がAPプラットフォームにリターンした場合に終了できる状態(電源をOFFできる状態)とする終了処理を行う機能である。
【0044】
カード用ICアクセス機能は、カード用IC20の活性化、非活性化、カード用IC20からのデータ読み出しなどのカード用IC20へのアクセスを行う機能である。カード用ICアクセス機能は、外部装置がカード用IC20に対して行う処理(接触式での電力、クロック信号及びリセット信号の供給、通信など。)と同様の処理をCPU42がカード用IC20に対して行う機能である。
カード用IC20の活性化の機能は、第2スイッチ回路342、クロック生成部35などへON信号を出力し、つまり、カード用IC20へ電力、クロック信号などを提供して活性化し、カード用IC20からの初期応答(ATR)の受信を確認する。
【0045】
カード用IC20の非活性化は、第2スイッチ回路342、クロック生成部35などへ出力する制御信号をON信号からOFF信号へ切り替え、カード用IC20を非活性化する機能である。
カード用IC20からのデータ読み出しの機能は、カード用IC20へコマンドを送信し、受信したデータを指定されたRAM43のアドレスに読み出す機能である。つまり、データ読み出しの機能は、外部装置がカード用IC20と行う接触式での通信と同様のプロトコルに基づいて行われる通信の機能である。
【0046】
不揮発性メモリアクセス機能は、不揮発性メモリ50からのデータの読み出し、不揮発性メモリ50へのデータの書き込み(「書き換え」を含む。以下、「書き込み」について同じ。)などのCPU42が不揮発性メモリ50へのアクセスを行う機能である。
【0047】
LCDアクセス機能は、液晶表示器70の表示を制御する機能であって、液晶ドライバIC60に表示データを転送し、液晶表示器70に表示データを表示させ、指定された期間経過後に表示用APに通知を行う。
【0048】
図9は、本発明によるICカードの動作及びICカードプログラムを示すフローチャートである。CPU42による表示APプラットフォームの各機能の実行を中心に説明する。
S310において、第1スイッチ回路341が接続へ切り替わり、表示用マイコン40は、電池33からの電力の供給を受けて起動する。CPU42は、開始処理機能の初期化を行い(S320)、第1スイッチ回路341へON信号を出力し、電源維持制御を行い(S330)、電圧チェック及び入力ポートチェックを実行する(S340,S360)。CPU42は、電圧チェックにおいて「シャットダウン」の電圧レベルを検出した場合には、第1スイッチ回路341へOFF信号を出力して表示用マイコン40の電源をOFFし(S350,S420)、処理を終了する(S460)。
【0049】
CPU42は、入力ポートチェックにおいて起動種別が接触通信起動又は非接触通信起動(外部装置とカード用IC20との通信による起動。以下、「通信起動」という。)であることを検出した場合には、カード用IC20と外部装置との通信終了後に表示用APを実行し、他の起動種別を検出した場合には、入力ポートチェック後に表示用APを実行し、起動種別に応じた処理を行う(S370,S380,S390)。表示用APの実行後に、CPU42は、表示APプラットフォームの終了処理を行い、入力ポートチェックの後発起動種別の検出を行い(S400)、後発的な要因がないと判定した場合には、電源をOFFし(S410,S420)、処理を終了する(S460)。後発起動種別が充電後発起動であると検出した場合には、CPU42は、アクティブモードからスタンバイモードへのモード切替を行い(S410,S430)、充電後にアクティブモードへ切り替え(S440,S450)、同様の処理を繰り返す(S400,S410)。後発起動種別が接触通信後発起動、非接触通信後発起動又はキー押圧後発起動であると検出した場合には、CPU42は、同様の処理を繰り返す(S320からS410まで)。
【0050】
図10及び図11は、CPU42への入出力信号などの各種信号の時間経過による変化を示す図であって、横軸は経過時間tを示し、縦軸は各信号の振幅を示している。図10(a)は非接触通信起動の場合、図10(b)は接触通信起動の場合、図10(c)はキー押圧起動の場合、図10(d)は、充電起動の場合において、搬送波検出部214、リセット信号入力端子303、キー32及び充電信号入力端子307から第1スイッチ回路341及びCPU42へそれぞれ出力される搬送波検出信号(Svc2)、リセット検出信号(Srst)、キー押圧検出信号(Skey)及び充電検出信号(Svb)(図3及び図6(a)参照。)、外部装置から受信する搬送波(アナログ受信信号;RF)、CPU42から第1スイッチ回路341、第2スイッチ回路342へ出力される第1電源制御信号(Sv1)及び第2電源制御信号(Sv2)の経過時間による変化を示している。以下、各起動種別においてICカード10が行う処理のタイミングをCPU42が入出力する信号の観点から説明する。
【0051】
図10に示すように、時刻t1までのICカード10が不使用状態にある場合には、各信号は、OFF信号となっている。
図10(a)に示すように、時刻t1において、カード用IC20は、外部装置から電磁波を受信し、アンテナ31を介して搬送波(RF)を入力し、外部装置との通信を開始する。搬送波検出部214は、時刻t1からON信号を第1スイッチ回路341へ出力し、第1スイッチ回路341は、接続への切り替えを行い、表示用マイコン40を起動する。CPU42は、開始処理において、第1電源制御信号をON信号へ切り替えて第1スイッチ回路341へ出力し、電源維持制御を行う。また、CPU42は、開始処理において、電源生成部211からのON信号及びリセット端子303からのOFF信号に基づいて非接触通信起動を検出する。
【0052】
時刻t2において、カード用IC20は、外部装置との通信を終了する。CPU42は、搬送波検出信号のOFF信号への遷移を検出し、第2電源制御信号をON信号に切り替え、第2スイッチ回路342へ出力し、外部装置に代わって電力をカード用IC20へ供給し、活性化する。つまり、時刻t1から時刻t2までの期間には、カード用IC20は、外部装置から電源生成部211を介して供給される電力によって駆動し、時刻t2から時刻t3までの期間は、電池33から供給される電力によって駆動(動作)する。CPU42は、カード用IC20と通信を行うなど非接触通信起動に応じた処理を行い(後述する図12など参照。)、時刻t3において、カード用IC20との通信の終了を契機に第2電源制御信号をOFF信号へ切り替え、非活性化を行う。CPU42は、液晶表示器70への表示を行った後に、終了処理を行い、第1電源制御信号をOFF信号とし、時刻t4において処理を終了する。
【0053】
図10(b)に示すように、時刻t1において、カード用IC20は、外部装置から接触端子30を介してリセット信号などを受信し、電力の供給を受け、通信を開始する。また、CPU42は、非接触通信起動の場合と同様に起動され、接触通信起動を検出し、第1電源制御信号をON信号へ切り替えて第1スイッチ回路341へ出力する。以下、CPU42は、非接触通信起動の場合と同様の処理を行い、液晶表示器70への表示を行わず、終了処理を行い、時刻t4において処理を終了する。
【0054】
図10(c)に示すように、時刻t1において、キー32がカード使用者によって押圧され、表示用マイコン40が起動する。CPU42は、開始処理において、第1電源制御信号をON信号へ切り替えて電源維持制御を行い、キー32からのON信号に基づいてキー押圧起動を検出する。また、CPU42は、第2電源制御信号をON信号へ切り替え、第2スイッチ回路342へ出力し、カード用IC20を活性化する。CPU42は、カード用IC20と通信を行うなどキー押圧起動に応じた処理を行い、時刻t2において、カード用IC20との通信終了を契機にカード用IC20を非活性化する。CPU42は、液晶表示器70への表示、終了処理を行い、第1電源制御信号をOFF信号とし、時刻t3において処理を終了する。
【0055】
図10(d)に示すように、時刻t1において、外部装置から充電信号入力端子307を介してON信号が第1スイッチ回路341へ出力され、表示用マイコン40が起動する。CPU42は、キー押圧起動の場合と同様に開始処理を行い、充電信号入力端子307からのON信号に基づいて充電起動を検出し、第1電源制御信号及び第2電源制御信号をON信号へ切り替える。時刻t2において、CPU42は、カード用IC20との通信終了を契機にカード用IC20を非活性化する。CPU42は、表示を行わず、入力ポート検出などの終了処理を行い、充電状態であることを検出し、時刻t3においてスタンバイモードへの動作モードの切り替えを行う。CPU42は、時刻t4における充電終了を契機にアクティブモードへの切り替え、終了処理を行い、第1電源制御信号をOFF信号とし、時刻t5において処理を終了する。
【0056】
図11は、非接触通信起動の場合であって、非接触通信起動についての処理中にキー32が押圧されたときのCPU42の入出力信号を示している。
図11に示すように、CPU42は、外部装置及びカード用IC20の通信中(時刻t1からt2まで)、CPU42及びカード用IC20の通信中(t2からt3まで)にキー押圧後発起動を検出した場合には、この要因をリセットし、対応する処理を行わない。また、CPU42は、液晶表示器70への表示中(LCDアクセス機能)の入力ポートチェックにおいて(t4)、キー押圧後発起動を検出した場合には、キー押圧起動の場合(図10(c))と同様の処理を行う(t5からt7まで)。
なお、図10及び図11において、表示用マイコン40、カード用IC20へのクロック信号の供給を制御するためにCPU42からクロック生成部35へ出力する第1クロック制御信号、第2クロック制御信号について示していないが、第1クロック制御信号は、第1電源制御信号と同様のタイミング、第2クロック制御信号は、第2電源制御信号と同様のタイミングでON/OFF信号の切り替えが行われる。
【0057】
図5に示すように、電子マネー用表示APなどの表示用APは、表示APプラットフォームの諸機能を呼び出す表示AP用関数を含み、CPU42が実行することによって、表示データ計算機能、不揮発性メモリ更新機能、表示画面作成機能、表示制御機能などの諸機能を実現するソフトウェアである。対応するAPについて液晶表示器70に表示を行うためのソフトウェアであって、表示APプラットフォームの開始処理機能の所定の処理後に起動種別をパラメータとして呼び出しを受ける。
【0058】
電子マネー用表示APは、カード用IC20においてチャージ、支払などのマネー処理が実行された場合に、その表示内容を演算し、表示データを作成し、表示制御を行う。電子マネー用表示APは、表示データ計算機能、不揮発性メモリ更新機能、表示画面作成機能、表示制御機能などを有している。
【0059】
図12は、CPU42による表示データ計算機能(表示データ計算処理)の実行を示すフローチャートである。
図12(a)に示すように、S510において、CPU42は、不揮発性メモリ25に記憶されているデータをカード用IC20から受信し、タイムスタンプ、残高などの更新データを抽出する。また、CPU42は、不揮発性メモリ50に記憶されている記録タイムスタンプ、記録残高などを読み出す(S520)。タイムスタンプとは、カード用IC20で最新の処理が行われた日時を示す情報であり、残高は、カード用IC20内の最新処理後のマネー残額を示す情報であって、ともに不揮発性メモリ25に記憶され、外部装置との通信において更新される更新データである。また、記録タイムスタンプ及び記録残高は、この外部装置との通信において更新される前に不揮発性メモリ25に記憶されていたタイムスタンプ及び残高であって、外部装置と通信を行う前、及び、起動種別が通信起動以外である場合には、タイムスタンプ及び記録タイムスタンプ、残高及び記録残高は、同一の値である。起動種別が通信起動である場合には、CPU42は、「支払額」、「チャージ額」などの処理金額を算出(処理内容情報を生成)する演算処理を行う(S540)。
【0060】
図12(b)は、処理金額を算出する演算処理を示すフローチャートである。
S542において、CPU42は、タイムスタンプと記録タイムスタンプとの比較を行い、同一である場合には、外部装置及びカード用IC20間で有効な処理が行われなかったと判定し、表示を行わずに電子マネー用表示APについての処理を中止し(S542,S543)、リターンして表示APプラットフォームに制御を戻す(図5のS40)。異なる場合(タイムスタンプが記録タイムスタンプよりも後の時間を示す場合)には、残高から記録残高を減算することによって処理金額を算出し(S544)、マイナスとなる場合には、処理金額が支払額を示し、プラスとなる場合には、チャージ額を示すこととなる(S545からS548まで)。
【0061】
不揮発性メモリ更新機能は、表示APプラットフォームが提供する不揮発性メモリアクセス機能を呼び出し、カード用IC20の最新処理履歴(タイムスタンプ、残高など)を記録タイムスタンプ、記録残高として不揮発性メモリ50へ記憶する機能である。
表示画面作成機能は、表示データ計算機能により得られたRAM43上の表示データを基に、表示画面数分の表示画面データをRAM43上に編集、展開する機能である。つまり、CPU42は、表示データ計算機能によりセットされたRAM43上の表示データを表示用のデータにコード変換し、表示画面データを表示画面毎にRAM43の表示領域にセットする。
表示制御機能は、電子マネー用表示APで定められている所定の表示順序に従い、RAM43上に展開した表示データの転送を、表示時間経過、キー32入力などのイベントを契機として行い、すべての表示を終了後、表示APプラットフォームに制御を戻す機能である。つまり、CPU42は、キー32からON信号が入力される頻度(所定の期間内にON信号が入力される回数であって、0回を含む。)に応じて表示画面の次画面への切り替えを行う。
【0062】
図13は、CPU42による電子マネー用表示APの表示制御機能の実行を示すフローチャートである。
S610において、CPU42は、最初の表示画面データを格納するRAM43におけるアドレス、サイズ、通知待ち時間などのパラメータを設定し、表示APプラットフォームが提供するLCDアクセス機能を呼び出し、液晶表示器70に表示を行う(S620)。呼出しがリターンした後は、CPU42は、次の表示画面データを格納するアドレス、サイズ、通知待ち時間を同様にパラメータに設定し(S630,S640,S650)、同様の処理を繰り返す(S620,S630,S640)。また、LCDアクセス機能の処理中(S620)に入力ポートチェック機能によって、接触通信後発起動、非接触通信後発起動又は充電後発起動を検出した場合には、CPU42は、OFF信号への立下がりを待たずに、電子マネー用表示APについての処理を終了し、表示APプラットフォームに制御を戻す(S630,S660)。全ての表示画面について表示が終了した場合についても同様である(S640,S660)。キー押圧後発起動を検出した場合には、CPU42は、ON信号の入力状態に応じた次の画面表示のためのパラメータを設定し、同様の処理を繰り返す(S630,S650,S620)。
【0063】
図14は、電子マネー用表示APの表示制御機能を説明するための図であって、図14(a)は、表示用マイコン40が非接触通信起動の場合、図14(b)は、キー押圧起動の場合に液晶表示器70に順に表示される表示画面を示している。なお、図14(a)において、ICカード10は、非接触通信処理によりタイムスタンプが更新された情報(電子マネー又はポイント)のみを液晶表示器70に表示する設定であって(図12(b)参照。)、非接触通信処理において、電子マネー及びポイントともに履歴が更新された場合について説明する。
図14(a)に示すように、表示用マイコン40の起動時までは、CPU42は、液晶表示器70に表示を行わず(#100)、起動後(非接触通信開始後)、電圧チェックの処理(図9のS340参照。)において、電圧レベルが「要充電」の場合には、警告を表示する(#110)。なお、電圧レベルが「シャットダウン」の場合には、CPU42は、液晶表示器70に何も表示を行わず処理を終了する(図9のS240,S420,S460参照。)。電圧レベルが「良好」であって、カード使用者が各表示画面の表示中にキー32を押圧しない場合には、CPU42は、液晶表示器70に第1画面で電子マネー情報を2秒間表示した後(#120)、第2画面でポイント情報を2秒間(#130)、第3画面でメモ情報を3秒間表示し(#140)、表示を終了する(#150)。
【0064】
一方、画面表示処理中にキー32が押圧された場合には、CPU42は、表示時間に関わらず、キー32が離されたタイミングで次の表示画面へ切り替える。最終画面(第3画面)表示中にキー32が押圧された場合には、CPU42は、キー32が離されたタイミングで第1画面から同様の表示を繰り返す(#120から#140まで)。CPU42は、画面表示処理中にキー32が押圧され続けている間は、次画面に切り替えず、各表示画面を保持する。但し、10秒以上、キー32が押圧され続け、長押し状態を検出した場合には、CPU42は、スタンバイモードへの切り替えを行い、液晶表示器70への表示を終了する(#150)。
【0065】
図14(b)に示すように、CPU42は、キー押圧起動の場合に、カード用IC20の不揮発性メモリ25に記憶されているマネー情報を液晶表示器70に2秒間表示(#220)した後、ポイント情報を2秒間表示し(#230)、表示を終了する(S240)。画面表示処理中にキー押圧された場合には、CPU42は、表示時間に関わらず、キーが離されたタイミングで次画面へ切り替える。表示の最終画面(第2画面)表示中にキー押下された場合には、CPU42は、キーが離されたタイミングで第1画面の表示から繰り返す(#220,#230)。画面表示処理中にキー32が押圧された場合の表示については、図14(a)の非接触通信起動の場合と同様である。なお、これらのキー32からのON信号入力の頻度及び期間と次に表示する表示画面の規則的な関連づけは、電子マネー用表示AP内に設定され、ROM44に記憶されている。また、起動種別が接触通信起動又は充電起動である場合には、CPU42は、液晶表示器70への表示を行わない。
【0066】
図15は、CPU42による電子マネー用表示APの実行を示すフローチャートである。
表示APプラットフォームからの呼び出しによって、CPU42は、電子マネー用表示APの実行を開始する(S700)。CPU42は、先ず、表示APプラットフォームのカード用ICアクセス機能を実行し、カード用IC20を活性化する(S710)。CPU42は、表示データ計算機能を実行し、不揮発性メモリ25に記憶されているタイムスタンプ、残高及び不揮発性メモリ50に記憶されている記録タイムスタンプ、記録残高を読み出す(S720,S730)。CPU42は、起動種別が、通信起動の場合には、表示データの演算処理を行う(S740,S750)。CPU42は、不揮発性メモリ更新機能を実行し、タイムスタンプ及び残高を記録タイムスタンプ及び記録残高として不揮発性メモリ50に書き込み(S760)、カード用ICアクセス機能を呼び出し、カード用IC20の非活性化を行う(S770)。
【0067】
起動種別が接触通信起動又は充電起動の場合には、CPU42は、液晶表示器70による表示を行わず、電子マネー用表示APについての処理を終了し、リターンにより表示APプラットフォームに制御を戻す(S780,S840)。
起動種別が非接触通信起動又はキー押圧起動の場合には、表示画面作成機能を実行し、表示画面を作成し(S790)、表示制御機能を実行することによって、液晶表示器70への表示を行う(S800)。LCDアクセス機能の戻り値(後発起動種別)が接触通信後発起動、非接触通信後発起動又は充電後発起動である場合、つまり、表示処理中に接触通信状態、非接触通信状態又は充電状態を検出した場合には、処理を終了する(S810,S840)。キー押圧後発起動である場合には、CPU42は、次の画面表示のためのパラメータを設定し(S810,S830)、同様の処理を繰り返す(S800,S810)。表示中に後発的な要因が検出できない場合には、各表示画面の表示について同様の処理を行い(S820,S830)、全ての表示が終了した場合に、CPU42は、処理を終了する(S820,S840)。
【0068】
このように、本実施例によれば、ICカード10は、各接触端子30、アンテナ31などの複数の入力装置における入力状態に基づいて使用状態を検出し、使用状態に応じた内容の通知、使用状態に応じたタイミングでの通知を行うため、処理の効率化及び利便性を向上することが可能となった。特に、非接触通信状態の場合には、ICカード10は、外部装置との通信終了後に自動的に表示を行うため、外部装置及びカード用IC20間の通信を妨げることなく、カード使用者の利便性を向上することが可能となった。
また、非接触通信状態及びキー押圧状態が検出された場合にのみ通知を行うため、不要な通知を防止し、処理の効率を向上するとともに無駄な電力消費を防止することが可能となった。
【0069】
更に、ICカード10は、接触通信状態又は充電状態などの表示を行わない場合であっても、不揮発性メモリ50に記憶されているデータの更新など次回以降の表示のための準備を行うため、確実にデータの更新を行い、表示する情報の精度を向上するとともに、処理の効率化を図ることが可能となった。特に、ICカード10は、充電状態を検出した場合には、不揮発性メモリ50に記憶されているデータが更新されていない可能性が高いため、自動的にデータの更新を行い、表示する情報の精度を向上するとともに、処理の効率化を図ることが可能となった。
更にまた、ICカード10は、リセット信号入力端子303からのリセット信号の入力状態及びアンテナ31からの搬送波の入力状態に基づいて使用状態が接触通信状態又は非接触通信状態であることを検出するため、正確な使用状態の検出、正確な情報の表示が可能となった。
【0070】
また、ICカード10は、長押し状態又は充電状態を検出した場合に動作モードをスタンバイモードに切り替えるため、消費電力を低減し(アクティブモード時の消費電流:3mA、スタンバイモード時:5μA)、電池33の寿命を延ばすことが可能となった。特に、充電信号入力端子306からのON信号を表示用マイコン40の起動要因としているため、充電中に表示用マイコン40の電源をオフにすることができないが、スタンバイモードへ切り替えることによって、消費電力を低減することが可能となった。
更に、ICカード10は、各接触端子30、アンテナ31及びRF部21などの入力装置における入力状態に応じて電池33及び表示用マイコン40間の電力供給路の接続又は非接続への切り替えを第1スイッチ回路341が行うため、常に接続されていた場合に比べて待機電力の消費を低減し、省電力化を図り、電池33の寿命を延ばすことが可能となった(例えば、消費電流が従来20μAであったものが本発明によって2μAとなり、電池寿命は、300時間から3000時間に延長される。)。
【0071】
更にまた、外部装置との通信の開始などの外部からの働きかけを表示用マイコン40の動作開始(処理開始)のきっかけとすることが可能となった。特に、液晶表示器70へ表示を行うきっかけとし、使用者に自動的に情報を通知し、利便性を向上することが可能となった。また、複数の入力装置の入力状態に応じて電力供給路の切り替えを行うため、様々な起動種別を表示用マイコン40の動作開始のきっかけとすることが可能となった。
更に、ICカード10は、揮発性の液晶表示器70を備え、表示を行う期間を電力が供給されている期間内に限定するため、無用な長期間の表示を防止し、情報の漏洩を防止することが可能となった。
更にまた、ICカード10は、CPU42からON信号を第1スイッチ回路341へ出力することよってCPU42が処理を行う期間に応じて電力供給路の接続を維持するため、安定した電力供給を行うとともに、処理にかかる期間に応じて電力供給を終了することができ、省電力化を図ることが可能となった。同様に、ICカード10は、CPU42からON信号を第2スイッチ回路342へ出力することによってCPU22が通信を行う期間に応じて電力供給を制御するため、安定した電力供給及び省電力化を図ることが可能となった。
【0072】
また、カード用IC20は、外部装置と通信を行っている場合には、外部装置から供給される電力で動作し、一方、表示用マイコン40は、電池33から供給される電力で動作するため、CPU22及びCPU42が独自に動作し、処理の効率化を図ることが可能となった。
更に、カード用IC20及び表示用マイコン40がそれぞれ外部装置との通信にかかる処理、液晶表示器70への表示にかかる処理を行うため、各ICチップに高い性能を要求せず、実現性を向上することが可能となった。
更にまた、カード用IC20には、搬送波検出信号出力端子308が設けられているため、非接触通信状態を容易に検出可能となった。また、カード用IC20の外部に搬送波検出部214を設ける必要がなく、ICカード10に具備される部品点数が少なくなり、低コスト化を図るとともに、歩留まりを向上し、信頼性アップを図ることが可能となった。
【0073】
また、ICカード10は、検出した電池33の電圧レベルを不揮発性メモリ50に記憶するため、例えば、「シャットダウン」の電圧レベルを検出して不揮発性メモリ50に記憶し、第1スイッチ回路341を非接続に切り替えて処理を終了した後に、再び第1スイッチ回路が接続に切り替えられ、表示用マイコン40が起動した場合に、短期的に電池33の電圧レベルが上昇し、「要充電」の電圧レベルが検出された場合であっても、不揮発性メモリ50に記憶されている電圧レベルを参照することができ、整合性がとれない情報処理や、表示処理などを防止し、処理の精度を向上することが可能となった。
更に、ICカード10は、CPU42が検出した電圧レベル又は不揮発性メモリ50に記憶されている電圧レベル(以前にCPU42が検出した電圧レベル)が「要充電」である場合には、警告を表示し、カード使用者に通知するため、カード使用者が充電のタイミングを知る、液晶表示器70を使用可能な期間を知ることができ、利便性を向上することが可能となった。
更にまた、ICカード10は、CPU42が検出した電圧レベル又は以前に検出し、不揮発性メモリ50に記憶していた電圧レベルが「シャットダウン」である場合には、第1スイッチ回路341を非接続に切り替えるため、電池33の過度の使用を防止し、劣化などの不具合を防止することが可能となった。
【0074】
また、ICカード10は、CPU42が検出した電圧レベルが、以前に検出し、不揮発性メモリ50に記憶していた電圧レベルよりも低い場合に電圧レベルを不揮発性メモリ50に書き込む、つまり、高レベルから低レベルへのみ書き換えを行うため、第1スイッチ回路341の切り替えなどによって短期的に上昇した電圧レベルを記憶せず、より正確に電池33の電圧レベルを把握することが可能となった。
更に、ICカード10は、充電信号入力端子306からON信号を入力した場合に、不揮発性メモリ50に「良好」の電圧レベルを書き込むため、充電後においても上記効果と同様の効果を得ることが可能となった。
更にまた、ICカード10は、充電信号入力端子306からON信号を入力している場合にのみ、第3スイッチ回路343が充電電圧端子307及び電池33を接続するため、充電電圧端子307からのリーク電流の流出を防止し、無駄な電力消費を防止することが可能となった。
【0075】
また、ICカード10は、第3スイッチ回路343の切り替えにトランジスタを利用するため、CPU42などによる切り替えの制御を不要とし、処理の効率化及び消費電力の低減を図ることが可能となった。
更に、ICカード10は、規格に従って従来のICカードに設けられている予備の接触端子を充電電圧端子307、充電信号入力端子306として使用するため、汎用性及び実現性を向上することが可能となった。
更にまた、ICカード10は、キー32から1度ON信号が入力された場合には、次の表示画面に切り替えるなど、キー32からON信号が入力される頻度及びON信号が入力されている期間に応じて表示を行うため、カード使用者に分かり易い効果的な表示を行い、使用者の利便性を向上することが可能となった。
【0076】
また、ICカード10は、キー32からON信号が入力される頻度及び入力されている期間と、次に表示する表示画面との関連づけが規則的に設定されているため、キー32の操作性を向上し、利便性を向上することが可能となった。
更に、キー32は、押圧されている場合に所定のハイレベルの信号を入力すればよいため、例えば、押圧することによって単一の信号を入力するボタン型などの単純な構造で実現でき、その小型化を図るとともに、カード使用者は、指1本を当てたまま操作することができ、操作性及び利便性を向上することが可能となった。
更にまた、ICカード10は、一の情報の表示を行っている間にキー32からON信号が入力された場合には、一の情報の表示を続けるため、使用者のキー32操作によって次の情報への切り替えのみでなく、一の情報を表示する期間の延長を可能とし、操作性及び利便性を向上することが可能となった。
【0077】
また、ICカード10は、所定の期間にキー32が押圧されない場合に表示を終了するため、表示の終了のための使用者の操作が不要とすることによって、利便性を向上することが可能となった。
更にまた、カード用IC20は、外部装置と行う通信のプロトコルと同一のプロトコルに基づいて表示用マイコン40と通信を行い、また、そのデータ入出力端子309を共用するため、カード用IC20内の通信制御回路などの資源を共用して有効活用することができ、外部装置との通信及び内部における複数のICチップ間での通信を簡易な構成で実現し、製造コストを安価にすることが可能となった。また、カード用IC20を小型化し、外部からの圧力に対する耐久性を向上し、ICカード10の曲げなどによる故障を防止することが可能となった。
【0078】
更に、ICカード10は、表示AP、記録残高、記録タイムスタンプなどの液晶表示器70が表示を行うために必要なデータを記憶する不揮発性メモリ50をカード用IC20の外部に備え、カード用IC20の不揮発性メモリ25にこれらのプログラムやデータを記憶する必要がないため、不揮発性メモリ25に必要とされる容量を従来と同様とし、従来のICチップでカード用ICを実現でき、実現性の向上を図ることが可能となった。
更にまた、ICカード10は、不揮発性メモリ50が、記録残高、記録タイムスタンプなどの不揮発性メモリ25に記憶されているデータ(残高、タイムスタンプ)と同一のデータを記憶するため、外部装置との通信後にタイムスタンプ及び記録タイムスタンプを照合することによって、外部装置との通信における不揮発性メモリ25への書き込みが正常に行われたことを確認することができ、また、確認後に表示を行うため、正常に処理が行われなかった場合には、通知を行わない等、通知する情報の精度を向上することが可能となった。
【0079】
更に、ICカード10は、不揮発性メモリ25及び不揮発性メモリ50に記憶されている残高及び記録残高に基づいて、支払額、チャージ額などの処理内容情報を生成するため、これらの情報を記憶する必要をなくし、不揮発性メモリ25及び不揮発性メモリ50のメモリ領域を効率的に利用するとともに、実現性を向上することが可能となった。
更にまた、ICカード10は、外字コードを不揮発性メモリ50に記憶するため、表示できる画像の種類を増やし、カード使用者にとって分かり易い表示を行い、利便性を向上することが可能となった。
【0080】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。例えば、実施例において、ICカード10は、液晶表示器70に情報を表示することによって使用者へ通知を行っているが、スピーカーを備え、音声出力によって通知を行ってもよい。また、情報を表示するディスプレイも情報の表示及び表示内容の変更をすることができれば、有機ELディスプレイなどでもよく、液晶ディスプレイに限られない。更に、ディスプレイは、表示内容が変更可能であって、表示に電力を必要としない不揮発性の表示装置であってもよい。
【0081】
CPU42は、入力ポートチェック機能において、アンテナ31による搬送波の入力状態を示す搬送波検出信号(Svc2)と、リセット信号入力端子303によるリセット信号の入力状態を示すリセット検出信号(Srst)に基づいて接触通信状態又は非接触通信状態の検出を行うが(図6及び図7参照。)、リセット信号入力端子303の代わりに、電源電圧端子304又はクロック端子301などの他の入力装置による信号又は電力の入力状態と、搬送波の入力状態とに基づいて検出を行ってもよい。
また、第1スイッチ回路341へ出力する検出信号についても同様である。
【0082】
ICカード10の搬送波検出部214に設けられている検波回路は、ダイオード及びオペアンプを用いた検波回路であってもよく、アンテナ31による搬送波の入力状態を示す搬送波検出信号を生成できれば限定されない。
【0083】
ICカード10は、非接触通信起動、キー押圧起動の場合に液晶表示器70への表示を行うが、接触通信起動、充電起動の場合に表示を行ってもよく、例えば、外部装置との接触式での通信又は充電終了後にその処理内容の表示を行ってもよい。各使用状態に応じて表示を行うか否か、各使用状態における表示内容、表示のタイミングを任意に設定することが可能である。
【0084】
ICカード10は、キー押圧起動の場合にカード用IC20の活性化を行い、不揮発性メモリ25に記憶されている情報の表示を行うが、カード用IC20を活性化することなく、不揮発性メモリ50に記憶されている情報の表示を行ってもよい。
【0085】
ICカード10は、アンテナ31を介して電磁結合式で外部装置と通信を行うが、静電誘導式で通信を行ってもよく、非接触式での通信方法は限定されない。
【0086】
ICカード10は、カード用IC20、表示用マイコン40,40−2及び液晶ドライバIC60の3つのICチップを備えているが、表示用マイコン40が液晶ドライバIC60の機能を有し、液晶ドライバIC60を備えず、2つのICチップのみを備えていてもよい。
【0087】
ICカード10は、液晶表示器70への表示に関係するデータを記憶する不揮発性メモリ50を表示用マイコン20の外部に備えているが、表示用マイコン20内に不揮発性メモリ50を備えていてもよく、カード用IC20の外部に不揮発性メモリ50を備えていれば、その場所は限定されない。
【0088】
ICカード10は、カード用IC20、表示用マイコン40,40−2の外部にクロック生成部35及びリセット生成部を備えているが、カード用IC20及び/又は表示用マイコン40の内部に備えていてもよい。
【0089】
CPU42は、液晶表示器70への表示中、所定の期間内にキー32が1度押圧された場合(以下、「1度押し」という。)に所定の順序で次の表示画面への切り替えを行うが(図14参照。)、例えば、所定の期間内にキー32が2度押圧された場合(以下、「2度押し」という。)など、キー32が押圧される他の頻度(所定の期間内にキー32が押圧される回数)に応じた表示画面の切り替えを行ってもよい。
【0090】
CPU42は、キー押圧起動もしくは、非接触通信起動の場合、液晶表示器70への表示内容の切り替えを所定の順序で自動的に行うが(図14参照)、キーが押された場合のみ、表示内容の切り替えを行ってもよい。
また、最後に表示された情報の属性情報(マネー、ポイント等)を記憶する通知履歴記憶手段を備え、前記通知履歴記憶手段に記憶されている属性情報に基づいた情報もしくは、その次の情報から表示を開始してもよい。
【0091】
例えば、CPU42,42−2は、最上位の階層では、属性が異なる次の表示画面に切り替えるなど、1度押しの場合には、同階層における次の表示画面へ切り替える。また、CPU42,42−2は、所定の期間(例えば、1秒)以上キー32が押圧された長1度押しの場合には、階層が下位の表示画面に切り替え、最下位層において長1度押しされた場合には、最上位層へ切り替える。更に、CPU42,42−2は、2度押しされた場合には、前に表示された表示画面に切り替える。一方、CPU42,42−2は、所定の期間(例えば、2秒間)にキー32が押圧されない場合には、この表示用APに関する表示を終了する。
【0092】
なお、属性とは、マネー、ポイント等の表示する情報の属性である。また、階層とは、同一属性の情報における複数の表示画像データを表示の優先順位によって階層に分けたものであって、最上位が最優先となっている。例えば、属性がマネーの情報であれば、最上位にマネー残高、利用額データが割り当てられ、下位の層にメモ情報が割り当てられる。
以上のように、ICカード10は、様々な属性、階層にわたるサイズの大きい情報を使用者のキー操作に応じて表示することが可能となる。また、カード使用者は、次の表示画面を複数の中から選択し、知りたい情報を迅速に知ることができ、利便性を向上することが可能となる。
更に、キー32からON信号が入力される頻度、入力される期間と、次に表示する表示画面を規則的に関連づけて設定することによって、キー32の操作性を向上し、カード使用者の利便性を向上することが可能となる。
【0093】
更にまた、表示用マイコン40,40−2は、入力ポートチェック機能によって、後発起動種別を検出する場合のみならず、キー押圧起動時にキー32が押圧される期間、頻度を検出してもよい。この期間、頻度に応じて表示APプラットフォームから呼び出す表示用APの順を変えるなど、カード利用者による表示画面データの選択肢変え、カード利用者の利便性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明によるICカードの実施例における構成を示すブロック図である。
【図2】カード用IC10及び表示用マイコン40の構成を示すブロック図である。
【図3】スイッチ回路部34を説明する図である。
【図4】本発明によるICカードの構造を説明するための概略図である。
【図5】表示用マイコン40が行う処理の概略を説明するフローチャート及び概略図である。
【図6】入力ポートチェック機能について説明するための図である。
【図7】入力ポートチェック機能について説明するための図である。
【図8】CPU42による電圧チェック機能の実行を示すフローチャートである。
【図9】本発明によるICカードの動作及びICカードプログラムを示すフローチャートである。
【図10】各種信号の時間経過による変化を示す図である。
【図11】各種信号の時間経過による変化を示す図である。
【図12】CPU42による表示データ計算機能の実行を示すフローチャートである。
【図13】CPU42による表示制御機能の実行を示すフローチャートである。を実現するためにCPU42が行う表示制御処理を示すフローチャートである。
【図14】表示制御機能を説明するための図である。
【図15】CPU42による電子マネー用表示APの実行を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
10 ICカード
20 カード用IC
21 RF部
22 CPU
23 RAM
24 ROM
25 不揮発性メモリ
30 接触端子
31 アンテナ
32 キー
33 電池
34 スイッチ回路部
35 クロック生成部
40 表示用マイコン
41 I/Oインターフェイス
42 CPU
43 RAM
44 ROM
50 不揮発性メモリ
60 液晶ドライバIC
70 液晶表示器
214 搬送波検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のICチップを備えるICカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICカードは、ATMなどの外部装置とのデータの通信を、接点を介して行う接触型ICカードと、アンテナを介して電磁誘導方式、静電結合方式などの非接触通信手段にて行う非接触型ICカードとに分類される。主に接触型ICカードは、決済用途、非接触型ICカードは、交通システムなどのゲート・アクセス管理に用いられている。また、近年、接触型ICカードの機能と非接触型ICカードの機能を併せ持つ接触/非接触両用型のICチップが開発されており、接触通信及び非接触通信において同一のメモリ領域にアクセスする事が可能な利便性の高い接触/非接触両用型ICカードが登場している。一方、ICカードには、券面に表示部を備えたICカードがある。
感熱発色型リライトなどの表示に電力が不要な不揮発性の表示部を備えるICカードでは、電源を内部に備える必要がないが、表示内容の書き換えに専用リーダライタに挿入しなければならず、ICチップ内部のデータと表示内容との差異が生じるという問題があった。
また、非接触型ICカードのように搬送系を用いずにICチップのデータの更新が可能なアプリケーションでは、交通用途では、固定データである利用可能区間データのみが表示され、非接触通信により更新される可能性のあるカード内部のマネー情報などの更新データは、表示内容とIC内部データとの相違が発生する危険性があるため、表示できないという問題があった。
これらの問題を解決するため、液晶ディスプレイなどの表示に電力が必要な揮発性の表示部を備え、所定のタイミングで表示を行う携帯型電子機器がある(例えば、特許文献1参照。)。このICカードは、カード内部に電源を有し、この電源からの電力によって表示用のCPUなどを駆動させ表示を行うため、固定データのみならず、更新データの表示を行うことが可能である。
【特許文献1】特開2001−344578号公報([0045]、図1及び図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1には、携帯型電子機器が備える2つのICチップ(ICカードチップ部11及びウオッチCPU14)間において、インターフェイス動作を行う各I/O部46,53を介して通信を行っている旨が記載されているだけで詳細な記載は見あたらない。
【0004】
本発明の課題は、効率的に複数のICチップ間で通信を行うことが可能なICカードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。すなわち、請求項1の発明は、複数のICチップ(20,40)を備えるICカードであって、一の前記ICチップ(20)は、外部装置との通信において行う処理と同様の処理を行うことによってICカード内に具備される他の前記ICチップ(40)と通信を行うこと、を特徴とするICカード(10)である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のICカードにおいて、前記一のICチップは、外部装置と行う通信のプロトコルと同一のプロトコルに基づいてICカード内に具備される前記他のICチップと通信を行うこと、を特徴とするICカード(10)である。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のICカードにおいて、前記一のICチップは、外部装置と接触式でデータを送受信するためのデータ入出力端子(309)を有し、前記一のICチップは、前記データ入出力端子を介して前記他のICチップと通信を行うこと、を特徴とするICカード(10)である。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のICカードにおいて、表示及び/又は音声出力することによって、情報を使用者に通知する通知手段(70)を備え、前記一のICチップは、外部装置と送受信されるデータについて処理を行い、前記他のICチップは、前記通知手段を制御し、前記一のICチップの処理にかかるデータについて通知を行わせること、を特徴とするICカード(10)である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるICカードによれば、一のICチップは、外部装置と行う通信のプロトコルと同一のプロトコルに基づいてICカード内に具備される他のICチップと通信を行う、データ入出力端子を介して外部装置及び他のICチップと通信を行うなど、外部装置と通信において行う処理と同様の処理を行うことによって他のICチップと通信を行うため、一のICチップ内の資源を共用して有効活用することによって、外部装置との通信及び内部における複数のICチップ間での通信を簡易な構成で実現し、製造コストを安価にすることが可能となる。また、一のICチップを小型化し、外部からの圧力に対する耐久性を向上し、ICカードの曲げなどによる故障を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、効率的に複数のICチップ間で通信を行うことが可能なICカードを提供するという目的を、複数のICチップを備えるICカードであって、一のICチップは、外部装置との通信において行う処理と同様の処理を行うことによって同一のICカード内に具備される他のICチップと通信を行うことによって実現する。
【実施例1】
【0011】
以下、図面などを参照して、本発明の実施例をあげて、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明によるICカードの実施例における構成を示すブロック図であり、図2は、カード用IC10及び表示用マイコン40の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、ICカード10は、一般的な接触/非接触両用型ICカードの機能を実現するカード用IC20と、カード用IC20に接続されている接触端子30及びアンテナ31と、データを表示する液晶表示器70と、液晶表示器70に接続されている液晶ドライバIC60と、液晶ドライバIC60及びカード用IC20に接続され、カード用IC20から提供されたデータに基づいて液晶表示器70の表示を制御する表示用マイコン40と、表示用マイコン40に接続され、表示にかかるデータなどを記憶する不揮発性メモリ50と、表示用マイコン40などに接続されているクロック生成部35と、表示用マイコン40などに電源電圧(VDD,VSS)を供給するための電池33と、カード使用者からの指示を入力するスイッチであるキー32と、接触端子30、キー32、カード用IC20及び表示用マイコン40に接続されているスイッチ回路部34などとを備えている。表示用マイコン40、液晶ドライバIC60及び液晶表示器70は、電池33から供給される電力によって動作する。
ICカード10は、非接触式又は接触式で通信を行うリーダライタを備える情報処理端末である外部装置と通信経路を確立し、電力の供給を受け、受信した命令(コマンド)に応じた処理を行い、結果を応答(レスポンス)として返信する。また、ICカード10は、電池33によって供給される電力によって液晶表示器70に外部装置との通信にかかる情報を表示し、カード使用者への通知を行う。
【0012】
接触端子30は、ISOなどの規格に準拠してICカード10表面に設けられているクロック信号(CLK)入力用端子301、データ入出力用(I/O)端子302、リセット信号(RST)入力用端子303、電源電圧(Vcc)端子304、ゼロ電圧(GND)端子305及び不揮発性メモリ25の書き込み又は消去に必要な電圧などを供給するプログラム供給電圧端子と、充電信号(Svb)入力端子306及び充電電圧(Vbc)端子307との合計8つの接触端子を備えている(後述する図3参照。プログラム供給電圧端子については、図示しない。)。ICカード10は、規格に従って設けられている予備の2つの接触端子、つまり、従来の接触型ICカードにおける2つの予備の接触端子を充電信号入力端子306及び充電電圧端子307として使用する。
【0013】
充電電圧端子307は、ゼロ電圧端子305との電位差によって電池33への充電用の電力を入力するための端子である。充電信号入力端子306は、電池33の充電中であることを示す充電検出信号(例えば、所定のHレベルの信号)を外部装置から入力するための端子である。接触端子30は、外部装置のリーダライタと接触することによって、外部装置及びカード用IC20間の通信を媒介する。また、接触端子30は、充電のために外部装置と電池33との接続を媒介する。
アンテナ31は、非接触式での通信を実行するための巻線コイル、巻線コイルの両端に接続されている同調用のコンデンサなどを有し、外部装置から送信された電磁波を受信し、電磁結合によってアナログ受信信号(搬送波)を入力する入力装置である。アンテナ31は、入退場を管理するゲート端末などの非接触式の通信を行うリーダライタを有する外部装置及びカード用IC20間の通信を媒介する。
【0014】
図2に示すように、カード用IC20は、接触IC通信機能及び非接触IC通信機能を有する接触/非接触両用型のICチップである。カード用IC20は、アンテナ31を介して入出力される信号のインターフェイスであるRF部21と、RF部21及び接触端子30に接続されているCPU22と、CPU22に接続されているRAM23、ROM24及び不揮発性メモリ25などとを備えている。
カード用IC20は、外部装置から受信したコマンドに応じた処理を行い、一般的なICカードの機能を実現する。また、カード用IC20は、非接触式での外部装置との通信と同様に、表示用マイコン40から受信したコマンドに応じた処理を行い、不揮発性メモリ25に記憶されているデータを表示用マイコン40へ提供する。つまり、カード用IC20は、外部装置との接触式での通信における通信プロトコルに従って、表示用マイコン40と通信を行う。また、カード用IC20のデータ入出力端子309(後述する図3参照。)を交互に使用して外部装置(非接触通信)及び表示用マイコンとの通信が行われる。本実施例においては、カード用IC20は、ISO/IEC7816準拠の接触IC通信機能と、ISO/IEC14443準拠の非接触IC通信機能を有している。
【0015】
RF部21は、アナログ受信信号によってアンテナ31に誘起された電流を整流した後、調整した電源電圧をCPU22などのカード用IC20の各部へ提供する電源生成部211と、アンテナ31を介して入力したアナログ受信信号をアナログ/デジタル変換、復調などを行って受信データとしてCPU22へ出力し、また、逆に、CPU22から出力される送信データをアナログ送信信号へ変換し、アンテナ31へ出力する変復調回路212と、アナログ受信信号から処理の基準信号となるクロック信号を生成するクロック生成回路213と、搬送波検出部214などとを備えている。
搬送波検出部214は、アンテナ31からのアナログ受信信号(搬送波)の入力状態を示す搬送波検出信号を生成し、カード用IC20の搬送波検出信号出力端子308を介してスイッチ回路部34及び表示用マイコン40へ出力する(後述する図3参照。)。本実施例では、搬送波検出部214は、ダイオード検波回路を備え、アナログ受信信号から所定のハイレベルの信号(ON信号)を取り出し、搬送波検出信号を生成する。
【0016】
CPU22は、接触端子30、又は、アンテナ31及びRF部21を介して外部装置と送受信されるデータに基づいて種々の演算などの処理を行う通信処理手段であって、このデータに応じて制御を行い、カード用IC20を統括制御する。RAM23は、揮発性メモリであり、CPU14が処理を行うための作業領域として使用される。ROM24は、不揮発性の読み出し専用メモリであって、オペレーティングシステム(以下、「OS」という。)などの基本ソフトウェアなどを記憶している。不揮発性メモリ25は、EEPROM、フラッシュメモリ、FRAMなどの随時書き換え可能な不揮発性のメモリであって、通常カード使用者のワークエリア、プログラムエリアなどとして使用され、電子マネーアプリケーションなどの単一もしくは複数のアプリケーションに関わるデータを記憶している(以下、「アプリケーション」を「AP」という。)。なお、各APのプログラム部分などの書き換えの必要がないデータについては、ROM24に記憶していてもよく、記憶する場所は、不揮発性のメモリであれば限定されない。
【0017】
表示用マイコン40は、表示用マイコン40を統括制御するCPU42と、CPU42に接続されているROM43、RAM44などを備え、カード用IC20と通信を行うことによって、受信したデータ、不揮発性メモリ50に記憶されているデータなどに基づいて処理を行い、処理結果に応じた表示データを生成し、液晶ドライバIC60へ送信し、液晶表示器70の表示を制御する。
CPU42は、種々の演算及び制御を行い、カード用IC20を統括制御する中央処理装置であって、ROM44に記憶されているプログラムを実行する。
RAM43は、揮発性メモリであって、CPU42が処理を行う作業領域として使用される。ROM44は、不揮発性の読み出し専用メモリであって、表示APプラットフォームなどの各種ソフトウェアを記憶している(ソフトウェアの詳細については、図5以下を用いて後述する。)。
なお、ICカード10は、不揮発性メモリ50にこれらのアプリケーションを記憶していてもよく、表示用マイコン40内に不揮発性メモリを備える場合には、その不揮発性メモリに記憶していてもよく、書き換えが必要なデータを書き換え可能なメモリに記憶していれば、記憶する場所については、限定されない。
【0018】
不揮発性メモリ50は、随時書き換え可能な不揮発性のメモリであって、記録タイムスタンプ、通知履歴記憶情報などの履歴データ、外字コード、記録電圧レベルなどの表示APプラットフォーム、表示用APの実行に必要なデータ、つまり、液晶表示器70に表示を行うために必要なデータを記憶している。外字データは、液晶表示器70に表示される、規格外の文字、図形などの独自のデータであって、識別情報である外字コードに関連づけられている。本実施例においては、規格に準拠する文字などと比べてサイズ(情報量)の大きい図形などの大情報量表示データに外字コードを割り当てている。
【0019】
図1に示すように、液晶ドライバIC60は、表示用マイコン40から受信する表示データに応じて液晶表示器70の画素に電圧を与え、液晶表示器70を駆動させる。
液晶表示器70は、ICカード10表面に設けられている液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)であって、情報を表示することによってカード使用者に通知を行う。液晶表示器70は、本実施例においては、120X26dotの画素を有し、全角で10桁X2行の表示を行うことが可能である。なお、液晶表示器70の基材は、ICカード10の使用態様を考慮し、屈曲性など、ICカード10の基材と同様の性質を有する材料で形成することが好ましい。
【0020】
キー32は、ICカード10表面に設けられ、押圧されている間のみICカード10内側方向へ窪み、ハイレベルとなる信号、つまり、カード使用者の指示を示す指示信号を入力するクリック型の薄い形状を有するスイッチである。キー32は、この指示信号を表示用マイコン40及びスイッチ回路部34へ出力する。本実施例においては、キー32としてエレメントキースイッチを用いている。
電池33は、外部装置から供給される充電用の電力によって充電可能な薄型の電池(内部電源)であって、ICカード10の基材に埋め込まれ、カード用IC20、表示用マイコン40、液晶ドライバIC60などに動作用の電力を供給する。本実施例においては、6mAhのリチウムイオン(Li−ion)ポリマー電池を用いている。
【0021】
図3は、スイッチ回路部34を説明する図であって、接触端子30、アンテナ31及びキー32と、カード用IC20の入出力端子と、表示用マイコン40の入出力端子と、スイッチ回路部34との接続を示している。
スイッチ回路部34は、トランジスタなどを含み、ゲート端子への入力信号に応じて回路(電力供給路)の接続/非接続(オン/オフ)への切り替えを行う。スイッチ回路部34は、電池33から表示用マイコン40への電力供給路について切り替えを行う第1スイッチ回路341、電池33からカード用IC20への電力供給路について切り替えを行う第2スイッチ回路342、外部装置から電池33への充電用の電力供給路について切り替えを行う第3スイッチ回路343などを備えている。
【0022】
第1スイッチ回路341は、電池33及び表示用マイコン40に接続されている。第1スイッチ回路341のゲート端子は、接触端子30のリセット信号(RST)入力端子303、充電信号(Svb)入力端子307、搬送波検出信号出力端子(Vcc2)308、キー32及び表示用マイコン40の第1制御信号出力端子に接続されている。第1スイッチ回路341は、外部装置からリセット信号入力端子303を介して入力されるリセット信号の入力状態を示すリセット検出信号(Srst)、充電信号入力端子307から入力される充電検出信号(Svb)、搬送波検出部214から出力される搬送波検出信号(Svc2)、キー32を介して入力されるカード使用者の指示信号の入力状態を示すキー押圧検出信号(Skey)などの検出信号と、表示用マイコン40の第1制御信号出力端子から出力される第1電源制御信号(Sv1)とを入力する。
【0023】
リセット信号、アナログ受信信号などの検出対象となる信号又は電力が入力されている場合に、各検出信号は、所定のハイレベルの信号(ON信号)となり、入力されていない場合に所定のローレベル(ゼロレベルを含む。)の信号(OFF信号)となる。第1スイッチ回路341は、少なくともいずれかの検出信号がON信号である場合又は表示用マイコン40から接続指示を示すON信号を入力している場合に電池33及び表示用マイコン40間の電力供給路を接続し、全ての検出信号がOFF信号である場合に電力供給路を非接続とし、電力供給路の接続又は非接続への切り替えを行う。
【0024】
従って、ICカード10が外部端末と接触式若しくは非接触式での通信を開始した場合、充電を開始した場合、又は、キー32がカード使用者によって押圧された場合にスイッチ回路341は、電力供給路を接続し、表示用マイコン40へ電力を供給し、表示用マイコン40を起動する。起動後は、表示用マイコン40が第1制御信号出力端子からON信号を第1スイッチ回路341へ出力し、接続を維持する。つまり、第1スイッチ回路341は、接触端子30、アンテナ31、キー32などの入力装置における電力又は信号の入力状態に応じて電池33及び表示用マイコン40間の電力供給路の接続又は非接続への切り替えを行う。なお、第1スイッチ回路341に接続されているリセット信号入力端子303などは、同様に表示用マイコン40の検出信号入力端子を介してCPU42に接続され、検出信号をCPU42へ出力する(後述する図6(a)参照。)。
【0025】
同様に、第2スイッチ回路342は、ゲート端子が表示用マイコン40の第2制御信号出力端子に接続され、この端子から出力される信号に応じて電池33からカード用IC20への電力供給路の接続/非接続への切り替えを行う。
また、第3スイッチ回路343は、ゲート端子が充電信号入力端子306に接続され、外部装置から入力する充電検出信号に応じて、充電電圧端子307から電池33への電力供給路の切り替えを行う。つまり、第3スイッチ回路343は、充電中に外部装置が出力するON信号を入力している間のみ、充電電圧端子307及び電池33を接続する。
【0026】
図1及び図3に示すように、クロック生成部35は、水晶発振器などを備え、水晶発振器の発信周波数に基づいてクロック信号を生成する。また、クロック生成部35は、表示用マイコン40からの信号に応じて、カード用IC20及び表示用マイコン40へクロック信号を供給する。
なお、図示していないが、ICカード10は、リセット信号を生成するリセット生成部を備え、クロック生成部35と同様に表示用マイコン40からの信号に応じてカード用IC20及び表示用マイコン40へリセット信号を供給する。
【0027】
図4は、本発明によるICカードの構造を説明するための概略図であって、図4(a)は表面図、図4(b)は透視図、図4(c)は側面図である。
図4(a)に示すように、ICカード10は、その表面に接触端子30、キー32、液晶表示器70などが設けられている。
また、図4(b),(c)に示すように、ICカード10は、アンテナ31のCu配線などがその周囲に形成された厚さ25μmのポリイミドなどの絶縁性基板11の所定の位置にカード用IC20、電池33、表示用マイコン40、液晶ドライバIC60、液晶表示器70などが搭載され、液晶表示器70に重なる部分に孔121を有する厚さ180μmのポリエステル系カード基材層12が絶縁性基板11の上下面にエポキシ系接着剤層13で接着されている。
【0028】
次に、ICカード10の動作について、ICカード10に搭載されているソフトウェアの機能から説明する。
表示用マイコン40のROM44には、複数のソフトウェアが記憶され、これらを大きく分けると、液晶表示器70の表示に関する基本的なハードウェア制御を行う表示APプラットフォーム、カード用IC20の不揮発性メモリ25に記憶されている各APに応じた固有の表示処理を行う表示用APに分類される。
以下、先ず、ICカード10の全体の動作の流れを表示APプラットフォームの機能を参照しながら説明し、その後に各表示用APについて説明する。
【0029】
表示APプラットフォームは、ハードウェア制御を行うためのライブラリ(ハード制御ライブラリ)を使用し、表示用APが動作するための必要なハードウェア制御を行うための基本ソフトウェアであって、表示用APに各種機能を提供する。具体的には、表示用APは、表示APプラットフォームが提供する表示AP用関数を単に呼出すことにより、表示用のハードウェアを意識することなく、表示用AP固有の表示処理を行うことが可能となる。
【0030】
図5は、表示用マイコン40が行う処理の概略を説明するフローチャート及び概略図である。
図5に示すように、表示用マイコン40の電源が投入され、表示用マイコン40は、処理を開始する(S10)。表示用マイコン40は、表示APプラットフォームを実行し、開始処理を行った後(S20)、表示用APを呼び出す(S30)。
表示用マイコン40は、表示用APを実行し、表示APプラットフォームが提供する表示AP用関数で呼び出しを行うことにより、カード用IC20や、不揮発性メモリ50から表示に必要なデータを読込む、表示すべきデータを計算する、液晶ドライバIC60へ表示すべきデータを送信するなど表示に必要な処理を行う(S30’)。表示用APにおける必要な処理を終えた後、表示APプラットフォームへリターンし、表示用マイコン40は、表示APプラットフォームに従って終了処理を実行し、表示用マイコン40の電源をOFFにし(S40)、処理を終了する(S50)。
なお、表示用マイコン40は、複数の表示用APを記憶することが可能であるが、表示用APが複数ある場合に、表示APプラットフォームから呼び出す(S30)順序は、任意であって、予め設定して記憶していてもよく、不揮発性メモリ25に記憶されているAPを実行した履歴を記憶し、対応するAPの実行頻度の高低に応じた順序で表示用APを呼び出してもよい。また、表示APプラットフォームの実行においてタイムスタンプを呼び出すなど、カード用IC20が実行したAPを識別可能な場合には、対応する表示用APのみを呼び出してもよい。
【0031】
表示APプラットフォームは、開始処理機能、終了処理機能、タイマアクセス機能、カード用ICアクセス機能、不揮発性メモリアクセス機能、LCDアクセス機能、入力ポートチェック機能、モード切替機能、電圧チェック機能などの各種機能を表示用マイコン40に実現させるプログラムを含んでいる。
先ず、他の機能から呼び出しを受けて実行されるモード切替機能、入力ポートチェック機能、電圧チェック機能、タイマアクセス機能などの下位の機能について説明し、その後に開始処理機能などの上位の機能について説明する。
モード切替機能は、表示用マイコン40の動作モードをスタンバイモード(省電力モード、スリープモード)に切り替える機能である。スタンバイモードとは、表示用マイコン40の動作機能を限定し、電力消費が通常の動作モード(アクティブモード)よりも低い動作モードである。CPU42は、所定の場合にアクティブモード/スタンバイモードの切り替えを行う(後述する図9参照。)。モード切替機能の実現方法は、CPU42の動作モードを替える、不必要な周辺機器を止めるなど、電力消費量を低減できれば、その実現方法は限定されない。
【0032】
入力ポートチェック機能は、CPU42が表示用マイコン40の検出信号入力端子を介して入力される各種検出信号に基づいて、ICカード10の使用状態を検出する機能である(図3参照。)。使用状態とは、ICカード10が外部装置と非接触式での通信を行っている状態(以下、「非接触通信状態」という。)、接触式での通信を行っている状態(以下、「接触通信状態」という。)、外部装置から充電用の電圧供給を受け充電中の状態(以下、「充電状態」という。)、キー32が押圧されている状態(以下、「キー押圧状態」という。)、外部との関わりがない状態(以下、「不使用状態」という。)などのICカード10が外部との関わりにおいてどのような状態にあるか又はどのような状態にあったかを示す情報である。表示用マイコン40は、この入力ポートチェック機能によって検出された使用状態に応じて処理を行う。
【0033】
図6及び図7は、入力ポートチェック機能について説明するための図であって、図6(a)は、CPU42に出力される検出信号の種類を示し、図6(b)は、接触端子30の電源電圧端子304及びカード用IC20の搬送波検出信号出力端子308の関係を示している。また、図7(a)は接触通信状態、図7(b)は、非接触通信状態における各接触端子(電源電圧(Vcc)端子304、リセット信号(RST)入力用端子303、クロック信号(CLK)入力用端子301、データ入出力用(I/O)端子302)から入力される信号の振幅(又は電源電圧のレベル)及び搬送波検出信号出力端子308から出力される搬送波検出信号(Svc2)の振幅の時間経過による変化を示している。
図6(a)に示すように、CPU42は、スイッチ回路341と同様に、接触端子30のリセット信号入力端子303、充電信号入力端子306、搬送波検出信号出力端子308、キー32などに接続され、これらから入力する各検出信号(Srst,Svb,Svc2,Skey)に基づいて起動種別、後発起動種別などの使用状態の検出を行う。
【0034】
図6(b)に示すように、接触通信又は非接触通信により外部装置から供給される電力は、共に電源供給部を介してカード用IC20のCPU22へ提供される。また、電源生成部211及び搬送波検出部214は、整流回路を共用するため、電源電圧端子304及び搬送波検出信号出力端子308は、電源供給部において接続され、図7(a)に示すように、接触通信状態であっても搬送波検出信号出力端子308からON信号がCPU42へ出力される。
従って、CPU42は、搬送波検出信号出力端子308からのON信号のみで接触通信状態又は非接触通信状態であるか検出することはできず、搬送波検出信号出力端子308及びリセット信号入力端子303からの検出信号に基づいて検出を行う。例えば、CPU42は、図7(a)に示すように双方の端子からON信号を入力した場合には、接触通信状態にあると検出し、図7(b)に示すように搬送波検出信号出力端子308のみからON信号を入力した場合には、非接触通信状態にあると検出する。
【0035】
また、図6(a)に示すように、CPU42は、充電信号入力端子306からON信号を入力した場合には充電状態、キー32からON信号を入力した場合にはキー押圧状態と検出する。いずれの端子からもON信号の入力がない場合には、不使用状態にあると検出する。
なお、CPU42は、キー押圧状態と検出した場合であって、キー32から所定の期間(例えば、10秒)以上連続してON信号を入力したときには、使用者の意思に反してキー32が押圧されている長押し状態と検出し、モード切替機能を呼び出し、スタンバイモードへの切り替えを実行する。
【0036】
CPU42は、入力ポートチェック機能によって、起動種別、後発起動種別などの使用状態の検出を行う。
起動種別の検出は、表示用マイコン40が起動された場合に、外部装置との接触式若しくは非接触式での通信の開始、外部装置からの充電開始又はカード使用者によるキー32の押圧などのいずれの要因によって起動したかを示す起動種別の検出である(以下、各要因に応じた各起動種別をそれぞれ、「接触通信起動」、「非接触通信起動」、「充電起動」、「キー押圧起動」という。)。
後発起動種別の検出は、表示用マイコン40の起動後において、入力ポートチェック機能の呼び出しがあった場合に所定の検出期間に外部装置との接触式又は非接触式での通信の開始、外部装置からの充電開始、カード使用者によるキー32押圧などの表示用マイコン40の処理を引き起こす後発的な要因(後発要因)があるか否か、また、後発要因があった場合に、いずれの後発要因であるかを示す後発起動種別の検出である(以下、各後発要因に応じた各後発起動種別をそれぞれ、「接触通信後発起動」、「非接触通信後発起動」、「充電後発起動」、「キー押圧後発起動」という。)。
【0037】
CPU42は、起動種別又は後発起動種別を検出した場合には、RAM43又は不揮発性メモリ50に起動種別情報を書き込む。
なお、入力ポートチェック機能において、複数の使用状態を検出した場合には、優先順位を任意に設定することが可能である。CPU42は、検出した複数の起動種別(又は後発起動種別)のうち最も優先順位が高い要因についての処理のみを行い、他の処理を実行しない(他の要因をリセットする。)。また、CPU42は、同順位の複数の起動種別を検出した場合には、エラーとして処理を行う。
【0038】
また、起動種別の検出においては、CPU42は、全ての起動種別について検出を行うが、後発起動種別検出においては、起動種別、表示用マイコン40の処理内容などに応じて検出する後発起動種別を限定して設定することができる(後述する図11参照。)。例えば、LCDアクセス機能における入力ポートチェック機能において、キー押圧後発起動を検出した場合、CPU42は、LCDアクセス機能を実行している間には、キー押圧後発起動のみについて検出を行い、他の後発起動種別には検出を行わないとすることが可能である。
【0039】
電圧チェック機能は、電池33の残量を検出する機能であって、電池33の電圧値をモニタし、電圧値が「良好」、「要充電」、「シャットダウン」のいずれの領域(電圧レベル)に属するかを判別し(電圧レベルを検出し)、電圧レベルに応じた処理を行う機能である。なお、電圧値の高い順に、「良好」、「要充電」、「シャットダウン」であって、「良好」及び「要充電」は、表示用マイコン40が処理を行うことが可能な電圧レベルであって、「シャットダウン」は、処理を行うことができない電圧レベルである。
【0040】
図8は、CPU42による電圧チェック機能の実行を示すフローチャートである。以下、CPU42の処理を中心に説明する。
図8に示すように、電圧チェック機能が呼び出され、CPU42は、電圧チェック機能の実行を開始する(S100)。S110において、CPU42は、不揮発性メモリアクセス機能によって、不揮発性メモリ50に記憶されている記録電圧レベル(VR)を読み出す。記録電圧レベルが「シャットダウン」である場合には、CPU42は、使用状態(起動種別又は後発起動種別)が充電状態であるときを除き、電源OFF制御を行い、表示用マイコン40の電源をOFFとし(S120,S170,S200)、表示用マイコン40は、処理を終了する(S220)。使用状態が充電状態である場合には、記録電圧レベルを「良好」に書き換える(S170,S150)。また、記録電圧レベルが「良好」又は「要充電」である場合には、電池33の電圧レベル(VL)を検出し(S120,S130)、記録電圧レベルよりも低い場合には、検出した電圧レベルを記録電圧レベルとして不揮発性メモリ50へ書き込む(記録電圧レベルを書き換える、S140,S150)。
【0041】
不揮発性メモリ50に記憶されている記録電圧レベル(S110において読み出した記録電圧レベル又はS130において検出した電圧レベルのいずれか低い方の電圧レベル)が「シャットダウン」である場合には、充電状態であるときを除き、表示用マイコン40の電源をOFFとし(S200)、ICカード10は、処理を終了する(S220)。充電状態である場合又は記録電圧レベルが「良好」である場合には、CPU42は、電圧チェック機能についての処理を終了する(S210)。記録電圧レベルが「要充電」である場合には、LCDアクセス機能によって警告を液晶表示器70に表示し(S180)、電源チェック機能についての処理を終了する(S210)。
なお、CPU42が電圧チェック機能において電圧レベルが「シャットダウン」であることを検出した場合の処理が最も優先順位が高く設定され、他の要因を検出してもリセットし、「シャットダウン」に対応する処理のみを行う(S200,S220)。
【0042】
タイマアクセス機能は、表示用マイコン40のハードウェアタイマの初期化、タイマ値のセットを行う機能である。
開始処理機能は、表示用マイコン40の初期化、表示用APの起動、電源維持制御(電力供給維持制御)及び電源OFF制御(電源遮断制御)、電圧チェック機能の呼び出し、入力ポートチェック機能の呼び出しなどを行って表示用APを実行できる環境を整える、表示用マイコン40が起動された場合に実行される機能である。表示用マイコン40の初期化とは、表示用マイコン40のI/Oインターフェイス41、タイマ、A/D変換器、WDTの初期化、液晶ドライバIC60への初期化指示の送信などである。電源維持制御は、第1制御信号出力端子を介してスイッチ回路341へON信号を送信し続け、電池33及び表示用マイコン40間の接続を維持、つまり、電池33から表示用マイコン40への電力の供給を維持する制御であり、電源OFF制御は、第1スイッチ回路341へOFF信号を出力し、表示用マイコン40への電力の供給を終了する制御である。表示用APの起動は、起動種別をパラメータとして、表示用APの呼び出しを行う処理である。
【0043】
終了処理機能は、液晶表示器70の表示画面の内容のクリア、電源OFF制御、モード切替機能の呼び出しなどを行うなど、表示用APの所定の処理が終了して制御がAPプラットフォームにリターンした場合に終了できる状態(電源をOFFできる状態)とする終了処理を行う機能である。
【0044】
カード用ICアクセス機能は、カード用IC20の活性化、非活性化、カード用IC20からのデータ読み出しなどのカード用IC20へのアクセスを行う機能である。カード用ICアクセス機能は、外部装置がカード用IC20に対して行う処理(接触式での電力、クロック信号及びリセット信号の供給、通信など。)と同様の処理をCPU42がカード用IC20に対して行う機能である。
カード用IC20の活性化の機能は、第2スイッチ回路342、クロック生成部35などへON信号を出力し、つまり、カード用IC20へ電力、クロック信号などを提供して活性化し、カード用IC20からの初期応答(ATR)の受信を確認する。
【0045】
カード用IC20の非活性化は、第2スイッチ回路342、クロック生成部35などへ出力する制御信号をON信号からOFF信号へ切り替え、カード用IC20を非活性化する機能である。
カード用IC20からのデータ読み出しの機能は、カード用IC20へコマンドを送信し、受信したデータを指定されたRAM43のアドレスに読み出す機能である。つまり、データ読み出しの機能は、外部装置がカード用IC20と行う接触式での通信と同様のプロトコルに基づいて行われる通信の機能である。
【0046】
不揮発性メモリアクセス機能は、不揮発性メモリ50からのデータの読み出し、不揮発性メモリ50へのデータの書き込み(「書き換え」を含む。以下、「書き込み」について同じ。)などのCPU42が不揮発性メモリ50へのアクセスを行う機能である。
【0047】
LCDアクセス機能は、液晶表示器70の表示を制御する機能であって、液晶ドライバIC60に表示データを転送し、液晶表示器70に表示データを表示させ、指定された期間経過後に表示用APに通知を行う。
【0048】
図9は、本発明によるICカードの動作及びICカードプログラムを示すフローチャートである。CPU42による表示APプラットフォームの各機能の実行を中心に説明する。
S310において、第1スイッチ回路341が接続へ切り替わり、表示用マイコン40は、電池33からの電力の供給を受けて起動する。CPU42は、開始処理機能の初期化を行い(S320)、第1スイッチ回路341へON信号を出力し、電源維持制御を行い(S330)、電圧チェック及び入力ポートチェックを実行する(S340,S360)。CPU42は、電圧チェックにおいて「シャットダウン」の電圧レベルを検出した場合には、第1スイッチ回路341へOFF信号を出力して表示用マイコン40の電源をOFFし(S350,S420)、処理を終了する(S460)。
【0049】
CPU42は、入力ポートチェックにおいて起動種別が接触通信起動又は非接触通信起動(外部装置とカード用IC20との通信による起動。以下、「通信起動」という。)であることを検出した場合には、カード用IC20と外部装置との通信終了後に表示用APを実行し、他の起動種別を検出した場合には、入力ポートチェック後に表示用APを実行し、起動種別に応じた処理を行う(S370,S380,S390)。表示用APの実行後に、CPU42は、表示APプラットフォームの終了処理を行い、入力ポートチェックの後発起動種別の検出を行い(S400)、後発的な要因がないと判定した場合には、電源をOFFし(S410,S420)、処理を終了する(S460)。後発起動種別が充電後発起動であると検出した場合には、CPU42は、アクティブモードからスタンバイモードへのモード切替を行い(S410,S430)、充電後にアクティブモードへ切り替え(S440,S450)、同様の処理を繰り返す(S400,S410)。後発起動種別が接触通信後発起動、非接触通信後発起動又はキー押圧後発起動であると検出した場合には、CPU42は、同様の処理を繰り返す(S320からS410まで)。
【0050】
図10及び図11は、CPU42への入出力信号などの各種信号の時間経過による変化を示す図であって、横軸は経過時間tを示し、縦軸は各信号の振幅を示している。図10(a)は非接触通信起動の場合、図10(b)は接触通信起動の場合、図10(c)はキー押圧起動の場合、図10(d)は、充電起動の場合において、搬送波検出部214、リセット信号入力端子303、キー32及び充電信号入力端子307から第1スイッチ回路341及びCPU42へそれぞれ出力される搬送波検出信号(Svc2)、リセット検出信号(Srst)、キー押圧検出信号(Skey)及び充電検出信号(Svb)(図3及び図6(a)参照。)、外部装置から受信する搬送波(アナログ受信信号;RF)、CPU42から第1スイッチ回路341、第2スイッチ回路342へ出力される第1電源制御信号(Sv1)及び第2電源制御信号(Sv2)の経過時間による変化を示している。以下、各起動種別においてICカード10が行う処理のタイミングをCPU42が入出力する信号の観点から説明する。
【0051】
図10に示すように、時刻t1までのICカード10が不使用状態にある場合には、各信号は、OFF信号となっている。
図10(a)に示すように、時刻t1において、カード用IC20は、外部装置から電磁波を受信し、アンテナ31を介して搬送波(RF)を入力し、外部装置との通信を開始する。搬送波検出部214は、時刻t1からON信号を第1スイッチ回路341へ出力し、第1スイッチ回路341は、接続への切り替えを行い、表示用マイコン40を起動する。CPU42は、開始処理において、第1電源制御信号をON信号へ切り替えて第1スイッチ回路341へ出力し、電源維持制御を行う。また、CPU42は、開始処理において、電源生成部211からのON信号及びリセット端子303からのOFF信号に基づいて非接触通信起動を検出する。
【0052】
時刻t2において、カード用IC20は、外部装置との通信を終了する。CPU42は、搬送波検出信号のOFF信号への遷移を検出し、第2電源制御信号をON信号に切り替え、第2スイッチ回路342へ出力し、外部装置に代わって電力をカード用IC20へ供給し、活性化する。つまり、時刻t1から時刻t2までの期間には、カード用IC20は、外部装置から電源生成部211を介して供給される電力によって駆動し、時刻t2から時刻t3までの期間は、電池33から供給される電力によって駆動(動作)する。CPU42は、カード用IC20と通信を行うなど非接触通信起動に応じた処理を行い(後述する図12など参照。)、時刻t3において、カード用IC20との通信の終了を契機に第2電源制御信号をOFF信号へ切り替え、非活性化を行う。CPU42は、液晶表示器70への表示を行った後に、終了処理を行い、第1電源制御信号をOFF信号とし、時刻t4において処理を終了する。
【0053】
図10(b)に示すように、時刻t1において、カード用IC20は、外部装置から接触端子30を介してリセット信号などを受信し、電力の供給を受け、通信を開始する。また、CPU42は、非接触通信起動の場合と同様に起動され、接触通信起動を検出し、第1電源制御信号をON信号へ切り替えて第1スイッチ回路341へ出力する。以下、CPU42は、非接触通信起動の場合と同様の処理を行い、液晶表示器70への表示を行わず、終了処理を行い、時刻t4において処理を終了する。
【0054】
図10(c)に示すように、時刻t1において、キー32がカード使用者によって押圧され、表示用マイコン40が起動する。CPU42は、開始処理において、第1電源制御信号をON信号へ切り替えて電源維持制御を行い、キー32からのON信号に基づいてキー押圧起動を検出する。また、CPU42は、第2電源制御信号をON信号へ切り替え、第2スイッチ回路342へ出力し、カード用IC20を活性化する。CPU42は、カード用IC20と通信を行うなどキー押圧起動に応じた処理を行い、時刻t2において、カード用IC20との通信終了を契機にカード用IC20を非活性化する。CPU42は、液晶表示器70への表示、終了処理を行い、第1電源制御信号をOFF信号とし、時刻t3において処理を終了する。
【0055】
図10(d)に示すように、時刻t1において、外部装置から充電信号入力端子307を介してON信号が第1スイッチ回路341へ出力され、表示用マイコン40が起動する。CPU42は、キー押圧起動の場合と同様に開始処理を行い、充電信号入力端子307からのON信号に基づいて充電起動を検出し、第1電源制御信号及び第2電源制御信号をON信号へ切り替える。時刻t2において、CPU42は、カード用IC20との通信終了を契機にカード用IC20を非活性化する。CPU42は、表示を行わず、入力ポート検出などの終了処理を行い、充電状態であることを検出し、時刻t3においてスタンバイモードへの動作モードの切り替えを行う。CPU42は、時刻t4における充電終了を契機にアクティブモードへの切り替え、終了処理を行い、第1電源制御信号をOFF信号とし、時刻t5において処理を終了する。
【0056】
図11は、非接触通信起動の場合であって、非接触通信起動についての処理中にキー32が押圧されたときのCPU42の入出力信号を示している。
図11に示すように、CPU42は、外部装置及びカード用IC20の通信中(時刻t1からt2まで)、CPU42及びカード用IC20の通信中(t2からt3まで)にキー押圧後発起動を検出した場合には、この要因をリセットし、対応する処理を行わない。また、CPU42は、液晶表示器70への表示中(LCDアクセス機能)の入力ポートチェックにおいて(t4)、キー押圧後発起動を検出した場合には、キー押圧起動の場合(図10(c))と同様の処理を行う(t5からt7まで)。
なお、図10及び図11において、表示用マイコン40、カード用IC20へのクロック信号の供給を制御するためにCPU42からクロック生成部35へ出力する第1クロック制御信号、第2クロック制御信号について示していないが、第1クロック制御信号は、第1電源制御信号と同様のタイミング、第2クロック制御信号は、第2電源制御信号と同様のタイミングでON/OFF信号の切り替えが行われる。
【0057】
図5に示すように、電子マネー用表示APなどの表示用APは、表示APプラットフォームの諸機能を呼び出す表示AP用関数を含み、CPU42が実行することによって、表示データ計算機能、不揮発性メモリ更新機能、表示画面作成機能、表示制御機能などの諸機能を実現するソフトウェアである。対応するAPについて液晶表示器70に表示を行うためのソフトウェアであって、表示APプラットフォームの開始処理機能の所定の処理後に起動種別をパラメータとして呼び出しを受ける。
【0058】
電子マネー用表示APは、カード用IC20においてチャージ、支払などのマネー処理が実行された場合に、その表示内容を演算し、表示データを作成し、表示制御を行う。電子マネー用表示APは、表示データ計算機能、不揮発性メモリ更新機能、表示画面作成機能、表示制御機能などを有している。
【0059】
図12は、CPU42による表示データ計算機能(表示データ計算処理)の実行を示すフローチャートである。
図12(a)に示すように、S510において、CPU42は、不揮発性メモリ25に記憶されているデータをカード用IC20から受信し、タイムスタンプ、残高などの更新データを抽出する。また、CPU42は、不揮発性メモリ50に記憶されている記録タイムスタンプ、記録残高などを読み出す(S520)。タイムスタンプとは、カード用IC20で最新の処理が行われた日時を示す情報であり、残高は、カード用IC20内の最新処理後のマネー残額を示す情報であって、ともに不揮発性メモリ25に記憶され、外部装置との通信において更新される更新データである。また、記録タイムスタンプ及び記録残高は、この外部装置との通信において更新される前に不揮発性メモリ25に記憶されていたタイムスタンプ及び残高であって、外部装置と通信を行う前、及び、起動種別が通信起動以外である場合には、タイムスタンプ及び記録タイムスタンプ、残高及び記録残高は、同一の値である。起動種別が通信起動である場合には、CPU42は、「支払額」、「チャージ額」などの処理金額を算出(処理内容情報を生成)する演算処理を行う(S540)。
【0060】
図12(b)は、処理金額を算出する演算処理を示すフローチャートである。
S542において、CPU42は、タイムスタンプと記録タイムスタンプとの比較を行い、同一である場合には、外部装置及びカード用IC20間で有効な処理が行われなかったと判定し、表示を行わずに電子マネー用表示APについての処理を中止し(S542,S543)、リターンして表示APプラットフォームに制御を戻す(図5のS40)。異なる場合(タイムスタンプが記録タイムスタンプよりも後の時間を示す場合)には、残高から記録残高を減算することによって処理金額を算出し(S544)、マイナスとなる場合には、処理金額が支払額を示し、プラスとなる場合には、チャージ額を示すこととなる(S545からS548まで)。
【0061】
不揮発性メモリ更新機能は、表示APプラットフォームが提供する不揮発性メモリアクセス機能を呼び出し、カード用IC20の最新処理履歴(タイムスタンプ、残高など)を記録タイムスタンプ、記録残高として不揮発性メモリ50へ記憶する機能である。
表示画面作成機能は、表示データ計算機能により得られたRAM43上の表示データを基に、表示画面数分の表示画面データをRAM43上に編集、展開する機能である。つまり、CPU42は、表示データ計算機能によりセットされたRAM43上の表示データを表示用のデータにコード変換し、表示画面データを表示画面毎にRAM43の表示領域にセットする。
表示制御機能は、電子マネー用表示APで定められている所定の表示順序に従い、RAM43上に展開した表示データの転送を、表示時間経過、キー32入力などのイベントを契機として行い、すべての表示を終了後、表示APプラットフォームに制御を戻す機能である。つまり、CPU42は、キー32からON信号が入力される頻度(所定の期間内にON信号が入力される回数であって、0回を含む。)に応じて表示画面の次画面への切り替えを行う。
【0062】
図13は、CPU42による電子マネー用表示APの表示制御機能の実行を示すフローチャートである。
S610において、CPU42は、最初の表示画面データを格納するRAM43におけるアドレス、サイズ、通知待ち時間などのパラメータを設定し、表示APプラットフォームが提供するLCDアクセス機能を呼び出し、液晶表示器70に表示を行う(S620)。呼出しがリターンした後は、CPU42は、次の表示画面データを格納するアドレス、サイズ、通知待ち時間を同様にパラメータに設定し(S630,S640,S650)、同様の処理を繰り返す(S620,S630,S640)。また、LCDアクセス機能の処理中(S620)に入力ポートチェック機能によって、接触通信後発起動、非接触通信後発起動又は充電後発起動を検出した場合には、CPU42は、OFF信号への立下がりを待たずに、電子マネー用表示APについての処理を終了し、表示APプラットフォームに制御を戻す(S630,S660)。全ての表示画面について表示が終了した場合についても同様である(S640,S660)。キー押圧後発起動を検出した場合には、CPU42は、ON信号の入力状態に応じた次の画面表示のためのパラメータを設定し、同様の処理を繰り返す(S630,S650,S620)。
【0063】
図14は、電子マネー用表示APの表示制御機能を説明するための図であって、図14(a)は、表示用マイコン40が非接触通信起動の場合、図14(b)は、キー押圧起動の場合に液晶表示器70に順に表示される表示画面を示している。なお、図14(a)において、ICカード10は、非接触通信処理によりタイムスタンプが更新された情報(電子マネー又はポイント)のみを液晶表示器70に表示する設定であって(図12(b)参照。)、非接触通信処理において、電子マネー及びポイントともに履歴が更新された場合について説明する。
図14(a)に示すように、表示用マイコン40の起動時までは、CPU42は、液晶表示器70に表示を行わず(#100)、起動後(非接触通信開始後)、電圧チェックの処理(図9のS340参照。)において、電圧レベルが「要充電」の場合には、警告を表示する(#110)。なお、電圧レベルが「シャットダウン」の場合には、CPU42は、液晶表示器70に何も表示を行わず処理を終了する(図9のS240,S420,S460参照。)。電圧レベルが「良好」であって、カード使用者が各表示画面の表示中にキー32を押圧しない場合には、CPU42は、液晶表示器70に第1画面で電子マネー情報を2秒間表示した後(#120)、第2画面でポイント情報を2秒間(#130)、第3画面でメモ情報を3秒間表示し(#140)、表示を終了する(#150)。
【0064】
一方、画面表示処理中にキー32が押圧された場合には、CPU42は、表示時間に関わらず、キー32が離されたタイミングで次の表示画面へ切り替える。最終画面(第3画面)表示中にキー32が押圧された場合には、CPU42は、キー32が離されたタイミングで第1画面から同様の表示を繰り返す(#120から#140まで)。CPU42は、画面表示処理中にキー32が押圧され続けている間は、次画面に切り替えず、各表示画面を保持する。但し、10秒以上、キー32が押圧され続け、長押し状態を検出した場合には、CPU42は、スタンバイモードへの切り替えを行い、液晶表示器70への表示を終了する(#150)。
【0065】
図14(b)に示すように、CPU42は、キー押圧起動の場合に、カード用IC20の不揮発性メモリ25に記憶されているマネー情報を液晶表示器70に2秒間表示(#220)した後、ポイント情報を2秒間表示し(#230)、表示を終了する(S240)。画面表示処理中にキー押圧された場合には、CPU42は、表示時間に関わらず、キーが離されたタイミングで次画面へ切り替える。表示の最終画面(第2画面)表示中にキー押下された場合には、CPU42は、キーが離されたタイミングで第1画面の表示から繰り返す(#220,#230)。画面表示処理中にキー32が押圧された場合の表示については、図14(a)の非接触通信起動の場合と同様である。なお、これらのキー32からのON信号入力の頻度及び期間と次に表示する表示画面の規則的な関連づけは、電子マネー用表示AP内に設定され、ROM44に記憶されている。また、起動種別が接触通信起動又は充電起動である場合には、CPU42は、液晶表示器70への表示を行わない。
【0066】
図15は、CPU42による電子マネー用表示APの実行を示すフローチャートである。
表示APプラットフォームからの呼び出しによって、CPU42は、電子マネー用表示APの実行を開始する(S700)。CPU42は、先ず、表示APプラットフォームのカード用ICアクセス機能を実行し、カード用IC20を活性化する(S710)。CPU42は、表示データ計算機能を実行し、不揮発性メモリ25に記憶されているタイムスタンプ、残高及び不揮発性メモリ50に記憶されている記録タイムスタンプ、記録残高を読み出す(S720,S730)。CPU42は、起動種別が、通信起動の場合には、表示データの演算処理を行う(S740,S750)。CPU42は、不揮発性メモリ更新機能を実行し、タイムスタンプ及び残高を記録タイムスタンプ及び記録残高として不揮発性メモリ50に書き込み(S760)、カード用ICアクセス機能を呼び出し、カード用IC20の非活性化を行う(S770)。
【0067】
起動種別が接触通信起動又は充電起動の場合には、CPU42は、液晶表示器70による表示を行わず、電子マネー用表示APについての処理を終了し、リターンにより表示APプラットフォームに制御を戻す(S780,S840)。
起動種別が非接触通信起動又はキー押圧起動の場合には、表示画面作成機能を実行し、表示画面を作成し(S790)、表示制御機能を実行することによって、液晶表示器70への表示を行う(S800)。LCDアクセス機能の戻り値(後発起動種別)が接触通信後発起動、非接触通信後発起動又は充電後発起動である場合、つまり、表示処理中に接触通信状態、非接触通信状態又は充電状態を検出した場合には、処理を終了する(S810,S840)。キー押圧後発起動である場合には、CPU42は、次の画面表示のためのパラメータを設定し(S810,S830)、同様の処理を繰り返す(S800,S810)。表示中に後発的な要因が検出できない場合には、各表示画面の表示について同様の処理を行い(S820,S830)、全ての表示が終了した場合に、CPU42は、処理を終了する(S820,S840)。
【0068】
このように、本実施例によれば、ICカード10は、各接触端子30、アンテナ31などの複数の入力装置における入力状態に基づいて使用状態を検出し、使用状態に応じた内容の通知、使用状態に応じたタイミングでの通知を行うため、処理の効率化及び利便性を向上することが可能となった。特に、非接触通信状態の場合には、ICカード10は、外部装置との通信終了後に自動的に表示を行うため、外部装置及びカード用IC20間の通信を妨げることなく、カード使用者の利便性を向上することが可能となった。
また、非接触通信状態及びキー押圧状態が検出された場合にのみ通知を行うため、不要な通知を防止し、処理の効率を向上するとともに無駄な電力消費を防止することが可能となった。
【0069】
更に、ICカード10は、接触通信状態又は充電状態などの表示を行わない場合であっても、不揮発性メモリ50に記憶されているデータの更新など次回以降の表示のための準備を行うため、確実にデータの更新を行い、表示する情報の精度を向上するとともに、処理の効率化を図ることが可能となった。特に、ICカード10は、充電状態を検出した場合には、不揮発性メモリ50に記憶されているデータが更新されていない可能性が高いため、自動的にデータの更新を行い、表示する情報の精度を向上するとともに、処理の効率化を図ることが可能となった。
更にまた、ICカード10は、リセット信号入力端子303からのリセット信号の入力状態及びアンテナ31からの搬送波の入力状態に基づいて使用状態が接触通信状態又は非接触通信状態であることを検出するため、正確な使用状態の検出、正確な情報の表示が可能となった。
【0070】
また、ICカード10は、長押し状態又は充電状態を検出した場合に動作モードをスタンバイモードに切り替えるため、消費電力を低減し(アクティブモード時の消費電流:3mA、スタンバイモード時:5μA)、電池33の寿命を延ばすことが可能となった。特に、充電信号入力端子306からのON信号を表示用マイコン40の起動要因としているため、充電中に表示用マイコン40の電源をオフにすることができないが、スタンバイモードへ切り替えることによって、消費電力を低減することが可能となった。
更に、ICカード10は、各接触端子30、アンテナ31及びRF部21などの入力装置における入力状態に応じて電池33及び表示用マイコン40間の電力供給路の接続又は非接続への切り替えを第1スイッチ回路341が行うため、常に接続されていた場合に比べて待機電力の消費を低減し、省電力化を図り、電池33の寿命を延ばすことが可能となった(例えば、消費電流が従来20μAであったものが本発明によって2μAとなり、電池寿命は、300時間から3000時間に延長される。)。
【0071】
更にまた、外部装置との通信の開始などの外部からの働きかけを表示用マイコン40の動作開始(処理開始)のきっかけとすることが可能となった。特に、液晶表示器70へ表示を行うきっかけとし、使用者に自動的に情報を通知し、利便性を向上することが可能となった。また、複数の入力装置の入力状態に応じて電力供給路の切り替えを行うため、様々な起動種別を表示用マイコン40の動作開始のきっかけとすることが可能となった。
更に、ICカード10は、揮発性の液晶表示器70を備え、表示を行う期間を電力が供給されている期間内に限定するため、無用な長期間の表示を防止し、情報の漏洩を防止することが可能となった。
更にまた、ICカード10は、CPU42からON信号を第1スイッチ回路341へ出力することよってCPU42が処理を行う期間に応じて電力供給路の接続を維持するため、安定した電力供給を行うとともに、処理にかかる期間に応じて電力供給を終了することができ、省電力化を図ることが可能となった。同様に、ICカード10は、CPU42からON信号を第2スイッチ回路342へ出力することによってCPU22が通信を行う期間に応じて電力供給を制御するため、安定した電力供給及び省電力化を図ることが可能となった。
【0072】
また、カード用IC20は、外部装置と通信を行っている場合には、外部装置から供給される電力で動作し、一方、表示用マイコン40は、電池33から供給される電力で動作するため、CPU22及びCPU42が独自に動作し、処理の効率化を図ることが可能となった。
更に、カード用IC20及び表示用マイコン40がそれぞれ外部装置との通信にかかる処理、液晶表示器70への表示にかかる処理を行うため、各ICチップに高い性能を要求せず、実現性を向上することが可能となった。
更にまた、カード用IC20には、搬送波検出信号出力端子308が設けられているため、非接触通信状態を容易に検出可能となった。また、カード用IC20の外部に搬送波検出部214を設ける必要がなく、ICカード10に具備される部品点数が少なくなり、低コスト化を図るとともに、歩留まりを向上し、信頼性アップを図ることが可能となった。
【0073】
また、ICカード10は、検出した電池33の電圧レベルを不揮発性メモリ50に記憶するため、例えば、「シャットダウン」の電圧レベルを検出して不揮発性メモリ50に記憶し、第1スイッチ回路341を非接続に切り替えて処理を終了した後に、再び第1スイッチ回路が接続に切り替えられ、表示用マイコン40が起動した場合に、短期的に電池33の電圧レベルが上昇し、「要充電」の電圧レベルが検出された場合であっても、不揮発性メモリ50に記憶されている電圧レベルを参照することができ、整合性がとれない情報処理や、表示処理などを防止し、処理の精度を向上することが可能となった。
更に、ICカード10は、CPU42が検出した電圧レベル又は不揮発性メモリ50に記憶されている電圧レベル(以前にCPU42が検出した電圧レベル)が「要充電」である場合には、警告を表示し、カード使用者に通知するため、カード使用者が充電のタイミングを知る、液晶表示器70を使用可能な期間を知ることができ、利便性を向上することが可能となった。
更にまた、ICカード10は、CPU42が検出した電圧レベル又は以前に検出し、不揮発性メモリ50に記憶していた電圧レベルが「シャットダウン」である場合には、第1スイッチ回路341を非接続に切り替えるため、電池33の過度の使用を防止し、劣化などの不具合を防止することが可能となった。
【0074】
また、ICカード10は、CPU42が検出した電圧レベルが、以前に検出し、不揮発性メモリ50に記憶していた電圧レベルよりも低い場合に電圧レベルを不揮発性メモリ50に書き込む、つまり、高レベルから低レベルへのみ書き換えを行うため、第1スイッチ回路341の切り替えなどによって短期的に上昇した電圧レベルを記憶せず、より正確に電池33の電圧レベルを把握することが可能となった。
更に、ICカード10は、充電信号入力端子306からON信号を入力した場合に、不揮発性メモリ50に「良好」の電圧レベルを書き込むため、充電後においても上記効果と同様の効果を得ることが可能となった。
更にまた、ICカード10は、充電信号入力端子306からON信号を入力している場合にのみ、第3スイッチ回路343が充電電圧端子307及び電池33を接続するため、充電電圧端子307からのリーク電流の流出を防止し、無駄な電力消費を防止することが可能となった。
【0075】
また、ICカード10は、第3スイッチ回路343の切り替えにトランジスタを利用するため、CPU42などによる切り替えの制御を不要とし、処理の効率化及び消費電力の低減を図ることが可能となった。
更に、ICカード10は、規格に従って従来のICカードに設けられている予備の接触端子を充電電圧端子307、充電信号入力端子306として使用するため、汎用性及び実現性を向上することが可能となった。
更にまた、ICカード10は、キー32から1度ON信号が入力された場合には、次の表示画面に切り替えるなど、キー32からON信号が入力される頻度及びON信号が入力されている期間に応じて表示を行うため、カード使用者に分かり易い効果的な表示を行い、使用者の利便性を向上することが可能となった。
【0076】
また、ICカード10は、キー32からON信号が入力される頻度及び入力されている期間と、次に表示する表示画面との関連づけが規則的に設定されているため、キー32の操作性を向上し、利便性を向上することが可能となった。
更に、キー32は、押圧されている場合に所定のハイレベルの信号を入力すればよいため、例えば、押圧することによって単一の信号を入力するボタン型などの単純な構造で実現でき、その小型化を図るとともに、カード使用者は、指1本を当てたまま操作することができ、操作性及び利便性を向上することが可能となった。
更にまた、ICカード10は、一の情報の表示を行っている間にキー32からON信号が入力された場合には、一の情報の表示を続けるため、使用者のキー32操作によって次の情報への切り替えのみでなく、一の情報を表示する期間の延長を可能とし、操作性及び利便性を向上することが可能となった。
【0077】
また、ICカード10は、所定の期間にキー32が押圧されない場合に表示を終了するため、表示の終了のための使用者の操作が不要とすることによって、利便性を向上することが可能となった。
更にまた、カード用IC20は、外部装置と行う通信のプロトコルと同一のプロトコルに基づいて表示用マイコン40と通信を行い、また、そのデータ入出力端子309を共用するため、カード用IC20内の通信制御回路などの資源を共用して有効活用することができ、外部装置との通信及び内部における複数のICチップ間での通信を簡易な構成で実現し、製造コストを安価にすることが可能となった。また、カード用IC20を小型化し、外部からの圧力に対する耐久性を向上し、ICカード10の曲げなどによる故障を防止することが可能となった。
【0078】
更に、ICカード10は、表示AP、記録残高、記録タイムスタンプなどの液晶表示器70が表示を行うために必要なデータを記憶する不揮発性メモリ50をカード用IC20の外部に備え、カード用IC20の不揮発性メモリ25にこれらのプログラムやデータを記憶する必要がないため、不揮発性メモリ25に必要とされる容量を従来と同様とし、従来のICチップでカード用ICを実現でき、実現性の向上を図ることが可能となった。
更にまた、ICカード10は、不揮発性メモリ50が、記録残高、記録タイムスタンプなどの不揮発性メモリ25に記憶されているデータ(残高、タイムスタンプ)と同一のデータを記憶するため、外部装置との通信後にタイムスタンプ及び記録タイムスタンプを照合することによって、外部装置との通信における不揮発性メモリ25への書き込みが正常に行われたことを確認することができ、また、確認後に表示を行うため、正常に処理が行われなかった場合には、通知を行わない等、通知する情報の精度を向上することが可能となった。
【0079】
更に、ICカード10は、不揮発性メモリ25及び不揮発性メモリ50に記憶されている残高及び記録残高に基づいて、支払額、チャージ額などの処理内容情報を生成するため、これらの情報を記憶する必要をなくし、不揮発性メモリ25及び不揮発性メモリ50のメモリ領域を効率的に利用するとともに、実現性を向上することが可能となった。
更にまた、ICカード10は、外字コードを不揮発性メモリ50に記憶するため、表示できる画像の種類を増やし、カード使用者にとって分かり易い表示を行い、利便性を向上することが可能となった。
【0080】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。例えば、実施例において、ICカード10は、液晶表示器70に情報を表示することによって使用者へ通知を行っているが、スピーカーを備え、音声出力によって通知を行ってもよい。また、情報を表示するディスプレイも情報の表示及び表示内容の変更をすることができれば、有機ELディスプレイなどでもよく、液晶ディスプレイに限られない。更に、ディスプレイは、表示内容が変更可能であって、表示に電力を必要としない不揮発性の表示装置であってもよい。
【0081】
CPU42は、入力ポートチェック機能において、アンテナ31による搬送波の入力状態を示す搬送波検出信号(Svc2)と、リセット信号入力端子303によるリセット信号の入力状態を示すリセット検出信号(Srst)に基づいて接触通信状態又は非接触通信状態の検出を行うが(図6及び図7参照。)、リセット信号入力端子303の代わりに、電源電圧端子304又はクロック端子301などの他の入力装置による信号又は電力の入力状態と、搬送波の入力状態とに基づいて検出を行ってもよい。
また、第1スイッチ回路341へ出力する検出信号についても同様である。
【0082】
ICカード10の搬送波検出部214に設けられている検波回路は、ダイオード及びオペアンプを用いた検波回路であってもよく、アンテナ31による搬送波の入力状態を示す搬送波検出信号を生成できれば限定されない。
【0083】
ICカード10は、非接触通信起動、キー押圧起動の場合に液晶表示器70への表示を行うが、接触通信起動、充電起動の場合に表示を行ってもよく、例えば、外部装置との接触式での通信又は充電終了後にその処理内容の表示を行ってもよい。各使用状態に応じて表示を行うか否か、各使用状態における表示内容、表示のタイミングを任意に設定することが可能である。
【0084】
ICカード10は、キー押圧起動の場合にカード用IC20の活性化を行い、不揮発性メモリ25に記憶されている情報の表示を行うが、カード用IC20を活性化することなく、不揮発性メモリ50に記憶されている情報の表示を行ってもよい。
【0085】
ICカード10は、アンテナ31を介して電磁結合式で外部装置と通信を行うが、静電誘導式で通信を行ってもよく、非接触式での通信方法は限定されない。
【0086】
ICカード10は、カード用IC20、表示用マイコン40,40−2及び液晶ドライバIC60の3つのICチップを備えているが、表示用マイコン40が液晶ドライバIC60の機能を有し、液晶ドライバIC60を備えず、2つのICチップのみを備えていてもよい。
【0087】
ICカード10は、液晶表示器70への表示に関係するデータを記憶する不揮発性メモリ50を表示用マイコン20の外部に備えているが、表示用マイコン20内に不揮発性メモリ50を備えていてもよく、カード用IC20の外部に不揮発性メモリ50を備えていれば、その場所は限定されない。
【0088】
ICカード10は、カード用IC20、表示用マイコン40,40−2の外部にクロック生成部35及びリセット生成部を備えているが、カード用IC20及び/又は表示用マイコン40の内部に備えていてもよい。
【0089】
CPU42は、液晶表示器70への表示中、所定の期間内にキー32が1度押圧された場合(以下、「1度押し」という。)に所定の順序で次の表示画面への切り替えを行うが(図14参照。)、例えば、所定の期間内にキー32が2度押圧された場合(以下、「2度押し」という。)など、キー32が押圧される他の頻度(所定の期間内にキー32が押圧される回数)に応じた表示画面の切り替えを行ってもよい。
【0090】
CPU42は、キー押圧起動もしくは、非接触通信起動の場合、液晶表示器70への表示内容の切り替えを所定の順序で自動的に行うが(図14参照)、キーが押された場合のみ、表示内容の切り替えを行ってもよい。
また、最後に表示された情報の属性情報(マネー、ポイント等)を記憶する通知履歴記憶手段を備え、前記通知履歴記憶手段に記憶されている属性情報に基づいた情報もしくは、その次の情報から表示を開始してもよい。
【0091】
例えば、CPU42,42−2は、最上位の階層では、属性が異なる次の表示画面に切り替えるなど、1度押しの場合には、同階層における次の表示画面へ切り替える。また、CPU42,42−2は、所定の期間(例えば、1秒)以上キー32が押圧された長1度押しの場合には、階層が下位の表示画面に切り替え、最下位層において長1度押しされた場合には、最上位層へ切り替える。更に、CPU42,42−2は、2度押しされた場合には、前に表示された表示画面に切り替える。一方、CPU42,42−2は、所定の期間(例えば、2秒間)にキー32が押圧されない場合には、この表示用APに関する表示を終了する。
【0092】
なお、属性とは、マネー、ポイント等の表示する情報の属性である。また、階層とは、同一属性の情報における複数の表示画像データを表示の優先順位によって階層に分けたものであって、最上位が最優先となっている。例えば、属性がマネーの情報であれば、最上位にマネー残高、利用額データが割り当てられ、下位の層にメモ情報が割り当てられる。
以上のように、ICカード10は、様々な属性、階層にわたるサイズの大きい情報を使用者のキー操作に応じて表示することが可能となる。また、カード使用者は、次の表示画面を複数の中から選択し、知りたい情報を迅速に知ることができ、利便性を向上することが可能となる。
更に、キー32からON信号が入力される頻度、入力される期間と、次に表示する表示画面を規則的に関連づけて設定することによって、キー32の操作性を向上し、カード使用者の利便性を向上することが可能となる。
【0093】
更にまた、表示用マイコン40,40−2は、入力ポートチェック機能によって、後発起動種別を検出する場合のみならず、キー押圧起動時にキー32が押圧される期間、頻度を検出してもよい。この期間、頻度に応じて表示APプラットフォームから呼び出す表示用APの順を変えるなど、カード利用者による表示画面データの選択肢変え、カード利用者の利便性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明によるICカードの実施例における構成を示すブロック図である。
【図2】カード用IC10及び表示用マイコン40の構成を示すブロック図である。
【図3】スイッチ回路部34を説明する図である。
【図4】本発明によるICカードの構造を説明するための概略図である。
【図5】表示用マイコン40が行う処理の概略を説明するフローチャート及び概略図である。
【図6】入力ポートチェック機能について説明するための図である。
【図7】入力ポートチェック機能について説明するための図である。
【図8】CPU42による電圧チェック機能の実行を示すフローチャートである。
【図9】本発明によるICカードの動作及びICカードプログラムを示すフローチャートである。
【図10】各種信号の時間経過による変化を示す図である。
【図11】各種信号の時間経過による変化を示す図である。
【図12】CPU42による表示データ計算機能の実行を示すフローチャートである。
【図13】CPU42による表示制御機能の実行を示すフローチャートである。を実現するためにCPU42が行う表示制御処理を示すフローチャートである。
【図14】表示制御機能を説明するための図である。
【図15】CPU42による電子マネー用表示APの実行を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
10 ICカード
20 カード用IC
21 RF部
22 CPU
23 RAM
24 ROM
25 不揮発性メモリ
30 接触端子
31 アンテナ
32 キー
33 電池
34 スイッチ回路部
35 クロック生成部
40 表示用マイコン
41 I/Oインターフェイス
42 CPU
43 RAM
44 ROM
50 不揮発性メモリ
60 液晶ドライバIC
70 液晶表示器
214 搬送波検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のICチップを備えるICカードであって、
一の前記ICチップは、外部装置との通信において行う処理と同様の処理を行うことによってICカード内に具備される他の前記ICチップと通信を行うこと、
を特徴とするICカード。
【請求項2】
請求項1に記載のICカードにおいて、
前記一のICチップは、外部装置と行う通信のプロトコルと同一のプロトコルに基づいてICカード内に具備される前記他のICチップと通信を行うこと、
を特徴とするICカード。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のICカードにおいて、
前記一のICチップは、外部装置と接触式でデータを送受信するためのデータ入出力端子を有し、
前記一のICチップは、前記データ入出力端子を介して前記他のICチップと通信を行うこと、
を特徴とするICカード。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のICカードにおいて、
表示及び/又は音声出力することによって、情報を使用者に通知する通知手段を備え、
前記一のICチップは、外部装置と送受信されるデータについて処理を行い、
前記他のICチップは、前記通知手段を制御し、前記一のICチップの処理にかかるデータについて通知を行わせること、
を特徴とするICカード。
【請求項1】
複数のICチップを備えるICカードであって、
一の前記ICチップは、外部装置との通信において行う処理と同様の処理を行うことによってICカード内に具備される他の前記ICチップと通信を行うこと、
を特徴とするICカード。
【請求項2】
請求項1に記載のICカードにおいて、
前記一のICチップは、外部装置と行う通信のプロトコルと同一のプロトコルに基づいてICカード内に具備される前記他のICチップと通信を行うこと、
を特徴とするICカード。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のICカードにおいて、
前記一のICチップは、外部装置と接触式でデータを送受信するためのデータ入出力端子を有し、
前記一のICチップは、前記データ入出力端子を介して前記他のICチップと通信を行うこと、
を特徴とするICカード。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のICカードにおいて、
表示及び/又は音声出力することによって、情報を使用者に通知する通知手段を備え、
前記一のICチップは、外部装置と送受信されるデータについて処理を行い、
前記他のICチップは、前記通知手段を制御し、前記一のICチップの処理にかかるデータについて通知を行わせること、
を特徴とするICカード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−133563(P2007−133563A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324774(P2005−324774)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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